JP2023181739A - Cadasil患者を処置するための医薬組成物および方法 - Google Patents

Cadasil患者を処置するための医薬組成物および方法 Download PDF

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Toshiki Mizuno
知行 尾原
Tomoyuki Ohara
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明子 渡邉
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Abstract

【課題】皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者の脳虚血イベントの抑制のため、CADASIL患者を処置するための医薬組成物および方法を提供する。【解決手段】本開示は、CADASIL患者を処置するための、ロメリジン塩酸塩を含む医薬組成物であって、症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者に投与され、症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者には投与されない医薬組成物を含む。本開示はまた、CADASIL患者を処置する方法であって、症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者を選択すること、および選択した患者にロメリジン塩酸塩を投与することを含み、症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者にロメリジン塩酸塩を投与することを含まない方法を含む。【選択図】なし

Description

本開示は、皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(Cerebral Autosomal Dominant Arteriopathy with Subcortical Infarct and Leukoencephalopathy:CADASIL)の患者の処置に関する。
CADASILは、NOTCH3遺伝子変異を原因とする常染色体優性遺伝疾患であり、片頭痛が先行し、若年から脳梗塞を繰り返し、うつや認知機能障害に至る難治性疾患である。脳梗塞の再発抑制がCADASILの治療上最も重要なポイントとなるが、一般的な脳梗塞に対する標準治療では治療が困難であることが明らかになっている。CADASILに対する特定の治療法がいまだないことから、日本における脳卒中ガイドラインではCADASILに対しても再発予防を目的とした一般的な標準療法である抗血小板療法が勧められているが、効果についてはエビデンスがない。
ロメリジン塩酸塩は、日本で開発された脳血管選択的な血管収縮抑制作用を持つカルシウム拮抗剤であり、1999年に片頭痛を適応として承認された。ロメリジン塩酸塩のCADASIL患者への有効性について、2年間にわたる30例での観察研究を単施設で行い、症候性脳虚血イベントを経験した患者においてロメリジン塩酸塩を内服した2年間の症候性脳虚血イベント発症率が内服前の2年間と比較して有意に減少していることを認めた。特に、内服前2年間に症候性脳虚血イベントを発症した10名のサブグループ解析を行うと、内服後2年間の再発頻度は83%減少していた。しかしながら、CADASIL患者の脳虚血イベントの発症時期は初発年齢20歳代から70歳以上までと幅広く、ロメリジン塩酸塩をいつから、どのような状況に対して投与することが最もCADASIL患者の脳虚血イベントの抑制に有効であるはいまだ明らかとなっていない。
Akiko Watanabe-Hosomi et al., Clin Neuropharmacol. Sep/Oct 2020; 43(5): 146-150
本開示は、CADASIL患者の脳虚血イベントの抑制のため、CADASIL患者を処置するための医薬組成物および方法を提供することを目的とする。
一態様において、本開示は、皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者を処置するための、ロメリジン塩酸塩を含む医薬組成物であって、
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者に投与され、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者には投与されない医薬組成物に関する。
一態様において、本開示は、皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者を処置する方法であって、
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者を選択すること、および
選択した患者にロメリジン塩酸塩を投与すること、
を含み、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者にロメリジン塩酸塩を投与することを含まない方法に関する。
本開示により、CADASIL患者を適切な時期にロメリジン塩酸塩で処置し、脳虚血イベントを抑制することが可能となる。
図1は、CADASIL患者のロメリジン塩酸塩投与期間とその前後の症候性脳虚血イベント発症の経過を示すグラフである。 図2は、解析1および解析2の症候性脳虚血イベント発症率の解析結果を示す。
特に具体的な定めのない限り、本明細書で使用される用語は、有機化学、医学、薬学、分子生物学、微生物学等の分野における当業者に一般に理解されるとおりの意味を有する。以下にいくつかの本明細書で使用される用語についての定義を記載するが、これらの定義は、本明細書において、一般的な理解に優先する。
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(Cerebral Autosomal Dominant Arteriopathy with Subcortical Infarct and Leukoencephalopathy:CADASIL)は、NOTCH3遺伝子変異を原因とする常染色体優性遺伝疾患であり、片頭痛が先行し、若年から脳梗塞を繰り返し、うつや認知機能障害に至る難治性疾患である。CADASILは、臨床症状と遺伝子診断および/または病理診断により診断される。CADASILは、厚生労働省作成の診断基準「124 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症」にしたがい診断することができる。
本開示において、脳虚血イベントとは、脳において虚血をもたらす事象を意味し、脳梗塞および一過性脳虚血発作(TIA)が含まれる。脳梗塞には、症候性脳梗塞と無症候性脳梗塞とが含まれる。症候性脳梗塞は、新たな神経症状が出現し、頭部磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging、MRI)検査における拡散強調画像(diffusion weighted image, DWI)にてその原因として説明可能な急性期虚血病巣を認めるものと定義される。TIAは、脳虚血による一時的な神経症状を認めるが急性期虚血病巣を伴わないものと定義される。無症候性脳梗塞は、画像上虚血病巣を認めるが、その病巣に該当する神経症状および自覚症状がないものと定義される。前記の神経症状としては、半身の麻痺または感覚障害、構音障害、失語症、意識障害、視覚障害、めまい、運動障害などが挙げられる。本開示において、症候性脳虚血イベントとは、神経症状を伴う脳虚血イベントを意味し、症候性脳梗塞とTIAとを含む意味で用いられる。当業者は、当業界で通常用いられる診断基準に基づき常套的方法により症候性脳虚血イベントの発症を確認することができる。
ロメリジン塩酸塩(化学名:1-[bis(4-fluorophenyl)methyl]-4-(2,3,4-trimethoxybenzyl)piperazine dihydrochloride)は、片頭痛治療薬として用いられているカルシウム拮抗剤である。ロメリジン塩酸塩は、ミグシス(登録商標)錠としてファイザー株式会社から販売されている。また、ロメリジン塩酸塩は公知の方法により製造することができる。
実施例に示されるCADASIL患者の症例解析において、ロメリジン塩酸塩を内服していない期間のいずれかの2年間に経験した症候性脳虚血イベントが1回で、ロメリジン塩酸塩を内服せずに2年間経過を追うことのできた患者では、当該イベント後2年間再発を認めなかった。一方、ロメリジン塩酸塩内服開始までの2年間に2回以上の症候性脳虚血イベントを経験した患者では、ロメリジン塩酸塩の投与により症候性脳虚血イベントの発症率の低下が確認できた。ロメリジン塩酸塩は血管収縮抑制作用を有し、副作用として血圧の低下や脳内血管からの出血が懸念されるため、適切な時期に投与することが重要である。実施例の結果から、投与前の2年間に経験した症候性脳虚血イベントが1回以下の患者にはロメリジン塩酸塩の投与を控えるべきことが明らかとなった。よって、本開示において、ロメリジン塩酸塩は、2年間に2回以上の症候性脳虚血イベントを経験した患者に投与され、症候性脳虚血イベントを経験していない患者、および2年間に経験した症候性脳虚血イベントが1回以下の患者には投与されない。
具体的には、患者が症候性脳虚血イベントを発症した場合、その症候性脳虚血イベントが当該イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントであれば、その患者を選択し、ロメリジン塩酸塩の投与を開始する。一方、患者が症候性脳虚血イベントを経験していないか、患者が症候性脳虚血イベントを発症したが、その症候性脳虚血イベントが当該イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントであれば、ロメリジン塩酸塩の投与は行わない。患者は、症候性脳虚血イベントの発症後の検査によりCADASILと診断されることもありうる。それゆえ、本開示における「症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者」には、症候性脳虚血イベント発症後にCADASILと診断された患者も包含される。一実施形態において、CADASIL患者は、20歳~70歳、30歳~70歳、40歳~70歳または50歳~70歳である。
ロメリジン塩酸塩は、前記2回目以降の症候性脳虚血イベント後に投与が開始される。一実施形態において、ロメリジン塩酸塩またはこれを含む医薬組成物は、前記2回目以降の症候性脳虚血イベントから6か月以内に投与が開始される。投与期間は、1日または数日(例えば2、3、4、5または6日)、1週間または数週間(例えば2、3、4、5または6週間)、1ヶ月または数ヶ月(例えば2、3、4、5または6ヶ月)、1年または数年(例えば2、3、4、5または6年)、またはそれ以上でありうるが、これらに限定されない。一実施形態において、投与は、症候性脳虚血イベントの再発まで継続される。投与は、連日であっても、数日(例えば2、3、4、5または6日)に1回、または1週間または数週間(例えば2、3、4、5または6週間)に1回であってもよい。一実施形態において、ロメリジン塩酸塩またはこれを含む医薬組成物は、連日投与される。
ロメリジン塩酸塩の投与量は、対象の年齢、体重、臨床症状等の因子に応じて当業者が適宜設定することができる。一実施形態において、ロメリジン塩酸塩またはこれを含む医薬組成物は、ロメリジン塩酸塩として、1~50mg/日、2.5~40mg/日、5~30mg/日、5~20mg/日、10~20mg/日、または10mg/日で投与される。1日あたりの投与量は、1回で投与しても複数回(例えば2、3、または4回)に分けて投与してもよい。一実施形態において、1日あたりの投与量は、2回に分けて投与される。さらなる実施形態において、ロメリジン塩酸塩またはこれを含む医薬組成物は、ロメリジン塩酸塩として10mg/日を2回に分けて(例えば、1回5mg、1日2回で)投与される。
医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、乳濁剤、吸入剤、注射剤などの剤型でありうる。注射剤には、溶液性注射剤、懸濁性注射剤、乳濁性注射剤、および用時調製型注射剤が含まれる。一実施形態において、医薬組成物は錠剤である。医薬組成物は、ロメリジン塩酸塩に加え、必要に応じて医薬上許容される添加物をさらに含んでもよい。医薬上許容される添加物としては、例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤が挙げられる。ロメリジン塩酸塩を含む製剤は常法により製造することができる。投与は、経口投与であっても非経口投与(例えば、静脈内、気管支内、鼻腔内、直腸内)であってもよい。一実施形態において、ロメリジン塩酸塩またはこれを含む医薬組成物は、経口投与される。
本開示の例示的な実施形態を以下に記載する。

[1]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者を処置するための、ロメリジン塩酸塩を含む医薬組成物、ここで、前記医薬組成物は、
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者に投与され、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者には投与されない。
[2]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者における脳虚血イベントを抑制するための、ロメリジン塩酸塩を含む医薬組成物、ここで、前記医薬組成物は、
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者に投与され、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者には投与されない。
[3]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者を処置するための、ロメリジン塩酸塩を含む医薬組成物、ここで、前記医薬組成物は以下の方法に使用される:
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者を選択すること、および
選択した患者にロメリジン塩酸塩を投与すること、
を含み、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者にロメリジン塩酸塩を投与することを含まない、方法。
[4]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者における脳虚血イベントを抑制するための、ロメリジン塩酸塩を含む医薬組成物、ここで、前記医薬組成物は以下の方法に使用される:
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者を選択すること、および
選択した患者にロメリジン塩酸塩を投与すること、
を含み、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者にロメリジン塩酸塩を投与することを含まない、方法。
[5]
前記2回目以降の症候性脳虚血イベントから6か月以内に投与が開始される、前記1~4のいずれかに記載の医薬組成物。
[6]
ロメリジン塩酸塩として10~20mg/日で投与される、前記1~5のいずれかに記載の医薬組成物。
[7]
ロメリジン塩酸塩として10mg/日で投与される、前記1~6のいずれかに記載の医薬組成物。
[8]
1日2回投与される、前記1~7のいずれかに記載の医薬組成物。
[9]
経口投与される、前記1~8のいずれかに記載の医薬組成物。
[10]
患者が20歳~70歳である、前記1~9のいずれかに記載の医薬組成物。
[11]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者を処置する方法であって、
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者を選択すること、および
選択した患者にロメリジン塩酸塩を投与すること、
を含み、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者にロメリジン塩酸塩を投与することを含まない、方法。
[12]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者における脳虚血イベントを抑制する方法であって、
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者を選択すること、および
選択した患者にロメリジン塩酸塩を投与すること、
を含み、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者にロメリジン塩酸塩を投与することを含まない、方法。
[13]
前記2回目以降の症候性脳虚血イベントから6か月以内にロメリジン塩酸塩の投与が開始される、前記11または12に記載の方法。
[14]
ロメリジン塩酸塩が10~20mg/日で投与される、前記11~13のいずれかに記載の方法。
[15]
ロメリジン塩酸塩が10mg/日で投与される、前記11~14のいずれかに記載の方法。
[16]
ロメリジン塩酸塩が1日2回投与される、前記11~15のいずれかに記載の方法。
[17]
ロメリジン塩酸塩が経口投与される、前記11~16のいずれかに記載の方法。
[18]
患者が20歳~70歳である、前記11~17のいずれかに記載の方法。
[19]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者の処置に用いるためのロメリジン塩酸塩、ここで、前記ロメリジン塩酸塩は
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者に投与され、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者には投与されない。
[20]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者における脳虚血イベントの抑制に用いるためのロメリジン塩酸塩、ここで、前記ロメリジン塩酸塩は
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者に投与され、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者には投与されない。
[21]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者の処置に用いるためのロメリジン塩酸塩、ここで、前記ロメリジン塩酸塩は以下の方法に使用される:
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者を選択すること、および
選択した患者にロメリジン塩酸塩を投与すること、
を含み、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者にロメリジン塩酸塩を投与することを含まない、方法。
[22]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者における脳虚血イベントの抑制に用いるためのロメリジン塩酸塩、ここで、前記ロメリジン塩酸塩は以下の方法に使用される:
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者を選択すること、および
選択した患者にロメリジン塩酸塩を投与すること、
を含み、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者にロメリジン塩酸塩を投与することを含まない、方法。
[23]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者を処置するための医薬の製造のためのロメリジン塩酸塩の使用、ここで、前記医薬は、
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者に投与され、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者には投与されない。
[24]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者における脳虚血イベントを抑制するための医薬の製造のためのロメリジン塩酸塩の使用、ここで、前記医薬は、
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者に投与され、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者には投与されない。
[25]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者を処置するための医薬の製造のためのロメリジン塩酸塩の使用、ここで、前記医薬は以下の方法に使用される:
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者を選択すること、および
選択した患者にロメリジン塩酸塩を投与すること、
を含み、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者にロメリジン塩酸塩を投与することを含まない、方法。
[26]
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者における脳虚血イベントを抑制するための医薬の製造のためのロメリジン塩酸塩の使用、ここで、前記医薬は以下の方法に使用される:
症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者を選択すること、および
選択した患者にロメリジン塩酸塩を投与すること、
を含み、
症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者にロメリジン塩酸塩を投与することを含まない、方法。
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、本発明は如何なる意味においてもこれら実施例に限定されない。
京都府立医科大学脳神経内科にてCADASILと確定診断され、同科外来へ通院している49症例を対象とした。背景因子として年齢性別、血管危険因子およびNOTCH3変異、脳虚血イベントとして症候性脳梗塞、TIAおよび無症候性脳梗塞発症の既往、治療歴として抗血小板剤、抗凝固剤、降圧剤およびロメリジン塩酸塩の服用を調査した。ロメリジン塩酸塩の投与量は、10mg/日、1日2回であった。
患者の背景は表1の通りである。
Figure 2023181739000001
患者の症候性脳虚血イベントについて、以下の解析を行った。症候性脳虚血イベントは症候性脳梗塞とTIAとを含めたものと定義した。

解析1.ロメリジン塩酸塩を内服していない期間を対象とし、症候性脳虚血イベント発症例における次の2年間での再発頻度を解析した。

解析2.令和4年度日本医療研究開発機構 臨床研究・治験推進研究事業に採択された特定臨床研究“ロメリジン塩酸塩によるCADASIL患者に対する脳虚血イベント再発抑制(LOMCAD試験)”へ参加するCADASIL患者の適格基準は、20歳以上70歳以下で、6ヶ月以内に脳虚血イベントがあり、かつそれ以前の2年以内にも脳虚血イベントがあった患者である。ロメリジン塩酸塩内服開始までの2年間の経過がこの適格基準を満たした患者のみを対象にして、ロメリジン塩酸塩の効果を評価した。
解析1 結果
ロメリジン塩酸塩を内服していない期間の症候性脳虚血イベント発症率を算定した。CADASIL患者のロメリジン塩酸塩投与期間とその前後の症候性脳虚血イベント発症の経過は図1の通りである。49例中15例(30.6%)(症例11、12、13、14、15、16、17、18、23、24、26、27、29、32、39)はロメリジン塩酸塩を内服していない全期間において症候性脳虚血イベント発症がなかった。19例(38.8%)(症例1、4、6、7、21、25、28、33、34、35、37、41、42、43、44、45、46、48、49)はロメリジン塩酸塩を内服していない期間のいずれかの2年間に最大1回症候性脳虚血イベントを発症しており、この19例についてはその症候性脳虚血イベント後2年以内の再発を認めなかった。ただし、ロメリジン塩酸塩を内服せずに2年間経過を追うことができたのは19例中6例であった。残る15例(30.6%)(症例2、3、5、8、9、10、19、20、22、30、31、36、38、40、47)はロメリジン塩酸塩を内服していない期間のいずれかの2年間に2回以上の症候性脳虚血イベントを発症していた。そのうち2回目の症候性脳虚血イベント後にロメリジン塩酸塩を内服せずに2年間経過を追うことのできた11例中7例(63.6%)については2年以内に再発を認めた。この結果から、上記臨床試験の適格基準を満たす患者がロメリジン塩酸塩を服用しない場合、症候性脳虚血イベント再発率は2年間に63.6%であると算出した(図2)。
解析2 結果
LOMCAD試験参加基準を満たす患者に対するロメリジン塩酸塩の効果を検討した。図1の49例のうち、ロメリジン塩酸塩内服開始までの2年間(網掛け)における脳虚血イベント発症が前記試験の参加基準を満たしたのは9例(症例2、3、5、8、9、10、31、36、38)であった。そのうちロメリジン塩酸塩投与後2年間における症候性脳虚血イベントの発症有無を観察できたのは8例であった。その8例のうち、ロメリジン塩酸塩内服開始後2年以内の症候性脳虚血イベント発症は3例(37.5%)であり(図2)、解析1で示した自然歴(ロメリジン非内服の期間)での再発率63.6%と比較して症候性脳虚血イベントは59%に留まっており、41%の脳虚血イベント抑制効果が期待できた。
ロメリジン塩酸塩には血管拡張作用あり、副作用として血圧の低下や脳内血管からの出血が懸念されるため、不要な投与を控えることが重要である。解析1において、ロメリジン塩酸塩を内服していない期間のいずれかの2年間に発症した症候性脳虚血イベントが1回で、ロメリジン塩酸塩を内服せずに2年間経過を追うことのできた患者では、その症候性脳虚血イベント後2年間再発を認めなかった。これより、2年間に発症した脳虚血イベントが1回以下の患者にはロメリジン塩酸塩の投与を避けるべきことが明らかとなった。これに対して、ロメリジン塩酸塩内服開始までの2年間に2回以上の症候性脳虚血イベントを発症した患者ではロメリジン塩酸塩の投与により症候性脳虚血イベントの発症率の低下が確認できた。よって、ロメリジン塩酸塩を投与すべき患者は、それ以前の2年間に2回以上の症候性脳虚血イベントを経験した患者であることが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者を処置するための、ロメリジン塩酸塩を含む医薬組成物、ここで前記医薬組成物は、
    症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者に投与され、
    症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者には投与されない。
  2. 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)の患者における脳虚血イベントを抑制するための、ロメリジン塩酸塩を含む医薬組成物、ここで前記医薬組成物は、
    症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で2回目以降の症候性脳虚血イベントである患者に投与され、
    症候性脳虚血イベントを経験していないCADASIL患者、および症候性脳虚血イベントを発症したCADASIL患者であって、前記症候性脳虚血イベントが前記イベント前の2年間で1回目の症候性脳虚血イベントである患者には投与されない。
  3. 前記2回目以降の症候性脳虚血イベントから6か月以内に投与が開始される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. ロメリジン塩酸塩として10~20mg/日で投与される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  5. ロメリジン塩酸塩として10mg/日で投与される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  6. 1日2回投与される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  7. 経口投与される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  8. 患者が20歳~70歳である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
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