JP2023537976A - 無症候性脳梗塞及び認知低下の評価のためのマルチマーカーパネル - Google Patents

無症候性脳梗塞及び認知低下の評価のためのマルチマーカーパネル Download PDF

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Abstract

本発明は、対象が、対象において1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価するための方法に関し、当該方法は、a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定することと、b)工程a)において決定された量を基準と比較することと、c)対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価することとを含む。本発明はさらに、無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するための方法、並びに対象における無症候性の大小の非皮質梗塞及び皮質梗塞の程度を評価及びモニタリングするための方法に関する。本発明によってさらに包含されるのは、対応する使用である。

Description

本発明は、対象が、1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価するための方法に関し、当該方法は、a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定することと、b)工程c)において決定された量を基準と比較することと、対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価することとを含む。
無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するための方法、並びに対象における無症候性脳梗塞及び/又は認知低下についての臨床リスクスコアの予測精度を改善するための方法も包含される。
バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量をCHA-VAScスコアと組み合わせることにより、無症候性脳梗塞及び/又は認知低下についての臨床リスクスコアの予測精度が向上する。さらに、本発明は、対象における無症候性の大きな非皮質梗塞及び皮質梗塞の程度を評価するための方法に関する。
背景
脳卒中は、高所得国における失われた障害調整生存年数(disability-adjusted-life years)の原因として、また世界中の死因として、虚血性心疾患に次いで、2番目となっている。脳卒中のリスクを低減するためには、抗凝固療法が最も適切な治療法と考えられる。
心房細動(AF)は、脳卒中の重要なリスク因子である(Hart et al.,Ann Intern Med 2007;146(12):857-67;Go AS et al.JAMA 2001;285(18):2370-5)。心房細動は、不規則な心臓の鼓動を特徴とし、短時間の異常な鼓動から始まることが多く、時間の経過と共に増加し、永続的な症状となる場合がある。米国では推定270~610万人が心房細動を発症し、全世界で約3300万人が心房細動を発症している(Chugh S.S.et al.,Circulation 2014;129:837-47)。心房細動は脳卒中及び全身性塞栓症の重要なリスクファクターであることから、心房細動の早期診断及び脳卒中のリスクの早期診断が非常に望ましい(Hart et al.,Ann Intern Med 2007,146(12):857-67;Go AS et al JAMA 2001;285(18):2370-5)。
心房細動等の心不整脈の診断には、通常、不整脈の原因の特定、及び不整脈の分類が含まれる。米国心臓病学会(ACC)、米国心臓協会(AHA)、及び欧州心臓病学会(ESC)による心房細動の分類のガイドラインは、主に単純性及び臨床上の関連性に基づいている。第1のカテゴリーは「最初に検出されたAF」と呼ばれる。このカテゴリーの人々は、最初にAFと診断され、以前に検出されなかったエピソードがあったかどうかは不明である。最初に検出されたエピソードが1週間以内に自然に停止したが、その後に別のエピソードが続く場合、カテゴリーは「発作性AF」に変わる。このカテゴリーの患者は最大7日間続くエピソードを持つが、発作性AFのほとんどの場合、エピソードは24時間以内に止まる。エピソードが1週間以上続く場合は、「持続性AF」に分類される。そのようなエピソードが電気的又は薬理学的な心臓除細動によって停止できず、1年以上続く場合、分類は「永続性AF」に変更される。
近年の根拠は、AF患者が認知機能障害/低下及び認知症のリスク上昇に直面することも示唆している(Conen et al.,J Am Coll Cardiol 2019;73:989-99)。AFと認知症との関連の一部は、AF患者の中で脳卒中リスクがより高いことによって説明される。しかしながら、認知症のリスクは、AFを有するが脳卒中の臨床歴のない患者においても増加した。臨床的に認識されていない脳梗塞(すなわち、無症候性脳梗塞)又は他の脳病変、例えば白質病変が、この関連を説明し得る。
無症候性の大きな皮質梗塞及び非皮質梗塞(LNCCI)は、明白な脳卒中の認知機能障害と同様の認知機能障害に関連し、認知能力のおよそ10歳の年齢差に対応する。したがって、無症候性脳梗塞の予防は、公衆衛生上大きな関心事であると考えられる。適切な処置手段を開始できるように、これらの病変の適時の特定が必要である。しかしながら、全てのAF患者における脳磁気共鳴画像法(MRI)は、実用的かつ経済的な観点から実行不可能である。したがって、予測ツールは、無症候性脳病変のリスクが高いAF患者を特定するために必要である。
磁気共鳴画像法での無症候性の大きな皮質梗塞及び非皮質梗塞(LNCCI)は、認知障害及び鬱病等のいくつかの有害な転帰に関連している。例えば、白質変化は、速度及び微細運動協調における運動機能の低下、並びに血管性認知症、レビー小体型認知症、及び精神障害を含む多くの疾患に関連することが報告されている。
脳卒中、無症候性脳梗塞及び/又は認知低下の評価を可能にするバイオマーカーが非常に必要とされている。
これまでのところ、オステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の変化したレベルは、対象における、脳卒中の評価、無症候性梗塞の評価、又は無症候性の大小の非皮質梗塞若しくは皮質梗塞(SNCI及びLNCCI)の程度の評価については記載されていない。
有利なことに、本発明の基礎となる研究では、オステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3が、脳卒中及び無症候性梗塞の評価、並びに無症候性梗塞及び/又は認知低下の予測のためのバイオマーカーであることが見出された。オステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の決定はさらに、無症候性脳梗塞についての臨床リスクスコアの予測精度を向上させることを可能にする。
さらに、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3は、患者における無症候性の大小の非皮質梗塞又は皮質梗塞(SNCI及びLNCCI)の存在と正に相関することが示された。
SNCI及びLNCCIの程度は臨床的に無症候性の脳卒中によって引き起こされ得るので(Conen et al.2019;Wang Y,Liu G,Hong D,Chen F,Ji X,Cao G.White matter injury in ischemic stroke.Prog Neurobiol.2016;141:45-60)、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3は、SNCI、LNCCIの程度の評価のため、及び対象が過去に1回以上の無症候性の脳卒中、すなわち臨床的に無症候性の脳卒中を経験したかどうかの評価のために使用することができる。
発明の概要
第1の態様では、本発明は、対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
b)工程a)において決定された量を、基準と比較すること、及び
c)対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価すること
を含む、方法に関する。
第2の態様では、本発明は、対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
b)工程a)において決定された量を、基準と比較すること、及び
c)対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測すること
を含む、方法に関する。
第3の態様では、本発明は、対象の無症候性脳梗塞及び/又は認知低下についての臨床リスクスコアの予測精度を改善するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定する工程、及び
b)バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、無症候性脳梗塞についての臨床リスクスコアと組み合わせる工程
を含み、それにより、無症候性脳梗塞の臨床リスクスコアの予測精度が改善される、方法に関する。
第4の態様では、本発明は、対象における無症候性の大小の非皮質梗塞及び皮質梗塞の程度を評価する方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、及び
b)工程a)において決定された量に基づいて、対象における無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度を評価すること
を含む、方法に関する。
第5の態様では、本発明は、対象における無症候性の大小の非皮質梗塞若しくは皮質梗塞及び/又は認知機能の程度をモニタリングするための方法であって、
a)対象からの第1の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
b)第1の試料の後に得られた対象からの第2の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
c)第1の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を、第2の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量と比較すること、及び
d)工程c)の結果に基づいて、対象の無症候性の大小の非皮質梗塞若しくは皮質梗塞及び/又は認知機能及び/又は認知機能の程度をモニタリングすること
を含む、方法に関する。
第7の態様では、本発明は、対象における脳卒中及び/又は無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するためのコンピュータ実装方法のための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、処理ユニットにおいて受け取ること、
b)工程(a)において受け取った値を処理ユニットで処理することであって、処理することが、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量について1つ又は複数の閾値をメモリから検索することと、工程(a)において受け取った値を1つ又は複数の閾値と比較することとを含む、値を処理ユニットで処理すること、及び
c)出力装置を介して無症候性梗塞及び/又は認知低下の予測を提供することであって、予測が工程(b)の結果に基づいている、予測を提供すること
を含む、コンピュータ実装方法に関する。
第8の態様では、本発明は、
a)対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するため、
b)対象についての、無症候性の大小の非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度を評価するため、又は、臨床脳卒中リスクスコアの予測精度を改善するための、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の、又は、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量に結合する薬剤の、インビトロ使用に関する。
大きな非皮質及び皮質梗塞の存在を予測するためのモデルの精度を示す受信者動作曲線。バイオマーカーとしては、hs-トロポニン、NT-proBNP、心臓脂肪酸結合タンパク質3及びオステオポンチンが挙げられる。AUC=曲線下面積;CI=信頼区間。
発明の詳細な説明
本発明を以下に詳細に説明する前に、本発明は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、及び試薬に限定されず、これらは変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されるべきである。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当該技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。
いくつかの文献が本明細書中で引用されている。本明細書に引用されている各文献(全ての特許、特許出願、科学出版物、製造者の仕様書、説明書等を含む)は、上記であろうと以下であろうと、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。このように組み込まれた参照の定義又は教示と、本明細書に引用された定義又は教示との間に矛盾がある場合には、本明細書の本文が優先する。
以下、本発明の各要素について説明する。これらの要素は特定の実施形態と共に列挙されているが、これらは任意の方法及び任意の数で組み合わせて追加の実施形態を作成することができることを理解されたい。種々の説明された実施例及び好ましい実施形態は、本発明を明示的に説明された実施形態のみに限定するように解釈されるべきではない。この記載は、明示的に記載された実施形態を任意の数の開示及び/又は好ましい要素と組み合わせる実施形態を支持し、かつ包含するものと理解されるべきである。さらに、本出願に記載されている全ての要素の任意の順列及び組合せは、文脈が別段の意味を示さない限り、本出願の説明によって開示されていると考えるべきである。
本発明の方法は、好ましくは、エクスビボ又はインビトロ法である。さらにそれは、先に明示的に述べられたものに加えて、複数の工程を含んでもよい。例えば、さらなる工程は、処置前の試料を採取すること、若しくは上記方法で得られた結果を評価することに関する場合がある。この方法は、手動で実行されてもよく、自動化によって補助されてもよい。好ましくは、工程(a)、(b)及び/又は(c)は、全体的又は部分的に、自動化によって、例えば、工程(a)における決定又は工程(b)におけるコンピュータを実装した比較及び/又は当該比較に基づく予測のため、適切なロボット及び感覚的機器によって、補助されてもよい。
定義
「含む(comprise)」という語、並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの変化形は、明記した整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群を含むことを意味するが、他のいかなる整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群を除外することを意味するものではないことが理解されよう。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、及び「the(その)」は、別途内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
レベル、濃度、量、及び他の数値データは、本明細書では「範囲」の形式で表現又は提示され得る。このような範囲の形式は、便宜上及び簡潔にするために単に使用されているに過ぎないことが理解され、したがって、その範囲の境界として明示的に列挙されている数値を含むだけではなく、各数値及び部分範囲があたかも明示的に列挙されているかのごとく、その範囲内に包含される個々の数値又は部分範囲の全てを含むことを柔軟に解釈するべきである。例示として、「150mg~600mg」の数値範囲は、150mg~600mgの明示的に列挙された値を含むだけでなく、示された範囲内の個々の値及び部分範囲も含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、150、160、170、180、190、...580、590、600mgなどの個々の値、及び150~200、150~250、250~300、350~600などの部分範囲が含まれる。この同じ原理は、1つの数値のみを列挙する範囲にも適用される。さらに、このような解釈は、その範囲の幅又は記載されている特性にかかわらず、適用すべきである。
用語「約」とは、数値に関連して使用される場合、示された数値よりも5%小さい下限値を有し、かつ示された数値よりも5%大きい上限値を有する範囲内の数値を包含することを意味する。
当業者によって理解されるように、本明細書に記載の評価、例えば、脳卒中及び/又は無症候性梗塞の評価、無症候性の大きな非皮質梗塞又は小さな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度の評価、無症候性梗塞及び/又は認知低下の予測、無症候性脳梗塞についての臨床リスクスコアの予測精度の改善、無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度のモニタリング及び/又は認知機能は、通常、対象の100%に対して正しいことを意図していない。
一実施形態において、予測は、統計的に有意な対象の一部において適切かつ正確な方法でなされ得る。一部が統計的に有意であるかどうかは、例えば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントt検定、マン-ホイットニー検定等の様々な周知の統計評価ツールを使用して、当業者がさらに苦労することなく決定することができる。詳細は、Dowdy and Wearden,Statistics for Research,John Wiley&Sons,New York 1983に見出される。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、又は0.0001である。
「心房細動」という用語は、当該技術分野において周知である。本明細書で使用される場合、この用語は、好ましくは、心房の機械的機能の結果としての悪化を伴う、非協調的な心房活動を特徴とする上室性頻拍性不整脈を指す。特に、この用語は、急速で不規則な鼓動を特徴とする異常な心臓のリズムを指す。心房細動は、心臓の2つの上部房と関連する。正常な心臓のリズムでは、洞房結節によって生成されたインパルスが心臓全体に広がり、心筋の収縮と血液のポンピングを引き起こす。心房細動では、洞房結節の規則的な電気インパルスが、不規則な心臓の鼓動を引き起こす、無秩序で急速な電気インパルスに置き換えられる。心房細動の症候は、心臓の動悸、失神、息切れ、又は胸痛である。ただし、ほとんどのエピソードには症候がない。心電図では、心房細動は、振幅、形状、及びタイミングが変化する急速な振動又は細動波による均一なP波の置換を特徴とし、心房室伝導が正常な場合に、不規則に頻繁に心室応答が速くなることに関連する。
The American College of Cardiology(ACC)、American Heart Association(AHA)、及びthe European Society of Cardiology(ESC)は、次の分類システムを提案する。(これと共に、その全体が参考として組み込まれるFuster(2006)Circulation 114(7):e257-354を参照のこと、例えば、書類中図3を参照のこと):最初に検出されたAF、発作性AF、持続性AF、及び永続性AF。
AFを有する全ての人々は、最初は、最初に検出されたAFと呼ばれるカテゴリーに属する。ただし、対象は、以前に検出されなかったエピソードを持っている場合と持っていない場合があってもよい。AFが1年を超えて持続した場合、対象は恒常性AFに罹患している。特に、洞調律へ戻る変換は、行われない(又は医学的介入によってのみ)。AFが7日を超えて続く場合、対象は持続性AFに罹患している。対象は、心房細動を止めるには、薬理学的又は電気的な介入が必要な場合がある。したがって、持続性AFはエピソードで発生するが、不整脈は、典型的に自発的に(すなわち、医学的介入なしで)洞調律へ戻る変換はされない。発作性の心房細動は、好ましくは、心房細動の断続的なエピソードを指し、7日以上持続せずに、自然に(すなわち、医学的介入なしで)終了する心房細動である。発作性のAFのほとんどの場合、エピソードが続くのは、24時間未満である。したがって、発作性の心房細動は自然に終了するが、持続性の心房細動は自然に終了せず、終了のための電気的又は薬理学的な電気的除細動、又はアブレーション処置(Fuster(2006)循環114(7):e257-354)などの他の処置を必要とする。「発作性心房細動」という用語は、48時間未満、より好ましくは24時間未満、最も好ましくは12時間未満で自然に終了するAFのエピソードとして定義される。持続性及び発作性のAFのどちらも再発する可能性がある。
上記のように、試験される対象は、発作性、持続性又は恒久性の心房細動に罹患していることが好ましい。
さらに、心房細動は、対象において以前に診断されていると考えられる。したがって、心房細動は、診断された、すなわち検出された心房細動である。
さらに、本発明の方法及び使用に従って試験される対象は、脳卒中及び/又はTIA(一過性脳虚血発作)の既知の病歴を有していなくてもよいことが想定される。
一実施形態において、対象は既知の脳卒中の病歴を有さない。他の実施形態において、対象は、脳卒中及びTIAの両方の既知の病歴を有さない。したがって、試験される対象は、臨床的に認識された脳卒中及び/又はTIAに罹患していないものとする。
本明細書で使用される「無症候性梗塞を評価する」という用語は、無症候性脳卒中を有するか、又は無症候性梗塞性脳卒中を受けた対象を指す。本発明によれば、無症候性脳卒を有する対象は、臨床的脳卒中を発症するリスクがある。本明細書で使用される「無症候性梗塞を評価する」という用語は、無症候性梗塞を診断し、疾患重症度を決定し、(治療強化/減少を目的として)治療を導き、疾患結果(リスク予測、例えば脳卒中)を予測し、治療を監視し(例えば、オステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3のレベルに対する抗凝固薬の効果)、対象の治療を層別化する(治療選択肢の選択;例えば、SWISS AFからの長期及び選択)対象をさらに指す。
本明細書で使用される「リスクを予測する」という用語は、好ましくは、対象が無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患する確率を評価することを指す。通常は、対象が無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがある(また、それ故にリスクが高い)か、リスクがない(また、それ故にリスクが低い)かどうかが予測される。したがって、本発明の方法によって、無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクのある対象と、リスクのない対象とを区別することが可能になる。さらに、本発明の方法は、リスクが低い、平均、又は高い対象間の区別を可能にすることが想定される。
上記のように、特定の時間枠内に無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスク(及び確率)が予測されるものとする。
本発明の一実施形態では、無症候性梗塞及び/又は認知低下の予測は、試験される試料が得られた後に決定される。
本発明の別の実施形態において、予測ウィンドウは、好ましくは、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年、少なくとも15年、若しくは少なくとも20年の間隔、又は任意の間欠時間範囲である。
好ましい一実施形態では、予測ウィンドウは、1ヶ月~5年の期間である。したがって、1ヶ月~5年以内に無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクが予測される。好ましい一実施形態では、予測ウィンドウは、1ヶ月~2年の期間である。好ましくは、予測ウィンドウは約1年の期間である。最も好ましくは、予測ウィンドウは約2年の期間であり得る。したがって、対象が2年以内に無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクが予測される。
好ましくは、予測ウィンドウは、本発明の方法の完了から計算される。より好ましくは、予測ウィンドウは、試験される試料が採取された時点から計算される。
好ましい一実施形態では、「無症候性梗塞及び/又は認知低下のリスクを予測する」という表現は、本発明の方法によって分析される対象が、無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがある対象の群、又は無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがない対象の群のいずれかに割り当てられることを意味する。したがって、対象が無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがあるか否かが予測される。本明細書で使用される場合、「無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがある対象」は、好ましくは、無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクが高い(好ましくは予測ウィンドウ内)。好ましくは、上記リスクは、対象のコホートにおける平均リスクと比較して上昇する。
本明細書で使用される場合、「無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがない対象」は、好ましくは、無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクが低い(好ましくは予測ウィンドウ内)。好ましくは、上記リスクは、対象のコホートにおける平均リスクと比較して低下する。無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがある対象は、好ましくは約3年の予測ウィンドウ内で、好ましくは少なくとも20%又はより好ましくは少なくとも30%の無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクを有する。無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがない対象は、好ましくは2年の予測ウィンドウ内で、好ましくは12%未満、より好ましくは10%未満の当該有害事象に罹患するリスクを有する。
「脳卒中」という用語は、当該技術分野において周知である。その用語は、好ましくは、虚血性脳卒中、特に脳虚血性脳卒中を指す。本発明の方法によって予測される脳卒中は、脳細胞への酸素の供給不足をもたらす脳又はその部分への血流の減少によって、引き起こされるものとする。特に、脳卒中は、脳細胞死によって、不可逆的な組織損傷をもたらす。脳卒中の症候は、当該技術分野において周知である。虚血性脳卒中は、主要な大脳動脈のアテローム血栓症又は塞栓症によって、凝固障害又は非アテローム性血管疾患によって、又は全体的な血流の減少につながる心虚血によって引き起こされる可能性がある。虚血性脳卒中は、アテローム血栓性脳卒中、心塞栓性脳卒中及びラクナ脳卒中からなる群から選択されることが好ましい。「脳卒中」という用語は、好ましくは、出血性脳卒中を含まない。
対象が、脳卒中、特に虚血性脳卒中を患っているかどうかは、周知の方法によって判定することができる。さらに、脳卒中の症候は、当該技術分野において周知である。例えば、脳卒中の症候としては、顔、腕、脚、特に体の片側の突然のしびれや脱力、突然の混乱、会話や理解の障害、片目又は両目の突然の見えづらさ、及び突然の歩行困難、めまい、バランス又は調整の喪失などが挙げられる。
「無症候性梗塞(Silent infarcts)」、すなわち「無症候性大脳梗塞(silent cerebral infarcts)」又は「無症候性脳梗塞(silent brain infarcts)」という用語は、当技術分野で知られており、例えば、Conenら(Conen et al.,J Am Coll Cardiol2019;73:989-99)に記載されており、その開示内容全体に関して参照により本明細書に組み込まれる。無症候性梗塞は、脳卒中又は一過性脳虚血発作の臨床歴のない患者における臨床的に無症候性の梗塞である。したがって、試験される対象は、脳卒中及び/又はTIA(一過性脳虚血発作)の既知の病歴を有さないものとする。
好ましい実施形態では、無症候性梗塞のリスクが予測される。この用語は、好ましくは、無症候性脳梗塞(silent brain infarct)又は無症状(asymptomatic)の大脳梗塞(cerebral infarction)を指す(Krisai et al)。
無症候性梗塞は、脳卒中に関連するいかなる外向きの症候も有さない脳卒中であり、患者は、典型的には、彼らが脳卒中に罹患したことに気付かない。特定可能な症候を引き起こさないにもかかわらず、無症候性脳卒中は依然として脳に損傷を引き起こし、患者を将来の一過性脳虚血発作及び主要な脳卒中の両方のリスク増加にさらす。無症候性梗塞は、一般に気付かれない身体機能及び認知機能のわずかな欠損に関連する。無症候性脳卒中は、様々な思考プロセス、気分調節及び認知機能に関連する脳の領域に影響を及ぼすことが多く、認知低下又は血管性認知障害の主な原因であり、膀胱制御の喪失につながる可能性もある。無症候性梗塞は、典型的には、MRIなどの神経イメージングの使用によって検出される病変を引き起こす。
用語「無症候性脳梗塞」は、脳卒中又はTIAの病歴のない患者における脳MRI上の脳梗塞(LNCCI及び/又はSNCI)としてさらに定義される(Conen et.Al,2019)。
「LNCCI」という用語は大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞として定義され、「SNCI」という用語は小さな非皮質梗塞として定義される。
好ましい実施形態では、「大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞(LNCCI)を有する対象」が評価される。「無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞(LNCCI)」という用語は、軸切片上の直径>20mmのFLAIR上の高強度病変として定義され、皮質を含まない。FLAIR=流体減衰反転回復。これらの病変は、白質、内嚢又は外嚢、脳深部核、視床、又は脳幹に位置する穿孔性細動脈の領域における虚血性梗塞と一致している(Conen et al.2019)。
磁気共鳴画像法での無症候性の大小の非皮質梗塞又は皮質梗塞(SNCI及びLNCCI)は、認知障害及び鬱病等のいくつかの有害な転帰に関連している。例えば、白質変化は、速度及び微細運動協調における運動機能の低下、並びに血管性認知症、レビー小体型認知症、及び精神障害を含む多くの疾患に関連することが報告されている。
本明細書で使用される「認知低下」という用語は、記憶、注意、及び認知機能の混乱として定義される。認知低下という用語の代わりに、認知機能障害という用語、認知障害という用語、又は認知症という用語が使用され得る。
この用語は、好ましくは、様々な障害によって引き起こされる知覚又は意識の障害を伴わないが、最も一般的には構造的脳疾患に関連する、認知及び知的機能の通常は進行性の喪失として特徴付けることができる症状を指す。認知試験は、Conen et al.2019に記載されているように、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)を使用して行うことができる。「認知機能」という用語は、Conen et al.2019に記載されているようなスコアを用いた認知機能の評価に関する。Montreal Cognitive Assessment(MoCA)は、視空間及び実行機能、対面呼称(confrontation naming)、記憶、注意、言語、抽象化を評価する。患者は最大30点を得ることができ、より高いスコアはより良好な認知機能を示す。患者が12年以下の正規教育を受けた場合、総試験スコアに一点を加算した。
認知症の最も一般的なタイプはアルツハイマー病であり、これは症例の50%~70%を占める。他の一般的なタイプとしては、脳血管性認知症(25%)、レビー小体型認知症、及び前頭側頭型認知症が挙げられる。「認知症」という用語は、限定されないが、AIDS認知症、アルツハイマー型認知症、初老性認知症、老人性認知症、脱力性認知症、レビー小体型認知症(びまん性レビー小体型疾患)、多発梗塞性認知症(血管性認知症)、麻痺性認知症、外傷後認知症、プラエコックス型認知症、血管性認知症を含む。
一実施形態において、認知症という用語は、血管性認知症、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、及び/又は前頭側頭型認知症を指す。したがって、血管性認知症、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、及び/又は前頭側頭型認知症に罹患するリスクが予測される。
一実施形態において、「アルツハイマー病」に罹患するリスクが予測される。「アルツハイマー病」という用語は、当該技術分野において周知である。アルツハイマー病は、通常、ゆっくりと始まり、経時的に徐々に悪化する慢性神経変性疾患である。疾患が進行するにつれて、症候としては、言語の問題、見当識障害、気分変動、動機の喪失、セルフケアを管理しないこと、及び行動上の問題が挙げられる。
一実施形態において、「血管性認知症」に罹患するリスクが予測される。「血管性認知症」という用語は、好ましくは、脳内の血管損傷又は疾患によって引き起こされる記憶及び他の認知機能の進行性喪失を指す。したがって、この用語は、脳への血液の循環の問題によって引き起こされる認知症の症候を指すものとする。これは、無症候性脳梗塞後又は脳卒中が経時的に蓄積した後に起こり得る。
本発明の方法は、より多くの対象の集団のスクリーニングにも使用できる。したがって、少なくとも100人の対象、特に少なくとも1000人の対象が例えば、無症候性梗塞のリスクに関して評価されることが想定される。したがって、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量は、少なくとも100人、特に少なくとも1000人の対象由来の試料において決定される。さらに、少なくとも1万人の対象が評価されることが想定される。
「抗凝固療法」という用語は、好ましくは、上記対象における抗凝固のリスクを低減することを目的とする治療である。少なくとも1つの抗凝固剤を投与することは、血液の凝固及び関連する脳卒中を低減又は防止することを目的とする。好ましい一実施形態において、少なくとも1つの抗凝固剤は、ヘパリン、クマリン誘導体(すなわち、ビタミンK拮抗薬)、特にワルファリン又はジクマロール、経口抗凝固剤、特にダビガトラン、リバーロキサバン又はアピキサバン、組織因子経路阻害剤(TFPI)、アンチトロンビンIII、第IXa因子阻害剤、第Xa因子阻害剤、第Va因子と第VIIIa因子の阻害剤、及びトロンビン阻害剤(抗IIa型)からなる群から選択される。
特に好ましい一実施形態において、抗凝固剤は、ワルファリン又はジクマロール等のビタミンK拮抗薬である。ワルファリン又はジクマロール等のビタミンK拮抗薬は、安価であるが、不便で扱いにくく、また治療範囲において時間変動を伴う信頼性の低い処置が多いため、患者のコンプライアンスを改善する必要がある。NOAC(新しい経口抗凝固剤)は、直接第Xa因子阻害剤(アピキサバン、リバーロキサバン、ダレキサバン、エドキサバン)、直接トロンビン阻害剤(ダビガトラン)及びPAR-1拮抗薬(ボラパクサル、アトパキサール)を含む。
試験対象が抗凝固療法を受けている場合、及び(本発明の方法によって)対象が無症候性梗塞に罹患するリスクがないと識別された場合、抗凝固療法の投与量を減らすことができる。したがって、投与量を減らすことが推奨される場合がある。投与量を減らすことで、副作用(出血等)に罹患するリスクが減る可能性がある。
「臨床脳卒中リスクスコア」という用語は、当該技術分野において周知である。例えば、上記スコアは、Kirchhof P.et al(European Heart Journal 2016;37:2893-2962)に記載されている。一実施形態において、スコアは、CHADS-VAScスコアである。他の実施形態において、スコアは、CHADSスコア(Gage BF.Et al.,JAMA,285(22)(2001),pp.2864-2870)及びABCスコア、すわなち、ABC(age,biomarkers,clinical history)脳卒中リスクスコア(Hijazi Z.et al.,Lancet 2016;387(10035):2302-2311)である。この段落の全ての出版物は、その全ての開示内容に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
したがって、一実施形態において、臨床脳卒中リスクスコアは、CHADS-VAScスコアである。したがって、本発明の代替的な一実施形態において、臨床脳卒中リスクスコアは、CHADSスコアである。
本明細書で使用される「推奨する」という用語は、対象に適用できる治療法の提案を確立することを意味する。しかしながら、実際の治療法を適用することは、どんなものであれ、この用語に含まれないことを理解されたい。推奨される治療は、本発明の方法によって、例えば予測の結果に依存する。
本明細書で使用される「モニタリング」という用語は、好ましくは、本明細書の他の箇所で言及される疾患進行の評価に関する。さらに、患者に対する治療の有効性をモニタリングすることができる。
本発明の方法及び使用に従って試験される「対象」は、好ましくは哺乳動物である。哺乳動物には、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、対象は、ヒト対象である。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
特定の実施形態では、対象はヒト患者である。いくつかの実施形態では、患者は、任意の年齢である。いくつかの実施形態では、患者は、50歳以上、特に60歳以上、特に65歳以上である。さらに、検査される患者は、70歳以上であることが想定されている。
本発明の方法及び使用の好ましい一実施形態において、対象は、65歳以上である。別の好ましい実施形態では、対象は70歳以上である。別の実施形態において、対象は75歳以上である。
「試料」という用語は、体液の試料、分離された細胞の試料、又は組織若しくは器官由来の試料を指す。体液の試料は、周知の技術によって採取することができ、血液、血漿、血清、尿、リンパ液、痰、腹水、唾液、涙液、脳脊髄液又はその他の体分泌物若しくはその誘導体の試料が含まれる。組織又は器官の試料は、例えば生検によって、任意の組織又は器官から入手し得る。分離された細胞を、体液又は組織若しくは器官から、遠心分離又は細胞選別等の分離技術によって得てもよい。例えば、バイオマーカーを発現又は生成する細胞、組織、器官から、細胞、組織、器官の試料を採取してもよい。例えば、試料は心筋組織試料であり得る。さらに、試料は、神経組織試料又は腸組織試料であり得る。いくつかの実施形態において、試料は、骨髄試料である。試料は、凍結、新鮮、固定(例えばホルマリン固定)、遠心分離、及び/又は包埋(例えば、パラフィン包埋)などされ得る。細胞試料は、試料中のマーカーの量を評価する前に、当然のことながら、種々の周知の収集後調製及び保管技法(例えば、核酸及び/又はタンパク質抽出、固定、保管、冷凍、超濾過、濃縮、蒸発、遠心分離等)に供され得る。
したがって、試料は組織試料であり得る。好ましい実施形態において、組織試料は、心筋組織試料等の心臓組織試料である。特に、試料は、右心耳由来の組織試料である。他の好ましい実施形態において、試料は、脳組織試料又は脊髄試料等の神経組織試料である。
他の好ましい一実施形態において、試料は、血液(すなわち、全血)、血清又は血漿試料である。例えば、試料は、静脈血、血清又は血漿試料であり得る。あるいは、試料は毛細管血液試料(例えば、指から得られる)であってもよい。いくつかの実施形態において、試料は、末梢血試料である。血清とは、血液を凝血させた後に入手される全血の液体画分である。血清を得るためには、遠心分離によって血餅を除去して、それから上清が収集される。血漿は、血液の無細胞流動部分である。血漿試料を得るために、全血は、抗凝固剤処理されたチューブ(例えば、クエン酸塩処理又はEDTA処理されたチューブ)に収集される。遠心分離により細胞を試料から除去し、上清(すなわち、血漿試料)を入手する。
さらに、試料は、骨髄又は末梢血由来の幹細胞、リンパ球、心筋細胞、神経細胞又は腸細胞等の幹細胞を含み得る。
いくつかの実施形態において、試料は、脳脊髄液試料である。
バイオマーカーの検出:
本明細書でいうバイオマーカーは、当該技術分野で概して公知の方法を使用して検出することができる。検出方法は一般的に、試料中のバイオマーカーの量を定量する方法(定量的方法)を包含する。以下の方法のいずれがバイオマーカーの定性的及び/又は定量的検出に適しているかは、当業者に概して公知である。試料は、例えば、ウエスタン法及びELISA、RIA、蛍光及び発光ベースのイムノアッセイのようなイムノアッセイ、並びに市販されている近接拡張アッセイを使用して、タンパク質について簡便にアッセイすることができる。バイオマーカーを検出するためのさらに適切な方法は、ペプチド又はポリペプチドに特異的な物理的又は化学的特性、例えば、その正確な分子量又はNMRスペクトル等を測定することを含む。上記方法は、例えば、バイオセンサー、免疫学的検定法と連関した光学装置、バイオチップ、質量分析計、NMR分析機、又はクロマトグラフィー装置等の分析装置を含む。さらに、方法には、マイクロプレートELISAベースの方法、完全自動化又はロボットイムノアッセイ(Elecsys(商標)アナライザーなどで利用可能)、CBA(酵素的Cobalt Binding Assay、Roche-Hitachi(商標)アナライザーなどで利用可能)、及びラテックス凝集アッセイ(例えば、Roche-Hitachi(商標)アナライザーで使用可能)が含まれる。
本明細書で言及するバイオマーカータンパク質の検出については、このようなアッセイ形式を使用する広範な免疫学的検定技術が利用可能であり、例えば、米国特許第4,016,043号、第4,424,279号、及び第4,018,653号を参照されたい。これらは、従来の競合結合アッセイだけでなく、非競合タイプの1部位及び2部位又は「サンドイッチ」アッセイの両方を含む。これらのアッセイはまた、標識された抗体の標的バイオマーカーへの直接結合も含む。
電気化学発光標識を用いる方法は、周知である。このような方法は、特殊な金属錯体の能力を利用して、酸化によって、励起状態となり、金属錯体は、励起状態から基底状態へ緩和して、電気化学発光を放出する。総説については、Richter,M.M.,Chem.Rev.2004;104:3003-3036を参照のこと。
一実施形態において、バイオマーカーの量を測定するのに使用される検出抗体(又はその抗原結合断片)は、ルテニウム化(ruthenylated)又はイリジウム化(iridinylated)されている。そのため、抗体(又はその抗原結合断片)は、ルテニウム標識を含むものとする。一実施形態において、上記ルテニウム標識は、ビピリジン-ルテニウム(II)錯体である。あるいは、抗体(又はその抗原結合断片)は、イリジウム標識を含むものとする。一実施形態において、上記イリジウム標識は、国際公開第2012/107419号において開示されているような錯体である。
オステオポンチンの決定のためのサンドイッチアッセイの一実施形態において、アッセイは、(捕捉抗体として)オステオポンチンを特異的に結合するビオチン化された第1のモノクローナル抗体と、検出抗体として)オステオポンチンを特異的に結合する第2のモノクローナルのルテニウム化されたF(ab’)2-断片とを含む。2つの抗体は、試料中でオステオポンチンとサンドイッチ免疫学的測定複合体を形成する。
心筋トロポニンの決定のためのサンドイッチアッセイのさらなる実施形態において、アッセイは、(捕捉抗体として)心筋トロポニンを特異的に結合するビオチン化された第1のモノクローナル抗体と、検出抗体として)心筋トロポニンを特異的に結合する第2のモノクローナルのルテニウム化されたF(ab’)2-断片とを含む。2つの抗体は、試料中で心筋トロポニンとサンドイッチ免疫学的測定複合体を形成する。
vペプチドの決定のためのサンドイッチアッセイの実施形態では、アッセイは、(捕捉抗体として)ナトリウム利尿ペプチドに特異的に結合するビオチン化された第1のモノクローナル抗体、及び検出抗体としてナトリウム利尿ペプチドと特異的に結合するルテニウム化された第2のモノクローナル抗体のF(ab’)2-断片を含む。2種の抗体は、試料中、ナトリウム利尿ペプチドとサンドイッチイムノアッセイ複合体を形成する。
FABP-3の決定のためのサンドイッチアッセイの実施形態では、アッセイは、(捕捉抗体として)FABP-3に特異的に結合するビオチン化された第1のモノクローナル抗体、及び検出抗体としてFABP-3と特異的に結合するルテニウム化された第2のモノクローナル抗体のF(ab’)2-断片を含む。2種の抗体は、試料中、FABP-3とサンドイッチイムノアッセイ複合体を形成する。
ポリペプチドの量を測定することは、好ましくは、(a)ポリペプチドを上記ポリペプチドと特異的に結合する薬剤と接触させる工程、(b)(任意に)結合していない薬剤を除去する工程、(c)結合した結合剤、すなわち工程(a)で形成された薬剤の複合体の量を測定する工程、を含んでよい。好ましい実施形態によれば、上記接触させる工程、除去する工程及び測定する工程は、分析装置ユニットにより実施し得る。いくつか実施形態によれば、上記工程は、上記システムの単一の分析装置ユニットによって、又は互いに作動可能な通信状態にある複数の分析装置ユニットによって実施し得る。例えば、特定の実施形態によれば、本明細書で開示される上記システムは、上記接触させる工程及び除去する工程を実施するための第1の分析装置ユニット、並びに上記測定する工程を実施する、輸送ユニット(例えば、ロボットアーム)により、上記第1の分析装置ユニットに作動可能に接続された第2の分析装置ユニットを含んでよい。
バイオマーカーを特異的に結合する作用物質(本明細書では「結合剤」ともいう)は、結合した作用物質の検出及び測定を可能にする標識に、共有結合又は非共有結合していてもよい。標識化は、直接又は間接的な方法により行ってもよい。直接標識化は、標識を結合剤に直接的に(共有結合又は非共有結合により)結合させることによって行われる。間接標識化は、第2の結合剤を第1の結合剤に(共有結合又は非共有結合により)結合させることによって行われる。第2の結合剤は、第1の結合剤に特異的に結合するものとする。上記第2の結合剤は、適切な標識と結合する、及び/又は第2の結合剤に結合する第3の結合剤の標的(受容体)となり得る。好適な第2の、及びより高次の結合剤は、抗体、二次抗体、及び周知のストレプトアビジン-ビオチン系(Vector Laboratories,Inc.)を含んでよい。結合剤又は基質はまた、当該技術分野で公知の1つ以上のタグで「タグ付けされ」ていてもよい。そうすることで、このようなタグは、より高次の結合剤の標的となり得る。好適なタグとしては、ビオチン、ジゴキシゲニン(digoxygenin)、His-タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、FLAG、GFP、myc-タグ、インフルエンザAウイルス赤血球凝集素(HA)、マルトース結合タンパク質等が挙げられる。ペプチド又はポリペプチドの場合、タグは、好ましくはN末端及び/又はC末端にある。好適な標識は、適切な検出方法で検出可能な任意の標識である。典型的な標識としては、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム錯体、イリジウム錯体、酵素的に活性な標識、放射性標識、磁気標識(「例えば磁気ビーズ」、常磁性及び超常磁性標識を含む)、並びに蛍光標識が挙げられる。酵素的に活性な標識としては、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、及びそれらの誘導体が挙げられる。検出に適した基質としては、ジアミノベンジジン(DAB)、3,3’-5,5’-テトラメチルベンジジン、NBT-BCIP(Roche Diagnostics製の既成の保存溶液として入手可能な4-ニトロブルーテトラゾリウムクロリド及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスファート)、CDP-Star(商標)(Amersham Bio-sciences)、ECF(商標)(Amersham Biosciences)が挙げられる。適切な酵素-基質の組み合わせにより、着色された反応産物、蛍光又は化学発光が生じてもよく、これは、当該技術分野で公知の方法によって(例えば感光フィルム又は適切なカメラシステムを使用して)、決定することができる。酵素反応を測定することについては、上記の基準が同様に適用される。典型的な蛍光標識としては、蛍光タンパク質(例えば、GFP及びその誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン、及びAlexa色素(例えばAlexa568)が挙げられる。さらなる蛍光標識が、例えばMolecular Probes(オレゴン州)から入手可能である。また、蛍光標識としての量子ドットの使用が、企図される。放射性標識は、公知かつ適切な、例えば感光膜又はホスホイメージャー(phosphor imager)等の任意の方法により検出され得る。
ポリペプチドの量はまた、好ましくは、以下の通り:(a)本明細書の他の箇所で記載されるようなポリペプチド用の結合剤を含む固体支持体を、ペプチド又はポリペプチドを含む試料と接触させること、及び(b)支持体に結合したペプチド又はポリペプチドの量を測定して決定し得る。支持体を製造するための材料は、当該技術分野で周知であり、とりわけ、市販のカラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、コロイド金属粒子、ガラス及び/又はシリコンのチップ及び表面、ニトロセルロースストリップ、メンブレン、シート、デュラサイト(duracyte)、反応トレイのウェル及び壁、プラスチックチューブ等が挙げられる。
さらなる他の態様において、結合剤と少なくとも1つのマーカーとの間で形成された複合体から、形成された複合体の量の測定前に、試料が除去される。そのため、一態様において、結合剤は固形支持体上に固定されていてもよい。さらなる他の態様において、洗浄溶液を適用することによって、固体支持体上で形成された複合体から試料が除去され得る。
「サンドイッチアッセイ」は、最も有用かつ通常使用されるアッセイに含まれ、サンドイッチアッセイ技術のいくつかのバリエーションを包含する。簡潔に言うと、典型的なアッセイでは、未標識の(捕捉)結合剤が固定化されているか、又は固体基質上に固定化することができ、そして検査される試料を、捕捉結合剤と接触させる。結合剤-バイオマーカー複合体の形成を可能にするのに十分な時間の、適切なインキュベート時間の後、検出可能なシグナルを生成できるレポーター分子で標識した第2の(検出)結合剤を添加し、結合剤-バイオマーカーで標識した結合剤という別の複合体の形成に十分な時間を許容してインキュベートする。未反応の物質は洗い流されてよく、バイオマーカーの存在は、検出結合剤に結合したレポーター分子により生成されるシグナルの観察により、決定される。その結果は、可視シグナルの単純な観察によって定性的であってもよいか、又は既知量のバイオマーカーを含有する対照試料との比較によって定量されてもよいかのいずれかである。
典型的なサンドイッチアッセイのインキュベーション工程は、必要に応じて適切であるように変更することができる。このような変更には、例えば、2つ以上の結合剤及びバイオマーカーが共インキュベートされる同時インキュベーションが含まれる。例えば、分析される試料及び標識化された結合剤の両方が同時に、固定化された捕捉結合剤に添加される。また、分析される試料及び標識化された結合剤を最初にインキュベートし、その後、固相に結合した抗体、又は固相に結合することができる抗体を添加することもできる。
特異的な結合剤とバイオマーカーの間で形成される複合体は、試料中に存在するバイオマーカーの量に比例するものとする。適用される結合剤の特異性及び/又は感度が、試料中に含まれる、特異的に結合することができる少なくとも1つのマーカーの比率の程度を規定することは理解されるであろう。測定を実行する方法の詳細については、本明細書の別の箇所にも記載されている。形成された複合体の量は、試料中に実際に存在する量を反映するバイオマーカーの量へと変換されるものとする。
「結合剤」、「特異的な結合剤」、「分析対象特異結合剤」、「検出剤」「バイオマーカーに結合する薬剤」、及び「バイオマーカーに特異的に結合する薬剤」という用語は、本明細書では相互互換可能に使用される。好ましくは、それは、対応するバイオマーカーと特異的に結合する結合部分を含む薬剤に関する。「結合剤」、「検出剤」、「薬剤」の例は、核酸プローブ、核酸プライマー、DNA分子、RNA分子、アプタマー、抗体、抗体断片、ペプチド、ペプチド核酸(PNA)又は化学物質である。好ましい薬剤は、決定されるバイオマーカーに特異的に結合する抗体である。本明細書で使用される「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び所望の抗原結合活性を示す限り抗体断片(すなわちその抗原結合断片)を含むが、これらに限定されず、様々な抗体構造を包含する。好ましくは、抗体はポリクローナル抗体(又は、それ由来の抗原結合断片)である。より好ましくは、抗体はモノクローナル抗体(又は、それ由来の抗原結合断片)である。さらに、本明細書の他の箇所に記載されるように、(サンドイッチイムノアッセイにおいて)決定されるべきバイオマーカーポリペプチドの異なる位置で結合する2つのモノクローナル抗体が使用されることが想定される。したがって、バイオマーカーの量を決定するために少なくとも1つの抗体が使用される。
薬剤又は検出剤は、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド又はFABP-3に特異的に結合するものとする。「特異的な結合」又は「特異的に結合する」という用語は、結合対の分子が、別の分子に有意に結合しない条件下で、互いへの結合を呈する結合反応を指す。「特異的な結合」又は「特異的に結合する」という用語は、バイオマーカーとしてのタンパク質又はペプチドに関する場合、好ましくは結合剤が、対応するバイオマーカーに少なくとも10-1の親和性(「会合定数」K)で結合する結合反応を指す。「特異的な結合」又は「特異的に結合する」という用語は、その標的分子に対して、好ましくは少なくとも10-1、又はさらにより好ましくは少なくとも10-1の親和性を指す。「特異的な」又は「特異的に」という用語は、試料中に存在するその他の分子が、標的分子に特異的な結合剤に、有意に結合しないことを示すために使用される。
本明細書で使用される「量」という用語は、本明細書で言及されるバイオマーカー(例えば、オステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド又はFABP-3)の絶対量、上記バイオマーカーの相対量又は濃度、及びそれらと相関する又はそれらから導き出され得る任意の値又はパラメータを包含する。このような値又はパラメータは、直接的な測定により当該ペプチドから得られる、全ての具体的な物理的又は化学的特性に由来する強度シグナル値、例えば、質量スペクトル又はNMRスペクトルにおける強度値を含む。さらに、本明細書の他の箇所で明示される間接測定により得られる値又はパラメータ全て、例えば、特異的に結合したリガンドから得られるペプチド又は強度シグナルに応答して生物学的読み出しシステムにより決定される応答量が包含される。上述の量又はパラメータと相関する値は、全ての標準的な数学的演算によっても得ることができるということを理解されたい。
「比較する」という用語は、本明細書で使用される場合、対象からの試料におけるバイオマーカー(オステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド又はFABP-3)の量を、本明細書の別の箇所で明示されるバイオマーカーの特定の基準量と比較することを指す。本明細書で使用する場合の比較することは、通常、対応するパラメータ又は値の比較を指し、例えば、絶対量は基準の絶対量と比較されるのに対し、濃度は基準の濃度と比較され、又は試料中のバイオマーカーから得られた強度シグナルは基準試料から得られた同じ種類の強度シグナルと比較されることを理解されたい。比較は、手作業又はコンピュータを利用して実施してもよい。したがって、比較は、コンピューティングデバイスによって実施することができる。対象からの試料中のバイオマーカーの決定量又は検出量、及び基準についての値は、例えば、互いに比較することができ、また上記比較は、比較のためのアルゴリズムを実行するコンピュータプログラムにより自動的に実施され得る。上記評価を実施するコンピュータプログラムは、適切な出力形式で、所望の評価を提供する。コンピュータを利用した比較のために、決定された量の値は、コンピュータプログラムにより、データベースに保存されている適切な基準に相当する値と比較されてもよい。コンピュータプログラムは、比較の結果をさらに評価してもよく、すなわち、適切な出力形式で所望の評価を自動的に提供してもよい。コンピュータを利用した比較のために、決定された量の値は、コンピュータプログラムにより、データベースに保存されている適切な基準に相当する値と比較されてもよい。コンピュータプログラムは、比較結果をさらに評価する、すなわち、好適なアウトプット様式で所望の予測を自動的に提供してもよい。
本発明によれば、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量は、基準、すなわち基準量(複数可)と比較されるものとする。したがって、基準は、好ましくは基準量である。「基準量」又は「基準」という用語は、当業者によく理解されている。
基準量は、本明細書の他の箇所に記載されているように、対象の、無症候性梗塞及び/又は認知低下の予測、対象の無症候性脳梗塞についての臨床リスクスコアの予測精度の改善、無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度の評価、対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかの評価、無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度及び/又は認知機能のモニタリング、並びに心房細動の診断を可能にすることを理解されたい。
例えば、無症候性梗塞及び/又は認知低下のリスクを予測するための方法に関連して、基準量は、好ましくは、(i)無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがある対象の群、又は(ii)無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがある対象の群のいずれかへの対象の割り当てを可能にする量を指す。例えば、無症候性梗塞の診断のための方法に関連して、基準量は、好ましくは、(i)無症候性梗塞に罹患している対象群、又は(ii)無症候性梗塞に罹患していない対象群、のいずれかに、対象を割り当てることを可能にする量を指す。適切な基準量は、検査試料と一緒に、すなわち同時に又は続いて分析される基準試料から決定されてもよい。
基準量は、原則として、統計学の標準的な方法を適用することによって、所定のバイオマーカーの平均又は平均値に基づいて、先に指定したような対象のコホートについて算出することができる。特に、事象の診断を目的とする方法などの試験が正確であるか否かは、受信者動作特性(ROC)により最もよく説明される(特に、Zweig MH.et al.,Clin.Chem.1993;39:561-577を参照のこと)。ROCグラフは、観察されたデータの全範囲にわたって決定閾値を継続的に変動させることにより生じる、全ての感度対特異性のペアのプロットである。診断方法の臨床成績は、その正確性、すなわち対象を特定の予後又は診断に正確に割り当てる能力に依存する。ROCプロットは、区別を行うのに適した閾値の全範囲について、感度対1-特異性をプロットすることにより、2つの分布間の重複を示す。y軸は、感度、又は真陽性率であり、真陽性の検査結果の数及び偽陰性の検査結果の数の積に対する、真陽性の検査結果の数の比率として定義される。y軸は、影響を受ける下位群からのみ計算される。x軸上は、偽陽性率、又は1-特異性であり、これは、真陰性の数及び偽陽性結果の数の積に対する、偽陽性結果の数の比率として定義される。x軸は、特異性の指標であり、影響を受けない下位群からのみ計算される。真陽性率及び偽陽性率は、2つの異なる下位群からの検査結果を使用することによって完全に別個に計算されるので、ROCプロットはコホートにおける事象の有病率に非依存性である。ROCプロット上の各点は、特定の決定閾値に相当する感度/1-特異性の対を表す。完全な区別のある(結果の2つの分布に重なりがない)検査は、左上隅を通過するROCプロットを有しており、真陽性率は1.0、又は100%(完全な感度)であり、偽陽性率は0(完全な特異性)となる。区別のない(2つの群についての結果の分布が同一である)検査についての理論上のプロットは、左下隅から右上隅への45°の対角線となる。ほとんどのプロットは、これらの2つの極値の間に収まる。ROCプロットが45°対角線を完全に下回って収まる場合、これは、「陽性率」についての基準を「より高い」から「より低い」に入れ替え、逆もまた同様にすることによって、容易に修正される。定性的には、プロットが左上隅に近いほど、試験全体の精度が高くなる。所望の信頼区間に応じて、ROC曲線から閾値を導くことができ、これにより、感度及び特異性の適切な平衡状態をそれぞれ備えた所与の事象についての診断が可能になる。
したがって、本発明の方法に使用される基準、すなわち、無症候性梗塞及び/又は認知低下の予測、無症候性梗塞及び/又は認知低下の予測、対象の無症候性脳梗塞についての臨床リスクスコアの予測精度の改善、無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の範囲の評価、対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかの評価、無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度及び/又は認知機能のモニタリングなどのそれぞれの評価を可能にする閾値は、好ましくは、上記のように上記コホートのROCを確立し、そこから閾値量を導出することによって生成することができる。
評価における所望の感度及び特異性に応じて、ROCプロットは、好適な閾値を導き出すことができる。例えば、無症候性梗塞及び/又は認知低下のリスクがある対象を除外する(すなわちルールアウト)ためには最適な感度が望ましいが、無症候性梗塞及び/又は無症候性梗塞のリスクがあると予測される対象には最適な特異性が想定される(すなわちルールイン)ことが理解されよう。
本明細書における「基準量」という用語は、所定の値を指す。当該所定の値は、対象の、無症候性梗塞及び/又は認知低下の予測、対象の無症候性脳梗塞についての臨床リスクスコアの予測精度の改善、無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度の評価、対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかの評価、無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度及び/又は認知機能のモニタリングなど、本明細書で言及される評価を可能にする。
無症候性梗塞及び/又は認知低下のリスクを予測するための方法では、例えば、基準、すなわち基準量は、無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがある対象と、無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクがない対象とを区別することを可能にする。
本明細書で言及されるバイオマーカーは、当技術分野で周知である。
オステオポンチン(SPP1)は、BNSP、BSPI、OPN、初期Tリンパ球活性化1、ネフロポンチン、骨シアロタンパク質I、初期Tリンパ球活性化1、尿石タンパク質としても知られており、ウロポンチンは分泌型リンタンパク質1である。オステオポンチンは、石灰化骨基質への破骨細胞の付着において役割を果たす。さらに、オステオポンチンは、インターフェロンγ及びインターロイキン12の産生増強及びインターロイキン10の産生低減に関与するサイトカインとしても作用し、I型免疫に至る経路に必須である。虚血性脳梗塞の動物モデルでは、高レベルのOPNが観察された[Chang et al.(2018)Liquefaction-of-the-Brain-following-Stroke-Shares-a-Similar-Molecular-and-Morphological-Profile-with-Atherosclerosis-and-Mediates-Secondary-Neurodegeneration-in-an-Osteopontin-Dependent-Mechanism.eNeuro 2018;10.1523/ENEURO.0076-18.2018]。
Brain Natriuretic Peptid型ペプチド(本明細書ではBNP型ペプチドとも呼ばれる)は、好ましくは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNP、及びBNPからなる群から選択される。プレ-プロペプチド(pre-proBNPの場合は134アミノ酸)は、短いシグナルペプチドを含み、該プレプロペプチドは、プロペプチド(proBNPの場合は108アミノ酸)を放出するために酵素で切断される。プロペプチドはさらに、N末端プロペプチド(NT-プロペプチド、NT-proBNPの場合は76アミノ酸)及び活性ホルモン(BNPの場合は32アミノ酸)へと切断される。好ましくは、本発明による脳性ナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNP、BNP及びそれらのバリアントである。BNPは活性ホルモンであり、そのそれぞれの不活性対応物NT-proBNPよりも短い半減期を有する。好ましくは、Brain Natriuretic Peptid型ペプチドは、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)であり、より好ましくはナトリウム利尿ペプチド(プロホルモン脳性ナトリウム利尿ペプチドのN末端)である。
「心筋トロポニン」という用語は、心臓の細胞、好ましくは心内膜下細胞で発現される全てのトロポニンアイソフォームを指す。これらのアイソフォームは、例えば、Anderson 1995,Circulation Research,vol.76,no.4:681-686及びFerrieres 1998,Clinical Chemistry,44:487-493に記載されているように、当技術分野において十分に特徴付けられている。好ましくは、心筋トロポニンは、トロポニンT及び/又はトロポニンI、最も好ましくはトロポニンTを指す。好ましい実施形態では、心筋トロポニンはhsTnT(高感度トロポニン)である。
本明細書で使用される場合、「FABP-3」という用語は、脂肪酸結合タンパク質3を指す。FABP-3は、心臓脂肪酸結合タンパク質又は心臓型脂肪酸結合タンパク質(H-FABP又はhFABP-3と略記する)としても知られている。好ましくは、この用語は、FABP-3のバリアントも含む。本明細書で使用されるFABP-3は、好ましくはヒトFABP-3に関する。ヒトFABP-3ポリペプチドをコードするポリペプチドのDNA配列並びにヒトFABP-3のタンパク質配列は当該技術分野で周知であり、Peeters et al.(Biochem.J.276(Pt 1),203-207(1991))によって最初に記載された。さらに、ヒトH-FABPの配列は、好ましくは、GenbankエントリーU57623.1(cDNA配列)及びAAB02555.1(タンパク質配列)に見出すことができる。FABPの主要な生理学的機能は、遊離脂肪酸の輸送であると考えられている(例えば、Storch et al.,Biochem.Biophys.Acta.1486(2000),28-44を参照)。FABP-3及びH-FABPの他の名称は、FABP-11(脂肪酸結合タンパク質11)、M-FABP(筋肉脂肪酸結合タンパク質)、MDGI(乳房由来増殖阻害剤)、及びO-FABPである。
本明細書で言及されるバイオマーカー(例えば、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びhFABP-3)の量を「決定する」という用語は、バイオマーカーの定量化、例えば、本明細書の他の場所に記載されている適切な検出方法を使用して、試料中のバイオマーカーのレベルを測定することを指す。「測定する」及び「決定する」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
一実施形態において、バイオマーカーの量は、試料をバイオマーカーと特異的に結合する薬剤と接触させ、それにより薬剤と上記バイオマーカーとの間に複合体を形成し、形成された複合体の量を検出し、それから上記バイオマーカーの量を測定することにより、決定される。
複数の実施形態において、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3のレベルは、抗体を用いて、特にモノクローナル抗体を用いて決定される。実施形態では、患者の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3のレベルを決定する工程a)は、イムノアッセイを行うことを含む。実施形態では、イムノアッセイは、直接的又は間接的形式のいずれかで実施される。実施形態では、そのようなイムノアッセイは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、又は発光、蛍光、化学発光若しくは電気化学発光の検出に基づくイムノアッセイからなる群から選択される。
特定の実施形態では、対象の試料中のオステオポンチンのレベルを決定する工程a)は、
i)対象からの試料を、オステオポンチンに特異的に結合する1つ以上の抗体とインキュベートし、それにより、抗体とオステオポンチンとの複合体を生成させる工程、及び
ii)工程i)で形成された複合体を定量し、それにより、対象からの試料におけるオステオポンチンのレベルを定量する工程
を含む。
さらなる特定の実施形態では、対象の試料中の心筋トロポニンのレベルを決定する工程a)は、
i)対象からの試料を、心筋トロポニンに特異的に結合する1つ以上の抗体とインキュベートし、それにより、抗体と心筋トロポニンとの複合体を生成させる工程、及び
ii)工程i)で形成された複合体を定量し、それにより、対象からの試料における心筋トロポニンのレベルを定量する工程
を含む。
さらなる特定の実施形態では、対象の試料中のナトリウム利尿ペプチドのレベルを決定する工程a)は、
i)対象からの試料を、ナトリウム利尿ペプチドに特異的に結合する1つ以上の抗体とインキュベートし、それにより、抗体とナトリウム利尿ペプチドとの複合体を生成させる工程、及び
ii)工程i)で形成された複合体を定量し、それにより、対象からの試料におけるナトリウム利尿ペプチドのレベルを定量する工程
を含む。
さらなる特定の実施形態では、対象の試料中のFABP-3のレベルを決定する工程は、
i)対象からの試料を、FABP-3に特異的に結合する1つ以上の抗体とインキュベートし、それにより、抗体とFABP-3との複合体を生成させる工程、及び
ii)工程i)で形成された複合体を定量し、それにより、対象からの試料におけるFABP-3のレベルを定量する工程
を含む。
特定の実施形態では、工程i)において、試料は、決定されるべきバイオマーカーに特異的に結合する2つの抗体と共にインキュベートされる。当業者に明らかなように、試料は、第1の抗-抗体/バイオマーカー/第2の抗バイオマーカー抗体複合体を形成するのに十分は時間及び条件下で、いずれかの所望の順序で、すなわち、最初に第1の抗体、次いで第2の抗体と、又は最初に第2の抗体、次いで第1の抗体と、又は同時に第1の抗体及び第2の抗体と接触させ得る。当業者であれば容易に理解するように、特異的抗バイオマーカー抗体とバイオマーカー抗原/分析物との間の複合体(=抗バイオマーカー複合体)の形成、又はバイオマーカーに対する第1の抗体、バイオマーカー(分析物)及び第2の抗バイオマーカー抗体を含む二次又はサンドイッチ複合体(=抗バイオマーカー抗体/バイオマーカー/第2の抗バイオマーカー抗体複合体)の形成のいずれかの複合体を形成のために適切又は十分な時間及び条件を確立することは日常的な実験に他ならない。
抗バイオマーカー抗体/バイオマーカー複合体の検出は、任意の適切な手段によって行うことができる。第1の抗バイオマーカー抗体/バイオマーカー/第2の抗バイオマーカー抗体複合体の検出は、任意の適切な手段によって行うことができる。当業者は、このような手段/方法に完全に精通している。
特定の実施形態において、バイオマーカーに対する第1の抗体、バイオマーカー(分析物)及びバイオマーカーに対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識されている。
一実施形態において、バイオマーカーに対する第1の抗体、バイオマーカー(分析物)及びバイオマーカーに対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識されており、第1の抗バイオマーカー抗体は固相に結合することができるか、又は固相に結合している。
実施形態では、第2の抗体は、直接的又は間接的に検出可能に標識されている。特定の実施形態では、第2の抗体は、発光色素、特に化学発光色素又は電気化学発光色素で検出可能に標識されている。
特定の実施形態では、試料中の抗原、ビオチン化モノクローナルバイオマーカー特異的抗体、及びルテニウム錯体で標識されたモノクローナルバイオマーカー特異的抗体は、サンドイッチ複合体を形成する。ストレプトアビジン被覆微粒子を添加した後、ビオチンとストレプトアビジンとの相互作用を介して複合体が固相に結合する。
本発明の詳細な説明
本発明によって言及される方法は、本質的に上述の工程からなる方法、又はさらなる工程を含む方法、を含む。さらに、本発明の方法は、好ましくは、エクスビボ、より好ましくはインビトロの方法である。さらにそれは、先に明示的に述べられたものに加えて、複数の工程を含んでもよい。例えば、さらなる工程は、さらにマーカーを決定すること、及び/又は処置前の試料を採取すること、若しくは上記方法で得られた結果を評価することに関し得る。この方法は、手動で実行されてもよく、自動化によって補助されてもよい。好ましくは、工程(a)、(b)及び/又は(c)は、全体的又は部分的に、自動化によって、例えば、工程(a)における決定又は工程(b)におけるコンピュータを実装した計算のため、適切なロボット及び感覚的機器によって、補助されてもよい。
本発明の方法の好ましい一実施形態において、試験される対象は、心房細動に罹患している。心房細動は、発作性、持続性、又は永続性心房細動であり得る。したがって、対象は、発作性、持続性又は恒久性の心房細動を患っていてもよい。特に、対象は、発作性、持続性、又は恒久性の心房細動に罹患していることが想定される。ベストパフォーマンスは、持続性の心房細動の患者で観察された。
したがって、本発明の方法の一実施形態において、対象は、発作性の心房細動に罹患している。本発明の他の実施形態において、対象は、持続性の心房細動に罹患している。本発明の他の実施形態において、対象は、恒久性の心房細動に罹患している。
第1の態様では、本発明は、対象の脳卒中を評価するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定する工程、及び
b)バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を基準量と比較する工程
を含み、それにより、脳卒中が評価される、方法に関する。
好ましい実施形態では、基準よりも大きいバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量は、脳卒中に罹患している対象を示すものであり、基準よりも低いバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量は、脳卒中に罹患していない対象を示すものである。
好ましい実施形態では、基準よりも大きいバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量は、脳卒中に罹患している対象を示すものであり、基準よりも低いバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量は、脳卒中に罹患していない対象を示すものである。
さらに好ましい実施形態では、対象は心房細動に罹患している可能性がある。
好ましい実施形態では、対象はヒトである。さらに、対象の試料は、好ましくは血液、血清、血漿又は組織試料である。
第2の態様では、本発明は、対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
b)工程a)において決定された量を、基準と比較すること、及び
c)対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価すること
を含む、方法に関する。
好ましい実施形態では、基準よりも大きいバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量は、1回以上の無症候性梗塞に罹患している対象を示すものであり、基準よりも低いバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量は、1回以上の無症候性梗塞に罹患していない対象を示すものである。
さらに好ましい実施形態では、対象は心房細動に罹患している可能性がある。
好ましい実施形態では、対象はヒトである。さらに、対象の試料は、好ましくは血液、血清、血漿又は組織試料である。
第3の態様では、本発明は、対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
b)工程a)において決定された量を、基準と比較すること、及び
c)対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測すること
を含む、方法に関する。
好ましい実施形態では、無症候性梗塞のリスクが予測される。この用語は、好ましくは、無症候性脳梗塞(silent brain infarct)又は無症状(asymptomatic)の大脳梗塞(cerebral infarction)を指す(Krisai et al.)。
さらに好ましい実施形態では、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、CHA-VAScスコアと組み合わせることにより、無症候性脳梗塞についての臨床リスクスコアの予測精度が改善される。
好ましい実施形態では、認知低下が予測される。あるいは、対象が認知低下/認知症のリスクがあるか否かが予測され得る。認知機能の低下及び認知症のリスクは、認知検査によって評価され得る。
好ましくは、基準よりも大きいオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量は、対象の無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測し、基準よりも低いオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量は、対象の無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測しない。
好ましい実施形態では、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、CHA-VAScスコアと組み合わせることにより、無症候性脳梗塞及び/又は認知低下についての臨床リスクスコアの予測精度が改善される。
さらに、対象が1ヶ月~5年以内、例えば1年以内又は2年以内に無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクが予測される。
さらに好ましい実施形態では、対象は心房細動に罹患している可能性がある。
さらに、対象の試料は、好ましくは血液、血清、血漿又は組織試料である。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
第4の態様では、本発明は、対象の無症候性梗塞及び/又は認知低下についての臨床脳卒中リスクスコアの予測精度を改善するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定する工程、及び
b)バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、臨床脳卒中リスクスコアと組み合わせる工程
を含み、それにより、無症候性梗塞及び/又は認知低下についての臨床脳卒中リスクスコアの予測精度が改善される、方法に関する。
本発明の基礎となる研究では、オステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の決定が、対象の無症候性梗塞及び/又は認知低下についての臨床脳卒中リスクスコアの予測精度の改善を可能にすることが示されている。したがって、無症候性梗塞及び/又は認知低下についての臨床脳卒中リスクスコアと、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量とを組み合わせた決定は、オステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3単独の決定又は臨床脳卒中リスクスコア単独の決定と比較して、臨床脳卒中のさらにより信頼性の高い予測を可能にする。さらに、ESCガイドラインによって推奨されているリスクスコアは十分に高感度ではなく、抗凝固療法のために患者を見逃す。本発明は、ESCガイドラインによって推奨される現在の脳卒中リスクスコアよりも高い確率で抗凝固療法の患者を検出する。
したがって、無症候性梗塞及び/又は認知低下のリスクを予測するための方法は、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量と、臨床的脳卒中リスクスコアとの組み合わせをさらに含んでもよい。バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量と臨床リスクスコアとの組み合わせに基づいて、対象の無症候性梗塞のリスクが予測される。
あるいは、本方法は、臨床脳卒中リスクスコアの値を取得すること又は提供することを含んでもよい。好ましくは、上記値は数値である。一実施形態において、臨床脳卒中リスクスコアは、医師が利用できる臨床ベースのツールの1つによって生成される。好ましくは、その値は、対象の臨床脳卒中リスクスコアの値を決定することによって提供されたものである。より好ましくは、対象の値は、その対象の患者記録データベース及び病歴から得られる。したがって、上記スコアの値は、対象の病歴又は公開データを使用して決定することもできる。
本発明によれば、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を、無症候性梗塞及び/又は認知低下についての臨床脳卒中リスクスコアと組み合わせてもよい。これは、好ましくは、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値が、臨床脳卒中リスクスコアと組み合わされることを意味する。したがって、これらの値は、対象が無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクを予測するために機能的に組み合わされる。これらの値を組み合わせることにより、単一の値を計算でき、それ自体を予測に使用することができる。
臨床脳卒中リスクスコアは、当該技術分野において周知である。例えば、上記スコアは、Kirchhof P.et al(European Heart Journal 2016;37:2893-2962)に記載されている。一実施形態において、スコアは、CHADS-VAScスコアである。他の実施形態において、スコアは、CHADSスコア(Gage BF.Et al.,JAMA,285(22)(2001),pp.2864-2870)及びABCスコア、すわなち、ABC(age、biomarkers、clinical history)脳卒中リスクスコア(Hijazi Z.et al.,Lancet 2016;387(10035):2302-2311)である。この段落の全ての出版物は、その全ての開示内容に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
したがって、一実施形態において、臨床脳卒中リスクスコアは、CHADS-VAScスコアである。したがって、本発明の代替的な一実施形態において、臨床脳卒中リスクスコアは、CHADSスコアである。
好ましい実施形態では、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、CHA-VAScスコアと組み合わせることにより、無症候性脳梗塞及び/又は認知低下の臨床リスクスコアの予測精度が改善される。
さらに好ましい実施形態において、(本明細書の他の個所に記載されるように)対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下のリスクを予測するための上記方法は、対象が脳卒中に罹患するリスクがあると特定された場合、抗凝固療法を推奨する工程、又は抗凝固療法の強化を推奨する工程をさらに含む。
この方法は、c)工程b)の結果に基づいて、臨床脳卒中リスクスコアの予測精度が改善されるさらなる工程を含んでもよい。
無症候性梗塞及び/又は認知低下のリスクの予測の方法に関連して本明細書で上に与えられる定義及び説明は、好ましくは前述の方法にも適用される。例えば、対象は、無症候性梗塞及び/又は認知低下についての既知の臨床脳卒中リスクスコアを有する対象であることが想定される。あるいは、本方法は、無症候性梗塞及び/又は認知低下についての臨床脳卒中リスクスコアの値を取得すること又は提供することを含んでもよい。
さらに、対象が1ヶ月~5年以内、例えば1年以内又は2年以内に無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクが予測される。
一実施形態では、対象は心房細動に罹患している可能性がある。さらに、対象の試料は、好ましくは血液、血清、血漿又は組織試料である。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
本発明の第5の態様では、本方法は、対象における無症候性の大小の非皮質梗塞及び皮質梗塞の程度の評価であって、
a)対象からの試料中のオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、及び
b)工程a)において決定された量に基づいて、対象における無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度を評価すること
を含む、対象における無症候性の大小の非皮質梗塞及び皮質梗塞の程度の評価に関する。
興味深いことに、本発明の基礎となる研究では、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びhFABP-3は、心房細動患者の認知低下及び認知機能障害の原因としての脳血管損傷のリスク、存在及び/又は重症度を推定するために使用できることが示された。具体的には、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3が、患者における無症候性の大小の非皮質梗塞又は皮質梗塞(LNCCI又はSNCI)の存在と相関することが示された。「LNCCI」という用語は大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞として定義され、「SNCI」という用語は小さな非皮質梗塞として定義される。
好ましい実施形態では、「無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞(LNCCI)を有する対象」が評価される。
前述の方法の一実施形態では、対象は心房細動に罹患している可能性がある。さらに、対象の試料は、好ましくは血液、血清、血漿又は組織試料である。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びhFABP-3の量が多いほど、LNCCI又はSNCI又はWMLの程度が高くなる(逆もまた同様)。したがって、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3は、対象における無症候性の大小の非皮質梗塞若しくは皮質梗塞の程度及び/又は認知機能を評価するためのマーカーとして使用することができる。
好ましい一実施形態において、試験される対象は、心房細動に罹患している。さらに、対象が1ヶ月~5年以内、例えば1年以内又は2年以内に無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクが予測される。
本発明の第7の態様では、本方法は、対象における無症候性の大小の非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度及び/又は認知機能をモニタリングすることであって、
a)対象からの第1の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
b)第1の試料の後に得られた対象からの第2の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
c)第1の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を、第2の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量と比較すること、及び
d)工程c)の結果に基づいて、対象の無症候性の大小の非皮質梗塞若しくは皮質梗塞及び/又は認知機能及び/又は認知機能の程度をモニタリングすること
を含む、対象における無症候性の大小の非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度及び/又は認知機能をモニタリングすることに関する。
本発明の一実施形態では、本方法は、
a)抗凝固療法を推奨する工程、
b)抗凝固療法の強化を推奨する工程、
c)スク因子管理の強化の工程、及び
d)専門クリニックでのケアの工程
をさらに含む。
本発明の方法は、個別化医療を補助することができる。好ましい一実施形態において、対象の無症候性梗塞のリスクを予測するための方法は、対象が無症候性梗塞に罹患するリスクがあると特定された場合に、i)抗凝固療法を推奨する工程、又はii)抗凝固療法の強化を推奨する工程をさらに含む。他の好ましい一実施形態において、対象の無症候性梗塞のリスクを予測するための方法は、(本発明の方法によって)対象が無症候性梗塞に罹患するリスクがあると識別された場合、i)抗凝固療法を開始する工程、又はii)抗凝固療法を強化する工程をさらに含む。
特に、以下が適用される。
試験される対象が抗凝固療法を受けていない場合、対象が無症候性梗塞に罹患するリスクがあると識別されていれば、抗凝固療法の開始が推奨される。したがって、抗凝固療法を開始するものとする。
試験される対象がすでに抗凝固療法を受けている場合、対象が無症候性梗塞に罹患するリスクがあると識別されていれば、抗凝固療法の強化が推奨される。したがって、抗凝固療法を強化するものとする。
好ましい一実施形態において、抗凝固療法は、抗凝固剤の投与量、すなわち現在投与されている凝固剤の投与量を増やすことにより強化される。
特に好ましい一実施形態において、現在投与されている抗凝固剤を、より効果的な抗凝固剤への置き換えることにより、抗凝固療法が強化される。したがって、抗凝固剤の置き換えが推奨される。
Hijazi at al.,The Lancet 2016 387,2302-2311,(図4)に示されているように、高リスク患者のより良い予防は、ビタミンK拮抗薬であるワルファリンと比較して経口抗凝固剤アピキサバンで達成されることが記載されている。
したがって、試験される対象は、ワルファリン又はジクマロール等のビタミンK拮抗薬で処置される対象であることが想定される。対象が無症候性梗塞に罹患するリスクがあると(本発明の方法により)特定された場合、ビタミンK拮抗薬の経口抗凝固剤、特にダビガトラン、リバーロキサバン又はアピキサバンによる置き換えが推奨される。したがって、ビタミンK拮抗薬による治療が中止されることにより、経口抗凝固剤による治療が開始される。
「対象」及び「試料」という用語は上記で定義されている。定義は、適宜、適用される。特に、対象は心房細動に罹患していないことが想定される。さらに、試料は、例えば、血液、血清若しくは血漿試料、又は組織試料であり得る。
好ましくは、診断アルゴリズムとして以下が適用される。
基準よりも大きいオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量は、1回以上の無症候性梗塞を経験した対象を示すものであり、及び/又は、基準よりも低い量のオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3は、無症候性梗塞を経験していない対象を示すものである。
本明細書での上記の定義は、好ましくは、必要な変更を加えて以下に適用される。
本発明の研究で実施された研究は、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の変化に基づいて対象をモニタリングすることが可能であることを示している。例えば、無症候性の大小の非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度、すなわち大小の非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度が増加するか否かをモニタリングすることができる。無症候性の大小の非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度の増加は、認知機能の低下に関連し得るので、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の決定はまた、対象の認知機能のモニタリングを可能にし得る。
したがって、本発明はさらに、対象をモニタリングするための方法であって、
a)対象からの第1の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
b)第1の試料の後に得られた対象からの第2の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
c)第1の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を、第2の試料中のバイオマーカーの量と比較すること、及び
d)工程c)の結果に基づいて対象をモニタリングすること
を含む、方法に関する。
また、本発明はさらに、対象をモニタリングするための、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の、又は、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3に結合する薬剤の、インビトロ使用に関する。いくつかの実施形態では、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3又は薬剤を、対象からの第1及び第2の試料に使用する。
モニタリングされる対象は、無症候性梗塞及び/又は認知低下のリスクを予測するための方法に関連して定義される対象であり得る。例えば、対象は心房細動に罹患している可能性がある。
好ましくは、対象の、無症候性の小さい及び/又は大きい非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度及び/又は認知機能がモニターされる。しかしながら、心筋心房の形態変化、脳梗塞、脳微小出血、不整脈の進行、併存症(高血圧又は糖尿病)の進行及び/又は鬱病症候の進行をモニタリングすることも想定される。あるいは、機能的脳組織の量をモニタリングしてもよい。
モニタリングは、第1の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量と、第2の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量との比較に基づくものとする。「第2の試料」は、第1の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量と比較して、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の変化を反映するために得られる試料であると理解される。したがって、第2の試料は第1の試料の後に取得するものとする。好ましくは、第2の試料は、(モニタリングを可能にするのに十分に有意な変化を観察するために)第1の試料の直後には得られない。一実施形態において、第2の試料は、第1の試料の少なくとも1ヶ月後に得られる。別の実施形態において、第2の試料は、第1の試料の1ヶ月後に得られる。他の実施形態において、第2の試料は、第1の試料の少なくとも1年後又は2年後に得られる。さらに、第2の試料は、第1の試料から15年以内、10年以内、又は特に5年以内に得られることが想定される。したがって、第2の試料は、例えば、第1の試料の少なくとも1ヶ月後であるが5年以内に得ることができる。
さらに、対象は、第1の試料と第2の試料との間に無症候性梗塞を示したことが想定される。「無症候性梗塞」という用語は、本明細書では上記で定義されている。
好ましくは、第1の試料と比較して第2の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の増加した量、特に、有意に増加した量は、対象における無症候性梗塞LNCCIの程度の増加及び/又は対象の認知機能の低下を示す。したがって、第1の試料と第2の試料との間で、LNCCIの程度が増加し、及び/又は認知機能が低下した。バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の有意に増加した量は、対照対象群の平均減少よりも大きい増加と理解されるべきである。いくつかの実施形態では、少なくとも1%(例えば1年あたり)の増加など、少なくとも0.5%(例えば1年あたり)のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の増加は、無症候性梗塞LNCCIの程度の増加及び/又は認知機能の低下を示す。
本明細書での上記の定義は、好ましくは、必要な変更を加えて以下に適用される。
本発明はさらに、認知低下に罹患している対象における認知低下の重症度を診断するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
b)工程a)において決定された量を、基準と比較すること、及び
c)好ましくは、工程c)の結果に基づいて、対象の認知低下の重症度を診断すること
を含む、方法に関する。
「対象」及び「試料」という用語は上記で定義されている。定義は、適宜、適用される。例えば、試料が得られた時点で対象が洞調律であったことが想定される。
無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞及び/又は臨床的無症候性梗塞(病変のサイズ、位置及びタイプを含む)等の脳血管損傷の診断は、今日では、典型的には長く費用のかかる磁気共鳴画像法(MRI)を用いて行われている。しかしながら、オステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の決定は、脳MRIのための迅速かつ費用効率の高い事前選択を可能にする。
本発明の方法は、無症候性梗塞及び/又は認知低下のリスクがあると同定された患者、高度の無症候性の小さい及び/又は大きい非皮質梗塞又は皮質梗塞を有すると同定された患者、過去に1回以上の無症候性梗塞を経験したと同定された患者、及び/又は、AFを患っていると診断された患者を、脳の磁気共鳴画像法(MRI)、特に脳血管損傷を評価するためのMRIに供する工程をさらに含んでもよい。
本発明の第8の態様では、本方法は、対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するための、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の、又はバイオマーカーに結合する薬剤の、インビトロ使用に関する。
本発明はさらに、対象における無症候性の小さい及び/又は大きい非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度を評価するための、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の、又は、バイオマーカーに結合する薬剤の、インビトロ使用に関する。
本発明はさらに、対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価するための、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の、又は、バイオマーカーに結合する薬剤の、インビトロ使用に関する。
本発明はさらに、対象の臨床脳卒中リスクスコアの予測精度を改善するための、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の、又は、バイオマーカーに結合する薬剤の、インビトロ使用に関する。
好ましくは、上述の使用は、インビトロ使用である。したがって、それらは好ましくは対象から得られた試料中で行われる。さらに、検出剤は、好ましくは、決定されるべきバイオマーカーに特異的に結合するモノクローナル抗体(又はその抗原結合断片)などの抗体である。
本発明の方法はまた、コンピュータ実装方法として実施されてもよい。
本発明の第9の態様では、本方法は、対象における脳卒中及び/又は無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するためのコンピュータ実装方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、処理ユニットにおいて受け取ること、
b)工程(a)において受け取った値を処理ユニットで処理することであって、処理することが、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量について1つ又は複数の閾値をメモリから検索することと、工程(a)において受け取った値を1つ又は複数の閾値と比較することとを含む、値を処理ユニットで処理すること、及び
c)出力装置を介して無症候性梗塞及び/又は認知低下の予測を提供することであって、予測が工程(b)の結果に基づいている、予測を提供すること
を含む、コンピュータ実装方法に関する。
本発明はさらに、対象における無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度を評価するためのコンピュータ実装方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、処理ユニットにおいて受け取ること、
b)工程(a)において受け取った値を処理ユニットで処理することであって、処理することが、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量について1つ又は複数の閾値をメモリから検索することと、工程(a)において受け取った値を1つ又は複数の閾値と比較することとを含む、値を処理ユニットで処理すること、及び
e)出力装置を介して対象における無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度の評価を提供すること(当該評価は工程(b)の結果に基づく)
を含む、コンピュータ実装方法に関する。
本発明はさらに、対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価するためのコンピュータ実装方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、処理ユニットにおいて受け取ること、
b)工程(a)において受け取った値を処理ユニットで処理することであって、処理することが、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量について1つ又は複数の閾値をメモリから検索することと、工程(a)において受け取った値を1つ又は複数の閾値と比較することとを含む、値を処理ユニットで処理すること、及び
c)出力装置を介して対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかの評価を提供すること(当該評価は工程(b)の結果に基づく)
を含む、コンピュータ実装方法に関する。
本発明の方法の一実施形態において、(本発明のコンピュータ実装方法の最後の工程による)予測、評価又は診断に関する情報は、予測、評価又は診断を提示するように構成されたディスプレイを介して提供される。例えば、対象が無症候性梗塞及び/又は認知低下のリスクがあるか否かに関する情報が提供されてもよい。さらに、適切な治療法の推奨を表示することができる。
本発明の方法の一実施形態において、当該方法は、本発明の方法の評価の情報を対象の電子医療記録に転送するさらなる工程を含み得る。
あるいは、本発明の方法の最後の工程で行われた評価を、プリンタによって印刷することができる。印刷出力は、患者にリスクがあるか、リスクがないか、及び/又は適切な治療措置の推奨に関する情報を含むものとする。
本発明はさらに、コンピュータ又はコンピュータネットワーク上でプログラムが実行される際に、本発明による方法の工程を実施するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムに関する。典型的には、コンピュータプログラムは、具体的には、本明細書に開示される方法の工程を実施するためのコンピュータ実行可能命令を含むことができる。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データ媒体に記憶され得る。
本発明はさらに、プログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されるときに、脳卒中及び/又は認知低下の予測のためのコンピュータ実装方法等の本発明によるコンピュータ実装方法を実行するために、機械可読キャリア上に記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品、例えばコンピュータプログラムの文脈で論じられた上述の工程の1つ以上に関する。本明細書中で用いられる場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般的に、紙のフォーマットなどの任意のフォーマットで、又はコンピュータ可読データキャリア上に存在することができる。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワーク上で配信されてもよい。
本発明はさらに、少なくとも1つの処理ユニットを備えるコンピュータ又はコンピュータネットワークに関し、処理ユニットは、本発明によるコンピュータ実装方法の全ての工程を実施するように適合される。
さらに、本発明はまた、以下を企図する:
- プロセシングユニットが、この説明で記載され実施形態の1つによる方法を実行するように適合された少なくとも1つの処理ユニットを含むコンピュータ又はコンピュータネットワーク、
- データ構造がコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合されたコンピュータロード可能データ構造、
- プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、この明細書に記載された実施形態の1つによる方法を実行するように適合されたコンピュータスクリプト、
- コンピュータプログラムがコンピュータ上又はコンピュータネットワーク上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
- プログラム手段がコンピュータに読み取り可能な記憶媒体上に記憶された、先行する実施形態にかかるプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
- データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造が、コンピュータ若しくはコンピュータネットワークの主記憶装置及び/又は作業記憶装置にロードされた後、本明細書に記載の実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するように適合された、記憶媒体、
- コンピュータ又はコンピュータネットワーク上でプログラムコード手段が実行された場合に、この明細書に記載された実施形態のうちの1つにかかる方法を実行するために、プログラムコード手段が記憶されることができる、又は記憶媒体上に記憶されることができる、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品、
- 典型的には暗号化された、本明細書中上記で特定されるような個体から得られるグルコースデータ測定値を含むデータストリームシグナル、並びに
- 本発明の方法によって得られたガイダンスの評価を補助する情報を含む、典型的には暗号化されたデータストリームシグナル。
さらなる実施形態では、本発明は、以下の項目に関する:
以下では、本発明の実施形態が概要される。本明細書での上記の定義は、好ましくは、以下の実施形態に適用される。
1.対象の脳卒中を評価するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、及び
b)バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を基準量と比較すること
を含み、それにより、脳卒中が評価される、方法。
2.対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
b)工程a)において決定された量を、基準と比較すること、及び
c)対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価すること
を含む、方法。
3.基準よりも大きいオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量が、脳卒中及び/又は無症候性梗塞に罹患している対象を示すものであり、及び/又は、基準よりも低いオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量が、脳卒中及び/又は無症候性梗塞に罹患していない対象を示すものである、請求項1又は2に記載の方法。
4.対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
b)工程a)において決定された量を、基準と比較すること、及び
c)対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測すること
を含む、方法。
5.バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値が、CHA-VAScスコアと組み合わされ、それにより、無症候性脳梗塞及び/又は認知低下についての臨床リスクスコアの予測精度が改善される、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
6.対象の無症候性梗塞及び/又は認知低下についての臨床リスクスコアの予測精度を改善するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定する工程、及び
b)バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、無症候性脳梗塞についての臨床リスクスコアと組み合わせる工程
を含み、それにより、無症候性脳梗塞についての臨床リスクスコアの予測精度が改善される、方法。
7.さらに、対象が1ヶ月~5年以内、例えば1年以内又は2年以内に無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクが予測される、請求項6に記載の方法。
8.対象における無症候性の大小の非皮質梗塞及び皮質梗塞の程度を評価するための方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、及び
b)工程a)において決定された量に基づいて、対象における無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度を評価すること
を含む、方法。
9.対象が、心房細動に罹患している、実施形態1又は8のいずれか一つに記載の方法。
10.心房細動が発作性又は持続性の心房細動である、実施形態1又は10のいずれか一つに記載の方法。
11.対象がヒトであるか、且つ/又は、試料が好ましくは血液、血清若しくは血漿であるか、若しくは試料が組織試料である、実施形態1又は10のいずれか一つに記載の方法。
12.バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3がポリペプチドである、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.対象が65歳以上である、実施形態1~12のいずれか一つに記載の方法。
14.対象が、脳卒中及び/又はTIA(一過性脳虚血発作)の病歴を有する、実施形態1~13のいずれか一つに記載の方法。
15.試料が得られた時点で対象が洞調律であった、実施形態1~14に記載の方法。
16.対象における無症候性の大小の非皮質梗塞若しくは皮質梗塞及び/認知機能の程度をモニタリングするための方法であって、
a)対象からの第1の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
b)第1の試料の後に得られた対象からの第2の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
c)第1の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を、第2の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量と比較すること、
d)工程c)の結果に基づいて、対象の無症候性の大小の非皮質梗塞若しくは皮質梗塞及び/又は認知機能及び/又は認知機能の程度をモニタリングすること
を含む、方法。
17.
e)抗凝固療法を推奨する工程、
f)抗凝固療法の強化を推奨する工程、
g)リスク因子管理の強化の工程、及び
h)専門クリニックでのケアの工程
をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
18.対象における脳卒中及び/又は無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するためのコンピュータ実装方法であって、
a)対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、処理ユニットにおいて受け取ること、
b)工程(a)において受け取った値を処理ユニットで処理することであって、処理することが、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量について1つ又は複数の閾値をメモリから検索することと、工程(a)において受け取った値を1つ又は複数の閾値と比較することとを含む、値を処理ユニットで処理すること、及び
a)出力装置を介して無症候性梗塞及び/又は認知低下の予測を提供することであって、予測が工程(b)の結果に基づいている、予測を提供すること
を含む、コンピュータ実装方法。
19.CHA-VAScスコアの値が、工程a)において処理ユニットで受け取ることに追加されることをさらに含む、請求項18のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
20.
a)対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するため、
b)無症候性の大小の非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度を評価するため、又は
c)対象についての臨床脳卒中リスクスコアの予測精度を改善するための、
オステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の、又は、オステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3に結合する薬剤の、インビトロ使用。
21.
I.オステオポンチンが、オステオポンチンポリペプチドであり、
II.心筋トロポニンが、心筋トロポニンポリペプチドであり、
III.ナトリウム利尿ペプチドが、ナトリウム利尿ペプチドポリペプチドであり、
IV.FABP-3が、FABP-3ポリペプチドであり、
V.対象がヒトであり、
VI.対象が65歳以上であり、及び/又は
VII.対象が、脳卒中及び/又はTIA(一過性脳虚血発作)の既知の病歴を有していない、
請求項1~20のいずれか一項に記載の方法、又は請求項20に記載のインビトロ使用。
22.対象が1回以上の無症候性脳卒中を経験したかどうかを評価するための、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の、又は、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3に結合する薬剤の、インビトロ使用。
23.対象の臨床脳卒中リスクスコアの予測精度を改善するための、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びhFABP-3の、又は、バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びhFABP-3に結合する薬剤の、インビトロ使用。
本明細書で引用された全ての参考文献は、その全体の開示内容及び本明細書で具体的に言及された開示内容に関して、参照により本明細書で組み込まれる。
結果
実施例1:循環オステオポンチン、hsTNT、NT-proBNP及びhFABP-3レベルの組み合わせに基づく無症候性脳梗塞(LNCCI)の予測
無症候性脳梗塞の評価におけるオステオポンチン、hsTNT、NT-proBNP及びhFABP-3レベルの組み合わせは、以下の方法を提供する:
1.血清/血漿中のオステオポンチン、hsTNT、NT-proBNP及びhFABP-3の循環レベルの組み合わせに基づいて心房細動患者における無症候性脳梗塞のリスクの予測(SWISSAF試験、表1)
2.血清/血漿中のオステオポンチン、hsTNT、NT-proBNP及びhFABP-3レベルの循環レベルの組み合わせに基づく無症候性脳梗塞の臨床的脳卒中リスクスコアの臨床的予測の精度の改善(例えば、CHADS-VASc、CHADS2スコア)(SWISS AF試験、表2+3)
オステオポンチン、hsTNT、NT-proBNP及びhFABP-3の循環レベルの組み合わせが無症候性梗塞の発生のリスクを予測する能力を、SWISS AF試験(Conen D.,Forum Med Suisse 2012;12:860-862;Conen et al.,Swiss Med Wkly.2017;147)において評定した。SWISS AFコホートの患者は、年齢中央値74歳、以前の臨床脳卒中又はTIAの割合20%、血管疾患の割合34%及び糖尿病の病歴17%を有する。オステオポンチン、hsTNT、NT-proBNP及びhFABP-3の濃度レベルを、個々のマーカー濃度レベルを対数変換した後、ロジスティック回帰モデルを用いて組み合わせた。無症候性梗塞の検出のための臨床性能は、ROC分析及びROC下面積(AUC)によって評価した。
Figure 2023537976000002
bMRI上のLNCCIを有する患者はより高齢であり(75.0対68.1歳、p<0.0001)、より頻繁に永続的AFを有し(28.4対17.8%、p=0.0002)、より高い収縮期BPレベル(136.7対131.3mmHg、p<0.0001)及びより高いCHA2DS2-VAScスコア(3.2対2.1点、p<0.0001)を有していたが、経口抗凝固療法の速度に差を示さなかった(90.3対88.5%、p=0.32)。
表1は、オステオポンチン、hsTNT、NT-proBNPが、LNCCIの存在のリスクと正に有意に関連することを示す。hFABP-3の係数は、LNCCIの存在との負の関連を示しており、p値は0.05をわずかに上回る。しかしながら、hFABP-3を除去すると、組み合わせたモデルの臨床性能が低下し、そのため、他のバイオマーカーからLNCCI非関連分散を除去する抑制効果が示唆される。
したがって、血清/血漿中のオステオポンチン、hsTNT、NT-proBNP及びhFABP-3の循環レベルの組み合わせに基づいて、心房細動患者における無症候性脳梗塞のリスクを評価することができる。
Figure 2023537976000003
表2に示すように、臨床リスクスコア(ここではCHA2DS2-VAScの形)をモデルに追加した場合、hFABP-3を除いて、バイオマーカーの係数は有意なままである(<0.05)。一方、CHA2DS2-VAScはLNCCIの存在確率と単変量で有意に関連しているが、CHA2DS2-VAScのp値は明らかに0.05より大きいことが分かる。これは、バイオマーカーがCHA2DS2-VAScよりもLNCCIの存在に関する情報を多く含むことを示唆している。
Figure 2023537976000004
予測変数は、CHADS2-VA2SCスコアに加えて対数化されたバイオマーカーであり、結果変数は、大きな非皮質及び皮質梗塞の有無であった。
これは、CHA2DS2-VASc(0.602(0.558;0.647))スコアのAUC値及び組み合わせたモデルを比較した場合にも見られる。
表3に示すように、CHA2DS2-VAScスコアのAUC(95% CI)は、オステオポンチン、hsTNT、NT-proBNP、hFABP-3によって0.665(0.620;0.710)に改善された。
また、バイオマーカーであるオステオポンチン、hsTNT、NT-proBNP、hFABP-3のみを含むモデルのAUC(0.661(0.616;0.705))も、CHA2DS2-VAScよりも優れている。
オステオポンチン、hsTNT、NT-proBNP、hFABP-3とCHA2DS2-VASCスコアの臨床パラメータとの組み合わせは、臨床的に無症候性の脳梗塞を十分に予測し、CHA2DS2-VAScスコアを凌駕した。認知低下のリスクがある患者の早期の臨床的同定は、より良好な診断及び予防措置を可能にし得る。
これらのデータは、オステオポンチン、hsTNT、NT-proBNP及びhFABP-3の循環レベルの組み合わせを使用して、無症候性梗塞のリスクを評価し、疾患を分類し、疾患の重症度を評価し、(治療強化/減少を目的として)治療を導き、疾患の転帰(リスク予測、例えば脳卒中)を予測し、治療をモニタリングし(例えば、バイオマーカーの臨床リスクスコアに対する抗凝固薬の効果)、治療を層別化(治療選択肢の選択;例えば、SWISS AFからの長期及び選択)することができることを示唆している。

Claims (15)

  1. 対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価するための方法であって、
    a)前記対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
    b)工程a)において決定された前記量を、基準と比較すること、及び
    c)対象が1回以上の無症候性梗塞を経験したかどうかを評価すること
    を含む、方法。
  2. 前記基準よりも大きい前記バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量が、1回以上の無症候性梗塞に罹患している対象を示すものであり、前記基準よりも低い前記バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量が、1回以上の無症候性梗塞に罹患していない対象を示すものである、請求項1に記載の方法。
  3. 対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するための方法であって、
    a)前記対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
    b)工程a)において決定された前記量を、基準と比較すること、及び
    c)対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測すること
    を含む、方法。
  4. 対象の無症候性梗塞及び/又は認知低下についての臨床リスクスコアの予測精度を改善するための方法であって、
    a)前記対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定する工程、及び
    b)前記バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の前記量の値を、無症候性脳梗塞についての前記臨床リスクスコアと組み合わせる工程
    を含み、それにより、無症候性脳梗塞についての前記臨床リスクスコアの前記予測精度が改善される、方法。
  5. 前記バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の前記量の値が、CHA-VAScスコアと組み合わされ、それにより、無症候性脳梗塞及び/又は認知低下についての臨床リスクスコアの前記予測精度が改善される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記対象が1ヶ月~5年以内、例えば1年以内又は2年以内に無症候性梗塞及び/又は認知低下に罹患するリスクが予測される、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 対象における無症候性の大小の非皮質梗塞及び皮質梗塞の程度を評価するための方法であって、
    a)前記対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、及び
    b)工程a)において決定された前記量に基づいて、対象における無症候性の大きな非皮質梗塞又は皮質梗塞の程度を評価すること
    を含む、方法。
  8. 対象における無症候性の大小の非皮質梗塞若しくは皮質梗塞及び/又は認知機能の程度をモニタリングするための方法であって、
    a)前記対象からの第1の試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
    b)前記第1の試料の後に得られた前記対象からの第2の試料中の前記バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量を決定すること、
    c)前記第1の試料中の前記バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の前記量を、前記第2の試料中の前記バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の前記量と比較すること、及び
    d)工程c)の結果に基づいて、前記対象の無症候性の大小の非皮質梗塞若しくは皮質梗塞及び/又は認知機能及び/又は認知機能の程度をモニタリングすること
    を含む、方法。
  9. a)抗凝固療法を推奨する工程、
    b)抗凝固療法の強化を推奨する工程、
    c)リスク因子管理の強化の工程、及び
    d)専門クリニックでのケアの工程
    をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記対象が、心房細動に罹患している、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記対象がヒトである、且つ/又は、前記試料が好ましくは血液、血清若しくは血漿であるか、若しくは前記試料が組織試料である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するためのコンピュータ実装方法であって、
    a)前記対象からの試料中のバイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の量の値を、処理ユニットにおいて受け取ること、
    b)工程(a)において受け取った前記値を前記処理ユニットで処理することであって、前記処理することが、前記バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の前記量について1つ又は複数の閾値をメモリから検索することと、工程(a)において受け取った前記値を前記1つ又は複数の閾値と比較することとを含む、前記値を前記処理ユニットで処理すること、及び
    c)出力装置を介して無症候性梗塞及び/又は認知低下の予測を提供することであって、前記予測が工程(b)の結果に基づいている、予測を提供すること
    を含む、コンピュータ実装方法。
  13. 前記CHA-VAScスコアの値が、工程a)において処理ユニットで受け取ることに追加されることをさらに含む、請求項12に記載のコンピュータ実装方法。
  14. a)対象における無症候性梗塞及び/又は認知低下を予測するため、
    b)無症候性の大小の非皮質t又は皮質tの程度を評価するため、又は
    c)対象についての臨床脳卒中リスクスコアの予測精度を改善するための、
    バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3の、又は、前記バイオマーカーであるオステオポンチン、心筋トロポニン、ナトリウム利尿ペプチド及びFABP-3に結合する薬剤の、インビトロ使用。
  15. I.オステオポンチンが、オステオポンチンポリペプチドであり、
    II.心筋トロポニンが、心筋トロポニンポリペプチドであり、
    III.ナトリウム利尿ペプチドが、ナトリウム利尿ペプチドポリペプチドであり、
    IV.FABP-3が、FABP-3ポリペプチドであり、
    V.前記対象がヒトであり、
    VI.前記対象が65歳以上であり、及び/又は
    VII.前記対象が、脳卒中及び/又はTIA(一過性虚血発作)の既知の病歴を有していない、
    請求項1~14のいずれか一項に記載の方法、又は請求項15に記載のインビトロ使用。
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