JP2023505312A - 2つの量子状態を比較する方法及びシステム - Google Patents

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Abstract

2つの量子状態を比較する方法は、第1のノードで第1の量子状態を与えるステップと、第1の複数のユニタリ演算によって、第1の量子状態を変換することにより、第1の複数の変換量子状態を得るステップと、第1の一組の量子測定によって、第1の複数の変換量子状態を測定することにより、第1の一組の測定結果を得るステップと、を含む。この方法は、第2のノードで第2の量子状態を与えるステップと、第2の複数のユニタリ演算によって、第2の量子状態を変換することにより、第2の複数の変換量子状態を得るステップであり、第2の複数のユニタリ演算が、第1の複数のユニタリ演算に対応する、ステップと、第2の一組の量子測定によって、第2の複数の変換量子状態を測定することにより、第2の一組の測定結果を得るステップと、をさらに含む。この方法は、第1の一組の測定結果及び第2の一組の測定結果に関して、第1の量子状態と第2の量子状態との間の類似性測度を決定するステップをさらに含み、類似性測度が、第1の量子状態及び第2の量子状態のトレース積を含む。【選択図】 図2

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 掲載日 2019年9月11日 掲載アドレス https://arxiv.org/pdf/1909.01282v2.pdf
[0001]本開示は、特に空間的及び/又は時間的に離れた異なるプラットフォーム間で量子状態を比較する技術に関する。
背景
[0002]数十個のキュービットを含む中規模の量子素子を構築する試みが進められている。原子及び光から固体系まで、様々な物理プラットフォームによって、量子コンピュータ及び量子シミュレータの工学的及び物理的実現が追求されている。従来技術においては、実装された量子プロセス又は量子状態を既知の理論的目標と比較できるように、変換周期的ベンチマーキング又は直接忠実度推定等の検証手順が開発されてきた。
[0003]S.T.Flammia and Y.-K.Liu,“Direct fidelity estimation from few Pauli measurements”,Phys.Rev.Lett.106(2011)230501は、特性関数に基づいて、実験的に作成された量子状態を目標純粋状態と比較する技術を開示している。それぞれの結果は、いくつかの実際に関連する量子状態について、特性関数の複数の成分が消失して比較が簡単になる、という実現形態に基づく。M.P.da Silva et al.,“Practical characterization of quantum devices without tomography”,Phys.Rev.Lett.107(2011)210404によって、類似の技術も提示されている。
[0004]ただし、異なる場所及び/又は異なる時間の2つの素子で生成された未知の量子状態を直接比較することは、依然として困難である。
[0005]Andreas Elben et al.,“Statistical correlations between locally randomized measurements: A toolbox for probing entanglement in many-body quantum states”,Phys.Rev.A99(2019)052323は、局所ユニタリ演算による変換及び射影測定に基づいて、(概略的に混合状態の)量子状態の重なりを測定する方法を開示している。
概要
[0006]本開示は、それぞれ独立請求項1及び16に係る、2つの量子状態を比較する方法及びシステムを対象とする。従属請求項は、好適な実施形態に関する。
[0007]本開示の第1の態様において、2つの量子状態を比較する方法は、第1のノードで第1の量子状態を与えるステップと、特に第1のノードで第1の複数のユニタリ演算によって、第1の量子状態を変換することにより、第1の複数の変換量子状態を得るステップと、特に第1のノードで第1の一組の量子測定によって、第1の複数の変換量子状態をそれぞれ測定することにより、第1の一組の測定結果を得るステップと、を含む。この方法は、第2のノードで第2の量子状態を与えるステップと、特に第2のノード第2の複数のユニタリ演算によって、第2の量子状態を変換することにより、第2の複数の変換量子状態を得るステップであり、第2の複数のユニタリ演算が、第1の複数のユニタリ演算に対応する、ステップと、特に第2のノードで第2の一組の量子測定によって、第2の複数の変換量子状態をそれぞれ測定することにより、第2の一組の測定結果を得るステップと、をさらに含む。この方法は、第1の一組の測定結果及び第2の一組の測定結果に関して、第1の量子状態と第2の量子状態との間の類似性測度を決定するステップをさらに含み、類似性測度が、第1の量子状態及び第2の量子状態のトレース積を含む。
[0008]対応する第1及び第2の複数のユニタリ演算によって第1及び第2の量子状態を局所的に変換するとともに、2つの変換量子状態の局所測定をそれぞれ実行することによって、完全な量子状態トモグラフィを要することなく、2つの量子状態を確実且つ効率的に比較することができる。
[0009]これらの技術を量子プロセス又は量子チャネルの複数の異なる出力状態に適用することによって、異なる量子プロセス又は量子チャネルの比較も可能となる。
[0010]本開示の背景において、量子状態は、ヒルベルト空間H上の密度行列ρに関して表され得る。形式ρ=|ψ><ψ|の量子状態は、純粋状態である。一方、この形式で表せないあらゆる状態は概略的に、混合量子状態と称する。如何なる混合量子状態ρも、古典的確率分布{p},j=1,・・・,N(Nは1より大きな整数))に対する形式ρ=Σ|ψ><ψ|において、純粋状態(その固有状態)の加重和として分解可能である。
[0011]本開示の技術は、2つの任意の量子状態の比較を可能にするが、これらは純粋状態であってもよいし、混合状態であってもよい。特に、これらの技術は、概略的に混合状態である大型の量子系の任意の下位系の比較にも採用可能である。
[0012]このため、一実施形態によれば、第1の量子状態及び/又は第2の量子状態は、混合量子状態である。
[0013]特に、第1の量子状態及び/又は第2の量子状態は、任意の混合量子状態であってもよい。
[0014]本開示の技術は、量子コンピュータ又は量子シミュレータにおける2つの量子状態等、実験的に作成された2つの量子状態の比較にも採用され得る
[0015]ただし、本開示は、これに限定されず、実験的に作成された量子状態と理論的目標状態との比較等、実験的に作成された量子状態と量子状態の理論的/数学的記述との比較にも採用され得る。
[0016]このため、一実施形態によれば、第1の量子状態を与えるステップが第1の量子状態の実験的作成を含むこと、及び/又は、第2の量子状態を与えるステップが第2の量子状態の実験的作成を含むこと、が可能である。
[0017]別の実施形態において、第1の量子状態を与えるステップは、理論的記述に関して第1の量子状態を与えることを含んでいてもよい。第1の量子状態を変換するステップは、第1の複数のユニタリ演算を第1の量子状態の理論的記述に適用することにより、第1の複数の変換量子状態を得ることを含んでいてもよい。さらに、第1の複数の変換量子状態を測定するステップは、第1の一組の量子測定に対応する第1の複数の測定演算子を第1の複数の変換量子状態に適用することを含んでいてもよい。
[0018]同様に、第2の量子状態を与えるステップは、理論的記述に関して第2の量子状態を与えることを含んでいてもよい。第2の量子状態を変換するステップは、第2の複数のユニタリ演算を第2の量子状態の理論的記述に適用することにより、第2の複数の変換量子状態を得ることを含んでいてもよい。さらに、第2の複数の変換量子状態を測定するステップは、第2の一組の量子測定に対応する第2の複数の測定演算子を第2の複数の変換量子状態に適用することを含んでいてもよい。
[0019]本開示の背景においては、用途に応じて、異なる類似性測度が採用され得る。概略的に、類似性測度は、2つの量子状態間の近さ又は距離を表すスカラー量として理解され得る。
[0020]一実施形態によれば、第1の量子状態と第2の量子状態との間の類似性測度又はトレース積は、第1の一組の測定結果及び第2の一組の測定結果の加重和に関して決定されてもよい。
[0021]特に、第1の量子状態と第2の量子状態との間の類似性測度又はトレース積は、第1の一組の測定結果及び第2の一組の測定結果の加重和に関して決定されてもよく、加重和は、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算に対して平均化される。
[0022]本開示の背景において、トレース積は、量子状態ρ及びρに対する形式tr(ρρ)で表され、trが(行列)トレースを示す。
[0023]一実施形態によれば、類似性測度を決定するステップは、第1の一組の測定結果及び第2の一組の測定結果に関して、第1の量子状態及び第2の量子状態のトレース積を決定することを含む。
[0024]一実施形態において、類似性測度は、第1の量子状態の純粋度(purity)及び/又は第2の量子状態の純粋度を含む。
[0025]純粋度は、量子状態ρに対する形式tr(ρ)で表され、trが(行列)トレースを示す。
[0026]一実施形態によれば、類似性測度を決定するステップは、第1の一組の測定結果に関して第1の量子状態の純粋度を決定すること及び/又は第2の一組の測定結果に関して第2の量子状態の純粋度を決定することを含む。
[0027]一実施形態において、類似性測度を決定するステップは、第1の一組の測定結果の加重和に関して、第1の量子状態の純粋度を決定することを含み、加重和は、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算に対して平均化されていてもよい。
[0028]上記に対応して、一実施形態によれば、類似性測度を決定するステップは、第2の一組の測定結果の加重和に関して、第2の量子状態のトレース積を決定することを含み、加重和は、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算に対して平均化されていてもよい。
[0029]一実施形態において、類似性測度は、量子忠実度、特に、混合状態量子忠実度であるか、又は、量子忠実度、特に、混合状態量子忠実度を含む。
[0030]Y.-C.Liang et al.,Rep.Progr.Phys.82(2019)076001に記載の忠実度(fidelity)を含めて、様々な忠実度測度が開発されており、特定の用途に応じて、本開示の背景において採用され得る。
[0031]本開示の背景において、第1のノード及び/又は第2のノードは、第1の量子状態及び第2の量子状態がそれぞれ与えられるとともに、変換及び/又は量子測定が後で実行され得る空間及び/又は時間中の場所を表していてもよい。
[0032]一実施形態において、第2のノードは、第1のノードから空間的に遠隔である。このため、第2のノードは、第1のノードと異なる場所を示していてもよい。したがって、第1及び第2の量子状態は、異なる場所で付与、変換、及び測定されてもよい。
[0033]これにより、2つの異なる量子コンピュータ又は量子シミュレータ等、2つの異なる場所で与えられた量子状態を比較可能となる。
[0034]代替又は追加として、第2のノードは、第1のノードから時間的に遠隔であってもよい。このため、第1の量子状態及び第2の量子状態は、異なる時間に作成、変換、及び/又は測定されてもよい。
[0035]これにより、異なる時間に与えられた2つの量子状態(例えば、1つの同じ量子コンピュータ又は量子シミュレータにおいて順次作成された2つの量子状態)を比較可能となる。
[0036]一実施形態によれば、この方法は、特に第1のノードと第2のノードとの間の従来型通信の形態において、第1の複数のユニタリ演算を特徴付ける情報を第1のノードから第2のノードに提供するステップを含んでいてもよい。
[0037]例えば、ユニタリ演算の選択が第1のノードでなされ、従来型通信によって、第1のノードから第2のノードに伝達されてもよい。このため、本開示に係る技術によれば、第1の量子状態及び第2の量子状態の変換において、同じユニタリ演算又は略同じユニタリ演算が採用され得る。
[0038]或いは、一実施形態においては、第1のノード及び第2のノードから空間的に遠隔及び/又は時間的に遠隔の第3のノードでユニタリ演算の選択がなされてもよい。その後、従来型情報チャネル等を介して、複数のユニタリ演算を特徴付ける情報が第3のノードから第1及び第2のノードに提供されてもよい。
[0039]本開示のいくつかの実施形態において、量子状態ρに対するユニタリ演算は、ユニタリ行列Uを用いた形式UρUすなわちUU=1=UUで表され得る(ここで、UはUの複素共役を示す)。
[0040]本開示の背景において、第1の複数のユニタリ演算に対応する第2の複数のユニタリ演算は、予め定められた精度まで、第1の複数のユニタリ演算に類似する第2の複数のユニタリ演算を示していてもよい。
[0041]例えば、予め定められた何らかの精度まで、第2の複数のユニタリ演算のうちの(ほとんど)いずれもが第1の複数のユニタリ演算のうちの1つに一致していてもよい。
[0042]一例として、上記精度は、ユニタリ演算のノルム距離或いは類似性測度、特に、2つの量子状態のトレース積又は純粋度に関して測定されてもよい。
[0043]一実施形態によれば、第2の複数のユニタリ演算は、第1の複数のユニタリ演算に一致する。
[0044]本開示の背景において、ユニタリ演算によって第1の量子状態を変換するステップは、ユニタリ演算を第1の量子状態に適用することを含んでいてもよい。この変換は、第1の複数のユニタリ演算のうちのユニタリ演算それぞれについて、第1の量子状態のコピーに対して繰り返されてもよい。
[0045]同様に、本開示の背景において、ユニタリ演算によって第2の量子状態を変換するステップは、ユニタリ演算を第2の量子状態に適用することを含んでいてもよい。この変換は、第2の複数のユニタリ演算のうちのユニタリ演算それぞれについて、第2の量子状態のコピーに対して繰り返されてもよい。
[0046]また、一実施形態によれば、この方法は、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算を選択するステップを含んでいてもよい。
[0047]いくつかの実施形態において、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算は、特に第1の量子状態及び第2の量子状態の比較のために選択されてもよい。
[0048]他の実施形態において、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算は、予め決定及び/又は予め作成されたものであってもよく、特に、複数の異なる量子状態対の比較のために採用され得る。
[0049]一実施形態によれば、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算は、第1の量子状態及び第2の量子状態のトレース積が第1の一組の測定結果及び第2の一組の測定結果の加重和に関して決定され得るように選択可能であり、加重和は、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算に対して平均化される。
[0050]一実施形態によれば、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算は、予め定められた精度まで、第1のノード及び/又は第2のノードに対応するヒルベルト空間上の一群のユニタリ演算をサンプリングする複数の量子演算であってもよい。
[0051]一実施形態によれば、第1の複数のユニタリ演算及び第1の一組の量子測定は、第1の量子状態若しくは第2の量子状態のヒルベルト空間上のタイトフレームを一体的に構成するか、又は、第1の量子状態若しくは第2の量子状態のヒルベルト空間上のタイトフレームを近似する。
[0052]一実施形態において、第2の複数のユニタリ演算及び第2の一組の量子測定は、第1の量子状態又は第2の量子状態のヒルベルト空間上の同じタイトフレームを一体的に構成していてもよいし、近似していてもよい。
[0053]本開示の背景においては、異なるタイトフレームが採用され得る。いくつかの実施形態において、タイトフレームは、第1の量子状態及び/若しくは第2の量子状態の予備知識に又は第1の量子状態及び/若しくは第2の量子状態に関して反復的に得られる知識に基づいて、選択されてもよいし、適応的に選択されてもよい。
[0054]他の実施形態において、タイトフレームは、ユニタリ演算のランダムサンプリングにより選択されてもよい。
[0055]一実施形態において、タイトフレームは、第1の量子状態及び/又は第2の量子状態のヒルベルト空間上の一組のパウリ行列を含んでいてもよい。
[0056]一実施形態によれば、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算はそれぞれ、第1のノード及び/又は第2のノードに対応するヒルベルト空間上の一群のユニタリ演算から選択されてもよい。
[0057]特に、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算はそれぞれ、第1のノード及び/又は第2のノードに対応するヒルベルト空間上の一群のユニタリ演算からランダムに選択されてもよい。
[0058]大域ランダムユニタリ演算上での変換の実行は、限られた数のユニタリ演算によって効率的にランダム化され得る。
[0059]或いは、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算はそれぞれ、第1のノード及び/又は第2のノードに対応するテンソル積ヒルベルト空間上の複数の局所ユニタリ演算のテンソル積として選択されてもよい。
[0060]局所ユニタリ演算の積による変換の実行は、少なくともいくつかの用途において、より容易且つ正確に実現可能である点が有利と考えられる。
[0061]特に、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算はそれぞれ、第1のノード及び/又は第2のノードに対応するテンソル積ヒルベルト空間上の複数の局所ユニタリ演算のテンソル積としてランダムに選択されてもよい。
[0062]一実施形態によれば、テンソル積として選択されたユニタリ演算は、完全に因子化されるのではなく、テンソル積ヒルベルト空間の複数のテンソル因子を含む部分空間上の大域ユニタリを表すいくつかのテンソル因子を含んでいてもよい。
[0063]一実施形態によれば、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算はそれぞれ、ランダムに選択され、特に、ユニタリ群上で独立して一様に分布する。
[0064]一実施形態において、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算はそれぞれ、ユニタリ群上のハール測度に従ってランダムに選択されるか、又は、ユニタリ群上のハール測度を近似する。
[0065]別の実施形態によれば、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算はそれぞれ、1より大きな整数tによるユニタリ群上のユニタリt-デザインに従ってランダムに選択されるか、又は、ユニタリ群上のユニタリt-デザインを近似する。
[0066]本開示の背景において、ユニタリt-デザインは、次数t以下の多項式に対するハール測度上の確率分布の特性を再現又は近似するユニタリ演算上の確率分布を示し得る。
[0067]一実施形態において、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算はそれぞれ、ユニタリ群上のユニタリ2-デザインに従ってランダムに選択されるか、又は、ユニタリ群上のユニタリ2-デザインを近似する。
[0068]本開示の背景において、量子測定は、量子入力状態及び古典的出力を伴う量子演算を示し得る。本開示の背景においては、用途に応じて、異なる複数組の量子測定演算が採用され得る。
[0069]本開示の背景において、量子測定は、いくつかの実施形態において、測定基準の調整又は変更等を行う量子演算、特に、ユニタリ演算を含んでいてもよい。
[0070]一実施形態によれば、第1の一組の量子測定及び/又は第2の一組の量子測定は、射影測定及び/又は直交測定である。
[0071]一実施形態によれば、第2の一組の量子測定は、第1の一組の量子測定と一致する。
[0072]他の実施形態において、第2の一組の量子測定は、第1の一組の量子測定と異なっていてもよい。
[0073]概略的に、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算は、任意の整数個のユニタリ演算を含んでいてもよい。ユニタリ演算の数は、第1の量子状態の特性及び/又は第2の量子状態の特性、特に、第1の量子状態の次元及び/又は第2の量子状態の次元に従って選定されてもよい。また、ユニタリ演算の数は、類似性測度の所望の精度又は予め定められた精度に従って選定されてもよい。
[0074]一実施形態において、ユニタリ演算の数は、第1の量子状態及び第2の量子状態それぞれの完全な量子状態トモグラフィに必要なユニタリ演算の数より少なく選定されてもよい。
[0075]一実施形態によれば、各ユニタリ変換量子状態の測定のため、複数の量子測定が採用され得る。
[0076]概略的に、第1の一組の量子測定及び/又は第2の一組の量子測定は、任意の整数個の量子測定を含んでいてもよい。量子測定の数は、第1の量子状態の特性及び/又は第2の量子状態の特性、特に、第1の量子状態の次元及び/又は第2の量子状態の次元に従って選定されてもよい。また、量子測定の数は、類似性測度の所望の精度又は予め定められた精度に従って選定されてもよい。
[0077]一実施形態において、量子測定の数は、第1の量子状態及び第2の量子状態それぞれの完全な量子状態トモグラフィに必要な量子測定の数より少なく選定されてもよい。
[0078]一実施形態において、この方法は、類似性測度の予め定められた精度、第1の量子状態、及び/又は第2の量子状態の次元に従って、第1の複数のユニタリ演算中のユニタリ演算の数及び/若しくは第2の複数のユニタリ演算中のユニタリ演算の数を選択するステップ、並びに/又は、第1の一組の量子測定中の量子測定の数及び/若しくは第2の一組の量子測定中の量子測定の数を選択するステップ、を含む。
[0079]一例として、類似性測度の予め定められた精度は、実数に関して、精度に関する絶対範囲として表され得る。別の例として、類似性測度の予め定められた精度は、目標忠実度の少なくとも70%、目標忠実度の少なくとも80%、特に目標忠実度の少なくとも90%等、目標忠実度の予め定められた割合として表され得る。
[0080]一実施形態によれば、この方法は、特にブートストラッピング及び/又は再サンプリングによって反復的に、第1の一組の量子測定中の量子測定の数及び/若しくは第2の一組の量子測定中の量子測定の数を選択するステップ、並びに/又は、第1の複数のユニタリ演算中のユニタリ演算の数及び/若しくは第2の複数のユニタリ演算中のユニタリ演算の数を選択するステップ、を含む。
[0081]反復的な選択によれば、実現された類似性測度の精度及び/又はさらなる向上が予想される類似性測度の精度に従って、ユニタリ演算の数並びに/又は第1の一組の量子測定及び/若しくは第2の一組の量子測定中の量子測定の数の選択を適応させることが可能となり得る。特に、ユニタリ演算の数、第1の一組の量子測定中の量子測定の数、及び/又は第2の一組の量子測定中の量子測定の数の反復的な更新によって、類似性測度の予め定められた精度が達成されるまで、予想される統計的不確実性の低下を最大化するようにしてもよい。
[0082]第2の態様において、本開示はさらに、コンピュータ上に読み出された場合に、上述の特徴の一部又は全部を有する方法を実行するように構成されたコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品に関する。
[0083]第3の態様において、本開示はさらに、2つの量子状態を比較するシステムであって、第1のノードにおける第1の変換ユニットであり、第1の複数のユニタリ演算によって、第1の量子状態を変換することにより、第1の複数の変換量子状態を得るように構成された、第1の変換ユニットと、第1のノードにおける第1の測定ユニットであり、第1の一組の量子測定によって、第1の複数の変換量子状態それぞれを測定することにより、第1の一組の測定結果を得るように構成された、第1の測定ユニットと、を備えた、システムに関する。
[0084]このシステムは、第2のノードにおける第2の変換ユニットであり、第2の複数のユニタリ演算によって、第2の量子状態を変換することにより、第2の複数の変換量子状態を得るように構成され、第2の複数のユニタリ演算が、第1の複数のユニタリ演算に対応する、第2の変換ユニットと、第2のノードにおける第2の測定ユニットであり、第2の一組の量子測定によって、第2の複数の変換量子状態それぞれを測定することにより、第2の一組の測定結果を得るように構成された、第2の測定ユニットと、をさらに備える。
[0085]このシステムは、第1の一組の測定結果及び第2の一組の測定結果に関して、第1の量子状態と第2の量子状態との間の類似性測度を決定するように構成された決定ユニットをさらに備え、類似性測度が、第1の量子状態及び第2の量子状態のトレース積を含む。
[0086]一実施形態において、決定ユニットは、第1の測定ユニット及び/又は第2の測定ユニットから、第1の一組の測定結果及び/又は第2の一組の測定結果をそれぞれ受信するように構成されていてもよい。
[0087]いくつかの実施形態において、決定ユニットは、第1のノードに配置されていてもよいし、第2のノードに配置されていてもよい。他の実施形態において、決定ユニットは、第1のノード及び/又は第2のノードから空間的及び/又は時間的に遠隔に配置されていてもよい。
[0088]いくつかの実施形態において、第1の変換ユニット及び第1の測定ユニットは、別個のユニットとして設けられていてもよい。他の実施形態において、第1の変換ユニット及び第1の測定ユニットは、一体ユニット又は結合ユニットとして設けられていてもよい。
[0089]同様に、いくつかの実施形態において、第2の変換ユニット及び第2の測定ユニットは、別個のユニットとして設けられていてもよい。他の実施形態において、第1の変換ユニット及び第1の測定ユニットは、一体ユニット又は結合ユニットとして設けられていてもよい。
[0090]いくつかの実施形態において、第1の変換ユニットは、第2の変換ユニットと異なる。他の実施形態において、第1の変換ユニットは、第2の変換ユニットと同一又は一致する。
[0091]同様に、いくつかの実施形態において、第1の測定ユニットは、第2の測定ユニットと異なる。他の実施形態において、第1の測定ユニットは、第2の測定ユニットと同一又は一致する。
[0092]いくつかの実施形態において、第1の変換ユニット、第2の変換ユニット、第1の測定ユニット、第2の測定ユニット、及び/又は決定ユニットは、ハードウェアにて実現されていてもよいが、他の実施形態においては、これらのユニットのいずれか又はすべてがソフトウェアにて実現されていてもよいし、ファームウェアにて実現されていてもよい。さらに別の実施形態において、これらのユニットのいずれか又はすべては、一部がハードウェアにて実現され、一部がソフトウェア/ファームウェアにて実現されていてもよい。
[0093]このシステムは、第1の態様に関して上述したステップの一部又は全部を含む方法を実現するように構成されていてもよい。
[0094]一実施形態によれば、このシステムは、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算を選択するように構成されていてもよい。
[0095]一実施形態によれば、このシステムは、第1のノード及び/又は第2のノードに対応するヒルベルト空間上の一群のユニタリ演算から、第1の複数のユニタリ演算それぞれをランダムに選択するように構成されている。
[0096]一実施形態によれば、このシステムは、第1のノード及び/又は第2のノードに対応するテンソル積ヒルベルト空間上の複数の局所ユニタリ演算のテンソル積として、第1の複数のユニタリ演算それぞれを選択するように構成されており、
特に、第1のノード及び/又は第2のノードに対応するテンソル積ヒルベルト空間上の複数の局所ユニタリ演算のテンソル積として、第1の複数のユニタリ演算それぞれをランダムに選択するように構成されている。
[0097]特に、このシステムは、乱数発生器によって、第1の複数のユニタリ演算それぞれをランダムに選択するように構成されていてもよい。
[0098]いくつかの実施形態において、第1の変換ユニット又は第2の変換ユニットは、第1の複数のユニタリ演算及び/又は第2の複数のユニタリ演算を選択するように構成されていてもよい。
[0099]一実施形態によれば、第1の変換ユニットは、特に乱数発生器又は疑似乱数発生器によって、第1の複数のユニタリ演算をランダムに選択するように構成されている。
[0100]一実施形態によれば、このシステムは、特に従来型通信の形態において、第1の複数のユニタリ演算を特徴付ける情報を第1の変換ユニットから第2の変換ユニットに提供するように構成された通信ユニットをさらに備える。
[0101]いくつかの実施形態において、通信ユニットは、第1の変換ユニットの一部を構成していてもよいが、他の実施形態において、通信ユニットは、別個のユニットであってもよい。
[0102]一実施形態によれば、このシステムは、第1の複数のユニタリ演算を選択するように構成された選択ユニットを備え、この選択ユニットは、第1の変換ユニット及び第2の変換ユニットから空間的に別個又は遠隔であってもよい。
[0103]いくつかの実施形態において、選択ユニットは、乱数発生器又は疑似乱数発生器を備える。
[0104]一実施形態によれば、選択ユニットは、特に従来型通信の形態において、第1の複数のユニタリ演算を特徴付ける情報を第1の変換ユニット及び第2の変換ユニットに提供するように構成された通信ユニットを備える。
[0105]いくつかの実施形態において、選択ユニット及び/又は通信ユニットは、ハードウェアにて実現されていてもよいが、他の実施形態において、選択ユニット及び/又は通信ユニットは、ソフトウェアにて実現されていてもよいし、ファームウェアにて実現されていてもよい。さらに別の実施形態において、選択ユニット及び/又は通信ユニットは、一部がハードウェアにて実現され、一部がソフトウェア/ファームウェアにて実現されていてもよい。
[0106]一実施形態によれば、通信ユニットは、第1の複数のユニタリ演算を特徴付ける情報を格納するように構成されたメモリユニットを備える。
[0107]第1のノード及び第2のノードが時間的に遠隔である一構成において、メモリユニットは、第2の量子状態が変換されるまでの時間で、ユニタリ演算の選択を格納可能とし得る。
[0108]本開示に係る方法及びシステムの特性及び利点については、添付の図面と併せた実施形態の説明によって、最も明らかとなるであろう。
図1は、一実施形態に係る、2つの量子状態を比較するシステムの模式図である。 図2は、一実施形態に係る、局所ユニタリ演算による変換を採用した2つの量子状態を比較するシステムの模式図である。 図3は、一実施形態に係る、2つの量子状態を比較する方法を示したフロー図である。 図4a-4cは、一実施形態に係る、ユニタリ演算の数及びユニタリ演算当たりの測定の数に関して、忠実度測度のスケーリングを示した図である。 図5a-5bは、一実施形態に係る、トラップイオン量子シミュレータにおける実験-理論検証を示した図である。 図6a-6dは、一実施形態に係る、トラップイオン量子シミュレータにおける実験自己検証を示した図である。
詳細な説明
[0109]図1は、一実施形態に係る、D次元ヒルベルト空間H上の2つの量子状態ρ及びρを比較するシステム10の模式図である。2つの量子状態ρ及びρはそれぞれ、形式ρ=|ψ><ψ|の純粋状態であってもよい。或いは、2つの量子状態ρ及びρの一方又は両方が混合状態であってもよく、これは概略的に、古典的確率分布{p},j=1,・・・,N(Nは1より大きな整数))に対する形式ρ=Σ|ψ><ψ|にて表される。
[0110]システム10は、第1のノードにおける第1のプラットフォーム12a及び第2のノードにおける第2のプラットフォーム12bを備え、それぞれ、量子状態の操作及び測定を行う物理的な装置及び機器を表し得る。例えば、第1のプラットフォーム12a及び第2のプラットフォーム12bはそれぞれ、量子コンピュータを表していてもよいし、量子シミュレータを表していてもよい。一例において、量子状態ρ及びρはそれぞれ、結合スピン系を表し、全ヒルベルト空間次元D=d^(N)のN個のキュービットのテンソル積に対応していてもよく、dはキュービット系のヒルベルト空間次元を示す。
[0111]いくつかの例において、第2のプラットフォーム12bは、第1のプラットフォーム12aから空間的に遠隔であり、これは、両プラットフォームが異なる場所に設けられていることを意味する。代替又は追加として、第2のプラットフォーム12bは、第1のプラットフォーム12aから時間的に分離されていてもよい。一例として、第1のプラットフォーム12a及び第2のプラットフォーム12bは、異なる時点における1つの同じ機器を表していてもよい。
[0112]図1に示すシステム10は、2つの量子状態ρ及びρの完全な状態トモグラフィを実行する必要なく、各プラットフォーム12a、12b上の局所量子演算及び局所測定、並びにプラットフォーム12a、12b間の従来型通信のみによって、2つの量子状態ρ及びρを比較するように構成されるのが好都合である。比較の結果は、2つの量子状態ρ及びρ間の距離又は近さの程度を特徴付ける類似性測度であってもよい。
[0113]図1をさらに参照して、第1のプラットフォーム12aは、複数のランダムユニタリ演算によって、第1の量子状態ρを変換することにより、第1の複数の変換量子状態を得るように構成された第1の変換ユニット14aを備える。
[0114]例えば、第1の変換ユニット14aは、ユニタリ行列U(すなわち、UU=1=UU)を用いた形式UρのN個のユニタリ演算の数を選択するように構成されていてもよい。ここで、Uは、Uの複素共役を示し、Nは、ヒルベルト空間の次元及び/又は類似性測度の目標精度に応じて選定され得る予め定められた整数を示す。一例として、第1の変換ユニット14aは、乱数発生器又は疑似乱数発生器を採用することにより、ユニタリ群上のハール測度に従って独立して一様に分布された(i.i.d)N個のユニタリ演算を選択するようにしてもよい。
[0115]ただし、他の例において、N個のユニタリ演算は、第1の変換ユニット14a等によって1つに決まるか、予め定められるか、又は予め選択されている。
[0116]図1からさらに分かる通り、第1のプラットフォーム12aは、第1の変換ユニット14aから第1の複数の変換量子状態を受信するように構成され得るとともに、第1の一組の量子測定によって、第1の複数の変換量子状態を測定することにより、第1の一組の測定結果を得るようにさらに構成され得る第1の測定ユニット16aをさらに備える。
[0117]例えば、第1の測定ユニット16aは、変換量子状態それぞれについて、ヒルベルト空間Hの直交基底におけるN回の射影測定を実行するように構成されていてもよい。ここで、Nは、ヒルベルト空間の次元及び/又は類似性測度の目標精度に応じて選定され得る予め定められた整数を示す。
[0118]第2のプラットフォーム12bは概略的に、第1のプラットフォーム12aに対応していてもよく、第1の量子状態ρに適用されたのと同じ複数のランダムユニタリ演算によって、第2の量子状態ρを変換するように構成された第2の変換ユニット14bを備える。
[0119]図1に示すように、いくつかの実施形態において、第1の変換ユニット14aは、データネットワークリンク等の従来型情報チャネル20を介して、複数のランダムユニタリ演算を特徴付ける情報を第1の変換ユニット14aから第2の変換ユニット14bに提供するように構成され得る通信ユニット18を備える。その後、第2の変換ユニット14bは、従来型情報チャネル20を介して受信した情報に従って、複数のランダムユニタリを第2の量子状態ρに適用するようにしてもよい。
[0120]他の例(図1に示さず)において、複数のランダム又は非ランダムユニタリ演算は、第1のプラットフォーム12a及び第2のプラットフォーム12bから空間的に遠隔の異なるエンティティで選択されてもよく、また、複数のランダムユニタリ演算を特徴付ける情報は、当該エンティティから第1の変換ユニット14a及び第2の変換ユニット14bの両者に提供されてもよい。
[0121]図1からさらに分かる通り、第2のプラットフォーム12bは、第2の一組の量子測定によって、第2の複数の変換量子状態を測定することにより、第2の一組の測定結果を得るように構成され得る第2の測定ユニット16bをさらに備える。いくつかの例において、第2のプラットフォーム12bで第2の測定ユニット16bにより実現される第2の一組の量子測定は、第1のプラットフォーム12aで第1の測定ユニット16aにより実現される第1の一組の量子測定と一致していてもよいが、他の例においては、一組の量子測定が異なっていてもよい。
[0122]図1をさらに参照して、システム10は、第1の測定ユニット16aからの第1の一組の測定結果及び第2の測定ユニット16bからの第2の一組の測定結果を受信するように構成され得るとともに、第1の一組の測定結果及び第2の一組の測定結果に関して、第1の量子状態ρと第2の量子状態ρとの間の類似性測度を決定するようにさらに構成され得る決定ユニット22をさらに備える。
[0123]例えば、決定ユニット22は、第1の一組の測定結果及び第2の一組の測定結果から、第1の量子状態ρ及び第2の量子状態ρのトレース積tr(ρρ)のほか、第1の量子状態ρ及び第2の量子状態ρの純粋度tr(ρρ)及びtr(ρρ)をそれぞれ決定するように構成されていてもよい(ここで、trは行列トレースを示す)。決定ユニット22は、トレース積tr(ρρ)並びに純粋度tr(ρρ)及びtr(ρρ)から類似性測度を決定するように構成されていてもよい。
[0124]一例として、これは、トレース積tr(ρρ)が
Figure 2023505312000002


を満たし、純粋度tr(ρρ)及びtr(ρρ)がi=1,2に関して
Figure 2023505312000003


を満たすように可観測量vの集合Eを識別することによって実現され得る。実用上は、式(1)及び式(2)が少なくとも、何らかの予め定められた精度の範囲で近似的に成立すれば、多くの用途で十分と考えられる。
[0125]式(1)及び(2)は、可観測量の集合Eが可観測量のヒルベルト空間上の正規化タイトフレームを構成する場合に成立し、可観測量の集合Eが可観測量のヒルベルト空間上の正規化タイトフレームを近似する場合に近似的に成立する。本開示の背景においては、異なるタイトフレームが採用され得る。
[0126]例えば、一組のパウリ行列がタイトフレームとして選択されてもよい。2キュービット以上の場合は、パウリ行列のテンソル積を採用するようにしてもよい。
[0127]別の例として、Andreas Elben et al.,“Statistical correlations between locally randomized measurements:A toolbox for probing entanglement in many-body quantum states”,Phys.Rev.A99(2019)052323に示される通り、ユニタリ演算Uは、ハール測度又はユニタリ2-デザイン若しくは量子2-デザインに従ってユニタリ群上でランダムに選択され、第1の測定ユニット16a及び第2の測定ユニット16bにおける測定はいずれも、ヒルベルト空間Hの直交基底|s><s|における射影測定であるものと仮定する。
Figure 2023505312000004


ここで、i、j=1,2に関して
Figure 2023505312000005


であり、
―――――は、ランダムユニタリUに対するアンサンブル平均を示す。Dは、全ヒルベルト空間の次元を示し、D[s,s’]は、s=s’の場合にD[s,s’]=0、s≠s’の場合にD[s,s’]=1と定義されるハミング距離を示す。
[0128]i=1,2に対する純粋度tr(ρρ)は、i=jとすることで式(3)及び(4)から導かれ、tr(ρρ)については第1の測定ユニット16a、tr(ρρ)については第2の測定ユニット16bによりそれぞれ提供される個々の測定結果から局所的に得られる。
[0129]決定ユニット22は、トレース積tr(ρρ)並びに純粋度tr(ρρ)及びtr(ρρ)を用いて、2つの量子状態ρ及びρの最大忠実度を決定するようにしてもよいし、
Figure 2023505312000006


2つの量子状態ρ及びρの幾何平均忠実度を決定するようにしてもよく、
Figure 2023505312000007


いずれも、量子状態ρ及びρの近さを特徴付ける有意な類似性測度として機能し得る。最大忠実度及び幾何平均忠実度の特性のほか、量子状態ρ及びρの比較測度としての適性については、Y.-C.Liang et al.,Rep.Progr.Phys.82(2019)076001によってさらに詳しく論じられている。
[0130]対称的な正規化により、幾何平均忠実度は、特定種類の非干渉性に対して特に堅牢である。
[0131]最大忠実度及び幾何平均忠実度は単に、本開示の背景において採用され得る有意な類似性測度の2つの例を提供するに過ぎず、本開示はこれに限定されないことを強調する。好適な忠実度の別の例がY.-C.Liang et al.,Rep.Progr.Phys.82(2019)076001により示されている。
[0132]図1並びに式(3)及び(4)を参照して上述した構成において、ランダムユニタリ演算は、ヒルベルト空間Hから一様にサンプリングされる。ただし、多くの実用的なシナリオにおいて、ヒルベルト空間Hは、より小さな次元のヒルベルト空間のテンソル積として表されるため、いくつかのシナリオにおいては、局所ユニタリ演算の対応するテンソル積に対して変換を制限するのが好都合と考えられる。いくつかの状況において、局所ランダムユニタリは、大域ユニタリよりも実験での実装が容易であり得る。
[0133]局所ユニタリのテンソル積を変換に採用して2つの量子状態を比較するシステム10’を図2に模式的に示すが、対応する構成要素については、図1と同じ参照記号により示している。
[0134]図2の背景においては、それぞれがd次元のN個の部分系のテンソル積として表される量子系を仮定すると、第1の変換ユニット14a及び第2の変換ユニット14bにおいて、局所ランダムユニタリUの積として定義される形式
Figure 2023505312000008


の同じランダムユニタリUを量子状態ρ及びρの両者に適用可能である。ここで、局所ランダムユニタリUは、局所ヒルベルト空間上で定義されたユニタリ2-デザインから独立して一様に分布するようにサンプリング可能である。
[0135]図1の構成とは逆に、図2の構成において、ランダムユニタリは、第1の変換ユニット14aにより選択されるのではなく、疑似乱数発生器(図示せず)を備え得る外部選択ユニット24によって選択される。選択ユニット24は、ネットワークリンク等の従来型通信リンク26a、26bをそれぞれ介して、ランダムユニタリを特徴付ける情報を第1の変換ユニット14a及び第2の変換ユニット14bに提供するようにしてもよい。
[0136]その後、変換量子状態が第1の測定ユニット16a及び第2の測定ユニット16bそれぞれに提供されるが、ここでは、積ベースの射影測定|s>=|s・・・,sNA>が実行されてもよい。ここで、sは、図1を参照して上述したのと同様に、個々の量子系k=1,・・・,Nに対して考え得る測定結果列を示しており、固定のユニタリ演算Uに対してこれらの測定を繰り返すことで確率の推定値P (i)(s)=tr(Uρ|s><s|)が得られる。後続ステップでは、多くの異なるテンソル積ランダムユニタリUに対して、この手順が繰り返される。
[0137]ここでも、Andreas Elben et al.,“Statistical correlations between locally randomized measurements: A toolbox for probing entanglement in many-body quantum states”,Phys.Rev.A99(2019)052323に示される通り、この場合の量子状態ρ及びρのトレース積は、以下の形式
Figure 2023505312000009


を有する。
ここで、―――――は、式(7)の形式の局所ランダムユニタリUのテンソル積に対するアンサンブル平均を示し、dは、局所ヒルベルト空間の次元を示す。D[s,s’]は、s≠s’となるスピンの数として定義されるハミング距離を示す。すなわち、D[s,s’]=#{k|s≠s’}である。
[0138]この場合も、i=1,2に対する純粋度tr(ρρ)は、i=jとすることで式(8)から導かれ、tr(ρρ)については第1の測定ユニット16a、tr(ρρ)については第2の測定ユニット16bによりそれぞれ提供される個々の測定結果から局所的に得られる。
[0139]決定ユニット22は、トレース積tr(ρρ)並びに純粋度tr(ρρ)及びtr(ρρ)を用いて、式(5)に係る最大忠実度又は式(6)に係る幾何平均忠実度等、第1の量子状態ρと第2の量子状態ρとの間の類似性測度を決定するようにしてもよい。
[0140]図3は、一実施形態に係る、2つの量子状態を比較する方法を示したフロー図である。
[0141]ステップS10においては、第1のプラットフォーム12a等の第1のノードで第1の量子状態を与える。
[0142]ステップS12においては、第1の複数のユニタリ演算によって、第1の量子状態を変換することにより、第1の複数の変換量子状態を得る。
[0143]ステップS14においては、第1の一組の量子測定によって、第1の複数の変換量子状態を測定することにより、第1の一組の測定結果を得る。
[0144]第1のノードから空間的又は時間的に分離され得る第2のプラットフォーム12b等の第2のノードにおいても、同様の動作を実行する。
[0145]ステップS20においては、第2のノードで第2の量子状態を与える。
[0146]ステップS22においては、第1のノードで採用された第2の複数のユニタリ演算によって、第2の量子状態を変換することにより、第2の複数の変換量子状態を得る。ここで、第2の複数のユニタリ演算は、第1の複数のユニタリ演算に対応する。特に、第2の複数のユニタリ演算は、第1の複数のユニタリ演算と同一であってもよい。
[0147]ステップS24においては、第2の一組の量子測定によって、第2の複数の変換量子状態を測定することにより、第2の一組の測定結果を得る。
[0148]最後に、ステップS30においては、第2の一組の測定結果における第1の一組の測定結果に関して、第1の量子状態と第2の量子状態との間の類似性測度を決定する。ここで、類似性測度は、第1の量子状態及び第2の量子状態のトレース積を含む。
[0149]図1~図3を参照して上述したプロトコルによれば、2つの量子状態ρ及びρの類似性又は忠実度を決定可能であり、注目すべき点としては、2つのプラットフォーム12a、12b間でのランダムユニタリ及び測定結果の従来型通信さえあればよい。実験は場合により、時間及び/又は空間の非常に異なる時点において行われる。これらのプロトコルでは、量子状態に関する予備知識を必要も仮定もしない。これらの状態としては、純粋状態又は混合状態が可能であり、部分系を参照するため、様々な系サイズに対する部分系忠実度の比較が可能となる。
[0150]これらのプロトコルの使用によって、実験-理論比較の形態での既知の理論的目標状態に対する量子状態の比較も可能であるし、実験により得られた2つの異なる量子状態の比較も可能である。
実験の実行回数のスケーリング
[0151]実際のところは、ユニタリ演算ごとに実行される有限回の射影測定N並びにトレース積及び純粋度の推測に用いられる有限回のユニタリ演算Nによって、最大忠実度又は幾何平均忠実度等の推定類似性測度の統計誤差が生じ得る。したがって、N個のキュービットを含む系の場合は、この統計誤差を予め定められた閾値ε未満に抑えるのに必要な総実験回数N(測定予算)のスケーリングが実験的に重要となる。また、所与の測定予算Nに対する最適なリソース配分も問題となる。
[0152]図4は、N及びNの関数としての平均統計誤差の計算結果を示している。単純化のため、2つの量子状態ρ及びρの目標忠実度Fmax(ρ,ρ)が既知であるものと仮定し、推定忠実度[Fmax(ρ,ρ)]の統計誤差|[Fmax(ρ,ρ)]-Fmax(ρ,ρ)|のスケーリングを解析する。実験的に重要な系サイズに着目し、N個の局所ランダムユニタリを2つの量子状態ρ及びρに適用して実験を模擬するとともに、各状態から独立してN個の射影測定をサンプリングする。その後、式(8)及び(5)を用いて最大忠実度Fmax(ρ,ρ)の推定値[Fmax(ρ,ρ)]を推測し、これらの数値実験の多くから、平均統計誤差(例えば、形式|[Fmax(ρ,ρ)]-Fmax(ρ,ρ)|)を決定する。図4に提示の結果については、2つのプラットフォーム12a、12b上の量子状態ρ及びρが同一である場合すなわち厳密な忠実度Fmax(ρ,ρ)=Fmax(ρ,ρ)=1の場合に焦点を合わせる。
[0153]図4a及び図4bにおいては、N=8キュービット(d=2)の系のN及び大きく異なる2種類の状態の様々なNの関数として、平均統計誤差|[Fmax(ρ,ρ)]-1|を示している。図4aは、純粋な積の状態の結果を示しており、図4bは、純粋な(もつれた)ハールランダム状態の結果を示している。解析の結果、N<D且つN>>1の領域では、スケーリングが以下の通りである。
Figure 2023505312000010

[0154]したがって、単位目標忠実度の場合、総測定予算Nの最適な配分は、Nを小さく固定し、Nを最適化することである。
[0155]図4cは、予め定められた平均統計誤差|[Fmax(ρ,ρ)]-1|≦ε=0.05までの最大忠実度Fmax(ρ,ρ)の決定に必要なユニタリ当たりの射影測定の最小数Nのスケーリングを示している。この場合のスケーリングは、
Figure 2023505312000011


であって、純粋な積の状態ではb=0.8±0.1、純粋な(もつれた)ハールランダム状態ではb=0.6±0.1であり、テストしたε=0.02,・・・,0.2に対して持続する。N+3キュービットのランダム状態から3キュービットを追跡して得られる混合ランダム状態に対しても、より大きな前因子を用いた同様のスケーリングが可能である。スケーリングは、指数関数的であるにも関わらず、通常は指数がb>2である完全な量子状態トモグラフィの場合よりも著しく穏やかである。
[0156]概略的に、所与の測定予算Nに対するN対Nの最適な配分は、量子状態、特に、それぞれの忠実度及び所望の統計誤差εによって決まり得る。
再サンプリング技術
[0157]新たに取得したデータから測定リソースN対Nの配分が段階的に推測される反復手順が適用されてもよい。このため、再サンプリング技術を用いることにより、N又はNを増加させた場合に予想される推定忠実度の標準誤差の低下が計算されてもよい。
[0158]例えば、標準誤差を推定するため、ランダムユニタリ全体でブートストラップ再サンプリングが採用されてもよい。通常は、それぞれのサイズがNの250~500個のブートストラップ再サンプルを置換して描くことができる。各再サンプルのユニタリに対応する射影測定のデータ(ユニタリ当たりN個の射影測定)を取得するとともに、再サンプルごとに忠実度を推定する。こうして、新しく推定された一組の忠実度の平均の標準誤差のみによって、標準誤差のブートストラップ推定値が与えられる。
[0159]ブートストラッピングによる標準誤差推定は、既に得られたデータに基づいて、実験におけるユニタリ当たりのランダムユニタリN及び射影測定Nへの総測定予算Nの配分を反復的に選定するアルゴリズムの基本的な要素を構成していてもよい。まず、N=50=N等、少数のユニタリ及びユニタリ当たり測定によって忠実度推定を実験的に実行し、ブートストラッピングを用いてその標準誤差を推測するようにしてもよい。次に、一例として、n=10個のユニタリ又はn=10個のユニタリ当たり測定の実験データが削除され、削減された両データセットから、忠実度をさらに2回推定するようにしてもよい。削減されたデータセットに対するブートストラッピングにより得られた2つの新たな推定値の標準誤差を元の推定値の標準パワーと比較するようにしてもよい。標準誤差が最も大きくなる方向から、N又はNがそれぞれ大きくなる場合に、最大の低下が予想され得る。その後、前回と同じユニタリの一方でNを増やす場合又はユニタリNを増やす一方でユニタリ当たり測定回数Nを一定に保つ場合について、さらに実験を行うようにしてもよい。この手順は、推定忠実度の標準誤差が予め定められた目標値を下回るまで反復的に繰り返されてもよい。
トラップイオンによる忠実度推定
[0160]図5及び図6を参照して、トラップイオン量子シミュレータにおいてクエンチダイナミクスにより作成された高もつれ量子状態の実験-理論忠実度及び実験-実験忠実度の決定を表現する。これらの実験に使用した生データは、T.Brydges et al.,Science 364(2019)260に由来する。
[0161]XYハミルトニアンによる量子クエンチ後のもつれ発生
Figure 2023505312000012


を実験的にモニタリングした。ここで、
σ は、第3スピン-1/2パウリ演算子を示し、σ は、スピン上昇演算子を示し、σ は、スピンiに作用するスピン下降演算子を示し、Jij≒J/|i-j|αは、近似的なべき乗則の減衰を伴う結合行列である(α=1.24及びJ=420/s)。N=10イオンの初期ニール状態ρ(0)≒|ψ><ψ|、ただし|ψ>=|0,1,0,・・・,1>は、HXY下で時間進行により状態ρ(t)となった。その後、変換測定を実行し、結果確率PU,E(s)の統計的自己相関から、ρ(t)(及び、任意のサブシステンスの密度行列)の純粋度及び2次レニーエントロピーを推測した。合計でN=500個のランダムユニタリを使用し、ランダムユニタリ当たりN=150回の射影測定を実行した。
[0162]実験を数値的に模擬して対応する理論状態ρ(t)を得るため、厳密な対角化によってユニタリダイナミクスを模擬するようにしてもよいし、マスター方程式を厳密に解いてデコヒーレンス効果を含むようにしてもよい。その後、実験で採用したN=500個のランダムユニタリをρ(t)に適用し、ランダムユニタリごとに、占有確率PU,T(s)を厳密に計算した。
[0163]図5a及び図5bは、量子クエンチ後の様々な時間にわたり、連結パーティションの縮退状態の実験-理論最大忠実度Fmax(ρ,ρ)を系サイズNの関数として示している。図5aは、ユニタリダイナミクスの模擬により計算された理論状態の結果を示している。一方、図5bは、状態作成(不完全な初期状態の作成、スピンフリップ、及び脱位相ノイズ)並びに測定プロセス(ランダム測定時の脱分極ノイズ)に固有のデコヒーレンス効果をさらに含む。いずれの場合も、単一キュービットの忠実度が時間的に一定で、1に近いことが分かる。部分系のサイズ及び時間の増大とともに、推定忠実度は低くなる傾向にある。驚くべきことに、系が複雑な多体系ダイナミクスを経て高もつれ状態となった場合は、遅い時間T=5msにおいても、理論-実験忠実度が0.6以上(図5a)及び0.7以上(図5b)であることが分かる。
[0164]以下、同じ実験において順次作成された量子状態の実験-実験忠実度について、図6を参照しつつ説明する。この解析では、実験データを(本明細書において、実験E1及び実験E2と称する)2つの部分に分けたが、それぞれ、同じN=500個のランダムユニタリ及びN=75個のランダムユニタリ当たり射影測定に対する測定結果から成る。式(8)に従ってトレース積及び純粋度を計算するとともに,これらの結果から、式(5)に従って最大忠実度を決定した。図6a及び図6bにおいては、それぞれt=0ms及びt=1msにおける部分系サイズの関数として、実験-実験及び理論-実験の比較を表示している。理論-実験忠実度と比較して、実験-実験忠実度は、t=0ms及びt=1msの両者で高くなっている。結論として、従来型コンピュータ上のものと比較して系統的な不一致はあるものの、実験においては、ランダムユニタリが再現性よく作成されている。
[0165]最後に、図6c及び図6dは、様々な時間で進行した2つの量子状態の実験-実験最大忠実度を示している。図6cは、HXYにより完全に支配された「クリーン」な系の結果を示しており、図6dは、付加的な乱れH’=HXY+Σδσ をその場で追加した場合の結果を示している。δは、区間[-3J,3J]からランダムに取り出したものである。クリーンな系では、部分系のサイズ及び時間差の関数として忠実度が急速に減衰し、相互作用する多体系における複雑でエルゴード的なダイナミクスに類似することが分かる。一方、乱れ系では、忠実度が初期に短時間減衰した後、略一定に保たれ、大きな部分系でも有限の正の値を維持する。
[0166]上述のプロトコルによれば、直接的な忠実度測定によって、量子状態又は量子素子のプラットフォーム間検証が可能となり、従来型通信さえあれば、完全な量子状態トモグラフィよりも測定回数を大幅に減らせる。これらの結果は、数十個のキュービットから成る部分系に対して、繰り返し率が高い先行技術の量子シミュレータ及びコンピュータに適用可能である。大規模な量子系では、これらのプロトコルによって、許容範囲の統計誤差及び測定予算で決まる所与のサイズまでの考え得るすべての部分系の忠実度を利用可能であるため、大規模な量子系の精密な比較が可能になる。適応サンプリング技術によれば、特に、関心量子状態に関する何らかの知識が考慮される場合、測定コストが削減され得る。
[0167]好適な実施形態及び図面の説明は単に、本開示に係る技術及びそれと関連付けられた利点を説明するためのものであり、如何なる限定をも暗示しないことが了解されるものとする。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲により決定されるものとする。
符号
10、10’ 2つの量子状態を比較するシステム
12a、12b システム10の第1及び第2のプラットフォーム
14a、14b 第1及び第2のプラットフォーム12a、12bの第1及び第2の変換ユニット
16a、16b 第1及び第2のプラットフォーム12a、12bの第1及び第2の測定ユニット
18 通信ユニット
20 従来型情報チャネル
22 決定ユニット
24 選択ユニット
26a、26b 従来型通信リンク

Claims (20)

  1. 2つの量子状態を比較する方法であって、
    第1のノード(12a)で第1の量子状態を与えるステップと、
    第1の複数のユニタリ演算によって、前記第1の量子状態を変換することにより、第1の複数の変換量子状態を得るステップと、
    第1の一組の量子測定によって、前記第1の複数の変換量子状態を測定することにより、第1の一組の測定結果を得るステップと、
    第2のノード(12b)で第2の量子状態を与えるステップと、
    第2の複数のユニタリ演算によって、前記第2の量子状態を変換することにより、第2の複数の変換量子状態を得るステップであり、前記第2の複数のユニタリ演算が、前記第1の複数のユニタリ演算に対応する、ステップと、
    第2の一組の量子測定によって、前記第2の複数の変換量子状態を測定することにより、第2の一組の測定結果を得るステップと、
    前記第1の一組の測定結果及び前記第2の一組の測定結果に関して、前記第1の量子状態と前記第2の量子状態との間の類似性測度を決定するステップと、
    を含み、
    前記類似性測度が、前記第1の量子状態及び前記第2の量子状態のトレース積を含む、方法。
  2. 前記第1の量子状態及び/又は前記第2の量子状態が、混合量子状態である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記類似性測度が、前記第1の量子状態の純粋度及び/又は前記第2の量子状態の純粋度を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記類似性測度が、量子忠実度、特に、混合状態量子忠実度であるか、又は、量子忠実度、特に、混合状態量子忠実度を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第2のノード(12b)が、前記第1のノード(12a)から空間的に遠隔及び/又は時間的に遠隔である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 特に前記第1のノード(12a)と前記第2のノード(12b)との間の従来型通信の形態において、前記第1の複数のユニタリ演算を特徴付ける情報を前記第1のノード(12a)から前記第2のノード(12b)に提供するステップを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記第1の複数のユニタリ演算及び前記第1の一組の量子測定が、前記第1の量子状態若しくは前記第2の量子状態のヒルベルト空間上のタイトフレームを構成するか、又は、前記第1の量子状態若しくは前記第2の量子状態のヒルベルト空間上のタイトフレームを近似する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記第1の複数のユニタリ演算のうちのユニタリ演算それぞれが、前記第1のノード(12a)及び/又は前記第2のノード(12b)に対応するヒルベルト空間上の一群のユニタリ演算からランダムに選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記第1の複数のユニタリ演算のうちのユニタリ演算それぞれが、前記第1のノード(12a)及び/又は前記第2のノード(12b)に対応するテンソル積ヒルベルト空間上の複数の局所ユニタリ演算のテンソル積として選択され、特に、前記第1の複数のユニタリ演算のうちのユニタリ演算それぞれが、前記第1のノード(12a)及び/又は前記第2のノード(12b)に対応するテンソル積ヒルベルト空間上の複数の局所ユニタリ演算のテンソル積としてランダムに選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記第1の複数のユニタリ演算のうちのユニタリ演算それぞれが、特に1より大きな整数tによるユニタリ群上のユニタリt-デザイン又はユニタリ群上のハール測度に従って、ランダムに独立して選択されるとともに一様に分布した、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記第1の一組の量子測定及び/又は前記第2の一組の量子測定が、射影測定及び/又は直交測定である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記第2の一組の量子測定が、前記第1の一組の量子測定と一致する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記類似性測度の予め定められた精度、前記第1の量子状態の次元、及び/又は前記第2の量子状態の次元に従って、前記第1の複数のユニタリ演算中の前記ユニタリ演算の数及び/若しくは前記第2の複数のユニタリ演算中の前記ユニタリ演算の数を選択するステップ、並びに/又は、前記第1の一組の量子測定中の前記量子測定の数及び/若しくは前記第2の一組の量子測定中の前記量子測定の数を選択するステップ、をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 特にブートストラッピング及び/又は再サンプリングによって反復的に、前記第1の一組の量子測定中の前記量子測定の数及び/若しくは前記第2の一組の量子測定中の前記量子測定の数を選択するステップ、並びに/又は、前記第1の複数のユニタリ演算中の前記ユニタリ演算の数及び/若しくは前記第2の複数のユニタリ演算中の前記ユニタリ演算の数を選択するステップ、をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. コンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータ可読命令が、コンピュータ上に読み出された場合に、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された、コンピュータプログラム。
  16. 2つの量子状態を比較するシステム(10、10’)であって、
    第1のノード(12a)における第1の変換ユニット(14a)であり、第1の複数のユニタリ演算によって、第1の量子状態を変換することにより、第1の複数の変換量子状態を得るように構成された、第1の変換ユニット(14a)と、
    前記第1のノード(12a)における第1の測定ユニット(16a)であり、第1の一組の量子測定によって、前記第1の複数の変換量子状態を測定することにより、第1の一組の測定結果を得るように構成された、第1の測定ユニット(16a)と、
    第2のノード(12b)における第2の変換ユニット(14b)であり、第2の複数のユニタリ演算によって、第2の量子状態を変換することにより、第2の複数の変換量子状態を得るように構成され、前記第2の複数のユニタリ演算が、前記第1の複数のユニタリ演算に対応する、第2の変換ユニット(14b)と、
    前記第2のノード(12b)における第2の測定ユニット(16b)であり、第2の一組の量子測定によって、前記第2の複数の変換量子状態を測定することにより、第2の一組の測定結果を得るように構成された、第2の測定ユニット(16b)と、
    前記第1の一組の測定結果及び前記第2の一組の測定結果に関して、前記第1の量子状態と前記第2の量子状態との間の類似性測度を決定するように構成された決定ユニット(22)と、
    を備え、
    前記類似性測度が、前記第1の量子状態及び前記第2の量子状態のトレース積を含む、システム(10、10’)。
  17. 前記第1のノード(12a)及び/又は前記第2のノード(12b)に対応するヒルベルト空間上の一群のユニタリ演算から、前記第1の複数のユニタリ演算のうちのユニタリ演算それぞれをランダムに選択するように構成された、請求項12に記載のシステム(10、10’)。
  18. 前記第1のノード(12a)及び/又は前記第2のノード(12b)に対応するテンソル積ヒルベルト空間上の複数の局所ユニタリ演算のテンソル積として、前記第1の複数のユニタリ演算のうちのユニタリ演算それぞれをランダムに選択するように構成され、
    特に、前記第1のノード(12a)及び/又は前記第2のノード(12b)に対応するテンソル積ヒルベルト空間上の複数の局所ユニタリ演算のテンソル積として、前記第1の複数のユニタリ演算のうちのユニタリ演算それぞれをランダムに選択するように構成された、請求項16又は17に記載のシステム(10、10’)。
  19. 特に従来型通信の形態において、前記第1の複数のユニタリ演算を特徴付ける情報を前記第1の変換ユニット(14a)から前記第2の変換ユニット(14b)に提供するように構成された通信ユニット(18)をさらに備えた、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム(10、10’)。
  20. 前記通信ユニット(18)が、前記第1の複数のユニタリ演算を特徴付ける前記情報を格納するように構成されたメモリユニットを備えた、請求項19に記載のシステム(10、10’)。
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