JP2023543422A - 円筒状導波管を有する光学システム - Google Patents

円筒状導波管を有する光学システム Download PDF

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Abstract

光学システムは、円筒状導波管と、入力側光学素子とを備える。円筒状導波管は、共通の円筒軸線を定める同心の内側面及び外側面を有する。入力側光学素子は、画像源からの光を受光するために且つ受光した光を円筒状導波管に進入させるために配置されており、この配置は、画像源の同じ画素からの光線全てが、各入射点において、面法線に対して同じ角度で且つ円筒軸線に垂直な平面に対して同じ角度で、円筒状導波管の一面に入射するようになされている。これにより、取り込まれた光は、円筒状導波管に沿って伝播するときに、その方向角を維持する。ヘッドマウントディスプレイの一部を形成しうる光学表示デバイスが、本件光学システムを使用して提供され得る。【選択図】図5a

Description

本開示は、ヘッドマウントディスプレイ等の光学表示デバイスの一部を形成し得る光学システムに関する。
拡張現実の分野においては、透明なコンバイナを使用して、仮想イメージが実世界に重ね合わされてユーザに表示される。このコンバイナは、プロジェクタからの画像をユーザの眼の方に向け直すものである。現在の解決方法では、一般に、ガラス製又はプラスチック製の基体から作られた、平坦又は平面状の透明な導波管を使用している。この場合は、光は、回折格子(又は類似物)を介して導波管に取り込まれ、(全反射によって)導波管の内側を通り、同様のアウトカプラーに達し、そこで取り出されてユーザの眼に達する。当該分野においては、導波管の厚さは一般に僅か数ミリメートルであり、「ライトガイド」とも呼ばれている。
図1を参照すると、このような光学システムの概略図が示されており、これは、平面状の導波管を備えている。この光学システムは、オブジェクトディスプレイ(画像源)10と、コリメータレンズ20と、平面状の導波管30と、インカプラー40(回折格子等)と、アウトカプラー50とを備えている。オブジェクトディスプレイ10上の一点からの複数の光線60が示されている。これら光線は、導波管の表面に垂直に入射する。単一光線70の経路も示されており、これは、導波管30を通り、アウトカプラー50を介してユーザの眼80に達している。導波管30の厚さは数ミリメートルのオーダーであり、インカプラー40とアウトカプラー50との間の距離は数センチメートルのオーダーであり、インカプラー40の回折格子の横周期は、数分の一ミクロンのオーダーである。
このような一般的な平面状導波管の設計においては、オブジェクトディスプレイ10は、コリメータレンズ20によって、コリメータレンズ20の焦点距離に結像される。コリメータレンズ20は、画像担持光を、水平及び鉛直(タンジェンシャル及びサジタル)の両平面にコリメートする。
コリメートされた光は、インカプラー40によって導波管に取り込まれる。インカプラー40は、リニア型回折格子又はホログラフィック回折格子でもよい(他の選択肢として、プリズムなどの屈折光学素子が挙げられる)。これは、ガラス製又はプラスチック製の、導波管又は基体30に入れるように、臨界角より大きい角度で光を回折する。
本願において考えられている諸設計においては、交換可能に且つ相互運用可能に使用できるものには、回折格子、ホログラフィック回折格子、ホログラム、表面ホログラム、エンボスホログラム、リソグラフィによって製作された回折格子、体積型回折格子、又は、スラント型回折格子が挙げられる。光線追跡には、回折格子のkベクトル又は運動量ベクトルの格子周期の横方向成分が重要である。特定材料の選択、製作手段、及び横断面は、回折効率、回折次数、機械的可撓性、及び波長帯域に影響を与え得るが、収差及び解像度には影響しない。リニア型回折格子がコリメート光を受光すると、リニア型回折格子はコリメート光を回折するが、コリメーションを維持する。すなわち、所与の一画素からの全ての光線は、方向が変化するが、それら光線同士は平行のままである。
光が導波管の外側面に当たると、全反射(TIR:total internal reflection)するため、光は内側に跳ね返る。この角度は、導波管の屈折率nによって決まる。一般的な値はn=1.5であり、臨界角は42度であり、案内角は法線に対しておおよそ60~70度である。屈折率がより高いガラス類は、臨界角がより低くなるので、視野(FOV:field of view)をより大きくすることが可能となる。
この手法の利点の1つは、所与の一画素からの全ての光線が平坦な導波管の内側を同じ角度で移動することである。したがって、二重又はゴースト画像の問題を引き起こさずに、全ての光線の重ね合わせ又は入れ換えを導波管の内側で行うことができる。
これは、導波管の主要機能を実現する、すなわち瞳複製を実現するための鍵であり得る。拡張現実(AR:Augmented Reality)の分野においては、相対的に小さな光学素子が極めて望ましい。これは、小型プロジェクタを使用することを意味する。小型プロジェクタが生じる瞳(基本的に、同じ画素から生じた光線束)は小さく、これは、例えば、一般的な双眼鏡の小さな瞳(接眼レンズの上方に浮かんでいる小さな輝点)を見ることで認識可能である。
アウトカプラー50(導波管出力部回折格子)は、100%未満の回折効率(部分回折効率とも呼ぶ)で光を部分的に抽出することによって瞳を複製できる。例えば、10%の回折効率は、10%の光を抽出し、残りの90%をさらに伝播させる。このプロセスは、伝播された光が出力部回折格子50に次に遭遇したときに繰り返される。より先進的な、可変の回折効率を有する回折格子は、異なる瞳複製同士間で光の強度の均衡化に役立つ。
これは、出力部回折格子を特定の場所に位置付ける必要がない点において、出力部回折格子による光抽出タスクを確実にする。導波管の射出瞳は、出力部回折格子50の全体にわたって延在する1つの連続瞳として扱うことができる。同様に、拡大瞳は、視野(ディスプレイ上の発生画素の位置)に応じて、出力部回折格子に沿って移動しない。
二次元の瞳拡大は、最初にリニア型中間回折格子による部分回折によって瞳をある方向に複製し、その後、リニア型出力部回折格子による部分回折によって別の方向に複製することによって、実現される。合わせて3つ又はそれ以上の回折格子が使用されることになる。これは、マイクロソフト社(Microsoft Corporation)が販売しているホロレンズ(HoloLens(登録商標))の導波管やウェイブオプティックス社(Waveoptics,Ltd)が販売している導波管において実現されている。
この手法の限界は、消費者は湾曲した眼鏡に慣れているのに導波管30のガラスが平坦でなければならないことである。平坦な導波管を湾曲した度付き眼鏡に組み合わせることは、ユニットを分厚くしなければ難しい。また、ハイカーブグラスを使用する用途もあり、例えば、バイク用ヘルメットのバイザー、軍用バイザー、戦闘機パイロット用ヘルメット、ダイビング用ゴーグル、消火活動用サーモバイザー、医療用保護眼鏡、溶接用マスク、飛行機の風防、自動車又はスクータの風防等が挙げられる。平坦な導波管を、ユーザとバイザーとの間における利用可能な限られた空間に収めようとする試みは難度が高いものである。
自由空間反射型光学素子をベースとしたコンバイナによる解決方法も複数あるが、これら解決方法では、一般に、アイボックス(画像が見える領域)が小さい。これらは用途によっては不適である。これに対して、導波管による解決方法はアイボックスが大きく、そのため導波管による解決方法が望ましい。アイボックスが大きいことは、AR眼鏡の設計の単一バリエーションで大半の人々に適合させることができてユーザが仮想イメージを容易に見ることができることを意味する。アイボックスが小さいことは、ユーザ毎に瞳孔間距離(IPD:inter-pupillary distance)が異なるためにAR眼鏡を特定のユーザに機械的に調整又はフィットさせる必要が生じてコスト及び複雑さが増大することを意味する。
湾曲導波管を使用することは、特許文献1~15等の様々な文献に示唆されている。また、非特許文献1及び2に、同様の示唆が論じられている。
国際公開第2006/064301 号 米国特許出願公開第2010/031571号 独国特許出願公開第102017119440号 米国特許第8,842,368号 米国特許第8,810,913号 米国特許第9,733,475号 米国特許出願公開第2018/0292593号 米国特許出願公開第2019/0317261号 英国特許第2553382号 米国特許第10,048,647号 米国特許出願公開第2016/0195720号 米国特許出願公開第2019/0072767号 米国特許出願公開第2018/0373115号 米国特許出願公開第2019/0369403号 米国特許出願公開第2018/0348527号
カリニナ・アナスタシア(Kalinina,Anastasiia)及びアンドレイ・プチーリン(Andrey Putilin)共著「湾曲楔形導波管を使用した広視野拡張現実眼鏡(Wide-field-of-view augmented reality eyeglasses using curved wedge waveguide)(学会発表)」、没入型ディスプレイのためのデジタル光学素子II.第11350巻、国際光工学会、2020 エドワルド・デ・フーグ(DeHoog,Edward)、ジェーソン・ホルムステッド(Jason Holmstedt)、及びティン・アイェ(Tin Aye)共著「幾何学的導波管を使用したシースルー型HMDにおける視野限界(Field of view of limitations in see-through HMD using geometric waveguides)」、応用光学55.22(2016):5924-5930
これら文献の一部は、湾曲導波管に簡略に言及しているにすぎない。他の文献は、湾曲導波管をより詳細に論じているが、無限遠に投射したときに、同じ画素からの複数の光線を発散させずに、瞳を連続的に複製する方法を説明しているものはない。これら手法では、通常、導波管内を伝播する瞳は1つしか存在しないので、瞳拡大は不可能にである。他の設計は、視線追跡に依存している。これらの設計は、一般に、収差を含む出力が生じるので、入力画像を予め歪めるための複雑なソフトウェアを必要とする。したがって、このような解決方法は、費用がかさむ上に製造が複雑となるだろう。
市場には平面状の導波管を用いた既存のやり方が多数存在するが、前述のものを含む実施例が多く示唆されているにも拘わらず、湾曲導波管や円筒状導波管製品は市販されていない。これは、ユーザに出力する時に画像の収差を大きくせずに(品質を下げずに)光を導波管内で伝播させることが困難であるためと思われる。
大規模市場向けに製造できる製品を実現しつつこの問題を軽減することは、依然として難題である。
この背景に対して、請求項1に記載の光学システムと、請求項24に記載の光学表示デバイスと、請求項25に記載のヘッドマウントディスプレイとが提供される。その他の好適な且つ任意選択可能な特徴は、他の請求項及び本開示の他の記載において規定されている。
同心の(内側及び外側)面を有する円筒状導波管を使用した光学システムが考えられる。このような構造の円筒状導波管を使用すると、曲面間で光を収差なしに移動させることができる。これは、有利には、画像源(特に、画素化された画像源、又は、少なくとも理論上は複数の画素に分割可能な光出力を有する画像源)から光を受光するように且つこの光を円筒状導波管に供給するように配置されている、複数の入力側光学素子と共に実現される。画像源の同じ画素からの光線全てが、各入射点において、入射面法線に対して同じ角度で、円筒状導波管に入射する。したがって、画像源の中心画素からの光線全てが、円筒状導波管上の何れの点においても、円筒面に垂直に入射する。非中心画素からの光線は、各入射点において、表面法線に対して同じ角度で入射する。さらに、画像源の同じ画素からの光線全てが、各入射点において、円筒軸線に垂直な平面に対して同じ角度で、円筒状導波管に入射する。すなわち、全ての光線の伝搬方向が同じに維持される。
入力側光学素子及び導波管構造を鑑みて、円筒状導波管において受光された(一般に円筒状導波管に取り込まれた)光は、円筒状導波管に沿って伝播するときに、その方向角を維持する。すなわち、所与の一画素からの光線は全て、どれだけ遠くに伝播しようとも、各光線の入射点において光線と面との間で測定された角度と同じ角度で、出力部回折格子に接近する。一般に、入力側光学素子は、インカップリング(又は射出)光学素子を備える。
アウトカップリング光学素子は、円筒状導波管に沿って伝播した光を受光し且つこの光を画像としてオブジェクト(特に、ユーザの眼、すなわちビューア)に出現させるように配置してもよい。一部の実施形態においては、画像源(電子ディスプレイ等)又は(その上に画像源を位置付け可能な)画像源取り付け台又はその両方が光学システムの一部を形成してもよい。
光学システムは、光学表示デバイス(例えば、ヘッドマウントディスプレイ)を実装するために使用されてもよい。有利には、画像源は、光をインカップリング光学素子に向かわせるように構成されている。ユーザが装着できるように構成された(例えば、ヘッドセット、バイザー、光学眼鏡の一部をなす)取り付け装置を、アウトカップリング光学素子が光を画像としてユーザの眼に出現させるように光学システムを位置決めするために使用してもよい。好適な一実施形態においては、円筒状導波管は、取り付け装置の眼鏡又はバイザー構成要素に一体化されているか又は埋め込まれているか又は取り付けられる。
受光された光を円筒状導波管に取り込むためのインカップリング光学素子の特定の一面は、回折格子である。有利には、一定の周期を有するインカップリングリニア型回折格子が使用される。この周期は、インカップリング回折格子の表面に沿って横方向に測定される。有利には、インカップリングリニア型回折格子は、曲面に取り付けられる。このインカップリングリニア型回折格子の好適な一実施例は、可撓性ホログラフィック材料を使用している。インカップリングリニア型回折格子は、円筒状導波管の表面に取り付けられてもよい(且つ、空隙なく当該表面に合致することが好ましい)。インカップリング回折格子(又は、この形態の少なくとも1つ)を使用しない代わりの構造が複数考えられる。例えば、導波管の全体が円筒形である必要はなく、導波管の一部分のみが前述の特性を備えた円筒形となっている。光は、別の部分を通って導波管に進入してもよく、よって、この別の部分が入力側光学素子の一部をなしてもよい。
平坦な導波管のために使用されている伝統的なコリメート用光学素子と異なり、本開示において提案される入力側光学素子は、一画素からの光線全てが平行であるわけではないので、古典的な光学設計用語においては、正確にはコリメータと呼ばないだろう。むしろ、好適なインカップリング(プロジェクタ)光学素子は、円筒軸線を通過する平面(すなわち、平行ではなく且つ全体を含むこともない平面)(のみ)に、より好ましくは円筒軸線に垂直な平面(のみ)に、光をコリメートするか又は適合させるかするように配置された光学デバイスを備える。例えば、眼鏡及びヘルメットの場合、円筒軸線は鉛直であり、平面は好ましくは水平である。このように、光線は全て、入力部回折格子に、この平面において同じ角度で入射する。この目的のために、シリンドリカルレンズやミラー等波面整形デバイスを使用できる。光学設計の最良事例において慣例的であるように、中心画素の光線全てが、有利には、導波管の面に対して垂直な角度で入射し、対称性の故に収差管理がより容易になるだろう。この平面の他の画素は、入力部回折格子回折格子に他の角度で入射する光線を発生させるだろうが、同じ画素からの他の光線に対しては平行となるだろう。
ただし、円筒軸線に直交する一平面(例えば、水平平面)においては、光はコリメートされなくてもよいが、同じ画素からの光線全てが、面法線に対して同じ入射角度を有するように、整形されたほうがよい。この場合、この法線は、異なる入射点毎に別個に考えられる。面法線は全て、円筒軸線の方に向かっている。
この条件を満たす最も単純な波面形状は、導波管の円筒形状と同心の円筒状波面である。この場合、中心画素からの各光線は、導波管の円筒軸線から半径方向に伝播し、面に直角入射で進入する。この波面は、有利には、画像源(ディスプレイ)の中心を導波管軸線合わせて、画像源を配置することによって形成される。この場合、集光力を鉛直平面のみに有するように、シリンドリカルレンズ又はミラーが配置される。
場合によっては、例えば、より多くの画素又は全ての画素に対する性能を最適化するため又はプロジェクタの体積を最小化するため又はその両方のために、さらなる入力側光学素子又は異なる入力側光学素子が設けられてもよい。これは、ディスプレイを近付けるために水平平面に合焦する光学素子を利用することを含んでもよい。凹状ミラーが使用される場合、画像源又はインカップリング光学素子又はその両方が、ミラーとは反対の導波管の側から光が導波管に進入しそれから反射されその後に回折されるように、配置されてもよい。
光は、(例えば、インカップリング光学素子とアウトカップリング光学素子との間の)円筒状導波管内を、以下の方向に伝播してもよい。円筒軸線に平行な(ベクトルによって規定される)方向(例として鉛直方向)、は、円筒軸線に垂直な(ベクトルによって規定される)方向(水平水平でもよく、特に導波管の周囲周りの水平方向)に、又は、円筒軸線に平行な方向と垂直な方向との間における、ベクトルによって規定される方向(一般に、斜め方向)。
アウトカップリング光学素子は、通常、アウトカップリング回折格子を備えている。原理上、リニア型回折格子の使用も可能であろう。ただし、導波管を実際に使用する際は、ビューアが円筒体の内側にある。したがって、単純なリニア型回折格子は、ビューアのはるか前方ではなく、水平平面の円筒軸線に光を集束させる(鉛直線の光になる)ので、単純なリニア型回折格子は、このような状況において光を抽出するには適切ではない。これに対して、発散レンズ特性は、光を水平方向にコリメートさせることができる(鉛直方向には、既にコリメートされている)。これは、アウトカップリング回折格子に負の屈折力を水平方向に加えることによって実現され得る。類推によると、回折格子は、プリズム機能とシリンドリカル負レンズ機能との和である。このような回折格子の記録方法は、公知の例が多数存在する。このような回折格子は、入力部回折格子とは対照的に、「リニア型」とは呼ばないだろう。両平面にさらに集束させることによってデジタル画像をビューアからの任意の距離に配置させるために、出力部回折格子を選択することが可能である。
円筒状導波管が、ユーザの視力を既に補正しているヘッドマウント構造(例えば、度付き眼鏡)の内側に埋め込まれている場合は、これを考慮に入れるために、入力部回折格子及び出力部回折格子も補正されてもよい。光が導波管の内側を伝播するときに、重なった層全体の「サンドイッチ(sandwich)」に光がどのように進入し且つ出てくるかによらず、光の上述の状態を維持することが肝要となる。
好適な実施形態において、画像源又は画像源取り付け台又はその両方は、円筒状導波管の内側面の側面に(円筒軸線のより近くに)位置付けられてもよい。このとき、インカップリング光学素子は、画像源と円筒状導波管の内側面との間に配置される。あるいは、画像源又は画像源取り付け台又はその両方は、円筒状導波管の外側面の側面に(円筒軸線から離れて)位置付けられてもよい。この場合、画像源から光を受光し且つこの受光した光を円筒状導波管に向けて反射させるために、(前述のように、入力側波面整形デバイスとしても機能し得る)ミラーが配置されてもよい。このような実施形態において、画像源からの光は、円筒状導波管を通過してから、ミラーに達してもよい。
円筒状導波管内の1つ又は複数の中間光学回折格子は、アウトカップリング光学素子の手前で、光の向きを変えること、光を回折すること、光を分割すること、のうちの1つ又は複数を行ってもよい。有利には、1つ又は複数の中間光学回折格子をそれぞれ、リニア型回折格子とすることができ、伝播光の角度特性(TIR状態、且つ、同じ画素からの光線全てが、面法線に対して同じ角度で且つ円筒軸線に垂直な平面に対して同じ角度で、円筒状導波管表面に入射すること)が維持され、これにより、収差なく二次元の瞳拡大を可能となる。
複数の円筒状導波管を使用してもよい。この場合、アウトカップリング光学素子は、各導波管からの光に対して、それぞれ異なる焦点を生じさせてもよい。
上述の特徴及び本願明細書の他の箇所に記載の特徴の、さまざまな組み合わせも考慮し得る。光学システム又は光学表示デバイスの製造方法又は動作方法又はその両方を考慮し得る。これらは、本願明細書に記載のものに対応する構造上の特徴を有し得る。
本開示は、いくつかの方法で実施することができ、好適な実施形態をいくつか、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
平面状の導波管を備えた既存の光学システムの概略図を示す。 本開示で使用される円筒状導波管を模式的に示す。 本開示で使用する図2の円筒状導波管の特性を模式的に示す。 本開示の第1の実施形態による光学システムを上から見た概略図を示す。 図4における実施形態の斜視図を示す。 図5aの実施形態を上から見た概略図を示す。 図5aの実施形態の側面図を示す。 本開示のある実施形態で使用される円筒状導波管及び簡略化されたアウトカップリング光学素子を上から見た概略図を示す。 本開示による動作プロセスのフローチャート例を示す。 本開示の第2の実施形態による光学システムを上から見た概略図を示す。
本開示全体を通して、複数の異なる図面に同じ特徴が示す場合は、同一の参照符号を使用する。
本開示が提案する新たな手法は、有利な点としては、拡張現実ヘッドマウントデバイスを対象としている。本手法は、円筒状導波管に基づくものであり、システム全体を考えている。特に、これは、導波管の曲率を入力光の波面に合わせることを含んでもよい。また、本システムは、製造及び位置合わせが簡単であり且つ安価である。また、導波管の円筒形状は、平坦な導波管プレートに比べて、球面同士の間にある円筒体にフィットし易いので、度付き眼鏡の形状の内側により好適にフィットする。これにより、全厚を約15mmから約5mmに減らすことができる。空隙又は屈折率変化を利用することによって、導波管を度付き眼鏡に埋め込むことも可能である(例えば、特許文献15を参照。この文献の詳細は引用によって本願明細書に組み込まれる)。
初めに図2を参照すると、本開示で使用する円筒状導波管が模式的に示されており、画像源(オブジェクトディスプレイ)110と円筒状導波管120とが示されている。円筒状導波管120は、2つの同心面を有し、これら同心面の間は一定の厚さ(t)である。画像源110は、円筒状導波管120の曲率中心100に位置している。曲率中心100と円筒状導波管120の内側面との間の距離(R)及び曲率中心100と円筒状導波管120の外側面との間の距離(R)が示されている。R=R+tは明らかであり、これは、これら2つの距離が円筒状導波管120のどこで測定されるかに拘わらず、当て嵌まる。換言すると、このような円筒状導波管120は、共通の曲率中心を有し、円筒状導波管120の内側面の半径と外側面の半径とは、導波管の厚さ(t)だけ離れている。このような円筒状導波管120の単純な同心形状によって、製造はより安価に行えるようになり、公差は大量生産向けにより容易になる。
次に図3を参照すると、本開示で使用する図2の円筒状導波管の特性が模式的に示されている。シリンドリカルレンズ135及び回折格子140も示されている。(円筒状導波管120の各同心面の曲率半径の中心に位置する)画像源110の中心画素からの複数の光線がシリンドリカルレンズ135による集束によって1つの平面にコリメートされる。これは、波面整形とも呼んでもよい。このような波面整形された複数の光線は、その後、インカップリング回折格子140によって角度βで円筒状導波管120に取り込まれる。これらの入射光線は、入力部回折格子の面に沿ったあらゆる点において、回折格子の面に垂直である。角度βは、法線と内部光線との間の角度が導波管の臨界角未満であるようになっており、βは一般には48度より小さく、より好ましくは小さくとも30度且つ最大で40度である。中心画素以外の画素は、僅かに異なる角度、例えばβ+1で、導波管に取り込まれるが、この角度は回折格子の面に沿ったあらゆる点において一定である。
上で言及した非特許文献2は、図2及び図3の円筒状導波管120が示すように、円筒状導波管の2つの面が同心である場合(且つこの場合に限り)、外側面に光線が入射する角度は、内側面で1回跳ね返った後と同じであることを証明している。したがって、光線は、導波管に沿って伝播するとき、その方向角を維持している。これは、面の各半径が別の選択をされた場合には当て嵌まらない。図3に示されているように、光線が外側面で跳ね返ったときの角度がαであると、内側面との角度が角度βになり、その後、外側面での次の跳ね返り時の角度がαになる。換言すると、導波管の内側における入射角度は、導波管の面での1つおきの跳ね返り毎に同じになる。画素からそれぞれ回折格子の左側、中心、右側に入射する光線は、外側面での跳ね返った後、導波管の全体にわたって同じ角度で内側面に接近する。中心画素以外の画素は、異なるα値及びβ値を有するが、上記の関係は依然として維持される。この特性により、瞳複製が可能となる。
画像源上の同じ点からの光線全てをこのような円筒状導波管120に同じ角度で入射させることにより高性能且つコンパクトな光学システムが実現可能であることが認識されている。例えば、インカップリング光学素子においては、この要求を満たすように、シリンドリカルレンズ135及び回折格子140を構成することができる。
一般には中心の光線角度で論じられるが、画像源オブジェクト110(例えば、マイクロディスプレイ)では他の角度も発生する。これにより、ユーザに対する画像の視野を生じる。これらの他の光線角度は、円筒状導波管120を通って同じように伝播する。視野の端縁(オブジェクトの端縁)からの光線には小さな収差(画像品質の欠損)がある程度存在するが、これは(当該技術分野で周知のように)ユーザに気付かれることはほとんどなく、光学手段によって補正可能である。理想的には、収差は、人間の視力である視角1分未満に維持されるべきである。
ここで、これらの収差は跳ね返り回数に伴って蓄積されることはないことを理解されたい。例えば、所与の一画素からの1つの光線が60.0±0.1度の角度範囲で導波管内に回折する場合、いかなる回数の跳ね返り及び瞳複製の後でも、システム全体の角度分解能は、これら光線がどのように入れ換わったりシャッフルしたりするかに拘わらず、依然として±0.1度の分解能を維持する。これは、伝送に伴って収差が蓄積される導波管とは対照的である。
したがって、一般的な意味において且つある態様によると、入力側光学素子を有する円筒状導波管を備えた光学システムが考えられ得る。円筒状導波管は、同心の(凹状の)内側面及び外側面を有し、これにより、円筒状導波管内を伝播する光の角度が維持される。これら同心面は、共通の円筒軸線(共通の中心線)を定める。入力側光学素子は、画像源から光を受光するため且つこの光を円筒状導波管に進入させるために配置される。このとき、画像源上の同じ点からの光線全てが、入射点において面法線に対して同じ角度で円筒状導波管の一面に入射するように、入力側光学素子は配置される。また、入力側光学素子は、画像源上の同じ点からの光線全てが、入射点において円筒軸線に垂直な一平面に対して同じ角度で円筒状導波管に入射するように、配置される。特徴をこのように組み合わせることは、円筒状導波管に入る光が円筒状導波管に沿って伝播するときに、この光はその方向角を維持することを意味する。
入力側光学素子は、光を円筒状導波管の一面(好適な複数の実施形態においては、内側面)に取り込むように構成されたインカップリング光学素子を備えることが好ましい。有利な点としては、アウトカップリング光学素子が配置されており、このアウトカップリング光学素子は、円筒状導波管に沿って伝播した光を受光し且つこの光を画像としてオブジェクトに出現させる。必要に応じて、光学システムは、画像源(マイクロディスプレイ等のディスプレイ)又は画像源用の取り付け台(画像源取り付け台)又はその両方を備えてもよい。
本開示によるさらなる態様を考えることができる。例えば、光学表示デバイスは、本願明細書に記載されているような光学システムであって、光をインカップリング光学素子に向かわせるように構成された画像源を有する光学システムと、取り付け装置であって、特にユーザが装着できるように構成された取り付け装置とを備えてもよい。取り付け装置は、アウトカップリング光学素子が光を画像としてユーザの眼に出現させるように、光学システムを位置決めしてもよい。例えば、これは、眼鏡フレーム、バイザー構造又はヘルメット構造、又は、他の装着可能な取り付け台を有してもよい。必要に応じて、このような光学表示デバイスを備えたヘッドマウントディスプレイを考慮してもよい。この場合、取り付け装置は、眼鏡構成要素又はバイザー構成要素を有してもよい。円筒状導波管は、眼鏡構成要素又はバイザー構成要素に一体化されているか又は埋め込まれているか又は取り付けられていると有利である。
このような光学システムの製造方法又は動作方法又はその両方において、別の態様を考えてもよい。例えば、光学システムの製造方法は、同心の内側面及び外側面を有する円筒状導波管を設けるステップと、画像源から光を受光するために且つこの光を円筒状導波管に進入させるように(例えばインカップリング光学素子を備えた)入力側光学素子を配置するステップであって、画像源の同じ点からの光線全てが、各入射点において、面法線に対して同じ角度で且つ円筒軸線に垂直な平面に対して同じ角度で、円筒状導波管の一面に入射するように、この配置が行われるステップと、を含んでもよい。本方法は、円筒状導波管に沿って伝播した光を受光し且つこの光を画像としてオブジェクトに出現させるように、アウトカップリング光学素子を構成するステップをさらに含んでもよい。同様に、光学システムの動作方法は、画像源の同じ点からの光線全てが、各入射点において、面法線に対して同じ角度で且つ円筒軸線に垂直な平面に対して同じ角度で、円筒状導波管に入射するように、光を画像源から円筒状導波管の入力側光学素子に向かわせるステップを含んでもよい。円筒状導波管に沿って伝播した光は、(アウトカップリング光学素子によって)画像としてオブジェクトに出現させられることが好ましい。
以下においては、さらなる好適な、任意選択可能且つ有利な特徴であって、特に本願明細書に開示する態様全てに適用可能な特徴を説明する。初めに、特定の実施形態の一つを説明する。
ここで図4を参照すると、本開示の第1の実施形態による光学システムを上から見た概略図が示されている。この図面においては、紙面は(及び平行な平面の何れも)水平であるとみなし、紙面から出る垂直平面は(及び平行な平面の何れも)鉛直であるとみなす。したがって、円筒状導波管120は、例えば、円筒状バイザーのように、一平面上に可視化することができる。この図面には、アウトカップリング回折格子150も示されている。画像源110は、円筒状導波管120から、円筒状導波管120の曲率半径に等しい距離だけ離れて配置されている。上で説明したように、シリンドリカルレンズ135は、入力光を1つの平面のみにコリメートする(又は適合させる又は度数を大きくする)。特に、鉛直平面における度数を大きくする。その後、これは、入力として、リニア型回折格子140に合わせられる。これは、円筒状導波管120の曲面に印加されると、回転対称性を有する導波管に沿って画像担持光が伝播する(すなわち円筒軸線を中心として導波管の映像を回転させることができるので、所与の一画素からの複数の光線が導波管表面に対して同じ角度を維持することになる)。これにより、出力部回折格子150の配置に応じてシステムが変化しなくなるので、精確な位置合わせは不要になる。出力部回折格子150は、相対する平面(水平平面)において負の集光力を光に印加する(すなわち、光を分散させる)ことによって補正を行い、出力が無限遠に設定された拡大アイボックスをユーザ(図示せず)に提供する。これにより、瞳複製によって出力アイボックスを拡大できる。
したがって、この設計により、導波管全体に沿って回転対称に伝播可能な波面を円筒状導波管120内に生じさせる。点状の画像源110から放出された球状波面は、水平平面(上述した、図4の紙面)において導波管120の曲率に自ずから適合し、鉛直平面(上述のように図4の紙面から出る方向の平面)において、シリンドリカルレンズ135によって度数が大きくなる。これが意味するのは、光線の角度は、2回跳ねった後、同じ角度にマッピングされ、これが無限に繰り返される。したがって、瞳の複製(複数回の抽出)が可能になるので、アイボックスを一次元(水平)において拡大することができる。鉛直アイボックスの大きさは、シリンドリカルレンズ135の鉛直方向の大きさによって設定される。これにより、(入射瞳に対するアウトカプラーの位置が厳しくないので)位置合わせ公差が緩和され、導波管の厚さの選択及び中心光線の案内角も緩和される。
次に図5aを参照すると、図4におkうぇう実施形態の斜視図が示されている。図5bには、図5aの実施形態を上から見た図が示されている。図5cには、図5aの実施形態の側面図が示されている。1つの平面にコリメートされた光101は、円筒状導波管120に取り込まれ、複数の光線102が導波管120を通って伝播し、回折格子150によって取り出されて、投射された光103がユーザの眼160に届くことになる。
この特定の実施形態において、画像源又はオブジェクト110はマイクロディスプレイであり、円筒状導波管120から導波管の曲率半径に等しい距離だけ離れて配設されている。これは、画像源110を物理的にこの距離に配置することによるか又は画像源110を光学手段(レンズ等)によって仮想的にこの距離に配置することにより、実現される。画像は、シリンドリカル平凸レンズ135によって1つの平面にコリメートされ、円筒状導波管120の内側の凹面に配置されたインカップリング回折格子140に取り込まれる。シリンドリカルレンズ135の向きは、シリンドリカルレンズ135の集光力が円筒状導波管120の対向面にあるようになっている。例えば、湾曲した導波管が水平に向けられている場合(ヘルメットバイザーのように、又はテーブル上に載置されているように、向けられているとき)、湾曲した導波管は集光力を水平平面内に有するので、点源からの光を、曲率半径で鉛直線内へ反射することになる。この場合、シリンドリカルレンズ135は、対向する鉛直平面に向けられており、集光力を鉛直平面内に有するので、点源からの光を、曲率半径で水平線内へ集束させることになる。
したがって、画像担持光は、単一平面(水平平面)のみにコリメートされてから、導波管に入る。円筒状導波管120の曲率により、この光は垂直(鉛直)平面に集束する。これにより、導波管に入る光の瞳全体が導波管に沿って伝播できるので、出力側での瞳拡大が可能になる。
シリンドリカルレンズ135の焦点距離により、オブジェクトの拡大率が決まる。レンズ135は、オブジェクト110から1つの焦点距離だけ離れた位置に設定されている。シリンドリカルレンズ135が円筒状導波管120の隣に配置された場合、シリンドリカルレンズ135の焦点距離は、導波管の曲率半径にほぼ等しくなる。例えば、バイザー型導波管の一般的な曲率半径である200mmは、オブジェクトが200mm離れており、シリンドリカルレンズの焦点距離が200mmであったことを意味する。小型化するために導波管からオブジェクトまでの距離200mmを縮めることができるが、これは、光路を複数のミラーによって折り返すことによるか又は複数のレンズを使用して光学的にオブジェクトの距離を仮想的に設定することにより可能となる。
シリンドリカルレンズ135を選択(直径及び焦点距離の少なくとも一方)することにより、(レンズの直径によって決まる)鉛直アイボックスの大きさが決まる。また、焦点距離により、ディスプレイ110の拡大率、ひいては画像の視野(FOV:field of view)(ディスプレイのサイズ)が決まる。一般に、シリンドリカルレンズ135には、(カメラに使用されるような)マルチエレメントレンズが使用される。これにより、視野全体にわたって良好な画像品質(視野全体にわたる小さなスポットサイズのRMS)が提供される。瞳複製システムが複数の瞳を精確に重ね合わせて高解像度画像を提供するには、これは特に望ましい。このレンズシステムは、フルカラーマイクロディスプレイには色消しであることが理想的であるが、単色でも可能である。湾曲した導波管120の視野は、主に同様の諸要因によって決定され得るが、ユーザを中心として湾曲している性質により、平面状の導波管に比べて、視野が拡大されることになる。これは、非特許文献2に示されている。
インカップリング回折格子140は、格子線間の面間隔(ピッチ)が等しいリニア型回折格子である(又は、体積型ホログラフィック回折格子における縞間隔が等しいことに相当する)。この回折格子は、リソグラフィ又は干渉法によって製作可能である。1つの平面にコリメートされた全ての光線は、格子面の幅全体に亘って垂直に(表面に対して90度で)入射し、その後、導波管内部において同じ角度で回折する。これにより、瞳複製が可能になる。
湾曲した導波管上にインカップリング回折格子があることは、導波管が湾曲していることによってコリメート光がインカップリング回折格子の幅全体にわたって垂直に入射しないことを一般に意味する。これに対する一般的な解決方法としては、これを補正するためにインカップリング回折格子のピッチを変化させるか、又は、ホログラムを曲面に直接記録するか、又は、曲面上にリソグラフィによってエッチングすること(複雑で高価)が挙げられる。本開示による好適な実施形態においては、インカップリング回折格子140は、平面状のリニア型回折格子として平坦な基体上に製作される(これは、当該技術分野において周知であり、可変回折格子に比べ相対的に安価且つ簡単である)。回折格子140は、感光性樹脂等の任意の可撓性ホログラフィック材料(例えば、コベストロ社が販売しているベイフォル(Bayfol(登録商標))、又はハロゲン化銀膜)上に製作可能であり、導波管の円筒面に合致させて、円筒面に取り付け(積層)可能である。インカップリング回折格子140は、好ましくは積層(又は別の屈折率を整合する接着剤又は液体)によって、円筒面の形状に合致するように且つ望ましくは空隙が無いように屈折率が整合される。ホログラムを平坦な基体に記録して除去し、平面状基体又は(一次元にのみ湾曲した)円筒状基体に可撓性ホログラフィック材料を積層することは簡単且つ安価であるが、曲面に記録したり(二次元に湾曲した)球面に積層したりすることはより困難である。
スラント型回折格子をエッチングし、エンボス加工又は紫外線硬化樹脂手法を使用することも可能であり得る。この回折格子は、円筒状導波管上に移される。
格子ピッチは、マイクロディスプレイ110の中心波長を所望の内角で回折させるように設計されている。回折格子は、垂直入射光を斜めに回折させるように名目上設計されているので、この回折格子は傾斜角を有し、ピッチは、通常、回折格子の平面に沿って測定された格子間間隔として定められる。これは、入力カプラーの場合は、一定に維持される、すなわちリニア型回折格子である。
平面状の導波管の場合、両カプラーは一般にリニア型であり、同一のものである。この場合、システムは潜望鏡のように振る舞い、マイクロディスプレイの拡大画像が実世界に重ね合わせてビューアに出現させられる。システムの全体としての設計は、ディスプレイの画素位置情報が、コリメートによって、角度情報に変換されて、人間の網膜において位置情報に戻されることを意味する。
従来、平坦な導波管では、入力部回折格子及び出力部回折格子は、リニア型で平行であり、且つ、色収差を打ち消すために同じ周期を有する。これは、発光ダイオード(LED)等の広帯域光源で使用するのに重要である。本開示による出力部回折格子は、導波管に沿って可変の周期を有し、あらゆる場所において色収差が打ち消し合うことがない。ただし、この収差を最小化するために、中心におけるアウトカップリング回折格子の周期をインカップリング回折格子の周期と同じになるように選択できる。
あるいは、レーザ光源、高輝度発光ダイオード(SLED)、又はノッチフィルタリングされた狭帯域LEDなどの狭帯域源を使用できる。狭帯域源は、色収差を最小化するのに役立ち得る。それらは、出力画像の視野を制限することもあり得るが、これを軽減するために、厚さの薄い体積型ホログラフィック回折格子が使用可能である。例えば、体積型ホログラフィック回折格子の一般的な厚さは、小さくとも3ミクロンであってもよく、最大で6ミクロンであってもよい。これにより、半値幅(FWHM:full width half maximum)がほぼ20nmの一般的なスペクトル帯域幅と、半値幅がほぼ6度の空気中角度帯域幅とをもたらし得る。
円筒状導波管は、ユーザの視力を既に補正しているヘッドマウント構造(例えば、度付き眼鏡)の一部を形成し得る。この場合、インカップリング回折格子140及びアウトカップリング回折格子150については、このことも考慮に入れてもよいが、導波管内部における光の伝播及びその効果的な取り出しを損なうことはない。
一例として、他の点では通常の処方による正メニスカスレンズに導波管が埋め込まれる場合、外側のカバーレンズは、凸状球面と凹状円筒面とを有してもよい。インナーライナーレンズは、凸状円筒面と凹状球面とを有してもよい。その結果、光学的透視性は、装着者の処方に合わせて選択される最も外側の凸面と最も内側の凹面とによって決まることになる。円筒状導波管を介して提供されるデジタル画像の焦点は、出力部回折格子の光学的特性(屈折力)とともに、最も内側の面によって独立して決められることになる。また、当業者は、眼鏡店からの処方に合わせて、透視性及びデジタル画像を乱視に対応させる。
両平面におけるさらなる集束を追加することによってデジタル画像をビューアから任意の距離に配置するために、アウトカップリング回折格子を選択することができる。鉛直平面において、導波管に取り込まれた光はコリメートされているが、アウトカップリング回折格子から出射される光はコリメートされている必要はない。複数瞳の抽出を可能にするために、アウトカップリング回折格子150の第1の部分で光の一部のみを抽出してもよい。アウトカップリング回折格子150にわたって抽出された光の均一性を整えるために、アウトカップリング回折格子150の(インカップリング回折格子140を基準として)遠方端は、近方(受光)端より高い効率を有することが望ましい。出力部回折格子の回折効率は、有利には、出力部回折格子150の受光端においては、十分な瞳複製を可能にするために十分に低く(例えば5~25%)選択されるが、遠方端においては、明度を十分とするために十分に高く(例えば20~100%)選択される。
前述の一態様の一般的な趣旨に戻ると、インカップリング光学素子は、受光された光を円筒状導波管に取り込むために配置されたインカップリングリニア型回折格子を備えてもよいことが理解できる。これは、一定の周期を有すると有利である。インカップリングリニア型回折格子は、有利には、曲面に取り付けられ、特に屈折率を整合させて(空隙なしに)取り付けられる。
別の一般的な趣旨において、さらなる態様によると、同心の内側面及び外側面を有する円筒状導波管と、曲面に取り付けられており且つ受光された光を円筒状導波管に取り込むために配置されているインカップリングリニア型回折格子と、を備えた光学システムが考えられ得る。必要に応じて、この光学システムは、円筒状導波管に沿って伝播した光を受光するように且つこの光を画像としてオブジェクトに出現させるように配置されているリニア型アウトカップリング回折格子をさらに備えてもよい。好適な実施形態の1つにおいては、受光した光を単一の平面にコリメートする又は適合させるようにし且つこのコリメートされた光をインカップリングリニア型回折格子に向かわせるように、波面整形デバイスが構成されてもよい。このような光学システムの製造方法又は動作方法又はその両方をさらに考えることができ、例として下記のようになる。以下のさらなる諸特徴は、本願明細書に開示されている何れの態様にも適用可能である。
さらに別の態様において、湾曲したリニア型回折格子の製造方法が考えられ得る。本方法は、リニア型回折格子を平面上に形成するステップと、このリニア型回折格子が曲面に適合するように、このリニア型回折格子を(円筒形)基体の曲面に取り付けるステップとを含む。本願明細書において考えられる他の諸態様と同様に、下記の(及び本願明細書の他の箇所に記載の)さらなる特徴も類似の態様でこの態様に適用可能である。
全ての態様に適用可能なさらなる特徴を以下に述べる。例えば、インカップリングリニア型回折格子は、可撓性ホログラフィック材料製であってもよい。必要に応じて、インカップリングリニア型回折格子は、円筒状導波管の内側面に取り付けられる(又は適合する又はその両方である)。好適な実施形態のいくつかにおいて、インカップリングリニア型回折格子は、複数の直線回折格子を有する。インカップリングリニア型回折格子の格子厚さ及び角度帯域幅は、インカップリングリニア型回折格子の幅にわたって(ほぼ)一様な可視域色伝達のために構成されていてもよい。
入力側光学素子は、受光された光を単一の平面にコリメートする又は適合させるように構成された(コリメータの形態が考えられ得る)波面整形デバイスを備えることが好ましい。(入力側)波面整形デバイスは、単一の平面が円筒状導波管の円筒軸線を通るように構成されていることがより好ましい。例えば、波面整形デバイスは円筒形であってもよい。好適な実施形態のいくつかにおいて、波面整形デバイスは、平凸レンズ又はマルチエレメントレンズ又はその両方を備える。有利には、波面整形デバイスの向きは、円筒状導波管の向きと比較して、直交している。
さらなる一般的な特徴を以下に再び述べる。次に、本開示によるさらなる特定の例を説明する。
図6を参照すると、円筒状導波管及び簡略化されたアウトカップリング光学素子を上から見た概略図が示されている。図4と同様に、この図面の紙面は(及び平行な平面の何れも)水平であるとみなし、紙面から出る垂直平面は(及び平行な平面の何れも)鉛直であるとみなす。したがって、円筒状導波管120は、例えば、円筒状バイザーのように、一平面上に可視化することができる。この簡略化された図には、シリンドリカル負レンズ155も示されており、この負シリンドリカル負レンズ155については、以下でさらに説明する。アウトカップリング回折格子150から出射した複数の光線151は、1つの鉛直平面にコリメートされ、線152によって示されているように、水平平面にフォーカスする。シリンドリカル負レンズ155から出射した複数の光線156は、水平平面及び鉛直平面の両方にコリメートされ、無限遠焦点を有する。これは単純化したものであり、実際には、シリンドリカル負レンズ155がアウトカップリング回折格子150に光学的に組み込まれる。これにより、出射時に両平面に補正し及びコリメートするための度数は、アウトカプラー内のホログラムに含まれている。これにより、アウトカップリング回折格子150は、インカップリング光学素子によって導入された円筒面曲率を補正するためのシリンドリカルレンズとして機能し、これにより、以下に説明するように、画像を基本的に無限遠にコリメートする。
インカップリング光学素子における非対称コリメーションの故に、アウトカップリング光学素子は、水平(近位)及び鉛直(遠位又は無限遠)出力画像平面の異なる合焦位置を補正することによって、無限遠に合焦された画像を両平面に導き、高品質画像をビューアに提供する。この補正は、出力部回折格子への屈折力をコード化することによって実現される。この手法は、当該技術分野において公知であるが、この目的のためには知られていない。図6に示されているように、これは、導波管の曲率半径に等しい負の屈折力を有する発散シリンドリカルレンズ155を平面出力部回折格子とユーザとの間に配置することに相当する(平凸シリンドリカルレンズの場合、導波管の曲率半径が200mmであれば、レンズの焦点距離は-200mmになる)。レンズ155の向きは、入力側シリンドリカルレンズ135に垂直である。入力側レンズ135が鉛直平面に合焦されている(又は度数を有する)場合、出力側補正レンズや回折格子は、球状にコリメートされた出射を生成するために、水平平面に合焦される(又は度数を有する)。前述のように、アウトカップリング回折格子150の中心は、色分散補正をできるようにするために、入力部回折格子と同じ面ピッチ(横ピッチ又はインプレーンピッチとしても公知)を有する。
ユーザ160には、画像が無限遠にあるように見える。これは、戦闘機パイロット又はバイクライダー等のユーザがバイザーの使用する際に通常のことであるが、実世界の遠距離物体に焦合焦させているときに、焦点の合った仮想イメージが見えることを意味するので、一般に望ましい使用例である。瞳拡大を有する平面状の導波管を使用する消費者デバイスも画像を無限遠に有する。
出力部回折格子は、可変の回折格子効率を有することができ、又は、相対的に低い出力効率(例えば、10%)を有することができる。これは、ホログラフィックアウトカプラーの記録中に実現可能である。入力部回折格子140が最大回折効率を有する(すなわち、入射光の大部分が導波管に取り込まれる)ことが望ましい一方で、出力部回折格子150は、瞳拡大を可能にするために、低い又は可変の効率を有することができる。ごく一部の光が出力部回折格子150との最初の相互作用で取り出される一方で、大部分は跳ね返りながら導波管を進み、光の一部が2回目の相互作用で出力され、これ以降も同様である。これにより、水平平面に拡大されたアイボックスを可能となる。
ホログラフィック導波管回折格子(リニア型アウトカプラー又は度付きアウトカプラーのどちらか一方)の製作は、ホログラフィック材料を2つのコヒーレント光ビームに暴露し、導波されたビームを、当該技術分野において公知のように、プリズムを介して材料に取り込むことによって行える。3つの回折格子を単一のホログラフィック層に多重化するために、3つの異なる波長(例えば、赤色、緑色、及び青色、RGB)のレーザを使用することができ、ビューアがほぼ白色の画像をRGBマイクロディスプレイから見ることができる。あるいは、色毎に別個の3つの層を重ねることもできる。
ユーザに提供される視野にわたって輝度が均一で彩度が均一な画像を見ることができるが、この視野は、複数の回折格子を単一のホログラフィック層に多重化することによって大きくすることができる。これは、記録する角度を変えることによって実現してもよい。あるいは、複数の角度多重化層を重ねることもできる。
入力部回折格子及び出力部回折格子は、反射ホログラム、透過ホログラム、又は、これらの組み合わせとすることができる。これは、所望の効果が格子ピッチの横方向成分のみに基づくので、上記理論から理解されるであろう。横(断面)ピッチ又は周期は、反射型回折格子又は透過型回折格子の形状寸法に合わせて好適に選択可能である。上記のリニア型回折格子は、横方向にリニア型であることを意味するが、可変の横特性を有することができることも理解することができる。
出力光のコリメート性は、長いアイレリーフ(すなわち、画像を最適に見ることができる、出力面から目までの距離)を実現できることを意味する。これは、多くの場合に望ましく、特に、眼鏡ではなくヘルメットバイザーを備えた用途のために望ましい。アイレリーフが長いほど、一般に、視野が小さくなる。
実世界の視界は、導波管の湾曲によってほとんど変化しない。曲率半径は、眼鏡の場合は250mmが標準的であり、バイザーの場合は150~200mmが標準的である。(ここでの場合)曲率が100mmより大きければ何れも、ユーザに、実世界の歪曲への影響としては認識されない。重ね合わされた1つ又は複数の追加レンズによって補正されなければ、極めて小さい非点収差効果のみが存在することになる。
本開示の一般的な趣旨に戻ると、アウトカップリング光学素子は、アウトカップリング回折格子を備えるとみなしてもよい。特に、アウトカップリング回折格子は、(例えば、一次元のみに合焦する)シリンドリカルレンズとして機能するように構成してもよい。これに加えて又はこれの代わりに、リニア型アウトカップリング回折格子は、湾曲した回折格子を複数有してもよい。好適な実施形態のいくつかにおいて、リニア型アウトカップリング回折格子は、内部格子角度、又は、出力効率若しくは回折効率、又は、その両方を有してもよい。この内部格子角度は、受光された光を1つの平面にコリメートするように若しくは受光された光をタンジェンシャル及びサジタル平面に所定距離で合焦させるように配置されている。この出力効率又は回折効率は、アウトカップリング回折格子の一端であって入力側光学素子から受光された光に最も近い端において、25%以下(必要に応じて、20%、15%、又は10%以下)である。
アウトカップリング光学素子は、受光された光を、入力波面整形デバイスの単一の平面に直交する単一の平面にコリメートするように構成された出力側波面整形デバイスを備えてもよい。これに加えて又はこれの代わりに、アウトカップリング光学素子は、シリンドリカル負レンズを備えてもよい。このような態様は、アウトカップリング回折格子に組み込まれることが好ましい。
アウトカップリングリニア型回折格子は、インカップリングリニア型回折格子と同じ面ピッチを有してもよい。一部の実施形態において、アウトカップリングリニア型回折格子は、インカップリングリニア型回折格子の内部格子角度とは反対方向に向いた内部格子角度を有してもよい。これは、画像源からの光とビューアへの光とが(又は、インカップリング光学素子及びアウトカップリング光学素子が)互いに同じ側にある場合に、特に用いられる。これを「U型」回折格子とも呼んでもよい。あるいは、インカップリング回折格子及びアウトカップリング回折格子のそれぞれの角度が反対方向に向けられておらず、少なくとも一部の光が取り込まれた光とは反対の側で取り出される(換言すると、ビューアは取り込まれた光とは反対の側にある)。これを「Z型」回折格子とも呼んでもよい。
別の観点から、本開示による手法を対称性の点から説明することも可能である。これらの手法は、円筒状導波管と円筒対称波面とを用いるものであり、それぞれの共通軸線を中心に回転対称である。
ディスプレイ上の画素又は他の画像生成手段上の画素を考察する。この画素からの光波面を円筒状に整形することができる。平坦な基体上に記録されて円筒状導波管に積層されたリニア型回折格子は、表面に沿って一定の周期を有する。この場合、あらゆる光線が同じ角度で偏向されるので、光線空間は回転軸線を中心に対称になる。上で説明したように、円筒面同士の間で発射された光線は、跳ね返り回数に拘わらず、2つの表面に対して2つの入射角度を維持する。これは、2回反射するごとに、その後、波はそれ自身に正確に一致することを意味する。これにより、二重画像は生成されない。このような光線空間は、何れの光線も他の複数の光線と異なることなく、いかなる距離でも伝播できる。
また、出力部回折格子における瞳複製が実現される。アウトカップリング光学素子との初期段階の相互作用時に、光が部分的に取り出され、残りの光は伝播し続け、次の相互作用時に取り出される。この場合、複数の異なる相互作用が完全に一致するので、ゴースト画像を引き起こさない。光線の全てがアウトカップリング回折格子に達すると、回折格子は、回折格子の位置又は何れの光線の位置によらず、これらの光線を導波管から回折させることができる。これは、これらの光線の全てが同様に到着するからである。
インカップリング回折格子と同じ周期を有するリニア型アウトカップリング回折格子を用いると、各光線は再び新しい円筒状波面に回折される。回折光学素子はいくつかの機能を相加的に組み合わせることができることは周知である。アウトカップリング回折格子も、シリンドリカルレンズと同様に、一次元の集光力を有する。これにより、回折された光はコリメート光に変換される。このような光を受光した観察者は、無限遠に星状の点を体験することになる。
上記説明は、他の複数の画素についても繰り返すことができる。上記のように、これら他の画素からの波面は精確に円筒形である必要はない。このようになる理由は、非中心画素からの光線がインカップリング光学素子に「完全に」直角な(垂直な)角度とは僅かに異なる角度で入射するからである。ただし、全ての光線がそれぞれの交点において面法線に対してほぼ同じ角度でインカプラーに当たることによって、これらの光線は、円筒軸線を中心として回転対称に光線空間を形成し、識別不能に伝播する。
最新の光学設計を用いると、このような光線空間を小さな誤差で形成するプロジェクタの設計が可能であり、この誤差は理想的には視角1分(人間の視力)である。
図7を参照すると、本開示による複数の実施形態のための動作プロセスのフローチャート例が示されている。表示ステップ210において、動画像が画像源110(例えば、マイクロディスプレイ)に表示される。第1のコリメーションステップ220において、度数を鉛直平面に有するシリンドリカルレンズ135によって(又は、シリンドリカルミラーに相当。これは以下に述べる)画像担持光が鉛直平面にコリメートされる。第1の入射ステップ230において、(単一瞳用の)画像担持光は、円筒状導波管120に、その面(一般に、内側面)に垂直な態様で当たる。取り込みステップ240において、画像担持光は、インカップリングリニア型回折格子140を介して、(同じ画素からの全ての光線について)一定の角度で取り込まれる。円筒状導波管120は同心の内側面及び外側面を有するので、取り込まれた光は、伝搬ステップ250において、回転対称を有するこれら同心の面同士の間を伝播する。初期取り出しステップ260では、アウトカップリング回折格子150との最初の相互作用時に、画像担持光の最初の部分が抽出される。これ以降のアウトカップリング回折格子150との相互作用(跳ね返り)により、伝播光がさらに抽出されて、さらなる取り出しステップ270において、瞳複製がなされる。第2のコリメーションステップ280におけるアウトカップリング回折格子150の光学的効果は、負の円柱度数を水平平面に追加する。最後に、出力ステップ290において、無限遠において球状にコリメートされた画像が実世界に重ね合わされてユーザの眼160によって視認される。
特定の実施形態を説明してきたが、様々な修正及び変更が可能であることは当業者に理解されるであろう。特に、インカップリング光学素子及びアウトカップリング光学素子は、上記の特定の設計から大きく異なってもよい。
上で示したように、光源を円筒状導波管の内側面の最も近くに配置でき、光をコリメートするためにシリンドリカルレンズを使用できる。シリンドリカルレンズは、使用しなくてもよい。例えば、シリンドリカルミラーを代わりに使用してもよい。シリンドリカルミラーは同じ特性及び利点を全て有し得る。光源を外側面の向こうに配置することもでき、シリンドリカルミラーを、例えば導波管を通過した後の、光をコリメートするために使用できる。
画素全てについて性能を最適化するために、且つ、プロジェクタの体積を最小化するために、多くの設計を使用できる。これは、ディスプレイをより近付けるために鉛直平面に合焦する光学素子を利用することを含む。例えば、反射して回折する前に、ミラーとは反対の側から光を導波管に進入させる凹面鏡を使用してもよい。これは、古典光学における無限焦点システムの収差管理に類似している。ただし、本開示においては、これら収差の処理は円筒形座標系に再定式化されている。
図8を参照すると、第2の実施形態による光学システムを上から見た概略図が示されている。この実施形態においては、シリンドリカルレンズ135の代わりに、シリンドリカルミラー136が使用されている。このようなミラーを使用すると、画像源110を円筒状導波管120の内側面のより近くに位置付ける必要がなくなる。簡素化のため、インカップリング回折格子140は図示していないが、記載されている他の実施形態と同じ位置に存在する。図示された実施形態においては、画像源110の位置は、円筒状導波管120の内側面より、円筒状導波管120の外側面に近い。画像源110からインカップリング回折格子までの光路長は、円筒状導波管120の曲率半径と同じに維持されている。例えば、バイザー形導波管の一般的な曲率半径が200mmであることは、オブジェクトが200mm離れた位置にあり、シリンドリカルミラーの曲率半径が400mmであることを意味する。ただし、画像源110と入力部回折格子との間の距離は、この曲率半径と同じではない。この場合も、入射光線は入力部回折格子の表面に垂直であることが分かる。シリンドリカルミラー136による波面への影響は、シリンドリカルレンズ135による影響と基本的に同じであり、したがってシリンドリカルミラー136は類似の特性を有する。他のあらゆる変形例及び選択肢は、本願明細書に開示されている他の実施形態と同様に、この実施形態による実施例にも適用され得る。
円筒状導波管の向きを変化させることができる。上記の実施形態では、円筒状導波管の円筒軸線は鉛直に向けられている(したがって、円筒状導波管は水平方向に延在する)。これは、バイザーの位置合わせをする通常の方法である。ただし、これは必須ではない。他の向きも考えられる。これに加えて又はこれの代わりに、光は、複数の異なる面を通して、例えば導波管の複数の異なる側面を通して、円筒状導波管に入射及び出射してもよい。したがって、これを実現するために、インカップリング回折格子及びアウトカップリング回折格子を位置付けることができる。一部の実施形態においては、インカップリング回折格子又はアウトカップリング回折格子又はその両方が複数設けられてもよい。
インカップリング回折格子及びアウトカップリング回折格子のそれぞれを、反射型回折格子又は透過型回折格子とすることができ、且つ、導波管の内側面又は外側面(又は導波管の別の面)に配置することができる。当業者は、本願明細書に記載の各実施形態に対するこのような変形例を理解するであろう。
リニア型入力部回折格子は、任意の配向角度を有することができる。光の向きを、円筒周方向(円筒軸線に垂直な方向であり、上記の実施形態においては水平である)に変える必要はない。光を円筒軸線(鉛直)に沿って向かわせることができる。あるいは、光を、45度に向けるか、又は、他の何れかの斜め方向に向けることができる。これにより設計自由度が許容され、例えば、投影モジュールを眼鏡のテンプルにちょうど良く位置付けられる。これは、二次元の瞳拡大用に複数の中間回折格子を実現するためにも重要である。リニア型中間回折格子は、向きが変えられた各光線の角度を同じ画素からの複数の光線と同じ角度に維持しつつ、光の向きを変えること及び光を分割することの少なくとも一方を行ってもよい。
本システムでは、レーザ又はLED光の使用が可能であるので、融通が利く。一般に、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)プラスLED又はマイクロLEDマイクロディスプレイ等、LED光が使用されるが、高効率ひいては高明度が所望される場合は、レーザ光も使用できる。レーザ光線用ミラー走査システム(MEMS:microoptoelectromechanical system)も使用できる。レーザ光は、コスト、スペックル(解像度の損失)、眼の安全性懸念の点で、いくつか欠点を有する。
屈折素子(例えば、プリズム)がインカプラー又はアウトカプラーとして、回折用インカプラー又は回折用アウトカプラーと共に使用される場合は、未補正の色分散により、狭帯域源(例えば、レーザ)のみが使用可能になり得る。さらに、屈折型カプラーは、嵩張り、高価になりがちである。
導波管出力に球状の屈折力を加えることによって、仮想イメージを複数の異なる焦点距離に設定できる。導波管の前と後にあるさらなる一対のレンズ(実世界上の第1のレンズの効果を補正するための第2のレンズ)によって、焦点距離をより近くに設定することも可能である。電気的にアドレス指定可能な切り換え式(液晶ベースの)ホログラフィック出力部回折格子を複数追加することも可能である。これら出力部回折格子は、オン又はオフに切り換えることが可能であり、画像用の複数の異なる焦点面が提供される。これに加えて又はこれの代わりに、より大きな視野を提供するために、入力部回折格子を同様に切り換えてもよく、角度多重化された複数の回折格子によって実現可能である。この切り換えは、時間多重化されたマイクロディスプレイとの同期化が可能である。
場合によっては、複数の(積み重ねられた)円筒状導波管の使用によって、複数の焦点面を実現してもよい。光は、前述のように伝播するが、複数の回折格子から出射して複数の異なる焦点を生じさせる。この手法は、「拡張現実、仮想現実、及び複合現実ヘッドセット用の光学アーキテクチャ(Optical architectures for augmented、virtual and mixed reality headsets)」(2020)、B.C.Kress、国際光工学会(SPIE)出版、に詳細に述べられている。
さらに、一般的な球状レンズのように、軸対称度数を円筒状導波管の出力側に追加すると、有限距離、例えば1m、に点を体験することになる。
円筒状導波管は、より大きな(一体型)導波管構造の一部をなしてもよく、その場合、その一部のみを円筒形にしてもよい。インカップリング光学素子が不要な実施形態がいくつか考えられる。例えば、導波管の非円筒形部分を通って光が導波管に進入してもよく、又は、(例えば、画像源が埋め込まれているために)導波管の非円筒形部分において、光が導波管内で発生してもよい。このとき、この部分で波面整形が行われてもよい。したがって、導波管のこの部分は、入力側光学素子の一部をなしてもよい。
複数の入力側プロジェクタを鉛直方向にずらすことによって、鉛直アイボックスを拡大することもできる。鉛直アイボックスを平面状の導波管内に延在させるために使用される一般的な手法には、瞳を鉛直方向に伝播して射出瞳の二次元拡大をもたらす「回転型」回折格子が使用される。アイボックスを鉛直に拡大させるさまざまな方法が存在し、例えば、ビュージックス社(Vuzix Corporation)やデジレンズ社(DigiLens Inc.)による製品に実装されているインカップリング回折格子、回転型回折格子、及び出力部回折格子が挙げられる。選択肢の一つとして、「バタフライ」回転型回折格子の使用も挙げられる。この回折格子は、アイボックスを拡大し、入力時にFOVを2つに分割し且つ出力時に再結合することによってFOVをさらに拡大する(マイクロソフト社が販売し、上で言及したB.C.Kressによる書籍に記載されているホロレンズ(HoloLens(登録商標))で使用されている)。さらなる選択肢の一つとして、相互多重型回折格子の使用が挙げられる。この回折格子は、(ウェイブオプティックス社(Waveoptics,Ltd.)による製品に使用されているように)光の一部を導波し、光の一部を拡大されたアイボックスにわたって取り出す。
これら既存の手法は何れも、リニア型回折格子及び平坦な導波管によってルーティングされたコリメート光の使用の恩恵を受けている。円筒状導波管を使用する本開示によると、リニア型中間回折格子によって光を分割し且つ瞳を複製するこれら手法は、円筒状導波管への光を取り込んだ後に、実施されてもよい。この場合、光は、負のシリンドリカル合焦機能を有する回折格子によって最終的に取り出される
本開示による実施形態のいくつかにおける回転対称構造では、入力部回折格子及び出力部回折格子を1つの同心円筒状導波管のどこにでも載置可能である。例えば、上記の一般的な平面状水平構成と同様に、(例としてバイザーの実装において)向きを、鉛直に又は導波管にわたって斜めに、できるであろう。これは、最終設計において、プロジェクタの載置及びアイボックスの位置に融通が利く。上の複数段落に記載の瞳複製及びアイボックス鉛直拡大法も可能となる。
視線追跡は、さらなる機能をAR装置に追加する可能性のある既存の手法である。これは、一般に、眼に光を当てる赤外線(IR)光源と、反射光を検出して眼の注視方向を決定するためのカメラとによって実現される。空間が限られている領域(バイザー又は眼鏡等)において、これはできない可能性がある。上記のような入力部回折格子及び出力部回折格子であって、しかし赤外光(例えば、850nm)を回折する入力部回折格子及び出力部回折格子によって、コンパクトな視線追跡機能を導波管に追加することが実現され得る。回折格子は、単純にIR光を眼に向かわせることもでき、又は、眼から反射されたIR光をアイボックス位置の回折格子から出力部回折格子に、ひいてはカメラに、TIRを介して取り出すこともできる。
上述の本開示の一般的な趣旨にさらに言及する。例えば、好適な実施形態のいくつかにおいて、円筒状導波管の曲率半径は少なくとも100mmである。
実施形態のいくつかにおいて、波面整形デバイスは、凹面鏡(シリンドリカルミラー)を備えてもよい。必要に応じて、画像源又は画像源取り付け台又はその両方を、円筒状導波管の内側面よりも円筒状導波管の外側面に近い方に配置してもよい。そして、画像源から光を受光し且つ受光された光を円筒状導波管に向けて反射させるために、ミラー(好ましくは波面整形デバイス)が配置されてもよい。一部の実施形態においては、ミラーと、画像源又は画像源取り付け台又はその両方は、画像源からの光が円筒状導波管を通過してからミラーに到達するように構成されている。ある実施形態のいくつかおいては、円筒状導波管に近い方の入力側光学素子(例えば、インカップリング回折格子)及び円筒状導波管に近い方のアウトカップリング光学素子(例えば、アウトカップリング回折格子)のそれぞれの部分が円筒状導波管の両側にある。
特定の複数の実施形態において、入力側光学素子は1つ又は複数の球状レンズをさらに備える。これに加えて又はこれの代わりに、アウトカップリング光学素子は1つ又は複数の球状レンズをさらに備える。球状レンズは、光の光路長を変化させるか又は光の合焦を変化させるか又はその両方を行うために、使用されてもよい。
実施形態のいくつかにおいて、入力側光学素子は、円筒状導波管に一体化された導波管部分をさらに備えてもよい。有利には、入力側光学素子の少なくとも一部を形成する導波管部分は、非円筒形であるか又は同心の面を有さないか又はその両方である。一部の実施形態においては、導波管形状の一部のみを円筒形にしてもよい。
一部の実施形態においては、1つ又は複数の中間光学回折格子が円筒状導波管に設けられてもよい。この1つ又は複数の中間光学回折格子のうちの1つ又はいくつか又は全てが、リニア型であってもよい。1つ又は複数の中間光学回折格子は、光の向きを変えることと、光を回折することと、アウトカップリング光学素子より前に光を分割することのうち少なくとも1つを行うために、配置されていてもよい。ただし、同じ画素からの複数の光線の相対角度は、同じに維持されることが有利である。リニア型中間光学回折格子は、有利には、伝播光の角度特性(TIR状態、且つ、同じ画素からの光線全てが、面法線に対して同じ角度で且つ円筒軸線に垂直な平面に対して同じ角度で、円筒状導波管の表面に入射すること)を維持する。これにより、収差なく二次元の瞳拡大が可能となる。
アウトカップリング光学素子は、アウトカップリング回折格子を備えてもよく、このアウトカップリング回折格子は、受光された光を屈折させるように配置されている内部格子角度と、アウトカップリング回折格子の長さに従って可変の回折効率と、切り換え可能な(例えば、出力光の変調を可能にする)回折格子構成とのうちの1つ又は複数を有する。必要に応じて、インカップリング回折格子は、切り換え可能な回折格子構成を有してもよい。
複数の円筒状導波管が設けられてもよい。例えば、同心の内側面及び外側面を有する第2の円筒状導波管が設けられてもよい。第1及び第2の(又は複数の)円筒状導波管は、積み重ねられてもよい。複数の円筒状導波管のうちの一部又は全てが共通の円筒軸線を有してもよい。このような場合の全てにおいて、入力側光学素子は、受光された光の一部を複数の円筒状導波管の各々に進入させるように配置されていてもよい。これにより、各円筒状導波管において、画像源の同じ画素からの光線全てが、各入射点において、面法線に対して同じ角度で且つそれぞれの円筒軸線に垂直な平面に対して同じ角度で、それぞれの円筒状導波管の一面に入射する。これにより、取り込まれた光は、それぞれの円筒状導波管に沿って伝播するときに、その方向角を維持する。有利には、アウトカップリング光学素子は、各円筒状導波管に沿って伝播した光を異なる焦点に合焦させるように配置されていてもよい。例えば、アウトカップリング光学素子は、第1の円筒状導波管に沿って伝播した光を第1の焦点に合焦させ且つ第2の円筒状導波管に沿って伝播した光を第2の、異なる焦点に合焦させるように配置されていてもよい。
複数の画像源を有する実施形態であって、これらの画像源が、有利には、互いに鉛直方向にずらされているもの考えることができる。
本願明細書に開示されている特徴の全ては、いかなる組み合わせにも組み合わせてもよい。ただし、このような特徴及びステップの少なくとも一方の少なくともいくつかが相互排他的である組み合わせは除く。特に、本発明の好適な特徴は、本発明の態様全てに適用可能であり、任意の組み合わせで使用され得る。
同様に、非基本的な組み合わせで記載されている特徴は、別個に(組み合わされずに)使用してもよい。

Claims (25)

  1. 光学システムであって、
    共通の円筒軸線を定める、同心の内側面及び外側面を有する円筒状導波管と、
    入力側光学素子であって、
    該入力側光学素子は、画像源から光を受光するために且つ前記光を前記円筒状導波管に進入させるために配置されており、
    この配置は、前記画像源の同じ画素からの光線全てが、各入射点において、面法線に対して同じ角度で且つ円筒軸線に垂直な平面に対して同じ角度で、前記円筒状導波管の一面に入射するようになされており、
    これにより、取り込まれた前記光は、前記円筒状導波管に沿って伝播するときに、その方向角を維持する、
    入力側光学素子と、
    を備えた光学システム。
  2. 請求項1に記載の光学システムであって、
    前記入力側光学素子は、前記光を前記円筒状導波管の一面に取り込むように構成されたインカップリング光学素子を備える、
    光学システム。
  3. 請求項2に記載の光学システムであって、
    前記インカップリング光学素子は、インカップリングリニア型回折格子を備え、
    前記インカップリングリニア型回折格子は、
    一定の周期を有し、
    曲面に取り付けられており、且つ、
    受光された光を前記円筒状導波管に取り込むように配置されている、
    光学システム。
  4. 請求項3に記載の光学システムであって、
    前記インカップリングリニア型回折格子は、可撓性ホログラフィック材料製であるか、又は、
    前記インカップリングリニア型回折格子は、前記円筒状導波管の前記内側面若しくは前記外側面に取り付けられるか、又は、
    前記インカップリングリニア型回折格子は切り換え可能であるか、又は、
    これらの組み合わせである、
    光学システム。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の光学システムであって、
    前記インカップリングリニア型回折格子の格子厚さ及び角度帯域幅は、前記インカップリングリニア型回折格子の幅にわたって一様な可視域色伝達のために構成されていること、及び、
    前記インカップリングリニア型回折格子は、複数の直線回折格子を有すること、及び、
    前記インカップリングリニア型回折格子は、
    前記受光された光の向きを変えるか、又は、
    前記受光された光を複数の群に分割するか、又は、その両方を行い、
    各群内の複数の光線の相対角度を同じに維持するように構成されていること、
    これらのうちの1つ又は複数に該当する、
    光学システム。
  6. 請求項1~5の何れかに記載の光学システムであって、
    前記入力側光学素子は、受光された光を単一の平面のみにコリメートするように構成された波面整形デバイスを備える、
    光学システム。
  7. 請求項6に記載の光学システムであって、
    前記波面整形デバイスは、前記単一の平面が前記円筒状導波管の前記円筒軸線を通るように構成されている、
    光学システム。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の光学システムであって、
    前記波面整形デバイスは、円筒形状を有する、
    光学システム。
  9. 請求項8に記載の光学システムであって、
    前記波面整形デバイスの前記円筒形状の向きは、前記円筒状導波管の向きと比較して、直交している、
    光学システム。
  10. 請求項5~9の何れかに記載の光学システムであって、
    前記波面整形デバイスは、マルチエレメントレンズ又はミラーを備える、
    光学システム。
  11. 請求項1~10の何れかに記載の光学システムであって、
    前記入力側光学素子は、前記円筒状導波管に一体化された導波管部分をさらに備える、
    光学システム。
  12. 請求項1~11の何れかに記載の光学システムであって、
    前記入力側光学素子は、
    前記画像源の同じ画素から前記円筒状導波管の一面に入射する光線全ての角度を、前記円筒軸線に垂直な一平面に対して設定するように構成されており、
    この設定は、前記光線が、
    前記円筒軸線に平行な方向に、又は、
    前記円筒軸線に垂直な方向に、又は、
    前記円筒軸線に平行と垂直との間のベクトルによって規定された方向に、
    前記円筒状導波管内を伝播するようになされている、
    光学システム。
  13. 請求項1~12の何れかに記載の光学システムであって、
    前記光学システムは、
    前記画像源、又は、
    前記画像源の中心画素のための位置を規定する画像源取り付け台、又は、
    その両方
    をさらに備え、
    前記画像源の前記中心画素の位置と前記円筒状導波管との間の光路長は、前記円筒状導波管の曲率半径とほぼ同じである、
    光学システム。
  14. 請求項1~13の何れかに記載の光学システムであって、
    前記光学システムは、
    前記円筒状導波管の前記内側面よりも前記円筒状導波管の前記外側面に近い方に配置されている、前記画像源又は画像源取り付け台又はその両方と、
    前記画像源から光を受光し且つ前記受光した光を前記円筒状導波管に向けて反射させるように配置されているミラーと
    をさらに備える
    光学システム。
  15. 請求項14に記載の光学システムであって、
    前記ミラーと、前記画像源又は画像源取り付け台又はその両方は、
    前記画像源からの光が前記円筒状導波管を通過してから前記ミラーに到達するように構成されている、
    光学システム。
  16. 請求項14又は請求項15に記載の光学システムであって、請求項6に従属する場合、
    前記ミラーは、前記波面整形デバイスである、
    光学システム。
  17. 請求項1~16の何れかに記載の光学システムであって、
    前記光学システムは、アウトカップリング光学素子をさらに備え、
    前記アウトカップリング光学素子は、前記円筒状導波管に沿って伝播した光を受光するように、且つ、前記光を画像としてオブジェクトに出現させるように、配置されている、
    光学システム。
  18. 請求項17に記載の光学システムであって、
    前記アウトカップリング光学素子は、アウトカップリング回折格子を備える、
    光学システム。
  19. 請求項18に記載の光学システムであって、
    前記アウトカップリング回折格子は、
    シリンドリカルレンズとして機能する構成と、
    湾曲した回折格子と、
    受光された光を1つの平面にコリメートするように又は受光された光をタンジェンシャル及びサジタル平面に所定の距離で焦点を合わさせるように、配置されている内部格子角度と、
    受光された光を屈折させるように配置されている内部格子角度と、
    前記アウトカップリング回折格子の一端であって前記入力側光学素子から受光された光に最も近い端において、25%以下である回折効率と、
    前記アウトカップリング回折格子の長さに従って可変の回折効率と、
    切り換え可能な回折格子構成と
    のうちの1つ又は複数を有する、
    光学システム。
  20. 請求項17~19の何れかに記載の光学システムであって、
    前記入力側光学素子若しくはアウトカップリング光学素子若しくはその両方が、対応する球状レンズを備える、又は、
    前記アウトカップリング光学素子は、シリンドリカル負レンズをさらに備える、又は、
    その両方である、
    光学システム。
  21. 請求項17~20の何れかに記載の光学システムであって、
    前記円筒状導波管に近い方の前記入力側光学素子及びアウトカップリング光学素子のそれぞれの部分が、前記円筒状導波管の両側にある、
    光学システム。
  22. 請求項17~21の何れかに記載の光学システムであって、
    前記光学システムは、前記円筒状導波管に、リニア型中間光学回折格子をさらに備え、
    前記リニア型中間光学回折格子は、
    前記画像源の同じ画素からの光線の全てが、各入射点において、前記面法線に対して同じ角度で且つ前記円筒軸線に垂直な平面に対して同じ角度で、前記円筒状導波管の一面に入射するという特性を維持しながら、
    光の向きを変えることと、
    光を回折することと、
    前記アウトカップリング光学素子の前に光を分割すること
    のうちの1つ又は複数を行うように配置されている、
    光学システム。
  23. 請求項1~22の何れかに記載の光学システムであって、
    前記円筒状導波管は、第1の円筒状導波管であり、
    前記光学システムは、
    同心の内側面及び外側面を有する第2の円筒状導波管であって、
    前記入力側光学素子は、前記受光された光の一部を前記第1の円筒状導波管に進入させ且つ前記受光された光の一部を前記第2の円筒状導波管に進入させるように配置されており、
    この配置は、前記第1の円筒状導波管及び前記第2の円筒状導波管のそれぞれにおいて、前記画像源の同じ画素からの光線全てが、各入射点において、前記面法線に対して同じ角度で且つ前記それぞれの円筒軸線に垂直な平面に対して同じ角度で、前記円筒状導波管それぞれの表面に入射するようになされており、
    これにより、取り込まれた前記光は、前記円筒状導波管それぞれに沿って伝播するときに、その方向角を維持する、
    第2の円筒状導波管と、
    前記第1の円筒状導波管に沿って伝播した光を第1の焦点に合焦させ且つ前記第2の円筒状導波管に沿って伝播した光を第2の、異なる焦点に合焦させるように配置されたアウトカップリング光学素子と、
    をさらに備える光学システム。
  24. 光学表示デバイスであって、
    請求項1~23の何れかに記載の光学システムであって、光を前記インカップリング光学素子に向かわせるように構成された前記画像源を有する光学システムと、
    取り付け装置であって、
    ユーザが装着可能であるように構成されており、且つ、
    前記アウトカップリング光学素子が前記光を画像として前記ユーザの眼に出現させるように、前記光学システムを位置付けるように構成されている取り付け装置と、
    を備えた光学表示デバイス。
  25. 請求項24に記載の光学表示デバイスを備えたヘッドマウントディスプレイであって、
    前記取り付け装置は、眼鏡構成要素又はバイザー構成要素を有し、
    前記円筒状導波管は、前記眼鏡構成要素又は前記バイザー構成要素に一体化されているか又は埋め込まれているか又は取り付けられている、
    ヘッドマウントディスプレイ。
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