JP2023539791A - 大気中のエアロゾル粒子の検出のための方法 - Google Patents

大気中のエアロゾル粒子の検出のための方法 Download PDF

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Abstract

第1の態様では、本発明は、光音響ガス・センサにより大気中のエアロゾル粒子を検出するための方法であって、エミッタが変調可能放射線を使用し分析領域内のエアロゾル粒子を励起させてセンサによって検出可能な音圧波を形成することができるように、分析領域が変調可能エミッタのビーム経路内に存在する、方法に関する。変調可能エミッタを使用することにより、分析領域は、変調された放射線で照射されて、音圧波を生成する。生成された音圧波は、センサによって測定され、それにより、大気中のエアロゾル粒子の存在及び/又は濃度が、測定結果に基づいて判定される。エアロゾル粒子は、好ましくは花粉、胞子、細菌、及びウイルスといったバイオエアロゾルであることが、特に好ましい。さらなる態様では、本発明は、好ましくは、本方法を実行するのに適した光音響ガス・センサに関する。

Description

本発明は、第1の態様では、光音響ガス・センサにより大気中のエアロゾル粒子を検出するための方法であって、変調可能エミッタ(modulable emitter)が変調可能放射線(modulable radiation)を使用し分析領域(analysis volume)内のエアロゾル粒子を励起させてセンサによって検出可能な音圧波を形成することができるように、分析領域が変調可能エミッタのビーム経路内に存在する、方法に関する。変調可能エミッタを使用すると、分析領域は、変調された放射線で照射されて、音圧波を生成する。生成された音圧波は、センサによって測定され、それにより、測定結果に基づいて大気中のエアロゾル粒子の存在及び/又は濃度が判定される。エアロゾル粒子は、好ましくは花粉、胞子、細菌、又はウイルスといったバイオエアロゾルであることが、特に好ましい。さらなる態様では、本発明は、本方法を実行するのに適した光音響ガス・センサに関する。
本発明は、大気中のエアロゾル粒子、特に細菌、胞子、又はウイルスなどの生物学的エアロゾルの検出の分野に関する。
感染症は、世界的に最も一般的な死因のうちの1つである。肺炎、下痢性疾患、AIDS、結核症、及びマラリアが、死の大半を占める。
感染症の処置は、薬物(抗生物質、抗ウイルス薬)に耐性がある病原体の増加により、ますます難しくなってきている。耐性発現の増加の主要因は、抗生物質の不適正使用、及び、感染を防ぐのに必要な衛生処置の一貫性のない適用である。
さらに、2020年のCovid19パンデミックの発生は、治療もワクチン防御も通用しない新興感染症が人間社会の基盤そのものを脅かし得ることを如実に示す。
吸入性感染症(aerogenic infectious disease)は、感染症の中でも特別な危険をもたらす。吸入性感染症は、病原体を含む浮遊粒子の吸入により気道を介して伝播する(吸入性の)感染症である。吸入性感染症には、例えば、結核症、花粉、麻疹、水痘、インフルエンザ、又はCovid19が含まれる。
世界的に、毎年1,000万人が結核症にかかり、そのうちの平均150万人が死亡する(Word Health Organization WHO、Global tuberculosis report 2019)。Covid19は、2020年の3月から7月までの数ヶ月だけでも世界中で1,500万人に感染したことが示されており、600,000人を超える死者が記録された(ソース:WHO)。
吸入性感染症及びそれらの高い感染力を制御することの難しさは、それらの蔓延に密接に関係する。吸入性感染症の伝播は、人々の間での直接接触を必要とせずに、大気中に拡散しているエアロゾルを介して間接的に起こり得る。
空中粒子は、初期エアロゾル化後のしばらくの間は空中に留まることができ、したがって、遙かに多数の感染しやすい人々を感染の危険性にさらす可能性がある。環境因子(例えば、屋外の気象状態、屋内の圧力差、など)に応じて、空中粒子は、何メートルにもわたって容易に運ばれる可能性があり、また、数時間にわたって屋内に留まる可能性がある(Fernstrom A.ら、2013)。
したがって、大気中の病原体量(pathogen load)の直接的な判定は、吸入性感染症の予防又は抑制における重要な柱となり得る。病原体量の測定に基づいて、例えば早期警戒システムが個人的な又は公共の建物内に確立されて、感染の連鎖を効率的に防ぐことができる。
空気中の細菌又はウイルス粒子の検出のための知られた技法は、時間がかかるか、又は、複雑な器具類若しくは試料操作(抗体結合、電気化学反応)を必要とすることが多い。
伝統的な手法は、大気用の収集デバイスを使用する。それらの収集デバイスでは、ウイルス又は細菌は、適切な基質を使用して固定化される。病原体の分子生物学的同定が、例えばポリメラーゼ連鎖反応を用いて行われ得る(空中結核菌の検出に対しては特にSchaferら、1999を参照されたい)。
Tobiasら、2005は、吸入性結核菌の検出に対する質量分析法の使用を提案している。Senguptaa,A、2007は、バイオエアロゾルの検出に対して表面増強ラマン分光法を使用する。この目的のために、マイクロポンプを使用してバイオエアロゾルを銀粒子のナノコロイド懸濁液に注入することにより空中花粉及び細菌を検出し且つ特徴付けるための器具類が開発された。生物学的粒子は、バイオアナライトの表面上に金属粒子を沈着させるために銀コロイドと混合され、次いでそれらのスペクトルが測定される。電気空力沈着及び電界効果トランジスタに基づく検出のための手法が、Kyu-Tae Parkら、2015から知られている。
さらに、エアロゾル中の生物学的粒子の検出のための蛍光ベースの複数の手法が存在する。ここで、空気中の器具を通過する個々の粒子の蛍光特性を調査するために、(連続的な又はパルス状の)単色光が典型的に使用される。生物学的分子の検出の場合、大抵の非生物学的エアロゾルの明度が低い一方で一部の生体分子の自己蛍光即ち内部蛍光が生物学的物質の存在を示し得るという事実を活用することが可能である。しかし、様々な生物学的粒子のスペクトル放射の類似性が、特異性の減少をもたらす(Huffmannら、2020)。
したがって、知られた技法を考慮すると、特に器具類又は試料操作の複雑さを減少させ、さらには特に大気中のウイルス又は細菌の検出を確実に可能にする、改善が必要とされている。
光音響分光法(PAS:Photoacoustic spectroscopy)は、非常に微細な濃度のガスの検出のための確立された技法であり、様々な用途を有する。1つの実例は、研究及び環境制御技術に関与する、COの検出である。例えば、空気中の排気ガスの濃度も、この方法で測定され得る。軍事用途も関係し、その場合、最小の濃度の有毒ガスが検出され得る。
光音響分光法は、ガス中の検出されるべき分子の吸収スペクトルにおける周波数とともに、強度変調赤外線放射を使用する。この分子がビーム経路内に存在する場合、加熱過程及び冷却過程をもたらす変調吸収が起こり、それらの過程の時間尺度は、放射の変調周波数を反映する。加熱過程及び冷却過程は、ガスの膨張及び収縮をもたらして、その変調周波数における音波を生じさせる。次いで、マイクロホンなどの音検出器、又は流量センサにより、これらの音波が測定され得る。
エアロゾル内のウイルス又は細菌の特異的検出のためのPASの使用は、ほとんど調査されていない。
米国特許第7710566B2号PASは、塵粒子の検出のためにPASを使用することを提案している。ウイルス又は細菌の検出は、説明されていない。また、設備の複雑さは、高度である。
Lackら、2007は、エアロゾルの光音響分光法に関する研究論文である。目的は、地球温暖化に関してエアロゾルの吸収特性を調査するために光音響分光法を使用することである。PASを使用したウイルス又は細菌の検出は、開示されていない。
WO2015/020611A1は、エアロゾル粒子の検出のための装置及び方法を提案している。流体が入口を介して測定チャンバに入り、チャンバは放射線源によって照射される。デバイスはMEMS共鳴器を備え、このMEMS共鳴器は、好ましくは光音響モード及びバルク音響波(BAW:bulk acoustic wave)モードの2つのモードを介してエアロゾル粒子の吸収特性に基づいてエアロゾル粒子を検出することを目的とする。光音響モードでは、エアロゾル粒子を検出するために、光音響効果又は熱音響効果が使用される。MEMS共鳴器は、エアロゾル粒子の光吸収によって生じる音圧波を検出する。エアロゾルは、塵又は煤の粒子である。ウイルス、細菌、又は花粉などのバイオエアロゾルを検出するための光音響分光法の使用は、開示されていない。
ドイツ特許公開第DE4130639A1号は、黒煙及び煤の粒子の光音響検出のためのデバイスに関する。エアロゾルは、ガス・ポンプを介して、変調可能な半導体ダイオード・レーザで照射される共振光音響セルに入る。低周波数干渉を回避するために、第1の共振モードではなく、次のより高いモードの共振周波数が、変調のために使用されることが好ましい。ドイツ特許公開第DE4130639A1号は、検出限界が高いコンパクト且つ可搬性の煤検出システムを提供することを目的としている。バイオエアロゾル、特に花粉、胞子、細菌、又はウイルスの検出は、ドイツ特許公開第DE4130639A1号でも開示されていない。米国特許第9964470B2号は、部屋の空気の品質を制御するための方法及びシステムを開示している。方法は、多点空気監視システムの一部である閉込め空気センサを使用する。本当の屋内閉込め空気レベルの向上された近似により、必要な換気及び空気供給のより正確な調整が可能となる。閉込め空気センサは、詳細には説明されていない。
米国特許第9964470B2号は、いくつかの他の測定方法(電気化学的方法、光学的方法、など)とともに光音響測定の原理に言及しながら、様々な測定方法を挙げている。監視されるべき閉込め空気は、様々な粒子を含むと言われており、ウイルス、細菌、などのようなバイオエアロゾルも言及されている。米国特許第9964470B2号は、真菌、ウイルス、又は細菌などのバイオエアロゾルの検出に対する光音響測定の原理の使用に関して、いかなる直接教示も含んでいない。むしろ、従来技術に関しては、当業者は、例えば、やはり可能な測定方法の列挙において言及されている真菌、ウイルス、又は細菌の検出のために電気化学的方法が使用されることを想定するであろう。当業者は、バイオエアロゾルの検出に対して光音響測定の原理が使用され得ることに関するいかなる指摘も、米国特許第9964470B2号では見出さないであろう。
したがって、従来技術を考慮すると、大気中のエアロゾル粒子を検出するための改善された又は代替的な方法若しくはデバイスが必要とされている。
米国特許第7710566B2号 WO2015/020611A1 ドイツ特許公開第DE4130639A1号 米国特許第9964470B2号 欧州特許公開第EP3623779A1号 欧州特許公開第EP36323780A1号
Word Health Organization WHO、Global tuberculosis report 2019 Kulkarniら、Aerosol Measurement,3rd ed.、John Wiley & Sons,Inc.、2011 Bioaerosol Health Effects and Exposure Assessment:Progress and Prospects、J.Douwes、P.Thorne、N.Pearce、及びD.Heederik、Institute for Risk Assessment Sciences、Division of Environmental and Occupational Health、Utrecht University、The Netherlands;Centre for Public Health Research、Massey University Wellington Campus、Wellington、New Zealand;University of Iowa College of Public Health、Department of Occupational and Environmental Health、IA、USA Tobias, H. Bioaerosol mass spectrometry for rapid detection OF individual airborne Mycobacterium tuberculosis H37Ra particles. Appl. Environ. Microbiol. 71, 6086-6095 (2005). Fernstrom A. et al, Aerobiology AND Its Role in the Transmission OF Infectious Diseases Journal OF Pathogens Volume 2013, Article ID 493960, 13 pages. Senguptaa, A., Brarb, N. & Davis, E. J. Bioaerosol detection AND characterization by surface-enhanced Raman spectroscopy. J. Colloid Interface Sci. 309, 36-43 (2007). Schafer, M. P. et al. 1999. detection AND characterization OF airborne Mycobacterium tuberculosis H37Ra particles, A surrogate for airborne pathogenic M. tuberculosis. Aerosol Sci. Technol. 30:161-173. Park, Kyu-Tae et al. Detection OF airborne viruses using electro-aerodynamic deposition AND A field-effect transistor, Scientific Reports | 5:17462 | DOI: 10.1038/srep17462. Huffman et al Real-time sensing OF bioaerosols: Review AND current perspectives AEROSOL SCIENCE AND TECHNOLOGY 2020, VOL. 54, NO. 5, 465-495. MARSH, D.G. (1975). Allergens AND THE genetics OF allergy; in M. Sela (ed), The Antigens, Vol. 3, pp 271-359. (Academic Press Inc., London, New York).
本発明の目的は、従来技術の欠点を伴わずに大気中のエアロゾル粒子の検出のための方法及び適切な装置を提供することである。具体的には、本発明の1つの目的は、エアロゾル粒子、特にバイオエアロゾルを確実に、迅速に、安価に、且つ複雑な試料操作又は器具類を伴わずに測定することができる、改善された方法を提供することであった。
この目的は、独立請求項に記載の特徴によって解決される。本発明の有利な実施例は、従属請求項で説明される。
1つの態様では、本発明は、大気中のエアロゾル粒子を検出するための方法であって、
a.光音響ガス・センサを用意するステップであり、光音響ガス・センサが、
- 具体的にはMEMSエミッタである、変調可能エミッタ、
- 大気と流体連通している分析領域、
- 具体的にはMEMSエミッタである、音圧波の検出のためのセンサ
を備え、
エミッタが変調可能放射線を使用し分析領域内のエアロゾル粒子を励起させてセンサによって検出可能な音圧波を形成することができるように、分析領域がエミッタのビーム経路内に存在する、ステップと、
b.変調周波数で変調された放射線で分析領域を照射して音波圧を生成するステップと、
c.生成された音圧波をセンサによって測定するステップと、
d.測定の結果に基づいて大気中のエアロゾル粒子の存在及び/又は濃度を判定するステップと、
を含み、
エアロゾル粒子が、好ましくはバイオエアロゾルである、方法に関する。
本発明による方法は、好ましくはMEMS技術に基づく極めてコンパクト且つ頑強な光音響ガス・センサによりエアロゾル粒子の存在及び/濃度が確実に検出され得るという事実を特徴とする。従来技術における多くの手法とは対照的に、この目的のために複雑な使用操作が必要とされないことが、有利である。その代わりに、放出される放射線の波長をエアロゾル粒子の吸収挙動に合わせることにより、エアロゾル粒子の存在及び/又は濃度が、特にウイルス又は細菌などの生物学的構造体に関して、確実に検出され得る。
したがって、本方法は、光音響効果による大気中のエアロゾル粒子の単純且つ速やかな検出を特徴とする。コンパクトなMEMSベースのセンサを使用する低費用の実施により、極めて広範な適用可能性がもたらされる。
本方法は、エアロゾル粒子、特にウイルス若しくは細菌の存在及び/又は濃度に関して大気を確実に監視するために、例えば公共空間、公共輸送機関において使用され得るが、私的な環境又は換気システムにおいて使用されてもよい。前もって定められた閾値を超えた場合、警告が発せられてよく、及び/又は、有害な可能性のあるエアロゾル粒子の拡散を防ぐための方策が行われてもよい。
本方法は、例えば医科の待合室又は病院の様々なエリアにおける早期警戒システムとして、医療分野にとって特に重要である。したがって、本方法の単純さ及び低費用の実施の可能性は、特に、病原性のある粒子の拡散に関して大気を監視することに対する幅広い適用範囲を可能にする。
ウイルスの実例を使用した、大気中のエアロゾル粒子の検出のための方法の好ましい実施例の概略図である。 本発明による方法を用いて有利に検出され得る様々な大きさ及びタイプのエアロゾル粒子を示す図である。
本方法の特に好ましい実施例では、エアロゾル粒子はバイオエアロゾルであり、好ましくは花粉、胞子、細菌、及びウイルスである。本方法はまた、煤粒子又は塵粒子を検出するために使用され得る。しかし、本方法は、本発明者らによって認識された細菌、ウイルス、花粉、さらには胞子などの複雑な生物学的構造体の特異的検出に対してもPASが使用され得る可能性を通じて、特段の重要性を得る。
ガスの分析のための光音響分光計の基本的特徴及び不可欠な構成要素は、当業者に知られている。変調可能エミッタが、特に赤外波長範囲内の電磁放射線を生成し、また好ましくは、エミッタによって放出される放射線が測定セルにおいて分析されるべきガスに実質的に又は少なくとも部分的に入射するように、配置され且つ構成される。
ガス混合物中に存在するガス成分の分子の吸収スペクトルに対応する赤外波長により変調照射が行われた場合、加熱過程及び冷却過程をもたらす変調吸収が起こり、それらの過程の時間尺度は、放射の変調周波数を反映する。加熱過程及び冷却過程は、光音響効果に従ってガス成分の膨張及び収縮をもたらし、それにより、ガス成分は、実質的に変調周波数を有する音圧波を形成するように励起され得る。これらの音圧波は、音検出器によって測定され得る。音波の力は、吸収ガス成分の濃度に直接比例することが好ましい。
意外にも、光音響効果は、複雑且つガス成分と比較して巨視的な生物学的構造体にまで同様に拡大され、したがってバイオエアロゾルの検出に適し得ることが分かった。
好ましい実施例では、放出される放射線の1つ又は複数の波長をエアロゾル粒子、特に好ましくは花粉、胞子、細菌、又はウイルスなどのバイオエアロゾルの吸収挙動に合わせることにより、エアロゾル粒子の選択的な励起及び検出が達成される。
この目的のために、エアロゾル粒子の波長依存の光音響吸収挙動に関する基準データが、波長依存の励起を最適化するために記録されることが、好ましい場合がある。
有利には、花粉、胞子、細菌、及びウイルスなどのバイオエアロゾルは、この目的のための特徴的な光音響フィンガープリントを示す。したがって、波長依存の別々の光音響共鳴が、調査される生物学的構造体に対して発生する。
これは、細菌、ウイルス、又は花粉などのバイオエアロゾルのための近赤外範囲内の波長に対して、1つ又は複数の波長において特徴的な光音響信号がしばしば記録され得ることを示す。
しかし、生物学的構造体の特定の構成要素はまた、UV範囲内で選択的に励起され得る。花粉コート内のカロチノイドは、可視光の青色範囲(500nmを超える波長)を吸収する。タンパク質、生体高分子、及び核酸は、一般に300nmを下回る波長(UV範囲)を吸収する発色団を有する。したがって、ウイルス外被内のタンパク質は、UV範囲を吸収する。水及び有機的構造もまた、低エネルギーの赤外光を特に良く吸収する。
しかし、試験シリーズは、エアロゾル、特にバイオエアロゾルの調査に対しては、高い含水量のために、170nmを超える波長が好ましいことを示す。
本方法の特に好ましい実施例では、エアロゾル粒子は、バイオエアロゾルであり、好ましくは花粉、胞子、細菌、又はウイルスであり、エミッタの1つ又は複数の波長は、170nmから10μmの間、好ましくは200nmから1000nmの間の範囲から、選択的な励起のために選択されることが好ましい。
好ましい励起波長は、上述の範囲内であるが、200nmから300nm、300nmから400nm、400nmから500nm、600nmから700nm、700nmから800nm、800nmから900nm、900nmから1000nm、1000nmから1500nm、1500nmから2000nm、2500nmから3000nm、3000nmから4000nm、4000nmから5000nm、さらには5000nmから10000nmなどの中間範囲も好ましい場合がある。前述のパラメータ範囲は、200nmから1500nm、500nmから900nm、又は300nmから2000nmなどの他の好ましい範囲を得るために組み合わせられてもよいことを、当業者は認識するであろう。
例えばウイルス、花粉、及び/又は細菌といった特定の生体粒子のための1つ又は複数の波長の選択は、上記の試験シリーズによって決定され得ることが好ましい。
特に良好な結果は、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くの様々な波長による励起、具体的には170nmから10μmの間、好ましくは200nmから1000nmの間の範囲からの波長による励起によって得られ得る。ここで、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くの様々な波長による選択的な励起が2回、3回、4回、5回、又はそれより多くの様々な回数起こること、並びに、大気中のエアロゾル粒子の存在及び/又は濃度が2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くの様々な波長において測定された音圧に基づいて判定されることが、好ましい場合がある。
本発明によれば、生物学的構造体の複雑な組成に起因して、例えばそれらのタンパク質組成に関して、様々な生物学的構造体に極めて詳細な光音響フィンガープリントが割り当てられ得ることが分かった。
ウイルス、細菌、又は花粉などの生物学的エアロゾル粒子は、原則的に類似のタンパク質を含み、その結果、類似の波長範囲において光音響吸収が起こり得るが、タンパク質の様々な比率が、様々な波長における特に異なるPAS信号をもたらす。したがって、PAS信号の波長依存の位置及びそれらのそれぞれの振幅に関する情報が、スペクトルのフィンガープリントと同様に、特定のエアロゾル粒子の存在又は濃度の特に正確な判定を可能にする。
PAS信号又は光音響信号という用語は、好ましくは、分析領域において生成される音圧波、特に励起エミッタの変調周波数に実質的に対応する周波数を有する音圧波を介したセンサの測定結果を意味する。
好ましい実施例では、基準データは、大気中の検出されるべきエアロゾル粒子の濃度が知られ且つ制御される較正測定を使用して得られる。この目的のために、例えば、光音響ガス・センサは、定められた濃度のエアロゾル粒子が実験室条件下で存在している較正チャンバ内に配置される。
基準データを得るために、光音響信号の波長依存の検出が、例えば170nmから10μm、好ましくは170nmから1000nmの定められた波長範囲にわたって行われることが好ましい。光音響信号の検出されたピークに基づいて、1つ又は複数の波長が、選択的な励起、及び対応する光音響信号の閾値のために定められ、閾値は、大気中のエアロゾル粒子の濃度の増大を示す。
有利には、提案される方法は、大気中の複数の複雑なエアロゾル粒子すら検出することができる。
本発明において、エアロゾル粒子という用語は、一般に、観察及び測定されるのに十分な長時間にわたってガス媒体中に浮遊している液体又は固体の粒子の集まりを意味する。粒子もまた、エアロゾル粒子又は浮遊粒子と見なされる。エアロゾル粒子は、典型的には、大きさが約0.001μmから約100μmに及ぶ(Kulkarniら、Aerosol Measurement,3rd ed.、John Wiley & Sons,Inc.、2011参照)。
大気という用語は、一般に、ガス(又は、ガス状流体若しくは気相流体)を意味する。ガスは、液滴又は蒸気を含む場合もあればそうでない場合もあり、また、エアロゾル粒子を含む場合もあればそうでない場合もある。したがって、エアロゾルは、粒子、及び粒子を同伴するか又は運ぶガスを含むとも見なされ得る。
本明細書において、バイオエアロゾルという用語は、一般に、1つ又は複数の生体粒子が浮遊しているか又は運ばれているエアロゾルを意味する。生体粒子という用語は、一般に、生物学的物質、又は生物学的物質と生物学的物質が運ばれている非生物学的粒子との組み合わせを意味する。つまり、生物学的物質それ自体は、エアロゾル中に自由に浮遊する粒子であってよく、又は、生物学的物質及び非生物学的粒子がエアロゾル中で一緒に浮遊するように、非生物学的粒子で運ばれてもよい。
生物学的物質は、捕捉、包埋、付着、吸収、誘引、親和、などの任意の機構により、非生物学的流体で運ばれてもよい。生物学的流体の実例は、胞子(例えば、真菌胞子、細菌胞子、など)、真菌、カビ、細菌、ウイルス、生体細胞若しくは細胞内成分、生物学的に誘導された粒子(例えば、皮膚細胞、有機堆積物、など)、などを含むが、これらに限定されない。
バイオエアロゾルは、病原性或いは非病原性の、生きている又は死んだ細菌及び真菌、ウイルス、高分子量アレルゲン、細菌内毒素、マイコトキシン、ペプチド・グリカン、ベータ(1-3)グルカン、花粉、植物繊維、などを含み得る。バイオエアロゾルへの暴露は、感染症及び呼吸器疾患などの複数の疾患に関連付けられる。癌などの他の疾患及び状態が、バイオエアロゾルへの暴露に関連付けられている(Bioaerosol Health Effects and Exposure Assessment:Progress and Prospects、J.Douwes、P.Thorne、N.Pearce、及びD.Heederik、Institute for Risk Assessment Sciences、Division of Environmental and Occupational Health、Utrecht University、The Netherlands;Centre for Public Health Research、Massey University Wellington Campus、Wellington、New Zealand;University of Iowa College of Public Health、Department of Occupational and Environmental Health、IA、USA)。
生物学的な微生物又は粒子は、様々な方法で大気に到達し得る。例えば、相当量の付随的な物質を含まない孤立粒子として、例えば皮膚片、植物部品、土壌粒子といった固体粒子に付着して、さらには飛沫内で、大気に到達し得る。
飛沫感染は特に、吸入性感染症の伝播に対する重要な感染経路を表す。呼息、発声、嘔吐、くしゃみ、及び咳をしているときに、唾液、並びに鼻汁及び痰などの気道の他の液体分泌物が、噴霧化により飛沫として環境中に放出される。
バイオエアロゾルという用語は、上述の浮動機構の全てをカバーすることが意図されている。即ち、バイオエアロゾルという用語は、他の粒子に付着し且つそれら(皮膚片、塵、植物の部品、毛髪、羽毛、衣類の繊維)とともに浮動する、自由に浮動する真菌胞子、細菌、及び酵母などの個々の生体粒子、又は細菌若しくはウイルスが存在する飛沫として、特に理解されるべきである。
本発明の好ましい実施例では、検出されるべきエアロゾル粒子は、ウイルスである。
本明細書において、「ウイルス」という用語は、好ましくは、生命体の生細胞内でのみ複製することができる小さな感染病原体を意味し、また、ウイルス粒子の他にビリオンも含み得る。ウイルスは、20~330nmの直径を有し得ることが好ましい。
ウイルス科の非限定的な実例は、アデノウイルス科、アレナウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、サーコウイルス科、コロナウイルス科、デルタウイルス、シホウイルス科、フィロウイルス科、フラビウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘペウイルス科、ヘルペスウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、ピコマウイルス科、ポキシウイルス科(ポクスウイルス)、レオウイルス科、レトロウイルス科、及びラブドウイルス科である。
空気によって伝播し、且つ、(水痘帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella-zoster virus)による)水痘、(コロナウイルスによる)感冒、肺疾患、特にSARS-CoV-2ウイルスによって引き起こされるCOVID19、ヒト及び動物のインフルエンザ(インフルエンザ・ウイルス)、麻疹(麻疹ウイルス)、(モルビリウイルスによって引き起こされる)牛疫(rubella rinderpest)、又は(ウシ呼吸器多核体ウイルス(BRSV:bovine respiratory syncytial virus)によって引き起こされる)ウシの呼吸器疾患などのヒト、動物、及び植物の様々な疾患に関与するウイルス、さらには土壌からエアロゾル化される植物ウイルスが、特に好ましい。
本発明の好ましい実施例では、検出されるべきエアロゾル粒子は、細菌である。提案された方法によって検出され得る細菌の大きさ、形状、又はタイプは、大きく異なる。例えば、細菌は、約0.1から700μmの間、好ましくは約0.6から1.0μmの間の直径を有し得る。
細菌は、様々な外形、即ち、球菌(ミクロコッカス)と呼ばれる球形の形状、多かれ少なかれ丸みを帯びた端部を有する棹状体(バチルス、エシェリキア)と呼ばれる円筒形の形状、らせん形の形状(らせん菌、スピロヘータ)、柄を有する形状(カウロバクター)、付属肢を有する形状(ハイフォミクロビウム)、多細胞性のトリコームを形成する形状(カリオファノン、オシラトリア)、分岐して菌糸体と呼ばれる繊維状の塊を形成する、菌糸と呼ばれる長く分岐した繊維を形成する形状(ストレプトマイセス属菌)、及び、不規則に配置されたいくつかの細胞を有する構造(プレウロカプサ)で発生する。細菌はまた、凝集体、即ち、球の連なり(連鎖球菌)、球状細胞の平面的な配列(メリスモペディア)、球の規則的な3次元配列(サルシナ属)、棹状体の連なり(ストレプトバチルス属)、管で囲まれた棹状体の連なり(レプトスリックス属)で発生し得る。
気道を介して伝播し、且つ、(結核菌による)結核症、ジフテリア(コリネバクテリウム・ジフセリエ)、猩紅熱、(連鎖球菌による)髄膜炎、又は(肺炎連鎖球菌、連鎖球菌の亜種による)肺炎などのヒト、動物、及び植物の様々な疾患に関与する細菌が、特に好ましい。
本発明の好ましい実施例では、検出されるべきエアロゾル粒子は、真菌又は真菌胞子である。真菌によって引き起こされる感染症は、真菌症又は真菌性疾患とも呼ばれる。これらは、例えば皮膚又は粘膜の真菌症といった表在性真菌症、及び、病原真菌が通常肺を介して血流に入る全身性真菌症の、両方を含む。
提案される方法によれば、有利には、カビ胞子などの大気を介して伝播する真菌又は真菌胞子を検出することが可能である。具体的には、真菌感染症は、(HIV、糖尿病を含む)先行疾患が原因で又は(自己免疫疾患の場合の)免疫抑制薬の使用が原因で免疫系が弱くなった人にとって、大きなリスクとなる。したがって、二次疾患を防ぐために、真菌若しくは真菌胞子の存在又は濃度の継続的な監視が、医療分野において、例えば病院において、利用され得る。
本発明の好ましい実施例では、検出されるべきエアロゾル粒子は、花粉である。花粉は、大抵は、種子植物の雄蕊に形成される粉様の塊であり、花粉粒で構成される。花粉粒は、大きさ、形状、及び表面構造が非常に多様であり、また多くの場合、それらの特性に基づいて、種又は少なくとも属に割り当てられ得る。ほとんどの花粉粒は、大きさが10から100マイクロメートルの間である。
花粉は、温暖気候における枯草熱又は喘息などのアレルギー性疾患の主要因である、アレルギー誘発性タンパク質を含むことが多い(Marsh、1975)。花粉は、吸入性の粒子として、何キロメートルにもわたって、数時間又は数日間も空気中で分散し得る。したがって、提案される方法による大気中の花粉の濃度の日常的な監視は、危険にさらされる可能性のある人物をアレルギー性の過剰反応から保護することができる早期警戒システムの確立を可能にする。
本発明者らは、(細菌、ウイルス、胞子、又は花粉を含む)バイオエアロゾルは変調可能エミッタ及び音圧検出器を備える光音響ガス・センサを用いて確実に検出され得ることを認識した。
変調可能エミッタは、好ましくは、電磁放射線を放出する装置を意味する。
この放射線は、好ましくは、赤外(IR:infrared)範囲内、具体的には約700ナノメートル(nm:nanometer)から10μmの間の波長、紫外範囲内、具体的には170nmから380nmの間の波長、又は同様に可視範囲(VIS:visible range)内、具体的には380nmから700nmの間の波長を有する。
具体的には、スペクトルは、光音響分光法の好ましい応用分野に対応するように選択される。
具体的には、分光器で調べられ且つ/又は検出されるべきエアロゾル粒子の励起の振幅は、特にバイオエアロゾルの場合にはエアロゾルの構成成分に依存する好ましいスペクトル範囲に対応することが、好ましい。
花粉コート内のカロチノイドは、可視青色範囲(500nmを超える波長)を主に吸収する。タンパク質、生体高分子、及び核酸は、300nmを下回る波長(UV範囲)のみを吸収する発色団を有することが多い。ウイルス外被内のタンパク質は、同様にUV範囲を吸収することが多い。細菌及びウイルスに生じる有機分子もまた、低エネルギーの赤外光(特に近赤外光)を特に良く吸収する。
好ましい実施例では、エミッタは、赤外エミッタである。赤外放射線の特に好ましい波長範囲は、700nmから10μm、好ましくは700nmから3μm、さらには700nmから1μmである。
赤外放射線を生成するには、熱エネルギーが加熱素子の形態で提供されることが好ましい。(マイクロ)加熱素子が、特に好ましい。マイクロ加熱素子は、好ましくは、数マイクロメートル(μm)程度の寸法を有する加熱素子を意味すると理解される。ここで、加熱素子は、電流が流れたときにジュール熱を発生させる導電性材料の加熱可能層を含む。発生する熱は、好ましくは、電流源が使用されるか又は電圧源が使用されるかによって、素子のオーム抵抗及び電流の2乗、又は印加される電圧の2乗及び逆のオーム抵抗に依存する。赤外放射線の熱源は、1つの光源だけで様々なガスの原子又は分子を励起させることができる広帯域発光などの、PASにとって有利な特性を有する。それと同時に、熱IRエミッタは、特に安価であり、製造が容易であり、且つ、耐久性がある。
平衡状態では、発生する熱は、熱伝導、対流、及び熱放射(同義語:熱放射、赤外放射)に起因して、熱損失に等しく、熱放射は、電流が流れる加熱可能層の外側境界面において放出される。当業者には知られているように、発生する熱は、具体的には粒子の熱運動により、とりわけ熱放射を引き起こし、これは、例えば、電荷担体の加速及び/又は振動双極子モーメントをもたらす。したがって、赤外放射線は、通電加熱可能層によって特に生成され得る。加熱可能層は、金属、例えばタングステン又はプラチナで作られることが好ましい。適切な電圧を印加すること、及び得られる電流により、ジュール熱が生成され、したがって最終的には赤外放射線が生成される。
加熱体の放射線スペクトルは、好ましくはプランクの放射法則によっておおよそ説明することができ、それによれば、例えば放射率又は体の熱平衡からの実際の逸脱といった実際の加熱可能層と黒体との違いが、当業者に知られている。これらの逸脱にも関わらず、生成されるスペクトル及びその強度は、プランクの放射法則に従って温度及び放射面積によって実質的に叙述される。
実質的に、おおよそ、約、などのような用語は、好ましくは、±20%未満、好ましくは±10%未満、より好ましくは±5%未満、特には±1%未満の許容範囲を表す。実質的に、おおよそ、約、などの指示はまた、言及された厳密値を常に開示し且つそれを含む。
したがって、当業者は、(マイクロ)加熱素子を的確に設計することにより、好ましい強度分布を有する好ましいスペクトルを得ることができる。この目的のために、加熱素子の材料及び幾何学的設計に加えて、利用可能とされる電気エネルギー、並びに熱放射に加えて加熱素子からの熱損失の大きさが、明白であることが好ましい。これらの熱損失の大きさは、例えば、加熱素子と隣接する物質及び/又は流体との間の熱伝導率、並びにそれらの加熱能力及び境界面の大きさによって判定される。
加熱素子の形態のIRエミッタは、特に費用効率が高く且つ頑強であるが、それと同時に、発光の分光幅は、多数のエアロゾル粒子がPSAにおいて検出されることを可能にする。好ましくは調節可能な帯域フィルタにより、必要とされる場合には、幅広い発光スペクトルからより狭いスペクトルを選択することができる。
赤外エミッタの赤外放射線はまた、所望の赤外スペクトル範囲内で発光する発光ダイオード(LED:light-emitting diode)、及び/又はレーザによって生成され得る。
好ましい実施例では、エミッタは、VIS及び/又はUVエミッタである。UV放射線の特に好ましい波長範囲は、170nmから380nmであり、一方で、380nmから700nmの間の好ましい波長範囲が、VISエミッタ(可視範囲内の可視エミッタ)によってカバーされ得る。
発光する発光ダイオード(LED)及び/又はレーザがVIS又はUVエミッタのために使用され得ることが、特に好ましい。
LEDは、今日では、コンパクトな設計で、わずかの費用で、幅広い波長に利用可能である。レーザは、レーザの発光スペクトルに正確に一致するエアロゾル粒子の吸収線、好ましくはバイオエアロゾルの吸収線のみが励起され、したがって検出され得るように、狭い発光スペクトルを有することが好ましい。
エミッタの発光は、直線の形態で好ましい方向に配向される、ビームの形態であることが好ましい。ビームという用語は、好ましくは、エミッタの好ましいビーム方向に沿った放射線の集中的な部分を意味し、それにより、具体的にはこの方向に沿った最大強度のエリアが、ビームを画定する。強度は、好ましくは面積出力密度として画定され、また好ましくは、1平方メートル当たりのワットの単位、又は短縮するとW/mの単位を有する。
レンズなどの追加の構成要素が、ビームの集束又は平行化を実現するために、エミッタに組み込まれるか又は外部に取り付けられ得る。当業者は、所望のビーム・プロファイル及び所望のビーム方向結果がもたらされるようにエミッタを設計することの他に追加の構成要素を使用することにより放射線源の放出プロファイルを成形する方法を知っている。変調可能エミッタは、追加のレンズを伴わずに機能することができるか、又は、放射線源及びビームを平行にするための少なくとも1つのレンズを含むシステムであってよいことが、好ましい。
エミッタは変調可能であるが、これは、放出される放射線の強度、好ましくはビームの強度が、制御可能な態様で経時的に変更され得ることを意味する。変調は、好ましくは、測定可能な変量としての強度の時間的な変化を引き起こすものとする。これは、例えば、測定期間内に測定される最弱の強度と同じ期間内に測定される最強の強度との間に経時的な強度の差が存在し、その差が放射線スペクトルにおける強度の測定又は判定のために典型的に使用される機器の感度よりも大きいことを意味する。調節可能な最強の強度と最弱の強度との間の差は、2倍、より好ましくは4、6、又は8倍を大きく上回ることが好ましい。変調ビームの強度は、1つ又は複数の所定の波長に対して変調され、その波長により、エアロゾル粒子、好ましくは細菌、ウイルス、胞子、又は花粉などのバイオエアロゾルが選択的に励起されることが、特に好ましい。
熱赤外線エミッタ又はLEDの場合、例えば電流供給を変化させることにより直接変調が行われ得ることが、好ましい。これはまた、実施するのが特に容易であり且つ安価である。
エミッタの変調は、回転チョッパ・ホイール及び/又は電気光学変調器を使用することによる外部変調によっても達成され得ることが好ましい。
好ましい実施例では、変調可能エミッタは、波長選択的な放射を可能にし、及び/又は、ファブリ・ペロー・フィルタなどの波長選択フィルタが、変調可能エミッタと検出チャンバとの間のビーム経路内に存在する。
波長選択フィルタは、調節可能であることが好ましい。したがって、光音響ガス・センサは、PASのために1つ又は複数の波長で励起され得る様々なエアロゾル粒子、好ましくはバイオエアロゾルの存在及び/又は濃度を検出するために使用され得る。有利には、いくつかの波長による励起はまた、検出されるべきエアロゾル粒子の波長依存の吸収挙動に励起が合わせられ得るように、経時的に連続的に起こり得る。
例えば、波長に敏感な赤外エミッタは、調節可能なレーザであってよく、且つ/又は、異なる波長の複数のレーザを含んでもよい。
調節可能なフィルタを使用する場合、広域スペクトルを有するエミッタ、例えばLED、及び/又はIRエミッタの場合には熱エミッタが、特に使用され得る。
好ましい実施例では、変調可能エミッタは、MEMSエミッタである。
MEMS技術は、具体的には、マイクロシステム技術を使用したコンパクトな機械電子デバイス(mechanical-electronic device)の製造のための技術を意味する。この方法で製造され得るマイクロシステム(微小電気機械システム、略してMEMS)は、非常にコンパクト(マイクロメートル範囲)であるが、それと同時に、飛び抜けた機能性、及び、かつてない安さの製造費用を提示する。
エミッタ自体、及び、エミッタの変調のための微小機械構造の両方が、MEMS技術によって提供され得る。
例えば、エミッタの強度の変調は、開口構造と放射線源との間の相対運動を制御するMEMSアクチュエータによって行われ得る(欧州特許公開第EP3623779A1号又は欧州特許公開第EP36323780A1号を特に参照)。
例えば静電アクチュエータ、圧電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、及び/又は熱アクチュエータといったMEMSアクチュエータを使用することにより、放出される赤外放射線の強度の変調は、特に高速且つ単純な方法で達成され得る。具体的には、100Hzを遙かに超えて最高で100kHzまでの変調周波数が得られ得る。そのような変調周波数は、光音響分光法において信号対雑音比を増大させるのに特に有利である。したがって、エミッタの変調周波数は、マイクロホンなどの音検出器の検出構成要素の内部雑音からさらに離れた範囲に調整され得る。マイクロホンの場合、内部雑音は、数Hzから約100Hzまでの範囲内で、特に高い。
好ましい実施例では、分析領域は、エアロゾル粒子を含む大気が分析領域内に流れる又は拡散することができるように、1つ又は複数の開口部を有する開放系を表す。
好ましい実施例では、分析領域は、少なくともいくつかのエリアにおいて外部に対して閉じられるか又は閉鎖可能な領域(又は、チャンバ)であり、少なくともいくつかのエリア内には、クロージャ、弁、及び/又は供給ラインによって閉鎖可能であるように同じく設計され得る形態の1つ又は複数の開口部を介して、大気が配置されるか又は導入され得る。
したがって、分析領域は、少なくとも部分的に開口していることが好ましい。このようにして、分光器を取り囲むガス雰囲気(空気)、即ち分析領域への少なくとも部分的なアクセスを有するガス雰囲気を測定することができ、ガス雰囲気中のエアロゾル粒子の量又は濃度を検証することができる。
有利には、この場合、分析領域は、エミッタにより変調可能に放出される放射線が分析領域内のエアロゾル粒子を励起させて音圧波を形成することができるように変調可能エミッタ、分析領域、及び音検出器が配置されるように、明確に定められ、音圧波は、音圧検出器よって測定され得る。
分析領域は、好ましくはエミッタのビーム経路内に配置される。これは、好ましくは、ビームの強度が、エミッタに面する分析領域の側に実質的に又は少なくとも部分的に入射することを意味する。部分的にとは、好ましくは、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、60%、70%、80%、又はそれ以上を意味する。
好ましい実施例では、エミッタは、外側から分析領域の好ましいリージョンに向けられ得る。内側のエアロゾル粒子を励起させるために領域の外壁を通して放射することが必要な場合、外壁は、少なくともこのリージョンにおいては放射線(例えば、IR、UV、及び/又はVIS)に対して実質的に透明であることが好ましい。しかし、エミッタは、分析領域の内部に存在していてもよい。
少なくとも部分的に開口しており、したがって好ましくはその周囲とのガス交換を可能にする分析領域の場合、その周囲との恒久的なガス交換を可能にし、分析領域の充填は、その周囲のガス雰囲気との相互作用によって行われる。
分析領域は、好ましくは、試料チャンバ及び基準チャンバを含むことができ、これらのチャンバは、接続チャネルによって接続されるか又は接続可能である。
試料チャンバ及び基準チャンバを含む分析領域の実施例の場合、各チャンバにおいて別々に測定するために、したがって好ましくは測定後に例えば試料チャンバにおいて吸収された放射線に由来しない外的な音圧波といった干渉の原因を取り除くことを可能にするために、少なくとも1つの音検出器が各チャンバに導入されることが好ましい場合がある。
エミッタは、試料チャンバを照射し基準チャンバを照射しないことも好ましい場合があり、この場合、試料チャンバと基準チャンバとの間に、音検出器が配置される接続チャネルが存在する。この実施例は、例えば、測定及び/又は測定の評価中に、望ましくない音源からの音が除去されるか又は測定に含まれないので、特に正確な光音響分光法を特徴とする。試料領域及び基準領域は、精密な差異測定法を実現するために、実質的に同じ寸法を有し得ることが好ましい。
試料領域及び基準領域は、同じガスを含み得る。知られた特性を有するガスが基準領域内に存在し、また好ましくは大気である分析されるべきガスが試料領域内に存在することにより、試料領域及び基準領域に異なるガスが含まれることが、好ましい場合もある。例えば望ましくない音波といった誤差原因は、両方の領域に作用するものであり、また、領域間に配置された音圧検出器は、好ましくは、実質的に光音響分光法に適切なエアロゾル粒子の選択的な励起によってもたらされる試料領域内の音圧波のみを試料領域と基準領域との間の差分信号として検出するので、2つの領域及び少なくとも1つの音圧検出器を使用することにより、誤差原因の排除の改善が有利に達成され得る。
好ましい実施例では、光音響ガス・センサは、センサがMEMS技術によって実装されるだけでなく、具体的には分析領域、試料チャンバ及び/又は基準チャンバを含むセル全体が、高度に小型化された形態で提供され得ることを特徴とする。ガス・センサの最大寸法は、5cm未満、好ましくは10mm未満、5mm未満、又はそれより小さいことが好ましい。
具体的には、エアロゾルを検出するための光音響ガス・センサ全体がMEMSとして実装されることが、好ましい。有利には、センサは、MEMSで実現されてよく、又は、MEMSに直接組み込まれてもよい。さらに、分析領域、試料チャンバ、及び/又は基準チャンバを形成するためのチャンバは、多層基板に形成され得ることが好ましく、基板は、具体的にはそれぞれの構成要素を製造するための基材を示す。この用語は、具体的には、基板から回路が製造される半導体産業を対象とする。これに関連して、その効率性、単純さ、低い生産費用、及び大量生産に対する適合性のために適切である、半導体産業及び/又はMEMS製造から知られている材料及び/又は製造技法が、使用される。
これに関連して、基板は、エッチング・プロセス及び/又は物理的な加工技法により、具体的には個々の基板のエリア及び/又は層厚さを除去及び/又は排除することにより、形状が継ぎ目なしに要望通りに加工され且つ適合され得る。多層基板は、具体的には、個々の薄い基板の複数の層、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の層を備え、個々の薄い基板は、個々に機械加工され、次いで具体的には前述の構成要素を備えるガス・センサを形成するために組み立てられ得る。
このようにして、例えば、10μmから2mmの高さ、好ましくは50μmから1mmの高さ、特に好ましくは100μmから500μmの高さ、及び/又は100μmから10mmの長さ若しくは幅、好ましくは200μmから5mmの長さ若しくは幅、特に好ましくは500μmから2mmの長さ若しくは幅を有する試料チャンバ又は基準チャンバが形成され得る。これは、コンパクトな設計と光音響検出のための十分な領域の形成とを同時に可能にする。
多層基板は、少なくとも2つのウェハを接合することによって形成され得ることが好ましい。個別に前処理された基板の複数の層を接合することにより、有利には、ガス・センサの複雑な構成要素が、また具体的には完全に組み込まれた完全なガス・センサが、容易に製造され得る。
前処理された基板からの構造体の接合は、非常な複雑さで単一のウェハ及び/又は基板のみから生産され得る複雑な構造体の単純生産を可能にする。このようにして、ガス・センサ内の空洞又はチャンバが、素材の内部から精巧に機械加工される必要なしに、接合によって提供され得る。
低い高さと電子回路などの他の半導体要素との高い適合性とを有する、製造が容易なガス・センサを生産することが可能である。好ましい実施例では、基板層を適切に連結することにより、組み込まれたMEMSセンサを含むモノリシックのチャンバも実現され得る。モノリシックとは、好ましくは、隣接する及び/若しくは継ぎ目のない又は非常に小さな構成要素から分離不能に組み立てられた1つの部品で構成されることを意味する。
好ましい実施例では、MEMSセンサは音圧検出器であり、その場合、音圧検出器は、好ましくは、容量的に又は光学的に読取り可能な圧電の、ピエゾ抵抗の、及び/若しくは磁気のビーム、並びに/或いは容量性の、圧電の、ピエゾ抵抗の、及び/又は光学的なマイクロホンを含む。
PASによって生成される音圧波は、様々な方法で検出され得ることが好ましい。音圧検出器が、特に適切な手段である。音圧検出器は、具体的には圧電ビームであってよい。
圧電ビームは、振動構造であることが好ましく、具体的には、例えばアクチュエータの形態の圧電性物質を含むベンディング・ビームの形態の振動構造であることが好ましい。
ベンディング・ビームが受動的であることが好ましい場合があり、これは、好ましくは、音圧波によりベンディング・ビームが振動されることを意味する。次いで、ベンディング・ビームは、圧電効果に基づく圧電性物質の変形を通じて電圧を生じさせる。(直接的な)圧電効果は、好ましくは、電圧の発生、及び/又は対応する物質で作られた固体が弾性的に変形したときのそのインピーダンスの変化を表す。電圧は、例えば適切な連絡によってタップされ、且つ、対応する電子回路によって読み取られ得る。
ベンディング・ビームが能動的であることが好ましい場合もあり、これは、具体的には、逆圧電効果によりベンディング・ビームが振動されることを意味する。圧電効果は、好ましくは、電圧及び/又は電場が印加されたときの物質の変形を表し、変形の結果として、具体的にはその物質により力が働かせられ得る。音圧波は、好ましくは、振動しているビームの減衰の変化をもたらすことができ、これは、例えば、振動しているビームの共鳴周波数の変化によって測定され得る。
音圧波により受動的に振動するビームはまた、例えば容量的、磁気的、及び/又はピエゾ抵抗的な方法によって読み取られ得ることが好ましい。ここで、振動は、例えば振動電極と固定電極との間の静電容量を変化させること及び/又はピエゾ抵抗性物質の電気抵抗を変化させることにより共振磁石を通る磁束を変化させることに基づいて、電気的に読取り可能な変化を生じさせ得る。
マイクロホンは、好ましくは、振動可能に取り付けられた膜を備え、この膜は、音圧波によって振動するように励起され、この振動は、上記のビームと同様に、電気的に読み取られ得る。取付け設計の容量的、圧電的、及び/又はピエゾ抵抗的な測定方法もまた、使用され得る。
光学マイクロホンも使用され得ることが好ましく、それにより、それらの振動は、好ましくは、例えば膜上のレーザ・ビームの反射により光信号に変換されてよく、この光信号は、例えば干渉装置において読み取られる。
本発明の別の好ましい実施例では、MEMSセンサは、電極としてのMEMS膜及び対電極を備える容量性マイクロホンであり、MEMS膜は、好ましくは、少なくとも1つの方向において、100μmから1500μmの最大寸法、特に200から1000μmの最大寸法を有する。
機械的構成要素の好ましい欠如により、これらの実施例のMEMSセンサは、非常に頑強である一方で、製造するのが特に容易であり且つコンパクトである。
別の態様では、本発明は、説明された方法により大気中のエアロゾル粒子を検出するための光音響ガス・センサであって、
- 変調可能エミッタと、
- 大気と流体連通している分析領域と、
- 音圧波の検出のためのMEMSセンサと、
を備え、
エミッタが変調可能放射線を使用し分析領域内のエアロゾル粒子を励起させてセンサによって検出可能な音圧波を形成することができるように、検出チャンバがエミッタのビーム経路内に存在する、光音響ガス・センサに関する。
平均的な当業者は、大気中のエアロゾルを検出するための本発明の方法の好ましい実施例の技術的特徴、定義、及び利点が光音響ガス・センサにも適用され、その逆も同様であることを、認識するであろう。
好ましい実施例では、光音響ガス・センサは、エアロゾル粒子を選択的に励起させ且つ検出するためにエミッタを制御するように構成された制御ユニットを備え、放出される放射線の波長は、検出されるべきエアロゾル粒子の吸収挙動に合わせられる。
制御ユニットは、好ましくは測定データである制御信号を受信、処理、生成、及び/又は送信するのに適し且つそのために構成されたユニットであることが好ましい。制御ユニットは、この目的のために、例えばマイクロプロセッサといったプロセッサを備えることが好ましい。制御のためのデジタル・エレクトロニクスにおいて使用される他の集積回路も使用され得る。特にエミッタに組み込まれた制御装置の形態の制御ユニットは、非常にコンパクトであり且つ取扱いが容易である。
制御ユニットは、入力のために、例えばコンピュータへの接続に適したインタフェースを有することが好ましい。変調周波数、選択的な励起のための1つ若しくは複数の波長、又は他の状態情報などのデータもこのインタフェースを介して制御ユニットから入力デバイスに送信され得ることも、好ましい場合がある。
適切な制御ユニットの使用は、分光計の所望の使用を非常に簡単にすることができる。例えば、適切な分光信号が、PCで設計され得る。所望の信号は、入力モジュールを介して制御ユニットに送信される。制御ユニットは、エアロゾル粒子の選択的な励起を確実にする駆動信号を生成し、それにより、放出される放射線の波長は、検出されるべきエアロゾル粒子の吸収挙動に合わせられる。
波長選択的なエミッタ及び/又はフィルタの制御は、検出されるべきエアロゾル粒子のスペクトル・フィンガープリントを反映する基準データに基づき得ることが、好ましい。制御信号は、検出されるべきエアロゾル粒子に対して顕著なPAS信号が期待される1つ又は複数の波長において励起が行われるように設定され得ることが、好ましい。
好ましい実施例では、光音響ガス・センサは、生成された音圧波に対する測定結果の評価に基づいて大気中のエアロゾル粒子の存在及び/又は濃度に関する判定を行うように構成されたデータ処理ユニットを備える。
データ処理ユニットは、好ましくは測定データであるデータを受信、送信、記憶、及び/又は処理するのに適し且つそのために構成されたユニットであることが好ましい。データ処理ユニットは、データを処理するための集積回路、プロセッサ、プロセッサ・チップ、マイクロプロセッサ、又はマイクロコントローラと、例えばハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、リード・オンリー・メモリ(ROM:read-only memory)、さらにはフラッシュ・メモリといったデータを記憶するためのデータ・メモリと、を備えることが好ましい。
生成された音圧波の測定結果の評価を行うために、また、大気中のエアロゾル粒子の存在及び/又は濃度を判定するために、上記のステップを実行するための命令を含むコンピュータ・プログラムが、データ処理デバイスに記憶され得ることが好ましい。
データ処理ユニット及び制御ユニットは、同じプロセッサを使用することができることが、好ましい。
具体的には、基準データは、データ処理ユニットにおいて利用可能であることが好ましい。基準データは、大気中のエアロゾル粒子の存在及び/又は濃度が判定されることを可能にする全てのデータを意味することが、好ましい。
上述のように、そのような基準データは、較正測定から得られ得ることが好ましく、較正測定では、光音響ガス・センサは、既知の濃度の検出されるべきエアロゾル粒子とともに制御された領域内に配置される。そのような制御された条件下で1つ又は複数の波長においてPASを行うことにより、好ましくは選択的な波長におけるPAS信号の振幅をエアロゾル粒子の濃度と相関させながら、検出されるべきエアロゾル粒子の特徴的なPASスペクトルのための基準値が得られ得る。
測定データと基準データ又は基準値とを比較することにより、検出されるべきエアロゾル粒子が大気中に存在するかどうか、また存在する場合にはどれほどの濃度で存在するのかが、有利に判定され得る。
本発明の文脈では、存在の判定は、好ましくは、測定データが分析領域内のエアロゾル粒子の存在の可能性の増大を示すかどうかに関するステートメントを意味する。これは、測定可能なエアロゾル粒子が大気中に少しも又は少なくとも存在しない条件下での基準データと比較された選択的な波長のうちの1つ又は複数における増大したPAS信号の測定によって与えられることが、好ましい。エアロゾル粒子の濃度は、好ましくは、大気の体積に対するエアロゾル粒子の量(例えば、数又は質量)に関する定量的なステートメントを意味する。これは、濃度の絶対値に関するステートメントを含むことができるが含まなくてもよく、基準濃度と比較した相対濃度を意味してもよい。
好ましい実施例では、光音響ガス・センサは、信号発生器を備えることができ、この場合、データ処理デバイスは、判定された大気中のエアロゾル粒子の濃度が所定の閾値を超えているときに信号発生器により警告信号を発生させるように構成される。
警告信号を出力するための信号発生器は、光音響ガス・センサにおいて即時警告を発生させるためのスピーカ又は視覚ディスプレイを含み得る。しかし、信号発生器は、さらに適切な保護手段が警告信号に基づいてトリガされ得るように、警告信号をデジタル又はアナログの電気信号として中央データ処理ユニットに転送することもできる。
以下、実例及び図により、それらに限定されることなしに、本発明をより詳細に説明する。
図1は、ウイルスの実例を使用した、大気中のエアロゾル粒子の検出のための方法の好ましい実施例の概略図である。
電磁放射線が、変調可能エミッタにより、具体的には赤外の、可視の、又は紫外の波長範囲内で生成される。エミッタは、好ましくは、エミッタによって放出された放射線が実質的に分析領域に入射するように配置され且つ構成される。分析領域内に配置されたウイルスの吸収スペクトルに対応する波長において変調照射が生じた場合、変調吸収が行われて、加熱過程及び冷却過程がもたらされ、それらの過程の時間尺度は、放射線の変調周波数を反映する。具体的には、ウイルスのタンパク質外被は、電磁放射線を吸収し、膨張をもたらし得る。
加熱過程及び冷却過程は、光音響効果に従ってウイルスの構成要素(具体的には、タンパク質外被のタンパク質)の又はウイルス全体の膨張及び収縮をもたらし、結果として原則的に変調周波数を有する音圧波が形成されることになる。音圧波は、音検出器、例えばマイクロホンによって測定され得る。音波の力は、好ましくは、分析領域内のウイルスの濃度に直接比例する。
図2は、本発明による方法を用いて有利に検出され得る様々な大きさ及びタイプのエアロゾル粒子を示す。

Claims (12)

  1. 大気中のエアロゾル粒子の検出のための方法であって、
    a.光音響ガス・センサを用意するステップであり、光音響ガス・センサが、
    - 変調可能エミッタ、
    - 前記大気と流体連通している分析領域、
    - 音圧波の検出のためのMEMSセンサ
    を備え、
    前記エミッタが変調可能放射線を使用し前記分析領域内のエアロゾル粒子を励起させて前記センサによって検出可能な音圧波を形成することができるように、前記分析領域が前記エミッタのビーム経路内に存在する、ステップと、
    b.変調周波数で変調された放射線で前記分析領域を照射して音圧波を生成するステップと、
    c.生成された前記音圧波を前記センサによって測定するステップと、
    d.測定結果に基づいて前記大気中のエアロゾル粒子の存在及び/又は濃度を判定するステップと、
    を含み、
    前記エアロゾル粒子が、バイオエアロゾルである
    ことを特徴とする、方法。
  2. 前記エアロゾル粒子の選択的な励起及び検出が、放出される前記放射線の波長を前記エアロゾル粒子の吸収挙動に合わせることによって行われる
    ことを特徴とする、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記エアロゾル粒子が、花粉、胞子、細菌、又はウイルスである
    ことを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記エアロゾル粒子が、バイオエアロゾルであり、好ましくは花粉、胞子、細菌、又はウイルスであり、選択的な励起のための前記エミッタの1つ又は複数の波長が、好ましくは170nmから1000nmの間の範囲から選択される
    ことを特徴とする、
    請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記変調可能エミッタが、波長選択的な放射線及び/又は波長選択的なフィルタ、例えばファブリ・ペロー・フィルタが前記エミッタと前記分析領域との間の前記ビーム経路内に存在することを可能にする
    ことを特徴とする、
    請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記変調可能エミッタが、赤外エミッタ又はUVエミッタである
    ことを特徴とする、
    請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記分析領域が、エアロゾル粒子を含む大気が前記分析領域内に流れる又は拡散することができるように、1つ又は複数の開口部を有する開放系である
    ことを特徴とする、
    請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記MEMSセンサが、音圧検出器であり、前記音圧検出器が、好ましくは、容量的に又は光学的に読取り可能な圧電の、ピエゾ抵抗の、及び/若しくは磁気のビーム、並びに/或いは容量性の、圧電の、ピエゾ抵抗の、及び/又は光学的なマイクロホンを含む
    ことを特徴とする、
    請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
  9. 請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法により大気中のエアロゾル粒子を検出するための光音響ガス・センサであって、
    - 変調可能エミッタと、
    - 前記大気と流体連通している分析領域と、
    - 音圧波の検出のためのMEMSセンサと、
    を備え、
    前記エミッタが変調可能放射線を使用し前記分析領域内のエアロゾル粒子を励起させて前記センサによって検出可能な音圧波を形成することができるように、検出チャンバが前記エミッタの前記ビーム経路内に存在する、光音響ガス・センサ。
  10. 前記エアロゾル粒子を選択的に励起させ且つ検出するために前記エミッタを制御するように構成された制御ユニットであって、放出される前記放射線の前記波長が、検出されるべき前記エアロゾル粒子の前記吸収挙動に合わせられる、制御ユニット
    を備えることを特徴とする、
    請求項9に記載の光音響ガス・センサ。
  11. 前記生成された前記音圧波に対する測定結果の評価に基づいて前記大気中の前記エアロゾル粒子の存在及び/又は濃度に関する判定を行うように構成されたデータ処理ユニット
    を備える
    ことを特徴とする、
    請求項9又は10に記載の光音響ガス・センサ。
  12. 信号発生器を備え、データ処理手段が、前記大気中の前記エアロゾル粒子の検出された濃度が所定の閾値を超えているときに前記信号発生器により警告信号を発生させるように構成される
    ことを特徴とする、
    請求項9から11までのいずれか一項に記載の光音響ガス・センサ。
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