JP2023134282A - 燃料電池システムのホットモジュール - Google Patents

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【課題】組み立てが容易な燃料電池システムのホットモジュールを提供する。【解決手段】燃料電池システム100のホットモジュールHMであって、第1台座上X1aに形成される第1ボックスX1と、第2台座X2a上に形成される第2ボックスX2と、第2ボックスX2の内部に第1ボックスX1を収容した状態で、第2台座X2aから所定高さに第1台座X1aを支持する複数本の支柱51と、第1ボックスX1内に配置され、燃料電池システム100の発電動作時に内部で化学反応を伴う第1機器グループGP1と、第1台座X1aよりも下方の第2ボックスX2内に配置され、燃料電池システム100の発電動作時に内部で化学反応を伴わない第2機器グループGP2と、を備え、第1機器グループGP1と第2機器グループGP2との間での流体の受け渡しを、第1台座X1aを上下方向に貫通する管路を通じて行うように構成する。【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池システムのホットモジュールに関する。
従来、ガスタービン発電機やガスエンジン発電機に比べて環境有害物質の放出が少なく発電効率に優れる発電装置として、様々なタイプの燃料電池が開発されてきた。特に、固体酸化物形燃料電池(SOFC)は50%以上の高い発電効率が得られるため、産業用から家庭用まで広範な出力範囲の発電に利用される。
燃料電池システムは、都市ガス等のメタン含有ガスを原燃料とする改質形と、水素を原燃料とする非改質形があるが、日本国内では水素供給インフラが整備途上であるため、前者が主流となっている。改質形燃料電池システムでは、発電のコアとなるセルスタックと燃料改質やガス予熱などに必要な補助機器をパッケージにして、熱的に自立可能なホットモジュールを構成している。
ホットモジュールは、特許文献1~3に開示されるように、発電出力に応じた複数基のセルスタックを備えており、ホットボックスと呼ばれることもある。なお、SOFCセルスタックの動作温度は、500~700℃と高温であるため、ホットモジュールもこの温度領域に対応できるように設計がなされる。
米国出願公開2008/0311445号公報 特表2009-524208号公報 特表2010-534913号公報
特許文献1には、複数基のセルスタックおよび一体型の改質器-燃焼器ユニットを熱的に統合して断熱材からなる筐体の内部に収容し、この筐体を燃料用熱交換器および空気用熱交換器と共にホットボックスの内部に配置する構成の高温燃料電池システムが記載されている。この態様のシステムでは、筐体の天板および底板に複数種のガスを流入出させる多数のポート部が形成されるため、ポート部の穴加工、配管機材の接続、漏れ止めのシール等に多大な工数を必要とする。また、筐体に対する燃焼排ガスの流出方向や空気の流入方向の関係で、空気用熱交換器を筐体の上方、下方、側方のいずれに配置する場合でも、配管の施工が非常に複雑で、パイプ類も余分な長さが必要となる。
特許文献2には、複数基のセルスタックおよび改質器を熱的に統合してベースの上に配置し、これらの機器をケーシングで覆う構成の燃料電池スタックモジュールが記載されている。また、特許文献3には、複数基のセルスタックおよびアノード排ガス酸化器(ATO)を熱的に統合してベースの上に配置し、これらの機器をケーシングで覆う構成の燃料電池スタックモジュールが記載されている。ベースは、燃料用熱交換器、空気用熱交換器、予備改質器、蒸発器等が収容されるチャンバとなっており、モジュール全体がホットボックスを構成する。
これらの態様のシステムでは、ベースの天板の上下面では大きな温度差が発生するため、セルスタックの下面に形成されたガスポートとベースの上面に形成されたガスポートの連通部には、熱応力の影響を受けない特別なシールが必要である。また、ベースの内部では、ガス分配用/収集用配管の母管と枝管が複雑に入り組んだ構造となるうえ、配管部を複数個所で支持する必要もある。
以上のように、特許文献1~3に係るシステムは、ホットボックス(ホットモジュール)の組み立てに関し、工数などで解決すべき課題が多いものとなっている。本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、組み立てが容易な燃料電池システムのホットモジュールを提供することを目的とする。
本発明に係るホットモジュールは、燃料電池システムのホットモジュールであって、第1台座上に形成される第1ボックスと、第2台座上に形成される第2ボックスと、前記第2ボックスの内部に前記第1ボックスを収容した状態で、前記第2台座から所定高さに前記第1台座を支持する複数本の支柱と、前記第1ボックス内に配置され、前記燃料電池システムの発電動作時に内部で化学反応を伴う第1機器グループと、前記第1台座よりも下方の前記第2ボックス内に配置され、前記燃料電池システムの発電動作時に内部で化学反応を伴わない第2機器グループと、を備え、前記第1機器グループと前記第2機器グループとの間での流体の受け渡しを、前記第1台座を上下方向に貫通する管路を通じて行うようにした構成とする。本構成によれば、組み立てが容易な燃料電池システムのホットモジュールとすることが可能となる。
上記構成としてより具体的には、前記第1ボックスの側部および頂部に装着される板状断熱材と、前記第2機器グループの配置空間に充填される粒状断熱材と、を備えた構成としても良い。
また上記構成としてより具体的には、バーナと、水蒸気を生成する蒸発器と、前記バーナの燃焼熱を受け、前記水蒸気を用いて原燃料ガスを改質する改質器と、前記改質されたガスを用いて発電する燃料電池セルスタックと、前記ホットモジュール内の流体どうしの熱交換を行う熱交換器と、を備え、前記第1機器グループは、前記燃料電池セルスタック、前記改質器、および前記バーナを含み、前記第2機器グループは、前記蒸発器および前記熱交換器を含む構成としても良い。本構成によれば、ホットモジュールの材料コストを抑制することが可能となる。
また上記構成としてより具体的には、前記第2機器グループを通る流体の管路に、ベローズ形伸縮管継手を設けた構成としても良い。本構成によれば、パイプの配管にベローズ形伸縮管継手を使用することにより、熱応力の発生が回避される。
また上記構成としてより具体的には、前記第2機器グループの配置空間に、前記燃料電池システムの発電動作時に所定の条件を満足した場合にのみ内部で化学反応を伴う第3機器グループが配置され、前記第3機器グループは、一酸化炭素酸化器を含む構成としても良い。本構成によれば、第1ボックスの容量を抑制することができる。
本発明に係るホットモジュールによれば、組み立てが容易な燃料電池システムのホットモジュールとすることが可能となる。
本実施形態に係る燃料電池システム100の構成を示す説明図である。 本実施形態に係るホットモジュールHMの斜視図である。 一部を不図示としたホットモジュールHMの斜視図である。 一部を不図示としたホットモジュールHMの斜視図である。 一部を不図示としたホットモジュールHMの斜視図である。 一部を不図示としたホットモジュールHMの斜視図である。 一部を不図示としたホットモジュールHMの側面図である。 一部を不図示としたホットモジュールHMの側面図である。 本実施形態に係る改質ガス発生装置RGの側面図である。 改質ガス発生装置RGの側方視断面図である。 改質ガス発生装置RGにおけるバーナ近傍の構成図である。 一部を不図示としたホットモジュールHMの側面図である。 本実施形態に係るセルスタック1の斜視図である。 本実施形態に係るセルスタック1の斜視図である。 セルスタック1の平面図である。 本実施形態に係るスタック集合体61の斜視図である。 スタック集合体61の斜視図である。 単位ラックにセルスタック1を搭載した状態の説明図である。 本実施形態に係るマニホールドから延びる枝管の説明図である。 セルスタック1の各電力端子の接続形態に関する説明図である。 本実施形態に係るプレート組立体80の構成図である。 プレート組立体80に用いられる伝熱プレート81の斜視図である。 低温流体流路および高温流体流路に関する説明図である。
以下、本発明の実施形態について各図面を参照しながら説明する。
<燃料電池システムの構成概要>
まず本実施形態に係る燃料電池システム100の構成概要について説明する。図1は、燃料電池システム100の構成を示す説明図である。図1に示すように燃料電池システム100は、複数のセルスタック(燃料電池セルスタック)1、改質器2、バーナ3、蒸発器4、空気予熱器5、アノードオフガス冷却器6、アノードオフガス凝縮器7、CO酸化器(一酸化炭素酸化器)8、凝縮水回収タンク9、第1原燃料ブロワ10、第1空気ブロワ11、水ポンプ12、第2原燃料ブロワ13、第2空気ブロワ14、パワーコンディショナ15、およびシステムコントローラ16を備える。
なお、本実施形態の例では、図1において図示を省略したものを含め、計8個のセルスタック1が備えられている。また以下の説明では、燃料電池システム100を単に「システム」と称することがある。
また燃料電池システム100は、原燃料ラインLa、混合ガスラインLb、アノード燃料ラインLc、アノードオフガスラインLd、カソード空気ラインLe、カソードオフガスラインLf、燃焼ガスラインLg、バーナ冷却用空気ラインLh、改質水ラインLi、起動用空気ラインLj、および凝縮水回収ラインLwの各ライン(管路)を備える。
アノード燃料ラインLcは、アノード燃料の導入母管となる第1分配マニホールドMaを含み、カソード空気ラインLeは、カソード空気の導入母管となる第2分配マニホールドMbを含む。これらの分配マニホールドMa,Mbは、入口と各セルスタック1に対応した複数の出口とを有しており、入口に流入した流体を各出口それぞれから流出させる。
アノードオフガスラインLdは、アノードオフガスの導出母管となる第1収集マニホールドMcを含み、カソードオフガスラインLfは、カソードオフガスの導出母管となる第2収集マニホールドMdを含む。これらの収集マニホールドMc,Mdは、各セルスタック1に対応した複数の入口と出口を有しており、各入口それぞれに流入した流体を出口から流出させる。
燃焼ガスラインLgは、熱放射筒Zaおよび燃焼ガス管Zbを含む。
原燃料ラインLaは、燃料取入口E1とバーナ3を接続する管路であり、この管路中には第2原燃料ブロワ13が配置されている。第2原燃料ブロワ13は、燃料取入口E1から取り入れられた原燃料ガス(例えば都市ガス13A等のメタン含有ガス)Gfを昇圧して、原燃料ラインLaの下流側へ送る機器であり、典型的にはシステムのスタートアップ運転時に駆動される。
混合ガスラインLbは、燃料取入口E2と改質器2を接続する管路であり、この管路中には上流側から順に、第1原燃料ブロワ10、蒸発器4、および第1ベローズ形伸縮管継手B1が配置されている。第1原燃料ブロワ10は、燃料取入口E2から取り入れられた原燃料ガスGaを昇圧して、混合ガスラインLbの下流側へ送る機器であり、典型的にはシステムの発電運転時に駆動される。
アノード燃料ラインLcは、改質器2と各セルスタック1のアノードとを接続する管路である。より具体的に説明すると、アノード燃料ラインLcは上流側から順に、改質器2と第1分配マニホールドMaの入口とを接続する管路、第1分配マニホールドMa、および、第1分配マニホールドMaの各出口と各セルスタック1のアノードとを接続する8本の管路(第1分配マニホールドMaの枝管)を有する。
アノードオフガスラインLdは、各セルスタック1のアノードとバーナ3とを接続する管路である。より具体的に説明すると、アノードオフガスラインLdは上流側から順に、各セルスタック1のアノードと第1収集マニホールドMcの各入口とを接続する8本の管路(第1収集マニホールドMcの枝管)、第1収集マニホールドMc、および、第1収集マニホールドMcの出口とバーナ3の第1ガス筒31(後述)とを接続する管路(以下、「管路Ld1」と称する。)を有する。管路Ld1の途中には、上流側から順に、第2ベローズ形伸縮管継手B2、アノードオフガス冷却器6、アノードオフガス凝縮器7、および気水分離部Saが配置されている。
カソード空気ラインLeは、空気取入口E3と各セルスタック1のカソードとを接続する管路である。より具体的に説明すると、カソード空気ラインLeは上流側から順に、空気取入口E3と第2分配マニホールドMbの入口とを接続する管路(以下、「管路Le1」と称する。)、第2分配マニホールドMb、および、第2分配マニホールドMbの各出口と各セルスタック1のカソードとを接続する8本の管路(第2分配マニホールドMbの枝管)を有する。
管路Le1の途中には、上流側から順に、第1空気ブロワ11、アノードオフガス冷却器6、空気予熱器5、および第3ベローズ形伸縮管継手B3が配置されている。第1空気ブロワ11は、空気取入口E3から取り入れられた空気Aaを昇圧して、カソード空気ラインLeの下流側へ送る機器であり、典型的にはシステムの発電運転時に駆動される。更に管路Le1においては、空気取入口E3とアノードオフガス冷却器6の中間点、および、空気予熱器5と第3ベローズ形伸縮管継手B3の中間点を結ぶように、アノードオフガス冷却器6と空気予熱器5を迂回するバイパス経路Le2が設けられている。
カソードオフガスラインLfは、各セルスタック1のカソードとバーナ3とを接続する管路である。より具体的に説明すると、カソードオフガスラインLfは上流側から順に、各セルスタック1のカソードと第2収集マニホールドMdの各入口とを接続する8本の管路(第2収集マニホールドMdの枝管)、第2収集マニホールドMd、および、第2収集マニホールドMdの出口とバーナ3の第2ガス筒32(後述)とを接続する管路(以下、「管路Lf1」と称する。)を有する。
燃焼ガスラインLgは、バーナ3とガス排出口D1とを接続する管路である。より具体的に説明すると、燃焼ガスラインLgは上流側から順に、熱放射筒Za、熱放射筒Zaと燃焼ガス管Zbとを接続する管路、燃焼ガス管Zb、および、燃焼ガス管Zbとガス排出口D1とを接続する管路(以下、「管路Lg1」と称する。)を有する。管路Lg1の途中には、上流側から順に、第4ベローズ形伸縮管継手B4、空気予熱器5、CO酸化器8、および、蒸発器4が配置されている。
バーナ冷却用空気ラインLhは、管路Le1と起動用空気ラインLjとを接続する管路であり、この管路中には不図示の流量調整手段(オリフィス等)が設けられている。より具体的に説明すると、バーナ冷却用空気ラインLhは、第1空気ブロワ11とアノードオフガス冷却器6を接続する管路Le1の中間点で分岐し、第2空気ブロワ14の下流側で起動用空気ラインLjに合流する管路であり、第1空気ブロワ11の駆動時に微小流量の空気Abがバーナ3に向けて流通するように構成されている。なお、詳細は後述するが、バーナ3の燃焼温度によってはバーナ冷却用空気ラインLhを省略可能である。
改質水ラインLiは、凝縮水回収タンク9と蒸発器4とを接続する管路であり、この管路中には水ポンプ12が配置されている。水ポンプ12は、凝縮水回収タンク9に貯留した凝縮水Wbを改質水Waとして改質水ラインLiの下流側へ送る機器である。
起動用空気ラインLjは、空気取入口E4と管路Lf1とを接続する管路であり、この管路中には第2空気ブロワ14が配置されている。第2空気ブロワ14は、空気取入口E4から取り入れられた空気Acを昇圧して、起動用空気ラインLjの下流側へ送る機器であり、典型的にはシステムのスタートアップ運転時に駆動される。
凝縮水回収ラインLwは、管路Ld1の途中に配置された気水分離部Saと凝縮水回収タンク9とを接続する管路である。気水分離部Saは、アノードオフガス凝縮器7で発生した凝縮水WbをアノードオフガスGdから分離する部材であり、凝縮水回収ラインLwには分離された凝縮水Wbが流下する。凝縮水回収ラインLwの先端は、貯留された凝縮水Wbの水温の影響を受けて凝縮量が増減しないように、凝縮水回収タンク9の水相部に没入させることなく気相部に開放される。なお凝縮水回収ラインLwの先端を水相部に没入させないのは、バーナ3に送るアノードオフガスGdの流量を変化させないためである。特に、凝縮水Wbを分離後のアノードオフガスGdをセルスタックの一次側へリサイクルしたり、後段のセルスタックで発電利用したりする場合には、本構成は有効である。気水分離部Saには、例えば直管部を水平方向に配置すると共に分岐管部を下向きに配置したT字管が用いられている。また、鉛直方向に立設した小容量の円筒容器を気水分離部Saに用いることもできる。
セルスタック1は、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)で構成された発電体である。固体酸化物形燃料電池は、発電セルを構成する固体電解質、アノードおよびカソードが全てセラミックスである高温作動型の燃料電池であり、所定個数の発電セルを金属インターコネクタ材(セパレータ材ともいう)を介して集積した発電単位をセルスタックと呼んでいる。セルスタック1の電池出力は、パワーコンディショナ15で調整された後に給電される。
改質器2は、水蒸気を用いて原燃料ガスGaを改質し、改質ガスGcを生成して後段側へ送出する。改質器2は水蒸気改質用の触媒を有しており、原燃料ガスGaに含まれるメタンと水蒸気を反応させ、一酸化炭素と水素を含む改質ガスGcを生成する。水蒸気改質は吸熱反応であるが、バーナ3からの熱供給により、改質器2は安定的に改質ガスGcを生成することが可能である。
バーナ3は、流入する気体を燃焼させて熱を発生させるとともに、燃焼によって生じた燃焼ガスGgを焼排ガスラインLgへ排出する。蒸発器4は、改質水Waと燃焼ガスGg(熱源流体)を間接熱交換させる機器であり、燃焼ガスGgとの熱交換により、改質水Waを蒸発させると同時に原燃料ガスGaを加熱する役割を果たす。
空気予熱器5とアノードオフガス冷却器6は、何れも低温流体と高温流体を間接熱交換させる熱交換器である。空気予熱器5は、燃焼ガスGgとの熱交換によりカソード空気ラインLe内の空気Aaを予熱する役割を果たし、アノードオフガス冷却器6は、カソード空気ラインLe内の空気Aaとの熱交換によりアノードオフガスGdを冷却する役割を果たす。
アノードオフガス凝縮器7は、アノードオフガスGdを冷却して、アノードオフガスGdに含まれる水蒸気を凝縮させる役割を果たす。なお、本実施形態のアノードオフガス凝縮器7は空冷熱交換器としているが、その代わりに水冷熱交換器を採用し、これにより熱回収が行われるコジェネ型のシステムとしても良い。
CO酸化器8は、燃焼ガスGgに含まれる有害な一酸化炭素を触媒と接触させ、無害な二酸化炭素に変換する機器である。CO酸化器8は、バーナ3での酸化反応が完全である場合は作動せず、バーナ3での酸化反応が不完全である場合にのみ動作する。
凝縮水回収タンク9は、気水分離部Saから排出される凝縮水Wbを回収し、これを改質水Waとして再利用可能とする役割を果たす。凝縮水回収タンク9には、貯留される改質水Waの水位を所定範囲に調整するため、水位検出器Sbおよび排水弁Scが設けられている。水位検知器Sbで上限水位を検知すると排水弁Scが開放される一方、水位検知器Sbで下限水位を検知すると排水弁Scが閉鎖される。このようにして凝縮水回収タンク9には、所要量の改質水Waが確保されるようになっている。なお改質水Waの排水動作時にアノードオフガスGdが外部に漏洩することを防止するため、排水弁Scによる排水位置は凝縮水回収タンク9の底部付近に設定される。
パワーコンディショナ15は、セルスタック1で発電した電力を事業活動や社会生活の場で利用できる状態に変換するための機器である。パワーコンディショナ15は、セルスタック1から出力された直流電圧を昇圧するDC/DCコンバータ(昇圧回路)と、DC/DCコンバータで昇圧された直流電圧を系統電源と同期の取れた交流電圧に変換する系統連系インバータ(電圧変換回路)と、セルスタック1の出力電流(掃引電流)を制御する出力電流制御部(出力制御回路)と、補機類に駆動電力を供給するための駆動電力供給部(補助回路)を有している。
上記の系統連系インバータは、建築物内に設置された商用電源系統の配電盤と電気的に接続される。系統連系インバータと配電盤とは、系統連系用のスイッチを介して並列・解列を切換可能である。配電盤には、商用電源および複数の分電盤が電気的に接続される。分電盤には、建築物内で使用する照明器具、動力装置、コンセント等の負荷機器が電気的に接続される。
上記の駆動電力供給部は、各ブロワ10,11,13,14、水ポンプ12およびバーナ3のスパークロッド(後述する第1電極ロッド)等と接続され、これらの補機類に駆動電力を与える。駆動電力供給部は、補機類がDC駆動の場合、例えば系統連系インバータの出力をAC/DC変換した電力、商用電源からの入力をAC/DC変換した電力、またはセルスタック1の出力をDC/DC変換した電力を供給するように回路構成される。一方、駆動電力供給部は、補機類がAC駆動の場合、例えば系統連系インバータの出力電力、または商用電源からの入力電力を供給するように回路構成される。なお上述の補機類は、システムのスタートアップ運転およびシャットダウン運転時は、商用電源を利用して駆動され、システムの発電運転中は、発電電力を利用して駆動される。
システムコントローラ16は、予め作成・記憶された制御プログラムに従って、ブロワ等の補機類およびパワーコンディショナ15の動作(すなわち、システム動作)を制御する機器である。
また図1に破線枠で示すように、各セルスタック1、改質器2、バーナ3、各マニホールドMa~Md、熱放射筒Za、および燃焼ガス管Zbは、後述するホットモジュールHMにおける第1ボックスX1(図3を参照)の内側である第1領域R1に配置されている。一方、蒸発器4、空気予熱器5、アノードオフガス冷却器6、およびCO酸化器8は、第1ボックスX1の外側であって後述する第2ボックスX2(図3を参照)の内側である第2領域R2に配置されている。なお、アノードオフガス凝縮器7、凝縮水回収タンク9、各ブロワ10,11,13,14、水ポンプ12、パワーコンディショナ15、およびシステムコントローラ16は、ホットモジュールHMの外部(常温の領域)に配置される。
<燃料電池システムの動作概要>
次に、燃料電池システム100の動作概要について、図1を参照しながら説明する。燃料取入口E2から混合ガスラインLb内に供給された原燃料ガスGaは、第1原燃料ブロワ10の作用により後段側へ送られる。原燃料ガスGaの供給に並行して、凝縮水回収タンク9から改質水ラインLi内に供給された改質水Waは、水ポンプ12によって水量が調節され、混合ガスラインLbへ流入する。
改質水Waは、混合ガスラインLb内の原燃料ガスGaとともに蒸発器4に流入し、蒸発器4において熱交換により加熱されて水蒸気(過熱蒸気)となる。当該水蒸気は加熱された原燃料ガスGaと混合し、混合ガスGbとして改質器2へ流入する。
改質器2は、混合ガスGb中の水蒸気を用いて原燃料ガスGaを改質し、改質ガスGcを生成して後段側へ送出する。改質器2から送出された改質ガスGcは、アノード燃料ラインLcを通って各セルスタック1のアノードへ分配される。
一方、上述した原燃料ガスGaの供給に並行して、空気取入口E3からカソード空気ラインLe内に空気Aaが供給される。カソード空気ラインLe内の空気Aaは、第1空気ブロワ11の作用により後段側へ送られる。この空気Aaは、アノードオフガス冷却器6での熱交換によって加熱され、更に空気予熱器5での熱交換によって加熱された後、各セルスタック1のカソードへ分配される。なお空気Aaの温度調節等のため、空気Aaの一部である空気Aa1を、バイパス経路Le2を介して各セルスタック1のカソードへ流入させることも可能である。
更には、カソードへの空気Aaの供給に同期して、冷却用空気ラインLh内に空気Abが供給される。冷却用空気ラインLh内の空気Abは、第1空気ブロワ11の作用によりバーナ3へ送られる。この空気Abは、バーナ3の燃焼温度を低下させる冷却剤として作用し、保炎器33(後述)の過熱および焼損を防止する。なお空気Abを供給しない状態で、保炎器33の過熱や焼損が起こらない程度に火炎温度が保たれている場合には、バーナ冷却用空気ラインLhを省略してもよい。
各セルスタック1は、アノードに流入した改質ガスGcとカソードに流入した空気Aaを用いて発電するとともに、アノードからアノードオフガスラインLdへアノードオフガスGdを排出し、カソードからカソードオフガスラインLfへカソードオフガスGeを排出する。アノードオフガスGdには、アノードにおいて未反応であった燃料成分が含まれており、カソードオフガスGeには、カソードにおいて未反応であった酸素が含まれている。
各セルスタック1からアノードオフガスラインLdへ排出されたアノードオフガスGdは、第1収集マニホールドMcに収集された後、アノードオフガス冷却器6での熱交換によって冷却され、アノードオフガス凝縮器7へ流入する。アノードオフガス凝縮器7では、アノードオフガスGdは露点温度以下まで冷却され、アノードオフガスGdに含まれる水蒸気が凝縮する。
アノードオフガス凝縮器7を通過したアノードオフガスGdは、気水分離部Saに送られて気水分離され、凝縮水Wbが凝縮水回収タンク9に回収される。凝縮水回収タンク9に回収された凝縮水Wbは、先述のとおり改質水Waとして再利用される。なお、アノードオフガスGdにおける凝縮しなかった部分(気水分離後のアノードオフガスGd)は、バーナ3へ送られる。
各セルスタック1からカソードオフガスラインLfへ排出されたカソードオフガスGeは、第2収集マニホールドMdに収集された後、管路Lf1でバーナ冷却用空気ラインLhを介して流入した空気Abと混合し、バーナ3へ送られる。またバーナ3には、システムの運転状態に応じて、燃料取入口E1から供給された原燃料ガスGfが、原燃料ラインLaを介して送られると共に、空気取入口E4から供給された空気Acが、起動用空気ラインLjを介して送られる。
バーナ3は、原燃料ガスGfおよび/またはアノードオフガスGdである第1バーナ用ガスGxと、空気Acおよび/またはカソードオフガスGeである第2バーナ用ガスGyが流入し、これらを燃焼させて熱を発生させる。すなわち第1バーナ用ガスGxは、原燃料ガスGfとアノードオフガスGdの混合気体、或いは、原燃料ガスGfとアノードオフガスGdの何れか一方の状態であり、どの状態となるかはシステムの動作状態等によって変化し得る。また第2バーナ用ガスGyは、空気AcとカソードオフガスGeの混合気体、或いは、空気AcとカソードオフガスGeの何れか一方の状態であり、どの状態となるかはシステムの動作状態等によって変化し得る。すなわち、システムのスタートアップ運転、発電運転(全負荷運転または部分負荷運転)、シャットダウン運転等に応じて、バーナ3への供給ガスは適宜状態変化する。
なお、原燃料ガスGfは炭化水素含有ガスの一種である。一方、空気Acは酸化剤含有ガスの一種である。バーナ3の燃焼動作中、バーナ冷却用空気ラインLhからは空気Abが連続的に供給され、燃焼温度の調整が行われる。
バーナ3での燃焼により生じる燃焼ガスGgは、燃焼ガスラインLgへ送られ、熱放射筒Za、燃焼ガス管Zb、蒸発器5、CO酸化器8、および蒸発器4を順に通過して、ガス排出口D1からホットモジュールHMの外部へ排出される。なお詳しくは後述するが、熱放射筒Zaおよび燃焼ガス管Zbは、燃焼ガスGgを用いて改質器2を効果的に加熱できるよう配置されている。また、燃焼ガスラインLg内の燃焼ガスGgは、蒸発器5および蒸発器4を通る際に熱交換に利用され、一酸化炭素が含まれる場合には、CO酸化器8を通る際に当該一酸化炭素が二酸化炭素に変換される。
<ホットモジュール>
次に、ホットモジュールHMの構成等について、より詳細に説明する。図2は、ホットモジュールHMの斜視図である。図3は、ホットモジュールHMの内部構造が理解容易となるように、第1ボックスX1、第2ボックスX2、および板状断熱材53の一部を不図示としたホットモジュールHMの斜視図である。なお以下の説明における前後、左右、および上下の各方向(互いに直交する方向)は、図2等に示すように便宜的に定めたものに過ぎない。本実施形態の例では、上下方向が鉛直方向に一致する。
図2および図3に示すようにホットモジュールHMは、第1台座X1a、第2台座X2a、第1台座X1a上に形成される第1ボックスX1、第2台座X2a上に形成される第2ボックスX2、第1台座X1aを支持する複数本(本実施形態の例では4本)の第1支柱51、および、第2台座X2aを支持する複数本(本実施形態の例では4本)の第2支柱52を備える。
第1ボックスX1は第2ボックスX2の内部に収容されており、この状態で複数本の第1支柱51は、第2台座X2aから所定高さに第1台座X1aを支持する。第1ボックスX1は、内部の領域が高温動作領域となる第1領域R1(図1を参照)に設定されており、システムの発電動作時に内部で化学反応を伴う第1機器グループGP1が収容される。この第1機器グループGP1には、セルスタック1、改質器2、およびバーナ3が含まれる。
第2ボックスX2の内部であって第1ボックスX1の外部(第1台座X1aの下側)の領域は、低温動作領域となる第2領域R2(図1を参照)に設定されており、システムの発電動作時に内部で化学反応を伴わない第2機器グループGP2が収容される。第2機器グループGP2には、蒸発器4および熱交換器(空気予熱器5とアノードオフガス冷却器6)が含まれる。
また第2領域R2には、システムの発電動作時に所定の条件を満足した場合にのみ内部で化学反応を伴う第3機器グループGP3も収容される。第3機器グループGP3には、バーナ3での酸化反応が完全である場合は動作せず、バーナ3での酸化反応が不完全である場合にのみ動作するCO酸化器8が含まれる。CO酸化器8は触媒反応に伴う発熱が僅かであるので、CO酸化器8を第2領域R2(低温動作領域)に配置しても殆ど問題は無く、これにより、第1ボックスX1の容量を抑制することができる。
第1ボックスX1の前後左右の各側部および頂部(上側)には、板状断熱材53が装着されている。板状断熱材53は、第1ボックスX1の前後左右および上側の各外面をほぼ全て覆っている。これにより強力な断熱効果を得ることができ、第1ボックスX1内を高温状態に保つことが容易となっている。
第2領域R2の空間(第2機器グループGP2の配置空間)には、不図示の粒状断熱材が充填される。高温動作領域である第1ボックスX1から第1台座X1aを通じて第2領域R2への熱伝導が起こるが、当該粒状断熱材を充填することにより十分な断熱効果が得られる。そのため、第2機器グループGP2およびその接続配管を、高価な高温耐性の材料を使用せずに構成することができる。
また、第1台座X1aには管挿入孔(貫通孔)が設けられており、第1領域R1と第2領域R2の境界を跨いで延びる各ライン(管路)は、この貫通孔を通るように配置される。これにより、第1機器グループGP1と第2機器グループGP2との間での流体の受け渡しは、第1台座X1aを上下方向に貫通する管路を通じて行われる。このように本実施形態では、各機器グループGP1,GP2間での流体の受け渡し用の配管は、第1台座X1aに穿設した管挿入孔に管路を取り付けるだけの構造なので、特別なシール等を必要としない。
更に、第2機器グループGP2を通る流体の管路には、ベローズ形伸縮管継手を設けるようにしても良い。第1台座X1aを貫通する管路と熱交換器を接続するパイプや、熱交換器どうしを接続するパイプは、システムの冷態時と運転時の温度変化により伸縮する。この伸縮により発生する熱応力は、パイプ本体および接合部の割れや破断の原因となるため、場合によっては可燃性ガスのリーク等、深刻な不具合を引き起こすことになる。第2機器グループGP2の流体接続に使用する配管機材がベローズ形伸縮管継手を含むようにすることで、熱応力の発生が極力抑えられ、このような不具合を回避することが可能となる。
本実施形態では図1に示すように、少なくとも、第2機器グループGP2を通る流体の管路のうち第1領域R1と第2領域R2の境界を跨いで延びる各ラインにおいて、第2領域R2の当該境界近傍に上下に伸縮可能なベローズ形伸縮管継手が設置されている。より具体的に説明すると、混合ガスラインLbの当該境界近傍には第1ベローズ形伸縮管継手B1が設置され、アノードオフガスラインLdの当該境界近傍には第2ベローズ形伸縮管継手B2が設置され、カソード空気ラインLeの当該境界近傍には第3ベローズ形伸縮管継手B3が設置され、燃焼ガスラインLgの当該境界近傍には第4ベローズ形伸縮管継手B4が設置されている。また、第2領域R2内の熱交換器どうしを接続する各パイプに、ベローズ形伸縮管継手を設置しても良い。
ホットモジュールHMは、例えば次のような工程で組み立てられる。まず第2台座X2aの上に第2機器グループGP2を配置し、所要の配管機材を用いて機器間の配管を施工する。次に、第2台座X2aの上に複数の第1支柱51を取付け、第1支柱51の先端部に第1台座X1aを載置して固定する。次に、第1台座X1aに穿設した管挿入孔に管路を取り付け、この管路と第2機器グループGP2との間で配管を施工する。次に、第2台座X2aの上に第2機器グループGP2を包囲するケーシングを取り付けて半開放の第2ボックスX2を形成し、第2ボックスX2内に粒状断熱材を充填する。
続いて、第1台座X1aの上に第1機器グループGP1を配置し、第1台座X1aに取り付けられた管路と第1機器グループGP1との間で配管を施工すると共に、所要の配管機材を用いて機器間の配管を施工する。次に、第1台座X1aの上に第1機器グループGP1を包囲するケーシングを取り付けて密閉型の第1ボックスX1を形成し、第1ボックスX1の側部および頂部に板状断熱材53を装着する。半開放の第2ボックスX2に対し、第1ボックスX1に装着した板状断熱材53を包囲するケーシングを取り付けて密閉型の第2ボックスX2を形成する。以上のような工程を経由することで、容易にホットモジュールHMを組み立てることができる。
図4~図6は、それぞれ異なる視点によるホットモジュールHMの斜視図である。また図7および図8は、それぞれ異なる視点によるホットモジュールHMの側面図である。なおこれらの図においては、ホットモジュールHMの内部構造が理解容易となるように、第1ボックスX1、第2ボックスX2、および板状断熱材53を不図示としている。また、図5~図8に示す白抜き矢印は、各流体の流れ方向を模式的に表している。
これらの図に示すように、第1台座X1aの上側における上方視略中央位置には、上下(鉛直方向)に立設された筒状の改質器2が配置され、改質器2の上側にはバーナ3が配置されている。なお詳しくは後述するが、改質器2、バーナ3、および熱放射筒Zaは、改質ガス発生装置として一体的に構成されている。
改質器2の左右それぞれには、複数個(本実施形態の例では4個)のセルスタック1を上下に集積したセルスタック集合体61が配置されている。改質器2の前側における左右のセルスタック集合体61に挟まれた領域には、図4に示すように、第1分配マニホールドMaおよび第2分配マニホールドMbのそれぞれが、上下に延びるように配置されている。第1分配マニホールドMaおよび第2分配マニホールドMbは隣接配置されるとともに、セルスタック集合体61の近傍に配置されている。
第1分配マニホールドMaと第2分配マニホールドMbを隣接配置することで、これら2つの分配マニホールドの表面間において放射伝熱や対流伝熱により熱交換が行われる。また、各分配マニホールドMa,Mbをセルスタック集合体61の近傍に配置することで、機器の表面間において放射伝熱や対流伝熱により熱交換が行われる。これにより、セルスタック1に供給するアノード燃料(改質ガスGc)とカソード空気(空気Aa)の温度が均一化されると共に、当該温度をセルスタック1の動作温度近くまで高められるので、発電セルの全体で効率のよい発電反応を行わせることができる。
改質器2の後側における左右のセルスタック集合体61に挟まれた領域には、図6に示すように、第1収集マニホールドMcおよび第2収集マニホールドMdのそれぞれが、上下に延びるように配置されている。すなわち、セルスタック集合体61、第1収集マニホールドMcおよび第2収集マニホールドMdのそれぞれは、改質器2の外筒21を取り囲むように配置されている。
このように、各セルスタック1、第1収集マニホールドMcおよび第2収集マニホールドMdは改質器2の近傍に配置されており、改質器2へ発電反応に伴う廃熱を効率良く与えることが可能である。特に第1収集マニホールドMcは、アノードオフガスGdに含まれる廃熱を積極的に改質器2に与える役割を持つ。また第2収集マニホールドMdは、カソードオフガスGeに含まれる廃熱を積極的に改質器2に与える役割を持つ。これにより、改質器2における触媒層での吸熱量が大幅に増加するため、水蒸気改質反応の効率がアップし、触媒使用量が低減されて改質器2の小型化を実現できる。
<改質器、バーナ、熱放射筒>
次に、改質器2、バーナ3、および熱放射筒Zaの構成等について、より詳細に説明する。なお本実施形態の例では、改質器2、バーナ3、および熱放射筒Zaは、改質ガス発生装置RGとして一体的に構成されている。
図9は、改質ガス発生装置RGの側面図を示し、図10は、改質ガス発生装置RGの側方視による断面図を示す。また図11は、改質ガス発生装置RGにおけるバーナ3近傍の詳細構成を示す。なお図11においては、点火/火炎検知回路40の回路の構成例が模式的に示されている。
改質ガス発生装置RGにおいて、改質器2は、外筒21、内筒22、触媒充填層23、基端側蓋板24、および末端側蓋板25を有する。
外筒21と内筒22は、上下に延びる軸を共通とした円筒状に形成されており、上下方向の長さは概ね同じであるが、外筒21の直径は内筒22の直径よりも大きい。外筒21と内筒22は、内筒22が外筒21の内側に配置された二重筒構造の反応容器2aを形成している。外筒21と内筒22の間、すなわち反応容器2aの内部には、水蒸気改質用の触媒を充填した触媒充填層23が設けられている。
基端側蓋板24は、外筒21と内筒22の基端部(上端部)どうしを繋いで反応容器2aの上側を封鎖し、末端側蓋板25は、外筒21と内筒22の末端部(下端部)どうしを繋いで反応容器2aの下側を封鎖している。
なお、基端側蓋板24および末端側蓋板25は円環状鏡板であり、当該円環状鏡板は、円環の断面形状が皿形、正半楕円形または近似半楕円形となっている。反応容器2aの蓋板に円環状鏡板を使用することにより、温度変化による径方向の膨張や収縮が吸収される。そのため、熱応力による反応容器2aの損傷や破損をより効果的に回避することができる。なお、上記の鏡板の断面形状は、JIS B 8247「圧力容器用鏡板」に規定されたもののうち、平鏡板を除くものである。
また、外筒21における取入口21aよりも少し上側の部分には、ベローズ構造の伸縮吸収部21cが形成されている。伸縮吸収部21cを設けたことにより、外筒21の時間的な温度変化や位置的な温度分布による伸縮が吸収される。そのため、触媒を収容している反応容器2aの熱応力による損傷や破損を回避しつつ、反応容器2aを長期間使用することができる。なお、伸縮吸収部21cとしては、市販のベローズ形伸縮管継手を使用するのが好適であり、この管継手とストレート管を接合して外筒21を安価に製作することができる。
また改質ガス発生装置RGにおいて、バーナ3は、第1ガス筒31、第2ガス筒32、保炎器33、および熱放射筒Zaを有する。
第1ガス筒31と第2ガス筒32は、上下に延びる軸を共通とした円筒状に形成されており、第2ガス筒32の直径は第1ガス筒31の直径よりも大きい。第1ガス筒31の上側寄りの部分は、第2ガス筒32の上端よりも上方へ突出しており、第1ガス筒31の下側寄りの部分は、第2ガス筒32の内側に配置されている。第1ガス筒31の上端は封鎖されており、第1ガス筒31と第2ガス筒32との隙間は、第2ガス筒32の上端において封鎖されている。
第2ガス筒32と熱放射筒Zaは1本の管体により形成されており、第2ガス筒32の下端は熱放射筒Zaの上端に連接している。このように第2ガス筒32と熱放射筒Zaを1本の管体で形成することにより、両部材の芯合わせや接合等の作業が不要となり、バーナ3を低コストで製作できる。また図10に示すように、第1ガス筒31の上部には先述した第1バーナ用ガスGxが流入し、第2ガス筒32の上部には先述した第2バーナ用ガスGyが流入する。
保炎器33は、第1ガス筒31の下端に接続されるとともに、先端部が下方(燃焼させるガスの流れの下流側)に向かって拡開する円錐台状に形成されている。また保炎器33は、拡開方向に間隔をおいた多列の貫通孔33aを有している。また、保炎器33の外径と第2ガス筒32の内径は略同径に形成されており、これによりバーナ3は、第1バーナ用ガスGxと第2バーナ用ガスGyを燃焼させ、第2ガス筒32の内径の径方向断面の全体に亘って、安定した火炎を形成することが可能である。
また図11に示すように、バーナ3には、第1電極ロッド41および第2電極ロッド42からなる電極対40xが備えられており、電極対40xの先端部が保炎器33の内部に配置されている。第1電極ロッド41は、第1ガス筒31と電気的に絶縁されており、第2電極ロッド42は、第1ガス筒31と電気的に導通している。
電極対40xは、ガス点火の動作制御と火炎検知を行う点火/火炎検知回路40に接続されており、ガス点火と火炎検知の両方に利用することが可能である。点火/火炎検知回路40は、ガス点火部40a、電流検知部40b、第1スイッチ40c1、および第2スイッチ40c2を有している。点火/火炎検知回路40は、ガス点火時には、第1スイッチ40c1を閉じて第2スイッチ40c2を開くことで電極対40xをガス点火部40aに接続させ、ガス点火部40aからの高電流を電極間に流して火花を発生させて、ガス点火を実現させる。
一方で点火/火炎検知回路40は、火炎検知時には、第1スイッチ40c1を開いて第2スイッチ40c2を閉じることで電極対40xを電流検知部40bに接続させ、電極間に電圧を印加して生じる電流を電流検知部40bに検知させて、火炎の有無を判断する。これにより、電極間に電圧を印加したときの火炎の導電現象を利用して、火炎の有無を検知することが可能である。
このようにバーナ3は、ガス点火時においては、第1電極ロッド41をスパークロッドとして機能させるとともに、第2電極ロッド42をアースロッドとして機能させる。一方でバーナ3は、火炎検知時においては、第1電極ロッド41をフレームロッドとして機能させるとともに、第2電極ロッド42をアースロッドとして機能させる。そのためバーナ3によれば、第1電極ロッド41および第2電極ロッド42からなる電極対40xを用いて、ガス点火機構と火炎検知機構を切替可能に構成することにより、確実かつ安全な燃焼動作を行うことができる。
熱放射筒Zaは、内筒22と軸を共通とした円筒状に形成されており、熱放射筒Zaの外径は内筒22の内径よりも小さい。また、熱放射筒Zaの上端は、内筒22の内側において第2ガス筒32の下端に連接しており、熱放射筒Zaの下端は、内筒22の下端よりも下方へ突出している。なお熱放射筒Zaは、バーナ3の一要素と見ることもできる。
熱放射筒Zaは、バーナ3における燃焼室および燃焼ガスの流通路として機能し、表面が燃焼熱の放射部としての役割を果たす。バーナ3の燃焼炎は熱放射筒Zaの内側に位置するため、この燃焼炎による熱エネルギーを熱放射筒Zaの外面から効率良く放射させることが可能である。本実施形態では熱放射筒Zaを燃焼室筒として機能させるため、触媒を収容している反応容器2aに内側から燃焼熱を与え続けても、熱放射筒Zaの熱応力による損傷や破損を回避することができる。
熱放射筒Zaは、周方向全体において内筒22と表面どうしが離れるように、内筒22に挿通されている。このように、熱放射筒Zaの外面と内筒22の内面の間に隙間が設けられている。そのため、水蒸気改質反応のために内筒22側から触媒充填層23へ熱エネルギーを与える際の熱伝達は、熱放射筒Zaからの放射伝熱によって行われ、熱伝導を伴わない。これにより、触媒を収容している反応容器2aの熱応力による損傷や破損を回避しつつ、反応容器2aを長期間使用することが可能である。
また改質器2において、外筒21の下端部近傍には混合ガスGb(原燃料ガスGaと水蒸気の混合ガス)の取入口21aが設けられ、外筒21の上端部近傍には改質ガスGcの取出口21bが設けられている。取入口21aから外筒21と内筒22の間に取り入れられた混合ガスGbは、触媒充填層23を通る際に改質され、改質ガスGcとして取出口21bから取り出される。このように本実施形態では、取入口21aは熱放射筒Zaの先端側に対応する側に設けられ、取出口21bは熱放射筒Zaの基端側に対応する側に設けられている。
ここで、燃焼ガスGgの熱エネルギーは、水蒸気改質反応に伴う吸熱に利用されるので、燃焼ガスGgの温度は、熱放射筒Zaの基端側から先端側に向かって低下していくことになる。この点を考慮し、本実施形態では取入口21aと取出口21bの配置を上記のとおりとしたため、取入口21aから流入した混合ガスGbは、温度低下した燃焼ガスGgによって予熱された後、より高温の燃焼ガスGgの熱エネルギーを使って改質される。
そして生成した改質ガスGc(水素および一酸化炭素含有ガス)は、取出口21bから連続的に排出され、各セルスタック1のアノード燃料ガスとして使用される。このように本実施形態では、混合ガスGbおよび改質ガスGcの流れと、燃焼ガスの流れを対向流としているので、効率の良い水蒸気改質反応を行わせることができる。
但し、取入口21aと取出口21bの配置を本実施形態とは逆にし、取入口21aを熱放射筒Zaの基端側に対応する側に設け、取出口21bを熱放射筒Zaの先端側に対応する側に設けるようにしても良い。この場合は、取入口21aから流入した混合ガスGbは、高温の燃焼ガスGgによって瞬時に予熱された後、やや温度低下した燃焼ガスGgの熱エネルギーを使って改質される。このように、混合ガスGbおよび改質ガスGcの流れと、燃焼ガスGgの流れを並行流とすることで、混合ガスGbの予熱効果が高く、混合ガスGbを調製する蒸発器4の加熱能力(熱交換能力)を抑えた設計が可能となり、蒸発器4のコストダウンが期待できる。
<燃焼ガス管>
次に、燃焼ガス管Zbの構成等について、より詳細に説明する。図12は、燃焼ガス管Zbの配置形態がより理解容易となるように、各ボックスX1,X2、板状断熱材53、および各マニホールドMa~Md等を不図示としたホットモジュールHMの側面図である。
本図に示すように燃焼ガス管Zbは、上下に延びるストレート管が左右に(つまり平行に)並ぶように上側でUターンした折り返し管路からなり、改質器2の後側に配置されている。上側で繋がる左右の当該ストレート管は、改質器2の下端近傍から上端近傍まで延びており、改質器2の外筒21の近傍に正対配置されている。なお図12に破線矢印で示すように、燃焼ガスGgは右側の当該ストレート管を上昇して、左側の当該ストレート管を下降するように流れる。
これにより、バーナ3の作動時に発生する燃焼ガスGgは、熱放射筒Zaおよび燃焼ガス管Zbを順に流通し、改質器2の内側と外側から同時に燃焼熱を与えることができる。そのため、触媒層での吸熱量が増加して燃焼ガスGgの温度が大幅に低下する結果、予熱用の熱交換器に温度低下した燃焼ガスGgを供給することが可能となり、熱交換器を安価な材料(例えばSUS321、SUS316L、SUS310S等)で製作することができる。
また、触媒層での吸熱量が大幅に増加することから、水蒸気改質反応の効率がアップし、その分、触媒使用量を低減することができ、改質器2の小型化が可能となっている。なお本実施形態では、改質器2での水蒸気改質反応に必要なエネルギーは、その大部分が燃焼熱によって賄われる。そのため改質器2では、セルスタック1の動作温度に依存することなく、安定した改質ガスGcの生成を行うことができる。
また図12に示すとおり、左側の燃焼ガス管Zbは左側のセルスタック集合体61の右側近傍に正対配置されており、右側の燃焼ガス管Zbは右側のセルスタック集合体61の左側近傍に正対配置されている。これにより、燃料電池システム100はスタートアップ運転時間の短縮が可能となっている。
つまり、水蒸気改質を利用する改質形燃料電池システムでは、当該燃料電池システムのスタートアップ運転において、改質器およびセルスタックの昇温に水蒸気(過熱蒸気)を用いることがある。この場合、バーナの燃焼により発生させた燃焼ガスを蒸発器の熱源とし、蒸発器の内部で水を加熱することにより、水蒸気の生成が行われる。しかし水蒸気のみを使った昇温では、一般的に8時間以上もの非常に長いスタートアップ運転時間を有する。この点、本実施形態では、燃焼ガス管Zbを改質器2およびセルスタック集合体61の近傍に配置しているので、バーナ燃焼時の熱放射により、冷態の改質器2およびセルスタック集合体61が間接的に加熱される。そのため、スタートアップ運転時間を例えば4時間前後まで短縮することができる。
なお、本実施形態では改質器2がセルスタック集合体61の近傍に配置されており、セルスタック1の発電反応に伴う廃熱も、改質器2での水蒸気改質反応に補助的に利用される。そのため、発電セルの劣化等により損失エネルギーが増加した場合でも、セルスタック1の冷却が行えることになり、セルスタック1を適切な動作温度に維持することができる。
また本実施形態では、燃焼ガス管Zbを折り返し管路としたことにより、改質器2の外側から繰り返し燃焼熱を与えることができ、触媒層での吸熱量が更に増加する。そのため、触媒使用量の低減と改質器2の小型化により、ホットモジュールHMの材料コストを効果的に削減できる。なお当該折り返し管路は、管路のストレート部が改質器2の軸方向に沿って敷設されても良いし、改質器2の軸方向と直交して敷設されても良い。また、本実施形態では当該折り返し管路のターン数を1としているが、当該折り返し管路のターン数を複数としても良い。
<セルスタック>
次に、セルスタック1の構成等について、より詳細に説明する。図13および図14はセルスタック1の斜視図であり、図14はセルスタック1の平面図である。
図13~図15に示すようにセルスタック1は、所定数の平板型発電セルが左右に積層された積層部75、積層部75の左端に設けた第1端板76a、および、積層部75の右端に設けた第2端板76bを備える。第1端板76aと第2端板76bは、積層部75を挟んで左右に対向する一対の端板として設けられており、左方視で略矩形状である。
第1端板76aにおける四隅それぞれの近傍には、フランジ付ガスポート72が配置されている。具体的には図14に示すように、アノード燃料流入ポート72a、カソード空気流入ポート72b、アノードオフガス流出ポート72c、およびカソードオフガス流出ポート72dからなる計4個のフランジ付ガスポート72が設けられている。各フランジ付ガスポート72は、左側(外側)の縁の全周から径方向へ張り出すフランジ部72xを有する。
またセルスタック1には、各フランジ付ガスポート72のフランジ部72xの縁部に固定される支持板71が設けられる。支持板71は、各フランジ付ガスポート72のフランジ72xそれぞれの位置とサイズに合わせた貫通孔が形成されており、当該貫通孔それぞれの内周面に各フランジ部72xの外周面が密着する。
積層部75の前側には、積層部75の発電セルによって発電された電力を出力する端子として、上下を幅方向とした板状の第1電力端子74aおよび第2電力端子74bが配置されている。なお、第1電力端子74aと第2電力端子74bは、互いに極性が異なる電力端子である。第1電力端子74aは、積層部75の前側から前方へ突出して、端部74a1が左側に折り曲げられている。第2電力端子74bは、積層部75の前側における第1電力端子74aよりも左下寄りの位置から前方へ突出して、端部74b1が右側に折り曲げられている。
このように、第1電力端子74aおよび第2電力端子74bは、積層部75における平板型発電セルの積層面(左右方向と直交する平面)に略平行かつ同一方向(本実施形態の例では前方)に突出している。各電力端子の端部74a1,74b1は、何れも前方を向いた平面を構成しており、前後方向および左右方向の位置が同じである。
<セルスタック集合体>
次に、セルスタック集合体61の構成等について、より詳細に説明する。図16および図17は、それぞれ異なる視点から見た左側のスタック集合体61の斜視図である。なお本実施形態の例では、右側のセルスタック集合体61におけるセルスタック1は、左側のセルスタック集合体61におけるセルスタック1とは上下逆向きに配置される。これにより改質器2を挟んで左右に設けられる各セルスタック集合体61は、各電力端子74a,74bが前方に位置しながら、フランジ付ガスポート72が左右方向内側に位置するように構成される。
スタック集合体61は、オープンラック62を用いて複数のセルスタック1を上下方向に積み上げた構成となっている。これにより、セルスタック集合体61の設置面積、ひいてはホットモジュールHMの設置面積を極力小さくすることが可能である。そのため本実施形態によれば、既設設備の空きスペース等、狭い場所に設置しやすい燃料電池システム100を構築することができる。また、複数基のセルスタック集合体61をホットモジュールHMに搭載することにより、燃料電池システム100の発電出力の大容量化も容易である。
オープンラック62は、上下に延びる柱部64が上方視四隅それぞれに設けられ、この4本の柱部64に固定支持されるようにして、複数のステージ盤63が上下方向へ略等間隔に配置されている。ステージ盤63に挟まれるスペースのサイズは、セルスタック1のサイズに合うように設定されている。
個々のセルスタック1は、ステージ盤63の上に載置されるとともに、例えばネジ止めによって支持板71が右側の柱部64に固定されて、オープンラック62に収容される。そのためセルスタック集合体61の組み立ては、セルスタック1をステージ盤63に載置し、支持板71を柱部64に固定する作業を繰り返すだけでよい。これにより、セルスタック集合体61を容易に組み立てることができる。また、個々のセルスタック1は、ステージ盤63により安定的に自重が支えられ、上下方向の適正位置に保持されるとともに運転中の脱落が防止される。
また、上述したオープンラック62は、規定数量(本実施形態の例では4個)のセルスタック1を搭載可能に設計されているが、当該オープンラックの代わりに、1個のセルスタック1に対応する単位ラックの複数個を組み立てたオープンラックを採用しても良い。図18は、このようなオープンラックを形成し得る単位ラック62aにセルスタック1を搭載した状態を例示している。
単位ラック61aは、オープンラック62におけるステージ盤63の1段分と同等の構成であるステージ盤63aと、オープンラック62における4本の柱部64の1段分と同等の構成である4本の柱部64aと、を備え、単位ラック61aどうしを上下方向に段積みして固定することが可能となっている。これにより、オープンラック62の場合と同様にして、所要数量のセルスタック1それぞれを各単位ラック61aに収容しておき、収容済みの単位ラック61a(スタック保持体)それぞれを段積みして固定することにより、先述したスタック集合体61と同等のものを得ることができる。
この場合のオープンラックは、セルスタック1ごとに分割された単位ラック61aによって形成されることになる。このように単位ラック61aを利用する場合は、例えばホットモジュールHMの発電出力に応じて、セルスタック1の搭載数を容易に調節することができる。また、オープンラックにセルスタック1を搭載しない空き部分が生じないので、ラックの材料コストを削減することもできる。
<マニホールドの枝管>
全てのセルスタック1における各フランジ付ガスポート72は、対応するマニホールドから延びる枝管に接続されている。具体的には、アノード燃料流入ポート72aは第1分配マニホールドMaから延びる枝管に接続され、カソード空気流入ポート72bは第2分配マニホールドMbから延びる枝管に接続され、アノードオフガス流出ポート72cは第1収集マニホールドMcから延びる枝管に接続され、カソードオフガス流出ポート72dは第2収集マニホールドMdから延びる枝管に接続されている。本実施形態では8個のセルスタック1を有しているため、それぞれのマニホールドから各々8本の枝管が延びる構成である。
各マニホールドMa~Mdから延びる枝管は、対応するフランジ付ガスポート72と当該マニホールドを結ぶ最短距離よりも長い管長を有し、かつ湾曲部を含んで構成されている。また、何れの枝管にも先端にフランジが設けられており、当該フランジを、対応するフランジ付ガスポート72のフランジ部72xに連結させることが可能である。
ここで図19に、各マニホールドMa~Md(便宜的に「マニホールドMx」と総称する。)から延びる枝管の構成例を示す。本図に示す何れの枝管BPも、マニホールドMxから延びて先端にフランジFgが設けられている。
図19(A)に示す例では、マニホールドMxから2個のセルスタック1に対して2本の枝管BPが延びている状態を部分的に示しており、一方の枝管BPには湾曲部CV1が含まれ、他方の枝管BPには湾曲部CV2が含まれている。これらの湾曲部CV1,CV2は何れも、平面的な(つまり二次元的な)パイプ構造となっている。すなわち、湾曲部CV1の全領域で枝管BPの断面視中心(枝管BPの延びる方向に直交する平面で切断した場合の断面視中心)は同一の平面(マニホールドMxの軸方向と直交する平面)に含まれており、湾曲部CV2の全領域でも枝管BPの断面視中心は同一の平面(マニホールドMxの軸方向と直交する平面)に含まれている。
図19(B)に示す例では、マニホールドMxから1個のセルスタック1に対して1本の枝管BPが延びている状態を部分的に示しており、この枝管BPには湾曲部CV3が含まれている。この湾曲部CV3も、平面的なパイプ構造となっている。すなわち、湾曲部CV3の全領域で枝管BPの断面視中心は同一の平面(マニホールドMxの軸方向と直交する平面)に含まれている。また当該枝管BPには途中にベローズ形伸縮管継手Bp1が設けられており、枝管BPの伸縮を吸収させることが可能となっている。
図19(C)に示す例では、マニホールドMxから2個のセルスタック1に対して2本の枝管BPが延びている状態を部分的に示しており、一方の枝管BPには湾曲部CV4が含まれ、他方の枝管BPには湾曲部CV5が含まれている。これらの湾曲部CV4,CV5は何れも、立体的な(つまり三次元的な)パイプ構造となっている。すなわち、湾曲部CV4,CV5の何れにおいても、全領域で枝管BPの断面視中心が同一の平面に含まれるようにはなっていない。
図19(D)に示す例では、マニホールドMxから2個のセルスタック1に対して2本の枝管BPが延びている状態を部分的に示しており、一方の枝管BPには湾曲部CV6が含まれ、他方の枝管BPには湾曲部CV7が含まれている。これらの湾曲部CV6,CV7は何れも、立体的なパイプ構造となっている。すなわち、湾曲部CV6,CV7の何れにおいても、全領域で枝管BPの断面視中心が同一の平面に含まれるようにはなっていない。
図19(A)或いは(B)に示す例のように、マニホールドMxの枝管BPに平面的なパイプ構造を有する湾曲部を設けるようにすると、主に枝管BPの水平方向(ホットモジュールHMの上下方向と直交する方向)に生じるパイプの伸縮を、効果的に吸収することができる。これにより、フランジ付ガスポート72との接合部に作用するストレスに基因するガスリークの問題が解消される。
一方で図19(C)或いは(D)に示す例のように、マニホールドMxの枝管BPに立体的なパイプ構造を有する湾曲部を設けるようにすると、枝管BPの水平方向に加えて高さ方向(ホットモジュールHMの上下方向)に生じるパイプの伸縮も、効果的に吸収することができる。これにより、フランジ付ガスポート72との接合部に作用するストレスに基因するガスリークの問題が解消される。各マニホールドMa~Mdの枝管にどのパイプ構造の湾曲部を設けるかは、例えばホットモジュールHMの仕様等に応じて決めることができる。
<電力端子およびその接続形態>
また左右両方のスタック集合体61において、各セルスタック1における各電力端子74a,74bは何れも前方に突出しており、これらの電力端子の端部74a1,74b1は、前後方向および左右方向の位置が同じとなるように揃えられている。また、同じスタック集合体61におけるセルスタック1どうしでは、第1電力端子74aおよび第2電力端子74bの上下の位置関係が揃えられている。すなわち、右側のスタック集合体61では、何れのセルスタック1においても第1電力端子74aが第2電力端子74bよりも上側にあり、左側のスタック集合体61では、何れのセルスタック1においても第1電力端子74aが第2電力端子74bよりも下側にある。
そして近接するセルスタック1どうしの各電力端子74a,74bは、図5や図7等に示すように、メインバスバー78aおよびサブバスバー78bを用いて電気的に接続されるようにし、各セルスタック1の発電電力を纏めて外部へ出力させることが可能となっている。なお各バスバー78a,78bは、例えば、各電力端子の端部74a1,74b1にネジ止め等によって接続固定される。
ここで図20は、各電力端子74a,74bの接続形態を模式的に示している。本図に示すように、右側のセルスタック集合体61の各セルスタック1においては、第1電力端子74aが第2電力端子74bより上側に設けられており、左側のセルスタック集合体61の各セルスタック1においては、第1電力端子74aが第2電力端子74bより下側に設けられている。
右側のセルスタック集合体61では、最上段のセルスタック1の第2電力端子74bと上から2段目のセルスタック1の第1電力端子74aとの接続、上から2段目のセルスタック1の第2電力端子74bと上から3段目のセルスタック1の第1電力端子74aとの接続、および、上から3段目のセルスタック1の第2電力端子74bと最下段のセルスタック1の第1電力端子74aとの接続のそれぞれが、メインバスバー78aにより実現されている。
左側のセルスタック集合体61では、最上段のセルスタック1の第1電力端子74aと上から2段目のセルスタック1の第2電力端子74bとの接続、上から2段目のセルスタック1の第1電力端子74aと上から3段目のセルスタック1の第2電力端子74bとの接続、および、上から3段目のセルスタック1の第1電力端子74aと最下段のセルスタック1の第2電力端子74bとの接続のそれぞれが、メインバスバー78aにより実現されている。
更に、右側のセルスタック集合体61における最下段のセルスタック1の第2電力端子74bと、左側のセルスタック集合体61における最下段のセルスタック1の第1電力端子74aとが、サブバスバー78bにより実現されている。また、右側のセルスタック集合体61における最上段のセルスタック1の第1電力端子74a、および、左側のセルスタック集合体61における最上段のセルスタック1の第2電力端子74bは、それぞれ別の電力線79に接続されている。これらの電力線79は、それぞれ別の電力線保護管79aに保護されており、ホットモジュールHMの外部に延出する。
メインバスバー78aは、ホットモジュールHMの冷態時と発電動作時の温度差による鉛直方向の伸縮に伴う不具合を防ぐため、伸縮吸収部78a1を有する金属板で構成されている。伸縮吸収部78a1は、本実施形態の例では、図8等に示すように左右方向視でU字状の湾曲部としているが、V字状の折曲部等としても良い。伸縮吸収部78a1を有するメインバスバー78aを採用することで、熱応力が緩和され、安定した発電動作が実現可能であるとともに、各段のセルスタック1に過剰な力が作用するのを防止することもできる。
サブバスバー78bは、ホットモジュールHMの冷態時と発電動作時の温度差による水平方向の伸縮に伴う不具合を防ぐため、伸縮吸収部78b1を有する金属板で構成されている。伸縮吸収部78b1は、本実施形態の例では、図5等に示すように上下方向視でU字状の湾曲部としているが、V字状の折曲部等としても良い。伸縮吸収部78b1を有するサブバスバー78bを採用することで、熱応力が緩和され、安定した発電動作が実現可能であるとともに、最上段のセルスタック1に過剰な力が作用するのを防止することもできる。
<蒸発器>
次に、蒸発器4の構成等について、より詳細に説明する。図21は、蒸発器4として機能するプレート組立体80の構成図であり、左側に左側面図を示し、中央に正面図を示し、右側に右側面図を示している。
プレート組立体80は、前後に対向配置された第1エンドプレート82aと第2エンドプレート82bの間に、複数の伝熱プレート81を前後方向へ積層し、各エンドプレート82a,82bおよび各伝熱プレート81を接合して一体化したものである。後述するように、これらの伝熱プレート81それぞれには、蒸発器4における低温流体(原燃料ガスGaと改質水Wa)が流れる低温流体流路、および蒸発器4における高温流体(燃焼ガスGg)が流れる高温流体流路の一方が形成される。
図22は、伝熱プレート81の斜視図である。本図に示すように伝熱プレート81は、上下方向を長手方向とする略矩形状の平板部81a(伝熱面部)と、平板部81aの全周の縁から後方へ略均一な高さに張り出した枠部81bを有する。平板部81aの表裏の各平面は、鉛直方向と平行な伝熱面として機能する。
平板部81aの右上寄りの位置には、第1ヘッダ部形成孔83a1と第5ヘッダ部形成孔83e1が設けられている。更に、平板部81aの左下寄りの位置には第2ヘッダ部形成孔83b1が設けられ、平板部81aの右下寄りの位置には第3ヘッダ部形成孔83c1が設けられ、平板部81aの左上寄りの位置には第4ヘッダ部形成孔83d1が設けられている。
各伝熱プレート81には、枠部81bの内側に所定の各部材が配置されて、図23の左側に示す低温流体流路、および、図23の右側に示す高温流体流路の一方が形成される。なお図23の上側の枠内には、水分配プレート86近傍の拡大図が示されている。
低温流体流路を構成する部品としては、蛇行流路プレート85、水分配プレート86(図23に示す破線Q1より外側の部分)、第3補助プレート87c(図23に示す破線Q3より下側の部分)、および第4補助プレート87d(図23に示す破線Q2より上側であって水分配プレート86を除く部分)、が用いられる。
伝熱プレート81の中央領域に広く配置された蛇行流路プレート85には、上側から下側に向けて蛇行して延びるように蛇行流路85aが形成されている。蛇行流路85aは、例えばレーザー加工による抜き打ちにより形成可能であり、このようにして蛇行流路プレート85を製作すれば、少ない工数で量産が可能であり、加工コストも安価に抑えることが可能である。蛇行流路85aは概ね、左端近傍および右端近傍の一方から他方へ流体が流下するように斜め下向きに傾斜する傾斜流路部Ch1、および、傾斜流路部Ch1の端部において流体の流れを反転させる折り返し流路部Ch2からなる単位流路Chの複数段が、上下方向に連続的に形成されてなる。
水分配プレート86は、第1ヘッダ部形成穴83a1に対応する位置に配置されるプレート部材であり、図23の上側の枠内に示すように、第1ヘッダ部形成穴83a1と連通する主孔86aと、主孔86aを囲む周縁部86bとからなる。また、周縁部86bには、主孔86aの内壁から外側に向けて貫通する副孔86cが形成されている。副孔86cは、主孔86aから下方に延びて蛇行流路の上端部85a1に繋がっている。
第3補助プレート87cは、蛇行流路プレート85の下側に配置されており、第3ヘッダ部形成穴83c1に対応する位置に第3流通穴89cを有し、第2ヘッダ部形成穴83b1に対応する位置に第2ヘッダ部対応穴83b2を有する。第2ヘッダ部対応穴83b2は、蛇行流路85aの下端に繋がっている。
第4補助プレート87dは、蛇行流路プレート85の上側に配置されており、第4ヘッダ部形成穴83d1に対応する位置に第4流通穴89dを有し、第5ヘッダ部形成穴83e1に対応する位置に蛇行流路の上端部85a1を有する。蛇行流路の上端部85a1は、蛇行流路プレート85における蛇行流路85aの上端に繋がっている。
高温流体流路を構成する部品としては、伝熱フィン88、第1補助プレート87a、および第2補助プレート87bが用いられる。伝熱フィン88は、本実施形態の例では上下方向に延びる多数の流路が形成されたコルゲートフィンが採用されており、伝熱プレート81の中央領域に広く配置されている。
第1補助プレート87aは、伝熱フィン88の上側に配置されており、第1ヘッダ部形成穴83a1に対応する位置に第1流通穴89aを有し、第5ヘッダ部形成穴83e1に対応する位置に第5流通穴89eを有し、第4ヘッダ部形成穴83d1に対応する位置に第4ヘッダ部対応穴83d2を有する。第4ヘッダ部対応穴83d2は、伝熱フィン88の上端全体に繋がっている。
第2補助プレート87bは、伝熱フィン88の下側に配置されており、第2ヘッダ部形成穴83b1に対応する位置に第2流通穴89bを有し、第3ヘッダ部形成穴83c1に対応する位置に第3ヘッダ部対応穴83c2を有する。第3ヘッダ部対応穴83c2は、伝熱フィン88の下端全体に繋がっている。
プレート組立体80においては、各エンドプレート82a,82bの間に、低温流体流路が形成された伝熱プレート81と高温流体流路が形成された伝熱プレート81とが交互に積層されて一体化されている。このように形成されたプレート組立体80においては、伝熱プレート81(平板部81a)の一方の伝熱面側に低温流体流路が形成され、他方の伝熱面側に高温流体流路が形成されていると見ることもできる。
また図21に示すように、各エンドプレート82a,82bは、前方視で伝熱プレート81と外縁が概ね一致する略板状に形成されており、前側に設けた第1エンドプレート82aには、第1および第5ヘッダ部形成孔83a1,83e1に対応する流体ポートが設けられ、後側に設けた第2エンドプレート82bには、第2、第3および第4の各ヘッダ部形成孔83b1,83c1,83d1に対応する流体ポートが設けられている。
これによりプレート組立体80は、第1ヘッダ部形成穴83a1、第1流通穴89a、および主孔86aが前後方向に繋がって形成された第1ヘッダ部83aを有し、第1ヘッダ部83aは第1エンドプレート82aにおいて前方に開口している。またプレート組立体80は、第2ヘッダ部形成穴83b1、第2ヘッダ部対応穴83b2、および第2流通穴89bが前後方向に繋がって形成された第2ヘッダ部83bを有し、第2ヘッダ部83bは第2エンドプレート82bにおいて後方に開口している。
またプレート組立体80は、第3ヘッダ部形成穴83c1、第3ヘッダ部対応穴83c2、および第3流通穴89cが前後方向に繋がって形成された第3ヘッダ部83cを有し、第3ヘッダ部83cは第2エンドプレート82bにおいて後方に開口している。またプレート組立体80は、第4ヘッダ部形成穴83d1、第4ヘッダ部対応穴83d2、および第4流通穴89dが前後方向に繋がって形成された第4ヘッダ部83dを有し、第4ヘッダ部83dは第2エンドプレート82bにおいて後方に開口している。
またプレート組立体80は、第5ヘッダ部形成穴83e1、第5流通穴89e、および蛇行流路の上端部85a1が前後方向に繋がって形成された第5ヘッダ部83eを有し、第5ヘッダ部83eは第1エンドプレート82aにおいて前方に開口している。以上のようにして、第1ヘッダ部83aと第5ヘッダ部83eはプレート組立体80の上端部右寄りの箇所に形成され、第2ヘッダ部83bはプレート組立体80の下端部左寄りの箇所に形成され、第3ヘッダ部83cはプレート組立体80の下端部右寄りの箇所に形成され、第4ヘッダ部83dはプレート組立体80の上端部左寄りの箇所に形成されている。
なお、各ヘッダ部形成穴83a1~83e1、各流通穴89a~89e、および各ヘッダ部対応穴83b2~83d2は、例えばレーザー加工により形成可能である。また、伝熱プレート81の積層において、流体の分配/収集が不要であるヘッダ部形成穴に対応する位置(つまり、低温流体流路側での第3ヘッダ部形成穴83c1と第4ヘッダ部形成穴83d1に対応する位置、および、高温流体流路側での第1ヘッダ部形成穴83a1と第2ヘッダ部形成穴83b1と第5ヘッダ部形成穴83e1に対応する位置)には、補助プレート87a~87dが挟持されている。
当該補助プレートは、ヘッダ部形成穴と流通穴の縁部をロウ付け等で接合して連結することにより、その流体流路に不要な流体が進入しないようにし、適切なヘッダ部を簡単に形成することができる。このような構成を採用すれば、伝熱プレート81を1種類のプレス金型で製作することができるため、蒸発器4の量産に適する。また本実施形態では、蛇行流路プレート85、水分配プレート86、第3補助プレート87cおよび第4補助プレート87dの各部品は、1枚の板材に対するレーザー加工等による抜き打ちによって一体的に製作される。このように当該各部品を一体的に製作することにより、部品点数を抑制して蒸発器4の組立工数を削減することができる。
第1ヘッダ部83aには改質水Waが供給され、第5ヘッダ部83eには原燃料ガスGaが供給される。第1ヘッダ部83aに供給された改質水Waは、各低温流体流路の水分配プレート86に均等に分配され、主孔86aおよび副孔86cを通じて蛇行流路85aの最上段ステージに流下する。この改質水Waは蛇行流路85aを進みながら加熱され、水蒸気となって第2ヘッダ部83bに到達する。
なお水分配プレート86における副孔86cは、主孔86aから上方に延びた後、折り返し流路を経て蛇行流路の上端部85a1に繋がるように構成してもよい。主孔86aに供給された改質水Waを上向きに吐出させることにより、副孔86cから改質水Waを押し出す際に比較的高い流動抵抗が生じる。そのため、図23のように改質水Waを下向きに吐出させる構成に比べて、より均等な水分配が可能になる。
第5ヘッダ部83eに供給された原燃料ガスGaも、各低温流体流路に均等に分配され、改質水Waと同時に蛇行流路85aを進みながら加熱されて第2ヘッダ部83bに到達する。このようにプレート組立体80は、原燃料ガスGa中で水蒸発を行わせる構成となっており、第2ヘッダ部83bにおいて原燃料ガスGaと水蒸気の混合ガスGbが過熱状態で連続的に得られる。この混合ガスGbは、そのまま改質器2に供給することができる。
一方、第3ヘッダ部83cには、熱源ガスとして燃焼ガスGgが供給される。第3ヘッダ部83cに供給された燃焼ガスGgは、各高温流体流路に均等に分配され、伝熱フィン88における流路のそれぞれを上昇流で流通し、第4ヘッダ部83dで収集されて管路Lg1へ排出される。
このとき各低温流体流路の蛇行経路85aは、隣り合う高温流体流路の伝熱フィン88と伝熱プレート81を介して前後方向に対向しているため、燃焼ガスGgの熱を用いて改質水Waおよび原燃料ガスGaが効率良く加熱される。
また、改質水Waおよび原燃料ガスGaは蛇行経路85aを下方へ流れ、燃焼ガスGgは伝熱フィン88を上方へ流れることから、これらはカウンターフローで熱交換される。これによりプレート組立体80の下部領域では、第3ヘッダ部83cから導入直後の高温熱源ガス(燃焼ガスGg)で水蒸気(改質水Wa)が加熱されるので、第2ヘッダ部83bから過熱蒸気を取り出すことができる。この過熱蒸気は、改質器2での炭化水素燃料の水蒸気改質反応において有用である。
<本願発明の効果およびその他の変形例>
以上に説明したとおり、本実施形態に係るホットモジュールHMは、第1台座X1a上に形成される第1ボックスX1と、第2台座X2a上に形成される第2ボックスX2と、第2ボックスX2の内部に第1ボックスX1を収容した状態で、第2台座X2aから所定高さに第1台座X1aを支持する複数本の第1支柱51と、を備える。またホットモジュールHMは、第1ボックスX1内に配置され、燃料電池システム100の発電動作時に内部で化学反応を伴う第1機器グループGP1と、第1台座X1aよりも下方の第2ボックスX2内に配置され、燃料電池システム100の発電動作時に内部で化学反応を伴わない第2機器グループGP2と、を備える。
更にホットモジュールHMは、第1ボックスX1の側部および頂部に装着される板状断熱材53と、第2機器グループGP2の配置空間に充填される粒状断熱材と、を備え、第1機器グループGP1と第2機器グループGP2との間での流体の受け渡しを、第1台座X1aを上下方向に貫通する管路を通じて行うように構成されている。
このようにホットモジュールHMでは、第1機器グループGP1に含まれる機器は、システムの発電動作時に内部で化学反応による発熱や吸熱を伴う機器であり、第1ボックスX1を高温動作領域に設定している。一方、第2機器グループGP2に含まれる機器は、システムの発電動作時に内部で化学反応による発熱や吸熱を伴わない機器であり、第2ボックスX2を低温動作領域に設定している。そして、各機器グループGP1,GP2間での流体の受け渡しを、第1台座X1aを上下方向に貫通する管路を通じて行うように構成している。そのため、第1ボックスX1に板状断熱材53を装着する際、管路を挿通するための穴加工を必要としないので、より少ない工数でホットモジュールHMを組み立てることができ、組み立てが容易な燃料電池システムのホットモジュールHMが実現される。
また第2ボックスX2では、第2機器グループGP2の配置空間に粒状断熱材が充填される。高温動作領域である第1ボックスX1からは、第1台座X1aを通じて熱伝導が起こるが、粒状断熱材により断熱される。そのため、第2機器グループGP2およびその接続配管は、高価な高温耐性の材料を使用せずに構成することができる。また、各機器グループGP1,GP2間での流体の受け渡し用の配管は、第1台座X1aに穿設した管挿入孔に管路を取り付けるだけの構造なので、特別なシールも必要としない。なおホットモジュールHMを組み立てる工程の具体例は、既に説明したとおりである。
またホットモジュールHMは、バーナ3と、水蒸気を生成する蒸発器4と、バーナ3の燃焼熱を受け、水蒸気を用いて原燃料ガスGaを改質する改質器3と、この改質されたガスを用いて発電するセルスタック1と、ホットモジュールHM内の流体どうしの熱交換を行う熱交換器(空気予熱器5とアノードオフガス冷却器6)とを備える。そして第1機器グループGP1は、セルスタック1、改質器2、およびバーナ3を含み、第2機器グループGP2は、蒸発器4および熱交換器(空気予熱器5、アノードオフガス冷却器6、アノードオフガス凝縮器7)を含む。
セルスタック1(SOFCセルスタック)は、水素および/または一酸化炭素と酸素の電気化学反応(発熱反応)を伴う機器であり、改質器2は、メタンと水の水蒸気改質反応(吸熱反応)を伴う機器であり、バーナ3は、水素および/または一酸化炭素と酸素の酸化反応(発熱反応)を伴う機器である。これらの第1機器グループGP1は、SOFCセルスタックを動作温度(典型的には500~700℃)に維持するように、発熱と吸熱のバランスを取りつつ作動する。第1ボックスX1は、第1機器グループGP1の収容に必要な最小限の容量とされる。
一方で、蒸発器4は、水と熱源流体を間接熱交換させる機器であり、熱交換器は、低温流体と高温流体を間接熱交換させる機器である。これらの第2機器グループは、SOFCセルスタックの動作温度よりも低い温度(典型的には常温~400℃)で作動する。第2ボックスX2は、第2機器グループGP2と第1ボックスX1を収容可能な容量とされる。そしてホットモジュールHMは、小容量で済む高温動作領域の断熱に高価な板状断熱材53を使用する一方で、比較的大容量となる低温動作領域の断熱に安価な粒状断熱材を使用する構成としている。そのため、ホットモジュールHMの材料コストを抑制することができる。
またホットモジュールHMは、第2機器グループGP2を通る流体の管路に、ベローズ形伸縮管継手を設けている。第1台座X1aを貫通する管路と熱交換器を接続するパイプや、熱交換器どうしを接続するパイプは、システムの冷態時と運転時の温度変化により伸縮する。この伸縮により発生する熱応力は、パイプ本体および接合部の割れや破断の原因となるため、場合によっては可燃性ガスのリーク等、深刻な不具合を引き起こすことになる。このような問題を解消するため、パイプの配管にベローズ形伸縮管継手を使用することにより、熱応力の発生が回避される。
またホットモジュールHMは、第2機器グループGP2の配置空間に、燃料電池システム100の発電動作時に所定の条件を満足した場合にのみ内部で化学反応を伴う第3機器グループGP3が配置され、第3機器グループGP3はCO酸化器8を含んでいる。
CO酸化器8は、燃焼ガスGg(燃焼排ガス)に含まれる有害な一酸化炭素を触媒と接触させ、無害な二酸化炭素に変換する機器である。すなわちCO酸化器8は、バーナ3での酸化反応が完全である場合は動作せず、バーナ3での酸化反応が不完全である場合にのみ動作する。つまり、触媒反応に伴う発熱は僅かであるので、CO酸化器8を低温動作領域に配置し、第1ボックスX1の容量を抑制することができる。
なお、本実施形態のシステムは単段式の燃料電池システムであるが、本発明は多段式の燃料電池システムにも適用可能である。一例として2段式の燃料電池システムとする場合は、前段側のセルスタックと後段側のセルスタックが設けられ、前段側のセルスタックから排出されるアノードオフガス(未反応の燃料成分を含む)を用いて、後段側のセルスタックが発電するよう構成される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
本発明は、固体酸化物形の燃料電池システムに利用可能である。
1 セルスタック
2 改質器
2a 反応容器
3 バーナ
4 蒸発器
5 空気予熱器
6 アノードオフガス冷却器
7 アノードオフガス凝縮器
8 CO酸化器
9 凝縮水回収タンク
10 第1原燃料ブロワ
11 第1空気ブロワ
12 水ポンプ
13 第2原燃料ブロワ
14 第2空気ブロワ
15 パワーコンディショナ
16 システムコントローラ
21 外筒
21a 取入口
21b 取出口
21c 伸縮吸収部
22 内筒
23 触媒充填層
24 基端側蓋板
25 末端側蓋板
31 第1ガス筒
32 第2ガス筒
33 保炎器
40 点火/火炎検知回路
40a ガス点火部
40b 電流検知部
40c1 第1スイッチ
40c2 第2スイッチ
40x 電極対
51 第1支柱
52 第2支柱
53 板状断熱材
61 セルスタック集合体
62 オープンラック
62a 単位ラック
63 ステージ盤
63a ステージ盤
64 柱部
64a 柱部
71 支持板
72 フランジ付ガスポート
72a アノード燃料流入ポート
72b カソード空気流入ポート
72c アノードオフガス流出ポート
72d カソードオフガス流出ポート
72x フランジ部
74a 第1電力端子
74a1 第1電力端子の端部
74b 第2電力端子
74b1 第2電力端子の端部
75 積層部
76a 第1端板
76b 第2端板
78a メインバスバー
78a1 伸縮吸収部
78b サブバスバー
78b1 伸縮吸収部
79 電力線
79a 電力線保護管
80 プレート組立体
81 伝熱プレート
81a 平板部
81b 枠部
82a 第1エンドプレート
82b 第2エンドプレート
83a 第1ヘッダ部
83b 第2ヘッダ部
83c 第3ヘッダ部
83d 第4ヘッダ部
83e 第5ヘッダ部
83a1 第1ヘッダ部形成孔
83b1 第2ヘッダ部形成孔
83c1 第3ヘッダ部形成孔
83d1 第4ヘッダ部形成孔
83e1 第5ヘッダ部形成孔
83b2 第2ヘッダ部対応穴
83c2 第3ヘッダ部対応穴
83d2 第4ヘッダ部対応穴
85 蛇行流路プレート
85a 蛇行流路
86 水分配プレート
86a 主孔
86b 周縁部
86c 副孔
87a 第1補助プレート
87b 第2補助プレート
87c 第3補助プレート
87d 第4補助プレート
88 伝熱フィン
89a 第1流通穴
89b 第2流通穴
89c 第3流通穴
89d 第4流通穴
89e 第5流通穴
100 燃料電池システム
Aa~Ac 空気
B1 第1ベローズ形伸縮管継手
B2 第2ベローズ形伸縮管継手
B3 第3ベローズ形伸縮管継手
B4 第4ベローズ形伸縮管継手
BP 枝管
Bp1 ベローズ形伸縮管継手
CV 湾曲部
Ch 単位流路
Ch1 傾斜流路部
Ch2 折り返し流路部
D1 ガス排出口
E1、E2 燃料取入口
E3、E4 空気取入口
Fg フランジ
Ga 原燃料ガス
Gb 混合ガス
Gc 改質ガス
Gd アノードオフガス
Ge カソードオフガス
Gf 原燃料ガス
Gg 燃焼ガス
La 原燃料ライン
Lb 混合ガスライン
Lc アノード燃料ライン
Ld アノードオフガスライン
Ld1 管路
Le カソード空気ライン
Le1 管路
Le2 バイパス経路
Lf カソードオフガスライン
Lf1 管路
Lg 燃焼ガスライン
Lg1 管路
Lh バーナ冷却用空気ライン
Li 改質水ライン
Lj 起動用空気ライン
Lw 凝縮水回収ライン
Ma 第1分配マニホールド
Mb 第2分配マニホールド
Mc 第1収集マニホールド
Md 第2収集マニホールド
RG 改質ガス発生装置
Sa 気水分離部
Sb 水位水検知器
Sc 排水弁
Wa 改質水
Wb 凝縮水
X1 第1ボックス
X1a 第1台座
X2 第2ボックス
X2a 第2台座
Za 熱放射筒
Zb 燃焼ガス管

Claims (5)

  1. 燃料電池システムのホットモジュールであって、
    第1台座上に形成される第1ボックスと、
    第2台座上に形成される第2ボックスと、
    前記第2ボックスの内部に前記第1ボックスを収容した状態で、前記第2台座から所定高さに前記第1台座を支持する複数本の支柱と、
    前記第1ボックス内に配置され、前記燃料電池システムの発電動作時に内部で化学反応を伴う第1機器グループと、
    前記第1台座よりも下方の前記第2ボックス内に配置され、前記燃料電池システムの発電動作時に内部で化学反応を伴わない第2機器グループと、を備え、
    前記第1機器グループと前記第2機器グループとの間での流体の受け渡しを、前記第1台座を上下方向に貫通する管路を通じて行うように構成したことを特徴とするホットモジュール。
  2. 前記第1ボックスの側部および頂部に装着される板状断熱材と、
    前記第2機器グループの配置空間に充填される粒状断熱材と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のホットモジュール。
  3. 請求項1または請求項2に記載のホットモジュールであって、
    バーナと、
    水蒸気を生成する蒸発器と、
    前記バーナの燃焼熱を受け、前記水蒸気を用いて原燃料ガスを改質する改質器と、
    前記改質されたガスを用いて発電する燃料電池セルスタックと、
    前記ホットモジュール内の流体どうしの熱交換を行う熱交換器と、を備え、
    前記第1機器グループは、前記燃料電池セルスタック、前記改質器、および前記バーナを含み、
    前記第2機器グループは、前記蒸発器および前記熱交換器を含むことを特徴とするホットモジュール。
  4. 前記第2機器グループを通る流体の管路に、ベローズ形伸縮管継手を設けたことを特徴とする請求項3に記載のホットモジュール。
  5. 前記第2機器グループの配置空間に、前記燃料電池システムの発電動作時に所定の条件を満足した場合にのみ内部で化学反応を伴う第3機器グループが配置され、
    前記第3機器グループは、一酸化炭素酸化器を含むことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のホットモジュール。
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