JP2023171939A - 通信装置、制御方法、およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ネットワークを構築する役割を有する複数の装置が並行して、ネットワークを参加する役割を有する装置と通信する場合に、スループットの低下を抑制することを目的とする。【解決手段】 無線ネットワークを確立する第1の役割を有する複数の装置が並行して、無線ネットワークに参加する第2の役割を有する第1の装置と複数の伝送チャネルを介して通信を行う場合に、複数の装置に含まれる第2の装置と第1の装置との間の通信における通信品質に関する第1の情報を取得し、第1の情報が示す値が第1の所定値よりも大きい場合に第2の装置の送信電力を減少させる制御を行い、第1の情報が示す前記値が第2の所定値よりも小さい場合に第2の装置の送信電力を増加させる制御を行い、第1の制御手段が制御する前記送信電力を用いて通信を行う第2の装置を含む複数の装置が並行して、複数の伝送チャネルを介して第1の装置と通信を行うように制御する。【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の装置が並行して他の装置と実行する通信の制御に関する。
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)が策定しているWLAN規格として、IEEE802.11シリーズ規格が知られている。なお、WLANとはWireless Local Area Networkの略である。
特許文献1には、IEEE802.11ax規格では、OFDMA(Orthogonal frequency-division multiple access)による無線通信を実行することが開示されている。IEEE802.11ax規格では、OFDMAによる無線通信を実行することで、高いピークスループットを実現している。また、IEEE802.11ax規格では、複数の送信および受信アンテナを同時刻および同チャンネルで使用するMIMO(multi-user multi-output)と呼ばれる技術を採用することでスループットを向上させている。
IEEEでは、次世代のWLAN規格であるIEEE802.11be規格の策定がEHT(Extremely High Throughput) Study Groupによって進行中である。IEEE802.11be規格では、システム全体のスループットを向上させるため、分散MIMO(distributed MIMO)と呼ばれる技術を採用することが検討されている。分散MIMO通信では、複数のAPが協働し、並行して1台以上のSTAと通信することができる。
特開2018-50133号公報
分散MIMO通信では、複数のAPが並行して1台のSTAと通信する。しかし、1台のSTAと各APとの間の通信における通信品質が異なる恐れがある。例えば、各APとSTAとの距離がそれぞれ異なることで、各APからSTAが受信する信号の受信信号強度(RSSI、Received Signal Strength Indication)が異なる場合がある。分散MIMO通信において、1台のSTAについて複数のAPとの間の通信における通信品質のそれぞれが大きく異なると、差が小さい場合に比べてスループットが低下するという問題がある。
上記を鑑み、本発明は、ネットワークを構築する役割を有する複数の装置が並行して、ネットワークを参加する役割を有する装置と通信する場合に、スループットの低下を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の通信装置は、無線ネットワークを確立する第1の役割を有する複数の装置が並行して、無線ネットワークに参加する第2の役割を有する第1の装置と複数の伝送チャネルを介して通信を行う場合に、前記複数の装置に含まれる第2の装置と前記第1の装置との間の通信における通信品質に関する第1の情報を取得する取得手段と、前記第1の情報が示す値が第1の所定値よりも大きい場合に前記第2の装置の送信電力を減少させる制御を行い、前記第1の情報が示す前記値が第2の所定値よりも小さい場合に前記第2の装置の送信電力を増加させる制御を行う第1の制御手段と、前記第1の制御手段が制御する前記送信電力を用いて通信を行う前記第2の装置を含む前記複数の装置が並行して、前記複数の伝送チャネルを介して前記第1の装置と通信を行うように制御することを特徴とする第2の制御手段と、を有する。
本発明によれば、ネットワークを構築する役割を有する複数の装置が並行して、ネットワークを参加する役割を有する装置と通信する場合に、スループットの低下を抑制することできるようになる。
AP制御装置108が参加するネットワークの構成を示す図である。 AP制御装置108のハードウェア構成を示す図である。 AP制御装置108が分散MIMO通信において各APの送信出力を制御する際に実行する処理を示すフローチャートである。 AP制御装置108が図3のステップS313において実行する処理を示すフローチャートである。
以下、添付の図面を参照して実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
図1に、本実施形態に係るAP(Access Point)制御装置108が参加するネットワークの構成を示す。通信装置103、および通信装置104は、無線ネットワークを構築する役割を有するアクセスポイント(AP,Access Point)である。通信装置103は無線ネットワーク101を、通信装置104は無線ネットワーク102をそれぞれ構築する。通信装置105~107は、無線ネットワークに参加する役割を有するステーション(STA,Station)である。通信装置105~107はいずれも無線ネットワーク101および無線ネットワーク102に参加している。各通信装置はIEEE802.11be規格に対応しており、無線ネットワーク101または無線ネットワーク102を介してIEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる。なお、IEEEはInstitute of Electrical and Electronics Engineersの略である。各通信装置は、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯の少なくともいずれか一つの周波数帯域において通信することができる。また、各通信装置は、20MHz、40MHz、80MHz、160MHz、および320MHzの少なくともいずれか一つの帯域幅を使用して通信することができる。
通信装置103~107は、IEEE802.11be規格に準拠したOFDMA通信を実行することで、複数のユーザの信号を多重する、マルチユーザ(MU、Multi User)通信を実現することができる。OFDMAとは、Orthogonal Frequency Division Multiple Access(直交周波数分割多元接続)の略である。OFDMA通信では、分割された周波数帯域の一部(RU、Resource Unit)が各STAに夫々重ならないように割り当てられ、各STAの搬送波が直交する。そのため、APは複数のSTAと並行して通信することができる。
また、通信装置103~107はMU MIMO(Multi User Multiple-Input and Multiple-Output)通信によるMU通信を実現することができる。この場合、通信装置103あるいは通信装置104は、複数のアンテナを有し、1以上のアンテナを通信装置105~107の夫々に割り当てることで、複数のSTAとの同時通信を実現することができる。通信装置103および104は、通信装置105~107の夫々に対して送信する電波が干渉しないように調整することで、複数のSTAに対して同時に電波を送信することができる。
また、通信装置103~107は、分散MIMO(distributed MIMO)通信を実行することができる。分散MIMO通信では、複数のAPが少なくとも1台のSTAと同時に並行して通信することができる。分散MIMO通信では、STAが複数のアンテナを有し、1以上のアンテナを複数のAPの夫々に割り当てることで、複数のAPとの同時通信を実現することができる。この場合にAP側でも複数のアンテナを有していてもよい。APが複数のアンテナを有する場合、全てのアンテナを同一のSTAに割り当ててもよいし、1以上のアンテナを複数のSTAの夫々に割り当ててもよい。APおよびSTAがそれぞれ1以上のアンテナを複数のSTAまたはAPの夫々に割り当てることで、複数のAPおよび複数のSTAによる同時通信を行ってもよい。分散MIMO通信では、STAが複数のアンテナを有し、1以上のアンテナを複数のAPの夫々に割り当てるため、STAと複数のAPとの間に複数の電波伝送路が存在する。分散MIMO通信では、この複数の伝送路を空間的に多重して複数のAPとSTAとの間で信号を伝送する。分散MIMO通信を行うことで、空間利用効率が向上し、高速通信を実現することができる。
図1の場合、APである通信装置103および通信装置104が協働し、STAである通信装置105~107と通信を行う。具体的には、通信装置103および通信装置104は、例えば通信装置105に対して、同一時間に同一周波数チャネルを用いてデータの送受信を並行して行うことができる。この場合に、通信装置103および通信装置104は通信装置105に対して、同一の内容のデータを送信してもよいし、あるいは一つのデータを分割したものをそれぞれ送信してもよい。また、通信装置105からデータを送信する場合も、通信装置105は通信装置103および通信装置104に対して、同一の内容のデータを送信してもよいし、あるいは一つのデータを分割したものをそれぞれに送信してもよい。
分散MIMO通信を実行する場合、1台のSTAに対して通信する複数のAPからの信号の受信信号強度(RSSI、Received Signal Strength Indication)が大きく異なると、スループットが低下するという課題がある。本実施形態では、各APの送信出力をRSSIに基づいて制御することで、各APからの信号のRSSIの差を小さくし、スループットの低下を抑制する。また、あるSTAとの通信におけるRSSIが所定の閾値より小さいAPを、該STAとの分散MIMO通信からは除外することで、他のAPと著しくRSSIが異なる恐れがあるAPを除外することができ、これによりスループットの低下を抑制することができる。
なお、APである通信装置103および通信装置104は、STAである通信装置105~107と通信するためのフロントホール回線とは別に、協働のためにAP同士で通信できるようにバックホール回線を有する。通信装置103および通信装置104は、協働のために互いに通信できるよう、バックホール回線でつながれている。また、通信装置103および通信装置104は、バックホール回線を介して接続されているAP制御装置108によって制御されることで、分散MIMO通信を実現する。
なお、通信装置103あるいは通信装置104のいずれかがAPとしての動作に加えて、AP制御装置108として動作することができてもよい。この場合、AP制御装置108は省略されてもよい。あるいは、AP制御装置108は、分散MIMO通信において各APを制御することができる機能を有するアダプタであってもよい。この場合、ユーザは通信装置103または通信装置104にアダプタであるAP制御装置108を接続して利用することができる。
なおバックホール回線は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。また、バックホール回線で無線通信を用いる場合、フロントホール回線と同一の通信規格に準拠した無線通信を実行してもよい。あるいはフロントホール回線とバックホール回線とで異なる通信規格に準拠した無線通信を実行してもよい。
なお、通信装置103~107は、IEEE802.11be規格に対応するとしたが、これに加えて、IEEE802.11be規格より前の規格であるレガシー規格に対応していてもよい。具体的には、通信装置103~107は、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax規格の少なくとも何れか一つに対応していてもよい。また、IEEE802.11シリーズ規格に加えて、Bluetooth(登録商標)、NFC、UWB、ZigBee、MBOAなどの他の通信規格に対応していてもよい。なお、UWBはUltra Wide Bandの略であり、MBOAはMulti Band OFDM Allianceの略である。また、NFCはNear Field Communicationの略である。UWBには、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、WiNETなどが含まれる。また、有線LANなどの有線通信の通信規格に対応していてもよい。
通信装置103、104の具体例としては、無線LANルーターやPCなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、通信装置103、104は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる無線チップなどの情報処理装置であってもよい。また、通信装置105~107の具体的な例としては、カメラ、タブレット、スマートフォン、PC、携帯電話、ビデオカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、通信装置105~107は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる無線チップなどの情報処理装置であってもよい。また、図1のネットワークは2台のAPと3台のSTAによって構成されるネットワークであるが、APおよびSTAの台数はこれに限定されない。
図2に、本実施形態におけるAP制御装置108のハードウェア構成を示す。AP制御装置108は、記憶部201、制御部202、機能部203、入力部204、出力部205、通信部206、およびアンテナ207を備える。
記憶部201はROMやRAM等の1以上のメモリにより構成され、後述する各種動作を行うためのコンピュータプログラムや、無線通信のための通信パラメータ等の各種情報を記憶する。ROMはRead Only Memoryの、RAMはRandom Access Memoryの夫々略である。なお、記憶部201として、ROM、RAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体を用いてもよい。また、記憶部201が複数のメモリ等を備えていてもよい。
制御部202は、例えばCPUやMPU等の1以上のプロセッサにより構成され、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、AP制御装置108全体を制御する。なお、制御部202は、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムとOS(Operating System)との協働により、AP制御装置108全体を制御するようにしてもよい。また、制御部202は、他の通信装置との通信において送信するデータや信号を生成する。なお、CPUはCentral Processing Unitの、MPUは、Micro Processing Unitの略である。また、制御部202がマルチコア等の複数のプロセッサを備え、複数のプロセッサによりAP制御装置108全体を制御するようにしてもよい。
また、制御部202は、機能部203を制御して、無線通信や、撮像、印刷、投影等の所定の処理を実行する。機能部203は、AP制御装置108が所定の処理を実行するためのハードウェアである。
入力部204は、ユーザからの各種操作の受付を行う。出力部205は、モニタ画面やスピーカーを介して、ユーザに対して各種出力を行う。ここで、出力部205による出力とは、モニタ画面上への表示や、スピーカーによる音声出力、振動出力などであってもよい。なお、タッチパネルのように入力部204と出力部205の両方を1つのモジュールで実現するようにしてもよい。また、入力部204および出力部205は、夫々AP制御装置108と一体であってもよいし、別体であってもよい。また、AP制御装置108は入力部204および出力部205の少なくともいずれか一方を有さない装置であってもよい。
通信部206は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信の制御を行う。また、通信部206は、IEEE802.11be規格に加えて、他のIEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信の制御や、有線LAN等の有線通信の制御を行ってもよい。通信部206は、アンテナ207を制御して、制御部202によって生成された無線通信のための無線信号の送受信を行う。なお、アンテナ207は通信部206と別体として構成されてもよいし、通信部206と合わせて一つのモジュールとして構成されてもよい。
なお、AP制御装置108は有線通信のみを実行できる装置であってもよく、アンテナ207を有さない装置であってもよい。なお、AP制御装置108が、IEEE802.11be規格に加えて、NFC規格やBluetooth規格等に対応している場合、これらの通信規格に準拠した無線通信の制御を行ってもよい。また、AP制御装置108が複数の通信規格に準拠した無線通信を実行できる場合、夫々の通信規格に対応した通信部206とアンテナ207を個別に有する構成であってもよい。AP制御装置108は通信部206を介して、画像データや文書データ、映像データ、制御データ等の各種データを通信装置103および通信装置104と通信する。
通信装置103~107も、AP制御装置108と同様のハードウェア構成を有していてもよい。なお、通信装置103および通信装置104は、通信部206として、STAと通信するフロントホール回線のための通信部とは別に、他のAPと通信するバックホール回線のための通信部を有していてもよい。あるいは通信装置103および通信装置104は、フロントホール回線およびバックホール回線のために共通の通信部を有していてもよい。
図3は、AP制御装置108が分散MIMO通信において各APの送信出力を制御する際に、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを制御部202が読み出し、実行することで実行される処理を示すフローチャートである。
AP制御装置108は、ユーザから分散MIMO通信の開始を指示された場合に、本フローの処理を開始する。あるいはAP制御装置108は、APである通信装置103あるいは通信装置104から分散MIMO通信の開始を要求する要求信号を受信したことに基づいて、本フローの処理を開始してもよい。なお、通信装置103および通信装置104は、STAである通信装置105~107のいずれかの装置から分散MIMO通信の開始を要求されたことに基づいて、AP制御装置108に該要求信号を送信してもよい。あるいはAP制御装置108はSTAである通信装置105~107のいずれかの装置から分散MIMO通信の開始を要求されてもよい。
あるいは通信装置103および通信装置104は、自装置が通信装置105~107に少なくともいずれか1台に送信するデータのサイズが所定のサイズ以上であることに基づいて、分散MIMO通信の実施をAP制御装置108に要求してもよい。あるいは通信装置105~107のいずれかの装置が、自装置が送信するデータのサイズが所定のサイズ以上であることに基づいて、通信装置103または通信装置104を介してAP制御装置108に分散MIMO通信の実施を要求してもよい。あるいはAP制御装置108は、通信装置103または通信装置104と、通信装置105~107の少なくとも一台との間で通信されるデータのサイズが所定のサイズ以上であることに基づいて、本フローの処理を開始してもよい。
なお、通信装置103~107の少なくとも一台は、通信されるデータのサイズに加えて、あるいは代えて、自装置の送信バッファに蓄積されたデータのデータ量が所定の量以上であることに基づいて分散MIMOの実施を要求してもよい。あるいは、AP制御装置108は、通信されるデータのサイズに加えて、あるいは代えて、各通信装置の間の無線通信のエラー率が所定の閾値以上であることに基づいて、分散MIMOを実施するために本フローの処理を開始してもよい。あるいは、AP制御装置108は、各通信装置の間の無線通信の遅延時間が所定の閾値以上であることに基づいて、分散MIMO通信を実施するために本フローの処理を開始してもよい。
AP制御装置108は、まず送信出力を決定するAPを指定するための変数i、および通信相手となるSTAを指定するための変数nを初期化する(ステップS301)。
続いてAP制御装置108は、変数iが送信出力を決定するAPの総数を示すNapより小さいかを判定する(ステップS302)。なお、AP制御装置108は、送信出力を設定するAP、つまり分散MIMO通信に参加するAPの総数Napを、本フローの処理が開始される前、あるいはステップS302の処理が開始される前に取得済みであるものとする。分散MIMO通信に参加するAPとは、AP制御装置108がバックホール回線を介して接続している全てのAPあるいはその一部である。分散MIMO通信にいずれのAPが参加するかは、ユーザによって決定されてもよいし、AP制御装置108によって決定されてもよい。変数iがNapより小さくないと判定される場合(ステップS302のNo)、AP制御装置108はステップS313の処理を行う。変数iがNapより小さくない場合とは、AP制御装置108が分散MIMO通信に参加する全てのAPの送信出力を設定し終えた場合である。一方、変数iがNapより小さい場合(ステップS302のYes)、つまり、まだ分散MIMO通信に参加する全てのAPの送信出力を設定し終えていない場合、AP制御装置108はステップS303の処理を実行する。
AP制御装置108は、変数nが通信相手となるSTAの総数を示すNstaより小さいかを判定する(ステップS303)。なお、AP制御装置108は、通信相手となるSTA、つまり分散MIMO通信に参加するSTAの総数Nstaを、本フローの処理が開始される前、あるいはステップS303の処理が開始される前に取得済みであるものとする。分散MIMO通信に参加するSTAは、ユーザによる選択によって決定される。あるいは、AP制御装置108に対して分散MIMO通信の実行を要求してきたSTAである。あるいはi番目のAPが構築している無線ネットワークに、本ステップが開始される前に参加したSTAである。あるいは、AP制御装置108は分散MIMO通信を実行するSTAを指定してもよい。変数nがNstaより小さくないと判定される場合(ステップS303のNo)、AP制御装置108はステップS312の処理を行う。変数nがNstaより小さくない場合とは、AP制御装置108が分散MIMO通信に参加する全てのSTAについて、i番目のAPが各STAと通信する際に利用する送信出力を設定し終えた場合である。一方、変数nがNstaより小さい場合(ステップS303のYes)、つまり、まだ分散MIMO通信に参加する全てのSTAに対するi番目のAPの送信出力を設定し終えていない場合、AP制御装置108はステップS304の処理を実行する。
AP制御装置108は、i番目のAPとn番目のSTAとの通信のRSSIを取得する(ステップS304)。i番目のAPは、n番目のSTAから受信した信号のRSSIを保持しておく。AP制御装置108は、i番目のAPから、n番目のSTAから受信した信号のRSSIを取得する。あるいはAP制御装置108は、i番目のAPが送信したビーコンなどの信号に基づくRSSIをn番目のSTAから取得してもよい。この場合に、i番目のAPがn番目のSTAからRSSIを取得し、それをAP制御装置108に通知するようにしてもよい。あるいは、AP制御装置108は、i番目のAPにn番目のSTAに対してRSSIの取得要求を送信するように指示してもよい。n番目のSTAは、i番目のAPからRSSIの取得要求を受信すると、該取得要求を受信した際のRSSIをi番目のAPまたはAP制御装置108に通知する。AP制御装置108は、n番目のSTAから直接、あるいはi番目のAPを介してRSSIの情報を取得する。
AP制御装置108は、取得したRSSIが所定の閾値Pmin1以下かを判定する(ステップS305)。所定の閾値Pmin1は、AP制御装置108にプリセットされていてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。AP制御装置108は、取得したRSSIが所定の閾値Pmin1より小さい場合(ステップS305のYes)、ステップS306の処理を行う。一方、取得したRSSIが所定の閾値Pmin1より大きい場合(ステップS305のNo)、AP制御装置108はステップS307の処理を行う。
ステップS306においてAP制御装置108は、i番目のAPをn番目のSTAとの分散MIMO通信に用いないように制御する。具体的には、AP制御装置108は後述のステップS314で実行する分散MIMO通信において、i番目のAPは用いずにn番目のSTAと分散MIMO通信を実行する。RSSIが低いAPについて送信出力を増加させる場合、APの送信出力の上限については各国において規制が存在するため、限度が存在する。そのため、RSSIが所定の閾値より小さいAPについては、送信出力を上げても、他のAPと著しくRSSIが異なる恐れがある。RSSIが所定の閾値より小さいAPをSTAとの分散MIMO通信から除外することで、他のAPと著しくRSSIが異なる恐れがあるAPを排除することができ、スループットの低下を抑制することができる。ステップS506の処理を行うと、AP制御装置108はステップS311の処理を行う。
一方、ステップS305でNoと判定された場合、AP制御装置108は取得したRSSIが所定の閾値Pmin2以下かを判定する(ステップS307)。なお、閾値Pmin2は閾値Pmin1より大きな値である。所定の閾値Pmin2はAP制御装置108にプリセットされていてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。AP制御装置108は、取得したRSSIが所定の閾値Pmin2以下ではないと判定すると(ステップS307のNo)、ステップS309の処理を行う。一方、取得したRSSIが所定の閾値Pmin2以下であると判定した場合(ステップS307のYes)、AP制御装置108はステップS308の処理を行う。
AP制御装置108は、i番目のAPがn番目のSTAと通信する際の、i番目のAPの送信出力を増加させる(ステップS308)。具体的には、AP制御装置108はn番目のSTAと通信する際に送信出力を増加させるようにi番目のAPに指示する指示信号を送信する。あるいはAP制御装置108は、i番目のAPに対してn番目のSTAと通信する際の送信出力を指示してもよい。この場合AP制御装置108は、取得したRSSIの値に基づいて、送信出力の増加率を決定してもよい。例えば、AP制御装置108は、取得したRSSIと、閾値Pmin2との比から送信出力の増加率を決定してもよい。例えば、取得したRSSIが閾値Pmin2の1/2だった場合、AP制御装置108は送信出力の増加率を10^2倍と決定してもよい。RSSIは、単位dBmであらわされる値であって、電力A[mW]に対して、RSSI[dBm]=10logAによって算出される。そのため、送信電力の増加率は、10^{(閾値Pmin2-RSSI)/10}となる。あるいは、AP制御装置108は取得したRSSIに対する送信出力の増加率を示すテーブルを予め有しており、該テーブルに基づいて増加率を決定してもよい。AP制御装置108は、APの送信出力を増加させる場合、後述の閾値Pmaxを超えないように制御する。また、AP制御装置108は送信出力を増加させる場合に、各国の規制によって定められている送信出力の最大値を超えないように制御する。AP制御装置108は、i番目のAPのn番目のSTAに対する送信出力を増加させると、ステップS311の処理を行う。
なお、AP制御装置108は、i番目のAPがn番目のSTAと分散MIMO通信によって通信する場合にのみ、ステップS308で決定した送信出力で通信させるように制御してもよい。この場合、i番目のAPはn番目のSTAと通信する場合に、分散MIMO通信による通信でない場合は、ステップS308で制御する前の送信出力、あるいはステップS308で決定した送信出力とは異なる送信出力で通信してもよい。
一方、ステップS307でNoと判定された場合、AP制御装置108は取得したRSSIが所定の閾値Pmax以上かを判定する(ステップS309)。なお、閾値Pmaxは、閾値Pmin1および閾値Pmin2より大きな値となる。所定の閾値PmaxはAP制御装置108にプリセットされていてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。AP制御装置108は、取得したRSSIが所定の閾値Pmaxより以上ではないと判定すると(ステップS309のNo)、ステップS311の処理を行う。一方、取得したRSSIが所定の閾値Pmax以上であると判定された場合(ステップS309のYes)、AP制御装置108はステップS310の処理を行う。
AP制御装置108は、i番目のAPがn番目のSTAと通信する際の、i番目のAPの送信出力を低下させる(ステップS310)。具体的には、AP制御装置108はn番目のSTAと通信する際に送信出力を低下させるようにi番目のAPに指示する指示信号を送信する。あるいはAP制御装置108は、i番目のAPに対してn番目のSTAと通信する際の送信出力を指示してもよい。この場合、AP制御装置108は、取得したRSSIの値に基づいて送信出力の低下率を決定してもよい。例えば、AP制御装置108は、取得したRSSIと、閾値Pmaxとの比に基づいて送信出力の低下率を決定してもよい。この場合、送信出力の低下率は、10^-{(RSSI-閾値Pmax)/10}となる。あるいは、AP制御装置108は取得したRSSIに対する送信出力の低下率を示すテーブルを予め有しており、該テーブルに基づいて低下率を決定してもよい。AP制御装置108は、APの送信出力を低下させる場合、閾値Pmin2を下回らないように制御する。AP制御装置108は、i番目のAPのn番目のSTAに対する送信出力を低下させると、ステップS311の処理を行う。
なお、AP制御装置108は、i番目のAPがn番目のSTAと分散MIMO通信によって通信する場合にのみ、ステップS310で決定した送信出力で通信させるように制御してもよい。この場合、i番目のAPはn番目のSTAと通信する場合に、分散MIMO通信による通信でない場合は、ステップS310で制御する前の送信出力、あるいはステップS310で決定した送信出力とは異なる送信出力で通信してもよい。
このように、APとn番目のSTAとの通信におけるRSSIが閾値Pmin2から閾値Pmaxに収まるように、各APの送信出力を制御することで、n番目のSTAとの通信における各APのRSSIの差を小さくすることができる。これにより、分散MIMO通信におけるスループットの低下を抑制することができる。
なお、図3では、閾値Pmin2と閾値Pmaxとが異なる値であるとしたが、これに限らず、閾値Pmin2と閾値Pmaxとは等しくてもよい。この場合、AP制御装置108は、n番目のSTAとの通信におけるRSSI(ステップS304で取得したRSSI)が閾値Pmin2(閾値Pmax)に近づくようにi番目のAPの送信出力を制御する。これにより、n番目のSTAに対する各APとの通信におけるRSSIの差がより小さくなり、スループットの低下を抑制することができる。
また、図3において、閾値Pmin1、閾値Pmin2、および閾値Pmaxは、AP制御装置108にプリセットされていてもよいし、ユーザによって設定されてもよいとしたが、これに限らない。AP制御装置108は、n番目のSTAと所定のAPとの通信におけるRSSIを基準として、これらの閾値を決定してもよい。ここで、所定のAPとは、n番目のSTAと分散MIMO通信を行う複数のAPの内の一つである。いずれのAPとの通信におけるRSSIを基準とするかは、ユーザによって選択されてもよいし、AP制御装置108が所定のアルゴリズムに従って選択してもよい。例えば、AP制御装置108は、n番目のSTAから最初に取得したRSSIを基準としてもよい。AP制御装置108は、所定のAPとn番目のSTAとの通信におけるRSSIを基準として閾値を決定する場合、例えばRSSIに対して所定の値P1を加算した値を閾値Pmaxとし、減算した値を閾値Pmin2として決定する。また、AP制御装置108は、RSSIに対して所定の値P2を減算した値を閾値Pmin1として決定する。なお、所定の値P1およびP2は、AP制御装置108にプリセットされていてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。このように、所定のAPとn番目のSTAとの通信におけるRSSIに基づいて閾値を決めることで、AP制御装置108は、他のAPとn番目のSTAとの通信における送信出力の増加率あるいは低下率を相対的に決定することができる。
AP制御装置108は、n番目のSTAに対するi番目のAPの送信出力を決定すると、次のSTAに対する送信出力を決定するために、変数nをインクリメントする(ステップS311)。そして、AP制御装置108は、ステップS303の処理を実行する。
AP制御装置108が全てのSTAに対するi番目のAPの送信出力を決定すると、ステップS303においてNoと判定される。この場合、AP制御装置108は、次のAPの送信出力を決定するため、変数iをインクリメントし、変数nを初期化し(ステップS312)、ステップS302の処理を行う。
AP制御装置108が全てのAPについて送信出力を決定すると、ステップS302でNoと判定される。次に、AP制御装置108は送信出力を決定したAPについて、各STAとの通信における変調方式および符号化方式を決定する(ステップS313)。本ステップの詳細は、図4を用いて説明する。
図4は、AP制御装置108が図3のステップS313の処理を実行する際に、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを制御部202が読み出し、実行することで実行される処理を示すフローチャートである。
AP制御装置108は、ステップS401~ステップS403について、図3のステップS301~ステップS303と同様の処理を実行する。なお、ステップS402でNoと判定された場合、AP制御装置108は本フローの処理を終了し、図3のステップS314の処理を行う。また、ステップS403でNoと判定された場合、AP制御装置108はステップS407の処理を行う。AP制御装置108は、図3のステップS312と同様にステップS407の処理を行う。
AP制御装置108は、i番目のAPとn番目のSTAとの通信のRSSIを取得する(ステップS404)。本ステップにおいて、AP制御装置108は、i番目のAPに図3のフローにおいて決定した送信出力によってn番目のSTAに信号を送信させ、n番目のSTAから該信号のRSSIを取得する。
AP制御装置108は、取得したRSSIに基づいて、i番目のAPとn番目のSTAとの通信におけるMCS(Modulation and Coding Scheme)を決定する(ステップS405)。
表1には、通信装置103~107がIEEE802.11シリーズ規格に準拠した通信を実行する際に用いられるMCSの一覧を示す。MCSインデックスは、通信における変調方式と符号化率との組み合わせを示すインデックスである。例えばMCS=0の場合、変調方式としてBPSK(binary phase-shift keying)を用い、符号化率を1/2とした通信を実行することになる。なお、MCSインデックスと変調方式および符号化率との対応関係は、表1に示したものに限らない。
Figure 2023171939000002
多値の変調方式を用いるほど、一つのシンボル(信号)で送信できる情報が多くなるため、通信レートが高くなる。また、符号化率が高いほど通信レートが高くなる。しかし、多値の変調方式や高い符号化率を用いるほど、雑音電波などの影響を受けやすくなるため、通信に要求される信号対雑音比(SNR、Signal-to-Noise Ratio)が高くなる。つまりSNRが高いほど、より多値の変調方式および高い符号化率(高いMCSインデックス)による通信を実行することができ、これにより、より高い通信レートで通信することができる。また、SNRはノイズ強度が一定の場合、受信信号強度(RSSI、Received Signal Strength Indication)が高いほど大きな値となる。そのため、RSSIが高いほど、より多値の変調方式および高い符号化率による通信を実行することで、高い通信レートで通信することができる。
一方、SNRやRSSIが低い場合、一つのシンボル(信号)で送信できる情報量が少ない変調方式や低い符号化率による通信を実行することが適切である。なお、RSSIが低下する原因としては、APとSTA間の物理的な距離が遠いことや、APとSTAの間に電波を遮る物体が存在することなどが考えられる。
ステップS405において、AP制御装置108は予め保持しているRSSIとMCSとの対応を示すテーブルから、i番目のAPとn番目のSTAとの通信において使用されるMCSを選択する。このテーブルは、RSSIが高いほど通信レートが高いMCSを選択すべきMCSとして与える。本テーブルは、AP制御装置108にプリセットされていてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。
AP制御装置108は、ステップS405の処理を実行すると、ステップS406の処理を行う。AP制御装置108は、図3のステップS311と同様にステップS406の処理を実行する。
AP制御装置108が分散MIMO通信を実行する全てのAPについてMCSを決定すると、ステップS402においてNoと判定される。この場合、AP制御装置108は本フローの処理を終了する。
図4のフローの処理を行うことで、送信出力が変更されたAPに対して、適切なMCSを設定することができる。特に送信出力を低下されたAPは、RSSIが低下することが考えられるため、新たなRSSIに基づくMCSを設定することで、STAとの通信に失敗する可能性を低減することができる。
なお、図3のステップS308あるいはステップS310において、送信出力を制御していないAPについてはMCSを変更する必要がないため、ステップS313をスキップしてもよい。この場合、i番目のAPは、n番目のSTAと通信する際に、すでにn番目のSTAとの通信で用いていたMCSをつかって分散MIMO通信を実行する。そのため、i番目のAPは、n番目のSTAとの通常の1対1の通信と同じMCSを使って、n番目のSTAとの分散MIMO通信を実行することができる。
AP制御装置108は、図4のフローの処理を終了すると、図3のステップS314の処理を行う。すなわち、図3および図4で決定した送信出力およびMCSを用いた分散MIMO通信を実行する。
具体的には、まずAP制御装置108は、各APに分散MIMO通信の開始を通知する。各APはAP制御装置108から分散MIMO通信の開始を指示されたことに応じて、通常の無線通信を実行するモードから、分散MIMO通信を実行するモードに遷移する。AP制御装置108は、n番目のSTAに送信するデータを、n番目のSTAと分散MIMO通信を実行する全APに送信する。このとき、該データを分割してAPごとに割り当ててもよいし、同一のデータを各APに送信してもよい。各APは、データを受信したことをAP制御装置108に通知する。AP制御装置108は、データを送信した全STAからデータを受信したことの通知を受信すると、データを送信した全STAに対してトリガーフレームを送信する。このトリガーフレームには、データの宛先となるSTAを示す情報と、データの送信タイミングを示す情報とが含まれる。なお、データの宛先となるSTAについて、AP制御装置108は、APに分散MIMO通信の開始を通知するときに合わせて各APに通知してもよいし、それ以降トリガーフレームを送信するまでのいつでも通知してもよい。トリガーフレームを受信したAPは、送信タイミングが到来したらSTAにデータを送信する。データを送信したAPは、データの送信が完了したことをAP制御装置108に通知する。AP制御装置108は、データを送信した全てのAPから、データの送信が完了したことの通知を受信すると、分散MIMO通信の終了を各APに通知する。分散MIMO通信の終了を通知されたAPは、分散MIMO通信を実行するモードから、通常の無線通信を行うモードに遷移する。なお、AP制御装置108は、データを送信した全てのAPから、データの送信が完了したことの通知を受信した場合に、まだ分散MIMO通信で送信するデータがある場合は、該データについて分散MIMO通信を実行する。なお、データの宛先は先に送信したSTAと同一のSTAであってもよいし、違うSTAであってもよい。分散MIMO通信が終了すると、AP制御装置108は本フローの処理を終了する。
なお、図4に示したフローにおいて、AP制御装置108はMCSを選択するとしたが、これに限らず、変調方式と符号化率との少なくとも一方をのみを選択するようにしてもよい。この場合、AP制御装置108は、図3のステップS314において、図4のフローで決定した変調方式または符号化率によって分散MIMO通信を行うように制御する。
ステップS314において、分散MIMO通信を行う場合、分散MIMO通信を行うAPはSTAごとに図3のフローで決定した送信出力を用いて通信する。この場合に、AP制御装置108は、いずれのSTAと分散MIMO通信を実行するかを時間ごとに区切ってもよい。例えばAP制御装置108が、時間T1~T2の期間には、APである通信装置103と通信装置104とがSTAである通信装置105と通信するように制御し、時間T2~T3の期間には別のSTAである通信装置106と通信するように制御してもよい。このようにいずれのSTAと分散MIMO通信を実行するかを時間ごとに区切ることで、各APは時間ごとに通信相手となるSTAに対応した送信出力によって通信する。
図3のフローの処理を行い、分散MIMO通信を行う複数のAPについて、STAごとに適切な送信出力を設定することで、STAに対する各APのRSSIの差を小さくし、分散MIMO通信を実行する際のスループットの低下を抑制することができる。
例えばn番目のSTAに対してi番目のAPとi+1番目のAPとが分散MIMO通信を実行する場合、i番目のAPおよびi+1番目のAPのいずれもRSSIが閾値Pmin2以下の場合、AP制御装置108は両方のAPについて送信出力を増加させる。あるいは、i番目のAPおよびi+1番目のAPのいずれもRSSIが閾値Pmax以上の場合、AP制御装置108はi番目のAPおよびi+1番目のAPの両方の送信出力を低下させる。あるいは、i番目のAPのRSSIは閾値Pmin2以下だが、i+1番目のAPのRSSIは閾値Pmax以上の場合、AP制御装置108はi番目のAPの送信出力は増加させるが、i+1番目のAPの送信出力は低下させる。このように、本実施形態は、1台のSTAに対する各APの送信出力を適切に制御することで、スループットの低下を抑制することができる。
なお、図3において、AP制御装置108が閾値Pmin1以下のAPの除外と、閾値Pmin2および閾値Pmaxに基づく送信出力の制御との両方を行うフローを示したが、これに限らない。AP制御装置108は、所定の閾値以下のAPの除外と、所定の閾値に基づく送信出力の制御とのいずれか一方のみを行うようにしてもよい。
また、図3において、AP制御装置108は、送信出力の制御として、送信出力を上げる制御と、下げる制御との両方を行うとしたが、いずれか一方のみを行うようにしてもよい。具体的には、図3のステップS307およびステップS308を実行せず、ステップS309およびステップS310を行うようにしてもよい。あるいは図3のステップ309およびステップS310を実行せず、ステップS307およびステップS308を行うようにしてもよい。
なお、図3において、i番目のAPとn番目のSTAとの通信のRSSIが閾値Pmin2以下である場合、i番目のAPの送信出力を上げるとした。しかし、i番目のAPについて、各国で規定されている送信出力の上限を超えないと閾値Pmin2を超えられない場合、該APをn番目のSTAとの分散MIMO通信から排除してもよい。この場合、AP制御装置108は、ステップS307でyesと判定された場合に、さらに変更後の送信出力が各国の上限値を超えるかを判定し、超える場合はステップS306の処理を行うようにする。また、AP制御装置108は、変更後の送信出力が各国の上限値を超えないと判定した場合は、ステップS308の処理を行う。この場合、AP制御装置108は、ステップS305の判定を省略してもよい。あるいは、AP制御装置108は各国の送信出力の上限値および現在の送信出力に基づいて、ステップS305の閾値Pmin1を決定してもよい。
また、図3において、AP制御装置108はn番目のSTAに対するi番目のAPの送信出力を制御するとしたが、これに加えて、あるいは代えて、n番目のSTAに対してビームフォーミングを実行させるように制御してもよい。具体的には、AP制御装置108は、取得したRSSIが閾値Pmin2以下であると判定された場合(ステップS307のyes)、i番目のAPについてn番目のSTAと通信する際はn番目のSTAに対してビームフォーミングをするように制御する。この場合に、AP制御装置108は、i番目のAPがn番目のSTAに対してビームフォーミングを実行した際のRSSIを取得し、取得したRSSIが閾値Pmin2以下である場合はさらに送信出力を上げるように制御してもよい。また、AP制御装置108は、i番目のAPがn番目のSTAに対してビームフォーミングを実行した際のRSSIを取得し、取得したRSSIが閾値Pmax以上である場合は送信出力を下げるように制御してもよい。
また、本実施形態において、分散MIMO通信を実行する各APについての送信出力をAP制御装置108が決定するとしたが、これに限らず、自装置が分散MIMO通信を実行する際の送信出力を各APが決定するようにしてもよい。具体的には、図3のステップS303~ステップS311の処理を各APが行うようにしてもよい。また、APは各STAとの通信における送信出力を決定した後、さらにステップS313の処理を行うことで、各STAとの通信におけるMCSを決定する。APは分散MIMO通信を実行する全STAとの送信出力及びMCSを決定すると、AP制御装置108に対してその旨を通知する。AP制御装置108は、分散MIMO通信を実行する全てのAPから通知を受信すると、ステップS314の処理を行い、分散MIMO通信を開始する。
また、本実施形態において、AP制御装置108はRSSIに基づいて送信出力を決定した。しかし、これに限らず、AP制御装置108は分散MIMO通信を行うAPとSTAとの間の通信のSNRに基づいて送信出力を選択してもよい。この場合、AP制御装置108はRSSIと同様に、所定の閾値Rmin1よりSNRが低いAPは分散MIMO通信から除外する。また、AP制御装置108はSNRが所定の閾値Rmin2以下の場合はAPの送信出力を増加させ、SNRが所定の閾値Rmax以上の場合はAPの送信出力を低下させる。なお、各閾値の大小関係は、Rmin1<Rmin2<Rmaxである。このように、AP制御装置108は、分散MIMO通信を実行するAPとSTAとの通信の通信品質に関する情報に基づいて、該APから該STAへの送信出力を決定する。
なお、AP制御装置108は、分散MIMO通信が開始されてから所定の時間ごとにRSSIを取得し、APに適切な送信出力およびMCSの少なくともいずれか一方を設定するようにしてもよい。これによりAP制御装置108は分散MIMO通信を実行するAPに常に適切な送信出力やMCSを設定できるようになる。この場合、AP制御装置108は、前回送信出力あるいはMCSを決定した際に用いたRSSIを記憶しておき、新たに通知されたRSSIと記憶しているRSSIの差が所定の値以上になった場合に新たな送信出力またはMCSを決定するようにしてもよい。これにより、RSSIが所定の値以上変化した場合、つまりAPとSTAとの距離が所定の距離以上変化した場合や、APとSTAとの間の遮蔽物の増減などの変化があった場合に、適切な送信出力またはMCSを新たに設定することができるようになる。
なお、分散MIMO通信を実行するAPの内、複数のAPがAP制御装置108としての機能を有している場合、いずれのAPがAP制御装置108として動作するかをネゴシエーションしてもよい。本ネゴシエーションは、図3のステップS301が開始される前に行われ、本ネゴシエーションによってAP制御装置108として動作すると決定されたAPが図3のフローの処理を行う。AP制御装置108としての機能を有しているAPは、それぞれの装置を一意に識別できる識別情報を比較することで、いずれのAPがAP制御装置108として動作するかを決定してもよい。装置を一意に識別できる識別情報とは、例えばMACアドレス、IPアドレス、またはUUIDなどである。なお、MACはMedia Access Control、IPはInternet Protocol、UUIDはUniversally Unique IDentifierの略である。
あるいは、AP制御装置108としての機能を有しているAPは、それぞれのAPが構築するネットワークの識別情報を比較することで、いずれのAPがAP制御装置108として動作するかを決定してもよい。ネットワークの識別情報とは、例えばSSID(Service Set Identifier)あるいはESSID(Extended Service Set Identifier)などである。あるいは、AP制御装置108としての機能を有しているAPは、それぞれのAPが保持する所定の値を比較することで、いずれのAPがAP制御装置108として動作するかを決定してもよい。所定の値とは、分散MIMO通信においてAP制御装置108として機能したい度合いを示す値である。例えば、所定の値が一番高いAPがAP制御装置108として動作する場合、他のAPと比較して性能のよいAPは、より高い所定の値を保持する。なお、所定の値が一番低いAPがAP制御装置108として動作する場合、他のAPと比較して性能のよいAPは、より低い所定の値を保持する。所定の値は、APにプリセットされていてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。
なお、本実施形態において、APである通信装置103、および通信装置104はそれぞれ無線ネットワーク101および無線ネットワーク102を構築するとした。通信装置103および通信装置104は、分散MIMO通信を実行する場合、無線ネットワーク101および無線ネットワーク102のSSIDを同一にしてもよい。あるいはSSIDとは異なるネットワークの識別子を同一にしてもよい。また、通信装置103および通信装置104は、分散MIMO通信を実行する場合、無線ネットワーク101および無線ネットワーク102とは別に、分散MIMO通信を実行するための無線ネットワークを構築してもよい。
なお、本実施形態において、AP制御装置108は分散MIMO通信を行う全APについて図3のフローの処理を行うとしたが、これに限らない。AP制御装置108は分散MIMO通信を行う1台のSTAに対して少なくとも2台のAPについて図3のフローの処理を行うことで、これらのAPとSTAとの通信のRSSIの差を小さくできればよい。例えば、AP制御装置108は、ある1台のSTAとの通信のRSSIの差が最も大きい2台のAPについて図3のフローの処理を行うようにしてもよい。
なお、図3および図4に示したAP制御装置108のフローチャートの少なくとも一部または全部をハードウェアにより実現してもよい。ハードウェアにより実現する場合、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各ステップを実現するためのコンピュータプログラムからFPGA上に専用回路を生成し、これを利用すればよい。FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略である。また、FPGAと同様にしてGate Array回路を形成し、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現するようにしてもよい。
以上、実施形態を詳述したが、本発明は例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記録媒体(記憶媒体)などとしての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェース機器、撮像装置、webアプリケーションなど)から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
101、102 無線ネットワーク
103、104、105、106、107 通信装置
108 AP制御装置

Claims (19)

  1. 通信装置であって、
    無線ネットワークを確立する第1の役割を有する複数の装置が並行して、無線ネットワークに参加する第2の役割を有する第1の装置と複数の伝送チャネルを介して通信を行う場合に、前記複数の装置に含まれる第2の装置と前記第1の装置との間の通信における通信品質に関する第1の情報を取得する取得手段と、
    前記第1の情報が示す値が第1の所定値よりも大きい場合に前記第2の装置の送信電力を減少させる制御を行い、前記第1の情報が示す前記値が第2の所定値よりも小さい場合に前記第2の装置の送信電力を増加させる制御を行う第1の制御手段と、
    前記第1の制御手段が制御する前記送信電力を用いて通信を行う前記第2の装置を含む前記複数の装置が並行して、前記複数の伝送チャネルを介して前記第1の装置と通信を行うように制御することを特徴とする第2の制御手段と、
    を有することを特徴とする通信装置。
  2. 前記複数の伝送チャネルを介した通信は分散MIMO(Multi-Input and Multi-Output)方式の通信であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  3. 前記第1の閾値と前記第2の閾値は同一の値であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  4. 前記第2の制御手段は、前記第1の情報が示すが第3の閾値より小さい場合は、前記第2の装置を除いた複数の装置が並行して前記複数の伝送チャネルを介して前記第1の装置と通信するように制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  5. 前記第1の制御手段によって前記第2の装置の前記送信電力を制御した場合に、前記第2の装置と前記第1の装置との通信で用いられる符号化率および変調方式の少なくともいずれか一方を決定する決定手段を更に有し、
    前記第2の制御手段は、前記第1の制御手段によって制御された前記送信電力および前記決定手段により決定された前記符号化率あるいは前記変調方式を用いて通信する前記第2の装置を含む前記複数の装置により、前記複数の伝送チャネルを利用した通信が前記第1の装置と行われるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  6. 前記第1の情報は、RSSI(Received SignalStrength Indication)またはSNR(Signal-to-Noise Ratio)であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  7. 前記第1の役割を有する装置は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した通信におけるAP(Access Point)であって、前記第2の役割を有する装置は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した通信におけるSTA(Station)であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  8. 前記通信装置は、前記複数の装置に含まれることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  9. 前記複数の装置と前記通信装置は、バックホール回線を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  10. 通信装置の制御方法であって
    無線ネットワークを確立する第1の役割を有する複数の装置が並行して、無線ネットワークに参加する第2の役割を有する第1の装置と複数の伝送チャネルを介して通信を行う場合に、前記複数の装置に含まれる第2の装置と前記第1の装置との間の通信における通信品質に関する第1の情報を取得する取得工程と、
    前記第1の情報が示す値が第1の所定値よりも大きい場合に前記第2の装置の送信電力を減少させる制御を行い、前記第1の情報が示す前記値が第2の所定値よりも小さい場合に前記第2の装置の送信電力を増加させる制御を行う第1の制御工程と、
    前記第1の制御手段が制御する前記送信電力を用いて通信を行う前記第2の装置を含む前記複数の装置が並行して、前記複数の伝送チャネルを介して前記第1の装置と通信を行うように制御することを特徴とする第2の制御工程と、
    を有することを特徴とする制御方法。
  11. 請求項1から9のいずれか1項に記載の通信装置としてコンピュータを動作させるためのプログラム。
  12. 通信装置であって、
    無線ネットワークを確立する第1の役割を有する複数の装置が並行して、無線ネットワークに参加する第2の役割を有する第1の装置と複数の伝送チャネルを介して通信を行う前に、前記複数の装置と前記第1の装置との間の通信における通信品質に関する第1の情報を取得する取得手段と、
    前記第1の情報に基づいて、前記複数の装置に含まれる第2の装置が送信する信号を前記第1の装置が受信する際の信号強度と、前記複数の装置に含まれる第3の装置が送信する信号を前記第1の装置が受信する際の信号強度の差が小さくなるように、少なくとも前記第3の装置の送信電力を制御する第1の制御手段と、
    前記第1の制御手段が制御する前記送信電力を用いて通信を行う前記第3の装置を含む前記複数の装置が並行して、前記複数の伝送チャネルを介して前記第1の装置と通信を行うように制御することを特徴とする第2の制御手段と、
    を有することを特徴とする通信装置。
  13. 前記複数の伝送チャネルを介した通信は分散MIMO(Multi-Input and Multi-Output)方式の通信であることを特徴とする請求項12に記載の通信装置。
  14. 前記第1の情報は、RSSI(Received SignalStrength Indication)またはSNR(Signal-to-Noise Ratio)であることを特徴とする請求項12に記載の通信装置。
  15. 前記第1の役割を有する装置は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した通信におけるAP(Access Point)であって、前記第2の役割を有する装置は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した通信におけるSTA(Station)であることを特徴とする請求項12に記載の通信装置。
  16. 前記通信装置は、前記複数の装置に含まれることを特徴とする請求項12に記載の通信装置。
  17. 前記複数の装置と前記通信装置は、バックホール回線を介して接続されていることを特徴とする請求項12に記載の通信装置。
  18. 通信装置の制御方法であって
    無線ネットワークを確立する第1の役割を有する複数の装置が並行して、無線ネットワークに参加する第2の役割を有する第1の装置と複数の伝送チャネルを介して通信を行う前に、前記複数の装置と前記第1の装置との間の通信における通信品質に関する第1の情報を取得する取得工程と、
    前記第1の情報に基づいて、前記複数の装置に含まれる第2の装置が送信する信号を前記第1の装置が受信する際の信号強度と、前記複数の装置に含まれる第3の装置が送信する信号を前記第1の装置が受信する際の信号強度の差が小さくなるように、少なくとも前記第3の装置の送信電力を制御する第1の制御工程と、
    前記第1の制御手段が制御する前記送信電力を用いて通信を行う前記第3の装置を含む前記複数の装置が並行して、前記複数の伝送チャネルを介して前記第1の装置と通信を行うように制御することを特徴とする第2の制御工程と、
    を有することを特徴とする制御方法。
  19. 請求項12から17のいずれか1項に記載の通信装置としてコンピュータを動作させるためのプログラム。
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