JP2023528917A - 細胞に由来する標的核酸を解析する方法 - Google Patents

細胞に由来する標的核酸を解析する方法 Download PDF

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Abstract

本願発明は、細胞に由来する標的核酸を解析する方法であって、1)単一細胞に由来し、オリゴヌクレオチドアダプター配列が付加された標的核酸、および少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列およびバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および第1鎖のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに標的核酸に付着したオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、第1鎖と第2鎖が部分的2本鎖構造を形成するか、上記の第2鎖と上記の付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体より構成される離散的な区画を提供すること、2)離散的な区画において、オリゴヌクレオチドタグが付着された標的核酸に連結されることによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む方法に関する。【選択図】なし

Description

本願発明は、生物医学の分野に関し、特に、細胞に由来する標的核酸を解析するための方法および関連製剤に関する。
現在、核酸配列決定技術は、急速かつ劇的な進歩を遂げゲノムやゲノム領域の研究や解釈に利用できる大量の配列データを生成し、従来の生物学的研究や診断に広く利用されている情報を提供する。ゲノム配列決定は、診断、予後、バイオテクノロジー、法医学など、さまざまな生物医学的背景に関する情報を得るために利用することができる。配列決定には、Maxam-Gilbert配列決定および連鎖終止反応法、またはデノボ配列決定法(ショットガン配列決定や、ブリッジPCRを含む)、またはポリメラーゼクローン配列決定、454パイロ配列決定、Illumina配列決定、SOLiD配列決定、Ion Torrent半導体配列決定、HeliScope1分子配列決定、[image] 配列決定などを含む次世代法などがある。多くの配列決定応用については、核酸サンプルなどのサンプルがシーケンサーに導入される前に処理される。
従来のゲノムまたはトランスクリプトーム発現の研究方法は、通常、多細胞レベルで実施されている。その結果、最後に得られるシグナル値は、複数の細胞の平均値となり、細胞の不均一性の情報が失われてしまう。例えば、現在の直接配列決定による細胞のmRNA含有量の解析は、数百万個の細胞を含む組織サンプルから得られた大量のmRNAの解析に依存しているため、大量のmRNAで遺伝子発現を解析すると、単一の細胞で示される機能情報の多くが失われるかぼやけてしまう。また、全体の平均値に基づいて細胞周期などの動的プロセスを観察することもできない。同様に、複雑な組織(例えば、脳)の特定の細胞タイプは、細胞を個別に解析することによってのみ研究することができる。
単一細胞を分離するのに適した細胞表面マーカーはなく、仮に適した細胞表面マーカーがあったとしても、少数の単一細胞では遺伝子発現の自然変動の範囲を捉えるには十分ではない。そのため、大量の単一細胞の遺伝情報を解析できる解析法が求められている。
本願発明は、細胞に由来する標的核酸を解析する方法であって、
a)以下のもの、すなわち
i.単一細胞に由来する標的核酸であって、上記の標的核酸の少なくとも一部にオリゴヌクレオチドアダプター配列が付加されて、付着されたものになる標的核酸、および
ii.少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、上記の各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第1鎖と上記の第2鎖が部分的2本鎖構造を形成するか、上記の第2鎖と上記の付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体より構成される離散的な区画を提供すること、
b)上記の離散的な区画において、上記のオリゴヌクレオチドタグが上記の付着された標的核酸に連結されることによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチドタグは、上記の固体支持体に放出可能に付着している。
いくつかの実施形態において、上記の固体支持体から、上記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを放出し、b)において放出された上記のオリゴヌクレオチドタグを上記の付着された標的核酸に連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチドタグは、その第1鎖の5’末端を介して上記の固体支持体に直接的または間接的に付着している。
いくつかの実施形態において、上記の離散的な区画は、上記のオリゴヌクレオチドタグを上記の付着された標的核酸に結合させるリガーゼをさらに含む。
いくつかの実施形態において、上記のリガーゼは、T4リガーゼを含む。
いくつかの実施形態において、上記のバーコード化標的核酸においては、上記の標的核酸配列が上記のバーコード配列の3’末端に位置する。
いくつかの実施形態において、上記の固体支持体は、ビーズである。
いくつかの実施形態において、上記のビーズは、磁気ビーズである。
いくつかの実施形態において、上記の離散的な区画は、ウェルまたは微小滴である。
いくつかの実施形態において、上記のバーコード配列は、細胞バーコード配列を有し、同じ固体支持体に付着した各オリゴヌクレオチドタグは、同じ細胞バーコード配列を有する。
いくつかの実施形態において、上記の細胞バーコード配列は、リンカー配列によって離間された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む。
いくつかの実施形態において、a)は、上記の単一細胞に由来する標的核酸を、上記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体と共に、上記の離散的な区画に共分散させることを含む。
いくつかの実施形態において、b)は、上記のオリゴヌクレオチドタグの第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列を、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、上記のバーコード化標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、b)は、上記のオリゴヌクレオチドタグの第2鎖の上記の第2部分を、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターとハイブリダイズさせること、および上記のオリゴヌクレオチドタグの第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列を、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、上記のバーコード化標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、上記の付着された標的核酸には、固有の分子同定領域が含まれている。
いくつかの実施形態において、上記の固有の分子同定領域は、上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列と上記の標的核酸配列との間に位置する。
いくつかの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチドタグは、増幅プライマー認識領域をさらに含む。
いくつかの実施形態において、上記の増幅プライマー認識領域は、一般的な増幅プライマー認識領域である。
いくつかの実施形態において、上記の方法は、さらに、
c)上記のバーコード化標的核酸の特性評価結果を得ること;および
d)c)で得られた上記の特性評価結果における同一の上記の細胞バーコード配列の存在に少なくとも部分的に基づいて、上記の標的核酸の配列を上記の単一細胞に由来するものとして認識することを含む。
いくつかの実施形態において、上記の方法は、b)の後かつc)の前に、上記のバーコード化標的核酸を上記の離散的な区画から放出することをさらに含む。\
いくつかの実施形態において、c)は、上記のバーコード化標的核酸を配列決定することによって、上記の特性評価結果を得ることを含む。
いくつかの実施形態において、上記の方法は、上記のバーコード化標的核酸の配列から、上記の単一細胞のゲノムの少なくとも一部の連続した核酸配列を組み立てることをさらに含む。
いくつかの実施形態において、上記の単一細胞は、上記の単一細胞の上記のゲノムの少なくとも一部の上記の核酸配列に基づいて特徴付けられる。
いくつかの実施形態において、各上記の離散的な区画は、単一細胞に由来する上記の標的核酸を最大で含む。
いくつかの実施形態において、上記の方法は、上記の固有の分子同定領域の存在に少なくとも部分的に基づいて、上記のバーコード化標的核酸中の単一の核酸配列を、上記の標的核酸中の所定の核酸に由来するものとして同定することをさらに含む。
いくつかの実施形態において、上記の標的核酸は、細胞内の標的分子に結合することが可能なタンパク質、脂質および/または低分子化合物に連結する外因性核酸を含む外因性核酸を含む。
いくつかの実施形態において、上記の方法は、上記の固有の分子同定領域の存在に基づいて、上記の標的核酸中の所定の核酸の量を決定することをさらに含む。
いくつかの実施形態において、a)の前に、上記の細胞を前処理することを含む。
いくつかの実施形態において、上記の前処理は、上記の細胞を固定することを含む。
いくつかの実施形態において、上記の細胞を、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、アセトン、グルタルアルデヒド、オスミウム酸および重クロム酸カリウムからなる群から1つ以上選択される固定試薬を用いて固定する。
いくつかの実施形態において、上記の前処理は、上記の細胞の細胞核を露出させることを含む。
いくつかの実施形態において、上記の前処理は、上記の細胞をTriton、Tween, SDS, NP-40および/またはジギトニンを有する界面活性剤で処理することを含む。
いくつかの実施形態において、上記の標的核酸は、DNA、RNAおよびcDNAからなる群から選択される1つ以上を含む。
いくつかの実施形態において、b)の後かつc)の前に、上記のバーコード化標的核酸を増幅することをさらに含む。
いくつかの実施形態において、b)の後かつc)の前に、上記の離散的な区画から上記のバーコード化標的核酸を放出し、かつ上記の増幅は、上記のバーコード化標的核酸が上記の離散的な区画から放出された後に実施されることを含む。
いくつかの実施形態において、上記の増幅において、ランダムガイド配列を有する増幅プライマーが使用される。
いくつかの実施形態において、上記のランダムガイド配列はランダム六量体である。
いくつかの実施形態において、上記の増幅は、上記のランダムガイド配列を上記のバーコード化標的核酸の少なくとも一部とハイブリダイズさせ、上記のランダムガイド配列をテンプレート指向性方式で伸長させることを含む。
いくつかの実施形態において、上記の標的核酸の少なくとも一部を上記の離散的な区画における上記の単一細胞から細胞外に放出させ、b)で放出された上記の標的核酸を上記のオリゴヌクレオチドタグに連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、上記の固体支持体から放出された上記のオリゴヌクレオチドタグの少なくとも一部を上記の単一細胞に入れ込み、b)で上記の標的核酸に連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスを使用して、上記の単一細胞に由来する標的核酸を上記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着した固体支持体と共に、上記の離散的な区画に共分散させることを含む。
いくつかの実施形態において、上記の離散的な区画は微小滴であり、上記のマイクロ流体デバイスはマイクロドロップレットジェネレーターである。
いくつかの実施形態において、上記のマイクロ流体デバイスは、流出流路に流体的に接続する接合部で合流する第1流入流路と第2流入流路を備える。
いくつかの実施形態において、上記の方法は、上記の標的核酸を含有するサンプルを上記の第1流入流路に導入し、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着した上記の固体支持体を上記の第2流入流路に導入することによって、上記の流出流路で上記のサンプルと上記の固体支持体との混合物を生成することをさらに含む。
いくつかの実施形態において、上記の流出流路は、接合部で第3流入流路に流体的に接続している。
いくつかの実施形態において、油中水型エマルション内の水性微小液滴が上記の離散的な区画として形成されるように、油を上記の第3流入流路に導入することをさらに含む。
いくつかの実施形態において、各上記の離散的な区画は、単一細胞に由来する上記の標的核酸を最大で含有する。
いくつかの実施形態において、上記の第1流入流路は、上記の第2流入流路との間に互いに対して実質的に垂直な角度を形成する。
いくつかの実施形態において、上記の標的核酸は、上記の単一細胞内のRNAに由来するcDNAを含む。
いくつかの実施形態において、上記のRNAは、mRNAを含む。
いくつかの実施形態において、a)の前に上記のRNAを逆転写し、上記の付着された標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、上記の逆転写において、上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列およびポリT配列を5’から3’方向に含んでいる逆転写プライマーが使用される。
いくつかの実施形態において、上記の逆転写は、上記のポリT配列を上記のRNAとハイブリダイズさせ、上記のポリT配列をテンプレート指向性方式で伸長させることを含む。
いくつかの実施形態において、上記の標的核酸は、上記の単一細胞に由来するDNAを含む。
いくつかの実施形態において、上記のDNAは、ゲノムDNA、オープンクロマチンDNA、タンパク質結合DNA領域および/または細胞内の標的分子に結合することが可能なタンパク質、脂質および/または低分子化合物に結合した外因性核酸を含む。
いくつかの実施形態において、a)の前に、単一細胞に由来する上記のDNAを断片化することを含む。
いくつかの実施形態において、上記の付着された標的核酸は、上記の断片化の後または上記の断片化中に産生される。
いくつかの実施形態において、上記の断片化は、超音波断片化を使用し、次いで、断片化された上記のDNAに上記のオリゴヌクレオチドアダプターを含む配列を付加することによって、上記の付着された標的核酸を得ることを含む。
いくつかの実施形態において、上記の断片化は、DNAエンドヌクレアーゼ、DNAエキソヌクレアーゼ切断を使用し、次いで、断片化された上記のDNAに上記のオリゴヌクレオチドアダプターを含む配列を付加することによって、上記の付着された標的核酸を得ることを含む。
いくつかの実施形態において、上記の断片化は、トランスポザーゼ-核酸複合体を用いて、上記のオリゴヌクレオチドアダプターを含む配列を上記のDNAに組み込み、上記のトランスポザーゼを放出することによって、上記の付着された標的核酸を得ることを含む。
いくつかの実施形態において、上記のトランスポザーゼ-核酸複合体は、トランスポザーゼおよび上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列を有するトランスポゾン末端核酸分子を含む。
いくつかの実施形態において、上記のトランスポザーゼは、Tn5を含む。
いくつかの実施形態において、上記のDNAは、タンパク質に結合するDNA領域を含み、かつ、上記のトランスポザーゼ-核酸複合体は、上記のタンパク質を直接的または間接的に認識する部分をさらに含む。
いくつかの実施形態において、上記のタンパク質を直接的または間接的に認識する上記の部分は、上記のタンパク質に特異的に結合する抗体およびタンパク質Aまたはタンパク質Gからなる群の1つ以上を含む。
他方、本願発明は、さらに、それぞれ少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着された複数の固体支持体であって、ここで、各上記のオリゴヌクレオチドタグは、バーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに被検核酸中の配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第1鎖と上記の第2鎖が部分的2本鎖構造を形成するか、上記の第2鎖と上記の付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成する複数の固体支持体を含み、上記のオリゴヌクレオチドタグのバーコード配列は、共通バーコードドメインと可変ドメインを含み、上記の共通バーコードドメインは、同一の固体支持体に付着したオリゴヌクレオチドタグにおいて同一であり、上記の複数の固体支持体のうちの2つ以上の間で異なる、組成物を提供する。
他方、本願発明は、さらに、本発明に記載の組成物を含む細胞に由来する標的核酸を解析するためのキットを提供する。
いくつかの実施形態において、上記のキットは、トランスポザーゼを含む。
いくつかの実施形態において、上記のキットは、核酸増幅用試薬、逆転写試薬、固定試薬、浸透剤、連結剤と切断剤中の少なくとも1つをさらに含む。
細胞に由来する標的核酸を増幅する方法であって、
a)以下のもの、すなわち、i. 単一細胞に由来する標的核酸であって、上記の標的核酸の少なくとも一部にオリゴヌクレオチドアダプター配列が付加されて、付着されたものになる標的核酸、およびii. 少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、上記の各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第1鎖と上記の第2鎖が部分的2本鎖構造を形成するか、上記の第2鎖と上記の付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体より構成される離散的な区画を提供すること、
b)上記の離散的な区画において、上記のオリゴヌクレオチドタグが上記の付着された標的核酸に連結されることによって、バーコード化標的核酸を産生すること;および
c)上記のバーコード化標的核酸を増幅することを含む、
方法である。
いくつかの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチドタグは、上記の固体支持体に放出可能に付着している。
いくつかの実施形態において、上記の固体支持体から、上記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを放出し、b)において放出された上記のオリゴヌクレオチドタグを上記の付着された標的核酸に連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチドタグは、その第1鎖の5’末端を介して上記の固体支持体に直接的または間接的に付着している。
いくつかの実施形態において、上記の離散的な区画は、上記のオリゴヌクレオチドタグを上記の付着された標的核酸に結合させるリガーゼをさらに含む。
いくつかの実施形態において、上記のリガーゼは、T4リガーゼを含む。
いくつかの実施形態において、上記のバーコード化標的核酸においては、上記の標的核酸配列が上記のバーコード配列の3’末端に位置する。
いくつかの実施形態において、上記の固体支持体は、ビーズである。
いくつかの実施形態において、上記の離散的な区画は、ウェルまたは微小滴である。
いくつかの実施形態において、上記のバーコード配列は、細胞バーコード配列を有し、同じ固体支持体に付着した各オリゴヌクレオチドタグは、同じ細胞バーコード配列を有する。
いくつかの実施形態において、上記の細胞バーコード配列は、リンカー配列によって離間された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む。
いくつかの実施形態において、a)は、上記の単一細胞に由来する標的核酸を、上記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体と共に、上記の離散的な区画に共分散させることを含む。
いくつかの実施形態において、b)は、上記のオリゴヌクレオチドタグの第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列を、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、上記のバーコード化標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、b)は、上記のオリゴヌクレオチドタグの第2鎖の上記の第2部分を、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターとハイブリダイズさせること、および上記のオリゴヌクレオチドタグの第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列を、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、上記のバーコード化標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、上記の付着された標的核酸には、固有の分子同定領域が含まれている。
いくつかの実施形態において、上記の固有の分子同定領域は、上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列と上記の標的核酸配列との間に位置する。
いくつかの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチドタグは、増幅プライマー認識領域をさらに含む。
いくつかの実施形態において、上記の増幅プライマー認識領域は、一般的な増幅プライマー認識領域である。
いくつかの実施形態において、b)の後かつc)の前に、上記のバーコード化標的核酸を上記の離散的な区画から放出し、かつ上記の増幅は、上記のバーコード化標的核酸が上記の離散的な区画から放出された後に実施されることを含む。
いくつかの実施形態において、上記の増幅において、ランダムガイド配列を有する増幅プライマーが使用される。
いくつかの実施形態において、上記のランダムガイド配列はランダム六量体である。
いくつかの実施形態において、上記の増幅は、上記のランダムガイド配列を上記のバーコード化標的核酸の少なくとも一部とハイブリダイズさせ、上記のランダムガイド配列をテンプレート指向性方式で伸長させることを含む。
他方、本願発明は、さらに、細胞に由来する標的核酸を配列決定する方法、
a)以下のもの、すなわち、i. 単一細胞に由来する標的核酸であって、上記の標的核酸の少なくとも一部にオリゴヌクレオチドアダプター配列が付加されて、付着されたものになる標的核酸;およびii. 少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、上記の各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第1鎖と上記の第2鎖が部分的2本鎖構造を形成するか、上記の第2鎖と上記の付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体より構成される離散的な区画を提供すること;
b)上記の離散的な区画において、上記のオリゴヌクレオチドタグが上記の付着された標的核酸に連結されることによって、バーコード化標的核酸を産生すること;および
c)上記のバーコード化標的核酸を配列決定することを含む、
方法を提供する。
いくつかの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチドタグは、上記の固体支持体に放出可能に付着している。
いくつかの実施形態において、上記の固体支持体から、上記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを放出し、b)において放出された上記のオリゴヌクレオチドタグを上記の付着された標的核酸に連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチドタグは、その第1鎖の5’末端を介して上記の固体支持体に直接的または間接的に付着している。
いくつかの実施形態において、上記の離散的な区画は、上記のオリゴヌクレオチドタグを上記の付着された標的核酸に結合させるリガーゼをさらに含む。
いくつかの実施形態において、上記のリガーゼは、T4リガーゼまたはT7リガーゼを含む。
いくつかの実施形態において、上記のバーコード化標的核酸においては、上記の標的核酸配列が、上記のバーコード配列の3’末端に位置する。
いくつかの実施形態において、上記の固体支持体は、ビーズである。
いくつかの実施形態において、上記の離散的な区画は、ウェルまたは微小滴である。
いくつかの実施形態において、上記のバーコード配列は、細胞バーコード配列を有し、同じ固体支持体に付着した各オリゴヌクレオチドタグは、同じ細胞バーコード配列を有する。
いくつかの実施形態において、上記の細胞バーコード配列は、リンカー配列によって離間された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む。
いくつかの実施形態において、a)は、上記の単一細胞に由来する標的核酸を、上記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体と共に、上記の離散的な区画に共分散させることを含む。
いくつかの実施形態において、b)は、上記のオリゴヌクレオチドタグの第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列を、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、上記のバーコード化標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、b)は、上記のオリゴヌクレオチドタグの第2鎖の上記の第2部分を、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターとハイブリダイズさせること、および上記のオリゴヌクレオチドタグの第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列を、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、上記のバーコード化標的核酸を産生することを含む。
いくつかの実施形態において、上記の付着された標的核酸には、固有の分子同定領域が含まれている。
いくつかの実施形態において、上記の固有の分子同定領域は、上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列と上記の標的核酸配列との間に位置する。
いくつかの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチドタグは、増幅プライマー認識領域をさらに含む。
いくつかの実施形態において、上記の増幅プライマー認識領域は、一般的な増幅プライマー認識領域である。
いくつかの実施形態において、さらに、上記のバーコード化標的核酸の配列から、上記の単一細胞のゲノムの少なくとも一部の連続した核酸配列を組み立てることを含む。
いくつかの実施形態において、上記の単一細胞は、上記の単一細胞の上記のゲノムの少なくとも一部の上記の核酸配列に基づいて特徴付けられる。
いくつかの実施形態において、各上記の離散的な区画は、単一細胞に由来する上記の標的核酸を最大で含む。
いくつかの実施形態において、さらに、上記の固有の分子同定領域の存在に少なくとも部分的に基づいて、上記のバーコード化標的核酸中の単一の核酸配列を、上記の標的核酸中の所定の核酸に由来するものとして同定することを含む。
いくつかの実施形態において、さらに、上記の固有の分子同定領域の存在に基づいて、上記の標的核酸中の所定の核酸の量を決定することを含む。
当該技術分野における当業者は、以降の詳細な記載からの本開示のその他の側面や利点の把握が容易であろう。以下の詳細な記載では、本開示の例としての実施形態しか表現して記載していない。当該技術分野における当業者にとって、本開示の詳細によって、本発明に係る趣旨や範囲を逸脱しない限り、開示されている具体的な実施形態を変更しても良い。それに応じて、本発明において、図面や明細書の記載があくまでも例であり、本発明を限定するものではない。
本発明に係る具体的な特徴は、添付の請求項のように示されたものである。本発明に係る特徴やメリットは、以下詳しく記載されている例示的実施形態や図面を参照することによって、より確実的に把握されるだろう。図面に関しては、以下のように概略的に説明する。
図1は、本発明における非トランスクリプトーム解析に適したヌクレオチドタグを生成するためのPCR法の模式図を示す。
図2は、本発明における非トランスクリプトーム解析に適したヌクレオチドタグを生成するためのT4リガーゼ法の模式図を示す。
図3は、本発明におけるトランスクリプトーム解析に適したヌクレオチドタグを生成するためのPCR法の模式図を示す。
図4は、本発明における非トランスクリプトーム解析に適したヌクレオチドタグを生成するためのT4リガーゼ法の模式図を示す。
図5は、本発明におけるTn5転移反応媒介ヒト293T細胞のATAC配列決定結果の断片長分布図を示す。
図6Aおよび図6Bは、本発明におけるTn5転移反応媒介ヒト293T細胞のATAC配列決定結果のシグナル強化転写開始部位(TSS)マップを示す。
図7は、本発明におけるTn5転移反応媒介ヒト293T細胞のATAC配列決定結果の異なる種類の配列比率図を示す。
図8は、本発明におけるマイクロ流体チップの模式図を示す。
図9は、本発明における各barcode中のread数に基づくATAC配列決定結果のスタッキングカーブを示す。
図10は、本発明におけるATAC配列決定結果として、単一細胞におけるunique mapped reads数の分布図を示す。
図11は、本発明における細胞の遺伝子領域におけるATACデータの分布図を示す。
図12は、本発明における単一細胞のATACシグナル相関解析の結果マップを示す。
図13は、本発明におけるCut tagライブラリの断片の分布した結果を示す。
図14は、本発明における、Cut tag断片の転写開始部位に分布した位置の結果マップを示す。
図15は、本発明における、Cut tag断片のゲノム中に分布した割合の結果マップを示す。
図16は、本発明における単一細胞Cut tagの分布結果を示す。
図17は、本発明における単一細胞のトランスクリプトームに基づいて、混合細胞の単一細胞を明確に区別した結果マップを示す。
図18は、本発明における各細胞で検出されたトランスクリプトおよび遺伝子数の分布結果を示す。
図19は、本発明における単一細胞ゲノムに基づいて、混合細胞の単一細胞を明確に区別した結果マップを示す。
図20は、本発明における、単一細胞配列決定の各細胞および各ゲノム部位に異なるカバレッジレベルの結果マップを示す。
図21は、本発明における単一細胞DNA修飾に基づいて、混合細胞の単一細胞を明確に区別した結果マップを示す。
図22は、本発明における各細胞で検出されたメチル化修飾の分布の結果を示す。
図23は、本発明における各細胞で検出された5hmC修飾の分布の結果を示す。
図24は、本発明におけるトランスクリプトームおよびATACの両方に従って、混合細胞中の単一細胞を良好に区別させた結果マップを示す。
図25は、本発明におけるトランスクリプトームとcut tagの両方に従って、混合細胞中の単一細胞を良好に区別させた結果マップを示す。
図26は、本発明における同一細胞のトランスクリプトームとメチロームの両方が、遺伝子モデルおよび周知のメチル化部位によく一致する結果マップを示す。
図27は、本発明における空間格子チップの一例の模式図を示す。
図28は、本発明における切片のHE染色と空間格子チップを重ね合わせた後の遺伝子数の結果マップを示す。
以下、本願発明の実施形態を、所定の具体的な実施例によって説明するが、当業者が、本明細書に開示された内容により、本願発明のその他のメリットや効果を容易に把握することができる。
用語の定義
本出願において、「配列決定」という用語は、一般に、核酸分子の配列情報を得るための技術を指す。例えば、特定のDNA断片の塩基配列(例えば、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)およびグアニン(G)の配列形態など)を解析する。また、配列決定方法としては、Sangerジデオキシ連鎖終止反応法(Chain Termination Method)、パイロ配列決定法、および次世代配列決定としてのIllumina、Life Technologies、Rocheなどの使用する「並列化された合成による配列決定」または「連結配列決定」プラットフォームなど、MGI Tech/Complete Genomicsのシーケンサーを挙げることができる。通常、Oxford Nanopore Technology社が開発した方法、PacBio社の第3世代シーケンサーなどのナノポアシーケンス法、あるいはLife Technologies社が発売したイオントレント技術(Ion Torrent technology)などの電子検出に基づく方法も含まれる場合がある。
本出願において、「特性評価結果」という用語は、一般に、配列決定もしくはゲノムおよび/またはプロテオミクスなどの他の生物学的解析手法によって得られた核酸および他の関連分子の情報記述を指す。例えば、全ゲノム配列決定の配列情報、アクセス可能なクロマチン配列や分布情報、核酸配列およびその結合因子の結合情報、病原性遺伝子変異情報、一塩基多型(SNP)、ヌクレオチドメチル化、トランスクリプトーム情報(例えば、遺伝子発現レベルの時間または空間的な変化)などを挙げることができる。
本出願において、「タンパク質A」という用語は、一般に、異なる種由来の抗体の重鎖の保存領域に結合することができる細胞由来のタンパク質(すなわち、抗体の認識タンパク質)を指す。例えば、ヒトおよびブタ、イヌ、ウサギ、ヒト、サル、ラット、マウスおよびウシなどを含み得る様々な哺乳類血清IgG分子中のFc断片に結合することができる。タンパク質Aは、IgGに結合するサブクラスが、主にIgG1、IgG2とIgG4を有し、IgGへの結合に加えて、血清中のIgMとIgAにも結合することができる。例えば、タンパク質Aとしては、細胞壁抗原の主成分である黄色ブドウ球菌由来のタンパク質A(SPA)を挙げることができ、黄色ブドウ球菌は、ほぼ90%以上の菌株がこの成分を含んでいるが、その量が菌株によってかなり異なる。抗体に結合可能なタンパク質Aの機能を利用して、標的タンパク質-抗体-タンパク質Aの複合体を形成することにより、標的タンパク質に対する配置および/または解析が可能となる。
本出願において、「固体支持体」という用語は、一般に、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドタグ、バーコード配列、プライマーなどへ付着するのに適しているか、適しているように改変され得る任意の材料を指す。例えば、固体支持体は、表面に位置する穴や、窪みのアレイからなり、これらは、例えばフォトリソグラフィー、スタンピング技術、成形技術およびマイクロエッチング技術などの様々な技術を用いて製造することができ、固体支持体の組成や幾何学的形状は、その用途に応じて変化し、例えば、固体支持体は平面構造(例えば、スライド、チップ、マイクロチップおよび/またはアレイなど)とすることができ、例えば、固体支持体またはその表面もチューブまたは容器の内面または外面などの非平面であり得、例えば、固体支持体はまた、微小球またはビーズからなることが可能である。
本出願において、「ビーズ(beads)」または「微小球(microspheres)」または「粒子(parcitiles)」という用語は、一般に、小さな離散粒子を指す。適切なビーズ組成物としては、プラスチック、セラミック、ガラス、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、常磁性材料、酸化トリウムゾル、カーボングラファイト、二酸化チタン、ラテックスまたは架橋デキストラン(アガロースなど)、セルロース、ナイロン、架橋ミセル、テフロン(登録商標)を含むがこれらに限らず、本明細書に記載の固体支持体に用いられる任意の他の材料はすべて使用でき、また、PMMA(Bangs Laboratories,Fishers Ind.)の微小球検出ガイド(Microsphere DetectionGuide)を参照されたく、いくつかの実施例では、微小球は磁気微小球またはビーズであってもよい。
本出願において、「固有の分子同定領域」という用語は、「分子バーコード」、「分子マーカー」、「ユニーク識別子(UID)」、「ユニーク分子識別子(UMI)」などとも呼ばれ、通常、同一サンプルの元の各ヌクレオチド断片のために連結される1本の固有の配列コードを指す。それは、通常、完全にランダムなヌクレオチド鎖(例えばNNNNNNN)、部分的に縮重したヌクレオチド鎖(例えばNNNRNYN)、または指定されたヌクレオチド鎖(例えば、テンプレート分子が限定されている場合)として設計でき、また、核酸分子に導入されると、例えば、第1鎖cDNA合成中に、増幅後に配列決定されるユニーク分子識別子(UMI)を直接に数えることにより、その後の増幅バイアスを補正できる。UMIの設計、組み込み及び適用は、当該技術分野で公知の手段に従って実施することができ、例えば、WO2012/142213、Islamら(Nat.Methods) (2014)11:163-166、Kivioja,T.ら(Nat. Methods) (2012)9:72-74の開示例を通じて実施でき、上記の文献は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
本出願において、「増幅プライマー認識領域」という用語は、一般に、1本の上記の標的核酸を増幅するプライマー配列に相補的なハイブリダイゼーションが可能なヌクレオチド配列を指す。上記のプライマーは、それらと組み合わせて、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応の作用による標的核酸のコピー数の増加(すなわち増幅)を達成するために、ヌクレオチドの伸長、連結及び/又は合成を誘発することができ、いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドタグ、分子固有の識別子などの配列の増幅も含まれる。
本出願において、「離散的な区画」という用語は、一般に、分析される標的物質を含む互いに独立した空間単位を指す。例えば、微小滴またはウェルを指す。例えば、標的核酸のサンプルとオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体とを共分散させることによって形成される微小滴である。いくつかの実施形態において、上記の離散的な区画は、異なる必要性に従って分配される他の物質、例えば染料、乳化剤、界面活性剤、安定剤、ポリマー、アプタマー、還元剤、開始剤、ビオチンマーカー、フルオロフォア、緩衝液、酸性溶液、アルカリ溶液、光感受性酵素、pH感受性酵素、水性緩衝液、洗剤、イオン性洗剤、非イオン性洗剤なども含むことがある。
本出願において、「放出可能に付着」という用語は、一般に、オリゴヌクレオチドタグと固体支持体との間の連結が放出可能、切断可能または可逆的、あるいは破壊的で除去可能であることを意味する。例えば、オリゴヌクレオチドタグの固体支持体への連結は、不安定な結合、例えば化学的結合、熱結合または光結合に感受性、例えば、ジスルフィド結合、紫外線結合に感受性などを含み、対応する処理によって切断されて放出可能な付着が達成され、また、例えば、オリゴヌクレオチドタグの固体支持体への連結は、UNG酵素の作用によって切断され得る、dUのようなヌクレアーゼによって認識され得る特定の塩基を含み、また、例えば、オリゴヌクレオチドタグの固体支持体への連結は、核酸エンドヌクレアーゼ認識配列を含み、ヌクレアーゼの作用により前記連結を切断でき、また、例えば、固体支持体は分解可能であり、分解条件の適用による固体支持体の分解により上記のオリゴヌクレオチドタグの放出により放出可能な付着ができることなどである。
本出願において、「リンカー」という用語は、一般に、個々の機能的配列を一緒に連結する1本のヌクレオチド配列を指し、オリゴヌクレオチドタグを固体支持体に連結する分子配列(核酸、ペプチドあるいは他の化学的連結構造など)も含み得、ここで、上記の機能的配列は、細胞バーコードセグメント、バーコード配列、増幅プライマー認識領域、配列決定プライマー認識領域、固有の分子認識符などを含み得、また、いくつかの実施形態において、該ヌクレオチドは1本の固定のヌクレオチド配列であってもよく、いくつかの実施形態において、上記のリンカーはまた、化学修飾を含んでよい。
本出願において、「ランダムガイド配列」という用語は、一般に、各位置に4重の縮重を提示することができる1本のランダムプライマーを指す。ランダムガイド配列は、標的核酸の対応する領域(標的核酸自体の配列およびそれに付着した他のヌクレオチド配列を含む)を認識して結合し、ヌクレオチド配列の合成および/または増幅を達成する。
本出願において、「バーコード配列」という用語は、一般に、標的核酸を認識することができる1本のヌクレオチド配列またはその誘導体もしくは改変形態を指す。
本出願において、「細胞バーコード配列」という用語は、一般に、標的核酸サンプルソースを認識するために使用できるヌクレオチド配列を指す。ここで、ソースは、例えば、同じ細胞からであっても、異なる細胞からであってもよい。様々なソースに由来する核酸サンプルの場合、サンプルソースを認識できるように、異なる細胞バーコード配列によって各ソースに由来する核酸を標識することができる。バーコード(インデックス、ラベルなどとも呼ばれることも多い)は当業者によく知られており、US2013/0274117の公報に記載されている上記の細胞バーコード配列など、任意の適切なバーコードまたはバーコード群を使用することができる。
本出願において、「細胞バーコードセグメント」という用語は、一般に、細胞バーコード配列を構成するバーコードヌクレオチド単位を指し、上記の細胞バーコードセグメントのN個は、PCRまたはDNAリガーゼの作用により細胞バーコードセグメントを形成することができる。Nは、形成される細胞バーコード配列が様々なソースに由来する各核酸サンプルの細胞ソースを認識するのに十分であるように、1以上であり得る。
本出願において、「オリゴヌクレオチドアダプター」という用語は、一般に、標的核酸に付着し、上記のオリゴヌクレオチドタグに相補的なハイブリダイゼーションが可能な配列を含む1本のヌクレオチド配列を指す。該ヌクレオチド配列は部分的2本鎖構造であってもよく、例えば、オリゴヌクレオチドタグにハイブリダイズする顕著な配列を有していてもよく、また、いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドアダプターは、トランスポザーゼ(例えばTn5トランスポザーゼ)の結合配列を含んでいてもよく、また、いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドアダプターは、増幅プライマー認識配列を含んでいてもよく、また、いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドアダプターは、逆転写プライマー配列を含んでいてもよい。
本出願において、「バーコード化標的核酸」という用語は、一般に、細胞バーコード配列が少なくとも付着した標的核酸を指す。
本出願において、「共通バーコードドメイン」という用語は、一般に、標的核酸のソースを認識するためのバーコード配列を指す。同じ固体支持体に付着したオリゴヌクレオチドタグに含まれている共通バーコードドメインは同一であって、異なる固体支持体に付着したオリゴヌクレオチドタグに含まれている共通バーコードドメインは互いに異なり、また、いくつかの実施形態において、同じ固体支持体から放出されたオリゴヌクレオチドタグは、1つの細胞に由来する標的核酸に連結する場合、その細胞ソースを上記の共通バーコードドメインによって認識することができる。
本出願において、「可変ドメイン」という用語は、一般に、共通バーコードドメイン以外の異なるニーズに従って設定されるヌクレオチド配列を指す。例えば、リンカー配列、増幅プライマー認識配列、配列決定プライマー認識配列などである。
本出願において、「トランスポザーゼ-核酸複合体」という用語は、一般に、トランスポザーゼと上記のオリゴヌクレオチドアダプターを含む配列とが形成する複合体を指す。トランスポザーゼは通常、トランスポゾンの末端に結合し、切り取り、貼り付けメカニズムまたは複製的転移メカニズムによって、ゲノムの他の部分への移動を触媒することができる酵素である。トランスポゾンは通常、ゲノム中を自由に飛び回ることができるヌクレオチドの断片を指し、1940年代後半、Barbara McClintockがトウモロコシの遺伝的メカニズムを研究していた際に提案し、その後、他の研究グループも、例えばマクリントックが染色体断片が位置を変えてある染色体から別の染色体に飛び回ることができることを発見するなど、トランスポーズの分子基盤について記述している。これらのトランスポゾンの再配置は、例えば、トウモロコシでは色の変化を引き起こし、バクテリアなど他の生物では、人類の進化の過程で抗生物質耐性を引き起こし得るなど、他の遺伝子の発現を変化させる可能性がある。トランスポザーゼ-核酸複合体は、それぞれがオリゴヌクレオチドアダプターに結合する2つのトランスポザーゼによって形成された二量体を含み得、ここで、その2つのトランスポザーゼは同一のトランスポザーゼであっても異なっていてもよく、それぞれ結合するオリゴヌクレオチドアダプターは同一であっても異なっていてもよい。
本出願において、「Tn5」という用語は、一般に、リボヌクレアーゼ(RNase)スーパーファミリーのメンバーであるTn5トランスポザーゼを指す。Tn5はShewanellaとEscherichia coliで発見された。Tn5は、天然に存在するTn5トランスポザーゼと様々な活性変異型を含み得、また、Tn5は、他の多くのトランスポザーゼと同様に、トランスポゾンの転移を触媒する活性部位であるDDEモチーフを含んでいる。DDEモチーフは、2価の金属イオン(マグネシウムやマンガンなど)と配位して、触媒反応に重要な役割を果たすことが報告されている。トランスポザーゼTn5は、DDE領域の変異によりトランスポーズ活性の上昇を可能にし、トランスポゾンの移動を触媒している可能性がある。例えば、326位のグルタミン酸はアスパラギン酸に、97位と188位の2つのアスパラギン酸はグルタミン酸に変換されている場合(アミノ酸番号はGenBankアクセッション番号YP_001446289のアミノ酸配列に基づく)などである。
本出願において、「マイクロ流体デバイス」という用語は、一般に、マイクロ流体制御を可能にする装置またはシステムを指す。ここで、マイクロ流体制御とは、一般に、マイクロスケールの流体、特にサブミクロン構造を精密に制御・操作する技術を指し、「マイクロ」は通常、微小な容量または体積(例えばナノリットル、ピコリットル、フェムトリットルレベル)を指す。マイクロ流体技術は、例えば、分子生物学的手法における酵素分析(グルコースや乳酸分析など)、DNA分析(ポリメラーゼ連鎖反応やハイスループットシーケンスなど)、プロテオミクス分析のようなバイオメディカル分野などの幅広い用途で使用されている。マイクロ流体デバイスの主要構造は、それに接続された単純なリザーバ、デバイスの外部ソース、マニホールド、流体フローユニット(例えばアクチュエータ、ポンプ、コンプレッサー)などから流体を送達するための流体ライン、およびマイクロ流体分配を後続処理操作、機器またはコンポーネント等に送達するための流体導管などからなる場合がある。
本出願において、「ハイブリダイゼーション」、「ハイブリダイゼーション可能な」または「相補的な」という用語は、一般に、適切な温度および溶液イオン強度のインビトロおよび/またはインビボの条件下で、核酸(例えばRNA、DNA)の有するヌクレオチド配列が別の核酸配列への特異的な非共有結合(すなわち、ワトソン-クリック塩基対および/またはG/U塩基対の形成)を可能にすることをいう。ワトソン-クリック塩基対合には、アデニン/アデノシン(A)とチミジン/チミジン(T)の対合、Aとウラシル/ウリジン(U)の対合、グアニン/グアノシン(G)とシトシン/シチジン(C)の対合が含まれる。いくつかの実施形態では、2つのRNA分子(例えば、dsRNA)間のハイブリダイゼーション、またはDNA分子のRNA分子へのハイブリダイゼーション(例えば、DNA標的核酸塩基がガイドRNAと対合する場合など)の場合、GもU塩基と対合してよい。ハイブリダイゼーションには、2つの核酸が相補的な配列を持つことが必要であるが、塩基間のミスマッチの可能性も排除することはできない。2つの核酸間のハイブリダイゼーションに適した条件は、当該技術分野でよく知られているように、核酸の長さと相補性の程度に依存する。2ヌクレオチド配列間の相補性の程度が高いほど、これらの相補的配列を持つ核酸のハイブリッドの融解温度(Tm)の値は大きくなる。
本出願において、「リード長」という用語すなわち、readsは、通常、ヌクレオチド配列決定において1回の反応から得られるシーケンス配列を指す。Readsは、シーケンサーによる1回のシーケンスランから得られる塩基配列データである短いシーケンス断片でもよく、readsの長さはシーケンサーによって異なることがある。
発明の詳細な説明
一方、本願発明は、細胞に由来する標的核酸を解析する方法であって、
a)以下のもの、すなわち
i.単一細胞に由来する標的核酸であって、上記の標的核酸の少なくとも一部にオリゴヌクレオチドアダプター配列が付加されて、付着されたものになる標的核酸、および
ii.少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、上記の各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第1鎖と上記の第2鎖が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体、または
ii.少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、上記の各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第2鎖と上記の付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体より構成される離散的な区画を提供すること;
b)上記の離散的な区画において、上記のオリゴヌクレオチドタグが上記の付着された標的核酸に連結されることによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む方法を提供する。
例えば、上記の方法は、さらに、
c)上記のバーコード化標的核酸の特性評価結果を得ること;および
d)c)で得られた上記の特性評価結果における同一の上記の細胞バーコード配列の存在に少なくとも部分的に基づいて、上記の標的核酸の配列を上記の単一細胞に由来するものとして認識することを含む。
他方、本願発明は、さらに、細胞に由来する標的核酸を増幅する方法であって、
a)以下のもの、すなわち、i. 単一細胞に由来する標的核酸であって、上記の標的核酸の少なくとも一部にオリゴヌクレオチドアダプター配列が付加されて、付着されたものになる標的核酸、およびii. 少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、上記の各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第1鎖と上記の第2鎖が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体、またはii. 少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、上記の各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第2鎖と上記の付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体より構成される離散的な区画を提供すること、
b)上記の離散的な区画において、上記のオリゴヌクレオチドタグが上記の付着された標的核酸に連結されることによって、バーコード化標的核酸を産生すること;および
c)上記のバーコード化標的核酸を増幅することを含む、
方法を提供する。
他方、本願発明は、さらに、細胞に由来する標的核酸を配列決定する方法であって、
a)以下のもの、すなわち、i. 単一細胞に由来する標的核酸であって、上記の標的核酸の少なくとも一部にオリゴヌクレオチドアダプター配列が付加されて、付着されたものになる標的核酸、およびii. 少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、上記の各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第1鎖と上記の第2鎖が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体、またはii. 少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、上記の各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第2鎖と上記の付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体より構成される離散的な区画を提供すること、
b)上記の離散的な区画において、上記のオリゴヌクレオチドタグが上記の付着された標的核酸に連結されることによって、バーコード化標的核酸を産生すること;および
c)上記のバーコード化標的核酸を配列決定することを含む、
方法を提供する。
例えば、本願発明に記載のオリゴヌクレオチドタグは、いずれも同時にまたは別々に提供され得る第1鎖および第2鎖を含み得る。本出願において、上記の第1鎖と上記の第2鎖が同時に提供される場合、上記の第1鎖と上記の第2鎖は部分的2本鎖構造を形成し得、また、上記の第1鎖と上記の第2鎖が別々に提供される場合、上記の第2鎖と上記の付着された標的核酸は部分的2本鎖構造を形成し得る。
バーコード化標的核酸
本出願において、バーコード化標的核酸は、上記のオリゴヌクレオチドタグを上記の付着された標的核酸に連結することによって産生される。例えば、上記のオリゴヌクレオチドタグの第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列を、上記の標的核酸に付着している上記のオリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、上記のバーコード化標的核酸を産生する。例えば、上記のオリゴヌクレオチドタグの第2鎖の上記の第2部分を、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターとハイブリダイズさせ、上記のオリゴヌクレオチドタグの第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列を、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、上記のバーコード化標的核酸を産生する。上記のハイブリダイゼーションに関しては、2つの核酸間のハイブリダイゼーションに適した条件は、当該技術分野において周知のように、核酸の長さと相補性の程度に依存する。2ヌクレオチド配列間の相補性の程度が高いほど、これらの相補的配列を有する核酸のハイブリッドの融解温度(Tm)の値が大きくなる。
例えば、上記のオリゴヌクレオチドタグの第2鎖の上記の第2部分は、その相補的配列(上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列またはその一部)と共に2本鎖構造を形成するのに十分な長さである。

例えば、上記の第2鎖の上記の第2部分の長さは、1ヌクレオチド以上、2ヌクレオチド以上、3ヌクレオチド以上、5ヌクレオチド以上、8ヌクレオチド以上、10ヌクレオチド以上、12ヌクレオチド以上、15ヌクレオチド以上、20ヌクレオチド以上、22ヌクレオチド以上、25ヌクレオチド以上または30ヌクレオチド以上であってもよい。
例えば、上記のハイブリダイゼーションは、塩基間のミスマッチの可能性を排除することはできない。例えば、上記の第2鎖の上記の第1部分または上記の第2鎖の上記の第2部分の配列は、ハイブリダイゼーション配列の配列に対して100%相補的である必要はない。例えば、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上の相補性であってもよい。残りの非相補的ヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドとクラスター化しても散在してもよく、互いにまたは相補的ヌクレオチドに隣接する必要はない。例えば、ポリヌクレオチドは、中間または隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象に関与しないように(例えば、ヘアピン構造、「隆起」などを形成する)、1つまたは複数のセグメント上でハイブリダイズすることができる。
例えば、オリゴヌクレオチドタグは、連結反応を用いて、上記の付着された標的核酸に連結される。該連結は、上記のオリゴヌクレオチドタグの第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列と上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプターなどの、ホスホジエステル結合の形成を触媒することによって2つの核酸セグメントを一緒に結合することを含む場合がある。連結反応には、大腸菌DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳類リガーゼ(例えば、DNAリガーゼI、DNAリガーゼIII、DNAリガーゼIV)、熱安定性リガーゼなどのDNAリガーゼが含まれ得る。T4 DNAリガーゼは、DNA、オリゴヌクレオチド、RNAおよびRNA-DNAハイブリッドを含むセグメントを連結することができる。連結反応は、DNAリガーゼを含まず、トポイソメラーゼなどの代替物を用いる場合もある。高濃度のDNAリガーゼを使用し、PEGを含有させることで、高速連結が可能になる。連結反応に好ましい温度を選択するには、DNAリガーゼの最適温度(例えば、37°Cであってもよい)および連結されるDNAの融解温度を考慮することができる。標的核酸およびバーコード化固体支持体は、連結に影響を及ぼす可能性のあるイオンの影響を最小限に抑えるため、適切な緩衝液に懸濁させることができる。
例えば、上記の標的核酸の少なくとも一部を上記の離散的な区画における上記の単一細胞から細胞外に放出させ、b)で放出された上記の標的核酸を上記のオリゴヌクレオチドタグに連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む。例えば、以上の上記の標的核酸の少なくとも一部を上記の離散的な区画における上記の単一細胞から細胞外に放出させることは、細胞を溶解試薬と接触させ、離散的な区画内の細胞の内容物を放出することを含み得る。上記の溶解剤には、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、リゾスタフィン、キタラーゼ(kitalase)、リチカーゼ(lyticase)および他の市販の溶解酵素などの、異なる細胞タイプ(例えばグラム陽性(gram positive)または陰性の細菌、植物、酵母、哺乳類など)を溶解するためのリゾチームなどの生物活性試薬が含まれる。例えば、界面活性剤に基づく溶解溶液を、細胞を溶解するのに用いることができ、例えば、溶解溶液はTritonX-100およびツイーン(Tween)20などの非イオン性界面活性剤を含み得る。例えば、溶解溶液は、サルコシル及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのイオン界面活性剤を含み得る。例えば、他の方法(エレクトロポレーション、熱的、音響的、または機械的細胞崩壊など)を用いる溶解方法が使用されてもよい。
例えば、以上の上記の標的核酸の少なくとも一部を上記の離散的な区画における上記の単一細胞から細胞外に放出させることは、上記の標的核酸の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%を上記の離散的な区画における上記の単一細胞から細胞外に放出させることを含み得る。
例えば、上記の固体支持体から放出された上記のオリゴヌクレオチドタグの少なくとも一部を上記の単一細胞に入れ込み、b)で上記の標的核酸に連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含み得る。
例えば、以上の上記の固体支持体から放出された上記のオリゴヌクレオチドタグの少なくとも一部を上記の単一細胞に入れ込むことは、上記のオリゴヌクレオチドタグの少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも75%を上記の単一細胞に入れ込むことを含み得る。
例えば、上記のオリゴヌクレオチドタグは、上記の固体支持体に放出可能に付着している。例えば、上記の固体支持体に放出可能、切断可能、または可逆的に付着しているオリゴヌクレオチドタグは、オリゴヌクレオチドタグ分子と固体支持体との間の結合の切断/破壊によって放出されるか放出可能なオリゴヌクレオチドタグ、または他の試薬によりアクセスされるかアクセス可能になるように固体支持体自体の分解により放出されたオリゴヌクレオチドタグを含むか、その両方を含む。
例えば、固体支持体前駆体に連結されたacrydite部分、固体支持体前駆体に連結された別の物質または前駆体自体が不安定な結合、例えば、化学結合、熱結合または光感受性結合、例えば、ジスルフィド結合、UV感受性結合などを含む。上記の不安定な結合は、物質(例えばオリゴヌクレオチドタグ)を固体支持体に可逆的に連結(共有結合)させる際に使用することができる。例えば、熱的に不安定な結合は、ハイブリッドの熱融解が固体支持体(またはビーズ)からオリゴヌクレオチドを放出させるように、オリゴヌクレオチドタグ含有配列などの核酸ハイブリダイゼーション(例えば、オリゴヌクレオチドが固体支持体に付着した相補的配列とハイブリダイズする場合)に基づく付着を含み得る。また、ゲル状固体支持体に複数種類の不安定な結合を加えることで、異なる刺激に応答する固体支持体を産生させることができる。各不安定な結合は、関連する刺激(例えば、化学的刺激、光、温度など)に敏感であるため、各不安定な結合によって固体支持体に付着した物質の放出を、適切な刺激の適用によって制御することが可能である。例えば、ゲル状固体支持体の形成後に、ゲルビーズの活性化官能基を介して、不安定結合からなる別の物質をゲル状固体支持体に結合させてもよい。固体支持体に放出可能に付着可能な試薬または他の方法で離散的な区画に配置された試薬(関連する活性化可能な基を有する)は、いったん所望の試薬セットに(例えば、共分配によって)送達されると、活性化可能な基が所望の試薬と反応できるように供給されてもよい。このような活性化可能な基には、ケージド基、除去可能なブロッキング基または保護基、例えば、光不安定な基、熱的に不安定な基、または化学的に除去可能な基が含まれている。熱切断可能な結合、ジスルフィド結合およびUV感受性結合に加えて、前駆体または固体支持体に結合され得る不安定な結合の他の非限定的な例には、エステル結合(例えば、酸、塩基、またはヒドロキシルアミンによる切断可能)、隣接ジオール結合(例えば、過沃素酸ナトリウムによる切断可能)、Diels-Alder結合(例えば、熱的に切断可能)、スルホン結合(例えば、アルカリによる切断可能)、モノシラン塩基エーテル結合(例えば、酸による切断可能)、グリコシド結合(例えば、アミラーゼによる切断可能)、ペプチド結合(例えば、プロテアーゼによる切断可能)、またはホスホジエステル結合(例えば、ヌクレアーゼ(DNA酵素)による切断可能)が含まれている。
例えば、上記のオリゴヌクレオチドタグは、その第1鎖の5’末端を介して上記の固体支持体に直接的または間接的に付着している。例えば、上記の固体支持体から、上記の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを放出し、b)において放出された上記のオリゴヌクレオチドタグを上記の付着された標的核酸に連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む。
例えば、上記のバーコード化標的核酸において、上記の標的核酸配列は、上記のバーコード配列の3’末端に位置する。例えば、上記の標的核酸は、上記のバーコード配列の3’末端に直接的に連結され、例えば、上記の標的核酸は、上記のバーコード配列の3’末端に直接的に連結されなく、上記のバーコード配列との間に任意の他のヌクレオチド配列が存在し得る。
例えば、b)の後かつc)の前に、上記のバーコード化標的核酸を増幅する。例えば、b)の後かつc)の前に、上記の離散的な区画から上記のバーコード化標的核酸を放出し、かつ上記の増幅は、上記のバーコード化標的核酸が上記の離散的な区画から放出された後に実施される。例えば、上記のバーコード化標的核酸が上記の離散的な区画から放出された後、さらなる化学反応又は酵素反応による修飾を実施することができ、例えば上記の修飾はbisulfite conversion、5hmc conversionなどを含み、その後増幅させることができる。
例えば、上記の増幅において、増幅プライマーが使用される。例えば、上記の増幅は、PCR増幅に使用され得る固定配列もその反対側に有するように、上記のバーコード化標的核酸に対してさらなる修飾を行うことをさらに含み得、例えば、上記の修飾は、逆転写鎖変換、第2鎖合成を含み得、また、ターミナルトランスフェラーゼ(terminal transferase)反応、および第2アダプター(adaptor)の連結であってもよい。
例えば、上記の増幅プライマーは、汎用プライマーをさらに含み得る。
例えば、上記の増幅において、ランダムガイド配列を有する増幅プライマーが使用される。上記のランダムガイド配列には、各位置で四重縮重を呈し得るランダムプライマーが含まれている。例えば、ランダムプライマーには、当該技術分野で知られている様々なランダム配列長を有する任意の核酸プライマーが含まれる。例えば、ランダムプライマーは、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のヌクレオチドの長さを有するランダム配列を含んでもよい。例えば、複数のランダムプライマーは、異なる長さを有するランダムプライマーから構成されてもよい。例えば、複数のランダムプライマーは、等しい長さを有するランダムプライマーから構成されてもよい。例えば、複数のランダム体は、長さが約5~約18のヌクレオチドのランダム配列を含み得る。例えば、複数のランダム体はランダム六量体を含む。上記のランダム六量体は、市販されており、例えば、REPLI-g全ゲノム増幅キット(QIAGEN,Valencia,CA)を例として、多重置換増幅(MDA)などの増幅反応に広く使用されるものである。本発明に記載の方法および組成物において、任意の適切な長さのランダムプライマーを使用することができる。
例えば、上記の増幅は、上記のランダムガイド配列を上記のバーコード化標的核酸の少なくとも一部とハイブリダイズさせ、上記のランダムガイド配列をテンプレート指向性方式で伸長させることを含む。
オリゴヌクレオチドタグ
本出願において、上記のオリゴヌクレオチドタグは、バーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端に位置するハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第1鎖と上記の第2鎖が部分的2本鎖構造を形成する。または、本出願において、上記のオリゴヌクレオチドタグは、バーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端に位置するハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第2鎖と上記の付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成する。
上記のハイブリダイゼーション配列に関して、2つの核酸間のハイブリダイゼーションに適用できる条件には、当該技術分野でよく知られているように、核酸の長さと相補性の程度に依存する。2ヌクレオチド配列間の相補性の程度が大きいほど、これらの相補的配列を有する核酸のハイブリッドの融解温度(Tm)の値が大きくなる。
例えば、上記の第2鎖の上記の第1部分または上記の第2鎖の上記の第2部分は、その相補的配列(例えば、上記の第1鎖における上記のバーコード配列の3’末端に位置するハイブリダイゼーション配列、例えば、上記の標的核酸に付着した上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列またはその一部)と共に2本鎖構造を形成するのに十分な長さである。
例えば、上記の第2鎖の上記の第1部分または上記の第2鎖の上記の第2部分の長さは、1ヌクレオチド以上、2ヌクレオチド以上、3ヌクレオチド以上、5ヌクレオチド以上、8ヌクレオチド以上、10ヌクレオチド以上、12ヌクレオチド以上、15ヌクレオチド以上、20ヌクレオチド以上、22ヌクレオチド以上、25ヌクレオチド以上または30ヌクレオチド以上であってもよい。
例えば、上記の第2鎖の上記の第1部分は、上記の第2鎖の上記の第2部分の配列と同じ長さを有していてもよいし、有していなくてもよい。
例えば、上記の2本鎖構造は、塩基間のミスマッチの可能性を排除することはできない。例えば、上記の第2鎖の上記の第1部分または上記の第2鎖の上記の第2部分の配列は、ハイブリダイゼーション配列の配列に対して100%相補的である必要はない。例えば、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上の相補性であってもよい。残りの非相補的ヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドとクラスター化しても散在してもよく、互いにまたは相補的ヌクレオチドに隣接する必要はない。例えば、ポリヌクレオチドは、中間または隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象に関与しないように(例えば、ヘアピン構造、「隆起」などを形成する)、1つまたは複数のセグメント上でハイブリダイズすることができる。
例えば、同じ固体支持体に付着したオリゴヌクレオチドタグの上記の第2部分は、同じであってもよい。
例えば、同じ固体支持体に付着したオリゴヌクレオチドタグの上記の第2部分は異なっていてもよい。例えば、上記の同じ固体支持体に付着した各オリゴヌクレオチドタグの上記の第2部分は、1種類以上のヌクレオチド配列を含み得、例えば、上記の第2部分の配列は、2種類以上、例えば3種類以上、例えば4種類以上、例えば5種類以上、例えば6種類以上、例えば7種類以上、例えば8種類以上、例えば9種類以上、例えば10種類以上、例えば11種類以上、例えば12種類以上、例えば13種類以上、例えば14種類以上、例えば15種類以上であり得るため、同じ固体支持体に付着した上記のオリゴヌクレオチドタグは、対応する1種類以上の上記の付着された標的核酸に連結することが可能である。
例えば、同じ固体支持体に付着した、同一の上記の第2部分を含む上記のオリゴヌクレオチドタグの数は、1以上、例えば、50以上、100以上、500以上、1000以上、1500以上、2000以上、3000以上、5000以上、8000以上、10000以上、12000以上、15000以上、18000以上、20000以上、22000以上、25000以上、28000以上、30000以上、35000以上、40000以上、45000以上、50000以上であってもよい。
例えば、同じ固体支持体に付着した異なる第2部分を含む上記のオリゴヌクレオチドタグの数は、対応する上記の付着された標的核酸に連結されるように、必要に応じて異なる比率に設定することが可能である。
例えば、上記のバーコード配列は細胞バーコード配列を有し、同じ固体支持体に付着した各オリゴヌクレオチドタグは、同じ細胞バーコード配列を有する。
例えば、同じ固体支持体に付着したオリゴヌクレオチドタグは、1以上のオリゴヌクレオチドタグ、例えば、50以上、100以上、500以上、1000以上、1500以上、2000以上、3000以上、5000以上、8000以上、10000以上、12000以上、15000以上、18000以上、20000以上、22000以上、25000以上、28000以上、30000以上、35000以上、40000以上、45000以上、50000以上、55000以上、60000以上、65000以上、70000以上、75000以上、80000以上、85000以上、90000以上、95000以上、100000以上、110000以上、120000以上を含んでいてもよく、これらのオリゴヌクレオチドタグの細胞バーコード配列は同一であり、そして、その上記の第2鎖の上記の第2部分の配列は、1種類以上であってもよく、例えば、上記の第2部分の配列は、2種類以上、3種類以上、4種類以上、5種類以上、6種類以上、7種類以上、8種類以上、9種類以上、10種類以上、11種類以上、12種類以上、13種類以上、14種類以上、15種類以上、16種類以上、17種類以上、18種類以上、19種類以上、20種類以上である。
例えば、異なる固体支持体に付着したオリゴヌクレオチドタグセットに含まれる細胞バーコード配列は互いに異なっており、上記のオリゴヌクレオチドタグセットは、同じ固体支持体に付着した全てのオリゴヌクレオチドタグの組み合わせであってもよい。
例えば、上記の細胞バーコード配列は少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを有する。例えば、上記の細胞バーコードセグメントは、4以上のヌクレオチド(nt)であってもよく、例えば5以上、例えば10以上、12以上、15以上、18以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上、30以上、31以上、32以上、33以上、34以上、または35以上であってもよい。
例えば、上記の細胞バーコード配列は、少なくとも2つの細胞バーコードセグメント、少なくとも3つの細胞バーコードセグメント、少なくとも4つの細胞バーコードセグメント、少なくとも5つの細胞バーコードセグメント、少なくとも6つの細胞バーコードセグメント、少なくとも7つの細胞バーコードセグメント、少なくとも8つの細胞バーコードセグメントを有し、上記のオリゴヌクレオチドタグにおいて5’末端から3’末端に向かって順に、細胞バーコードセグメント1、細胞バーコードセグメント2、細胞バーコードセグメント3、細胞バーコードセグメント4、細胞バーコードセグメント5……細胞バーコードセグメントnとしてコードされている。例えば、上記の少なくとも2つの細胞バーコードセグメントはPCRまたはDNAリガーゼによって上記の細胞バーコード配列を形成することができる。
例えば、上記の細胞バーコード配列は、以下のように
1)上記の少なくとも1つの上記の固体支持体を、少なくとも2つの初期アリコート、例えば、少なくとも8つのアリコート、少なくとも16つのアリコート、少なくとも24つのアリコート、少なくとも32つのアリコート、少なくとも40つのアリコート、少なくとも48つのアリコート、少なくとも56つのアリコート、少なくとも64つのアリコート、少なくとも72つのアリコート、少なくとも80つのアリコート、少なくとも88つのアリコート、少なくとも96つのアリコートに分割し、
2)各上記の初期アリコートに、少なくとも1つの細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも1000つの細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも10000つの細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも100000つの細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも1000000つの細胞バーコードセグメント1、例えば、少なくとも10000000つの細胞バーコードセグメント1を供給し、各アリコート中の細胞バーコードセグメント1は他の任意のアリコート中の細胞バーコードセグメント1とは配列および/または長さが互いに異なっており、
3)各上記の初期アリコート中の少なくとも1つの固体支持体を、細胞バーコードセグメント1に直接的または間接的に連結させ、各固体支持体を少なくとも1つの細胞バーコードセグメント1に連結させ、
4)上記の少なくとも2つの初期アリコートを組み合わせ、組み合わせた初期アリコートを、少なくとも2つの二次アリコート、例えば、少なくとも8つのアリコート、少なくとも16つのアリコート、少なくとも24つのアリコート、少なくとも32つのアリコート、少なくとも40つのアリコート、少なくとも48つのアリコート、少なくとも56つのアリコート、少なくとも64つのアリコート、少なくとも72つのアリコート、少なくとも80つのアリコート、少なくとも88つのアリコート、少なくとも96つのアリコートに分割し、
5)各上記の二次アリコートに、少なくとも1つの細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも1000つの細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも10000つの細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも100000つの細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも1000000つの細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列、例えば、少なくとも10000000つの細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列を供給し、各アリコート中の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列は、他の任意のアリコート中の細胞バーコードセグメント2またはその相補的配列とは配列および/または長さが互いに異なっており、
6)各上記の二次アリコート中の少なくとも1つの固体支持体に連結した細胞バーコードセグメント1を細胞バーコードセグメント2に直接的または間接的に連結することによって産生される。
例えば、細胞バーコードセグメント3、細胞バーコードセグメント4、細胞バーコードセグメント5……細胞バーコードセグメントnを連結するために、ステップ4)~6)を繰り返し、繰り返し回数をnとし、nを1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上とすることによって、各細胞に対して十分に固有の配列の細胞バーコードを産生し、これにより、第1細胞中の標的核酸に固有配列の第1細胞バーコード、第2細胞中の標的核酸に固有配列の第2細胞バーコード、第2細胞中の標的核酸に固有配列の第2細胞バーコードを待たせることができる、などであってもよい。
例えば、上記のb)の後かつc)の前に、上記の離散的な区画から上記のバーコード化標的核酸を放出する。
例えば、c):上記のバーコード化標的核酸を配列決定することによって、上記の特性評価結果を得ることがさらに実行される。
例えば、上記の特性評価結果は、細胞バーコードヌクレオチド配列情報、標的核酸のヌクレオチド配列情報、UMI配列情報などの、上記のバーコード化標的核酸のヌクレオチド配列情報を含み得る。
例えば、上記のバーコード化標的核酸の配列から上記の単一細胞のゲノムの少なくとも一部の連続した核酸配列を組み立てる。
例えば、上記の単一細胞は、上記の単一細胞の上記のゲノムの少なくとも一部の上記の核酸配列に基づいて特徴付けられる。
例えば、上記のオリゴヌクレオチドタグは、リンカー配列1をさらに含み、上記の細胞バーコードセグメント1の5’末端は、リンカー配列1を介して固体支持体に連結され得る。上記のリンカー配列1は、acrydite修飾、光切断修飾、S-S修飾、dU塩基修飾などの配列を含んでいてもよく、オリゴヌクレオチドタグを様々な方法による切断によって放出し得る。
例えば、上記のオリゴヌクレオチドタグは、他の機能的配列をさらに含み得、上記の他の機能的配列は、上記の細胞バーコードセグメント1と上記のリンカー配列1との間に位置してもよく、例えば、その後処理のために完全または部分的な機能的配列(例えば、プライマー配列(例えば、汎用プライマー配列、標的化プライマー配列、ランダムガイド配列)認識領域、プライマーアニーリング配列、付着配列、配列決定プライマー認識領域、増幅プライマー認識領域(例えば、一般的な増幅プライマー認識領域)などであってもよい。
例えば、上記の後処理には、増幅が含まれる。例えば、上記の増幅としては、PCR増幅(例えば、Taq DNAポリメラーゼ増幅、Super Taq DNAポリメラーゼ増幅、LA Taq DNAポリメラーゼ増幅、Pfu DNAポリメラーゼ増幅、Phusion DNAポリメラーゼ増幅、KOD DNAポリメラーゼ増幅など)、等温増幅(例えば、ループ媒介等温増幅(LAMP)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、鎖置換増幅(SDA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、転写媒介増幅(TMA)など)、T7プロモーター線形増幅、縮重オリゴヌクレオチドプライマーPCR増幅(DOP-PCR)、多重置換増幅(MDA)、多重アニーリングループ化サイクル増幅技術(MALBAC)などが含まれている。
例えば、上記の細胞バーコードは、リンカーを含まなくてもよく、他の方法によって合成された1本の独立した核酸配列であってもよい。
例えば、上記の汎用プライマー配列は、P5または他の適切なプライマーを含み得る。汎用プライマー(例えば、P5)も、シーケンサーとはシーケンサー内のフローセルに付着するなどの互換性があり得る。例えば、このような汎用プライマー配列は、シーケンサーのフローセル表面に拘束されたオリゴヌクレオチドの相補的配列を供給することによって、バーコード化標的核酸配列を配列決定のためにその表面上に固定化することができる。
例えば、増幅プライマー配列は、増幅されるバーコード化標的核酸配列を産生するために、増幅または複製プロセスの実施(例えば、標的核酸配列に沿ってプライマーを伸長させる)に使用されるプライマー配列である。
例えば、プライマー配列を配列決定することによって、結果として増幅された標的配列はそのようなプライマーを含み、配列決定システムに容易に移される。例えば、Illumina配列決定システムを用いて増幅された標的を配列決定する場合、上記の配列決定プライマー配列は、R1プライマー配列とR2プライマー配列を有し得る。
例えば、上記のオリゴヌクレオチドタグは、T7プロモーター配列を有し得る。例えば、上記のT7プロモーター配列は、SEQ ID NO:1で表されるヌクレオチド配列(TAATACGACTCACTATAG)を有する。
例えば、上記のオリゴヌクレオチドタグは、SEQ ID NO:6-9のいずれか1つに少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する領域を含み得る。
例えば、上記のヌクレオチドアダプター配列はP5配列を有し得る。例えば、上記のヌクレオチドアダプター配列はP7配列を有する。
例えば、上記の細胞バーコードセグメント1と上記のリンカー配列1との間には、上記の様々な機能的配列中のいずれかまたはそれらの組み合わせが含まれる。例えば、これらのオリゴヌクレオチドは、P5、R1およびR2配列、不開裂型5’acrydite-P5、開裂型5’acrydite-SS-P5、R1c、配列決定プライマー、読み取りプライマー、汎用プライマー、P5_U、汎用読み取りプライマーおよび/またはこれらのプライマーの結合部位のいずれか1つなどのうちの任意の1つまたは複数を含み得る。
例えば、上記の細胞バーコード配列は、リンカー配列によって離間された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む。
例えば、細胞バーコードセグメント1は3’末端にリンカー配列2を、細胞バーコードセグメント2は5’末端と3’末端にそれぞれリンカー配列3と4を、細胞バーコードセグメント3は5’末端と3’末端にそれぞれリンカー配列5と6を、細胞バーコードセグメント4は5’末端と3’末端にそれぞれリンカー配列7と8を有するなど、細胞バーコードセグメントnは5’末端と3’末端にそれぞれリンカー配列2n-1と2nを有し、リンカー配列2はリンカー配列3と少なくとも部分的に相補的に対合して2本鎖構造を、リンカー配列4はリンカー配列5と少なくとも部分的に相補的に対合して2本鎖構造を、リンカー配列6はリンカー配列7と少なくとも部分的に相補的に対合して2本鎖構造を形成することが可能であるなど、細胞バーコードセグメント1、細胞バーコードセグメント2、細胞バーコードセグメント3、細胞バーコードセグメント4……細胞バーコードセグメントnの連結を活性化することが可能である。
例えば、連結反応を用いて、各細胞バーコードセグメントを連結してオリゴヌクレオチドタグを形成する。該連結は、ホスホジエステル結合の形成を触媒することによって、例えば細胞バーコードセグメント1と前述した機能的配列、例えば、リンカー配列2と細胞バーコードセグメント2、リンカー配列3と細胞バーコードセグメント3、リンカー配列4と細胞バーコードセグメント4、リンカー配列5と細胞バーコードセグメント5、リンカー配列6と細胞バーコードセグメント6などのような2つの核酸セグメントを一緒に結合することを含む場合がある。連結反応には、大腸菌DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、哺乳類リガーゼ(例えば、DNAリガーゼI、DNAリガーゼIII、DNAリガーゼIV)、熱安定性リガーゼなどのDNAリガーゼが含まれ得る。T4 DNAリガーゼは、DNA、オリゴヌクレオチド、RNAおよびRNA-DNAハイブリッドを含むセグメントを連結することができる。連結反応は、DNAリガーゼを含まず、トポイソメラーゼなどの代替物を用いる場合もある。高濃度のDNAリガーゼを使用し、PEGを含有させることで、高速連結が可能になる。連結反応に好ましい温度を選択するには、DNAリガーゼの最適温度(例えば、37°Cであってもよい)および連結されるDNAの融解温度を考慮することができる。サンプルおよびバーコード化固体支持体は、連結に影響を及ぼす可能性のあるイオンの影響を最小限に抑えるため、緩衝液に懸濁させることができる。
例えば、リガーゼがオリゴヌクレオチドタグを生成する条件下で各ラウンドで供給される細胞バーコードセグメントは、以下のように、細胞バーコードセグメントおよび細胞バーコードセグメントの3’末端に位置するリンカー配列が2本鎖構造であり、細胞バーコードセグメントの5’末端に位置するリンカー配列が突出した1本鎖構造であり、前のラウンドにおける細胞バーコードセグメントの5’末端のリンカー配列と少なくとも部分的に相補的に対合することによって2本鎖構造を形成することが可能な構造を含み得る。
例えば、連結反応を用いて各細胞バーコードセグメントを連結してオリゴヌクレオチドタグを形成する例としては、図2または図4に示すようなものを挙げることができる。
例えば、各細胞バーコードセグメントをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により連結して、オリゴヌクレオチドタグを形成する。例えば、上記のポリメラーゼ連鎖反応は、Taq DNAポリメラーゼ、Super Taq DNAポリメラーゼ、LA Taq DNAポリメラーゼ、UlltraPF DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、VentR DNAポリメラーゼ、Phusion DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、Iproof DNAポリメラーゼから選ばれるいずれか1つ以上のポリメラーゼによって行うことができる。例えば、上記のポリメラーゼ連鎖反応には、上記のポリメラーゼが活性を維持することを可能にする緩衝液、金属イオンをさらに含み得、また、例えば、dNTPおよび/またはその修飾誘導体も含み得る。
例えば、オリゴヌクレオチドタグを生成するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)条件下で、各ラウンドは細胞バーコードセグメントの相補的配列を供給し、上記の相補的配列は1本鎖構造であり、リンカー配列が前のラウンドで連結された細胞バーコードセグメントの3’末端のリンカー配列と少なくとも部分的に相補的に対合して2本鎖構造を形成することが可能な5’末端とリンカー配列が次のラウンドで連結された細胞バーコードセグメントの5’末端のリンカー配列と少なくとも部分的に相補的に対合して2本鎖構造を形成することが可能な3’末端は、それぞれ1本鎖構造のリンカー配列を有する。
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて各細胞バーコードセグメントを連結してオリゴヌクレオチドタグを形成する例としては、図1または図3に示すようなものを挙げることができる。
付着された標的核酸
本出願において、上記の標的核酸は、DNA、RNAおよびcDNAからなる群から選択される1つ以上を含む。例えば、上記の標的核酸は上記の単一細胞内のRNAに由来するcDNAを含む。例えば、上記のRNAは、mRNAを含む。
本出願において、上記の標的核酸は、オリゴヌクレオチドアダプター配列が付加されて、付着された標的核酸になる。例えば、上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列は、上記の標的核酸の5’末端に位置する。
例えば、上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列は、上記のオリゴヌクレオチドタグ中の上記の第2鎖の上記の第2部分に相補的なヌクレオチド配列Lを有し得、上記のヌクレオチド配列Lは、上記のオリゴヌクレオチドタグ中の上記の第2鎖の上記の第2部分とは長さが同一であっても異なっていてもよく、また、例えば、1ヌクレオチド以上、2ヌクレオチド以上、3ヌクレオチド以上、5ヌクレオチド以上、8ヌクレオチド以上、10ヌクレオチド以上、12ヌクレオチド以上、15ヌクレオチド以上、20ヌクレオチド以上、22ヌクレオチド以上、25ヌクレオチド以上または30ヌクレオチド以上であってもよい。
例えば、上記のヌクレオチド配列Lは、上記のオリゴヌクレオチドタグ中の上記の第2鎖の上記の第2部分に相補的に対合して2本鎖構造を形成することが可能である。例えば、上記の2本鎖構造は、塩基間のミスマッチの可能性を排除できない。例えば、上記のヌクレオチド配列Lの配列は、上記のオリゴヌクレオチドタグ中の上記の第2鎖の上記の第2部分の配列に対して100%相補的である必要はない。例えば、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上の相補性であってもよい。残りの非相補的ヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドとクラスター化しても散在してもよく、互いにまたは相補的ヌクレオチドに隣接する必要はない。例えば、ポリヌクレオチドは、中間または隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象に関与しないように(例えば、ヘアピン構造、「隆起」などを形成する)、1つまたは複数のセグメント上でハイブリダイズすることができる。
例えば、上記のヌクレオチドアダプター配列は、トランスポゾン末端配列を有する。例えば、上記のトランスポゾン末端配列はTn5または修飾されたTn5トランスポゾン末端配列である。例えば、トランスポゾン末端配列はMuトランスポゾン末端配列である。例えば、上記のTn5または修飾されたTn5トランスポゾン末端配列あるいはMuトランスポゾン末端配列は、15から25ヌクレオチド、例えば、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチドを含み得る。
例えば、Tn5キメラ末端配列A14(Tn5MEA)および/またはTn5キメラ末端配列B15(Tn5MEB)(後述の相補的非転写配列(NTS)を含む)は、上記のトランスポゾン末端配列として使用することができる。
Tn5MEA:5’-TCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAG-3’;(SEQ ID NO:2)
Tn5MEB:5’-GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAG-3’;(SEQ ID NO:3)
Tn5NTS:5’-CTGTCTCTTATACACATCT-3’。(SEQ ID NO:4)
例えば、本発明に記載の方法のステップa)の前に、上記のRNAを逆転写し、上記の付着された標的核酸を産生する。例えば、上記の逆転写において、第1鎖合成プライマーは、各mRNAサンプル中のmRNAからcDNAの第1鎖を合成するために使用される。例えば、第1鎖合成プライマーはオリゴdTプライマーを含む。例えば、上記の逆転写に用いられる第1鎖合成プライマーは、上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列およびポリT配列を5’から3’方向に含む逆転写プライマーであり得る。例えば、上記の逆転写は、上記のポリT配列を上記のRNAとハイブリダイズさせ、上記のポリT配列をテンプレート指向性方式で伸長させることを含む。例えば、第1鎖合成プライマーはランダム体である。例えば、第1鎖合成プライマーはオリゴdTプライマーとランダム体の混合物である。例えば、上記の方法は、オリゴdTプライマーとランダム体の混合物とともに、鋳型切り替えオリゴヌクレオチドプライマー(TSOプライマー)を取り込むことをさらに含む。例えば、cDNAの第2鎖は、TSOプライマーを用いて合成される。例えば、cDNAの第2鎖はcDNAの第1鎖に相補的な第2増幅プライマーを用いて合成され、該第1鎖はmRNA鋳型を超えて、相補的TSO鎖を含むように伸長する。
例えば、上記の標的核酸は上記の単一細胞に由来するDNAを含む。例えば、上記のDNAはゲノムDNAを含む。
例えば、上記のDNAは、ゲノムDNA、オープンクロマチンDNA、タンパク質結合DNA領域および/または細胞内の標的分子に結合することが可能なタンパク質、脂質および/または低分子化合物に結合した外因性核酸を含む。例えば、上記のタンパク質は抗体、抗原を含み得る。例えば、上記の標的分子は、細胞内で解析される標的核酸配列を含み得る。例えば、単一細胞に由来する上記のDNAは、本発明に記載の方法におけるステップa)の前断片化される。例えば、DNAの断片化はDNA鎖を小片またはセグメントに分離または破壊することを含み得る。例えば、DNAの断片化は、例えば、DNAを断片化後に上記のオリゴヌクレオチドアダプターの配列を付着させる(この条件下で付着したオリゴヌクレオチドアダプターの配列が上記のトランスポゾン末端配列を含まない)、制限消化またはせん断力を生じさせるなどの様々な方法によって実施される。例えば、制限消化は、制限エンドヌクレアーゼを使用して、2本の鎖の平滑末端を切断するか、不均一に切断して粘着末端を作成することにより、DNA配列にニックを作ることができる。例えば、せん断力媒介DNA鎖破壊は、超音波処理、音響せん断、針せん断、ピペッティングまたは霧化を含み得る。超音波処理は、DNA配列を短期間のせん断力にさらす流体力学的せん断の一種であり、約700bpの断片サイズを生じさせることができる。音響せん断は、ボウル状のトランスデューサーの中で、DNAサンプルに高周波の音響エネルギーを加えるものである。針せん断は、直径の小さな針にDNAを通すことでせん断力を発生させ、DNAを小さなセグメントに物理的に切り裂く。霧化力は、ネブライザーユニットの小さな穴にDNAを通過させることによって発生させ、そこから出る微細なミストからDNA断片を回収することができる。一般に、これらの断片は、約200~約100000塩基の間の任意の長さであり得る。例えば、断片は、約200bp~約500bp、約500bp~約1kb、約1kb~約10kb、または約5kb~約50kb、または約10kb~約30kb、例えば、約15kb~約25kbである。例えば、より大きな遺伝子成分の断片化は、例えば、市販のせん断に基づく断片化システム(例えば、Covaris断片化システム)、サイズ標的断片化システム(例えばBlue Pippin(Sage Sciences))、酵素的断片化方法(例えば、DNAエンドヌクレアーゼ、DNAエキソヌクレアーゼ)などを含む任意の容易に入手できる方法によって実施することができる。例えば、上記の断片化は、超音波分断を行った後、断片化された上記のDNAに上記のオリゴヌクレオチドアダプターを含む配列を付加することによって、上記の付着された標的核酸を得ることを含む。
例えば、上記の付着された標的核酸は、上記の断片化の後または上記の断片化中に産生される。例えば、上記の断片化は、トランスポザーゼ-核酸複合体を用いて、上記のオリゴヌクレオチドアダプターを含む配列を上記のDNAに組み込み、上記のトランスポザーゼを放出することで上記の付着された標的核酸を得ることを含む。
例えば、上記のトランスポザーゼには、黄色ブドウ球菌Tn5(Colegioら、「Journal of Bacterology」(J.BacterioL)、183:2384-8、2001;Kirby Cら、「Molecular Microbiology」(Mol.Microbiol.),43:173-86,2002)、タイロシン(Tyl)(Devine and Boeke,「核酸研究」(Nucleic Acids Res.),22:3765-72,1994および国際公開WO 95/23875)、トランスポゾンTn7(Craig,N L,「科学」(Science.)271:1512,1996;Craig,N L,「微生物学・免疫学における現在の話題」(Curr Top Microbiol Immunol.)における概要,204:27-48,1996)、Tn/O and IS10(KlecknerNら、「微生物学・免疫学における現在の話題」(Curr Top Microbiol Immunol.),204:49-82,1996)、セーラートランスポザーゼ(Mariner transposase)(Lampe D Jら、「European Molecular Biology Organization」(EMBO J.),15:5470-9,1996)、Tel(Plasterk R H,「微生物学・免疫学における現在の話題」(Curr.Topics Microbiol.Immunol.),204:125-43,1996)、P因子(Gloor,G B、「分子生物学方法」(Methods Mol.Biol.),260:97-114,2004)、Tn3(Ichikawa and Ohtsubo、「米国生化学分子生物学会誌」(J Biol.Chem.)265:18829-32,1990)、細菌挿入配列(Ohtsubo and Sekine、「微生物学・免疫学における現在の話題」(Curr.Top.Microbiol.Immunol.)204:1-26,1996)、レトロウイルス(Brownら、「米国科学アカデミー紀要」(Proc Natl Acad Sci USA),86:2525-9,1989)、酵母レトロトランスポゾン(Boeke and Corces,「Annual Review of Microbiology」(Annu Rev Microbiol.),43:403-34,1989)、およびIS5,Tnl0,Tn903,IS911ならびにトランスポザーゼファミリー酵素の工学的形態(Zhangら,(2009)「Public Library of Science Genetics」(PLoS Genet.)5:el000689. 2009年10月16日電子出版;Wilson C.ら(2007)「Journal of Microbiological Methods」(J.Microbiol.Methods)71:332-5)がある。
例えば、上記のトランスポザーゼ-核酸複合体は、トランスポザーゼ、および上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列を有するトランスポゾン末端核酸分子を含む。
例えば、トランスポザーゼは、Muトランスポザーゼである。例えば、上記のトランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼまたはTn10トランスポザーゼである。上記のTn5トランスポザーゼは、全長Tn5トランスポザーゼ、Tn5トランスポザーゼの部分的機能ドメイン、Tn5トランスポザーゼの変異体から選択される。上記のTn10トランスポザーゼは、全長Tn10トランスポザーゼ、Tn10トランスポザーゼの部分的機能ドメイン、Tn10トランスポザーゼの変異体から選択される。例えば、上記のTn5トランスポザーゼ変異体は、R30Q、K40Q、Y41H、T47P、E54K/V、M56A、R62Q、D97A、E110K、D188A、Y319A、R322A/K/Q、E326A、K330A/R、K333A、R342A、E344A、E345K、N348A、L372P、S438A、K439A、S445A、G462D、A466Dからなる群から選択される。
例えば、上記の2つのトランスポザーゼ分子は、挿入部位が1または2種類のDNAによって標識されるように、同じまたは異なる2本鎖DNAトランスポゾンに結合することができる。例えば、上記の2つのトランスポザーゼ分子(例えば、Tn5および点変異を含むスーパーアクティブT年または他の種類のトランスポザーゼ)は、1つの上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列、およびもう1つの標準的なトランスポゾンDNA配列と、ハイブリッド転移複合体に組み立てるか、上記の2本鎖構造2のみを使用して、単一のTn5転移複合体を形成することが可能である。上記の標準的なトランスポゾンDNA配列は、増幅プライマー配列および/または配列決定プライマー配列を有し得る。
例えば、上記のDNAは、タンパク質に結合するDNA領域を含み、上記のトランスポザーゼ-核酸複合体は、上記のタンパク質を直接的または間接的に認識する部分をさらに含む。例えば、上記のタンパク質を直接的または間接的に認識する上記の部分には、黄色ブドウ球菌タンパク質A(ProteinA)、連鎖球菌タンパク質G(ProteinG)、連鎖球菌タンパク質L(ProteinL)またはその他の抗体に結合する機能を備えるタンパク質類似体が含まれ得る。例えば、上記のタンパク質を直接的または間接的に認識する上記の部分には、上記のタンパク質に特異的に結合する抗体も含まれ得る。例えば、上記の黄色ブドウ球菌タンパク質A(ProteinA)、連鎖球菌タンパク質G(ProteinG)、連鎖球菌タンパク質L(ProteinL)またはその他の抗体に結合する機能を備えるタンパク質類似体はそれぞれ、上記のタンパク質に特異的に結合する上記の抗体に結合することが可能なものである。
例えば、上記のトランスポザーゼは、融合タンパク質を上記の黄色ブドウ球菌タンパク質A(ProteinA)、連鎖球菌タンパク質G(ProteinG)、連鎖球菌タンパク質L(ProteinL)またはその他の抗体に結合する機能を備えるタンパク質類似体と形成する。
例えば、上記の融合タンパク質は、上記のタンパク質に特異的に結合する上記の抗体に結合して複合体を形成し、次に、上記のタンパク質を標的化する。
例えば、上記のタンパク質に特異的に結合する上記の抗体は、上記のタンパク質に結合し、次に、上記の融合タンパク質は、上記の抗体に結合して上記のタンパク質を標的化する。
例えば、上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列は、異なる上記の抗体を認識/追跡するための抗体認識配列も含み得る。上記の抗体認識配列は、ランダムプライマーと同様の方式で生成することができる。
例えば、上記の付着された標的核酸には、固有の分子同定領域が含まれる。上記の固有の分子同定領域(UMI)とは、複数の核酸分子のそれぞれに付着したユニークな核酸配列を指す。例えば、UMIは、核酸分子に取り込まれている場合、増幅後に配列決定された固有の分子同定領域(UMI)を直接カウントすることにより、その後の増幅バイアスを補正するために用いられる。例えば、上記のバーコード化標的核酸中の単一の核酸配列を、上記の固有の分子同定領域の存在に少なくとも部分的に基づいて、上記の標的核酸中の所定の核酸に由来するものとして同定することを含む。例えば、上記の固有の分子同定領域の存在に基づいて、上記の標的核酸中の所定の核酸の量を決定することを含む場合に、UMIは例えば、WO 2012/142213、Islamら、「自然-方法学」(Nat.Methods)(2014)11:163-166、およびKivioja,T.らの「自然-方法学」(Nat.Methods)(2012)9:72-74の公開で示されているように、当該技術分野周知の方式で設計、取り込み、適用を行い、上記の各文献は参照により全体として本明細書に組み込まれる。例えば、上記の固有の分子同定領域は、上記のオリゴヌクレオチドアダプター配列と上記の標的核酸配列との間に位置する。
例えば、上記の標的核酸は、細胞内の標的分子に結合することが可能なタンパク質、脂質および/または低分子化合物に結合した外因性核酸を含む外因性核酸をさらに含む。例えば、上記のタンパク質は、抗体、抗原を含み得る。例えば、上記の標的分子は細胞内で解析される標的核酸配列を含み得る。
例えば、本明細書に記載の転移反応および方法は、バッチで行われ、次に、複数の離散的な区画がバイオ粒子(例えば、細胞、細胞核、クロマチンまたは細胞ビーズ)単独に覆われるように、バイオ粒子(例えば、単一細胞からの細胞核/細胞/クロマチン)が割り当てられる。例えば、複数の離散的な区画中の離散的な区画が単一のバイオ粒子で構成されるように、複数のバイオ粒子を、複数の離散的な区画に割り当てることができる。
固体支持体
本出願において、上記の固体支持体はビーズを含み得る。例えば、ビーズは、多孔質、無孔質および/またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、ビーズは、固体、半固体、半流体、流体および/またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、ビーズは、可溶性、破壊可能および/または分解可能であってもよい。例えば、ビーズは、非分解性であってもよい。例えば、ビーズは、ゲルビーズであってもよい。ゲルビーズは、ハイドロゲルビーズであってもよい。ゲルビーズは、ポリマーまたはモノマーなどの分子前駆体から形成し得る。半固体ビーズは、リポソームビーズであってもよい。固体ビーズは、酸化鉄、金、銀を含む金属から構成されていてもよい。例えば、ビーズは、シリカビーズであってもよい。例えば、上記のビーズは、磁気ビーズである。例えば、ビーズは、硬質であってもよい。例えば、ビーズは、可撓性および/または圧縮性であってもよい。
例えば、ビーズは、任意の適切な形状を有していてもよい。例えば、ビーズの形状としては、球形、非球形、楕円形、長円形、非晶質、円形、円筒形、およびそれらの変形形態を含むがこれらに限定されない。
例えば、ビーズは、均一なサイズを有していてもよく、不均一なサイズを有していてもよい。例えば、ビーズの直径は、少なくとも約10nm、100nm、500nm、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μm、1mmまたはそれ以上であってもよい。例えば、ビーズの直径は、約10nm、100nm、500nm、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μm、1mm以下であってもよい。例えば、ビーズの直径は、約40-75μm、30-75μm、20-75μm、40-85μm、40-95μm、20-100μm、10-100μm、1-100μm、20-250μmまたは20-500μmの範囲内であってもよい。
例えば、ビーズは、比較的単分散のサイズ分布を有するビーズの集団または複数のビーズとして供給されてもよい。比較的一貫した量の試薬が離散的なパーティション内に供給される必要がある状況では、比較的一貫したビーズ特性(例えば、サイズ)を維持することが全体の一貫性に寄与することができる。特に、本明細書に記載のビーズは、その断面寸法において、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、例えば15%未満、10%未満、5%未満またはそれ以下の変動係数を有するサイズ分布を有していてもよい。
例えば、ビーズは、天然および/または合成材料を含み得る。例えば、ビーズは、天然ポリマー、合成ポリマーまたは天然と合成ポリマーを含み得る。天然ポリマーには、デオキシリボ核酸、ゴム、セルロース、デンプン(例えば、直鎖デンプン、分岐鎖デンプン)、タンパク質、酵素、多糖類、シルク、ポリヒドロキシアルカノエート、キトサン、デキストラン、コラーゲン、カラギーナン、オオバコ、アラビアゴム、寒天、ゼラチン、シェラック、カラヤゴム、キサンタンガム、コーンシロップ、グアーガム、トラガカントゴム、アガロース、アルギン酸、アルギン酸塩たはその天然ポリマーなどのタンパク質や糖類を含み得る。合成ポリマーには、アクリル、ナイロン、シロキサン、スパンデックス、ビスコースレーヨン、ポリカルボン酸、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリ乳酸、シリカ、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレートグリコールエステル、ポリイソブチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリホルムアルデヒド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデンおよび/またはそれらの組み合わせ(例えば、共重合体)を含み得る。ビーズはまた、脂質、ミセル、セラミックス、ガラスセラミックス、材料複合体、金属、その他の無機材料などのポリマー以外の材料から形成することも可能である。
例えば、ビーズは、分子前駆体の重合によってポリマーネットワークを形成することができる分子前駆体(例えば、モノマーまたはポリマー)を含み得る。例えば、前駆体は、例えば、化学的架橋によってさらに重合することが可能な重合された物質であってもよい。前駆体は、例えばアクリルアミドまたはメタクリルアミドのモノマー、オリゴマーまたはポリマーのうちの1つ以上を含み得る。例えば、ビーズは、さらなる重合が可能なオリゴマーであるプレポリマーを含み得る。例えば、プレポリマーを使用してポリウレタンビーズを調製することができる。例えば、ビーズは、さらに一緒に重合することができる個々のポリマーを含み得る。例えば、ビーズは、混合ポリマー、共重合体および/またはブロック共重合体を含むように、異なる前駆体の重合によって生成することができる。例えば、ビーズは、ポリマー前駆体(例えば、モノマー、オリゴマー、線形ポリマー)、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)、プライマーおよび他の実体の間の共有結合またはイオン結合を含み得る。例えば、共有結合は、炭素-炭素結合、チオエーテル結合または炭素-ヘテロ原子結合であってもよい。
例えば、架橋は、使用される特定の架橋剤によって、永久的または可逆的である可能性がある。可逆的な架橋は、適切な条件下でポリマーを直鎖化または解離させることができる。例えば、可逆的な架橋により、結合物質をビーズの表面に可逆的に付着させることも可能である。例えば、架橋剤は、ジスルフィド結合を形成してもよい。例えば、ジスルフィド結合を形成する化学架橋剤は、シスタミンまたは修飾シスタミンであってもよい。
例えば、ジスルフィド結合は、ビーズに組み込まれた分子前駆体単位(例えば、モノマー、オリゴマーまたは線状ポリマー)または前駆体と核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)との間で形成することができる。たとえば、シスタミン(修飾シスタミンを含む)はジスルフィド結合を含む有機試薬であり、ビーズの個々のモノマーまたはポリマー前駆体間の架橋剤として使用することができる。ポリアクリルアミドは、シスタミンまたはシスタミンを含む物質(例えば、変性シスタミン)の存在下で重合して、ジスルフィド結合を含むポリアクリルアミドゲルビーズ(例えば、化学的に還元可能な架橋剤を含む化学的に分解可能なビーズ)を生成することができる。ビーズが還元剤にさらされると、ジスルフィド結合により、ビーズが分解または溶解する可能性がある。
例えば、キトサン(直鎖状多糖類ポリマー)は、親水性鎖を介してグルタルアルデヒドと架橋してビーズを形成することができる。キトサンポリマーの架橋は、熱、圧力、pH変化および/または放射線による化学反応によって達成することができる。
例えば、ビーズは、アガロース、ポリエンアミド、PEGなどの各種モノマーを重合した単一または混合モノマーの高分子や、キチン、ヒアルロン酸、デキストランなどの高分子ゲルを、マイクロ流体液滴プラットフォームを用いて液滴中で重合し、均一なサイズのゲルビーズとすることができる。
例えば、ビーズは、acrydite部分を含み、これは、いくつかの態様において、1つ以上の核酸分子(例えば、バーコード化配列、バーコード化核酸分子、バーコード化オリゴヌクレオチド、プライマー、または他のオリゴヌクレオチド)をビーズに付着させるために使用することができる。例えば、acrydite部分は、重合反応中のacryditeと他のモノマーおよび架橋剤との反応など、acryditeと1つ以上の物質との反応によって生成されるacrydite類似体を指す場合がある。acrydite部分は、例えば核酸分子(例えばバーコード配列、バーコード化核酸分子、バーコード化オリゴヌクレオチド、プライマーまたは他のオリゴヌクレオチド)などの付着させる物質と化学結合を形成するように修飾することができる。acrydite部分はジスルフィド結合を形成することができるチオール基で修飾するか、既にジスルフィド結合を含む基で修飾することができる。チオールやジスルフィド(ジスルフィド交換による)は、付着される物質のアンカーポイントとして使用されたり、acrydite部分の別の部分は付着に使用されたりすることができる。例えば、ジスルフィド結合が切断されると(例えば、還元剤の存在下で)、付着した物質がビーズから放出されるように、付着は可逆的であってもよい。他の場合、acrydite部分は、付着のために使用することができる反応性ヒドロキシル基を含み得る。ジスルフィド結合の他に、UV線による放出誘起など、他の放出方法が含まれていてもよいし、酵素による放出が行われてもよい。
離散的な区画およびマイクロ流体デバイス
本願発明は、固体支持体(ビーズなど)をサンプルと共分散させるためのものであって、例えば、サンプル成分およびビーズを同一の離散的な区画に共分散させる装置を提供するものである。例えば、上記の単一細胞に由来する標的核酸は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した上記の固体支持体と共に、上記の離散的な区画に共分散させる。
例えば、該装置は、任意の適切な材料から形成されてもよい。例えば、装置は、熔融シリカ、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、PDMS、サファイア、シリコン、ゲルマニウム、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、プラスチック、熱硬化性プラスチック、ヒドロゲル、熱可塑性プラスチック、紙、エラストマー及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる材料から形成されてもよい。
例えば、上記の離散的な区画は、ウェルまたは微小滴を含み得る。例えば、上記の単一細胞に由来する標的核酸は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した上記の固体支持体と共に、上記のウェルまたは微小滴に共分散させる。例えば、上記のウェルは、細胞培養プレートのサンプルロードウェル、または上記の装置と協働可能で共分散に適した他の任意の容器ウェルを含み得る。例えば、上記の離散的な区画は微小滴である。例えば、ここで、各上記の離散的な区画は、単一細胞に由来する上記の標的核酸を最大で含む。例えば、上記の標的核酸は、単一細胞または細胞核に位置する。例えば、マイクロ流体デバイスを使用して、上記の単一細胞に由来する標的核酸を、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した上記の固体支持体と共に、上記の離散的な区画に共分散させることができる。
例えば、離散的な区画(例えば、液滴またはウェル)は、単一細胞を含み、本発明に記載の方法に従って処理される。例えば、離散的な区画は、単一細胞および/または単一細胞核を含む。単一細胞および/または単一細胞核は、本発明に記載の方法に従って割り当ておよび処理することができる。例えば、単一細胞核は、細胞の構成要素であってもよい。例えば、離散的な区画は、単一細胞または単一細胞核からのクロマチン(例えば、単一染色体またはゲノムの他の部分)を含み、本発明に記載の方法に従って割り当ておよび処理することができる。
例えば、上記の離散的な区画は、上記のオリゴヌクレオチドタグを上記の付着された標的核酸に連結するリガーゼをさらに含む。上記の離散的な区画には、リガーゼが含まれるがこれに限定されず、他の必要な酵素も含まれる場合がある。例えば、DNAポリメラーゼ、DNAエンドヌクレアーゼ、DNAエキソヌクレアーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、および上記のオリゴヌクレオチドタグを上記の固体支持体から放出することができる光感受性酵素、pH感受性酵素である。上記のリガーゼには、T4リガーゼが含まれるがこれに限定されず、例えば、大腸菌DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳類リガーゼ(例えば、DNAリガーゼI、DNAリガーゼIII、DNAリガーゼIV)、熱安定性リガーゼなども含まれる場合がある。
例えば、上記の装置は、流体流路を含むように形成される。任意の適切な流路を使用することができる。例えば、装置は1つまたは複数の流体流入流路(例えば、入口流路)と1つまたは複数の流体出口流路から構成されている。例えば、流体流路の内径は、約10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、100μm、125μmまたは150μmであってよい。例えば、流体流路の内径は、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、100μm、125μm、150μmまたはそれ以上より大きくてもよい。例えば、流体流路の内径は、約10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、100μm、125μmまたは150μm未満であってもよい。流体流路内の体積流量は、当該技術分野で知られている任意の流速とすることができる。
例えば、上記のマイクロ流体デバイスはマイクロドロップレットジェネレーターである。例えば、マイクロ流体デバイスを使用して、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体とサンプルの両方を含む水性小液滴を形成することにより、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体をサンプル(例えば、標的核酸のサンプルを含む)に組み合わせることが可能である。上記の水性小液滴は離散的な区画として機能する。該水性小液滴は、油中水型エマルション中の水性小液滴などの油相に囲まれた水性コアであってもよい。該水性小液滴は、1つまたは複数の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体、サンプル、増幅試薬や還元剤を含み得る。例えば、該水性小液滴は、水、ヌクレアーゼフリー水、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体、アセトニトリル、固体支持体、ゲル状固体支持体、ポリマー前駆体、ポリマーモノマー、ポリアクリルアミドモノマー、アクリルアミドモノマー、分解性架橋剤、非分解性架橋剤、ジスルフィド結合、acrydite部分、PCR試薬、細胞、細胞核、葉緑体、ミトコンドリア、リボソーム、プライマー、ポリメラーゼ、バーコード、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、ペプチドポリヌクレオチド、相補的DNA(cDNA)、2本鎖DNA(dsDNA)、1本鎖DNA(ssDNA)、プラスミドDNA、コスミドDNA、染色体DNA、ゲノムDNA、葉緑体DNA、ミトコンドリアDNA、リボソームRNA、ウイルスDNA、細菌DNA、mtDNA(ミトコンドリアDNA)、mRNA、rRNA、tRNA、nRNA、siRNA、snRNA、snoRNA、scaRNA、マイクロRNA、dsRNA、プローブ、染料、有機物、乳化剤、界面活性剤、安定剤、ポリマー、アプタマー、還元剤、開始剤、ビオチンマーカー、フルオロフォア、緩衝液、酸性溶液、アルカリ溶液、光感受性酵素、pH感受性酵素、水性緩衝液、油、塩、洗剤、イオン性洗剤、非イオン性洗剤などの1以上を含んでよい。要するに、該水性小液滴の組成は、特定の処理要件に応じて変化する。
水性小液滴は、均一なサイズまたは不均一なサイズを有し得る。例えば、水性小液滴の直径は、約1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、45μm、50μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μmまたは1mmであってよい。例えば、流体小液滴は、少なくとも約1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、45μm、50μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μm、1mmまたはそれ以上の直径を有し得る。例えば、流体小液滴は、約1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、45μm、50μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μmまたは1mm未満の直径を有し得る。例えば、流体小液滴は、約40-75μm、30-75μm、20-75μm、40-85μm、40-95μm、20-100μm、10-100μm、1-100μm、20-250μmまたは20-500μmの範囲内の直径を有し得る。
上述のように、上記のマイクロ流体デバイス(例えば、小液滴発生器)は、サンプルを固体支持体(例えば、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体のライブラリをバーコード化する)、および(必要な場合)固体支持体を分解できる試薬(例えば、固体支持体がジスルフィド結合で連結している場合には還元剤)と組み合わせるために使用することができる。例えば、サンプル(例えば、核酸サンプル)は、第1流体交差部(例えば、第1流体接合部)に流体的に接続される第1流体流入流路に供給され得る。予め形成された固体支持体(例えば、分解性固体支持体などの少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体)は、同様に第1流体交差部にも流体的に接続されている第2流体流入流路に供給され得、ここで、第1流体流入流路が該第1流体交差部において第2流体流入流路と合流する。サンプルは、混合物(例えば、水性混合物)を形成するように、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体と第1流体交差部で混合され得る。例えば、還元剤(または、界面活性剤、安定剤、ポリマー、アプタマー、開始剤、ビオチンマーカー、フルオロフォア、緩衝液、酸性溶液、アルカリ溶液、光感受性酵素、pH感受性酵素、水性緩衝液などの他の必要な試薬)は、同様に第1流体交差部にも流体的に接続され第1および第2流体流入流路に第1流体交差部で合流する第4流体流入流路に供給され得る。次いで、還元剤を、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体およびサンプルと第1流体交差部で混合することができる。例えば、還元剤(または、界面活性剤、安定剤、ポリマー、アプタマー、開始剤、ビオチンマーカー、フルオロフォア、緩衝液、酸性溶液、アルカリ溶液、光感受性酵素、pH感受性酵素、水性緩衝液などの他の必要な試薬)は、サンプルが第1流体流入流路を経由してマイクロ流体デバイスに供給され、および/または少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体が第2流体流入流路を経由してマイクロ流体デバイスに供給されるように、マイクロ流体デバイスに流れ込む前にサンプルおよび/または少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体と予め混合される。
例えば、標的核酸を含むサンプルと少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体の混合物は、第1流体交差部(第1流体交差部を構成する任意の流体流路)に流体的に接続する第1出口流路を通過して第1流体交差部から離間する。混合物は、第1出口流路に流体的に接続する第2流体交差部(例えば、第2流体接合部)に供給されてもよい。例えば、油(または他の適切な非混和性)流体は、第2流体交差部(該交差部を構成する任意の流体流路)に流体的に接続し第2流体交差部で第1出口流路に合流する1つまたは複数の別個の流体流入流路から、第2流体交差部に流れ込むことができる。例えば、油(または他の適切な非混和性流体)は、第2流体交差部(第1出口流路)に流体的に接続し第2流体交差部で第1出口流路および互いに合流する1つまたは2つの別個の流体流入流路に供給され得る。油およびサンプルと少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体との混合物は第2流体交差部で混合されてもよい。形成される水性小液滴は、第2流体交差部から離れる第2流体出口流路を通じて油中に搬送されてもよい。例えば、形成される水性小液滴は、第1流体交差部から離れ、第2出口流路の流体小液滴は、さらなる処理のためにウェルに割り当てられてよい。
例えば、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体に対する標的核酸を含むサンプルの占有率を制御することも可能である。このような制御は、米国特許出願公開第20150292988号に記載されている通りであり、その開示全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。一般に、標的核酸を含むサンプルは、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上の小液滴が少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した1つを超えない固体支持体を含むように、小液滴に形成されている。また、標的核酸を含むサンプルの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上が、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着したちょうど1つの固体支持体を含む小液滴を形成するようにされる。
例えば、サンプルは、混合物がマイクロ流体デバイスに入る前に、他の任意の試薬(例えば、サンプル増幅に必要な増幅剤、還元剤など)を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体(例えば、分解性固体支持体)と予め混合して、水性反応混合物を生成することが可能である。該混合物は、水性混合物が流体装置に入る場合、第1流体流入流路から流体交差部に流れ込む。例えば、油相は、同様に流体交差部に流体的に接続する第2流体流入流路(例えば、第1流体流入流路に垂直又は実質的に垂直になる流体流路)から流体交差部に流れ込む。該水性混合物および油は、油中水型エマルション(例えば、固体支持体-水-油型エマルジョン)が形成されるように、流体交差部で混合されてもよい。該エマルションは連続した油相中の複数の水性小液滴(例えば、水性反応混合物を含む小液滴)を含み得る。例えば、各水性小液滴は、単一の固体支持体(例えば、同じセットのバーコードに付着しているゲル状固体支持体)、サンプルのアリコート(例えば、1つの細胞からの標的核酸)および任意の他の試薬(例えば、還元剤、サンプル増幅に必要な試薬など)のアリコートを含み得る。例えば、流体小液滴は少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した複数の固体支持体を含み得る。小液滴は、その形成中に、連続した油相によって、流体交差部から離れる流体出口流路を通るように搬送されることができる。出口流路を出た流体小液滴はさらなる処理のためにウェルに分配されることができる。
第2流体交差部で形成される流体小液滴は、還元剤をマイクロ流体デバイスに入る前にサンプルに添加できる場合、または還元剤を第1流体交差部で添加できる場合、還元剤を含み得る。この場合、小液滴が第2流体交差部から離れる出口流路を移動する際に、還元剤が、流体小液滴に含まれる固体支持体を分解または溶解させることができる。
例えば、マイクロ流体デバイスは、3つの離散的な流体交差部を並列に含み得る。流体小液滴は、これら3つの流体交差部のいずれにも形成される可能性がある。サンプルと少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体は、これら3つの流体交差部のいずれかで混合されてよい。還元剤(または浸透剤、増幅剤、固体支持体からオリゴヌクレオチドタグを放出するための切断剤などの他の任意の必要な試薬)は、これら3つの流体交差部のいずれかで添加されてもよい。油は、これら3つの流体交差部のいずれかで添加されてもよい。
例えば、上記のマイクロ流体デバイスは、流出流路に流体的に接続する接合部で合流する第1流入流路および第2流入流路を備える。例えば、出口流路は、接合部において第3流入流路に流体的に接続されてもよい。
例えば、上記の方法は、上記の標的核酸を含むサンプルを上記の第1流入流路に導入し、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した上記の固体支持体を上記の第2流入流路に導入することによって、上記の流出流路に上記のサンプルと少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した上記の固体支持体との混合物を生成することをさらに含んでいる。
例えば、第3流入流路と出口流路に接合部で合流する第4流入流路も含まれる。例えば、マイクロ流体デバイスは、第1、第2および第3流入流路を含んでよく、ここで、第3流入流路は、第1流入流路、第2流入流路に接合部で合流するか、第1流入流路は、第2流入流路に接合部で合流する。例えば、上記の流出流路は、第3流入流路に接合部で流体的に接続する。例えば、上記の第1流入流路は、上記の第2流入流路との間に互いに対して実質的に垂直な角度を形成する。
例えば、油を上記の第3流入流路に導入することによって、油中水型エマルション中の水性微小液滴を上記の離散的な区画として形成することも含む。例えば、各上記の離散的な区画は、単一細胞に由来する上記の標的核酸を最大で含有する。
本願発明に係る方法、組成物、装置およびキットは、任意の適切な油と共に使用されることが可能である。例えば、油は、微小滴を生成するために用いられる。例えば、該油は、フッ素油、シリコーン油、鉱物油、植物油、およびそれらの組み合わせを含み得る。
例えば、マイクロ流体デバイス内の水性流体は、アルコールも含み得る。例えば、アルコールは、グリセロール、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ペンタノール、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、およびそれらの組み合わせであってもよい。該醇は、水性流体に約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%(v/v)で存在し得る。例えば、該醇は、水性流体に少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%またはそれ以上(v/v)の濃度で存在し得る。例えば、該醇は、水性流体に約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%(v/v)未満で存在し得る。
例えば、上記の油は、エマルションを安定化させるために界面活性剤を含んでもよい。例えば、界面活性剤は、フッ素系界面活性剤、Krytox潤滑剤、Krytox FSH、エンジニアード流体、HFE-7500、シリコーン化合物、bis krytoxpeg(BKP)などのPEG含有シリコン化合物であってもよい。該界面活性剤は、約0.1%、0.5%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、5%または10%(w/w)で存在し得る。例えば、該界面活性剤は、少なくとも約0.1%、0.5%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、5%、10%(w/w)またはそれ以上の濃度で存在し得る。例えば、該界面活性剤は、約0.1%、0.5%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、5%または10%(w/w)未満で存在し得る。
例えば、油に促進剤および/または開始剤を添加することができる。例えば、促進剤は、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDAまたはTEMED)であってもよい。例えば、開始剤は過硫酸アンモニウムやカルシウムイオンであってもよい。該促進剤は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%または2%(v/v)で存在し得る。例えば、該促進剤は、少なくとも約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%または2%(v/v)またはそれ以上の濃度で存在し得る。例えば、該促進剤は約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%または2%(v/v)未満で存在し得る。
細胞とサンプル
本出願において、上記の細胞は、任意の生体の細胞である。上記の生体の細胞は、インビトロ細胞(例えば、樹立された培養細胞株)であってもよく、単離細胞(個体からの培養細胞、初代細胞)であってもよい。細胞は、様々な組織からの細胞などのインビボ細胞(生体内の細胞)であってもよい。
例えば上記の生体の細胞は、動物細胞、植物細胞、微生物細胞を含み得る。例えば、上記の植物細胞は、シロイヌナズナの細胞を含んでもよく、また、小麦、トウモロコシ、米、ソルガム、キビ、大豆等の農作物の細胞やその他の植物体細胞を含んでもよく、また、アプリコット、オレンジ、レモン、リンゴ、プラム、ナシ、アーモンド、クルミなどを産生する植物体などの果実・ナッツ類植物の細胞も含んでもよい。例えば上記の植物細胞は、根細胞、葉細胞、木部細胞、靭皮細胞、形成層細胞、頂端分裂細胞、薄肉組織細胞などの植物体の任意部位に由来する細胞であってもよい。
例えば、上記の微生物細胞は、細菌(例えば、大腸菌、古細菌)、真菌(例えば、酵母)、放線菌、リケッチア、マイコプラズマ、クラミジア、スピロヘータなどを含み得る。
例えば、上記の動物細胞は、無脊椎動物(ショウジョウバエ、線虫、渦虫など)細胞、脊椎動物(ゼブラフィッシュ、ニワトリ、哺乳類など)細胞などを含み得る。
例えば、上記の哺乳類細胞は、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ、ネコ、サル、ヒトなどを含み得る。
例えば、上記の動物細胞には、幹細胞、人工多能性幹(iPS)細胞、生殖細胞(卵母細胞、卵細胞、精子細胞など)、成体幹細胞、体細胞(線維芽細胞、造血細胞、心筋細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、肝細胞、膵臓細胞、上皮細胞、免疫細胞及び肺、脾臓、腎臓、胃、大腸、小腸等の内臓又は組織由来の細胞等)、胚のin vitroまたはin vivoでの任意の段階の細胞などの、生体の任意の組織から得られる細胞が含まれている場合がある。
例えば、上記の細胞は、生体液に由来する細胞であってもよい。例えば、上記の生体液には、脳脊髄液、房水、リンパ液、消化液(唾液、胃液、小腸液、胆汁など)、母乳、血液、尿、汗、涙、糞便、呼吸器分泌物、生殖器分泌物(精液、頸管粘液)などが含まれている場合がある。
上記のサンプルには、上記の細胞および/またはそれから得られる細胞核が含まれる。
例えば、上記のサンプルは、上記の生体の核酸分子を含み得る。上記の核酸分子は、DNAやRNAを含む核酸分子を単離するための当業者に知られている技術的手段によって任意の生体から単離・抽出することができる。例えば、核酸分子は、上記の生体の細胞または生体液から抽出される。
例えば、上記の標的核酸は、上記の任意の細胞に由来する核酸を含み得る。例えば、単一細胞中の核酸である。
例えば、上記の標的核酸は、2本鎖DNAなどの単一細胞のポリヌクレオチドに由来し得る。例えば、上記の2本鎖DNAは、ゲノムDNA、例えば、コードDNAおよび非コードDNA;例えば、オープンクロマチン領域DNA、タンパク質結合部位DNA、ミトコンドリアDNAおよび葉緑体DNAを含み得、例えば、上記のポリヌクレオチドは、リボソームRNA、mRNAなどのRNAを含み得る。
例えば、該標的核酸はまた、ホルマリン固定パラフィン包埋(Formalin-Fixed and Parrffin-Embedded、FFPE)由来の細胞を含む試料であり得る。
例えば、上記の標的核酸はまた、生物ゲノム中のSNP部位を含む配列、メチル化またはヒドロキシメチル化によって修飾されるヌクレオチド配列を有し得る。
例えば、上記の細胞は、前処理されてもよい。例えば、上記の前処理はまた、上記の細胞の細胞核を露出させることをさらに含む。例えば、溶解緩衝液および濃縮スクロース溶液で処理することにより、細胞核を露出させることができる。
例えば、上記の細胞および/またはそれから露出(取得)された上記の細胞核を適切なマトリックスに封入して微小球を形成し、上記の微小球をサンプルとして反応させる。
例えば、上記の前処理は、上記の細胞および/またはそれから露出(取得)された上記の細胞核を固定することを含む。例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、アセトン、グルタルアルデヒド、オスミウム酸および重クロム酸カリウムからなる群から1つ以上選択される固定試薬を用いて上記の細胞を固定する。
ここで、上記の前処理は、上記の細胞または細胞核を、Triton、NP-40および/またはジギトニンを含む界面活性剤で処理することを含み得る。
例えば、上記の前処理は、ミトコンドリア、葉緑体、リボソームなどのオルガネラを除去することも含み得る。
例えば、細胞を溶解試薬と共に割り当てることにより、離散的な区画内の細胞の内容物を放出させることができる。例えば、細胞が追加の流路を介して微小滴生成領域に導入されると同時に、または細胞が微小滴生成領域に導入されようとするときに、溶解剤を細胞懸濁液に接触させることによって行うことができる。溶解剤には、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、リゾスタフィン、キタラーゼ(kitalase)、リチカーゼ(lyticase)および他の市販の溶解酵素などの、異なる細胞タイプ(例えばグラム陽性(gram positive)または陰性の細菌、植物、酵母、哺乳類など)を溶解するためのリゾチームなどの生物活性試薬が含まれる。例えば、他の溶解剤も、細胞内容物を離散的な区画に放出するように細胞と共分散させることができる。例えば、界面活性剤に基づく溶解溶液を、細胞を溶解するのに用いることができ、例えば、溶解溶液はTritonX-100およびツイーン(Tween)20などの非イオン性界面活性剤を含み得る。例えば、溶解溶液は、サルコシル及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのイオン界面活性剤を含み得る。例えば、他の方法(エレクトロポレーション、熱的、音響的、または機械的細胞崩壊)を用いる溶解方法が使用されてもよい。
組成物およびキット
本願発明は、それぞれ少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着された複数の固体支持体であって、ここで、各上記のオリゴヌクレオチドタグは、バーコード配列および上記のバーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および上記の第1鎖の上記のハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに被検核酸中の配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、上記の第1鎖と上記の第2鎖が部分的2本鎖構造を形成するか、上記の第2鎖と上記の付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成する複数の固体支持体を含み、上記のオリゴヌクレオチドタグのバーコード配列は、共通バーコードドメインと可変ドメインを含み、上記の共通バーコードドメインは、同一の固体支持体に付着したオリゴヌクレオチドタグにおいて同一であり、上記の複数の固体支持体のうちの2つ以上の間で異なる、組成物をも提供する。本願発明は、さらに、本発明に記載の組成物を含む細胞に由来する標的核酸を解析するためのキットを提供する。例えば、上記のキットは、トランスポザーゼをさらに含み得る。例えば、上記のキットは、核酸増幅用試薬、逆転写試薬、固定試薬、透過化試薬、連結剤と切断剤中の少なくとも1つをさらに含む。
以下の実施例は、いかなる理論によっても限定されることを望むことなく、本願発明に係る方法および使用を釈明することのみを意図しており、本願発明の範囲を限定するものではない。
実施例
実施例1オープンクロマチン領域の検出(ATAC)
(1)固相支持体上に固定されたバーコード配列を有するヌクレオチドタグを調製した。
該ヌクレオチドタグは、2本の鎖を含み、以下に示すように、部分的2本鎖構造1を形成している。
鎖I:固相支持体~付着配列--バーコード配列(barcode)--ハイブリダイゼーション配列(鎖IIの相補部分とハイブリダイズした固定配列)、ここで、バーコード配列(barcode)は(barcode-linker)nが1以上であった。
具体例:Bead-acrydite-S-S-ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(read1、SEQ ID NO: 6)-barcode-ATCCACGTGCTTGAG(SEQ ID NO: 12)
鎖II:ハイブリダイゼーション配列(鎖Iの固定DNA配列とハイブリダイズした固定配列)-トランスポゾン複合体の鎖Iの5’末端に相補的な配列
具体例:CGAATGCTCTGGCCTCTCAAGCACGTGGAT(SEQ ID NO:9)
固体支持体は、マイクロ流体デバイスによって調製されるポリアクリルアミド微小球であり、アクリルアミド:Bis混合物、およびacrydite-DNAプライマー、APS誘発剤を、マイクロ流体デバイスで液滴に混合し、その液滴がTEMED触媒を含有し、ゲル状微小球に自発的に重合して、その後barcode合成に従って標識された。
連結反応では、溶液中に10mM DTTが含まれており、S-S結合が還元されることによりプライマーを放出することができた。
(2)トランスポゾン複合体を調製し、部分的2本鎖DNA配列を有するTn5トランスポゾンを組み立てた。
そこに含まれるDNA配列の1つは、A鎖とB鎖がアニーリングして2本鎖構造2を形成しているものであった。
鎖A:リン酸基--鎖IIの核酸分子の鎖Iまたは鎖IIの固定DNA配列に少なくとも部分に相補的な配列--(UMI)--Tn5トランスポザーゼ結合配列
具体例:AGGCCAGAGCATTCGNNNNNNNAGATGTGTATAAGAGACAG(SEQ ID NO: 5)
鎖B:Tn5トランスポザーゼ結合配列(鎖Aのトランスポゾンタンパク質(Tn5)結合配列に相補的な配列)--リン酸基
具体例:p-CTGTCTCTTATACACATCT(SEQ ID NO: 4)
ここで、A鎖のUMIは必須ではなく、(1)および(2)の配列は、5mCなどの修飾塩基を含み得る。
Tn5転移複合体は二量体であり、2つのTn5タンパク質は挿入部位が1または2種類のDNAによって標識されるように、同一または異なる部分的2本鎖DNAトランスポゾンに結合することができ、また、Tn5タンパク質(点変異スーパーアクティブまたは他の種類のトランスポザーゼを含み得る)は、上記の2本鎖構造2、および別の標準的なトランスポゾンDNAと組み合わせて、ハイブリッド転移複合体に組み立てるか、上記の2本鎖構造2のみを使用して、単一のTn5転移複合体を形成した。
(3)サンプルを調製した。非固定細胞または細胞核、ホルムアルデヒド(または他の固定試薬)で固定された細胞または細胞核、非固定または固定組織切片などであった。ここで、固定または非固定サンプルは、界面活性剤(Triton、NP-40またはDigitoninなど)を含む緩衝液で処理され、また、細胞核を得るために細胞(非固定サンプル)を溶解する中間ステップも含まれる場合があり、Tn5酵素は、界面活性剤が細胞および細胞核を溶解または透過することによって、細胞核に入って作用することができた。代表的な浸透剤溶液には、Tris、スクロース、塩化ナトリウム、界面活性剤が含まれている。
(4)転移反応。上記の処理されたサンプルに、2価の金属イオン(例えば、マグネシウムイオン)を含むTn5酵素緩衝液を加え、組み立てられたTn5転移複合体を加え、ATAC転移反応(37℃、30分~2時間)を行った。すなわち、該反応系には、細胞または細胞核または組織、Tn5転移複合体、緩衝液が含まれる。反応後、サンプルを緩衝液で洗浄し、未反応のTn5酵素を除去した。
(5)連結反応。T4 DNAリガーゼ反応緩衝液を加え、ステップ(1)のヌクレオチドタグ、T4 DNAリガーゼ、ヌクレオチドタグを連結し、適温(4℃~37℃)で20分以上連結反応を行った。
反応系には、細胞または細胞核または組織(転移反応後)、T4 DNAリガーゼ、ヌクレオチドタグが含まれており、反応後、過剰な遊離およびヌクレオチドタグに相補的な配列を連結反応系に加え、未反応の余分なヌクレオチドタグをブロックした。
(6)細胞からDNAを抽出した。非固定サンプルの場合、溶解バッファーを直接追加後DNA抽出キットや磁気ビーズなどの方法で精製し、固定サンプルの場合、プロテイナーゼK反応緩衝液、プロテイナーゼKを加え、55-65℃で脱架橋後DNAを精製した。
精製したDNAの場合、1)ヘテロ接合型Tn5を用いて実施した場合、産物の両側にPCR増幅配列があるため、そのまま増幅して、配列決定ライブラリを得ることができた。
2)単一のTn5を用いて実施した場合、DNA産物は片側にしかPCRプライマーを持たないため、このDNAを切断して連結し、もう片側に増幅プライマーを加える必要があり、これは単一のTn5酵素で行うこともできるし、超音波または消化で切断を行うこともでき、そして、末端にAを加えて、アダプターを連結し、最後に配列決定ライブラリを得た。
上記のステップに従って、ヒト293T細胞を例として、新鮮な細胞を採取し、細胞核を調製し、ヘテロ接合型Tn5でATAC反応を行い、そして、1つのIllumina配列決定ライブラリのP5末端(read1)側の増幅配列のアダプターを連結して、ライブラリを構築し、read1プライマーとヘテロ接合型Tn5の別のDNA断片のread2プライマーで産物を増幅させ、最後に解析した。具体的なステップは以下の通りであった。
A. Tn5トランスポゾン(transposome)
次の配列をアニールして2本鎖を形成した。
10uM Top1 5’p- AGGCCAGAGCATTCGNNNNNNNAGATGTGTATAAGAGACAG(SEQ ID NO: 5)(鎖A)
10uM Top2 GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAG(SEQ ID NO: 3)(鎖A)
20uM Bottom 5’p-CTGTCTCTTATACACATCT(SEQ ID NO: 4)(鎖B)
その後、10uMのTn5酵素(Epicenter社から購入)と共に室温でインキュベートし、10uM濃度のTn5トランスポゾンに組み立て、Top1/ Bottom2本鎖とTn5で形成したトランスポゾンはp-Tn5、Top2/ Bottom2本鎖とTn5で形成したトランスポゾンはTn5-Bであった。
B. ビーズの調製
1)Beadに付着した配列は以下の通りであった。Bead-S-S-PCR adaptor-barcode1-linker1-barcode2-linker2
-barcode3-ligation linker
ここで、PCRアダプター(adaptor)配列はACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 6)、連結配列1(Linker1)はCGACTCACTACAGGG(SEQ ID NO: 7)、連結配列2(Linker2)配列はTCGGTGACACGATCG(SEQ ID NO: 8)、Ligation linker配列はATCCACGTGCTTGAG(SEQ ID NO: 12)であった。Barcode1=96種類の5bp塩基配列、Barcode2=96種類の5bp塩基配列、Barcode1=96種類の5bp塩基配列。
2)3x96種類の配列の合成
1. PCR handle-96xbarcode1-linker1、この配列の逆相補的配列を96個合成し、
2. linker1-96xbarcode2-linker2、この配列の逆相補的配列を96個合成し、
3. linker2-96xbarcode3-ligation linker、この配列の逆相補的配列を96個合成した。
3)微小球の合成:
次のアミノ酸配列:5’amine-S-S-ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 6)と30umカルボキシル修飾微小球(Zhiyi, KBsphere(登録商標)、www.kbspheres.com/productshow.asp?id=903 )を合成した。
カップリング反応:微小球+50mM EDC+100uMアミノ酸配列(SEQ ID NO: 6)は、アミノ酸配列をカルボキシル微小球とカップリングして、次の構造:bead-S-S- ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 6)を得た。
4)タグの付着
合成された微小球を96ウェルプレートに均等に分け、PCR handle-96xbarcode1-linker1をそれぞれ加え、1ラウンド目のバーコーディング(barcoding)反応を行った。反応系およびプロセスは以下のように、10ul 微小球 + 2ul BstI 緩衝液 + 1ul 10uM dNTP + 1ul 100uM PCR handle-96xbarcode1-linker1になっており、次に、95℃で5分間、60℃で20分間保持し、次に、1ul BstI+5ul H2Oを加え、60℃で60分間保持した。
1ラウンド目のバーコーディング反応終了後、全ての微小球を回収、混合し、5分間の95c反応により相補的鎖を除去、洗浄し、1ラウンド目のバーコーディング(96xbarcode1-linker1)の微小球を得た。その後、微小球を96ウェルプレートに均等に分け、linker1-96xbarcode2-linker2(2ラウンド目)、linker2-96xbarcode3-ligation linker(3ラウンド目)を加え、1ラウンド目のシステム方法に従って2ラウンド目と3ラウンド目のバーコーディング反応を行い、最終的にトリプルbarcode付きの1本鎖微小球を得て洗浄後、相補的配列CGAATGCTCTGGCCTCTCAAGCACGTGGAT(SEQ ID NO:9)とアニーリングして部分的2本鎖構造を形成し、最後に部分的2本鎖構造が付着した以下の微小球を得た。
Bead-S-S-ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 6)-barcode1-CGACTCACTACAGGG-barcode2- TCGGTGACACGATCG(SEQ ID NO: 8) -barcode3- ATCCACGTGCTTGAG(SEQ ID NO: 12)
3’-TAGGTGCACGAACTCTCCGGTCTCGTAAGC-5’(SEQ ID NO:9の逆配列)
C. ATAC実験
ヒト293T細胞株を溶解バッファー(10 mM Tris-Cl, pH 7.4; 10 mM NaCl; 3 mM MgCl2 ; 0.01% NP-40)に再懸濁し、細胞を溶解して細胞核を得た。
10万個の細胞核を取り、ステップ(1)で得られたp-Tn5、Tn5-Bと反応させ、反応系は以下のような
25ul 2xTD Buffer (Illumina) + 2.5ul 10uM p-Tn5 + 2.5ul 10uM Tn5-B + 20ul 細胞核(10万個)であり、37℃で30分間反応させ、PBSで細胞核を洗浄した。
D. 高スループット標識化
細胞の標識化には、図8に示すようなマイクロ流体チップが用いられ、微小球流路(Bead channel):100um、細胞核流路(Nuclei Channel):50umであった。
次の溶液:
200ul 10xT4 DNA ligase Buffer、10ul T4 DNA ligase、10ul 1M DTT、780ul細胞核/水を含む、細胞核溶液1ml(100細胞核/ul濃度)を用意した。
bead溶液(100 bead/ul濃度):Bead in PBS。
細胞核溶液、bead溶液、油(FC40フルオロカーボン油、1% 界面活性剤FluoroSurfactant含有、Ran Biotech)はマイクロ流体チップ上で120um直径の液滴(drop collection)を形成し、37℃で1時間連結した。
E. ライブラリーの構築
ステップDの液滴に等量のパーフルオロオクタノールを加えて液滴を破砕し、遠心分離して水相を取り出し、Qiagen DNA purification kitで水相中のDNAを精製し、以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72c 30sec、18サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
上記のライブラリは、約500細胞を投入し、1細胞あたり10万PE150 readsを配列決定し、総データ量は15Gであった。
データ解析と品質管理にはesATACソフトウェアが使用され、全ての配列決定データをマージして解析した。結果は、図5-7に示されており、配列決定された断片のサイズは典型的なATACヌクレオソーム勾配を示し(図5参照)、シグナルに富む転写開始点(TSS)は典型的なATACシグナルを示し(図6A、6B参照)、ピーク(peaks)は既知のオープン領域に強く重なっており(図7参照)、合計ピーク値は11898、DNaseI過敏部位アンサンブルに入るピーク比率(Peaks overlaped with union DHS ratio)は74.0%、ブラックリストと重なったピーク比率(Peaks overlaped with blacklist ratio)は0.5%、FRiP(Fraction of reads in peaks、ピーク内のリード割合)は99.8%であった。これらの結果から、本手法は細胞内のTn5媒介ATAC挿入産物を正確に検出できることが示された。
F. 単一細胞データの分割と解析
上記の配列決定データについて、まず、Dropseq pipelineで細胞核酸タグ(cell barcode)を認識し、read1では、1-45bpがbarcode位置になり、96x96x96種類のbarcodeの可能な組み合わせに従って、各barcodeのread数をカウントし、スタッキングカーブを描き、図9に示すように、ライブラリに存在する有効細胞数は約400個であると判断された。
ii.各細胞のunique mapped reads数を取得し、その分布を図10に示し、すなわち、各細胞で平均化されたATAC reads数の中央値は約10000であり、Bing Renの約2-3000の平均値よりも優れている。
iii. 単一細胞ATACの結果は、各readをゲノム上の位置(dropseqプログラムフローで取得)と比較した情報をIGVゲノムブラウザにロードして可視化すると、図11のような結果になり、図の下部は遺伝子領域における45個の単一細胞のATACデータの分布であり、図の中央は45個の単一細胞のATACデータを合計した結果であり、それは、図の上部にある多数の細胞(約1万個)のATACパターンと非常によく似ており、遺伝子転写開始位置にあることがわかる。
iv. 単一細胞の相関解析は、R言語パッケージでPearson Correlationの関数を計算することで図12に示す結果が得られ、図の色が濃くなるほど細胞間の相関が高いことを示しており、図から単一細胞のATAC信号が高い相関を示し、この方法で得られた単一細胞データの真の精度を示していることがわかる。
実施例2 DNAとタンパク質の相互作用の検出
(1)CUT&Tagは、従来のChIP-seq法に代わるDNA-タンパク質の相互作用を研究する最新の方法であって、その原理は、タンパク質A(異なる種由来の抗体重鎖の保存領域に結合できる細胞由来のタンパク質)がTn5と融合したタンパク質で、タンパク質Aと抗体の結合によりTn5酵素を抗体の結合した標的タンパク質に標的化させ、Tn5酵素の転座活性によって標的タンパク質が結合しているDNA領域に直接DNA断片を挿入することによって、この産物を増幅して塩基配列を決定し、タンパク質の結合部位に関する情報を直接得ることができる。したがって、CUT&Tagの分子産物は、ATACのTn5酵素挿入部位がオープンクロマチン領域にあり、CUT&TagではTn5挿入部位が標的タンパク質の周辺にあること以外はATACと同じなので、この産物は、実施例1のATACと同様の方法で、ATACと同様のDNAトランスポゾンを用いて標識され、同様にTn5転移複合体や、ハイブリッドTn5転移複合体を組み立てることが可能である。異なるステップは、Tn5転移複合体をタンパク質AまたはG-Tn5融合タンパク質で組み立てること、複数の抗体を区別するために、DNAトランスポゾンは上部にATAC Tn5の配列に加えて、異なる位置にも複数の抗体を区別するように抗体認識コードを含み得ることである。
(2)サンプルの調製:非固定細胞または細胞核、ホルムアルデヒド(または他の固定試薬)で固定された細胞または細胞核、非固定または固定組織切片などであってもよい。ここで、固定または非固定サンプルは界面活性剤(Triton、NP-40またはジギトニンなど)を含む緩衝液で処理され、また、細胞核を得るために細胞(非固定サンプル)を溶解する中間ステップも含まれる場合があり、Tn5酵素は、界面活性剤が細胞および細胞核を溶解または透過することによって、細胞核に入って作用することができた。
(3)抗体の結合。血清BSAなどでサンプルをブロックし、そして、1回抗体を加えて標的タンパク質に結合させ、余分な1回抗体を洗浄により除去した。1回抗体に対する二次抗体を用いて、サンプルへの結合を継続し(該ステップは必要ない)、タンパク質A/Gの結合部位を増やし、シグナルを増幅させることができる。2つのタンパク質の相互作用を同時に検出したい場合は、1回抗体およびタンパク質A/G-Tn5融合タンパク質を複合体として結合させ、各抗体の結合したタンパク質A/G-Tn5融合タンパク質のDNAは、それぞれ異なる抗体認識コードを持っている。2つ以上の1回抗体-タンパク質A/G-Tn5融合タンパク質複合体を、細胞/組織に直接結合させ、Tn5を標的タンパク質の周りにワンステップで運んだ。
(4)転移反応。タンパク質A-Tn5融合タンパク質(1回抗体-タンパク質A-Tn5融合タンパク質複合体)でサンプルを結合させ、過剰な酵素を洗浄後、サンプルに二価イオンを含むTn5反応液を加え、転移反応を行った(37℃、30分~2時間)。
(5)連結反応およびその後処理を実施例1と同様に実施し、ライブラリを構築し、配列決定を行った。
具体的なステップは以下の通りであった。
(1)固相支持体上に固定されたバーコード配列を有するヌクレオチドタグを調製した。
該ヌクレオチドタグは、2本の鎖を含み、以下に示すように、部分的2本鎖構造1を形成している。
鎖I:固相支持体~付着配列--バーコード配列(barcode)--ハイブリダイゼーション配列(鎖IIの相補部分とハイブリダイズした固定配列)、ここで、バーコード配列(barcode)は(barcode-linker)nが1以上であった。
具体例:Bead-acrydite-S-S-ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(read1、SEQ ID NO: 6)-barcode-ATCCACGTGCTTGAG(SEQ ID NO: 12)
鎖II:ハイブリダイゼーション配列(鎖Iの固定DNA配列とハイブリダイズした固定配列)-トランスポゾン複合体の鎖Iの5’末端に相補的な配列
具体例:CGAATGCTCTGGCCTCTCAAGCACGTGGAT(SEQ ID NO:9)
固体支持体は、マイクロ流体デバイスによって調製されるポリアクリルアミド微小球であり、アクリルアミド:Bis混合物、およびacrydite-DNAプライマー、APS誘発剤を、マイクロ流体デバイスで液滴に混合し、その液滴がTEMED触媒を含有し、ゲル状微小球に自発的に重合して、その後barcode合成に従って標識された。
連結反応では、溶液中に10mM DTTが含まれており、S-S結合が還元されることによりプライマーを放出することができる。
(2)トランスポゾン複合体を調製し、部分的2本鎖DNA配列を有するpA-Tn5トランスポゾンを組み立てた。
そこに含まれるDNA配列の1つは、A鎖とB鎖がアニーリングして2本鎖構造2を形成しているものであった。
鎖A:リン酸基--鎖IIの核酸分子の鎖Iまたは鎖IIの固定DNA配列に少なくとも部分に相補的な配列--(UMI)--Tn5トランスポザーゼ結合配列
具体例:AGGCCAGAGCATTCGNNNNNNNAGATGTGTATAAGAGACAG(SEQ ID NO: 5)
鎖B:Tn5トランスポザーゼ結合配列(鎖Aのトランスポゾンタンパク質(Tn5)結合配列に相補的な配列)--リン酸基
具体例:p-CTGTCTCTTATACACATCT(SEQ ID NO: 4)
ここで、A鎖のUMIは必須ではなく、(1)および(2)の配列は、5mCなどの修飾塩基を含み得る。
Tn5転移複合体は二量体であり、2つのpA-Tn5タンパク質は挿入部位が1または2種類のDNAによって標識されるように、同一または異なる部分的2本鎖DNAトランスポゾンに結合することができ、また、pA-Tn5タンパク質(点変異スーパーアクティブまたは他の種類のトランスポザーゼを含み得る)は、上記の2本鎖構造2、および別の標準的なトランスポゾンDNAと組み合わせて、ハイブリッド転移複合体に組み立てるか、上記の2本鎖構造2のみを使用して、単一のTn5転移複合体を形成した。
具体的な操作
等モル濃度のpA-Tn5タンパク質とアニーリングした2本鎖プライマーを混合後に、室温で1時間以上放置すると、機能的なトランスポゾン複合体を形成した。
(3)サンプルを調製した。非固定細胞または細胞核、ホルムアルデヒド(または他の固定試薬)で固定された細胞または細胞核、非固定または固定組織切片などであった。ここで、固定または非固定サンプルは、界面活性剤(Triton、NP-40またはジギトニンなど)を含む緩衝液で処理され、また、細胞核を得るために細胞(非固定サンプル)を溶解する中間ステップも含まれる場合があり、抗体およびpA-Tn5酵素は、界面活性剤が細胞および細胞核を溶解または透過することによって、細胞核に入って作用することができた。代表的な浸透剤溶液には、Tris、スクロース、塩化ナトリウム、界面活性剤が含まれている。
標的タンパク質に対する抗体は、標的タンパク質に特異的に結合するように、試料とインキュベートされ、結合していない抗体を洗浄により除去した。その後、pA-Tn5トランスポゾンを試料とインキュベートすることによって、pA-Tn5タンパク質が抗体に結合し、標的タンパク質の近くに配置した。
(4)転移反応。上記の処理されたサンプルに、2価の金属イオン(例えば、マグネシウムイオン)を含むTn5酵素緩衝液を加え、転移反応(37℃、30分~2時間)を行った。すなわち、該反応系には、細胞または細胞核または組織、緩衝液が含まれている。反応後、サンプルを緩衝液で洗浄し、未反応の試薬を除去した。
(5)連結反応。T4 DNAリガーゼ反応緩衝液を加え、ステップ(1)のヌクレオチドタグ、T4 DNAリガーゼ、ヌクレオチドタグを連結し、適温(4℃~37℃)で20分以上連結反応を行った。
反応系には、細胞または細胞核または組織(転移反応後)、T4 DNAリガーゼ、ヌクレオチドタグが含まれており、反応後、過剰な遊離およびヌクレオチドタグに相補的な配列を連結反応系に加え、未反応の余分なヌクレオチドタグをブロックした。
(6)細胞からDNAを抽出した。非固定サンプルの場合、溶解バッファーを直接追加後DNA抽出キットや磁気ビーズなどの方法で精製し、固定サンプルの場合、プロテイナーゼK反応緩衝液、プロテイナーゼKを加え、55-65℃で脱架橋後DNAを精製した。
精製したDNAの場合、1)ヘテロ接合型Tn5を用いて実施した場合、産物の両側にPCR増幅配列があるため、そのまま増幅して、配列決定ライブラリを得ることができた。
2)単一のTn5を用いて実施した場合、DNA産物は片側にしかPCRプライマーを持たないため、このDNAを切断して連結し、もう片側に増幅プライマーを加える必要があり、これは単一のTn5酵素で行うこともできるし、超音波または消化で切断を行うこともでき、そして、末端にAを加えて、アダプターを連結し、最後に配列決定ライブラリを得た。
上記のステップに従って、ヒト293T細胞を例として、新鮮な細胞を採取し、細胞核を調製し、ヘテロ接合型pA-Tn5でCUT Tag反応を行い、そして、1つのIllumina配列決定ライブラリのP5末端(read1)側の増幅配列のアダプターを連結して、ライブラリを構築し、read1プライマーとヘテロ接合型pA-Tn5の別のDNA断片のread2プライマーで産物を増幅させ、最後に解析した。具体的なステップは以下の通りであった。
A. pA-Tn5トランスポゾン(transposome)
次の配列をアニールして2本鎖を形成した。
10uM Top1 5’p- AGGCCAGAGCATTCGNNNNNNNAGATGTGTATAAGAGACAG(SEQ ID NO: 5)(鎖A)
10uM Top2 GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAG(SEQ ID NO: 3)(鎖A)
20uM Bottom 5’p-CTGTCTCTTATACACATCT(SEQ ID NO: 4)(鎖B)
その後、10uMのpA-Tn5酵素(Vazymeから購入)と共に室温でインキュベートし、10uM濃度のpA-Tn5トランスポゾンに組み立て、Top1/ Bottom2本鎖とTn5で形成したトランスポゾンはp-pA-Tn5、Top2/ Bottom2本鎖とTn5で形成したトランスポゾンはpA-Tn5-Bであった。
B.細胞マーカー微小球の調製
1)Beadに付着した配列は以下の通りであった。Bead-S-S-PCR adaptor-barcode1-linker1-barcode2-linker2
-barcode3-ligation linker
ここで、PCRアダプター(adaptor)配列はACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 6)、連結配列1(Linker1)はCGACTCACTACAGGG(SEQ ID NO: 7)、連結配列2(Linker2)配列はTCGGTGACACGATCG(SEQ ID NO: 8)、Ligation linker配列はATCCACGTGCTTGAG(SEQ ID NO: 12)であった。Barcode1=96種類の5bp塩基配列、Barcode2=96種類の5bp塩基配列、Barcode1=96種類の5bp塩基配列。
2)3x96種類の配列の合成
1. PCR handle-96xbarcode1-linker1、この配列の逆相補的配列を96個合成し、
2. linker1-96xbarcode2-linker2、この配列の逆相補的配列を96個合成し、
3. linker2-96xbarcode3-ligation linker、この配列の逆相補的配列を96個合成した。
3)微小球の合成:
次のアミノ酸配列:5’amine-S-S-ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 6)と30umカルボキシル修飾微小球(Zhiyi, KBsphere(R)、www.kbspheres.com/productshow.asp?id=903 )を合成した。
カップリング反応:微小球+50mM EDC+100uMアミノ酸配列(SEQ ID NO: 6)は、アミノ酸配列をカルボキシル微小球とカップリングして、次の構造:bead-S-S- ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 6)を得た。
4)タグの付着
合成された微小球を96ウェルプレートに均等に分け、PCR handle-96xbarcode1-linker1それぞれを加え、1ラウンド目のバーコーディング(barcoding)反応を行った。反応系およびプロセスは以下のように、10ul 微小球 + 2ul BstI 緩衝液 + 1ul 10uM dNTP + 1ul 100uM PCR handle-96xbarcode1-linker1になっており、次に、95℃で5分間、60℃で20分間保持し、次に、1ul BstI+5ul H2Oを加え、60℃で60分間保持した。
1ラウンド目のバーコーディング反応終了後、全ての微小球を回収、混合し、5分間の95c反応により相補的鎖を除去、洗浄し、1ラウンド目のバーコーディング(96xbarcode1-linker1)の微小球を得た。その後、微小球を96ウェルプレートに均等に分け、linker1-96xbarcode2-linker2(2ラウンド目)、linker2-96xbarcode3-ligation linker(3ラウンド目)を加え、1ラウンド目のシステム方法に従って2ラウンド目と3ラウンド目のバーコーディング反応を行い、最終的にトリプルbarcode付きの1本鎖微小球を得て洗浄後、相補的配列CGAATGCTCTGGCCTCTCAAGCACGTGGAT(SEQ ID NO:9)とアニーリングして部分的2本鎖構造を形成し、最後に部分的2本鎖構造が付着した以下の微小球を得た。
Bead-S-S-ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT-barcode1-CGACTCACTACAGGG-barcode2- TCGGTGACACGATCG -barcode3- ATCCACGTGCTTGAG
3’-TAGGTGCACGAACTCTCCGGTCTCGTAAGC-5’(SEQ ID NO:9の逆配列)
C. ATAC実験
ヒト293T細胞株を溶解バッファー(10 mM Tris-Cl, pH 7.4; 10 mM NaCl; 3 mM MgCl2; 0.01% NP-40)に再懸濁し、細胞を溶解して細胞核を得た。
10万個の細胞核を取り、抗ヒストンタンパク質H3K4me3の抗体(Abcam社)などの標的タンパク質抗体とインキュベートし、結合条件は、0.05% ジギトニン, 20 mM HEPES, pH 7.5, 300 mM NaCl, 0.5 mM Spermidine, 1X Protease inhibitor (Roche) buffer中で、抗体濃度が1ug/100ulであって、室温で1時間または摂氏4度で一晩結合した。
サンプルを、0.05% ジギトニン, 20 mM HEPES, pH 7.5, 300 mM NaCl, 0.5 mM Spermidine, 1X Protease inhibitor (Roche) bufferで3回洗浄した。
サンプルに1ug/100ulのpA-Tn5トランスポゾン複合体を加えて、以上の条件のbufferで、室温で1時間インキュベートしてから、サンプルをこのbufferで3回洗浄した。
BufferにMgCl2をマグネシウムイオン濃度が20mMになるまで加え、転移反応を37℃で1時間行い、このプロセスで、pA-Tn5はその結合位置に隣接するDNAを切断し、その上にDNA配列を挿入した。
反応後、PBSで細胞核を洗浄した。
D. 高スループット標識化
細胞の標識化には、図8に示すようなマイクロ流体チップが用いられ、微小球流路(Bead channel):100um、細胞核流路(Nuclei Channel):50umであった。
次の溶液:
200ul 10xT4 DNA ligase Buffer、10ul T4 DNA ligase、10ul 1M DTT、780ul細胞核/水を含む細胞核溶液1ml(100細胞核/ul濃度)を用意した。
bead溶液(100 bead/ul濃度):Bead in PBS。
細胞核溶液、bead溶液、油(FC40フルオロカーボン油、1% 界面活性剤FluoroSurfactant含有、Ran Biotech)はマイクロ流体チップ上で120um直径の液滴(drop collection)を形成し、37℃で1時間連結した。
E. ライブラリーの構築
ステップDの液滴に等量のパーフルオロオクタノールを加えて液滴を破砕し、遠心分離して水相を取り出し、Qiagen DNA purification kitで水相中のDNAを精製し、以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
上記のライブラリは、約500細胞を投入し、1細胞あたり10万PE150 readsを配列決定し、総データ量は15Gであった。
抗体はAbcam社のrabbit-anti-H3K4me3が用いられ、図13は、Cut tagライブラリの断片の分布結果を示している。図14は、転写開始部位におけるCut tag断片の分布位置結果マップを示している。図15は、ゲノムにおけるCut tag断片の分布比率を示している。図16は、単一細胞Cut tag結果の分布結果を示しており、重ね合わせた単一細胞データは典型的なH3K4me3ヒストン修飾分布の特徴を示し、多細胞サンプル実験の結果と非常によく似ており、該方法によって得られた単一細胞データの真の精度を明らかにした。
実施例3細胞または細胞核内のトランスクリプトームの検出
(1)逆転写プライマーを調製した。5’末端がリン酸化されるヌクレオチドタグに相補的な配列-UMI分子計数配列-ポリT配列とした。ヌクレオチドタグの調製は、実施例1と同様の方法が用いられた。RT プライマーAGGCCAGAGCATTCGNNNNNNNTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT(SEQ ID NO: 13);
(2)サンプルを調製した。非固定細胞または細胞核、ホルムアルデヒド(または他の固定試薬)で固定された細胞または細胞核、非固定または固定組織切片などであった。
固定または非固定サンプルは界面活性剤(Triton, NP-40, ジギトニン, etc.)を含む緩衝液で処理され、細胞核を得るために細胞(非固定サンプル)を溶解する中間ステップも含まれる場合があり、酵素などの分子生物学試薬は、界面活性剤が細胞および細胞核を溶解または透過することによって、細胞または細胞核に入ることができた。
(3)逆転写。ステップ(1)の逆転写プライマーを用いて、逆転写酵素反応系を用意し、鎖変換テンプレートを加え、サンプルに細胞内逆転写反応を、反応後細胞/細胞核が独立した無傷の形態を保つように行った。反応系および条件は、細胞/組織、逆転写酵素緩衝液、RNA酵素阻害剤、dNTP、TSO鎖変換プライマー、逆転写プライマー;50-55℃、5分、4℃+逆転写酵素、42℃であった。プライマーと酵素系を洗浄除去し、細胞または組織に対してヌクレオチドタグ連結反応を行った。終了後、プライマーを追加し、余分なプライマーを中和した。
(4)サンプルの後処理。mRNA/cDNAの精製は、非固定組織からmRNA/cDNAを直接精製し、固定組織を脱架橋後mRNA/cDNAを精製し、mRNA/cDNAに対してPCRを行ってcDNAを増幅して、cDNAライブラリを得て、Tn5あるいは他のDNA切断方法を用いて配列決定ライブラリに構築した。
具体的なステップは以下の通りであった。
固相支持体上に固定されたバーコード配列を有するヌクレオチドタグを調製し、そのステップは上記の実施例と同じであった。
トランスポゾン複合体を調製し、そのステップは上記の実施例と同じであった。
サンプルを調製した。細胞核:組織を10 mM Tris-Cl, pH 7.4; 10 mM NaCl; 3 mM MgCl2; 0.01% NP-40 bufferでホモジナイズし、細胞を溶解して、500gで5分間遠心分離し、bufferで1回再懸濁し、500gで5分間遠心分離し、上記のbufferに再懸濁させた。
逆転写
反応は、各成分の最終濃度:1000/ul 細胞核、1x RT Buffer、1uM dNTP、1uMの上記の逆転写プライマーー、1u/ul RNase酵素阻害剤、1uM TSOプライマー プライマー配列(5′-AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTACATrGrGrG(SEQ ID NO: 14)-3′、ここで、3末端のGは、リボースグアニンを表すrGであってもよく、1unit/ul RT酵素(Superscript II reverse transcriptase);反応条件:50℃ 5min、4℃ 5min、42℃ 60min;PBSで細胞核を洗浄し、500gで5分間遠心分離し、2回洗浄して、未反応の酵素とプライマーを除去するように設定した。
高スループット標識化
細胞の標識化には、図8に示すようなマイクロ流体チップが用いられ、微小球流路(Bead channel):100um、細胞核流路(Nuclei Channel):50umであった。
次の溶液:
200ul 10xT4 DNA ligase Buffer、10ul T4 DNA ligase、10ul 1M DTT、780ul細胞核/水を含む細胞核溶液1ml(100細胞核/ul濃度)を用意した。
bead溶液(100 bead/ul濃度):Bead in PBS。
細胞核溶液、bead溶液、油(FC40フルオロカーボン油、1% 界面活性剤FluoroSurfactant含有、Ran Biotech)はマイクロ流体チップ上で120um直径の液滴(drop collection)を形成し、37℃で1時間連結した。
ライブラリーの構築
高スループットで標識化された液滴に等量のパーフルオロオクタノールを加えて液滴を破砕し、遠心分離して水相を取り出し、Qiagen DNA purification kitで水相中のcDNA/mRNA複合体を精製した。
以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーISPCR(AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT(SEQ ID NO: 15))、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、60℃ 30sec、72℃ 3min、18サイクル。増幅されたcDNAはAMPure XP磁気ビーズで1:1容量で精製され、QuBitで定量された。
配列決定ライブラリの切断
1ng cDNA、10ul 2xTD Buffer (Illumina Nextera kit)、1ul Nextera enzyme (Illumina Nextera)、20ul 反応系、55℃ 7min、5ul Tn5 stop buffer (Nextera kit)を添加した。
ライブラリ増幅
25ul 以上の反応系、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーNextera N701プライマー、1ul Taq 酵素。72℃ 5min、94℃ 2min、94℃ 30sec、60℃ 30sec、72℃ 3sec、18サイクル。ライブラリはAMPure XP磁気ビーズで1:1容量で精製された。
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
上級のライブラリは、約500細胞を投入し、1細胞あたり10万PE150 readsを配列決定し、総データ量は15Gであった。
293T(ヒト)および3T3(ラット)の2種類の混合細胞は、後で単一細胞のトランスクリプトーム実験を行い、細胞バーコード(cell barcode)に従ってポストバックした。図17は、単一細胞の結果から、2種類の細胞の単一細胞を明確に区別していることを示している。図18は各細胞で検出されたトランスクリプトおよび遺伝子数の分布結果を示している。本願発明の方法は、単一細胞のトランスクリプトーム検出に利用できる。同様に、293T(ヒト)および3T3(ラット)の2種類の混合細胞は本願発明の方法により、後で単一細胞ゲノムの実験を行った。ヒトまたはラットのゲノムが測定された配列により整列された比率に基づき、図19は、単一細胞の結果から、2種類の細胞の単一細胞を明確に区別し、混合した純粋は混合細胞から純粋なヒトまたはラット由来を分離でき、一致が矛盾している細胞はごくわずかであることを示している。図20は、単一のヒト細胞、ゲノムカバー率を、染色体の配列に従って、各細胞、各ゲノム部位で単一細胞配列決定が異なるカバレッジレベルを有することを示している。本願発明の方法は、単一細胞のゲノム検出に使用可能である。本願発明の方法はまた、ゲノムやトランスクリプトームの検出によって、混合細胞中の各種の細胞の単一細胞を区別するために用いられる。
実施例4 細胞内のDNA配列、量の検出
(1)実施例1と同様にして、ヌクレオチドタグを調製した。唯一の違いは、微小球にカップリングした5’amine-S-S-ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 6)といった配列において、全てのC塩基が5mC修飾塩基に置換されたことであった。
(2)サンプルを調製した。サンプル:固定単一細胞または細胞核。サンプル処理方式:細胞または細胞核を、特定の濃度のSDSおよび/または他の界面活性剤で、加熱条件にて特定時間処理し、DNAに結合されているタンパク質を除去したが、架橋を解除しなかったため、DNAはまだ細胞構造に固定されている。
(3)転移反応。上記の処理されたサンプルに、2価の金属イオン例えば(マグネシウムイオン)を含むTn5酵素緩衝液を加え、組み立てられたTn5酵素を加え、ゲノムの転移反応を行った(37℃、30分~2時間)。反応系:細胞/細胞核、Tn5緩衝液、Tn5転移複合体、37℃。その後、サンプルを緩衝液で洗浄し、未反応のTn5酵素を除去した。
(4)連結反応。T4 DNAリガーゼ反応緩衝液を加え、ステップ(1)のヌクレオチドタグ、T4 DNAリガーゼ、ヌクレオチドタグを連結し、適温(4℃~37℃)で20分以上連結反応を行った。
反応系には、細胞または細胞核または組織(転移反応後)、T4 DNAリガーゼ、ヌクレオチドタグ、T4 DNAリガーゼが含まれている。反応後、過剰な遊離およびヌクレオチドタグに相補的な配列を連結反応系に加え、未反応の余分なヌクレオチドタグをブロックした。
(5)DNAを取得した。プロテイナーゼK反応緩衝液、プロテイナーゼKを加え、55-65℃で脱架橋後DNAを精製したので、標識化された全ゲノムDNAが得られた。その後、以下の処理を行った。
1)DNAを直接配列決定し、ゲノムの異なる領域のコピー数情報(CNV)、または点変異情報(SNV)を含む全ゲノム配列情報を得た。
2)例えばバイサルファイト変換(Bisulfite conversion)やNEB酵素変換(enzymatic conversion)(NEB)、またはMspI消化に基づく還元バイサルファイト配列決定(reduced bisulfite sequence)などの方法で、DNAの5mC検出を行うなどして、ゲノム上の5mC情報を検出した。連結プライマーは、修飾Cの形質転換の場合、確実に増幅するように、形質転換塩基または修飾塩基に抵抗するように設計されている。
3)DNAの5mC検出を行い、beta-galactose transferaseで5hmC部位を修飾し、下流の方法で5hmC検出を行った。
4)その他のDNA修飾塩基の検出。
具体的なステップは以下の通りであった。
サンプル処理
細胞を、1xPBSで4%ホルムアルデヒドで室温で10分間固定し、Glysine溶液を最終濃度0.1Mになるまで加え、室温で5分間終止し、細胞をPBSで2回洗浄後500gで5分間遠心分離して沈殿させ、固定細胞が-80℃または-20℃で保存でき、細胞を室温で融かし、10mM Tris 0.2% SDS溶液を加え、42℃で10分間処理し、PBS溶液で3回洗浄し、10万個の細胞核を取り、以上の実施例ATAC実験で調製されたp-Tn5、Tn5-Bと反応させ、反応系は以下の通りであった。
25ul 2xTD Buffer (Illumina) + 2.5ul 10uM p-Tn5 + 2.5ul 10uM Tn5-B + 20ul 細胞核(10万個)であって、37℃で30分間反応させ、PBSで細胞核を洗浄した。
高スループット標識化
細胞の標識化には、図8に示すようなマイクロ流体チップが用いられ、微小球流路(Bead channel):100um、細胞核流路(Nuclei Channel):50umであった。
次の溶液:
200ul 10xT4 DNA ligase Buffer、10ul T4 DNA ligase、10ul 1M DTT、780ul細胞核/水を含む細胞核溶液1ml(100細胞核/ul濃度)を用意した。
bead溶液(100 bead/ul濃度):Bead in PBS。
細胞核溶液、bead溶液、油(FC40フルオロカーボン油、1% 界面活性剤FluoroSurfactant含有、Ran Biotech)はマイクロ流体チップ上で120um直径の液滴(drop collection)を形成し、37℃で1時間連結した。
ゲノムライブラリーの構築
高スループットで標識化された液滴に等量のパーフルオロオクタノールを加えて液滴を破砕し、遠心分離して水相を取り出し、水相にProteinease K 20ug/mlの試薬を最終濃度1% SDSになるまで加えて、55℃で2時間反応し、Qiagen DNA purification kitで水相中のDNAを精製し、以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
単一細胞ゲノムの解析
5mCメチル化の配列決定
上記で得られたDNAについては、まず、EpiTect Fast Bisulfite Conversion KitまたはNEB Enzymatic Methylation conversion kitなどの変換キットを使用して、上記で得られたゲノムDNAを変換し、例えばQiagen kitを例として、説明書を参照しながらbisulfite conversion試薬を設定した。
上記のDNA、85ul Bisulfite solution、35ul DNA protection Buffer、H2O、総体積140ul。
95℃ 5min、60℃ 10min、95℃ 5min、60℃ 10min、20℃で保持した。で保持した。説明書ステップの欄を参考しながら、形質転換されたDNAを精製した。
DNAの増幅
以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
単一細胞メチル化の解析
5hmCメチル化の配列決定
サーモフィッシャーのEpiJET 5-hmC Enrichment Kitを用いて、回収されたDNAに対して5hmc濃縮を実行し、ライブラリー構築と配列決定を行った。
DNA、12.5 μL 4X Enzyme Reaction Buffer、10ul 5-hmC Modifying Enzymeを回収し、水を50ulに加え、30℃で1時間反応した。DNAを磁気ビーズで1:1容量で精製した。
40ul溶出試料、10ul 10xbiotin conjugation buffer、50ul biotin reagent、50℃ 5min、100ul elution bufferを加えて反応を中止し、キットカラムでDNAを精製した。
DNAの増幅
以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
293T(ヒト)および3T3(ラット)の2種類の混合細胞は、後で単一細胞メチル化実験を行った。図21は、ヒトまたはラットのゲノムが測定された配列により整列された比率に基づき、単一細胞の結果から2種類の細胞の単一細胞を明確に区別したことを示している。図22は、単一細胞メチル化の分布結果を示しており、重ね合わせた単一細胞データは多細胞サンプル実験の結果と非常によく似ており、該方法によって得られた単一細胞メチル化データの真の精度を明らかにした。
本願発明の方法はまた、単一細胞の5hmC配列決定に使用可能であった。図23は、単一細胞の5hmC修飾部位の分布結果を示している。本願発明で得られた単一細胞は、5hmC修飾データが真の精度を有している。
実施例5同一細胞由来のトランスクリプトームとATACの同時検出
同一5’末端連結配列を含むdTプライマーとTn5酵素を使用した。細胞核を調製後、細胞に対してRT(逆転写)反応を行い、RT反応系を洗浄除去後Tn5 ATAC反応を行い、次に、細胞内のmRNAとATACが同時に標識された。その後、微小球から放出されたプライマーに連結した。ATACのDNAおよびRTのmRNA/cDNA混合物を回収した。
この混合物を、連結アダプターの汎用プライマーとTn5およびcDNA特異的プライマーを用いて、それぞれTn5ライブラリおよびcDNAライブラリを増幅し、ライブラリー構築と配列決定を行った。
具体的なステップは以下の通りであった。
ヒト293T細胞株を溶解バッファー(10 mM Tris-Cl, pH 7.4; 10 mM NaCl; 3 mM MgCl2; 0.01% NP-40)に再懸濁し、細胞を溶解して細胞核を得た。
10万個の細胞核を取り、本願発明の実施例で得られたp-Tn5、Tn5-Bと反応させ、反応系は以下のような
25ul 2xTD Buffer (Illumina)、2.5ul 10uM p-Tn5、2.5ul 10uM Tn5-B + 20ul 細胞核(10万個)であって、37℃で30分間反応させ、PBSで細胞核を洗浄した。
上記で得られた細胞核は次のRT反応を行った。
1000/ul 細胞核、1x RT Buffer、1uM dNTP、1uMの上記の逆転写プライマー、1u/ul RNase酵素阻害剤、1uM TSOプライマー プライマー配列(5′-AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTACATrGrGrG(SEQ ID NO: 14)-3′、ここで、3末端のGは、リボースグアニンを表すrGであってもよく、1unit/ul RT酵素(Superscript II reverse transcriptase);反応条件:50℃ 5min、4℃ 5min、42℃ 60min、PBSで細胞核を洗浄し、500gで5分間遠心分離し、2回洗浄して、未反応の酵素とプライマーを除去した。
高スループット標識化
細胞の標識化には、図8に示すようなマイクロ流体チップが用いられ、微小球流路(Bead channel):100um、細胞核流路(Nuclei Channel):50umであった。
次の溶液:
200ul 10xT4 DNA ligase Buffer、10ul T4 DNA ligase、10ul 1M DTT、780ul細胞核/水を含む細胞核溶液1ml(100細胞核/ul濃度)を用意した。
bead溶液(100 bead/ul濃度):Bead in PBS。
細胞核溶液、bead溶液、油(FC40フルオロカーボン油、1% 界面活性剤FluoroSurfactant含有、Ran Biotech)はマイクロ流体チップ上で120um直径の液滴(drop collection)を形成し、37℃で1時間連結した。
ライブラリーの構築
高スループットで標識化された液滴に等量のパーフルオロオクタノールを加えて液滴を破砕し、遠心分離して水相を取り出し、Qiagen DNA purification kitで水相中のATAC DNAおよびmRNA/cDNAを精製した。
ライブラリ増幅の同時にATAC DNAとmRNA/cDNAを増幅
以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul 10mM ISPCRプライマー、1ul Taq、72℃ 5 min、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 3min、12サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
ISPCRプライマー:AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT(SEQ ID NO: 15)
以上の混合ライブラリの精製は、AMPure bead 1:1で精製して定量したものであった。
ATACライブラリ増幅
1ng 上記のDNA、DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。AMPure 1:1でライブラリを精製して、定量および配列決定を行った。
cDNAの増幅と配列決定ライブラリの構築
1ng 上記のDNA、DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10mM ISPCRプライマー、1ul Taq 94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。AMPure 1:1でライブラリを精製して、定量および配列決定を行った。
配列決定ライブラリの切断
1ng cDNA、10ul 2xTD Buffer (Illumina Nextera kit)、1ul Nextera enzyme (Illumina Nextera)、20ul 反応系、55℃ 7min。5ul Tn5 stop buffer (Nextera kit)を加えた。
ライブラリ増幅
25ul 以上の反応系、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーNextera N701プライマー、1ul Taq enzyme、72℃ 5min、94℃ 2min、94℃ 30sec、60℃ 30sec、72℃ 3sec、18サイクル。
ライブラリはAMPure XP磁気ビーズで、1:1容量で精製された。
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
トランスクリプトームとATACを同時に解析した。
本願発明は、同一細胞のトランスクリプトームとATACの同時検出に使用可能であり、図24は、トランスクリプトームとATACゲノムに基づき、2種類の細胞のうち単一細胞を良好に区別させたことを示している。本願発明の方法は、同一細胞のトランスクリプトームとATACの同時検出に使用される場合、よい精度を持つものである。
実施例6同一細胞由来のトランスクリプトームとCUT&Tagの同時検出
具体的なステップは以下の通りであった。
ヒト293T細胞株を溶解バッファー(10 mM Tris-Cl, pH 7.4; 10 mM NaCl; 3 mM MgCl2 ; 0.01% NP-40)に再懸濁し、細胞を溶解して細胞核を得た。
10万個の細胞核を取り、抗ヒストンタンパク質H3K4me3の抗体(Abcam社)などの標的タンパク質抗体とインキュベートし、結合条件は、0.05% ジギトニン, 20 mM HEPES, pH 7.5, 300 mM NaCl, 0.5 mM Spermidine, 1X Protease inhibitor (Roche) buffer中で、抗体濃度は1ug/100ulであって、室温で1時間または4℃で一晩結合した。
サンプルを、0.05% ジギトニン, 20 mM HEPES, pH 7.5, 300 mM NaCl, 0.5 mM Spermidine, 1X Protease inhibitor (Roche) bufferで3回洗浄した。
サンプルに1ug/100ulのpA-Tn5トランスポゾン複合体を加えて、以上の条件のbufferで、室温で1時間インキュベートしてから、サンプルをこのbufferで3回洗浄した。
bufferにMgCl2をマグネシウムイオン濃度が20mMになるまで加えて、転移反応を37℃で1時間行い、このプロセスで、pA-Tn5はその結合位置に隣接するDNAを切断し、その上にDNA配列を挿入した。
反応後、PBSで細胞核を洗浄した。
上記で得られた細胞核は次のRT反応を行った。各成分最終濃度:1000/ul 細胞核、1x RT Buffer、1uM dNTP、1uMの上記の逆転写プライマー、1u/ul RNase酵素阻害剤、1uM TSOプライマー プライマー配列(5′-AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTACATrGrGrG(SEQ ID NO: 14)-3′、ここで、3末端のGは、リボースグアニンを表すrGであってもよく、1unit/ul RT酵素(Superscript II reverse transcriptase);反応条件:50℃ 5min、4℃ 5min、42℃ 60min;PBSで細胞核を洗浄して、500gで5分間遠心分離し、2回洗浄して、未反応の酵素とプライマーを除去した。
高スループット標識化
細胞の標識化には、図8に示すようなマイクロ流体チップが用いられ、微小球流路(Bead channel):100um、細胞核流路(Nuclei Channel):50umであった。
次の溶液:
200ul 10xT4 DNA ligase Buffer、10ul T4 DNA ligase、10ul 1M DTT、780ul細胞核/水を含む細胞核溶液1ml(100細胞核/ul濃度)を用意した。
bead溶液(100 bead/ul濃度):Bead in PBS。
細胞核溶液、bead溶液、油(FC40フルオロカーボン油、1% 界面活性剤FluoroSurfactant含有、Ran Biotech)はマイクロ流体チップ上で120um直径の液滴(drop collection)を形成し、37℃で1時間連結した。
ライブラリーの構築
高スループットで標識化された液滴に等量のパーフルオロオクタノールを加えて液滴を破砕し、遠心分離して水相を取り出し、Qiagen DNA purification kitで水相中のATAC DNAおよびmRNA/cDNAを精製した。
ライブラリ増幅の同時にATAC DNAとmRNA/cDNAを増幅
以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul 10mM ISPCRプライマー、1ul Taq、72℃ 5min、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 3min、12サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
ISPCRプライマー:AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT(SEQ ID NO: 15)
以上の混合ライブラリの精製は、AMPure bead 1:1で精製して定量したものであった。
CUT Tagライブラリ増幅
1ng 上記のDNA、DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq 94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。
AMPure 1:1でライブラリを精製して、定量および配列決定を行った。
cDNAの増幅と配列決定ライブラリの構築
1ng 上記のDNA、DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10mM ISPCRプライマー、1ul Taq 94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。
AMPure 1:1でライブラリを精製して、定量および配列決定を行った。
配列決定ライブラリの切断
1ng cDNA、10ul 2xTD Buffer (Illumina Nextera kit)、1ul Nextera enzyme (Illumina Nextera)、20ul 反応系、55℃ 7min。5ul Tn5 stop buffer (Nextera kit)を加えた。
ライブラリ増幅
25ul 以上の反応系、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーNextera N701プライマー、1ul Taq enzyme、72℃ 5min、94℃ 2min、94℃ 30sec、60℃ 30sec、72℃ 3sec、18サイクル。
ライブラリはAMPure XP磁気ビーズで、1:1容量で精製された。
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
トランスクリプトームcut tagを同時に解析した。
本願発明は、同一細胞のトランスクリプトームとcut tagの同時検出に使用可能であり、図25は、トランスクリプトームおよびcut tagゲノムに基づき、2種類の細胞のうち単一細胞を良好に区別させたことを示している。本願発明の方法は、同一細胞のトランスクリプトームとcut tagの同時検出に使用される場合、よい精度を持つものである。
実施例7同一細胞由来のトランスクリプトームとゲノムの同時検出
サンプルは、単にゲノムDNAを検出するのと同様の方法で、最初に細胞核を分離し(strip)、次にTn5転移反応を行い、次に、RT(逆転写)反応を行い、次に、実施例5と同様に処理した。
具体的なステップは以下の通りであった。
サンプル処理
細胞を、4%ホルムアルデヒドを用いて1xPBSで室温で10分間固定し、Glysine溶液を最終濃度0.1Mになるまで加えて、室温て5分間終止し、細胞をPBSで2回洗浄し、500gで5分間遠心分離して沈殿させ、固定細胞が-80℃または-20℃で保存でき、細胞を室温で融かし、10mM Tris 0.2% SDS溶液を加え、42℃で10分間処理し、PBS溶液で3回洗浄し、10万個の細胞核を取り、以上の実施例ATAC実験で調製されたp-Tn5、Tn5-Bと反応させ、反応系は以下の通りであった。
25ul 2xTD Buffer (Illumina) + 2.5ul 10uM p-Tn5 + 2.5ul 10uM Tn5-B + 20ul 細胞核(10万個)であって、37℃で30分間反応させ、PBSで細胞核を洗浄した。
上記で得られた細胞核は次のRT反応を行った。
1000/ul 細胞核、1x RT Buffer、1uM dNTP、1uMの上記の逆転写プライマー、1u/ul RNase酵素阻害剤、1uM TSOプライマー プライマー配列(5′-AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTACATrGrGrG(SEQ ID NO: 14)-3′、ここで、3末端のGは、リボースグアニンを表すrGであってもよく、1unit/ul RT酵素(Superscript II reverse transcriptase);反応条件:50℃ 5min、4℃ 5min、42℃ 60min、PBSで細胞核を洗浄して、500gで5分間遠心分離し、2回洗浄して、未反応の酵素とプライマーを除去した。
高スループット標識化
細胞の標識化には、図8に示すようなマイクロ流体チップが用いられ、微小球流路(Bead channel):100um、細胞核流路(Nuclei Channel):50umであった。
次の溶液:
200ul 10xT4 DNA ligase Buffer、10ul T4 DNA ligase、10ul 1M DTT、780ul細胞核/水を含む細胞核溶液1ml(100細胞核/ul濃度)を用意した。
bead溶液(100 bead/ul濃度):Bead in PBS。
細胞核溶液、bead溶液、油(FC40フルオロカーボン油、1% 界面活性剤FluoroSurfactant含有、Ran Biotech)はマイクロ流体チップ上で120um直径の液滴(drop collection)を形成し、37℃で1時間連結した。
ライブラリーの構築
高スループットで標識化された液滴に等量のパーフルオロオクタノールを加えて液滴を破砕し、遠心分離して水相を取り出し、DNAを得た。プロテイナーゼK反応緩衝液、プロテイナーゼKを加え、55-65℃で脱架橋後DNAを精製したので、標識化された全ゲノムDNAが得られた。その後、以下の処理を行った。
Qiagen DNA purification kitで水相中のゲノムDNAおよびmRNA/cDNAを精製した。
ライブラリ増幅の同時にATAC DNAおよびmRNA/cDNAを増幅
以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul 10mM ISPCRプライマー、1ul Taq、72℃ 5min、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 3min、12サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
ISPCRプライマー:AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT(SEQ ID NO: 15)
以上の混合ライブラリの精製は、AMPure bead 1:1で精製して定量したものであった。
ゲノムライブラリ増幅
1ng 上記のDNA、DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。AMPure 1:1でライブラリを精製して、定量および配列決定を行った。
cDNAの増幅と配列決定ライブラリの構築
1ng 上記のDNA、DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10mM ISPCRプライマー、1ul Taq 94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。AMPure 1:1でライブラリを精製して、定量および配列決定を行った。
配列決定ライブラリの切断
1ng cDNA、10ul 2xTD Buffer (Illumina Nextera kit)、1ul Nextera enzyme (Illumina Nextera)、20ul 反応系、55℃ 7min。5ul Tn5 stop buffer (Nextera kit)を加えた。
ライブラリ増幅
25ul 以上の反応系、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーNextera N701プライマー、1ul Taq enzyme、72℃ 5min、94℃ 2min、94℃ 30sec、60℃ 30sec、72℃ 3sec、18サイクル。
ライブラリはAMPure XP磁気ビーズで、1:1容量で精製された。
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
トランスクリプトームとゲノムの同時解析
本願発明は、同一細胞のトランスクリプトームとゲノムの同時検出に使用可能であり、2種類の細胞のうち単一細胞を良好に区別させたことを示している。同一細胞のトランスクリプトームとcut tagの同時検出に使用される場合、よい精度を持つものである。
実施例8同一細胞由来のトランスクリプトームとDNA修飾の同時検出
具体的なステップは以下の通りであった。
サンプルの処理
細胞を、4%ホルムアルデヒドを用いて1xPBSで室温で10分間固定し、Glysine溶液を最終濃度0.1Mになるまで加えて、室温て5分間終止し、細胞をPBSで2回洗浄し、500gで5分間遠心分離して沈殿させ、固定細胞が-80℃または-20℃で保存でき、細胞を室温で融かし、10mM Tris 0.2% SDS溶液を加え、42℃で10分間処理し、PBS溶液で3回洗浄し、10万個の細胞核を取り、以上の実施例ATAC実験で調製されたp-Tn5、Tn5-Bと反応させ、反応系は以下の通りであった。
25ul 2xTD Buffer (Illumina) + 2.5ul 10uM p-Tn5 + 2.5ul 10uM Tn5-B + 20ul 細胞核(10万個)であって、37℃で30分間反応させ、PBSで細胞核を洗浄した。
上記で得られた細胞核は次のRT反応を行った。
1000/ul 細胞核、1x RT Buffer、1uM dNTP、1uMの上記の逆転写プライマー、1u/ul RNase酵素阻害剤、1uM TSOプライマー プライマー配列(5′-AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTACATrGrGrG(SEQ ID NO: 14)-3′、ここで、3末端のGは、リボースグアニンを表すrGであってもよく、1unit/ul RT酵素(Superscript II reverse transcriptase);反応条件:50℃ 5min、4℃ 5min、42℃ 60min、PBSで細胞核を洗浄して、500gで5分間遠心分離し、2回洗浄して、未反応の酵素とプライマーを除去した。
高スループット標識化
細胞の標識化には、図8に示すようなマイクロ流体チップが用いられ、微小球流路(Bead channel):100um、細胞核流路(Nuclei Channel):50umであった。
次の溶液:
200ul 10xT4 DNA ligase Buffer、10ul T4 DNA ligase、10ul 1M DTT、780ul細胞核/水を含む細胞核溶液1ml(100細胞核/ul濃度)を用意した。
bead溶液(100 bead/ul濃度):Bead in PBS。
細胞核溶液、bead溶液、油(FC40フルオロカーボン油、1% 界面活性剤FluoroSurfactant含有、Ran Biotech)はマイクロ流体チップ上で120um直径の液滴(drop collection)を形成し、37℃で1時間連結した。
ライブラリーの構築
高スループットで標識化された液滴に等量のパーフルオロオクタノールを加えて液滴を破砕し、遠心分離して水相を取り出し、DNAを得た。プロテイナーゼK反応緩衝液、プロテイナーゼKを加え、55-65℃で脱架橋を行った。
Qiagen DNA purification kitで水相中のDNAとmRNA/cDNAを精製した。
上記のライブラリーを2つに分け、それぞれメチル化の配列決定およびトランスクリプトームの配列決定を行った。
メチル化ライブラリについて、Bislufiteの配列決定または5hmcの配列決定を実施した。
メチル化の配列決定
上記で得られたDNAについては、まず、EpiTect Fast Bisulfite Conversion KitまたはNEB Enzymatic Methylation conversion kitなどの変換キットを使用して、上記で得られたゲノムDNAを変換し、例えばQiagen kitを例として、説明書を参照しながらbisulfite conversion試薬を設定した。
上記のDNA、85ul Bisulfite solution、35ul DNA protection Buffer、H2O、総体積140ul。
95℃ 5min、60℃ 10min、95℃ 5min、60℃ 10min、20℃で保持した。説明書ステップの欄を参考しながら、形質転換されたDNAを精製した。
DNAの増幅
以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
5hmCメチル化の配列決定
サーモフィッシャーのEpiJET 5-hmC Enrichment Kitを用いて、回収されたDNAに対して5hmc濃縮を実行し、ライブラリー構築と配列決定を行った。
DNA、12.5 μL 4X Enzyme Reaction Buffer、10ul 5-hmC Modifying Enzymeを回収し、水を50ulに加え、30℃で1時間反応した。DNAを磁気ビーズで1:1容量で精製した。
40ul溶出試料、10ul 10xbiotin conjugation buffer、50ul biotin reagent、50℃ 5min、100ul elution bufferを加えて反応を中止し、キットカラムでDNAを精製した。
DNAの増幅
以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
DNAの増幅
以下の反応系を用いてDNAを増幅して最終配列決定ライブラリを得た。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
cDNAの増幅と配列決定ライブラリの構築
上記で回収されたDNAおよびcDNA/mRNA、DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10mM ISPCRプライマー、1ul Taq 94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。
AMPure 1:1でライブラリを精製して、定量および配列決定を行った。
配列決定ライブラリの切断
1ng cDNA、10ul 2xTD Buffer (Illumina Nextera kit)、1ul Nextera enzyme (Illumina Nextera)、20ul 反応系、55℃ 7min。5ul Tn5 stop buffer (Nextera kit)を加えた。
ライブラリ増幅
25ul 以上の反応系、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーNextera N701プライマー、1ul Taq enzyme、72℃ 5min、94℃ 2min、94℃ 30sec、60℃ 30sec、72℃ 3sec、18サイクル。
ライブラリはAMPure XP磁気ビーズで、1:1容量で精製された。
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
トランスクリプトームとメチル化を同時に解析した。
本願発明は、同一細胞のトランスクリプトームとメチル化の同時検出に使用可能であり、図26は、同一細胞のトランスクリプトームとメチロームの両方が遺伝子モデルおよび既知のメチル化部位に良好にマッチングすることができることを示している。本願発明の方法は、同一細胞のトランスクリプトームとメチル化の同時検出に使用される場合、よい精度を持つものである。
実施例9 空間的マルチオミクス技術プラットフォーム
(1)空間格子チップ:チップ上に、一定間隔のDNA oligoクラスターがあり、その構造は以下の通りであった。
Slide-Surface(スライド表面)-放出linker-PCR adaptor-barcode-リンカーアーム
チップは相補的な1本鎖とハイブリダイズし、oligo格子を次の構造にした。
Slide-Surface(スライド表面)-放出linker-PCR adaptor-barcode-リンカーアーム
リンカーアーム---相補的鎖
空間格子は、microarrayのin situ合成法(Affymetrix, NimbleGene)や、PCR法による既存のarrayからの転移、連続的標識方法による伸長などの他の方法を用いて合成された。
(2)組織切片の調製:非固定組織の凍結切片をカバーガラスに貼り付け、1%ホルムアルデヒドを加えて、組織を固定して洗浄した。
(3)透過化処理:組織を界面活性剤含有緩衝液で処理した。
(4)組織の上に逆転写反応mixを加え、5’伸長によるチップ上のoligoに相補的な5’リン酸修飾を伴う逆転写プライマーを用いて、in situ RT(逆転写)反応を行った。
(5)逆転写反応系を洗い流し、slideに5’リン酸修飾を伴うTn5酵素を加えて、in situ ATAC反応を行った。
(6)ATAC反応系を洗い流し、組織の上にDNAリガーゼbuffer、DNAリガーゼを加え、次に、組織をDNA oligo格子に貼り付け、両者を密着させた。DNA oligoをスライドから放出させ、組織切片に移して連結反応を行い、cDNAとTn5産物を標識した。
(7)反応終了後、組織を結像した。
(8)反応を中止し、組織をプロテイナーゼで消化し、DNAを回収し、上記の実施例の形態に従ってcDNAとATAC DNAに対してライブラリーを構築して配列決定した。
具体的なステップは以下の通りであった。
Affymetrix社の技術を用いて、ガラス/シリコン機構上に5umサイズ、5um間隔で100x100の総面積1cm x 1cmのプライマー格子を合成し、合計1万個のDNA oligo格子とし、図27は、DNA格子が規則的に配列したdTプライマーアレイを有し、FAM-AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA(SEQ ID NO: 17)プライマーとハイブリダイズする空間格子チップを示している。具体的な格子DNA配列は、
S-S-ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCT(SEQ ID NO: 16)-NNNNNNNN- ATCCACGTGCTTGAG(SEQ ID NO: 12)であった。
格子DNA配列中のNNNNNNNNは8bpの特定のプライマー配列であって、格子上の各点は1つの特定の8bp配列に対応している。
上記のスライドの上にCGAATGCTCTGGCCTCTCAAGCACGTGGAT(SEQ ID NO:9)プライマーを加え、1M NaCl, 10mM Tris溶液中で、室温でガラスと1時間ハイブリダイズすることにより、格子上のプライマーを部分的2本鎖プライマーにアニーリングさせた。
OCT包埋組織を凍結ミクロトームでスライスし、ポリリジンで表面処理されたスライドに貼り付けた。
組織を1% ホルムアルデヒドで室温で10分間固定して、スライドをPBSで洗浄した。
スライド上の組織を溶解バッファー(10 mM Tris-Cl, pH 7.4; 10 mM NaCl; 3 mM MgCl2 ; 0.01% NP-40)で、室温で5分間処理した。
スライドを本願発明の実施例で得られたp-Tn5、Tn5-Bで反応させ、反応系は以下の通りであった。
25ul 2xTD Buffer (Illumina)、2.5ul 10uM p-Tn5、2.5ul 10uM Tn5-B 、20ul 細胞核(10万個)、37℃で30 min反応後、切片をPBSで洗浄した。
切片に対するRT反応
1000/ul 細胞核、1x RT Buffer、1uM dNTP、1uMの上記の逆転写プライマー、1u/ul RNase酵素阻害剤、1uM TSOプライマー プライマー配列(5′-AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTACATrGrGrG(SEQ ID NO: 14)-3′、ここで、3末端のGは、リボースグアニンを表すrGであってもよく、1unit/ul RT酵素(Superscript II reverse transcriptase);反応条件:50℃ 5min、4℃ 5min、42℃ 60min、切片をPBSで洗浄した。
反応後、組織を合成プライマー格子スライドに接触させ、1xT4 ligase buffer, 1unit/ul T4 DNAリガーゼを加え、スライド上の部分的2本鎖形態のadaptorを組織切片上のRT産物およびAATC産物と連結反応させた。
cDNAおよびATACDNAを回収した。切片の上にプロテイナーゼK反応緩衝液、プロテイナーゼKを加えて55-65℃で脱架橋後DNAを精製して、次にQiagen kitで精製することでゲノムDNAおよび逆転写mRNA/cDNAを得た。
水相中のATAC DNAおよびmRNA/cDNAをQiagen DNA purification kitで精製した。
ライブラリ増幅の同時にATAC DNAおよびmRNA/cDNAを増幅
以下の反応系を用いてDNAおよびcDNAを増幅した。36ul DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul 10mM ISPCRプライマー、1ul Taq、72℃ 5min、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 3min、12サイクル。
プライマーTrueseqD501配列:AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(SEQ ID NO: 10)
プライマーN701配列:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATCGGCTAGTCTCGTGGGCTCGG(SEQ ID NO: 11)
ISPCRプライマー:AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT(SEQ ID NO: 15)
以上の混合ライブラリの精製は、AMPure bead 1:1で精製して定量したものであった。
ATACライブラリ増幅
1ng 上記のDNA、DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーN701、1ul Taq、94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。AMPure 1:1でライブラリを精製して、定量および配列決定を行った。
cDNAの増幅と配列決定ライブラリの構築
1ng 上記のDNA、DNAテンプレート、10ul 5xPCR Buffer、1ul 10mM dNTP、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10mM ISPCRプライマー、1ul Taq 94℃ 2min、94℃ 30sec、55℃ 30sec、72℃ 30sec、18サイクル。AMPure 1:1でライブラリを精製して、定量および配列決定を行った。
配列決定ライブラリの切断
1ng cDNA、10ul 2xTD Buffer (Illumina Nextera kit)、1ul Nextera enzyme (Illumina Nextera)、20ul 反応系、55℃ 7min。5ul Tn5 stop buffer (Nextera kit)を加えた。
ライブラリ増幅
25ul 以上の反応系、1ul 10uM プライマーTrueseqD501、1ul 10uM プライマーNextera N701プライマー、1ul Taq enzyme、72℃ 5min、94℃ 2min、94℃ 30sec、60℃ 30sec、72℃ 3sec、18サイクル。
ライブラリはAMPure XP磁気ビーズで、1:1容量で精製された。
Illumina Novaseqでは1細胞あたり10万PE150リード長(reads)を測定した。
トランスクリプトームとゲノムを同時に解析した。
図28は、切片をHE染色して空間格子チップに重ねたものであり、各ドットの色の濃淡が測定で得られた遺伝子数を示している。本願発明の手法は、空間的マルチオミクス技術プラットフォームの研究に用いることができる。
以上、詳しい説明は、解釈するか、例を挙げるように記載されたが、添付の請求項範囲を限定するわけではない。これまで本明細書に記載の実施形態に、多様な変更などがあることが当業者に明らかであり、且つ、添付の請求項とそれに同等する実施形態の範囲に属する。

Claims (114)

  1. 細胞に由来する標的核酸を解析する方法であって、
    a)以下のもの、すなわち
    i.単一細胞に由来する標的核酸であって、前記標的核酸の少なくとも一部にオリゴヌクレオチドアダプター配列が付加されて、付着されたものになる標的核酸、および
    ii.少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、前記各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および前記バーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および前記第1鎖の前記ハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、前記第1鎖と前記第2鎖が部分的2本鎖構造を形成するか、前記第2鎖と前記付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体より構成される離散的な区画を提供すること、
    b)前記離散的な区画において、前記オリゴヌクレオチドタグが前記付着された標的核酸に連結されることによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    方法。
  2. 前記オリゴヌクレオチドタグは、前記固体支持体に放出可能に付着している、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記固体支持体から、前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを放出し、b)において放出された前記オリゴヌクレオチドタグを前記付着された標的核酸に連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
  4. 前記オリゴヌクレオチドタグは、その第1鎖の5’末端を介して前記固体支持体に直接的または間接的に付着している、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記離散的な区画は、前記オリゴヌクレオチドタグを前記付着された標的核酸に結合させるリガーゼをさらに含む、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記リガーゼは、T4リガーゼを含む、
    請求項5に記載の方法。
  7. 前記バーコード化標的核酸においては、前記標的核酸の配列が、前記バーコード配列の3’末端に位置する、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記固体支持体は、ビーズである、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記ビーズは、磁気ビーズである、
    請求項8に記載の方法。
  10. 前記離散的な区画は、ウェルまたは微小滴である、
    請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記バーコード配列は、細胞バーコード配列を有し、同じ固体支持体に付着した各オリゴヌクレオチドタグは、同じ細胞バーコード配列を有する、
    請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記細胞バーコード配列は、リンカー配列によって離間された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む、
    請求項11に記載の方法。
  13. a)は、前記単一細胞に由来する標的核酸を、前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体と共に、前記離散的な区画に共分散させることを含む、
    請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. b)は、前記オリゴヌクレオチドタグの第1鎖の前記ハイブリダイゼーション配列を、前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、前記バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. b)は、前記オリゴヌクレオチドタグの第2鎖の前記第2部分を前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプターとハイブリダイズさせること、および前記オリゴヌクレオチドタグの第1鎖の前記ハイブリダイゼーション配列を、前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、前記バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記付着された標的核酸には、固有の分子同定領域が含まれている、
    請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記固有の分子同定領域は、前記オリゴヌクレオチドアダプター配列と前記標的核酸配列との間に位置する、
    請求項16に記載の方法。
  18. 前記オリゴヌクレオチドタグは、増幅プライマー認識領域をさらに含む、
    請求項1~17のいずれか一項に記載の方。
  19. 前記増幅プライマー認識領域は、一般的な増幅プライマー認識領域である、
    請求項18に記載の方法。
  20. さらに、
    c)前記バーコード化標的核酸の特性評価結果を得ること、および
    d) c)で得られた前記特性評価結果における同一の前記細胞バーコード配列の存在に少なくとも部分的に基づいて、前記標的核酸の配列を前記単一細胞に由来するものとして認識することを含む、
    請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. さらに、b)の後かつc)の前に、前記バーコード化標的核酸を前記離散的な区画から放出することを含む、
    請求項20に記載の方法。
  22. c)は、前記バーコード化標的核酸を配列決定することによって、前記特性評価結果を得ることを含む、
    請求項20~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. さらに、前記バーコード化標的核酸の配列から、前記単一細胞のゲノムの少なくとも一部の連続した核酸配列を組み立てることを含む、
    請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記単一細胞は、前記単一細胞の前記ゲノムの少なくとも一部の前記核酸配列に基づいて特徴付けられる、
    請求項23に記載の方法。
  25. 各前記離散的な区画は、単一細胞に由来する前記標的核酸を最大で含む、
    請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
  26. さらに、前記固有の分子同定領域の存在に少なくとも部分的に基づいて、前記バーコード化標的核酸中の単一の核酸配列を、前記標的核酸中の所定の核酸に由来するものとして同定することを含む、
    請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記標的核酸は、細胞内の標的分子に結合することが可能なタンパク質、脂質および/または低分子化合物に連結する外因性核酸を含む外因性核酸を含む、
    請求項20~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. さらに、前記固有の分子同定領域の存在に基づいて、前記標的核酸中の所定の核酸の量を決定することを含む、
    請求項27に記載の方法。
  29. a)の前に、前記細胞を前処理することを含む、
    請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記前処理は、前記細胞を固定することを含む、
    請求項29に記載の方法。
  31. 前記細胞を、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、アセトン、グルタルアルデヒド、オスミウム酸および重クロム酸カリウムからなる群から1つ以上選択される固定試薬を用いて固定する、
    請求項30に記載の方法。
  32. 前記前処理は、前記細胞の細胞核を露出させることを含む、
    請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記前処理は、前記細胞をTriton、NP-40および/またはジギトニンを有する界面活性剤で処理することを含む、
    請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記標的核酸は、DNA、RNAおよびcDNAからなる群から選択される1つ以上を含む、
    請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
  35. さらに、b)の後かつc)の前に、前記バーコード化標的核酸を増幅することを含む、
    請求項20~34のいずれか一項に記載の方法。
  36. b)の後かつc)の前に、前記離散的な区画から前記バーコード化標的核酸を放出し、かつ前記増幅は、前記バーコード化標的核酸が前記離散的な区画から放出された後に実施されることを含む、
    請求項35に記載の方法。
  37. 前記増幅において、ランダムガイド配列を有する増幅プライマーが使用される、
    請求項35~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記ランダムガイド配列はランダム六量体である、
    請求項37に記載の方法。
  39. 前記増幅は、前記ランダムガイド配列を前記バーコード化標的核酸の少なくとも一部とハイブリダイズさせ、前記ランダムガイド配列をテンプレート指向性方式で伸長させることを含む、
    請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記標的核酸の少なくとも一部を前記離散的な区画における前記単一細胞から細胞外に放出させ、b)で放出された前記標的核酸を前記オリゴヌクレオチドタグに連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記固体支持体から放出された前記オリゴヌクレオチドタグの少なくとも一部を前記単一細胞に入れ込み、b)で前記標的核酸に連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. マイクロ流体デバイスを使用して、前記単一細胞に由来する標的核酸を前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着した固体支持体と共に、前記離散的な区画に共分散させることを含む、
    請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記離散的な区画は微小滴であり、前記マイクロ流体デバイスはマイクロドロップレットジェネレーターである、
    請求項42に記載の方法。
  44. 前記マイクロ流体デバイスは、流出流路に流体的に接続する接合部で合流する第1流入流路と第2流入流路を備える、
    請求項42~43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記方法は、前記標的核酸を含有するサンプルを前記第1流入流路に導入し、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを付着した前記固体支持体を前記第2流入流路に導入することによって、前記流出流路に前記サンプルと前記固体支持体の混合物を生成することをさらに含む、
    請求項44に記載の方法。
  46. 前記流出流路は、接合部で第3流入流路に流体的に接続している、
    請求項45に記載の方法。
  47. 油中水型エマルション内の水性微小液滴が前記離散的な区画として形成されるように、油を前記第3流入流路に導入することをさらに含む、
    請求項46に記載の方法。
  48. 各前記離散的な区画は、単一細胞に由来する前記標的核酸を最大で含有する、
    請求項47に記載の方法。
  49. 前記第1流入流路は、前記第2流入流路との間に互いに対して実質的に垂直な角度を形成する、
    請求項44~48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記標的核酸は、前記単一細胞内のRNAに由来するcDNAを含む、
    請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記RNAは、mRNAを含む、
    請求項50に記載の方法。
  52. a)の前に前記RNAを逆転写し、前記付着された標的核酸を産生することを含む、
    請求項34~51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記逆転写において、前記オリゴヌクレオチドアダプター配列およびポリT配列を5’から3’方向に含んでいる逆転写プライマーが使用される、
    請求項52に記載の方法。
  54. 前記逆転写は、前記ポリT配列を前記RNAとハイブリダイズさせ、前記ポリT配列をテンプレート指向性方式で伸長させることを含む、
    請求項53に記載の方法。
  55. 前記標的核酸は、前記単一細胞に由来するDNAを含む、
    請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記DNAは、ゲノムDNA、オープンクロマチンDNA、タンパク質結合DNA領域および/または細胞内の標的分子に結合することが可能なタンパク質、脂質および/または低分子化合物に結合した外因性核酸を含む、
    請求項55に記載の方法。
  57. a)の前に、単一細胞に由来する前記DNAを断片化することを含む、
    請求項56に記載の方法。
  58. 前記付着された標的核酸は、前記断片化後または前記断片化中に産生される、
    請求項57に記載の方法。
  59. 前記断片化は、超音波断片化を使用し、次いで、断片化された前記DNAに前記オリゴヌクレオチドアダプターを含む配列を付加することによって、前記付着された標的核酸を得ることを含む、
    請求項57~58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記断片化は、DNAエンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ切断を使用し、次いで、断片化された前記DNAに前記オリゴヌクレオチドアダプターを含む配列を付加することによって、前記付着された標的核酸を得ることを含む、
    請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 前記断片化は、トランスポザーゼ-核酸複合体を用いて、前記オリゴヌクレオチドアダプターを含む配列を前記DNAに組み込み、前記トランスポザーゼを放出することによって、前記付着された標的核酸を得ることを含む、
    請求項57~60のいずれか一項に記載の方法。
  62. 前記トランスポザーゼ-核酸複合体は、トランスポザーゼおよび前記オリゴヌクレオチドアダプター配列を有するトランスポゾン末端核酸分子を含む、
    請求項61に記載の方法。
  63. 前記トランスポザーゼは、Tn5を含む、
    請求項61~62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 前記DNAは、タンパク質に結合するDNA領域を含み、かつ、前記トランスポザーゼ-核酸複合体は、前記タンパク質を直接的または間接的に認識する部分をさらに含む、
    請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
  65. 前記タンパク質を直接的または間接的に認識する前記部分は、前記タンパク質に特異的に結合する抗体およびタンパク質Aまたはタンパク質Gからなる群の1つ以上を含む、
    請求項64に記載の方法。
  66. それぞれ少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着された複数の固体支持体であって、ここで、各前記オリゴヌクレオチドタグは、バーコード配列および前記バーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および前記第1鎖の前記ハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに被検核酸中の配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、前記第1鎖と前記第2鎖が部分的2本鎖構造を形成するか、前記第2鎖と前記付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成する複数の固体支持体を含み、前記オリゴヌクレオチドタグのバーコード配列は、共通バーコードドメインと可変ドメインを含み、前記共通バーコードドメインは、同一の固体支持体に付着したオリゴヌクレオチドタグにおいて同一であり、前記複数の固体支持体のうちの2つ以上の間で異なる、
    組成物。
  67. 請求項66に記載の組成物を含む、
    細胞に由来する標的核酸を解析するためのキット。
  68. トランスポザーゼを含む、
    請求項67に記載のキット。
  69. 核酸増幅用試薬、逆転写試薬、固定試薬、浸透剤、連結剤および切断剤の少なくとも1つをさらに含む、
    請求項67~68のいずれか一項に記載のキット。
  70. 細胞に由来する標的核酸を増幅する方法であって、
    a)以下のもの、すなわち、i. 単一細胞に由来する標的核酸であって、前記標的核酸の少なくとも一部にオリゴヌクレオチドアダプター配列が付加されて、付着されたものになる標的核酸、およびii.少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、前記各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および前記バーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および前記第1鎖の前記ハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、前記第1鎖と前記第2鎖が部分的2本鎖構造を形成するか、前記第2鎖と前記付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体より構成される離散的な区画を提供すること、
    b)前記離散的な区画において、前記オリゴヌクレオチドタグが前記付着された標的核酸に連結されることによって、バーコード化標的核酸を産生すること;および
    c)前記バーコード化標的核酸を増幅することを含む、
    方法。
  71. 前記オリゴヌクレオチドタグは、前記固体支持体に放出可能に付着している、
    請求項70に記載の方法。
  72. 前記固体支持体から、前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを放出し、b)において放出された前記オリゴヌクレオチドタグを前記付着された標的核酸に連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    請求項71に記載の方法。
  73. 前記オリゴヌクレオチドタグは、その第1鎖の5’末端を介して前記固体支持体に直接的または間接的に付着している、
    請求項70~72のいずれか一項に記載の方法。
  74. 前記離散的な区画は、前記オリゴヌクレオチドタグを前記付着された標的核酸に結合させるリガーゼをさらに含む、
    請求項70~73のいずれか一項に記載の方法。
  75. 前記リガーゼは、T4リガーゼを含む、
    請求項74に記載の方法。
  76. 前記バーコード化標的核酸においては、前記標的核酸の配列が、前記バーコード配列の3’末端に位置する、
    請求項70~75のいずれか一項に記載の方法。
  77. 前記固体支持体は、ビーズである、
    請求項70~76のいずれか一項に記載の方法。
  78. 前記離散的な区画は、ウェルまたは微小滴である、
    請求項70~77のいずれか一項に記載の方法。
  79. 前記バーコード配列は、細胞バーコード配列を有し、同じ固体支持体に付着した各オリゴヌクレオチドタグは、同じ細胞バーコード配列を有する、
    請求項70~78のいずれか一項に記載の方法。
  80. 前記細胞バーコード配列は、リンカー配列によって離間された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む、
    請求項79に記載の方法。
  81. a)は、前記単一細胞に由来する標的核酸を、前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体と共に、前記離散的な区画に共分散させることを含む、
    請求項70~80のいずれか一項に記載の方法。
  82. b)は、前記オリゴヌクレオチドタグの第1鎖の前記ハイブリダイゼーション配列を、前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、前記バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    請求項70~81のいずれか一項に記載の方法。
  83. b)は、前記オリゴヌクレオチドタグの第2鎖の前記第2部分を、前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプターとハイブリダイズさせること、および前記オリゴヌクレオチドタグの第1鎖の前記ハイブリダイゼーション配列を、前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、前記バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    請求項70~82のいずれか一項に記載の方法。
  84. 前記付着された標的核酸には、固有の分子同定領域が含まれている、
    請求項70~83のいずれか一項に記載の方法。
  85. 前記固有の分子同定領域は、前記オリゴヌクレオチドアダプター配列と前記標的核酸配列との間に位置する、
    請求項84に記載の方法。
  86. 前記オリゴヌクレオチドタグは、増幅プライマー認識領域をさらに含む、
    請求項70~85のいずれか一項に記載の方法。
  87. 前記増幅プライマー認識領域は、一般的な増幅プライマー認識領域である、
    請求項86に記載の方法。
  88. b)の後かつc)の前に、前記バーコード化標的核酸を前記離散的な区画から放出し、かつ前記増幅は、前記バーコード化標的核酸が前記離散的な区画から放出された後に実施されることを含む、
    請求項87に記載の方法。
  89. 前記増幅において、ランダムガイド配列を有する増幅プライマーが使用される、
    請求項70~88のいずれか一項に記載の方法。
  90. 前記ランダムガイド配列はランダム六量体である、
    請求項89に記載の方法。
  91. 前記増幅は、前記ランダムガイド配列を前記バーコード化標的核酸の少なくとも一部とハイブリダイズさせ、前記ランダムガイド配列をテンプレート指向性方式で伸長させることを含む、
    請求項70~90のいずれか一項に記載の方法。
  92. 細胞に由来する標的核酸を配列決定する方法であって、
    a)以下のもの、すなわち、i. 単一細胞に由来する標的核酸であって、前記標的核酸の少なくとも一部にオリゴヌクレオチドアダプター配列が付加されて、付着されたものになる標的核酸;およびii.少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着しており、ここで、前記各オリゴヌクレオチドタグはバーコード配列および前記バーコード配列の3’末端にあるハイブリダイゼーション配列から構成される第1鎖、および前記第1鎖の前記ハイブリダイゼーション配列に相補的な第1部分ならびに前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプター配列に相補的な第2部分から構成される第2鎖を含み、かつ、前記第1鎖と前記第2鎖が部分的2本鎖構造を形成するか、前記第2鎖と前記付着された標的核酸が部分的2本鎖構造を形成している固体支持体より構成される離散的な区画を提供すること;
    b)前記離散的な区画において、前記オリゴヌクレオチドタグが前記付着された標的核酸に連結されることによって、バーコード化標的核酸を産生すること;および
    c)前記バーコード化標的核酸を配列決定することを含む、
    方法。
  93. 前記オリゴヌクレオチドタグは、前記固体支持体に放出可能に付着している、
    請求項92に記載の方法。
  94. 前記固体支持体から、前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグを放出し、b)において放出された前記オリゴヌクレオチドタグを前記付着された標的核酸に連結することによって、バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    請求項93に記載の方法。
  95. 前記オリゴヌクレオチドタグは、その第1鎖の5’末端を介して前記固体支持体に直接的または間接的に付着している、
    請求項92~94のいずれか一項に記載の方法。
  96. 前記離散的な区画は、前記オリゴヌクレオチドタグを前記付着された標的核酸に結合させるリガーゼをさらに含む、
    請求項92~95のいずれか一項に記載の方法。
  97. 前記リガーゼは、T4リガーゼまたはT7リガーゼを含む、
    請求項96に記載の方法。
  98. 前記バーコード化標的核酸において、前記標的核酸配列が、前記バーコード配列の3’末端に位置する、
    請求項92~97のいずれか一項に記載の方法。
  99. 前記固体支持体は、ビーズである、
    請求項92~98のいずれか一項に記載の方法。
  100. 前記離散的な区画は、ウェルまたは微小滴である、
    請求項92~99のいずれか一項に記載の方法。
  101. 前記バーコード配列は、細胞バーコード配列を有し、同じ固体支持体に付着した各オリゴヌクレオチドタグは、同じ細胞バーコード配列を有する、
    請求項92~100のいずれか一項に記載の方法。
  102. 前記細胞バーコード配列は、リンカー配列によって離間された少なくとも2つの細胞バーコードセグメントを含む、
    請求項101に記載の方法。
  103. a)は、前記単一細胞に由来する標的核酸を、前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドタグが付着した固体支持体と共に、前記離散的な区画に共分散させることを含む、
    請求項92~102のいずれか一項に記載の方法。
  104. b)は、前記オリゴヌクレオチドタグの第1鎖の前記ハイブリダイゼーション配列を、前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、前記バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    請求項92~103のいずれか一項に記載の方法。
  105. b)は、前記オリゴヌクレオチドタグの第2鎖の前記第2部分を前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプターとハイブリダイズさせること、および前記オリゴヌクレオチドタグの第1鎖の前記ハイブリダイゼーション配列を、前記標的核酸に付着した前記オリゴヌクレオチドアダプターに連結することによって、前記バーコード化標的核酸を産生することを含む、
    請求項92~104のいずれか一項に記載の方法。
  106. 前記付着された標的核酸には、固有の分子同定領域が含まれている、
    請求項92~105のいずれか一項に記載の方法。
  107. 前記固有の分子同定領域は、前記オリゴヌクレオチドアダプター配列と前記標的核酸配列との間に位置する、
    請求項106に記載の方法。
  108. 前記オリゴヌクレオチドタグは、増幅プライマー認識領域をさらに含む、
    請求項92~107のいずれか一項に記載の方法。
  109. 前記増幅プライマー認識領域は、一般的な増幅プライマー認識領域である、
    請求項108に記載の方法。
  110. さらに、前記バーコード化標的核酸の配列から、前記単一細胞のゲノムの少なくとも一部の連続した核酸配列を組み立てることを含む、
    請求項92~109のいずれか一項に記載の方法。
  111. 前記単一細胞は、前記単一細胞の前記ゲノムの少なくとも一部の前記核酸配列に基づいて特徴付けられる、
    請求項110に記載の方法。
  112. 各前記離散的な区画は、単一細胞に由来する前記標的核酸を最大で含む、
    請求項92~111のいずれか一項に記載の方法。
  113. さらに、前記固有の分子同定領域の存在に少なくとも部分的に基づいて、前記バーコード化標的核酸中の単一の核酸配列を、前記標的核酸中の所定の核酸に由来するものとして同定することを含む、
    請求項92~112のいずれか一項に記載の方法。
  114. さらに、前記固有の分子同定領域の存在に基づいて、前記標的核酸中の所定の核酸の量を決定することを含む、
    請求項113に記載の方法。
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