JP2023547297A - 磁気ミラーマシン - Google Patents
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Abstract
プラズマ閉じ込めのための磁気ミラーマシン(2100;2200;3100;3200)は、開放磁場線プラズマ閉じ込め領域(2106)を生成するために配置された、複数の縦方向に配置された超伝導コイル(2104、2105、2106a、2106b)を備え、両端部のそれぞれにおいて前記プラズマ閉じ込め領域(2106)は、前記プラズマ閉じ込め領域(2106)の中心領域(2110)に対して磁束密度が増加したそれぞれのミラー領域(2108)によって制限されており、ここにおいて前記複数の超伝導コイルのうちの1つの超伝導コイル(2105、2106a、2106b)が前記ミラー領域(2108)に隣接して位置しており、前記超伝導コイル(2105、2106a、2106b)は、前記ミラー領域を通り、磁場線(2112)と交差する平面内に、前記磁場線(2112)に沿った方向に細長い形状の断面を有する。
Description
本開示は、プラズマ閉じ込めのための磁気ミラーマシンに関する。
制御された核融合のための原子炉を設計するために、世界中で多大な努力が払われている。最も有望な融合プロセスは、水素同位体の重水素(2H)とトリチウム(3H)との間のものである。重水素-トリチウム核融合プロセスでは、約3.5MeVの運動エネルギーを有する4Heアルファ粒子と、約14.1MeVの運動エネルギーを有する中性子とが作り出される。
核融合が起こるためには、原子核は1億5000万ケルビン程度の温度を有するプラズマの形態をしていなくてはならない。このようなプラズマの閉じ込めをもたらすことは、依然として大きな課題である。
プラズマ閉じ込めは、プラズマの荷電粒子を閉じ込めることを伴う。プラズマ閉じ込めには、いくつかの異なる既知の磁気構成がある。よく知られている設計は磁気ミラーである。その中で、粒子は、磁場線に追従し、通常は、磁気ミラーマシンを通って実質的に縦方向に走り、そして装置の各端部の磁束密度が増加した領域において反射される。換言すれば、磁気ミラーマシンのプラズマ閉じ込め領域は、その両端部のそれぞれにおいて、プラズマ閉じ込め領域の中心領域に対して磁束密度が増加した、それぞれのミラー領域によって制限される。
超伝導コイルは、大きな電流を通すことができることでよく知られており、アンペアの法則により、大きな磁束密度を生成することができる。コイルによって生成される最大の達成可能な使用可能磁束密度について、超伝導コイルの設計及び使用における制限要因としては、第一に、超伝導特性の崩壊前の超伝導材料で可能な最大電流密度、及び第二に、超伝導特性の崩壊前の超伝導材料自体において可能な最大磁束密度が挙げられる。
すなわち、上記の設計制約の下で、磁気ミラーマシンの性能を最大化する必要がある。
本開示の目的は、上記の問題を解決するか、又は少なくとも軽減することである。
この目的のために、第1の態様によれば、プラズマ閉じ込めのための磁気ミラーマシンであって、開放磁場線プラズマ閉じ込め領域を生成するために配置された、複数の縦方向に配置された超伝導コイルを備え、両端部のそれぞれにおいて前記プラズマ閉じ込め領域は、前記プラズマ閉じ込め領域の中心領域に対して磁束密度が増加したそれぞれのミラー領域によって制限されており、ここにおいて前記複数の超伝導コイルのうちの1つの超伝導コイルが前記ミラー領域に隣接して位置しており、前記超伝導コイルは、前記ミラー領域を通り、磁場線と交差する平面内に、前記磁場線に沿った方向に細長い形状の断面を有する、磁気ミラーマシンが提供される。
細長い形状を有する断面としては、断面の第1の主方向において、断面の第2の主方向における延長部の少なくとも2倍、より好ましくは3倍、さらに好ましくは4倍、さらに好ましくは5倍の延長部を有すると理解されるべきである。細長い形状は、長方形、楕円形、三日月形、及び/又は管状セグメント形状の断面を含むが、これらに限定されないものとして理解されるべきである。第1及び第2の主方向は互いに直交していてもよいが、第2の方向は湾曲していてもよく、すなわち、管形断面の場合のように、第1の方向に対して湾曲した形状を有していてもよい。
磁場線に沿った方向としては、磁場線に垂直な方向ではなく、磁場線に平行な方向として理解されるべきである。特に、磁場線に沿った方向とは、磁場線に平行か、又は実質的に平行であってもよい。
本発明の概念は、超伝導コイル内の最大許容磁束密度と最大コイル電流密度の設計制約の下で、ミラー領域の磁場線に沿った方向に細長い断面を有する超伝導コイルを配置することで、磁気ミラーマシンのミラー領域における最大磁束密度を最大化できる可能性があるという認識に由来する。
次に、ミラー領域の高い磁束密度は、磁気ミラーマシンにおける高いミラー比、すなわち、ミラー領域における最大磁束密度と磁気ミラーマシンの中心領域における磁束密度との間の高い比を可能にし、それによって損失コーンのサイズを縮小し、プラズマのより良好な閉じ込めを可能にできる。
ミラー領域の高い磁束密度は、磁気ミラーマシンにおける高い全磁束を可能にすることができる。
すなわち、本発明の概念により、超伝導コイルの設計制約下で、ミラー領域の磁束密度を最大化する超伝導コイルを備える、磁気ミラーマシンが提供される。
代替的に又は追加的に、ミラー領域における高い磁束密度は、磁気ミラーマシンの中心領域における磁束密度と半径との高い積を可能にする。
前記ミラー領域の方向を向いた前記断面領域の周囲セグメントは、前記周囲セグメントの外側から見て凸状であってもよい。代替的、又は追加的に、周囲セグメントは、ミラー領域における磁場線と同じ方向に湾曲させてもよい。これによって、ミラー領域における最大磁束密度のさらなる最大化が可能になる。
前記ミラー領域から離れる方向に向いた前記断面領域の周囲セグメントは、前記周囲セグメントの外側から見て、凹状であってもよい。代替的、又は追加的に、周囲セグメントは、ミラー領域内の磁場線と同じ方向に湾曲させてもよい。これにより、ミラー領域における最大磁束密度をさらに最大化することができる。
前記ミラー領域の方向を向いた前記断面領域の周囲セグメントは、前記ミラー領域から離れる方向に向いた前記断面領域の周囲セグメントと平行に延びていてもよい。これにより、ミラー領域における最大磁束密度をさらに最大化することができる。
複数の超伝導コイルは、同軸に配置され、縦方向に間隔を空けられるとともに、それぞれがそれぞれの電流を同一方向に通すように配置されてもよい。これは、本発明概念の特に有益な応用である。
複数の超伝導コイルは、第1の複数の同心円状に配置された円形ループ超伝導コイルを備える第1の磁石系であって、第1の方向に電流を通すように配置された第1の超伝導コイル、及び前記第1の方向と反対の第2の方向に電流を通すように配置された第2の超伝導コイルを備える、第1の磁石系と、第2の複数の同心円状に配置された円形ループコイルを備える第2の磁石系であって、前記第1の磁石系と前記第2の磁石系の間に位置する対称平面に関して、前記第1の磁石系に対してミラー対称に配置されている、第2の磁石系とを備えてもよい。これは、本発明概念の別の特に有益な応用である。
複数の超伝導コイルは、前記プラズマ閉じ込め領域の半径方向外側に配置された第3の磁石系をさらに備えてもよく、前記第3の磁石系は、少なくとも1つの超伝導円形ループコイルを備える。
別の態様によれば、第1の態様の磁気ミラーマシンを備える、核融合炉が提供される。この態様は、全体的に、第1の態様と同じ特徴及び利点を提示できる。
別の態様によれば、核融合炉における第1の態様の磁気ミラーマシンの使用が提供される。この態様は、全体的に、第1の態様と同じ特徴及び利点を提示できる。
本開示の上記、ならびにさらなる目的、特徴及び利点は、類似の要素に対して同一の参照番号が使用される添付の図面を参照すれば、好ましい実施形態についての以下の例証的及び非限定的な詳細な説明を通して、よりよく理解されるであろう。
一般に知られているように、プラズマ閉じ込め装置は、開放磁場線又は閉鎖磁場線のいずれかに基づき得る。
閉鎖磁場線構成は、例えば、トロイダル磁場により実現できる。そのような装置の一例がトカマクである。
従来技術において知られているような、開放磁場線プラズマ閉じ込め装置は、磁気ミラーリングの原理によって動作することができ、この場合に、プラズマの荷電粒子は、閉じ込め領域のそれぞれの端部の、磁束密度が増加した領域において反射される。
開放磁場線プラズマ閉じ込め装置は、プラズマ閉じ込めを提供できると認識されているが、磁場線と十分に整列した速度ベクトルを持つ電荷粒子の漏れが常にある。より具体的には、ミラー効果は、磁場線のまわりの荷電粒子のジャイロスピンのらせん渦巻きピッチ角によって定義される、損失コーンの外側の接近角の範囲内のすべての粒子に対して生じる。
損失コーンの程度は、ミラー領域における最大磁束密度Bmirrorと磁気ミラーマシンの中心領域における最小磁束密度Bcentralの比として定義される、ミラー比rmirrorによって決定される。
次いで、損失コーンを定義する角度は:
このように、高いミラー比は、小さい損失コーンにつながることがわかり、磁場線と最も整列した速度を有する粒子だけが漏れることになるのがわかる。逆に、低いミラー比は、大きい損失コーンにつながる。
本開示の全体を通して、超伝導コイルは、従来技術において知られている、方法、材料、化合物、等を使用して製造し、配置することができる。
好適な超伝導材料としては、YBCO、Bi2223、2212、Nb3SN、NbTi及び/又はMgB2を挙げることができる。
本開示の全体を通して超伝導コイルは、例えば、いわゆる高温超伝導コイルとすることができる。
当該技術において知られているように、超伝導コイルは、内部構造を備える場合がある。例えば、各超伝導コイル内部で、超伝導材料を、当該技術において一般的に知られている方法を使用して、フィラメント、ストランド、ケーブル、ロープ、等の中に配置されてもよい。本開示の全体を通して参照されるように、コイルの断面は、この内部構造の包囲エンヴェロープとして理解すべきである。
例えば、本開示の全体を通して超伝導コイルは、参照により本明細書に組み入れられている、D Uglietti、「A review of commercial high temperature superconducting materials for large magnets: from wires and tapes to cables and conductors」、Supercond. Sci. Technol. 32 (2019) 053001 (29pp)、https://doi.org/10.1088/1361-6668/ab06a2に詳説されている、方法、材料、化合物、等を使用して、製造され、配置されてもよい。
さらに、超伝導コイルは、当該技術において一般的に知られている方法を使用して冷却されてもよい。
図18は、磁気ミラーマシン2100の断面図である。磁気ミラーマシン2100は、対称軸Aのまわりに、回転対称であるか、又は少なくとも実質的に回転対称である。
磁気ミラーマシン2100は、プラズマ閉じ込めに使用されてもよく、当該技術分野で知られているように、慣用のシールド2102、例えば中性子シールド2102を備えてもよい。特に、磁気ミラーマシン2100は、核融合炉内に備えられるともに/又は核融合炉内で使用されてもよい。
図18から明らかなように、磁気ミラーマシン2100は、対称軸Aに沿って縦方向に配置された、複数の超伝導コイル2104、2105を備える。各超伝導コイル104、105は、図18のように、円形ループに配置されてもよく、当該技術分野において知られているように、開放磁場線プラズマ閉じ込め領域2106を生成するために、直流を通すように配置されてもよい。
プラズマ閉じ込め領域2106は、このように、磁気ミラーマシン2100を通り、対称軸Aに沿って、磁気ミラーマシン2100の縦方向に広がり、磁場線2112も同様に縦方向に沿って延びている。
図18の構成では、その図から明らかなように、複数の超伝導コイル2104、2105は、図18の例では、対称軸Aに対して同軸に配置されている。また、超伝導コイルは、対称軸Aに対して縦方向に間隔が空けられている。また、磁気ボトル配設において一般的なように、各超伝導コイルは、図18において点とばつ印でマークされているように、それぞれの電流を同じ方向に通すように配置されている。
各ミラー領域2108及び中心領域2110における磁場線間隔から明らかなように、また当該技術分野において知られているように、プラズマ閉じ込め領域2106は、両端のそれぞれにおいて、プラズマ閉じ込め領域2106の中心領域2110に対して磁束密度が増加した、それぞれのミラー領域2108によって、制限されている。
複数の超伝導コイル2104、2105のうちのそれぞれの超伝導コイル2105は、それぞれのミラー領域2108に隣接して位置している。実際に、図18の例では、それぞれの超伝導コイル2105は、それぞれのミラー領域2108の半径方向外側に位置している。
図18から明らかなように、超伝導コイル2106は、前記ミラー領域を通る磁場線2112と交差する平面内において、したがって図18の平面に対応して、磁場線2112に沿った方向に細長い形状の断面を有する。
代替的に、やはり図18から明らかなように、これは、磁気ミラーマシン2100に対して縦方向において細長い断面を有する、超伝導コイル2106として、及び/又は対称軸Aに沿った方向において細長い断面を有する、超伝導コイル2106として定式化されてもよい。
図2の例では、断面は長方形であり、磁場線2112に沿った方向、及び/又は磁気ミラーマシン2100の縦方向、及び/又は対称軸Aに沿った方向において、その方向に垂直な、すなわち磁気ミラーマシン2100における半径方向の寸法の約2倍の大きさの寸法を有する。
図19は、さらに別の磁気ミラーマシン2200を示す。磁気ミラーマシン2200は、それぞれのミラー領域2108に隣接する超伝導コイル2206のそれぞれが、管状セグメント状の断面を有する、すなわち管の一部から形成されたかのような、円形セグメントの全体形状を有することを除き、図18の磁気ミラーマシン2100と同じ特徴を有する。
これにより、各超伝導コイル2105の断面は、ミラー領域2108の方向を向く断面領域の周囲セグメント2307aが、周囲セグメント2307aの外側から見て凸状となっている。
また、ミラー領域から離れる方向を向いた各超伝導コイル2306の断面領域の周囲セグメント2307bは、周囲セグメント2307bの外側から見て凹状となっている。
当然のことながら、先の2つの段落のように、必ずしも円形のセグメントパスをたどる必要はなく、凸状と凹状の周囲セグメントを持つ、他の湾曲した断面も同様に可能である。
また、図19の例では、ミラー領域2108の方向に向いた断面領域の周囲セグメント2307aは、ミラー領域から離れる方向を向いた断面領域の周囲セグメント2307bと平行に延びている。
図20は、さらに別の磁気ミラーマシン2300を示しており、本発明概念に従わないが、本発明概念を理解するのに有用な例として提示されている。磁気ミラーマシン2300は、それぞれのミラー領域2108に隣接する超伝導コイル2406のそれぞれが、円形断面を有する、すなわち、細長いものではないことを除いて、図1の磁気ミラーマシン2100と同じ特徴を有する。
図18の磁気ミラーマシン2100、図19の磁気ミラーマシン2200、図20の磁気ミラーマシン2300の設計を評価するために磁場シミュレーションが実施された。
表1は、シミュレーションの結果を示す:
Bcoilは、ミラー領域2108に隣接する、各コイル2105内部の最大磁束密度である、
Bmirrorは、ミラー領域2108における最大磁束である、
Bcentral,outerは、中心領域110の半径方向の最外縁における、対称平面Pでの磁束密度である、
Bcentral,avgは、中心領域110を通して半径方向に平均化された、対称平面Pでの磁束密度であり、
Rは、磁気ミラーマシン2100、2200、2400の内側半径であり、表1の最終行は、したがって、Bcentral,avgとRの積を示している。
Bcoilは、ミラー領域2108に隣接する、各コイル2105内部の最大磁束密度である、
Bmirrorは、ミラー領域2108における最大磁束である、
Bcentral,outerは、中心領域110の半径方向の最外縁における、対称平面Pでの磁束密度である、
Bcentral,avgは、中心領域110を通して半径方向に平均化された、対称平面Pでの磁束密度であり、
Rは、磁気ミラーマシン2100、2200、2400の内側半径であり、表1の最終行は、したがって、Bcentral,avgとRの積を示している。
シミュレーションは、壁2102の厚さとして700mm、対称平面Pにおける初期磁気ミラーマシン内側半径Rとして3300mm、及び対称平面Pとコイル2105の間の距離として5000mmを使用して実施された。
シミュレーションは、各超伝導コイル内の電流密度が一定であると仮定するとともに、ミラー領域2108に隣接する各コイル2105内の最大磁束密度が、各超伝導コイルに対する崩壊磁束密度の一般的な値である、約23Tを超えてはならないという制約を設けて実施された。
さらに、対称平面Pにおける平均磁束密度Bcentral,avgと、対称平面Pにおけるプラズマ閉じ込め領域2106の半径に概して対応する、磁気ミラーマシンの内側半径Rとの積、Bcentral,avg×Rが6.0Tmに固定されるように、各磁気ミラーマシンの半径を変化させた。
表1の結果において、上記の設計制約を反映して、Bcoilは、それぞれの場合に、23Tに近い。ここで、磁場の線形特性のために、この結果は、23T以外のその他のコイル最大磁束密度に容易にスケール変換が可能であり、それに対して、この結果は等しく有効であることに留意すべきである。
表1からわかるように、磁気ミラーマシン2200における細長いコイル断面は、コイルにおいて約23Tの磁束密度を超えないとの制約下で、図20の磁気ミラーマシン2300の円形の細長くないコイル2105と比較して、ミラー領域におけるより高い磁束密度Bmirrorを可能にする。さらに、図20の磁気ミラーマシン2400のコイル2105の管状セグメント断面は、図19及び18と比較して、さらに高いBmirrorを可能にする。
中心領域の磁束密度Bcentral,outerは、各磁気ミラーマシンにおいて概して一定のままとなる。すなわち、図20と比較して図18及び19における増大したBmirrorは、積Bcentral,avg×Rが固定されている場合には、磁気ミラーマシンの増大したミラー比Bmirror/Bcentral,outerに変換することができる。
本発明概念は、複数の超伝導コイルが、第1の複数の同心円状に配置された円形ループ超伝導コイルを備える第1の磁石系であって、第1の方向に電流を通すように配置された第1の超伝導コイル、及び第1の方向と反対の第2の方向に電流を通すように配置された第2の超伝導コイルを備える、第1の磁石系と、第2の複数の同心円状に配置された円形ループコイルを備える第2の磁石系であって、第1の磁石系と第2の磁石系の間に位置する対称平面に関して、第1の磁石系に対してミラー対称に配置されている、第2の磁石系とを備える、磁気ミラーマシンにも同等に応用可能であり、その概念及び利点は本開示の別の場所において考察される。
図21A及び21Bは、そのような磁気ミラーマシン3100を示し、この場合に、図21Aは磁気ミラーマシン2200の断面図であり、図21Bは図21Aの単一象限の拡大図であり、この図は、回転及びミラー対称性のために、図21Aに示される断面の全4象限を表わしている。
磁気ミラーマシン3100は、対称軸Aのまわりに、回転対称であるか、又は少なくとも実質的に回転対称である。
磁気ミラーマシン3100は、プラズマ閉じ込め用に使用してもよいとともに、慣用のシールド2102、例えば、当該技術において知られているような、中性子シールド2102を備えてもよい。特に、磁気ミラーマシン2100は、核融合炉内に備えられるとともに/又は核融合炉内で使用されてもよい。
図21Aから明白なように、磁気ミラーマシン3100は、対称軸Aに沿って縦方向に配置された、複数の超伝導コイル2204、2206a、2206bを備える。各超伝導コイル2204、2206a、2206bは、図21A/21Bにおけるように、円形ループに配置して、それぞれが、開放磁場線プラズマ閉じ込め領域2106を生成するように配置された、直流電流を通すように配置されてもよい。
このようにして、プラズマ閉じ込め領域2106は、磁気ミラーマシン3100を通り、対称軸Aに沿って縦方向に広がり、プラズマ閉じ込め領域2106内の磁場線2112も縦方向に延びている。
特に、対称平面Pの上方に位置する超伝導コイル2206a及び2206bは、第1の磁石系を構成し、コイル2206aは、第1の方向に直流電流を通すように配置されており、コイル2206bは、図21Bにおいて点とばつ印で指示されるように、第2の、反対の方向に直流電流を通すように配置されている。
さらに、対称平面Pの下方に位置する超伝導コイル2206a及び2206bは、対称平面Pに関して第1の磁石系に対してミラー対称に配置された、第2の磁石系を構成し、したがって、対称平面Pは、第1の磁石系と第2の磁石系の間に位置する。
そのような配設を介して、本開示の別の場所で詳述されるように、環状閉じ込め領域2106を作り出してもよい。
さらに、少なくとも1つの超伝導コイル、通常は複数の超伝導コイル、図21A及び21Bの例においては、2つの超伝導コイル2104を備える、第3の磁石系が、プラズマ閉じ込め領域2106の半径方向外側に配置されてもよい。
プラズマ閉じ込め領域2106は、各ミラー領域2108及び中心領域2110における磁場線間隔から明らかなように、両端のそれぞれにおいて、プラズマ閉じ込め領域2106の中心領域2110に対して磁束密度の増加した、それぞれのミラー領域2108によって制限されている。
第1の磁石系及び第2の磁石系の超伝導コイル2206a、2206bは、それぞれのミラー領域2108に隣接して位置している。図21A及び21Bの例では、超伝導コイル2206aは、それぞれのミラー領域2108の半径方向外側に位置し、超伝導コイル2206bは、それぞれのミラー領域2206aの半径方向内側に位置している。
図21A及び21Bから明らかなように、第1の磁石系及び第2の磁石系の各超伝導コイル2206a、2206bは、前記ミラー領域を通り磁場線2112と交差する、すなわち図21A/21Bの平面に対応する平面において、磁場線2112に沿った方向に細長い形状の断面を有する。図21A及び21Bの例では、断面は、三日月形であって、磁場線2112に沿った方向に、その方向に垂直な寸法の約2倍の大きさの寸法を有する。
このように、それぞれのミラー領域2108に隣接する各超伝導コイル2206a、2206bは、三日月形断面を有している。特に、各超伝導コイルの断面は、ミラー領域2108の方向を向いた断面領域の周囲セグメント2207aが、周囲セグメント2207aの外側から見て、凸状となっている。
代替的に、図21A及び21Bからも明らかなように、これは、磁気ミラーマシン3100に対して縦方向に細長い断面を有する超伝導コイル2206a、2206bとして、及び/又は対称軸Aに沿った方向に細長い断面を有する超伝導コイル2206a、2206bとして、定式化されてもよい。
さらに、図21A及び21Bの例に示すように、ミラー領域2108から離れる方向を向いた周囲セグメント2207bは、平坦であってもよい。
図18におけるような長方形のもののような、その他の細長い断面も等しく可能である。
図22A及び22Bは、さらに別の磁気ミラーマシン3200を示す。
磁気ミラーマシン3200は、各ミラー領域108に隣接する超伝導コイル2206のそれぞれが、管状セグメント状の断面を有する、すなわち、あたかも管の一部から形成されたような円形セグメントの全体的な形状を有することを除き、図1の磁気ミラーマシン3100と同様の特徴を有する。当然のことながら、必ずしも円形のセグメントパスをたどる必要はなく、他の湾曲した断面も同様に可能である。
これにより、各超伝導コイルの断面は、ミラー領域2108の方向に向かう断面領域の周囲セグメント2207aが、周囲セグメント2207aの外側から見て凸状になっている。
また、ミラー領域から離れる方向を向いた各超伝導コイル2306の断面領域の周囲セグメント2207bは、周囲セグメント2207bの外側から見て凹状になっている。
当然のことながら、先の2つの段落のように、必ずしも円形のセグメントパスに従う必要はなく、凸状及び凹状の周囲セグメントを有する、他の湾曲した断面も等しく可能である。
さらに、図22A及び22Bの例では、ミラー領域2108の方向に向いた断面領域の周囲セグメント2207aは、ミラー領域から離れる方向を向いた断面領域の周囲セグメント2207bと平行に延びている。
図23A及び23Bは、さらなる磁気ミラーマシン2400を示しており、本発明概念によるものではないが、本発明概念を理解するのに有用な例として提示されている。磁気ミラーマシン4200は、それぞれのミラー領域2108に隣接する超伝導コイル2206a、2206bのそれぞれは、円形断面を有する、すなわち、断面が細長ではないことを除いて、図21A及び21Bの磁気ミラーマシン2100と同じ特徴を有する。
図21A及び21Bの磁気ミラーマシン3100、図22A及び22Bの磁気ミラーマシン3200、図23A及び23Bの磁気ミラーマシン3300の設計を評価するために磁場シミュレーションが実施された。
表2はシミュレーションの結果を示す:
Bcoilは、ミラー領域2108に隣接する、各コイル2206a、2206b内部の最大磁束密度であり、
Bmirrorは、ミラー領域2108における最大磁束であり、
Bcentral,outerは、対称平面P、すなわち中心領域110における最大磁束密度であり、
Rは、磁気ミラーマシン3100、3200、3300の内側半径であり、したがって表1の最終行は、Bcentral,avgとRの積を示す。
Bcoilは、ミラー領域2108に隣接する、各コイル2206a、2206b内部の最大磁束密度であり、
Bmirrorは、ミラー領域2108における最大磁束であり、
Bcentral,outerは、対称平面P、すなわち中心領域110における最大磁束密度であり、
Rは、磁気ミラーマシン3100、3200、3300の内側半径であり、したがって表1の最終行は、Bcentral,avgとRの積を示す。
シミュレーションは、壁2102の厚さとして700mm、対称平面Pにおける磁気ミラーマシン内側半径Rとして3300mm、及び対称平面Pとコイル2206a、2206bとの間の距離として5000mmを用いて実施された。
シミュレーションは、超伝導コイル内の電流密度が一定であると仮定するとともに、ミラー領域2108に隣接する各コイル2105内の最大磁束密度が、各超伝導コイルに対する崩壊磁束密度の一般的な値である、約23Tを超えてはならないという制約を設けて実施された。
さらに、Bcoil/Bmirror比が最大になるように各磁気ミラーマシンの半径を変化させたが、これは、Bcoilが一定であるため、Bmirrorを最小化するのと等価であった。
表2の結果において、上記の設計制約を反映して、Bcoilはそれぞれ23.0Tである。磁場の線形性のために、この結果は、23.0T以外のその他のコイル最大磁束密度に容易にスケール変換が可能であり、それに対して、この結果が等しく有効であることに留意すべきである。
表2からわかるように、図23A/23Bの磁気ミラーマシン3300の円形の細長くないコイル2206a、2206bと比較して、コイルにおいて約23Tの磁束密度を超えないとの制約の下で、磁気ミラーマシン3100における細長い三日月形コイル断面は、ミラー領域におけるより高い磁束密度Bmirrorを可能にする。さらに、図22A及び22Bの磁気ミラーマシン3200のコイル2206a、2206bの管状セグメント断面は、図23A/23B及び21A/21Bと比較して、さらに高いBmirrorを可能にする。
したがって、現在の最適化では、中心領域の磁束密度Bcentral,outerは約7~8Tのままであるのに対して、細長い管状セグメント断面は、積Bcentral,avg Rの大幅な増大を可能にする。
本発明概念が、主として、例示的実施形態を参照して説明された。しかしながら、当業者によれば容易に気づかれるように、添付の特許請求の範囲によって定義されるような、本発明概念の範囲内において、上記で開示されたもの以外の実施形態が、等しく可能である。特に、本明細書で具体的に考察されたもの以外のその他の細長い断面も、特許請求の範囲内で同様に可能である。特に、図21A及び21Bのもののような三日月状の断面は、例えば、図18のもののようなボトル型磁気ミラーマシンに等しく適用可能であり、図18のもののような長方形の断面は、例えば、図21A及び21Bの磁気ミラーマシンにも同様に適用可能である。
本開示の残りの部分は、プラズマ閉じ込め装置及びプラズマ閉じ込めのための方法に関する。
制御された核融合のための原子炉を設計するために、世界中で多大な努力が払われている。最も有望な融合プロセスは、水素同位体の重水素(2H)とトリチウム(3H)との間のものである。重水素-トリチウム核融合プロセスでは、約3.5MeVの運動エネルギーを有する4Heアルファ粒子と、約14.1MeVの運動エネルギーを有する中性子とが作り出される。
核融合が起こるためには、原子核は1億5000万ケルビン程度の温度を有するプラズマの形態でなくてはならない。このようなプラズマの閉じ込めをもたらすことは、依然として大きな課題である。
プラズマ閉じ込めのためのいくつかの異なる知られた磁気構成がある。
プラズマの閉じ込めは、プラズマの荷電粒子を閉じ込めることを伴う。また、閉じ込められたプラズマの安定性に有益な種々の特性が望ましい場合がある。
よく知られているデザインは磁気ミラーである。その場合には、粒子は磁場線に追従し、装置の各端部における磁束密度が増加する領域において反射される。実験的に実証されているように、プラズマ閉じ込めが可能である一方で、様々なプラズマ不安定性の問題と関連している。これらの問題を解決するために、テニスボールに似た「ミニマムB」設計、又は「バイコニックカスプ(Biconic Cusp)」などの、様々な畳み込まれた非回転対称形状が、従来技術において提案されている。
もう一つのよく知られている設計はトカマク(tokamak)である。トカマクは、閉じ込めのために、トロイド形、すなわちドーナツ形の磁場を使用する。トカマクもまた、電荷分離などの様々なプラズマ安定性の問題と関連している。
本開示の目的は、特に核融合炉における使用のための、改良型プラズマ閉じ込め装置及び方法を提供することである。
この目的のために、第1の態様によれば、第1の方向に電流を通すように配置された第1のコイル、及び第1の方向と反対の第2の方向に電流を通すように配置された第2のコイルを備える、第1の複数の同心円状に配置された円形ループコイルを備える、第1の磁石系と、第1の磁石系と第2の磁石系の間に位置する対称平面に関して、第1の磁石系に対してミラー対称に配置され、第2の複数の同心円状に配置された円形ループコイルを備える、第2の磁石系とを備え、対称平面において対称平面に垂直な磁場を有する、対称平面における環状のプラズマ閉じ込め領域を作り出す、プラズマ閉じ込め装置が提供される。
環状のプラズマ閉じ込め領域として、例えばドーナツ状又は円盤状のトポロジを有する場合を含む、プラズマの荷電粒子が閉じ込められた回転対称区域と理解されるべきである。
これにより、得られる磁場構成は、静的な軸方向及び半径方向の磁場を用いて、荷電粒子を開放磁場線磁気ミラー構成に閉じ込め得る。
第1の磁石系及び第2の磁石系のそれぞれにおいて、第1のコイルが第1の方向に電流を通すように配置され、第2のコイルが反対の第2の方向に電流を通すように配置されている配設は、対称平面付近で比較的低い磁束密度を維持しながら、第1のコイルと第2のコイルとの間に高い磁束密度の区域を作り出すことを可能にする。従来の磁気ミラー配置と比較して、これによりミラー比を増加させることが可能になり、それによって損失コーン(loss cone)の大きさを低減して、プラズマのより良好な閉じ込めが可能になる。
また、トカマクと比較して、プラズマを閉じ込める際に、電荷分離効果を回避し得て、プラズマの安定性のための誘導プラズマ電流を必要としない場合がある。結果として生じる準静的プラズマによって、すなわちグローバルプラズマ電流なしで、磁気流体力学的不安定性を回避することができる。また、核融合炉は、電流ランピング(ramping)を行うことなく、連続(定常)状態で運転可能にさせ得る。
さらに、結果として得られる磁場構成は、プラズマを加熱する単純な方法を可能にし得る。
第1の複数の同心円状に配置されたコイルは、例えば、第2の複数の同心円状に配置されたコイルと同一に設計され得る。これは、所望の磁場構成を達成するための特に簡単な方法である。
この装置は、プラズマ閉じ込め領域の半径方向外側に配置された第3の磁石系をさらに備えてもよく、第3の磁石系は、少なくとも1つの円形ループコイルを備える。
これにより、確実に半径方向に増大する磁場を配置することができ、これは閉じ込められたプラズマの安定性に有益であり、従来型の磁気ミラーにさらに改良を加える。
さらに、第3の磁石系を有する配設は、プラズマ閉じ込め領域全体において凹状磁場を配置することを可能にし、このことは閉じ込められたプラズマの安定性にとって有益であり得る。
このように、ミラー比が高く、プラズマ安定性に有益な特性を有する、回転対称型の開放磁場線プラズマ閉じ込め装置が提供され得る。
また、第3の磁石系は、第3の磁石系の円形ループコイルにおける電流調節により、閉じ込められたプラズマを制御することを可能にし得る。
第3の磁石系は、第1の磁石系において対称平面の同じ側に配置された第1のコイルと、対称平面の反対側に配置された第2のコイルとを備えてもよく、ここで、第2のコイルは、第1のコイルに対してミラー対称に配置される。
第1の磁石系における第1の複数の同心円状に配置されたコイルと、第2の磁石系における第2の複数の同心円状に配置されたコイルとは、それぞれの強磁性構造に埋め込まれていてもよい。これにより、強磁性材料の相対的に高い透磁率を通る磁束が増加し、所定のコイル電流に対してより強い磁場が得られ、それによってより良好な閉じ込めが得られる。
任意選択で、前記の強磁性構造は、前記対称平面に向かう方向において、それぞれの前記複数のコイルのうちの少なくとも1つのコイルを覆わない。これによって、対称平面から離れる方向の磁束がシールドされ、磁束を対称平面に向かう方向、すなわちプラズマに向かって誘導する。これにより、所与のコイル電流に対してより効率的なシールドが達成される。
前記強磁性構造は、強磁性鋼であり得る。
第1の態様による装置は、プラズマを閉じ込めるために用いられ得る。
第1の態様による装置は、核融合炉に用いられ得る。
第2の態様によれば、第1の方向に電流を通す第1のコイル、及び第1の方向と反対の第2の方向に電流を通す第2のコイルを備える、第1の複数の同心円状に配置された円形ループコイルを備える、第1の磁石系と、第1の磁石系と第2の磁石系の間に位置する対称平面に関して、第1の磁石系に対してミラー対称の電流を通す、第2の複数の同心円状に配置された円形ループコイルを備える、第2の磁石系とにおいて、対称平面に垂直な磁場を有する、対称平面における環状のプラズマ閉じ込め領域を作り出すことを含む、プラズマ閉じ込めの方法が提供される。
この第2の態様の実施形態及び利点は、一般に、第1の態様の実施形態と同様又は同一であり得る。
この方法は、プラズマ閉じ込め領域の半径方向外側に配置された第3の磁石系における電流調節によって閉じ込められたプラズマを制御することをさらに含み得る。
制御することは、プラズマ閉じ込め領域の半径を変化させることを含んでもよく、これにより、プラズマの半径を変化させ得る。
この方法は、プラズマ閉じ込め領域の半径方向外側又はプラズマ閉じ込め領域の半径方向内側の領域にイオンビームを挿入し、イオンビームからのイオンをプラズマ閉じ込め領域中に移動させることによって、プラズマを加熱することをさらに含み得る。
プラズマを閉じ込めるために作り出された磁場が、外部から来るイオンをプラズマから偏向させるとともに、磁場を貫通し、プラズマ内で一度だけイオン化される中性ビームを使用して加熱を行う必要がある、トカマク又は同様の装置のような既存の解決策とは異なり、ここでは、現在の磁場構成は、イオンを偏向させるのではなく、プラズマ閉じ込め領域にイオンを引き込むことができるので、高エネルギーイオンは、閉じ込められたプラズマに便利で簡単に追加され得るか、又は核融合条件を作り出すためにプラズマの初期加熱のために提供され得る。これにより、手順の複雑さの軽減をもたらすとともに、粒子損失をさらに低減させ得る。
第3の態様によれば、第1の方向に電流を通すように配置された第1のコイル、及び第1の方向と反対の第2の方向に電流を通すように配置された第2のコイルを備える、第1の複数の同心円状に配置された円形ループコイルを備える、第1の磁石系と、第1の磁石系と第2の磁石系との間に位置する対称平面に関して第1の磁石系に対してミラー対称に配置された、第2の複数の同心円状に配置された円形ループコイルを備える、第2の磁石系とを備えて、対称平面において対称平面に垂直な磁場を有する、対称平面における環状の粒子閉じ込め領域を作り出すことを含む、磁気ミラーマシン及び/又は粒子閉じ込め装置が提供される。
その他の態様と併せて、また本開示全体を通して考察された実施形態及び利点は、この第3の態様と適合性がある。
第4の態様によれば、第1の方向に電流を通す第1のコイル、及び第1の方向と反対の第2の方向に電流を通す第2のコイルを備える、第1の複数の同心円状に配置された円ループコイルを備える、第1の磁石系と、第1の磁石系と第2の磁石系との間に位置する対称平面に関して、第1の磁石系に対してミラー対称の電流を通す、第2の複数の同心円状に配置された円形ループコイルを備える、第2の磁石系とにおいて、対称平面に垂直な磁場を有する、対称平面における環状の粒子閉じ込め領域を作り出すことを含む、荷電粒子の閉じ込め方法が提供される。
その他の態様と併せて、また本開示全体を通して考察された実施形態及び利点は、この第3の態様と適合性がある。
一般に知られているように、プラズマ閉じ込め装置は、開放磁場線又は閉鎖磁場線のいずれかに基づき得る。
閉鎖磁場線装置は、例えば、トロイダル磁場を有し得る。そのような装置の一例がトカマクである。
閉鎖磁場線装置は、粒子が磁場線をたどるため、漏れることなくプラズマ粒子を閉じ込める可能性があるが、電荷分離によるExBドリフトや磁気流体力学的(MHD:magneto-hydrodynamic)効果などの他の問題により、プラズマを逃がす可能性がある。ヘリウム灰を除去するには、システムをパルシング(pulsing)したり、定常動作を許可しないなど、特別な配設を行う必要がある。
トロイダル場の大きな問題の1つは、電荷分離によって引き起こされるExBドリフトによってイオンが閉じ込め状態から逃れることである。
トカマクにおいては、この問題は、プラズマ中に電流を誘導することによって対処することができ、そこで電流はポロイダル場を作り出す。この結果として、磁場がトーラスに沿ってねじれて、ポロイダル磁場とトロイダル場が一緒になってねじれた磁場を作り上げる。これにより、ExBドリフトは緩和されるが、内部磁気コイルの電流がランピングしている間、つまり定常状態で動作できない間だけ、プラズマが閉じ込められるという追加の問題が持ちこまれる。
さらに、プラズマ電流は、キンク不安定性などの、磁気流体力学的効果に関連するいくつかの不安定性をもたらす。これは、原子炉容器のまわりの様々な補償コイルによって対処することができるが、プラズマの基本的な特性は、大きな磁気流体力学的効果のために不安定なままである。
開放磁場線プラズマ閉じ込め装置は、従来技術で知られているように、磁気ミラーリングの原理によって動作可能であり、この場合に、プラズマの荷電粒子は、閉じ込め領域のそれぞれの端部の磁束密度が増加する領域において反射される。このような機械は定常動作の能力を有し、一般に電荷分離の問題が少なく、またヘリウム灰の取り扱いも容易にすることができる。
解放磁場線プラズマ閉じ込め装置は、プラズマ閉じ込めを提供できると認識されているが、磁場線に十分に整列した速度ベクトルを持つ電荷粒子の漏れが常にある。より具体的には、ミラー効果は、磁場線のまわりの荷電粒子のジャイロスピンのらせん渦巻きピッチ角によって定義される、損失コーンの外側の接近角の範囲内のすべての粒子に対して生じる。
損失コーンの程度は、磁場線に続く最大磁束密度Bmaxと最小磁束密度Bminの比として定義される、ミラー比rmirrorによって決定される:
損失コーンを定義する角度は次のとおりである:
したがって、ミラー比が高いと損失コーンが小さくなり、その結果として磁場線に最も整列した速度を持つ粒子のみが逃れることがわかる。逆に、ミラー比が低いと、損失コーンが大きくなる。
閉じ込められたプラズマの磁気流体力学的安定性と関連する、プラズマ閉じ込め装置の磁場線の、文献から知られている第1の性質は、プラズマ閉じ込め領域及び閉じ込められたプラズマの外側から見た凹状の磁場、すなわち凹状の磁場線を有する磁場である。
閉じ込められたプラズマの磁気流体力学的安定性と関連する、プラズマ閉じ込め装置の磁場線の、文献から知られている第2の性質は、半径方向に確実に増加する磁場である。
図1a、図1b、及び図1cは、プラズマ閉じ込め装置に含まれ得る第1の磁石系1及び第2の磁石系2を示す(図5a及び図5b参照)。
第1の磁石系1は、対称軸Aのまわりに配置された第1の複数の同心円状に配置された円形ループコイル、例えば、図示されているような、第1の、内側コイル11と、内側コイル11の径方向外側に同心円状に配置された、第2の、外側コイル12とを備える。
さらに、第1の磁石系1は、同様に軸Aのまわりに同心円状に配置されるが、第1の磁石系に対して上下に変位した、第2の複数の円形ループコイルを備える、第2の磁石系2を備える。第2の磁石系は、例えば、図示されるように、第1の、内側コイル21と、内側コイル21に対して同心円状に、その半径方向外側に配置された、第2の外側コイル22とを備えてもよい。
図1cは、対称軸Aを通る断面平面において、第1の磁石系1及び第2の磁石系2を通る横断面図を示す。
第2磁石系2のコイル21、22は、第1の磁石系1及び第2の磁石系2のそれぞれに対して等距離にある対称平面Pと相対的に、第1の磁石系1のコイル11、12に対してミラー対称に配置されている。
本開示全体を通して、軸A及び対称平面Pに対する座標系及び方向を参照することができる。特に、座標及び方向は、対称軸Aと対称平面Pとの交点を原点として有する円筒座標系又はデカルト座標系を参照して記述することができる。
「X,Y,Z」、「X,Y,Z」、「A,B,C」等と称される座標を有する、デカルト座標系とは、対称平面Pに横たわる最初の2つの座標軸「X,Y」、「X,Y」、「A,B」等と、対称軸Aに沿って原点から上方(図1~図5に見られるように)に正方向に延びる第3の座標軸「z」、「Z」、「C」等と、を有するものと理解されるべきである。
空間座標の単位が開示されていない場合、メートル又は度の単位が暗示される。時間の単位が開示されていない場合、秒の単位が暗示される。
円筒座標系とは、対称軸Aと対称平面Pとの交点における原点から延びる径方向及び座標(「R」、「r」等)と、対称軸Aを中心とする回転角度として測定される方位角方向及び座標(「φ」、「Phi」等)と、軸方向及び、対称軸Aに沿って原点から上方に正方向に延びる座標(「z」、「Z」、「C」等)とを有するものと理解されるべきである。方位角方向に対する正方向は、正の軸方向に対して右手の法則に従う。
さらに、本開示全体を通して、模擬磁場(磁束密度)線、すなわち、等磁位線を示す、図2、4a、4b、9、10、11、及び12を含む図が参照される。本明細書に開示される磁石系の対称性特性のせいで、すなわち、対称平面Pに対するミラー対称性及び軸Aを中心とする回転対称性のせいで、このような象限の磁場特性は、全体としての磁場構成を記述するのに十分である。したがって、象限を示す図は、対称特性に言及することを条件として、4つの象限すべてにおける磁場及び磁石系構成を開示するものと解釈されるべきである。さらに、回転対称性のせいで、図は3次元磁場と磁石系とを開示していると解釈されるべきである。
さらに図1cを参照して、第1の磁石系1の第1の複数の同心円状に配置されたコイル11、12は、図示されているように、ミラー対称性を守り、第2の磁石系2の第2の複数の同心円状に配置されたコイル21、22と同一に設計され得る。
図1cはさらに、プラズマ閉じ込め装置に用いられるときの、第1の磁石系及び第2の磁石系の動作中のコイル電流方向を示す(図5a及び図5b参照)。
第1の磁石系1では、内側コイル11の電流は、図1cの右側の断面平面(ばつ印でマーク)の中に入り、図1c左側の断面平面(中心点付き円でマーク)から外に出る方向、すなわち、第1磁石系の上方から見て反時計回りに、流れるように構成されている。逆に、外側コイル12の電流は、図1cの右側の断面平面(中心点付き円でマーク)から外に出て、図1cの左側の断面平面(ばつ印でマーク)から中に入る方向、すなわち、第1の磁石系の上方から見て時計回りに流れるように構成されている。
このように、第1の複数の同心円状に配置された円形ループコイルは、第1の方向に電流を通すように配置された第1のコイル11と、第1の方向と反対の第2の方向に電流を通すように配置された第2のコイル12とを備える。
同様に、対称平面Pに対するミラー対称性を守り、第2の磁石系2において、内側コイル21の電流は、図1cの右側の断面平面(ばつ印でマーク)の中に入り、図1cの左側の断面平面(中心点付き円でマーク)から外に出る方向、すなわち、第1の磁石系を上方から見て反時計回り、に流れるように構成されており、外側コイル22の電流は、図1cの右側の断面平面(中心点付き円でマーク)から外に出て、図1cの左側の断面平面(ばつ印でマーク)の中に入る方向、すなわち、第1の磁石系の上方から見て時計回り、に流れるように構成されている。
このように、第2の磁石系2の電流は、第1の磁石系1及び第2の磁石系2が動作している状態で、第1の磁石系1と第2の磁石系2との間に位置する対称平面Pに関して、第1の磁石系に対してミラー対称に配置される。
磁場(磁束密度)ベクトルBを示すベクトル矢印202で示されているように、対称平面Pにおいて、第1の磁石系1と第2の磁石系2における電流のミラー対称構成は、対称平面Pにおいて、対称平面Pに垂直な磁場を作り出す。近似的な破線楕円で示される、環状で、典型的にはトロイド形状の、プラズマ閉じ込め領域206(図2、5a及び5b参照)が、以下でさらに説明されるように、対称平面Pにおいて形成される。
このように、換言すれば、プラズマ閉じ込め装置は、プラズマが閉じ込められ得る空間をその間に有する、軸方向に対向する2つの円盤状の磁石系1、2を備えてもよい。各磁石系1、2は、電流の方向と大きさが、対称平面Pにおいて垂直方向磁場境界条件を作り出す、少なくとも2つのコイル11、12、21、22を有する。
また、なお図1a、1b、1cを参照して、第1の磁石系1における第1の複数の同心円状に配置されたコイル11、12、及び第2の磁石系2における第2の複数の同心円状に配置されたコイル21、22のそれぞれが、強磁性鋼などの強磁性材料でもよいそれぞれのコア構造204に埋め込まれていてもよい。あるいは、コア構造204は、非強磁性鋼などの非強磁性材料であってもよい。
任意選択で、図示されているように、第1の磁石系1及び第2の磁石系2のそれぞれのコア構造204は、図示されるように対称平面Pに向かう方向にはそれぞれの複数のコイルのすべてのコイルのうちの、少なくとも1つのコイルを覆っていないが、その他のすべての方向において、それぞれのコイル11、12、21、22を覆っている。
比較の目的で、図9は、2つのコイル、すなわち、各半球において単一のコイル1600、を備える直線磁気ミラー構成の模擬磁場線を示す。このような直線磁気ミラー(「ボトル」)構成に典型的であるように、磁場は、対称平面P付近の比較的低い磁束密度の領域1602と、コイル1600の近傍の比較的高い磁束密度の領域1604とを見せて、上記説明のように磁気反射の原理に基づいて、荷電粒子に対する閉じ込め領域206を作り出している。また、閉じ込め領域206の半径方向外側から、すなわち図9において右から見られるとき、対称平面の近くの比較的大きな領域は凸状の磁場線を見せるのに対して、コイル1600に近いより小さい領域は凹状の磁場線を見せ、前者は、上記で考察された第1の特性のとおりに、不利であり、後者が有利である。また、対称平面Pにおいて、磁束密度は半径の増加とともに減少していることが注記され得る。
開示された磁石系構成は、対称平面Pと直角に交差する磁場線によって明らかなように、対称平面P全体にわたって対称平面Pに垂直な磁場を作る。図2は、図1cと同様に、軸Aを通る断面平面における磁場線を示している。第1の磁石系1及び第2の磁石系2の回転対称性のせいで、磁場構成も回転対称であり、その結果として、図2は、任意のそのような断面平面全体に対して、したがってすべての磁場構成に対しても、代表的である。特に、この磁場は、すなわち、図2の断面平面に出入りする方向、すなわち上記で言及した方位角方向を指す方向において、トロイダル成分を有さない。換言すれば、磁場ベクトルは、軸Aを通る任意のそのような断面平面に対して、断面平面内にある。図9~図13の構成についても同様である。
図2には、図1a、1b、1cと併せて上記で考察された第1の磁石系1及び第2の磁石系2における電流のミラー対称構成から生じる、磁場線が示されている。結果として生じる磁場構成からは、プラズマのイオンが閉じ込められ得る、ここでも近似的な破線楕円によって表わされた、環状の閉じ込め領域206が得られる。プラズマ閉じ込め領域は、シミュレーションで確認されたように、内側の半径と外側の半径の間で半径方向に制限されている。プラズマ閉じ込め装置に閉じ込められたプラズマイオンは、対称平面Pにおけるプラズマ閉じ込め領域206において、その平面に垂直な磁場のせいで、その平面内で円形ジャイロ運動を行うことになる。既述のように、トロイダル場は存在しない。したがって、トロイダル磁場成分がない場合には、対称平面Pにおけるイオンには軸方向ローレンツ力は存在しない。磁場線に沿って、軸方向に対称平面から遠ざかると、ローレンツ力がイオンを対称平面に向かって押し戻し、イオンを対称平面に閉じ込め得る。
プラズマがトロイダル磁場及びポロイダル磁場で閉じ込められているトカマクにおける状況と異なり、本開示による閉じ込め装置は、プラズマを軸方向(軸Aに平行)磁場及び半径方向磁場によって閉じ込める。
図10は、プラズマ閉じ込め装置に備えられ得る別の構成を示し、この構成も、第1の方向に電流を通すように配置された第1のコイル11、及び第1の方向と反対の第2の方向に電流を通すように配置された第2のコイル12を備える、第1の磁石系1(図1c参照)と、第1の磁石系1と第2の磁石系2(図示なし)の間に位置する対称平面Pに関して、前記第1の磁石系に対してミラー対称で配置されている第1及び第2の同心円状に配置された円形ループコイル(図示なし)を備える、第2の磁石系とが配置されている。図9の直線磁気ミラーに対するのと同様に、荷電粒子に対する閉じ込め領域、すなわちプラズマ閉じ込め領域206は、対称平面において、対称平面に垂直な磁場を有する、対称平面Pである。
図9と併せて上記で考察されたように、図10に示され、又は図2において明白なように、第1の磁石系及び第2の磁石系のコイル11、12の幾何学形状とそれに通される電流を適切に選択することによって、磁気反射の原理に基づいて、対称平面Pに近い比較的低い磁束密度の区域1602と、コイル11、12に近い比較的高い磁束密度の区域1604とを示す、荷電粒子に対する閉じ込め領域206を作り出す、磁場構成を達成することができる。さらに、図10におけるように、閉じ込め領域206の半径方向外側から、すなわち図9において右から見て、対称平面の近くの区域1602は、凸状の磁場線を見せるのに対して、区域1604は凹状の磁場線を見せる。
さらに、図10(及び図12)を図9と比較することから明白なように、コイルの幾何学形状とそれを流れる電流の適切な選択により、コイル11、12の近くの比較的高い磁束密度の区域1604における、かなり増大された磁束密度が可能になる。このことは、より高いミラー比をもたらして、低減された損失コーンのせいで、プラズマ内の荷電粒子の閉じ込めを改善し得る。
図3a及び3bは、プラズマ閉じ込め装置内に備えられ得る、第1の磁石系1と、第2の磁石系2と、第3の磁石系とを示す(図5a及び5bを参照)。以下に具体的に言及しない限り、図3a、3b、及び図4の磁石系は、図1a、1b、1c、及び2に併せて上述された、第1の磁石系及び第2の磁石系と同じ特徴及び特性を有する。第3の磁石系3は、軸Aに対して、プラズマ閉じ込め領域206の半径方向外側に配置される。
さらに、第3の磁石系3は、図示されるように、軸Aに対して、第1の磁石系1及び第2の磁石系2の半径方向外側に位置し得る。
第3の磁石系3は、少なくとも1つの円形ループコイル、例えば、図示されるような、第1の磁石系と対称平面Pの同じ側に配置された第1の円形ループコイル31と、対称平面Pの反対側に配置された第2の円形コイルループ32とを備え、この場合に、第2のコイル32は第1のコイル31に関してミラー対称で配置されている。特に、図3bを参照すると、第1のコイル31及び第2のコイル32の各々は、磁石系が動作している状態で、図3bの左側の断面平面(ばつ印でマーク)の中に入り、図3bの右側の断面平面(中心点付き円でマーク)から外に出る方向、すなわち、第1の磁石系の上方から見た時計回りに流れるように構成された電流を有する。
得られた模擬磁場線が図4a及び4bに示されている。磁場構成は、図2のそれと同様である。特に、環状のプラズマ閉じ込め領域206が、図1a、1b、1c、及び2と併せて上述されたように、形成される。図4bは、図4aの1つの象限を拡大して示している。磁石系の対称特性のせいで、すなわち、対称平面Pに対するミラー対称と、軸Aのまわりの回転対称のせいで、そのような1つの象限の磁場特性は全体としての磁場構成を説明するのに十分である。
図11は、プラズマ閉じ込め装置において備えられ得る、さらに別の構成を示す。図10の第1の磁石系1と第2の磁石系2に加えて、図3a及び3bにおけるように、第3の磁石系3が、プラズマ閉じ込め領域206の半径方向外側に配置されている。第3の磁石系3は円形ループコイル31を備える。
さらに図11を参照すると、図9に併せて上記で考察されたように、磁場構成は、対称平面Pに近い比較的低い磁束密度の区域1602と、コイル11、12近くの比較的高い磁束密度の区域1604とを見せて、磁気反射の原理に基づいて、荷電粒子に対する閉じ込め領域206を作り出している。
さらに、図11をさらに参照すると、図10におけるように、閉じ込め領域206の半径方向外側から、すなわち図9において右から見たときに、対称平面の近くの区域1602は、プラズマ閉じ込め領域206の外側から見たとき、凹状の磁場線を見せるのに対して、区域1604は、やはりプラズマ閉じ込め領域206の外側から見たときに、凸状の磁場線を見せる。しかしながら、凹状の磁場線の区域は、プラズマ閉じ込め領域の大部分に対応して、図10の構成のそれよりも大きい。
また、さらに図11を参照すると、図10におけるように、コイルの幾何学形状と、それを流れる電流とを適切に選択すると、コイル11、12の近くの比較的高い磁束密度の区域1604における、磁束密度をかなり増大させて、高いミラー比をもたらすことが可能になる。
さらに、図11(及び図4a及び4b)から明らかなように、第3の磁石系のコイル31を通過する電流の適切な選択を通して、プラズマ閉じ込め領域206における、半径方向に確実に増大する磁束密度を有する磁場構成が達成可能である。
図12は、プラズマ閉じ込め装置に備えられ得る、さらに別の構成を示す。図11の構成に加えて、第1の磁石系1及び第2の磁石系2におけるそれぞれのコイルの各々が、それぞれの強磁性シールドに埋め込まれている。これにより磁場を集束させて、より高いミラー比が可能になる。
図13は、プラズマ閉じ込め装置に備えられ得る、さらに別の構成を示す。この例示的構成において、図12の構成と比較して、コイル11、12、31は、テーパ付き表面及び/又は凸状表面を有する。これによって、図13から明らかなように、プラズマ閉じ込め領域260の半径方向外側の周囲1202が、反射ポイントまでとぎれず、凹状の磁場線を有するとともに、半径方向内側の周囲1204も同様であり、一方で磁束密度は半径方向に確実に増加している、磁場構成が達成可能である。
図5a及び5bはそれぞれ、図1a、1b、1c、及び2と併せて上記で詳述されたような、それぞれが第1の磁石系1及び第2の磁石系2と、図3a、3b、4a、及び4bと併せて上記で詳述されたような、任意選択の第3の磁石系3とを備える、プラズマ閉じ込め装置500を示す。そのようなプラズマ閉じ込め装置500は、それぞれ、核融合炉において使用され得る。
さらに、各プラズマ閉じ込め装置500は、それ自体はプラズマ融合技術においてよく知られているような、プラズマ容器208を備える。プラズマ容器は、図示されているように、第1の磁石系1と第2の磁石系2の間に位置し得る。さらに、プラズマ容器208は、そのような系が存在する場合には、図示されているように、第3の磁石系3の半径方向内側に位置し得る。プラズマ容器208は、図示されているように、軸Aのまわりに回転対称としてもよい。原子炉用容器208は、環状の、トロイド形プラズマ閉じ込め領域206が原子炉容器208の内側に位置するように、位置している。
プラズマ閉じ込め装置500の物理的寸法は、磁気コイル内のエンジニアリング電流密度、アルファ粒子の閉じ込めの度合い、所望のプラズマ体積、などの多くのパラメータに依存し得る。アルファ粒子の良好な閉じ込めと、10A/mm2の磁石系におけるエンジニアリング電流密度において、約15m3のプラズマ体積をもたらし得る、典型的な寸法は以下のとおりである:
第1の磁石系1と第2の磁石系2の外径:8~16m、通常は12m。
第1の磁石系1と第2の磁石系2の外径:8~16m、通常は12m。
コイル11、12、21、22のそれぞれの高さ:1.5~3.5m、通常は2.5m。
コイルを埋め込むコア204の厚さ:0.6~1.3m、通常は1.0m。
第1の磁石系1の上縁と第2の磁石系2の下縁との距離:4.0~8.0m、通常は6.0m。
第3の磁石系3の外径:10.0~22m、通常は16.0m。
コイル電流又はコイル電流を変動させることによって、磁場構成は、プラズマ閉じ込め領域206に閉じ込められたプラズマを制御するように変化させられ得る。
図5bは、軸Aにおいて装置500の中心に位置し、したがってプラズマ閉じ込め領域206の半径方向内側に位置する、それ自体は知られている、任意選択のマイクロ波プラズマ加熱装置210を有する、プラズマ閉じ込め装置500を示す。
さらに、プラズマ閉じ込め装置500は、それ自体は知られている、容器208中につながり、プラズマ閉じ込め領域206の半径方向外側に位置している、任意選択のイオンビーム挿入配設212を有し得る。
例えば、高エネルギーアルファ粒子を含む、イオンビームは、プラズマ閉じ込め領域206の半径方向外側の領域におけるイオンビーム挿入装置210を使用して挿入されてもよく、その後に、イオンビームからのイオンが、低い半径に向かって、プラズマ閉じ込め領域206の中に移動し、それによってプラズマを加熱し、プラズマは、次の段階において、加熱において自己維持性となる、すなわち点火プラズマとなり得る。
代替的に(図示なし)、例えば高エネルギーアルファ粒子を含む、イオンビームは、そのようなイオンビーム挿入装置を使用して、プラズマ閉じ込め領域206の半径方向内側の領域に挿入されてもよく、その後にイオンビームからのイオンが、高い半径に向かって、プラズマ閉じ込め領域206中に移動し、それによってプラズマを加熱することを可能にしてもよい。
このように、本開示によるプラズマ閉じ込め装置設計は、系の外半径と中心の両方における加熱装置に対するアクセシビリティを可能にする。
さらに代替的に、プラズマは、マイクロ波加熱装置210によって加熱され得る。
図6、7、及び8は、図13に併せて上記で詳述された、第1の磁石系1と、第2の磁石系2と、第3の磁石系3とを備える、別のプラズマ閉じ込め装置500の切り欠き斜視図である。プラズマ閉じ込め装置500は、核融合炉において使用され得る。
さらに、図7に示されるように、プラズマ閉じ込め装置500は、それ自体はプラズマ融合技術においてよく知られている、プラズマ容器208を備えてもよい。図示されているように、プラズマ容器208は、第3の磁石系3のコイル31、32の半径方向内側、それぞれ、第1の磁石系1及び第2の磁石系2の外側コイル22、12の半径方向内側、及びそれぞれ、第1の磁石系1及び第2の磁石系2の内側コイル11、21の半径方向外側で、軸方向内側に位置し得る。
さらに図7は強磁性埋め込み204を示す。
最後に、図8はハウジング1500内に収納されているプラズマ閉じ込め装置500を示す。
通常の寸法は次のとおりである。ハウジング1500を含み、装置500は、約25mの直径、約35mの高さを有し得る。第3の磁石系3のコイルの内径は、約12mであり得る。それぞれ、第1の磁石系1及び第2の磁石系2の内側コイル11、21同士の間の最小距離は、約11mであり得る。
本開示によれば、粒子の系、すなわちその中に閉じ込められたプラズマにおける全体電流は、ゼロ、又はゼロ近くであり得る。このことは、トカマクなどのトロイダルベースの原子炉と比較して、動的なプラズマがずっと少なく生じ得る。そのような動的でないプラズマは、キンク不安定性などの、電流駆動プラズマ不安定性の問題が少なくなり得る。
以下において、本発明概念によるプラズマ閉じ込め装置に対するシミュレーション結果が、図14a、14b、15、16、及び17を参照して、考察されて、融合プラズマイオンを閉じ込める、プラズマ閉じ込め装置500の能力を検証する。融合プラズマを閉じ込めることは、プラズマ体積における磁場によって、重水素イオン、トリチウムイオン、アルファ粒子、及び電子を閉じ込めることを意味する。3.5MeV(約13,000,000m/s)運動エネルギーを有する、重水素-トリチウム融合の生成物の1種である、アルファ粒子は、これまでで閉じ込めるのが最も困難な粒子である。
アルファ粒子が閉じ込められ得る場合には、プラズマの加熱に寄与し、その結果として、点火プラズマが、閉じ込められたアルファ粒子によって自己維持される。プラズマの燃焼は、外部エネルギーを必要とするが、それは融合プロセスによって生成される加熱エネルギーよりも少ない。そのような加熱は、融合生成物アルファ粒子によって提供される。すなわち、アルファ粒子を閉じ込めることは重要である。
重水素とトリチウムとは、12keV又はそれ未満で融合する。より低いエネルギーでより軽いイオンを閉じ込めることは、高エネルギーで重いイオンを閉じ込めるよりもずっと容易である。融合生成物アルファ粒子が閉じ込められ得る場合には、重水素イオン及びトリチウムイオン、ならびに電子も、同じ体積内に閉じ込められる、すなわち、アルファ粒子が閉じ込められれば、重水素イオンとトリチウムイオンも閉じ込められる。
有限要素法(FEM)シミュレーションによって計算された磁場内で、荷電粒子の軌道のシミュレーションが実施されて、荷電粒子閉じ込めの能力の検証が行われた。
この系は回転対称であるので、2次元(2D)シミュレーションに記述され得る。さらに、第1の磁石系と第2の磁石系の2つの間にミラー対称性があるので、第1の象限(図4b、9~13参照)により、系の全体積を完全に定義することができる。
粒子軌道は、粒子上のローレンツ力とニュートンの第2法則とを考慮に入れて、反復的に計算された。
図14a、14b、15、16、及び17は、図6、7、8、及び13と併せて上記で考察された構成における、1粒子シミュレーション結果を示す。
図14aは、100keVの運動エネルギーでの重陽子の模擬された経路を示し、これに対して図14bは、運動エネルギー3.5MeVでのアルファ粒子の、すなわち、重水素イオンとトリチウムイオンの間の融合からの生成物として通常の模擬された経路を示す。両方の粒子は、プラズマ閉じ込め領域内に閉じ込められて、それぞれの端点において磁気的に反射される。1次の近似として、所与の初期速度ベクトルに対して、荷電粒子のジャイロセンタ(gyrocenter)は、所与の磁場線に追従し、粒子運動エネルギー又は電荷にかかわりなく、同一の端点において反射される。しかしながら、粒子は異なるジャイロスピン半径(ラーモア半径(Larmor radius))を有するので、ドリフトも異なることになる。
図15、16、及び17は、それぞれ、0.5、1.5、2.5のvz/vR(軸方向速度と半径方向速度の)比に対する、それぞれ、初期半径方向位置が1.5m、3.0m、及び4.5mでの、模擬荷電粒子軌道を示し、これらの構成のそれぞれに対する荷電粒子の閉じ込めを示す。
本発明概念が、例示的実施形態を参照して、主として説明された。しかしながら、当業者によって容易に気づかれるように、上記で開示されたもの以外の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定義されるような、本発明概念の範囲内において、等しく可能である。
以下は、本明細書の一部を形成する例である。
以下は、本明細書の一部を形成する例である。
第1の方向に電流を通すように配置された第1のコイル(11)、及び
前記第1の方向と反対の第2の方向に電流を通すように配置された第2のコイル(12)
を備える、第1の複数の同心円状に配置された円形ループコイル(11、12)を備える、第1の磁石系(1)と、
前記第1の磁石系(1)と前記第2の磁石系(2)の間に位置する対称平面(P)に関して、前記第1の磁石系(1)に対してミラー対称に配置され、前記第2の複数の同心円状に配置された円形ループコイル(21、22)を備える、第2の磁石系(2)とを備え、
前記対称平面(P)において前記対称平面(P)に垂直な磁場を有する、前記対称平面(P)における環状のプラズマ閉じ込め領域(206)を作り出す、プラズマ閉じ込め装置(500)。
前記第1の方向と反対の第2の方向に電流を通すように配置された第2のコイル(12)
を備える、第1の複数の同心円状に配置された円形ループコイル(11、12)を備える、第1の磁石系(1)と、
前記第1の磁石系(1)と前記第2の磁石系(2)の間に位置する対称平面(P)に関して、前記第1の磁石系(1)に対してミラー対称に配置され、前記第2の複数の同心円状に配置された円形ループコイル(21、22)を備える、第2の磁石系(2)とを備え、
前記対称平面(P)において前記対称平面(P)に垂直な磁場を有する、前記対称平面(P)における環状のプラズマ閉じ込め領域(206)を作り出す、プラズマ閉じ込め装置(500)。
前記第1の複数の同心円状に配置されたコイル(11、12)は、前記第2の複数の同心円状に配置されたコイル(21、22)と同一に設計されている、例1に記載の装置(500)。
前記プラズマ閉じ込め領域(206)の半径方向外側に配置された第3の磁石系(3)をさらに備え、前記第3の磁石系(3)は少なくとも1つの円形ループコイル(31、32)を備える、例1から2のいずれか1つに記載の装置。
前記第3の磁石系(3)は、前記対称平面(P)の前記第1の磁石系(1)と同じ側に配置された第1のコイル(31)と、前記対称平面(P)の反対側に配置された第2のコイル(32)とを備え、ここにおいて、前記第2のコイル(32)は、前記第1のコイル(31)に対してミラー対称に配置されている、例3に記載の装置(500)。
前記第1の磁石系における前記第1の複数の同心円状に配置されたコイルと、前記第2の磁石系における前記第2の複数の同心円状に配置されたコイルとは、それぞれがそれぞれの強磁性構造中に埋め込まれている、例1から4のいずれか1つに記載の装置(500)。
前記強磁性構造は、前記対称平面に向かう方向において、それぞれの前記複数のコイルの少なくとも1つのコイルを覆わない、例5に記載の装置(500)。
前記強磁性構造が強磁性鋼を備える、例5から6のいずれか1つに記載の装置(500)。
プラズマを閉じ込めるための、例1から7のいずれか1つに記載の装置(500)の使用。
核融合炉における、例1から7のいずれか1つに記載の装置(500)の使用。
第1の方向に電流を通すように配置された第1のコイル(11)、及び前記第1の方向と反対の第2の方向に電流を通すように配置された第2のコイル(12)を備える、第1の複数の同心円状に配置された円形ループコイル(11、12)を備える、第1の磁石系(1)と、
前記第1の磁石系(1)と前記第2の磁石系(2)の間に位置する対称平面(P)に関して、前記第1の磁石系(1)に対してミラー対称の電流を通す、第2の複数の同心円状に配置された円形ループコイル(21、22)を備える、第2の磁石系(2)とにおいて、
前記対称平面(P)に垂直の磁場を有する、前記対称平面(P)における環状のプラズマ閉じ込め領域を作り出すことを含む、プラズマ閉じ込めの方法。
前記第1の磁石系(1)と前記第2の磁石系(2)の間に位置する対称平面(P)に関して、前記第1の磁石系(1)に対してミラー対称の電流を通す、第2の複数の同心円状に配置された円形ループコイル(21、22)を備える、第2の磁石系(2)とにおいて、
前記対称平面(P)に垂直の磁場を有する、前記対称平面(P)における環状のプラズマ閉じ込め領域を作り出すことを含む、プラズマ閉じ込めの方法。
前記プラズマ閉じ込め領域(206)の半径方向外側に配置された第3の磁石系(3)において、電流調節によって閉じ込められたプラズマを制御すること
をさらに含む、例10に記載の方法。
をさらに含む、例10に記載の方法。
前記制御することは、前記プラズマ閉じ込め領域の半径を変更することを含む、例11に記載の方法。
前記プラズマ閉じ込め領域(206)の半径方向外側、又は前記プラズマ閉じ込め領域(206)の半径方向内側の領域内にイオンビームを挿入することによって前記プラズマを加熱すること、及び
前記イオンビームからのイオンが、前記プラズマ閉じ込め領域(206)中に移動することを可能にすること
をさらに含む、例10から12のいずれか1つに記載の方法。
前記イオンビームからのイオンが、前記プラズマ閉じ込め領域(206)中に移動することを可能にすること
をさらに含む、例10から12のいずれか1つに記載の方法。
Claims (10)
- プラズマ閉じ込めのための磁気ミラーマシン(2100;2200;3100;3200)であって、開放磁場線プラズマ閉じ込め領域(2106)を生成するために配置された、複数の縦方向に配置された超伝導コイル(2104、2105、2106a、2106b)を備え、両端部のそれぞれにおいて前記プラズマ閉じ込め領域(2106)は、前記プラズマ閉じ込め領域(2106)の中心領域(2110)に対して磁束密度が増加したそれぞれのミラー領域(2108)によって制限されており、ここにおいて、複数の前記超伝導コイルのうちの1つの超伝導コイル(2105、2106a、2106b)が前記ミラー領域(2108)に隣接して位置しており、前記超伝導コイル(2105、2106a、2106b)は、前記ミラー領域を通り、磁場線(2112)と交差する平面内に、前記磁場線(2112)に沿った方向に細長い形状の断面を有する、磁気ミラーマシン。
- 前記ミラー領域(2108)の方向に向いた前記断面の領域の周囲セグメント(2107b)が、前記周囲セグメント(2107b)の外側から見て凸状である、請求項1に記載の磁気ミラーマシン。
- 前記ミラー領域(2108)から離れる方向に向いた前記断面の領域の周囲セグメント(2107a)が、前記周囲セグメント(2107a)の外側から見て凹状である、請求項1~2のいずれか一項に記載の磁気ミラーマシン。
- 前記ミラー領域(2108)の方向を向いた前記断面の領域の周囲セグメント(2107b)が、前記ミラー領域(2108)から離れる方向を向いた前記断面の領域の周囲セグメント(2107a)に平行に延びている、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁気ミラーマシン。
- 複数の前記超伝導コイル(2104、2105)は、同軸に配置され、縦方向に間隔を空けられるとともに、それぞれが、それぞれの電流を同じ方向に通すように配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の磁気ミラーマシン。
- 複数の前記超伝導コイルが、
第1の複数の同心円状に配置された円形ループ超伝導コイルを備える第1の磁石系であって、
第1の方向に電流を通すように配置された第1の超伝導コイル(2206a)、及び
前記第1の方向と反対の第2の方向に電流を通すように配置された第2の超伝導コイル(2206b)
を備える、第1の磁石系と、
第2の複数の同心円状に配置された円形ループコイルを備える第2の磁石系であって、前記第1の磁石系と前記第2の磁石系の間に位置する対称平面(P)に関して、前記第1の磁石系に対してミラー対称に配置されている、第2の磁石系と
を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の磁気ミラーマシン。 - 複数の前記超伝導コイルが、前記プラズマ閉じ込め領域の半径方向外側に配置された第3の磁石系(2104)をさらに備え、前記第3の磁石系は、少なくとも1つの超伝導円形ループコイルを備える、請求項6に記載の磁気ミラーマシン。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の磁気ミラーマシンを備える、核融合炉。
- プラズマを閉じ込めるための、請求項1~7のいずれか一項に記載の磁気ミラーマシンの使用。
- 核融合炉における、請求項1~7のいずれか一項に記載の磁気ミラーマシンの使用。
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