JP2023523721A - 断熱ゾーンおよびパイルゾーンを有する織地 - Google Patents

Abstract

本開示の態様は、１つ以上の断熱ゾーンおよび１つ以上のパイル（ｐｉｌｅ）ゾーンを有する織地、および織地から生産された衣服に関し、ここでパイルゾーンは、断熱ゾーンから継ぎ目なく延びる。織地は、第１織布層、第２織布層、および第１織布層と第２織布層との間に位置決めされる不織布層を含む。断熱ゾーンにおいて、第１織布層、第２織布層、および不織布層は、互いに張り付けられていない。パイルゾーンにおいて、不織布層からの繊維／フィラメントは、第１織布層および第２織布層それぞれからの繊維、フィラメント、および糸と交絡する。【選択図】図１

Description

本明細書の態様は織地に関し、織布層と不織布層との組み合わせから形成された断熱ゾーンおよびパイル（ｐｉｌｅ）ゾーンを有する織地から形成された衣服に関する。

例えば、断熱ゾーンおよびパイルゾーンを含む従来の衣服は概して、パネルタイプのカットソー（ｃｕｔ－ａｎｄ－ｓｅｗ）構成を使用して形成され、その場合には、継ぎ目が使用されて、断熱ゾーンを形成する織地を、パイルゾーンを形成する織地と張り付ける。継ぎ目線は、構造的に弱い領域を導入し得、審美的に好ましくあり得ず、かつ／または着用者にとって擦れまたは不快感を引き起こし得る。

次に続く条項では、本明細書で考慮されているコンセプトについて例示的態様を示す。以下の条項のうちいずれか１つは、複数の依存し合う方式で組み合わせられて１つ以上の他の条項に従属し得る。さらに、依存し合う条項（前の条項に明示的に従属する条項）の任意の組み合わせは、本明細書で考慮されている態様の範囲内にとどまりながら、組み合わせられ得る。以下の条項は例であり、制限的ではない。

条項１．第１織布層と、第２織布層と、第１織布層と第２織布層との間に位置決めされる不織布層と、を備える断熱ゾーンであって、第１織布層および第２織布層それぞれは、断熱ゾーン内の不織布層には張り付けられていない、断熱ゾーンと；断熱ゾーンから継ぎ目なく延びるパイルゾーンであって、パイルゾーンは、第１織布層と、第２織布層と、第１織布層と第２織布層との間に位置決めされる不織布層と、を備える、パイルゾーンと；を備え、不織布層からの繊維および／またはフィラメントは、第１織布層および第２織布層それぞれからの繊維、フィラメント、および／または糸と交絡し、その結果、第１織布層および第２織布層は、パイルゾーン内の不織布層に束縛される、織地。

条項２．不織布層は、２つ以上の不織布シートを備え、２つ以上の不織布シートそれぞれからの繊維および／またはフィラメントは、互いに交絡する、条項１に記載の織地。

条項３．２つ以上の不織布シートの第１不織布シートは、第１視覚的特性を備え、２つ以上の不織布シートのうち第２不織布シートは、第１視覚的特性とは異なる第２視覚的特性を備える、条項２に記載の織地。

条項４．第１視覚的特性は、第１色を備え、第２視覚的特性は、第２色を備える、条項３に記載の織地。

条項５．第１視覚的特性は、第１パターンを備え、第２視覚的特性は、第２パターンを備える、条項３または４に記載の織地。

条項６．不織布層は、約１８０グラム／平方メートル（ｇｓｍ）～約２２０ｇｓｍの重量を有する、条項１～５のうちいずれか１つに記載の織地。

条項７．第１織布層と、第２織布層と、第１織布層と第２織布層との間に位置決めされる不織布層と、を備える断熱ゾーンであって、第１織布層、第２織布層、および不織布層は、断熱ゾーン内に分離されかつ区別された層を備える、断熱ゾーンと；断熱ゾーンから継ぎ目なく延びるパイルゾーンであって、パイルゾーンは、第１織布層、第２織布層、および不織布層を備える、パイルゾーンと；を備え、不織布層からの繊維および／またはフィラメントは、パイルゾーン内の第１織布層および第２織布層それぞれからの繊維、フィラメント、および／または糸と交絡し、その結果、第１織布層および第２織布層は、パイルゾーン内の不織布層に束縛される、衣服。

条項８．第１織布層および第２織布層の両方は、断熱ゾーン内の不織布層には張り付けられていない、条項７に記載の衣服。

条項９．不織布層は、第１織布層および第２織布層のうち１つ以上の視覚的特性とは異なる視覚的特性を有する、条項７または８に記載の衣服。

条項１０．不織布層は、２つ以上の不織布シートを備え、２つ以上の不織布シートそれぞれからの繊維および／またはフィラメントは、互いに交絡する、条項７～９のうちいずれか１つに記載の衣服。

条項１１．２つ以上の不織布シートの第１不織布シートは、第１視覚的特性を備え、２つ以上の不織布シートのうち第２不織布シートは、第１視覚的特性とは異なる第２視覚的特性を備える、条項１０に記載の衣服。

条項１２．不織布層は、約１８０グラム／平方メートル（ｇｓｍ）～約２２０ｇｓｍの重量を有する、条項７～１１のうちいずれか１つに記載の衣服。

条項１３．衣服が着用時の構成にある場合、断熱ゾーンは、衣服上で着用者の高い熱損失領域に対応する領域に位置決めされる、条項７～１２のうちいずれか１つに記載の衣服。

条項１４．第１織布層と第２織布層との間で不織布層を位置決めして層状構成を形成するステップと、不織布層からの繊維および／またはフィラメントを、層状構成の第１領域内で、第１織布層および第２織布層それぞれからの繊維、フィラメント、および／または糸と交絡させるステップと、を備え、第１織布層および第２織布層それぞれは、層状構成の第２領域内で不織布層に張り付けられないままである、織地の製造方法。

条項１５．不織布層は、２つ以上の不織布シートを互いに隣接するように位置決めし、交絡工程を使用して２つ以上の不織布シートそれぞれからの繊維および／またはフィラメントを互いに交絡させることで形成される、条項１４に記載の織地の製造方法。

条項１６．交絡工程は、不織布層の第１表面から不織布層の第２表面に向かう方向、および不織布層の第２表面から不織布層の第１表面に向かう方向で実施される、条項１５に記載の織地の製造方法。

条項１７．不織布層からの繊維および／またはフィラメントをそれぞれの第１織布層および第２織布層からの繊維、フィラメント、および／または糸と交絡させるステップは、不織布層の第１表面に隣接して第１織布層を位置決めすることと、不織布層から第１織布層に向かう方向で第１交絡工程を実施することと、次に不織布層の第２反対表面に隣接して第２織布層を位置決めすることと、第１織布層から第２織布層に向かう方向で第２交絡工程を実施することと、を備える、条項１４～１６のうちいずれか１つに記載の織地の製造方法。

条項１８．不織布層は、約１８０グラム／平方メートル（ｇｓｍ）～約２２０ｇｓｍの重量を有する、条項１４～１７のうちいずれか１つに記載の織地の製造方法。

条項１９．不織布層は、第１織布層および第２織布層のうち１つ以上の視覚的特性とは異なる視覚的特性を有する、条項１４～１８のうちいずれか１つに記載の織地の製造方法。

条項２０．不織布層、ならびに第１織布層および第２織布層のうち１つ以上の視覚的特性は、色を備える、条項１９に記載の織地の製造方法。

本明細書の態様の例は、添付図を参照して以下に詳細に記載される。
本明細書の態様に従って断熱ゾーンおよびパイルゾーンを有する例示的織地の第１表面の図を図示する。 図１の例示的織地の第２反対表面の図を図示し、本明細書の態様に従って断熱ゾーンおよびパイルゾーンを示す。 本明細書の態様に従って図１の例示的織地の断面図を図示する。 本明細書の態様に従って図１の例示的織地の不織布層を形成する例示的工程の概略図を図示する。 本明細書の態様に従って図１の例示的織地を形成する例示的工程の概略図を図示する。 本明細書の態様に従って図１の例示的織地を組み込む例示的上半身用衣服を図示する。 本明細書の態様に従って図１の例示的織地を組み込む例示的下半身用衣服を図示する。 本明細書の態様に従って図１の織地を製造する例示的方法のフロー図を図示する。

本発明の主題は、法定要件を満たすために、本明細書の特異性をもって記載される。しかし、記載そのものは、本開示の範囲を制限する意図はない。むしろ本発明者は、請求の主題または開示の主題も他の方式で具体化されて、他の現在または将来の技術と関連して、異なるステップ、または本文書に記載されたステップに類似するステップの組み合わせを含み得ると考慮している。さらに、用語「ステップ」および／または「ブロック」は、採用された方法の異なる要素を含意するために本明細書において使用され得るにも拘わらず、個々のステップの順序が明示的に記載される場合でない限り、かつその場合を除いて、該用語は、本発明において開示された様々なステップ間の任意の特定の順序という意味を含蓄すると解釈すべきではない。

断熱ゾーンおよびパイルゾーン（つまり、フリース状ゾーン）を有する従来の衣料品は概して、パネルタイプのカットソー構成を使用して形成され、その場合、断熱ゾーンの形成に使用される織地は、パイルゾーンの形成に使用される織地に継ぎ合わせられる。得られた継ぎ目は、構造的に弱い領域を導入し得、好ましくない審美性を生み出し得、かつ／または着用者に擦れまたは不快感を引き起こし得る。さらに、従来のパイルゾーンの形成に使用される織地は、雨、雪、および／または風などの悪天候条件において織地の使用を好適にする特徴を欠き得る。

本明細書の態様は、織地、織地から形成された衣服、および織地の製造方法に関し、ここで織地は、互いに継ぎ目なく延びる断熱ゾーンおよびパイルゾーンを有する。さらに、パイルゾーンの構成により、パイルゾーンは、典型的なパイル織地より悪天候条件に対してより耐性のある特徴を含む。例示的態様において、断熱ゾーンは、第１織布層、第２織布層、および第１織布層と第２織布層との間の空間に位置決めされる不織布層を含む。断熱ゾーンにおいて、第１織布層、第２織布層、および不織布層は、互いに張り付けられておらず、その結果、第１織布層、第２織布層、および不織布層は、分離されかつ区別された層である。不織布層は、暖められた空気を捉えるために使用され得る異なる層の間に形成された空間に加えて、不織布層を形成する繊維とフィラメントとの間に多数の空間を含み、これは、暖められた空気を捉え、着用者を断熱することにさらに役立つ。

パイルゾーンは、第１織布層、第２織布層、および不織布層を含む。パイルゾーンにおいて、不織布層からの繊維／フィラメントは、第１織布層および第２織布層内に、それを通って延び、例えば、交絡工程（例えば、ニードルパンチなど）を通して、第１織布層および第２織布層の両方からの繊維、フィラメントおよび／または糸と交絡する。不織布繊維／フィラメントが第１織布層および第２織布層と交絡するがゆえに、第１織布層および第２織布層は、パイルゾーン内の不織布層に束縛または固定される。パイルゾーンは、第１織布層および第２織布層を通って延びる不織布層からの繊維／フィラメントにより、フリース状の質感を有する。耐候特性を示さないようなベース織地からタフトまたはループが一体的に延びる典型的なパイル織地とは異なり、本明細書が考慮するパイルゾーンは、第１織布層および第２織布層が存在するがゆえに、耐候特性を有し得る。例えば、第１織布層および第２織布層が密に織られた例示的態様において、パイルゾーンは、耐風特性を示し得る。第１織布層および第２織布層のうち１つ以上が耐久撥水剤で処理された追加の例示的態様において、パイルゾーンは概して、雨または降雨に対して耐性があり得る。

断熱ゾーンおよびパイルゾーンは、同じ材料から形成されているが、本明細書の態様は、例えば、交絡工程に基づいて断熱ゾーンとパイルゾーンとの間で審美性に変化のあるものを考慮する。例えば、第１織布層および／または第２織布層は、第１視覚的特性を有し得る。不織布層は、第１視覚的特性とは異なる第２視覚的特性を有し得る。本態様において、不織布層が第１織布層と第２織布層との間に位置決めされ、見えない場合があるため、断熱ゾーンは、第１織布層および／または第２織布層に関連付けられた第１視覚的特性を主として示すか、または表示し得る。第１織布層および／または第２織布層の繊維、フィラメント、および糸と不織布層の繊維およびフィラメントとが交絡するため、パイルゾーンは、第１視覚的特性と第２視覚的特性との間の中間である異なる視覚的特性を示すか、または表示し得る。例の使用により、第１織布層および／または第２織布層は白色であり得、不織布層はグレー色であり得る。断熱ゾーンは、主として白色を示したり、表示したりし得、第１織布層および／または第２織布層を形成する白糸と不織布層を形成するグレーの繊維／フィラメントとが混合されているため、パイルゾーンは、ヘザーグレー（ｈｅａｔｈｅｒ ｇｒｅｙ）および白の外観を有し得る。

本明細書において使用される用語「衣服」は、上半身用衣服（例えば、シャツ、ジャケット、パーカー、タンクトップ、プルオーバ）、下半身用衣服（例えば、パンツ、ショーツ、レギンス）、シューズまたはソックスなどの履物品、帽子類物品（例えば、ハット）、手袋、スリーブ（例えば、アームスリーブ、ふくらはぎスリーブ）、および同種のものを含む、着用者によって着用されるはずの任意の数の製品を包含する。前面、背面、内向表面、外向表面、および同種のものなどの衣服を記述する際に使用される、位置に関する用語は、直立した状態の着用者が着用すると想定される場合の衣服に関してである。したがって、衣服の形態が上半身用衣服である場合、上半身用衣服の前面は、例えば、前面上部の胴領域および腕の前面領域（衣服にスリーブがある場合）をカバーするように構成され、上半身用衣服の背面は、背面上部の胴領域および腕の背面領域（衣服にスリーブがある場合）をカバーするように構成される。衣服の形態が下半身用衣服である場合、下半身用衣服の前面は、例えば、着用者の前面下部の胴領域および脚の前面領域をカバーするように構成され、下半身用衣服の背面は、背面下部の胴領域および脚の背面領域をカバーするように構成される。同様に、衣服の内向表面は、内側に面する（例えば、着用者の体表面に面する）ように構成され、衣服の外向表面は、外部環境に面するか、または衣服の内向表面を背にするように構成される。本明細書で、いくつかの態様において、衣服の内向表面は、衣服の最内向表面を備え得ることが考慮される。いくつかの態様において、衣服の外向表面は、衣服の最外向表面を備え得る。

本明細書において使用される用語「糸」は、連続ストランドを形成するように撚り合わせられたりまとめたりした繊維またはフィラメントの集合体を意味し得る。用語「糸」はまた、連続ストランドを形成する単一のモノフィラメントを包含し得る。例示的態様において、本明細書で記述された第１織布層および第２織布層は、糸、および糸を形成する繊維またはフィラメントから形成され得る。本明細書で記述された不織布層は、繊維および／またはフィラメントから形成され得る。

用語「織布層」は、複数の経糸および複数の経糸と織り合わせた複数の緯糸を有する織地を意味し、ここで複数の緯糸は、こ概して複数の経糸に直交して延びる。本明細書において使用される用語「不織布層」は、編み上げ、織り上げ、組み上げ構成または他の構造を有する構成の形態ではなく、機械的および／または化学的相互作用によって一緒に保持される繊維またはフィラメントを指す。特定の態様において、不織布織地は、機械的に操作されてマット状の材料を形成する繊維またはフィラメントの集合を含む。言い換えれば、不織布織地は、繊維またはフィラメントから直接作られる。本明細書において使用される用語「パイル」または「パイルゾーン」は、繊維／フィラメントの直立したループまたはストランドから形成された隆起した表面を有する複合織地を含む織地を意味する。

用語「継ぎ目なく延びる」は、互いに継ぎ目なく延びる２つの領域またはゾーンを意味する。本開示に関して、断熱ゾーンおよびパイルゾーンは、互いに継ぎ目なく延び、その結果、断熱ゾーン内の１つ以上の経糸および／または緯糸は、連続的に中断することなくパイルゾーン内に延びる。

本明細書において使用される「視覚的特性」は大まかに、織地によって生み出された視覚的印象を意味する。これは、質感、デニール、光沢、色、および同種のものの差異を含む、織地を形成するために使用された糸／繊維／フィラメントの特徴が異なるためであり得る。用語「パターン」に関して、該用語は、概して反復された装飾デザインを意味する。用語「色」に関して、該用語は、概して染料および／または着色剤によって与えられ得る織地の色に関する。さらに、例えば、用語「色」を記述する場合、織地は、織地を形成する糸／繊維／フィラメントの観察可能な色を意味する。そのような態様において、色は、当業者には周知の染料、顔料および／または着色剤を使用して糸／繊維／フィラメントに与えられる任意の色であり得ることが考慮される。したがって、糸／繊維／フィラメントは、赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫、白、黒、およびその色の陰影を含むがそれらに制限されない色を有するように構成され得る。

色に関する態様は、１つの色が別の色とは異なるかを判定することをさらに考慮している。このような態様において、色は、色数値を備え得、これは、色の知覚に影響し得る要因を標準化および／または数量化することで、対象物の色の色値を客観的に測定および／または計算する器具を使用することで判定され得る。そのような器具は、分光放射計、分光光度計、および同種のものを含むが、それらに制限されない。したがって、本明細書の態様は、糸／繊維／フィラメントによって提供される織地の「色」が色数値を備え得ることを考慮しており、この色数値は、分光放射計および／または分光光度計を使用して測定および／または計算することで判定される。さらに、色数値は、色空間または色モデルと関連付けられ得、これは、色数値の色表現を提供する特定の色編成であり、したがって、各色数値は、色空間または色モデルで表わされる単一色に対応する。

このような態様において、各色の色数値が異なる場合、色は、別の色とは異っていると判定され得る。そのような判定は、例えば、第１色を有する第１織地の色数値を分光放射計または分光光度計を用いて測定および／または計算し、第２色を有する第２織地の色数値を同じ器具（つまり、分光光度計を用いて第１色の色数値を測定した場合、分光光度計が第２色の色数値を測定するために使用される）を用いて測定および／または計算し、第１色の色数値を第２色の色数値と比較することで行われ得る。別の例において、判定は、分光放射計または分光光度計を用いて織地の第１領域の色数値を測定および／または計算し、同じ器具を用いて第２色を有する織地の第２領域の色数値を測定および／または計算し、第１色の色数値を第２色の色数値と比較することで行われ得る。色数値が等しくない場合、第１色は、第２色とは異なり、逆もまた同様である。

さらに、また、２つの色の視覚的区別は、第１色および第２色の色数値間の百分率差に相関し得、色値間の百分率差が増加するとともに視覚的区別は大きくなると考慮される。さらに、視覚的区別は、色空間またはモデル中の色値の色表現間の比較に基づき得る。例えば、第１色が黒または紺の表示色に対応する色数値を有し、第２色が赤または黄の表示色に対応する色数値を有する場合、第１色と第２色との間の視覚的区別は、赤の表示色を有する第１色と黄の表示色を有する第２色との間の視覚的区別より大きい。

別途記載のない限り、本明細書で提供されたすべての測定は、標準周囲温度および圧力（２５℃または２９８．１５Ｋ、１バール）で測定される。

図１および図２はそれぞれ、例示的織地１００の第１表面１０１および第２反対表面２０１の図を示す。織地１００は、断熱ゾーン１１０およびパイルゾーン１１２を含む。図１に関して、断熱ゾーン１１０の第１表面１０１は、第１織布層１１４から形成される。例示的態様において、第１織布層１１４として、ナイロン糸、ポリエステル糸、ナイロン糸とポリエステル糸との組み合わせ、および同種のものが含まれ得る。織地１００が衣服に組み込まれる場合、断熱ゾーン１１０の第１織布層１１４は、衣服の最外向表面を形成し得る。例示的態様において、第１織布層１１４は密に織られ得、その結果、第１織布層１１４は概して、風の侵透および／または雨の侵透に対して耐性がある。密に織られた第１織布層１１４があることも、第１織布層１１４と第２織布層との間の空間内の暖められた空気を維持するのに役立つ。さらなる例示的態様において、第１織布層１１４は、耐久撥水剤仕上げで処理されて、第１織布層１１４の耐水性または撥水性を向上させ得る。第１織布層１１４は、色またはパターンなどの視覚的特性を有し得る。

パイルゾーン１１２の第１表面１０１は、以下に論じられるように第１織布層１１４と、第１織布層１１４と第２織布層との間に位置決めされる不織布層の繊維／フィラメント１１６と、から形成される。不織布層の繊維／フィラメント１１６は、パイルゾーン１１２内の第１表面１０１を通って延び、その結果、不織布層の繊維／フィラメント１１６は、第１織布層１１４の表面平面から外側（つまり、正のＺ方向）に延びる。この構成は、パイルゾーン１１２にフリース状の質感を付与する。第１織布層１１４が存在するため、パイルゾーン１１２はまた、手触りの良さおよびフリース状の審美性を提供しながら、耐風雨特性を示し得る。

図２に関して、断熱ゾーン１１０の第２表面２０１は、第２織布層２１４から形成される。例示的態様において、第２織布層２１４として、ナイロン糸、ポリエステル糸、ナイロン糸とポリエステル糸との組み合わせ、および同種のものが含まれ得る。織地１００が衣服に組み込まれる場合、断熱ゾーン１１０の第２織布層２１４は、衣服の最内向表面を形成し得る。第１織布層１１４と同様、第２織布層２１４は密に織られ得、その結果、第１織布層１１４と第２織布層２１４との間の空間に捉えられた暖められた空気は概して、空間に保持されて着用者を暖めたり断熱したりするのに役立つ。第２織布層２１４はまた、色またはパターンなどの視覚的特性を有し得る。第２織布層２１４の視覚的特性は、第１織布層１１４の視覚的特性と同じであってもよく、または異なってもよい。

パイルゾーン１１２の第２表面２０１は、第２織布層２１４と、第１織布層１１４と第２織布層２１４との間に位置決めされる不織布層の繊維／フィラメント１１６と、から形成される。不織布層の繊維／フィラメント１１６は、パイルゾーン１１２内の第２表面２０１を通って延び、その結果、不織布層の繊維／フィラメント１１６は、第２織布層２１４の表面平面から外側（つまり、第１表面１０１を通って延びる繊維／フィラメント１１６に対して負のＺ方向）に延びて、パイルゾーン１１２の第２表面２０１にフリース状の質感を付与する。示されるように、織地１００の第１表面１０１上のパイルゾーン１１２の位置は、織地１００の第２表面２０１上のパイルゾーン１１２の位置に対応する。同様に、織地１００の第１表面１０１上の断熱ゾーン１１０の位置は、織地１００の第２表面２０１上の断熱ゾーン１１０の位置に対応する。言い換えれば、断熱ゾーン１１０およびパイルゾーン１１２は、織地１００の対向表面１０１および２０１上に対称的に位置する。

図３は、断熱ゾーン１１０およびパイルゾーン１１２を通る織地１００の断面を示す。示されるように、断熱ゾーン１１０は、第１織布層１１４および第２織布層２１４を含む。第１織布層１１４は、第１表面１１３および第１表面１１３の反対側の第２表面１１５を含む。例示的態様において、第１織布層１１４の第１表面１１３は、織地１００の断熱ゾーン１１０の第１表面１０１を形成する。第２織布層２１４はまた、第１表面２１３および第１表面２１３の反対側の第２表面２１５を含む。例示的態様において、第２織布層２１４の第１表面２１３は、織地１００の断熱ゾーン１１０の第２表面２０１を形成する。

第１表面３１２および第１表面３１２の反対側の第２表面３１４を有する不織布層３１０は、第１織布層１１４と第２織布層２１４との間に形成された空間に位置決めされる。さらに詳しくは、不織布層３１０の第１表面３１２は、第１織布層１１４の第２表面１１５に隣接して位置決めされ、不織布層３１０の第２表面３１４は、第２織布層２１４の第２表面２１５に隣接して位置決めされる。以下にさらに詳細に説明されるように、不織布層３１０は、互いに交絡する２つ以上の不織布シートを含み得る。例示的態様において、不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６は、再生ポリエステル繊維／フィラメントを含むポリエステル繊維／フィラメントから形成され得るが、本明細書では自然材料を含む他の材料も考慮される。例示的態様において、不織布層３１０は、約１５０グラム／平方メートル（ｇｓｍ）～約２５０ｇｓｍ、約１７０ｇｓｍ～約２３０ｇｓｍ、約１９０ｇｓｍ～約２１０ｇｓｍ、または約２００ｇｓｍの重量を有する。本明細書において使用される用語「約」は、表示値の±１０％以内を意味する。不織布層３１０の重量は、例えば、ＩＳＯ３８０１試験標準を使用して測定され得る。

断熱ゾーン１１０において、第１織布層１１４、不織布層３１０、および第２織布層２１４は、互いに分離されかつ区別され、その結果、空間、または潜在的空間は、第１織布層１１４の第２表面１１５と不織布層３１０の第１表面３１２との間に維持され、第２織布層２１４の第２表面２１５と不織布層３１０の第２表面３１４との間に維持される。言い換えれば、断熱ゾーン１１０において、第１織布層１１４、不織布層３１０、および第２織布層２１４は、互いに付着されないか、または互いに張り付けられていない。断熱ゾーン１１０において、第１織布層１１４と、第２織布層２１４と、不織布層３１０との間の空間は、暖められた空気を捉え、織地１００を組み込んだ衣服の着用者を断熱するのに役立つ。加えて、不織布層３１０を形成する繊維／フィラメント１１６間の空間はまた、暖められた空気を捉えるのに役立ち、断熱ゾーン１１０の断熱特徴をさらに増大させる。

織地１００のパイルゾーン１１２は、図３に示すように断熱ゾーン１１０から継ぎ目なく延びる。言い換えれば、断熱ゾーン１１０内の１つ以上の経糸または緯糸は、パイルゾーン１１２内に連続的に中断することなく延びる。パイルゾーン１１２は交絡工程によって作成され、これにより不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６は、第１織布層１１４および第２織布層２１４の繊維、フィラメントおよび／または糸と交絡する。例示的態様において、第１織布層１１４および第２織布層２１４の一体性は概して、パイルゾーン１１２内にそのまま残る。例えば、第１織布層１１４および第２織布層２１４を形成する経糸および緯糸は概して、パイルゾーン１１２内に織り合わせられたまま残る。

図３に示されるように、不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６は、第１織布層１１４内に延びる。いくつかの例示的態様において、不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６は、第１織布層１１４を通って延び（つまり、第１織布層１１４の第１表面１１３を通って延び）、その結果、不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６は、パイルゾーン１１２内の織地１００の第１表面１０１から外側に延びる。同様に、不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６は、第２織布層２１４内に延びる。いくつかの例示的態様において、不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６は、第２織布層２１４を通って延び（つまり、第２織布層２１４の第１表面２１３を通って延び）、その結果、不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６は、パイルゾーン１１２内の織地１００の第２表面２０１から外側に延びる。不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６がパイルゾーン１１２内の第１織布層１１４および第２織布層２１４と交絡するがゆえに、第１織布層１１４および第２織布層２１４は、パイルゾーン１１２内の不織布層３１０に束縛または固定される。不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６が、第１織布層１１４および第２織布層２１４を通って延びることで、パイルゾーン１１２内の織地１００の第１表面１０１および第２表面２０１上にパイルまたはフリース状の質感を生み出す。結果的に、これは、優れた手触りおよび好ましい審美性を提供する。さらに、第１織布層１１４および第２織布層２１４がパイルゾーン１１２内に存在するため、パイルゾーン１１２はまた、第１織布層１１４および／または第２織布層２１４の密に織られた性質によって、耐風もしくは防風ならびに／または耐雨もしくは防雨の特性を示す。

図４は、不織布層３１０を形成する例示的工程４００の概略図を図示する。ステップ４１０で、２つ以上の不織布シートが提供される。２つ以上の不織布シートはそれぞれ、概してｘ、ｙ平面に沿って延びる１つ以上の共通の方向に繊維を整列し、所望の坪量を達成するカーディングおよびラッピング工程を経る繊維の網で形成され得る。繊維の網はまた、ライトニードリング（ｌｉｇｈｔ ｎｅｅｄｌｉｎｇ）工程または機械的交絡工程を経てもよく、これは、繊維の網が、操作され得る（例えば、ローラー上で巻かれたり、ローラーから展開されたり、積み上げられたりし得る）凝集構造を形成する程度まで、網状繊維を交絡させる。不織布シートはまた、印刷（デジタル印刷、昇華印刷、インクジェット印刷、および同種のもの）などの１つ以上の追加処理ステップを通り得る。例示的態様において、４つの不織布シート４１２、４１４、４１６、および４１８が提供される。４つの不織布シート４１２、４１４、４１６、および４１８それぞれは、約３５ｇｓｍ～約６５ｇｓｍ、約４０ｇｓｍ～約６０ｇｓｍ、約４５ｇｓｍ～約５５ｇｓｍ、または約５０ｇｓｍの坪量を有して、不織布層３１０の所望の坪量約１５０ｇｓｍ～約２５０ｇｓｍを達成し得る。不織布シート４１２、４１４、４１６、および４１８はそれぞれ、異なる陰影パターンで示される視覚的特性４２０、４２２、４２４、および４２６を有し得る。視覚的特性４２０、４２２、４２４、および４２６は、印刷工程（デジタル印刷、昇華印刷、インクジェット印刷、および同種のもの）を通して付与され得る。さらにまたは代替として、視覚的特性４２０、４２２、４２４、および４２６は、不織布シート４１２、４１４、４１６、および４１８を形成する原着繊維／フィラメントを使用して付与され得る。視覚的特性４２０、４２２、４２４、および４２６は異なって示されているが、本明細書では視覚的特性のうち２つ以上が同一であると考慮される。視覚的特性４２０、４２２、４２４、および４２６は、色、パターン、色とパターンとの組み合わせ、および同種のものを含み得る。

ステップ４２８で、不織布シート４１２、４１４、４１６、および４１８は、互いに上端に位置決めされるか、または互いに積層されて、層状構成を形成する。不織布層３１０の所望の視覚的特性に従って、不織布シート４１２、４１４、４１６、および４１８は、特定の順序で配置され得るが、ランダムな配置も考慮される。ステップ４３０で、第１交絡工程４３２は、層状構成の第１側面または表面から層状構成の第２側面または表面を通じて実施される。加えて、第２交絡工程４３４は、層状構成の第２側面または表面から層状構成の第１側面または表面を通じて実施される。第１交絡工程および第２交絡工程４３２および４３４は、ニードルパンチまたは水流交絡などの機械的工程を備え得るが、本明細書では他の交絡工程も考慮される。第１交絡工程および第２交絡工程４３２および４３４は、不織布シート４１２、４１４、４１６、および４１８それぞれからの繊維／フィラメントを交絡させ、これにより不織布シート４１２、４１４、４１６、および４１８を互いに張り付けて凝集単一層構造にする。例示的態様において、不織布層３１０の所望の一体性または凝集性を達成するため、第１交絡工程および第２交絡工程４３２および４３４は、それぞれ数回（２回～７回など）実施され得る。例示的な一態様において、第１交絡工程および第２交絡工程４３２および４３４はそれぞれ、５回実施されて、不織布層３１０の所望のロフトを有しながら、所望の凝集性を達成し得る。

ステップ４３６は、不織布シート４１２、４１４、４１６、および４１８の繊維／フィラメントの交絡によって形成される不織布層３１０を示す。不織布層３１０は、孔または開口部のない連続シートとして示される。本明細書において、不織布層３１０は、孔または開口部を含み得ると考慮される。孔または開口部は、交絡工程中に形成され得るか、または例えば、ダイカッティング、レーザー切断、水噴射切断、および同種のものを使用する後処理ステップで形成され得る。

不織布シート４１２、４１４、４１６、および４１８それぞれからの繊維／フィラメントが互いに交絡するがゆえに、不織布層３１０の視覚的特性は、ステップ４３６の陰影パターンで示されるように、それぞれの視覚的特性４２０、４２２、４２４、および４２６の複合または混合を表す。例示的態様において、異なる不織布シート４１２と４１４と４１６と４１８との間の交絡量は、得られた不織布層３１０の視覚的特性に影響を与える。図示の例を使用すると、視覚的特性４２０および４２４は、青色を備え得、視覚的特性４２２および４２６は、黄色を備え得る。より多くの第１交絡工程および第２交絡工程４３２および４３４が実施された場合、不織布層３１０の視覚的特性は概して、青色と黄色の繊維およびフィラメントがたくさん交絡されるために、緑色を備え得る。第１交絡工程および第２交絡工程４３２および４３４の実施が少ない場合、不織布層３１０の視覚的特性は、黄領域と混合された青領域を有するヘザーカラー（ｈｅａｔｈｅｒ ｃｏｌｏｒ）を備え得る。

例示的な一態様において、不織布シート４１２または不織布シート４１８などの不織布シートの１つ、または表示されていないが追加の不織布シートは、第１交絡工程および第２交絡工程４３２および４３４が１回以上実施された後に追加され得る。交絡工程の後の方で不織布シートを導入することで、導入された不織布シートに存在する視覚的特性は、得られた不織布層３１０内でより際立つか、またはあまり混合されない場合がある。図示の例において、不織布シート４１２は、第１交絡工程および第２交絡工程４３２および４３４が、例えば、３回実施された後に導入され得る。本例において、視覚的特性４２０は、対角線のストライプなどのパターンを備え得る。第１交絡工程および第２交絡工程４３２および４３４は、例えば、さらに２回実施されて不織布層３１０を生産し得る。不織布シート４１２が残りの不織布シート４１４、４１６、および４１８より交絡しにくいがゆえに、視覚的特性４２０は、得られた不織布層３１０内の視覚的特性４２２、４２４、および４２６より際立っている。

図５は、織地１００を形成する例示的工程５００の概略図を示す。ステップ５１０では、第１織布層１１４および不織布層３１０が提供される。第１織布層１１４は、視覚的特性５１２を含み、陰影パターンによって示されたように、不織布層３１０は、視覚的特性５１４を含む。例示的態様において、視覚的特性５１２は、視覚的特性５１４と同じであってもよく、または異なってもよい。視覚的特性５１２および５１４は、色、パターン、色とパターンとの組み合わせ、および同種のものを含み得る。

ステップ５１６で、第１織布層１１４の第２表面１１５は、不織布層３１０の第１表面３１２に隣接して位置決めされて、層状構成を形成する。ステップ５１８で、ニードルパンチなどの第１交絡工程５２０は、層状構成の第１領域で実施されて、少なくとも部分的にパイルゾーン１１２を形成する。第１交絡工程５２０は、不織布層３１０から第１織布層１１４に向かう方向に実施されて、不織布層３１０からの繊維／フィラメント１１６を第１織布層１１４の繊維／フィラメント／糸と交絡させる。例示的態様において、第１交絡工程５２０は、１回実施され得るが、本明細書では第１交絡工程５２０が複数回実施され得ると考慮される。不織布層３１０から第１織布層１１４に向かう方向に第１交絡工程５２０を実施することは、不織布層３１０内の繊維／フィラメントの可用性が高まるがゆえに、パイルゾーン１１２内で層１１４および３１０を互いに効果的に固定するか、または張り付ける。対照的に、第１織布層１１４から不織布層３１０に向かう方向に交絡工程を実施することは、第１織布層１１４内の繊維／フィラメントの可用性が低下するがゆえに、これらの層を互いに固定できないことが明らかになっている。例えば、交絡工程としてニードルパンチが使用される場合、ニードルパンチは、第１織布層１１４内に孔を作成するが、概して第１織布層１１４からの繊維／フィラメント／糸を不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６と交絡させることができない。また、水流交絡などの他の機械的交絡工程に対してニードルパンチは、第１織布層１１４を不織布層３１０に効果的に固定することが明らかになっている。これは、水流交絡が、不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６を第１織布層１１４を通ってその中に押し込む十分な力を生成できないためであると考えられる。

ステップ５２２で、パイルゾーン１１２内の不織布層３１０と交絡した第１織布層１１４が示される。さらに示されるように、不織布層３１０からの繊維／フィラメント１１６が視覚的特性５１４（例えば、色）を備えるがゆえに、不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６と第１織布層１１４の繊維／フィラメント／糸との交絡により、視覚的特性５１４は、パイルゾーン１１２内の第１織布層１１４の第１表面１１３上に見える。ステップ５２２では、第２織布層２１４が提供される。例示的態様において、第２織布層２１４は、視覚的特性５２４を含む。視覚的特性５２４は、視覚的特性５１２および／または視覚的特性５１４と同じであってもよく、または異なってもよい。上記と同様、視覚的特性５２４は、色、パターン、色とパターンとの組み合わせ、および同種のものを含み得る。

ステップ５２６で、第２織布層２１４の第１表面２１３は、不織布層３１０の第２表面３１４に隣接して位置決めされて、層状構成を形成する。ステップ５２８で、ニードルパンチなどの第２交絡工程５３０は、パイルゾーン１１２に対応する層状構成の領域で実施される。第２交絡工程５３０は、第１織布層１１４から第２織布層２１４に向かう方向で実施されて、第１織布層１１４の第１表面１１３の内部およびその上に存在する繊維／フィラメント１１６を含む不織布層３１０の繊維／フィラメント１１６を、第２織布層２１４の繊維／フィラメント／糸と交絡させる。例示的態様において、第２交絡工程５３０は、１回実施され得るが、本明細書では第２交絡工程５３０が複数回実施され得ると考慮される。第１交絡工程５２０と同様、水流交絡などの他の機械的交絡工程に対してニードルパンチは、ニードルパンチ工程を通して生成され得る大量の力に似て、第２織布層２１４を不織布層３１０に効果的に固定することが明らかになっている。

ステップ５３２では、織地１００の第１表面１０１および第２表面２０１を示す。第１表面１０１に関して、そして上述のように、断熱ゾーン１１０は概して、第１織布層１１４の視覚的特性５１２を備え、パイルゾーン１１２は概して、第１織布層１１４の視覚的特性５１２と、不織布層３１０の視覚的特性５１４と、を混合することを備える。織地１００の第２表面２０１に関して、断熱ゾーン１１０は概して、第２織布層２１４の視覚的特性５２４を備え、パイルゾーン１１２は概して、不織布層３１０の視覚的特性５１４と、第２織布層２１４の視覚的特性５２４と、を混合することを備える。工程５００の記述は例示に過ぎず、本明細書で視覚的特性は、これら示されたものとは異なり得ることが考慮される。例えば、いくつかの態様において、第１織布層１１４および／または第２織布層２１４は、半透明または部分的に半透明であり得、その結果、不織布層３１０の視覚的特性５１４は、織地１００の断熱ゾーン１１０内の第１織布層１１４および／または第２織布層２１４を通して部分的に目に見える。さらに、断熱ゾーン１１０およびパイルゾーン１１２の位置、サイズおよび形状は、示されたものとは異なり得る。

記述した工程５００は、第１織布層１１４および第２織布層２１４などの２つの織布層、および不織布層３１０などの不織布層を利用して、継ぎ目のない構成内に断熱ゾーンおよびパイルゾーンの両方を含む織地を生産する。工程５００は、織地の特定の表面上の断熱ゾーンとパイルゾーンとの間に変化のある審美性、ならびに織地の第１表面および第２表面の両方の上に変化のある審美性を生み出す。

織地１００は、多数の異なる衣服に組み込まれ得る。例えば、図６は、織地１００から形成された上半身用衣服６００を示す。上半身用衣服６００は、胴部分６１０、首開口６１２、腰開口６１４、第１腕開口６１６、および第２腕開口６１８を有するチョッキの形態で示される。チョッキとして示されているが、本明細書で上半身用衣服６００は、スリーブの付いたジャケット、プルオーバ、シャツ、パーカー、および同種のものの形態であり得ることが考慮される。

上半身用衣服６００は、織地１００の断熱ゾーン１１０に対応する断熱ゾーン６２０と、織地１００のパイルゾーン１１２に対応するパイルゾーン６２２と、を含む。断熱ゾーン６２０およびパイルゾーン６２２の位置は、例えば、人体のヒートマップに基づき得る。例えば、断熱ゾーン６２０は、胴上部前面および胴上部背面など、上半身用衣服６００上で着用者の高い熱損失に対応する領域内に位置し得、パイルゾーン６２２は、胴下部前面および胴下部背面など、上半身用衣服６００上の熱損失の低い領域内に位置し得る。上半身用衣服６００上の断熱ゾーン６２０およびパイルゾーン６２２のサイズ、形状、および数は、例示に過ぎない。例示的一態様において、上半身用衣服６００は、複数の断熱ゾーンおよび複数のパイルゾーンを含み得る。すべての態様、およびそれの任意の変化は、本明細書の態様内にあると考慮される。

図７は、織地１００から形成された下半身用衣服７００を示す。下半身用衣服７００は、腰開口７１２の付いた胴部分７１０と、第１脚開口７１６の付いた第１脚部分７１４と、第２脚開口７２０の付いた第２脚部分７１８と、を有するパンツの形態である。パンツとして示されているが、本明細書で下半身用衣服７００は、ショーツ、タイツ、カプリパンツ、ユニタード、および同種のものの形態であり得ることが考慮される。

下半身用衣服７００は、胴部分７１０、ならびに第１脚部分７１４および第２脚部分７１８の下部に位置する断熱ゾーン７２２を含む。パイルゾーン７２４は、第１脚部分７１４および第２脚部分７１８の上部および中部に位置する。断熱ゾーン７２２およびパイルゾーン７２４の位置は、人体のヒートマップに基づき得る。断熱ゾーン７２２およびパイルゾーン７２４のサイズ、形状、および数は、例示である。

図示されていないが、織地１００は、ハット、手袋、四肢スリーブ（ｅｘｔｒｅｍｉｔｙ ｓｌｅｅｖｅ）、ソックス、アッパー、および同種のものなどの追加の物品を形成するために使用され得ることが考慮される。

図８は、織地１００などの織地を製造する例示的方法８００のフロー図である。ステップ８１０で、不織布層３１０などの不織布層は、第１織布層１１４などの第１織布層と第２織布層２１４などの第２織布層との間に位置決めされて、層状構成を形成する。ステップ８１２で、不織布層からの繊維およびフィラメントは、層状構成の第１領域内の第１織布層および第２織布層それぞれからの繊維、フィラメント、および／または糸と交絡してパイルゾーンを形成する。本明細書では、断熱ゾーンに対応する層状構成の第２領域では交絡工程が実施されず、その結果、第１織布層、第２織布層、および不織布層は、分離されかつ区別された層を備えることが考慮される。

本明細書の態様は、工程４００に関して記述したように、不織布層が２つ以上の不織布シートからの繊維およびフィラメントを互いに交絡させることで形成されることをさらに考慮している。

図５に図示するように、ステップ８１２は、不織布層の第１表面に隣接して第１織布層を位置決めすることと、不織布層から第１織布層に向かう方向で第１交絡工程を実施することと、を含み得る。第１交絡工程の完了後、第２織布層は、不織布層の第２反対表面に隣接して位置決めされる。次に、第２交絡工程は、第１織布層から第２織布層に向かう方向で実施されて、パイルゾーンの形成を完了する。

工程４００および５００に関して記述したように、不織布層の形成に使用される不織布シートの視覚的特性は、不織布層の所望の視覚的特性を達成するように選択され得る。加えて、第１織布層および第２織布層の視覚的特性は、織地の第１表面上の断熱ゾーン（複数可）およびパイルゾーン（複数可）の所望の視覚的特性、ならびに織地の第２反対表面上の断熱ゾーン（複数可）およびパイルゾーン（複数可）の所望の視覚的特性を達成するように選択され得る。また、織地の視覚的特性は、不織布層の形成に使用される不織布シートの交絡の程度と、不織布層と第１織布層および第２織布層それぞれとの交絡の程度と、に基づいて調整され得る。

本開示の態様は、限定的ではなく例示的であるという意図の元に記述されている。代替の態様は、その範囲から逸脱しないことが、当業者には明らかであろう。当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく前述の改良を実装する代替手段を開発し得る。

特定の特徴および下位組み合わせは実用的であり、他の特徴および下位組み合わせに関係なく採用され得、特許請求の範囲内で考慮されていることが理解されよう。様々な図で列挙されているすべてのステップは、記載されている特定の順序で実施される必要はない。

Claims (20)

1. 第１織布層と、第２織布層と、前記第１織布層と前記第２織布層との間に位置決めされる不織布層と、を備える断熱ゾーンであって、前記第１織布層および前記第２織布層それぞれは、前記断熱ゾーン内の前記不織布層には張り付けられていない、断熱ゾーンと；前記断熱ゾーンから継ぎ目なく延びるパイル（ｐｉｌｅ）ゾーンであって、前記パイルゾーンは、前記第１織布層と、前記第２織布層と、前記第１織布層と前記第２織布層との間に位置決めされる前記不織布層と、を備える、パイルゾーンと；を備え、前記不織布層からの繊維／フィラメントは、前記第１織布層および前記第２織布層それぞれからの繊維、フィラメント、および糸のうち１つ以上と交絡し、その結果、前記第１織布層および前記第２織布層は、前記パイルゾーン内の前記不織布層に束縛される、織地。
2. 前記不織布層は、２つ以上の不織布シートを備え、前記２つ以上の不織布シートそれぞれからの繊維／フィラメントは、互いに交絡する、請求項１に記載の織地。
3. 前記２つ以上の不織布シートの第１不織布シートは、第１視覚的特性を備え、前記２つ以上の不織布シートのうち第２不織布シートは、前記第１視覚的特性とは異なる第２視覚的特性を備える、請求項２に記載の織地。
4. 前記第１視覚的特性は、第１色を備え、前記第２視覚的特性は、第２色を備える、請求項３に記載の織地。
5. 前記第１視覚的特性は、第１パターンを備え、前記第２視覚的特性は、第２パターンを備える、請求項３または４に記載の織地。
6. 前記不織布層は、約１８０グラム／平方メートル（ｇｓｍ）～約２２０ｇｓｍの重量を有する、請求項１～５のうちいずれか一項に記載の織地。
7. 第１織布層と、第２織布層と、前記第１織布層と前記第２織布層との間に位置決めされる不織布層と、を備える断熱ゾーンであって、前記第１織布層、前記第２織布層、および前記不織布層は、前記断熱ゾーン内に分離されかつ区別された層を備える、断熱ゾーンと；前記断熱ゾーンから継ぎ目なく延びるパイルゾーンであって、前記パイルゾーンは、前記第１織布層、前記第２織布層、および前記不織布層を備える、パイルゾーンと；を備え、前記不織布層からの繊維／フィラメントは、前記パイルゾーン内の前記第１織布層および前記第２織布層それぞれからの繊維、フィラメント、および糸のうち１つ以上と交絡し、その結果、前記第１織布層および前記第２織布層は、前記パイルゾーン内の前記不織布層に束縛される、衣服。
8. 前記第１織布層および前記第２織布層の両方は、前記断熱ゾーン内の前記不織布層には張り付けられていない、請求項７に記載の衣服。
9. 前記不織布層は、前記第１織布層および前記第２織布層のうち１つ以上の視覚的特性とは異なる視覚的特性を有する、請求項７または８に記載の衣服。
10. 前記不織布層は、２つ以上の不織布シートを備え、前記２つ以上の不織布シートそれぞれからの繊維／フィラメントは、互いに交絡する、請求項７～９のうちいずれか一項に記載の衣服。
11. 前記２つ以上の不織布シートの第１不織布シートは、第１視覚的特性を備え、前記２つ以上の不織布シートのうち第２不織布シートは、前記第１視覚的特性とは異なる第２視覚的特性を備える、請求項１０に記載の衣服。
12. 前記不織布層は、約１８０グラム／平方メートル（ｇｓｍ）～約２２０ｇｓｍの重量を有する、請求項７～１１のうちいずれか一項に記載の衣服。
13. 前記衣服が着用時の構成にある場合、前記断熱ゾーンは、前記衣服上で着用者の高い熱損失領域に対応する領域に位置決めされる、請求項７～１２のうちいずれか一項に記載の衣服。
14. 第１織布層と第２織布層との間で不織布層を位置決めして層状構成を形成するステップと、前記不織布層からの繊維／フィラメントを、前記層状構成の第１領域内で、前記第１織布層および前記第２織布層それぞれからの繊維、フィラメント、および糸のうち１つ以上と交絡させるステップと、を備え、前記第１織布層および前記第２織布層それぞれは、前記層状構成の第２領域内で前記不織布層に張り付けられないままである、衣服の製造方法。
15. 前記不織布層は、２つ以上の不織布シートを互いに隣接するように位置決めし、交絡工程を使用して前記２つ以上の不織布シートそれぞれからの繊維／フィラメントを互いに交絡させることで形成される、請求項１４に記載の衣服の製造方法。
16. 前記交絡工程は、前記不織布層の第１表面から前記不織布層の第２表面に向かう方向、および前記不織布層の前記第２表面から前記不織布層の前記第１表面に向かう方向で実施される、請求項１４または１５に記載の衣服の製造方法。
17. 前記不織布層からの前記繊維／フィラメントをそれぞれの前記第１織布層および前記第２織布層からの前記繊維、フィラメント、および糸のうち１つ以上と交絡させるステップは、前記不織布層の第１表面に隣接して前記第１織布層を位置決めすることと、前記不織布層から前記第１織布層に向かう方向で第１交絡工程を実施することと、次に前記不織布層の第２反対表面に隣接して前記第２織布層を位置決めすることと、前記第１織布層から前記第２織布層に向かう方向で第２交絡工程を実施することと、を備える、請求項１４～１６のうちいずれか一項に記載の衣服の製造方法。
18. 前記不織布層は、約１８０グラム／平方メートル（ｇｓｍ）～約２２０ｇｓｍの重量を有する、請求項１４～１７のうちいずれか一項に記載の衣服の製造方法。
19. 前記不織布層は、前記第１織布層および前記第２織布層のうち１つ以上の視覚的特性とは異なる視覚的特性を有する、請求項１４～１８のうちいずれか一項に記載の衣服の製造方法。
20. 前記不織布層、ならびに前記第１織布層および前記第２織布層のうち１つ以上の視覚的特性は、色を備える、請求項１９に記載の衣服の製造方法。
    

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