JP2023154648A - 経路計画装置及び搬送車両システム - Google Patents

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Kazuya Sugimoto
誠也 伊藤
Seiya Ito
統宙 月舘
Tsunamichi TSUKIDATE
佑里 永崎
Yuri Nagasaki
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Abstract

【課題】効率的な走行経路の生成を課題とする。【解決手段】加速度の変化を所定の範囲に抑え、同じ目標地点に同じ走行経路で走行する際の走行距離を短くするための目的関数である式(11)と、搬送車両の運動方程式である式(12)と、搬送車両の加減速の上限を示す式である式(13)と車載センサによる検出範囲、及び、搬送車両の位置が、安全マージンによって設定される経路境界の内側となるよう制約する式である式(14)、式(15)と、が設定されており、制約条件を満たしつつ、目的関数を満たす適正経路を探索し、当該適正経路を搬送車両が走行するための速度制御情報及び操舵角制御情報を含む制御入力情報を生成する走行経路・検出範囲計画部212と、走行経路・検出範囲計画部212によって探索された適正経路を出力する経路情報表示・設定部214と、を有することを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、経路計画装置及び搬送車両システムの技術に関する。
近年では、少子高齢化による労働力不足やE-コマース市場拡大による物流件数の増加に伴い、物流倉庫内や工場内の省人化、作業効率の向上が課題となっている。これらの課題を解決するため、無人で動作可能な自律搬送車両(以降、搬送車両)、及び、複数台の搬送車両を効率よく動作させる搬送車両システムの導入が進められている。
搬送車両の例として、AGV(Autonomous Guided Vehicle)をはじめとする台車型車両や、フォークリフト等がある。収納棚から必要な部材をピッキングするために、AGVにロボットアームを備える搬送車両等も存在する。
搬送車両システムは、これらの搬送車両に対して、目的とするタスク(荷積み・荷下ろし等)を示す信号を送信し、それぞれの搬送車両の走行終了位置までの走行、及び、走行終了位置での作業を管理・実行する。
搬送車両システムを顧客現場へ導入する際の工程は、下記の様に大別される。
Z1)導入要件定義:搬送車両が実現する具体的なタスク・目標生産量等の整理。
Z2)走行経路設計:導入要件を実現する搬送車両の走行経路の設計。
Z3)走行制御設計:設計した走行経路を追従する走行制御機能、及び、複数台の搬送車両を効率的に扱う群制御機能の設計。
走行経路の設計内容は、さらに下記の様に細分化される。
Y1)障害物検出領域設計: 障害物(壁・棚)や人との干渉を検出した際における衝突回避のための減速・停止が必要な領域の設計。障害物検出は、主に車載LiDAR(Light Detection and Ranging)により実現される。
Y2)経路設計: 走行終了位置まで可能な限り高速で到達可能な経路の設計。
Y3)目標制御入力設計: Y2)を実現する目標制御入力の設計。目標制御入力は、例えば、目標速度、目標操舵角等を含む。
顧客現場導入を円滑に行うためには、Y1)~Y3)のすべてを満足する設計・設定を、可能な限り短期間で導出することが重要となる。
一方、搬送車両は、様々な大きさや駆動形態が存在する。例えば、フォークリフト(リーチ型フォークリフト)は、4輪構成である。フォークリフトでは、駆動輪はバンパ方向の1輪のみであり、その他は遊動輪又は従属輪である。他方、AGVは、左右二輪の速度差を用いて旋回動作を実現する搬送車両や、横方向にも移動可能なオムニホイールを備えたものが存在する。従って、搬送車両の大きさや駆動形態が大きく異なる搬送車両群を複数台導入する環境において、搬送車両ごとに走行経路を設計することは膨大な開発期間を要する。
そこで上記問題を解決するために、例えば特許文献1には、「装置が、距離センサを備えた移動体の走行において取得された複数のログデータセットを読み出す。各ログデータセットは、時刻を表す情報と、当該時刻での移動体の検出位置及び検出姿勢を表す情報と、当該時刻に関し距離センサにより取得された複数の距離を表す距離データセットとを含む。装置は、複数の検出位置の各々について、当該検出位置を含む二つ以上の検出位置を表す二つ以上のログデータセットを用いて、移動体の停止距離を算出する。装置は、移動体の走行経路における複数の走行位置の各々について、当該走行位置に属する検出位置について算出された停止距離と、当該停止距離に含まれる検出位置を表すログデータセットが表す複数の距離とを基に、防護領域を決定し、決定された防護領域を表す情報を、移動体に設定する」自律移動支援装置及び同装置を備える移動体が開示されている(要約参照)。
また、特許文献2には、「自車に搭載され、自動運転又は運転支援を実施可能に構成された車両制御装置であって、前記自車の外界の情報を検出する外界センサと、前記外界センサの検出情報に基づき、走行路の左右の境界を規定する走行路規定対象物を認識する外界認識部と、前記外界認識部により認識された前記走行路規定対象物に基づき前記走行路の仮中心線を生成する仮中心線生成部と、前記仮中心線生成部により生成された過去の前記仮中心線を用いてフィルタリングすることにより中心線を算出するフィルタリング部と、算出した前記中心線に基づき左右の走行可能範囲を示す情報を算出する情報取得部と、前記左右の走行可能範囲で前記自車が通行する通行点を設定し、さらに前記通行点を並べた状態の曲率、走行距離、前記左右の走行可能範囲の中心線との差分が最小となる理想走行経路を算出する走行経路算出部と、を有することを特徴とする」車両制御装置が開示されている(請求項1参照)。
国際公開第2021/059335号 特許第6637400号明細書
しかし、特許文献1に記載の技術は、目標経路が事前に設定されていることが前提である。そのため、演算された障害物検出領域が境界(壁等)に干渉する場合、目標速度が抑えられ、縮小した障害物検出領域が設定される。従って、特許文献1に記載の技術は、障害物検出領域の設計効率化のみを対象としており、走行経路や目標制御入力の適正化には言及していない。そのため、搬送効率低下に関してさらなる改良が必要である。
他方、特許文献2に記載の技術は、目的地までの最短もしくは最速経路が生成できるものの、障害物検出領域までの最適化が行われていない。
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、効率的な走行経路の生成を課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明は、搬送車両の加速度の変化を所定の範囲に抑え、同じ目標地点に同じ走行経路で走行する際の走行距離を短くするための目的関数が設定されるとともに、前記搬送車両の運動方程式である第1の式と、前記搬送車両の加減速の上限を示す式である第2の式と、前記搬送車両に備えられ、前記搬送車両の周囲環境を検出する車載センサによる検出範囲、及び、前記搬送車両の位置が、安全マージンによって設定される経路境界の内側となるよう制約する式である第3の式と、を含む制約条件が設定されており、前記第1の式、前記第2の式、前記第3の式を含む前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を満たす経路を探索し、当該経路を前記搬送車両が走行するための速度制御情報及び操舵角制御情報を含む制御入力情報を生成する経路生成部と、前記経路生成部によって探索された前記経路に関する情報、及び、前記制御入力情報を前記搬送車両へ送信する通信部と、前記経路生成部によって探索された前記経路を出力部に出力する出力処理部と、を有することを特徴とする。
その他の解決手段は実施形態中において適宜記載する。
本発明によれば、効率的な走行経路の生成が可能となる。
搬送車両の側面図を示す図である。 搬送車両の上面図を示す図である。 車載センサによる検出範囲の一例を示す図(その1)である。 車載センサによる検出範囲の一例を示す図(その2)である。 車載センサによる検出範囲の一例を示す図(その3)である。 車載センサによる検出範囲の一例を示す図(その4)である。 本実施形態で想定される搬送車両の走行環境の例を示す図である。 本実施形態に係る搬送車両システムの最小構成例を示す機能ブロック図である。 本実施形態における搬送車両における座標系及び制御入力情報で使用される情報を示す図である。 通路境界の一例を示す図である。 参照経路・境界作成部における処理を示す図である。 走行経路・検出範囲計画部における処理を示す図(その1)である。 走行経路・検出範囲計画部における処理を示す図(その2)である。 走行経路・検出範囲計画部によって作成された適正経路を示す図である。 目標速度の具体例を示す図である。 目標操舵角の具体例を示す図である。 走行終了位置までの適正経路が作成できなかった具体事例を示す図(その1)である。 走行終了位置まで適正経路が作成できなかった具体事例を示す図(その2)である。 走行終了位置まで適正経路が作成できなかった具体事例を示す図(その3)である。 走行終了位置まで適正経路が作成できなかった具体事例を示す図(その4)である。 走行終了位置まで適正経路が作成できなかった具体事例を示す図(その5)である。 走行終了位置まで適正経路が作成できなかった具体事例を示す図(その6)である。 経路情報表示・設定部によって表示装置で表示される画面の一例を示す図である。 走行経路設定部、及び、後記する障害物検出部における処理を示す図である。 障害物検出部の処理を説明する図である。 第1実施形態で実行される経路作成処理の手順を示すフローチャート(その1)である。 第1実施形態で実行される経路作成処理の手順を示すフローチャート(その2)である。 第2実施形態を実現する搬送車両システムの最小構成例を示す機能ブロック図である。 検出範囲の変化を行う前における目標操舵角の割り振りを示す図である。 検出範囲の変化を行った後における目標操舵角の割り振りを示す図である。 第2実施形態を実現する搬送車両システムの別の最小構成例を示す機能ブロック図である。 様々な走行形態を有する搬送車両の例を示す図(その1)である。 様々な走行形態を有する搬送車両における適正経路を示す図(その1)である。 様々な走行形態を有する搬送車両の例を示す図(その2)である。 様々な走行形態を有する搬送車両における適正経路を示す図(その2)である。 様々な走行形態を有する搬送車両の例を示す図(その3)である。 様々な走行形態を有する搬送車両における適正経路を示す図(その3)である。 様々な走行形態を有する搬送車両の例を示す図(その4)である。 様々な走行形態を有する搬送車両における適正経路を示す図(その4)である。 経路計画サーバのハードウェア構成を示す図である。 車載コントローラのハードウェア構成を示す図である。
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下、図1~図13を参照して、本発明の一実施形態を詳述する。なお、本実施形態は、前記したZ2)走行経路設計に着眼したものである。
<第1実施形態>
[搬送車両100]
搬送車両100の一例を、図1A及び図1Bを用いて説明する。図1Aは搬送車両100の側面図を示し、図1Bは搬送車両100の上面図を示している。なお、搬送車両100は、図1A及び図1Bに示す白抜矢印の方向へ移動する。
搬送車両100は、いわゆるAGVであり、車両本体101と、荷台104と、移載装置103とを備えている。
荷台104は、荷301を支持する。また、移載装置103は、車両本体101に備えられており、荷台104を上下及び左右自在に移動可能とするものである。
また、車両本体101は、バンパ102、駆動輪106、従動輪107、車載センサ111を備えている。車載センサ111については後記する。さらに、車両本体101の内部には、移載モータ105、走行モータ108、操舵モータ109、エンコーダ112、車載コントローラ120が備えられている。走行モータ108は、駆動輪106の駆動を制御する。操舵モータ109は、駆動輪106による車両本体101の旋回を制御する。また、エンコーダ112は、駆動輪106の回転速度、操舵モータ109の回転速度を計測する。また、車両本体101の内部には、移載モータ105が備えられており、移載装置103は移載モータ105により駆動される。移載モータ105が備えられており、移載装置103の駆動を制御する。なお、図1A及び図1Bに示す搬送車両100は、後輪が駆動輪106となっている。また、搬送車両100は車両と適宜記載することがある。
(車載コントローラ120)
また、車載コントローラ120は、搬送車両100の自律制御を実現するための演算を実施する。具体的には、搬送車両100を制御する演算を実施するためのCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサや、プログラム、データを記憶するメモリとで構成される計算機である。車載コントローラ120の詳細については後記する。
(車載センサ111)
本実施形態では、搬送車両100の周囲の環境を検出する車載センサ111としてLiDAR(Light Detection And Ranging)が設置されている。LiDARはレーザ光の照射角度を変化させながら照射範囲に存在する物体との距離を計測するセンサである。車載コントローラ120は、LiDAR(車載センサ111)によるレーザ照射時の光軸角度の情報と、物体との距離情報から、物体の位置を示す点群情報を取得することが可能である。なお、本実施形態では車載センサ111は1台のみの構成であるが、車載センサ111が複数台備えられていてもよい。
このように、本実施形態では、車載センサ111としてもLiDARを用いて障害物検出を実現する。障害物(壁や、棚302)や人と、搬送車両100との干渉が検出されると、搬送車両100は衝突回避のため、減速・停止を行う。
図1A及び図1Bに示す構成はAGVとしての搬送車両100の構成の一例であり、図1A及び図1Bに示す構成以外でもよい。例えば、搬送車両100は、すべての車輪を駆動輪106とすることで全方位への移動を可能とする構成でも構わない。また、バンパ102が車両本体101の前方に備えられていてもよい。なお、前方とは搬送車両100の進行方向をいう。
[検出範囲D]
図2A~図2Dは車載センサ111による検出範囲Dの一例を示す図である。
以降の図において、搬送車両100に記載されている三角は、搬送車両100の走行方向を示している。
車載センサ111による検出範囲Dは、搬送車両100の制動性能(制動距離)、走行速度、操舵量等によって変化する。走行速度が速くなるに従い、図2A及び図2Bに示す様に進行方向に対して検出範囲Dが拡大される。つまり、搬送車両100の走行速度が小さい(遅い)と図2Aに示すように進行方向に対して検出範囲Dが短くなる。また、搬送車両100の走行速度が大きい(速い)と図2Bに示すように進行方向に対して検出範囲Dが長くなる(符号D1の長さが長くなる)。
また、旋回量の変化に伴い、図2C及び図2Dに示すように旋回方向に検出範囲Dが変化する(符号D2の長さが変化する)。ちなみに、図2C及び図2Dでは、進行方向に対して左方向(紙面上方向)に搬送車両100が操舵している場合を示している。搬送車両100の操舵角が小さい(緩やかに搬送車両100が旋回する)場合、図2Cに示すように検出範囲Dの旋回方向への拡大は小さい(符号D2の長さが図2Dと比較して短い)。また、搬送車両100の操舵角が大きい(急旋回)場合、図2Dに示すように検出範囲Dの旋回方向への拡大が大きくなる。なお、図2Dに示す例では、図2Cに示す例と比較して、搬送車両100の走行速度も大きい(符号D2の長さが図2Cと比較して長い)。このように、図2Cに示す検出範囲Dは図2Dに示す検出範囲Dと比べて搬送車両100の進行方向に対して短くなっている。逆に、図2Dに示す検出範囲Dは図2Cに示す検出範囲Dと比べて搬送車両100の進行方向に対して長くなっている。
このように、本実施形態では、図1A及び図1Bに示すエンコーダ112は、取得した走行モータ108や、操舵モータ109の情報を車載コントローラ120にわたす。そして、車載コントローラ120が、図2A~図2Dに示すように検出範囲Dを動的に変動する。なお、車載センサ111がコントローラを搭載している場合、エンコーダ112が取得した情報を車載センサ111に搭載されているコントローラが取得してもよい。この場合、車載センサ111に搭載されているコントローラが検出範囲Dを動的に変動する。
[走行環境300]
図3は、本実施形態で想定される搬送車両100の走行環境300の例を示す図である。
倉庫や工場等である走行環境300は、棚302等で囲われた狭く細い通路303の連続で構成される。また、搬送車両100の通路303には、仮置きされた荷301aや、棚302からはみ出している荷301b、棚302から持ち去られた箇所301cのような荷301の変化が生じる。本実施形態は、このような走行環境300の中で、以下の条件を満たす走行経路、及び、制御入力情報540(図9A、図9B参照))を算出することを目的とする。(C1)検出範囲Dが周囲の棚302や仮置きされた荷301a等に干渉しない。(C2)制約された条件の下で目的地まで最速到達可能。制御入力情報540は、搬送車両100が自律走行する際の走行速度(目標速度(速度制御情報)541(図9A参照))や、操舵角(目標操舵角(操舵角制御情報)542(図9B参照))の情報である。制御入力情報540については後記する。なお、図3では破線で示す搬送車両100の位置から実線で示す搬送車両100まで搬送車両100が移動したことを示している。また、破線で示す搬送車両100では、これから旋回をはじめるところであるため、検出範囲Dは搬送車両100の進行方向に対し、図2C及び図2Dに示すような横方向への広がりが生じていない。
[搬送車両システムZ]
図4は、本実施形態に係る搬送車両システムZの最小構成例を示す機能ブロック図である。
図4では搬送車両システムZを構成する経路計画サーバ200と、搬送車両100に搭載されている車載コントローラ120とが示されている。なお、図4において、矢印付きの実線はデータの流れを表している。
[経路計画サーバ200]
経路計画サーバ(経路計画装置)200は、車両モデル情報記憶部201、車載センサ情報記憶部202、経路通路境界記憶部203、安全マージン・目標位置・時間記憶部204、走行経路情報記憶部205を備えている。また、経路計画サーバ200は、参照経路・境界作成部211、走行経路・検出範囲計画部(経路生成部)212、経路作成不可要因判定部213、経路情報表示・設定部(出力処理部)214を備える。また、経路計画サーバ200は、車載コントローラ120と通信を行うための通信部221を備えている。
経路計画サーバ200は、後記する各記憶部201~205の情報を基に、走行終了位置までの走行経路を算出し、算出した走行経路を経路情報表示・設定部214に出力する。この際、経路計画サーバ200は、走行経路算出時の内部計算において、事前に設定した制約式(後記)を満足できない場合、経路作成不可要因判定部213が経路生成不可と判定する。そして、経路計画サーバ200は、経路生成不可と判定された原因を含む結果を経路情報表示・設定部214に出力する。
経路計画サーバ200の各部201~205,211~214の機能の詳細について以下に記載する。
(車両モデル情報記憶部201)
車両モデル情報記憶部201は、搬送車両100の基本情報である車両基本情報を格納している。具体的には、車両基本情報には、搬送車両100の車両幅や、車両長、ホイールベース等の車格に関わる寸法値(車両寸法値)等が格納されている。また、車両基本情報には、搬送車両100の最大走行速度や、最大加速度(減速度)等といった走行性能の上下限値が格納されている。さらに、車両基本情報には最大積載量等も格納されている。
また、車両モデル情報記憶部201には、搬送車両100の走行時における動作特性が数式(運動方程式)で示されている車両制御モデルも格納されている。搬送車両100の走行形態に応じた運動方程式の立式方法は公知であるため本実施形態では割愛する。車両モデル情報記憶部201に格納されている車両制御モデルは、走行経路・検出範囲計画部212にわたされる。
図5を参照して、搬送車両100の座標系及び車両制御モデルについて説明する。
図5は、本実施形態における搬送車両100における座標系及び制御入力情報540(図9A、図9B参照)で使用される情報を示す図である。本実施形態では、後記する目的関数や、制約式を満足する走行経路が探索される。
図5に示すW軸、W軸は世界座標系を示す。また、図5に示すξ軸、μ軸は搬送車両100に対して固定された座標系である車両座標系を示す。車両座標系は、世界座標系に対して定義されるものである。
図5においてaは搬送車両100の加速度である。そして、図5に示すaは加速度aのWx軸方向成分である。さらに、aは加速度aのWy軸方向成分である。また、alongは加速度aのξ軸方向成分である。そして、alatは加速度aのμ軸方向成分である。また、φは世界座標系に対する搬送車両100の方位角度を示している。
以上の定義にもとづき、本実施形態では車両制御モデルが下記に記載する式(1)の様に定義される。また、式(2)は式(1)におけるxt+1、x、A,B,ut+1の定義を示している。式(1)において、xt+1、xは、微小離散時間Δtで定義される各時刻における世界座標系に対する搬送車両100の状態ベクトルである。また、式(2)における(p、p)は車両位置のx軸方法成分、y軸法九成分を示し、(v、v)は車両速度のx軸方向成分及びy軸方向成分を示している。なお、x軸、y軸は世界座標における座標であり、図5のW軸、W軸に相当する。車両位置は、搬送車両100の所定位置等で定義される。また、ut+1は、後記する走行経路・検出範囲計画部212で作成される制御入力情報540であり、ay+1は加速度aのW軸方向成分、及び、ax+1は加速度aのW軸方向成分を示す。ちなみに、ax+1は図5のaに相当し、ay+1はaに相当する。係数A,Bは式(2)に示す通りである。なお、各式において、下添え字のx、yは時刻tを示し、x+1、y+1は時刻t+1を示している。
Figure 2023154648000002

(車載センサ情報記憶部202)
図4の説明に戻る。
車載センサ情報記憶部202は、車載センサ111(LiDAR)の性能情報を格納している。車載センサ情報記憶部202には、車載センサ111の最大検出距離、最小検出距離、スキャン周期、水平・垂直方向の分解能等が格納されている。
また、車載センサ111が障害物検出演算機能搭載型のLiDAR(具体的には第2実施形態で詳述)である場合、以下に示す情報が車載センサ情報記憶部202に格納されている。(E1)検出に必要な処理時間、(E2)受信できるエンコーダ112の情報の分解能、(E3)検出範囲D(図2A~図2D)の変化パターンにおける目標速度541(図9A参照)、(E4)目標操舵角542(図9B参照)の分解能等。検出範囲D(図2A~図2D)の変化パターンにおける目標速度541、目標操舵角542の分解能については、第2実施形態で後記する。
加えて、車載センサ情報記憶部202には、下記の式(3)、式(4)に示すような検出範囲D(図2A~図2D参照)の変動を示す数式が格納されている。式(3)に示すrlongは、図2の符号D1に示す車両進行方向の検出範囲Dの変動を示す。式(4)に示すrlatは、図2の符号D2に示す車両横方向の検出範囲Dの変動を示す。また、式(3)、式(4)に示すclong、clatはそれぞれ係数(定数値)を示している。
前記したように、検出範囲Dは搬送車両100の大きさ、制動性能から設定される値である。多くのAGVやフォークリフトは、最大速度が1.0m/sから2.0m/sと、一般的な乗用車と比較すると低速である。そのため、速度と制動距離とが線形近似可能な場合が多い。そこで、本実施形態では、後記する走行経路の作成の処理を簡潔にするため、式(3)、式(4)に示すような関係式が用いられる。一方で、搬送車両100が高速移動可能であれば、乗用車と同様、制動距離が速度に対し2次関数的に増加する傾向にあるため、式(3)、式(4)の式を非線形の数式としてもよい。
Figure 2023154648000003

(経路通路境界記憶部203)
図4の説明に戻る。
経路通路境界記憶部203は、図3に示すような棚302や、通路303に仮置きされている荷301a等、搬送車両100の走行経路上に存在する障害物の通路境界501(図6A参照)を管理する。
図6Aを参照して、通路境界501の一例を示す。
図6Aは、通路境界の一例を示す図である。なお、図6Aにおいて、図3と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図6Aに示す通路境界501は、実際の走行環境300に重ねるようにして示されている。図6Aにおいて通路境界501は太実線で示されている。図6Aに示すように通路境界は、通路303の形状に加えて、通路303に仮置きされている荷301aや、棚302からはみだしている荷301bの輪郭として作成される。通路境界501は、対象となる走行区間のCAD図面を基に作成されてもよい。あるいは、搬送車両100が備える車載センサ111から取得した走行中の点群データを入力とし、格子地図を基に通路境界501が作成されてもよい。格子地図は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を用いて作成される。例えば、環境変化に対応するために、実運用中において任意のタイミングで車載センサ111による再計測が行われ、再計測が行われるたびに通路境界501が更新されてもよい。環境変化は、荷301のはみ出し(荷301b)や、通路303に仮置きされている荷301a等である
(安全マージン・目標位置・時間記憶部204)
図4の説明に戻る。
安全マージン・目標位置・時間記憶部204には、経路計画に対する安全及び効率に関する制約式や、目標値に関する情報が格納されている。目標値に関する情報は、図6Bに示す走行開始位置503、走行終了位置504、目標走行時間を含む情報である。走行開始位置503、走行終了位置504、目標走行時間については後記する。また、安全マージン・目標位置・時間記憶部204には、周囲障害物からの余裕距離を示すパラメータである安全マージン511(図6B参照)に関する情報が格納されている。走行経路の作成が行われる際、搬送車両100自身や障害物領域が安全マージン511の内側に入らないように走行経路が作成される。
図6Bを参照して、安全マージン511について説明する。
図6Bは、参照経路・境界作成部における処理を示す図である。
図6Bにおいて、図6Aと同様の構成については図6Aと同様の構成については図6Aと同一の符号を付して説明を省略する。
安全マージン511は、図4に示す経路情報表示・設定部214を介して人手によって設定される。なお、安全マージン511は、一律の固定値である必要はない。例えば、通路303ごと、現場環境ごとに、異なる幅の安全マージン511が変更されてもよい。あるいは、搬送車両100の運用時間帯に応じて安全マージン511が動的に変更されてもよい。
また、図6Bに示す走行開始位置503は、搬送車両100が走行を開始する位置座標を示す。そして、図6Bに示す走行終了位置504は、搬送車両100が走行を終了する位置座標を示す。走行開始位置503、走行終了位置504は、棚302の手前や、図示しない充電スポット付近等に設定される。走行開始位置503、走行終了位置504それぞれの位置座標は、図4に示す経路情報表示・設定部214を介して人手によって設定されてもよい。あるいは、対象となる走行区間のCAD図面や、搬送車両100に備えられている車載センサ111を用いて作成した環境地図から走行開始位置503、走行終了位置504それぞれの位置座標が設定されてもよい。この場合、経路計画サーバ200が、CAD図面や、環境地図における棚302の手前、充電スポット付近を認識し、走行開始位置503及び走行終了位置504を自動設定してもよい。
また、本実施形態では、設定した走行開始位置503から走行終了位置504までの走行時間の目標値である目標走行時間が設定されている。本実施形態では目標走行時間も、経路情報表示・設定部214を介して人手で設定されることが想定されている。ユーザは、使用する搬送車両100の性能、搬送車両システムZの目標生産量等に基づいて目標走行時間を設定する。設定された安全マージン511、走行開始位置、走行終了位置、目標走行時間は、走行経路・検出範囲計画部212にわたされる。なお、図6Bにおける符号502,505~507については後記する。
(参照経路・境界作成部211)
図4を参照しつつ、図6Bを参照して参照経路・境界作成部211について説明する。
参照経路・境界作成部211は、経路通路境界記憶部203に格納されている安全マージン511を基に経路境界502(図6B参照)を作成する。すなわち、参照経路・境界作成部211は、通路境界501から通路303の側に安全マージン511の幅だけ移動させた境界(線)を経路境界502とする。
また、参照経路・境界作成部211は、作成した経路境界502を基に、仮の走行経路としての参照経路506を作成する。参照経路・境界作成部211は、図6Bに示すように、安全マージン511を含む経路境界502の中心位置505を、例えば、0.1m間隔で設定する。中心位置505は、経路境界502と経路境界502とを最短で結ぶ差し渡し幅の半分の位置として定義される。ただし、図6Bでは、作図上、正しく中心位置を示しているとは限らない。そして、参照経路・境界作成部211は、設定した中心位置505を線分結合することで参照経路506を作成する。中心位置505の間隔は0.1mに限らず、後記するの走行経路・検出範囲計画部212が許容する処理負荷に応じて、さらに細かく設定してもよいし、逆に、大きく設定してもよい。
また、図6Bに示すように、参照経路・境界作成部211は、それぞれの中心位置505に対して、左右の経路境界502との交点までを結んだ、二等分線507の距離(線分H,H,H,・・・,H)を算出する。二等分線507の距離は、中心位置505の両側に位置する参照経路506でなす角の二等分線507が経路境界502と交わるところまでの距離として定義される。
参照経路506は、安全マージン511を含む経路境界502の中心位置505を基に、参照経路・境界作成部211が作成してもよい。あるいは、経路情報表示・設定部214を介してユーザが参照経路506を作成してもよい。この場合、参照経路・境界作成部211は、ユーザによって作成された参照経路506を基に中心位置505及び二等分線507を算出する。
参照経路・境界作成部211は、少なくとも中心位置505、参照経路506に関する情報を走行経路・検出範囲計画部212にわたす。
(走行経路・検出範囲計画部212)
図4の説明に戻る。
走行経路・検出範囲計画部212は、各記憶部201~204、及び、参照経路・境界作成部211から入力される情報を基に最適な走行経路を作成する。
走行経路・検出範囲計画部212に入力される情報を以下に整理する。
(A1)車両モデル情報記憶部201:車両寸法値、最大走行速度、最大加速度、最大積載量(異常、車両基本情報)、車両制御モデル(搬送車両100の動作特性を示した運動方程式(式(1)、式(2))。
(A2)車載センサ情報記憶部202:車載センサ111(LiDAR)の最大検出距離、最小検出距離等、検出範囲D(図2A~図2D参照)の変化を示す数式(式(3)、式(4))。
(A3)経路通路境界記憶部203:車載センサ111(LiDAR)を用いたSLAMによって作成された格子地図(2次元画像)等を基に作成される通路境界501(図6A参照)。
(A4)安全マージン・目標位置・時間記憶部204:図6Bに示す安全マージン511、走行開始位置503、走行終了位置504、目標走行時間。
(A5)参照経路・境界作成部211:すべてのマージンを含む経路境界502、経路境界502、中心位置505、参照経路506、二等分線507(図6B参照)。
本実施形態では、数理最適化、具体的には、凸二次計画法として捉え、立式を行うことで対象の問題が解決される。対象の問題とは、以下の問題である。(F1)検出範囲D(図2A~図2D参照)が、周囲の障害物と干渉しない。(F2)図6Bの走行開始位置503から走行終了位置504まで最速で到達する。(F3)(F1)、(F2)を満たしつつ、最適な走行経路と、図9A及び図9Bに示す制御入力情報540とを作成すること(経路最適化)。具体的には、走行経路・検出範囲計画部212は、検出範囲Dが、周囲の障害物と干渉せず、図6Bの走行開始位置503から走行終了位置504まで最速で到達する走行経路、及び、制御入力情報540を作成する。目的関数及び制約式は以下に示す式(11)~式(16)として示される。以下、適宜図6Bを参照して、式(11)~式(16)を説明する。
Figure 2023154648000004

式(11)は経路最適化における目的関数を示している。目的関数である式(11)は、過度な加減速を抑え(搬送車両100の加速度の変化を所定の範囲に抑え)、同じ目標地点に同じ走行経路で走行する際の走行距離を短くする関数である。換言すれば、式(11)は、過度な加減速を抑えつつ、搬送車両100ができるだけ早く走行終了位置504に到達するための関数である。式(11)におけるRは、加減速の変化に対する重みパラメータである。式(12)~式(16)は目的関数(式(11))に対する制約式を示している。また、式(12)~式(16)は走行経路・検出範囲計画部212に予め設定されている。なお、加減速を抑えることで、搬送車両100が消費するエネルギ(燃料や電力)を少なくすることが可能である。
以下に制約式の詳細な内容を記載する。
第1の式である式(12)は搬送車両100の運動方程式を示しており、車両モデル情報記憶部201から入力される情報を示している。ちなみに、式(12)は、式(1)、式(2)と同様である。
第2の式である式(13)は、搬送車両100の現在速度に対する加減速上限(搬送車両100の加減速の上限)に関わる制約式である。式(13)は対象となる搬送車両100の性能を参考に設定される。なお、式(13)は図4に示す経路情報表示・設定部214を介して人手によって設定される。搬送車両100がAGVの様な比較的単純な構成の機体であれば、例えば、目標速度541(図9A参照)に至るまでの加速度・減速度は常に一定値としてもよい。他方で、搬送車両100がAGV等よりも複雑な構成を有する場合、搬送車両100の実機性能や、速度や、荷301重条件に応じた加減速が変更されてもよい。
式(14)7及び式(15)は経路境界制約である。
図7A及び図7Bを参照して、第3の式である式(14)及び式(15)の詳細を設明する。
図7A及び図7Bは、走行経路・検出範囲計画部における処理を示す図である。
式(14)、式(15)では、導出された車両位置ベクトルpが常に、安全マージン511を含む経路境界502の内部に存在するようにする。この条件を満たすためは、方向ベクトルf(f,f,f…,f)と、世界座標系における左右境界ベクトルTR,j、TL,j、車両位置ベクトルpの内積の大小関係が利用されるまた、座標ベクトルTc,jは、中心位置505の位置ベクトルに相当する。つまり、図7Aにおいて、座標ベクトルTc、jが示す黒丸は図6Bの中心位置505に相当する。方向ベクトルは、現在、対象となっている中心位置505から、次の中心位置を結ぶ方向の単位ベクトルである。例えば、fは、座標ベクトルTc,1で示される中心位置505を始点とし、座標ベクトルTc,1で示される中心位置505と、座標ベクトルTc,2で示される中心位置505とを結ぶ方向の単位ベクトルである。なお、図7Aでは車両位置ベクトルpは搬送車両100において車載センサ111(図1参照)の位置となるよう定義されているが、車両位置ベクトルpは搬送車両100の所定の箇所に定義されればよい。
さらに、本実施形態では、図2A~図2Dに示すように、車載センサ111の検出範囲Dの変化が考慮される。図7Bは、図7Aに示す図に車載センサ111の検出範囲Dを重畳した図である。なお、図7Bでは、図7Aに示す情報のうち、図7Bで使用しないものと適宜図示省略している。車載センサ111の検出範囲Dは、前記したように搬送車両100の現在速度と操舵量とに応じて変化する。また、式(1)及び式(2)に示される搬送車両100の状態ベクトルx(車両位置・車両速度)から、速度と操舵量の計算が可能である。そのため、走行経路・検出範囲計画部212は、世界座標系を基準として、図7Bに示す検出範囲Dの頂点ベクトルOR,j及びOL,jを導出する。
具体的には、式(14)及び式(15)に示す制約式の中で、車両位置ベクトルp(ここでは、図7Bに示す頂点ベクトルOR,j[xR,j、yR,j]及びOL,j[xL,j、yL,j])は以下の式(21)、式(22)のように表現できる。
Figure 2023154648000005

式(21)、式(22)において、wは搬送車両100の幅、vは搬送車両100の現在速度(v、vの二乗の平方根)である。走行経路・検出範囲計画部212は、頂点ベクトルOR,j[xR,j、yR,j]及びOL,j[xL,j、yL,j])のそれぞれを式(14)、式(15)のp(i)に代入する。これにより、図6Bの頂点ベクトルOR,j[xR,j、yR,j]及びOL,j[xL,j、yL,j])で示される検出範囲Dの頂点が経路境界502の内部に存在するよう制約される。
このように、式(14)及び式(15)は、車載センサ111による検出範囲D、及び、搬送車両100の位置が、安全マージン511によって設定される経路境界502の内側となるよう制約する式である。
式(16)は、搬送車両100の停止条件を示す制約式である。通常は、式(16)を使用する必要はない。しかし、式(11)の目的関数において、Hが経路末端(走行終了位置直前:走行終了位置から所定の距離以内)である場合、走行終了位置に到達した際のv、vの目標値のそれぞれが、0m/sに設定される。これによって、走行終了位置に対する減速・停止が行われる。
式(11)~式(16)では、目的関数である式(11)が2次式で表され、かつ目的関数(式(11))を表現する行列が正定である。この場合、目的関数(式(11))が凸関数となるため、2次計画法の数理計画ソルバ(数理計画問題を解くアルゴリズムを実装したソフトウェア)を用いて安定かつ高速に問題を解くことができる。
このように、走行経路・検出範囲計画部212は、式(12)~(16)の制約式を満たしつつ、目的関数である式(11)を満たす適正な走行経路となるまで、経路の変更を行う。なお、走行経路・検出範囲計画部212による処理は、搬送車両100の走行開始前に行われる。すなわち、適正な走行経路は搬送車両100の走行前に作成される。
具体的には、走行経路・検出範囲計画部212は、それぞれの中心位置505を初期値として、式(12)~(16)の制約式、及び、目的関数である式(11)を満たすよう、変形していく。また、走行経路・検出範囲計画部212は、検出範囲Dも式(12)~(16)の制約式、及び、目的関数である式(11)を満たすよう、走行経路及び制御入力情報540(図9A、図9B参照)を調整する。具体的には、走行経路・検出範囲計画部212は、走行経路を調整するとともに、制御入力情報540を構成する目標速度541(図9A参照)や、目標操舵角542(図9B参照)を調整する。すなわち、走行経路・検出範囲計画部212は、検出範囲Dも式(12)~(16)の制約式、及び、目的関数である式(11)を満たすような走行経路及び制御入力情報540を探索する。つまり、走行経路・検出範囲計画部212は、少なくとも、式(12)~(15)を含む制約条件を満たしつつ、目的関数である式(11)を満たす走行経路を探索し、この走行経路を搬送車両100が走行するための目標速度541(図9A参照)及び目標操舵角542(図9B参照)を含む制御入力情報540を生成する。
図8は、走行経路・検出範囲計画部212によって作成された適正な走行経路(以下、適正経路(少なくとも第1の式、第2の式、第3の式を含む制約条件を満たしつつ、目的関数を満たす経路)531と称する)を示す図である。また、図9A及び図9Bは適正経路531の走行を実現する制御入力情報540を示す図である。図8において、図3、図6A及び図6Bと共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図8に示す適正経路531は離散時間Δt(本実施形態では0.1sとする)刻みで作成された搬送車両100の目標走行位置を示している。それぞれの適正経路531の座標は搬送車両100の走行ノード532として表現される。走行ノード532を結んだ線分(不図示)が、実際に搬送車両100が走行する走行経路となる。走行ノード532は、図7Aにおいて位置ベクトルpで示される白丸に相当する。走行ノード532が中心位置505より小さい間隔で配置されているが、これは、走行経路・検出範囲計画部212が中心位置505を式(11)~(15)に従って変形したものを、さらに補間しているためである。
次に、図9A及び図9Bを参照して、制御入力情報540の具体例を示す。
図9Aは、目標速度541の具体例を示す図であり、図9Bは、目標操舵角542の具体例を示す図である。
図9Aには目標速度541の時系列が示されており、図9Bには目標操舵角542の時系列が示されている。搬送車両100は、図9A及び図9Bに示す制御入力情報540を基に、図1に示す走行モータ108及び操舵モータ109を制御することによって、作成された適正経路531を走行する。
このようにして、走行経路・検出範囲計画部212は、以下の条件を満たしつつ、最速で走行終了位置504(図6B参照)まで到達可能な走行経路、制御入力情報540(図9A、図9B参照)を作成する。(G1)図7Aの車両位置ベクトルp、(G2)検出範囲Dの頂点が車両位置p式(12)~(16)の制約式、及び、目的関数である式(11)が満たされる。
走行経路・検出範囲計画部212は、作成した適正経路531、制御入力情報540を走行経路情報記憶部205に格納する。ちなみに、適正経路531は、走行環境300(図6A参照)における座標情報として格納される。
(経路作成不可要因判定部213)
図4の説明に戻る。
経路作成不可要因判定部213は、走行終了位置504(図8参照)までの適正経路531(図8参照)の作成ができなかった状態を判定する。具体的には、経路作成不可要因判定部213は、走行経路・検出範囲計画部212の内部処理において、目的関数及び制約式を満たすことができなかった状態を判定する。
図10A~図10Fは、経路作成不可要因判定部213によって目的関数及び制約式を満たすことができず、走行終了位置504(図8参照)までの適正経路531(図8参照)が作成できなかった具体事例を示す図である。
B1)一定時間位置変動なし(図10A及び図10B)
図10Aでは、部分的に過度に広い安全マージン511が設定されており(領域601)、搬送車両100が走行できない状態を示している。つまり、安全マージン511を含む経路境界502に搬送車両100が進入できない。この場合は、式(14)及び式(15)の制約式が原因で、制御入力情報540が図10Bの符号602付近で滞留する。つまり、符号602から先(図10Aの領域601)では制御入力情報540が作成されないこととなる。そこで、経路作成不可要因判定部213は、このような状態となった場合、一定時間位置変動なしと判定する。そして、経路作成不可要因判定部213は、走行経路情報記憶部205に経路作成不可要因(一定時間位置変動なし)を格納する。
B2)目標走行時間内に走行終了位置504(図8参照)まで到達不可(図10C及び図10D参照)
図10Cは、通路303の全体において過度に広い安全マージン511が設定されている。つまり、経路境界502が全体的に狭くなっている。図10Cでは、過度に広い安全マージン511が設定されている。そして、経路境界502が全体的に狭くなっているため、搬送車両100は速度を速くすることができず、設定された目標走行時間で走行終了位置まで到達できないことが示されている。また、図10Dでは、安全マージン511の幅は適正であるものの、目標走行時間が非現実的な設定となっており例を示している。そのため、目標走行時間で走行終了位置504(図8参照)まで到達できる適正経路531(図9参照)が作成できない状態が示されている。このように、目標走行時間内に、走行終了位置504まで適正経路531が作成できない場合、安全マージン・目標位置・時間記憶部204は、目標走行時間内に走行終了位置504まで到達不可と判定する。そして安全マージン・目標位置・時間記憶部204は、走行経路情報記憶部205に経路作成不可要因(目標走行時間内に走行終了位置504まで到達不可)を格納する。
B3)検出範囲Dが安全マージ511と干渉(図10E及び図10F参照)
図10E及び図10Fでは、過度に広い安全マージン511が設定されている。もしくは、適正経路531(図8参照)の初期位置が周囲の障害物(図10E及び図10Fでは荷301が収納されている棚302)に接近している。
図10Eは、搬送車両100が棚302に正対している様子を示している。図10Eの例では、これから搬送車両100は紙面右側を進行方向とするものとする(図10Eの白抜矢印)。この場合、搬送車両100は、その場旋回動作、もしくは切り返し動作を行うことで、搬送車両100の方向転換を行うような走行経路が計画される。図10Fでは、その場旋回動作が行われた場合について示されている。ただし、その場旋回動作を行っても、旋回動作を行う際に検出範囲Dは破線丸611で示す範囲を移動する。その際に、図10Fに示すように、安全マージン511との干渉が生じてしまう。
このように、搬送車両100の方向転換等に伴って、検出範囲Dが安全マージン511に干渉する場合、安全マージン・目標位置・時間記憶部204は、境界干渉と判定する。そして、安全マージン・目標位置・時間記憶部204は、走行経路情報記憶部205に経路作成不可要因(安全マージン511と干渉)を格納する。
(走行経路情報記憶部205)
図4の説明に戻る。
走行経路情報記憶部205は、走行経路・検出範囲計画部212で導出された適正経路531、制御入力情報540(図9A、図9B参照)を格納している。本実施形態では任意の一通路における適正経路531の作成のみを対象に実現手段を記載している。しかし、実際の走行環境300(図8参照)である倉庫・工場現場では多数の通路303(図8参照)や、多数の走行開始位置503(図8参照)、走行終了位置504(図8参照)が存在する。そのため、作成される適正経路531、制御入力情報540は、1台の搬送車両100を例に取っても複数存在する。走行経路情報記憶部205では、これら複数の走行経路の情報を一括で格納している。
加えて、走行経路情報記憶部205は、経路作成不可要因判定部213で、図10A~図10Fで示すような経路作成不可状態が発生したと判定された場合、発生した現象(経路作成不可要因)と、経路作成不可が発生した走行経路を併せて(対応付けて)格納している。
(経路情報表示・設定部214)
経路情報表示・設定部214は、前記走行経路情報記憶部205で管理されている走行経路の情報及び経路生成不可状態の情報を表示装置231E(図19参照)に表示する。また同時に、経路情報表示・設定部214は、安全マージン・目標位置・時間記憶部204で管理される、安全マージン511の値、目標走行時間を設定可能な入力装置231D(図19参照)から受け付ける。
図11は経路情報表示・設定部214によって表示装置(出力部)231Eで表示される画面700の一例を示す図である。
画面700は、経路情報表示・設定部214に表示されるものであり、経路表示領域710と、設定領域720と、状態判定結果領域730とを有している。経路表示領域710には、作成された適正経路531の一覧(すべて)が表示されている。前記したように、一般的に適正経路531は複数作成される。このように、表示装置231Eには、走行経路・検出範囲計画部212によって探索された適正経路531が出力されている。
設定領域720には、経路作成ボタン、経路削除ボタン、安全マージン設定ボタン、制御入力情報表示ボタン等が表示されている。例えば、ユーザは、経路表示領域710の2点を走行開始位置及び走行終了位置として指定した後、経路作成ボタンをマウスでクリックすると、図示しない経路作成設定画面が表示される。ユーザは、経路作成設定画面を介して、目標走行時間の設定等を行う。そして、経路作成設定画面に表示されているOKボタン(不図示)をクリックすることによって適正経路531の作成処理が開始される。
また、ユーザが、経路表示領域710に表示されている任意の適正経路531を選択した後、経路削除ボタンをクリックすると、選択された適正経路531が削除される。
さらに、ユーザが安全マージン設定ボタンをクリックすると、図示しない安全マージン設定画面が表示される。ユーザは、表示される安全マージン設定画面を介して安全マージン511(図6B参照)を設定することができる。また、ユーザが制御入力情報表示ボタンをクリックすると、図9A、図9Bに示すような制御入力情報540が表示される。
状態判定結果領域730には、搬送車両100(図11に示す例では「車両A」、「車両B」、「車両C」と表示)毎に、適正経路531(図11に示す例では「経路A」、「経路B」、「経路C」と表示)の作成状態が表示されている。例えば、「経路A・車両A」と表示されている領域をユーザがクリックする。すると、経路表示領域710に表示されている適正経路531のうち、「車両A」の搬送車両100について作成された適正経路531が強調表示される。
また、状態判定結果領域730には、経路作成不可要因判定部213による判定結果が表示されている。すなわち、「車両A」について作成された作成された「経路A」は、エラーなしで作成されている。「車両B」について作成された作成された「経路B」は、位置変動なし(図10A、図10B参照)によってエラーが生じ、走行経路が作成されなかったことが示されている。そして、「車両C」について作成された作成された「経路C」は、時間内未到達(図10C、図10D参照)によってエラーが生じ、走行経路が作成されなかったことが示されている。このように、状態判定結果領域730には、走行経路・検出範囲計画部212が、所定時間経過しても適正経路531を探索することができない場合、適正経路531を探索することができない旨が表示される。
経路情報表示・設定部214で設定された、安全マージン511、走行開始位置503、走行終了位置504(いずれも図6B参照)、目標走行時間は安全マージン・目標位置・時間記憶部204に格納される。
以上が、本実施形態の特徴である経路計画サーバ200の構成及び処理内容である。以降では、搬送車両100に搭載する車載コントローラ120内に実装される機能群を説明する。
[車載コントローラ120]
車載コントローラ120は、走行経路設定部121、制御指令作成部122、駆動制御部123、検出範囲設定部124、障害物検出部125、減速・停止指令作成部(停止処理部)126が備えられている。また、車載コントローラ120は通信部127を介して、経路計画サーバ200と通信可能である。
(走行経路設定部121)
図4の説明に戻る。
走行経路設定部121は、走行経路情報記憶部205から、搬送車両100が現在行うタスクに応じて、通信部221,127を介して必要な適正経路531(図8参照)の情報(経路情報と称する)と、制御入力情報540(図9A、図9B参照)とを取得する。そして、走行経路設定部121は現在の走行経路として設定する。このように、経路計画サーバ200の通信部221は、走行経路・検出範囲計画部212によって探索され適正経路531に関する情報、及び、制御入力情報540を搬送車両100へ送信する。
図12は、走行経路設定部121、及び、後記する障害物検出部125における処理を示す図である。
図12は、適正経路531を走行中の搬送車両100の状態を示している。図12において、図8と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、図12及び図13に示す処理は、経路計画サーバ200による適正経路531の作成時ではなく、搬送車両100の走行時に行われる処理である。
適正経路531は、前記したように、走行ノード532の連続で構成される。図12において走行モータ108や、操舵モータ109の誤差によって適正経路531から搬送車両100の位置ずれが生じている。搬送車両100は、自車進行方向に存在する最近傍の走行ノード532を目標ノード532aとする。図12の適正経路531及び目標ノード532a以外の符号については後記する。このように、走行経路設定部121は、走行経路情報記憶部205から取得した経路情報に基づいて適正経路531を走行経路として決定する。また、走行経路設定部121は、目標ノード532aを決定し、目標ノード532aの位置情報を制御指令作成部122へわたす。
(制御指令作成部122)
図4の説明に戻る。
制御指令作成部122には、走行経路設定部121を介して、図12に示す目標ノード532aが有する位置情報が入力される。そして、制御指令作成部122には、目標ノード532aに対する搬送車両100の目標速度541(図9A参照)、目標操舵角542(図9B参照)といった制御入力情報540(図9A、図9B参照)が入力される。制御指令作成部122は、入力された目標ノード532aの位置情報と、制御入力情報540(目標速度541、目標操舵角542)を実現するように、操舵モータ109及び走行モータ108に対する指令値を作成する。そして、制御指令作成部122は、作成した指令値を駆動制御部123にわたす。つまり、制御指令作成部122は、制御入力情報540に対する指令値の補正を作成し、当該補正を駆動制御部123にわたす。
現在の位置ずれ量は、図12において、目標ノード532aと、一つ手前の通過ノード532bを結合した線分801に対し、自車両位置811から降ろした垂線821の距離(長さ)である。また、姿勢ずれ量は、線分801の方向に対する、自車両位置811との方位角差分822で示される。図12における符号831,841については後記する。
(駆動制御部123)
図4の説明に戻る。
駆動制御部123は、搬送車両100が備える駆動輪106に動力を伝達する走行モータ108、操舵モータ109に対し、制御指令作成部122から入力された指令値をわたす。
(検出範囲設定部124)
図4の説明に戻る。
検出範囲設定部124は、走行経路情報記憶部205から通信部221,127を介して制御入力情報540(図9A、図9B参照)を取得する。そして、検出範囲設定部124は、制御入力情報540の目標速度541(図9A参照)及び目標操舵角542(図9B参照)を基に車載センサ111の検出範囲Dの設定を行う(図2A~図2D参照)。
(エンコーダ112)
車載コントローラ120に備えられているものではないが、駆動輪106(図1参照)に備えられているエンコーダ112は、各時刻に出力された走行モータ108や、操舵モータ109の応答値(回転速度)を取得する。そして、エンコーダ112は、取得した走行モータ108や、操舵モータ109の応答値を制御指令作成部122及び障害物検出部125にわたす。
(障害物検出部125)
障害物検出部125は、搬送車両100の走行を阻害する障害物を事前に検出する。障害物の検出は、車載センサ111(LiDAR)が取得したLiDARの点群情報、検出範囲設定部124で設定された検出範囲D、エンコーダ112からわたされた走行モータ108、操舵モータ109の回転速度を基に行われる
なお、図2A~図2Dに示すように、検出範囲Dは、エンコーダ112から取得した走行モータ108や、操舵モータ109の応答値に応じて動的に変化する。また、搬送車両100は、走行経路・検出範囲計画部212で作成された適正経路531(図8参照)を走行する。この際、搬送車両100は、基本的には障害物検知425は検知動作をすることなく(棚302や荷301(いずれも図8参照)に干渉することなく)、走行終了位置504(図8参照)までの走行を実現する。そのため、以降で示す障害物検出は、走行経路・検出範囲計画部212における適正経路531の作成時に考慮できていない環境変化や、突発的に発生した障害物等が対象となる。すなわち、以降で示す障害物検出は、適正経路531の作成時ではなく、搬送車両100の走行中に行われる処理である。
ここでは、図12及び図13を用いて障害物検出部125の処理を説明する。
図13は、障害物検出部125の処理を説明する図である。なお、図13は、図12における障害物1210付近を拡大した様子を示している。なお、図をみやすくするため、図12と図13とで障害物Bの大きさを変えている。
障害物検出部125は、車載センサ111が取得した点群情報の内、計測されたある1点(図13の計測点851a)に着目する。障害物検出部125は、計測された点(図13の計測点851a)にID(図13の例では「ID1」)を付与する。そして、障害物検出部125は、図13の計測点851aの点を中心とする半径Rの円861の内部に他の計測点が存在するか否かを判定する。存在する場合、障害物検出部125は、同一の障害物をとらえている計測点群として、計測点851aに隣接する計測点851b,851cに、計測点851aと同一のID(図13の例では「ID1」))を付与する。図13に示す例では、計測点851a~851cが計測点群として認識される。
障害物検出部125は、車載センサ111が取得したすべての計測点851a~851cのそれぞれに対し、上述した処理を繰り返す。図13の例では、計測点851b、計測点851cに対し、計測点851aと同様の処理が行われる。同一IDの点が、例えば3点以上から構成される計測点群が存在する場合、障害物検出部125は、これらの計測点群を障害物とする。この際、障害物検出部125は、計測点群の平均位置を算出し、これを障害物Bの位置(障害物位置831)とし、計測点群を含む楕円862の大きさを障害物として認識する。図13の例では、計測点851bが障害物位置831となる。図13に示すように、楕円862の大きさは障害物Bの大きさとは一致しない。しかし、前記したように計測点851b,851cに対し、計測点851aと同様の処理が行われることで、最終的に複数の楕円862が作成される。そして、障害物検出部125は、作成されたすべての楕円862の範囲を障害物Bと認識する。したがって、障害物位置831も複数算出される。
図12の説明に戻る。
障害物検出部125は、線分801に対し、障害物Bの障害物位置831から降ろした垂線841の距離が搬送車両100の車両幅以内であるか否かを判定する。線分801は、目標ノード532aと、一つ手前の通過ノード532bを結合したものである。垂線841の距離が搬送車両100の車両幅以内である場合、障害物検出部125は、搬送車両100の走行を阻害する障害物Bが存在すると判定し、減速・停止指令作成部126に減速・停止指令をわたす。なお、前記したように障害物位置831は複数算出される。障害物検出部125は、複数算出された障害物位置831のそれぞれに対して垂線841の距離が搬送車両100の車両幅以内であるか否かを判定し、障害物Bの存在の有無を判定する。
(減速・停止指令作成部126)
図4の説明に戻る。
搬送車両100が適正経路531(図8参照;経路)を走行中に、障害物検出部125によって障害物Bが存在すると判定された場合、減速・停止指令作成部126は減速・停止処理を行う。具体的には、減速・停止指令作成部126は、搬送車両100が備える駆動輪106の回転を止めるため、速度0m/s指令を走行モータ108にわたす。もしくは、ブレーキパッドが存在する場合、減速・停止指令作成部126は、ブレーキパッドを駆動輪106に押し当てる動作を、走行モータ108に対し指令する。つまり、減速・停止指令作成部126は、車載センサ111によって搬送車両100の進行方向に障害物B(図12、図13参照)が検出された場合、搬送車両100の走行を停止させる。
[フローチャート]
図14A及び図14Bは、第1実施形態で実行される経路作成処理の手順を示すフローチャートである。適宜、図4を参照する。
まず、経路情報表示・設定部214を介して走行開始位置503及び走行終了位置504(いずれもが図6B参照)設定される(図14AのS101)。設定された走行開始位置503及び走行終了位置504は安全マージン・目標位置・時間記憶部204に格納される。
続いて、経路情報表示・設定部214を介して安全マージン511(図6B参照)が設定される(S102)。設定された安全マージン511は安全マージン・目標位置・時間記憶部204に格納される。
次に、経路情報表示・設定部214を介して目標走行時間が設定される(S103)。設定された目標走行時間は安全マージン・目標位置・時間記憶部204に格納される。
ステップS101~S103の具体的な内容は、安全マージン・目標位置・時間記憶部204の説明において示した通りである。
そして、参照経路・境界作成部211が参照経路506(図6B参照)を作成する(S104)。ステップS104の処理内容は参照経路・境界作成部211の説明において示した通りである。なお、前記したように参照経路506は安全マージン511を含む経路境界502の中心位置505(いずれも図6B参照)を基に、参照経路・境界作成部211が作成してもよい。あるいは、経路情報表示・設定部214を介してユーザが参照経路506を作成してもよい。
続いて、参照経路・境界作成部211は走行開始位置503から走行終了位置504まで参照経路506が作成されたか否かを判定する(S105)。
作成されていない場合(S105→No)、経路計画サーバ200は、再度、ステップS102に処理を戻し、ユーザは安全マージン511や目標走行時間が現実的なものか否かを見直す。
作成されている場合(S105→Yes)、走行経路・検出範囲計画部212が経路計画を行う(S111)。ステップS111では、走行開始位置503から走行終了位置504まで適正経路531(図8参照)や、制御入力情報540(図9A、図9B参照)が作成される。ステップS111の具体的な処理は、走行経路・検出範囲計画部212の説明において示した通りである。
そして、走行経路・検出範囲計画部212は、走行開始位置503から走行終了位置504まで適正経路531が作成されたか否かを判定する(図14BのS121)。
走行終了位置504まで適正経路531が作成されている場合(S121→Yes)、経路計画サーバ200はステップS141に処理を移行する。
走行終了位置504まで適正経路531が作成れていない場合(S121→No)、経路作成不可要因判定部213は、一定時間位置変動なしであるか否かを判定する(S122)。ステップS122の処理は、図10A、図10Bにおいて説明したものである。
一定時間位置変動なしと判定された場合(S122→Yes)、経路作成不可要因判定部213はステップS131へ処理を移行する。
一定時間位置変動ありと判定された場合(S122→No)、経路作成不可要因判定部213は、目標走行時間内に走行終了位置まで到達不可であるか否かを判定する(S123)。なお、ステップS123の処理は、図10C、図10Dにおいて説明したものである。
目標走行時間内に走行終了位置まで到達不可と判定された場合(S123→Yes)、経路作成不可要因判定部213は、ステップS131へ処理を移行する。
到達可能と判定された場合(S123→No)、経路作成不可要因判定部213は、検出範囲Dが安全マージン511(いずれも図10E、図10F参照)と干渉するか否か判定する(S124)。なお、ステップS124の処理は、図10E,図10Fにおいて説明したものである。
検出範囲Dが安全マージン511と干渉する場合(S124→Yes)、経路作成不可要因判定部213は、ステップS131へ処理を移行する。
検出範囲Dが安全マージン511と干渉しない場合(S124→No)、経路作成不可要因判定部213は、ステップS132へ処理を移行する。
ステップS131では、経路作成不可要因判定部213は、ステップS122~S124の判定結果として経路生成不可要因を設定する。例えば、ステップS122で「Yes」と判定された場合、経路作成不可要因判定部213は一定時間位置変動なしの情報を表示するよう設定する(図11の状態判定結果領域を参照)。また、ステップS123で「Yes」と判定されている場合、経路作成不可要因判定部213は、時間内未到達を表示するよう設定する(図11の状態判定結果領域を参照)。さらに、ステップS124で「Yes」と判定されている場合、ステップS124において経路作成不可要因判定部213は、検出範囲Dが安全マージン511と干渉している旨を表示するよう設定する。そして、ステップS122~S123のすべてで「No」が判定されている場合、ステップS132において経路作成不可要因判定部213は、該当原因なしと表示するよう設定する。
ステップS141では、経路情報表示・設定部214が、ステップS131,S132の設定内容や、適正経路531の作成結果を表示する経路情報表示を行い、必要に応じてユーザが安全マージン511の再設定を行う。
ステップS122~S124の処理は、経路作成不可要因判定部213の説明で記載したものであり、走行終了位置504まで適正経路531を作成できなかった原因が特定される。原因が特定できた場合(ステップS122~S123のいずれかで「Yes」が判定された場合)、ステップS131において、適正経路531を作成できなかった原因を表示するよう設定する。ステップS122~S124のすべてで「No」が判定された場合、経路情報表示・設定部214は、ステップS141において該当原因なしと表示する。該当原因なしと表示された場合、ユーザは適正経路531が作成されなかった原因を調べる。
そして、ステップS142において、通信部221が搬送車両100へ適正経路531及び制御入力情報540を送信する。
以上が、本実施形態の特徴である走行経路・検出範囲計画部212及び経路作成不可要因判定部213を備えた搬送車両システムZを実現する第1実施形態である。
第1実施形態によれば、搬送車両システムZは、搬送車両100の車種ごとに検出範囲D(図2A~図2D参照)、適正経路531(図8参照)、制御入力情報540(図9A、図9B参照)を作成する。この結果、搬送車両100が荷301等を避けつつ、走行終了位置504(図6B参照)まで最速で到達可能な、適正な走行経路を走行できる。これにより、搬送車両システムZの全体における安全性と搬送効率を両立することができる。具体的には、搬送車両システムZは、式(11)~(16)による最適化処理が行われる。これにより、荷301等を避けつつ、検出範囲Dが安全マージン511(図6B参照)に干渉せず、走行終了位置504(図6B参照)まで最速で到達可能な適正経路531と、制御入力情報540とが作成される。
倉庫、工場現場では、棚302(図3参照)等のレイアウトが頻繁に変わり、さらには複数車種の搬送車両100が走行する場合がある。そのため、レイアウト変更の度に、また、搬送車両100ごとに経路設計するのは非常に手間である。第1実施形態によれば、以下の条件を満たす適正経路531及び制御入力条件540が作成される。(J1)数理最適化を用いて、(J1)検出範囲D(図2A~図2D参照)が安全マージン511(図6B参照)と干渉せず、かつ、(J2)最短で走行終了位置504(図6B参照)まで到達可能。このようにすることで、適正経路531及び制御入力情報540の作成を効率的に行うことができるとともに、搬送車両100を安全に走行させることができるとともに、搬送効率の向上を図ることができる。また、搬送車両システムZが複数の搬送車両100を有する場合でも、それぞれの搬送車両100について適正経路531が作成されることで、適正経路531の作成工数を大幅に低減することができる。
第1実施形態では、図2A~図2Dに示すように検出範囲Dが、速度増速に伴い広域となる。検出範囲Dを搬送車両100の車体の一部と考えると、第1実施形態における適正経路531の作成は、車両速度に応じて搬送車両100の車体の大きさが変わる条件で、適正経路531の作成を行う問題を解くことと同値である。特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、このような問題を解くことはできない。従って、特許文献1及び特許文献2に記載の技術の単純な組み合わせでは第1実施形態に記載の搬送車両システムZを実現することは不可である。
また、図11に示すように所定時間内に適正経路531が作成されない場合、所定時間内に適正経路531が作成されない旨の表示が行われる。これにより、ユーザは安全マージン511等、適正経路531を作成するためのパラメータを確認することができる。これにより、適正経路531の作成成功率を向上させることができる。また、図10A~図10Fに示すように、経路作成不可要因判定部213が所定時間内に適正経路531が作成されない理由を判定し、図11に示すように判定された理由が経路情報表示・設定部214で表示される。これによって、ユーザは所定時間内に適正経路531が作成されない理由を知ることができ、適正経路531を作成するためのパラメータの変更を効率的に行うことができる。
さらに、図12及び図13で説明したように、搬送車両100の走行中において、車載センサ111によって障害物Bが検出された場合、減速・停止指令作成部126は走行を停止させる。これによって、安全な搬送車両100の走行が可能となる。
<第2実施形態>
続いて、図15、図16A、図16Bを参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
図15は、第2実施形態を実現する搬送車両システムZaの最小構成例を示す機能ブロック図である。図15では、図4と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図15に示す搬送車両システムZaが図4に示す搬送車両システムZと異なる点は、経路計画サーバ200が備える経路作成不可要因判定部213の後段に、検出範囲制御適正部215が追加されている点である。以降では搬送車両システムZaで追加された各処理内容の詳細を記載する。
(検出範囲制御適正部(検出範囲分解能変更部)215)
検出範囲制御適正部215は、走行経路情報記憶部205に格納されている制御入力情報540(図9A、図9B参照)を基に検出範囲D(図2A~図2D参照)の制御分解能の適正化を行う。適正化された検出範囲Dの制御分解能は、走行経路・検出範囲計画部212にわたされる。
第1実施形態に記載の車載センサ111は、連続的に検出範囲D(図2A~図2D参照)を変化させるものである。一方、昨今において、AGVやフォークリフト等の自律移動装置で使用される機能安全対応LiDARは、予め設定したパターンのみの検出範囲Dの変化(変化パターン:検出範囲の変化のパターン)しか許容しないものが一般的である。すなわち、検出範囲Dは離散的なパターンで変化する機能安全対応LiDARがある。このような、車載センサ111は、搬送車両100の操舵角や、速度等といった走行条件によって、車載センサ111の前記検出範囲が変化する。
以下に示す図16A及び図16Bの説明では、適宜図9A,図9Bを参照する。
図16Aは、検出範囲Dの変化を行う前における目標操舵角542の割り振りを示す図である。
図16Aに示すヒストグラムH11~H13は、横軸に目標操舵角542における角度を示し、縦軸に制御入力情報540における目標操舵角542の発生頻度を示している。図16Aの分布グラフでは、搬送車両100の目標速度541と目標操舵角542に応じて区分けしている。一般的に、搬送車両100の性能に基づいて想定される最大速度と最大(最小)操舵角度を所定のパターンで検出範囲Dが変化するよう、検出範囲Dの変化パターンが設計される。図16Aに示す例では、vが目標速度541を示す場合、目標速度541が「0≦v<0.3m/s」、「0.3≦v<0.5」、「0.5≦v<1.0」で変化パターンが分けられている。さらに、それぞれの目標速度541で目標操舵角542が0.5radごとに分けられている。つまり、検出範囲Dは、目標速度541が「0≦v<0.3m/s」、「0.3≦v<0.5」、「0.5≦v<1.0」の分解能、目標操舵角542が0.5rad単位の分解能で変化する。
なお、図16Aではみやすくするため、目標速度541は「0≦v<0.3m/s」、「0.3≦v<0.5」、「0.5≦v<1.0」のみが示されている。しかし、実際には、使用する車載センサ111(LiDAR)の性能に応じて、さらに細かい分解能で割り振られてもよい。検出範囲Dは、図16Aに示す。
そして、それぞれの目標速度541における目標操舵角542の発生頻度は、図16Aに示すヒストグラムH11~H13となっている。
このように、図16Aでは、検出範囲Dの変化パターンを、目標速度541及び目標操舵角542について所定のパターンで区分けしている。しかし、適正経路531や、経路境界502(図6B参照)の幅によっては、一度も発生しない目標操舵角542が存在する場合がある。特に、高速、かつ、操舵を大きく切る(操舵角が大きい、急旋回する)制御は、狭小な通路303(図6A参照)が連続する)倉庫・工場等の走行環境300(図6A参照)では発生しない(使用しない)可能性が高い。すなわち、狭小な通路303が連続する走行環境300では、搬送車両100は速度を上げずに走行することが多い。
例えば、図16Aに示す例では、目標速度541が「0.5≦v<1.0」である場合、ヒストグラムH13に示すように、搬送車両100は急旋回(-0.5rad以下、及び、(+)0.5rad以上の旋回)することがない。また、目標速度541が「0.3≦v<1.0」である場合、ヒストグラムH13に示すように、搬送車両100は操舵角が(+)1.0rad以上の旋回を行うことがない。
従って、走行環境300に応じて、限りある検出範囲Dの変化パターンを効率的に構築することが重要となる。
そこで、図15に示す検出範囲制御適正部215は、走行経路・検出範囲計画部212にて、一度算出された制御入力情報540を基に、目標速度541毎の目標操舵角542の発生頻度を算出する。そして、発生頻度の少ない、もしくは発生のない目標操舵角542を検出範囲Dの変化パターンの対象から除外する。さらに、検出範囲制御適正部215は、頻繁に発生する目標操舵角542付近の分解能を増加する(細かくする)処理を行う。
図16AのヒストグラムH11~H13は、図6Bや図8に示す走行環境300において、走行経路・検出範囲計画部212を用いた一度目の適正経路531の作成時における目標操舵角542の発生頻度を示している。一度目とは、検出範囲制御適正部215が後記するように検出範囲Dの変化パターンの変更を行うため、変化パターンの変更が行われる前の、最初に算出された目標操舵角542の発生頻度という意味である。
運用形態に応じて異なるものの、AGVやフォークリフトは、走行環境400のレイアウト(棚302(図6A参照)等の配置)が大きく変更されない限り、基本的には同じ経路の往復動作が主となる。従って、図16Aに示す目標操舵角542の発生頻度が算出された場合、ヒストグラムH13に示すように、高速域かつ操舵を大きく切る(操舵角が大きい、急旋回する)制御は、通常の走行動作が継続される限り、発生する可能性が低い。また、ヒストグラムH12における、使用されていない(+)1.0rad以上の操舵制御についても同様である。
そこで、図16Aに示すような目標操舵角542の発生頻度が得られた場合、検出範囲制御適正部215は、図16Bに示すように、操舵制御の発生頻度が少ない目標操舵角542の領域の分解能を低くする。
図16Bは、検出範囲Dの変化を行った後における目標操舵角542の割り振りを示す図である。
例えば、図16BのヒストグラムH22に示すように、検出範囲制御適正部215は、目標速度541「0.3≦v<0.5m/s」における(+)1.0rad以上を検出範囲Dの変化パターンの対象から削除する(符号901;変化のパターンを変更する)。同様に、図16BのヒストグラムH23に示すように、検出範囲制御適正部215は、目標速度541「0.5≦v<1.0m/s」における-0.5rad以下(符号902)、及び、(+)0.5rad以上(符号903)を検出範囲Dの変化パターンの対象から削除する(変化のパターンを変更する)。つまり、検出範囲制御適正部215は、目標速度541「0.3≦v<0.5m/s」では、(+)1.0rad以上の目標操舵角542では検出範囲Dを変化させないものとする。同様に、検出範囲制御適正部215は、目標速度541「0.5≦v<1.0m/s」では、-0.5rad以下、及び、(+)0.5rad以上の目標操舵角542では検出範囲Dを変化させないものとする。
逆に、図16AのヒストグラムH11に示すように、目標速度541「0≦v<0.3m/s」)に示す低速領域では、全体的に目標操舵角542の発生頻度が高い。このような場合、検出範囲制御適正部215は、図16BのヒストグラムH21に示すように、細かい目標操舵角542で検出範囲Dを変化させるよう設定する(符号911;変化のパターンを変更する)。図16AのヒストグラムH11では、0.5rad単位で検出範囲Dが変化していたものが、図16BのヒストグラムH21に示す例では、0.25rad単位で検出範囲Dが変化するよう変更されている。
このように、検出範囲制御適正部215は、目標操舵角542の発生頻度(走行条件;制御入力情報540に含まれる操舵角制御情報)に応じて、検出範囲Dの変化のパターンを変更する。
検出範囲Dの変化パターンに対する目標操舵角542、目標速度541の分解能変更は、人手による指示を検出範囲制御適正部215が受け付けることで行われてもよい。あるいは、検出範囲制御適正部215が組み合わせ最適化問題によって、操舵制御の分解能が決定されるようにしてもよい。
なお、図16A、図16Bでは、検出範囲Dの変化パターンについて目標操舵角542の分解能が変更される例を示しているが、目標速度541の分解能が変更されてもよい。
また、第2実施形態では、走行経路・検出範囲計画部212の結果、すなわち適正経路531の作成時における制御入力情報540を基に、検出範囲Dの変化パターンに対する目標操舵角542、目標速度541の分解能が変化している。しかし、実際に計画された適正経路531を搬送車両100が走行した際における操舵角制御や、速度制御の実績値が用いられてもよい。この場合、図17の搬送車両システムZbに示すように、車載コントローラ120bに記録部128が設けられる。記録部128はエンコーダ112を介して搬送車両100が実際に適正経路531(図8参照)を走行した際の速度制御・操舵角制御の実測値変化(搬送車両100が実際に走行した際における操舵角制御の実測値、及び、速度制御の実測値)を記録する。記録部128で記録された速度制御・操舵制御の実測値変化は、通信部127,221を介して、検出範囲制御適正部215に逐次送信される。そして、検出範囲制御適正部215は、送信された速度制御・操舵制御の実測値変化を基に(記録された操舵角制御の実測値、及び、速度制御の実測値を基に)、図16A及び図16Bに示すような検出範囲Dの変化パターンに対する目標操舵角542、目標速度541の分解能変化を行う(前記検出範囲の変化のパターンを変化させる)。
また、検出範囲制御適正部215は、操舵制御の分解能の調整を、一度の実行に限らず複数回繰り返し実行してもよい。一度の実行で、検出範囲Dの変化パターンに対する目標操舵角542、目標速度541の分解能が変化すると、走行経路・検出範囲計画部212の制約式も変化する。そのため、結果として作成される適正経路531(図8参照)及び制御入力情報540も変化する。そこで、走行終了位置504(図6B参照)までの総走行時間が最も短くなるまで(最適化処理における総走行時間の変化が微小になるまで)、検出範囲制御適正部215が繰り返し実行してもよい。
以上が、本実施形態の特徴である検出範囲制御適正部215を備えた搬送車両システムZa,Zbを実現する第2実施形態である。
第2実施形態によれば、限られた検出範囲Dの変化パターンしか許容しない車載センサ111(LiDAR)が用いられた場合であっても、制御入力情報540等に基づいて検出範囲Dの変化パターンが最適設計される。これによって、効率的な検出範囲Dの変化が可能となる。
<第3実施形態>
続いて、図18A~図18Hを参照して、本発明の第4実施形態を説明する。本実施形態を実現する搬送車両システムZの最小構成例は第1実施形態の図4と同様である。
第3実施形態では、扱う搬送車両100の走行形態の差から発生する適正経路531の違いと、これらの違いを経路情報表示・設定部214に表示する場合について記載する。
図18A、図18C、図18E、図18Gは、様々な走行形態を有する搬送車両100の例を示す図である。また、図18B、図18D、図18F、図18Hは、様々な走行形態を有する搬送車両100における適正経路531を示す図である。
図18A~図18Hでは、走行環境300(図3参照)内の搬送車両100と、それぞれの搬送車両100で取り得る走行形態(車輪構成・駆動方式・操舵方式)、及び作成される適正経路531の一例を示している。なお、図18B、図18D、図18F、図18Hにおいて安全マージン511が示されている。
図18Aは二輪速度差方式の搬送車両100A(100)を示す図である。そして、図18Bは、二輪速度差方式の搬送車両100Aにおける適正経路531A(531)の例を示す図である。
二輪速度差方式では、それぞれの駆動輪106に与える速度指令の差で左右旋回が実現される。
図18Cは、すべての方向に移動が可能なオムニホイール形式の搬送車両100B(100)を示す図である。そして、図18Dは、オムニホイール形式の搬送車両100Bにおける適正経路531B(531)の例を示す図である。
図18Eは、大型フォークリフトや牽引車両などに見られるアッカーマンタイプ(自動車と同等)の走行形態を有する搬送車両100C(100)を示す図である。そして、図18Fは、アッカーマンタイプの走行形態を有する搬送車両100Cにおける適正経路531C(531)の例を示す図である。図18E及び図18Fでは、後輪が駆動輪106となっている。
また、図18Gは、一般的なフォークリフトで見られる、操舵輪と駆動輪106とが一体となっている後輪操舵機構を有する搬送車両100D(100)を示す図でる。そして、図18Hは後輪操舵機構を有する搬送車両100Dにおける適正経路531D(531)を示す図である。
このように、搬送車両100と、その走行形態を鑑みるだけでも、数多くの組み合わせが考えられる。
本実施形態において、図18A~図18Fに示すような走行形態の差は、搬送車両100の運動方程式の差として表現される。具体的には、下記に示す式(31)(第1実施形態において示した式(1)もしくは式(12)と同様)の形式が、搬送車両100の走行形態に応じて異なる。
例えば、図18Aに示すような差動二輪方式の搬送車両100Aの運動方程式は下記に示す式(22)のように表現される。式(32)において、vは世界座標系(外部座標系)における車両速度、ωは角速度、θは方位角を示している。図18Cに示すオムニホイール形式の搬送車両100B、図18Eに示すアッカーマンタイプの走行形態を有する搬送車両100Cも同様である。
Figure 2023154648000006

また、例えば、図18Gに示す後輪操舵方式を有する搬送車両100Dの運動方程式は下記に示す式(33)のように表現される。式(33)において、δは世界座標系(外部座標系)における搬送車両100Dの操舵角、lはホイールベースを示している。
Figure 2023154648000007

式(32),(33)に示すような運動方程式の差は、図18B、図18D、図18F,図18Hに示す搬送車両100の適正経路531A~531Dの違いにつながる。例えば、図18A、図18E、図18Gに示す搬送車両100A,100C,100Dは、図18B、図18F、図18Hに示すように曲線経路を有する適正経路531A,531C,531Dが作成される。これに対し、図18Cに示すすべての方向移動を可能とする搬送車両100Bは、図18Cに示すように直角経路(前進後に横移動)を有する適正経路531Bが作成される場合がある。また、図18B、図18F、図18Hに示す曲線経路を有する適正経路531A,531C,531Dのそれぞれも、一様に同じとは限らない。作成される適正経路531A,531C,531Dの旋回開始・終了位置やその曲率は、走行形態によって異なる。なお、搬送車両100の走行形態に応じて運動方程式を反抗することは、走行経路・検出範囲計画部212によって行われる。
このように第3実施形態では、搬送車両の走行形態に基づいて、式(12)が変更される。
なお、図18B、図18D、図18F、図18Hに示す例はあくまで一例であり、経路境界502(図6B参照)の幅や、車両幅、車両長によって、作成される適正経路531は、作成される都度異なる。例えば、経路境界502の幅が広い場合、図18Cに示すオムニホイール形式の搬送車両100Bであっても、直角経路ではなく、適正経路531(図8参照)において旋回経路が作成される場合もある。
図18A~図18Hを参照して説明した処理の結果(例えば、適正経路531A~531D)は、経路情報表示・設定部214によって表示装置231E(図19参照)に表示される。この際、それぞれの搬送車両100の情報と、それぞれの搬送車両100について作成された適正経路531が、それぞれ表示される。これにより、異なる走行形態の搬送車両100が複数台運用される環境においても、それぞれも搬送車両100の適正経路531を区別して管理・運用することができる。以上が本発明の第4実施形態である。
第4実施形態によれば、異なる走行形態の搬送車両100が複数台運用される環境においても、それぞれの搬送車両100の適正経路531の差異を事前に確認することができる。また、それぞれの搬送車両100の走行形態に応じた適正経路531が作成されることで、効率的な運用を実現することができる。
[ハードウェア構成]
図19は、経路計画サーバ200,200aのハードウェア構成を示す図である。
経路計画サーバ200,200aは、メモリ231A、CPU231B、記憶装置231C、入力装置231D、表示装置231E,通信装置231Fを有している。前記したように、CPU231Bの代わりにGPUが用いられてもよ。
記憶装置231は、図4、図15、図17に示す各記憶部201~205に相当する。また、記憶装置231に格納されているプログラムがメモリ213Aにロードされ、ロードされたプログラムがCPU231Bによって実行されることで、各部211~213,215が具現化する。また、入力装置213D、表示装置231Eは図4、図15、図17に示す経路情報表示・設定部214に相当する。そして、通信装置231Fは図4、図15、図17に示す通信部221に相当する。
図20は車載コントローラ120,120bのハードウェア構成を示す図である。
車載コントローラ120,120bは、ROM(Read Only Memory)等のメモリ129、CPU129B、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置129C、通信装置129Dを有している。
そして、メモリ129Aに格納されているプログラムをCPU129Bが実行することによって図4、図15、図17に示す各部121~126,128が具現化する。通信装置129Dは図4、図15、図17に示す通信部127に相当する。
本実施形態の搬送車両システムZ,Za,Zbは搬送車両100として、自動車自動運転、不整地運搬車、ダンプトラック等の貨物自動車、農作業機械等が適用可能である。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した各構成、機能、各部211~215,121~126,128、記憶部201~205等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、図19、図20に示すように、前記した各構成、機能等は、CPU231B,128B等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
100 搬送車両
100A 搬送車両
100B 搬送車両
100C 搬送車両
100D 搬送車両
101 車両本体
102 バンパ
103 移載装置
104 荷台
105 移載モータ
106 駆動輪
107 従動輪
108 走行モータ
109 操舵モータ
111 車載センサ
112 エンコーダ
120,120b 車載コントローラ
121 走行経路設定部
122 制御指令作成部
123 駆動制御部
124 検出範囲設定部
125 障害物検出部
126 減速・停止指令作成部(停止処理部)
127 通信部
128 記録部
200,200a 経路計画サーバ(経路計画装置)
201 車両モデル情報記憶部
202 車載センサ情報記憶部
203 経路通路境界記憶部
204 安全マージン・目標位置・時間記憶部
205 走行経路情報記憶部
211 参照経路・境界作成部
212 走行経路・検出範囲計画部(経路生成部,目的関数、第1の式、第2の式、第3の式が設定されている)
213 経路作成不可要因判定部
214 経路情報表示・設定部(出力処理部)
215 検出範囲制御適正部(検出範囲分解能変更部)
221 通信部
231D 入力装置
231E 表示装置(出力部)
231F 通信装置(通信部)
300 走行環境
501 通路境界
502 経路境界
503 走行開始位置
504 走行終了位置
505 中心位置
506 参照経路
507 二等分線
511 安全マージン
531,531A~531D 適正経路(少なくとも前記第1の式、前記第2の式、前記第3の式を含む制約条件を満たしつつ、目的関数を満たす経路、経路に関する情報)
532 走行ノード
532a 目標ノード
532b 通過ノード
540 制御入力情報
541 目標速度(速度制御情報)
542 目標操舵角(操舵角制御情報)
601 領域
710 経路表示領域
720 設定領域
730 状態判定結果領域
801 線分
811 自車両位置
821 垂線
822 方位角差分
831 障害物位置
841 垂線
B 障害物
D 検出範囲
D1 符号
D2 符号
H11~H13,H21~H23 ヒストグラム
Z,Za,Zb 搬送車両システム

Claims (8)

  1. 搬送車両の加速度の変化を所定の範囲に抑え、同じ目標地点に同じ走行経路で走行する際の走行距離を短くするための目的関数が設定されるとともに、
    前記搬送車両の運動方程式である第1の式と、
    前記搬送車両の加減速の上限を示す式である第2の式と、
    前記搬送車両に備えられ、前記搬送車両の周囲環境を検出する車載センサによる検出範囲、及び、前記搬送車両の位置が、安全マージンによって設定される経路境界の内側となるよう制約する式である第3の式と、
    を含む制約条件が設定されており、
    前記第1の式、前記第2の式、前記第3の式を含む前記制約条件を満たしつつ、前記目的関数を満たす経路を探索し、当該経路を前記搬送車両が走行するための速度制御情報及び操舵角制御情報を含む制御入力情報を生成する経路生成部と、
    前記経路生成部によって探索された前記経路に関する情報、及び、前記制御入力情報を前記搬送車両へ送信する通信部と、
    前記経路生成部によって探索された前記経路を出力部に出力する出力処理部と、
    を有することを特徴とする経路計画装置。
  2. 前記搬送車両の走行条件によって、前記車載センサの前記検出範囲が変化する場合、前記走行条件に応じて、前記検出範囲の変化のパターンを変更する検出範囲分解能変更部
    を有することを特徴とする請求項1に記載の経路計画装置。
  3. 前記検出範囲分解能変更部は、
    前記制御入力情報に含まれる前記操舵角制御情報を基に、前記検出範囲の変化のパターンを変化させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の経路計画装置。
  4. 前記搬送車両が実際に走行した際における操舵角制御の実測値、及び、速度制御の実測値を記録する記録部を備え、
    前記検出範囲分解能変更部は、
    記録された前記操舵角制御の実測値、及び、前記速度制御の実測値を基に前記検出範囲の変化のパターンを変化させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の経路計画装置。
  5. 前記経路生成部が、所定時間経過しても前記経路を探索することができない場合、前記経路を探索することができない旨を前記出力部に出力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の経路計画装置。
  6. 前記経路生成部は、
    前記搬送車両の走行形態に基づいて、前記第1の式が変更される
    ことを特徴とする請求項1に記載の経路計画装置。
  7. 周囲の環境を検出する車載センサを備える搬送車両と、
    前記搬送車両が走行する経路を探索し、前記経路を前記搬送車両が走行する際における前記搬送車両の制御を行うための制御入力情報を生成する経路計画装置と、
    を備え、
    前記経路計画装置には、
    前記搬送車両の加速度の変化を所定の範囲に抑え、同じ目標地点に同じ走行経路で走行する際の走行距離を短くするための目的関数が設定されるとともに、
    前記搬送車両の運動方程式である第1の式と、
    前記搬送車両の加減速の上限を示す式である第2の式と、
    前記搬送車両に備えられ、前記搬送車両の周囲環境を検出する車載センサによる検出範囲、及び、前記搬送車両の位置が、安全マージンによって設定される経路境界の内側となるよう制約する式である第3の式と、
    を含む制約条件が設定されており、
    前記経路計画装置は、
    前記第1の式、前記第2の式、前記第3の式を含む制約条件を満たしつつ、前記目的関数を満たす経路を探索し、当該経路を前記搬送車両が走行するための速度制御情報及び操舵角制御情報を含む前記制御入力情報を生成する経路生成部と、
    前記経路生成部によって探索された前記経路に関する情報、及び、前記制御入力情報を前記搬送車両へ送信する通信部と、
    前記経路生成部によって探索された前記経路を出力部に出力する出力処理部と、
    を有することを特徴とする搬送車両システム。
  8. 前記搬送車両は、
    前記搬送車両が前記経路を走行中に前記車載センサによって前記搬送車両の進行方向に障害物が検出された場合、前記搬送車両の走行を停止させる停止処理部
    を有することを特徴とする請求項7に記載の搬送車両システム。
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