JP2023162698A - 紫外線照射装置および紫外線照射方法 - Google Patents

紫外線照射装置および紫外線照射方法 Download PDF

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Abstract

【課題】バイオフィルムを容易かつ適切に分解することができる紫外線照射装置および紫外線照射方法を提供する。【解決手段】紫外線照射装置は、波長190nm以上240nm以下の紫外線を放射する光源を有する光源部と、光源から放射される前記紫外線をバイオフィルムに照射させるべく光源部を支持する支持体と、を備える。この紫外線照射装置は、紫外線をバイオフィルムに照射することで当該バイオフィルムを分解する。【選択図】 図2

Description

本発明は、バイオフィルムに対して紫外線を照射する紫外線照射装置および紫外線照射方法に関する。
一般に、水等の養液に接した物質表面に有機物やイオンが付着すると、当該表面にコンディショニングフィルムが生成される。そして、そのコンディショニングフィルムに細菌が付着すると、当該細菌が細胞外高分子物質(Extracellular polymeric substances:EPS)を分泌し、バイオフィルムが形成される。
バイオフィルムは、土壌、河床や植物の根圏、風呂場や台所シンクの排水溝、人の体内(例えば、口腔内)といった様々な環境に存在し得る。
バイオフィルムは、自然界においては炭素や窒素循環、産業分野においては排水処理や海洋の石油汚染分解に重要な役目を果たす。
例えば特許文献1は、周囲の液体から有機物質および無機物質を除去するためにバイオフィルムを使用するバイオフィルム処理システムを開示する。この特許文献1は、バイオフィルム処理システムにおいて、人の皮膚や眼に悪影響を及ぼさずに細菌等の微生物を殺菌することができる波長207nm~222nmの紫外線を透過させるガラスを用いたUVCデバイスを使用できる点を開示する。ただし、UVCデバイスをどのようにバイオフィルム処理に適用するかについての具体的な開示はない。
実用新案登録第3233968号公報
バイオフィルムは、上記のとおり自然界や産業分野において重要な役目を果たす一方、金属の腐食、排水管の汚染、海洋構造物の生物汚損といった不具合を引き起こすことが知られている。特に生物学的には、例えば口腔内で形成されるバイオフィルムの典型例であるデンタルプラークは、歯周病が進む原因となる。また、医療分野においては、バイオフィルムは、医療機器の細菌汚染の原因と考えられている。さらに、細菌感染症の多くはバイオフィルムに起因し、その治療は困難を極めている。
また、バイオフィルム内には一般に細菌を含め複数種の微生物が生息し、その中には人体に害を及ぼす微生物が含まれ得る。よって、人体への悪影響を抑制するためには、人の生活に関わる空間や人体内に形成されたバイオフィルムを分解、除去したり、当該バイオフィルムに含まれる有害微生物を殺菌したりすることが望まれる。
従来、バイオフィルムの分解、除去を行うために、抗菌薬等の薬剤を使用することが試みられてきた。しかしながら、バイオフィルムは熱や乾燥などのストレス、更には抗生物質等の薬剤に対する耐性がある。そのため、薬剤によりバイオフィルムを分解、除去することは困難であり、バイオフィルムに含まれる有害な細菌の殺菌も困難となっている。
そのため、バイオフィルムは物理的に(人体の場合は外科手術的に)取り除くことが有効と考えられる。しかしながら、物理的に除去する手法では、必ずしも完全にバイオフィルムを除去することができるとは限らない。
そこで、本発明は、バイオフィルムを容易かつ適切に分解することができる紫外線照射装置および紫外線照射方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る紫外線照射装置の一態様は、波長190nm以上240nm以下の紫外線を放射する光源を有する光源部と、前記光源から放射される前記紫外線をバイオフィルムに照射させるべく前記光源部を支持する支持体と、を備え、前記紫外線を前記バイオフィルムに照射することで当該バイオフィルムを分解する。
本発明者らは、波長190nm以上240nm以下の紫外線をバイオフィルムに照射することで、当該バイオフィルムを分解することができることを新たに見出した。ここで、「バイオフィルムの分解」とは、バイオフィルムを構成する細胞外高分子物質(EPS)を分解し、バイオフィルムの構造を破壊することを含む。
上記のように、波長190nm以上240nm以下の紫外線をバイオフィルムに照射させるべく光源部を支持体によって支持する構成とすることで、上記紫外線を適切にバイオフィルムに照射し、当該バイオフィルムを容易に分解することができる。したがって、バイオフィルムに起因する様々な不具合の発生を回避することができる。また、波長190nm以上240nm以下の紫外線は、人や動物の細胞に悪影響の少ない光であるため、人や動物が存在し得る空間や人や動物の体内等に形成されたバイオフィルムに対しても上記紫外線を照射し、当該バイオフィルムを分解することができる。
また、上記の紫外線照射装置は、前記紫外線を前記バイオフィルムに照射することで、前記バイオフィルムを形成した細菌、ならびに、前記バイオフィルムに含まれる微生物および/またはウイルスを不活化してもよい。
このように、バイオフィルムを形成した細菌を殺菌することで、バイオフィルムの増産を止めることができる。また、バイオフィルムに含まれる微生物やウイルスを不活化することで、当該微生物やウイルスが人体へ悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
さらに、上記の紫外線照射装置は、前記紫外線を、人の口腔内表面および大腸内面のいずれかに形成された前記バイオフィルムに照射してもよい。この場合、歯周病の進行や大腸がんの発生、感染症の発生を抑制することができる。
さらにまた、上記の紫外線照射装置は、前記光源部は、波長190nm以上240nm以下の紫外線を透過し、波長240nmよりも長波長側のUV-C波の透過を阻止する光学フィルタをさらに備え、前記光学フィルタによって、前記光源から発せられる光のうち波長190nm以上240nm以下の紫外線を透過して放射してもよい。
この場合、人体や動物への悪影響の少ない波長域の光のみを光源部から出射することができる。
また、本発明に係る紫外線照射方法の一態様は、光源から波長190nm以上240nm以下の紫外線を放射させるステップと、前記光源から放射された前記紫外線を人の口腔内表面および大腸内面のいずれかに形成されたバイオフィルムに照射し、前記バイオフィルムを分解するステップと、を含む。
このように、波長190nm以上240nm以下の紫外線をバイオフィルムに照射することで、バイオフィルムを容易かつ適切に分解することができる。また、波長190nm以上240nm以下の紫外線は、人や動物の細胞に悪影響の少ない光であるため、人や動物の体内等に形成されたバイオフィルムに対しても上記紫外線を照射し、当該バイオフィルムを分解することができる。
さらに、上記の紫外線照射方法は、前記光源から放射された前記紫外線をバイオフィルムに照射し、前記バイオフィルムを形成した細菌、ならびに、前記バイオフィルムに含まれる微生物および/またはウイルスを不活化するステップをさらに含んでもよい。
このように、バイオフィルムを形成した細菌を殺菌することで、バイオフィルムの増産を止めることができる。また、バイオフィルムに含まれる微生物やウイルスを不活化することで、当該微生物やウイルスが人体へ悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
また、上記の紫外線照射方法は、前記紫外線を前記バイオフィルムに照射した後、前記紫外線の放射を停止し、前記バイオフィルムに薬剤を投与するステップをさらに含んでもよい。
波長190nm以上240nm以下の紫外線をバイオフィルムに照射することで、当該バイオフィルムに含まれる細菌の細胞の細胞膜を破壊し、薬剤が細菌の内部に入り込みやすくすることができる。紫外線照射後に薬剤を投与することで、より適切にバイオフィルム内の細菌を殺菌することができる。また、紫外線の放射を停止してから薬剤を投与することで、紫外線により薬剤が分解されることを防止することができる。
本発明では、波長190nm以上240nm以下の紫外線をバイオフィルムに照射することで、当該バイオフィルムを容易かつ適切に分解することができる。
たんぱく質の紫外線吸光スペクトルを示す図である。 検証実験の実験系を示す模式図である。 遠紫外線を照射した場合のクリスタルバイオレット染色結果である。 紫外線を照射した場合のクリスタルバイオレット染色結果である。 遠紫外線を照射した場合のバイオフィルム形成量を示すグラフである。 紫外線を照射した場合のバイオフィルム形成量を示すグラフである。 遠紫外線を照射した場合のMTS試験結果である。 紫外線を照射した場合のMTS試験結果である。 遠紫外線を照射した場合の生菌量を示すグラフである。 紫外線を照射した場合の生菌量を示すグラフである。 SYTO9染色およびPI染色結果を示す図である。 紫外線照射装置の概略構成例を示す模式図である。 紫外線照射装置の別の例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、バイオフィルムに対して紫外線を照射し、当該バイオフィルムの分解(破壊)や、当該バイオフィルムに含まれる微生物やウイルス等の不活化を行う紫外線照射装置について説明する。
なお、本実施形態における「バイオフィルムの分解」とは、バイオフィルムを構成する細胞外高分子物質(EPS)を分解し、バイオフィルムの構造を破壊することを含む。また、本実施形態における「不活化」とは、微生物やウイルスを死滅させる(又は感染力や毒性を失わせる)ことを指すものである。
本発明者らが鋭意研究した結果、バイオフィルムに波長190nm以上240nm以下(以下、「波長190nm~240nm」という。)の紫外線を照射することにより、バイオフィルムを分解することができることを新たに見出した。
上記波長域の紫外線を照射することによりバイオフィルムを分解することが可能な理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
バイオフィルムを構成する基体であるEPSは、多糖類(菌体外多糖)、たんぱく質、脂質、細胞外DNAなどを含む。
ここで、たんぱく質に対する紫外線特性について考える。
図1は、たんぱく質の紫外線吸光スペクトルを示す図である。この図1に示すように、たんぱく質は、波長200nmに吸光ピークを有し、波長240nm以上では紫外線が吸収されにくいことがわかる。
したがって、190nm~240nmの波長域の紫外線を照射することでバイオフィルムを分解することが可能であるのは、バイオフィルムの主成分がたんぱく質であって、190nm~240nmの波長域の紫外線はたんぱく質によく吸収されるためであると考えられる。
また、EPSに含まれる糖やたんぱく質、脂質、DNAは、炭素(C)の二重結合を有する。紫外線のフォトンエネルギーは波長が短いほど高く、例えば222nmの紫外線は、炭素の二重結合を切断することができる。
したがって、190nm~240nmの波長域の紫外線、特に波長222nmの紫外線を照射することでバイオフィルムを分解することが可能であるのは、バイオフィルムの分子鎖に波長222nmの紫外線が吸収されて分解されるためであるとも考えられる。上記のように波長222nmの紫外線が炭素の二重結合について特異的に作用し、バイオフィルムの分解に寄与することは、本発明者らが見出した新たな知見である。
本実施形態における紫外線照射装置は、波長190nm~240nm(好ましくは波長200nm~230nm)の紫外線をバイオフィルムに対して照射して、当該バイオフィルムを分解する。
また、本実施形態における紫外線照射装置は、波長190nm~240nm(好ましくは波長200nm~230nm)の紫外線をバイオフィルムに対して照射することで、バイオフィルムの分解と同時または略同時に、当該バイオフィルムを形成(分泌)した細菌、ならびに当該バイオフィルムに含まれる有害な微生物および/またはウイルスを不活化する。
例えば、KrClエキシマランプから放出される波長222nmの紫外線や、KrBrエキシマランプから放出される波長207nmの紫外線は、いずれもバイオフィルムの分解や細菌等の殺菌、不活化に好適な光である。
なお、以下の説明においては、波長190nm~240nmの波長域の紫外線を「遠紫外線(Far UV:FUV)」と称することにする。また、波長240nm~400nmの波長域の紫外線を単に「紫外線(UV)」と称することにする。
本発明者らは、バイオフィルムに対して190nm~240nmの波長域にある遠紫外線(FUV)を照射した場合と、240nm~400nmの波長域にある紫外線(UV)を照射した場合とで、バイオフィルムの分解効果およびバイオフィルムに含まれる細菌の殺菌効果について検証した。以下、検証実験およびその効果について具体的に説明する。
〔実験1〕
バイオフィルムに対して190nm~240nmの波長域にある遠紫外線を照射した場合と、240nm~400nmの波長域にある紫外線を照射した場合とで、それぞれバイオフィルムの分解量を調査した。
バイオフィルムの分解量を調査する方法としては、クリスタルバイオレット(CV)染色法によりバイオフィルム形成量を測定する方法を用いた。
図2は、検証実験の実験系を示す模式図である。
この図2に示すように、マイクロプレートのウェル20の底面21に形成したバイオフィルム30に対して、紫外線照射装置10から放射される遠紫外線(FUV)または紫外線(UV)をバイオフィルム30の上方より照射し、バイオフィルム30の分解量を調査した。
遠紫外線を放射する紫外線照射装置10としては、ウシオ電機株式会社製「Care222」を使用した。この遠紫外線照射装置は、ピーク波長が222nmであって、波長域190nm~240nmの遠紫外線を放射する。
また、240nm~400nmの波長域にある紫外線を放射する紫外線照射装置10としては、アズワン株式会社製「SLUV-4」を使用した。この紫外線照射装置は、波長254nmの紫外線放射と波長365nmの紫外線放射とを切替可能な装置である。この実験1では、波長254nmの紫外線放射を選択した。
そして、紫外線照射装置10の光放射面を、バイオフィルム30の表面に対向させるとともにウェル20の底面21から上方に距離Lだけ離隔させ、紫外線照射装置10を配置した。なお、距離Lは任意であってよい。
実験1では、以下の工程(1)~(4)を順に実施した。
(1)バイオフィルム形成
マイクロプレートのウェル20に、歯周病菌であるFusobacterium nucleatum(フソバクテリウム・ヌクレアタム)から分泌されるEPSを基体としたバイオフィルム30を形成した。バイオフィルムの形成は、以下の手順によって行った。
まず、使用菌株であるFusobacterium nucleatumの凍結菌液をGAM寒天培地に配置し、当該GAM寒天培地を三菱ガス化学株式会社製の嫌気培養剤アネロパックとともに気密容器(角型ジャー)に入れ、37℃一定の条件で72時間嫌気培養した。
次に、この培養菌液を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて、10CFU/mLの菌液に調整し、さらにGAM液体培地を用いて、10CFU/mLに希釈した。
上記菌液をよく混和させ、96ウェルのマイクロプレートの各ウェル20に100μLずつ接種した。そして、37℃一定の条件で72時間嫌気培養し、ウェル20の底面21にバイオフィルム30を形成させた。
(2)遠紫外線、紫外線照射
上記のバイオフィルム形成工程においてウェル20の底面21にバイオフィルム30を形成した後、ウェル20からGAM液体培地を取り除いた。
その後、マイクロプレートの各ウェル20を100μLのPBSを用いて洗浄した。
そして、紫外線照射装置10として「Care222」を使用して、ウェル20に形成されたバイオフィルム30に対して遠紫外線(波長域190nm~240nm、ピーク波長222nm)を照射した。
また、比較実験の際には、紫外線照射装置10として「SLUV-4」を使用して、ウェル20に形成されたバイオフィルムに対して紫外線(波長254nm)を照射した。
ピーク波長222nmの遠紫外線の照射時間は、紫外線照射量(ドーズ量)が0mJ/cm、60mJ/cm、175mJ/cm、300mJ/cmとなるように設定した。
また、波長254nmの紫外線の照射時間は、紫外線照射量(ドーズ量)が遠紫外線と同様に0mJ/cm、60mJ/cm、175mJ/cm、300mJ/cmとなるように設定した。
このように、バイオフィルム30に対して、遠紫外線と紫外線とをそれぞれ同じドーズ量だけ照射した。
(3)クリスタルバイオレット染色
上記の遠紫外線、紫外線照射工程において遠紫外線または紫外線を照射した後のバイオフィルム30を、クリスタルバイオレットにより染色した。クリスタルバイオレットは、トリフェニルメタン骨格を有する塩基性の紫色色素であり、EPSを染色することができる。クリスタルバイオレットによる染色は、以下の手順によって行った。
まず、遠紫外線または紫外線を照射した終了後の各ウェル20にGAM液体培地を100μL投入して、37℃一定の条件で24時間嫌気培養し、培養後、GAM液体培地を取り除いた。次いで、各ウェル20を100μLのPBSを用いて洗浄した。
そして、各ウェル20に濃度1%クリスタルバイオレット溶液を100μL添加し、バイオフィルムを30分間染色した。
(4)吸光度測定
吸光度測定を実施し、バイオフィルム形成量を定量した。以下、吸光度測定の手順を示す。
上記のクリスタルバイオレット染色工程においてバイオフィルムを染色した後、各ウェル20を100μLのPBSを用いて2回洗浄し、洗浄後、各ウェル20を10分間乾燥させた。その後、濃度95%のエタノールを各ウェルに投入し、室温で15分間放置して、エタノール中にクリスタルバイオレットを溶出した。
そして、マイクロプレートリーダーにより上記溶出液の吸光度を測定した。なお、測定光の波長は590nmとした。
図3は、190nm~240nmの波長域(ピーク波長222nm)の遠紫外線を照射した場合のクリスタルバイオレット染色結果を示す模式図、図4は、波長254nmの紫外線を照射した場合のクリスタルバイオレット染色結果を示す模式図である。
図3および図4において、(a)はバイオフィルムが形成されていない場合(blank)、(b)はドーズ量0mJ/cmの場合、(c)はドーズ量60mJ/cmの場合、(d)はドーズ量175mJ/cmの場合、(e)はドーズ量300mJ/cmの場合のクリスタルバイオレット染色結果である。
また、図5は、190nm~240nmの波長域(ピーク波長222nm)の遠紫外線を照射した場合の染色試料の吸光度をもとに計算したバイオフィルム形成量である。同様に、図6は、波長254nmの紫外線を照射した場合の染色試料の吸光度をもとに計算したバイオフィルム形成量である。
図5および図6では、ドーズ量が0mJ/cm、60mJ/cm、175mJ/cm、300mJ/cmの場合のバイオフィルム形成量をそれぞれ示している。
図3に示すように、ピーク波長222nmの遠紫外線を照射した場合には、照射量(ドーズ量)が多くなるにつれて、バイオフィルムの色は薄くなっている。このことから、遠紫外線の照射量が多くなるほど、バイオフィルムの分解量が多くなることが伺える。
実際に、吸光度測定からバイオフィルム形成量を定量したところ、図5に示すように、遠紫外線照射量が多くなるにつれてバイオフィルムの形成量は減少していた。
一方、図4に示すように、波長域254nmの紫外線を照射した場合、照射量(ドーズ量)が多くなっても、バイオフィルムの色はほぼ変化せず濃いままである。このことから、紫外線(波長254nm)を照射しても、バイオフィルムはほとんど分解されないことが伺える。
吸光度測定からバイオフィルム形成量を定量したところ、図6に示すように、紫外線照射量が多くなっても、バイオフィルムの形成量はあまり変化しなかった。
〔実験2〕
バイオフィルムに対して190nm~240nmの波長域にある遠紫外線を照射した場合と、240nm~400nmの波長域にある紫外線を照射した場合とで、それぞれバイオフィルムに含まれる細菌の殺菌について調査した。
細菌の殺菌を調査する方法としては、バイオフィルム内の生菌の代謝活性をMTS法(MTSアッセイ)により測定する方法を用いた。
実験系は、実験1と同様である。
実験2では、実験1のバイオフィルム形成工程、遠紫外線、紫外線照射工程を実施した後、以下の手順でMTS試験を実施し、バイオフィルム内の細胞の生存率を調査した。
まず、遠紫外線または紫外線を照射した後の各ウェル20にGAM液体培地を100μL投入して、37℃一定の条件で24時間嫌気培養し、培養後、GAM液体培地を取り除いた。次いで、各ウェル20を100μLのPBSを用いて洗浄した。
洗浄後、各ウェル20にPBSを100μL投入し、さらにMTS試薬を20μL添加した。そして、各ウェル20を遮光し、37℃一定の条件で3時間培養した。
その後、各ウェル20に反応液を100μL分注し、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。なお、測定波長は490nmとした。
図7は、190nm~240nmの波長域(ピーク波長222nm)の遠紫外線を照射した後、MTS試験を行い、各ウェル20に反応液を分注したあとのウェル20内の試料の様子を示す模式図である。
図8は、波長254nmの紫外線を照射した後、MTS試験を行い、各ウェル20に反応液を分注したあとのウェル20内の試料の様子を示す模式図である。
図7および図8において、(a)はバイオフィルムが形成されていない場合(blank)、(b)はドーズ量0mJ/cmの場合、(c)はドーズ量60mJ/cmの場合、(d)はドーズ量175mJ/cmの場合、(e)はドーズ量300mJ/cmの場合のMTS試験結果である。
また、図9は、190nm~240nmの波長域(ピーク波長222nm)の遠紫外線を照射した場合のFusobacterium nucleatumの生菌量である。同様に、図10は、波長254nmの紫外線を照射した場合のFusobacterium nucleatumの生菌量である。
図9および図10では、ドーズ量が0mJ/cm、60mJ/cm、175mJ/cm、300mJ/cmの場合の生菌量をそれぞれ示している。
図7の(c)~(e)に示すように、遠紫外線を60mJ/cm照射して以降、ウェル20内の試料の色は薄くなっている。このことから、遠紫外線を照射すると、バイオフィルム内の細菌が殺菌されることが伺える。
実際に、MTS試験に基づき生菌量を定量したところ、図9に示すように、遠紫外線を60mJ/cm照射して以降のバイオフィルム内のFusobacterium nucleatumの生菌量は、紫外線照射前の生菌量よりも減少していた。
一方、図8(c)に示すように、波長域254nmの紫外線を60mJ/cm照射した時点では、ウェル20内の試料の色は紫外線照射前の色よりも幾分薄くなっているだけである。しかしながら、図8の(d)および(e)に示すように、波長254nmの紫外線を175mJ/cm照射して以降は、ウェル20内の試料の色は顕著に薄くなっており、図7(d)に示す遠紫外線を175mJ/cm照射した場合よりも薄くなっている。さらに、波長254nmの紫外線を175mJ/cm照射した時点でのウェル20内の試料の色は、図7に示す遠紫外線を60mJ/cm以上照射した場合よりも薄くなっている。
このことから、紫外線(波長254nm)を175mJ/cm以上照射すると、遠紫外線を60mJ/cm以上照射した場合よりも、Fusobacterium nucleatumの殺菌が達成できることが伺える。
MTS試験に基づき生菌量を定量したところ、図10に示すように、紫外線(波長254nm)を175mJ/cm照射して以降のバイオフィルム内のFusobacterium nucleatumの生菌量は、遠紫外線を60mJ/cm照射して以降のバイオフィルム内のFusobacterium nucleatumの生菌量よりも大幅に減少していた。
上記の実験1および実験2の結果より、バイオフィルムに遠紫外線を照射すると、バイオフィルムを分解可能であること、また、当該バイオフィルム内の細菌を殺菌することが可能であることが検証された。
また、バイオフィルムに紫外線(波長254nm)の紫外線を照射すると、バイオフィルムの分解は行われないが、バイオフィルム内の細菌を殺菌することが可能であることが分かった。
このように、バイオフィルムに遠紫外線を照射しても、紫外線を照射しても、バイオフィルム内の細菌を殺菌可能であることが分かった。ここで、両ケースにおいて、殺菌機序に相違点があるか否かを、以下の実験3により確認した。
〔実験3〕
バイオフィルムに対して190nm~240nmの波長域にある遠紫外線を照射した場合と、240nm~400nmの波長域にある紫外線を照射した場合とで、それぞれバイオフィルムに含まれる細菌の殺菌について調査した。
細菌の殺菌を調査する方法としては、遠紫外線または紫外線を照射した後のバイオフィルムに染色試薬を投入してバイオフィルム内の細胞の核酸(DNA)を染色し、バイオフィルム内の細胞の状態を調べる方法を用いた。
実験系は、実験1と同様である。
染色試薬としては、SYTO9とプロピジウムヨウ化物(PI)の2つの核染色試薬を用いた。
ここで、SYTO9染色試薬は、膜透過性のあるDNA染色試薬であり、細胞膜の状態に依存せず、DNAを緑色に染色することが可能である。
一方、PI染色試薬は、膜透過性のないDNA染色試薬である。よって、PI染色試薬は、細胞膜にダメージがある細胞(死細胞)のDNAのみを赤色に染色することが可能である。
実験3では、実験1のバイオフィルム形成工程、遠紫外線、紫外線照射工程を実施した後、以下の手順で染色工程を実施し、バイオフィルム内の細菌の状態を調査した。
まず、遠紫外線または紫外線を照射した後の各ウェル20にGAM液体培地を100μL投入して、37℃一定の条件で24時間嫌気培養し、培養後、GAM液体培地を取り除いた。次いで、各ウェル20を100μLのPBSを用いて洗浄した。
洗浄後、各ウェル20に、濃度2.5μMのSYTO9染色液と濃度3.0μMのPI染色液との混合液を100μL添加した。そして、各ウェル20を遮光し、30分間静置した。
その後、各ウェルを100μLのPBSを用いて洗浄し、蛍光顕微鏡を用いて観察を行った。
図11は、光非照射の場合と、ピーク波長222nmの遠紫外線を300mJ/cm照射した場合(FUV照射)と、紫外線(波長254nm)を300mJ/cm照射した場合(UV照射)とにおける、位相差顕微鏡像、SYTO9染色像およびPI染色像を示す。なお、図11において、SYTO9染色像のグレー部分は、実際は緑色であり、PI染色像のグレー部分は、実際は赤色である。
図11の上段に示すように、遠紫外線および紫外線を照射していない非照射の場合、SYTO9染色では全体的に緑色に染色され、PI染色では、殆ど赤色に染色されていない。
このように、光非照射の場合にSYTO9染色で全体的に緑色に染色されているのは、バイオフィルムが形成されており、バイオフィルム内部全体に細菌が分布しているためである。すなわち、上記実験3におけるSYTO9染色の結果は、ほぼバイオフィルムの形成領域を示しているといえる。
また、光非照射の場合、PI染色では殆ど染色されていないので、バイオフィルム内の細菌は殆ど全て生きているといえる。
これに対して、遠紫外線(波長190nm~240nm、ピーク波長222nm)を300mJ/cm照射した場合、図11の中段に示すように、SYTO9染色ではまばらに染色され、PI染色では、SYTO9染色で染色されている領域とほぼ同じ領域が染色されている。
このSYTO9染色の結果より、遠紫外線の照射によってバイオフィルムが分解され、まばらにしか形成されていないことが確認できる。
また、PI染色では、SYTO9染色で染色されている領域とほぼ同じ領域が染色されているので、バイオフィルム内に存在している細菌は、細胞膜のダメージを受けている死菌であることが確認できる。
一方、紫外線(波長254nm)を300mJ/cm照射した場合には、図11の下段に示すように、SYTO9染色では、ほぼ全体的に緑色に染色され、PI染色では殆ど染色されていない。
このSYTO9染色の結果より、紫外線(波長254nm)の照射ではバイオフィルムは分解されなかったことが確認できる。
また、PI染色では殆ど染色されていないため、バイオフィルム内に細胞膜のダメージを受けている死菌は殆ど存在しないことが確認できる。
ただし、実験2のMTS試験では、紫外線(波長254nm)を300mJ/cm照射した場合、バイオフィルム内の細菌はほぼ死んでいることが確認できている。したがって、紫外線(波長254nm)を照射してもバイオフィルムは分解されずに形成されたままであるが、当該バイオフィルムに含まれる細菌は死んでおり、その細胞死の原因は、細胞膜のダメージ以外の機序によるもの、例えばDNA傷害によるものと考えられる。
細菌の細胞内には、遺伝情報をつかさどる核酸(DNA、RNA)が存在し、紫外線が照射されると核酸はその光を吸収し、DNAの結合が損傷を受ける。これにより、遺伝子からの転写制御が滞り、新陳代謝に支障を来たし、死に至るとされる。つまり、紫外線に照射より、細菌は代謝能力、増殖能力が無くなった状態になる。DNA傷害による細胞死は、波長254nmの紫外線照射のみならず、ピーク波長222nmの遠紫外線照射によっても起こる。
また、細菌とウイルスとでは、紫外線照射によってDNAの結合が損傷を受けるといった点で不活化のメカニズムが共通する。したがって、バイオフィルムを形成(分泌)した細菌以外にも、バイオフィルムに微生物やウイルスが含まれる場合には、紫外線照射(遠紫外線照射を含む)によって上記の微生物やウイルスは不活化されると考えられる。
以上の実験1~3により、以下のことが検証できた。
(1)遠紫外線(190nm~240nm)をバイオフィルムに照射することにより、バイオフィルムが分解される。
(2)遠紫外線(190nm~240nm)をバイオフィルムに照射することにより、バイオフィルム内部の細菌は殺菌される。その殺菌機序は、細菌内部のDNA傷害および細胞膜の破壊によるものと考えられる。また、バイオフィルムに含まれうる微生物および/またはウイルスも不活化される。
なお、上述したように、バイオフィルムに紫外線(波長254nm)の紫外線を照射すると、バイオフィルムの分解は行われないが、バイオフィルム内の細菌を殺菌することが可能である。この理由は必ずしも明らかではないが、上記したようにバイオフィルムのEPSが主に多糖類(菌体外多糖)とたんぱく質とから成り、図1に示すように波長254nmの紫外線はたんぱく質に対する透過性が良好であることから、波長254nmの紫外線がバイオフィルムに吸収されることなく透過してバイオフィルム内の細菌にダイレクトに照射され、細菌が殺菌されたためと考えられる。
そのため、波長254nmの紫外線は、効率良くバイオフィルム内の細菌を殺菌可能と考えられる。
しかしながら、波長254nmの紫外線を照射してもバイオフィルムは分解されずに残ったままとなるため、再び細菌が付着しやすい。細菌が付着すると、再びバイオフィルムが増産されてしまう。
また、波長254nmの紫外線はバイオフィルムを透過するので、バイオフィルムに照射された波長254nmの紫外線は、バイオフィルムが形成されている物質表面に到達しうる。例えば、バイオフィルムが人の口腔内に形成されている場合、バイオフィルムに照射された波長254nmの紫外線は口腔表面に到達する。口腔内の組織はたんぱく質を含むので、口腔表面に到達した波長254nmの紫外線は、口腔内の組織内部にまで浸透し、当該組織内部の細胞にダメージを与えうる。これは、波長240nm以上の紫外線に同様にいえることである。
一方、波長200nm付近の紫外線は、人の皮膚表面(例えば角質層)で吸収され、皮膚内部まで浸透しない。
つまり、人体表面または人体内で形成されたバイオフィルムの分解のために波長190nm~240nmの遠紫外線を上記バイオフィルムに照射し、当該バイオフィルムが分解された後、遠紫外線が人体組織(例えば皮膚表面)に到達したとしても、遠紫外線は人体組織内部までは浸透しない。そのため、人に対して安全である。
また、190nm未満の紫外線が酸素を含む雰囲気中に照射されると、酸素分子が光分解されて酸素原子を生成し、酸素分子と酸素原子との結合反応によって比較的高濃度のオゾンが生成される。しかしながら、波長190nm~240nmの波長域の遠紫外線は、オゾン生成が抑制された光であるため、オゾン生成の観点からも人や動物に安全な波長範囲であるといえる。
したがって、波長190nm~240nmの遠紫外線を照射することによるバイオフィルムの分解・除去、およびバイオフィルム内の細菌等の不活化は、人体(人体表面や人体内)にて形成されるバイオフィルムを照射対象とする場合に好適である。
人体で形成されるバイオフィルムとは、例えば、人の口腔内表面で形成されるバイオフィルム、消化器官(例えば、大腸内面)で形成されるバイオフィルムなどを含む。上記遠紫外線を人体に形成されたバイオフィルムに照射することで、人体への悪影響を抑制しつつ、当該バイオフィルムを適切に分解することができ、歯周病の進行や大腸がんの発生を抑制することができる。
なお、人や動物に安全な波長範囲は、好ましくは波長200nm~237nm、より好ましくは波長200nm~235nm、さらに好ましくは200nm~230nmである。
さらに、バイオフィルム内の細菌等の不活化をより効果的に行うために、遠紫外線照射と薬剤投与とを併用してもよい。
上述したように、遠紫外線照射により細菌の細胞の細胞膜はダメージを受ける。そのため、遠紫外線照射後の細菌の内部には薬剤(薬液)が入り込みやすい。したがって、遠紫外線照射後の細菌に殺菌のための薬剤を投与することで、仮に遠紫外線照射後の細菌の一部が完全には死滅しなかったとしても、当該薬剤を容易に細菌の内部に浸透させ、完全に殺菌することが可能となる。
なお、遠紫外線により薬剤が分解されることを防止するために、遠紫外線を照射した後、遠紫外線の照射を停止し、その後に薬剤を投与することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態における紫外線照射装置は、波長190nm以上240nm以下の遠紫外線をバイオフィルムに照射することで、当該バイオフィルムを容易に分解することができる。
本実施形態における紫外線照射装置は、波長190nm以上240nm以下の遠紫外線を放射する光源を有する光源部と、光源から放射される遠紫外線をバイオフィルムに照射させるべく光源部を支持する支持体と、を備える。
図12は、本実施形態における紫外線照射装置100Aの概略構成例を示す模式図である。
この図12に示す紫外線照射装置100Aは、比較的大面積に対し、遠紫外線を照射する装置である。紫外線照射装置100Aは、光源部110Aと、光源部110Aを支持する支持体120と、を備える。
光源部110Aは、光源111と、光源111を収容する筐体112と、筐体112に設けられ、遠紫外線を放射する光放射窓113と、を備える。光源111は、例えば中心波長222nmの遠紫外線を放出するKrClエキシマランプや、中心波長207nmの遠紫外線を放出するKrBrエキシマランプとすることができる。
支持体120は、光源(エキシマランプ)111から放射される遠紫外線をバイオフィルムに向けて照射させるべく光源部110Aを支持する。支持体120は、例えば、バイオフィルムが存在する領域(または存在し得る領域)の近傍に設けられた構造物などに取り付けられて光源部110Aを支持する。
なお、図12において、光源111に電力を供給する給電部や光源111の動作を制御するための制御部は図示を省略している。
光放射窓113は、例えば石英ガラスからなる紫外線透過部材とすることができる。
光源111から放出される遠紫外線のスペクトルは、中心波長からある程度広がっており、スペクトルのすそ野は、波長240nm以上の人体に悪影響を及ぼす波長域の紫外線を含み得る。よって、分解対象が、例えば人体に形成されたバイオフィルムであるなど、光源部110Aから放射される光が人に照射されうる場合、光放射窓113には、光源111から放射される波長190nm~240nmの遠紫外線を透過し、それ以外の紫外線(例えば、波長240nmよりも長波長側のUV-C波)の透過を阻止または抑制する光学フィルタが設けられていることが好ましい。
ただし、分解対象が人体に形成されたバイオフィルムではなく、例えば台所のシンクの排水口などに形成されたバイオフィルムである場合は、紫外線照射装置100Aは、必ずしも上記光学フィルタを備える必要はない。
なお、図12に示す紫外線照射装置100Aは、遠紫外線光源としてエキシマランプを備えるが、遠紫外線光源としてLEDを用いることもできる。
図13は、遠紫外線光源としてLEDからなる光源114を有する光源部110Bを備える紫外線照射装置100Bの概略構成例を示す模式図である。光源部110B以外の構成は、図12に示す紫外線照射装置100Aと同様であってよい。
光源114としては、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系LED、窒化アルミニウム(AlN)系LEDおよび酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)系のいずれかを採用することができる。
この図13に示す紫外線照射装置100Bにおいても、分解対象が人体に形成されたバイオフィルムであって、光源114から放出される光が波長190nm~240nm以外の紫外線を含んでいる場合は、光放射窓113には、光源114から放射される波長190nm~240nmを透過し、それ以外の紫外線(例えば、波長240nmよりも長波長側のUV-C波)の透過を阻止または抑制する光学フィルタが設けられていることが好ましい。
10…紫外線照射装置、20…マイクロプレート(ウェル)、21…マイクロプレート底面、30…バイオフィルム、100A~100D…紫外線照射装置、110A、110B…光源部、111…光源(エキシマランプ)、112…筐体、113…光学フィルタ、114…光源(LED)、120…支持体、130…光源部、131…LED、132…光学フィルタ、141…本体部、142…導光部、143…光出射端、150…挿入部、151…照明光導光部、152…観察光導光部、161…遠紫外線導光部

Claims (7)

  1. 波長190nm以上240nm以下の紫外線を放射する光源を有する光源部を備え、
    前記紫外線をバイオフィルムに照射することで当該バイオフィルムを分解することを特徴とする紫外線照射装置。
  2. 前記紫外線を前記バイオフィルムに照射することで、前記バイオフィルムを形成した細菌、ならびに、前記バイオフィルムに含まれる微生物および/またはウイルスを不活化することを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
  3. 前記紫外線を、人の口腔内表面および大腸内面のいずれかに形成された前記バイオフィルムに照射することを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
  4. 前記光源部は、波長190nm以上240nm以下の紫外線を透過し、波長240nmよりも長波長側のUV-C波の透過を阻止する光学フィルタをさらに備え、
    前記光学フィルタによって、前記光源から発せられる光のうち波長190nm以上240nm以下の紫外線を透過して放射することを特徴とする請求項3に記載の紫外線照射装置。
  5. 光源から波長190nm以上240nm以下の紫外線を放射させるステップと、
    前記光源から放射された前記紫外線を人の口腔内表面および大腸内面のいずれかに形成されたバイオフィルムに照射し、前記バイオフィルムを分解するステップと、を含むことを特徴とする紫外線照射方法。
  6. 前記光源から放射された前記紫外線をバイオフィルムに照射し、前記バイオフィルムを生成した細菌、ならびに、前記バイオフィルムに含まれる微生物および/またはウイルスを不活化するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の紫外線照射方法。
  7. 前記紫外線を前記バイオフィルムに照射した後、前記紫外線の放射を停止し、前記バイオフィルムに薬剤を投与するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の紫外線照射方法。
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