JP2023510803A - イオンビーム放出装置およびそのための検出システム - Google Patents

イオンビーム放出装置およびそのための検出システム Download PDF

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Abstract

Figure 2023510803000001
標的ゾーン(4)の陽電子放射断層撮影(PET)スキャンのために構成された少なくとも2つの検出モジュール(14、14a、14s)を含む検出モジュールアセンブリ(13、13a、13b、13c)を含むガンマ線検出システム(10)であって、各検出モジュールは、複数の積層されたシンチレータプレート(16)であって、それぞれが、標的ゾーンに概ね面するように方向付けられた主要表面(40a)およびシンチレータプレートのエッジを画定する横方向小表面(40b)を有する、複数の積層されたシンチレータプレート(16)と、主要表面に入射するガンマ線からのシンチレータプレート内のシンチレーション事象を検出するように構成された前記エッジ層光子センサ(18a)に対して取り付けられている複数の光子センサ(18)と、を含む、ガンマ線検出システム。ガンマ線検出システムは、コンプトンカメラとして機能するようにさらに構成され、標的ゾーンに最も近いシンチレータプレートではない少なくとも1つのシンチレータプレートは、前記コンプトンカメラのための吸収体シンチレータプレートとして構成される。

Description

開示の内容
〔技術分野〕
本発明は、イオンビーム放出装置、およびそのための検出システムに関する。イオンビーム放出装置は、特に、イオンビーム療法のための、例えば腫瘍の陽子線照射のための、医療装置に関するものであってよい。検出システムは、ガンマ線を検出するためのものである。検出システムは、イオンビーム療法での治療中に線量および飛程のモニタリングのために使用され得る。検出システムの使用は、人間または動物への照射療法のみに限定されず、他の用途のため従来のPETスキャナまたはコンプトンカメラとして使用することも可能である。
〔背景〕
陽子線または重イオンビーム/イオンビーム療法は、外部放射線療法の最も精密な方法の1つである。入射線量が高く、身体を通過する間に徐々に減少する光子ビームとは異なり、イオンは、組織を貫通し、ブラッグピークとして知られる、軌道の終点付近にそのエネルギーの大部分を蓄積させることができる。本文では、一般的な意味での「イオン」という用語への言及は、陽子を含む、負の電荷または正の電荷を持つイオンを包含することも理解されたい。
放射線療法のための今日の最先端のイオンビームシステムでは、図1に示すように、照射の線量は典型的には、患者の方に向けられ、かつ高速傾斜スキャン磁石(fast ramped scanning magnets)2を用いて横方向に偏向される、定義されたエネルギーの、狭い、典型的には数ミリメートルのイオンビーム1によって送達される。ビームの透過深さは、ビームのエネルギーを調節することによって制御され、標的エリアに到達するまでのビームの強度と横方向位置およびサイズは、ビーム強度およびプロファイルモニター3によって登録される。このようにして、腫瘍は3D(三次元)で照射される。標的エリアは、所与の組のビームエネルギーの透過深さに対応する、等エネルギースライス4に分割することができる。各等エネルギースライスは、異なる横座標を有する一連の「スポット」に分割され、各スポットはある数の粒子を受け取ることになる。
実際、イオンビーム療法では、通常、治療を開始する前に、(図2に示すような)治療計画を立てる必要がある。この治療計画の間、場合によっては患者および標的組織のMRI(磁気共鳴映像法)および/またはPET(陽電子放射断層撮影)スキャンと組み合わせて、コンピュータトモグラフィスキャン(CTスキャン)が一般的に行われる。CT/MRI/PETスキャンは、標的ボリュームを描写し、望ましい線量分布を定義するのに使用される。次に、図1に示すように、陽子がどのように送達されるべきか:すなわち、どの入口角から陽子線が入るべきか、ブラッグピークを所望の場所に位置付けるためにどのビームエネルギーを使用するか、患者に入る前のビームの形状およびサイズ、ならびに「スポット」ごとに送達されるべき陽子の数を計算する。
このプロセスは通常、(図2においてt0の時間で示す)実際の治療開始の数日または数週間前に行われ、一人の患者の治療は、数回の治療セッションに分散して数週間かかることもある。この期間中、標的組織の位置およびボリュームが大きく変化することがある。治療計画の妥当性を確認するために、患者は、各治療セッションの直前にしばしば撮像され、これにより(台および撮像デバイスに対する)患者の位置が正しいことを確実にすることが可能になる。また、線量分布に影響を与える可能性のある解剖学的変化も検出することができる。患者の位置付けおよび患者の解剖学的構造の変化のほかに、図2に示すように、一般的には計画された線量分布と送達された線量分布との間、特にビーム飛程に不一致を引き起こし得る、ある範囲の他の要因が存在する。特に、過去に手術を受けたことのある患者では珍しくないが、金属インプラントを有する患者では、撮像アーチファクトが発生する可能性がある。
画像から生成された組織モデルは、系統誤差、ならびにCT画像から陽子飛程への変換を受けることがある。皮膚から標的までのビーム経路に沿った組織の不均一性は、ビーム飛程の計算に大きな不確実性をもたらす可能性がある。患者のセットアップまたは固定は、治療セッションごとに異なる可能性がある。照射中、呼吸運動、心拍、蠕動、または患者が立位から仰臥位もしくは腹臥位に姿勢を変えることによる、より遅いドリフトによって引き起こされ得る、器官の動きも、ブラッグピークを所望の位置からずらし得る。特に懸念されるのは、腫瘍が重要な器官:すなわち、脊椎、視神経、脳幹など、に近い状況である。ブラッグピーク領域での線量減少の勾配が急であるため、イオン療法における飛程偏差は、光子療法よりも深刻な影響を及ぼす。飛程誤差は、腫瘍の一部が全く放射線量を受けないこと(アンダーシュート)、または、ビームの遠位にある正常な組織が高い線量を受けること(オーバーシュート)を意味し得る。
組織を通過する間に、陽子/重イオンは、核反応を受け、その一部がガンマ線の放出を引き起こす。治療モニタリングのために検出され得る、2つのタイプのガンマ線がある:1)陽電子放出同位体の生成による同時発生ガンマ線(Coincident gamma rays)。2)標的核の励起による即発ガンマ線。第1のタイプは、今日広く使用されている、陽電子放射断層撮影(PET)スキャンを使用して、検出され得る。これは、特定の器官および組織におけるグルコースの代謝および他の標的ラジオトレーサーの取り込みをモニターすることができるため、神経学および腫瘍学に広く応用されている。PETスキャンの1つの特定の使用事例は、イオンビーム療法にあり、ここでは、患者へのビームの透過深さが、組織の不均一性により不確実になり得、重要な器官を線量から助けるため、および/または腫瘍全体に十分な線量が与えられるのを確実にするために、安全マージンを使用する必要がある。PETスキャンは、照射線量が堆積された患者内の正確な場所に関する情報を与えることができる。しかし、従来のPETスキャナをイオンビーム療法の治療で使用するには、多くの実用的および技術的な問題がある。
臨床ワークフローで使用される従来のPETスキャンの例は、以下のとおりである(Shakirin2011):
-オフラインPET。PETスキャンが照射後に行われるもので、患者を照射室からPETスキャナを収容する別室に移動させる際に数分の遅れを伴うことが多い。数分程度の寿命の同位体のみが検出され得る。オフラインPETは、従来のPETスキャナで実施され得るが、治療室と撮像室との間の距離に依存する、PET取得のための比較的長い遅延により、短寿命核種(short-lived radionuclide species)からの放出物を取得することができない。オフラインPETは、長半減期の寄与のみを測定することができる。性能は、陽子誘導PET活性の生物学的ウォッシュアウトによりさらに低下し、これにより、標的領域の活性レベルが低下し、その結果、「ぼやけた」画像となる。
-インルームPET。治療室に設置されたPETスキャナを使用して、PETスキャンが照射後すぐに行われるものである。オフラインシステムに比べ、照射からスキャンまでの遅延は減少するが、それでもいくらかの遅延がある。さらに、このアプローチでは、照射室の占有時間が長くなり、全体的な患者のスループットを事実上低下させる。
-インビームPET:治療部位に組み込まれるかまたはガントリーに直接組み込まれるカスタマイズされたPETスキャナにより、照射中の陽電子消滅活性を測定する。リアルタイムにデータを取得することで、より正確な線量および飛程の制御が可能である。組織内のPET活性レベルは、長半減期成分(11C、13Nなど)および短半減期成分(15O、10Cなど)の両方で最高レベルにあり、生物学的ウォッシュアウトの影響は最小限である。しかし、リアルタイム測定のために専用のPETシステムをビーム送達システムに組み込むことは、治療環境におけるイオンビーム装置への組み込みの幾何学的制約、およびガンマ線検出器が出力する多数の信号に基づくリアルタイム測定の集中的な計算のために、高価で技術的に過酷なものである。さらに、インビームPETデバイスの性能は、とりわけ、イオンビーム送達中の即発ガンマ放出によるコインシデンス事象の打ち消し(drowning)、および照射に対する陽電子消滅の遅延(生成された同位体の寿命に応じた確率的放出)により制限されている。それでも、PETスキャン技術および画像再構成法は成熟し、立証されており、また、患者が室外にいても、イオンビーム放出後に画像取得を継続できる点で有利である。照射終了後であっても、画像取得時間を長くすることで、画質を向上させることができる。同様に、ポータル間のアイドルタイムも撮像に使用できる。PETスキャンのさらに重要な利点は、全線量測定が可能なことである。
WO2018/081404 A1では、エッジ検出と、固有の相互作用深さ分解能(inherent depth-of-interaction resolution)を達成するためにいくつかのセンサブロックを半径方向に積み重ねる可能性を有する、PETスキャナシンチレーション検出器が、開示されている。そこに開示されたエッジ検出は、従来のピクセル化シンチレータ配置と比較して、シンチレータ素子の数を減らすと同時に、相互作用深さ測定を向上させる。しかしながら、複数のシンチレータプレートでは、光子センサの数は依然として高く、リアルタイム取得のための関連する信号処理要件は厳しいものとなる。
陽子線飛程を確認するための、別のそれ自体既知の技術は、即発ガンマ線(PG)放出の測定を介するものである(Knopf2013)。PG放出は、陽子線放出と実質的に同時であり、したがって、治療中、放出と検出との間に本質的に遅延はない。スポットごとの撮像(Spot-by-spot imaging)も、粒子端部飛程(particle end-range)に近い撮像と同様に可能である。よって、PG検出は、著しい飛程偏差の迅速な検出を可能にする。しかし、PG検出は未熟な技術であり、画像再構成はかなり複雑で、撮像時間を長くしても画質を改善することができず、検出器の性能とガンマ吸収効率が画質の重要な要素である。さらに、全線量の再構成も困難である。
CN107544086 A[1]は、シンチレータに基づく、複合型コンプトン-PET撮像装置を開示している。ガンマ線検出素子は、図39に示されるように、フェイスオン(「トップオン」)またはエッジオン(「サイドオン」)のタイプである。半径方向に分離された検出モジュール50間のコンプトン散乱は、コンプトンカメラ撮像を可能にし、同時発生の光電吸収は、PET-スキャンを可能にする。半径方向ギャップによって分離された複数のシンチレーション結晶アレイ51を含む検出プローブが開示されている。しかしながら、半径方向ギャップは、光子センサアレイ52またはライトガイド(例えば光ファイバー)のいずれかによって遮られる。よって、各シンチレーション結晶アレイの主要表面(一般に撮像ボリュームに面する)は、光子センサで覆われている。しかしながら、CN107544086 Aは、所望のコンプトン散乱角度精度がどのように達成されるかまたは達成されるかどうかについては開示していない。
Shimazoe2018 [3]は、2D面結合型シンチレータアレイ50(GAGG:Ce)が光子センサ52の2Dアレイに結合された、同様のセットアップを開示している。
〔発明の概要〕
本発明の一般的な目的は、安全で信頼性が高く、正確なイオンビーム放出装置を提供することである。
医療分野における本発明の具体的な目的は、患者の照射療法のための安全で信頼性が高く、正確なイオンビーム放出装置を提供することである。
本発明の別の目的は、陽電子および即発ガンマ線を放出する目的のボリューム(本明細書では「標的ゾーン」とも称する)の正確なリアルタイム撮像を可能にする、費用対効果の高い検出システムを提供することである。
本発明の別の目的は、イオンビーム放出の安全で信頼性が高く、正確なリアルタイム制御のために、イオンビーム放出装置に統合するための費用対効果の高い検出システムを提供することである。
医療分野における本発明の具体的な目的は、イオンビーム放出療法の安全で信頼性が高く、正確なリアルタイム制御のための、費用対効果の高い検出システムを提供することである。
本明細書に開示されるのは、本発明の一態様によれば、標的ゾーンの陽電子放射断層撮影(PET)スキャン用に構成された少なくとも2つの検出モジュールを含む検出モジュールアセンブリを含むガンマ線検出システムであり、各検出モジュールは、複数の積層されたモノリシックシンチレータプレートであって、それぞれが、標的ゾーンに概ね面するように方向付けられた主要表面およびシンチレータプレートのエッジを画定する横方向小表面を有し、主要表面が、横方向小表面の表面積よりも大きな表面積を有する、複数の積層されたモノリシックシンチレータプレートと、主要表面に入射するガンマ線からのシンチレータプレート内のシンチレーション事象の主要表面の平面内の位置を検出および決定するように構成されてエッジのそれぞれに対して取り付けられている複数の光子センサと、を含む。ガンマ線検出システムは、コンプトンカメラとして機能するようにさらに構成され、標的ゾーンに最も近いシンチレータプレートではない少なくとも1つのシンチレータプレートは、前記コンプトンカメラのための吸収体シンチレータプレートとして構成される。
本明細書には、組織のゾーンにイオンビームを照射するためのイオンビーム療法システムも開示され、これは、少なくとも回転軸を中心に相対的に移動可能な患者支持体およびイオンビームエミッタを含み、前記ガンマ線検出システムは、イオンビーム照射中、イオンビーム照射の合間、およびイオンビーム照射後に即発ガンマ線検出およびPETスキャンを行うように構成される。
有利な実施形態では、少なくとも2つの半径方向に積層されたシンチレータプレートの複数の光子センサは、前記複数の光子センサの読み出しを多重化するように構成された処理回路に接続されている。
有利な実施形態では、少なくとも2つの方位軸方向に配置されたシンチレータプレート(azimuthally-axially arranged scintillator plates)の複数の光子センサは、前記複数の光子センサの読み出しを多重化するように構成された処理回路に接続されている。
有利な実施形態では、前記複数の積層されたシンチレータプレートの少なくとも2つの間、または少なくとも2つの検出モジュールの間に、少なくとも1つの半径方向ギャップが設けられる。
有利な実施形態において、前記複数のシンチレータプレートのうちの1つの厚さTに対する半径方向ギャップの高さHは、典型的には200>H/T>2の範囲、好ましくは50>H/T>10の範囲であってよい。
有利な実施形態では、前記複数の光子センサは、複数の層のエッジ上に延びる少なくとも1つのストリップ多層光子センサを含む。
有利な実施形態では、複数の前記ストリップ多層光子センサは、前記複数の積層されたシンチレータプレートの各エッジ側に取り付けられている。
有利な実施形態では、前記少なくとも1つのストリップ多層光子センサは、両端部で信号の到着時間を測定するように構成された両端ストリップ検出器である。
有利な実施形態では、前記複数の光子センサは、各シンチレータプレートの少なくとも1つのエッジ上における少なくとも1つの個別層光子センサを含む。好ましい実施形態では、特に4つ以上のエッジを有するシンチレータプレート(例えば、正方形または六角形のシンチレータプレート)については、各シンチレータプレートの2つのエッジ、または3つ以上のエッジ上に個別層光子センサが存在する。
有利な実施形態では、各センサプレートがシンチレータプレートおよび関連する光子センサを含む、センサプレートのアセンブリの前記個別層光子センサは、十字線接続または抵抗回路網配置で相互接続され、読み出しは、複数の相互接続された個別層光子センサの信号の和および/または加重和となる。
有利な実施形態では、モジュールの前記個別層光子センサは、読み出し信号の数がモジュール光子センサの総数のサブセットとなるように多重化されている。
有利な実施形態では、検出システムは、前記シンチレータプレートのうちの少なくとも2つの間、または少なくとも2つの上に、光反射性または光吸収性の界面層をさらに含む。
有利な実施形態では、検出システムは、前記シンチレータプレートのうちの少なくとも2つの間に、例えば空気の、低屈折率ギャップをさらに含む。
有利な実施形態では、検出システムは、少なくとも1つのシンチレータプレートのエッジと光子センサとの間に電気光学シャッターをさらに含む。
有利な実施形態では、電気光学シャッターは、エッジの近くでシンチレーション事象からの光を広げるように構成された光スプレッダ材料および厚さを含む。
有利な実施形態では、シンチレータプレートの主要表面の表面積Sおよびシンチレータプレートの厚さTは、100mm≦S≦40000mm、および0.5mm≦T≦30mmの範囲にある。
有利な実施形態では、検出モジュールアセンブリは、標的ゾーンを囲み、イオンビームを放出するための少なくとも1つのギャップまたはオリフィスを含む。
有利な実施形態では、シンチレータプレートのスタックの1つまたはいくつかの側面に光学的にエッジ結合される光子センサは、信号処理回路基板に結合するためのエッジコネクタを含む支持基板上に取り付けられ、エッジコネクタは検出モジュールアセンブリの隣接した検出モジュール間のギャップを最小化する。
有利な実施形態では、前記半径方向ギャップは、H/(T1+T2)>5の関係を満たし、ここで、T1およびT2は、半径方向ギャップを囲む2つのシンチレータの厚さであり、Hは、半径方向ギャップの高さである。
有利な実施形態では、複数の積層されたモノリシックシンチレータプレートの半径方向における総厚さが、19mm未満である。
有利な実施形態では、ガンマ線検出システムは、半径方向内側のシンチレータプレートの厚さと半径方向のシンチレータの総厚さとの比が0.2~0.6の範囲にある2つの半径方向に積層されたシンチレータプレートを含む。
有利な実施形態では、個々のシンチレータプレートの光子センサの光子センサバイアス電圧は、独立して調整または有効化/無効化され得る。
有利な実施形態では、少なくとも2つの半径方向に積層されたシンチレータプレートに結合された光子センサは、コンプトン運動学的規則を適用して、2つの同時発生ブロック事象が、後に吸収が続く前方または後方散乱のコンプトン散乱のどちらに対応するかを決定するように構成された処理回路に接続される。
有利な実施形態では、処理回路は、半径方向外側方向から検出器に入る一次ガンマ線に起因すると思われる事象を拒絶するように構成される。
有利な実施形態では、処理回路は、光電吸収の相互作用座標を、電子陽電子消滅(electron-positron annihilation)に起因する小角前方コンプトン散乱ガンマ線のLOR終点として利用するように構成されている。
有利な実施形態では、処理回路は、角分解能を向上させるために、設定可能な一次ガンマ線エネルギー依存散乱角度を超えるコンプトン散乱事象を破棄するように構成される。
有利な実施形態では、隣接する光子センサからのアナログ信号が、デジタル化または他の多重化回路より前に加えられる。
有利な実施形態では、2段階コンプトンカメラ(two-stage Compton camera)が、検出モジュールアセンブリの隣接する検出モジュール間のモジュール間散乱を介して実装され得る。
有利な実施形態では、2段階コンプトンカメラが、隣接するセンサプレート間のブロック間散乱を介して実装され得る。
有利な実施形態では、3段階コンプトンカメラ(three-stage Compton camera)が、隣接するセンサプレート間のブロック間散乱を介して実装され得る。
従来のPETスキャナと比較して、本発明の有利な特徴は、実質的に高い空間分解能および低コストのスケーラビリティである。後者は、医療分野で、特に陽子療法の飛程および線量の検証のために特に重要である高感度に到達するために重要である。本発明の有利な態様によれば、複合型PETスキャナ/コンプトンカメラにより、PETおよび即発ガンマイメージング(PGI)の両方からの利点を利用することができる。この技術は、全身診断用PETもしくは複合型PET/SPECTスキャナなどの他の用途、または他の核イメージング分野にとっても重要であろう。この組み合わせは、インビームPETとPGIの2つの撮像技術を単一のデバイスで融合するのを可能にすることによって、両技術の主な制限に取り組んでいる。
本発明のさらなる目的および有利な特徴は、特許請求の範囲、および添付の図面に関連する本発明の実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
典型的なイオンビーム環境の概略図である。 従来のイオンビーム照射準備計画のフローチャートであり、従来療法による照射治療において飛程の不確実性を引き起こし得る要因および誤差を示している。 イオンビーム照射準備計画のフローチャートを示しており、照射治療において飛程の不確実性を引き起こし得る要因および誤差、ならびに飛程の不確実性を低減して線量精度を向上させるために本発明の実施形態に従って実施される是正措置を示す。 本発明の実施形態によるガンマ線検出システムを備えたイオンビーム療法システムの斜視図である。 本発明の実施形態によるガンマ線検出システムの検出モジュールアセンブリの変形例を示す概略図である。 本発明の実施形態によるガンマ線検出システムの検出モジュールアセンブリの変形例を示す概略図である。 本発明の実施形態によるガンマ線検出システムの検出モジュールアセンブリの変形例を示す概略図である。 本発明の実施形態によるガンマ線検出システムの検出モジュールアセンブリの変形例を示す概略図である。 本発明の実施形態によるガンマ線検出システムの検出モジュールアセンブリの変形例を示す概略図である。 本発明の実施形態によるガンマ線検出システムの検出モジュールアセンブリの検出モジュールの斜視概略図である。 検出モジュールの内側部分を見るためにいくつかの光子センサ支持基板および光子センサが取り除かれた、図6aと同様の図である。 本発明の実施形態による検出モジュールのシンチレータプレートの一部の詳細な概略断面図である。 4つの半径方向に積層されたセンサプレートを有する本発明の実施形態によるプロトタイプ検出モジュールの、半径方向遠位側から撮影した写真である。 本発明の実施形態によるガンマ線検出システムの、センサプレートと信号処理および制御モジュールと、を含む、検出モジュールの概略図である。 本発明の実施形態によるガンマ線検出システムの検出モジュールアセンブリの一部の簡略化された概略図であり、(PETスキャナ機能に対応する)陽電子消滅の検出を示す。 (コンプトンカメラ機能に対応する)即発ガンマ線の検出を示す、図8aと同様の図である。 本発明の異なる実施形態による検出モジュールのための、異なる形状の積層されたシンチレータプレートを示す概略斜視図である。 本発明の異なる実施形態による検出モジュールのための、異なる形状の積層されたシンチレータプレートを示す概略斜視図である。 本発明の異なる実施形態による検出モジュールのための、異なる形状の積層されたシンチレータプレートを示す概略斜視図である。 本発明の実施形態によるガンマ線検出システムの検出モジュールの簡略化された概略図であり、シンチレータプレートの配置を示す。 本発明の実施形態による光子センサの配置を示す、検出モジュールの簡略化された概略側面図である。 本発明による光子センサ配置のさらに異なる実施形態の、図11aと同様のさらなる図である。 本発明による光子センサ配置のさらに異なる実施形態の、図11aと同様のさらなる図である。 本発明による光子センサ配置のさらに異なる実施形態の、図11aと同様のさらなる図である。 本発明による光子センサ配置のさらに異なる実施形態の、図11aと同様のさらなる図である。 特にコンプトンカメラとして機能するための、本発明の様々な実施形態による検出モジュールの光子センサ配置の簡略化された概略図である。 特にコンプトンカメラとして機能するための、本発明の様々な実施形態による検出モジュールの光子センサ配置の簡略化された概略図である。 特にコンプトンカメラとして機能するための、本発明の様々な実施形態による検出モジュールの光子センサ配置の簡略化された概略図である。 特にコンプトンカメラとして機能するための、本発明のさらに別の実施形態の光子センサ配置の簡略化された概略図である。 コンプトンカメラとして機能するさらに別の実施形態の、図13aと同様の図である。 隣接するモジュールが本発明の実施形態によるモジュール間コンプトンカメラとして機能する、本発明の実施形態による検出モジュールアセンブリの一対の検出モジュールの簡略化された概略図である。 隣接するモジュールが本発明の実施形態によるモジュール間コンプトンカメラとして機能する、本発明の実施形態による検出モジュールアセンブリの一対の検出モジュールの簡略化された概略図である。 PETスキャナおよびコンプトンカメラとして機能し得る、本発明の実施形態による検出モジュールアセンブリの簡略化された概略斜視図である。 PETスキャナおよびコンプトンカメラとして機能し得る、本発明の実施形態による検出モジュールアセンブリの簡略化された概略斜視図である。 本発明の異なる実施形態による検出モジュールアセンブリの簡略化された概略斜視図であり、即発ガンマ線検出のためのコンプトンカメラとしておよび陽電子消滅の検出のためのPETスキャナとして機能することができるデュアルヘッドアセンブリを示す。 本発明の異なる実施形態による検出モジュールアセンブリの簡略化された概略斜視図であり、即発ガンマ線検出のためのコンプトンカメラとしておよび陽電子消滅の検出のためのPETスキャナとして機能することができる、トリプルヘッドアセンブリを示す。 本発明の実施形態による検出モジュールの光子ストリップ検出器を有する光子センサ配置を示す。 異なる変形例による、個別およびストリップ光子センサの両方を備えた、シンチレータプレートスタックの4面における光子センサの配置を示す。 異なる変形例による、個別およびストリップ光子センサの両方を備えた、シンチレータプレートスタックの4面における光子センサの配置を示す。 異なる変形例による、個別およびストリップ光子センサの両方を備えた、シンチレータプレートスタックの4面における光子センサの配置を示す。 異なる変形例による、個別およびストリップ光子センサの両方を備えた、シンチレータプレートスタックの4面における光子センサの配置を示す。 光子ストリップ検出器を備えた本発明のさらに別の実施形態によるガンマ線検出システムの検出モジュールの光子センサ配置の簡略化された概略図である。 本発明のさらに別の実施形態によるガンマ線検出システムの異なる検出モジュールの斜視図であり、十字線読み出しのための十字線接続配置を有する光子センサ構成を示す。 本発明のさらに別の実施形態によるガンマ線検出システムの異なる検出モジュールの斜視図であり、十字線読み出しのための十字線接続配置を有する光子センサ構成を示す。 図19aおよび図19bの実施形態の十字線接続読み出しの簡略化された回路図である。 電気光学シャッター(EOS)を含む検出モジュールのシンチレータプレートの簡略化された概略図であり、開いたEOSを示す。 電気光学シャッター(EOS)を含む検出モジュールのシンチレータプレートの簡略化された概略図であり、閉じたEOSを示す。 最上層と最下層が開いたEOSを有し、3つの中間層が閉じたEOSを有する、シンチレータプレートのスタックの一例の簡略化された概略斜視図である。 個別光子センサを有するシンチレータプレートの簡略化された概略斜視図である。 シンチレーション事象後に右側エッジに沿って単一の光子センサで検出された光子の平均数を示すプロットである。 1×1mmの受光面積をそれぞれが有する光子センサを用いた従来のPETスキャナにおける誤差の分布を示すプロットである。 それぞれ3つ、4つ、6つの辺を有する三角形(図9c)、正方形(図9a)、六角形(図9b)の形状のシンチレータプレートについて、従来のPETスキャナと本発明の光子センサの数の、エッジ当たりの光子センサ(すなわち「ピクセル」と呼ぶ)の数に対する比を示す、プロットである。 本発明の実施形態の空間精度を示すプロットである。 本発明の実施形態の空間精度を示すプロットである。 本発明の実施形態の空間精度を示すプロットである。 トリガンマ事象(tri-gamma event)のソース位置を三角測量するために使用される、本発明の実施形態によるガンマ線検出システムの検出モジュールアセンブリの概略図である。 本発明の実施形態による方位軸方向配置のセンサプレートの概略図である。 本発明の実施形態によるセンサプレートの2×2方位軸方向配置の多重化読み出しの概略図である。 軸方位方向に配置されたセンサプレートの再配置により、より広い視野を可能にする方法の概略図である。 従来の検出モジュールと比較して、拡張された軸方向視野を達成するための、本発明の実施形態の有利な配置の概略図である。 異なるセンサプレート配置の、軸方向線源に沿った検出感度の概略図である。 本発明の実施形態による、2つの半径方向ギャップおよび2+2+2個の半径方向層を有する軸方位方向に配置されたセンサプレートのリング状アセンブリの概略図である。 本発明の実施形態による2半径方向層構成について異なるエネルギー、半径方向のシンチレータの総厚さ、および散乱/吸収体の関係に対する検出確率のプロットを示す。 本発明の実施形態による、半径方向ギャップおよびシンチレータプレート厚さの様々な組み合わせに対するコンプトン再構成のための角度精度の座標成分のプロットを示す。 光電吸収(「p-e」)を介して直接、または単一コンプトン散乱(「コンプトン」)、もしくは2つの合計(「p-eもしくはコンプトン」)を介して一次ガンマ線を吸収する確率を示すプロットを示し、左のプロットは同時吸収の確率を示す。 本発明の実施形態による、コンプトン散乱角度再構成の角度精度、ならびにエネルギー分解能の制限、および空間分解能の制限からの寄与を示すプロットを示す。 本発明の実施形態による、2つの半径方向ギャップを有する回転デュアルヘッド構成の全身スキャナ(構成に応じて、PETまたはコンプトン-PET)の変形例を示す。 シンチレーション結晶および光子センサのアレイを有する先行技術の面結合型検出モジュールを示す。 同じエッジに沿った光子センサの16:4多重化変形例(共通アノード)を示し、これにより、隣接する光子センサの電流和が、本発明の実施形態に従って読み出され得る。 エネルギーと空間不確実性がコンプトン散乱角度再構成に与える影響を示す。
図面を、図4から参照すると、本発明の実施形態による、特にイオンビーム放射線療法、または組織のゾーンの陽子線照射のための、イオンビーム療法システム6が図示されている。この実施形態では、患者5が、少なくとも回転軸および並進運動軸の周りでイオンビームエミッタ8に対して可動である患者支持体7上に位置付けられる。患者支持体7は、特に、固定基準(例えば地面)に対して少なくとも1つの軸、特に水平軸Xに沿って少なくとも並進運動で移動可能であってよく、イオンビームエミッタは、固定基準(例えば地面)に対して前記水平軸Xを中心に回転可能であってよい。しかしながら、患者支持体および/またはイオンビームエミッタは、イオンビームエミッタを患者に対して任意の位置および角度に位置付けることができる完全に三次元の動きまで、複数の軸に沿って、かつその周りを、並進運動および/または回転で移動可能であってよい。
イオンビーム療法システムは、ガンマ線検出システム10をさらに含む。ガンマ線検出システム10は、特定の実施形態において、1つ以上の軸に沿ってまたはその周りで患者支持体に対して相対的に移動可能であることもできる。一実施形態において、ガンマ線検出システムは、少なくとも並進運動方向に沿って、特に軸方向に沿って、また変形例では、イオンビームエミッタ8と協調して方位方向における回転でも、移動可能である。
しかし、変形例(図示せず)では、固定基準に対して静止しているか、または地面などの固定基準に対して並進運動のみで移動する、ガンマ線検出システムを有することも可能である。
好ましい実施形態では、ガンマ線検出システム10は、概ねリング状または多角形状の検出モジュールアセンブリ13を含む。一実施形態において、検出モジュールアセンブリは、開口部42を含んで、イオンビームエミッタ8がこの開口部を通してイオン(例えば、陽子)を透過させることを可能にすることができ、イオンビームエミッタ8の放出方向は実質的に、検出モジュールアセンブリと同じ平面内になる。これにより、イオンビームを受ける標的ゾーンから放出されるガンマ線を同時にかつ効率的に検出することができる。検出モジュールアセンブリ13は、例えば、一般的な「C」形状を有して、C形状の対向する端部の間に開口部を提供して、イオンビームエミッタ8がこの開口部を通してイオンを透過させることを可能にし得る。しかしながら、変形例では、実質的に閉じたリング/多角形の形状、例えば概ね円筒形の検出モジュールアセンブリを設けてもよく、オリフィスがその一部を通り、イオンビームがそこを通って透過することを可能にする(不図示の変形例)。
イオンビームエミッタ8の回転軸Xの方向(本明細書では軸方向とも呼ばれる)における検出モジュールアセンブリ13の長さは、変形例に応じて約5cm~約200cmの範囲であってよい。軸方向の長さがより短い検出構成の場合、検出モジュールアセンブリ3の並進運動は、場合によってはイオンビームエミッタと連動して、イオンビーム療法中に実行され得る。検出モジュールアセンブリはまた、一実施形態によれば、イオンビーム放出後、または診断中に、標的ゾーンのスキャンのために並進運動させられてもよい。標的ゾーン全体にわたって延びるのに十分な長さを有する検出モジュールアセンブリでは、患者に対して静止している検出モジュールアセンブリを有することが可能であり、それによって、イオンビームまたはイオンビームエミッタの変位に、検出システムが追随しない場合がある。
検出モジュールアセンブリの動きは、イオンビームエミッタの動きと平行であるかもしくは対応してもよく、または、標的の位置、標的環境、ならびにイオンビームエミッタ8の位置および傾斜角度の関数として標的から放出される即発ガンマ線および陽電子消滅ガンマ線の検出を最適化するように構成された異なる動きに従ってもよいことにさらに留意されたい。イオンビームエミッタおよび検出システムの最適な動きは、特に、サンプル組織上でのシステムの較正から得ることができる。
本発明の実施形態に係るイオンビーム療法システム6に用いられるガンマ線検出システム10の重要な利点は、陽子線放出中にリアルタイムで検出が行われ、即発ガンマ線だけでなく陽電子消滅ガンマ線も捕捉できることである。さらに、陽子線放出後のある時間の間、または治療中の連続した陽子線放出パルスの合間に放出される陽電子消滅ガンマ線を検出することもできる。これにより、標的ゾーンに対する陽子線吸収を、連続的にモニターし、検出システムからのフィードバックにより、治療中または治療後の標的ゾーンの動きを考慮して標的ゾーンの正確なターゲティングを行うために調整し、従来のシステムに関連して以前に議論したウォッシュアウト効果等の他の問題を回避することができる。
目的のボリュームから放出される即発ガンマ線は、コンプトンカメラとして機能する検出器で検出され得、一方、一般に低いエネルギー(511keV)の陽電子消滅ガンマ線は、PETスキャナ機能原理を用いる検出モジュールで検出され得、これらの検出方法の両方が、以下でさらに説明するように本発明の実施形態による検出アセンブリの検出モジュールに統合されている。PET検出は、イオンビーム放出中、イオンビーム放出の合間、およびイオンビーム放出後に動作してよく、または代替的に、イオンビーム放出パルスの合間およびイオンビーム放出パルス後にのみスイッチを入れてもよいことに留意されたい。イオンビーム放出中は、即発ガンマ線放出の割合が非常に高く、これにより、陽電子放出消滅からの同時発生ガンマ線の測定の精度および信頼性が低くなり得るが、イオンビーム放出後のある持続時間にわたって、即発ガンマ線放出が低く、陽電子消滅ガンマ線放出が(それ自体周知のように)ある時間にわたり続き、イオンビーム放出中およびその後に測定を実行することができる。
図5aおよび図5bを参照すると、本発明の実施形態によるガンマ線検出システム10の検出モジュールアセンブリ13の2つの異なる実施形態が概略的に示されている。これらの図における検出モジュールアセンブリ13は、実質的に完全に閉じたリング/多角形の形状として示されているが、その一部を除去し、イオンビームエミッタが標的ゾーンへとイオンビームを透過させるための開口部を有する実質的に「C」の形状を提供し得ることが理解される。また、検出モジュールアセンブリ13は、例えば「デュアルヘッド」構成(図5e)または「クワッドヘッド」構成(図5f)の、空間的に分離した検出モジュールを含み得ることが理解される。
検出モジュールアセンブリ13は、複数の検出モジュール14を含む。検出モジュール14は、図5aに図示されるような実施形態では、セグメントを形成するために整列して配置されてよく、または、図5bに図示されるような別の実施形態では、半径方向に互い違いに配置されてよく、半径方向のビームは回転軸Xからと考える。ただし、他のさまざまな構成が可能であり、これにより、セグメントを形成するために整列されるか、または、実質的に円形の配置もしくは多角形の配置(図示のとおり)で位置付けられた、モジュールの数は、変化し得る。
検出モジュール14は、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、コンプトンカメラ11およびPETスキャナ12の両方として機能するように構成される。しかしながら、用途に応じて、コンプトンカメラとしてのみ機能するか、またはPETスキャナとしてのみ機能する、本発明の検出モジュールを使用することも可能である。
各検出モジュール14は、複数の積層されたシンチレータプレート16と、複数の光子センサ18と、を含む。シンチレータプレートは、標的ゾーンまたは軸Xに概ね面するように方向付けられた主要表面40a、およびシンチレータプレートのエッジまたは輪郭を画定する横方向小表面40bを有する。簡略化のために、横方向小表面40bは、本明細書において「エッジ」とも呼ばれるものとする。実施形態(図示せず)において、標的ゾーンもしくは目的の撮像ボリュームの軸方向端部に、または軸方向端部と半径方向位置との間の中間位置に、1つ以上の検出モジュールを追加することも可能である。有利な一実施形態では、検出モジュール14におけるシンチレータプレートの積層方向は、主要表面に直交している。光子センサ18は、シンチレータプレート16のエッジ上に位置付けられる。
検出モジュールは、実施形態によれば、半径方向ギャップのないシンチレータプレートのスタックを、または他の実施形態によれば、少なくとも1つの半径方向ギャップ17を含むシンチレータプレートのスタックを含み得る。
半径方向ギャップ17は、コンプトンカメラ11が機能するのに特に有用であり、それによって、いくつかのシンチレータプレートは散乱体コンプトンカメラとして作用し、別のシンチレータプレートは吸収体として作用する。コンプトン運動学的規則、またはタイミングは、散乱層および吸収体層を決定するために適用され得る。
シンチレータプレート間の界面は、ガンマ線を通過させながら、シンチレーション事象からの光をシンチレータプレートエッジに導くために光反射性を有する層間反射器28を含み得る。
層間反射器の代わりに、または層間反射器に加えて、シンチレータプレートは、例えば空気の、またはポリマー材料などの低屈折率固体の、1つまたは複数の低屈折率ギャップ31によって分離されてもよい。低屈折率ギャップ31は、シンチレータプレートの表面が内部反射器として作用して、ガンマ線を層に通しながら、シンチレーション事象からの光のシンチレータプレートエッジへの透過を改善するという効果を有する。層間反射器に加えて、またはその代替として、層間光害を防止するために、低屈折率ギャップと組み合わせて光バリアまたは吸収体層29をシンチレータプレート間に挿入することができる。
反射性または吸収性の界面層は、シンチレータプレートの片面または互いに積層されたシンチレータプレートの両面にコーティングを構成し得る。
シンチレータプレートの主要表面40aは、ガンマ線が一般に入射する表面であり、例えば主要表面に実質的に直交していてよく、シンチレータプレートの対向する側面間に延びる、エッジ40bは、光子センサ18が配置されるシンチレータプレートのエッジを形成する。シンチレータプレートの主要表面の表面積S、および厚さTは、本発明の好ましい実施形態では、以下の範囲内にあってよい:
100mm≦S≦40000mm、および
0.5mm≦T≦30mm;
より好ましくは、
400mm≦S≦40000mm、および
1mm≦T≦10mm。
好ましい範囲は、一方では相互作用深さ(DOI)測定(Z方向)の精度および/または読み出しチャネル数の削減と、シンチレーション位置のシンチレーションプレートの主要表面(X-Y平面)における検出精度との関係を最適化しようとする。最適な範囲は、適用によって異なり得る。
シンチレータプレートのエッジ40bに沿って、エッジ光スプレッダ材料層26が提供され得る。エッジ光スプレッダ材料26の機能は、1つのエッジ40bに非常に近いシンチレータに入射するガンマ線からの光が、隣接する複数の光子センサにわたって分散するように、ガンマ線を広げることである。
シンチレータプレートのエッジ40bは、エッジを通した光子センサへの光伝送を最適化し、かつ/または、(例えば、空気、可変ギャップ等に起因する)一定でない界面により生じ得る不整合を回避するために、層を通した光子の一貫した予測できる透過を提供する、インターフェース材料を含む、検出器-シンチレータ光インターフェース22をさらに備えることができる。光インターフェースはまた、空間分解能を向上させるために、シンチレータエッジの近くで発生するシンチレーション事象からの光を複数の光子センサ上に広げる役割を果たす。
シンチレータプレートの1つ以上に沿って、電気光学シャッター(EOS)24がさらに提供され得、これは、検出モジュール14の動作状態に応じて、光子がエッジを通過して光子センサに到達するか、または光子センサへの通過が阻止されるよう、オン(光学的に透明、24a)またはオフ(吸収もしくは反射、24b)に切り替えられるように電子的に動作する。
1つのシンチレータプレートの厚さTに対する半径方向ギャップ17の高さHは、典型的には、200>H/T>2の範囲、好ましくは50>H/T>10の範囲内であってよい。
変形例では、異なるセンサプレートは、異なるシンチレータプレートの厚さを有していてもよい。例えば、主にコンプトン散乱体として作用する、半径方向内側のシンチレータプレートは、半径方向内側の層でコンプトン散乱されたガンマ線の吸収または再散乱の確率を低減するために、より薄くてもよい。半径方向外側のシンチレータプレートは、全吸収の確率を増加させるために、より厚くてもよい。シンチレータプレートの厚さは、半径方向位置、または半径方向に連続した位置の関数として変化してもよい。
半径方向ギャップ17を半径方向に取り囲む2つのシンチレータプレートの厚さT1およびT2に対する半径方向ギャップ17の高さHは、典型的には100>H/(T1+T2)>1の範囲であってよく、好ましくは25>H/(T1+T2)>5の範囲であってよい。
本明細書でいう半径方向は、検出モジュールを示す図面に示される方向Zに対応することに留意されたい。
シンチレータプレート16のエッジ40bに沿って配置された光子センサ18は、光子センサ支持基板20に設けられてよく、これは、例えば、光子センサを検出モジュール14の信号処理および制御システム30に相互接続するための回路トレースを有する回路基板の形態であってよい。支持基板20は、フレキシブルまたは剛性フレキシブル回路であってもよい。フレキシブル回路は、モジュールの1つ以上のエッジを覆い、シンチレータプレートの半径方向スタックのエッジの周りに折り畳まれてエッジに光学的に結合されることができる。検出モジュール間のデッドスペースを最小化するために、光子センサ支持基板を薄くすることが有利である。
支持基板は、光子センサに対するシンチレータエッジの整列を容易にするために、突出したガイド要素を含んでもよい。
検出モジュール14の信号処理制御システム30は、例えば、回路基板32と、その上に取り付けられた電子部品34と、を含むことができ、これは、例えば個々の光子センサ信号の信号フィルタリング、信号成形、多重化および組み合わせ用のアナログ部品、ならびに光子センサバイアス電圧部品、検出モジュールの処理および制御用のマイクロプロセッサおよびメモリを含む。回路基板32は、モジュールの最も外側の半径方向端部に取り付けられ、図6aおよび図6bと組み合わせて図7に最もよく示されているように、回路基板32を光子センサ支持基板20に、さらに画像再構成のためのガンマ線検出システム10の電子制御システムに、接続するためのコネクタ36a、36bを含み得る。支持基板20は、検出モジュールアセンブリ13の隣接する検出モジュール14間のギャップを有利に最小化するエッジコネクタ36bを有するシリコン光電子増倍管アレイ基板として構成されてもよい。
変形例では、いくつかのアナログ部品、例えば、信号成形部品、フィルタリング部品、または信号多重化部品は、光子センサに近接して、光子センサ支持基板上に直接取り付けられる。
信号処理部品は、トリガー、タイムスタンプ、およびエネルギー測定(例えば、電荷積分または閾値を超える時間(time-over-threshold))などの、アナログ信号デジタル化のための部品を含む。追加の処理部品は、例えばコンプトン運動学、光子センサ閾値、エネルギー閾値、同時にトリガーされたセンサプレートもしくは光子センサの数、または以前の検出器較正から決定された他の適用可能な規則に基づいて、事前に決定されたまたは設定可能な規則を使用する、事象検証または事象拒絶のための低レベル事象処理であってもよい。
アナログおよびデジタル信号処理部品は、センサプレートの2つ以上の半径方向スタックに接続されるように分配されてもよく、すなわち、センサプレートの1つ以上の半径方向スタックは、アナログおよびデジタル信号処理部品を「共有」することができる。
光子センサ18は、個別層光子センサ18aおよび/またはストリップ多層光子センサ18bを含み得る。特定の実施形態では、光子センサ18は、複数の積層されたシンチレータプレート16のエッジを横切って半径方向(Z方向)に延びるストリップ多層光子センサ18bと、個々のシンチレータプレート上に位置付けられる個別層光子センサ18aと、の両方を含み得る。検出モジュール14は、例えば図17a~図17eに示されるように、モジュールの各側面に複数のストリップ多層光子センサ18bを含み、さらにモジュールの各側面に、または側面のいくつかのみに、または変形例によっては1つの側面のみに、個別層光子センサ18aの列(column)を含むことができる。個別層光子センサ18aは、入射ガンマ線が吸収される1つまたは複数の層の決定を可能にし、一方、多層ストリップ光子センサ18bは(場合によっては、照明された個別層光子センサと組み合わせて)、吸収されたガンマ線の入射位置を半径方向に直交する平面(すなわちシンチレータプレート16の主要表面40aに平行な平面)内で決定することを可能にする。
ストリップ多層光子センサ18bの使用の重要な利点は、測定精度を低下させることなく、所与の数の積層されたシンチレータプレートについて信号処理および制御電子機器によって処理される必要があるチャネルの数を減少させることである。したがって、データ処理要件が、設備の関連コストと同様に著しく低減され、または代替的に、相互作用深さ測定におけるより高い精度が、所与の数の読み出しチャネルに対してより多数の積層されたシンチレータプレートを有することによって得られる。
変形例では、図18に最もよく示されているように、相互作用深さを決定するために個別層光子センサ18aを設ける代わりに、シンチレータプレートのスタックにわたって延びるストリップ多層光子センサ18bのみを設けることができるが、これらのストリップ多層光子センサは、ストリップ多層光子センサの端部間の時間差を測定するように構成され、これは、ストリップに沿った照明の位置と関連していて、そこからシンチレーション事象が生じた層が推測され得る。
読み出しチャネルの数を減らすためのさらに別の実施形態では、図19a~図19cに最もよく示されているように、列に配置された個別層光子センサ18aは、十字線接続構成で、または抵抗回路網で、または一般に多重化された方法で、相互接続されてもよく、したがって、チャネルの数を減らすことができる。図19cの実施例のダイオードは、SiPM(シリコン光電子増倍管)を表していることに留意されたい。多重化読み出しにより、電子的に処理されるチャネル数を減らしながら、シンチレータプレート内のシンチレーションの位置の測定を、個別層光子センサの行(rows)と列との間の交点によって決定することが可能になる。図20a~図20cに概略的に示す電気光学シャッターは、同時にトリガーされた複数のセンサプレートからの光子センサ信号が多重化読み出しにおいて重畳し、個々のトリガーされたセンサプレートからの情報を破壊することを防ぐために、非常に高い速度の即発ガンマ放射の間に、ある数のシンチレータプレートを光学的にブロックすることを可能にする。
デジタルシリコン光電子増倍管を光子検出器として用いると、ストリップ光子検出器の個々のセルを有効化/無効化して、選択されたシンチレータ層から発せられる光をマスク(無視)することが可能になる。これは、光学シャッターと同じ機能性を実現するための代替手段である。
コンプトンカメラ配置において、検出モジュール14は、図15aおよび図15bに例示されるように、吸収体モジュール14sよりも大きな数および表面積の複数の散乱センサプレート14sを含み得ることに留意されたい。陽電子放射断層撮影スキャナ機能は、このような構成では、標的ゾーンに半径方向に近い、より多数のモジュール14sによって実行され、一方、標的ゾーンから半径方向に離れて位置する吸収体モジュール14aは、コンプトンカメラが機能するための吸収体モジュールとして機能する。このような配置はまた、信号処理のための読み出しチャネルの数をさらに減少させながら、コンプトンカメラとPETスキャナの両方が同時に機能することも可能にする。
したがって、本発明の実施形態のPETスキャナの機能性は、モノリシックシンチレータ結晶のスタックを用いて実現され得る。シンチレーション光は、相互作用点から側面に向かって伝播され、そこで複数の光子検出器によって検出される。光子センサは、例えば、SiPM(アナログもしくはデジタル)または他のタイプのそれ自体既知の検出器とすることができる。シンチレータの側面の近くに位置する事象の空間分解能を向上させるために、前述したように、シンチレータと光子センサとの間に光学的(非シンチレーション)「スプレッダ」材料26を挿入してもよい。これにより、シンチレータの側面の近くで相互作用が発生した場合でも、ガンマ相互作用によって放出された光が複数のピクセルにわたって広がる。スプレッダ材料の例としては、ガラス、シリコンゴムなどを挙げることができ、厚さは様々であってよく、それによって、光子センサ上の光収量を最適化するために、異なるスプレッダ形状を実施することができる。スプレッダ材料の代わりに、またはそれに加えて、例えばグリース、接着剤、またはメルトマウント(meltmount)を含む、薄い界面光学層22が、前述のようにシンチレータプレートエッジ40bと光子センサとの間に提供されてもよい。
相互作用点から光子センサへの光の伝播は、全内部反射によって行われ得る。これは、シンチレータプレート間に屈折率の低い材料、例えば、空気を挿入することによって達成することができる。空気の使用は、特に製造上の制約がないという利点があり、経時劣化、使用による劣化、または放射線による劣化がない。別の特徴は、シンチレータプレートを、層間の反射率の高い材料またはフィルム(例えば、ESR=強化された鏡面反射体(Enhanced Specular Reflector))と共に積層することである。デバイスが動作状態にある間、および/または予期されるデバイス較正の合間に、反射率が十分に安定したままとなるように注意する必要がある。
本発明の実施形態では、個々の層からの信号を分解することができるので、PETスキャナ機能性は、固有の相互作用深さ能力を有する。深さ分解能は、主にシンチレータプレートの厚さによって与えられる。プレートが薄いほど、DOI(相互作用深さ)分解能は良好である。しかしながら、プレート16の数が増加すると、必要とされる光子センサ18の数も増加する。この問題を軽減するために、本発明の実施形態は、複数のシンチレータエッジにわたって広がる、細長い光子センサ、すなわち先に述べた多層ストリップ光子センサを使用することを含んでいる。したがって、1つの単一チャネルは、複数のシンチレータプレートからの光を測定することができる。どのシンチレータプレートで相互作用が発生したかを解明するために、単一プレートピクセル(single-plate pixels)が、側面につき少なくとも1つの光子センサ列、すなわち前述の個別層光子センサに、含まれる。
ストリップ検出器がカバーする層の数は、予想される事象率範囲に合わせて調整され得:低計数率の適用では、複数のガンマ相互作用がいくつかの層で「同時に」(例えば、コインシデンスウィンドウの間、または光子センサの応答時間の間に)起こる可能性は無視してよい。SiPMの場合、事象間の実際的なデッドタイムは、通常、数百ナノ秒ほどである。
コンプトンカメラ撮像では、通常、第1の「散乱」層を使用し、そこでX線/ガンマ線がコンプトン散乱を介して相互作用し、それらの初期エネルギーの一部Eが蓄積される。X線/ガンマ線は、最初の方向とはわずかに異なる角度Θで放出され、その角度変化は蓄積されたエネルギーに関係する。この光子は、第2のシンチレータプレートである「吸収体」に吸収される。
2つのシンチレータプレートにおけるエネルギー付与E+Eと、2つの層における相互作用座標を計算することで、初期の放射線の初期位置に関する情報を推測することができる。
Figure 2023510803000002
ここで、mは、電子の質量であり、cは光の速度である。エネルギー弁別のために、第1の層で検出されたガンマ線が、例えば患者において、以前にコンプトン散乱されている確率を減らすために、測定されたエネルギー付与E+Eが、目的の1つ(または複数)の同位体状態の即時ガンマ放出ピークに一致することが通常要求される。
2つの層における相互作用の座標を測定する必要があり、そこから角度を決定することができる。同時発生のシンチレーション事象の相互作用座標間にLORを描くことができるPET再構成とは異なり、コンプトン撮像は、散乱層の相互作用点から発し、2つの別々の層からのエネルギーおよび座標情報によって与えられる方向と開口角度を持つ「コーン」を生じる。
検出器がコンプトンカメラとして機能する場合、その角度精度は主に次の2つの要素:(1)EおよびEを決定することができるエネルギー精度、ならびに(2)吸収事象と散乱事象の間の線を画定する空間座標精度、によって決定され、後者からは、図41に示すように、角度Θのコンプトンコーンが画像再構成のために生成される。これらの2つの成分の大きさを比較する詳細な研究が行われ、以下の仮定の下、図35(座標成分のみ)および図37(座標およびエネルギー成分)にまとめられている。
・エネルギー精度は蓄積エネルギーの平方根にほぼ比例し、例えばLYSOの場合、511keVで約10%と仮定されている。
・空間座標精度Δxは、方位方向および軸方向(X-Y)の両方において±0.7mmである。
これらの2つの成分は十分に独立しているため、直交して(in quadrature)加算することができる。エネルギー精度は、シンチレーション結晶材料に内在する基本的限界であり、光子センサのエネルギー分解能によって制限されるため、克服することは困難である。したがって、空間座標精度からの寄与が少なくともエネルギー成分よりかなり低くなるように適切に注意し得る。H/T≧10では、例えば陽子療法における即発ガンマ撮像のための目的のエネルギーのほとんどで、これは十分に達成される。
図37はH/T=10で0.511~7.0MeVのエネルギーに対する散乱角度の関数として角度精度を示したものである。約40°超の散乱角度では、全体の角度精度(マーカー付きの実線)はエネルギー分解能からの寄与(実線)に支配され、座標精度からの寄与(破線)はあまり重要でないことがわかる。
大角度散乱、特に後方散乱事象(Θ>90°)では、角度精度が著しく悪化する。したがって、画質を向上させるために、再構成された散乱角度が設定可能な値を超える事象の拒絶を実施することは、有益である。異なるエネルギーに対して異なる上限閾値が使用されてもよい。閾値は、吸収体もしくは散乱シンチレータプレートにおけるエネルギー弁別閾値として、または散乱角度再構成後に適用される実際の角度閾値として実装されてもよい。
コンプトン散乱または光電吸収の横座標を正確に決定するためには、シンチレータの光子センサから十分に正確な読み取りを得るために、ある程度の最小限のエネルギー付与が必要とされる。前方散乱事象の場合、散乱層でのエネルギー付与がその閾値に達しない場合があり、横座標が不確実になる。PETスキャンモードでは、これは応答線(line-of-response)(LOR)の(少なくとも)片側の座標が不確実であることを意味する。この場合、吸収事象の座標を代わりに使用するほうが、元のエネルギーのほとんどを運ぶため、有利である。散乱と吸収が半径方向に十分に隣接したシンチレータプレートで起こる場合、吸収事象の座標をLORの終点として代わりに使用することが可能である(散乱角度が小さく、コンプトン散乱と吸収の間のドリフト長が短いと仮定した場合)。
図6b、図10、図12a~図12c、図14bは、対象(標的)に面する1つ以上のシンチレータプレート16が、半径方向ギャップ17によって1つ以上の他のシンチレータプレート16から分離されている検出モジュール14の実施例を示している。標的に最も近いプレートは、「散乱層」を形成する。その他の層に対して半径方向ギャップを導入することによって、角度分解能が改善される。半径方向ギャップの長さHは、角度分解能を最大化しつつ、PET-層を(コンパクト化および撮像再構成精度のために)互いにできるだけ近づけ、かつ標的にできるだけ近づけるという矛盾する制約を最適化するように調整され得る。
3段階コンプトンカメラ
本発明の変形例では、少なくとも1つのモジュールは、さらに3段階コンプトンカメラとして機能するように構成されてもよく、これには少なくとも2つの半径方向ギャップ(すなわち、少なくとも3つの半径方向に分離したセンサプレート)が必要である。
コストの問題、光子センサ
主要面結合型フェイスオン検出モジュールを含む従来のPETスキャナ(図39)では、シンチレータブロックまたは個々のシンチレータロッドもしくはピクセルのアセンブリの光子センサの総面積は、Lにほぼ等しく、Lは半径方向に直交するシンチレータユニットの長さである。正方形のエッジ結合型検出器の場合、光子センサの総面積は、4LTであり、Tは半径方向のシンチレータ厚さである。エッジ結合型光子センサの面積が主要面結合型光子センサの面積より小さくなるようにするには、L>4Tであることが必要とされる。
約20mmの従来の半径方向のシンチレータ厚さでは、側面Lは、光子センサ面積を同等以下にするために、少なくとも80mmとすることが必要である。
計数率の問題
特に飛程確認用途では、放出された即発ガンマ線の割合が非常に高くなる可能性がある。例として:1.2E10陽子/秒と治療陽子の割合が高い場合、即発ガンマの割合はほぼ1E9/秒となる(Rohling2017)。30cmの半径方向距離において、これは約0.1ガンマ/cm2/マイクロ秒に相当し、または、5cm×5cmの正方形の検出モジュールでは約2~2.5ガンマ/マイクロ秒に相当する。このとき、ガンマ線の高い瞬間的な割合によって検出器が飽和したり、ブラインドになったりしないことを保証するように注意する必要がある。ガンマ線が1つの層から別の層にコンプトン散乱された場合と、2つの独立したガンマ線が2つの層で同時に検出された場合とを区別する能力を高めるために、蓄積されたエネルギーが目的の即発ガンマピークと一致しない事象は拒絶され得る。
本発明の実施形態は、予想される計数率に合わせて検出モジュールを調整することができる異なる構成を含む。
構成1-ピクセル検出器を備えた独立した層
図11b、図11cに示されるような第1の構成では、各シンチレータプレートは、エッジに沿って別個の光子センサを備えている。これにより、1つの層における光電吸収されたガンマ線、または1つの層でコンプトン散乱され別の層で吸収されたガンマ線の横方向位置およびエネルギーを測定することができる。第2の層における第2のコンプトン散乱ももちろん可能であり、他の相互作用も可能であるが、簡潔にするために、ここでは、複合型単一散乱コンプトンカメラ/PETスキャナとして本発明を使用する態様に焦点を合わせる。
構成2-複数の層にまたがるストリップ検出器
第2の構成(図11a)では、光子センサ「ピクセル」の一部が、複数の層にまたがる「ストリップ」に置き換えられている。これは、チャネルの総数が減り、読み出しの複雑さが軽減されるという利点がある。どの層でシンチレーション事象が発生したかを識別できるようにするために、各層は、その層のみからシンチレーション光を検出できる少なくとも1つのピクセル18aを備えている。検出器が純粋なPETスキャナとして機能する場合、これは実現可能な解決策である。しかし、コンプトンカメラの機能性は、1つのストリップから読み出される信号が、本質的に2つの層における2つのシンチレーション事象の合計となるため、実現がより困難である。
構成3-共有された検出器ストリップ+孤立したコンプトン層
第3の構成(図11d、図11e)では、層の1つ(図11dの16s、図11eの16a)が、その他の層から光学的または電子的または電気光学的に分離されている。コンプトンカメラの機能性のため、この分離された層は、入ってくる高エネルギー光子の主な方向に応じて、吸収体部分(図11eの16a)または散乱部分(図11dの16s)のいずれかとして使用される。この層は、シンチレーションプレートのスタックと組み合わせて、構成2で説明したような光子センサ構成で使用される。
構成4-分割ブロック
第4の構成(図12a~図12c)では、シンチレータプレートの検出モジュールスタックは、2つの部分またはブロック15a、15sに空間的に分離されている。各ブロックは、構成2と同様に配置される。両方のブロックは、PET検出器として使用され得る。コンプトンカメラの場合、一方のブロック15sは「散乱部分」として使用され、他方のブロック15aは「吸収体部分」として使用されるであろう。
構成5-コンプトンピクセル
主に高い割合の即発ガンマを意図した、第5の構成(図13b)では、シンチレーション結晶16pに光学的に結合された、単一の光子センサ18p(ピクセル)が、上記の先行する構成のいずれかに加えて、コンプトン吸収体(またはコンプトン散乱体)として使用されている。このピクセルは、所望の空間/角度分解能を達成するために十分に小さくすべきである。この構成は、コンプトン機能性を達成するために、少数の追加チャネルしか必要としないという利点を有する。変形例では、必要に応じて複数の個別ピクセルを追加することができる。また、この構成は、「反転」させることができること、すなわち、単一のピクセル18p、16pが散乱層として機能し、シンチレータスタックが吸収体として機能することも理解されよう。いずれの場合も、読み出しチェーン(read out chain)は、本発明がコンプトンモードで動作する場合に「コンプトンピクセル」がトリガーされる事象のみがさらに処理され、他のすべての事象は破棄されるようにすることができる。
構成6-コンプトンピクセル+コンプトン層
構成5は、即発ガンマの割合が非常に高い場合、計数率の飽和を受ける可能性がある。これに対処するために、構成3は、電子的に絶縁されたコンプトン層が、PETシンチレータよりも薄くてよいシンチレータに結合されるように変更され得る。厚みを薄くすることで、相互作用の確率が下がり、全体の計数率が下がる。さらに、PETシンチレータは、即発ガンマの一部を吸収し、これは、全体の計数率をさらに低下させ得る(図13a)。
モジュール間コンプトンカメラ
コンプトンカメラの機能性は、モジュール間散乱を介して達成することも可能である。1つの検出モジュール14aが散乱体として働き、別の検出モジュール14b、例えば隣接するモジュールが、吸収体として働く(図14a、図14b)。この構成では、コンプトン散乱事象を識別するための別々の層は必要なく、純粋なPETスキャナに関するハードウェアの変更は最小限である。コンプトン散乱事象の識別は、例えば、全エネルギー弁別およびモジュール間コインシデンスタイミング(coincidence timing)を介して、行うことができる。数MeVの、陽子飛程検証のための主に目的のガンマエネルギーでは、前方散乱が支配的であり、角度分解能を改善しモジュール間コンプトン散乱の確率を高めるために、2つまたはいくつかの層16間に空間ギャップ17を導入することが有利であろう。
従来のPETスキャナは、ガンマ線の大部分がソースに面する結晶面に対してほぼ垂直にシンチレーション結晶素子に入ることが確実となるよう、円形アセンブリを必要とする。しかし、中心から外れた放出により、視差エラーが発生し得る。本発明の相互作用深さ能力は、この問題を軽減する。さらに、本発明者らは、隣接するモジュールにわたる前方散乱の確率を高めるために、(例えば、図5aに示されるように六角形アセンブリを有することによって)非円形アセンブリのために相互作用深さ能力を利用することができることに気がついた。また、本発明は、患者の近くに、またはスキャンする対象のすぐ近くに、センサプレートを位置付けることを可能にする。
別の実施形態では、図5bに示されるように、モジュールは、半径方向に互い違いのパターンで配置されてもよく、これは、モジュール間コンプトン散乱の確率を増加させるためにも役立つ。このような配置では、各モジュール内のシンチレータプレート間に半径方向ギャップを導入する必要性が少なくなる。
別の実施形態では、図15aに示されるように、検出モジュール14s、14a自体が半径方向グループに配置される。ソース(標的)に最も近い内側グループ14sは、PETモジュールおよび散乱モジュールとして機能するであろう。外側グループ14aは、コンプトン撮像のための吸収体モジュールとして機能することになる。図15aでは、9対1のモジュール配置の実施例が示されており、ここでは、1つの単一の吸収体検出モジュール14aが、半径方向にオフセットされ、3×3のPET/散乱検出モジュール14sの上に中心を置いている。散乱/吸収体モジュール間の他の配置および比、例えば1:1、9:4(図15bに示すように)およびその他、がもちろん可能であることが理解されよう。
オプションとして半径方向に分離し、オプションとして異なるシンチレータ厚さを有する、実質的に同一のモジュールを散乱体および吸収体の両方として使用するという解決策は、製造および読み出し電子機器の簡略化という利点を有する。
センサプレート非活性化
十字線読み出し(図19a~図19c)、または層16間で共有される光子センサストリップ18b(図17a~図17e、図18)では、列信号が1つの層のみに由来することを保証するために、1つまたはいくつかの層16からのシンチレーション光をブロックすることが可能である。これは、各層のエッジを囲む機械的なシャッターによって達成され得る。別のオプションは、駆動電圧を用いて透過状態24aと吸収/反射状態24bとの間で切り替え可能な、偏光液晶またはトランスフレクター(transflector)などの電気光学シャッター24(図20a~図20c)を使用することである。透過状態では、電気光学シャッターは、シンチレータ16と光子センサ18との間の光学的スプレッダとしても機能し得る。
有利な実施形態において、同様の機能性を達成する代替手段は、図7でバイアススイッチネットワークを介して図示されるように、例えばセンサプレートによってグループ化された、グループのまたは個々の光子センサの光子センサバイアス電圧を選択的に有効化または無効化にすることである。代替的または追加的に、バイアス電圧は、調節可能であってよく、個々の光子センサ、光子センサのグループ、シンチレータプレートに光学的に結合された光子センサのグループ、またはセンサプレートのグループのゲインが、目的の予想一次ガンマ線エネルギーに従って調節可能となり得る。
別の代替手段は、デジタルシリコン光電子増倍管を光子センサとして使用することであり、それにより、ストリップ光子センサの個々のマイクロセルを有効化/無効化して、選択されたシンチレータプレートから生じる光をマスク(無視)することも可能である。
読み出しチェーン
層間で共有される検出器ストリップの代替手段として、各シンチレータブロックの側面に沿った個別のピクセル、および、多重化された読み出しチェーンを代わりに使用することができる。
PETスキャナモジュールの第1の行/列読み出し(十字線)の実施例を図19aに示す。ここでは、1側面当たり5つの正方形のシンチレータプレートと5つの光子センサ列がある。合計で100個の光子センサが、25個のチャネルを介して読み取られ得る。チャネルY~Yは、層1~5の集合に対応するが、どの層でシンチレーション事象が発生したかの情報を提供する。これらのチャネルを、例えば、各層でシンチレーション事象が発生したかどうかを評価するための信号振幅閾値トリガーとして使用することにより、読み出し電子機器をさらに簡素化することができる。PETスキャンデータ処理回路は、次に、厳密に1つの層が関与する事象のみをさらに処理し、列の和信号(column sum signals)X、…、Xが、1つの層内のみの光放出に対応することを確実にする。
複合型PETスキャナおよびコンプトンカメラモジュールの第2の行/列読み出し(十字線)の実施例を図19b、図19cに示す。ここでは、1側面当たり4つの正方形のシンチレータプレートと5つの光子センサ列がある。合計で80個の光子センサが、24個のチャネルを介して読み出され得る。図19bのチャネルY~Yは、どの層でシンチレーション事象が発生したか、またエネルギー(光の総量)に関する情報を提供する。エネルギー拒絶/フィルタリングは、弁別器によって達成され得る。図19bの実施形態では、1つの層16aは、コンプトン吸収体層として機能するようにその他の層から空間的に分離されている。この層の光子センサのチャネルZ~Z20は、別々に読み出される。コンプトンカメラデータ処理回路は、厳密に2つの層が関与する事象のみを処理し、それらの層のうちの1つは吸収体層である。この実施例では、44個のチャネルが必要である。
他の多重化スキーム、例えば対称型電荷分割を使用することもできる。
別の可能性は、シンチレータプレートのエッジからの集約された量の情報を使用することである。一例は、各エッジの重心および(電荷の)合計を使用することである。読み出しチャネルおよび/またはデジタイザーの数を減らすことが優先される場合、例えば、各エッジに沿ったピクセルの和および加重和としてデジタル化の前に抵抗回路網/ASICにより実施することが可能である。そうすると、Nの光子センサ列に基づく、エッジiからの出力は、シンチレータエッジ当たり2つの量に削減される。
{X,…X→Stot,i,Sweighted,i
Figure 2023510803000003
重心アルゴリズムを実施するために、重み付け係数は、等距離に離間され得る(すべての光子センサがエッジに沿って同じ長さを有すると仮定する)、例えば、λ=j。
Figure 2023510803000004
次に、シンチレーション事象の元の座標は、例えば平行ガンマ源からの既知のシンチレーション事象座標に対するcogの測定値からなる較正表を使用して、重心エッジの測定値に基づいて、再構成され得る。事象の全エネルギーは、すべてのエッジにわたるStot,iの和により与えられる。
代替的または追加的に、計数が最も多いストリップのインデックス、切り捨てられた重心(計数が少ししかないストリップを破棄する)、半値全幅、スキュー、またはより複雑な関数など、重心以外の集計を使用できることに注目されたい。
事象再構成のために集約されたエッジ量を使用する技術は、例えば抵抗性電荷分割回路(CDC)を使用する、アナログ方式で(デジタル化前)、またはシンチレーション事象ごとのデータセットの次元数を減らすことによって画像再構成方法を高速化する目的でデジタル化後に、実施することができる。
両端ストリップ検出器の時間差に基づく層識別
層識別の別の方法は、図18に示されるように、両端部41a、41bでストリップ光子センサ18を読み出すことである。ストリップシリコン光電子増倍管のこのような二重読み出しはそれ自体知られており、例えば、ストリップを横切る信号の伝播速度が、およそ

Figure 2023510803000005
であると報告する、Doroud2017[11](ノイズ抑制のために差分読み出しを使用)に記載されている。上側(下付き文字u)および下側(下付き文字l)の、両端部へのパルスの到達時間の差は、以下のとおりであり:
Figure 2023510803000006
ここで、zは、シンチレーション層と中間層との間の距離である(すなわち、中間層でシンチレーションが発生する場合はゼロ)。シンチレータプレート厚さが例えば3mmの場合、隣接する2つの層間のΔTの差は約200ps(ピコ秒)であり、これは、最新の読み出し技術を使用して測定可能である。さらに、任意のシンチレーション事象からの光は、エッジに沿って複数のストリップにわたり分散されるので、層を識別するために複数のストリップの時間差を考慮することによって(例えば、すべてのストリップの時間差、または閾値を超える信号振幅を有するすべてのストリップを平均することによって)、層分解能を向上させることができる。この方法は、層識別光子センサ18aをストリップ検出器18bに置き換えることができ、チャネルの総数を大幅に減らすことができるという利点を有する。層の数、ひいては相互作用深さ分解能は、主にタイミング精度によって制限される。
システム組み立て
図16aは陽子療法環境におけるデュアルヘッドアセンブリを、図16bはトリプルヘッドアセンブリを示す。デュアルヘッドアセンブリでは、イオンビーム1が標的にy方向に入り、2つの検出器アセンブリ13a、13bが標的4の周囲で±z方向に対称に配置されている。この2つのアセンブリ13a、13bは、陽子線経路に沿って放出されるガンマ線の一部、すなわち、即発ガンマ線21bと陽電子電子消滅ガンマ線21aを遮断することになる。トリプルヘッドアセンブリでは、追加の検出器アセンブリ13cが、実質的に陽子線エミッタに面して標的の周囲に配置される。
層識別ピクセル-構成
光子センサの1列を除く全てが2つ以上の層16にわたって共有される構成では、十分な量の光が、シンチレーション事象がどの層で発生したかを識別するために用いられるピクセル18aに到達するはずである。図17a~図17eに示されるように、これらのピクセル18aは、コーナーに、エッジの中央に、またはその間のどこかに位置し得る。
図21bは、結晶光収率(30,000光子/MeV、ガンマエネルギー=511keV)と光子センサパラメーター(光子検出効率=0.2、暗計数率=130,000Hz/mm2、過剰雑音関数=0.2、信号積分時間=250ns)に関するかなり保守的な仮定を使用して、シンチレーション事象の横座標の関数として、ピクセルに到達した光子数のコンターマップを表示したものである。これらの図では、図21aに示されるように、各エッジに5つの光子センサ(合計で20個)が装備されていると仮定している。プロットは、右側エッジ(x=25)において、下から上(y=-25からy=+25)に位置する単一の10mm幅の光子センサについて受け取った光を示している。その他のエッジに位置する光子センサについては、回転対称の状況になっている。下側のコーナーの近くに位置する光子センサは、右側エッジ(x~25mm、y>-15mm)の近く、および右上象限で発生した事象に対してほとんど光を受け取らない。エッジの中央に位置する光子センサは、左側(x≦0)で発生したすべての事象に対して約50以上の光子を受け取るが、左上のコーナーの周りで発生した事象に対してはほとんど光子を受け取らない。なお、50個超の光子はシミュレーションした事象の平均値である。検出された光子がより多い事象もより少ない事象も発生する。しかし、統計変動を考慮しても、このレベルは、ノイズフロアと推定暗計数率を十分に上回る信号をもたらすのに十分である。
したがって、どの層で事象が発生したかを確実に判断するためには、図17eに示されるように、2つの層識別光子センサを2つの対向するエッジの中心に位置付けるだけで十分であろう。2つのピクセルの合計、または最大の信号振幅もしくは積分を持つピクセルのみを考慮することで、シンチレーション事象の層を確実に識別することができる。図17eに示されるような、4層の正方形の検出モジュールの、2つの対向するエッジ上の5つの検出器列は、この場合、26個のチャネルのみを必要とする。
検出器の幾何学的外形およびピクセル構成
モノリシック検出モジュールの幾何学的外形は、形状、面積、光子センサ構成の点で、性能に影響を与える。そこで、前面および背面の異なる多角形の形状、および、エッジ当たりの光子センサの異なる数が、シミュレーションされた。各シミュレーションシナリオでは、多数の事象をシミュレーションし、各事象は、シンチレータバルク内のランダムに選択された点(x、y、z)におけるシンチレーション事象からの等方性の光子放出、結晶およびスプレッダ材料内の光線追跡、ならびに個々の光子センサの応答(検出された光子の数)である。前述のように、暗計数率、過剰雑音などの保守的なメーカー値(conservative manufacturer figures)を用いて光子センサの応答を、統計変動を考慮して推定した。
多数の事象からの光子センサの応答は、シンチレータ内の横座標xおよびyの関数として検出器の平均値と標準偏差を推定するために使用された。これがトレーニングセットまたは較正セットである。深さzは、較正セットの一部ではなかった。次に、別の事象セットを評価セットとして使用し、バックトラックアルゴリズムがトレーニングセットに基づいてシンチレーション事象の元の横座標x、yをどの程度うまく予測できるかを調査した。予測された、または適合された座標は、xfit、yfitと表される。横方向誤差εがその後、ユークリッド距離として計算された:
Figure 2023510803000007
評価セット全体について、平均誤差

Figure 2023510803000008
を次に計算することができる。
平均誤差自体は、モノリシックエッジ検出器が従来のPETスキャナ構成よりも良い選択であるかどうかの有用な指標とはならない。従来のPETスキャナの平均誤差を小さくするためには、単にシンチレータ結晶と光子センサの寸法を小さくし、シンチレータと検出器の数を増やせばよい。
比較指標として、本発明者らは、本発明の光子センサの数と、同様の横方向総面積および同様の空間分解能(同じ平均誤差)を有する「従来のPETスキャナ」の光子センサの数とを比較することを選択した。従来のPETスキャナは、以下のように定義された:
・正方形で、個々の光子センサと1対1の面結合された、個々のシンチレーション結晶(ロッド)。
従来構成の平均誤差を推定するために、シミュレーションを行った結果、図22に示すような誤差分布となった。単一ピクセル結晶は、単一結晶のどこでシンチレーション事象が発生したかの情報をもたらさないため、各事象の横座標を結晶の中心に割り当てた。最大誤差は、結晶のコーナーで発生した事象で発生することになる。平均誤差は、以下にほぼ等しい:
Figure 2023510803000009
ここで、sはソースの方を向く結晶素子面の側面である。

Figure 2023510803000010
を本発明の実施形態の平均誤差に等しく設定すると、結晶寸法:
Figure 2023510803000011
が得られ、これから、所与の総横方向面積のチャネルの総数を計算することができる。
従来のPETスキャナ構成の典型的な実施例は、3.1mm×3.1mm×20mm(XおよびYが3.1mm、Zが20m)の寸法のシンチレーション結晶が、3.3mm×3.3mmの寸法を有するSiPMピクセルを持つSiPMアレイに結合しているものとすることができる。このような構成のフィルファクターは、モジュール間のギャップを考慮しなければ、約88%となる。
モノリシック検出器を評価した。検出器は、2500mmの横方向表面積を有し、光学的スプレッダと光子センサ用のスペースを考慮するため4mmの非シンチレーションフレーム状ギャップで囲まれている。このような検出器のフィルファクターは:
・三角形:72%(図9c)
・正方形:74%(図9a)
・六角形:76%(図9b)
モジュール間の非シンチレーションギャップを考慮すると、全体として、従来のPETスキャナのフィルファクターは、本発明の実施形態のフィルファクターと同様であると考えられる。
図24は、シミュレーションから生成された、50×50mmのシンチレータプレートにおける真の相互作用位置対再構成された相互作用位置の一例を示す。図25は、シンチレータプレートにわたる平均横方向(軸方位方向)空間再構成誤差を示し、図26は、平均横方向再構成位置誤差のヒストグラムである。この例では、0.93mmの平均横方向誤差が達成された。
本発明の実施形態は、画質の著しい劣化なしに、より多くの層を追加することによって、シンチレーション材料の有効厚さを増加させることを可能にする。したがって、従来のPETスキャナと比較して幾分低いフィルファクターは、より多くのシンチレーション材料によるコインシデンス確率(coincidence probability)の増加によって補償され得る。
本発明の実施形態の最適化指標を、従来のPETスキャナのチャネル数と、デバイスの単一層のチャネル数の比と定義することもできる。
Figure 2023510803000012
図23は、三角形、正方形、六角形のシンチレータプレートと、エッジ当たりの光子センサの数との比Rを示している。正方形の検出器は製造が最も簡単となり得、そうすると、側面当たりの最適なピクセル数は5であるが、側面当たり4または6個の光子センサでも同様のゲインを達成することができる。この比Rは、M×Mの検出器の光子センサアレイがN×Nの結晶の結晶アレイに連結した従来のPETスキャナを考慮した場合、低くなり、N>Mであり、例えば、モノリシックライトガイドが結晶と光子センサとの間に挿入されている。5×5の結晶アレイに結合された4×4の検出器アレイは、Rを36%だけ削減させる。明らかに、この比Rは、層数を増やした場合にも低くなる。しかし、この指標はDOIのゲインを考慮に入れていない。DOI情報が必要ない(例えば、シンチレータプレートの厚さが従来のPETスキャナの個々の結晶の高さと同じである)場合には、Rが有効である。
一般に、三角形、正方形、または六角形の場合、1対1結合の従来のPETスキャナと比較して、30~40分の1のチャネル数の削減を達成することができる。これは大きな改善であり、PETスキャナのコストを大幅に削減する。あるいは、削減されたチャネル数におけるゲインは、特にPETスキャナの軸方向視野(FOV)を代わりに増大させるために利用され得る。これは、軸方向FOVが患者全体に及ぶ可能性のある全身PETスキャナ用途に特に有利である。
コンプトンカメラのシンチレータプレート厚さ最適化
有効なコンプトン散乱事象(1つのシンチレータプレートにおけるコンプトン散乱、別のシンチレータプレートにおける光電吸収)が発生する確率は、一般にシンチレータプレートの厚さに左右される。異なる一次ガンマ線エネルギーおよび半径方向のシンチレータの総厚さを伴う、この確率の詳細な研究を、図34にまとめたように、散乱および吸収体シンチレータの厚さを変えて、2層構成について行った。低エネルギー(0.511keV)では、シンチレータの総厚さ(6~20mm)に応じて、最適な比は30%~50%の範囲内である。しかし、高エネルギーでは、最適な比は50%に近く、すなわち、散乱体と吸収体の厚さが等しい。また、変形例、および目的のエネルギーによっては、総厚さの20%~60%の散乱層の厚さが好ましい。
較正-参照表
検出システムの較正は、有利には、以下のステップを含み得る:
・既知の横座標(xcal、ycal)において平行ソース(collimated source)で検出器を照射する。相互作用深さzcalは正確に知る必要はない。
・検出器層および較正位置ごとに十分な数の事象を記録する
・所与の位置において各光子センサiの応答の平均および標準偏差、すなわちμ(x、y)およびσ(x、y)を計算する。
参照表が、較正位置、オプションとして、較正手順の一部ではない任意の中間位置での各光子センサの平均および標準偏差の細かいグリッド補間(fine-grid interpolation)から、生成され得る。
個々の光子センサのμおよびσの代わりに/これに加えて、任意の集計量(重心など)を計算することも可能である。
事象の再構成
1つの事象の相互作用座標を再構成するためには、以下の方法が使用され得る:
・光子センサの応答、および/または集計量のデジタル化
・較正表において、応答と最もよく一致する位置を見つける(これを効率的に行うには、それ自体既知のさまざまな方法を使用することができる)。
事象拒絶
PETスキャンモードとコンプトンカメラモードの両方において、エネルギー付与に基づく事象を拒絶することが有利である。さらに、同じシンチレータでの二重散乱または多重散乱事象の拒絶も有利である。1つの方法は、事象のシグネチャー(読み出しチャネルごとの信号)を参照表の最も近い一致と比較することである。「最も近い一致」とは、例えば、事象と最も近い参照一致との間の標準偏差正規化ユークリッド距離(二乗差の和をピクセル応答または集計の標準偏差で割ったもの)を意味する。この差が設定可能な閾値より大きい場合、事象は拒絶され得る。
PETスキャンモード対コンプトンカメラモード
検出器アセンブリがPETスキャンモードで動作する場合、ソースとは反対側の2つのセンサプレートが(すなわち、LORに沿って)トリガーされる事象のみが考慮されるものとする。陽子療法の状況においては、陽子送達中の即発ガンマ線からのトリガー率が高い可能性があるため、PETスキャンモードは、イオンビームが送達されている間にオプションとして完全に無効化することができる。目的の撮像ボリューム(治療ボリュームおよび陽子線経路によって定義される)は、(不確定性限界内で)十分に定義されるので、目的の撮像ボリュームの外側のあらゆるコインシデンス事象を破棄するために、検出モジュールの有効コインシデンスグループを定義することができる。さらに、1つまたは複数のエネルギーウィンドウを定義して、目的のガンマエネルギーに対応しない事象を拒絶することができる。
コンプトンカメラモードでは、例えば、1つのモジュール内の2つの層(モジュール内コンプトンカメラ)がトリガーされた事象、または近くの2つのモジュール内の1つの層(モジュール内コンプトンカメラ)がトリガーされた事象のみを受け入れることができる。既知の即発ガンマ放出ピークに対応する事象のみを受け入れるために、複数のエネルギー拒絶ウィンドウ(エネルギーが2つのトリガーされた層からの信号の合計である)を定義することができる。データレートをさらに制限するために、標的内の陽子線飛程に主に関心がある場合、陽子線の方向に画像再構成分解能が最も高いモジュールのみを有効にすることができる。
方位軸方向に配置されたセンサプレートの多重化読み出し
半径方向に積層されたブロックが多重化された方法で、またはストリップセンサを介して読み出される、以前に開示された配置の大きな欠点は、それらが前方コンプトン散乱ガンマ線の検出について非効率的であることである。前方散乱されているガンマ線は、単一のセンサプレートで(散乱ガンマ線が検出されない場合)、または、概ね半径方向に整列した2つのセンサプレートで、相互作用する可能性がある。ほとんどの場合、2つの相互作用位置を別々に再構成することは不可能であろう。コンプトン散乱が、2つの相互作用が2つの別々のモジュールで起こるようになっている(「モジュール間散乱」、低確率)場合のみ、または独立した光子センサを備えた追加の散乱/吸収センサプレートもしくはコンプトンピクセルが追加される場合(複雑さが増す)、2つの相互作用位置を再構成することが可能であろう。特に、即発ガンマ線の検出のための目的のエネルギー(7MeVまで)においては、小角前方散乱が支配的である。
半径方向に積層された多層構成の複合読み出しの固有の欠点を克服するために、新規な多重化読み出しスキームが導入される。コンパクトに配置され、半径方向に積層されたセンサプレートからの信号を、共通の読み出しチャネルに結合する(先に述べた欠点を有する)のではなく、本発明者らは、共通の読み出しセンサプレートを、半径方向のスタックではなく半径方向平面に配置することが、著しい機能および性能上の利点をもたらすことに気付いた。共通の読み出しシンチレータスラブを半径方向ではなく、方位軸方向に配置することによって、いくつかの欠点を克服することができる。方位軸方向に配置されたセンサプレートの図が、図28に示されている。
本明細書における半径方向-方位方向-軸方向(radially-azimuthally-axially)という用語は、PETスキャナのシンチレータ素子の一般的な円筒形配置を指す。円筒座標系の用語が直接適用できない他の配置、例えば、球形、「箱型」、デュアルヘッド(図5e)、クワッドヘッド(図5f)、またはヘルメット型(例えば、脳専用PETスキャナーの場合)が、可能である。しかし、これらはすべて、シンチレータ素子が何らかの方法で目的のボリュームの周囲に配置されていることは共通している)。
多重化読み出し構成の一実施例が、方位軸方向構成の2×2センサプレートについて図29に示されている。各センサプレートは、複数の光子センサ、例えば8個の光子センサ18を有する。構成によっては、多重化回路33は、接続された光子センサ18のアナログ和を実行してもよい。これにより、各センサプレートの和S1~S4を個別に読み出すことができるとともに、例えば、センサプレート上の特定の場所(「右上」、「左上」等)の全ての光子センサの和E1~E8を読み出すことができるようになる。和回路(sum circuits)S1~S4により、どのシンチレータプレート18でシンチレーション事象が発生したかを識別することができ、E1~E8は、シンチレーション事象の空間情報を提供することができる。
方位軸方向に配置されたブロックからの光子センサ信号を多重化することで、読み出しチャネル数の削減に関する利点はすべて維持される。有利なことに、このスキームでは、半径方向に分離した層の独立した読み出しも可能である。方位軸方向の多重化配置は、電子陽電子消滅からのコンプトン散乱した511keVガンマ線の解像に特に適している。層が十分に薄い場合、1つの511keVガンマ線が同じセンサプレートでコンプトン散乱され吸収もされる可能性は低い。この利点は、入ってくる511keVガンマ線のより多くの部分を受け入れることができるため、特に重要である。従来のPETスキャナでは、典型的には、コンプトン散乱ガンマ線を拒絶するために、(器具のエネルギー受容ウィンドウ内で)511keVの蓄積エネルギーを持つ事象のみを受け入れ、511keVガンマ線が直接光電吸収される事象のみを受け入れる。その理由の1つは、従来のピクセル化されたPETスキャナでは、相互作用深さ分解能がなく、最初の相互作用位置が明確に決定できないことである。しかし、本発明では、散乱と吸収の両方の座標を決定することが可能である。目的のガンマ線エネルギーによっては、コンプトン運動学的規則を適用して、どのシンチレータプレートで散乱が発生し、どのプレートで吸収が発生したかを解明することができる。時間系列も、タイムスタンプを介して決定され得る。時間系列を明確に決定できない場合は、確率加重LOR(PET)またはコンプトンコーン(コンプトンカメラ撮像)を画像再構成に使用することができる。一次ガンマ線の空間的起源に関する予備知識も、LORまたはコンプトンコーンの受け入れまたは拒絶に利用することができる。
一般に、PETスキャン動作においてコンプトン散乱ガンマ線も分解できるという特徴は、検出器全体の感度:すなわち、同時に検出される511keVガンマ線の割合を大幅に向上させる。
一例として、半径方向のシンチレータの総厚さが20mm(例えばLYSO)で、厚さ4mmの方位軸方向に積層された5つのモジュールに分割された構成を考える。この配置上に掛かる(impending)511keVガンマ線が何らかの形で相互作用する確率は、約80%である。しかし、それが直接光電吸収される確率は26%に過ぎない。よって、逆平行の2つの同時発生のガンマ線が同時に光電吸収される確率は、0.26*0.26=6.7%に過ぎない。これにより、従来のPETスキャナの感度は根本的に制限される。
発明者らの方位軸方向多重化センサプレートと比較するために、例えば、E1>100keVおよびE>100keVが明確に分解され得る事象を想定する。直接光電吸収される事象に加え、511keVガンマ線が最初にコンプトン散乱され、その後半径方向に異なる層で光電吸収される確率は、11.4%である。したがって、直接光電吸収を介して、または2段階コンプトン事象(散乱+吸収)として、511keVガンマ線を検出する確率は、26%+11.4%=37.4%である。同時検出の確率は、0.374^2=14%である。
したがって、本発明の実施形態は、従来の検出器よりも約2倍高い全体的な感度、すなわち有効なコインシデンス検出率を有することができる。同等品質の画像を形成するために、放出されたガンマ線の数の半分が必要とされる。または、代わりに、放射性医薬品の状況では、患者の被曝線量を最小化するために、注入されるトレーサー同位体を大幅に減少させることが可能である。
エッジ隣接光子センサの複合型信号読み出し
シリコン光電子増倍管のような一般に入手可能な光子センサは、典型的には、例えば1×1、3×3、4×4または6×6mmのような、正方形の形状であり、本発明のシンチレータプレートの正確な寸法はこれに適合させることができる。変形例では、所望のシンチレータプレート寸法は、例えば48×48×3mm(3mmは半径方向厚さ)であってよい。半径方向の厚さに合わせるには、3×3mmの光子センサが適しているであろう。本発明の変形例では、エッジあたりの光子センサの数は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7または少なくとも8であるべきである。しかしながら、3×3mmの光子センサは、エッジあたり16のチャネルに相当するであろう。本発明の有利な実施形態では、隣接する光子センサからの信号は、電子的に加算され得、デジタル化の前に、隣接する光子センサのグループが、1つになって読み出されるか、または1つになって多重化回路に接続される。図40は、共通アノード電流加算を使用した、エッジあたりのチャネル数の4:1削減の実施例を示す。他の信号加算技術は、それ自体既知であり、実効センサキャパシタンスの増加などの問題に対処し、本発明の実施形態で使用されてもよい。
軸方向視野拡張
有利な実施形態では、図38に示されるように、少なくとも2つの方位方向に対向するセンサプレート配置が患者またはスキャン対象の周りを回転して、部分または全身のPETおよび/またはSPECT画像を取得することができる。検出器は、CT撮像設備と組み合わせてもよい。検出器は、MRIと組み合わせてもよい。検出器は、動的画像(体積測定情報および時間情報を有する「4D」画像)を取得することができる。
従来のPETスキャナの多くの主な制約は、軸方向視野が限られていることである。一般に、FOVが広がると、より多くの光子センサ、読み出しチャネル、シンチレータ材料を追加しなければならないため、製造コストは直線的に増加する。半径方向のシンチレータの厚さを薄くすることで、部分的にコストを削減することはできるが、これでは、光子センサで覆わなければならないシンチレータの面積を減らすことはできない。一例として、図31に概念的に示すように、従来のPETスキャナと同様の軸方向の広がりを持つ線源を考える。線源の両端部近くで放出される消滅ガンマ線を同時に検出するためには、スキャナまたはスキャン対象を軸方向に移動させる必要があり、撮影時間が長くなり、線源に沿った動的プロセスの撮像が困難になる。しかしながら、本発明の軸方向FOVは、コスト増なしか、または最小限のコスト増で、図30に示されるように、センサプレートを軸方向に配置し直すだけで、増加させることが可能である。半径方向のシンチレータの総厚さが減少し、コインシデンス確率が減少するが、これは増加したFOVによって補われる。さらに、方位軸方向に多重化された配置では、コンプトン散乱事象を受け入れる能力により、全体の感度が著しく向上する。軸方向の感度の比較を図32に示す。
図36に示すように、センサプレートの構成を半径方向の1層から半径方向の2層以上に変更すると、実際に、たとえシンチレータの総厚さが減少しても、実際にコインシデンス検出の確率を増加させることができる。例えば、半径方向のシンチレータ厚さが20mmの単層構成の有効な同時吸収の確率は、総厚さが15mmの2層構成、または総厚さが10mmの4~6層構成の有効な同時吸収の確率と同様である。したがって、総シンチレータ体積、および光子センサによって覆われることが必要な総面積が、著しく低減され得、それによって全体的なコストが低減され、かつ/または軸方向FOVの増加が可能になることは、本発明による利点である。
半径方向のシンチレータの厚さは、少なくとも2つのシンチレータプレートに分散して、例えば40mm未満、30mm未満、20mm未満、15mm未満、または10mm未満であってよい。
面結合型検出モジュールにおいて、約20mmの半径方向のシンチレータの厚さは、典型的には、コインシデンス検出の確率を考慮すると、PETスキャンのための費用対効果の高い最適条件と考えられている。本発明の有利な実施形態では、コンプトン散乱ガンマ線も有効事象として受け入れることができるので、半径方向のシンチレータの厚さは、例えば19mm未満に、低減することができる。
有利な実施形態では、方位軸方向に多重化された構成はまた、3×3の様式で多重化された2+2+2の半径方向に積層されたシンチレータブロックを有する構成を示す図33に示されるように、2つ以上の半径方向ギャップを含むように適合され得る。このような構成は、PETスキャナ、2段階コンプトンカメラおよび3段階コンプトンカメラとして機能し得る。また、センサプレート間の半径方向エアギャップも、熱放散を改善し得る。
多重化されたセンサプレートは、例えば、1×2、1×3、1×4、2×2、2×3、2×4、3×3、3×4、4×4、4×5、または5×5の様式で方位軸方向アレイに配置することができる。
機能の組み合わせと用途
異なる実施形態の特徴は、特に何も示されていない限り、実施形態間で交換可能であり、種々の方法で組み合わせられ得る。以下の説明において、本発明のより完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が示されているにもかかわらず、本発明がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には明らかであろう。本発明を実施するための電子機器、センサシステム、画像分析、信号処理、データ通信システム、画像取得システム、および他の部品における基本および従来技術は、当業者には容易に理解されると考えられるので、簡潔さのために、この説明ではさらなる説明および詳細は省略される。
本発明の実施形態による検出システムはまた、他のタイプの核イメージング、例えば、3-γ放出の撮像、または1つの陽電子を放出する同位体(同時発生の、対向する511keVのγを生成し、これが検出されるとLOR27が得られ、これに沿ってソースが位置している)、および別のγ(ソースが位置するコンプトンコーン25を生成する)に使用され得る。LORとコンプトンコーンからの情報を組み合わせることで、可能な同位体位置を非常に高い精度まで、特に、図27に示すように、目的のボリュームが周知であるイオンビーム療法の状況で、三角測量することができる。
WO2018/081404 A1では、各層のための個々の光子センサを有する半径方向に積層されたエッジ検出検出器(radially stacked edge-detection detector)が開示されている。単一層では、1対1の主要面結合型PETスキャナと比較して、チャネル数を大幅に削減する。しかしながら、チャネル数は、層の数とともに線形に増加する。本発明の一態様によれば、複数層にまたがるストリップ光子センサと単一層に結合されたピクセル光子センサとの組み合わせにより、多層検出器の場合でもチャネル数を大幅に削減すると同時に、ピクセル検出器を介してどの層でシンチレーション事象が発生したかを識別することが可能となる。
本発明の別の態様によれば、両端ストリップ光子センサを使用し、2つの端部間の時間差を利用して、シンチレーション事象がどの層で発生したかを解明することができる。この場合、読み出しの総数は、モジュール内の層の数に依存しない。この解決法には、層固有のピクセルが必要ないという利点がある。相互作用深さ分解能は、タイミング精度とシンチレータプレートの数によってのみ制限される。
本発明の別の態様によれば、検出システムは、コンプトンカメラ(「モジュール間コンプトンカメラ」)の散乱体モジュール/吸収体モジュールとして、隣接するモジュールを使用する。相互作用深さ分解能のおかげで、この構成は、ガンマ線が角度をなして検出器に入ることによる視差エラーに対してより堅牢である。したがって、スキャン対象の周りでの、検出モジュールの非円形配置、例えば、六角形、八角形、または、他の多角形は、従来の円形配置と比較して、2つの異なるモジュールで前方散乱ガンマ線を検出する確率を高める。
本発明の別の態様によれば、選択された層からの光信号を一時的に遮断するための電気光学シャッターが提供される。特に、これは、積層された検出器が、複数の層にまたがるストリップ検出器で読み出される場合に有利である。電気光学シャッターは、例えば、撮像対象に半径方向に最も近い層のいくつかを「ガンマフィルター」に機能的に変換する手段として使用することができる。これは、即発ガンマ線の瞬間的な割合が非常に高く、すべての層が光学的に活性化されていると検出器が飽和してしまうような状況において、有用な特徴である。標的に最も近い層からの光を一時的に遮断することで、これらの近位層は、検出器をブラインドにすることなく、即発ガンマ線の一部を吸収する役割を果たす。その結果、検出器の全体的な計数率が下がる。
本発明の別の態様によれば、概念的に同一のモジュール(各モジュールは、シンチレータプレート、光子センサおよび読み出し電子機器からなる)の配置は、複合型PETスキャナおよびコンプトンカメラとして機能するように配置することができ、モジュールの半径方向にオフセットしたグループは、2段階コンプトンカメラの吸収体として機能する。この構成は、製造とコストの観点から有利であり、またカスタマイズも容易である。
本発明の別の態様によれば、多重化読み出しを有するセンサプレートの方位軸方向配置が提供される。特に、これは、目的のボリュームの周りの大きな立体角にわたって、PETスキャンおよびコンプトンカメラ機能性の両方のためのコンプトン散乱ガンマ線の検出に有利であり、また視差エラーを低減する。
〔先行技術文献〕
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〔図面で参照される特徴のリスト〕
患者5
標的ゾーン(例えば、腫瘍)4
イオンビーム療法システム6(例えば、陽子線療法システム)
患者支持体7
イオンビームエミッタ8
イオンビーム1
スキャン磁石2
ビーム強度およびプロファイルモニター3
ガンマ線検出システム10
コンプトンカメラ11
PETスキャナ12
検出モジュールアセンブリ13、13a、13b、13c
開口部42
検出モジュール14、14a、14s
散乱部分/ブロック15s
吸収体部分/ブロック15a

センサプレート16、18
シンチレータプレート16
散乱層16s
吸収体層16a
主要表面40a
横方向小表面40b(「エッジ」とも呼ばれる)
シンチレータロッド16p
半径方向ギャップ17
光子センサ18
個別層光子センサ18a(「光子センサピクセル」または単に「ピクセル」とも呼ばれる)
シンチレータロッド16pに結合された光子センサ18p
十字線接続配置18c
ストリップ多層光子センサ18b(「光子センサストリップ」または単に「ストリップ検出器」とも呼ばれる)
光子センサ支持体(基板)20
検出器-シンチレータ光インターフェース22
電子光学シャッター(EOS)24
エッジ光スプレッダ26
層間反射器28
光部分バリア/吸収体29
低屈折率ギャップ31
信号処理および制御システム30
回路基板32
多重化回路33
電子部品34(例えば、マイクロプロセッサ、メモリ、FPGAなど)
コネクタ36a、36b
ガンマ線21
陽電子ガンマ線21a
即発ガンマ線21b
ソース23
コンプトンコーン25
応答線(LOR)27
コンプトンコーン-LOR交点27b
目的のボリューム(標的ゾーン)27c
シンチレーション光線53

主要面結合型検出モジュール50
シンチレータアレイ51
光子センサアレイ52
〔実施の態様〕
(1) 標的ゾーン(4)の陽電子放射断層撮影(PET)スキャンのために構成された少なくとも2つの検出モジュール(14、14a、14s)を含む検出モジュールアセンブリ(13、13a、13b、13c)を含むガンマ線検出システム(10)であって、各検出モジュールは、複数の積層されたモノリシックシンチレータプレート(16)であって、それぞれが、前記標的ゾーンに概ね面するように方向付けられた主要表面(40a)および前記シンチレータプレートのエッジを画定する横方向小表面(40b)を有し、前記主要表面が、前記横方向小表面の表面積よりも大きな表面積を有する、複数の積層されたモノリシックシンチレータプレート(16)と、前記主要表面に入射するガンマ線からの前記シンチレータプレート内のシンチレーション事象の前記主要表面の平面内の位置を検出および決定するように構成されて前記エッジのそれぞれに対して取り付けられている複数の光子センサ(18)と、を含み、前記ガンマ線検出システムは、コンプトンカメラとして機能するようにさらに構成され、前記標的ゾーンに最も近いシンチレータプレートではない少なくとも1つのシンチレータプレートは、前記コンプトンカメラのための吸収体シンチレータプレートとして構成されている、ガンマ線検出システム。
(2) 少なくとも2つの半径方向に積層されたシンチレータプレートの複数の光子センサは、前記複数の光子センサの読み出しを多重化するように構成された処理回路に接続されている、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(3) 少なくとも2つの方位軸方向に配置されたシンチレータプレートの複数の光子センサは、前記複数の光子センサの読み出しを多重化するように構成された処理回路に接続されている、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(4) 前記複数の積層されたシンチレータプレートの少なくとも2つの間、または少なくとも2つの検出モジュールの間に、少なくとも1つの半径方向ギャップ(17)を含む、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(5) 前記複数のシンチレータプレートのうちの1つの厚さTに対する前記半径方向ギャップの高さHは、典型的には200>H/T>2の範囲、好ましくは50>H/T>10の範囲であってよい、実施態様4に記載のガンマ線検出システム。
(6) 前記複数の光子センサは、複数の層のエッジ上に延びる少なくとも1つのストリップ多層光子センサ(18b)を含む、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(7) 前記複数の積層されたシンチレータプレートの各エッジ側に、複数の前記ストリップ多層光子センサを含む、実施態様6に記載のガンマ線検出システム。
(8) 前記少なくとも1つのストリップ多層光子センサは、両端部で信号の到着時間を測定するように構成された両端ストリップ検出器である、実施態様6に記載のガンマ線検出システム。
(9) 前記複数の光子センサは、各シンチレータプレートの少なくとも1つのエッジ上、好ましくは各シンチレータプレートの少なくとも2つのエッジ上に、少なくとも1つの個別層光子センサ(18a)を含む、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(10) 行および/または列の前記個別層光子センサは、十字線接続配置(18c)で相互接続され、読み出しは、複数の相互接続された個別層光子センサの信号の和および/または加重和となる、実施態様9に記載のガンマ線検出システム。
(11) 前記シンチレータプレートの少なくとも2つの間に光反射性(28)または光吸収性(29)の界面層をさらに含む、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(12) 前記シンチレータプレートの少なくとも2つの間に、例えば空気の、低屈折率ギャップをさらに含む、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(13) 少なくとも1つのシンチレータプレートの前記エッジと前記光子センサとの間に電気光学シャッター(24)をさらに含む、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(14) 前記電気光学シャッターは、前記エッジの近くでシンチレーション事象からの光を広げるように構成された光スプレッダ材料および厚さを含む、実施態様13に記載のガンマ線検出システム。
(15) 前記シンチレータプレートの前記主要表面の表面積Sおよび前記シンチレータプレートの厚さTは、100mm≦S≦40000mm、および0.5mm≦T≦30mmの範囲にある、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(16) 前記検出モジュールアセンブリは、標的ゾーンを囲み、イオンビームを放出するためのギャップ(42)またはオリフィスを含む、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(17) 前記半径方向ギャップは、H/(T1+T2)>5の関係を満たし、ここで、T1およびT2は、前記半径方向ギャップを囲む2つの前記シンチレータの厚さであり、Hは、前記半径方向ギャップの高さである、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(18) 前記複数の積層されたモノリシックシンチレータプレートの半径方向における総厚さが、19mm未満である、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(19) 半径方向内側のシンチレータプレートの厚さと半径方向のシンチレータの総厚さとの比が0.2~0.6の範囲にある2つの半径方向に積層されたシンチレータプレートを含む、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(20) 個々のシンチレータプレートの光子センサの光子センサバイアス電圧は、独立して調整または有効化/無効化され得る、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(21) 少なくとも2つの半径方向に積層されたシンチレータプレートに結合された光子センサは、コンプトン運動学的規則を適用して、2つの同時発生ブロック事象が、後に吸収が続く前方または後方散乱コンプトン散乱のどちらに対応するかを決定するように構成された処理回路に接続されている、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(22) 前記処理回路は、半径方向外側方向から前記検出器に入射する一次ガンマ線に起因すると思われる事象を拒絶するように構成されている、実施態様21に記載のガンマ線検出システム。
(23) 前記処理回路は、光電吸収の相互作用座標を、電子陽電子消滅に起因する小角前方コンプトン散乱ガンマ線のLOR終点として利用するように構成されている、実施態様21に記載のガンマ線検出システム。
(24) 前記処理回路は、角分解能を向上させるために、設定可能な一次ガンマ線エネルギー依存散乱角度を超えるコンプトン散乱事象を破棄するように構成されている、実施態様21から23のいずれかに記載のガンマ線検出システム。
(25) 隣接する光子センサからのアナログ信号が、デジタル化または他の多重化回路より前に加えられる、実施態様1に記載のガンマ線検出システム。
(26) 組織のゾーンにイオンビームを照射するためのイオンビーム療法システム(6)であって、少なくとも回転軸を中心に相対的に移動可能な患者支持体(7)およびイオンビームエミッタ(8)と、イオンビーム照射中、イオンビーム照射の合間、およびイオンビーム照射後に即発ガンマ線検出およびPETスキャンを行うように構成された実施態様1から25のいずれかに記載のガンマ線検出システムと、を含む、イオンビーム療法システム。

Claims (26)

  1. 標的ゾーン(4)の陽電子放射断層撮影(PET)スキャンのために構成された少なくとも2つの検出モジュール(14、14a、14s)を含む検出モジュールアセンブリ(13、13a、13b、13c)を含むガンマ線検出システム(10)であって、各検出モジュールは、複数の積層されたモノリシックシンチレータプレート(16)であって、それぞれが、前記標的ゾーンに概ね面するように方向付けられた主要表面(40a)および前記シンチレータプレートのエッジを画定する横方向小表面(40b)を有し、前記主要表面が、前記横方向小表面の表面積よりも大きな表面積を有する、複数の積層されたモノリシックシンチレータプレート(16)と、前記主要表面に入射するガンマ線からの前記シンチレータプレート内のシンチレーション事象の前記主要表面の平面内の位置を検出および決定するように構成されて前記エッジのそれぞれに対して取り付けられている複数の光子センサ(18)と、を含み、前記ガンマ線検出システムは、コンプトンカメラとして機能するようにさらに構成され、前記標的ゾーンに最も近いシンチレータプレートではない少なくとも1つのシンチレータプレートは、前記コンプトンカメラのための吸収体シンチレータプレートとして構成されている、ガンマ線検出システム。
  2. 少なくとも2つの半径方向に積層されたシンチレータプレートの複数の光子センサは、前記複数の光子センサの読み出しを多重化するように構成された処理回路に接続されている、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  3. 少なくとも2つの方位軸方向に配置されたシンチレータプレートの複数の光子センサは、前記複数の光子センサの読み出しを多重化するように構成された処理回路に接続されている、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  4. 前記複数の積層されたシンチレータプレートの少なくとも2つの間、または少なくとも2つの検出モジュールの間に、少なくとも1つの半径方向ギャップ(17)を含む、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  5. 前記複数のシンチレータプレートのうちの1つの厚さTに対する前記半径方向ギャップの高さHは、典型的には200>H/T>2の範囲、好ましくは50>H/T>10の範囲であってよい、請求項4に記載のガンマ線検出システム。
  6. 前記複数の光子センサは、複数の層のエッジ上に延びる少なくとも1つのストリップ多層光子センサ(18b)を含む、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  7. 前記複数の積層されたシンチレータプレートの各エッジ側に、複数の前記ストリップ多層光子センサを含む、請求項6に記載のガンマ線検出システム。
  8. 前記少なくとも1つのストリップ多層光子センサは、両端部で信号の到着時間を測定するように構成された両端ストリップ検出器である、請求項6に記載のガンマ線検出システム。
  9. 前記複数の光子センサは、各シンチレータプレートの少なくとも1つのエッジ上、好ましくは各シンチレータプレートの少なくとも2つのエッジ上に、少なくとも1つの個別層光子センサ(18a)を含む、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  10. 行および/または列の前記個別層光子センサは、十字線接続配置(18c)で相互接続され、読み出しは、複数の相互接続された個別層光子センサの信号の和および/または加重和となる、請求項9に記載のガンマ線検出システム。
  11. 前記シンチレータプレートの少なくとも2つの間に光反射性(28)または光吸収性(29)の界面層をさらに含む、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  12. 前記シンチレータプレートの少なくとも2つの間に、例えば空気の、低屈折率ギャップをさらに含む、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  13. 少なくとも1つのシンチレータプレートの前記エッジと前記光子センサとの間に電気光学シャッター(24)をさらに含む、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  14. 前記電気光学シャッターは、前記エッジの近くでシンチレーション事象からの光を広げるように構成された光スプレッダ材料および厚さを含む、請求項13に記載のガンマ線検出システム。
  15. 前記シンチレータプレートの前記主要表面の表面積Sおよび前記シンチレータプレートの厚さTは、100mm≦S≦40000mm、および0.5mm≦T≦30mmの範囲にある、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  16. 前記検出モジュールアセンブリは、標的ゾーンを囲み、イオンビームを放出するためのギャップ(42)またはオリフィスを含む、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  17. 前記半径方向ギャップは、H/(T1+T2)>5の関係を満たし、ここで、T1およびT2は、前記半径方向ギャップを囲む2つの前記シンチレータの厚さであり、Hは、前記半径方向ギャップの高さである、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  18. 前記複数の積層されたモノリシックシンチレータプレートの半径方向における総厚さが、19mm未満である、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  19. 半径方向内側のシンチレータプレートの厚さと半径方向のシンチレータの総厚さとの比が0.2~0.6の範囲にある2つの半径方向に積層されたシンチレータプレートを含む、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  20. 個々のシンチレータプレートの光子センサの光子センサバイアス電圧は、独立して調整または有効化/無効化され得る、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  21. 少なくとも2つの半径方向に積層されたシンチレータプレートに結合された光子センサは、コンプトン運動学的規則を適用して、2つの同時発生ブロック事象が、後に吸収が続く前方または後方散乱コンプトン散乱のどちらに対応するかを決定するように構成された処理回路に接続されている、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  22. 前記処理回路は、半径方向外側方向から前記検出器に入射する一次ガンマ線に起因すると思われる事象を拒絶するように構成されている、請求項21に記載のガンマ線検出システム。
  23. 前記処理回路は、光電吸収の相互作用座標を、電子陽電子消滅に起因する小角前方コンプトン散乱ガンマ線のLOR終点として利用するように構成されている、請求項21に記載のガンマ線検出システム。
  24. 前記処理回路は、角分解能を向上させるために、設定可能な一次ガンマ線エネルギー依存散乱角度を超えるコンプトン散乱事象を破棄するように構成されている、請求項21から23のいずれか一項に記載のガンマ線検出システム。
  25. 隣接する光子センサからのアナログ信号が、デジタル化または他の多重化回路より前に加えられる、請求項1に記載のガンマ線検出システム。
  26. 組織のゾーンにイオンビームを照射するためのイオンビーム療法システム(6)であって、少なくとも回転軸を中心に相対的に移動可能な患者支持体(7)およびイオンビームエミッタ(8)と、イオンビーム照射中、イオンビーム照射の合間、およびイオンビーム照射後に即発ガンマ線検出およびPETスキャンを行うように構成された請求項1から25のいずれか一項に記載のガンマ線検出システムと、を含む、イオンビーム療法システム。
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