JP2023158563A - ひずみゲージ、センサ構造体 - Google Patents

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Hideo Fujiura
洋治 内田
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Abstract

【課題】電磁ノイズの影響を低減することが容易なひずみゲージを提供する。【解決手段】本ひずみゲージは、測定対象物に装着され、前記測定対象物に生じるひずみを検出するひずみゲージであって、基材と、前記基材の上面に形成された抵抗体と、前記基材を上面から下面に貫通する貫通電極と、を有し、前記ひずみゲージが前記測定対象物に装着される際に、前記基材の下面及び前記貫通電極の下面が前記測定対象物と当接する面となる。【選択図】図3

Description

本発明は、ひずみゲージ、センサ構造体に関する。
従来、測定対象物に貼り付けて使用するひずみゲージが知られている。ひずみゲージは、ひずみを検出する抵抗体を備えており、抵抗体は、例えば、絶縁性樹脂上に形成されている。抵抗体は、例えば、配線を介して、電極と接続されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-74934号公報
ところで、ひずみゲージの抵抗体は、電磁ノイズの影響を受ける場合があり、電磁ノイズの影響を受けると、ひずみゲージから正常な信号を得ることが困難となる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、電磁ノイズの影響を低減することが容易なひずみゲージを提供することを目的とする。
本ひずみゲージは、測定対象物に装着され、前記測定対象物に生じるひずみを検出するひずみゲージであって、基材と、前記基材の上面に形成された抵抗体と、前記基材を上面から下面に貫通する貫通電極と、を有し、前記ひずみゲージが前記測定対象物に装着される際に、前記基材の下面及び前記貫通電極の下面が前記測定対象物と当接する面となる。
開示の技術によれば、電磁ノイズの影響を低減することが容易なひずみゲージを提供できる。
第1実施形態に係るひずみゲージを例示する平面図である。 第1実施形態に係るひずみゲージを例示する断面図である。 ひずみゲージの使用方法について説明する図である。 センサ構造体を例示する断面図である。 センサ構造体の測定対象物が転がり軸受である例を示す断面図(その1)である。 センサ構造体の測定対象物が転がり軸受である例を示す断面図(その2)である。 第1実施形態の変形例1に係るひずみゲージを例示する断面図である。 第1実施形態の変形例2に係るひずみゲージを例示する断面図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1実施形態〉
(ひずみゲージ)
図1は、第1実施形態に係るひずみゲージを例示する平面図である。図2は、第1実施形態に係るひずみゲージを例示する断面図であり、図1のA-A線に沿う断面を示している。
図1及び図2を参照すると、ひずみゲージ100は、基材101と、機能層102と、抵抗体103と、配線104と、端子部105と、貫通電極106とを有している。但し、機能層102は、必要に応じて設ければよい。
なお、本実施形態では、便宜上、ひずみゲージ100において、基材101の抵抗体103が設けられている側を「上側」と称し、抵抗体103が設けられていない側を「下側」と称する。又、各部位の上側に位置する面を「上面」と称し、各部位の下側に位置する面を「下面」と称する。ただし、ひずみゲージ100は天地逆の状態で用いることもできる。又、ひずみゲージ100は任意の角度で配置することもできる。又、平面視とは、基材101の上面101aに対する上側から下側への法線方向で対象物を視ることを指すものとする。そして、平面形状とは、前記法線方向で対象物を視たときの、対象物の形状を指すものとする。
基材101は、抵抗体103等を形成するためのベース層となる部材である。基材101は可撓性を有する。基材101の厚さは特に限定されず、ひずみゲージ100の使用目的等に応じて適宜決定されてよい。例えば、基材101の厚さは5μm~500μm程度であってよい。なお、測定対象物の表面から受感部へのひずみの伝達性、及び、環境変化に対する寸法安定性の観点から考えると、基材101の厚さは5μm~200μmの範囲内であることが好ましい。また、絶縁性の観点から考えると、基材101の厚さは10μm以上であることが好ましい。
基材101は、例えば、PI(ポリイミド)樹脂、エポキシ樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、LCP(液晶ポリマー)樹脂、ポリオレフィン樹脂等の絶縁樹脂フィルムから形成される。なお、フィルムとは、厚さが500μm以下程度であり、かつ可撓性を有する部材を指す。
基材101が絶縁樹脂フィルムから形成される場合、当該絶縁樹脂フィルムには、フィラーや不純物等が含まれていてもよい。例えば、基材101は、シリカやアルミナ等のフィラーを含有する絶縁樹脂フィルムから形成されてもよい。
基材101の樹脂以外の材料としては、例えば、SiO、ZrO(YSZも含む)、Si、Si、Al(サファイヤも含む)、ZnO、ペロブスカイト系セラミックス(CaTiO、BaTiO)等の結晶性材料が挙げられる。又、前述の結晶性材料以外に非晶質のガラス等を基材101の材料としてもよい。又、基材101の材料として、アルミニウム、アルミニウム合金(ジュラルミン)、チタン等の金属を用いてもよい。金属を用いる場合、金属製の基材101と機能層102との間、及び金属製の基材101と貫通電極106との間に絶縁膜が設けられる。
機能層102は、基材101の上面101aに抵抗体103の下層として形成されている。本願において、機能層とは、少なくとも上層である抵抗体103の結晶成長を促進する機能を有する層を指す。機能層102は、更に、基材101に含まれる酸素または水分による抵抗体103の酸化を防止する機能、および/または、基材101と抵抗体103との密着性を向上する機能を備えていることが好ましい。機能層102は、更に、他の機能を備えていてもよい。
基材101を構成する絶縁樹脂フィルムは酸素や水分を含むことがあり、また、Crは自己酸化膜を形成することがある。そのため、特に抵抗体103がCrを含む場合、抵抗体103の酸化を防止する機能を有する機能層102を成膜することが好ましい。
このように、抵抗体103の下層に機能層102を設けることにより、抵抗体103の結晶成長を促進可能となり、安定な結晶相からなる抵抗体103を作製することができる。その結果、ひずみゲージ100において、ゲージ特性の安定性が向上する。又、機能層102を構成する材料が抵抗体103に拡散することにより、ひずみゲージ100において、ゲージ特性が向上する。
機能層102の材料としては、例えば、Cr(クロム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Si(シリコン)、C(炭素)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、Bi(ビスマス)、Fe(鉄)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Au(金)、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Al(アルミニウム)からなる群から選択される1種又は複数種の金属、この群の何れかの金属の合金、又は、この群の何れかの金属の化合物が挙げられる。
機能層102の平面形状は、例えば抵抗体103、配線104、及び端子部105の平面形状と略同一にパターニングされてよい。しかしながら、機能層102と抵抗体103、配線104、及び端子部105との平面形状は略同一でなくてもよい。例えば、機能層102が絶縁材料から形成される場合には、機能層102を抵抗体103、配線104及び端子部105の平面形状と異なる形状にパターニングしてもよい。この場合、機能層102は例えば抵抗体103、配線104、及び端子部105が形成されている領域にベタ状に形成されてもよい。或いは、機能層102は、基材101の上面101aの全体にベタ状に形成されてもよい。
抵抗体103は、基材101の上面101aに形成されている。抵抗体103は、基材101の上面101aに所定のパターンで形成された薄膜である。ひずみゲージ100において、抵抗体103は、ひずみを受けて抵抗変化を生じる受感部である。抵抗体103は、基材101の上面101aに直接形成されてもよいし、基材101の上面101aに他の層を介して形成されてもよい。
抵抗体103は、例えば、Cr(クロム)を含む材料、Ni(ニッケル)を含む材料、又はCrとNiの両方を含む材料から形成することができる。すなわち、抵抗体103は、CrとNiの少なくとも一方を含む材料から形成することができる。Crを含む材料としては、例えば、Cr混相膜が挙げられる。Niを含む材料としては、例えば、Cu-Ni(銅ニッケル)が挙げられる。CrとNiの両方を含む材料としては、例えば、Ni-Cr(ニッケルクロム)が挙げられる。
ここで、Cr混相膜とは、Cr、CrN、及びCrN等が混相した膜である。Cr混相膜は、酸化クロム等の不可避不純物を含んでいてもよい。
抵抗体103の厚さは特に限定されず、ひずみゲージ100の使用目的等に応じて適宜決定されてよい。例えば、抵抗体103の厚さは0.05μm~2μm程度であってよい。特に、抵抗体103の厚さが0.1μm以上である場合、抵抗体103を構成する結晶の結晶性(例えば、α-Crの結晶性)が向上する。また、抵抗体103の厚さが1μm以下である場合、抵抗体103を構成する膜の内部応力に起因する、(i)膜のクラックおよび(ii)膜の基材101からの反りが、低減される。
横感度を生じ難くすることと、断線対策とを考慮すると、抵抗体103の幅は5μm以上100μm以下であることが好ましい。更に言えば、抵抗体103の幅は5μm以上70μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であるとより好ましい。
例えば、抵抗体103がCr混相膜である場合、安定な結晶相であるα-Cr(アルファクロム)を主成分とすることで、ゲージ特性の安定性を向上させることができる。又例えば、抵抗体103がCr混相膜である場合、抵抗体103がα-Crを主成分とすることで、ひずみゲージ100のゲージ率を10以上、かつゲージ率温度係数TCS及び抵抗温度係数TCRを-1000ppm/℃~+1000ppm/℃の範囲内とすることができる。ここで、「主成分」とは、抵抗体を構成する全物質の50重量%以上を占める成分のことを意味する。ゲージ特性を向上させるという観点から考えると、抵抗体103はα-Crを80重量%以上含むことが好ましい。更に言えば、同観点から考えると、抵抗体103はα-Crを90重量%以上含むことがより好ましい。なお、α-Crは、bcc構造(体心立方格子構造)のCrである。
又、抵抗体103がCr混相膜である場合、Cr混相膜に含まれるCrN及びCrNは20重量%以下であることが好ましい。Cr混相膜に含まれるCrN及びCrNが20重量%以下であることで、ひずみゲージ100のゲージ率の低下を抑制することができる。
又、Cr混相膜におけるCrNとCrNとの比率は、CrNとCrNの重量の合計に対し、CrNの割合が80重量%以上90重量%未満となるようにすることが好ましい。更に言えば、同比率は、CrNとCrNの重量の合計に対し、CrNの割合が90重量%以上95重量%未満となるようにすることがより好ましい。CrNは半導体的な性質を有する。そのため、前述のCrNの割合を90重量%以上95重量%未満とすることで、TCRの低下(負のTCR)が一層顕著となる。更に、前述のCrNの割合を90重量%以上95重量%未満とすることで抵抗体103のセラミックス化を低減し、抵抗体103の脆性破壊が起こりにくくすることができる。
一方で、CrNは化学的に安定であるという利点を有する。Cr混相膜にCrNをより多く含むことで、不安定なNが発生する可能性を低減することができるため、安定なひずみゲージを得ることができる。ここで「不安定なN」とは、Cr混相膜の膜中に存在し得る、微量のNもしくは原子状のNのことを意味する。これらの不安定なNは、外的環境(例えば高温環境)によっては膜外へ抜け出ることがある。不安定なNが膜外へ抜け出るときに、Cr混相膜の膜応力が変化し得る。
ひずみゲージ100において、抵抗体103の材料としてCr混相膜を用いた場合、高感度化かつ、小型化を実現することができる。例えば、従来のひずみゲージの出力が0.04mV/2V程度であったのに対して、抵抗体103の材料としてCr混相膜を用いた場合は0.3mV/2V以上の出力を得ることができる。また、従来のひずみゲージの大きさ(ゲージ長×ゲージ幅)が3mm×3mm程度であったのに対して、抵抗体103の材料としてCr混相膜を用いた場合の大きさ(ゲージ長×ゲージ幅)は0.3mm×0.3mm程度に小型化することができる。
端子部105は、配線104を介して抵抗体103の両端部から延在しており、平面視において、抵抗体103及び配線104よりも拡幅して略矩形状に形成されている。端子部105は、ひずみにより生じる抵抗体103の抵抗値の変化を外部に出力するための一対の電極である。抵抗体103は、例えば、端子部105及び配線104の一方からジグザグに折り返しながら延在して他方の配線104及び端子部105に接続されている。端子部105の上面を、端子部105よりもはんだ付け性が良好な金属で被覆してもよい。
なお、抵抗体103と配線104と端子部105とは便宜上別符号としているが、これらは同一工程において同一材料により一体に形成できる。
貫通電極106は、基材101を上面101aから下面101bに貫通する。貫通電極106は、基材101を上面101aから下面101bに貫通する貫通孔101x内に配置されている。貫通電極106の上面106aは、例えば、基材101の上面101aと面一である。また、貫通電極106の下面106bは、例えば、基材101の下面101bと面一である。
貫通電極106の平面形状は、例えば、矩形である。ただし、これには限定されず、貫通電極106の平面形状は、円形、楕円形、その他の任意形状としてもよい。また、図1の例では、貫通電極106は、2つの端子部105に挟まれた領域に設けられているが、貫通電極106は、抵抗体103、配線104、及び端子部105と離隔していれば、基材101の任意の位置に設けることができる。
貫通電極106の材料には、抵抗体103よりも体積抵抗率の低い材料を選択することが好ましい。このような材料としては、例えば、Cu、Ni、Al、Ag、Au、Pt等、又は、これら何れかの金属の合金、これら何れかの金属の化合物、或いは、これら何れかの金属、合金、化合物を適宜積層した積層膜が挙げられる。
カバー層107は、必要に応じ、基材101の上面101aに、抵抗体103及び配線104を被覆し端子部105及び貫通電極106を露出するように設けられる。カバー層107の材料としては、例えば、PI樹脂、エポキシ樹脂、PEEK樹脂、PEN樹脂、PET樹脂、PPS樹脂、複合樹脂(例えば、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂)等の絶縁樹脂が挙げられる。なお、カバー層107は、フィラーや顔料を含有しても構わない。カバー層107の厚さは、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、カバー層107の厚さは2μm~30μm程度とすることができる。カバー層107を設けることで、抵抗体103に機械的な損傷等が生じることを抑制することができる。又、カバー層107を設けることで、抵抗体103を湿気等から保護することができる。
(ひずみゲージの製造方法)
本実施形態に係るひずみゲージ100では、基材101上に、抵抗体103と、配線104と、端子部105とが形成される。なお、必要に応じ機能層102やカバー層107が形成されてもよい。
以下、ひずみゲージ100の製造方法について説明する。ひずみゲージ100を製造するためには、まず、基材101を準備し、基材101の上面101aに金属層(便宜上、金属層Aとする)を形成する。金属層Aは、最終的にパターニングされて抵抗体103と、配線104と、端子部105となる層である。従って、金属層Aの材料や厚さは、前述の抵抗体103等の材料や厚さと同様である。
金属層Aは、例えば、金属層Aを形成可能な原料をターゲットとしたマグネトロンスパッタ法により成膜することができる。金属層Aは、マグネトロンスパッタ法に代えて、反応性スパッタ法、蒸着法、アークイオンプレーティング法、またはパルスレーザー堆積法等を用いて成膜されてもよい。基材101の上面101aに金属層Aを成膜後、周知のフォトリソグラフィ法により、金属層Aを図1の抵抗体103、配線104、及び端子部105と同様の平面形状にパターニングする。
なお、基材101の上面101aに下地層として機能層102を形成してから金属層Aを形成してもよい。例えば、基材101の上面101aに、所定の膜厚の機能層102をコンベンショナルスパッタ法により真空成膜してもよい。このように機能層102を設けることによって、ひずみゲージ100のゲージ特性を安定化させることができる。
貫通電極106を形成するには、例えば、プレス加工等により基材101に貫通孔101xを形成し、その後、貫通孔101x内に貫通電極106を形成する。貫通電極106は、例えば、貫通孔101xと同程度の大きさの金属箔を準備し、この金属箔を貫通孔101x内に固定して形成することができる。或いは、めっき法等により、貫通孔101xを充填する貫通電極106を形成してもよい。
抵抗体103、配線104、端子部105、及び貫通電極106を形成した後、必要に応じ、基材101の上面101aにカバー層107を形成する。カバー層107は抵抗体103及び配線104を被覆するが、端子部105及び貫通電極106はカバー層107から露出する。例えば、基材101の上面101aに、抵抗体103及び配線104を被覆し端子部105及び貫通電極106を露出するように、半硬化状態の熱硬化性の絶縁樹脂フィルムをラミネートする。そして、当該絶縁樹脂フィルムを加熱して硬化させることにより、カバー層107を形成することができる。以上の工程により、ひずみゲージ100が完成する。
(ひずみゲージの使用例)
図3は、ひずみゲージの使用方法について説明する図である。図3に示すように、ひずみゲージ100は、測定対象物200に装着され、測定対象物200に生じるひずみを検出する。ひずみゲージ100は、基材101の下面101b側に接着層等を介すことなく、測定対象物200の第1面200aに直接載置される。
ひずみゲージ100が測定対象物200の第1面200aに載置されると、基材101の下面101b及び貫通電極106の下面106bが測定対象物200の第1面200aと当接する。すなわち、ひずみゲージ100が測定対象物200に装着される際に、基材101の下面101b及び貫通電極106の下面106bが測定対象物200と当接する面となる。
測定対象物200において、少なくとも貫通電極106の下面106bと接する部分は導電体から形成されている。例えば、貫通電極106の上面106aに線材等を接続し、貫通電極106をひずみゲージ100が接続される回路のGND電位と等しくすると、測定対象物200もGND電位になる。
ひずみゲージ100は、測定対象物200の近傍に存在する電磁ノイズの干渉を受けやすいが、測定対象物200をひずみゲージ100が接続される回路のGND電位と等しくすることにより、電磁ノイズの影響を低減することができる。その結果、ひずみゲージ100は、S/N比のよいひずみを検出することができる。特に、ひずみゲージ100において、抵抗体103の材料にゲージ率の高いCr混相膜を用いた場合、抵抗体103が電磁ノイズの干渉を大変受けやすいため、測定対象物200をひずみゲージ100が接続される回路のGND電位と等しくする効果が大きい。
図4は、センサ構造体を例示する断面図である。図4に示すように、センサ構造体10は、ひずみゲージ100と、測定対象物200と、対向部300と、弾性体400とを有している。測定対象物200は、ひずみゲージ100の基材101の下面101b及び貫通電極106の下面106bが当接する第1面200aを備えている。
対向部300は、測定対象物200の第1面200aと対向する第2面300bを備えている。対向部300は、測定対象物200に対して位置決めされている。対向部300は、例えば、測定対象物200に固定されることで、位置決めされている。対向部300と測定対象物200との固定方法には、接着、ネジ止め、圧入、かしめ等の任意の方法を採用することができる。
あるいは、対向部300は、他の部材を介して測定対象物200と間接的に固定されることで、測定対象物200に対して位置決めされてもよい。あるいは、対向部300は、測定対象物200と一体に形成されていてもよい。つまり、対向部300は、測定対象物200の一部であってもよい。
ひずみゲージ100は、基材101の下面101b及び貫通電極106の下面106bが第1面200aと当接するように、測定対象物200に装着されている。ひずみゲージ100の貫通電極106の上面106aに、はんだ等の接合材111を用いて、線材112が接合されている。
弾性体400は、第1面200aと第2面300bとの間に配置され、ひずみゲージ100を第1面200a側に押圧している。線材112の一部は、弾性体400から突出し、センサ構造体10の外部との電気的接続を可能としている。
弾性体400がひずみゲージ100を第1面200a側に押圧することにより、基材101の下面101b及び貫通電極106の下面106bが測定対象物200の第1面200aと確実に当接し、貫通電極106と測定対象物200とが同電位になる。
弾性体400は、絶縁性の材料から形成される。弾性体400は、低異方性の材料から形成されることが好ましい。弾性体400が低異方性の材料から形成されることで、弾性体400は、ひずみゲージ100を第1面200a側に略均等な力で押圧することができる。その結果、貫通電極106の下面106bが測定対象物200の第1面200aとより確実に当接することができる。ここでいう低異方性とは、図5に示す断面において第1面200aと垂直な方向の縦弾性係数及びポアソン比が、第1面200aと平行な方向に対して±30%以内であることを指す。ただし、図5に示す断面において第1面200aと垂直な方向の縦弾性係数及びポアソン比は、第1面200aと平行な方向に対して±20%以内であることが好ましく、±10%以内であることがより好ましく、±5%以内であることがさらに好ましい。
低異方性の材料としては、例えば、成形時に気泡が非連続的となる発泡性の材料が挙げられる。このような発泡性の材料としては、例えば、発泡性シリコーンが挙げられる。低異方性の材料は、発泡性の材料でなくてもよい。このような材料としては、例えば、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴムが挙げられる。
センサ構造体10を作製するには、まず、ひずみゲージ100を準備し、ひずみゲージの貫通電極106の上面106aに、はんだ等の接合材111を用いて、線材112を接合する。また、対向部300が位置決めされた測定対象物200を準備する。
次に、ひずみゲージ100を、基材101の下面101b及び貫通電極106の下面106bが第1面200aと当接するように、第1面200aと第2面300bとの間の空隙に配置する。このとき、基材101の側面と測定対象物200の第1面200aとを接着剤やテープ等により仮固定してもよい。
次に、第1面200aと第2面300bとの間の空隙に、例えば、弾性体400となる流動性の材料を流し込む。そして、流動性の材料を加熱して発泡させ、弾性体400を作製する。これにより、弾性体400は、膨張して第1面200aと第2面300bとの間の空隙に充填され、ひずみゲージ100は第1面200a側に押圧される。
弾性体400から突出する線材112をひずみゲージ100が接続される回路のGNDと接続することにより、測定対象物200をひずみゲージ100が接続される回路のGND電位と等しくすることができる。これにより、電磁ノイズの影響を低減することができ、その結果、ひずみゲージ100は、S/N比のよいひずみを検出することができる。
このように、ひずみゲージ100は、貫通電極106を有しているため、測定対象物200の第1面200aに載置するだけで、貫通電極106を介して測定対象物200を容易にGND電位にし、電磁ノイズの影響を低減することが可能である。例えば、図4に示すような、第1面200aと第2面300bに挟まれた比較的狭い領域においても、測定対象物200を容易にGND電位にすることができる。また、機械的強度の関係から、はんだやネジ等を用いて測定対象物200に直接GND配線を接続することが困難な場合であっても、貫通電極106と当接するだけで、測定対象物200を容易にGND電位にすることができる。
なお、基材101の下面101bに導電性接着剤を設け、導電性接着剤を介して貫通電極106と測定対象物200を導通させることも考えられるが、以下の点で好ましくない。すなわち、導電性接着剤に含まれる導電性粒子(例えば、アルミニウムや銀等の金属粉)により、ひずみゲージ100に凹凸が生じたり、抵抗体103が破損したりするおそれがある。また、この対策として、導電性接着剤の導電性粒子を微細化した場合、貫通電極106と測定対象物200の導通が不安定になるおそれがある。また、導電性粒子を微細化すると導電性接着剤に含まれる絶縁材の成分が増加するため、導電性接着剤の粘度が上昇し、ひずみの検出感度が低下するおそれがある。また、導電性接着剤に含まれる導電性粒子により、マイグレーションが発生するおそれがある。
ひずみゲージ100では、貫通電極106が測定対象物200に当接することで、貫通電極106と測定対象物200とが導通する。したがって、ひずみゲージ100では、基材101の下面101bに導電性接着剤を設ける必要がないため、上記の様々な問題を回避できる。また、弾性体400でひずみゲージ100を測定対象物200側に押圧することで、貫通電極106と測定対象物200を安定して導通させることができる。
図4において、測定対象物200は特に限定されないが、より具体的な一例として、センサ構造体の測定対象物が転がり軸受である例を示す。図5は、センサ構造体の測定対象物が転がり軸受である例を示す断面図(その1)であり、軸線mに平行な方向の断面を示している。図6は、センサ構造体の測定対象物が転がり軸受である例を示す断面図(その2)であり、軸線mに垂直な方向の断面を示している。
図5及び図6に示すように、センサ構造体20は、ひずみゲージ100と、転がり軸受200Rと、軸受ハウジング300Rと、弾性体400とを有している。転がり軸受200Rは図4における測定対象物200に相当し、軸受ハウジング300Rは図4における対向部300に相当する。
転がり軸受200Rは、外輪210と、内輪220と、複数の転動体230とを有している。外輪210は、軸線mを中心軸とする円筒形の構造体である。内輪220は、外輪210の内周側に外輪210と同軸状に配置された円筒形の構造体である。複数の転動体230の各々は外輪210と内輪220との間に形成される軌道内に配置された球体である。軌道内にはグリース等の潤滑剤が封入される。
軸受ハウジング300Rは、略円筒状の部材であり、外輪210の外周面、すなわち転がり軸受200Rの第1面200aと接するように配置されている。軸受ハウジング300Rは、ひずみゲージ100が配置される部分を除き、外輪210の外周面を全周に亘って押さえている。ここで、転がり軸受200Rの第1面200aと接するとは、軸受ハウジング300Rが他の部材を介さずに第1面200aと直接的に接する場合の他、接着剤等の他の部材を介して間接的に接する場合も含む。
軸受ハウジング300Rは、例えば、外輪210に圧入されている。或いは、軸受ハウジング300Rは、外輪210に接着されてもよい。軸受ハウジング300Rは、ひずみゲージ100を配置するためのキャビティ部を有し、キャビティ部の天面が、転がり軸受200Rの第1面200a(外輪210の外周面)と対向する第2面300bとなる。軸受ハウジング300Rは、例えば、真鍮、アルミニウム、ステンレスなどの金属や、樹脂等により形成できる。
ひずみゲージ100は、基材101の下面101b及び貫通電極106の下面106bが転がり軸受200Rの第1面200aと当接するように、転がり軸受200Rに装着されている。図示は省略されているが、図4と同様に、ひずみゲージ100の貫通電極106の上面106aに、はんだ等の接合材111を用いて、線材112が接合されている。
弾性体400は、第1面200aと第2面300bとの間に配置され、ひずみゲージ100を第1面200a側に押圧している。図4と同様に、線材112の一部は、弾性体400から突出し、センサ構造体20の外部との電気的接続を可能とする。
弾性体400がひずみゲージ100を第1面200a側に押圧することにより、基材101の下面101b及び貫通電極106の下面106bが転がり軸受200Rの第1面200aと確実に当接する。その結果、貫通電極106と転がり軸受200Rの外輪210とが同電位になる。
弾性体400から突出する線材112をひずみゲージ100が接続される回路のGNDと接続することにより、転がり軸受200Rの外輪210をひずみゲージ100が接続される回路のGND電位と等しくすることができる。これにより、電磁ノイズの影響を低減することができ、その結果、ひずみゲージ100は、S/N比のよいひずみを検出することができる。
〈第1実施形態の変形例〉
第1実施形態の変形例では、第1実施形態とは異なる断面形状の貫通電極を有するひずみゲージの例を示す。なお、第1実施形態の変形例において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図7は、第1実施形態の変形例1に係るひずみゲージを例示する断面図である。なお、第1実施形態の変形例1に係るひずみゲージの平面図は図1と同様であるため、図示を省略する。図7は、図1のA-A線に沿う断面に相当する断面を示している。
図7に示すひずみゲージ100Aは、貫通電極106が貫通電極116に置換された点が、ひずみゲージ100(図2等参照)と相違する。
貫通電極116は、基材101を上面101aから下面101bに貫通する。貫通電極116は、基材101を上面101aから下面101bに貫通する貫通孔101x内に配置されている。貫通電極116の上面116aは、例えば、基材101の上面101aと面一である。
一方、貫通電極116の下面116bは、基材101の下面101bから下方に突出している。貫通電極116の下面116bは、断面視で、例えば、中央部の突出量が最も大きく、周辺部に行くにしたがって突出量が小さくなる形状であるが、これには限定されない。
貫通電極116の材料には、貫通電極106の材料として例示した任意の材料を用いることができる。
このように、貫通電極116の下面116bが基材101の下面101bから突出していることにより、ひずみゲージ100Aを測定対象物に装着したときに、貫通電極116の下面116bを測定対象物に確実に当接することができる。その結果、貫通電極116と測定対象物との間の導通をとることが容易となる。
図8は、第1実施形態の変形例2に係るひずみゲージを例示する断面図である。なお、第1実施形態の変形例2に係るひずみゲージの平面図は図1と同様であるため、図示を省略する。図8は、図1のA-A線に沿う断面に相当する断面を示している。
図8に示すひずみゲージ100Bは、貫通電極106が貫通電極126に置換された点が、ひずみゲージ100(図2等参照)と相違する。
貫通電極126は、基材101を上面101aから下面101bに貫通する。貫通電極126は、基材101を上面101aから下面101bに貫通する貫通孔101x内に配置されている。貫通電極126の上面126aは、例えば、基材101の上面101aと面一である。また、貫通電極106の下面126bは、例えば、基材101の下面101bと面一である。
貫通孔101xの基材101の下面101b側の開口部の面積は、貫通孔101xの基材101の上面101a側の開口部の面積よりも大きい。なお、貫通電極126の下面126bが基材101の下面101bと面一である場合、貫通孔101xの基材101の下面101b側の開口部の面積は、貫通電極126の下面126bの面積と等しい。また、貫通電極126の上面126aが基材101の上面101aと面一である場合、貫通孔101xの基材101の上面101a側の開口部の面積は、貫通電極126の上面126aの面積と等しい。
貫通電極126の形状は、例えば、錘台状である。つまり、貫通電極126の形状は、例えば、断面視で台形状である。ただし、これには限定されず、例えば、断面視で、貫通電極126の側面は直線状に傾斜していなくてもよく、例えば、凸型や凹型に湾曲していてもよい。あるいは、断面視で、貫通電極126の側面は階段状であってもよい。
貫通電極126の材料には、貫通電極106の材料として例示した任意の材料を用いることができる。
このように、ひずみゲージ100Bでは、貫通孔101xの基材101の下面101b側の開口部の面積が、貫通孔101xの基材101の上面101a側の開口部の面積よりも大きい。これにより、貫通電極126の上面126aに線材等を接合する際や接合した後に、貫通電極126が基材101の上面101a側に抜けることを抑制することができる。
なお、貫通電極126の下面126bは、図7に示した貫通電極116と同様に、基材101の下面101bから下方に突出していてもよい。
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
10,20 センサ構造体、100,100A,100B ひずみゲージ、101 基材、101a,106a,116a,126a 上面、101b,106b,116b,126b 下面、101x 貫通孔、102 機能層、103 抵抗体、104 配線、105 端子部、106,116,126 貫通電極、107 カバー層、111 接合材、112 線材、200 測定対象物、200a 第1面、200R 転がり軸受、210 外輪、220 内輪、230 転動体、300 対向部、300b 第2面、300R 軸受ハウジング、400 弾性体

Claims (10)

  1. 測定対象物に装着され、前記測定対象物に生じるひずみを検出するひずみゲージであって、
    基材と、
    前記基材の上面に形成された抵抗体と、
    前記基材を上面から下面に貫通する貫通電極と、を有し、
    前記ひずみゲージが前記測定対象物に装着される際に、前記基材の下面及び前記貫通電極の下面が前記測定対象物と当接する面となる、ひずみゲージ。
  2. 前記貫通電極の下面は、前記基材の下面と面一である、請求項1に記載のひずみゲージ。
  3. 前記貫通電極の下面は、前記基材の下面から突出している、請求項1に記載のひずみゲージ。
  4. 前記貫通電極は、前記基材を上面から下面に貫通する貫通孔内に配置され、
    前記貫通孔の前記基材の下面側の開口部の面積は、前記貫通孔の前記基材の上面側の開口部の面積よりも大きい、請求項1に記載のひずみゲージ。
  5. 前記抵抗体は、Cr混相膜から形成されている、請求項1に記載のひずみゲージ。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載のひずみゲージと、
    前記基材の下面及び前記貫通電極の下面が当接する第1面を備えた測定対象物と、
    前記第1面と対向する第2面を備え、前記測定対象物に対して位置決めされた対向部と、
    前記第1面と前記第2面との間に配置され、前記ひずみゲージを前記第1面側に押圧する弾性体と、を有するセンサ構造体。
  7. 前記弾性体は、低異方性の材料から形成される、請求項6に記載のセンサ構造体。
  8. 前記弾性体は、発泡性の材料から形成される、請求項7に記載のセンサ構造体。
  9. 前記測定対象物は、転がり軸受である、請求項6に記載のセンサ構造体。
  10. 前記対向部は、軸受ハウジングである、請求項9に記載のセンサ構造体。
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