JP2023538216A - 術後悪心嘔吐の療法 - Google Patents

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Abstract

アミスルプリドは、患者の術後悪心及び/又は嘔吐(PONV)の療法(特に予防)に有用であり、特にここで、患者は高い(≧30)BMIを有し、且つ/又は、患者は肥満外科手術患者である。【選択図】図1

Description

本発明は、術後悪心及び/又は嘔吐(PONV)の療法に関する。特に、高BMI、即ちBMIが約30以上の患者におけるPONVの療法に関する。本発明はまた、肥満外科手術を受けている患者におけるPONVの療法に関する。
PONVは、全外科手術患者の略30%及び高リスク患者の70%に生じる状態である。PONVの危険因子には、手術の種類、性別、喫煙歴、PONV又は乗り物酔いの既往歴、手術の長さ、揮発性麻酔薬の使用、及びオピオイド鎮痛薬の使用が含まれる。一般に、女性は、男性よりもPONVを起こす傾向があり、非喫煙者及び以前にPONV又は乗り物酔いの経験がある人も同様である。
PONVは、患者及び医療提供者にとって重要な問題となる。患者が最も恐れる合併症として、術後痛より上に評価される場合も多く、そのため不安及び患者の苦痛を与える大きな要因となる。PONVは、病院からの患者の退院を遅らせる場合、又は入院処置後の再入院をもたらす場合があり、外来患者の入院を要する場合もある。これは経済的、社会的に大きな影響を与える。院内での耐性菌感染率が高まると共に、臨床転帰に影響を与える恐れもある。
多数の機序がPONVに関係しているとされており、最も顕著なものは、腸壁からのセロトニンの放出及び脳内の化学受容器引金帯の活性化である。そのため、幾つかの異なる受容体がPONVに関与していると思われ、これらは薬物療法のための効果的な標的を意味する。最も重要なものには、セロトニン作動性5HT3受容体とドパミン作動性D2受容体及び恐らくはD3受容体とがある。
中度及び高度リスク患者における予防的制吐剤の日常的使用にも拘わらず、PONVは、5HT3拮抗薬及びコルチコステロイドの現在の標準治療を受けている患者でも、未だに約30乃至40%の症例で起きており、効果的且つ安全な追加薬剤、特に、作用機序の異なるものに対する必要性は依然として高い。
アミスルプリドの制吐剤としての使用は、2010年3月11日出願の英国特許明細書GB1004020.2からの優先権を主張する2011年9月15日公開のWO2011/110854に記載されており、これらは共に出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とする。
多施設二重盲検無作為化用量範囲探索第II相試験(出願人が実施)では、PONV(予防)のリスクが中度乃至高度である成人外科患者に対し、アミスルプリドを1mg、5mg、及び20mgの用量で静脈内に投与し、第4の群にはプラセボを与えた。PONVの発生率は全てのアミスルプリド群で低く、1mg(48%、p<0.05)及び5mg(40%、p<0.01)の場合に、プラセボ(69%)と比較して有意に低かった。これは、PONVの発生率を評価する際に、5mgが、U字型の用量反応曲線の底部又はその近くに位置することを示唆している。
出願人が実施した、PONV(予防)のリスクが中度乃至高度である626人の評価可能な成人外科患者を含む、2件の多施設二重盲検無作為化プラセボ対照第III相臨床試験では、5mgのアミスルプリド投与によりPONV発生率を48%に低減できた一方、プラセボでは59%となった(p<0.01)。
出願人が実施した、PONV(予防)のリスクが高度である1147人の評価可能な成人外科患者を含む多施設二重盲検無作為化第III相試験では、アミスルプリド5mgと標準制吐剤との併用により、PONV発生率を42%に低減できた一方、プラセボと標準制吐剤との併用では53%となった(p<0.001)。
出願人が実施した別の臨床試験では、事前予防を受けなかった患者において、PONVの治療について5mgと10mgの用量のアミスルプリドをプラセボと比較した。用量5mgと10mgとの間に臨床効果の差はなく、両方の用量が、U字型の用量反応曲線の平坦域にあることを示唆している。両方の用量は、PONVの治療においてプラセボよりも有意に良好となった。
術後悪心及び/又は嘔吐は、特定の患者群において、特に問題となる。とりわけ、高(≧30)BMIの患者、即ち肥満であると考えられ得る患者である。更に、術後悪心及び/又は嘔吐は、最大65%の肥満外科手術後の患者に起こり得る。
そのため、これらの患者群の術後ケアのための新規の療法の開発が、依然として必要とされている。
本明細書において、明らかに以前に公開された文献の列挙又は考察は、その文献が、技術水準の一部又は技術常識であるという承認と必ずしも解釈されるべきではない。
本発明は、出願人が実施した、高リスク患者におけるPONVの予防としてのアミスルプリドの第III相研究の結果に基づく。第III相研究の結果は、PONVの予防又は救援治療としてのアミスルプリドの、2件の無作為化二重盲検プラセボ対照多施設第III相試験からのデータを含む。
データの事後分析は、患者の3つのサブセット:高BMIの患者(n=149);PONVの予防としてアミスルプリドを投与されており、肥満外科手術を受けている患者(n=33);及び既存のPONVの救援治療としてアミスルプリドを投与されており、肥満外科手術を受けている患者(n=20)において、PONVの管理のために、アミスルプリドが安全で有効であることを示した。
予想通り、アミスルプリドはPONVの療法において有効であることが分かったが、データを詳細に分析すると、驚くべきことに、高(≧30)BMIの患者におけるPONVの発生率の相対リスク減少(RRR)は、予想よりもはるかに高かった(例えば、PONVの全体リスクのRRRと比較した場合)。このため、アミスルプリドは、高BMIの患者におけるPONVの予防に特に有効である。
更に、驚くべきことに、肥満外科手術患者の間では、プラセボと比較して、アミスルプリドによる予防又はアミスルプリドの救援治療を受けた患者において、より高い完全寛解率(24時間後)が得られた。従って、アミスルプリドは、肥満外科手術患者におけるPONVの予防及び治療に特に有効である。
肥満外科手術が体重減少手術又は代謝手術であることを考慮すると、多くの肥満外科手術患者(全てではないが)は、高いBMIを有する。
そこで、本発明の第1の態様によれば、患者の術後悪心及び/又は嘔吐の療法に使用するアミスルプリドが提供され、患者は、
a)約30以上(即ち、≧約30)のBMIを有し、且つ/又は
b)肥満外科手術患者である。
代替的な本発明の第1の態様では、患者の術後悪心及び/又は嘔吐を治療又は予防する方法が提供され、患者は、
a)約30以上(即ち、≧約30)のBMIを有し、且つ/又は
b)肥満外科手術患者であり、
前記方法は、有効量のアミスルプリドの化合物を患者に投与することを含む。
更なる代替的な本発明の第1の態様では、患者の術後悪心及び/又は嘔吐の治療用又は予防用の薬の製造のためのアミスルプリドの使用が提供され、患者は、
a)約30以上(即ち、≧約30)のBMIを有し、且つ/又は
b)肥満外科手術患者である。
以下の図面は、本発明の概念の様々な態様を説明するために提供されており、本明細書中で特に明記されていない限り、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
図1は、高(≧35)BMIの患者におけるアミスルプリド(5mg)による予防の、副次的評価項目を示す。 図2は、高(≧35)BMIの患者におけるアミスルプリド(5mg)による予防の、副次的評価項目を示す。 図3は、プラセボを投与された患者と比較して、アミスルプリド(予防のために(5mg)及び救援治療のためにアミスルプリド(10mg))を投与された肥満外科手術患者における完全寛解のデータ(0乃至24時間)を示す。
アミスルプリドは、単一のキラル中心を有し、2つのエナンチオマー、即ち、(S-)アミスルプリド及び(R+)アミスルプリドが存在する。ラセミ体、又は光学活性形態を使用することが好ましい場合がある。好都合には、(R+)エナンチオマーを実質的に含まない(S-)アミスルプリドが、使用され得る。特に、光学活性形態は、(R+)アミスルプリドを実質的に含まない(S-)アミスルプリドである。ほぼ全ての治療活性が(S-)エナンチオマーに見られることが報告されており、そのため、このエナンチオマーの使用は、ラセミ体と比較して、用量を50%(例えば、50%、60%、70%、80%、若しくは90%、又は50%乃至60%、60%乃至70%、70%乃至80%、若しくは80乃至90%)低減することが可能となり得ることを意味する。
アミスルプリドのラセミ混合物とは、アミスルプリドが(S-)アミスルプリド及び(R+)エナンチオマーの両方を含むことを意味する。例えば、ラセミ混合物は、40%乃至60%の(S-)アミスルプリドと60%乃至40%の(R+)エナンチオマーとを含み得る。ラセミ混合物又はラセミ体は、約50%の(S-)アミスルプリドと約50%の(R+)エナンチオマーとを含み得る。
(R+)エナンチオマーを実質的に含まない(S-)アミスルプリドは、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満の(R+)エナンチオマーを含む。例えば、(R+)エナンチオマーを実質的に含まない(S-)アミスルプリドは、2%未満又は1%未満の(R+)エナンチオマーを含む。
本明細書に記載されるように、アミスルプリドは、30以上(即ち、≧約30)のBMIを有する患者における術後悪心及び/又は嘔吐の療法に有用である。
肥満度指数(BMI)は、対象の体重が健康であるかどうかを判断する為に用いられる。BMIの計算は、対象の体重を対象の身長の2乗で割るように定義されている。成人では、理想のBMIは18.5乃至24.9の範囲であると考えられている。BMIが25乃至29.9の成人は、太りすぎと考えられ得る。30超のBMIは、「高BMI」とみなされる場合があり、対象が肥満である可能性の指標となる。従って、本明細書に記載されるように、アミスルプリドは、肥満の患者における術後悪心及び/又は嘔吐の療法に有用であり得る。
特定の実施形態では、アミスルプリドは、35以上(即ち、≧約35)のBMIを有する患者における術後悪心及び/又は嘔吐の療法に有用である。
本明細書での使用において、「療法」は治療又は予防を意味する。好ましくは、本発明において使用されるアミスルプリドは、術後悪心及び/又は嘔吐の予防のために使用される。
本明細書での使用において、術後悪心及び/又は嘔吐(PONV)という用語は、当該技術分野における従来の意味を有する。この分野では、外科手技に続いて生じる1つ又は複数の嘔吐エピソード(嘔吐及び/又は吐気)の発生、又は嘔吐の欲求(悪心)の発生を意味することが十分に理解されている。吐気は、嘔吐と同じ生理機構を含むが、閉じた声門に対して生じる。PONVは、外科手技終了後48時間以内に発生する悪心及び/又は嘔吐として定義してもよい。また、外科手技終了後24時間以内に発生する悪心及び/又は嘔吐として定義してもよい。
本明細書での使用において、「嘔吐のエピソード」とは、嘔吐の発生及び/又は吐気の発生を意味する。
本明細書での使用において、「悪心のエピソード」とは、悪心の発生を意味する。これは、患者が嘔吐の欲求を報告すること、又は制吐剤を要求することで示される場合がある。
一部の実施形態では、本発明によるアミスルプリドは、術後嘔吐が患者にとって潜在的に危険な場合、外科手技を受けている患者に有用である。例えば、これらの患者において嘔吐が発生すると、縫合糸が破断して患者が出血する、又は重篤な感染症にかかる等の、患者にとって致死的な可能性のある危険な医学的合併症が引き起こされ得る。
術後嘔吐により引き起こされる、これらの危険な医学的合併症の更なる例は、肺への誤嚥、縫合糸の披裂、食道破裂、皮下気腫、両側気胸静脈高血圧、頭蓋内の圧力の増加、又は外科的フラップ、血管吻合、及び動脈瘤クリップの下にあるような血腫が挙げられる。
当業者は、術後嘔吐が問題となる(又は上記の合併症を引き起こす)外科手技について認識している。これらの外科手術の例としては、口腔手術(針金を用いた顎手術又は歯科手術等)、耳鼻咽喉科(ENT)の手術(扁桃摘出術若しくは甲状腺切除術等)、頭部及び顔面の手術(開頭術、脳出血手術、虚血性脳梗塞の手術、鼻形成術、顔面若しくは目の美容外科手術等)、消化(GI)管の手術(傍食道の手術、逆流防止手術、肥満外科手術、胃切除手術、胃バイパス術、若しくは胃スリーブ手術)、肺手術(外科的肺生検、肺葉切除術、若しくは楔状切除術)、腹部手術(ヘルニア修復術、腹式子宮全摘術、腹壁形成術、開腹術、大きな腹部切開を伴う何れかの手術、若しくは開腹腹部大動脈瘤修復術)、又は腸手術が挙げられる。
特定の実施形態では、高BMIの患者が肥満外科手術を受けている、又は受けた場合、本発明によるアミスルプリドが有用であり得る。
本明細書での使用において、患者とは、哺乳動物(例えば、ヒト)患者を含む、療法を受ける生きた対象を指す。このため、特定の実施形態では、療法は哺乳動物(例えば、ヒト)におけるものである。
本明細書での使用において、「外科手技」は、当該技術分野における従来の意味を有する。好ましくは、全身麻酔、例えば全身吸入麻酔の投与を含む。処置は、全身麻酔下の待機的手術(開放術又は腹腔鏡下術)にし得る。麻酔導入から抜管まで、少なくとも1時間持続する予定とすることが好ましい。抜管前に、創傷は、閉じる。
本明細書での使用において、「外科手技を受けている」とは外科手技の約2時間前から、外科手技後の約24時間(療法が予防ではなくなり、治療として分類される段階)のPONVのエピソードまでの間の時間を意味する。
好ましい実施形態では、アミスルプリドは外科手技の4時間前までに、即ち外科手技を受ける患者に、投与される。好ましくは、アミスルプリドは、創傷の閉鎖/手術終了までに投与され、より好ましくは、麻酔時に(より好ましくは、麻酔の導入時に)投与される。
本明細書での使用において、「外科手技の終了」という用語は、当該技術分野における従来の意味を有し、当業者に理解される。通常、手術終了時の創傷閉鎖に一致する。
上に示したように、肥満外科手術は、術後悪心及び/又は嘔吐が特に問題となる外科手技である。アミスルプリドは、肥満外科手術患者において、術後悪心及び/又は嘔吐の療法に、特に有効であることが分かった。本明細書での「肥満外科手術患者」という用語は、肥満外科手術を受けている、受けた、又は受ける患者を意味する。当業者は、「外科手技」、「外科手技を受けている」、及び「外科手技の終了」が、等しく肥満外科手術に適用されることを認識する。
肥満外科手術(即ち、体重減少手術又は代謝手術)は、体重を減少させる必要のある患者に行われる種々の外科手技を含むため、多くの場合(常にではないが)、患者は高いBMIを有する。肥満外科手術の例としては、胃バンド手術、胃バイパス手術、スリーブ胃切除術、十二指腸スイッチによる胆膵管迂回術、及びスリーブ胃切除による単一吻合十二指腸回腸バイパス術が挙げられる。一般に、排他的にではないが、肥満外科手術は、肥満又は病的肥満であると考えられ得る患者、特に高BMI(即ち≧30)、とりわけBMI≧35、更にとりわけBMI≧40の患者に対する治療として使用され得る。或いは、肥満外科手術を受けている患者は、肥満又は病的肥満ではないと考えられる、即ち<30のBMIを有する場合もある。
アミスルプリドは、高BMIを有する患者における術後悪心及び/又は嘔吐の予防に使用可能である。即ち、アミスルプリドは上記のように、しかし術後悪心及び/又は嘔吐が発生する前に投与される。このように、アミスルプリドは、PONVを予防する、即ちPONVの予防の意図/目的で投与される。このため、特定の実施形態では、療法は予防である。好ましくは、アミスルプリドは、単回予防用量で投与される。
アミスルプリドはまた、肥満外科手術を受ける予定の、又は受けている患者等、肥満外科手術患者における術後悪心及び/又は嘔吐の予防に使用可能である。即ち、アミスルプリドは上記のように、しかし術後悪心及び/又は嘔吐が発生する前に投与される。このように、アミスルプリドは、PONVを予防する、即ちPONVの予防の意図/目的で投与される。このため、特定の実施形態では、療法は予防である。好ましくは、アミスルプリドは、単回予防用量で投与される。
或いは、本発明によるアミスルプリドは、PONVの救援治療として使用可能である(即ち、PONVの事前予防を受けたが、事前予防にも拘わらず、その後PONVに罹患した患者において)。このため、特定の実施形態では、患者は、既に術後悪心及び/又は嘔吐の予防薬を投与されている。
上に示したように、本発明の文脈では、「予防薬」は、PONVを予防する意図/目的で投与される薬物である。本発明での使用に適した多数の予防薬があり、これらは当業者に周知である。特定の予防薬は、年齢及び体重等の多数の異なる要因、又は例えば、人が他の特定の薬物を投与されているかどうかに基づいて、選択されている場合がある。好ましくは、予防薬は、アミスルプリドではない制吐剤である。より好ましくは、予防薬は、ドパミン-2(D2)拮抗薬ではない。
一部の実施形態において、予防薬は、5HT3拮抗薬、コルチコステロイド、抗ヒスタミン剤(H1)、抗コリン作用薬、H2拮抗薬、又はNK1拮抗薬から選択される制吐剤である。
5HT3拮抗薬は、オンダンセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、トロピセトロン、又はドラセトロンにし得る。好ましくは、オンダンセトロン、グラニセトロン、又はパロノセトロンである。より好ましくは、オンダンセトロンである。コルチコステロイドは、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、又はプレドニゾロンにし得る。好ましくは、デキサメタゾンである。抗ヒスタミン剤(H1)は、ジメンヒドリナート、ヒドロキジン、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、シクリジン、又はメクリジンにし得る。抗コリン作用薬は、スコポラミン/ヒヨスチンにし得る。H2拮抗薬は、ファモチジンにし得る。NK1拮抗薬は、アプレピタントにし得る。D2拮抗薬は、予防的制吐剤として使用する場合、ハロペリドール、ドロペリドール、又はドンペリドンにし得る。
アミスルプリドは、最初の嘔吐エピソード及び/又は最初の悪心エピソード(例えば、悪心を治療する制吐剤の最初の要求、又は嘔吐の欲求の報告)に続いて、実際に可能な限り速やかに投与するべきである。好ましくは、アミスルプリドは、最初の嘔吐エピソードの1時間以内及び/又は最初の悪心エピソードの1時間以内に投与される。より好ましくは、最初の嘔吐エピソードの30分以内及び/又は最初の悪心エピソードの30分以内に投与される。更により好ましくは、最初の嘔吐エピソードの15分以内及び/又は最初の悪心エピソードの15分以内に投与される。
高(≧30)BMI患者及び/又は肥満外科手術患者におけるPONVの救援治療として使用された場合(即ち、患者が既にPONVの予防薬を投与されていた場合)、驚くべきことに、10mgの用量のアミスルプリドが特に有効であることが分かった。このため、特定の実施形態では、高(≧30)BMI患者及び/又は肥満外科手術患者が、術後悪心及び/又は嘔吐の予防薬を既に投与されていた場合、アミスルプリドの用量は7.5乃至15mgである。
好ましくは、高(≧30)BMI患者及び/又は肥満外科手術患者におけるPONVの救援治療において使用されるアミスルプリドの用量(即ち、有効量)は、8乃至15mgのアミスルプリド、より好ましくは8.5、9、又は9.5乃至15mgを含む。アミスルプリドの用量は、7.5乃至14.5、14、13.5、13、12.5、12、11.5、11又は10.5mgであってもよい。前述した範囲の制限の何れかを互いに組み合わせてもよい。好ましくは、用量は、8乃至12mg、より好ましくは9乃至12mg、最も好ましくは約10mgのアミスルプリドである。最も好ましくは、用量は10mgである。好ましくは、アミスルプリドは、ラセミ混合物の形態である。
本発明により使用するアミスルプリドは、添付の使用説明書と共に販売用にパッケージすることができる。使用説明書(薬剤ラベル)には、治療対象の患者が外科手技を受けているべきであること、及びPONVの事前予防を受け、成功しなかった患者群から選択されるべき(即ち、救援治療)であることを明記してもよい。また好ましくは、アミスルプリドの用量が10mgであることを明記してもよい。
或いは、使用説明書には、アミスルプリドがPONVの予防の意図/目的で(即ち予防薬として)投与されることを明記してもよい。この場合、使用説明書には、アミスルプリドの用量が5mgであることを明記してもよい。
使用説明書には、患者が約30以上のBMIを有すること、且つ/又は肥満外科手術患者であることを明記してもよい。
本発明において使用するアミスルプリドは、好ましくは静脈内(IV)製剤として処方される(そして静脈内投与用とされる)。アミスルプリドは、塩、水和物、又は溶媒和物の形態にし得る。塩としては、医薬的に許容可能な塩、例えば、無機又は有機酸由来の酸付加塩、例として、塩酸塩、臭化水素酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、及び安息香酸塩が挙げられる。
塩は、塩基と共に形成されてもよい。このような塩としては、無機又は有機塩基由来の塩、例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩と、マグネシウム塩及びカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩と、モルホリン塩、ピペリジン塩、ジメチルアミン塩、及びジエチルアミン塩等の有機アミン塩とが挙げられる。
本発明において使用するアミスルプリドの静脈内製剤は、無菌注射用水性若しくは非水性(例えば、油性)溶液又は懸濁液の形態にし得る。無菌注射用製剤は、無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液にし得る。使用し得る許容可能なビヒクル及び溶媒としては、水、リン酸緩衝液、リンゲル液、及び等張食塩水が挙げられる。更に、無菌の不揮発性油を溶媒又は懸濁媒体として使用し得る。この目的のため、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む、任意の無菌の不揮発性油を使用し得る。更に、オレイン酸等の脂肪酸を本発明の静脈内製剤の調製に使用し得る。懸濁液は、それらの適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して公知の技術に従って処方し得る。
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合した活性成分を含有する。このような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアカシアゴム、分散剤又は湿潤剤、例として天然ホスファチド、例えばレシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステル及びヘキシトールとの縮合物、例としてポリオキシエチレンと脂肪酸由来の部分エステル及び無水ヘキシトールとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート。水性懸濁液は、1つ以上の防腐剤、例えば、エチル又はn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエート、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、及びスクロース又はサッカリン等の1つ以上の甘味剤を含有してもよい。
注射用組成物は、一般的に水性であり、緩衝剤、例えばクエン酸緩衝剤を含む。他の成分は必要としない場合がある。このような組成物のpHは、例えば4乃至7、例えば約5にし得る。
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1つ以上の防腐剤と混合した活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は公知である。
本発明での使用に適したアミスルプリドの静脈内単位用量は、アミスルプリドを含有する単回注射であることが好ましい。好適な実施形態において、これは、活性薬剤のバイアルと注射器及び針との形態、又は事前充填された注射器/針の組み合わせの形態にし得る。
アミスルプリドの医薬組成物は、水中油型乳剤の形態にしてもよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油若しくはラッカセイ油、又は鉱油、例えば流動パラフィン、又はこれらの混合物にし得る。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアカシアゴム又はトラガカントゴム、天然ホスファチド、例えば大豆、レシチン、並びに脂肪酸由来のエステル又は部分エステル及び無水ヘキシトール、例えばソルビタンモノオレエート及び前記部分エステルのエチレンオキシドとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。
一部の実施形態において、アミスルプリドは、非IV注射製剤に含まれる。これは、固体又は液体製剤の形態にしてよく、経口投与用に製剤化してもよい。固形製剤は、錠剤若しくはカプセル、溶融錠剤の形態、又は分散性粉末若しくは顆粒(水への添加を要し得る)の形態にし得る。液体製剤は、水性若しくは油性懸濁液の形態又はシロップの形態とし、バイアル内にパッケージし得る。
アミスルプリド組成物は、薬物の直腸投与用の坐剤の形態にしてもよい。これらの組成物は、薬物を、常温では固体だが直腸温では液体となるため直腸内で融解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することにより調製することができる。このような材料には、カカオバター及びポリエチレングリコールが含まれる。
局所送達では、経皮及び経粘膜パッチ、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液、又は懸濁液を使用し得る。
舌下送達では、速溶性錠剤製剤、更には上述した多数のものを使用し得る。
経口投与では、アミスルプリドは、錠剤、カプセル、又は液体として投与され得る。アミスルプリドの経口単位用量は、1個以上の錠剤、又は1個以上のカプセルの形態であってよい。アミスルプリドの単位用量は、ブリスタパックにおいて提供し得る。
アミスルプリド製剤は、甘味剤及び防腐剤等、任意の数の医薬的に許容可能な賦形剤を含み得る。
本発明での使用に適したアミスルプリドの製剤は、WO2011/110854に記載されている。
好ましくは、アミスルプリドは、IV注入(プッシュ)により、好ましくは約20秒乃至1又は2分までの期間に亘り投与される。一部の実施形態では、例えば、患者が注入時に痛みを感じる場合、又はより高用量(例えば20mg)が投与される場合は、この期間は10分までであってもよい。好ましい実施形態において、アミスルプリドは、30以上、約1乃至2分、又は1若しくは2分に亘り投与される。アミスルプリドは、好ましくは単回用量で投与される。
一部の実施形態では、初回投薬後24時間以内に、アミスルプリドの更なる用量は投薬されない。一部の実施形態において、本発明による初回投薬後、更に少なくとも1回の投薬が、最初の投薬から約24時間以内、好ましくは約12時間以内に行われる。
本発明の組成物を利用した投与計画は、対象のタイプ、種、年齢、体重、性別、及び/若しくは健康状態、治療すべき状態の重症度、投与経路、対象の腎機能若しくは肝機能、並びに使用される特定の開示化合物を含む様々な要因に応じて選択され得る。通常の技術を有する医師、臨床医、又は獣医は、障害又は疾患を予防、若しくは治療し、又はその進行を阻止するために必要な各々の活性成分の有効量を、容易に決定し得る。
特定の実施形態では、アミスルプリドの用量(即ち、有効量)は、約1乃至約40mgのアミスルプリド、より好ましくは約1乃至約20mg若しくは約2.5乃至20mg、より好ましくは約5乃至約15mgを含む。最も好ましくは、アミスルプリドの用量は、10mg又は更に好ましくは、5mgである。アミスルプリドの有効量は、約2.5乃至約5mg、約2.5乃至約10mg、約2.5乃至約40mg、約5乃至約20mg、約5乃至約40mg、約1乃至約5mg、又は約1乃至約10mgのアミスルプリドも含み得る。
特定の実施形態では、アミスルプリドは1日1回用量で投与される。好ましくは、アミスルプリドは単回用量で投与される。
特定の実施形態では、使用するアミスルプリドは、実質的にラセミ体の形態である。或いは、使用するアミスルプリドは、(R+)エナンチオマーを実質的に含まない(S-)アミスルプリドの形態である。アミスルプリドがS-エナンチオマーとして投与される場合、用量は、相応に変更し得る(例えば、半分にし得る)。
付加的な有効性の利益を追加することが可能な他のクラスの薬物とアミスルプリドを組み合わせて投与することが、有利となり得る。好ましくは、他のクラスの薬物は、異なる制吐剤(即ち、アミスルプリド以外の制吐剤)である。より好ましくは、異なる制吐剤はD2拮抗薬ではない。これらには、限定では無いが、ステロイド、最も好ましくはデキサメタゾンと、限定では無いがオンダンセトロン、グラニセトロン、及びパロノセトロンを含む5HT3拮抗薬と、アプレピタント、ネツピタント、又はロラピタント等のNK1拮抗薬とが含まれる。好ましくは、他の制吐剤は、オンダンセトロン、グラニセトロン、又はデキサメタゾンである。他のクラスの薬物は、任意の適切な投与経路を介して(例えば、経口、静脈内、又は筋肉内等、その薬物に一般的な投与経路を介して)投与し得る。一部の例において、他のクラスの薬物は、外科手術の終了から6時間以内に投与し得る。他の例において、他のクラスの薬物は、外科手術の終了から6時間後に投与し得る。
上記の様々な制吐剤の一般的な用量は、当業者に公知である。例えば、オンダンセトロンは、一般に約2乃至約20mg、又は約2乃至約15mg、又は約10mg、又は約4mgの用量となる。グラニセトロンでは、用量は、一般に約1乃至約3mg(例えば、1mg)である。デキサメタゾンでは、一般的な用量は約4乃至約20mg(例えば、約4mg)である。
本発明の使用又は方法が、2種以上の薬物の投与を提供する場合、薬物は同時に、連続して、又は個別に投与することができる。薬物を一緒に梱包する必要はない(但し、これは本発明の一実施形態である)。薬物を同時に投与する必要もない。本明細書での使用において、「個別」投与とは、薬物が同一の全体的な投与計画(多くの日数を含む場合がある)の一部として投与されることを意味するが、好ましくは同日に投与されることを意味する。本明細書での使用において、「同時に」とは、薬物が一緒に摂取されること、又は単一の組成物として製剤化されることを意味する。本明細書中で使用される場合、「連続して」とは、薬物がほぼ同時に、好ましくは互いに約1時間以内に投与されることを意味する。
患者は、少なくとも3つの術後嘔吐の危険因子を有することが好ましく、危険因子は、術後悪心及び嘔吐、及び/又は乗り物酔いの既往歴、習慣的な禁煙の状態、女性であること、並びに術後オピオイド鎮痛薬の使用予定から選択される。より好ましくは、患者は4つの危険因子全てを有する。これらの危険因子は、術後嘔吐の療法においてアミスルプリドが特に有用な患者群を定義し得る。
本発明の特定の実施形態では、5mgの用量のアミスルプリドが患者における術後嘔吐の予防に有用であり、好ましくは、患者は術後嘔吐が潜在的に患者にとって危険である外科手技を受けており、患者は少なくとも3つの術後嘔吐の危険因子を有する。ここで危険因子は、術後悪心及び嘔吐、及び/若しくは乗り物酔いの既往歴、習慣的な禁煙の状態、女性であること、又は術後オピオイド鎮痛薬の使用予定から選択される。
本明細書での使用において、「約」又は「略」という用語は、数値(例えば、5、10%、1/3)と共に使用される場合、その数より小さい又は大きい可能性のある数値の範囲を示す。例えば、「約5」とは、5よりも10%、5%、2%、又は1%小さい又は大きい数値の範囲、例えば、4.5乃至5.5、又は4.75乃至5.25、又は4.9乃至5.1、又は4.95乃至5.05の範囲を示す。一部の例において、「約5」は、5より2%又は1%小さい又は大きい数値の範囲、例えば、4.9乃至5.1、又は4.95乃至5.05の範囲を示す。それぞれの場合において、このような用語が「±10%」等の表記に(又は関連値に基づいて計算された特定量の差異を表示することにより)、置き換えられ得ることが企図される。また、それぞれの場合において、このような用語が削除され得ることも企図される。
なお、一実施形態に関して記載された本発明の態様を、それに関連して具体的に記載されてはいなくても、異なる実施形態に組み込んでもよい。即ち、全ての実施形態、及び/又は何れかの実施形態の特徴を、任意の方法、及び/又は組合せにおいて、組み合わせ可能である。出願人は、任意の出願当初の従属先の特許請求の範囲を補正し、且つ/又は、当初は特許請求されていない任意の他の1つ又は複数の他の特許請求の範囲の任意の特徴を組み込むことのできる権利を含めて、任意の出願当初の特許請求の範囲を変更し、且つ/又は、それに相応した任意の新しい特許請求の範囲を出願する権利を有する。本発明のこれら及び他の目的及び/又は態様を、以下に記載する明細書の中で詳細に説明する。
以下の研究により、本発明を説明する。
研究1
プロトコル
高BMI(≧30)を有する患者において、術後悪心嘔吐に対する治療としてのIV注射用アミスルプリドの無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。この試験の主目的は、高BMIの患者において、PONVの治療又は予防として、5mg及び10mgのアミスルプリドの有効性をプラセボと比較することである。
この試験は、麻酔の導入から抜管までの全身吸入麻酔の予想持続時間が、少なくとも1時間であり、待機外来(日帰り入院)又は入院手術を受けている、30以上のBMIを有する成人患者(≧18歳)において実施した。
5mg(予防)又は10mg(救援治療)の用量のアミスルプリド又は対応するプラセボを、約2分間に亘り低速度のIV投与により1回投与した。
主要有効性変数は、術後24時間以内でのPONVの存在及び非存在であり、ここでPONVは1つ以上の嘔吐エピソード(嘔吐及び/若しくは吐気)の発生、又は創傷閉鎖後24時間以内に、1回以上の救援制吐薬の投与(予防研究)若しくは投薬(治療研究)を受けることと定義した。この定義によるPONVの非存在は「完全寛解」(CR)と呼んだ。嘔吐の発生(嘔吐及び/又は吐気)を含む多数の副次変数を、評価した。
主要有効性解析
片側有意水準2.5%でのイエーツの連続性補正を行うピアソンのχ2検定を用いた、アミスルプリド群とプラセボ群の間の、手術後0乃至2時間及び0乃至24時間におけるCRの発生率の比較。主要有効性解析の対象集団は、修正された治療企図(mITT)の対象集団であった。
副次有効性解析
発生率(例えば、嘔吐)によって評価される副次有効性変数を、ピアソンのχ2検定を用いて、群間で比較した。
結果(抜粋)
本発明が基づくデータの要約は、以下の通りである。
Figure 2023538216000002
Figure 2023538216000003
Figure 2023538216000004
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Figure 2023538216000010
アミスルプリド(5mg)による予防は、研究対象集団全体において24時間で、PONVの予防に、特にBMI≧35のサブグループにおいて、プラセボより有効であることが分かった。図1及び2に示すように、アミスルプリドによる予防は、嘔吐(プラセボ患者群で42/129人、及びアミスルプリド患者群で71/149人)を除く全ての副次的評価項目において、プラセボより統計的に有意に優れていた。
驚くべきことに、結果は、BMI≧35の患者において、プラセボと比較して、アミスルプリドで治療した患者は、15.1%の絶対リスク減少を示している。BMI<35の患者では、アミスルプリドとプラセボの治療群の間で、10.5%の絶対リスク減少があった。同じ傾向が、0乃至2時間の間に観察された。
肥満外科手術患者の中で、予防のためのアミスルプリド(18.2%対7.3%、P=0.16)又は救援治療のためのアミスルプリド (25.0%対9.1%、P=0.17)を投与された患者の中で、プラセボを投与された患者と比較して、24時間で完全寛解率がより高かった。図3に示されるように、予防と救援治療を組み合わせた肥満患者のサブグループ(11/53;20.8%)の24時間での完全寛解率は、プラセボ患者のサブグループ(5/63;7.9%)と比較して、優れていた。
何らかの治療下で発現した有害事象(TEAE)又は重篤な有害事象(SAE)の発生率において、アミスルプリドとプラセボ治療群の間で、重要な相違は観察されず、より大きな研究対象集団で報告されたものと変わらなかった。
これらの結果は、アミスルプリドによる予防が、高BMIを有する患者におけるPONVの予防において、プラセボよりも有効であったことを示す。同様に、プラセボと比較して、アミスルプリドの救援治療を受けた患者の間でのCR率は、より高かった。
更に、アミスルプリドは、他の種類の手術と同様に、肥満外科手術患者においても、PONVの予防及び救援治療のために有効であった。
結論
アミスルプリドのIV単回投与は、高BMI患者におけるPONVの予防又は治療のために投与された場合、安全且つ有効であることが実証された。肥満外科手術集団においても、同じ結論が得られた。
[図1、図2]
Percentage of Patients: 患者の割合
Placebo + Another antiemetic: プラセボ+他の制吐剤
Barhemsys 5 mg + Another antiemetic: Barhemsys(登録商標:アミスルプリド)+他の制吐剤
[図1]
Any Nausea: 何らかの悪心あり
Significant Nausea: 顕著な悪心
Rescue Medication: 救援薬
Emesis: 嘔吐
[図2]
Complete Response (0-2 Hours): 完全寛解(0乃至2時間)
No emesis, use of rescue medication or nausea: 嘔吐なし、救援薬の使用又は悪心
No emesis, use of rescue medication or significant nausea: 嘔吐なし、救援薬の使用又は顕著な悪心
[図3]
Bariatric: 肥満
Non-Bariatric: 非肥満
Total: 合計
Placebo: プラセボ
Amisulpride: アミスルプリド

Claims (31)

  1. 患者の術後悪心及び/又は嘔吐の療法に使用するアミスルプリドであって、前記患者は、
    a)約30以上のBMIを有し、且つ/又は
    b)肥満外科手術患者である、アミスルプリド。
  2. 前記患者は、約30以上のBMIを有する、請求項1記載の用途のアミスルプリド。
  3. 前記患者は、肥満外科手術患者である、請求項1又は2記載の用途のアミスルプリド。
  4. 前記患者は、約35以上のBMIを有する、先行請求項の何れかに記載の用途のアミスルプリド。
  5. 前記患者は、肥満外科手術を受ける予定であるか、又は肥満外科手術を受けており、好ましくは、前記患者は肥満外科手術を受けている、先行請求項の何れかに記載の用途のアミスルプリド。
  6. 前記療法は、予防である、請求項1乃至5の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  7. 前記患者は、肥満外科手術を受けた、請求項1乃至4の何れかに記載の用途のアミスルプリド。
  8. 前記療法は治療であり、好ましくは救援治療である、請求項1乃至4又は7の何れかに記載の用途のアミスルプリド。
  9. 前記患者は、術後悪心及び/又は嘔吐の予防薬を既に投与されている、請求項1乃至8の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  10. 前記予防薬は、アミスルプリドではない、請求項9記載の用途のアミスルプリド。
  11. 前記予防薬は、ドパミン-2(D2)拮抗薬ではない、請求項9又は請求項10記載の用途のアミスルプリド。
  12. 前記予防薬は、5HT3拮抗薬、コルチコステロイド、抗ヒスタミン剤(H1)、抗コリン作用薬、H2拮抗薬、又はNK1拮抗薬から選択される制吐剤である、請求項9乃至11の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  13. 前記アミスルプリドは、他の制吐剤と組み合わせて、個別に、連続して、又は同時に投与される、先行請求項の何れかに記載の用途のアミスルプリド。
  14. 前記他の制吐剤は、5HT3拮抗薬、NK1拮抗薬、又はステロイドである、請求項13記載の用途のアミスルプリド。
  15. 前記他の制吐剤は、デキサメタゾン、オンダンセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、アプレピタント、ネツピタント、又はロラピタントである、請求項13又は請求項14記載の用途のアミスルプリド。
  16. 前記アミスルプリドは、実質的にラセミ体の形態である、請求項1乃至15の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  17. 前記アミスルプリドは、実質的に(R+)エナンチオマーを含まない、(S-)アミスルプリドの形態である、請求項1乃至16の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  18. 前記アミスルプリドは、静脈内経路を介して投与される、請求項1乃至17の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  19. 前記アミスルプリドは、約1~約2分に亘り、静脈注射により投与される、請求項1乃至18の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  20. 前記アミスルプリドは、単回用量により投与される、請求項1乃至19の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  21. 前記アミスルプリドは、麻酔導入時に投与される、請求項1乃至20の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  22. 前記患者はヒトである、請求項1乃至21の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  23. アミスルプリドの前記用量は、約1乃至約40mgである、請求項1乃至22の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  24. アミスルプリドの前記用量は、約1乃至約20mgである、請求項1乃至23の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  25. アミスルプリドの前記用量は、5乃至15mgである、請求項1乃至24の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  26. アミスルプリドの前記用量は、約7.5乃至15mg、好ましくは約10mgである、請求項1乃至25の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  27. アミスルプリドの前記用量は、約5mgである、請求項1乃至25の何れか1項に記載の用途のアミスルプリド。
  28. 患者の術後悪心及び/又は嘔吐の治療方法であって、前記患者は、
    a)約30以上(即ち、≧約30)のBMIを有し、且つ/又は
    b)肥満外科手術患者であり、
    有効量のアミスルプリドの化合物を前記患者に投与することを含む、方法。
  29. 何れかの請求項2乃至27の付加的な特徴を有する、請求項28記載の方法。
  30. 患者の術後悪心及び/又は嘔吐の治療薬の製造のためのアミスルプリドの使用であって、前記患者は、
    a)約30以上(即ち、≧約30)のBMIを有し、且つ/又は
    b)肥満外科手術患者である、使用。
  31. 何れかの請求項2乃至27の付加的な特徴を有する、請求項30記載の使用。
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