JP2023554169A - 術後惹起乱視を算出するためのコンピュータ実装型方法 - Google Patents
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Abstract
特定の寸法の眼内レンズを導入するために角膜に切開が行われるときに術後惹起乱視を算出するためのコンピュータ実装型方法であって、眼科診断装置を用いて角膜の曲率を測定した上で、角膜の最大強主軸の方向と最大弱主軸の方向とを割り出す工程と、角膜軸の方向に対して切開位置を求める工程と、眼内レンズの少なくとも1つの度数に応じて術後惹起乱視を算出する工程とを含むことを特徴とするコンピュータ実装型方法。
Description
本発明は、手術中に眼の角膜部分、強膜、または角膜縁に切開が行われるときに術後惹起乱視を算出することに関し、具体的に、白内障を矯正するための外科的介入において、水晶体の代替物として眼内レンズを挿入するために角膜に行われる切開によって、術後に惹起される乱視を算出すること、および上記眼内レンズのトーリシティ(toricity)を算出することに関する。
角膜に切開が行われる眼科手術の大部分において、このような切開は手術そのものによって惹起される乱視を引き起こし、これは術後惹起乱視(Surgically Induced Astigmatism)と呼ばれる(以下、本明細書全体を通して、このような乱視を指すときは、SIAと表記する)。すなわち、手術後の患者は、この屈折誤差を発症していた場合に、手術前に有していた乱視、すなわち術前乱視と、手術に関連するSIAとの和に起因する術後乱視を示す可能性がある。
したがって、例えば、白内障を矯正するための手術方法において、白内障とは、眼の水晶体が変性し、視界がぼやける眼の欠陥であり、手術者は角膜に切開を行って水晶体を切除し、適切な眼内レンズ(IOL)に置き換える。その結果、このような手術は切開に関連するSIAを生じさせる。
この種の白内障矯正方法では、手術者がIOLを挿入して、水晶体と置き換えなければならないので、このIOLは、患者が以前に有していた可能性のある、あらゆる種類の屈折誤差(近視、遠視および/または乱視)を矯正することが意図されていることに留意すべきである。
既に述べたように、白内障を矯正するための手術方法は、患者のSIAの発生を伴うため、患者が手術前に発症していた近視や遠視などの屈折誤差を矯正することに加えて、術前乱視およびSIAを矯正できるように、ほとんどの場合に使用されるべきIOLは、トーリック型であることを意味する。
そのため、手術者が、白内障手術後に、患者が手術前に有していた屈折誤差および白内障手術法によって生じた関連SIAすべてを矯正しようと、トーリック単焦点IOL、トーリック遠近両用IOL、トーリック多焦点IOL、EDOF(Extended Depth of Focus)IOL、およびその他市場に存在し得る乱視矯正に関連するあらゆる種類のIOLを挿入することが一般的である。
現在、IOL製造業者によって開発された多数の算出機が存在し、該算出機は、特定のパラメータを入力することで、白内障手術を担当する手術者に、手術前に、患者のSIAとその他の屈折誤差の両方を矯正するために、対応するトーリシティと共に製造する最適なIOLを提供することができる。
しかし、これらの算出機によって提供されるIOLには、乱視の屈折誤差を十分に矯正できないという共通の課題があることが判明している。具体的には、患者が手術前に乱視ではなかった場合、手術後は切開によって惹起された一定水準の乱視を有することになり、その矯正のために適切なレンズを使用しなければ、実体を正しく見ることができなくなる。同様に、手術前に患者に乱視があった場合、手術前より低い水準であり得るが、手術後も乱視は続き、適切なレンズを使用しなければ、実体を正しく見ることができない。
したがって、実際にはそのようなパラメータは手術者の判断に委ねられているため、どの算出機も手術後のSIAを予測することはできず、そのため、SIAを矯正するために適用すべきIOLの適切なトーリシティを決定することもできない。言い換えれば、これらの算出機はすべて、手術者が算出機に入力するSIAからなる入力変数を有しており、そのため、実際にはSIAを算出することができず、このパラメータに関しては、信頼できない。
したがって、角膜に切開を行うことを伴う視覚障害を矯正するためのあらゆる方法、および特に白内障を矯正するための手術方法においては、手術による切開に伴うSIAの正確な決定を可能とするコンピュータ実装型方法を適用することが必要となる。
判明した欠点を克服するために、本発明は、近視、遠視および/または基本的な乱視などの、ある種の視覚障害を矯正するために、特定の大きさの眼内レンズを挿入するために、術後惹起乱視、またはSIAと呼ばれる、角膜に切開を行うときに患者に惹起される乱視を算出するためのコンピュータ実装型方法を提供する。
このような視覚障害は、手術前にすでにあり、手術に先立って診断することができることから、術前視覚障害と呼ばれる。
コンピュータ実装型方法の第1の工程は、眼科診断装置を用いて角膜の曲率を測定した上で、角膜の最大強主軸の方向と最大弱主軸の方向とを割り出すことからなる。
通常、角膜曲率の測定は、眼科診断装置から角膜に光を投射することによって実施され、該眼科診断装置は、実際にはケラトメータ、角膜トポグラファ、高解像度スキャナなどであり得る。使用する眼科診断装置にかかわらず、必要な結果は、視力に関与する角膜中心部分の角膜曲率の半径の測定、ならびに処女角膜または健常な角膜、すなわち、以前にいかなる手術および病変も経験していない角膜を扱う場合において、知られているように通常互いに垂直にある、眼圧の高い経線および低い経線の測定に、少なくとも該当するものである。これらの測定を通じて、角膜の最大強主軸および最大弱主軸の方向を決定することができ、これは、本発明の方法のその後の工程を実施するために必要となる。同様に、上記の眼科診断装置によって角膜非球面性(Q)も求めることが可能であり、そのような角膜非球面性がSIAの変化を生じさせる可能性があるため、その値は、SIAを算出するために適切であり得ることに留意すべきである。
次に、本発明のコンピュータ実装型方法において、切開位置を求める必要があり、この切開位置は、少なくとも最大強主軸に対して定められた方向と最大弱主軸に対して定められた方向との間になければならない。すなわち、角膜に行う切開は、最大強主軸および最緩角度の少なくとも一方に位置することになる。該方法は、切開する軸を定める一定の自由を保証するが、同時に、術後惹起乱視の不十分な、および/または予期せぬ結果につながる任意の切開位置を排除する。
他の好ましい実施形態では、求められた切開位置は、患者の側頭骨と重なる側頭軸と同様に、最大強主軸から45度に位置する軸または最大弱主軸から45度に位置する軸にあり得る。
前述のように、健常な角膜の場合、最大強主軸と最大弱主軸は互いに垂直であり、そのため、最大強主軸から45度の位置にある軸は、最大弱主軸から45度の位置にある軸と対応し、上記45度の軸は、最大強主軸と最大弱主軸との間の二等分軸であることに留意すべきである。
同様に、眼内レンズを挿入するために角膜に行われる切開の寸法も求める必要がある。切開寸法は、簡単に言えば、その幅および深度によって定められる。切開幅は、例えば、眼内レンズの度数および/または設計とともに、角柱ダイヤモンド製の鋭利な先端部や針などの、そのような切開を行うための手段に合わせて手配された手術器具によって決定される。切開の深度は、器具が角膜に貫入する量を意味する。様々な研究によると、最も安定した切開寸法の設定(幅対深度)は、切開深度が切開幅に等しい四角形のものである。
好ましくは、切開寸法は1.8~3mmであり、より好ましくは、2mm、2.2mm、および2.8mmの3つの切開寸法で実施する。
次に、切開を拡張できる平面数として定められる切開構造を求める。
この場合、求められた切開構造は、少なくとも1つの平面、好ましくは水平またはわずかに傾いた平面で実施することができるが、角膜に対して垂直な面、水平な面および前眼房に入る傾斜面の3つの面で実施することも可能である。三面切開構造は、切開部が一方向弁のように機能するように形成され、防水性と自己治癒性を有する切開部を生成する。
切開位置、切開寸法、および切開構造が求められたら、本発明のコンピュータ実装型方法は、そのような位置条件、寸法および切開構造のもとで切開を行うときに、術後に惹起されるであろう乱視を算出することに進む。
上記のように、本発明の顕著な利点として、実装型方法によって使用者、例えば、手術者は、角膜の最大強主軸および角膜の最大弱主軸の少なくとも2つの間で切開位置を選択することができ、さらに他の実施形態では、切開位置は、患者の顔貌および/またはその要素にさらに適合させるために、最大強主軸または最大弱主軸から45度の軸、または側頭軸で選択することができ、この場合でも予測可能な間隔内にある術後惹起乱視の算出値を求めることができる。
この事実により、角膜の切開が最善の方法で実施されるために非常に重要である手術者の作業性が向上し、角膜に切開を行った後、眼内レンズを挿入し、最斜軸に対して整列させるために非常に重要である手術者の技術を発揮することが可能になる。
したがって、特定の位置で手術せざるを得ない手術室の配置のためか、または患者の顔貌(突出した鼻中隔、突出した頬骨、くぼんだ目、突出した眼窩縁などを有する特定の患者には、その後の眼内レンズの挿入を含む外科的介入を容易にする特定の切開位置が存在する)のいずれかのために、別の位置に対してある位置でより高い能力を発揮することから、使用者が様々な切開位置を選択できるという事実は、手術の際、および使用者にとって最も作業性の高い可能性のある位置決めをする際に、一定の独立性を確保することを可能にする。
切開寸法が1.8~3mmである本発明の好ましい実施形態では、特定の切開位置および特定の種類の切開構造について、最小切開寸法(1.8mm)と最大切開寸法(3mm)に対して算出される術後惹起乱視とは、最大で0.7D相違することに留意すべきである。
切開寸法が2mm、2.2mmおよび2.8mmである場合、特定の切開位置および特定の種類の切開構造について、2mmの切開寸法(その特定の切開位置およびこの特定の種類の切開構造を有する)に対して算出された術後惹起乱視と、2.8mmの切開寸法(その同じ切開位置およびその同じ種類の切開構造)に対して算出される術後惹起乱視とは、最大で0.5D相違する。
本発明の別の好ましい実施形態では、求められた切開位置が最大強主軸の方向に対応し、求められた切開構造が2つ以上の平面に影響する場合、算出される術後惹起乱視は負の値であり、最大絶対値は0.75Dである。
同様に、本発明のコンピュータ実装型方法において、求められた切開位置が最大弱主軸の方向に対応し、切開構造が2つ以上の平面に影響する場合、算出される術後惹起乱視は正の値であり、最大値は0.55Dである。
本発明はまた、視覚障害を矯正するための手術方法において、挿入されることになる眼内レンズのトーシシティを算出するためのコンピュータ実装型方法を開示する。
この方法の最初の工程は、術前乱視の値を求めることからなり、この値は、患者の有し得る視覚障害の診断検査を通じて求めることができ、その中で、乱視に加えて近視または遠視も検出することができ、少なくとも1つの眼科診断装置が診断に関与する。
患者の視覚診断検査が実施されたら、次の工程は、眼科診断装置によって少なくとも部分的に決定され得る少なくとも1つの眼内レンズ度数を求めることからなる。好ましくは、上記の眼科診断装置は、特定のソフトウェアと組み合わせてレンズの度数を求めることを可能にするバイオメータである。任意選択で、レンズの大きさと共に、眼内レンズの形状または設計も決定することができる。
先に説明したように、求められた眼内レンズを導入するために角膜に切開が行われたときに生じる術後惹起乱視は、その後、上記を考慮に入れて、本発明の術後惹起乱視を算出するためのコンピュータ実装型方法に従って算出される。
術前乱視および術後惹起乱視を求めた後、眼内レンズ(このような眼内レンズはどの製造業者のものでもよい)の適切なトーシシティを算出し、術前乱視と術後惹起乱視との和から生じる乱視を矯正する。
この方法の主な利点は、算出された眼内レンズのトーシシティが、術前乱視と術後惹起乱視を考慮していることから、患者の残存または術後屈折乱視が実質的にゼロになることが保証されることである。したがって、外科的介入後、ほとんどの場合、患者はレンズを必要とせずに見ることができる。
本発明の実装型方法は、好ましくは、広く知られているように、患者の視覚能力の回復を可能にする眼内レンズによる水晶体の交換を必要とする、白内障を矯正するための外科的介入に向けられる。
以下の詳細な説明では、関連する教示を十分に理解できるように、多数の具体的な詳細が実施例の形で説明される。しかし、このような詳細がなくても、本教示を実施できることは当業者には明らかであろう。
好ましい実施形態によれば、本発明は、特定の度数および設計の眼内レンズを導入するために角膜に切開が行われるときに術後惹起乱視を算出するためのコンピュータ実装型方法を開示する。
この方法の第1の工程では、一般に、上記角膜の最大強主軸の方向および最大弱主軸の方向を意味する、主な角膜軸の方向を割り出す必要があり、眼科診断装置による角膜の曲率から開始する。
最大強主軸および最大弱主軸の方向を求めるために、ケラトメータ、角膜トポグラファ、高解像度スキャナなどの眼科診断装置を用いて角膜を診断し、少なくとも角膜の強主経線および弱主経線の曲率を求める必要がある。
角膜は、その強主経線および弱主経線を有する非球面の半球形であり、そのため、上記のように角膜軸を含み、主な角膜軸は、強主経線に位置する最大強主軸、および90度において、弱主経線に位置する最大弱主軸と呼ばれ、上記の主な角膜軸は、角膜の中心で交差することに留意することが重要である。角膜は円環状であるため、主な角膜軸の交差点を通る、主な角膜軸とは異なる別の角膜軸、例えば、最大強主軸または最大弱主軸から45度の角膜軸が存在する。
この方法の次の工程は、少なくとも最大強主軸の方向と最大弱主軸の方向との間で切開位置を求めることを含む。
この本発明の好ましい実施形態では、主に手術者がどの位置で切開することを望むかという決定に基づき、上記方法のために求める切開位置は、最大強主軸の方向または最大弱主軸の方向であり得る。
最大強主軸または最大弱主軸が側頭軸と重なる場合、本発明のこの特定の実施形態は、側頭軸も切開位置になり得る。
別の好ましい実施形態では、切開位置は、健常な角膜の場合において、対応する最大強主軸または最大弱主軸から45度の軸にすることもできる。
切開位置が最大弱主軸もしくは最大強主軸、または該軸のいずれか1つから45度の軸に位置するという事実により、切開によって生じる術後惹起乱視を制限することが可能になる。術後に惹起される乱視の程度が切開位置に直接関係することはよく知られており、そのため、切開位置が最大強主軸もしくは最大弱主軸、またはこれらのいずれかから45度の軸のいずれかにあることを確認することで、SIAが予測値から外れることを防ぐことができる。
具体的には、このような切開位置のうち、最善の結果をもたらすものは、最大強主軸と最大弱主軸とで求めるものであることに留意すべきである。
ここで、角膜経線は30度の角度部分に分割することができ、矢状面に平行な最大強主軸が90度または垂直である正乱視の場合、角膜の強主経線は、60度~90度の間または90度~120度の間に位置する。
最大強主軸が180度または水平軸である倒乱視の場合、角膜の強主経線は、0度~30度の間、または150度~180度の間に位置する。
最大強主軸が90度でも180度でもない斜乱視の場合、角膜の強主経線は、30度~60度の間、または120度~150度の間に位置する。
このようにして、好ましくは、最大強主軸または最大弱主軸が位置し得ると考えられる位置に随伴するために、最大強主軸または最大弱主軸の方向は、[0,30)、[30,60)、[60,120]、(120,150]、(150,180]の部分内で求めることができる。
この方法の次の工程は、眼内レンズの度数および/または上記切開を実施するように構成された手術器具の大きさに応じた切開寸法を求めることからなる。切開寸法を求めるときに、眼内レンズの種類または設計もまた考慮することができる。
診断の結果、眼科診断装置は、検出された術前視覚障害が矯正されるような度数、好ましくは設計を有する眼内レンズの使用を指示する。眼内レンズのこの度数および考えられる設計では、切開寸法を調整することで、眼内レンズを所定の位置に挿入し、かつ配置できるようにする必要がある。手術器具の先端部よりも小さな切開はできないため、切開寸法は、使用可能な手術器具によっても左右される。本発明のこの実施形態では、切開寸法は1.8mm~3.0mmの間であり、特に、2.0mm、2.2mmおよび2.8mmの間で選択することができる。
次の工程では、本方法により、角膜の切開部が拡張し得る平面の数として定義される切開構造を求めることを確認する。好ましい実施形態では、切開構造は2つ以上の平面で実施され、このことは、手術器具が角膜を貫通してから少なくとも1回その向きを変えることを意味する。上記にもかかわらず、当業者であれば、1つまたは複数の平面を有する切開構造も本発明の範囲内であることが分かるであろう。
次に、本方法では、求められた切開位置、求められた切開寸法、および求められた切開構造に応じて、術後惹起乱視を算出する。
例示的な実施形態では、求められた切開位置が最大強主軸または最大弱主軸にあり、そのような軸の方向が、[0~30)、[30,60)、[60,120]、(120,150]、(150,180]の角膜経線の間隔で位置し、切開寸法が2.0mm、2.2mmおよび2.8mmであり得、かつ2つ以上の平面に影響を与える切開構造である場合、SIAの特定の値を求める算出が実行され、その後眼内レンズのトーリシティを算出するため、および以前に決定した眼内レンズのトーリシティを再び算出するために使用できる。
したがって、求められた切開位置が最大強主軸に対応し、かつこの最大強主軸が[0、30)度または(150,180]度の角度セクタ内に位置する場合、算出されるSIAは、2.0mmおよび2.2mmの切開寸法に対して0.0Dであり、2.8mmの水晶体切開寸法に対して-0.15Dである。
最大強主軸の方向が[30,60)度または(120,150]度の角度セクタ内に位置する場合、算出されるSIAは、2.0mmの切開寸法に対して0.00D、2.2mmの切開寸法に対して-0.20Dであり、2.8mmの水晶体切開寸法に対して-0.40Dである。
ここで、最大強主軸の方向が[60,120]度の角度セクタ内に位置する場合、算出されるSIAは、2.0mmの切開寸法に対して-0.25D、2.2mmの切開寸法に対して-0.50D、2.8mmの切開寸法に対して-0.75Dである。
さらに、求められた切開位置が最大強主軸に対応し、かつこの最大強主軸が[0,30)度または(150,180]度の角度セクタ内に位置する場合、算出されるSIAは、2.0mm、2.2mmおよび2.8mmの切開寸法に対し0.0Dである。
最大弱主軸の方向が[30,60)度または(120,150]度の角度セクタ内に位置する場合、算出されるSIAは、2.0mmの切開寸法に対して0.00D、2.2mmの切開寸法に対して0.15D、2.8mmの切開寸法に対して0.30Dである。
ここで、最大弱主軸の方向が[60,120]度の角度セクタ内に位置する場合、算出されるSIAは、2.0mmの切開寸法に対して0.20D、2.2mmの切開寸法に対して0.35D、2.8mmの切開寸法に対して0.55Dである。
さらに、求められた切開構造が1つの平面に影響する場合、算出される乱視の絶対的最大値は0.2Dである。
同様に、求められた切開位置にかかわらず、対応する眼内レンズが手術者によって挿入されるとき、このレンズは最大強主軸に対して方向付けられるべきであることに留意すべきである。言い換えれば、眼内レンズは、その主軸を示す印を含んでおり、この主軸は、上記IOLが挿入されたとき、最大強主軸に対応しなければならない。
しかしながら、切開位置が最大強主軸から45度の軸、または最大弱主軸から45度の軸である場合、切開後、最大強主軸と最大弱主軸の両方が、その最初に求められた位置から角度変位することが判明している。したがって、手術者が切開前に決定した最大強主軸にレンズを配置したとしても、上記のように、この最大強主軸は切開によって変位しているため、実際には切開後の最大強主軸にレンズを配置することにはならない。このことは、介入後、患者が眼内レンズの挿入から期待される視覚能力を得られない可能性があることを意味する。
このため、切開位置が最大強主軸から45度の軸または最大弱主軸から45度の軸の間で求められる本発明の好ましい実施形態では、眼内レンズの主軸の方向は、好ましくは[-10,10]度の間隔内、より好ましくは[0.1,4]度の間隔内にある最大強主軸の角度変位に応じて算出される。
このようにして、手術者が最大強主軸から45度の軸、または最大弱主軸から45度の軸に従った切開位置で手術を行う場合、切開後に最大強主軸の新たな位置を知ることができ、これにより、上記の切開位置を使用したときの最大強主軸の角度変位の場合のような新たな誤差が生じる原因を軽減することができる。
Claims (25)
- 特定の寸法を有する眼内レンズを導入するために角膜に切開が行われるときに術後惹起乱視を算出するためのコンピュータ実装型方法であって、
眼科診断装置を用いて前記角膜の曲率を測定した上で、前記角膜の最大強主軸の方向と最大弱主軸の方向とを割り出す工程と、
角膜軸の方向に対して切開位置を求める工程と、
前記眼内レンズの少なくとも1つの度数に応じて切開寸法を求める工程と、
求められた前記切開位置および求められた前記切開寸法に応じて前記術後惹起乱視を算出する工程と
を含むことを特徴とするコンピュータ実装型方法。 - 切開構造を求める工程をさらに含み、前記術後惹起乱視を算出する工程が、求められた前記切開構造に応じてさらに実施される、請求項1に記載のコンピュータ実装型方法。
- 前記角膜軸の方向に対して切開位置を求める工程において、前記角膜軸の方向は、前記最大強主軸または前記最大弱主軸の方向である、請求項1または2に記載のコンピュータ実装型方法。
- 前記角膜軸の方向は、さらに前記最大強主軸から45度の軸または前記最大弱主軸から45度の軸の方向であり得る、請求項3に記載のコンピュータ実装型方法。
- 前記角膜軸から求められた方向が、前記最大強主軸から45度の軸または前記最大弱主軸から45度の軸の方向である場合、[-10,10]度の間隔にある前記最大弱主軸および前記最大強主軸から求められた初期位置に対して、前記最大強主軸および/または前記最大弱主軸の角度変位の推計を実施する、請求項4に記載のコンピュータ実装型方法。
- 前記切開寸法を求める工程は、前記切開を実施するように構成された手術器具の大きさに応じて実施される、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータ実装型方法。
- 前記術後惹起乱視を算出する工程において、前記術後惹起乱視は、少なくとも[0,30)、[30,60)、[60,120]、(120,150]、(150,180]の角度セクタの中から求められた前記切開位置に対応する、前期最大強主軸または前記最大弱主軸の方向が属する角度セクタに応じても算出される、請求項2~6のいずれか一項に記載のコンピュータ実装型方法。
- 前記最大強主軸の特定の方向、特定の切開寸法、および特定の切開構造に対応する切開位置に対して算出された前記術後惹起乱視は、前記最大強主軸の方向に垂直であるとともに前記最大弱主軸と前記最大強主軸との交点を通過する経線面に対して対称な方向に対応する切開位置に対する術後惹起乱視である、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装型方法。
- 前期最大弱主軸の特定の方向、特定の切開寸法、および特定の切開構造に対応する切開位置に対して算出された前記術後惹起乱視は、前期最大弱主軸の方向に垂直であるとともに前期最大弱主軸と前期最大強主軸との交点を通過する経線面に対して対称な方向に対応する切開位置に対する術後惹起乱視である、請求項7に記載のコンピュータ実装型方法。
- 前記切開構造を求める工程において、少なくとも1つの切開面の切開構造が決定される、請求項2~9のいずれか一項に記載のコンピュータ実装型方法。
- 前記術後惹起乱視を算出する工程において、前期特定の切開寸法は、求められた前記切開位置に応じて1.8mm~3mmの間隔内にある、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンピュータ実装型方法。
- 前記特定の切開寸法は、2mm、2.2mm、および2.8mmの寸法のうちいずれかから選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンピュータ実装型方法。
- 特定の切開位置および特定の切開構造について、最小の切開寸法に対して算出された前記術後惹起乱視と最大の切開寸法に対して算出された前記術後惹起乱視とが、最大で0.7D相違する、請求項11に記載のコンピュータ実装型方法。
- 特定の切開位置および特定の切開構造に対して前記術後惹起乱視を算出する工程において、2mmの前記切開寸法に対して算出された前記術後惹起乱視と、2.8mmの前記切開寸法に対して算出された術後惹起乱視とが、最大で0.5D相違する、請求項12に記載のコンピュータ実装型方法。
- 請求項11が請求項10に従属し、該請求項10が請求項3~9のいずれか一項に従属するとき、求められた前記切開位置が前記最大強主軸の方向に対応し、求められた前記切開構造が少なくとも2つの平面を有している場合、算出される前記術後惹起乱視は負の値であり、最大絶対値は0.75Dである、請求項12に記載のコンピュータ実装型方法。
- 請求項11が請求項10に従属し、該請求項10が請求項3~9のいずれか一項に従属するとき、求められた前記切開位置が前記最大弱主軸の方向に対応し、求められた前記切開構造が少なくとも2つの平面を有している場合、算出される前記術後惹起乱視は正の値であり、最大値は0.55Dである、請求項12に記載のコンピュータ実装型方法。
- 請求項11が請求項10に従属し、該請求項10が請求項3~9のいずれか一項に従属するとき、求められた前記切開位置が前記最大強主軸に対応し、該最大強主軸が、[0,30)度または(150~180]度の前記角度セクタ内に位置し、求められた前記切開構造が少なくとも2つの平面を有している場合、算出される前記術後惹起乱視は、
2.0mmおよび2.2mmの切開寸法に対して0.0D、および
2.8mmの水晶体切開寸法に対して-0.15D
である、請求項12に記載のコンピュータ実装型方法。 - 請求項11が請求項10に従属し、該請求項10が請求項3~9のいずれか一項に従属するとき、求められた前記切開位置が前記最大弱主軸に対応し、該最大弱主軸が、[0,30)度または(150~180]度の前記角度セクタ内に位置し、求められた前記切開構造が少なくとも2つの平面を有している場合、算出される前記術後惹起乱視は、2.0mm、2.2mm、および2.8mmの切開寸法に対して0.0Dである、請求項12に記載のコンピュータ実装型方法。
- 請求項11が請求項10に従属し、該請求項10が請求項3~9のいずれか一項に従属するとき、求められた前記切開位置が前記最大強主軸に対応し、該最大強主軸が、[30,60)度または(120~150]度の前記角度セクタ内に位置し、求められた前記切開構造が少なくとも2つの平面を有している場合、算出される前記術後惹起乱視は、
2.0mmの切開寸法に対して0.00D、
2.2mmの切開寸法に対して-0.20D、および
2.8mmの切開寸法に対して-0.40D
である、請求項12に記載のコンピュータ実装型方法。 - 請求項11が請求項10に従属し、該請求項10が請求項3~9のいずれか一項に従属するとき、求められた前記切開位置が前記最大弱主軸に対応し、該最大弱主軸が、[30,60)度または(120~150]度の前記角度セクタ内に位置し、求められた前記切開構造が少なくとも2つの平面を有している場合、算出される前記術後惹起乱視は、
2.0mmの切開寸法に対して0.00D、
2.2mmの切開寸法に対して0.15D、および
2.8mmの切開寸法に対して0.30D
である、請求項12に記載のコンピュータ実装型方法。 - 請求項11が請求項10に従属し、該請求項10が請求項3~9のいずれか一項に従属するとき、求められた前記切開位置が前記最大強主軸に対応し、該最大強主軸が、[60,120]度の前記角度セクタ内に位置し、求められた前記切開構造が少なくとも2つの平面を有している場合、算出される前記術後惹起乱視は、
2.0mmの切開寸法に対して-0.25D、
2.2mmの切開寸法に対して-0.50D、および
2.8mmの切開寸法に対して-0.75D
である、請求項12に記載のコンピュータ実装型方法。 - 請求項11が請求項10に従属し、該請求項10が請求項3~9のいずれか一項に従属するとき、求められた前記切開位置が前記最大弱主軸に対応し、該最大弱主軸が、[60,120]度の前記角度セクタ内に位置し、求められた前記切開構造が少なくとも2つの平面を有している場合、算出される前記術後惹起乱視は、
2.0mmの切開寸法に対して0.20D、
2.2mmの切開寸法に対して0.35D、および
2.8mmの切開寸法に対して0.55D
である、請求項12に記載のコンピュータ実装型方法。 - 前記術後惹起乱視を算出する工程において、求められた前記切開構造が1つの平面を有している場合、算出される前記術後惹起乱視の絶対的最大値は0.2Dである、請求項2に記載のコンピュータ実装型方法。
- 視覚障害を矯正するための手術方法において挿入されることになる眼内レンズのトーリシティを算出するためのコンピュータ実装型方法であって、
術前乱視の値を求める工程と、
眼科診断装置によって決定される少なくとも1つの眼内レンズ度数を求める工程と
を含み、
請求項1~23のいずれか一項に記載のコンピュータ実装型方法に従い前記術後惹起乱視を算出する工程と、
前記術前乱視と前記術後惹起乱視との和から得られる前記術後惹起乱視を矯正するための前記眼内レンズの適切な前記トーリシティを算出する工程と
を含むことを特徴とする、コンピュータ実装型方法。 - 眼内レンズのトーリシティを再び算出するためのコンピュータ実装型方法であって、前記眼内レンズの度数および初期トーリシティは、少なくとも眼科診断装置によって患者の視力の矯正対象である屈折誤差に応じて決定され、前記眼内レンズを挿入するために患者の角膜に切開が行われるとき、術後惹起乱視は、請求項1~23に記載のコンピュータ実装型方法に従って求められ、前記術後惹起乱視が求められた後、前記眼内レンズのトーリシティが、前記術後惹起乱視と矯正対象である他の屈折誤差とを考慮して再び算出される、コンピュータ実装型方法。
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