JP2023554184A - 虚血再灌流傷害の予防又は治療のためのアネトールトリチオン投与治療計画 - Google Patents

虚血再灌流傷害の予防又は治療のためのアネトールトリチオン投与治療計画 Download PDF

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Abstract

本発明は、それを必要とするヒト対象における虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減する方法において使用するためのアネトールトリチオン(AOL)に関し、a)AOLのボーラスが、ヒト対象に投与され、かつb)AOLの静脈内(IV)注入が、AOLのボーラスの直後にヒト対象に施され、注入中の定常状態での対象血漿中のAOLの濃度が、対象の血漿1ミリリットル(mL)あたり約1ng超のAOLである。【選択図】なし

Description

本発明は、虚血再灌流傷害の分野に関する。特に、それは、それを必要とする対象における虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減する方法におけるアネトールトリチオン(AOL)の使用に関し、ここで:
a)AOLのボーラスが、対象に投与される予定であり、かつ
b)AOLの静脈内(IV)注入が、対象に施される予定であり、
注入中の定常状態での対象血漿中のAOL濃度が、対象の血漿1ミリリットル(mL)あたり約1ng~約2ngのAOLの範囲である。
発明の背景
急性ST上昇型心筋梗塞(STEMI)に対する再灌流療法の進歩にもかかわらず、米国のいくつかの地域における死亡率は、8%と高い(Hanら,2019.J Am Heart Assoc.8(22):e012054)。加えて、心不全は依然として、心筋梗塞の重大な合併症である(Bahitら,2018.JACC Heart Fail.6(3):179-186)。心筋梗塞後の転帰をさらに改善する可能性のある治療法は、細胞のエネルギー生産工場:ミトコンドリアをより良好に保護することである。
いくつかの治療剤が既に開発されており、その中でも、抗酸化剤ベースの治療剤は、その生成が酸化ストレスの誘導を通じて再灌流により誘発される、活性酸素種(ROS)を標的とする。しかし、これらの治療剤はいくつかの欠点がある:第1に、それらは、ROSの生成の後、よってこれらのROSがすでにそれらの損傷を引き起こした後、でのみROSをトラップする。第2に、これらの抗酸化剤は、非特異的であり、すなわち、それらは、細胞中のそれらの生成の部位に関係なくROSをトラップする。これらのROS、特に細胞質ROSはしかし、細胞の機能にとって重要であり、正常細胞中に低レベル及び定常レベルで天然に存在する。
アネトールトリチオン(AOL)は、1696年から薬物として合成及び使用され、多くの国で販売され、ヒト療法で使用されている(Detaillら,2019.PLoS One.14(5):e0216385)。AOLは、5-(4-メトキシフェニル)-3H-1,2-ジチオール-3-チオンとも呼ばれ、非特異的な抗酸化分子(すなわち、ラジカルスカベンジャー)として作用しないが、ミトコンドリア呼吸鎖の複合体Iからのミトコンドリアスーパーオキシド/H生成の特異的抑制因子である(Detailleら,2019.PLoS One.14(5):e0216385;Dias Amoedoら,2020.Antioxid Redox Signal.33(13):883-902)。それは、そのため、細胞質ROSの微調整されるレベルを無秩序にすることなく、ミトコンドリアROS(mtROS)の生成を特異的に阻害する能力を有する。
本発明者らは、虚血再灌流傷害に対する保護効果を達成するために必要とされるAOLの最適な血漿濃度を推定した。しかし、AOLは、その主要代謝産物であるデスメチルアネトールトリチオン(AOX)へとすぐに代謝される。したがって、本発明者らは、虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減するために、この最適な血漿濃度を維持するためのオリジナルの投与シーケンスを設計する必要があった。
本発明は、それを必要とするヒト対象における虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減する方法において使用するためのアネトールトリチオン(AOL)に関し、ここで:
a)ヒト対象の体重1キログラム(kg)あたり約1.8μg~約3μgのAOLを含むAOLのボーラスが、ヒト対象に投与される予定であり、
b)AOLの静脈内(IV)注入が、AOLのボーラスの直後にヒト対象に施される予定であり、1時間あたりヒト対象の体重1kgあたり約2μg~約6μgのAOLを含む上記IV注入が、6時間以上の期間の間連続して投与される予定であり、
注入中の定常状態での対象血漿中のAOL濃度が、対象の血漿1ミリリットル(mL)あたり約1ng超のAOLであり、好ましくは定常状態での対象血漿中のAOL濃度が、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)により評価される。
一実施形態では:
AOLのボーラスは、ヒト対象の体重1kgあたり少なくとも2μgのAOLを含み、注入は、6時間以上の期間の間連続して投与される予定の1時間あたりヒト対象の体重1kgあたり少なくとも3μgのAOLを含む;又は
AOLのボーラスは、ヒト対象の体重1kgあたり少なくとも3μgのAOLを含み、注入は、6時間以上の期間の間連続して投与される予定の1時間あたりヒト対象の体重1kgあたり少なくとも2μgのAOLを含む;又は
AOLのボーラスは、ヒト対象の体重1kgあたり少なくとも1.8μgのAOLを含み、注入は、約3時間の第1の期間の間連続して投与される予定の1時間あたりヒト対象の体重1kgあたり約6μgのAOLを含み、次いで、3時間以上の第2の期間の間連続して投与される予定の1時間あたりヒト対象の体重1kgあたり少なくとも2μg、好ましくは少なくとも3μgのAOLを含む。
一実施形態では、注入中の定常状態での対象血漿中のAOL濃度は、対象の血漿1mLあたり約1ng~約3ng、好ましくは対象の血漿1mLあたり約1ng~約2.25ngのAOLの範囲であり、好ましくは定常状態での対象血漿中のAOL濃度は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)により評価される。
一実施形態では、AOLのボーラスは、再灌流の前に又は再灌流の時に投与される予定である。
一実施形態では、AOLのボーラスは、静脈内又は動脈内、好ましくは冠動脈内注入により投与される予定である。
一実施形態では、AOLの注入は、約6時間~約24時間の間連続して投与される予定である。
一実施形態では、虚血再灌流傷害は、心筋組織、皮膚組織、骨格筋組織、平滑筋組織、軟骨組織、腱組織、脳組織、脊髄組織、網膜組織、角膜組織、肺組織、肝臓組織、腎臓組織、膵臓組織、卵巣組織、精巣組織、腸組織、胃組織、膀胱組織、又は遠位肢組織からなる群から選択される組織の虚血及び再灌流の後に生じる。
一実施形態では、虚血再灌流傷害は、心臓の虚血及び再灌流の後に生じ、虚血再灌流傷害は、急性冠症候群である。
一実施形態では、急性冠症候群は、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)及び不安定狭心症を含むか又はそれらからなる群から選択される。一実施形態では、急性冠症候群は、STEMIである。
一実施形態では、急性冠症候群を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減することは、再灌流誘発性STセグメント上昇を減少させること、トロポニンIc放出を減少させること、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)放出を減少させること、梗塞サイズを減少させること、及び左心室駆出率を増加させることの1以上を含む。
一実施形態では、ヒト対象は、虚血時に手術を受けている。一実施形態では、手術は、動脈クランプ及び血管形成術を含む群から選択される。
一実施形態では、ヒト対象は、虚血時に組織又は臓器移植を受けている。一実施形態では、組織又は臓器移植は、冠状動脈バイパス移植手術である。
定義
「約」は、数字の前にある場合、上記数字の値のプラス又はマイナス10%を意味する。
「アネトールトリチオン」又は「AOL」又は「5-(4-メトキシフェニル)ジチオール-3-チオン」は、以下の式:
Figure 2023554184000001
を有する置換ジチオールチオンを指す。
「ボーラス」は、有効レベルへと血液中のその濃度を上昇させるために、特定の時間内に、典型的には約30秒~約30分内に、別々の量の医薬、薬物、又は他の化合物(例えば、AOLなど)を投与することを指す。投与は、注入により(例えば、静脈内で、動脈内で[例えば、冠状動脈内で]、筋肉内で、髄腔内で又は皮下でなど;好ましくは静脈内で又は動脈内冠状動脈内で[例えば、冠状動脈内で];より好ましくは静脈内で)、又は吸入により行うことができる。
「注入」は、有効レベル、例えば「定常状態」レベルに血液中のその濃度を維持するために、長期間、典型的には約30分~数時間又は数日、にわたる医薬、薬物、又は他の化合物(例えば、AOLなど)の連続静脈内投与を指す。
「虚血再灌流傷害」は、「再酸素化傷害」又は「再灌流傷害」とも呼ばれ、血液供給が血液供給の制限期間後(すなわち、虚血後)に臓器又は組織に戻るとき(すなわち、再灌流中)に臓器又は組織に生じる損傷を指す。実際に、虚血中に血液からの酸素と栄養素がないことは、再灌流が、正常機能の回復よりむしろ、又はそれと共に、好中球の浸潤による損傷、細胞イオン恒常性の妨害、ミトコンドリアの機能不全及び酸化ストレスの誘発による酸化的損傷をさらに引き起こす状態を作り出す。いかなる組織も、この組織が虚血の段階と再灌流の段階の両方に供されている限り、虚血再灌流傷害を受ける可能性がある。虚血再灌流傷害は、例えば動脈閉塞などの、自発的に生じるイベントの後で、又は例えば、外科的介入(動脈クランプ中、血管形成術、移植手術中など)又は治療的処置(血栓溶解療法中など)などの、計画されたイベントの後で生じる可能性がある。
虚血再灌流傷害に関して、「重症度又は進行を軽減する」、「重症度又は進行の軽減」及びその任意の変形は、虚血再灌流傷害及び/又はそれと関連付けられる症状の部分的な軽減、阻害、又は緩和を指す。
虚血再灌流傷害に関して、「予防する」、「予防」及びその任意の変形は、虚血再灌流傷害の発生及び/又はそれと関連付けられる症状の減少又は排除を指す。
「定常状態」は一般に、長期にわたって安定なかつ一定の状態を維持する傾向があるシステムの特性を指す。「恒常性」とも呼ばれ、それは、本発明では、対象血漿中のアネトールトリチオン(AOL)の濃度が、上記対象へのAOLの静脈内(IV)注入中に、安定でかつ一定のプラトーに達する状態を指す。
「虚血再灌流傷害と関連付けられる症状」は、虚血組織において、又は虚血により損傷された組織において観察される症状;又はより包括的には、虚血再灌流傷害に罹患している対象が経験する症状を指す。そのような症状の例としては、限定されないが、非虚血性組織と比較して虚血組織の血流の減少、低酸素症、無酸素症、低血糖、代謝の低下、壊死の増加、及び/又はアポトーシスの増加が挙げられる。虚血再灌流傷害と関連付けられるさらなる症状は、限定されないが、けいれん、跛行、しびれ、うずき、脱力感、疼痛、創傷治癒の低下、炎症、皮膚の変色、及び/又は壊疽を含む。
虚血再灌流傷害に関する「治療する」、「治療」、及びその任意の変形は、虚血再灌流傷害及び/又はそれと関連付けられる症状の完全な緩和、阻害、発症遅延、又は治癒を指す。
詳細な説明
本発明は、
a)アネトールトリチオン(AOL)のボーラスを対象に投与すること、及び
b)AOLの静脈内(IV)注入を対象に施すこと、
を含み、注入中の定常状態での対象血漿中のAOLの濃度が、血漿1ミリリットル(mL)あたり約1ng超のAOLである、
それを必要とする対象、好ましくはそれを必要とするヒト対象における虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減する方法に関する。
本発明はまた、それを必要とする対象、好ましくはそれを必要とするヒト対象における虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減する方法における使用のためのアネトールトリチオン(AOL)に関し、ここで:
a)AOLのボーラスが、対象に投与される予定であり、かつ
b)AOLの静脈内(IV)注入が、対象に施される予定であり、
注入中の定常状態での対象血漿中のAOLの濃度が、対象の血漿1ミリリットル(mL)あたり約1ng超のAOLである。
本発明はまた、
a)AOLのボーラス、及び
b)AOLの静脈内(IV)注入
の対象への別々の投与、逐次投与又は同時投与を含み、
注入中の定常状態での対象血漿中のAOLの濃度が、対象の血漿1ミリリットル(mL)あたり約1ng超のAOLである、
それを必要とする対象、好ましくはそれを必要とするヒト対象における虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減する方法における使用のためのアネトールトリチオン(AOL)に関する。
本発明によれば、アネトールトリチオン(AOL)のボーラスが、対象に投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのボーラスは、再灌流の前、すなわち、血液供給が虚血組織に戻る前に、投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのボーラスは、再灌流の約48時間、24時間、18時間、12時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、1時間、55分、50分、45分、40分、35分、30分、25分、20分、15分、10分、又は5分前に、すなわち、血液供給が虚血組織に戻る48時間、24時間、18時間、12時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、1時間、55分、50分、45分、40分、35分、30分、25分、20分、15分、10分、又は5分前に投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのボーラスは、再灌流の約4時間前に、すなわち、血液供給が虚血組織に戻る4時間前に投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのボーラスは、再灌流の約3時間前に、すなわち、血液供給が虚血組織に戻る3時間前に投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのボーラスは、再灌流の約2時間前に、すなわち、血液供給が虚血組織に戻る2時間前に投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1キログラム(kg)あたり約0.3μg~約4.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約0.9μg~約4.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約1.8μg~約4.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約2.0μg~約4.0μgのAOLを含む。
一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約0.3μg~約3.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約0.9μg~約3.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約1.8μg~約3.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約2.0μg~約3.0μgのAOLを含む。
本発明によれば、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約1.8μg~約3.0μgのAOLを含む。
本発明によれば、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約2.0μg~約3.0μgのAOLを含む。
一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約0.3μg、0.4μg、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1.0μg、1.1μg、1.2μg、1.3μg、1.4μg、1.5μg、1.6μg、1.7μg、1.8μg、1.9μg、2.0μg、2.1μg、2.2μg、2.3μg、2.4μg、2.5μg、2.6μg、2.7μg、2.8μg、2.9μg、3.0μg、3.1μg、3.2μg、3.3μg、3.4μg、3.5μg、3.6μg、3.7μg、3.8μg、3.9μg、又は4.0μgのAOLを含む。
一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり少なくとも約1.8μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり少なくとも約2μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり少なくとも約3μgのAOLを含む。
一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約1.8μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約2μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約3μgのAOLを含む。
一実施形態では、AOLのボーラスは、静脈内(IV)又は動脈内(IA)経路によって投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのボーラスは、静脈内(IV)経路によって投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのボーラスは、動脈内(IA)経路によって投与されるか又は投与される予定である。
IA経路の例は、
-冠動脈口(右及び左冠動脈口を含む)、左冠動脈(左前下行動脈及び回旋動脈を含む)又は右冠動脈における投与を含むが、これらに限定されない、上行大動脈における投与;
-腕頭動脈、左右の総頸動脈(内頚動脈及び外頚動脈などのその分枝などを含む)、又は左右の鎖骨下動脈(椎骨動脈、内胸動脈、甲状頸動脈幹、肋頸部幹、肩甲骨動脈及び腋窩動脈などのその分枝を含む)における投与を含むが、これらに限定されない、大動脈弓における投与;
-気管支動脈における投与を含むが、これに限定されない、下行胸部大動脈における投与;
-腹腔動脈(左胃動脈、総肝動脈及び脾動脈などのその分枝を含む)、上腸間膜動脈、腎動脈、又は下腸間膜動脈における投与を含むが、これらに限定されない、腹部大動脈における投与;
-外腸骨動脈又は内腸骨動脈、大腿動脈、深大腿動脈、膝窩動脈、腓骨動脈、前後の脛骨動脈、及び足背動脈などのその分枝を含む総腸骨動脈における投与;
を含むが、これらに限定されない。
IA経路の好ましい例は、それらの小孔を含む左右の冠動脈、又はその分枝における投与である。
本発明によれば、アネトールトリチオン(AOL)の静脈内(IV)注入が、対象に投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのIV注入は、再灌流の時から投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのIV注入は、AOLのボーラスの後に、例えば、別々に、逐次的に、又は同時に、好ましくは別々に又は逐次的などで、投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのIV注入は、例えば、ボーラス投与終了後の1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、45分、若しくは60分未満などの、AOLのボーラスの後に直接又は直後に投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約0.4μg~約6.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約1.7~約6.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2.0μg~約6.0μgのAOLを含む。
本発明によれば、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2.0μg~約6.0μgのAOLを含む。
一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約0.4μg~約4.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約1.7μg~約4.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2.0μg~約4.0μgのAOLを含む。
一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2.0μg~約4.0μg未満のAOLを含む。
一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり、約0.4μg、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1.0μg、1.1μg、1.2μg、1.3μg、1.4μg、1.5μg、1.6μg、1.7μg、1.8μg、1.9μg、2.0μg、2.1μg、2.2μg、2.3μg、2.4μg、2.5μg、2.6μg、2.7μg、2.8μg、2.9μg、3.0μg、3.1μg、3.2μg、3.3μg、3.4μg、3.5μg、3.6μg、3.7μg、3.8μg、3.9μg、4.0μg、4.1μg、4.2μg、4.3μg、4.4μg、4.5μg、4.6μg、4.7μg、4.8μg、4.9μg、5.0μg、5.1μg、5.2μg、5.3μg、5.4μg、5.5μg、5.6μg、5.7μg、5.8μg、5.9μg、又は6.0μgのAOLを含む。
一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり少なくとも約2μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり少なくとも約3μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり少なくとも約6μgのAOLを含む。
一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約3μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約6μgのAOLを含む。
本発明によれば、AOLのIV注入は、少なくとも約6時間の間連続して投与されるか又は投与される予定である。一実施形態では、AOLのIV注入は、約3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、又は24時間などの、約3時間~約24時間の間;好ましくは約6時間~約24時間の間連続して投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのIV注入は、約6時間の間連続して投与されるか又は投与される予定である。一実施形態では、AOLのIV注入は、約12時間の間連続して投与されるか又は投与される予定である。一実施形態では、AOLのIV注入は、約24時間の間連続して投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では、AOLのIV注入は、第1の期間の間より高い濃度で、次いで、第2の期間の間より低い濃度で投与されるか又は投与される予定であり、AOLは、上記のように、共に少なくとも約6時間の間、この第1及び第2の期間にわたり投与されるか又は投与される予定であることが理解される。
一実施形態では:
-より高い濃度のAOLは、1時間あたり対象の体重1kgあたり少なくとも約3μgのAOLを含み;特に、より高い濃度のAOLは、1時間あたり対象の体重1kgあたり約3.0μg、3.1μg、3.2μg、3.3μg、3.4μg、3.5μg、3.6μg、3.7μg、3.8μg、3.9μg、4.0μg、4.1μg、4.2μg、4.3μg、4.4μg、4.5μg、4.6μg、4.7μg、4.8μg、4.9μg、5.0μg、5.1μg、5.2μg、5.3μg、5.4μg、5.5μg、5.6μg、5.7μg、5.8μg、5.9μg、又は6.0μgなどの、1時間あたり対象の体重1kgあたり約3.0μg~約6.0μgのAOLを含み、好ましくはより高い濃度のAOLは、1時間あたり対象の体重1kgあたり約6.0μgのAOLを含み;かつ
-より低い濃度のAOLは、1時間あたり対象の体重1kgあたり少なくとも約2μgのAOLを含み;特に、より低い濃度のAOLは、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2.0μg、2.1μg、2.2μg、2.3μg、2.4μg、2.5μg、2.6μg、2.7μg、2.8μg、2.9μg、3.0μg、3.1μg、3.2μg、3.3μg、3.4μg、3.5μg、3.6μg、3.7μg、3.8μg、3.9μg、又は4.0μgのAOLなどの、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2.0μg~約4.0μgのAOLを含み、好ましくはより低い濃度のAOLは、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2.0μg~約3.0μgのAOLを含み、より好ましくはより低い濃度のAOLは、1時間あたり対象の体重1kgあたり約3.0μgのAOLを含む。
一実施形態では、第1の期間及び第2の期間は各々互いに独立して、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間又は23時間続き、第1の期間と第2の期間の合計が少なくとも約6時間であることが理解される。
一実施形態では、第1の期間は、約3時間続く。一実施形態では、第2の期間は、約3時間以上続く。
一実施形態では、第2の期間の間のAOLのIV注入は、例えば、第1の期間の終了後1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、45分、又は60分未満などの、第1の期間の間のAOLのIV注入の後に直接又は直後に投与されるか又は投与される予定である。好ましくは、AOLのIV注入は、第1及び第2の期間にわたって、すなわち、第1と第2の期間の間の中断なしに、連続して投与されるか又は投与される予定である。
一実施形態では:
-AOLのボーラスは、対象の体重1キログラム(kg)あたり約0.3μg~約4.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約0.9μg~約4.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約1.8μg~約4.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約2.0μg~約4.0μgのAOLを含み;かつ
-AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約0.4μg~約6.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約1.7μg~約6.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2.0μg~約6.0μgのAOLを含む。
一実施形態では:
-AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約0.3μg~約3.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約0.9μg~約3.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約1.8μg~約3.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約2.0μg~約3.0μgのAOLを含み;かつ
-AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約0.4μg~約4.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約1.7μg~約4.0μgのAOLを含む。一実施形態では、AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2.0μg~約4.0μgのAOLを含む。
一実施形態では:
-AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約2.0μg~約3.0μgのAOLを含み、かつ
-AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2.0μg~約4.0μg未満のAOLを含む。
一実施形態では:
-AOLのボーラスは、対象の体重1kgあたり約0.3μg、0.4μg、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1.0μg、1.1μg、1.2μg、1.3μg、1.4μg、1.5μg、1.6μg、1.7μg、1.8μg、1.9μg、2.0μg、2.1μg、2.2μg、2.3μg、2.4μg、2.5μg、2.6μg、2.7μg、2.8μg、2.9μg、3.0μg、3.1μg、3.2μg、3.3μg、3.4μg、3.5μg、3.6μg、3.7μg、3.8μg、3.9μg、又は4.0μgのAOLを含み、かつ
-AOLのIV注入は、1時間あたり対象の体重1kgあたり約0.4μg、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1.0μg、1.1μg、1.2μg、1.3μg、1.4μg、1.5μg、1.6μg、1.7μg、1.8μg、1.9μg、2.0μg、2.1μg、2.2μg、2.3μg、2.4μg、2.5μg、2.6μg、2.7μg、2.8μg、2.9μg、3.0μg、3.1μg、3.2μg、3.3μg、3.4μg、3.5μg、3.6μg、3.7μg、3.8μg、3.9μg、4.0μg、4.1μg、4.2μg、4.3μg、4.4μg、4.5μg、4.6μg、4.7μg、4.8μg、4.9μg、5.0μg、5.1μg、5.2μg、5.3μg、5.4μg、5.5μg、5.6μg、5.7μg、5.8μg、5.9μg、又は6.0μgのAOLを含む。
本発明によれば、注入の間の定常状態で、すなわち、AOLのボーラスの投与後及びAOLのIV注入の間に、対象血漿中のAOLの濃度は、対象の血漿1ミリリットル(mL)あたり約1ng超のAOLである。
一実施形態では、注入の間の定常状態における対象血漿中のAOL濃度は、対象の血漿1mLあたり約1ng~約3ngのAOLの範囲である。
一実施形態では、注入の間の定常状態における対象血漿中のAOL濃度は、対象の血漿1mLあたり約1ng~約2.25ngのAOLの範囲である。
一実施形態では、注入の間の定常状態における対象血漿中のAOL濃度は、対象の血漿1mLあたり約1ng~約2ngのAOLの範囲である。
一実施形態では、注入の間の定常状態における対象血漿中のAOL濃度は、対象の血漿1mLあたり約1.0ng、1.1ng、1.2ng、1.3ng、1.4ng、1.5ng、1.6ng、1.7ng、1.8ng、1.9ng、2.0ng、2.1ng、2.2ng、2.3ng、2.4ng、2.5ng、2.6ng、2.7ng、2.8ng、2.9ng、又は3.0ngのAOLである。
対象血漿中のAOL濃度は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)又は他の任意の適切な手段若しくは方法などの、当業者に周知の手段及び方法により測定できる。例えば、対象からの血液試料は、血漿を取得するために約1500gで、10分間、2~8℃で、好ましくは採血後30分以内に遠心分離されてよく、当業者は、血液試料から血漿を取得する方法に精通しており、日常的な業務に従って遠心力、時間、温度及び他の任意のパラメータを容易に適合させることができる。遠心分離の直後に、血漿試料を、分析して、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)によりAOL濃度を評価できる。
一実施形態では、AOLは、注入(例えば、静脈内、動脈内[例えば、冠動脈内]、筋肉内、髄腔内又は皮下;好ましくは静脈内又は動脈内冠動脈内[例えば、冠動脈内];より好ましくは、静脈内など)による、又は吸入による投与用に製剤化される。
一実施形態では、AOLは、スルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリンを含む組成物で製剤化される。一実施形態では、AOLは、約10~約400、好ましくは約57~約200の範囲のスルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリン:AOLのモル比でスルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリンを含む組成物で製剤化される。一実施形態では、スルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリンの量は、組成物の全重量に対して重量で約1~約40%(w/w)、好ましくは約2.5~約30%(w/w)、より好ましくは約5~約20%(w/w)の範囲である。一実施形態では、組成物は、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びリン酸緩衝液を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1種の緩衝液をさらに含み、好ましくは緩衝液は、リン酸緩衝液である。一実施形態では、組成物は、約6~約7.8、好ましくは約6.5~約7.5の範囲のpHを有する。
一実施形態では、虚血再灌流傷害は、心筋組織(別名、心臓組織)、皮膚組織、骨格筋組織、平滑筋組織、軟骨組織、腱組織、脳組織又は脊髄組織(別名、中枢神経系組織及びその部分)、網膜組織、角膜組織、肺組織、肝臓組織、腎臓組織、膵臓組織、卵巣組織、精巣組織、腸管組織(別名、腸組織)、胃組織、膀胱組織、又は遠位肢組織(腕及び脚を含む)を含むか又はそれらからなる群から選択される組織の虚血及び再灌流の後に生じる。
換言すれば、虚血組織、又は虚血により損傷された組織は、心筋組織(別名、心臓組織)、皮膚組織、骨格筋組織、平滑筋組織、軟骨組織、腱組織、脳組織又は脊髄組織(別名、中枢神経系組織及びその部分)、網膜組織、角膜組織、肺組織、肝臓組織、腎臓組織、膵臓組織、卵巣組織、精巣組織、腸管組織(別名、腸組織)、胃組織、膀胱組織、又は遠位肢組織(腕及び脚を含む)を含むか又はそれらからなる群から選択される。
一実施形態では、虚血再灌流傷害は、急性冠症候群、急性肺損傷(ALI)、急性心筋梗塞(AMI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、動脈閉塞症、動脈硬化、関節軟骨欠損、無菌性全身性炎症、アテローム性動脈硬化性心血管疾患、自己免疫疾患、骨折、骨折、脳浮腫、脳低灌流、バージャー病、火傷、癌、心血管疾患、軟骨損傷、脳梗塞、脳虚血、脳卒中、脳血管障害、化学療法誘発性神経障害、慢性感染症、慢性腸間膜虚血、跛行、うっ血性心不全、結合組織損傷、打撲、冠動脈疾患(CAD)、重症下肢虚血(CLI)、クローン病、深部静脈血栓症、深部創傷、潰瘍治癒遅延、創傷治癒遅延、I型糖尿病、II型糖尿病、糖尿病性神経障害、糖尿病誘発性虚血、播種性血管内凝固症候群(DIC)、塞栓性脳虚血、凍傷、移植片対宿主病(GVHD)、遺伝性出血性毛細血管拡張症、虚血性血管疾患、高酸素障害、低酸素症、炎症、炎症性腸疾患、炎症性疾患、腱損傷、間欠性跛行、腸管虚血、虚血、虚血性脳疾患、虚血性心疾患、虚血性末梢血管疾患、虚血性胎盤、虚血性腎疾患、虚血性血管疾患、虚血性再灌流障害、裂傷、左冠動脈疾患、虚血肢、下肢虚血、心筋梗塞、心筋虚血、臓器虚血、変形性関節症、骨粗鬆症、骨肉腫、パーキンソン病、末梢動脈疾患(PAD)、末梢動脈疾患、末梢虚血、末梢神経障害、末梢血管疾患、前癌状態、肺水腫、肺塞栓症、リモデリング障害、腎虚血、網膜虚血、網膜症、敗血症、皮膚潰瘍、固形臓器移植、脊髄損傷、脳卒中、軟骨下骨嚢胞、血栓症、血栓性脳虚血、組織虚血、一過性虚血発作(TIA)、外傷性脳損傷、潰瘍性大腸炎、腎臓の血管疾患、血管の炎症状態、フォン・ヒッペル・リンドウ症候群、又は組織若しくは臓器の創傷を含むか又はそれらからなる群から選択される。
一実施形態では、虚血組織、又は虚血により損傷された組織は、非虚血性組織と比較して以下の症状:血流の低下、低酸素症、無酸素症、低血糖、代謝の低下、壊死の増加、及びアポトーシスの増加、のいずれか1つ又はいくつかを有する。
一実施形態では、虚血組織、又は虚血により損傷された組織と関連付けられる症状は、痙攣、跛行、しびれ、うずき、脱力感、疼痛、創傷治癒の低下、炎症、皮膚変色、及び壊疽を含むか又はそれからなる群から選択される。
一実施形態では、虚血再灌流傷害が心筋組織(別名、心臓組織)の虚血及び再灌流の後に生じる場合、虚血再灌流傷害は、急性冠症候群である。いくつかの実施形態では、急性冠症候群から生じる合併症は、限定されないが、不整脈、心房細動、心室細動、心室頻拍、心房粗動、伝導障害、乳頭筋機能不全及び/又は壁血栓症を含む。
一実施形態では、急性冠症候群は、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)及び不安定狭心症を含むか又はそれからなる群から選択される。
一実施形態では、虚血再灌流傷害が脳組織(別名、中枢神経系及びその部分)の虚血及び再灌流の後に生じる場合、虚血再灌流傷害は、脳卒中である。
一実施形態では、虚血再灌流傷害が肺組織の虚血及び再灌流の後に生じる場合、虚血再灌流傷害は、肺水腫及び/又は肺高血圧症である。
一実施形態では、虚血再灌流傷害が肝臓組織の虚血及び再灌流の後に生じる場合、虚血再灌流傷害は、肝不全である。
一実施形態では、虚血再灌流傷害が腎臓組織の虚血及び再灌流の後に生じる場合、虚血再灌流傷害は、腎不全である。
一実施形態では、虚血再灌流は、慢性である。
一実施形態では虚血再灌流は、急性である。
一実施形態では、対象は、手術、化学療法、放射線療法、冠動脈バイパス移植、又は細胞、組織、若しくは臓器移植を、虚血の時点で受けていたか又は受けている。
特に、虚血再灌流は、動脈クランプを必要とする何らかの手術に伴う不可避事象である。
本発明の方法はしたがって、そのような動脈クランプ処置の間の虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減するのに十分に適する。
虚血再灌流はまた、血管形成術を必要とするいくつかの手術に伴う避けられない事象である。血管形成術(別名、バルーン血管形成術又は経皮的経管血管形成術)は、血管内処置であり、その間にカテーテルに取り付けられた収縮したバルーンがガイドワイヤーを通過して、狭窄した血管中に入り、ついで固定されたサイズに膨らむ。バルーンは、血液動脈と周囲の筋肉壁の拡張を押し進め、改善された血流を可能にする。バルーンは次いで、収縮され引き出される。虚血はしたがって、バルーンが膨張される時に起こり、通常この動脈により灌注される臓器又は組織への血流を一時的に停止する。
本発明の方法はしたがって、そのような血管形成術処置の間の虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減するのに十分に適する。
虚血再灌流はまた、細胞、組織、又は臓器の移植に伴う不可避事象である。臓器移植の1つの具体例は、冠動脈バイパス移植手術(当技術分野では冠動脈バイパス手術、CABG手術、心臓バイパス又はバイパス手術としても知られている)であり、その間に患者からの血管、典型的には脚からの静脈が、取り出され、冠動脈に移植されて冠動脈における閉塞をバイパスする。
本発明の方法はしたがって、細胞、組織、又は臓器の移植の間の虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減するのに十分に適する。特に、本発明の方法は、冠動脈バイパス移植手術の間の虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減するのに十分に適する。
特に、2つの異なる期間の虚血が、細胞、組織、又は臓器の移植中に生じる:(1)細胞、組織、又は臓器回収の間の、すなわち、交差クランプの時(又は非心拍ドナーにおける心停止の時)から、冷灌流が開始されるまでの虚血;及び(2)移植の間の、すなわち、氷からの細胞、組織、又は臓器の取り出しから再灌流までの虚血。
本発明の方法は、虚血のこれらの期間の両方に適用される。例えば、本発明の方法をドナーに(例えば、細胞、組織、若しくは臓器の回収の前に投与されるAOLのボーラスと、組織若しくは臓器の回収の間に投与されるAOLのIV注入により);及び/又はレシピエントに(例えば、クランプの前に投与されるAOLのボーラス及び移植された組織若しくは臓器の再灌流の間に投与されるAOLのIV注入により)適用することが考えられる。
いくつかの追加の実施形態を、以下に開示する。
E1:それを必要とする対象における虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減する方法における使用のためのアネトールトリチオン(AOL)であって:
a)AOLのボーラスが、対象に投与される予定であり、かつ
b)AOLの静脈内(IV)注入が、対象に施される予定であり、
注入中の定常状態での対象血漿中のAOLの濃度が、対象の血漿1ミリリットル(mL)あたり約1ng~約2ngのAOLの範囲である、アネトールトリチオン(AOL)。
E2:AOLのボーラスが、再灌流の前又はその時に投与される予定である、実施形態1に記載の使用のためのAOL。
E3:AOLの注入が、AOLのボーラスの直後に投与される予定である、実施形態1又は2に記載の使用のためのAOL。
E4:AOLのボーラスが、静脈内又は動脈内、好ましくは冠動脈内注入により投与される予定である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の使用のためのAOL
E5:AOLのボーラスが、対象の体重1キログラム(kg)あたり約2μg~約3μgのAOLを含み、好ましくはAOLのボーラスが、対象の体重1kgあたり約2μgのAOLを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の使用のためのAOL。
E6:AOLの注入が、1時間あたり対象の体重1kgあたり約2μg~約4μg未満のAOLを含み、好ましくはAOLの注入が、1時間あたり対象の体重1kgあたり約3μgのAOLを含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の使用のためのAOL。
E7:AOLの注入が、約3時間~約24時間の間連続して投与される予定である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の使用のためのAOL。
E8:虚血再灌流傷害が、心筋組織、皮膚組織、骨格筋組織、平滑筋組織、軟骨組織、腱組織、脳組織、脊髄組織、網膜組織、角膜組織、肺組織、肝臓組織、腎臓組織、膵臓組織、卵巣組織、精巣組織、腸組織、胃組織、膀胱組織、又は遠位肢組織を含む群から選択される組織の虚血及び再灌流の後に生じる、実施形態1~7のいずれか1つに記載の使用のためのAOL。
E9:虚血再灌流傷害が、心臓の虚血及び再灌流の後に生じ、虚血再灌流傷害が、急性冠症候群である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の使用のためのAOL。
E10:急性冠症候群が、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)及び不安定狭心症を含むか又はそれらからなる群から選択される、実施形態9に記載の使用のためのAOL。
E11:急性冠症候群が、STEMIである、実施形態9又は10に記載の使用のためのAOL。
E12:急性冠症候群を予防する、治癒する、又はその重症度若しくは進行を軽減することが、再灌流誘発性STセグメント上昇を減少させること、トロポニンIc放出を減少させること、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)放出を減少させること、梗塞サイズを減少させること、及び左心室駆出率を増加させることの1以上を含む、実施形態9~11のいずれか1つに記載の使用のためのAOL。
E13:対象が、虚血時に手術を受けている、実施形態1~12のいずれか1つに記載の使用のためのAOL。
E14:手術が、動脈クランプ及び血管形成術を含む群から選択される、実施形態13に記載の使用のためのAOL。
E15:対象が、虚血時に組織又は臓器の移植を受けている、実施形態1~12のいずれか1つに記載の使用のためのAOL。
図1A~Bは、3つのグループ(予防、治癒、及び対照)における梗塞サイズ及び非再流のサイズを示すグラフのセットである。図1A:心筋梗塞の質量対リスクゾーンの質量の回帰;図1B:非再流の質量対リスクゾーンの質量の回帰。 図2は、再灌流誘発性STセグメント上昇に対する再灌流時に1ng/mLを下回る(<)又は上回る(>)AOL血漿濃度の影響を示すグラフである。 図3は、トロポニンIc血漿レベルに対する再灌流時に1ng/mLを下回る(<)又は上回る(>)AOL血漿濃度の影響を示すグラフである。 図4は、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)血漿レベルに対する再灌流時に1ng/mLを下回る(<)又は上回る(>)AOL血漿濃度の影響を示すグラフである。 図5は、梗塞サイズに対する再灌流時に1ng/mLを下回る(<)又は上回る(>)AOL血漿濃度の影響を示すグラフである。 図6A~Bは、駆出画分率に対する再灌流時に1ng/mLを下回る(<)又は上回る(>)AOL血漿濃度の影響を示す2つのグラフのセットである。図6A:3日目の左心室駆出率(LVEF);図6B:正規化したLVEF。 図7は、ボーラスIV投与及び1段階IV注入を含む4つの投与量治療計画の1つに続く、最初の12時間にわたる臨床薬物動態研究からの平均AOL血漿濃度を示すグラフである。 図8A~Bは、AOL血漿濃度対ボーラス又は注入用量の間の比例性を示す2つのグラフのセットである。図8A:ピーク時でのAOL血漿濃度とボーラス用量の間。図8B:注入終了時でのAOL血漿濃度と注入用量の間。 図9A~Cは、AOLボーラス及び注入時のヒト及びヒツジにおける最初の数時間にわたるAOL及びその主要代謝産物AOX(ng/mL)の血漿濃度を示す3つのグラフのセットである。図9A:1.8μg/kgボーラス直後に3.0μg/kg/時の注入が続くコースでの、ヒトにおけるAOL(実線)及びAOX(点線)の血漿濃度。図9B:1.2μg/kgボーラス直後に2.4μg/kg/時の注入が続くコースでの、ヒツジにおけるAOL(丸いマークの付いた太線)及びAOX(四角いマークの付いた細い線)の血漿濃度。点線は、AOL及びAOXの定量限界を表す。図9C:2.4μg/kgボーラス直後に4.8μg/kg/時の注入が続くコースでの、ヒツジにおけるAOL(丸いマークの付いた太線)及びAOX(四角いマークの付いた細い線)の血漿濃度。点線は、AOL及びAOXの定量限界を表す。 図10は、ボーラス直後の2段階注入プロトコル中の、ヒトにおけるAOL血漿濃度(ng/mL)を示すグラフである。3つの治療計画が示される:三角形のマークが付いた点線で、比較点としたボーラスの直後の1段階注入プロトコル;及び丸いマークが付いた実線と四角いマークが付いた点線で、2つの異なる投与量でのボーラスの直後の2段階の注入プロトコル。 図11A~Bは、ミトコンドリアROSの濃度に対する注入継続時間の影響を示す2つのグラフのセットである(任意単位[a.u.])。図11A:AOL注入継続時間の関数としてのピークのミトコンドリアROS濃度。図11B:0~24/48時間の3つの注入継続時間についての、注入終了時のミトコンドリアROSダイナミクス。 図12A~Bは、ヒトにおける血漿1mLあたりのAOLの最大目標閾値を示す2つのグラフのセットである。図12A:AOL目標血漿濃度(ng/mL)の関数としてのピークミトコンドリアROS濃度(任意単位[a.u.])。図12B:AOL目標血漿濃度(ng/mL)の関数としての左心室駆出率(%)。
実施例
本発明を、以下の実施例によりさらに説明する。
実施例1:ラットのインビボ虚血再灌流モデルにおけるAOLの効果
材料と方法
動物
64匹の雌のSprague Dawleyラット(約6ヶ月齢)を、腹腔内ケタミン(90mg/kg)及びキシラジン(10mg/kg)で麻酔した。雌ラットのみを、この研究で使用した。なぜなら性別は、ラットにおける実験的心筋梗塞の設定において心筋損傷の程度に影響をしないこと(Li&Kloner,1995.J Thromb Thrombolysis.2(3):221-225;及び致死的な再灌流誘発性不整脈は、雌ラットと比較して雄ラットでより高い死亡率をもたらしたことが以前に報告されたからである(Dowら,2015.Springerplus.4:96)。
動物は、挿管され、60サイクル/分の呼吸数及び体重100gあたり1mLの一回換気量で、室内空気で機械的に換気された(Harvard Apparatus Rodent Ventilator,Model 683,South Natick,Mass)。水循環加熱パッドを使用して、ラットの体温を約37℃に保った。ラットの頸部の手術部位を、剃毛し、洗浄し、カテーテルを、カットダウンにより頸静脈(薬物送達用)と頸動脈(動脈波形モニタリング用)に挿入した。清潔な状態下で、胸腔を、左第4肋間の切開を通して開いて心臓を露出させた。心膜を、穏やかに取り除いて、左心室の前面を露出させた。4-0絹縫合糸を、それが左心耳の先端のすぐ下の心室溝を通るように、左冠状動脈の近位部分の下に配置した。縫合糸の端部を、小さなプラスチックチューブに通して冠動脈閉塞用のスネアを作製した。閉塞時に、動脈を、プラスチックチューブを通して引っ張り、チューブを、クランプした。冠動脈の再灌流が、クランプを解除すること、および心臓の表面で反応性充血を監視することにより生じた。左冠動脈を、30分間閉塞させた後、3時間再灌流した。
ランダム化とAOL投与
ラットを、3つのグループ:
-予防グループ(n=22):冠動脈閉塞の5分前に開始するAOL注入;
-治癒グループ(n=20):再灌流の5分前に開始するAOL注入;
-対照グループ(n=22):冠動脈閉塞の5分前に開始するビヒクル注入
の1つに無作為化した。
研究者は、動物の無作為化に対して盲検化された。全てのグループにおいて注入は、研究の終わりまでずっと連続的であった(再灌流後のh+3)。治癒されたラットでは、AOLの用量は、2mL/kg/時の注入速度で生理食塩水中で送達される0.2mg/kg/時であった。
血行動態と組織学的データ
3時間の再灌流の終わりまでに、チオフラビンSの溶液を、再灌流の最後の1分の間頸静脈中に注入して、非再流現象の分布(「微小血管閉塞のゾーン」としても知られる)を評価した。チオフラビンSは、心臓切片がUV光の下で可視化されたときに、灌流を受けている領域で蛍光に見える色素である。一方で、灌流のない非再流の領域は、暗く(非蛍光)見える。チオフラビンS注入後の再灌流期間の終わりに、近位冠動脈を、一時的に再閉塞し、青色色素(Super imperse blue)を、頸静脈中に注入した。青色色素は、灌流領域にのみ循環し、虚血領域(それは、標準的な白色光の下で心臓スライスを見るとピンクに見える)には到達しない。
この工程の終わりに、これらの動物を、心臓を相対的な拡張状態又は弛緩状態で停止させるために、0.5mL/250g体重のKCl(149mg/mL)の血管内注入によりケタミン/キシラジンで深部麻酔下にて安楽死させた。心臓を、切除し、きれいな生理食塩水で穏やかに洗浄し、次いで頂点~基部で4つの横スライスへと切断した。
心臓スライスを、青色色素を受けた非虚血領域(青色)対虚血リスクゾーン(ピンク)を示すために白色光下で撮影した。心臓スライスを次いで、チオフラビンSによる灌流領域(蛍光領域)対非再流ゾーン(非蛍光)を示すためにUV光の下で撮影した。
最後に、心臓を、死細胞又は壊死細胞は白く見える一方で、生細胞を赤レンガ色に染色する化学物質である、1%トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)中でインキュベートした。写真を、リスクのある、梗塞した、又は再流を含まない、各心臓スライスの割合を決定するために、面積測定に使用した。面積測定した写真を、各心臓スライスの重量について補正し、次いで、リスクのある(虚血性)、非再流を示した、及び壊死した、各左心室の質量の割合を計算した。梗塞サイズを、虚血性壊死を発症し続けた虚血リスクゾーンの割合として表した。非再流ゾーンをまた、左心室リスクゾーンの割合として表したが、壊死ゾーンの割合としても表した。
直腸温度、心拍数及び血圧を、外科的処置全体を通してモニターした。
統計解析
全てのデータを、平均±SEMとして報告する。グループ間の値を、一元配置分散分析(ANOVA)と比較した。統計的有意差を、p<0.05で確立した。ANOVAの三元比較が有意であった場合は、二元比較を、Holm-Sidak法を用いて行った。
結果
64匹のラットのうち、3匹のラットが、冠動脈再灌流後約2時間で死亡した (対照グループで1匹及び予防グループで2匹)。別の3匹のラットを、それらの心臓の鼓動が青色色素注入時に停止したので、虚血リスク領域が利用できないため除外した(3つのグループの各々において1匹のラット)。
ANOVAによる全体的な統計分析は、3つのグループ間で、非再流の領域/リスクのある領域(%)及び壊死の領域/リスクのある面積(%)に有意差があることを示した(表1)。
Figure 2023554184000002
表1:対照グループ及び2つの治療グループにおける虚血リスク領域、梗塞及び非再流のサイズ。#:対照対治癒の有意差(p=0.043);:対照対予防の有意差(p=0.026)。&:対照対予防の有意差(p<0.05)。LV:左心室。
3グループ間で虚血リスク領域における統計的有意差はなかった。
非再流領域は、不可逆的に損傷された組織の外側ではなく、梗塞の領域と完全に重なっており、対照グループと比較して2つの治療グループにおいて有意に小さかった。
梗塞サイズは、対照グループと比較して予防グループにおいて有意に減少された。また、対照グループに対し治癒グループでも梗塞のサイズが小さくなる傾向があった。
図1Aは、心筋梗塞部分対リスクゾーン部分の回帰直線をプロットし、リスクゾーンのどのサイズについても、梗塞のサイズが予防グループで減少し、ビヒクル対照と比較して治癒グループで低下する正の傾向があることを示す。図1Bは、非再流部分対リスクゾーン部分の回帰直線をプロットし、AOL療法(予防と治癒の両方)が線を下方にシフトし、それによりどのリスクゾーン質量についても、非再流質量のサイズがビヒクルグループでよりも小さかったことを示す。
心拍数及び動脈血圧を含む血行動態が、3つの時点:(1)冠動脈閉塞の前(ベースライン);(2)冠動脈再灌流の前(30分の冠動脈閉塞の終わり);及び(3)3時間の冠動脈再灌流の終わり、で報告された。処置の間3グループ間で心拍数と動脈血圧に差はなかった。
結論
結論として、AOLが予防的に(すなわち、冠動脈閉塞の前に)投与された場合、それは、非再流ゾーンのサイズ(26%)と心筋梗塞のサイズ(22%)の両方を有意に減少させた。
AOLが治癒的に(すなわち、再灌流の直前に)投与された場合、それは、非再流ゾーンのサイズを有意に減少させ(23%)、心筋梗塞のサイズを減少させた(11%)。AOLの利点は、血行動態に影響を与えることなく観察された。この減少は、梗塞サイズの5%の減少でさえ心機能と臨床転帰の改善につながるため、依然として十分である(Stoneら,2016.J Am Coll Cardiol.67(14):1674-83)。
実施例2:ヒツジのインビボ虚血再灌流モデルにおけるAOLの効果
材料と方法
発明者らは、再灌流前にAOLを投与することにより、ヒツジのインビボ虚血再灌流モデルにおけるAOLの効果を調べて、AOLの心臓保護能を評価した。いくつかのパラメータを評価した:
-実験の終わり(3日目)に決定され、2人の独立した病理学者により評価される、梗塞のサイズ;
-質量分析によりAOLの投与後に一定の間隔で収集された血漿試料を投与することにより評価される、血漿曝露;
-ECGパラメータ;及び
-駆出率の測定によって評価される、心臓収縮性。
AOLの有効性を、ヒツジモデルを用いてビヒクル治療グループとAOL治療グループにおけるこれらのパラメータを比較することにより評価した。
ヒツジは、AOL又は対照としてビヒクルのいずれかを受けながら、心筋虚血再灌流を経験した。これらの動物は、3日間経過観察を経て、3日目に安楽死させられた。
心筋虚血とそれに続く再灌流を、バルーンを膨張させる/収縮させることにより遠位左前下行(LAD)冠動脈を閉塞することからなる、バルーンカテーテル手順を使用することにより誘発した。この特定の手順は、非常に再現性のある梗塞サイズを有すること、かつ冠動脈を単に一時的にのみ閉塞することを可能にした。
AOL又はビヒクルを、再灌流の10分前にボーラス静脈内(IV)注入として投与した。このボーラス注入は、再灌流時に効果的なAOL血漿曝露を確実にすると予想され、再灌流の開始時に始める合計130分の投与継続期間(ボーラス+注入)の連続IV注入が直後に続いた。
異なるグループを本研究に含めたが、分析は、投与された用量にかかわらず、IV AOL投与後に達成される活性物質(AOL)の血漿濃度の関数としての心臓エンドポイントに焦点を当てた。
結果
AOLの血漿濃度と心臓パラメータの範囲に対する正の影響の間の明確な関係が、ヒツジでのこの前臨床概念実証研究において観察された。これらの心臓パラメータは、再灌流誘発性STセグメント上昇(図2)、トロポニンIc放出(図3)、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)放出(図4)、梗塞サイズ(図5)、及び駆出率(図6A及び6B)を含む。
しかし、この評価は、ボーラスを投与することにより再灌流時に適切な血漿AOLレベルに達することの重要性を強調した。なぜなら、ビヒクルと比較して正の影響が、閉塞バルーンが収縮したとき、すなわち再灌流時に、AOLのレベルが血漿1mLあたり1ngを上回った場合に観察されたからである。この収縮は、急性STセグメント上昇心筋梗塞(STEMI)後の患者における経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を模倣する。
実施例3:薬物動態研究
AOL血漿レベル及び投与のタイミングは、心筋を再灌流傷害から保護するために必須である。
前臨床プログラムで実施された大型動物モデル有効性試験(実施例2)は、心機能が、特に心筋の再灌流時にAOLの血漿レベルが1ng/mLを上回った場合に改善されたことを実証した。
そのため、心筋再灌流傷害の治療の標的とされる臨床応用において、AOLの血漿レベルが経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の時点で適切な有効レベルにあり、したがって再灌流の開始時の非常に早くにこのレベルに達していることが重要である。
前臨床データ(実施例2)に基づいて、AOLの血漿レベルは約1~2ng/mLである必要があると推定した。
材料と方法
経口投与されるAOL(Sulfarlem S25(登録商標))の市販製剤に対し健康なボランティアに静脈内投与されるAOLの薬物動態、安全性及び忍容性を評価することを主目的とする単一施設、無作為化、プラセボ対照、非盲検及び単盲検、漸増用量、クロスオーバー試験が、QPS Netherlands B.V.(Groningen,The Netherlands)で実施された。18歳~65歳の12人の健康な男性と女性の対象が、この研究に加わった。
この臨床薬物動態試験の間に、いくつかの投与量治療計画を試験して、IV経路により投与される場合のAOLの安全性を評価し、その薬物動態プロファイルをより良好に特徴付けた(表2)。
Figure 2023554184000003
表2:4つの異なる投与量治療計画(ボーラス+1段階注入)後のAOL血漿曝露の全体的なまとめ。平均ボーラス体積及び平均流速を、70kgの平均体重を用いて推定した。
結果
得られたAOL血漿曝露を、表2で報告し、図7に示す。
データは、AOLの薬物動態プロファイルが、
-血流中に直接ボーラスを投与した直後に現れる、ピーク;
-その主要代謝産物であるデスメチルアネトールトリチオン(AOX)へと急速に代謝されるボーラス注入により送達されるAOLと、それがまた代謝されるため定常状態に達するのに時間がかかる注入からのAOLの送達の組み合わせである、ピークと定常状態の間の谷(又はトラフ);
-注入の終わりまで維持され、かつAOLの送達とその分解の間の平衡を表す、定常状態のAOL濃度の達成に対応する、プラトー
により特徴付けられることを示した。
図7に見られるように、定常状態は、試験した全ての投与量治療計画について約3時間までに到達された。このオリジナルのボーラスシーケンスとそれに続く継続的なIV注入は、AOL血漿レベルが、その急速な分解にもかかわらず、血漿閾値1mLあたり目標の1~2ng超のAOLのままであることを保証した。
実施例4:モデリングを用いるヒトにおけるAOL血漿濃度
実施例3のデータは、臨床状態において、ピークにおけるAOLの血漿濃度がボーラス用量に比例すること、および注入終了時のAOLの血漿濃度が注入用量に比例することを示した(相関ボーラス/Cmax:r=0.9987;p=0.0007;相関注入/注入終了:r=0.9990;p=0.0005)。
max(Y)における血漿濃度のボーラス用量比例性を示す線形回帰の式は、Y=1.046×Xであり、Xは、ボーラス用量である(図8A)。注入終了時の血漿濃度の注入用量比例性を示す線形回帰の式(Y)は、Y=0.5723×Xであり、Xは、注入用量である(図8B)。
AOLの薬物動態学的2コンパートメントオープンモデルを、実施例3で試験した3つの最高投与量治療計画の観察データから構築した。このモデルを用いて、ヒトで使用される予想量を予測した。結果を表3に示す。
これらのモデリングデータから、血漿閾値1mLあたり目標の1~2ngのAOLを超えるAOL血漿レベルを維持するために、特に適する治療計画は、
-対象の体重1キログラム(kg)あたり約2~約3μgのAOLの範囲のボーラス、続いて
-1時間あたり対象の体重1キログラム(kg)あたり約2~4μg未満のAOLの範囲の12時間の注入(例えば、3μg/kg/時など)
を含むと思われる。
好ましくは、ボーラスは、AOL血漿濃度の目標閾値を満たしながら、可能な限り低いままであるべきである。
Figure 2023554184000004
Figure 2023554184000005
表3:30秒のボーラスIV注入とそれに続く12時間の連続IV注入を含む投与治療計画後のモデリングを用いて予測されるAOL血漿濃度(ng/mL)。
実施例5:AOLの代謝-ラット対ヒツジ対ヒト
前述のように、AOLは、その主要代謝産物であるデスメチルアネトールトリチオン(AOX)へと投与時にすぐに代謝される。しかし、AOLの代謝はヒトと動物で異なることを観察し、それは、ラット又はヒツジで得られたデータをヒトに容易に変換することを不可能ではないにしても複雑にした。
より詳細には、実施例3の薬物動態学的研究の過程において、AOLがAOXに急速に代謝されることを実証し、それは、投与開始後にヒト対象血漿中で迅速に出現した(図9A)。
これは、ヒツジで観察した代謝プロファイル(実施例2)とはまったく対照的であり、ここでAOXは、同様の又はさらにより高い用量にもかかわらず、ボーラス/注入後に定量限界(0.5ng/mL)より低いままであった(図9B及び9C)。
ラットにおいてもこの種間の差を観察し、代謝プロファイルはヒツジ及びヒトの両方のものと異なった:175μg/kgのボーラス及び2時間の1.4mg/kg/時の注入後に、AOXは、ヒツジとは異なり、開始後2時間の時点でラットの血漿中で検出可能であった。しかし、AOLの血漿レベル(195ng/mL)は、ヒトとは異なり、AOXの血漿レベル(94ng/mL)よりも高いままであった。
実施例6:2段階注入
実施例3で説明されるように、AOLの薬物動態プロファイルは、ピーク、その後の谷(又はトラフ)、及び最後に定常状態AOL濃度の達成に対応するプラトーにより特徴付けられる。
ミトコンドリアROS種の過剰生成が著しい組織損傷及び壊死を伴って再灌流で直接起こる、虚血再灌流傷害の性質を考えると、血漿1mLあたり1ngのAOLの最小目標閾値にできるだけ早く到達する必要がある。
特に、ヒトにおいて投与される特定の投与量治療計画は、初期ピークの後に観察されるトラフが目標濃度閾値を下回らないようでなければならない。そのため、ボーラスと注入の両方の特定の治療計画が重要である。
その点で、開始直後の期間の管理を、2段階注入法を用いて、すなわち注入の最初の3時間により高い用量(6μg/kg/時)で開始し、次いで残りの時間に(この実施例では、合計12時間の注入期間に対し、9時間)より低い用量(3μg/kg/時)へと段階的に減らして、評価した。
同じ2段階注入治療計画を、2つの異なるボーラス用量で試験した。
この2段階の注入パラダイムが、より低いボーラス用量とより高いボーラス用量の両方で、ボーラスの投与直後に観察されるトラフを消失させたことを観察できた(図10)。
結論として、ヒトにおいて、注入の最初の数時間の間この濃度の閾値を下回ることなく、ボーラス注入を通じて急速に血漿1mLあたり1ngのAOLの目標濃度閾値に到達することを可能にする3つの最小投与量治療計画:
(i)3μg/kg/時の最小注入が直後に続く2μg/kgの最小ボーラス(表3参照);又は
(ii)2μg/kg/時の最小注入が直後に続く3μg/kgの最小ボーラス(表3を参照);又は
iii)3時間の6μg/kg/時の最小注入、次いで残りの注入時間、3μg/kg/時の最小注入が直後に続く1.8μg/kgの最小ボーラス(図10参照)
を特定した。
実施例7:最小注入期間
AOLの注入の最小期間は、目標濃度閾値を維持するために重要である。この期間を、モデリングとシミュレーション作業によって決定した。
少なくとも6時間の最小平均継続時間が、最適なミトコンドリアROS生成阻害を得るのに十分であると決定した(図11A)。この期間を下回ると、病理学的ミトコンドリアROS生成の阻害は、完全ではなく、注入の終了直後にROS生成の望ましくないバーストをもたらした(図11B)。
実施例8:AOLの最大目標閾値
ヒトにおける血漿1mLあたりのAOLの最大目標閾値は、重大ではないにしても、特に重要であり得る:薬理学において、少なくとも2つの理由:
-AOL自体に又はAOLの製剤中の賦形剤に起因するかどうかにかかわらず、望ましくない二次的影響を回避するため;及び/又は
-注入される薬物の量が多すぎることによる血液量増加症を避けるため
により、患者の循環器系を不必要に過負荷にしないことが実際に強く望まれる。
定常状態での最大目標閾値は血漿1mLあたり約2~3ngのAOLであると決定した。この濃度を超えると、さらなる有益な効果を観察できなかった(図12A及び12B)。

Claims (15)

  1. それを必要とするヒト対象における虚血再灌流傷害を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減する方法における使用のための、アネトールトリチオン(AOL)であって、
    a)AOLのボーラスが、前記ヒト対象に投与され、前記AOLのボーラスがヒト対象の体重1キログラム(kg)あたり約1.8μg~約3μgのAOLを含み、
    b)AOLの静脈内(IV)注入が、AOLのボーラスの直後に前記ヒト対象に投与され、前記IV注入が、6時間以上の期間の間連続して投与される、1時間あたりヒト対象の体重1kgあたり約2μg~約6μgのAOLを含み、
    注入の間の定常状態での前記対象血漿中のAOL濃度が、対象の血漿1ミリリットル(mL)あたり約1ng超のAOLであり、好ましくは定常状態での前記対象血漿中のAOL濃度が、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)により評価される、
    アネトールトリチオン(AOL)。
  2. (i)前記AOLのボーラスが、前記ヒト対象の体重1kgあたり少なくとも2μgのAOLを含み、かつ前記注入が、6時間以上の期間の間連続して投与される、1時間あたり前記ヒト対象の体重1kgあたり少なくとも3μgのAOLを含む;又は
    (ii)前記AOLのボーラスが、前記ヒト対象の体重1kgあたり少なくとも3μgのAOLを含み、かつ前記注入が、6時間以上の期間の間連続して投与される、1時間あたり前記ヒト対象の体重1kgあたり少なくとも2μgのAOLを含む;又は
    (iii)前記AOLのボーラスが、前記ヒト対象の体重1kgあたり少なくとも1.8μgのAOLを含み、かつ前記注入が、約3時間の第1の期間の間連続して投与される1時間あたり前記ヒト対象の体重1kgあたり約6μgのAOL、次いで3時間以上の第2の期間の間連続して投与される1時間あたり前記ヒト対象の体重1kgあたり少なくとも2μg、好ましくは少なくとも3μgのAOLを含む、
    請求項1に記載の使用のためのAOL。
  3. 注入の間の定常状態での対象血漿中のAOLの前記濃度が、対象の血漿1mLあたり約1ng~約3ng、好ましくは対象の血漿1mLあたり約1ng~約2.25ngのAOLの範囲であり、好ましくは定常状態での対象血漿中のAOLの前記濃度が、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)により評価される、請求項1又は2に記載の使用のためのAOL。
  4. 前記AOLのボーラスが、再灌流の前に又は再灌流の時に投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のためのAOL。
  5. 前記AOLのボーラスが、静脈内又は動脈内、好ましくは冠動脈内注入により投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のためのAOL。
  6. 前記AOLの注入が、約6時間~約24時間の間連続して投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のためのAOL。
  7. 前記虚血再灌流傷害が、心筋組織、皮膚組織、骨格筋組織、平滑筋組織、軟骨組織、腱組織、脳組織、脊髄組織、網膜組織、角膜組織、肺組織、肝臓組織、腎臓組織、膵臓組織、卵巣組織、精巣組織、腸組織、胃組織、膀胱組織、又は遠位肢組織からなる群から選択される組織の虚血及び再灌流の後に生じる、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのAOL。
  8. 前記虚血再灌流傷害が、心臓の虚血及び再灌流の後に生じ、かつ前記虚血再灌流傷害が、急性冠症候群である、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のためのAOL。
  9. 前記急性冠症候群が、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)及び不安定狭心症を含むか又はそれらからなる群から選択される、請求項8に記載の使用のためのAOL。
  10. 前記急性冠症候群が、STEMIである、請求項8又は9に記載の使用のためのAOL。
  11. 前記急性冠症候群を予防する、治療する、又はその重症度若しくは進行を軽減することが、再灌流誘発性STセグメント上昇を減少させること、トロポニンIc放出を減少させること、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)放出を減少させること、梗塞サイズを減少させること、及び左心室駆出率を増加させることの1以上を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の使用のためのAOL。
  12. 前記ヒト対象が、虚血時に手術を受けている、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のためのAOL。
  13. 手術が、動脈クランプ及び血管形成術を含む群から選択される、請求項12に記載の使用のためのAOL。
  14. 前記ヒト対象が、虚血時に組織又は臓器移植を受けている、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のためのAOL。
  15. 組織又は臓器の移植が、冠状動脈バイパス移植手術である、請求項14に記載の使用のためのAOL。
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