JP2023529054A - Aavキャプシドバリアントおよびその使用 - Google Patents

Aavキャプシドバリアントおよびその使用 Download PDF

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Abstract

本開示の態様は、導入遺伝子(例えば、1つまたは複数の遺伝子産物をコードする導入遺伝子)を標的細胞に送達するための組成物および方法に関する。本開示は、部分的に、ある特定の細胞型(例えば、ニューロン、筋肉細胞、骨細胞、心臓細胞など)に対する向性によって特徴付けられるアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質バリアントに基づく。一部の実施形態では、キャプシドタンパク質バリアント(例えば、AAVv66、配列番号1)を含む組換えAAV(rAAV)は、ある特定の野生型AAVキャプシドタンパク質を有するrAAVよりも効率的にパッケージングされる。AAVキャプシドタンパク質バリアントを含むrAAVを送達する方法も、本開示によって記載されている。

Description

背景
組換えAAVアデノ随伴ウイルス(rAAV)は、顕著な毒性および宿主免疫原性を伴わずに、標的組織において安定かつ持続的な導入遺伝子の発現を駆動することが可能である。よって、rAAVは、長期的な治療用遺伝子発現のための有望な送達ビヒクルである。しかしながら、現在利用可能なrAAVベクターによる低い形質導入効率および限定された組織向性により、実現可能かつ有効な治療法としてのそれらの適用が制限される可能性がある。加えて、非ヒト組織に由来する主要な治療用AAV血清型の信頼できる臨床移行は、懸念となっている。したがって、遺伝子送達のための新規AAVベクターに対するニーズが依然として存在する。
概要
本開示の態様は、導入遺伝子(例えば、1つまたは複数の遺伝子産物をコードする導入遺伝子)を標的細胞に送達するための組成物および方法に関する。本開示は、部分的に、ある特定の細胞型(例えば、ニューロン、筋肉細胞、骨細胞、心臓細胞など)に対する向性によって特徴付けられるアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質バリアントに基づく。一部の実施形態では、キャプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAV(rAAV)は、ある特定の野生型AAVキャプシドタンパク質を有するrAAVよりも効率的にパッケージングされる。AAVキャプシドタンパク質バリアントを含むrAAVを送達する方法も、本開示によって記載されている。
一部の態様では、本開示は、導入遺伝子を対象の標的細胞に送達するための方法であって、目的の1つまたは複数の遺伝子産物をコードする導入遺伝子を含む単離された核酸;および配列番号1に示される配列を有するアデノ随伴酸(adeno-associated acid)(AAV)キャプシドタンパク質を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を対象に頭蓋内投与するステップを含む、方法を提供する。
一部の実施形態では、頭蓋内投与は、海馬内注射を含む。
一部の実施形態では、標的細胞は、中枢神経系(CNS)細胞である。一部の実施形態では、CNS細胞は、ニューロン、乏突起膠細胞、星状細胞、またはミクログリア細胞である。
一部の実施形態では、対象は、哺乳動物である。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、抗AAV2抗体の産生によって特徴付けられる。一部の実施形態では、rAAVの投与は、対象によるrAAVに対する中和免疫応答をもたらさない。
一部の実施形態では、単離された核酸は、導入遺伝子に隣接するAAV逆位末端反復配列(ITR)を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遺伝子産物をコードする核酸配列は、プロモーターに作動可能に連結している。一部の実施形態では、1つまたは複数の遺伝子産物は、タンパク質または阻害性核酸を含む。
一部の態様では、本開示は、導入遺伝子を対象の標的細胞に送達するための方法であって、目的の1つまたは複数の遺伝子産物をコードする導入遺伝子を含む単離された核酸;および配列番号1に示される配列を有するアデノ随伴酸(AAV)キャプシドタンパク質を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を対象に静脈内投与するステップを含み、投与の結果、rAAVが対象の血液脳関門(BBB)を横断する、方法を提供する。
一部の実施形態では、標的細胞は、中枢神経系(CNS)細胞である。一部の実施形態では、CNS細胞は、ニューロン、乏突起膠細胞、星状細胞、またはミクログリア細胞である。
一部の実施形態では、対象は、哺乳動物である。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、抗AAV2抗体の産生によって特徴付けられる。一部の実施形態では、rAAVの投与は、対象によるrAAVに対する中和免疫応答をもたらさない。
一部の実施形態では、単離された核酸は、導入遺伝子に隣接したAAV逆位末端反復配列(ITR)を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の遺伝子産物をコードする核酸配列は、プロモーターに作動可能に連結している。一部の実施形態では、1つまたは複数の遺伝子産物は、タンパク質または阻害性核酸を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のキャプシドタンパク質バリアント(例えば、AAVv66、配列番号1)を含む組換えAAV(rAAV)は、ある特定の野生型AAVキャプシドタンパク質(例えば、AAV2キャプシドタンパク質、配列番号2)を有するrAAVよりも効率的にパッケージングされる(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、50倍、100倍、またはそれより高い倍率)。
図1A~1Dは、ヒト外科手術試料由来の新規プロウイルスAAVキャプシド配列の同定を示す。図1Aは、AAVキャプシドプロウイルス配列が、AAV Cap ORFに隣接するプライマーを使用して、ヒト外科手術試料から最初にPCRによって増幅されたことを示す。アンプリコンを一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシングに供し、得られたリードを、PCRまたはSMRTのシーケンシングエラーに関連する挿入/欠失を除去するための現代のAAV血清型配列に対するBWA-MEMアラインメント、InDelFixer、および高い配列類似性のリードをクラスター化するためのde novoアセンブリーによって分析した。図1Bは、バリアントAAVv66のcap配列が、分析において最も豊富に存在する(45%)ことが見いだされたことを示す。図1Cは、AAV2とは異なるAAVv66キャプシド配列中の13個の固有の残基の概要を示す。(d)AAV2バリアント(AAVv66を含む)および現代の血清型の系統樹。 同上。 図2A~2Dは、海馬内注射後のrAAV2およびrAAVv66の形質導入の広がりを示す。図2Aは、片側海馬内投与によるrAAV2-CB6-EgfpまたはrAAVv66-CB6-Egfp注射後のネイティブのEGFP発現を示す。スケールバー=700μm。図2Bは、DAPI陽性表面に対して正規化したEGFP陽性表面の定量化を示す。データは、平均±SDとして表す;n=3。****P<0.0001。図2Cは、対側と同側の半球の両方における目的の解剖下領域(sub-anatomical region)を描写する冠状脳の概略図を示す。アンモン角(CA1、CA2、CA3、CA4)、歯状回(DG)、脳梁(CC)、および皮質(CTX)。図2Cは、rAAVv66が形質導入された解剖下領域の高倍率画像を示す。スケールバー=50μm。 同上。 図3A~3Pは、rAAVv66による脳の主要な細胞型の形質導入を示す。図3A、3E、3I、および3Mは、rAAVv66-CB6-Egfpにより形質導入されたマウスの脳の冠状切片を示す。NEUN(図3A、ニューロン)、GFAP(図3E、星状細胞)、IBA1(図3I、ミクログリア)、またはOLIG2(図3M、乏突起膠細胞)に対する抗体によるIF染色切片は、脳にわたる細胞型の分布を示す。IF染色と共局在化するネイティブのEGFP発現は、陽性に形質導入された細胞型を示す。スケールバー=700μm。図3B、3F、3J、および3Nは、冠状切片図内の破線の長方形ボックスからの単一の代表的フレームの解剖下領域の3Dレンダリング(上のパネル)と、破線の正方形ボックスによって画定された視野からの単一細胞の表示(下の3つのパネル)を示す。左のパネルは、EGFPと細胞マーカーIF染色の全面積;中央のパネルは、細胞マーカーIF染色全体と共局在化したEGFP;右のパネルは、共局在化したEGFPと細胞マーカーIF染色。スケールバー=50μm(上のパネル)、5μm(下の3つのパネル)。図3C、3G、3K、および3Oは、DAPIシグナルに対して正規化した、示した海馬領域(x軸)にわたる細胞型特異的IF染色の定量化を示す。図3D、3H、3L、および3Pは、細胞型IFおよびDAPIシグナルの全体に対して正規化した、示した領域にわたる細胞型特異的形質導入の定量化を示す。データは、平均±SDとして表す;n=3。アンモン角(CA1、CA2、CA3、CA4)、歯状回(DG)、脳梁(CC)、および皮質(CTX)。 同上。 同上。 同上。 同上。 同上。 図4A~4Eは、AAVv66の生物物理学的分析を示す。pH7、6、5、および4におけるキャプシドタンパク質のアンフォールディング(脱殻)(図4A)およびDNAアクセシビリティ(ベクターゲノムの排出)(図4B)を問い合わせるための示差走査蛍光定量(differential scanning fluorimetry)(DSF)分析のヒートマップ表示。AAVv66の各規定のアミノ酸残基を部位特異的変異誘発によってAAV2のものに変換し、pH7におけるパッケージング収率(図4C)、キャプシド安定性(図4D)、およびゲノム放出(図4D)の変化について調査した。値は、平均±SDを表す。p値は、一元ANOVAによって決定した。*p<0.05、*p<0.01、*p<0.001、****p<0.0001。n3。 同上。 同上。 図5A~5Eは、AAVv66のcryo-EMプライマリメトリクス(primary metrics)、マップ再構築、およびモデル生成を示す。図5Aは、AAVv66の密度マップを示す。グレースケールスキームは、中心からのトポロジー距離(Å)を画定する。図5Bは、精密化したAAVv66キャプシドモノマーのリボン構造を示す。AAV2を区別するアミノ酸を強調している。2回対称(楕円形)、3回対称(三角形)、および5回対称(五角形)に注釈をつけた。AAVv66の電子密度の一部(濃灰色のメッシュ)および残基を、(図5C)L583、R487、Y533、およびK532、(図5D)S446、D499、およびS501、ならびに(図5E)N407~T414に近い領域について示す。 同上。 図6は、AAVv66とAAV2の間の構造的差異を示す。中央は、AAVv66 60merの構造(灰色)である。AAVv66に固有のアミノ酸残基を、緑色で強調し、一方、AAV2と共通する単一モノマーのアミノ酸残基を色付けしている。AAVv66とAAV2の間に実質的な差異を有する選択領域の残基側鎖を示す原子モデル。AAV2(1lp3)とAAVv66のモノマーを使用してアラインメントを作製し、隣接する残基に由来するモデル化した側鎖を灰色で表示した。示したアミノ酸の注釈は、AAVv66、位置番号、その後にAAV2に属するものとして示す。 図7A~7Cは、AAV2とAAVv66の間の差次的なキャプシド表面静電学を示す。図7Aは、AAV2およびAAVv66の60mer、トリマー(3回対称)、およびペンタマー(5回対称の外側および内側)の構造について、表面の正電荷および負電荷が表示されていることを示す。AAV2 60merおよびトリマー構造における黒色矢印は、単一の3回転突出部(3-fold protrusion)におけるR585およびR588のおおよその位置を示す。図7Bは、AAV2およびAAVv66の585~588におけるアミノ酸残基の拡大図を示す。図7Cは、ゼータサイザーによって測定した精製ベクターのゼータ電位の棒グラフを示す。値は、平均±SD、n=3を表す。 同上。 図8は、AAV2に対して変異が与えられたAAVv66キャプシドタンパク質のアミノ酸配列を示す。AAV2とAAVv66の間のアミノ酸差異を強調している。可変領域(VR)の残基を、短いバーで示している。aHドメインを、点線バーで区切り、b-シートを形成する残基を黒色矢印でマークしている。VP1、VP2、およびVP3の開始位置を大なり記号(>)でマークしている。VP1内のPLAドメインをバーで示している。 図9は、AAVv66がAAV2よりも高いベクター収量を生じることを示す。粗溶解物のPCRアッセイを、培地ならびにpAAVおよびAAV2またはAAVv66のパッケージングプラスミドの三重トランスフェクションを受けたHEK239細胞の細胞溶解物に関して実施した。値は、平均ゲノムコピー±SD、n=3を表す。 図10は、AAVv66が、強いヘパリン結合を欠くことを示す。漸増量のヘパリン(x軸)存在下でのHEK293細胞におけるAAV2-CB6-FLucおよびAAVv66-CB6-FLucの形質導入効率を示すヘパリン競合アッセイ。ルミネセンス値は、ヘパリンを欠くウェルで得られた値に調整し、1と設定した(y軸)。値は、平均±SD、n=3を表す。**、二元ANOVAによるp<0.01。 図11は、HEK293細胞におけるAAV2、AAV3b、およびAAVv66のin vitro感染効率を示す。ベクターを、CB6-FLucでパッケージングした。ルシフェラーゼ活性(RLU、相対発光量)の検出によりベクターの感染力を評価するために、細胞を感染の48時間後に溶解させた。データを対数スケールで表示する。値は、平均±SDを表し、一元ANOVAによる***p<0.0001、n=3。 図12A~12Dは、AAVv66ベクターの静脈内投与が肝臓の形質導入を示すことを示す。AAVv66-CB6-Flucの全身注射により、肝臓の形質導入がもたらされた。rAAV2-CB6-FlucまたはAAVv66-CB6-Fluc(1.0E11 GC/マウス)を尾静脈投与によりマウスへと注射した。14日後に、マウスに、ルシフェリン基質を腹腔内注射し、画像化した(図12A)。ルシフェラーゼ活性の全身の生体バイオルミネセンスの定量化により、AAVv66-CB6-FlucとAAV2-CB6-Flucの間の肝臓の形質導入における有意差は認められなかったが、肝臓組織の単離およびルシフェラーゼ活性の定量化およびqPCRによるベクターゲノムコピーの検出により、AAVv66がAAV2よりも有意に弱い肝臓の形質導入因子であることが示された。獲得した画像における腹部の総フラックスを記録した(図12B)。組織を回収し、ルシフェラーゼ活性(図12C)およびqPCRによるベクターゲノム存在量(図12D)についてアッセイした。値は、平均±SD、n=3を表す。*、スチューデントのt検定によるp<0.05。 同上。 同上。 図13A~13Dは、AAVv66ベクターの筋肉内投与が筋肉の形質導入を示すことを示す。AAVv66の前脛骨筋への筋肉内注射は、AAV2の形質導入と比較した場合、形質導入能力にほとんど差を生じなかった。AAV2-CB6-FLucまたはAAVv66-CB6-FLuc(4.0E10 GC/マウス)を一方の後肢(前脛骨筋)への筋肉内投与によりマウスに注射した。14日後に、マウスにルシフェリン基質を腹腔内投与し、画像化した(図13A)。獲得した画像における注射された後肢の総フラックスを記録した(図13B)。組織を回収し、ルシフェラーゼ活性(図13C)およびqPCRによるベクターゲノム存在量(図13D)についてアッセイした。値は、平均±SD、n=3を表す。*、スチューデントのt検定によるp<0.05。 同上。 図14A~14Dは、AAVv66の免疫学的特徴付けを示す。マウスにAAV2-CB6-Egfpベクターを筋肉内投与した(1E11 GC/マウス)。投与の4週間後に、AAV2またはAAVv66感染に対する中和抗体(NAb)力価を試験するために血清を採取した。AAV2(図14A)およびAAVv66(図14B)についてのNAb50値は、LacZレポーター遺伝子でパッケージングされたベクターによって達成可能な全形質導入の50%を遮断することができる力価希釈として定義される。左は、試験した個々の動物のNAbの総括表。右は、形質導入効率を様々な血清希釈に対してプロットした。値は、平均±SDを表す。破線は、平均NAb50血清力価を示す。4週間の期間後に、AAV2-hA1ATまたはAAVv66-hA1AT(1E11 GC/マウス)をマウスの対側後肢に筋肉内投与した。血清A1ATレベルを、5、6、7、および8週目にELISAによって測定した(図14C)。値は、平均±SD、n=3を表す。n.s.は、有意ではない;横断的データ点に関する二元ANOVAによる*、p<0.05;**、p<0.01;および***、p<0.001。図14Dは、ウサギ抗AAV血清の交差反応性を示す。AAV血清型に対して上昇したウサギ抗血清を、相対的な交差反応性を評価するために、AAVv66に対するNAbについて、同種のAAV血清型に対して試験した。log2値は、形質導入の50%阻害を達成するための最高抗体希釈を表す。 同上。 図15A~15Bは、AAVv66のcryo-EMプライマリメトリクス、マップ再構築、およびモデル生成を示す。図15Aは、AAVv66のcryo-電子顕微鏡写真を示す。スケールバーは、100Åを表す。図15Bは、AAVv66に関する偶数粒子と奇数粒子のフーリエシェル相関(FSC_part)を示す。 図16は、AAVv66をAAV2またはAAV3bと比較するRMSD(Å)統計値を示す。PyMOL内のrms_cur関数によって計算した、示したすべてのアルファ-炭素対(AAV2番号付け)にわたって測定した、AAVv66とAAV2(1LP3)またはAAV3b(3KIC)の間の総RMSDおよび領域RMSD(Å)の概要。AAV2、3b、およびAAVv66の完全なキャプシド構造は、AAVv66のcryo-EM密度マップ内で最適化フィットによりアラインメントさせた。PyMOL内のカスタムスクリプトを使用して、AAV2(上)またはAAV3b(下)のいずれかに関する個々のアルファ-炭素対間の距離値(Å)を定量的に変換し、AAVv66の対応する残基の色と半径厚さとして表現した。
詳細な説明
本開示の態様は、導入遺伝子(例えば、1つまたは複数の遺伝子産物をコードする導入遺伝子)を標的細胞に送達するための組成物および方法に関する。本開示は、部分的に、ある特定の細胞型(例えば、ニューロン、筋肉細胞、骨細胞、心臓細胞など)に対する向性によって特徴付けられるアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質バリアントに基づく。一部の実施形態では、キャプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAV(rAAV)は、ある特定の野生型AAVキャプシドタンパク質を有するrAAVよりも効率的にパッケージングされる。AAVキャプシドタンパク質バリアントを含むrAAVを送達する方法も、本開示によって記載されている。
AAVv66キャプシドタンパク質
一部の態様では、本開示は、導入遺伝子を対象の標的細胞(例えば、中枢神経系(CNS)の標的細胞)に送達するための方法であって、目的の1つまたは複数の遺伝子産物をコードする導入遺伝子を含む単離された核酸;およびAAVv66キャプシドタンパク質またはAAVv66キャプシドタンパク質に対して実質的な相同性を有するキャプシドタンパク質を含むアデノ随伴酸(AAV)キャプシドタンパク質を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を対象に(例えば、頭蓋内または静脈内)投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、AAVv66タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のAAVv66キャプシドタンパク質は、以下からなる群より選択されるAAV2に対する変異を含む:K39Q、V151A、R447K、T450A、Q457M、S492A、E499D、F533Y、G546D、E548G、R585S、R588T、およびA593T。一部の実施形態では、本明細書に記載のAAVv66キャプシドタンパク質は、AAV2に対して以下の各変異を含む:K39Q、V151A、R447K、T450A、Q457M、S492A、E499D、F533Y、G546D、E548G、R585S、R588T、およびA593T。一部の実施形態では、AAVv66キャプシドタンパク質に対して実質的な相同性を有するキャプシドタンパク質は、以下からなる群より選択されるAAV2に対する1つまたは複数の変異を含む:K39Q、V151A、R447K、T450A、Q457M、S492A、E499D、F533Y、G546D、E548G、R585S、R588T、およびA593T。一部の実施形態では、AAVv66キャプシドタンパク質またはAAVv66キャプシドタンパク質に対して実質的な相同性を有するキャプシドタンパク質は、AAV2に対して、そのVP1、VP2、および/またはVP3領域における1つまたは複数の変異を含む。一部の実施形態では、AAVv66キャプシドタンパク質またはAAVv66キャプシドタンパク質に対して実質的な相同性を有するキャプシドタンパク質は、AAV2に対して、可変領域(VR)-IV、VR-V、VR-VI、VT-VII、および/またはVR-VIIIにおける1つまたは複数の変異を含む。一部の実施形態では、AAVv66キャプシドタンパク質またはAAVv66キャプシドタンパク質に対して実質的な相同性を有するキャプシドタンパク質は、図1Cに示されているように、AAV2に対して、1つまたは複数の変異を含む。
「相同性」は、2つのポリヌクレオチド間または2つのポリペプチド部分間の同一性パーセントを指す。「実質的な相同性」という用語は、核酸、またはその断片に言及する場合、別の核酸(またはその相補鎖)と適当なヌクレオチドの挿入または欠失と共に最適にアラインメントされる場合、アラインメントされた配列の約90~100%においてヌクレオチド配列の同一性が存在することを示す。ポリペプチド、またはその断片に言及する場合、「実質的な相同性」という用語は、別のポリペプチドと適当なギャップ、挿入または欠失と共に最適にアラインメントされる場合、アラインメントされた配列の約90~100%においてヌクレオチド配列の同一性が存在することを示す。「高度に保存された」という用語は、少なくとも80%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは97%を超える同一性を意味する。一部の場合には、高度に保存されたとは、100%の同一性を指してもよい。同一性は、例えば、当業者に公知のアルゴリズムおよびコンピュータープログラムの使用によって、当業者によって容易に決定される。
本明細書に記載されているように、核酸またはポリペプチドの配列間のアラインメントは、インターネット上のウェブサーバーを介してアクセス可能な「Clustal W」などの公的にまたは商業的に入手可能な種々の多重配列アラインメントプログラムのいずれかを使用して実施される。あるいは、ベクターNTIユーティリティーも使用することができる。上記のプログラムに含有されるものを含む、ヌクレオチド配列の同一性を測定するために使用することができる、当技術分野で公知のいくつかのアルゴリズムも存在する。別の例として、ポリヌクレオチド配列は、BLASTNを使用して比較されてもよく、これは、クエリー配列と検索配列の間の最良の重複の領域のアラインメントおよび配列同一性パーセントを提供する。同様のプログラムは、アミノ酸配列の比較のために利用可能であり、例えば、「Clustal X」プログラム、BLASTPがある。典型的には、これらのプログラムのいずれかをデフォルト設定で使用するが、当業者であれば必要に応じてこれらの設定を変更することができる。あるいは、当業者は、参照されたアルゴリズムおよびプログラムによって提供されるものと少なくとも同じレベルの同一性またはアラインメントを提供する別のアルゴリズムまたはコンピュータープログラムを利用することができる。アラインメントは、2つのタンパク質間またはペプチド間の対応するアミノ酸を特定するために使用されてもよい。「対応するアミノ酸」は、別のタンパク質またはペプチド配列のアミノ酸とアラインメントされたタンパク質またはペプチド配列のアミノ酸である。対応するアミノ酸は、同一であっても非同一であってもよい。非同一アミノ酸である対応するアミノ酸は、バリアントアミノ酸と呼ばれることがある。
一部の態様では、本開示は、AAVv66キャプシドタンパク質(例えば、AAVv66キャプシドタンパク質をコードする単離された核酸、AAVv66キャプシドタンパク質を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)など)、またはAAVv66キャプシドタンパク質に対して実質的な相同性を有するキャプシドタンパク質に関する。一部の実施形態では、AAVv66キャプシドタンパク質に対して実質的な相同性を有するキャプシドタンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%同一である。一部の実施形態では、AAVv66キャプシドタンパク質に対して実質的な相同性を有するキャプシドタンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含む。一部の実施形態では、AAVv66キャプシドタンパク質に対して実質的な相同性を有するキャプシドタンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して、50個を超えるアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含む。
本開示は、一部の態様では、AAVv66キャプシドタンパク質を含むrAAVが、ある特定の他のAAVキャプシドタンパク質(例えば、AAV2キャプシドタンパク質、AAV3Bキャプシドタンパク質など)を有するrAAVに対して、哺乳動物細胞系(例えば、HEK-293細胞)においてより多量に産生され得るという驚くべき発見に関する。一部の実施形態では、形質導入された哺乳動物(例えば、HEK)産生細胞は、AAV2キャプシドタンパク質を形質導入された哺乳動物(例えば、HEK)産生細胞よりも約1.5倍~約5倍(例えば、1.5、2、3、4、5倍)多いAAVv66キャプシドを有するrAAVを生じる。一部の実施形態では、形質導入された哺乳動物(例えば、HEK)産生細胞は、AAV3Bキャプシドタンパク質を形質導入された哺乳動物(例えば、HEK)産生細胞よりも約5%~約50%の間(例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%など)多いAAVv66キャプシドを有するrAAVを生じる。
本開示の態様は、AAV2キャプシドタンパク質を有するrAAVに対して、予期せず改善された、AAVv66キャプシドタンパク質(例えば、AAVv66キャプシドタンパク質を含むrAAV)の中枢神経系(CNS)細胞の形質導入効率に関する。一部の実施形態では、AAVv66を含有するrAAVは、AAV2を含有するrAAVよりも少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、100%、200%、500%、1000%、またはそれを超えて効率的に、CNS細胞に形質導入する。一部の実施形態では、CNS細胞は、ニューロン、乏突起膠細胞、星状細胞、またはミクログリア細胞を含む。
本開示の態様は、他のAAVキャプシドタンパク質(例えば、AAV1、AAV2、AAV3B、AAV8、AAV9、AAVrh.8、AAVrh.10など)と血清学的に別個である、ある特定のAAVキャプシドタンパク質(例えば、AAVv66キャプシドタンパク質)に関する。いずれの特定の理論にも拘束されることを望まないが、AAVv66キャプシドタンパク質を含むrAAVは、ある特定の他のAAVキャプシドに対する抗体に対して血清陽性である対象における中和抗体反応の対象とはならない。したがって、一部の実施形態では、AAVv66キャプシドタンパク質を含むrAAVは、以前にAAV治療を投与されたか、またはある特定のAAVキャプシド中和抗体に対して血清陽性である対象への導入遺伝子の送達に関する第二選択治療として有用であり得る。
一部の態様では、本開示は、ある特定の野生型AAVキャプシドタンパク質(例えば、AAV2キャプシドタンパク質)に対して増加した熱安定性を呈するrAAVキャプシドタンパク質(例えば、AAVv66キャプシドタンパク質)に関する。一部の実施形態では、AAVv66キャプシドタンパク質は、約pH4~約pH7の範囲に及ぶpHで、AAV2キャプシドタンパク質よりも熱安定性が高い。一部の実施形態では、熱安定性は、キャプシドタンパク質の融解温度を計算することによって決定される。一部の実施形態では、AAVv66キャプシドタンパク質は、所与のpH(例えば、pH4~pH7の間)で、AAV2キャプシドタンパク質の融解温度を約5℃~約10℃の間で超える融解温度によって特徴付けられる。
単離された核酸
一部の態様では、本開示は、ある特定のAAVキャプシドタンパク質バリアント(例えば、AAVv66キャプシドタンパク質)をコードする単離された核酸に関する。「核酸」配列は、DNAまたはRNAの配列を指す。一部の実施形態では、核酸という用語は、以下に限定されないが、4-アセチルシトシン、8-ヒドロキシ-N6-メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、シュードイソシトシン、5-(カルボキシヒドロキシル-メチル)ウラシル、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチル-アミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルアデニン、1-メチルシュード-ウラシル、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチル-グアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチル-シトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシ-アミノ-メチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルケオシン、5’-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、オキシブトキソシン、シュードウラシル、ケオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、シュードウラシル、ケオシン、2-チオシトシンと2,6-ジアミノプリンなどのDNAおよびRNAの公知の塩基アナログのいずれかを含む配列をとらえる。
一部の実施形態では、本開示のタンパク質および核酸は、単離されている。本明細書で使用する場合、「単離された」という用語は、人工的に得られたか、または産生されたことを意味する。核酸に関して本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、概して:(i)例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってin vitroで増幅された;(ii)クローニングによって組換えによって産生された;(iii)切断およびゲル分離などによって精製された;または(iv)例えば、化学合成によって合成されたことを意味する。単離された核酸は、当技術分野で周知のDNA組換え技法によって容易に操作可能である核酸である。よって、5’および3’制限部位が公知であるか、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプライマー配列が開示されているベクター内に含有されるヌクレオチド配列は、単離されたと考えられるが、その天然の宿主中にネイティブの状態で存在する核酸配列は単離されていない。単離された核酸は、実質的に精製されていてもよいが、そうである必要はない。例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター内で単離された核酸は、それが存在する細胞内の物質のごくわずかのパーセンテージしか構成しない場合がある点で、純粋ではない。しかし、このような核酸は、当業者にとって公知の標準的技法によって容易に操作可能であるため、この用語が本明細書で使用される場合、単離されている。タンパク質またはペプチドに関して本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、概して、人工的に得られたか、または産生された(例えば、化学合成によって、組換えDNA技術によってなど)タンパク質またはペプチドを指す。
キャプシドタンパク質の機能的に等価なバリアントまたはホモログを提供するために、保存的アミノ酸置換がなされ得ることが認識されるべきである。一部の態様では、本開示は、保存的アミノ酸置換をもたらす配列変更を包含する。本明細書で使用される場合、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸置換がなされたタンパク質の相対的な電荷またはサイズの特徴を変更しないアミノ酸置換を指す。バリアントは、当業者にとって公知のポリペプチド配列を変更するための方法に従って調製することができ、このような方法は、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrook, et al., eds., Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel, et al., eds., John Wiley & Sons, Inc., New Yorkのような方法を編集する参照文献において見られる。アミノ酸の保存的置換には、以下の群におけるアミノ酸間でなされる置換が含まれる:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D。したがって、本明細書で開示されるタンパク質およびポリペプチドのアミノ酸配列に対して保存的なアミノ酸置換がなされ得る。
組換えAAV(rAAV)
一部の態様では、本開示は、単離されたAAVを提供する。AAVに関して本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、人工的に得られたかまたは生成されたAAVを指す。単離されたAAVは、組換え方法を使用して生成されてもよい。このようなAAVは、本明細書において、「組換えAAV」と称される。組換えAAV(rAAV)は、rAAVの導入遺伝子が、1つまたは複数の所定の組織に特異的に送達されるように、組織特異的標的化能力を有することが好ましい。AAVキャプシドは、これらの組織特異的標的化能力を決定する際に重要なエレメントである。よって、標的とされる組織にとって適切なキャプシドを有するrAAVを選択することができる。一部の実施形態では、rAAVは、AAVv66キャプシドタンパク質を含む。一部の実施形態では、rAAVは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質を含む。
所望のキャプシドタンパク質を有する組換えAAVを得るための方法は、当技術分野で周知である。(例えば、その内容が参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、US2003/0138772を参照されたい。)典型的には、本方法は、AAVキャプシドタンパク質をコードする核酸配列(例えば、配列番号1に示される配列を有するポリペプチドをコードする核酸)またはその断片;機能的rep遺伝子;AAV逆位末端反復配列(ITR)および導入遺伝子から構成される組換えAAVベクター;ならびに組換えAAVベクターのAAVキャプシドタンパク質中へのパッケージングを可能にする十分なヘルパー機能を含有する宿主細胞を培養することに関与する。一部の実施形態では、キャプシドタンパク質は、AAVのcap遺伝子によってコードされる構造タンパク質である。一部の実施形態では、AAVは、3つのキャプシドタンパク質、ビリオンタンパク質1~3(VP1、VP2およびVP3という名称)を含み、これらはすべて単一のcap遺伝子から発現され得る。したがって、一部の実施形態では、VP1、VP2およびVP3タンパク質は、共通のコア配列を共有する。一部の実施形態では、VP1、VP2およびVP3の分子量は、それぞれ、約87kDa、約72kDaおよび約62kDaである。一部の実施形態では、翻訳の際に、キャプシドタンパク質は、ウイルスゲノムの周囲に球状の60merのタンパク質シェルを形成する。一部の実施形態では、タンパク質シェルは、VP3キャプシドタンパク質から主に構成されている。一部の実施形態では、キャプシドタンパク質の機能は、ウイルスゲノムを保護し、ゲノムを送達し、宿主と相互作用することである。一部の態様では、キャプシドタンパク質は、ウイルスゲノムを組織特異的に宿主に送達する。一部の実施形態では、VP1および/またはVP2キャプシドタンパク質は、パッケージングされたAAVの組織向性に寄与し得る。一部の実施形態では、パッケージングされたAAVの組織向性は、VP3キャプシドタンパク質によって決定される。一部の実施形態では、AAVの組織向性は、キャプシドタンパク質中で生じる変異によって増強されるか、または変化する。
一部の実施形態では、本明細書に記載のAAVバリアントは、AAV2のバリアントである。AAV2は、ヒト中枢神経系(CNS)組織、腎臓組織、眼組織(例えば、光受容細胞および網膜色素上皮(RPE))、および他の組織を効率的に形質導入することが知られている。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のAAV2バリアントは、CNS組織、腎臓組織、または眼組織に遺伝子治療を送達するのに有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載のAAVキャプシドタンパク質は、他の組織、例えば筋肉組織、肝臓組織、または心臓組織を標的とするのに有用である。一部の実施形態では、本明細書に記載のAAVキャプシドタンパク質(例えば、AAVv66キャプシドタンパク質)は、静脈内または全身に注射して送達される場合に、対象の血液脳関門(BBB)を横断することが可能である。
一部の態様では、本明細書に記載のAAVバリアントは、CNS関連障害の処置に有用であり得る。本明細書で使用される場合、「CNS関連障害」は、中枢神経系の疾患または状態である。CNS関連障害は、脊髄(例えば、脊髄症)、脳(例えば、脳症)または脳および脊髄を取り囲む組織に影響を与え得る。CNS関連障害は、遺伝されるかまたは体細胞変異を介して獲得される遺伝的起源によるものであり得る。CNS関連障害は、例えば、注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、気分障害、統合失調症、うつ病、レット症候群などの心理的状態または障害であり得る。CNS関連障害は、自己免疫障害であり得る。CNS関連障害はまた、CNSのがん、例えば、脳がんであり得る。がんであるCNS関連障害は、CNSの原発がん、例えば、星状細胞腫、神経膠芽腫などであってもよく、CNS組織に転移したがん、例えば、脳に転移した肺がんであってもよい。CNS関連障害のさらなる非限定的な例としては、パーキンソン病、リソソーム蓄積症、虚血、神経障害性疼痛、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、およびカナバン病(CD)が挙げられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載のAAVバリアントは、肝臓組織を標的とし得る。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のAAVバリアントは、肝疾患の処置に有用であり得る。本明細書で使用される場合、「肝疾患」は、肝臓の疾患または状態である。肝疾患は、遺伝されるかまたは体細胞変異を介して獲得される遺伝的起源によるものであり得る。肝疾患は、肝細胞癌(HCC)、線維層板型癌(fibrolamellar carcinoma)、胆管癌、血管肉腫および肝芽腫を含むがこれらに限定されない、肝臓のがんであってもよい。肺疾患のさらなる非限定的な例としては、アラジール症候群、アルファ1抗トリプシン欠損症、自己免疫性肝炎、胆道閉鎖症、肝硬変、肝臓の嚢胞性疾患、脂肪性肝疾患、ガラクトース血症、胆石、ギルバート症候群、ヘモクロマトーシス、妊娠性肝疾患(liver disease in pregnancy)、新生児肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、ポルフィリン症、レイ症候群、サルコイドーシス、中毒性肝炎、1型糖原病、チロシン血症、ウイルス性A、B、C型肝炎、ウイルソン病、および住血吸虫病が挙げられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載のAAVバリアントは、遺伝子治療を眼組織(例えば、眼の組織または細胞)に送達するのに有用であり得る。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のAAVバリアントは、眼障害の処置に有用であり得る。本明細書で使用される場合、「眼障害」は、眼の疾患または状態である。眼疾患は、眼、強膜、角膜、前眼房、後眼房、虹彩、瞳孔、水晶体、硝子体液、網膜、または視神経に影響を及ぼす可能性がある。眼障害は、遺伝されるかまたは体細胞変異を介して獲得される遺伝的起源によるものであり得る。眼疾患および障害の非限定的な例としては、加齢黄斑変性症、網膜症、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、緑内障、網膜色素変性および眼のがんが挙げられるが、これらに限定されない。
AAVキャプシドにrAAVベクターをパッケージングするために宿主細胞内で培養される構成成分は、トランスで宿主細胞に提供されてもよい。あるいは、必要とされる構成成分(例えば、組換えAAVベクター、rep配列、cap配列、および/またはヘルパー機能)のいずれか1つまたは複数は、当業者にとって公知の方法を使用して、必要とされる構成成分の1つまたは複数を含有するように操作された安定した宿主細胞によって提供されてもよい。最も好適には、このような安定した宿主細胞は、誘導性プロモーターの制御下で必要とされる構成成分を含有することになる。しかし、必要とされる構成成分は、構成的プロモーターの制御下にあってもよい。好適な誘導性プロモーターおよび構成的プロモーターの例は、導入遺伝子と共に使用するのに好適な調節エレメントの議論において、本明細書において提供される。また別の代替法では、選択された安定した宿主細胞は、構成的プロモーターの制御下で、選択された構成成分、および1つまたは複数の誘導性プロモーターの制御下で、他の選択された構成成分を含有し得る。例えば、293細胞に由来するが(構成的プロモーターの制御下で、E1ヘルパー機能を含有する)、誘導性プロモーターの制御下で、repおよび/またはcapタンパク質を含有する安定した宿主細胞が生成され得る。また他の安定した宿主細胞も、当業者によって生成され得る。
本開示のrAAVを生成するために必要とされる組換えAAVベクター、rep配列、cap配列、およびヘルパー機能は、任意の好適な遺伝子エレメント(ベクター)を使用して、パッケージング宿主細胞に送達され得る。一部の実施形態では、3つすべてのキャプシドタンパク質(例えば、VP1、VP2およびVP3)をコードする単一の核酸は、単一のベクターにおいて、パッケージング宿主細胞中に送達される。一部の実施形態では、キャプシドタンパク質をコードする核酸は、2つのベクターによってパッケージング宿主細胞中に送達され;第1のベクターは、2つのキャプシドタンパク質(例えば、VP1およびVP2)をコードする第1の核酸を含み、第2のベクターは、単一のキャプシドタンパク質(例えば、VP3)をコードする第2の核酸を含む。一部の実施形態では、それぞれ異なるキャプシドタンパク質をコードする核酸を含む3つのベクターは、パッケージング宿主細胞中に送達される。選択された遺伝子エレメントは、本明細書に記載のものを含む任意の好適な方法によって送達されてもよい。本開示のいずれかの実施形態を構築するために使用される方法は、核酸操作における当業者にとって公知であり、これらには、遺伝子操作、組換え操作、および合成技法が含まれる。例えば、Sambrook et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y.を参照されたい。同様に、rAAVビリオンを生成する方法も周知であり、好適な方法の選択は本開示の制限ではない。例えば、K. Fisher et al, J. Virol., 70:520-532 (1993)および米国特許第5,478,745号を参照されたい。
一部の実施形態では、組換えAAVは、三重トランスフェクション法(米国特許第6,001,650号に詳細に記載されている)を使用して生成されてもよい。典型的には、組換えAAVは、宿主細胞を、AAV粒子中にパッケージングされる組換えAAVベクター(導入遺伝子を含む)、AAVヘルパー機能ベクター、およびアクセサリー機能ベクターでトランスフェクトすることによって生成される。AAVヘルパー機能ベクターは、生産的なAAV複製およびキャプシド形成のためにトランスで機能する「AAVヘルパー機能」配列(例えば、repおよびcap)をコードする。好ましくは、AAVヘルパー機能ベクターは、いかなる検出可能な野生型のAAVビリオン(例えば、機能的なrepおよびcap遺伝子を含有するAAVビリオン)も生成せずに、効率的なAAVベクター生成をサポートする。本開示と共に使用するのに好適なベクターの非限定的な例には、米国特許第6,001,650号に記載されているpHLP19、米国特許第6,156,303号に記載されているpRep6cap6ベクター(両方の全体は参照により本明細書に組み込まれる)が含まれる。アクセサリー機能ベクターは、複製に関してAAVが依存する非AAV由来のウイルスおよび/または細胞の機能(例えば、「アクセサリー機能」)に関するヌクレオチド配列をコードする。アクセサリー機能には、AAV遺伝子の転写の活性化、段階特異的AAV mRNAスプライシング、AAVのDNA複製、cap発現産物の合成、およびAAVキャプシドアセンブリー関与するこれらの部分を含むが、これに限定されない、AAV複製に必要とされるこれらの機能が含まれる。ウイルスに基づくアクセサリー機能は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス1型以外)、およびワクシニアウイルスなどの公知のヘルパーウイルスのいずれかに由来し得る。
一部の態様では、本開示は、トランスフェクトされた宿主細胞を提供する。用語「トランスフェクション」は、細胞による外来DNAの取込みを指すために使用され、細胞は、外因性DNAが細胞の内側に導入された場合(例えば、細胞膜を横切って)、「トランスフェクトされ」ている。いくつかのトランスフェクション技法は、一般に、当技術分野で公知である。例えば、Graham et al. (1973) Virology, 52:456、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, a laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratories, New York, Davis et al. (1986) Basic Methods in Molecular Biology, Elsevier、およびChu et al. (1981) Gene 13:197を参照されたい。このような技法を使用して、1つまたは複数の外因性核酸、例えばヌクレオチド組込みベクターおよび他の核酸分子を、好適な宿主細胞中に導入することができる。
「宿主細胞」は、目的の物質を保有するか、または保有することが可能である任意の細胞を指す。多くの場合、宿主細胞は哺乳動物細胞である。宿主細胞は、AAVヘルパー構築物、AAVミニ遺伝子プラスミド、アクセサリー機能ベクター、または組換えAAVの生成に関連する他のトランスファーDNAのレシピエントとして使用されてもよい。この用語は、トランスフェクトされた元の細胞の子孫を含む。よって、「宿主細胞」は、本明細書で使用される場合、外因性DNA配列をトランスフェクトされた細胞を指し得る。単一の親細胞の子孫が、自然の、偶発的な、または故意の変異により、元の親と形態、またはゲノムもしくはDNA全体の相補性において、必ずしも完全に同一であるとは限らないことが理解される。
本明細書で使用される場合、「細胞系」という用語は、in vitroでの連続的または長期的な増殖および分裂が可能な細胞の集団を指す。多くの場合、細胞系は、単一の前駆細胞から派生したクローン集団である。さらに、このようなクローン集団の保存または移動中に、核型に自発的または誘導的な変化が起こり得ることは、当技術分野で公知である。したがって、言及される細胞系に由来する細胞は祖先の細胞または培養物と正確に同一でない場合があり、言及される細胞系はこのようなバリアントを含む。
本明細書で使用される場合、「組換え細胞」という用語は、外因性のDNAセグメント、例えば生物学的に活性なポリペプチドの転写または生物学的に活性な核酸、例えばRNAの生成をもたらすDNAセグメントが導入された細胞を指す。
細胞は、ヘルパー機能をAAVに与えるベクター(例えば、ヘルパーベクター)でトランスフェクトされてもよい。ヘルパー機能を与えるベクターは、例えば、E1a、E1b、E2a、およびE4ORF6を含むアデノウイルス機能を与え得る。これらの機能を与えるアデノウイルス遺伝子の配列は、任意の公知のアデノウイルス血清型、例えば、血清型2、3、4、7、12および40から得ることができ、当技術分野で公知の現在同定されたヒト型のいずれかをさらに含んでもよい。よって、一部の実施形態では、本方法は、AAV複製、AAV遺伝子の転写、および/またはAAVパッケージングに必要な1つまたは複数の遺伝子を発現するベクターで細胞をトランスフェクトすることに関与する。
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、人工染色体、ウイルス、ビリオンなどのように、適当な制御エレメントと関連する場合に複製が可能であり、細胞間で遺伝子配列を移入することができる任意の遺伝子エレメントを含む。よって、この用語は、ウイルスベクターと同様に、クローニングおよび発現ビヒクルを含む。一部の実施形態では、有用なベクターは、転写される核酸セグメント(例えば、核酸配列)がプロモーターの転写制御下に配置されているこれらのベクターであることが企図される。「プロモーター」は、細胞の合成機構、または導入された合成機構によって認識され、遺伝子の特定の転写を開始するために必要とされるDNA配列を指す。語句「作動可能に配置された」、「制御下」または「転写制御下」は、プロモーターが、核酸との関係で正しい位置および向きにあり、RNAポリメラーゼの開始および遺伝子の発現を制御することを意味する。「発現ベクターまたは構築物」という用語は、核酸をコードする配列の一部または全部が転写可能である核酸を含有する任意の種類の遺伝子構築物を意味する。一部の実施形態では、発現は、例えば、転写された遺伝子から生物学的に活性なポリペプチド産物または阻害性RNA(例えば、shRNA、miRNA、miRNA阻害剤)を生成するための、核酸の転写を含む。
一部の実施形態では、プロモーターは、サイトメガロウイルス初期エンハンサー/ニワトリβアクチン(CB6)プロモーターである。
一部の場合には、単離されたキャプシド遺伝子を使用して、当技術分野で周知の方法を使用して組換えAAVを構築およびパッケージングし、遺伝子によってコードされたキャプシドタンパク質に関連する機能的特徴を決定することができる。例えば、単離されたキャプシド遺伝子を使用して、レポーター遺伝子(例えば、B-ガラクトシダーゼ、GFP、ルシフェラーゼなど)を含む組換えAAV(rAAV)を構築およびパッケージングすることができる。次いで、rAAVは動物(例えば、マウス)に送達されてもよく、その動物の様々な組織(例えば、心臓、肝臓、腎臓)におけるレポーター遺伝子の発現を調査することによって、新規の単離されたキャプシド遺伝子の組織標的特性が決定されてもよい。新規の単離されたキャプシド遺伝子を特徴付けるための方法は、本明細書に開示されており、また他のものは当技術分野で周知である。
所望のAAVキャプシド内に組換えベクターをパッケージングして、本開示のrAAVを生成するための前記方法は限定的であることを意味するものではなく、他の好適な方法は当業者にとって明らかであろう。
rAAVベクター
本開示の「組換えAAV(rAAV)ベクター」は、典型的には、最低限、導入遺伝子とその調節配列、ならびに5’および3’AAV逆位末端反復配列(ITR)から構成される。キャプシドタンパク質内にパッケージングされ、選択された標的細胞に送達されるのは、この組換えAAVベクターである。一部の実施形態では、導入遺伝子は、目的のポリペプチド、タンパク質、機能的RNA分子(例えば、miRNA、miRNA阻害剤)または他の遺伝子産物をコードする、ベクターの配列とは異種の核酸配列である。核酸をコードする配列は、標的組織の細胞内で導入遺伝子の転写、翻訳、および/または発現を可能にするように、調節構成成分に作動可能に連結されている。
ベクターのAAV配列は、典型的には、シス作用型5’および3’逆位末端反復配列を含む(例えば、B. J. Carter, in "Handbook of Parvoviruses", ed., P. Tijsser, CRC Press, pp. 155 168 (1990)を参照されたい)。ITR配列は、約145bpの長さである。好ましくは、実質的に、ITRをコードする配列全体を分子中で使用するが、これらの配列のある程度の小規模な改変は許容される。これらのITR配列を改変する能力は、当技術分野の技術の範囲内である。(例えば、Sambrook et al, "Molecular Cloning. A Laboratory Manual", 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory, New York (1989);およびK. Fisher et al., J Virol., 70:520 532 (1996)などのテキストを参照されたい)。本開示において用いられるこのような分子の例は、導入遺伝子を含有する「シス作用型」プラスミドであり、ここで、選択された導入遺伝子の配列および関連する調節エレメントは、5’および3’AAV ITR配列が隣接している。AAV ITR配列は、現在同定されている哺乳動物AAV型を含む任意の公知のAAVから得ることができる。
一部の実施形態では、本開示は、自己相補的AAVベクターを提供する。本明細書で使用される場合、「自己相補的AAVベクター」(scAAV)という用語は、AAVのITRのうちの1つから、末端分離部位(TR)の非存在によって生じた二本鎖ベクターゲノムを含有するベクターを指す。TRの非存在により、TRが存在しないベクター末端での複製の開始が妨げられる。一般に、scAAVベクターは、両末端に野生型(wt)AAV TR、中間に変異型TR(mTR)を有する、一本鎖の逆位反復配列ゲノムを生成する。
一部の実施形態では、本開示のrAAVは、シュードタイプrAAVである。シュードタイピングは、外来ウイルスエンベロープタンパク質と組み合わせて、ウイルスまたはウイルスベクターを生成するプロセスである。結果は、シュードタイプのウイルス粒子である。この方法では、宿主の向性またはウイルス粒子の安定性の増加/減少を変更するために、外来ウイルスエンベロープタンパク質を使用することができる。一部の態様では、シュードタイプのrAAVは、2つまたはそれより多い異なるAAVからの核酸を含み、1つのAAVからの核酸はキャプシドタンパク質をコードし、少なくとも1つの他のAAVの核酸は他のウイルスタンパク質および/またはウイルスゲノムをコードする。一部の実施形態では、シュードタイプのrAAVは、1つのAAV血清型の逆位末端反復配列(ITR)および異なるAAV血清型のキャプシドタンパク質を含むAAVを指す。例えば、Yのタンパク質でキャプシド形成される血清型XのITRを含有するシュードタイプのAAVベクターは、AAVX/Yと示されることになる(例えば、AAV2/1は、AAV2のITRおよびAAV1のキャプシドを有する)。一部の実施形態では、シュードタイプのrAAVは、1つのAAV血清型からのキャプシドタンパク質の組織特異的標的化能力を別のAAV血清型からのウイルスDNAと組み合わせるのに有用であり、それによって、標的組織への導入遺伝子の標的化送達を可能にし得る。
組換えAAVベクターに関して上記で特定した主要なエレメントに加えて、ベクターは、プラスミドベクターでトランスフェクトされたか、または本開示によって生成されたウイルスに感染した細胞におけるその転写、翻訳および/または発現を可能にするように、導入遺伝子に作動可能に連結した必要な従来の制御エレメントも含む。本明細書で使用される場合、「作動可能に連結した」配列は、目的の遺伝子と連続する発現制御配列と、目的の遺伝子を制御するためにトランスまたは一定距離で作用する発現制御配列の両方を含む。
発現制御配列は、適切な転写開始、終結、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル、例えばスプライシングおよびポリアデニル化(ポリA)シグナル;細胞質mRNAを安定化させる配列;翻訳効率を増強する配列(例えば、コザックコンセンサス配列);タンパク質安定性を増強する配列;ならびに所望の場合、コードされた産物の分泌を増強する配列を含む。ネイティブ、構成的、誘導性および/または組織特異的であるプロモーターを含む、多数の発現制御配列が当技術分野で公知であり、利用され得る。
本明細書で使用される場合、核酸配列(例えば、コード配列)および調節配列は、それらが、核酸配列の発現または転写を調節配列の影響または制御下に置くような方法で共有結合により連結されている場合、「作動可能に」連結されていると言われる。核酸配列が機能的タンパク質へと翻訳されることが望ましい場合、5’調節配列におけるプロモーターの誘導がコード配列の転写をもたらす場合、かつ2つのDNA配列間の連結の性質が、(1)フレームシフト変異の導入をもたらさない、(2)コード配列の転写を指示するプロモーター領域の能力を妨害しない、または(3)タンパク質へと翻訳される対応するRNA転写物の能力を妨害しない場合、2つのDNA配列は作動可能に連結されていると言われる。よって、プロモーター領域が、結果として生じる転写物が所望のタンパク質またはポリペプチドへと翻訳されるように、そのDNA配列の転写をもたらすことが可能である場合、プロモーター領域は核酸配列に作動可能に連結されていることになる。同様に、2つまたはそれより多いコード領域は、共通のプロモーターからのそれらの転写が、フレーム内で翻訳された2つまたはそれより多いタンパク質の発現をもたらすような方法で連結されている場合、作動可能に連結されている。一部の実施形態では、作動可能に連結されたコード配列は、融合タンパク質をもたらす。一部の実施形態では、作動可能に連結されたコード配列は、機能的RNA(例えば、shRNA、miRNA、miRNA阻害剤)をもたらす。
タンパク質をコードする核酸について、ポリアデニル化配列は、一般に、導入遺伝子配列の後、かつ3’AAV ITR配列の前に挿入される。本開示において有用なrAAV構築物は、望ましくはプロモーター/エンハンサー配列と導入遺伝子の間に位置するイントロンを含有してもよい。1つの可能なイントロン配列は、SV-40に由来し、SV-40 Tイントロン配列と称される。使用することができる別のベクターエレメントは、配列内リボソーム侵入部位(IRES)である。IRES配列は、単一の遺伝子転写物から2つ以上のポリペプチドを産生するために使用される。IRES配列は、2つ以上のポリペプチド鎖を含有するタンパク質を産生するために使用されることになる。これらのおよび他の一般的なベクターエレメントの選択は従来通りであり、多くのこのような配列は利用可能である[例えば、Sambrook et al、およびその中で引用される参照文献、例えば3.18 3.26および16.17 16.27頁、ならびにAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1989を参照されたい]。一部の実施形態では、口蹄疫ウイルス2Aの配列はポリタンパク質内に含まれ;これは、ポリタンパク質の切断を媒介することが示されている小さなペプチド(およそ18アミノ酸長)である(Ryan, M D et al., EMBO, 1994; 4: 928-933;Mattion, N M et al., J Virology, November 1996; p. 8124-8127;Furler, S et al., Gene Therapy, 2001; 8: 864-873;およびHalpin, C et al., The Plant Journal, 1999; 4: 453-459)。2A配列の切断活性は、プラスミドおよび遺伝子治療ベクター(AAVおよびレトロウイルス)を含む人工の系において以前に実証されている(Ryan, M D et al., EMBO, 1994; 4: 928-933;Mattion, N M et al., J Virology, November 1996; p. 8124-8127;Furler, S et al., Gene Therapy, 2001; 8: 864-873;およびHalpin, C et al., The Plant Journal, 1999; 4: 453-459;de Felipe, P et al., Gene Therapy, 1999; 6: 198-208;de Felipe, P et al., Human Gene Therapy, 2000; 11: 1921-1931.;およびKlump, H et al., Gene Therapy, 2001; 8: 811-817)。
宿主細胞における遺伝子発現に必要とされる調節配列の正確な性質は、種、組織または細胞型の間で変化し得るが、一般に、必要に応じて、それぞれ転写および翻訳の開始に関与する5’非転写配列および5’非翻訳配列、例えばTATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列、エンハンサーエレメントなどを含むことになる。特に、このような5’非転写調節配列は、作動可能に接合した遺伝子の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含むことになる。調節配列は、所望の場合、エンハンサー配列または上流のアクチベーター配列を含んでもよい。本開示のベクターは、必要に応じて、5’リーダー配列またはシグナル配列を含み得る。適切なベクターの選択および設計は、当業者の能力および裁量の範囲内である。
構成的プロモーターの例としては、限定されないが、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(必要に応じて、RSVエンハンサーを伴う)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(必要に応じて、CMVエンハンサーを伴う)[例えば、Boshart et al, Cell, 41:521-530 (1985)を参照されたい]、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、β-アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、およびEF1αプロモーター[Invitrogen]が挙げられる。
誘導性プロモーターは、遺伝子発現の調節を可能にし、外因的に供給された化合物、温度などの環境因子、または特定の生理状態、例えば、急性期、細胞の特定の分化状態の存在、または複製細胞においてのみ調節され得る。誘導性プロモーターおよび誘導性の系は、Invitrogen、ClontechおよびAriadを含むがこれらに限定されない種々の商業的供給源から入手可能である。多くの他の系が記載されており、当業者によって容易に選択され得る。外因的に供給されるプロモーターによって調節される誘導性プロモーターの例としては、亜鉛誘導性ヒツジメタロチオニン(MT)プロモーター、デキサメタゾン(Dex)誘導性マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7ポリメラーゼプロモーター系(WO 98/10088);エクジソン昆虫プロモーター(No et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:3346-3351 (1996))、テトラサイクリン抑制系(Gossen et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:5547-5551 (1992))、テトラサイクリン誘導性の系(Gossen et al, Science, 268:1766-1769 (1995)、Harvey et al, Curr. Opin. Chem. Biol., 2:512-518 (1998)も参照されたい)、RU486-誘導性の系(Wang et al, Nat. Biotech., 15:239-243 (1997)およびWang et al, Gene Ther., 4:432-441 (1997))およびラパマイシン誘導性の系(Magari et al, J. Clin. Invest., 100:2865-2872 (1997))が挙げられる。この文脈において有用であり得る誘導性プロモーターのまた他の種類は、特定の生理学的状態、例えば温度、急性期、細胞の特定の分化状態、または複製細胞においてのみ調節されるプロモーターである。
別の実施形態では、導入遺伝子のネイティブのプロモーターが使用されることになる。導入遺伝子の発現がネイティブの発現を模倣することが望ましい場合に、ネイティブのプロモーターが好ましい場合がある。導入遺伝子の発現が一時的にもしくは発生的に、または組織特異的に、または特定の転写刺激に応答して調節されなければならない場合、ネイティブのプロモーターを使用してもよい。さらなる実施形態では、エンハンサーエレメント、ポリアデニル化部位、またはコザックコンセンサス配列などの他のネイティブの発現制御エレメントは、ネイティブの発現を模倣するために使用することもできる。
一部の実施形態では、調節配列は、組織特異的な遺伝子発現能を付与する。一部の場合には、組織特異的な調節配列は、組織特異的に転写を誘導する組織特異的転写因子に結合する。このような組織特異的な調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)は、当技術分野で周知である。例示的な組織特異的配列としては、以下の組織特異的なプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない:肝臓特異的チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、インスリンプロモーター、グルカゴンプロモーター、ソマトスタチンプロモーター、膵臓ポリペプチド(PPY)プロモーター、シナプシン-1(Syn)プロモーター、クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、哺乳動物デスミン(DES)プロモーター、α-ミオシン重鎖(a-MHC)プロモーター、消化管特異的ムチン-2プロモーター、眼特異的レチノスキシンプロモーター、眼特異的K12プロモーター、呼吸器組織特異的CC10プロモーター、呼吸器組織特異的サーファクタントプロテインC(SP-C)プロモーター、乳房組織特異的PRC1プロモーター、乳房組織特異的RRM2プロモーター、尿路組織特異的ウロプラキン2(UPII)プロモーター、子宮組織特異的ラクトフェリンプロモーター、または心筋トロポニンT(cTnT)プロモーター。他の例示的なプロモーターとしては、当業者にとって明らかであるもののうち、ベータ-アクチンプロモーター、B型肝炎ウイルスコアプロモーター、Sandig et al., Gene Ther., 3:1002-9 (1996);アルファ-フェトプロテイン(AFP)プロモーター、Arbuthnot et al., Hum. Gene Ther., 7:1503-14 (1996)、骨オステオカルシンプロモーター(Stein et al., Mol. Biol. Rep., 24:185-96 (1997));骨シアロタンパク質プロモーター(Chen et al., J. Bone Miner. Res., 11:654-64 (1996))、CD2プロモーター(Hansal et al., J. Immunol., 161:1063-8 (1998));免疫グロブリン重鎖プロモーター;T細胞受容体α-鎖プロモーター、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)などのニューロン性(Andersen et al., Cell. Mol. Neurobiol., 13:503-15 (1993))、ニューロフィラメント軽鎖遺伝子プロモーター(Piccioli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:5611-5 (1991))、およびニューロン特異的vgf遺伝子プロモーター(Piccioli et al., Neuron, 15:373-84 (1995))が挙げられる。
一部の実施形態では、組織特異的調節配列は、CNS特異的プロモーターである。CNS特異的プロモーターの例としては、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(Andersen et al., Cell. Mol. Neurobiol., 13:503-15 (1993))、ニューロフィラメント軽鎖遺伝子プロモーター(Piccioli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:5611-5 (1991))、およびニューロン特異的vgf遺伝子プロモーター(Piccioli et al., Neuron, 15:373-84 (1995))が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、CNS特異的プロモーターは、グリア線維酸性タンパク質プロモーターなどの星状細胞特異的プロモーターである。一部の実施形態では、CNS特異的プロモーターは、シナプシン(Syn)プロモーターなどのニューロンプロモーターである。一部の実施形態では、CNS特異的プロモーターは、ニューロン核(NeuN)、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、大腸腺腫症(APC)、およびイオン化カルシウム結合アダプター分子1(Iba-1)から選択される遺伝子のプロモーターである。一部の実施形態では、CNS特異的プロモーターは、Kuegler S. (2016)に記載されているように、CNSにおける組織特異的プロモーターである。Manfredsson F. (eds) Gene Therapy for Neurological Disorders. Methods in Molecular Biology, vol 1382. Humana Press, New York, NYにおいて。
一部の実施形態では、miRNAのうちの1つまたは複数に関する1つまたは複数の結合部位は、rAAVベクターの導入遺伝子内に組み込まれて、導入遺伝子を保有する対象の1つまたは複数の組織において、導入遺伝子の発現を阻害する(例えば、細胞型特異的に導入遺伝子の発現を脱標的化する(detargeting))。当業者は、結合部位が組織特異的に導入遺伝子の発現を制御するために選択されてもよいことを認識するであろう。例えば、肝臓に特異的なmiR-122に関する結合部位は、導入遺伝子中に組み込まれて、肝臓においてこの導入遺伝子の発現を阻害し得る。mRNAにおける標的部位は、5’UTR、3’UTRまたはコード領域中であってもよい。典型的には、標的部位は、mRNAの3’UTR中に存在する。さらに、導入遺伝子は、複数のmiRNAが同一または複数の部位を認識することによって、mRNAを調節するように設計されてもよい。複数のmiRNA結合部位の存在によって、複数のRISCの協調的作用がもたらされ、高効率の発現阻害がもたらされ得る。標的部位の配列は、合計5~100個、10~60個、またはそれより多いヌクレオチドを含んでもよい。標的部位の配列は、標的遺伝子結合部位の配列のうち少なくとも5個のヌクレオチドを含んでもよい。
一部の実施形態では、導入遺伝子は、免疫細胞(例えば、抗原提示細胞(APC)、例えばマクロファージ、樹状突起などの)から導入遺伝子の発現を脱標的化する1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、またはそれより多い)のmiRNA結合部位を含む。免疫に関連するmiRNAに関するmiRNA結合部位の組込みは、例えばUS 2018/0066279(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、抗原提示細胞から導入遺伝子の発現を脱標的化し、よって、導入遺伝子の産物に対して対象において生じる免疫応答(細胞性および/または体液性)を低減または排除し得る。一部の実施形態では、免疫に関連するmiRNAは、以下から選択される:miR-15a、miR-16-1、miR-17、miR-18a、miR-19a、miR-19b-1、miR-20a、miR-21、miR-29a/b/c、miR-30b、miR-31、miR-34a、miR-92a-1、miR-106a、miR-125a/b、miR-142-3p、miR-146a、miR-150、miR-155、miR-181a、miR-223およびmiR-424、miR-221、miR-222、let-7i、miR-148、およびmiR-152。
rAAVベクターの導入遺伝子の配列の組成は、得られるベクターが置かれる使用に応じて変化する。例えば、導入遺伝子の配列の1種は、発現の際に検出可能なシグナルを生じるレポーター配列を含む。別の例では、導入遺伝子は、治療用タンパク質または治療用機能的RNAをコードする。別の例では、導入遺伝子は、研究目的で、例えば、導入遺伝子を保有する体細胞トランスジェニック動物モデルを作成するため、例えば、導入遺伝子産物の機能を研究するために使用されることを意図するタンパク質または機能的RNAをコードする。別の例では、導入遺伝子は、疾患の動物モデルを作成するために使用されることを意図するタンパク質または機能的RNAをコードする。適切な導入遺伝子をコードする配列は、当業者にとって明らかであろう。
導入遺伝子において提供され得るレポーター配列には、限定されないが、β-ラクタマーゼ、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、アルカリホスファターゼ、チミジンキナーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、および当技術分野で周知の他のものをコードするDNA配列が含まれる。それらの発現を駆動する調節エレメントと関連する場合、レポーター配列は、酵素、放射線、比色、蛍光または他の分光アッセイ、蛍光活性化細胞分取アッセイ、ならびに酵素連結免疫吸着法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および免疫組織化学を含む免疫学的アッセイを含む従来の手段によって検出可能なシグナルを生じる。例えば、マーカー配列がLacZ遺伝子である場合、シグナルを有するベクターの存在は、β-ガラクトシダーゼ活性に関するアッセイによって検出される。導入遺伝子が緑色蛍光タンパク質またはルシフェラーゼである場合、シグナルを有するベクターは、ルミノメーターにおける色または光生成によって視覚的に測定することができる。このようなレポーターは、例えば、rAAVの組織特異的標的化能力および組織特異的プロモーター調節活性を検証するのに有用であり得る。
一部の態様では、本開示は、例えば、哺乳動物におけるポリペプチド欠乏またはポリペプチド過剰などの、哺乳動物における1つまたは複数の遺伝的欠損または機能不全を防止または処置する方法、特に、細胞および組織におけるこのようなポリペプチドの欠乏に関連する障害の1つまたは複数を症状発現するヒトにおける欠損の重症度または程度を処置または低減するための方法において使用するためのrAAVベクターを提供する。この方法は、薬学的に許容される担体中の、1つまたは複数の治療用ペプチド、ポリペプチド、siRNA、microRNA、アンチセンスヌクレオチドなどをコードするrAAVベクターの、このような障害に罹患する対象における欠損または障害を処置するのに十分な量および期間での、対象への投与に関与する。
よって、本開示は、哺乳動物対象における疾患状態の処置または防止に有用である1つまたは複数のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードするrAAVベクターの送達を包含する。例示的な治療用タンパク質には、増殖因子、インターロイキン、インターフェロン、抗アポトーシス因子、サイトカイン、抗糖尿病因子、抗アポトーシス剤、凝固因子、抗腫瘍因子からなる群より選択される1つまたは複数のポリペプチドが含まれる。治療用タンパク質の他の非限定的な例としては、BDNF、CNTF、CSF、EGF、FGF、G-SCF、GM-CSF、ゴナドトロピン、IFN、IFG-1、M-CSF、NGF、PDGF、PEDF、TGF、VEGF、TGF-B2、TNF、プロラクチン、ソマトトロピン、XIAP1、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-10(187A)、ウイルス性IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16 IL-17、およびIL-18が挙げられる。
rAAVベクターは、遺伝子の発現低下、発現の欠如または機能不全に関連する疾患を処置するために、対象に移入される遺伝子を含んでもよい。一部の実施形態では、rAAVベクターは、中枢神経系に関連する疾患を処置するために使用される。例示的な遺伝子および関連する疾患状態は、以下を含むがこれらに限定されない:グリコーゲン貯蔵欠乏1A型と関連する、グルコース-6-ホスファターゼ;Pepck欠損と関連する、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ:ガラクトース血症と関連する、ガラクトース-1リン酸ウリジルトランスフェラーゼ;フェニルケトン尿症と関連する、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ;カエデシロップ尿病と関連する、分枝鎖アルファ-ケト酸デヒドロゲナーゼ;チロシン血症1型と関連する、フマリルアセト酢酸加水分解酵素;メチルマロン酸血症と関連する、メチルマロニル-CoAムターゼ;中鎖アセチルCoA欠乏と関連する、中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ;オルニチントランスカルバミラーゼ欠乏と関連する、オルニチントランスカルバミラーゼ;シトルリン血症と関連する、アルギニノコハク酸合成酵素;家族性高コレステロール血症と関連する、低密度リポタンパク質受容体タンパク質;クリグラー-ナジャー病と関連する、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ;重症複合型免疫欠乏症と関連する、アデノシンデアミナーゼ;痛風およびレッシュ-ナイハン症候群と関連する、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ;ビオチニダーゼ欠乏と関連する、ビオチニダーゼ;ゴーシェ病と関連する、ベータ-グルコセレブロシダーゼ;スライ症候群と関連する、ベータ-グルクロニダーゼ;ツェルヴェーガー症候群と関連する、ペルオキシソーム膜タンパク質70kDa;急性間欠性ポルフィリン症と関連する、ポルホビリノーゲンデアミナーゼ;アルファ-1抗トリプシン欠乏症(気腫)の処置のための、アルファ-1抗トリプシン;サラセミアまたは腎不全による貧血の処置のためのエリスロポエチン;虚血性疾患の処置のための血管内皮増殖因子、アンジオポエチン-1、および線維芽細胞増殖因子;例えば、アテローム性動脈硬化症、血栓症、または塞栓症において見られる閉塞した血管の処置のためのトロンボモジュリンおよび組織因子経路阻害剤;パーキンソン病の処置のための芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)およびチロシンヒドロキシラーゼ(TH);うっ血性心不全の処置のためのベータアドレナリン受容体、ホスホランバンに対するアンチセンスまたはその変異体形態、筋小胞体(小胞体)アデノシントリホスファターゼ-2(SERCA2)、および心臓アデニリルシクラーゼ;様々ながんの処置のためのp53などの腫瘍抑制遺伝子;炎症性障害および免疫障害ならびにがんの処置のための様々なインターロイキンのうちの1つなどのサイトカイン;筋ジストロフィーの処置のためのジストロフィンまたはミニジストロフィンおよびユトロフィンまたはミニユトロフィン;ならびに糖尿病の処置のためのインスリン。
当業者は、タンパク質またはポリペプチドをコードする導入遺伝子の場合には、タンパク質またはポリペプチドの機能的に等価なバリアント、またはホモログを提供するために、保存的アミノ酸置換をもたらす変異が導入遺伝子においてなされ得ることも理解するであろう。一部の態様では、本開示は、導入遺伝子の保存的アミノ酸置換をもたらす配列変更を包含する。一部の実施形態では、導入遺伝子は、ドミナントネガティブ変異を有する遺伝子を含む。例えば、導入遺伝子は、野生型タンパク質と同じエレメントと相互作用し、それによって、野生型タンパク質の機能の一部の態様を遮断する変異体タンパク質を発現し得る。
有用な導入遺伝子産物は、miRNAも含む。miRNAおよび他の低分子干渉核酸は、標的RNAの転写物の切断/分解または標的メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳抑制により遺伝子発現を調節する。miRNAは、典型的には、最終的に19~25の非翻訳RNA産物としてネイティブに発現される。miRNAは、標的mRNAの3’非翻訳領域(UTR)との配列特異的相互作用によって、それらの活性を呈する。内因的に発現したこれらのmiRNAは、ヘアピン前駆体を形成し、その後、miRNA二重鎖へと、さらに「成熟」一本鎖miRNA分子へとプロセシングされる。この成熟miRNAは、多重タンパク質複合体であるmiRISCをガイドし、成熟型miRNAとのそれらの相補性に基づいて、標的mRNAの標的部位、例えば3’UTR領域を特定する。
以下のmiRNA遺伝子、およびそのホモログの非限定的なリストは、本方法のある特定の実施形態では、導入遺伝子として、または導入遺伝子によってコードされる低分子干渉核酸(例えば、miRNAスポンジ、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TuD RNA)に対する標的として有用である:hsa-let-7a、hsa-let-7a*、hsa-let-7b、hsa-let-7b*、hsa-let-7c、hsa-let-7c*、hsa-let-7d、hsa-let-7d*、hsa-let-7e、hsa-let-7e*、hsa-let-7f、hsa-let-7f-1*、hsa-let-7f-2*、hsa-let-7g、hsa-let-7g*、hsa-let-7i、hsa-let-7i*、hsa-miR-1、hsa-miR-100、hsa-miR-100*、hsa-miR-101、hsa-miR-101*、hsa-miR-103、hsa-miR-105、hsa-miR-105*、hsa-miR-106a、hsa-miR-106a*、hsa-miR-106b、hsa-miR-106b*、hsa-miR-107、hsa-miR-10a、hsa-miR-10a*、hsa-miR-10b、hsa-miR-10b*、hsa-miR-1178、hsa-miR-1179、hsa-miR-1180、hsa-miR-1181、hsa-miR-1182、hsa-miR-1183、hsa-miR-1184、hsa-miR-1185、hsa-miR-1197、
hsa-miR-1200、hsa-miR-1201、hsa-miR-1202、hsa-miR-1203、hsa-miR-1204、hsa-miR-1205、hsa-miR-1206、hsa-miR-1207-3p、hsa-miR-1207-5p、hsa-miR-1208、hsa-miR-122、hsa-miR-122*、hsa-miR-1224-3p、hsa-miR-1224-5p、hsa-miR-1225-3p、hsa-miR-1225-5p、hsa-miR-1226、hsa-miR-1226*、hsa-miR-1227、hsa-miR-1228、hsa-miR-1228*、hsa-miR-1229、hsa-miR-1231、hsa-miR-1233、hsa-miR-1234、hsa-miR-1236、hsa-miR-1237、hsa-miR-1238、hsa-miR-124、hsa-miR-124*、hsa-miR-1243、hsa-miR-1244、hsa-miR-1245、hsa-miR-1246、hsa-miR-1247、hsa-miR-1248、hsa-miR-1249、hsa-miR-1250、hsa-miR-1251、hsa-miR-1252、hsa-miR-1253、hsa-miR-1254、hsa-miR-1255a、hsa-miR-1255b、hsa-miR-1256、hsa-miR-1257、hsa-miR-1258、hsa-miR-1259、hsa-miR-125a-3p、hsa-miR-125a-5p、hsa-miR-125b、hsa-miR-125b-1*、hsa-miR-125b-2*、hsa-miR-126、hsa-miR-126*、hsa-miR-1260、hsa-miR-1261、hsa-miR-1262、hsa-miR-1263、hsa-miR-1264、hsa-miR-1265、hsa-miR-1266、hsa-miR-1267、hsa-miR-1268、hsa-miR-1269、hsa-miR-1270、hsa-miR-1271、hsa-miR-1272、hsa-miR-1273、hsa-miR-127-3p、hsa-miR-1274a、hsa-miR-1274b、hsa-miR-1275、hsa-miR-127-5p、hsa-miR-1276、hsa-miR-1277、hsa-miR-1278、hsa-miR-1279、hsa-miR-128、hsa-miR-1280、hsa-miR-1281、hsa-miR-1282、hsa-miR-1283、hsa-miR-1284、hsa-miR-1285、hsa-miR-1286、hsa-miR-1287、hsa-miR-1288、hsa-miR-1289、hsa-miR-129*、hsa-miR-1290、hsa-miR-1291、hsa-miR-1292、hsa-miR-1293、hsa-miR-129-3p、hsa-miR-1294、hsa-miR-1295、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-1296、hsa-miR-1297、hsa-miR-1298、hsa-miR-1299、
hsa-miR-1300、hsa-miR-1301、hsa-miR-1302、hsa-miR-1303、hsa-miR-1304、hsa-miR-1305、hsa-miR-1306、hsa-miR-1307、hsa-miR-1308、hsa-miR-130a、hsa-miR-130a*、hsa-miR-130b、hsa-miR-130b*、hsa-miR-132、hsa-miR-132*、hsa-miR-1321、hsa-miR-1322、hsa-miR-1323、hsa-miR-1324、hsa-miR-133a、hsa-miR-133b、hsa-miR-134、hsa-miR-135a、hsa-miR-135a*、hsa-miR-135b、hsa-miR-135b*、hsa-miR-136、hsa-miR-136*、hsa-miR-137、hsa-miR-138、hsa-miR-138-1*、hsa-miR-138-2*、hsa-miR-139-3p、hsa-miR-139-5p、hsa-miR-140-3p、hsa-miR-140-5p、hsa-miR-141、hsa-miR-141*、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-142-5p、hsa-miR-143、hsa-miR-143*、hsa-miR-144、hsa-miR-144*、hsa-miR-145、hsa-miR-145*、hsa-miR-146a、hsa-miR-146a*、hsa-miR-146b-3p、hsa-miR-146b-5p、hsa-miR-147、hsa-miR-147b、hsa-miR-148a、hsa-miR-148a*、hsa-miR-148b、hsa-miR-148b*、hsa-miR-149、hsa-miR-149*、hsa-miR-150、hsa-miR-150*、hsa-miR-151-3p、hsa-miR-151-5p、hsa-miR-152、hsa-miR-153、hsa-miR-154、hsa-miR-154*、hsa-miR-155、hsa-miR-155*、hsa-miR-15a、hsa-miR-15a*、hsa-miR-15b、hsa-miR-15b*、hsa-miR-16、hsa-miR-16-1*、hsa-miR-16-2*、hsa-miR-17、hsa-miR-17*、hsa-miR-181a、hsa-miR-181a*、hsa-miR-181a-2*、hsa-miR-181b、hsa-miR-181c、hsa-miR-181c*、hsa-miR-181d、hsa-miR-182、hsa-miR-182*、hsa-miR-1825、hsa-miR-1826、hsa-miR-1827、hsa-miR-183、hsa-miR-183*、hsa-miR-184、hsa-miR-185、hsa-miR-185*、hsa-miR-186、hsa-miR-186*、hsa-miR-187、hsa-miR-187*、hsa-miR-188-3p、hsa-miR-188-5p、hsa-miR-18a、hsa-miR-18a*、hsa-miR-18b、hsa-miR-18b*、hsa-miR-190、hsa-miR-190b、hsa-miR-191、hsa-miR-191*、hsa-miR-192、hsa-miR-192*、hsa-miR-193a-3p、hsa-miR-193a-5p、hsa-miR-193b、hsa-miR-193b*、hsa-miR-194、hsa-miR-194*、hsa-miR-195、hsa-miR-195*、hsa-miR-196a、hsa-miR-196a*、hsa-miR-196b、hsa-miR-197、hsa-miR-198、hsa-miR-199a-3p、hsa-miR-199a-5p、hsa-miR-199b-5p、hsa-miR-19a、hsa-miR-19a*、hsa-miR-19b、hsa-miR-19b-1*、hsa-miR-19b-2*、
hsa-miR-200a、hsa-miR-200a*、hsa-miR-200b、hsa-miR-200b*、hsa-miR-200c、hsa-miR-200c*、hsa-miR-202、hsa-miR-202*、hsa-miR-203、hsa-miR-204、hsa-miR-205、hsa-miR-206、hsa-miR-208a、hsa-miR-208b、hsa-miR-20a、hsa-miR-20a*、hsa-miR-20b、hsa-miR-20b*、hsa-miR-21、hsa-miR-21*、hsa-miR-210、hsa-miR-211、hsa-miR-212、hsa-miR-214、hsa-miR-214*、hsa-miR-215、hsa-miR-216a、hsa-miR-216b、hsa-miR-217、hsa-miR-218、hsa-miR-218-1*、hsa-miR-218-2*、hsa-miR-219-1-3p、hsa-miR-219-2-3p、hsa-miR-219-5p、hsa-miR-22、hsa-miR-22*、hsa-miR-220a、hsa-miR-220b、hsa-miR-220c、hsa-miR-221、hsa-miR-221*、hsa-miR-222、hsa-miR-222*、hsa-miR-223、hsa-miR-223*、hsa-miR-224、hsa-miR-23a、hsa-miR-23a*、hsa-miR-23b、hsa-miR-23b*、hsa-miR-24、hsa-miR-24-1*、hsa-miR-24-2*、hsa-miR-25、hsa-miR-25*、hsa-miR-26a、hsa-miR-26a-1*、hsa-miR-26a-2*、hsa-miR-26b、hsa-miR-26b*、hsa-miR-27a、hsa-miR-27a*、hsa-miR-27b、hsa-miR-27b*、hsa-miR-28-3p、hsa-miR-28-5p、hsa-miR-296-3p、hsa-miR-296-5p、hsa-miR-297、hsa-miR-298、hsa-miR-299-3p、hsa-miR-299-5p、hsa-miR-29a、hsa-miR-29a*、hsa-miR-29b、hsa-miR-29b-1*、hsa-miR-29b-2*、hsa-miR-29c、hsa-miR-29c*、
hsa-miR-300、hsa-miR-301a、hsa-miR-301b、hsa-miR-302a、hsa-miR-302a*、hsa-miR-302b、hsa-miR-302b*、hsa-miR-302c、hsa-miR-302c*、hsa-miR-302d、hsa-miR-302d*、hsa-miR-302e、hsa-miR-302f、hsa-miR-30a、hsa-miR-30a*、hsa-miR-30b、hsa-miR-30b*、hsa-miR-30c、hsa-miR-30c-1*、hsa-miR-30c-2*、hsa-miR-30d、hsa-miR-30d*、hsa-miR-30e、hsa-miR-30e*、hsa-miR-31、hsa-miR-31*、hsa-miR-32、hsa-miR-32*、hsa-miR-320a、hsa-miR-320b、hsa-miR-320c、hsa-miR-320d、hsa-miR-323-3p、hsa-miR-323-5p、hsa-miR-324-3p、hsa-miR-324-5p、hsa-miR-325、hsa-miR-326、hsa-miR-328、hsa-miR-329、hsa-miR-330-3p、hsa-miR-330-5p、hsa-miR-331-3p、hsa-miR-331-5p、hsa-miR-335、hsa-miR-335*、hsa-miR-337-3p、hsa-miR-337-5p、hsa-miR-338-3p、hsa-miR-338-5p、hsa-miR-339-3p、hsa-miR-339-5p、hsa-miR-33a、hsa-miR-33a*、hsa-miR-33b、hsa-miR-33b*、hsa-miR-340、hsa-miR-340*、hsa-miR-342-3p、hsa-miR-342-5p、hsa-miR-345、hsa-miR-346、hsa-miR-34a、hsa-miR-34a*、hsa-miR-34b、hsa-miR-34b*、hsa-miR-34c-3p、hsa-miR-34c-5p、hsa-miR-361-3p、hsa-miR-361-5p、hsa-miR-362-3p、hsa-miR-362-5p、hsa-miR-363、hsa-miR-363*、hsa-miR-365、hsa-miR-367、hsa-miR-367*、hsa-miR-369-3p、hsa-miR-369-5p、hsa-miR-370、hsa-miR-371-3p、hsa-miR-371-5p、hsa-miR-372、hsa-miR-373、hsa-miR-373*、hsa-miR-374a、hsa-miR-374a*、hsa-miR-374b、hsa-miR-374b*、hsa-miR-375、hsa-miR-376a、hsa-miR-376a*、hsa-miR-376b、hsa-miR-376c、hsa-miR-377、hsa-miR-377*、hsa-miR-378、hsa-miR-378*、hsa-miR-379、hsa-miR-379*、hsa-miR-380、hsa-miR-380*、hsa-miR-381、hsa-miR-382、hsa-miR-383、hsa-miR-384、
hsa-miR-409-3p、hsa-miR-409-5p、hsa-miR-410、hsa-miR-411、hsa-miR-411*、hsa-miR-412、hsa-miR-421、hsa-miR-422a、hsa-miR-423-3p、hsa-miR-423-5p、hsa-miR-424、hsa-miR-424*、hsa-miR-425、hsa-miR-425*、hsa-miR-429、hsa-miR-431、hsa-miR-431*、hsa-miR-432、hsa-miR-432*、hsa-miR-433、hsa-miR-448、hsa-miR-449a、hsa-miR-449b、hsa-miR-450a、hsa-miR-450b-3p、hsa-miR-450b-5p、hsa-miR-451、hsa-miR-452、hsa-miR-452*、hsa-miR-453、hsa-miR-454、hsa-miR-454*、hsa-miR-455-3p、hsa-miR-455-5p、hsa-miR-483-3p、hsa-miR-483-5p、hsa-miR-484、hsa-miR-485-3p、hsa-miR-485-5p、hsa-miR-486-3p、hsa-miR-486-5p、hsa-miR-487a、hsa-miR-487b、hsa-miR-488、hsa-miR-488*、hsa-miR-489、hsa-miR-490-3p、hsa-miR-490-5p、hsa-miR-491-3p、hsa-miR-491-5p、hsa-miR-492、hsa-miR-493、hsa-miR-493*、hsa-miR-494、hsa-miR-495、hsa-miR-496、hsa-miR-497、hsa-miR-497*、hsa-miR-498、hsa-miR-499-3p、hsa-miR-499-5p、
hsa-miR-500、hsa-miR-500*、hsa-miR-501-3p、hsa-miR-501-5p、hsa-miR-502-3p、hsa-miR-502-5p、hsa-miR-503、hsa-miR-504、hsa-miR-505、hsa-miR-505*、hsa-miR-506、hsa-miR-507、hsa-miR-508-3p、hsa-miR-508-5p、hsa-miR-509-3-5p、hsa-miR-509-3p、hsa-miR-509-5p、hsa-miR-510、hsa-miR-511、hsa-miR-512-3p、hsa-miR-512-5p、hsa-miR-513a-3p、hsa-miR-513a-5p、hsa-miR-513b、hsa-miR-513c、hsa-miR-514、hsa-miR-515-3p、hsa-miR-515-5p、hsa-miR-516a-3p、hsa-miR-516a-5p、hsa-miR-516b、hsa-miR-517*、hsa-miR-517a、hsa-miR-517b、hsa-miR-517c、hsa-miR-518a-3p、hsa-miR-518a-5p、hsa-miR-518b、hsa-miR-518c、hsa-miR-518c*、hsa-miR-518d-3p、hsa-miR-518d-5p、hsa-miR-518e、hsa-miR-518e*、hsa-miR-518f、hsa-miR-518f*、hsa-miR-519a、hsa-miR-519b-3p、hsa-miR-519c-3p、hsa-miR-519d、hsa-miR-519e、hsa-miR-519e*、hsa-miR-520a-3p、hsa-miR-520a-5p、hsa-miR-520b、hsa-miR-520c-3p、hsa-miR-520d-3p、hsa-miR-520d-5p、hsa-miR-520e、hsa-miR-520f、hsa-miR-520g、hsa-miR-520h、hsa-miR-521、hsa-miR-522、hsa-miR-523、hsa-miR-524-3p、hsa-miR-524-5p、hsa-miR-525-3p、hsa-miR-525-5p、hsa-miR-526b、hsa-miR-526b*、hsa-miR-532-3p、hsa-miR-532-5p、hsa-miR-539、hsa-miR-541、hsa-miR-541*、hsa-miR-542-3p、hsa-miR-542-5p、hsa-miR-543、hsa-miR-544、hsa-miR-545、hsa-miR-545*、hsa-miR-548a-3p、hsa-miR-548a-5p、hsa-miR-548b-3p、hsa-miR-548b-5p、hsa-miR-548c-3p、hsa-miR-548c-5p、hsa-miR-548d-3p、hsa-miR-548d-5p、hsa-miR-548e、hsa-miR-548f、hsa-miR-548g、hsa-miR-548h、hsa-miR-548i、hsa-miR-548j、hsa-miR-548k、hsa-miR-548l、hsa-miR-548m、hsa-miR-548n、hsa-miR-548o、hsa-miR-548p、hsa-miR-549、hsa-miR-550、hsa-miR-550*、hsa-miR-551a、hsa-miR-551b、hsa-miR-551b*、hsa-miR-552、hsa-miR-553、hsa-miR-554、hsa-miR-555、hsa-miR-556-3p、hsa-miR-556-5p、hsa-miR-557、hsa-miR-558、hsa-miR-559、hsa-miR-561、hsa-miR-562、hsa-miR-563、hsa-miR-564、hsa-miR-566、hsa-miR-567、hsa-miR-568、hsa-miR-569、hsa-miR-570、hsa-miR-571、hsa-miR-572、hsa-miR-573、hsa-miR-574-3p、hsa-miR-574-5p、hsa-miR-575、hsa-miR-576-3p、hsa-miR-576-5p、hsa-miR-577、hsa-miR-578、hsa-miR-579、hsa-miR-580、hsa-miR-581、hsa-miR-582-3p、hsa-miR-582-5p、hsa-miR-583、hsa-miR-584、hsa-miR-585、hsa-miR-586、hsa-miR-587、hsa-miR-588、hsa-miR-589、hsa-miR-589*、hsa-miR-590-3p、hsa-miR-590-5p、hsa-miR-591、hsa-miR-592、hsa-miR-593、hsa-miR-593*、hsa-miR-595、hsa-miR-596、hsa-miR-597、hsa-miR-598、hsa-miR-599、
hsa-miR-600、hsa-miR-601、hsa-miR-602、hsa-miR-603、hsa-miR-604、hsa-miR-605、hsa-miR-606、hsa-miR-607、hsa-miR-608、hsa-miR-609、hsa-miR-610、hsa-miR-611、hsa-miR-612、hsa-miR-613、hsa-miR-614、hsa-miR-615-3p、hsa-miR-615-5p、hsa-miR-616、hsa-miR-616*、hsa-miR-617、hsa-miR-618、hsa-miR-619、hsa-miR-620、hsa-miR-621、hsa-miR-622、hsa-miR-623、hsa-miR-624、hsa-miR-624*、hsa-miR-625、hsa-miR-625*、hsa-miR-626、hsa-miR-627、hsa-miR-628-3p、hsa-miR-628-5p、hsa-miR-629、hsa-miR-629*、hsa-miR-630、hsa-miR-631、hsa-miR-632、hsa-miR-633、hsa-miR-634、hsa-miR-635、hsa-miR-636、hsa-miR-637、hsa-miR-638、hsa-miR-639、hsa-miR-640、hsa-miR-641、hsa-miR-642、hsa-miR-643、hsa-miR-644、hsa-miR-645、hsa-miR-646、hsa-miR-647、hsa-miR-648、hsa-miR-649、hsa-miR-650、hsa-miR-651、hsa-miR-652、hsa-miR-653、hsa-miR-654-3p、hsa-miR-654-5p、hsa-miR-655、hsa-miR-656、hsa-miR-657、hsa-miR-658、hsa-miR-659、hsa-miR-660、hsa-miR-661、hsa-miR-662、hsa-miR-663、hsa-miR-663b、hsa-miR-664、hsa-miR-664*、hsa-miR-665、hsa-miR-668、hsa-miR-671-3p、hsa-miR-671-5p、hsa-miR-675、
hsa-miR-7、hsa-miR-708、hsa-miR-708*、hsa-miR-7-1*、hsa-miR-7-2*、hsa-miR-720、hsa-miR-744、hsa-miR-744*、hsa-miR-758、hsa-miR-760、hsa-miR-765、hsa-miR-766、hsa-miR-767-3p、hsa-miR-767-5p、hsa-miR-768-3p、hsa-miR-768-5p、hsa-miR-769-3p、hsa-miR-769-5p、hsa-miR-770-5p、hsa-miR-802、hsa-miR-873、hsa-miR-874、hsa-miR-875-3p、hsa-miR-875-5p、hsa-miR-876-3p、hsa-miR-876-5p、hsa-miR-877、hsa-miR-877*、hsa-miR-885-3p、hsa-miR-885-5p、hsa-miR-886-3p、hsa-miR-886-5p、hsa-miR-887、hsa-miR-888、hsa-miR-888*、hsa-miR-889、hsa-miR-890、hsa-miR-891a、hsa-miR-891b、hsa-miR-892a、hsa-miR-892b、hsa-miR-9、hsa-miR-9*、hsa-miR-920、hsa-miR-921、hsa-miR-922、hsa-miR-923、hsa-miR-924、hsa-miR-92a、hsa-miR-92a-1*、hsa-miR-92a-2*、hsa-miR-92b、hsa-miR-92b*、hsa-miR-93、hsa-miR-93*、hsa-miR-933、hsa-miR-934、hsa-miR-935、hsa-miR-936、hsa-miR-937、hsa-miR-938、hsa-miR-939、hsa-miR-940、hsa-miR-941、hsa-miR-942、hsa-miR-943、hsa-miR-944、hsa-miR-95、hsa-miR-96、hsa-miR-96*、hsa-miR-98、hsa-miR-99a、hsa-miR-99a*、hsa-miR-99b、およびhsa-miR-99b*。
miRNAは、それが標的とするmRNAの機能を阻害し、結果として、そのmRNAによってコードされるポリペプチドの発現を阻害する。よって、miRNAの活性を(部分的または全体的に)遮断する(例えば、miRNAをサイレンシングする)ことにより、発現が阻害されるポリペプチドの発現を効果的に誘導、または回復する(ポリペプチドの抑制を解除する)ことができる。一実施形態では、miRNAのmRNA標的によってコードされるポリペプチドの抑制解除は、種々の方法のうちのいずれか1つによって、細胞内のmiRNA活性を阻害することによって達成される。例えば、miRNAの活性を遮断することは、miRNAに対して相補的であるか、または実質的に相補的である低分子干渉核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNAスポンジ、TuD RNA)とのハイブリダイゼーションによって達成され、それによって、miRNAの、その標的mRNAとの相互作用を遮断することができる。本明細書で使用される場合、miRNAに対して実質的に相補的である低分子干渉核酸は、miRNAとハイブリダイズし、miRNAの活性を遮断することができるものである。一部の実施形態では、miRNAに対して実質的に相補的である低分子干渉核酸は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18塩基以外のすべてにおいて、miRNAに対して相補的である低分子干渉核酸である。一部の実施形態では、低分子干渉核酸配列は、miRNAに対して実質的に相補的であるか、または少なくとも1つの塩基でmiRNAに対して相補的である低分子干渉核酸配列である。
「miRNA阻害剤」は、miRNAの機能、発現および/またはプロセシングを遮断する薬剤である。例えば、これらの分子には、microRNA特異的アンチセンス、microRNAスポンジ、タフデコイ(tough decoy)RNA(TuD RNA)およびmiRNAのDrosha複合体との相互作用を阻害するmicroRNAオリゴヌクレオチド(二本鎖、ヘアピン、短いオリゴヌクレオチド)が含まれるがこれらに限定されない。microRNA阻害剤は、上記で議論したように、rAAVベクターの導入遺伝子から、細胞において発現され得る。microRNAスポンジは、相補的なヘプタマーシード配列(Ebert, M.S. Nature Methods, Epub August, 12, 2007)によってmiRNAを特異的に阻害する。一部の実施形態では、miRNAのファミリー全体が、単一のスポンジ配列を使用してサイレンシングされ得る。TuD RNAは、哺乳動物細胞において、特定のmiRNAの効率的かつ長期的な抑制を達成する(例えば、TuD RNAに関するその内容が参照により本明細書に組み込まれる、Takeshi Haraguchi, et al., Nucleic Acids Research, 2009, Vol. 37, No. 6 e43を参照されたい)。細胞内でmiRNA機能をサイレンシングする(miRNA標的の抑制解除)ための他の方法は、当業者にとって明らかであろう。
一部の実施形態では、組換えRNAベクターのクローニング能力は所望のコード配列を限定する場合があり、ウイルスの4.8キロベースのゲノムの完全な置換えを必要とする場合がある。したがって、大きな遺伝子は、一部の場合には、標準的な組換えAAVベクターにおいて使用するのに好適ではない場合がある。当業者は、当技術分野において、限定されたコード能力を克服するための選択肢が利用可能であることを認識するであろう。例えば、2つのゲノムのAAV ITRがアニーリングしてヘッドトゥーテールコンカテマーを形成し、ベクターの能力をほぼ2倍にすることができる。スプライス部位の挿入によって、転写物からのITRの除去が可能になる。限定されたクローニング能力を克服するための選択肢は、当業者にとって明らかであろう。
投与
rAAVは、当技術分野で公知の任意の適切な方法によって、組成物中で対象に送達されてもよい。好ましくは生理学的に適合する担体中に(例えば、組成物中に)懸濁させたrAAVは、対象、例えばヒト、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ヒツジ、ウサギ、ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、モルモット、ハムスター、ニワトリ、シチメンチョウ、または非ヒト霊長類(例えば、マカク)などの宿主動物に投与されてもよい。一部の実施形態では、宿主動物は、ヒトを含まない。
rAAVの哺乳動物対象への送達は、例えば、筋肉内注射、または哺乳動物対象の血流中への投与によるものであってもよい。血流中への投与は、静脈、動脈、または任意の他の血管導管への注射によるものであってもよい。一部の実施形態では、rAAVは、外科技術分野で周知の技法である分離式肢灌流によって血流中に投与され、この方法によって、当業者は、rAAVビリオンの投与前に、体循環から肢を分離することが基本的に可能になる。米国特許第6,177,403号に記載されている分離式肢灌流技法の変形が、ビリオンを分離された肢の血管系へと投与し、筋肉細胞または組織中への形質導入を潜在的に増強するために、当業者によって用いられてもよい。さらに、ある特定の事例では、ビリオンを対象のCNSに送達するのが望ましい場合がある。「CNS」によって、脊椎動物の脳および脊髄の細胞および組織のすべてが意味される。よって、この用語は、神経細胞、グリア細胞、星状細胞、脳脊髄液(CSF)、間質空間、骨、軟骨などを含むがこれらに限定されない。組換えAAVは、例えば、脳室領域、ならびに線条体(例えば、線条体の尾状核または被殻)、脊髄および神経筋接合部、または小脳葉への、針、カテーテルまたは関連するデバイスによる注射によって、当技術分野で公知の神経外科技術、例えば定位注射によって、CNSまたは脳へ直接的に送達されてもよい(例えば、Stein et al., J Virol 73:3424-3429, 1999;Davidson et al., PNAS 97:3428-3432, 2000;Davidson et al., Nat. Genet. 3:219-223, 1993;およびAlisky and Davidson, Hum. Gene Ther. 11:2315-2329, 2000を参照されたい)。
本開示の組成物は、単独で、または1つもしくは複数の他のウイルス(例えば、1つまたは複数の異なる導入遺伝子をコードするかまたは有する第2のrAAV)と組み合わせて、rAAVを含んでもよい。一部の実施形態では、組成物は、それぞれが1つまたは複数の異なる導入遺伝子を有する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い異なるrAAVを含む。
好適な担体は、rAAVが対象とする適用を鑑みて、当業者によって容易に選択され得る。例えば、1つの好適な担体として、食塩水が挙げられ、これは、種々の緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水)と共に製剤化されてもよい。他の例示的な担体としては、滅菌食塩水、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、ゼラチン、デキストラン、寒天、ペクチン、ラッカセイ油、ゴマ油、および水が挙げられる。担体の選択は、本開示の制限ではない。
必要に応じて、本開示の組成物は、rAAVおよび担体に加えて、他の従来の医薬成分、例えば防腐剤、または化学的安定剤を含有してもよい。好適な例示的防腐剤としては、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、没食子酸プロピル、パラベン類、エチルバニリン、グリセリン、フェノール、およびパラクロロフェノールが挙げられる。好適な化学的安定剤としては、ゼラチンおよびアルブミンが挙げられる。
rAAVは、所望の組織の細胞をトランスフェクトし、かつ過度な有害効果なしに十分なレベルの遺伝子の移入および発現をもたらすのに十分な量で投与される。従来の薬学的に許容される投与経路としては、選択された臓器への直接的送達(例えば、肝臓への門脈内送達)、経口、吸入(鼻内および気管内送達を含む)、眼内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腫瘍内、頭蓋内(例えば、海馬内)、および他の非経口的投与経路が挙げられるがこれらに限定されない。投与経路は、所望の場合、組み合わされてもよい。
特定の「治療効果」を達成するために必要とされるrAAVビリオンの用量、例えば、体重1キログラム当たりのゲノムコピーの用量の単位(GC/kg)は、rAAVビリオンの投与経路、治療効果を達成するために必要とされる遺伝子またはRNAの発現レベル、処置される特定の疾患または障害、および遺伝子またはRNAの産物の安定性を含むがこれらに限定されない、いくつかの要因に基づいて変化する。当業者は、前述の要因、および当技術分野で周知である他の要因に基づいて、特定の疾患または障害を有する患者を処置するために、rAAVビリオンの用量範囲を容易に決定することができる。
rAAVの有効量は、動物を標的とするかまたは感染させ、所望の組織を標的とするのに十分な量である。一部の実施形態では、rAAVの有効量は、安定な体細胞トランスジェニック動物モデルを生成するのに十分な量である。有効量は、主に、対象の種、年齢、体重、健康、および標的とされる組織などの要因に応じて変化し、よって、動物間または組織間で変化し得る。例えば、rAAVの有効量は、一般に、約10~1016個のゲノムコピーを含有する溶液約1ml~約100mlの範囲内である。一部の実施形態では、rAAVは、対象当たり1010、1011、1012、1013、1014、または1015個のゲノムコピーの用量で投与される。一部の実施形態では、rAAVは、1kg当たり1010、1011、1012、1013、または1014個のゲノムコピーの用量で投与される。一部の場合には、約1011~1012個の間のrAAVゲノムコピーの投薬量が適切である。ある特定の実施形態では、1012個のrAAVゲノムコピーが、心臓、肝臓、および膵臓の組織を標的とするのに有効である。一部の場合には、安定なトランスジェニック動物は、多回用量のrAAVによって生成される。
一部の実施形態では、rAAV組成物は、特に高濃度(例えば、約1013GC/mlまたはそれより高い濃度)のrAAVが存在する場合、組成物中のAAV粒子の凝集を低減するように製剤化される。rAAVの凝集を低減するための方法は当技術分野で周知であり、例えば、界面活性剤の添加、pH調整、塩濃度調整などを含む(例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、Wright FR, et al., Molecular Therapy (2005) 12, 171-178を参照されたい)。
薬学的に許容される賦形剤および担体の溶液の製剤は当業者に周知であり、本明細書に記載の特定の組成物を種々の処置レジメンで使用するのに好適な投与および処置のレジメンの開発も同様である。
典型的には、これらの製剤は、少なくとも約0.1%の活性化合物またはそれより多くを含有してもよいが、有効成分のパーセンテージは、当然のことながら、変更されてもよく、便宜的に製剤全体の重量または体積の約1または2%~約70%もしくは80%またはそれより高い割合の間であってもよい。当然、各治療上有用な組成物における活性化合物の量は、化合物のいずれかの所与の単位用量において好適な投薬量が得られるように調製され得る。溶解度、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製品の貯蔵寿命などの要因、および他の薬理学的検討事項も、このような医薬製剤を調製する当業者によって企図されることになり、そういうものとして、種々の投与および処置のレジメンが望ましい場合がある。
ある特定の状況下では、本明細書に開示される好適に製剤化された医薬組成物中のrAAVベースの治療用構築物を、皮下に、膵臓内に、鼻内に、非経口的に、静脈内に、頭蓋内に(例えば、海馬内に)、筋肉内に、髄腔内に、または経口的に、腹腔内に、または吸入によってのいずれかで、送達するのが望ましいことになる。一部の実施形態では、米国特許第5,543,158号;同第5,641,515号および同第5,399,363号(それぞれが参照によりその全体として本明細書に具体的に組み込まれる)に記載されている投与モダリティが、rAAVを送達するために使用されてもよい。一部の実施形態では、好ましい投与方式は、門脈注射によるものである。
注射可能な使用に好適な医薬形態としては、無菌の水性溶液または分散物、および無菌の注射可能な溶液または分散物を即時調製するための無菌粉末が挙げられる。分散物は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中、ならびに油中で調製されてもよい。通常の保存および使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために防腐剤を含有する。多くの場合には、形態は、容易な注射可能性(syringability)が存在する程度まで、無菌かつ流動的である。形態は、製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の夾雑作用に対して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物、ならびに/または植物油を含有する溶媒もしくは分散媒であってもよい。適当な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンの使用によって、分散物の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合には、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むのが好ましい。注射可能な組成物の延長された吸収は、組成物中で、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することによってもたらされ得る。
注射可能な水性溶液の投与では、例えば、溶液は、必要な場合には、好適に緩衝されてもよく、液体希釈剤は、最初に十分な食塩水またはグルコースで等張にされてもよい。これらの特定の水性溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に好適である。これに関連して、用いられ得る滅菌水性媒体は当業者に公知であろう。例えば、1回の投薬量を1mlの等張NaCl溶液中に溶解させ、1000mlの皮下点滴液に添加するか、または提案される注入部位に注射されてもよい(例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences" 15th Edition, pages 1035-1038 and 1570-1580を参照されたい)。投薬量におけるある程度の変動が宿主の状態に応じて必然的に生じる。投与責任者は、いかなる事象においても、個々の宿主に適切な用量を決定することになる。
無菌の注射可能な溶液は、本明細書で列挙した様々な他の成分と共に、適切な溶媒中で必要とされる量の活性なrAAVを組み込み、必要であれば、その後に濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散物は、基本分散媒および上に列挙したものから必要とされる他の成分を含有する無菌ビヒクル中に、様々な滅菌された有効成分を組み込むことによって調製される。無菌の注射可能な溶液の調製のための無菌粉末の場合には、好ましい調製方法は、その予め無菌濾過した溶液から、有効成分と任意の追加の所望の成分の粉末を生じる、真空乾燥および凍結乾燥技法である。
本明細書に開示されるrAAV組成物は、中性または塩の形態で製剤化されてもよい。薬学的に許容される塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成される)が含まれ、これは、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸と形成される。遊離カルボキシル基と形成される塩は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することも可能である。製剤化されると、溶液は、投与製剤に適合する様式で、かつ治療上有効な量で投与されることになる。製剤は、注射可能な溶液、薬物放出カプセルなどの種々の剤形において容易に投与される。
本明細書で使用される場合、「担体」には、ありとあらゆる溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、緩衝液、担体溶液、懸濁物、コロイドなどが含まれる。医薬活性物質に対するこのような媒体および作用物質の使用は当技術分野で周知である。補足的活性成分も組成物中に組み込まれ得る。語句「薬学的に許容される」は、宿主に投与された場合に、アレルギー反応も類似する有害反応も生じない分子実体および組成物を指す。
リポソーム、ナノカプセル、微粒子、ミクロスフェア、脂質粒子、ベシクルなどのような送達ビヒクルは、本開示の組成物の好適な宿主細胞への導入のために使用されてもよい。特に、rAAVベクターにより送達される導入遺伝子は、脂質粒子、リポソーム、ベシクル、ナノスフェア、またはナノ粒子などのいずれかの中に封入されて、送達用に製剤化されてもよい。
このような製剤は、本明細書に開示される核酸またはrAAV構築物の薬学的に許容される製剤の導入にとって好ましい場合がある。リポソームの形成および使用は、一般に、当業者に公知である。最近、血清中での安定性および循環半減期が改善したリポソームが開発された(米国特許第5,741,516号)。さらに、潜在的な薬物担体としてのリポソームおよびリポソーム様調製物についての様々な方法が記載されている(米国特許第5,567,434号;同第5,552,157号;同第5,565,213号;同第5,738,868号および同第5,795,587号)。
通常、他の手順によるトランスフェクションに耐性であるいくつかの細胞型に関して、リポソームは成功裏に使用されている。加えて、リポソームは、ウイルスベースの送達系に典型的であるDNAの長さについての制約がない。リポソームは、遺伝子、薬物、放射性治療剤、ウイルス、転写因子およびアロステリックエフェクターを、種々の培養細胞系および動物へと導入するために効果的に使用されている。加えて、リポソームに媒介される薬物送達の有効性を調査するいくつかの臨床試験の完了に成功している。
リポソームは、水性媒体中に分散され、多重層同心性二重層ベシクル(多重層ベシクル(MLV)とも称される)を自然に形成するリン脂質から形成されている。MLVは、一般に、25nm~4μmの直径を有する。MLVの超音波処理によって、コアに水性溶液を含有する200~500.ANG.の範囲の直径を有する小さい単層ベシクル(SUV)の形成がもたらされる。
あるいは、rAAVのナノカプセル製剤が使用されてもよい。ナノカプセルは、一般に、安定かつ再生可能な方法で物質を捕捉することができる。細胞内でのポリマー過負荷による副作用を回避するために、このような超微細粒子(およそ0.1μmのサイズ)は、in vivoで分解され得るポリマーを使用して設計されるべきである。この要件に合致する生分解性ポリアルキル-シアノアクリレートナノ粒子が使用に関して企図されている。
上記送達方法に加えて、rAAV組成物を宿主に送達する代替方法として、以下の技法も企図されている。ソノフォレーシス(すなわち、超音波)が使用され、循環系への、および循環系を介する薬物浸透の速度および効力を増強するためのデバイスとして、米国特許第5,656,016号に記載されている。企図される他の薬物送達の代替法は、骨内注射(米国特許第5,779,708号)、マイクロチップデバイス(米国特許第5,797,898号)、眼科製剤(Bourlais et al., 1998)、経皮マトリックス(米国特許第5,770,219号および同第5,783,208号)およびフィードバック制御送達(米国特許第5,697,899号)である。
(実施例1)
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)は、安全かつ信頼性の高い遺伝子送達ビヒクルとして、近年、ヒトの遺伝子治療分野で多くの注目を集めている。現在、前臨床および臨床研究において、AAV2が最も一般的に使用されている。しかし、AAV2ベースの薬物であるLuxturnaは、FDAに承認された唯一のウイルスベースのバイオ治療薬であり、よって、AAVの医薬特性を改善することが非常に重要である。
AAV2は、ベクター生成において「生産性が低く」、多くの組織および細胞型で「性能が低い」ことが知られている。特性の改良されたウイルスバリアントを単離した。
AAVv66という名称のバリアントを、臨床膵臓新生物の試料において最も豊富に存在するプロウイルスキャプシドバリアントとして同定した。AAVv66キャプシドは、AAV2と異なる13の残基を保有する(K39Q、V151A、R447K、T450A、Q457M、S492A、E499D、F533Y、G546D、E548G、R585S、R588T、およびA593Tを含むAAV2に対する変異)。このバリアントは、頭蓋内(例えば、頭蓋下)注射後、CNSにおいて好ましい向性を呈する。さらに、AAVv66は、プロトタイプのAAV2よりも良好なパッケージング効率を実証する。示差走査蛍光定量法(DSF)を使用して、AAVv66の融解温度が、pH4~pH7に及ぶ範囲のpHにわたって、AAV2よりも約6℃高いことが観察された。さらに、DSF分析は、pH4では、AAVv66はAAV2よりも高い温度でそのベクターDNAを破壊する(expunge)ことを示す。
AAVv66は、AAV2と比較して優れたCNS形質導入を付与することも確認された。2.9Åの分解能でのcryo-EM構造から、3回転突出部および5回対称軸の界面でのAAV2とAAVv66の間の構造的差異が明らかになり、これらの位置での残基がベクター形質導入のための安定性および機能の改善を付与することを示す。
(実施例2)
AAVは、有効かつ証明された遺伝子治療のベクターとして最近注目を集めている。現行の分類のAAVは、安定で、長期に及ぶ遺伝子発現を付与し、広範囲に及ぶ組織向性を有し、かつ比較的低い病原性を呈する。現在までに、3つの血清型キャプシド(AAV1、AAV2、およびAAV9)が、患者への商業的使用について規制当局の承認を得ている。あいにく、特定の組織または細胞型を標的とするのに必要なある特定の臨床適用では、現行の発見および操作されたAAVキャプシドのライブラリーでは不十分である。さらに、患者は、治療有効性を制限することになる、中和抗体によるベクターへの既存の免疫を有している場合がある。さらに、ある特定のキャプシドは、標準的な生産スキームでは、治療用量を満たすのに必要とされる高収率力価をもたらすのに問題があることが知られている。これらの欠点に応じて、より良好なベクター収率を呈し、自然免疫から逃れることができ、かつ固有の向性プロファイルを有する新規キャプシドの発見および開発が必要とされる。
この実施例は、ハイスループット一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシングによって同定され、その特性が、配列類似性が高い(98%)にもかかわらず、AAV2のものと実質的に異なるキャプシドタンパク質バリアント、AAVv66(配列番号1)について説明する。第1に、AAVv66は、より良好なベクター収率を呈し、プロトタイプのAAV2よりもより熱安定性が高い。第2に、AAVv66は、頭蓋内注射によって投与された場合、脳組織内でより広範囲の分布を有する。最後に、AAVv66は、AAV2と抗原的に別個である。
AAVv66がAAV2とどのように異なるのかをよりよく理解するために、低温電子顕微鏡(cryo-EM)を実施して、AAVv66を規定する構造的かつ機能的特徴を探索した。本発明者らによるAAVv66キャプシドの2.5Å分解能での構造は、AAV2の構造との差異を明らかにし、キャプシドの機能的特性についての洞察を与える。まとめると、これらの観察は、AAVv66の機構的特性を説明するものである。
材料および方法
DNA抽出
71歳の女性患者から、腫瘍摘出、ならびに凍結切片の調査および術中凍結切片診断による組織病理の後に、膵臓新生物の試料を得た。DNA抽出まで、試料を液体窒素中で保存した。AAVのDNA相互夾雑を避けるために、DNA抽出、およびPCR手順は、無菌のUV照射されたバイオセイフティーキャビネット中で実施した。すべての表面および器具にDNA-Exitus Plus(Applichem、カタログ番号A7089)をスプレーし、15分後にミリQ水できれいに拭き取った。次いで、凍結した組織を室温で解凍し、使い捨てメスで約25mgの組織を素早く切断し、2mLのチューブに入れた。組織からのDNA抽出は、製造業者に推奨された手順によって、QIAamp DNA Mini Kit(Qiagen、番号51306)を使用して実施した。
SMRTシーケンシング
標準的PCR手順によって、ゲノムDNAからアンプリコンライブラリーを作成した。AAVゲノムを増幅させるために、以下のサイクル条件でPlatinum(商標)PCR SuperMix High Fidelity(Invitrogen)を使用してPCRを実施した:97℃で1分間;98℃で10秒間、60℃で15秒間、および68℃で2分30秒間を46サイクル;ならびに68℃で10分間。正しいサイズのPCR産物をPureLink(商標)PCR Purification Kit(Thermo Fisher)を用いてゲル精製し、バーコード化のための2回目の15サイクルのPCRに使用した。使用したプライマー対は:
1回目のプライマー:CapF 5’-GACTGCATCTTTGAACAATAAATGA-3’(配列番号3)およびCapR 5’-GAAACGAATTAACCGGTTTATTGATTAA-3’(配列番号4)
2回目のプライマー:EF 5’-CATCACTACGCTAGATGACTGCATCTTTGAACAATAAATGA-3’(配列番号5)およびER 5’-TAGTATATCGAGACTCGAAACGAATTAACCGGTTTATTGATTAA-3’(配列番号6)
キャプシドバリアントのORFを表すアンプリコンを標準的なSMRTシーケンシングライブラリー作成に供した。RSIIプラットフォームでシーケンシングを実施した。SMRTシーケンシングにより、BWA-MEMアルゴリズムを使用してAAV2 Cap ORFにマッピングされた17,727のDNAリードが返された。次いで、アーチファクトの配列を除外するために、リードをフィルタリングし、長さが1,800ntより短い配列および2,500ntより長い配列を除外し、次いで、リードの質(Phredスコア>30)に関してフィルタリングした。このフィルタリングにより、リードは14,500個まで減少した。最後に、リードをInDelFixerで処理し、エラーを起こしやすいPCRまたはシーケンシングエラーから生じる可能性のある単一ヌクレオチドの挿入および欠失を除去した。固有のキャプシド配列のみを考慮し、信頼性の低いバリアントを除外するために、de novoアセンブリ(Geneious R9)をフィルタリングしたリードに関して実施し、99%の配列類似性を有するリードをクラスタリングした。少なくとも10個のリードによって表されるリードのクラスターのみを、固有のDNAキャプシド配列とみなした。次いで、DNA配列をアミノ酸配列へと翻訳し、固有のAAVキャプシドの最終リストを規定した。
現代のAAV血清型(AAV2/3に使用されるhu.2)由来の完全なAAV Cap ORFをNCBIから入手し、予測されるアミノ酸配列を、MUSCLEアルゴリズムを使用して、収束が達成されるまで反復してアラインメントさせた。次いで、PhyMLを使用して、SeaView55内からデフォルトパラメーターを使用して系統樹を作成し、次いで、Interactive Tree of Lifeオンラインツールによって可視化した。
ウイルスベクター生成
HEK293細胞中で、三重トランスフェクション法を使用してウイルスを生成し、CsCl勾配遠心分離によって精製した。記載されたすべてのベクターを、増強型緑色蛍光タンパク質を発現する自己相補的AAVベクター(scAAV-CB6-EGFP)、ホタルルシフェラーゼを発現する一本鎖ベクター(ssAAV-CB6-Fluc)、分泌型ヒトアルファ1-抗トリプシンを発現する一本鎖ベクター(ssAAV-CB6-hA1AT)、またはLacZを発現する一本鎖ベクターのいずれかでパッケージングした。すべての導入遺伝子は、CMV初期エンハンサー/ニワトリβアクチン(CB6)遍在性プロモーターによって駆動される。
動物
6~8週齢の雄C57BL/6Jマウス(The Jackson Laboratory)に、試験ベクターを静脈内(IV)、筋肉内(IM)、または頭蓋内投与した。IV注射に供したマウスに、ssAAV-CB6-Fluc導入遺伝子をパッケージングしたベクター(1.0E11vg/マウス)を投与し、注射の14日後にマウスを屠殺した。TA筋のIM注射に供したマウスに、ssAAV-CB6-Fluc導入遺伝子をパッケージングしたベクター(4.0E10vg/マウス)を投与し、注射の28日後にマウスを屠殺した。屠殺までの1週間ごと、および屠殺時に、動物にD-ルシフェリン基質を腹腔内注射し、イソフルランで鎮静させ、1分の露出でIVIS SpectrumCTイメージングプラットフォームを使用してルシフェラーゼ活性を定量化した。Living Imageソフトウェアを使用して、イメージ取得を実施した。海馬内注射に供したマウスに、scAAV-CB6-Egfp導入遺伝子をパッケージングしたベクターを投与した(3.6E9vg/マウス)。定位固定フレーム(Stoelting Co. Wood Dale、IL)、Hamilton Syringe(1207K95、Thomas Scientific)、およびHamilton Needle(77602-06、Hamilton)を使用して、右半球に片側注射を実施した。すべての海馬内注射には、以下の相対座標を使用した:x:-1.5mm、y:-2mm、z:-2mm。
免疫染色
注射の4週間後に、動物を1×リン酸緩衝食塩水(PBS)、それに続いて4%のパラホルムアルデヒド(PFA)で経心的に灌流した。脳を抽出し、次に、4%のPFAで4℃にて一晩固定した。次いで、スクロース混合物中で平衡化するまで、脳を、4℃で、30%のスクロース(1×PBS中で調製した)中に浸漬させた。脳を1:2のOCT(Tissue Tek、Torrance、CA)と30%のスクロースとの混合物中に包埋し、40μmで凍結切片とした(Cryostar NX70、Thermo Scientific、Waltham、MA)。切片を、0.5%のTriton(登録商標)X-100で1時間透過処理し、5%のヤギ血清(10%の正常ヤギ血清、50062Z、Life Technologies)で1時間ブロッキングし、次いで、一次抗体(抗NeuN、1:1000、EMD Millipore MAB377;抗Gfap、1:500、EMD Millipore MAB360;抗Olig2、1:200、Abcam ab109186;抗Iba1、1:1000、Wako Chemicals NC9288364)中4℃で一晩インキュベートした。切片を1×PBSで3回洗浄し、二次抗体(抗マウス、Invitrogen A32744;または抗ウサギ、Invitrogen A32740)中、室温で1時間インキュベートした。切片を1×PBSで3回洗浄し、DAPIを含有するVectashield(Vector Laboratories、Burlingame、CA)によりマウントした。
顕微鏡法
Leica SP8 Lightning High Resolution Confocal(Leica Microsystems、Wetzlar、Germany)で脳切片画像を得た。脳全体の画像(10×のタイル状脳切片)および高倍率の画像(63×の領域特異的面積)を、それぞれの各倍率に対して同じ強度と露出閾値で収集した。高倍率画像では、0.29z-sizeで40-50z-stack stepを収集した。Imaris 9.3 Software(Bitplane Inc.、Zurich、Switzerland)を使用して分析を実施した。各画像を3Dレンダリングし、閾値を手動で確立した。一貫性を確実するために、DAPI体積と共局在化した解剖下の全EGFP体積のバイアスのない3Dレンダリングと、細胞型特異的染色とを、細胞計数および陽性に形質導入された細胞の数のプロキシとして使用した。各同側の解剖下領域内の異なる細胞型のパーセント定量化、その後に、各細胞型のパーセント定量化を行った。形質導入のパーセンテージは、共局在化したEGFPの体積を、各領域内の細胞型特異的染色の総体積に対して正規化することによって決定した。細胞特異的染色あたり、n=3のマウスを分析した。図2Bに関する統計計算は、Prism 7(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)で行い、分析は、スチューデントの対応のないt検定を使用して実施した。
DSF分析
キャプシドの安定性実験のために、5μLのSYPRO Orange 5000X(Thermo Fisher Scientific)を495μLのPBS(Corning)中で希釈し、50×ストックを作製した。45μLのウイルスを5μLの50×SYPRO Orangeと混合した(SYPRO Orangeの最終濃度は5×である)。ViiA 7リアルタイムPCR機器(Thermo Fisher Scientific)を使用し、以下のパラメーターを用いて蛍光を定量化した:試料を、25℃で2分間、続いて温度勾配(ステップごとに0.4℃で、各ステップで2分間保持して、25℃~99℃)にてインキュベートした。各温度ステップでSYPRO Orangeの蛍光をモニターするために、受動参照なしのROXフィルターを使用した。AAVベクターの融解温度に対するpHの影響を調査するために、ウイルスベクター5μL、50×SYBR Orange 5μL、pH7~pH4にpH調整した0.6Mの酢酸緩衝液40μLを混合した。本研究で報告したTm値は、25~95℃の間で検出した最大Dsignal/Dtempとして定義される。ベクターゲノムの放出を調査するために、SYBRO Orange色素をSYBR Gold(Thermo Fisher Scientific)に切り替えた。
部位特異的変異誘発
AAVv66キャプシドのORFにおいて点変異を生じるために、Q5部位特異的変異誘発キット(New England Biolabs)および以下の変異誘発プライマーの対を使用した:
Figure 2023529054000001
Figure 2023529054000002
cryo-EM
AAVv66を、レーシーカーボン支持フィルム付きグリッド(01824G、Ted Pella,Inc.)上でcryo-EMのために調製した。最初に、グリッドを酢酸アセチルで洗浄し、一晩乾燥させた。次に、PELCO easiGlowグロー放電ユニットを用いて、グリッドを負極性の20mAの電流で60秒間グロー放電させた。緩衝液(PBS中の5%のソルビトール、0.001%プルロニック(登録商標)酸F68)中1E13vg/mLのAAVv66-CB6-Egfpベクター3μLを、Vitrobot Mark IV(Thermo Fisher)cryo-EMプランジング装置に載せたグリッド上に配置した。液体エタン中で急速凍結する前に、10℃および相対湿度95%で、Whatmanの番号1のフィルターペーパーで、グリッドを6~6.5秒間ブロッティングした。
300kVで作動し、Gatan Image Filter(GIF)およびK2 Summit 直接電子検出器(Gatan Inc.)を装備したTitan Krios電子顕微鏡(FEI)上のSerialEMを使用し、0.5~2.2μmのアンダーフォーカス(underfocus)を使用して、2,033本の動画からなるデータセットを収集した。1動画当たり50フレームを収集し、1フレーム当たり1.43 e-/Å2、試料への総線量48.62 e-/Å2で、34フレームを使用した。ピクセルサイズは、試料に関して1.0588Åであった。動画をcisTEMにインポートし、線量フィルタリングによりアラインメントし、CTFパラメーターを決定した。次に、cisTEM内で、合計52,874個の粒子を自動的にピックアップした(特徴的な半径と最大半径:130Åと140Å)。ベクター導入遺伝子を封入する粒子と、パーセンテージの低い空のキャプシドの両方が、最終的な構造の決定に使用されたことに、本発明者らは注目している。cisTEMでは、Ab initio 3D再構築機能を使用して、すべての粒子から、アラインメントのための初期参照を作成した。この参照とすべての粒子をオートリファインを使用して反復的に精密化させ、FSC_partのカットオフ0.143から決定した2.95Å分解能のマップを得た。手動モードでの1回の粒子ごとのCTF精密化によって、マップの分解能が2.62Åまで改善された。最後に、1回のビームチルト精密化(beam tilt refinement)と再構築により、マップの分解能が2.46Åまで改善された。3D分類ではマップは改善されなかった。最終的なマップは、PHENIXのオートシャープ化機能を使用して、Bファクター-32.92Å2を適用することによって、Bファクターでシャープ化された。
AAV2(PDB ID: 1LP3)のcryo-EM構造を、構造精密化のための出発モデルとして使用した。PyMOL(The PyMOL Molecular Graphics System、Version 2.0 Schroedinger,LLC.)を使用して、バリアントの残基をモデル化した。60コピーのVP3を含有する、得られたAAVv66モデルを、cryo-EMマップに対してPHENIX59を使用して精密化した。PHENIXの実空間でシミュレートしたアニーリングとBファクターによる精密化により、立体化学的に最適なモデルが得られた。精密化の結果を表2にまとめる。このモデルを検査し、PyMOLを使用して図を作成した。
Zetasizer Nano ZSシステム(Malvern)を使用して、ゼータ電位分析のために、ベクターを約1.0E9vg/mLの濃度に希釈した。500μLの試料をユニバーサルディップセル(Malvern)に添加した。測定前に、システムを2分間安定化させた。各試料について3回の測定値を記録した。
Figure 2023529054000003
免疫学的研究
1.0E11vg/マウスのscAAV-CB6-EgfpをC57BL/6Jマウスの左/右の前脛骨筋に筋肉内投与した。4週間後に、ssAAVv66-CB6-hA1ATまたはssAAV2-CB6-hA1ATを1.0E11vg/マウスで対側の肢に送達させた。4、5、6、7、および8週目に、顔面静脈放血により血清を採取し、ELISAによって中和抗体力価およびA1ATレベルを評価した。
Huh-7.5(5.0E4個の細胞/ウェル)を、形質導入の24時間前に、37℃で、96ウェルプレートに播種した。次いで、Adヘルパーウイルスを、100:1の感染多重度(MOI)で細胞単層に添加し、少なくとも1時間インキュベートした。血清とssAAV2-LacZまたはssAAVv66-LacZとの混合溶液の連続希釈物を、V底96ウェルプレート中に調製し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、血清-AAV混合溶液を細胞に添加し、37℃で24時間インキュベートした。細胞を溶解させ、Galacto-Star One-Step Assay System(Invitrogen)を使用して、ベータ-ガラクトシダーゼ基質で処理した。ルミネセンスシグナルを、Synergy HTマイクロプレートリーダー(BioTek、Winooski、VT)で検出した。
A1AT ELISA
96ウェルプレートを、抗A1AT抗体で4℃にて一晩、最初にコーティングし、ウェルを、ブロッキング緩衝液(PBS緩衝液中1%の無脂肪乳と0.05%のTween(登録商標)-20)を用いて室温で1時間インキュベートした。1/20、1/200および1/2,000血清希釈を、陽性対照(100、50、25、12.5、6.25、3.125ng/mLのA1AT)と一緒に、96ウェルプレート中の試料緩衝液(PBS緩衝液中0.05%のTween-20)を使用して実施した。プレートを3回洗浄した後、血清を各ウェル中に添加し、4℃で一晩インキュベートした。次いで、プレートを3回洗浄し、ヤギ抗トリプシン-HRP抗体(試料緩衝液中1:5,500希釈)と共に2時間インキュベートした。基質と反応させる前に、プレートを6回洗浄し、残留タンパク質をすべて除去した。最後に、ABTS基質をウェル中に添加し、Synergy HTマイクロプレートリーダー(BioTek)でシグナルを読み取った。
ロングリードシーケンシングによるヒト組織試料中の新規AAVバリアントの同定
ヒト組織からの新規全長キャプシド配列を同定するために、キャプシドのオープンリーディングフレーム全体にわたる長いDNAリードを得るために、SMRTシーケンシングを実施した(図1A)。この方法は、ショートリードシーケンシングアプローチで必要とされる配列アセンブリーを必要とせずに、長いDNA断片の配列を解明することができる。このようにして、点変異と組換え事象の両方によって規定されるキャプシドの多様性を、キャプシドORF全体にわたる個々のインタクト分子で評価することができる。AAVの多様性を調査するために、約800のヒトの外科手術試料から単一の組織を選択した。既知の血清型にわたり保存された配列においてキャプシドORFに隣接するプライマーを使用して、SMRTシーケンシング分析のための標的PCRアンプリコンを生成した。単一の組織から同定した全配列の約45%を構成する1つのキャプシド配列を単離した(図1B)。この優勢なキャプシドは、「バリアント66」(AAVv66)と名付けられ、AAV2に最も近い相同性を呈する(98%の配列類似性;図1C~1D)。AAVv66は、AAV2とは異なる13個のアミノ酸残基を含有することが観察され(図1Cおよび図8):VP1u領域内に1個(K39Q)、VP2ドメイン内に1個(V151A)、およびVP3内に11個(R447K、T450A、Q457M、S492A、E499D、F533Y、G546D、E548G、R585S、R588TおよびA593T)であった。注目すべきは、VP3内の固有のアミノ酸残基はすべて、可変領域VR-IVからVR-VIII内またはその近傍に存在する。
AAVv66のVP3領域を、他の現代のAAV血清型(AAV1~AAV9)のものと比較した。最も顕著な差異は、AAV血清型間で高度に保存されている4つの位置(499、533、585、および588)で生じる(図8)。499位では、ほとんどの血清型はアスパラギンを保有しているが、AAVv66、AAV2、AAV4、およびAAV9は、負に荷電したアスパラギン酸またはグルタミン酸を有する。533位の高度に保存されたフェニルアラニンは、AAVv66ではチロシンである(また、AAV5におけるT533)。最後に、585位と58823位でヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)と結合するAAV2の能力を規定する正に荷電したアルギニン残基を保有するAAV2とは異なり、AAVv66は、S585とT588を含有する(AAV1、AAV3、AAV5、およびAAV6と同一)。
AAVv66ベクターの生成と細胞感染力はAAV2のものとは異なる
AAV2のヘパリンに対する強い親和性とその結果として生じる強い細胞表面との会合は、ウイルスの比較的低いパッケージング力価につながると提唱されている。AAV2による制限されたベクター収率は、生産中のベクター粒子によるパッケージング細胞の非生産的な結合と再感染に起因すると考えられている。AAVv66のベクター生産および細胞感染力を、AAV2およびAAV3bのものと比較した。注目すべきは、AAV3bは、AAV2に最も近い別個の同類(89%の配列類似性)であるが、3回転突出部の異なる静電表面電荷を使用してヘパリンと弱く結合する。AAV3bとAAV2の間のこの差異は、おそらくHEK産生細胞の形質導入によって生じるAAV3bのパッケージング力価の増加を説明するものである。
AAVv66のパッケージングプロファイルを、細胞溶解物中のキャプシド形成されたベクターゲノムの収率を測定することによって、AAV2およびAAV3bのものと比較した。この目的のために、AAVv66キャプシドのORFを合成し、AAV2 p5プロモーターの下でAAV2 Repを発現するトランスプラスミド(pAAV2/v66)中にクローニングした。AAVv66、AAV2、およびAAV3bの小規模ベクター調製物を使用して、遍在性ニワトリ-ベータアクチンプロモーターによって駆動されるホタルルシフェラーゼ導入遺伝子からなる一本鎖ベクター(AAV-CB6-Fluc)をパッケージングした。粗溶解物qPCR29によるウイルスベクター収率の定量化により、AAVv66ベクターのキャプシド形成された、DNase耐性ゲノムの収率は、AAV2の収率よりも約2.4倍高く、AAV3bの収率よりも約30%高いことが明らかになった(図9、「組合せ」の試料)。
粗溶解物中のAAVv66の高い存在量がパッケージング細胞への粒子の非生産的結合によるものかどうかは、細胞溶解物画分ではなく培地中のAAVv66粒子の優勢によって顕在化され、次にこのことを調査した。PCR分析により、培地内のAAVv66のキャプシド形成されたゲノムは、細胞溶解物よりも約3倍豊富であることが明らかとなった(図9)。対照的に、パッケージング細胞の培地中では、AAV2粒子はほとんど検出されなかった。より多くのDNase耐性ゲノムを生成するAAVv66の能力が、HSPG結合が乏しいことに起因して、パッケージング細胞の再感染力を弱めることに関連するかどうかを試験するために、ヘパリン競合アッセイを実施した(図10)。この目的のために、再びCB6-Flucをパッケージングする大規模なAAVv66およびAAV2ベクターを、標準的な塩化セシウム精製プロトコールを使用して生成した。AAVv66の形質導入は、ヘパリンの存在に影響されないが、一方、1.25μg/ウェルのヘパリンは、AAV2の形質導入を50%遮断し、5μg/ウェルのヘパリンは形質導入を完全に消失させた。これらの結果は、AAVv66の改善された生産効率が、少なくとも部分的に、乏しいヘパリン結合に起因することを示す。
AAVv66のヘパリンに対する低い親和性が、AAV2と比較して低下した細胞形質導入と一致するかどうかを決定するために、精製したAAVv66、AAV2、およびAAV3bベクターを使用して、HEK293細胞を感染させた。データは、AAV2が、AAVv66(約65倍)およびAAV3b(約7.5倍)よりも高い形質導入を呈することを示す(図11)。ベクター化されたAAVv66プロウイルスキャプシド配列は、in vitroで効率的に細胞を形質導入することができるが、そのベクター生成および細胞感染力の特性は、その最も近い血清型近縁種であるAAV2とは別個である。
AAVv66は、AAV2のものとは別個であるCNS形質導入を呈する
AAVv66を、異なる投与経路を介して選択した標的組織に形質転換するその能力について試験した。この目的のために、AAVv66の生体内分布を、複数の送達経路を介してマウスにおいて評価した(図12A~13D)。試験したすべての経路の中で、最も顕著なのは、中枢神経系(CNS)の標的細胞への頭蓋内送達後のAAVv66の形質導入プロファイルであった(図2A~2D)。AAVv66が、AAV2のものと比較して、CNSにおいて増加した向性を有するかどうかを決定するために、遍在性ニワトリ-ベータアクチンプロモーターによって駆動されるEgfp導入遺伝子を、AAVv66およびAAV2キャプシドにパッケージングした。ベクターを、3.6E9vg/動物の用量で海馬の右半球に片側注射した。注射の4週間後に、処理した脳の凍結切片は、AAV2が注射部位に局在化したままである傾向があった一方で、AAVv66が、組織全体にわたる強化された拡散によって実証されるように、AAV2よりも約13倍多いCNSの細胞に形質導入したことを示した(図2A~2B)。注射部位に対して対側領域の高倍率画像化は、脳のすべての解剖下領域(アンモン角[CA1、CA2、CA3、およびCA4]、歯状回、および脳梁、図2C)が、検出可能なレベルのEGFP発現を呈することを示し(図2D)、AAVv66が海馬半球全体に効率的に広がる可能性があることを示す。
AAVv66によって形質導入される特定の細胞型について調査した。抗体染色を、細胞型特異的マーカー;抗NEUN(ニューロン)、抗GFAP(星状細胞)、抗IBA1(ミクログリア)、および抗OLIG2(乏突起膠細胞)を用いて実施した(図3A、3E、3I、および3M)。解剖下のCNS領域の3D-ボリューム再構築は、EGFP発現が調査した各細胞型と共局在化したことを実証する(図3B、図3J、図3F、図3N)。ニューロンは、皮質およびCA1領域に見られる優勢な細胞型であった(図3C)。興味深いことに、CA2~4の領域と歯状回が最も高い形質導入を呈した(約20~40%)。星状細胞とミクログリアは、同様の分布パターンを共有し、歯状回で最も高い濃縮を示した(図3Gおよび図3K)。星状細胞は、すべての領域にわたっておよそ1~7%の形質導入を示したが(図3H)、ミクログリアは、わずかに高い形質導入効率(2~12%)を呈した(図3L)。乏突起膠細胞は、脳梁において濃縮され(図3O)、すべての領域にわたってAAVv66によりおよそ1~7%の形質導入を有した(図3P)。これらのデータは、AAVv66が、海馬内注射後にCNSのすべての主要な細胞型を形質転換し得ることを示す。
AAVv66はAAV2とは血清学的に別個である
AAVの宿主免疫系による中和は、AAVベクターの形質導入効率を制限する主な要因である。治療用ベクターにおいてキャプシドとして使用されるAAV血清型に対する既存の抗体を保有する個体は、有害効果および効果のない処置のリスクが高まる。さらに、AAV遺伝子治療の反復投与が必要な患者は、形質導入効率がより乏しくなり、免疫反応が強くなり、代替ベクターが必要となるリスクを有する。
AAVv66の形質導入が、AAV2による事前免疫化によって遮断され得るかどうかという疑問について調査した。循環中の既存の抗AAV2抗体を作成するために、AAV2-Egfpベクター(1E11vg/マウス)をマウスに筋肉内送達させた。4週間後に血清を採取し、in vitroで中和抗体(NAb)力価を評価した(図13A~13Dおよび図14A~14B)。Huh-7.5細胞においてAAV2感染の50%中和(NAb50)を達成するために低いNAb力価が必要とされ(1/1,280~1/2,560)、AAV2事前免疫化から生じた抗体がAAV2形質導入を阻害するのに十分であることが示された。対照的に、AAV2で処置したマウスの血清によるAAVv66感染に関するNAb50は1/20~1/40であり、AAVv66は、AAV2に対して生じたNAbの存在にもかかわらず、細胞に感染できることを示した。
in vivoで分泌された治療用導入遺伝子の産物に関するこれらの知見を試験するために、本発明者らは、AAV2で免疫化したマウスに、アルファ-1抗トリプシン導入遺伝子をパッケージングしたAAV2またはAAVv66(AAV2-A1ATまたはAAVv66-A1AT)を再投与した。血清を5、6、7、および8週目に採取し、分泌されたA1ATレベルをELISA31で定量化した(図14C)。低いA1AT発現は、第1のベクター投与から生じたNAbが第2のベクター投与の形質導入を妨げていたことを示唆するであろう。「最大」A1AT発現のベースラインを確立するために、ナイーブマウスも同じ様式で処置した。6および7週目に、AAV2-Egfpおよび次いでAAVv66-A1ATで処置したマウスにおけるA1AT発現は、ナイーブマウスと比較して、約90%のA1AT発現に達したが、AAV2-A1ATを再投与したマウスは、ナイーブレベルの約40%にしか達しなかった(図14C)。これらの結果は、AAV2キャプシドで事前免疫化したマウス由来の血清の存在下で、AAVv66による堅固な感染力のin vitroでの観察と一致している。
また、広範なAAV血清型(AAV1、AAV2、AAV3b、AAV8、AAV9、AAV-DJ、AAVrh.8、およびAAVrh.10)が、AAVv66ベクターの形質導入を損ない得るかどうかを調査するために、事前免疫(pre-immunity)も検査した。8種類の血清型で別々に事前免疫化したウサギの抗血清を、AAVv66ベクターの中和についてスクリーニングした。AAV1、AAV3b、およびAAV-DJが、AAVv66と比較して、NAb50力価に約1桁の差を呈し、一方、AAV2、AAV8、AAVrh.8およびAAVrh.10が2桁の差を呈し、AAV9が3桁の差を有することが観察された(図14D)。まとめると、これらのデータは、AAVv66が、AAV2および他のいくつかの現代のAAVキャプシドと血清学的に異なることを示す。
AAVv66キャプシドは一定範囲のpHにわたりAAV2よりも熱安定性が高い
キャプシドの効率的な形成および構造的安定性は、ウイルスベクターの生成、精製および保存に不可欠である。さらに、産生性感染が起こるためにはまた、ベクター粒子は侵入プロセスを通して安定性を維持し、ゲノムペイロードの送達が細胞の形質導入をもたらすことができる条件下でのみ脱殻しなければならない。AAVベクターは広く研究され、一定範囲の組織でそれらの強力な形質導入プロファイルを利用されているが、細胞内輸送、エンドソーム脱出、核へのキャプシドの輸送のプロセスは完全には理解されていない。キャプシドの動態に依存するAAVの細胞内輸送および形質導入に影響を与える推定される細胞内チェックポイントのうち、エンドソーム脱出は最もよく理解されている。このプロセスは、pHに依存したキャプシドの構造変化によって誘発されると考えられている。エンドソーム内腔の酸性化によって、VP1ドメインのコンフォメーション変化およびVP1内のPLA2ドメインの露出がもたらされ、これがエンドソーム区画からの脱出を誘発する。原則として、細胞内輸送を通して安定性を保持することができるベクターキャプシドが望ましく、高い形質導入能を呈し得る。
AAVv66キャプシドの全体的な安定性を決定するために、示差走査蛍光定量法(DSF)分析を使用して、一定範囲の生理学的pH(pH7~pH4)にわたってAAVv66キャプシドの熱安定性を測定した(図4)。この範囲には、後期エンドソームとリソソームの内腔で観察されるpH4.5が含まれる。このアッセイでは、ベクター粒子を、タンパク質の疎水性残基と結合して蛍光を発するSYPRO Orange色素に懸濁させる。よって、蛍光シグナルのピークは、タンパク質のアンフォールディングの際に露出する最大限に結合した疎水性領域の間接的な読み出しとなる。AAVv66の融解温度(最大傾斜値[Dsignal/Dtemp]、Tm)は、試験したすべてのpH条件にわたり、AAV2に関するものよりも5度を超えて高い。最も極端な差異はpH7で観察され、AAVv66のTm(75.29±0.34℃)は、AAV2のTm(65.85±0.18℃)よりもほぼ10度高い(図4A)。よって、AAVv66キャプシドは、AAV2よりも熱的に安定であり、pHに対して耐性がある。
AAVv66キャプシドの安定性がベクターゲノム放出に及ぼす影響について調査した。温度範囲の関数としてのベクターゲノム放出の測定を、核小体環境によって発揮される圧力によって駆動されるDNA排出に関するプロキシとして使用した。AAVv66のゲノム放出の温度依存性を、異なるpHの下でAAV2のものと比較した。この目的のために、DNAと結合すると蛍光を発するSYBR Gold染料によるDSF分析を用いた。蛍光ピークは、キャプシド形成されたゲノムの色素溶液への最大アクセシビリティの間接的尺度である。pH7でのベクターゲノムの放出は、キャプシド安定性に付随して観察され、AAV2では約65℃、AAVv66では約74℃にシグナルのピークを示した。しかし、より低いpHでは、色素にアクセス可能なDNAのピーク蛍光は、アンフォールドしたキャプシドタンパク質のピーク蛍光よりも低い温度で検出された(図4B)。さらに、AAVv66に対するDNAのアクセシビリティは、AAV2に対するものよりも明らかであり、AAV2に対するpH5および4でのDNAのアクセシビリティのピークは、それぞれ約53℃および約42℃で生じ;AAVv66は、25℃でピークシグナルを呈した。この驚くべき観察は、AAVv66キャプシドのDNAが、室温でも低いpH(4~5)で特にアクセス可能であることを示す。
次いで、AAVv66特異的アミノ酸残基が、AAVv66とAAV2の間で観察される構造的および機能的差異に寄与しているかどうかという疑問について調査した。13個のAAVv66を規定するアミノ酸残基をAAV2のものに変異させ、HEK293細胞での産生中のベクターゲノムのパッケージングへのそれらの影響を試験した(図4C)。さらに、熱キャプシド安定性およびベクターゲノム放出を、変異体のキャプシドについて評価した(図4Dおよび図4E)。4つの変異(A151V、K447R、Y533F、およびS585R)を除くすべては、AAV2のものと同様であるかまたはそれよりも低い、より低い収率のDNase耐性ゲノムをもたらした(図4C)。驚くべきことに、電荷の変化に関与しない比較的保存的な変異D499Eは、パッケージング収率をAAV2収率の約5%まで低下させた。D499Eが、S585RおよびS585R/T588R二重変異と一緒に、Tmをそれぞれ、5.9℃、3.8℃、および5.4℃低下させるため、改変はキャプシド安定性にも影響を及ぼしたが(図4D)、一方、他の変異はTmに1~2℃しか影響を及ぼさなかった。同じアミノ酸変異のベクターゲノムアクセシビリティは、低下したピークシグナル温度を呈するが、他の変異はほとんどまたは全く変化をもたらさなかった(図4E)。注目すべきは、精製したベクターの全体的力価に劇的には影響を与えなかったことである(表3)。よって、AAVv66のパッケージング収率は、キャプシドの安定性に部分的にしか依存せず、ゲノム放出を促進するには、部分的なキャプシドの不安定化で十分であり得ることが示唆される。残基D499のみがパッケージングとキャプシド安定性の両方に劇的に影響を及ぼす。
Figure 2023529054000004
AAVv66とAAV2の間のキャプシドの差異についてのcryo-EM構造分析
AAVv66の構造特性を特徴付けるために、AAV2v66-Egfpベクターをcryo-EM分析用に精製した。52,874個の粒子画像を得て、2.5Åの分解能のcryo-EMマップを得て(図5Eおよび図16)、最適な実空間フィットおよび立体化学パラメーターを有する構造モデルを得た(表2)。全体として、AAVv66の構造はAAV2に類似している(原子座標の平均二乗偏差(RMSD)=0.456Å)(図16)。よって、AAVv66は、2回転軸の窪み、3回転突出部によって規定される3回対称、およびRep結合のための界面と孔を形成する5つのモノマーから構成される5回転の孔を含むAAVキャプシドの特徴的特性を呈する(図5A)。注目すべきは、VP1uドメインおよびVP2ドメインはそれぞれ、各粒子についてVP3ドメインのおよそ12分の1で表され、以前の他のAAV構造と同様に、本発明者らの対称化したcryo-EMマップでは解明されなかったことである。したがって、13個のAAVv66を規定する残基のうちの11個を含む残基219~736のみが、cryo-EMマップ内で決定的に解明される(図5B)。
AAVv66の構造をAAV2の構造と比較することにより、DNAパッケージングおよび/またはキャプシド安定性の改善に寄与し得るいくつかの構造上の差異が明らかになる。重要な差異は、3回転軸周辺の突出部のVP3のモノマー間の界面に生じる。より長いグルタミン酸残基への変異がベクターゲノムパッケージングにおける劇的な欠陥をもたらした(図4C)D499は、S501と静電相互作用および/または水素結合を形成する(図5D)。この領域は、隣接するVP3モノマーに対して密に充填されている(図5D)。ここで、D499およびS501の骨格原子は、それぞれ対称性に関連するN449およびT448の側鎖と相互作用し、一方、S501のヒドロキシル基は、対称性に関連するS446の骨格カルボニルと水素結合する。したがって、D499変異の強い影響は、おそらくVP3モノマー間の界面の崩壊に起因し、キャプシドの不安定化をもたらす。同じ領域では、隣接するモノマーの残基K447およびA450は、対応するAAV2-R447およびT450側鎖間の静電的相互作用の可能性を排除する(図6D)。アミノ酸M457は、可変領域IVにおけるAAVv66の3回転突出部に位置し、側鎖は溶媒に対して平衡を保っている(図6E)。興味深いことに、このメチオニンは、他の血清型の間で固有の特徴であり(図8)、細胞受容体、宿主因子、または抗体との固有のキャプシド相互作用の可能性を示唆している。AAVv66-Y533(AAV2-F533)の極性ヒドロキシル基は、おそらくR487とK532の側鎖間の極性環境を安定化させ、対称性に関連するモノマーのL583との相互作用に寄与する可能性がある(図6A)。AAVv66-D546およびG548は、AAV2-G546およびE548によって付与された表面電荷を再分配し(図6B)、AAVv66を規定するさらに別の特徴である。
AAV2の重要な機能的領域は、585位と588位の正に荷電したアルギニン残基を含む。これらの残基は、3回転突出部の表面にあり、多くの細胞型における付着と侵入に不可欠なHSPG受容体とキャプシドの相互作用を支配する。対照的に、AAVv66キャプシドのS585およびT588は、AAV3bのS586およびT589(図8)に類似する中性荷電極性残基(図5Dおよび図6)である。AAV3bのHSPGとの物理的および機能的な相互作用は、残基R447およびR594(AAV2におけるR447およびA593)7によって与えられる静電相互作用に依存するが、AAVv66はこれらのアルギニン残基も欠く(K447およびT593)。AAV2およびAAV3bとのこれらの差異は、AAVv66がヘパリン結合を欠くという本発明者らの発見と一致して、AAVクレードBおよびCキャプシドによって通常利用される標準的な細胞表面受容体と異なって会合することを示唆する。
AAV2およびAAVv66は表面電荷の差異を示す
ウイルスの静電特性は、キャプシド-受容体相互作用7,43に重要であるため、AAV2と関連するAAVv66キャプシドの正電荷の正味の喪失が、キャプシドの静電特性にどのように影響を及ぼすのかを調査した。最初に、AAV2およびAAVv66の構造に関して計算した静電ポテンシャルの値を比較した(図7A)。AAVv66の表面の静電ポテンシャルの分布は、AAV2のものと異なる。最も顕著な差異は、3回転突出部におけるものであり、AAV2のR585とR588によって付与される正電荷が、AAVv66のS585とT588によって劇的に低下している(図7B)。
次いで、AAVv66の明確な構造および表面静電学が、キャプシドの電荷依存性粒子移動(ゼータ電位)に影響を及ぼすかどうかを調査した(図7C)。AAVv66のゼータ電位(-10mV)は、AAV2のもの(-3.5mV)と著しく異なり、キャプシド間の静電電位の差異と一致する。個々の置換の寄与を試験するために、残基をAAV2の対応する残基に変換する単一アミノ酸置換を保有するAAVv66の粒子移動を測定した(図7C)。単一の変異S585RおよびT588Rは、ゼータ電位の最も劇的な変化をもたらし(それぞれ約3mVだけ)、ゼータ電位をAAV2のものに近付けた(図7C)。これらの観察により、AAVv66の静電特性がAAV2のものと異なり、その差異は主に585位と588位の置換に起因することが示される。よって、キャプシドAAVv66の、受容体、抗体および他のタンパク質との相互作用は、おそらく他の近縁のキャプシドのものと実質的に異なる。
Figure 2023529054000005
Figure 2023529054000006

Claims (20)

  1. 導入遺伝子を対象の標的細胞に送達するための方法であって、
    (i)目的の1つまたは複数の遺伝子産物をコードする導入遺伝子を含む単離された核酸;および
    (ii)配列番号1に示される配列を有するアデノ随伴酸(AAV)キャプシドタンパク質
    を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を前記対象に頭蓋内投与するステップを含む、方法。
  2. 前記頭蓋内投与が、海馬内注射を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記標的細胞が、中枢神経系(CNS)細胞である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記CNS細胞が、ニューロン、乏突起膠細胞、星状細胞、またはミクログリア細胞である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記対象が哺乳動物であり、必要に応じて前記哺乳動物がヒトである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記対象が、抗AAV2抗体の産生によって特徴付けられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記rAAVの投与後に、前記対象が、前記rAAVに対する中和免疫応答を誘発しない、請求項6に記載の方法。
  8. 前記単離された核酸が、前記導入遺伝子に隣接するAAV逆位末端反復配列(ITR)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記1つまたは複数の遺伝子産物をコードする核酸配列が、プロモーターに作動可能に連結している、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記1つまたは複数の遺伝子産物が、タンパク質または阻害性核酸を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 導入遺伝子を対象の標的細胞に送達するための方法であって、
    (i)目的の1つまたは複数の遺伝子産物をコードする導入遺伝子を含む単離された核酸;および
    (ii)配列番号1に示される配列を有するアデノ随伴酸(AAV)キャプシドタンパク質
    を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を前記対象に静脈内投与するステップを含み、
    前記投与の結果、前記rAAVが前記対象の血液脳関門(BBB)を横断する、方法。
  12. 前記標的細胞が、中枢神経系(CNS)細胞である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記CNS細胞が、ニューロン、乏突起膠細胞、星状細胞、またはミクログリア細胞である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記投与の結果、AAV2キャプシドタンパク質を有するrAAVの投与に比べて、肝臓細胞の形質導入が低下する、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記対象が哺乳動物であり、必要に応じて前記哺乳動物がヒトである、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記対象が、抗AAV2抗体の産生によって特徴付けられる、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記rAAVの投与後に、前記対象が、前記rAAVに対する中和免疫応答を誘発しない、請求項16に記載の方法。
  18. 前記単離された核酸が、前記導入遺伝子に隣接するAAV逆位末端反復配列(ITR)を含む、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記1つまたは複数の遺伝子産物をコードする核酸配列が、プロモーターに作動可能に連結している、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記1つまたは複数の遺伝子産物が、タンパク質または阻害性核酸を含む、請求項11から19のいずれか一項に記載の方法。
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