JP2023529727A - コロナウイルス感染性疾患を処置するための方法および組成物 - Google Patents

コロナウイルス感染性疾患を処置するための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

コロナウイルス感染性疾患、例えばCOVID-19を処置するための方法および組成物を本明細書に記載する。本発明の局面は、Notch4を標的とする作用物質を対象へ投与することに関する。TIFF2023529727000017.tif51160

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国を指定し、米国特許法第119条(e)項に基づき、2020年6月12日に出願された米国仮出願第63/038,186号の恩典および優先権を主張する国際出願であり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
政府の支援
本発明は、国立アレルギー・感染症研究所によって授与された助成金番号R1 AI065617に基づく政府の支援を受けて為された。政府は本発明において一定の権利を有する。
背景
ベータコロナウイルス(CoV)グレイドSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID19は、無症候性疾患から致命的な多臓器不全にまで及ぶ。COVID-19疾患重症度は、大気汚染などへの有害な環境曝露、ならびに肥満、高血圧および糖尿病などの基礎的な併存疾患によって影響され得る。自然免疫、特にI型インターフェロン、およびT細胞媒介適応免疫の両方がウイルス複製を制限するために重要である。現在まで、COVID19を有する対象の免疫状態に関して、非常に限られた情報が入手可能である。COVID-19における免疫調節異常のメカニズムの完全な理解は、有効な標的療法の開発にとって極めて重要である。
概要
一局面において、本発明は、Notch4を阻害する作用物質の有効量を、コロナウイルス感染性疾患を有する対象へ投与する工程を含む、コロナウイルス感染性疾患の症状を処置または軽減するための方法に関する。
任意の局面の一態様において、コロナウイルス感染性疾患はCOVID-19である。
任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を有すると対象を診断するステップをさらに含む。
任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む。
任意の局面の一態様において、Notch4を阻害する作用物質は、小分子、抗体またはその抗原結合性断片、ペプチド、ゲノム編集システム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNAiからなる群より選択される。
任意の局面の一態様において、抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片、例えば、ヒト化Notch4抗体またはそのNotch4結合性断片である。
任意の局面の一態様において、RNAiは、マイクロRNA、siRNA、またはshRNAである。
任意の局面の一態様において、Notch4を阻害することは、Notch4の発現レベルおよび/または活性を阻害することである。
任意の局面の一態様において、Notch4の発現レベルおよび/または活性は、適切な対照または基準レベルと比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上阻害される。
任意の局面の一態様において、Notch4はT制御性細胞上で阻害される。
任意の局面の一態様において、方法は、少なくとも1つの追加の治療薬を投与する工程をさらに含む。
任意の局面の一態様において、少なくとも1つの追加の治療薬は抗ウイルス治療薬である。
本明細書に提供される別の局面は、Notch4を阻害する作用物質の有効量を、COVID-19を有する対象へ投与する工程を含む、COVID-19を処置するための方法である。
任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、COVID-19を有すると対象を診断するステップをさらに含む。
任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、COVID-19を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む。
本明細書に提供される別の局面は、Notch4を阻害する作用物質を、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがある対象へ投与する工程を含む、コロナウイルス感染性疾患を予防するための方法である。
任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがある対象を特定するステップをさらに含む。
任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがあると対象を特定するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む。
本明細書に提供される別の局面は、Notch4を阻害する作用物質を、COVID-19疾患を発症するリスクがある対象へ投与する工程を含む、COVID-19を予防するための方法である。
任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、COVID-19を発症するリスクがある対象を特定するステップをさらに含む。
任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、COVID-19を発症するリスクがあると対象を特定するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む。
本明細書に提供される別の局面は、コロナウイルス感染性疾患の処置のための組成物であって、Notch4を阻害する作用物質および薬学的に許容される担体を含む、組成物である。
本明細書に提供される別の局面は、COVID-19の処置のための組成物であって、Notch4を阻害する作用物質および薬学的に許容される担体を含む、組成物である。
一態様において、組成物は吸入投与のために製剤化されている。
本明細書に提供される別の局面は、(a)Notch4のレベルが基準レベルと比較して増加している場合にARDSを発症するリスクがあると対象を特定するアッセイの結果を受け取る工程:および(b)ARDSを発症するリスクがあると特定された対象へNotch4を阻害する作用物質を投与する工程を含む、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を発症するリスクがある対象を処置するための方法である。
任意の局面の一態様において、対象は、生物学的試料を取得する前に、COVID-19を有すると診断された。
任意の局面の一態様において、方法は、生物学的試料を取得する前に、COVID-19を有すると対象を診断するステップをさらに含む。
任意の局面の一態様において、方法は、生物学的試料を取得する前に、COVID-19を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む。
任意の局面の一態様において、投与ステップの前に、対象におけるNotch4のレベルは、基準レベルと比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはそれ以上増加している。
本明細書に提供される別の局面は、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する対象を処置するための方法であって、(a)Notchのレベルが基準レベルと比較して増加している場合にARDSを有すると、対象を特定するアッセイの結果を受け取る工程;および(b)ARDSを有すると特定された対象へNotch4を阻害する作用物質を投与する工程を含む、方法である。
一局面において、コロナウイルス感染性疾患に関連する症状を処置、予防、または軽減するための方法であって、有効量のNotch4調節作用物質を、コロナウイルス感染性疾患を有するかまたは有するリスクがある対象へ投与する工程を含む、方法を提供する。
いくつかの態様において、コロナウイルス感染性疾患はCOVID19である。
いくつかの態様において、Notch4調節作用物質は、小分子、抗体またはその抗原結合性断片、ペプチド、ゲノム編集システム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNAiからなる群より選択される。
いくつかの態様において、Notch4調節作用物質は、Notch4抗体またはそのNotch4結合性断片、例えば、ヒト化Notch4抗体またはそのNotch4結合性断片である。
いくつかの態様において、Notch4調節作用物質はNotch4の発現レベルおよび/または活性を低下させる。
いくつかの態様において、Notch4調節作用物質は、適切な対照または基準レベルと比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上、Notch4の発現レベルおよび/または活性を低下させる。
一局面において、コロナウイルス感染性疾患に関連する症状の処置、予防、または軽減のための組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物は、Notch4調節作用物質および薬学的に許容される担体を含む。
一局面において、それを必要とする対象において、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を処置または予防する方法であって、Notch4を調節する作用物質の有効量を対象へ投与する工程を含む、方法を提供する。
いくつかの態様において、Notch4を調節する作用物質は、小分子、抗体またはその抗原結合性断片、ペプチド、ゲノム編集システム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNA干渉(RNAi)作用物質である作用物質からなる群より選択される。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である。例えば、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト化Notch4抗体またはその抗原結合性断片であり得る。
いくつかの態様において、RNAi作用物質は、マイクロRNA、siRNA、またはshRNAである。
いくつかの態様において、Notch4の発現レベルおよび/または活性を低下させることによってNotch4を調節する。いくつかの態様において、Notch4の発現レベルおよび/または活性を、適切な対照または基準レベルと比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上低下させる。
いくつかの態様において、作用物質は、Notch4の発現および/または活性を阻害することによってNotch4を調節する。
いくつかの態様において、それを必要とする対象において、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を処置または予防する方法であって、Notch4活性を調節する抗体またはその抗原結合性断片の有効量を対象へ投与する工程を含む、方法を提供する。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト化抗体、キメラ抗体、ナノボディ、アフィボディ、scFv、Fab、またはその抗原結合性断片である。
いくつかの態様において、Notch4はT制御性細胞上で調節される。
いくつかの態様において、提供される方法は、少なくとも1つの追加の治療薬を投与する工程をさらに含む。例えば、追加の治療薬は抗ウイルス治療薬であり得る。
いくつかの態様において、投与ステップの前の対象におけるNotch4のレベルは、基準レベルと比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはそれ以上増加している。
いくつかの態様において、対象におけるNotch4のレベルを投与前に決定する。
いくつかの態様において、対象におけるNotch4のレベルを作用物質の投与後にモニターする。
定義
便宜のため、本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲において使用されるいくつかの用語および語句の意味が、以下に提供されている。別段の記載がなければ、または文脈上黙示されていなければ、以下の用語および語句は、以下に提供される意味を含む。定義は、特定の態様を記載することを補助するために提供されており、技術の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるので、特許請求の範囲に記載された技術を限定することは意図されていない。別段の定義がなければ、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野において通常の技術を有する者によって一般に理解されているものと同一の意味を有する。当技術分野における用語の用法と本明細書に提供されるその定義との間に明らかな齟齬が存在する場合には、本明細書内に提供された定義が優越するものとする。
本明細書において使用される場合、用語「約」および「およそ」は互換的に使用される。本明細書において値に関して使用される場合、「約」または「およそ」は、参照された値と文脈において類似する値を指す。一般に、文脈に精通している当業者は、その文脈における「約」によって包含される関連する程度の分散を理解するであろう。例えば、いくつかの態様において、用語「約」は、参照された値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内、またはそれ以下の値の範囲を包含し得る。
本明細書において使用される場合、用語「抗体」は、そのアミノ酸配列が、指定の抗原またはその断片へ特異的に結合する免疫グロブリンおよびその断片を含むポリペプチドを指す。特に明記しない限り、抗体は、任意のタイプ(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgM)またはサブタイプ(例えば、IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)であり得る。当業者は、抗体の特徴的な配列または部分が、抗体の1つまたは複数の領域(例えば、可変領域、超可変領域、定常領域、重鎖、軽鎖、およびそれらの組み合わせ)中に見出されるアミノ酸を含み得ることを理解するであろう。さらに、当業者は、抗体の特徴的な配列または部分が1つまたは複数のポリペプチド鎖を含み得、同じポリペプチド鎖または異なるポリペプチド鎖中に見出される配列要素を含み得ることを理解するであろう。いくつかの態様において、抗体はヒト化またはキメラである。
本明細書において使用される場合、「抗原結合性断片」は、親抗体の結合特性を保持する抗体の部分を指す。いくつかの態様において、抗原結合性断片は、ナノボディ、アフィボディ、scFv、およびFabより選択される。
本明細書において使用される場合、「処置する」、「処置」、「処置している」または「軽減」という用語は、その目的が、コロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19または急性呼吸促迫症候群(ARDS))と関連する状態または症状の進行または重症度を反転させ、緩和し、軽減し、抑制し、遅くし、または停止させることである治療的処置を表す。特定の疾患の文脈において、「処置する」という用語は、疾患(例えば、COVID-19(例えば、呼吸困難などの症状)、ARDSなど)の少なくとも1つの有害な作用または症状を低減または緩和することを含む。1つまたは複数の症状または臨床マーカーが低減されれば、処置は一般に「有効」である。あるいは、疾患の進行が低減され、または停止されれば、処置は「有効」である。すなわち、「処置」は、症状またはマーカーの改善だけではなく、処置の不存在下において予想されるものと比較して、症状の進行または悪化の停止または少なくとも減速も含む。有益なまたは所望される臨床的結果としては、1つもしくは複数の症状の緩和、疾患の程度の減弱、疾患の安定化された(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延もしくは減速、疾患状態の軽減もしくは軽快、寛解(部分的かまたは完全かを問わない)および/または減少した死亡率が挙げられるが、これらに限定されず、検出可能かまたは検出不能かを問わない。疾患の「処置」という用語は、疾患の症状または副作用からの緩和(対症的処置を含む)を与えることも含む。
本明細書において使用される場合、「予防すること」または「予防」は、当方法(例えば、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)または本明細書に記載されている組成物の投与など)の作用によって、疾患状態または障害(例えば、コロナウイルス感染性疾患(例えばCOVID-19)またはARDS)が起こらない任意の方法を表す。一局面において、予防は、処置されていない対照において起こる程度まで疾患が確立されないことも意味し得ることが理解される。例えば、処置されていない対照と比べて、疾患の確立頻度の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の低下が存在し得る。したがって、疾患の予防は、処置されていない対象(例えば、本明細書に記載される作用物質を含む組成物で処置されていない対象)と比べて、対象が疾患を発症する可能性の低下を包含する。
本明細書において使用される場合、「投与すること」という用語は、対象への作用物質の少なくとも部分的な送達をもたらす方法または経路による、本明細書に開示されている治療薬(例えば、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質))または組成物の対象中への配置を表す。本明細書に開示されている作用物質を含む薬学的組成物は、対象において有効な処置をもたらす任意の適切な経路によって投与することができる。
本明細書において使用される場合、「対象」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、霊長類、げっ歯類、家畜または狩猟動物などの脊椎動物である。霊長類としては、例えば、チンパンジー、カニクイザル、クモザルおよびマカク、例えば、アカゲザルが挙げられる。げっ歯類としては、例えば、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギおよびハムスターが挙げられる。家畜および狩猟動物としては、例えば、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ネコ種、例えば、家ネコ、イヌ種、例えば、イヌ、キツネ、オオカミ、トリ種、例えば、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、ならびに魚、例えば、マス、ナマズおよびサケが挙げられる。いくつかの態様において、対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、例えば、ヒトである。「個体」、「患者」および「対象」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
好ましくは、対象は哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、コウモリ、ウマまたはウシであり得るが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳動物は、疾患、例えば、コロナウイルス感染性疾患の動物モデルに相当する対象として有利に使用することができる。対象は、雄または雌であり得る。対象は、子供(例えば、18歳未満)または成体(例えば、18歳より大きい)であり得る。
対象は、処置を必要とする疾患もしくは障害(例えば、コロナウイルス感染性疾患(例えばCOVID-19)またはARDS)またはこのような疾患もしくは障害に関連する1つもしくは複数の合併症に罹患しているもしくは有すると以前に診断されたもしくは特定された対象であって、任意で、疾患もしくは障害または疾患もしくは障害に関連する1つもしくは複数の合併症に対する処置をすでに受けた対象であり得る。あるいは、対象は、このような疾患もしくは障害(例えば、COVID-19もしくはARDS)または関連する合併症を有すると以前に診断されていない対象でもあり得る。例えば、対象は、疾患もしくは障害または疾患もしくは障害に関連する1つもしくは複数の合併症に対する1つもしくは複数のリスク因子を呈する対象またはリスク因子を呈しない対象であり得る。
本明細書において使用される場合、特定の標的を調節または阻害する「作用物質」は、例えば、その標的、例えば、ポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの発現を調節もしくは阻害し、または標的、例えば、ポリペプチドもしくはポリヌクレオチドに結合し、その刺激を部分的にもしくは完全に遮断し、その活性化を減少させ、抑制し、遅延させ、その活性を不活化し、脱感作し、もしくは下方制御する、分子、タンパク質、ペプチド、抗体または核酸を表す。Notch4を調節または阻害する作用物質は、例えば、ポリペプチドの発現、例えば、翻訳、翻訳後プロセシング、安定性、分解、もしくは核もしくは細胞質局在化、またはポリヌクレオチドの転写、転写後プロセシング、安定性もしくは分解を調節または阻害し、または、ポリペプチドもしくはポリヌクレオチドに結合し、その刺激、DNA結合、転写因子活性もしくは酵素活性を部分的にもしくは完全に遮断し、その活性化を減少させ、抑制し、遅延させ、その活性を不活化し、脱感作しもしくは下方制御する。作用物質は、直接的にまたは間接的に作用することができる。
本明細書において使用される「作用物質」という用語は、小分子、核酸、ポリペプチド、ペプチド、薬物、イオンなどの、ただしこれらに限定されない任意の化合物または物質を意味する。「作用物質」は、任意の化学物質、実体(entity)または部分(moiety)であり得、合成のおよび天然に存在するタンパク質性および非タンパク質性実体を含むが、これらに限定されない。いくつかの態様において、作用物質は、核酸、核酸類縁体、タンパク質、抗体、ペプチド、アプタマー、タンパク質、オリゴヌクレオチド、リボザイム、DNAザイム、糖タンパク質、siRNA、リポタンパク質、アプタマーを含むがこれらに限定されない核酸、アミノ酸または炭水化物のオリゴマー、ならびにこれらの修飾および組み合わせなどである。ある態様において、作用物質は、化学的部分を有する小分子である。例えば、化学的部分としては、置換されていないまたは置換された、アルキル、芳香族またはヘテロシクリル部分が挙げられ、マクロライド、レプトマイシンならびにこれらの関連する天然生成物または類縁体が含まれる。化合物は、所望の活性および/もしくは特性を有することが公知であり得、または多様な化合物のライブラリーから選択することができる。
作用物質は、1つまたは複数の化学的クラスからの分子、例えば、有機金属分子が含まれ得る有機分子、無機分子、遺伝子配列などであり得る。作用物質は、1つもしくは複数のタンパク質からの融合タンパク質、キメラタンパク質(例えば、関連する分子または異なる分子の機能的に重要な領域のドメイン交換または相同的組換え)、合成タンパク質または置換、欠失、挿入およびその他の変異を含むその他のタンパク質変異形でもあり得る。
本明細書において使用される場合、「小分子」という用語は、約10,000g/モル未満の分子量を有する、ペプチド、ペプチド模倣物、アミノ酸、アミノ酸類縁体、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類縁体、アプタマー、ヌクレオチド、ヌクレオチド類縁体、有機または無機化合物(例えば、複素有機化合物および有機金属化合物を含む)、約5,000g/モル未満の分子量を有する有機または無機化合物、約1,000g/モル未満の分子量を有する有機または無機化合物、約500g/モル未満の分子量を有する有機または無機化合物、ならびにこのような化合物の塩、エステルおよびその他の薬学的に許容される形態が含まれ得るが、これらに限定されない化学的作用物質を表す。
本明細書において使用される「COVID-19」という用語は、コロナウイルスSARS-CoV-2によって引き起こされる呼吸器感染症を指す。
本明細書において使用される「RNAi」という用語は、干渉RNAまたはRNA干渉を表す。RNAiは、mRNAに結合し、mRNAのプロセシングを阻害する、例えば、mRNA翻訳を阻害する、またはmRNA分解をもたらす分子による特異的なmRNAの破壊による選択的転写後遺伝子発現抑制の手段を表す。本明細書において使用される場合、「RNAi」という用語は、siRNA、shRNA、内在性マイクロRNAおよび人工マイクロRNAを含むがこれらに限定されない、任意の種類の干渉RNAを表す。例えば、RNAiは、そのRNAの下流プロセシングの機序に関わらず、siRNAとして以前に同定された配列を含む(すなわち、siRNAは、mRNAの切断をもたらすインビボプロセシングの特異的な方法を有すると考えられるが、このような配列は、本明細書に記載されている隣接配列と関連して、ベクター中に組み込まれることができる)。
いくつかの態様において、本明細書に記載されている方法および組成物は、Notch4のレベルおよび/または活性が調節または阻害されることを特徴とする。本明細書において使用される場合、「Notch4」とも称される神経原性遺伝子座ノッチホモログ4は、複数の上皮増殖因子様(EGF)反復からなる細胞外ドメインと複数の異なるドメインからなる細胞内ドメインとを含む、構造的な特徴を共有するファミリーのメンバーであるI型膜貫通タンパク質を表す。Notch4配列は、多数の種、例えば、ヒトNotch4(NCBI Gene ID:4855)ポリペプチド(例えば、NCBI Ref Seq NP_004548.3)およびmRNA(例えば、NCBI Ref Seq NM_004557.3)に対して公知である。Notch4は、天然に存在する変異形を含むヒトNotch4分子およびそれらの対立遺伝子を表すことができる。Notch4は、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタなどのNotch4を表す。SEQ ID NO:1の核酸配列は、Notch4をコードする核酸配列を含む。
「減少する」、「低下した」、「低下」または「阻害する」という用語は全て、本明細書において、統計学的に有意な量の減少を意味するために使用される。いくつかの態様において、「減少」、「低下した」、「低下」または「阻害する」は、典型的には、適切な対照(例えば、所定の処置の不存在)または基準レベルと比較して少なくとも10%の減少を意味し、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%またはそれを上回る減少を含むことができる。本明細書において使用される場合、「部分的な低下」または「部分的な阻害」は、基準レベルと比較して完全な阻害または低下を包含しない。「完全な阻害」は、適切な対照または基準レベルと比較して100%の阻害である。
「増加する」、「増大する」または「活性化する」という用語は全て、本明細書において、再現可能な統計学的に有意な量の増加を意味するために使用される。いくつかの態様において、「増加する」、「増大する」または「活性化する」という用語は、基準レベルと比較して少なくとも10%の増加、例えば、基準レベルと比較して、少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%の増加もしくは最大100%および100%を含む増加、もしくは10~100%の間の任意の増加、または適切な対照もしくは基準レベルと比較して、少なくとも約2倍、もしくは少なくとも約3倍、もしくは少なくとも約4倍、もしくは少なくとも約5倍、もしくは少なくとも約10倍の増加、20倍の増加、30倍の増加、40倍の増加、50倍の増加、6倍の増加、75倍の増加、100倍の増加など、もしくは2倍と10倍の間もしくはそれを上回る任意の増加を意味することができる。マーカーという文脈において、「増加」は、再現可能な統計学的に有意なこのようなレベルの増加である。
本明細書において使用される場合、「基準レベル」は、適切な基準条件下で観察されるレベルを指す。例えば、いくつかの態様において、基準レベルは、実験動物モデルまたは臨床試験において対照を用いる前記方法の使用によって決定されるレベルである。いくつかの態様において、基準レベルは、処置前または処置開始時の同じ対象におけるレベルである。いくつかの態様において、基準レベルは、前記処置方法によって処置されていない集団における平均レベルである。いくつかの態様において、「基準レベル」は、正常な、その他影響を受けていない細胞集団または組織(例えば、健康な対象から得られた生物学的試料または事前の時点で対象から得られた生物学的試料、例えば、コロナウイルス感染性疾患と診断される前の患者から得られた生物学的試料、または本明細書に開示された作用物質と接触されていない生物学的試料)または対象におけるレベルを表す。
本明細書において使用される場合、「適切な対照」は、処置されていない、その他は同一の細胞または集団(例えば、非対照細胞と比較される、本明細書に記載されている作用物質を投与されなかった患者、または本明細書に記載された作用物質の一部のみによって投与された患者)または対象を表す。
「統計学的に有意な」または「有意に」という用語は、統計学的有意性を表し、一般的には、2標準偏差(2SD)またはそれより大きい差を意味する。
本明細書において使用される場合、「含んでいる」または「含む」という用語は、組成物、方法およびこの方法または組成物にとって不可欠である方法または組成物の各構成要素に関して使用されるが、不可欠であるか否かを問わない指定されていない要素の包含に対してなお開かれている。
単数形の用語「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に反対を表さなければ、複数表記を含む。同様に、「または」という用語は、文脈が明確に反対を表さなければ、「および」を含むものとする。本開示の実施または検査において、本明細書に記載されたものと類似のまたは均等な方法および材料を使用することができるが、適切な方法および材料が以下に記載されている。「e.g.」という略号は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、本明細書において、非限定的な例を表すために使用される。したがって、「e.g.」という略号は、「例えば」という用語と同義である。
COVID-19対象の循環Treg細胞上のNotch4の増加した発現を示す。図1A~1D、対照対象ならびに軽症、中等症、重症または消散COVID-19を有する患者(健康対照n=37、軽症患者n=20、中等症患者n=54、重症患者n=36、および回復期対象n=6)のTreg細胞(図1A、1B)およびTeff細胞(図1C、1D)中のNotch4発現のフローサイトメトリー分析、細胞頻度、絶対数およびMFI。図1E、異なる対象群におけるIL-6の血清濃度(健康対照n=37、軽症患者n=18、中等症患者n=45、および重症患者n=21)。図1F、血清IL-6濃度の関数としての患者および対照対象のTreg細胞上のNotch4発現の相関分析(n=121)。図1G、対照および患者対象におけるIFNa、IFN13、IFN1 IFNA、CXCL10、IL-113、IL-8、IL-10、IL-12およびTNFの血清濃度(健康対照n=37、軽症患者n=18、中等症患者n=45、および重症患者n=21)。各シンボルは1人の対象を表す。フロープロット中の数字はパーセンテージを示す。エラーバーはSEMを示す。統計的検定: *P<0.05, **P<0.01, ****P<0.0001、ダネットの事後分析を伴う一元配置分散分析(図1A~1E; 1G)およびピアソン相関分析(図1D)による。データは2つまたは3つの独立した実験を代表する。 図1-1の説明を参照のこと。 図1-1の説明を参照のこと。 図1-1の説明を参照のこと。 対照およびCOVID-19対象の循環Treg細胞上でのNotch1、Notch2およびNotch3の発現を示す。図2A~2C、対照およびCOVID-19対象群のTreg細胞中のNotch1(図2A)、Notch2(図2B)およびNotch3(図2C)発現のフローサイトメトリー分析およびグラフ表示。各シンボルは1人の対象を表す。フロープロット中の数字はパーセンテージを示す。エラーバーはSEMを示す。統計的検定: ダネットの事後分析を伴う一元配置分散分析。 図2Aの説明を参照のこと。 図2Aの説明を参照のこと。 ポリI:C誘発肺損傷におけるNotch4欠失の保護効果を示す。図3A~3B、PBSまたはポリI:Cで1日1回6日間処置されたFoxp3YFPCreマウスの肺、縦隔リンパ節(medLN)および脾臓TregおよびTeff細胞中のNotch4発現のフローサイトメトリー分析(図3A)ならびに細胞頻度、絶対数およびMFI(図3B)。図3C、Foxp3YFPCreマウスの肺、medLNおよび脾臓Treg細胞上のNotch4発現。図3D、示されるポリI:C処置マウスからのTreg細胞と共にインキュベートされたポリI:C処理肺マクロファージの培養物中のM1およびM2マクロファージ頻度。図3E、ポリI:Cで処置されたFoxp3YFPCreマウスの肺Notch4+またはNotch4- Treg細胞中のIL-6Rα発現のフローサイトメトリー分析。図3F、ポリI:CまたはPBS処置Foxp3YFPCreマウスの肺または脾臓からのTreg細胞中のNotch4発現のインビトロ誘導。各シンボルは1匹のマウスを表す(1群当たりn=5~15)。フロープロット中の数字はパーセンテージを示す。エラーバーはSEMを示す。統計的検定: スチューデントのt検定(b)、ダネットの事後分析を伴う一元配置分散分析(図3D); シダックの事後分析を伴う二元配置分散分析(図3Cおよび3E)。***P<0.001, ****P<0.0001。データは2つまたは3つの独立した実験からプールした。 図3-1の説明を参照のこと。 図3-1の説明を参照のこと。 ポリI:C誘発肺損傷に対する異なるNotch、HippoおよびWnt経路成分のTreg細胞特異的欠失の影響を示す。図4A、4B、示されるような、偽処置されたかまたはポリI:Cで処置されたFoxp3YFPCre、Foxp3YFPCreRbpjΔ/Δ、Foxp3YFPCreNotch1Δ/Δ Foxp3YFPCreNotch2Δ/ΔおよびFoxp3YFPCreNotch3Δ/Δマウスの体重指数(図4A)およびピーク体重減少(図4B)。図4C、メタコリンに応答してのそれぞれのマウス群におけるAHR。図4D~4F、肺組織好中球(図4D)ならびにM1(図4E)およびM2マクロファージ(図4F)のグラフ表示。図4G、4H、偽処置されたかまたはポリI:Cで処置されたFoxp3YFPCreマウスの肺組織Treg細胞中のYapおよびb-カテニンのフローサイトメトリー分析(図4G)およびグラフ表示(図4H)。図4I、4J、示されるような、偽処置されたかまたはポリI:Cで処置されたFoxp3YFPCre、Foxp3YFPCreYap1Δ/ΔWwtr1Δ/Δ、Foxp3YFPCreCtnnb1Δ/ΔおよびFoxp3YFPCreYap1Δ/ΔWwtr1Δ/Δ Ctnnb1Δ/Δマウスの体重指数(図4I)およびピーク体重減少(図4J)。図4K、メタコリンに応答してのそれぞれのマウス群におけるAHR。図4L~4N、肺組織好中球(図4L)ならびにM1(図4M)およびM2(図4N)マクロファージのグラフ表示。各シンボルは1匹のマウスを表す(1群当たりn=5)。フロープロット中の数字はパーセンテージを示す。エラーバーはSEMを示す。統計的検定: シダックの事後分析を伴う二元配置分散分析(図4A、4C、4I、4K); ダネットの事後分析を伴う一元配置分散分析(図4B、4D、4E、4F、4J、4L、4M、4N);. **P<0.01, ***P<0.001, ****P<0.0001。 図4-1の説明を参照のこと。 図4-1の説明を参照のこと。 図4-1の説明を参照のこと。 図4-1の説明を参照のこと。 Notch4欠損がポリI:C処置マウスの肺Treg細胞トランスクリプトームを再プログラムすることを示す。図5A~5C、ポリI:Cで処置されたFoxp3YFPCreおよびFoxp3YFPCreNotch4Δ/Δマウス(それぞれn=4およびn=5)から単離された肺Treg細胞の遺伝子転写物のボルケーノプロット(図5A)、ヒートマップ(図5B)および経路分析(図5C)。図5D、ポリI:C処置後7日目でサンプリングされたFoxp3YFPCreおよびFoxp3YFPCreNotch4Δ/Δマウス中のCD25、Helios、CTLA4、ICOS、およびOX40の肺組織Treg細胞発現のフローサイトメトリーヒストグラムおよびグラフ表示(各時点についてn=5)。図5E~5H、ポリI:C処置後の示される日付けでサンプリングされたFoxp3YFPCreマウス中のFoxp3+Notch4+およびFoxp3+Notch4-肺組織Treg細胞中のHelios発現のフローサイトメトリー分析(図5E、5G)およびグラフ表示(図5F、5H)(各時点についてn=5)。各シンボルは1匹のマウスを表す。フロープロット中の数字はパーセンテージを示す。エラーバーはSEMを示す。統計的検定: DESeq2を用いて差次的遺伝子発現のペアワイズ比較を計算した(図5A~5C); スチューデントの対応のない両側t検定(図5D)およびシダックの事後分析を伴う二元配置分散分析(図5F、5H)。*P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001, ****P<0.0001。 図5Aの説明を参照のこと。 図5Aの説明を参照のこと。 図5Aの説明を参照のこと。 図5Aの説明を参照のこと。 図5Aの説明を参照のこと。 図5Aの説明を参照のこと。 図5Aの説明を参照のこと。 図5Aの説明を参照のこと。 Il6raのTreg細胞特異的欠失がポリI:C誘発肺損傷から部分的に保護することを示す。図6A、示されるような、偽処置されたかまたはポリI:Cで処置されたFoxp3YFPCreおよびFoxp3YFPCreIl6ra Δ/Δマウスの体重指数およびピーク体重減少。図6B、メタコリンに応答してのAHR。図6C、6D、偽処置されたかまたはポリI:Cで処置されたFoxp3YFPCreおよびFoxp3YFPCreIl6ra Δ/Δマウスの肺組織Treg細胞中のNotch4発現のフローサイトメトリー分析(図6C)およびグラフ表示(図6D)。図6E~6F、肺組織好中球(図6E)ならびにM1(図6F)およびM2マクロファージのフローサイトメトリー分析およびグラフ表示。各シンボルは1匹のマウスを表す(1群当たりn=5)。フロープロット中の数字はパーセンテージを示す。エラーバーはSEMを示す。統計的検定: シダックの事後分析を伴う二元配置分散分析(図6B); ダネットの事後分析を伴う一元配置分散分析(残りについて); **P<0.01, ****P<0.0001。 図6-1の説明を参照のこと。 Notch4作用物質およびアンフィレギュリン91-140ブロッキングペプチドの検証を示す。図7A、示されるような、増加濃度のアンフィレギュリン91-140ブロッキングペプチド(bp)または中和性抗-アンフィレギュリンmAbの存在下にてマウスアンフィレギュリンで処理されたHEK293細胞中のチロシン1068でのEGFRリン酸化(pEGFR)のフローサイトメトリー分析およびグラフ表示。図7B、ポリI:Cによって、単独でまたは抗-アンフィレギュリン中和性mAbと一緒に処置されたFOXP3YFPCreおよびFOXP3YFPCreNOtCh4Δ/Δマウスの体重指数およびピーク体重減少。図7C、肺組織中の好中球ならびにM1およびM2マクロファージの頻度。図7D、気管内点滴投与後1時間でのポリI:C + 抗-アンフィレギュリンmAb処置されたFOXP3YFPCreまたはFOXP3YFPCreNOtCh4Δ/Δマウス中の、相対的蛍光単位(RFU)として測定された、血清テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)デキストラン。図7E、偽処置されたかまたはポリI:Cによって、単独でもしくはアンフィレギュリンbpと一緒に処置されたFOXP3YFPCreマウスからの肺組織中の好中球ならびにM1およびM2マクロファージの頻度。図7F、単独で、アンフィレギュリン、ポリI:C処置FOXP3YFPCreマウスからのTreg細胞、またはそれらの組み合わせと共にインキュベートされた、ポリI:C処理肺マクロファージの共培養物中のM1およびM2マクロファージの頻度。各シンボルは1匹のマウスを表す(1群当たりn=5~10)。フロープロット中の数字はパーセンテージを示す。エラーバーはSEMを示す。統計的検定: ダネットの事後分析を伴う一元配置分散分析(図7B~7D); シダックの事後分析を伴う二元配置分散分析(図7B); スチューデントの両側t検定(図7E)。**P<0.01, ****P<0.0001)。 図7-1の説明を参照のこと。 図7-1の説明を参照のこと。 図7-1の説明を参照のこと。 COVID19における末梢血T細胞上のNotch4発現を示す。ゲーティング戦略。重症COVID19を有する対象の末梢血(PB)T細胞を、CD45およびCD3 mAbでゲーティングし、次いで、CD3+CD4+およびCD3+CD4- T細胞を同定した。Treg細胞(CD4+CD25'0Foxp3-)およびTconv細胞(CD4+CD25'"Foxp3- 細胞)を同定するために、CD3+CD4+ T細胞をCD25およびFoxp3についてさらにゲーティングした。示されるように、それぞれの細胞集団をNotch4発現について分析した。 図8-1の説明を参照のこと。 図8-1の説明を参照のこと。
詳細な説明
SARS-CoV-2感染患者は、記憶細胞に選択的に作用するCD4+およびCD8+ T細胞リンパ球減少症を有する。このリンパ球減少症の基礎は不明であるが、疲弊、サイトカイン損傷、および活性化T細胞によるフラトリサイドを含み得る。疫学データは、急性呼吸促迫症候群(ARDS)に進行するようなより重篤な疾患の患者は、IL-2、IP-10、MCP-1、MIP-1a、TNFa、およびIL-6を含む、高レベルの炎症性サイトカインを伴う「サイトカインストーム」を有することを示唆している。疾患病因におけるこの「サイトカインストーム」の考えられる役割は、免疫調節剤、特に抗IL-6受容体モノクローナル抗体(mAb)療法の使用を促し、予備研究では良好な結果を報告している。それにもかかわらず、抗ウイルス防御に対する有害な影響の可能性、および多剤耐性細菌重感染の予想よりも高い有病率は、免疫調節療法がその潜在的なリスクと慎重にバランスをとる必要があることを示唆している。
COVID疾患病因における自然免疫過剰活性化の役割に関連するのは、アレルゲンおよび大気汚染(粒子状物質、PM)が気道内で作動する免疫寛容機構を克服して組織炎症を認める方法を示す、喘息性炎症に関する本発明者らの以前の研究である。本発明者らは、肺における免疫寛容を破壊し、その結果として炎症を促進するように分子スイッチとして機能する、アレルゲンおよびPMによって活性化される重要な発症メカニズムとして、JAG1-Notch4軸を同定した。このメカニズムに加えて、本発明者らは、Notch4がアレルゲンおよびインターロイキン-6(IL-6)依存的に肺Treg細胞上に選択的に誘導され、Notch4がTh2/Th17エフェクター様T細胞へのTreg細胞の破壊を指示することを同定した。Notch4のTreg細胞特異的欠失は気道炎症を抑制し、肺Treg細胞調節機能を回復させ、この効果は、下流のHippo経路調節因子WwtrlおよびYaplならびにWnt経路調節因子βカテニン様タンパク質1(Ctnnbl)の欠失によって再現された。Notch4発現肺Treg細胞はまたILC2活性化を抑制できないが、Treg細胞におけるNotch4の欠失はこの機能を回復させる。さらに、Notch4ならびにその下流のHippoおよびWnt経路エフェクターの発現が、Treg細胞媒介抑制の低下に伴って、疾患重症度の関数として喘息患者の循環Treg細胞上で増加した。
重要なことに、本発明者らは、Notch4発現が疾患重症度の関数としてCOVID19対象の循環Treg細胞上で選択的にアップレギュレーションされ、Notch4発現が患者の回復後に急激に低下し、したがって、このメカニズムがCOVID19対象における疾患病因に関与していることを同定した。本明細書に提示されたデータは、Notch4がCOVID-19疾患重症度のバイオマーカーであるだけでなく、その標的化がTregを機能的にし、したがってCOVID-19患者の肺におけるサイトカインストームを抑制する治療標的でもあることを示唆している。
したがって、コロナウイルス感染性疾患を有する対象へNotch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)を投与することによってコロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)の症状を処置または軽減するための方法を本明細書に提供する。さらに、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがある対象へNotch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)を投与することによってコロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)を予防するための方法を本明細書に提供する。
コロナウイルス感染性疾患を処置または予防する際に使用するためのNotch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)を含む組成物をさらに提供する。
Notch4
Notchシグナル伝達経路は、物理的に隣接する細胞間の相互作用を制御する進化的に保存された細胞間シグナル伝達経路である。Notchシグナル伝達は、複数の細胞運命の決定を制御する;各Notchファミリーメンバーは、様々な発達の過程において役割を果たす。哺乳動物において、Notchファミリーは、4つのNotch受容体(Notch1~Notch4)および5つのリガンド[デルタ様リガンド1(DLL1)、DLL3、DLL4、Jagged(Jag)1およびJag2]から構成される。隣接する細胞上でJaggedまたはデルタ様リガンドに結合すると、2つの連続するタンパク質分解現象がNotchの細胞内ドメイン(NICD)を放出し、核へのその転位を可能にする。そこで、NICDは、MAML1-MAML3結合を通じて、DNA結合因子RBP-Jを転写抑制因子から転写活性化因子へと転換する。
NOTCHタンパク質は、トランス-ゴルジネットワークにおいて切断され、次いで、ヘテロ二量体として、細胞表面上に提示される。このタンパク質は、膜結合されたリガンドに対する受容体として機能し、血管、腎臓および肝臓の発育において役割を果たし得る。
SEQ ID NO:1は、Notch4をコードする核酸配列を含有する。
Figure 2023529727000002
Figure 2023529727000003
Figure 2023529727000004
Figure 2023529727000005
Figure 2023529727000006
コロナウイルス感染性疾患
コロナウイルスは、コロナウイルス科のコロナウイルス亜科に属し、その表面の王冠のようなスパイクにちなんで名付けられた。コロナウイルスには、アルファ、ベータ、ガンマ、およびデルタとして公知の、4つの主要なサブグループがある。コロナウイルスウイルスは、典型的に、鳥類およびヒトを含む哺乳類の呼吸器に影響を与える。最新のデータは、ヒトに感染することができる7つのコロナウイルスがあることを示唆している。
世界的に、人々は一般的にヒトコロナウイルス229E、NL63、OC43、およびHKU1に感染し、風邪をひく。これらのコロナウイルスによる感染は、ほとんどの場合、冬場および春先に発生する。時には、以前に動物に感染していたコロナウイルスがヒトに感染し、新しいヒトコロナウイルスが発生する。これらの新しいウイルスはよりまれであるが、より深刻な感染を引き起こし得る。この最近の3つの例は、SARS-CoV-2(コロナウイルス感染症2019(COVID-19)を引き起こす新規コロナウイルス)、SARS-CoV(重症急性呼吸器症候群、またはSARSを引き起こすベータコロナウイルス)、およびMERS-CoV(中東呼吸器症候群、またはMERSを引き起こすベータコロナウイルス)である。
典型的なコロナウイルス感染性疾患(例えば、風邪)に関連する症状には、鼻水、頭痛、咳、発熱、および咽頭痛が含まれる。現在、風邪の治療法はなく;処置は、典型的に、症状を管理するためのセルフケアおよび市販薬を含む。
COVID-19をもたらすSARS-CoV-2による感染に関連する症状には、発熱、悪寒、持続性乾性咳嗽、息切れ、咽頭痛、頭痛、味覚または嗅覚の喪失、および胃腸障害が含まれる。COVID-19による重篤な病気の発症および/または悪い転帰は、慢性肺疾患、重篤な心臓病、重度の肥満、免疫不全、または糖尿病を有し、老人ホームまたは介護施設に住んでいる65歳以上の対象において最も一般的に観察される。COVID-19は、18歳未満の対象ではめったに観察されない。
COVID-19に対する現在の処置は、個々の症状を処置するように設計され、例えば、コルチコステロイド吸入器は、呼吸困難を有する対象に処方され、または、人工呼吸器は、COVID-19に関連する重篤な疾患を有する対象に対して使用することができる。以前にCOVID-19を有すると診断され、COVD-19から回復した対象からの血漿は、COVID-19治療薬として投与されている。
コロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)を有すると診断された対象は、急性呼吸促迫症候群(ARDS)をさらに発症するリスクがある。ARDSは、肺の肺胞に体液が蓄積したときに発生する生命を脅かす症候群である。体液は肺が十分な空気で満たされるのを防ぎ、その結果、血流に到達する酸素のレベルが著しく低下し、臓器から酸素が奪われる。ARDSは、典型的に、すでに重病になっている人や重傷を負っている人に発生する。ARDSの症状は、通常、傷害または感染の発生後数時間から数日以内に発症する。ARDSに関連する死亡リスクは、年齢(60歳以上の人は死亡リスクがより高い)および病気の重症度とともに増加する。ARDSを生き延びた人の中には、完全に回復する人もいれば、肺に永続的な損傷を経験する人もいる。
ARDSの最も一般的な根底にある原因および危険因子には、敗血症(すなわち、血流の重篤かつ広範な感染);有害物質の吸入または嘔吐物の吸引または溺水エピソード;重度の肺炎、例えば、5つの肺葉すべてに影響を与える肺炎;頭部、胸部またはその他の大きな損傷、例えば、肺または呼吸を制御する脳の部分を直接損傷するもの;膵炎;大量の輸血;および熱傷が含まれる。ARDSは、対象がARDSの少なくとも1つの症状、例えば、息切れ、苦しくて異常に速い呼吸、低血圧、ならびに混乱および極度の疲労を示すかどうかを判断することによって、熟練した臨床医によって診断され得る。
ARDSを有する対象は、血栓、肺虚脱、二次感染、および肺線維症を発症するリスクが高くなる。
コロナウイルス感染性疾患の処置または予防
本明細書に提供される本発明の一局面は、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)を、コロナウイルス感染性疾患を有する対象へ投与することによって、コロナウイルス感染性疾患を処置する方法である。任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を有すると対象を診断するステップをさらに含む。任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む。
熟練した臨床医は、例えば、対象がコロナウイルス感染性疾患に関連する少なくとも一(1)つの症状、例えば、鼻水、頭痛、咳、発熱、および咽頭痛を示すかどうかを判断することによって、コロナウイルス感染性疾患を有すると対象を診断することができる。コロナウイルス感染性疾患を有すると対象を特定するのに有用な診断試験は、当技術分野において公知であり、試料中のコロナウイルスの存在を評価するための試料のRNA配列決定が挙げられるが、これに限定されない。
別の局面は、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)の有効量を、COVID-19を有する対象へ投与する工程を含む、COVID-19を処置するための方法を提供する。任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、COVID-19を有すると対象を診断するステップをさらに含む。任意の局面の一態様において、方法は、投与する工程の前に、COVID-19を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む。
熟練した臨床医は、例えば、対象がCOVID-19に関連する少なくとも一(1)つの症状、例えば、発熱、乾性咳嗽、味覚または嗅覚の喪失、疲労、および肺炎を示すかどうかを判断することによって、COVID-19を有すると対象を診断することができる。コロナウイルス感染性疾患を有すると対象を特定するのに有用な診断試験には、鼻咽頭スワブが挙げられるが、これに限定されない。
本明細書における本発明の別の局面は、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)を、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがある対象へ投与する工程を含む、コロナウイルス感染性疾患を予防する方法である。一態様において、方法は、投与する工程の前に、作用物質を投与する前にコロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがある対象を特定する工程をさらに含む。一態様において、方法は、投与する工程の前に、作用物質を投与する前にコロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがあると対象を特定するアッセイの結果を受け取る工程をさらに含む。
本明細書において使用される場合、「コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがある」対象とは、コロナウイルス感染性疾患を有する対象と接触した、または潜在的に接触した、対象を指す。コロナウイルス感染性疾患の原因となるウイルスの伝染は、しばしば空中に浮遊し、液体飛沫で移動し、または表面から伝染するものであり、したがって、コロナウイルス感染性疾患陽性対象との濃厚接触は、疾患を発症する可能性を高める。当業者は、対象がコロナウイルス感染性疾患陽性者の周りにいたことがあるかどうかを判断することにより、対象がコロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがあるかどうかを判断できる。対象が、コロナウイルス感染性疾患を有すると人を診断するアッセイの結果を受け取った人と接触したことがある場合、これは、対象を、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがあると診断するのに十分である。
本明細書における本発明の別の局面は、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)を、COVID-19を発症するリスクがある対象へ投与する工程を含む、COVID-19を予防する方法である。一態様において、方法は、投与する工程の前に、COVID-19を発症するリスクがある対象を特定する工程をさらに含む。一態様において、方法は、投与する工程の前に、COVID-19を発症するリスクがあると対象を特定するアッセイの結果を受け取る工程をさらに含む。
本明細書において使用される場合、「コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがある」対象とは、コロナウイルス感染性疾患を有する対象と接触した、または潜在的に接触した、対象を指す。COVID-19の原因となるウイルスの伝染は、空中に浮遊し、液体飛沫で移動するものであり、したがって、COVID-19陽性対象との濃厚接触は、疾患を発症する可能性を高める。当業者は、対象がCOVID-19陽性者の周りにいたことがあるかどうかを判断することにより、対象がCOVID-19を発症するリスクがあるかどうかを判断できる。対象がCOVID-19を有すると人を診断するアッセイの結果を受け取った人と接触したことがある場合、これは、対象を、COVID-19を発症するリスクがあると診断するのに十分である。
例えば、対象が濃厚接触した人が、綿棒アッセイを介してCOVID-19と診断される場合、この綿棒アッセイ結果は、対象がCOVID-19を発症するリスクがあると決定するのに十分であろう。さらなる例では、対象が濃厚接触した人がCOVID-19陽性であったと対象に言った場合、この口頭での確認は、対象がCOVID-19を発症するリスクがあると決定するのに十分であろう。対象が公衆衛生当局者から連絡を受け、COVID-19陽性と濃厚接触したと言われた場合、この口頭での確認は、対象がCOVID-19を発症するリスクがあると決定するのに十分であろう。
本明細書上記で説明したCOVID-19の危険因子はまた、対象がCOVID-19を発症するリスクがあるかどうかを判断するために使用できる。
一態様において、本明細書に記載される方法は、少なくとも1つの追加の治療薬を投与する工程をさらに含む。一態様において、少なくとも1つの追加の治療薬は抗ウイルス治療薬である。抗ウイルス治療薬は当技術分野において公知であり、本明細書において以下でさらに提供される。
作用物質
本明細書において使用される場合、用語「Notch4調節作用物質」は、Notch4の発現、活性、および/または機能を調節するために使用することができる任意の作用物質を指す。Notch4調節作用物質には、Notch4を阻害する作用物質が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、Notch4調節作用物質は、Notch4へ結合することができる。いくつかの態様において、Notch4調節作用物質は、Notch4へ直接結合することができる。一局面において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、コロナウイルス感染性疾患、例えばCOVID-19を有する、または有するリスクがある対象へ投与される。一態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、小分子、抗体または抗体断片、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ゲノム編集システム、またはRNAiである。
例えば、投与に際して、細胞中のNotch4の存在、量、活性および/またはレベルを調節(または阻害)すれば、作用物質は、Notch4を調節(または阻害)するのに有効であると考えられる。
一態様において、投与に際して、作用物質は、細胞中のNotch4の存在、量、活性および/またはレベルを、適切な対照または基準レベルと比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれ以上、調節または阻害する。いくつかの態様において、適切な対照は、本明細書に記載される作用物質を投与されていない実質的に同一の細胞中のNotch4の存在、量、活性および/またはレベルであろう。
一態様において、Notch4を調節または阻害することは、Notch4発現Treg細胞の疾患促進Th細胞への分化を阻害することを含む。
作用物質は、例えば、細胞におけるNotch4の転写または翻訳を調節または阻害することができる。作用物質は、(例えば、活性がもはや生じないように、または低下した割合で生じるように)細胞中のNotch4の活性(例えば、Notch4の発現)を調節または阻害するか、または活性を変化させることができる。
任意の局面の一態様において、Notch4はT制御性細胞上で調節または阻害される。一態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、プログラム細胞死を促進する、例えば、Notch4を発現する細胞、例えばTreg細胞を死滅させる。作用物質がNotch4を調節または阻害するのに有効であるかどうかを決定するために、それぞれ、RT-PCRおよびウェスタンブロッティングを用いて、所定の標的(例えば、Notch4)のmRNAおよびタンパク質レベルを評価することができる。プログラム細胞死が起こったかどうかを評価するために、Notch4の活性を検出する生物学的アッセイ(例えば、Notch受容体およびリガンドの結合を測定するNotchレポーター)を使用することができる。または、作用物質の投与後に細胞死が起こったかどうかを決定するために、細胞死マーカー(例えば、カスパーゼ)と組み合わせてNotch4に特異的な抗体を使用する免疫蛍光検出を使用することができる。
一態様において、適切な対照または基準レベルと比較して、Notch4のレベルおよび/または活性を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%またはそれ以上、調節または阻害する作用物質。いくつかの態様において、「適切な対照」は、作用物質の投与前のNotch4のレベルおよび/もしくは活性、または作用物質と接触されなかった細胞の集団中のNotch4のレベルおよび/もしくは活性を表す。
作用物質は、作用物質が投与された形態で直接機能し得る。または、作用物質は、Notch4の核酸および/またはタンパク質調節剤または阻害剤の産生をもたらす細胞中への核酸配列の導入ならびにその転写など、Notch4を調節または阻害するものを産生するために、細胞内で修飾されるかまたは使用され得る。いくつかの態様において、作用物質は、任意の、化学物質、実体または部分であり、合成のおよび天然に存在する非タンパク質性実体を含むが、これらに限定されない。ある態様において、作用物質は、化学的部分を有する小分子である。例えば、化学的部分としては、置換されていないまたは置換された、アルキル、芳香族またはヘテロシクリル部分が挙げられ、マクロライド、レプトマイシンならびにこれらの関連する天然生成物または類縁体が含まれる。作用物質は、所望の活性および/もしくは特性を有することが公知であり得、または多様な化合物のライブラリーから同定することができる。
様々な態様において、作用物質は、Notch4を調節または阻害する小分子である。小分子をスクリーニングするための方法は当技術分野において公知であり、例えば、所望の標的(例えば、Notch4)が与えられれば、病原性CD4細胞の細胞死を誘導するのに効率的である小分子を同定するために使用することができる。
様々な態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、Notch4に対して特異的である、抗体もしくはその抗原結合性断片、または抗体試薬である。本明細書において使用される場合、「抗体試薬」という用語は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメインまたは免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、所定の抗原を特異的に結合するポリペプチドを表す。抗体試薬は、抗体または抗体の抗原結合ドメインを含むポリペプチドを含むことができる。任意の局面のいくつかの態様において、抗体試薬は、モノクローナル抗体またはモノクローナル抗体の抗原結合ドメインを含むポリペプチドを含むことができる。例えば、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書において、VHと略記される)および軽(L)鎖可変領域(本明細書において、VLと略記される)を含むことができる。別の例では、抗体は、2つの重(H)鎖可変領域と2つの軽(L)鎖可変領域を含む。「抗体試薬」という用語は、抗体の抗原結合性断片(例えば、一本鎖抗体、FabおよびsFab断片、F(ab')2、Fd断片、Fv断片、scFv、CDRおよびドメイン抗体(dAb)断片(例えば、de Wildt et al., Eur J. Immunol. 1996; 26(3):629-39参照;その全体が、参照により本明細書に組み入れられる))ならびに完全な抗体を包含する。抗体は、IgA、IgG、IgE、IgDまたはIgM(ならびにそのサブタイプおよび組み合わせ)の構造的特徴を有することができる。抗体は、マウス、ウサギ、ブタ、ラットおよび霊長類(ヒトおよび非ヒト霊長類)ならびに霊長類化された抗体を含む任意の源から得ることができる。抗体としては、ミディボディ(midibodies)、ナノボディ、ヒト化抗体、キメラ抗体なども挙げられる。
一態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、ヒト化、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合性断片または抗体試薬である。本明細書において使用される場合、「ヒト化」は、ヒトにおいて自然に産生される抗体変種への類似性を増加するように、そのタンパク質配列が修飾されている、非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ヒツジなど)からの抗体を表す。一態様において、ヒト化抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。一態様において、ヒト化抗体は、ヒト化ポリクローナル抗体である。一態様において、ヒト化抗体は治療用である。
一態様において、抗体または抗体試薬は、Notch4をコードするアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)に対応するアミノ酸配列に結合する。
Figure 2023529727000007
Figure 2023529727000008
Figure 2023529727000009
別の態様において、抗Notch4抗体または抗体試薬は、SEQ ID NO:2の配列を含むアミノ酸配列に結合し、またはSEQ ID NO:2の配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくはそれを上回る配列同一性を有する配列を含むアミノ酸配列に結合する。一態様において、抗Notch4抗体または抗体試薬は、SEQ ID NO:2の配列全体を含むアミノ酸配列に結合する。別の態様において、抗体または抗体試薬は、SEQ ID NO:2の配列の断片を含むアミノ酸配列に結合し、ここで、断片は、その標的、例えば、Notch4に結合するのに十分であり、Nocth4発現Treg細胞の疾患促進Th細胞への分化を調節または阻害する。
一態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。本明細書において使用される場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、マイクロRNAのものなど、DNAまたはmRNA配列に相補的である合成された核酸配列を表す。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、標的に結合し、転写、翻訳またはスプライシングのレベルで発現を停止させることによって、DNAまたはRNA標的の発現を遮断させるように設計される。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞条件下で、遺伝子、例えば、Notch4にハイブリダイズするように設計された相補的核酸配列である。したがって、所望の効果を与えるために、標的に対して十分に相補的であるオリゴヌクレオチド、すなわち、細胞環境という状況において十分に良好に、十分な特異性でハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが選択される。例えば、Notch4を調節、阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトNotch4遺伝子のコード配列(例えば、SEQ ID NO:1)の一部に相補的な、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個またはそれを上回る塩基を含み得る。Notch4調節アンチセンスオリゴヌクレオチドの例は、例えば、US 2020-0171071 A1に記載されているように、当技術分野において公知であり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
一態様において、Notch4は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENS、メガヌクレアーゼおよびCRISPR/Cas系を含むがこれらに限定されない任意のゲノム編集系を用いて、細胞のゲノムから枯渇される。一態様において、細胞のゲノム中に1つまたはそれを上回るガイドRNAをコードする核酸を取り込むために使用されるゲノム編集系は、CRISPR/Cas系ではない;これは、少量のCas酵素/タンパク質を保持する細胞における望ましくない細胞死を防ぐことができる。Cas酵素またはsgRNAのいずれかが、異なる誘導性プロモーターの制御下でそれぞれ発現され、それにより、それぞれの時間的な発現がこのような干渉を抑制することを可能にすることも本明細書において想定される。CRISPR/Casシステムは、もともと、ウイルスおよびプラスミドに対する獲得免疫の一形態を提供するRNA媒介細菌免疫系であり;それは、3つの成分:Cas(CRISPR関連タンパク質)エンドヌクレアーゼ(例えば、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9またはフランシセラ・ノビサイダ(Francisella novicida)Cas12a)、crRNA(CRISPR RNA)、およびtracrRNA(トランス活性化型crRNA)を含む。クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)は、細菌DNAの短い繰り返しとそれに続くウイルスまたはプラスミドからのスペーサーDNAの短い繰り返しである。Cas9エンドヌクレアーゼは2つのヌクレアーゼドメインを含み、crRNAおよびtracrRNAハイブリッドによって標的配列を切断するようにプログラムされる。いくつかの態様において、Cas9エンドヌクレアーゼは、crRNAおよびtracrRNAハイブリッドによって例えばNotch4配列を切断するようにプログラムされる。他の態様において、Cas9エンドヌクレアーゼは、crRNAおよびtracrRNA配列の両方を含むシングルガイドRNA(sgRNA)によってプログラムされる。ある場合には、ガイドRNA(gRNA)は、機能的遺伝子欠失を生成するように選択され、他の場合には、gRNAは、標的遺伝子座の転写を阻害する(CRISPR干渉;CRISPRi)またはヒト標的遺伝子座の転写を活性化する(CRISPR活性化;CRISPRa)ために触媒的に不活性なCas分子をリクルートするように選択される。
遺伝子ターゲティングのための20-ntガイド配列の選択には、2つの主要な考慮事項がある:(1)標的配列は、使用されるCas核に特異的なプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列(化膿性連鎖球菌Cas9について5'- GG PAM)の前にあるべきである、および(2)ガイド配列は、オフターゲット活性を最小限に抑えるように選択されるべきである。ガイドRNA配列は、予測ソフトウェア、例えば、CRISPRdirect (http://crispr.dbels.jp/にてワールドワイドウェブ上で入手可能)、Natio, et al. Bioinformatics. (2015) Apr 1; 31(7): 1120-1123を参照;ATUM gRNA Design Tool (www.atum.bio:ecommerce/cas9/inputにてワールドワイドウェブ上で入手可能);CRISPR-ERA (http://crispr-era.stanford.eduu/indexjspにてワールドワイドウェブ上で入手可能)、Liu, et al. Bioinformatics, (2015) Nov 15; 31(22): 3676-3678を参照;を用いて所与の標的配列について容易に生成することができる。本明細書において引用される全ての参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。公的に入手可能なgRNA設計ソフトウェアの非限定的な例には、sgRNA Scorer 1.0, Quilt Universal guide RNA designer、Cas-OFFinder & Cas-Designer、CRISPR-ERA、CRISPR/Cas9 target online predictor、Off-Spotter - for designing gRNAs、CRISPR MultiTargeter、ZiFiT Targeter、CRISPRdirect、CRISPR design from crispr.mit.edu/、E-CRISPなどが含まれる。
CRISPR/Casシステムは、プラスミド、ベクター、またはリボ核タンパク質複合体を使用して送達できる。Casタンパク質を含むリボ核タンパク質複合体は、crRNAおよびtracrRNAをコードする核酸配列をさらに含むことができる。1つまたは複数のsgRNAをコードする核酸およびRNA誘導型エンドヌクレアーゼをコードする核酸をそれぞれ投与することが必要な場合には、アデノウイルス随伴ベクター(AAV)の使用が具体的に想定される。ゲノム編集/断片化系(例えば、sgRNA、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ)の両成分に核酸を同時に送達するためのその他のベクターとしては、エプスタイン・バー、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)などのレンチウイルスベクターが挙げられる。RNA誘導型ゲノム編集系(例えば、sgRNAおよびエンドヌクレアーゼ)の成分の各々は、当技術分野において公知のように、または本明細書に記載されているように、別個のベクターに入れて送達することができる。
一態様において、作用物質は、RNA調節または阻害によってNotch4を調節または阻害する。所定の遺伝子の発現の調節剤または阻害剤は、例えば、調節的または阻害的核酸とすることができる。任意の局面のいくつかの態様において、阻害的核酸は、阻害的RNA(iRNA)である。RNAiは、一本鎖または二本鎖であり得る。
iRNAは、siRNA、shRNA、内在性マイクロRNA(miRNA)または人工のmiRNAであり得る。一態様において、本明細書に記載されるiRNAは、標的、例えば、Notch4の発現および/または活性の阻害をもたらす。任意の局面のいくつかの態様において、作用物質は、Notch4を阻害するsiRNAである。任意の局面のいくつかの態様において、作用物質は、Notch4を阻害するshRNAである。
当業者は、例えば、公に入手可能な設計ツールを用いて、Notch4を標的とするためにsiRNA、shRNAまたはmiRNAを設計することが可能であろう。siRNA、shRNAまたはmiRNAは、一般に、RNAi Design (例えば、rnaidesigner.thermofisher.com/rnaiexpress/にてワールドワイドウェブ上でおよびbiotools.idtdna.com/site/order/designtool/index/DSIRNA_CUSTOMにてワールドワイドウェブ上で入手可能);Dharmacon (Layfayette, CO) (例えば、https://www.thermofisher.com/order/custom-genomic-products/tools/sirna/にてワールドワイドウェブ上で入手可能);またはSigma Aldrich (St. Louis, MO) (例えば、https://www.sigmaaldrich.com/life-science/custom-oligos/sirna-oligos/sirna-design-service.htmlにてワールドワイドウェブ上で入手可能)などの、アルゴリズムを用いて作られる。
任意の局面のいくつかの態様において、iRNAは、dsRNAであり得る。dsRNAは、ハイブリダイズしてdsRNAが使用されるであろう条件下で二本鎖構造を形成するのに十分に相補的である、2つのRNA鎖を含む。dsRNAの1つの鎖(アンチセンス鎖)は、標的配列に対して実質的に相補的である、一般的には完全に相補的である相補性の領域を含む。標的配列は、標的の発現の間に形成されるmRNAの配列に由来し得る。他方の鎖(センス鎖)は、適切な条件下で合わされた場合に、2つの鎖がハイブリダイズし、二本鎖構造を形成するように、アンチセンス鎖に相補的である領域を含む。
iRNAのRNAは、安定性またはその他の有益な特徴を強化するために化学的に修飾することができる。本発明において取り上げられる核酸は、参照により本明細書に組み入れられる“Current protocols in nucleic acid chemistry,” Beaucage, S.L. et al. (Edrs.), John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, USAに記載されているものなど、当技術分野において十分に確立された方法によって、合成および/または修飾され得る。
一態様において、作用物質は、Notch4を調節または阻害するmiRNAである。マイクロRNAは、22ヌクレオチドの平均長を有する小さな非コードRNAである。これらの分子は、mRNA分子内の、通常、3'非翻訳(3'UTR)領域中の相補的配列に結合し、これにより、標的mRNA分解を促進し、またはmRNA翻訳を阻害することによって作用する。マイクロRNAとmRNAの間の相互作用は、「シード配列」として知られる、不完全なワトソン・クリック塩基対合を通じて、mRNAへの配列特異的な結合を誘導するマイクロRNAの6~8ヌクレオチド領域によって媒介される。900を超えるマイクロRNAが、哺乳動物において発現されることが知られている。これらの多くは、それらのシード配列に基づいてファミリーへグループ分けすることができ、これにより、類似のマイクロRNAの「クラスター」を特定する。miRNAは、例えば、裸のDNAとして、細胞において発現されることができる。miRNAは、例えば、裸のDNAとして、細胞において発現される核酸によってコードされることができ、またはベクター内に含有される核酸によってコードされることができる。
作用物質は、例えば、RNAi分子(例えば、siRNAまたはmiRNA)によって、標的遺伝子(例えば、Notch4)の遺伝子発現抑制をもたらし得る。これは、作用物質の存在なしで細胞中に見出されるmRNAレベルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%またはそれ以上、標的のための細胞中のmRNAレベルの減少をもたらす。1つの好ましい態様において、mRNAレベルは、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、約100%減少される。当業者は、例えば、siRNA、shRNAまたはmiRNAを細胞中に形質移入し、ウェスタンブロッティングを介して細胞内に見出される遺伝子(例えば、Notch4)のレベルを検出することによって、siRNA、shRNAまたはmiRNAが、標的を下方制御するために、例えば、Notch4を有効に標的とするかどうかを容易に評価することができるであろう。
作用物質は、ベクター中に含有されてもよく、したがって、ベクターをさらに含み得る。標的哺乳動物細胞中へ外来遺伝子を導入するために有用な多くのこのようなベクターが入手可能である。ベクターは、エピソーム性、例えば、プラスミド、サイトメガロウイルス、アデノウイルスなどのウイルス由来ベクターであり得、または相同的組換えもしくは無作為の組み込み、例えば、MMLV、HIV-1、ALVなどのレトロウイルス由来ベクターを通じて、標的細胞ゲノム中に組み込まれ得る。いくつかの態様において、レトロウイルスと適切なパッケージング細胞株の組み合わせも利用され得、ここで、キャプシドタンパク質は、標的細胞を感染させるために機能するであろう。通常、細胞およびウイルスは、培地中で、少なくとも約24時間、インキュベートされるであろう。次いで、いくつかの用途では、分析の前に、短期間、例えば、24~73時間、もしくは少なくとも2週間、細胞を培地中で増殖させ、5週間もしくはそれより長く、増殖させ得る。一般的に使用されるレトロウイルスベクターは、「欠陥」がある、すなわち、増殖性感染のために必要とされるウイルスタンパク質を産生することができない。ベクターの複製には、パッケージング細胞株における増殖が必要である。
本明細書において使用される「ベクター」という用語は、宿主細胞への送達のためにまたは異なる宿主細胞間での転移のために設計された核酸構築物を表す。本明細書において使用される場合、ベクターは、ウイルス性または非ウイルス性とすることができる。「ベクター」という用語は、適切な調節要素と会合したときに複製することができ、遺伝子配列を細胞に導入することができる任意の遺伝的要素を包含する。ベクターとしては、クローニングベクター、発現ベクター、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、人工染色体、ウイルス、ビリオンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、「発現ベクター」という用語は、ベクター上の転写制御配列に連結されてその中に含有される核酸配列からのRNAまたはポリペプチド(例えば、Notch4調節作用物質、例えば、Notch4阻害剤)の発現を誘導するベクターを表す。発現される配列は、多くの場合、細胞にとって異種性であるが、必ず異種性であるとは限らない。発現ベクターは追加の要素を含み得、例えば、発現ベクターは2つの複製系を有し得、これにより、発現ベクターは2つの生物において、例えば、発現のためにヒト細胞において、およびクローニングと増幅のために原核生物宿主において維持できるようになる。「発現」という用語は、RNAおよびタンパク質を産生すること、および適宜、タンパク質を分泌することに関与する細胞の過程を表し、適切な場合には、例えば、転写、転写物のプロセシング、翻訳ならびにタンパク質の折り畳み、修飾およびプロセシングを含むがこれらに限定されない。「発現生成物」には、遺伝子から転写されたRNA、および遺伝子から転写されたmRNAの翻訳によって得られるポリペプチドが含まれる。「遺伝子」という用語は、適切な制御配列に機能的に連結された場合に、インビトロまたはインビボでRNAに転写される核酸配列(DNA)を意味する。遺伝子は、コード領域に先行するおよび後続する領域、例えば、5'非翻訳(5'UTR)または「リーダー」配列および3'UTRまたは「トレーラー」配列ならびに各コードセグメント(エキソン)間の介在配列(イントロン)を含んでもよく、または含まなくてもよい。
組み込みベクターにおいては、その送達されるRNA/DNAは宿主細胞染色体中に恒常的に取り込まれる。非組み込みベクターは、エピソームのままであり、これは、その中に含有される核酸は宿主細胞染色体中に決して組み込まれないことを意味する。組み込みベクターの例としては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ハイブリッドアデノウイルスベクターおよび単純ヘルペスウイルスベクターが挙げられる。
非組み込みベクターの一例は、非組み込みウイルスベクターである。非組み込みウイルスベクターは、そのゲノムを宿主DNA中に組み込まないので、組み込みレトロウイルスによってもたらされる危険性を排除する。一例は、エプスタイン・バーoriP/核内抗原-1(「EBNA1」)ベクターであり、これは、限られた自己複製をすることができ、哺乳動物細胞において機能することが公知である。エプスタイン・バーウイルス、oriPおよびEBNA1からの2つの要素を含有するので、ウイルスレプリコン領域oriPへのEBNA1タンパク質の結合は、哺乳動物細胞におけるプラスミドの比較的長期のエピソーム性存在を維持する。oriP/EBNA1ベクターのこの具体的な特徴のため、oriP/EBNA1ベクターは無組換えiPSCの作製にとって理想的なものとなる。別の非組み込みウイルスベクターは、アデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
別の非組み込みウイルスベクターは、RNAセンダイウイルスベクターであり、これは、感染された細胞の核内に入ることなくタンパク質を産生することができる。F欠失型センダイウイルスベクターは、数継代の間、感染された細胞の細胞質中に留まるが、急速に希釈され、数継代後(例えば、10継代)には完全に失われる。
非組み込みベクターの別の例は、ミニサークルベクターである。ミニサークルベクターは、プラスミド骨格が放出されて、その中に、真核生物プロモーターおよび発現されるべきcDNAのみを残している環状化されたベクターである。
本明細書において使用される場合、「ウイルスベクター」という用語は、ウイルス起源の少なくとも1つの要素を含み、ウイルスベクター粒子中にパッケージされる能力を有する核酸ベクター構築物を表す。ウイルスベクターは、非必須のウイルス遺伝子の代わりに、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする核酸を含有することができる。ベクターおよび/または粒子は、インビトロまたはインビボのいずれかで、核酸を細胞中に導入する目的で使用され得る。多数の形態のウイルスベクターが当技術分野において公知である。
一態様において、方法は、Notch4の下流の標的、例えば、下流のHippo経路調節因子WwtrlおよびYaplならびにWnt経路Ctnnblを阻害または低減する作用物質の投与を必要とするかまたはそれを含む。
本明細書に記載のNotch4を調節または阻害する作用物質のいずれかおよび薬学的に許容される担体を含むコロナウイルス感染性疾患の処置または予防のための組成物を、本明細書にさらに提供する。
本明細書に記載のNotch4を調節または阻害する作用物質のいずれかおよび薬学的に許容される担体を含むCOVID-19の処置または予防のための組成物を、本明細書にさらに提供する。
ある態様において、本明細書に記載される組成物は、組成物の局所送達のための吸入またはエアロゾル投与のために製剤化されている。
「薬学的に許容される」という語句は、合理的な利益/リスク比に見合った、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。本明細書において使用される「薬学的に許容される担体」という語句は、本明細書に記載される作用物質の安定性、溶解性、または活性の維持に関与する、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、媒体、封入材料、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくは亜鉛、またはステリック酸(steric acid))、または溶媒封入材料を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、患者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。用語「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」などは、本明細書において互換的に使用される。
Notch4を調節または阻害する例示的な作用物質
Notch4の小分子調節剤または阻害剤は、当技術分野において公知であり、本発明において有用であり得る。例えば、DAPT(Sigma Aldrich製のアイテム番号D5942)。GSI-IX;LY-374973;N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル)-L-アラニル]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステルとしても公知の、DAPTは、以下の化学構造を有する。
Figure 2023529727000010
Notch4の追加の例示的な小分子阻害剤は、L-685,458(Sigma Aldrich製のアイテム番号L1790)を含む。(5S)-(t-ブトキシカルボニルアミノ)-6-フェニル-(4R)ヒドロキシ-(2R)ベンジルヘキサノイル)-L-leu-L-phe-アミドとしても公知の、L-685,458は、以下の化学構造を有する。
Figure 2023529727000011
一態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、DAPTまたはL-685,458である。
いくつかの態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、抗体またはその抗原結合性断片、例えば、Notch4抗体またはそのNotch4結合性断片である。当技術分野において公知の種々のNotch4抗体を本発明に用いることができる。一態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、以下の表1に示されるNotch4抗体より選択される。
いくつかの態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、ヒト化抗体である。いくつかの態様において、Notch4を阻害する作用物質は、表1に示される抗体より選択される抗体のヒト化型である。当業者は、標準的な技術を用いて抗体をヒト化することができるであろう。
(表1)
Figure 2023529727000012
ヒト化Notch4抗体のさらなる例は、当技術分野において公知であり、例えばUS 9527921(抗体B)、US 9969812(抗体B)、米国特許第9676865号、および国際特許出願WO 2018/039107(例えば、抗体GLA-S4F18)に記載されており、これらの各々の内容は参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、US 9527921に記載の抗Notch4抗体、US9969812B2に記載の抗体、US9676865B2に記載の抗体、またはWO 2018/039107に記載の抗体(例えば、抗体GLA-S4F18)である。いくつかの態様において、ヒト化Notch4 Abは、(1)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および(2)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、ヒト化Notch4 Abは、(1)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および(2)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
(表2)ヒト化Notch4抗体の例示的な配列
Figure 2023529727000013
一態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、Notch4融合タンパク質、例えば、US 2016-0115217 A1に記載のNotch融合タンパク質であり、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有するリスクがある対象を特定する
本明細書に記載の本発明の一局面は、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を発症するリスクがある対象を特定するための方法であって、(a)対象から生物学的試料を取得する工程;(b)候補細胞の集団におけるNotch4のレベルを測定する工程;(c)Notchのレベルが基準レベルと比較して増加している場合にARDSを発症するリスクがあると対象を特定する工程;および(d)ARDSを発症するリスクがあると特定された対象へNotch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)を投与する工程を含む、方法を提供する。
一態様において、対象は、生物学的試料を取得する前に、COVID-19を有すると診断されていた。
一態様において、方法は、生物学的試料を取得する前に、COVID-19を有すると対象を診断するステップをさらに含む。任意の局面の一態様において、方法は、生物学的試料を取得する前に、COVID-19を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む。
一態様において、Notch4のレベルは、基準レベルと比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、もしくはそれ以上、または基準レベルと比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、もしくは少なくとも99%もしくはそれ以上、増加している。基準レベルは、健康な対象、例えば、ARDSのリスクがない対象から得られた試料中のNotch4のレベルであり得る。
一態様において、Notch4のレベルは、インビトロまたはエクスビボで測定される。試料中のNotch4のレベルは、標準的な技術、例えば、FACS分析または免疫蛍光を用いて測定することができる。Notch4のタンパク質およびmRNAレベルは、本明細書に記載されているように、それぞれ、ウェスタンブロッティングまたはPCRを基礎とするアッセイを用いて評価することができる。
一態様において、生物学的試料は、血液試料、末梢血液試料、痰試料、肺組織試料、肺生検試料または気管支洗浄試料である。一態様において、生物学的試料は、肺胞マクロファージを含有する任意の試料である。一態様において、生物学的試料は、コロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)またはARDSと以前に診断されたことがある対象から採取される。一態様において、生物学的試料は、COVID-19またはARDSと以前に診断され、COVID-19またはARDSに対して処置されたことがある対象から採取される。一態様において、生物学的試料は、COVID-19またはARDSと診断されたことがない対象から採取される。対象から試料を収集するための方法は当技術分野において公知であり、当業者によって実施することができる。
投与
いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載されるNotch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)を投与する工程を含む、コロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)または急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する、有すると診断された、または発症するリスクがある対象を処置することに関する。コロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)またはARDSを有する、または発症するリスクがある対象は、症状を診断する現行の方法を用いて、医師によって特定することができる。これらの疾患を特徴づけ、診断に役立つCOVID-19の症状および/または合併症は、当技術分野において周知であり、持続性乾性咳嗽、呼吸困難、発熱、味覚および/または嗅覚の喪失、ならびに胃腸障害が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、COVID-19の診断の助けとなり得る試験としては、COVID-19を引き起こすコロナウイルス(即ち、SARS-CoV-2)に特異的なRNA配列を検出する鼻咽頭スワブが含まれまるが、これに限定されない。急性呼吸促迫症候群の症状および/または合併症は、当技術分野において公知であり、息切れ、急速な呼吸または多くの急速かつ浅い呼吸、急速な心拍数、痰を生じる咳、青い指の爪または皮膚もしくは唇に青い色調、疲労、発熱、および肺のひび割れ音が挙げられるが、これらに限定されない。ARDSの危険因子は当技術分野で公知であり、直接肺損傷、全身性疾患、傷害(例えば、長時間の機械的換気によるものを含む)、および敗血症が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載される作用物質(例えば、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質))は、コロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)またはARDSを有するかまたは有すると診断された対象へ投与することができる。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、疾患、例えばCOVID-19またはARDSの少なくとも1つの症状を緩和するために、対象へ有効量の作用物質を投与する工程を含む。本明細書において使用される場合、「疾患の少なくとも1つの症状を緩和すること」は、その疾患に関連する任意の状態または症状を軽減することである。例えば、持続性乾性咳嗽、呼吸困難、発熱、味覚および/または嗅覚の喪失、および胃腸障害などのCOVID-19症状の場合。等価な処置されていない対照と比較した場合、このような低下は、任意の標準的な技術によって測定された場合、少なくとも5%、10%、20%、40%、50%、60%、80%、90%、95%、99%またはそれを上回る。本明細書に記載されている作用物質を対象に投与するための様々な手段が当業者に公知である。一態様において、作用物質は、全身的にまたは局所的に(例えば、肺に)投与される。一態様において、作用物質は静脈内に投与される。一態様において、作用物質は連続的に、間隔を置いて、または散発的に投与される。作用物質の投与の経路は、送達されている作用物質の種類(例えば、抗体、小分子、RNAi)に対して最適化され、熟練した医師によって決定されることができる。
一態様において、作用物質、または作用物質を含む組成物は、吸入を通じて投与される。
本明細書において使用される場合「有効量」という用語は、例えば、コロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)またはARDSの少なくとも1つまたはそれより多くの症候を緩和することが必要とされるコロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)またはARDSを有する、または有すると診断された対象に投与することができる作用物質(例えば、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質))の量を表す。したがって、「治療有効量」という用語は、典型的な対象に投与される場合、例えば、特定の保護効果(例えば、抗COVID-19効果またはARDSに対する保護効果)を与えるのに十分である作用物質の量を表す。様々な文脈において本明細書において使用される有効量は、コロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)またはARDSの症状の発症を遅延させ、コロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19(例えば、肺機能の喪失の進行、不適切な呼吸、またはARDSを遅らせる))またはARDSの症状の過程を変化させ、または例えば、症状を逆転させる(例えば、肺機能または呼吸を改善させる)のに十分な作用物質の量も含むであろう。したがって、正確な「有効量」を明示することは一般的には実行可能でない。しかしながら、任意の与えられた症例に対しては、適切な「有効量」は、日常的な実験操作のみを用いて、当業者によって決定することができる。
一態様において、作用物質は連続的に(例えば、ある期間にわたって一定のレベルで)投与される。作用物質の連続的な投与は、例えば、表皮パッチ、連続放出製剤または身体上注射器(on-body injector)によって達成することができる。
有効量、毒性および治療的有効性は、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって評価することができる。投薬量は、利用される剤形および使用される投与の経路に応じて変動することができる。毒性効果と治療効果間の用量比が治療指数であり、比率LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す組成物および方法が好ましい。治療的有効用量は、最初に、細胞培養アッセイから推定することができる。また、細胞培養物においてまたは適切な動物モデルにおいて決定されたIC50(すなわち、症候の最大の半分の阻害を達成する作用物質の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために、用量は動物モデルにおいて定めることができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。任意の特定の投薬量の効果は、適切なバイオアッセイによって、例えば、とりわけ、神経学的な機能または血液検査を測定することによってモニターすることができる。投薬量は、医師によって決定されることができ、必要に応じて、処置の観察された効果に適合するように調整することができる。
投薬量
本明細書において使用される「単位投薬形態」という用語は、適切な1回投与用の投薬量を表す。例として、単位投薬形態は、送達器具、例えば、注射器または静脈内点滴袋中に配置される治療薬の量であり得る。一態様において、単位投薬形態は、単一の投与で投与される。別の態様において、複数の単位投薬形態を同時に投与することができる。
本明細書に記載されている作用物質の投薬量は、医師によって決定されることができ、必要に応じて、処置の観察された効果に適合するように調整することができる。処置の持続期間および頻度に関して、処置がいつ治療的な便益を与えているかを判定するために、およびさらなる細胞を投与し、処置を中断し、処置を再開し、または処置計画にその他の変化を加えるかどうかを判定するために、熟練した臨床医が対象をモニターすることが典型的である。投薬量は、サイトカイン放出症候群などの有害な副作用を引き起こすほど大きくすべきではない。一般に、投薬量は、患者の年齢、症状および性別とともに変動し、当業者によって決定することができる。何らかの合併症が生じた場合には、投薬量は、各医師によっても調整することができる。
典型的に、作用物質、例えば小分子についての投薬量範囲は、0.001mg/kg体重~5 g/kg体重である(両端の値を含む)。いくつかの態様において、投薬量範囲は、0.001 mg/kg体重~1g/kg体重、0.001 mg/kg体重~0.5 g/kg体重、0.001 mg/kg体重~0.1 g/kg体重、0.001 mg/kg体重~50 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重~25 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重~10 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重~5 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重~1 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重~0.1 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重~0.005 mg/kg体重である。あるいは、いくつかの態様において、投薬量範囲は、0.1 g/kg体重~5 g/kg体重、0.5 g/kg体重~5 g/kg体重、1 g/kg体重~5 g/kg体重、1.5 g/kg体重~5 g/kg体重、2 g/kg体重~5 g/kg体重、2.5 g/kg体重~5 g/kg体重、3 g/kg体重~5 g/kg体重、3.5 g/kg体重~5 g/kg体重、4 g/kg体重~5 g/kg体重、4.5 g/kg体重~5 g/kg体重、4.8 g/kg体重~5 g/kg体重である。一態様において、用量範囲は、5μg/kg体重~30μg/kg体重である。あるいは、用量範囲は、血清レベルを5μg/mL~30μg/mLに維持するように用量設定されるだろう。
併用療法
一態様において、本明細書に記載されている作用物質は単独療法として使用される。一態様において、本明細書に記載されている作用物質は、コロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)またはARDSに対する他の既知の作用物質および治療と併用することができる。本明細書において使用される「併用して」投与されるとは、対象が障害に罹患している間に、2つ(またはそれを上回る)異なる処置が対象に送達されること、例えば、対象が障害または疾患(例えば、COVID-19)またはARDSと診断された後に、および障害が治癒もしくは除去される前にまたはその他の理由のために処置が終わる前に、2つまたはそれを上回る処置が送達されることを意味する。いくつかの態様において、投与に関して重複が存在するように、第二の処置の送達が始まるときに、1つの処置の送達が未だ生じている。これは、本明細書において、「同時」または「同時送達」と称されることがある。他の態様において、他の処置の送達が始まる前に、1つの処置の送達が終了する。いずれかの事例のいくつかの態様において、併用された投与のために、処置はより効果的である。例えば、第二の処置はより効果的であり、例えば、より少ない第二の処置で等価な効果が見られ、または第二の処置が第一の処置の不存在下で投与された場合に見られるより、第二の処置がより大きな程度で症候を低下させ、または第一の処置について類似の状況が見られる。いくつかの態様において、送達は、症候または障害に関連する他のパラメータの低下が、他方の不存在下で送達される1つの処置によって観察されるより大きいような送達である。2つの処置の効果は、部分的に相加的、完全に相加的または相加的より大きいことがあり得る。送達は、第二の処置が送達されたときに、送達される第一の処置の効果がなお検出可能であるような送達であり得る。本明細書に記載されている作用物質および少なくとも1つの追加の治療は同時に、同じ組成物に入れてもしくは別個の組成物に入れて、または順次に投与することができる。順次投与については、本明細書に記載されている作用物質を第一に投与することができ、追加の作用物質を第二に投与することができ、または投与の順序を逆にすることができる。作用物質および/または他の治療用作用物質、手順または様式は、活動状態の障害の期間の間に、または寛解もしくはより低い活動状態の疾患の期間の間に投与することができる。作用物質は、別の処置の前に、処置と同時に、処置後に、または障害の寛解の間に投与することができる。
一態様において、追加の治療薬は抗ウイルス薬である。例示的な抗ウイルス薬としては、アバカビル、アシクロビル(Acyclovir)(アシクロビル(Aciclovir))、アデホビル、アマンタジン、アンプリゲン、アンプレナビル(アゲネラーゼ)、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、バラビル(Balavir)、バロキサビルマルボキシル(ゾフルーザ(登録商標))、ビクタルビ ボセプレビル(ビクトレリス(登録商標))、シドホビル、コビシスタット(タイボスト(登録商標))、コンビビル(固定用量薬)、ダクラタスビル(ダクルインザ(登録商標))、ダルナビル、デラビルジン、デシコビ、ジダノシン、ドコサノール、ドルテグラビル、ドラビリン(ピフェルトロ(登録商標))、エコリーバー(Ecoliever)、エドクスジン、エファビレンツ、エルビテグラビル、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、エトラビリン(インテレンス(登録商標))、ファムシクロビル、ホミビルセン、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ホスホネット、融合阻害剤、ガンシクロビル(シトベン(Cytovene)(登録商標))、イバシタビン、イバリズマブ(トロガルゾ(Trogarzo)(登録商標))、イドクスウリジン、イミキモド、イムノビル(Imunovir)、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、インターフェロンI型、インターフェロンII型、インターフェロンIII型、インターフェロン、ラミブジン、レテルモビル(プレバイミス(登録商標))、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、メチサゾン、モロキシジン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネキサビル(Nexavir)(登録商標)、ニタゾキサニド、ノービア、ヌクレオシド類似体、オセルタミビル(タミフル(登録商標))、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペンシクロビル、ペラミビル(ラピバブ(登録商標))、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害剤(薬理学)、ピラミジン(Pyramidine)、ラルテグラビル、レムデシビル、逆転写酵素阻害剤、リバビリン、リルピビリン(エジュラント(登録商標))、リマンタジン、リトナビル、サキナビル、シメプレビル(オリシオ(登録商標))、ソホスブビル、スタブジン、相乗的エンハンサー(抗レトロウイルス薬)、テラプレビル、テルビブジン(タイゼカ(Tyzeka)(登録商標))、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、テノホビル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ、バラシクロビル(バルトレックス)、バルガンシクロビル、ビクリビロック、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、ザナミビル(リレンザ(登録商標))、およびジドブジンが挙げられるが、これらに限定されない。
一態様において、追加の治療薬は、COVID-19を有すると診断され、COVID-19から回復した対象から得られた血漿である。血漿は、COVID-19によって引き起こされる感染症と戦うのに有用である抗体を含有する。
併用して投与される場合、作用物質、もしくは作用物質を含む組成物、および追加の治療薬(例えば、第二または第三の治療薬)、または全部は、例えば、単独療法として、個別に使用される各々の量または投薬量より多い、より少ないまたは同じである量または用量で投与することができる。ある態様において、作用物質、追加の治療薬(例えば、第二または第三の治療薬)または全部の投与される量または投薬量は、個別に使用される各々の量または投薬量より少ない(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%または少なくとも50%)。他の態様において、所望の効果(例えば、COVID-19またはARDSの処置)をもたらす作用物質、追加の治療薬(例えば、第二または第三の治療薬)または全部の量または投薬量は、同じ治療効果を達成するために個別に必要とされる各々の量または投薬量より少ない(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%または少なくとも50%少ない)。
非経口投薬形態
本明細書に記載されている作用物質の非経口投薬形態は、皮下、静脈内(大量瞬時注射を含む)、筋肉内および動脈内を含むがこれらに限定されない様々な経路によって、対象に投与することができる。非経口投薬形態の投与は、典型的には、夾雑物に対する患者の自然の防御力を迂回するので、非経口投薬形態は好ましくは無菌であり、または患者への投与の前に無菌化することができる。非経口投薬形態の例としては、すぐに注射できる溶液、注射のために薬学的に許容されるビヒクル中にすぐに溶解または懸濁される乾燥製品、すぐに注射できる懸濁液、徐放性非経口投薬形態およびエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の非経口投薬形態を与えるために使用することができる適切なビヒクルは、当業者に周知である。例としては、無菌水;注射用水USP;生理食塩水溶液;グルコース溶液;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、および乳酸リンゲル注射液などの、ただしこれらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールなどの、ただしこれらに限定されない水混和性ビヒクル;ならびにトウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルおよび安息香酸ベンジルなどの、ただしこれらに限定されない非水性ビヒクルが挙げられるが、これらに限定されない。
エアロゾル製剤
Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)を含む組成物は、エアロゾルの形態でまたは吸入投与によって、対象の気道に直接投与することができる。エアロゾルとして使用する場合、溶液または懸濁液中のNotch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、慣用の佐剤を加えた適切な噴霧剤、例えば、プロパン、ブタンまたはイソブタンのような炭化水素噴霧剤と一緒に、加圧されたエアロゾル容器中に詰めてもよい。Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、噴霧吸入器または噴霧器などに入れて非加圧式形態で投与することもできる。
「吸入投与」という用語は、液体を微細なスプレーに変換することを含むことが、当技術分野において周知である。好ましくは、このような吸入投与によって、均一な大きさの小さな液滴は、制御された様式で、液体のより大きな本体から生成される。吸入投与は、任意の適切な手段によって、したがって、公知の、現在市販されている多くの噴霧器を用いることなどによって達成することができる。例えば、Niles,IllのInhalation Plastic,Inc.から入手可能なAEROMIST空気式噴霧器。活性成分が、噴霧器を介して、一緒にまたは個別に投与されるように適合されている場合には、活性成分は、適切なpHまたは浸透圧調整をしてまたは調整をせずに、単位用量または複数用量機器のいずれかとして、噴霧化された水性懸濁液または溶液の形態であり得る。
周知のとおり、吸入投与の間に圧力をかけるために、任意の適切な気体を使用することができ、現在まで好ましい気体は、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)の調節物質に対して化学的に不活性である気体である。窒素、アルゴンまたはヘリウムを含むがこれらに限定されない例示的な気体は、高い利点で使用することができる。
いくつかの態様において、Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)は、乾燥粉末の形態で気道に直接投与することもできる。乾燥粉末として使用するために、吸入器の使用によって、GHKトリペプチドを投与することができる。例示的な吸入器としては、定量噴霧式吸入器および乾燥粉末化吸入器が挙げられる。
定量噴霧式吸入器または「MDI」は、液化された噴霧剤中に溶解された薬学的組成物または液化された噴霧剤中に懸濁された微粒子化された粒子などの製品を充填された耐圧缶または容器である。使用することができる噴霧剤としては、クロロフルオロカーボン、炭化水素またはヒドロフルオロアルカンが挙げられる。特に好ましい噴霧剤は、P134a(テトラフルオロエタン)およびP227(ヘプタフルオロプロパン)であり、これらの各々は、単独でまたは組み合わせて使用され得る。これらは、必要に応じて、1つもしくはそれを上回る他の噴霧剤および/または1つもしくはそれを上回る界面活性剤および/または1つもしくはそれを上回る他の賦形剤、例えば、エタノール、潤滑剤、抗酸化剤および/または安定化剤と組み合わせて使用される。組成物の正しい投薬量が患者に送達される。
乾燥粉末吸入器(すなわち、Turbuhaler(Astra AB))は、極めて小さな容量に圧縮された薬学的組成物の乾燥粉末粒子を産生するために、加圧された空気の源によって動作可能なシステムである。
吸入治療用乾燥粉末エアロゾルは、一般的には、主に<5μmの範囲の平均直径で産生される。粒子の直径が3μmを超えるにつれて、マクロファージによる食作用の存在が次第に少なくなる。しかしながら、中咽頭または鼻領域中に過剰に堆積するので、粒径を増加させることは、(標準的な質量密度を有する)粒子が気道および腺房に入る確率を最小限にすることも見出されている。
適切な粉末組成物としては、例示として、ラクトースまたは気管支内投与のために許容され得るその他の不活性粉末と完全に混合されたNotch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)の粉末化された調製物が挙げられる。粉末組成物は、エアロゾル分配器を介して投与することができ、またはカプセルを破裂させ、吸入に適した定常的な流れの中に粉末を吹き出す機器中に、患者によって挿入され得る破れやすいカプセル中に封入することができる。組成物は、噴霧剤、界面活性剤および共溶媒を含むことができ、適切な定量弁によって閉じられる慣用のエアロゾル容器中に満たされ得る。
気道への送達のためのエアロゾルは当技術分野において公知である。例えば、Adjei, A. and Garren, J. Pharm. Res., 1: 565-569 (1990); Zanen, P. and Lamm, J.-W. J. Int. J. Pharm., 114: 111-115 (1995); Gonda, I. "Aerosols for delivery of therapeutic and diagnostic agents to the respiratory tract," in Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 6:273-313 (1990); Anderson et al., Am. Rev. Respir. Dis., 140: 1317-1324 (1989))を参照されたく、また、ペプチドおよびタンパク質の全身送達の可能性も有し(Patton and Platz, Advanced Drug Delivery Reviews, 8:179-196 (1992)); Timsina et. al., Int. J. Pharm., 101: 1-13 (1995); およびTansey, I. P., Spray Technol. Market, 4:26-29 (1994); French, D. L., Edwards, D. A. and Niven, R. W., Aerosol Sci., 27: 769-783 (1996); Visser, J., Powder Technology 58: 1-10 (1989)); Rudt, S. and R. H. Muller, J. Controlled Release, 22: 263-272 (1992); Tabata, Y, and Y. Ikada, Biomed. Mater. Res., 22: 837-858 (1988); Wall, D. A., Drug Delivery, 2: 10 1-20 1995); Patton, J. and Platz, R., Adv. Drug Del. Rev., 8: 179-196 (1992); Bryon, P., Adv. Drug. Del. Rev., 5: 107-132 (1990); Patton, J. S., et al., Controlled Release, 28: 15 79-85 (1994); Damms, B. and Bains, W., Nature Biotechnology (1996); Niven, R. W., et al., Pharm. Res., 12(9); 1343-1349 (1995); およびKobayashi, S., et al., Pharm. Res., 13(1): 80-83 (1996)、これらの全ての内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
制御および遅延放出投薬形態
いくつかの態様において、作用物質は、制御または遅延放出手段によって、対象に投与される。理想的には、医学的な処置における最適に設計された制御放出調製物の使用は、最小の時間で症状を治癒または調節するために利用されている最小の薬物物質によって特徴づけられる。制御放出製剤の利点としては、(1)薬物の延長した活性;(2)低下した投薬頻度;(3)増加した患者の服薬順守;(4)より少ない総薬物の使用;(5)局所的または全身的副作用の低下;(6)薬物蓄積の最小化;(7)血中レベルの変動の低下;(8)処置の有効性の改善;(9)薬物活性の増強または減少の低下;および(10)疾患または症状の調節の速度の改善が挙げられる。(Kim, Cherng-ju, Controlled Release Dosage Form Design,2(Technomic Publishing,Lancaster,Pa.:2000))。制御放出製剤は、式(I)の化合物の作用の開始、作用の持続期間、治療濃度域内の血漿レベルおよび最大血液レベルを調節するために使用することができる。特に、制御または延長放出投薬形態または製剤は、薬物を過小投薬すること(すなわち、最小の治療レベルを下回ること)および薬物に対する毒性レベルを超えることの両方から起こり得る潜在的な有害効果および安全上の懸念を最小限に抑えながら、作用物質の最大有効性が達成されることを確保するために使用することができる。
様々な既知の制御または延長放出投薬形態、製剤および機器は、本明細書に記載されている任意の作用物質との使用のために適合され得る。例としては、その各々の全体が、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;同第4,008,719号;同第5674,533号;同第5,059,595号;同第5,591,767号;同第5,120,548号;同第5,073,543号;同第5,639,476号;同第5,354,556号;同第5,733,566号;および同第6,365,185号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。これらの投薬形態は、様々な割合で所望の放出特性を与えるために、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム(OROS(登録商標)(Alza Corporation, Mountain View, Calif. USA)など)、多層コーティング、微粒子、リポソームもしくは小球体またはこれらの組み合わせを用いて1つまたはそれを上回る活性成分の遅い放出または制御放出を与えるために使用することができる。さらに、開示された化合物の固定された、吸着された塩形態を調製し、これにより、薬物の制御された送達をもたらすために、イオン交換材料を使用することができる。具体的な陰イオン交換体の例としては、DUOLITE(登録商標)A568およびDUOLITE(登録商標)AP143(Rohm&Haas, Spring House, Pa. USA)が挙げられるが、これらに限定されない。
有効性
例えば、コロナウイルス感染性疾患(例えば、COVID-19)の処置のための、本明細書に記載されている作用物質の有効性は、熟練した医師によって決定することができる。しかしながら、本用語が本明細書において使用される場合、本明細書に記載されている方法にしたがう処置後に、例えば、COVID-19の徴候または症候の1つもしくはそれより多くが有益なように変化され、他の臨床的に認められた症候が改善され、もしくは軽減され、または所望の応答が例えば少なくとも10%誘導されれば、処置は、「有効な処置」と考えられる。有効性は、例えば、マーカー、指標、症候および/または本明細書に記載されている方法にしたがって処置された症状の発生または任意の他の測定可能な適切なパラメータ、例えば、増加した肺機能、減少した発熱、回復された正常な呼吸を測定することによって評価することができる。有効性は、入院または医学的介入に対する必要性(すなわち、減弱した肺機能の進行、呼吸に伴う合併症、ARDS)によって評価される、個体の悪化の不発生によって測定することもできる。これらの指標を測定する方法は当業者に公知であり、および/または本明細書に記載されている。
有効性は、本明細書に記載されている症状の動物モデル、例えば、場合によって、COVID-19のマウスモデルまたは適切な動物モデルにおいて評価することができる。実験動物モデルを使用する場合、マーカーの統計学的に有意な変化、例えば、減少した気道炎症、増加した肺機能、回復された正常な呼吸が観察されたときに、処置の有効性が証明される。
Notch4調節作用物質(例えば、Notch4を阻害する作用物質)の有効性は、さらに、本明細書に記載されている方法を用いて評価することができる。
本明細書に開示されている本発明の代替的要素または態様の群分けは、限定と解釈してはならない。各群の構成要素は、個別的にまたは群の他の構成要素もしくは本明細書に見出される他の要素との任意の組み合わせで参照され、権利請求され得る。便宜および/または特許性を理由として、群の1つまたはそれを上回る構成要素を群内に含めることができ、または群から削除することができる。何らかのこのような包含または削除が起きる場合、本明細書は、修飾されたものとして群を含有するものとみなされ、したがって、添付の特許請求の範囲において使用される全てのマーカッシュ群の書かれた記述を充足する。
本明細書中に別段の定義がなければ、本願と関連して使用される科学用語および技術用語は、本開示が属する分野において通常の技術を有する者によって一般的に理解される意味を有するものとする。本発明は、本明細書に記載されている具体的な方法、プロトコールおよび試薬などに限定されるものではなく、したがって、変化し得ることを理解すべきである。本明細書に使用されている術語は、特定の態様を記載するためのものにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、本発明の範囲は専ら特許請求の範囲によって定義される。免疫学および分子生物学における一般的な用語の定義は、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,20th Edition, Merck Sharp&Dohme Corp.出版,2018(ISBN 0911910190,978-0911910421);Robert S. Porter et al.(eds.),The Encyclopedia of Molecular Cell Biology and Molecular Medicine ,Blackwell Science Ltd.出版,1999-2012(ISBN 9783527600908);およびRobert A. Meyers(ed.),Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, VCH Publishers, Inc.出版,1995(ISBN 1-56081-569-8);Immunology by Werner Luttmann, Elsevier出版,2006;Janeway's Immunobiology, Kenneth Murphy, Allan Mowat, Casey Weaver(eds.),W.W. Norton&Company,2016(ISBN 0815345054,978-0815345053);Lewin's Genes XI, Jones&Bartlett Publishers出版,2014(ISBN-1449659055);Michael Richard Green and Joseph Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual,4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., USA(2012)(ISBN 1936113414);Davis et al., Basic Methods in Molecular Biology, Elsevier Science Publishing, Inc., New York, USA(2012)(ISBN 044460149X);Laboratory Methods in Enzymology: DNA, Jon Lorsch(ed.)Elsevier,2013(ISBN 0124199542);Current Protocols in Molecular Biology(CPMB),Frederick M. Ausubel(ed.),John Wiley and Sons,2014(ISBN 047150338X,9780471503385),Current Protocols in Protein Science(CPPS),John E. Coligan(ed.),John Wiley and Sons,Inc.,2005;およびCurrent Protocols in Immunology(CPI)(John E. Coligan, ADA M Kruisbeek, David H Margulies, Ethan M Shevach, Warren Strobe,(eds.)John Wiley and Sons,Inc.,2003(ISBN 0471142735,9780471142737)に見出すことができ、これらの内容は全て、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
その他の用語が、本明細書において、本発明の様々な局面の記述内で定義されている。
本願を通じて引用されている、参照文献、発行された特許、公開された特許出願および同時係属の特許出願を含む全ての特許およびその他の刊行物は、例えば、本明細書に記載されている技術と関連して使用され得る、このような刊行物中で記載されている方法を記載および開示する目的で、参照により、明示的に本明細書に組み入れられる。これらの刊行物は、専ら、本出願の出願日より前におけるそれらの開示のために提供されている。これに関するいずれも、先行発明を理由としてまたは何らかの他の理由のために、本発明者らがこのような開示の日付に先行する資格を有していないことを認めたものと解釈すべきではない。日付に関する全ての記述またはこれらの文書の内容についての表明は、出願人が入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確性についての何らかの自認を構成するものではない。
本開示の態様の記述は、網羅的であることを意図したものではなく、または開示されている正確な形態に本開示を限定することを意図したものではない。本開示の具体的な態様および本開示に対する実施例が、例示の目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識するとおり、様々な均等な改変が本開示の範囲内において可能である。例えば、方法の工程および機能が所定の順序で提示されているが、別の態様は異なる順序で機能を発揮し得、または機能は実質的に同時に発揮され得る。本明細書に提供されている本開示の教示は、適宜、他の手順または方法に対して適用することができる。本明細書に記載されている様々な態様は、さらなる態様を提供するために組み合わせることができる。必要であれば、上記参考文献および出願の組成物、機能および概念を利用して、本開示のさらなる態様を与えるために、本開示の局面は改変することができる。さらに、生物学的機能の同等性の考慮のために、種類または量において生物学的または化学的作用に影響を与えずに、いくつかの変化をタンパク質構造中に施すことができる。これらのおよびその他の変化は、詳細な説明に照らして、本開示に対して施すことができる。このような改変の全てが、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
先述の態様のいずれの具体的な要素も、他の態様中の要素と組み合わせまたは置き換えることができる。さらに、本開示のある態様と関連する利点はこれらの態様に関して記載されているが、他の態様がこのような利点を呈することもあり得、本開示の範囲に属するために、全ての態様がこのような利点を呈することを必ずしも必要としない。
実施例1~5についての概要
COVID-19の基本的な特徴は肺炎症および呼吸不全である。COVID-19患者の多国間前向きコホートにおいて、循環制御性T(Treg)細胞上のNotch4発現の増加が疾患重症度と関連し、死亡率を予測し、回復時に低下することがわかった。従来型およびヒト化マウスのTreg細胞におけるNotch4の欠失は、調節不全の自然免疫を正常化し、ウイルスRNAの合成類似体またはインフルエンザH1N1ウイルスによって誘発される疾患の罹患率および死亡率を改善した。機構的には、Notch4は、組織修復に必要なサイトカインであるアンフィレギュリンのインターロイキン-18による誘導を抑制した。アンフィレギュリンは、COVID-19対象において、疾患重症度およびNotch4発現の関数として減少した。したがって、Treg細胞上のNotch4発現は、アンフィレギュリン依存性組織修復を動的に抑制して重度の肺炎症を促進し、COVID-19および関連する感染症について治療との関連を有する。
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)ウイルスによって引き起こされた2020年のパンデミックは、米国および世界の両方で大量の罹患率および死亡率をもたらした(Cucinotta and Vanelli, 2020)。多くの感染者は無症候性であるか、疾患の軽症型を有するが、サブセットは肺炎および著しい低酸素症を伴うより重篤な疾患に罹患し、急性呼吸促迫症候群に至る(Berlin et al., 2020; Richardson et al., 2020; Zhou et al., 2020a)。これらの患者の多くでは、集中的な呼吸補助にもかかわらず、この疾患が致命的であることが判明した。サイトカインストームに至る、免疫応答の無制御活性化は、死亡の重要な危険因子である(Henderson et al., 2020; Lucas et al., 2020; Vabret et al., 2020)。肺疾患重症度を支配する分子メカニズムはまだよくわかっていない。特に、自然免疫細胞の過剰活性化は、重症COVID-19の病因に重要な役割を果たし(Del Valle et al., 2020; Vabret et al., 2020; Zhou et al., 2020b)、この知見は、新たに出現したマウスモデルでも再現された(Winkler et al., 2020)。自然免疫サイトカインの中でも、インターロイキン(IL)-6は、重症COVID-19対象におけるその血清濃度の増加と、抗インターロイキン6受容体(IL-6R)モノクローナル抗体(mAb)療法に対する良好な臨床反応の報告により、病原性役割を果たすことが提案された(Copaescu et al., 2020; Investigators et al., 2021; Salama et al., 2021; Toniati et al., 2020; Xu et al., 2020)。しかし、他の研究ではそのような利点を確認することができなかった(Hermine et al., 2021; Rosas et al., 2021; Salvarani et al., 2021; Veiga et al., 2021)。
IL-6依存性経路は、受容体Notch4のTreg細胞発現を増加させることにより、肺制御性T(Treg)細胞を破壊し、重症喘息において組織炎症を促進する(Harb et al., 2020; Xia et al., 2018; Xia et al., 2015)。この状況では、Notch4は、HippoおよびWntなどの下流経路を介して作用して、Tヘルパータイプ2(Th2)およびTh17適応免疫応答のTreg細胞調節を破壊する。症例研究では、抗IL-6R mAbによる重症喘息患者の処置。
NOTCH4遺伝子座は、COVID-19の重篤な疾患に関連している(Pairo-Castineira et al., 2021)。これと、COVID-19における高レベルのIL-6の病原性の役割を支持する証拠を考慮して、COVID-19を含む肺ウイルス感染症におけるTreg細胞上の誘導性Notch4発現の影響を調べた。COVID-19対象におけるNotch4発現の増加は疾患重症度の関数であることがわかった。呼吸器ウイルス感染症のマウスモデルにおいて、Notch4は、アレルギー性気道炎症における適応免疫の制御に関与するメカニズムとは異なるメカニズムによって、ウイルス誘発性組織炎症を可能にした。むしろ、Notch4発現は、自然免疫応答および組織修復促進のTreg細胞媒介調節を阻害した。Notch4阻害の保護機能は、肺ウイルス感染症におけるTreg細胞による組織修復の媒介において重要な役割を果たす上皮成長因子様サイトカインアンフィレギュリンのTreg細胞による産生の増加を含む(Arpaia et al., 2015)。これらの知見は、Notch4がCOVID-19疾患重症度のエフェクターであると同定し、COVID-19を含む重篤なウイルス性呼吸器感染症において免疫制御を回復するための実行可能な治療戦略として、Notch4-アンフィレギュリン軸に沿った介入を指摘している。
実施例1
Treg細胞Notch4発現は、独立してCOVID-19による死亡率を予測する。COVID-19患者におけるNotch4と疾患重症度との関連を決定するために、COVID-19を有する患者の3つのコホート、ならびに健康対照を、マサチューセッツ州ボストン(それぞれ、n=38およびn=10)、イタリアのジェノバ(n=44およびn=10)、トルコのイスタンブール(n=36およびn=20)から採用した(表2)。患者を、方法セクションに詳述した基準に従って、入院および高度な呼吸補助の必要性に基づく3つの疾患重症度群(軽症、中等症、および重症)、ならびに回復期群に分離した。悪性腫瘍、心疾患、または内分泌疾患の病歴のある高齢の男性患者はより重篤な疾患を有した(表2)。異なるコホート中のCOVID-19対象の末梢血CD4+CD25+Foxp3+ Treg細胞上のNotch4発現の頻度、絶対数、および平均蛍光強度(MFI)は、疾患重症度の関数として徐々に増加し、回復期対象では急激に減少した(図1A、1B、および表2)。対照的に、中等症および重症疾患を有する対象のCD4+CD25-Foxp3- Tエフェクター(Teff)細胞上のNotch4発現にはわずかな増加があり、そうでなければ他の対象群において発現は最小限であった(図1C、1D)。また、循環Treg細胞上のNotch1、Notch2、およびNotch3を含む他のNotch受容体の発現は、異なる研究群の対象間で差がなかった(図2A~2C)。年齢、性別、併存疾患、糖質コルチコイド処置、および血清IL-6レベルを調整した多変量ロジスティック回帰では、Treg細胞におけるNotch4発現の各1%増加は、死亡率の1.046のより高いオッズと独立して関連した(単変量オッズ比1.055 [95%CI 1.008 - 1.090, p = 0.023; 多変量オッズ比1.057 [95%CI 1.01 - 1.11], p = 0.017(表2)。したがって、例えば、ステロイドで処置された悪性腫瘍の病歴を有する65歳の男性患者において、Notch4を発現するTreg細胞の10%増加は、28.4 %から38.3 %への予測死亡率の上昇をもたらすだろう。全体として、血清IL-6濃度はTreg細胞Notch4発現と正に相関した(図1E)。さらに、インターフェロンα(IFNα)、IFNβ、およびIFNγの血清濃度は、軽症患者と比較して中等症および重症患者で減少した(図1F)(Blanco-Melo et al., 2020; Hadjadj et al., 2020)。対照的に、IL-1β、TNF、IL-8、IL-10、IL-12p70を含む他のサイトカインの血清濃度は変化しなかったが、CXCL10の血清濃度は重症対象においてわずかに増加した(図1G)。
実施例2
Treg細胞Notch4は、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(ポリI:C)によって誘発される肺組織炎症を促進する。ウイルス性呼吸器感染症における肺組織炎症をNotch4が認めるメカニズムを調べるために、ポリI:C誘発気道炎症におけるその役割を最初に調べた。ポリI:Cは、トール様受容体3および下流のウイルスRNAセンサー、細胞質レチノイン酸誘導遺伝子-I(RIG-I)、および黒色腫分化関連タンパク質5(MDA5)を刺激し、したがって、RNAウイルス感染症の代理モデルを提供する(Broggi et al., 2020; Iwasaki and Pillai, 2014; Kato et al., 2006)。マウスに連続6日間ポリI:Cを毎日気管内点滴投与したところ、Notch4発現肺組織Treg細胞の頻度および絶対数ならびにそれらの細胞上のNotch4のMFIが急激に増加した(図3A~3C)。対照的に、Notch4の最小発現がCD4+ Teff細胞で認められた。Foxp3駆動型Creリコンビナーゼ(Foxp3YFPCre)およびフロックスNotch4対立遺伝子(Foxp3YFPCreNotch4Δ/Δ)を用いるNotch4のTreg細胞特異的欠失は、ポリI:C処置によって誘発される体重減少からマウスを保護した(データを示さず)。
さらなる分析は、Notch4欠失が、ポリI:C処置によって誘導される肺組織好中球浸潤を抑制し、M2マクロファージを増加させながら肺M1マクロファージの増加を逆転させることを明らかにした(データを示さず)。ポリI:C処理マクロファージとポリI:C処置マウス由来の肺Treg細胞とのインビトロ共培養は、Foxp3YFPCre Treg細胞ではなくFoxp3YFPCreNotch4Δ/ΔがM1偏りを逆転させ、M2マクロファージ分化を促進することを明らかにした(図3D)。これらの結果は、ポリI:Cによって誘導される肺炎症の進行におけるTreg細胞Notch4発現の重要な役割を確認した。
実施例3
肺炎症の促進におけるNotch4の役割の特異性
異なるNotch受容体がTreg細胞機能を制御する(Charbonnier et al., 2015; Ostroukhova et al., 2006; Perumalsamy et al., 2012)。しかし、ポリI:Cによる肺組織炎症の調節におけるNotch4の役割は、Notch 1、Notch2、Notch3を含む他のNotch遺伝子のTreg細胞特異的欠失が組織炎症から保護することができなかったという点で非常に特異的であった。対照的に、Notch標準経路転写因子RBPJをコードするRbpjのTreg細胞特異的欠失は、Notch4欠失の保護効果を大部分再現した(図4A~4F)。Notch4の下流では、本発明者らの以前の研究は、HippoおよびWnt経路を、それぞれ、アレルギー性気道炎症におけるTh17およびTh2応答のTreg細胞調節に関係づけた(Harb et al., 2020)。ポリI:C処理は、肺組織Treg細胞におけるHippo経路エフェクターYapの発現を強力に誘導したが、Wnt経路エフェクター□-カテニンの発現は変化しなかった(図4G、4H)。Yap1およびWwtr1(Hippo経路エフェクターYapおよびTazをコードする)、Ctnnb1(Wnt経路エフェクター□-カテニンをコードする)、または3つの遺伝子すべてのTreg細胞特異的欠失が、ポリI:C誘発炎症からの保護に失敗した。これらの知見は、ウイルス感染症に対する急性炎症応答のNotch4制御がはっきりと異なるメカニズムによって進行することを示した(図4I~4N)。
本発明者らは、喘息性炎症におけるTreg細胞上のNotch4発現のアップレギュレーションにおけるIL-6の重要な役割を以前に同定した(Harb et al., 2020)。これらの結果と一致して、ポリI:C処置マウスからのNotch4+肺Treg細胞は、それらのNotch4-対応物と比較してより高いレベルのIL-6Rα鎖を発現した(図3E)。Treg細胞におけるNotch4誘導のメカニズムをさらに解明するために、PBSまたはポリI:C処置マウスから単離されたTreg細胞におけるNotch4発現をアップレギュレートするポリI:Cおよびサイトカイン処理の能力を調べるためのインビトロ研究を実施した。結果は、脾臓Treg細胞ではなく肺Treg細胞のポリI:C処理は、IL-33ではなくIL-6との相乗効果でNotch4発現を増加させることを示した(図3F)。インビボでは、Il6raのTreg細胞特異的欠失は、肺Treg細胞上のポリI:C誘導Notch4発現、ならびに体重の減少、AHRの増加、好中球の流入およびマクロファージ集団の変化を含む付随する組織炎症反応を弱めた(図6B~6G)。これらの結果は、IL-6および追加のシグナルの両方が、ポリI:C処置マウスにおける肺Treg細胞上のNotch4アップレギュレーションに寄与することを示した。
実施例4
Notch4拮抗作用による保護はアンフィレギュリン依存性である。Notch4枯渇が肺炎症から保護したメカニズムをよりよく理解するために、ポリI:Cで6日間処置されたFoxp3YFPCreおよびFoxp3YFPCreNotch4Δ/Δマウスの肺Treg細胞のトランスクリプトームを分析した。結果は、ポリI:C処置されたFoxp3YFPCreマウスの肺Treg細胞が活性化エフェクターTreg細胞シグネチャーを示し、Ctla4、Ikzf2、Il10、Tigit、ならびにTNF受容体スーパーファミリーメンバーTnfrsf4、Tnfrsf9、およびTnfrsf18を含む多くの標準的Treg細胞転写物のアップレギュレーションを伴うことを明らかにした(Arpaia et al., 2015)(図5A、5B)。ポリI:C処置はまた、Pdcd1、Icos、Lag3、およびそれらの抑制機能を損ない得る他の関連転写物の増加を伴う疲弊T細胞様シグネチャーを与えた(Lowther et al., 2016)。対照的に、ポリI:C処置されたFoxp3YFPCreNotch4Δ/ΔマウスのTreg細胞は、いくつかのI型インターフェロン遺伝子を増加させた。より広義には、Foxp3YFPCre対Foxp3YFPCreNotch4Δ/Δ肺Treg細胞において濃縮された主要な経路は、自然ウイルス感知および応答、I型インターフェロンシグナル伝達、TH細胞分化、およびユビキチン媒介タンパク質分解に関与するものを含んだ(図5C)。いくつかの重要な標準マーカーのRNAおよびタンパク質発現が、Foxp3YFPCre肺Tregにおいて一致して増加したが、例外には、転写レベルが増加したにもかかわらず発現が減少した、Ikzf2によってコードされる転写因子Heliosが含まれた(図5D)。さらなる分析は、Helios発現の喪失をFoxp3YFPCre肺TregのNotch4+画分へ局在化させ、これは、喘息モデルにおける本発明者らの以前の観察(Harb et al., 2020)と同様に、Helioslow Notch4+誘導Treg細胞の拡大か、または代替的に不安定化の可能性の増加につながるHelios発現の喪失かのいずれかを示唆している(Thornton et al., 2019)(図5E)。後者の結果は、Notch4がユビキチン化およびタンパク質分解などの経路による翻訳後調節のプログラムを開始することを示し、これらの両方ともがポリI:C処置Foxp3YFPCreマウスのTreg細胞において増加した。
H1N1ウイルス感染症における肺組織修復におけるTreg細胞の機能は、上皮成長因子様サイトカインアンフィレギュリンの産生を含む(Arpaia et al., 2015)。Treg細胞は肺におけるアンフィレギュリンの主な供給源であり、一方、アンフィレギュリンをコードする遺伝子であるAregのTreg細胞特異的欠失は疾患転帰を悪化させる(Arpaia et al., 2015)。肺Treg細胞の分析により、ポリI:C処理後のFoxp3YFPCreNotch4Δ/Δ Treg細胞と比較してFoxp3YFPCreにおいてAreg転写物が著しく増加したにもかかわらず(データを示さず)、Foxp3YFPCreマウスのTreg細胞およびBAL液中でアンフィレギュリンタンパク質発現は増加しなかったことが明らかになった。これらの結果と一致して、アンフィレギュリン発現は、ポリI:C処置マウスにおいてNotch4+肺Treg細胞と対比してNotch4-肺Treg細胞において差別的に富むことが見出された(データは示さず)。同様の結果が、インフルエンザH1N1ウイルス感染マウスの肺Treg細胞においても見出された(データを示さず)。
Notch4枯渇による誘発された肺炎症に対する保護におけるアンフィレギュリンの役割を確立するために、ポリI:C誘発肺炎症を改善するための組換えアンフィレギュリン療法の能力を調べた。組換えアンフィレギュリンによるFoxp3YFPCreマウスの処置は、無傷の上皮バリア機能の回復に伴って、ポリI:C処置によって誘発された体重減少および炎症反応を大部分無効にした(データを示さず)。組換えアンフィレギュリンはまた、ポリI:Cによるインビトロ処理での肺マクロファージのM1表現型への偏りを逆転させ(図7H)、これは、Foxp3YFPCreNotch4Δ/Δ Treg細胞の同じ効果を反映している(データを示さず)。
上記の結果と一致して、COVID-19対象の血清の分析は、健康対照の対象のものと比較して軽症の対象においてアンフィアギュリン濃度が増加し、中等症および重症患者の血清ではNotch4発現に反比例して減少したことを明らかにした(データを示さず)。アンフィレギュリンとNotch4との間のこの逆相関は、特に循環Treg細胞においてNotch4およびアンフィレギュリン発現を比較した場合に特に顕著であった(データを示さず)。対照的に、循環Teff細胞上のNotch4とアンフィレギュリン発現との間に相関はなかった(データを示さず)。全体として、これらの結果は、ウイルス感染症におけるNotch4阻害機能の重要なメカニズムとしてのTreg細胞によるアンフィレグリン産生の抑制と一致している。
実施例5
H1N1インフルエンザAウイルス感染症モデルにおけるTreg特異的Notch4欠失の影響
これらの知見をインビボで拡張するために、肺組織炎症の促進におけるTreg細胞上のNotch4発現の役割を、H1N1インフルエンザAウイルス感染症のマウスモデルにおいて分析した(Woodham et al., 2020)。感染を十分に引き起こすために、マウスに4x104プラーク形成単位(pfu)/マウスでH1N1ウイルスを感染させた。感染によって誘発された体重減少は、Notch4のTreg細胞特異的欠失で無効にされた。長いTreg細胞上のNotch4発現の分析により、H1N1感染症はNotch4発現を増加させ、効果はTreg細胞特異的Notch4欠失によって無効にされることが明らかになった。Treg細胞特異的Notch4欠失は肺組織好中球流入を大幅に弱め、肺胞マクロファージ集団を回復させ、炎症性M1表現型から離れて抗炎症性M2表現型に向かって組織マクロファージの偏りを逆転させた。
(表2)疾患重症度および死亡率の予測因子によって階層化されたCOVID-19患者の人口統計
Figure 2023529727000014
バイオマーカー、平均値(SD)
Figure 2023529727000015
Figure 2023529727000016
疾患重症度分類。軽症=入院は必要なかった。中等症=入院したが、酸素補給のみが必要であった。重症=入院し、高流量酸素、非侵襲的換気、または機械的換気が必要であった。
略語:BMI = ボディマス指数;ICU = 集中治療室;抗IL-6 = 抗インターロイキン-6モノクローナル抗体療法;ECMO = 体外膜型酸素供給;IL-6 =インターロイキン-6、OR = オッズ比。95%CI = 95%信頼区間。
実験例1~5についての実験モデルおよび対象の詳細
ヒト対象。以下の施設からのCOVID-19患者の3つの前向きコホートを採用した:(1)米国マサチューセッツ州ボストンにあるMassachusetts General Hospital;(2)イタリアのジェノバにあるSan Martino Hospital;(3)トルコのイスタンブールにあるIstanbul Medical Faculty Hospitals。選択基準は、COVID-19疾患と一致する臨床症候群、およびRT-PCRに基づく鼻腔スワブからの陽性SARS-CoV-2検査を含んだ。病気の重症度を次のように定義した:(1)入院を必要となかった患者については、軽症;(2)入院を必要とし、高流量酸素(毎分15リットルを超える流量として定義される)、非侵襲的陽圧換気、機械的換気などの急性呼吸不全の治療を必要とせず、かつ、腎代替療法またはショックなどの他のタイプの臓器不全の治療を必要としなかった患者については、中等症;(3)高流量酸素、非侵襲的陽圧換気、機械的換気、昇圧剤、腎代替療法などの、集中治療室で通常投与される支持療法を必要とする臓器不全の患者については、重症;(4)急性疾患から回復し退院した患者については、回復期。国が一致した健康対照のコホートも採用した(補足データ表1)。
患者の特徴、受けた治療法、および臨床転帰を含む臨床データは、医療記録からパスワードで保護されたREDCap(Research Electronic Data Capture)データベースに要約した。末梢血採血は、フローサイトメトリーおよびサイトカイン分析のために、登録時およびその後毎週(入手可能な場合)に得た。
マクロファージとの制御性T細胞共培養。マクロファージ細胞をポリI:C処置マウスの肺から単離する。マクロファージをCD45+ F4/80+ MHCII+に基づいて単離した。次に、マクロファージを、Foxp3YFPCreまたはFoxp3YFPCreNotch4Δ/ΔマウスポリI:C処置マウスからの肺Treg細胞と(1:1濃度で)共培養した。細胞を10ug/mlの濃度のポリI:Cで3日間処理した。72時間後、M1(F4/80+ MHCII+ CD68+ CD80+CD86+)およびM2(F4/80+ MHCII+ CD163+ CD206+)偏光をフローサイトメトリー分析によって測定した。
ポリイノシン酸-ポリシチジル酸(ポリI:C)マウスモデル。マウスを連続6日間毎日2.5 mg/kgのポリI:C HMW(InvivoGen)で気管内処置した。マウスの体重をポリI:Cの適用時に毎日記録した。マウスを7日目に気道過敏に供し、次いで安楽死させ、分析した。アンフィレギュリンを遮断するために、マウスを、ヒトアンフィレギュリンプレプロタンパク質の中央領域のアミノ酸91 140にまたがるペプチド(アンフィレギュリン91-140ペプチド;Mybiosource)で処置した。ペプチドを最終体積100μlにてPBS中10μg/mlで気管内に与えた。アンフィレギリン中和抗体検査のために、マウスへ、実験期間中毎日、20μgのヤギ抗マウスアンフィレギュリンmAb(クローンAF989; R&D systems)またはアイソタイプコントロールmAb(クローンAB-108-C; R&D systems)を腹腔内に与えた。
H1N1インフルエンザA型ウイルス調製物。マウス適応型H1N1インフルエンザAウイルス(PR/8/34)をCharles River (カタログ番号10100374)から入手した。ウイルスストックは1マウス当たり40,000感染単位(IU)を含むと計算され、PBS中で20μl/マウスの体積に希釈した。致死量(LD75)については、ウイルスストックは1マウス当たり60,000 IUを含むと計算され、同様にPBS中で20μl/マウスの体積に希釈した。
H1N1インフルエンザAウイルス感染症モデル。示されるように、実験の0日目に、40,000pfu用量のH1N1ウイルスまたは70,000pfu用量(致死量75(LD75)に相当する)のいずれかで、マウスを鼻腔内処置した。マウスを、感染の徴候を確認するために毎日モニターした。マウスの体重を記録し、マウスの体重減少が20~25%を超えると、マウスを安楽死させた。炎症のピークを捉えるために、実験のエンドポイントを12日目に設定した。
M1およびM2ゲーティング戦略。M1を以下:CD45+CD4- F4/80+ MHCII+ CD68+ CD80+CD86+のように定義し、M2マクロファージを以下:CD45+CD4-F4/80+ MHCII+CD163+CD206+のように定義した。
統計分析。スチューデントの両側t検定、一元配置および二元配置分散分析、ならびに検定後分析および群のログランク検定を伴う反復測定二元配置分散分析を使用して、示されているように試験群を比較した。相関分析には線形回帰を使用した。ヒトデータの分析について、分布の正規性に応じて、2値データおよびカテゴリデータの場合は数値(パーセンテージ)、連続データの場合は平均値(標準偏差)または中央値(四分位範囲)を使用して、要約統計量を計算した。Notch4発現と死亡率との関連を決定するためにロジスティック回帰を行った。年齢、性別、および研究施設を含む共変量は、演繹的知識に基づいて選択した。相関性の高い共変量の場合、潜在的な予測因子と転帰の間に最も強い単変量関連性を有する予測因子を選択した。最終モデルでは、転帰は研究登録後の任意の時点で死亡であり、関心対象の予測因子はNotch4発現および血清インターロイキン-6レベルであり、共変量は年齢、性別、悪性腫瘍の病歴、およびコルチコステロイド処置を含んだ。分析はRバージョン3.6.1で実行した。<0.05の両側p値を統計的に有意と考えた。
実施例6:H1N1インフルエンザマウスモデルにおけるNotch4調節
この実施例では、肺組織炎症を促進する上でのTreg細胞上のNotch4発現の役割を、H1N1インフルエンザAウイルス感染症のマウスモデルで分析する(例えば、Woodham et al., 2020を参照のこと)。
感染を十分に引き起こすために、マウスに4x104プラーク形成単位(pfu)/マウスでH1N1ウイルスを感染させる。Notch4調節作用物質(例えば、ヒト化Notch4抗体)がH1N1ウイルス感染症から保護できるかどうかを判断するために、マウスを感染症の発症前に;例えば、ウイルスに感染する前に、またはウイルス感染後のマウスにおいて検出可能なH1N1感染の前に、Notch4調節作用物質で処置する。あるいは、Notch4調節作用物質がH1N1ウイルス感染症から救済できるかどうかを決定するために、マウスを感染症の発症後にNotch4調節作用物質で処置する。
ウイルス感染症の保護および/または救済におけるNotch4調節作用物質の有効性を評価するために、感染症のさまざまな症状を評価する。例えば、マウスにおけるH1N1感染症は体重減少を誘発し、BAL液IL-6濃度を増加させ、肺組織炎症反応を誘発する。肺組織炎症反応の特徴には、肺組織好中球流入、肺胞マクロファージ集団の枯渇、および炎症性M1表現型から抗炎症性M2表現型への組織マクロファージの偏りが含まれる。さらに、肺Treg細胞上のNotch4発現が感染症の発症後にマウスにおいて増加する。
ウイルスに感染する前にNotch4調節作用物質を投与することにより、上記の症状の発症を予防することは、その作用物質がウイルス感染症に対して保護的であることを示すであろう。
感染後(例えば、感染後4~7日目)のNotch4調節作用物質の投与による上記の症状の発症の逆転は、作用物質がウイルス感染症を救済または処置することを示すであろう。
これらの実験は、ヒト化免疫系マウスモデル、例えば、ヒトPBMCで再構成されたNOD- PrkdcscidIl2rgtmiwjl/Sz (NSG)マウスにおいてさらに実施される。
材料および方法:
H1N1インフルエンザAウイルス調製は、実質的に実施例5に記載されるように実施され得る。H1N1インフルエンザAウイルス感染症モデルは、実質的に実施例5に記載されるように作製され得る。(実施例1~5については、材料および方法セクションを参照のこと)。
ヒト化マウスH1N1ウイルス感染症。NOD-PrkdcscidIl2rgtmiwjl/Sz (NSG)ヒト化マウスを、健康対照からのPBMCで再構成する。次いで、マウスを、0日目に鼻腔内に示されるように亜致死量のウイルスで処置する。感染の徴候を確認するためにマウスを毎日モニターする。マウスの体重を記録し、マウスの体重減少が20~25%を超えると、マウスを安楽死させる。亜致死実験について、炎症のピークを捉えるために、実験のエンドポイントを12日目に設定する。
実施例7:急性呼吸促迫症候群のマウス有害機械的換気モデルにおけるNotch4調節
この実施例では、Notch4調節作用物質を急性呼吸促迫症候群の有害機械的換気モデルにおいて試験する。
マウスは、様々な用量のNotch4調節作用物質(例えば、ヒト化Notch4抗体)または生理食塩水で前処置し、保護的(8 mL/kg)または有害な(25 mL/kg)換気を4時間受ける。Notch4調節作用物質または生理食塩水を、実験の-2日目、-1日目、および0日目に腹腔内注射する。
肺力学(例えば、呼吸器系エラスタンス、組織ダンピング、および気道抵抗など)を、強制振動技術によって評価する。呼吸器系コンプライアンスを、準静圧-体積曲線で測定する。
ヘマトキシリン-エオシン染色された肺切片を肺損傷の存在についてスコアリングする。肺内皮機能障害を気管支肺胞洗浄タンパク質含量によって、および内皮結合タンパク質血管内皮カドヘリンの肺組織発現をイムノブロッティングによって確認する。肺における炎症反応を評価するために、気管支肺胞洗浄液の総細胞含有量および好中球画分を、顕微鏡検査および染色、ならびにマトリックス-メタロプロテアーゼ-9についての酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって評価する。全身反応を評価するために、腫瘍壊死因子-α、インターロイキン-6、およびマトリックス-メタロプロテアーゼ-9の血漿レベルをELISAによって決定する。
以下の観察のいずれかまたは任意の組み合わせは、Notch4調節作用物質の治療効果を示し得る:高い一回換気量での換気によって誘発された肺の機械的変化の減少、組織学的肺損傷スコアの低下、洗浄プレオサイトーシスおよび好中球増加症の減弱、微小血管タンパク質透過性の低下、腫瘍壊死因子-αレベルの低下、血漿インターロイキン-6レベルの低下、ならびに洗浄液マトリックス-メタロプロテイナーゼ-9レベルの低下、ならびに生理食塩水対照と比べての肺組織血管内皮カドヘリン発現の保存されたまたはより高いレベル。
実施例8:エンドトキシン誘発急性呼吸促迫モデルのブタモデルにおけるNotch4調節
この実施例では、Notch4調節作用物質を急性呼吸促迫症候群のエンドトキシン誘発モデルにおいて試験する。
ブタに麻酔をかけ、挿管し、血行動態モニタリングのために外科的に器具を装着し、同様のサイズの3つの群にランダム化する:(1)対照(外科的器具使用のみ);(2)リポ多糖(LPS)(100μg/kglでの大腸菌(Escherischia coli)リポ多糖の注入、および(3)Notch4調節作用物質(例えば、ヒト化Notch4抗体)+ LPS。異なる用量のNotch4調節作用物質を試験するために、追加の群を使用してもよい。群(3)および可能な追加の群に、LPS注入の12時間前にNotch4調節作用物質を投与する。
動物は、LPSまたは偽LPS注入後6時間モニターする。連続気管支肺胞洗浄(BAL)試料を、ゼラチンザイモグラフィーによってマトリックスメタロプロテイナーゼ濃度について分析する。肺組織を剖検時の形態測定評価のために固定する。
LPS注入は、プラトー気道圧(Pplat)の上昇および動脈酸素分圧(PaO2)の低下を含む、対照群と比較して有意な生理学的悪化を特徴とする。Notch4調節作用物質+LPS群におけるLPS注入後の上記の病態生理学的変化の減少は、Notch4調節作用物質が治療効果を有することを示し得る。
BAL流体中のMMP-9およびMMP-2濃度は、典型的には、LPS注入後に有意に増加する。Notch4調節作用物質の前処置によるMMP-9およびMMP-2濃度の増加の減少は、Notch4調節作用物質が治療効果を有することを示し得る。
形態測定的に、LPSは好中球および単球の肺組織への有意な隔離を引き起こす。Notch4調節作用物質での前処置によるこの応答の軽減は、Notch4調節作用物質が治療効果を有することを示し得る。
実施例9:Notch4調節剤でのヒト対象の処置
ヒト化Notch4抗体を、急性呼吸促迫症候群を処置するのに有効な量で、急性呼吸促迫症候群に罹患している、または罹患するリスクがあるヒトに投与する。
単数形の用語「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に反対を表さなければ、複数表記を含む。同様に、「または」という用語は、文脈が明確に反対を表さなければ、「および」を含むものとする。本開示の実施または検査において、本明細書に記載されたものと類似のまたは均等な方法および材料を使用することができるが、適切な方法および材料が以下に記載されている。「e.g.」という略号は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、本明細書において、非限定的な例を表すために使用される。したがって、「e.g.」という略号は、「例えば」という用語と同義である。
[本発明1001]
コロナウイルス感染性疾患に関連する症状を処置または軽減するための方法であって、Notch4を阻害する作用物質の有効量を、コロナウイルス感染性疾患を有する対象へ投与する工程を含む、方法。
[本発明1002]
コロナウイルス感染性疾患がCOVID-19である、本発明1001の方法。
[本発明1003]
投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を有すると対象を診断するステップをさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1004]
投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
Notch4を阻害する作用物質が、小分子、抗体またはその抗原結合性断片、ペプチド、ゲノム編集システム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNAiからなる群より選択される、本発明1001の方法。
[本発明1006]
抗体またはその抗原結合性断片が、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である、本発明1005の方法。
[本発明1007]
RNAiが、マイクロRNA、siRNA、またはshRNAである、本発明1005の方法。
[本発明1008]
Notch4を阻害することが、Notch4の発現レベルおよび/または活性を阻害することである、本発明1001~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
Notch4の発現レベルおよび/または活性が、適切な対照または基準レベルと比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上阻害される、本発明1008の方法。
[本発明1010]
Notch4がT制御性細胞上で阻害される、本発明1001の方法。
[本発明1011]
少なくとも1つの追加の治療薬を投与する工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1012]
少なくとも1つの追加の治療薬が抗ウイルス治療薬である、本発明1011の方法。
[本発明1013]
COVID-19の症状を処置または軽減するための方法であって、Notch4を阻害する作用物質の有効量を、COVID-19を有する対象へ投与する工程を含む、方法。
[本発明1014]
投与する工程の前に、COVID-19を有すると対象を診断するステップをさらに含む、本発明1013の方法。
[本発明1015]
投与する工程の前に、COVID-19を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む、本発明1013の方法。
[本発明1016]
Notch4を阻害する作用物質を、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがある対象へ投与する工程を含む、コロナウイルス感染性疾患を予防するための方法。
[本発明1017]
投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがある対象を特定するステップをさらに含む、本発明1016の方法。
[本発明1018]
投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがあると対象を特定するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む、本発明1016の方法。
[本発明1019]
コロナウイルス感染性疾患がCOVID-19である、本発明1016の方法。
[本発明1020]
Notch4を阻害する作用物質を、COVID-19疾患を発症するリスクがある対象へ投与する工程を含む、COVID-19を予防するための方法。
[本発明1021]
投与する工程の前に、COVID-19を発症するリスクがある対象を特定するステップをさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1022]
投与する工程の前に、COVID-19を発症するリスクがあると対象を特定するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1023]
コロナウイルス感染性疾患の処置のための組成物であって、Notch4を阻害する作用物質および薬学的に許容される担体を含む、組成物。
[本発明1024]
COVID-19の処置のための組成物であって、Notch4を阻害する作用物質および薬学的に許容される担体を含む、組成物。
[本発明1025]
Notch4を阻害する作用物質が、小分子、抗体またはその抗原結合性断片、ペプチド、ゲノム編集システム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNAiからなる群より選択される、本発明1023または1024の組成物。
[本発明1026]
抗体またはその抗原結合性断片が、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である、本発明1023または1024の組成物。
[本発明1027]
RNAiが、マイクロRNA、siRNA、またはshRNAである、本発明1023または1024の組成物。
[本発明1028]
吸入投与のために製剤化されている、本発明1023または1024の組成物。
[本発明1029]
急性呼吸促迫症候群(ARDS)を発症するリスクがある対象を処置するための方法であって、
a.Notchのレベルが基準レベルと比較して増加している場合にARDSを発症するリスクがあると対象を特定するアッセイの結果を受け取る工程;および
b.ARDSを発症するリスクがあると特定された対象へNotch4を阻害する作用物質を投与する工程
を含む、方法。
[本発明1030]
生物学的試料を取得する前に、対象がCOVID-19を有すると診断された、本発明1029の方法。
[本発明1031]
生物学的試料を取得する前に、COVID-19を有すると対象を診断するステップをさらに含む、本発明1029の方法。
[本発明1032]
生物学的試料を取得する前に、COVID-19を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む、本発明1029の方法。
[本発明1033]
Notch4のレベルが、基準レベルと比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはそれ以上増加している、本発明1029の方法。
[本発明1034]
急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する対象を処置するための、またはARDSに関連する症状を軽減するための方法であって、
a.Notchのレベルが基準レベルと比較して増加している場合にARDSを有すると対象を特定するアッセイの結果を受け取る工程;および
b.ARDSを有すると特定された対象へNotch4を阻害する作用物質を投与する工程
を含む、方法。
[本発明1035]
Notch4のレベルが、基準レベルと比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはそれ以上増加している、本発明1034の方法。
[本発明1036]
コロナウイルス感染性疾患に関連する症状を処置、予防、または軽減するための方法であって、有効量のNotch4調節作用物質を、コロナウイルス感染性疾患を有するかまたは有するリスクがある対象へ投与する工程を含む、方法。
[本発明1037]
コロナウイルス感染性疾患がCOVID19である、本発明1036の方法。
[本発明1038]
Notch4調節作用物質が、小分子、抗体またはその抗原結合性断片、ペプチド、ゲノム編集システム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNAiからなる群より選択される、本発明1036または1037の方法。
[本発明1039]
Notch4調節作用物質が、Notch4抗体またはそのNotch4結合性断片である、本発明1038の方法。
[本発明1040]
Notch4抗体が、ヒト化抗体またはそのNotch4結合性断片である、本発明1039の方法。
[本発明1041]
Notch4調節作用物質が、Notch4の発現レベルおよび/または活性を低下させる、本発明1036~1040のいずれかの方法。
[本発明1042]
Notch4調節作用物質が、適切な対照または基準レベルと比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上、Notch4の発現レベルおよび/または活性を低下させる、本発明1041の方法。
[本発明1043]
コロナウイルス感染性疾患に関連する症状の処置、予防、または軽減のための組成物であって、Notch4調節作用物質および薬学的に許容される担体を含む、組成物。
[本発明1044]
それを必要とする対象において、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を処置または予防する方法であって、
Notch4を調節する作用物質の有効量を対象へ投与する工程
を含む、方法。
[本発明1045]
Notch4を調節する作用物質が、小分子、抗体またはその抗原結合性断片、ペプチド、ゲノム編集システム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNA干渉(RNAi)作用物質である作用物質からなる群より選択される、本発明1044の方法。
[本発明1046]
抗体またはその抗原結合性断片が、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である、本発明1045の方法。
[本発明1047]
抗体またはその抗原結合性断片が、ヒト化Notch4抗体またはその抗原結合性断片である、本発明1046の方法。
[本発明1048]
RNAi作用物質が、マイクロRNA、siRNA、またはshRNAである、本発明1045の方法。
[本発明1049]
Notch4の発現レベルおよび/または活性を低下させることによってNotch4を調節する、本発明1044~1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
Notch4の発現レベルおよび/または活性を、適切な対照または基準レベルと比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上低下させる、本発明1049の方法。
[本発明1051]
前記作用物質が、Notch4の発現および/または活性を阻害することによってNotch4を調節する、本発明1044~1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
それを必要とする対象において、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を処置または予防する方法であって、
Notch4活性を調節する抗体またはその抗原結合性断片の有効量を対象へ投与する工程
を含む、方法。
[本発明1053]
抗体またはその抗原結合性断片が、ヒト化抗体、キメラ抗体、ナノボディ、アフィボディ、scFv、Fab、またはその抗原結合性断片である、本発明1052の方法。
[本発明1054]
Notch4がT制御性細胞上で調節される、本発明1044~1053のいずれかの方法。
[本発明1055]
少なくとも1つの追加の治療薬を投与する工程をさらに含む、本発明1044~1053のいずれかの方法。
[本発明1056]
少なくとも1つの追加の治療薬が抗ウイルス治療薬である、本発明1055の方法。
[本発明1057]
投与ステップの前に、対象におけるNotch4のレベルが、基準レベルと比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはそれ以上増加している、本発明1043~1056のいずれかの方法。
[本発明1058]
対象におけるNotch4のレベルを、投与前に決定する、本発明1057の方法。
[本発明1059]
対象におけるNotch4のレベルを、前記作用物質の投与後にモニターする、本発明1058の方法。
(表2)ヒト化Notch4抗体の例示的な配列
Figure 2023529727000051

Claims (59)

  1. コロナウイルス感染性疾患に関連する症状を処置または軽減するための方法であって、Notch4を阻害する作用物質の有効量を、コロナウイルス感染性疾患を有する対象へ投与する工程を含む、方法。
  2. コロナウイルス感染性疾患がCOVID-19である、請求項1記載の方法。
  3. 投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を有すると対象を診断するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
  4. 投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
  5. Notch4を阻害する作用物質が、小分子、抗体またはその抗原結合性断片、ペプチド、ゲノム編集システム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNAiからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  6. 抗体またはその抗原結合性断片が、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である、請求項5記載の方法。
  7. RNAiが、マイクロRNA、siRNA、またはshRNAである、請求項5記載の方法。
  8. Notch4を阻害することが、Notch4の発現レベルおよび/または活性を阻害することである、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
  9. Notch4の発現レベルおよび/または活性が、適切な対照または基準レベルと比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上阻害される、請求項8記載の方法。
  10. Notch4がT制御性細胞上で阻害される、請求項1記載の方法。
  11. 少なくとも1つの追加の治療薬を投与する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  12. 少なくとも1つの追加の治療薬が抗ウイルス治療薬である、請求項11記載の方法。
  13. COVID-19の症状を処置または軽減するための方法であって、Notch4を阻害する作用物質の有効量を、COVID-19を有する対象へ投与する工程を含む、方法。
  14. 投与する工程の前に、COVID-19を有すると対象を診断するステップをさらに含む、請求項13記載の方法。
  15. 投与する工程の前に、COVID-19を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む、請求項13記載の方法。
  16. Notch4を阻害する作用物質を、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがある対象へ投与する工程を含む、コロナウイルス感染性疾患を予防するための方法。
  17. 投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがある対象を特定するステップをさらに含む、請求項16記載の方法。
  18. 投与する工程の前に、コロナウイルス感染性疾患を発症するリスクがあると対象を特定するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む、請求項16記載の方法。
  19. コロナウイルス感染性疾患がCOVID-19である、請求項16記載の方法。
  20. Notch4を阻害する作用物質を、COVID-19疾患を発症するリスクがある対象へ投与する工程を含む、COVID-19を予防するための方法。
  21. 投与する工程の前に、COVID-19を発症するリスクがある対象を特定するステップをさらに含む、請求項20記載の方法。
  22. 投与する工程の前に、COVID-19を発症するリスクがあると対象を特定するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む、請求項20記載の方法。
  23. コロナウイルス感染性疾患の処置のための組成物であって、Notch4を阻害する作用物質および薬学的に許容される担体を含む、組成物。
  24. COVID-19の処置のための組成物であって、Notch4を阻害する作用物質および薬学的に許容される担体を含む、組成物。
  25. Notch4を阻害する作用物質が、小分子、抗体またはその抗原結合性断片、ペプチド、ゲノム編集システム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNAiからなる群より選択される、請求項23または24記載の組成物。
  26. 抗体またはその抗原結合性断片が、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である、請求項23または24記載の組成物。
  27. RNAiが、マイクロRNA、siRNA、またはshRNAである、請求項23または24記載の組成物。
  28. 吸入投与のために製剤化されている、請求項23または24記載の組成物。
  29. 急性呼吸促迫症候群(ARDS)を発症するリスクがある対象を処置するための方法であって、
    a.Notchのレベルが基準レベルと比較して増加している場合にARDSを発症するリスクがあると対象を特定するアッセイの結果を受け取る工程;および
    b.ARDSを発症するリスクがあると特定された対象へNotch4を阻害する作用物質を投与する工程
    を含む、方法。
  30. 生物学的試料を取得する前に、対象がCOVID-19を有すると診断された、請求項29記載の方法。
  31. 生物学的試料を取得する前に、COVID-19を有すると対象を診断するステップをさらに含む、請求項29記載の方法。
  32. 生物学的試料を取得する前に、COVID-19を有すると対象を診断するアッセイの結果を受け取るステップをさらに含む、請求項29記載の方法。
  33. Notch4のレベルが、基準レベルと比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはそれ以上増加している、請求項29記載の方法。
  34. 急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する対象を処置するための、またはARDSに関連する症状を軽減するための方法であって、
    a.Notchのレベルが基準レベルと比較して増加している場合にARDSを有すると対象を特定するアッセイの結果を受け取る工程;および
    b.ARDSを有すると特定された対象へNotch4を阻害する作用物質を投与する工程
    を含む、方法。
  35. Notch4のレベルが、基準レベルと比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはそれ以上増加している、請求項34記載の方法。
  36. コロナウイルス感染性疾患に関連する症状を処置、予防、または軽減するための方法であって、有効量のNotch4調節作用物質を、コロナウイルス感染性疾患を有するかまたは有するリスクがある対象へ投与する工程を含む、方法。
  37. コロナウイルス感染性疾患がCOVID19である、請求項36記載の方法。
  38. Notch4調節作用物質が、小分子、抗体またはその抗原結合性断片、ペプチド、ゲノム編集システム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNAiからなる群より選択される、請求項36または37記載の方法。
  39. Notch4調節作用物質が、Notch4抗体またはそのNotch4結合性断片である、請求項38記載の方法。
  40. Notch4抗体が、ヒト化抗体またはそのNotch4結合性断片である、請求項39記載の方法。
  41. Notch4調節作用物質が、Notch4の発現レベルおよび/または活性を低下させる、請求項36~40のいずれか一項記載の方法。
  42. Notch4調節作用物質が、適切な対照または基準レベルと比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上、Notch4の発現レベルおよび/または活性を低下させる、請求項41記載の方法。
  43. コロナウイルス感染性疾患に関連する症状の処置、予防、または軽減のための組成物であって、Notch4調節作用物質および薬学的に許容される担体を含む、組成物。
  44. それを必要とする対象において、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を処置または予防する方法であって、
    Notch4を調節する作用物質の有効量を対象へ投与する工程
    を含む、方法。
  45. Notch4を調節する作用物質が、小分子、抗体またはその抗原結合性断片、ペプチド、ゲノム編集システム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNA干渉(RNAi)作用物質である作用物質からなる群より選択される、請求項44記載の方法。
  46. 抗体またはその抗原結合性断片が、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である、請求項45記載の方法。
  47. 抗体またはその抗原結合性断片が、ヒト化Notch4抗体またはその抗原結合性断片である、請求項46記載の方法。
  48. RNAi作用物質が、マイクロRNA、siRNA、またはshRNAである、請求項45記載の方法。
  49. Notch4の発現レベルおよび/または活性を低下させることによってNotch4を調節する、請求項44~48のいずれか一項記載の方法。
  50. Notch4の発現レベルおよび/または活性を、適切な対照または基準レベルと比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上低下させる、請求項49記載の方法。
  51. 前記作用物質が、Notch4の発現および/または活性を阻害することによってNotch4を調節する、請求項44~50のいずれか一項記載の方法。
  52. それを必要とする対象において、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を処置または予防する方法であって、
    Notch4活性を調節する抗体またはその抗原結合性断片の有効量を対象へ投与する工程
    を含む、方法。
  53. 抗体またはその抗原結合性断片が、ヒト化抗体、キメラ抗体、ナノボディ、アフィボディ、scFv、Fab、またはその抗原結合性断片である、請求項52記載の方法。
  54. Notch4がT制御性細胞上で調節される、請求項44~53のいずれか一項記載の方法。
  55. 少なくとも1つの追加の治療薬を投与する工程をさらに含む、請求項44~53のいずれか一項記載の方法。
  56. 少なくとも1つの追加の治療薬が抗ウイルス治療薬である、請求項55記載の方法。
  57. 投与ステップの前に、対象におけるNotch4のレベルが、基準レベルと比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはそれ以上増加している、請求項43~56のいずれか一項記載の方法。
  58. 対象におけるNotch4のレベルを、投与前に決定する、請求項57記載の方法。
  59. 対象におけるNotch4のレベルを、前記作用物質の投与後にモニターする、請求項58記載の方法。
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