JP2023166876A - 偏光膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】外観に優れ、画像表示装置の表示特性の向上に寄与し得る偏光膜を提供すること。【解決手段】本発明の実施形態による偏光膜の製造方法は、ヨウ素を含み、第一透過率(T1)を有する樹脂膜を第一液に接触させて、前記樹脂膜の透過率を第二透過率(T2)に上昇させる第一工程と、前記樹脂膜を第二液に接触させて、前記樹脂膜の透過率を第三透過率(T3)に下げる第二工程と、をこの順に含む。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光膜の製造方法に関する。
代表的な画像表示装置である液晶表示装置には、その画像形成方式に起因して、液晶セルの両側に偏光膜が配置されている。また、薄型ディスプレイの普及と共に、有機エレクトロルミネセンス(EL)パネルを搭載したディスプレイ(OLED)や、量子ドットなどの無機発光材料を用いた表示パネルを用いたディスプレイ(QLED)が提案されている。これらのパネルは反射性の高い金属層を有しており、外光反射や背景の映り込み等の問題を生じやすい。そこで、偏光膜とλ/4板とを有する円偏光板を視認側に設けることにより、これらの問題を防ぐことが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2)。
特開2002-372622号公報 特許第3325560号公報
上記のように画像表示装置に偏光膜を搭載した際、偏光膜の外観が画像表示装置の表示特性に影響を及ぼす場合がある。例えば、偏光膜にスジが発生していると、画像表示装置においてもそのスジが視認される場合がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、外観に優れ、画像表示装置の表示特性の向上に寄与し得る偏光膜を提供することにある。
1.本発明の実施形態による偏光膜の製造方法は、ヨウ素を含み、第一透過率(T1)を有する樹脂膜を第一液に接触させて、前記樹脂膜の透過率を第二透過率(T2)に上昇させる第一工程と、前記樹脂膜を第二液に接触させて、前記樹脂膜の透過率を第三透過率(T3)に下げる第二工程と、をこの順に含む。
2.上記1に記載の製造方法において、上記第一透過率(T1)は44%以上であってもよい。
3.上記1または2に記載の製造方法において、上記樹脂膜はポリビニルアルコール系樹脂を含み、上記第一液に接触させて、上記樹脂膜の配向性を低下させてもよい。
4.上記1から3のいずれかに記載の製造方法において、上記第一液の温度は60℃以上であってもよい。
5.上記1から4のいずれかに記載の製造方法において、上記第一液はホウ酸水溶液であってもよい。
6.上記1から5のいずれかに記載の製造方法において、上記第一液に接触させる前の上記樹脂膜の水分率は15重量%以下であってもよい。
7.上記1から6のいずれかに記載の製造方法において、上記第二液は水を含んでもよい。
8.上記1から7のいずれかに記載の製造方法において、厚みが22μm以下の偏光膜を得てもよい。
本発明によれば、外観に優れた偏光膜を得ることができる。
本発明の1つの実施形態による積層体の概略の構成を示す模式的な断面図である。 加熱ロールを用いた乾燥の一例を示す概略図である。 本発明の1つの実施形態による偏光板の概略の構成を示す模式的な断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、当該角度は基準方向に対して時計回りおよび反時計回りの両方を包含する。したがって、例えば「45°」は±45°を意味する。
本発明の1つの実施形態による偏光膜の製造方法は、ヨウ素を含み、第一透過率(T1)を有する樹脂膜を第一液に接触させて、その透過率を第二透過率(T2)に上昇させる第一工程を含み、第一工程後に、樹脂膜を第二液に接触させて、その透過率を第三透過率(T3)に下げる第二工程をさらに含み得る。
A.樹脂膜の作製方法
上記樹脂膜は、例えば、樹脂基材上に樹脂層(代表的には、ポリビニルアルコール系樹脂層)を形成して得られる積層体または樹脂フィルム(代表的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム)を、延伸および二色性物質(代表的には、ヨウ素)で染色し、その後、乾燥することにより得ることができる。以下、樹脂膜の作製方法の詳細を、積層体を用いる場合を例に説明する。
A-1.積層体
図1は、本発明の1つの実施形態による積層体の概略の構成を示す模式的な断面図である。積層体1は、熱可塑性樹脂基材(例えば、長尺状の)2とポリビニルアルコール(PVA)系樹脂層3とを有する。好ましくは、積層体1は、熱可塑性樹脂基材2上に、PVA系樹脂とハロゲン化物とを含むPVA系樹脂層3を形成して作製される。具体的には、熱可塑性樹脂基材2上に、PVA系樹脂とハロゲン化物とを含む塗布液を塗布し、乾燥することにより、PVA系樹脂層3を形成する。
上記熱可塑性樹脂基材の厚みは、好ましくは20μm~300μmであり、より好ましくは50μm~200μmである。20μm未満であると、PVA系樹脂層の形成が困難になるおそれがある。300μmを超えると、例えば、後述の水中延伸において、熱可塑性樹脂基材が水を吸収するのに時間を要するとともに、延伸に過大な負荷を要するおそれがある。
熱可塑性樹脂基材の吸水率は、好ましくは0.2%以上であり、さらに好ましくは0.3%以上である。このような熱可塑性樹脂基材は、水を吸収し、水が可塑剤的な働きをして可塑化し得る。その結果、延伸応力を大幅に低下させ、高倍率に延伸し得る。一方、熱可塑性樹脂基材の吸水率は、好ましくは3.0%以下であり、より好ましくは1.0%以下である。このような吸水率によれば、製造時に熱可塑性樹脂基材の寸法安定性が著しく低下して、得られる偏光膜の品質が悪化するなどの不具合を防止することができる。また、水中延伸時に熱可塑性樹脂基材が破断したり、PVA系樹脂層が剥離したりするのを防止することができる。熱可塑性樹脂基材の吸水率は、例えば、構成材料に変性基を導入することにより調整することができる。なお、吸水率は、JIS K 7209に準じて求められる値である。
熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは120℃以下である。このような熱可塑性樹脂基材を用いることにより、PVA系樹脂層の結晶化を抑制しながら、積層体の延伸性を十分に確保することができる。さらに、水による熱可塑性樹脂基材の可塑化と、水中延伸を良好に行うことを考慮すると、Tgは、より好ましくは100℃以下であり、さらに好ましくは90℃以下である。一方、熱可塑性樹脂基材のTgは、好ましくは60℃以上である。このようなTgによれば、上記塗布液を塗布・乾燥する際に、熱可塑性樹脂基材が変形(例えば、凹凸やタルミ、シワ等の発生)するなどの不具合を防止して、良好に積層体を作製することができる。また、上記樹脂層の延伸を、好適な温度(例えば、60℃程度)にて良好に行うことができる。熱可塑性樹脂基材のTgは、例えば、構成材料に変性基を導入する、結晶化材料を用いて加熱することにより調整することができる。なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じて求められる値である。
熱可塑性樹脂基材の構成材料としては、任意の適切な熱可塑性樹脂が採用され得る。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ノルボルネン系樹脂、非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂である。
1つの実施形態においては、非晶質の(結晶化していない)ポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましく用いられる。中でも、非晶性の(結晶化しにくい)ポリエチレンテレフタレート系樹脂が特に好ましく用いられる。非晶性のポリエチレンテレフタレート系樹脂の具体例としては、ジカルボン酸としてイソフタル酸および/またはシクロヘキサンジカルボン酸をさらに含む共重合体や、グリコールとしてシクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコールをさらに含む共重合体が挙げられる。
別の実施形態においては、イソフタル酸ユニットを有するポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましく用いられる。延伸性に極めて優れるとともに、延伸時の結晶化が抑制され得るからである。これは、イソフタル酸ユニットを導入することで、主鎖に大きな屈曲を与えることによるものと考えられる。ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、テレフタル酸ユニットおよびエチレングリコールユニットを有する。イソフタル酸ユニットの含有割合は、全繰り返し単位の合計に対して、好ましくは0.1モル%以上であり、より好ましくは1.0モル%以上である。延伸性に極めて優れた熱可塑性樹脂基材が得られるからである。一方、イソフタル酸ユニットの含有割合は、全繰り返し単位の合計に対して、好ましくは20モル%以下であり、より好ましくは10モル%以下である。後述の乾燥において結晶化度を良好に増加させ得るからである。
熱可塑性樹脂基材は、予め(例えば、PVA系樹脂層を形成する前に)、延伸されていてもよい。1つの実施形態においては、長尺状の熱可塑性樹脂基材の横方向に延伸されている。横方向は、好ましくは、後述の積層体の延伸方向に直交する方向である。なお、本明細書において、「直交」とは、実質的に直交する場合も包含する。ここで、「実質的に直交」とは、90°±5.0°である場合を包含し、好ましくは90°±3.0°、さらに好ましくは90°±1.0°である。熱可塑性樹脂基材の延伸温度は、熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(Tg)に対し、好ましくはTg-10℃~Tg+50℃である。熱可塑性樹脂基材の延伸倍率は、好ましくは1.5倍~3.0倍である。熱可塑性樹脂基材の延伸方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には、固定端延伸でもよいし、自由端延伸でもよい。延伸方式は、乾式でもよいし、湿式でもよい。延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、上記延伸倍率は、各段階の延伸倍率の積である。
上記塗布液は、代表的には、PVA系樹脂とハロゲン化物とを溶媒に溶解させた溶液である。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくは、水である。塗布液におけるPVA系樹脂の含有量は、溶媒100重量部に対して、好ましくは3重量部~20重量部である。このような範囲によれば、熱可塑性樹脂基材に密着した均一な塗布膜を形成することができる。塗布液におけるハロゲン化物の含有量は、PVA系樹脂100重量部に対して、好ましくは5重量部~20重量部である。
上記PVA系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン-ビニルアルコール共重合体は、エチレン-酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%~100モル%であり、好ましくは95.0モル%~99.95モル%であり、より好ましくは99.0モル%~99.93モル%である。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光膜が得られ得る。ケン化度が高すぎる場合には、ゲル化してしまうおそれがある。なお、ケン化度は、JIS K 6726-1994に準じて求めることができる。
PVA系樹脂の平均重合度は、通常1000~10000であり、好ましくは1200~4500であり、より好ましくは1500~4300である。なお、平均重合度は、JIS K 6726-1994に準じて求めることができる。
上記ハロゲン化物としては、任意の適切なハロゲン化物が採用され得る。例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム等のヨウ化物、塩化ナトリウム等の塩化物が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ヨウ化カリウムである。ハロゲン化物を用いることにより、優れた光学特性を有する偏光膜を得ることができる。具体的には、後述の空中補助延伸後のPVA系樹脂の結晶化が促進され、その後の湿式処理(例えば、後述の染色、水中延伸)において、ポリビニルアルコール分子の配向の乱れおよび配向性の低下が抑制され、優れた光学特性を有する偏光膜を得ることができる。
塗布液の調製において、PVA系樹脂100重量部に対して、ハロゲン化物を5重量部~20重量部配合することが好ましく、より好ましくは10重量部~15重量部である。具体的には、得られるPVA系樹脂層におけるハロゲン化物の含有量は、PVA系樹脂100重量部に対し、好ましくは5重量部~20重量部であり、より好ましくは10重量部~15重量部である。PVA系樹脂に対するハロゲン化物の量が多いと、例えば、ハロゲン化物がブリードアウトし、得られる偏光膜が白濁する場合がある。
塗布液に、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤が挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、例えば、得られるPVA系樹脂層の均一性や染色性、延伸性を向上させる目的で使用される。
上記塗布液の塗布方法としては、例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)が挙げられる。塗布液の塗布・乾燥温度は、好ましくは50℃以上である。
上記PVA系樹脂層の厚みは、好ましくは3μm~40μmであり、さらに好ましくは3μm~20μmである。
PVA系樹脂層を形成する前に、熱可塑性樹脂基材に表面処理(例えば、コロナ処理等)を施してもよいし、熱可塑性樹脂基材上に易接着層を形成してもよい。このような処理を行うことにより、熱可塑性樹脂基材とPVA系樹脂層との密着性を向上させることができる。
A-2.延伸
上記延伸は、上記積層体を、乾式延伸(空中補助延伸)した後に、水中延伸することにより行うことが好ましい。補助延伸により、上記熱可塑性樹脂基材の結晶化を抑制しながら延伸することができ、ホウ酸水中延伸において熱可塑性樹脂基材の過度の結晶化により延伸性が低下するという問題を解決し、積層体をより高倍率に延伸することができる。また、熱可塑性樹脂基材を用いる場合、上記塗布温度が低く設定され得ることから、PVA系樹脂の結晶化が相対的に低くなって十分な光学特性が得られないという問題が生じ得る。これに対して、補助延伸を導入することにより、熱可塑性樹脂を用いる場合でも、PVA系樹脂の結晶性を高め得る。また、PVA系樹脂の配向性を事前に高めることで、後の湿式処理時に、PVA系樹脂の配向性の低下や溶解などの問題を防止し得る。こうして、優れた光学特性を有する偏光膜が得られ得る。
空中補助延伸の方法は、固定端延伸(例えば、テンター延伸機を用いて延伸する方法)でもよいし、自由端延伸(例えば、周速の異なるロール間に積層体を通して一軸延伸する方法)でもよい。好ましくは、自由端延伸が採用される。例えば、上記積層体をその長手方向に搬送しながら、加熱ロール間の周速差により延伸する加熱ロール延伸が採用される。1つの実施形態においては、空中補助延伸は、熱空間(ゾーン)におけるゾーン延伸工程と加熱ロール延伸工程とを含む。ゾーン延伸工程と加熱ロール延伸工程の順序は限定されないが、例えば、ゾーン延伸工程および加熱ロール延伸工程がこの順に行われる。別の実施形態においては、テンター延伸機において、フィルム端部を把持し、テンター間の距離を流れ方向に広げることで延伸される(テンター間の距離の広がりが延伸倍率となる)。この時、幅方向(流れ方向に対して垂直方向)のテンターの距離は、好ましくは、流れ方向の延伸倍率に対して、自由端延伸により近くなるように設定される。自由端延伸の場合、幅方向の収縮率は、式:幅方向の収縮率=(1/延伸倍率)1/2で計算される。
空中補助延伸の延伸倍率は、好ましくは2.0倍~3.5倍である。空中補助延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、延伸倍率は、各段階の延伸倍率の積である。空中補助延伸における延伸方向は、好ましくは、後述の水中延伸の延伸方向と略同一である。
空中補助延伸の延伸温度は、例えば、用いる熱可塑性樹脂基材、延伸方式等に応じて、任意の適切な値に設定される。延伸温度は、好ましくは熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(Tg)以上であり、より好ましくはTg+10℃以上であり、さらに好ましくはTg+15℃以上である。一方、延伸温度の上限は、好ましくは170℃である。このような温度で延伸することで、PVA系樹脂の結晶化が急速に進むのを抑制して、当該結晶化による不具合(例えば、延伸によるPVA系樹脂層の配向を妨げる)を抑制することができる。
上記水中延伸は、代表的には、積層体を延伸浴に浸漬させて行う。水中延伸によれば、上記熱可塑性樹脂基材やPVA系樹脂層のガラス転移温度(代表的には、80℃程度)よりも低い温度で延伸し得、PVA系樹脂層を、その結晶化を抑えながら、高倍率に延伸することができる。その結果、優れた光学特性を有する偏光膜を得ることができる。
水中延伸の方法は、固定端延伸でもよいし、自由端延伸(例えば、周速の異なるロール間に積層体を通して一軸延伸する方法)でもよい。好ましくは、自由端延伸が採用される。積層体の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、後述の積層体の延伸倍率は、各段階の延伸倍率の積である。
水中延伸は、好ましくは、積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて行う(ホウ酸水中延伸)。延伸浴としてホウ酸水溶液を用いることで、PVA系樹脂層に、延伸時にかかる張力に耐える剛性と、水に溶解しない耐水性とを付与することができる。具体的には、ホウ酸は、水溶液中でテトラヒドロキシホウ酸アニオンを生成してPVA系樹脂と水素結合により架橋し得る。その結果、PVA系樹脂層に剛性と耐水性とを付与して、良好に延伸することができ、優れた光学特性を有する偏光膜を得ることができる。
上記ホウ酸水溶液は、好ましくは、溶媒である水にホウ酸および/またはホウ酸塩を溶解させることにより得られる。ホウ酸濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部~10重量部であり、より好ましくは2.5重量部~6重量部であり、さらに好ましくは3重量部~5重量部である。ホウ酸濃度を1重量部以上とすることにより、PVA系樹脂層の溶解を効果的に抑制することができ、より高特性の偏光膜を製造することができる。なお、ホウ酸またはホウ酸塩以外に、ホウ砂等のホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等を溶媒に溶解して得られた水溶液も用いることができる。
好ましくは、上記延伸浴(ホウ酸水溶液)にヨウ化物を配合する。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンが挙げられる。ヨウ化物の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは0.05重量部~15重量部であり、より好ましくは0.5重量部~8重量部である。
延伸温度(延伸浴の液温)は、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは60℃以上である。このような温度であれば、PVA系樹脂層の溶解を抑制しながら高倍率に延伸することができる。具体的には、上述のように、熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、PVA系樹脂層の形成との関係で、好ましくは60℃以上である。この場合、延伸温度が40℃を下回ると、水による熱可塑性樹脂基材の可塑化を考慮しても、良好に延伸できないおそれがある。一方、延伸温度は、例えば70℃以下であり、好ましくは67℃以下であり、より好ましくは65℃以下である。延伸温度が高温になるほど、PVA系樹脂層の溶解性が高くなって、優れた光学特性が得られないおそれがある。積層体の延伸浴への浸漬時間は、好ましくは15秒~5分である。
水中延伸による延伸倍率は、好ましくは1.5倍以上であり、より好ましくは3.0倍以上である。積層体の総延伸倍率(空中補助延伸と水中延伸とを組み合わせた延伸倍率)は、積層体の元長に対して、好ましくは5.0倍以上であり、より好ましくは5.5倍以上であり、さらに好ましくは6.0倍以上である。このような高い延伸倍率を達成することにより、光学特性に極めて優れた偏光膜を製造することができる。このような高い延伸倍率は、水中延伸方式(ホウ酸水中延伸)を採用することにより、達成し得る。
A-3.染色
上記染色は、代表的には、PVA系樹脂層にヨウ素を吸着させることにより行う。ヨウ素の吸着方法としては、例えば、ヨウ素を含む染色液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬させる方法、PVA系樹脂層に当該染色液を塗工する方法、当該染色液をPVA系樹脂層に噴霧する方法が挙げられる。好ましくは、染色液(染色浴)に積層体を浸漬させる方法である。ヨウ素が良好に吸着され得るからである。
上記染色液は、好ましくは、ヨウ素水溶液である。ヨウ素の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.05重量部~0.5重量部である。ヨウ素の水に対する溶解度を高めるため、ヨウ素水溶液にヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物の具体例としては、上述のとおりである。好ましくは、ヨウ化カリウムが用いられる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~10重量部であり、より好ましくは0.3重量部~5重量部である。染色液の染色時の液温は、PVA系樹脂の溶解を抑制するため、好ましくは20℃~50℃である。染色液にPVA系樹脂層を浸漬させる場合、浸漬時間は、PVA系樹脂層の透過率を確保するため、好ましくは5秒~5分であり、より好ましくは30秒~90秒である。
染色条件(濃度、液温、浸漬時間)は、例えば、得られる樹脂膜の単体透過率が42%以上であり、偏光度が85%以上となるように設定することができる。このような染色条件としては、例えば、染色液であるヨウ素水溶液において、ヨウ素およびヨウ化カリウムの含有量の比を1:5~1:20とすることが好ましく、より好ましくは1:5~1:10である。
ホウ酸を含有する処理浴に積層体を浸漬させる処理(例えば、後述の不溶化処理)後に連続して染色を行う場合、ホウ酸が染色浴に混入して染色浴のホウ酸濃度が変化し、染色性が不安定になる場合がある。このような染色性の不安定化を抑制するために、染色浴のホウ酸濃度は、水100重量部に対して、好ましくは4重量部以下、より好ましくは2重量部以下となるように調整される。一方で、染色浴のホウ酸濃度は、水100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上であり、より好ましくは0.2重量部以上であり、さらに好ましくは0.5重量部以上である。1つの実施形態においては、予めホウ酸を含む染色浴を用いて染色する。このような形態によれば、ホウ酸が染色浴に混入した場合のホウ酸濃度の変化の割合を低減し得る。予め染色浴に配合するホウ酸の配合量(上記処理浴に由来しないホウ酸の含有量)は、水100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~2重量部であり、より好ましくは0.5重量部~1.5重量部である。
A-4.その他の処理
必要に応じて、上記空中補助延伸の後、水中延伸および染色の前に、不溶化処理を行う。不溶化処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与し、水に浸漬した時のPVAの配向低下を防止することができる。不溶化処理におけるホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部~4重量部である。不溶化処理の温度(ホウ酸水溶液の液温)は、好ましくは20℃~50℃である。
必要に応じて、染色の後、水中延伸の前に、架橋処理を行う。架橋処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与し、後の水中延伸においてPVAの配向低下を防止することができる。架橋処理におけるホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部~5重量部である。ホウ酸水溶液にヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部~5重量部である。架橋処理の温度(ホウ酸水溶液の液温)、好ましくは20℃~50℃である。
好ましくは、水中延伸の後、後述の乾燥の前に、洗浄を行う。洗浄は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。
A-5.乾燥
上記乾燥は、任意の適切な方式および条件において行い得る。具体的には、ゾーン全体を加熱すること(ゾーン加熱方式)により行ってもよいし、搬送ロールを加熱すること(加熱ロール方式)により行ってもよい。好ましくは加熱ロール方式を採用し、より好ましくはその両方を採用する。加熱ロールを用いることにより、効率的に積層体の加熱カールを抑制して、品質に優れた偏光膜を製造することができる。具体的には、加熱ロールに積層体を沿わせた状態で乾燥することにより、上記熱可塑性樹脂基材の結晶化を効率的に促進させて結晶化度を増加させることができ、比較的低い乾燥温度であっても、熱可塑性樹脂基材の結晶化度を良好に増加させることができる。その結果、熱可塑性樹脂基材は、その剛性が増加して、乾燥によるPVA系樹脂層の収縮に耐え得る状態となり、カールが抑制される。また、加熱ロールを用いることにより、積層体を平らな状態に維持しながら乾燥できるので、カールだけでなくシワの発生も抑制することができる。
乾燥により、積層体を幅方向に収縮させ、光学特性を向上させることができる。PVAおよびPVA/ヨウ素錯体の配向性を効果的に高めることができるからである。乾燥による積層体の幅方向の収縮率は、好ましくは1%~10%であり、より好ましくは2%~8%であり、さらに好ましくは4%~6%である。加熱ロールを用いることにより、積層体を搬送しながら連続的に幅方向に収縮させることができ、高い生産性を実現することができる。
図2は、加熱ロールを用いた乾燥の一例を示す概略図である。図示例では、所定の温度に加熱された搬送ロールR1~R6と、ガイドロールG1~G4とにより、積層体200を搬送しながら乾燥させる。図示例では、PVA樹脂層の面と熱可塑性樹脂基材の面を交互に連続加熱するように搬送ロールR1~R6が配置されているが、例えば、積層体200の一方の面(たとえば熱可塑性樹脂基材面)のみを連続的に加熱するように搬送ロールR1~R6を配置してもよい。
搬送ロールの加熱温度(加熱ロールの温度)、加熱ロールの数、加熱ロールとの接触時間等を調整することにより、乾燥条件を制御することができる。加熱ロールの温度は、好ましくは60℃~120℃であり、より好ましくは65℃~100℃であり、さらに好ましくは70℃~80℃である。このような温度によれば、熱可塑性樹脂の結晶化度を増加させてカールを抑制し得るとともに、積層体に極めて優れた耐久性を付与し得る。なお、加熱ロールの温度は、接触式温度計により測定することができる。図示例では、6個の搬送ロールが設けられているが、搬送ロールは複数個であれば特に制限はない。搬送ロールは、通常2個~40個、好ましくは4個~30個設けられる。積層体と加熱ロールとの接触時間(総接触時間)は、好ましくは1秒~300秒であり、より好ましくは1~20秒であり、さらに好ましくは1~10秒である。
加熱ロールは、加熱炉(例えば、オーブン)内に設けてもよいし、通常の製造ライン(室温環境下)に設けてもよい。好ましくは、送風手段を備える加熱炉内に設けられる。加熱ロールによる乾燥と熱風乾燥とを併用することにより、加熱ロール間での急峻な温度変化を抑制することができ、幅方向の収縮を容易に制御することができる。熱風乾燥の温度は、好ましくは30℃~100℃である。また、熱風乾燥時間は、好ましくは1秒~300秒である。熱風の風速は、好ましくは10m/s~30m/s程度である。なお、当該風速は加熱炉内における風速であり、ミニベーン型デジタル風速計により測定することができる。
A-6.樹脂膜
後述の第一工程に供される樹脂膜の水分率は、例えば15重量%以下であり、好ましくは12重量%以下であり、より好ましくは9重量%以下であり、さらに好ましくは6重量%以下である。一方、樹脂膜の水分率は、例えば3重量%以上である。上記乾燥を経た樹脂膜は、このような水分率を満足し得る。
後述の第一工程に供される樹脂膜は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。樹脂膜の単体透過率(Ts)は、例えば42%以上であり、好ましくは44%以上である。透過率が高くなるほど、スジが視認されやすい傾向にある。一方、樹脂膜の単体透過率(Ts)は、例えば49%以下である。なお、単体透過率を、単に、透過率と称する場合がある。そして、後述の第一工程に供される樹脂膜の透過率を第一透過率(T1)と称する場合がある。
後述の第一工程に供される樹脂膜の偏光度(P)は、例えば85%以上であり、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。一方、樹脂膜の偏光度は、例えば99.996%以下である。
上記単体透過率は、代表的には、紫外可視分光光度計を用いて測定し、視感度補正を行なったY値である。上記偏光度は、代表的には、紫外可視分光光度計を用いて測定して視感度補正を行なった平行透過率Tpおよび直交透過率Tcに基づいて、下記式により求められる。
偏光度(%)={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
後述の第一工程に供される樹脂膜の配向性(PVAの配向性)は、例えば0.20以上であり、好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.30以上である。一方、樹脂膜の配向性(PVAの配向性)は、例えば0.40以下である。
後述の第一工程に供される樹脂膜の厚みは、例えば22μm以下であり、16μm以下であってもよく、12μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、6μm以下であってもよい。一方、樹脂膜の厚みは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上である。
B-1.第一工程
上述のとおり、第一工程では、上記樹脂膜を第一液に接触させる。好ましくは、樹脂膜を第一液に浸漬させる。樹脂膜を第一液に浸漬させる際、樹脂膜の片側は、任意の適切な支持基材で支持(保護)されていてもよい。1つの実施形態においては、支持基材として、上記樹脂基材を用いる。具体的には、樹脂膜から樹脂基材を剥離させないで(上記積層体の状態で)、樹脂膜を第一液に浸漬させる。別の実施形態においては、支持基材として、後述の保護層を用いる。例えば、上記積層体の樹脂膜表面に保護層を積層した後、樹脂膜から樹脂基材を剥離して保護層と樹脂膜との積層物を作製し、この積層物を第一液に浸漬させる。第一液に浸漬させる際、樹脂膜は長尺状であってもよいし、枚葉状であってもよい。
第一液に接触させることで、樹脂膜の透過率を第一透過率(T1)から第二透過率(T2)に上昇させる。このように樹脂膜の透過率を上昇させることにより、外観に優れた偏光膜を得ることができる。具体的には、もともと樹脂膜に含まれる成分(例えば、ホウ酸イオン、ヨウ素イオン)が樹脂膜を出入りして、樹脂膜の透過率が上昇し、樹脂膜に生じたスジを消失させ得る。第二透過率(T2)と第一透過率(T1)との差は、好ましくは1.5%以上であり、より好ましくは3%以上であり、5%以上であってもよく、7%以上であってもよい。一方、第二透過率(T2)と第一透過率(T1)との差は、好ましくは10%以下である。第二透過率(T2)は、例えば45%以上であり、好ましくは47%以上である。一方、第二透過率(T2)は、好ましくは55%以下である。
第一液に接触させることで、樹脂膜の偏光度(P)は低下し得る。第一液の接触前後における樹脂膜の偏光度(P)の差は、例えば10%~20%である。第一液の接触後の樹脂膜の偏光度(P)は、例えば65%~97%である。
第一液に接触させることで、樹脂膜の配向性(PVAの配向性)を低下させることが好ましい。配向性の低下により、もともと樹脂膜に含まれる成分の出入りが促進され得る。第一液の接触前後における樹脂膜の配向性(PVAの配向性)の差は、例えば0.05~0.2である。第一液の接触後の樹脂膜の配向性(PVAの配向性)は、例えば0.10~0.30である。
樹脂膜に接触させる際の第一液の温度は、好ましくは60℃以上であり、65℃以上であってもよく、70℃以上であってもよく、75℃以上であってもよい。このような温度の第一液を用いることにより、樹脂膜の透過率を良好に上昇させ得る。一方、第一液の温度は、例えば90℃以下であり、好ましくは85℃以下である。
第一液への浸漬時間(接触時間)は、例えば、上記第一液の温度、樹脂膜の厚み、第一液に含まれる成分の濃度等に応じて設定される。第一液への浸漬時間は、例えば1分~60分であり、好ましくは2分~30分である。
第一液は、代表的には水性溶媒(好ましくは、水)を含む。第一液として、ホウ酸水溶液が好ましく用いられる。ホウ酸水溶液を用いることにより、樹脂膜の透過率を良好に上昇させ得る。例えば、第一液の温度を高く(例えば、60℃以上に)しても、第一液に樹脂膜を溶解させることなく樹脂膜の透過率を上昇させ得る。ホウ酸水溶液の濃度は、好ましくは3重量%以上であり、4重量%以上であってもよい。一方、ホウ酸の溶解度の観点から、ホウ酸水溶液の濃度は、例えば8重量%以下であり、7重量%以下であってもよい。
第一液は、ヨウ素化合物を含むことが好ましい。ヨウ素化合物を含むことにより、もともと樹脂膜に含まれる成分の出入りが促進され得る。上記ヨウ素化合物の具体例としては、ヨウ素、ヨウ化カリウム等のヨウ化物が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
第一液におけるヨウ素の濃度は、好ましくは0.002重量%以上である。一方、第一液におけるヨウ素の濃度は、好ましくは0.01重量%以下であり、より好ましくは0.005重量%以下である。このような濃度によれば、樹脂膜の透過率を良好に上昇させ得る。
第一液におけるヨウ化物の濃度は、例えば0.007重量%以上であり、好ましくは2重量%以上である。一方、第一液におけるヨウ化物の濃度は、好ましくは10重量%以下である。このような濃度によれば、樹脂膜の透過率を良好に上昇させ得る。
B-2.第二工程
上述のとおり、第二工程では、上記樹脂膜を第二液に接触させる。代表的には、樹脂膜を第二液に浸漬させる。上記第一工程と同様、樹脂膜を第二液に浸漬させる際、樹脂膜の片側は、任意の適切な支持基材で支持(保護)されていることが好ましい。その詳細は上述のとおりである。第二液に接触させることにより、樹脂膜は洗浄され得る(例えば、ホウ酸洗浄)。また、第二液に接触させることにより、得られる偏光膜の色相を調整し得る。
第二液に接触させることで、樹脂膜の透過率を第二透過率(T2)から第三透過率(T3)に下げ得る。第三透過率(T3)は、後述の偏光膜の単体透過率(Ts)に相当する。1つの実施形態においては、得られる偏光膜の所望の光学特性(例えば、単体透過率、偏光度)に応じて、第二液による処理条件を調整する。第二透過率(T2)と第三透過率(T3)との差は、例えば0.1%~10%である。
第二液に接触させることで、樹脂膜の偏光度(P)は上昇し得る。第二液の接触前後における樹脂膜の偏光度(P)の差は、例えば0.1%~20%である。なお、第二液接触後の樹脂膜の偏光度(P)は、後述の偏光膜の偏光度(P)に相当する。
第二液に接触させることで、樹脂膜の配向性(PVAの配向性)は上昇し得る。第二液の接触前後における樹脂膜の配向性(PVAの配向性)の差は、例えば0.01~0.10である。第二液の接触後の樹脂膜の配向性(PVAの配向性)は、例えば0.15~0.35である。
樹脂膜に接触させる際の第二液の温度は、代表的には、常温に設定される。例えば、15℃~40℃である。第二液への浸漬時間(接触時間)は、例えば1秒~1分である。
第二液は、代表的には水性溶媒(好ましくは、水)を含む。第二液は、ヨウ化カリウム等のヨウ化物を含んでいてもよい。ヨウ化物を含むことにより、得られる偏光膜の青味が抑制され得る。ヨウ化物第二液におけるヨウ化物の濃度は、例えば0重量%~6重量%である。
B-3.その他の工程
上記第二工程を経た樹脂膜(偏光膜)は乾燥され得る。乾燥温度は、例えば30℃~60℃である。乾燥時間は、例えば15秒~3分である。
C.偏光膜
本発明の実施形態による製造方法により得られる偏光膜は、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示し得る。偏光膜の単体透過率(Ts)は、好ましくは42%以上であり、44%以上であってもよく、46%以上であってもよい。このような透過率によれば、搭載される画像表示装置の消費電力の削減に寄与し得る。本発明の実施形態による製造方法によれば、高い透過率と優れた外観を兼ね備えた偏光膜を得ることができる。一方、偏光膜の単体透過率(Ts)は、例えば55%以下であり、50%以下であってもよく、48%以下であってもよい。
偏光膜の偏光度(P)は、例えば70%以上であり、好ましくは75%以上であり、より好ましくは85%以上である。一方、偏光膜の偏光度は、例えば98%以下である。
偏光膜の配向性(PVAの配向性)は、好ましくは0.20以上であり、より好ましくは0.25以上である。一方、樹脂膜の配向性(PVAの配向性)は、例えば0.35以下である。
偏光膜の厚みは、例えば22μm以下であり、16μm以下であってもよく、12μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、6μm以下であってもよい。一方、偏光膜の厚みは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上である。
D.偏光板
本発明の1つの実施形態による偏光板は、上記偏光膜と、この偏光膜の少なくとも片側に配置される保護層または位相差層とを有する。
図3は、本発明の1つの実施形態による偏光板の概略の構成を示す模式的な断面図である。偏光板(位相差層付偏光板)100は、互いに対向する第一主面10aおよび第二主面10bを有する偏光膜10と、偏光膜10の第一主面10a側(例えば、視認側)に配置される保護層20と、偏光膜10の第二主面10b側に配置される位相差層30および粘着剤層40とを有する。位相差層30は、単一層であってもよいし、二層以上が積層された積層構造を有していてもよい。また、偏光膜10と位相差層30との間に第二保護層が配置されていてもよい。
図示しないが、偏光板は、その他の機能層をさらに有していてもよい。偏光板が有し得る機能層の種類、特性、数、組み合わせ、配置等は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、偏光板は、導電層または導電層付等方性基材をさらに有していてもよい。導電層または導電層付等方性基材を有する偏光板(位相差層付偏光板)は、例えば、画像表示パネル内部にタッチセンサが組み込まれた、いわゆるインナータッチパネル型入力表示装置に適用される。別の例としては、偏光板は、その他の位相差層をさらに有していてもよい。その他の位相差層の光学的特性(例えば、屈折率特性、面内位相差、Nz係数、光弾性係数)、厚み、配置等は、目的に応じて適切に設定され得る。具体例として、偏光膜10の視認側には、偏光サングラスを介して視認する場合の視認性を改善するその他の位相差層(代表的には、(楕)円偏光機能を付与する層、超高位相差を付与する層)が設けられていてもよい。このような層を有することにより、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認した場合でも、優れた視認性を実現することができる。したがって、得られる偏光板(位相差層付偏光板)は、屋外で用いられ得る画像表示装置にも好適に適用され得る。
偏光板を構成する各部材は、任意の適切な接着層(図示せず)を介して積層され得る。接着層の具体例としては、接着剤層、粘着剤層が挙げられる。具体的には、位相差層30は、接着剤層を介して(好ましくは、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いて)偏光膜10または第二保護層に貼り合わせられてもよいし、粘着剤層を介して偏光膜10または第二保護層に貼り合わせられてもよい。位相差層30が二層以上の積層構造を有する場合、それぞれの位相差層は、例えば、接着剤層を介して(好ましくは、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いて)貼り合わせられる。
図示しないが、粘着剤層40の表面には、実用的には、はく離ライナーが貼り合わせられる。はく離ライナーは、偏光板が使用に供されるまで仮着され得る。はく離ライナーを用いることにより、例えば、粘着剤層40を保護するとともに、偏光板のロール形成が可能となる。
偏光板は、長尺状であってもよいし、枚葉状であってもよい。本明細書において、「長尺状」とは、幅に対して長さが十分に長い細長形状をいい、例えば、幅に対して長さが10倍以上、好ましくは20倍以上の細長形状をいう。長尺状の偏光板は、ロール状に巻回可能である。
D-1.保護層
上記保護層は、偏光膜の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成され得る。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン等のシクロオレフィン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂が挙げられる。
上記偏光板は、代表的には、画像表示装置の視認側に配置される。したがって、保護層20には、必要に応じて、ハードコート(HC)処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。
保護層の厚みは、好ましくは5μm~80μm、より好ましくは10μm~40μm、さらに好ましくは10μm~30μmである。なお、上記表面処理が施されている場合、保護層の厚みは、表面処理層の厚みを含めた厚みである。
偏光膜10と位相差層30との間に配置される第二保護層は、1つの実施形態においては、光学的に等方性であることが好ましい。本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm~10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が-10nm~+10nmであることをいう。
1つの実施形態においては、上記樹脂基材を偏光膜の保護層としてそのまま用い得る。このような形態によれば、製造工程を少なくすることができる。
D-2.位相差層
位相差層30は、上述のとおり、単一層であってもよく、積層構造(例えば、二層構造)を有していてもよい。
位相差層30は、用途等に応じて、任意の適切な光学的特性を有し得る。1つの実施形態においては、位相差層30は、λ/4板として機能し得る第一位相差層を含む。第一位相差層は、代表的には、屈折率特性がnx>ny=nzの関係を示す。位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm~190nmであり、より好ましくは110nm~170nmであり、さらに好ましくは120nm~160nmである。なお、ここで「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny>nzまたはny<nzとなる場合があり得る。
上記第一位相差層のNz係数は、好ましくは0.9~1.5であり、より好ましくは0.9~1.3である。第一位相差層は、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示してもよい。この場合、位相差層のRe(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1未満であり、より好ましくは0.8以上0.95以下である。
位相差層30は、所望の特性を満足し得る限りにおいて、任意の適切な材料で構成され得る。具体的には、位相差層は、樹脂フィルム(延伸フィルム)であってもよく、液晶化合物の配向固化層であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
D-3.粘着剤層
粘着剤層40としては、任意の適切な構成が採用され得る。具体例としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、およびポリエーテル系粘着剤が挙げられる。粘着剤のベース樹脂を形成するモノマーの種類、数、組み合わせおよび配合比、ならびに、架橋剤の配合量、反応温度、反応時間等を調整することにより、目的に応じた所望の特性を有する粘着剤を調製することができる。粘着剤のベース樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ベース樹脂は、好ましくはアクリル樹脂である(具体的には、粘着剤層は、好ましくはアクリル系粘着剤で構成される)。粘着剤層40の厚みは、例えば10μm~20μmである。
D-4.偏光板の作製
偏光板は、代表的には、上記第一工程および第二工程を経て得られた偏光膜に、位相差層等の各種層を積層することにより得ることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、厚みおよび樹脂膜の水分率は下記の測定方法により測定した値である。また、特に明記しない限り、実施例および比較例における「部」および「%」は重量基準である。
1.厚み
10μm以下の厚みは、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、製品名「JSM-7100F」)を用いて測定した。10μmを超える厚みは、デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC-351C」)を用いて測定した。
2.樹脂膜の水分率
樹脂膜単体(樹脂基材から剥離した状態の樹脂膜)を120℃、2時間の条件で乾燥し、乾燥前後の重量変化量を測定することにより樹脂膜に含まれる水分量を求め、水分率を算出した。
[実施例1]
(樹脂膜の作製)
熱可塑性樹脂基材として、長尺状で、吸水率0.75%、Tg約75℃である、非晶質のイソフタル共重合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm)を用いた。樹脂基材の片面に、コロナ処理を施した。
ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ410」)を9:1で混合したPVA系樹脂100重量部に、ヨウ化カリウム13重量部を添加し、PVA水溶液(塗布液)を調製した。
樹脂基材のコロナ処理面に、上記PVA水溶液を塗布して60℃で乾燥することにより、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、130℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.4倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸)。
次いで、積層体を、液温40℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素とヨウ化カリウムを1:7の重量比で配合して得られたヨウ素水溶液)に、得られる樹脂膜の単体透過率(Ts)が43%以上となるように濃度を調整しながら60秒間浸漬させた(染色)。
次いで、液温40℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温64℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度4.0重量%)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸)。
その後、積層体を液温20℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄)。
その後、90℃に保たれたオーブン中で乾燥しながら、表面温度が75℃に保たれたSUS製の加熱ロールに約2秒接触させた(乾燥)。乾燥収縮処理による積層体の幅方向の収縮率は5.2%であった。
このようにして、樹脂基材上に、厚み5.5μm、水分率4.4%の樹脂膜を形成した。
次いで、得られた樹脂膜の片面(樹脂基材が配置されていない面)に、紫外線硬化型接着剤を介して、厚み27μmのHC-シクロオレフィン系樹脂(COP)フィルムを貼り合わせた後に、樹脂膜から樹脂基材を剥離し、HC-COPフィルムと樹脂膜との積層物を得た。なお、HC-COPフィルムは、シクロオレフィン系樹脂(COP)フィルム(厚み25μm)にHC層(厚み2μm)が形成されたフィルムであり、COPフィルムが樹脂膜側となるようにして貼り合わせた。
得られた積層物を、ホウ酸濃度が6%、ヨウ化カリウム濃度が2%で80℃の第一液(水溶液)に8分間浸漬させた。その後、常温の水浴(第二液)に15秒間浸漬させた後、60℃にて1分間乾燥することにより、HC-COPフィルムと偏光膜とを有する偏光板を得た。
[実施例2]
第二液としてヨウ化カリウム水溶液(濃度2%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、HC-COPフィルムと偏光膜とを有する偏光板を得た。
[実施例3]
第一液としてホウ酸濃度が5%、ヨウ素濃度が0.005%で80℃の水溶液を用いたこと、および、第一液への浸漬時間を5分としたこと以外は実施例1と同様にして、HC-COPフィルムと偏光膜とを有する偏光板を得た。
[実施例4]
第二液としてヨウ化カリウム水溶液(濃度2%)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、HC-COPフィルムと偏光膜とを有する偏光板を得た。
[比較例1]
第一液および第二液を用いた処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、HC-COPフィルムと偏光膜とを有する偏光板を得た。
[比較例2]
第一液としてホウ酸濃度が4%、ヨウ素濃度が0.003%で50℃の水溶液を用いたこと、および、第一液への浸漬時間を30分としたこと以外は実施例1と同様にして、HC-COPフィルムと偏光膜とを有する偏光板を得た。
[比較例3]
染色条件を調整したこと以外は比較例1と同様にして、HC-COPフィルムと偏光膜とを有する偏光板を得た。
[参考例1]
(樹脂膜の作製)
厚み30μmのPVA系樹脂フィルム(クラレ製、商品名「PE3000」)の長尺ロールを、ロール延伸機により総延伸倍率が6.5倍になるように、長手方向に66℃で一軸延伸しながら、同時に膨潤、染色、架橋および洗浄処理を施し、最後に乾燥処理を施すことにより厚み12μm、水分率11%の樹脂膜を作製した。
上記膨潤処理は20℃の純水で処理しながら延伸した。次いで、染色処理は得られる樹脂膜の単体透過率が42%以上となるようにヨウ素濃度が調整されたヨウ素とヨウ化カリウムの重量比が1:7である30℃の水溶液中において処理しながら延伸した。次いで、架橋処理は、2段階の架橋処理を採用し、1段階目の架橋処理は40℃のホウ酸とヨウ化カリウムを溶解した水溶液において処理しながら延伸した。1段階目の架橋処理の水溶液のホウ酸含有量は5.0重量%で、ヨウ化カリウム含有量は3.0重量%とした。2段階目の架橋処理は65℃のホウ酸とヨウ化カリウムを溶解した水溶液において処理しながら延伸した。2段階目の架橋処理の水溶液のホウ酸含有量は4.3重量%で、ヨウ化カリウム含有量は5.0重量%とした。次いで、洗浄処理は、20℃のヨウ化カリウム水溶液で処理した。洗浄処理の水溶液のヨウ化カリウム含有量は2.6重量%とした。最後に、70℃で5分間乾燥処理して樹脂膜を得た。
得られた樹脂膜の片面に、紫外線硬化型接着剤を介して、厚み27μmのHC-COPフィルムを貼り合わせ、HC-COPフィルムと樹脂膜との積層物(偏光板)を得た。
[参考例2]
参考例1の積層物を、ホウ酸濃度が6%、ヨウ素濃度が0.003%で80℃の第一液(水溶液)に10分間浸漬させた。その後、常温の水浴(第二液)に15秒間浸漬させた後、60℃にて1分間乾燥することにより、HC-COPフィルムと偏光膜とを有する偏光板を得た。
[参考例3]
染色条件を調整したこと以外は参考例1と同様にして、HC-COPフィルムと偏光膜とを有する偏光板を得た。
実施例、比較例および参考例について、下記の評価を行った。評価結果を表1および表2にまとめる。
<評価>
・単体透過率および偏光度
樹脂膜および偏光膜(樹脂膜/HC-COPフィルムおよび偏光膜/HC-COPフィルム)について、紫外可視分光光度計(日本分光社製、V-7100)を用いて測定した単体透過率Ts、平行透過率Tp、直交透過率Tcをそれぞれ、偏光膜のTs、TpおよびTcとした。これらのTs、TpおよびTcは、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値である。
得られたTpおよびTcから、下記式により偏光度Pを求めた。
偏光度P(%)={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
・色相(aおよびb)
樹脂膜および偏光膜(樹脂膜/HC-COPフィルムおよび偏光膜/HC-COPフィルム)について、紫外可視分光光度計(日本分光社製、V-7100)を用いて単体色相を測定した。
・配向性
フーリエ変換赤外分光分析装置(パーキンエルマー社製、型式「Frontier FT-IR」)を用い、ATR法にて、樹脂膜および偏光膜のスペクトルを測定し、得られたスペクトル結果から樹脂膜および偏光膜の配向性(PVAの配向性)を算出した。具体的には、樹脂膜および偏光膜に対し、偏光入射0°および90°についてスペクトルを測定し、-OHに由来する2940cm-1および3300cm-1のピーク強度比a(I2940/I3330)を算出した。そして、二色比として、強度比a(入射角0°のとき)と強度比a(入射角90°のとき)の比b(a0°/a90°)を算出し、配向性の指標として、c=(1-b)/[(2b+1)×(-2)]を算出した。ここで、cの値が高いほど、PVAの配向性が高いといえる。
・外観1
得られた偏光板を用いて評価用積層体を作製した。具体的には、下記の位相差層を、偏光板の偏光膜側にアクリル系粘着剤層(15μm)を介して貼り合わせた後、位相差層にアクリル系粘着剤層(15μm)を介して反射シート(東レフィルム加工社製、「セラピールDMS-X42」)を貼り合わせ、評価用積層体を得た。なお、反射シートの分光測色計(コニカミノルタ社製、「CM-2600d」)によりSCIモードで測定した反射率は88%であった。
得られた評価用積層体を偏光板側から見たときの外観(スジの有無)を、目視により観察した。
(評価基準)
良好:スジは確認されない
不良:スジが確認される
(位相差層を構成する延伸フィルムの作製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン29.60質量部(0.046mol)、イソソルビド(ISB)29.21質量部(0.200mol)、スピログリコール(SPG)42.28質量部(0.139mol)、ジフェニルカーボネート(DPC)63.77質量部(0.298mol)及び触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10-2質量部(6.78×10-5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネート系樹脂を水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。
得られたポリエステルカーボネート系樹脂(ペレット)を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東芝機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み135μmの長尺状の樹脂フィルムを作製した。得られた長尺状の樹脂フィルムを、幅方向に、延伸温度143℃、延伸倍率2.8倍で延伸し、厚み47μmの延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムのRe(550)は143nmであり、Re(450)/Re(550)は0.86であり、Nz係数は1.12であった。
上記で得られた延伸フィルムに、紫外線硬化型接着剤(硬化後の厚み:1.0μm)を介して、nz>nx=nyの屈折率特性を示すフィルム(大日本印刷株式会社製、「MCP-N(100)」、Rth(550):-135nm)を貼り合わせて位相差層を構成する積層フィルムを得た。
・外観2
LEDバックライト(Altek製、トプコンテクノハウス製「SR-UL1R」により測定角1.0degで高さ50cmの条件で測定した輝度は7200cd)を点灯させた状態で、その上に、第一偏光板(Nitto製、「SEG1224DUHC」、透過率43%)、得られた偏光板および第二偏光板(Nitto製、「SEG1224DUHC」、透過率43%)をこの順に配置させ、第二偏光板上から見たときの外観(スジの有無)を、目視により観察した。3枚の偏光板は隣り合う偏光板の吸収軸方向が直交するように配置させた(3枚クロス法)。また、第一偏光板および第二偏光板はガラス板に貼り合わせた状態で配置させた。
(評価基準)
良好:スジは確認されない
不良:スジが確認される
Figure 2023166876000002
Figure 2023166876000003
比較例では偏光膜の吸収軸方向(延伸方向)に沿ってスジが視認されたが、実施例ではスジは視認されなかった。比較例2では、第一液による処理により、PVAの配向性は変化せずに透過率が低下した(染色された)ことがわかる。実施例では、第一液による処理により、PVAの配向性が低下し(PVA鎖が緩み)、ホウ酸イオンの出入りによりPVAが均一に再架橋され、ヨウ素イオンの出入りによりヨウ素が均一に吸着され、透過率が均一化し、スジが消失したと考えられる。
本発明の実施形態による偏光膜は、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機EL表示装置等の画像表示装置に好適に用いられる。
1 積層体
2 熱可塑性樹脂基材
3 ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂層
10 偏光膜
20 保護層
30 位相差層
40 粘着剤層
100 偏光板

Claims (8)

  1. ヨウ素を含み、第一透過率(T1)を有する樹脂膜を第一液に接触させて、前記樹脂膜の透過率を第二透過率(T2)に上昇させる第一工程と、
    前記樹脂膜を第二液に接触させて、前記樹脂膜の透過率を第三透過率(T3)に下げる第二工程と、
    をこの順に含む、偏光膜の製造方法。
  2. 前記第一透過率(T1)は44%以上である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記樹脂膜はポリビニルアルコール系樹脂を含み、前記第一液に接触させて、前記樹脂膜の配向性を低下させる、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記第一液の温度は60℃以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記第一液はホウ酸水溶液である、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記第一液に接触させる前の前記樹脂膜の水分率は15重量%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記第二液は水を含む、求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 厚みが22μm以下の偏光膜を得る、請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法。
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