JP2023165909A - 電子機器、推定方法、及び推定プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便に被検者の健康状態を推定することができる電子機器、推定方法、及び推定プログラムを提供する。【解決手段】電子機器は、被検者の脈波を取得するセンサ部と、脈波のピークにおける脈波の変位と、脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点における脈波の変位と、の比を含む、脈波の変位の比に基づいて、被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定する制御部と、を備える。制御部は、脈波の変位の比を回帰分析に基づく推定式に適用することにより、被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定する。脈波のピークは、脈波の時間変化におけるピークであり、脈波の変位は、脈波の時間変化における振幅の変位である。脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点は、被検者の脈波伝搬速度、年齢、性別、及び、健康状態の少なくとも1つに基づいて決定される。【選択図】図17

Description

本開示は、測定された生体情報から、被検者の健康状態を推定する電子機器、推定方法、及び推定プログラムに関する。
従来、被検者(ユーザ)の健康状態を推定する手段として血液成分の測定、血液の流動性の測定が行われている。これらは、被検者から採血された血液を用いて測定が行われる。また、被検者の手首等の被検部位から生体情報を測定する電子機器が知られている。例えば、特許文献1には、被検者が手首に装着することにより、被検者の脈拍を測定する電子機器が記載されている。
特開2002-360530号公報
しかしながら、採血には痛みが伴うため、日常的に自身の健康状態を推定することが難しい。また、特許文献1に記載の電子機器は、脈拍を測定するだけのものであり、脈拍以外の被検者の健康状態を推定することはできない。
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、簡便に被検者の健康状態を推定することができる電子機器、推定方法、及び推定プログラムを提供することにある。
電子機器の一態様は、
被検者の脈波を取得するセンサ部と、
前記脈波のピークにおける脈波の変位と、前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点における脈波の変位と、の比を含む、前記脈波の変位の比に基づいて、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定する制御部と、
を備える。
前記制御部は、前記脈波の変位の比を回帰分析に基づく推定式に適用することにより、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定する。
前記脈波のピークは、前記脈波の時間変化におけるピークである。
前記脈波の変位は、前記脈波の時間変化における振幅の変位である。
前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点は、前記被検者の脈波伝搬速度、年齢、性別、及び、健康状態の少なくとも1つに基づいて決定される。
推定方法の一態様は、
電子機器により実行される推定方法であって、
被検者の脈波を取得するステップと、
前記脈波のピークにおける脈波の変位と、前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点における脈波の変位と、の比を含む、前記脈波の変位の比に基づいて、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定するステップと、を含む。
前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定するステップは、前記脈波の変位の比を回帰分析に基づく推定式に適用することにより、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定する。
前記脈波のピークは、前記脈波の時間変化におけるピークである。
前記脈波の変位は、前記脈波の時間変化における振幅の変位である。
前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点は、前記被検者の脈波伝搬速度、年齢、性別、及び、健康状態の少なくとも1つに基づいて決定される。
推定プログラムの一態様は、
電子機器に、
被検者の脈波を取得するステップと、
前記脈波のピークにおける脈波の変位と、前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点における脈波の変位と、の比を含む、前記脈波の変位の比に基づいて、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定するステップと、
を実行させる。
前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定するステップは、前記脈波の変位の比を回帰分析に基づく推定式に適用することにより、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定する。
前記脈波のピークは、前記脈波の時間変化におけるピークである。
前記脈波の変位は、前記脈波の時間変化における振幅の変位である。
前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点は、前記被検者の脈波伝搬速度、年齢、性別、及び、健康状態の少なくとも1つに基づいて決定される。
本開示によれば、簡便に被検者の健康状態を推定することができる電子機器、推定方法、及び推定プログラムを提供できる。
一実施形態に係る電子機器の一例の概略構成を示す模式図である。 図1の電子機器の概略構成を示す断面図である。 図1の電子機器の使用状態の一例を示す図である。 一実施形態に係る電子機器の一例の概略的な外観斜視図である。 図4の電子機器を装着した状態を示す概略図である。 図4の電子機器の正面視における外装部及びセンサ部を示す概略図である。 正面視における被検者の手首とセンサ部の第1のアームとの位置関係を模式的に示す概略図である。 正面視における被検者の手首とセンサ部の第1のアームと測定部の外装部との位置関係を模式的に示す概略図である。 電子機器の機能ブロック図である。 電子機器における、脈波に基づく推定方法の一例を説明する図である。 加速度脈波の一例を示す図である。 センサ部で取得された脈波の一例を示す図である。 電子機器における、脈波の変化に基づく推定方法の他の一例を説明する図である。 図1の電子機器が用いる推定式の作成フロー図である。 脈波の一例を示す図である。 加速度脈波の一例を示す図である。 脈波の一例を示す図である。 本実施形態における食前の脈波形を示すグラフである。 本実施形態における食後の脈波形を示すグラフである。 ニューラルネットワーク回帰分析の一例について説明する図である。 ニューラルネットワーク回帰分析の一例について説明する図である。 ニューラルネットワーク回帰分析の学習データを示すグラフである。 ニューラルネットワーク回帰分析の検証データを示すグラフである。 推定式を用いて被検者の食後の血糖値を推定するフロー図である。 複数の推定式を用いて被検者の食後の血糖値を推定するフロー図である。 第2実施形態に係る電子機器が用いる推定式の作成フロー図である。 図24のフローにより作成された推定式を用いて被検者の食後の脂質値を推定するフロー図である。 一実施形態に係るシステムの概略構成を示す模式図である。 脈波の一例を示す図である。
以下、実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、一実施形態に係る電子機器の第1例の概略構成を示す模式図である。図1に示す第1例の電子機器100は、装着部110と、測定部120とを備える。図1は、被検部に接触する裏面120aから第1例の電子機器100を観察した図である。
電子機器100は、被検者が電子機器100を装着した状態で、被検者の生体情報を測定する。電子機器100が測定する生体情報は、被検者の脈波を含む。一実施形態においては、第1例の電子機器100は、被検者の手首に装着された状態で、脈波を取得してもよい。
一実施形態において、装着部110は直線状の細長い帯状のバンドである。脈波の測定は、例えば被検者が電子機器100の装着部110を手首に巻きつけた状態で行われる。具体的には、被検者は、測定部120の裏面120aが被検部位に接触するように装着部110を手首に巻きつけて、脈波の測定を行う。電子機器100は、被検者の尺骨動脈又は橈骨動脈を流れる血液の脈波を測定する。
図2は、第1例の電子機器100の断面図である。図2は、測定部120と、測定部120の周辺の装着部110とを図示している。
測定部120は、装着時に被検者の手首に接触する裏面120aと、裏面120aと反対側の表面120bとを有する。測定部120は、裏面120a側に開口部111を有する。センサ部130は、第1例の電子機器100を装着時に被検者の手首に接触する第1端と、測定部120に接する第2端とを有する。センサ部130は、弾性体140が押圧されていない状態において、開口部111から裏面120a側に第1端が突出している。センサ部130の第1端は、脈あて部132を有する。センサ部130の第1端は、裏面120aの平面とほぼ垂直な方向に変位可能である。センサ部130の第2端は、軸部133を介して測定部120に接している。
センサ部130の第1端は、弾性体140を介して測定部120に接している。センサ部130の第1端は、測定部120に対して変位可能である。弾性体140は、例えば、ばねを含む。弾性体140は、ばねに限らず、他の任意の弾性体、例えば樹脂、スポンジ等であってもよい。また、弾性体140に代えて、若しくは弾性体140と共に、センサ部130の回転軸133に、ねじりコイルばね等の付勢機構を設けて、センサ部130の脈あて部132を被検者の血液の脈波の測定対象となる被検部位に接触させてもよい。
なお、測定部120には制御部、記憶部、通信部、電源部、報知部、及びこれらを動作させる回路、接続するケーブル等が配置されていてもよい。
センサ部130は、センサ部130の変位を検出する角速度センサ131を備える。角速度センサ131はセンサ部130の角度変位を検出する。センサ部130が備えるセンサは、角速度センサ131に限らず、例えば加速度センサ、角度センサ、その他のモーションセンサであってもよいし、これらのセンサを複数備えていてもよい。
第1例の電子機器100は、測定部120の表面120b側に、入力部141を備える。入力部141は、被検者からの操作入力を受け付けるものであり、例えば、操作ボタン(操作キー)から構成される。入力部141は、例えばタッチスクリーンにより構成されていてもよい。
図3は、被検者による第1例の電子機器100の使用状態の一例を示す図である。被検者は、第1例の電子機器100を手首に巻きつけて使用する。第1例の電子機器100は、測定部120の裏面120aが手首に接触した状態で装着される。測定部120は、第1例の電子機器100を手首に巻きつけられた状態で、尺骨動脈又は橈骨動脈が存在する位置に脈あて部132が接触するように、その位置を調整できる。
図3では、第1例の電子機器100の装着状態において、センサ部130の第1端は、被検者の左手の親指側の動脈である橈骨動脈上の皮膚に接触している。測定部120とセンサ部130との間に配置される弾性体140の弾性力により、センサ部130の第1端は、被検者の橈骨動脈上の皮膚に接触している。センサ部130は、被検者の橈骨動脈の動き、すなわち脈動に応じて変位する。角速度センサ131は、センサ部130の変位を検出し、脈波を取得する。脈波とは、血液の流入によって生じる血管の容積時間変化を体表面から波形としてとらえたものである。
再び図2を参照すると、センサ部130は、弾性体140が押圧されていない状態において、開口部111から第1端が突出している。被検者が第1例の電子機器100を装着した際、センサ部130の第1端は被検者の橈骨動脈上の皮膚に接触しており、脈動に応じて、弾性体140は伸縮し、センサ部130の第1端は変位する。弾性体140は、脈動を妨げず、かつ脈動に応じて伸縮するように、適度な弾性率を有するものが用いられる。開口部111の開口幅Wは、血管径、一実施形態では橈骨動脈径より大きい幅を有する。測定部120に開口部111を設けることにより、第1例の電子機器100の装着状態において、測定部120の裏面120aは橈骨動脈を圧迫しない。そのため、第1例の電子機器100はノイズの少ない脈波の取得が可能となり、測定の精度が向上する。
図3では、第1例の電子機器100を手首に装着し、橈骨動脈における脈波を取得する例を示したが、第1例の電子機器100は、例えば、被検者の首において、頸動脈を流れる血液の脈波を取得してもよい。具体的には、被検者は、脈あて部132を頸動脈の位置に軽く押し当てて、脈波の測定を行ってもよい。また、被検者は、脈あて部132が頸動脈の位置にくるように、第1例の電子機器100を首に巻きつけて装着してもよい。
図4は、一実施形態に係る電子機器の第2例の概略的な外観斜視図である。図4に示す第2例の電子機器100は、装着部210と、基部211と、基部211に取り付けられた固定部212及び測定部220と、を備える。
本実施形態において、基部211は、略長方形の平板形状に構成されている。本明細書では、図4に示すように、平板形状の基部211の短辺方向をx軸方向、平板形状の基部211の長辺方向をy軸方向、平板形状の基部211の直交方向をz軸方向として、以下説明する。また、第2例の電子機器100の一部は、本明細書で説明するように可動に構成されているが、本明細書において第2例の電子機器100に関する方向を説明する場合には、特に言及されない限り、図4に示す状態におけるx、y及びz軸方向を示すこととする。また、本明細書において、z軸正方向を上、z軸負方向を下といい、x軸正方向を、第2例の電子機器100の正面という。
第2例の電子機器100は、被検者が装着部210を用いて第2例の電子機器100を装着した状態で、被検者の生体情報を測定する。第2例の電子機器100が測定する生体情報は、測定部220で測定可能な被検者の脈波である。第2例の電子機器100は、一例として、被検者の手首に装着して、脈波を取得するとして、以下説明を行う。
図5は、図4の第2例の電子機器100を被検者が装着した状態を示す概略図である。被検者は、装着部210と、基部211と、測定部220とによって形成される空間に手首を通し、手首を装着部210で固定することにより、図5に示すように電子機器100を装着できる。図4及び図5に示す例では、被検者は、x軸方向に沿って、x軸正方向に向かって、装着部210と、基部211と、測定部220とによって形成される空間に手首を通して第2例の電子機器100を装着する。被検者は、例えば、後述する測定部220の脈あて部132が、尺骨動脈又は橈骨動脈が存在する位置に接触するように、第2例の電子機器100を装着する。第2例の電子機器100は、被検者の手首において、尺骨動脈又は橈骨動脈を流れる血液の脈波を測定する。
測定部220は、本体部221と、外装部222と、センサ部130とを備える。センサ部130は、本体部221に取り付けられている。測定部220は、結合部223を介して、基部211に取り付けられている。
結合部223は、基部211に対して、基部211の表面に沿って回転可能な態様で、基部211に取り付けられていてよい。すなわち、図4に示す例では、結合部223は、矢印Aで示すように、基部211に対してxy平面上で回転可能な態様で、基部211に取り付けられていてよい。この場合、結合部223を介して基部211に取り付けられている測定部220の全体が、基部211に対してxy平面上で回転可能となる。
外装部222は、結合部223を通る軸S1上において、結合部223と連結されている。軸S1は、x軸方向に延びる軸である。このようにして外装部222が結合部223に連結されることにより、外装部222は、結合部223に対し、基部211が延在するxy平面に交差する平面に沿って変位可能である。すなわち、外装部222は、基部211が延在するxy平面に、軸S1を中心として所定の角度傾斜することができる。例えば、外装部222は、yz平面などxy平面に対して所定の傾きを持った面上に乗った状態で変位することができる。本実施形態では、外装部222は、図4の矢印Bで示すように、軸S1を中心に、xy平面に直交するyz平面上で回転可能な態様で、結合部223に連結されることができる。
外装部222は、第2例の電子機器100の装着状態において被検者の手首に接触する接触面222aを有する。外装部222は、接触面222a側に、開口部225を有していてよい。外装部222は、本体部221を覆うように構成されていてよい。
外装部222は、内側の空間内に、z軸方向に延びる軸部224を備えてよい。本体部221は、軸部224を通すための穴を有し、当該穴に軸部224が通された状態で、本体部221が外装部222の内側の空間に取り付けられている。すなわち、本体部221は、図4の矢印Cで示すように、外装部222に対して、軸部224を中心にxy平面上で回転可能な態様で、外装部222に取り付けられている。つまり、本体部221は、外装部222に対して、基部211の表面であるxy平面に沿って回転可能な態様で、外装部222に取り付けられている。また、本体部221は、図4の矢印Dで示すように、軸部224に沿って、すなわちz軸方向に沿って、外装部222に対して、上下方向に変位可能な態様で、外装部222に取り付けられている。
センサ部130は、本体部221に取り付けられている。ここで、図6を参照して、センサ部130の詳細について説明する。センサ部130は、第2例の電子機器100の正面視における外装部222及びセンサ部130を示す概略図である。図6において、センサ部130のうち、正面視で外装部222と重なる部分については、破線で表現されている。
センサ部130は、第1のアーム134と、第2のアーム135とを備える。第2のアーム135は、本体部221に固定される。第2のアーム135の下側の一端135aは、第1のアーム134の一端134aと接続されている。第1のアーム134は、図6の矢印Eで示すように、一端134aを軸として、他端134b側がyz平面上で回転可能な態様で、第2のアーム135と接続されている。
第1のアーム134の他端134b側は、弾性体140を介して第2のアーム135の上側の他端135b側に接続されている。第1のアーム134は、弾性体140が押圧されていない状態において、センサ部130の他端134bが外装部222の開口部225から接触面222a側に突出した状態で、第2のアーム135に支持される。弾性体140は、例えばばねである。但し、弾性体140は、ばねに限られず、他の任意の弾性体、例えば樹脂又はスポンジ等とすることができる。また、弾性体140に代えて、若しくは弾性体140と共に、第1のアーム134の回転軸S2に、ねじりコイルばね等の付勢機構を設けて、第1のアーム134の脈あて部132を被検者の血液の脈波の測定対象となる被検部位に接触させてもよい。
第1のアーム134の他端134bには、脈あて部132が結合されている。脈あて部132は、第2例の電子機器100の装着状態において、被検者の血液の脈波の測定対象となる被検部位に接触させる部分である。本実施形態では、脈あて部132は、例えば尺骨動脈又は橈骨動脈が存在する位置に接触に接触する。脈あて部132は、被検者の脈拍による体表面の変化を吸収しにくい素材により構成されていてよい。脈あて部132は、被検者が接触状態において痛みを感じにくい素材により構成されていてよい。例えば、脈あて部132は、内部にビーズを詰めた布製の袋等により構成されていてよい。脈あて部132は、例えば第1のアーム134に着脱可能に構成されていてよい。例えば、被検者は、複数の大きさ及び/又は形状の脈あて部132のうち、自身の手首の大きさ及び/又は形状に合わせて、1つの脈あて部132を第1のアーム134に装着してもよい。これにより、被検者は、自身の手首の大きさ及び/又は形状に合わせた脈あて部132を使用できる。
センサ部130は、第1のアーム134の変位を検出する角速度センサ131を備える。角速度センサ131は第1のアーム134の角度変位を検出できればよい。センサ部130が備えるセンサは、角速度センサ131に限らず、例えば加速度センサ、角度センサ、その他のモーションセンサとしてもよいし、これら複数のセンサを備えていてもよい。
図5に示すように、本実施形態では、第2例の電子機器100の装着状態において、脈あて部132は、被検者の右手の親指側の動脈である橈骨動脈上の皮膚に接触している。第2のアーム135と第1のアーム134との間に配置される弾性体140の弾性力により、第1のアーム134の他端134b側に配置された脈あて部132は、被検者の橈骨動脈上の皮膚に接触している。第1のアーム134は、被検者の橈骨動脈の動き、すなわち脈動に応じて変位する。角速度センサ131は、第1のアーム134の変位を検出することにより、脈波を取得する。脈波とは、血液の流入によって生じる血管の容積時間変化を体表面から波形としてとらえたものである。
図6に示すように、第1のアーム134は、弾性体140が押圧されていない状態において、開口部225から他端134bが突出した状態である。被検者に電子機器100を装着した際、第1のアーム134に結合された脈あて部132は、被検者の橈骨動脈上の皮膚に接触する。脈動に応じて弾性体140が伸縮し、脈あて部132が変位する。弾性体140は、脈動を妨げず、かつ脈動に応じて伸縮するように、適度な弾性率を有するものが用いられる。開口部225の開口幅Wは、血管径、つまり本実施形態では橈骨動脈径より十分大きい幅を有する。外装部222に開口部225を設けることにより、第2例の電子機器100の装着状態において、外装部222の接触面222aは橈骨動脈を圧迫しない。そのため、第2例の電子機器100はノイズの少ない脈波の取得が可能となり、測定の精度が向上する。
固定部212は、基部211に固定されている。固定部212は、装着部210を固定するための固定機構を備えていてよい。装着部210は、第2例の電子機器100が脈波の測定を行うために用いられる各種機能部を内部に備えていてよい。例えば、固定部212は、後述する入力部、制御部、電源部、記憶部、通信部、報知部、及びこれらを動作させる回路、接続するケーブル等を備えていてよい。
装着部210は、被検者が手首を第2例の電子機器100に固定するために用いられる機構である。図4に示す例では、装着部210は、細長い帯状のバンドである。図4に示す例では、装着部210は、一端210aが測定部220の上端に結合され、基部211の内部を通って、他端210bがy軸正方向側に位置するように、配置されている。被検者は、例えば、右手首を、装着部210と、基部211と、測定部220とによって形成される空間に通し、脈あて部132が右手首の橈骨動脈上の皮膚に接触するように調整しながら、左手で装着部210の他端210bをy軸正方向に引く。被検者は、右手首が第2例の電子機器100に固定される程度に他端210bを引き、その状態で装着部210を固定部212の固定機構により固定する。このようにして、被検者は、片手(本実施形態では左手)で第2例の電子機器100を装着できる。また、装着部210を用いて手首を第2例の電子機器100に固定することにより、第2例の電子機器100の装着状態を安定させることができる。これにより、測定中に手首と第2例の電子機器100との位置関係が変化しにくくなるため、安定して脈波を測定することが可能となり、測定の精度が向上する。
次に、第2例の電子機器100の装着時における、第2例の電子機器100の可動部の動きについて説明する。
被検者は、第2例の電子機器100を装着するとき、上述のように、x軸方向に沿って、装着部210と、基部211と、測定部220とによって形成される空間に手首を通す。このとき、測定部220は、基部211に対して、図4の矢印Aの方向に回転可能に構成されていることから、被検者は、測定部220を、図4の矢印Aで示す方向に回転させて手首を通すことができる。このように測定部220が回転可能に構成されていることにより、被検者は、自身と第2例の電子機器100との位置関係に応じて、測定部220の方向を適宜変えながら、手首を通すことができる。このようにして、第2例の電子機器100によれば、被検者が第2例の電子機器100を装着しやすくなる。
被検者は、装着部210と、基部211と、測定部220とによって形成される空間に手首を通したあと、脈あて部132を手首の橈骨動脈上の皮膚に接触させる。ここで、本体部221が、図4の矢印Dの方向に変位可能に構成されていることから、本体部221に結合されたセンサ部130の第1のアーム134も、図7に示すように、z軸方向である矢印Dの方向に変位可能である。そのため、被検者は、脈あて部132が橈骨動脈上の皮膚に接触するように、自身の手首の大きさ及び太さ等に合わせて、第1のアーム134を矢印Dの方向に変位させることができる。被検者は、変位させた位置で、本体部221を固定することができる。このようにして、第2例の電子機器100によれば、センサ部130の位置を、測定に適した位置に調整しやすくなる。そのため、第2例の電子機器100によれば、測定の精度が向上する。なお、図4に示す例では、本体部221がz軸方向に沿って変位可能であると説明したが、本体部221は、必ずしもz軸方向に沿って変位可能に構成されていなくてもよい。本体部221は、例えば手首の大きさ及び太さ等に合わせて位置を調整可能に構成されていればよい。例えば、本体部221は、基部211の表面であるxy平面に交差する方向に沿って変位可能に構成されていてよい。
ここで、脈あて部132は、橈骨動脈上の皮膚において、皮膚表面に対して直交する方向に接触していると、第1のアーム134に対して伝達される脈動が大きくなる。すなわち、脈あて部132の変位方向(図3の矢印Eで示す方向)が、皮膚表面に対して直交する方向である場合、第1のアーム134に対して伝達される脈動が大きくなり、脈動の取得精度が向上し得る。第2例の電子機器100において、本体部221及び本体部221に結合されたセンサ部130は、図4の矢印Cで示すように、外装部222に対して、軸部224を中心に回転可能に構成されている。これにより、被検者は、脈あて部132の変位方向が皮膚表面に対して直交する方向となるように、センサ部130の方向を調整することができる。すなわち、第2例の電子機器100は、センサ部130の方向を、脈あて部132の変位方向が皮膚表面に対して直交する方向となるように調整可能である。このようにして、第2例の電子機器100によれば、被検者の手首の形状に応じて、センサ部130の方向を調整することができる。これにより、第1のアーム134に対して、被検者の脈動の変化がより伝達されやすくなる。そのため、第2例の電子機器100によれば測定の精度が向上する。
被検者は、図8(A)に示すように脈あて部132を手首の橈骨動脈上の皮膚に接触させたあと、手首を第2例の電子機器100に固定するために、装着部210の他端210bを引く。ここで、外装部222が図4の矢印Bの方向に回転可能に構成されていることから、被検者が装着部210を引くと、外装部222は、軸S1を中心として回転し、上端側がy軸負方向に変位する。すなわち、外装部222は、図8(B)に示すように、上端側がy軸負方向に変位する。第1のアーム134は、弾性体140を介して第2のアーム135に接続されているため、外装部222の上端側がy軸負方向に変位することにより、弾性体140の弾性力により、脈あて部132が橈骨動脈側に付勢される。これにより、脈あて部132は、より確実に脈動の変化をとらえやすくなる。そのため、第2例の電子機器100によれば測定の精度が向上する。
外装部222の回転方向(矢印Bで示す方向)と、第1のアーム134の回転方向(矢印Eで示す方向)とは、略平行であってよい。外装部222の回転方向と第1のアーム134の回転方向とが平行に近いほど、外装部222の上端側をy軸負方向に変位させたときに、弾性体140の弾性力が効率的に第1のアーム134にかかる。なお、外装部222の回転方向と第1のアーム134の回転方向が略平行な範囲は、外装部222の上端側がy軸負方向に変位したときに、弾性体140の弾性力が第1のアーム134にかけられる範囲を含む。
ここで、図8に示す外装部222の正面側の面222bは、上下方向に長い略長方形状である。面222bは、y軸負方向側の辺上の上端側に、切り欠き222cを有する。切り欠き222cにより、図8(B)に示すように外装部222の上端側がy軸負方向に変位しても、面222bは橈骨動脈上の皮膚に接触しにくい。そのため、橈骨動脈の脈動が、面222bに接触して妨げられることを防止しやすくなる。
さらに、図8(B)に示すように外装部222の上端側がy軸負方向に変位したとき、切り欠き222cにおける下方側の端部222dが、手首の橈骨動脈とは異なる位置で接触する。端部222dが手首に接触することにより、外装部222は当該接触位置以上にy軸負方向に変位しなくなる。そのため、端部222dにより、外装部222が所定位置以上に変位することを防止することができる。仮に、外装部222が所定位置以上にy軸負方向に変位すると、弾性体140の弾性力により、第1のアーム134が橈骨動脈側に強く付勢される。これにより、橈骨動脈の脈動が妨げられやすくなる。第2例の電子機器100では、外装部222が端部222dを有することにより、第1のアーム134から橈骨動脈に過度な圧力がかかることを防止でき、その結果、橈骨動脈の脈動が妨げられにくくなる。このように、端部222dは、外装部222の変位可能な範囲を制限するストッパとして機能する。
本実施形態において、第1のアーム134の回転軸S2は、図8に示すように面222bのy軸負方向側の辺から離間した位置に配置されていてよい。回転軸S2が面222bのy軸負方向側の辺の近辺に配置されている場合、第1のアーム134が被検者の手首に接触することにより、橈骨動脈の脈動による変化を正確にとらえられなくなる場合がある。回転軸S2が面222bのy軸負方向側の辺から離間した位置に配置されることにより、手首に第1のアーム134が接触する可能性を低減することができ、これにより、第1のアーム134は、より正確に脈動の変化をとらえやすくなる。
被検者は、装着部210の他端210bを引き、その状態で装着部210を固定部212の固定機構により固定することにより、手首に第2例の電子機器100を装着する。このように手首に装着された状態で、第2例の電子機器100は、第1のアーム134が脈動の変化に合わせて矢印Eで示す方向に変化することにより、被検者の脈波を測定する。
上述した電子機器100の第1例及び第2例は、電子機器100の構成の一例を示すものにすぎない。従って、電子機器100の形態は、第1例及び第2例で示すものに限られない。電子機器100は、被検者の脈波を測定可能な構成を有していればよい。
図9は、第1例又は第2例の電子機器100の機能ブロック図である。電子機器100は、センサ部130と、入力部141と、制御部143と、電源部144と、記憶部145と、通信部146と、報知部147とを含む。第1例の電子機器100において、制御部143、電源部144、記憶部145、通信部146及び報知部147は、測定部120又は装着部110の内部に含まれていてもよい。第2例の電子機器100において、制御部143、電源部144、記憶部145、通信部146及び報知部147は、固定部212の内部に含まれていてもよい。
センサ部130は、角速度センサ131を含み、被検部位から脈動を検出して脈波を取得する。
制御部143は、電子機器100の各機能ブロックをはじめとして、電子機器100の全体を制御及び管理するプロセッサである。また、制御部143は、取得された脈波から、被検者の血糖値を推定するプロセッサである。制御部143は、制御手順を規定したプログラム及び被検者の血糖値を推定するプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される。これらのプログラムは、例えば記憶部145等の記憶媒体に格納される。また、制御部143は、脈波から算出した指標に基づいて、被検者の糖代謝又は脂質代謝等に関する状態を推定する。制御部143は、報知部147へのデータの報知を行ってもよい。
電源部144は、例えばリチウムイオン電池並びにその充電及び放電のための制御回路等を備え、電子機器100全体に電力を供給する。電源部144は、リチウムイオン電池等の二次電池に限らず、例えばボタン電池等の一次電池であってもよい。
記憶部145は、プログラム及びデータを記憶する。記憶部145は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の非一過的(non-transitory)な記憶媒体を含んでよい。記憶部145は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。記憶部145は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。記憶部145は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。記憶部145は、各種情報や電子機器100を動作させるためのプログラム等を記憶するとともに、ワークメモリとしても機能する。記憶部145は、例えばセンサ部130により取得された脈波の測定結果を記憶してもよい。
通信部146は、外部装置と有線通信又は無線通信を行うことにより、各種データの送受信を行う。通信部146は、例えば、健康状態を管理するために被検者の生体情報を記憶する外部装置と通信を行う。通信部146は、電子機器100が測定した脈波の測定結果や、電子機器100が推定した健康状態を、当該外部装置に送信する。
報知部147は、音、振動、及び画像等で情報を報知する。報知部147は、スピーカ、振動子、及び表示デバイスを備えていてもよい。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro-Luminescence Display)等とすることができる。一実施形態において、報知部147は、例えば、被検者の糖代謝又は脂質代謝の状態を報知する。
一実施形態に係る電子機器100は、糖代謝の状態を推定する。一実施形態では、電子機器100が、糖代謝の状態として、血糖値を推定する。
電子機器100は、例えば回帰分析により作成した推定式に基づいて、被検者の血糖値を推定する。電子機器100は、脈波に基づいて血糖値を推定するための推定式を、例えばあらかじめ記憶部145に記憶している。電子機器100は、これらの推定式を用いて、血糖値を推定する。
ここで、脈波に基づく血糖値の推定に関する推定理論について説明する。食後、血中の血糖値が上昇することにより、血液の流動性の低下(粘性の増加)、血管の拡張及び循環血液量の増加が発生し、これらの状態が平衡するように血管動態及び血液動態が定まる。血液の流動性の低下は、例えば血漿の粘度が増加したり、赤血球の変形能が低下したりすることにより生じる。また、血管の拡張は、インスリンの分泌、消化ホルモンの分泌、及び体温の上昇等により生じる。血管が拡張すると、血圧低下を抑制するため、脈拍数が増加する。また、循環血液量の増加は、消化及び吸収のための血液消費を補うものである。これらの要因による、食後の血管動態及び血液動態は、脈波にも反映される。そのため、電子機器100は、脈波に基づいて、血糖値を推定することができる。
上記推定理論に基づき、血糖値を推定するための推定式は、複数の被験者から得た、食後の脈波及び血糖値のサンプルデータに基づいて、回帰分析を行うことで作成することができる。推定時には、被検者の脈波に基づく指標に、作成された推定式を適用することにより、被検者の血糖値を推定できる。推定式の作成において、特に、血糖値のばらつきが正規分布に近いサンプルデータを用いて回帰分析を行って推定式を作成することにより、検査対象となる被検者の血糖値を推定することができる。推定式は、例えば、PLS(Partial Least Squares:部分的最小二乗)回帰分析により作成されてよい。PLS回帰分析では、目的変数(推定対象の特徴量)と説明変数(推定のために使用する特徴量)との共分散を利用し、両者の相関の高い成分から順に変数に追加して重回帰分析を行なうことにより、回帰係数行列が算出される。
ここで、本明細書において、食前は、食事を行う前であり、例えば空腹時である。本明細書において、食後は、食事を行った後であり、例えば食事を行ってから所定時間後の、食事の影響が血液に反映される時間をいう。本実施形態で説明するように、電子機器100が血糖値を推定する場合には、食後は血糖値が上昇する時間(例えば食事を開始してから1時間程度)であってよい。
図10は、脈波に基づく推定方法の一例を説明する図であり、脈波の一例を示す。血糖値を推定するための推定式は、例えば、年齢、脈波の立ち上がりを示す指標(立上り指標)Slと、AI(Augmentation Index)と、脈拍数PRとに関する回帰分析により作成される。
立上り指標Slは、図10の領域D1で示す波形に基づいて導出される。具体的には、立上り指標Slは、脈波を2回微分して導出される加速度脈波における、最初の極大値に対する最初の極小値の比である。立上り指標Slは、例えば図11に一例として示す加速度脈波では、b/aにより表される。立上り指標Slは、食後における血液の流動性の低下、インスリンの分泌及び体温の上昇による血管の拡張(弛緩)等により、小さくなる。なお、加速度脈波b/aにおいて、bは負でaは正である。この場合、b/aは負になる。b/aが小さくなるということは、bがマイナス側に伸びていく状態を意味する。
AIは、脈波の前進波と反射波との大きさの比で表される指標である。AIの導出方法について、図12を参照しながら説明する。図12は、電子機器100を用いて手首で取得された脈波の一例を示す図である。図12は、角速度センサ131を脈動の検知手段として用いた場合のものである。図12は、角速度センサ131で取得された角速度を時間積分したものであり、横軸は時間、縦軸は角度を表す。取得された脈波は、例えば被検者の体動が原因のノイズを含む場合があるので、DC(Direct Current)成分を除去するフィルタによる補正を行い、脈動成分のみを抽出してもよい。
脈波の伝播は、心臓から押し出された血液による拍動が、動脈の壁や血液を伝わる現象である。心臓から押し出された血液による拍動は、前進波として手足の末梢まで届き、その一部は血管の分岐部、血管径の変化部等で反射され反射波として戻ってくる。AIは、この反射波の大きさを前進波の大きさで除したものであり、AI=(PRn-PSn)/(PFn-PSn)で表される。ここで、AIは脈拍毎のAIである。AIは、例えば、脈波の測定を数秒間行い、脈拍毎のAI(n=1~nの整数)の平均値AIaveを算出したものであってもよい。AIは、図10の領域D2で示す波形に基づいて導出される。AIは、食後における血液の流動性の低下及び体温上昇による血管の拡張等により、低くなる。
脈拍数PRは、図10に示す脈波の周期TPRに基づいて導出される。脈拍数PRは、食後において上昇する。
電子機器100は、年齢、立上り指標Sl、AI及び脈拍数PRに基づいて作成した推定式により、血糖値が推定可能である。
図13は、脈波に基づく推定方法の他の一例を説明する図である。図13(A)は脈波を示し、図13(B)は図13(A)の脈波をFFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier Transform)した結果を示す。血糖値を推定するための推定式は、例えばFFTにより導出される基本波及び高調波成分(フーリエ係数)に関する回帰分析により作成される。図13(B)に示すFFTの結果におけるピーク値は、脈波の波形の変化に基づいて変化する。そのため、フーリエ係数に基づいて作成した推定式により、血糖値が推定可能である。
電子機器100は、上述した立上り指標Sl、AI及び脈拍数PR、並びにフーリエ係数等に基づいて、推定式を使用して、被検者の血糖値を推定する。
ここで、電子機器100が、被検者の血糖値を推定する場合に用いる推定式の作成方法について説明する。推定式の作成は、電子機器100で実行される必要はなく、事前に別のコンピュータ等を用いて作成されてもよい。本明細書では、推定式を作成する機器を、推定式作成装置と称して説明する。作成された推定式は、被検者が電子機器100により血糖値の推定を行う前に、例えばあらかじめ記憶部145に記憶される。
図14は、電子機器100が用いる推定式の作成フロー図である。推定式は、被験者の食後の脈波を脈波計を用いて測定するとともに、被験者の食後の血糖値を血糖計を用いて測定し、測定により取得したサンプルデータに基づいて、回帰分析を行うことにより作成される。取得するサンプルデータは、食後に限られず、血糖値の変動が大きい時間帯のデータであればよい。
推定式の作成において、まず、脈波計により測定された、食後の被験者の脈波に関する情報が推定式作成装置に入力される(ステップS101)。
また、血糖計により測定された、食後の被験者の血糖値に関する情報が、推定式作成装置に入力される(ステップS102)。ステップS102において入力される血糖値は、例えば採血を行うことにより、血糖計によって測定される。また、ステップS101又はステップS102において、各サンプルデータの被験者の年齢も入力されてよい。
推定式作成装置は、ステップS101及びステップS102において入力されたサンプルデータのサンプル数が、回帰分析を行うために十分なN以上となったか否かを判断する(ステップS103)。サンプル数Nは適宜決定することができ、例えば100とすることができる。推定式作成装置は、サンプル数がN未満であると判断した場合(Noの場合)、サンプル数がN以上となるまで、ステップS101及びステップS102を繰り返す。一方、推定式作成装置は、サンプル数がN以上となったと判断した場合(Yesの場合)、ステップS104に移行して、推定式の算出を実行する。
推定式の算出において、推定式作成装置は、入力された食後の脈波を解析する(ステップS104)。例えば、推定式作成装置は、食後の脈波の立上り指標Sl、AI及び脈拍数PRについて解析を行う。なお、推定式作成装置は、脈波の解析として、FFT解析を行ってもよい。
そして、推定式作成装置は、回帰分析を実行する(ステップS105)。回帰分析における目的変数は、食後の血糖値である。また、回帰分析における説明変数は、ステップS101又はステップS102で入力された年齢と、ステップS104で解析された食後の脈波の立上り指標Sl、AI及び脈拍数PRとである。なお、推定式作成装置がステップS104でFFT解析を行う場合、説明変数は、例えばFFT解析の結果として算出されるフーリエ係数であってもよい。
推定式作成装置は、回帰分析の結果に基づいて、食後の血糖値を推定するための推定式を作成する(ステップS106)。
ところで、脈波の波形によっては、AIの検出が難しい場合がある。図15は、脈波の一例を示す図である。図15に示す脈波は、反射波の影響が大きく、2つ目のピークが表れている。図16は、図15に示す脈波の加速度脈波を示す図である。反射波の影響は、例えば図16に示すように、加速度脈波の波形にも表れる。ここで、AIが小さくなると、AIが消失し検出できない、又は難しい場合がある。例えば、AIが小さくなる場合の一例として、血管が拡張し又は血糖値が高くなった場合がある。
そこで、推定式は、AIに代えて、又はAIとともに、さらに他の指標を用いて作成されてよい。ここでは、一例として、他の指標であるAItを用いるとして説明する。AItは、脈波のピークからの所定時間における脈波の変化率AItである。図17は、脈波の一例を示す図であり、AItについて説明する図である。AItは脈波のピークの高さP1に対する、P1が出現した時点から所定時間Δt後の脈波の高さP3の比である。すなわち、AIt=P3/P1と表される。所定時間Δtは、反射波の影響が表れる前の時間であってよい。例えば、脈波伝搬速度が10m/secであり、心臓から体内の主な反射点までの距離が往復1mであるとすると、反射波が往復するまでの時間は、100msecである。所定時間Δtは、例えば、このようにして算出された100msecであってよい。すなわち、AIの反射波の主たる反射点を腹部大動脈分岐点とする。そして、心臓から腹部大動脈分岐点までの往復距離を2L、脈波伝搬速度をPWVとすればΔt=2L/PWVとなる。腹部大動脈の脈波伝搬速度は、概ね10m/secと考えられる。またLの値は概ね50cmである。従って、Δt=2L/PWV=100/1000=0.1secとなる。
もちろん、所定時間Δtは、往復距離2Lや、脈波伝搬速度PWVの個人差や、測定時間、健康状態その他の要因により変動しうる。例えば、往復距離2Lや、脈波伝搬速度PWV等は、年齢、性別、健康状態その他の要因により上記例示した値から変動しうる。そのため、所定時間Δtは100msecから変動し、一定範囲の数値でもよい。例えば、所定時間Δtは、100msec以下又は100msec以上であってもよい。このように、所定時間Δtを設定することにより、反射波が消失するような場合であっても、AItを正確に求めやすくなる。そのため、脈波の波形によっては、脈波に関する指標としてAItを用いることにより、AIを用いる場合と比較して、被検者の血糖値の推定精度が向上し得る。また、所定時間Δtは、反射波が現れる付近の時間である。そして、AItには多くの場合、反射波の影響が含まれている。
ここで、食前の脈波形から、食後の脈波形の変化について図18を参照して説明する。図18A及び図18Bは、本実施形態における食前の脈波形から、食後の脈波形の変化を示すグラフである。図18A及び図18Bにおいて、横軸は時間、縦軸は脈波を示す。図18Aは食前の脈波形であり、図18Bは食後1時間経過後の脈波形である。双方の脈波形は、同一人物の脈波の脈波形である。図18Bに示されるように、食後はAIが小さくなって、検出が難しくなりうる。また、血糖値大きくなると、AIはさらに小さくなる、又は消失する。
推定式作成装置は、例えば説明変数の1つとしてAItを用いて、図14を参照して説明したフローで、推定式を作成することができる。本実施形態では、以下、推定式作成装置が、上述した年齢、立上り指標Sl、AI及び脈拍数PRに加え、AItを説明変数として、推定式を作成したとして、説明する。
なお、推定式は、必ずしもPLS回帰分析により作成されなくてもよい。推定式は、他の手法を用いて作成されてもよい。例えば、推定式は、ニューラルネットワーク回帰分析により作成されてもよい。
図19は、ニューラルネットワーク回帰分析の一例について説明する図である。図19は、入力層が5ニューロン、出力層が1ニューロンのニューラルネットワークを模式的に示す。入力層の5ニューロンは、年齢、立上り指標Sl、AI、AIt及び脈拍数PRである。出力層の1ニューロンは、血糖値である。図15に示すニューラルネットワークは、入力層から出力層までの間に、中間層1、中間層2、中間層3、中間層4及び中間層5という5つの中間層を有する。中間層1、中間層2、中間層3、中間層4及び中間層5は、それぞれノード数が5、4、3、2及び1である。中間層の各ノードには、1層前の層から出力されたデータの各成分に対して重みづけが行われ、和を取ったものが入力される。中間層の各ノードでは、入力されたデータに対して所定の演算(バイアス)を行った値が出力される。ニューラルネットワーク回帰分析では、誤差逆伝播法により、出力の推定値を出力の正解値と比較し、これらの差が最小になるように、ネットワークにおける重み及びバイアスが調整される。このようにして、推定式は、ニューラルネットワーク回帰分析によって作成することもできる。
なお、本実施形態で使用されるニューラルネットワーク回帰分析は図19に示される場合に限定されるものではない。例えば、図20に示されるようなニューラルネットワーク回帰分析の例を用いてもよい。図20において、入力層の4ニューロンは、年齢、脈拍数PR、AI及びAItである。出力層の1ニューロンは、血糖値である。
ここで、図19に示される、本実施形態のニューラルネットワーク回帰分析において使用される学習データと、検証データについて図21A及び図21Bに示す。図21Aは、本実施形態のニューラルネットワーク回帰分析の学習データを示すグラフであり、図21Bは、ニューラルネットワーク回帰分析の検証データを示すグラフである。
次に、推定式を用いた被検者の血糖値の推定のフローの一例について説明する。図22は、作成された推定式を用いて被検者の食後の血糖値を推定するフロー図である。
まず、電子機器100は、被検者による入力部141の操作に基づいて、被検者の年齢を入力する(ステップS201)。
電子機器100は、被検者が食事をした後、被検者による操作に基づいて、被検者の食後の脈波を測定する(ステップS202)。
電子機器100は、測定した食後の脈波を解析する(ステップS203)。具体的には、電子機器100は、例えば測定した食後の脈波に関する立上り指標Sl、AI、AIt及び脈拍数PRについて解析を行う。
電子機器100は、ステップS201で入力を受け付けた被検者の年齢と、ステップS203で解析した立上り指標Sl、AI、AIt及び脈拍数PRとを、推定式に適用して、被検者の食後の血糖値を推定する(ステップS204)。推定された食後の血糖値は、例えば電子機器100の報知部147から被検者に報知される。
このように、本実施形態に係る電子機器100によれば、食後の脈波及び血糖値に基づいて作成された推定式を用いて、測定した被検者の食後の脈波に基づいて、被検者の食後の血糖値を推定する。そのため、電子機器100によれば、非侵襲かつ短時間で食後の血糖値を推定できる。このように、電子機器100によれば、簡便に被検者の健康状態を推定することができる。
また、脈波に関する指標として、AItは、AIと比較して、反射波の消失の影響がないので、AItを用いることにより、被検者の血糖値の推定精度が向上し得る。AItは、反射波AIが検出しづらい場合でも、安定して検出できるので精度向上ができる。
なお、電子機器100は、食後の血糖値に限らず、任意のタイミングにおける被検者の血糖値を推定してもよい。電子機器100は、任意のタイミングにおける血糖値についても、非侵襲かつ短時間で推定できる。
電子機器100による食後の血糖値の推定方法は、上述の方法に限られない。例えば、被検者の食後の血糖値の推定にあたり、電子機器100は、複数の推定式から、1つの推定式を選択し、選択した推定式を用いて被検者の食後の血糖値を推定してもよい。この場合、予め複数の推定式が作成される。
例えば、推定式は、食事の内容に応じて、複数作成されてよい。食事の内容は、例えば食事の量及び質を含んでよい。食事の量は、例えば食事の重量を含んでよい。食事の質は、例えばメニュー名、材料(食品)、調理法等を含んでよい。
食事の内容は、例えば複数に分類されていてよい。例えば、食事の内容は、麺類、定食、丼物等のカテゴリーで分類されていてよい。推定式は、例えば食事の内容の分類の数と同じ数、作成されてよい。つまり、例えば食事の内容が3つに分類されている場合、各分類に対応付けられた推定式が作成されてよい。この場合、作成される推定式は、3つである。電子機器100は、複数の推定式のうち、被検者の食事の内容に応じた推定式を用いて、食後の血糖値を推定する。
ここで、複数の推定式が作成された場合における、推定式を用いた被検者の血糖値の推定のフローの一例について説明する。図23は、作成された複数の推定式を用いて被検者の食後の血糖値を推定するフロー図である。
電子機器100は、被検者による入力部141の操作に基づいて、被検者の年齢を入力する(ステップS301)。
電子機器100は、被検者による入力部141の操作に基づいて、食事の内容の入力をする(ステップS302)。電子機器100は、多様な方法で被検者から食事の内容の入力を受け付けることができる。例えば、電子機器100は、表示デバイスを有する場合、被検者が選択可能な食事の内容(例えば分類)表示し、被検者に表示された食事の内容のうち、これから食べようとする食事に最も近いものを選択させることによって、入力を受け付けてよい。例えば、電子機器100は、被検者に入力部141を用いて食事の内容を記載させることにより、入力を受け付けてもよい。例えば、電子機器100は、カメラ等の撮像部を有する場合、撮像部を用いてこれから食べようとする食事を撮影することにより、入力を受け付けてもよい。この場合、電子機器100は、例えば受け付けた撮像画像を画像解析することにより、食事の内容を推定してよい。
電子機器100は、被検者による操作に基づいて、被検者の食後の脈波を測定する(ステップS303)。
電子機器100は、測定した脈波を解析する(ステップS304)。具体的には、電子機器100は、例えば測定した脈波に関する立上り指標Sl、AI、AIt及び脈拍数PRについて解析を行う。
電子機器100は、ステップS302で受け付けた食事の内容に基づき、複数の推定式のうち、1つの推定式を選択する(ステップS305)。電子機器100は、例えば、入力された食事の内容に最も近い分類に対応付けられた推定式を選択する。
電子機器100は、ステップS301で入力を受け付けた被検者の年齢と、ステップS304で解析した立上り指標Sl、AI、AIt及び脈拍数PRとを、推定式に適用して、被検者の食後の血糖値を推定する(ステップS306)。推定された食後の血糖値は、例えば電子機器100の報知部147から被検者に報知される。
食後の血糖値は、食事の内容によって異なる場合がある。しかしながら、このように、電子機器100が、複数の推定式のうち、食事の内容に応じた推定式を用いて食後の血糖値を推定することにより、食事の内容に応じて、より高い精度で血糖値を推定し得る。
(第2実施形態)
第1実施形態では、電子機器100が被検者の食後の血糖値を推定する場合について説明した。第2実施形態では、電子機器100が被検者の食後の脂質値を推定する場合の一例について説明する。ここで、脂質値は、中性脂肪、総コレステロール、HDLコレステロール及びLDLコレステロール等を含む。本実施形態の説明において、第1実施形態と同様の点については、適宜その説明を省略する。
電子機器100は、脈波に基づいて脂質値を推定するための推定式を、例えばあらかじめ記憶部145に記憶している。電子機器100は、これらの推定式を用いて、脂質値を推定する。
脈波に基づく脂質値の推定に関する推定理論については、第1実施形態において説明した血糖値の推定理論と同様である。すなわち、血中の脂質値の変化は脈波の波形にも反映される。そのため、電子機器100は、脈波を取得し、取得した脈波に基づいて、脂質値を推定することができる。
図24は、本実施形態に係る電子機器100が用いる推定式の作成フロー図である。本実施形態においても、推定式は、サンプルデータに基づいて、例えばPLS回帰分析又はニューラルネットワーク回帰分析等の回帰分析を行うことにより作成される。本実施形態では、サンプルデータとして、食後の脈波に基づいて、推定式が作成される。本実施形態において、食後は、食事を行ってから所定時間後の脂質値が高くなる時間(例えば食事を開始してから3時間程度)であってよい。推定式の作成において、特に、脂質値のばらつきが正規分布に近いサンプルデータを用いて回帰分析を行って推定式を作成することにより、検査対象となる被検者の任意のタイミングでの脂質値を推定することができる。
推定式の作成において、まず、脈波計により測定された、食後の被験者の脈波に関する情報が推定式作成装置に入力される(ステップS401)。
また、脂質測定装置により測定された、食後の被験者の脂質値に関する情報が推定式作成装置に入力される(ステップS402)。ステップS401及びステップS402において、各サンプルデータの被験者の年齢も入力されてよい。
推定式作成装置は、ステップS401及びステップS402において入力されたサンプルデータのサンプル数が、回帰分析を行うために十分なN以上となったか否かを判断する(ステップS403)。サンプル数Nは適宜決定することができ、例えば100とすることができる。推定式作成装置は、サンプル数がN未満であると判断した場合(Noの場合)、サンプル数がN以上となるまで、ステップS401及びステップS402を繰り返す。一方、推定式作成装置は、サンプル数がN以上となったと判断した場合(Yesの場合)、ステップS404に移行して、推定式の算出を実行する。
推定式の算出において、推定式作成装置は、入力された食後の脈波を解析する(ステップS404)。本実施の形態では、推定式作成装置は、食後の脈波の立上り指標Sl、AI、AIt及び脈拍数PRについて解析を行う。なお、推定式作成装置は、脈波の解析として、FFT解析を行ってもよい。
そして、推定式作成装置は、回帰分析を実行する(ステップS405)。回帰分析における目的変数は、食後の脂質値である。また、回帰分析における説明変数は、ステップS401又はステップS402で入力された年齢と、ステップS404で解析された食後の脈波の立上り指標Sl、AI、AIt及び脈拍数PRとである。なお、推定式作成装置がステップS404でFFT解析を行う場合、説明変数は、例えばFFT解析の結果として算出されるフーリエ係数であってもよい。
推定式作成装置は、回帰分析の結果に基づいて、食後の脂質値を推定するための推定式を作成する(ステップS406)。
次に、推定式を用いた被検者の脂質値の推定のフローについて説明する。図24は、例えば図25のフローにより作成された推定式を用いて被検者の食後の脂質値を推定するフロー図である。
まず、電子機器100は、被検者による入力部141の操作に基づいて、被検者の年齢を入力する(ステップS501)。
また、電子機器100は、被検者による操作に基づいて、被検者の食後の脈波を測定する(ステップS502)。
次に、電子機器100は、測定した脈波を解析する(ステップS503)。具体的には、電子機器100は、例えば測定した脈波に関する立上り指標Sl、AI、AIt及び脈拍数PRについて解析を行う。
電子機器100は、ステップS503で解析した立上り指標Sl、AI、AIt及び脈拍数PRと、被検者の年齢とを、図24のフロー図で作成した推定式に適用して、被検者の食後の脂質値を推定する(ステップS504)。推定された食後の脂質値は、例えば電子機器100の報知部147から被検者に報知される。
このようにして、本実施形態に係る電子機器100によれば、食後の脈波及び脂質値に基づいて作成された推定式を用いて、測定した被検者の食後の脈波に基づいて、被検者の食後の脂質値を推定する。そのため、電子機器100によれば、非侵襲かつ短時間で食後の脂質値を推定できる。このように、電子機器100によれば、簡便に被検者の健康状態を推定することができる。また、脈波に関する指標として、AItは、AIと比較して脈波における反射波の影響を受けにくいため、AItを用いることにより、被検者の脂質値の推定精度が向上し得る。
脂質値を推定する場合についても、血糖値を推定する場合の例で説明したのと同様に、複数の推定式から1つの推定式を選択し、選択した推定式を用いて脂質値を推定してもよい。
上記実施形態では、血糖値及び脂質値の推定を電子機器100が実行する場合の例について説明したが、血糖値及び脂質値の推定は、必ずしも電子機器100によって実行されなくてもよい。血糖値及び脂質値の推定を、電子機器100以外の他の装置が実行する場合の一例について説明する。
図26は、一実施形態に係るシステムの概略構成を示す模式図である。図26に示した実施形態のシステムは、電子機器100と、情報処理装置(例えばサーバ)151と、携帯端末150と、通信ネットワークを含んで構成される。図26に示すように、電子機器100が測定した脈波は、通信ネットワークを通じて情報処理装置151に送信され、被検者の個人情報として情報処理装置151に保存される。情報処理装置151では、被検者の過去の取得情報や、様々なデータベースと比較することにより、被検者の血糖値又は脂質値を推定する。情報処理装置151はさらに被検者に最適なアドバイスを作成してもよい。情報処理装置151は、被検者が所有する携帯端末150に推定結果及びアドバイスを返信する。携帯端末150は受信した推定結果及びアドバイスを携帯端末150の表示部から報知する、というシステムを構築することができる。電子機器100の通信機能を利用することで、情報処理装置151には複数の利用者からの情報を収集することができるため、さらに推定の精度が上がる。また、携帯端末150を報知手段として用いるため、電子機器100は報知部147が不要となり、さらに小型化される。また、被検者の血糖値又は脂質値の推定を情報処理装置151で行うために、電子機器100の制御部143の演算負担を軽減できる。また、被検者の過去の取得情報を情報処理装置151で保存できるために、電子機器100の記憶部145の負担を軽減できる。そのため、電子機器100はさらに小型化、簡略化が可能となる。また、演算の処理速度も向上する。
本実施形態に係るシステムは情報処理装置151を介して、電子機器100と携帯端末150とを通信ネットワークで接続した構成を示したが、本開示に係るシステムはこれに限定されるものではない。情報処理装置151を用いずに、電子機器100と携帯端末150を直接通信ネットワークで接続して構成してもよい。
本開示を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施例に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施の形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。
例えば、上述の実施形態においては、センサ部130に角速度センサ131を備える場合について説明したが、本発明に係る電子機器100はこれに限ることはない。センサ部130は、発光部と受光部からなる光学脈波センサを備えていてもよいし、圧力センサを備えていてもよい。また、電子機器100の装着は手首に限らない。首、足首、太もも、耳等、動脈上にセンサ部130が配置されていればよい。
また、例えば、上述の実施形態において、PLS回帰分析やニューラルネットワーク回帰分析等の回帰分析の説明変数が、年齢、立上り指標Sl、AI、AIt及び脈拍数PRであると説明したが、説明変数は、これら5つの全てを含んでいなくてもよい。
例えば、PLS回帰分析やニューラルネットワーク回帰分析等の回帰分析の説明変数は、加速度脈波に基づいて定められる指標を含んでいなくてよい。加速度脈波に基づいて定められる指標は、例えば立上り指標Slである。例えば、図15及び図16を用いて説明したように、脈波に反射波の影響が大きく反映されている場合、加速度脈波にも反射波の影響が反映される。このように、加速度脈波に、反射波の影響が反映される場合には、被検者の血糖値又は脂質値の推定精度が悪くなる可能性がある。このような場合には、加速度脈波に基づいて定められる指標を説明変数として用いなくてよい。PLS回帰分析やニューラルネットワーク回帰分析等の回帰分析の説明変数として加速度脈波b/aを使用しない場合、説明変数は、例えば、年齢、脈拍数、AI、AIt等を、適宜選択することができる。
また、説明変数は、これら5つ以外の変数を含んでいてもよい。例えば、説明変数は、性別、又は脈波を1回微分して導出される速度脈波に基づいて定められる指標等を含んでもよい。例えば、説明変数は、脈拍に基づいて定められる指標を含んでもよい。脈拍に基づいて定められる指標は、例えば図27に一例として示す、ET(Ejection Time:駆出時間)、又は、心室の駆出しからDW(Dicrotic Wave:重拍波)までの時間DWt等を含んでよい。また、例えば説明変数は、空腹時血糖値(例えば採血により測定した血糖値や健康診断時において予め測定された血糖値等)を含んでもよい。
上記実施形態では、推定式が、食後の脈波と血糖値又は脂質値とに基づいて作成される場合について説明した。しかしながら、推定式は、必ずしも、食後の脈波と血糖値又は脂質値とに基づいて作成されなくてもよい。例えば、推定式は、食前及び食後の脈波と、食前及び食後の血糖値又は脂質値とを、適宜組み合わせて作成されてもよい。
100 電子機器
110、210 装着部
111、225 開口部
120、220 測定部
120a 裏面
120b 表面
130 センサ部
131 角速度センサ
132 脈あて部
133、224 軸部
134 第1のアーム
135 第2のアーム
140 弾性体
141 入力部
143 制御部
144 電源部
145 記憶部
146 通信部
147 報知部
150 携帯端末
151 情報処理装置
211 基部
212 固定部
221 本体部
222 外装部
222a 接触面
222b 面
222c 切り欠き
222d 端部
223 結合部

Claims (7)

  1. 被検者の脈波を取得するセンサ部と、
    前記脈波のピークにおける脈波の変位と、前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点における脈波の変位と、の比を含む、前記脈波の変位の比に基づいて、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記脈波の変位の比を回帰分析に基づく推定式に適用することにより、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定し、
    前記脈波のピークは、前記脈波の時間変化におけるピークであり、
    前記脈波の変位は、前記脈波の時間変化における振幅の変位であり、
    前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点は、前記被検者の脈波伝搬速度、年齢、性別、及び、健康状態の少なくとも1つに基づいて決定される、
    電子機器。
  2. 前記脈波の変位は、前記センサ部の出力の時間変化における変位である、請求項1に記載の電子機器。
  3. 前記制御部は、前記推定式に加速度脈波に基づく指標を適用することにより、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定する、請求項1又は2に記載の電子機器。
  4. 前記制御部は、前記推定式に前記被検者の年齢を適用することにより、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定する、請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
  5. 前記制御部は、前記被検者が予め測定した血糖値、及び/又は、脂質値を前記推定式に適用することにより、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定する、請求項1から4のいずれかに記載の電子機器。
  6. 電子機器により実行される推定方法であって、
    被検者の脈波を取得するステップと、
    前記脈波のピークにおける脈波の変位と、前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点における脈波の変位と、の比を含む、前記脈波の変位の比に基づいて、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定するステップと、を含み、
    前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定するステップは、前記脈波の変位の比を回帰分析に基づく推定式に適用することにより、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定し、
    前記脈波のピークは、前記脈波の時間変化におけるピークであり、
    前記脈波の変位は、前記脈波の時間変化における振幅の変位であり、
    前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点は、前記被検者の脈波伝搬速度、年齢、性別、及び、健康状態の少なくとも1つに基づいて決定される、
    推定方法。
  7. 電子機器に、
    被検者の脈波を取得するステップと、
    前記脈波のピークにおける脈波の変位と、前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点における脈波の変位と、の比を含む、前記脈波の変位の比に基づいて、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定するステップと、
    を実行させ、
    前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定するステップは、前記脈波の変位の比を回帰分析に基づく推定式に適用することにより、前記被検者の血糖値、及び/又は、脂質値を推定し、
    前記脈波のピークは、前記脈波の時間変化におけるピークであり、
    前記脈波の変位は、前記脈波の時間変化における振幅の変位であり、
    前記脈波のピークから所定時間経過後の反射波が現れる付近の時点は、前記被検者の脈波伝搬速度、年齢、性別、及び、健康状態の少なくとも1つに基づいて決定される、
    推定プログラム。
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