JP2023141852A - 集中度解析装置、プログラム、集中度解析方法、および、健康経営支援システム - Google Patents

集中度解析装置、プログラム、集中度解析方法、および、健康経営支援システム Download PDF

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Abstract

【課題】従業員の健康を守り、健康経営を促進するために個人に着目する集中度解析装置、プログラム、集中度解析方法及び健康経営支援システムを提供する。【解決手段】集中度解析装置であるサーバ1は、データベースと、集中度リズム特徴量抽出部と、集中度予測部と、を具備する。データベースは、生体データに基づいて推定された人の集中度と、環境データとを記憶する。集中度リズム特徴量抽出部は、集中度と環境データとに基づいて、既定の期間にわたる集中度の変化を示す集中度リズムの特徴量を抽出する。【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、集中度解析装置、プログラム、集中度解析方法、および、健康経営支援システム に関する。
『健康経営』に注目が集まっている。様々な捉え方があるが、健康経営とは例えば、従業員の健康管理を経営的な視点から捉えて戦略的に実践する、経営手法の一つである。その根底には「従業員の健康は企業の発展に欠かせない」という考え方がある。健康な従業員による真の生産性向上により、企業にかかる無形の損失(アブセンティーズム、プレゼンティズム、医療保険費など)が減少することが期待される。少子化等で人材の獲得が難しくなってきている現状、企業価値を高め、人材獲得の一助となることも期待される。働き改革(残業時間の短縮や在宅勤務の普及)が加速しているなかで、従業員の活力向上や組織活性化のためにも、健康経営を提唱する企業が増えてきている。
従業員の心理的健康、身体的健康を管理するには、例えば健康診断での医師面談、或いはストレスチェック(アンケート方式)等の手法がよく用いられる。しかし、その実施の頻度はせいぜい年に1~2回で、問題をタイムリーに発見することが難しい。また、会社や上司に公開されることを考えると本音を言いにくいし、主観的なバイアスがかかって正確な結果が得られないこともある。
IT(Information Technology)が、健康経営に活用され始めている。例えば、作業員の着用するデバイスでリアルタイムに生体データ(バイタルデータ)を測定し、体調不良が予測された場合に警告を出す技術が知られている。あるいは、人物の状態を検知し、疲労度の度合いが一定期間以上にわたって閾値を超えた人に情報を提供する技術や、運転者の視認状況から集中度を推定し、危険を防止する技術がある。
特開2020-174849号公報 特開2015-150150号公報 特許第5030142号公報 特許第6055535号公報 特許第3048918号公報
「加速度センサーを利用した集中度合推定システムの提案」、大久保、WISS、2008
人の集中度は、バイタルセンサや画像認識技術等の技術で推定できるようになってきた。近年では従業員の集中度、体調や感情(ストレス、疲労度、眠気など)をリアルタイムにモニタし、対象者の周辺環境を自動制御する技術も知られている。モニタの結果を利用して、危険な状況や病気が発生する可能性が高い場合、あるいは実際に発生した場合に、管理者に通知することも行われている。しかし、いずれも個人レベルでの健康状態を把握できるに留まっていて、良好な状態の人も含む大多数の従業員に働きかけるものではなかった。より広い視点から、積極的な対策を促すことのできる技術が要望されている。
そこで、目的は、従業員の健康を守り、健康経営を促進することの可能な集中度解析装置、プログラム、集中度解析方法、および、健康経営支援システムを提供することにある。
実施形態によれば、集中度解析装置は、データベースと、集中度リズム特徴量抽出部とを具備する。データベースは、生体データに基づいて推定された人の集中度と、環境データとを記憶する。集中度リズム特徴量抽出部は、集中度と環境データとに基づいて、既定の期間にわたる集中度の変化を示す集中度リズムの特徴量を抽出する。
図1は、集中度リズムの一例を示すグラフである。 図2は、バイタルセンシングの一例を示す概念図である。 図3は、実施形態に係わる健康経営支援システムの一例を示す機能ブロック図である。 図4は、集中度リズム特徴量抽出部302による処理手順の一例を示すフローチャートである。 図5は、パターン決定部303による処理手順の一例を示すフローチャートである。 図6は、特徴量の抽出に係るパターンの一例を示す図である。 図7は、特徴量の抽出に係るパターンの他の例を示す図である。 図8は、特徴量の抽出に係るパターンの他の例を示す図である。 図9は、パターン分類の一例を示す図である。 図10は、パターン分類の他の例を示す図である。 図11は、パラメータ決定部304による処理手順の一例を示すフローチャートである。 図12は、集中度予測部306による処理手順の一例を示すフローチャートである。 図13は、レコメンド判定部308による処理手順の一例を示すフローチャートである。 図14は、集中制御(ルーチン(B))における処理手順の一例を示すフローチャートである。 図15は、集中制御(ルーチン(B))における処理手順の一例を示すフローチャートである。 図16は、集中制御(ルーチン(C))における処理手順の一例を示すフローチャートである。 図17は、リフレッシュ制御(ルーチン(D))における処理手順の一例を示すフローチャートである。 図18は、集中度リズム異常判定部310における処理手順の一例を示すフローチャートである。 図19は、レコメンド発出部309における処理手順の一例を示すフローチャートである。
次に、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
<用語>
[集中度リズム]
実施形態において、時間とともに変化する集中度の上がり下がりを「集中度リズム」と称する。
[サイクル]
実施形態において、非集中状態から集中状態まで上昇し、持続期間を経て非集中状態に至るという一連の集中度の変化を、一つの「サイクル」と称する。
[長い集中/長い非集中]
実施形態において、集中度の推定値が集中状態/非集中状態に属する持続期間が比較的長い場合を、「長い集中」/「長い非集中」と称する。
[短い集中/短い非集中]
実施形態において、集中度の推定値が集中状態/非集中状態に属する持続期間が比較的短い場合を、「短い集中」/「短い非集中」と称する。
<集中度について>
図1は、集中度リズムの一例を示すグラフである。図1のグラフは、例えばオフィスにおける或る個人の、勤務時間中の集中度の変化を示す。図1において、朝の勤務開始の時点では集中度が低い(非集中状態)が、やがて集中度が高くなり(集中状態)、その状態が一定期間にわたり継続した。その後いったん集中度は下がり、少し経過すると再度集中度が上がって高い状態が維持されたが、昼休みが近づくと集中度は一気に下降した。
お昼休み中はずっと非集中状態のままで、午後の勤務時間帯に入ってもしばらくは非集中状態が継続した。その後いったん集中度が「中」程度に上がったが、長くは続かず、少しだけ持続してから下がった。しかしこの非集中状態も長く続いたわけではなく、午後の勤務時間の後半から集中度は再び高いレベルにまで達し、残業時間の前半まで高い水準が保たれた。残業時間中に集中度は一度下がったが、その後「中」程度まで上がり、しばらく継続したのち集中度が下がった状態で終業を迎えた。
図1に示されるように、集中度は自然に変化するもので、時系列で並べると波のように上がったり下がったりする。これが集中度リズムである。詳しく見ると、短い集中、短い非集中、短い集中、長い非集中、短い集中、短い非集中、および、長い集中の順で表れている。例えばその順序、あるいはそれぞれの継続時間を特徴量として採用することができる。つまりこれらの特徴量を利用して、未来の集中度を予測することが可能である。
また、非集中から集中に至るまでの傾き、集中から非集中に下がるときの傾きも特徴量として考えることができる。さらに、集中<-->非集中の総サイクルの回数、長い集中、長い非集中、短い集中、および短い非集中のそれぞれの回数、交代数、あるいは交代の順序なども特徴量といえる。これらの特徴量はいずれも、集中度リズムを解析して抽出することができる。各人の集中度リズムの特徴量を抽出し、解析することで、その人を好ましい集中モードに自然に導くための最適なタイミングを見出すことができる。実施形態では、従業員を集中状態に導くことを支援するが、決して無理強いするのではなく、バイオリズムに沿った形で背中を押すことで生産性を向上させ、健康経営を支援することのできる技術を開示する。
ところで、集中度は、例えばバイタルセンシング技術により取得されたデータに基づき既存の技術を用いて計算することができる。
図2は、バイタルセンシングの一例を示す概念図である。集中度を測る対象者としてオフィスの従業員や学校の生徒を想定すると、接触型、あるいは非接触型のバイタルセンサを用いることができる。接触型のセンサとしては、リストバンドやスマートウォッチなどのウェアラブル端末、頭部に装着する脳波計、カメラ内蔵のメガネ、センシング素子を内蔵したポインティングデバイス(マウス)、名札、あるいは文房具などを挙げることができる。
オフィス内という環境を考慮すると、対象者との接触を必要としない、非接触型のバイタルセンサを用いることが実用上好ましい。この種のセンサとしては、各自のパソコン(PC)のフロントカメラ、天井に取り付けられた映像カメラ、監視カメラ、熱カメラ(サーモグラフィ)、ドップラー原理を利用した非接触型センサ、あるいは、椅子に組み込まれた加速度計などが考えられる。
このほか、対象者の顔画像のデータを解析して顔の向きと視線の向きを示すベクトルデータを求め、該ベクトルデータの時間軸上の揺らぎを変化量として用いて集中度を算出する方法がある(特許文献4など)。あるいは、椅子の背もたれに加速度計を取り付け、座面に設定したX-Z軸平面の加速度パワースペクトルの和から集中度を推定する方法もある(特許文献5など)。
このように、一つのバイタルセンサで取得されたデータから集中度を推定することができる。また、複数のバイタルセンサで得られたデータから複合的な計算により集中度を推定することもできる。例えば、頭部位置計測装置で頭部位置を取得し、スマートグラスで視線を取得し、脳波や心拍などのバイタル信号を把握するための装置から、被計測生体の複数の神経系の活動を計測して集中度を推定する方法がある(非特許文献1など)。
各種センサで取得された生体データは、無線(Wi-Fi(登録商標)、IrDA(赤外線)、Bluetooth(登録商標)、近接など)、または有線(USBケーブルなど)でサーバ等に転送され、保存される。転送のタイミングはリアルタイムでもよいし、センサに一時的に保存して、対象者本人やシステム運用者によりスポット的または定期的に手動でアップロードしてもよい。
<構成>
次に、本実施形態における構成について説明する。
図3は、実施形態に係わる健康経営支援システムの一例を示す機能ブロック図である。このシステムは、プロセッサおよびメモリを備えるサーバ1と、サーバ1に各種のデータを伝送するデータソースとを具備する。データソースは、ユーザ許可入力部101、カレンダー情報102、時刻情報103、予定表情報104、気象計105、天気予報106、センサ201、および集中度推定部202を含む。
ここで、ユーザ許可入力部101は、健康経営支援システムからの介入の可否を、それぞれの対象者(個人)が受け入れるか、否かを設定するための手段である。設定の内容はサーバ1に送られ、データベース等に保存されて、レコメンド発出可否の判断などに利用される。カレンダー情報102、時刻情報103、予定表情報104、気象計105、天気予報106は、サーバ1がアクセス可能な外部リソースから提供されるデータであり、以下の説明では、この種のデータを環境データと総称する。サーバ1は、環境データを取得してデータベースに保存する。サーバ1は、集中度解析装置の一例である。
センサ201は、例えば図2に示される各種のバイタルセンサであり、対象者の生体データを取得する。生体データはサーバ1に転送されるとともに、集中度推定部202に渡される。集中度推定部202は、生体データに基づいて対象者の集中度を推定する。推定された集中度(推定集中度)はサーバ1に送られる。なお集中度推定部202は、サーバ1の機能ブロックとして実装することもできる。
サーバ1は、データベース301、集中度リズム特徴量抽出部302、パターン決定部303、パラメータ決定部304、パラメータ保存部305、集中度予測部306、タイマ307、レコメンド判定部308、レコメンド発出部309、および、集中度リズム異常判定部310を備える。これらの機能は、サーバ1のメモリに記憶されたプログラムに基づくプロセッサの演算処理により、実現される。
データベース301は、データソースから取得したデータ、推定集中度、および、サーバ1の各機能ブロックで生成されたデータ等を記憶する。
集中度リズム特徴量抽出部302は、データベース301から過去の一定期間の推定集中度を取得し、時系列で解析することにより集中度リズムの特徴量を抽出する。抽出された特徴量は、データベース301に保存される。なお、解析に係る期間は、例えば1週間や1か月など、ある程度長期であることが好ましい。特徴量を日々の運用に使用するには、急激な数値の変動をなるべく抑えたいからである。ある程度の長期間のデータを解析することで、単発的なリズム外れを吸収し、平準化・平穏化することができる。
また、集中度リズム特徴量抽出部302は、過去の推定集中度だけでなく環境データもデータベースから取得し、推定集中度と環境データとを変数とする多変量解析により、異なる複数のパターンにおけるそれぞれの特徴量を抽出する。パターンごとの特徴量も、データベース301に保存される。
特徴量は、各対象者について、集中度リズムが全く無い状態から一定期間以上にわたって蓄積された集中度リズムから抽出されるのが好ましい。つまり集中度リズム特徴量抽出部302は、集中度リズムの特徴量を一定期間以上にわたって抽出し、データベース301に保存する。また、これに限らず、ある典型的な集中度リズムに基づいて実施したレコメンドに対するユーザの反応から集中度リズムを修正し、修正後の集中度リズムから特徴量を抽出してもよい。
パターン決定部303は、データベース301から環境データを取得し、特徴量の抽出に係わるパターンを決定する。ここで、パターンとは、特徴量を計算する際の環境条件に相当する。例えば、休日の集中度リズムとウイークデーの集中度リズムとは異なるので、これらを一緒にするのではなく、「休日パターンの特徴量」と「平日パターンの特徴量」というように、条件ごとに分離するのが好ましい。上記のケースでは「休日」と「平日」がそれぞれパターンの例である。つまり、特徴量は、長期の外的条件のサイクルやイベント的な条件(パターン)に基づいて分別することができる。
パラメータ決定部304は、パターン決定部303で決めたパターンに基づいて、データベース301から取得した対象者の集中度リズムの特徴量(パラメータ)を決定する。決定されたパラメータは、パラメータ保存部305に保存される。
パラメータ保存部305は、決定された特徴量(パラメータ)を保存する。また、パラメータ保存部305は、ユーザ許可入力部101により設定されたユーザの許可情報をデータベース301から取得し、保存する。このほか各種の計算に係わる閾値などもパラメータ保存部305に保存される。
集中度予測部306は、データベース301から例えば、現時点から一定期間だけ遡った推定集中度を取得し、パラメータ保存部305から特徴量や閾値などのデータを取得する。そして集中度予測部306は、取得したデータに基づいて、未来の所定期間における対象者の集中度を予測する。予測された集中度(予測集中度)は、レコメンド判定部に送られる。
レコメンド判定部308は、予測集中度と、生体センシングで得られた現在の推定集中度とを取得し、これらの情報に基づいて、対象者にレコメンドする内容やタイミングを判定する。カウントダウン処理が必要であれば、レコメンド判定部308は、タイマ307にカウントダウン開始を要求する。これに応じてタイマ307は、パラメータ保存部305からカウントダウンの時間条件を取得してカウントダウンを開始する。レコメンド判定部308は、定期的にタイマ307に対して現在のカウントダウン状況を要求し、その結果も参照してレコメンドする内容やタイミングを判定する。
レコメンド発出部309は、レコメンド判定部308で決定されたレコメンドの発出タイミングになれば、レコメンド判定部308からのレコメンド発出指令に応じて対象ユーザにレコメンドを提供する。ここで、レコメンドとは、テキストメッセージでも良いが、それに限らず、人を場所に誘導するためのサイネージ画面表示やランプ点灯、音声アナウンスなどを含んでも良い。あるいは、空調や照明などの設備を自動で制御することや、作業設備(椅子や机)の高さや角度を自動変更させることも、レコメンドの例である。このように、レコメンドとは単純なメッセージ通知だけに限られるものではない。
集中度リズム異常判定部310は、データベース301から、現在時刻から過去一定の短い期間にわたる集中度推定部202で推定された集中度を取得し、直近の集中度リズム特徴量を算出する。その後、集中度リズム異常判定部310は、データベース301から、集中度リズム特徴量抽出部302で算出した前記短い期間に属したパターンにおける集中度リズム特徴量を取得し、前記直近の集中度リズム特徴量とデータベース301で保存される長期的な集中度リズム特徴量との差異(ズレ)を確認する。この差異が既定の方向で既定の閾値を超えて拡大したことを検知すると、集中度リズム異常判定部310は、対象者の集中度リズムが乱れたと判定し、レコメンド発出部309にレコメンド通知指令を出す。これを受けたレコメンド発出部309は、対象者に関わる管理者や産業医に、該当者に係わるレコメンドを提供する。
このように、レコメンドは、ユーザ向けのレコメンドと、管理者や産業医などの組織側へのレコメンドとに大別される。
<作用>
次に、上記構成における作用を説明する。
図4は、集中度リズム特徴量抽出部302による処理手順の一例を示すフローチャートである。図4の処理が開始されると、集中度リズム特徴量抽出部302は、例えば現在時刻から168時間前(すなわち1週間前)までの期間における推定集中度の全てを、データベース301から取得する(ステップS1)。データの取得がOKであれば(ステップS2でYes)、集中度リズム特徴量抽出部302は、取得したデータに基づく集中度リズムの特徴量を、回帰計算などの手法で計算する(ステップS3)。算出された特徴量はデータベース301に保存される(ステップS4)。
図4の手順は、例えば、毎日の定時刻、毎週日曜日の定時刻、あるいは、既定の日付(例えば1月1日の01時など)というように、定期的に実施されてもよい。あるいはクライアントからの要求に応じて非同期に実施されてもよい。また、ステップS1における「現在時刻から168時間前」は一例であり、ステップS3の計算結果を激しく変動させないために、ある程度長いスパンで設定すること好ましい。また、過去のどの期間における推定集中度を取得するかを、システム管理者により変更することも可能である。
図5は、パターン決定部303による処理手順の一例を示すフローチャートである。図5の処理が開始されると、パターン決定部303は、カレンダー情報102から現在日付を取得し(ステップS11)、時刻情報103から現在時刻を取得し(ステップS12)、予定表情報104を取得し(ステップS13)、気象計105から現在の天気を取得する(ステップS14)。これらの情報をもとに、パターン決定部303は、特徴量の決定に係る新たなパターンを決定する(ステップS15)。
新たに決定したパターンと現在のパターン(すなわち前回決定したパターン)とが異なる場合(ステップS16でYes)、パターン決定部303は、新たなパターンをパラメータ決定部304に通知する(ステップS17)。これにより、パラメータ保存部305に持たれた古い特徴量は、新たなパターンに基づきパラメータ決定部304で決定された新しい特徴量で置換される(入れ替えられる)。
図5のフローチャートに示される処理は、一定の周期(例えば1時間おき)で実行されるのが好ましいが、不定期でもよいし、あるいは、一定の時刻(例えば毎日朝01時)に実行されてもよい。
ところで、特徴量は、集中度リズムに示される傾向との関係が深い。この傾向は、上記パターンと相関が高い。特徴量は、1つパターンに基づいて管理、運用する場合もあるし、複数のパターンに基づいて管理、運用することにより、集中度の予測精度がより高まることが期待される。
複数のパターンとは、例えば、季節(春/夏/秋/冬)や天気条件(寒い/熱い/湿度高い/乾燥/雨/曇り/晴れ/日照が長い/日照が短い)、時間帯(早朝/午前/お昼/午後/夕方/夜/深夜)、属性(休日、平日、週明け、週末直前、連休明け、連休直前)、勤務形態の転換(在宅勤務明け、在宅勤務直前)、企業のスケジュール(期初、期中、期末、1Q(Quarter)、2Q、3Q、4Q、年度初、年度中、年度末)、イベント的な事象(大きな発表前/大きな発表後/受賞式前/受賞式後/業務面談(1on1)前/業務面談(1on1)後)、などが挙げられる。
このように、集中度リズムの特徴量を複数のパターンで細分化することで、個人の集中度を、より正確に予測することができる。さらに、得られたデータを長期的な視点で管理し運用することで、「集中度リズムの自然な変化」を捉えることができる。つまり個人の集中度リズムは長期にわたって固定的ではなく、個人差にもよるが、長い時間の経過のなかでは変化する。そこで、種々のパターンについて特徴量を抽出し、データを蓄積することで「集中度リズムの自然な変化」を見出すことができる。
許容量を超える変化が生じた場合には、「集中度リズムの自然ではない変化」を補足することができる。この状態は「長期での自然なリズム変化ではなく、真のリズム乱れ」と判断することができ、看過できぬ変化が対象者に生じたことを検知できる。このように、予測集中度と実測集中度との差異が急に大きくなると、そのことで「自然な変化」と「不自然な変化」とを区別することができる。これにより、人の心理的異常状態をより正確に検知、予測して、ひいては企業における「健康経営」を促進することが可能になる。
このほか、リズム崩れの徴候の例として、非集中から集中状態へと変化する傾きが急激に緩くなった、集中度の高い状態の継続時間が急激に短くなった、次の集中までの時間が急激に長くなった、および/または、サイクルの回数が急激に少なくなった等を挙げることができる。これらは、メンタル状態の不調の予知や、産業医ケアの働きかけなどのきっかけにすることができる。
図6は、特徴量の抽出に係るパターンの一例を示す図である。各パターンはそれぞれ名称で区別され、図6においては例えばA~Tの名称を与えられている。図6のパターンは、特徴量を計算する際の環境条件を、[日付]対[天気]の組み合わせで表すものである。[天気]は晴れ、曇り、雨の3通り、日付は1~3月、4~6月、7~9月、10~12月の4通りが設定される。なお、データソースやデータベース301から値を取得できなかった項目には、nullが挿入される。
図7は、特徴量の抽出に係るパターンの他の例を示す図である。図7のパターンは例えば名称a~fで区別され、環境条件を時刻で区分するものである。
図8は、特徴量の抽出に係るパターンの他の例を示す図である。図8のパターンは例えば名称は、ア、イ、ウで区別され、週末、在宅勤務、連休、発表、業務面談などのイベントと、その前後の状態を環境条件とするものである。
図9、および図10は、パターン分類の例を示す図である。図9に示されるように、例えば図6のパターンと図7のパターンとを組み合わせ、α~ψの新たなパターンとして利用することができる。図10は、図9のようなパターン分類から、図8の条件を加えたことで、パターンをさらに細分化できることを示す。例えば、図9のパターンαに図8のア条件を組み合わせると、新たにパターンα1が生成される。または、図9のパターンβに図8のイ条件を組み合わせると、新たにパターンβ2が生成される。
また、リズム特徴量(パラメータ)を細分化し、人ごとにカスタマイズすることで、個人差としては説明のつかない変化を捉えることができる。一例として、午前/午後/残業(時間外)、週明け(在宅勤務直後、年休直後)/週末(在宅勤務直前、年休直前)、期初/期末/年度末、大きいイベント(例えば、発表、ボーナス日、1on1)の前/後、あるいは、季節の差などを、細分化の例として
挙げることができる。さらに、天気や日付、時刻、さらにイベント的な要素などに加え、このほかにも、人体のホルモンや心身状況におけるリズム(バイオリズム)に影響する可能性のある要因であれば、どのようなものでも特徴量として捉えることができる。
図11は、パラメータ決定部304による処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理手順は、パターンの変化イベントが生じた場合、または許可情報の変化イベントが生じた場合に、イベントドリブンで実行されることが想定される。もちろん、一定の周期(例えば1時間おき)で実行されても良い。
図11において、パラメータ決定部304は、現在のパターンを取得し(ステップS21)、取得した現在のパターンに基づいて、対応する特徴量をデータベース301から取得する(ステップS22)。さらに、パラメータ決定部304は、ユーザの許可情報をデータベース301から取得し(ステップS23)、取得した特徴量および許可情報を、パラメータ保存部305に保存する(ステップS24)。
図12は、集中度予測部306による処理手順の一例を示すフローチャートである。集中度予測部306は、現在その時点での集中度(現在集中度)を集中度推定部202から取得するとともに(ステップS31)、現在時刻から60分前までの集中度の全てをデータベース301から取得する(ステップS32)。データ取得がOKであれば(ステップS33でYes)、すなわち演算に必要な最低限のデータが取得できたのであれば、集中度予測部306は、例えば10分後の集中度を予測演算し(ステップ
データベース301に保存する(ステップS35)。
集中度の予測演算については、例えば、過去集中度の変化から次の集中状態を予測することができる。例えば集中度が上昇傾向か、維持傾向か、下落傾向かをまず判定し、それぞれの状態に応じた特徴量の傾向により、未来の集中状態を計算することができる。特徴量の傾向とは、例えば集中度リズムのグラフにおける傾きや持続時間、前回の状態(長い/短い集中、または、非集中か否か)に応じた次に現れるべき状態とその長さ、集中サイクルの総回数のうち今は何回目、などである。なお、ステップS32における現時刻より遡って過去データの取得対象期間の長さ(例えば60分)や、ステップS34、S35における予測未来までの長さ(例えば10分)はシステム管理者から変更できることが好ましい。例えば一つまたは複数の固定値(例えば、直近60分間のデータにより10分後のみ予測、直近60/90/120分のデータにより10/30/60分後の3組み合わせを同時予測)を設定できるようにしてもよい。
図13は、レコメンド判定部308による処理手順の一例を示すフローチャートである。レコメンド判定部308を実現するプログラムは、主に4つのルーチンを含む。すなわちメインルーチン(A)と、メインルーチンからジャンプするサブルーチン(B)、(C)、および(D)である。各ルーチン(A)~(D)は、対象者ごとに、何れかのルーチンが排他的に実行される。まず、メインルーチン(A)について説明する。
メインルーチン(A)は、対象者の出社時、自席PCの起動、勤務開始時などを契機として、または定期的なスケジュールなどに基づいて開始される。詳しくは、朝の勤務開始時に起こるイベント(例えば、PCの立ち上げや、オフィスに入る時のセキュリティカードでのIN記録や、着席した時にPCやスマホから特定のインターフェースを通じて自ら「開始」を申告など)等を契機として、メインルーチン(A)~処理が開始されるのが好ましい。
図13において、メインルーチン(A)が開始されるとレコメンド判定部308は、パラメータ保存部305に保存された対象者のウォームアップ時間が経過すると(ステップS41でYes)、現在集中度を集中度推定部202から取得する(ステップS42)。集中度を取得できれば(ステップS43でYes)、レコメンド判定部308は、取得した現在集中度の値が、パラメータ保存部305に記憶された集中度の閾値(例えば、0を完全非集中、10を完全集中としたとき、閾値を5とする)以上か否かを判定する(ステップS44)。閾値(ここでは5)以上であれば(ステップS44でYes)、対象者は自然に集中できている状態とみなし、処理手順は、集中力の維持を応援するための集中制御へとジャンプしてルーチン(B)へと切り替わる(ステップS45)。
現在集中度が5未満であれば(ステップS44でNo)、レコメンド判定部308は、パラメータ保存部305に記憶されたタイミング(例えば10分後)の予測集中度が5以上か否かを判定する(ステップS46)。Yesであれば、対象者が集中度の高い状態に至る途中の状態にあるとみなし、処理手順は、集中力の維持を応援するためのルーチン(B)へと切り替わる(ステップS45)。予測集中度が5未満であれば(ステップS46でNo)、対象者が集中度の高い状態に自然に至ることは望めないとして、システムの側からの働きかけを促す、いわば、集中できるように背中を押してみるための処理が開始される。
レコメンド判定部308は、ユーザにより設定される許可情報の一つである集中誘導制御許可を、パラメータ保存部305から取得する(ステップS47)。集中誘導制御が対象者により許可されているならば(ステップS48でYes)、処理手順は、集中力の高い状態へと誘導するための集中誘導制御へとジャンプして、ルーチン(C)へと切り替わる(ステップS49)。
一方、ステップS48でNoであれば、レコメンド判定部308は、許可情報の一つである気分転換許可をパラメータ保存部305から取得する(ステップS50)。気分転換制御が対象者により許可されているならば(ステップS51でYes)、処理手順は、休憩などを促すリフレッシュ制御へとジャンプして、ルーチン(D)へと切り替わる(ステップS52)。リフレッシュ制御とは、ダラダラと集中できない気分がリセットできるように、安静な休憩または軽いウォーキングといった気分転換を図る制御である。
なお、ルーチン(A)~(D)の実行中に時間の経過をモニタする必要がある場合、例えば、パラメータ保存部305に保存された時間的特徴量がタイマ307として利用される。モニタ時間はタイマ307内でカウントダウンされ、ルーチン(A)~(D)に取得されて利用される。
図14、および図15は、集中制御(ルーチン(B))における処理手順の一例を示すフローチャートである。図14において、ルーチン(B)が開始されるとレコメンド判定部308は、集中制御許可をパラメータ保存部305から取得する(ステップS61)。集中制御が対象者により許可されていないならば(ステップS62でNo)、レコメンド判定部308は、集中制御を解除して、処理手順はメインルーチン(A)に戻る(図15のステップS78)。
集中制御が対象者により許可されているならば(ステップS62でYes)、レコメンド判定部308は、既に、標準集中条件、または強化集中条件が実行されているか否かを判定する(ステップS63)。ここで、標準集中条件とは、例えば空調等の設備を自動で制御することや、場所(環境)の移動を促すことなどであってよい。あるいは、作業用の什器の位置や角度、姿勢を自動で調整することであったり、業務媒体(例えばPC)上における余計な情報通知を遮断することであったり、場所(環境)の移動を促すことも、標準集中条件の例である。
空調の自動制御についていえば、標準集中条件は例えば「平常時の設定温度から-1度」とする条件である。または、強化集中条件は例えば「平常時の設定温度から-2度」とする条件である。つまりレコメンド判定部308は、予測された集中度に基づいて、作業者が集中しやすいように適切な作業条件を作り出すレコメンドを生成する。なお、レコメンドは作業者本人に発出してもよいし、作業環境を管理、変更できる管理人に対して発出したり、レコメンド内容を自動的に指令に変えて空調や照明といった設備側に指示したりしてもよい。
詳しくは、標準集中条件とは、一般的に作業者が集中して作業できる条件であり、作業者の集中状態を維持させやすいためのものである。また、強化集中条件とは、標準集中条件よりも注意力をさらに発揮させやすくする条件であり、作業者が、上記の一般的な集中できる条件においても集中できない場合において、作業者の集中状態を再び引き上げたり維持させたりするためのものである。
ステップS63でNoであれば、レコメンド判定部308は、標準集中条件を実行するためのコマンド(例:空調温度-1)をシステムに出力する。ステップS63でYesであれば、レコメンド判定部308は、集中持続下限値をパラメータ保存部305から取得し(ステップS65)、現在の集中度が集中持続下限値を超過したか否かを判定する(ステップS66)。超過していなければ(No)、レコメンド判定部308は、現在集中度の値が例えば5以上であるか否かを判定する(ステップS67)。ステップS67でYesであれば、集中制御中により集中できているとみなして処理手順は呼び出し元に戻る。
一方、ステップS66で、現在の集中度が集中持続下限値を超過していれば(Yes)、処理手順は図15のステップS68に移行し、レコメンド判定部308は、現在集中度の値が例えば5以上であるか否かを判定する(ステップS68)。ステップS68でYesであれば、折角集中できているので中断されたくない人向けに、レコメンド判定部308は、集中持続上限値をパラメータ保存部305から取得し(ステップS69)、現在の集中度が集中持続上限値を超過したか否かを判定する(ステップS71)。超過していなければ(No)、対象者は過度の集中状態持続によるダメージを受けにくいとみなし、引き続き高い集中状態であってもよいと判定して処理手順は呼び出し元に戻る(図14のRETURN)。
ステップS71でYesであれば、いわゆる過集中の状態であり、本人が自覚しないままで長すぎる集中も健康によくない恐れがある。よってレコメンド判定部308は、対象者を集中制御から解放し、対象者の集中度の過度の持続を防止するためのレコメンドを生成する。そして、レコメンド判定部308は、自然と集中力が落ちるまで待つこととして平常条件を実行し(ステップS77)、集中制御を解除して処理手順はメインルーチン(A)に戻る(ステップS78)。
一方、ステップS68で現在集中度が5未満であれば(No)、ある程度の集中制御が経過したので、集中できていなければ休むことも検討して良い。そこで、レコメンド判定部308は、集中開放許可をパラメータ保存部305から取得し(ステップS70)、集中開放制御がユーザにより許可されているか否かを判定する(ステップS72)。Yesであれば、集中した後、思いきって休むために処理手順はリフレッシュ制御へとジャンプして、ルーチン(D)へと切り替わる(ステップS73)。ステップS72でNoであれば、既に集中できていないので、積極的に休憩を促すリフレッシュ制御をしなくても、せめて通常の環境に戻すためレコメンド判定部308は平常条件を実行し(ステップS77)、集中制御を解除して、処理手順はメインルーチン(A)に戻る(ステップS78)。
一方、図14のステップS67でNoであれば、集中制御によってもなかなか集中できていないので、もう少し背中を押してみることとする。そのためにレコメンド判定部308は、集中強化許可をパラメータ保存部305から取得し(図15のステップS74)、集中強化処理がユーザにより許可されているか否かを判定する(ステップS75)。Noであれば、次の集中力アップの波の到来を待つこととして処理手順は呼び出し元に戻る(図14のRETURN)。
ステップS75でYesであれば、レコメンド判定部308は、強化集中条件を実行して(ステップS76)、処理手順は呼び出し元に戻る(図14のRETURN)。強化集中条件とは、設備の自動制御によってもよいし、周囲の人に「集中中、応対不可」等のデジタルサイネージを表示することでもよい。例えば、空調温度をさらに-1度下げることが強化集中条件に相当する。
図16は、集中制御(ルーチン(C))における処理手順の一例を示すフローチャートである。図16において、レコメンド判定部308は、集中誘導条件が既に実行中であるか否かを判定し(ステップS81)、Noであれば、集中誘導条件(例:空調温度-0.5度)を実行して(ステップS82)処理手順は呼び出し元に戻る。ここで、集中誘導条件とは設備を自動で制御することであったり、覚醒度をより高め集中に入りやすい精神状態を起こさせるように、カフェイン飲料を推薦したり、自動で注文、配達したりするようなサービスを提供することであってもよい。例えば空調自動制御を例にとれば、集中誘導条件は、「平常の設定温度から-0.5度」と空調を制御することであってよい。
詳しくは、集中誘導条件とは、例えば、平常時の条件と、作業者が一般に集中して作業できる条件との中間値、あるいは、標準集中条件を少し緩和した条件などである。つまり集中誘導条件とは、作業者が非集中状態からスムーズに集中状態に移行させるようにするための条件である。
一方、ステップS81でYesであれば、レコメンド判定部308は、集中誘導制御の経過時間をパラメータ保存部305から取得し(ステップS83)、集中誘導制御の経過時間が閾値を超過したか否かを判定する(ステップS84)。Noであれば処理手順は呼び出し元に戻る。Yesであれば、レコメンド判定部308は、現在の集中度を集中度推定部202から取得する(ステップS85)。集中度を取得できれば(ステップS86でYes)、レコメンド判定部308は、取得した現在集中度の値が、パラメータ保存部305に記憶された値(例えば、0を完全非集中、10を完全集中としたとき、閾値を5とする)以上か否かを判定する(ステップS87)。閾値(ここでは5)以上であれば(ステップS87でYes)、処理手順は、集中への誘導が成功したとして、集中力の維持を促すためのレコメンドを生成し、集中制御へとジャンプしてルーチン(B)へと切り替わる(ステップS88)。
現在集中度が5未満であれば(ステップS87でNo)、レコメンド判定部308は、パラメータ保存部305に記憶されたタイミング(例えば10分後)の予測集中度が5以上か否かを判定する(ステップS89)。Yesであれば、集中度の高い状態へと至ることが予期されるとして、処理手順はルーチン(B)へと切り替わる(ステップS88)。
ステップS89でNoであれば、集中度が高まる期待を持てないとして、思いきって休んでみることが提案される。そこで、レコメンド判定部308は、パラメータ保存部305から気分転換許可を取得し(ステップS90)、気分転換処理がユーザにより許可されているか否かを判定する(ステップS91)。Noであれば、レコメンド判定部308は集中誘導制御を解除し、処理手順はメインルーチン(A)に戻る(ステップS92)。ステップS91でYesであれば、レコメンド判定部308は気分転換を促すレコメンドを作成し、処理手順はリフレッシュ制御へとジャンプして、ルーチン(D)へと切り替わる(ステップS93)。
図17は、リフレッシュ制御(ルーチン(D))における処理手順の一例を示すフローチャートである。図17において、ルーチン(D)が開始されるとレコメンド判定部308は、リフレッシュ条件が既に実行中であるか否かを判定する(ステップS101)。ここで、リフレッシュ条件とは空調設備などを自動制御することであっても良いし、あるいは、業務から離れて対象者に軽い運動を促したり、各個人が登録した趣味に合わせて情報やクーポンを発行したりすることであってもよい。例えば、目の疲れや体の硬さを開放するよう、ビル周辺で軽く一周ウォーキングできるルートを設計して提示して行動変容を促すことや、同じ趣味で登録した複数の人を同じ場所に集めるように誘導してコミュニケーションのきっかけを提供してもよい。ステップS101でNoであれば、レコメンド判定部308は、例えば、優雅な気分にさせる音楽をかける等のリフレッシュ条件を実行して(ステップS106)、処理手順は呼び出し元に戻る。
詳しくは、リフレッシュ条件とは、例えば一般的に人のストレスが溜まりにくかったり、人の注意力を移転させやすかったりする条件である。つまりリフレッシュ条件とは、作業者における緊張感の高い集中状態が終わって心理的緊張感をリリースさせたり、もしくは作業者が何らかの原因で気が散って作業に対し集中しにくい場合に、一時的に別のことで思考を入れ替えさせたりするものである。
リフレッシュ条件が既に実行中であれば(ステップS101でYes)、レコメンド判定部308は、パラメータ保存部305からリフレッシュ制御の経過時間を取得し(ステップS102)、リフレッシュ経過時間が閾値を超過したか否かを判定する(ステップS103)。Noであれば処理は終了するが、閾値を超過したのであれば(ステップS103でYes)、レコメンド判定部308は、平常条件を実行し(ステップS104)、リフレッシュ制御を解除して処理手順はメインルーチン(A)に戻る(ステップS105)。
図14~図17における標準集中条件、強化集中条件、平常条件、集中誘導条件、および、リフレッシュ条件の内容は、各ユーザの事前登録情報(好みや性別、年齢、身長、体重、病歴)や、過去に実行した条件に対する反応(受け入れ率や閲覧率、または強制停止動作の有無や許可情報の変化など)に基づいて、データベース301に保存したり、更新したりすることができる。
ルーチン(A)~(D)の要点は、対象者の現在集中度だけではなく、自然に発生するその人の集中度リズムから抽出した特徴量を用いて予測した集中度を利用し、各人にとって無理のない程度とタイミングで集中または非集中(休憩)へ支援することにある。このように、各人の自然なリズムに合わせられる前提で、メリハリを利かせた勤務のために背中を押してあげることで、健康的で長く続けられる就労生活の実現が可能になる。また、既存の技術と異なり、状態が悪化した人のみに対して対策を取ることではなく、実施形態の技術は、全ての作業者や従業員に対して、各個人に合わせた就業リズムの形成を支援するようレコメンドを実施するものである。なお、ルーチン(A)~(D)における条件の実行とは、レコメンド発出部309に対して指示をすることを含む。ルーチン(A)~(D)は定周期(例えば、毎分)で行うことが望ましいが、決まった時刻やシステム管理者により手動で実施することも考えられる。
図18は、集中度リズム異常判定部310における処理手順の一例を示すフローチャートである。図18の処理手順は、定周期(例えば、毎日)で行うことが好ましいが、ある決まった日付や時刻(例えば、4月1日の02時)、または人為的に手動で実施させるようスポット的に行ってもよい。
図18において、集中度リズム異常判定部310は、例えば現在時刻から24時間前までの期間における推定集中度の全てを、データベース301から取得する(ステップS111)。データの取得がOKであれば(ステップS112でYes)、集中度リズム異常判定部310は、過去24時間分の実際集中度リズムの特徴量を演算する(ステップS113)。また、集中度リズム異常判定部310は、過去24時間の環境条件に属するパターン、および当該パターンに対応する特徴量をデータベース301から取得する(ステップS114)。
次に、集中度リズム異常判定部310は、過去24時間分の集中度リズム特徴量と、この過去24時間の環境条件と同じパターンで抽出できた特徴量に基づいて、t検定を行う(ステップS115)。次に、集中度リズム異常判定部310は、t検定の結果により、過去24時間に特徴量の有意な変化がおきているか否かを判定し、Yesであれば、管理者や産業医に通知するそのことを通知する(ステップS117)。
集中度リズム異常判定部310は、ある期間(図4のフローチャートでは例えば過去168時間、すなわち一週間)にわたって各人に特有な集中度リズムを正解データに設定する。そして集中度リズム異常判定部310は、対象者が直近の短期間内(図18においては例えば過去24時間、すなわち一日)において、今までと異なる集中度リズムを示すか否かを検知する。例えば図18においては、2つのデータ群に有意の差があるか否かを統計的に見出すためのt検定により、短期間に起きるリズムの変化が検知される。リズムの乱れが確認されたならば、対象者に心理的負荷の異常が起こると想定し、メッセージを生成して管理者や産業医に通知する。このようにすることによって、組織による認識と、早期の対処を促すことが可能になる。
ここで、t検定による異常検知の判定間隔(過去の24時間)は一例であり、異常検知の判定間隔はシステム管理者より自由に設定可能であることが好ましい。もちろん固定値であってもよい。
また、図18の処理手順において、t検定をベースに「過去の短期間」に相当する24時間前までのデータと、「過去の長期間」に相当する過去168時間前までや、過去の全てデータを持っている期間の全データと、それぞれに同じパターンの条件で抽出できる特徴量に有意の差があるか否かが判定される。その結果により、「過去の短時間に今までと違う異常が起きているかどうか」を統計的に判定することができる。すなわち統計的に「違うこと」が確認できるか否かに基づいて、急激なリズムの変化の有無が判定される。
t検定のほかに、急激なリズムの変化の有無は、例えば、過去短期間で抽出できた特徴量がデータベース中に保存される同パターンの特徴量に比べ例えば30%以上の変化量があったかどうかを計算することで判定できる。あるいは、過去短期間で抽出できた特徴量と、データベース301中に保存される同パターンの特徴量との差の絶対値が、ある一定の値以上を超えたか否かを検知することも有効である。さらに、判定に利用される特徴量に合わせて、急激なリズム変化の有無を判定するには、過去短期間で抽出できた特徴量がデータベース中に保存される同パターンの特徴量に比べて、定められた方向に進行し、かつ変化量が一定値以上である場合、すなわち既定の方向で既定の閾値以上に変化したと認定された場合だけ、「異常」と判定し管理者や産業医に通知することであってもよい。
このような、異常判定を条件にするためには、異常か否かを識別するための判定用閾値である「変化量のパーセンテージ」や「差分の絶対値」を、それぞれの特徴量(例えば、傾きや持続時間、総サイクル数や長い/短い集中、または非集中の交代順)について定義し、パラメータとして保存しておいてもよい。
図19は、レコメンド発出部309における処理手順の一例を示すフローチャートである。図19において、レコメンド発出部309は、レコメンドの未発出リストをデータベース301から取得し(ステップS121)、リストを取得できたならば(Yes)、未発出リスト中に記録された条件を宛先に向け発出する(ステップS122)。また、レコメンド発出部309は、発出した条件を未発出リストから削除する(ステップS123)。
レコメンド発出部309は、ルーチン(A)~(D)、または、集中度リズム異常判定部310の処理を経て実行リクエストを検知すると、レコメンド発出部309は、レコメンドの条件を外部設備(空調や照明)やシステム(スマホ表示用サーバや社内SNSの状態書き換えサーバ)に出力する。図19の処理手順は定周期(例えば、毎分)で実行されることが望ましいが、ルーチン(A)~(D)の実行中におけるリクエストイベントの発生や、集中度リズム異常判定部310から実行のリクエストがあるたびに行ってもよい。なお、同じユーザに高すぎる頻度でレコメンドを発出して不快感を引き起こさないために、同じユーザへのレコメンド発出最低間隔を管理してもよい。例えば、データベース301に連続レコメンド発出最低間隔という閾値を保持させ、レコメンド発出部309はデータベース301からその閾値を取得しタイマ307にセットする。そして、同じユーザに対するレコメンド発出の実行リクエストが短期間内に複数生じた場合、各レコメンドの間に連続レコメンド発出最低間隔を開けてから、それぞれのレコメンド内容を外部へ出力するように管理してもよい。
<作用のまとめ>
実施形態では、生体データを収集するバイタルセンサにより生体データを計測し、集中度を一定期間以上にわたって推定、記録して集中度リズムを生成する。そして、取得した集中度リズムから、個人個人特有の特徴量を抽出する。また、全ての対象者(従業員)に対し日々の業務において、継続的に生体データを計測し集中度を推定し、集中度リズム特徴量に基づいて次の集中度を予測し、予測した集中度をベースに、(業務に対する)集中または非集中(すなわち休憩)を適切なタイミングで行動を促す。
例えば、予測結果は集中できそうな時に、集中度の向上や維持がしやすい環境制御(お知らせの遮断や、空調・照明などの設備の条件変更)またはレコメンドを出す。一方、予測結果は集中できなさそうな時に、思いきって休んでもらうための環境制御(音楽や香り、または空調・照明などの設備の条件変更)またはレコメンドを出す。
さらに、集中度リズムから抽出した特徴量に基づき、当該対象者に対して既に一定時間以上集中できたと判断できた場合、無意識に過度の集中状態が続くことが防ぐために休憩への誘導(レコメンド)またはリラックス環境制御を提供する。
これにより、従業員の心理的健康状況をリアルタイムで把握でき、その上で個人個人の性質に合わせて「集中<-->非集中」の適度な切り替えとサイクルの形成を支援することから、全従業員に対し積極的にメリハリのある就労生活の環境が提供できる。
予測した集中度と実際の集中度の違い有無を常にモニタリングし、人が「自然に出る」長期または条件的なコンディション変化に合わせられるように特徴量を更新する。例えば、休み明けの特徴量パターンと連休直前の特徴量パターン、梅雨シーズンの特徴量パターンと真冬シーズンの特徴量パターン、決算発表直前の特徴量パターンとボーナス日直後の特徴量パターンなど、各個人にとって「自然な変化」もパターンとして記憶・管理する。
仮に、短期間で特徴量が激しく変わったり外れたりする場合、その変化が前述した長期のパターン間サイクルもしくはイベント的な固有条件に由来するものかどうかを判断する。t検定などにより異常が検出された場合、対象者に関して心理的健康における危険信号が出たとして組織側(例えば管理者、産業医)に通知する。これにより真の問題発見および早期対処が期待できる。
すなわち実施形態では、生体センサにより従業員の生体データを取得し、取得した生体データから集中度を推定する。一定期間以上にわたりデータを取得し、各人から自然と出る集中度リズムを記憶する。または、ある典型的なリズムパターンに基づき出したレコメンドに対する受け入れ状況に応じて、各個人のリズムの特徴量・パラメータをカスタマイズしていってもよい。
また実施形態では、毎日の業務時間中に、その日で測定した生体データをベースに推定した「現在集中度」と、その人の集中度リズム特徴量を合わせて、次の集中度状態を予測する。次の予測集中度が「業務に対して集中しそう」の場合、集中度向上・集中度維持の対策(空調や照明などの設備の自動制御、作業用の椅子や机の高さや角度を自動調整、メール通知の遮断や社内SNS状態を「取組中」へ自動変更など)やレコメンド(例えば集中ブースの誘導)をシステムから自動的に実施する。
一方、次の予測集中度が「集中できそうにない」の場合、人の自然のリズムに乗って思いきって休んでもらうために、対策(空調や照明などの設備の自動制御、作業用の椅子や机の高さや角度を自動調整、メール通知の許可や社内SNS状態を「連絡可能」へ自動変更など)やレコメンド(例えばリフレッシュコーナーへの誘導や、同じ趣味で登録した人たちを集めてコミュニケーションのきっかけづくり、軽い運動または飲食メニューの推薦とクーポン発行など)もシステムから自動的に実施する。
さらに、既に集中できた人に対しても、対象者の集中度リズム特徴量から、一定時間以上の集中を経過したら、その人の平均集中状態持続性質に合わせるよう、適度な休憩を誘導し、本人が無意識中にやってしまう過度の集中を回避する。仮に、前述のシステムからの自動的介入(自動制御)を許さないユーザであっても、その人の集中度を継続的に計測・記録するうえ、その人の集中度リズムの特徴量を抽出し続ける。
継続的に抽出した特徴量を各個人に対して複数のパターンや条件で管理する上、もし短期間において、計測した集中度が予測集中度から激しく外れたり、もしくは集中度リズムが激しく乱れて悪化方向に変化したりすることが判断された場合、組織側(産業医含め)に通知し、面談など声掛けの働きかけをする。
<効果>
実施形態によれば、特徴量(例えば、一日の集中<-->非集中サイクル数、集中に入るときの所要時間、一度集中に入ると持続できる最低・最長時間、集中から解放するときの所用時間、一日中の長い集中と短い集中の回数や時間帯や交代数など)を生かすことで、より正確に集中度の変化を予測することができる。
また実施形態によれば、特徴量自体もまた細分化できる。例えば、期初/期末の違いや、季節/天気の違い、大きいイベント前後の違い、休み明け/直前の違い、在宅勤務明け/直前の違い…などである。このようにすることで、一層正確な予測ができる。
また実施形態によれば、集中/非集中のパターンに基づき、集中を妨げず、非集中を休憩に活用するようレコメンドを実施することにより、効率的に対象者の行動を促すことができる。
また実施形態によれば、本人が無意識中に集中状態を長く続けたことにより、過度の心理的負荷がかかり、その長すぎる集中が切れた後に再度集中に入ることができなくなる可能性がある。そのような無意識の「過度の集中」にならないよう、一定時間以上集中ができた場合に、休憩のきっかけを提供し、次々と集中状態に入りやすい心理状態を維持させることができる。
また実施形態によれば集中できそうなことを予測したら、リズムに乗って集中状態まで誘導(背中押し)ができ、強要感なく業務に対する集中状態が実現できる。
また実施形態によれば、集中が切れそう、または集中できそうにないことを予測したら、余計に励ましたりして無理に頑張ってもらうよりも、一度思いきって休むことを促す。これにより緊張感を開放させ、また次の集中に入った方が効率を高めるのに好ましい。また、健康的就労生活を長く維持するにも、休憩は不可欠である。
なお、積極的に休むことを誘導し、その休みの時間をさらに軽い運動などに活用できれば、業務時間中であっても身体的健康増進活動に取り組むことができ、コツコツと健康な体つくりができる。なお、休み時間を他人とのコミュニケーションをとるきっかけに活用すれば、人と人の繋がりが強くなり、メンタルにはもちろん組織内のエンゲージメントが向上することも期待できる。
また実施形態によれば、長期のサイクルやイベント的な条件にもよらない集中度リズム特徴量の急激変化を「真の危険予知信号」として、組織または産業医などに通知し、声掛けのきっかけを提供することで、早期の不適切心理負荷の発見と対処が期待できる。
また実施形態によれば、例えば広いオープンオフィスだと、個人席だけに対して集中・リラックスしやすい空調・照明環境を作ることが難しい。逆に、集中ブースやリフレッシュコーナー、または集中しやすい効果・リラックスしやすい効果が期待される空調と照明環境が整えているゾーンへ誘導する。このようにすることで、より確実に広いオフィス内でレコメンドの内容が実現できる。
さらに実施形態によれば、過去にこのような集中度リズムで表したときにこういったレコメンドを受け入れてもらえた、などの履歴データに基づき、より正確で受け入れ率(実施率)の高いレコメンド内容が提供できる。
以上述べたように実施形態では、一人ひとりの集中度リズムを算出し、その特徴量を抽出する。例えば、システム運用開始時の一定期間に生体データを計測し、集中度を推定して記録、保存し、一定期間のデータを得られれば、過去の推定集中度を時系列で解析し特徴量を抽出する。
また、システム運用開始時にある典型的な集中度リズムに基づき抽出した特徴量をもとに、対象者に対して集中度を予測し、さらに自動制御やレコメンドなどのサービスの提供を開始する。それとともに、提供した自動制御が対象者に受け入れられたか(逆に言うと、手動で解除されたか)や、発出したレコメンドに対して閲覧したかもしくは受け入れてもらえたかなどの、過去の履歴データに基づいて、対象者の真の集中度リズムと当該典型的な集中度リズムとのズレを少しずつ検知し、記憶する。つまりレコメンド判定部は、過去の履歴データに基づきレコメンド内容を決定する。そして、典型的な集中度リズムから修正した上で対象者特有の集中度リズムを算出し、さらに、その集中度リズムから抽出した特徴量を管理、運用してもよい。
また、実施形態では、集中期間、非集中期間のいずれも考慮して特徴量を抽出し、リズム全体を把握するし、自然なリズムに則って集中度を高めることを念頭に、対象者の背中を押すようにした。また、リズム(特徴量)を利用して、集中に関して適度なタイミングと速度で背中を押し、健康を害しない範囲で集中を応援できる。
また、長い休憩や短い休憩の予測に応じて提供メニューが調整できる。リズムを学習してリズムに乗った対策を取ったほうが高い実施効果が期待できる。病気を予知して早期の対策狙いについても、従来の「集中」「非集中(散漫)」のどちらかだけで見るよりも、リズムで総合的に判断したほうが精度が高い。例えば、週明けはいつも集中しにくい人に対して、週明けの非集中を「異常ではなくその人の個性」と理解することができる。
また、実施形態によれば、全従業員に対し積極的にメリハリのある就労リズムの形成を働きかけることで、長い持続効果が得られる。また、一日をダラダラ過ごすよりも、集中しそうなときに集中してもらい、集中できた合計時間を業務生産時間とみなせば、生産効率の向上が図れる。
また、業務時間中の非集中状態が続くことが観察されたら積極的に休憩時間を設けるように促す。その時間を身体的健康増進活動に活用すれば、心身ともに健康になる「健康経営」が実現できる。
また、長期間にわたって集中度リズムの特徴量を複数の条件で管理することで、特徴量の変化量と長期パータンサイクルの照合結果により、真のリズム乱れかどうかを区別し、危険信号をより正確に予知することができる。
従って実施形態によれば、心理的健康状況の悪化有無にかかわらず、全ての従業員に対し、人から自然と生じる集中度リズムを生かし、健康で生産性がよい就労生活を無理なく長く続けられるように支援する。また、既存の技術のように状況の悪化をポイント的に判断するのではなく、本発明はある一定期間以上にわたって各個人から生じる集中度リズムのパターンの変化も配慮することで、より正確に「異常」を判定することができる。
これらのことから、実施形態によれば、従業員の健康を守り、健康経営を促進することの可能な集中度解析装置、プログラム、集中度解析方法、および、健康経営支援システム を提供することが可能になる。
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば図1において、一日を時間軸の単位とする集中度リズムを示した。これに限らず一週間単位、一カ月単位、あるいは一年単位など、さらに長い単位での集中度リズムから特徴量を抽出してもよいし、逆に、1時間単位等であっても良い。
また、実施形態では、集中度解析装置としての機能をコンピュータとしてのサーバ1に実装する例を示した。これに限らず、集中度解析装置の機能をクラウドコンピューティングシステムに委託することも可能である。また、比較的短期的な判定プログラムは、リアルタイム性を考慮して作業者の所在地付近に設置されたサーバに実装してもよい。また、比較的長期的な処理プログラムをクラウド側に設けるようにしてもよい。このように、プログラムの所要性能に合わせて、ローカルとクラウドを組み合わせたシステム設計にしてもよい。
コンピュータに関連して用いられる「プロセッサ」という用語は、例えばCPU、MPU、GPU、或いは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、またはFPGA等の回路と理解され得る。
プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを読み出し実行することで、プログラムに基づく特有の機能を実現する。また、メモリに代えて、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成することも可能である。このケースでは、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することでその機能を実現する。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…サーバ、101…ユーザ許可入力部、102…カレンダー情報、103…時刻情報、104…予定表情報、105…気象計、106…天気予報、201…センサ、202…集中度推定部、301…データベース、302…集中度リズム特徴量抽出部、303…パターン決定部、304…パラメータ決定部、305…パラメータ保存部、306…集中度予測部、307…タイマ、308…レコメンド判定部、309…レコメンド発出部、310…集中度リズム異常判定部。

Claims (13)

  1. 生体データに基づいて推定された人の集中度と、環境データとを少なくとも記憶するデータベースと、
    前記集中度と前記環境データとに基づいて、既定の期間にわたる前記集中度の変化を示す集中度リズムの特徴量を抽出する集中度リズム特徴量抽出部とを具備する、集中度解析装置。
  2. 前記特徴量に基づいて、対象者の集中度を予測する集中度予測部をさらに具備する、請求項1に記載の集中度解析装置。
  3. 前記環境データに基づいて、前記特徴量の抽出に係わるパターンを決定するパターン決定部をさらに具備し、
    前記集中度リズム特徴量抽出部は、前記決定されたパターンに対応する集中度リズムの特徴量を抽出する、請求項1に記載の集中度解析装置。
  4. 前記予測された集中度に基づいて、前記対象者に適するレコメンドを判定するレコメンド判定部と、
    前記判定されたレコメンドを前記対象者に通知するレコメンド発出部とをさらに具備する、請求項2に記載の集中度解析装置。
  5. 前記レコメンド判定部は、前記集中度リズムの特徴量に基づいて、前記人の集中度の過度の持続を防止するためのレコメンドを生成する、請求項4に記載の集中度解析装置。
  6. 前記レコメンド判定部は、前記集中度リズムの特徴量に基づいて、前記人が集中度の高い状態へと至ると予期される場合に、集中力の維持を促するためのレコメンドを生成する、請求項4に記載の集中度解析装置。
  7. 前記レコメンド判定部は、前記集中度リズムの特徴量に基づいて、前記人の集中度が高まる期待を持てない場合に、気分転換を促すためのレコメンドを生成する、請求項4に記載の集中度解析装置。
  8. 前記レコメンド判定部は、前記集中度リズムの特徴量に基づいて当該集中度リズムの異常を検知した場合に、管理者にメッセージを通知する、請求項4に記載の集中度解析装置。
  9. 前記レコメンド判定部は、前記予測された集中度に基づいて、適切な環境への移動を促すレコメンドを生成する、請求項4に記載の集中度解析装置。
  10. 前記レコメンド判定部は、過去の履歴データに基づきレコメンド内容を決定する、請求項4に記載の集中度解析装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の集中度解析装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを上記各部として動作させるためのプログラム。
  12. コンピュータにより実行される集中度解析方法であって、
    前記コンピュータが、生体データに基づいて推定された人の集中度と、環境データとをデータベースに記憶する過程と、
    前記コンピュータが、前記集中度と前記環境データとに基づいて、既定の期間にわたる前記集中度の変化を示す集中度リズムの特徴量を抽出する過程とを具備する、集中度解析方法。
  13. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の集中度解析装置と、
    前記環境データを取得するデータソースとを具備する、健康経営支援システム。
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