JP2023121957A - 多層板紙 - Google Patents

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真司 藤江
shinji Fujie
淳 中村
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淳 浦崎
Atsushi Urasaki
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Abstract

【課題】トップカール加工適性に優れる及び膨れの発生を防止できる多層板紙を提供することである。【解決手段】課題は、表側から、パルプを含有する表層、表下層、中層を1層又は2層以上、裏下層及び裏層の5層又は5層以上を有し、前記表層がパルプとしてLBKP及びNBKPを含有し、前記表下層がパルプとしてLBKP、NBKP及びCGPを含有し、前記中層がパルプとしてLBKP及びCGPを含有し、前記裏下層がパルプとしてLBKPを含有し、並びに前記裏層がパルプとしてLBKPを含有し、前記表下層中の全パルプに対する表下層中のCGP含有質量比が、前記表下層に接する中層中の全パルプに対する中層中のCGP含有質量比よりも小さい値である多層板紙によって解決できる。【選択図】なし

Description

本発明は、複数の紙層から構成された多層板紙に関し、食品容器又は食品容器用スリーブに適する多層板紙に関する。
紙器に利用できる複数の紙層から構成された多層板紙は公知である。
例えば、多層板紙では、表層、裏層、及び前記表層と前記裏層との間に配置される1又は複数の中間層を有し、前記表層側の面の十点平均粗さ(Rz)が14μm以上20μm以下、PPS平滑度が6μm以上10μm以下であるものが公知である(例えば、特許文献1参照)。このような板紙は、艶が抑えられており、かつ箔押適性に優れる。
また、例えば、紙コップ用原紙では、セルロースパルプを主成分として3層以上の紙層を有し、MD方向の引張強度が14.0kN/m以上であり、裏層を構成するパルプの離解フリーネスが、470mlcsf以上であり、紙厚方向に表面を含む表層部と裏面を含む裏層部とに均等な厚さで二分割した際に、前記裏層部の繊維配向比が、前記表層部の繊維配向比よりも0.15以上大きいものが公知である(例えば、特許文献2参照)。このような紙コップ用原紙は、裏層部の引張強度と表層部の圧縮強度バランスに優れ、トップカール部の成形が容易である。
特開2020-056129号公報 特開2021-073387号公報
紙及び板紙を取り扱う際に紙の端部で指等を切傷することは、良く知られる。また、食品容器又は食品容器用スリーブに用いる場合は、口が直接板紙に接触する使用方法が存在するために、特に切傷防止の必要がある。特許文献2に記載されるが如くの紙コップ用原紙は、紙コップ上端開口部周縁を外側に巻き込むトップカール加工が容易である。前記トップカール加工は、紙の端部による切傷防止方法の一種である。
しかしながら、5層以上の紙層を有する多層板紙ではトップカール加工が困難である。この理由は、トップカール部に折れ又は裂けが発生するからである。また、外観に係る商品性の観点から、トップカール加工が概ね均一に完成する必要がある。しかしながら、5層以上の紙層を有する多層板紙ではトップカール加工を概ね均一に仕上げることが困難である。
複数の紙層を有する多層抄き合わせ多層板紙に特有の問題として「膨れ」がある。
膨れは、抄紙機のワイヤパートにおいてパルプが脱水される際に水が抜けた空隙が発生することに起因する。特に、中層で発生した空隙の空気は抜け難く、中層で発生した空隙の空気が抜けずにワイヤパートからプレスパートへと抄紙工程が移り、なおかつプレスパートでも空気が抜けずに製造が進行した場合に、多層板紙は、表面に空隙の空気に起因した膨らみ箇所を有する。前記膨らみ箇所が膨れである。
以上から本発明の目的は、トップカール加工適性に優れる及び膨れの発生を防止できる多層板紙を提供することである。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、本発明の目的は以下によって達成される。
[1]一方側から、パルプを含有する表層、表下層、中層を1層又は2層以上、裏下層及び裏層の5層又は5層以上を有し、
前記表層がパルプとしてLBKP及びNBKPを含有し、
前記表下層がパルプとしてLBKP、NBKP及びCGPを含有し、
前記中層がパルプとしてLBKP及びCGPを含有し、
前記裏下層がパルプとしてLBKPを含有し、
並びに前記裏層がパルプとしてLBKPを含有し、
前記表下層中の全パルプに対する表下層中のCGP含有質量比が、前記表下層に接する中層中の全パルプに対する中層中のCGP含有質量比よりも小さい値である多層板紙。
[2]上記LBKPの濾水度が370mlcsf以上530mlcsf以下、上記NBKPの濾水度が400mlcsf以上500mlcsf以下、及び上記CGPの濾水度が350mlcsf以上490mlcsf以下である上記[1]に記載の多層板紙。
[3]上記表層、上記表下層、上記中層、上記裏下層及び上記裏層がサイズ剤、紙力剤及び硫酸アルミニウムを含有する上記[1]又は[2]に記載の多層板紙。
[4]中層を基準として表層及び裏層の外側に対してそれぞれ白色無機顔料及びバインダを含有する塗工層を有する上記[1]~[3]のいずれかに記載の多層板紙。
本発明によって、トップカール加工適性に優れる及び膨れの発生を防止できる多層板紙を提供することができる。
多層板紙は、一方側から順番に、パルプを含有する表層、表下層、中層を1層又は2層以上、裏下層及び裏層の5層又は5層以上から構成される。また、いくつかの実施態様において、多層板紙は、中層を基準として表層の外側に対して白色無機顔料及びバインダを含有する塗工層を有する。さらに、いくつかの実施態様において、多層板紙は、中層を基準として表層及び裏層の外側に対してそれぞれ白色無機顔料及びバインダを含有する塗工層を有する。多層板紙は、表層の外側に対して又は表層及び裏層の外側に対して塗工層を設けることによって印刷適性を向上できる。いくつかの実施態様において、多層板紙は、収容物に対向する面が裏層を有する側の面とする。すなわち、多層板紙は、外側に巻き込むトップカール加工されたトップカール部において、裏層を有する側が外側となる。
中層は、1層又は2層以上である。いくつかの実施態様において、中層は、製造コストの観点から1層以上5層以下である。少なくとも一つの実施態様において、中層は、3層又は4層である。この理由は、製造コストと多層板紙の強度とのバランスに優位となるからである。
多層板紙の表層、表下層、中層を1層又は2層以上、裏下層及び裏層の各層は、パルプを含有する。
パルプは、製紙分野で従来公知のものである。パルプの原料としては木材及び非木材を挙げることができる。木材から成るパルプは、例えば、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)及びNBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)及びCTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)などの機械パルプ、SCP(SemiChemical Pulp)及びCGP(ChemiGroundwood Pulp)などのセミケミカル法パルプ、並びにDIP(DeInked Pulp)などの古紙パルプを挙げることができる。非木材から成るパルプは、非木材繊維からなるパルプである。非木材繊維の原料は、例えば、コウゾ、ミツマタ及びガンピ等の木本靭皮、亜麻、大麻及びケナフ等の草本靭皮、マニラ麻、アバカ及びサイザル麻などの葉繊維、イネわら、ムギわら、サトウキビバカス、タケ及びエスパルトなどの禾本科植物、並びにワタ及びリンターなどの種毛を挙げることができる。
パルプは、上記木材パルプ及び上記非木材パルプから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
多層板紙の各層は、上記木材パルプ及び上記非木材パルプから成る群から選ばれる一種又は二種以上のパルプを分散したスラリーに、必要に応じて製紙分野で従来公知の各種添加剤を配合した紙料を抄造して得ることができる。多層板紙は、例えば、各層の紙料を抄造し、表層、表下層、中層、裏下層及び裏層の各層が湿紙の状態で抄き合わせ及び乾燥して得ることができる。いくつかの実施態様において、抄き合わせでは、それぞれの層間に澱粉、各種加工澱粉及びそれらの変性物などの接着剤を付与する。この理由は、層間強度が良化するからである。
上記抄造は、製紙分野で従来公知の多層抄きができる抄紙機を用いて達成できる。抄紙機は、例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、長網・傾斜コンビネーション抄紙機、ギャップフォーマ、ハイブリッドフォーマ及び多層抄紙機、並びにこれらの機器の抄紙方式を組合せた抄造機などを挙げることができる。
多層板紙は、上記表層がパルプとしてLBKP及びNBKPを、上記表下層がパルプとしてLBKP、NBKP及びCGPを、上記中層がパルプとしてLBKP及びCGPを、上記裏下層がパルプとしてLBKPを、並びに上記裏層がパルプとしてLBKPを含有する。さらに、多層板紙は、前記表下層中の全パルプに対する表下層中のCGP含有質量比が前記表下層に接する中層中の全パルプに対する該中層中のCGP含有質量比よりも小さい値である。このようなパルプ構成によって、多層板紙は、裏層が外側となって巻き込むトップカール加工適性及び/又は膨れの発生の防止を得ることができる。このようなパルプ構成から外れると、多層板紙は、裏層が外側となって巻き込むトップカール加工適性及び/又は膨れの発生の防止を得ることが困難となる。
いくつかの実施態様において、上記表層は、表層中のLBKP及びNBKPの含有量が表層中の全パルプに対して90質量%以上である。いくつかの実施態様において、上記表下層は、表下層中のLBKP、NBKP及びCGPの含有量が表下層中の全パルプに対して90質量%以上である。いくつかの実施態様において、表下層に接する上記中層は、該中層中のLBKP及びCGPの含有量が該中層中の全パルプに対して90質量%以上である。いくつかの実施態様において、上記以外の中層は、各中層中のLBKP及びCGPの含有量がそれぞれの中層中の全パルプに対して70質量%以上である。いくつかの実施態様において、上記裏下層は、裏下層中のLBKPの含有量が裏下層中の全パルプに対して90質量%以上である。また、いくつかの実施態様において、上記裏層は、裏層中のLBKPの含有量が裏層中の全パルプに対して90質量%以上である。これらの理由は、裏層が外側となって巻き込むトップカール加工適性が良化する及び/又は膨れの発生の防止が向上するからである。
少なくとも一つの実施態様において、多層板紙は、表層中のLBKP及びNBKPの含有量が表層中の全パルプに対して90質量%以上、表下層中のLBKP、NBKP及びCGPの含有量が表下層中の全パルプに対して90質量%以上、表下層に接する上記中層中のLBKP及びCGPの含有量が該中層中の全パルプに対して90質量%以上、上記以外の各中層中のLBKP及びCGPの含有量がそれぞれの中層中の全パルプに対して70質量%以上、裏下層中のLBKPの含有量が裏下層中の全パルプに対して90質量%以上、並びに裏層中のLBKPの含有量が裏層中の全パルプに対して90質量%以上である。
いくつかの実施態様において、表層は、LBKP及びNBKPの含有量質量比が表層中の全パルプに対してそれぞれ65質量%以上85質量%以下及び15質量%以上35質量%以下である。また、いくつかの実施態様において、表下層は、CGPの含有量質量比が表下層中の全パルプに対して10質量%以上25質量%以下である。また、いくつかの実施態様において、各中層は、CGPの含有量質量比が各々中層中の全パルプに対してそれぞれ20質量%以上65質量%以下である。これらの理由は、裏層が外側となって巻き込むトップカール加工適性が良化する及び/又は膨れの発生の防止が向上するからである。
少なくとも一つの実施態様において、表下層のCGPの含有量質量比が表下層中の全パルプに対して10質量%以上25質量%以下、及び各中層のCGPの含有量質量比が各々中層中の全パルプに対して20質量%以上65質量%以下である。
上記したように、表下層中の全パルプに対する表下層中のCGP含有質量比は、表下層に接する中層中の全パルプに対する該中層中のCGP含有質量比よりも小さい値に設計する。
いくつかの実施態様において、多層板紙は、上記LBKPの濾水度が370mlcsf以上530mlcsf以下、上記NBKPの濾水度が400mlcsf以上500mlcsf以下及び上記CGPの濾水度が350mlcsf以上490mlcsf以下である。この理由は、裏層が外側となって巻き込むトップカール加工適性が良化する及び/又は膨れの発生の防止が向上するからである。
濾水度は、ISO567-2:2001「Pulps-Determination of drainability-Part2 : Canadian Standard Freeness method」に準拠して求められる、一般にCSF濾水度と称される値である。濾水度はパルプの叩解によって調整できる。パルプの叩解を進めると、濾水度の値は小さくなる。
必要に応じて上記紙料に配合することができる各種添加剤は、例えば、填料、サイズ剤、歩留まり剤、定着剤、カチオン化剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを挙げることができる。
いくつかの実施態様において、多層板紙は、表層、表下層、各中層、裏下層及び裏層がサイズ剤、紙力剤及び硫酸アルミニウムを含有する。この理由は、多層板紙の強度が良化するだけでなく、裏層が外側となって巻き込むトップカール加工適性が良化するからである。
サイズ剤は、サイズ性を付与するために抄紙工程で使用される内添サイズ剤である。サイズ剤は、製紙分野で従来公知であって、特に限定されない。サイズ剤の例としては、酸性紙であればロジン系サイズ剤、中性紙であればアルケニル無水コハク酸系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、中性ロジン系サイズ剤、脂肪酸系サイズ剤、及びカチオン性スチレンアクリル樹脂系サイズ剤などを挙げることができる。いくつかの実施態様において、サイズ剤は、ロジン系サイズ剤である。この理由は、多層板紙を食品容器に使用する場合の安全性のためである。
各層中のサイズ剤は、製紙分野で従来公知の含有量であれば良い。いくつかの実施態様において、サイズ剤の含有量は、各々層中のパルプ1000質量部に対して1質量部以上15質量部以下である。
紙力剤は、紙力増強剤とも呼ばれ、紙の強度を付与するために抄紙工程で使用される内添紙力剤である。紙力剤は、製紙分野で従来公知であって、特に限定されない。紙力剤の例としては、澱粉、並びにジアルデヒド澱粉、酸化澱粉及びカチオン化澱粉などの変性澱粉、グァーガム、ローカストビーンガム及びトラガントガムなどの植物性ガム類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース類、並びにポリウレタン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリアクリルアミド及び変性ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド系樹脂、並びにポリビニルアルコール系樹脂などの合成高分子を挙げることができる。
いくつかの実施態様において、紙力剤は、変性ポリアクリルアミドである。少なくとも一つの実施態様において、紙力剤はホフマン変性ポリアクリルアミドである。これらの理由は、裏層が外側となって巻き込むトップカール加工適性が良化するからである。
各層中の紙力剤は、製紙分野で従来公知の含有量であれば良い。いくつかの実施態様において、紙力剤の含有量は、各々層中のパルプ1000質量部に対して1質量部以上9質量部以下である。
硫酸アルミニウムは、サイズ剤の紙中への定着に作用効果を有する。特に、サイズ剤が上記ロジン系サイズ剤の場合に有効である。硫酸アルミニウムのアルミニウムイオンはパルプの繊維と結合でき、結果、紙の強度を増すことができる。ただし、硫酸アルミニウムを含有すると紙が酸性化して劣化し易くなる。このために、硫酸アルミニウムの含有量が制限される。
各層中の硫酸アルミニウムは、製紙分野で従来公知の含有量であれば良い。いくつかの実施態様において、硫酸アルミニウムの含有量は、各々層中のパルプ1000質量部に対して8質量部以上20質量部以下である。
いくつかの実施態様において、多層板紙は、表層及び裏層に対して表面サイズ剤を含有するサイジング液によってサイズプレス処理を施す。この理由は、多層板紙の耐水性が向上するからである。
表面サイズ剤は、外添サイズ剤とも称する。表面サイズ剤は、製紙分野で従来公知のものである。表面サイズ剤は、例えば、各種澱粉及びその変性物、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、各種ポリビニルアルコール及びその変性物、ポリアクリルアミド、スチレンアクリル共重合体及びワックスなどを挙げることができる。少なくとも一つの実施態様において、表面サイズ剤は、澱粉、各種加工澱粉及びそれらの変性物及びスチレンアクリル共重合体から成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
サイズプレス処理は、製紙分野で従来公知のサイズプレス装置又は従来公知の塗工装置を用いて実施することができる。サイズプレス装置は、例えば、インクラインドサイズプレス、ホリゾンタルサイズプレス、フィルムトランスファー方式としてロッドメタリングサイズプレス、ロールメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレスを、ロッドメタリングサイズプレスではシムサイザー、オプティサイザー、スピードサイザー、フィルムプレスを、ロールメタリングサイズプレスではゲートロールコーターを挙げることができる。その他にも、ビルブレードコーター、ツインブレードコーター、ベルバパコーター、タブサイズプレス、カレンダーサイズプレスなどを挙げることができる。従来公知の塗工装置は、例えば、ブレードコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、コンマコーター(登録商標)、グラビアコーター、バーコーター、Eバーコーター、及びカーテンコーターなどを挙げることができる。
サイズプレス処理後は、従来公知の乾燥装置を用いて乾燥することができる。乾燥装置は、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機などを挙げることができる。
多層板紙には、カレンダー処理を施すことができる。
カレンダー処理とは、ロール間に紙を通すことによって平滑性や厚みを平均化する処理である。カレンダー処理の装置としては、例えば、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダー及びグロスカレンダーなどを挙げることができる。
いくつかの実施態様において、多層板紙は、中層を基準として表層及び裏層の外側に対してそれぞれ白色無機顔料及びバインダを含有する塗工層を有する。塗工層は、印刷用塗工紙分野で従来公知のものである。塗工層は、表層及び裏層の外側に対してそれぞれ1層又は2層以上である。
塗工層は、塗工層塗工液を多層板紙の表層及び裏層に対して塗工及び乾燥することによって得ることができる。塗工及び乾燥する方法は、特に限定されない。塗工及び乾燥する方法は、例えば、製紙分野で従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いる方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、コンマコーター、フィルムプレスコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーター、及びフィルムトランスファーコーターなどを挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、及びマイクロ波を利用した乾燥機などの各種乾燥装置を挙げることができる。
また、塗工層には、カレンダー処理を施すことができる。
塗工層は、塗工層塗工液に白色無機顔料及びバインダを配合することで、白色無機顔料及びバインダを含有することができる。
いくつかの実施態様において、塗工量は、乾燥固形分として、表層に対して10g/m以上30g/m以下及び裏層に対して1g/m以上10g/m以下である。この理由は、塗工量が前記範囲であれば印刷適性を向上しつつトップカール加工部に塗工層の割れが発生し難いからである。塗工層が2層以上の場合は、合計塗工量が前記範囲になる。
白色無機顔料は、印刷用塗工紙分野で従来公知のものである。白色無機顔料は、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、及び水酸化マグネシウムなどを挙げることができる。白色無機顔料は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
ここで、カオリンは、カオリンクレーと呼ばれることがある。カオリンは、天然に産出されたカオリン原鉱を工業的に精製及び加工したものであって、例えば、粉砕、洗浄、除鉄及び分級などの工程を経て製造されるものである。また、アスペクト比を向上させるためにせん断力をかけて薄板状としたデラミネーティッドカオリンや、粒度分布がシャープになるよう調整したエンジニアードカオリン、凝集性を高めた焼成カオリンといった加工性の高いものも含まれる。
バインダは、印刷用塗工紙分野で従来公知のものである。バインダは、例えば、スチレンブタジエン共重合体及びアクリロニトリルブタジエン共重合体などの共役ジエン系樹脂、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体若しくはメタクリル酸エステルブタジエン共重合体などのアクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体及び塩化ビニル酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びこれらの各種共重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂、天然ゴム、澱粉、各種加工澱粉及び各種変性澱粉、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン及び大豆蛋白などの天然高分子樹脂若しくはその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びその各種変性ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール並びにポリエチレングリコールなどを挙げることができる。バインダは、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
いくつかの実施態様において、塗工層は、白色無機顔料として重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム及びカオリンから成る群から選ばれる一種又は二種以上、並びにバインダとして澱粉、各種加工澱粉及び各種変性澱粉並びにスチレンブタジエン共重合体から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有する。この理由は、多層板紙の印刷適性が良化するからである。
塗工層は、白色無機顔料及びバインダ以外に、塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤は、例えば、白色有機顔料、増粘剤、流動性改良剤、紫外線吸収剤、消泡剤、発泡剤、着色剤、酸化防止剤、防腐剤及び防バイ剤などを挙げることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」及び「質量%」を表す。塗工層の塗工量は乾燥固形分量を表す。
表1~表6に記載の構成でパルプ及び添加剤を配合した紙料を調成し、前記紙料を用いて160m/分の抄速で多層板紙を抄造した。抄紙機の構成は、表層を1層抄き長網抄紙機、表下層を1層抄き円網抄紙機、中層を1層抄き円網抄紙機又は4層抄き円網抄紙機、裏下層を1層抄き円網抄紙機、裏層を1層抄き円網抄紙機とした。なお、各層間には市販の澱粉をスプレー方式にて各0.6g/m付与させた。
多層板紙の坪量は、表層50g/m、表下層36g/m、中層36g/m、裏下層50g/m及び裏層50g/mに成るように調整した。
表1~表6において、サイズ剤には、ロジン系サイズ剤を用いた。紙力剤には、変性ポリアクリルアミドを用いた、
抄造及び乾燥後に、多層板紙の表層及び裏層に対してサイズプレス処理を行った。
表面サイズ剤には、酸化澱粉及びスチレンアクリル共重合体を用いた。サイズプレス処理にはホリゾンタルサイズプレスを用いて、塗工量が片面あたり酸化澱粉3.0g/m及びスチレンアクリル共重合体0.05g/mとなるように調整した。
実施例14及び17は、塗工層を有する多層板紙とするべく、実施例1及び16の多層板紙に対して両面にそれぞれ塗工層を設けた。
表層側の下塗り塗工層は、多層板紙の表層に対して下記塗工層塗工液1をバーコーターを用いて塗工及び熱風乾燥機を用いて乾燥して設けた。塗工量は10g/mとなるように調整した。次に、表層側の上塗り塗工層は、前記下塗り塗工層に対して下記塗工層塗工液2をバーコーターを用いて塗工及び熱風乾燥機を用いて乾燥して設けた。塗工量は8g/mとなるよう調整した。次に、裏層側の塗工層は、多層板紙の裏層に対して下記塗工層塗工液2をバーコーターを用いて塗工及び熱風乾燥機を用いて乾燥して設けた。塗工量は3g/mとなるよう調整した。
<塗工層塗工液1>
塗工層塗工液1は下記の内容により調製した。
カオリン 10質量部
重質炭酸カルシウム 90質量部
リン酸エステル化澱粉 10質量部
スチレンブタジエン共重合体 10質量部
脂肪酸カルシウム 0.3質量部
アンモニア水 0.1質量部
上記の内容で配合し、水で混合及び分散して濃度58質量%に調整した。
<塗工層塗工液2>
塗工層塗工液2は下記の内容により調製した。
カオリン 60質量部
軽質炭酸カルシウム 40質量部
リン酸エステル化澱粉 1質量部
スチレンブタジエン共重合体 14質量部
脂肪酸カルシウム 0.1質量部
印刷適性向上剤(変性ポリアミド) 0.5質量部
アンモニア水 0.1質量部
上記の内容で配合し、水で混合及び分散して濃度60質量%に調整した。
得られた多層板紙について下記の評価を行った。結果を表7に記載する。
<膨れの発生>
膨れの発生に関する評価は、得られた多層板紙をA3サイズに断裁し、当該A3サイズ内の多層板紙に膨れが存在するか否かについて表層及び裏層を目視観察して行った。観察結果から下記の基準で膨れの発生に関して評価した。本発明において、多層板紙は、評価A、B又はCであれば膨れの発生を防止できるものとする。
A:膨れも及び膨れ程ではない盛り上がりも認められない。良好。
B:膨れが認められないものの、極微かに盛り上がりが認められる。概ね良好。
C:膨れが認められないものの、微かに盛り上がりが認められる。実用が可能。
D:膨れが認められないものの、盛り上がりが認められる。幾分不良。
E:膨れが認められる。不良。
<トップカール加工適性>
上側成形用の金型に多層板紙の端部周縁をあてはめて多層板紙の端部周縁を外側にカールさせる。上側成型用の金型へは、多層板紙の裏層を有する側の面が対向するようにあてはめた。次に、下側金型と下側成形用の金型を多層板紙の表層を有する側から押し込み、下側成型用の金型の曲面に沿って多層板紙の端部周縁を多層板紙の裏層を有する側の面が外側として更に巻き込み、トップカール部を形成した。
トップカール加工適性の評価は、得られた多層板紙のトップカール部を目視観察して行った。観察結果から下記の基準でトップカール加工適性を評価した。本発明において、多層板紙は、評価A又はBであればトップカール加工適性に優れるものとする。
A:折れ若しくは裂け又は加工不均一が無く、良好。
B:上記Aより劣るものの折れ若しくは裂け又は加工不均一が極僅かで、概ね良好。
C:上記Bより劣るものの折れ若しくは裂け又は加工不均一が僅かで、実用が可能。
D:上記Cより劣るものの折れ若しくは裂け又は加工不均一が多少あり、幾分不良。
E:上記Dより劣り、折れ若しくは裂け又は加工不均一が顕著であり、不良。
表7から、本発明の多層板紙に該当する実施例1~30は、トップカール加工適性に優れる及び膨れの発生を防止できるものと分かる。一方、本発明の構成を満足しない多層板紙である比較例1~7は、本発明の効果の少なくとも一つを満足できないものと分かる。
主に、実施例1及び実施例2~13の間の対比から、LBKPの濾水度が370mlcsf以上530mlcsf以下、NBKPの濾水度が400mlcsf以上500mlcsf以下、及びCGPの濾水度が350mlcsf以上490mlcsf以下であると、多層板紙は、トップカール加工適性が良化する及び/又は膨れの発生の防止が向上すると分かる。
また、実施例1と実施例25~27との対比、実施例18と実施例28~30との対比から、多層板紙は、表層、表下層、各中層、裏下層及び裏層がサイズ剤、紙力剤及び硫酸アルミニウムを含有すると、トップカール加工適性が良化すると分かる。
また、実施例14及び17では、白色無機顔料として炭酸カルシウム及びカオリン並びにバインダとして変性澱粉及びスチレンブタジエン共重合体を含有する塗工層を有する多層板紙となり、このような塗工層は印刷用紙分野で公知であって、印刷適性に関する評価結果を表7に記載しないものの、多層板紙は、グラビア印刷適性及びオフセット印刷適性などが向上した。

Claims (4)

  1. 一方側から、パルプを含有する表層、表下層、中層を1層又は2層以上、裏下層及び裏層の5層又は5層以上を有し、
    前記表層がパルプとしてLBKP及びNBKPを含有し、
    前記表下層がパルプとしてLBKP、NBKP及びCGPを含有し、
    前記中層がパルプとしてLBKP及びCGPを含有し、
    前記裏下層がパルプとしてLBKPを含有し、
    並びに前記裏層がパルプとしてLBKPを含有し、
    前記表下層中の全パルプに対する表下層中のCGP含有質量比が、前記表下層に接する中層中の全パルプに対する中層中のCGP含有質量比よりも小さい値である多層板紙。
  2. 前記LBKPの濾水度が370mlcsf以上530mlcsf以下、前記NBKPの濾水度が400mlcsf以上500mlcsf以下、及び前記CGPの濾水度が350mlcsf以上490mlcsf以下である請求項1に記載の多層板紙。
  3. 前記表層、前記表下層、前記中層、前記裏下層及び前記裏層がサイズ剤、紙力剤及び硫酸アルミニウムを含有する請求項1又は2に記載の多層板紙。
  4. 中層を基準として表層及び裏層の外側に対してそれぞれ白色無機顔料及びバインダを含有する塗工層を有する請求項1~3のいずれかに記載の多層板紙。
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