JP2023122779A - 電磁波吸収材料、電磁波吸収体、及び電磁波の吸収方法 - Google Patents

電磁波吸収材料、電磁波吸収体、及び電磁波の吸収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実用に供し得る電磁波吸収能をミリ波帯域に有する(Ca、La)(Fe、Co)系マグネトプランバイト型六方晶フェライトを含む電磁波吸収材料、前記電磁波吸収材料を備える電磁波吸収体、並びに前記電磁波吸収体を用いた電磁波吸収方法を提供すること。【解決手段】式:Ca1-xLaxFe12-y-α(1-x)CoyOzで表される組成(但し、0.45≦x≦0.90、0.20≦y≦0.80、1≦α≦2、0.50≦y/x≦1.00、zは電気的中性条件を満足する任意の正の実数)を有するマグネトプランバイト型フェライト粒子を含有する、電磁波吸収材料。【選択図】図7

Description

本発明は、電磁波吸収材料、電磁波吸収体、及び電磁波の吸収方法に関する。
近年の電子情報通信技術の急速な発展に伴い、電磁波(電波)の利用が急速に増えるとともに、使用される電磁波の高周波化が進んでいる。特に、第5世代高速移動通信システム(5G)や車載用レーダーなど、ミリ波帯域(30~300GHz)における電磁波を利用した新しいシステムの導入が進められている。
電磁波の利用拡大及び高周波化が進むにつれて、電磁ノイズによる電子機器の誤作動といった電磁干渉や身体への悪影響といった電磁障害の問題がクローズアップされ、それに伴いEMC対策への要望が高まっている。EMC対策の一手段として、電磁波吸収体(電波吸収体)を用いて不要な電磁波を吸収し、その侵入を防ぐ手法が知られている。
電磁波吸収体の基本的構成の一例を、断面模式図を用いて図1に示す。電磁波吸収体(1)は、吸収体本体(2)と、この吸収体本体(2)を裏打ちする金属膜(3)と、で構成される。吸収体本体(2)は電磁波吸収材料で構成されている。吸収体本体(2)に入射する入射波(4)は、その一部が吸収体表面で反射(5)され、残りが吸収体内部に侵入する。侵入した電磁波は金属膜(3)で反射され、その一部が反射波(6)として吸収体外部へ放射される。
電磁波減衰メカニズムは、吸収体表面からの反射波(5)と吸収体裏面からの反射波(6)の干渉による減衰(干渉減衰)、及び吸収体本体(2)の内部での吸収による減衰(吸収減衰)の2つに分類される。干渉減衰では、吸収体本体(2)の厚さ(d)と電磁波の波長(λ)とが特定の関係にあるときに吸収体表面からの反射波(5)と吸収体裏面からの反射波(6)が打ち消しあう現象を利用する。干渉現象では吸収体本体(2)の厚さを厳密に制御する必要があり、また電磁波の入射角度に応じて吸収特性が低下するという問題がある。さらに吸収帯域が狭いという問題もある。これに対して、吸収減衰では、入射した電磁波のエネルギー(電磁波エネルギー)を吸収体本体(2)が吸収し、これを熱エネルギーに変換して放射する現象を利用する。吸収現象では、吸収体本体(2)の厚さをある程度自由に制御でき、かつ吸収帯域を広くできるメリットがある。
吸収減衰を効果的に利用するためには、優れた吸収特性を示す吸収体(吸収材料)を用いることが重要である。具体的には、吸収帯域における反射減衰量が大きい吸収体が要求される。
ところで、電磁波吸収には、吸収体を構成する材料の磁性損失、誘電損失、または抵抗損失が利用され、これらの損失を利用する吸収体をそれぞれ磁性電磁波吸収体、誘電性電磁波吸収体、及び抵抗性電磁波吸収体とよぶ。このうち磁性電磁波吸収体は、優れた吸収特性を示すことから広く利用されている。
磁性電磁波吸収体は、強磁性体の磁気共鳴に基づき発現する損失を利用している。すなわち強磁性体は、主として磁性元素(Fe、Ni、Co等)の原子に束縛される電子(3d電子)のスピン角運動量に基づく磁気モーメントを有している。そして交換相互作用などの作用を通じて磁気モーメントの向きが揃う結果、自発磁化が生じている。磁性体に電磁波を照射すると、低周波領域では磁壁移動により、高周波領域では磁化回転により、磁化の向きが変動(磁化振動)する。周波数が高くなると、吸収体材料に応じた特定の周波数で磁化変動が電磁波と干渉し合い、その結果、磁化が共鳴する現象、すなわち磁気共鳴が生じる。磁気共鳴が生じる周波数(共鳴周波数)では、複素透磁率の虚部(μ’’)がピークをもち、磁気損失、及び伝送減衰量が最大となる。このようにして、磁気損失に基づく電磁波吸収能が電磁波吸収体に付与される。
磁性電磁波吸収体の材料として、軟磁性金属やフェライト(鉄系酸化物)が従来から知られている。例えば、特許文献1には、扁平軟磁性粉末30~80体積%と結合剤20~70体積%とを含有し、加圧および結合剤の架橋が行われ、且つ実比重/理論比重が0.6以上であることを特徴とする電磁干渉抑制体が開示されている(特許文献1の請求項1)。また特許文献1には、軟磁性粉末としてカルボニル鉄粉が挙げられること、GHz帯の無線通信、無線LAN、ETC用の電波吸収体として使用することが記載されている(特許文献1の[0018]及び[0055])。
特許文献2には、組成式AFe(12-x)Al19(但し、AはSr、Ba、CaおよびPbからなる群から選ばれる1種以上、x=1.0~2.2)で示され、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された体積基準の累積50%粒径(D50)が5μm以下であり且つX線回折測定により求めた結晶子径Dxが90nm以上であることを特徴とする、マグネトプランバイト型六方晶フェライト磁性粉末が開示されている(特許文献2の請求項1)。また特許文献2には、当該磁性粉末に関して76GHz帯域の電波吸収能に優れた電波吸収体の材料として使用することが記載されている(特許文献2の[0007])。
特許文献3には、ε-Feからなる電波吸収材料用の磁性結晶が開示されている(特許文献3の請求項1)。また特許文献3には、当該磁性結晶によれば、種々の用途で利用される25~110GHz帯域において、安定して連続的に電波吸収性能を発揮する電波吸収体が構築できること、この磁性結晶を使用すれば電波吸収体の厚さを増大することにより電波吸収量を向上させることが記載されている(特許文献3の[0014])。さらに特許文献4には、組成式ε-Feないしε-MFe2-x(MはFe以外の元素)で示されるイプシロン型酸化鉄を含み,電波吸収量が60~270GHz帯域でピークを有することを特徴とする電波吸収体が開示されている(特許文献4の請求項1)。
一方で、電磁波吸収体を対象とするものではないが、(Ca、La)(Fe、Co)系マグネトプランバイト型六方晶フェライトを永久磁石に用いることが提案されている。例えば、特許文献5には、Ca、La、Fe及びCoの金属元素の原子比率を示す一般式:Ca1-xLaFe2n-yCoにおいて、x及びy、並びにモル比を表わすnが、0.3≦x≦0.6、0.25≦y≦0.5、及び3≦n≦6を満足するCa、La、Fe及びCoと、0.2質量%以上0.35質量%以下のSiOとを含有することを特徴とするフェライト焼結磁石が開示されている(特許文献3の請求項1)。
特開2006-032929号公報 特開2020-123701号公報 特開2008-060484号公報 特開2016-111341号公報 国際公開第2014/050433号
このように、軟磁性金属やフェライトを電磁波吸収体に利用することが従来から提案されるものの、このような電磁波吸収体は、高周波、特にミリ波帯域(30~300GHz)での電磁波吸収能に改良の余地があった。例えば、特許文献1で提案されるカルボニル鉄等の軟磁性材料を含む電磁波吸収材料は10GHz超の周波数域で磁気応答が低下するため、ミリ波帯域の高周波に対応させることが困難という問題がある。特許文献2で提案されるAl置換六方晶フェライトは、飽和磁化が低いため磁気応答に劣り、ミリ波帯域で十分な電磁波吸収能を発揮させることがやはり困難である。特許文献3又は4で提案されるイプシロン構造ε-Feを主体とする電波吸収体には、吸収周波数を広域で変化させられる利点があるものの、Al置換六方晶フェライトと同様に飽和磁化が低いため、比透磁率が低く、磁気応答に劣る。またε-Feは準安定相であることから安定性に欠け、特性が経時変化する恐れがある。さらにε-Feは特殊な液相法による合成が必要であり、生産面での課題があるとともに、粒径の小さなものしか得られず、ハンドリングの面でも問題がある。一方で特許文献5は磁石材料を対象としており、電磁波吸収を目的としていない。
本発明者らは、このような問題点に鑑みて鋭意検討を行った。その結果、所定の組成を有する(Ca、La)(Fe、Co)系マグネトプランバイト型六方晶フェライトは、ミリ波帯域で磁気共鳴を起すとともに磁気応答が良好であり、この周波数域における電磁波吸収材料として実用に供し得るとの知見を得た。
本発明はこのような知見に基づき完成されたものであり、実用に供し得る電磁波吸収能をミリ波帯域に有する(Ca、La)(Fe、Co)系マグネトプランバイト型六方晶フェライトを含む電磁波吸収材料、前記電磁波吸収材料を備える電磁波吸収体、並びに前記電磁波吸収体を用いた電磁波吸収方法の提供を課題とする。
本発明は、下記(1)~(12)の態様を包含する。なお本明細書において「~」なる表現は、その両端の数値を含む。すなわち「X~Y」は「X以上Y以下」と同義である。
(1)式:Ca1-xLaFe12-y-α(1-x)Coで表される組成(但し、0.45≦x≦0.90、0.20≦y≦0.80、1≦α≦2、0.50≦y/x≦1.00、zは電気的中性条件を満足する任意の正の実数)を有するマグネトプランバイト型フェライト粒子を含有する、電磁波吸収材料。
(2)前記x及びyが、0.60≦x≦0.90、0.50≦y≦0.80、及び0.75≦y/x≦1.00の関係を満足する、上記(1)の電磁波吸収材料。
(3)前記フェライト粒子の体積平均粒径(D50)が10μm以上である、上記(1)又は(2)の電磁波吸収材料。
(4)前記フェライト粒子の飽和磁化が60emu/g以上である、上記(1)~(3)のいずれかの電磁波吸収材料。
(5)前記フェライト粒子の異方性磁場が2.75T以上である、上記(1)~(4)のいずれかの電磁波吸収材料。
(6)前記フェライト粒子の共鳴周波数が70GHz以上110GHz以下の周波数域内に存在する、上記(1)~(5)のいずれかの電磁波吸収材料。
(7)上記(1)~(6)のいずれかの電磁波吸収材料で構成される素体部を備える、電磁波吸収体。
(8)前記素体部が、前記フェライト粒子を含む圧粉体、複合体、塗膜、及び焼結体の少なくとも一つである、上記(7)の電磁波吸収体。
(9)前記素体部の厚さが0.5mm以下である、上記(7)又は(8)の電磁波吸収体。
(10)前記電磁波吸収体の反射減衰量が70GHz以上110GHz以下の周波数域内に極値をもち、前記極値における反射減衰量の絶対値が20dB以上である、上記(7)~(9)のいずれかの電磁波吸収体。
(11)上記(7)~(10)のいずれかの電磁波吸収体を用いて電磁波を吸収する方法。
(12)吸収される前記電磁波が70GHz以上110GHz以下の周波数域内にある、上記(11)の方法。
本発明によれば、実用に供し得る電磁波吸収能をミリ波帯域に有する(Ca、La)(Fe、Co)系マグネトプランバイト型六方晶フェライトを含む電磁波吸収材料、前記電磁波吸収材料を備える電磁波吸収体、並びに前記電磁波吸収体を用いた電磁波吸収方法が提供される。
電磁波吸収体の概念図である。 電磁波吸収体の複素比誘電率(ε)を示す。 電磁波吸収体の複素比透磁率(μ)を示す。 電磁波吸収体の反射減衰量(RL)を示す。 電磁波吸収体の複素比誘電率(ε)を示す。 電磁波吸収体の複素比透磁率(μ)を示す。 電磁波吸収体の反射減衰量(RL)を示す。
本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
<<1.電磁波吸収材料>>
本実施形態の電磁波吸収材料は、式:Ca1-xLaFe12-y-α(1-x)Coで表される組成を有するマグネトプランバイト型フェライト粒子を含有する。但し、0.45≦x≦0.90、0.20≦y≦0.80、1≦α≦2、0.50≦y/x≦1.00、zは電気的中性条件を満足する任意の正の実数である。
電磁波吸収材料は、式:Ca1-xLaFe12-y-α(1-x)Coで表される組成を有するマグネトプランバイト型フェライト粒子(以下、単に「フェライト粒子」と呼ぶ場合がある)を含有する。ここで、電磁波吸収材料は、電磁波吸収体の前駆体となる材料である。具体的には、電磁波吸収材料を成形して得られた素体部を電磁波吸収体の構成部材として用いる。また電磁波吸収材料は複数のフェライト粒子、すなわちフェライト粉末を含む。さらに上述した組成を有するマグネトプランバイト型フェライト粒子は、マグネトプランバイト(MP)相を主相とする(Ca、La)(Fe、Co)系フェライト粒子である。
マグネトプランバイト型フェライトは、基本組成:AFe1219(AはBa、Sr、Ca、Pb等の2価金属イオン)を有し、六方晶系の結晶構造を有している。マグネトプランバイト構造における単位胞(ユニットセル)は、Aイオンを含む原子層(AFe11;Rブロック)及びスピネル原子層(Fe;Sブロック)、並びにRブロック及びSブロックがc軸方向に積層した構造を有している。ここで、Rブロック及びSブロックのそれぞれは、Rブロック及びSブロックがc軸回りに180°反転した構造を有している。
マグネトプランバイト型フェライトは一軸磁気異方性が大きく、c軸方向に磁化容易軸をもつ。またこのフェライトは磁化ベクトルの回転によって磁化反転が生じるため、回転磁化型の保磁力発生機構を有する。フェライトの粒子径が単磁区臨界径以下に小さくなると磁化反転が起こり難くなるため、保磁力が高くなる。このような理由で微細なマグネトプランバイト型フェライト粒子は永久磁石材料として広く用いられている。
本実施形態の電磁波吸収材料は、所定組成のマグネトプランバイト型(Ca、La)(Fe、Co)系フェライトを含有し、それによりミリ波帯域、特に70GHz以上110GHz以下の高周波数域で優れた電磁波吸収能を示す。その詳細な理由は不明であるが、このフェライトの飽和磁化及び異方性磁場(磁界)が高いためではないかと考えている。
この点について説明するに、磁気共鳴を起す共鳴周波数(f)と異方性磁場(Ha)との間には下記(1)式に示す関係のあることが知られている。そのため、本実施形態の電磁波吸収材料は、異方性磁場が大きいことに起因して共鳴周波数が高いと考えている。なお下記(1)式において、γは電子の磁気回転比(1.67×1011rad/(s・T))である。
Figure 2023122779000002
また飽和磁化が大きくなることで、フェライト粒子の磁気応答が良好になるとも考えている。これらが複合的に作用する結果、本実施形態の電磁波吸収材料は、飽和磁化及び異方性磁場が大きいことに起因してミリ波帯域での電磁波吸収能が優れると推察している。
本実施形態の電磁波吸収材料において、ランタン(La)量xは、0.45以上0.90以下(0.45≦x≦0.90)の範囲内に限定される。ランタン(La)は、フェライトの電荷中性条件を満足させる働きがある。すなわち、フェライト中で3価の鉄イオン(Fe3+)の一部が2価のコバルトイオン(Co2+)で置換される。そのため、2価のカルシウムイオン(Ca2+)の一部を3価のランタンイオン(La3+)で置換することで電荷の不均衡が補償されて結晶構造が安定化される。
xが0.45未満であると、ランタン量が少なすぎるため、マグネトプランバイト構造を安定に維持することが困難になる。フェライトが、反強磁性を示すカルシウムフェライト(CaFe)及びヘマタイト(α-Fe)といった異相に分解する恐れがある。また、たとえマグネトプランバイト構造が安定であったとしても、電荷補償の働きのあるランタン量が少なすぎるため、飽和磁化及び異方性磁場向上の働きのあるコバルトの置換量を大きくすることができない。一方で、xが0.90超であると、ランタン量が多すぎるため、マグネトプランバイト構造を安定に維持できない。フェライトが、コバルトフェライト(CoFe)、ヘマタイト(α-Fe)及びオルソフェライト(LaFeO)といった異相に分解する恐れがある。ヘマタイト及びオルソフェライトは、いずれも反強磁性体であり、これらが多量に含まれると高い電磁波吸収能を得ることができない。
本実施形態の電磁波吸収材料において、コバルト(Co)量yは、0.20以上0.80以下(0.20≦y≦0.80)の範囲内に限定される。コバルトは、フェライトの飽和磁化及び異方性磁場を高める働きがある。すなわち、3d遷移金属元素であるコバルトは結晶中で2価イオン(Co2+)となり、3価の鉄イオン(Fe3+)を置換する。ここで、鉄イオン(Fe3+)は、3d電子に基づくスピン角運動量をもつものの、軌道角運動量が殆ど消失している。一方で、高スピン状態にあるコバルトイオン(Co2+)はスピン角運動量を有し、さらに軌道角運動量を残存して有している。そのためコバルトイオンを加えると、コバルトイオンの軌道角運動量に基づく磁気モーメントが結晶場と作用し、それにより磁気モーメントの向きがc軸方向に強固に固定される。磁気モーメントの向きが固定されることで磁気異方性が大きくなり、その結果、共鳴周波数が高くなると考えられる。またコバルトイオン(Co2+)は鉄イオン(Fe3+)に比べて磁気モーメントの大きさが小さい。磁気モーメントの小さいコバルトイオン(Co2+)が、下向きの磁気モーメントを有する鉄イオン(Fe3+)と置換することで、磁気モーメントの総和、すなわち飽和磁化が高くなると考えられる。
yが0.20未満であると、飽和磁化及び異方性磁場向上の働きがあるコバルト量が少なすぎるため、ミリ波帯域で十分に大きな電磁波吸収能を得ることができない。一方で、yが0.80超であると、コバルト量が多すぎるため、マグネトプランバイト構造を安定に維持することができない。フェライトが、コバルトフェライト(CoFe)、ヘマタイト(α-Fe)及びオルソフェライト(LaFeO)といった異相に分解する恐れがある。
本実施形態の電磁波吸収材料において、αは1以上2以下(1≦α≦2)の範囲内に限定される。αは、フェライト中のFe及びCo合計量の不足分を表す。先述したように、マグネトプランバイト型フェライトは、理想的にはAFe1219(AはCa等)の組成を有する。そのため、化学量論組成ではAサイト元素(La、Ca)の合計量に対するFeサイト元素(Fe、Co)の合計量のモル比((Fe+Co)/(La+Ca))は12、すなわちα=0である。しかしながら、実際の(Ca、La)(Fe、Co)系フェライトでは、この比が12より小さい領域で結晶構造が安定化されて磁気特性が向上することが知られている。その理由は必ずしも明らかではないが、FeサイトにCaが置換するため、あるいはFe欠損が生じるため、と推測されている。αを所定範囲内に限定することで、マグネトプランバイト構造を安定化し、飽和磁化及び異方性磁場の向上を図ることが可能になる。
αが1未満であると、Fe過剰な組成となり、ヘマタイト(α-Fe)が生成する恐れがある。またαが2超であると、Fe不足の組成となりオルソフェライト(LaFeO)が生じる恐れがある。ヘマタイト及びオルソフェライトはいずれも反強磁性体であり、これらが多量に含まれるとフェライトの電磁波吸収能が劣化する。
本実施形態の電磁波吸収材料において、ランタン(La)量xに対するコバルト(Co)量yのモル比(y/x)は、0.50以上1.00以下(0.50≦y/x≦1.00)の範囲内に限定される。フェライト中の全ての鉄が3価イオン(Fe3+)として存在し、かつコバルトが2価イオン(Co2+)として存在するとすれば、3価ランタンイオン(La3+)と2価コバルトイオン(Co2+)が等量のとき、すなわちy/x=1のときに電荷の中性条件が満足され、その結果、結晶構造が最も安定化されるはずである。しかしながら、実際には、鉄の一部が2価イオン(Fe2+)としてフェライト中に存在することがある。2価鉄イオン(Fe2+)が含まれていると、y/x<1の領域でも電荷の中性条件が満足される。また2価鉄イオン(Fe2+)は磁気モーメントが比較的大きく、少量であれば電磁波吸収能に大きな影響を及ぼさない。したがって、y/xを0.50以上1.00以下の範囲内に限定する。
y/xが0.50未満であると、飽和磁化及び異方性磁場向上の働きがあるコバルト量が少なすぎるため、ミリ波帯域で十分に大きな電磁波吸収能を得ることができない。またランタン量が過剰となり、オルソフェライト(LaFeO)が生じる恐れがある。一方で、y/xが1.00超であると、コバルト過剰組成となり、マグネトプランバイト構造が安定化されなくなる恐れがある。
好適には、x及びyが、0.60≦x≦0.90、0.50≦y≦0.80、及び0.75≦y/x≦1.00の関係を満足する。x及びyがこの関係を満足する場合には、ランタン(La)量及びコバルト(Co)量がより最適化される。そのため、マグネトプランバイト構造がより安定されるとともに、飽和磁化及び異方性磁場が向上し、その結果、ミリ波帯域、特に70GHz以上110GHz以下の周波数域での電磁波吸収能がより優れたものになる。
フェライト粒子は、カルシウム(Ca)、ランタン(La)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及び酸素(O)を含み、残部が不可避不純物の組成を有してもよい。あるいはカルシウム、ランタン、鉄、コバルト、及び酸素以外の添加元素を含んでもよい。このような添加元素としてアルミニウム(Al)及び/又はクロム(Cr)が挙げられる。アルミニウム及びクロムは、3価イオン(Al3+、Cr3+)となり鉄イオン(Fe3+)を置換する。置換したアルミニウム及びクロムは異方性磁場及び共鳴周波数を高める働きがある。しかしながら、アルミニウム及びクロムには飽和磁化を大幅に低下させるという欠点がある。したがって、フェライト粒子に含まれるアルミニウム及びクロムの含有量は、鉄量に対して30mol%以下が好ましく、20mol%以下がより好ましく、10mol%以下がさらに好ましい。
好適には、フェライト粒子の体積平均粒径(D50)は10μm以上である。D50を適度に大きくすることで、フェライト粒子の結晶性を良好にするとともに、電磁波吸収材料中のフェライト粒子の充填率を高めることができる。そのため電磁波吸収能をより一層高めることが可能になる。D50は、15μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましい。一方で、D50が過度に大きいと、フェライト粒子を電磁波吸収体に適用したときに、電磁波吸収体の表面性が悪化する恐れがある。D50は、100μm以下が好ましく、75μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。
なおD50は、電磁波吸収材料(電磁波吸収体)に含まれるフェライト粒子の体積基準での平均粒径である。電磁波吸収材料が、フェライト粒子の粉末や圧粉体、あるいはフェライト粒子と樹脂との複合体を構成する場合には、これらに含まれる粒子(粉末)の粒度分布を調べることでD50を求めることができる。またフェライト粒子が焼結体を構成する場合には、焼結体に含まれる結晶粒の粒度分布に基づきD50を求めることが可能である。
ところで、先述したように(Ca、La)(Fe、Co)系マグネトプランバイト型六方晶フェライトを永久磁石に用いる技術が従来から提案されるものの、この技術では微細化したフェライト粒子を用いている。すなわち、永久磁石においては保磁力を高める必要があり、そのため粒子径を単磁区臨界径(数μm)以下に収めている。実際、特許文献5には、(Ca、La)(Fe、Co)系フェライト焼結磁石の製造に関して、仮焼体粉末の平均粒径は0.4~1.0μm程度にするのが好ましいこと、焼結工程によって得られる焼結磁石の平均結晶粒径は約0.5~2μmであることが記載されている(特許文献5の[0061]及び[0065])。
これに対して、本実施形態の電磁波吸収材料(電磁波吸収体)では、高い異方性磁場が望まれるものの、保磁力を大きくする必要がない。したがって、フェライト粒子のD50をある程度に大きくしても問題は生じない。
好適には、フェライト粒子の飽和磁化は60emu/g(60A・m/kg)以上である。飽和磁化を高めることで、電磁波吸収体の磁気応答が向上し、その結果、電磁波吸収能(伝送減衰率)が高くなる。飽和磁化は、より好ましくは65emu/g以上(65A・m/kg)、さらに好ましくは70emu/g(70A・m/kg)以上である。なお飽和磁化は、振動試料型磁力計(VSM)を用いて、電磁波吸収材料のヒステリシス曲線(I-H曲線)を描き、60kOe印加時の磁化の値を読み取ることで求めることができる。
好適には、フェライト粒子の異方性磁場は2.3T(テスラ)以上である。異方性磁場を高めることで、共鳴周波数が高くなるため、より高周波、例えば70GHz以上の周波数域での電磁波吸収能を確実に確保することが可能となる。異方性磁場は、2.5T以上がより好ましく、2.6T以上がさらに好ましく、2.7T以上が特に好ましい。異方性磁場の上限は特に限定されない。しかしながら、異方性磁場が4.00T以下の領域で、110GHz以下の周波数域での電磁波吸収能を得ることができる。
好適には、フェライト粒子の共鳴周波数は70GHz以上110GHz以下の周波数域内に存在する。すなわち、フェライト粒子の電磁波吸収域が70GHz以上110GHz以下の周波数域に存在する。共鳴周波数は、フェライト粒子の複素透磁率の虚部(μ’’)が極値(ピーク)となる周波数であり、この周波数で、磁気共鳴に基づく磁気損失が最大となる。したがって、電磁波エネルギーの熱エネルギーへの変換効率、及び電磁波吸収能が最大になる。
なお、電磁波吸収材料に含まれるフェライト粒子は、マグネトプランバイト相を主相とする限り、他の相を含んでもよい。しかしながら、マグネトプランバイト相に基づく優れた電磁波吸収能を活かすため、他の相の含有割合は少ないほど好ましい。フェライト粒子中のマグネトプランバイト相の割合は、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、または90質量%以上であってもよい。マグネトプランバイト相の割合は、X線回折分析により調べることができる。
また、電磁波吸収材料は、上述した組成を有するフェライト粒子のみから構成されてもよく、あるいは他の成分を含んでもよい。他の成分の種類は限定されず、磁性粒子、誘電体粒子、及び/又は導電体粒子などが挙げられる。例えば、他のフェライト粒子や金属粒子などの磁性粒子を加えることで、電磁波吸収域の広帯域化が可能である。また誘電体粒子を加えることで、電磁波吸収体の特性インピーダンスの制御、及びそれによる吸収体表面での反射波の抑制が可能となる。また電磁波吸収体をフェライト粒子の圧粉体や焼結体で構成する場合には、成形助剤や焼結助剤などの添加剤を電磁波吸収材料が含んでもよい。
電磁波吸収体を、フェライト粒子と樹脂の複合体で構成する場合には、電磁波吸収材料が、樹脂、エラストマー、及びゴムなどの有機バインダーを含んでもよい。樹脂として、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチルテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、及びAS樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和エステル、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコン樹脂などが挙げられる。ゴムとして、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エチレン-プロピレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、及びシリコーンゴムなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーとして、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、及びポリエステル系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。1種類のみの有機バインダーを用いてもよく、あるいは複数種の有機バインダーを組み合わせて用いてもよい。
複合体中のフェライト粒子の割合は30体積%以上が好ましく、40体積%以上がより好ましい。また有機バインダーの割合は70体積%以下が好ましく、60体積%以下がより好ましい。フェライト粒子割合を適度に高めることで、電磁波吸収能をより高めることが可能になる。また有機バインダー割合を適度に高めることで、電磁波吸収材料の成形性及び保形性が良好になる。
必要に応じて、電磁波吸収材料は、添加剤を含んでもよい。添加剤として、分散剤、分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、充填剤、及び着色剤などが挙げられる。さらに必要に応じて、電磁波吸収剤は溶媒を含んでもよい。溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、アルコール化合物、アセトン、ケトン化合物、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエンなどの有機溶媒や、水を用いることができる。1種類のみの溶媒を用いてもよく、あるいは複数種の溶媒を組み合わせて用いてもよい。
<<2.電磁波吸収材料の製造方法>>
本実施形態の電磁波吸収材料は、上述した要件を満足する限り、その製造方法は限定されない。電磁波吸収材料に含まれるフェライト粒子は、固相反応法や液相合成法をはじめとする公知のセラミック合成法で合成すればよい。固相反応法で合成する場合には、フェライト粒子を構成する金属(Ca、La、Fe、Co)の酸化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、及び/又は塩化物などの原料を混合した後に焼成処理を施せばよい。焼成処理は1100~1450℃程度の温度で行えばよい。また必要に応じて焼成後のフェライト粒子に粉砕、成形及び/又は分級処理を施してもよい。さらに焼成処理と、粉砕、成形、及び/又は分級処理と、を繰り返してもよい。
液相合成法として、共沈法、加水分解法、水熱合成法、クエン酸法、及びゾルゲル法が挙げられる。またゾルゲル法としてアルコキシド法及び錯体重合法が挙げられる。このうち原料を原子レベルで均一に混合できる錯体重合法が好ましい。錯体重合法では、フェライト粒子を構成する金属(Ca、La、Fe、Co)の硝酸塩を、クエン酸などのカルボン酸とグリコールとを含む水溶液中に溶解させて、金属オキシカルボン酸錯体を形成する。金属オキシカルボン酸錯体を含む水溶液を加熱すると、オキシカルボン酸のカルボキシル基とグリコールのヒドロキシル基との間で脱水エステル反応が連鎖的に起こる。この脱水エステル反応によりポリエステル高分子ゲルが得られる。得られた高分子ゲルに熱処理を施せば熱分解生成物が得られる。熱分解温度は150~500℃程度とすればよい。得られた生成物に焼成処理を施せばフェライト粒子が得られる。焼成処理は1100~1450℃程度の温度で行えばよい。また必要に応じて、熱分解後の生成物、及び/又は焼成処理後のフェライト粒子に、粉砕、成形、及び/又は分級処理を施してもよい。さらに焼成処理と、粉砕、成形、及び/又は分級処理と、を繰り返してもよい。
いずれの手法でフェライト粒子を合成する場合であっても、焼成処理を高酸素濃度雰囲気下で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気下で焼成処理を行うとフェライトが還元されて所望の特性を得るのが困難になる恐れがある。特に低酸素濃度下ではフェライト中に2価鉄イオン(Fe2+)が生成し易くなり、これが特性劣化をもたらす恐れがある。先述したように、2価鉄イオン(Fe2+)は、少量であれば特性に大きな影響を及ぼさない。しかしながらこれが多量に含まれると、飽和磁化及び異方性磁場向上の働きのあるコバルトの置換が阻害され、その結果、ミリ波帯域での電磁波吸収能が悪化することがある。したがって、2価鉄イオンの必要以上の生成を抑えるために、高酸素濃度雰囲気下で焼成を行うことが好ましい。焼成は、大気、また大気以上の高酸素濃度雰囲気下で行うことが好ましく、酸素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
得られたフェライト粒子をそのまま電磁波吸収材料として用いてもよい。あるいは必要に応じて、フェライト粒子に有機バインダー、添加剤、及び/又は溶媒を加えてもよい。このようにして、電磁波吸収材料を製造することができる。
<<3.電磁波吸収体>>
本実施形態の電磁波吸収体は、上述した電磁波吸収材料で構成される素体部を備える。すなわち、電磁波吸収材料から素体部を作製し、この素体部を電磁波吸収体の構成部材として用いることができる。素体部は、電磁波吸収材料を含む限り、その種類は限定されない。例えば、素体部は、圧粉体、複合体、乾燥体、塗膜、及び焼結体の少なくとも一つである。また素体部の形状も特に限定されない。ブロック状、シート状、及び/又は膜状などが挙げられる。
素体部は、公知の手法で製造すればよい。例えば、フェライト粒子を含む電磁波吸収材料をプレス成形することでブロック状の圧粉体を得ることができる。またこの圧粉体を焼成することで焼結体を得ることができる。フェライト粒子と有機バインダーとを含む電磁波吸収材料を射出成形又は押出成形することで、ブロック状複合体を作製することができる。フェライト粒子と有機バインダーとを含む電磁波吸収材料を混錬及びロール圧延することで、シート状の複合体を得ることができる。フェライト粒子と有機バインダーと溶媒とを含む電磁波吸収材料を基体上に塗布及び乾燥させれば膜状複合体を得ることができる。
素体部の最適密度は、素体部の態様に応じて決まるため、これを一義的に定めることは困難である。素体部が圧粉体である場合には、密度は3.3g/cm以上が好ましく、3.5g/cm以上がより好ましい。素体部が焼結体である場合には、密度は5.0g/cm以上5.4g/cm以下が好ましく、5.1g/cm以上5.3g/cm以下がより好ましい。素体部が複合体である場合には、密度は2.8g/cm以上以下が好ましく、3.0g/cm以上がより好ましい。
電磁波吸収体は、素体部以外の部材を備えてもよい。例えば、表面にインピーダンス整合層や表面保護層を備えてもよい。また裏面に反射部材を備えてもよい。インピーダンス整合層として、磁性粉や誘電体粉末を樹脂中に分散させた層が例示される。表面保護層として、樹脂やガラスからなる層が例示される。反射部材として、膜状、箔状、または網状の金属部材が挙げられる。
電磁波吸収体の用途は、電磁波吸収を目的とする限り、限定されない。例えば、伝送線路、高周波回路、電子素子、電子部品、電子機器、レーダー、及びケーブルなどの漏洩(不要)電磁波放射源に適用できる。高周波回路や、これを含む電子素子、電子部品、または電子機器は、動作中の回路からたえず漏洩電磁波が周囲に放射される。また高周波信号を伝送する伝送線やケーブルは、信号の伝送に伴い漏洩電磁波が周囲に放射される。車載用レーダーなどのレーダーの送信機、アンテナ及び受信機は、動作に伴い多量の電磁波を放射する。電磁波吸収体を設けることで、このような漏洩電磁波が吸収され、その結果、他の伝送線路、高周波回路、電子素子、電子部品、電子機器、ケーブル、レーダー、あるいは人体などの周囲環境への電磁波障害を防ぐことができる。特に本実施形態の電磁波吸収体は、76GHz近傍の電磁波を利用する車載用レーダーの分野で有用である。
電磁波吸収体は、漏洩電磁波を吸収して電磁波障害を防ぐことができる限り、その設置態様は限定されない。例えば、漏洩電磁波放射源の内部あるいは外部に電磁波吸収体を設けてもよい。電磁波吸収体を内部に設ける場合には、電子回路の一区画に電磁波吸収体を設けて、他の回路への漏洩を防ぐ態様が考えられる。また電子部品の内部に電磁波吸収体を組み込み、この電子部品内に含まれる素子間の電磁干渉を防ぐ態様としてもよい。電子機器の筐体に電磁波吸収体を設けて、他の機器または人体への電磁波障害を防ぐ態様としてもよい。具体的には、シート状又は膜状の電磁波吸収体を、電子機器筐体の外面又は内面に貼り付ける態様が挙げられる。あるいは電子部品パッケージ外面に設ける態様としてもよい。
好適には、電磁波吸収体が備える素体部の厚さが0.5mm以下である。ここで、厚さとは、電磁波入射面に垂直な素体部寸法である。一般的に、電磁波吸収体の厚さが大きくなるほど、電磁波吸収効率は高くなる。一方で、厚さが大きいほど、電磁波吸収体を設けた素子、部品及び機器の小型化・軽量化が困難になる。本実施形態の電磁波吸収体は、ミリ波帯域での電磁波吸収能に優れている。そのため、素体部の厚さを小さくしても、優れた電磁波吸収能が維持される。素体部の厚さは0.4mm以下であってよく、0.3mm以下であってもよい。
好適には、電磁波吸収体の反射減衰量が70GHz以上110GHz以下の周波数域で極値をもち、この極値における反射減衰量の絶対値が20dB以上である。このように特定の周波数域での反射減衰量が大きい電磁波吸収体は、特に車載用レーダーなどの分野で有用である。反射減衰量の絶対値は25dB以上がより好ましい。
<<4.電磁波の吸収方法>>
本実施形態の電磁波の吸収方法では、上述した電磁波吸収体を用いて電磁波を吸収する。この方法によれば、ミリ波帯域(30~300GHz)での電磁波を効率的に吸収することができる。また好適には、吸収される電磁波が70GHz以上110GHz以下である。このような方法は、特に車載用レーダーなどの分野で有用である。
本発明を、以下の実施例を用いて更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)電磁波吸収材料及び電磁波吸収体の作製
[例1~例7]
例1~例5では、組成式:Ca1-xLaFe12-y-α(1-x)Coにおいて、α=1.0及びy/x=1.0に固定して、0.38≦x≦0.78の範囲内でx及びyを変化させてフェライトを合成した。また例6及び例7では、x=y=0又はx=y=1の条件でフェライトを合成した。フェライトの合成は錯体重合法で行い、表1に示す組成のフェライトが得られるように行った。
原料として、硝酸鉄(III)9水和物、硝酸コバルト(II)6水和物、硝酸カルシウム(II)4水和物、及び硝酸ランタン(III)6水和物を用い、表1に示す組成を有する最終生成物が得られるように原料を秤量した。その後、原料たる金属塩をクエン酸水溶液に投入して十分に混合して溶解させた。次いで、NHOHを加えて水溶液のpHを6程度にまで高め、それにより透明な水溶液を得た。得られた水溶液にエチレングリコールを加えた後に加熱撹拌して140℃で重合反応を進めた。重合反応の結果、ゲル状の物質が生成した。得られたゲル状物質を400℃で熱分解させて残留物を得、得られた残留物を150MPaの圧力でプレス成型した。得られた成型体を、表1に示す温度及び雰囲気下で焼成して焼成物を得た。得られた焼結体の一部を粉砕し、粉砕物をXRD分析用サンプル及び磁気特性測定用サンプルとして用いた。
Figure 2023122779000003
[例8~例14]
例8~例14では、組成式:Ca1-xLaFe12-y-α(1-x)Coにおいて、y=1.57x―0.57かつαを1.57程度に設定して、0.42≦x≦0.80の範囲内でx及びyを変化させた。その際、原料の秤量は、表2に示す組成のフェライトが得られるように行い、また成型体の焼成は表2に示す温度及び雰囲気下で行った。それ以外は例1~例7と同様にしてフェライトを合成した。
Figure 2023122779000004
(2)評価
例1~例14で得られたフェライトについて、各種特性の評価を以下に示すとおりに行った。
<XRD(結晶相)>
合成したフェライトの結晶相を、X線回折法(XRD)により調べた。X線源としてSpring-8の放射光を用いた。
<粒度分布>
合成したフェライトのうち、マグネトプランバイト(MP)相を主相として含むサンプルについて粒度分布を測定した。具体的には、サンプルを水中に分散し、得られた分散液をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所、LA-950)に導入して測定を行った。そして、得られた粒度分布に基づき、体積平均粒径(D50)を求めた。
<飽和磁化>
合成したフェライトの飽和磁化を測定した。測定では、振動試料型磁力計(VSM;日本カンタム・デザイン株式会社、MPMS3)を用い、60kOe印加時の磁化を飽和磁化として読み取った。
<異方性磁場・共鳴周波数>
異方性磁場を特異点探索法(Singular-Point-Detection法)で測定した。まず合成したフェライトをパラフィン中に混練した後に、パラフィンの融点以上の温度で16KOeの磁場を加えて粒子を磁場配向させた。その後、配向方向と垂直に磁場を印加して異方性磁場(Ha)を求めた。この際、dM/dH(M:磁化、H:磁場強度)の極大値が生じるHの値と異方性磁場が一致することを利用した。
得られた異方性磁場(Ha)を用いて、下記(1)式にしたがって磁気共鳴周波数(f)を算出した。なお下記(1)式において、γは電子の磁気回転比(1.67×1011rad/(s・T))である。
Figure 2023122779000005
<比誘電率・比透磁率>
60~90GHzの周波数域における複素比誘電率及び複素比透磁率の測定を、以下の手順で行った。まずフェライト70vol%と熱可塑性樹脂30vol%とを混練し、得られた混錬物を加熱しながら圧延して、厚み0.2mmのシート状成型体を得た。得られたシート状成型体の密度は3.1g/cmであった。次いで、ベクトルネットワークアナライザ(アンリツ株式会社、ME7838A)を用いて自由空間法で、得られた成型体の反射特性及び透過特性を測定した。そして得られた反射特性と透過特性から複素比誘電率(ε=ε’-jε’’)と複素比透磁率(μ=μ’-jμ’’)を算出した。
<反射減衰量>
得られた複素比誘電率及び複素比透磁率を用いて反射減衰量(RL)を計算により求めた。具体的には複素比誘電率(ε=ε’-jε’’)と複素比透磁率(μ=μ’-jμ’’)を用いて、下記(2)式にしたがってインピーダンス(Zin)を求めた。そしてこのインピーダンス(Zin)を用いて、下記(3)式にしたがって反射減衰量(RL)を算出した。なお下記(2)式で、fは周波数、dはサンプル厚さ、cは光速を表す。
Figure 2023122779000006
Figure 2023122779000007
(3)評価結果
[例1~例7]
例1~例7のサンプルについて得られた結果を表3にまとめて示す。XRDの結果から、例1~例5のサンプルではマグネトプランバイト(MP)相が主相であった。しかしながらx=y=0とした例6のサンプル(Ca1.10Fe10.82)、及びx=y=1とした例7のサンプル(LaFe11CoO)ではマグネトプランバイト相とは異なる相が主相であった。これらの結果から、x及びyの値がある範囲内でのみ、マグネトプランバイト相が主相となることが分かった。
表3に示すように、飽和磁化はx=y=0.58で最大であり、x及びyをそれ以上に増やした組成では飽和磁化の低下が見られた。マグネトプランバイト構造において、ユニットセル内に磁化方向と平行なFeスピンと反並行なFeスピンが混在し、それによりフェリ磁性が示される。y量が少ない領域では、磁気モーメントの小さいCoイオンが反並行スピンをもつFeイオンを置換するため磁化が高くなるのに対し、y量が多い領域では、Coイオンが平行スピンをもつFeイオンの一部を置換するため磁化が低くなると考えられる。
異方性磁場および換算された共鳴周波数はx=y=0.68で極大となり、そのときの共鳴周波数は100GHzより高くなった。x及びyが0.68から小さくなると異方性磁場及び共鳴周波数は単調に低下した。これは、軌道角運動量を有するCoイオン量が減少したためと考えられる。x及びyを0.68から大きくした場合にも共鳴周波数が若干低下した。x及びyが過剰に大きい組成では異相が生じ、その量が増加したため異方性磁場が小さくなったと考えられる。
このようにx及びyを適切に制御することで、高い磁化を保ちつつ70~110GHz程度の範囲内に共鳴周波数を制御できることが分かった。共鳴周波数近傍においては磁気的損失が生じるため、共鳴周波数の変化は吸収周波数の変化に対応する。このことから本実施形態のフェライト粒子(電磁波吸収材料)は70~110GHz程度の周波数域で実用に供し得る優れた電磁波吸収能を有することが分かった。
図2及び3は、組成:Ca0.42La0.58Fe10.92Co0.58を有する例3の電磁波吸収材料を70vol%の割合で含む成型体について、75~110GHzの周波数域における複素比誘電率(ε)及び比透磁率(μ)の測定結果を示す。成型体の各構成成分が絶縁体であることから、比誘電率は誘電的な挙動を示す。また図2に示すように、94GHz近傍の周波数で磁気共鳴が見られ、これは、含有されるCa0.42La0.58Fe10.92Co0.58の効果と考えられる。この周波数は表3にて算出された共鳴周波数とほぼ一致する。図4は反射減衰率の結果を示す。吸収体の厚み0.22mm程度で-25dB超の吸収を実現できることが分かった。
いずれのサンプルでも、フェライト粒子の体積平均粒径(D50)は20μm超であった。磁石用のフェライト粒子の粒径は2μm程度以下であり、これと比較すると粒径が非常に大きいものの優れた電磁波吸収能が得られた。
Figure 2023122779000008
[例8~例14]
例8~例14のサンプルについて得られた結果を表4にまとめて示す。XRDの結果からいずれのサンプルでもマグネトプランバイト(MP)相が主相であった。表3に示すように、飽和磁化はx=0.55及びy=0.28、あるいはx=0.81及びy=0.68近傍の2か所で最大となった。異方性磁場から換算された共鳴周波数を見ると、x=0.55及びy=0.28で共鳴周波数は80GHz以下であるが、x=0.81及びy=0.68では95GHz超であった。このように本実施形態のフェライト粒子(電磁波吸収材料)は、0.45≦x≦0.90且つ0.20≦y≦0.80の組成範囲内で高い飽和磁化を保ちつつ、70~110GHz程度の周波数域で共鳴周波数を変化させることができること、及びその結果、ミリ波帯域を含む広い周波数域で実用に供し得る優れた電磁波吸収能を有することが分かった。
図5及び6は、組成:Ca0.45La0.55Fe10.89Co0.29を有する例10のフェライトを70vol%の割合で含む成型体について、60~90GHzの複素比誘電率(ε)及び複素比透磁率(μ)の測定結果を示す。図2で得られた結果と同様に比誘電率は誘電体的な挙動を示す。また図6に示されるように74GHz近傍の周波数で磁気共鳴が見られ、これはCa0.45La0.55Fe10.89Co0.28の効果と考えられる。この周波数は表4にて算出された共鳴周波数とほぼ一致する。図7は反射減衰率の測定結果を示す。吸収体厚みが0.27mm程度のとき、76GHz近傍の周波数域で-30dB程度の吸収が実現された。また、いずれのサンプルでもフェライト粒子の体積平均粒径(D50)は20μm以上であった。
Figure 2023122779000009
1 電磁波吸収体
2 吸収体本体
3 金属膜
4 入射波
5 反射波
6 反射波

Claims (12)

  1. 式:Ca1-xLaFe12-y-α(1-x)Coで表される組成(但し、0.45≦x≦0.90、0.20≦y≦0.80、1≦α≦2、0.50≦y/x≦1.00、zは電気的中性条件を満足する任意の正の実数)を有するマグネトプランバイト型フェライト粒子を含有する、電磁波吸収材料。
  2. 前記x及びyが、0.60≦x≦0.90、0.50≦y≦0.80、及び0.75≦y/x≦1.00の関係を満足する、請求項1に記載の電磁波吸収材料。
  3. 前記フェライト粒子の体積平均粒径(D50)が10μm以上である、請求項1又は2に記載の電磁波吸収材料。
  4. 前記フェライト粒子の飽和磁化が60emu/g以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電磁波吸収材料。
  5. 前記フェライト粒子の異方性磁場が2.75T以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の電磁波吸収材料。
  6. 前記フェライト粒子の共鳴周波数が70GHz以上110GHz以下の周波数域内に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の電磁波吸収材料。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の電磁波吸収材料で構成される素体部を備える、電磁波吸収体。
  8. 前記素体部が、前記フェライト粒子を含む圧粉体、複合体、塗膜、及び焼結体の少なくとも一つである、請求項7に記載の電磁波吸収体。
  9. 前記素体部の厚さが0.5mm以下である、請求項7又は8に記載の電磁波吸収体。
  10. 前記電磁波吸収体の反射減衰量が70GHz以上110GHz以下の周波数域内に極値をもち、前記極値における反射減衰量の絶対値が20dB以上である、請求項7~9のいずれか一項に記載の電磁波吸収体。
  11. 請求項7~10のいずれか一項に記載の電磁波吸収体を用いて電磁波を吸収する方法。
  12. 吸収される前記電磁波が70GHz以上110GHz以下の周波数域内にある、請求項11に記載の方法。
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