JP2023554039A - ワイヤレス送電機およびその動作方法 - Google Patents

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Abstract

送電機101は、電力伝送時間間隔中に電力伝送信号を生成し、測定時間間隔中に電磁試験信号を生成するために送電コイルのための駆動信号を生成するドライバ201を備える。平衡型検出コイル207、209のセットは、2つの検出コイルを含み、送電コイルによって生成された電磁場によって2つの検出コイル内に誘導された信号は互いに相殺し合う。推定回路205は、少なくとも1つの測定時間間隔中に複数の平衡型検出コイルのセット207、209からの信号に応答して受電機105の位置/結合係数推定を求める。

Description

本発明は、ワイヤレス電力伝送システムに関し、特に、限定はされないが、例えば厨房機器などの高電力機器への誘導電力伝送を提供する送電機の動作に関する。
今日のほとんどの電気製品は、外部電源から電力を受け取るために専用の電気的接点を必要とする。しかし、これは非実用的な場合が多く、ユーザがコネクタを物理的に挿入したり、または他のやり方で物理的な電気接触を確立することを要求する。通常は電力要件も大きく異なり、現在、ほとんどのデバイスが独自の専用電源を備えているので、通常のユーザは、それぞれが特定のデバイス専用の多数の異なる電源を所有する。内蔵バッテリを使用することで、使用中に電源に有線接続する必要がなくなる可能性があるが、バッテリの充電(または交換)が必要であることから、これは部分的な解決策に過ぎない。バッテリの使用はまた、デバイスの重量、および場合によってはコストやサイズを大きく増加させるおそれがある。
大幅に改善されたユーザ体験を提供するために、電力が送電機内の送電インダクタから個々のデバイス内の受電コイルに誘導伝送されるワイヤレス電源を使用することが提案されている。
磁気誘導による電力伝送はよく知られている概念であり、多くの場合、一次送電インダクタ/コイルと二次受電コイルとの間に密結合を有するトランスに適用される。一次送電コイルと二次受電コイルとを2つのデバイスに分けることにより、疎結合トランスの原理に基づき、これらの間のワイヤレス電力伝送が可能になる。
このような構成は、ワイヤまたは物理的な電気的接続の確立を必要とすることなく、デバイスへのワイヤレス電力伝送を可能にする。実際、これは、単に送電コイルの隣にまたは上にデバイスを配置するだけで、デバイスの外部充電または給電を可能にし得る。例えば、送電デバイスは、給電のためにデバイスを単純に置くことができる水平面を有し得る。
さらに、そのようなワイヤレス電力伝送構成は、送電デバイスが様々な受電デバイスとともに使用可能であるように有利に設計され得る。特に、Qi仕様と呼ばれるワイヤレス電力伝送手法が規定されており、現在もさらなる開発がなされている。この手法は、Qi仕様に対応した送電デバイスを同じくQi仕様に対応した受電デバイスとともに使用することを可能にし、両デバイスは同じ製造業者からのものである必要はなく、また、互いに対して専用に設計されたものである必要もない。Qi規格はさらに、具体的な受電デバイスに対して(例えば、具体的な電力流出に応じて)動作を適合可能にするための機能を含む。
Qi仕様はWireless Power Consortiumによって開発されており、詳細は、例えば同団体のWebサイト(http://www.wirelesspowerconsortium.com/index.html)で見つけることができ、ここでは特に、規定された仕様のドキュメントを見つけることができる。
Wireless Power Consortiumは、Qi仕様に基づいて、キッチン家電への安全、確実、かつ効率的なワイヤレス電力伝送を提供することを目的としたKi仕様(コードレスキッチン仕様とも呼ばれる)の開発を進めた。Kiは、最大2.2KWまでの大幅に高い電力レベルをサポートする。
ワイヤレス電力伝送に関する潜在的な問題は、電力伝送のパフォーマンスが特定の条件に大きく依存する可能性があることである。特に、効率、実現可能な電力レベル、適応応答時間などに関する電力伝送パフォーマンスは、送電コイルおよび受電コイルが互いに対してどのように配置されているかに大きく依存する傾向がある。一般に、コイルが並んでおり互いに近い場合、より効率的で信頼性の高い電力伝送が実現される傾向がある。
通常、電力伝送パフォーマンスは結合係数(coupling factor or coefficient)に依存し、結合係数が高いほど電力伝送の効率が高くなる。
送電デバイスに対する受電デバイスの配置が厳しく制限されるようにデバイスを設計することによって、例えば、受電デバイスを1つの特定の位置に制限することによって、両者をより近くに並べ、結合係数を高くすることができる。しかし、システムの実用性を制限することから、これは一般に望ましくない。例えば、送電機がワークトップに実装されているキッチン家電の場合、ユーザがおおまかに送電機コイルの近くにその家電を配置するだけで、システムがそれに応じて調整することが好ましい。また、電力伝送機能は、例えば、受電デバイスを拘束する機械的または物理的なガイド機構を必要とせずに実装されることが好ましく、例えば、完全に平坦なワークトップ表面を使用して送電機を実装できることが望ましい。
実際には、送電機と受電機との間の空間的関係、およびこれに従う結合係数は大きく変化する可能性がある。多くの場合、そのような変化する特性を特定し、例えば電力伝送を調整したり、またはユーザフィードバックを提供したりできることが望ましいであろう。特に、受電機の相対位置および/またはコイル間の結合係数を求められることが望ましいであろう。
これを達成するためのいくつかの手法が提案されている。そのような手法のうちの1つは、能動的な表面にわたって複数の送電コイルを組み込み、どの送電コイルが最良の電力伝送を提供するかが決定されるまで、送電機が送電コイルを順次切り替えることである。その後、決定された送電コイルが電力伝送に使用される。
しかし、そのような手法は準最適であり、理想的なパフォーマンスが得られない傾向がある。受電機の位置特定は非常に粗い傾向があり、電力伝送動作の調整も限定される傾向がある。
したがって、電力伝送のための改善された動作は有利であり、特に、柔軟性の向上、コストの削減、複雑さの低減、受電機の位置および/もしくは結合係数推定の向上、下位互換性、より高い電力レベルの伝送への適合性の向上、ならびに/またはパフォーマンスの向上を可能にする手法は有利であろう。
したがって、本発明は、上記欠点の1つ以上を単独で、または任意の組み合わせで好適に緩和、低減、または排除することを目的とする。
本発明の一態様によれば、誘導電力伝送信号を介して受電機にワイヤレスで電力を供給するための送電機が提供され、送電機は、送電コイルと、送電コイルのための駆動信号を生成するドライバであって、ドライバは、反復時間フレームの少なくとも1つの電力伝送時間間隔中に電力伝送信号を生成するために、送電コイルのための駆動信号を生成し、また、反復時間フレームの少なくとも1つの測定時間間隔中に電磁試験信号を生成するために、送電コイルのための駆動信号を生成する、ドライバと、直列結合された複数の平衡型検出コイルのセットであって、各平衡型検出コイルのセットは、2つの検出コイルを含み、送電コイルによって生成された電磁場によって2つの検出コイル内に誘導される信号は互いに相殺し合う、複数の検出コイルのセットと、少なくとも1つの測定時間間隔中に、複数の平衡型検出コイルのセットからの信号に応答して、送電コイルと、受電機の受電コイルとの間の電磁結合の結合係数推定を求める推定回路と、を備える。
本発明は、多くの実施形態および場合において、送電コイルと受電機の受電コイルとの間の電磁結合の結合係数の推定を改善し得る。本発明は、多くの実施形態において電力伝達の改善を可能にし、特に、変化する動作条件に対する電力伝送の適合を改善し得る。
反復時間フレームの測定時間間隔は、具体的には、電力伝送信号の振幅のゼロ交差、および/またはドライバの出力段への変動する(例えば、AC)供給電圧のゼロ交差と一致する/ゼロ交差を含むようにタイミング設定されるか、またはそのようなゼロ交差と同期され得る。
結合係数推定は、結合係数変化推定であってもよい。
多くの実施形態において、測定時間間隔の持続時間は、時間フレームの持続時間の5%、10%、または20%以下である。多くの実施形態において、測定時間間隔の持続時間は、時間フレームの70%、80%、または90%以上である。測定時間間隔の持続時間は多くのシナリオで5ミリ秒、10ミリ秒、または50ミリ秒以下であり得る。
検出コイルが、送電コイルによって生成された電磁場によって2つの検出コイル内に誘導された信号が互いに相殺し合うように構成されているという点で、検出コイルは平衡化されている。2つの平衡型検出コイルをまたぐ結合された電圧は、2つの平衡型検出コイルのそれぞれの電圧のうちの最大のものよりも低い。補償は、2つの信号の少なくとも部分的な相殺であり得る。
電磁試験信号は試験電磁場とも呼ばれる場合があり、これらの用語は同義であると考えることができる。平衡型検出コイルのセットとしての検出コイルは、直列に結合され得る。検出コイル/巻線が直列に結合されている場合、検出コイル/巻線を流れる電流が同一であり得る。少なくとも1つの測定時間間隔中の複数の平衡型検出コイルのセットからの信号は、電磁試験信号によって誘導される/電磁試験信号から生じる/電磁試験信号によって引き起こされる信号であってもよい。
一部の実施形態では、測定時間間隔中の駆動信号の周波数は、電力伝送時間間隔中の駆動信号の周波数よりも50%以上高い。
これにより、多くの実施形態において、検出コイルの不平衡を示す信号の測定/判定が改善され、および/または容易化され得る。特に、受電機の負荷によって加えられる負荷の影響が減少し得る。負荷の影響が減少すると、多くの実施形態において位置推定がより正確になり得る。
一部の実施形態では、測定時間間隔中の駆動信号の周波数は、電力伝送時間間隔中の駆動信号の周波数よりも100%、場合によっては200%以上高い。
一部の実施形態では、測定時間間隔中の駆動信号の電圧振幅は、電力伝送時間間隔中の駆動信号の電圧振幅の50%以下である。
一部の実施形態では、測定時間間隔中の駆動信号の電圧振幅は、電力伝送時間間隔中の駆動信号の電圧振幅の25%または10%以下である。
一部の実施形態では、駆動信号の電圧振幅は、測定時間間隔中、実質的に一定である。
これは、多くの実施形態において改善および/または容易化された受電機の位置推定を提供し得る。
各平衡型検出コイルセットは2つの検出コイルを含み得、2つの検出コイルは、電磁場(特に、送電コイルによって生成される電磁場)によって2つの検出コイル内に誘導される信号が、平衡型検出コイルのセットからの信号において互いにオフセット/補償/少なくとも部分的に打ち消し合うように構成され得る。
平衡型検出コイルのセットからの信号は、具体的には、検出コイルのセットのうちの検出コイルからの誘導信号の合成信号であってもよい。信号は、各検出コイル内に誘導された電圧の合成/合計電圧であってもよい(またはそのような電圧寄与を含んでもよい)。所与の検出コイルセットの2つの検出コイル内に誘導される信号間の不平衡は、信号の電圧(具体的には電圧振幅)および/または位相によって示され得る。
推定回路は、少なくとも1つの測定時間間隔中の複数の複数の平衡型検出コイルのセットからの信号に応答して、送電コイルと、受電機の受電コイルとの間の電磁結合の結合係数推定を求めるように構成される。
これにより、特に電力伝送の動作が改善され、変化する条件に電力伝送を合わせることができる。
本発明の任意選択的な特徴によれば、結合係数推定は相対結合係数推定である。
これは、多くの実施形態および場合において特に有利なパフォーマンスを提供し得る。相対結合係数推定は、結合係数の変化を示し得る。
本発明の任意選択的な特徴によれば、推定回路は、複数の平衡型検出コイルのセットのうちの少なくとも第1のセットの振幅の増加に対して減少する結合係数として結合係数推定を求める。
これは、多くの実施形態および場合において特に有利なパフォーマンスを提供し得る。
本発明の任意選択的な特徴によれば、推定回路は、複数の平衡型検出コイルセットのうちの少なくとも2つのセット間の振幅の差の増加に対して減少する結合係数として結合係数推定を求める。
これは、多くの実施形態および場合において特に有利なパフォーマンスを提供し得る。
本発明の任意選択的な特徴によれば、送電機は、結合係数推定に応答して電力ループパラメータを調整するアダプタを備え、電力ループパラメータは、受電機から受信される電力制御メッセージに応答して電力伝送信号の電力レベルを調整する電力制御ループのループパラメータである。
これは、多くの実施形態および場合において特に有利なパフォーマンスを提供し得る。これにより、電力伝送が向上し、変化する条件に対する動作の適合を向上させることができる可能性がある。
本発明の任意選択的な特徴によれば、電力ループパラメータは、ループ時定数、ループフィルタの周波数応答、およびループゲインのうちの少なくとも1つである。
これは、多くの実施形態および場合において特に有利なパフォーマンスを提供する可能性があり、特に多くの実施形態において、電力伝送動作の適合を改善および/または容易化し得る。
本発明の任意選択的な特徴によれば、推定回路は、少なくとも1つの測定時間間隔中に複数の平衡型検出コイルのセットからの信号に応答して受電機の位置推定を求める。
この手法は、多くの実施形態および場合において、ワイヤレス電力伝送の受電機の位置の推定を改善することができる。本発明は、多くの実施形態において電力伝達の改善を可能にし、特に、変化する動作条件に対する電力伝送の適合を改善し得る。
本発明の任意選択的な特徴によれば、送電機は、位置推定が要件を満たすことに応答して、受電機の位置ずれの表示を提供するユーザ出力を提供するユーザインターフェースをさらに備える。
これは、多くの実施形態において改善および/または容易化された動作を提供し得る。これにより、ユーザは効率的な電力伝送が不可能な望ましくない状況を防ぐことができる。
この要件は、具体的には、位置推定と公称位置または好ましい位置との間の差/距離が閾値を超えるという要件を含み得る。
表示は、位置ずれを低減するために、受電機の移動方向の表示を含み得る。
一部の実施形態では、送電機は、位置推定に応答して、受電機の位置の表示を提供するユーザ出力を提供するユーザインターフェースをさらに備え得る。
一部の実施形態では、送電機は、位置推定の表示を受電機に通信するための通信機を備え得る。受電機は、位置推定に応答して、受電機の位置の表示を提供するユーザ出力を提供するユーザインターフェースを備え得る。
本発明の任意選択的な特徴によれば、送電機は、位置推定に応答して電力伝送の動作パラメータを調整するアダプタをさらに備える。
これは、多くの実施形態において特に有利なパフォーマンスを提供する可能性があり、特に、多くの実施形態および場合において、受電機位置推定および電力伝送を改善する可能性がある。
これは、多くの実施形態および場合において特に有利なパフォーマンスを提供し得る。動作パラメータは、例えば、電力伝送信号の最大電力レベル、および/または電力伝送信号の現在の電力レベルであってもよい。
一部の実施形態では、アダプタは、位置推定に応答して電力ループパラメータを調整し、電力ループパラメータは、受電機から受信される電力制御メッセージに応答して電力伝送信号の電力レベルを調整する電力制御ループのループパラメータである。
本発明の任意選択的な特徴によれば、アダプタは、位置推定に応答して電力ループパラメータを調整し、電力ループパラメータは、受電機から受信される電力制御メッセージに応答して電力伝送信号の電力レベルを調整する電力制御ループのループパラメータである。
これは、多くの実施形態において特に有利なパフォーマンスを提供し得る。これにより、電力伝送が向上し、変化する条件に対する動作の適合を向上させることができる可能性がある。
本発明の任意選択的な特徴によれば、推定回路は、信号が基準を満たしている場合に、受電機のための位置変化を検出し、基準は、平衡型検出コイルのセットの2つの検出コイル内に誘導された信号間の不平衡が第2の閾値を超えることを示す、平衡型検出コイルのセットからの信号の数が閾値数未満であるという要件を含み、閾値数は少なくとも2である。
これは、多くの実施形態および場合において特に有利なパフォーマンスを提供する可能性があり、特に、多くの実施形態において、位置推定を改善する可能性がある。これにより、現在の条件や動作シナリオへの適合を改善できる可能性がある。多くの実施形態において、閾値数は少なくとも3であってもよく、多くの実施形態において、閾値数は、平衡型検出コイルのセットの数に等しくてもよい。
本発明の任意選択的な特徴によれば、送電機は、異物が存在しない場合に2つの検出コイル内に誘導される信号間の不平衡の分、少なくとも1つの平衡型検出コイルのセットの信号を補償する補償器をさらに備え、推定器は、少なくとも1つの平衡型検出コイルのセットの補償の量に応答して位置推定を求める。
これは、多くの実施形態および場合において特に有利なパフォーマンスを提供する可能性があり、特に、多くの実施形態において、位置推定を改善する可能性がある。これにより、特に位置推定が容易化され、不平衡の表示の決定が容易化される可能性がある。
多くの実施形態において、送電機は、複数の平衡型検出コイルのセットに結合され、測定時間間隔中に異物検出を実行する異物検出器であって、異物検出器は、異物検出基準を満たす複数の平衡型検出コイルのセットからの信号の特性に応答して異物を検出する、異物検出器を含み得る。信号は、補償後の複数の平衡型検出コイルのセットからの信号であってもよい。
異物検出基準は、複数の平衡型検出コイルのセットのうちの少なくとも1つからの信号が、複数の平衡型検出コイルのセットのうちの少なくとも1つのセットの2つの検出コイル内に誘導される信号間の不平衡が第1の閾値を超えていることを示すという第1の要件を含んでもよい。
異物検出基準は、平衡型検出コイルのセットの2つの検出コイル内に誘導された信号間不平衡が第2の閾値を超えることを示す、複数の平衡型検出コイルのセットからの信号の数が閾値数未満であるという第2の要件を含み得、閾値数は少なくとも2であってもよい。
本発明の任意選択的な特徴によれば、補償器は、補償の静的成分および動的成分を求め、静的成分は、受電機の存在に依存せず、動的成分は、受電機の存在に依存し、推定器は、動的成分に応答して位置推定を求める。
本発明の別の態様によれば、誘導電力伝送信号を介して受電機にワイヤレスで電力を供給する送電機の動作方法が提供され、方法は、送電コイルと、直列結合された複数の平衡型検出コイルのセットであって、各平衡型検出コイルのセットは2つの検出コイルを含み、送電コイルによって生成された電磁場によって2つの検出コイル内に誘導された信号は互いに相殺し合う、複数の平衡型検出コイルのセットとを備え、方法は、ドライバが、送電コイルのための駆動信号を生成することであって、ドライバは、反復時間フレームの少なくとも1つの電力伝送時間間隔中に電力伝送信号を生成するために、送電コイルのための駆動信号を生成し、また、反復時間フレームの少なくとも1つの測定時間間隔中に電磁試験信号を生成するために、送電コイルのための駆動信号を生成する、生成することと、少なくとも1つの測定時間間隔中に、複数の平衡型検出コイルのセットからの信号に応答して、送電コイルと、受電機の受電コイルとの間の電磁結合の結合係数推定を求めることと、を含む。
本発明の上記および他の側面、特徴、および利点は、以下に記載される実施形態を参照しながら説明され、明らかになるであろう。
以下、本発明の単なる例に過ぎない実施形態について、以下の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一部の実施形態に係る電力伝送システムの要素の例を示す。 図2は、本発明の一部の実施形態に係る送電機の要素の例を示す。 図3は、送電機のためのハーフブリッジインバータの例を示す。 図4は、送電機のためのフルブリッジインバータの例を示す。 図5は、図1のワイヤレス電力伝送システムのための時間フレームの例を示す。 図6は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための検出コイルの例を示す。 図7は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための電磁場および検出コイルの例を示す。 図8は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための駆動信号の例を示す。 図9は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための駆動信号の例を示す。 図10は、本発明の一部の実施形態に係る送電機の要素の例を示す。 図11は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための検出コイルの例を示す。 図12は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための検出コイルの例を示す。 図13は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための電磁場および検出コイルの例を示す。 図14は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための電磁場および検出コイルの例を示す。 図15は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための電磁場および検出コイルの例を示す。 図16は、本発明の一部の実施形態に係る送電機のための電磁場および検出コイルの例を示す。 図17は、電力伝送システムの結合係数およびループゲインの例を、送電コイルと受電コイルとの間の変位の関数として示す。
以下の説明は、Qi仕様またはKi仕様から知られるような電力伝送手法を利用するワイヤレス電力伝送システムに適用可能な本発明の実施形態に焦点を当てている。しかし、本発明はこの用途に限定されず、他の多くのワイヤレス電力伝送システムに適用できることが理解されよう。
図1は、本発明の一部の実施形態に係る電力伝送システムの一例を示す。電力伝送システムは、送電コイル/インダクタ103を含む(またはこれに結合される)送電機101を備える。システムはさらに、受電コイル/インダクタ107を含む(またはこれに結合される)受電機105を備える。
システムは、送電機101から受電機105に電力を誘導的に伝送し得る電磁電力伝送信号を供給する。具体的には、送電機101は、コイルまたはインダクタ103によって磁束として伝播される電磁信号を生成する。電力伝送信号は、通常、約20kHz~約500kHzの周波数を有し得、Qi対応システムの場合はしばしば、通常、95kHz~205kHzの範囲内であり得、または、例えばKi対応システムの場合は、通常、20kHz~80kHzの範囲内であり得る。送電コイル103と受電コイル107は疎結合されているので、受電コイル107は送電機101からの電力伝送信号(少なくともその一部)を拾う。したがって、送電コイル103から受電コイル107へのワイヤレス誘導結合を介して、送電機101から受電機105に電力が伝送される。電力伝送信号という用語は、主に、送電コイル103と受電コイル107との間の誘導信号/磁界を指すのに使用されるが(磁束信号)、同様に、送電コイル103に供給される、または受電コイル107によって拾われる電気信号を指すとものとして考えることもでき、これを指して使用される場合もある。
この例の受電機105は、具体的には受電コイル107を介して電力を受け取る受電機である。しかし、他の実施形態では、受電機105は金属要素、例えば金属発熱体を含み得、その場合、電力伝送信号は渦電流を直接誘導し、よって金属要素を直接加熱する。
システムは、相当な電力レベルを伝送するように構成され、具体的には、多くの実施形態において送電機は500mW、1W、5W、50W、100W、または500Wを超える電力レベルをサポートすることができる。例えば、Qi対応用途に関して、電力伝送は典型的には、低電力用途の場合は1~5Wの電力範囲内であり得(基本電力プロファイル)、Qi仕様バージョン1.2の場合は最大15Wであり得、電動工具、ラップトップ、ドローン、およびロボットなどの高出力用途の場合は最大100Wの範囲内であり得、例えばKiキッチン用途などの非常に電力が高い用途の場合は100Wより高く、最大で2000Wより高い可能性がある。
以下では、一般にQiまたはKi仕様に従う(本明細書に記載の(または結果として生じる)変更や強化を除く)、またはWireless Power Consortiumによって開発されている高出力キッチン仕様に適した実施形態を具体的に参照しながら、送電機101および受電機105の動作を説明する。特に、送電機101および受電機105はQi仕様バージョン1.0、1.1または1.2の要素に従うか、またはこれらに実質的に対応し得る(本明細書に記載の(または結果として生じる)変更および強化を除いて)。
多くの無線電力伝送システムでは、電力伝送の動作条件は、動的に、例えば送電コイル103および受電コイル107の空間的配置に依存して、変化する可能性がある。多くのシステムでは、電磁条件の特性を測定し、それに応じて動作を調整できることが望ましい。
以下でより詳細に説明するように、図2のシステムは、電力伝送フェーズ中に時分割を利用する測定手法を採用している。特に、現在の条件の測定および電力伝送は、例えば、複数の別個の時間間隔で実行され得、それによってこれらの間の干渉(特に、測定および関連する動作パラメータの推定に対する電力伝送の影響)を大幅に低減することができる。
以下、図1のシステムについてより詳細に説明する。この例では、測定に使用される電磁電力伝送信号と電磁試験信号は同じコイルによって生成される。また、信号/場は異なる用語で呼ばれる場合があり、すなわち、電力伝送時間間隔中に生成される電磁信号/電磁場は電力伝送信号と呼ばれ、測定時間間隔中に生成される電磁信号/電磁場は電磁試験信号、または単に試験信号と呼ばれる場合がある。
図2は、図1の送電機101の要素をより詳細に示す。
送電機101は、送電コイル103に供給される駆動信号を生成することができるドライバ201を含み、送電コイル103はこれを受けて電磁電力伝送信号を生成することによって、受電機105への電力伝送を提供する。電力伝送信号は、電力伝送フェーズの電力伝送時間間隔中に供給される。
ドライバ201は、送電インダクタ103に供給される電流および電圧を生成する。ドライバ201は、典型的には、DC電圧から交流信号を生成するインバータの形態の駆動回路である。ドライバ201の出力は、典型的にはスイッチブリッジであり、スイッチブリッジのスイッチの適切なスイッチングによって駆動信号を生成する。図3は、ハーフブリッジスイッチブリッジ/インバータを示す。スイッチS1およびS2は同時に閉じることがないように制御される。交互に、S2が開いている間にS1が閉じ、S1が開いている間にS2が閉じる。スイッチは所望の周波数で開閉され、それにより、出力において交流信号を生成する。典型的には、インバータの出力は共振コンデンサを介して送電インダクタに接続される。図4はフルブリッジスイッチブリッジ/インバータを示す。スイッチS1およびS2は同時に閉じることがないように制御される。スイッチS3およびS4は同時に閉じることがないように制御される。交互に、S2およびS3が開いている間にスイッチS1およびS4が閉じられ、S1およびS4が開いている間にS2およびS3が閉じられ、これにより、出力において方形波信号が生成される。スイッチは所望の周波数で開閉される。
送電機101は、所望の動作原理に従って送電機101の動作を制御するように構成された送電機コントローラ203をさらに備える。具体的には、送電機101は、Qi仕様またはKi仕様に従って電力制御を実行するために必要な多数の機能を含み得る。
送電機コントローラ203は、特に、ドライバ201による駆動信号の生成を制御するように構成されており、具体的には、駆動信号の電力レベル、したがって生成される電力伝送信号のレベルを制御することができる。送電機コントローラ203は、電力制御フェーズ中に受電機105から受信された電力制御メッセージに応答して電力伝送信号の電力レベルを制御する電力ループコントローラを備える。
図1のシステムは、電磁場の特性、特に空間的変化を測定し、送電機に対する受電機の位置、および/または送電コイルと受電コイルとの間の結合係数を推定するために使用する手法を使用する。この手法は、現在の条件を反映するように動作を調整できるため、多くの実施形態において改善された動作を提供できる。この手法は、多くの実施形態において、複雑さおよび/またはリソース要件を低く保ちながらこれを達成することができる。
この例では、ドライバ201および送電コイル103は、受電機に電力を伝送するための電磁電力伝送信号と、(例えば、位置および/または結合係数の推定に使用される)測定を実行するための電磁試験信号との両方を生成するように構成されている。送電機は、電力伝送フェーズ中、駆動信号について反復時間フレームを使用し得、時間フレームは、少なくとも1つの電力伝送時間間隔および1つの測定時間間隔を含む。このような反復時間フレームの例が図5に示されており、電力伝送時間間隔はPTで示され、測定時間間隔はDで示されている(時間間隔は検出時間間隔とも呼ばれ得る)。この例では、各時間フレームFRMは1つの測定時間間隔および1つの電力転送時間間隔のみを含み、これら(および時間フレーム自体)は各フレームで同じ持続時間を有する。しかし、他の実施形態では他の時間間隔(例えば、通信間隔)も時間フレームに含まれていてもよく、または複数の測定時間間隔および/もしくは電力伝送時間間隔が各時間フレームに含まれてもよいことが理解されよう。さらに、一部の実施形態では、互いに異なる時間間隔の持続時間が(および時間フレーム自体も)動的に変化してもよい。
このように、この手法では測定と電力伝送が時間領域で分離されており、それにより電力伝送から測定および推定への相互干渉が低減する。したがって、電力伝送の動作条件のばらつきに起因する変動性および不確定性を測定および推定から取り除くことができ、より信頼性が高く正確な推定プロセスが提供される。
したがって、電力伝送フェーズでは、送電機は、時間フレームの電力伝送時間間隔中に電力伝送を実行するように構成される。具体的には、これらの時間間隔中に、送電機101および受電機105は電力制御ループを稼働し得る。電力制御ループは、電力伝送時間間隔内の通信に基づいてもよく、または、例えば、専用通信時間間隔内など、電力伝送時間間隔外の通信に基づいてもよい。例えば、各測定時間間隔は複数の交互する電力伝送時間間隔および通信時間間隔によって隔てられていてもよい。したがって、伝送される電力のレベルは動的に変更され得る。電力伝送フェーズの時間フレームの測定時間間隔では、駆動信号の少なくとも1つのパラメータ、したがって電磁試験信号の少なくとも1つのパラメータが典型的には所定値に設定されるか、または例えば、測定時間間隔の前に実行される調整動作中に決定された値に設定される。したがって、測定時間間隔においてパラメータが所定値に設定され得る(すなわち、測定時間間隔の前に決定された値であり、多くの場合は電力伝送フェーズの前に決定された値)。対照的に、電力伝送時間間隔中はパラメータがこの所定値に制約されない可能性がある。
例えば、電力伝送時間間隔中、システムは、受電機からの電力制御メッセージに応答して電力伝送信号の電力レベルを変化させることを可能にする電力制御ループを稼動し得る。電力制御ループは、駆動信号/電力伝送信号の電流、電圧、および周波数のうちの少なくとも1つを制御/変更することができる。対照的に、電力伝送時間間隔中に電力制御ループによって変更されるパラメータは、測定時間間隔中、電力伝送フェーズの前に決定された電流、電圧、および/または周波数の所定値に設定され得る。
多くの実施形態では、測定時間間隔中には駆動信号の一定の(通常はより低い)振幅(通常は電圧)が設定される。追加でまたは代わりに、測定時間間隔中の駆動信号には所定の周波数が設定され得、これは通常、電力伝送時間間隔中の駆動信号よりも大幅に高い可能性がある。
結果として、電力伝送時間間隔中に生成される電磁信号である電力伝送信号は、通常、測定時間間隔中に生成される電磁信号である電磁試験信号とは大きく異なる特性を有する。電力伝送時間間隔中に生成される電磁信号または電磁場は電力伝送信号と呼ばれ、測定時間間隔中に生成される電磁信号または電磁場は電磁試験信号、または単に試験信号と呼ばれる。しかし、図2のシステムでは、電力伝送時間間隔および測定時間間隔の両方で同じコイルから電磁信号が生成されており、電力伝送時間間隔および測定時間間隔の両方で同じドライバなど使用されていることが理解されよう。実際のところ、多くの実施形態において、試験信号への言及は測定時間間隔中の電力伝送信号と同等であると考えられ得る。
送電機101は、測定を実行し、生成された電磁場の測定に基づいて位置および/または結合係数を推定するように構成された推定器205を備える。求められた結合係数は、相対的な結合係数または結合係数の変化であってもよい。
したがって、測定が実行される間隔中、すなわち測定時間間隔中、推定器205は電磁場の状態を評価して、推定に使用できる測定値を求める。測定時間間隔中、送電機101は電磁試験信号を生成し、推定は、電磁場の特徴および特性の評価に基づく。
このシステムでは、測定/推定は、電磁試験信号によって誘導された平衡型検出コイルのセット内の信号を検出することに基づく。平衡型検出コイルのセットは、均一な磁場の存在下で、および送電コイル103によって生成された電磁場、例えば、具体的には電磁試験信号の存在下で互いを負の方向にオフセットするように構成された少なくとも2つの検出コイル207、209を含む。具体的には、送電機は、複数の平衡型検出コイルのセットを含み、平衡型検出コイルのセットは、送電コイルによって生成された電磁場が(少なくとも部分的に)互いに相殺するように結合された第1の検出コイル207および第2の検出コイル209を含む。平衡型検出コイルのセットは、誘導平衡とも呼ばれる。
以下の説明は、まず、単一の誘導平衡の動作、すなわち、例えば図6に示すような単一の平衡型検出コイルのセットの動作に焦点を当てる。平衡型検出コイルのセットについて、送電コイル103によって生成された電磁場は第1の検出コイル207内に信号を誘導し、第2の検出コイル209内に信号を誘導する。しかし、誘導電圧は互いに反対の極性を有するので、送電コイル103によって生成された電磁場に起因する検出コイル207、209の直列結合の電圧(振幅)は、送電コイル103によって生成された電磁場に起因する個々の検出コイル207、209のうちの少なくとも最大のもの、典型的にはいずれよりも低い。したがって、第1の検出コイル207および第2の検出コイル209は、送電コイル103によって生成された電磁場からの誘導電圧が少なくとも部分的に互いに打ち消し合うように結合される。
検出コイルは、両コイル間に均一な磁場が存在するときに電磁試験信号によって反対の信号が生成される少なくとも2つの巻線に対応するように構成される。したがって、反対の信号は少なくとも部分的に互いに打ち消し合う可能性があり、よって、検出コイル207、209の直列結合の両端の測定誘導信号のレベルは低減され、場合によっては実質的に打ち消される。これにより、測定に使用できる磁場強度を大幅に高めることができる。実際のところ、多くの実施形態および場合において、得られる誘導電圧は(理想的には)巻線間の磁束の差のみに起因し得る。巻線間のそのような差異または非対称性は、例えば、受電機が各検出コイルに対して非対称に配置されることによって、または異物が存在することに起因する可能性もある。
検出コイル構成の一例が図6に示されている。この例では、第1の検出コイル207は第1の巻線L1として形成されており、第2の検出コイル209は(逆)直列結合された第2の巻線L2として形成されている。したがって、2つの巻線の結合された電圧は、均一な電磁場に対して互いにオフセットする。この例では検出コイル207、209/巻線L1、L2は中心点に関して反対に、かつ対称に配置されている。さらに、これらの検出コイルは平面内に形成され、送電コイル103も同一平面(または少なくとも実質的に平行な平面)内に形成される。この例では検出コイル207、209は送電コイル103の内側に形成されている。さらに、検出コイル207、209は実質的に同じ外形を有し、実質的に同じ領域をカバーするように形成されている。
結果として、2つの検出コイル207、209を通る磁束は実質的に同じであるが、反対方向である。結果として、2つの検出コイル207、209内の誘導電圧は実質的に同じであるが、逆の位相/極性を有し、2つの直列結合された検出コイル207、209の結合電圧は打ち消し合い、実質的にゼロになる。
したがって、検出コイル207、209は、均一な場の存在下で、および/または他の物体が存在せず、送電コイル103によって生成された電磁場の存在するとき、誘導信号/電圧が互いに少なくとも部分的に打ち消し合い/相殺し合い、理想的には結合電圧がゼロになるように構成される。
図2および図6の構成では、2つの検出コイルのうちの第1の検出コイルの誘導信号が、2つの検出コイルのうちの第2の検出コイルの誘導信号の逆の電圧を有する。2つの検出コイルの誘導信号は均一な磁場に対して逆の位相を有する。2つの検出コイル内の誘導信号は逆の位相を有する。誘導信号が反対の極性を有するように、2つの検出コイルは直列にかつ逆位相で結合されている。これらの特性は、均一な場、および送電コイル103によって生成される歪みのない場について存在する。
金属異物の存在下では電磁場が歪められ、2つの検出コイル207、209の場の間に非対称性をもたらす可能性がある。これは、金属異物が送電コイル103の近くに存在する場合に当てはまり得るが、検出コイル207、209に対して非対称な金属部品を備えた受電機が存在する場合にも当てはまる可能性がある(典型的には、検出コイル207、209に対して受電機の位置が非対称であるため)。したがって、そのような場合には、2つの検出コイル207、209の磁界に非対称性が存在することになる。
通常、金属製の物体の場合、生成された電磁試験信号は渦電流を誘導し、その結果、金属製の物体は、生成された電磁試験信号の電磁場に対して、合成された電磁場が歪むように電磁場を生成する。生成された非対称電磁場は、図7に示されるように、第1の検出コイル207および第2の検出コイル209内に異なる信号を誘導する。受電機が検出コイル207、209に関して対称であり、異物が存在しない状況では、2つの検出コイル207、209を通る磁束は対称となり、合成電圧は実質的にゼロになる。しかし、受電機が対称的な歪みを提供しない場合、または異物が存在する場合、誘導される信号に差が生じる。2つの検出コイル207、209の誘導信号におけるこの差は、受電機の位置および/または結合係数を推定するために使用できる。また、異物の存在を検出するために使用することもできる。
図2のシステムでは、検出コイルのペア207、209の合成電圧が直接測定され、測定を実行するために使用されてもよい。一部の実施形態では、より複雑な手法を使用することができ、例えば、検出コイル207、209を流れる電流がトランスの一次巻線にも流れるように、検出コイルをトランスと直列に結合されてもよい。したがって、検出コイル207、209および一次巻線は、検出コイル207、209内に誘導された電流が流れる直列回路の一部であり得る。その場合、二次巻線を推定器205に結合され得、例えば、二次巻線を流れる電流を測定し、2つの検出コイル207、209における誘導信号間の不平衡の測定値として使用することができる。
誘導平衡からの信号、具体的には出力電圧によって示される不平衡は、送電機コントローラの位置や、送電コイル103と受電コイル107との間の結合係数(および具体的には結合係数の変化)の指標として、および/または異物が存在することを示すために使用され得る。例えば、平衡型検出コイルのセットからの信号がある基準、例えば、絶対値が検出閾値を超えるという基準を満たす場合、これは異物が存在する可能性があることを示すと考えられ得る。したがって、一部の実施形態では、平衡型検出コイルの使用により、推定器205が異物検出を実行できるようになる可能性がある。別の例として、不平衡を示す信号の存在は、受電機の非対称配置の指標として、または結合係数(特に結合係数の変化)の指標として使用され得る。
ワイヤレス電力伝送システムにおいて、物体(典型的には、電力伝送信号から電力を抽出する導電性の要素であって、送電機101または受電機105の一部ではない、すなわち、電力伝送に関して意図しない、望ましくない、および/または干渉する要素)の存在は電力伝送中に非常に都合が悪い可能性がある。そのような望ましくない物体は、当該技術分野では異物と呼ばれる。
異物は、動作に電力損失を加えることによって効率を低下させるだけでなく、電力伝送動作自体の質を低下させる可能性がある(例えば、電力伝送効率に干渉したり、(例えば電力伝送ループによって)直接制御されていない電力を抽出したりすることによって)。さらに、異物内の電流の誘導(具体的には、異物の金属部分内の渦電流)は、多くの場合は非常に望ましくない異物の加熱をもたらす可能性がある。
図の例では2つの検出コイル207、209は互いに反対側に配置されており、また送電コイル103と同じ磁気平面内に配置されている。そのような誘導平衡が、送電コイル103によって生成された対称な検出電磁場にさらされるとき、検出コイル207、209の端子における電圧は理想的かつ理論的には実質的にゼロである。
この手法では、各検出コイル内に信号が誘導され、(異物が存在しないときは通常そうであるように)均一な磁場の場合、平衡型検出コイルは互いに実質的に相殺し合う。検出コイル207、209の出力は推定器205に結合される。したがって、(送電コイルによって生成された電磁場によって)検出コイル207、209内に信号が誘導され、生成された、平衡型検出コイル207、209の出力をまたぐ(差)誘導信号は推定器205に供給される。次いで、得られた信号が推定器205によって評価される。したがって、推定器205によって評価される信号は検出コイル207、209内に誘導された信号を表すものであり、具体的には相殺された差/和誘導信号である。
図7に示されるように誘導平衡の片側に金属片を置くと、検出電磁試験信号/場の密度が対称でなくなり、誘導平衡の端子において電圧が測定され得る。推定器205は、異物検出基準を満たす誘導平衡からの誘導信号の特性に応答して異物を検出するように構成され得る。したがって、誘導平衡を使用することの特別な利点は、多くの実施形態において非常に有利な異物検出を提供できることである。
同様に、図7に示されるように、受電機の金属部品が誘導平衡の側方にずれるように受電機が配置されると、検出電磁試験信号/場の密度も対称でなくなり、誘導平衡の端子において電圧が測定され得る。推定器205は、不平衡に基づいて位置および結合係数(相対結合係数であってもよい)を推定するように構成され得る。したがって、誘導平衡を使用することの特別な利点は、多くの実施形態において非常に有利な位置および/または結合検出推定を提供できることである。多くの実施形態では、推定器205は、絶対的な位置ずれを計算するために、受電機によって提供される受電機の特性に関する情報、例えば、送電機と接触する表面の直径などを使用することができる。
上記のように、送電機は、駆動信号を制御して、測定時間間隔中と電力伝送時間間隔中とで異なるパラメータを示すように構成され得る。これは、特に、受電機による電磁試験信号への負荷の効果および影響を低減するために利用され得る。
例えば、能動的に開かれるスイッチを備えた受電機によって、短い測定時間間隔の間、受電機の負荷を切断することが提案されている。しかし、kWレベルのより高い電力レベルの場合は切断スイッチによって追加の損失が発生し、コストが増加するため、このソリューションは理想的ではない。一部の高電力用途では、例えば、負荷が、加熱を引き起こすために電力伝送信号によってその内部に渦電流が直接誘導される誘導加熱金属要素である場合などでは、そのようなスイッチングを実装することは単純に不可能である。
電力伝送時間間隔に対する測定時間間隔中の駆動信号のパラメータの適合はこれに対処し得、受電機の負荷が測定に及ぼす影響を軽減するために使用され得る。
多くの実施形態において、ドライバ201は、電力伝送時間間隔中と比較して、測定時間間隔中の駆動信号の周波数を上げるように構成され、具体的には、電力伝送時間間隔中の駆動信号の周波数よりも50%以上高くなるように駆動信号周波数を設定するように構成される。したがって、ドライバ201は、電力伝送信号よりも大幅に高い周波数を有するように電磁試験信号を生成することができる。
多くの場合、周波数を大幅に上げる、測定、推定、および検出が改善し、受電機の負荷の影響が減る可能性がある。例えば、送電機および受電機は両方とも、電力伝送のために形成された共振回路を有し得、例えば、送電コイル103および受電コイル107は両方とも、(例えば、fres=25kHzの共振周波数を有する)共振回路の一部であり得る。測定時間間隔中に駆動周波数を増加させると(例えば、50kHzに)、送電機共振回路が誘導モードで動作し、送電コイル103内の電流が減少する。さらに、システムは同調されなくなるため、受電コイル電流も減少する。これにより、送電機の電流がさらに減少する。全体的な効果は、部分的に切断された負荷から生じる効果に対応する。
多くの実施形態において、ドライバ201は、電力伝送時間間隔中に対して、測定時間間隔中の駆動信号の電圧を下げるように構成され得、具体的には、電力伝送時間間隔中の駆動信号の電圧振幅の50%(または、しばしば25%、場合によっては10%)以下になるように、測定時間間隔中の駆動信号の電圧振幅を設定し得る。
低下した電圧は、強度が低い電磁試験信号を生成し得るので、測定時間間隔中に生成される電磁場は電力伝送時間間隔中よりも低く、これに対応して、負荷によって加えられる負荷が減少する可能性がある。これにより、多くの場合で、測定時間間隔内の測定に基づく推定を改善できる可能性がある。一部の実施形態では、電圧の低下は、受電機負荷の切断をもたらす可能性があるため、有利であり得る。例えば、電圧があるレベルまで低下すると、整流器およびバッテリを含む受電機において整流器が導通するのに十分な誘導電圧が得られないため、受電機はバッテリによって駆動される。これにより、負荷は電磁試験信号から実質的に切り離され得、測定性能が向上し得る。
多くの実施形態において、ドライバ201は、測定時間間隔中、駆動信号の電圧振幅を一定に設定するように構成され得る。その結果、より均一な電磁試験信号が生成される可能性があり、これは平衡型検出コイル207、209に基づく測定、ひいては異物検出を改善する可能性がある。例えば、電圧振幅が時間変動する場合、試験信号、よって不平衡型からの不平衡信号は変動し、この変動を補償、または考慮に入れることができない限り推定精度は低下する。
多くの実施形態において、ドライバ201は、測定時間間隔中、電力伝送時間間隔中の駆動信号よりも少なくとも50%低い一定の電圧振幅、および少なくとも50%高い周波数を有するように駆動信号を生成するように構成され得る。
一例として、電力伝送時間間隔中、駆動信号は、ワイヤレス電力を高効率で伝送するために、送電機および受電機の両方の共振周波数に近い第1の動作周波数で生成される。
測定時間間隔中、駆動信号の第1の動作周波数は、送電機および受電機の両方の共振周波数から遠ざけられ、第2のより高い動作周波数に変更される。駆動信号のこの第2のより高い動作周波数は、第1の動作周波数、すなわち電力伝送信号の周波数より少なくとも1.5倍高い所定値に固定され得る。
さらに、駆動信号電圧Uinvは、電力伝送時間間隔中よりも低い一定の第2の振幅(例えば、異なる電圧源によって提供される)に変更される。
第2のより高い動作周波数および第2のより低い一定の電圧振幅を有する駆動信号を用いることで、送電コイル103を流れる電流は大きく低減され、一定に保たれる。さらに、ドライバ電流はドライバ信号電圧より遅れているため、ドライバ201の出力におけるインバータはゼロ電圧スイッチングシナリオで動作することから、スイッチングノイズが大きく低減される。
そのようなシナリオでの駆動信号振幅の例が図8に示されている。図中、電力伝送時間間隔中の動作はモード1と示されており、測定時間間隔中の動作はモード2と示されている。この例では、例えばインバータが定電圧源から供給を受けているために、電力伝送時間間隔中も電圧振幅は一定である。
図9は、電力伝送時間間隔中に電圧振幅が変更される対応する例を示す。これは、例えば、インバータが、整流された(しかし平滑化されていない)AC電圧によって供給されることによって実現され得る。AC信号のゼロ交差と同期され得る測定時間間隔中の供給電圧は、実質的に一定の電圧を供給する代わりの電源を介して供給される。そのような駆動信号を生成し得る回路の例が図10に示されている。この回路では、出力インバータ回路(M1、M2、Cp1、Cp2)は整流されたAC主電源電圧によって駆動されるが、整流された電圧が、第2の供給回路(第2のUdc)によって供給される平滑コンデンサC3の所与の電圧(この例では48V)未満の場合はそうではない。この時間の間、インバータ回路は平滑コンデンサC3からD5を介して供給され、結果として実質的に一定の供給電圧が得られ、駆動信号の電圧振幅は一定になる。
そのような例では、送電コイル103は、測定時間間隔中、測定のための実質的に一定の電磁場に対応する電磁試験信号を生成し、ここで、電磁試験信号は所定のより高い第2の動作周波数を有する。推定電磁場/電磁試験信号の振幅は、主に、ドライバ201の第2のより低い出力電圧によって決定される。この場合、受電機の切り離されていない負荷は送電機から効果的に離調されるため、電磁場/電磁試験信号への影響が小さくなる。
上記の具体的なシステムでは、送電機は複数の誘導平衡、すなわち、複数の平衡型検出コイルセットを含み、位置/結合係数の推定および異物検出は、これらの平衡型検出コイルセットのうちの2つ以上からの出力信号に基づいて行われ得る。
例えば、図11に示されるように、送電機は3つの平衡型検出コイルセットを含むように生成され得、各セットは2つのくさび状コイルを含む。この例では、推定器205は、3つの平衡型検出コイルペアのそれぞれからの出力信号を測定し、これらを使用して位置推定、結合係数補償、および/または異物検出を実行することができる。使用される正確な基準は、個々の実施形態の優先事項および要件に依存する。
多くの実施形態において、図11の例において実際にそうであるように、平衡型検出コイルは送電コイル103内に配置されている。これは、通常、性能を改善し得、特に、異なるコイルに対して均一な電磁試験信号/場を提供する可能性がある。
複数の誘導平衡を使用すると、多くの実施形態において性能が向上し、特に磁場の不均一性に関する追加情報が得られる。特に、不均一性の空間的特性の指標が得られる可能性がある。これは、不均一性の原因である物体の位置の推定を生成するために使用でき、特に、多くの場合において受電機が不均一性の発生源であるため(特に異物がない場合)、受電機の位置の推定を生成するために使用できる。同様に、複数の誘導平衡からの信号を使用して、送電機と受電機との間の(例えば、相対)結合係数の推定を生成することができる。この(例えば、相対)結合係数推定は、最初に受電機の位置推定値を生成し、次にこれを結合係数推定に変換することによって生成され得る。多くの実施形態において、結合係数推定は、相対結合係数推定である。他の実施形態では、(相対)結合係数推定は、生成される明示的な中間位置推定に依存せずに生成され得る。
したがって、図2の送電機では、推定器215は、少なくとも1つの測定時間間隔中に複数の平衡型検出コイルのセットからの信号に応答して受電機の位置推定を求めるように構成される。一部の実施形態では、推定器は、少なくとも1つの測定時間間隔中に、複数の平衡型検出コイルのセットからの信号に応答して、受電機の(典型的には相対)結合係数推定を求めるように構成され得る。(典型的には相対)結合係数推定は、位置推定を生成せずに生成されてもよい。
一例として、図11の構成では、3つの誘導平衡を使用して、不均一性の発生源の指標が提供される。例えば、検出コイルL1内に物体1101(原則的には小型の受電機であり得る)が存在する場合、L1-L2の誘導平衡は大きな信号を生成する一方、他の誘導平衡L3-L4、L5-L6は、対応する検出コイルを通る電磁場が実質的に均一であるため、低い信号を生成する可能性がある。したがって、物体1101の位置はL1に最も近い(この具体例ではL1内)と推定できる。物体1101がL1に近いかL2に近いかの区別は、典型的には、誘導平衡信号の位相を、電磁試験信号を生成する駆動信号と比較することによって判定することができる(2つの検出コイルが互いに逆位相の信号を誘導するため)。
多くの実施形態では、図2に示すように、全ての誘導平衡/平衡型検出コイルのセットの出力は推定器205に供給され、推定器は、全ての誘導平衡器からの信号を測定し得る。推定器205は、測定時間間隔中に、各平衡型検出コイルセットの電圧および/または電流を求めてもよく、例えば、典型的には、各平衡型検出コイルセットの電圧が求められ、位置/結合係数の推定に使用され得る。
多くの実施形態では、図2の送電機は補償器211を備える。補償器211は、異物が存在しない場合、および場合によっては受電機が公称位置または推奨位置に存在する場合において2つの検出コイル内に誘導される信号間の不平衡について、複数の平衡型検出コイルセットのうちの1つ以上、典型的には全てのセットからの信号を補償するように構成されている。一部の実施形態では、補償は、例えば、同じ平衡型検出コイルセット内の異なる検出コイルの幾何学的特性の差を補償する静的補償を含むことができる。静的補償は、受電機の存在とは独立した不平衡の補償であってもよく、具体的には、受電機が存在しない場合の不平衡の補償であってもよい。
多くの実施形態では、補償器211は、電力受信器の存在に依存し、具体的には電力受信器の位置に依存する動的補償を実行するように構成され得る。動的補償では、補償値は動作中に、例えば、特定のイベントの発生時に調整され得る。典型的には、動的補償は、送電機の非対称性に起因し、受電機が存在しない場合でも存在する静的不平衡の補償も含む合成補償値を求めることができる。
動的補償は、動作中および電力伝送中に実行することができ、静的補償成分および動的補償成分の両方を含む補償を求めることができる。静的補償成分は、受電機が存在しない場合、または受電機が公称要件を満たす、例えば、特定の所定の特性を有する、および/または所定の位置(典型的には、送電コイルに対して好ましいおよび/または中央の位置)に配置されているなどの要件を満たす場合における不平衡を補償するための補償成分であってもよい。動的補償成分は、変化する動作条件とともに変化する補償成分であってもよく、よって、動作中に変化し得る成分である。特に、受電機の位置によって変化する可能性がある。
動的補償成分は、多くの実施形態において、現在の条件に対する合成補償を求め、その後、(例えば、電力伝送前に求められた)静的補償成分を差し引く動的補償プロセスによって求められ得る。
実践では、検出コイル207、209は可能な限り同一になるように生成され得、可能な限り誘導信号を相殺し合うように設計され得る。しかし、実践では、異物が存在せず、受電機が存在しない(または対称な受電機が存在する)場合であっても、検出コイル207、209のパラメータ、および場合によっては電磁環境においていくらかの非対称性および差異がある傾向があることが見出された。また、非対称性および不平衡性は多くの場合において、受電機の位置のずれ、または検出することが望まれる何らかの異物によって引き起こされる電圧と同程度の大きさを有する、検出コイル207、209をまたぐ合成電圧をもたらす可能性がある。したがって、平衡誘導/検出コイルを使用したとしても、一部の実施形態において検出性能が困難である、または理想的ではない可能性がある。
補償器211は、通常、異物が存在しないという仮定の下で、測定時間間隔中に値を測定することによって信号を補償するように構成される可能性があり、すなわち、試験信号から生じる信号は、異物が存在しないと仮定される場合に求めることができる。これは、例えば、適切な異物検出によって異物が検出されなかったことによって示されたり、または例えば、異物が存在しないことを示す特定のユーザ入力が提供された場合に該当すると考えられたりし得る。例えば、ユーザはボタンを押して較正/補償測定を初期設定することができる。場合によっては、新しい受電機が検出され、新しい受電機を送電機上に配置したユーザが、異物が存在しないことを確認したことを示したときに、補償測定が実行されてもよい。
多くの実施形態では、静的補償は、異物も受電機も存在しないときに実行することができ、得られた補償値は、静的補償成分として保存され得る。これは、例えば、動的補償成分を求めるために動的補償中に使用することができる。
(異物が存在しない場合での平衡型検出コイルのセットからの信号を反映する)不平衡の測定に基づいて、補償値が求められ、各信号に適用され得る。一般に、補償値は、不平衡を(少なくとも部分的に)相殺するなど、測定された不平衡の逆であってもよい。例えば、異物が存在しない場合での平衡型検出コイルのセットからの出力信号の電圧または電流振幅が測定され得る。続いて、この測定された振幅を、平衡型検出コイルのセットからの信号の測定された振幅から差し引いて、補償された信号振幅を生成することができる。これらの補償された信号振幅はその後、信号の測定された振幅の代わりに、異物検出基準の評価に使用され得る。
補償器211は、具体的には、異物が存在しない(と仮定される)ときに測定された平衡型検出コイルのセットからの信号値をオフセットする(信号値と逆の位相/極性を有する)補償値を生成し得る。
一部の実施形態では、補償は、補償電流または補償電圧振幅などの単一の値ではなく、例えば測定信号と同じ振幅を有するが逆位相の補償信号であってもよい(したがって、不平衡信号を相殺する)。例えば、補償信号は、測定された信号と同じ周波数を有するように(よって、電磁試験信号と同じ周波数を有するように)生成され得る。位相および/または振幅は所望の補償を提供する値に設定されてもよい。
多くの実施形態では、補償によって推定および異物検出が改善される。実際、検出コイル207、209が製造段階中に完璧に平衡化および/または完璧にキャラクタリゼーションされたとしても、電磁場、したがって誘導信号は具体的な環境にも依存し、特に、例えば使用される受電機器およびその正確な位置に依存して変化する傾向がある。したがって、補償を動的に適合させること、具体的には現在の電磁環境に合わせて較正することができると性能が大幅に向上する可能性がある。この補償は、検出コイル間および/またはこれらの周囲の環境の不平衡を緩和または軽減するのに有用である可能性がある。これにより多くの場合で性能が改善し得、具体的にはより正確な推定および異物検出が提供され得る。
この補償は、多くの実施形態において、異物以外の特徴によって引き起こされる不平衡を補償できるため、著しくより正確な異物検出を提供することができる。しかし、さらに、位置/結合係数推定を生成するために補償を使用することもできる。多くの実施形態では、異物が存在しないときに不平衡信号を(少なくとも部分的に)相殺するために適用される補償値、具体的には動的補償値を使用して、そのような推定を生成することもできる。したがって、補償によって異物検出が改善されるだけでなく、位置推定/結合係数推定(結合係数変化推定を含む)も容易になり、場合によっては改善される可能性がある。
このような手法の特別な利点は、多くの場合および実施形態において、異なる動作のための特性を個別に調整できることである。一般に、異物の存在を非常に迅速に検出できるように、異物検出は頻繁にかつ迅速な反応時間で実行される。また、異物検出は通常、小さな不平衡信号に基づいて行われる。
多くの実施形態および場合では、補償は、より低い頻度で、より遅い更新レート/反応時間で実行され得る。したがって、動作ごとに特徴を異なるものにすることができ、これらを具体的な動作に合わせて最適化できる。実際には、補償の変化は通常、受電機の位置の変化によって引き起こされるため、位置および結合係数の推定は、通常、補償に必要な特性と同様の特性を有し得る。
一例として、図12の構成は、異物検出が、それぞれが2つの検出コイル(L1、L2)、(L3、L4)、および(L5、L6)を含む複数の平衡型検出コイルセットからの電圧振幅Ufodの測定に基づくシステム用のものとして考えることができる。
この例では、電力伝送を開始する前に、異物検出システムの静的較正が実行され、電圧Ufod(L1-L2)、Ufod(L3-L4)、およびUfod(L5-L6)から、元からあるオフセット(ずれ)が補償/除去され得る。これらのオフセット電圧は、不均一な検出H場が原因である可能性がある。この例では、送電コイル103の巻線は、巻型上に完全に円対称に取り付けられていない。この例では、誘導平衡L3-L4およびL5-L6が、多かれ少なかれ同じ均一な検出H場を捕捉する。しかし、誘導平衡L1-L2によって捕捉される磁場は、コイルL2の下の送電コイル103の局所的な配線レイアウトのために均一ではない。この条件では、電圧U_Txに対して正しい振幅と位相を備えた信号Ucomp(L1-L2)で誘導平衡L1-L2の電圧Ufod(L1-L2)を補償することにより、アクティブ較正を適用できる。
この初期補償は、受電機が存在しない状態で実行することができるため、送電機自体の非対称性を求め、静的補償成分を反映するために使用することができる。
図13は、受電機が存在する場合におけるオフセット電圧の別の原因を示している。受電機/受電装置1301が、送電機のアクティブ領域上に位置ずれした状態で配置されている場合、送電コイル103からの検出H場はさらに歪み、不均一になると予想される。特に、装置が金属部品を含む場合は顕著になる。
この例では、アクティブオフセット較正も実行され得る。アクティブ領域のサイズに対する装置1301のサイズに起因して、送電コイル103からの検出H場の分布が、広い領域にわたって、おそらくは領域全体にわたって不均一になることが考えられる。結果として、3つの誘導平衡全てが影響を受け、オフセットのある信号が生成される。この状況において、3つの独立した補償電圧Ucomp(L1-L2)、Ucomp(L3-L4)、およびUcomp(L5-L6)を求め、3つの誘導平衡にそれぞれ適用することができる。ここで、各補償電圧は、電圧誘導オフセット不平衡信号に対して正しい振幅および位相を有する。
受電機が存在する状態でのこの第2の補償は、動作中、具体的には測定時間間隔中に実行することができる。結果として生じる補償値は、異物検出を実行するときに誘導平衡からの信号に適用され得る。しかし、位置推定および/または結合係数推定を生成するために補償値を使用することもできる。受電機が存在しない試験中に求められた静的補償値を、測定された補償値から差し引くことで、受電機の非対称配置の影響をより正確に(厳密に)反映する動的補償成分を生成できる。そして、誘導平衡からのこれらの動的補償成分に基づいて推定値を生成することができる。
図14の例では、アクティブ較正/補償を実行して補償が適用された後、異物FOがアクティブ領域上に配置された。アクティブ領域上の異物の位置に起因して、送電コイル103からの検出H場は、誘導平衡L1-L2およびL5-L6付近で不均一になることが予想される。その結果、これらの両方の誘導平衡の端子に検出電圧が現れ、異物の存在を示す。しかし、異物が第3の誘導平衡L3-L4の不平衡を引き起こす可能性は低い。推定器205は、異物が検出されたと判定し得る。したがって、図示されているように、3つの誘導平衡を有するシステムは、位置がずれている装置がアクティブ領域上に配置されている場合でも、異物を検出できる。
図15の例では、異物は存在しないが、装置1301がアクティブ領域上の元の位置から移動されている。この移動により、検出領域全体にわたる送電コイル103の検出H場(すなわち、試験磁場)の分布が変化する。その結果、誘導平衡からの信号が著しく変化し、異物検出の精度が低下する可能性がある。
移動後に補償を実行すると、新しい非対称性を補償するために、補償値が以前のものから大きく変化する。新しい補償値を適用すると、再び正確な異物検出が行われる。さらに、変更された補償値を使用して、位置および/または結合係数推定を更新することができる。
補償器211は、個々の実施形態の優先事項および要件に応じて、異なる時点および異なる状況で補償を更新/調整/較正するように構成され得る。多くの実施形態では、補償器211は、新しい受電装置が送電機上に配置されたことが検出されたときに補償の調整を開始するように構成され得る。これにより、補償を静的特性に合わせるだけでなく、例えば、送電機上の受電機の位置にも合わせることができる。さらに、多くの実施形態では、新しい動的補償が一定の間隔で、典型的には比較的頻繁に実行されてもよい。一部の実施形態では、信号値の変化が検出されたが、異物検出アルゴリズムが、異物が存在しないと判断した場合(例えば、全ての誘導平衡が大きな変化を示しているため)、新たな補償が実行されてもよい。
推定器205は、実施形態ごとに異なる推定手法を使用することができる。位置および/または結合係数の推定は、誘導平衡からの信号によって示される不平衡性に基づく。一部の実施形態では、信号は直接測定され、直接使用される。例えば、推定器205は、測定時間間隔中に誘導平衡からの信号を測定し、これらを使用して位置を推定する測定回路を備え得る。この手法は、例えば、(動的)補償が使用されない実施形態で使用されてもよいし、または、例えば、(最新の)補償/較正が実行されたときのものに対する相対位置/結合係数を求めるために使用されてもよい。
他の実施形態では、不平衡性および誘導平衡からの信号は、補償/較正中に求められた補償値によって表される。補償値は、補償決定時(および異物が存在しないとき)の誘導平衡からの信号の測定値に対応すると考えることができ、動的補償成分は、受電機の存在および位置に起因する可能性が高い不平衡成分に対応すると考えることができる。信号の測定を直接行わずに補償信号を使用すると、処理および動作が容易化され、特に、位置/結合係数推定と、例えば異物検出との両方に誘導平衡セットを使用することが容易になる可能性がある。
以下では、測定信号という用語は、位置/結合係数の推定に使用される誘導平衡からの信号を指すために使用される。実施形態によって、測定信号は、補償信号、補償信号の動的補償成分、または誘導平衡から直接測定された(現在測定されている)信号に対応し得ることが理解されるであろう。
図示されているもののようなほとんどの実施形態では、所与の誘導平衡の不平衡は、中心位置からの受電機のオフセットが大きいほど増加する傾向がある。したがって、不平衡の振幅は、受電機がこの中心位置からどれだけ離れているかを示す指標となり得る。振幅は、誘導平衡の主方向に直交する方向における距離にも依存する可能性があるため、この方向におけるオフセットとともに減少する可能性がある。オフセットの方向は、どの検出コイルが最大の誘導信号を受けるかに影響を与えるため、測定信号の位相は、オフセットの方向を示す可能性がある。位相は、測定信号の位相を試験信号の位相と比較することによって求められ得、位相差は、受電機がどの方向にオフセットしているかを示す。
したがって、一部の実施形態では、誘導平衡の軸に沿った位置推定は、その誘導平衡からの推定信号の振幅および位相に基づいて求められ得る。これを全ての誘導平衡について繰り返すことで、各誘導平衡の軸に沿った位置表示が得られる。これらの位置推定を組み合わせることによって、受電機の位置推定を決定することができる。例えば、位置推定は、それぞれの誘導平衡軸上の投影が最小二乗和誤差をもたらす位置として生成され得る。
多くの実施形態では、位置推定は各誘導平衡について個別に求められるのではなく、合成された合同推定が生成される。例えば、上記したように、測定信号の振幅は、誘導平衡の軸に沿ったオフセットに依存するだけでなく、直交方向の方向にも依存する可能性がある。しかし、この方向の位置オフセットは他の誘導平衡の不平衡に大きな影響を与える可能性があり、これらの測定信号は、直交方向の位置オフセットについて第1の測定信号を補償するために使用され得る。例えば、誘導平衡の軸に沿った位置推定を求める前に、他の測定信号の信号振幅に基づいて測定信号を正規化することができる。
多くの実施形態では、位置推定は、(例えば製造中の)以前のキャラクタリゼーションに基づき得る。例えば、製造中に、所与の送電機と受電機の組み合わせの測定信号が、多くの異なる位置で測定され得る。結果は、N入力LUT(ルックアップ テーブル)として送電機のメモリに保存され得る。ここで、Nは誘導平衡の数である。動作中、測定信号はテーブルルックアップを実行するために使用され得、測定信号値(例えば、振幅および位相によって表される)に最も近いエントリが取り出される。この取り出された位置は位置推定値として使用され得る。
このような実施形態では、LUTは、様々な異なる受電機または受電機のタイプに対して生成され得る。これらのLUTは全て送電機のメモリに保存され、例えば、受電機から受信した、その受電機のタイプを示す(すなわち、現在サポートされている受電機を最もよく反映しているLUTを示す)データに応じて、適切なLUTが選択され得る。
多くの実施形態では、受電機の特性に関する情報が受電機のメモリに保存され、例えば初期設定または設定の変更中に送電機に送られ得る。この情報は、例えば、受電コイルの直径、共振周波数、負荷インピーダンスなどであってもよい。送電機は、位置/結合係数を求める際にこの情報を使用し得る。例えば、同様の特性を有する受電機用に生成されたデータを含むLUTを選択するために使用されてもよい。
一部の実施形態では、位置推定は、コイルに直交する方向(z方向)における既知の距離の考慮に基づき得る。多くの場合、Z距離は未知または可変である可能性があるが、一部の実施形態では、この距離は一定かつ/または既知であり得る(例えば、製造中に保存される)。一部の実施形態では、z距離は動作中に決定または学習され得る。z方向が既知の場合、位置および/または結合係数を求める際にこれを考慮することができる。これにより、未知のパラメータ/変数が削除され、例えば絶対値を求められるようになる。
多くの実施形態では、位置推定は相対位置推定であってもよく、例えば、受電機が前の位置からどれだけ離れた位置に移動したかを示すために使用されてもよい。実際、多くの実施形態では、距離のうちの1つはわからない可能性が高く、特に、平面送電コイルおよび受電コイルの平面に直交する方向のZ距離はわからない。例えば、通常、受電コイルと送電コイルとの間の距離、および誘導平衡は、これらが受電機ごとに異なる可能性があるためわからないか、または設計時に送電機の未知の特性である可能性がある。例えば、送電機がキッチンカウンターの一部として実装される場合、カウンターの厚さがどれくらいであるかがわからない可能性がある。
測定信号の特性はz距離に依存する可能性があるため、絶対位置を求めることは困難または不確実である可能性がある。しかし、そのようなシステムにおいて、この手法はしばしば、相対位置、特に位置の変化を求めるために使用され得る。
そのような手法は、例えば補償と組み合わせることができる。例えば、動作中の所与の時点で、誘導平衡によって測定された不平衡を相殺する補償/較正が実行され得る。そして、誘導平衡からの信号を測定し、電流信号に応じて位置変化を求めることができる。すなわち、補償後の電流信号を測定信号として使用して、補償のそれに対する位置変化を求めることができる。
一部の実施形態では、送電機および/または受電機は、受電機の位置ずれがあることを示すユーザ出力を提供するように構成され得るユーザインターフェース215を備え得る。位置推定が要件を満たすことに応じて、位置ずれが判定されてもよい。例えば、位置推定値が、受電機が好ましい位置から離れすぎていることを示している場合、ユーザ警告または表示が生成され得る。好ましい位置は、具体的には、誘導平衡からの信号が不平衡がないことを示す位置に対応し得る。多くの実施形態では、好ましい位置は、送電コイルに対する中心位置、および/または送電コイルと受電コイルとの間の結合係数(または結合係数の変化)が最大となる位置であり得る。ユーザインターフェースが受電機に(場合によっては「にも」)提供される例では、送電機は、受電機に位置推定の指標を伝達可能な通信機を備え得、受電機はこれを処理して、適切なユーザ出力を提供し得る。
一部の実施形態では、要件は、例えば、受電機の位置変化の検出に応答してユーザ位置ずれ表示が生成されるように、相対的な考慮事項を含むことができる。したがって、一部の実施形態では、受電機が移動した(移動された)ことを位置推定が示す場合、ユーザ位置ずれ表示または警告が生成され得る。
一例として、要件が満たされた場合、位置ずれが検出されたことを示すために、光または例えば警告/音が発せられ得る。
一部の実施形態では、ユーザインターフェースは、位置推定に応答して決定される受電機の位置の表示を提供するユーザ出力を提供するように構成され得る。位置表示は、好ましい位置または公称位置に対する位置の表示など、相対位置の表示であってもよい。
一部の実施形態では、位置表示は、受電機が好ましい位置に向かってどのように動かされるべきかの表示として提供され得る。例えば、ディスプレイは、好ましい位置に近づくために受電機を移動させるべき方向を示す矢印を表示することができる。例えば、現在位置推定から好ましい位置までの距離を直接示すことによって、または例えば、距離に応じて矢印のサイズを調整することによって間接的に、好ましい位置までの距離が与えられてもよい。
一例として、図16は、受電機1301が送電コイルに対して位置ずれしており、位置ずれが、効率的な電力伝送ができない可能性が高くなっているほどに大きい場合を示す。この例では、受電機がアクティブ領域から遠すぎて「範囲外」であり、再較正手順が開始されない可能性がある。しかし、誘導平衡L1-L2は装置の影響を受ける一方、誘導平衡L3-L4およびL5-L6も同様に影響を受けるが、影響ははるかに小さい。
この例では、推定器205は依然として、受電機の位置を推定するために使用され得、これは、装置が送電機のアクティブ領域に接近しているか、さらにはどの方向から接近しているかを検出するために使用され得る。この情報は、例えばディスプレイまたは音声などの手段によって、受電装置を中心位置に案内するために使用され得る。
一部の実施形態では、送電機は、位置推定の変化の検出に応答して位置変化表示を生成するように構成され得る。実施形態ごとに異なる位置/変化移動表示が使用され得る。一部の実施形態では、上述したように、受電装置が移動し、充電のために最適な位置に(ユーザによって)おそらくは戻されるべきであることをユーザに示す音声アラームなどのユーザ表示を生成するために使用され得る。
他の実施形態では、移動表示は、電力伝送の動作パラメータ、例えば最大電力伝送レベルを調整するために使用され得る。例えば、移動が検出された場合、検出直後に電力レベルが最低電力に制限され得る。その後、(例えば、長期間にわたって異物が検出されないことを保証することによって)電力伝送が確実かつ安全であることを確保しつつ、新しい動作状況のために電力レベルが徐々に増加させられ得る。
一部の実施形態では、移動表示は、電力制御ループの変化を示すために使用され得る。例えば、ループゲイン、ループフィルタ応答、またはループの時定数が調整され得る。例えば、通常の動作中、ループの安定性を確保しながらループゲインをゆっくりと調整することで、ループのパフォーマンスが現在の動作シナリオに最適化されている可能性がある。受電機が急に移動すると、結合係数の変化によりループ動作が大幅に変化し、これにより電流ループパラメータが不安定になる可能性がある。したがって、移動表示が生成されると、電力コントローラ203は、全ての結合係数の安定性を保証する所定の安全な値までループゲインを変更することができる。その後、システムは再びループ(具体的にはループゲイン)の調整を開始して、例えば、現在の条件に対する安定性を確保しながら、より高速なループ応答を提供することができる。
多くの実施形態では、送電機は、位置および/または結合推定に応じて電力伝送の動作パラメータを調整させるように構成されたアダプタ213を備え得る。例えば、位置推定が受電機が中心位置から遠すぎることを示している場合、または上記したように位置推定が移動を示している場合、電力伝送信号の最大電力レベルが低減されるか、または電力伝送が完全に停止され得る。
一部の実施形態では、アダプタ209は、位置推定に応じて電力伝送を調整するように構成され得、調整は、例えば電力レベル、周波数、デューティサイクル、電力伝送時間間隔の持続時間などの電力伝送の動作パラメータであり得る。
例えば、受電機が移動したことを位置推定が示している場合、これにより動作条件が変化する可能性がある。この場合、推定器205は、安全で確実な動作を確保するために電力レベルを下げ、具体例として、場合によっては電力伝送を終了さえし得る。次に、受電機は、システムが新しい動作条件に徐々に合わせることによって、フルパワー伝送が徐々に達成される動作モードへと移行することができる(例えば、低速の電力制御動作が使用されるか、または、進行中だった電力伝送が停止された場合は、電力伝送の完全な再初期化が行われ得る)。
多くの実施形態では、推定器205は、第2の閾値を超える不平衡を示す測定信号の数が、少なくとも2である閾値数より低いという要件を含む基準を、測定信号が満たす場合、受電機の位置変化が発生したことを検出するように構成され得る。
誘導平衡システム、特に図示されている3つの誘導平衡を有するシステムがこの変位の前に適切に較正されている場合、結果として3つの誘導平衡の全ての平衡状態が影響を受け、3つの誘導平衡の全てについて検出電圧が生成される。この場合、異物検出の第1の要件が満たされるため、異物が存在する可能性があるという初期表示がトリガされる。しかし、3つの誘導平衡全てが大きな不平衡/検出信号を示してはいけないという第2の要件は満たされていない。この場合、第1の表示は無視され、推定器205は異物検出を生成しない。これにより、異物の誤検出を回避することができる。
一部の実施形態では、補償器211は、異物検出基準の第2の要件が満たされたことに応答して、補償の調整を開始するように構成される。したがって、閾値数を超える誘導平衡によって不平衡が検出された場合、そして多くの場合は全ての誘導平衡について不平衡が検出された場合、補償器211は、新たな補償調整を開始することができる。具体的には、異なる誘導平衡からの信号の新しい値(例えば、電圧および/または電流の振幅および位相)を測定し、それ以降の新しい補償信号として使用することができる。
上記したように、全ての誘導平衡に影響を与える不平衡は、異物の存在によるものではなく、受電機の位置変化によるものである可能性が高い。したがって、補償を調整することにより、異物によって引き起こされる可能性のある不平衡のより正確な測定を可能にする新しい位置に合わせることができるため、異物検出を改善できる可能性がある。
よって、この手法では、異物検出基準には、閾値よりも高い不平衡を示す測定信号の数の評価が含まれる。この評価は、例えば、信号振幅を閾値と比較することによって実行され得、振幅が閾値を超えるかが試験され得る。要件は、どの平衡型検出コイルのセットが評価されているかに依存する可能性があり、よって。セットごとに異なる可能性がある。
不平衡が閾値を超える誘導平衡の数が求められ得、異物検出基準は、この数が少なくとも閾値数であること、すなわち、少なくとも閾値数と同じ数の誘導平衡が、閾値を超える不平衡を示すことを要求する。その場合にのみ、異物検出が存在するとみなされ、それ以外の場合は、異物は存在せず、代わりに受電機が移動したとみなされる。多くの実施形態では、不平衡の数が閾値を下回る場合にのみ、異物が検出されたとみなされ、そうでない場合は受電機が移動されたとみなされる。
多くの実施形態では、閾値数は3以上であってもよく、かつ/または、閾値数は、複数の平衡型検出コイルセットのうちの平衡型検出コイルのセットの数に等しくてもよい。
例えば、図11~図16の例では、送電機が3つの誘導平衡を備え、要件は閾値数3を使用することができる。結果として、例えば、全ての測定信号が十分に高い不平衡を示す場合に位置変化が検出される。
この手法は、多くの実施形態および場合において改善されたパフォーマンスを提供し、受電機が動かされたことの正確な表示を提供することができる。
多くの実施形態において、閾値数を平衡型検出コイルのセットの数に等しくすることによって、特に効率的な動作が達成され得る。これにより、一部の実施形態では、より確実な位置変化検出が提供され得る。これにより、全ての誘導平衡に影響を与えるのに十分な大きさの物体が存在して移動した場合にのみ作動されるように位置変更表示を制限することができ、例えば、小型のデバイスは異物とみなされ得る。
同様に、閾値数2を使用する場合と比較して、閾値数3を使用すると、いくつかの特定の利点が得られる可能性がある。具体的には、2つの平衡型検出コイルセットに不平衡を引き起こすように異物が配置される(例えば、異なる平衡型検出コイルセットの2つの検出コイルの領域にわたって配置される場合)可能性がある、またはそのようになり易い可能性がある一方で、3つの平衡型検出コイルセットに強い影響を与えるように異物を配置できる可能性ははるかに低い。実際、これには通常、異物が3つの異なる検出コイルにまたがる必要があるが、電力伝送を行うために受電機が存在する必要性を考慮すると、多くの用途ではその可能性は非常に低い(場合によっては不可能でさえある)。
この手法は、受電機の移動の特に効率的かつ確実な検出を提供することができる。この手法は、実施形態において、改善された異物検出も提供し得る。例えば、異物検出は、誘導平衡のうちの少なくとも1つが所与のレベルを超える不平衡を示すことに依存してもよく、これが検出された場合、不平衡を引き起こす異物が存在する可能性があるとみなされ得る。しかし、全ての測定信号が十分に高い不平衡を示していることが検出された場合、これは、小さな異物ではなく(比較的大きな)受電機の動きに起因する可能性がはるかに高いため(実際、多くの場合、受電機の大きさから、全ての誘導平衡に十分な影響を与える可能性のある異物が存在することは不可能である可能性がある)、この検出は無効にされ得る。
したがって、一部の実施形態では、異物検出基準は、不平衡が閾値を超えなければならないという要件だけでなく、全ての誘導平衡が不平衡を示していてはならないという要件も含む。多くの実施形態では、測定信号のうちの1つが(十分に)高い不平衡を示しているというだけでは、異物の検出が起こったとはみなされない。加えて、複数の検出信号(またはそのうちの少なくとも一部)を合わせて考慮する第2の要件を満たすことが必要である。
一部の実施形態では、送電機は、受電機の位置(したがって結合係数)の変化による不平衡と、測定/検出信号の振幅に応じた異物の存在による不平衡とを区別するように構成され得る。上記システムでは、誘導平衡は、装置の動き/位置の変化に起因した、または異物に起因した不平衡を示す可能性がある。前者の場合、通常、大きな振幅変化が検出されるが(また、通常は少なくとも2つの誘導平衡で検出される)、後者の場合の振幅変化は、通常、異物が受電機と比較して小さいため、はるかに小さい(または、通常は1つまたは2つの誘導平衡のみが影響を受ける)。したがって、多くの実施形態では、位置推定および/または結合係数(変化)推定は、検出された不平衡のサイズにも依存する。具体的には、多くの実施形態では、位置変化および/または結合係数変化は、測定信号が所与の閾値を超える不平衡を示している場合に(のみ)検出され得る。そうでない場合は、異物による不平衡の可能性が高いとみなされ得る。
一部の実施形態では、送電機は、受電機からデータを受信するように構成された受信機を備え得る。このような実施形態では、受電機は、受電機の1つ以上の物理的特性、具体的には広がりに関する物理的特性を示す物理的特性データを送電機に送信するように構成され得る。例えば、物理的特性データは、受電機のサイズ、長さ、寸法などを示し得る。したがって、物理的特性データは、受電機の空間的広がりに関する特性を示し得る。一部の実施形態では、物理的特性データは、代わりにまたは追加で、空間的広がり、または例えば受電機の一部である導電性材料(金属)の量を示し得る。
このような実施形態では、物理的特性データは、物理的特性データに応じて位置推定/結合係数(変化)推定を調整するように構成され得る推定器205に供給され得る。例えば、物理的寸法に依存して、測定信号に応じて誘導平衡軸に沿いの位置を求める関数が実行され得る。別の例として、複数の測定信号特性の様々な組み合わせに対する位置推定を含むLUTの選択は、受信データに応じて行われてもよい。
推定器205は、測定時間間隔中の誘導平衡からの信号に応答して、典型的には、特に測定信号に応答して、送電コイル103と受電コイル107との間の電磁結合の結合係数(変化)推定値を推定することができる。多くの実施形態では、推定器205は、絶対的な結合係数推定ではなく、相対的な結合係数推定を求めるように構成され得る。具体的には、推定器205は、結合係数の変化を検出するために測定信号を監視し、変化がある場合にはその変化の大きさ(および方向)を推定するように構成されてもよい。
結合係数は、送電コイル103に対する受電コイル107の相対位置に依存し、多くの実施形態では、推定器205は、最初に送電機に対する受電機の位置を決定し、その後、求められた位置から対応する結合係数を求めるように構成され得る。例えば、測定信号は、相対位置推定を提供するテーブルルックアップを実行するために使用され得る。この相対位置推定値は、その後、結合係数推定を提供する第2のルックアップテーブルへのルックアップとして使用され得る。他の実施形態では、結合係数は、位置推定を明示的な値として明示的に求めることなく直接生成されてもよい。このような実施形態では、結合係数は推定器205によって直接求められ得、位置推定値は求められない可能性がある(しかし、結合係数推定生成の内在的かつ暗黙的な部分であると考えることができる)。例えば、第1のルックアップテーブルは、第2のルックアップテーブルについて使用される位置推定値ではなく、結合係数推定値を直接出力してもよい。
推定器205は、結合係数推定の表示をアダプタ213に提供し得、アダプタ213は、結合係数推定に応答して電力伝送動作のパラメータを調整するように構成され得る。具体的には、アダプタ213は、結合係数推定に応答して電力ループパラメータを調整するように構成されてもよい。ここで、電力ループパラメータは、受電機から受信される電力制御メッセージに応答して電力伝送信号の電力レベルを調整する電力制御ループのループパラメータである。電力ループパラメータは、具体的には、ループ時定数、ループフィルタの周波数応答、および/またはループゲインであってもよい。
電力制御ループのパフォーマンスは結合係数に大きく依存する。一般に、閉ループシステムのループ安定性(周波数領域)および整定時間(時間領域)は、ループゲインおよび関連付けられた位相余裕によって決定される。一般に、制御ループの場合、ループゲインおよびループフィルタ特性などのループパラメータは、ループのパフォーマンスにとって重要であり、通常は厳密に制御されるか、または実際には、所望のパフォーマンスを実現するだけでなく、フィードバックループの基本的な安定性を実現するために、多くの制御ループで実質的に一定である。しかし、ワイヤレス電力伝送システムの電力制御ループの場合、ループパラメータ、特にループゲインは結合係数に大きく依存する。さらに、結合係数は通常は大きく変動する可能性があり、十分な注意を払わない限り、望ましくないループパフォーマンス、または場合によっては不安定性のリスクが高い。上記手法では、結合係数を動的に推定することができ、それに応じてループの動作を調整できる。例えば、結合係数の変動によって生じるゲイン変動を補償するようにループゲインが調整され得る。別の例として、ループフィルタまたはループ遅延を修正して位相フィードバック動作を変更することで、発振や不安定性を引き起こす360°フィードバックを回避することができる。
一例として、図17は、受電コイル107および送電コイル103の様々な変位1705に対する、結合係数(Kファクタ1701と呼ばれる)およびループゲイン1703の変化を示す。図からわかるように、ループゲインに影響を与える重要なパラメータは、受電コイル107と送電コイル103との間のKファクタである。Kファクタは、コイルのサイズ、コイル間のZ距離、およびコイルの平面内の位置ずれによって決定される。送電機がKファクタを推定できることにより、送電機は、閉ループの安定性を維持しながら、より広い領域にわたって、そしてより広範囲の位置ずれに関して受電機をサポートすることができる。
図17は、所与のZ距離の位置ずれに応じたKファクタおよびループゲインの関数を示す。受電コイル107が送電コイル103の中心から離れるとKファクタはゼロに減少し、ある変位でKファクタは符号を変える。一方、システムループゲインは、受電機が中心から遠ざかるにつれて最初は増加する。これは、送電コイル103と1つ以上のコンデンサとによって形成される送電機共振タンクの共振挙動に起因する。しかし、特定の変位にて結合の消失により電力を伝送できなくなり、ループゲインはゼロに減少する。この挙動は、Kファクタを知っていることが閉ループの安定性を維持する上で大きな助けとなる可能性があることを明確に示している。
したがって、結合係数を知っていることは、ループの安定性、オーバーシュート、および所望の整定時間の維持のために制御ループを最適化した状態に保つのに役立つ。
位置推定に関しては、結合係数推定は典型的には相対推定であり、結合係数の変化は、例えばゲインに相対変化を適用することによって、相対推定に応じて調整されたループパラメータを用いて推定および検出され得る。実際、多くの場合、z方向の距離は未知であり、結合係数はこの距離に依存する可能性がある。これにより、結合係数の絶対推定を求めることは阻害されるが、相対変化を検出することは可能であり得る。
結合係数を推定する具体的な手法は実施形態ごとに異なり得る。多くの実施形態では、製造中に測定が行われ、測定結果は、異なる受電機のために送電機において様々なLUT内に保存される。送電機は、最適なLUT(受電機に最もよく合致するLUT)を特定し、結合係数推定値を取り出すために、そのテーブルルックアップ用の測定信号を使用する。
一部の実施形態では、推定器205は、複数の平衡型検出コイルセットのうちの少なくとも第1のセットの振幅の増加に対して減少する結合係数として結合係数推定を求めるように構成され得る。これは、図17に示されるように、変位が大きくなると結合係数が低くなる傾向があり、変位が大きくなると不平衡が大きくなり、したがって少なくとも1つの誘導平衡について測定信号の振幅が大きくなる傾向があることに反映され得る。
一部の実施形態では、推定器205は、複数の平衡型検出コイルセットのうちの少なくとも2つのセット間の振幅の差の増加に対して減少する結合係数として結合係数推定を求めるように構成され得る。
例えば、製造中に、異なる受電機または受電機のタイプの理想的配置の最大結合係数を求める測定が行われ得る。例えば、測定により、中心に配置された特定のサイズの受電装置の結合係数が求められ得る。測定値はルックアップテーブルLUT内に保存され得る。
動作中、推定回路205はLUTにアクセスし、現在の受電機の最大結合係数を抽出し得る。その後、誘導平衡の不平衡の差に基づいて、理想位置からの受電機の位置のオフセットを推定することができる。誘導平衡間の振幅差が大きいほど、受電機の中心平衡位置からのオフセットが大きくなり、結合係数が低くなる。LUTによって提供される最大結合係数からの減少は、製造中に決定される関数を使用して計算されてもよく、この関数では、振幅差が増加するにつれて減少が増加する。次いで、この減少を最大結合係数に適用して、結合係数の現在の推定を生成することができる。
より詳細には、推定器205は、例えば、一部の実施形態では、実装に応じて以下の手順を使用して結合係数を決定するように構成されてもよい。
受電装置が送電機領域上に置かれ、送電機によって識別される。装置は、自身のフットプリントの直径を送電機に伝える。次に、送電機は、所与の直径フットプリントに対して最大のKファクタ(結合係数)を取得するためにLUTにアクセスし得る。これは、受電コイルが電力コイルの中心に正確に配置されている場合である。次に、補償回路211は、出力信号が実質的にゼロに調整されるように、3つの誘導平衡の3つの出力信号を補償することができる。3つの補償信号が十分に類似している(例えば、等しいか、または同じオーダーである)場合、これは、LUTによって提供されるKファクタが実際の現在の状況に近いことを示していると考えることができる。制御ループは、Kファクタ値に基づいて調整され得る。しかし、3つの補償信号が大きく異なる場合、装置は電力コイルの中心に位置していない。これは、LUTによって提供されたKファクタが不正確である可能性が高く、具体的にはLUTによって提供された値が実際の値よりも高いことを意味する。したがって、推定回路205は、信号間の差を反映させるために結合係数(K係数)を低減することができる。例えば、一部の実施形態では、出力信号の差が、その差が十分に大きいことを示す基準を満たす場合、固定の低いKファクタ値が提供され得る。他の実施形態では、Kファクタ値を低減するために関数が使用され得、この関数は、各誘導平衡からの出力信号間の差に依存する。次いで、送電機は、出力におけるオーバーシュートなどを回避または低減できるように、推定された(通常は低減された)結合係数を反映するように初期ループゲインパラメータを設定し得る。
多くの実施形態では、結合係数推定は相対結合係数推定であってもよく、したがって、誘導平衡からの信号において変化が検出されると、その変化が結合係数推定の変化に変換され得る。多くの実施形態では、例えば不平衡の増加などの誘導平衡からの信号の変化は、例えば結合係数が低下したことを示しているなど、結合係数推定の変化を反映していると直接的にみなされ得る。次いで、送電機は、ある相対量だけ迅速に動作を修正する、例えば、電力制御ループを修正し得る。
一部の実施形態では、送電機は、結合係数推定に応じてドライバの動作点を変更するように構成されてもよく、特に、結合係数推定の相対変化の検出に応答して、例えば、駆動信号を生成するインバータの電圧または他のパラメータなどの動作パラメータに相対変化を適用してもよい。
一部の実施形態では、送電機は、結合係数推定に応答して駆動信号の周波数を変更するように構成されてもよく、特に、結合係数推定の相対変化の検出に応答して周波数に相対変化を適用してもよい。
送電機は、例えば、ある周波数間隔内に含まれるように電力伝送のための動作/駆動周波数を維持することができ、ここで、この周波数間隔は結合係数推定に依存する。
一例として、送電機は、出力/負荷に定電圧を供給するように構成され得る。一般に、結合係数が変化すると、(電力)伝送関数が変化する。結合係数推定の変化を使用して、電力伝送関数のそのような変化を反映および補償するように電力伝達パラメータを調整することができる。具体的には、送電機は、結合係数推定に基づいてデューティサイクルおよび/または周波数を調整し得る。
送電機は、例えば、結合係数推定の変化が生じたこと(例えば、受電機が突然移動することによって引き起こされる突然のステップ変化)を判定するように構成され得る。そして、送電機は、駆動信号のデューティサイクルおよび/または周波数に対する対応する変化を求めるように構成され得、この変化が駆動信号に即座に適用され得る。その後、システムは、周波数および/またはデューティサイクルをゆっくりと調整しながら電力制御ループを続行し得る。例えば、最初のステップ変化は比較的不正確である可能性があり、電力制御ループはその後最適値に向けて調整を行う。しかし、結合係数推定に基づく最初の急速なステップ変化は、遷移パフォーマンスを大幅に改善する可能性があり、例えば過電圧または不足電圧状態を大幅に軽減し得る。
多くの実施形態では、送電機は、例えば、入力として絶対的または相対的な結合係数推定値を有し、出力として絶対的もしくは相対的なデューティサイクルまたは周波数を提供する所定の関数またはルックアップテーブルを備え得る。関数またはルックアップテーブルは、例えば、製造または設計段階中に決定され得る。
結合係数推定に基づく手法および動作の調整により、大きく改善されたパフォーマンスが得られる可能性がある。通常、ワイヤレス電力伝送システムおよび電力伝送関数は非線形であり、結合係数推定は、システムの特性およびゲインに関する追加情報を提供する可能性がある。
明瞭さのために、上記の説明は、異なる機能的回路、ユニット、およびプロセッサに関連して本発明の実施形態を説明している。しかしながら、本発明を損なうことなく、異なる機能的回路、ユニット、またはプロセッサ間で、機能が適切に分配され得ることが理解されよう。例えば、複数の別々のプロセッサまたはコントローラによって実行されるように説明された機能が、同じプロセッサまたはコントローラによって実行されてもよい。したがって、特定の機能的ユニットまたは回路への言及は、厳密な論理的または物理的な構造または組織を示すものではなく、説明される機能を提供するための適切な手段への言及であると考えられたい。
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせを含む任意の適切な形態で実施することができる。本発明は、1つ以上のデータプロセッサおよび/またはデジタル信号プロセッサ上で動作するコンピュータソフトウェアとして少なくとも部分的に実装されてもよい。本発明の実施形態の要素および構成要素は、任意の適切な方法で物理的、機能的、および論理的に実装され得る。実際には、機能は、単一のユニット、複数のユニット、または他の機能ユニットの一部として実装されてもよい。したがって、本発明は、単一のユニットとして実装されてもよく、または異なる複数のユニット、回路、およびプロセッサの間で物理的および機能的に分配されてもよい。
いくつかの実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は明細書に記載される具体的形態に限定されない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、ある特徴が特定の実施形態に関連して記載されているように見えたとしても、当業者は、上記実施形態の様々な特徴が本発明に従って組み合わせられ得ることを認識するであろう。請求項において、備える、含む等の用語は他の要素またはステップの存在を排除するものではない。
さらに、個別に列挙されていたとしても、複数の手段、要素、回路、または方法ステップは、例えば、単一の回路、ユニット、またはプロセッサによって実施されてもよい。さらに、個々の特徴が異なる請求項に含まれていたとしても、これらは好適に組み合わされ得、異なる請求項に含まれていることは、特徴の組み合わせが実現不可能であるおよび/または有利でないことを意味するものではない。また、1つのクレームカテゴリ内にある特徴が含まれているからといって、特徴がこのカテゴリに限定されるとは限らず、特徴は適宜、他のクレームカテゴリに等しく適用され得る。1つの独立請求項の従属請求項内にある特徴が含まれているからといって、この独立請求項への限定が示唆されているわけではなく、特徴は他の独立請求項にも適宜適用可能である。さらに、請求項における特徴の順序は、特徴が作用すべき特定の順序を指すものではなく、特に、方法クレームにおける個々のステップの順序はステップをその順序で実行しなければならないことを意味しない。ステップは任意の適切な順序で実行され得る。また、単数形の表現は複数形を排除するものではない。したがって、「第1の」、「第2の」などの表現は複数を排除するものではない。特許請求の範囲内の参照符号は明瞭さのための例に過ぎず、請求項の範囲を如何ようにも限定するものではない。

Claims (14)

  1. 誘導電力伝送信号を介して受電機にワイヤレスで電力を供給するための送電機であって、前記送電機は、
    送電コイルと、
    前記送電コイルのための駆動信号を生成するドライバであって、前記ドライバは、反復時間フレームの少なくとも1つの電力伝送時間間隔中に前記誘導電力伝送信号を生成するために、前記送電コイルのための前記駆動信号を生成し、また、前記反復時間フレームの少なくとも1つの測定時間間隔中に電磁試験信号を生成するために、前記送電コイルのための前記駆動信号を生成する、ドライバと、
    直列結合された複数の平衡型検出コイルのセットであって、各平衡型検出コイルのセットは、2つの検出コイルを含み、前記送電コイルによって生成された電磁場によって前記2つの検出コイル内に誘導される信号は互いに相殺し合う、複数の検出コイルのセットと、
    前記少なくとも1つの測定時間間隔中に、前記複数の平衡型検出コイルのセットからの信号に応答して、前記送電コイルと、前記受電機の受電コイルとの間の電磁結合の結合係数推定を求める推定回路と、を備える、送電機。
  2. 前記結合係数推定は相対結合係数推定である、請求項1に記載の送電機。
  3. 前記推定回路は、前記複数の平衡型検出コイルのセットのうちの少なくとも第1のセットの振幅の増加に対して減少する結合係数として前記結合係数推定を求める、請求項1または2に記載の送電機。
  4. 前記推定回路は、前記複数の平衡型検出コイルセットのうちの少なくとも2つのセット間の振幅の差の増加に対して減少する結合係数として前記結合係数推定を求める、請求項1から3のいずれか一項に記載の送電機。
  5. 前記送電機は、前記結合係数推定に応答して電力ループパラメータを調整するアダプタを備え、前記電力ループパラメータは、前記受電機から受信される電力制御メッセージに応答して前記誘導電力伝送信号の電力レベルを調整する電力制御ループのループパラメータである、請求項1から4のいずれか一項に記載の送電機。
  6. 前記電力ループパラメータは、ループ時定数、ループフィルタの周波数応答、およびループゲインのうちの少なくとも1つである、請求項5に記載の送電機。
  7. 前記推定回路は、前記少なくとも1つの測定時間間隔中に、前記複数の平衡型検出コイルのセットからの信号に応答して前記受電機の位置推定を求める、請求項1から6のいずれか一項に記載の送電機。
  8. 前記位置推定が要件を満たすことに応答して、前記受電機の位置ずれの表示を提供するユーザ出力を提供するユーザインターフェースをさらに備える、請求項7に記載の送電機。
  9. 前記位置推定に応答して前記誘導電力伝送の動作パラメータを調整するアダプタをさらに備える、請求項7または8に記載の送電機。
  10. 前記アダプタは、前記位置推定に応答して電力ループパラメータを調整し、前記電力ループパラメータは、前記受電機から受信される電力制御メッセージに応答して前記誘導電力伝送信号の電力レベルを調整する電力制御ループのループパラメータである、請求項9に記載の送電機。
  11. 前記推定回路は、前記信号が基準を満たしている場合に、前記受電機のための位置変化を検出し、前記基準は、前記平衡型検出コイルのセットの前記2つの検出コイル内に誘導された前記信号間の不平衡が第2の閾値を超えることを示す、前記平衡型検出コイルのセットからの信号の数が閾値数未満であるという要件を含み、前記閾値数は少なくとも2である、請求項7から10のいずれか一項に記載の送電機。
  12. 前記送電機は、異物が存在しない場合に前記2つの検出コイル内に誘導される前記信号間の不平衡の分、少なくとも1つの平衡型検出コイルのセットの前記信号を補償する補償器をさらに備え、前記推定回路は、前記少なくとも1つの平衡型検出コイルのセットの補償の量に応答して前記結合係数推定を求める、請求項7から11のいずれか一項に記載の送電機。
  13. 前記補償器は、前記補償の静的成分および動的成分を求め、前記静的成分は、前記受電機の存在に依存せず、前記動的成分は、前記受電機の存在に依存し、前記推定回路は、前記動的成分に応答して前記位置推定を求める、請求項12に記載の送電機。
  14. 誘導電力伝送信号を介して受電機にワイヤレスで電力を供給する送電機の動作方法であって、前記送電機は、
    送電コイルと、
    直列結合された複数の平衡型検出コイルのセットであって、各平衡型検出コイルのセットは2つの検出コイルを含み、前記送電コイルによって生成された電磁場によって前記2つの検出コイル内に誘導された信号は互いに相殺し合う、複数の平衡型検出コイルのセットとを備え、
    前記方法は、
    ドライバが、反復時間フレームの少なくとも1つの電力伝送時間間隔中に前記誘導電力伝送信号を生成するために、また、前記反復時間フレームの少なくとも1つの測定時間間隔中に電磁試験信号を生成するために、前記送電コイルのための駆動信号を生成するステップと、
    前記少なくとも1つの測定時間間隔中に、前記複数の平衡型検出コイルのセットからの信号に応答して、前記送電コイルと、前記受電機の受電コイルとの間の電磁結合の結合係数推定を求めるステップとを含む、方法。
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