JP2023538897A - Fab領域中に非標準的なジスルフィドを有する抗原結合タンパク質 - Google Patents

Fab領域中に非標準的なジスルフィドを有する抗原結合タンパク質 Download PDF

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Abstract

複数の標的を同時に認識し得る単一の抗体ベースのコンストラクトを生成する能力は、多くの治療薬候補を臨床へと進めるのに最も重要である。これはしばしば、広範なタンパク質デザインを行い、その成功の度合いは様々である。多重特異性抗体の場合、Fab領域中でのHC/LC対形成の駆動は、多重特異性設計の分野ではまだ最も困難な課題の一つである。本願で説明されているのは、非標準的なジスルフィド結合の新規の配置の発見であり、従って、同一分子中に存在している2つのFabの間の非対称的なシステイン界面の生成により、多重特異性の発生がさらに可能になる。

Description

本発明は、バイオ医薬品の分野に関する。具体的には、本発明は、非標準的なジスルフィド結合を有するFab領域を含む抗原結合タンパク質に関する。この抗原結合タンパク質は、単一特異性であり得るか、又は多重特異性であり得る。
本願は、電子フォーマットの配列表と共に出願されている。この配列表は、2021年8月18日に作成された、サイズが9.48KBであるA-2669-WO-PCT_SeqList_08182021_ST25という名称のファイルとして提供されている。電子フォーマットの配列表における情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
多重特異性抗体及び抗体様コンストラクトは、治療用分子の開発者にとって魅力的ないくつかの特徴を持っている。二重特異性抗体及び三重特異性抗体のような同時に複数の標的を標的とする多重特異性抗体の臨床潜在性は、複合疾患を標的とするのに大いに有望である。しかしながら、この分子の生成は、大きな課題を示しており、なぜならば、特に抗体の重鎖及び軽鎖のペアリングの際に、単一細胞へのトランスフェクション時での複数のポリペプチド鎖で構成されている新規の四次構造のペアリング/フォールディングが困難だからである。抗体Fab領域では、重鎖(HC)と軽鎖(LC)との間に下記の2箇所で相互作用が存在している:HC(VH)中の可変領域とLC(VL)中の可変領域との間、及びFabHC(CH1)の定常領域とLC(CL)の定常領域との間。
複数のHC及びLCが単一細胞に同時にトランスフェクトされて多重特異性分子(即ち、ヘテロIgG)が作製される場合に、HC/LC間の同族ペアリングを駆動するために、二量体界面を操作するための電荷ペアリング変異(charge-pairing mutation)(CPM)、又は大きな嵩高い残基(即ち、Trp及びTyr)の挿入、二量体形成を物理的に有利にするか不利にするためのノブインホール(KiH)の様なツールが配置されることが多い。しかしながら、そのような設計の成功は、所望の分子の回収率が低いことから最適ではないことが多い。考えられる原因は、誤ったHC/LCペアをロックし、CPM及びKiHの操作効果をキャンセルする、CH1/CL間の界面の早過ぎる共有結合形成である可能性がある。しかしながら、分子の安定性に重要な、Fab領域(図1)のC末端で形成される共有結合は、不可逆的であり、電荷対変異(水素結合及びファンデルワースル)で挿入されたもの等の他の化学的相互作用に勝ることが多い。従って、定常領域中の他の箇所への天然のジスルフィド結合の再配置により、非標準的なHC/LC鎖間の共有結合形成が停止するだろう。
本明細書で説明されているのは、非標準的なジスルフィド結合の新規の配置の発見であり、従って、多重特異性の作製をさらに可能にする、同一分子中に存在している2つのFab間の非対称的なシステイン界面の生成の発見である。
一態様では、本発明は、少なくとも1つのFab領域を含む抗原結合タンパク質であって、このFab領域は、126位でシステインを含み且つ220位でシステインを欠いているVH-CH1ポリペプチド;及び123位でシステインを含み且つ214位でシステインを欠いているVL-CLポリペプチドを含み;アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、抗原結合タンパク質を対象とする。
一実施形態では、i)VH-CH1ポリペプチドは、F126C変異、C220A変異を含み;ii)VL-CLポリペプチドは、E123C変異、C214A変異を含む。
一実施形態では、i)VH-CH1ポリペプチドは、183位でリシンを含み;ii)VL-CLポリペプチドは、176位でグルタミン酸を含み;アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、i)VH-CH1ポリペプチドは、S183K変異を含み;ii)VL-CLポリペプチドは、S176E変異を含み;アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、i)VH-CH1ポリペプチドは、183位でグルタミン酸を含み;ii)VL-CLポリペプチドは、176位でリシンを含み;アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、i)VH-CH1ポリペプチドは、S183E変異を含み;ii)VL-CLポリペプチドは、S176K変異を含み;アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、VH-CH1ポリペプチド及びVL-CLポリペプチドは、GGGSGGGS、GGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSからなる群から選択されるリンカーを介して接続されている。
別の態様では、本発明は、多重特異性抗原結合タンパク質であって、この抗原結合タンパク質は、少なくとも2つのFab領域:
第1のエピトープに特異的に結合する第1のFab領域、及び第2のエピトープに特異的に結合する第2のFab領域を含み;
第1のFab領域は、126位でシステインを含み且つ220位でシステインを欠いている第1のVH-CH1ポリペプチド;及び123位でシステインを含み且つ214位でシステインを欠いている第1のVL-CLポリペプチドを含み、
第2のFab領域は、220位でシステインを含み且つ126位でシステインを欠いている第2のVH-CH1ポリペプチド;及び214位でシステインを含み且つ123位でシステインを欠いている第2のVL-CLポリペプチドを含み、
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、多重特異性抗原結合タンパク質を対象とする。
一実施形態では、i)第1のVH-CH1ポリペプチドは、F126C変異、C220A変異を含み;ii)第1のVL-CLポリペプチドは、E123C変異、C214A変異を含む。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドは、183位でリシンを含み;
ii)第1のVL-CLポリペプチドは、176位でグルタミン酸を含み;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドは、183位でグルタミン酸を含み;
iv)第2のVL-CLポリペプチドは、176位でリシンを含み;
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドは、S183K変異を含み;
ii)第1のVL-CLポリペプチドは、S176E変異を含み;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドは、S183E変異を含み;
iv)第2のVL-CLポリペプチドは、S176K変異を含み;
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドは、183位でグルタミン酸を含み;
ii)第1のVL-CLポリペプチドは、176位でリシンを含み;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドは、183位でリシンを含み;
iv)第2のVL-CLポリペプチドは、176位でグルタミン酸を含み;
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドは、S183E変異を含み;
ii)第1のVL-CLポリペプチドは、S176K変異を含み;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドは、S183K変異を含み;
iv)第2のVL-CLポリペプチドは、S176E変異を含み;
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一部の実施形態では、抗原結合タンパク質は、多重特異性抗体又は多重特異性F(ab’)2抗体断片である。
一実施形態では、
1)第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
2)第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
3)第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第2のVL-CLポリペプチド領域のN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
4)第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
5)第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
6)第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
7)第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、第2のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
又は
8)第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されている。
一部の実施形態では、第1のFab領域及び第2のFab領域は、GGGSGGGS、GGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSからなる群から選択されるリンカーを介して接続されている。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、第1の重鎖、第1の軽鎖、第2の重鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、第1の重鎖は、第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチド領域を含み;及び第2の重鎖は、第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチド領域を含む。
一部の実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、第1の軽鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、
1)修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含むか;
又は
2)修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び第2のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第2のVL-CLポリペプチドをさらに含み、軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び第1のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第1のVL-CLポリペプチドをさらに含み、軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、第1の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、第2の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第1の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、第2の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第2の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、第1の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第2の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、第1の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
別の態様では、本発明は、多重特異性抗原結合タンパク質を生成する方法であって、この抗原結合タンパク質は、少なくとも2つのFab領域:第1のエピトープに特異的に結合する第1のFab領域、及び第2のエピトープに特異的に結合する第2のFab領域を含み;
第1のFab領域は、第1のVH-CH1ポリペプチド及び第1のVL-CLポリペプチドを含み、
第2のFab領域は、第2のVH-CH1ポリペプチド及び第2のVL-CLポリペプチドを含み;
この方法は、
a)第1のVH-CH1ポリペプチドの126位でシステインを導入し、第1のVH-CH1ポリペプチドの220位でのシステイン残基を置換するか、修飾するか、又は欠失させること;
b)第1のVL-CLポリペプチドの123位でシステインを導入し、第1のVL-CLポリペプチドの214位でのシステイン残基を置換するか、修飾するか、欠失させること;
c)第1のVH-CH1ポリペプチドの126位でのシステインと、第1のVL-CLポリペプチドの123位でのシステインとの間に、ジスルフィド結合を形成すること;
及び
d)第2のVH-CH1ポリペプチドの220位でのシステインと、第2のVL-CLポリペプチドの214位でのシステインとの間に、ジスルフィド結合を形成すること;
を含み、
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、方法を対象とする。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドにF126C変異を導入し、第1のVH-CH1ポリペプチドにC220A変異を導入し;及び
ii)第1のVL-CLポリペプチドにE123C変異を導入し、第1のVL-CLポリペプチドにC214A変異を導入する。
一実施形態では、この方法は、
e)第1のVH-CH1ポリペプチドの183位でリシンを導入すること;
f)第1のVL-CLポリペプチドの176位でグルタミン酸を導入すること;
g)第2のVH-CH1ポリペプチドの183位でグルタミン酸を導入すること;
及び
h)第2のVL-CLポリペプチドの176位でリシンを導入すること
をさらに含み、
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドに、S183K変異を導入し;
ii)第1のLV-CLポリペプチドに、S176E変異を導入し;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドに、S183E変異を導入し;
及び
iv)第2のVL-CLポリペプチドに、S176K変異を導入する。
一実施形態では、この方法は、
e)第1のVH-CH1ポリペプチドの183位でグルタミン酸を導入すること;
f)第1のVL-CLポリペプチドの176位でリシンを導入すること;
g)第2のVH-CH1ポリペプチドの183位でリシンを導入すること;
及び
h)第2のVL-CLポリペプチドの176位でグルタミン酸を導入すること、をさらに含み、
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドに、S183E変異を導入し;
ii)第1のVL-CLポリペプチドに、S176K変異を導入し;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドに、S183K変異を導入し;
及び
iv)第2のVL-CLポリペプチドに、S176E変異を導入する。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、多重特異性抗体又は多重特異性F(ab’)2抗体断片である。
一実施形態では、
1)第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
2)第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
3)第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第2のVL-CLポリペプチド領域のN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
4)第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
5)第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
6)第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
7)第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、第2のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
又は
8)第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されている。
一実施形態では、第1のFab領域及び第2のFab領域は、GGGSGGGS、GGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSからなる群から選択されるリンカーを介して接続されている。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、第1の重鎖、第1の軽鎖、第2の重鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、第1の重鎖は、第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチド領域を含み;及び第2の重鎖は、第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチド領域を含む。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、第1の軽鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、
1)修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含むか;
又は
2)修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び第2のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第2のVL-CLポリペプチドをさらに含み、軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び第1のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第1のVL-CLポリペプチドをさらに含み、軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、第1の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、第2の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第1の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、第2の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第2の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、第1の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第2の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、第1の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
Fab界面を表す。Fab二量体化に寄与する100個超の残基を、Pisaで算出して棒で示した。Fab C末端での標準的なジスルフィド結合を、黄色の円形で強調している。 Fabの定常領域中における非標準的なジスルフィド結合の設計を示す。 最初のカラム精製後の発現レベルを示す。V2232及びV2233と、コントロール(mAb、及びV503、及びV603)との比較。 SEC%MPによるコンストラクトの純度を示す。 MCEによるコンストラクトの純度を示す。 純度目標が90%であるコンストラクトの総収量を示す。 精製工程中での回収率を示す。
一態様では、本発明は、少なくとも1つのFab領域を含む抗原結合タンパク質であって、このFab領域は、126位でシステインを含み且つ220位でシステインを欠いているVH-CH1ポリペプチド;及び123位でシステインを含み且つ214位でシステインを欠いているVL-CLポリペプチドを含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、抗原結合タンパク質を対象とする。
一実施形態では、i)VH-CH1ポリペプチドは、F126C変異、C220A変異を含み;ii)VL-CLポリペプチドは、E123C変異、C214A変異を含む。
一実施形態では、i)VH-CH1ポリペプチドは、183位でリシンを含み;ii)VL-CLポリペプチドは、176位でグルタミン酸を含み;アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、i)VH-CH1ポリペプチドは、S183K変異を含み;ii)VL-CLポリペプチドは、S176E変異を含み;アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、i)VH-CH1ポリペプチドは、183位でグルタミン酸を含み;ii)VL-CLポリペプチドは、176位でリシンを含み;アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、i)VH-CH1ポリペプチドは、S183E変異を含み;ii)VL-CLポリペプチドは、S176K変異を含み;アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、VH-CH1ポリペプチド及びVL-CLポリペプチドは、GGGSGGGS、GGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSからなる群から選択されるリンカーを介して接続されている。
別の態様では、本発明は、多重特異性抗原結合タンパク質であって、この抗原結合タンパク質は、少なくとも2つのFab領域:
第1のエピトープに特異的に結合する第1のFab領域、及び第2のエピトープに特異的に結合する第2のFab領域を含み;
第1のFab領域は、126位でシステインを含み且つ220位でシステインを欠いている第1のVH-CH1ポリペプチド;及び123位でシステインを含み且つ214位でシステインを欠いている第1のVL-CLポリペプチドを含み、
第2のFab領域は、220位でシステインを含み且つ126位でシステインを欠いている第2のVH-CH1ポリペプチド;及び214位でシステインを含み且つ123位でシステインを欠いている第2のVL-CLポリペプチドを含み、
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、多重特異性抗原結合タンパク質を対象とする。
一実施形態では、i)第1のVH-CH1ポリペプチドは、F126C変異、C220A変異を含み;ii)第1のVL-CLポリペプチドは、E123C変異、C214A変異を含む。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドは、183位でリシンを含み;
ii)第1のVL-CLポリペプチドは、176位でグルタミン酸を含み;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドは、183位でグルタミン酸を含み;
iv)第2のVL-CLポリペプチドは、176位でリシンを含み;
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドは、S183K変異を含み;
ii)第1のVL-CLポリペプチドは、S176E変異を含み;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドは、S183E変異を含み;
iv)第2のVL-CLポリペプチドは、S176K変異を含み;
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドは、183位でグルタミン酸を含み;
ii)第1のVL-CLポリペプチドは、176位でリシンを含み;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドは、183位でリシンを含み;
iv)第2のVL-CLポリペプチドは、176位でグルタミン酸を含み;
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドは、S183E変異を含み;
ii)第1のVL-CLポリペプチドは、S176K変異を含み;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドは、S183K変異を含み;
iv)第2のVL-CLポリペプチドは、S176E変異を含み;
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、多重特異性抗体又は多重特異性F(ab’)2抗体断片である。
一実施形態では、
1)第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
2)第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
3)第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第2のVL-CLポリペプチド領域のN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
4)第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
5)第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
6)第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
7)第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、第2のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
又は
8)第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されている。
一実施形態では、第1のFab領域及び第2のFab領域は、GGGSGGGS、GGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSからなる群から選択されるリンカーを介して接続されている。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、第1の重鎖、第1の軽鎖、第2の重鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、第1の重鎖は、第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチド領域を含み;及び第2の重鎖は、第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチド領域を含む。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、第1の軽鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、
1)修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含むか;
又は
2)修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び第2のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第2のVL-CLポリペプチドをさらに含み、軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び第1のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第1のVL-CLポリペプチドをさらに含み、軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、第1の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、第2の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第1の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、第2の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第2の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、第1の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第2の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、第1の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
別の態様では、本発明は、多重特異性抗原結合タンパク質を生成する方法であって、この抗原結合タンパク質は、少なくとも2つのFab領域:第1のエピトープに特異的に結合する第1のFab領域、及び第2のエピトープに特異的に結合する第2のFab領域を含み;
第1のFab領域は、第1のVH-CH1ポリペプチド及び第1のVL-CLポリペプチドを含み、
第2のFab領域は、第2のVH-CH1ポリペプチド及び第2のVL-CLポリペプチドを含み;
この方法は、
a)第1のVH-CH1ポリペプチドの126位でシステインを導入し、第1のVH-CH1ポリペプチドの220位でのシステイン残基を置換するか、修飾するか、又は欠失させること;
b)第1のVL-CLポリペプチドの123位でシステインを導入し、第1のVL-CLポリペプチドの214位でのシステイン残基を置換するか、修飾するか、欠失させること;
c)第1のVH-CH1ポリペプチドの126位でのシステインと、第1のVL-CLポリペプチドの123位でのシステインとの間に、ジスルフィド結合を形成すること;
及び
d)第2のVH-CH1ポリペプチドの220位でのシステインと、第2のVL-CLポリペプチドの214位でのシステインとの間に、ジスルフィド結合を形成すること;
を含み、
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、方法を対象とする。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドにF126C変異を導入し、第1のVH-CH1ポリペプチドにC220A変異を導入し;
及び
ii)第1のVL-CLポリペプチドにE123C変異を導入し、第1のVL-CLポリペプチドにC214A変異を導入する。
一実施形態では、この方法は、
e)第1のVH-CH1ポリペプチドの183位でリシンを導入すること;
f)第1のVL-CLポリペプチドの176位でグルタミン酸を導入すること;
g)第2のVH-CH1ポリペプチドの183位でグルタミン酸を導入すること;
及び
h)第2のVL-CLポリペプチドの176位でリシンを導入すること
をさらに含み、
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドに、S183K変異を導入し;
ii)第1のVL-CLポリペプチドに、S176E変異を導入し;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドに、S183E変異を導入し;
及び
iv)第2のVL-CLポリペプチドに、S176K変異を導入する。
一実施形態では、この方法は、
e)第1のVH-CH1ポリペプチドの183位でグルタミン酸を導入すること;
f)第1のVL-CLポリペプチドの176位でリシンを導入すること;
g)第2のVH-CH1ポリペプチドの183位でリシンを導入すること;及び
h)第2のVL-CLポリペプチドの176位でグルタミン酸を導入することをさらに含み、
アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、
i)第1のVH-CH1ポリペプチドに、S183E変異を導入し;
ii)第1のVL-CLポリペプチドに、S176K変異を導入し;
iii)第2のVH-CH1ポリペプチドに、S183K変異を導入し;
及び
iv)第2のVL-CLポリペプチドに、S176E変異を導入する。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、多重特異性抗体又は多重特異性F(ab’)2抗体断片である。
一実施形態では、
1)第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
2)第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
3)第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第2のVL-CLポリペプチド領域のN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
4)第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
5)第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
6)第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
7)第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、第2のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;又は
8)第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されている。
一実施形態では、第1のFab領域及び第2のFab領域は、GGGSGGGS、GGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSからなる群から選択されるリンカーを介して接続されている。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、第1の重鎖、第1の軽鎖、第2の重鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、第1の重鎖は、第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチド領域を含み;第2の重鎖は、第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチド領域を含む。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、第1の軽鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、
1)修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含むか;又は
2)修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、第1の軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含み、第2の軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び第2のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第2のVL-CLポリペプチドをさらに含み、軽鎖は、第1のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び第1のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、修飾された重鎖は、C末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、修飾された重鎖は、N末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている第1のVL-CLポリペプチドをさらに含み、軽鎖は、第2のVL-CLポリペプチドを含む。
一実施形態では、第1の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、第2の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第1の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、第2の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第2の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、第1の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、第2の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、第1の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
一実施形態では、一方の重鎖は、F405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、又はF405Yの変異を含み、他方の重鎖は、K409R変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。一実施形態では、一方の重鎖は、T366W変異を含み、他方の重鎖は、T366S、L368A、Y407Vの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。一実施形態では、一方の重鎖は、K/R409D及びK370Eの各変異を含み、他方の重鎖は、D399K及びE357Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
特定の実施形態では、ヘテロ二量体の抗体は、392位及び409位で負荷電アミノ酸を含む(例えば、K392D及びK409Dの置換)第1の重鎖と、356位及び399位で正荷電アミノ酸を含む(例えば、E356K及びD399Kの置換)第2の重鎖とを含む。他の特定の実施形態では、ヘテロ二量体の抗体は、392位、409位、及び370位で負荷電アミノ酸を含む(例えば、K392D、K409D、及びK370Dの置換)第1の重鎖と、356位、399位、及び357位で正荷電アミノ酸を含む(例えば、E356K、D399K、及びE357Kの置換)第2の重鎖とを含む。
一実施形態では、一方の重鎖は、Y349C変異を含み、他方の重鎖は、E356C又はS354Cの変異のいずれかを含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。一実施形態では、一方の重鎖は、Y349C及びT366Wの各変異を含み、他方の重鎖は、E356C、T366S、L368A、及びY407Vの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。一実施形態では、一方の重鎖は、Y349C及びT366Wの各変異を含み、他方の重鎖は、S354C、T366S、L368A、Y407Vの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
本明細書で使用する場合、「抗原結合タンパク質」という用語は、1種又は複数種の標的抗原に特異的に結合するタンパク質を指す。抗原結合タンパク質には、抗体及びその機能的断片を含め得る。「機能的抗体断片」とは、完全長の重鎖及び/又は軽鎖に存在するアミノ酸の少なくとも一部を欠くが、それでもなお抗原に特異的に結合し得る、抗体の一部のことである。機能的抗体断片として、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、Fd断片、及び相補性決定領域(CDR)断片が挙げられるが、これらに限定されず、機能的抗体断片は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、又はラクダ科の動物等の任意の哺乳動物源に由来し得る。機能的抗体断片は、標的抗原の結合について、インタクトな抗体と競合し得、この断片は、インタクトな抗体の修飾(例えば、酵素的若しくは化学的な開裂)により作製され得るか、又は組換えDNA技術若しくはペプチド合成を使用して新規に合成され得る。
抗原結合タンパク質にはまた、単一のポリペプチド鎖又は複数のポリペプチド鎖に組み込まれた1つ又は複数の機能的抗体断片を含むタンパク質も含め得る。例えば、抗原結合タンパク質として下記が挙げられ得るが、これらに限定されない:一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ(例えば、欧州特許第404,097号明細書、国際公開第93/11161号パンフレット;及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.90:6444-6448,1993を参照されたい);細胞内抗体;ドメイン抗体(単一のVL若しくはVHドメイン、又はペプチドリンカーにより連結された2つ以上のVHドメイン;Ward et al.,Nature,Vol.341:544-546,1989を参照されたい);マキシボディ(Fc領域に融合した2つのscFv、Fredericks et al.,Protein Engineering,Design&Selection,Vol.17:95-106,2004、及びPowers et al.,Journal of Immunological Methods,Vol.251:123-135,2001を参照されたい);三重特異性抗体;四重特異性抗体;ミニボディ(CH3ドメインに融合したscFv;Olafsen et al.,Protein Eng Des Sel.,Vol.17:315-23,2004を参照されたい);ペプチボディ(Fc領域に結合した1つ又は複数のペプチド、国際公開第00/24782号パンフレットを参照されたい);線状抗体(相補的軽鎖ポリペプチドと共に一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)、Zapata et al.,Protein Eng.,Vol.8:1057-1062,1995を参照されたい);小モジュラー免疫薬(米国特許出願公開第20030133939号明細書を参照されたい);並びに免疫グロブリン融合タンパク質(例えば、IgG-scFv、IgG-Fab、2scFv-IgG、4scFv-IgG、VH-IgG、IgG-VH、及びFab-scFv-Fc)。
「多重特異性」は、抗原結合タンパク質が、2種以上の異なる抗原に特異的に結合し得ることを意味する。「二重特異性」は、抗原結合タンパク質が、2種の異なる抗原に特異的に結合し得ることを意味する。本明細書で使用する場合、抗原結合タンパク質は、類似の結合アッセイ条件下で、他の無関係なタンパク質に対するその親和性と比較して、標的抗原に対して有意に高い結合親和性を有しており、その結果、この抗原を識別し得る場合に、標的抗原に「特異的に結合する」。抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、平衡解離定数(K)≦1×10-6Mを有し得る。抗原結合タンパク質は、Kが≦1×10-8Mである場合に、「高親和性」を伴って抗原に特異的に結合する。
親和性は、様々な技術を使用して決定され、その一例は、親和性ELISAアッセイである。様々な実施形態では、親和性は、表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、BIAcore(登録商標)によるアッセイ)により決定される。この方法論を用いて、会合速度定数(k、単位:M-1-1)及び解離速度定数(k、単位:s-1)を測定し得る。次いで、これらの運動速度定数の比(k/k)から、平衡解離定数(K、単位:M)を算出し得る。一部の実施形態では、親和性は、Rathanaswami et al.Analytical Biochemistry,Vol.373:52-60,2008で説明されているような結合平衡除外法(KinExA)等の速度論的方法により決定される。KinExAアッセイを使用して、平衡解離定数(K、単位:M)及び会合速度定数(k、単位:M-1-1)を測定し得る。これらの値から、解離速度定数(k、単位:s-1)を算出し得る(K×k)。他の実施形態では、親和性は、平衡/溶液法により決定される。ある特定の実施形態では、親和性は、FACS結合アッセイにより決定される。
一部の実施形態では、本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質は、k(解離速度定数)により測定される結合親和力が、約10-2、10-3、10-4、10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10-1以下(値が低いほど結合親和力が高いことを示す)である、及び/又はK(平衡解離定数)により測定される結合親和性が、約10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、10-14、10-15、10-16M以下(値が低いほど結合親和性が高いことを示す)である等の望ましい特性を示す。
本明細書で使用する場合、「結合ドメイン」と互換的に使用される「抗原結合ドメイン」という用語は、抗原と相互作用し且つこの抗原に対する特異性及び親和性を抗原結合タンパク質に付与するアミノ酸残基を含む、抗原結合タンパク質の領域を指す。
本明細書で使用する場合、「CDR」という用語は、抗体可変配列内の相補性決定領域(「最小認識単位」又は「超可変領域」とも呼ばれる)を指す。3つの重鎖可変領域CDR(CDRH1、CDRH2、及びCDRH3)、並びに3つの軽鎖可変領域CDR(CDRL1、CDRL2、及びCDRL3)が存在する。「CDR領域」という用語は、本明細書で使用する場合、単一の可変領域に存在する3つのCDR(即ち、3つの軽鎖CDR又は3つの重鎖CDR)の群を指す。2本の鎖の各々におけるCDRは、通常、フレームワーク領域により整列させられ、標的タンパク質の特異的なエピトープ又はドメインと特異的に結合する構造を形成する。N末端からC末端へと、天然に存在する軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は両方とも、通常、下記のこれらの要素の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4と一致する。これらのドメインの各々において位置を占めるアミノ酸に番号を割り当てるための付番方式が考案されている。この付番方式は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(1987 and 1991,NIH,Bethesda,MD)、又はChothia&Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917;Chothia et al.,1989,Nature 342:878-883で定義されている。所与の抗体の相補性決定領域(CDR)及びフレームワーク領域(FR)を、この方式を使用して同定し得る。
本発明の多重特異性抗原結合タンパク質の一部の実施形態では、結合ドメインは、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、又はナノボディを含む。一実施形態では、両方の結合ドメインは、Fab断片である。別の実施形態では、一方の結合ドメインは、Fab断片であり、他方の結合ドメインは、scFvである。
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合性断片(各々が単一の抗原結合部位を有する)と、残部の「Fc」断片(免疫グロブリン定常領域を含む)とが作製される。Fab断片は、全ての可変ドメインと、軽鎖の定常ドメイン、及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)とを含む。そのため、「Fab断片」は、1本の免疫グロブリン軽鎖(軽鎖の可変領域(VL)及び定常領域(CL))と、1本の免疫グロブリン重鎖のCH1領域及び可変領域(VH)とから構成されている。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成し得ない。Fc断片は、炭水化物を示し、抗体の1つのクラスを別のクラスから識別する多くの抗体エフェクター機能(例えば、結合補体及び細胞受容体)に関与する。「Fd断片」は、免疫グロブリン重鎖に由来するVHドメイン及びCH1ドメインを含む。Fd断片は、Fab断片の重鎖成分を表す。
「Fab’断片」は、CH1ドメインのC末端で、抗体ヒンジ領域に由来する1つ又は複数のシステイン残基を有するFab断片である。
「F(ab’)断片」は、ヒンジ領域で重鎖間のジスルフィド架橋により連結されている2つのFab’断片を含む二価の断片である。
「Fv」断片は、抗体由来の完全抗原認識及び結合部位を含む最小の断片である。この断片は、緊密な非共有会合での、1つの免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)及び1つの免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)の二量体からなる。この構成において、各可変領域の3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面上で抗原結合部位が規定される。単一の軽鎖又は重鎖の可変領域(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFv断片の半分)は、抗原を認識して結合する能力を有するが、VH及びVLの両方を含む結合部位全体と比べて親和性が低い。
「一本鎖可変抗体断片」又は「scFv断片」は、抗体のVH領域及びVL領域を含み、これらの領域は、単一のポリペプチド鎖に存在しており、任意選択的に、Fvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするペプチドリンカーを、VH領域とVL領域の間に含む(例えば、Bird et al.,Science,Vol.242:423-426,1988;及びHuston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.85:5879-5883,1988を参照されたい)。
特に、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質の実施形態では、結合ドメインは、所望の抗原に特異的に結合する抗体又は抗体断片の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)を含む。
本明細書において「可変ドメイン」と互換的に使用される「可変領域」(軽鎖の可変領域(VL)、重鎖の可変領域(VH))は、抗体の抗原への結合に直接関与する、免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖のそれぞれにおける領域を指す。上記のように、可変軽鎖領域及び可変重鎖領域は、同じ一般構造を有しており、各領域は、4つのフレームワーク(FR)領域を含み、これらの配列は、広範に保存されており、3つのCDRにより連結されている。フレームワーク領域は、β-シート構造を採用しており、CDRは、β-シート構造を連結するループを形成し得る。各鎖中のCDRは、フレームワーク領域によりこれらの三次元構造に保持され、他方の鎖由来のCDRと共に、抗原結合部位を形成する。
標的抗原に特異的に結合する結合ドメインは、a)この抗原に対する既知の抗体に由来し得るか、又はb)抗原タンパク質若しくはその断片を使用する新規の免疫化法により、ファージディスプレイにより、又は他の常法により得られる新規の抗体又は抗体断片に由来し得る。多重特異性抗原結合タンパク質の結合ドメインの起源である抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、又はヒト化抗体であり得る。ある特定の実施形態では、結合ドメインの起源である抗体は、モノクローナル抗体である。これらの又は他の実施形態では、抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体であり、IgG1型、IgG2型、IgG3型、又はIgG4型のものであり得る。
「モノクローナル抗体」(又は「mAb」)という用語は、本明細書で使用する場合、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、即ち、集団を構成する個々の抗体は、わずかな量で存在し得る可能性のある天然の変異以外は同一である。モノクローナル抗体は特異性が高く、通常、様々なエピトープに対する様々な抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、個別の抗原部位又はエピトープに対するものである。モノクローナル抗体を、当技術分野で既知の任意の技術を使用して作製し得、例えば、免疫化スケジュールの完了後にトランスジェニック動物から採取した脾臓細胞を不死化することにより作製し得る。脾臓細胞を、当技術分野で既知の任意の技術を使用して不死化し得、例えば、脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを作製することにより不死化し得る。ハイブリドーマを作製する融合手順において使用するための骨髄腫細胞は、好ましくは非抗体産生性であり、融合効率が高く、且つ酵素が欠損しており、そのため、所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持するある特定の選択培地の中では増殖が不可能である。マウス融合における使用に好適な細胞株の例として、Sp-20、P3-X63/Ag8、P3-X63-Ag8.653、NS1/1.Ag4 1、Sp210-Ag14、FO、NSO/U、MPC-11、MPC11-X45-GTG1.7、及びS194/5XXO Bulが挙げられ、ラット融合において使用される細胞株の例として、R210.RCY3、Y3-Ag1.2.3、IR983F、及び4B210が挙げられる。細胞融合に有用な他の細胞株は、U-266、GM1500-GRG2、LICR-LON-HMy2、及びUC729-6である。
一部の例では、動物(例えば、ヒト免疫グロブリン配列を有するトランスジェニック動物)を標的抗原で免疫化し、免疫化した動物から脾臓細胞を採取し、採取した脾臓細胞を骨髄腫細胞株に融合させ、それにより、ハイブリドーマ細胞を生成し、このハイブリドーマ細胞からハイブリドーマ細胞株を樹立し、標的抗原に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することにより、ハイブリドーマ細胞株を作製する。
ハイブリドーマ細胞株により分泌されたモノクローナル抗体を、当技術分野において既知の任意の技術を使用して精製し得、例えば、プロテインA-Sepharose、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製し得る。ハイブリドーマ又はmAbsを、さらにスクリーニングして、例えば、標的抗原を発現している細胞に結合する能力、標的抗原リガンドのそれぞれの受容体への結合をブロックするか若しくは妨害する能力、又は受容体のいずれも機能的にブロックする能力等の特定の性質を有するmAbsを、例えば、cAMPアッセイを使用して同定し得る。
一部の実施形態では、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質の結合ドメインは、ヒト化抗体に由来してもよい。「ヒト化抗体」は、領域(例えば、フレームワーク領域)が、ヒト免疫グロブリン由来の対応する領域を含むように修飾されている抗体を指す。一般に、ヒト化抗体を、最初に非ヒト動物で作られたモノクローナル抗体から作製し得る。典型的には抗体の非抗原認識部分に由来する、このモノクローナル抗体のある特定のアミノ酸残基は、対応するアイソタイプのヒト抗体における対応する残基と相同となるように修飾されている。ヒト化を、例えば、齧歯類可変領域の少なくとも一部をヒト抗体の対応する領域に置換することにより、種々の方法を使用して実施し得る(例えば、米国特許第5,585,089号明細書及び同第5,693,762号明細書、Jones et al.,Nature,Vol.321:522-525,1986;Riechmann et al.,Nature,Vol.332:323-27,1988;Verhoeyen et al.,Science,Vol.239:1534-1536,1988を参照されたい)。別の種において生成された抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のCDRを、コンセンサスヒトFRに移植し得る。コンセンサスヒトFRを作り出すために、いくつかのヒト重鎖アミノ酸配列又はヒト軽鎖アミノ酸配列に由来するFRを整列させて、コンセンサスアミノ酸配列を同定し得る。
本発明の多重特異性抗原結合タンパク質の結合ドメインの起源となり得る標的抗原に対して生成される新規の抗体は、完全ヒト抗体であり得る。「完全ヒト抗体」は、ヒト生殖系列の免疫グロブリン配列に由来するか又はそれを示す可変領域及び定常領域を含む抗体である。完全ヒト抗体の作製を実施するために提供される1つの具体的な手段は、マウス体液性免疫系の「ヒト化」である。内因性のIg遺伝子が不活性化されているマウスに、ヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座を導入することは、任意の所望の抗原で免疫化し得る動物であるマウスにおいて完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)を産生する一手段である。完全ヒト抗体の使用により、マウスのmAb又はマウス由来のmAbを治療剤としてヒトに投与することにより生じることがあり得る免疫原性及びアレルギー性の応答を最小化し得る。
完全ヒト抗体を、内因性の免疫グロブリンの産生がなく、ヒト抗体のレパートリーを産生可能なトランスジェニック動物(通常はマウス)を免疫化することにより作製し得る。この目的のための抗原は、通常、6つ以上の連続アミノ酸を有しており、任意選択的に担体にコンジュゲートされる(ハプテン等)。例えば、Jakobovits et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551-2555;Jakobovits et al.,1993,Nature 362:255-258;及びBruggermann et al.,1993,Year in Immunol.7:33を参照されたい。そのような方法の一例では、トランスジェニック動物を、マウスの免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖をコードする内因性のマウス免疫グロブリン遺伝子座を無能化し、ヒト重鎖タンパク質及び軽鎖タンパク質をコードする遺伝子座を含むヒトゲノムDNAの大型断片をマウスゲノムに挿入することにより作製する。次いで、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の完全補体より少ない補体を有する部分的に修飾された動物を交雑して、所望の免疫系修飾の全てを有する動物を得る。免疫原が投与されると、これらのトランスジェニック動物は、この免疫原に免疫特異性があるが、可変領域を含めてマウスのアミノ酸配列ではなくヒトのアミノ酸配列を有する抗体を産生する。そのような方法のさらなる詳細に関しては、例えば、国際公開第96/33735号パンフレット及び同第94/02602号パンフレットを参照されたい。ヒト抗体を作るためのトランスジェニックマウスに関連する更なる方法は、米国特許第5,545,807号明細書、同第6,713,610号明細書、同第6,673,986号明細書、同第6,162,963号明細書、同第5,939,598号明細書、同第5,545,807号明細書、同第6,300,129号明細書、同第6,255,458号明細書、同第5,877,397号明細書、同第5,874,299及び同第5,545,806号明細書、PCT公報の国際公開第91/10741号パンフレット、同第90/04036号パンフレット、同第94/02602号パンフレット、同第96/30498号パンフレット、同第98/24893号パンフレット、並びに欧州特許第546073B1号明細書及び欧州特許出願公開第546073A1号明細書で説明されている。
本明細書中で「HuMab」マウスと呼ばれる上記のトランスジェニックマウスは、内因性のミュー鎖遺伝子座及びカッパ鎖遺伝子座を不活性化する標的変異と共に、再配列されていないヒト重鎖(ミュー及びガンマ)並びにカッパ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座(minilocus)を含む(Lonberg et al.,1994,Nature 368:856-859)。従って、このマウスは、マウスIgM又はカッパの発現の低下を示し、且つ免疫化に応答し、導入されたヒト重鎖及び軽鎖導入遺伝子は、クラススイッチ及び体細胞変異を受けて、高親和性ヒトIgGカッパモノクローナル抗体を生成する(Lonberg et al.,前掲;Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65-93;Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536-546)。HuMabマウスの作製は、Taylor et al.,1992,Nucleic Acids Research 20:6287-6295;Chen et al.,1993,International Immunology 5:647-656;Tuaillon et al.,1994,J.Immunol.152:2912-2920;Lonberg et al.,1994,Nature 368:856-859;Lonberg,1994,Handbook of Exp.Pharmacology 113:49-101;Taylor et al.,1994,International Immunology 6:579-591;Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65-93;Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536-546;Fishwild et al.,1996,Nature Biotechnology 14:845-851に詳細に説明されており、これらの文献は、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、米国特許第5,545,806号明細書、同第5,569,825号明細書、同第5,625,126号明細書、同第5,633,425号明細書、同第5,789,650号明細書、同第5,877,397号明細書、同第5,661,016号明細書、同第5,814,318号明細書、同第5,874,299号明細書、及び同第5,770,429号明細書、並びに同第5,545,807号明細書、国際公開第93/1227号パンフレット、同第92/22646号パンフレット、及び同第92/03918号パンフレット(これらの全ての開示は、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。この遺伝子導入マウスにおけるヒト抗体の産生を利用する技術は、国際公開第98/24893号パンフレット、及びMendez et al.,1997,Nature Genetics 15:146-156でも開示されており、これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
ヒト由来抗体をまた、ファージディスプレイ技術を使用しても生成し得る。ファージディスプレイは、例えば、Dower et al.,国際公開第91/17271号パンフレット、McCafferty et al.,国際公開第92/01047号パンフレット、及びCaton and Koprowski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6450-6454(1990)で説明されており、これらの各文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ファージ技術により作製される抗体は、通常、細菌において抗原結合断片(例えばFv又はFab断片)として産生され、そのためエフェクター機能を欠いている。エフェクター機能を、下記の2つの戦略のうち1つにより導入し得る:この断片を操作して、必要に応じて、哺乳動物細胞内で発現する完全な抗体にすることも、エフェクター機能をトリガーし得る別の結合部位を有する多重特異性抗体断片にすることも可能である。通常、抗体のFd断片(VH-CH1)及び軽鎖(VL-CL)を、PCRにより別々にクローニングし、コンビナトリアルファージディスプレイライブラリにおいてランダムに組換え、次いで、特定の抗原に結合するために選択し得る。抗体断片を、ファージ表面上で発現させ、Fv又はFab(従って、抗体断片をコードするDNAを含むファージ)の抗原結合による選択を、パニングと呼ばれる手順である抗原結合及び再増幅を数ラウンド行なうことにより実現させる。抗原に特異的な抗体断片を濃縮し、最終的には単離する。ファージディスプレイ技術をまた、「ガイデッドセレクション(guided selection)」と呼ばれる、齧歯類モノクローナル抗体のヒト化のためのアプローチでも使用し得る(Jespers,L.S.,et al.,Bio/Technology 12,899-903(1994)を参照されたい)。このために、マウスモノクローナル抗体のFd断片を、ヒト軽鎖ライブラリと組み合わせて提示し得、次いで、得られたハイブリッドFabライブラリを、抗原を用いて選択し得る。これにより、マウスFd断片は、選択を誘導するテンプレートを提供する。続いて、選択されたヒト軽鎖を、ヒトFd断片ライブラリと組み合わせる。得られたライブラリの選択により、完全なヒトFabが得られる。
ある特定の実施形態では、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質は、抗体である。本明細書で使用する場合、「抗体」という用語は、2本の軽鎖のポリペプチド(それぞれ約25kDa)及び2本の重鎖のポリペプチド(それぞれ約50~70kDa)を含む四量体免疫グロブリンタンパク質を指す。「軽鎖」又は「免疫グロブリン軽鎖」という用語は、アミノ末端からカルボキシル末端へと、単一の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)及び単一の免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)を含むポリペプチドを指す。免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)は、カッパ(κ)又はラムダ(λ)であり得る。「重鎖」又は「免疫グロブリン重鎖」という用語は、アミノ末端からカルボキシル末端へと、単一の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン1(CH1)、免疫グロブリンヒンジ領域、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン2(CH2)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン3(CH3)、及び任意選択的な免疫グロブリン重鎖定常ドメイン4(CH4)を含むポリペプチドを指す。重鎖は、ミュー(μ)、デルタ(Δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)、及びイプシロン(ε)として分類されており、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEと定義する。IgGクラス抗体及びIgAクラス抗体は、それぞれ、サブクラス、即ち、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、並びにIgA1及びIgA2にさらに分けられる。IgG抗体、IgA抗体、及びIgD抗体の重鎖は、3つのドメイン(CH1、CH2、及びCH3)を有しており、IgM抗体及びIgE抗体の重鎖は、4つのドメイン(CH1、CH2、CH3、及びCH4)を有している。免疫グロブリン重鎖定常ドメインは、サブタイプを含む任意の免疫グロブリンアイソタイプ由来であり得る。抗体鎖は、CLドメインとCH1ドメインとの間(即ち、軽鎖と重鎖との間)、及び抗体重鎖のヒンジ領域間で、ポリペプチド間ジスルフィド結合を介して互いに連結されている。
特定の実施形態では、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質は、ヘテロ二量体の抗体(本明細書では「ヘテロ免疫グロブリン」又は「ヘテロIg」と互換的に使用される)であり、これは、2本の異なる軽鎖及び2本の異なる重鎖を含む抗体を指す。
ヘテロ二量体の抗体は、任意の免疫グロブリン定常領域を含み得る。「定常領域」という用語は、本明細書で使用する場合、可変領域以外の抗体の全てのドメインを指す。定常領域は、抗原の結合に直接には関与しないが、種々のエフェクター機能を発揮する。上記のように、抗体は、その重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、特定のアイソタイプ(IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM)並びにサブタイプ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2)に分けられる。軽鎖定常領域は、例えば、5つの抗体アイソタイプ全てで見出されるカッパ型又はラムダ型の軽鎖定常領域(例えば、ヒトのカッパ型又はラムダ型の軽鎖定常領域)であり得る。
ヘテロ二量体の抗体の重鎖定常領域は、例えば、アルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型、又はミュー型の重鎖定常領域であり得、例えば、ヒトのアルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型、又はミュー型の重鎖定常領域であり得る。一部の実施形態では、ヘテロ二量体の抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4免疫グロブリン由来の重鎖定常領域を含む。一実施形態では、ヘテロ二量体の抗体は、ヒトIgG1免疫グロブリン由来の重鎖定常領域を含む。別の実施形態では、ヘテロ二量体の抗体は、ヒトIgG2免疫グロブリン由来の重鎖定常領域を含む。
一実施形態では、本開示の多重特異性抗体は、Duobody(商標)である。Duobodyを、DuoBody(商標)テクノロジープラットフォーム(Genmab A/S)により作製し得、例えば、国際公開第2008/119353号パンフレット、同第2011/131746号パンフレット、同第2011/147986号パンフレット、及び同第2013/060867号パンフレット、Labrijn A F et al.,PNAS,110(13):5145-5150(2013)、Gramer et al.,mAbs,5(6):962-973(2013)、並びにLabrijn et al.,Nature Protocols,9(10):2450-2463(2014)で説明されているように作製し得る。この技術を使用して、2本の重鎖及び2本の軽鎖を含む第1の単一特異性抗体の半分と、2本の重鎖及び2本の軽鎖を含む第2の単一特異性抗体の半分とを組み合わせ得る。得られたヘテロ二量体は、第1の抗体に由来する1本の重鎖及び1本の軽鎖と、第2の抗体に由来する1本の重鎖及び1本の軽鎖とを対にして含む。両方の単一特異性抗体が異なる抗原の異なるエピトープを認識する場合には、得られたヘテロ二量体は、多重特異性抗体である。
DuoBody(商標)プラットフォームについては、単一特異性抗体の各々は、重鎖中に単一の点変異を有する重鎖定常領域を含む。これらの点変異により、得られた多重特異性抗体の重鎖間では、変異のない単一特異性抗体の内のいずれかの重鎖間と比べて強い相互作用が可能になる。各単一特異性抗体の単一の点変異は、重鎖定常領域の重鎖中の残基366位、368位、370位、399位、405位、407位、又は409位(EU付番)であり得る(国際公開第2011/131746号パンフレットを参照されたい)。さらに、単一の点変異は、一方の単一特異性抗体の中において、他方の単一特異性抗体に対して異なる残基に位置する。例えば、一方の単一特異性抗体は、変異F405L(EU付番;残基405でのフェニルアラニンからロイシンへの変異)、又はF405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、及びF405Yの各変異のうち1つを含み得、他方の単一特異性抗体は、変異K409R(EU付番;残基409でのリシンからアルギニンへの変異)を含み得る。単一特異性抗体の重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のアイソタイプ(例えば、ヒトIgG1アイソタイプ)であり得、DuoBody(商標)技術により作製された多重特異性抗体を修飾して、Fc媒介性エフェクター機能を改変し得(例えば低減させ得)、及び/又は半減期を改善し得る。Duobody(商標)を生成する一方法は、下記を含む:(i)重鎖中に単一の対となる点変異(即ち、K409R並びにF405L(又はF405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、及びF405Yの各変異のうち1つ)(EU付番))を含む2つの親IgG1を別々に発現させること;(ii)インビトロにて許容酸化還元条件下で親IgG1を混合して、半分子の組換えを可能にすること;(iii)還元剤を除去して、鎖間ジスルフィド結合を再酸化させること;並びに(iv)クロマトグラフィーによる又は質量分析(MS)による方法を使用して、交換効率及び最終産物を分析すること(Labrijn et al.,Nature Protocols,9(10):2450-2463(2014)を参照されたい)。
多重特異性抗体を生成する別の例示的な方法は、ノブイントゥーホール技術(Ridgway et al.,Protein Eng.,9:617-621(1996);国際公開第2006/028936号パンフレット)によるものである。多重特異性抗体を作製するための主要な欠点であるIg重鎖の誤対形成の問題は、この技術において、IgG中で重鎖の界面を形成する選択されたアミノ酸を変異させることにより低減される。2本の重鎖が直接的に相互作用する重鎖内の位置で、小さい側鎖(ホール)を有するアミノ酸が一方の重鎖の配列の中に導入され、大きい側鎖(ノブ)を有するアミノ酸が他方の重鎖の、相手として相互作用する残基位置に導入されている。一部の例では、本開示の抗体は、多重特異性抗体を優先的に形成するために2つのポリペプチド間の界面で相互作用する選択されたアミノ酸を変異させることにより重鎖が修飾されている免疫グロブリン鎖を有する。多重特異性抗体は、同じサブクラス又は異なるサブクラスの免疫グロブリン鎖から構成され得る。一例では、gp120及びCD3に結合する多重特異性抗体は、T366W(EU付番)変異を「ノブ鎖」で含み、T366S、L368A、Y407V(EU付番)の各変異を「ホール鎖」で含む。ある特定の実施形態では、例えば、Y349C変異を「ノブ鎖」に導入し、E356C変異又はS354C変異を「ホール鎖」に導入することにより、追加の鎖間ジスルフィド架橋が重鎖間に導入されている。ある特定の実施形態では、R409D、K370Eの各変異が「ノブ鎖」に導入され、D399K、E357Kの各変異が「ホール鎖」に導入されている。他の実施形態では、Y349C、T366Wの各変異が鎖のうちの一方に導入され、E356C、T366S、L368A、Y407Vの各変異が相手側の鎖に導入されている。一部の実施形態では、Y349C、T366Wの各変異が一方の鎖に導入され、S354C、T366S、L368A、Y407Vの各変異が相手側の鎖に導入されている一部の実施形態では、Y349C、T366Wの各変異が一方の鎖に導入され、S354C、T366S、L368A、Y407Vの各変異が相手側の鎖に導入されている。さらに他の実施形態では、Y349C、T366Wの各変異が一方の鎖に導入され、S354C、T366S、L368A、Y407Vの各変異が相手側の鎖に導入されている(全てEU付番)。
多重特異性抗体を生成するさらに別の方法は、CrossMab技術である。CrossMabは、2種の完全長抗体の各半分で構成されるキメラ抗体である。この技術は、鎖を正確に対形成するために、下記の2つの技術を組み合わせている:(i)2本の重鎖間の正確な対形成に有利なノブイントゥーホー;及び(ii)軽鎖の誤対形成を回避する非対称を導入するための、2つのFabのうち1つの重鎖と軽鎖との間での交換。Ridgway et al.,Protein Eng.,9:617-621(1996);Schaefer et al.,PNAS,108:11187-11192(2011)を参照されたい。CrossMabは、2種以上の標的を標的化するために、又は1種の標的に対して2:1形式等の二価性を導入するために、2種以上の抗原-結合ドメインを組み合わせ得る。
特定の重鎖とその同族の軽鎖との会合を促進するために、重鎖及び軽鎖の両方は、相補的アミノ酸置換を含み得る。本明細書で使用する場合、「相補的アミノ酸置換」は、一方の鎖における正荷電アミノ酸への置換と、他方の鎖における負荷電アミノ酸置換とを対にすることを指す。例えば、一部の実施形態では、重鎖は、荷電アミノ酸を導入するために少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、対応する軽鎖は、荷電アミノ酸を導入するために少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、重鎖に導入される荷電アミノ酸は、軽鎖に導入されるアミノ酸の反対の電荷を有する。ある特定の実施形態では、1つ又は複数の正荷電残基(例えば、リシン、ヒスチジン、又はアルギニン)を、第1の軽鎖(LC1)に導入し得、1つ又は複数の負荷電残基(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)を、LC1/HC1の結合界面で、対になる重鎖(HC1)に導入し得、一方、1つ又は複数の負荷電残基(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)を、第2の軽鎖(LC2)に導入し得、1つ又は複数の正荷電残基(例えば、リシン、ヒスチジン、又はアルギニン)を、LC2/HC2の結合界面で、対になる重鎖(HC2)に導入し得る。静電相互作用は、界面で反対に荷電した残基(極性)が引き合うために、LC1をHC1と対形成させ、且つLC2をHC2と対形成させるように誘導することになる。界面で同じ荷電残基(極性)を有する重鎖/軽鎖の対(例えば、LC1/HC2及びLC2/HC1)は、反発することになり、結果として不所望のHC/LCの対形成が抑制される。
これらの及び他の実施形態では、重鎖のCH1ドメイン又は軽鎖のCLドメインは、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、そのため、野生型IgGアミノ酸配列中の1つ又は複数の正荷電アミノ酸は、1つ又は複数の負荷電アミノ酸に置き換えられている。或いは、重鎖のCH1ドメイン又は軽鎖のCLドメインは、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、そのため、野生型IgGアミノ酸配列中の1つ又は複数の負荷電アミノ酸は、1つ又は複数の正荷電アミノ酸に置き換えられている。一部の実施形態では、F126、P127、L128、A141、L145、K147、D148、H168、F170、P171、V173、Q175、S176、S183、V185、及びK213から選択されるEU位置でのヘテロ二量体の抗体中の第1の及び/又は第2の重鎖のCH1ドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸は、荷電アミノ酸に置き換えられている。ある特定の実施形態では、負荷電又は正荷電のアミノ酸での置換に好ましい残基は、S183(EU付番方式)である。一部の実施形態では、S183は正荷電アミノ酸で置換されている。代替的な実施形態では、S183は負荷電アミノ酸で置換されている。例えば、一実施形態では、S183は、第1の重鎖において負荷電アミノ酸(例えば、S183E)で置換されており、S183は、第2の重鎖において正荷電アミノ酸(例えば、S183K)で置換されている。
軽鎖がカッパ軽鎖である実施形態では、F116、F118、S121、D122、E123、Q124、S131、V133、L135、N137、N138、Q160、S162、T164、S174、及びS176から選択される位置(カッパ軽鎖におけるEU及びKabat付番)での、ヘテロ二量体の抗体中の第1の及び/又は第2の軽鎖のCLドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸は、荷電アミノ酸に置き換えられている。軽鎖がラムダ軽鎖である実施形態では、T116、F118、S121、E123、E124、K129、T131、V133、L135、S137、E160、T162、S165、Q167、A174、S176、及びY178から選択される位置(ラムダ鎖におけるKabat付番)での、ヘテロ二量体の抗体中の第1の及び/又は第2の軽鎖のCLドメインにおける1つ又は複数のアミノ酸は、荷電アミノ酸に置き換えられている。一部の実施形態では、負荷電又は正荷電のアミノ酸での置換に好ましい残基は、カッパ軽鎖又はラムダ軽鎖のいずれかのCLドメインのS176(EU及びKabat付番方式)である。ある特定の実施形態では、CLドメインのS176は、正荷電アミノ酸に置き換えられている。代替的な実施形態では、CLドメインのS176は、負荷電アミノ酸に置き換えられている。一実施形態では、S176は、第1の軽鎖において正荷電アミノ酸(例えば、S176K)で置換されており、S176は、第2の軽鎖において負荷電アミノ酸(例えば、S176E)で置換されている。
CH1ドメイン及びCLドメインにおける相補的アミノ酸置換に加えて、又はその代替として、ヘテロ二量体の抗体中の軽鎖及び重鎖の可変領域は、荷電アミノ酸を導入するために1つ又は複数の相補的アミノ酸置換を含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、ヘテロ二量体の抗体の重鎖のVH領域又は軽鎖のVL領域は、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、そのため、野生型IgGアミノ酸配列中の1つ又は複数の正荷電アミノ酸は、1つ又は複数の負荷電アミノ酸に置き換えられている。或いは、重鎖のVH領域又は軽鎖のVL領域は、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含み、そのため、野生型IgGアミノ酸配列中の1つ又は複数の負荷電アミノ酸は、1つ又は複数の正荷電アミノ酸に置き換えられている。
VH領域内のV領域界面残基(即ち、VH領域及びVL領域のアセンブリーを媒介するアミノ酸残基)には、Kabatの1位、3位、35位、37位、39位、43位、44位、45位、46位、47位、50位、59位、89位、91位及び93位が含まれる。VH領域中のこれらの界面残基のうち1つ又は複数を、荷電(正荷電又は負荷電)アミノ酸で置換し得る。ある特定の実施形態では、第1の及び/又は第2の重鎖のVH領域中のKabat39位のアミノ酸は、正荷電アミノ酸(例えば、リシン)に置換されている。代替的な実施形態では、第1の及び/又は第2の重鎖のVH領域中のKabat39位のアミノ酸は、負荷電アミノ酸(例えば、グルタミン酸)に置換されている。一部の実施形態では、第1の重鎖のVH領域中のKabat39位のアミノ酸は、負荷電アミノ酸(例えばG39E)に置換されており、第2の重鎖のVH領域中のKabat39位のアミノ酸は、正荷電アミノ酸(例えば、G39K)に置換されている。一部の実施形態では、第1の及び/又は第2の重鎖のVH領域中のKabat44位のアミノ酸は、正荷電アミノ酸(例えば、リシン)に置換されている。代替的な実施形態では、第1の及び/又は第2の重鎖のVH領域中のKabat44位のアミノ酸は、負荷電アミノ酸(例えば、グルタミン酸)に置換されている。ある特定の実施形態では、第1の重鎖のVH領域中のKabat44位のアミノ酸は、負荷電アミノ酸(例えば、G44E)に置換されており、第2の重鎖のVH領域中のKabat44位のアミノ酸は、正荷電アミノ酸(例えば、G44K)に置換されている。
VL領域内のV領域界面残基(即ち、VH領域及びVL領域のアセンブリーを媒介するアミノ酸残基)には、Kabatの32位、34位、35位、36位、38位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、48位、49位、50位、51位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、85位、87位、89位、90位、91位及び100位が含まれる。VL領域中の1つ又は複数の界面残基を、荷電アミノ酸で置換し得、好ましくは、同族の重鎖のVH領域に導入されたものと反対の電荷を有するアミノ酸で置換し得る。一部の実施形態では、第1の及び/又は第2の軽鎖のVL領域中のKabat100位のアミノ酸は、正荷電アミノ酸(例えば、リシン)に置換されている。代替的な実施形態では、第1の及び/又は第2の軽鎖のVL領域中のKabat100位のアミノ酸は、負荷電アミノ酸(例えば、グルタミン酸)に置換されている。ある特定の実施形態では、第1の軽鎖のVL領域中のKabat100位のアミノ酸は、正荷電アミノ酸(例えば、G100K)に置換されており、第2の軽鎖のVL領域中のKabat100位のアミノ酸は、負荷電アミノ酸(例えば、G100E)に置換されている。
ある特定の実施形態では、本発明のヘテロ二量体の抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖、並びに第1の軽鎖及び第2の軽鎖を含み、第1の重鎖は、アミノ酸置換を44位(Kabat)、183位(EU)、392位(EU)、及び409位(EU)で含み、第2の重鎖は、アミノ酸置換を44位(Kabat)、183位(EU)、356位(EU)、及び399位(EU)で含み、第1の及び第2の軽鎖は、アミノ酸置換を100位(Kabat)及び176位(EU)で含み、これらのアミノ酸置換により、前記の各位置に荷電アミノ酸が導入されている。関連する実施形態では、第1の重鎖の44位(Kabat)のグリシンがグルタミン酸に置き換えられており、第2の重鎖の44位(Kabat)のグリシンがリシンに置き換えられており、第1の軽鎖の100位(Kabat)のグリシンがリシンに置き換えられており、第2の軽鎖の100位(Kabat)のグリシンがグルタミン酸に置き換えられており、第1の軽鎖の176位(EU)のセリンがリシンに置き換えられており、第2の軽鎖の176位(EU)のセリンがグルタミン酸に置き換えられており、第1の重鎖の183位(EU)のセリンがグルタミン酸に置き換えられており、第1の重鎖の392位(EU)のリシンがアスパラギン酸に置き換えられており、第1の重鎖の409位(EU)のリシンがアスパラギン酸に置き換えられており、第2の重鎖の183位(EU)のセリンがリシンに置き換えられており、第2の重鎖の356位(EU)のグルタミン酸がリシンに置き換えられており、及び/又は第2の重鎖の399位(EU)のアスパラギン酸がリシンに置き換えられている。
本明細書で使用する場合、「Fc領域」という用語は、インタクトな抗体のパパイン消化により生成し得る免疫グロブリン重鎖のC末端領域を指す。免疫グロブリンのFc領域は、一般に、2つの定常ドメイン(CH2ドメイン及びCH3ドメイン)を含み、任意選択的にCH4ドメインを含む。ある特定の実施形態では、Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4免疫グロブリン由来のFc領域である。一部の実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG1又はヒトIgG2免疫グロブリン由来のCH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。Fc領域は、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、及び貪食等のエフェクター機能を保持し得る。他の実施形態では、Fc領域は、本明細書にさらに詳細に記載されるように、エフェクター機能を低減するか又は排除するように修飾され得る。
本発明の抗原結合タンパク質の一部の実施形態では、Fc領域のカルボキシル末端に位置する結合ドメイン(即ち、カルボキシル末端の結合ドメイン)は、scFvである。ある特定の実施形態では、scFvは、ペプチドリンカーにより連結された重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む。可変領域は、VH-VL又はVL-VHの向きで、scFv内に配置され得る。例えば、一実施形態では、scFvは、N末端からC末端へと、VH領域、ペプチドリンカー、及びVL領域を含む。別の実施形態では、scFvは、N末端からC末端へと、VL領域、ペプチドリンカー、及びVH領域を含む。scFvのVH領域及びVL領域は、1つ又は複数のシステイン置換を含み、VH領域とVL領域との間にジスルフィド結合形成を可能にし得る。そのようなシステインのクランプは、抗原-結合性配置における2つの可変ドメインを安定化させる。一実施形態では、VH領域中の44位(Kabat付番)及びVL領域中の100位(Kabat付番)は、それぞれシステイン残基で置換されている。
ある特定の実施形態では、scFvは、そのアミノ末端で、ペプチドリンカーを介してFc領域のカルボキシル末端(例えば、CH3ドメインのカルボキシル末端)に融合されているか、又は別の方法で連結されている。そのため、一実施形態では、得られる融合タンパク質が、N末端からC末端へと、CH2ドメイン、CH3ドメイン、第1のペプチドリンカー、VH領域、第2のペプチドリンカー、及びVL領域を含むように、scFvはFc領域に融合されている。別の実施形態では、得られる融合タンパク質が、N末端からC末端へと、CH2ドメイン、CH3ドメイン、第1のペプチドリンカー、VL領域、第2のペプチドリンカー、及びVH領域を含むように、scFvはFc領域に融合されている。「融合タンパク質」は、複数種の親タンパク質又はポリペプチドに由来するポリペプチド成分を含むタンパク質である。通常、融合タンパク質は、1つのタンパク質由来のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列が、異なるタンパク質由来のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列と一緒にインフレームに付加され、任意選択的にリンカーによって、その配列から分離される、融合遺伝子から発現される。次いで、この融合遺伝子は、組換え宿主細胞により発現されて単一の融合タンパク質を産生し得る。
「ペプチドリンカー」とは、1つのポリペプチドを別のポリペプチドに共有結合させる約2~約50個のアミノ酸のオリゴペプチドを指す。ペプチドリンカーを使用して、scFv中でVHドメインとVLドメインとを連結し得る。ペプチドリンカーを使用して、scFv、Fab断片、又は他の機能的抗体断片をFc領域のアミノ末端又はカルボキシル末端に連結して、本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質も作り出し得る。好ましくは、ペプチドリンカーは、少なくとも5個のアミノ酸長である。ある特定の実施形態では、ペプチドリンカーは、約5個のアミノ酸長~約40個のアミノ酸長である。他の実施形態では、ペプチドリンカーは、約8個のアミノ酸長~約30個のアミノ酸長である。さらに他の実施形態では、ペプチドリンカーは、約10個のアミノ酸長~約20個のアミノ酸長である。好ましくは、必ずしもというわけではないが、ペプチドリンカーは、20種の標準的なアミノ酸の中のアミノ酸、特に、システイン、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、及び/又はセリンを含む。ある特定の実施形態では、ペプチドリンカーは、グリシン、セリン、及びアラニン等の立体障害のない大多数のアミノ酸で構成されている。そのため、一部の実施形態において好ましいリンカーには、ポリグリシン、ポリセリン、及びポリアラニン、又はこれらのうちいずれかの組合せが含まれる。一部の例示的なペプチドリンカーとして下記が挙げられるが、これらに限定されない:ポリ(Gly)2~8、(配列番号22~26、30、及び51)、特に(Gly)(配列番号22)、(Gly)(配列番号23)、(Gly)(配列番号24)、(Gly)(配列番号25)、並びに(Gly)(配列番号26)、並びにポリ(Gly)Ser(配列番号48)、ポリ(Gly-Ala)2~4(配列番号33~35)、及びポリ(Ala)2~8(配列番号36~42)。ある特定の実施形態では、ペプチドリンカーは、(GlySer)であり、ここで、x=3又は4であり、n=2、3、4、5又は6である(配列番号29、31、32、及び43~50)。そのようなペプチドリンカーとして、下記が挙げられる:「L5」(GGGGS又は「GS」;配列番号27)、「L9」(GGGSGGGGS;又は「GSGS」;配列番号28)、「L10」(GGGGSGGGGS;又は「(GS)」;配列番号29)、「L15」(GGGGSGGGGSGGGGS;又は「(GS)」;配列番号31)、及び「L25」(GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS;又は「(GS)」;配列番号32)。一部の実施形態では、scFv中でVH領域とVL領域とを連結しているペプチドリンカーは、L15又は(GS)リンカー(配列番号31)である。これらの及び他の実施形態では、カルボキシル末端の結合ドメイン(例えば、scFv又はFab)をFc領域のC末端に連結しているペプチドリンカーは、L9若しくはGSGSリンカー(配列番号28)又はL10(GS)リンカー(配列番号29)である。
本発明の多重特異性抗原結合タンパク質に使用し得るペプチドリンカーの他の特定の例として、下記が挙げられる:(Gly)Lys(配列番号1);(Gly)LysArg(配列番号2);(Gly)Lys(Gly)(配列番号3);(Gly)AsnGlySer(Gly)(配列番号4);(Gly)Cys(Gly)(配列番号5);GlyProAsnGlyGly(配列番号6);GGEGGG(配列番号7);GGEEEGGG(配列番号8);GEEEG(配列番号9);GEEE(配列番号10);GGDGGG(配列番号11);GGDDDGG(配列番号12);GDDDG(配列番号13);GDDD(配列番号14);GGGGSDDSDEGSDGEDGGGGS(配列番号15);WEWEW(配列番号16);FEFEF(配列番号17);EEEWWW(配列番号18);EEEFFF(配列番号19);WWEEEWW(配列番号20);及びFFEEEFF(配列番号21)。
本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質の重鎖定常領域又はFc領域は、抗原結合タンパク質のグリコシル化及び/又はエフェクター機能に影響を及ぼす1つ又は複数のアミノ酸置換を含んでもよい。免疫グロブリンのFc領域の機能の1つは、免疫グロブリンがその標的に結合する際に免疫系に伝達することである。これは、一般に「エフェクター機能」と呼ばれる。伝達は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)につながる。ADCC及びADCPは、免疫系の細胞の表面のFc受容体へのFc領域の結合を介して媒介される。CDCは、補体系のタンパク質(例えばC1q)と、Fcとの結合を介して媒介される。一部の実施形態では、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質は、ADCC活性、CDC活性、ADCP活性を含むエフェクター機能、及び/又は抗原結合タンパク質のクリアランス若しくは半減期を増強するために、定常領域に1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。エフェクター機能を増強し得る例示的なアミノ酸置換(EU付番)として下記が挙げられるが、これらに限定されない:E233L、L234I、L234Y、L235S、G236A、S239D、F243L、F243V、P247I、D280H、K290S、K290E、K290N、K290Y、R292P、E294L、Y296W、S298A、S298D、S298V、S298G、S298T、T299A、Y300L、V305I、Q311M、K326A、K326E、K326W、A330S、A330L、A330M、A330F、I332E、D333A、E333S、E333A、K334A、K334V、A339D、A339Q、P396L、又は上記のいずれかの組合せ。
他の実施形態では、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質は、エフェクター機能を低減するために、定常領域に1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。エフェクター機能を低減し得る例示的なアミノ酸置換(EU付番)として下記が挙げられるが、これらに限定されない:C220S、C226S、C229S、E233P、L234A、L234V、V234A、L234F、L235A、L235E、G237A、P238S、S267E、H268Q、N297A、N297G、V309L、E318A、L328F、A330S、A331S、P331S、又は上記のいずれかの組合せ。
グリコシル化は、抗体(特にIgG1抗体)のエフェクター機能の要因となり得る。そのため、一部の実施形態では、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質は、この結合タンパク質のグリコシル化のレベル又はタイプに影響を及ぼす1つ又は複数のアミノ酸置換を含んでもよい。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。トリペプチド配列のアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(Xは、プロリン以外のあらゆるアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列である。そのため、ポリペプチド中でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的なグリコシル化部位が作り出される。O結合型グリコシル化は、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用し得るが、ヒドロキシアミノ酸(最も一般的にはセリン又はスレオニン)への糖類N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースの1つの結合を指す。
ある特定の実施形態では、本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質のグリコシル化は、1つ又は複数のグリコシル化部位を、例えば、結合タンパク質のFc領域に付加することによって増加される。抗原結合タンパク質へのグリコシル化部位の付加を、上記のトリペプチド配列のうち1つ又は複数を含むようにアミノ酸配列を改変することにより簡便に実現し得る(N結合型グリコシル化部位の場合)。改変をまた、1つ又は複数のセリン残基若しくはスレオニン残基の開始配列への付加又は開始配列による置換によっても行ない得る(O結合型グリコシル化部位の場合)。容易にするために、抗原結合タンパク質のアミノ酸配列を、DNAレベルでの変化により改変し得、特に、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生成されるように、予め選択された塩基で標的ポリペプチドをコードするDNAを変異させることにより改変し得る。
本発明はまた、炭水化物構造が改変されて、エフェクター活性が改変されている多重特異性抗原結合タンパク質分子(例えば、フコシル化がないか又は減少してADCC活性の向上を示す抗原結合タンパク質)の作製も包含する。フコシル化を減少させるか又は排除する様々な方法が、当技術分野において既知である。例えば、ADCCエフェクター活性は、抗体分子のFcγRIII受容体への結合により媒介され、これは、CH2ドメインのN297残基でのN結合型グリコシル化の炭水化物構造に依存することが示されている。非フコシル化抗体は、高い親和性でこの受容体に結合し、FcγRIII媒介性エフェクター機能を天然のフコシル化抗体よりも効率的に誘発する。例えば、アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ酵素がノックアウトされているCHO細胞における非フコシル化抗体の組換え産生により、ADCC活性が100倍増加した抗体が得られる(Yamane-Ohnuki et al.,Biotechnol Bioeng.87(5):614-22,2004を参照されたい)。同様の効果を、フコシル化経路におけるアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ酵素又は他の酵素の活性を低下させることによって、例えば、siRNA若しくはアンチセンスRNA処理、酵素をノックアウトするような細胞株の操作、又は選択的グリコシル化阻害剤を用いる培養によって、達成し得る(Rothman et al.,Mol Immunol.26(12):1113-23,1989を参照されたい)。いくつかの宿主細胞株(例えば、Lec13又はラットハイブリドーマYB2/0細胞株)は、より低いフコシル化レベルを有する抗体を天然に産生する(Shields et al.,J Biol Chem.277(30):26733-40,2002及びShinkawa et al.,J Biol Chem.278(5):3466-73,2003を参照されたい)。例えば、GnTIII酵素を過剰発現する細胞において抗体を組換え産生することによる、二分された炭水化物レベルの増加もADCC活性を増加させることが判明している(Umana et al.,Nat Biotechnol.17(2):176-80,1999を参照されたい)。
他の実施形態では、本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質のグリコシル化は、1つ又は複数のグリコシル化部位を、例えば、結合タンパク質のFc領域から除去することによって、低減しているか、又は排除されている。N結合型グリコシル化部位を排除するか又は改変するアミノ酸置換により、抗原結合タンパク質のN結合型グリコシル化を低減し得るか、又は排除し得る。ある特定の実施形態では、本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質は、N297Q、N297A、又はN297G等のN297位(EU付番)での変異を含む。特定の一実施形態では、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質は、N297G変異を有するヒトIgG1抗体由来のFc領域を含む。N297変異を含む分子の安定性を向上させるために、分子のFc領域をさらに操作してもよい。例えば、一部の実施形態では、Fc領域における1つ又は複数のアミノ酸は、二量体状態でジスルフィド結合形成を促進するためにシステインで置換されている。そのため、IgG1 Fc領域のV259、A287、R292、V302、L306、V323、又はI332(EU付番)に対応する残基は、システインで置換され得る。好ましくは、残基の特定の対が、互いにジスルフィド結合を優先的に形成するようにシステインで置換されており、そのため、ジスルフィド結合のスクランブルが制限されるか、又は防止される。好ましい対として下記が挙げられるが、これらに限定されない:A287C及びL306C、V259C及びL306C、R292C及びV302C、並びにV323C及びI332C。特定の実施形態では、本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質は、R292C及びV302Cで変異を有するヒトIgG1抗体由来のFc領域を含む。そのような実施形態では、Fc領域はまた、N297G変異も含み得る。
例えば、サルベージ受容体(salvage receptor)結合エピトープの組み込み又は付加による(例えば、適切な領域の変異による、又はエピトープをペプチドタグに組み込み、次いで、例えば、DNA若しくはペプチド合成によって、いずれかの末端又は中央で抗原結合タンパク質に融合させることによる;例えば、国際公開第96/32478号パンフレットを参照されたい)、或いはPEG又は他の水溶性ポリマー、例えば、多糖ポリマー等の分子の付加による、血清半減期を延長するための本発明の多重特異性抗原結合タンパク質の修飾もまた望ましい場合がある。サルベージ受容体結合エピトープは、好ましくは、Fc領域の1つ又は2つのループ由来の任意の1つ又は複数のアミノ酸残基が抗原結合タンパク質中の類似の位置に移入される領域を構成する。より一層好ましくは、Fc領域の1つ又は2つのループ由来の3つ以上の残基が移入されている。さらにより好ましくは、エピトープがFc領域(例えば、IgG Fc領域)のCH2ドメインから採取され、抗原結合タンパク質のCH1、CH3、若しくはVH領域、又は複数のそのような領域に移入されている。或いは、エピトープがFc領域のCH2ドメインから採取され、抗原結合タンパク質のCL領域若しくはVL領域、又はその両方に移入されている。Fc変異体及びそのサルベージ受容体との相互作用の説明については、国際出願である、国際公開第97/34631号パンフレット及び同第96/32478号パンフレットを参照されたい。
本発明は、本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質及びその成分をコードする1つ又は複数の単独で存在する核酸を含む。本発明の核酸分子には、一本鎖及び二本鎖の両方の形態のDNA及びRNA、並びに対応する相補的配列が含まれる。DNAには、例えば、cDNA、ゲノムDNA、化学的に合成されたDNA、PCRによって増幅されたDNA、及びそれらの組合せが含まれる。本発明の核酸分子には、完全長遺伝子又はcDNA分子、並びにこれらの断片の組合せが含まれる。本発明の核酸は、優先的にはヒト供給源に由来するが、本発明には、非ヒト種に由来するものも含まれる。
免疫グロブリン若しくはその領域(例えば、可変領域、Fc領域等)又は目的のポリペプチドに由来の関連するアミノ酸配列を、直接タンパク質配列解析法により決定し得、好適なコードヌクレオチド配列を、普遍コドン表に従ってデザインし得る。或いは、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質の結合ドメインの起源となり得る、モノクローナル抗体をコードするゲノムDNA又はcDNAを、従来の手順を使用して(例えば、モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、そのような抗体を産生する細胞から単離して配列決定し得る。
本明細書において「単独で存在するポリヌクレオチド」と互換的に使用される「単独で存在する核酸」は、天然に存在する供給源から単離された核酸の場合には、核酸が単離された生物のゲノムに存在する隣接遺伝子配列から分離されている核酸である。例えば、PCR産物、cDNA分子、又はオリゴヌクレオチド等の鋳型から酵素的に合成されたか又は化学的に合成された核酸の場合には、そのようなプロセスから得られる核酸は、単独で存在する核酸であると理解される。単独で存在する核酸分子は、別個の断片の形態の核酸分子、又はより大きな核酸コンストラクトの成分としての核酸分子を指す。好ましい一実施形態では、核酸は、不純にする内因性物質を実質的に含まない。核酸分子は、好ましくは、実質的に純粋な形態で、且つ標準的な生化学的方法(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989)で概説されているもの)によるその成分ヌクレオチド配列の同定、操作、及び回収を可能にする量又は濃度で、少なくとも1回単離されたDNA又はRNAから誘導されている。そのような配列は、好ましくは、通常、真核生物遺伝子に存在する内部非翻訳配列又はイントロンによって中断されていないオープンリーディングフレームの形態で提供されており、及び/又は構築されている。非翻訳のDNAの配列は、オープンリーディングフレームから5’側又は3’側に存在し得、この場合には、これは、コード領域の操作又は発現を妨害しない。特に明記しない限り、本明細書で論じられている任意の一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は、5’末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は、5’方向と呼ばれる。新生RNA転写産物の5’から3’への産生の方向は、転写方向と呼ばれ、RNA転写産物の5’末端の5’側にあるRNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と呼ばれ、RNA転写産物の3’末端の3’側にあるRNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と呼ばれる。
本発明はまた、中程度にストリンジェントな条件下で、より好ましくは高度にストリンジェントな条件下で、本明細書で説明されているポリペプチドをコードする核酸にハイブリダイズする核酸も含む。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響する基本パラメータ、及び好適な条件を考案するためのガイダンスは、Sambrook,Fritsch,and Maniatis(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,chapters 9 and 11;及びCurrent Protocols in Molecular Biology,1995,Ausubel et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,sections 2.10 and 6.3-6.4)によって示されており、例えば、DNAの長さ及び/又は塩基組成に基づいて当業者が容易に決定し得る。中程度にストリンジェントな条件を達成する一方法は、5×SSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)を含む予洗溶液、約50%ホルムアミド、6×SSCのハイブリダイゼーション緩衝液、約55℃のハイブリダイゼーション温度(又は他の類似のハイブリダイゼーション溶液、例えば、約42℃のハイブリダイゼーション温度による、約50%ホルムアミドを含有するもの)、及び0.5×SSC、0.1%SDS中の約60℃の洗浄条件の使用を含む。一般に、高度にストリンジェントな条件は、およそ68℃、0.2×SSC、0.1%SDSで洗浄すること以外は上記のようなハイブリダイゼーション条件として定義される。SSPE(l×SSPEは、0.15M NaCl、10mM NaHPO、及び1.25mM EDTA、pH7.4である)を、ハイブリダイゼーション緩衝液及び洗浄緩衝液中のSSC(l×SSCは、0.15M NaCl及び15mMクエン酸ナトリウムである)に置換し得、ハイブリダイゼーションが完了した後、15分間洗浄を行う。当業者に知られており、且つ下記でさらに説明されるように、ハイブリダイゼーション反応及び二本鎖の安定性を決定する基本原理を適用することにより、所望の程度のストリンジェンシーを達成するために必要に応じて、洗浄温度及び洗浄塩濃度を調節し得ることと理解すべきである(例えば、Sambrook et al.,1989を参照されたい)。核酸を未知の配列の標的核酸にハイブリダイズさせる場合には、ハイブリッド長はハイブリダイズする核酸の長さであると仮定する。既知の配列の核酸がハイブリダイズされる場合には、ハイブリッド長を、両核酸の配列を整列させ、最適な配列相補性の領域又は領域群を同定することにより決定し得る。50塩基対長未満であると予想されるハイブリッドのハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融解温度(Tm)より5~10℃低くなければならず、ここで、Tmは、下記の式に従って決定される。18塩基対長未満のハイブリッドの場合には、Tm(℃)=2(A+T塩基の数)+4(G+C塩基の数)。18塩基対長を超えるハイブリッドの場合には、Tm(℃)=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)-(600/N)、(式中、Nは、ハイブリッド中の塩基の数であり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション緩衝液中のナトリウムイオンの濃度である)(1×SSCの[Na+]=0.165M)。好ましくは、そのようなハイブリダイズする核酸の各々は、少なくとも15個のヌクレオチド(又はより好ましくは少なくとも18個のヌクレオチド、若しくは少なくとも20個のヌクレオチド、若しくは少なくとも25個のヌクレオチド、若しくは少なくとも30個のヌクレオチド、若しくは少なくとも40個のヌクレオチド、又は最も好ましくは少なくとも50個のヌクレオチド)の長さ、或いはそれがハイブリダイズする本発明の核酸の長さの少なくとも25%(より好ましくは少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、及び最も好ましくは少なくとも80%)である長さを有しており、且つそれがハイブリダイズする本発明の核酸と少なくとも60%の配列同一性(より好ましくは少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、及び最も好ましくは少なくとも99.5%)を有しており、ここで、配列同一性は、上でより詳細に記載されているように、ハイブリダイズする核酸の配列を、重複及び同一性が最大となり、配列ギャップが最小になるように整列させた場合に当該核酸の配列を比較することにより決定される。
本明細書で説明されている抗原結合タンパク質の変異体を、カセット若しくはPCR変異誘発、又は当技術分野において周知の他の技術を使用する、ポリペプチドをコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的な変異誘発により、この変異体をコードするDNAを作製し、その後、本明細書で概説されているように、細胞培養物中で組換えDNAを発現させることにより調製し得る。しかし、約100~150個までの残基を有する変異体CDRを含む抗原結合タンパク質を、確立された技術を使用するインビトロ合成により調製し得る。変異体は、典型的には、天然の類似体と同じ定性的生物学的活性を示し、例えば抗原への結合を示す。そのような変異体は、例えば、抗原結合タンパク質のアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/又は挿入、及び/又は置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組合せを行って、最終コンストラクトに至るが、但し、この最終コンストラクトは、所望の特性を保持するものとする。アミノ酸の変化はまた、グリコシル化部位の数又は位置を変化させる等の抗原結合タンパク質の翻訳後プロセスも改変し得る。ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質変異体は、エピトープ結合に直接関与するアミノ酸残基を修飾する目的で調製される。他の実施形態では、本明細書で論じられている目的のために、エピトープ結合に直接関与しない残基、又はエピトープ結合に何ら関与しない残基の修飾が望ましい。CDR領域及び/又はフレームワーク領域のいずれかにおける変異誘発が企図される。抗原結合タンパク質のアミノ酸配列における有用な修飾をデザインするために、当業者は共分散分析技術を使用し得る。例えば、Choulier,et al.,Proteins 41:475-484,2000;Demarest et al.,J.Mol.Biol.335:41-48,2004;Hugo et al.,Protein Engineering 16(5):381-86,2003;Aurora et al.、米国特許出願公開第2008/0318207A1号明細書;Glaser et al.、米国特許出願公開第2009/0048122A1号明細書;Urech et al.、国際公開第2008/110348A1号パンフレット;Borras et al.、国際公開第2009/000099A2号パンフレットを参照されたい。共分散分析によって決定されるそのような改変により、抗原結合タンパク質の効力、薬物動態学的、薬力学的、及び/又は製造可能性の特性を改善し得る。
本発明はまた、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質の1つ又は複数の成分(例えば、可変領域、軽鎖、重鎖、修飾された重鎖、及びFd断片)をコードする1つ又は複数の核酸を含むベクターも含む。「ベクター」という用語は、タンパク質コード情報を宿主細胞に移入するために使用される任意の分子又は実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ、又はウイルス)を指す。ベクターの例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳動物ベクター、及び発現ベクター、例えば、組換え発現ベクター。「発現ベクター」又は「発現コンストラクト」という用語は、本明細書で使用する場合、特定の宿主細胞において作動可能に連結されているコード配列の発現に必要な、所望のコード配列及び適切な核酸制御配列を含む組換えDNA分子を指す。発現ベクターは、転写、翻訳に影響を及ぼすか又はそれを制御し、且つイントロンが存在する場合には、それに作動可能に連結されたコード領域のRNAスプライシングに影響を及ぼす配列を含み得るが、これに限定されない。原核生物での発現に必要な核酸配列として、プロモーター、任意選択的なオペレーター配列、リボソーム結合部位、及び場合により他の配列が挙げられる。真核細胞は、プロモーター、エンハンサー、並びに終結シグナル及びポリアデニル化シグナルを利用することが知られている。分泌シグナルペプチド配列もまた、任意選択的に発現ベクターによってコードされ、目的のコード配列に作動可能に連結されることが可能であり、これにより、所望の場合には、細胞から目的のポリペプチドがより容易に単離されるように、組換え宿主細胞に発現ポリペプチドを分泌させ得る。ある特定の実施形態では、シグナルペプチドは、MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARC(配列番号1)、MAWALLLLTLLTQGTGSWA(配列番号2)、MTCSPLLLTLLIHCTGSWA(配列番号3)、MEAPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号4)、MEWTWRVLFLVAAATGAHS(配列番号5)、METPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号6)、METPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号7)、MKHLWFFLLLVAAPRWVLS(配列番号8)、及びMEWSWVFLFFLSVTTGVHS(配列番号9)からなる群から選択される。
通常、本発明の多重特異性抗原タンパク質を産生するために宿主細胞中で使用される発現ベクターは、プラスミド維持のための配列、並びにこの多重特異性抗原結合タンパク質の成分をコードする外因性ヌクレオチド配列のクローン化及び発現のための配列を含む。集合的に「隣接配列」と呼ばれるそのような配列は、ある特定の実施形態では、典型的には、下記のヌクレオチド配列:プロモーター、1つ又は複数のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナー及びアクセプタースプライス部位を含む完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるべきポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、並びに選択マーカーエレメントのうち1つ又は複数を含む。これらの配列の各々を、以下で論じる。
任意選択的に、ベクターは、「タグ」コード配列、即ち、ポリペプチドコード配列の5’末端又は3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含み得、このオリゴヌクレオチドタグ配列は、ポリHis(例えばヘキサHis)、FLAG、HA(ヘマグルチニンインフルエンザウイルス)、myc、又は市販の抗体が存在する別の「タグ」分子をコードする。このタグは、通常、ポリペプチドが発現すると、ポリペプチドに融合され、宿主細胞からのポリペプチドの親和性精製又は検出のための手段としての役目をすることができる。親和性精製を、例えば、タグに対する抗体を親和性マトリックスとして使用するカラムクロマトグラフィーにより実現し得る。任意選択的に、その後、ある特定の開裂用ペプチダーゼを使用する等の様々な手段によって、精製されたポリペプチドからタグを除去し得る。
隣接配列は、同種性(即ち、宿主細胞と同一の種及び/又は株に由来する)、異種性(即ち、宿主細胞の種又は株以外の種に由来する)、ハイブリッド(即ち、複数種の供給源に由来する隣接配列の組合せ)、合成、又は天然であり得る。従って、隣接配列の供給源は、任意の原核生物若しくは真核生物、任意の脊椎動物若しくは無脊椎動物、又は任意の植物であり得るが、但し、この隣接配列が宿主細胞機構において機能し、且つ宿主細胞機構によって活性化され得るものとする。
本発明のベクターに有用な隣接配列を、当技術分野において周知の複数の方法のいずれかによって得ることができる。典型的には、本明細書において有用な隣接配列は、マッピング及び/又は制限エンドヌクレアーゼ消化によって事前に同定されていることになるため、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して、適切な組織源から単離し得る。場合により、隣接配列の全ヌクレオチド配列が既知であり得る。この場合、隣接配列を、核酸合成又はクローン化の常法を使用して合成し得る。
隣接配列の全てが既知であるか、又はその一部のみが既知であるかを問わず、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)を使用して、並びに/又は同じ若しくは別の種に由来するオリゴヌクレオチド及び/若しくは隣接配列断片等の好適なプローブを用いてゲノムライブラリをスクリーニングすることによって、隣接配列を得ることができる。隣接配列が不明である場合には、隣接配列を含有するDNAの断片を、例えば、コード配列又は1つ若しくは複数の別の遺伝子さえ含み得るDNAの大型断片から単離し得る。単離を、制限エンドヌクレアーゼ消化によって適切なDNA断片を作製し、続いてアガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chatsworth,CA)、又は当業者に既知の他の方法を使用して単離することにより実現し得る。この目的を達成するのに適した酵素の選択は、当業者には容易に分かるであろう。
複製起点は、通常、市販の原核生物発現ベクターの一部であり、この起点は、宿主細胞におけるベクターの増幅に役立つ。選択したベクターが複製起点部位を含まない場合には、既知の配列に基づいて化学的に合成し、ベクターにライゲートしてもよい。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs,Beverly,MA)に由来する複製起点は、ほとんどのグラム陰性菌に適しており、様々なウイルス性の起点(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、又はパピローマウイルス、例えば、HPV若しくはBPV)が哺乳動物細胞におけるベクターのクローン化に有用である。一般に、複製起点成分は、哺乳動物発現ベクターには必要でない(例えば、SV40起点は、ウイルス初期プロモーターも含むという理由でのみ、使用されることが多い)。
転写終結配列は、典型的には、ポリペプチドコード領域の3’末端側に位置しており、転写を終結させる働きをする。通常、原核細胞における転写終結配列は、G-Cに富む断片とそれに続くポリT配列である。この配列はライブラリから容易にクローン化されるか、又はベクターの一部として、市販品を購入する場合さえあるが、既知の核酸合成の方法を使用して容易に合成することもできる。
選択マーカー遺伝子は、選択培養培地中で増殖させる宿主細胞の生存及び増殖に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)原核生物の宿主細胞に、抗生物質又は他の毒素、例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、又はカナマイシンに対する耐性を付与するタンパク質;(b)細胞の栄養要求性欠損を補完するタンパク質;又は(c)複合培地若しくは限定培地からは利用不能の重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。特異的選択マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、及びテトラサイクリン耐性遺伝子である。有利なことには、ネオマイシン耐性遺伝子もまた、原核生物の宿主細胞及び真核生物の宿主細胞の両方における選択に使用し得る。
他の選択遺伝子を使用して、発現される遺伝子を増幅してもよい。増幅は、増殖又は細胞生存に重要なタンパク質の産生に必要とされる遺伝子が、組換え細胞の累代の染色体内でタンデムに反復されるプロセスである。哺乳動物細胞に好適な選択マーカーの例として、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)及びプロモーターレスチミジンキナーゼ遺伝子が挙げられる。哺乳動物細胞形質転換体を、この形質転換体のみが唯一、ベクター中に存在する選択遺伝子によって生存するように適合されている選択圧下に置く。選択圧は、培地中の選択剤の濃度が連続的に増加する条件下で形質転換された細胞を培養することによって課され、それにより、選択遺伝子と、本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質の1つ又は複数の成分等の別の遺伝子をコードするDNAとの両方の増幅を導く。その結果、増幅されたDNAから多量のポリペプチドが合成される。
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、シャイン・ダルガーノ配列(原核生物)又はコザック配列(真核生物)を特徴とする。このエレメントは、典型的には、プロモーターの3’側、及び発現されることになるポリペプチドのコード配列の5’側に位置する。ある特定の実施形態では、1つ又は複数のコード領域は、内部リボソーム結合部位(IRES)に作動可能に連結され得、単一のRNA転写産物からの2つのオープンリーディングフレームの翻訳を可能にする。
真核生物の宿主細胞発現系においてグリコシル化が所望される等の場合には、グリコシル化又は収率を向上させるために、種々のプレ配列又はプロ配列を操作し得る。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ開裂部位を改変し得るか、又はプロ配列を付加し得、これもグリコシル化に影響を及ぼし得る。最終タンパク質産物は、-1位(成熟タンパク質の最初のアミノ酸に対して)で、発現に付随する1つ又は複数の追加のアミノ酸を有する場合があり、これは、完全には除去されていなくてもよい。例えば、最終タンパク質産物は、アミノ末端に結合した、ペプチダーゼ開裂部位に見出される1つ又は2つのアミノ酸残基を有し得る。代わりに、幾つかの酵素開裂部位を使用することにより、酵素が成熟ポリペプチド内のそのような領域で切断する場合に、所望のポリペプチドがわずかにトランケートされた形態が生じ得る。
本発明の発現ベクター及びクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識され、且つポリペプチドをコードする分子に作動可能に連結されたプロモーターを含む。「作動可能に連結された」という用語は、本明細書で使用する場合、所与の遺伝子の転写及び/又は所望のタンパク質分子の合成を指令し得る核酸分子が作製されるように2つ以上の核酸配列が連結されていることを指す。例えば、タンパク質コード配列に「作動可能に連結された」ベクター中の制御配列は、タンパク質コード配列の発現が制御配列の転写活性と適合する条件下で行われるように、タンパク質コード配列にライゲートされる。より具体的には、プロモーター及び/又はエンハンサー配列(シス作用性転写制御エレメントの任意の組合せを含む)は、それが適切な宿主細胞又は他の発現系においてコード配列の転写を刺激するか又は調節する場合に、このコード配列に作動可能に連結されている。
プロモーターは、構造遺伝子の開始コドンの上流(即ち5’側;一般に、約100~1000bp以内)に位置し、この構造遺伝子の転写を制御する非転写配列である。通常、プロモーターは、下記の2つのクラス:誘導性プロモーター及び構成的プロモーターの一方に分類される。誘導性プロモーターは、栄養素の有無又は温度の変化等の培養条件の何らかの変化に応じ、その制御下で、DNAからの転写レベルの増加を開始する。一方、構成的プロモーターは、それが作動可能に連結されている遺伝子を均一に転写し、即ち遺伝子発現に対する制御をほとんど又は全く行わずに転写する。種々の潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが、周知である。好適なプロモーターは、供給源DNAから制限酵素消化によりプロモーターを除去し、所望のプロモーター配列をベクターに挿入することによって、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質の、例えば、重鎖、軽鎖、修飾された重鎖、又は他の成分をコードするDNAに作動可能に連結されている。
酵母宿主と共に使用するのに好適なプロモーターも、当技術分野において周知である。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターと共に使用されるのが有利である。哺乳動物宿主細胞と共に使用するのに好適なプロモーターは周知であり、下記が挙げられるが、これらに限定されない:ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2型等)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及び最も好ましくはシミアンウイルス40(SV40)等のウイルスのゲノムから得られたもの。他の好適な哺乳動物プロモーターとして、異種哺乳動物プロモーターが挙げられ、例えば、熱ショックプロモーター及びアクチンプロモーターが挙げられる。
対象となり得るさらなるプロモーターとして下記が挙げられるが、これらに限定されない:SV40初期プロモーター(Benoist and Chambon,1981,Nature 290:304-310);CMVプロモーター(Thornsen et al.,1984、Proc.Natl.Acad.U.S.A.81:659-663)、ラウス肉腫ウイルスの3’側の長い末端反復に含まれるプロモーター(Yamamoto et al.,1980,Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444-1445);メタロチオネイン遺伝子由来のプロモーター及び調節配列(Prinster et al.,1982,Nature 296:39-42);並びにベータ-ラクタマーゼプロモーター等の原核生物プロモーター(Villa-Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727-3731);又はtacプロモーター(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21-25)。組織特異性を示し且つトランスジェニック動物で利用されている下記の動物転写制御領域も対象とする:膵腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell 38:639-646;Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399-409;MacDonald,1987,Hepatology 7:425-515);膵β細胞において活性であるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115-122);リンパ細胞において活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647-658;Adames et al.,1985,Nature 318:533-538;Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.7:1436-1444);精巣、乳房、リンパ球、及び肥満細胞において活性であるマウス乳房腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485-495);肝臓において活性であるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268-276)、肝臓において活性であるアルファ-フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.5:1639-1648;Hammer et al.,1987,Science 253:53-58);肝臓において活性であるアルファ1-アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161-171);骨髄細胞において活性であるベータ-グロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature 315:338-340;Kollias et al.,1986,Cell 46:89-94);脳内のオリゴデンドロサイト細胞において活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadet al.,1987,Cell 48:703-712);骨格筋において活性であるミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283-286);並びに視床下部において活性である性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science 234:1372-1378)。
エンハンサー配列をベクターに挿入して、高等真核生物によって、多重特異性抗原結合タンパク質の成分(例えば、軽鎖、重鎖、修飾された重鎖、Fd断片)をコードするDNAの転写を増加させ得る。エンハンサーは、プロモーターに作用して転写を増加させる、通常、約10~300bp長のDNAのシス作用性エレメントである。エンハンサーは、方向及び位置に比較的依存せず、転写単位に対して5’側及び3’側の双方の位置にて見出されている。哺乳動物遺伝子から入手可能な複数のエンハンサー配列が知られている(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、アルファ-フェト-タンパク質、及びインスリン)。しかしながら、典型的には、ウイルス由来のエンハンサーが使用される。当技術分野において既知のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーは、真核生物プロモーターの活性化のための例示的な増強エレメントである。エンハンサーは、ベクターにおいてコード配列の5’側又は3’側のいずれに位置してもよいが、典型的には、プロモーターから5’側の部位に位置する。適切な天然又は異種性のシグナル配列(リーダー配列又はシグナルペプチド)をコードする配列を発現ベクターに組み込んで、細胞外への抗体の分泌を促進し得る。シグナルペプチド又はリーダーの選択は、抗体が産生されることになる宿主細胞の型に依存し、異種性のシグナル配列が天然のシグナル配列に取って代わることができる。シグナルペプチドの例は、上で説明されている。哺乳動物宿主細胞において機能する他のシグナルペプチドとして、下記が挙げられる:米国特許第4,965,195号明細書で説明されているインターロイキン-7(IL-7)のシグナル配列;Cosman et al.,1984,Nature 312:768で説明されているインターロイキン-2受容体のシグナル配列;欧州特許第0367 566号明細書で説明されているインターロイキン-4受容体シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号明細書で説明されているI型インターロイキン-1受容体シグナルペプチド;欧州特許第0 460 846号明細書で説明されているII型インターロイキン-1受容体シグナルペプチド。
提供される発現ベクターを、市販のベクター等の出発ベクターから構築してもよい。そのようなベクターは、所望の隣接配列の全てを含んでもよいし、含まなくてもよい。本明細書で説明されている隣接配列のうちの1つ又は複数がベクターに最初から存在していない場合、それらを個々に取得してベクターにライゲートしてもよい。隣接配列の各々を取得するために使用される方法は、当業者に周知である。発現ベクターを宿主細胞に導入し、それにより、本明細書で説明されている核酸によってコードされる融合タンパク質を含むタンパク質を産生し得る。
ある特定の実施形態では、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質の異なる成分をコードする核酸を、同じ発現ベクターに挿入してもよい。そのような実施形態では、軽鎖及び重鎖が同じmRNA転写産物から発現されるように、配列内リボソーム侵入部位(IRES)により、単一のプロモーターの制御下で、2つの核酸が分離されてもよい。或いは、2つの核酸は、軽鎖及び重鎖が2つの別個のmRNA転写産物から発現されるように、2つの別個のプロモーターの制御下にあってもよい。
同様に、IgG-scFv多重特異性抗原結合タンパク質については、軽鎖をコードする核酸は、修飾された重鎖(重鎖及びscFvを含む融合タンパク質)をコードする核酸と同じ発現ベクターにクローン化されてもよく、その場合、2つの核酸は単一のプロモーターの制御下にあってIRESによって分離されるか、又は2つの核酸は2つの別個のプロモーターの制御下にある。IgG-Fab多重特異性抗原結合タンパク質については、3つの成分の各々をコードする核酸は、同じ発現ベクターにクローン化されてもよい。一部の実施形態では、IgG-Fab分子の軽鎖をコードする核酸、及び第2のポリペプチド(C末端のFabドメインのもう半分を含む)をコードする核酸は、1つの発現ベクターにクローン化され、一方、修飾された重鎖(重鎖及びFabドメインの半分を含む融合タンパク質)をコードする核酸は、第2の発現ベクターにクローン化される。ある特定の実施形態では、本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質の全ての成分は、同じ宿主細胞集団から発現される。例えば、1つ又は複数の成分が別個の発現ベクターにクローン化される場合でも、宿主細胞に両方の発現ベクターを同時トランスフェクトして、1つの細胞が多重特異性抗原結合タンパク質の全ての成分を産生するようにする。
ベクターを構築され、本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質の成分をコードする1種又は複数種の核酸分子を、1種又は複数種のベクターの適切な部位に挿入した後、完成したベクターを、増幅及び/又はポリペプチド発現に好適な宿主細胞に挿入し得る。そのため、本発明は、多重特異性抗原結合タンパク質の成分をコードする1種又は複数種の発現ベクターを含む、単独で存在する宿主細胞を包含する。「宿主細胞」という用語は、本明細書で使用する場合、核酸で形質転換されているか、又は形質転換されることが可能であり、それにより、目的の遺伝子を発現する細胞を指す。この用語には、目的の遺伝子が存在する限り、親細胞の子孫の形態又は遺伝的構造が元の親細胞と同一であるか否かにかかわらず、親細胞の子孫が含まれる。好ましくは少なくとも1つの発現制御配列(例えば、プロモーター又はエンハンサー)に作動可能に連結された、本発明の単独で存在する核酸を含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」である。
抗原結合タンパク質の発現ベクターの選択された宿主細胞への形質転換を、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、又は他の既知の技術を含む周知の方法によって実現し得る。選択される方法は、ある程度、使用される宿主細胞の型に応じることになる。これらの方法及び他の好適な方法は、当業者に周知であり、例えば、前出のSambrook et al.,2001に示されている。
宿主細胞は、適切な条件下で培養されると抗原結合タンパク質を合成し、その後、この抗原結合タンパク質を、(宿主細胞がそれを培地に分泌する場合は)培養培地から採取し得るか、又は(それが分泌されない場合は)それを産生する宿主細胞から直接的に採取し得る。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性(グリコシル化又はリン酸化等)に望ましいか又は必要であるポリペプチドの修飾、及び生物学的に活性な分子へのフォールディングの容易さ等の様々な要因に依存することになる。
例示的な宿主細胞として、原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞が挙げられる。原核生物の宿主細胞として、下記が挙げられる:グラム陰性微生物又はグラム陽性微生物等の真正細菌、例えば、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えば、エシェリキア属(Escherichia)、例えば、大腸菌(E.coli)、エンテロバクター属(Enterobacter)、エルウィニア属(Erwinia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、サルモネラ属(Salmonella)、例えば、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、セラチア属(Serratia)、例えば、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、及びシゲラ属(Shigella)、並びにバチルス属(Bacillus)、例えば、枯草菌(B.subtilis)及びB.リケニフォルミス(B.licheniformis)、シュードモナス属(Pseudomonas)及びストレプトミセス属(Streptomyces)。真核生物の微生物、例えば、糸状菌又は酵母は、組換えポリペプチドに好適なクローニング宿主又は発現宿主である。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、又は一般的なパン酵母は、下等真核生物宿主微生物の中で最も一般的に使用される。しかしながら、ピキア属(Pichia)、例えば、P.パストリス(P.pastoris)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、ヤロウイア属(Yarrowia)、カンジダ属(Candida)、トリコデルマ・レーシア(Trichoderma reesia)、アカパンカビ(Neurospora crassa)、シュワニオミセス属(Schwanniomyces)、例えば、シュワニオミセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、並びに糸状菌、例えば、ニューロスポラ属(Neurospora)、ペニシリウム属(Penicillium)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)、及びアスペルギルス属(Aspergillus)宿主、例えば、A.ニデュランス(A.nidulans)、A.ニガー(A.niger)等の複数の他の属、種、及び株が、本明細書において一般に利用可能であり、且つ有用である。
グリコシル化された抗原結合タンパク質の発現のための宿主細胞は、多細胞生物に由来し得る。無脊椎動物細胞の例として、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。多くのバキュロウイルスの株及び変異体、並びにツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)(イモムシ)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)(蚊)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)(蚊)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(ミバエ)、及びカイコ(Bombyx mori)等の宿主由来の、対応する昆虫の許容宿主細胞が同定されている。そのような細胞のトランスフェクションのための種々のウイルス株、例えば、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)NPVのL-1変異体、及びカイコ(Bombyx mori)NPVのBm-5株が公に入手可能である。
脊椎動物宿主細胞もまた好適な宿主であり、そのような細胞からの抗原結合タンパク質の組換え産生は常法となっている。発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当技術分野において周知であり、下記が挙げられるが、これらに限定されない:アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection:ATCC)から入手可能な不死化細胞株、例えば、限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、例えば、CHOK1細胞(ATCC CCL61)、DXB-11、DG-44、及びチャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216,1980);SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293細胞、又は懸濁培養での増殖用にサブクローン化された293細胞、(Graham et al.,J.Gen Virol.36:59,1977);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243-251,1980);サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝癌細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y Acad.Sci.383:44-68,1982);MRC 5細胞又はFS4細胞;哺乳動物骨髄腫細胞、及び多くの他の細胞株。別の実施形態では、それ自体の抗体は作製しないが、異種性抗体を作製して分泌する能力を有するB細胞系統由来の細胞株を選択し得る。一部の実施形態では、CHO細胞が、本発明の多重特異性抗原結合タンパク質を発現するのに好ましい宿主細胞である。
多重特異性抗原結合タンパク質の産生のために、宿主細胞を上記の核酸又はベクターで形質転換するか又はトランスフェクトし、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、又は所望の配列をコードする遺伝子の増幅に適するように改変された従来の栄養培地中で培養する。加えて、選択マーカーによって分離された転写単位の複数のコピーを有する新規のベクター及びトランスフェクトされた細胞株は、抗原結合タンパク質の発現に特に有用である。そのため、本発明はまた、本明細書で説明されている多重特異性抗原結合タンパク質を調製する方法であって、本明細書で説明されている1種又は複数種の発現ベクターを含む宿主細胞を、この1種又は複数種の発現ベクターによってコードされる多重特異性抗原結合タンパク質の発現を可能にする条件下にて培養培地中で培養することと、この培養培地から多重特異性抗原結合タンパク質を回収することとを含む方法も提供する。
本発明の抗原結合タンパク質を産生するために使用される宿主細胞を、様々な培地中で培養し得る。ハムF10(Sigma)、最小必須培地(MEM、Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、及びダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma)等の市販の培地は、宿主細胞を培養するのに適している。さらに、Ham et al.,Meth.Enz.58:44,1979;Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255,1980;米国特許第4,767,704号明細書;同第4,657,866号明細書;同第4,927,762号明細書;同第4,560,655号明細書;若しくは同第5,122,469号明細書;国際公開第90103430号パンフレット;同第87/00195号パンフレット;又は米国再発行特許第30,985号明細書で説明されている培地のいずれかを、宿主細胞の培養培地として使用し得る。これらの培地のいずれかに、必要に応じて、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、又は上皮成長因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩)、緩衝液(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えば、アデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン(商標)薬剤)、微量元素(通常はマイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義される)、並びにグルコース又は同等のエネルギー源を補充し得る。任意の他の必要な栄養補助物質もまた、当業者に既知であるだろう適切な濃度で含まれ得る。温度及びpH等の培養条件は、発現のために選択された宿主細胞で以前に使用されたものであり、当業者には明らかであろう。
宿主細胞を培養すると、多重特異性抗原結合タンパク質は、細胞内、細胞膜周辺腔内で産生されること、又は培地中に直接分泌されることが可能である。抗原結合タンパク質が細胞内で産生される場合、第1のステップとして、粒状の破片である宿主細胞又は溶解した断片を、例えば、遠心分離又は限外濾過によって除去する。多重特異性抗原結合タンパク質を、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、陽イオン若しくは陰イオン交換クロマトグラフィー、又は好ましくは、親和性リガンドとして目的の抗原又はプロテインA若しくはプロテインGを使用するアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製し得る。プロテインAを、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づくポリペプチドを含むタンパク質を精製するために使用し得る(Lindmark et al.,J.Immunol.Meth.62:1-13,1983)。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推奨されている(Guss et al.,EMBO J.5:15671575,1986)。親和性リガンドが結合するマトリックスは、ほとんどの場合、アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。制御細孔ガラス(controlled pore glass)又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定なマトリックスは、アガロースを用いて実現し得るよりも、流速を速く且つ処理時間を短くすることが可能である。タンパク質がCH3ドメインを含む場合には、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,N.J.)が精製に有用である。回収されるべき特定の多重特異性抗原結合タンパク質に応じて、エタノール沈殿、逆相HPLC、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿等のタンパク質精製のための他の技術もまた可能である。
抗体の天然の発現レベル、精製プロファイル、及び全体的な安定性を模倣するために、CH1/CL界面の広範なスクリーニングを実施した。側鎖の回転異性体構造が最適であり且つ各Cα-Cα間の距離が約4.5Åである2つの2残基を求めた。結果から、HC中のF126C及びLC中のE123Cが、標準的なジスルフィド結合を成功裏に置き換え得、CPMv1と共に効率的に配置され得る(HC-S183K及びLC-S176E)ことが分かる(図2)。
6種の二重特異性を選択し、4種の異なる二重特異性形式に変換した。新規の非標準的なジスルフィド結合が配置に適していることを検証するために、この分子のセットに含まれているのは、カッパ/カッパ、ラムダ/ラムダ、及びカッパ/ラムダ二重LC構成であった。「交換あり」及び「交換なし」は、Fab領域中でのCPMの配置を指す(下記の表1及び表2を参照されたい)。
Figure 2023538897000002
Figure 2023538897000003
合計60種の分子(コントロールを含む)を、HEK293細胞中で発現させ、続いて2段階タンパク質精製を行ない、90%超の純度を満たした。新規に設計したシステインの細胞機構への影響を理解するために、ProAによる最初の精製工程後に、SEC及びMCEによる広範な分析を行なって、凝集体及び低分子量種を評価した(図3、4、及び5)。図6は、純度目標が95%を超える全精製物を示す。図7は、SP精製工程とProA精製工程との間の回収率%を示す。図3~7は、上記の表1及び表2で示される6種の二重特異性のそれぞれの結果を示す。幅広の棒中の白線は、中央値の結果を示す。
結果は、V2232及びV2233が、V503及びV603の各コントロールを使用した場合と同等の多重特異性収量を生成したことを示している。興味深いことに、データから、V2233は、交換された場合には、最良のコントロールと比べて高い回収率(それぞれ、40%対35%)を示すことが分かる。さらに、設計されたF126C及びE123Cは、これらの多重特異性分子を発現する細胞の能力に悪影響を及ぼさないように見える。これら2つの挿入されたシステイン間での正しいシステイン結合の形成を、ProA精製工程後の低pHでの溶出により最初に評価し、MSQCによりさらに確認した。

Claims (41)

  1. 多重特異性抗原結合タンパク質を生成する方法であって、前記抗原結合タンパク質は、少なくとも2つのFab領域:第1のエピトープに特異的に結合する第1のFab領域、及び第2のエピトープに特異的に結合する第2のFab領域を含み;
    前記第1のFab領域は、第1のVH-CH1ポリペプチド及び第1のVL-CLポリペプチドを含み、
    前記第2のFab領域は、第2のVH-CH1ポリペプチド及び第2のVL-CLポリペプチドを含み;
    前記方法は、
    a)前記第1のVH-CH1ポリペプチドの126位でシステインを導入し、前記第1のVH-CH1ポリペプチドの220位でのシステイン残基を置換するか、修飾するか、又は欠失させること;
    b)前記第1のVL-CLポリペプチドの123位でシステインを導入し、前記第1のVL-CLポリペプチドの214位でのシステイン残基を置換するか、修飾するか、欠失させること;
    c)前記第1のVH-CH1ポリペプチドの126位でのシステインと、前記第1のVL-CLポリペプチドの123位でのシステインとの間に、ジスルフィド結合を形成すること;及び
    d)前記第2のVH-CH1ポリペプチドの220位でのシステインと、前記第2のVL-CLポリペプチドの214位でのシステインとの間に、ジスルフィド結合を形成すること;
    を含み、
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、方法。
  2. i)前記第1のVH-CH1ポリペプチドにF126C変異を導入し、前記第1のVH-CH1ポリペプチドにC220A変異を導入し;及び
    ii)前記第1のVL-CLポリペプチドにE123C変異を導入し、前記第1のVL-CLポリペプチドにC214A変異を導入する、
    請求項1に記載の方法。
  3. e)前記第1のVH-CH1ポリペプチドの183位でリシンを導入すること;
    f)前記第1のVL-CLポリペプチドの176位でグルタミン酸を導入すること;
    g)前記第2のVH-CH1ポリペプチドの183位でグルタミン酸を導入すること;及び
    h)前記第2のVL-CLポリペプチドの176位でリシンを導入することをさらに含み、
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、
    請求項1又は2に記載の方法。
  4. i)前記第1のVH-CH1ポリペプチドに、S183K変異を導入し;
    ii)前記第1のLV-CLポリペプチドに、S176E変異を導入し;
    iii)前記第2のVH-CH1ポリペプチドに、S183E変異を導入し;及び
    iv)前記第2のVL-CLポリペプチドに、S176K変異を導入する、
    請求項3に記載の方法。
  5. e)前記第1のVH-CH1ポリペプチドの183位でグルタミン酸を導入すること;
    f)前記第1のVL-CLポリペプチドの176位でリシンを導入すること;
    g)前記第2のVH-CH1ポリペプチドの183位でリシンを導入すること;及び
    h)前記第2のVL-CLポリペプチドの176位でグルタミン酸を導入すること
    をさらに含み、
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項1又は2に記載の方法。
  6. i)前記第1のVH-CH1ポリペプチドに、S183E変異を導入し;
    ii)前記第1のVL-CLポリペプチドに、S176K変異を導入し;
    iii)前記第2のVH-CH1ポリペプチドに、S183K変異を導入し;及び
    iv)前記第2のVL-CLポリペプチドに、S176E変異を導入する、
    請求項5に記載の方法。
  7. 前記抗原結合タンパク質は、多重特異性抗体又は多重特異性F(ab’)2抗体断片である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 1)前記第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、前記第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    2)前記第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、前記第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    3)前記第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、前記第2のVL-CLポリペプチド領域のN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    4)前記第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、前記第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    5)前記第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、前記第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    6)前記第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、前記第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    7)前記第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、前記第2のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;又は
    8)前記第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、前記第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されている、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記第1のFab領域及び前記第2のFab領域は、GGGSGGGS、GGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSからなる群から選択されるリンカーを介して接続されている、請求項8に記載の方法。
  10. 前記抗原結合タンパク質は、第1の重鎖、第1の軽鎖、第2の重鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、
    前記第1の重鎖は、前記第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記第1の軽鎖は、前記第1のVL-CLポリペプチド領域を含み;及び
    前記第2の重鎖は、前記第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記第2の軽鎖は、前記第2のVL-CLポリペプチド領域を含む、
    請求項7に記載の方法。
  11. 前記抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、第1の軽鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、
    1)前記修飾された重鎖は、そのC末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている前記第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記修飾された重鎖は、そのN末端で前記ヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている前記第2のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、
    前記第1の軽鎖は、前記第1のVL-CLポリペプチドを含み、
    前記第2の軽鎖は、前記第2のVL-CLポリペプチドを含むか;又は
    2)前記修飾された重鎖は、そのC末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている前記第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記修飾された重鎖は、そのN末端で前記ヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている前記第1のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、
    前記第1の軽鎖は、前記第1のVL-CLポリペプチドを含み、
    前記第2の軽鎖は、前記第2のVL-CLポリペプチドを含む、
    請求項7に記載の方法。
  12. 前記抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び前記第2のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、
    前記修飾された重鎖は、そのC末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている前記第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記修飾された重鎖は、そのN末端で前記ヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている前記第2のVL-CLポリペプチドをさらに含み、
    前記軽鎖は、前記第1のVL-CLポリペプチドを含む、
    請求項7に記載の方法。
  13. 前記抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び前記第1のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、
    前記修飾された重鎖は、そのC末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている前記第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記修飾された重鎖は、そのN末端で前記ヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている前記第1のVL-CLポリペプチドをさらに含み、
    前記軽鎖は、前記第2のVL-CLポリペプチドを含む、
    請求項7に記載の方法。
  14. 前記第1の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、前記第2の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項10に記載の方法。
  15. 前記第1の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、前記第2の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項14に記載の方法。
  16. 前記第2の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、前記第1の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項10に記載の方法。
  17. 前記第2の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、前記第1の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項16に記載の方法。
  18. 多重特異性抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質は、少なくとも2つのFab領域:
    第1のエピトープに特異的に結合する第1のFab領域、及び第2のエピトープに特異的に結合する第2のFab領域を含み;
    前記第1のFab領域は、
    126位でシステインを含み且つ220位でシステインを欠いている第1のVH-CH1ポリペプチド;及び
    123位でシステインを含み且つ214位でシステインを欠いている第1のVH-CLポリペプチド
    を含み、
    前記第2のFab領域は、
    220位でシステインを含み且つ126位でシステインを欠いている第2のVH-CH1ポリペプチド;及び
    214位でシステインを含み且つ123位でシステインを欠いている第2のVH-CLポリペプチド
    を含み、
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、多重特異性抗原結合タンパク質。
  19. i)前記第1のVH-CH1ポリペプチドは、F126C変異、C220A変異を含み;
    ii)前記第1のVL-CLポリペプチドは、E123C変異、C214A変異を含む、
    請求項18に記載の抗原結合タンパク質。
  20. i)前記第1のVH-CH1ポリペプチドは、183位でリシンを含み;
    ii)前記第1のVL-CLポリペプチドは、176位でグルタミン酸を含み;
    iii)前記第2のVH-CH1ポリペプチドは、183位でグルタミン酸を含み;
    iv)前記第2のVL-CLポリペプチドは、176位でリシンを含み;
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、
    請求項18又は19に記載の抗原結合タンパク質。
  21. i)前記第1のVH-CH1ポリペプチドは、S183K変異を含み;
    ii)前記第1のVL-CLポリペプチドは、S176E変異を含み;
    iii)前記第2のVH-CH1ポリペプチドは、S183E変異を含み;
    iv)前記第2のVL-CLポリペプチドは、S176K変異を含み;
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、
    請求項20に記載の抗原結合タンパク質。
  22. i)前記第1のVH-CH1ポリペプチドは、183位でグルタミン酸を含み;
    ii)前記第1のVL-CLポリペプチドは、176位でリシンを含み;
    iii)前記第2のVH-CH1ポリペプチドは、183位でリシンを含み;
    iv)前記第2のVL-CLポリペプチドは、176位でグルタミン酸を含み;
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、
    請求項18又は19に記載の抗原結合タンパク質。
  23. i)前記第1のVH-CH1ポリペプチドは、S183E変異を含み;
    ii)前記第1のVL-CLポリペプチドは、S176K変異を含み;
    iii)前記第2のVH-CH1ポリペプチドは、S183K変異を含み;
    iv)前記第2のVL-CLポリペプチドは、S176E変異を含み;
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、
    請求項20に記載の抗原結合タンパク質。
  24. 前記抗原結合タンパク質は、多重特異性抗体又は多重特異性F(ab’)2抗体断片である、請求項18~23のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
  25. 1)前記第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、前記第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    2)前記第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、前記第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    3)前記第1のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、前記第2のVL-CLポリペプチド領域のN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    4)前記第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、前記第1のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    5)前記第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、前記第2のVH-CH1ポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    6)前記第2のVH-CH1ポリペプチドのC末端は、前記第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;
    7)前記第1のVL-CLポリペプチドのC末端は、前記第2のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されているか;又は
    8)前記第2のVL-CLポリペプチドのC末端は、前記第1のVL-CLポリペプチドのN末端に、直接的に若しくはペプチドリンカーを介して接続されている、
    請求項18~23のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
  26. 前記第1のFab領域及び前記第2のFab領域は、GGGSGGGS、GGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSからなる群から選択されるリンカーを介して接続されている、請求項25に記載の抗原結合タンパク質。
  27. 前記抗原結合タンパク質は、第1の重鎖、第1の軽鎖、第2の重鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、
    前記第1の重鎖は、前記第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記第1の軽鎖は、前記第1のVL-CLポリペプチド領域を含み;及び
    前記第2の重鎖は、前記第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記第2の軽鎖は、前記第2のVL-CLポリペプチド領域を含む、
    請求項24に記載の抗原結合タンパク質。
  28. 前記抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、第1の軽鎖、及び第2の軽鎖を含む多重特異性抗体であり、
    1)前記修飾された重鎖は、そのC末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている前記第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記修飾された重鎖は、そのN末端で前記ヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている前記第2のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、
    前記第1の軽鎖は、前記第1のVL-CLポリペプチドを含み、
    前記第2の軽鎖は、前記第2のVL-CLポリペプチドを含むか;又は
    2)前記修飾された重鎖は、そのC末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている前記第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記修飾された重鎖は、そのN末端で前記ヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている前記第1のVH-CH1ポリペプチドをさらに含み、
    前記第1の軽鎖は、前記第1のVL-CLポリペプチドを含み、
    前記第2の軽鎖は、前記第2のVL-CLポリペプチドを含む、
    請求項24に記載の抗原結合タンパク質。
  29. 前記抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び前記第2のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、
    前記修飾された重鎖は、そのC末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている前記第1のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記修飾された重鎖は、そのN末端で前記ヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている前記第2のVL-CLポリペプチドをさらに含み、
    前記軽鎖は、前記第1のVL-CLポリペプチドを含む、
    請求項24に記載の抗原結合タンパク質。
  30. 前記抗原結合タンパク質は、修飾された重鎖、軽鎖、及び前記第1のVH-CH1ポリペプチドを含む多重特異性抗体であり、
    前記修飾された重鎖は、そのC末端でヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのN末端に連結されている前記第2のVH-CH1ポリペプチドを含み、前記修飾された重鎖は、そのN末端で前記ヒンジ-CH2-CH3ポリペプチドのC末端に連結されている前記第1のVL-CLポリペプチドをさらに含み、
    前記軽鎖は、前記第2のVL-CLポリペプチドを含む、
    請求項24に記載の抗原結合タンパク質。
  31. 前記第1の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、前記第2の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項27に記載の抗原結合タンパク質。
  32. 前記第1の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、前記第2の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項31に記載の抗原結合タンパク質。
  33. 前記第2の重鎖は、409位及び392位で負荷電アミノ酸を含み、前記第1の重鎖は、399位及び356位で正荷電アミノ酸を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項27に記載の抗原結合タンパク質。
  34. 前記第2の重鎖は、K/R409D及びK392Dの各変異を含み、前記第1の重鎖は、D399K及びE356Kの各変異を含み、アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項33に記載の抗原結合タンパク質。
  35. 少なくとも1つのFab領域を含む抗原結合タンパク質であって、前記Fab領域は、
    126位でシステインを含み且つ220位でシステインを欠いているVH-CH1ポリペプチド;及び
    123位でシステインを含み且つ214位でシステインを欠いているVH-CLポリペプチド
    を含み、
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、抗原結合タンパク質。
  36. i)前記VH-CH1ポリペプチドは、F126C変異、C220A変異を含み;
    ii)前記VL-CLポリペプチドは、E123C変異、C214A変異を含む、
    請求項35に記載の抗原結合タンパク質。
  37. i)前記VH-CH1ポリペプチドは、183位でリシンを含み;
    ii)前記VL-CLポリペプチドは、176位でグルタミン酸を含み;
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、
    請求項35又は36に記載の抗原結合タンパク質。
  38. i)前記VH-CH1ポリペプチドは、S183K変異を含み;
    ii)前記VL-CLポリペプチドは、S176E変異を含み;
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、
    請求項37に記載の抗原結合タンパク質。
  39. i)前記VH-CH1ポリペプチドは、183位でグルタミン酸を含み;
    ii)前記VL-CLポリペプチドは、176位でリシンを含み;
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、
    請求項35又は36に記載の抗原結合タンパク質。
  40. i)前記VH-CH1ポリペプチドは、S183E変異を含み;
    ii)前記VL-CLポリペプチドは、S176K変異を含み;
    アミノ酸残基の付番は、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、
    請求項39に記載の抗原結合タンパク質。
  41. 前記VH-CH1ポリペプチド及び前記VL-CLポリペプチドは、GGGSGGGS、GGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSからなる群から選択されるリンカーを介して接続されている、請求項35~40のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
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