JP2023517548A - おくるみ式衣服 - Google Patents

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Abstract

本発明は、乳児用のおくるみ式の衣服10に関する。衣服は、乳児の上半身を受ける上半身部分102を備える。上半身は、使用時に乳児の背部を覆う背部と、使用時に乳児の胸部を覆う前胸部104と、右肘部102aと、左肘部102bとを有する。衣服10は、可撓性素材から形成される。また、衣服10は、肘領域から前胸部104に延びる各肘領域に開口部124a、124bと、各開口部に連通した前腕袖126a、126bとを有する。開口部及び前腕袖は、乳児が開口部を通って袖内に所定の前腕位置まで前腕を伸ばすことができるように構成されている。乳児は、可撓性素材の抵抗に抗して前腕を所定の前腕位置から離れるように動かし、前腕を所定の位置に向けて付勢できる。

Description

本開示は、包括的には、乳児用衣服、すなわち、おくるみ式衣服(swaddling garment)に関する。
定義
本明細書及び特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という用語は、「含む(including)」という用語と同様の広い意味を有すると理解されるものとし、記述された構成物(integer)又は工程(step)、若しくは構成物又は工程のグループを含むことを意味するが、他の構成物又は工程、若しくは他の構成物又は工程のグループを除外しないことを意味するものと理解される。この定義は、例えば、「comprise」や、「comprises」のような「comprising」の文法的変形にも同様に適用される。
本明細書における先行技術への言及は、いかなる形式であれ、言及された先行技術がオーストラリア又はその他の国における共通の一般的知識の一部を形成すると認識又は示唆するものではなく、そう解釈されるものではない。
おくるみ(スワドリング;swaddling)は、乳児の動きを制限するために、毛布やシーツで乳児をぴったりと包んでいた古くからの習慣に由来する。おくるみは、乳児を落ち着かせ、泣く時間を減らし、睡眠を改善するのに役立つことが知られている。おくるみにくるまれた乳児は、仰向け(仰臥位)に寝かされる。
乳児を腹ばいにして寝かせることが一般化したことにより、おくるみを用いる習慣は、実質的には廃れていた。腹ばいが普及した理由は、乳児が睡眠中に誤嚥したり嘔吐したりした場合の窒息のリスクが減少するからである。また、乳児は、腹ばいに寝かされた方がより熟睡できることが観察されたためである。
しかしながら、1990年初頭、小児科医たちによって、腹ばいで寝かされた乳児と乳乳児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome:SIDS)との関連性が発見された。そこで、乳児を仰向けに寝かせるように親を指導する、いわゆる「バック・トゥ・スリープ」キャンペーンが始まった。
しかしながら、仰向けで寝かされた乳児は目が覚めやすいことが親たちに知られるようになった。モロー反射、すなわち驚愕反射は、乳児が妊娠28~32週の間に胎内で発達する不随意運動反応であり、通常、乳児の生後3~6ヶ月頃に消失する。この反射は、突然の動きや、大きな音、聞き慣れない音、強い光、落下の感覚(例えば、保育者が乳児を寝かせたり、抱き上げたりする場合)が引き金となって生じる。モロー反射には、乳児が突然腕を伸ばして広げる運動(abduction)と、それの後の自分の体の前に腕を引き戻す運動(adduction)と、通常、これに続く啼泣とが含まれる。
この乳児の睡眠パターンの問題に対処するために、古くからある技術である、おくるみが再び注目を浴びることとなった。おくるみなしで眠らされた多くの乳児が、自分自身のモロー反射によって睡眠が妨げられ、夜間に頻繁に目を覚ましたことが乳児の親や保育者によって看取された。
しかしながら、正しくくるむのには、ある程度の技術と学習が必要である。正しいくるみ方を学ぶには、多くの練習と忍耐が必要であり、母親になったばかりの女性にとっては、必ずしも望ましいものではない。
不適切にくるむことは、効果がないのみでなく、危険でもある。不適切にくるむことには、多くの危険があることが知られている(Red Nose, 2017; van Sleuwen et al., 2007)。乳児の脚をきつくくるむことは、股関節形成不全又は脱臼の発生率の増加につながる。また、乳児の胸部をきつくくるむと、肺炎のリスクが高まることになる。
一方、巻き方が緩すぎると、乳児がおくるみから容易に抜け出てしまう。緩んだブランケットは、乳児突然死(Sudden Unexpected Deaths in Infancy:SUDI)を引き起こす狭窄と窒息の危険因子である。赤ちゃんを強く包んだり、頭を覆うようにくるんだりすると、異常発熱(overheating)を引き起す。異常発熱は、SUDI/SUDIの危険因子である。
正しくおくるみにくるまれたとしても、全てのリスクがなくなるわけではない。おくるみにくるまれた乳児を腹臥位で寝かせた場合、SUDIのリスクが有意に高まる。これは、くるまれ、腹臥位にされた乳児には、寝具から顔を離したり安全な位置に移動したりするのに十分な可動域がないためである。このリスクは、乳児の年齢とともに更に高まるが、これは、乳児の成長に伴い、腹臥位に寝返りができる可能性が高くなることに関連している可能性がある(Red Nose, 2017; van Sleuwen et al., 2007)。一般的なガイドラインとしては、乳児が寝返りをできるようになった時点でおくるみの使用をやめることが挙げられる。それでも、おくるみの習慣からの移行が、後述するような一連の問題を引き起こしている。
「バック・トゥ・スリープ」キャンペーン以降、おくるみの使用の増加に伴い、発育遅延、偏平頭症候群(斜頭症)、頸部捻挫(斜頸)を伴う乳児の発生率も顕著に増加していることが確認されている。本発明者による調査では、1990年代初期の「バック・トゥ・スリープ」健康教育キャンペーン後に生まれ、仰臥位で寝かされている乳児の殆どが、睡眠時におくるみにくるまれていた。
研究によると、仰臥位で睡眠をとった乳児は、腹臥位又は非仰臥位で睡眠をとった乳児よりも、例えば、頭部制御や、寝返り、正中線で手を合わせる行為、お座り、ハイハイ、立ち上がり等の発達の目安となる段階に達するのが大幅に遅い(Pin et al., 2007)。生後15カ月では、仰臥位で寝ている乳児は、腹臥位で寝ている乳児よりも、独力で、階段を上ったり、歩いたりしない傾向にあるという研究もある(Majnemer & Barr, 2006)。
本発明者は、仰臥位睡眠そのものよりも、おくるみによる動きの制限が、これらの発達遅延に寄与している可能性を提唱する。
本発明者は、乳児の運動発達に関する(おくるみの技術とは無関係な)神経学的研究に基づき、乳児の自発的な動きを制限するケアの実践によって、発達の目安となる段階への到達が遅れるとの知見を得た。例えば、非常に寒冷な気候で着用するような拘束性がある衣服は、乳児の四肢を重くし、運動の節目の開始を遅らせることがある(Adolph et al., 2010)。重い拘束性の衣服を着せた場合又はベッドカバーが重い冬季用毛布を含む場合、乳児の寝返り及びハイハイが遅れるという日本の研究もある(Hayashi, 1992)。
厚着は、早産児の自己接触行動を損なう可能性がある。厚着の早産児は、すでに自己接触以外の形態の接触が不足している。したがって、運動活動を自由に発現する能力は、これらの行動及び生理学的発達にとって重要であると考えられる(Virginie et al., 2015)。
おくるみにくるまれた乳児は、おくるみからの移行も困難である。通常、殆どの乳児は、生後4~6カ月までに、仰臥位から腹臥位に寝返ることができるようになり、これによりSUDIのリスクが劇的に高まる。この時点で、乳児のおくるみの使用を急いでやめる必要がある。
親が乳児のおくるみを卒業させる通常の方法は、まず、一方の腕をおくるみでくるんだままにし、他方の腕をくるまないようにする。その数日から数週間後に、胸部のみをおくるみでくるみ、両腕をおくるみから解放し、自由に動かせるようにすることである。
この方法は、伝統的なブランケットを用いたおくるみや、乳児の腕をおくるみから出すことが可能な特徴を有する種々のおくるみを用いて行うことができる。使用する製品に関係なく、親は、以下のような一般的諸問題に遭遇する可能性が高い。
a)乳児は、目覚めてしまうのに十分な軽度の驚愕反射を未だに示す可能性がある。
b)手が突然自由になることが、乳児を不安にさせる可能性がある。乳児は、手の動きが大半の時間制限されて、運動能力を発達させる十分な機会と経験が持てなかったために、震える手で自らを突いたり引っ掻いたりして、多くの場合、自身を不安定にし、その眠りが妨げられることになる。
c)同様に、乳児は、自己接触の機会や経験、並びに、自己安定(self-settling)や自己鎮静能力(self-soothing abilities)を発展させる機会や経験が十分ではないと、睡眠周期の間に目覚めるたびに、落ち着いて再入眠できるよう、親に頼るようになる。
生後6カ月の乳児の約5人に1人は、中等度から重度の睡眠障害を有する。乳児の睡眠障害は、親の不安や抑欝等のより不良な全身的健康及び精神的健康障害と関連する(Martin et al., 2007)。
疲れ果てた親が専門の睡眠コンサルタントに助けを求めたり、乳児を高価な睡眠学校に入学させたりすることも一般的になっている。専門家や睡眠学校が使用する睡眠トレーニング方法は、穏やかなアプローチから泣かせっぱなし法(cry it out type methods)まで、様々である。そして、高価な睡眠トレーニングにもかかわらず、乳児が自己安定又は自己鎮静により安らいで眠ることができないこともある。
他の研究でも、仰臥位で眠らされる乳児は、フラットヘッド症候群(斜頭症)を発症する可能性が高いことがわかっている。斜頭症とは、乳児の後頭部や側頭部に平らな部分ができる症状である。乳児の頭蓋骨は、薄くて柔軟で、変形しやすい。乳児が長時間同じ姿勢で横になると、頭の1カ所が扁平化することがある。乳児の50%に何らかの形の斜頭症がみられると推定されている(Branch et al., 2015)。より重症例では、乳児にヘルメット療法を施す必要があり、これは、費用がかかり、乳児にストレスを与える。更に稀なケースとして、手術が必要になることもある。
斜頭症は、殆どの場合、外観的問題とみなされているが、これが発達遅滞のリスク上昇を示す印になりうるという研究も複数ある。斜頭症は、より年長の子どもにおいて、認知、言語、及び適応行動の発達遅延の他、姿勢の変化及びバランス不良を引き起こす可能性がある。
上述のように、仰臥位は、乳児における斜頭症の増加の危険因子として示唆されてきた。これに加えて、最近の研究では、殆どの斜頭症乳児は、特に正中線と左右への反重力頭部制御が比較的不得意であり、顎引き頭位(chin tuck)(頭部屈曲:capital flexion)及び仰臥位での伸展姿勢も不得意であることが示されている(Williams, 2019)。この発達の遅れには、仰臥位での睡眠そのものよりも、おくるみによる乳児の動きの制限が寄与している可能性がある。斜頭症の発生率の上昇は、仰臥位ではなく、自発的で妨げのない身体運動の欠如に関連している可能性があると結論付けている研究もある(Cavalier et al., 2011)。同様に、自発的な身体運動と対称運動の発達を促進する非制限的な環境が斜頭症の発生率を低下させることを示す他の研究もある(Aarnivala et al., 2015)。
斜頸とは、乳児が頸部の片側の筋肉をきつく締め付けている状態であり、頭部の片側への傾斜又は回転、頭頸部の可動域の制限、顔面の非対称性、筋骨格系の問題、頸部の小さなしこり、及び最も一般的には、頭が傾いている側に現れる斜頭症を特徴とする。この疾患(先天性斜頸)は、通常は、胎児の子宮内での体位に起因する。一部の乳児は、出生後にこの状態を発症することがあり(後天性斜頸)、これは、通常、何らかの外傷、感染、又は頭を片側のみ傾けて仰臥位で眠ることが原因である。通常、健康な乳児でも、斜頭症は発症しやすい。
多くのおくるみ式の装置は、乳児を毛布やシーツでくるむよりも使いやすいという観点のみから設計されている。
これらのおくるみ式の装置の殆どは、乳児の前身を包むように折りたたむことができる両側の2方向から延びる細長い布又は羽根等を両側に有し、これによって、乳児の腕を乳児の身体の近くに拘束して保持し、この2つの細長い布又は羽根の折り畳まれた側は、通常、面ファスナによって所定の位置に固定される。
また、これらのおくるみ式の装置は、不適切なくるみ方によるリスク、例えば、きつくくるむことによる股関節形成不全及び肺炎のリスク、乳児を包む複数の層の布による異常発熱のリスク、並びに腹臥位による及び乳児が寝具から顔を離したり安全な位置に移動したりするのに十分な可動域を持たないことによる窒息のリスク等が生じやすく、SUDIのリスクを大幅に高める。
また、シェル/繭のように設計された多くのおくるみ式の装置もあり、これらは、通常、ジップアップ開口部を備え、旧来のおくるみにおける幾つかの問題を解決するように設計されている。これらの特徴は、当業者にとって重要であると考えられている特徴、特に、乳児用衣服(産着)及びおくるみの技術、並びにこれらにおける一般的知識を表している。
市販のおくるみ式の衣服についての簡易な評価から、これらの特徴の重要性及び/又は対処すべき問題を考察することができる。これには、洗えること、おむつ交換のために開けやすいこと、素材の通気性、乳児の腕の動きを制限できること等が含まれる。
本発明者は、代替となるおくるみ式衣服及び方法を得ることができる態様及び利点を特定した。
過去には、乳児の運動行動は、純粋に反射的な行動であり、運動の発達自体は、中枢神経系においてあらかじめ決められたパターンが徐々に展開することによって、より低位の反射に対する皮質の制御が増加した結果であると考えられていた。換言すれば、立ったり歩いたりといった基本的な運動能力は、経験によって学習されるのではなく、脳の成熟の結果であると考えられていた。
過去40年の間に、神経学的及び心理学的研究者らは、運動行動は、主に反射の観点から組織化されるのではなく、運動発達は、主に経験に影響されることを見出した(Hadders-Algra, 2018)。
実際、新生児期のような早期であっても、乳児は、運動及び認知能力を改善するようにトレーニングできることが、様々な研究で示されている。正式なトレーニングを受けた乳児は、生後1カ月の時点で頭部制御が上手になり、母親がこれらの技能を練習させていない乳児と比較して、より早い年齢で座ったり歩いたりできるという研究もある(Hopkins, 1976)。
初期の運動トレーニングが新たな学習機会の一連の発達のきっかけとなり、乳児の物体探索スキルを向上させ、複数の領域で乳児の将来のスキルをサポートする強力な基盤を提供できることを示唆する論文もある(Wiesen et al. 2016)。標的運動トレーニングを乳児に受けさせることによって、実行機能(executive function:EF)発達を促すことができると結論付ける別の研究もある(Meng et al., 2017)。EFとは、他の認知能力や行動を制御及び調整するために用いられる高次の認知能力を指す。
胎児期であっても、胎児は、探索的で、目標指向性を有する腕と手の動きを示し、胎児の大脳皮質は、既に運動行動の調節に関与している(Hadders-Algra, 2018)。
しかしながら、出生後早期の段階で、環境変化に起因して、この探索行動と目標指向行動は相対的に中断する。新生児は、水中媒質から空中媒質へ、ほぼ真っ暗な環境から明るい環境へと移動する。新生児は、その動きに統合される多くの新しい制限を有する(Fagard et al., 2018)。
新生児期に乳児が示すこのような運動制御の欠如のために、現在でも、おくるみ式の技術の分野において、かつ、子供の健康とケアの専門家の間で、乳児の運動行動は、乳児の未熟な脳が制御を殆ど又は全く行うことができない純粋に反射的な行動であると考えられている。このような考え方が主流であることは、特に、乳児のモロー反射への現在の対応から明らかである。モロー反射は、乳児一人を仰向でベッドに寝かせるという現代の安全睡眠勧告と相まって、乳児と親の両方の睡眠を妨害する可能性がある。結果として、ばたつきを防ぎ、モロー反射が抑制されるように乳児の腕をしっかりとくるむことや、乳児の落ち着かせや慰撫を親が責任をもって行うというのが一般的な対応であるとされている。
おくるみが乳児の発達に与える影響についての研究が行われていないため、生後1日目から探索及び学習を行う乳児自身の能力について、並びに人生の初期段階で乳児をくるみ、落ち着かせ、又は慰撫する手法について、違った考え方をする動機付けは殆どない。しかしながら、子どもの発達の分野では、乳児が個人的な経験が運動や認知の発達に積極的な役割を果たしていることがわかってきた。
本発明者は、乳児の健康な発達が、自発的且つ自由な移動と関連しており、これは、動きを制限するおくるみの目的とは矛盾することを見出した。
先行技術とは異なり、本発明者は、乳児の正中線を巡る自発的な自己接触運動が、より意図的な目標指向運動の更なる発達及び調整の基礎を形成し、より良好な発達を促進する可能性があるとの知見を得た。
したがって、本発明者は、現在行われているおくるみの手法に、認識されていない又は正しく評価されていない他の幾つかの欠点があることを認識し、理解した。本発明者は、幾つかの態様によってこのような問題に対処できる新規なおくるみ式の衣服及び方法を提案する。
本開示の第1の態様に係る乳児用のおくるみ式の衣服は、
乳児の上胴を受ける上胴部を備え、
前記上胴部は、
使用時に乳児の背中を覆う背部と、
使用時に乳児の胸上部を覆う前胸部と、
使用時に乳児の右肘の位置に対応する右肘領域と、
使用時に乳児の左肘の位置に対応する左肘領域と、
を有し、
前記衣服は、可撓性素材から形成され、
肘領域のそれぞれから前胸部に延びる肘領域のそれぞれの開口部と、
各開口部に連通する前腕袖と、
を備え、
開口部及び前腕袖は、乳児が、開口部を通って前腕袖内に前腕を所定の前腕位置まで伸ばすことができ、乳児が、可撓性素材の抵抗に抗して前腕を所定の前腕位置から離れるように動かすことにより、前腕が所定の位置に向けて付勢されるように相対的に構成されている。
所定の位置は、好ましくは、前腕が正中線に向けられる位置及び/又は前腕を正中線に向けて及び正中線を巡って移動可能な位置である。
衣服は、衣類に適したいかなる素材から形成してもよい。素材は、素材の弾性が更なる付勢及び/又は支持を提供し得るような弾性素材であることが好ましい。弾性素材は、任意の適切な弾性素材であってよく、好ましくは、エラスタンと、綿等の天然繊維との混合素材である。天然繊維は、通気性があるとしてよく、耐熱性を有するものとしてもよい。乳児及び幼児のための衣服に適切な織物は、当業者において既知のものでよい。
衣服の開口部は、肘領域にあるので、前腕がそこを通って伸びるのを可能にするのみであり、乳児の上腕と肘は、乳児が肘を曲げた状態で、胴の側面に折り込まれる。これにより、モロー反射や驚愕反射のように、乳児が突然腕を伸ばしたり広げたりする行動が抑制される。
所定の前腕位置は、開口部と前腕袖との相対的な構成によって決定される。したがって、前腕袖は、前腕位置決め部に相当すると解釈できる。本明細書において、これらの2つの用語は、互いに置換可能である。
開口部は、肘領域から前胸部まで延びる。開口部が肘から前部に延びる角度は、前腕が所定の位置に位置する角度及び箇所に対応する。
例示的な位置は、胎勢において、肘領域から正中線に向かって延び、胎勢で前腕を口の方に向ける下胸領域で終わる位置、肘領域から胸の中央領域に向かって延び、胸の中央領域に向かってここで終わる位置、肘領域から下腹部に向かって延び、下腹部で終わる位置、肘領域から腰側部領域に向かって延び、腰側部領域で終わる位置、肘領域から耳に向かって延びる位置等を含む。
これにより、乳児の発育要件等に応じて所定の位置を変更及び/又は調整できる。これについては、詳細な説明で更に説明する。
所定の位置は、前腕袖又は前腕位置決め部の構成によって更に調整できる。
特に好ましい態様では、所定の位置は、前腕及び手が胎勢での手の位置、すなわち、乳児の前腕が肘と口との間に延びる線に沿って延び、胎勢に配置され、支持される位置である。
従来のおくりみとは異なり、この構成では、前腕と手がきつく拘束されたり制約されたりしていないため、乳児の体の様々な部分が「正中線に向けて及び正中線を巡って」動くことが助長及び許容されている。
この好ましいおくるみ式の衣服の構成により、乳児は、正中線に沿って、前腕及び手を頭部から腹部まで垂直に動かすことができ、正中線で前腕及び手を内側に合わせることができ、その一方で、前腕袖の構成及び素材の弾性によって乳児の前腕及び手の横方向の動きを抑制することができる。
好ましい態様では、前腕袖の構成によって課される拘束の程度は、衣服素材の弾性が、正中線を巡る動きよりも横方向において大きい。以下で更に説明するように、これは、子宮内で腕を横方向に伸ばすことが子宮によって制限される位置をシミュレートしている。
乳児の前腕と手のこの「胎児手位位置決め(fetal-hand positioning)」は、自発的及び探索的な感覚運動活動、自己接触、及び正中線行動のための最適な機会を乳児に提供し、これによって多くの効果及び利益を提供する。
胎勢手位置決めの更なる利点は、以下の詳細な説明に記す。
特に好ましい態様では、各袖部材は、第1の長さを有する外側と、第2の長さを有する内側とを有し、第1の長さは、第2の長さより長く、前腕が所定の位置にあるとき、前腕が胸部に対して鋭角になり、前腕及び手が乳児の正中線を向くように位置する。
外側の第1の長さと比較して内側の第2の長さが短いほど、前腕-手位置決め部が正中線に向かって更に小さい角度で延在し、これによって前腕-手位置決め部を、おくるみ式衣服を着用した乳児の胸部に更に近く引き込み、前腕-手位置決め部の先端が、おくるみ式衣服を着用した乳児の口の方向の正中線に更に直接的に向くようになる。
逆に、外側の第1の長さと比較して内側の第2の長さが長いほど、内側の第1の長さ領域が手位置決め部を上向き且つ胸から離れる方向に向ける。
第1の長さと第2の長さが同じ長さになる点で、前腕は、体から離れる方向に向けられる。これにより、より成長した活動的な乳児は、驚愕反射を抑制するのに十分なおくるみ式衣服にくるまれたままで、前腕及び手のより自由な動きを練習してこれに慣れることができ、保育者が乳児をおくるみからスムーズに移行/離脱させるための更なる手段が提供され、乳児をおくるみから離脱させる困難を克服できる。
本開示の一態様では、一方又は両方の前腕袖を衣服の上胴部に解除可能に取り付けてもよい。解除可能な取り付けは、面ファスナ、ジッパ、プレススタッド等を含む服飾技術における任意の適切な手段によって実現できる。また、解除可能な取り付けは、従来の一連の縫い目を解くことを含む。例えば、一対の交換可能な袖よって、手を体により近い位置に配置できる。他の交換可能な袖は、手を横方向により遠くに位置させ、腕をより多く動かすことができるようにしてもよい。更に他の態様では、交換可能な袖を包括的に長くし、より多くの腕の動きを提供する。
更に他の態様は、取り外しのできないジッパ付き袖である。開口部に沿ってジッパを縫い付けてもよい。ジッパを開けると袖の内側が長くなる。これにより、保育者は、乳児の発達段階又は好みに応じて、乳児の腕の位置を選択的に体の近く又は体から横方向により遠くに切り替えることができる。
本明細書に開示するおくるみ式の衣服を用いて、乳児の前腕又は手の一方又は両方を前身頃内に封入し、よりきつくくるむこともできる。この多用途性により、乳児の個々のニーズ、発達段階、又は好みに応じて、乳児をくるむことができる。
衣服の袖部の端部構成を異ならせてもよく、例えば、乳児の手を完全に覆ってもよく、手の一部を通して伸ばすことができる部分的な手開口部を有していてもよく、手の全体を通して伸ばすことができる完全な手開口部を有していてもよい。
好ましい態様において、袖部材の端部は、手を覆う位置と、乳児が手開口部を通して手を伸ばすことができる手を露出させる位置との間で移動可能に構成される。
布を介して手を吸引したり、布を介して顔をこすったり、体の一部に触れたりすることを好む乳児には、手を覆うことが有益な場合がある。
また、手を覆うことにより、指が目を突くことを防止でき、また、手の動きが規制されるため、前腕-手位置決め部126a、126bの更に内側に手が引き寄せられ、誤って顔を叩くことを防止できる。
乳児の手がむき出しになり、手が開口部から出ている場合、乳児は、手と指に自由にアクセスでき、前腕及び手の垂直、側面、及び内側の可動域が拡大する。
一態様では、衣服は、下部を有しておらず、ボディス型の衣服として、乳児の上胴部のみを覆う。この態様では、衣服は、下部の腰部分で終端される。腰部分に伸縮性を持たせて乳児の体にフィットさせることにより、着衣の上ずりを抑制できる。
他の実施形態では、衣服は、乳児が閉鎖された部分内で自由に足を動かすことができるように、下部が拡大されて閉鎖されている。
いずれの実施形態においても、衣服は、装着を容易にするために前部開口部を有することができる。
他の態様として、乳児における斜頭症の予防又は治療のための方法を開示し、この方法は、本明細書に開示する衣服を準備することと、衣服内に乳児を置くことと、一方の腕を袖部の1つに入れて前腕と手を自由にすることと、他方の手を前部の内側に入れ、乳児が自由な手を吸引できるようにし、定期的に腕の位置を変えて、吸引できる自由な手を交代させることとを含む。
他の態様として、乳児における斜頸の予防又は治療のための方法を開示し、この方法は、本明細書に開示する衣服を準備することと、衣服内に乳児を置くことと、一方の腕を袖部の1つに入れて前腕と手を自由にすることと、他方の手を前部の内側に入れ、乳児が自由な手を吸引できるようにし、定期的に腕の位置を変えて、吸引できる自由な手を交代させることとを含む。
本開示の好ましい態様に基づくおくるみ式衣服の正面図である。
図1のおくるみ式衣服の背面図である。
図1及び図2の衣服にくるまれた乳児の正面図である。
切断断面を有する図1に示すおくるみ式衣服の正面斜視図である。
図4の切断部分の二次元詳細図である。
図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置を示す概略側面図である。 図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置を示す概略側面図である。 図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置を示す概略側面図である。 図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置を示す概略側面図である。
図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置を示す概略正面図である。 図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置を示す概略正面図である。 図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置を示す概略正面図である。 図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置を示す概略正面図である。
図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置及び異なる衣服構成を示す概略正面図である。 図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置及び異なる衣服構成を示す概略正面図である。 図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置及び異なる衣服構成を示す概略正面図である。 図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置及び異なる衣服構成を示す概略正面図である。 図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置及び異なる衣服構成を示す概略正面図である。 図1の衣服にくるまれた乳児の前腕及び手の位置及び異なる衣服構成を示す概略正面図である。
本明細書に開示するおくるみ式衣服の他の実施形態の正面図である。
図20に示す衣服にくるまれた乳児の複数の前腕及び手の位置、並びに異なる衣服構成を示す概略正面図である。
本開示の他の態様に基づくおくるみ式衣服の正面図である。
図22の衣服を異なる乳児が着用した場合の構成を示す概略正面図である。 図22の衣服を異なる乳児が着用した場合の構成を示す概略正面図である。
本明細書に開示するおくるみ式衣服の他の実施形態の正面図である。
図25に示す衣服に様々な構成でくるまれた乳児を示す概略正面図である。 図25に示す衣服に様々な構成でくるまれた乳児を示す概略正面図である。 図25に示す衣服に様々な構成でくるまれた乳児を示す概略正面図である。
本明細書に開示する態様に基づく更に他の衣服の下方斜視図である。
図29の二次元詳細図である。
図30に示す衣服にくるまれた乳児の概略上面図である。
図30に示す衣服にくるまれた乳児の概略正面図である。
本明細書に開示する態様における更に他の衣服の下方斜視図である。
図33の二次元詳細図である。
本開示の他の態様に基づく衣服にくるまれた乳児の概略上面図である。
図35に示す衣服にくるまれた乳児の概略正面図である。
本明細書に開示する他の衣服にくるまれた乳児の概略上面図である。
本明細書に開示する更に他の衣服にくるまれた乳児の概略正面図である。
更に他の態様に基づくおくるみ式衣服の正面図である。
更に他の態様に基づくおくるみ式衣服の正面図である。
更に他の態様に基づくおくるみ式衣服の正面図である。
更に他の態様に基づくおくるみ式衣服の正面図である。
更に他の態様に基づくおくるみ式衣服の正面図である。
更に他の態様に基づくおくるみ式衣服にくるまれた乳児の概略正面図である。
更に他の態様に基づくおくるみ式衣服の正面図である。
図45に示すおくるみ式衣服の背面図である。
図45に示す構成において片側の主開口部を部分的に開いた状態を示す正面図である。
図40、41及び42に示す衣服に乳児をくるんだ状態を示す概略図である。
図44に示す衣服の袋部分内部及び主開口部を部分的に開口した状態を示す概略図である。
図49の実施形態の変形例を示す図である。
シェル部分と、連続した脚部分、すなわちパンツ部分、すなわちズボン部分とを有する、おくるみ式衣服の他の実施形態の正面図である。 シェル部分と、連続した脚部分、すなわちパンツ部分、すなわちズボン部分とを有する、おくるみ式衣服の他の実施形態の背面図である。
おくるみ式衣服の更に他の変形例の正面図である。 おくるみ式衣服の更に他の変形例の背面図である。
以下の説明は、多くの特定事項を含むが、これらはいずれの実施形態の範囲を制限するものではなく、その様々な実施形態の例示として解釈されるべきである。様々な実施形態の教示の範囲内で、他の多くの分岐及び変形が可能である。したがって、本発明の範囲は、ここに挙げる例によって画定するわけではない。
本明細書の全体に亘って、「新生児(neonate)、「乳幼児(newborn)」、「乳児(infant)」、「赤ちゃん(baby)」、「子ども(child)」という用語は、それぞれが互いに置換可能な用語として使用されている。本明細書中において、「親(parent)」及び「保育者(caregiver)」という用語は、それぞれ互いに置換可能に使用されている。
例示の実施形態において、同一又は類似の要素、特徴、及び構造は、適切と言える範囲において、図面および発明の詳細な説明の全体に亘って同一の参照符号を用いて説明されている。
以下に、本発明者による本衣服の新規性及び進歩性の理解に関連する更なる背景を考慮した見解を以下に述べる。
胎児屈位(fetal tuck)又は胎勢(fetal position)とは、背中を曲げ、頭を下げ、膝を曲げ又は屈曲させて胴体まで引き上げ、肘を曲げ又は屈曲させることで手を持ち上げて顔面近くの正中線に向けて位置させる姿勢を取ることである。胎児は殆どの時間をこの姿勢で過ごす。
出生後、新生児は、通常、胎勢と同様の姿勢をとり、膝を曲げ又は屈曲させ、肘を曲げ又は屈曲させ、手を持ち上げて顔面近くの正中線に向ける。
乳児は、この胎勢を非常に好み、乳児が起きているときに四肢を伸ばすようなあらゆる試みは、乳児の啼泣や抵抗を引き起こす可能性がある(Lauwers & Swisher, 2015)。
ベビー服の研究によると、乳児は、膝を保育者の胸につけて胎勢で運ばれると、身体的な安全及び安心を感じる。
また、胎勢は、体温調節に最適な姿勢である。赤ちゃんが腕と脚が曲げて屈曲することにより、動脈が冷気に晒されることが防がれ、同時に、熱が空気に奪われる胸や腹の表面積が半分程度になる。これにより、胎勢の赤ちゃんは、体温をうまく調節でき、その結果、体温を維持するためのエネルギー消費を減らすことができる。
胎勢は、赤ちゃんが消費する酸素が少なく、より多くのエネルギーを保存できるため、赤ちゃんにとって最も穏やかな姿勢である。早産児は、屈曲によって、必要な酸素圧と酸素量を少なくし、呼吸を楽にすることができるという研究もある。酸素消費量が少ないということは、胎勢の赤ちゃんは、消費カロリーが少なく、食物をよりよく消化できることを意味する。この小さな体は、激しく動く必要がないため、保存されたエネルギーとカロリーは、成長と発達に使用される。
胎勢は、「仰向けになって手足を広げる(spread out on the back)」姿勢よりも優れている。胎勢が胎児の筋肉の発達を速める一方で、後者の姿勢は、筋緊張の発達に悪影響を及ぼすためである。更に、胎勢によって筋肉を制御する神経細胞の成熟も加速される。筋肉が強くなり、筋肉をコントロールする神経がよりうまく機能するようになると、乳児の運動能力が向上する。
胎勢は、健康な脊椎と股関節の発達を促す。赤ちゃんは、生まれたとき、C字形の凸型の曲線を描く。この脊柱のアラインメントは、一次性カーブ(primary curve)と呼ばれ、子宮内で発達する。一次性カーブにより、新生児は、脚をカエルの脚の位置に折り込み、太ももを胸の方に引き上げ、腹ばいになったり、介助者が持ち上げたりして胎勢をとることができるようになる。このように、胎勢によれば、赤ちゃんがこれらの一次性カーブのアライメントを維持でき、脊椎と股関節への圧迫を低減することができる(Schön & Silvén, 2007; Bezuidenhout, 2019)。
超音波検査では、胎児が子宮壁を探ったり、へその緒に触れたり、自分の手と指を正中線上で一緒に触れたり、足、腹部、胸部、鼻、唇、耳に触れたり、瞼を擦ったり、こめかみを指でひっかいたり、手、指、親指を吸引したりする様子がみられる。子宮の空間的限界によって、前腕と手が正中線から離れる側方への動きは制限されるが、その一方で、前腕と手が正中線に向かう動き、正中線を巡る動きが助長及び許容され、これらの自発的且つ探索的な感覚運動活動、自己接触、及び正中線行動が促進される。
本発明者は、このような前腕と手の動的な配置を「胎児手位(fetal-hand position)」と呼ぶ。この動的な配置により、乳児の前腕と手は「最適胎勢(optimal fetal position)」で「配置され、かつ、支持され」、身体の様々な部分に「正中線に向けて、正中線周りに」動くことが「促がされ、かつ、許容され」る。
胎児手位は、より良好で健康的な発達、独立した学習、自己安定又は自己鎮静能力を促進し、事故を起こしやすい姿勢の乳児に対して安全を提供する。
認知発達は、子どもの発達に焦点を当てた神経科学と心理学の研究分野である。認知発達には一般論として確立されているものまではないが、最も歴史的に影響力のある理論は、スイスの心理学者ジャン・ピアジェ(Jean Piaget)(1896年~1980年)によって提唱されている。ピアジェは、「認知発達の理論」において、子どもは、認知発達の4つの段階、すなわち、感覚運動(sensorimotor)期、前操作(preoperational)期、具体的操作(concrete operational)期、形式的操作(formal operational)期を経て成長すると述べている。
ピアジェは、子どもたち自らが自らの認知能力の発達に積極的な役割を果たし、個人的な経験を生かして、世界に関する自分自身の知識を発達させると信じた。
感覚運動期(出生から2歳まで)は、ピアジェの認知発達理論における最も初期の段階である。この段階では、子どもは、世界を体験し、感覚、運動、試行錯誤を通じて知識を獲得する。子どもは、反射神経が原因で思いがけない行動を繰り返す。例えば、子どもの手が偶然口に触れると、おしゃぶりが発生する。その感覚が子どもにとって愉快であれば、子どもはその行動を再現しようとする。このような行動が何度も繰り返されると、親指をおしゃぶりすることが子どもの自己安定又は自己鎮静の習慣になる。
最近の研究では、感覚運動行動は、実際には、子宮内のより早い時期に始まることが示唆されている。胎児の最初の運動活動では、周囲の空間を感じることができ、体とその動きの結果を感じることができる。これらの原始的な運動によって、身体又は子宮環境との偶発的な接触が生じることがある。このような偶発的な接触の結果は記憶され、胎児はすぐに「好みの」動作のレパートリーを示し始める(Fagard et al., 2018)。胎児のこれらの動きは、乳児の探索的な感覚運動行動の直接的な前兆ともいえる。

<セルフ・タッチの重要性>
乳児は、初日から自分自身の身体と身体近傍空間を積極的に探索し、これらの初期における、自ら生成し、深く具現化された感覚運動経験が、将来の行動を発展させる重要な基盤を形成する。
セルフ・タッチ又はセルフ・コンタクトは、自己安定又は自己鎮静のための重要な動作である。乳児が若いほど、より多くの触覚と運動が、自己安定又は自己鎮静にとって重要である(Durier et al., 2015)。
自己安定行動又は自己鎮静行動には、口、顔、及び体の正中線への以下のような自己生成的な接触を含ませることができる。
a)正中線で手を合わせる。
b)腹や胸に触れる。
c)手、指、親指を吸引する。
d)耳や鼻に触れる。
e)目を擦る。
f)唇や髪を擦る。

<正中線行動の重要性>
体の正中線で手を合わせる行動は、通常、生後3カ月時に生じるが、胎児手位がこの行動を容易にしている(Weiss et al., 2010)。
正中線に両の手を持っていけることは、例えば、口と手の協調、目と手の協調、手と手の協調、及び目と手と口の協調等のような、新しく生じる異なるバイラテラル(bilatral)な技能の統合のための重要な基礎となる(Sherick et al., 1976)。
乳児は、正中線に手を位置させることによって、自分の手と体を意識するようになり、手を口に当てることによって、視覚と自分の手を意識するようになり、これらを一緒に使って物を探索できるようになる(Dennison & Lueck, 2006)。
正中線で手を結ぶことにより、乳児は、手を伸ばして物を掴み、哺乳瓶、コップ、食物、玩具等を持つことができるようになる。
自分でコップを持てない幼児は、水分補給が困難である。正中線で食物をうまく保持できない幼児は、自力で食事をする方法を学ぶのに苦労する可能性がある。
正中線に両の手を持っていくことができるということは、また、次の重要なマイルストーンである「正中線で交差させる」ことの基礎を築く。自発的に正中線を交差する能力は、によって、利き手の確立に重要な役割を果たし、例えば、はさみを使うことや、クレヨンで絵を描くこと、靴ひもを結ぶこと、スナック袋を開けること、書くときに紙を持つこと、鉛筆を削ること、トイレでズボンを下ろすこと等のより高いレベルのバイラテラルな技能を調整し、発達させる上で重要な役割を果たす。これは、最終的に自立と学習をサポートする進歩の一部である。
乳児期早期において最適な量の正中線行動をとれない場合、発達遅滞又は自閉症等の発達障害の可能性がある(Sherick et al., 1976)。したがって、乳児の正中線行動を詳細に観察できることは、このような発達上の問題の早期発見と介入に役立つ可能性がある。
乳児が厳密に監視されている病院の新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)では、運動発達と自己調節をサポートするために、位置決め器具を使用して、屈曲によって正中線に向かって四肢の動きを補助する境界を作成することが一般的である。しかしながら、このような器具は、窒息や過熱のリスクがあるため、病院外では推奨されない(Red Nose, 2020)。
正中線行動は、強い顎引き頭位(頭部屈曲)の発達に役立つ。顎引き頭位(頭部屈曲)とは、頸部屈筋を引き締めて頭部を下方に傾けて、顎を正中線上で胸部に近付けることである。顎引き頭位は、頚部伸展とバランスをとり、姿勢を平衡させて安定させるために重要である。
顎引き頭位の適切な発達のためには、正中線上において、手や指を吸引したり、手を合わせたり、あるいは、物で遊ぶなどといった正中線行動を補助することが重要である。乳児は、自分の手や指を吸引したり、正中線上の自分の手や物を見つめたりする際に顎を引く。
正中線行動は、斜頭症の予防及び治療に役立つことがある。顎引き頭位を必要とする正中線行動、例えば、正中線上で手や指を吸引し、手を合わせ、物で遊ぶといった行動を促すことによって、乳児は、頭を持ち上げたり動かしたりできるようになり、斜頭症の予防と治療に役立つ。
正中線行動は、斜頸の予防及び治療に役立つことがある。自宅で斜頸を治療するために通常推奨される方法は、乳児の頭を利き側でない側に向けさせ、より自然な正中位をとらせることである。この位置決めに加えて、タミータイム(Tummy Time)や様々なストレッチ運動も推奨される。医師によって理学療法が推奨される場合もあれば、稀に、問題を是正するために手術が必要になる場合もある。
斜頭症の場合と同様に、顎引き頭位を必要とする正中線行動を促し、手を交互に吸引することが治療に役立ち、場合によっては、斜頸の予防にも役立つ。
胎児手位をとることにより、腹臥位において、乳児の顔と床面が自然に分離される。この姿勢では、乳児は、前腕と肘を使って、頭と胸を床面から支え、腹臥位から仰臥位に寝返るのを補助できる。乳児が腹臥位から仰臥位に寝返りすることを学習する際の前兆は、両腕を体に近付けて上体を支え、一方の前腕を、肘を曲げて平らに置き、もう一方の腕をわずかに伸ばして優しく押し離すことで上胴を持ち上げることができることであり、これに背中と下肢の動きが加われば、寝返りが完了する。すなわち、腹臥位から仰臥位への寝返りに必要な腕の位置は、胎児手位と同じである。
図1及び図2は、乳児の上胴部を包囲するおくるみ式の衣服10の一態様の正面図及び背面図を示である。図3は、その衣服にくるまれた乳児を示す概略正面図である。
衣服10は、シェル部分、すなわち身頃部分、すなわち上半身部分104を含む上側部分102を備える。シェル部分104は、前側、すなわち前側部分、すなわち前身頃106と、後側、すなわち後側部分、すなわち後身頃108と、開口底縁112を有する腰領域110とを含む。前身頃106は、前衿ぐり114を含む。後身頃108は、後衿ぐり116を含む。前衿ぐり114及び後衿ぐり116は、首開口部118を形成する。シェル部分104は、乳児の上半身を受け入れるための空間を画定し、(図3に示すように)上腕及び肘が乳児の胴部の側面にしっかりと折り込まれる。
前身頃106は、2つの肘領域120a、120bと2つの胸領域122a、122bとを含む。一方の肘領域120aは、前身頃106の右側に位置し、他方の肘領域120bは、前身頃106の左側に位置する。これにより、おくるみ式衣服が着用された時には、肘領域120a、120bは、乳児の各肘の上に位置する。一方の胸領域122aは、前身頃106の右側に位置し、他方の胸領域122bは、前身頃106の左側に位置する。これにより、おくるみ式衣服が着用された時には、胸領域122a、122bは、乳児の各胸部の上に位置する。
前身頃106の両側には、2つのポケット開口、すなわち袖開口、すなわち前腕-手開口部124a、124bが形成されている。前腕-手開口部124a、124bは、乳児の前腕及び手を快適に通せるようなサイズに形成されており、これにより、「肘を曲げた状態で最も広い領域で取られた乳児の前腕の円周」よりも長い周囲を有する。前腕-手開口部124aは、肘領域120aを起点とし、肘-口線Nに沿って正中線Mに向かって延びて、胸領域122aが終端となっている。前腕-手開口部124bは、肘領域120bを起点とし、肘-口線Oに沿って正中線Mに向かって延びて、胸領域122bが終端となっている。肘-口線N、Oは、肘領域120a、120bから延びており、(図3に示すように)おくるみ式衣服を着用した乳児のおおよそ口の位置で正中線Mと交差する。
前腕-手開口部124a、124bから外向きに延びているのは、一対のポケット部分、すなわち袖部分、すなわち前腕-手部分、すなわち前腕-手位置決め部、すなわち袖部材126a、126bであり、これは、(図3に示すように)乳児の前腕及び手を受け入れるための空間を画定している。前腕-手位置決め部126a、126bは、前腕-手開口部124a、124bの外周/周囲長と同じ長さを有する基部(前腕-手開口部124a、124bと接合する部分)ではより広く、上部ではより狭く、乳児の手にフィットするサイズである。
シェル部分104は、肘領域120a、120bから腰に向かって内向きに傾斜するように形成され(図2)、腰領域110は、(図3に示すように)おくるみ式衣服を着用した乳児の腰の周りにぴったりとフィットする。腰領域110は、おくるみ式衣服を着用した乳児の腰の周りに腰領域110を更にぴったりと装着するために、伸縮性のある素材で形成されていることが好ましい。
図4及び図5に示すように、前腕-手位置決め部又は袖部材126a、126bは、それぞれの胸領域122a、122bから延びる内側面128a、128bと、それぞれの肘領域120a、120bから延びる外側面130a、130bと、前腕-手位置決め部126a、126bの最上部にあるポケット部先端部、すなわち袖部先端部、すなわち前腕-手先端部、すなわち前腕-手位置決め部先端部132a、132bとからなる。
この実施形態では、外側面130a、130bの長さL2は、ほぼ乳児の前腕及び手の長さであり、指を自然に折り曲げた状態で、ぴったりフィットするようにサイズ調整されている。内側面128a、128bの長さL1は、外側面130a、130bの長さL2よりも実質的に短い(比率約1:4)。これにより、前腕-手位置決め部126a、126bによって画定された空間が肘領域120a、120bに向かって先細りとなる。また、前腕-手位置決め部126a、126bが正中線Mに向かって鋭角A1で突出することにより、前腕-手位置決め部126a、126bがおくるみ式衣服を着用した乳児の胸部に近く引き込まれ、(図1Cに示すように)前腕-手位置決め部先端部132a、132bがおくるみ式衣服を着用した乳児の口の方向において正中線Mに向けられる。
外側面130a、130bの長さL2と比較して内側面128a、128bの長さL1が短いほど、前腕-手位置決め部126a、126bによって画定される空間が肘領域120a、120bに向かって先細りになり、前腕-手位置決め部126a、126bが正中線Mに向かって更に小さい角度で延在する。これによって、前腕-手位置決め部126a、126bがおくるみ式衣服を着用した乳児の胸部により接近し、前腕-手位置決め部先端部132a、132bがおくるみ式衣服を着用した乳児の口の方向において正中線Mに更に直接的に向くようになる。
図6~図13は、図1のおくるみ式衣服にくるまれた乳児、並びに乳児が前腕と手を身体の様々な部分に「正中線に向けて又は正中線を巡って」動かすための様々な動きをしているところを示しており、前腕と手が所定の元の位置から更に離れるにつれて(生地張力線、すなわち生地伸張線、すなわち生地抵抗線140によって示されるような)抵抗が高まる(図6及び図10の前腕-手位置決め部126aは、所定の元の位置にあるので抵抗がない)。これによって、前腕と手の正中線領域に向かう動き、又は、正中線周りの動きが維持されるとともに助長される。
図6は、元の位置にある1つの前腕-手位置決め部126aと、横方向への最大移動可能域に到達し、上述の構成により肩線Qに制限されている生地張力線、すなわち生地伸張線、すなわち生地抵抗線140を示す前腕-手位置決め部126bとを示す。
図7~図9は、乳児の前腕と手が腹部から口へと垂直に動く様子を示す。また、これらの図は、乳児が手を口に運ぶ際に顎引き頭位(chin tuck)(頭部屈曲:capital flexion)を行い、これによって頭部144が床面142から持ち上げられることを示す。
図10は、元の位置にある前腕-手位置決め部126aと、乳児の顔まで引き上げられ、生地抵抗線140が生じている前腕-手位置決め部126bとを示す。図11は、胸領域の周囲の正中線で合わされ、僅かな生地抵抗線140が生じている前腕-手位置決め部126a、126bを示している。図12は、腹部領域の正中線で合わされ、図11よりも大きな生地抵抗線140が生じている前腕-手位置決め部126a、126bを示している。
図13は、腹部に接触し、横方向の動きを有さず、一箇所に生地抵抗線140を有する腹部領域の前腕-手位置決め部126aと、同じく腹部に向けて位置決めされるが、ある程度横方向の動きを有するため、複数箇所に抵抗線140を有する前腕-手位置決め部126bとを示す。
図14~図19は、複数の前腕及び手の位置でおくるみ式衣服にくるまれた乳児を示す。図14は、左前腕と手が前腕-手位置決め部126b内に配置されている一方で、右前腕と手が、前身頃106内に完全に封入され、正中線に手を置いて胸の上に配置され、一方、左前腕と手が、ている乳児を示している。前腕-手位置決め部126aは、使用されていない。図15は、左前腕と手が、前腕-手位置決め部126b内に配置されている一方で、右前腕と手が、前身頃106内に完全に封入されるとともに、手が正中線上に位置する状態で、腹部上に配置された乳児を示している。前腕-手位置決め部126aは、使用されていない。図16は、左前腕と手が前腕-手位置決め部126b内に配置されている一方で、右前腕と手が、前身頃106内に完全に封入され、身体の側面に配置されている乳児を示している。前腕-手位置決め部126aは、使用されていない。図17は、両前腕及び両手が前身頃106内に完全に封入され、正中線で両手を合わせて胸の上に置かれた乳児を示している。前腕-手位置決め部126a、126bは、使用されていない。図18は、前身頃106内に完全に封入され、腹部の中央に手を合わせて配置された乳児の前腕と手の両方を示す。前腕-手位置決め部126a、126bは、使用されていない。図19は、両前腕と両手が、前身頃106内に完全に封入され、身体の側面に配置された乳児を示している。前腕-手位置決め部126a、126bは、使用されていない。
ここに開示するおくるみ式衣服の特徴及び動作は、胎勢と乳児の運動発達との間の関係や、本開示の衣服にくるまることによって生じる制限的な動きの利点を提供しながら、可動性を許容するという両立をどのように獲得し得るかについての発明者の理解を反映している。
以上を踏まえ、本開示の衣服が乳児の運動及び認知の発達に独自の、且つ、予想外の利点を提供し得る方法を以下に説明する。
使用時には、保育者は、図1のおくるみ式衣服10を摺動させ又は引っ張って乳児の頭部の上に被せ、次に、乳児の前腕及び手をそれぞれの前腕-手位置決め部126a、126bに配置し、続いて、開口底縁112を乳児の腰まで引き下げる。
おくるみ式衣服が着用されると、シェル部分104が(図3に示すように)乳児の上半身を包み、上腕及び肘が乳児の胴の側面にしっかり押し込まれる。これによって、上腕及び肘の動きが十分に抑制され、驚愕反射が抑制される。そのため、自発的な覚醒が最小限に抑えられる。
図1の実施形態において開示する前腕-手位置決め部126a、126bの構成は、乳児の肘を曲げ又は屈曲させ、(図3に示すように)乳児の前腕及び手を顔又は口の近くの身体の正中線に向かって上向きに位置決めする。
上体の両腕と両肘をしっかりと胴の側面に押し込み、肘を曲げたり屈曲させたりして前腕と手を顔や口の近くの体の正中線に向けて引き上げて位置させた乳児は、前述の「最適胎勢」の姿勢に効果的に位置決め及び支持される。これにより、乳児に最適な快適さ、落ち着き、及び安心感が与えられ、乳児が自己安定又は自己鎮静することが助長され、乳児の最適な温度調節、成長、発達が促進される。
図1に開示するようなおくるみ式衣服10の構成により、(図7~図13に示すように)乳児が前腕及び手を頭部から腹部までの正中線M周りに垂直に動かすことが助長される。また、(図1に示すように)前腕及び手の側方への動きが肩線P、Qで制限されていることによって、乳児の前腕及び手が「胎児手位」に効果的に配置される。その一方で、(図10及び図11に示すように)屈曲した状態の前腕及び手を正中線M上で合わせることが可能になる。
乳児の前腕と手のこの「胎児手位」は、以下に要約されるように、乳児に、自発的及び探索的な感覚運動活動や、自己接触、正中線行動のための最適な機会を提供する。
a)乳児と親の間のより良いコミュニケーションが促進される。これによって、
1.親が乳児のニーズによりよく対応できるようになり、
2.乳児と親の絆が向上され、
3.親の自信を高め、母親のうつ病のリスクを最小限に抑えることができる。
b)乳児の、より健康的な認知運動発達と自主学習とが促進される。
c)乳児の自己安定又は自己鎮静の能力が促進される。
d)斜頭症及び斜頸の予防及び治療に役立つ。胎児手位は、正中線行動を促進し、その結果、顎引き頭位を促進して後頭部を床面から持ち上げ、頸部屈筋を強化し、乳児が頭を左右に更に動かすのを助け、これによって斜頭症と斜頸の予防と治療に役立つ。
e)乳児をおくるみからスムーズに離れさせることができる。
f)偶発的な腹臥位のリスクに対する安全性を提供する。胎児手位によって、腹臥位での乳児の顔と床面が自然に分離される。この姿勢により、乳児は、前腕と肘を使って頭と胸を表面から支えることができ、前のセクションで説明したように、腹臥位から仰臥位への寝返りが補助される。
シェル部分104及び前腕-手位置決め部126a、126bは、綿とスパンデックスの混合素材からなる繊維のような、伸長及び圧縮能力(伸長し及び元の形状に戻ることができる能力)を有する素材で構成することが好ましい。ただし、この構成に限定はされない。この素材から受ける弾性力又は復元力により、乳児は、前腕及び手を、身体の異なる部分に、「正中線に向けて、かつ、正中線周りで」これらを拘束することなく移動させることができる。また、その一方で、前腕及び手が元の位置から更に離れるにつれて抵抗が増大するようになるため、前腕及び手が元の位置に戻るように助長され、これにより、前腕及び手にとってのより「制御された移動」のための支持が得られる。この支持は、子宮の水中(羊水)環境によって得られる支持に類似しているため、乳児が前腕及び手を胎児手位に配置することが更に助長される。
更に、使用時には、乳児の前腕及び手は、前腕-手位置決め部126a、126bの内部に配置されるかわりに、よりきつくくるまれるように、前身頃106内に配置されて完全に包み込まれてもよい。一方又は両方の前腕及び手は、前身頃106内に封入されてもよく、正中線に手がある状態で、胸部上に配置されてもよく(図14及び図15)、正中線に手がある状態で腹部上に配置されてもよい(図17及び図18)。あるいは、前腕及び手は身体の側面に置かれてもよい(図16及び図19)。このような多用途性により、乳児の個々のニーズや、乳児の発達段階、又は好みに応じて乳児をくるむことができ、以下のような効果や利点が得られる。
a)前のセクションで述べたように、環境の変化は、乳児の探索行動や目標指向行動の相対的な中断や、出生後早期の運動制御の欠落をもたらす。したがって、乳児は、両方、または、少なくとも一方の腕が、前身頃106の内側に配置され、両手が前腕-手位置決め部126a、126bの内側に配置される胎児手位に徐々に移動することによって、両方、または、少なくとも一方の腕が、より強くくるまれることによる効果を得ることができる。これにより、子宮環境から外部環境への適応がよりスムーズで迅速になる。
b)病気や、歯の生え始め、急成長等による睡眠退行期に、乳児をよりしっかりとくるむことができる。
c)前腕及び手の動きをそれぞれ選択的に制限又は許容することができる機能により、保育者は、段階的に又は少しずつ、乳児が自分の手を使って自己安定又は自己鎮静して安らいで眠るように乳児をトレーニングすることができる。手を使って自己安定又は自己鎮静できる乳児は、最終的に手を自由にするにより、よりよく対処や適応ができるので、乳児のおくるみからの円滑なな移行/卒業を助け、乳児がおくるみから離れることの困難を克服できる。
d)前のセクションで述べたように、頭頸部のコントロールが苦手で、長時間に亘って頭を片側に向ける傾向がある乳児や、常に片方の手を吸引する乳児などは、側頭部に平らな部分ができる可能性(斜頭症)が高くなる。指しゃぶりされる手を前身頃106内に配置して乳児がこれをしゃぶるのを防止し、反対の手を前腕-手位置決め部126a、126bの一方に配置することが可能であれば、乳児がその首及び頭を反対側に向けて反対側の手をしゃぶるように促し、これによって斜頭症の予防及び治療に役立つ。
e)乳児の首と頭の回転に影響を与えることができることは、斜頸の問題のある側の首を徐々に伸ばすことによって、斜頸の治療にも役立つ。また、指しゃぶりされる側を定期的に交代させ、乳児の首を確実に両側で均等に伸ばすようにすることにより、斜頸の予防がより助長される。
図1の使用時におけるおくるみ式衣服10は、乳児の下胴部及び脚部を覆っていないので、以下のような効果と利益が得られる。
a)おむつ/おしめへのアクセスを容易にし、保育者は、乳児を起こしたり、不穏にさせたりすることなく、乳児のおむつ/おしめを交換できる。
b)また、乳児の下半身は、おむつ/おしめを露出しているので、気温が高い時期の過昇温のリスクも軽減される。
c)気温が涼しくなると、例えば、暖かい乳児用寝袋や、パジャマ、ボディスーツ、又は任意の適切な衣服アイテム等の他の衣服と一緒に、又は重ねて着用できるため、図1のおくるみ式衣服は、あらゆる季節に使用できる汎用性を有する。
d)股関節が自由に動けるようになり、胎勢で膝を曲げることができるため、股関節を強く包むことに伴う股関節形成不全のリスクを排除できる。
e)あらゆるタイプのヒップブレースやヒップハーネスと共に使用できる。
f)車やベビーカーでの移動の際に、例えば、5点ハーネスや、子ども用安全ハーネス等を使用できる。
更に、図1の衣服10は、以下の欠点を除去、低減、又は最小化できる。
a)乳児の臀部がくるまれないため、臀部がきつくくるまれることに関連する股関節形成不全を除去、低減、又は最小化できる。
b)胸をきつくくるむことに関連する肺炎を除去、低減、又は最小化できる。胸のサイズは、おくるみごとに予め決められているので、誤ってきつくくるまれすぎる危険性はない。
c)如何なる締結機構やラッピング技術を使用していないため、おくるみからの離脱の際に首絞めの状態や窒息が生じることを除去、低減、又は最小化できる。
d)単層の生地を使用しているため、厚着による過剰発熱を除去、低減、又は最小化できる。
e)腹臥位によるSUDIを除去、低減、又は最小化できる。胎児手位をとることにより、腹臥位において、乳児の顔と床面が自然に離間する。この姿勢では、乳児は、前腕と肘を使って頭と胸を表面から支え、前のセクションで説明したように、腹臥位から仰臥位に寝返ることを補助できる。
シェル部分104は、上腕及び肘を胴部に押し込むことによって、上腕及び肘が前腕及び手に追加の伸長運動を行えなくし、前腕及び手が必要以上にいずれかの方向に移動又は伸長しないことを確実にする。腰領域110に向かって先細りにすることにより、肘の動きが更に抑制される。一方で、フィットした腰領域110は、シェル部分104を下方で固定するのに役立つ。更に、前腕-手位置決め部126a、126bにより、前腕及び手はシェル部分104から独立して動かすことができる。
これらの特徴の組み合わせは、協働して乳児の驚愕反射を抑制する一方で、「自発的及び探索的」感覚運動活動、正中線及び自己接触行動のための最適な機会を提供するとともに、衣服がずり上がることを効果的に防止し、これによって衣服がずり上がって乳児の顔を覆うことによる窒息のリスクを排除する。
図20~図24は、他の構成の前腕-手位置決め部126a、126bを有する、図1に示す衣服を示す。前腕-手位置決め部126a、126bは、乳児が手を通して伸び出させることができる手開口部134a、134bと、乳児の手が手開口部134a、134bを通って伸び出ることを許容する開口位置と、乳児の手を覆い、前腕-手位置決め部126a、126bの内部にこれらを保持する閉鎖位置との間で選択的に折り畳むことができる折り重ね式ハンドミトン136a、136bと、を含む。手開口部134a、134bは、好ましくは、弾力性のある素材で形成され、乳児の手首にぴったりとフィットするサイズであり、乳児の前腕が手開口部134a、134bから伸び出ることを防止している。例えば、図21において、折り重ね式ハンドミトン136aは、乳児の右手が手開口部134aを通って伸び出ることができる開放位置にあり、折り重ね式ハンドミトン136bは、乳児の左手を覆い、前腕-手位置決め部126bの内部に保持する閉鎖位置にある。
手を覆ったままの状態では、図20の衣服は、図1の衣服と同じ利点を維持する。乳児の手を覆うことの利点には、以下が含まれる。
a)顔や頭を引っかく傾向がある乳児もいる。乳児が湿疹を有する場合は、この行動が特に問題となる。手を覆うことで引っかき傷を防ぎ、湿疹の炎症を最小限に抑えることができる。
b)布を通して手のおしゃぶりをしたり、布を通して顔をこすったりして体の一部に触れることを好む乳児には、手を覆うことが有益な場合がある。
c)まだ手の動きの制御を習得中の乳児の中には、自分の目を突いたり、顔を平手打ちしたりして眠れなくなる傾向を有する乳児もいる。手を覆うことにより、指で目を突くことを防止でき、また、手を前腕-手位置決め部126a、126bの内部に更に押し込むことによって、手が動ける範囲を減少させて、手が誤って顔を叩くことを防止できる。
折り重ね式ハンドミトン136a、136bが開放位置にあり、手が手開口部134a、134bを通して伸び出ている状態で、乳児の手が露出している場合、乳児は、手及び指に自由にアクセスでき、前腕と手の上下、左右、内側の可動域が拡大する。その一方で、乳児は、「最適胎勢」を取らされ、支持されながら、肘を曲げ/屈曲させた状態で、上腕と肘がしっかりと胴の側面に押し込まれ、前腕と手が顔や口の近くの身体の正中線に向けて引き上げられて配置される。そして、乳児の前腕と手は「胎児手位」に保持され、かつ、支持され、身体の様々な部位に「正中線に向けて、正中線周りに」移動することが「助長及び許容」される。また、その一方で、驚愕反射を抑えるために、乳児の上腕と肘を胴体の側面にしっかり折り込んだままにできる。
図24は、乳児がくるまれた状態にあり、折り重ね式ハンドミトン136a、136bが開放位置にあり、両手が手開口部134a、134bから伸び出ている様子を示している。乳児は、手や指へのアクセスが制限されず、正中線に沿った縦方向の可動域が広がる。このことは、前腕-手位置決め部126に張力をかけずに右手が顔に到達することから明らかである。また、横方向の可動域が広がることは、左手が肩線Qを横断して正中線Mから離れていることから明らかである。手開口部134a、134bがフィットしている間は、前腕が手開口部134a、134bの外に伸び出ることが防止されるため、(図示した生地抵抗線140から明らかなように)前腕及び手の正中線領域に向かう動きや、正中線周りの動きが促進される。また、上腕と肘が、胴部の側面にしっかりと押し込まれることにより(但し、手が手開口部134a、134bから伸ばされた結果として、図1に示す実施形態によって提供される「乳児の胴部の側面にしっかりと押し込まれた」位置と比較して、上腕及び肘の動きもわずかに増加している。)、驚愕反射が抑制されている。
図20の衣服は、使用時において、乳児の個々のニーズや好み、発達段階及び他の要因に応じて、必要に応じて、保育者が乳児の両手を又は片手を交互に選択的に覆ったり、露出させたりすることが可能であり、以下のような利点を具備する。
a)保育者は、手を露出させるだけで、別の衣服に着替えさせることなく、乳児を就寝時の恰好からうつ伏せ時間の遊びのための恰好に速やかに切り替えることができる。これは、保育者にとっては、便利で時間の節約となり、乳児にとっては、妨害を最小化することになる。
b)おくるみ式の衣服を、通常の衣服と同様の形態に変換して使用でき、より長い期間使用できることは、更なる汎用性及びコスト削減をもたらす。
c)運動コントロールが良好になった乳児、又は手、指、若しくは親指を直接おしゃぶりすることを早期に好む乳児には、保育者が乳児の手を露出させておくことにより、そうした行動を行わせるままにすることができる。
d)手を覆うこと及び露出させることを交互に切り替えることができる機能は、手のおしゃぶりに更に影響を与えるためのより簡単な代替的手法を提供する。これによって、特に、頭頸部のコントロールが弱いこと、手をおしゃぶりしているときに頭を傾けていること、又は片側に斜頸を有していることのいずれかを原因として長時間に亘って頭を一方に向ける傾向がある乳児に対して、斜頭症及び斜頸の予防及び治療に更に役立つ。
e)両手を又は片手を交互に選択的に覆い又は露出させる機能によって、保育者が乳児のニーズをより理解し、乳児の運動及び認知発達の改善を補助するための追加的な手段が提供される。
f)両手を又は片手を交互に選択的に覆い又は露出させる機能によって、乳児が自己安定又は自己鎮静して安心して眠ることができるように、保育者が乳児を段階的に又は少しずつトレーニングするための更なる手段が提供される。
g)乳児の驚愕反射を十分に抑制しつつ、選択的に、乳児の前腕及び手の更なる動きの自由を許容することが可能であるため、仰臥位から腹臥位に寝返る徴候を示す乳児を早期に(乳児を目覚めさせてしまうのに十分な驚愕反射レベルをまだ有している間に)おくるみから離脱させるという前述の困難を直接克服できる。
h)長期間に亘る乳児のおくるみは、睡眠に強く関連付けられる。おくるみからの離脱時における乳児の環境変化が小さいほど、結果もよりスムーズになる。乳児の手を選択的に露出させることができることにより、乳児は、より長い期間、おくるみ式衣服を使用でき、おくるみ式衣服からの移行/離脱をよりスムーズに行うことができる。
十分にくるまれた状態にする一方で、手及び指を制限なく完全に使用する能力や、前腕及び手の動きの更なる自由度を確保することは、更に、以下のような場合にも有益である。
a)物に手を伸ばしたり、掴んだり、探ったりすることを楽しむが、ある程度の驚愕反射を有する、より成長し、活動性が高まった乳児。
b)特別なニーズを有するより成長した子どもや成人。
図25~図28は、図1及び図20に示す基本的な衣服の前腕-手位置決め部126a、126bの更なる構成を示している。前腕-手位置決め部126a、126bは、乳児の手又は指を通して伸ばすことができる手開口部134a、134bと、乳児の手又は指が手開口部134a、134bを通って伸び出ることができる開放位置(図25、図26、図27)と、乳児の手を覆い、前腕-手位置決め部126a、126bの内部にこれらを保持する閉鎖位置(図25、図26、図27)との間で選択的に折り畳むことができる折り重ね式ハンドミトン136a、136bとを有する。
手開口部134a、134bは、乳児の前腕の周囲よりも短く、乳児の手首の周囲よりも長い外周/周囲長を有するように寸法決めされている。これにより、おくるみ式衣服が折り重ね式ハンドミトン136a、136bを開放位置にして使用されているとき、乳児の手は、手開口部134a、134bを通って完全に伸び出ることができ、乳児の前腕も(完全ではないが)部分的に手開口部134a、134bを通って伸びることができる。
前腕-手位置決め部126a、126bは、更に、手開口部134a、134bの近くに親指穴138a、138bを含み、この開口部を通して乳児の親指が伸び出ることができる。これにより、前腕-手位置決め部126a、126bを、おくるみ式衣服を着用した乳児の親指に固定し、乳児の前腕が手開口部134a、134bから伸び出ることを防止できる(図25、図26)。
例えば、図26において、折り重ね式ハンドミトン136aは、乳児の右手の指が手開口部134aを通って伸び出し、親指が親指穴138aを通って伸び出すことができる開放位置にあり、折り重ね式ハンドミトン136bは、乳児の左手を覆い、前腕-手位置決め部126bの内部に保持する閉鎖位置にある。
手を覆ったままの状態では、図24の衣服は、図1の実施形態と同じ利点を有する。
折り重ね式ハンドミトン136a、136bが開放位置にあることにより、乳児の手が開放され、親指が親指穴138a、138bを通って延び、指が手開口部134a、134bを通って延びている場合、乳児は、その指に自由にアクセスでき、前腕及び手の垂直、側面、及び内側の可動域が拡大する。これにより、乳児は、「最適胎勢」を取らされたまま支持される。その一方で、肘を曲げ/屈曲させた状態で、上腕と肘がしっかりと胴の側面に押し込まれて、前腕と手が、顔や口の近くの身体の正中線に向けて引き上げられて配置され、前腕と手が「胎児手位」に保持されて支持され、身体の様々な部位に「正中線に向けて、正中線周りを」移動することが「助長及び許容」される。また、その一方で、驚愕反射を抑えるために、上腕と肘を胴体の側面にしっかりと押し込んだままにできる。
折り重ね式ハンドミトン136a、136bが開放位置にあって乳児の手が覆われておらず、親指穴138a、138bが使用されていない場合、乳児の手は、手開口部134a、134bを通して完全に伸び出ることができる。乳児の前腕も、手開口部134a、134bを通して(完全ではないが)部分的に伸びることができる(図27)。これにより、乳児は、手と指に制限なしにアクセスでき、前腕及び手の垂直、側面、及び内側の可動域が更に拡大され、上腕や肘の可動域が更に拡大されると共に、上腕や肘の動きは、ある程度の制限を維持したままにされる。これにより、軽度の驚愕反射が抑制され、ハグされているような安らぎと安心感を乳児に与えることができる。このおくるみが着用された姿勢の乳児は、おくるみからの移行/離脱の段階にあることが想定され、前腕及び手を「正中線に向けて、正中線周りに」動かして維持し、前腕-手位置決め部126a、126bからの最小限の支持で自己鎮静するための前腕及び手のより良好なコントロールを獲得することにより、より大きな移動の自由を好むと考えられる。しかしながら、後期段階の乳児の驚愕反射が大きく減少しても、これらの乳児は、更に何ヶ月もの間、子宮のような環境の快適さと安全を切望することが考えられる。
したがって、この場合、図25の衣服は、保育者が乳児に選択的に上肢の動きの自由度を追加することを可能にする。前腕と手が前腕-手位置決め部126a、126bによって「胎児手位」に完全に位置決めされ支持されることを必要とする状態から、前腕及び手を「正中線に向けて、正中線周りに」移動させて維持でき、自己鎮静を行い、前腕-手位置決め部126a、126bからの支持を最小限とする又は全く必要としない状態に移行するように乳児を段階的にトレーニングできる。これにより、おくるみからのより段階的な移行/離脱が可能になり、おくるみからのよりスムーズな移行/離脱が実現する。
図29~図32は、おくるみ式衣服20の前腕-手位置決め部126a、126bの内側面128a、128b及び外側面130a、130bの別の構成を示している。この構成では、内側面128a、128bの長さL1及び外側面130a、130bの長さL2の両方が、ほぼ乳児の前腕及び手の長さ(指を自然に折り曲げた状態でぴったりフィットする長さ)を有する。これにより、前腕-手位置決め部126a、126bが、おくるみ式衣服を着用した乳児の身体の前方及び身体から離れる方向に、直角A2で延び、前腕-手位置決め部先端部132a、132bが、乳児の身体の前方及び身体から離れる方向に向く。
図33~図36は、おくるみ式衣服30の前腕-手位置決め部126a、126bの内側面128a、128b及び外側面130a、130bの更に別の構成を示している。この構成では、外側面130a、130bの長さL2がほぼ乳児の前腕及び手の長さ(指を自然に折り曲げた状態でぴったりフィットする長さ)を有し、内側面128a、128bの長さL1が長さL2より長い。これにより、前腕-手位置決め部126a、126bによって画定される空間が、胸領域122a、122bに向かって先細りになり、前腕-手位置決め部126a、126bが、鈍角A3で、正中線Mから離れて、横方向に延び、前腕-手位置決め部先端部132a、132bが、正中線Mから離れて、横方向を指すようになる。
図37及び図38は、前腕-手位置決め部126a、126bの内側面128a、128b及び外側面130a、130bの更に別の構成を、おくるみ式衣服用の前腕-手開口部124a、124bの別の構成と組み合わせて示している。この構成では、内側面128a、128bの長さL1及び外側面130a、130bの長さL2の両方が、ほぼ乳児の前腕及び手の長さ(指を自然に折り曲げた状態でぴったりフィットする長さ)を有している。但し、図37及び図38の構成は、図29~図32に示す構成とは異なり、遥かに大きな周囲長を有する前腕-手開口部124a、124bを有し、これらがそれぞれの側の乳児の胸部をほぼ完全に覆うように構成され、前腕-手開口部124a、124bが、肘領域120a、120bを起点として、胸領域122a、122bを越えて延び、前衿ぐり114の直下であって、正中線Mの近くが終端となって終わいる。これにより、内側面128a、128bの長さL1と外側面130a、130bの長さL2とが同じ長さに構成されていても、図29~図32の構成とは異なり、乳児の前腕及び手は、顔又は口の近くの身体の正中線に向かって幾らか上向きに配置されたままである。これは、図1の衣服により類似した配置である。
図29~図38の構成は、上述以外は図1に示す実施形態と同じ特徴を有している。
図29~図38の構成は、図1の衣服と同様の手法で使用でき、これによって、図1の実施形態と同じ効果を提供する。
但し、図29~図32に示す構成は、(長さL1及び長さL2が同じ長さであるために)乳児の前腕及び手を正中線Mから側方に離れて、肩線P、Qにより近づけ、図1の実施形態によって許容されるよりも、前腕及び手の垂直及び側方の可動域を広げており、一方、長さL2がほぼ乳児の前腕と手の長さであるため(これは、図1の実施形態の長さL2と同じである。)、乳児は、前腕及び手を正中線Mまで内側に動かすことができる(乳児の前腕と手の胎児手位を促す)。
同様に、図33及び図34の構成は、(長さL1が長さL2よりも長いため)乳児の前腕及び手が、横方向に正中線Mから更に離れ、肩線P、Qと交差する位置に配置され、図29~図32の構成によって許容されるよりも、前腕及び手の垂直及び横方向の可動域を更に増加させることができる。また、長さL2がほぼ乳児の前腕と手の長さであるため(これは、図1の実施形態の長さL2と同じである)、乳児は、前腕と手を正中線Mまで内側に動かすことができる(乳児の前腕と手が胎児手位に促される)。
図29~図32及び図33~図38の両方の構成は、乳児の肘を曲げ/屈曲させ、前腕及び手を引き上げた状態で、乳児の上腕及び肘を乳児の胴の側面にしっかりと押し込んだ状態に維持する。これによって、上腕及び肘の動きが十分に抑制され、驚愕反射が抑制される。したがって、乳児の自然覚醒を最小限に抑えることができる。
図29~図32及び図33~図38の構成は、図1の実施形態の構成に加えて、以下の更なる利点を提供する。
a)一部の乳児は、「最適胎勢」として、覚醒時に、前腕及び手が正中線に向けて、正中線周りに動かすことを好む一方で、睡眠中に、前腕及び手が正中線から外側に離れるように配置される状態を含む場合がある。この嗜好は、自然発生的なものであってもよく、過去に異なるおくるみ式の方法/器具を使用したことに起因するものであってもよい。図29~図32及び図33~図38の構成は、これらの乳児を、睡眠中は、好ましい「最適胎勢」に配置し、支持することを可能にし、すなわち、肘を曲げ/屈曲させた状態で、上腕及び肘を胴の側面にしっかりと押し込み、前腕及び手を引き上げ、正中線Mから更に外側に離して配置し、覚醒中は、乳児の前腕と手を「胎児手位」に位置決めして支持し、「正中線に向けて、正中線周りに」身体の様々な部分に動くことを「助長及び許容」する。その一方で、驚愕反射を抑えるために、上腕と肘を胴体の側面にしっかりと折り込んだままにできる。
b)より成長した活動的な乳児は、驚愕反射を抑制するのに十分なおくるみ式衣服にくるまれたままで、前腕及び手の自由な動きを練習してこれに慣れることができる。そのため、保育者が乳児をおくるみからスムーズに移行/離脱させるための更なる手段が提供される。
c)前腕及び手の動きがより自由であることを好むが、安心感と落ち着きを高めるために上腕及び肘を胴の側面にしっかりと折り込むことを好む、特別なニーズを有するより成長した子ども又は成人のおくるみのための追加手段を提供する。
図39~図43は、おくるみ式衣服30A、30B、30C、30D、30Eと共に、おくるみ式衣服用の前腕-手開口部124a、124bの様々な代替構成を示している。前腕-手開口部124a、124bの構成は、前腕-手位置決め部126a、126bの伸長方向及び前腕-手位置決め部先端部132a、132bが向く方向に影響を与える。これによって、乳児の前腕及び手が乳児の身体に沿って垂直方向の様々な位置に配置されることが可能になる。
図39は、おくるみ式衣服のための前腕-手開口部124a、124bの別の構成を示している。この構成では、前腕-手開口部124aは、肘領域120aを起点とし、肘-胸線N2に沿って正中線Mに向かって延び、下胸領域150aで終端となっている。また、前腕-手開口部124bは、肘領域120bを起点とし、肘-胸線O2に沿って正中線Mに向かって延び、下胸領域150bで終端となっている。肘-胸線N2、O2は、肘領域120a、120bから延び、おくるみ式衣服を着用した乳児の下胸部のほぼ中間で正中線Mと交差する。このような図39の上述の構成により、前腕-手位置決め部126a、126bは、肘-胸線N2、O2に沿って、(前腕-手開口部124a、124bから)外向きに且つ正中線Mに向かって延び、前腕-手位置決め部先端部132a、132bは、おくるみ式衣服を着用した乳児の下胸部のほぼ中間において正中線M上で互いに接触している。これにより、乳児の前腕が胸部の上に配置され、手が正中線上で合わさる状態で乳児をくるむことができる。
図40は、おくるみ式衣服用の前腕-手開口部124a、124bの別の構成を示している。この構成では、前腕-手開口部124aは、肘領域120aを起点とし、肘-腹線N3に沿って正中線Mに向かって延びて、上腹部領域152aで終端となっている。前腕-手開口部124bは、肘領域120bを起点とし、肘-腹線O3に沿って正中線Mに向かって延びて、上腹部領域152bで終端となっている。。肘-腹線N3、O3は、肘領域120a、120bから延び、おくるみ式衣服を着用した乳児の腹部のほぼ中央で正中線Mと交差する。このような図5Bの上述の構成により、前腕-手位置決め部126a、126bは、肘-腹線N3、O3に沿って、(前腕-手開口部124a、124bから)外向きに且つ正中線Mに向かって延びている。また、前腕-手位置決め部先端部132a、132bは、おくるみ式衣服を着用した乳児の腹部のほぼ中央で正中線Mを指している。これにより、乳児の前腕が腹部の上に配置され、手が腹部の正中線上で合わせされた状態で乳児をくるむことができる。
図41は、おくるみ式衣服のための前腕-手開口部124a、124bの別の構成を示している。この構成では、前腕-手開口部124aは、肘領域120aを起点とし、肘-足線N4に沿って下方に延び、腰側領域154aで終端となっている。前腕-手開口部124bは、肘領域120bを起点とし、肘-足線O4に沿って下方に延び、腰側領域154bで終端となっている。肘-足線N4、O4は、肘領域120a、120bから下方に延び、おくるみ式衣服を着用した乳児の足の方に向いている。このような図5Cの上述の構成により、前腕-手位置決め部126a、126bは、胴部の側面上で肘-足線N4、O4に沿って、(前腕-手開口部124a、124bから)下方に延びている。また、前腕-手位置決め部先端部132a、132bは、おくるみ式衣服を着用した乳児の足の方にむいている。これにより、乳児の前腕及び手が胴部の側面によって位置決めされた状態で乳児をくるむことができる。
図42は、おくるみ式衣服用の前腕-手開口部124a、124bの別の構成を示している。この構成では、前腕-手開口部124aは、肘領域120aを起点として、肘-耳線N5に沿って正中線Mに向かって上方に延び、腋窩領域156aで終端となっている。前腕-手開口部124bは、肘領域120bを起点として、肘-耳線O5に沿って正中線Mに向かって上方に延び、腋窩領域156bで終端としている。肘-耳線N5、O5は、肘領域120a、120bから延び、おくるみ式衣服を着用した乳児の頭部のほぼ上部で正中線Mと交差する。このような図5Dの上述の構成により、前腕-手位置決め部126a、126bは、肘-耳線N5、O5に沿って、(前腕-手開口部124a、124bから)外向きに、正中線Mに向かって延び、前腕-手位置決め部先端部132a、132bは、おくるみ式衣服を着用した乳児の耳の方向で正中線Mに向いている。これにより、乳児が前腕及び手を上げ、その手が乳児の顔の側面に隣接して位置する状態で乳児をくるむことができる。
図43は、おくるみ式衣服のための前腕-手開口部124a、124bの別の構成を示している。この構成では、図1の前腕-手開口部124a、124bの構成と、図5Cの前腕-手開口部124a、124bの構成とが組み合わされ、これにより、前身頃106の両側に組み合わされた前腕-手開口部124a、124bが形成される。このような図5Eの前述の構成により、前腕-手開口部124a、124bから複数対の前腕-手位置決め部126a、126bが延びることになる。一対の前腕-手位置決め部126a、126bは、肘-口線N、Oに沿って正中線Mに向かって外向きに延び、前腕-手位置決め部先端部132a、132bがおくるみ式衣服を着用した乳児の口の方向で正中線Mに向く。これにより、乳児が前腕や手を顔や口の近くの身体の正中線に向かって上向きに配置した状態で乳児をくるむことができる。肘-足線N4、O4に沿って胴部の側部に下方に延在する別の一対の前腕-手位置決め部126a、126bでは、前腕-手位置決め部先端部132a、132bがおくるみ式衣服を着用した乳児の足の方に向く。これにより、乳児が前腕や手を胴部の側部に位置させた状態で乳児をくるむことができる。
図39~図43の上述した以外の構成は、図1に示す実施形態と同じ特徴を有している。図39の構成によれば、使用時には、保育者は、前腕が胸の上に配置され、手が正中線で互いに合わさる状態で、乳児をくるむことができる。図40の構成によれば、使用時には、保育者は、前腕が腹部の上に配置され、手が腹部の正中線で互いに合わされる状態で、乳児をくるむことができる。図41の構成によれば、使用時には、保育者は、前腕や手が胴部の側面に位置された状態で、乳児をくるむことができる。
図39~図41の構成によれば、くるまれることによる乳児の腕の制限が徐々に強められている。図39の構成によれば、制限が最も弱く、図41の構成によれば、その構成群の中で最も制限が強い。これにより、以下のような更なる利点が提供される。
a)以下のような状況では、乳児を落ち着かせるためにより制限が強くなるおくるみが必要になる場合がある。
i.生後早期の時期であり、環境の変化により、乳児の探索行動及び目標指向行動が相対的に中断し、運動制御ができなくなる時期。
ii.病気や、歯の生え始め、急激な成長期等に起因する睡眠退行の時期。
iii.個人の嗜好やより強い驚愕反射の存在に起因するものかもしれないが、乳児によっては、腕をより拘束的にくるんだ方が落ち着きやすい場合もある。
iv.まだ手の動きをコントロールできるようになっていない乳児の中には、自分の目を突いたり、顔を平手打ちしたりして眠れなくなる傾向を有する乳児もおり、このようなことは、手を覆っていても起こる。
v.顔や頭を引っかく傾向がある乳児もいる。乳児が湿疹を有する場合は、この行動が特に問題となる。手を覆うことでは、引っかき傷を防ぎ、湿疹の炎症を最小限に抑えることができるが、全ての乳児に当てはまるわけではない。
b)図1の衣服を使用して、乳児の前腕及び手を前身頃106内に完全に封入して乳児の腕をより制限的にくるむこともできるが、図39~図41の構成によれば、乳児の前腕や手を、一部の乳児に求められているような特定の位置に保持させるためのより安全な方法が提供される。
図42に示す構成によれば、使用時には、保育者は、前腕や手を上げ、手が乳児の顔の側面の隣に位置された状態で、乳児をくるむことができる。これは、「胎児手位」のバリエーションであり、一部の乳児には好適であり、そのため有利でもある。
図43に示す構成によれば、使用には、保育者は、乳児の前腕や手を、「顔や口の近くの身体の正中線に向かって上向きに」、又は、「胴部の側面に」、配置した状態を選択して、乳児をくるむことができ、これによって、以下の追加の利点を提供できる。
a)胎内環境から外環境への適応を容易にする。
b)前腕と手の配置位置を複数用意することにより、乳児のニーズの変化に合わせて使用することができ、更なる汎用性とコスト削減が可能になる。
c)乳児の個々のニーズや、発達段階、嗜好に応じて、保育者が乳児をくるむための追加手段が提供される。
前身頃について、様々な他の実施形態が提供されてもよい(図示せず)。前身頃は、正中線に沿って主開口部を形成するように、2つの小さい前面部に垂直に分割できる。主開口部172は、解除可能な締結機構によって、開いた状態と閉じた状態とを選択できる。解除可能な締結機構174は、好ましくは、ジッパであるが、これに限定されるものではなく、例えば、ジッパや、面ファスナ、スナップ、ボタン、ドローストリング、タイストリング、クラスプ、ラップ、ストラップ、マグネット、ファスナ、又はこれらの組み合わせ等を含む種々のタイプの任意の適切な締結機構であってもよい。
おくるみ式衣服用の前身頃106の別の実施形態では、前身頃部分は、カーディガンの形状に形成してもよい。解除可能な締結機構は、二列のスナップ又はボタン、小さい前身頃部分を含んでもよい。これによって、おくるみ式衣服を、他のより厚手な衣服に容易に重ね着させることができ、保育者は、乳児の要求に応じておくるみ式衣服の締め付け具合を追加的に調整できる。
別の実施形態では、前身頃部分は、着物形式で互いに重なり合うように形成してもよい。解除可能な締結機構は、各腰側領域における面ファスナの対によって構成されてもよい。これによって、おくるみ式衣服を着用した乳児に更なる温かみや快適さを提供することができる。
図44~図47は、おくるみ式衣服40についての様々な他の実施形態を示している。これらの構成では、おくるみ式衣服は、乳児の上半身及び上肢を受け入れて支持するための図1に示すのと同じ上側部分102を含む。これらの更なる実施形態は、下側部分200を更に含む。下側部分200は、乳児の下半身及び下肢を(部分的に又は完全に)受け入れて包み込むための任意の適切な「要素、特徴、又は構造」を含んでいてもよい。
図44において、おくるみ式衣服は、乳児の下胴を受け入れて包み込むための下胴部202を有する下側部分200を備えている。下胴部202は、シェル部分104に連続して形成されており、乳児の脚を通すことができる脚開口部204a、204bと、股下締結機構208によって前身頃106を後身頃108に選択的に固定する股下開口部206(股下領域210の下方最下端)と、を有している。股下締結機構208は、一組のスナップが好ましいが、他の適切な、いかなる締結機構が採用されてもよい。
図44の実施形態は、上述以外は図1及び図20に示す実施形態と同じ特徴を有している。
図44の衣服は、図1及び図20の衣服と同様の手法で使用でき、それによって、同じ効果を奏することができる。
但し、図44の衣服は、その使用時において、以下の点が異なる。保育者は、おくるみ式衣服をスライドさせ、または、引っ張って、乳児の頭部の上に被せる。次に、乳児の前腕や手をそれぞれの前腕-手位置決め部126a、126bに配置し、続いて、股下開口部206を股下領域210の下方最下端まで引き下げる。次に、乳児の脚を脚開口部204a、204bに通して、股下開口部206を股下締結機構208によって選択的に締結する。図44の実施形態によれば、図1及び図20の実施形態に対して、以下の更なる利点が提供される。
a)おくるみ式衣服が乳児の体にずり上がらないようにするために、おくるみ式衣服を乳児の股に固定する、より安全な方法が提供される。これにより、生地の緩みによる狭窄や窒息等のリスク、及び、乳児の胴体が露出されるリスクを排除しながら、おむつ/おしめへのアクセスを容易になる。そのため、保育者は、乳児を起こしたり、不穏にさせたりすることなく、乳児のおむつ/おしめの点検や交換ができる。
b)乳児の下半身を覆うことで、周囲の気温が下がっても、乳児に暖かさを提供できる。
図45~図49は、おくるみ式衣服50の他の実施形態を示している。下側部分200は、乳児の下半身及び脚部を受け入れて囲むためのポーチ部分、すなわち、バッグ部分、すなわち、袋部分300を含む。袋部分300は、シェル部分104に連続して形成されており、ベル形状の前身頃106及び後身頃108を構成するように、腰領域110から下方に連続している。
前身頃106は、正中線Mに沿って主開口部172が形成されていることによって、2つの小さい前身頃部分170a、170bへと垂直に分割されている。主開口部172は、解除可能な締結機構174によって開いた状態と閉じた状態とを選択できる。解除可能な締結機構174としてはは、以下に限定されるわけではないが、ジッパや、面ファスナ、スナップ、ボタン、ドローストリング、タイストリング、クラスプ、ラップ、ストラップ、マグネット、ファスナ、又はこれらの組み合わせ等を含む種々のタイプの任意の適切な締結機構が採用されてもよい。解除可能な締結機構174は、上側ジッパスライダ302及び下側ジッパスライダ304を含む二方向ジッパであることが好ましい。これにより、(保育者が、おくるみ式衣服を選択的に開閉して、「乳児を内部に配置又は保持」できたり、おくるみ式衣服から「乳児を取り出す」ことができたりするように)上端から主開口部172を全開にすることができる。また、(保育者が乳児の下半身にアクセスできるように)下端から主開口部172を部分的に開くこともできる。
後身頃108は、子ども用安全ハーネスを受け入れるハーネス開口部306を有している。これにより、主開口部172が下端から部分的に開口した状態で、子ども用安全ハーネスをおくるみ式衣服の全体にわたって通過させることが可能になるため、おくるみ式衣服を着用させたまま、乳児をカーシート又はベビーカーに固定することが可能になる。
図45~図49の実施形態は、上述以外は図1及び図20に示す実施形態と同じ特徴を有している。
図45~図49の実施形態は、図1及び図20の衣服と同様の手法で使用でき、これによって、同じ効果を奏することができる。
但し、図45~図49の実施形態は、使用時において以下の点が異なっている。保育者は、上側ジッパスライダ302(図47)を下方に引っ張ることによって主開口部172を選択的に開く。次に、乳児の前腕や手をそれぞれの前腕-手位置決め部126a、126bに配置して、乳児の胴及び四肢をおくるみ式衣服内に配置する。続いて、上側ジッパスライダ302を上方に引っ張ることによって主開口部172を閉じ、乳児の全身を首から下方に囲み、四肢の全てをおくるみ式衣服内に包み込む(図49)。この構成によれば、保育者は、下側ジッパスライダ304を上方に引き上げることによって、主開口部172を部分的に選択的に開いて、乳児が十分におくるみでくるまれた状態(図49)を維持しながら、乳児の検温をしたり、おむつ/おしめをチェックしたり、交換したりすることができる。また、自動車やベビーカーで子ども用安全ハーネスを使用することもできる。
以上のように、図44~図49の実施形態によれば、図1及び図20の実施形態に対して、以下の更なる利点が提供される。
a)保育者が、おくるみ式衣服を選択的に開閉して、「乳児を内部に配置又は保持」でき、おくるみ式衣服から速やか且つ容易に「乳児を取り出す」ことができる。この構成は、保育者が夜中に乳児の体をくるむ必要がある場合や、ぐずっている乳児や、気分がすぐれない乳児を刺激しすぎないようにすばやく、おくるみでくるんだり、おくるみを解除したりする必要がある場合に特に有益である。
b)乳児の下半身と四肢を完全に覆うことができるため、より低温な環境や天候の下でも、乳児にさらなる暖かさを提供できる。このおくるみ式衣服は、あらゆる季節や環境温度に亘って、乳児のおくるみとして対応できるようにするために、様々な暖かさや厚さを有する任意の適切な素材で形成することができる。
c)おくるみ式衣服の完全に閉鎖された環境は、子宮内の快適で安全な環境に閉じ込められているという付加的な感覚を乳児に与えることができる。このことは、乳児を落ち着かせるのに、更に役立つ。
d)下半身が完全に閉じられていても、この衣服は、次のような利点がある。
i.おむつ/おしめへのアクセスが容易であり、保育者が、乳児を起こしたり、不穏にさせたりすることなく、乳児のおむつ/おしめを点検したり、交換したりできる。
ii.過熱の危険性を低減するための追加的な方法が提供される。例えば、気温が高い時期は、下側ジッパスライダ304を引き上げて、解除可能な締結機構174の下半分を開放されたままにできるため、空気を循環させるための開放換気可能になる。
iii.より寒い時期及び低い気温下では、暖かい乳児用寝袋、パジャマ、ボディスーツ等、他の衣服との重ね着が可能である。
iv.十分な空間を提供し、乳児の臀部及び脚部を制限しないベル型のデザインのおかげで、胎児姿勢において股関節が自由に動き、膝が自由に曲がるようになるため、股関節形成不全のリスクを低減又は排除できる。
v.袋部分300をより広く構成することにより、あらゆるタイプのヒップブレースやヒップハーネスと共に使用することができる。
vi.車やベビーカーでの移動の際に、5点ハーネス等、子ども用安全ハーネスを使用できる。
e)下半身と下肢を完全に包み込むことで、乳児は、下半身と下肢の皮膚に生地の質感を感じることができる。これにより、乳児を落ち着かせる追加的な触覚刺激を与えることができ、乳児の感覚発達を更に促すことができる。
f)乳児は、おくるみ式衣服の抵抗に逆らった脚蹴りができるため、筋肉の発達や運動技能の改善にも役立つ。
g)下半身と下肢、足蹴りが完全に閉じられていることは、おくるみ式衣服の固定や乳児の体へのめくれ上がりの防止に更に役立つ。
図50は、図44~図49の実施形態の代替変形例を示す。この衣服50では、前身頃106は、主開口部172を含む。主開口部172は、正中線Mが前衿ぐり114と交差する点から始まり、腰側領域154bに向かって下方に延びて横断し(あるいは、反対側の腰側領域154aに向かって延びてもよい)、続いて下方に延びて、袋部分300の左側縁から反対側縁に向かって周囲に延びる(図50)。主開口部172は、始点から腰側領域154bまで直線状、曲線状、又は波状の線を描いていてもよい。
主開口部172は、解除可能な締結機構174によって開いた状態と閉じた状態とを選択可能である。解除可能な締結機構174としては、以下に限定されるわけではないが、例えば、ジッパや、面ファスナ、スナップ、ボタン、ドローストリング、タイストリング、クラスプ、ラップ、ストラップ、マグネット、ファスナ、又はこれらの組み合わせ等を含む種々のタイプの任意の適切な締結機構が採用されてもよい。解除可能な締結機構174は、上側ジッパスライダ302及び下側ジッパスライダ304を含む二方向ジッパであることが好ましい。これにより、(保育者が、おくるみ式衣服を選択的に開閉して、「乳児を内部に配置又は保持」でき、又はおくるみ式衣服から「乳児を取り出す」ことができるように)上端から主開口部172を全開にできる。また、(保育者が乳児の下半身にアクセスできるように)下端から主開口部172を部分的に開くことができる。
後身頃108は、子ども用安全ハーネスを受け入れるハーネス開口部306を有する。前身頃106は、子ども用ハーネスが安全におくるみ式衣服を通過できるようにする前部ハーネス開口部308を含む。これにより、おくるみ式衣服を着用させたまま、乳児をカーシート又はベビーカーに固定できる。
図50の実施形態は、上述した点以外は図45に示す実施形態と同じ特徴を有している。図50の実施形態は、図45の実施形態と同様に使用でき、これによって、図45の実施形態と同じ効果を奏することができる。
但し、図50の実施形態は、使用時において、以下の点が異なっている。主開口部172はより広く開くことができ、完全に開くことにより、袋部分300が完全に平坦になる。これによって、図45の実施形態に対して、以下の更なる利点が提供される。
a)より広い開口部を有するため、活発な乳児をおくるみ式衣服の中に収めたり、、そこから出したりすることがより容易にできる選択肢となり得る。
b)保育者が、おくるみ式衣服の底部から乳児の足を外す必要なく、乳児のおむつ/おしめを点検したり、交換したりでき、乳児を起こしたり、不穏にさせたりするリスクを更に最小限に抑えることができる。
図51は、おくるみ式衣服60の他の実施形態を示している。この実施形態では、下側部分200は、乳児の下半身及び脚部を受容して収容するための脚部分、すなわちパンツ部分、すなわちズボン部分400を含む。また、ズボン部分400は、股下領域210と両側の2つのズボン脚402a、402bとを含む。ズボン脚402aは、膝領域404aを含み、ズボン脚402bは、膝領域404bを含む。ズボン部分400は、シェル部分104と連続して形成されており、「ワンピーススーツ」形状の前身頃106及び後身頃108が構成されるように、腰領域110から下方に連続している。前身頃106は、主開口部172を含む。主開口部172は、正中線Mが前衿ぐり114と交差する点から始まり、正中線Mに沿って下方に延び、次いで股下領域210からズボン脚402bに向かって向きを変え、膝領域404bの下で終端になっている。あるいは、主開口部172は、膝領域404aの下方で終わるズボン脚402aに向かって向きを変えてもよい。主開口部172は、解除可能な締結機構174によって開いた状態と閉じた状態とを選択できる。解除可能な締結機構174としては、以下に限定されるわけではないが、例えば、ジッパや、面ファスナ、スナップ、ボタン、ドローストリング、タイストリング、クラスプ、ラップ、ストラップ、マグネット、ファスナ、又はこれらの組み合わせ等を含む種々のタイプの任意の適切な締結機構が採用されてもよい。解除可能な締結機構174は、上側ジッパスライダ302及び下側ジッパスライダ304を含む二方向ジッパであることが好ましい。これにより、(保育者が、おくるみ式衣服を選択的に開閉して、「乳児を内部に配置又は保持」でき、又はおくるみ式衣服から「乳児を取り出す」ことができるように)上端から主開口部172を全開にできる。また、(保育者が乳児の下半身にアクセスできるように)下端から主開口部172を部分的に開くことができる。
図51の実施形態は、上述した点以外は図1及び図20に示す実施形態と同じ特徴を有している。図50の実施形態は、図1及び図20の実施形態と同様の方法で使用でき、これによって同じ利点を提供する。
但し、図50及び図51の実施形態では、使用時において以下の点が異なる。保育者は、上側ジッパスライダ302を下方に引っ張ることによって主開口部172を選択的に開く。次に、乳児の胴及び四肢をおくるみ式衣服内に配置し、乳児の前腕及び手をそれぞれの前腕-手位置決め部126a、126bに配置して、乳児の脚を、それぞれのズボン脚402a、402bの内側に配置する。次に、上側ジッパスライダ302を上方に引くことによって主開口部172を閉じ、乳児の首から下の全身を衣服に収め、脚の自由な動きを許容しながら、四肢全てをおくるみ式衣服内に包み込む。保育者は、下側ジッパスライダ304を上方に引くことによって、主開口部172を部分的に選択的に開くことができる。これにより、乳児を十分にくるんだまま、乳児の体温をチェックしたり、おむつ/おしめをチェックしたり、交換したりすることができる。
以上のように、図50及び図51の実施形態によれば、図1及び図2に示す実施形態に対して、以下の追加的な利点が提供される。
a)保育者は、おくるみ式衣服を選択的に開閉することにより、「乳児を内部に収め、保持したままに」でき、おくるみ式衣服から速やか且つ容易に「乳児を取り出す」こともできる。この点は、保育者が夜中に乳児の体をくるむ必要がある場合や、ぐずっている乳児や気分がすぐれない乳児を刺激しすぎないように、すばやくくるんだり、くるまれた状態から解除したりする必要がある場合に、特に有利である。
b)乳児の下半身と四肢を完全に覆うことができるため、より低温な環境や天候の下でも、乳児にさらなる暖かさを提供できる。このおくるみ式衣服は、あらゆる季節や環境温度に亘って、乳児のおくるみとして対応できるようにするために、様々な暖かさや厚さを有する任意の適切な素材で形成することができる。
c)おくるみ式衣服の完全に閉鎖された環境は、子宮内の快適で安全な環境に閉じ込められているという付加的な感覚を乳児に与えることができる。このことは、乳児を落ち着かせるのにさらに役立つ。
d)下半身が完全に閉じられていても、図51及び図52の実施形態は、次のような利点がある。
i.二方向ジッパによる解除可能な締結機構174が使用されることにより、おむつ/おしめへのアクセスが容易になり、保育者が、乳児を起こしたり、不穏にさせたりすることなく、乳児のおむつ/おしめを点検したり、交換したりできる。
ii.過熱の危険性を低減するための追加的な方法が提供される。例えば、気温が高い時期は、下側ジッパスライダ304を引き上げて、解除可能な締結機構174の下半分を開放されたままにできるため、空気を循環させるための開放換気が可能になる。
iii.より寒い時期及び低い気温下では、パジャマ、ボディスーツ等、他の衣服との重ね着が可能である。
iv.「ワンピーススーツ」のデザインにより、胎児姿勢で股関節が自由に動き、膝を自由に曲げることができるため、股関節形成不全のリスクを排除できる。
v.車やベビーカーでの移動の際に、5点ハーネス等、子ども用安全ハーネスを使用できる。
e)下半身と下肢を完全に包み込むことで、乳児は、下半身と下肢の皮膚に生地の質感を感じることができる。これにより、乳児を落ち着かせる追加的な触覚刺激を与えることができ、乳児の感覚発達を更に促すことができる。
f)乳児は、おくるみ式衣服の抵抗に逆らっった脚蹴りができるため、筋肉の発達や運動技能の改善にも役立つ。
g)下半身と下肢、足蹴りが完全に閉じられていることは、おくるみ式衣服の固定や乳児の体へのめくり上がりの防止に更に役立つ。
h)「ワンピーススーツ」のデザインは、足の自由な動きを許容する(これは、一部のより成長し、より活発な乳児に好まれる)。
i)脚を自由に動かせるということは、特に特別なニーズを有している人に限らず、より成長した子どもや大人にも勧められる。
図53及び図54は、図51及び図52の実施形態の変形である代替衣服70を示している。この代替衣服70では、ズボン脚402a、402aの最下端に、乳児の足を通し、伸び出させることができる足開口部406a、406bが形成されている。足開口部406a、406bは、緩く余裕のある裾であってもよく、弾性素材で形成されてもよいし、乳児の足首の周囲にフィットするサイズであってもよい。それぞれの足開口部406a、406bから外側に一対の足首裾408a、408bが延び出ていてもよい。足首裾408a、408bは、乳児の足首の周囲にフィットするようなサイズに形成できる。また、「開放又は閉鎖」の位置の間で選択的に折り畳んで、乳児の足を「露出させ又は覆う」ことができる一対の折り重ね式足用ミトン410a、410bを有する構成とすることができる。図52は、閉鎖位置における折り重ね式足用ミトン410aを示し、図は、開放位置における折り重ね式足用ミトン410bを示している。
後身頃108は、保育者が後部から乳児の下半身にアクセスできるドロップシート開口部412を有していてもよい。ドロップシート開口部412は、(図53に示されているように)ドロップシート開口部412の選択的な開閉を可能にするドロップシート締結機構414を含む。ドロップシート締結機構414は、好ましくは、ジッパであるが、これに限定されるものではなく、例えば、ジッパや、面ファスナ、スナップ、ボタン、ドローストリング、タイストリング、クラスプ、ラップ、ストラップ、マグネット、ファスナ、又はこれらの組み合わせ等を含む種々のタイプの任意の適切な締結機構によって構成されてもよい。
図53及び図54の実施形態は、上述以外は図53及び図54に示す実施形態と同じ特徴を有している。
図10C-Dの実施形態は、図10A-Bの実施形態と同様に使用でき、これによって、図10A-Bの実施形態と同様の利点を提供する。
但し、図53及び図54の実施形態は、図51及び図52の実施形態に対して、以下の更なる利点を提供する。
a)保育者が遊び時間のために乳児の足を選択的に開くことができ、足の触覚刺激が更に促進させることができるため、乳児の感覚及び運動発達の改善に役立つ。
b)保育者は、乳児の足を温かく保てるように、乳児の足を選択的に覆うことができる。これにより、より低温な環境や天候に下においても、乳児に追加的に暖かさを提供できる。
c)おくるみ式衣服と共に、靴下、ブーティ、靴を着用できる。
d)ドロップシート開口部は、保育者に、乳児の検温や、おむつの点検又は交換、トイレ処理、トイレトレーニングを行うための、乳児の下半身への代替的なアクセスを提供する。
e)(特に、特別なニーズのある人に限定されないが、)より成長した小児及び成人への使用に採用された場合、以下のような利点がある。
i.折り重ね式足用ミトン410a、410bを開放位置で折り返した状態では、乳児は、足開口部406a、406bから足を出して、必要に応じて歩き回ることができる。よって、例えば、夜中に起きてトイレに行くことができ、トイレに行く際におくるみ式衣服を脱がないで済む。
ii.二方向ジッパによる解除可能な締結機構174により、男児であれば、おくるみ式衣服を脱がせる必要なく、排尿させることができる。
iii.ドロップシート締結機構414により、ドロップシート開口部412を選択的に開閉でき、おくるみ式衣服を脱がせることなく、男児が排便し、女児が排尿及び排便することができる。
前述の説明及び図は、多くの具体的事項を含んでいるが、これらは、技術的範囲の限定事項として解釈されるべきではなく、幾つかの実施形態及びその構成の幾つかの例示として解釈されるべきである。
乳児(又は同じ適性を共有する乳児の下位集合)を、その好ましい「最適胎勢」に位置決めして支持しながら、乳児の前腕及び手を「胎児手位」に位置決めして支持し、更に、上腕及び肘を胴体の側面に十分に折り込んだまま維持することにより、驚愕反射を抑制できるように、上述した幾つかの実施形態及びその構成例又は変形例の要素、特徴、及び構造のいずれかを組み合わせることも可能である。
同様に、段階的に乳児の上肢の動きの自由度を高め、手及び指にアクセスさせることによって、乳児をおくるみからスムーズに移行/離脱させることができるように、上述した幾つかの実施形態及びその構成例又は変形例の要素、特徴、及び構造のいずれかを組み合わせることも可能である。
更に、幾つかの実施形態及び構成は、本明細書に開示される正確な構成及び構成要素に限定されない。ここに開示した要素、特徴、又は構造は、他の実施形態及び構成と組み合わせて使用できることは当業者とって明らかである。他にも多くの派生、バリエーション、組み合わせが可能である。以下に例を示す。
上腕及び肘の動きを十分に抑制しながら、前腕及び手の垂直方向、側面方向、及び内側方向の動きの「制限又は自由度」の変化、並びに前腕及び手の「正中線から側方に離れる」又は「正中線に向かう」ための「位置決め及び支持」の変化は、以下のいずれかの手段によって達成される。
a)図1~図38の実施形態及び構成に示すように、外側面130a、130bの長さL2を変化させずに、内側面128a、128bの長さL1を変化させる。
b)図20~図24の実施形態に示すように、開放位置又は閉鎖位置の間で選択的に折り畳むことができ、好ましくは、弾性素材で形成され、乳児の手首にぴったりとフィットするサイズの手開口部134a、134bを有する折り重ね式ハンドミトン136a、136bを設ける。
c)図25~図28の実施形態に示すように、開放位置と閉鎖位置との間で選択的に折り畳むことができ、乳児の親指を通して前腕-手位置決め部126a、126bを固定できる親指穴138a、138bを有する折り重ね式ハンドミトン136a、136bを設ける。
d)図25~図28の実施形態に示すように、手開口部134a、134bの外周/周囲長を変化させる。
e)前腕-手開口部124a、124bの外周/周囲長及び/又は形状を変化させる。例えば、乳児の胸部をほぼ完全に覆うように、前腕-手開口部124a、124bの長さをより大きく構成する。前腕-手開口部124a、124bが肘領域120a、120bを起点として、胸領域122a、122bを越えて延び、前衿ぐり114の直下であって、正中線Mの近くで終端となるようにする。これにより、内側面128a、128bの長さL1と外側面130a、130bの長さL2とが同じ長さに構成されていても、図25~図28の構成とは異なり、乳児の前腕及び手は、顔又は口の近くの身体の正中線に向かって幾らか上向きに配置されたままとなる(図37及び図38に示すように、これは、図1~図19の実施形態とより類似した配置である)。
f)図39~図43の実施形態に示すように、前腕-手開口部124a、124bが、肘領域120a、120bが始点となり、前身頃106上の胸領域又はその上方の様々な領域が終端となるように構成する。
g)図39~図43の実施形態に示すように、前身頃106上の様々な位置に設けられた前腕-手開口部124a、124bと前腕-手位置決め部126a、126bとの複数の対を構成する。
h)伸縮性の異なる様々な生地によっておくるみ式衣服を構成する。
上腕及び肘の動きの「拘束又は自由」の程度の変化や、それによる驚愕反射抑制の程度の変化は、以下のいずれかの手段によって達成される。
a)外側面130a、130bの長さL2を変化させる。例えば、L2の長さが乳児の前腕の長さとほぼ同じ場合、上腕と肘の動きが最も制限される。また、L2の長さが乳児の前腕の長さよりも長い場合、乳児の腕のより多くの部分を前腕-手位置決め部126a、126bによって包み込むことができ、上腕及び肘の動きの自由度を高めることができる。
b)外側面130a、130bの長さL2を、内側面128a、128bの長さL1の変化に併せて変化させる。
c)図20~図25の実施形態に示すように、開放位置と閉鎖位置との間で選択的に折り畳むことができる折り重ね式ハンドミトン136a、136bを、乳児の手首にぴったりとフィットするサイズを有し、好ましくは、弾性素材で形成された手開口部134a、134bと共に設ける。
d)図25~図28の実施形態に示すように、開放位置と閉鎖位置との間で選択的に折り畳むことができる折り重ね式ハンドミトン136a、136bを、乳児の親指を通して前腕-手位置決め部126a、126bを固定できる親指穴138a、138bと共に設ける。
e)図25~図28の実施形態に示すように、手開口部134a、134bの外周/周囲長を変化させる。
f)伸縮性の異なる様々な生地によっておくるみ式衣服を構成する。
以下のいずれかの手段により、上肢及び肘の動きを十分に抑制しながら、乳児の手や指による制限されることのない肌と肌との触れ合いを実現することができる。
a)図2A-Eの実施形態に示すように、開放位置と閉鎖位置との間で選択的に折り畳むことができる折り重ね式ハンドミトン136a,136bを、乳児の手首にぴったりとフィットするサイズを有し、好ましくは、弾性素材で形成された手開口部134a,134bと共に設ける。
b)図25~図28の実施形態に示すように、開放位置と閉鎖位置との間で選択的に折り畳むことができる折り重ね式ハンドミトン136a、136bを、乳児の親指を通して前腕-手位置決め部126a、126bを固定できる親指穴138a,138bとともに設ける。
c)図25~図28の実施形態に示すように、手開口部134a,134bの外周/周囲長を変化させることとともに、開放位置又は閉鎖位置の間で選択的に折り畳むことができる折り重ね式ハンドミトン136a,136bを設ける。
シェル部分104及び下側部分200は、それぞれに分離したり、組み合わせたりした、他の形態を有していてもよい。例えば、前身頃106上に解除可能な締結機構を備えたボディスーツを形成するシェル部分及び袋部分や、着物スタイルのボディスーツを形成するシェル部分と袋部分、腰部分に弾力性を有する主開口部がある袋部分、着物スタイルのシェル部分とサイドジッパを有する袋部分、連続した着物スタイルを形成するシェル部分と袋部分、連続したサイドジッパを有するシェル部分及び袋部分、並びに着物スタイルのワンピーススーツを構成するシェル部分や袋部分等の形態を有していてもよい。
解除可能な締結機構174は、以下に限定されるわけではないが、例えば、ジッパや、面ファスナ、スナップ、ボタン、ドローストリング、タイストリング、クラスプ、ラップ、ストラップ、マグネット、ファスナ、又はこれらの組み合わせ等を含む種々のタイプの任意の適切な締結機構で構成されてもよい。
ここに開示した要素、特徴、又は構造は、任意の適切な素材によって形成されてもよい。例えば、以下に限定されるわけではないが、織編物や、ポリエステル系織物、綿ポリエステル混紡織物、キルティング織物、毛織物、竹織物等、を含む任意の適切な素材又はそれらの組み合わせによって形成できる。好ましくは、綿とスパンデックスの混合組成物を有する織物のような、伸長及び圧縮能力(伸長し及び元の形状に戻ることができる能力)を有する素材によって形成できる。また、全ての季節及び周囲温度に対応できるように、1層又は複数層の様々な暖かさ又は厚さの任意の適切な素材から形成されてもよい。
ここに開示した個々の要素、特徴、又は構造は、様々な暖かさ又は伸張特性を有するように構成することもできる。例えば、前身頃106は、暖かさを提供するためにキルティング布によって形成されてもよい。また、前腕-手位置決め部126a、126bは、前腕及び手の動きを可能にするために、より薄い伸張性布によって形成されてもよい。
本明細書に記載する幾つかの実施形態及び構成は、未熟児、新生児、及び、おくるみを必要とするあらゆる乳児に使用されることが意図されている。但し、(当業者にとっては明らかなように)これらの実施形態は、特に特別なニーズを有している人に限らず、より成長した子どもや大人にも容易に適用できる。
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Claims (23)

  1. 乳児用のおくるみ式衣服であって、
    乳児の上半身を受ける上半身部を備え、
    前記上半身部は、
    使用時に乳児の背中を覆う背部と、
    使用時に乳児の胸を覆う前胸部と、
    使用時に乳児の正中線を覆う正中線領域と、
    使用時に乳児の右肘の位置に対応する右側の肘領域と、
    使用時に乳児の左肘の位置に対応する左側の肘領域と、
    を有し、
    前記おくるみ式衣服は、可撓性素材から形成され、更に、
    前記肘領域のそれぞれから前記前胸部へと延びる前記肘領域のそれぞれの開口部と、前記各開口部に連通する前腕袖とを備え、
    前記開口部及び前記前腕袖は、乳児が、前腕を、前記開口部を通じて袖内の所定の前腕位置まで伸ばすことができ、
    乳児が、前記前腕が所定の位置に向けて付勢される状態で、前記可撓性素材の抵抗に抗して前記前腕を所定の前腕位置から離れるように動かせるように構成されている、おくるみ式衣服。
  2. 請求項1に記載のおくるみ式衣服において、前記おくるみ式衣服は、弾力性を有する素材から形成されている、おくるみ式衣服。
  3. 請求項2に記載のおくるみ式衣服において、前記おくるみ式衣服は、乳児が、第1の復元力に対して、前記前腕を、前記所定の位置から乳児の正中位置に向けて、縦に動かすことができるように構成され、且つ、乳児が、第2の復元力に対して、前記前腕を、横に動かすことができるように構成され、前記第1の復元力は、前記第2の復元力よりも小さい、おくるみ式衣服。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記前腕袖のそれぞれは、第1の長さを有する外側と、第2の長さを有する内側とを有し、前記第1の長さは、前記第2の長さより長く、前記前腕が前記所定の位置にあるときに、前記前腕が胸部に対して鋭角になる、おくるみ式衣服。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記前腕袖のそれぞれは、第1の長さを有する外側と、第2の長さを有する内側とを有し、前記第1の長さと前記第2の長さとは、実質的に同じであり、前記前腕が前記所定の位置にあるとき、前記前腕が胸部に対して実質的に垂直になる、おくるみ式衣服。
  6. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記前腕袖のそれぞれは、第1の長さを有する外側と、第2の長さを有する内側とを有し、前記第1の長さは、前記第2の長さより短く、前記前腕が前記所定の位置にあるときに、前記前腕が胸部に対して鈍角になる、おくるみ式衣服。
  7. 請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記第1の長さは、手を閉じたときの乳児の前腕と手の長さとの合計と略同じである、おくるみ式衣服。
  8. 請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記第1の長さは、乳児の前腕の全長と略同じである、おくるみ式衣服。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記開口部は、前記肘領域から延び、肘と口の間の線に沿って延びている、おくるみ式衣服。
  10. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記開口部は、前記肘領域から乳児の前記正中線に向かって延び、胸部下部で終端となる、おくるみ式衣服。
  11. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記開口部は、前記肘領域から前記正中線に向かって延び、胸部中央部で終端となる、おくるみ式衣服。
  12. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記開口部は、前記肘領域から延び、下腹部で終端となる、おくるみ式衣服。
  13. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記開口部は、前記肘領域から、腰側部領域で終端となる、おくるみ式衣服。
  14. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記開口部は、前記肘領域から、耳に向かって延びている、おくるみ式衣服。
  15. 請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、第2の一対の開口部と、第2の一対の袖とを更に備える、おくるみ式衣服。
  16. 請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記前腕又は各前腕が前記前腕袖内に選択的に延在するように構成されている、おくるみ式衣服。
  17. 請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記前腕袖の一方又は両方の端部は、手を覆うように閉じられている、おくるみ式衣服。
  18. 請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記前腕袖の一方又は両方の端部は、手を通過させて伸ばすことができるように開かれている、おくるみ式衣服。
  19. 請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記前腕袖の一方又は両方の端部は、そこから手の一部を伸ばすことができるように構成されている、おくるみ式衣服。
  20. 請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、前記前腕袖の一方又は両方の端部は、そこに手又は手の一部を通過させて伸ばすことができるように、閉鎖位置と開放位置との間で選択的に移動される、おくるみ式衣服。
  21. 請求項1から請求項20のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服において、乳児の脚を緩く受けるための下部を更に備える、おくるみ式衣服。
  22. 乳児における斜頭症の予防または治療のための方法であって、
    請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の衣服を準備する工程と、
    前記衣服内に乳児を置く工程と、
    一方の腕を袖部の1つに入れて前腕と手を自由にする工程と、
    他方の手を前部の内側に入れ、乳児が自由な手を吸引できるようにし、定期的に腕の位置を変えて、吸引できる自由な手を交代させる工程と、
    を備える、方法。
  23. 乳児における斜頸の予防または治療のための方法であって、
    請求項1から請求項21のいずれか一項に記載のおくるみ式衣服を準備する工程と、
    前記衣服内に乳児を置く工程と、
    一方の腕を袖部の1つに入れて前腕と手を自由にする工程と、
    他方の手を前部の内側に入れ、乳児が自由な手を吸引できるようにし、定期的に腕の位置を変えて、吸引できる自由な手を交代させる工程と、
    を備える、方法。
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