JP2023544224A - ヒト低コリン作動性障害の処置のための医薬の組合せ - Google Patents

ヒト低コリン作動性障害の処置のための医薬の組合せ Download PDF

Info

Publication number
JP2023544224A
JP2023544224A JP2023542832A JP2023542832A JP2023544224A JP 2023544224 A JP2023544224 A JP 2023544224A JP 2023542832 A JP2023542832 A JP 2023542832A JP 2023542832 A JP2023542832 A JP 2023542832A JP 2023544224 A JP2023544224 A JP 2023544224A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
donepezil
pirenzepine
pharmaceutically acceptable
acceptable salt
dose
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023542832A
Other languages
English (en)
Inventor
キャスリーン、イー.クラレンス-スミス
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kathleen EClarence Smith
Original Assignee
Kathleen EClarence Smith
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kathleen EClarence Smith filed Critical Kathleen EClarence Smith
Publication of JP2023544224A publication Critical patent/JP2023544224A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/435Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
    • A61K31/44Non condensed pyridines; Hydrogenated derivatives thereof
    • A61K31/445Non condensed piperidines, e.g. piperocaine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/55Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having seven-membered rings, e.g. azelastine, pentylenetetrazole
    • A61K31/551Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having seven-membered rings, e.g. azelastine, pentylenetetrazole having two nitrogen atoms, e.g. dilazep
    • A61K31/55131,4-Benzodiazepines, e.g. diazepam or clozapine

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Psychiatry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、アルツハイマー型認知症の緩和処置のためのドネペジルの有効性の改善を提案するものであり、それは、好ましくは、ピレンゼピンなどの選択的末梢性M1アンタゴニストを用いて用量を制限するその末梢性副作用に拮抗することによって、ドネペジル用量の安全な増加を可能にし、その結果、有効性の改善を可能にすることによる。具体的には、本発明の目的は、アルツハイマー病、レビー小体病、パーキンソン病または軽度認知障害などの低コリン作動性障害に罹患している患者において、用量を増加させたドネペジルを、末梢性抗ムスカリン作用薬としてのピレンゼピンと組み合わせて、安全に投与することにより、認知症の進行を少なくとも遅らせることである。この組合せにより、他のドネペジル組合せで失敗した前記の安全な処置が可能になる。

Description

発明の分野
本発明は、限定されるものではないが、アルツハイマー型認知症を含む一群の疾患である、ヒトの中枢神経系に影響を与える低コリン作動性障害(Hypocholinergic Disorders)の処置の分野に関する。
発明の目的
本発明は、アルツハイマー型認知症の緩和処置のためのドネペジルの有効性の改善を提案するものであり、それは、好ましくは、ピレンゼピンなどの選択的末梢性M1アンタゴニストを用いて用量を制限するその末梢性副作用に拮抗することによって、ドネペジル用量の安全な増加を可能にし、その結果、有効性の改善を可能にすることによる。
具体的には、本発明の目的は、アルツハイマー病、レビー小体病、パーキンソン病または軽度認知障害などの低コリン作動性障害に罹患している患者において、用量を増加させたドネペジルを、末梢性抗ムスカリン作用薬としてのピレンゼピンと組み合わせて、安全に投与することにより、認知症の進行を少なくとも遅らせることである。この組合せにより、他のドネペジル組合せで奏功しなかった前記の安全な処置が可能になる。
本発明はまた、次の実施形態も提案する
1.5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩もしくは溶媒和物の1日用量と組み合わせて低コリン作動性障害の処置に使用するための、ピレンゼピンおよびその薬学上許容可能な塩または溶媒和物からなる群から選択される選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
2.前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩が、5mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量で投与される、実施形態1に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
3.前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の1日用量が、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する、実施形態1に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
4.前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の1日用量が、23.01mg~80mgまたは25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する、実施形態1に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
5.前記ピレンゼピンおよび前記ドネペジルが、それぞれ、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物、およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物に、個々に処方される、実施形態1に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
6.前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物が、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合されて医薬組成物に処方され;それぞれに、
前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩もまた、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合されて医薬組成物に処方される、実施形態5に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
7.前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩が、前記組成物中に15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、実施形態6に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
8.前記組成物中に前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩が23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、実施形態6に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
9.前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物が、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合されて医薬組成物に処方され;それぞれに、
前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩が、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合されて医薬組成物に処方される、実施形態5に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
10.前記組成物が投与単位形であり、前記ピレンゼピンまたはその薬学的許容可能な塩もしくは溶媒和物および前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩の前記量が単位形当たりの量である、実施形態5~9のいずれか一項に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
11.前記ピレンゼピンおよび前記ドネペジルがともに、医薬担体と、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物および前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の一定用量の組合せを含んでなる医薬組成物に処方される、実施形態1に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
12.前記低コリン作動性障害がアルツハイマー病である、実施形態1~11のいずれか一項に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
13.ピレンゼピンならびにその薬学上許容可能な塩および溶媒和物からなる群から選択される選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト;および
ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩
を含んでなる抗-低コリン作動性障害(anti-hypocholinergic disorder)組み合わせ物。
14.ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩と組み合わせた低コリン作動性障害の処置のための薬剤の製造のための、ピレンゼピンならびにその薬学上許容可能な塩および溶媒和物からなる群から選択される選択的末梢性M1受容体アンタゴニストの使用。
15.低コリン作動性障害の処置のための方法であって、ピレンゼピンならびにその薬学上許容可能な塩および溶媒和物からなる群から選択される選択的末梢性M1受容体アンタゴニストをドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩と組み合わせて、前記処置を必要とする患者に投与すること含んでなる、方法。
16.ピレンゼピンならびにその薬学上許容可能な塩および溶媒和物からなる群から選択される選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト;および
ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩;
を医薬担体と混合して含んでなる、医薬組成物。
17.前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物が、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し;
前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩が、5mg~80mgドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、実施形態16に記載の医薬組成物。
18.前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩が、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、実施形態17に記載の医薬組成物。
19.前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩が、23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、実施形態17に記載の医薬組成物。
20.前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物が、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩が、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、実施形態17に記載の医薬組成物。
21.前記組成物が投与単位形であり、前記ピレンゼピンまたはその薬学的許容可能な塩もしくは溶媒和物および前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩の前記量が単位形当たりの量である、実施形態17~20のいずれか一項に記載の組成物。
定義
「アルツハイマー型認知症」:コリン作動性ニューロンおよび/またはコリン作動性機能の喪失または低下に関連するアセチルコリンの脳内濃度の低下に起因する認知症およびその他の認知障害であり、限定されるものではないが、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、軽度認知障害などのアルツハイマー型認知症を含む。
「低コリン作動性障害」または「コリン作動性欠乏症候群(Cholinergic Deficiency Syndrome)」:コリン作動性ニューロンおよび/またはコリン作動性機能の喪失または低下に関連するアセチルコリンの脳内濃度の低下に起因する認知障害またはアルツハイマー型認知症であり、限定されるものではないが、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、軽度認知障害を含む。
「抗アルツハイマー」:「アルツハイマー病の処置に適応した」または「アルツハイマー病の処置のための」を表す自明の形容詞。
「AChE」:アセチルコリンエステラーゼ。
「AChEI」:アセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
「AE」:副作用。
「BBB」:血液脳関門。
「sPAChA」:選択的末梢性抗コリン薬。
「ピレンゼピン」:この用語は、本明細書で使用される場合、11-[(4-メチルピペラジン-1-イル)アセチル]-5,11-ジヒドロ-6H-ピリド[2,3-b][1,4]ベンゾジアゼピン-6-オンおよびその薬学上許容可能な塩および溶媒和物(具体的には、特に明記しない限り、その二塩酸塩水和物、分子量442.33)を含む。「ピレンゼピン」の量および用量は、特に明記しない限り、ピレンゼピン二塩酸塩(分子量424.33)に関するものである。
「ドネペジル」:この用語は、本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、(±)-2,3-ジヒドロ-5,6-ジメトキシ-2-[[1-(フェニルメチル)-4-ピペリジニル]メチル]-1H-インデン-1-オンおよびその薬学上許容可能な塩を含む。「ドネペジル」の量および用量は、特に明記しない限り、ドネペジル塩酸塩(分子量415.96)に関するものである。
「に相当する」:この表現は、「ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物」の用量または量および「ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩」の用量または量それぞれについて本明細書で使用される場合、それぞれに、ピレンゼピン二塩酸塩の用量または量と化学量論的に同等の前記ピレンゼピン塩または溶媒和物の用量または量(「ピレンゼピン二塩酸塩で」とも略称する)を指し、ドネペジル塩酸塩の用量または量と化学量論的に同等の前記ドネペジル塩の用量または量(「ドネペジル塩酸塩で」とも略称する)を指す。
「末梢」:この用語は、sPAChAと呼ばれ、経口投与後に中枢神経系に入ることがほとんどできない(能力が限られている)ために脳機能に臨床的に認められるほどの影響を与えない選択的末梢性ムスカリンM1アンタゴニストであるピレンゼピンにも適用される。
「MTD」:最大(または最大)耐量、すなわち、種々の群の人々に、副作用が許容される最高用量が見つかるまで用量を増やして試験することによって臨床試験で決定された、許容できない副作用を引き起こさない薬物または処置の最高用量(NCI医薬品辞書)。
「CNS」:中枢神経系。
「PNS」:末梢神経系。
「IR」:組成物からの有効成分の即時放出。
「ER」:任意の投与経路による組成物からの有効成分の延長放出(または持続放出)。
発明の背景
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)は、効果が小さく、用量を制限する有害事象(AE)があり、長期にわたる用量漸増が必要であるにもかかわらず、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害を有する患者の認知障害に対する治療の中心であり続けている。PETイメージング研究では、AChEIが最大耐量(MTD)で与えられた場合、脳内の標的酵素を約30%しか阻害しないことが示されている(Ota et al、2010; Kaasinen et al. 2002、Shiraishi et al, 2005)(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)が、動物モデルおよび臨床試験の結果は、AChEI用量が高くなるほど比例して得られる認知的利益が大きくなることを示唆している。アルツハイマー型認知症におけるAChEIの治療上の利益には、脳におけるコリン作動性伝達の増加が含まれるが、用量を制限する副作用には末梢におけるコリン作動性伝達の増加が含まれる。
米国特許第5,837,724号(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)には、抗コリン薬ダリフェナシン、化学的には2-[1-[2-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)エチル]-ピロリジン-3-イル]-2,2-ジフェニル-アセトアミドの投与を含んでなる、認知力を高めるための方法が開示され、また、ダリフェナシンおよびAChEIを含んでなる組成物も開示され、それにより、併用療法におけるAchEIの使用は特に有益であり、相乗効果を有する可能性がある。しかしながら、ダリフェナシンは選択的M3抗ムスカリン作用薬であり(C. R Chapple et al. Expert Opin Investig Drugs. 2004 Nov;13(11):1493-500)(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)、CNSの外側に位置するM1受容体を刺激する胃腸への影響を阻害する能力が限られているため、AchEIのコリン作動性副作用の軽減は部分的なものにすぎないはずである。加えて、この文書では、切迫性尿失禁を有する患者に対するダリフェナシンとオキシブチニン(AchEIなし)の比較のみが提供されている。
同様に、Pieperらによる薬理学的データ(独国公開特許第19612504号A1、1997年(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる))では、ムスカリンアゴニスト、特にタルサクリジンの副作用は、ピレンゼピン、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化N-ブチルスコポラミニウム、塩化トロスピウム、臭化メタンテリンまたは臭化チオトロピウムなどの末梢性ムスカリンアンタゴニストとの組合せによって軽減される可能性があり、特に忍容性および安全性に関する限り、アルツハイマー病の処置において改善があることが示唆された。
AchEIの副作用を軽減するという利益は、AChEIタクリンでのアルツハイマー型認知症の処置で末梢性コリン作動性胃腸副作用、特に、痙攣、吐き気、嘔吐および下痢を伴った4名の患者の報告に記載されている(Faber et al. Am J Psychiatry 156:1, 1999, page 156 - 「Faber 1999」(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる))。これらの有害事象は、1日4回7.5~15mgの抗コリン薬プロパンテリン(Pro-Banthine(登録商標))を補助的に使用することにより改善された。これらの結果に基づいて、著者らは、コリンエステラーゼ阻害剤からコリン作動性胃腸副作用を受ける患者においてプロパンテリンの補助的な使用を推奨した。
しかしながら、著者らは、タクリンの副作用に拮抗することで、タクリンの用量と有効性を高めることができるとは示唆していない。
それにもかかわらず、アルツハイマー型認知症の処置を改善するための一般概念の前述の適用では、これらの障害に罹患している患者には限られた利益しかもたらされない。
Faber 1999の公開後、抗コリン薬の安全性とBBB通過能力に関する他の研究が発表された。
例えば、認知症およびアルツハイマー病患者の膀胱機能障害の概説において、Schultz-Lampel, Urologe (A), 2003, 42, 1579-1587(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)では、診断の論理的根拠と療法の可能性が説明されている。他の可能性のある薬物クラスの中で、著者はオキシブチニン、プロピベリン、トルテロジンおよび塩化トロスピウムを挙げており、最後のものはCNS合併症を回避することができる。この論文ではAChEIは引用されていない。
Scheife and Takeda, Clinical Therapeutics, 2005, 27(2), 144-153(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)では、高齢者の過活動膀胱の処置に使用される抗コリン薬のCNSへの副作用が記載されており、過活動膀胱を有する患者、特に高齢者の処置選択を検討する際に、各抗コリン薬の潜在的なCNSへの副作用を過活動膀胱の症状の重症度と比較検討する必要があると結論付けられている。
Siegler et al., Clin Parmacol Ther 2004; 75, 484-488(「Siegler et al. 2004」)(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)では、認知症のためにコリンエステラーゼ阻害剤を服用している患者の抗コリン薬による尿失禁の処置が研究されている。著者らは、排尿筋不安定の影響に悩まされている認知症を有する患者に抗コリン薬およびコリンエステラーゼ阻害剤を一緒に処方することが適切である可能性があり、その組合せは不完全ではあるが、多くの場合、真に臓器特異的な薬物療法がない状況での部位特異的な療法の有効な手段であると結論付けている。
WO2004/069246(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)には、AChEIおよび血液脳関門を通過できない抗コリン作用性ムスカリン受容体遮断薬を含んでなる医薬組成物が開示されており、前記組成物は、老年性認知症における処置を減らすことなく胃腸副作用を減らすことができ、よって、老年性認知症を処置するためのAChEIの使用を拡大する。この文書には、抗コリン薬として、臭化プロパンテリン、メチル臭化スコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、バレタメート、臭化メチルスコポラミンおよび硝酸メチルスコポラミン、硝酸メチルアトロピン、臭化ジポニウム、臭化ピペンゾレート、臭化ペンチエネート、臭化メチルベナクチジンならびに硫酸ジブトリンが挙げられている。しかしながら、具体的に記載された組成物は総て抗コリン薬として臭化プロパンテリンで作られている。具体的には、引用文献には、特定の抗コリン薬が、AChEIの副作用を軽減するという観点だけでなく、AChEIの用量を安全に増加させ、従って、認知症の症状に対する有効性を増加させ得るという観点で低コリン作動性障害の処置を改善する可能性があることが開示も示唆もされていない。
一連の文書で、A.K. Gunnar Abergは、尿失禁(米国公開特許第2005/0043342号、現在は米国特許第6,974,820号)、心収縮性障害を患っている患者の平滑筋障害(米国公開特許第2007/0004766号)および記憶障害を患っている患者の平滑筋障害(米国公開特許第2006/0293356号)(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)を処置するための抗コリン薬トロピウムの使用を開示し、この最後の文書によれば、記憶障害を患っている患者の平滑筋障害は、薬物によって引き起こされる記憶障害または薬物によって引き起こされる既存の記憶障害の悪化を回避しながら、トロピウムで処置することができる。この文書では、AchEIには一般的な抗コリン薬とは反対の効果があることが述べられているが、AchEIとトロピウムを組み合わせることで低コリン作動性障害の症状を改善する可能性については言及も示唆もされていない。
経口トルテロジンを使用したマウスでの薬理学的研究において、Cappon et al., Eur. J. Pharmacol., 2008, 579, 225-228(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)では、試験した薬物がマウスの受動的回避モデルの記憶に影響を及ぼさないことが観察され、トルテロジンは試験条件下で認知機能を混乱させないと結論付けられた。この文書ではAChEIは引用されていない。
これらの観察により、本発明者らは、AchEIの用量を制限する副作用が、末梢におけるムスカリン性コリン受容体の刺激の増加を遮断することによって減弱されるならば、より高いAChEI用量を安全に投与することができ、より大きな有効性が得られるであろうという仮説を立てた。
実際、アルツハイマー型認知症の認知障害の処置における改善は、米国特許第8,404,701号(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)に開示されているように、現在の1日用量の20%~200%の用量の非選択的末梢性抗コリン薬と、前記AChEIの最大推奨用量の約4倍までの用量のAchEIとの併用療法によって達成された。そのような処置により、CNSにおけるより高いアセチルコリンエステラーゼ阻害が達成され、同時に起こる副作用を付随して減少させることによってアルツハイマー型認知症の症状のより大きな緩和が可能になる。
加えて、米国特許第8,877,768号(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)には、現在のIRの1日用量の50%~300%の用量の非抗コリン作動性制吐薬と、単独で投与された場合の前記AChEIの最大推奨用量の約4倍までの用量のAchEIとの併用療法によって達成されるアルツハイマー型認知症の処置における改善が開示されている。
同様に、WO2014/039627(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)には、同時に投与されるAchEIの血中濃度を上昇させるという非選択的末梢性抗コリン薬の特性の発見が開示されており、非選択的抗コリン薬またはAchEIのいずれかの用量が高いほど、AChEIの血中濃度の上昇は大きくなる。よって、この文書では、アルツハイマー型認知症の症状を改善するために、非選択的末梢性抗コリン薬とAChEIの両方を高用量で使用することが推奨されている。具体的には、この文書では、「[W]潜在的に副作用を軽減し、それによって、より高く、結果として、より有効な用量のAchEIの使用が可能になるが、ドンペリドンなどの制吐薬、またはプロパンテリン、オキシブチニン、トルテロジンなどの抗コリン薬を併用するだけでは、アルツハイマー型認知症の処置においてAChEIの最上の治療上の優位性を達成するには不十分である。」と述べられている。
よって、米国特許第8,404,701号および、特に、WO2014/039637は、選択的および/または非末梢性である抗コリン薬を明確に除外している。これは、選択的薬剤がAchEIのあらゆる種類の副作用に拮抗することができず、さらに悪いことに、オキシブチニンなどの非末梢性抗コリン薬が、前記AchEIの有益な中枢作用に危険なほどに拮抗し得るためである。
臨床試験により、ドネペジル用量を増やす可能性があるという仮説が確認された。経口ドネペジルのMTDまでまたはプロトコール限界までの第I相単盲検プラセボ対照クロスオーバー用量漸増試験では、非選択的末梢性ムスカリン受容体アンタゴニストであるソリフェナシンの同時投与により、ドネペジルの用量を制限するAEが減弱され、40mg/日までのより高いドネペジル用量の安全で忍容性がある投与が可能になった(Chase and Clarence-Smith, AAIC Abstract #2729l, 2015)(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)。
健康なボランティアでのこの試験の後、ドネペジルとソリフェナシンの組合せの第2a相試験がアルツハイマー病を有する患者で実施された(Chase et al. Neurotherapeutics 14:405-416, 2017)。主要評価項目は、抗コリン薬ソリフェナシン15mg/日を投与した場合に達成されるドネペジルの最大耐量(MTD)(40mg/日のプロトコール限界まで)であった(ソリフェナシンの許容用量は5および10mg/日であることに留意されたい)。副次評価項目には認知機能および全体的機能の評価だけでなく、AEの評価も含まれた。平均±SDのドネペジルMTDは、38±0.74mg/日に増加した;p<0.001);試験集団の88%は滴定の最後にこの用量を安全に達成した。ドネペジルのAE 頻度が、特に胃腸で、著しく減少したことで、この用量の増加が可能になった。26週目に、有効性評価対象集団(efficacy evaluable population)のアルツハイマー病評価スケール認知コンポーネント(Alzheimer ’s Disease Assessment Scale Cognitive Component)(ADAS-Cog)スコアは、ベースラインよりも0.35±0.85ポイント向上し(p<0.05)、改善の臨床全般印象尺度(the Clinical Global Impression)(CGI)スコアは0.94±0.20~3.1±0.20ポイント向上した(p<0.001)。これらの発見は、ソリフェナシンの同時投与によってドネペジルAEを制限することで、抗認知症効果が大幅に高まる実質的により高い用量のドネペジルを安全に投与することが可能であることを示している。これらの発見はまた、ドネペジル用量が高くなるほど抗認知症効果が高くなる可能性があることも示唆している。
残念なことに、ヒトでは、ソリフェナシンはQTcの上昇を引き起こすため、(Asajima et al 2008;Newgreen et al, 2017;およびHeranval et al, 2016(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる))、ドネペジルとの併用の安全性は制限される。
心筋の電気的活動の調節におけるM1、M2、およびM3 ムスカリン受容体アンタゴニストの役割に関するin vitro心筋組織を使用したさらなる研究では、次のことが示された:アセチルコリン(1μM)は心筋での自動活動を抑制し、非選択的ブロッカーであるアトロピン(1μM)を含む調製物の潅流によりアセチルコリンの効果は完全に消失し、M2受容体ブロッカーAQ-RA 741(すなわち、11-[[4-[4-(ジエチルアミノ)ブチル]-1-ピペリジニル]アセチル]-5,11-ジヒドロ-6H-ピリド[2,3-b][1,4]ベンゾジアゼピン-6-オン、1μM)での処置により、アセチルコリンの効果は部分的に抑制された。M1受容体およびM3受容体のブロッカーであるピレンゼピン(1μM)および4DAMP(すなわち、4-[(ジフェニルアセチル)オキシ]-1,1-ジメチルピペリジン-1-イウムヨージド、0.1μM)は、アセチルコリンの効果を抑制しなかった。よって、アセチルコリンの心臓に対する効果は主にM2受容体を介して実現される(Ivanova AD, Tapilina SV, Kuz'min VS. Role of Muscarinic M1, M2, and M3 Receptors in the Regulation of Electrical Activity of Myocardial Tissue of Caval Veins during the Early Postnatal Ontogeny. Bull Exp Biol Med. 2019 Feb;166(4):421-425. doi: 10.1007/s10517-019-04364-9. Epub 2019 Feb 19. PMID: 30783837)。
同様に、ほとんどの末梢性抗コリン薬は、M1受容体だけでなく、複数のムスカリン受容体に作用する。しかし、M1受容体の遮断は、ドネペジルの用量を制限する副作用の根底にある。従って、ドネペジルの用量の増加を可能にし、それによって、低コリン作動性障害の処置の有効性の増加を可能にする抗コリン薬の使用は、M1受容体以外のムスカリン受容体への影響を通じて追加の有害事象を引き起こす危険性がある。
米国公開特許第2010/0247688号(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)には、アルツハイマー病の根底にある神経変性の進行を遅らせるかまたは止めるための抗脳アミロイドーシス薬としてのピレンゼピンの使用が開示されている。米国公開特許第2010/0247688号にはまた、ピレンゼピンがAchEIの用量を制限する副作用に拮抗し、患者の痛みをより和らげることも記述されている。
しかしながら、米国公開特許第2010/0247688号には、脳疾患の処置のためのピレンゼピンの使用が開示されているが、EberleinらによってArzneimittel Forschung 27,356-359 (1977)(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)において記載されているように、ピレンゼピンがBBBを通過しないことはよく知られており、その後の文献全体によっても確認されているため、CNSでピレンゼピンが作用することは不可能となる。実際、上記の米国公開特許第2010/0247688号のその最初の発明者は、2013年1月31日の報道発表でADの処置においてピレンゼピンが作用しないことを正しく認めた。
要約すると、アルツハイマー型認知症の症状の実質的な改善を可能にするために、ドネペジルの投与計画を安全に強化する緊急の必要性があり、また引き続き存在し、その結果、この目的のためにドネペジル用量を安全に増加させるという問題は未解決のままである。
(総ての末梢性ムスカリン受容体の遮断を提案した)米国特許第8,404,701号および(アミロイドーシスを直接処置するためにBBB内でのピレンゼピンの使用を提案する)米国公開特許第2010/0247688号の教示とは異なり、本発明は、CNSではなくPNSにおけるM1ムスカリン受容体の活性化を選択的に阻害するために経口投与されるピレンゼピンの使用を提供する。このようなアプローチにより、ドネペジルの用量を制限するGI有害事象の軽減が可能になり、その結果、より高い用量のドネペジルを安全に投与することができ、用量を制限する末梢性GI有害事象が少なくなり、抗認知症効果はより大きく、より長くなる。選択的M1ムスカリン受容体アンタゴニストの使用は、ドネペジルの用量を制限する副作用のほとんどがGIの副作用であり、M1ムスカリン受容体によって媒介されることが示されているため、理にかなっている(Alt et al, Evidence for Classical Cholinergic Toxicity Associated with Selective Activation of M1 Muscarinic Receptors, 2016)。他のムスカリン受容体を阻害すると、阻害剤に関連する副作用が生じる可能性がある(例えば、ソリフェナシンによる心血管系への影響;Asajima et al 2008;Newgreen et al, 2017;Heranval et al, 2016)。
具体的には、末梢性M1ムスカリン受容体の選択的アンタゴニストは、QTcの延長などの「新たな」有害事象の危険性なしに、ドネペジルの用量を制限する副作用を減弱させることができる。より具体的には、ピレンゼピンは、M1受容体の選択的アンタゴニストであり、よって、高用量のドネペジルの安全な使用に比類なく適しており、抗認知症効果の大幅な増大をもたらし、認知を改善させると思われる。
よって、本発明の第1の側面は、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害に罹患している患者において、大きな副作用を伴わずに、ドネペジルの最大耐量を増加させるための方法を提供することである。この方法は、前記患者に、選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト、好ましくは、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、5mg~80mgのドネペジル1日用量(ドネペジル塩酸塩で)と組み合わせて、投与することを含んでなり、それによって、前記患者のCNSにおけるアセチルコリンエステラーゼ阻害の増大が達成され、前記患者のアルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の症状が改善される。この処置では、ドネペジル1日用量(ドネペジル塩酸塩で)には、滴定期間中に使用される低用量が含まれる。
ある実施形態によれば、前記ドネペジル1日用量は5mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
本発明の第2の側面は、通常、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩と組み合わせた、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置のための医薬組成物からなり、さらに、医薬組成物中に前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で含んでなる薬剤の製造のための、選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト、好ましくは、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
ある実施形態によれば、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、前記組成物中に5mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
本発明の第3の側面は、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量のドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩と組み合わせて、患者におけるアルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置に使用するための、選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト、好ましくは、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を提供する。
ある実施形態によれば、前記ドネペジル1日用量は5mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
本発明の第4の側面は、選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト、好ましくは、ピレンゼピンと、5mg~80mgのドネペジル用量(ドネペジル塩酸塩で)を含んでなる抗低コリン作動性障害医薬組合せを提供する。
ある実施形態によれば、前記ドネペジル1日用量は5mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
具体的には、本発明のこの第4の側面は、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病または軽度認知障害などの低コリン作動性障害に罹患している患者における認知症と闘うための、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩の1日用量(用量調整期間に使用される1日用量を含む)を含んでなる抗アルツハイマー医薬組合せを提供する。
よって、ドネペジルの最大耐量が増加することにより、CNSにおけるより高度のアセチルコリンエステラーゼ阻害が安全に達成され、患者における認知症などの低コリン作動性障害の認知症状が大きな副作用を伴わずに大幅に改善される。
本発明の上記の4つの側面によれば、ピレンゼピンは、前記患者に、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する1日用量で、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジル1日用量と組み合わせて投与される。あるいは、前記ピレンゼピン1日用量は、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当し、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジル1日用量と組み合わせられる。
通常、本発明の上記の4つの側面によれば、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、それぞれ、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物、および前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物に、個々に処方される。あるいは、前記組成物中に、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、5mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
本発明の上記の4つの側面の特定の実施形態によれば、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、上記組成物に25mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で処方され;それぞれに、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、上記の各組成物に15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で処方される。あるいは、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、前記組成物中に15mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
本発明の上記の4つの側面によれば、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩はまた、それぞれ、
前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物;および
前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物に、個々に処方され得る。好ましくは、前記組成物中に、前記ドネペジルは、25mg~80mgに相当する量で存在する。
あるいは、本発明の上記の4つの側面によれば、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、それぞれ、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物、および前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物に、個々に処方される。
好ましくは、本発明の上記の4つの側面によれば、前記医薬組成物は投与単位形であり、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の上記量は、それぞれ単位形当たりの量である。
25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの有効量の前記ピレンゼピンと、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの有効量の前記ドネペジルとを別個に(同時または逐次)投与する場合、それらのそれぞれは、前記ピレンゼピンを医薬担体またはビヒクルと混合してある容器に含んでなり、前記ドネペジルを医薬担体またはビヒクルと混合して別の独立した容器に含んでなるキットに包装し得る。あるいは、前記キット中に、ドネペジル塩酸塩は、23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で包装され得る。
好ましくは、前記キット中に、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの量で包装され、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で包装される。あるいは、前記好ましいキット中に、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で包装される。
75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの有効量の前記ピレンゼピンと、23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの有効量の前記ドネペジルとを別個に(同時または逐次)投与する場合、それらのそれぞれは、前記ピレンゼピンを医薬担体またはビヒクルと混合してある容器に含んでなり、前記ドネペジルを医薬担体またはビヒクルと混合して別の独立した容器に含んでなるキットに包装することができる。前記独立した容器中に、前記ドネペジルは、好ましくは、医薬担体またはビヒクルと混合して、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で存在する。
あるいは、ピレンゼピンを含む前記キットの独立した容器中に、前記ピレンゼピンは、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの量で存在し、それぞれに、ドネペジルを含む前記キットの独立した容器中に、前記ドネペジルは、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で存在する。
本発明の第5の側面は、低コリン作動性障害に罹患している患者における認知症の処置に使用するための医薬組成物であって、医薬担体またはビヒクルと、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量のピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物および5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量のドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の一定用量の組合せを含んでなる医薬組成物を提供する。
あるいは、本発明のこの第5の側面は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、または軽度認知障害からなる群から選択される低コリン作動性障害の認知症状の改善のための医薬組成物であって、医薬担体またはビヒクルと、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量のピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物および5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量のドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の一定用量の組合せを含んでなる医薬組成物を提供する。
前記医薬組成物において、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、5mg~60mgまたは7.5mg~60mgまたは7.5mg~50mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在し得る。
この第5の側面のある実施形態によれば、上記の医薬組成物は、医薬担体またはビヒクルと、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量のピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物および23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量のドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の一定用量の組合せを含んでなる。好ましくは、この量は25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
あるいは、この第5の側面のこの実施形態によれば、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、前記一定用量の組合せにおいて、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在し得る。
本発明の第6の側面は、
ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で、
ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で、
医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物を提供する。
あるいは、この第6の側面によれば、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、前記組成物中に5mg~60mgまたは7.5mg~50mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在し得る。
この第6の側面のある実施形態によれば、前記医薬組成物において、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、10.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
あるいは、この第6の側面のこの実施形態によれば、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、10.01mg~60mg、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mg、および25mg~30mgからなる群から選択される量範囲で(ドネペジル塩酸塩で)前記組成物中に存在する。
本発明のこの第6の側面の好ましい実施形態は、
ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で;および
ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で、
医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物を提供する。
好ましくは、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、前記組成物中に25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
あるいは、本発明のこの第6の側面のこの好ましい実施形態は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で、およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で、医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物を提供する。
通常、本発明のこれらの6つの側面による上記の医薬組成物は投与単位形であり、上記の量または量範囲は単位形当たりの量である。
具体的には、本発明は、
(a)ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの量で、および
(b)ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で、
医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる投与単位形の医薬組成物を提供する。
より具体的には、本発明は、
(a)ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの量で、および
(b)ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で、
医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる投与単位形の医薬組成物を提供する。
本発明のこの第6の側面のこの好ましい実施形態によれば、これらの特定の組成物は、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で含んでなり得る。
本発明のこの第6の側面による組成物は、アルツハイマー型認知症またはアルツハイマー病などの低コリン作動性障害の処置に有用であるかまたはそれに使用するためのものである。より具体的には、これらの組成物は、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病または軽度認知障害などの低コリン作動性障害に罹患している患者における認知症の予防または処置に有用である。
発明の具体的説明
本発明は、アルツハイマー型認知症などのコリン作用低下症候群の緩和処置のためのドネペジルの有効性を増強する改善された方法を提案する。ドネペジルの有効性には、CNSにおけるM1コリン受容体の刺激が含まれるが、その用量を制限するGI副作用には、PNSにおけるM1受容体の刺激が含まれる。ピレンゼピンは、CNSではなくPNSにおけるM1ムスカリン受容体の活性化を選択的に阻害するように作用し、それによって、ドネペジルの用量を制限するGI有害事象が軽減される。従って、より高い用量のドネペジルを安全に投与することができ、用量を制限する末梢性GI有害事象が少なくなり、抗認知症効果はより大きく、より長くなる。
ピレンゼピン
ピレンゼピン、化学的には、式:
Figure 2023544224000001
の11-[(4-メチルピペラジン-1-イル)アセチル]-5,11-ジヒドロ-6H-ピリド[2,3-b][1,4]ベンゾジアゼピン-6-オンは、1970年から知られている抗潰瘍抗コリン製品であり、(ベルギー特許第737748号;米国特許第3,660,380号も参照)、選択的末梢性ムスカリンM1アンタゴニストとして作用する。
ピレンゼピン二塩酸塩は、その抗潰瘍適応症において、25mgまたは50mgのピレンゼピン二塩酸塩を含んでなる錠剤で使用され、1日1回~1日3回投与される。
本発明によれば、ピレンゼピンは、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩との、一定用量の組合せを含む組合せで、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で、医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物において使用される。通常、前記組成物は投与単位形である。
具体的には、ピレンゼピンは、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩との、一定用量の組合せを含む前記組合せで、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、50mg~600mg、100mg~600、150mg~600mgおよび150mg~500mgのピレンゼピン二塩酸塩からなる群から選択される範囲に相当する量で含んでなる医薬組成物において使用し得る。
好ましい実施形態によれば、ピレンゼピンは、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの量で、医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる投与単位形の医薬組成物において存在する。前記組成物は、IR処方物またはER処方物であり得る。
ピレンゼピンは、前記組成物において、25mg~600mgの1日用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量のドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩との、一定用量の組合せを含む組合せで投与され、前記1日用量には、滴定期間中に投与される低い(5~10mg)1日用量が含まれる。
具体的には、この処置のために、ピレンゼピンは、低コリン作動性障害に罹患している患者に投与される、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量のピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の1日用量と組み合わせて含んでなる医薬組成物中に存在する。
好ましくは、前記ドネペジルの1日用量は25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
ある実施形態によれば、本発明は、低コリン作動性障害の処置に使用するための医薬組成物であって、医薬担体またはビヒクルと、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の一定用量の組合せを含んでなる医薬組成物を提供する。
具体的には、この医薬組成物において、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、25mg~600mgのピレンゼピン塩酸塩に相当する量で存在し、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
好ましくは、この医薬組成物において、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、75mg~300mgのピレンゼピン塩酸塩に相当する量で存在し、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、23.01mg~80mgまたは25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
好ましい実施形態によれば、本発明は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物(好ましくは水和物)を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で含んでなり、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を5mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で含んでなる医薬組成物を提供する。この組成物は投与単位形であり、ピレンゼピンおよびドネペジルの上記の量は単位形当たりの量である。
より具体的には、本発明は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン塩酸塩に相当する単位形当たりの量で、およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で、医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる投与単位形の医薬組成物を提供する。
前記組成物において、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、IR処方物では、25mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し、またはER処方物では、25mg~600mgに相当する量で存在し得る。
ある実施形態によれば、前記組成物において、
前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、
IR処方物では、50mg~300mg、75mg~300mg、100mg~300mg、150mg~300mgおよび150mg~250mgのピレンゼピン二塩酸塩からなる群から選択される範囲に相当する量で;または
ER処方物では、50mg~600mg、75mg~300mg、100mg~600、150mg~600mgおよび150mg~500mgのピレンゼピン二塩酸塩からなる群から選択される範囲に相当する量で
存在し、
前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、5mg~60mg、10.01mg~60mg、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mgおよび25mg~30mgのドネペジル塩酸塩からなる群から選択される範囲に相当する量で存在する。
好ましくは、この実施形態によれば、前記組成物は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~600mg、通常、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で含んでなり、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、前記組成物中に、23.01mg~80mg、通常、25mg~80mg、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
好ましい実施形態によれば、本発明は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で、およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で、医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物を提供する。この好ましい組成物は、IR処方物またはER処方物であり得る。
この組成物は、維持期間中の滴定期間後の低コリン作動性障害の処置に特に適応される。
上記のように、上記組成物は投与単位形であり、ピレンゼピンおよびドネペジルの上記の量は単位形当たりの量である。特定のピレンゼピン溶媒和物はその一水和物である。
結論として、本発明によれば、ピレンゼピンは、低コリン作動性障害に罹患している患者における認知症、例えば、ドネペジルによる処置を受けている患者におけるアルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病または軽度認知障害の処置に適応され得る。
ドネペジル
ドネペジル、化学的には、式:
Figure 2023544224000002
の(RS)-2-[(1-ベンジル-4-ピペリジル)メチル]-5,6-ジメトキシ-2,3-ジヒドロインデン-1-オン(式中、Meはメチルを表す)は、塩酸塩として提供されるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であり、1日1回投与される1錠当たり5または10mgを含有する口腔内崩壊錠または内服錠で提供される。ドネペジルは、アルツハイマー型認知症の処置のために、1日1回投与される5~10mgの推奨される1日投与量で、1日1回投与されるマトリックス型錠剤に23mgのドネペジル塩酸塩を含有する用量処方物として使用される。
現在、5mg錠と10mg錠はIR処方物、23mgのマトリックス型錠剤は持続放出のためにER処方物である。
前述の「ピレンゼピン」のセクションで記述したように、ピレンゼピンと併用または組み合わせた場合、前記ピレンゼピンの保護作用の結果、ドネペジルは、現在の最大推奨用量(10mg、またはマトリックス型錠剤では23mg)よりも高いだけでなく、はるかに高い1日用量でも投与し得る。このピレンゼピンの保護作用は、米国特許第8,404,701号の教示とは異なり、ドネペジルが、例えば、中枢神経系のムスカリン受容体に有益に作用することを可能にしながら、GI機能だけの重要な末梢性M1-ムスカリン受容体におけるドネペジルの副作用に選択的に拮抗する。
本発明によれば、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、医薬担体と、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジル量を含んでなる医薬組成物中に存在する。この組成物は、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害に罹患している患者に、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量で、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と組み合わせて投与されるように適合されている。前記患者の処置のために、ピレンゼピンはまた、医薬組成物中に、ピレンゼピン二塩酸塩で25mg~600mgの量で存在し、25mg~600mg、通常、150mg~600mgの1日用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)投与される。
上記組成物中の上記ドネペジル量およびドネペジル1日用量には、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害に罹患している患者に最初の滴定期間中に投与される低い量および1日用量が含まれる。この最初の滴定期間の後、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、23.01mg~80mgまたは25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量から漸増し続けることができる。通常、前記ドネペジル用量(1日または単位形当たり)は、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
本発明はまた、ピレンゼピンならびにその薬学上許容可能な塩および溶媒和物からなる群から選択されるM1アンタゴニストを75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する用量(1日または単位形当たり)で含んでなり、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を23.01mg~80mgまたは25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する用量(1日または単位形当たり)で含んでなる医薬組合せを提供する。
この組合せは、それをアルツハイマー病などの低コリン作動性障害に罹患している患者に投与することにより前記患者の安全な処置を可能にする。
具体的には、この処置では、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、150mg~600mgの1日用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)1日2回または3回投与され、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、23.01~80mgまたは25mg~80mgの用量で(ドネペジル塩酸塩で)1日1回投与される。
通常、前記ドネペジル用量は、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
この目的のために、ピレンゼピンおよびドネペジルは、それぞれ、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物、およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を5mg~80mgの量で(ドネペジル塩酸塩で)医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物に、個々に処方される。
好ましくは、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、前記各組成物において、23.01mg~80mgまたは25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
前記組合せには、以下の「処方物」の節で説明するように、一定用量の組合せおよびキットが含まれる。
一定用量の組合せを含む前記組合せにおいて、各組成物はそれぞれ、通常、投与単位形であり、ピレンゼピンおよびドネペジルの上記の量は単位形当たりの量である。
具体的には、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの量でピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を含んでなる投与単位形の医薬組成物は、患者に50mg~600mgの1日用量を(ピレンゼピン二塩酸塩で)、5mg~80mgの1日用量で(ドネペジル塩酸塩で)前記患者に投与できるように構成された5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量でドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を含んでなる投与単位形の医薬組成物との、一定用量の組合せを含む組合せで投与できるように構成される。
よって、選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト、例えば、好ましくは、ピレンゼピンと、50mg~600mg、100mg~600、150mg~600mgまたは150mg~500mgの単位形当たりの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)および50mg~600mg、100mg~600、150mg~600mgまたは150mg~500mg、好ましくは、25mg~300mgまたは75mg~300mgの1日用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)組み合わせて、ドネペジルを、5mg~80mgまたは10.01mg~60mg、通常、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mgまたは25mg~30mgの単位形当たりの量で(ドネペジル塩酸塩で)投与し得、5mg~60mg、通常、10.01mg~60mgまたは25mg~60mg、有利には、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mgまたは25mg~30mg、好ましくは25mg~80mgの1日用量で(ドネペジル塩酸塩で)投与し得る。
好ましくは、選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト、例えば、ピレンゼピンと、75mg~300mgの単位形当たりの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)および75mg~300mgまたは150mg~600mgの1日用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)組み合わせて、ドネペジルを、単位形当たりの量でおよび23.01mg~80mg、または25mg~80mg、通常、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量で投与し得る。
よって、好ましい実施形態によれば、本発明は、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物を提供する。
具体的には、前記組成物において、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
通常、この好ましい実施形態によれば、この医薬組成物は投与単位形であり、上記の量範囲は単位形当たりの量である。
好ましくは、前記ピレンゼピン/ドネペジル組合せは、医薬担体と混合された一定用量の組合せである。
この目的のために、本発明は、ピレンゼピンまたはその薬学的許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で、およびドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩を5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で、医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物を提供する。
通常、この医薬組成物は投与単位形であり、上記の量(または量範囲)は投与単位形当たりの量である。
有利には、この組成物において、ピレンゼピンまたはその薬学的許容可能な塩もしくは溶媒和物は、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し、ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩は、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
好ましくは、この組成物は投与単位形であり、ピレンゼピンまたはその薬学的許容可能な塩もしくは溶媒和物およびドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩の前記量は、それぞれ単位形当たりの量である。
本発明の第1の側面
本発明の第1の側面は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、または軽度認知障害などの低コリン作動性障害に罹患している患者において、大きな副作用を伴わずに、ドネペジルの最大耐量を増加させるための方法を提供し、この方法は、それを必要とする前記患者にドネペジルをピレンゼピンと組み合わせて投与することを含んでなり、それによって、前記患者のCNSにおけるアセチルコリンエステラーゼ阻害の増大が達成され、前記患者のアルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、または軽度認知障害などの低コリン作動性障害の症状が改善される。
具体的には、この第1の側面によれば、本発明は、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置のための方法を提供し、この方法は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の1日用量と組み合わせて、前記処置を必要とする患者に投与することを含んでなる。
通常、これらのドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の1日用量は5mg~60mgまたは5mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
これらの1日用量には、最初の滴定期間に使用される用量が含まれる。
好ましくは、ピレンゼピンと組み合わせられる前記ドネペジルの1日用量は、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
さらに、この第1の側面によれば、本発明は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、または軽度認知障害などの低コリン作動性障害の処置のための方法を提供し、この方法は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量であるドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩と組み合わせて、前記処置を必要とする患者に投与することを含んでなる。
この第1の側面のある実施形態によれば、本発明は、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置のための方法を提供し、この方法は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~600mgまたは75mg~300mgの1日用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)、23.01mg~80mgに相当する1日用量のドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩と組み合わせて、前記処置を必要とする患者に投与することを含んでなる。
具体的には、この実施形態によれば、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する1日用量で、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジルの1日用量と組み合わせて前記患者に投与される。
前記ドネペジル1日用量は、通常、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
この目的のために、ピレンゼピンおよびドネペジルは、それぞれ、ピレンゼピンを25mg~600mgの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物、およびドネペジルを5mg~80mgの量で(ドネペジル塩酸塩で)医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物に、個々に処方される。
通常、前記各組成物において、前記ドネペジルは、23.01mg~80mgまたは25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在し、医薬担体またはビヒクルと混合されている。
好ましくは、ピレンゼピンは、前記組成物中に、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し、医薬担体またはビヒクルと混合されている。前記組成物は、IR処方物またはER処方物であり得る。
好ましくは、ドネペジルは、前記組成物中に、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在し、医薬担体と混合されている。
通常、上記組成物はそれぞれ、投与単位形であり、前記ピレンゼピン量および前記ドネペジル量はそれぞれ、単位形当たりの量である。
この第1の側面によれば、本発明はまた、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置のための方法を提供し、この方法は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の一定用量の組合せと医薬担体またはビヒクルを、前記処置を必要とする患者に投与することを含んでなる。
具体的には、前記方法は、前記処置を必要とする患者に、医薬担体とピレンゼピンおよびドネペジルの一定用量の組合せを含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる。
この目的のために、ピレンゼピンおよびドネペジルは、ピレンゼピンを25mg~600mgの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)、ドネペジルを5mg~80mgの量で(ドネペジル塩酸塩で)、医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物に処方される。
通常、前記組成物において、前記ドネペジルは、23.01mg~80mgまたは25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
好ましくは、前記組成物において、ピレンゼピンは、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し、ドネペジルは、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在し、医薬担体またはビヒクルと混合されている。
通常、上記組成物は投与単位形であり、前記ピレンゼピンおよびドネペジルの量は、単位形当たりの量である。
本発明の第2の側面
第2の側面によれば、本発明は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、および軽度認知障害などの低コリン作動性障害の処置のための医薬の調製のための選択的末梢性抗コリン薬(sPAChA)、好ましくはピレンゼピンの、ドネペジルと組み合わせた使用を提供する。
患者におけるアルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、および軽度認知障害などの低コリン作動性障害の症状の軽減、予防または処置におけるピレンゼピンの有効性は、ピレンゼピンが、ドネペジルの処置の1日用量の80mgまでの安全な増加を可能にするという事実によるものである。例えば、ドネペジルの最大耐量を増加させることで疾患に関連する認知症を最大限に緩和することができる。
よって、前記患者のCNSにおけるより高度のアセチルコリンエステラーゼ阻害が達成され、前記低コリン作動性障害の症状が大きな副作用を伴わずに大幅に改善される。
具体的には、この第2の側面によれば、本発明は、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置のための、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する用量(または量)で含んでなる薬剤の製造のための、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物の、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する用量のドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩と組み合わせた使用に関する。通常、前記用量(ドネペジル塩酸塩で)は、5mg~60mgまたは5mg~40mgのドネペジル塩酸塩である。
これらの1日用量には、最初の滴定期間に使用される用量が含まれる。
具体的には、ピレンゼピンと組み合わせられるドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、10.01mg~80mg、10.01mg~60mg、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mgまたは25mg~30mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量で投与され得る。
有利には、ピレンゼピンと組み合わせられる前記ドネペジル1日用量は、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
より有利には、ピレンゼピンと組み合わせられる前記ドネペジル1日用量は、23.01mg~80mgに相当する。
好ましくは、前記ドネペジルの1日用量は25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
本発明のこの側面はまた、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、または軽度認知障害などの低コリン作動性障害の処置のための、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する用量(または量)で含んでなる薬剤の製造のための、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物の、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量のドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩と組み合わせた使用に関する。
ある実施形態によれば、前記ドネペジル1日用量は、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mg、5mg~20mg、25mg~60mgおよび25mg~30mgのドネペジル塩酸塩からなる群から選択される範囲に相当する。
この目的のために、前記ピレンゼピンおよび前記ドネペジルは、それぞれ、ピレンゼピンを25mg~600mgの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物、およびドネペジルを5mg~80mgの量で(ドネペジル塩酸塩で)医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物に、個々に処方される。
上記ドネペジル量範囲には、 患者に処置の最初の滴定期間中に投与されるように構成される低用量が含まれる。
通常、前記各組成物において、前記ドネペジルは、15mg~80mg、通常、23.01mg~80mgまたは25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在し、医薬担体またはビヒクルと混合されている。
ピレンゼピンは、疾患に関連する認知症を最大限に緩和するのに十分なドネペジルの用量を投与することによって引き起こされる末梢性副作用を軽減する量で存在する。
具体的には、前記医薬は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、25mg~300mg、50mg~600mg、100mg~600mg、150mg~600mgおよび150mg~500mgのピレンゼピン二塩酸塩の単位形当たりの量で含んでなる医薬組成物である。
好ましくは、前記組成物は、ピレンゼピンを75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる。前記組成物は、IR処方物またはER処方物であり得る。
好ましくは、ドネペジルは、前記組成物中に、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在し、医薬担体と混合されている。
通常、上記組成物はそれぞれ、投与単位形であり、前記ピレンゼピン量および前記ドネペジル量は、それぞれ単位形当たりの量である。
有利な実施形態によれば、前記医薬は、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で含んでなる医薬組成物である。この医薬は、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置のためのものであり、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量のドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩と組み合わせられる。好ましくは、ピレンゼピンと組み合わせられる、前記ドネペジル1日用量は、23.01mg~80mg、25mg~80mg、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩である。
具体的には、本発明は、低コリン作動性障害の処置のための、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物からなる薬剤の製造のための、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩と組み合わせたピレンゼピンの使用を提供し、また、医薬組成物中にドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を5mg~80mgに相当する量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる。
通常、前記組成物において、前記ドネペジルは、ドネペジル塩酸塩の23.01mg~80mgまたは25mg~80mgのドネペジルに相当する量で存在する。
好ましくは、前記組成物中の前記ピレンゼピンは、75mg~300mgの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)存在し、前記組成物中の前記ドネペジルは、25mg~80mgの量で(ドネペジル塩酸塩で)存在する。
この第2の側面によれば、本発明はまた、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置のための薬剤の製造のためのピレンゼピンの使用を提供し、前記医薬は、医薬担体またはビヒクルと、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の一定用量の組合せを含んでなる医薬組成物からなる。
前記一定用量の組合せにおいて、ピレンゼピンは、25mg~600mgの用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)存在し、ドネペジルは、5mg~80mgの用量で(ドネペジル塩酸塩で)存在する。
ある実施形態によれば、前記一定用量の組合せにおいて、ピレンゼピンは、25mg~300mgの用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)存在し、ドネペジルは、23.01mg~80mgの用量で(ドネペジル塩酸塩で)存在する。
好ましい実施形態によれば、前記ピレンゼピンは75mg~300mgの用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)存在し、ドネペジルは、25mg~80mgの用量で(ドネペジル塩酸塩で)存在する。
具体的には、前記医薬は、前記ピレンゼピンを75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で前記ドネペジルを25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で、医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物である。
この節に記載した組成物は、通常、投与単位形であり、上記のピレンゼピンおよびドネペジル量または用量は、それぞれ単位形当たりの量である。
本発明の第3の側面
第3の側面によれば、本発明は、ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩と組み合わせて、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置に使用するための、選択的末梢性抗コリン薬(sPAChA)、好ましくはピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を提供し、それによって、ドネペジルの最大耐量が増加し、その結果、CNSにおけるより高度のアセチルコリンエステラーゼ阻害が達成され、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の症状が大きな副作用を伴わずに大幅に改善される。
アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の症状の予防、軽減または処置におけるピレンゼピンの有効性は、ピレンゼピンが、ドネペジルの処置の1日用量の80mgまでの安全な増加を可能にするという事実によるものである。このドネペジル用量の増加は疾患に関連する認知症を最大限に緩和することができる。
よって、この第3の側面によれば、本発明は、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩の1日用量と組み合わせて、低コリン作動性障害の処置に使用するためのピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を提供する。
前記ドネペジル用量は、通常、5mg~60mgまたは5mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
これらの1日用量には、最初の滴定期間に使用される用量が含まれる。
具体的には、ピレンゼピンと組み合わせられるドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、10.01mg~80mg、10.01mg~60mg、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mgまたは25mg~30mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量で投与される。
有利には、ピレンゼピンと組み合わせられる前記ドネペジル1日用量は、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
より有利には、ピレンゼピンと組み合わせられる前記ドネペジル1日用量は、23.01mg~80mgに相当する。
好ましくは、ピレンゼピンと組み合わせられる前記ドネペジル1日用量は、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
この第3の側面はまた、23mg~138mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩の1日用量と組み合わせて、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、または軽度認知障害などの低コリン作動性障害の処置に使用するための、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を提供する。
具体的には、この側面によれば、本発明は、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の1日用量と組み合わせて、低コリン作動性障害によって引き起こされる認知障害の処置に使用するための、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する用量(または量)のピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を提供する。
これらの1日用量には、最初の用量調整期間に使用される用量が含まれる。
加えて、ピレンゼピンと組み合わせられるドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、10.01mg~60mg、15mg~80mg、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mg、5mg~20mg、25mg~60mgおよび25mg~30mgのドネペジル塩酸塩からなる群から選択される範囲に相当する1日用量で投与される。
この目的のために、ピレンゼピンは、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害に罹患している患者のCNSにおける安全なより高度のアセチルコリンエステラーゼ阻害を可能にするための医薬組成物に含まれており、前記患者は、ドネペジルの最大耐量よりも高いドネペジルの用量または疾患に関連する認知症を最大限に緩和するのに十分なドネペジルの用量を服用し、ピレンゼピンは、有効成分として、医薬担体と混合されて含まれている。ドネペジルを単独で服用した場合には達成できない、より高いアセチルコリンエステラーゼ阻害がこのように可能になることによって、前記患者のアルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の症状がさらに改善される。
具体的には、ピレンゼピンおよびドネペジルは、それぞれ、ピレンゼピンを25mg~600mgの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物、およびドネペジルを5mg~80mgの量で(ドネペジル塩酸塩で)医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物に、個々に処方される。
上記ドネペジル量範囲には、 患者に処置の最初の滴定期間中に投与される低用量が含まれる。
通常、前記各組成物において、前記ドネペジルは、15mg~80mg、通常、23.01mg~80mgまたは25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在し、医薬担体またはビヒクルと混合されている。
本明細書に記載の使用のために、ピレンゼピンは、有効成分として、前記ピレンゼピンを25mg~600mgのピレンゼピン塩酸塩に相当する単位形当たりの上述の量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物に処方される。
有利には、これらの医薬組成物は、ピレンゼピンを25mg~300mgの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)含んでなる。
好ましくは、これらの組成物は、ピレンゼピンを75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる。
前記組成物は、IR処方物またはER処方物であり得る。
好ましくは、ドネペジルは、前記組成物中に、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在し、医薬担体と混合されている。
通常、上記組成物のそれぞれは、投与単位形であり、前記ピレンゼピン量および前記ドネペジル量は、それぞれ単位形当たりの量である。
本発明によるピレンゼピンを含んでなる組成物は、アルツハイマー病などの低コリン作動性障害に罹患している患者に対して、末梢コリン作動系過剰刺激の臨床的に有意な症状を伴わずに、(単独で投与される)ドネペジルの最大耐量の1.1から6~8倍までの投与を可能にする。
これらの組成物は、好ましくは、経口または非経口、特に経皮、投与のための投与単位形に処方され、有効成分はそれぞれ、医薬担体またはビヒクルと混合される。
本発明によるピレンゼピンを使用して調製された医薬組成物は、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の症状の処置に適応され、それと同時にまたは逐次に投与されるドネペジルの現在使用されている用量の増加を、前記処置用量の前記増加を妨げるであろう用量を制限する副作用を伴わずに可能にすることによって、前記症状を大幅に改善する。
ドネペジルと組み合わせて使用するピレンゼピンは、50mg~600mg、100mg~600mg、150mg~600mgまたは150mg~500mgの単位形当たりの量(ピレンゼピン二塩酸塩で)を、50mg~600mg、100mg~600mg、150mg~600mgまたは150mg~500mgの1日用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)含んでなる医薬組成物で投与されるように構成される。
ピレンゼピンの保護作用の結果、ドネペジルは、5mg~80mg、5mg~60mg、10.01mg~60mg、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mgおよび25mg~30mgからなる群から選択される範囲の単位形当たりの量でおよび1日用量で(ドネペジル塩酸塩で)投与し得る。
ドネペジルはまた、有利には、15mg~80mgの単位形当たりの量でおよび1日用量で(ドネペジル塩酸塩で)投与し得る。
ドネペジルは、好ましくは、25mg~80mg、通常、25mg~60mgまたは25mg~40mgの単位形当たりの量でおよび1日用量で(ドネペジル塩酸塩で)投与される。
この投与のために、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物に処方される。
あるいは、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物に処方される。
ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩はまた、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物に処方し得る。
好ましい有効成分としてピレンゼピンを使用する経口投与のための好ましい医薬組成物は、IR処方物では、20~300mg、有利には25mg~300mg、好ましくは50~150mg(ピレンゼピン二塩酸塩で)、またはER処方物では、40mg~600mgもしくは75mg~300mg、好ましくは100mg~600mgの前記有効成分を含有し得る。前記好ましい医薬組成物は、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害に罹患している患者に対して、15mg~80mgまたは15mg~100mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジルの1日用量の同時または連続投与を可能にする。
具体的には、この第3の側面によれば、本発明は、ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩と組み合わせて、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置に使用するためにピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量の前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物で提供し、また、前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩を、25mg~80mのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物でも提供する。
前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなる前記組成物は、IR処方物またはER処方物であり得る。
この使用のために、ドネペジルは、通常、前記医薬組成物中に、25mg~80mg、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
通常、75mg~300mgのピレンゼピンおよび25mg~80mg、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジルを含んでなるこれらの医薬組成物は、それぞれ投与単位形であり、これらの量は、単位形当たりの量である。
最後に、この第3の側面の別の実施形態によれば、本発明は、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置に使用するための医薬組成物であって、医薬担体と、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量のピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、および25mg~80mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量のドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の一定用量の組合せを含んでなる医薬組成物を提供する。
前記一定用量の組合せにおいて、ドネペジルは、25mg~60mgまたは25mg~40mgの量で存在し得る。
このセクションによる組成物は、通常、投与単位形であり、上記のピレンゼピンおよびドネペジルの量は、それぞれ単位形当たりの量である。
本発明の第4の側面
本発明の第4の側面は、アルツハイマー型人知症などの低コリン作動性障害の処置のための、ピレンゼピンおよびドネペジルを含んでなる医薬組合せを提供する。
具体的には、本発明のこの第4の側面は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物と、有効な1日用量のドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を含んでなる抗アルツハイマー医薬組合せを提供する。
本発明のこの第4の側面によれば、前記医薬組合せは、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する1日用量で含んでなり、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量で含んでなる。
具体的には、75mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当するピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩の1日用量と組み合わせて、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、10.01mg~80mg、10.01mg~60mg、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mgまたは25mg~30mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量で投与される。
有利には、ピレンゼピンと組み合わせられる前記ドネペジル1日用量は、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
より有利には、ピレンゼピンと組み合わせられる前記ドネペジル1日用量は、23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
好ましくは、ピレンゼピンと組み合わせられる前記ドネペジル1日用量は、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する。
これらの1日用量には、最初の用量調整期間に投与される用量が含まれる。
本発明のこの第4の側面の好ましい実施形態によれば、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する1日用量で投与され、前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩は、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量で投与される。
この第4の側面によれば、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、医薬担体またはビヒクルと混合して、医薬組成物にそれぞれ処方される。
この目的のために、ピレンゼピンおよびドネペジルは、それぞれ、ピレンゼピンを25mg~600mgの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物、およびドネペジルを5mg~80mgの量で(ドネペジル塩酸塩で)医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物に、個々に処方される。
上記ドネペジル量範囲には、患者に処置の最初の用量調整期間中に投与されるように構成される低用量が含まれる。
ある実施形態によれば、前記各組成物において、
前記ピレンゼピンは、好ましくは、75mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し、
前記ドネペジルは、好ましくは、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
有利には、前記ドネペジルは、前記組成物中に23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
好ましくは、前記ドネペジルは、前記組成物中に25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
好ましくは、前記ピレンゼピンおよびドネペジル組成物はそれぞれ、投与単位形であり、上記のピレンゼピンおよびドネペジル量は、単位形当たりの量である。
本発明のこの第4の側面による組合せにおいて、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物成分は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩の単位形当たりの量で含んでなる医薬組成物中に存在する。この組成物は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、または軽度認知障害などの低コリン作動性障害の処置のために、25mg~600mg、50mg~600mg、100mg~600、150mg~600mgまたは150mg~500mgの1日用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)、ドネペジルと組み合わせて使用されるように構成される。
本発明のこの第4の側面による組合せにおいて、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩成分は、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を5mg~80mgのドネペジル塩酸塩、5mg~60mgのドネペジル塩酸塩、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩、23mg~80mgのドネペジル塩酸塩、23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩または25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で含んでなる医薬組成物中に存在する。通常、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置中、前記医薬組成物は、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を10.01mg~60mg、15mg~80mg、23.01mg~80mg、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mg、5mg~20mg、25mg~30mg、25mg~60mgおよび25mg~80mgのドネペジル塩酸塩からなる群から選択される範囲に相当する単位形当たりの量で含んでなる。
有利な実施形態によれば、この組合せにおいて、ピレンゼピンは、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの量で含んでなる医薬組成物中に存在する。これは、75mg~300mgの1日用量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)、25mg~80mg、通常、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジルの1日用量と組み合わせて、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の前記処置に使用するためのものであり、または前記処置に適応する。
この第4の側面の好ましい実施形態によれば、低コリン作動性障害、特にアルツハイマー病の処置のための前記組合せは、
ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの量で医薬担体またはビヒクルと混合してIR処方物またはER処方物で医薬組成物に処方されたもの;および
ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で医薬担体またはビヒクルと混合して医薬組成物に処方されたものそれぞれ
を含んでなる。
この組合せにおいて、前記処方物中のピレンゼピンは、75mg~600mg、通常、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する1日用量で投与され得、前記処方物中のドネペジルは、好ましくは、25mg~80mg、通常、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量で投与される。
有利には、本発明のこれら4つの側面に従ってピレンゼピンを使用して調製される医薬組成物は、他の効成分、特に、CNSにおいてコリン作動薬として作用してアルツハイマー病、またはアルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の症状を改善するドネペジルも、処置に関連する副作用を最小限に抑えながら、疾患に関連する神経行動学的症状を最大限に緩和するのに十分な量で含有する単位形である。
本発明の第5の側面
本発明の第5の側面は、低コリン作動性障害の処置のための、またはその処置に適応した医薬組成物であって、医薬担体と、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の一定用量の組合せを含んでなる医薬組成物を提供する。通常、前記組成物は抗アルツハイマー組成物である。
好ましくは、前記一定用量の組合せは、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量の前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、および5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量の前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を含んでなる単位形である。
前記低コリン作動性障害は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病型認知症、または軽度認知障害であり得る。
あるいは、前記ドネペジルは、前記一定用量の組合せにおいて、5mg~60mg、20mg~60mg、25mg~60mg、15mg~80mg、20mg~80mg、および25mg~80mgのドネペジル塩酸塩からなる群から選択される範囲に相当する量で存在し得る。
ある実施形態によれば、前記一定用量の組合せにおいて、
前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、50mg~600mg、100mg~600、150mg~600mgまたは150mg~500mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し;
前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、10.01mg~60mg、12.5mg~60mg、12.5mg~50mg、12.5mg~40mgまたは25mg~30mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
別の実施形態によれば、前記一定用量の組合せにおいて、
前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、50mg~600mg、100mg~600、150mg~600mgまたは150mg~500mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し;
前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
さらなる実施形態によれば、前記一定用量の組合せにおいて、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、25mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
有利には、前記一定用量の組合せにおいて、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、75mg~300mgに相当する量で存在し、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
あるいは、前記一定用量の組合せにおいて、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩は、通常、25mg~60mgまたは25mg~40mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する。
その抗アルツハイマー用途または処方のために、この節の一定用量の組合せは、好ましくは投与単位形の、医薬組成物に処方される。前記各組成物において、ピレンゼピンおよびドネペジルの上記の量はそれぞれ、単位形当たりの量である。
本発明の第6の側面
第6の側面によれば、本発明は、ヒトアルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置を改善するための医薬組成物を提供し、この医薬組成物は、医薬担体と、ピレンゼピンおよびドネペジルの混合物を含んでなり、
ドネペジルは、前記アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の症状を(通常、軽減、予防または処置することによって)最大限かつ安全に改善するのに十分な量で存在し、
血液脳関門をあまり通過しないピレンゼピンは、ピレンゼピンなしで投与された場合にドネペジルによって引き起こされる末梢性副作用を軽減する第2の量で存在する。
具体的には、この第6の側面によれば、本発明は、
(a)ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で;および
(b)ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で;
少なくとも医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物を提供する。
あるいは、この側面において、本発明は、
(a)ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で;および
(b)ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で;
少なくとも医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物を提供する。
この第6の側面によれば、本発明はまた、
(a)ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で;および
(b)ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を5mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で;
少なくとも医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物を提供する。
低コリン作動性障害の処置におけるその使用(またはそのための処方)のために、本発明のこの第6の側面の医薬組成物は、患者への投与に好適な単位形に処方される。
本発明の組成物では、即時放出または延長放出のために、ピレンゼピンは、IRまたはER処方物中に20mg~600mg、通常、25mg~600mgの単位形当たりの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)存在し、ドネペジルは、現在投与されているIR投与単位形に含まれているドネペジルの量の100%~800%または100%~600%量で存在する。
本発明によれば、ピレンゼピンは、IR単位形で、25mg~300mgまたは75mg~300mgの範囲の量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)存在する。
ER単位形では、ピレンゼピンは、50mg~600mg、通常、75mg~600mg、100mg~500mg、または100mg~300mg、好ましくは75mg~300mgの範囲の量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)存在する。
通常、投与単位形の医薬組成物において、ピレンゼピンは、50mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当するIR単位形当たりの量で、または50mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当するER形態当たりの量で存在する。
好ましくは、投与単位形の医薬組成物において、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩は、IRまたはER単位形中に75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの量で存在する。
即時放出または延長放出のための単位形において、ドネペジルは、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置のために現在投与されているIR投与単位形に含まれているドネペジルの量の約100%~約600%の量で存在する。
より具体的には、ドネペジルは、IR単位形では、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の緩和処置のために現在投与されているIR投与単位形に含まれているドネペジルの量の100%~800%、100%~600%、100%~400%、好ましくは、150%~800%、150%~600%または150%~400%の範囲の量で、またはER単位形では、アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置のために現在投与されているIR投与単位形に含まれているドネペジルの量の150%~600%、好ましくは200%~600%の範囲の量で存在する。例えば、ドネペジルは、投与単位当たり5mg~80mg、5mg~60mg、好ましくは7.5mg~60mgの量で(ドネペジル塩酸塩で)存在する。別の例では、ドネペジルは、投与単位当たり15mg~100mg、15mg~80mgまたは34.5mg~80mgの量で(ドネペジル塩酸塩で)存在する。
この第6の側面の第1の実施形態によれば、本発明は、
(a)ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を25mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で;および
(b)ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で;
医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物を提供する。
この第6の側面の第2の実施形態によれば、本発明は、
(a)ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で;および
(b)ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で;
医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物を提供する。
この第6の側面の第3の実施形態によれば、本発明は、
(a)ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を150mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で;および
(b)ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で;
医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる医薬組成物を提供する。
あるいは、この第6の側面のこの第3の実施形態によれば、この医薬組成物は、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を150mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの量で、およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で、医薬担体またはビヒクルと混合して含んでなる。
処方物
本発明の医薬組成物は、種々の投与方法に好適な従来の賦形剤を用いて処方される。特に有利なのは、錠剤、マルチスコア錠剤(multi-score tablets)、コーティング錠、口腔内崩壊錠(口内分散錠)、徐放錠、ハードまたはソフトカプセル、徐放カプセル、経皮投与用パッチ、所定の単位形、および静脈内または皮下投与用バイアルでの液体経口溶液、シロップまたは懸濁液の形態の処方物である。
医薬組成物は、錠剤またはゼラチンカプセルなどの経口形態で処方し得、この場合、ピレンゼピンまたはドネペジル;または両方の有効成分が、担体またはビヒクルと混合されている。前記担体またはビヒクルには、セルロース、デキストロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトールまたはスクロースなどの希釈剤;酸、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、シリカ、またはタルクなどの滑沢剤;および必要に応じて、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはポリビニルピロリドンなどの結合剤が含まれ得る。
ドネペジル口内分散錠は、米国公開特許第2011/0060008号に開示されているように、患者の口腔内でのドネペジルの放出を制限または抑制するポラクリリンカリウムなどの風味マスキング剤を含んでなり得る。
前記経口形態は、スクロースでまたはミツロウなどの艶を出す天然物を含む様々なポリマーでコーティングされた錠剤であり得る。
あるいは、錠剤は、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマーおよびコポリマーなどの担体;ヒドロキシプロピルエチルセルロースなどのセルロース誘導体;または他の適当な材料を使用して製造することができる。これらの材料は、所定量のピレンゼピン(またはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物)またはドネペジル(またはその薬学上許容可能な塩)を徐々に放出することにより、活性の延長または遅延をもたらす。
経口処方物はまた、ピレンゼピン(もしくはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物);ドネペジル(もしくはその薬学上許容可能な塩);または両方の有効成分の延長放出を可能にするカプセルの形態にすることができる。
本発明による一定用量の組合せは、例えば、ピレンゼピン二塩酸塩一水和物を75mgまたは150mgの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)、およびドネペジル塩酸塩を15mgまたは30mgの量で、医薬担体と混合して含んでなるカプセルからなる投与単位形であり得る。
アルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害の処置における目的の用途には、ピレンゼピンは、ドネペジルと組み合わせて医薬組成物に処方され、前記ピレンゼピンは、医薬担体と混合されている。前記処置のために、ドネペジルも医薬組成物に処方され、前記ドネペジルは医薬担体と混合されている。
投与量、すなわち、患者に投与される単回投与での有効成分の量(単位形当たりの量)は、患者の年齢、体重、および健康状態に応じて大きく異なり得る。この投与量には、患者の年齢効力に応じた、25mg~600mg、25mg~300mgもしくは75mg~300mgのピレンゼピン量、5mg~80mgもしくは5mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する有効なドネペジル量または患者の年齢に応じた、23mg~70mgもしくは25mg~80mg、通常、25mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する有効なドネペジル量の、1日1回、各有効成分の用量の強度に応じた投与が含まれる。
上記の医薬組成物は、あらゆる投与経路に向けて、医薬担体またはビヒクルと混合して処方される。例えば、前記医薬組成物は、経口、鼻腔内、経皮、または直腸投与のための医薬投与単位形である。
これらの単位形は、従来の技術に従って製造される。特に有利なのは、錠剤、マルチスコア錠剤、多層錠剤、コーティング錠、口腔内崩壊錠、徐放錠、ハードまたはソフトカプセル、マルチコンパートメントカプセル(通常、2コンパートメントカプセル)、徐放カプセル、直腸投与用坐剤、経皮投与用パッチ、所定の単位形、静脈内注入用装置、および静脈内または皮下投与用バイアルでの液体経口溶液、シロップまたは懸濁液の形態の処方物である。
医薬組成物は、錠剤またはゼラチンカプセルなどの経口単位形に処方し得、この場合、ピレンゼピン、ドネペジル、またはピレンゼピン/ドネペジル一定用量組合せの各有効成分は、セルロース、結晶セルロース、デキストロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトールまたはスクロースなどの希釈剤;酸、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、シリカ、またはタルクなどの滑沢剤;および必要に応じて、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはポリビニルピロリドンなどの結合剤を含んでよい担体またはビヒクルと混合されている。
前記経口単位形は、スクロースでまたは即時放出のための様々なポリマーでコーティングされた錠剤であり得る。あるいは、錠剤は、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマーおよびコポリマーなどの担体;ヒドロキシプロピルエチルセルロースなどのセルロース誘導体;または所定量の有効成分を徐々に放出することにより活性の延長もしくは遅延を示す他の適当な材料を使用して製造することができる。例えば、単位形は、ピレンゼピンがER処方物であり、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと混合されているかまたはフィルムコート微粒子中である錠剤に処方し得る。ER錠剤用の担体およびビヒクルとしては、アクリル酸およびメタクリル酸ポリマーおよびコポリマーなどの遅延させる材料;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの上述のセルロース誘導体;ガム;ロウ;グリセリドまたは脂肪族アルコールまたはそれらの混合物が含まれる。
シロップおよび経口分散錠はまた、甘味剤、滑沢剤、風味マスキング剤、結合剤、および着色剤を含んでなり得る。
単位形は、ER処方物での成分(a)および成分(b)は、例えば、ピレンゼピン二塩酸塩およびドネペジル塩酸塩がそれぞれヒドロキシプロピルメチルセルロースと混合されているかまたはフィルムコート微粒子中にある錠剤に、それぞれ処方し得る。ドネペジルはまた、持続放出のために、例えば、米国特許第8,481,565号に記載されているように、親水性ポリマーを含む医薬担体と混合して前記ドネペジルを含んでなるマトリックス型錠剤に処方し得る。これらの単位形の(a)および(b)は、アルツハイマー病またはアルツハイマー型認知症などの低コリン作動性障害に罹患している患者に、錠剤またはゼラチンカプセルなどの経口単位形と組み合わせて、同時にまたは逐次に投与されることになっており、この場合、成分(a)は、希釈剤および滑沢剤とともにIR処方物で、または延長放出のために錠剤またはカプセルで処方されている。
ピレンゼピンは医薬組成物に処方し得、この場合、前記ピレンゼピンは、医薬担体またはビヒクルと混合されている。ドネペジルもまた医薬組成物に処方し得、この場合、前記ドネペジルは、医薬担体またはビヒクルと混合されている。
単位形当たりの有効量の前記ピレンゼピンと、単位形当たりの有効量の前記ドネペジルとを別個に(同時または逐次)投与する場合、それらのそれぞれは、前記ピレンゼピンを医薬担体またはビヒクルと混合してある容器に含んでなり;ドネペジルを医薬担体またはビヒクルと混合して別の独立した容器に含んでなるキットに包装することができる。
本発明の一定用量の組合せを含む上記の組合せにおいて、単位形当たりの、ピレンゼピン二塩酸塩でのピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物の用量は、IRまたはER処方物では、25mg~600mgであり、IR処方物では、通常25mg~300mg、好ましくは75mg~300mgの量で存在し、またはER処方物では、75mg~300mg、100mg~600mg、好ましくは150mg~600mgまたは150mg~500mgの量で存在する。
別の実施形態によれば、例えば、英国公告特許第1204580号または米国公開特許第2007/0224259号(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)に記載されているように、本発明の組成物は、ピレンゼピンを延長放出のための医薬担体と混合して錠剤にし(錠剤A)、ドネペジルを、別個に、即時放出のための医薬担体と混合して錠剤(錠剤B)にし、錠剤Aおよび錠剤Bを経口投与用のカプセルに導入することによって処方される。この実施形態による有利な組成物は、ソフトまたはハードゼラチンカプセルからなり、それぞれは、ER処方物でピレンゼピン二塩酸塩一水和物を25~250mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなる錠剤A、およびIR処方物で5~30mgのドネペジル(塩酸塩として)を医薬担体とともに含んでなる錠剤Bを含み、前記組成物は、1日1回投与されることになっている。
本発明の組成物はまた、JPH01149729Aに記載されているように、例えば、ピレンゼピン二塩酸塩一水和物を、1以上の高分子脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、トリオレインまたはゲファルナートからなる医薬担体と混合することによって処方し得る。
この実施形態による好ましい単位形は、ソフトまたはハードゼラチンカプセルからなり、それぞれは、
ER処方物でピレンゼピン二塩酸塩一水和物を75mg~300mg、150mg~600mgまたは150mg~500mgの量で(ピレンゼピン二塩酸塩で)医薬担体と混合して含んでなる錠剤A;および
1R処方物で25mg~80mg、通常25~60mgのドネペジル塩酸塩を医薬担体とともに含んでなる錠剤B
を含む。前記単位形は、1日1回投与されることになっている。
さらなる実施形態によれば、本発明による組成物は、例えば、WO2006/089493(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)に記載されているように、二層錠剤に処方され、各層からその層に含まれている薬物は相互に干渉することなく放出される。
この実施形態による有利な組成物は、
ER処方物でピレンゼピン二塩酸塩一水和物を75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体とともに含んでなる層Aおよび
IR処方物でドネペジル塩酸塩を5mg~80mgまたは5~60mg、通常10.01~60mgまたは25mg~30mgの量で医薬担体と混合して含んでなる層B
からなり、前記組成物は、1日1回投与されることになっている。
加えて、本発明による組成物はまた、例えば、欧州公開特許第2848261号(これらの内容は総て引用することにより本明細書の一部とされる)に記載されているように、三層錠剤に処方し得る。この錠剤では、外層の1つはピレンゼピンを放出するIR処方物であり、中心層はピレンゼピンの持続放出のためのER処方物であり、もう1つの外層はドネペジル用量の放出のためのIR処方物またはER処方物である。
この実施形態による有利な三層錠剤は、
IR処方物でピレンゼピン二塩酸塩一水和物を25mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなる組成物としての層A;
ER処方物でピレンゼピン二塩酸塩一水和物を50mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなる組成物としての層B(中心層);および
IR処方物である、23.01mg~40mg、通常25mg~30mgのドネペジル塩酸塩を含んでなる組成物としての層C
からなり、前記組成物は、1日1回投与されることになっている。
さらに有利な三層錠剤は、
ピレンゼピン二塩酸塩一水和物を25mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなる組成物としての層A;
プラセボ(不活性材料)のみを含んでなる組成物としての層B(中心層);および
5mg~80mgのドネペジル塩酸塩を医薬担体と混合して含んでなる組成物としての層C
を含んでなる。
好ましくは、このさらに有利な三層錠剤において、
層Aの組成物はピレンゼピン二塩酸塩一水和物を75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなり;
層Cの組成物は、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩を医薬担体と混合して含んでなる。
別の実施形態によれば、本発明の組成物は、口腔内崩壊錠に処方される。この実施形態による特に有利な組成物は、頬粘膜吸収のためにIR処方物で
50~250mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量のピレンゼピン二塩酸塩一水和物;および
5~50mg、通常12.5mg~40mgのドネペジル塩酸塩;
を医薬担体と混合して含んでなる口腔内崩壊錠であり、前記組成物は、1日1回または2回投与されることになっている。
典型的な75mgピレンゼピン錠剤は、75mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する78.18mgのピレンゼピン二塩酸塩一水和物、18mgの結晶セルロース(Avicel PH 101)、9.6mgのトウモロコシデンプン、6mgのポリビニルピロリドン、0.2mgのヒドロキシプロピルセルロース、3.7mgのタルク、1.5mgのステアリン酸マグネシウム、3.7mgのウルトラアミロペクチン、および結晶セルロース(Avicel PH 102)を含有し、結晶セルロースにより合計123mgとなる。
典型的な100mgピレンゼピン錠剤は、100mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する104.24mgのピレンゼピン二塩酸塩一水和物、24mgの結晶セルロース(Avicel PH 101)、12.8mgのトウモロコシデンプン、8mgのポリビニルピロリドン、0.3mgのヒドロキシプロピルセルロース、4.9mgのタルク、2mgのステアリン酸マグネシウム、4.9mgのウルトラアミロペクチン、および結晶セルロース(Avicel PH 102)を含有し、結晶セルロースにより合計164mgとなる。
典型的な300mgピレンゼピン錠剤は、300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する312.73mgのピレンゼピン二塩酸塩一水和物、72mgの結晶セルロース(Avicel PH 101)、38.5mgのトウモロコシデンプン、24mgのポリビニルピロリドン、0.7mgのヒドロキシプロピルセルロース、14.7mgのタルク、5.9mgのステアリン酸マグネシウム、14.7mgのウルトラアミロペクチン、および結晶セルロース(Avicel PH 102)を含有し、結晶セルロースにより合計490mgとなる。
処置の有効性は、標準的な尺度の使用によって記録されるように、アルツハイマー型認知症に関連する認知障害および他の神経行動学的障害が軽減される程度によって測定される。
キット
本発明はまた、本明細書に記載されるような医薬組合せを含んでなる医薬、または医薬組成物を、それを必要とする患者への調製物の同時、逐次または個別投与による低コリン作動性障害の処置におけるその使用説明書とともに含むキットまたはパッケージを提供する。キット形態は、ピレンゼピンおよびドネペジルを異なる投与形態で投与しなければならない場合または異なる投与間隔で投与する場合に特に有利である。
1つの実施形態において、2つの別個の単位を組み合わせたキットまたはパッケージは、IR処方物でピレンゼピンが通常、25mg~300mgまたは75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する単位形当たりの量で医薬担体と混合されている単位形成分(a)と、ドネペジルと組み合わせて、それを必要とする患者における低コリン作動性障害の処置のためのその使用説明書とを含んでなる。
別の実施形態では、本発明のキットは、ER処方物でピレンゼピンを通常、75mg~600mgまたは75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物(a)と、IR処方物でドネペジルを15mg~80mg、通常25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する単位形当たりの量で含んでなる医薬組成物(b)と、それを必要とする患者におけるそれを必要とする患者への調製物の同時、逐次または個別投与による低コリン作動性障害の処置のためのその使用説明書とを含んでなるキットである。
さらなる実施形態において、本発明のキットは、ER処方物でピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を通常75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物(a)と、IR処方物でまたはER処方物でドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を23.1mg~80mg、25mg~80mgおよび25mg~60mgのドネペジル塩酸塩からなる群から選択される範囲に相当する単位形当たりの量で医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物(b)と、それを必要とする患者への調製物の同時、逐次または個別投与による低コリン作動性障害の処置のためのその使用説明書とを含んでなるキットである。
特定の実施形態によれば、上記のキットに含まれる医薬組成物において、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物はピレンゼピン二塩酸塩一水和物であり、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物はドネペジル塩酸塩であり、前記低コリン作動性障害はアルツハイマー型認知症である。
以下、実施例により本発明を説明する。
実施例1
ヒトにおけるドネペジルのGI副作用を防止するピレンゼピンの能力を試験した。
ピレンゼピン二塩酸塩一水和物(以下「ピレンゼピン」)の単回経口投与の有無にかかわらず、ドネペジル塩酸塩(以下「ドネペジル」)の単回経口投与を受けたヒト被験者で第I相試験を実施した。この試験は単一施設、単一盲検試験であった。
この試験の目的は、5~50mgの範囲の単回投与を与えた場合にピレンゼピンがドネペジル塩酸塩(以下「ドネペジル」)のGI副作用を安全に軽減できることを実証することであった。
この試験に登録するには、参加者は次の選択/除外基準を満たす必要があった:
主な選択基準
1.18歳以上50歳以下の健康な男性または女性のボランティア。
2.出産の可能性のある女性は、スクリーニング期間から試験終了来院後14日まで、禁欲するかまたは次の医学的に許容される避妊方法のいずれか2つを使用することに同意する必要があった:ホルモン避妊、殺精子ゼリー付きコンドーム、殺精子ゼリー付きペッサリーもしくは子宮頸管キャップ、またはIUD。男性パートナーが精管切除を受けている女性は、医学的に許容される避妊方法をもう1つ使用することに同意する必要があった。被験者は、安全対策として最終来院後14日間上記の受胎調節方法を実施することに同意する必要があった。
3.出産の可能性のない女性は、手術による不妊状態(子宮摘出術、両側卵巣摘出術、または両側卵管結紮術後の状態)または閉経後少なくとも12か月間と定義され、試験中に避妊を必要としなかった。閉経後であることは、スクリーニング時に血清FSH検査によって確認する必要があり、その理由を原始文書に記録しなければならない。
4.被験者は、個人および家族の精神病歴、身体所見、ECG、バイタルサイン、および臨床検査を含む病歴によって決定されるように、良い健康状態である必要があった。医学的異常のある被験者は、その異常が被験者の健康に重大な追加のリスクをもたらしたり、試験の目的を妨げたりしないと研究者または被指名人が考えた場合にのみ、含めることができた。
5.被験者は、19kg/m以上および30kg/m以下のBMI値を有する必要があった。
6.被験者は、試験の目的と試験に必要な手順を理解し、試験に参加し、試験の手順と制限を遵守する意思があることを示すインフォームドコンセントフォームに署名する必要があった。
7.被験者は、複数の錠剤を同時に飲み込むことができなければならなかった。
主な除外基準:
被験者を試験への登録から除外する基準は次のとおりであった:
1.治験中の被験者の安全性を妨げたり、被験者を過度のリスクにさらしたり、または試験の目的を妨げたりする可能性のある臨床的に関連する急性疾患または慢性疾患。
2.薬物の吸収、分布、代謝または排泄を妨げることが知られている胃腸、肝臓、または腎臓の疾患またはその他の状態の病歴または存在。
3.薬物乱用、既知の薬物中毒の病歴、または乱用薬物もしくはアルコールの検査での陽性反応。
4.強力なCYP 3A4阻害剤を現在使用中。
5.薬物またはその他の重大なアレルギーの病歴。
6.試験登録から3か月以内の中枢作用性薬物または末梢性コリン作動性伝達に影響を与える薬物による処置。
7.タバコ製品を含む現または元喫煙者(試験への登録の1年以上前に喫煙をやめた被験者を除く)。
8.キサンチン含有飲料の毎日の過剰摂取。
9.試験実施中(スクリーニング来院から試験薬の最終投与まで)に長時間にわたる集中的な身体運動を抑えることを望まない被験者。
10.B型肝炎表面抗原、C型肝炎抗体の検査結果陽性。
11.HIV 1および2血清学検査結果陽性。
12.1日目の入院の前14日以内の処方薬または市販薬の使用。加えて、中枢効果のある薬物は、入院(1日目)前の薬物半減期の5倍に相当する期間は禁止され、この期間は14日より長くする必要がある。
13.試験中に協力する可能性が低く、かつ/または研究者の意見への遵守が疑わしい被験者。
14.緊急時に連絡がとれない被験者
15.試験登録から30日以内の治験薬の摂取。
研究への登録後、参加者は、朝に1日1回投与されるドネペジルの単回漸増経口投与を受けた。ドネペジルの開始用量は5mgであり、その用量をプロトコールで許容される最大用量の60mgまたは最大耐量のいずれか早い方まで毎日または隔日で5mgずつ増量した。被験者がドネペジル60mg用量または被験者の最初の不耐量(「FID-1」)のいずれか早い方に達した時点で、用量の漸増を中止した。FIDは次のように定義した:
1回の嘔吐、または
2回の空嘔吐、または
1回の1時間以上続く重度の吐き気(グレード3;日常生活の活動を妨げる吐き気またはカロリーまたは水分の経口摂取不足と定義される;経管栄養、完全非経口栄養または入院の適応)、または
4時間ごとに連続する3回の中等度の吐き気(グレード2;主観的に症状を示すが、日常生活の活動に支障はないことと定義される)、または
1回の中等度の下痢(グレード2;ベースラインよりも便が4~6回多いこととして定義される)。
被験者がドネペジル単独でFID-1に達した場合、被験者に7日間のウオッシュアウト期間を設け、その後、ドネペジルの単回1日用量を5mgから開始して投与し、被験者が再び不耐量(FID-2)に達するまで、ピレンゼピンの経口用量とともに、5mgずつ用量漸増を行った。ピレンゼピンの用量は、最初はドネペジルとともに100mg(ピレンゼピン二塩酸塩で)であった。被験者がFID-2に達した場合、その被験者には翌日、同用量のドネペジルを、200mgのピレンゼピン(ピレンゼピン二塩酸塩で)の用量とともに投与した。FID-2の用量を制限する副作用に拮抗しなければ、その被験者には翌日、同用量のドネペジルを、より多い300mg用量のピレンゼピン(ピレンゼピン二塩酸塩で)とともに投与した。FID-2の用量を制限する副作用に拮抗したら、被験者が再び不耐量(FID-3)に達するまで、FID-2副作用に拮抗するピレンゼピンの用量を使用して、ドネペジルの用量漸増を再開した。
各試験日に、薬物投与後8時間まで、被験者をAE、バイタルサイン、ECGについて追跡調査した。加えて、スクリーニング時および試験終了時に検査パネルを採取した。
試験中、総ての被験者がFID-1(ドネペジル単独)に達した。用量を制限する毒性は、総ての被験者において主に嘔吐であった。ピレンゼピンとドネペジルとの同時投与によってGI有害事象が発生しなくなり、ドネペジルの用量を安全に増加させることができた。
まとめると、結果から、ピレンゼピンとドネペジルの同時投与によって、ドネペジル単独で報告されたGI AEが軽減し、ドネペジルの用量を安全に増加させることが可能になることが示された。
結論として、ピレンゼピンは、ドネペジルが単独で投与された場合に忍容されないドネペジルの用量をヒトに安全に投与することを可能にする。
実施例2
ピレンゼピン二塩酸塩一水和物とドネペジル塩酸塩の組合せ即時放出錠剤を作製した。8つの異なる強度のドネペジル塩酸塩錠剤を製造した。錠剤には、5、10、15、20、30、40、50、または60mgのドネペジル塩酸塩が、75、100、200、または300mg(ピレンゼピン二塩酸塩で)のピレンゼピン二塩酸塩一水和物のいずれかを伴って含まれるものであった。強度の多様な錠剤は、各患者の「最良の」用量(副作用が許容されて、被験者が最大の認知的利益を受ける用量として定義される)への用量調整を可能にするために製造された。
実施例3
ピレンゼピン-ドネペジル一定用量の組合せは、湿式造粒によって、次の医薬組成物を含んでなる錠剤に処方される
ピレンゼピン二塩酸塩一水和物 78.18mg
ドネペジル塩酸塩 25.00mg
ラクトース一水和物 46.00mg
トウモロコシデンプン 24.50mg
高分散二酸化ケイ素 0.50mg
結晶セルロース 19.62mg
ヒドロキシプロピルセルロース 2.50mg
ステアリン酸マグネシウム 0.70mg
前記計算量のピレンゼピン二塩酸塩一水和物とドネペジル塩酸塩を、前記計算量のラクトース一水和物、結晶セルロースの一部(19部)、トウモロコシデンプン、および高分散二酸化ケイ素とブレンドする。緊密に混合した粉末を、ヒドロキシプロピルセルロースの4%水溶液を使用して湿式造粒し、その後、乾燥炉で乾燥させる。乾燥顆粒を、結晶セルロースの残りの部分(0.62)およびステアリン酸マグネシウムとブレンドする。このようにして得られた組成物を、圧縮し、タルクおよびヒプロメロースを含むフィルムでコーティングし、78.18mgのピレンゼピン二塩酸塩一水和物および25mgのドネペジル塩酸塩を含有する重量197mgのコーティング錠を得る。
実施例4
実施例3に記載したように操作することにより、次の組成を有する重量400mgのコーティング錠を調製する:ピレンゼピン二塩酸塩一水和物.156.36mg(150mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当)、ドネペジル塩酸塩60mg、ラクトース93mg、トウモロコシデンプン49mg、結晶セルロース39.24mg(38部と1.24部)、高分散二酸化ケイ素1.00mg、ヒドロキシプロピルセルロース5.00mg、およびステアリン酸マグネシウム1.40mg。
実施例5
実施例3に記載したように操作することにより、次の組成を有する重量750mgのコーティング錠を調製する:ピレンゼピン二塩酸塩一水和物372.72mg(300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当)、ドネペジル塩酸塩60mg、ラクトース180mg、トウモロコシデンプン96mg、結晶セルロース39.24mg(72部と2.48部)、高分散二酸化ケイ素10mg、ヒドロキシプロピルセルロース10.00mg、およびステアリン酸マグネシウム2.80mg。

Claims (21)

  1. 5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当するドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩もしくは溶媒和物の1日用量と組み合わせて低コリン作動性障害の処置に使用するための、ピレンゼピンおよびその薬学上許容可能な塩または溶媒和物からなる群から選択される選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  2. 前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩が、5mg~60mgのドネペジル塩酸塩に相当する1日用量で投与される、請求項1に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  3. 前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の1日用量が、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する、請求項1に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  4. 前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の1日用量が、23.01mg~80mgまたは25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する、請求項1に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  5. 前記ピレンゼピンおよび前記ドネペジルが、それぞれ、ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物を医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物、およびドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩を医薬担体と混合して含んでなる医薬組成物に、個々に処方される、請求項1に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  6. 前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物が、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合されて医薬組成物に処方され;個々に、
    前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩もまた、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合されて医薬組成物に処方される、請求項5に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  7. 前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩が、前記組成物中に15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、請求項6に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  8. 前記組成物中に前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩が23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、請求項6に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  9. 前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物が、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合されて医薬組成物に処方され;個々に、
    前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩が、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で医薬担体と混合されて医薬組成物に処方される、請求項5に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  10. 前記組成物が投与単位形であり、前記ピレンゼピンまたはその薬学的許容可能な塩もしくは溶媒和物および前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩の前記量が単位形当たりの量である、請求項5~9のいずれか一項に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  11. 前記ピレンゼピンおよび前記ドネペジルがともに、医薬担体と、前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物および前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩の一定用量の組合せとを含んでなる医薬組成物に処方される、請求項1に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  12. 前記低コリン作動性障害がアルツハイマー病である、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト。
  13. ピレンゼピンならびにその薬学上許容可能な塩および溶媒和物からなる群から選択される選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト;および
    ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩
    を含んでなる、抗-低コリン作動性障害組み合わせ物。
  14. ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩と組み合わせた低コリン作動性障害の処置のための薬剤の製造のための、ピレンゼピンならびにその薬学上許容可能な塩および溶媒和物からなる群から選択される選択的末梢性M1受容体アンタゴニストの使用。
  15. 低コリン作動性障害の処置のための方法であって、ピレンゼピンならびにその薬学上許容可能な塩および溶媒和物からなる群から選択される選択的末梢性M1受容体アンタゴニストを、ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩と組み合わせて、前記処置を必要とする患者に投与することを含んでなる、方法。
  16. ピレンゼピンならびにその薬学上許容可能な塩および溶媒和物からなる群から選択される選択的末梢性M1受容体アンタゴニスト;および
    ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩;
    を医薬担体と混合して含んでなる、医薬組成物。
  17. 前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物が、25mg~600mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し;
    前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩が、5mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩が、15mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩が、23.01mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、請求項17に記載の医薬組成物。
  20. 前記ピレンゼピンまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物が、75mg~300mgのピレンゼピン二塩酸塩に相当する量で存在し、前記ドネペジルまたはその薬学上許容可能な塩が、25mg~80mgのドネペジル塩酸塩に相当する量で存在する、請求項17に記載の医薬組成物。
  21. 前記組成物が投与単位形であり、前記ピレンゼピンまたはその薬学的許容可能な塩もしくは溶媒和物および前記ドネペジルまたはその薬学的許容可能な塩の前記量が単位形当たりの量である、請求項17~20のいずれか一項に記載の組成物。
JP2023542832A 2020-09-22 2021-09-22 ヒト低コリン作動性障害の処置のための医薬の組合せ Pending JP2023544224A (ja)

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202063081643P 2020-09-22 2020-09-22
US63/081,643 2020-09-22
US202063120503P 2020-12-02 2020-12-02
US63/120,503 2020-12-02
US202163153488P 2021-02-25 2021-02-25
US63/153,488 2021-02-25
US202163234290P 2021-08-18 2021-08-18
US63/234,290 2021-08-18
PCT/US2021/051436 WO2022066694A1 (en) 2020-09-22 2021-09-22 Pharmaceutical combination for the treatment of human hypocholinergic disorders

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023544224A true JP2023544224A (ja) 2023-10-20

Family

ID=80844647

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023542832A Pending JP2023544224A (ja) 2020-09-22 2021-09-22 ヒト低コリン作動性障害の処置のための医薬の組合せ

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20230364104A1 (ja)
EP (1) EP4217063A1 (ja)
JP (1) JP2023544224A (ja)
CA (1) CA3192987A1 (ja)
MX (1) MX2023003334A (ja)
WO (1) WO2022066694A1 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5106831A (en) * 1987-08-13 1992-04-21 State Of Israel, Represented By The Prime Minister's Office, Israel Institute For Biological Research Pharmaceutical composition comprising a spiro oxathiolon/quinuclidine and method of treating senile dementia
CA2691844A1 (en) * 2007-07-02 2009-01-08 Ac Immune S.A. Therapeutic compound
US20130289019A1 (en) * 2012-04-26 2013-10-31 Amazing Grace, Inc. Methods of treating behaviorial and/or mental disorders
HUE053239T2 (hu) * 2014-11-19 2021-06-28 Axon Neuroscience Se Humanizált tau-ellenanyagok Alzheimer-kór kezelésére

Also Published As

Publication number Publication date
WO2022066694A1 (en) 2022-03-31
US20230364104A1 (en) 2023-11-16
EP4217063A1 (en) 2023-08-02
CA3192987A1 (en) 2022-03-31
MX2023003334A (es) 2023-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9044472B2 (en) Use and composition for treating dementia
KR102559354B1 (ko) 치매 치료
CA3071377C (en) Compositions and methods for improving muscle weakness in patients suffering from myasthenia gravis and other myasthenic syndromes
KR102623819B1 (ko) 시누클레인병변을 치료하기 위한 조성물 및 방법
JP2023544224A (ja) ヒト低コリン作動性障害の処置のための医薬の組合せ
CN116635034A (zh) 用于治疗人低胆碱能障碍的药物组合
WO2020014072A1 (en) Neostigmine pharmaceutical combination for treating myasthenia gravis
WO2019023175A1 (en) PHARMACEUTICAL COMPOSITIONS AND METHODS OF USE AND NEOSTIGMINE AND AN ANTAGONIST NK-1 FOR THE TREATMENT OF SEVERE MYASTHENIA
IL270104B (en) A combination of pramipexole and a 5ht3 antagonist for use in the treatment of depression
US11752141B2 (en) Pharmaceutical compositions and methods utilizing neostigmine and an NK-1 antagonist for treating myasthenia gravis
TW201806599A (zh) 用於快速開始抗抑鬱作用之給藥方案
AU2016231489B2 (en) Composition for treating dementia
AU2016231493B2 (en) Composition for treating dementia
AU2014277685B2 (en) Composition for treating dementia
US20060079514A1 (en) Methods and compositions including methscopolamine bromide
CN117529318A (zh) 治疗阿尔茨海默病的方法