本明細書の図において一般的に説明され、示されているように、本明細書のコンポーネントが、多種多様な異なる構成で配置および設計されてよいということが、容易に理解されるであろう。したがって、添付の図において表された方法、装置、非一過性コンピュータ可読媒体、およびシステムのうちの少なくとも1つの実施形態に関する以下の詳細な説明は、請求されている本出願の範囲を制限するよう意図されておらず、単に選択された実施形態を代表している。
本明細書全体を通して説明された特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせられるか、または削除されてよい。例えば、語句「実施形態例」、「一部の実施形態」、またはその他の同様の言葉の使用は、本明細書全体を通じて、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれてよいということを指している。したがって、語句「実施形態例」、「一部の実施形態において」、「その他の実施形態において」、またはその他の同様の言葉の出現は、本明細書全体を通じて、必ずしもすべてが実施形態の同じグループを指しておらず、説明された特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせられるか、または削除されてよい。さらに、各図では、要素間の任意の接続は、示された接続が一方向または双方向の矢印である場合でも、一方向通信または双方向通信あるいはその両方を許可することができる。また、図面に示された任意のデバイスは、異なるデバイスであることができる。例えば、情報を送信しているモバイル・デバイスが示された場合、その情報を送信するために、有線デバイスも使用され得る。
加えて、「メッセージ」という用語が実施形態の説明において使用されていることがあるが、本出願は、多くの種類のネットワークおよびデータに適用されてよい。さらに、特定の種類の接続、メッセージ、および信号伝達が実施形態例において示されることがあるが、本出願は、特定の種類の接続、メッセージ、および信号伝達に限定されない。
実施形態例は、ノイズ・トランザクション(ブロックチェーンの内容)を意図的にブロックチェーン・ネットワークに導入することによってブロックチェーン台帳の機密性および差分プライバシー(differential privacy)を保護する方法、システム、コンポーネント、非一過性コンピュータ可読媒体、デバイス、またはネットワーク、あるいはその組み合わせを提供する。
1つの実施形態では、本出願は、互いに通信する複数のノードを含んでいる分散ストレージ・システムである分散型データベース(ブロックチェーンなど)を利用する。分散型データベースは、相互に信頼できない関係者間でレコードを維持することができる分散型台帳に似ている、追加専用の変更不可能なデータ構造を含む。信頼できない関係者は、本明細書ではピアまたはピア・ノードと呼ばれる。各ピアは、データベース・レコードのコピーを維持し、単一のピアは、分散されたピア間で合意に達することなく、データベース・レコードを変更することができない。例えば、ピアは、ブロックチェーン格納トランザクションの妥当性を確認し、それらの格納トランザクションをブロックにグループ化し、ブロック上にハッシュ・チェーンを構築するために、合意プロトコルを実行してよい。このプロセスは、一貫性のために、必要に応じて、格納トランザクションを順序付けることによって台帳を形成する。さまざまな実施形態では、許可型ブロックチェーンまたは許可なしブロックチェーンあるいはその両方が使用され得る。パブリック・ブロックチェーンまたは許可なしブロックチェーンには、特定の識別情報なしで、誰でも参加することができる。パブリック・ブロックチェーンは、ネイティブ暗号通貨を含み、プルーフ・オブ・ワーク(PoW:Proof of Work)などのさまざまなプロトコルに基づいて、合意を使用することができる。一方、許可型ブロックチェーン・データベースは、資金、商品、情報などを交換する企業などの、共通の目標を共有しているが、互いに完全には信用していない実体のグループ内で、安全な相互作用を提供する。
ブロックチェーン・システムは、データを変更不可能な台帳に格納すること、信用していない参加者を介して分散された非集中的なアクセスを変更不可能な台帳に提供すること、ある実体が他の実体からの合意なしで変更不可能な台帳を変更することができないように、信用していない参加者間の合意のための合意要件を確立すること、スマート・コントラクトを呼び出すことなどを行う。ブロックチェーンは、(データが格納されている)ブロックを変更不可能な台帳に追加することを合意する参加者のネットワークによって形成される。ブロックは、追加される前に、変更不可能な台帳上の前のブロックにリンクされ、それによってチェーンを形成する。ブロックチェーンの変更不可能な破損しない性質は、偽造された情報およびハッキングからブロックチェーンを守る。また、非集中的性質は、関係者が安全に取引することができるようになる前に信用を確立する必要がないという点において、信用が存在しないという固有の性質をブロックチェーンに与える。
本出願は、分散型ストレージ方式に合わせてある、「スマート・コントラクト」または「チェーンコード」と呼ばれる、任意のプログラム可能な論理を操作するブロックチェーンを利用することができる。場合によっては、システム・チェーンコードと呼ばれる、管理機能およびパラメータのための特殊なチェーンコードが存在することがある。アプリケーションは、ブロックチェーン・データベースの改ざん防止の特性、および署名または署名ポリシーと呼ばれるノード間の基礎になる合意を活用する、信頼できる分散されたアプリケーションであるスマート・コントラクトをさらに利用することができる。このアプリケーションに関連付けられたブロックチェーン・トランザクション(本明細書ではブロックチェーン要求とも呼ばれる)は、ブロックチェーンにコミットされる前に「署名される」ことができ、一方、署名されていないトランザクションは無視される。署名ポリシーは、チェーンコードが、トランザクションの署名者を、署名に必要なピア・ノードのセットの形態で指定できるようにする。クライアントが、トランザクションを、署名ポリシーで指定されたピアに送信するときに、トランザクションの妥当性を確認するためのトランザクションが実行される。妥当性確認の後に、トランザクションが順序付けフェーズに移行し、順序付け段階では、合意プロトコルが使用され、ブロックにグループ化された、署名されたトランザクションの順序付けられたシーケンスを生成する。
本出願は、ブロックチェーン・システムの通信実体であるノードを利用することができる。「ノード」は、異なる種類の複数のノードが同じ物理サーバ上で実行され得るという意味で、論理機能を実行してよい。ノードは、信頼できるドメイン内でグループ化され、さまざまな方法でそれらのノードを制御する論理的実体に関連付けられる。ノードは、トランザクション呼び出しを署名者(例えば、ピア)にサブミットし、トランザクション提案を順序付けサービス(例えば、順序付けノード)にブロードキャストするクライアントまたはサブミット・クライアント・ノードなどの、さまざまな種類を含んでよい。別の種類のノードは、クライアントがサブミットしたトランザクションを受信し、トランザクションをコミットし、ブロックチェーン・トランザクションの台帳の状態およびコピーを維持することができるピア・ノードである。ピアは署名者の役割を持つこともできるが、これは必須要件ではない。順序付けサービス・ノードまたは順序付けノードは、すべてのノードのための通信サービスを実行するノードであり、トランザクションをコミットするとき、およびブロックチェーンの世界状態(world state)(通常は制御情報および設定情報を含んでいる初期ブロックチェーン・トランザクションの別名)を変更するときの、システム内のピア・ノードの各々へのブロードキャストなどの、配信保証を実施する。
本出願は、ブロックチェーンのすべての状態遷移の順序付けられた改ざん防止機能付きレコードである台帳を利用することができる。状態遷移は、参加している関係者(例えば、クライアント・ノード、順序付けノード、署名者ノード、ピア・ノードなど)によってサブミットされたチェーンコード呼び出し(すなわち、トランザクション)から生じてよい。各参加している関係者(ピア・ノードなど)は、台帳のコピーを維持することができる。トランザクションは、1つまたは複数のオペランド(作成、更新、削除など)として台帳にコミットされているアセットのキーと値のペア(key-value pair)のセットをもたらしてよい。台帳は、変更不可能な順序付けられたレコードをブロックに格納するために使用されるブロックチェーン(チェーンとも呼ばれる)を含む。台帳は、ブロックチェーンの現在の状態を維持する状態データベースも含む。
本出願は、ハッシュ・リンク・ブロックとして構造化されたトランザクション・ログであるチェーンを利用することができ、各ブロックはN個のトランザクションのシーケンスを含んでおり、Nは1以上である。ブロック・ヘッダーは、ブロックのトランザクションのハッシュ、および前のブロックのヘッダーのハッシュを含んでいる。このようにして、台帳のすべてのトランザクションが順序付けられ、暗号によって一緒にリンクされてよい。したがって、ハッシュ・リンクを壊さずに台帳データを改ざんすることはできない。直前に追加されたブロックチェーンのブロックのハッシュは、それ以前に発生したチェーン上のすべてのトランザクションを表し、すべてのピア・ノードが一貫性のある信頼できる状態にあることを保証できるようにする。チェーンは、ブロックチェーンのワークロードの追加専用という性質を効率的にサポートするピア・ノードのファイル・システム(すなわち、ローカル、取り付けられたストレージ、クラウドなど)に格納されてよい。
変更不可能な台帳の現在の状態は、チェーンのトランザクション・ログに含まれているすべてのキーの最新の値を表す。現在の状態は、チャネルに知られている最新のキーの値を表すため、世界状態と呼ばれることもある。チェーンコード呼び出しは、台帳の現在の状態のデータに対してトランザクションを実行する。それらのチェーンコードの相互作用を効率的にするために、最新のキーの値が状態データベースに格納されてよい。状態データベースは、単にチェーンのトランザクション・ログへのインデックス付きビューであってよく、したがって、いつでもチェーンから再生成され得る。状態データベースは、ピア・ノードの起動時に、トランザクションが受け取られる前に、自動的に回復されて(必要な場合は、生成されて)よい。
データがブロックチェーン台帳に追加された後に、そのデータを変更/改ざんすることが非常に困難であるため、ブロックチェーン台帳は、信頼できるストレージ・システムである。許可型ブロックチェーン・ネットワークでは、トランザクションは、台帳の現在の状態に対してトランザクションをシミュレートし、トランザクションに追加されたクライアントの署名を検証することによって、(例えば、署名ポリシーによって示された)最小限の(通常は必要とされる)数の署名者ピアがトランザクションに関する合意に達した場合に、有効であると見なされる。クライアントの署名が有効であり、シミュレーションが成功した場合、署名者ノードがトランザクションに署名し、成功した署名応答を返す。次に、トランザクション提案が順序付けサービスに転送され、順序付けサービスが、署名されたトランザクションをブロックに追加し、このブロックをコミットするためにネットワークのブロックチェーン・ピアにブロードキャストする。
ブロックチェーン内のデータの機密性を保つことは、困難である可能性がある。ブロックチェーン・チャネルに属していないどのシステムも、ブロックチェーン・チャネルの台帳/状態を解釈できるべきではない。しかし、攻撃者(例えば、ハッカー、許可されていないシステムなど)が、ブロックチェーンに関連付けられた許可されていないチャネルをリッスンすることによって、ブロックチェーン台帳を盗もうとすることがある。それに応じて、攻撃者は、チャネルに居座ることによって、ブロックチェーンの外部から、ブロックチェーン台帳の内容に対するアクセス権限を獲得することができる。攻撃は、ブロックチェーン・チャネルの内部から来ることもある。ブロックチェーン内のメンバーは、通常、台帳および状態を共有することが要求される。この台帳データを保護するために、多くの場合、メンバーはデータを暗号化し、これが著しいオーバーヘッドを招く可能性がある。さらに、メンバーのトランザクション・パターンに基づいて、機密データが公開されることがある。
実施形態例の利点は、ノイズ・データ(偽のデータ)をブロックチェーンに導入することによって、攻撃者がブロックチェーン台帳を解釈するのを防ぎ、データの機密性を保つことを含む。例えば、クライアント、スマート・コントラクト、エージェントなどは、標準的なブロックチェーン・トランザクションのように処理されるが、トランザクションがノイズであるということを示す一意の識別子を含む、ノイズ・トランザクションを導入してよい。ノイズ・トランザクションは、一意の識別子を使用して、ノイズ・トランザクションに関与しているブロックチェーンのメンバー/参加者によって識別され、無視されることができる。しかし、一意の識別子を認識していない他のブロックチェーン・ユーザおよび許可されていないユーザは、通常通りノイズ・トランザクションを処理し、ブロックチェーン台帳のコピーを間違って更新してよく、それによって、ノイズ・トランザクションに関与しているクライアントの機密性を保護する曖昧にされた状態を作り出す。その結果、許可されていないユーザは、そのようなクライアントのトランザクション履歴に関して、台帳を正しく解釈することができない。したがって、著しい性能および管理のオーバーヘッドをブロックチェーン・ピア間に導入することなく、ブロックチェーン台帳の状態が保たれることができる。
ノイズ・トランザクションは、ノイズ・トランザクションを認識しているノイズ・トランザクションの作成者(例えば、クライアント、ピアなど)およびブロックチェーンのアクセス者/参加者のみによって理解され得る。クライアントまたはブロックチェーン・ピアあるいはその両方は、タグを暗号化/復号するために使用されることができる鍵を協力して管理し、共有してよい。タグは、トランザクションがノイズ・データであるか、または本物のデータ(非ノイズ)であるかを指定する値であってよい。例えば、タグは、ある値がノイズを示し、他の値が非ノイズを示すブール値を含んでよいが、実施形態はこれに限定されない。タグは、ノイズ・トランザクションに属しており、復号鍵を有しているクライアント/ブロックチェーン・ピアのみがそのタグを理解できるように、暗号化されてよい。ここで、タグは、公開鍵を使用して暗号化されてよく、参加しているクライアントおよびピアは、トランザクションがノイズであるかどうかを理解するために、タグを正常に復号し、タグを読み取ることができる対応するプライベート鍵を共有してよい。
鍵は、参加者間で共有される暗号鍵であってよい。例えば、参加者は、非集中的な公開鍵基盤(PKI:public key infrastructure)、ピアツーピア(P2P:peer-to-peer)などの、鍵共有方式を実装してよい。鍵を認識しているピアおよびクライアントは、タグ値を復号することによって、ノイズ・トランザクションがノイズであるということを検出してよい。しかし、鍵を受信していないピアおよびクライアントは、トランザクションがノイズであるかどうかを見分けるためにタグを復号することができず、トランザクションを通常通りに扱う。したがって、認識していないピアまたはクライアントは、ブロックチェーンおよび状態データベースを間違って更新する。一部の実施形態では、ブロックチェーン・ネットワークは、複数の鍵を使用してタグ値を暗号化してよい。この場合、トランザクションを作成するクライアントまたはブロックチェーン・ピアあるいはその両方は、どの共有秘密鍵がタグ値の暗号化に使用されるかを識別するために、鍵識別子をトランザクションに追加してもよい。
ノイズ・トランザクション(本明細書では、ノイズ・ブロックチェーン要求(noisy blockchain request)とも呼ばれる)は、ノイズ・トランザクションによる影響を受ける世界状態データベース内にデータを有しているクライアントのグループによって協力して作成されてよい。この場合、ノイズ・トランザクションは、クライアントのグループによってノイズとして理解されるが、他の無関係のクライアントによっては、ノイズとして理解されない。したがって、無関係のクライアントが(例えば、将来)ノイズ・トランザクションを見直すとき、ノイズ・トランザクションは、通常の/標準的なトランザクションのように見えるであろう。一般に、ノイズ・トランザクションは、ノイズ・トランザクションを作成したクライアントのサブセットによって、単にノイズとして理解される。そうすることで、クライアントは、ブロックチェーン上のデータのプライバシーを保つために、トランザクションの頻度、トランザクションの内容などを含むトランザクション・パターンを偽装することができる。さらに、すべてのトランザクションは(ノイズであるかどうかを問わず)、曖昧にされ、共有された秘密に対するアクセス権限を有するクライアントのみによって明らかにされることができるタグ値を含んでよい。
例えば、ノイズ・トランザクションは、出荷パターンを隠蔽するために、追加の出荷記録および日付を追加してよい。この例では、これらの追加のノイズ出荷記録(noisy shipping records)を反映する新しいキー値が、十分な情報を与えられていないピアによって、ブロックチェーン台帳(世界状態データベース)に追加され、十分な情報を与えられていないクライアントによって見られる。別の例として、ノイズ・トランザクションは、契約取引関係を曖昧にするために、購入者と販売者の間の追加の販売活動を追加してよい。この場合、十分な情報を与えられていないピアによって、追加の販売活動がブロックチェーン台帳(世界状態データベース)に追加される。可能性のある多くのその他の状況が存在し、これらの例は、制限となるよう意図されていない。
ノイズ・トランザクションの使用は、特定のトランザクションが有効なデータであるか、またはノイズ・データであるかを攻撃者が識別しないため、トランザクション自体のプライバシーを保護し得る。別の例として、ノイズ・トランザクションの使用は、トランザクションのパターンが特定のユーザに属しているかどうかを攻撃者が見分けることができないように、ユーザのプライバシーを保護し得る。一部の実施形態では、ノイズ・トランザクションはランダムに作成されてよい。別の例として、ノイズ・トランザクションは、ブロックチェーンに格納された過去のトランザクション・データに基づいて作成されてよい。言い換えると、スマート・コントラクト、エージェント、クライアントなどが、ブロックチェーンに対する挙動のパターンを監視し、識別し、そのような挙動のパターンに基づいてノイズ・トランザクションを導入してよい。挙動のパターンは、「信じることができる」ノイズ・トランザクションを識別するために使用されてよい。別の例として、挙動のパターンは、ノイズ・トランザクションを含む新しい挙動のパターンを作成するために使用されてよい。
実施形態例は、差分プライバシーを使用してブロックチェーンの内容を保護するための軽量の手法を提供する。攻撃者がブロックチェーンからプライバシーに関連する知識を学習するのを防ぐために、ノイズ・トランザクションおよびユーザがブロックチェーン・システムに投入されてよい。メンバーである参加者ピアによって、トランザクションがノイズ・データであるか、または本物のデータ/ライブ・データであるかを解釈するために、一意のタグが使用されてよい。さらに、通常のブロックチェーンの動作(例えば、署名、合意、読み取り/書き込みセットなど)の正しさに影響を与えないような方法で、ノイズ・トランザクション内のノイズ情報が編成されてよい。
図1Aは、実施形態例に従って、ノイズ・トランザクションのサブミットのためのコンピューティング環境100Aを示している。図1Aを参照すると、クライアント121およびクライアント122が、互いにトランザクションを実施する(例えば、資金、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)データなどを転送する)。ブロックチェーン・ピア111、112、113、114、および115のネットワークによってトランザクションが処理されてよい。例えば、トランザクション・データは、ブロックチェーン・ピア間で署名者ノードによって署名され、ブロック内で追加され/順序付けられ、ブロックチェーン110に記録されてよい。標準的なブロックチェーン・トランザクション(すなわち、本明細書では単にトランザクションと呼ばれる)では、トランザクション・データはライブ・データであると仮定される。しかし実施形態例では、トランザクションは、偽のデータを含んでいるノイズ・トランザクションであってよい。
例えば、スマート・コントラクト、クライアント、エージェントなどが、クライアント121とクライアント122の間で、ノイズ・トランザクションをランダムに生成してよい。このランダム性は、差分プライバシーの保証を有してよい。(図1Bに示された)別の例として、スマート・コントラクト、クライアント、エージェントなどが、過去の台帳データを分析し、ノイズ・トランザクションを推奨してよい。したがって、クライアント121、クライアント122、ブロックチェーン・ピアなどによって、ノイズ・トランザクション提案がサブミットされ、図1Aに示されたピアのブロックチェーン・ネットワークによって処理されてよい。この例では、ブロックチェーン・ピア113を除くブロックチェーン・ピアのすべてが、ノイズ・トランザクションを曖昧にするために使用される暗号鍵を認識する。例えば、タグ値がトランザクション提案に追加されてよく、暗号鍵を使用して暗号化されてよい。タグ値は、ブロックチェーン・トランザクション内の暗号化された情報のうちの1つである。同じタグが、クライアントがこのタグを復号できるかどうかに応じて、異なるブロックチェーン・クライアントにとって異なる意味を有してよい。クライアントがタグを復号できる場合、クライアントは、復号されたタグ値に基づいて、このトランザクションがノイズ・トランザクションであるかどうかを見分けることができる。クライアントがタグを復号できない場合、クライアントは、このトランザクションを非ノイズ・トランザクションとして扱う必要がある。
この場合、トランザクション・データは、ブロックチェーン・ネットワークによって標準的に処理され(署名、合意など)、ブロックに追加されてよく、このブロックが格納のためにブロックチェーン・ピア111~115の各々にサブミットされる。しかし、ノイズであるトランザクションは、ブロックチェーン台帳上の世界状態データベース内に格納/記録されず、ブロックチェーンの状態に影響を与えない。ブロックチェーン・ピア111、112、114、および115は、ブロックチェーン台帳を更新する/新しいブロックをブロックチェーン台帳にコミットするときに、ノイズ・トランザクションを検出し、世界状態データベースを更新しないことによってそのノイズ・トランザクションを無視してよい。しかし、ブロックチェーン・ピア113は、タグ値を復号できないため、ノイズ・トランザクションを検出することができない。したがって、ブロックチェーン・ピア113は、ノイズ・トランザクションを通常通りに処理し、ブロックチェーン台帳上の世界状態データベースのローカル・コピーを間違って更新し、それによって、ノイズ・トランザクションのクライアントを含んでいるトランザクションに関して、ブロックチェーンの状態を曖昧にする。
図1Bは、実施形態例に従って、ノイズ・トランザクションを推奨するプロセス100Bを示している。図1Bを参照すると、スマート・コントラクト140は、ブロックチェーン台帳110に格納された過去のトランザクション・データを分析し、ブロックチェーン台帳110上の過去のトランザクション・データに基づいてノイズ・トランザクション142を推奨してよい。クライアント、エージェントなどを含むが、これらに限定されない他の実体が、スマート・コントラクト140の代わりにノイズ・トランザクションを推奨してよいということが、理解されるべきである。
この例では、スマート・コントラクト140は、過去のクライアント・データ131、132、133などを分析してよい。ここで、スマート・コントラクト140は、過去のクライアント・データ131、132、および133を分析し、クライアントAとクライアントBの間のノイズ・トランザクションを推奨してよい。スマート・コントラクト140は、過去のデータ131、132、および133から、特定の期間内のシステム内のクライアントと他のすべてのクライアントとの頻度を導出してよい。例えば、過去のデータ131、132、および133から頻度分布が識別されてよい。この頻度分布は、クライアントAおよびBのトランザクション・パターンを含んでよい。スマート・コントラクト140は、差分プライバシーの保証を伴うランダムなノイズを使用して、この頻度分布に摂動を与える方法を決定してよい。頻度分布の摂動は、システム内の他のクライアントとのノイズ・トランザクションを追加するか、またはクライアントAとBの間に偽のトランザクションを追加することによって、実現されてよい。図4A~4Bに関してさらに説明されるように、ノイズ・トランザクションを識別する/ライブ・トランザクション/本物のトランザクションと区別するために、一意のタグがすべてのトランザクションに追加されてよい。
提案/推奨されるノイズ・トランザクション142を決定した後に、スマート・コントラクト140またはブロックチェーン・ピアあるいはその両方が、提案されたノイズ・トランザクション142を、図1Aに示されたクライアント121および122のうちの1つまたは複数に提供してよい。ここで、クライアント121および122は両方とも、それらのクライアントを含んでいるノイズ・トランザクションを承認し、トランザクションを1つまたは複数の署名者ピアにサブミットすることによって、ノイズ・トランザクションをブロックチェーンにサブミットしてもよい。図1Aに示されていないが、ノイズ・トランザクションをブロックチェーンにサブミットするクライアントは、ブロックチェーンに積極的に参加していないが、実際の実体として識別されることができるという点において、ノイズ・クライアント(noisy client)であってよい。
図2Aは、実施形態例に従って、ブロックチェーン・アーキテクチャの構成200を示している。図2Aを参照すると、ブロックチェーン・アーキテクチャ200は、特定のブロックチェーン要素(例えば、ブロックチェーン・ノードのグループ202)を含んでよい。ブロックチェーン・ノード202は、1つまたは複数のノード204~210を含んでよい(単に例として、これらの4つのノードが示されている)。これらのノードは、ブロックチェーン・トランザクションの追加および妥当性確認プロセス(合意)などの、複数の活動に参加する。ブロックチェーン・ノード204~210のうちの1つまたは複数は、署名ポリシーに基づいてトランザクションに署名してよく、アーキテクチャ200内のすべてのブロックチェーン・ノードのための順序付けサービスを提供してよい。ブロックチェーン・ノードは、ブロックチェーン認証を開始し、ブロックチェーン層216に格納されたブロックチェーンの変更不可能な台帳に書き込もうとしてよく、この書き込みのコピーが、基盤になる物理的インフラストラクチャ214にも格納されてよい。ブロックチェーンの構成は、格納されたプログラム/アプリケーション・コード220(例えば、チェーンコード、スマート・コントラクトなど)にアクセスして実行するためにアプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API:application programming interfaces)222にリンクされた1つまたは複数のアプリケーション224を含んでよく、プログラム/アプリケーション・コード220は、参加者によって要求されてカスタマイズされた構成に従って作成することができ、それら自身の状態を維持し、それら自身のアセットを制御し、外部の情報を受信することができる。ブロックチェーンの構成は、トランザクションとしてデプロイし、分散型台帳に追加することによって、すべてのブロックチェーン・ノード204~210にインストールすることができる。
ブロックチェーン・ベースまたはプラットフォーム212は、ブロックチェーン・データのさまざまな層と、サービス(例えば、暗号信用サービス、仮想実行環境など)と、新しいトランザクションを受信して格納し、データ・エントリにアクセスしようとしている監査人にアクセスを提供するために使用されてよい、基盤になる物理的コンピュータ・インフラストラクチャとを含んでよい。ブロックチェーン層216は、プログラム・コードを処理し、物理的インフラストラクチャ214に参加させるために必要な仮想実行環境へのアクセスを提供するインターフェイスを公開してよい。暗号信用サービス218は、アセット交換トランザクションなどのトランザクションを検証し、情報をプライベートに保つために使用されてよい。
図2Aのブロックチェーン・アーキテクチャの構成は、ブロックチェーン・プラットフォーム212によって公開された1つまたは複数のインターフェイスおよび提供されたサービスを介して、プログラム/アプリケーション・コード220を処理および実行してよい。コード220は、ブロックチェーンのアセットを制御してよい。例えば、コード220は、データを格納および転送することができ、スマート・コントラクトおよび条件を含む関連するチェーンコードまたは実行の対象になるその他のコード要素の形態で、ノード204~210によって実行されてよい。非限定的な例として、リマインダ、更新、または変更、更新の対象になるその他の通知、あるいはその組み合わせなどを実行するために、スマート・コントラクトが作成されてよい。スマート・コントラクト自体は、権限付与およびアクセスの要件ならびに台帳の使用に関連付けられたルールを識別するために使用され得る。例えば、スマート・コントラクト(またはスマート・コントラクトの論理を実行しているチェーンコード)は、複雑なサービスの状況において、ブロックチェーン層216に含まれている1つまたは複数の処理実態(例えば、仮想マシン)によって、警告、責任の決定などを含んでいる結果228を生成するために処理され得る、ブロックチェーン・データ226を読み取ってよい。物理的インフラストラクチャ214は、本明細書に記載されたデータまたは情報のいずれかを取り出すために利用されてよい。
高水準のアプリケーションおよびプログラミング言語を使用して、スマート・コントラクトが作成され、その後、ブロックチェーン内のブロックに書き込まれてよい。スマート・コントラクトは、ブロックチェーン(例えば、ブロックチェーン・ピアの分散ネットワーク)への登録、格納、または複製、あるいはその組み合わせが実行される実行可能コードを含んでよい。トランザクションは、スマート・コントラクトが満たされていることに関連付けられた条件に応答して実行され得る、スマート・コントラクト・コードの実行である。スマート・コントラクトの実行は、デジタル・ブロックチェーン台帳の状態に対する信頼できる変更をトリガーしてよい。スマート・コントラクトの実行によって引き起こされるブロックチェーン台帳に対する変更は、1つまたは複数の合意プロトコルを介して、ブロックチェーン・ピアの分散ネットワーク全体に自動的に複製されてよい。
スマート・コントラクトは、データをキーと値のペアの形式でブロックチェーンに書き込んでよい。さらに、スマート・コントラクト・コードは、ブロックチェーンに格納された値を読み取り、それらをアプリケーションの動作において使用することができる。スマート・コントラクト・コードは、さまざまな論理演算の出力をブロックチェーン内の1つまたは複数のブロックに書き込むことができる。このコードは、仮想マシンまたはその他のコンピューティング・プラットフォーム内の一時的データ構造を作成するために使用されてよい。ブロックチェーンに書き込まれたデータは、パブリックになること、またはプライベートとして暗号化されて維持されること、あるいはその両方が行われ得る。スマート・コントラクトによって使用/生成される一時的データは、提供された実行環境によってメモリ内に保持され、ブロックチェーンに必要なデータが識別された後に削除される。
チェーンコードは、スマート・コントラクトのコード解釈(例えば、ロジック)を含んでよい。例えば、チェーンコードは、スマート・コントラクト内の論理のパッケージ化されたデプロイ可能なバージョンを含んでよい。本明細書に記載されているように、チェーンコードは、コンピューティング・ネットワーク上にデプロイされるプログラム・コードであってよく、合意プロセス中に、チェーン・バリデータによって一緒に実行されて妥当性を確認される。チェーンコードは、ハッシュを受信し、以前に格納された特徴抽出機能の使用によって作成されたデータ・テンプレートに関連付けられたハッシュをブロックチェーンから取り出してよい。ハッシュ識別子のハッシュと、格納された識別子テンプレート・データから作成されたハッシュが一致する場合、チェーンコードは、権限付与キーを、要求されたサービスに送信する。チェーンコードは、暗号の詳細に関連付けられたデータをブロックチェーンに書き込んでよい。
図2Bは、実施形態例に従って、ブロックチェーンのノード間のブロックチェーン・トランザクション・フロー250の例を示している。図2Bを参照すると、トランザクション・フローは、クライアント・ノード260がトランザクション提案291を署名ピア・ノード281に送信することを含んでよい。署名ピア281は、クライアントの署名を検証し、チェーンコード関数を実行してトランザクションを開始してよい。出力は、チェーンコードの結果、チェーンコードに読み取られたキー/値のバージョンのセット(読み取りセット)、およびチェーンコードに書き込まれたキー/値のセット(書き込みセット)を含んでよい。ここで、署名ピア281は、トランザクション提案に署名するべきかどうかを決定してよい。提案応答292が、承認されている場合は署名と共に、クライアント260に返送される。クライアント260は、署名をトランザクションのペイロード293にまとめて、順序付けサービス・ノード284にブロードキャストする。その後、順序付けサービス・ノード284は、順序付けられたトランザクションをチャネル上でブロックとしてすべてのピア281~283に配信する。ブロックチェーンへのコミットの前に、各ピア281~283がトランザクションの妥当性を確認してよい。例えば、ピアは、指定されたピアの正しい割り当てが結果に署名し、トランザクションのペイロード293に対する署名を認証したことを確認するために、署名ポリシーをチェックしてよい。
さらに、各トランザクションをブロックチェーンにコミットする前に、ピア281~283は、トランザクション内に含まれているタグ値(暗号化されていてよい)をチェックし、トランザクションが実際の/本物のトランザクションであるか、または偽のデータを含むノイズ・トランザクションであるかを決定してよい。タグが、トランザクションがノイズであるということを示している場合、ピア281~283は、トランザクションが偽物であるということを決定し、トランザクションを無視してよい。しかし、タグが、トランザクションが非ノイズである(すなわち、ブロックチェーンに格納される実際のデータである)ということを示している場合、ピア281~283は、データを世界状態データベースのローカル・コピー内に格納してよい。
再び図2Bを参照すると、クライアント・ノードが、要求を構築してピア・ノード281(署名者)に送信することによって、トランザクション291を開始する。クライアント260は、サポートされているソフトウェア開発キット(SDK:software development kit)を利用するアプリケーションを含んでよく、このアプリケーションは、使用可能なAPIを利用してトランザクション提案を生成する。提案は、データが台帳から読み取られること、または台帳に書き込まれること(すなわち、アセットの新しいキーと値のペアを書き込むこと)、あるいはその両方を実行できるように、チェーンコード関数を呼び出すことの要求である。SDKは、トランザクション提案を、適切に設計された形式(例えば、遠隔手続き呼び出し(RPC:remote procedure call)を経由するプロトコル・バッファ)にパッケージ化するためのシムとして機能し、クライアントの暗号認証情報を受け取って、トランザクション提案の一意の署名を生成してよい。
それに応じて、署名ピア・ノード281は、(a)トランザクション提案が適切に形成されていること、(b)トランザクションが過去にすでにサブミットされていないこと(リプレイアタック保護)、(c)署名が有効であること、および(d)そのチャネルに対する提案された操作を実行するための適切な権限がサブミッター(例では、クライアント260)に与えられていることを検証してよい。署名ピア・ノード281は、トランザクション提案の入力を、呼び出されるチェーンコード関数への引数として受け取ってよい。その後、チェーンコードが、現在の状態データベースに対して実行され、応答値、読み取りセット、および書き込みセットを含んでいるトランザクション結果を生成する。ただしこの時点では、台帳に対する更新は行われない。292で、値のセットが、署名ピア・ノードの281署名と共に、提案応答292としてクライアント260のSDKに返され、このSDKが、アプリケーションが使用するためのペイロードを構文解析する。
それに応じて、クライアント260のアプリケーションが、署名ピアの署名を検査/検証し、提案応答を比較して、提案応答が同じであるかどうかを判定する。チェーンコードが単に台帳に問い合わせた場合、アプリケーションは問い合わせ応答を検査し、通常は、トランザクションを順序付けノード・サービス284にサブミットしない。クライアント・アプリケーションが、台帳を更新するためにトランザクションを順序付けノード・サービス284にサブミットしようとしている場合、アプリケーションは、サブミットする前に、指定された署名ポリシーが満たされているかどうか(すなわち、トランザクションに必要なすべてのピア・ノードがトランザクションに署名したかどうか)を判定する。ここで、クライアントは、トランザクションの複数の関係者のうちの1つのみを含んでよい。この場合、各クライアントは、それ自身の署名ノードを含んでよく、各署名ノードがトランザクションに署名する必要がある。アーキテクチャは、アプリケーションが応答を検査しないことを選択するか、またはその他の方法で署名されていないトランザクションを転送する場合でも、署名ポリシーが、ピアによってまだ実施され、コミット妥当性確認フェーズで維持されるようにする。
検査に成功した後に、ステップ293で、クライアント260が、署名をトランザクション提案にまとめ、順序付けノード284へのトランザクション・メッセージ内でトランザクション提案およびトランザクション応答をブロードキャストする。トランザクションは、読み取り/書き込みセット、署名ピアの署名、およびチャネルIDを含んでよい。順序付けノード284は、その動作を実行するために、トランザクションの内容全体を検査する必要はなく、代わりに順序付けノード284は、単に、トランザクションをネットワーク内のすべてのチャネルから受信して、チャネル別に経時的に順序付けし、チャネルごとにトランザクションのブロックを作成してよい。
ブロックは、順序付けノード284からチャネル上のすべてのピア・ノード281~283に配信される。署名ポリシーが満たされていることを保証するため、および読み取りセットがトランザクションの実行によって生成されて以来、読み取りセットの変数に関して台帳の状態に対する変更がないことを保証するために、ブロック内のデータ・セクションの妥当性が確認されてよい。加えて、294で、タグ値が復号され、トランザクション・データがノイズ・トランザクション・データでないということを確認するためにチェックされてよい。さらに、ステップ295で、各ピア・ノード281~283は、ブロックをチャネルのチェーンに追加し、有効なトランザクションごとに、トランザクションがノイズ・トランザクションでない限り、書き込みセットが現在の状態データベースにコミットされる。トランザクション(呼び出し)が変更不可能なようにチェーンに追加されたことをクライアント・アプリケーションに通知するため、およびトランザクションの妥当性が確認されたか、または無効にされたかを通知するために、イベントが発行されてよい。
図3Aは許可型ブロックチェーン・ネットワーク300の例を示しており、許可型ブロックチェーン・ネットワーク300は、分散型の非集中的ピアツーピア・アーキテクチャを特徴とする。この例では、ブロックチェーン・ユーザ302は、許可型ブロックチェーン304に対するトランザクションを開始してよい。この例では、トランザクションは、デプロイ、呼び出し、または問い合わせであることができ、SDKを利用するクライアント側のアプリケーションを介して、APIを介して直接的に、などによって、発行されてよい。ネットワークは、監査人などのレギュレータ306へのアクセスを提供してよい。ブロックチェーン・ネットワーク・オペレータ308は、レギュレータ306を「監査人」として登録し、ブロックチェーン・ユーザ302を「クライアント」として登録するなど、メンバーの許可を管理する。監査人を、台帳への問い合わせのみに制限することができ、一方、特定の種類のチェーンコードのデプロイ、呼び出し、および問い合わせを行うための権限をクライアントに与えることができる。
ブロックチェーン開発者310は、チェーンコードおよびクライアント側のアプリケーションを書き込むことができる。ブロックチェーン開発者310は、インターフェイスを介して、チェーンコードをネットワークに直接デプロイすることができる。従来のデータ・ソース312からの認証情報をチェーンコードに含めるために、開発者310は、帯域外接続を使用してデータにアクセスすることができる。この例では、ブロックチェーン・ユーザ302は、ピア・ノード314を介して許可型ブロックチェーン304に接続する。ピア・ノード314は、いずれかのトランザクションを開始する前に、ユーザの登録およびトランザクションの証明書を、ユーザの役割および許可を管理する認証機関316から取得する。場合によっては、ブロックチェーン・ユーザは、許可型ブロックチェーン304上でトランザクションを実行するために、それらのデジタル証明書を所有しなければならない。一方、チェーンコードを利用しようとしているユーザは、従来のデータ・ソース312上のそれらのユーザの認証情報を検証することが必要になることがある。ユーザの権限付与を確認するために、チェーンコードは、従来の処理プラットフォーム318を介して、このデータへの帯域外接続を使用することができる。
図3Bは許可型ブロックチェーン・ネットワーク320の別の例を示しており、許可型ブロックチェーン・ネットワーク320は、分散型の非集中的ピアツーピア・アーキテクチャを特徴とする。この例では、ブロックチェーン・ユーザ322は、トランザクションを許可型ブロックチェーン324にサブミットしてよい。この例では、トランザクションは、デプロイ、呼び出し、または問い合わせであることができ、SDKを利用するクライアント側のアプリケーションを介して、APIを介して直接的に、などによって、発行されてよい。ネットワークは、監査人などのレギュレータ326へのアクセスを提供してよい。ブロックチェーン・ネットワーク・オペレータ328は、レギュレータ326を「監査人」として登録し、ブロックチェーン・ユーザ322を「クライアント」として登録するなど、メンバーの許可を管理する。監査人を、台帳への問い合わせのみに制限することができ、一方、特定の種類のチェーンコードのデプロイ、呼び出し、および問い合わせを行うための権限をクライアントに与えることができる。
ブロックチェーン開発者330は、チェーンコードおよびクライアント側のアプリケーションを書き込む。ブロックチェーン開発者330は、インターフェイスを介して、チェーンコードをネットワークに直接デプロイすることができる。従来のデータ・ソース332からの認証情報をチェーンコードに含めるために、開発者330は、帯域外接続を使用してデータにアクセスすることができる。この例では、ブロックチェーン・ユーザ322は、ピア・ノード334を介してネットワークに接続する。ピア・ノード334は、いずれかのトランザクションを開始する前に、ユーザの登録およびトランザクションの証明書を認証機関336から取得する。場合によっては、ブロックチェーン・ユーザは、許可型ブロックチェーン324上でトランザクションを実行するために、それらのデジタル証明書を所有しなければならない。一方、チェーンコードを利用しようとしているユーザは、従来のデータ・ソース332上のそれらのユーザの認証情報を検証することが必要になることがある。ユーザの権限付与を確認するために、チェーンコードは、従来の処理プラットフォーム338を介して、このデータへの帯域外接続を使用することができる。
一部の実施形態では、本明細書におけるブロックチェーンは、許可なしブロックチェーンであってよい。参加するために許可を必要とする許可型ブロックチェーンとは対照的に、誰でも許可なしブロックチェーンに参加することができる。例えばユーザは、許可なしブロックチェーンに参加するために、個人のアドレスを作成し、トランザクションをサブミットすることによって、したがってエントリを台帳に追加することによって、ネットワークとの情報のやりとりを開始してよい。さらに、すべての関係者が、ノードをシステム上で実行すること、およびトランザクションの検証に役立つようにマイニング・プロトコルを採用することを選択できる。
図3Cは、複数のノード354を含んでいる許可なしブロックチェーン352によって処理されているトランザクションのプロセス350を示している。送信側356は、許可なしブロックチェーン352を介して、支払いまたはその他の形態の値(例えば、証書、医療記録、契約、商品、サービス、またはデジタル・レコードにカプセル化され得る任意のその他のアセット)を受信側358に送信することを望んでいる。1つの実施形態では、送信側デバイス356および受信側デバイス358の各々は、トランザクション・パラメータのユーザ・インターフェイス制御および表示を提供する(ブロックチェーン352に関連付けられた)デジタル・ウォレットを有してよい。それに応じて、トランザクションがブロックチェーン352全体のノード354にブロードキャストされる。ブロックチェーン352のネットワーク・パラメータに応じて、ノードが、許可なしブロックチェーン352の作成者によって確立されたルール(事前に定義されるか、または動的に割り当てられてよい)に基づいてトランザクションを検証する(360)。例えば、この検証は、関わっている関係者の識別情報を検証することなどを含んでよい。トランザクションは、直ちに検証されてよく、またはトランザクションは、他のトランザクションと共にキューに配置されてよく、ノード354は、ネットワーク・ルールのセットに基づいてトランザクションが有効であるかどうかを判定する。
構造362内で、有効なトランザクションがブロック内に形成され、ロック(ハッシュ)を使用して封印される。このプロセスは、マイニング・ノードによって、ノード354間で実行されてよい。マイニング・ノードは、特に、許可なしブロックチェーン352のブロックをマイニングして作成するために、追加のソフトウェアを利用してよい。各ブロックは、ネットワークによって合意されたアルゴリズムを使用して作成されたハッシュ(例えば、256ビットの数値など)によって識別されてよい。各ブロックは、ヘッダー、チェーン内の前のブロックのヘッダーのハッシュへのポインタまたは参照、および有効なトランザクションのグループを含んでよい。前のブロックのハッシュへの参照は、ブロックの安全な独立したチェーンの作成に関連付けられる。
ブロックをブロックチェーンに追加できるようになる前に、ブロックの妥当性が確認されなければならない。許可なしブロックチェーン352の妥当性確認は、ブロックのヘッダーから得られたパズルに対する解であるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を含んでよい。図3Cの例には示されていないが、ブロックの妥当性確認ための別のプロセスは、プルーフ・オブ・ステークである。アルゴリズムが、数学問題を解くマイナーに報酬を与えるプルーフ・オブ・ワークとは異なり、プルーフ・オブ・ステークでは、ウェルス(「ステーク」としても定義される)に応じて、新しいブロックの作成者が確定的方法で選択される。その後、選択されたノードによって、同様の証明が実行される。
マイニング364で、ノードは、解がネットワーク全体にわたるターゲットを満たすまで、1つの変数に対して漸進的な変更を行うことによって、ブロックを解こうとする。これによってPoWを作成し、それによって、正しい答えを保証する。言い換えると、可能性のある解は、計算リソースが問題を解くことにおいて消耗されたということを証明しなければならない。一部の種類の許可なしブロックチェーンでは、マイナーに、ブロックを正しくマイニングしたことに対する報酬として価値(例えば、コインなど)が与えられることがある。
ここで、攻撃者が、1つのブロックの変更を受け入れるために、その後のすべてのブロックを変更しなければならないため、PoWプロセスは、ブロックの変更と共に、ブロックチェーンの変更を極めて困難にする。さらに、新しいブロックがマイニングされるにつれて、ブロックを変更することの困難さが増大し、その後のブロックの数が増加する。配布366で、正常に妥当性が確認されたブロックが、許可なしブロックチェーン352全体に配布され、すべてのノード354が、そのブロックを、許可なしブロックチェーン352の監査可能な台帳であるマジョリティ・チェーン(majority chain)に追加する。さらに、送信側356によってサブミットされたトランザクションにおける価値が、受信側デバイス358のデジタル・ウォレットに預け入れられるか、またはその他の方法で転送される。
図4Aは、実施形態例に従って、ノイズ・トランザクション提案440をブロックチェーン・ピアにサブミットするプロセス400Aを示しており、図4Bは、実施形態例に従ってトランザクション提案440内の内容を示している。図4Aを参照すると、図2Bの例で説明されているように、ノイズ・トランザクションがクライアント402から1つまたは複数の署名者ノード(図示されていない)に送信されてよい。適切に署名された場合、クライアント402は、署名に基づいて、トランザクション提案440をブロックチェーン・ネットワークの順序付けサービス(例えば、順序付けノード410)にサブミットしてよい。それに応じて、順序付けノード410は、トランザクション提案440を、非ノイズ・トランザクション提案またはノイズ・トランザクション提案あるいはその両方を含んでいることがある他のトランザクション提案と結合し、ブロックチェーン・ネットワークの分散型ブロックチェーン台帳に追加される新しいブロック450を作成してよい。ブロック450が作成された後に、順序付けノード410は、妥当性を確認して各ブロックチェーン台帳にコミットするために、ブロック450をブロックチェーン・ネットワークのブロックチェーン・ピアにブロードキャストしてよい。
図4Aの例では、ブロックチェーン台帳の自分自身のバージョン(ブロックチェーン台帳422およびブロックチェーン台帳432)をそれぞれ格納している2つのブロックチェーン・ピア420および430が示されている。この例では、ブロックチェーン・ピア420は、ブロックチェーン・ネットワークの許可された参加者であり、ノイズ・データをサブミットするクライアントまたはブロックチェーン・ピアあるいはその両方によって共有された共有秘密鍵を含んでいる。一方、ブロックチェーン・ピア430は、ブロックチェーン・ネットワークのチャネルをリッスンしている許可されていないピアである。ここで、ブロックチェーン・ピア430は、対応する共有秘密鍵を持っていない。
各ブロックチェーン・ピア420および430は、ブロック450を受信し、トランザクション提案440を含んでいるブロック450内の個別のトランザクションに基づいて、各ブロックチェーン台帳422および432を更新してよい。トランザクション提案440内の内容は、トランザクション提案440がノイズ・トランザクション(偽のデータ)であるか、または本物のトランザクションであるかを識別するタグ値446を含んでよい。この場合、タグ値446は、トランザクションが偽物/ノイズであるということを示す。有効なデータ/ライブ・データを含んでいる非ノイズ・トランザクションも、トランザクションを非ノイズ(有効、ライブなど)として識別するタグ値を含んでもよいということも、理解されるべきである。
タグ値446は、ブロックチェーン・ピア420に知られているが、許可されていないピア430には知られていない共有暗号鍵を使用して暗号化されてよい。ブロックチェーン・ピア420は、タグ値446を復号し、ブール・インジケータ(またはその他のタグ値)を識別することによって、ノイズ・トランザクション提案440がノイズ・トランザクションであるということを検出してよい。このようにして、ブロックチェーン・ピア420は、ノイズ・トランザクション提案440内のブロックチェーン台帳に対する状態の変更をスキップするか、またはその他の方法で無視してよい。一方、許可されていないピア430は、そのようなタグ値446を復号できず、トランザクション提案440がノイズであるということを決定できない。したがって、許可されていないピア430は、ノイズ・トランザクション提案440を標準的なトランザクションとして処理し、それに応じてブロックチェーン台帳432を更新する。
図4Aで、ブロックチェーン・ピア420は、ノイズ・トランザクション提案440が無視され、ブロックチェーン台帳422上の世界状態データベースに追加されないため、正しい(すなわち、曖昧にされていない状態である)ブロックチェーン台帳(台帳422)のそれ自身のコピーを持っている。一方、ブロックチェーン・ピア430のブロックチェーン台帳432は、ノイズ・トランザクション提案440からの内容が台帳432に追加されているため、曖昧にされた状態にある(例えば、状態データベース460内の更新されたキーと値のペア)。したがって、ノイズ・トランザクションに関与しているクライアントのトランザクション・パターンが曖昧にされ、保護される。
図4Bは、図4Aに関して説明されたトランザクション提案440の内容の例を示している。トランザクション提案440は、他のトランザクション提案と共にブロック450に格納されてよい。トランザクション提案は、処理されるときに、ブロックチェーン上のすべてのキーと値のペアの最新の値を格納する世界状態460内に格納されたキーと値のペアを更新するために使用されてよい。図4Bに示されているように、トランザクション提案440は、通常のブロックチェーン・トランザクションと同じ構成要素を含んでおり、違いは、暗号化されてよく、トランザクションがノイズであるかどうかを識別するタグ値446、およびタグ値446を暗号化するために使用される暗号鍵を識別する鍵識別子447である。トランザクション形式を同じに保つことによって、許可されていない関係者は、ノイズ・データである可能性があるということを認識しない。
例えば、トランザクション提案440は、チェーンコードの名前およびそのバージョンなどの、トランザクションに関する本質的なメタデータを捕捉するヘッダー441、およびサブミットされたトランザクション提案440を作成したクライアント402の暗号署名を含んでいる署名442を含んでよい。トランザクション提案440は、署名ポリシーを満たすために必要とされる各署名者からの署名されたトランザクション応答のリストを含んでいる署名445も含む。
トランザクション提案440は、スマート・コントラクトに関する入力パラメータを含む提案443、および署名者ノードの読み取り/書き込みセットを含む応答444も含んでいる。この例では、トランザクション提案440はノイズ・トランザクションである。したがって、提案443はノイズ・データ/偽のデータを含んでいる。提案443は、ブロックチェーン台帳に対する提案されたノイズ更新(noisy update)を作成するスマート・コントラクト/チェーンコードに供給されるノイズ入力パラメータ(noisy input parameters)をエンコードしてよい。スマート・コントラクトの論理が実行されるときに、提案443は、現在の世界状態に関して新しい世界状態を決定するために使用されるノイズ入力パラメータ(例えば、キーと値のペアなど)を提供する。トランザクション提案440は、世界状態の前の値および後の値をノイズ・データを含む読み取り/書き込みセットとして捕捉する偽の応答444も含んでいる。応答444は、提案443からのノイズ入力に基づくスマート・コントラクトの出力である。
図5Aは、実施形態例に従って、タグに基づいてブロックチェーン・トランザクションを処理する方法500を示している。非限定的な例として、方法500は、クライアント・アプリケーション、ブロックチェーン・ピア上のスマート・コントラクト、ブロックチェーンのエージェント・システムなどによって実行されてよい。図5Aを参照すると、502で、この方法は、ブロックチェーンのデータを含むブロックチェーン要求を生成することを含んでよい。例えば、ブロックチェーン要求は、チェーンコードを呼び出すように構成されたブロックチェーン・トランザクションを含んでよい。ブロックチェーン要求は、ブロックチェーン台帳上で変更されるキー値を含んでよい。
一部の実施形態では、生成することは、ブロックチェーンの偽のデータを含むノイズ・ブロックチェーン要求(noisy blockchain request)を生成することを含んでよく、作成することは、ブロックチェーン要求をノイズとして識別するタグ値を作成することを含む。この例では、偽のデータは、ブロックチェーンの偽のキー値を含んでよく、タグ値はブール値を含む。一部の実施形態では、生成することは、ブロックチェーンのライブ・データを含む非ノイズ・ブロックチェーン要求を生成することを含んでよく、作成することは、ブロックチェーン要求をライブ・データとして識別するタグ値を作成することを含む。
504で、この方法は、ブロックチェーン要求が偽のデータを含むノイズ要求であるか、または非ノイズ・データを含む非ノイズ要求であるかを識別するタグ値を作成することを含んでよい。例えばタグ値は、「真」がノイズを示し、「偽」が非ノイズを示すか、またはその逆を示す、ブール値を含んでよい。一部の実施形態では、この方法は、秘密鍵に基づいてタグ値を曖昧にすることと、タグ値を曖昧にするために使用される秘密鍵を識別する鍵識別子の値をブロックチェーン要求内に格納することとをさらに含んでよい。例えば、鍵識別子は、ブロックチェーン・ネットワーク内で複数の暗号鍵が使用される場合に、どの暗号鍵が使用されるかを区別してよい。一部の実施形態では、秘密鍵は、対称的な公開鍵とプライベート鍵のペアの公開鍵を含んでよく、プライベート鍵は、ブロックチェーンのメンバーであるブロックチェーン・ピアによって共有される。
506で、この方法は、タグ値をブロックチェーン要求内に格納することを含んでよく、508で、この方法は、ブロックチェーン要求を1つまたは複数のブロックチェーン・ピアに送信することを含んでよい。一部の実施形態では、この方法は、ノイズ・ブロックチェーン要求に関する署名および読み取り/書き込みセットをブロックチェーンの署名者ピアから受信することと、署名および読み取り/書き込みセットをノイズ・ブロックチェーン要求に格納することとをさらに含んでよい。一部の実施形態では、生成することは、ブロックチェーン上のクライアントの挙動の過去のパターンに基づいてノイズ・ブロックチェーン要求を生成することを含んでよい。
図5Bは、実施形態例に従って、タグを含んでいるブロックチェーン・トランザクションを格納する方法510を示している。図5Bを参照すると、512で、この方法は、ブロックチェーン要求が偽のデータを含むノイズ要求であるか、または非ノイズ・データを含む非ノイズ要求であるかを識別するタグ値を含んでいるブロックチェーン要求を受信することを含んでよい。例えば、ブロックチェーン要求は、ブロックチェーンの偽のデータを含んでいるノイズ・ブロックチェーン要求であってよく、タグ値は、ブロックチェーン要求をノイズとして識別するタグ値を含んでよい。一部の実施形態では、偽のデータはブロックチェーンの偽のキー値を含んでよく、タグ値は、ノイズ・ブロックチェーン要求の作成者によって以前に合意されたハッシュ値を含んでよい。
514で、この方法は、既定のポリシーを満たすための十分なブロックチェーン・ピアによってブロックチェーン要求が署名されているということを検証することを含んでよい。例えば、この検証は、ノイズ・ブロックチェーン要求の署名者ピアからのノイズ・ブロックチェーン要求に関する署名および読み取り/書き込みセットを検証することを含んでよい。成功した検証に応答して、516で、この方法は、タグ値を含んでいるブロックチェーン要求を、データ・ブロックのハッシュリンクされたチェーンの間のデータ・ブロック内に格納することを含んでよい。
一部の実施形態では、タグ値は、秘密鍵に基づいて曖昧にされている曖昧にされたタグ値を含んでよく、プロセッサは、秘密鍵の鍵識別子の値をデータ・ブロック内に格納するようにさらに構成される。一部の実施形態では、秘密鍵は、対称的な公開鍵とプライベート鍵のペアの公開鍵を含んでよく、プライベート鍵は、ノイズ・ブロックチェーン要求を作成したブロックチェーン・ネットワーク内のブロックチェーン・クライアントによって共有されるが、ブロックチェーン・ネットワーク内の他のブロックチェーン・クライアントによっては共有されない。一部の実施形態では、ブロックチェーン要求は、ブロックチェーンのライブ・データを含んでいる非ノイズ・ブロックチェーン要求であってよく、タグ値は、ブロックチェーン要求が、ブロックチェーン要求を作成したブロックチェーン・クライアントにとってノイズでないということを識別する値を含んでよい。
図6Aは、実施形態例に従ってさまざまな動作を実行するように構成された物理的インフラストラクチャ610を含んでいる例示的なシステム600を示している。図6Aを参照すると、物理的インフラストラクチャ610は、モジュール612およびモジュール614を含んでいる。モジュール614は、実施形態例のいずれかに含まれる(モジュール612内の)動作ステップ608のいずれかを実行してよい、ブロックチェーン620およびスマート・コントラクト630(ブロックチェーン620に存在してよい)を含んでいる。ステップ/動作608は、説明されたか、または図に示された実施形態のうちの1つまたは複数を含んでよく、1つまたは複数のスマート・コントラクト630またはブロックチェーン620あるいはその両方から書き込まれるか、または読み取られる、出力されたか、または書き込まれた情報を表してよい。物理的インフラストラクチャ610、モジュール612、およびモジュール614は、1つまたは複数のコンピュータ、サーバ、プロセッサ、メモリ、または無線通信デバイス、あるいはその組み合わせを含んでよい。さらに、モジュール612およびモジュール614は同じモジュールであってよい。
図6Bは、実施形態例に従ってさまざまな動作を実行するように構成された別の例示的なシステム640を示している。図6Bを参照すると、システム640はモジュール612および614を含んでいる。モジュール614は、実施形態例のいずれかに含まれる(モジュール612内の)動作ステップ608のいずれかを実行してよい、ブロックチェーン620およびスマート・コントラクト630(ブロックチェーン620に存在してよい)を含んでいる。ステップ/動作608は、説明されたか、または図に示された実施形態のうちの1つまたは複数を含んでよく、1つまたは複数のスマート・コントラクト630またはブロックチェーン620あるいはその両方から書き込まれるか、または読み取られる、出力されたか、または書き込まれた情報を表してよい。物理的インフラストラクチャ610、モジュール612、およびモジュール614は、1つまたは複数のコンピュータ、サーバ、プロセッサ、メモリ、または無線通信デバイス、あるいはその組み合わせを含んでよい。さらに、モジュール612およびモジュール614は同じモジュールであってよい。
図6Cは、実施形態例に従って、契約当事者間でのスマート・コントラクトの構成、およびブロックチェーンに対してスマート・コントラクトの条件を実施するように構成された仲介サーバを利用するように構成された例示的なシステムを示している。図6Cを参照すると、構成650は、通信セッション、アセット転送セッション、あるいはプロセスまたは手順を表してよく、これらは、1つまたは複数のユーザ・デバイス652または656あるいはその両方を明示的に識別するスマート・コントラクト630によって動作させられる。スマート・コントラクトの実行の、実行、動作、および結果は、サーバ654によって管理されてよい。スマート・コントラクト630の内容は、スマート・コントラクト・トランザクションの関係者である実体652および656のうちの1つまたは複数によるデジタル署名を要求してよい。スマート・コントラクトの実行結果は、ブロックチェーン・トランザクションとしてブロックチェーン620に書き込まれてよい。スマート・コントラクト630は、1つまたは複数のコンピュータ、サーバ、プロセッサ、メモリ、または無線通信デバイス、あるいはその組み合わせに存在してよい、ブロックチェーン620に存在する。
図6Dは、実施形態例に従って、ブロックチェーンを含んでいるシステム660を示している。図6Dの例を参照すると、アプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)ゲートウェイ662が、ブロックチェーンの論理(例えば、スマート・コントラクト630またはその他のチェーンコード)およびデータ(例えば、分散型台帳など)にアクセスするための共通インターフェイスを提供する。この例では、APIゲートウェイ662は、1つまたは複数の実体652および656をブロックチェーン・ピア(すなわち、サーバ654)に接続することによってブロックチェーンに対してトランザクション(呼び出し、問い合わせなど)を実行するための共通インターフェイスである。ここで、サーバ654は、世界状態および分散型台帳のコピーを保持するブロックチェーン・ネットワークのピア・コンポーネントであり、これらのコピーは、クライアント652および656が世界状態に関するデータを問い合わせること、およびトランザクションをブロックチェーン・ネットワークにサブミットすることを可能にし、スマート・コントラクト630および署名ポリシーに応じて、署名ピアがスマート・コントラクト630を実行する。
前述の実施形態は、ハードウェアにおいて、プロセッサによって実行されるコンピュータ・プログラムにおいて、ファームウェアにおいて、またはこれらの組み合わせにおいて実装されてよい。コンピュータ・プログラムは、ストレージ媒体などのコンピュータ可読媒体に具現化されてよい。例えば、コンピュータ・プログラムは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、フラッシュ・メモリ、読み取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM:erasable programmable read-only memory)、電子的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM:electrically erasable programmable read-only memory)、レジスタ、ハード・ディスク、取り外し可能なディスク、コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM:compact disk read-only memory)、または従来技術において知られた任意のその他の形態のストレージ媒体に存在してよい。
例示的なストレージ媒体は、プロセッサがストレージ媒体から情報を読み取り、ストレージ媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合されてよい。代替方法では、ストレージ媒体はプロセッサと一体であってよい。プロセッサおよびストレージ媒体は、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)に存在してよい。代替方法では、プロセッサおよびストレージ媒体は、個別のコンポーネントとして存在してよい。
図7Aは、実施形態例に従って、分散型台帳720に追加されている新しいブロックのプロセス700を示しており、図7Bは、実施形態例に従って、ブロックチェーンの新しいデータ・ブロック構造730の内容を示している。図7Aを参照すると、クライアント(図示されていない)は、トランザクションをブロックチェーン・ノード711、712、または713、あるいはその組み合わせにサブミットしてよい。クライアントは、ブロックチェーン720に対する活動を規定するための、いずれかのソースから受信された命令であってよい。一例として、クライアントは、ブロックチェーンのトランザクションを提案するデバイス、人、または実体などの要求者の代わりに動作するアプリケーションであってよい。複数のブロックチェーン・ピア(例えば、ブロックチェーン・ノード711、712、および713)が、ブロックチェーン・ネットワークの状態および分散型台帳720のコピーを維持してよい。クライアントによって提案されたトランザクションをシミュレートして署名する署名ピア、および署名を検証し、トランザクションの妥当性を確認し、トランザクションを分散型台帳720にコミットするコミット・ピアを含む、さまざまな種類のブロックチェーン・ノード/ピアが、ブロックチェーン・ネットワーク内に存在してよい。この例では、ブロックチェーン・ノード711、712、および713は、署名者ノード、コミッター・ノード(committer node)、あるいはその両方の役割を実行してよい。
分散型台帳720は、ブロック内の変更不可能な順序付けられたレコードを格納するブロックチェーン、およびブロックチェーン722の現在の状態を維持する状態データベース724(現在の世界状態)を含む。1つのチャネルにつき1つの分散型台帳720が存在してよく、各ピアが、そのピアがメンバーであるチャネルごとに、分散型台帳720のそれ自身のコピーを維持する。ブロックチェーン722は、ハッシュ・リンク・ブロックとして構造化されたトランザクション・ログであり、各ブロックがN個のトランザクションのシーケンスを含む。ブロックは、図7Bに示されているコンポーネントなどの、さまざまなコンポーネントを含んでよい。ブロックのリンク(図7Aの矢印によって示されている)は、前のブロックのヘッダーのハッシュを、現在のブロックのブロック・ヘッダー内に追加することによって生成されてよい。このようにして、ブロックチェーン722上のすべてのトランザクションが、順序付けられ、暗号によって一緒にリンクされ、ハッシュ・リンクを壊さずにブロックチェーン・データを改ざんすることを防ぐ。さらに、これらのリンクのため、ブロックチェーン722内の最新のブロックが、その前に来たすべてのトランザクションを表す。ブロックチェーン722は、追加専用のブロックチェーンのワークロードをサポートするピアのファイル・システム(ローカルまたは取り付けられたストレージ)に格納されてよい。
ブロックチェーン722および分散型台帳720の現在の状態が、状態データベース724に格納されてよい。ここで、現在の状態データは、ブロックチェーン722のチェーン・トランザクション・ログにこれまで含まれたすべてのキーの最新の値を表す。チェーンコード呼び出しは、状態データベース724内の現在の状態に対してトランザクションを実行する。それらのチェーンコードの相互作用を極めて効率的にするために、すべてのキーの最新の値が状態データベース724に格納される。状態データベース724は、ブロックチェーン722のトランザクション・ログへのインデックス付きビューを含んでよく、したがって、いつでもチェーンから再生成され得る。状態データベース724は、ピアの起動時に、トランザクションが受け取られる前に、自動的に回復されてよい(または必要な場合に生成されてよい)。
署名ノードは、トランザクションをクライアントから受信し、シミュレーション結果に基づいてトランザクションに署名する。署名ノードは、トランザクション提案をシミュレートするスマート・コントラクトを保持する。署名ノードがトランザクションに署名するときに、署名ノードは、シミュレートされたトランザクションの署名を示す署名ノードからクライアント・アプリケーションへの署名された応答である、トランザクションの署名を生成する。トランザクションに署名する方法は、チェーンコード内で指定されることがある署名ポリシーによって決まる。署名ポリシーの例は、「署名ピアの大部分がトランザクションに署名しなければならない」である。異なるチャネルは、異なる署名ポリシーを有してよい。署名されたトランザクションは、クライアント・アプリケーションによって順序付けサービス710に転送される。
順序付けサービス710は、署名されたトランザクションを受け取り、それらをブロック内に順序付けし、ブロックをコミット・ピアに配信する。例えば、順序付けサービス710は、トランザクションのしきい値に達したか、タイマーがタイムアウトするか、または別の条件の場合に、新しいブロックを開始してよい。図7Aの例では、ブロックチェーン・ノード712は、ブロックチェーン720に格納するための新しいデータの新しいデータ・ブロック730を受信したコミット・ピアである。ブロックチェーン内の第1のブロックは、ブロックチェーン、ブロックチェーンのメンバー、格納されたデータなどに関する情報を含んでいるジェネシス・ブロックと呼ばれてよい。
順序付けサービス710は、順序付けノードのクラスタで構成されてよい。順序付けサービス710は、トランザクション、スマート・コントラクトを処理することも、共有台帳を維持することもない。むしろ、順序付けサービス710は、署名されたトランザクションを受け取ってよく、それらのトランザクションが分散型台帳720にコミットされる順序を指定する。ブロックチェーン・ネットワークのアーキテクチャは、「順序付け」の特定の実装(例えば、Solo、Kafka、BFTなど)が着脱可能なコンポーネントになるように設計されてよい。
トランザクションは、一貫性のある順序で分散型台帳720に書き込まれる。トランザクションの順序は、トランザクションがネットワークにコミットされるとき状態データベース724に対する更新が有効であることを保証するように確立される。暗号パズルを解くことまたはマイニングによって順序付けが発生する暗号通貨ブロックチェーン・システム(例えば、ビットコインなど)とは異なり、この例では、分散型台帳720の関係者が、そのネットワークに最も適した順序付けメカニズムを選択してよい。
順序付けサービス710は、新しいデータ・ブロック730を初期化し、新しいデータ・ブロック730がコミット・ピア(例えば、ブロックチェーン・ノード711、712、および713)にブロードキャストされてよい。それに応じて、各コミット・ピアは、読み取りセットおよび書き込みセットが状態データベース724内の現在の世界状態にまだ一致することをチェックして確認することによって、新しいデータ・ブロック730内のトランザクションの妥当性を確認する。特に、コミット・ピアは、署名者がトランザクションをシミュレートしたときに存在していた読み取られたデータが、状態データベース724内の現在の世界状態と同一であるかどうかを判定することができる。コミット・ピアがトランザクションの妥当性を確認した場合、トランザクションが分散型台帳720のブロックチェーン722に書き込まれ、状態データベース724が、読み取り/書き込みセットからの書き込みデータに更新される。トランザクションが失敗した場合、すなわち、コミット・ピアが、読み取り/書き込みセットが状態データベース724内の現在の世界状態に一致しないということを検出した場合、ブロック内に順序付けられたトランザクションは、そのブロックにまだ含まれるが、無効としてマーク付けされ、状態データベース724が更新されない。
図7Bを参照すると、分散型台帳720のブロックチェーン722に格納された新しいデータ・ブロック730(データ・ブロックとも呼ばれる)が、ブロック・ヘッダー740、ブロック・データ750(ブロック・データ・セクション)、およびブロック・メタデータ760などの、複数のデータ・セグメントを含んでよい。図7Bに示された新しいデータ・ブロック730およびその内容などの、さまざまな示されたブロックおよびそれらの内容が、例にすぎず、実施形態例の範囲を制限するよう意図されていないということが、理解されるべきである。従来のブロックでは、データ・セクションが、データ・ブロック750内のN個(例えば、1、10、100、500、1000、2000、3000など)のトランザクションのトランザクション情報を格納してよい。
新しいデータ・ブロック730は、(例えば、図7Aのブロックチェーン722上の)前のブロックへのリンクをブロック・ヘッダー740内に含んでもよい。特に、ブロック・ヘッダー740は、前のブロックのヘッダーのハッシュを含んでよい。ブロック・ヘッダー740は、新しいデータ・ブロック730の一意のブロック番号、ブロック・データ750のハッシュなどを含んでもよい。新しいデータ・ブロック730のブロック番号は、一意であり、0から開始する漸進的/連続的順序などのさまざまな順序で割り当てられてよい。
ブロック・メタデータ760は、メタデータの複数のフィールドを(例えば、バイト配列などとして)格納してよい。メタデータ・フィールドは、ブロック作成時の署名、最後の構成ブロックへの参照、ブロック内の有効なトランザクションと無効なトランザクションを識別するトランザクション・フィルタ、ブロックを順序付けた順序付けサービスの永続的な最後のオフセットなどを含んでよい。順序付けサービス710によって署名、最後の構成ブロック、および順序付けノードのメタデータが追加されてよい。一方、ブロックのコミッター(ブロックチェーン・ノード712など)は、署名ポリシー、読み取り/書き込みセットの検証などに基づいて、有効/無効情報を追加してよい。トランザクション・フィルタは、ブロック・データ750に含まれているトランザクションの数に等しいサイズのバイト配列、およびトランザクションが有効/無効だったかどうかを識別する妥当性確認コードを含んでよい。
図7Cは、本明細書に記載された実施形態に従って、デジタル・コンテンツのためのブロックチェーン770の実施形態を示している。デジタル・コンテンツは、1つまたは複数のファイルおよび関連する情報を含んでよい。これらのファイルは、媒体、画像、ビデオ、音声、テキスト、リンク、グラフィックス、アニメーション、Webページ、文書、またはデジタル・コンテンツのその他の形態を含んでよい。ブロックチェーンの変更不可能な追加専用の特徴は、デジタル・コンテンツの完全性、有効性、および信頼性を保護するための予防手段として役立ち、認容性ルールが適用される法的手続きにおいて、あるいは証拠が考慮されるか、またはデジタル情報の提示および使用がその他の方法で対象になる、その他の設定において、ブロックチェーンの使用を適切にする。この場合、デジタル・コンテンツはデジタル証拠と呼ばれることがある。
ブロックチェーンは、さまざまな方法で形成されてよい。1つの実施形態では、デジタル・コンテンツは、ブロックチェーン自体に含まれ、ブロックチェーン自体からアクセスされてよい。例えば、ブロックチェーンの各ブロックは、参照情報(例えば、ヘッダー、値など)のハッシュ値を、関連するデジタル・コンテンツと共に格納してよい。その後、ハッシュ値および関連するデジタル・コンテンツは、一緒に暗号化されてよい。したがって、各ブロックのデジタル・コンテンツは、ブロックチェーン内の各ブロックを復号することによってアクセスされてよく、各ブロックのハッシュ値は、前のブロックを参照するための基礎として使用されてよい。これは、次のように示されてよい。
ブロック1 ブロック2 ・・・・・・ブロックN
ハッシュ値1 ハッシュ値2 ハッシュ値N
デジタル・コンテンツ1 デジタル・コンテンツ2 デジタル・コンテンツN
1つの実施形態では、デジタル・コンテンツがブロックチェーンに含まれなくてよい。例えば、ブロックチェーンは、デジタル・コンテンツを含んでいない各ブロックの内容の暗号化されたハッシュを格納してよい。デジタル・コンテンツは、元のファイルのハッシュ値に関連して、別のストレージ領域またはメモリ・アドレスに格納されてよい。他のストレージ領域は、ブロックチェーンを格納するために使用されるストレージ・デバイスと同じストレージ・デバイスであってよく、または異なるストレージ領域もしくは分離したリレーショナル・データベースであってもよい。各ブロックのデジタル・コンテンツは、対象のブロックのハッシュ値を取得するか、または問い合わせ、次に、実際のデジタル・コンテンツに対応して格納されているハッシュ値をストレージ領域内で検索することによって、参照またはアクセスされてよい。この動作は、例えば、データベース・ゲートキーパーによって実行されてよい。これは、次のように示されてよい。
ブロックチェーン ストレージ領域
ブロック1のハッシュ値 ブロック1のハッシュ値・・・内容
・ ・
・ ・
・ ・
ブロックNのハッシュ値 ブロックNのハッシュ値・・・内容
図7Cの実施形態例では、ブロックチェーン770は、順序付けられたシーケンスで暗号によってリンクされた複数のブロック7781、7782、...778Nを含んでおり、N≧1である。ブロック7781、7782、...778Nをリンクするための使用される暗号化は、複数の鍵付きハッシュ関数または鍵なしハッシュ関数のいずれかであってよい。1つの実施形態では、ブロック7781、7782、...778Nは、ブロック内の情報に基づいて入力からnビットの英数字出力を生成するハッシュ関数の対象になる(nは256または別の数である)。そのようなハッシュ関数の例としては、SHA型(SHAは、セキュア・ハッシュ・アルゴリズム(Secured Hash Algorithm)を表す)アルゴリズム、マークル・ダンガード・アルゴリズム、HAIFAアルゴリズム、マークル・ツリー・アルゴリズム、ノンスに基づくアルゴリズム、および非衝突耐性PRFアルゴリズムが挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態では、ブロック7781、7782、...778Nは、ハッシュ関数とは異なる関数によって、暗号によってリンクされてよい。例示の目的で、以下では、ハッシュ関数(例えば、SHA-2)を参照して説明が行われる。
ブロックチェーン内のブロック7781、7782、...778Nの各々は、ヘッダー、ファイルのバージョン、および値を含む。ヘッダーおよび値は、ブロックチェーン内のハッシュ処理の結果として、ブロックごとに異なる。1つの実施形態では、値がヘッダーに含まれてよい。以下でさらに詳細に説明されるように、ファイルのバージョンは、元のファイルであるか、または元のファイルの異なるバージョンであってよい。
ブロックチェーン内の最初のブロック7781は、ジェネシス・ブロックと呼ばれ、ヘッダー7721、元のファイル7741、および初期値7761を含んでいる。ジェネシス・ブロックに使用される(実際には、その後のすべてのブロックにおいて使用される)ハッシュ処理方式は、変化してよい。例えば、最初のブロック7781内のすべての情報が一緒に同時にハッシュされてよく、または最初のブロック7781内の情報の各々または一部が別々にハッシュされ、その後、別々にハッシュされた部分のハッシュが実行されてよい。
ヘッダー7721は、1つまたは複数の初期パラメータを含んでよく、初期パラメータは、例えば、バージョン番号、タイムスタンプ、ノンス、ルート情報、難易度、合意プロトコル、期間、媒体形式、ソース、記述的キーワード、あるいは元のファイル7741もしくはブロックチェーンまたはその両方に関連付けられたその他の情報、あるいはその組み合わせを含んでよい。ヘッダー7721は、自動的に(例えば、ブロックチェーン・ネットワーク管理ソフトウェアによって)生成されるか、またはブロックチェーンの参加者によって手動で生成されてよい。ブロックチェーン内の他のブロック7782~778N内のヘッダーとは異なり、ジェネシス・ブロック内のヘッダー7721は、単に前のブロックが存在しないため、前のブロックを参照しない。
ジェネシス・ブロック内の元のファイル7741は、例えば、ブロックチェーンに含まれる前の処理を伴うか、または伴わずに、デバイスによって捕捉されたデータであってよい。元のファイル7741は、システムのインターフェイスを介して、デバイス、媒体ソース、またはノードから受信される。元のファイル7741はメタデータに関連付けられ、メタデータは、例えば、ユーザ、デバイス、またはシステム・プロセッサあるいはその組み合わせによって、手動または自動のいずれかで、生成されてよい。メタデータは、元のファイル7741に関連して、最初のブロック7781に含まれてよい。
ジェネシス・ブロック内の値7761は、元のファイル7741の1つまたは複数の一意の属性に基づいて生成された初期値である。1つの実施形態では、1つまたは複数の一意の属性は、元のファイル7741のハッシュ値、元のファイル7741のメタデータ、およびファイルに関連付けられたその他の情報を含んでよい。1つの実装では、初期値7761は、以下の一意の属性に基づいてよい。
1)SHA-2によって元のファイルに対して計算されたハッシュ値
2)発信デバイスID
3)元のファイルの開始タイムスタンプ
4)元のファイルの初期ストレージ位置
5)元のファイルおよび関連するメタデータを現在制御するためのソフトウェアのブロックチェーン・ネットワーク・メンバーID
ブロックチェーン内の他のブロック7782~778Nも、ヘッダー、ファイル、および値を含む。しかし、最初のブロック7721とは異なり、他のブロック内のヘッダー7722~772Nの各々は、直前のブロックのハッシュ値を含む。直前のブロックのハッシュ値は、単に前のブロックのヘッダーのハッシュであってよく、または前のブロック全体のハッシュ値であってよい。先行するブロックのハッシュ値を残りのブロックの各々に含めることによって、矢印780によって示されているように、N番目のブロックからジェネシス・ブロック(および関連する元のファイル)まで戻りブロックごとのトレースを実行することができ、監査可能かつ変更不可能な証拠保全を確立する。
他のブロック内のヘッダー7722~772Nの各々は、一般に、他の情報(例えば、バージョン番号、タイムスタンプ、ノンス、ルート情報、難易度、合意プロトコル、あるいは対応するファイルもしくはブロックチェーンまたはその両方に関連付けられたその他のパラメータまたは情報、あるいはその組み合わせ)を含んでもよい。
他のブロック内のファイル7742~774Nは、例えば実行される処理の種類に応じて、ジェネシス・ブロック内の元のファイルと同じであってよく、または元のファイルの変更されたバージョンであってよい。実行される処理の種類は、ブロックごとに変化してよい。処理は、例えば、情報を編集するか、またはその他の方法で情報の内容を変更するか、情報をファイルから取り除くか、または情報をファイルに追加するなどの、先行するブロック内のファイルの任意の変更を含んでよい。
追加的または代替的に、処理は、先行するブロックからファイルを単にコピーすること、ファイルのストレージ位置を変更すること、1つまたは複数の先行するブロックからのファイルを分析すること、ファイルをあるストレージまたはメモリ位置から別のストレージまたはメモリ位置に移動すること、あるいはブロックチェーンのファイルもしくは関連するメタデータまたはその両方に対して動作を実行することを含んでよい。ファイルを分析することを含んでいる処理は、例えば、さまざまな分析、統計値、またはファイルに関連付けられたその他の情報を追加すること、含めること、またはその他の方法で関連付けることを含んでよい。
他のブロック内の他のブロック7762~776Nの各々に含まれる値は、実行された処理の結果として、一意の値であり、すべて異なっている。例えば、いずれか1つのブロック内の値は、前のブロック内の値の更新されたバージョンに対応する。この更新は、値が割り当てられたブロックのハッシュに反映される。したがって、ブロックの値は、ブロック内で何の処理が実行されたかの指示を提供し、ブロックチェーンを元のファイルまで戻りトレースすることも可能にする。このトレースは、ブロックチェーン全体を通じて、ファイルの証拠保全を確認する。
例えば、ファイル内で示されている人の識別情報を保護するために、前のブロック内のファイルの一部が編集されるか、遮断されるか、または画素化される場合について考える。この場合、編集されたファイルを含んでいるブロックは、例えば、編集がどのように実行されたか、誰が編集を実行したか、編集が発生したタイムスタンプなどの、編集されたファイルに関連付けられたメタデータを含むであろう。このメタデータがハッシュされ、値を形成してよい。ブロックのメタデータが、前のブロック内の値を形成するためにハッシュされた情報と異なっているため、値は、互いに異なっており、復号されたときに回復されてよい。
1つの実施形態では、次のうちのいずれか1つまたは複数が発生した場合に、現在のブロックの値を形成するように、前のブロックの値が更新されてよい(例えば、新しいハッシュ値が計算されてよい)。新しいハッシュ値は、この実施形態例では、以下に示された情報のすべてまたは一部をハッシュすることによって計算されてよい。
a)ファイルがいずれかの方法で処理された場合(例えば、ファイルが編集されたか、コピーされたか、変更されたか、アクセスされたか、またはその他の動作が実行された場合)に、新しいSHA-2によって計算されたハッシュ値
b)ファイルの新しいストレージ位置
c)ファイルに関連付けられている識別された新しいメタデータ
d)あるブロックチェーンの参加者から別のブロックチェーンの参加者へのファイルのアクセスまたは制御の移動
図7Dは、1つの実施形態例に従って、ブロックチェーン790内のブロックの構造を表すことができるブロックの実施形態を示している。ブロック(ブロックi)は、ヘッダー772i、ファイル774i、および値776iを含んでいる。
ヘッダー772iは、本明細書において説明された、前のブロック(ブロックi-1)のハッシュ値、および例えば情報の種類のいずれかであってよい、追加の参照情報(例えば、参照、特性、パラメータなどを含んでいるヘッダー情報)を含む。すべてのブロックは、当然ながらジェネシス・ブロックを除いて、前のブロックのハッシュを参照する。前のブロックのハッシュ値は、単に前のブロック内のヘッダーのハッシュであるか、またはファイルおよびメタデータを含む、前のブロック内の情報のすべてもしくは一部のハッシュであってよい。
ファイル774iは、データ1、データ2、...、データNなどの複数のデータを順に含んでいる。データは、データに関連付けられた内容または特性あるいはその両方を記述するメタデータ1、メタデータ2、...、メタデータNでタグ付けされる。例えば、データごとのメタデータは、データのタイムスタンプ、データのプロセス、データに示された人またはその他の内容を示しているキーワード、またはファイルの有効性および内容を全体として確立し、特に、例えば以下で説明される実施形態に関連して説明されるように、デジタル証拠を使用するのに役立つことができるその他の特徴、あるいはその組み合わせを示すための情報を含んでよい。メタデータに加えて、各データは、改ざん、ファイル内のギャップ、およびファイル全体の連続的な参照を防ぐために、前のデータへの参照(参照1、参照2、...、参照N)でタグ付けされてよい。
メタデータが(例えば、スマート・コントラクトを介して)データに割り当てられた後に、ハッシュを変更せずにメタデータを変更することはできず、ハッシュの変更は、無効であると容易に識別され得る。したがって、メタデータは、ブロックチェーン内の参加者による使用のためにアクセスされてよい、情報のデータ・ログを作成する。
値776iは、前に説明された情報の種類のいずれかに基づいて計算されたハッシュ値またはその他の値である。例えば、いずれかの特定のブロック(ブロックi)の場合、そのブロックの値は、そのブロックに対して実行された処理(例えば、新しいハッシュ値、新しいストレージ位置、関連するファイルの新しいメタデータ、制御もしくはアクセスの移動、識別子、またはその他の動作もしくは追加される情報)を反映するように更新されてよい。各ブロック内の値が、ファイルおよびヘッダーのデータのメタデータから分離しているように示されているが、別の実施形態では、値は、このメタデータに部分的または全体的に基づいてよい。
ブロックチェーン770が形成された後に、いずれかの時点で、ブロック全体にわたる値のトランザクション履歴に関してブロックチェーンに問い合わせることによって、ファイルの変更不可能な証拠保全が取得されてよい。この問い合わせ手順または追跡手順は、最後に含まれたブロック(例えば、最後の(N番目の)ブロック)の値を復号することから開始してよく、その後、ジェネシス・ブロックに達し、元のファイルが回復されるまで、他のブロックの値を復号し続ける。復号は、さらに各ブロックでヘッダーおよびファイルならびに関連するメタデータを復号することを含んでもよい。
復号は、各ブロックで行われた暗号化の種類に基づいて実行される。この復号は、プライベート鍵、公開鍵、または公開鍵とプライベート鍵のペアの使用を含んでよい。例えば、非対称暗号化が使用される場合、ブロックチェーンの参加者またはネットワーク内のプロセッサが、既定のアルゴリズムを使用して公開鍵およびプライベート鍵のペアを生成してよい。公開鍵およびプライベート鍵は、何らかの数学的関係によって互いに関連付けられる。公開鍵は、他のユーザからメッセージを受信するためのアドレス(例えば、IPアドレスまたは自宅住所)として機能するように、パブリックに配布されてよい。プライベート鍵は、秘密に保たれ、他のブロックチェーンの参加者に送信されるメッセージにデジタル署名するために使用される。署名は、受信者が送信者の公開鍵を使用して検証することができるように、メッセージに含まれる。このようにして、受信者は、送信者のみがこのメッセージを送信できたということを確信することができる。
鍵のペアを生成することは、ブロックチェーンにアカウントを作成することに類似しているが、実際は、どこにも登録する必要はない。また、ブロックチェーンに対して実行されたすべてのトランザクションが、プライベート鍵を使用して送信者によってデジタル署名される。この署名は、アカウントの所有者のみが(スマート・コントラクトによって決定された許可の範囲内である場合に)ブロックチェーンのファイルを追跡して処理することができるということを保証する。
図8Aおよび8Bは、本明細書に組み込まれて使用されてよい、ブロックチェーンの追加の使用事例を示している。特に、図8Aは、機械学習(人工知能)データを格納するブロックチェーン810の例800を示している。機械学習は、新しいデータに対する正確な予測のための予測モデルを構築するために、大量の履歴データ(またはトレーニング・データ)に依存する。機械学習ソフトウェア(例えば、ニューラル・ネットワークなど)は、多くの場合、非直感的パターンを発見するために、数百万レコードを取捨選択することができる。
図8Aの例では、ホスト・プラットフォーム820が、アセット830の予測監視のための機械学習モデルを構築してデプロイする。ここで、ホスト・プラットフォーム820は、クラウド・プラットフォーム、工業用サーバ、Webサーバ、パーソナル・コンピュータ、ユーザ・デバイスなどであってよい。アセット830は、航空機、機関車、タービン、医療機器、石油ガス機器、ボート、船、車両などの、任意の種類のアセット(例えば、機械または機器など)であることができる。別の例として、アセット830は、株式、通貨、デジタル・コイン、保険などの、無形のアセットであってよい。
ブロックチェーン810は、機械学習モデルのトレーニング・プロセス802およびトレーニング済み機械学習モデルに基づく予測プロセス804の両方を大幅に改善するために使用され得る。例えば、802では、データを収集するためにデータ科学者/技術者またはその他のユーザを必要とするのではなく、アセット830自体によって(または、図示されていない中間物を介して)、ブロックチェーン810に関する履歴データが格納されてよい。これによって、予測モデルのトレーニングを実行するときにホスト・プラットフォーム820によって必要とされる収集時間を大幅に減らすことができる。例えば、スマート・コントラクトを使用して、データを、元の場所からブロックチェーン810に真っすぐに、直接かつ確実に転送することができる。スマート・コントラクトは、ブロックチェーン810を使用して、収集されたデータのセキュリティおよび所有権を保証することによって、アセットから、機械学習モデルを構築するためにデータを使用する個人に、データを直接送信することができる。これによって、アセット830間のデータの共有を可能にする。
収集されたデータは、合意メカニズムに基づいてブロックチェーン810に格納されてよい。合意メカニズムは、記録されているデータが検証されており、正確であることを保証するために、(許可されたノードを)制御する。記録されたデータは、タイムスタンプが付与され、暗号によって署名されており、変更不可能である。したがって、記録されたデータは、監査可能、透過的、かつ安全である。ブロックチェーンに直接書き込むIoTデバイスを追加することによって、特定の場合(すなわち、サプライ・チェーン、医療、物流などの場合)に、データが記録される頻度を増やし、その精度を向上させることができる。
さらに、収集されたデータに対する機械学習モデルのトレーニングは、ホスト・プラットフォーム820による一連の改良およびテストを必要とし得る。各改良およびテストは、機械学習モデルの知識を拡張するのに役立つように、追加データまたは以前に考慮されなかったデータに基づいてよい。802では、ホスト・プラットフォーム820によって、異なるトレーニング・ステップおよびテスト・ステップ(および関連するデータ)がブロックチェーン810に格納されてよい。機械学習モデルの各改良(例えば、変数、重みなどにおける変更)は、ブロックチェーン810に格納されてよい。これによって、モデルがどのようにトレーニングされたか、およびモデルをトレーニングするためにどのデータが使用されたかの検証可能な証明を提供する。さらに、ホスト・プラットフォーム820が最終的なトレーニング済みモデルを実現した場合、得られたモデルがブロックチェーン810に格納されてよい。
モデルがトレーニングされた後に、そのモデルは、活動中の環境にデプロイされてよく、最終的なトレーニング済み機械学習モデルの実行に基づく予測/決定を行うことができる。例えば、804で、機械学習モデルは、航空機、風力タービン、医療機械などのアセットのための状態監視保全(CBM:condition-based maintenance)に使用されてよい。この例では、アセット830からフィードバックされたデータが機械学習モデルに入力され、故障イベント、エラー・コードなどのイベント予測を行うために使用されてよい。ホスト・プラットフォーム820で機械学習モデルの実行によって行われた決定は、監査可能/検証可能な証明を提供するために、ブロックチェーン810に格納されてよい。1つの非限定的な例として、機械学習モデルは、アセット830の部品での将来の停止/故障を予測し、その部品を交換するように警告または通知を作成してよい。この決定の背後にあるデータが、ホスト・プラットフォーム820によってブロックチェーン810に格納されてよい。1つの実施形態では、本明細書において説明されたか、または示されたか、あるいはその両方である特徴または動作あるいはその両方が、ブロックチェーン810で、またはブロックチェーン810に関して発生することができる。
ブロックチェーンの新しいトランザクションが新しいブロックに一緒に集められ、既存のハッシュ値に追加されることができる。次に、このハッシュ値が暗号化されて、新しいブロックの新しいハッシュを生成する。この新しいハッシュが、トランザクションが暗号化されるときなどに、トランザクションの次のリストに追加される。この結果は、先行するすべてのブロックのハッシュ値をそれぞれ含んでいるブロックのチェーンである。これらのブロックを格納するコンピュータは、ブロックのハッシュ値を定期的に比較し、それらのコンピュータがすべて合意していることを確認する。合意していないすべてのコンピュータは、問題を引き起こしているレコードを破棄する。この方法は、ブロックチェーンの改ざん防止を保証することに適しているが、完璧ではない。
このシステムを不正に操作する1つの方法は、不正なユーザが、ハッシュを変更しないような方法で、トランザクションのリストを自分の都合の良いように変更することである。これは、総当たり攻撃によって実行されることができ、言い換えると、レコードを変更し、結果を暗号化し、ハッシュ値が同じであるかどうかを確認することによって、実行されることができる。ハッシュ値が同じでない場合、一致するハッシュを見つけるまで、何度も繰り返して試みる。ブロックチェーンのセキュリティは、通常のコンピュータが、宇宙の年齢などの、全く非実用的な時間的尺度にわたってしかこの種の総当たり攻撃を実行できないという考えに基づく。それに対して、量子コンピュータは非常に高速(数千倍高速)であり、したがって、非常に大きい脅威をもたらす。
図8Bは、量子コンピューティング攻撃に対して保護するために量子鍵配送(QKD:quantum key distribution)を実装する量子セキュアなブロックチェーン852の例850を示している。この例では、ブロックチェーン・ユーザは、QKDを使用して互いの識別情報を検証することができる。この検証では、光子などの量子的粒子を使用して情報を送信し、この情報は、破壊することなく盗聴者によってコピーされることが不可能である。このようにして、送信者および受信者が、ブロックチェーンを介して、互いの識別情報を確認することができる。
図8Bの例では、4人のユーザ(854、856、858、および860)が存在している。ユーザのペアの各々は、ユーザ自身の間でプライベート鍵862(すなわち、QKD)を共有することができる。この例には4つのノードが存在するため、ノードの6つのペアが存在し、したがって、QKDAB、QKDAC、QKDAD、QKDBC、QKDBD、およびQKDCDを含む6つの異なるプライベート鍵862が使用される。各ペアは、光子などの量子的粒子を使用して情報を送信することによってQKDを作成することができ、この情報は、破壊することなく盗聴者によってコピーされることが不可能である。このようにして、ユーザのペアが互いの識別情報を確認することができる。
ブロックチェーン852の動作は、(i)トランザクションの作成、および(ii)新しいトランザクションを集めるブロックの構築という2つの手順に基づく。新しいトランザクションは、従来のブロックチェーン・ネットワークと同様に作成されてよい。各トランザクションは、送信者、受信者、作成時間、転送される量(または値)、送信者が操作のための資金を持っていることを正当化する参照トランザクションのリストに関する情報などを含んでよい。次に、このトランザクション・レコードは、すべての他のノードに送信され、未確認トランザクションのプールに入力される。ここで、2人の関係者(すなわち、854~860のうちのユーザのペア)が、共有プライベート鍵862(QKD)を提供することによって、トランザクションを認証する。この量子署名は、すべてのトランザクションに添付され、改ざんを極めて困難にすることができる。各ノードは、ブロックチェーン852のローカル・コピーに関してトランザクションのエントリをチェックし、各トランザクションが十分な資金を持っていることを検証する。しかし、トランザクションはまだ確認されていない。
ブロックに対して従来のマイニング・プロセスを実行するのではなく、ブロードキャスト・プロトコルを使用して、分散された方法でブロックが作成されてよい。既定の期間(例えば、数秒、数分、数時間など)に、ネットワークがブロードキャスト・プロトコルをいずれかの未確認トランザクションに適用してよく、それによって、トランザクションの正しいバージョンに関してビザンチン合意(合意)を達成する。例えば、各ノードは、プライベートな値(その特定のノードのトランザクション・データ)を所有してよい。1回目に、ノードは、プライベートな値を互いに送信する。その後、ノードは、前回他のノードから受信した情報を伝達する。ここで、本物のノードが、新しいブロック内のトランザクションの完全なセットを作成することができる。この新しいブロックは、ブロックチェーン852に追加されることができる。1つの実施形態では、本明細書において説明されたか、または示されたか、あるいはその両方である特徴または動作あるいはその両方が、ブロックチェーン852で、またはブロックチェーン852に関して発生することができる。
図9は、本明細書において説明されたか、または示されたか、あるいはその両方である実施形態例のうちの1つまたは複数をサポートする例示的なシステム900を示している。システム900は、他の多数の汎用または特殊用途のコンピューティング・システム環境または構成で運用できるコンピュータ・システム/サーバ902を備えている。コンピュータ・システム/サーバ902と共に使用するのに適し得る周知のコンピューティング・システム、環境、または構成、あるいはその組み合わせの例としては、パーソナル・コンピュータ・システム、サーバ・コンピュータ・システム、シン・クライアント、シック・クライアント、ハンドヘルドまたはラップトップ・デバイス、マルチプロセッサ・システム、マイクロプロセッサベース・システム、セット・トップ・ボックス、プログラマブル・コンシューマ・エレクトロニクス、ネットワークPC、ミニコンピュータ・システム、メインフレーム・コンピュータ・システム、およびこれらの任意のシステムまたはデバイスを含む分散クラウド・コンピューティング環境などが挙げられるが、これらに限定されない。
コンピュータ・システム/サーバ902は、コンピュータ・システムによって実行されているプログラム・モジュールなどの、コンピュータ・システムによって実行可能な命令との一般的な関連において説明されてよい。通常、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、論理、データ構造などを含んでよい。コンピュータ・システム/サーバ902は、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される、分散クラウド・コンピューティング環境で実行されてよい。分散クラウド・コンピューティング環境において、プログラム・モジュールは、メモリ・ストレージ・デバイスを含む、ローカルおよびリモートの両方のコンピュータ・システム・ストレージ媒体に配置されてよい。
図9に示すように、クラウド・コンピューティング・ノード900内のコンピュータ・システム/サーバ902は、汎用コンピューティング・デバイスの形態で示されている。コンピュータ・システム/サーバ902のコンポーネントは、1つまたは複数のプロセッサまたはプロセッシング・ユニット904、システム・メモリ906、およびシステム・メモリ906を含むさまざまなシステム・コンポーネントをプロセッサ904に結合するバスを含んでよいが、これらに限定されない。
バスは、メモリ・バスまたはメモリ・コントローラ、ペリフェラル・バス、アクセラレーテッド・グラフィックス・ポート、および任意のさまざまなバス・アーキテクチャを使用するプロセッサまたはローカル・バスを含む、任意の複数の種類のバス構造のうちの1つまたは複数を表す。例として、そのようなアーキテクチャは、ISA(Industry Standard Architecture)バス、MCA(Micro Channel Architecture)バス、EISA(Enhanced ISA)バス、VESA(Video Electronics Standards Association)ローカル・バス、およびPCI(Peripheral Component Interconnects)バスを含むが、これらに限定されない。
コンピュータ・システム/サーバ902は、通常、さまざまなコンピュータ・システム可読媒体を含む。そのような媒体は、コンピュータ・システム/サーバ902によってアクセスできる任意の使用可能な媒体であってよく、揮発性および不揮発性媒体、取り外し可能および取り外し不可の媒体を含む。システム・メモリ906は、1つの実施形態では、他の図のフロー図を実装する。システム・メモリ906は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)910またはキャッシュ・メモリ912あるいはその両方などの、揮発性メモリの形態でのコンピュータ・システム可読媒体を含むことができる。コンピュータ・システム/サーバ902は、その他の取り外し可能/取り外し不可、揮発性/不揮発性のコンピュータ・システム・ストレージ媒体をさらに含んでよい。単に例として、取り外し不可、不揮発性の磁気媒体(図示されておらず、通常は「ハード・ドライブ」と呼ばれる)に対する読み取りと書き込みを行うために、ストレージ・システム914を提供することができる。図示されていないが、取り外し可能、不揮発性の磁気ディスク(例えば、「フロッピー(R)・ディスク」)に対する読み取りと書き込みを行うための磁気ディスク・ドライブ、およびCD-ROM、DVD-ROM、またはその他の光媒体などの取り外し可能、不揮発性の光ディスクに対する読み取りと書き込みを行うための光ディスク・ドライブを提供することができる。そのような例では、それぞれを、1つまたは複数のデータ媒体インターフェイスによってバスに接続することができる。下で詳細に示され、説明されるように、メモリ906は、本出願のさまざまな実施形態の機能を実行するように構成された一連の(例えば、少なくとも1つの)プログラム・モジュールを備える少なくとも1つのプログラム製品を含んでよい。
例えば、一連の(少なくとも1つの)プログラム・モジュール918を含んでいるプログラム/ユーティリティ916がメモリ906に格納されてよいが、これに限定されず、オペレーティング・システム、1つまたは複数のアプリケーション・プログラム、その他のプログラム・モジュール、およびプログラム・データも格納されてよい。オペレーティング・システム、1つまたは複数のアプリケーション・プログラム、その他のプログラム・モジュール、およびプログラム・データまたはこれらの組み合わせの各々は、ネットワーク環境の実装を含んでよい。プログラム・モジュール918は、通常、本明細書に記載された本出願のさまざまな実施形態の機能または方法あるいはその両方を実行する。
当業者によって理解されるように、本出願の態様は、システム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品として具現化されてよい。したがって、本出願の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアの態様とハードウェアの態様を組み合わせる実施形態の形態を取ってよく、これらはすべて、本明細書では、一般に「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれてよい。さらに、本出願の形態は、コンピュータ可読プログラム・コードが具現化されている1つまたは複数のコンピュータ可読媒体において具現化されたコンピュータ・プログラム製品の形態を取ってよい。
また、コンピュータ・システム/サーバ902は、キーボード、ポインティング・デバイス、ディスプレイ922などの1つまたは複数の外部デバイス920、ユーザがコンピュータ・システム/サーバ902と情報をやりとりできるようにする1つまたは複数のデバイス、またはコンピュータ・システム/サーバ902が1つまたは複数の他のコンピューティング・デバイスと通信できるようにする任意のデバイス(例えば、ネットワーク・カード、モデムなど)、あるいはその組み合わせと通信することもできる。このような通信は、I/Oインターフェイス924を介して行うことができる。さらに、コンピュータ・システム/サーバ902は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local area network)、一般的な広域ネットワーク(WAN:wide area network)、またはパブリック・ネットワーク(例えば、インターネット)、あるいはその組み合わせなどの1つまたは複数のネットワークと、ネットワーク・アダプタ926を介して通信することができる。図示されているように、ネットワーク・アダプタ926は、バスを介してコンピュータ・システム/サーバ902の他のコンポーネントと通信する。図示されていないが、その他のハードウェア・コンポーネントまたはソフトウェア・コンポーネントあるいはその両方を、コンピュータ・システム/サーバ902と併用できるということが理解されるべきである。その例として、マイクロコード、デバイス・ドライバ、冗長プロセッシング・ユニット、外部ディスク・ドライブ・アレイ、RAIDシステム、テープ・ドライブ、およびデータ・アーカイブ・ストレージ・システムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
システム、方法、および非一過性コンピュータ可読媒体のうちの少なくとも1つの実施形態例が添付の図面において示され、前述の詳細な説明において説明されたが、本出願が、開示された実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲によって示され、定義されているように、多数の再配置、変更、および置き換えを行うことができるということが理解されるであろう。例えば、さまざまな図のシステムの機能は、本明細書に記載されたモジュールまたはコンポーネントのうちの1つまたは複数によって、あるいは分散アーキテクチャにおいて実行することができ、送信器、受信器、またはその両方のペアを含んでよい。例えば、個々のモジュールによって実行される機能の全部または一部は、それらのモジュールのうちの1つまたは複数によって実行されてよい。さらに、本明細書に記載された機能は、さまざまな時間に、さまざまなイベントに関して、モジュールまたはコンポーネントの内部または外部で、実行されてよい。また、さまざまなモジュールの間で送信される情報は、データ・ネットワーク、インターネット、音声ネットワーク、インターネット・プロトコル・ネットワーク、無線デバイス、有線デバイスのうちの少なくとも1つを介して、または複数のプロトコルを介して、あるいはその組み合わせを介して、モジュール間で送信され得る。また、モジュールのいずれかによって送信または受信されるメッセージは、直接的に、または他のモジュールのうちの1つまたは複数を介して、あるいはその両方によって、送信または受信されてよい。
当業者は、「システム」を、パーソナル・コンピュータ、サーバ、コンソール、PDA(personal digital assistant)、携帯電話、タブレット・コンピューティング・デバイス、スマートフォン、または任意のその他の適切なコンピューティング・デバイス、あるいはデバイスの組み合わせとして具現化できるということを、理解するであろう。「システム」によって実行されている前述の機能を提示することは、本出願の範囲を限定するように全く意図されておらず、多くの実施形態のうちの1つの例を提供するよう意図されている。実際に、本明細書で開示された方法、システム、および装置は、計算技術に一致する局所的な分散された形態で実装されてよい。
本明細書において説明されたシステムの特徴の一部が、それらの実装の独立性を特により強調するために、モジュールとして提示されていることに、注意するべきである。例えば、モジュールは、カスタム超大規模集積(VLSI:very large-scale integration)回路またはゲート・アレイ、論理チップなどの市販の半導体、トランジスタ、またはその他の個別のコンポーネントを備えているハードウェア回路として実装されてよい。モジュールは、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、プログラマブル・アレイ論理、プログラマブル論理デバイス、グラフィックス・プロセッシング・ユニットなどの、プログラム可能なハードウェア・デバイスにおいて実装されてもよい。
モジュールは、さまざまな種類のプロセッサによって実行するために、ソフトウェアにおいて少なくとも部分的に実装されてもよい。例えば、実行可能コードの識別されたユニットは、例えばオブジェクト、プロシージャ、または関数として編成されてよいコンピュータ命令の1つまたは複数の物理的または論理的ブロックを備えてよい。それにもかかわらず、識別されたモジュールの実行可能によって、物理的に一緒に配置される必要はなく、異なる位置に格納された異種の命令を含んでよく、それらの命令は、論理的に一緒に結合された場合にモジュールを備え、モジュールの規定された目的を達成する。さらに、モジュールはコンピュータ可読媒体に格納されてよく、このコンピュータ可読媒体は、例えば、ハード・ディスク・ドライブ、フラッシュ・デバイス、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、テープ、またはデータの格納に使用される任意のその他の媒体であってよい。
実際に、実行可能コードのモジュールは、単一の命令であるか、または多くの命令であることができ、複数の異なるコード・セグメントにわたって、異なるプログラム間および複数のメモリ・デバイスにまたがって、分散されてもよい。同様に、操作可能なデータが、識別され、本明細書ではモジュール内で示されてよく、任意の適切な形態で具現化され、任意の適切な種類のデータ構造内で編成されてよい。操作可能なデータは、単一のデータ・セットとして収集されてよく、または異なるストレージ・デバイスを含む、異なる位置にわたって分散されてよく、システムまたはネットワーク上の単なる電子信号として、少なくとも部分的に存在してよい。
本明細書の図において概略的に説明され、示されているように、本出願のコンポーネントが、多種多様な異なる構成で配置および設計されてよいということが、容易に理解されるであろう。したがって、実施形態の詳細な説明は、請求される本出願の範囲を限定するよう意図されておらず、単に、本出願の選択された実施形態を表している。
当業者は、開示された順序とは異なる順序でステップを使用して、または開示された構成におけるハードウェア要素とは異なるハードウェア要素を使用して、あるいはその両方を使用して、前述の内容を実践できるということを、容易に理解するであろう。したがって、本出願は、これらの好ましい実施形態に基づいて説明されたが、特定の変更、変形、および代替の構造が明白であるということは、当業者にとって明らかであろう。
本出願の好ましい実施形態が説明されたが、説明された実施形態が単なる例であり、それらの実施形態と同等のものおよびそれらの実施形態に対する変更の完全な範囲(例えば、プロトコル、ハードウェア・デバイス、ソフトウェア・プラットフォームなど)で考えた場合、本出願の範囲が添付の特許請求の範囲のみによって定義されるべきであるということが、理解されるべきである。