JP2023553288A - バクテリオファージに対する低減された感受性を有する細菌 - Google Patents

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Abstract

自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減するように修飾されている細菌株であって、バクテリオファージに対する低減された感受性を有する細菌株、細菌株を含む細菌組成物及び株又は組成物の、食品又は飼料製品の製造での使用。

Description

本発明は、バクテリオファージに対する低減された感受性を有する細菌株に関する。本発明は、本発明の少なくとも1つの株を含む組成物及びこの株又は組成物の、乳製品等の食品を製造するか又は飼料を製造するための使用に関する。
細菌のスターター培養は、食品業界において、乳製品(ヨーグルト、バター及びチーズ等)、肉製品、ベーカリー製品、ワイン及び野菜製品を含む発酵製品の製造に広範囲にわたって用いられている。
病原性細菌ウイルス(バクテリオファージ又はファージ)による細菌培養体の攻撃及び増殖は、細菌培養体の産業用途に関する主要な問題の1つであると考えられており、細菌培養体の生成が失敗する原因となっている。商業的発酵の性質に起因して、病原性ファージが産業環境において一般的に見出される。管理されないままであれば、バクテリオファージは、発酵に干渉して、プロセスの中断及び製品の品質ロスをもたらす。バクテリオファージは、業界で用いられる多くの細菌株に見出されており、感染メカニズムが異なる多数の異なる種類のファージが存在する。バクテリオファージの新しい株が出現し続けている。
典型的には、バクテリオファージの溶解感染サイクルは、細菌宿主細胞表面へのファージ吸着、細胞へのファージDNAの注入、ファージDNA複製、ファージタンパク質発現、ファージアセンブリ及びアセンブルされたファージを放出するための宿主細菌細胞溶解を伴う。細菌のファージ耐性メカニズムは、ファージ複製の溶菌サイクルの1つ以上の工程に関与する宿主因子によって決まり、通常、干渉する感染サイクルの工程に基づいて分類される。
バクテリオファージ感染及びそれによる細菌培養の失敗を最小限に抑えるために業界で用いられている戦略は、完全には有効でない。そのような戦略として、ファージ攻撃に対してある程度のレベルの耐性が存在することを確実にするための混合スターター培養の使用が挙げられる。様々なバクテリオファージに対して感受性である、選択された細菌株のローテーションも用いられている。しかしながら、新しいファージの出現後の細菌株の耐性株との迅速な置き換えは、通常、可能でない。したがって、食品業界においてファージ混入を排除することは、依然として可能でない。
食品業界又は飼料業界で用いられる向上した細菌株、例えばファージ耐性である細菌株を提供することは、当技術分野で必要とされ続けている。したがって、乳酸菌、例えば連鎖球菌(Streptococcus)属におけるファージ感染に関与する宿主因子を特定する必要がある。
本発明者らは、驚くべきことに、自己分解酵素をコードする宿主遺伝子がファージ複製に関与すること及びP335様ファージD6867等のバクテリオファージにとってその溶菌サイクルを完了するために必須であることを見出した。自己分解酵素遺伝子内の変異は、P335様ファージ、例えばD6867等のバクテリオファージに対する耐性を有する宿主細胞(乳酸菌等)を提供する。変異株の、感受性株の自己分解酵素遺伝子との相補性により、ファージ感受性表現型の復元が生じる。本発明者らは、自己分解酵素内に変異を含む細菌が、商業的に許容可能な乳酸性化動力学を維持して、発酵製品、例えば発酵乳製品等の食品又は飼料を生成する方法での使用に適するようにすることも実証した。
一態様において、本発明は、自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減するように修飾されている細菌株であって、バクテリオファージ(少なくとも1つのP335様ファージ、例えばD6867等)に対する低減された感受性を有する細菌株を提供する。
適切には、修飾は、自己分解酵素をファージ感染に関して部分的に又は完全に機能不全にし得る。
適切には、修飾は、終止コドン、挿入、欠失又は変異であり得る。
適切には、修飾は、前記自己分解酵素をコードする核酸配列中又は前記自己分解酵素の発現の制御に寄与する調節領域(プロモーター若しくはエンハンサー等)中に導入され得る。
適切には、細菌株は、自己分解酵素タンパク質をコードする自己分解酵素対立遺伝子を含むように修飾され得、前記自己分解酵素対立遺伝子は、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株の、ファージD6867に対する感受性を低減し、前記SL12699誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が前記自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージD6867に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される。
適切には、細菌株は、修飾についてホモ接合性であり得る。
一態様において、本発明は、バクテリオファージ(少なくとも1つのP335様ファージ、例えばD6867等)に対する細菌株の耐性を増大させる(例えば、付与するか又は増大させる)方法であって、自己分解酵素の活性及び又は発現を低下させることによって前記細菌株を修飾することを含む方法を提供する。
一態様において、本発明は、少なくとも1つのバクテリオファージ耐性変異型株(少なくとも1つのP335様ファージ、例えばD6867に対する耐性等)を調製する方法であって、自己分解酵素の活性及び又は発現を低下させるように親細菌株を修飾することを含む方法を提供する。
適切には、本発明に従う方法は、
a)少なくとも1つのバクテリオファージ(P335様ファージ、例えばD6867等)に対して感受性の細菌株(ラクトコッカス(Lactococcus)属の乳酸菌株等)を提供することと;
b)自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減するように前記細菌株を修飾することと;
c)少なくとも1つのバクテリオファージ(P335様ファージ、例えばD6867等)に対する低減された感受性を有する株を回収することと
を含み得、任意選択的に、少なくとも1つのバクテリオファージ(P335様ファージ、例えばD6867等)に対する感受性は、EOPアッセイIによって判定される。
一態様において、本発明は、本発明に従う方法によって得ることができるか又は得られる細菌株を提供する。
一態様において、本発明は、本明細書中で定義される変異自己分解酵素タンパク質(自己分解酵素タンパク質)をコードするポリヌクレオチドを提供する。
適切には、本発明に従うポリヌクレオチドは、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株の、ファージD6867に対する感受性を低減し得、前記SL12699誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が前記自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージD6867に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される。
一態様において、本発明は、本発明に従うポリヌクレオチドを含む構築体又はベクターを提供する。
一態様において、本発明は、本発明に従うポリヌクレオチド又は本発明に従う構築体若しくはベクターの、少なくとも1つのバクテリオファージ(P335様ファージ、例えばD6867等)に対する細菌株の感受性を低減するための使用を提供する。
本発明のいずれかの態様において、ファージ(P335様ファージ、例えばD6867等)に対する感受性の低減は、少なくとも4対数、少なくとも5対数又は少なくとも6対数のEOP低減によって特徴付けられ得る。
本発明のあらゆる態様において、修飾は、
a)配列番号2に定義されるアミノ酸配列を有する自己分解酵素タンパク質;
b)ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株上でのファージD6867のEOPを低減しない、自己分解酵素対立遺伝子によってコードされる、配列番号2と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む自己分解酵素変異型タンパク質であって、前記SL12699誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が、前記自己分解酵素変異型タンパク質をコードする自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージD6867に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される、自己分解酵素変異型タンパク質;
c)ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株上でのファージD6867の、3対数未満のEOPを低減する、自己分解酵素対立遺伝子によってコードされる、配列番号2と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む自己分解酵素変異型タンパク質であって、前記D6867誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が、前記自己分解酵素変異型タンパク質をコードする自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージDT1に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される、自己分解酵素変異型タンパク質;
d)ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株上でのファージD6867のEOPを低減しない、自己分解酵素対立遺伝子によってコードされる、配列番号2の相同体であって、前記SL12699誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が、前記自己分解酵素変異型タンパク質をコードする自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージD6867に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される、相同体;及び
e)ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株上でのファージD6867の、3対数未満のEOPを低減する、自己分解酵素対立遺伝子によってコードされる、配列番号2の相同体であって、前記D6867誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が、前記自己分解酵素変異型タンパク質をコードする自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージDT1に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される、相同体
からなる群から選択される自己分解酵素タンパク質に対する、アミノ酸の抑制、アミノ酸の付加、アミノ酸の置換又はアミノ酸の抑制及び付加を含む自己分解酵素タンパク質をコードし得る。
本発明のあらゆる態様において、修飾は、自己分解酵素のYjdBドメインのトランケーションをもたらし得る。
本発明のあらゆる態様において、トランケートされた自己分解酵素タンパク質は、自己分解酵素対立遺伝子内の欠失及び/又は挿入の結果であり得る。
本発明のあらゆる態様において、トランケートされた自己分解酵素タンパク質は、終止コドンに至るヌクレオチド変異の結果であり得る。
本発明のあらゆる態様において、細菌株は、そのpip遺伝子内で追加的に変異されており、且つc2型c2ファージに対する耐性を有し得る。
本発明のあらゆる態様において、細菌株は、そのyjaE遺伝子内で追加的に変異されており、且つbil67型c2ファージに対する耐性を有し得る。
本発明のあらゆる態様において、細菌株は、乳酸菌株であり得、適切には、乳酸菌株は、ラクトコッカス(Lactococcus)属、連鎖球菌(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属から選択され得、適切には、株は、ラクトコッカス(Lactococcus)属のものであり得、適切には、前記株は、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)種、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種クレモリス(cremoris)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)又はラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)biovar.ジアセチラクティス(Diacetylactis)等のラクトコッカス(Lactococcus)属種であり得る。
一態様において、本発明は、本発明に従う細菌株を含む細菌組成物を提供する。細菌組成物は、任意選択的に、ラクトコッカス(Lactococcus)属、連鎖球菌(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、オエノコッカス(Oenococcus)属及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属からなる群から選択される1つ以上の更なる乳酸菌を更に含み得る。
一態様において、本発明は、本発明に従う細菌株又は本発明に従う細菌組成物を含む食品又は飼料製品を提供する。製品は、乳製品、肉製品又は禾穀類食品若しくは飼料製品、より詳細には発酵乳製品であり得る。
適切には、乳食品又は飼料製品は、発酵乳製品、例えば発酵乳、ヨーグルト、クリーム、熟成クリーム、チーズ、フロマージュフレ、乳飲料、プロセスチーズ、クリームデザート、カッテージチーズ又は乳児用ミルクであり得る。
一態様において、本発明は、発酵製品を製造する方法であって、
a)基質、好ましくは乳基質に、本発明に従う細菌株又は本発明に従う細菌組成物を植菌することと;
b)工程a)から得られる植菌された基質を発酵させて、発酵製品、好ましくは発酵乳製品を得ることと
を含む方法を提供する。
一態様において、本発明は、本発明に従う細菌株又は本発明に従う細菌組成物の、食品又は飼料製品を製造するための使用を提供する。製品は、発酵食品であり得る。製品は、発酵乳製品であり得る。
SL12699のファージ耐性変異型において自己分解酵素タンパク質内に見出される3つの変異の比較を示す。数直線は、自己分解酵素タンパク質のアミノ酸配列を表し、そのバー内のボックスは、タンパク質が今後転写されることのない場所を示す。種々のドメインの位置は、変更されたタンパク質の下に示されている。 自己分解酵素ミュータントSL12852の乳酸性化活性を親SL12699と比較する。 SL12852の乳酸性化活性を、種々の感染多重度値(MOI)のファージD6867を加えて示す。 SL12699の乳酸性化活性を、種々のMOIのファージD6867を加えて示す。ファージ感受性親株によるこの試験は、図3における試験のための対照の役割を果たす。
一般的な定義
特に定義しない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
本開示は、本明細書中で開示した例示的な方法及び原材料によって限定されず、本明細書中に記載されるものと類似又は同等のいかなる方法及び原材料も本開示の実施形態の実施又は試験に用いることができる。数値範囲は、範囲を定義する数字を含む。
本明細書中で提供される見出しは、本明細書を全体として参照することによって理解することができる本開示の種々の態様又は実施形態を限定するものではない。したがって、直下で定義される用語は、本明細書を全体として参照することによってより詳細に定義される。
本明細書中で用いられる用語「ポリヌクレオチド」は、用語「ヌクレオチド配列」及び/又は用語「核酸配列」と同義である。特に示されない限り、いずれの核酸配列も、左から右に向けて5’から3’の向きに記す。
本明細書中で用いられる用語「タンパク質」は、タンパク質、ポリペプチド及びペプチドを含む。本明細書中で用いられる用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」及び/又は用語「タンパク質」と同義である。本開示及び特許請求の範囲において、アミノ酸の名前、アミノ酸残基についての従来型の1文字コード及び3文字コードを用いることができる。IUPACIUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature(JCBN)に従って定義されるアミノ酸についての3文字コード。ポリペプチドは、遺伝暗号の縮重に起因して、複数のヌクレオチド配列によってコードされ得ることも理解される。特に示されない限り、いずれのアミノ酸配列も、左から右に向けてアミノからカルボキシの向きに記す。
本発明において、本発明で用いられる自己分解酵素におけるアミノ酸残基位置の特定のナンバリングが使用され得る。サンプル自己分解酵素のアミノ酸配列の、配列番号2の自己分解酵素とのアラインメントにより、前記サンプル自己分解酵素内のアミノ酸残基位置に、本発明の配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基位置又はナンバリングに対応する番号を割り当てることが可能である。
用語の他の定義が本明細書の全体にわたって表示され得る。例示的な実施形態をより詳細に説明する前に、本開示は、記載される特定の実施形態に限定されないため、当然のことながら変化し得ることが理解されるべきである。本明細書中で用いられる専門用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定であることを意図されないことも理解されるべきであり、なぜなら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるためである。
値の範囲が与えられる場合、文脈が明らかにそうでないと指示しない限り、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値も下限の単位の少数第一位まで具体的に開示されていると理解される。表示範囲内の任意の表示値又は介在値と、その表示範囲内の任意の他の表示値又は介在値との間のより狭い各範囲が本開示内に包含される。これらのより狭い範囲の上限値及び下限値は、独立して、その範囲内に包含されるか又は除外され得、そのより狭い範囲内に何れか若しくは両方の限界値が含まれるか、又は両方の限界値が含まれない場合の各範囲も、表示範囲から任意の限界値が具体的に除外されることを前提として本開示に包含される。表示範囲が限界値の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方又は両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
本明細書中で、且つ添付の特許請求の範囲で用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、前後関係が明らかに特に指示しない限り、複数形指示対象を含むことが留意されなければならない。
本明細書中で用いられる用語「含んでいる」、「含む」及び「構成される」は、「包含している」、「包含する」又は「含有している」、「含有する」と同義であり、包含的又はオープンエンドであり、列挙されていない追加の部材、要素又は方法工程を除外しない。用語「含んでいる」、「含む」及び「構成される」は、用語「からなる」も含む。
本明細書中で考察される刊行物は専ら、その開示について、本出願の出願日よりも前に提供されている。本明細書中では、そのような刊行物は何れも、本明細書に添付の特許請求の範囲に対する先行技術を構成することの容認と解釈されるべきでない。
自己分解酵素
本発明者らは、驚くべきことに、自己分解酵素をコードする宿主遺伝子が、例えば、ラクトコッカス(Lactococcus)属由来の乳酸菌等の細菌株におけるバクテリオファージ増殖に関与する細菌宿主因子であることを見出した。
一態様において、本発明は、バクテリオファージ(少なくとも1つのP335様ファージ等)に対する細菌株の耐性を増大させる(例えば、付与するか又は増大させる)方法であって、自己分解酵素の活性及び又は発現を低下させる(又は阻害する)ことにより、前記細菌株を修飾することを含む方法を提供する。
用語「バクテリオファージに対する耐性の増大」は、以下に記載されるアッセイ「プラーク形成効率アッセイI」等のプラークアッセイで試験した場合の細菌株の、少なくとも1つのファージに対するファージ耐性が向上していることを表す。
一態様において、本発明は、少なくとも1つのバクテリオファージ耐性変異型株(少なくとも1つのP335様ファージに対する耐性等)を調製する方法であって、親細菌株を、自己分解酵素の活性及び又は発現を低下させる(又は阻害する)ように修飾することを含む方法を提供する。細菌耐性変異型株は、親の株と比較した場合、少なくとも1つのファージに対するファージ耐性が増大している。
換言すると、自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減する(又は阻害する)修飾が細菌株に導入されている。適切には、前記自己分解酵素の活性又は発現は、完全に除外され得る。
自己分解酵素の「発現」は、自己分解酵素の転写又は翻訳のレベルを指し得る。遺伝子発現は、RNAレベル及びタンパク質コード遺伝子についてタンパク質レベルにおいて測定され得る。例えば、RNAレベルは、定量逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、RNA配列決定(RNA-seq)、ノーザンブロッティング、DNAマイクロアレイによって測定することができ、タンパク質レベルは、ウェスタンブロッティング、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及び質量分析によって測定することができる。
自己分解酵素の「活性」は、ファージ感染に関連して、自己分解酵素の活性を指す。
修飾は、自己分解酵素をファージ感染に関して部分的に又は完全に機能不全にし得る。
本明細書中で用いられる用語「機能不全」は、本発明の目的に関連して理解されるべきである。目的は、自己分解酵素タンパク質が、対応する野生型株におけるよりも有効でない株を製造することである。例えば、自己分解酵素遺伝子内に、自己分解酵素タンパク質を発現することができない機能不全遺伝子を与えるか、又は部分的な長さの不活性自己分解酵素タンパク質を発現することができる終止コドン又はフレームシフト挿入を導入することによる。代わりに、例えば、変異型が発現される自己分解酵素タンパク質変異を生成することができるが、本明細書中の全ての目的について活性でない変異を遺伝子内で形成することができる。自己分解酵素タンパク質の活性を測定する一方法は、代表的なファージ、例えばD6867等のP335様ファージに対する耐性の増大について細菌株を分析するものである。細菌株の、代表的なファージに対する耐性が増大している場合、自己分解酵素タンパク質は、少なくとも部分的に不活性であるか又は完全に不活性であることが理解される。一態様において、自己分解酵素タンパク質は、完全に不活性とされる。
修飾は、終止コドン、挿入(例えば、フレームシフトを引き起こす)、欠失又は変異であり得る。換言すると、自己分解酵素の活性及び/又は発現は、終止コドン、挿入(例えば、フレームシフトを引き起こす)、欠失又は変異の導入によって低減される。
修飾(例えば、変異)は、前記自己分解酵素をコードする核酸配列中又は前記自己分解酵素の発現の制御に寄与する調節領域(プロモーター若しくはエンハンサー等)中に導入され得る。
本明細書中で用いられる「自己分解酵素」は、それを生成する細菌の細胞壁ペプチドグリカンを分解する内因性溶解酵素を指す。自己分解酵素は、ペプチドグリカンヒドロラーゼと分類される。
自己分解酵素は、細胞増殖、細胞壁代謝、細胞分裂及び分離並びにペプチドグリカンターンオーバーに関与する。一部のバクテリオファージ(肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)等)は、遍在する宿主自己分解酵素を利用して、最適な宿主細胞溶解を達成すると考えられている。
乳酸菌の自己分解活性は、細胞内に位置決めされた酵素の、凝乳中への放出及びその風味成熟に及ぼす作用に起因する、乳製品の生産、例えばチーズ熟成における重要な因子である。チーズ生産における自動溶解細胞の主な結果は、ペプチド分解反応を促進することである一方、無傷細胞は、ラクトース発酵及び酸素除去等の生理学的反応に必須である。
SL12699自己分解酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1に示される。
Figure 2023553288000002
一態様において、自己分解酵素は、配列番号1の相同体である。
一態様において、相同体は、YjdBドメインを含む。
一態様において、自己分解酵素は、配列番号1に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、且つYjdBドメインを含む。
一態様において、自己分解酵素は、配列番号1に示されるポリヌクレオチド配列又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、95%、97%、98%又は99%の同一性)を有する配列によってコードされる。一態様において、自己分解酵素は、配列番号1に示されるポリヌクレオチド配列又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、95%、97%、98%又は99%の同一性)を有する配列によってコードされ、且つYjdBドメインを含む。一態様において、自己分解酵素は、GH25ムラミダーゼスーパーファミリードメインを追加的に含む。一態様において、自己分解酵素は、配列番号1に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされる。
一態様において、細菌株は、株SL12699のアミノ酸配列の配列番号2を有する自己分解酵素に対応する(又はそれに等しい)自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減するように修飾されている。
SL12699自己分解酵素のアミノ酸配列は、配列番号2に示される。
Figure 2023553288000003
一態様において、自己分解酵素は、配列番号2の相同体である。
一態様において、自己分解酵素は、配列番号2に示されるアミノ酸配列又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、95%、97%、98%又は99%の同一性)を有する配列を含む。
一態様において、相同体はYjdBドメインを含む。
一態様において、自己分解酵素は、配列番号2に示されるアミノ酸配列又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、95%、97%、98%又は99%の同一性)を有する配列及びYjdBドメインを含む。
本明細書中で用いられる「YjdB」ドメインは、免疫グロブリン様(Ig様)ドメインを有する、保存された特徴のないドメインを指す。YjdBドメインを含むタンパク質は、YjdBスーパーファミリーとの比較によって特定され得る;例えば、National Center for Biotechnology Information(NCBI)Conserved Protein Domain Family Database(Lu et al.,Nucleic Acids Res.2020 Jan 8;48(D1):D265-D268)を用いる。YjdBドメインは、cl35007スーパーファミリーのメンバーである。
適切には、自己分解酵素は、配列番号2由来のYjdBドメインを含み得る。
一態様において、YjdBドメインは、配列番号2の約アミノ酸394~約アミノ酸670に対応するアミノ酸配列又はその部分、例えば少なくとも100アミノ酸、少なくとも150アミノ酸、少なくとも200アミノ酸、少なくとも250アミノ酸若しくは少なくとも270アミノ酸を含み得るか又はそれからなり得る。一態様において、YjdBドメインは、配列番号2の約アミノ酸394~約アミノ酸670に対応するアミノ酸配列又はそれに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%)の同一性を有する配列を含み得るか又はそれからなり得る。一態様において、YjdBドメインは、配列番号2のアミノ酸394~アミノ酸670に対応するアミノ酸配列又はそれに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%)の同一性を有する配列を含み得るか又はそれからなり得る。
一態様において、自己分解酵素は、GH25ムラミダーゼスーパーファミリードメインを含む。
本明細書中で用いられる「GH25ムラミニダーゼドメイン」は、グリコシルヒドロラーゼ25ドメインを指す。GH25ファミリーは、細菌ペプチドグリカン(PG)の糖部分に作用して、グリカン鎖のMurNAc(N-アセチルムラミン酸)残基とGlcNAc(N-アセチルD-グルコサミン)残基との間のβ-1-4グリコシド結合を切断する一群のヒドロラーゼを含む。GH25ドメインを含むタンパク質は、オリゴ糖及び多糖をアセンブル、修飾、且つ分解する酵素の分類を提供するThe Carbohydrate-Active Enzymesのデータベースhttps://www.cazypedia.org/ GH25(Lombard et al.,Nucleic Acids Research,Volume 42,Issue D1,1 January 2014,Pages D490-D495)内のドメインとの比較によって特定され得る。
一態様において、GH25ドメインは、配列番号2の約アミノ酸90~約アミノ酸311に対応するアミノ酸配列又はその部分、例えば少なくとも100アミノ酸、少なくとも150アミノ酸、少なくとも200アミノ酸又は少なくとも220アミノ酸を含み得るか又はそれからなり得る。一態様において、GH25ドメインは、配列番号2の約アミノ酸90~約アミノ酸311に対応するアミノ酸配列又はそれに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%)の同一性を有する配列を含み得るか又はそれからなり得る。一態様において、GH25ドメインは、配列番号2のアミノ酸90~アミノ酸311に対応するアミノ酸配列又はそれに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%)の同一性を有する配列を含み得るか又はそれからなり得る。
一態様において、本発明に従う細菌株は、自己分解酵素タンパク質をコードする自己分解酵素対立遺伝子を含むように修飾されており、前記自己分解酵素対立遺伝子は、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株の、ファージD6867に対する感受性を低減し、前記SL12699誘導株は、自己分解酵素対立遺伝子が前記自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージD6867に対する感受性は、本明細書中に記載されるプラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される。
本発明者らは、驚くべきことに、自己分解酵素タンパク質をコードするような自己分解酵素対立遺伝子がP335様ファージ、例えばD6867等の少なくとも1つのファージに対する細菌株(例えば乳酸菌)の感受性を低減することを見出した。
一態様において、本発明は、自己分解酵素タンパク質をコードする自己分解酵素対立遺伝子を特定する方法であって、
a)ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699の自己分解酵素遺伝子の対立遺伝子の代わりに、試験される自己分解酵素対立遺伝子(候補自己分解酵素対立遺伝子)を導入して、SL12699誘導株を得ることと;
b)工程a)のSL12699誘導株上でのファージD6867のEOPをプラーク形成効率アッセイIによって求めることと
を含み、少なくとも4対数のEOP低減は、自己分解酵素タンパク質をコードする自己分解酵素対立遺伝子である自己分解酵素対立遺伝子を示す、方法を提供する。
本明細書中で用いられる表現「自己分解酵素遺伝子の対立遺伝子」は、特定の細菌において見出される自己分解酵素遺伝子のバージョンを意味する。ほとんどの細菌遺伝子について、遺伝子のヌクレオチド配列は変動し得、対立遺伝子は、同じ遺伝子の異なる配列を表す。そのため、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699の自己分解酵素遺伝子の対立遺伝子は、配列番号1に示される通りである。配列番号1に定義されるこの対立遺伝子は、配列番号2に示される自己分解酵素タンパク質をコードする。
本発明者らは、特定の自己分解酵素対立遺伝子が、SL12699の自己分解酵素遺伝子(配列番号1)の元の(すなわち天然の)対立遺伝子の代わりに挿入されている場合、ファージD6867に対するラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699の感受性を低減できることを示した。これらの対立遺伝子は、「自己分解酵素対立遺伝子」として本明細書中で定義される。これらの自己分解酵素対立遺伝子によってコードされるタンパク質は、本明細書中で「自己分解酵素タンパク質」と称される。
そのため、ファージD6867(本明細書中で定義される)に対するSL12699株の感受性を低減するあらゆる自己分解酵素対立遺伝子(自己分解酵素タンパク質をコードする)は、本発明の一部である。換言すると、自己分解酵素対立遺伝子は、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株の、ファージD6867に対する感受性を低減する自己分解酵素対立遺伝子として定義され、前記SL12699誘導株は、その元の自己分解酵素対立遺伝子が、前記自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株である。
用語「感受性を低減する」は、「耐性を増大させる」、「耐性を向上させる」、「耐性を増強する」、「耐性を付与する」及び「抵抗力を向上させる」を含み得る。
一態様において、自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減する修飾は、欠失であり得る。欠失は、自己分解酵素遺伝子の全て又は一部の欠失をもたらし得る。換言すると、自己分解酵素遺伝子は、ノックアウトされている。適切には、欠失は、株SL12699において、アミノ酸配列の配列番号2を有する自己分解酵素に対応する(又はそれに等しい)自己分解酵素遺伝子の全て又は一部の欠失をもたらし得る。
一態様において、欠失は、YjdBドメインの少なくとも一部を除去する。一態様において、欠失は、YjdBドメインの全てを除去する。一態様において、欠失は、単一のヌクレオチド欠失である。一態様において、欠失は、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも200ヌクレオチドの欠失である。一態様において、本明細書中に記載されるYjdBドメインの少なくとも一部の欠失は、自己分解酵素の活性及び/又は発現の低減並びにバクテリオファージに対する耐性の増大をもたらす。一態様において、本明細書中に記載されるYjdBドメインの少なくとも一部の欠失は、自己分解酵素の活性及び/又は発現の低減並びにバクテリオファージに対する耐性の増大をもたらす。
好ましい態様において、欠失は、配列番号1によってコードされる自己分解酵素遺伝子の位置1,225から始まる約153ヌクレオチドの欠失に対応する。
一態様において、自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減する修飾は、早期終止コドンを導入する変異であり得る。適切には、早期終止コドンは、自己分解酵素タンパク質であるトランケートされた自己分解酵素タンパク質の発現をもたらし得る。例えば、早期終止コドンは、タンパク質のC末端から少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500又はそれを超えるアミノ酸のトランケーションをもたらし得る。好ましい態様において、トランケーションは、YjdBドメインの少なくとも一部又は全ての欠失をもたらす。
好ましい態様において、修飾は、配列番号2によってコードされる自己分解酵素の約アミノ酸位置628の早期終止コドンに対応する。
好ましい態様において、修飾は、配列番号2によってコードされる自己分解酵素の約アミノ酸位置410の早期終止コドンに対応する。
細菌株
一態様において、本発明に従う細菌株は、乳酸菌株である。
本明細書中で用いられる用語「乳酸菌」又は「LAB」は、糖を発酵させて乳酸を排他的又は支配的に産生するグラム陽性菌を指す。
産業的に最も有用な乳酸菌は、ラクトコッカス(Lactococcus)属、連鎖球菌(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、オエノコッカス(Oenococcus)属及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の中で見出される。したがって、一実施形態において、乳酸菌は、この属群から選択されることが好ましい。
一態様において、細菌株は、ラクトコッカス(Lactococcus)属に属する。
ラクトコッカス(Lactococcus)属亜種は、バクテリオファージ感染によって最も影響を受ける乳酸菌に含まれる。
一態様において、細菌株は、ラクトコッカス(Lactococcus)属種であり、適切には、株は、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)種由来であり得る。
適切には、細菌株は、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種クレモリス(cremoris)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)又はラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)biovar.ジアセチラクティス(diacetylactis)から選択され得る。
一部の好ましい実施形態において、本発明の細菌株は、感受性が低減されているか、又は少なくとも1つのファージに対して耐性である。一実施形態において、少なくとも1つのファージは、P335様ファージである。好ましい実施形態において、少なくとも1つのファージは、D6867である。
細菌のバクテリオファージ感受性を測定する一方法は、適切なバクテリオファージ又はバクテリオファージのパネルを用いる標準的なEOPアッセイによるものである。したがって、一実施形態において、本発明の細菌株のバクテリオファージ感受性(又は耐性)は、標準的なEOPアッセイにより判定される。好ましい実施形態において、本発明の乳酸菌のバクテリオファージ感受性(又は耐性)は、本明細書中に記載されるプラーク形成効率アッセイIにより判定される。
一実施形態において、本発明の細菌株は、自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減するように修飾されていない対応する細菌株と比較して、少なくとも1つのファージ(P335様ファージ等)に対する低減された感受性を有する。
一態様において、細菌株は、YjdBドメインを含む自己分解酵素をコードする自己分解酵素遺伝子を含む。一態様において、細菌株は、YjdBドメイン及びGH25ドメインを含む自己分解酵素をコードする自己分解酵素遺伝子を含む。
一態様において、修飾前の細菌株は、YjdBドメイン又はYjdBドメイン及びGH25ドメインの両方を含む自己分解酵素をコードする自己分解酵素遺伝子を含む。一部の態様において、親株は、YjdBドメイン又はYjdBドメイン及びGH25ドメインの両方を含む自己分解酵素をコードする自己分解酵素遺伝子を含む。
一態様において、本発明に従う細菌株は、商業的に許容可能な乳酸性化速度を維持する。換言すると、自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減する修飾は、細菌株の乳酸性化速度を大幅に損なわない。
乳酸性化速度を測定する方法は、当技術分野で知られている。例えば、国際公開第2006042862号パンフレットである。乳酸性化速度は、本明細書中の実施例に記載されるように測定され得る。
乳酸性化アッセイは、
株を11%脱脂乳(NFDM)中で一晩増殖させることと;
増殖物をM17-Lac中に移すことと;
培養体が約0.65のOD600に達すると、0.75%で活性乳(市販の1%脂肪Kemp)中に植菌することと;
培養体を30℃水浴内において、pHプローブと共に一晩維持して、約2分毎に各株の酸性化を監視することと
を含み得る。
バクテリオファージ
本明細書中で用いられる用語「バクテリオファージ」は、当技術分野で理解される従来の意味を有し、すなわち細菌に感染するウイルスである。多くのバクテリオファージは、細菌の特定の属、種又は株に特異的である。用語「バクテリオファージ」は、用語「ファージ」と同義である。
3つの種、P335、936及びc2のファージは、主に全世界の乳発酵の失敗の原因である。
一態様において、本発明に従う細菌株は、P335型ファージ、P335様ファージ、936型ファージ、936様ファージ、c2型ファージ又はc2様ファージから選択されるバクテリオファージに対する低減された感受性を有する。
「様」と記載されるファージは、特定のファミリーのメンバーとの構造的且つ/又は機能的又は機械学的類似性を共有するファージを指す。
ファージP335は、サイフォウイルス(Siphoviridae)科に属しており、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococus lactis)種に対する病原性型ファージである。P335ファージは以前に、4つのサブグループ(I~IV)に分類されている。P335ファージのファミリーは、参照ファージP335、Tuc2009、RP901-1、BK5-T、rlt、LC3 ul36及び4268を含む。これらのファージに、このグループアサインメントをサザンハイブリダイゼーション及び形態学的分析(比較配列分析によってその後確認)に基づいて与えた。L.ラクティス(L.lactis)ゲノムプロジェクトは、一部のラクトコッカス株におけるプロファージ及びプロファージレムナントの存在も実証している。
一態様において、バクテリオファージは、P335様バクテリオファージである。
本明細書中で用いられる「P335様」ファージは、P335ファミリーのメンバーとの構造的且つ/又は機能的類似性を共有するファージを指す。
乳酸菌、例えばラクトコッカス属の株が挙げられる細菌の種に感染するP335型ファージが知られており、その機能又は遺伝分析若しくはゲノム分析に基づいて特定することができる。
P335型ファージが挙げられる多数のファージの配列が知られており、公開データベースにおいて入手可能であり、例えば、いくつかのP335ファージについてのGenBank受託番号は、以下の通りである:Tuc2009(NC_002703.1);TP901-1(NC_002747.1);LC3(NC_005822.1);P335(Q838728.1);ul36(NC_004066.1);Q33(JX564242.1);BK5-T(NC_002796.1);r1t(NC_004302.1)及びBM13(NC_021861.1)。
一態様において、P335様ファージは、上述のP335ファージのヌクレオチド配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する。一態様において、P335様ファージは、上述のP335ファージのアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する。
Mahony et al.,(Mahony et al.BMC Genomics(2017)18:146)も、P335ファージを分類するマルチプレックスPCR法を記載している。サブグループに属するファージのRBPコード遺伝子及び受容体結合タンパク質(RBP)関連配列に基づいて、新進のP335ファージ単離体の検出及び分類を容易にする7対のプライマーを設計した。
ラクトコッカス(Lactococcus)属の細菌等のLAB細菌等の細菌に感染するP335様ファージの例として、ファージD6867がある。D6867ファージは、Leibniz Institute DSMZ-German Collection of Microorganisms and Cell Culturesにおいて受託番号:DSM 33596に従って入手可能であった。このファージの宿主株は、Leibniz Institute DSMZ-German Collection of Microorganisms and Cellにおいて受託番号:DSM 3360に従って入手可能であるラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)SL12699である。
一態様において、P335様ファージは、D6867のヌクレオチド配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する。一態様において、P335様ファージは、D6867のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する。
好ましい態様において、バクテリオファージは、D6867である。
したがって、この好ましいファージを用いて、例えば本明細書中に記載されるプラーク形成効率アッセイIにより、本発明の修飾(変異又は自己分解性等)によって与えられるバクテリオファージに対する耐性(又は感受性)を判定することができる。
ラクトコッカス(Lactococcus)属の細菌等のLAB細菌等の細菌に感染するP335様ファージの別の例として、ファージD7138がある。
D6867及びD7138は、SL12699において、プロファージに対する類似性が高い(それぞれ85.1%及び95.8%のペアワイズ同一性)。
一態様において、バクテリオファージは、細菌株において、P335様又はP335プロファージに対して少なくとも80%の配列同一性を有する。換言すると、バクテリオファージは、細菌株からそれ自体以前に切り出された病原性プロファージである。
ポリヌクレオチド
一態様において、本発明は、細菌株における自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減するポリヌクレオチド配列を提供する。
一態様において、本発明は、本発明の自己分解酵素対立遺伝子を含むポリヌクレオチドを提供する。一態様において、ポリヌクレオチドは、本発明の自己分解酵素対立遺伝子である。別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、本発明の自己分解酵素タンパク質をコードする。
本発明に関する用語「ポリヌクレオチド」は、ゲノムDNA、cDNA及び合成DNAを含む。好ましくは、DNA、より好ましくはcDNAを意味する。一実施形態において、用語「ポリヌクレオチド」は、cDNAを意味する。
典型的には、本発明の範囲によって包含されるポリヌクレオチドは、組換え型であり、本明細書中に記載される組換えDNA技術(すなわち組換えDNA)を用いて調製される。しかしながら、本発明の代替の実施形態において、ポリヌクレオチドは、当技術分野で周知の化学的方法を用いて全て又は一部を合成することができる(Caruthers MH et al.,(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 215-23及びHorn T et al.,(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 225-232を参照されたい)。
本明細書中で定義される特定の特性を有する、本発明に従うポリヌクレオチド又は修飾に適したタンパク質は、前記タンパク質を産生するあらゆる細胞又は生物から特定且つ/又は単離且つ/又は精製することができる。ポリヌクレオチドの特定及び/又は単離及び/又は精製について、種々の方法が当技術分野で周知である。
一例として、適切なポリヌクレオチドが特定且つ/又は単離且つ/又は精製されると、より多くのポリヌクレオチドを調製するPCR増幅技術が用いられ得る。更なる例として、タンパク質を産生する生物由来の染色体DNA又はメッセンジャーRNAを用いて、ゲノムDNA及び/又はcDNAライブラリーを構築することができる。タンパク質のアミノ酸配列が知られていれば、標識オリゴヌクレオチドプローブを合成且つ使用して、生物から調製されたゲノムライブラリーからタンパク質コードクローンを特定することができる。代わりに、別の知られているタンパク質遺伝子と相同の配列を含有する標識オリゴヌクレオチドプローブを用いて、タンパク質コードクローンを特定することができる。後者の場合、より低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション及び洗浄条件を用いる。
代わりに、本発明に従うポリヌクレオチドは、確立された標準的な方法、例えばBeucage S.L.et al.,1981,Tetrahedron Letters 22:1859-1869によって記載されるホスホラミダイト法又はMatthes et al.,1984,EMBO J.,3:801-805によって記載される方法によって合成的に調製される合成ポリヌクレオチドであり得る。ホスホラミダイト法において、オリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成装置で合成され、精製されて、アニールされ、ライゲートされ、且つ適切なベクター中にクローニングされる。
ポリヌクレオチドは、標準的な技術に従い、合成起源、ゲノム起源又はcDNA起源(適宜)の断片をライゲートすることによって調製される混合のゲノム及び合成起源、混合の合成及びcDNA起源又は混合のゲノム及びcDNA起源のものであり得る。ライゲートされた各断片は、ポリヌクレオチド全体の種々の部分に対応する。ポリヌクレオチドは、例えば、米国特許第4,683,202号明細書又はSaiki R K et al.,1988,Science,239:487-491に記載される特異的プライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によっても調製され得る。
本発明によって包含されるポリヌクレオチドは、単離され得るか又は実質的に精製され得る。「単離された」又は「実質的に精製された」は、ポリヌクレオチドが、天然の状態でポリヌクレオチドと関連して通常見出される構成要素から実質的に又は本質的に遊離していることが意図される。そのような構成要素として、他の細胞物質、組換え生産由来の培地及び核酸を化学的に合成する際に用いられる種々の化学物質が挙げられる。
「単離された」ポリヌクレオチド又は核酸は、典型的に、核酸が由来した生物のゲノムDNA中の注目する核酸の側面に位置する核酸配列(5’末端又は3’末端に存在するコード配列等)から遊離している。しかしながら、分子は、組成物の基本的な特徴に悪影響を与えない、一部の追加の塩基又は部分を含み得る。
ベクター及び構築体
本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列は、ベクター中に存在し得る。ポリヌクレオチド配列は、調節配列が適切な宿主生物によってポリヌクレオチド配列の発現を実現することができるように、調節配列に作動可能に連結され得、すなわち、ベクターは、発現ベクターであり得る。
用語「発現ベクター」は、インビボ又はインビトロで発現することができる構築体を意味する。好ましくは、発現ベクターは、生物のゲノム中に組み込まれる。用語「組み込まれる」は、好ましくは、ゲノム中への安定した組込みをカバーする。
ベクターは、適切な細菌宿主細胞中に形質転換されて、本明細書中で定義される特定の特性を有するポリペプチドの発現を実現し得る。
ベクター、例えばプラスミド、コスミド、ウイルス又はファージベクターの選択は、導入される宿主細胞に依存することが多い。
ベクターは、1つ以上の選択マーカー遺伝子、例えば抗生物質耐性、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性を付与する遺伝子を含有し得る。代わりに、選択は、同時形質転換(国際公開第91/17243号パンフレットに記載)によって達成され得る。
ベクターは、問題となっている宿主細胞内でのベクターの複製を可能とするヌクレオチド配列を更に含み得る。そのような配列の例として、プラスミドpUC19、pACYC177、pUBl 10、pE194、pAMBl及びpIJ702の複製起源がある。
用語「構築体」(「カセット」等の用語と同義)は、プロモーターに直接的又は間接的に付着しているポリヌクレオチド配列を含む。
間接的付着の一例は、プロモーターと本発明のヌクレオチド配列との中間にある、イントロン配列、例えばSh1-イントロン又はADHイントロン等の適切なスペーサー群の提供である。一部の場合、その用語は、野生型遺伝子プロモーターと通常結合する、タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列の天然の組合せを、両方が天然の環境に存在する場合にはカバーしない。
構築体は、遺伝子構築体の選択を可能とするマーカーを含有又は発現し得る。
一態様において、本発明は、本発明に従うポリヌクレオチド配列を含むベクター又は構築体を提供する。一態様において、本発明は、細菌株における自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減するポリヌクレオチド配列を含むベクター又は構築体を提供する。一態様において、本発明は、本発明の自己分解酵素対立遺伝子を含むベクター又は構築体を提供する。別の実施形態において、ベクター又は構築体は、本発明の自己分解酵素タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。
一態様において、本発明は、少なくとも1つのバクテリオファージ(P335様ファージ等)に対する細菌株の感受性を低減するための、本発明のポリヌクレオチド、構築体又はベクターの使用に関する。
細菌組成物
本発明は、少なくとも1つの、本発明の細菌株を含むか又はそれからなる細菌組成物にも関する。一態様において、細菌株は、乳酸菌株である。一実施形態において、細菌組成物は、純粋な培養体であり、すなわち単一の細菌株を含むか又はそれからなる。別の実施形態において、細菌組成物は、混合培養体であり、すなわち本発明の少なくとも1つの細菌株及び少なくとも1つの他の細菌株を含むか又はそれらからなる。「少なくとも」1つの他の細菌株とは、1つ以上、特に1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの株を意味する。
一態様において、本発明に従う細菌株は、以下のラクトコッカス(Lactoccocus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、連鎖球菌(Streptococcus)属、アエロコッカス(Aerococcus)属、カーノバクテリウム(Carnobactrerium)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、オエノコッカス(Oenococcus)属、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属、テトラジェノコッカス(Tetragenococcus)属、バゴコッカス(Vagococcus)属、ワイセラ(Weissella)属及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属のいずれかに由来する。
一実施形態において、本発明の細菌組成物は、本発明の少なくとも1つの細菌株並びにラクトコッカス(Lactoccocus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、連鎖球菌(Streptococcus)属、アエロコッカス(Aerococcus)属、カーノバクテリウム(Carnobactrerium)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、オエノコッカス(Oenococcus)属、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属、テトラジェノコッカス(Tetragenococcus)属、バゴコッカス(Vagococcus)属、ワイセラ(Weissella)属及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属からなる群から選択される種の1つ以上の更なる細菌を含むか又はそれからなる。
一実施形態において、本発明の細菌組成物は、本発明の少なくとも1つの細菌株並びにラクトコッカス(Lactococcus)属種、連鎖球菌(Streptococcus)属種、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)が挙げられるラクトバチルス(Lactobacillus)属種、エンテロコッカス(Enterococcus)属種、ペディオコッカス(Pediococcus)属種、リューコノストック(Leuconostoc)属種、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種及びオエノコッカス(Oenococcus)属種又はそれらのあらゆる組合せからなる群から選択される種の1つ以上の更なる細菌を含むか又はそれらからなる。
一実施形態において、本発明の細菌組成物は、本発明の少なくとも1つの細菌株及び連鎖球菌(Streptococcus)属種の1つ以上の更なる細菌を含むか又はそれらからなる。
ラクトコッカス(Lactococcus)属種として、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)が挙げられ、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種クレモリス(cremoris)及びラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)biovar.ジアセチラクティス(diacetylactis)が挙げられる。ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種として、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、特にビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)亜種lactisが挙げられる。他の乳酸菌種として、ロイコノストック(Leuconostoc)属種、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・デルブリュッキイ(Lactobacillus delbrueckii)亜種bulgaricus及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)が挙げられる。
本明細書中で定義されるあらゆる細菌組成物の特定の実施形態において、純粋培養体又は混合培養体のいずれかとして、細菌組成物は、少なくとも1つのプロバイオティック株、例えばビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)亜種ラクティス(lactis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)又はラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)を更に含む。
特定の態様において、細菌組成物は、先で定義される純粋培養体又は混合培養体のいずれかとして、凍結、乾燥、凍結乾燥、液体若しくは固体フォーマット、ペレット若しくは凍結ペレットの形態又は粉末若しくは乾燥粉末である。特定の態様において、本発明の細菌組成物は、特に1つ以上のボックス又はサシェ中に含有されている、凍結フォーマット又はペレット若しくは凍結ペレットの形態である。別の態様において、本明細書中で定義される細菌組成物は、特に1つ以上のボックス又はサシェ中に含有されている粉末形態、例えば乾燥粉末又は凍結乾燥粉末である。
特定の態様において、本発明の細菌組成物は、先で定義される純粋培養体又は混合培養体のいずれかとして、且つフォーマット(凍結、乾燥、凍結乾燥、液体若しくは固体フォーマット、ペレット若しくは凍結ペレットの形態又は粉末若しくは乾燥粉末)が何であれ、本発明の細菌株を、細菌組成物の1グラムあたり10~1012cfu(コロニー形成単位)の範囲内に含まれる濃度で含む。特定の態様において、本発明の細菌組成物内の細菌株の濃度は、細菌組成物の1グラムあたり10~1012cfuの範囲内、特に少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010又は少なくとも1011CFU/細菌組成物gである。特定の態様において、凍結濃縮物又は乾燥濃縮物の形態である場合、細菌組成物内の(純粋培養体又は混合培養体としての)本発明の細菌株の濃度は、10~1012cfu/凍結濃縮物又は乾燥濃縮物gの範囲内、より好ましくは少なくとも10、少なくとも10、少なくとも1010、少なくとも1011又は少なくとも1012cfu/凍結濃縮物又は乾燥濃縮物gである。
一態様において、本発明に従う細菌組成物は、スターター培養体である。多くの発酵乳、チーズ及びバター製品の製造に用いられるスターター培養体として、通常乳酸菌として分類される細菌の培養体が挙げられる。そのような細菌スターター培養体は、特定の特徴を、いくつかの機能を実行することによって種々の乳製品に与える。
細菌の市販の非濃縮培養体は、業界において「母培養体」と称され、生産場所、例えば乳業会社において発酵のための食用の出発材料、例えば乳に加えられる前に増殖される。
スターター培養体は、いくつかの細菌株を含み得、すなわち定義された混合培養体であり得る。したがって、スターター培養体は、本発明の細菌株及び更なる細菌株を含み得る。
例えば、スターター培養体は、乳業界での使用に適し得る。乳業界で用いられる場合、スターター培養体は、乳酸菌種、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属種、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属種及び/又はプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属種を追加的に含み得る。乳酸菌の培養体は、一般的に、発酵乳製品(バターミルク、ヨーグルト又はサワークリーム等)の製造並びにバター及びチーズ、例えばBrie又はHarvatiの製造に用いられる。
適切な乳酸菌として、ラクトコッカス(Lactococcus)属種、連鎖球菌(Streptococcus)属種、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)が挙げられるラクトバチルス(Lactobacillus)属種、エンテロコッカス(Enterococcus)属種、ペディオコッカス(Pediococcus)属種、リューコノストック(Leuconostoc)属種及びオエノコッカス(Oenococcus)属種又はそれらの組合せの一般的に用いられる株が挙げられる。
ラクトコッカス(Lactococcus)属種として、広く用いられているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)が挙げられ、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)biovar.ジアセチラクティス(diacetylactis)及びラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種クレモリス(cremoris)が挙げられる。
他の乳酸菌種として、ロイコノストック(Leuconostoc)属種、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・デルブリュッキイ(Lactobacillus delbrueckii)亜種bulgaricus及びラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)が挙げられる。乳酸菌の中温菌培養体は、バターミルク、ヨーグルト又はサワークリーム等の発酵乳製品の製造並びにバター及びチーズ、例えばBrie又はHarvatiの製造に一般的に用いられる。加えて、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)等のプロバイオティック株は、前記製造中、風味を増強するか又は健康を促進するために加えられ得る。
チェダーチーズ及びモンテレージャックチーズの製造に一般的に用いられる乳酸菌の培養体として、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)及びラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種クレモリス(cremoris)又はそれらの組合せが挙げられる。
パスタフィラータ又はパルメザン等のイタリアンチーズの製造に一般的に用いられる乳酸菌の好熱培養体として、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブリュッキイ(Lactobacillus delbrueckii)亜種bulgaricusが挙げられる。他のラクトバチルス(Lactobacillus)属種(ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)等)は、所望の風味を得るために製造中に加えられ得る。本発明のスターター培養体についての生物の選択は、調製且つ処理される特定のタイプの生成物に依存する。そのため、例えばチーズ及びバターの製造には、ラクトコッカス(Lactococcus)属種、リューコノストック(Leuconostoc)属種及びラクトバチルス(Lactobacillus)属種の中温培養体が広く用いられるが、ヨーグルト及び他の発酵乳製品には、連鎖球菌(Streptococcus)属種及びラクトバチルス(Lactobacillus)属種の好熱株が典型的に用いられる。
スターター培養体は、米国特許第4,621,058号明細書に開示されるもの等、当技術分野で周知の技術によって調製され得る。一例として、スターター培養体は、植菌原、例えば細菌を増殖培地に導入して、植菌された培地を生成して、植菌された培地を熟成させてスターター培養体を生成することによって調製され得る。
乾燥スターター培養体は、米国特許第4,423,079号明細書及び米国特許第4,140,800号明細書において考察されるもの等、当技術分野で周知の技術によって調製され得る。
製品
本発明の細菌又は細菌組成物から調製されるか、それを含有するか又はそれを含むあらゆる製品が本発明に従って意図される。適切な製品として、以下に限定されないが、食品又は飼料製品が挙げられる。
これらとして、以下に限定されないが、果物、豆類、飼料作物及び野菜が挙げられ、派生製品、穀物及び穀物由来製品、乳食品及び乳食品由来製品、肉、鳥肉並びに海産食品が挙げられる。好ましくは、食品又は飼料製品は、乳製品、肉製品又は禾穀類製品である。
用語「食品」は、広義に用いられており、飼料、食材、食物成分、食物補助食品及び機能性食品が挙げられる。本明細書では、用語「食品」は、広義に用いられており、ヒトのための食品及び動物のための食品(すなわち飼料)を包含する。好ましい態様において、食品は、ヒト食用である。
本明細書中で用いられる用語「食物成分」は、製剤を含み、これは、食品に加えられるか又は加えることができ、例えば酸性化又は乳化を必要とする多種多様な製品に低いレベルで用いることができる製剤が挙げられる。
本明細書中で用いられる用語「機能性食品」は、栄養学的効果及び/又は味覚の満足感を提供することができるだけでなく、消費者に更なる有益な効果を届けることもできる食品を意味する。機能性食品の法的な定義は、存在しないが、この分野において関心があるほとんどの団体は、特定の健康効果を有するものとして市販されている食品が存在することに同意している。
本発明の細菌株又は細菌組成物は、食物成分、食物補助食品又は機能性食品であり得るか又はそれに加えられ得る。
食品は、用途、及び/又は使用モード、及び/又は投与モードに応じて溶液の形態又は固体としてのものであり得る。
本発明の細菌株又は細菌組成物は、食品、例えば菓子製品、乳製品、肉製品、鳥肉製品、魚製品及びベーカリー製品の1つ以上の調製に用いることができる。
一例として、細菌株又は細菌組成物は、ソフトドリンク、フルーツジュース又はホエータンパク質を含む飲料、茶、ココア飲料、乳飲料及び乳酸菌飲料、ヨーグルト、飲用ヨーグルト及びワインを調製する成分として用いることができる。
好ましくは、本明細書中に記載される食品は、乳製品である。より好ましくは、本明細書中に記載される乳製品は、以下の1つ以上である:ヨーグルト、チーズ(酸凝乳チーズ、ハードチーズ、セミハードチーズ、カッテージチーズ等)、バターミルク、クワルク、サワークリーム、ケフィア、発酵ホエーベースの飲料、クミス、乳飲料、ヨーグルト飲料、発酵乳、マチュアクリーム、チーズ、フロマージュフレ、乳、乳製品リテンテート、プロセスチーズ、クリームデザート又は乳児用ミルク。
好ましくは、本明細書中に記載される食品は、発酵食品である。より好ましくは、本明細書中に記載される食品は、発酵乳製品、例えば発酵乳、ヨーグルト、クリーム、熟成クリーム、チーズ、フロマージュフレ、乳飲料、プロセスチーズ、クリームデザート、カッテージチーズ、ヨーグルト飲料、乳製品リテンテート又は乳児用ミルクである。好ましくは、本発明に従う乳製品は、動物起源及び/又は植物起源の乳を含む。
乳は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、バッファロー、シマウマ、ウマ、ロバ又はラクダ等の動物起源のものを意味することが理解される。乳という用語は、植物性ミルクと一般的に呼ばれているもの、すなわち処理された植物材料又はそうでなければ例えばマメ科植物(ダイズ、ヒヨコマメ、レンズマメ等)又は油糧種子(ナタネ、ダイズ、ゴマ、ワタ等)の抽出液にも当てはまり、その抽出液は、溶液中又はコロイド懸濁液中にタンパク質を含有し、そのタンパク質は、化学作用、酸発酵及び/又は熱によって凝固可能である。乳という文言は、動物性ミルク及び植物性ミルクの混合液も表す。
乳は、天然の状態の乳、還元乳、脱脂乳又は細菌の増殖若しくは発酵乳の以降のプロセシングに必須の化合物(例えば、脂肪、酵母抽出物のタンパク質、ペプトン及び/又は界面活性剤)が補充された乳であり得る。
一実施形態において、用語「乳」は、10分±1分間の90℃±0.2℃での加熱によって低温殺菌した3%(w/w)の半脱脂粉乳を補充した市販のUHT乳を意味する。
更なる態様において、発酵製品を製造する方法であって、a)基質に、本発明に従う細菌株又は本発明に従う細菌組成物を植菌することと、b)植菌された基質を発酵させて、発酵製品を得ることとを含む方法が提供される。特定の実施形態において、本発明の細菌株は、本発明に従う細菌組成物、例えば純粋培養体又は混合培養体として植菌される。好ましくは、基質は、乳基質、より好ましくは乳である。「乳基質」とは、動物起源及び/又は植物起源の乳を意味する。特定の実施形態において、乳基質は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、バッファロー、シマウマ、ウマ、ロバ又はラクダ等の動物起源のものである。乳は、天然の状態、還元乳、脱脂乳又は細菌の増殖若しくは発酵乳の以降のプロセシングに必須の化合物が補充された乳であり得る。好ましくは、乳基質は、固体の品目を含む。好ましくは、固体の品目は、果物、チョコレート製品又は禾穀類を含むか又はそれからなる。好ましくは、発酵製品は、発酵乳製品である。
本発明は、更なる態様において、食品又は飼料製品、好ましくは発酵食品、より好ましくは発酵乳製品を製造するための、本発明に従う細菌株又は細菌組成物の使用も提供する。本発明は、本発明の細菌株又は細菌組成物を用いて得られる、特に本発明の方法によって得られるか又は得ることができる発酵乳製品にも関する。そのため、本発明は、本発明の細菌株又は細菌組成物を含む発酵乳製品に関する。
特定の実施形態において、本発明の発酵乳食品は、フレッシュな発酵乳である。
少なくとも1つのファージに対する低減された感受性を有する細菌株の調製
一態様において、本発明は、バクテリオファージ(少なくとも1つのP335様ファージ等)に対する細菌株の耐性を増大させる(例えば、付与するか又は増大させる)方法であって、自己分解酵素の活性及び又は発現を低下させることにより、前記細菌株を修飾することを含む方法を提供する。
適切には、前記細菌株は、商業的に許容可能な乳酸性化動力学を維持し得る。適切には、前記株は、食品/飼料生産、特に発酵乳製品等の発酵製品の生産に用いられる。
一態様において、本発明は、少なくとも1つのバクテリオファージ耐性変異型株(少なくとも1つのP335様ファージに対する耐性等)を調製する方法であって、親細菌株を修飾して、自己分解酵素の活性及び又は発現を低下させることを含む方法を提供する。
適切には、前記細菌株は、商業的に許容可能な乳酸性化動力学を維持し得る。適切には、前記株は、食品/飼料生産、特に発酵乳製品等の発酵製品の生産に用いられる。
一態様において、本発明に従う方法は、
a)少なくとも1つのバクテリオファージ(P335様ファージ等)に対して感受性の細菌株(ラクトコッカス(Lactococcus)属の株等)を提供することと;
b)前記細菌株を修飾して、自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減することと;
c)少なくとも1つのバクテリオファージ(P335様ファージ等)に対する低減された感受性を有する株を回収することと
を含み、任意選択的に、少なくとも1つのバクテリオファージ(例えばP335様ファージ)に対する感受性は、EOPアッセイIによって判定される。
一例として、本方法は、以下を含み得る:
・自己分解酵素タンパク質、例えば配列番号2として示されるアミノ酸配列又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性(好ましくは、それに対して少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも98%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくは配列番号2の相同体を含むタンパク質をコードする核酸配列内に変異を与えること;
・自己分解酵素タンパク質、例えば配列番号2として示されるアミノ酸配列又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性(好ましくはそれに対して少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも98%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくは配列番号2の相同体を含むタンパク質をコードする核酸配列のプロモーター内に変異を与えること;
・自己分解酵素遺伝子、例えば配列番号1又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性(好ましくはそれに対して少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも98%の配列同一性)を有するヌクレオチド配列若しくは配列番号1の相同体を含む遺伝子の核酸配列内に変異を与えること;
・自己分解酵素遺伝子、例えば配列番号1又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性(好ましくはそれに対して少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも98%の配列同一性)を有するヌクレオチド配列若しくは配列番号1の相同体を含む遺伝子の核酸配列のプロモーター内に変異を与えること;
・自己分解酵素タンパク質、例えば配列番号2として示されるアミノ酸配列又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性(好ましくはそれに対して少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも98%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくは配列番号2の相同体を含むタンパク質をコードする核酸配列のレベルを低減するアンチセンスRNA、siRNA又はmiRNAを提供すること;
・自己分解酵素核酸配列、例えば配列番号1として示されるヌクレオチド配列又はそれに対して少なくとも80%の配列同一性(好ましくはそれに対して少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも98%の配列同一性)を有するヌクレオチド配列若しくは配列番号1の相同体を含む自己分解酵素遺伝子のレベルを低減するアンチセンスRNA、siRNA又はmiRNAを提供すること。
一実施形態において、本発明に従う細菌株は、自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減するように修飾されている。一態様において、修飾は、自己分解酵素をファージ感染に関して部分的に又は完全に機能不全にし得る。
一態様において、修飾は、終止コドン、挿入、欠失又は変異である。換言すると、細菌株は、自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減する終止コドン、挿入、欠失又は変異を導入するように修飾されている。
一態様において、修飾は、前記自己分解酵素をコードする核酸配列中又は前記自己分解酵素の発現の制御に寄与する調節領域(プロモーター、オペロン又はエンハンサー等)中に導入されている。換言すると、自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減する修飾(例えば、変異、終止コドン、挿入又は欠失)は、コード領域又は調節領域中に導入されている。
更なる態様において、本発明は、本発明の方法によって得ることができるか又は得られる細菌に関する。
配列同一性
本明細書中で言及される特定のアミノ酸配列及びポリヌクレオチドに加えて、本発明は、その変異体、相同体、誘導体及び断片を包含する。
用語「変異体」は、野生型配列と異なる、天然に存在するヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を意味するために用いられる。
用語「相同体」は、対象ヌクレオチド配列と特定の相同性を有する実体を意味する。ここで、用語「相同性」は、「同一性」と同じであると見なすことができる。
これに関連して、相同配列は、対象配列と少なくとも80、85又は90%同一、好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一であり得るアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を含むと解釈される。典型的には、相同体は、例えば、対象アミノ酸配列と同じ活性部位等を含む。相同性は、類似性(すなわち類似の化学的特性/機能を有するアミノ酸残基)の観点から考慮することもできるが、本発明に関連して配列同一性の観点から相同性を表現することが好ましい。
一態様において、自己分解酵素遺伝子の相同配列は、配列番号1及びYjdBドメインと少なくとも80%同一であるヌクレオチド配列を含み得る。一態様において、自己分解酵素遺伝子の相同配列は、配列番号1、YjdBドメイン及びGH25ドメインと少なくとも80%同一であるヌクレオチド配列を含み得る。
一態様において、自己分解酵素タンパク質の相同配列は、配列番号2及びYjdBドメインと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み得る。一態様において、自己分解酵素タンパク質の相同配列は、配列番号2、YjdBドメイン及びGH25ドメインと少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
一態様において、相同配列は、対象配列と比較して1つ又はいくつかの付加、欠失及び/又は置換を有するアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を含むと解釈される。
相同性の比較は、目視によって又はより一般的には容易に利用可能な配列比較プログラムを使用して行うことができる。この市販のコンピュータプログラムは、2つ以上の配列間の相同性%を算出することができる。
相同性%は、連続配列の全体にわたって算出され得、すなわち一方の配列を他方の配列とアラインして、一方の配列内の各アミノ酸を他方の配列内の対応するアミノ酸と1回1残基、直接比較する。これは、「ギャップなし」アラインメントと呼ばれる。典型的には、そのようなギャップなしアラインメントは、比較的少数の残基の全体にわたってのみ実行される。
これは、非常に簡易且つ一貫した方法であるが、例えば配列の通常同一の対において、ある挿入又は欠失により、後続のアミノ酸残基がアラインメントから外されることを考慮し得ないため、グローバルアラインメントを実施する場合に相同性%の大きい低減を潜在的にもたらす。結果的に、ほとんどの配列比較法は、相同性スコア全体を過度にペナルティ化せずに、考えられる挿入及び欠失を考慮する最適なアラインメントを作成するように設計される。これは、配列アラインメント内に「ギャップ」を挿入して、局所相同性の最大化を試みることによって達成される。
しかしながら、これらのより複雑な方法は、同数の同一アミノ酸について、可能な限り少ないギャップを有する配列アラインメント(2つの比較配列間のより高い関係性を反映する)が、多くのギャップを有するものよりも高いスコアを達成するように、そのアラインメント内で生じる各ギャップに「ギャップペナルティ」を割り当てる。典型的には、あるギャップの存在に比較的高いコストを、且つそのギャップ内の後続の残基毎により小さいペナルティを課す「アファインギャップコスト」が用いられる。これは、最も一般的に用いられるギャップスコアリングシステムである。高いギャップペナルティは、当然のことながら、ギャップがより少ない最適化されたアラインメントを生成する。ほとんどのアラインメントプログラムは、ギャップペナルティが変更されることを許容する。しかしながら、配列比較のためにそのようなソフトウェアを用いる場合、デフォルト値を用いることが好ましい。
したがって、最大相同性%又は同一性%の算出は、最初に、ギャップペナルティを考慮して、最適なアラインメントの作成を必要とする。そのようなアラインメントの実行に適したコンピュータプログラムは、Vector NTI(Invitrogen Corp.)である。配列比較を実行し得るソフトウェアの例として、以下に限定されないが、例えばBLASTパッケージ(Ausubel et al.,1999,Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed-Chapter 18を参照されたい)、BLAST2(FEMS Microbiol Lett,1999,174(2):247-50;FEMS Microbiol Lett,1999,177(1):187-8を参照されたい)、FASTA(Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.,403-410)及びAlignXが挙げられる。少なくともBLAST、BLAST2及びFASTAは、例えば、GenomeQuestサーチツール(www.genomequest.com)等においてオフライン及びオンライン検索に利用可能である(Ausubel et al.,1999,pages 7-58~7-60を参照されたい)。
最終相同性%を同一性に関して測定することができるが、アラインメントプロセスそれ自体は、典型的には、オールオアナッシングのペア比較に基づくものではない。代わりに、化学的類似性又は進化的距離に基づいて、各ペアワイズ比較にスコアを割り当てる数値換算類似性スコアマトリックスが一般に用いられる。一般に用いられるそのようなマトリックスの例として、BLOSUM62マトリックス(BLASTプログラムスイートのためのデフォルトマトリックス)がある。Vector NTIプログラムは、一般に、パブリックデフォルト値又は供給されている場合にはカスタムシンボル比較表を用いる(更なる詳細について、ユーザマニュアルを参照されたい)。一部の用途については、Vector NTIパッケージのためのデフォルト値を用いることが好ましい。
代わりに、相同性パーセンテージは、CLUSTAL(Higgins DG&Sharp PM(1988),Gene 73(1),237-244)と類似するアルゴリズムに基づくVector NTI(Invitrogen Corp.)における多重アラインメント特徴を用いて算出され得る。
ソフトウェアが最適なアラインメントを生成すると、相同性%、好ましくは配列同一性%を算出することが可能である。ソフトウェアは、典型的に、それを配列比較の一部として実行して数的結果を生成する。
配列同一性を求める場合、ギャップペナルティが用いられ得る。ペアワイズアラインメントに用いられるパラメータの例は、以下の通りである。
Figure 2023553288000004
Figure 2023553288000005
一実施形態において、ギャップペナルティ及びギャップエクステンションが先の定義の通り設定されたCLUSTALを用いることができる。
適切には、ヌクレオチド配列に関する同一性の程度は、少なくとも20個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも30個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも40個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも50個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも60個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも100個の連続ヌクレオチドの全体にわたって求められる。
適切には、ヌクレオチド配列に関する同一性の程度は、少なくとも100個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも200個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも300個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも400個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも500個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも600個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも700個の連続ヌクレオチドの全体、好ましくは少なくとも800個の連続ヌクレオチドの全体にわたって求められる。
好ましくは、ヌクレオチド配列に関する同一性の程度は、配列全体、例えば本明細書中で開示される配列番号2又は配列番号1の全体にわたって求められ得る。適切には、タンパク質(アミノ酸)配列に関する同一性の程度は、少なくとも100個の連続アミノ酸の全体、好ましくは少なくとも200個の連続アミノ酸の全体、好ましくは少なくとも300個の連続アミノ酸の全体にわたって求められる。
好ましくは、アミノ酸又はタンパク質配列に関する同一性の程度は、本明細書中で教示される配列全体、例えば本明細書中で開示される配列番号2又は配列番号1の全体にわたって求められ得る。
これに関連して、用語「クエリー配列」は、それが本発明の範囲内に入るかを把握するために対象配列とアラインされる相同配列又は外来配列を意味する。したがって、そのようなクエリー配列は、例えば、先行技術配列又は第3のパーティ配列であり得る。
好ましい一実施形態において、配列は、グローバルアラインメントプログラムによってアラインされて、配列同一性は、プログラムによって特定される正確なマッチの数を特定することにより、対象配列の長さで割って算出される。
一実施形態において、クエリー配列と対象配列間の配列同一性の程度は、1)デフォルトスコアリング行列及びデフォルトギャップペナルティを用いて適切なあらゆるアラインメントプログラムによって2つの配列をアラインし、2)正確なマッチの数を特定し(正確なマッチは、アラインメントプログラムがアラインメント内の所与の位置上の2つのアラインされる配列内の同一のアミノ酸又はヌクレオチドを特定した場合である)、且つ3)対象配列長との正確なマッチの数を割ることによって求められる。
更に好ましい実施形態において、グローバルアラインメントプログラムは、CLUSTAL及びBLAST(好ましくはBLAST)からなる群から選択されて、配列同一性は、プログラムによって特定される正確なマッチの数を特定することにより、対象配列の長さで割って算出される。
配列は、サイレント変化をもたらし、且つ機能的に等しい物質をもたらすアミノ酸残基の欠失、挿入又は置換を有し得る。物質の二次的結合活性が保持される限り、意図的なアミノ酸置換は、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性の性質の類似性に基づいてなされ得る。例えば、負荷電アミノ酸として、アスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられ;正荷電アミノ酸として、リシン及びアルギニンが挙げられ;類似の親水性値を有する非荷電極性頭部基を有するアミノ酸として、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン及びチロシンが挙げられる。
保存的置換は、例えば、以下の表に従ってなされ得る。第2列の同じブロック内の、好ましくは、第3列の同じ行内のアミノ酸を互いに置換することができる。
Figure 2023553288000006
本発明は、起こり得る相同置換(置換及び置き換えは、本明細書中において、両方とも既存のアミノ酸残基を代替の残基と交換することを意味するために用いられる)、すなわち塩基性のものと塩基性のもの、酸性のものと酸性のもの、極性のものと極性のもの等の同種置換も包含する。非相同置換は、すなわち、あるクラスの残基から別のクラスの残基に起こり得るか、又は代わりにオルニチン(以降、Zと称する)、ジアミノ酪酸オルニチン(以降、Bと称する)、ノルロイシンオルニチン(以降、Oと称する)、ピリジルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン及びフェニルグリシン等の非天然アミノ酸の包含を伴う。
置換は、合成アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸)によってもなされ得、これとして、アルファ及びアルファ二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、天然アミノ酸のハロゲン化物誘導体、例えばトリフルオロチロシン、p-Cl-フェニルアラニン、p-Br-フェニルアラニン、p-I-フェニルアラニン、L-アリル-グリシン、β-アラニン、L-α-アミノ酪酸、L-γ-アミノ酪酸、L-α-アミノイソ酪酸、L-ε-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、L-メチオニンスルホン#*、L-ノルロイシン、L-ノルバリン、p-ニトロ-L-フェニルアラニン、L-ヒドロキシプロリン、L-チオプロリン、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体、例えば4-メチル-Phe、ペンタメチル-Phe、L-Phe(4-アミノ)、L-Tyr(メチル)、L-Phe(4-イソプロピル)、L-Tic(1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)、L-ジアミノプロピオン酸及びL-Phe(4-ベンジル)が挙げられる。記号は、誘導体の疎水性を示すために先の考察の目的(相同又は非相同置換に関する)で利用されている一方、#は、誘導体の親水性を示すために利用されており、#は、両親媒性の特徴を示す。
変異型アミノ酸配列は、配列の任意の2つのアミノ酸残基間に挿入され得る適切なスペーサー基を含み得、例として、アミノ酸スペーサー、例えばグリシン又はβ-アラニン残基に加えて、アルキル基、例えばメチル基、エチル基又はプロピル基が挙げられる。変異の更なる形態は、ペプトイド形態の1つ以上のアミノ酸残基の存在を含み、当業者であれば十分に理解されるであろう。疑義を回避するため、「ペプトイド形態」は、α炭素置換基が、α炭素ではなく、残基の窒素原子上に存在する変異型アミノ酸残基を指すために用いられる。ペプトイド形態のペプチドを調製するプロセスは、当技術分野で知られており、例えばSimon RJ et al.,PNAS(1992)89(20),9367-9371及びHorwell DC,Trends Biotechnol.(1995)13(4),132-134がある。
本発明に用いられるヌクレオチド配列は、その中に合成又は修飾ヌクレオチドを含み得る。オリゴヌクレオチドに対するいくつかの異なるタイプの修飾が当技術分野で知られている。これらとして、メチルホスホナート骨格及びホスホロチオアート骨格並びに/又は分子の3’末端及び/若しくは5’末端でのアクリジン鎖若しくはポリリジン鎖の付加が挙げられる。本発明の目的のため、本明細書中に記載されるヌクレオチド配列は、当技術分野で利用可能なあらゆる方法によって修飾され得ることが理解されるべきである。そのような修飾は、本発明のヌクレオチド配列のインビボ活性又は寿命を増強するように実行され得る。
本発明は、本明細書中に提示される配列に対して相補的なヌクレオチド配列の使用も包含する。
本明細書中に記載される配列の他の変異体は、例えば、広範な個体、例えば様々な集団由来の個体から作製されたDNAライブラリーをプロービングすることによって得ることができる。加えて、他の相同体を得ることができ、そのような相同体及びその断片は、一般に、本明細書中の配列表に示される配列に選択的にハイブリダイズし得る。そのような配列は、他の動物種から作製されたcDNAライブラリー又は他の動物種由来のゲノムDNAライブラリーをプロービングして、そのようなライブラリーを、添付の配列表の配列のいずれか1つの全て又は一部を含むプローブにより、中~高ストリンジェンシーの条件下でプロービングすることによって得ることができる。類似の考えは、本発明のポリペプチド配列又はヌクレオチド配列の種相同体及び対立遺伝子変異体を得ることにも当てはまる。
変異体及び株/種相同体は、本発明の配列内の保存アミノ酸配列をコードする変異体及び相同体内の配列を標的とするように設計されたプライマーを用いる縮重PCRを用いて得ることもできる。保存配列は、例えば、いくつかの変異体/相同体由来のアミノ酸配列をアラインすることによって予測することができる。配列アラインメントは、当技術分野で知られているコンピュータソフトウエアを用いて実行することができる。例えば、GCG Wisconsin PileUpプログラムが広く用いられている。
縮重PCRに用いられるプライマーは、1つ以上の縮重位置を含有し、既知の配列に対する単一配列プライマーによる配列のクローニングに用いられるものよりも低いストリンジェンシー条件で用いられる。
代わりに、そのようなポリヌクレオチドは、特徴付けされた配列の部位特異的変異誘発によって得ることができる。これは、例えば、ポリヌクレオチド配列が発現される特定の宿主細胞についてのコドン選好性を最適化するためにサイレントコドン配列変化が要求される場合に有用であり得る。制限酵素認識部位を導入するか、又はポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの特性若しくは機能を変更するような他の配列変化が望まれることがある。
アミノ酸ナンバリング
本発明において、本発明に用いられる配列内のアミノ酸残基位置の特定のナンバリングが使用され得る。候補自己分解酵素のアミノ酸配列の、配列番号2に定義される自己分解酵素とのアラインメントにより、本発明の配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基位置又はナンバリングと対応する前記候補自己分解酵素内のアミノ酸残基位置に番号を割り当てることが可能である。
本出願で用いられるアミノ酸ナンバリングを説明する別の方法は、アミノ酸位置が、配列番号2に示されるアミノ酸配列内の特定の位置に「対応する」アミノ酸位置によって特定されると言うものである。当業者であれば、自己分解酵素配列が様々な細菌株間で異なることを容易に認識するであろう。配列番号2に示されるアミノ酸配列への言及は、単に特定のあらゆる自己分解酵素タンパク質内の特定のアミノ酸位置の特定を可能にするために用いられる。そのようなアミノ酸位置は、その使用が当技術分野で周知である配列アラインメントプログラムを用いてルーチン的に特定することができる。
一般的な組換えDNA方法論の技術
本発明は、特に示されない限り、当業者の能力の範囲内である生化学、分子生物学、微生物学及び組換えDNAの従来技術を使用する。そのような技術は、文献中に説明されている。例えば、J.Sambrook,E.F.Fritsch,and T.Maniatis,1989,MolecularCloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Books1-3,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,F.M.et al.(1995 and periodic supplements;Current Protocols in Molecular Biology,ch.9,13,and 16,John Wiley&Sons,New,York,N.Y.);B.Roe,J.Crabtree,and A.Kahn,1996,DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques,John Wiley&Sons;M.J.Gait(Editor),1984,Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,Irl Press;及びD.M.J.Lilley and J.E.Dahlberg,1992,Methods of Enzymology:DNA Structure Part A:Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology,Academic Pressを参照されたい。これらの一般的なテキストは、それぞれ参照によって本明細書に組み込まれる。
ここで、本発明を実施例によって更に説明する。実施例は、本発明を実行する際に当業者を補助するのに役立つはずであり、決して本発明の範囲を限定することを意図されない。
バクテリオファージ感受性をアッセイする方法
先に記載されるように、本発明に従う修飾又は候補自己分解酵素対立遺伝子によって付与されるバクテリオファージに対する耐性(又は感受性)を判定する一方法は、ファージに対して感受性の細菌株(P335様ファージ、例えばD6867等)(参照株)及び本発明の候補修飾又は自己分解酵素対立遺伝子が挿入されている対応する誘導細菌株(誘導株)の両方の耐性を判定するものである。そのため、本発明の修飾又は候補自己分解酵素対立遺伝子によって付与されるバクテリオファージに対する耐性(又は感受性)は、参照株及び対応する誘導細菌株の両方の耐性を判定することによって判定することができる。2つの細菌株のバクテリオファージ耐性は、適切なバクテリオファージ(P335様ファージ、例えばD6867等)又はバクテリオファージのパネルを用いて、プラーク形成効率(EOP)を、プラーク形成アッセイの標準的な効率又は本明細書中に記載されるプラーク形成効率アッセイIにより算出することによって判定することができる。上述のプロトコールは、相同体等の本発明の候補自己分解酵素遺伝子の有無に関してスクリーニングするために用いることもできる。
分子生物学における従来の技術を用いる、バクテリオファージ(P335様ファージ、例えばD6867等)に対して感受性の細菌株の自己分解酵素遺伝子の代わりの、本発明の修飾又は候補自己分解酵素対立遺伝子の導入は、当業者の能力の範囲内である。一般的に言えば、適切な常法として、注目する適切な遺伝子又はポリヌクレオチドの、天然の遺伝子配列への相同組換えを介した特異的変異誘発又は置換が挙げられる。先で詳述されるように、標準的なプラーク形成効率アッセイ又は本明細書中に記載されるプラーク形成効率アッセイIを用いて、本発明の細菌株のバクテリオファージ耐性(又は感受性)を判定することもできる。本発明の細菌株のバクテリオファージ感受性は、自己分解酵素遺伝子の代わりに本発明の修飾、候補自己分解酵素対立遺伝子又はポリヌクレオチドを含まない対応する細菌株(参照株)と比較して判定することができる。
プラーク形成効率アッセイI
感染性ファージ粒子の数え方は、Kropinski et al.2009によって記載される、本明細書中で「プラーク形成効率アッセイI」の名の二重アガーオーバレイプラークアッセイを用いて実行される。この方法は、ソフトアガー栄養培地において表面上に増殖する細菌のローンに感染させることからなる。ファージによる感染により、細菌が死滅しているか又は増殖していない領域に対応する、局在化されたクリア又は半透明である、プラークと称されるゾーンが生じる。そのため、感染性ファージ単位は、プラーク形成単位(pfu)と称される。このアッセイを用いたファージの数え方は、1プレートあたり最大30~300pfuを必要とするため、ファージ懸濁液は、希釈を必要とする場合がある。この目的のために、一次ファージ懸濁液は、5g/Lラクトース(v/v)を含有する10mLのM17培地中で10倍段階希釈される。プラーク形成効率アッセイIは、以下の工程を含む:
i.5g/Lのラクトース(v/v)を含有するM17培地中で試験される各株を37℃で一晩前培養する工程;
ii.各前培養体を別々に用いて、5g/Lのラクトース、10mMのCaCl及び5g/L(w/v)のアガーを含有する5mLの溶融M17-CaClソフトアガー培地(水浴中で47℃において維持されている)中1%(v/v)において播種する工程;
iii.試験される100μLのファージ希釈液を、播種された各培地に加える工程;
iv.混合後、各混合液を、5g/Lのラクトース、10mMのCaCl及び15g/L(w/v)のアガーを含有するM17-CaCl固体アガー培地の表面上に注ぐ工程;
v.オーバレイの固化後、逆さにしたプレートを37℃で48時間インキュベートする工程;及び
vi.(30~300プラークを示すプレート上の)プラークを数え上げる工程。
プラーク形成効率(EOP)を算出するために、病原性ファージの力価を:プラークの数×10×希釈率の逆数として算出してpfu/mLで表し、細菌株上のファージのEOPを株上のファージの力価として参照株上のファージの力価によって割って算出し、参照株のEOPを1として固定する。
したがって、試験されたバクテリオファージに対して感受性である細菌株のEOPは、1である(すなわち宿主株に付着する全ての粒子が株上にプラークを形成することができる)。例えば、D6867ファージによるラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699のEOPは、1である。
試験されるバクテリオファージに対する部分的感受性低減(又は部分的耐性)を示す細菌株は、参照株と比較して、少なくとも4対数、適切には少なくとも5対数のEOP低減によって特徴付けられる。一実施形態において、試験されたバクテリオファージに対する部分的感受性低減を示す細菌株は、参照株と比較して、EOPが10-4未満、適切には10-5未満である。
試験されるバクテリオファージに対して完全な感受性低減を有する(又は耐性である)細菌株は、参照株と比較して、少なくとも6対数(好ましくはアッセイの検出レベル下の、適切には少なくとも7対数、適切には少なくとも8対数)のEOP低減によって特徴付けられる。一態様において、試験されるバクテリオファージに対して耐性である細菌株は、参照株と比較して、EOPが10-6未満(適切には10-7未満、適切には10-8未満)である。好ましい態様において、試験されるバクテリオファージに対して耐性である細菌株は、0のEOP(検出レベル未満、検出不能とも称される)を実現する。
EOPアッセイIによる「ファージに対する感受性の低減」とは、少なくとも4対数のEOP低減を意味する。一実施形態において、EOP低減は、少なくとも5対数である。一実施形態において、EOP低減は、少なくとも6対数の低減である。一実施形態において、EOP低減は、少なくとも7対数の低減である。一実施形態において、EOP低減は、少なくとも8対数の低減である。一実施形態において、修飾又は自己分解酵素対立遺伝子は、EOP低減が、少なくとも4対数、少なくとも5対数、少なくとも6対数、少なくとも7対数及び少なくとも8対数のEOP低減からなる群から選択される場合、本発明に従う修飾又は自己分解酵素対立遺伝子であると考えられ、ファージに対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される。
そのため、候補修飾又は自己分解酵素対立遺伝子は、前記候補自己分解酵素対立遺伝子が、少なくとも4対数のラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株のファージ(P335様ファージ等)に対する感受性を低減する場合、本発明に従う自己分解酵素対立遺伝子であると考えられ、前記誘導株は、本発明に従う修飾又は自己分解酵素R対立遺伝子が導入されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージ(P335様ファージ等)に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって(すなわちラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株と比較して)判定される。
一態様において、表現「感受性を低減する」又は「EOPを低減する」は、先のアッセイIに従い、すなわち誘導株上のファージのEOPを判定して、候補修飾又は候補自己分解酵素対立遺伝子を含まない親株上での同じファージDT1のEOPと比較することによって定義される。
緒言
ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12852(DGCC12852)を、親株SL12699(DGCC12699)及びP335様ファージD6867を用いるファージチャレンジを介して作出した。SL12852は、D6867に対するバクテリオファージ非感受性ミュータント(BIM)であり、SL12699と等しく酸性になる。SL12852におけるファージ耐性を担う変異は、最初、未知であった。SL12699及びSL12852のゲノムを比較した後、2つの間で差異を見出し、試験により、自己分解酵素遺伝子内の155bp欠失が耐性を担うことを確認した。SL12699由来の野生型自己分解酵素遺伝子をpGhost中にクローニングして(pLysと命名)、SL12852中にエレクトロポレーションした。SL12852+pLys単離体は、D6867に対して感受性となった。更に、その後、これらの12852+pLys単離体のpLysを回復させて(cure)、D6867に対する耐性を獲得し直した。これは、SL12699内に見出される完全な野生型自己分解酵素遺伝子がラクトコッカス(Lactococcus)属における特定のP335様ファージ感染にとって不可欠であることを示唆しており、これは、ファージ耐性と関連することが依然として示されていない遺伝子である。
材料及び方法
DNA単離、配列決定及びバイオインフォマティクス分析
D6867及びD7138の高力価溶解液を、PureLink Viral RNA/DNA Mini Kit(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を用いて精製した。DNAサンプルの濃度を、Invitrogen Qubitを用いて測定した。続いて、各サンプルをゲル上で走らせて、アンプリコンを確認した。サンプルをNanopore配列決定及びゲノムアセンブリのためにUniversity of Illinois Urbana-Champaignに送った。ファージゲノムを、DuPontのCulture Development Genome Database由来の知られているファージ型のゲノムと比較した。比較を、Mauveゲノムアラインメントビューアを用いるGeneious 11.0.5により行った。
SL12699及びSL12852の単離コロニーをM17-Lブロス中で一晩増殖させた。DNA調製を、MasterPure Complete DNA and RNA Purification Kit(Lucigen Corp.,Middleton,WI,USA)を用いて実行した。プロトコールの「細胞サンプル」、「DNAの沈殿」に従った;用いた試薬の量は、10を乗算した。Nanopore及びIllumina配列決定をUniversity of Illinois Urbana-Champaignで行った。SL12699及びSL12852ゲノム比較を、Mauveゲノムアラインメントビューアを用いるGeneious 11.0.5により行った。その後、差異が見出された染色体の領域をサンガー配列決定して、その領域に特異的なプライマーを設計することによって変異を確認/変異の誤りを証明した。SL12852及び他のBIM由来のDNAをFTA(Flinder’s Technology Association)紙上にスポットして、メーカーの指示に従ってクリーニングした。PCRをHFバッファ(New England Biolabs Inc.,Upswich,MA,USA)によるPhusion(登録商標)High-Fidelity PCR Master Mixで実行し;プライマーをIntegrated DNA Technologiesで設計した。PCR産物を、Wizard SV Gel及びPCR Clean-Up System(Promega Corp.,Madison,WI,USA)を用いて配列決定するために調製した。配列決定をEurofins Scientific(Louisville,KY,USA)で実行して、結果を、Geneious 11.0.5のMap to Referenceツールを用いて分析した。
自己分解酵素相補性アッセイ
ミュータントSL12852に野生型自己分解酵素を補完した。最初に、野生型自己分解酵素を、Gibsonアセンブリを用いてpGhost9(表1を参照されたい)中にクローニングした。ベクターpGhost9をプライマーVF-pg9及びVR-pg9と共に線状化した。挿入物をプライマーCloneAutoF及びCloneAutoRによりPhusionポリメラーゼで増幅させた。両方のプライマーは、線状化ベクターの3’末端及び5’末端をそれぞれ補完する約20ntのヌクレオチド伸長を有した。精製アンプリコンを、NEBuilder HiFi DNA Assembly MasterMix(New England Biolabs,Upswich,MA,USA)を用いて、メーカーの指示に従ってアセンブルした。組換えベクターpLysを、TG1RepA内にアセンブルしてから、GeneJET Plasmid Miniprep Kit(Thermo Scientific,USA)を用いてTG1RepAから精製した。L.ラクティス(L.lactis)のエレクトロポレーションを、以前に記載されるように実行した(Holo and Nes,1989 Appl.Environ.Microbiol.55:3119-3123)。形質転換体をプライマーRSF及びGC pG9vFでPCRして、自己分解酵素を含有するpGhost9の存在についてチェックした。
pLysを、エリスロマイシンの不在下で連続3夜37℃において乳中で増殖させることにより、SL12852形質転換体から回復させた。単一のコロニー単離体をエリスロマイシン耐性の消失について試験した。PCRをプライマーRSF及びGC pG9vFにより実行して、プラスミドの不在を確認した。サンガー配列決定を、プライマーAutolysin_F1、Autolysin_F2及びAutolysin_F3を用いて行って、染色体自己分解酵素がなおトランケートされていることを確認した;最初の増幅は、プライマーAutolysinNested_F及びAutolysinNested_Rを用いて完了した。プライマーの仕様について、表2を参照されたい。
Figure 2023553288000007
Figure 2023553288000008
乳酸性化速度の試験
酸性化特性の最初の評価について、一晩の11%NFDM BIM増殖物をM17-Lac中に移した。培養体がOD600約0.65に達した後、活性乳(市販の1%脂肪Kemp)中に0.75%で植菌した。サンプルを30℃水浴内でpHプローブと共に一晩維持して、Cinacソフトウェアで2分毎に各株の酸性化を監視した。各株を二反復で走らせた。
結果
SL12699及びSL12852ゲノムの結果
GeneiousのSL12699ゲノム及びSL12852ゲノムを比較した後、153bpの欠失を自己分解酵素遺伝子の位置1,225に見出した。この変異は、早期の終止コドンをもたらさないが、タンパク質の後半を51個のアミノ酸のみをトランケートする。この変異をサンガー配列決定により確認した。
D6867及びD7138ゲノムの結果
D6867ゲノム及びD7138ゲノムを、知られているファージ型と比較すると、ゲノムのいくつかの領域は、P335様ファージに対するマッチを示した;D6867及びD7138は、smq86型として分類されるファージに対して最も高い類似性を示す。
加えて、ゲノムD6867及びD7138は、両方のファージがSL12699内のプロファージに対して高い類似性を有する(それぞれ95.1%及び95.8%のペアワイズ同一性)ことを明らかにした。これは、ファージが、SL12699に由来する切り出されたプロファージであることを示唆している。
サンガー配列決定の結果
サンガー配列決定をSL12699の4つの追加のBIMに行った。結果は、BIMの2つが、SL12852内に見出される同じ153bp欠失を有することを示した。BIM8は、Gのランにおいて、ヌクレオチド1,805~1,809でのG欠失を示した;この欠失は、位置1,880での早期終止コドンを生じさせるフレームシフトを引き起こす。BIM19は、ヌクレオチド1,229においてGからAのSNPを示した。これは、同じコドンを早期終止コドンに変える。図1は、自己分解酵素において見出される3つの異なる変異を示す;これらの変異は、全てタンパク質のyjdBドメイン内に位置決めされている。
SL12852 pLys形質転換体
10個のSL12852+pLys単離体及び2つのSL12852+pGhost単離体をD6867及びD7138とプレーティングし、且つスポットして、ファージ感受性をチェックした。結果は、pLysをSL12852に加えた後、単離体が両方のファージに対して完全に感受性となったことを示した。加えて、結果は、pGhost9単独ではSL12852においてファージ感受性に影響を与えないことを示した(表3を参照されたい)。
Figure 2023553288000009
SL12699をポジティブ(ファージ感受性)対照として用いた。このEOP低減は、ベクター単独ではいかなるファージ感受性ももたらさない(SL12852は本来既に耐性であるからである)ことを示す。
SL12852におけるpLys回復
37℃増殖後、5つのSL12852+pLysサンプルをSR Lac及びSr Lac+Erm培地の両方の上にプレーティングした。Erm培地上での増殖不能は、pLysの消失を示した。SR Lacプレートから採取した単離体の以降のコロニーPCRは、pLysの消失を確認した(SL12852(-)pLysと称する)。各SL12852(-)pLys単離体をD6867及びD7138とプレーティングし、且つスポットした。結果は、これらが完全にファージ耐性であったことを示し、これは、補完した野生型自己分解酵素がファージ感受性に必要とされることを更に確認する(表4を参照されたい)。
Figure 2023553288000010
細菌のローンにおけるプラークの空き地又は単離は、ファージ感受性を示し;中断されていないローンは、耐性を示す。
酸性化及びファージロバスト性
SL12852の乳酸性化特性を試験した。Cinac活性曲線は、SL12852が親と等しく酸性になったことを示す(図2を参照されたい)。
二次アッセイにおいて、SL12852の酸性化速度を様々な感染多重度(0.01、0.1及び1)においてファージD6867の存在下で試験した。親SL12699のパラレルアッセイは、ファージ対照の役割を果たした(図3及び4を参照されたい)。結果は、1の最も高いMOIが加わっても、SL12852の酸性化の減速が依然としてないことを示しており、強いレベルのファージ耐性が示される。
考察
産業的乳発酵に用いられるスターター株について、ファージが一般的に存在しており、問題がある;P335型は、特に問題がある。P335様ファージについて、単一の遺伝子又はタンパク質がP335様ファージ感染の成功に不可欠であることは、依然として立証されていない。
この研究において、SL12699において見出される自己分解酵素遺伝子のトランケーションは、P335様ファージに対して完全な耐性をもたらすため、このクラスのファージについての問題に対処するための固有の遺伝的標的を表す。
このプロジェクトにおいて、ファージ耐性株SL12852を、野生型自己分解酵素遺伝子を含有するプラスミドによりエレクトロポレーションした。これにより、P335様ファージD6867に対して完全に感受性になった単離体が生じた。更に、このプラスミドがこれらの単離体から取り出された場合、株は、ここでもD6867に対して完全に耐性になる。当野生型自己分解酵素についての存在/不在を確認するために、そのプラスミドに特異的なプライマーを用いるPCR増幅を用いた。加えて、プラスミドプロファイリングは、結果として生じる単離体の両方のセットがSL12852に由来することを確認した。最後に、サンガー配列決定は、染色体自己分解酵素がこの実験の全体を通してトランケートされたままであることを確認した。
先の本明細書中で言及した全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の記載される方法及びシステムの種々の変更形態及び変形形態が当業者に明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して説明してきたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、分子生物学又は関連分野の当業者に明白である、本発明を実行するための記載した様式の種々の修飾形態は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。

Claims (27)

  1. 自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減するように修飾されている細菌株であって、バクテリオファージ(少なくとも1つのP335様ファージ等)に対する低減された感受性を有する細菌株。
  2. 前記修飾は、自己分解酵素をファージ感染に関して部分的に又は完全に機能不全にする、請求項1に記載の細菌株。
  3. 前記修飾は、終止コドン、挿入、欠失又は変異である、請求項1又は2に記載の細菌株。
  4. 前記修飾は、前記自己分解酵素をコードする核酸配列中又は前記自己分解酵素の発現の制御に寄与する調節領域(プロモーター若しくはエンハンサー等)中に導入されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の細菌株。
  5. 自己分解酵素タンパク質をコードする自己分解酵素対立遺伝子を含むように修飾されており、前記自己分解酵素対立遺伝子は、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株の、ファージD6867に対する感受性を低減し、前記SL12699誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が前記自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージD6867に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定され、好ましくは、前記株は、その自己分解酵素遺伝子の唯一の対立遺伝子として前記変異自己分解酵素対立遺伝子を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の細菌株。
  6. 前記修飾についてホモ接合性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の細菌株。
  7. バクテリオファージ(少なくとも1つのP335様ファージ等)に対する細菌株の耐性を増大させる(例えば、付与するか又は増大させる)方法であって、自己分解酵素の活性及び又は発現を低下させることによって前記細菌株を修飾することを含む方法。
  8. 少なくとも1つのバクテリオファージ耐性変異型株(少なくとも1つのP335様ファージに対する耐性等)を調製する方法であって、自己分解酵素の活性及び又は発現を低下させるように親細菌株を修飾することを含む方法。
  9. a)少なくとも1つのバクテリオファージ(P335様ファージ等)に対して感受性の細菌株(ラクトコッカス(Lactococcus)属の株等)を提供することと;
    b)請求項1~5のいずれか一項に記載の自己分解酵素の活性及び/又は発現を低減するように前記細菌株を修飾することと;
    c)少なくとも1つのバクテリオファージ(P335様ファージ等)に対する低減された感受性を有する前記株を回収することと
    を含み、任意選択的に、少なくとも1つのバクテリオファージ(P335様ファージ等)に対する感受性は、EOPアッセイIによって判定される、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 請求項7~9のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるか又は得られる細菌株。
  11. 請求項1~5のいずれか一項に記載の自己分解酵素タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  12. ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株の、ファージD6867に対する感受性を低減する自己分解酵素対立遺伝子であり、前記SL12699誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が前記自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージD6867に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される、請求項11に記載のポリヌクレオチド。
  13. 請求項11又は12に記載のポリヌクレオチドを含む構築体又はベクター。
  14. 請求項11若しくは12に記載のポリヌクレオチド又は請求項13に記載の構築体若しくはベクターの、少なくとも1つのバクテリオファージ(P335様ファージ等)に対する細菌株の感受性を低減するための使用。
  15. ファージ(P335様ファージ、例えばD6867等)に対する感受性の低減は、少なくとも4対数、少なくとも5対数又は少なくとも6対数のEOP低減によって特徴付けられる、請求項1~6若しくは10のいずれか一項に記載の細菌株、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法、又は請求項11若しくは12に記載のポリヌクレオチド、又は請求項13に記載の構築体若しくはベクター、又は請求項14に記載の使用。
  16. 前記修飾は、
    a)配列番号2に定義されるアミノ酸配列を有する自己分解酵素タンパク質;
    b)ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株上でのファージD6867のEOPを低減しない、自己分解酵素対立遺伝子によってコードされる、配列番号2と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む自己分解酵素変異型タンパク質であって、前記SL12699誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が、前記自己分解酵素変異型タンパク質をコードする前記自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージD6867に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される、自己分解酵素変異型タンパク質;及び
    c)ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株上でのファージD6867の、3対数未満のEOPを低減する、自己分解酵素対立遺伝子によってコードされる、配列番号2と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む自己分解酵素変異型タンパク質であって、前記D6867誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が、前記自己分解酵素変異型タンパク質をコードする前記自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージDT1に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される、自己分解酵素変異型タンパク質、
    d)ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株上でのファージD6867のEOPを低減しない、自己分解酵素対立遺伝子によってコードされる、配列番号2の相同体であって、前記SL12699誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が、前記自己分解酵素変異型タンパク質をコードする前記自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージD6867に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される、相同体;及び
    e)ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699誘導株上でのファージD6867の、3対数未満のEOPを低減する、自己分解酵素対立遺伝子によってコードされる、配列番号2の相同体であって、前記D6867誘導株は、その自己分解酵素対立遺伝子が、前記自己分解酵素変異型タンパク質をコードする前記自己分解酵素対立遺伝子によって置換されているラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)SL12699株であり、ファージDT1に対する感受性は、プラーク形成効率(EOP)アッセイIによって判定される、相同体
    からなる群から選択される自己分解酵素タンパク質に対する、アミノ酸の抑制、アミノ酸の付加、アミノ酸の置換又はアミノ酸の抑制及び付加を含む自己分解酵素タンパク質をコードする、請求項1~6、10若しくは15のいずれか一項に記載の細菌株、請求項7~9若しくは15のいずれか一項に記載の方法、又は請求項11、12若しくは15のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、又は請求項13若しくは15に記載の構築体若しくはベクター、又は請求項14若しくは15に記載の使用。
  17. 前記修飾は、自己分解酵素のYjdBドメインのトランケーションをもたらす、請求項1~6、10、15若しくは16のいずれか一項に記載の細菌株、請求項7~9、15若しくは16のいずれか一項に記載の方法、又は請求項11、12、15若しくは16のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、又は請求項13、15若しくは16のいずれか一項に記載の構築体若しくはベクター、又は請求項14~16のいずれか一項に記載の使用。
  18. 前記トランケートされた自己分解酵素タンパク質は、前記自己分解酵素対立遺伝子内の欠失及び/又は挿入の結果である、請求項1~6、10若しくは15~17のいずれか一項に記載の細菌株、請求項7~9若しくは15~17のいずれか一項に記載の方法、又は請求項11、12若しくは15~17のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、又は請求項13若しくは15~17のいずれか一項に記載の構築体若しくはベクター、又は請求項14~17のいずれか一項に記載の使用。
  19. 前記トランケートされた自己分解酵素タンパク質は、終止コドンに至るヌクレオチド変異の結果である、請求項1~6、10若しくは15~18のいずれか一項に記載の細菌株、請求項7~9若しくは15~18のいずれか一項に記載の方法、又は請求項11、12若しくは15~18のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、又は請求項13若しくは15~18のいずれか一項に記載の構築体若しくはベクター、又は請求項14~18のいずれか一項に記載の使用。
  20. 前記株は、そのpip遺伝子内で追加的に変異されており、且つc2型c2ファージに対する耐性を有する、請求項1~6、10若しくは15~19のいずれか一項に記載の細菌株、請求項7~9若しくは15~19のいずれか一項に記載の方法、又は請求項11、12若しくは15~19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、又は請求項13若しくは15~19のいずれか一項に記載の構築体若しくはベクター、又は請求項14~19のいずれか一項に記載の使用。
  21. 前記株は、そのyjaE遺伝子内で追加的に変異されており、且つbil67型c2ファージに対する耐性を有する、請求項1~6、10若しくは15~20のいずれか一項に記載の細菌株、請求項7~9若しくは15~20のいずれか一項に記載の方法、又は請求項11、12若しくは15~20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、又は請求項13若しくは15~20のいずれか一項に記載の構築体若しくはベクター、又は請求項14~20のいずれか一項に記載の使用。
  22. 前記株は、乳酸菌株であり、適切には、前記乳酸菌株は、ラクトコッカス(Lactococcus)属、連鎖球菌(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属から選択され得、適切には、前記株は、ラクトコッカス(Lactococcus)属のものであり得、適切には、前記株は、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)種、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種クレモリス(cremoris)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)又はラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種ラクティス(lactis)biovar.ジアセチラクティス(Diacetylactis)等のラクトコッカス(Lactococcus)属種であり得る、請求項1~6、10若しくは15~21のいずれか一項に記載の細菌株、請求項7~9若しくは15~21のいずれか一項に記載の方法、又は請求項11、12若しくは15~21のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、又は請求項13若しくは15~21のいずれか一項に記載の構築体若しくはベクター、又は請求項14~21のいずれか一項に記載の使用。
  23. 請求項1~6、10又は15~22のいずれか一項に記載の株並びに任意選択的に連鎖球菌(Streptococcus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、オエノコッカス(Oenococcus)属及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属からなる群から選択される1つ以上の更なる乳酸菌を含む細菌組成物。
  24. 請求項1~6、10若しくは15~22のいずれか一項に記載の株又は請求項23に記載の細菌組成物を含む食品又は飼料製品、特に乳製品、肉製品若しくは禾穀類食品又は飼料製品、より詳細には発酵乳製品。
  25. 発酵乳製品、例えば発酵乳、ヨーグルト、クリーム、熟成クリーム、チーズ、フロマージュフレ、乳飲料、プロセスチーズ、クリームデザート、カッテージチーズ又は乳児用ミルクである、請求項24に記載の乳食品又は飼料製品。
  26. 発酵製品を製造する方法であって、
    a)基質、好ましくは乳基質に、請求項1~6、10若しくは15~22のいずれか一項に記載の株又は請求項23に記載の細菌組成物を植菌することと;
    b)工程a)から得られる前記植菌された基質を発酵させて、発酵製品、好ましくは発酵乳製品を得ることと
    を含む方法。
  27. 請求項1~6、10若しくは15~22のいずれか一項に記載の株又は請求項23に記載の細菌組成物の、食品又は飼料製品、好ましくは発酵食品、より好ましくは発酵乳製品を製造するための使用。
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