JP2023514042A - 関節伸張システム - Google Patents

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Abstract

関節伸張デバイスおよびその使用方法について開示する。関節伸張デバイスは、屈曲アームと、関節に挿入するようにそれぞれ構成されている伸張先端および負荷先端を有する負荷アームと、を含む。屈曲アームは、負荷アームに連結され、そのため、使用中、負荷アームは、伸張先端と負荷先端とを分離して関節に延伸力を加えるように調整され得る。歪みゲージは、加えられた延伸力に基づいて、屈曲アームに加えられた歪みを測定する。測定された歪みを使用して、関節に加えられた力の量を決定する。力のデータを外科手術計画時に用いて、特定の負荷が関節に加えられたときの関節弛緩性の量を決定する。【選択図】図8

Description

関連出願
本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年2月11日に出願された「A JOINT TENSIONING DEVICE AND METHODS OF USE THEREOF」と題した米国特許仮出願第62/972,930号に対する優先権を主張するものである。
本開示は、概して、関節伸張デバイスおよびその使用方法に関し、より具体的には、関節に関連する軟部組織の伸張/弛緩データの収集のために関節に既知の力を加えるためのデバイスおよび方法に関する。
ロボット支援人工膝関節全置換術は、外科医に手技を計画し、任意の骨切除を行う前に手技の予測される転帰を視認するという利点を提供する。この仮想計画を達成するためには、システムへの次の2つの主要な入力が必要である。(1)大腿骨と脛骨の骨の解剖学的構造、および(2)関節内の軟部組織の伸張/弛緩。骨の解剖学的構造は、比較的容易に確実に規定することができる。しかしながら、周囲の軟部組織の性状は、はるかに客観的ではない。主要なシステム入力のうちの1つにおけるこの客観性の欠如は、一貫性のない出力、ひいては、一貫性のない結果につながる潜在性を有する。関節内の軟部組織の伸張/弛緩の収集を標準化することは、この問題を解決するのに役立つであろう。
手動で人工膝関節全置換術を行う際、外科医が、切除を行う前に軟部組織の弛緩を評価するためのツールは限定されている。スペーサなどのツールおよび試験を使用して、結果として生じる靭帯弛緩を決定することを試みることができるが、通常、骨の切除は、すでに行われている。膝のバランスが崩れている場合、可能性の高い因果関係は靭帯の解放である。一部のシステムは、靭帯を伸張するように設計されたデバイスを提供するが、これらのシステムの各々は、伸張前に脛骨の切除を完了する必要がある。
ロボット支援人工膝関節全置換術を行う際、システムを有効化して靭帯弛緩性を定量化するために、ディスプレイ画面上に、可動域全体にわたって膝に内反または外反の応力を加えるための指標がユーザに与えられる。この応力は通常、手動で加えられるか、または脛骨大腿骨関節面の内側と外側との間のzリトラクタを介して加えられる。ロボット支援人工膝関節全置換術において靭帯弛緩性を定量化する際の課題は、このステップ中に膝に加えられる内反/外反力の量を標準化することである。
この概要は、本発明の概要が本発明の性質および要旨を簡潔に示すことを要求する、37C.F.R.§1.73を遵守するために提供される。本開示の範囲または意味を解釈または限定するために使用されることはないとの理解とともに提出される。
関節伸張システムが提供される。関節伸張システムは、関節内の第1の場所に整列するように構成された第1の幾何学形状を有する第1の先端を有する第1のアームを含む、関節伸張デバイスを含む。第2の幾何学形状を有する第2の先端を有する第2のアームは、関節内の第2の場所に整列するように構成されている。第2のアームは、第1のアームに連結され、そのため、第1の先端および第2の先端は、閉位置で軸に沿って一緒に接合され、使用中に、第1の先端および第2の先端は、関節に延伸力を加えるように、開位置へと手動で互いに分離される。センサデバイスは、第1のアーム内に位置し、関節に加えられた延伸力に基づいて、第1の先端に加えられた歪みを測定するように位置決めされる。関節伸張システムは、センサデバイスに連結されたコンピューティングデバイスをさらに含む。コンピューティングデバイスは、センサデバイスから、第1の先端に加えられた測定された歪みを受信するように構成されている。関節に加えられた延伸力は、第1の先端に加えられた、受信された測定された歪みに基づいて、第1の先端と第2の先端との手動の分離により決定される。
一部の実施形態では、第1の先端および第2の先端は、膝関節に接触するように構成されている。
一部の実施形態では、膝関節に延伸力を加えるように、第1の先端は大腿骨に接触するように構成され、第2の先端は脛骨に接触するように構成されている。
一部の実施形態では、第1のアームは、PCLリトラクタとして構成されている。
一部の実施形態では、センサデバイスは、1つ以上の歪みゲージを備える。
一部の実施形態では、1つ以上の歪みゲージが、ガラスコーティング内に蓄積されている。
一部の実施形態では、センサデバイスは、複数の歪みゲージを備える。
一部の実施形態では、第1のアームは、ピボットで第2のアームに連結されて、関節に延伸力を加えるように、第1のアームと第2のアームとの間での手動の分離を可能にする。
一部の実施形態では、センサデバイスは、ピボットから固定された距離に位置する歪みゲージを備える。
一部の実施形態では、第1のアームは、第2のアームから離れる方向に並進して、手動の分離を提供するように構成されている。
一部の実施形態では、コンピューティングデバイスは、関節伸張デバイスのハウジング内に位置する。
一部の実施形態では、関節伸張デバイスは、ハウジング上に位置し、関節に加えられた延伸力を表示するように構成されている、ディスプレイインターフェースをさらに備える。
一部の実施形態では、コンピューティングデバイスは、測定された歪みの値をリアルタイムで受信する。
一部の実施形態では、コンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイスに記憶されている関節伸張デバイスの較正曲線に基づいて、関節に加えられた延伸力を決定する。
一部の実施形態では、コンピューティングデバイスは、関節の位置データを受信するようにさらに構成されている。関節の関節弛緩性は、延伸力が関節に加えられたときに決定される。
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、記述とともに、本発明の原理、特性、および特徴を説明するのに役立つ。図面において、
一実施形態による、例示のコンピュータ支援外科手術システム(CASS)を含む、手術室を示している。 一部の実施形態による、電磁センサデバイスの例を示している。 一部の実施形態による、3つの垂直コイルを有する、電磁センサデバイスの代替例を示している。 一部の実施形態による、2つの非平行な固定されたコイルを有する、電磁センサデバイスの代替例を示している。 一部の実施形態による、2つの非平行な別個のコイルを有する、電磁センサデバイスの代替例を示している。 一部の実施形態による、電磁センサデバイスおよび患者の骨の例を示している。 一実施形態による、外科手術コンピュータがCASSの他の構成要素に提供する、例示の制御命令を示している。 一実施形態による、CASSの構成要素が外科手術コンピュータに提供する、例示の制御命令を示している。 一実施形態による、外科手術コンピュータがネットワークを介して外科手術データサーバに接続されている、例示の実装形態を示している。 一実施形態による、手術患者ケアシステムおよび例示のデータソースを示している。 一実施形態による、術前外科手術計画を決定するための例示のフロー図を示している。 一実施形態による、術前、術中、および術後の動作を含む、ケアのエピソードを決定するための例示のフロー図を示している。 一実施形態による、インプラント配置を示す画像を含む、例示のグラフィカルユーザインターフェースを示している。 一実施形態による、インプラント配置を示す画像を含む、例示のグラフィカルユーザインターフェースを示している。 一実施形態による、インプラント配置を示す画像を含む、例示のグラフィカルユーザインターフェースを示している。 一実施形態による、例示的な関節伸張デバイスの斜視部分概略透視図である。 一実施形態による、閉位置にある、図8に示される例示的な関節伸張デバイスの側面図である。 一実施形態による、開位置にある、図8に示される例示的な関節伸張デバイスの側面図である。 一実施形態による、膝関節への例示的な関節伸張デバイスの挿入を示している。 追加の実施形態による、関節伸張デバイスの代替の例示的な構成を示している。 追加の実施形態による、関節伸張デバイスの代替の例示的な構成を示している。 一実施形態による、関節伸張デバイスの例示的な操作方法のフローチャートを示している。
本開示は、関節伸張デバイスおよびその使用方法について記載する。以下の説明では、説明の目的で、例示的な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な項目が記載されている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の項目の任意の数を伴わずに、実施され得ることが当業者には明らかであろう。
本開示は、記載される特定のシステム、デバイス、および方法に限定されるものではない。これは、これらが変化し得るためである。説明の中で使用される用語は、特定の変形例または実施形態のみを記載する目的で使用されるものであり、範囲を限定することを意図するものではない。
本文書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の参照を含む。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本開示内のいかなるものも、本開示に記載される実施形態が、先行発明により、かかる開示に先立つ権利が与えられていないことを認めるものとして解釈されるべきではない。本文書で使用される場合、「備える(comprising)」という用語は、「含むが、これらに限定されない(including, but not limited to)」ことを意味する。
定義
本開示の目的のために、用語「インプラント」は、生物学的構造を置換または強化するために製造された人工デバイスまたは構造を指すために使用される。例えば、人工寛骨臼カップ(インプラント)は、人工股関節全置換術において、患者の摩耗または損傷した寛骨臼を置換または強化するために使用される。用語「インプラント」は一般に人工構造(移植とは対照的)を示すものとみなされるが、本明細書の目的では、インプラントは、生物学的構造を置換または強化するために移植された生物学的組織または材料を含み得る。
本開示の目的のために、用語「リアルタイム」は、イベントが発生したか、または動作可能なシステムによって入力が受信されたときに、その場で実施される計算または動作を指すために使用される。しかしながら、用語「リアルタイム」の使用は、レイテンシが機械の性能特性によって引き起こされる意図しない結果である限り、入力と応答との間にある程度のレイテンシを引き起こす動作を排除することを意図するものではない。
本開示の多くは、特定の職位または役割による外科医またはその他の医療専門家を指すが、本開示のいかなるものも、特定の職位または機能に限定されることを意図していない。外科医または医療専門家には、いずれの医師、看護師、医療専門家、または技術者も含めることができる。これらの用語または職位のいずれも、別段の明示的な指定がない限り、本明細書に開示されるシステムのユーザと互換的に使用することができる。例えば、外科医への言及は、一部の実施形態では、技師または看護師にも適用され得る。
本明細書に開示されるシステム、方法、およびデバイスは、特に、NAVIO(登録商標)外科手術ナビゲーションシステムなどの外科手術ナビゲーションシステムを利用する外科手術手技によく適合している。NAVIOは、テネシー州メンフィスのSMITH&NEPHEW,INC.の子会社である、ペンシルバニア州ピッツバーグのBLUE BELT TECHNOLOGIES,INC.の登録商標である。
CASSエコシステムの概要
図1は、一部の実施形態による、例示のコンピュータ支援外科手術システム(CASS)100の図を提供している。以下のセクションでさらに詳細に説明するように、CASSは、コンピュータ、ロボット工学、および撮像技術を使用して、外科医が人工膝関節全置換術(TKA)または人工股関節全置換術(THA)などの整形外科手術を実施することを助ける。例えば、外科手術ナビゲーションシステムは、外科医が患者の解剖学的構造を見つけ、外科手術器具を誘導し、高度な精度で医療機器を移植することを助けることができる。CASS100などの外科手術ナビゲーションシステムは、多くの場合、様々な形態のコンピューティング技術を採用して、幅広い標準および低侵襲の外科手術手技および技術を実施する。さらに、これらのシステムは、外科医が、患者の身体に対する器具およびインプラントの配置をより正確に計画、追跡、およびナビゲートすること、ならびに術前および術中の身体撮像を行うことを可能にする。
エフェクタープラットフォーム105は、手術中に患者に対して外科手術ツールを位置決めする。エフェクタープラットフォーム105の正確な構成要素は、採用される実施形態に応じて変化するであろう。例えば、膝の手術については、エフェクタープラットフォーム105は、使用中に外科手術ツールまたは器具を保持する、エンドエフェクター105Bを含み得る。エンドエフェクター105Bは、外科医が使用する手持ち式デバイスまたは器具(例えば、NAVIO(登録商標)のハンドピースまたは切断ガイドもしくはジグ)であり得、代替的に、エンドエフェクター105Bは、ロボットアーム105Aによって保持もしくは位置決めされるデバイスまたは器具を含み得る。1つのロボットアーム105Aが図1に示されているが、一部の実施形態では、複数のデバイスが存在し得る。実施例として、手術テーブルTの両側にロボットアーム105Aが1つ、またはテーブルTの一方の側に2つのデバイスがあり得る。ロボットアーム105Aは、テーブルTに直接的に装着され得、フロアプラットフォーム(図示せず)上のテーブルTの隣に位置し得、床から天井までのポール上に装着され得、または手術室の壁もしくは天井に装着され得る。フロアプラットフォームは、固定され得、または移動可能であり得る。1つの特定の実施形態では、ロボットアーム105Aは、患者の脚または足の間に位置する、床から天井までのポール上に装着される。一部の実施形態では、エンドエフェクター105Bは、創傷の閉鎖を補助するための縫合ホルダまたはステープラーを含み得る。さらに、2つのロボットアーム105Aの場合、外科手術コンピュータ150は、ロボットアーム105Aを駆動して、閉鎖時に創傷を縫合するために協働することができる。代替的に、外科手術コンピュータ150は、閉鎖時に創傷をステープルで留めるために、1つ以上のロボットアーム105Aを駆動し得る。
エフェクタープラットフォーム105は、手術中に患者の肢を位置決めするための肢位置決め器105Cを含み得る。肢位置決め器105Cの一例は、SMITH AND NEPHEW SPIDER2システムである。肢位置決め器105Cは、外科医によって手動で操作されてもよく、または代替的に、外科手術コンピュータ150(以下に説明される)から受信した命令に基づいて肢位置を変更してもよい。1つの肢位置決め器105Cが図1に示されているが、一部の実施形態では、複数のデバイスが存在し得る。実施例として、手術テーブルTの両側に肢位置決め器105Cが1つ、またはテーブルTの一方の側に2つのデバイスがあり得る。肢位置決め器105Cは、テーブルTに直接的に装着され得、フロアプラットフォーム(図示せず)上のテーブルTの隣に位置し得、ポール上に装着され得、または手術室の壁もしくは天井に装着され得る。一部の実施形態では、肢位置決め器105Cは、リトラクタまたは特定の骨ホルダなどの非従来的な方法で使用され得る。肢位置決め器105Cは、例として、足首ブーツ、軟部組織クランプ、骨クランプ、またはフックされた、湾曲した、もしくは角度の付いたブレードなどの軟部組織のリトラクタスプーンを含み得る。一部の実施形態では、肢位置決め器105Cは、創傷の閉鎖を補助するための縫合ホルダを含み得る。
エフェクタープラットフォーム105は、軸もしくは平面、気泡レベル、ピンドライバ、ピンプラー、平面チェッカ、ポインター、指、またはそれらのいくつかの組み合わせを示すための、ドライバ、光、またはレーザーなどのツールを含み得る。
切除装置110(図1には図示せず)は、例えば、機械的、超音波、またはレーザー技術を使用して、骨または組織切除を行う。切除装置110の例としては、ドリルデバイス、バリ取りデバイス、振動ソーイングデバイス、振動衝突デバイス、リーマー、超音波骨切断デバイス、無線周波数アブレーションデバイス、往復運動デバイス(擦り傷またはブローチなど)、およびレーザーアブレーションシステムが含まれる。一部の実施形態では、切除装置110は、手術中に外科医によって保持および操作される。他の実施形態では、エフェクタープラットフォーム105は、使用中に切除装置110を保持するために使用され得る。
エフェクタープラットフォーム105はまた、手術中に組織を切除するために使用されるソーまたはドリルを誘導するために使用される、切断ガイドまたはジグ105Dを含み得る。こうした切断ガイド105Dは、エフェクタープラットフォーム105もしくはロボットアーム105Aの一部として一体的に形成され得、または切断ガイドは、エフェクタープラットフォーム105もしくはロボットアーム105Aに嵌合および/もしくは取り外し可能に取り付けられ得る、別個の構造であり得る。エフェクタープラットフォーム105またはロボットアーム105Aは、術前または術中に開発された外科手術計画に従って、患者の解剖学的構造に隣接して切断ガイドまたはジグ105Dを位置決めするように、CASS100によって制御することができ、そのため、切断ガイドまたはジグが、外科手術計画に従って正確な骨切断を生み出すことになる。
追跡システム115は、1つ以上のセンサを使用して、患者の解剖学的構造および外科手術器具を特定する、リアルタイム位置データを収集する。例えば、TKA手技については、追跡システムは、手技中にエンドエフェクター105Bの場所および配向を提供し得る。位置データに加えて、追跡システム115からのデータをさらに使用して、ツール制御に使用され得る解剖学的構造/計測の速度/加速を推定することができる。一部の実施形態では、追跡システム115は、エンドエフェクター105Bに取り付けられたトラッカーアレイを使用して、エンドエフェクター105Bの場所および配向を決定し得る。エンドエフェクター105Bの位置は、追跡システム115の位置および配向、ならびに追跡システム115とエンドエフェクター105Bとの間の三次元空間における既知の関係に基づいて推測され得る。本発明の様々な実施形態で、様々なタイプの追跡システムが使用されてもよく、これには、赤外線(IR)追跡システム、電磁(EM)追跡システム、ビデオまたは画像ベースの追跡システム、ならびに超音波登録および追跡システムが含まれるが、これらに限定されない。追跡システム115によって提供されるデータを使用して、外科手術コンピュータ150は、物体を検出し、衝突を防止することができる。例えば、外科手術コンピュータ150は、ロボットアーム105Aおよび/またはエンドエフェクター105Bが軟部組織と衝突することを防止することができる。
任意の適切な追跡システムを使用して、外科手術空間内の外科手術対象および患者の解剖学的構造を追跡することができる。例えば、IRカメラと可視光カメラとの組み合わせを、アレイで使用することができる。IR LED光源などの様々な照明源が、シーンを照明して、三次元撮像を可能にすることができる。一部の実施形態では、これは、立体視、三鏡、四面視などの撮像を含み得る。一部の実施形態では、カートに貼り付けられるカメラアレイに加えて、追加のカメラは、外科手術空間全体にわたって配置され得る。例えば、オペレータ/外科医が着用する手持ち式ツールまたはヘッドセットは、画像を中央プロセッサに通信して、それらの画像をカメラアレイによって捕捉された画像と相関させる、撮像能力を含み得る。これにより、複数の視点を使用したモデリングのための環境のより堅牢な画像が得られ得る。さらに、一部の撮像デバイスは、適切な解像度であり得、または、クイック応答(QR)コードもしくはバーコードに記憶された情報を捕捉するために、シーンに対して適切な視点を有し得る。これは、システムに手動で登録されていない特定の物体を識別するのに役立ち得る。一部の実施形態では、カメラは、ロボットアーム105A上に装着され得る。
しかし、本明細書で論じるように、追跡および/またはナビゲーション技術の大部分は、画像ベースの追跡システム(例えば、IR追跡システム、ビデオまたは画像ベースの追跡システムなど)を利用する。しかしながら、電磁(EM)ベースの追跡システムは、様々な理由からより一般的になりつつある。例えば、標準的な光学トラッカーの移植には、組織切除(例えば、皮質まで)、ならびにそれに続く皮質ピンのドリル加工および駆動が必要である。さらに、光学トラッカーは、追跡システムとの直接の視線を必要とするため、こうしたトラッカーの配置は、外科医または医療従事者の動きを制限しないようにするために、外科手術部位から遠く離れている必要がある場合がある。
一般に、EMベースの追跡デバイスは、1つ以上のワイヤコイルおよび基準フィールドジェネレータを含む。1つ以上のワイヤコイルは、(例えば、有線または無線電源を介して)通電され得る。通電されると、コイルは、1つ以上のワイヤコイルの場所および配向を決定することができる様式で、(例えば、参照電界発生装置または追加のデバイスによって)検出および測定され得る、電磁場を生成する。当業者であれば理解するように、図2に示すような単一のコイルは、合計5つの自由度(DOF)の検出に限定される。例えば、センサ200は、X、Y、またはZ方向の動き、ならびにY軸202またはZ軸201の周りの回転を追跡/決定することが可能であり得る。しかしながら、コイルの電磁特性のため、X軸の周りの回転運動を適切に追跡することはできない。
したがって、ほとんどの電磁追跡用途では、図3Aに示すような3つのコイルシステムを使用して、三次元空間(すなわち、前方/後方310、上/下320、左/右330、ロール340、ピッチ350、およびヨー360)内で剛体が移動することを可能にする、6つの自由度すべてにおける追跡が可能になる。しかしながら、2つの追加のコイルおよびそれらが位置決めされる90°のオフセット角度の包含は、追跡デバイスをはるかに大きくする必要がある場合がある。代替的に、当業者が知っているように、6DOFのすべてを追跡するために、3つ未満の完全なコイルを使用し得る。一部のEMベースの追跡デバイスでは、図3Bに示すように、2つのコイルが互いに固定され得る。2つのコイル301Bおよび302Bは、完全に平行ではなく、互いに強固に固定され、互いに対して既知の位置を有するため、この配設で第6の自由度303Bを決定することができる。
2つの固定されたコイル(例えば、301Bおよび302B)の使用は、6DOFにおけるEMベースの追跡を可能にするが、センサデバイスは、追加のコイルのために単一のコイルよりも実質的に直径が大きい。したがって、外科手術環境でEMベースの追跡システムを使用する実用的な適用は、EMトラッカーの挿入を可能にするために、患者の骨の一部分の組織切除およびドリル加工を必要とし得る。代替的に、一部の実施形態では、ピンのみを使用して(例えば、実質的な骨をドリル加工する、または切り出す必要なく)、単一のコイルまたは5DOF EM追跡デバイスを患者の骨に移植/挿入することが可能であり得る。
したがって、本明細書に記載されるように、EM追跡システムの使用を、小直径の針またはピンを使用して挿入/埋め込むのに十分なほど小さい(すなわち、骨内に新しい切開または大直径の開口部を作成する必要なく)デバイスに制限できるソリューションが必要である。したがって、一部の実施形態では、第1のものに取り付けず、したがって直径が小さい第2の5DOFセンサを使用して、6DOFのすべてを追跡してもよい。ここで図3Cを参照すると、一部の実施形態では、2つの5DOF EMセンサ(例えば、301Cおよび302C)は、異なる場所および異なる角度配向(例えば、角度303Cはゼロではない)で、患者(例えば、患者の骨)に挿入され得る。
次に図4を参照すると、例示の実施形態が示されており、第1の5DOF EMセンサ401および第2の5DOF EMセンサ402が、大部分のORで典型的である標準的な中空針405を使用して、患者の骨403に挿入される。さらなる実施形態では、第1のセンサ401および第2のセンサ402は、角度オフセット「α」404を有し得る。一部の実施形態では、オフセット角度「α」404が所定の値(例えば、0.50°、0.75°などの最小角度)よりも大きいことが、必要であり得る。この最小値は、一部の実施形態では、CASSによって決定され、外科手術計画中に外科医または医療専門家に提供され得る。一部の実施形態では、最小値は、例えば、追跡システムの配向精度、第1のEMセンサと第2のEMセンサとの間の距離などの1つ以上の要因に基づいてもよい。電界発生装置の場所、電界検出器の場所、EMセンサのタイプ、EMセンサの品質、患者の解剖学的構造など。
したがって、本明細書で論じるように、一部の実施形態では、ピン/針(例えば、カニューレ状装着針など)を使用して、1つ以上のEMセンサを挿入し得る。一般に、ピン/針は、使い捨ての構成要素であり、一方で、センサ自体は、再利用可能であり得る。しかしながら、これは1つの潜在的なシステムであり、ピン/針および/またはEMセンサが独立して使い捨て可能または再利用可能な様々な他のシステムが使用されてもよいことが理解されるべきである。さらなる実施形態では、EMセンサは、(例えば、ルアーロック取り付け具などを使用して)装着針/ピンに固定されてもよく、これにより、迅速な組み立ておよび分解が可能となる。追加の実施形態において、EMセンサは、センサの低侵襲的配置を可能にする、代替的なスリーブおよび/またはアンカーシステムを利用し得る。
別の実施形態では、上記システムは、電磁追跡システムを悩ませる視野歪みを検出および修正することができる、マルチセンサナビゲーションシステムを可能にし得る。視野歪みは、参照視野内の任意の強磁性材料の移動から生じる場合があることが理解されるべきである。したがって、当業者であれば分かるように、典型的なORは、干渉を引き起こす可能性のある多数のデバイス(例えば、手術台、LCDディスプレイ、照明装置、撮像システム、外科手術器具など)を有する。さらに、視野歪みは、検出が著しく困難であると知られている。複数のEMセンサの使用により、システムは、視野歪みを正確に検出し、および/または現在の位置測定値が正確ではない可能性があることをユーザに警告することができる。センサは骨の解剖学的構造に(例えば、ピン/針を介して)強固に固定されるため、センサ位置(X、Y、Z)の相対測定を使用して、視野歪みを検出し得る。非限定的な例として、一部の実施形態では、EMセンサが骨に固定された後、2つのセンサ間の相対距離は既知であり、一定に保たれるべきである。したがって、この距離の任意の変化は、視野歪みの存在を示し得る。
一部の実施形態では、特定の物体は、外科医によって、システムを術前または術中に手動で登録され得る。例えば、ユーザインターフェースと相互作用することによって、外科医は、ツールまたは骨構造の開始場所を識別し得る。そのツールもしくは骨構造と関連付けられた基準マークを追跡することによって、または他の従来的な画像追跡モダリティを使用することにより、プロセッサは、三次元モデルにおいて、そのツールまたは骨が環境を移動する際に、そのツールまたは骨を追跡し得る。
一部の実施形態では、空間内の個人、重要なツール、または骨を識別する、基準マークなどの特定のマーカーは、追跡システムと関連付けられたカメラまたはカメラアレイによってピックアップされ得る、受動的または能動的識別子を含み得る。例えば、IR LEDは、固有の識別子をそのパターンのソースに伝達するパターンを点滅させ、動的識別マークを提供することができる。同様に、一次元または二次元の光学コード(バーコード、QRコードなど)を空間内の物体に貼り付けて、画像解析に基づいて発生し得る受動的識別を提供することができる。これらのコードが、物体上に非対称に配置される場合、さらに、識別子の場所を画像中の物体の範囲と比較することによって、物体の配向を決定するのに、これらのコードを使用することができる。例えば、QRコードは、ツールトレーの隅に配置されてもよく、そのトレーの配向および識別性を追跡することができる。その他の追跡モダリティは、全体で説明されている。例えば、一部の実施形態では、拡張現実ヘッドセットは、外科医および他のスタッフによって着用されて、追加のカメラ角度および追跡能力を提供することができる。
光学的追跡に加えて、物体の物理的特性を登録し、ツールまたは骨に固定された基準マークなどの追跡可能な物体と関連付けることによって、物体の特定の特徴を追跡することができる。例えば、外科医は、追跡されたツールおよび追跡された骨を、互いに対して処置することができる、手動登録プロセスを実施することができる。ツールの先端を骨の表面に対して押し付けることによって、その基準マークの参照フレームに対する位置および配向と関連付けられたその骨に対して、三次元表面をマッピングすることができる。その骨と関連付けられた基準マークの位置および配向(ポーズ)を光学的に追跡することによって、その表面のモデルを、外挿を介して環境とともに追跡することができる。
CASS100を患者の関連する解剖学的構造に登録する登録プロセスにはまた、骨または軟骨上の目印などの解剖学的目印の使用を伴うことができる。例えば、CASS100は、関連する骨または関節の3Dモデルを含み得、外科医は、CASSに接続されたプローブを使用して、患者の実際の骨上の骨の目印の場所に関するデータを術中に収集し得る。骨の目印には、例えば、内果および外果、近位大腿骨および遠位脛骨の端部、ならびに股関節の中心が含まれ得る。CASS100は、プローブで外科医が収集した骨の目印の場所データを、3Dモデル内の同じ目印の場所データと比較し、登録することができる。代替的に、CASS100は、術前画像データなしで、骨の目印の場所データ、およびCASSプローブまたは他の手段を使用して外科医によって収集される骨表面を使用して、骨または関節の3Dモデルを構築し得る。登録プロセスはまた、関節の様々な軸を決定することを含み得る。例えば、TKAについては、外科医は、CASS100を使用して、大腿骨および脛骨の解剖学的軸および機械的軸を決定することができる。外科医およびCASS100は、患者の脚をらせん状方向に移動させること(すなわち、外転)によって、股関節の中心を識別し、それにより、CASSが股関節の中心がどこに位置するかを決定することができる。
組織ナビゲーションシステム120(図1には示されていない)は、外科医に、外科手術領域を囲む患者の骨、軟骨、筋肉、神経、および/または血管組織の術中のリアルタイムビジュアライゼーションを提供する。組織ナビゲーションに採用され得るシステムの例には、蛍光撮像システムおよび超音波システムが含まれる。
ディスプレイ125は、組織ナビゲーションシステム120によって収集された画像、ならびに手術に関連するその他の情報を表示する、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供する。例えば、一実施形態では、ディスプレイ125は、術前または術中に収集された様々なモダリティ(例えば、CT、MRI、X線、蛍光、超音波など)から収集された画像情報をオーバーレイして、外科医に患者の解剖学的構造およびリアルタイム状態の様々なビューを与える。ディスプレイ125は、例えば、1つ以上のコンピュータモニタを含み得る。ディスプレイ125の代替または補足として、外科手術スタッフの1人以上のメンバーは、拡張現実(AR)ヘッドマウントデバイス(HMD)を着用してもよい。例えば、図1では、外科医111は、例えば、患者に術前画像データをオーバーレイするか、または外科手術計画の提案を提供し得る、AR HMD155を着用している。外科手術手技におけるAR HMD155の様々な例示の使用は、以下のセクションで詳述される。
外科手術コンピュータ150は、CASS100の様々な構成要素に対する制御命令を提供し、それらの構成要素からデータを収集し、手術中に必要とされる様々なデータに対する一般的な処理を提供する。一部の実施形態では、外科手術コンピュータ150は、汎用コンピュータである。他の実施形態では、外科手術コンピュータ150は、複数の中央処理ユニット(CPU)またはグラフィック処理ユニット(GPU)を使用して処理を行う、並列コンピューティングプラットフォームであり得る。一部の実施形態では、外科手術コンピュータ150は、1つ以上のコンピュータネットワーク(例えば、インターネット)を介してリモートサーバに接続される。リモートサーバは、例えば、データの記憶または計算集約型処理タスクの実行のために使用され得る。
外科手術コンピュータ150をCASS100の他の構成要素に接続するために、当技術分野で一般的に知られている様々な技術を使用することができる。さらに、コンピュータは、技術の組み合わせを使用して外科手術コンピュータ150に接続し得る。例えば、エンドエフェクター105Bは、有線(すなわち、シリアル)接続を介して外科手術コンピュータ150に接続し得る。追跡システム115、組織ナビゲーションシステム120、およびディスプレイ125は、同様に有線接続を使用して外科手術コンピュータ150に接続され得る。代替的に、追跡システム115、組織ナビゲーションシステム120、およびディスプレイ125は、限定されないが、Wi-Fi、Bluetooth、近距離無線通信(NFC)、またはZigBeeなどの無線技術を使用して、外科手術コンピュータ150に接続し得る。
電動式衝突および寛骨臼リーマーデバイス
図1に関して上述したCASS設計の柔軟性の一部は、特定の外科手術手技をサポートするために必要に応じて、追加的または代替的なデバイスをCASS100に追加することができることである。例えば、股関節の外科手術の文脈において、CASS100は、電動式衝突デバイスを含み得る。衝突デバイスは、外科医がインプラントアライメントなどの活動を行うために使用することができる衝突力を反復して適用するように設計される。例えば、人工股関節全置換術(THA)では、外科医は多くの場合、衝突デバイスを使用して、人工寛骨臼カップをインプラント宿主の寛骨臼内に挿入する。衝突デバイスは、本質的には手動(例えば、外科医がマレットで衝突装置に当てて操作するなど)であるが、電動式衝突デバイスは概して、外科手術設定でより簡単でより速く使用できる。電動式衝突デバイスは、例えば、デバイスに取り付けられた電池を使用して給電され得る。様々な取り付けピースが、手術中に必要に応じて、様々な方法で衝突力が方向付けされるように、電動式衝突デバイスに接続され得る。また、股関節外科手術の文脈において、CASS100は、寛骨臼カップインプラントを収容するために寛骨臼をリーミングする、電動のロボット制御エンドエフェクターを含み得る。
ロボット支援THAでは、患者の解剖学的構造は、CTまたは他の画像データ、解剖学的目印の識別、患者の骨に取り付けられたトラッカーアレイ、および1つ以上のカメラを使用して、CASS100に登録され得る。トラッカーアレイは、クランプおよび/または骨ピンを使用して腸骨頂上に装着され得、こうしたトラッカーは、皮膚を通して外部に、またはTHAを実施するために作製された切開部を通して内側(後外側または前外側のいずれか)から装着され得る。THAについては、CASS100は、近位大腿骨に挿入された1つ以上の大腿骨皮質ねじをチェックポイントとして利用して、登録プロセスを支援することができる。CASS100はまた、登録プロセスを支援するために、骨盤に挿入された1つ以上のチェックポイントねじを追加チェックポイントとして利用することができる。大腿骨トラッカーアレイは、大腿骨皮質ねじに固定または装着され得る。CASS100は、外科医がディスプレイ125上で外科医のために識別された近位大腿骨および骨盤の重要な領域上に正確に置いたプローブを使用して、登録が検証されるステップを採用することができる。トラッカーは、ロボットアーム105Aまたはエンドエフェクター105B上に位置して、アームおよび/またはエンドエフェクターをCASS100に登録することができる。検証ステップはまた、近位および遠位大腿骨チェックポイントを利用することができる。CASS100は、関連する骨およびロボットアーム105Aまたはエンドエフェクター105Bの登録プロセスが、ある程度の精度(例えば、1mm以内)で検証されたことを外科医に知らせるために、色プロンプトまたはその他のプロンプトを利用することができる。
THAについては、CASS100は、外科医が術中にブローチの位置および配向を捕捉し、患者の股関節の長さおよびオフセット値を計算することを可能にする、大腿骨アレイを使用したブローチ追跡オプションを含み得る。患者の股関節、ならびにブローチ追跡が完了した後に計画されたインプラントの位置および配向について提供された情報に基づいて、外科医は、外科手術計画を修正または調整することができる。
ロボット支援THAについては、CASS100は、ロボットアーム105Aまたはエンドエフェクター105Bに接続または取り付けられ、外科手術計画に従って寛骨臼インプラントを受けるように骨盤骨を調製する、1つ以上の電動リーマーを含み得る。ロボットアーム105Aおよび/またはエンドエフェクター105Bは、外科医に通知し、および/またはリーマーの電力を制御して、寛骨臼が外科手術計画に従って切除(リーミング)されていることを確実にすることができる。例えば、外科医が、外科手術計画に従って切除される骨の境界の外側の骨を切除しようとする場合、CASS100は、リーマーの電源をオフにするか、またはリーマーの電源をオフにするように外科医に指示することができる。CASS100は、外科医に、リーマーのロボット制御をオフにするか、またはそれを解除するかの選択肢を提供することができる。ディスプレイ125は、異なる色を使用して、外科手術計画と比較して、切除される(リーミングされる)骨の進行を示すことができる。外科医は、切除される(リーミングされる)骨の表示を見て、リーマーを誘導して、外科手術計画に従ってリーミングを完了させることができる。CASS100は、外科手術計画に従っていない切除が行われていることを外科医に警告する視覚的または可聴のプロンプトを、外科医に提供することができる。
リーミング後、CASS100は、ロボットアーム105Aまたはエンドエフェクター105Bに取り付けられるか、または接続される手動または電動のインパクターを用いて、試験インプラントおよび最終的なインプラントを寛骨臼に衝突させることができる。ロボットアーム105Aおよび/またはエンドエフェクター105Bは、外科手術計画に従って、試験および最終的なインプラントを寛骨臼に衝突させるように、インパクターを誘導するために使用され得る。CASS100は、外科医が脚および股関節を処置する際に、試験および最終的なインプラントの配向および位置を、どのように外科手術計画と比較するかについて外科医に知らせるために、表示されるべき骨に対して試験および最終的なインプラントの位置および配向を生じさせ得、またディスプレイ125は、インプラントの位置および配向を示し得る。CASS100は、外科医が元のインプラント位置および配向に満足しない場合、新しい外科手術計画を準備することによって、外科医に、リーミングおよびインプラントの衝突を再計画および再実行する選択肢を提供することができる。
術前、CASS100は、股関節の三次元モデル、ならびに脚骨の機械的軸および解剖学的軸、上顆軸、大腿骨頸部軸、大腿骨および股関節の寸法(例えば、長さ)、股関節の正中軸、股関節のASIS軸、および小転子の目印などの解剖学的目印の場所、遠位目印、および股関節の回転の中心などの患者に特有のその他の情報に基づいて、提案される外科手術計画を開発することができる。CASSが開発した外科手術計画は、股関節の三次元モデルおよび患者に特有の他の情報に基づいて、推奨される最適なインプラントサイズならびにインプラント位置および配向を提供することができる。CASSが開発した外科手術計画には、オフセット値、傾斜および前傾値、回転中心、カップサイズ、内側化値、上下の嵌合値、大腿骨ステムのサイズおよび長さに関する提案された詳細が含まれ得る。
THAについては、CASSが開発した外科手術計画を術前および術中に見ることができ、外科医は、CASSが開発した外科手術計画を術前または術中に修正することができる。CASSが開発した外科手術計画は、計画された切除を股関節に示し、計画された切除に基づいて、計画されたインプラントを股関節に重ね合わせることができる。CASS100は、外科医の好みに基づいて、外科医に表示される様々な外科手術ワークフローの選択肢を外科医に提供することができる。例えば、外科医は、チェックおよび捕捉される解剖学的目印の数およびタイプ、ならびに/または登録プロセスで使用されるトラッカーアレイの場所および数に基づいて、異なるワークフローから選択することができる。
一部の実施形態によれば、CASS100とともに使用される電動式衝突デバイスは、様々な異なる設定で動作し得る。一部の実施形態では、外科医は、手動スイッチまたは電動式衝突デバイス上の他の物理的機構を通して設定を調整する。他の実施形態では、例えば、電動式衝突デバイスのタッチスクリーンを介して、入力の設定を可能にするデジタルインターフェースを使用してもよい。こうしたデジタルインターフェースは、例えば、電力取り付けデバイスに接続された取り付け部品のタイプに基づいて、利用可能な設定を変えることを可能にし得る。一部の実施形態では、電動式衝突デバイス自体の設定を調整するのではなく、CASS100内のロボットまたは他のコンピュータシステムとの通信を介して、設定を変更することができる。こうした接続は、例えば、電動式衝突デバイス上のBluetoothまたはWi-Fiネットワーキングモジュールを使用して確立され得る。別の実施形態では、衝突デバイスおよび端片部は、衝突デバイスが、どの端片部(カップインパクター、ブローチハンドルなど)が取り付けられているかを、外科医によって必要な動作なしに認識し、それに応じて設定を調整することを可能にする特徴を含み得る。これは、例えば、QRコード、バーコード、RFIDタグ、または他の方法を介して達成され得る。
使用され得る設定の例としては、カップ衝突設定(例えば、単一方向、特定された周波数範囲、特定された力および/またはエネルギー範囲)、ブローチ衝突設定(例えば、特定された周波数範囲での双方向/振動、特定された力、および/またはエネルギー範囲)、大腿骨頭衝突設定(例えば、特定された力またはエネルギーでの単一方向/単一吹き)、およびステム衝突設定(例えば、所定の力またはエネルギーを有する、特定された周波数での単一方向)が含まれる。さらに、一部の実施形態では、電動式衝突デバイスは、寛骨臼ライナーの衝突に関連する設定(例えば、指定された力またはエネルギーでの単一方向/単一吹き)を含む。ポリ、セラミック、オキシニウム、またはその他の材料などのライナーの各タイプに対して、複数の設定があり得る。さらに、電動式衝突デバイスは、外科医による術前検査/画像/知識および/または術中評価に基づいて、異なる骨質に対する設定を提供し得る。一部の実施形態では、電動式インパクターデバイスは、二重機能を有し得る。例えば、電動式インパクターデバイスは、衝突力を提供するために往復運動を提供するだけでなく、ブローチまたはラスプのために往復運動を提供することもできる。
一部の実施形態では、電動式衝突デバイスは、器具の使用中にデータを収集し、デバイスまたは外科手術コンピュータ150内のコントローラなどのコンピューティングデバイスにデータを送信するフィードバックセンサを含む。次に、このコンピューティングデバイスは、後の分析および使用のためにデータを記録することができる。収集され得るデータの例としては、音波、各器具の所定の共鳴周波数、患者の骨からの反応力もしくはリバウンドエネルギー、撮像(例えば、フルオロ、CT、超音波、MRIなど)に関するデバイスの場所、および/または骨上の外部歪みゲージが含まれるが、これらに限定されない。
データが収集されると、コンピューティングデバイスは、外科医が外科手術手技を実施することを助けるために、リアルタイムまたはほぼリアルタイムに1つ以上のアルゴリズムを実行し得る。例えば、一部の実施形態では、コンピューティングデバイスは、収集されたデータを使用して、適切な最終ブローチサイズ(大腿骨)、ステムが完全に座っているとき(大腿骨側)、またはカップがTHAに対して座っているとき(奥行きおよび/または配向)などの情報を導出する。情報が分かると、その情報は、外科医のレビューのために表示され得、またはハプティックもしくは他のフィードバック機構を起動して、外科手術手技を誘導するために使用され得る。
さらに、前述のアルゴリズムから導出されたデータを使用して、デバイスの動作を駆動し得る。例えば、電動式衝突デバイスでの人工寛骨臼カップの挿入中、デバイスは、インプラントを適切な場所に動かす衝突ヘッド(例えば、エンドエフェクター)を自動的に延ばすか、またはインプラントが完全に着座した後、デバイスへの電源をオフにすることができる。1つの実施形態では、導出された情報を使用して、電動式衝突デバイスが、大腿骨/寛骨臼/骨盤の骨折または周囲の組織への損傷を軽減するためにより少ない電力を使用するべきである、骨の質の設定を自動的に調整し得る。
ロボットアーム
一部の実施形態では、CASS100は、外科手術手技中に使用される様々な器具を安定化および保持するためのインターフェースとして機能する、ロボットアーム105Aを含む。例えば、股関節手術の文脈では、これらの器具は、リトラクタ、矢状または往復式ソー、リーマーハンドル、カップインパクター、ブローチハンドル、およびステムインサータを含み得るが、これらに限定されない。ロボットアーム105Aは、(Spiderデバイスのような)複数の自由度を有してもよく、(例えば、ボタンを押す、音声起動、外科医がロボットアームから手を取り外す、または他の方法によって)定位置にロックされる能力を有し得る。
一部の実施形態では、ロボットアーム105Aの移動は、ロボットアームシステム内に組み込まれた制御パネルの使用によって引き起こされ得る。例えば、表示画面は、ロボットアーム105Aの直接的な移動である、1つ以上のアイコンを有する物理的ボタンまたはユーザインターフェースなどの1つ以上の入力源を含み得る。外科医または他の医療従事者は、外科手術手技を実施するときに、1つ以上の入力源と係合して、ロボットアーム105Aを位置決めすることができる。
ロボットアーム105Aに取り付けられるか、もしくは組み込まれたツールまたはエンドエフェクター105Bは、バリ取りデバイス、メス、切断デバイス、リトラクタ、関節伸張デバイスなどを含み得るが、これらに限定されない。エンドエフェクター105Bが使用される実施形態では、エンドエフェクターは、任意のモータ制御動作がロボットアームシステム内で実施されるように、ロボットアーム105Aの端部に位置決めされ得る。ツールが使用される実施形態では、ツールは、ロボットアーム105Aの遠位端に固定されてもよいが、モータ制御動作は、ツール自体の中に存在してもよい。
ロボットアーム105Aは、ロボットアームの両方を安定化するために内部的に電動化されてもよく、それによって、ロボットアームが患者、手術台、外科手術スタッフなどに落下し、および当たることを防止し、外科医がその体重を完全に支持することなく、ロボットアームを移動させることが可能になる。外科医がロボットアーム105Aを移動している間、ロボットアームは、ロボットアームがあまりにも速く移動すること、または一度にアクティブになる自由度があまりにも多くなることを防ぐために、ある程度の抵抗を提供し得る。ロボットアーム105Aの位置およびロック状態は、例えば、コントローラまたは外科手術コンピュータ150によって追跡され得る。
一部の実施形態では、ロボットアーム105Aは、(例えば、外科医によって)手によって、または実施される作業のためのその理想的な位置および配向内に内部モータとともに移動することができる。一部の実施形態では、ロボットアーム105Aは、外科医がアームを制限されることなく所望の位置に位置決めすることを可能にする、「自由」モードで動作可能とすることができる。自由モードの間、ロボットアーム105Aの位置および配向は、上述のように、なおも追跡され得る。一実施形態では、ある程度の自由度は、外科手術コンピュータ150によって追跡される外科手術計画の特定の部分の間に、ユーザ(例えば、外科医)からの入力時に選択的に解除され得る。ロボットアーム105Aが油圧もしくはモータを通して内部的に電力供給されるか、または同様の手段を介して外部での手動動作に対する抵抗を提供する設計は、電力供給されたロボットアームとして記述され得、一方で、電力フィードバックなしで手動で処置されるが、手動でまたは自動的に定位置にロックされ得るアームは、受動的ロボットアームとして記述され得る。
ロボットアーム105Aまたはエンドエフェクター105Bは、ソーまたはドリルの力を制御するためのトリガまたは他の手段を含み得る。外科医によるトリガまたはその他の手段の係合は、ロボットアーム105Aまたはエンドエフェクター105Bを、電動アライメントモードから、ソーまたはドリルが係合し、電源がオンであるモードに移行させることができる。さらに、CASS100は、起動されたときにシステムが特定の機能を実行させるフットペダル(図示せず)を含み得る。例えば、外科医は、フットペダルを起動して、ロボットアームまたはエンドエフェクターを患者の解剖学的構造に対して適切な位置に持ってきて、必要な切除を行う自動モードに、ロボットアーム105Aまたはエンドエフェクター105Bを配置するようにCASS100に指示することができる。CASS100はまた、ロボットアーム105Aまたはエンドエフェクター105Bを、外科医がロボットアームまたはエンドエフェクターを手動で処置し、特定の場所に位置決めすることを可能にする協働モードに配置することができる。協働モードは、外科医がロボットアーム105Aまたはエンドエフェクター105Bを内側または横方向に移動させながら、他の方向への移動を制限することを可能にするように構成され得る。論じるように、ロボットアーム105Aまたはエンドエフェクター105Bは、切断デバイス(ソー、ドリル、およびバリ)、または切断デバイスを誘導する切断ガイドもしくはジグ105Dを含み得る。他の実施形態では、ロボットアーム105Aまたはロボット制御式エンドエフェクター105Bの移動は、外科医または他の医療専門家からの支援もしくは入力なしで、または最小限の支援もしくは入力のみで、CASS100によって完全に制御され得る。さらに他の実施形態では、ロボットアーム105Aまたはロボット制御式エンドエフェクター105Bの移動は、例えば、ジョイスティックまたは対話型のモニタまたは表示制御デバイスを使用して、ロボットアームまたはロボット制御式エンドエフェクターデバイスから分離した制御機構を使用して、外科医または他の医療専門家によって遠隔制御され得る。
以下の実施例は、股関節手術の文脈におけるロボットデバイスの使用を説明するが、ロボットアームは膝、肩などを伴う外科手術手技のための他の用途を有し得ることが理解されるべきである。前十字靭帯(ACL)グラフトトンネルの形成の文脈におけるロボットアームの使用の一例は、2019年8月28日に出願された「Robotic Assisted Ligament Graft Placement and Tensioning」と題する、WIPO公開第2020/047051号に記述されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ロボットアーム105Aは、リトラクタを保持するために使用され得る。例えば、一実施形態では、ロボットアーム105Aは、外科医によって所望の位置に移動され得る。この時点で、ロボットアーム105Aは、定位置にロックされ得る。一部の実施形態では、ロボットアーム105Aは、患者が動く場合、ロボットアームがそれに応じてリトラクタ位置を調整することができるように、患者の位置に関するデータが提供される。一部の実施形態では、複数のロボットアームを使用してもよく、それによって、複数のリトラクタが保持されるか、または複数の活動(例えば、リトラクタの保持およびリーミング)が同時に実施される。
ロボットアーム105Aはまた、大腿骨頸部を切断しながら外科医の手を安定化するのを助けるために使用され得る。この用途では、ロボットアーム105Aの制御は、軟部組織損傷の発生を防止するために、特定の制限を課すことができる。例えば、一実施形態では、外科手術コンピュータ150は、ロボットアーム105Aが作動すると、ロボットアーム105Aの位置を追跡する。追跡された場所が、組織損傷が予測される領域に近づく場合、コマンドをロボットアーム105Aに送信して、停止させてもよい。代替的に、ロボットアーム105Aが外科手術コンピュータ150によって自動的に制御される場合、外科手術コンピュータは、軟部組織損傷が発生しやすい領域に入る原因となるいかなる命令もロボットアームに提供されないことを確実にし得る。外科手術コンピュータ150は、外科医が寛骨臼の内側壁にリーミングしすぎること、または誤った角度もしくは配向でリーミングすることを防止するために、外科医に特定の制限を課すことができる。
一部の実施形態では、ロボットアーム105Aは、カップ衝突中にカップインパクターを所望の角度または配向に保持するために使用され得る。最終位置が達成されると、ロボットアーム105Aは、骨盤への損傷を防ぐために、任意のさらなるシーティングを防止し得る。
外科医は、ロボットアーム105Aを使用して、ブローチハンドルを所望の位置に位置決めすることができ、外科医がブローチを所望の配向で大腿管内へ衝突させることができる。一部の実施形態では、外科手術コンピュータ150が、ブローチが完全に固定されたというフィードバックを受信すると、ロボットアーム105Aは、ハンドルを制限して、ブローチのさらなる前進を防止し得る。
ロボットアーム105Aはまた、再表面処理用途に使用され得る。例えば、ロボットアーム105Aは、従来の器具を使用している間に外科医を安定化させ、インプラント構成要素(例えば、ガイドワイヤ配置、面取りカッター、スリーブカッター、プランカッターなど)の適切な配置を可能にするために、特定の制約または制限を提供することができる。バリのみが採用される場合、ロボットアーム105Aは、外科医のハンドピースを安定化させてもよく、外科医が外科手術計画に違反して意図しない骨を除去することを防止するために、ハンドピースに制約を課すことができる。
ロボットアーム105Aは、受動的アームであり得る。一例として、ロボットアーム105Aは、ブレインラボAGから入手可能なCIRQロボットアームであり得る。CIRQは、ブレインラボAG、Olof-Palme-Str.9 81829,Munchen,FED REP of GERMANYの登録商標である。1つの特定の実施形態では、ロボットアーム105Aは、Krinningerらの米国特許出願第15/525,585号、Nowatschinらの米国特許出願第15/561,042号、Nowatschinらの米国特許出願第15/561,048号、およびNowatschinらの米国特許出願第10,342,636号に開示されているようなインテリジェント保持アームであり、その各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
外科手術手技データの生成および収集
臨床状態を治療するために医療専門家によって提供される様々なサービスは、総称して、「ケアのエピソード」と呼ばれる。特定の外科的介入については、ケアのエピソードには、術前、術中、および術後の3つの段階が含まれ得る。各段階の間、手技の様々な特徴を理解して、例えば、最小限のヒトの介入で決定を行うためにモデルを訓練する際に使用され得るパターンを識別するために、ケアのエピソードを分析するために使用され得る、データが収集または生成される。ケアのエピソードにわたって収集されたデータは、完全なデータセットとして外科手術コンピュータ150または外科手術データサーバ180に記憶され得る。したがって、ケアの各エピソードについて、患者について集合的に術前のすべてのデータ、CASS100によって術中に収集または記憶されたすべてのデータ、および患者によってまたは患者を監視する医療従事者によって提供される任意の術後データを含む、データセットが存在する。
より詳細に説明するように、ケアのエピソード中に収集されたデータは、外科手術手技の性能を向上させるために、または外科手術手技および患者の転帰の全体的理解を提供するために使用され得る。例えば、一部の実施形態では、ケアのエピソードにわたって収集されたデータは、外科手術計画を生成するために使用され得る。一実施形態では、高レベルの術前計画は、手術中にデータが収集される際に術中に精密化される。このようにして、外科手術計画は、CASS100の構成要素によって新しいデータが収集されるにつれて、リアルタイムまたはほぼリアルタイムに動的に変化するものとして見ることができる。他の実施形態では、術前画像または他の入力データは、手術中に単純に実行される堅牢な計画を術前に開発するために使用され得る。この場合、手術中にCASS100によって収集されるデータは、外科医が術前外科手術計画内にとどまることを確実にする推奨を行うために使用され得る。例えば、外科医が特定の所定のカットまたはインプラントアライメントをどのように達成するか定かでない場合、外科手術コンピュータ150に推奨を求めることができる。さらに他の実施形態では、術前および術中の計画アプローチは、外科手術手技中に、必要に応じてまたは望ましい場合に、堅牢な術前計画が動的に修正され得るように組み合わされ得る。一部の実施形態では、患者の解剖学的構造のバイオメカニクスベースのモデルは、術前、術中、および術後/リハビリテーション手技の開発においてCASS100によって考慮されるシミュレーションデータに寄与して、患者のインプラント性能転帰を最適化する。
外科手術手技自体を変更する以外に、ケアのエピソード中に収集されたデータは、外科手術に付属する他の手技への入力として使用され得る。例えば、一部の実施形態では、インプラントは、ケアデータのエピソードを使用して設計され得る。設計、サイズ設定、および嵌合インプラントのための例示のデータ駆動技術は、2011年8月15日に出願された「Systems and Methods for Optimizing Parameters for Orthopaedic Procedures」と題する、米国特許出願第13/814,531号、2012年7月20日に出願された「Systems and Methods for Optimizing Fit of an Implant to Anatomy」と題する、米国特許出願第14/232,958号、2008年9月19日に出願された「Operatively Tuning Implants for Increased Performance」と題する、米国特許出願第12/234,444号に記載されており、その各々の内容全体が参照により本特許出願に組み込まれる。
さらに、データは、教育、研修、または研究目的に使用され得る。例えば、図5Cに後述するネットワークベースのアプローチを使用して、他の医師または学生は、CASS100の様々な構成要素から収集されるデータを選択的に見ることを可能にする、インターフェースで手術を遠隔で見ることができる。外科手術手技の後、類似のインターフェースを使用して、訓練またはその他の教育目的で手術を「再生」し、または手技の問題もしくは合併症の源を識別することができる。
術前フェーズ中に取得されたデータには、一般に、手術の前に収集または生成されたすべての情報が含まれる。したがって、例えば、患者に関する情報は、患者摂取形態または電子医療記録(EMR)から取得され得る。収集され得る患者情報の例としては、患者の人口統計、診断、既往歴、経過記録、バイタルサイン、既往歴情報、アレルギー、および臨床検査結果が含まれるが、これらに限定されない。術前データはまた、関心対象の解剖学的領域に関連する画像を含み得る。これらの画像は、例えば、磁気共鳴画像診断法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、X線、超音波、または当技術分野で公知の任意の他のモダリティを使用して捕捉され得る。術前データはまた、患者から捕捉された生活の質データを含み得る。例えば、一実施形態では、術前患者は、モバイルアプリケーション(アプリ)を使用して、現在の生活の質に関する質問票に回答する。一部の実施形態では、CASS100によって使用される術前データは、活動レベルおよび特定の患者の活動と一致して、外科手術計画を患者にカスタマイズすることができる、患者に関する患者背景、人体計測、文化、またはその他の特定の形質を含む。例えば、特定の文化または患者背景は、毎日しゃがむことを必要とするトイレを使用する可能性がより高い場合がある。
図5Aおよび図5Bは、ケアのエピソードの術中段階中に取得され得るデータの例を提供する。これらの実施例は、図1を参照して上述したCASS100の様々な構成要素に基づくが、手術中に使用される器具のタイプおよびそれらの使用に基づいて、他のタイプのデータが使用され得ることが理解されるべきである。
図5Aは、一部の実施形態による、外科手術コンピュータ150がCASS100の他の構成要素に提供する、制御命令の一部の例を示している。図5Aの実施例は、エフェクタープラットフォーム105の構成要素が各々、外科手術コンピュータ150によって直接的に制御されることを想定していることに留意されたい。構成要素が外科医111によって手動で制御される実施形態では、ディスプレイ125またはAR HMD155上に、構成要素の移動方法を外科医111に指示する命令が提供され得る。
エフェクタープラットフォーム105に含まれる様々な構成要素は、座標系内でどこに移動するかを構成要素に指示する位置コマンドを提供する、外科手術コンピュータ150によって制御される。一部の実施形態では、外科手術コンピュータ150は、エフェクタープラットフォーム105の構成要素が外科手術計画から逸脱した場合の反応方法を定義する命令をエフェクタープラットフォーム105に提供する。これらのコマンドは、図5Aで「ハプティック」コマンドとして参照されている。例えば、エンドエフェクター105Bは、切除が計画されている領域の外側の動きに抵抗する力を提供し得る。エフェクタープラットフォーム105によって使用され得る他のコマンドには、振動および音声キューが含まれる。
一部の実施形態では、ロボットアーム105Aのエンドエフェクター105Bは、切断ガイド105Dと動作可能に連結される。手術シーンの解剖学的モデルに応答して、ロボットアーム105Aは、エンドエフェクター105Bおよび切断ガイド105Dを、外科手術計画に従って実施される大腿骨または脛骨の切断の場所に合致する位置に移動させることができる。これにより、誤差の可能性を低減することができ、その視覚システムおよびプロセッサを利用して、外科手術計画を実装して、脛骨または大腿骨に対して正確な場所および配向に切断ガイド105Dを配置し、切断ガイドの切断スロットを、外科手術計画に従って実施される切断と整列させることができる。次に、外科医は、ツールが切断ガイド105Dの特徴によって機械的に制限されるため、適切な任意のツール、例えば、振動または回転のこぎりまたはドリルを使用して、完璧な配置および配向で切断(または穴を開けること)を行うことができる。一部の実施形態では、切断ガイド105Dは、切断ガイドを使用して患者の組織の切除を実施する前に、外科医が切断ガイドをドリルでねじ込みまたはピン留めするために使用する、1つ以上のピン穴を含み得る。これにより、ロボットアーム105Aを解放することができ、または切除される骨に対して移動することなく、切断ガイド105Dが完全に固定されることを確実にすることができる。例えば、この手技は、膝関節全置換術中に大腿骨の第1の遠位切断をするために使用され得る。関節形成が股関節形成術である一部の実施形態では、切断ガイド105Dは、それぞれの股関節形成切除のために大腿骨頭または寛骨臼に固定され得る。正確な切断を利用する任意の関節形成術は、ロボットアーム105Aおよび/または切断ガイド105Dをこのように使用することができることが理解されるべきである。
切除装置110には、骨または組織の操作を行うための様々なコマンドが提供される。エフェクタープラットフォーム105と同様に、位置情報は、切除装置110に提供され、切除を実施する際にそれがどこに位置するべきかを指定してもよい。切除装置110に提供される他のコマンドは、切除装置のタイプに依存し得る。例えば、機械的または超音波切除ツールの場合、コマンドは、ツールの速度および頻度を指定し得る。無線周波アブレーション(RFA)およびその他のレーザーアブレーションツールでは、コマンドは、強度およびパルス持続時間を指定し得る。
CASS100の一部の構成要素は、外科手術コンピュータ150によって直接的に制御される必要はない。むしろ、外科手術コンピュータ150は、構成要素を起動させるだけでよく、その後、データを収集し、それを外科手術コンピュータ150に提供する手法を指定するソフトウェアをローカルに実行する。図5Aの例では、この手法で操作される2つの構成要素である、追跡システム115および組織ナビゲーションシステム120がある。
外科手術コンピュータ150は、手術中に外科医111が必要とする任意のビジュアライゼーションをディスプレイ125に提供する。モニタについては、外科手術コンピュータ150は、当技術分野で公知の技術を使用して、画像、GUIなどを表示するための命令を提供し得る。ディスプレイ125は、外科手術計画のワークフローの様々な部分を含み得る。登録プロセスの間、例えば、ディスプレイ125は、術前に構築された3D骨モデルを示し、外科医がプローブを使用して患者の解剖学的目印の場所を収集する際に、プローブの場所を示すことができる。ディスプレイ125は、外科手術標的領域についての情報を含み得る。例えば、TKAに関連して、ディスプレイ125は、大腿骨および脛骨の機械的軸および解剖学的軸を示すことができる。ディスプレイ125は、外科手術計画に基づいて膝関節の内反角および外反角を示すことができ、CASS100は、外科手術計画への企図された修正が行われた場合に、そのような角度がどのように影響されるかを示すことができる。したがって、ディスプレイ125は、外科手術計画への変更が、骨に取り付けられたインプラントの手技ならびに最終的な位置および配向にどのように影響するかを、動的に更新および表示することができる対話型インターフェースである。
ワークフローが骨切断または切除の準備へと進行するにつれて、ディスプレイ125は、任意の切断が実施される前に、計画される、または推奨される骨切断を示すことができる。外科医111は、ターゲット領域の異なる解剖学的な視点を提供するために画像表示を処置することができ、患者の術中評価に基づいて、計画された骨切断を変更または修正する選択肢を有することができる。ディスプレイ125は、計画された骨切断が行われた場合に、選択されたインプラントが骨にどのように取り付けられるかを示すことができる。外科医111が以前に計画された骨切断を変えることを選択した場合、ディスプレイ125は、骨に取り付けられたときに、修正された骨切断がどのようにインプラントの位置および配向を変えるかを示すことができる。
ディスプレイ125は、外科医111に、患者、計画された外科的介入、およびインプラントに関する様々なデータおよび情報を提供することができる。心拍数、血圧などの患者の健康に関するリアルタイムデータを含む、様々な患者特異的情報を表示することができる。ディスプレイ125はまた、目印の場所、解剖学的構造の現在の状態(例えば、任意の切除が行われたかどうか、計画された、および実行された骨切断の深さおよび角度)、および外科手術計画が進行するにつれての解剖学的構造の将来の状態を含む、外科手術標的領域の解剖学的構造についての情報を含み得る。ディスプレイ125はまた、外科手術標的領域に関する追加情報を提供することができ、または示すことができる。TKAについては、ディスプレイ125は、大腿骨と脛骨との間のギャップ(例えば、ギャップバランス)、および計画された外科手術計画が実施された場合に、そのようなギャップがどのように変化するかについての情報を提供することができる。TKAについては、ディスプレイ125は、関節の張力(例えば、靭帯弛緩)に関するデータ、ならびに関節の回転およびアライメントに関する情報などの、膝関節に関する追加の関連情報を提供することができる。ディスプレイ125は、膝関節が屈曲するにつれて、計画されたインプラントの場所および位置がどのように患者に影響を与えるかを示すことができる。ディスプレイ125は、異なるインプラントの使用、または同じインプラントの異なるサイズの使用が、外科手術計画にどのように影響するかを示し、こうしたインプラントが骨上にどのように位置決めされるかをプレビューすることができる。CASS100は、TKAまたはTHAにおいて計画された骨切除の各々に対して、かかる情報を提供することができる。TKAでは、CASS100は、計画された骨切除のうちの1つ以上に対するロボット制御を提供することができる。例えば、CASS100は、最初の遠位大腿骨切断のみに対してロボット制御を提供することができ、外科医111は、4-in-1切断ガイドまたはジグ105Dなどの従来的な手段を使用して、他の切除(前方、後方および面取り切断)を手動で実施することができる。
ディスプレイ125は、異なる色を採用して、外科医に外科手術計画のステータスを通知し得る。例えば、切除されていない骨を第1の色で表示することができ、切除された骨を第2の色で表示することができ、計画された切除を第3の色で表示することができる。インプラントは、ディスプレイ125で骨上に重ね合わせることができ、インプラントの色は、インプラントの異なるタイプまたはサイズに変わり得るか、または対応し得る。
ディスプレイ125上に示される情報およびオプションは、実施される外科手術手技のタイプに応じて変化し得る。さらに、外科医111は、その外科手術プランの好みに合致するか、またはそれと一致する特定の外科手術ワークフロー表示を要求または選択することができる。例えば、TKAにおける大腿骨切断の前に通常脛骨切断を実施する外科医111については、ディスプレイ125および関連するワークフローを、この好みを考慮に入れて適合させることができる。外科医111はまた、特定のステップが、標準的な外科手術ワークフロー表示に含まれ、またはそれから削除されることを予め選択することができる。例えば、外科医111が切除測定値を使用して、インプラント計画を最終決定するが、インプラント計画を最終決定する際に靭帯ギャップバランスを分析しない場合、外科手術ワークフロー表示は、モジュールに整理され得、外科医は、外科医の好みまたは特定の外科手術の状況に基づいて、どのモジュールを表示するか、およびモジュールが提供される順序を選択することができる。靭帯およびギャップバランスを対象とするモジュールは、例えば、切除前および切除後の靭帯/ギャップバランスを含むことができ、外科医111は、こうした靭帯およびギャップバランスを、骨切除の前または後(または両方)に実施するかどうかに応じて、どのモジュールをその既定の外科手術プランのワークフローに含めるかを選択することができる。
AR HMDなどのより専門化された表示装置については、外科手術コンピュータ150は、装置によってサポートされるデータフォーマットを使用して、画像、テキストなどを提供し得る。例えば、ディスプレイ125が、Microsoft HoloLens(商標)、またはMagic Leap One(商標)などのホログラフィーデバイスである場合、外科手術コンピュータ150は、HoloLensアプリケーションプログラムインターフェース(API)を使用して、外科医111の視野内に表示されるホログラムの位置および内容を指定するコマンドを送信してもよい。
一部の実施形態では、1つ以上の外科手術計画モデルは、CASS100に組み込まれ、外科医111に提供される外科手術計画の開発に使用され得る。用語「外科手術計画モデル」は、様々なシナリオの下で生体構造の性能をシミュレートして、切断および他の外科手術活動を実施する最適な方法を決定するソフトウェアを指す。例えば、膝の置換手術については、外科手術計画モデルは、深い膝の屈曲、歩行などの機能活動のためのパラメータを測定し、インプラント配置を最適化するように膝上の切断場所を選択することができる。外科手術計画モデルの一例は、SMITH AND NEPHEW,INC.からのLIFEMOD(商標)シミュレーションソフトウェアである。一部の実施形態では、外科手術コンピュータ150は、手術中に外科手術計画モデル(例えば、GPUベースの並列処理環境)の完全な実行を可能にするコンピューティングアーキテクチャを含む。他の実施形態では、外科手術コンピュータ150は、ネットワークを介して、外科手術データサーバ180(図5Cを参照)などのこうした実行を可能にするリモートコンピュータに接続され得る。外科手術計画モデルの完全な実行の代替として、一部の実施形態では、モデルによって捕捉された数学的演算を1つ以上の予測因子方程式に単純化する、一連の伝達関数が導出される。次に、手術中にすべてのシミュレーションを実行するのではなく、予測因子方程式を使用する。伝達関数の使用に関するさらなる詳細は、2019年8月19日に出願された「Patient Specific Surgical Method and System」と題する、WIPO公開第2020/037308号に記述されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図5Bは、CASS100の様々な構成要素から外科手術コンピュータ150に提供され得る、一部のタイプのデータの例を示している。一部の実施形態では、構成要素は、手術中にリアルタイムまたはほぼリアルタイムに、データを外科手術コンピュータ150にストリーミングし得る。他の実施形態では、構成要素は、データをキューに入れ、設定された間隔(例えば、毎秒)で外科手術コンピュータ150に送信し得る。データは、当技術分野で公知の任意のフォーマットを使用して通信され得る。したがって、一部の実施形態では、構成要素はすべて、共通フォーマットでデータを外科手術コンピュータ150に伝送する。他の実施形態では、各構成要素は、異なるデータフォーマットを使用してもよく、外科手術コンピュータ150は、データの翻訳を可能にする1つ以上のソフトウェアアプリケーションで構成される。
一般に、外科手術コンピュータ150は、CASSデータが収集される中心点として機能し得る。データの正確な内容は、ソースによって異なる。例えば、エフェクタープラットフォーム105の各構成要素は、測定された位置を外科手術コンピュータ150に提供する。したがって、測定された位置を外科手術コンピュータ150(図5Bを参照)により当初指定された位置と比較することによって、外科手術コンピュータは、手術中に起こる偏差を識別することができる。
切除装置110は、使用される装置のタイプに応じて、様々なタイプのデータを外科手術コンピュータ150に送信することができる。送信され得る例示のデータタイプには、測定されたトルク、オーディオシグネチャ、および測定された変位値が含まれる。同様に、追跡技術115は、用いられる追跡方法に応じて、異なるタイプのデータを提供することができる。例示の追跡データタイプには、追跡された品目(例えば、解剖学的構造、ツールなど)、超音波画像、および表面または目印の収集点または軸についての位置値が含まれる。組織ナビゲーションシステム120は、システムが動作するときに解剖学的場所、形状などを、外科手術コンピュータ150に提供する。
ディスプレイ125は、一般に、ユーザへの提示のためにデータを出力するために使用されるが、さらに外科手術コンピュータ150にデータを提供することができる。例えば、ディスプレイ125の一部としてモニタが使用される実施形態については、外科医111は、GUIと相互作用して、さらなる処理のために外科手術コンピュータ150に送信される入力を提供し得る。AR用途では、HMDの測定された位置および変位は、必要に応じて提示されたビューを更新することができるように、外科手術コンピュータ150に送信され得る。
ケアのエピソードの術後段階の間、様々なタイプのデータを収集して、手術の結果としての患者の状態の全体的な改善または悪化を定量化することができる。データは、例えば、質問票を介して患者によって報告された自己報告情報の形態を取ることができる。例えば、膝関節置換手術の文脈において、機能状態は、Oxford Knee Score質問票を用いて測定され得、術後の生活の質は、EQ5D-5L質問票を用いて測定され得る。股関節置換手術の文脈のその他の例には、Oxford Hip Score、Harris Hip Score、およびWOMAC(Western OntarioおよびMcMaster大学変形性関節炎指数)が含まれ得る。こうした質問票は、例えば、医療従事者によって、臨床現場において直接的に、または患者が質問に直接的に応答することを可能にするモバイルアプリを使用して、管理され得る。一部の実施形態では、患者は、手術に関連するデータを収集する1つ以上のウェアラブルデバイスを装備し得る。例えば、膝の手術の後、患者は、膝の位置決め、柔軟性などを監視するセンサを含む、膝ブレースを装備し得る。この情報は収集され、外科医によるレビューのために患者の携帯機器に転送されて、外科手術の転帰を評価し、いくつかの問題に対処することができる。一部の実施形態では、1つ以上のカメラは、術後の指定された活動中に患者の身体セグメントの動きを捕捉し、記録することができる。この動きの捕捉は、患者の関節の機能性をより良く理解して、回復の進捗をより良く予測し、必要とされ得るいくつかの可能性のある修正を識別するバイオメカニクスモデルと比較され得る。
ケアのエピソードの術後の段階は、患者の生涯にわたって継続することができる。例えば、一部の実施形態では、外科手術コンピュータ150またはCASS100を含む他の構成要素は、手技が実施された後に、外科手術手技に関連するデータを受信および収集し続けることができる。このデータには、例えば、画像、質問に対する回答、「正常な」患者データ(例えば、血液型、血圧、状態、薬剤など)、生体認証データ(例えば、歩行など)、および特定の問題(例えば、膝関節または股関節痛)に関する客観的かつ主観的データが含まれ得る。このデータは、患者または患者の医師によって、外科手術コンピュータ150または他のCASS構成要素に明示的に提供され得る。代替的に、または追加的に、外科手術コンピュータ150または他のCASS構成要素は、患者のEMRを監視し、利用可能となったときに関連情報を取得することができる。患者の回復のこの長期的な視野によって、外科手術コンピュータ150または他のCASS構成要素が、患者の転帰のより客観的な分析を提供し、所与の手技の成功または成功の欠如を測定および追跡することができる。例えば、外科手術手技のずっと後に患者が経験する病態は、ケアのエピソードの間に収集された様々なデータ項目の回帰分析を通して、手術に再びリンクされ得る。この解析は、類似の手技を有し、および/または類似の解剖学的構造を有する患者の群に対して解析を実施することによってさらに強化され得る。
一部の実施形態では、データは、より簡単な分析および使用を提供するために、中央位置で収集される。一部の実例では、様々なCASS構成要素から手動でデータを収集することができる。例えば、ポータブル記憶デバイス(例えば、USBスティック)は、手術中に収集されたデータを取得するために、外科手術コンピュータ150に取り付けることができる。次に、データは、例えば、デスクトップコンピュータを介して、集中型ストレージに転送され得る。代替的に、一部の実施形態では、外科手術コンピュータ150は、図5Cに示すように、ネットワーク175を介して中央ストレージに直接的に接続される。
図5Cは、外科手術コンピュータ150がネットワーク175を介して外科手術データサーバ180に接続される、「クラウドベースの」実装を示している。このネットワーク175は、例えば、プライベートイントラネットまたはインターネットであり得る。外科手術コンピュータ150からのデータに加えて、他のソースは、関連するデータを外科手術データサーバ180に転送することができる。図5Cの実施例は、患者160、医療従事者165、およびEMRデータベース170である、3つの追加データソースを示している。したがって、患者160は、例えば、モバイルアプリを使用して、術前および手術後のデータを外科手術データサーバ180に送信することができる。医療従事者165には、外科医およびそのスタッフ、ならびに患者160に従事するいずれのその他の専門家(例えば、かかりつけ医、リハビリテーション専門医など)も含まれる。また、EMRデータベース170は、術前のデータおよび手術後のデータの両方に使用され得ることに留意されたい。例えば、患者160が適切な許可を与えたと仮定すると、外科手術データサーバ180は、患者の術前のEMRを収集し得る。次に、外科手術データサーバ180は、術後のいくつかの更新についてEMRを監視し続けることができる。
外科手術データサーバ180では、ケアのエピソードデータベース185を使用して、患者のケアのエピソードにわたって収集された様々なデータが記憶される。ケアのエピソードデータベース185は、当技術分野で公知の任意の技術を使用して実装され得る。例えば、一部の実施形態では、SQLベースのデータベースは、様々なデータ項目のすべてが、行および列の2つのSQLの集合に容易に組み込まれ得るように構造化されている場合に使用され得る。しかしながら、他の実施形態では、No-SQLデータベースを使用して、非構造化データを可能にする一方で、クエリーを迅速に処理および応答する能力を提供することができる。当技術分野で理解されるように、用語「No-SQL」は、その設計において非リレーショナルであるデータ記憶装置のクラスを定義するために使用される。様々なタイプのNo-SQLデータベースが、一般にその基礎となるデータモデルに従ってグループ化され得る。これらのグループ化は、列ベースのデータモデル(例えば、Cassandra)、文書ベースのデータモデル(例えば、MongoDB)、キー値ベースのデータモデル(例えば、Redis)、および/またはグラフベースのデータモデル(例えば、Allego)を使用するデータベースを含み得る。任意のタイプのNo-SQLデータベースを使用して、本明細書に記載される様々な実施形態を実装してもよく、一部の実施形態では、異なるタイプのデータベースが、ケアのエピソードデータベース185をサポートしてもよい。
データは、当技術分野で公知の任意のデータフォーマットおよび転送技術を使用して、様々なデータソースと外科手術データサーバ180との間で転送され得る。図5Cに示すアーキテクチャは、データソースから外科手術データサーバ180への伝送、ならびにデータソースによる外科手術データサーバ180からのデータの取り出しを可能にすることに留意されたい。例えば、以下で詳細に説明するように、一部の実施形態では、外科手術コンピュータ150は、過去の手術、機械学習モデルなどからのデータを使用して、外科手術手技を誘導することを助け得る。
一部の実施形態では、外科手術コンピュータ150または外科手術データサーバ180は、非識別化プロセスを実行して、ケアのエピソードデータベース185に記憶されたデータが、医療保険の相互運用性および説明責任法(HIPAA)の基準または法律により義務付けられるその他の要件を満たすことを確実にし得る。HIPAAは、非識別化の際にデータから削除する必要のある特定の識別子のリストを提供する。前述の非識別化プロセスは、記憶のためにケアのエピソードデータベース185に転送されるデータ内のこれらの識別子をスキャンすることができる。例えば、一実施形態では、外科手術コンピュータ150は、特定のデータ項目または一連のデータ項目の外科手術データサーバ180への転送を開始する直前に、非識別化プロセスを実行する。一部の実施形態では、固有の識別子は、必要に応じてデータの再識別を可能にするために、特定のケアのエピソードからのデータに割り当てられる。
図5A~図5Cは、単一のケアのエピソードの文脈におけるデータ収集について論じているが、全般的な概念は、複数のケアのエピソードからのデータ収集に拡張され得ることが理解されるべきである。例えば、外科手術データは、手術がCASS100で行われ、外科手術コンピュータ150または外科手術データサーバ180に記憶されるたびに、ケアの全エピソードにわたって収集され得る。以下でさらに詳細に説明するように、ケアデータのエピソードの堅牢なデータベースは、最適化された値、測定値、距離、またはその他のパラメータ、および外科手術手技に関連するその他の推奨事項の生成を可能にする。一部の実施形態では、様々なデータセットは、外科手術手技中に関連情報の迅速な取得を可能にする方法で、データベースまたは他の記憶媒体にインデックス付けされる。例えば、一実施形態では、特定の患者または特定の患者と類似した患者のセットに関するデータを容易に抽出することができるように、患者中心型の指標セットを使用し得る。この概念は、同様に外科医、インプラント特性、CASS構成要素バージョンなどに適用され得る。
ケアデータのエピソードの管理のさらなる詳細は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月21日に出願された「Methods and Systems for Providing an Episode of Care」と題する米国特許出願第62/783,858号に記載されている。
オープン対クローズ型デジタルエコシステム
一部の実施形態では、CASS100は、自己完結型または「クローズ型」デジタルエコシステムとして動作するように設計される。CASS100の各構成要素は、クローズ型エコシステムで使用するように特別に設計され、データは一般に、デジタルエコシステム外部のデバイスからはアクセスすることができない。例えば、一部の実施形態では、各構成要素には、通信、記憶、セキュリティなどの活動の専有プロトコルを実装する、ソフトウェアまたはファームウェアが含まれる。クローズ型デジタルエコシステムの概念は、特定の互換性、セキュリティ、信頼性基準を確実に満たすために、CASS100のすべての構成要素を管理したい企業にとって望ましい場合がある。例えば、CASS100は、会社が認定しない限り、CASSで新しい構成要素を使用することができないように設計され得る。
他の実施形態では、CASS100は、「オープン型」デジタルエコシステムとして動作するように設計される。これらの実施形態では、構成要素は、通信、記憶、およびセキュリティなどの活動の基準に従って、様々な異なる企業によって製造され得る。そのため、これらの基準を使用することで、どの企業もCASSプラットフォームの独立した準拠構成要素を自由に構築することができる。データは、公開されているアプリケーションプログラミングインターフェース(API)およびオープンで共有可能なデータフォーマットを使用して、構成要素間で転送され得る。
CASS100を用いて実施され得る1つのタイプの推奨を説明するために、外科手術パラメータを最適化する技術が以下に開示されている。この文脈における用語「最適化」は、特定の指定基準に基づいて最適であるパラメータの選択を意味する。極端な場合、最適化は、任意の術前データ、所定の時点におけるCASSデータの状態、および術後の目標を含む、ケアの全エピソードからのデータに基づいて、最適なパラメータを選択することを指すことができる。さらに、最適化は、例えば、同じ外科医、現在の患者と類似した身体的特性を有する過去の患者などを含む過去の外科手術中に生成されたデータなどの履歴データを使用して実施され得る。
最適化されたパラメータは、操作される患者の解剖学的構造の部分に依存し得る。例えば、膝の外科手術については、外科手術パラメータは、回転アライメント(例えば、内反/外反の回転、外部の回転、大腿骨構成要素の屈曲の回転、脛骨構成要素の後方の傾斜)、切除深度(例えば、内反膝、内反膝)、ならびにインプラントタイプ、サイズおよび位置を含むが、これらに限定されない、大腿骨および脛骨構成要素の位置決め情報を含み得る。位置決め情報には、さらに、全体的肢のアライメント、組み合わせた脛骨大腿側過伸展、および組み合わせた脛骨大腿側切除などの、組み合わせたインプラントの外科手術パラメータが含まれ得る。CASS100によって所与のTKA大腿骨インプラントに対して最適化され得るパラメータの追加的な例には、以下が含まれる。
Figure 2023514042000002
CASS100によって所与のTKA脛骨インプラントに対して最適化され得るパラメータの追加的な例には、以下が含まれる。
Figure 2023514042000003
股関節外科手術については、外科手術パラメータは、大腿骨頸部切除の場所および角度、カップ傾斜角、カップ前傾角、カップ奥行き、大腿骨ステム設計、大腿骨ステムサイズ、大腿骨ステムの管内への嵌合、大腿骨オフセット、脚長、およびインプラントの大腿骨バージョンを含み得る。
肩のパラメータには、上腕骨切除の深度/角度、上腕骨ステムのバージョン、上腕骨オフセット、グレノイドのバージョンおよび傾斜、ならびに上腕骨切除の深度/角度、上腕骨ステムのバージョン、グレノイドの傾斜/バージョン、グレノスフェアの配向、グレノスフェアのオフセットおよびオフセットの方向などの逆肩のパラメータが含まれ得るが、これらに限定されない。
外科手術パラメータを最適化するための様々な従来的な技術が存在する。しかしながら、これらの技術は典型的には、計算集約的であり、したがって、パラメータは多くの場合、術前に決定する必要がある。結果として、外科医は、手術中に起こり得る問題に基づいて最適化されたパラメータを修正する能力が制限される。さらに、従来的な最適化技術は、推奨パラメータ値に関する説明がほとんどまたは全くない状態で、典型的には「ブラックボックス」で作動する。したがって、外科医が推奨パラメータ値から逸脱することを決定した場合、外科医は通常、その逸脱が外科手術ワークフローの残りの部分に与える影響、または逸脱が患者の術後の生活の質に与える影響を完全に理解することなく、逸脱を行う。
手術患者ケアシステム
最適化の一般的な概念は、図6に示すように、手術データ、ならびに患者605および医療従事者630からのその他のデータを使用する手術患者ケアシステム620を使用して、ケアの全エピソードに拡張されて、転帰および患者の満足度を最適化し得る。
従来は、関節全形成術の術前診断、術前手術計画、所定の計画の術中の実行、および術後管理は、個人の経験、公開された文献、および外科医の訓練知識ベース(最終的には、個々の外科医に関するトライバルの知識、ならびに同業者およびジャーナル出版物の「ネットワーク」)、ならびにガイドおよび視覚的な合図を使用して、「バランス」の正確な術中の触覚識別および平面切除の正確な手動実行を行うそれらの本来の能力に基づくものである。この既存の知識ベースおよび実行は、ケアを必要とする患者に提供される転帰の最適化に関して制限される。例えば、適切な最小侵襲の処方ケアに対して患者を正確に診断すること、動的な患者、医療経済、および外科医の好みを患者の望ましい転帰と整合させること、適切な骨アライメントおよびバランスなどをもたらす外科手術計画を実行すること、ならびに異なるバイアスを有する分離されたソースからデータを受信することに関して、限界が存在するが、これらは、全体的な患者フレームワークと整合させることは困難である。したがって、より正確に解剖学的応答をモデル化し、外科手術計画を誘導するデータ駆動型ツールは、既存のアプローチを改善することができる。
手術患者ケアシステム620は、患者固有のデータ、外科医データ、医療施設データ、および過去の転帰データを利用して、望ましい臨床転帰に基づいて、患者のケアの全エピソード(術前、術前、および術後)に対する最適な全体的な治療計画を提案または推奨するアルゴリズムを開発するように設計される。例えば、一実施形態では、手術患者ケアシステム620は、提案されたまたは推奨される計画への順守を追跡し、患者/医療従事者の性能に基づいて計画を調整する。外科手術治療計画が完了すると、収集されたデータは、手術患者ケアシステム620によって履歴データベースにログ記録される。このデータベースは、将来の患者および将来の治療計画の開発のためにアクセス可能である。統計モデルおよび数学モデルを活用することに加えて、シミュレーションツール(例えば、LIFEMOD(登録商標))を使用して、予備的または提案された外科手術計画に基づいて、転帰、アライメント、運動学などをシミュレートし、患者のプロファイルまたは外科医の好みに従って、望ましいまたは最適な結果を達成するために予備的または提案された計画を再構成することができる。手術患者ケアシステム620は、各患者が個別化された手術およびリハビリテーションケアを受けていることを確実にし、それによって、成功した臨床転帰の可能性を改善し、短期的な改訂に関連する施設の経済的負担を軽減する。
一部の実施形態では、手術患者ケアシステム620は、データ収集および管理方法を採用して、CASS100を使用して監視および/または実行される別個のステップを有する詳細な外科手術ケース計画を提供する。ユーザの性能は、各ステップの完了時に計算され、ケース計画の次のステップへの変更を提案するために使用され得る。ケース計画の生成は、ローカルまたはクラウドストレージデータベースに記憶される一連の入力データに依存する。入力データは、治療を受けている現在の患者、および類似の治療を受けている患者からの履歴データの両方と関連付けされ得る。
患者605は、現在の患者データ610および履歴患者データ615などの入力を、手術患者ケアシステム620に提供する。当技術分野で一般的に公知の様々な方法を使用して、患者605からこうした入力を収集することができる。例えば、一部の実施形態では、患者605は、患者データを抽出するために手術患者ケアシステム620によって解析される、紙またはデジタル調査に記入する。他の実施形態では、手術患者ケアシステム620は、電子医療記録(EMR)、病歴ファイル、および支払人/プロバイダーの履歴ファイルなどの既存の情報源から患者データを抽出し得る。さらに他の実施形態では、手術患者ケアシステム620は、外部データソースが手術患者ケアシステムにデータをプッシュすることを可能にする、アプリケーションプログラムインターフェース(API)を提供し得る。例えば、患者605は、データ(例えば、心拍数、痛みもしくは不快感のレベル、運動もしくは活動レベル、または任意の数の術前計画基準もしくは状態への患者の順守に対する患者から提出された回答)を収集する携帯電話、ウェアラブルデバイス、またはその他の携帯機器を有し、そのデータを手術患者ケアシステム620に提供し得る。同様に、患者605は、データを収集し、手術患者ケアシステム620に伝送することを可能にする、デジタルアプリケーションを、その携帯またはウェアラブルデバイス上に有し得る。
現在の患者データ610には、限定されるものではないが、活動レベル、既存の疾患、併存疾患、プリハブパフォーマンス、健康およびフィットネスのレベル、術前期待値(病院、手術、および回復に関連する)、メトロポリタン統計地域(MSA)主導のスコア、遺伝子背景、以前の怪我(スポーツ、外傷など)、以前の関節形成術、以前の外傷手技、以前のスポーツ医学手技、対側関節または手足の治療、歩行または生体力学的情報(背中および足首の問題)、痛みまたは不快感のレベル、ケアインフラストラクチャ情報(支払者の補償範囲タイプ、在宅医療インフラストラクチャレベルなど)、ならびに手技の予想される理想的な転帰の表示が含まれ得る。
過去の患者データ615には、限定されるものではないが、活動レベル、既存の疾患、併存疾患、プリハブパフォーマンス、健康およびフィットネスのレベル、術前期待値(病院、手術、および回復に関連する)、MSA主導のスコア、遺伝子背景、以前の怪我(スポーツ、外傷など)、以前の関節形成術、以前の外傷手技、以前のスポーツ医学手技、対側関節または手足の治療、歩行または生体力学的情報(背中および足首の問題)、痛みまたは不快感のレベル、ケアインフラストラクチャ情報(支払者の補償範囲タイプ、在宅医療インフラストラクチャレベルなど)、手技の予想される理想的な転帰、手技の実際の転帰(患者報告転帰[PRO]、インプラントの生存率、痛みのレベル、活動レベルなど)、使用したインプラントのサイズ、使用したインプラントの位置/配向/アライメント、達成した軟組織のバランスなどが含まれ得る。
手技または治療を実施する医療従事者630は、手術患者ケアシステム620に様々なタイプのデータ625を提供し得る。この医療従事者データ625には、例えば、公知の、または好ましい外科手術技術(例えば、十字型保持(CR)対後部安定化(PS)、アップサイジング対ダウンサイジング、止血帯対止血帯なし、大腿骨ステムスタイル、THAの優先アプローチなど)、医療従事者630の訓練のレベル(例えば、何年もの間、フェローシップは訓練され、訓練を受けた場所、それらの技術がエミュレートされている)、過去のデータを含む以前の成功レベル(転帰、患者の満足度)、ならびに可動域、回復日数、およびデバイスの生存に関して期待される理想的な転帰が含まれ得る。医療従事者データ625は、例えば、医療従事者630に提供された紙またはデジタル調査で、医療従事者によるモバイルアプリケーションへの入力を介して、またはEMRから関連データを抽出することによって、捕捉され得る。さらに、CASS100は、プロファイルデータ(例えば、患者固有の膝器具プロファイル)または手術中のCASSの使用を記述する履歴ログなどのデータを提供し得る。
手技または治療が行われる施設に関する情報が、入力データに含まれ得る。このデータには、以下が含まれるが、これらに限定されない。外来手術センタ(ASC)対病院、施設外傷レベル、関節置換プログラム(CJR)またはバンドル候補の包括的ケア、MSA主導のスコア、コミュニティ対メトロ、学術対非学術、術後ネットワークアクセス(熟練看護施設[SNF]のみ、在宅医療など)、医療専門家の利用可能性、インプラントの利用可能性、および外科手術機器の利用可能性。
これらの施設入力は、例えば、調査(紙/デジタル)、外科手術スケジューリングツール(例えば、アプリ、ウェブサイト、電子医療記録〔EMR〕など)、病院情報のデータベース(インターネット上)などによって捕捉され得るが、これらに限定されない。患者の社会経済的プロファイル、患者が受けるであろう償還の期待レベル、および治療が患者固有である場合を含むが、これらに限定されない、関連する医療経済に関連する入力データがまた、捕捉され得る。
これらの医療経済入力は、例えば、限定されるものではないが、調査(紙/デジタル)、直接支払者情報、社会経済的ステータスのデータベース(郵便番号を含むインターネット上の)などによって捕捉され得る。最後に、手技のシミュレーションから導出されたデータが捕捉される。シミュレーション入力には、インプラントのサイズ、位置、および配向が含まれる。シミュレーションは、カスタムまたは市販の解剖学的モデリングソフトウェアプログラム(例えば、LIFEMOD(登録商標)、AnyBody、またはOpenSIM)を用いて実行され得る。上述のデータ入力は、すべての患者に利用可能ではなく、治療計画は、利用可能なデータを使用して生成されることに留意されたい。
手術の前に、患者データ610、615および医療従事者データ625を捕捉し、クラウドベースのデータベースまたはオンラインデータベース(例えば、図5Cに示す外科手術データサーバ180)に記憶してもよい。手技に関連する情報は、無線データ転送を介して、またはポータブルメディアストレージの使用により手動でコンピューティングシステムに提供される。コンピューティングシステムは、CASS100で使用するためのケース計画を生成するように構成されている。以下に、ケース計画の生成について説明する。システムは、コンピュータ支援の、患者特異的膝用器具(PSKI)選択システムによって、またはCASS100自体によって自動的に生成されるようなインプラントサイズ、配置、および配向を含む、治療を受けている以前の患者からの履歴データにアクセスできることに留意されたい。これを達成するために、症例ログデータは、オンラインポータルを使用して外科手術販売担当者または症例エンジニアによって履歴データベースにアップロードされる。一部の実施形態では、オンラインデータベースへのデータ転送は、無線および自動化である。
オンラインデータベースからの履歴データセットは、例えば、反復ニューラルネットワーク(RNN)または他の形態の人工ニューラルネットワークなどの機械学習モデルへの入力として使用される。当技術分野で一般的に理解されるように、人工ニューラルネットワークは、生物学的ニューラルネットワークと類似した機能を持ち、一連のノードおよび接続から構成される。機械学習モデルは、入力データに基づいて1つ以上の値を予測するように訓練される。続くセクションについては、機械学習モデルが、予測因子方程式を生成するように訓練されていると仮定される。これらの予測因子方程式は、最良の結果または満足度レベルを達成するために、インプラントの最適なサイズ、位置、および配向を決定するように最適化され得る。
手技が完了すると、すべての患者データおよびCASS100によって決定されるインプラントのサイズ、位置および配向を含む利用可能な転帰データが収集され、履歴データベースに記憶される。RNNを介した標的方程式の任意の後続の計算は、この様式で以前の患者からのデータを含み、システムの継続的な改善を可能にする。
インプラントの位置決めを決定することに加えて、またはそれの代替として、一部の実施形態では、予測因子方程式および関連する最適化を使用して、PSKIシステムで使用するための切除平面を生成することができる。PSKIシステムと併用する場合、予測因子方程式の計算および最適化は、手術前に完了される。患者の解剖学的構造は、医療画像データ(x線、CT、MRI)を使用して推定される。予測因子方程式のグローバル最適化は、インプラント構成要素の理想的なサイズおよび位置を提供することができる。インプラント構成要素と患者の解剖学的構造のブール交差は、切除体積として定義される。PSKIを作製して、最適化された切除エンベロープを除去することができる。この実施形態では、外科医は、術中に外科手術計画を変更することができない。
外科医は、手技の前または手技の最中にいつでも、外科手術ケース計画を変更し得る。外科医が外科手術ケース計画から逸脱することを選択した場合、構成要素の変更されたサイズ、位置、および/または配向がロックされ、(前述の技術を使用して)構成要素の新しいサイズ、位置、および/または配向に基づいてグローバル最適化が更新されて、他の構成要素の新しい理想的な位置、ならびに構成要素の新規に最適化されたサイズ、位置、および/または配向を達成するために実施する必要のある対応する切除を見つける。例えば、外科医が、TKAにおける大腿骨インプラントのサイズ、位置、および/または配向を術中に更新または修正する必要があると決定した場合、大腿骨インプラント位置は、解剖学的構造に対してロックされ、脛骨の新しい最適化位置は、大腿骨インプラントのサイズ、位置および/または配向に対する外科医の変化を考慮して(グローバル最適化を介して)計算されるであろう。さらに、ケース計画を実施するために使用される外科手術システムがロボット支援(例えば、NAVIO(登録商標)またはMAKO Rioと同様に、)される場合、手術中の骨除去および骨形態をリアルタイムで監視することができる。手技中に行われた切除が外科手術計画から逸脱する場合、追加の構成要素のその後の配置は、すでに行われた実際の切除を考慮に入れて、プロセッサによって最適化され得る。
図7Aは、手術患者ケアシステム620がどのようにケース計画マッチングサービスを実施するように適合され得るかを示している。この実施例では、データは、現在の患者610に関連して捕捉され、患者データおよび関連付けられる転帰615の履歴データベースのすべてまたは一部分と比較される。例えば、外科医は、現在の患者の計画を、履歴データベースのサブセットに対して比較することを選択し得る。履歴データベース内のデータは、例えば、好ましい転帰を有するデータセット、現在の患者プロファイルと同一もしくは類似のプロファイルを有する患者の履歴外科手術に対応するデータセット、特定の外科医に対応するデータセット、外科手術計画の特定の要素に対応するデータセット(例えば、特定の靭帯が保持される手術のみ)、または外科医もしくは医療専門家によって選択された任意の他の基準のみを含むようにフィルタリングされ得る。例えば、現在の患者データが、良好な転帰を経験した以前の患者のものと合致するか、または相関する場合、以前の患者のケース計画にアクセスして、現在の患者と使用するために適合または採用することができる。予測因子方程式は、ケース計画と関連付けられた動作を識別または決定する術中アルゴリズムと組み合わせて使用され得る。履歴データベースからの関連および/または事前に選択された情報に基づいて、術中アルゴリズムは、外科医が実行する一連の推奨動作を決定する。アルゴリズムの各実行は、ケース計画の次の動作を生成する。外科医が動作を実施する場合、結果が評価される。外科医が動作を実行する結果は、ケース計画の次のステップを生成するための術中アルゴリズムへの入力を精密化し、および更新するために使用される。ケース計画が完全に実行されると、外科医によって推奨される動作から実施されたいくつかの逸脱を含む、ケース計画と関連付けられたすべてのデータが、履歴データのデータベースに記憶される。一部の実施形態では、システムは、一連のケア全体とは対照的に、部分的様式で術前、術中、または術後モジュールを利用する。言い換えれば、介護者は、単一のモジュールの使用を含む、任意の置換または治療モジュールの組み合わせを処方することができる。これらの概念は、図7Bに示されており、CASS100を利用する任意のタイプの手術に適用され得る。
手術プロセスの表示
図1および図5A~図5Cに関して上述したように、CASS100の様々な構成要素は、手術中に詳細なデータ記録を生成する。CASS100は、手術の各ステップ中の外科医の様々な動作および活動を追跡および記録し、実際の活動を術前または術中の外科手術計画と比較することができる。一部の実施形態では、ソフトウェアツールを採用して、このデータを、手術が効果的に「再生」され得るフォーマットに処理してもよい。例えば、一実施形態では、手術中にディスプレイ125上に提示されたすべての情報を示す、1つ以上のGUIが使用され得る。これは、異なるツールによって収集されたデータを示すグラフおよび画像で補足され得る。例えば、組織切除中に膝の視覚的描写を提供するGUIは、視覚的描写に隣接する切除装置の測定されたトルクおよび変位を提供し、計画された切除領域から生じた任意の逸脱の理解をより良く提供することができる。外科手術計画の再生をレビューする能力、または実際の手術の異なる段階と外科手術計画との間のトグル能力は、外科医および/または外科手術スタッフに利益を提供し得、そのような人は、将来の手術で修正することができるように、手術の任意の欠陥または困難な段階を識別することができる。同様に、学術的設定では、前述のGUIは、将来の外科医および/または外科手術スタッフを訓練するための教育ツールとして使用され得る。さらに、データセットは、外科医の活動の多くの要素を効果的に記録するため、特定の外科手術手技の正しいまたは不正確な実施の証拠として、他の理由(例えば、法的またはコンプライアンス上の理由)にも使用され得る。
経時的に、より多くの外科手術データが収集されるにつれて、異なる患者についての異なる外科医によって、様々なタイプの解剖学的構造(膝、肩、股関節など)に対して実施される外科手術手技を記述する、豊富なデータライブラリが取得され得る。さらに、例えば、インプラントのタイプおよび寸法、患者の人口統計などの情報をさらに使用して、データセット全体を強化することができる。データセットが確立されたら、それを使用して、機械学習モデル(例えば、RNN)を訓練し、CASS100の現在の状態に基づいて手術がどのように進行するかの予測を行わせることができる。
機械学習モデルの訓練は、以下のように実施され得る。CASS100の全体的な状態は、手術期間中、複数の期間にわたってサンプリングされ得る。次に、機械学習モデルを訓練して、第1の期間での現在の状態を、異なる期間での将来の状態に変換することができる。個々のデータ項目ではなくCASS100の全状態を分析することによって、CASS100の異なる構成要素間の相互作用の任意の因果関係を捕捉することができる。一部の実施形態では、単一のモデルではなく、複数の機械学習モデルを使用し得る。一部の実施形態では、機械学習モデルは、CASS100の状態だけでなく、患者データ(例えば、EMRから捕捉される)および外科手術スタッフのメンバーの識別情報も使用して訓練され得る。これにより、モデルは、さらに高い特異性で予測を行うことができる。さらに、外科医は、必要に応じて、自身の外科手術経験のみに基づいて選択的に予測を行うことができる。
一部の実施形態では、前述の機械学習モデルによって作られる予測または推奨は、外科手術ワークフローに直接的に統合され得る。例えば、一部の実施形態では、外科手術コンピュータ150は、今後の動作または外科手術状態に対する予測または推奨をバックグラウンドで行い、機械学習モデルを実行し得る。したがって、複数の状態を、各期間について予測または推奨することができる。例えば、外科手術コンピュータ150は、30秒刻みで次の5分間の状態を予測または推奨し得る。この情報を使用して、外科医は、将来の状態を可視化することを可能にする、手術の「プロセス表示」ビューを利用することができる。例えば、図7Cは、インプラント配置インターフェースを示す外科医に表示され得る一連の画像を示している。外科医は、例えば、特定の時間をCASS100のディスプレイ125に入力するか、または触覚、口腔、もしくは他の命令を使用して、特定の時間増分でディスプレイを進めるか、もしくは巻き戻すようにシステムに指示することによって、これらの画像を循環させることができる。一実施形態では、プロセスディスプレイは、AR HMDの外科医の視野の上部に提示され得る。一部の実施形態では、プロセスディスプレイは、リアルタイムで更新され得る。例えば、外科医が計画された切除領域の周りに切除ツールを移動させると、その動作が手術の他の要因にどのように影響しているかを外科医が見ることができるように、プロセス表示を更新することができる。
一部の実施形態では、機械学習モデルへの入力としてCASS100の現在の状態を単に使用するのではなく、モデルへの入力は、計画された将来の状態を含み得る。例えば、外科医は、自身が膝関節の特定の骨切除をすることを計画していることを示し得る。この表示は、外科手術コンピュータ150に手動で入力されてもよく、または外科医が口頭で表示を提供してもよい。次いで、外科手術コンピュータ150は、手術に対する切断の予測された効果を示す、フィルムストリップを作製することができる。こうしたフィルムストリップは、例えば、企図される動作過程が実施される場合、患者の解剖学的構造の変化、インプラント位置および配向の変化、ならびに外科手術介入および器具に関する変化を含む、外科手術がどのように影響を受けるかを特定の時間増分で示すことができる。外科医または医療専門家は、企図される動作が実行される場合、企図される動作過程が外科手術計画にどのように影響するかをプレビューするために、手術の任意の時点で、このタイプのフィルムストリップを起動または要求することができる。
さらに、十分に訓練された機械学習モデルおよびロボットCASSを用いて、外科医が、例えば、手術の様々なステップの承認のみを提供することによって、最小限にしか関与する必要がないように、手術の様々な要素を自動化することができる。例えば、アームまたは他の手段を使用したロボット制御は、経時的に外科手術ワークフローに徐々に統合されてもよく、外科医はロボット操作と比較して、手動の相互作用に徐々に関与することが少なくなる。この場合の機械学習モデルは、CASS実装計画の特定の状態を達成するために、ロボットコマンドが何を必要とするかを学習することができる。最終的に、機械学習モデルは、初期状態から手術全体を予測し、かつプレビューすることができる、フィルムストリップ、または類似のビューもしくはディスプレイを作製するために使用され得る。例えば、患者情報、外科手術計画、インプラント特性、および外科医の好みを含む、初期状態が定義され得る。この情報に基づいて、外科医は、手術全体をプレビューして、CASS推奨計画が外科医の期待および/または要件を満たしていることを確認することができる。さらに、機械学習モデルの出力は、CASS100自体の状態であるため、コマンドを導出して、CASSの構成要素を制御して、各予測された状態を達成することができる。極端な場合、したがって、手術全体は、初期の状態情報のみに基づいて自動化され得る。
点プローブを使用して、股関節手術中に重要な領域の高解像度を取得する
点プローブの使用は、「Systems and Methods for Planning and Performing Image Free Implant Revision Surgery」と題する、米国特許出願第14/955,742号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。簡潔に述べると、光学的に追跡された点プローブを使用して、新しいインプラントを必要とする標的骨の実際の表面をマッピングし得る。マッピングは、欠陥または摩耗したインプラントの除去後、ならびに任意の罹患した骨、または別には望ましくない骨の除去後に実施される。残りの骨の全体を点プローブの先端でブラシで磨く、または擦り取ることによって、複数の点が骨表面上に収集される。これは、骨をトレーシングするまたは「ペイントする」と称される。収集された点は、コンピュータ化された計画システム内の骨表面の三次元モデルまたは表面マップを作成するために使用される。次いで、残りの骨の作成された3Dモデルを、手技および必要なインプラントサイズの計画のための基礎として使用する。X線を使用して3Dモデルを決定する代替的な技術は、2019年4月17日に出願された「Three-Dimensional Selective Bone Matching」と題する、米国特許出願第16/387,151号、および2020年2月13日に出願された「Three-Dimensional Selective Bone Matching」と題する、米国特許出願第16/789,930号に記載されており、これらの出願の各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
股関節用途では、点プローブペインティングを使用して、寛骨臼縁および寛骨臼窩などの重要な領域で高分解能データを取得することができる。これにより、外科医は、リーミング開始前に詳細ビューを取得することが可能になり得る。例えば、一実施形態では、点プローブは、寛骨臼の床(窩)を識別するために使用され得る。当技術分野でよく理解されているように、股関節手術では、内側壁の破壊を避けるために、寛骨臼の床がリーミング中に損なわれていないことを確実にすることが重要である。内側壁が不注意で破壊された場合、手術は、骨移植の追加ステップを必要とする。これを念頭に置いて、点プローブからの情報を使用して、外科手術手技中の寛骨臼リーマーに手術ガイドラインを提供することができる。例えば、寛骨臼リーマーは、外科医が床に到達したとき、またはそうでなければ外科手術計画から逸脱したときに、外科医にハプティックフィードバックを提供するように構成され得る。代替的に、CASS100は、床に達したとき、またはリーマーが閾値距離内にあるときに、リーマーを自動的に停止し得る。
追加の保護手段として、寛骨臼と内側壁との間の領域の厚さを推定することができる。例えば、寛骨臼縁および寛骨臼窩が一旦ペイントされ、術前3Dモデルに登録されると、寛骨臼の表面の場所を内側壁の場所と比較することによって、厚さを容易に推定することができる。この知識を使用して、CASS100は、リーミング中に何らかの外科手術活動が寛骨臼壁を通して突出すると予測される場合に、警告またはその他の応答を提供し得る。
点プローブはまた、3Dモデルを患者に配向するために使用される共通の参照点の高解像度データを収集するために使用され得る。例えば、ASISおよび恥骨結合のような骨盤平面の目印については、外科医は、骨をペイントして、真の骨盤平面を表すために、点プローブを使用し得る。これらの目印のより完全なビューを考慮すると、登録ソフトウェアは、3Dモデルを配向するためのより多くの情報を有する。
点プローブはまた、インプラント配置の精度を高めるために使用され得る、近位大腿骨参照点を記述する高分解能データを収集するために使用され得る。例えば、大転子(GT)の先端と大腿骨頭の中心との間の関係は、一般に、股関節形成中に大腿骨構成要素を整列させるための参照点として使用される。アライメントは、GTの適切な場所に大きく依存する。したがって、一部の実施形態では、点プローブは、GTをペイントして、領域の高解像度ビューを提供するために使用される。同様に、一部の実施形態では、小転子(LT)の高解像度ビューを有することが有用であり得る。例えば、股関節形成術の間、Dorr分類は、手術中にプレスフィットを達成する能力を最大化して、術後の大腿骨構成要素の微小な動きを防止し、最適な骨の内成長を確実にする、ステムを選択するのに役立つ。当技術分野で理解されているように、Dorr分類は、LTでの管幅とLTの10cm下の管幅との間の比を測定する。分類の精度は、関連する解剖学的構造の正しい場所に大きく依存する。したがって、LTをペイントして、領域の高解像度ビューを提供することが有利であり得る。
一部の実施形態では、点プローブは、大腿骨頸部をペイントして、外科医が頸部をどこで切断するかをより良く理解することを可能にする高分解能データを提供するために使用される。次いで、ナビゲーションシステムは、外科医が頸部切断を実施する際に、外科医を誘導することができる。例えば、当技術分野で理解されるように、大腿骨頸部の角度は、大腿骨シャフトの中心に1本の線を、大腿骨頸部の中心に第2の線を配置することによって測定される。したがって、大腿骨頸部(および場合により、大腿骨シャフト)の高解像度ビューは、大腿骨頸部角度のより正確な計算を提供するであろう。
高分解能大腿骨頭頸部データはまた、ソフトウェア/ハードウェアが、近位大腿骨の準備および大腿骨構成要素の配置において外科医を支援する、ナビゲーションされた再表面化手技にも使用され得る。当技術分野で一般的に理解されるように、股関節の再表面化の間、大腿骨の頭部および頸部は除去されず、むしろ、頭部は、滑らかな金属被覆でトリミングされ、かつ覆われる。この場合、外科医は、大腿骨頭部およびキャップをペイントして、その結果、それぞれの形状の正確な評価を理解し、大腿骨構成要素のトリミングおよび配置を誘導するために使用し得ることが有利であろう。
点プローブを使用した、患者の解剖学的構造への術前データの登録
上述のように、一部の実施形態では、3Dモデルは、関心対象の解剖学的領域の2Dまたは3D画像に基づいて、術前段階の間に開発される。こうした実施形態では、3Dモデルと外科手術部位との間の登録は、外科手術手技の前に実施される。登録された3Dモデルは、患者の解剖学的構造および外科手術ツールを術中に追跡および測定するために使用され得る。
外科手術手技中、この術前3Dモデルの患者の解剖学的構造への登録を容易にするために、目印が取得される。膝の手技については、これらの点は、大腿骨頭部の中心、遠位大腿骨軸の点、内側および外側上顆、内果および外果、近位脛骨機械軸の点、および脛骨A/P方向を含むことができる。股関節手技については、これらの点は、前上腸骨背骨(ASIS)、恥骨結合、寛骨臼縁に沿った、および半球内の点、大転子(GT)、および小転子(LT)を含むことができる。
改訂手術では、外科医は、解剖学的欠陥を含む特定の領域をペイントして、インプラント挿入のより良好な可視化およびナビゲーションを可能にし得る。これらの欠陥は、術前画像の分析に基づいて識別され得る。例えば、一実施形態では、各術前画像は、(すなわち、欠陥のない)「健康な」解剖学的構造を示す画像のライブラリと比較される。患者の画像と健康な画像との間のいくつかの著しい偏差は、潜在的な欠陥としてフラグ付けされ得る。次に、手術中、外科医は、CASS100のディスプレイ125上の視覚的警報を介して、欠陥の可能性について警告を受け得る。次に、外科医は、領域をペイントして、外科手術コンピュータ150に、潜在的な欠陥に関するさらなる詳細を提供することができる。
一部の実施形態では、外科医は、骨の解剖学的構造の内部切開の登録のための非接触方法を使用し得る。例えば、一実施形態では、レーザー走査が、登録のために採用される。レーザーストライプは、関心対象の解剖学的領域上に投影され、領域の高さの変形は、線の変化として検出される。白色光干渉法または超音波法などの他の非接触光学法は、代替的に、表面高さ測定または解剖学的構造の登録に使用され得る。例えば、超音波技術は、登録点と登録される骨との間に軟部組織がある場合(例えば、ASIS、股関節外科手術における恥骨結合)に有益であり、それによって、解剖学的平面のより正確な定義を提供することができる。
図8~図10を参照すると、例示的な関節伸張デバイス10が示されている。関節伸張デバイス10は、CASS100などのロボット支援システムに用いられ得る。関節伸張デバイス10は、屈曲アーム12、負荷アーム14、力検知電子機器16、および通信インターフェース18を含むが、関節伸張デバイスは、他の組み合わせにおける他のタイプおよび/または数の要素を含み得る。
屈曲アーム12と負荷アーム14との間の相対的な位置は、手動で調整可能である。関節伸張デバイス10は、有利には、ユーザによって調整可能な、膝関節などの関節への既知の力の手動の適用を可能にする。力データは、CASS100への入力として使用することができる。例えば、力データを、位置データを含む、CASS100によって収集された他のデータとともに用いて、関節が特定の負荷にどのように応答するか、与えられた負荷が加えられたときの関節弛緩性の量、または他の関連情報を実証するデータを提供することができる。屈曲アーム12および負荷アーム14によって提供される2つの既知の場所または接触点で力を加えることにより、加えられた力をより正確に計算することができる。関節伸張デバイス10により、関節弛緩性を定量化するために、加えられた延伸力の大きさを標準化することができる。
図8~図10を再び参照すると、屈曲アーム12は、伸張先端20およびハンドル22を含む。この例では、屈曲アーム12の伸張先端20は、PCLリトラクタと類似した形状であるが、伸張先端は、中で伸張先端が用いられることが意図される関節に基づいて変化する、任意の他の構成または幾何学形状を有し得る。伸張先端20は、図10に示されるような膝関節などの関節への挿入のために構成されている。伸張先端20の幾何学形状は、標準的な幾何学形状よりも関節内でのより正確な接触点を提供するように、接触する骨の幾何学形状に基づいて構成され得る。より正確な接触点は、以下に記載されるように、より正確な力の測定を可能にする。伸張先端20は、関節に負荷または延伸力を加えるために関節の一部分に接触するように構成された第1の伸展面24を含む。膝関節の例では、第1の伸展面24は、患者の大腿骨と接触して位置して、膝関節に負荷または延伸力を加えるように構成されている。ハンドル22は、屈曲アーム12に取り付けられ、該屈曲アームの一部分を覆う。ハンドル22は、検知電子機器16、および関節伸張デバイス10の通信インターフェース18を収容するが、検知電子機器は、デバイス内の他の場所にも位置し得る。
負荷アーム14は、負荷先端26および負荷レバー28を含む。負荷先端26は、膝関節などの関節への挿入のために構成されている。負荷先端20は、使用中に、関節に負荷または延伸力を加えるために関節の一部分に接触するように構成された、伸張先端20の第1の伸展面24の反対側に位置する第2の伸展面30を含む。膝関節の例では、図10に示されるように、第2の伸展面30は、患者の脛骨と接触して位置して、膝関節に負荷を加えるように構成されている。この例では、負荷アーム14は、ピボット32で伸張アーム12に連結されている。ピボット32は、ユーザが、関節伸張デバイス10の操作中に、関節に負荷を手動で加えることを可能にするように、伸張先端20と負荷先端26との手動の分離を可能にする。伸張先端20と負荷先端26との分離は、負荷レバー28を使用することにより得られる。図9Aは、伸張先端20と負荷先端26との分離の前の閉位置にある関節伸張デバイス10を示しており、一方、図9Bは、関節伸張デバイスの使用中に、関節に負荷を提供するために利用されることになる、ピボット32の操作を介した、分離された状態または開位置にあるこれらの要素を示している。図9Aに示されるように、関節伸張デバイスが閉位置にあるとき、伸張先端20および負荷先端26は、共通の軸に沿って整列する。
検知電子機器16は、屈曲アーム12のハンドル22内に位置決めされ得る。この例では、検知電子機器16は、屈曲アーム12に取り付けられた歪みゲージ34を含むが、他の方法を用いて、操作中に屈曲アーム12に加えられた歪みを検出することができる。例としてのみ、検知電子機器16は、関節伸張デバイス10の屈曲アーム12に加えられたトルクを決定するように構成された光学センサ、圧力センサ、磁気センサ、または電気センサなどの他のセンサデバイスを含み得る。歪みゲージ34は、関節に加えられた負荷に基づいて、操作中に屈曲アーム12に加えられた歪みを検出するように構成されているが、他のタイプのセンサデバイスを用いて、関節伸張デバイスによって加えられた力を決定することができる。一例では、歪みゲージ34は、関節伸張デバイス10に溶接され得る金属先端上に蓄積されている固体状態の歪みゲージである。一部の例では、歪みゲージ34は、任意の接着剤の使用を避けるために、ガラスコーティング内に蓄積され得る。この例では、歪みゲージ34は、有利には、高圧蒸気滅菌法への耐性が改善されている。歪みゲージ34は、屈曲アーム12と負荷アーム14との間のピボット32からの固定された場所に位置し、そのため、ピボットの周りに加えられたトルクは、歪みデータに基づいて近似され得る。以下でさらに詳細に記載されるように、加えられたトルクは、伸張先端20および負荷先端26の接触する場所の近似値とともに、関節に加えられた力を定量化するために使用され得る。別の例では、複数の歪みゲージを用いて、伸張先端20および負荷先端26の接触点、ならびに関節に加えられた負荷の方向の改善された近似を提供することができる。
検知電子機器16は、例として、アナログデジタルコンバータなど、歪みゲージ34から歪みデータを捕捉するために必要な追加の電子機器を含み得る。一例では、歪みデータは、CASS100の外科手術コンピュータ150などでの遠隔処理のために、通信インターフェース18を介して送信され得るが、他の例では、検知電子機器16は、アナログデジタルコンバータ、デジタルアナログコンバータ、シリアルバス、汎用I/Oピン、RAM、およびROM、プロセッサ、または関節伸張デバイス10内で歪みデータを処理するように構成された構成可能なハードウェア論理などの、様々なオンボードハードウェア機能を有する高度に統合されたマイクロコントローラデバイスを含み得る。この例では、マイクロコントローラデバイスは、ハンドル22内など、関節伸張デバイス10のハウジング内に位置し得る。この例では、検知電子機器16を、ハンドル22上に位置するディスプレイインターフェースに連結して、歪みデータから導き出された力情報を表示することができ、そのため、関節伸張デバイス10は、スタンドアロンデバイスとして作用し得る。一例では、CASS100の外科手術コンピュータ150または関節伸張デバイス10に搭載されたマイクロコントローラデバイスは、歪みゲージ34または用いられる他の検知デバイスに関する記憶されている較正データを含む。例えば、較正データは、いなかる負荷も関節伸張デバイス10に加えられていない場合に、歪みゲージ34の電気出力を示す、歪みゲージ34に対するゼロオフセットを含み得る。ゼロオフセットは、用いられる歪みゲージ34に応じて変化し得る。ゼロオフセットは、負荷がない状態を、関節に加えられた張力に対するゼロの値に設定するために用いられる。較正データはまた、測定された歪みの値を、関節伸張デバイス10によって関節に加えられた力に相関させる較正曲線を含む。一例では、曲線は、測定された歪みと加えられた力との間の線形近似である。
通信インターフェース18は、バス36または他の通信リンクによって検知電子機器16に連結されて、歪みゲージ34によって収集された歪みデータを受信する。この例では、通信インターフェース18は、関節伸張デバイス10の検知電子装置16と、例えば、CASS100の外科手術コンピュータ150などの他のコンピューティングデバイスとの間で動作可能に連結および通信するが、他の例では、関節伸張デバイス10は、通信インターフェース18を使用することなく、関節伸張デバイス10上のディスプレイインターフェース上などで、直接情報を伝達し得る。この例では、通信インターフェース18は、外科手術コンピュータ150への有線接続を提供するように構成されたUSBポートであるが、無線通信プロトコルを含む、他のタイプおよび/または数の通信インターフェースを使用する他の通信プロトコルを用いることができる。
例示的な関節伸張デバイス10は、ピボット32を介して連結された、屈曲アーム12および負荷アーム14を有するものとして記載されているが、屈曲アーム12と負荷アーム14との間の他の構成を利用して、関節に負荷を手動で加えることができる。例としてのみ、ここで図11Aおよび図11Bを参照すると、他の例では、屈曲アーム12は、屈曲アーム12と負荷アーム14との間の分離を提供し、これにより、使用中に、関節に負荷力を加えるために、負荷アーム14から離れる方向に並進するように構成されている。これらの例は、以下に記載される場合を除き、関節伸張デバイス10と同じ構造および操作を有する。これらの例では、屈曲アーム12は、並進の間、負荷アーム14に平行なままである。図11Aは、この実施形態における関節伸張デバイスの例示的な構成を提供する一対の平行なジョープライヤを示している。図11Bは、負荷アーム14から離れる屈曲アーム12の並進の動きを提供して、使用中に、関節に負荷を提供する、摺動またはラチェット機構を有する例示的な靭帯バランスデバイスを示している。両方の例では、検知電子機器16は、関節に加えられた力の量を測定するように、屈曲アーム12上に位置決めされ得る。屈曲アーム12および負荷アーム14は、有利には、以下に記載されるように、検知電子機器16を使用して、関節に加えられた力をより正確に測定するために利用され得る2つの接触点を提供する。
図12を参照すると、関節伸張デバイス10の例示的な操作のフローチャートが示されている。この例のステップ1200では、ユーザ(例えば、外科医または他の医療専門家)は、関節領域に伸張先端20および負荷先端26を挿入する。一例では、関節は、図10に示されるような膝関節である。伸張先端20は、第1の伸展面24が患者の腓骨と接触するように挿入され、一方、負荷先端26は、第2の伸展面30が患者の脛骨と接触するように挿入される。膝関節が示され記載されているが、関節伸張デバイス10は、他の関節で利用することができ、かつそれに応じて構成することができる。関節伸張デバイス10は、図9Aに示されるように、閉構成で挿入される。
ステップ1202では、ユーザは、関節伸張デバイス10を手動で調整して、関節に延伸力を加える。図9Bに示されるように、ユーザは、負荷レバー28を使用して関節伸張デバイスを調整して、関節領域内で伸張先端20と負荷先端26とを分離する。この構成では、関節伸張デバイス10は、負荷レバー28の手動操作に基づく負荷または延伸力を、第1の伸展面24および第2の伸展面30の接触点に基づいて、関節に加える。延伸力の量は、負荷レバー28の動きに基づいて、ユーザによって手動で変化させることができるが、延伸力は、図11Aおよび図11Bの構成での使用によってなど、他の方向で加えることができる。
ステップ1204では、歪みゲージ34は、関節に加えられた延伸力から生じる、屈曲アーム12に対する歪みに基づいて、歪み測定値を収集する。歪み測定値は、リアルタイムで得られる。検知電子機器16は、例えば、アナログの歪み測定値をデジタル信号に変換することを含む、さらなる処理のために歪みゲージ34から歪み測定値を収集する。一例では、歪み測定値は、統合されたマイクロコントローラまたは構成可能なハードウェア論理によって、関節伸張デバイス10内で処理される。代替的に、歪み測定値は、処理するために、通信インターフェース18を介して、CASS100の外科手術コンピュータ150などの別のコンピューティングデバイスに通信することができる。
ステップ1206では、歪み測定値を処理して、伸張デバイスの手動操作に基づいて、関節伸張デバイス10によって関節に加えられた力または負荷の量を決定する。歪みゲージ34は、屈曲アーム12と負荷アーム14との間のピボット32からの固定された場所に位置し、そのため、ピボットの周りに加えられたトルクは、歪みデータに基づいて近似され得る。以下でさらに詳細に記載されるように、加えられたトルクは、伸張先端20および負荷先端26の接触する場所の近似値とともに、関節に加えられた力を定量化するために使用され得る。一例では、加えられたトルク、ならびに伸張先端20および負荷先端26の接触する場所に基づいて、関節に加えられた力を推定するモデルが利用される。加えられた力は、使用時に、関節伸張デバイス10を使用して、計装されていないツールを使用して負荷が加えられる場合よりも正確で反復可能な負荷を、膝関節などの関節に加えることができるように、ユーザに提供される。
一例では、関節伸張デバイス10は、脛骨および大腿骨の位置もリアルタイムで捕捉する、CASS100などのシステムを有するTKA手技で利用され得る。この例では、外科医には、関節伸張デバイス10から得られたデータに基づいて、膝が特定の負荷にどのように応答するか、所与の負荷がいくつかの位置に加えられたときの関節弛緩性の量、または他の関連情報を示すデータが提示される。CASS100のディスプレイ125は、関節の張力(例えば、靭帯弛緩性)についてのデータ、ならびに関節の回転およびアライメントに関する情報などの、膝関節についての追加の関連情報を提供することができる。ディスプレイ125は、膝関節が屈曲するにつれて、計画されたインプラントの場所および位置がどのように患者に影響を与えるかを示しながら、関節伸張デバイス10から膝に加えられた力の量に関する情報も提供することができ、これは、術前段階での正確さの増加をもたらす。
本明細書に例によって記載および示されるように、本技術は、有利には、正確で反復可能な手動で加えられる負荷を関節に加えるように利用され得るデバイスを提供する。例えば、靭帯弛緩性の収集中に、伸張デバイスを通してユーザによって関節に加えられた力の量を定量化する能力は、ロボット外科手術システムにより一貫した入力を提供することになる。この入力を標準化すると、術中の外科医と計画ソフトウェアとの相互作用が少なくなり、ひいては、外科手術の転帰のばらつきがより少ない、より効率的な手技がもたらされる。本デバイスの使用により、脛骨ポリインサートの再切断またはリサイズの可能性の低下がもたらされ、靭帯弛緩段階中に、関節が非常に窮屈であるか、または非常に緩んでいることを誤って示し、骨切除中の過剰な切断または切断不足につながる場合がある、関節の過大なストレスまたは過小なストレスが低減される。
本教示の原理を組み込んだ様々な例示の実施形態が開示されているが、本教示は、本開示の実施形態に限定されない。代わりに、本出願は、本教示の任意の変形、使用、または適合をカバーし、その一般原則を使用することを意図している。さらに、本出願は、これらの教示が関連する技術分野で公知または慣習的慣行の範囲内にある本開示からのかかる逸脱をカバーすることを意図している。
上記の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面を参照する。図面では、文脈上別段の指示がない限り、類似の記号は、典型的には類似の構成要素を識別する。本開示に記載される例示の実施形態は、限定することを意図するものではない。本明細書に提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用してもよく、その他の変更を行ってもよい。本開示の様々な特徴は、一般に本明細書に記載され、図に示されるように、多種多様な異なる構成で配設、置換、結合、分離、および設計され得、それらのすべては、本明細書に明示的に企図されている。
本開示は、様々な特徴の図解として意図される、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されない。当業者には明らかであるように、その趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形を行うことができる。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に同等の方法および装置は、前述の記載から当業者には明らかであろう。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物学的システムに限定されないが、それらは変化し得ることが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記述するためのものであり、限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。
本明細書における実質的に任意の複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途に適切なように、複数形から単数形および/または単数形から複数形に翻訳することができる。様々な単数形/複数形の配列は、明確にするために本明細書に明示的に記載され得る。
一般に、本明細書で使用される用語は、一般に「オープン」な用語として意図されていること(例えば、用語「含む(including)」は、「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであるなど)は、当業者であれば理解されるであろう。様々な組成物、方法、およびデバイスは、様々な構成要素またはステップを「含む(comprising)」という観点から説明される(「含む(including)が、これに限定されない」という意味として解釈される)が、組成物、方法、およびデバイスはまた、様々な構成要素およびステップから「本質的になる」または「なる」ことができ、そのような用語は、本質的にクローズドメンバーグループを定義するものとして解釈されるべきである。
さらに、特定の数が明示的に列挙されていても、当業者は、このような列挙は、少なくとも列挙された数を意味する(例えば、他の修飾子なしでの「2つの列挙」のありのままの列挙は、少なくとも2つの列挙、または2つ以上の列挙を意味する)と解釈されるべきであることを認識するであろう。さらに、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似した慣習が使用されている場合、一般に、こうした構造は、当業者が慣習を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを一緒に、AおよびCを一緒に、BおよびCを一緒に、ならびに/またはA、B、およびCを一緒に有するシステムなどが含まれるが、これらに限定されない)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似した慣習が使用されている場合、一般に、こうした構造は、当業者が慣習を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを一緒に、AおよびCを一緒に、BおよびCを一緒に、ならびに/またはA、B、およびCを一緒に有するシステムなどが含まれるが、これらに限定されない)。説明、サンプルの実施形態、または図面のいずれにおいても、2つ以上の代替的な用語を提示する実質的に任意の離散的な単語および/または語句は、用語、用語のいずれか、または両方の用語のうちの1つを含む可能性を企図するために理解されるべきであると、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、語句「AまたはB」は、「A」もしくは「B」、または「AおよびB」の可能性を含むと理解されるであろう。
さらに、本開示の特徴がマーカッシュグループに関して記述される場合、当業者は、本開示がまた、それにより、マーカッシュグループの任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関して記述されることを認識するであろう。
当業者であれば理解するであろうように、書面による説明を提供するなどの任意のおよびすべての目的のために、本明細書に開示されるすべての範囲はまた、任意のおよびすべての可能な部分範囲、ならびにそれらの部分範囲の組み合わせを包含する。いくつかの列挙された範囲は、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割できるように十分に記述し、可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で論じる各範囲は、ローワーサード、ミドルサード、およびアッパーサードなどに容易に分割され得る。また、当業者であれば理解されるように、「最大」、「少なくとも」、およびこれに類するものなどのすべての言語には、列挙された数が含まれ、上記で論じたように、後で部分範囲に実質的に分割することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3つの構成要素を有するグループは、1、2、または3つの構成要素を有するグループを指す。同様に、1~5つの構成要素を有するグループは、1、2、3、4、または5つなどの構成要素を有するグループを指す。
本明細書で使用される場合、用語「約」は、例えば、これらの手技での不注意によるエラーによる、組成物または試薬の製造、供給源、または純度の違い、およびこれに類するものによる、現実世界での測定または取り扱い手技を通じて発生する可能性のある数値の変動を指す。典型的には、本明細書で使用される場合、用語「約」は、記載された値の1/10だけ記載された値または値の範囲よりも大きいまたは小さいこと(例えば、±10%)を意味する。用語「約」はまた、当業者によって、そのような変形が先行技術によって実践される既知の値を包含しない限り、等価であると認識される変形を指す。用語「約」が前に付く各値または値の範囲はまた、述べられた絶対値または値の範囲の実施形態を包含することを意図している。用語「約」によって修飾されるか否かにかかわらず、本開示に列挙される定量値は、列挙された値と同等のもの、例えば、発生する可能性があるが、当業者によって同等であると認識されるであろうそのような値の数値の変動を含む。
様々な上記で開示されたおよびその他の特徴および機能、またはその代替例は、多くの他の異なるシステムまたは用途に組み合わされ得る。その中の様々な現在予想されないもしくは予期しない代替、修正、変形、または改善は、その後、当業者によって行われ得、これらの各々はまた、開示された実施形態によって包含されることが意図される。

Claims (15)

  1. 関節伸張システムであって、
    関節伸張デバイスを備え、前記関節伸張デバイスが、
    関節内の第1の場所に整列するように構成された第1の幾何学形状を有する第1の先端を有する第1のアームと、
    前記関節内の第2の場所に整列するように構成された第2の幾何学形状を有する第2の先端を有する第2のアームであって、前記第2のアームが、前記第1のアームに連結され、そのため、前記第1の先端および前記第2の先端が、閉位置で軸に沿って一緒に接合され、使用中に、前記第1の先端および前記第2の先端が、前記関節に延伸力を加えるように、開位置へと手動で互いに分離される、第2のアームと、
    前記第1のアーム内に位置し、前記関節に加えられた前記延伸力に基づいて、前記第1の先端に加えられた歪みを測定するように位置決めされる、センサデバイスと、
    前記センサデバイスに連結されたコンピューティングデバイスと、を備え、前記コンピューティングデバイスが、
    前記センサデバイスから、前記第1の先端に加えられた前記測定された歪みを受信すること、および
    前記第1の先端に加えられた、前記受信された測定された歪みに基づいて、前記第1の先端と前記第2の先端との前記手動の分離による、前記関節に加えられた前記延伸力を決定すること、を行うように構成されている、関節伸張システム。
  2. 前記第1の先端および前記第2の先端が、膝関節に接触するように構成されている、請求項1に記載の関節伸張システム。
  3. 前記膝関節に前記延伸力を加えるように、前記第1の先端が大腿骨に接触するように構成され、前記第2の先端が脛骨に接触するように構成されている、請求項2に記載の関節伸張システム。
  4. 前記第1のアームが、PCLリトラクタとして構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の関節伸張システム。
  5. 前記センサデバイスが、1つ以上の歪みゲージを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の関節伸張システム。
  6. 前記1つ以上の歪みゲージが、ガラスコーティング内に蓄積されている、請求項5に記載の関節伸張システム。
  7. 前記センサデバイスが、複数の歪みゲージを備える、請求項5に記載の関節伸張システム。
  8. 前記第1のアームが、ピボットで前記第2のアームに連結されて、前記関節に前記延伸力を加えるように、前記第1のアームと前記第2のアームとの間での手動の分離を可能にする、先行請求項のいずれか一項に記載の関節伸張システム。
  9. 前記センサデバイスが、前記ピボットから固定された距離に位置する歪みゲージを備える、請求項8に記載の関節伸張システム。
  10. 前記第1のアームが、前記第2のアームから離れる方向に並進して、前記手動の分離を提供するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の関節伸張デバイス。
  11. 前記コンピューティングデバイスが、前記関節伸張デバイスのハウジング内に位置する、先行請求項のいずれか一項に記載の関節伸張システム。
  12. 前記関節伸張デバイスが、前記ハウジング上に位置し、前記関節に加えられた前記延伸力を表示するように構成されている、ディスプレイインターフェースをさらに備える、請求項11に記載の関節伸張システム。
  13. 前記コンピューティングデバイスが、前記測定された歪みの値をリアルタイムで受信する、先行請求項のいずれか一項に記載の関節伸張システム。
  14. 前記コンピューティングデバイスが、前記コンピューティングデバイスに記憶されている前記関節伸張デバイスの較正曲線に基づいて、前記関節に加えられた前記延伸力を決定する、先行請求項のいずれか一項に記載の関節伸張システム。
  15. 前記コンピューティングデバイスが、
    前記関節の位置データを受信することと、
    前記延伸力が前記関節に加えられたときに、前記関節の関節弛緩性を決定することと、を行うようにさらに構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の関節伸張デバイス。

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