JP2023550431A - 質量分析の堅牢性を強化するためにバンドパスフィルタリング衝突セルを使用して高強度イオンビームのms/msを実施する方法 - Google Patents

質量分析の堅牢性を強化するためにバンドパスフィルタリング衝突セルを使用して高強度イオンビームのms/msを実施する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023550431A
JP2023550431A JP2023530238A JP2023530238A JP2023550431A JP 2023550431 A JP2023550431 A JP 2023550431A JP 2023530238 A JP2023530238 A JP 2023530238A JP 2023530238 A JP2023530238 A JP 2023530238A JP 2023550431 A JP2023550431 A JP 2023550431A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
mass filter
ion
ions
filter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023530238A
Other languages
English (en)
Inventor
ブルース コリングス,
ジェイムズ ダブリュー. ヘイガー,
ヤン カン,
ブラッドレー ビー. シュナイダー,
Original Assignee
ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド filed Critical ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド
Publication of JP2023550431A publication Critical patent/JP2023550431A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/0027Methods for using particle spectrometers
    • H01J49/0031Step by step routines describing the use of the apparatus
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/004Combinations of spectrometers, tandem spectrometers, e.g. MS/MS, MSn
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/26Mass spectrometers or separator tubes
    • H01J49/34Dynamic spectrometers
    • H01J49/42Stability-of-path spectrometers, e.g. monopole, quadrupole, multipole, farvitrons
    • H01J49/4205Device types
    • H01J49/421Mass filters, i.e. deviating unwanted ions without trapping

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Electron Tubes For Measurement (AREA)

Abstract

質量分析計は、複数のイオンを受け取り、所望の範囲内のm/z比を有するイオンの透過を可能にするように構成される、透過帯域幅を有するための第1の質量フィルタと、質量分析のためのその透過窓内の標的m/z値を有するイオンを選択するために、第1の質量フィルタの下流に配置される、第2の質量フィルタとを備える。第1の質量フィルタの透過帯域幅は、m/z比のうちの1つが、該第2の質量フィルタの透過窓内の該標的m/z値に対応するように、該少なくとも2つの着目m/z比を包含する。

Description

(関連出願)
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2021年3月25日に出願され、「Method of Performing MS/MS of High Intensity Ion Beams Using A Bandpass Filtering Collision Cell To Enhance Mass Spectrometry Robustness」と題された、米国仮出願第63/166,162号および2020年11月19日に出願され、「An Approach To Synchronize An Ion Guide With SWATH Acquisition」と題された、米国仮出願第63/115,702号の優先権を主張する。
(背景)
本教示は、様々な質量分析計において利用され得る質量フィルタおよびそのような質量フィルタが組み込まれ得る質量分析計に関する。
質量分析(MS)は、定性的および定量的用途の両方で、試験化学物質の構造を決定するための分析技法である。MSは、未知の化合物を同定し、分子中の原子元素の組成を決定し、その断片化を観察することによって化合物の構造を決定し、混合されたサンプル中の特定の化学化合物の量を定量化するために有用であり得る。質量分析計は、化学成分をイオンとして検出し、したがって、分析物の荷電イオンへの変換が、サンプリングプロセスの間に起こらなければならない。
いくつかの質量分析計システムは、質量分析器を使用し、標的質量/電荷(m/z)比を有する前駆体イオンを選択し、選択された前駆体イオンの断片化が続き、次いで、質量分析され得る、複数の生成イオンを発生させることによって、研究中のサンプル中の分析物と関連付けられる多重反応監視(MRM)遷移を監視する。
従来のシステムでは、異なる質量を伴うイオンが、質量分析器の上流に位置付けられるイオンガイド内に存在し、質量は、イオンガイドの低質量カットオフから、質量において上方に延在し得る。例えば、図1に図式的に示されるように、そのような従来のシステムでは、m, m, …, m10の質量を伴うイオンは、イオンガイドの低質量カットオフがmよりも低いとき、上流のイオンガイド内に並行して存在し得る。しかしながら、ある場合には、そのような構成は、不要なイオンによる下流の質量分析器の汚染につながり得る。
質量フィルタが、質量分析器の上流に位置付けられることができ、そこで、質量フィルタは、下流の質量分析器に透過されるイオンの範囲を限定し得る、バンドパス窓を提供し、それによって、不要なイオン(すなわち、その分析が所望されないイオン)による質量分析器および他の下流コンポーネントの汚染を低減させる。そのような質量フィルタの使用は、汚染を低減させることができるが、これはまた、MRM測定が行われ得る速度を低減させ得る。
特に、質量分析器が、次の前駆体イオンを選択するために遷移されるとき、上流の質量フィルタのバンドパス窓は、新しい前駆体イオンの透過を可能にするために調節される必要があり、質量フィルタの再充填が続く。したがって、質量分析を実施する強化された方法の必要性、特に、MRM遷移監視のために採用され得る、強化された質量分析方法の必要性が、存在する。
本教示は、イオンガイドのイオン透過帯域幅が、個々に、および/または下流の質量分析器のイオン透過窓と組み合わせて、質量分析計の高真空コンポーネントの汚染を低減させ、好ましくは、排除しながら、タンデム質量分析を実施するように構成される、質量分析を実施するための方法およびシステムに関する。
例えば、一側面では、本教示は、質量フィルタまたは前置フィルタとしてイオンガイドチャンバの多極イオンガイドを使用して、データ非依存性入手(DIA)タンデム質量分析方法を実施することに関する。例えば、多極イオンガイドは、DIA質量分析を実施するために利用される下流の質量フィルタによって提供されるイオン選択窓に対してより幅広いイオン質量選択窓を提供するように構成されることができる。
イオン経路コンポーネント汚染問題
イオン経路コンポーネントの汚染は、タンデム質量分析計の性能に影響を及ぼし得る。種々の実験サンプルマトリクス(例えば、脂質、粉砕された血漿、茶/ルッコラマトリクス)に対する汚染試験は、性能劣化への破片蓄積の程度が、種々のイオン経路コンポーネントに関して異なることを示す。一般に、IQ1レンズまたはQ1四重極ロッド上等のタンデム質量分析計関連領域上の汚染は、さらなる性能劣化を引き起こす可能性が高い。そのような性能劣化は、例えば、荷電に起因する感度損失またはピーク幅変化によって特徴付けられることができる。
類似する量の破片が、QJet(R)またはQ0四重極等のイオンガイド領域上に蓄積されると、性能劣化に対する有意により少ない効果が、観察される。したがって、これらの重大なタンデム質量分析計領域上の汚染を防止するように、質量分析計の高真空(低圧)領域の前に不要な種をフィルタリングして除くことが、所望される。
下記に説明されるように、SWATH(R)入手は、定義または選択されたQ1前駆体イオン質量選択窓内の全ての前駆体イオンが、1つのMS/MSスペクトルを発生させるために断片化デバイス(例えば、衝突セル)に移送される、DIA方法である。また、Q1前駆体イオン質量選択窓は、分析の前駆体イオン質量範囲全体を横断して順次段階化される(従来のSWATH(R)において)、または走査される(走査型SWATH(R)において)。現在のSWATH(R)入手では、選択されたQ1前駆体イオン質量選択窓に関するQ1走査の間、選択されたQ1前駆体イオン質量選択窓の外の不要なイオンは、フィルタリングされて除かれ、Q1ロッド上に堆積される。
いくつかのタンデム質量分析計では、SWATH(R)入手におけるMS/MSは、100%の固定イオン透過制御(ITC)を適用し、前駆体選択のために全てのイオンをQ1の中に通過させる。これは、前駆体イオン質量またはm/z範囲の外の全てのイオン電流が、Q1ロッドに迂回されることを意味する。これは、汚染の率を増加させ、ひいては、システム性能に影響を及ぼす。例えば、増加された汚染の率は、Q1透過窓の感度および形状に悪影響を及ぼす。特に、Q1前駆体イオン質量選択窓が、汚染に起因してあまり正方形にならない場合、透過効率および着目質量範囲に関する網羅範囲は、低減され、これは、イオン抽出および定量化の正確度に影響を及ぼす。
結果として、付加的システムおよび方法が、器具感度、前駆体イオン透過効率、および着目前駆体イオン質量範囲の網羅範囲を維持するために、DIA質量分析モードにおいて動作するとき、タンデム質量分析計の汚染を低減させるために必要とされる。
タンデム質量分析およびSWATH (R)
一般に、タンデム質量分析、すなわち、MS/MSは、化合物を分析するための周知の技法である。タンデム質量分析は、サンプルからの1つまたはそれを上回る化合物のイオン化、1つまたはそれを上回る化合物の1つまたはそれを上回る前駆体イオンの選択、生成イオンへの1つまたはそれを上回る前駆体イオンの断片化、および生成イオンの質量分析を伴う。
タンデム質量分析は、定性的および定量的情報の両方を提供することができる。生成イオンスペクトルは、着目分子を同定するために使用されることができる。1つまたはそれを上回る生成イオンの強度は、サンプル中に存在する化合物の量を定量化するために使用されることができる。
多数の異なるタイプの実験方法またはワークフローが、タンデム質量分析計を使用して実施されることができる。これらのワークフローの3つの広いカテゴリは、標的化入手、情報依存性入手(IDA)またはデータ依存性入手(DDA)、およびデータ非依存性入手(DIA)である。
標的化入手方法では、生成イオンへの前駆体イオンの1つまたはそれを上回る遷移が、着目化合物に関して事前定義される。サンプルがタンデム質量分析計の中に導入されるにつれて、1つまたはそれを上回る遷移が、複数の期間またはサイクルのうちの各期間またはサイクルの間に反応測定される。言い換えると、タンデム質量分析計は、各遷移の前駆体イオンを選択および断片化し、遷移の生成イオンに関して標的化質量分析を実施する。結果として、質量スペクトルが、遷移毎に生成される。標的化入手方法は、限定ではないが、多重反応監視(MRM)および選択反応監視(SRM)を含む。
IDA方法では、ユーザは、サンプルがタンデム質量分析計の中に導入されている間に、生成イオンの標的化または非標的化質量分析を実施するための基準を規定することができる。例えば、IDA方法では、前駆体イオンまたは質量分析(MS)調査走査が、前駆体イオンピークリストを発生させるように実施される。ユーザは、ピークリスト上の前駆体イオンのサブセットに関してピークリストをフィルタリングするための基準を選択することができる。MS/MSは、次いで、前駆体イオンのサブセットの各前駆体イオンに実施される。生成イオンスペクトルが、前駆体イオン毎に生成される。MS/MSは、サンプルがタンデム質量分析計の中に導入されるにつれて、前駆体イオンのサブセットの前駆体イオンに繰り返し実施される。
しかしながら、プロテオミクスおよび多くの他のサンプルタイプでは、化合物の複雑性およびダイナミックレンジは、非常に大きい。これは、従来的な標的化およびIDA方法に課題を提起し、広範囲の分析物の同定および定量化の両方を行うために、サンプルを徹底的に反応測定するために超高速MS/MS入手を要求する。IDA方法は、それらの固有の確率的サンプリングに限定され、これは、データ点の欠落および定量化における信頼性の欠如につながる。SRMアッセイは、確実に定量化され得る化合物の数に対する固有の限界を有し、方法開発時間は、高価である。
結果として、タンデム質量分析の第3の広いカテゴリである、DIA方法が、開発された。これらのDIA方法は、複雑なサンプルからのデータ収集の再現性および包括性を増加させるために使用されている。DIA方法はまた、非特異的断片化方法と呼ばれ得る。(SWATH(R)入手のような)従来的なDIA方法では、タンデム質量分析計の作用は、以前の前駆体または生成イオン走査において入手されるデータに基づいて、MS/MS走査間で変動されない。代わりに、前駆体イオン質量範囲が、選択される。前駆体イオン質量選択窓が、次いで、前駆体イオン質量範囲を横断して段階化される。前駆体イオン質量選択窓内の全ての前駆体イオンが、断片化され、前駆体イオン質量選択窓内の前駆体イオンの全ての生成イオンの全てが、質量分析される。
質量範囲全体を分析するために使用される前駆体イオン質量選択窓は、分析される質量範囲、MS/MS累積時間、および要求される入手速度(サイクル時間)に応じて、変動されることができる。質量範囲全体を1回分析するためにかかる時間は、サイクル時間と称される。概して、LCに関して、サイクル時間は、クロマトグラフィピークの幅によって定義される。十分な点(溶出時間の関数としての強度)が、その形状を決定するためにLCピークを横断して取得されなければならない。サイクル時間が、LCによって定義されるとき、1サイクル内で実施され得る実験または質量分析入手の数は、各実験または入手がイオン観察を累積し得る長さ(累積時間)を定義する。
各サイクルの間に幅広い前駆体イオン質量範囲を横断して幅狭の前駆体イオン質量選択窓を適用することは、前駆体窓毎に短いMS/MS累積時間を要求する。幅広い前駆体イオン質量選択窓を適用することは、同一のサイクル時間に関して増加されたMS/MS累積時間の使用を可能にする。概して、より良好な選択性が、幅狭の前駆体窓で達成されることができる一方、より良好な感度が、より長い累積を使用する幅広い窓で達成されることができる。
最適化されたSWATH(R)アプローチは、選択性に対する効果および感度に対する効果の両方を考慮する。SWATH(R)入手では、各サイクルにおいて前駆体質量範囲を横断して段階化される前駆体イオン質量選択窓は、典型的には、3~100amuの幅を有し得る。SWATH(R)では、各前駆体イオン質量範囲内の全ての前駆体イオンが、断片化され、各質量選択窓内の前駆体イオンの全ての生成イオンの全てが、質量分析される。
米国特許第8,809,770号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)は、SWATH(R)入手が着目化合物の前駆体イオンについての定量的および定性的情報を提供するために使用され得る方法を説明している。特に、前駆体イオン質量選択窓内の前駆体イオンを断片化することから見出される生成イオンが、着目化合物の既知の生成イオンのデータベースと比較される。加えて、前駆体イオン質量選択窓内の前駆体イオンを断片化することから見出される生成イオンのイオントレースまたは抽出イオンクロマトグラム(XIC)が、定量的および定性的情報を提供するように分析される。
しかしながら、例えば、SWATH(R)入手を使用して分析されるサンプル中の着目化合物を同定することは、困難であり得る。これは、各生成イオンを作成する前駆体イオンを決定することに役立つための前駆体イオン質量選択窓を提供されたいかなる前駆体イオン情報も存在しないか、または提供される前駆体イオン情報が低い感度を有する質量分析(MS)観察に由来するかのいずれかであるため、困難であり得る。加えて、前駆体イオン質量選択窓を提供された具体的前駆体イオン情報が殆どまたは全く存在しないため、生成イオンが、前駆体イオン質量選択窓内の複数の前駆体イオンと畳み込みされるか、またはそこからの寄与を含むかどうかを決定することもまた、困難である。
結果として、走査型SWATH(R)と呼ばれる、SWATH(R)入手において前駆体イオン質量選択窓を走査する方法が、開発された。本質的に、走査型SWATH(R)では、前駆体イオン質量選択窓が、連続する窓が大きい重複面積および小さい非重複面積を有するように、質量範囲を横断して走査される。本走査は、結果として生じる生成イオンを、走査された前駆体イオン質量選択窓の関数にする。本付加的情報は、ひいては、各生成イオンに関与する1つまたはそれを上回る前駆体イオンを同定するために使用されることができる。
走査型SWATH(R)は、国際公開第WO2013/171459A2号(以降では「第‘459号出願」)に説明されている。第‘459号出願では、前駆体イオン質量選択窓が、前駆体イオン質量選択窓の範囲が時間に伴って変化するように、時間に伴って走査される。生成イオンが検出されるタイミングは、次いで、それらの前駆体イオンが透過された前駆体イオン質量選択窓のタイミングと相関される。
相関は、最初に、四重極質量フィルタによって透過される前駆体イオンm/z値の関数として検出される各生成イオンの質量/電荷比(m/z)をプロットすることによって、行われることができる。前駆体イオン質量選択窓が経時的に走査されるため、四重極質量フィルタによって透過される前駆体イオンm/z値もまた、時間として考えられることができる。特定の生成イオンが検出される開始および終了時間は、その前駆体イオンが四重極から透過される開始および終了時間に相関される。結果として、生成イオン信号の開始および終了時間は、それらの対応する前駆体イオンの開始および終了時間を決定するために使用される。
一側面では、多極イオンガイド質量フィルタを使用して、DIA方法において前駆体イオンを質量フィルタリングするためのシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品が、開示される。本システムは、イオン源デバイスと、タンデム質量分析計と、プロセッサとを含む。イオン源デバイスは、サンプルの1つまたはそれを上回る化合物をイオン化し、イオンビームを生成する。タンデム質量分析計は、イオンガイドチャンバと、イオンガイドチャンバ内に配置される、多極イオンガイドとを含む。イオンガイドチャンバは、イオン源デバイスによって発生されたイオンを受け取るための入口オリフィスと、イオンガイドチャンバから少なくとも1つの断片化デバイスを格納する真空チャンバの中にイオンを透過させるための少なくとも1つの出口開口とを含む。
プロセッサは、DIA方法のために選択された前駆体イオン質量範囲に及ぶ、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓を受信する。プロセッサは、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓から、タンデム質量分析計の同一の時間サイクルの間に透過のための2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓を計算する。
タンデム質量分析計の複数の時間サイクルの各サイクル時間の間、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓の選択窓毎に、プロセッサは、2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓内でイオンビームから前駆体イオンを透過させるように多極イオンガイドに命令する。多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓は、DIA質量分析を実施するように構成される下流の質量フィルタの選択窓の幅に等しい、またはそれを上回る幅を有する。
関連する側面では、複数の前駆体イオンを受け取り、所望の範囲内のm/z比を有するイオンの透過を可能にするように構成される、透過帯域幅を有するための第1の質量フィルタと、質量分析のためのその透過窓内の標的m/z比を有するイオンを選択するために、第1の質量フィルタの下流に配置される、第2の質量フィルタとを含む、質量分析計が、開示される。コントローラが、m/z比のうちの少なくとも1つが、第2の質量フィルタの透過窓内にあるように、該少なくとも2つのm/z比を包含するように、第1の質量フィルタの透過帯域幅を設定するために、第1の質量フィルタに動作可能に結合される。コントローラは、第1の質量フィルタの任意の2つの連続する透過帯域幅が、共通して少なくとも1つのm/z比を有するように、経時的に第1の質量フィルタの透過帯域幅を変更するように構成される。コントローラは、異なる標的m/z比を選択するために第2の質量フィルタの透過窓を移動させるために、第2の質量フィルタに結合されることができる。
いくつかの実施形態では、コントローラは、第1の質量フィルタの透過帯域幅が経時的に偏移されるにつれて、第2の質量フィルタによる第1の質量フィルタを通して透過された異なるm/z比を有するイオンの質量分析を可能にするように、第1の質量フィルタの透過帯域幅の時間変動を第2の質量フィルタの透過窓の時間変動と相関させるように構成されることができる。
いくつかの実施形態では、コントローラは、第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅を初期イオン透過帯域幅に設定し、第1の質量フィルタの初期帯域幅によって包含されるm/z比を有するイオンの通過を可能にするように、第2の質量フィルタのイオン透過窓を設定するように構成されることができる。
いくつかの実施形態では、コントローラは、第2の質量フィルタの透過窓を調節し、次の着目m/z比を捕捉し、第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅を偏移させ、該次の着目m/z比および別の着目m/z比を網羅するように構成されることができる。
いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、第2の質量フィルタの透過窓を調節し、第1の質量フィルタの透過帯域幅を実質的に並行して偏移させるように構成されることができる。
いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅を調節することに先立って、第2の質量フィルタのイオン透過窓を偏移させるように構成されることができる。
いくつかの実施形態では、コントローラは、第2の質量フィルタが、その偏移に先立って第1の質量フィルタの透過帯域幅によって網羅されるm/z比を有するイオンを監視する間、第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅を偏移させるように構成されることができる。
いくつかの実施形態では、コントローラは、3つまたはそれを上回るm/z比を有するイオンの透過を可能にするために、第1の質量フィルタの透過帯域幅を設定するように構成されることができる。
いくつかの実施形態では、第1の質量フィルタの透過帯域幅および第2の質量フィルタの透過窓のうちのいずれかは、約2,000Da未満、例えば、約0.1Da~約1,500Daの範囲内、または約1Da~約1,000Daの範囲内、または約10Da~約500Daの範囲内、または約100Da~約300Daの範囲内であり得る。
いくつかの実施形態では、イオン源が、複数の前駆体イオンを発生させるために、第1の質量フィルタの上流に位置付けられることができる。イオン源は、サンプルを受け取り、サンプルの少なくとも一部をイオン化し、イオンを発生させることができる。様々なイオン源が、本教示の実践において採用されることができる。
いくつかの実施形態では、第1および第2の質量フィルタのうちのいずれかは、そのうちの少なくとも1つにイオンの半径方向閉じ込めを提供し、あるm/z比を有するイオン、例えば、低m/zイオンをフィルタリングするために1つまたはそれを上回るRF電圧が印加され得、そのうちの少なくとも1つにその透過帯域幅を発生させるためにDC分解電圧が印加され得る、多極構成において配列される、ロッドの少なくとも1つのセットを含む。いくつかのそのような実施形態では、多極構成は、四重極構成であり得るが、六重極等の他の構成もまた、採用されることができる。
いくつかの実施形態では、ロッドの少なくとも1つのセットは、タンデムで位置付けられる、ロッドの複数のセット含み、各ロッドセットは、多極構成において配列される、複数のロッドを備え、随意に、DC電圧オフセットが、第1の質量フィルタを通して通過するイオンを加速させるための電場を発生させるように、ロッドセットのうちの少なくとも2つの間に印加される。実施例として、限定ではないが、DC電圧オフセットは、約0ボルト~約200ボルトの範囲内であり得る。
いくつかの実施形態では、第1の質量フィルタの透過帯域幅は、第2の質量フィルタの透過窓のm/z幅を上回るm/z幅を有する。
関連する側面では、複数の前駆体イオンを受け取るための第1の質量フィルタと、該第1の質量フィルタから退出するイオンを受け取るために、第1の質量フィルタの下流に配置される、第2の質量フィルタと、質量選択窓が、集合的に、DIA分析と関連付けられる前駆体イオン質量範囲に及ぶように、DIA質量分析サイクルにわたって複数のイオン選択窓を提供するように第2の質量フィルタを構成するために、第1の質量フィルタおよび第2の質量フィルタに動作可能に結合される、コントローラとを含む、質量分析のためのデータ非依存性入手(DIA)方法を実施するためのシステムが、開示される。コントローラは、イオン透過帯域幅がそれぞれ、第2の質量フィルタのイオン選択窓のうちの少なくとも1つの個別のものに関して前駆体イオンを前置フィルタリングするように構成され、したがって、第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅がそれぞれ、第2の質量フィルタの個別のイオン選択窓のm/z幅を上回るm/z幅を有するように、複数のイオン透過帯域幅を提供するように第1の質量フィルタを構成してもよい。
いくつかの実施形態では、第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅のうちの少なくとも1つは、第2の質量フィルタの該少なくとも1つの個別のイオン選択窓の個別の低m/zカットオフおよび高m/zカットオフよりも低い低m/zカットオフおよび高い高m/zカットオフを有する。いくつかのそのような実施形態では、第2の質量フィルタの少なくとも1つの個別のイオン選択窓は、少なくとも2つの連続するイオン選択窓を含む。
いくつかの実施形態では、第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅のうちの少なくとも2つは、共通して少なくとも1つのm/z比を有することができる。
いくつかの実施形態では、第1の質量フィルタの複数のイオン透過帯域幅のうちの少なくとも2つは、異なるm/z幅を有する。
いくつかの実施形態では、本システムはさらに、第2の質量フィルタから退出する前駆体イオンを受け取り、その少なくとも一部の断片化を引き起こし、複数の生成イオンを発生させるために、第2の質量フィルタの下流に配置される、断片化デバイスを含むことができる。さらに、質量分析器が、生成イオンを受け取り、その質量スペクトルを発生させるために、断片化デバイスの下流に位置付けられることができる。
いくつかの実施形態では、第1および第2の質量フィルタはそれぞれ、排気チャンバ内に位置付けられることができる。第2の排気チャンバは、第1の排気チャンバが維持される圧力よりも低い圧力において維持されることができる。
いくつかの実施形態では、質量フィルタはそれぞれ、個別の排気チャンバ内に位置付けられる、多極ロッドセットを介して実装されることができる。いくつかのそのような実施形態では、RFおよびDC電圧源が、イオンの半径方向閉じ込めを提供するために、RF電圧をロッドに印加するために採用されることができ、DC分解電圧が、当技術分野で公知の様式で所望のイオン透過帯域幅/窓を発生させるために、多極ロッドセットのロッドのうちの少なくとも2つを横断して印加されることができる。コントローラは、第1および第2の質量フィルタの所望の透過帯域幅/窓を発生させるようにRFおよびDC電圧を調節するために、RFおよびDC電圧源に動作可能に結合されることができる。
いくつかの実施形態では、第1の多極ロッドセットは、複数のロッド区画を含むことができ、各ロッド区画は、隣接するロッド区画から離間され、多極ロッドセットの中心縦方向軸に沿って延在する。いくつかの実施形態では、複数のロッド区画は、第1のロッド区画と、第1のロッド区画の下流に位置付けられる、第2のロッド区画と、第2のロッド区画の下流に位置付けられる、第3のロッド区画とを含む。いくつかのそのような実施形態では、第1のロッド区画は、上流のイオン源からイオンを受け取り、受け取られたイオンの冷却を引き起こすように構成され、第2のロッド区画は、第1のロッド区画から受け取られた冷却されたイオンをフィルタリングするように構成される。さらに、第3のロッド区画は、第2のロッド区画を介して受け取られたイオンを質量フィルタから外に透過させるように構成される。
質量フィルタはさらに、複数のロッドセットの複数のロッドの間に配置される、複数の補助電極を含むことができ、多極ロッドセットのロッドに印加されたRF電圧は、低m/zカットオフを提供し、該多極ロッドセットと該補助電極との間に印加されたDC電圧差は、高m/zカットオフを提供する。
関連する側面では、複数の前駆体イオンを受け取るための質量フィルタであって、質量フィルタは、低真空(約5e-5トルを上回る圧力において、例えば、約10-3トル~約10-2トルの範囲内の圧力において維持される質量分析計の領域)において位置付けられる、質量フィルタを含む、タンデム質量分析計においてデータ非依存性入手(DIA)質量分析を実施するためのシステムが、開示される。コントローラが、質量フィルタに動作可能に結合され、質量フィルタが、DIA質量分析サイクルにわたって複数のイオン選択窓を提供するように、質量フィルタを制御するように構成され、イオン選択窓は、集合的に、該DIA質量分析と関連付けられる前駆体イオン質量範囲に及ぶ。イオン断片化デバイスが、質量フィルタを通して透過される前駆体イオンを受け取り、受け取られた前駆体イオンの少なくとも一部の断片化を引き起こし、複数の生成イオンを発生させるために、質量フィルタの下流に位置付けられる。いかなる他の質量フィルタ機能性も、質量フィルタとイオン断片化デバイスとの間に提供されない。例えば、いくつかの実施形態では、いかなる他の質量フィルタも、質量フィルタとイオン断片化デバイスとの間に位置付けられない。他の実施形態では、1つまたはそれを上回る付加的質量フィルタが、質量フィルタとイオン断片化デバイスとの間に位置付けられてもよいが、そのような質量フィルタは、本システムの動作の間に機能的モードにおいて維持されない。
いくつかの実施形態では、イオン選択窓のうちの少なくとも2つは、重複することができる。さらに、いくつかの実施形態では、イオン選択窓のうちの少なくとも2つは、異なるm/z幅を有することができる。また、いくつかの実施形態では、イオン選択窓のうちの少なくとも2つは、重複し、さらに、異なるm/z幅を有することができる。
いくつかの実施形態では、質量フィルタは、イオン選択窓を発生させるためのそれへのRFおよび/またはDC電圧の印加のために構成される、多極ロッドセットを含むことができる。実施例として、多極ロッドセットは、とりわけ、四重極ロッドセット、六重極ロッドセットを含むことができる。少なくとも1つのRF電圧源および少なくとも1つのDC電圧源が、多極ロッドセットへの印加のためのRFおよび/またはDC電圧を発生させるために利用されることができる。コントローラが、イオン選択窓を発生させるためにRFおよび/またはDC電圧を調節するように、それを制御するためにRFおよびDC電圧源に動作可能に結合されることができる。
いくつかの実施形態では、質量フィルタおよび断片化デバイスは、2つの異なる排気チャンバ内に位置付けられることができ、断片化デバイスが位置付けられるチャンバは、質量フィルタが位置付けられるチャンバと異なる圧力において維持される。
関連する側面では、複数のイオンを受け取り、所望の範囲内のm/z比を有するイオンの透過を可能にするように構成される、透過帯域幅(バンドパス窓)を有するための第1の質量フィルタと、質量分析のためのその透過窓内の標的m/z値を有するイオンを選択するために、第1の質量フィルタの下流に配置される、第2の質量フィルタ(質量分析器として構成され得る)とを備え、第1の質量フィルタのバンドパス窓は、m/z比のうちの1つが、第2の質量フィルタの透過窓内の標的m/z値に対応するように、少なくとも2つの着目m/z比を網羅する、質量分析計が、開示される。
いくつかの実施形態では、コントローラが、異なる着目m/z比を含むように、経時的にそのバンドパス窓を偏移させるために、第1の質量フィルタに結合される。コントローラは、異なる標的m/z値を選択するために質量フィルタの透過窓を移動させるために、第2の質量フィルタ(多くの実施形態では、質量分析器として構成される)に結合される。コントローラは、第1の質量フィルタのバンドパス窓が経時的に偏移されるにつれて、第2の質量フィルタ(質量分析器)による第1の質量フィルタを通して透過された異なるm/z比を有するイオンの質量分析を可能にするように、第1の質量フィルタのバンドパス窓の時間変動を第2の質量フィルタの透過窓の時間変動と相関させるように構成されることができる。
実施例として、コントローラは、第1の質量フィルタのバンドパス窓を初期値に設定し、第1の質量フィルタの初期バンドパス窓によって網羅されるイオンのうちの1つの通過を可能にするように、第2の質量フィルタ(質量分析器)の透過窓を設定するように構成されることができる。コントローラはまた、第2の質量フィルタ(質量分析器)の透過窓を調節し、次の着目m/z比を網羅し、第1の質量フィルタのバンドパス窓を偏移させ、該次の着目m/z比および少なくとも別の着目m/z比を網羅するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、コントローラに以前に提供されたm/z比のリストから着目m/z比を選択することができる。
いくつかの実施形態では、コントローラは、第1の質量フィルタのバンドパス窓および第2のフィルタ(質量分析器)のものを実質的に並行して偏移させるように構成されることができる。例えば、いくつかのそのような実施形態では、コントローラは、第2の質量フィルタが、偏移に先立って第1の質量フィルタのバンドパス窓によって網羅されるm/z比を伴うイオンを監視している間、第1の質量フィルタのバンドパス窓を偏移させるように構成されることができる。
一般に、第1の質量フィルタのバンドパス窓は、これが不要なイオンの通過を阻止し続けることを確実にしながら、複数のm/z比の通過を可能にするように選択されることができる。実施例として、いくつかの実施形態では、第1の質量フィルタのバンドパス窓は、約30Da~約200Daの範囲内であり得る。さらに、いくつかのそのような実施形態では、第2の質量フィルタ(質量分析器)のバンドパス窓は、不要なイオンの通過を阻止しながら、着目m/z比の通過を可能にするように選択されることができる。実施例として、いくつかの実施形態では、第2の質量フィルタ(質量分析器)のバンドパス窓は、約0.3Da~約100Daの範囲内、例えば、約10Da~約50Daの範囲内であり得る。
いくつかの実施形態では、第1の質量フィルタは、それにイオンの半径方向閉じ込めおよびイオン透過のための所望のバンドパス窓を提供するためにRFおよびDC電圧が印加され得る、四重極構成において配列される、ロッドのセットを含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、第1の質量フィルタは、複数のロッド区画を含むことができ、そのそれぞれは、四重極構成において配列される。いくつかのそのような実施形態では、RF電圧が、ロッドセットのうちのあるもの、例えば、第1の質量フィルタの入口および出口に近接して位置付けられるロッドセットに印加される一方、RFおよびDC分解電圧が、それにRF電圧が印加されるロッドセットの間に位置付けられるロッドセットのうちの少なくとも1つに印加される。さらに、いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つのDCオフセット電圧が、質量フィルタを通したイオンの通過を促進し得る軸方向電場を提供するために、少なくとも2つの連続するロッドセットの間に印加されることができる。いくつかのそのような実施形態では、DCオフセット電圧は、イオンが、それらが質量フィルタから退出するにつれて、低い軸方向運動エネルギーを維持しながら、質量フィルタを通して移動し続けることを確実にするように選択される。実施例として、いくつかの実施形態では、DCオフセット電圧は、約0V~約20Vの範囲内であり得る。第1の質量フィルタ内のイオンの衝突断片化が所望され得る、いくつかの実施形態では、より高いDCオフセット電圧が、採用されてもよく、例えば、200Vと同程度に高いものが、採用されてもよい。
いくつかの実施形態では、衝突セルが、第2の質量フィルタを通して通過するイオンを受け取り、複数の生成イオンを生成するように、それらのイオンの少なくとも一部の断片化を引き起こすために、第2の質量フィルタの下流に配置されることができる。質量分析器が、生成イオンの少なくとも一部を受け取り、その質量分析を提供するために、衝突セルの下流に位置付けられることができる。イオン検出器が、質量分析器を通して通過するイオンを検出し、それらのイオンの検出に応答して、検出信号を発生させるために、そのような質量分析器の下流に位置付けられることができる。イオン検出器と通信する分析器が、検出器によって発生された検出信号を受信し、それらの検出信号を処理し、生成イオンの質量スペクトルを発生させることができる。
いくつかの実施形態では、質量分析計は、飛行時間(ToF)質量分析計であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、質量分析計は、SWATH(R)データ入手モードにおいて等、データ非依存性入手(DIA)モードにおいて動作するように構成される。いくつかの実施形態では、質量分析計は、タンデム質量分析計(三連四重極質量分析計等)または当技術分野で公知の任意の他のMSシステムであり得る。いくつかの実験に関して、MSは、Q1における連続する親イオンおよびQ3における対応する娘イオンを監視するために、MRMモードにおいて動作される。
いくつかの実施形態では、本システムはさらに、調査中のサンプルをイオン化し、複数のイオンを発生させるために、第1の質量フィルタの上流に位置付けられる、イオン源を含むことができる。下記に列挙されるもの等の様々なイオン源が、本教示の実践において採用されることができる。
本教示の種々の側面のさらなる理解が、以下の詳細な説明、および下記に簡潔に説明される関連付けられる図面を参照することによって取得されることができる。
図1は、そのそれぞれがあるm/z比を包含する、複数のバンドパス窓を提供する、従来の質量フィルタのバンドパス窓の概略実施例である。
図2は、質量分析を実施するための本教示による方法の実施形態における種々のステップを描写する、フローチャートである。
図3は、本教示による、質量フィルタを図式的に示す。
図4Aは、バンドパス窓が、透過のために、一度に2つまたは3つのm/z比を網羅する、本教示による、質量フィルタのバンドパス窓の概略実施例を示す。
図4Bは、バンドパス窓が、透過のために、一度に2つのm/z比を網羅する、本教示による、質量フィルタのバンドパス窓の概略実施例を示す。
図5は、軸方向において視認される、四重極ロッドセットを図式的に示す。
図6は、本教示のいくつかの実施形態における使用のための質量フィルタとして構成され得る、多極イオンガイドの断面図を図式的に描写する。
図7は、図6に示される多極イオンガイドの別の概略図を描写する。
図8は、本教示の実施形態による、質量分析計を図式的に示す。
図9A、9B、および9Cは、質量フィルタの種々のロッドへの好適なRFおよび分解DC電圧の印加を介して、図3に図式的に描写されるもの等の4区画質量フィルタに関して取得された、バンドパス窓の実施例を示す。 図9A、9B、および9Cは、質量フィルタの種々のロッドへの好適なRFおよび分解DC電圧の印加を介して、図3に図式的に描写されるもの等の4区画質量フィルタに関して取得された、バンドパス窓の実施例を示す。 図9A、9B、および9Cは、質量フィルタの種々のロッドへの好適なRFおよび分解DC電圧の印加を介して、図3に図式的に描写されるもの等の4区画質量フィルタに関して取得された、バンドパス窓の実施例を示す。
図10Aは、QJet(R)イオンガイドの以下のDC設定およびイオンガイドQ0の種々の区画に関する、イオン質量の関数としてのレンズIQ0から検出器までの通過時間を示す。
図10Bは、t=0~t=3ミリ秒に延在する、図10Aに提示されるデータの時間区画を示す。
図11は、本教示による、質量分析計において実装され得る、コントローラの実施例を図式的に示す。
図12は、本教示の実施形態による、質量フィルタおよび下流の質量分析器を動作させる一実施例を図示する、タイミング図を示す。
図13は、本教示の実施形態による、質量フィルタおよび下流の質量分析器を動作させる別のタイミング図を示す。
図14は、種々の実施形態が実装され得る、ある質量範囲に及ぶ異なる前駆体イオン質量選択窓が従来のDIA方法において走査される方法を示す、例示的略図である。
図15は、種々の実施形態による、多極Q0イオンガイドが異なるQ0前駆体イオン質量選択窓を使用することによって質量フィルタリングを実施し得る方法を示す、例示的略図である。
図16は、種々の実施形態による、Q0イオンガイドがQ0前駆体イオン質量選択窓を使用することによって質量前置フィルタリングを実施し、Q1前駆体イオン質量選択窓を前置フィルタリングし得る方法を示す、例示的略図である。
図17は、種々の実施形態による、Q0イオンガイドが1つのQ0前駆体イオン質量選択窓を使用して質量前置フィルタリングを実施し、2つの異なるQ1前駆体イオン質量選択窓を前置フィルタリングし得る方法を示す、例示的略図である。
図18は、種々の実施形態による、質量フィルタリングまたは前置フィルタリングのために使用され得る区画化されたロッドを伴うQ0多極イオンガイドの例示的略図である。
図19は、種々の実施形態が実装され得る、米国公開済み出願第2018/0096832号(以降では「第’832号出願」)および国際公開第WO 2020/039371号(以降では「第’371号出願」)のQ0多極イオンガイドを示す、例示的略図である。
図20は、種々の実施形態が実装され得る、第’832号出願および第’371号出願の補助電極の例示的斜視図である。
図21は、種々の実施形態が実装され得る、第’371号出願のQ0多極イオンガイドの例示的断面図である。
図22は、種々の実施形態による、四重極ロッドに印加された異なるRF電圧が、異なる前駆体イオン質量選択窓幅を生成し、異なるDC電圧が、Q0多極イオンガイドの四重極ロッドの間に間置されるTバー電極に印加される方法を示す、例示的プロットである。
図23は、種々の実施形態による、四重極ロッドと、それらの間に間置されるTバーとを含む、Q0多極イオンガイドを使用して生成され得る、異なる中心質量場所および幅を示す、図23に示される同一のデータの例示的プロットである。
図24は、種々の実施形態による、150DaのQ0前駆体イオン質量選択窓を生成するために、それぞれ、Q0多極イオンガイドの四重極ロッドおよびTバーに印加される、異なるRF四重極ロッド電圧およびDC Tバー電圧を示す、例示的表である。
図25は、種々の実施形態による、Q0多極イオンガイドの補助電極に印加されるDC電圧が、一定のQ0前駆体イオン質量選択窓幅を維持するために、Q0多極イオンガイドの多極ロッドセットに印加されるRF電圧に伴って変動する様子を示す、例示的プロットである。
図26は、種々の実施形態による、Q0前駆体イオン質量選択窓をQ1前駆体イオン質量選択窓と同期させるための方法を示す、例示的フローチャートである。 図26は、種々の実施形態による、Q0前駆体イオン質量選択窓をQ1前駆体イオン質量選択窓と同期させるための方法を示す、例示的フローチャートである。
図27は、種々の実施形態による、多極イオンガイド質量フィルタを使用して、DIA方法において前駆体イオンを質量フィルタリングするためのシステムを示す、概略図である。
図28は、種々の実施形態による、多極イオンガイド質量フィルタを使用して、DIA方法において前駆体イオンを質量フィルタリングするための方法を示す、フローチャートである。
図29は、本教示の実施形態が実装され得る、コンピュータシステムを図示する、ブロック図である。
図30は、種々の実施形態による、多極イオンガイド質量フィルタを使用して、DIA方法において前駆体イオンを質量フィルタリングするための方法を実施する、1つまたはそれを上回る明確に異なるソフトウェアモジュールを含む、システムの概略図である。
詳細な説明
明確化のために、以下の議論が、そうすることが便宜的または適切であるときは常に、ある具体的詳細を省略しながら、本開示の実施形態の種々の側面を詳述するであろうことを理解されたい。例えば、代替実施形態における同様の、または類似する特徴の議論は、若干略記され得る。周知の構想または概念もまた、簡潔にするために、あまり詳しく議論されない場合がある。当業者は、本開示のいくつかの実施形態が、全ての実装において具体的に説明される詳細のうちのあるものを要求しない場合があり、これが、実施形態の徹底的な理解を提供するためにのみ本明細書に記載されることを認識するであろう。同様に、説明される実施形態が、本開示の範囲から逸脱することなく、共通の一般的知識に従って、改変または変形例を受けやすくあり得ることが明白となるであろう。実施形態の以下の詳細な説明は、いかなる様式でも本出願人の教示の範囲を限定すると見なされるものではない。
本明細書に使用されるように、用語「約」および「実質的に等しい」は、例えば、実世界における測定または取扱手順を通して、これらの手順における故意ではない誤差を通して、組成物または試薬の製造、源、または純度における差異を通して、および同等物を通して起こり得る、数値量における変動を指す。典型的には、本明細書に使用されるような用語「約」および「実質的に」は、記載される値または値の範囲または完全な条件または状態を10%上回る、または下回ることを意味する。例えば、約30%または30%に実質的に等しい濃度値は、27%~33%の濃度を意味し得る。その用語はまた、そのような変動が従来技術によって実践された既知の値を包含しない限り、当業者によって同等であるとして認識されるであろう変動を指す。
本明細書に使用されるように、用語「および/または」は、関連付けられる列挙されるアイテムのうちの1つまたはそれを上回るもののありとあらゆる組み合わせを含み、「/」として略記され得る。
本教示は、質量分析を実施するためのシステムおよび方法に関し、特に、質量分析器の上流に配置される、少なくとも1つの質量フィルタを採用し、質量フィルタが、それらのm/z比のうちの少なくとも1つが、下流の質量分析器のバンドパス窓内のm/z比に対応するように、複数のm/z比を包含するバンドパス窓を有するように構成される、そのような方法およびシステムに関する。一般性を損なうことなく、本教示の種々の側面を例証するために、下記に説明される実施形態は、タンデムで設置される、質量フィルタと、下流の質量分析器とを含む。しかしながら、本教示が、質量フィルタおよび下流の質量分析器のみを有する質量分析システムに限定されないことを理解されたい。
従来のシステムと異なり、本教示によるシステムでは、上流の質量フィルタは、下流の質量分析器に移送される、複数のm/z比を網羅する、質量/電荷(m/z)比ドメインにおけるバンドパス窓を有することができる。多くの実施形態では、下流の質量分析器のバンドパス窓は、一度に1つのm/z比の通過を可能にするように構成される。他の実施形態では、下流の質量分析器は、複数のm/z比を網羅するバンドパス窓を有する。下記により詳細に議論されるように、複数のm/z比を横断するイオンが透過されることを可能にするように上流の質量フィルタのバンドパス窓を構成することによって、異なるm/z比を伴う複数のイオンのより迅速な分析が、達成されることができる。以下の議論では、ある場合には、第1の質量フィルタは、第1の質量分析器と称され、第2の質量フィルタは、第2の質量分析器と称される。
種々の用語が、当技術分野におけるそれらの通常の意味に従って、本明細書に使用される。用語「バンドパス窓」、「透過帯域幅」、「透過窓」、および「帯域幅」は、その範囲の外のm/z比を伴うイオンの通過が実質的に低減される、または好ましくは、阻止される間、質量フィルタまたは質量分析器を通して透過され得るm/z比の範囲を指すように同義的に本明細書に使用される。
用語「Q0」は、最初に、衝突冷却領域においてイオンビームからイオンを受け取る、タンデム質量分析計のコンポーネントを指す。また、用語「Q1」が、最初に、Q0コンポーネントからイオンを受け取り、Q0コンポーネントを含む真空チャンバよりも低い圧力を有する真空チャンバ内に位置する、タンデム質量分析計のコンポーネントを指すことに留意されたい。その機能性および/または構成に応じて、「Q0」は、質量フィルタ、第1の質量フィルタ、前置フィルタ、イオンガイド、多極イオンガイド、または四重極イオンガイドと称され得る。その機能性および/または構成に応じて、「Q1」は、質量分析器、質量フィルタ、質量フィルタデバイス、第2の質量フィルタ、四重極、または四重極ロッドと称され得る。
「質量分析計の低圧領域」は、約5×10-5トルを下回る圧力において維持される質量分析計(例えば、Q1質量分析器が位置付けられるチャンバ)の領域(例えば、種々の排気チャンバ)を指す。質量分析計の「中間圧力領域」は、低圧領域の圧力よりも約10~50倍高い圧力において維持される質量分析計の領域(例えば、Q0質量分析器が位置付けられるチャンバ)を指す。ある場合には、質量分析計は、高圧領域、例えば、約2~10トルの圧力において維持される領域を含むことができる。
本明細書に説明される実施形態の実施例は、本教示の側面を実装するための複数のモジュールを含むことができるが、本教示による例示的プロセスの種々の側面がまた、1つまたは複数のモジュールによって実施され得ることを理解されたい。加えて、コントローラ/制御ユニットという用語が、ハードウェア/ファームウェア/ソフトウェアまたはそれらの組み合わせにおいて実装され得るモジュールを指すことを理解されたい。いくつかの実施形態では、コントローラは、プロセッサと、メモリと、その種々のコンポーネント間の通信を提供するための1つまたはそれを上回る通信バスとを含むことができる。例えば、質量スペクトルを発生させるためのイオン検出信号の分析等の本明細書に開示される種々の方法を実施するための命令は、1つまたはそれを上回るメモリモジュール内に記憶されることができ、本方法を実装するためにプロセッサによってランタイムの間に使用されることができる。
図2のフローチャートを参照すると、質量分析を実施するための本教示の実施形態による方法は、異なるm/z比を有する少なくとも2つの着目イオンの透過を可能にするバンドパス窓を有する質量フィルタの中に複数のイオンを導入するステップを含む。これに、質量フィルタを通して透過されたイオンを、上流の質量フィルタのバンドパス窓内のm/z比のうちの1つを有するイオンの通過を可能にするように構成される、下流の質量分析器の中に導入するステップが続く。いくつかの実施形態では、下流の質量分析器は、複数のm/z比を伴うイオンの通過を可能にする。
続けて、質量フィルタのバンドパス窓は、これが、伝送のための、以前にその帯域幅内にあり、下流の質量分析器によって選択されたm/z比のうちの少なくとも1つおよび少なくとも新しいm/z比を包含するであろうように調節されることができる。
イオンは、次いで、更新されたバンドパス窓を伴う質量フィルタを通して下流の質量分析器に透過される。下流の質量分析器は、順に、質量フィルタの以前の帯域幅と調節された帯域幅との間で共通するm/z比を有するイオン(すなわち、その元の構成および更新された構成において質量フィルタを通して透過され得るイオン)を選択するように調節される。SWATH(R)入手モードにおいて動作するとき、下流の質量分析器は、異なるm/z比を伴うイオンの範囲を選択するように調節される。実施例として、ある場合には、TOF MS/MSシステムでは、下流の質量分析器は、イオンの同位体クラスタまたはm/z値の範囲が、質量分析器を通して透過されるように、低分解能モードにおいて動作されることができる。
再び、いくつかの実施形態では、質量分析器によって選択されるイオンのうちの少なくともいくつかは、複数の生成イオンを発生させるために断片化されることができ、これは、順に、質量分析を受けることができる。下記により詳細に議論されるように、質量フィルタのバンドパス窓の調節および下流の質量分析器のものは、実質的に並行して行われることができる。代替として、質量フィルタのバンドパス窓は、下流の質量分析器のバンドパス窓を更新することに先立って偏移(更新)されることができる。さらに、下記により詳細に議論されるように、いくつかの実施形態では、イオン断片化は、断片イオンと関連付けられる2つまたはそれを上回るm/z比を包含するように本教示に従って構成されるバンドパス窓を有するように構成される区画の上流に配置される、質量フィルタの1つまたはそれを上回る区画において起こることができる。
上記の方法は、多重反応監視質量分析(MRM)を実施するために利用されることができる。例えば、図3を参照すると、そのような実施形態の実装の一実施例では、イオンガイドQJet(R)が、上流のイオン源(図3に図示せず)からイオンを受け取り、受け取られたイオンを質量フィルタQ0の中に透過されるイオンビームに集束させることができる。イオンガイドQJet(R)は、四重極構成に従って配列される、4つのロッド10(そのうちの2つが図3において可視である)を含む。RF源12が、当技術分野で公知の様式で4つのロッド10にRF電圧を印加し、イオンガイドQJet(R)を通して通過するイオンの半径方向集束を提供する。イオンレンズIQ0が、イオンガイドQJet(R)と質量フィルタQ0との間に配置され、QJet(R)およびQ0チャンバの差動圧送を可能にし、イオンの強化された透過および集束を提供することができる。
本実施形態では、質量フィルタQ0は、それを通して質量フィルタQ0の入口14を介して受け取られたイオンが、それを通してイオンが質量フィルタQ0から退出するその出口16まで伝搬し得る通路を提供するために、四重極構成において相互に対して直列に位置付けられる、ロッドの4つのセットQ0A、Q0B、Q0C、およびQ0Dを含む。本実施形態では、RF電圧源12(または別個のRF電圧源)およびDC電圧源20aは、イオンの半径方向集束を提供し、かつ質量フィルタQ0を通したイオンの通過のためのバンドパス窓(すなわち、透過窓)を確立するように、質量フィルタQ0のロッドにRFおよびDC電圧を印加する。
言い換えると、質量フィルタQ0のバンドパス窓内に該当するm/z比を有するイオンは、質量フィルタQ0を通して通過することができる一方、バンドパス窓外に該当するm/z比を有するイオンの透過は、実質的に低減され、好ましくは、阻止される。下記により詳細に議論されるように、本実施形態では、RF電圧(信号)は、ロッドの第1、第2、および第4のセットQ0A、Q0B、およびQ0Dに印加される一方、RF電圧および分解DC電圧(質量フィルタQ0のバンドパス窓を設定するため)は、下記により詳細に議論されるように、ロッドの第3のセットQ0Cに印加される。さらに、本実施形態では、Q0AおよびQ0Bロッドセットのロッドは、下流の有効電位を上回る上流の有効電位を提供するように、質量フィルタQ0の縦方向軸に対して傾斜され、それによって、Q0AおよびQ0Bロッドセットのロッドの長さに沿って下流を指し示す軸外れ軸方向勾配を生成する。加えて、本実施形態では、ロッドセットQ0AおよびQ0Bは、Q0Cロッドセットよりも小さい場半径を有する。さらに、本実施形態では、Q0AおよびQ0Bロッドセットに印加されるRF電圧は、RF電圧をQ0Cロッドセットに印加するRF電圧供給源から容量結合を介して取得されるため、Q0AおよびQ0Bロッドセットに印加されるRF電圧は、Q0Cロッドセットに印加されるRF電圧の振幅よりも低い振幅を有する。その結果、Q0Bロッドセットの出口におけるイオンは、Q0C区画への入口におけるものよりも高いマシューqパラメータに関する値を呈する。Q0Bロッドセットの出口におけるより高いq値は、Q0Cロッドセットの入口よりもQ0Bロッドセットの出口においてより高い有効電位をもたらし、それによって、Q0B/Q0C境界におけるイオン反射を低減させる。
いくつかのそのような実施形態では、質量フィルタQ0(例えば、四重極質量フィルタ)のバンドパス窓は、着目前駆体イオンの質量に加えて、監視されるべき次の前駆体の質量を含むように構成されることができる。これは、図4Aおよび4Bに図式的に示される。本実施例では、最初に、質量フィルタQ0は、mおよびmのm/z比を伴うイオンの透過を可能にするバンドパス窓(BP1)を有するように構成され、質量分析器Q1は、mのm/z比を伴うイオンの透過を可能にするように構成される。質量分析器Q1の透過窓が、次の着目質量、すなわち、mのm/z比を伴うイオンに偏移されると、質量フィルタQ0のバンドパス窓は、mのm/z比を伴うイオンおよびmのm/z比を伴うイオンの透過を可能にするように調節される(本調節されたバンドパス窓は、本明細書でBP2として指定される)。
多くの実施形態では、質量フィルタQ0のバンドパス窓のそのような調節は、最初に、少なくとも1つの動作パラメータ(例えば、RF電圧またはDC分解電圧)を調節し、より幅広いバンドパス窓を作成し、続けて少なくとも別の動作パラメータを調節し、質量フィルタのバンドパス窓を所望の幅に狭めることによって遂行されることができる。例えば、DC分解電圧および印加RF電圧の振幅は、質量フィルタのバンドパス窓を調節するために使用されることができる。
いくつかの実施形態では、RF電圧およびDC分解電圧が変更される順序は、後続バンドパス窓に関する要求されるRFおよびDC分解電圧に依存し得る。例えば、後続バンドパス窓が、同一のサイズに留まるが、より低い質量に向かって偏移されることになる場合、分解DC電圧は、RF振幅が減少される前に減少される必要があるであろう(例えば、下記の表1におけるBP5からBP6への遷移を参照されたい)。後続バンドパス窓の所望の幅が、現在のバンドパス窓未満である場合、RF電圧は、バンドパス窓を所望の幅に狭めるためにDC分解電圧を増加させる前に、より幅広いバンドパス窓を作成するために最初に増加されることができる(例えば、下記の表1におけるBP3からBP4への遷移を参照されたい)。バンドパスが、BP4からBP3に遷移する等、より低い質量の対に向かって移動していた場合、バンドパス窓の幅は、RF電圧振幅の減少、続けて、DC分解電圧の減少によって狭められる。
さらなる例証として、下記の表1は、本教示に従って質量フィルタのバンドパスを調節するためのRF電圧およびDC分解電圧の実施例を提供する。本実施例は、バンドパス窓の幅が増加する場合、バンドパス窓がより高い質量に移動しているにもかかわらず、バンドパス分解DC電圧が減少し得ることを示す。バンドパス窓におけるそのような変化を遂行する実施例が、表の行BP3を行BP4と比較することによって、下記の表1に見られることができる。本実施例では、265~295のバンドパス窓は、52.4Vの分解DC電圧を要求する一方、275~385のバンドパス窓は、より低い分解DC電圧である46.8Vを要求する。
実施例として、図4Bを参照すると、最初に、質量フィルタQ0のバンドパス窓は、下流の質量分析器Q1の中へのmイオンの流動を擾乱することなく、mおよびmの両方を網羅するように増加されることができる。質量フィルタQ0のRF電圧における変化に続いて、質量フィルタQ0に印加されるDC分解電圧は、そのバンドパス窓を所望の幅に調整するように調節される。多くのそのような実施形態では、質量分析器Q1は、質量フィルタQ0に印加されるDC分解電圧が調節されている間、mのm/z比を伴うイオンを選択するように動作される。続けて、図4Aを参照すると、質量フィルタQ0のバンドパス窓は、mおよびmのm/z比(すなわち、BP3として指定されるバンドパス窓)を網羅するように調節されることができる。本実施例では、これに、mおよびmを網羅するように質量フィルタQ0のバンドパス窓を調節するステップが続く(BP4として指定されるバンドパス窓を参照されたい)。
本実施形態では、RFおよびDC電圧源12、20a、および20bは、質量フィルタQ0のバンドパス窓および質量分析器Q1の透過窓を設定および調節するように、質量フィルタQ0および質量分析器Q1へのRFおよびDC電圧の印加を制御するために、コントローラ22の制御下で動作される。より具体的には、コントローラ22は、質量フィルタQ0および質量分析器Q1のロッドに印加されるRFおよびDC電圧が、質量フィルタQ0のための所望のバンドパス窓を提供し、また、下流の質量分析器Q1を通した所望のm/z比を有するイオンの透過を可能にするように、RFおよびDC電圧源を制御するようにプログラムされることができる。さらに、コントローラ22は、質量フィルタQ0のバンドパス窓を次のバンドパス窓に更新し、また、質量分析器Q1に印加されるRFおよび/またはDC電圧を調節し、質量分析器Q1を通したイオンの透過を1つのm/z比から別のものに切り替えることができる。
例えば、測定サイクルの開始時に、コントローラ22は、質量フィルタQ0のバンドパス窓が、複数の着目m/z比を網羅し、質量分析器Q1の透過窓が、それらのm/z比のうちの1つを網羅するであろうように、質量フィルタQ0のバンドパス窓および質量分析器Q1の透過窓を設定することができる。事前設定された期間(例えば、質量分析器Q1が着目m/z比を有するイオンを処理するために要求される時間)後、コントローラ22は、質量分析器Q1の透過窓を、すでに質量フィルタQ0の帯域幅窓内にある次の着目m/z比に切り替え、また、質量フィルタQ0の帯域幅窓を偏移させ、質量分析器Q1によって処理されているm/z比に加えて、例えば、コントローラに以前に提供された着目m/z比の所定のリストに基づいて、新しい着目m/z比を網羅する。
いくつかの実施形態では、コントローラ22は、質量フィルタQ0の透過帯域幅および質量分析器Q1の透過窓を実質的に並行して偏移させるように構成されることができる。他の実施形態では、コントローラ22は、質量分析器Q1の透過窓を次の着目m/zに偏移させる前に、質量フィルタQ0の透過帯域幅を偏移させるように構成されることができる。例えば、再び図4Bを参照すると、質量分析器Q1が、mのm/zを伴うイオンを監視している間、コントローラ22は、質量フィルタQ0の透過帯域幅を偏移させ、mおよびmのm/z比を伴うイオンを(すなわち、BP1からBP2まで)網羅することができる。コントローラ22は、次いで、mのm/z比を伴うイオンが、質量フィルタQ0において、例えば、衝突冷却を介して平衡化している間、質量分析器Q1の透過窓を偏移させ、mのm/z比を網羅することができる。
例証として、図12は、本教示の実施形態による、質量フィルタQ0および質量分析器Q1を動作させる一実施例を示す、タイミング図を示す。本実施例では、Q1質量分析器は、mを測定するように構成される一方、質量フィルタQ0に印加されるRF電圧およびDC分解電圧は、質量フィルタQ0のバンドパス窓が、mおよびm質量を包含するであろうように設定される。時間t’において、質量分析器Q1のバンドパス窓は、mを監視するように調節され、質量フィルタQ0のバンドパス窓を変化させるように、時間tにおいて、RF電圧は、増加され、後続時間tにおけるDC分解電圧の増加が続き、質量分析器Q1がmを監視し続ける間に質量mおよびmを網羅する。時間t’において、質量分析器Q1は、mを監視するように切り替えられる一方、Q0質量フィルタのバンドパス窓は、mおよびmを網羅し続ける。質量フィルタQ0のバンドパス窓を変化させるように、時間tにおいて、RF電圧は、増加され、後続時間tにおけるDC分解電圧の増加が続き、質量分析器Q1がmを監視し続ける間にmおよびmを網羅する。続けて、質量分析器Q1は、mを監視するように切り替えられる。本実施例では、コントローラは、質量フィルタQ0のDC分解電圧を変化させる前に、質量フィルタQ0のRF電圧を変化させ、これは、BP1からBP2、BP3に変化するバンドパス窓に関するタイミングによって表される(上記の表1参照)。
さらなる例証として、図13は、質量フィルタQ0および質量分析器Q1を動作させるための別のタイミング図を示す。質量分析器Q1は、質量フィルタQ0のバンドパス窓がmおよびmを包含する間、mを監視するように設定される。質量分析器Q1は、時間t’において、mに切り替わる一方、質量フィルタQ0のバンドパス窓は、依然としてmおよびmを包含し、質量分析器Q1は、mを監視し続ける。時間tにおいて、質量フィルタQ0に印加されるDC分解電圧は、mおよびmを包含するように質量フィルタQ0のバンドパス窓を変化させるように低減され、時間tにおいて、質量フィルタQ0に印加されるRF電圧は、質量分析器Q1が依然としてmを監視している間にバンドパス窓を狭めるために増加される。続けて、時間t’において、質量分析器Q1は、mの監視に切り替わり、後続時間tにおいて、質量フィルタQ0に印加されるRF電圧は、mおよびmを包含するように質量フィルタQ0のバンドパス窓を変化させるために増加され、続けて、時間tにおいて、質量フィルタQ0に印加されるDC分解電圧を増加させる。続けて、時間t’において、質量分析器Q1は、mの監視に切り替わる。本実施例では、質量フィルタQ0に印加されるDC分解電圧は、質量フィルタQ0へのRF電圧の印加の前に変化し、これは、BP3からBP4、BP5に変化するバンドパス窓に関するタイミングによって表される(表1参照)。
バンドパス窓が作成される区画の上流に位置付けられる質量フィルタQ0区画の低質量カットオフを上回る質量を有する全てのイオンが、それらの上流区画内に存在することに留意されたい。
いくつかの実施形態では、コントローラ22は、質量フィルタQ0のバンドパス窓および質量分析器Q1のバンドパス窓をm/z比を増加させる方向に偏移させるが、他の実施形態では、コントローラ22は、質量フィルタQ0のバンドパス窓および質量分析器Q1のバンドパス窓をm/z比を減少させる方向に偏移させるように構成されることができる。
ある場合には、質量フィルタQ0のバンドパス窓は、2つを上回るm/z比を包含することができる。例えば、図4Aに示されるように、バンドパス窓BP4に続く、バンドパス窓BP5は、3つのm/z比、すなわち、m、m、およびmを網羅する。
さらに、質量フィルタQ0のバンドパス窓は、任意の所望のm/z比を有するイオンの通過を可能にするように構成されることができる。いくつかの実施形態では、質量フィルタQ0のバンドパス窓の選定は、汚染につながり得るバンドパス窓内に含有され得る不要なイオンの数によって知らされることができる。不要なイオンは、質量分析器Q1が、下流コンポーネントへの透過のために、例えば、MRM遷移を監視するための衝突セルにおける後続断片化のための前駆体イオンとして選択しないであろうものである。
上記に記述され、図3に示されるように、本実施形態では、質量フィルタQ0は、相互に対して直列に設置される、ロッドの4つのセットQ0A、Q0B、Q0C、およびQ0Dを含む。本実施形態では、4つのセットQ0A、Q0B、Q0C、およびQ0Dはそれぞれ、四重極構成において配列される、4つのロッドを含む。本教示に従ってバンドパス窓を提供するように構成される、質量フィルタQ0の区画は、四重極として実装されるが、しかしながら、質量フィルタQ0の他の区画は、六重極、八重極等の他の多極構成を使用して実装されることができる。
図5を参照すると、4つのロッドセットQ0A、Q0B、Q0C、およびQ0D毎に、「A」とマーキングされるロッドは、電気的に接続され、A極と称される。「B」とマーキングされるロッドは、電気的に接続され、B極と称される。
RF信号が、ロッドの第1および第4のセットQ0AおよびQ0Dに印加される。さらに、本実施形態では、RF信号が、ロッドの第2のセットQ0Bにも同様に印加される。ロッドの第1および第2のセットQ0AおよびQ0Bに印加されるRF信号は、衝突冷却のプロセスを通して受け取られたイオンの半径方向集束を提供し、これは、ひいては、ロッドの第1のセットQ0Aの入口におけるものよりも小さいイオンビームの半径方向拡散をもたらす。2つのロッドセットの組み合わせと同一の長さを有する単一のロッドセットではなく、ロッドの2つのセットQ0AおよびQ0Bを使用する1つの利点は、ロッドの2つのセットQ0AおよびQ0Bの間に印加されるDC電圧オフセットが、それらがその区画内で停止するであろうほど多くの軸方向運動エネルギーを失うことなく、イオンが移動し続けることに役立ち得ることである。さらに、ロッドのセットQ0CおよびQ0Dに印加されるDC電圧オフセットは、イオンの軸方向運動エネルギーが、それらが質量フィルタQ0領域から退出し、レンズIQ1を通して通過し、質量分析器Q1に到達するにつれて、低くなるであろうことを確実にするように選択される。これは、ひいては、質量フィルタQ0の充填および質量フィルタQ0によって受け取られたイオンの下流の質量分析器Q1への透過に関するタイミングに役立つことができる。
ロッドの第3のセットQ0Cに関して、RF信号が半径方向閉じ込めを提供するために印加されることに加えて、DC分解電圧もまた、第3のセットQ0Cのロッドを横断して印加され、質量フィルタQ0の帯域幅窓を定義する。上記に記述されるように、いかなる分解DC電圧も、第1、第2、および第4のセットQ0A、Q0B、およびQ0Dのロッドに印加されない。
ロッドセット(またはロッド区画)毎に、A極に印加されるRF信号の位相は、B極に印加されるRF信号の位相に対して180°偏移される。さらに、ロッドの第3のセットQ0Cに関して、A極およびB極に印加される分解DC電圧は、反対の極性を有する。実施例として、いくつかの実施形態では、印加RF電圧は、約500kHz~約2MHzの範囲内の周波数を有することができ、約500V~約10kVの範囲内のゼロツーピーク電圧を有することができるが、他の周波数および/または電圧もまた、例えば、具体的用途に基づいて採用されることができる。
RF駆動周波数の選定は、所望の質量範囲、電力供給源の利用可能な電圧範囲、および四重極質量フィルタの場半径に依存し得る。下記に複製される、マシュー方程式は、マシューaおよびqパラメータに基づいて、RF駆動周波数を決定するために使用されることができる。
式中、eは、イオン電荷を表し、Uは、DC分解電圧を表し、Vは、RF駆動振幅を表し、rは、場半径(すなわち、四重極ロッドによって提供されるイオン通路の半径)を表し、Ωは、角度駆動周波数を表し、mは、イオン質量を表す。
下記の表2は、上記のパラメータのいくつかの実施例を提示する。
非常に低いRF駆動周波数において、低質量イオンに関する散乱損失が、増加する。非常に高いRF駆動周波数において、例えば、1MHzのRF駆動周波数において2,000Daの最大質量を半径方向に閉じ込めるための電圧フィードスルーおよびケーブルの費用等の要求される高RF電圧の実装の費用は、過剰に高くなる。場半径はまた、依然として2,000Daの質量範囲を提供しながら、より高い周波数がより低いRFおよびDC振幅と併用されることを可能にするために、低減されることができる。場半径を低減させることは、より低いRFおよびDC電圧の使用を可能にすることができるが、これは、特に、強いイオンビームおよびそれらの関連付けられる空間電荷効果に関して、透過されるイオンの数における全体的低減につながり得る。
本実施形態では、RF電圧源は、例えば、前述の範囲内の周波数および電圧を伴うRF信号をQ0C区画に印加し、Q0A、Q0B、およびQ0D区画への印加のためのRF電圧は、Q0C電圧から容量結合を介して導出される。本実施形態では、Q0A、Q0B、およびQ0D区画に印加されるRF電圧のピークツーゼロ振幅は、Q0C区画に印加される個別のRF電圧振幅の約90%である。RF電圧は、それらが質量フィルタQ0の種々の区画を通して通過するにつれて、イオンの半径方向閉じ込めのための電場を発生させる。さらに、本実施形態では、DC電圧源20aは、図3に描写される要求されるDCオフセット電圧をイオンガイドQJet(R)および質量フィルタQ0の種々の区画に印加し、質量フィルタQ0を通したイオンの軸方向移動を促進するための軸方向DC電場を発生させる。
種々の区画の間のDC電位降下は、例えば、イオンがそれらの軸方向移動において助けられない0Vから、イオンが区画のうちのいずれにおいても停止しないであろうようにイオンを移動させるための図3に示される最適化された電位、例えば、Q0AとQ0Bとの間の10Vの電圧降下、Q0BとQ0Cとの間の6V降下、およびQ0CとQ0Dとの間の4V降下に及ぶことができる。
いくつかの実施形態では、質量フィルタQ0によって受け取られたイオンの少なくとも一部は、Q0Cに到着する前に、その上流区画(例えば、本実施形態では、Q0B)内で断片化されることができる。実施例として、Q0AとQ0Bとの間の電圧降下は、MS3を通した流動の場合に関して、Q0Cに進入することに先立ってイオンを断片化するために使用されるとき、最大200Vであり得る。そのような実施形態では、バンドパス窓が、下流の質量分析器Q1によって選択されるべき断片イオンの周囲のQ0Cに適用される。最大200Vの電位降下はまた、それらがQJet(R)とIQ0との間および/またはIQ0とQ0Aとの間で遷移するにつれて、イオンを断片化する目的のために、QJet(R)/IQ0とIQ0/Q0Aとの間に印加されることができる。
他の実施形態では、他の電圧が、質量フィルタQ0を通したイオンの軸方向移動を促進するための電場を発生させるために、イオンガイドQJet(R)および質量フィルタQ0の区画に印加されることができる。
質量フィルタQ0の下流に位置付けられる質量分析器Q1は、下記により詳細に議論されるように、質量フィルタQ0を通して透過されたイオンを受け取り、受け取られたイオンから、質量分析計の下流コンポーネントへの透過のための所望のm/z比を有するものを選択する。
他の実施形態では、「RF/DC Filter to Enhance Mass Spectrometer Robustness」と題された、米国特許第10,741,378号(「第’378号特許」)(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される質量フィルタが、採用されることができる。簡潔に言うと、図6および7として本明細書に複製される、第‘378号特許の図2および3は、入口オリフィスに隣接して配置される近位入口端から、出口開口に隣接して配置される遠位出口端まで延在する、4つのロッド130aおよび130bのセットを含む、イオンガイド120を説明している。ロッド130aおよび130bは、四重極構成に従って、それを通してイオンが入口端から出口端まで進行し得る空間を囲繞する、四重極ロッドセット130を形成するように配列される。前述の実施形態と同様に、ロッド130はそれぞれ、中心軸の対向する側上のロッドがともに、それに実質的に同じRF信号が印加されるロッド対を形成し、一方のロッドセットに印加されるRF信号の位相が、他方のロッドセットに印加されるRF信号の個別の位相と反対であるように、RF電力供給源(図6および7に図示せず)に電気的に結合されることができる。DCオフセット電圧もまた、四重極ロッドセットのロッドに印加されることができる。
継続して図6および7を参照すると、イオンガイド120は、加えて、四重極ロッドセット130の四重極ロッドのロッドの間に間置される、複数の補助電極140を含む。補助電極140はそれぞれ、イオンガイド120を通したイオンの透過を制御するように、それに補助電気信号を提供するために、DC電力供給源に結合されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、四重極ロッドセットのロッドに印加されるDCオフセット電圧に等しいDC電圧が、補助電極に印加されることができる。
本教示の実践における使用のために好適である別の質量フィルタが、「RF/DC cutoff to reduce contamination and enhance robustness of mass spectrometry」と題された、第’371号出願(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されている。簡潔に言うと、本公開は、下流の質量分析器への透過のために、イオン源からイオンを受け取り得る多極イオンガイドを利用するシステムおよび方法を開示している。システムは、多極イオンガイドからのイオンの透過を制御または操作するために、それにRFおよび/またはDC信号が印加され得る、四重極ロッドセット内に間置される補助電極を含むことができる。例えば、補助電極の1つの対は、正の電位に維持されることができ、補助電極の別の対は、負の電位に維持されることができる。
本教示は、様々な異なる質量分析計に組み込まれることができる。実施例として、図8は、複数のイオンを発生させるためのイオン源102を含む、質量分析計100を図式的に描写する。様々なイオン源が、本教示の実践において採用されることができる。好適なイオン源のいくつかの実施例は、限定ではないが、とりわけ、エレクトロスプレーイオン化デバイス、ネブライザ支援エレクトロスプレーデバイス、化学イオン化デバイス、ネブライザ支援霧化デバイス、化学イオン化デバイス、マトリクス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI)イオン源、光イオン化デバイス、レーザイオン化デバイス、サーモスプレーイオン化デバイス、誘導結合プラズマ(ICP)イオン源、ソニックスプレーイオン化デバイス、グロー放電イオン源、および電子衝撃イオン源を含むことができる。
発生されたイオンは、カーテン板104のオリフィス104aと、カーテン板104の下流に位置付けられ、ガスカーテンチャンバがオリフィス板106とカーテン板104との間に形成されるようにカーテン板104から分離される、オリフィス板106のオリフィス106aとを通して通過する。カーテンガス供給源(図示せず)が、カーテン板104とオリフィス板106との間に(例えば、窒素の)カーテンガス流動を提供し、中性粒子をクラスタ分離および排気することによって、質量分析計の下流区分を清浄に保つことに役立つことができる。カーテンチャンバは、上昇圧力(例えば、大気圧を上回る圧力)において維持されることができる一方、質量分析計の下流区分は、1つまたはそれを上回る真空ポンプ(図示せず)を通した排気を介して1つまたはそれを上回る選択された圧力において維持されることができる。
本実施形態では、カーテン板104およびオリフィス板106のオリフィス104aおよび106aを通して通過するイオンは、イオンガイドQJet(R)によって受け取られ、これは、質量分析計100の下流コンポーネントへの透過のためのイオンビームを形成するように四重極構成において配列される、4つのロッド108(そのうちの2つが本図に可視である)を備える。使用時、イオンガイドQJet(R)は、ガス動力学および無線周波数場の組み合わせを使用して、オリフィス板106の開口部を通して受け取られたイオンを捕捉および集束させるために採用されることができる。
イオンビームは、イオンガイドQJet(R)から退出し、レンズIQ0を介して第1の質量フィルタQ0の中に集束され、これは、上記に議論される様式で実装される。いくつかの実施形態では、第1の質量フィルタQ0の圧力は、例えば、約3ミリトル~約10ミリトルの範囲内で維持されることができる。
第1の質量フィルタQ0は、イオンレンズIQ1と、ブルベイカーレンズとして機能する、短太レンズST1とを介して、イオンを下流の第2の質量フィルタQ1に送達し、これは、上記に議論される様式で実装される。
より具体的には、本実施形態では、第2の質量フィルタQ1の四重極ロッドセット110は、着目m/z値を有するイオンを選択するための透過RF/DC四重極質量フィルタとして動作されることができる。実施例として、第2の質量フィルタQ1の四重極ロッドセット110は、質量分解モードにおける動作のために好適なRF/DC電圧を提供されることができる。例えば、印加RFおよびDC電圧のパラメータは、第2の質量フィルタQ1が、選定されたm/z比の透過窓を確立し、したがって、これらのイオンが、大部分が擾乱されることなく第2の質量フィルタQ1を横断し得るように選択されることができる。しかしながら、窓外に該当するm/z比を有するイオンは、四重極内で安定した軌道を達成せず、第2の質量フィルタQ1の四重極ロッドセットを横断することを防止されることができる。本動作モードが、第2の質量フィルタQ1に関する1つの可能性として考えられる動作モードにすぎないことを理解されたい。
本実施形態では、第2の質量フィルタQ1によって選択されたイオンは、短太レンズST2およびイオンレンズIQ2を介して衝突セルQ2の中に集束される。本実施形態では、衝突セルQ2は、例えば、約1ミリトル~約10ミリトルの範囲内の圧力において維持され得る、加圧コンパートメントを含むが、他の圧力もまた、本または他の目的のために使用されることができる。好適な衝突ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等)が、衝突セルQ2によって受け取られたイオンの少なくとも一部を断片化するために、ガス入口(図示せず)を用いて提供されることができる。
本実施形態では、衝突セルQ2は、四重極構成において配列され、衝突セルQ2によって受け取られたイオンの半径方向閉じ込めを提供するためにそれにRF電圧が印加され得る、4つのロッドを含む。
衝突セルQ2によって発生された生成イオンは、生成イオンを四重極質量分析器Q3の中に集束させるように機能する、イオンレンズIQ3および短太レンズST3を介して下流の四重極質量分析器Q3によって受け取られる。四重極質量分析器Q3は、四重極構成において相互に対して配列され、生成イオンの質量分析を提供するためにそれにRFおよびDC電圧が当技術分野で公知の様式で印加され得る、4つのロッド114を含む。質量分析器Q3を通して通過するイオンは、入射イオンに応答してイオン検出信号を発生させる、下流の検出器122によって検出される。レンズ116および118の対が、検出器上にイオンを集束させることに役立つ。本実施形態では、レンズ116は、Q3を線形イオントラップとして使用するとき、捕獲領域の端部を画定する90%透過メッシュとして実装される。レンズ118は、順に、検出器に印加される浮遊電位(例えば、4822Dチャネルトロン検出システムに関して正イオンモードにおいて-6kV、負イオンモードにおいて+4kV、または米国特許第10,074,529号および第9,991,104号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるもの等の高動的範囲検出システムにおいて使用されるHEDに印加される-15kVおよび+5.5kV検出器浮遊電位から)からの電場侵入を低減させる、トラップ領域のための遮蔽を提供する。
検出器122と通信する分析器124は、イオン検出信号を受信し、イオン検出信号を処理し、生成イオンの質量スペクトルを発生させ、それによって、前駆体イオンに対応するMRM遷移を監視することを可能にする。当技術分野で公知であるように、分析器124は、本教示によって知らされるような当技術分野で公知の技法を使用してハードウェア/ファームウェアおよび/またはソフトウェアにおいて実装されることができる。例えば、分析器124は、プロセッサと、1つまたはそれを上回るランダムアクセスメモリ(RAM)モジュールと、1つまたはそれを上回る永久メモリモジュールと、これらおよび他のコンポーネント間の通信を可能にするための少なくとも1つの通信バスとを含むことができる。
関連する側面では、本教示は、第2の質量フィルタQ1の四重極ロッド等の質量分析計の高真空コンポーネントの汚染を低減させることに役立つ方法およびシステムを提供する。イオン経路コンポーネントの汚染は、タンデム質量分析計の性能に悪影響を及ぼし得る。一般に、高真空コンポーネントの汚染は、第1の質量フィルタQ0の四重極ロッドまたは第’371号出願および第’378号特許に説明されるもの等の補助電極等の高真空コンポーネントの前に使用されるコンポーネントの汚染よりも質量分析計の性能を劣化させ得る。例えば、SWATH(R)等のDIA動作モード(本明細書では、DIA方法とも称される)では、第2の質量フィルタQ1のイオン選択窓の外のm/z比を有する不要な前駆体イオンは、フィルタリングされて除かれ、第2の質量フィルタQ1の四重極ロッド上に堆積され得る。そのような汚染は、第2の質量フィルタQ1のイオン選択窓の感度および形状に悪影響を及ぼし得、これは、ひいては、着目質量範囲に関する前駆体イオン透過効率および有効な網羅範囲を低減させ得る。着目質量範囲の低減された網羅範囲は、ひいては、SWATH(R)分析におけるイオン抽出および定量化の正確度に影響を及ぼす。
したがって、本教示による方法およびシステムのいくつかの実施形態は、DIAモードにおいて動作する質量分析計の低圧質量分析器の汚染を低減させ、それによって、器具の感度、前駆体イオン透過効率、および着目前駆体イオン質量範囲の網羅範囲を維持することを対象とする。
実施例として、本教示のいくつかの実施形態は、第1の質量フィルタQ0のロッドセットのみが、前駆体イオンの選択のために採用される、または前駆体イオンを前置フィルタリングするために構成される第1の質量フィルタQ0のイオン透過帯域幅が、下流の第2の質量フィルタQ1によって提供されるイオン透過窓よりも大きくなるように選択される、SWATH(R)モードにおいて質量分析を実施するための方法およびシステムを提供する。そのような実施形態は、したがって、質量分析計がSWATH(R)モードにおいて動作されるとき、第2の質量フィルタQ1の汚染を低減させ得る。
種々の実施形態では、DIAモードにおいて動作するタンデム質量分析計の汚染は、多極イオンガイドQ0、例えば、四重極イオンガイドにおいて質量フィルタリングを実施することによって低減される。イオンガイドQ0は、典型的には、質量フィルタデバイスQ1(例えば、四重極ロッド等の多極ロッドのセットを使用することによって形成される質量フィルタデバイス)によって行われる質量フィルタリングを実施することができる、またはイオンガイドQ0は、質量フィルタQ1によって行われる質量フィルタリングを改良するために、前置フィルタリングを実施することができる。言い換えると、質量フィルタリングイオンガイドQ0が、DIA方法において質量フィルタQ1に取って代わるために使用されることができる、またはこれは、DIA動作モードにおいて質量フィルタQ1のために前駆体イオンを前置フィルタリングするために使用されることができる。
任意のDIA方法では、着目前駆体イオンm/zまたは質量範囲に及ぶ異なる前駆体イオン質量選択窓が、実験のために選択される。これらの異なる前駆体イオン質量選択窓は、DIA方法のユーザまたは方法開発者によって選択される。タンデム質量分析計の各時間サイクルの間、これらの異なる前駆体イオン質量選択窓はそれぞれ、前駆体イオンを断片化デバイスに透過させるために使用される。用語「質量」および「m/z」が、本明細書で同義的に使用されることに留意されたい。概して、質量分析測定は、m/zにおいて行われ、電荷で乗算することによって質量に変換される。
図14は、種々の実施形態が実装され得る、ある質量範囲に及ぶ異なる前駆体イオン質量選択窓が従来のDIA方法において走査される方法を示す、例示的略図200である。本実施例では、5つの異なる前駆体イオン質量選択窓210が、DIA方法のために選択され、M1~M6の前駆体イオン質量範囲に及ぶ。図14では、異なる前駆体イオン質量選択窓210は、非重複窓として示され、イオン質量選択窓は、同一の長さまたは幅を有する。しかしながら、これらのイオン選択窓はまた、重複する窓である、および/または可変長さを有することができる。
DIA方法では、異なる前駆体イオン質量選択窓210のそれぞれにおける前駆体イオンは、透過および断片化され、結果として生じる生成イオンは、タンデム質量分析計の各時間サイクルにおいて質量分析される。結果として、5つのMS/MSスペクトルが、タンデム質量分析計の時間サイクル毎に生成される。各MS/MSスペクトルは、単一の衝突エネルギーにおいて入手される、または断片化の間の衝突エネルギーの範囲にわたって平均化されることができる。
図14の実施例では、異なる前駆体イオン質量選択窓210はそれぞれ、タンデム質量分析計の高真空領域における質量フィルタデバイスを使用して選択および透過される。質量フィルタデバイスは、例えば、四重極Q1であり得る。
他の実施形態では、多極イオンガイドQ0が、異なるQ0前駆体イオン質量選択帯域幅を使用することによって、質量フィルタリングまたは前置フィルタリングを実施することができる。質量フィルタリングに関して、異なるQ0前駆体イオン質量選択窓の各窓は、DIA方法のために選択された異なる前駆体イオン質量選択窓の各窓と実質的に同等である、またはそれよりも幅広い。言い換えると、質量フィルタリングに関して、異なるQ0前駆体イオン質量選択窓は、DIA方法のために選択された異なる前駆体イオン質量選択窓と同等である、またはそれよりも幅広い。
図15は、種々の実施形態による、多極イオンガイドQ0が異なるQ0前駆体イオン質量選択窓を使用することによって質量フィルタリングを実施し得る方法を示す、例示的略図300である。図15では、5つの異なるQ0前駆体イオン質量選択窓310が、DIA方法のために選択され、M1~M6の前駆体イオン質量範囲に及ぶ。再び、図15では、異なるQ0前駆体イオン質量選択窓310は、全てが同一の長さまたは幅を有する、非重複窓として示される。しかしながら、これらの窓はまた、重複する窓であり得、可変長さを有することができる。
DIA方法では、異なる前駆体イオン質量選択窓310はそれぞれ、低圧領域に先立つ質量フィルタQ0として多極イオンガイド(例えば、四重極)を使用して選択および透過される。加えて、四重極質量フィルタQ1または第2の質量フィルタ等のいかなる他の質量フィルタデバイスも、使用されない。質量フィルタQ0によって透過されたイオンは、断片化デバイスに送られ、結果として生じる生成イオンは、タンデム質量分析計の各時間サイクルにおいて質量分析される。再び、5つのMS/MSスペクトルが、タンデム質量分析計の時間サイクル毎に生成される。各MS/MSスペクトルは、単一の衝突エネルギーにおいて入手される、または断片化の間の衝突エネルギーの範囲にわたって平均化されることができる。
そのような実施形態では、四重極Q1等の第2の質量フィルタデバイスの必要性を排除することは、タンデム質量分析計の低圧領域における汚染問題を有意に低減させる。これはまた、器具の複雑性を低減させる。概して、第2の質量フィルタデバイスは、単一のイオンガイド質量フィルタを使用するよりも高い質量分解能を提供することができる。しかしながら、幅広い前駆体イオン質量選択窓が、DIA実験において使用されるため、イオンガイド質量フィルタQ0の低減された質量分解能は、いずれの問題も提起しない。
しかしながら、種々の実施形態では、多極イオンガイド質量フィルタQ0はまた、第2の質量フィルタQ1のための前置フィルタとして使用されることができる。質量前置フィルタリングでは、第1の質量フィルタQ0のための複数の前駆体イオン質量選択窓の各窓が、DIA方法を実装するために採用される第2の質量フィルタQ1のための複数の異なる前駆体イオン質量選択窓の対応する窓に関してイオンを前置フィルタリングするために使用される。結果として、第1の質量フィルタQ0の前駆体イオン質量選択窓は、第2の質量フィルタQ1のその対応する前駆体イオン質量選択窓よりも大きい質量またはm/z幅を有するように構成される。
図16は、種々の実施形態による、イオンガイドが第1の質量フィルタQ0の前駆体イオン質量選択窓を使用することによって質量前置フィルタリングを実施し、第2の質量フィルタQ1の前駆体イオン質量選択窓を前置フィルタリングし得る方法を示す、例示的略図400である。図16では、第2の質量フィルタQ1の5つの異なる前駆体イオン質量選択窓410が、DIA方法のために選択され、M1~M6の前駆体イオン質量範囲に及ぶ。加えて、第1の質量フィルタQ0の5つの異なる前駆体イオン質量選択窓420の各窓は、第2の質量フィルタQ1の5つの異なる前駆体イオン質量選択窓410の窓を前置フィルタリングするように計算される。
図16に示されるように、第1の質量フィルタQ0の異なる前駆体イオン質量選択窓420の各窓は、第2の質量フィルタQ1の異なる前駆体イオン質量選択窓410のその対応する窓よりも大きい帯域幅を有する。本実施例では、第1の質量フィルタQ0の各窓420は、第2の質量フィルタQ1のその対応するイオン選択窓410よりも低い低m/zカットオフおよび高い高m/zカットオフを有する。これは、低質量汚染およびはるかに問題となる高質量汚染の両方を低減させる。
しかしながら、イオンを前置フィルタリングすることは、費用がかからないわけではない。下記に説明されるように、少なくとも第1の質量フィルタQ0を再充填するために必要とされる時間における費用が、存在する。結果として、種々の実施形態では、第1の質量フィルタQ0の1つの窓は、第2の質量フィルタQ1の2つまたはそれを上回る窓を前置フィルタリングするために使用されることができる。いくつかのそのような実施形態では、第1の質量フィルタQ0の窓は、第2の質量フィルタQ1の2つの連続するイオン選択窓と関連付けられるm/z比の組み合わせられた範囲を上回るm/z比の範囲に及ぶ。
実施例として、図17は、種々の実施形態による、イオンガイドQ0が1つの前駆体イオン質量選択窓を使用して質量前置フィルタリングを実施し、第2の質量フィルタQ1に関する2つの異なる前駆体イオン質量選択窓を前置フィルタリングし得る方法を示す、略図500である。図17では、第2の質量フィルタQ1の4つの異なる前駆体イオン質量選択窓510が、DIA方法のために選択され、M1~M5の前駆体イオン質量範囲に及ぶ。加えて、第1の質量フィルタQ0の2つの異なる前駆体イオン質量選択窓520の各窓は、第2の質量フィルタQ1の4つの異なる前駆体イオン質量選択窓510の2つの窓を前置フィルタリングするように計算される。本実施例は、第2の質量フィルタQ1の2つの異なる前駆体イオン質量選択窓を網羅する第1の質量フィルタQ0のバンドパス窓を示すが、第1の質量フィルタQ0のバンドパス窓が、第2の質量フィルタQ1に関する2つを上回る、例えば、3つ、4つ、5つ等の異なる選択窓を網羅することもまた、可能性として考えられる。
種々の実施形態では、第1の質量フィルタQ0による質量フィルタリングまたは前置フィルタリングは、例えば、複数の区画化されたイオンガイドロッドを使用して、またはイオンガイドロッドの間に設置される補助電極を使用して、調整された波形をイオンガイドロッドに印加することによって実施されることができる。実施例として、いくつかの実施形態では、調整された波形は、異なる周波数のコムを多極イオンガイド(すなわち、第1の質量フィルタQ0)のロッドに印加することによって印加されることができる。異なる周波数のコムは、透過されない質量を規定する。言い換えると、第1の質量フィルタQ0の前駆体イオン質量選択窓は、対応する周波数を用いて多極イオンガイドのロッドにRF信号を印加することによって、窓の外の質量を除外することによって形成される。
区画化された多極イオンガイドロッド
図18は、種々の実施形態による、質量フィルタリングまたは前置フィルタリングのために使用され得る区画化されたロッドを伴う、質量フィルタQ0として使用され得る、多極イオンガイド610の例示的略図600である。多極イオンガイド610は、区画化されたロッドセット620を含む。区画化されたロッドセット620の各ロッドは、中心縦方向軸630から離間され、それに並んで延在する。区画化されたロッドセット620の各ロッドはまた、3つの異なる縦方向区画に区画化される。これらの区画は、第1の区画621、中間区画622、および最終区画623である。第1の区画621は、イオン源601から多極イオンガイド610に進入するイオンを受け取り、冷却するために使用される。最終区画623は、多極イオンガイド610からイオンを透過させるために使用される。中間区画622は、イオンをフィルタリングまたは前置フィルタリングするために使用される。
従来の四重極質量フィルタQ1におけるように、RF電気信号のRF電圧641およびDC電気信号のDC電圧642が、中間区画622のロッド区画に印加される。プロセッサまたはコントローラ640が、これらの電気信号を印加または制御する。RF電圧641は、多極イオンガイド610(すなわち、質量フィルタQ0)に関する前駆体イオン質量選択窓の低m/zカットオフを規定し、DC電圧642は、多極イオンガイド610(すなわち、質量フィルタQ0)に関する前駆体イオン質量選択窓の高m/zカットオフを規定する。区画化された質量フィルタQ0が、任意の数の区画を備え得、任意の区画が、イオンをフィルタリングまたは前置フィルタリングするために使用され得ることが当業者に明白となるであろう。
多極イオンガイドロッドの間の補助電極
上記に言及される、第’832号出願および第’371号出願は、下流の質量分析計コンポーネントへの透過のためにイオン源からイオンを受け取るが、汚染イオンが質量分析計の低圧チャンバの中に透過されることを防止し得る、多極イオンガイドQ0を利用するシステムおよび方法を説明している。第’832号出願および第’371号出願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。DC信号が、多極イオンガイドQ0からのイオンの透過を制御または操作するために、多極ロッドセット内に間置される補助電極に提供される。
図19は、種々の実施形態が実装され得る、第’832号出願および第’371号出願の多極イオンガイド720(すなわち、Q0)を示す、例示的略図700である。図19では、イオン源デバイス701によって発生されたイオンは、オリフィス板702およびスキマー703内の開口を通して連続して通過することによって、コヒーレントなイオンビームに抽出されることができる。イオンは、スキマー開口711を通してイオンガイドチャンバ710に進入する、幅狭の高度に集束されたイオンビームを形成する。
多極イオンガイド720は、イオンガイドチャンバ710内に格納される。多極ロッドセット730のロッドは、多極イオンガイド720の中心軸を囲繞し、それに沿って延在し、それによって、それを通して高度に集束されたイオンビームのイオンが透過される空間を画定する。多極イオンガイド720はまた、多極イオンガイド720の一部に沿って延在し、多極ロッドセット730のロッドの間に間置される、補助電極740を含む。
多極イオンガイド720は、多極ロッドセット730および補助電極740を使用し、高度に集束されたイオンビームのイオンをバンドパスフィルタリングする。RF電圧およびDCオフセット電圧が、多極ロッドセット730のロッドに印加される。RF電圧は、バンドパスフィルタの低m/zカットオフを規定する。DC電圧751が、補助電極740に印加される。DC電圧751は、例えば、プロセッサまたはコントローラ750を使用して印加される。多極ロッドセット730のロッドに印加されるDC電圧751とDCオフセット電圧との間の相対的差異は、バンドパスフィルタに関する高m/zカットオフを規定する。言い換えると、補助電極740のDC電圧751は、バンドパスフィルタに関する高m/zカットオフを規定するために使用される。
多極イオンガイド720の多極ロッドセット730および補助電極740によってフィルタリングされたイオンは、低圧チャンバ760に透過される。イオンは、イオンガイドチャンバ710から、例えば、IQ1レンズ761を通して低圧チャンバ760に透過される。質量分析計が、付加的イオンガイドを含み得る、付加的真空ステージを含み得ることが当業者に明白となるであろう。上記の実施形態のうちのいくつかでは、本教示は、SCIEXブランド質量分析計において採用されるイオンガイドおよび質量フィルタを構成することによって実装されることができる。イオンガイドQ0は、典型的には、約1~12ミリトル圧力範囲を有する真空ステージ内で動作するが、他の圧力もまた、採用されてもよい。種々の他の圧力形態において動作するイオンガイドを含む、他のイオンガイドもまた、バンドパスを作成するために使用されてもよい。
図20は、種々の実施形態が本教示に基づいて実装され得る、第’832号出願および第’371号出願の補助電極の例示的斜視図800である。図20に示されるように、補助電極740は、基部部分850と、それから延在するステム部分860とを有する、4つのT形電極840を含むことができる。電極840は、長さが10mmであり得、ステム860は、長さが約6mmであり得る。電極840は、多極イオンガイドの所望の場所に搭載され得る、搭載リング842に結合されることができる。他の実施形態では、電極840は、異なる長さを有することができ、ステム860は、異なる長さを有することができる。電極寸法は、異なるワークフローまたはイオンガイドロッド幾何学形状のために最適化されることができる。
例示的搭載リング842は、多極イオンガイドのロッドに確実に係合するための切り欠き(例えば、想像線において示される、ロッド720aのように)を含むことができる。示されるように、単一の導線844が、DC電力供給源(図示せず)に結合されることができ、また、電極840のうちの1つまたはそれを上回るものに電気的に結合されることができる。同一のDC電圧が、電極840の全てに印加されることができる、または異なるDC電圧が、異なる電極840に印加されることができる。いくつかの実施形態では、反対の電極は、正のDC電位を有してもよく、隣接する対は、負のDC電位を有してもよい。付加的実施形態では、電極の2つの対に印加される電位は、Q0ロッドのDCオフセット電位の周囲にオフセットされる、または対称に配置されることができる。
図21は、種々の実施形態が実装され得る、第’371号出願の多極イオンガイドQ0の例示的断面図900である。図21では、多極イオンガイド720は、4つのロッド930aおよび930bのセットを含む、四重極として描写される。ロッド930aおよび930bは、多極イオンガイド720の中心軸を囲繞し、それに沿って延在し、それによって、それを通してイオンが透過される空間を画定する。
多極イオンガイド720はさらに、中心軸(想像線において示される)に沿って同様に延在する、多極イオンガイド720の四重極ロッド930aと930bとの間に間置される、複数の補助電極940を含む。各補助電極940は、四重極ロッド930aおよび930bのロッドによって別の補助電極940から分離されることができる。さらに、補助電極940はそれぞれ、第1の対のロッド930aおよび第2の対のロッド930bに隣接して、その間に配置されることができる。
四重極ロッド930aおよび930bは、第1のRF電圧が第1の周波数において、かつ第1の位相においてロッド930aの第1の群に印加され、反対の位相における(例えば、第1のRF電圧と同一の振幅(Vp-p)の)第2のRF電圧がロッド930bの第2の群に印加される、DCオフセット電圧において維持されるが、様々な補助電気信号が、補助電極940に印加されることができる。図21に示されるように、各補助電極940は、同一の振幅のDC電圧910を有する。言い換えると、それぞれ、基部部分950およびステム部分960を伴う全てのT形電極940は、同一のDC電圧910においてバイアスされる。しかしながら、前述で説明されるように、いくつかの実施形態では、電極の一方の対は、ロッドのDCオフセット電圧に対して正の電位でバイアスされ、電極の他方の対は、ロッドのDCオフセット電位に対して負の電位でバイアスされることができる。いくつかの実施形態では、正および負の電位バイアスは、同一の大きさを有してもよい。
各補助電極940は、四重極ロッド930aおよび930bに印加されるDCオフセット電圧910と異なるDC電圧を有する。結果として、第’371号出願に解説されるように、多極イオンガイドに関する質量窓生成デバイスが、作成される。
第’832号出願および第’371号出願は、補助電極が、タンデム質量分析においてイオンをフィルタリングするために多極イオンガイドQ0に適用され得ることを示すが、これまで、DIA方法においてこれを行うことは、可能であると考えられていなかった。言い換えると、補助電極を伴う多極イオンガイドQ0を使用して、または多極イオンガイドQ0を少しでも用いて、タンデム質量分析計の同一のサイクル内で2つまたはそれを上回る異なる前駆体イオン質量選択窓を生成することは、可能であると考えられていなかった。
DIA方法は、前駆体イオン窓が段階的サイズまたは走査様式で移動されるとき、多極イオンガイドQ0への所与のRF電圧および補助電極DC電圧のために一貫した再現可能なバンドパス窓を要求する。加えて、DIA方法は、タンデム質量分析計のサイクル時間を限定することなく、多極イオンガイドQ0のバンドパスまたは前駆体イオン質量選択窓が、質量フィルタQ1の前駆体イオン質量選択窓と同程度に迅速に変更されることを要求する。
以下の実施例は、本教示の種々の側面のさらなる例証のために提供され、必ずしも、本教示を実践する最適な方法または取得され得る最適な結果を示すものではない。本明細書の下記では、「Q0」が、他の用語を修飾するとき、修飾された用語は、図3および8に示されるQ0として直列に位置付けられるロッドの複数のセットを備える構造を伴って実装される、多極イオンガイド、質量フィルタ、第1の質量フィルタ、前置フィルタ、または同等物と関連付けられるように理解されるであろう。「Q1」が、他の用語を修飾するとき、修正された用語は、図3および8にQ1として示される構造を伴って実装される、質量分析器、質量フィルタ、第2の質量フィルタ、または同等物と関連付けられるように理解されるであろう。
(実施例1)
図9A、9B、および9Cは、上記に議論される様式で質量フィルタQ0の種々のロッドへの好適なRFおよび分解DC電圧の印加を介して、図3に図式的に描写されるもの等の4区画質量フィルタQ0に関して取得された、バンドパス窓の実施例を示す。
より具体的には、図9Aは、約400~約500Daに及ぶバンドパス窓を示す。本バンドパス窓は、1.0MHzの周波数および421.5ボルトのゼロツーピーク電圧振幅を有するRF信号をQ0Cに印加し、Q0Cに容量結合される、Q0A、Q0B、およびQ0Dに印加される電圧がQ0Cに印加される電圧の約90%であることによって達成された。A極上の分解DC電圧は、+73.4Vであり、B極上の分解DC電圧は、-73.4Vであり、これは、-6Vのオフセット電圧と組み合わせて、A極上で+67.4およびB極上で-79.4の合計電圧をもたらすことができる。バンドパス窓は、分解DC電圧のみによって決定され、オフセットDC電圧は、イオンの軸方向運動エネルギーを決定し、イオンがそれらの軸方向運動を継続することに役立つ。
図9Bは、1.0MHzの周波数および899.6ボルトのゼロツーピークの極から接地までの振幅を伴うRF信号および136.1ボルトの極から接地までの振幅を有する分解DC電圧を印加することによって達成される、約700Da~約800Daに及ぶバンドパス窓を示す。
図9Cは、1.0MHzの周波数および1009.0ボルトのゼロツーピークの極から接地までの振幅を伴うRF信号および146.8ボルトの極から接地までの振幅を有する分解DC電圧を印加することによって達成される、約800~約1,000Daに及ぶバンドパス窓を示す。
(実施例2)
図3に示されるような質量分析計が、本節に議論されるデータを取得するために採用された。特に、図10Aおよび10Bに提示される測定は、ST1領域におけるイオン捕獲を阻止する45° ST1およびST3におけるイオン捕獲を防止するための37° ST3とともに、図3に描写される質量フィルタQ0を使用して遂行された。提示されるデータは、CAD=0で収集された。より高いCAD設定は、衝突セルQ2における衝突に起因して、イオン通過時間をさらに減速させる効果を有するであろう。
より具体的には、図10Aは、QJet(R)イオンガイドおよび質量フィルタQ0の種々の区画の以下のDC設定、すなわち、QJet(R)/IQ0/Q0A=+10V、Q0B=0V、Q0C=-6V、およびQ0D=-10Vに関するイオン質量の関数としてのレンズIQ0から検出器122までの通過時間を示す。図10Bは、t=0~t=3ミリ秒に延在する、図10Aに提示されるデータの時間区画を示す。さらに、垂直破線は、イオンレンズIQ1から出口レンズ118までの関連付けられる質量に関する計算された通過時間を表す。出力出口レンズからデジタルパルスの出力までの時間は、検出器領域内に存在する高磁場に起因して無視できる。Tektronix DPO 7254C高速オシロスコープが、イオンが検出されたときに作成されたデジタルパルスを監視するために使用された。オシロスコープは、レンズIQ0を非透過モードから透過モードに切り替えるために使用されたパルスによってトリガされた。本実施例では、200回の入手が、図10Aおよび10Bに提示されるヒストグラムを構築するために使用された。
これらの測定は、描写される実施例では、質量分析器Q1が測定を実施するための時間が、約3ミリ秒である場合、質量分析器Q1が、次のm/z比に切り替わるとき、次のm/zイオンの強度が、次のイオン(例えば、上記の説明におけるm)が質量フィルタQ0のバンドパス窓内に含有されていた場合、60%レベルにあるであろうことを示す。そのような場合では、質量分析器Q1測定は、質量フィルタQ0のバンドパスが切り替わることを待機することなく、質量分析器Q1が次のイオンに切り替えられるとすぐに開始されることができる。
上記に説明される技法はまた、2つまたはそれを上回るSWATH(R)前駆体窓が、第1の質量フィルタQ0のバンドパス窓内に含まれる、SWATH(R)入手方法に拡張されることができる。SWATH(R)入手は、第2の質量フィルタQ1の定義または選択された前駆体イオン質量選択窓内の全ての前駆体イオンが、1つのMS/MSスペクトルを発生させるために断片化デバイスまたは衝突セルに移送される、データ非依存性入手(DIA)方法である。SWATH(R)入手モードは、通常、TOF MS器具上で実施される。そのような場合では、衝突セルQ2の後のイオン光学系は、TOFイオン光学系であり得る。典型的なSWATH(R)では、第2の質量フィルタQ1の前駆体イオン質量選択窓は、分析の前駆体イオン質量範囲全体を横断して順次段階化される。質量範囲全体を1回分析するためにかかる時間は、サイクル時間と称される。サイクル時間は、クロマトグラフィピーク分解能によって限定され、十分な点が、その形状を決定するために1つのLCピークを横断して入手される必要がある。分析の間にサイクル時間を一定に保つために、MS/MS累積時間と、前駆体質量範囲全体と、前駆体質量選択窓幅との間の調節が、要求される。
MS/MS累積時間は、MS/MS情報を収集するために各前駆体イオン窓上で費やされる時間である。概して、より良好な選択性が、幅狭の前駆体窓で達成されることができる一方、より良好な感度が、より長いMS/MS累積を使用するより幅広い窓で達成されることができる。
例えば、400Da~1,250Daに及ぶペプチド質量を伴うナノフロープロテオミクス分析では、MS/MS累積時間は、50m秒~100m秒に及び得、第2の質量フィルタQ1の前駆体窓は、10Da~100Daに及び得る。ある場合には、幅狭の前駆体窓(例えば、3Da)が、質量範囲全体を通して適用されるとき、MS/MS累積は、サイクル時間を維持するために、20m秒と同程度に短いものに低減されることができる。1つまたはそれを上回る幅狭の前駆体窓が、短いMS/MS累積を適用することを要求する1つのSWATH(R)方法または条件において選択されるそのような場合では、2つまたはそれを上回る前駆体窓が、第2の質量フィルタQ1のバンドパス窓がSWATH(R)前駆体窓とともに偏移するにつれて、第1の質量フィルタQ0の1つのバンドパス窓内に含まれることができる。
上記に記述されるように、上記に議論されるような本教示の種々の側面を実践するために採用されるコントローラは、ハードウェア/ファームウェア/ソフトウェアまたはそれらの組み合わせにおいて実装されることができる。実施例として、図11は、プロセッサ1102と、ランダムアクセスメモリ(RAM)モジュール1104と、永久メモリモジュール1106と、プロセッサ1102がコントローラ1100の他のコンポーネントと通信することを可能にする、通信バス1108とを含む、コントローラ1100の実装の実施例を図式的に描写する。いくつかの実施形態では、コントローラ1100の異なる機能を実施する、例えば、静電偏向器をアクティブ化および非アクティブ化する、および/またはイオン検出器によって発生された検出信号を分析するための種々の命令が、永久メモリモジュール1106内に記憶されることができ、プロセッサ1102によってランタイムの間にRAMモジュール1104に転送されることができ、これは、個別の機能を実施するためにそれらの命令を実行することができる。
(実施例3)
補助電極を伴う多極イオンガイドQ0がDIA方法のために使用され得るかどうかを決定するために、いくつかの実験が、行われた。これらの実験は、Q0バンドパス性能を調査した。これらの実験は、修正されたタンデム質量分析システム上の別個のQ0 RF電力供給源を使用して行われた。使用された多極イオンガイドQ0は、4つのT形補助電極(Tバー)が四重極のロッドの間に間置される、Q0四重極であった。補助電極DC電位(QTB、Tバー電極の2つの対の間の電位差)およびQ0 RF電圧(Q0A、Vp-p)は両方とも、これらの2つのパラメータが変動されることを可能にするために修正されたファームウェア/ソフトウェアを使用して、調節可能であった。
これらの実験は、(1)四重極Q0のTバーおよびロッドに印加される電圧を変動させることが、Q0前駆体イオン質量選択窓幅および場所の幅広い選択を生成し得るかどうか、(2)Q0前駆体イオン質量選択窓が、再現可能であるかどうか、(3)Q0前駆体イオン質量選択窓が、異なる化合物の範囲に関して一貫するかどうか、(4)Q0前駆体イオン質量選択窓が、透過されるイオン電流の大きさから独立するかどうか、および(5)Q0四重極再充填時間が、タンデム質量分析計のサイクル時間に実質的に影響を及ぼすかどうかを決定するために行われた。
(1)四重極およびTバー電圧の関数としての窓場所および幅
図22は、種々の実施形態による、四重極ロッドに印加された異なるRF電圧が、異なる前駆体イオン質量選択窓幅を生成し、異なるDC電圧が、多極イオンガイドQ0の四重極ロッドの間に間置されるTバー電極に印加される方法を示す、例示的プロット1000である。プロット1000において、データ点を接続する異なる線は、四重極ロッドに印加される増加するRF電圧(Vp-p、100Vの増加増分における200~2,000Vの19個の電圧)を表す。例えば、線1001は、200VのRF電圧が多極イオンガイドQ0の四重極ロッドに印加されるときに測定される値を接続する。同様に、線1019は、2,000VのRF電圧が多極イオンガイドQ0の四重極ロッドに印加されるときに測定される値を接続する。
プロット1000は、四重極Q0のTバーおよびロッドに印加される電圧を変動させることが、Q0前駆体イオン質量選択窓幅および場所の幅広い選択を生成し得ることを示す。上記に説明されるように、四重極ロッドに印加されるRF電圧は、低m/zカットオフを規定し、これは、Q0前駆体イオン質量選択窓の場所を定義する。Tバーに印加されるDC電圧は、Q0前駆体イオン質量選択窓の幅を規定し、これは、ひいては、高m/zカットオフを提供する。
プロット1000は、(特定のRF四重極電圧によって規定される)前駆体イオン質量範囲内の所与の場所に関して、(特定のDC Tバー電圧によって規定される)Q0前駆体イオン質量選択窓の幅が、幅広い範囲(例えば、100~1,000Da)にわたって変動され得ることを示す。プロット1000はまた、これが、(使用され得るRF四重極電圧の範囲全体によって規定される)幅広い範囲の場所にわたって可能であることを示す。最も高い質量が入手される窓は、Q0ロッドに送達され得る最大RFによって定義される。
可能性として考えられるQ0前駆体イオン質量選択窓場所および幅の本大きいマトリクスは、DIA方法のために要求される異なる窓を作成するために、Q0多極イオンガイドQ0のロッドおよびTバーを使用することが可能であることを意味する。DIA方法では、Q0前駆体イオン質量選択窓は、ある質量範囲を横断して移動または段階化される。結果として、RF四重極電圧によって規定される窓の場所は、常に変化している。例えば、線1020は、異なるDC Tバー電圧値が、ある質量範囲を横断して幅150Daの固定されたQ0前駆体イオン質量選択窓を(RF四重極電圧を増加させることによって)移動させるために利用可能であることを示す。
DIA方法では、前駆体イオン質量選択窓幅は、窓が質量範囲を横断して移動されるにつれて、増加することができる。例えば、線1030は、異なるDC Tバー電圧値が、窓がある質量範囲を横断して移動されるにつれて、幅において100Daから250Daまで増加するQ0前駆体イオン質量選択窓を移動させるために利用可能であることを示す。
最後に、DIA方法では、前駆体イオン質量選択窓は、異なる質量場所において異なる幅を有することができる。例えば、曲線1040は、異なるDC Tバー電圧値が、ある質量範囲の開始時に450Daにおいて開始し、質量範囲の中間において150Daまで減少し、質量範囲の終了時に450Daに戻るように増加する幅を有するQ0前駆体イオン質量選択窓を移動させるために利用可能であることを示す。
図23は、種々の実施形態による、四重極ロッドと、それらの間に間置されるTバーとを含む、多極イオンガイドQ0を使用して生成され得る、異なる中心質量場所および幅を示す、図22に示される同一のデータの例示的プロット1100である。プロット1100は、四重極Q0のTバーおよびロッドに印加される電圧を変動させることが、Q0前駆体イオン質量選択窓幅および中心質量場所の幅広い選択を生成し得ることを示す。
プロット1100において、データ点を接続する異なる線は、四重極ロッドに印加される増加するRF電圧(Vp-p、100Vの増加増分における200~2,000Vの19個の電圧)を表す。例えば、線1101は、200VのRF電圧がQ0多極イオンガイドQ0の四重極ロッドに印加されるときに測定される値を接続する。同様に、線1119は、2,000VのRF電圧が多極イオンガイドQ0の四重極ロッドに印加されるときに測定される値を接続する。
プロット1100におけるRF電圧線によって接続される点は、異なるDC Tバー電圧を表す。各RF電圧線内で、DC Tバー電圧は、プロットの右側から左側へ増加している。
図22のように、図23のプロット1100は、可能性として考えられるQ0前駆体イオン質量選択窓場所および幅の大きいマトリクスを示す。これは、再び、DIA方法のために要求される異なる窓を作成するために、多極イオンガイドQ0のロッドおよびTバーを使用することが可能であることを示す。線1120、線1130、および曲線1140は、異なるDC Tバー電圧値が、それぞれ、固定された、増加する、および可変幅を有するQ0前駆体イオン質量選択窓を(RF四重極電圧を増加させることとともに)移動させるために利用可能であることを示す。
(2)窓の再現性
図24は、種々の実施形態による、異なる質量場所において150DaのQ0前駆体イオン質量選択窓を生成するために、それぞれ、多極イオンガイドQ0の四重極ロッドおよびTバーに印加される、異なるRF四重極ロッド電圧およびDC Tバー電圧を示す、例示的表1200である。表1200は、窓幅が、全ての11個の異なる中心質量場所に関して再現可能であることを示す。
(3)異なる化合物の範囲に関する一貫性
レセルピンサンプル、211種類の既知の化合物の混合物、およびウシ血清アルブミン(BSA)消化物が、四重極ロッドと、それらの間に間置されるTバーとを含む、多極イオンガイドQ0を使用して分析された。2,000 Vp-p RF四重極ロッド電圧が、四重極ロッドに印加され、640V DC Tバー電圧が、Tバーに印加された。これらの電圧は、それぞれ、レセルピンサンプル、211種類の既知の化合物の混合物、およびBSA消化物に関して151Da、157Da、および145DaのQ0前駆体イオン質量選択窓幅を生成した。これらの結果は、四重極ロッドと、Tバーとを含む、多極イオンガイドQ0が、異なる電荷状態を伴う異なる化合物の範囲を横断して一貫したQ0前駆体イオン質量選択窓幅を生成し得ることを示す。
(4)イオン電流大きさ非依存性
5つの異なる希釈物(2倍、10倍、100倍、1,000倍、および10,000倍)において調製された211種類の既知の化合物の混合物が、四重極ロッドと、それらの間に間置されるTバーとを含む、多極イオンガイドQ0を使用して分析された。使用されたQ0前駆体イオン質量選択窓は、これらの濃度が複数の桁を横断して変動したにもかかわらず、使用された混合物の異なる濃度間で偏移しなかった。結果として、Q0前駆体イオン質量選択窓は、イオン電流強度から独立することが見出された。
(5)Q0再充填時間
四重極ロッドと、それらの間に間置されるTバーとを含む、多極イオンガイドQ0では、Q0/Tバーと次の質量分析計コンポーネントとの間の領域は、選択された具体的窓内のイオンのみを含有する。その窓が変化すると、新しいイオンをTバーの下流の領域に再び取り込むための時間が、必要とされる。予備試験から、<5m秒のQ0再充填時間(3m秒サイクル時間を考慮する)が、推定された。
典型的なDIA方法では、前駆体イオン質量選択窓毎の累積時間は、50m秒~100m秒の範囲内である。結果として、四重極ロッドと、Tバーとを含む、多極イオンガイドQ0は、Q1走査速度およびサイクル時間に実質的に影響を及ぼすことなく使用されることができる。
予備試験では、RF四重極ロッド電圧は、固定され、DC Tバー電圧のみが、2つのQ0前駆体イオン質量選択窓を発生させるために変更された。MRMが、2m秒の滞留時間および1m秒の休止時間を伴って実行された。Q0再充填時間は、第2の窓イオン強度の立ち上がり時間から推定された。DC Tバー電圧が、例えば、商業的レンズ増幅器(750Vレンズ)を使用して、レンズモジュールの出力における-750Vdc~+750Vdcの完全DCスイングに関して、それぞれ、約180μ秒および約50μ秒の立ち上がりおよび立ち下がり時間を伴って迅速に変更され得ることに留意されたい。
Q1同期前置フィルタ
種々の実施形態では、Q0前駆体イオン質量選択窓は、Q1前駆体イオン質量選択窓に結合され、Q1前駆体m/z範囲の外の不要なイオンを同時にフィルタリングして除くことができる。これを達成するために、多極ロッドセットおよび補助電極を伴うQ0多極イオンガイドが、図16に示されるように動作される。
従来のDIA方法では、Q1前駆体イオン質量選択窓は、Q1 RF電圧およびDC分解能オフセット電圧に基づいて較正され、RF電圧は、低m/zカットオフを定義し、DC電圧は、窓幅を定義する。走査型SWATH(R)では、例えば、前駆体Q1窓は、固定されたDC分解能オフセット電圧を伴う走査Q1 RF電圧によって制御される。
図25は、種々の実施形態による、多極イオンガイドQ0の補助電極に印加されるDC電圧が、一定のQ0前駆体イオン質量選択窓幅を維持するために、多極イオンガイドQ0の多極ロッドセットに印加されるRF電圧に伴って変動する様子を示す、例示的プロット1300である。150DaのQ0前駆体イオン質量選択窓幅が、Q0多極イオンガイドの多極ロッドセットに印加されるRF電圧が増加されるにつれて、維持される。プロット1300は、RF電圧が増加されるにつれて、150Daの窓幅を維持するために、多極イオンガイドQ0の補助電極に印加されるDC電圧(QTB)を示す。
より幅狭のQ0前駆体イオン質量選択窓幅が、RFおよびDC電位がそれに印加される区画化されたQ0等の代替イオンガイドバンドパスアプローチを使用して選択され得ることが、当業者に明白となるであろう。
プロット1300は、多極ロッドセットおよび補助電極を伴う多極イオンガイドQ0において、所与の質量窓の高m/zカットオフに関する補助電極に印加されるDC電圧(QTB)が、多極ロッドセットに印加されるRF電圧に伴って線形にスケーリングすることを示す。所与のRF電圧に関して、種々の窓幅が、高m/zカットオフを決定する、TバーDC電圧を調節することによって達成されることができる。したがって、図16に示されるように、Q1前駆体イオン質量選択窓と同期される幅および質量場所を伴うQ0前駆体イオン質量選択窓を達成することが、可能である。
Q0前駆体イオン質量選択窓の低質量側および高質量側の両方が、Q1前駆体イオン質量選択窓と同期されることができる。低質量カットオフは、Q1およびQ0ロッド上でRF電圧を同期させることを通して連結される。これは、標準的な器具におけるような1つのRF発生器を使用して、または別個のRF発生器を使用することによってのいずれかで達成されることができる。標準的な器具では、1つのRF電力供給源が、使用され、Q0 RF信号は、Q1 RF信号に容量結合される。結果として、Q0およびQ1上のRF電圧変化は、同期され、例えば、標準的な器具上で、Q0 RF信号振幅は、Q1 RF信号振幅の約2/3である。
本差異は、イオンガイドQ0が、質量フィルタQ1と比較してより低い質量からのイオンを透過させることを可能にする(差異は、この場合では、約100~200Daであり得る)。イオンガイドQ0が、別個の電力供給源によって制御されるとき、Q0 RF電圧は、電力供給源周波数およびDIA方法からの窓設定(低質量側)に基づいて、Q1 RF電圧に連結されることができる。Q0 RF電圧は、(例えば、あるオフセットだけQ0 RF振幅を低下させることによって)Q1窓における低質量端よりもわずかに低い低質量カットオフを作成するように設定されることができる。
高質量側上のQ0前駆体イオン質量選択窓は、補助電極のDC電圧を制御することによって、Q1前駆体イオン質量選択窓に連結されることができる。図22および図23に示されるように、バンドパスフィルタとしてイオンガイドQ0を使用するときの質量場所および窓幅に対する補助電極のDC電圧の依存性が、マッピングされたため、DIA方法における質量窓設定に基づいて所望のバンドパス窓を達成するために、補助電極のDC電圧を設定することが、可能である。
DC電圧は、Q1窓における高質量端よりもわずかに高いm/zを伴うイオンをバンドパスするように調節されることができる。前駆体窓が、低質量から高質量に段階化されるにつれて、DC電圧は、増加するRF電圧とともに増加する。電圧値は、DIA方法における窓設定に基づいて、自動的に設定され、DIAサイクルにおけるQ1前駆体窓へのQ0バンドパス窓の同期を可能にすることができる。バンドパス窓の幅は、使用されるQ0バンドパスアプローチに依存するであろう。
図26は、種々の実施形態による、Q0前駆体イオン質量選択窓をQ1前駆体イオン質量選択窓と同期させるための方法1400を示す、例示的フローチャートである。方法1400のステップ1410において、DIA方法が、作成され、分析の質量範囲全体に及ぶように使用されるQ1前駆体イオン質量選択窓毎の開始および終了質量が、定義される。
RF制御の標準的な方法が、使用される場合、ステップ1410は、ステップ1420に移動する。ステップ1420において、低m/zカットオフが、Q1 RF電圧に基づいて計算され、Q0前駆体イオン質量選択窓の高m/zカットオフが、分析の質量範囲全体を横断するQ1前駆体イオン質量選択窓毎に定義される。
ステップ1430において、補助電極のDC電圧が、分析の質量範囲全体を横断するQ1前駆体イオン質量選択窓毎に定義される(前置フィルタ方法が、作成される)。ステップ1440において、方法表が、DIA方法およびDC電圧制御方法を組み合わせ、同期させることによって構築される。
別個のRF制御が、使用される場合、ステップ1410は、ステップ1450に移動する。ステップ1450において、Q0前駆体イオン質量選択窓の幅および低および高m/zカットオフの両方が、分析の質量範囲全体を横断するQ1前駆体イオン質量選択窓毎に定義される。
ステップ1460において、多極ロッドセットに印加されるQ0 RF電圧および補助電極に印加されるDC電圧が、分析の質量範囲全体を横断するQ1前駆体イオン質量選択窓毎に定義される(前置フィルタ方法が、作成される)。
方法1400の別個のRF制御は、低質量側上のQ0前駆体イオン質量選択窓およびこれらの窓がQ1前駆体イオン質量選択窓よりも幅広い程度を制御する際のさらなる柔軟性を可能にする。従来のDIA方法は、5~50Daの範囲内のQ1窓を適用する。種々の実施形態では、Q0窓は、150Daの幅を与えられ、Q1窓は、最良な性能のために本150Daの窓の中心に設置される。1つのRF発生器が、Q0およびQ1の両方にRF電圧を印加するために使用されるとき、Q0とQ1との間の低質量カットオフ差は、調節可能ではない(約100~200Da)が、DC電位は、Q1窓が網羅されることを確実にするために、300Da等のより幅広いQ0窓を転送するように設定されることができる。
走査型SWATH(R)動作モードでは、Q1 RF電圧は、固定された分解能オフセットを用いて走査され、走査が低質量から高質量に移動するにつれて漸進的により大きくなる窓を生成する。種々の実施形態では、Q0 RF電圧は、Q1 RF電圧と同時に走査され、Q0補助電極に印加されるDC電圧は、Q0 RF電圧に伴って変化し、窓が移動されるにつれて、Q0窓の幅を増加させる。それらが移動されるにつれて増加する窓幅を伴う窓の実施例が、図22および23に示される。
種々の実施形態の1つの利点は、Q0前駆体イオン質量選択窓の高m/zカットオフに対する柔軟な制御である。図22および23に示されるように、窓幅は、質量範囲全体を横断して固定値に制御される、または増加/減少する順序で変更される、またはDIA方法に基づいて可変窓にカスタマイズされることができる。例えば、多くの用途は、感度および選択性を平衡させるためのアプローチとして、小さい窓を使用する高強度m/z範囲および大きい窓を使用する低強度m/z範囲を透過させるように最適化された可変前駆体イオン質量選択窓を使用する。図26の例示的フローチャートは、Q0 Tバーがバンドパスを作成するために使用される実施形態に具体的に言及する。本教示が、第1の質量分析器の上流のより高圧の領域または複数の領域におけるバンドパスを作成する任意の方法に関することが、当業者に明白となるであろう。図26におけるフローチャートの具体的ステップは、異なるバンドパスアプローチに関して変動するであろう。
DIA方法において前駆体イオンを質量フィルタリングするためのシステム
図27は、種々の実施形態による、多極イオンガイド質量フィルタを使用して、DIA方法において前駆体イオンを質量フィルタリングするためのシステムを示す、概略図1500である。図27のシステムは、イオン源デバイス1510と、タンデム質量分析計1520と、プロセッサ1550とを含む。
イオン源デバイス1510は、サンプルの1つまたはそれを上回る化合物をイオン化し、イオンビームを生成する。イオン源デバイス1510は、タンデム質量分析計1520とは別個のデバイスとして示される。種々の代替実施形態では、イオン源デバイス1510は、タンデム質量分析計1520のコンポーネントである。イオン源デバイス1510は、限定ではないが、エレクトロスプレーイオン源(ESI)デバイスまたは大気圧化学イオン化源(APCI)デバイスまたは大気圧光イオン化(APPI)源デバイス等の化学イオン化(CI)源デバイスを含む、当技術分野で公知の任意のイオン源であり得る。
タンデム質量分析計1520は、イオンガイドチャンバ1530と、イオンガイドチャンバ1530内に配置される、多極イオンガイド1531とを含む。イオンガイドチャンバ1530は、イオン源デバイス1510によって発生されたイオンを受け取るための入口オリフィス1532と、イオンガイドチャンバ1530から少なくとも1つの断片化デバイス1541を格納する真空チャンバ1540の中にイオンを透過させるための少なくとも1つの出口開口1533とを含む。
図27のシステムでは、タンデム質量分析計1520はまた、真空チャンバ1540内に位置付けられる、飛行時間(TOF)質量分析器1542を含む。当業者は、タンデム質量分析計1520の任意のコンポーネントが、限定ではないが、イオントラップ、オービトラップ、四重極デバイス、イオン移動度デバイス、またはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR)デバイスを含む、他のタイプの質量分析デバイスを含み得ることを理解することができる。これはまた、付加的圧送ステージおよびイオンガイドを含んでもよい。
プロセッサ1550は、DIA方法のために選択された前駆体イオン質量範囲に及ぶ、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓を受信する。プロセッサ1550は、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓から、タンデム質量分析計1520の同一の時間サイクルの間に透過のための2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓を計算する。
タンデム質量分析計1520の複数の時間サイクルの各サイクル時間の間、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓の選択窓毎に、プロセッサ1550は、2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓内でイオンビームから前駆体イオンを透過させるように多極イオンガイド1531に命令する。多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓は、選択窓の幅を上回る、またはそれに等しい幅を有し、選択窓の質量範囲を含む。
種々の実施形態では、多極イオンガイド1531は、タンデム質量分析計1520の唯一の質量フィルタである。各サイクル時間の間の透過に関して計算された2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓は、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓である。多極イオンガイド1531は、前駆体イオンをイオンビームから直接タンデム質量分析計1520の少なくとも1つの断片化デバイス1541に透過させる。図15に示されるように、タンデム質量分析計の複数の時間サイクルの各サイクル時間の間、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓の選択窓毎に、プロセッサ1550はさらに、選択窓の幅に等しい幅を有する2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓内でイオンビームから前駆体イオンを透過させるように多極イオンガイド1531に命令する。
種々の実施形態では、プロセッサ1550は、多極イオンガイド1531に、多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の低m/zカットオフを規定するためにRF電圧を印加し、多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の高m/zカットオフを規定するためにDC電圧を印加することによって前駆体イオンを透過させるように多極イオンガイド1531に命令する。
種々の実施形態では、多極イオンガイド1531は、図19の多極イオンガイドのように、ロッドセットと、複数の補助電極とを含む。ロッドセットは、ロッドの第1の群と、ロッドの第2の群とを含む。各ロッドは、中心縦方向軸から離間され、それに並んで延在する。複数の補助電極もまた、ロッドセットのロッドの少なくとも一部に沿って、中心縦方向軸から離間され、それに並んで延在する。複数の補助電極の少なくとも1つの補助電極は、補助電極がそれぞれ、ロッドの第1の群の単一のロッドおよびロッドの第2の群の単一のロッドに隣接するように、ロッドセットのロッドのそれぞれの間に間置される。
プロセッサ1550はさらに、多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の低m/zカットオフを規定するために、ロッドセットにRF電気信号の電圧を印加する。プロセッサ1550は、多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の高m/zカットオフを規定するために、複数の補助電極にDC電圧を印加する。
種々の実施形態では、多極イオンガイド1531は、図18の多極イオンガイドのように、区画化されたロッドセットを含む。区画化されたロッドセットの各ロッドは、中心縦方向軸から離間され、それに並んで延在する。区画化されたロッドセットの各ロッドはまた、同一の3つまたはそれを上回る異なる縦方向区画に区画化される。これらの異なる縦方向区画は、少なくとも、多極イオンガイドに進入するイオンを受け取るための第1の区画と、多極イオンガイドからイオンを透過させるための最終区画と、第1の区画と最終区画との間に位置する、中間区画とを含む。
プロセッサ1550はさらに、多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の低m/zカットオフを規定するために、バンドパス区画のロッド区画にRF電気信号の電圧を印加する。プロセッサ1550は、多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の高m/zカットオフを規定するために、中間区画のロッド区画にRF電圧を印加する。
種々の実施形態では、多極イオンガイド1531は、非区画化ロッドセットであり、補助電極を含まない。しかしながら、一般に、RF/DCのみを伴う非区画化イオンガイドは、現在使用されている圧力におけるバンドパスにおいて効果的ではない。イオンは、イオンガイドの入口において幅広い範囲の半径方向振幅を有し得る。したがって、単一のRF/DC組み合わせが、それらの半径方向位置値に基づいてイオンをフィルタリングする。結果として、増加する分解DC値に伴って、イオン強度の劇的な損失が、存在する可能性が高い。これは、区画化されたイオンガイドにおいて生成されるもの等の衝突冷却されたイオンで異なる。
種々の実施形態では、多極イオンガイド1531は、タンデム質量分析計1520の質量フィルタデバイス(図示せず)のための前置フィルタとして構成されることができる。例えば、タンデム質量分析計1520はさらに、多極イオンガイド1531と断片化デバイス1541との間に位置付けられる、質量フィルタデバイスを含むことができる。質量フィルタは、例えば、真空チャンバ1540内に位置することができる。多極イオンガイド1531はさらに、前駆体イオンをイオンビームから直接質量フィルタデバイスに透過させる。
タンデム質量分析計の複数の時間サイクルの各サイクル時間の間、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓の選択窓毎に、プロセッサ1550はさらに、各選択窓の幅を上回る幅を有する2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓内でイオンビームから前駆体イオンを透過させるように多極イオンガイド1531に命令する。プロセッサ1550は、各選択窓内の多極イオンガイド1531から受け取られた前駆体イオンを透過させるように質量フィルタデバイスに命令する。
種々の実施形態では、多極イオンガイド1531によって受信されるRF電気信号は、質量フィルタデバイスによって受信されるRF電気信号に容量結合される。具体的には、プロセッサ1550は、選択窓毎に質量フィルタデバイスによって受信されるRF信号に容量結合される多極イオンガイドにRF電圧を印加することができる。これは、多極イオンガイド1531によって受信されるRF電気信号の電圧が、選択窓毎に質量フィルタデバイスによって受信されるRF信号の電圧と同一である、またはその数分の1である選択窓毎の低m/zカットオフを規定するように行われる。
種々の実施形態では、多極イオンガイド1531によって受電されるRF電圧は、質量フィルタデバイスによって受電されるRF電圧の数分の1である。具体的には、選択窓毎に多極イオンガイド1531に印加されるRF電圧は、選択窓毎に質量フィルタデバイスによって受信されるRF信号と容量結合される。これは、多極イオンガイドによって受電されるRF電圧が、選択窓毎に質量フィルタデバイスによって受信されるRF信号の電圧の数分の1である選択窓毎の低m/zカットオフを規定するように行われる。また、多極イオンガイド1531における選択窓毎の低m/zカットオフは、質量フィルタデバイスにおける選択窓毎の低m/zカットオフよりも低いm/z値を有する。
種々の実施形態では、多極イオンガイド1531および質量フィルタデバイスは、異なるRF信号源を有する。具体的には、プロセッサ1550は、選択窓毎に質量フィルタデバイスによって受信されるRF信号と異なる信号源からのものであるRF電気信号の電圧を多極イオンガイド1531に印加することによって、多極イオンガイド1531にRF電気信号の電圧を印加する。
種々の実施形態では、1つの多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓が、図17に示されるような2つまたはそれを上回る異なる前駆体イオン質量選択窓のために使用されることができる。具体的には、プロセッサ1550は、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓の少なくとも2つの異なる選択窓に関して、2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の同一の多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓を使用して、前駆体イオンを透過させるように多極イオンガイド1531に命令する。
種々の実施形態では、プロセッサ1550は、ルックアップテーブルを使用して、2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓を計算する。ルックアップテーブルは、例えば、図22および23に示されるデータのような実験データから導出される。
プロセッサ1550は、限定ではないが、コンピュータ、マイクロプロセッサ、図29のコンピュータシステム、またはタンデム質量分析計に、およびそれから制御信号およびデータを送信および受信し、データを処理することが可能な任意のデバイスであり得る。プロセッサ1550は、イオン源デバイス1510およびタンデム質量分析計1520と通信する。プロセッサ1550は、別個のデバイスとして示されるが、タンデム質量分析計1520または別のデバイスのプロセッサまたはコントローラであり得る。プロセッサ1550は、例えば、タンデム質量分析計1520の1つまたはそれを上回る電圧源、1つまたはそれを上回る弁、または1つまたはそれを上回るポンプ(図示せず)を制御することによって、タンデム質量分析計1520またはそのコンポーネントを制御または命令する。
DIA方法において前駆体イオンを質量フィルタリングするための方法
図28は、種々の実施形態による、多極イオンガイド質量フィルタを使用して、DIA方法において前駆体イオンを質量フィルタリングするための方法1600を示す、フローチャートである。方法1600のステップ1610において、DIA方法のために選択された前駆体イオン質量範囲に及ぶ、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓が、プロセッサを使用して受信される。ステップ1620において、2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓が、プロセッサを使用して、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓から、タンデム質量分析計の同一の時間サイクルの間に透過に関して計算される。タンデム質量分析計は、イオンガイドチャンバと、イオンガイドチャンバ内に配置される、多極イオンガイドとを含む。イオンガイドチャンバは、イオン源デバイスによって発生されたイオンを受け取るための入口オリフィスと、イオンガイドチャンバから少なくとも1つの断片化デバイスを格納する真空チャンバの中にイオンを透過させるための少なくとも1つの出口開口とを含む。ステップ1630において、タンデム質量分析計の複数の時間サイクルの各サイクルの間、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓の選択窓毎に、タンデム質量分析計の多極イオンガイドは、プロセッサを使用して、2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓内でイオンビームから前駆体イオンを透過させるように命令される。多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓は、各選択窓の幅を上回る、またはそれに等しい幅を有し、各選択窓の質量範囲を含む。
コンピュータ実装システム
図29は、本教示の実施形態が実装され得る、コンピュータシステム1800を図示する、ブロック図である。コンピュータシステム1800は、情報を通信するためのバス1802または他の通信機構と、情報を処理するためにバス1802と結合されるプロセッサ1804とを含む。コンピュータシステム1800はまた、プロセッサ1804によって実行されるべき命令を記憶するために、バス1802に結合される、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスであり得る、メモリ1806を含む。メモリ1806はまた、プロセッサ1804によって実行されるべき命令の実行の間、一時的変数または他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。コンピュータシステム1800はさらに、プロセッサ1804のための静的情報および命令を記憶するために、バス1802に結合される、読取専用メモリ(ROM)1808または他の静的記憶デバイスを含む。磁気ディスクまたは光学ディスク等の記憶デバイス1810は、情報および命令を記憶するために提供され、バス1802に結合される。
コンピュータシステム1800は、情報をコンピュータユーザに表示するために、バス1802を介して、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ1812に結合されてもよい。英数字および他のキーを含む、入力デバイス1814は、情報およびコマンド選択をプロセッサ1804に通信するために、バス1802に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ1804に通信し、ディスプレイ1812上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キー等のカーソル制御1816である。本入力デバイスは、典型的には、本デバイスが平面において位置を規定することを可能にする、2つの軸、すなわち、第1の軸(すなわち、x)および第2の軸(すなわち、y)において、2自由度を有する。
いくつかの実施形態では、コンピュータシステム1800は、本教示を実施するために採用されることができる。本教示のある実装と一貫して、結果は、メモリ1806内に含有される1つまたはそれを上回る命令の1つまたはそれを上回るシーケンスをプロセッサ1804が実行することに応答して、コンピュータシステム1800によって提供される。そのような命令は、記憶デバイス1810等の別のコンピュータ可読媒体から、メモリ1806に読み取られてもよい。メモリ1806内に含有される命令のシーケンスの実行は、プロセッサ1804に、本明細書に説明されるプロセスを実施させる。代替として、有線回路網が、本教示を実装するためのソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて、使用されてもよい。したがって、本教示の実装は、ハードウェア回路網およびソフトウェアの任意の具体的組み合わせに限定されない。
種々の実施形態では、コンピュータシステム1800は、ネットワークを横断して、コンピュータシステム1800のような1つまたはそれを上回る他のコンピュータシステムに接続され、ネットワーク化システムを形成することができる。ネットワークは、私設ネットワークまたはインターネット等の公衆ネットワークを含むことができる。ネットワーク化システムでは、1つまたはそれを上回るコンピュータシステムは、データを記憶し、他のコンピュータシステムにサービス提供することができる。データを記憶およびサービス提供する1つまたはそれを上回るコンピュータシステムは、クラウドコンピューティングシナリオでは、サーバまたはクラウドと称され得る。1つまたはそれを上回るコンピュータシステムは、例えば、1つまたはそれを上回るウェブサーバを含むことができる。サーバまたはクラウドに、およびそれからデータを送信および受信する他のコンピュータシステムは、例えば、クライアントまたはクラウドデバイスと称され得る。
本明細書に使用されるような用語「コンピュータ可読媒体」は、実行のために命令をプロセッサ1804に提供することに関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、限定ではないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含む、多くの形態をとってもよい。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス1810等の光学または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メモリ1806等の動的メモリを含む。伝送媒体は、バス1802を備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅ワイヤ、および光ファイバを含む。
コンピュータ可読媒体またはコンピュータプログラム製品の一般的形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、CD-ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク、任意の他の光学媒体、サムドライブ、メモリカード、RAM、PROM、およびEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、またはそれからコンピュータが読み取り得る任意の他の有形媒体を含む。
コンピュータ可読媒体の種々の形態は、実行のために、1つまたはそれを上回る命令の1つまたはそれを上回るシーケンスをプロセッサ1804に搬送することに関わってもよい。例えば、命令は、最初は、遠隔コンピュータの磁気ディスク上で搬送されてもよい。遠隔コンピュータは、命令をその動的メモリ内にロードし、モデムを使用して、電話回線を経由して、命令を送信することができる。コンピュータシステム1800にローカルのモデムは、データを電話回線上で受信し、赤外線送信機を使用し、データを赤外線信号に変換することができる。バス1802に結合された赤外線検出器は、赤外線信号で搬送されるデータを受信し、データをバス1802上に設置することができる。バス1802は、データをメモリ1806に搬送し、そこから、プロセッサ1804は、命令を読み出し、実行する。メモリ1806によって受信された命令は、随意に、プロセッサ1804による実行の前または後のいずれかで、記憶デバイス1810上に記憶されてもよい。
種々の実施形態によると、方法を実施するためにプロセッサによって実行されるように構成される命令は、コンピュータ可読媒体上に記憶される。コンピュータ可読媒体は、デジタル情報を記憶するデバイスであり得る。例えば、コンピュータ可読媒体は、ソフトウェアを記憶するために、当技術分野で公知であるようなコンパクトディスク読取専用メモリ(CD-ROM)を含む。コンピュータ可読媒体は、実行されるように構成される命令を実行するために好適なプロセッサによってアクセスされる。
本教示の種々の実装の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。これは、網羅的ではなく、本教示を開示される精密な形態に限定しない。修正および変形例が、上記の教示に照らして可能性として考えられる、または本教示の実践から入手され得る。加えて、説明される実装は、ソフトウェアを含むが、本教示は、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして、またはハードウェア単独において、実装され得る。本教示は、オブジェクト指向および非オブジェクト指向両方のプログラミングシステムを用いて実装され得る。
DIA方法において前駆体イオンをフィルタリングするためのコンピュータプログラム製品
種々の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、有形コンピュータ可読記憶媒体を含み、そのコンテンツは、多極イオンガイド質量フィルタを使用して、DIA方法において前駆体イオンを質量フィルタリングするための方法を実施するように、プロセッサ上で実行される命令を伴う、プログラムを含む。本方法は、1つまたはそれを上回る明確に異なるソフトウェアモジュールを含む、システムによって実施される。
図30は、種々の実施形態による、多極イオンガイド質量フィルタを使用して、DIA方法において前駆体イオンを質量フィルタリングするための方法を実施する、1つまたはそれを上回る明確に異なるソフトウェアモジュールを含む、システム1700の概略図である。システム1700は、入力モジュール1710と、分析モジュール1720と、制御モジュール1730とを含む。
入力モジュール1710は、DIA方法のために選択された前駆体イオン質量範囲に及ぶ、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓を受信する。分析モジュール1720は、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓から、タンデム質量分析計の同一の時間サイクルの間の透過に関して2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓を計算する。タンデム質量分析計は、イオンガイドチャンバと、イオンガイドチャンバ内に配置される、多極イオンガイドとを含む。イオンガイドチャンバは、イオン源デバイスによって発生されたイオンを受け取るための入口オリフィスと、イオンガイドチャンバから少なくとも1つの断片化デバイスを格納する真空チャンバの中にイオンを透過させるための少なくとも1つの出口開口とを含む。
制御モジュール1730は、タンデム質量分析計の複数の時間サイクルの各サイクルの間、複数の異なる前駆体イオン質量選択窓の選択窓毎に、各選択窓の幅を上回る、またはそれに等しい幅を有し、各選択窓の質量範囲を含む、2つまたはそれを上回る異なる多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓の多極イオンガイド前駆体イオン質量選択窓内でイオンビームから前駆体イオンを透過させるようにタンデム質量分析計の多極イオンガイドに命令する。
本教示は、種々の実施形態と併せて説明されるが、本教示がそのような実施形態に限定されることを意図していない。対照的に、本教示は、当業者によって理解されるであろうように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。
さらに、種々の実施形態を説明する際、本明細書は、ステップの特定のシーケンスとして、方法および/またはプロセスを提示している場合がある。しかしながら、本方法またはプロセスが本明細書に記載されるステップの特定の順序に依拠しない範囲で、本方法またはプロセスは、説明されるステップの特定のシーケンスに限定されるべきではない。当業者が理解するであろうように、ステップの他のシーケンスも、可能性として考えられ得る。したがって、本明細書に記載されるステップの特定の順序は、請求項に対する限定として解釈されるべきではない。加えて、本方法および/またはプロセスを対象とする請求項は、記載される順序におけるそれらのステップの実施に限定されるべきではなく、当業者は、シーケンスが、変動され、依然として、種々の実施形態の精神および範囲内に留まり得ることを容易に理解することができる。
当業者は、種々の変更が、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に行われ得ることを理解するであろう。

Claims (42)

  1. 質量分析計であって、
    複数の前駆体イオンを受け取り、所望の範囲内のm/z比を有するイオンの透過を可能にするように構成される透過帯域幅を有するための第1の質量フィルタと、
    質量分析のためのその透過窓内の標的m/z比を有するイオンを選択するために、前記第1の質量フィルタの下流に配置される第2の質量フィルタと、
    コントローラであって、前記コントローラは、m/z比のうちの少なくとも1つが、前記第2の質量フィルタの透過窓内にあるように、少なくとも2つのm/z比を包含するように、前記第1の質量フィルタの透過帯域幅を設定するために、前記第1の質量フィルタに結合される、コントローラと
    を備え、
    前記コントローラは、前記第1の質量フィルタの任意の2つの連続する透過帯域幅が、共通して少なくとも1つのm/z比を有するように、経時的に前記第1の質量フィルタの透過帯域幅を変更するように構成される、質量分析計。
  2. 前記コントローラは、異なる標的m/z比を選択するために前記第2の質量フィルタの前記透過窓を移動させるために、前記第2の質量フィルタに結合される、請求項1に記載の質量分析計。
  3. 前記コントローラは、前記第1の質量フィルタの透過帯域幅が経時的に偏移されるにつれて、前記第2の質量フィルタによる前記第1の質量フィルタを通して透過された異なるm/z比を有するイオンの質量分析を可能にするように、前記第1の質量フィルタの透過帯域幅の時間変動を前記第2の質量フィルタの前記透過窓の時間変動と相関させるように構成される、請求項2に記載の質量分析計。
  4. 前記コントローラは、前記第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅を初期イオン透過帯域幅に設定し、前記第1の質量フィルタの前記初期帯域幅によって包含されるm/z比を有するイオンの通過を可能にするように、前記第2の質量フィルタのイオン透過窓を設定するように構成される、請求項3に記載の質量分析計。
  5. 前記コントローラは、前記第2の質量フィルタの透過窓を調節し、次の着目m/z比を捕捉し、前記第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅を偏移させ、前記次の着目m/z比および別の着目m/z比を網羅するように構成される、前記請求項のいずれか1項に記載の質量分析計。
  6. 前記コントローラはさらに、前記第2の質量フィルタの透過窓を調節し、前記第1の質量フィルタの透過帯域幅を実質的に並行して偏移させるように構成される、請求項2-5のいずれか1項に記載の質量分析計。
  7. 前記コントローラは、前記第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅を調節することに先立って、前記第2の質量フィルタのイオン透過窓を偏移させるように構成される、請求項2-5のいずれか1項に記載の質量分析計。
  8. 前記コントローラは、前記第2の質量フィルタが、その偏移に先立って前記第1の質量フィルタの透過帯域幅によって網羅されるm/z比を有するイオンを監視する間、前記第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅を偏移させるように構成される、請求項2-5のいずれか1項に記載の質量分析計。
  9. 前記コントローラは、3つまたはそれを上回るm/z比を有するイオンの透過を可能にするために、前記第1の質量フィルタの透過帯域幅を設定するように構成される、前記請求項のいずれか1項に記載の質量分析計。
  10. 前記第1の質量フィルタおよび前記第2の質量フィルタのうちのいずれかの透過帯域幅は、約2,000Da未満である、前記請求項のいずれか1項に記載の質量分析計。
  11. 前記複数の前駆体イオンを発生させるために、前記第1の質量フィルタの上流に位置付けられるイオン源をさらに備える、前記請求項のいずれか1項に記載の質量分析計。
  12. 前記第1の質量フィルタおよび前記第2の質量フィルタのうちのいずれかは、そのうちの少なくとも1つに前記イオンの半径方向閉じ込めを提供するために1つまたはそれを上回るRF電圧が印加され得、そのうちの少なくとも1つにその前記透過帯域幅を発生させるためにDC分解電圧が印加され得る多極構成において配列されるロッドの少なくとも1つのセットを備え、前記多極構成は、随意に、四重極構成を備える、前記請求項のいずれか1項に記載の質量分析計。
  13. 前記ロッドの少なくとも1つのセットは、直列に位置付けられるロッドの複数のセットを備え、各ロッドセットは、多極構成において配列される複数のロッドを備え、随意に、DC電圧オフセットが、前記第1の質量フィルタを通して通過するイオンを加速させるための電場を発生させるように、前記ロッドセットのうちの少なくとも2つの間に印加され、随意に、前記DC電圧オフセットは、約0ボルト~約200ボルトの範囲内である、請求項12に記載の質量分析計。
  14. 前記第1の質量フィルタの前記透過帯域幅は、前記第2の質量フィルタの透過帯域幅のm/z幅を上回るm/z幅を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の質量分析計。
  15. 前記第1の質量フィルタおよび前記第2の質量フィルタは、別個の差動圧送される真空チャンバ内に位置する、前記請求項のいずれか1項に記載の質量分析計。
  16. 前記2つの別個の差動圧送される真空チャンバの間の圧力差は、約10倍~約50倍の範囲内である、請求項15に記載の質量分析計。
  17. 前記第2の質量フィルタは、前記第1の質量フィルタの下流に位置付けられ、より低い圧力のチャンバにおいて維持される、請求項16に記載の質量分析計。
  18. 質量分析のためのデータ非依存性入手(DIA)方法を実施するためのシステムであって、
    複数の前駆体イオンを受け取るための第1の質量フィルタと、
    前記第1の質量フィルタから退出するイオンを受け取るために、前記第1の質量フィルタの下流に配置される第2の質量フィルタと、
    コントローラであって、前記コントローラは、質量選択窓が、集合的に、DIA分析と関連付けられる前駆体イオン質量範囲に及ぶように、DIA質量分析サイクルにわたって複数のイオン選択窓を提供するように前記第2の質量フィルタを構成するために、前記第1の質量フィルタおよび前記第2の質量フィルタに動作可能に結合される、コントローラと
    を備え、
    前記コントローラはさらに、イオン透過帯域幅がそれぞれ、前記第2の質量フィルタの前記イオン選択窓のうちの少なくとも1つの個別のものに関して前記前駆体イオンを前置フィルタリングするように構成され、したがって、前記第1の質量フィルタのイオン透過帯域幅がそれぞれ、前記第2の質量フィルタの前記1つの個別のイオン選択窓のm/z幅を上回るm/z幅を有するように、前記複数のイオン透過帯域幅を提供するように前記第1の質量フィルタを構成する、システム。
  19. 前記第1の質量フィルタの前記イオン透過帯域幅のうちの少なくとも1つは、前記第2の質量フィルタの前記少なくとも1つの個別のイオン選択窓の個別の低m/zカットオフおよび高m/zカットオフよりも低い低m/zカットオフおよび高い高m/zカットオフを有する、請求項18に記載のシステム。
  20. 前記第2の質量フィルタの前記少なくとも1つの個別のイオン選択窓は、少なくとも2つの連続するイオン選択窓を備える、請求項18および19のいずれか1項に記載のシステム。
  21. 前記第1の質量フィルタの前記透過帯域幅のうちの少なくとも2つは、共通して少なくとも1つのm/z比を有する、請求項18-20のいずれか1項に記載のシステム。
  22. 前記第1の質量フィルタの任意の2つの連続する透過窓は、共通して少なくとも1つのm/z比を有する、請求項21に記載のシステム。
  23. 前記第1の質量フィルタの前記複数のイオン透過帯域幅のうちの少なくとも2つは、異なるm/z幅を有する、請求項18-22のいずれか1項に記載のシステム。
  24. 前記第2の質量フィルタから退出する前記前駆体イオンを受け取り、その少なくとも一部の断片化を引き起こし、複数の生成イオンを発生させるために、前記第2の質量フィルタの下流に配置される断片化デバイスをさらに備える、請求項18-22のいずれか1項に記載のシステム。
  25. 前記生成イオンを受け取り、前記生成イオンの質量スペクトルを発生させるために、前記断片化デバイスの下流に配置される質量分析器をさらに備える、請求項24に記載のシステム。
  26. 前記第1の質量フィルタおよび前記第2の質量フィルタが、それぞれ、配置される、第1の排気チャンバおよび第2の排気チャンバをさらに備える、請求項18-25のいずれか1項に記載のシステム。
  27. 前記第2の排気チャンバは、前記第1の排気チャンバが維持される圧力よりも低い圧力において維持される、請求項26に記載のシステム。
  28. 前記第1のチャンバ内に位置付けられる第1の多極ロッドセットと、前記第2のチャンバ内に位置付けられる第2の多極ロッドセットとをさらに備え、前記複数のロッドセットはそれぞれ、前記イオン透過帯域幅および前記イオン透過窓のうちのいずれかを発生させるためのそれへのRF電圧および/またはDC電圧の印加のために構成される、請求項24-27のいずれか1項に記載のシステム。
  29. 少なくとも1つのRF電圧源および少なくとも1つのDC電圧源であって、前記少なくとも1つのRF電圧源および前記少なくとも1つのDC電圧源は、それぞれ、前記RF電圧および前記DC電圧を発生させるためのものである、請求項28に記載のシステム。
  30. 前記コントローラは、前記第1の質量フィルタの前記イオン透過帯域幅および前記第2の質量フィルタの前記イオン透過窓を発生させるように、前記RF電圧および前記DC電圧を調節するために、前記RF電圧源および前記DC電圧源に動作可能に結合される、請求項29に記載のシステム。
  31. 前記第1の多極ロッドセットは、複数のロッド区画を備え、各ロッド区画は、隣接するロッド区画から離間され、前記多極ロッドセットの中心縦方向軸に沿って延在する、請求項30に記載のシステム。
  32. 前記複数のロッド区画は、第1のロッド区画と、前記第1の区画の下流に位置付けられる第2のロッド区画と、前記第2のロッド区画の下流に位置付けられる第3のロッド区画とを備える、請求項31に記載のシステム。
  33. 前記第1のロッド区画は、上流のイオン源からイオンを受け取り、前記受け取られたイオンの冷却を引き起こすように構成される、請求項32に記載のシステム。
  34. 前記第2のロッド区画は、前記第1のロッド区画から受け取られた前記冷却されたイオンをフィルタリングするように構成され、前記第3のロッド区画は、前記第2のロッド区画を介して受け取られたイオンを前記質量フィルタから外に透過させるように構成される、請求項33に記載のシステム。
  35. 前記質量フィルタはさらに、前記複数のロッドセットの複数のロッドの間に配置される複数の補助電極を備え、前記多極ロッドセットのロッドに印加されたRF電圧は、低m/zカットオフを提供し、前記多極ロッドセットと前記補助電極との間に印加されたDC電圧差は、高m/zカットオフを提供する、請求項28-34のいずれか1項に記載のシステム。
  36. タンデム質量分析計においてデータ非依存性入手(DIA)質量分析を実施するためのシステムであって、
    複数の前駆体イオンを受け取るための質量フィルタであって、前記質量フィルタは、約5e-5トルを上回る圧力において維持される前記質量分析計の低圧領域において位置付けられる、質量フィルタと、
    コントローラであって、前記コントローラは、前記質量フィルタに動作可能に結合され、前記質量フィルタが、DIA質量分析サイクルにわたって複数のイオン選択窓を提供するように、前記質量フィルタを制御するように構成され、前記イオン選択窓は、集合的に、前記DIA質量分析と関連付けられる前駆体イオン質量範囲に及ぶ、コントローラと、
    イオン断片化デバイスであって、前記イオン断片化デバイスは、前記質量フィルタを通して透過される前駆体イオンを受け取り、前記受け取られた前駆体イオンの少なくとも一部の断片化を引き起こし、複数の生成イオンを発生させるために、前記質量フィルタの下流に位置付けられる、イオン断片化デバイスと
    を備え、
    いかなる他の質量フィルタ機能性も、前記質量フィルタと前記イオン断片化デバイスとの間に位置付けられない、システム。
  37. 前記イオン選択窓のうちの少なくとも2つは、重複している、請求項36に記載のシステム。
  38. 前記イオン選択窓のうちの少なくとも2つは、異なるm/z幅を有する、請求項36および37のいずれか1項に記載のシステム。
  39. 前記質量フィルタは、前記イオン選択窓を発生させるためのそれへのRF電圧および/またはDC電圧の印加のために構成される多極ロッドセットを備え、前記多極ロッドセットは、随意に、四重極ロッドセットを備える、請求項36-38のいずれか1項に記載のシステム。
  40. 前記RF電圧および/または前記DC電圧を発生させるために、少なくとも1つのRF電圧源と、少なくとも1つのDC電圧源とをさらに備える、請求項39に記載のシステム。
  41. 前記コントローラは、前記イオン選択窓を発生させるために前記RF電圧および/または前記DC電圧を調節するように前記RF電圧源および前記DC電圧源を制御するために前記RF電圧源および前記DC電圧源に動作可能に結合される、請求項40に記載のシステム。
  42. 前記質量フィルタが位置付けられる第1の排気チャンバと、前記断片化デバイスが位置付けられる第2の排気チャンバとをさらに備え、前記第2の排気チャンバは、前記第1の排気チャンバが維持される圧力を下回る圧力において維持される、請求項36-41のいずれか1項に記載のシステム。
JP2023530238A 2020-11-19 2021-11-17 質量分析の堅牢性を強化するためにバンドパスフィルタリング衝突セルを使用して高強度イオンビームのms/msを実施する方法 Pending JP2023550431A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202063115702P 2020-11-19 2020-11-19
US63/115,702 2020-11-19
US202163166162P 2021-03-25 2021-03-25
US63/166,162 2021-03-25
PCT/IB2021/060677 WO2022107026A2 (en) 2020-11-19 2021-11-17 Method of performing ms/ms of high intensity ion beams using a bandpass filtering collision cell to enhance mass spectrometry robustness

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023550431A true JP2023550431A (ja) 2023-12-01

Family

ID=78806588

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023530238A Pending JP2023550431A (ja) 2020-11-19 2021-11-17 質量分析の堅牢性を強化するためにバンドパスフィルタリング衝突セルを使用して高強度イオンビームのms/msを実施する方法

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP4248482A2 (ja)
JP (1) JP2023550431A (ja)
WO (1) WO2022107026A2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024084343A1 (en) * 2022-10-18 2024-04-25 Dh Technologies Development Pte. Ltd. Park mass over-resolved bandpass to reduce ion path contamination
GB202216612D0 (en) * 2022-11-08 2022-12-21 Micromass Ltd Bandpass mass filter
WO2024116057A1 (en) * 2022-11-28 2024-06-06 Dh Technologies Development Pte. Ltd. Ion guide bandpass filter with dynamic window optimization
WO2024121747A1 (en) * 2022-12-05 2024-06-13 Dh Technologies Development Pte. Ltd. Ion guide bandpass filter with linac electrodes

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3473020A (en) * 1967-06-19 1969-10-14 Bell & Howell Co Mass analyzer having series aligned curvilinear and rectilinear analyzer sections
AU1329099A (en) * 1997-12-04 1999-06-28 University Of Manitoba Method of and apparatus for selective collision-induced dissociation of ions in a quadrupole ion guide
GB0210930D0 (en) * 2002-05-13 2002-06-19 Thermo Electron Corp Improved mass spectrometer and mass filters therefor
JP5027507B2 (ja) * 2003-09-25 2012-09-19 エムディーエス インコーポレイテッド ドゥーイング ビジネス アズ エムディーエス サイエックス 選択された六重極成分を有する2次元の実質的四重極電場を提供するための方法及び装置
CN103109345B (zh) * 2010-09-15 2016-06-22 Dh科技发展私人贸易有限公司 产物离子光谱的数据独立获取及参考光谱库匹配
EP2850646B1 (en) 2012-05-18 2018-01-17 DH Technologies Development Pte. Ltd. High dynamic range detector correction algorithm
GB201208733D0 (en) * 2012-05-18 2012-07-04 Micromass Ltd Excitation of reagent molecules within a rf confined ion guide or ion trap to perform ion molecule, ion radical or ion-ion interaction experiments
GB201208961D0 (en) 2012-05-18 2012-07-04 Micromass Ltd 2 dimensional MSMS
CN107251188B (zh) 2015-02-13 2019-09-13 Dh科技发展私人贸易有限公司 用于质谱仪中的离子的改进检测的装置
EP3278352A4 (en) 2015-04-01 2018-11-14 DH Technologies Development PTE. Ltd. Rf/dc filter to enhance mass spectrometer robustness
GB201509243D0 (en) * 2015-05-29 2015-07-15 Micromass Ltd Mass filter having extended operational lifetime
JP2021534560A (ja) 2018-08-24 2021-12-09 ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド 汚染を低減させ、質量分析法システムのロバスト性を向上させるためのrf/dcカットオフ

Also Published As

Publication number Publication date
WO2022107026A3 (en) 2022-06-30
EP4248482A2 (en) 2023-09-27
WO2022107026A2 (en) 2022-05-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10930482B2 (en) Adaptive and targeted control of ion populations to improve the effective dynamic range of mass analyser
JP4588925B2 (ja) 質量分析方法および装置
EP1894226B1 (en) Multiple ion injection in mass spectrometry
JP2023550431A (ja) 質量分析の堅牢性を強化するためにバンドパスフィルタリング衝突セルを使用して高強度イオンビームのms/msを実施する方法
JP5154511B2 (ja) 質量分析のための方法および装置
GB2432712A (en) Method of identifying parent and daughter ions in mass spectrometry
US20210327700A1 (en) RF/DC Cutoff to Reduce Contamination and Enhance Robustness of Mass Spectrometry Systems
US20220059330A1 (en) Optimised targeted analysis
CN107690690B (zh) 使用离子过滤的质量分析方法
US11682545B2 (en) Charge detection mass spectrometry with real time analysis and signal optimization
CN113366608A (zh) 傅立叶变换质谱仪及使用其分析的方法
CN112640036A (zh) Rf离子阱离子加载方法
US20240234123A1 (en) Method of Performing MS/MS of High Intensity Ion Beams Using a Bandpass Filtering Collision Cell to Enhance Mass Spectrometry Robustness
CN116686065A (zh) 使用带通过滤碰撞池对高强度离子束执行ms/ms以增强质谱稳健性的方法
JP2021535559A (ja) Exdおよびptrを使用するトップダウンプロテオミクスのための方法
US11515138B2 (en) Ion trapping scheme with improved mass range
WO2022172155A1 (en) Method of performing ms/ms of high intensity ion beams using a bandpass filtering collision cell to enhance mass spectrometry robustness
GB2604834A (en) Optimised targeted analysis