JP2023097632A - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板の表面に存在する除去対象物を効率良く除去することができる新規な基板処理装置および基板処理方法を提供する。【解決手段】光照射によって構造が変化する光反応化合物103およびポリマー成分101を含有するポリマー膜100を、保持位置に保持されている基板Wの主面に形成される。ポリマー膜100が形成されている基板Wの主面に向けて光出射部材8から光が出射される。基板Wの主面に対して、ポリマー膜100を除去するポリマー膜除去処理が実行される。【選択図】図8B
Description
この発明は、基板を処理する基板処理装置、および、基板を処理する基板処理方法に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウェハ、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
パーティクル等の除去対象物を基板の主面から除去する手法が求められている。たとえば、下記特許文献1には、トップコート液を基板に供給してトップコート液から揮発成分を揮発させることでトップコート膜を形成し、トップコート膜を除去液に溶解させて基板から除去する基板処理が開示されている。トップコート液からトップコート膜が形成される際に起こる体積収縮によって、基板からパーティクルが引き離される。
この発明の1つの目的は、基板の表面に存在する除去対象物を効率良く除去することができる新規な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
この発明の一実施形態は、保持位置に基板を保持する基板保持部材と、光照射によって構造が変化する光反応化合物およびポリマー成分を含有するポリマー膜を、前記保持位置に保持されている基板の主面に形成するポリマー膜形成部材と、前記保持位置に保持されている基板の主面に向けて光を出射する光出射部材と、前記保持位置に保持されている基板の主面に対して、ポリマー膜を除去するポリマー膜除去処理を実行するポリマー膜除去部材とを含む、基板処理装置を提供する。
この方法によれば、基板の主面上のポリマー膜に含有される光反応化合物の構造が光照射によって変化する。そのため、光照射によってポリマー膜が変形し、基板の主面からポリマー膜の少なくとも一部が基板の主面から引き離される。ポリマー膜を基板の主面から引き離すことによって、ポリマー膜に保持されている除去対象物を基板の主面から引き離すことができる。除去対象物がポリマー膜とともに基板の主面から引き離されている状態でポリマー膜を基板の主面から除去することによって、基板の主面から除去対象物を効果的に除去することができる。
この発明の一実施形態では、前記光反応化合物が、ジアリルエテン系化合物、および、アゾベンゼン系化合物の少なくとも一方を含む。
ジアリルエテン系化合物、およびアゾベンゼン系化合物は、光照射によって構造が変化する。ポリマー膜中の成分の構造変化によってポリマー膜が変形し、ポリマー膜の少なくとも一部が基板の主面から引き離される。光照射によって、ポリマー膜は、たとえば、湾曲する。
この発明の一実施形態では前記ポリマー膜除去部材が、前記ポリマー膜除去処理として、前記ポリマー膜を剥離する剥離液を前記基板の主面に供給する剥離液供給処理を実行する剥離液供給部材を含む。そのため、剥離液によってポリマー膜の剥離を促進し、基板の主面から除去対象物を効果的に除去することができる。
この発明の一実施形態では、前記ポリマー膜形成部材が、前記ポリマー成分よりも前記剥離液に対する溶解性が高い高溶解性物質をさらに含有する前記ポリマー膜を形成する。そのため、剥離液によって高溶解性物質を溶解しつつ、ポリマー膜を維持することができる。したがって、ポリマー成分で除去対象物を保持しながら、ポリマー膜と基板の主面との界面に剥離液を作用させることができる。その結果、ポリマー膜を基板の主面から速やかに剥離しつつ、ポリマー膜とともに除去対象物を基板の主面から効率良く除去することができる。
この発明の一実施形態では、前記ポリマー膜除去部材が、前記ポリマー膜除去処理として、前記ポリマー膜を吸引して前記基板の主面から前記ポリマー膜を除去する吸引除去処理を実行する吸引部材を含む。基板の主面からポリマー膜の少なくとも一部が基板の主面から引き離されているため、ポリマー膜は、光照射を行う前よりも基板の主面から剥離し易い。そのため、吸引によってポリマー膜を基板の主面から除去できる。
また、基板の主面に剥離液を供給することなく吸引によってポリマー膜を除去できれば、基板の主面を乾燥させる手間を省くことができる。
この発明の他の実施形態は、光照射によって構造が変化する光反応化合物およびポリマー成分を含有するポリマー膜を基板の主面に形成するポリマー膜形成工程と、前記基板の主面上の前記ポリマー膜に光を照射する光照射工程と、前記光照射工程の後、前記基板の主面から前記ポリマー膜を除去するポリマー膜除去工程とを含む、基板処理方法を提供する。この基板処理方法によれば、上述した基板処理装置と同様の効果を奏する。
この発明の他の実施形態において、前記光反応化合物が、ジアリルエテン系化合物、および、アゾベンゼン系化合物の少なくとも一方を含んでいてもよい。
この発明の他の実施形態において、前記ポリマー膜除去工程が、前記ポリマー膜を剥離する剥離液を前記基板の主面上の前記ポリマー膜に供給する剥離液供給工程を含んでいてもよい。
この発明の他の実施形態において、前記ポリマー膜形成工程が、前記ポリマー成分よりも前記剥離液に対する溶解性が高い高溶解性物質をさらに含有する前記ポリマー膜を形成する工程を含んでいてもよい。
この発明の他の実施形態において、前記ポリマー膜除去工程が、前記基板の主面上の前記ポリマー膜を吸引して前記基板の主面から前記ポリマー膜を除去する吸引除去工程を含んでいてもよい。
この発明の他の実施形態において、前記ポリマー膜除去工程が、前記光反応化合物の構造変化によって前記ポリマー膜を湾曲させることによって、前記基板の主面から前記ポリマー膜を引き離す工程を含んでいてもよい。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
<第1実施形態に係る基板処理装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1のレイアウトを示す図解的な平面図である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1のレイアウトを示す図解的な平面図である。
基板処理装置1は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この実施形態では、基板Wは、円形状を有する。基板Wは一対の主面を有する。基板処理装置1は、基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリアCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御するコントローラ3とを備える。
搬送ロボットIRは、キャリアCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。搬送ロボットIRおよびCRは、複数のロードポートLPから複数の処理ユニット2に向かって延びる搬送経路TR上に配置されている。
複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。複数の処理ユニット2は、水平に離れた4つの位置にそれぞれ配置された4つの処理タワーTWを形成している。各処理タワーTWは、上下方向に積層された複数(たとえば、3つ)の処理ユニット2を含む。4つの処理タワーTWは、搬送経路TRの両側に2つずつ配置されている。
処理ユニット2は、処理液で基板Wを処理するウェット処理ユニット2Wである。ウェット処理ユニット2W内で基板Wに向けて供給される処理液としては、ポリマー含有液、剥離液、残渣溶解液等が挙げられる。
図2は、ウェット処理ユニット2Wの構成を説明するための模式図である。
ウェット処理ユニット2Wは、基板Wを所定の保持位置に保持しながら、回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック5と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に向けて光を出射する光出射部材8と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面(上側の主面)に向けて処理液を吐出する複数の処理液ノズル(ポリマー含有液ノズル9、剥離液ノズル10、および、残渣溶解液ノズル11)と、スピンチャック5に保持されている基板Wから飛散する液体を受ける処理カップ7と、スピンチャック5、処理カップ7、光出射部材8および複数の処理液ノズルを収容するチャンバ4とを備える。
回転軸線A1は、基板Wの上面の中心部を通る中心軸線である。保持位置は、回転軸線A1が基板Wの上面の中心部を通る位置であり、基板Wの上面が水平な位置である。
チャンバ4は、チャンバ本体4aと、チャンバ本体4aに設けられた開口部4bと、開口部4bを開閉するシャッタユニット4cとを含む。シャッタユニット4cが開口部4bを開いている状態で、搬送ロボットCRによって、チャンバ本体4a内に基板Wを搬入したりチャンバ本体4aから基板Wを搬出したりすることができる。チャンバ本体4aおよびシャッタユニット4cは、遮光性を有しており、シャッタユニット4cが開口部4bを閉じている状態では、チャンバ4の外部からの光が遮断される。
スピンチャック5は、処理カップ7に取り囲まれている。スピンチャック5は、水平方向に沿う円板形状を有するスピンベース21と、スピンベース21の上方で基板Wを把持しスピンベース21よりも上方で基板Wの周縁部を把持する複数のチャックピン20と、スピンベース21に連結され鉛直方向に延びる回転軸22と、回転軸22をその中心軸線(回転軸線A1)のまわりに回転させる回転駆動機構23とを含む。
複数のチャックピン20は、スピンベース21の周方向に間隔を空けてスピンベース21の上面に配置されている。回転駆動機構23は、たとえば、電動モータ等のアクチュエータを含む。回転駆動機構23は、回転軸22を回転させることでスピンベース21および複数のチャックピン20が回転軸線A1のまわりに回転する。これにより、基板Wは、スピンベース21および複数のチャックピン20とともに回転軸線A1のまわりに回転される。
複数のチャックピン20は、基板Wの周縁部に接触して基板Wを把持する閉位置と、基板Wに対する把持を解除する開位置との間で移動可能である。複数のチャックピン20は、開閉機構(図示せず)によって移動される。
複数のチャックピン20は、閉位置に位置するとき、基板Wの周縁部を把持して基板Wを保持位置に保持する。複数のチャックピン20は、開位置に位置するとき、基板Wに対する把持を解除する一方で、基板Wの周縁部を下方から支持する。開閉機構は、たとえば、リンク機構と、リンク機構に駆動力を付与するアクチュエータとを含む。
複数の処理液ノズルは、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に向けて、ポリマー含有液の連続流を吐出するポリマー含有液ノズル9と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に向けて剥離液の連続流を吐出する剥離液ノズル10と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に向けて残渣溶解液の連続流を吐出する残渣溶解液ノズル11とを含む。
ポリマー含有液ノズル9から吐出されるポリマー含有液は、溶質および溶媒を含有する。ポリマー含有液の溶質は、光照射によって構造が変化する光反応化合物と、溶媒の少なくとも一部が蒸発(揮発)することで固体状または半固体状の膜(ポリマー膜)を形成するポリマー成分と、剥離液に対する溶解度がポリマー成分よりも高い高溶解性物質とを含有する。
ポリマー含有液は、固体状または半固体状の膜(ポリマー膜)を形成する成分(後述するポリマー成分)を含有する。半固体状とは、固体成分と液体成分とが混合している状態である。固体状とは、液体成分が含有されておらず固体成分のみによって構成されている状態である。溶媒が残存しているポリマー膜は、半固体状であり、溶媒が完全に消失しているポリマー膜は、固体状である。
ポリマー成分は、高溶解性物質よりも後述する剥離液に対する溶解度が低いため、低溶解性物質ともいう。ポリマー成分は、たとえば、ノボラックである。高溶解性物質は、たとえば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンである。ポリマー成分および高溶解性物質の詳細は、後述する。
光反応性化合物は、第1波長を有する光によって第1構造から第2構造に変化し、第1波長とは異なる第2波長を有する光によって第2構造から第1構造に変化する。光反応化合物は、たとえば、ジアリルエテン系化合物およびアゾベンゼン系化合物の少なくともいずれかを含む。
ジアリルエテン系化合物としては、たとえば、以下の化学式1~化学式6に示す化合物を用いることができる。
図3に示すように、ジアリルエテン系化合物は、光照射によって、構造が変化する。ジより詳しくは、ジアリルエテン系化合物は、たとえば、200nm以上380nm以下の波長(第1波長)を有する光が照射されることによって開環体(第1構造)から閉環体(第2構造)に異性化する。ジアリルエテン系化合物は、たとえば、400nm以上760nm以下の波長(第2波長)を有する光が照射されることによって閉環体(第2構造)から開環体(第1構造)に異性化する。すなわち、ジアリルエテン系化合物は、紫外線の照射によって開環体から閉環体に異性化し、可視光の照射によって、閉環体から開環体に異性化する。ポリマー膜に含有されるジアリルエテン系化合物が開環体から閉環体に異性化することによって、ポリマー膜は、湾曲するように変形する。
アゾベンゼン系化合物としては、たとえば、以下の化学式7および化学式8に示す化合物を用いることができる。
図4に示すように、アゾベンゼン系化合物も、光照射によって構造が変化する。詳しくは、アゾベンゼン系化合物は、たとえば、200nm以上380nm以下の波長(第1波長)を有する光が照射されることによって、トランス体(第1構造)からシス体(第2構造)に異性化する。アゾベンゼン系化合物は、たとえば、400nm以上760nm以下の波長(第2波長)を有する光が照射されることによって、シス体(第2構造)からトランス体(第1構造)に異性化する。すなわち、アゾベンゼン系化合物は、紫外線の照射によってトランス体からシス体に異性化し、可視光の照射によって、シス体からトランス体に異性化する。ポリマー膜に含有されるアゾベンゼン系化合物がトランス体からシス体に異性化することによって、ポリマー膜は、湾曲するように変形する。
ポリマー含有液に含有されている溶媒は、常温(たとえば、5℃以上25℃以下の温度であり、室温ともいう。)で液体であり、溶質を溶解させることができる物質であればよい。ポリマー含有液は、たとえば、IPA(イソプロパノール)等の有機溶剤である。ポリマー含有液に含有されている有機溶剤は、たとえば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、アルコールおよびエーテルのうちの少なくとも1つを含む。
具体的には、有機溶剤は、IPA等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)等の乳酸エステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類、γ-ブチロラクトン等のラクトン類等である。これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、溶媒は、有機溶剤とDIW(脱イオン水)等の水との混合液であってもよい。
ポリマー含有液ノズル9には、ポリマー含有液ノズル9にポリマー含有液を案内するポリマー含有液配管40が接続されている。ポリマー含有液配管40には、ポリマー含有液配管40内の流路を開閉するポリマー含有液バルブ50が設けられている。バルブが配管に設けられているとは、バルブが配管に介装されていることを意味してもよい。ポリマー含有液バルブ50が開かれることでポリマー含有液がポリマー含有液ノズル9から吐出される。
剥離液ノズル10から吐出される剥離液は、ポリマー膜を剥離して基板Wの主面から除去するための液体である。剥離液は、たとえば、アンモニア水であるが、アンモニア水以外のアルカリ性水溶液(アルカリ性液体)であってもよい。アンモニア水以外のアルカリ性水溶液の具体例としては、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)水溶液、および、コリン水溶液、ならびにこれらのいずれかの組合せが挙げられる。剥離液は、純水(好ましくはDIW)であってもよいし、中性または酸性の水溶液(非アルカリ性水溶液)であってもよい。
剥離液ノズル10には、剥離液ノズル10に剥離液を案内する剥離液配管41が接続されている。剥離液配管41には、剥離液配管41内の流路を開閉する剥離液バルブ51が設けられている。剥離液バルブ51が開かれることで、剥離液が剥離液ノズル10から吐出される。
残渣溶解液ノズル11から吐出される残渣溶解液は、剥離液によってポリマー膜が剥離されて基板Wの主面から除去された後に基板Wの主面に残留する残渣を溶解させる液体である。残渣溶解液は、たとえば、IPA等の有機溶剤である。有機溶剤としては、ポリマー含有液に含有される溶媒として列挙したものを用いることができる。
残渣溶解液ノズル11には、残渣溶解液ノズル11に残渣溶解液を案内する残渣溶解液配管42が接続されている。残渣溶解液配管42には、残渣溶解液配管42内の流路を開閉する残渣溶解液バルブ52が設けられている。残渣溶解液バルブ52が開かれることで、残渣溶解液液が残渣溶解液ノズル11から吐出される。
複数の処理液ノズルは、複数のノズル移動機構35,36,37によってそれぞれ移動可能である。複数のノズル移動機構35,36,37は、対応する処理液ノズルを少なくとも水平方向に移動させることができる。各処理液ノズルは、基板Wの上面の中心部に対向する中心位置と、平面視で処理カップ7の外側に位置する退避位置との間で移動可能である。各ノズル移動機構35,36,37は、対応する処理液ノズルを支持する支持アーム(図示せず)と、支持アームを駆動する駆動機構(図示せず)とを含む。駆動機構は、たとえば、モータ等のアクチュエータを含む。
処理カップ7の構成は、特に限定されるものではない。処理カップ7は、たとえば、スピンチャック5に保持された基板Wから外方に飛散する処理液を受け止める複数(図2では2つ)のガード71と、複数のガード71によって下方に案内された処理液をそれぞれ受け止める複数(図2では2つ)のカップ72と、複数のガード71および複数のカップ72を取り囲む円筒状の外壁部材73とを含む。
各ガード71は、平面視でスピンチャック5を取り囲む筒状の形態を有している。各ガード71の上端部は、ガード71の内側に向かうように傾斜している。各カップ72は、上向きに開放された環状溝の形態を有している。複数のガード71および複数のカップ72は、同軸上に配置されている。
複数のガード71は、ガード昇降駆動機構(図示せず)によって個別に昇降される。ガード昇降駆動機構は、たとえば、複数のガード71をそれぞれ昇降駆動する複数のアクチュエータを含む。複数のアクチュエータは、電動モータおよびエアシリンダの少なくとも一方を含む。
光出射部材8は、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面(上側の表面)に上方から対向する対向部材6と、対向面6aに取り付けられた光源としての複数のランプ80とを含む。
対向部材6は、基板Wとほぼ同じ径またはそれ以上の径を有する円板状に形成されている。対向面6aは、スピンチャック5よりも上方でほぼ水平面に沿って配置されている。対向部材6において対向面6aとは反対側には、回転軸60が固定されている。対向部材6は、対向面6aと基板Wの上面との間の空間内の雰囲気を当該空間の外部の雰囲気から遮断する。そのため、対向部材6は、遮断板ともいう。
複数のランプ80は、対向面6aの全域に等間隔で配置されている。複数のランプ80には、通電させたり複数のランプ80への通電を停止したりするように構成されている通電ユニット85が接続されている。ランプ80は通電されることにより光を出射する。各ランプ80か出射される光は、たとえば、赤外線、紫外線、可視光等が挙げられる。ランプ80は、たとえば、エキシマランプ、キセノンランプ、水銀ランプ、重水素ランプ、LEDランプ等である。ランプ80から出射される光は、たとえば、200nm以上760nm以下の波長を有することが好ましい。
対向部材6は、昇降機構61によって鉛直方向に移動される。昇降機構61は、たとえば、回転軸60を支持する支持部材(図示せず)に結合されたボールねじ機構(図示せず)と、当該ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータ(図示せず)とを含む。昇降機構61は、対向部材リフタ(遮断板リフタ)ともいう。昇降機構61は、対向部材6とともに複数のランプ80を鉛直方向に移動させる。昇降機構61は、ランプ昇降ユニット(ランプリフタ)の一例である。
図5は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
コントローラ3は、マイクロコンピュータを備え、所定の制御プログラムに従って基板処理装置1に備えられた制御対象を制御する。
具体的には、コントローラ3は、プロセッサ3A(CPU)と、制御プログラムが格納されたメモリ3Bとを含む。コントローラ3は、プロセッサ3Aが制御プログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。とくに、コントローラ3は、搬送ロボットIR,CR、回転駆動機構23、ノズル移動機構35,36,37、通電ユニット85、昇降機構61、ポリマー含有液バルブ50、剥離液バルブ51、残渣溶解液バルブ52等を制御するようにプログラムされている。
また、図5には、代表的な部材が図示されているが、図示されていない部材についてコントローラ3によって制御されないことを意味するものではなく、コントローラ3は、基板処理装置1に備えられる各部材を適切に制御することができる。図5には、後述する変形例および第2実施形態で説明する部材についても併記しており、これらの部材もコントローラ3によって制御される。
後述する図6に示す各工程は、コントローラ3が基板処理装置1に備えられる各部材を制御することにより実行される。言い換えると、コントローラ3は、後述する図6に示す各工程を実行するようにプログラムされている。
<第1基板処理>
図6は、基板処理装置1によって実行される第1基板処理を説明するためのフローチャートである。図7は、第1基板処理中の基板Wの上面の様子について説明するための模式図である。
図6は、基板処理装置1によって実行される第1基板処理を説明するためのフローチャートである。図7は、第1基板処理中の基板Wの上面の様子について説明するための模式図である。
基板処理装置1による第1基板処理では、図6に示すように、ポリマー含有液供給工程(ステップS1)、ポリマー膜形成工程(ステップS2)、加熱工程(ステップS3)、剥離液供給工程(ステップS4)、残渣溶解工程(ステップS5)、および、スピンドライ工程(ステップS6)が実行される。以下では、図2および図6を主に参照して、第1基板処理の詳細について説明する。図7については適宜参照する。
まず、未処理の基板Wは、搬送ロボットCR(図1を参照)によってキャリアCからウェット処理ユニット2Wに搬入され、スピンチャック5に渡される(搬入工程)。これにより、基板Wは、スピンチャック5によって保持位置に保持される(基板保持工程)。基板Wは、スピンチャック5に保持されている状態で、回転軸線A1のまわりに回転される(基板回転工程)。基板Wは、スピンドライ工程(ステップS6)が終了するまで、スピンチャック5によって保持され続ける。
基板Wがスピンチャック5に保持された後、基板Wの上面にポリマー含有液を供給するポリマー含有液供給工程(ステップS1)が実行される。具体的には、ポリマー含有液ノズル9が処理位置に配置される。処理位置は、たとえば、中心位置である。第1基板処理では、特に説明がある場合を除いて、以下の各処理液ノズルの処理位置も中心位置である。
ポリマー含有液ノズル9が処理位置する状態で、ポリマー含有液バルブ50が開かれる。これにより、図7(a)に示すように、ポリマー含有液ノズル9からポリマー含有液が吐出され、基板Wの上面にポリマー含有液が着液する。基板Wの上面に着液したポリマー含有液は、基板Wの上面を広がり基板Wの上面の全体に行き渡り、基板Wの上面の全体に塗り広げられる(塗布工程)。すなわち、基板Wの上面にポリマー含有液が供給される。ポリマー含有液は、たとえば、0.06L/minで4秒間、基板Wの上面に供給される。ポリマー含有液が基板Wの上面に供給されている間、基板Wは、たとえば、0rpm以上1500rpm以下の回転速度で回転される。
次に、基板Wの上面へのポリマー含有液の供給を停止した状態で、基板Wを回転させることで、基板Wの上面にポリマー膜100を形成するポリマー膜形成工程(ステップS2)が実行される。
具体的には、少なくとも基板Wの上面の中心部にポリマー含有液が付着した後に、ポリマー含有液バルブ50が閉じられる。これにより、ポリマー含有液ノズル9からのポリマー含有液の吐出が停止され、基板Wの上面への新たなポリマー含有液の供給が停止される。ポリマー含有液の供給が停止されて基板Wの上面に付着しているポリマー含有液から溶媒の少なくとも一部が蒸発することによって、図7(b)に示すように、基板Wの上面にポリマー膜100が形成される。ポリマー含有液ノズル9は、基板Wの上面にポリマー膜100を形成するポリマー膜形成部材の一例である。
なお、ポリマー含有液バルブ50が閉じられた後においても、基板Wの回転が継続される。ポリマー含有液バルブ50が閉じられた後、基板Wは、たとえば、0rpm以上2500rpm以下の回転速度で60秒間回転される。基板Wの回転に起因する遠心力は、基板W上のポリマー含有液だけでなく、基板W上のポリマー含有液に接する気体にも作用する。そのため、遠心力の作用により、当該気体が基板Wの中心側から周縁側に向かう気流が形成される。この気流により、基板W上のポリマー含有液に接する気体状態の溶媒が基板Wに接する雰囲気から排除される。そのため、基板W上のポリマー含有液からの溶媒の蒸発(揮発)が促進される。
ポリマー膜100は、ポリマー含有液よりも溶媒の含有量が少ないため、ポリマー含有液と比較して粘度が高い。そのため、ポリマー膜100は、基板Wが回転しているにもかかわらず、基板W上から完全に排除されずに基板W上に留まる。
次に、基板Wの上面上のポリマー膜100に光を照射する光照射工程(ステップS3)が実行される。
具体的には、光出射部材8を所定の照射位置に配置した状態でランプ80を通電する。これにより、図7(c)に示すように、光出射部材8から基板Wの上面へ向けて光が出射され、光出射部材8から出射された光が、基板Wの上面上のポリマー膜100に照射される。詳しくは後述するが、これにより、ポリマー膜100に含有される光反応化合物の構造が変化し、ポリマー膜100の少なくとも一部が基板Wの上面から剥離される。基板Wの上面への光照射は、たとえば、60秒間実行される。光照射中の基板Wの回転速度は、たとえば、0rpm以上2500rpm以下である。
次に、基板Wの上面に剥離液を供給する剥離液供給工程(ステップS4)が実行される。
具体的には、光出射部材8からの光の出射が停止され、その後、剥離液ノズル10が処理位置に配置される。剥離液ノズル10が処理位置に配置されている状態で、剥離液バルブ51が開かれる。これにより、図7(d)に示すように、剥離液ノズル10から基板Wの上面へ向けて剥離液が吐出される。基板Wの上面へ向けて吐出された剥離液は、ポリマー膜100に含有される高溶解性物質を溶解しながら、ポリマー膜100を剥離する。剥離液ノズル10からの剥離液の吐出を継続することで、図7(e)に示すように、基板Wの上面からポリマー膜100が除去される(ポリマー膜除去工程)。このように、剥離液ノズル10は、基板Wの上面に剥離液を供給する剥離液供給処理を実行する剥離液供給部材として機能する。さらにいうと、剥離液ノズル10は、ポリマー膜100を基板Wの上面から除去するポリマー膜除去処理を実行するポリマー膜除去部材の一例である。
剥離液は、たとえば、2L/minで60秒間、基板Wの上面に供給される。剥離液が基板Wの上面に供給されている間、基板Wは、たとえば、0rpm以上2500rpm以下の回転速度で回転される。
次に、基板Wの上面に残渣溶解液を供給する残渣溶解工程(ステップS5)が実行される。
具体的には、剥離液バルブ51が閉じられ、その代わりに、残渣溶解液ノズル11が処理位置に配置されて残渣溶解液バルブ52が開かれる。これにより、剥離液ノズル10からの剥離液の吐出が停止され、図7(f)に示すように、残渣溶解液ノズル11から基板Wの上面へ向けて残渣溶解液が吐出される。基板Wの上面へ向けて吐出された残渣除去液は、剥離液によってポリマー膜100が除去された後に基板Wの上面に残留する残渣を溶解させる。残渣溶解液は、たとえば、1L/minで30秒間、基板Wの上面に供給される。残渣溶解液が基板Wの上面に供給されている間、基板Wは、たとえば、0rpm以上2500rpm以下の回転速度で回転される。
次に、基板Wを高速回転させて基板Wの上面を乾燥させるスピンドライ工程(ステップS6)が実行される。具体的には、残渣溶解液バルブ52が閉じられる。これにより、基板Wの上面への残渣溶解液の供給が停止される。
そして、回転駆動機構23が基板Wの回転を加速し、基板Wを高速回転させる。基板Wは、スピンドライ速度、たとえば、1500rpmで回転される。それによって、大きな遠心力が基板W上の残渣溶解液に作用し、基板W上の残渣溶解液が基板Wの周囲に振り切られる。そして、回転駆動機構23が基板Wの回転を停止させる。搬送ロボットCRが、ウェット処理ユニット2Wに進入して、スピンチャック5から処理済みの基板Wをすくい取って、ウェット処理ユニット2W外へと搬出する(搬出工程)。その基板Wは、搬送ロボットCRから搬送ロボットIRへと渡され、搬送ロボットIRによって、キャリアCに収納される。
次に、図8A~図8Dを用いて、第1基板処理においてポリマー膜100が除去されるメカニズムの一例について説明する。必ずしも以下に説明するメカニズムに基づいて、ポリマー膜100が基板Wの上面から除去されるというものではなく、光反応化合物の構造変化によってポリマー膜100の少なくとも一部が基板Wの上面から引き離されて、最終的にポリマー膜100が基板Wの上面から除去されればよい。図8A~図8Dは、第1基板処理においてポリマー膜100が除去される様子について説明するための模式図である。
ポリマー膜形成工程(ステップS2)において形成されたポリマー膜100は、図8Aに示すように、基板Wの上面に付着しているパーティクル150(除去対象物)を保持している。ポリマー膜100は、固体状態の高溶解性物質102(高溶解性固体)と、固体状態のポリマー成分101と、固体状態の光反応化合物103(光反応化合物固体)とを含有している。
図8Bを参照して、光照射工程(ステップS3)において、ポリマー膜100に対して紫外線等の光が照射されることによって、ポリマー膜100中の光反応化合物103の構造が第1構造121(図8Aを参照)から第2構造122に変化し、ポリマー膜100が湾曲するように変形する。ポリマー膜100の湾曲によって、ポリマー膜100が分裂し、複数の第1湾曲膜片131が形成される。第1湾曲膜片131は、たとえば、ポリマー膜100の厚さ方向に対する交差方向における両端部が基板Wの上面から離間するように湾曲している。すなわち、第1湾曲膜片131は、弓形状を有していてもよい。ポリマー膜100の湾曲によって、ポリマー膜100の少なくとも一部(第1湾曲膜片131の両端部131a)が基板Wの上面から剥離される(湾曲剥離工程)。
光反応化合物103がジアリルエテン系化合物である場合には、第1構造121が開環体であり、第2構造122が閉環体である(図3を参照)。図3において、Meは、メチル基を意味する。光反応化合物がアゾベンゼン系化合物である場合には、第1構造121がトランス体であり、第2構造122がシス体である(図4を参照)。
図8Cを参照して、剥離液供給工程(ステップS3)において、基板Wの上面に向けて剥離液が供給される。第1湾曲膜片131同士の間の隙間Gを通って剥離液が、ポリマー膜100(第1湾曲膜片131)と基板Wの上面との界面に剥離液が進入する。これにより、ポリマー膜100の剥離が促進される。なお、剥離液の液膜の厚さとポリマー膜100との厚さとの関係性は、図8Cに示すものに限られない。
また、ポリマー膜100(第1湾曲膜片131)に剥離液が接触することによって、高溶解性物質102が剥離液に選択的に溶解される。すなわち、ポリマー膜100が部分的に溶解される(溶解工程、部分溶解工程)。ここで、ポリマー含有液の溶媒と剥離液とが混和可能であり、かつ、ポリマー膜100中に溶媒が適度に残留している場合には、剥離液は、ポリマー膜100に残留している溶媒に溶け込みながら高溶解性物質102を溶解させることができる。そのため、高溶解性物質102を速やかに溶解させることができる。
「高溶解性物質102が選択的に溶解される」とは、高溶解性物質102のみが溶解されるという意味ではない。「高溶解性物質102が選択的に溶解される」とは、ポリマー成分101も僅かに溶解されるが、大部分の高溶解性物質102が溶解されるという意味である。
高溶解性物質102の選択的な溶解をきっかけとして、ポリマー膜100において高溶解性物質102が偏在している部分を起点としてクラック104が形成される(クラック形成工程)。
図8Dを参照して、クラック104の形成に起因して第1湾曲膜片131がさらに分裂して、第1湾曲膜片131よりも細かな複数の第2湾曲膜片132が形成される。このように、剥離液によって、ポリマー膜100の分裂を促進しながら、ポリマー膜100を基板Wの上面から剥離することができる。
そして、剥離液の供給を継続することによって、複数の第2湾曲膜片132となったポリマー膜100が、パーティクル150を保持している状態で、剥離液によって洗い流される。言い換えると、パーティクル150を保持する複数の第2湾曲膜片132が基板W外に押し出されて基板Wの上面から排除される(ポリマー膜排除工程、除去対象物排除工程)。これにより、基板Wの上面を良好に洗浄することができる。その後、残渣除去工程(ステップS5)が実行される(図6も参照)。
<第2基板処理>
図9は、基板処理装置1によって実行される第2基板処理を説明するためのフローチャートである。図10は、第2基板処理においてポリマー膜100が剥離される様子について説明するための模式図である。
図9は、基板処理装置1によって実行される第2基板処理を説明するためのフローチャートである。図10は、第2基板処理においてポリマー膜100が剥離される様子について説明するための模式図である。
第2基板処理が第1基板処理(図6を参照)と主に異なる点は、光照射工程(ステップS3)および剥離液供給工程(ステップS4)が並行して行われる点である。具体的には、ポリマー膜100が形成された状態の基板Wの上面に対して光出射部材8からの光を照射しながら、剥離液ノズル10から吐出される剥離液が基板Wの上面に供給される。光照射は、剥離液の供給の全期間において実行されている必要はなく、剥離液の供給の一部の期間において、光照射が行われればよい。
図10に示す第2基板処理のメカニズムは、第1基板処理に示すメカニズム(図8A~図8Dを参照)と異なり、光照射によってポリマー膜100を湾曲するように変形させながら、剥離液によって高溶解性物質102を選択的に溶解させることができる。
第1実施形態によれば、基板Wの上面上のポリマー膜100に含有される光反応化合物103の構造が光照射によって変化する。そのため、光照射によってポリマー膜100が変形し、基板Wの上面からポリマー膜100の少なくとも一部が基板Wの上面から引き離される。基板Wの上面からポリマー膜100を引き離すことによって、ポリマー膜100に保持されているパーティクル150を基板Wの上面から引き離すことができる。パーティクル150がポリマー膜100とともに基板Wの上面から引き離されている状態でポリマー膜100を基板Wの上面から除去することによって、基板Wの上面からパーティクル150を効果的に除去することができる。
また、第1実施形態によれば、光反応化合物103が、ジアリルエテン系化合物、および、アゾベンゼン系化合物の少なくともいずれかを含む。ジアリルエテン系化合物、およびアゾベンゼン系化合物は、光照射によって構造が変化する。ポリマー膜100中の成分の構造変化によってポリマー膜100が変形し、基板Wの上面からポリマー膜100の少なくとも一部が基板Wの上面から引き離される。
また第1実施形態によれば、ポリマー膜除去処理として剥離液供給処理が実行される。そのため、剥離液によってポリマー膜100の剥離を促進し、基板Wの上面からパーティクル150を効果的に除去することができる。
また第1実施形態によれば、基板Wの上面に形成されるポリマー膜100は、ポリマー成分101および光反応化合物103に加えて、高溶解性物質102を含有する。そのため、剥離液によって高溶解性物質102を溶解しつつ、基板Wの上面にポリマー膜100を維持することができる。したがって、ポリマー成分101でパーティクル150を保持しながら、ポリマー膜100と基板Wの上面との界面に剥離液を作用させることができる。その結果、ポリマー膜100を基板Wの上面から速やかに剥離しつつ、ポリマー膜100とともにパーティクル150を基板Wの上面から効率良く除去することができる。
また、ポリマー膜100への光照射が遮光性のチャンバ4内で行われる。そのため、ポリマー膜100中の光反応化合物103の意図しない構造変化を抑制することができる。そのため、光出射部材8から出射される光によってポリマー膜100を効果的に変形させることができる。
<第2実施形態に係る基板処理装置の構成>
次に、第2実施形態に係る基板処理装置1Aの構成について説明する。基板処理装置1Aのレイアウトは、第1実施形態に係る基板処理装置1と同様である(図1を参照)。図11は、基板処理装置1Aに備えられるウェット処理ユニット2Wの構成を説明するための模式図である。図11において、前述の図1~図10に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。後述する図12~図14についても同様である。
次に、第2実施形態に係る基板処理装置1Aの構成について説明する。基板処理装置1Aのレイアウトは、第1実施形態に係る基板処理装置1と同様である(図1を参照)。図11は、基板処理装置1Aに備えられるウェット処理ユニット2Wの構成を説明するための模式図である。図11において、前述の図1~図10に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。後述する図12~図14についても同様である。
第2実施形態に係る処理ユニット2が、第1実施形態に係るウェット処理ユニット2W(図2を参照)と主に異なる点は、剥離液ノズル10の代わりに、吸引ノズル12が設けられている点、および、ポリマー含有液に高溶解性物質が含有されていない点である。
吸引ノズル12は、ポリマー膜除去処理として、基板Wの上面上のポリマー膜100を吸引して基板Wの上面からポリマー膜100を除去する吸引除去処理を実行する吸引部材の一例である。吸引ノズル12は、吸引配管43に接続されている。吸引配管43は、真空ポンプ等の吸引装置55に連結されている。吸引装置55は、基板処理装置1Aの一部を構成していてもよいし、基板処理装置1Aを設置する施設に備えられた基板処理装置1Aとは別の装置であってもよい。吸引配管43には、吸引配管43を開閉する吸引バルブ53が設けられている。吸引バルブ53を開くことによって、吸引ノズル12は、吸引ノズル12の吸引口12aに接する雰囲気を吸引する。
吸引ノズル12は、ノズル移動機構38によって移動可能である。ノズル移動機構38は、吸引ノズル12を水平方向に移動させることができる。吸引ノズル12は、基板Wの上面の中心部に対向する中心位置と、平面視で処理カップ7の外側に位置する退避位置との間で移動可能である。ノズル移動機構38の構成は、他のノズル移動機構35,36,37と同様である。
<第2実施形態に係る基板処理装置による基板処理>
次に、基板処理装置1Aによる基板処理の一例について説明する。図12は、基板処理装置1Aによって実行される基板処理を説明するためのフローチャートである。図13は、基板処理装置1Aによって実行される基板処理中の基板Wの様子について説明するための模式図である。
次に、基板処理装置1Aによる基板処理の一例について説明する。図12は、基板処理装置1Aによって実行される基板処理を説明するためのフローチャートである。図13は、基板処理装置1Aによって実行される基板処理中の基板Wの様子について説明するための模式図である。
第2実施形態に係る基板処理装置1Aによる基板処理では、図12に示すように、ポリマー含有液供給工程(ステップS1)、ポリマー膜形成工程(ステップS2)、光照射工程(ステップS3)および吸引除去工程(ステップS7)が実行される。以下では、図11および図12を主に参照して、基板処理の詳細について、第1実施形態に係る基板処理装置1による第1基板処理(図6および図7を参照)との相違点を中心に説明する。図13については適宜参照する。
第1基板処理と同様に、図13(a)に示すように、基板Wの上面にポリマー含有液を供給するポリマー含有液供給工程(ステップS1)が実行され、その後、図13(b)に示すように、基板Wの上面にポリマー膜100が形成される(ポリマー膜形成工程:ステップS2)。さらにその後、図13(c)に示すように、基板Wの上面上のポリマー膜100に光を照射する光照射工程(ステップS3)が実行される。
次に、基板Wの上面上のポリマー膜100を吸引して基板Wの上面からポリマー膜100を除去する吸引除去工程(ステップS7)が実行される。
具体的には、光出射部材8からの光の出射が停止され、その後、吸引ノズル12が基板Wの上面に対向する位置に配置される。吸引ノズル12が基板Wの上面に対向する状態で、吸引バルブ53が開かれる。これにより、図13(d)に示すように、基板Wの上面上のポリマー膜100が吸引ノズル12の吸引口12aから吸引される。吸引ノズル12による吸引を継続することで、図13(e)に示すように、基板Wの上面からポリマー膜100が除去される(ポリマー膜除去工程)。吸引バルブ53を開いた後、ノズル移動機構38が吸引ノズル12を回転状態の基板Wの上面に対向させながら水平方向に移動させることでポリマー膜100を基板の上面の全体から満遍なく除去することができる。吸引ノズル12流量は、たとえば、2L/minの吸引流量で60秒間実行され、吸引ノズル12による吸引が行われている間、基板Wは、たとえば、0rpm以上100rpm以下で回転される。
このように、吸引ノズル12は、基板Wの上面からポリマー膜100を吸引して基板Wの上面から除去する吸引除去処理を実行する吸引除去部材として機能する。さらにいうと、吸引ノズル12は、ポリマー膜100を基板Wの上面から除去するポリマー膜除去処理を実行するポリマー膜除去部材の一例である。
次に、図14A~図14Cを用いて、第2実施形態に係る基板処理においてポリマー膜100が除去されるメカニズムの一例について説明する。必ずしも以下に説明するメカニズムに基づいて、ポリマー膜100が基板Wの上面から除去されるというものではなく、光反応化合物の構造変化によってポリマー膜100の少なくとも一部が基板Wの上面から引き離されて、最終的にポリマー膜100が基板Wの上面から除去されればよい。図14A~図14Cは、第2実施形態に係る基板処理においてポリマー膜100が除去される様子について説明するための模式図である。
ポリマー膜形成工程(ステップS2)において形成されたポリマー膜100は、図14Aに示すように、基板Wの上面に付着しているパーティクル150(除去対象物)を保持している。ポリマー膜100は、固体状態のポリマー成分101と、固体状態の光反応化合物103(光反応化合物固体)とを含有している。
図14Bを参照して、光照射工程(ステップS3)において、ポリマー膜100に対して紫外線等の光が照射されることによって、ポリマー膜100中の光反応化合物103の構造が第1構造121(図14Aを参照)から第2構造122に変化し、ポリマー膜100が湾曲するように変形する。ポリマー膜100の湾曲によって、ポリマー膜100が分裂し、複数の湾曲膜片133が形成される。
光反応化合物103がジアリルエテン系化合物である場合には、第1構造121が開環体であり、第2構造122が閉環体である。光反応化合物がアゾベンゼン系化合物である場合には、第1構造121がトランス体であり、第2構造122がシス体である。
図14Cを参照して、吸引除去工程(ステップS7)において、吸引ノズル12によって基板Wの上面上の複数の湾曲膜片133が吸引される。これにより、基板Wの上面から複数の湾曲膜片133が除去される。光照射によって、ポリマー膜100の少なくとも一部が基板Wの上面から剥離されており、かつ、ポリマー膜100が分裂しているため、光照射されていないポリマー膜100を基板Wから引き離す場合と比較して、吸引ノズル12の吸引力によって基板Wの上面から引き離しやすい。
第2実施形態によれば、基板Wの上面上のポリマー膜100に含有される光反応化合物103の構造が光照射によって変化する。そのため、光照射によってポリマー膜100が変形し、基板Wの上面からポリマー膜100の少なくとも一部が基板Wの上面から引き離される。基板Wの上面からポリマー膜100を引き離すことによって、ポリマー膜100に保持されているパーティクル150を基板Wの上面から引き離すことができる。パーティクル150がポリマー膜100とともに基板Wの上面から引き離されている状態でポリマー膜100を基板Wの上面から除去することによって、基板Wの上面からパーティクル150を効果的に除去することができる。
また第2実施形態によれば、光反応化合物103が、ジアリルエテン系化合物、および、アゾベンゼン系化合物の少なくともいずれかを含む。ジアリルエテン系化合物、およびアゾベンゼン系化合物は、光照射によって構造が変化する。このような構造変化によってポリマー膜100が変形し、基板Wの上面からポリマー膜100の少なくとも一部が基板Wの上面から引き離される。
また第2実施形態によれば、基板Wの上面からポリマー膜100の少なくとも一部が基板Wの上面から引き離されているため、ポリマー膜100は、光照射を行う前よりも基板Wの上面から剥離し易い。そのため、吸引によってポリマー膜100を基板Wの上面から除去できる。
また、基板Wの上面に剥離液を供給することなく吸引によってポリマー膜100を除去できれば、基板Wの上面を乾燥させる手間を省くことができる。
<光出射部材の変形例>
次に、光出射部材8の変形例について説明する。光出射部材8の構成は、図2および図11に示すものに限られず、基板Wの主面上に形成されたポリマー膜100に所望の光を照射できるように構成されていればよい。たとえば、光出射部材は、図15~図17に示す構成を採ることが可能である。
次に、光出射部材8の変形例について説明する。光出射部材8の構成は、図2および図11に示すものに限られず、基板Wの主面上に形成されたポリマー膜100に所望の光を照射できるように構成されていればよい。たとえば、光出射部材は、図15~図17に示す構成を採ることが可能である。
図15は、光出射部材の第1変形例について説明するための模式図である。図16は、光出射部材の第2変形例について説明するための模式図である。図17は、光出射部材の第3変形例について説明するための模式図である。
図15を参照して、光出射部材8は、チャンバ4内に設けられた移動機構86によって、照射位置とホーム位置(退避位置)との間で水平方向に移動するように構成されていてもよい。
照射位置は、基板Wの上面に光出射部材8が対向する位置である。照射位置は、光出射部材8から基板Wの上面への光の照射が可能な位置である。退避位置は、光出射部材8から基板Wの上面へ光が照射されない位置である。光出射部材8は、照射位置に位置するときに、光出射部材8が基板Wの上面に対向する。光出射部材8は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。
第1変形例に係る光出射部材8は、ランプ80と、ランプ80を収容するランプホルダ81とを含む。移動機構86は、ランプホルダ81を支持するアーム87と、アーム87に接続され鉛直に延びる回動軸89と、回動軸89を介してアーム87を移動させるアーム駆動機構88とを含む。アーム駆動機構88は、たとえば、アーム87を水平移動させるために回動軸89をその中心軸線(回動軸線A2)まわりに回転させるモータと、回動軸89とともにアーム87を昇降させるボールねじ機構とを含む。
第1変形例では、基板Wの上面に対して平行な方向に光出射部材8を移動させながら、基板Wの上面に光を照射することができる。
図16に示す第2変形例では、ランプ80は、直線状に延びるアーム87内に配置された棒状である。この場合、図15に示す第1変形例よりも広範囲に光を照射することができる。
図17に示す第3変形例では、光出射部材8は、図2、図9および図11に示すウェット処理ユニット2Wとは別に基板処理装置1,1Aに設けられたドライ処理ユニット2Dに光出射部材202が設けられている。
ドライ処理ユニット2Dは、ドライチャンバ200と、ドライチャンバ200内に配置され基板Wを載置する載置台201と、載置台201に載置されている基板Wの上面に向けて光を出射する光出射部材202とを含む。光出射部材202は、載置台201上の基板Wの上面に対向する対向面203aを有する対向部材203と、対向部材203に取り付けられた光源としての複数のランプ204とを含む。ランプ204には、電させたり複数のランプ204への通電を停止したりするように構成されている通電ユニット205が接続されている。ランプ204の詳細は、上述のランプ80(図2を参照)と同様である。
第3変形例において、ウェット処理ユニット2Wのスピンチャック5は、第1保持位置に基板Wを保持する第1基板保持部材として機能し、ドライ処理ユニット2Dの載置台201は、第2保持位置に基板Wを保持する第2基板保持部材として機能する。第1基板保持部材および第2基板保持部材は、基板保持部材を構成する。
基板Wは、搬送ロボットCRによって、ウェット処理ユニット2Wおよびドライ処理ユニット2Dの間で搬送される。そのため、ポリマー膜形成工程(ステップS2)がウェット処理ユニット2Wで行われ、基板Wがドライ処理ユニット2Dに搬送される。その後、光照射工程(ステップS3)がドライ処理ユニット2Dで行われ、基板Wがウェット処理ユニット2Wに搬送される。そして、ウェット処理ユニット2W内で、第1実施形態に係る第1基板処理(図6を参照)の剥離液供給工程(ステップS4)~スピンドライ工程(ステップS6)、または、第2実施形態に係る基板処理(図13を参照)の吸引除去工程(ステップS7)が実行される。
以下では、上述した各実施形態で用いられるポリマーおよび高溶解性物質について説明する。
以下では、「Cx~y」、「Cx~Cy」および「Cx」などの記載は、分子または置換基中の炭素の数を意味する。例えば、C1~6アルキルは、1以上6以下の炭素を有するアルキル鎖(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等)を意味する。
ポリマーが複数種類の繰り返し単位を有する場合、これらの繰り返し単位は共重合する。特に限定されて言及されない限り、これら共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合、またはこれらの混在のいずれであってもよい。ポリマーや樹脂を構造式で示す際、括弧に併記されるnやm等は繰り返し数を示す。
<ポリマー含有液に含有されるポリマー成分(低溶解性物質)>
(A)ポリマー成分は、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリマレイン酸誘導体、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、およびこれらの組合せの共重合体、の少なくとも1つを含む。好ましくは、(A)ポリマー成分は、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸誘導体、およびこれらの組合せの共重合体、の少なくとも1つを含んでいてもよい。さらに好ましくは、(A)ポリマー成分は、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリカーボネート、およびこれらの組合せの共重合体、の少なくとも1つを含んでいてもよい。ノボラックはフェノールノボラックであってもよい。
(A)ポリマー成分は、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリマレイン酸誘導体、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、およびこれらの組合せの共重合体、の少なくとも1つを含む。好ましくは、(A)ポリマー成分は、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸誘導体、およびこれらの組合せの共重合体、の少なくとも1つを含んでいてもよい。さらに好ましくは、(A)ポリマー成分は、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリカーボネート、およびこれらの組合せの共重合体、の少なくとも1つを含んでいてもよい。ノボラックはフェノールノボラックであってもよい。
ポリマー含有液は(A)ポリマー成分として、上記の好適例を1または2以上組み合わせて含んでも良い。たとえば、(A)ポリマー成分はノボラックとポリヒドロキシスチレンの双方を含んでもよい。
(A)ポリマー成分は乾燥されることで膜化し、前記膜は剥離液で大部分が溶解されることなく除去対象物を保持したまま剥がされることが、好適な一態様である。なお、剥離液によって(A)ポリマー成分のごく一部が溶解される態様は許容される。
好ましくは、(A)ポリマー成分はフッ素および/またはケイ素を含有せず、より好ましくは双方を含有しない。
前記共重合はランダム共重合、ブロック共重合が好ましい。
権利範囲を限定する意図はないが、(A)ポリマー成分の具体例として、下記化学式9~化学式15に示す各化合物が挙げられる。
(アスタリスク*は、隣接した構成単位への結合を示す。)
(RはC1~4アルキル等の置換基を意味する。アスタリスク*は、隣接した構成単位への結合を示す。)
(Meは、メチル基を意味する。)
(A)ポリマー成分の重量平均分子量(Mw)は好ましくは150~500,000であり、より好ましくは300~300,000であり、さらに好ましくは500~100,000であり、よりさらに好ましくは1,000~50,000である。
(A)ポリマー成分の重量平均分子量(Mw)は好ましくは150~500,000であり、より好ましくは300~300,000であり、さらに好ましくは500~100,000であり、よりさらに好ましくは1,000~50,000である。
溶解性は公知の方法で評価することができる。例えば、20℃~35℃(さらに好ましくは25±2℃)の条件において、フラスコに前記(A)または後述の(B)を5.0質量%アンモニア水に100ppm添加し、蓋をし、振とう器で3時間振とうすることで、(A)または(B)が溶解したかで求めることができる。振とうは攪拌であっても良い。溶解は目視で判断することもできる。溶解しなければ溶解性100ppm未満、溶解すれば溶解性100ppm以上とする。溶解性が100ppm未満は不溶または難溶、溶解性が100ppm以上は可溶とする。広義には、可溶は微溶を含む。不溶、難溶、可溶の順で溶解性が低い。狭義には、微溶は可溶よりも溶解性が低く、難溶よりも溶解性が高い。
<ポリマー含有液に含有される高溶解性物質>
(B)高溶解性物質は(B’)クラック促進成分である。(B’)クラック促進成分は、炭化水素を含んでおり、さらにヒドロキシ基(-OH)および/またはカルボニル基(-C(=O)-)を含んでいる。(B’)クラック促進成分がポリマーである場合、構成単位の1種が1単位ごとに炭化水素を含んでおり、さらにヒドロキシ基および/またはカルボニル基を有する。カルボニル基とは、カルボン酸(-COOH)、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、エノンが挙げられ、カルボン酸が好ましい。
(B)高溶解性物質は(B’)クラック促進成分である。(B’)クラック促進成分は、炭化水素を含んでおり、さらにヒドロキシ基(-OH)および/またはカルボニル基(-C(=O)-)を含んでいる。(B’)クラック促進成分がポリマーである場合、構成単位の1種が1単位ごとに炭化水素を含んでおり、さらにヒドロキシ基および/またはカルボニル基を有する。カルボニル基とは、カルボン酸(-COOH)、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、エノンが挙げられ、カルボン酸が好ましい。
権利範囲を限定する意図はなく、理論に拘束されないが、ポリマー含有液が乾燥され基板上にポリマー膜を形成し、剥離液がポリマー膜を剥離する際に(B)高溶解性物質が、ポリマー膜が剥がれるきっかけとなる部分を生むと考えられる。このために、(B)高溶解性物質は剥離液に対する溶解性が、(A)ポリマーよりも高いものであることが好ましい。(B’)クラック促進成分がカルボニル基としてケトンを含む態様として環形の炭化水素が挙げられる。具体例として、1,2-シクロヘキサンジオンや1,3-シクロヘキサンジオンが挙げられる。
より具体的な態様として、(B)高溶解性物質は、下記(B-1)、(B-2)および(B-3)の少なくともいずれか1つで表される。
(B-1)は下記化学式16を構成単位として1~6つ含んでなり(好適には1~4つ)、各構成単位が連結基(リンカーL1)で結合される化合物である。ここで、リンカーL1は、単結合であってもよいし、C1~6アルキレンであってもよい。前記C1~6アルキレンはリンカーとして構成単位を連結し、2価の基に限定されない。好ましくは2~4価である。前記C1~6アルキレンは直鎖、分岐のいずれであっても良い。
(B-1)は下記化学式16を構成単位として1~6つ含んでなり(好適には1~4つ)、各構成単位が連結基(リンカーL1)で結合される化合物である。ここで、リンカーL1は、単結合であってもよいし、C1~6アルキレンであってもよい。前記C1~6アルキレンはリンカーとして構成単位を連結し、2価の基に限定されない。好ましくは2~4価である。前記C1~6アルキレンは直鎖、分岐のいずれであっても良い。
Cy1はC5~30の炭化水素環であり、好ましくはフェニル、シクロヘキサンまたはナフチルであり、より好ましくはフェニルである。好適な態様として、リンカーL1は複数のCy1を連結する。
R1はそれぞれ独立にC1~5アルキルであり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、またはブチルである。前記C1~5アルキルは直鎖、分岐のいずれであっても良い。
nb1は1、2または3であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。nb1’は0、1、2、3または4であり、好ましくは0、1または2である。
下記化学式17は、化学式16に記載の構成単位を、リンカーL9を用いて表した化学式である。リンカーL9は単結合、メチレン、エチレン、またはプロピレンであることが好ましい。
権利範囲を限定する意図はないが、(B-1)の好適例として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’-メチレンビス(4-メチルフェノール)、2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール、1,3-シクロヘキサンジオール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,6-ナフタレンジオール、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、が挙げられる。これらは、重合や縮合によって得てもよい。
一例として下記化学式18に示す2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノールを取り上げ説明する。同化合物は(B-1)において、化学式16の構成単位を3つ有し、構成単位はリンカーL1(メチレン)で結合される。nb1=nb1’=1であり、R1はメチルである。
(B-2)は下記化学式19で表される。
R21、R22、R23、およびR24は、それぞれ独立に水素またはC1~5のアルキルであり、好ましくは水素、メチル、エチル、t-ブチル、またはイソプロピルであり、より好ましくは水素、メチル、またはエチルであり、さらに好ましくはメチルまたはエチルである。
リンカーL21およびリンカーL22は、それぞれ独立に、C1~20のアルキレン、C1~20のシクロアルキレン、C2~4のアルケニレン、C2~4のアルキニレン、またはC6~20のアリーレンである。これらの基はC1~5のアルキルまたはヒドロキシで置換されていてもよい。ここで、アルケニレンとは、1以上の二重結合を有する二価の炭化水素を意味し、アルキニレンとは、1以上の三重結合を有する二価の炭化水素基を意味するものとする。リンカーL21およびリンカーL22は、好ましくはC2~4のアルキレン、アセチレン(C2のアルキニレン)またはフェニレンであり、より好ましくはC2~4のアルキレンまたはアセチレンであり、さらに好ましくはアセチレンである。
nb2は0、1または2であり、好ましくは0または1、より好ましくは0である。
権利範囲を限定する意図はないが、(B-2)の好適例として、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、が挙げられる。別の一形態として、3-ヘキシン-2,5-ジオール、1,4-ブチンジオール、2,4-ヘキサジイン-1,6-ジオール、1,4-ブタンジオール、シス-1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、1,4-ベンゼンジメタノールも(B-2)の好適例として挙げられる。
(B-3)は下記化学式20で表される構成単位を含んでなり、重量平均分子量 (Mw)が500~10,000のポリマーである。Mwは、好ましくは600~5,000であり、より好ましくは700~3,000である。
ここで、R25は-H、-CH3、または-COOHであり、好ましくは-H、または-COOHである。1つの(B-3)ポリマーが、それぞれ化学式20で表される2種以上の構成単位を含んでなることも許容される。
権利範囲を限定する意図はないが、(B-3)ポリマーの好適例として、アクリル酸、マレイン酸、またはこれらの組合せの重合体が挙げられる。ポリアクリル酸、マレイン酸アクリル酸コポリマーがさらに好適な例である。
共重合の場合、好適にはランダム共重合またはブロック共重合であり、より好適にはランダム共重合である。
一例として、下記化学式21に示す、マレイン酸アクリル酸コポリマーを挙げて説明する。同コポリマーは(B-3)に含まれ、化学式20で表される2種の構成単位を有し、1の構成単位においてR25は-Hであり、別の構成単位においてR25は-COOHである。
言うまでもないが、ポリマー含有液は(B)高溶解性物質として、上記の好適例を1または2以上組み合わせて含んでも良い。例えば、(B)高溶解性物質は2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンと3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオールの双方を含んでも良い。
(B)高溶解性物質は、分子量80~10,000であってもよい。高溶解性物質は、好ましくは分子量90~5000であり、より好ましくは100~3000である。
<その他の実施形態>
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
(1)ポリマー含有液ノズル9からポリマー含有液が吐出されている間、基板Wを低速度(たとえば、10rpm)で回転させ、その後、ポリマー含有液ノズル9からのポリマー含有液の吐出が停止された後、基板Wの回転を加速し基板Wをスピンオフ速度(たとえば、1500rpm)で回転させてもよい。これにより、基板Wの上面の中央領域に付着しているポリマー含有液を基板Wの上面に薄く広げられ、基板Wの上面にポリマー含有液の薄膜を形成することができる。
(2)ポリマー膜除去処理は、光照射工程後に、ポリマー膜100を溶解させる溶解液を、基板Wの上面に向けて供給する溶解液供給処理であってもよい。光照射によってポリマー膜100の少なくとも一部が基板Wの上面から剥離されているため、溶解液を供給してポリマー膜100を溶解させたとしても、光照射に起因するポリマー膜100の剥離によって、基板Wの上面から引き離されたパーティクル150が溶解液とともに基板Wの上面から除去される。
(3)第2実施形態に係るポリマー含有液ノズル9から吐出されるポリマー含有液には、高溶解性物質が含有されていない。しかしながら、第2実施形態に係るポリマー含有液ノズル9から吐出されるポリマー含有液にも、高溶解性物質が含有されていてもよい。
(4)ポリマー膜100は、光照射によって、必ずしも弓形状に湾曲した湾曲膜片となる必要はなく、ポリマー膜100の少なくとも一部が剥離されればよい。たとえば、ポリマー膜100は、光照射によって、半球状に変形して、半球状の膜片が形成されてもよい。また、ポリマー膜100は、光照射によって、V字状に屈曲してもよいし、V字状の膜片が形成されてもよい。また、様々な形状の膜片が混在していてもよい。
(5)上述の各実施形態とは異なり、剥離液ノズル10および吸引ノズル12が設けられていてもよく、剥離液の供給と、ポリマー膜100の吸引との両方によって、ポリマー膜100が除去されてもよい。たとえば、ポリマー膜100を吸引によって除去した後に、基板Wの上面に剥離液が供給されてもよい。また、ポリマー膜100の吸引と、光照射とが並行して実行されてもよい。
(6)上述の各実施形態では、基板Wの上面に対して基板処理が実行される。しかしながら、基板Wの下面に対して基板処理が実行されてもよい。
(7)上述の各実施形態では、スピンチャック5は、基板Wの周縁を複数のチャックピン20で把持する把持式のスピンチャックである。しかしながら、スピンチャック5は、スピンベース20に基板Wを吸着させる真空吸着式のスピンチャックであってもよい。、
(8)スピンチャック5は、必ずしも基板Wを水平に保持する必要はない。すなわち、スピンチャック5は、基板Wを鉛直に保持してもよいし、基板Wの上面が水平面に対して傾斜するように基板Wを保持してもよい。
(8)スピンチャック5は、必ずしも基板Wを水平に保持する必要はない。すなわち、スピンチャック5は、基板Wを鉛直に保持してもよいし、基板Wの上面が水平面に対して傾斜するように基板Wを保持してもよい。
(9)上述の各実施形態では、複数のノズルから複数の流体がそれぞれ吐出されるように構成されている。しかしながら、各流体の吐出の態様は、上述の各実施形態に限定されない。
(10)上述の各実施形態において、配管、ポンプ、バルブ、アクチュエータ等についての図示を一部省略しているが、これらの部材が存在しないことを意味するものではなく、実際にはこれらの部材は適切な位置に設けられている。たとえば、対応する処理液ノズルから吐出される処理液の流量を調整する流量調整バルブ(図示せず)が各配管に設けられていてもよい。
(11)上述の各実施形態では、コントローラ3が基板処理装置1の全体を制御する。しかしながら、基板処理装置1の各部材を制御するコントローラは、複数箇所に分散されていてもよい。また、コントローラ3は、各部材を直接制御する必要はなく、コントローラ3から出力される信号は、基板処理装置1の各部材を制御するスレーブコントローラに受信されてもよい。
(12)また、上述の実施形態では、基板処理装置1が、搬送ロボットIR,CRと、複数の処理ユニット2と、コントローラ3とを備えている。しかしながら、基板処理装置1は、単一の処理ユニット2とコントローラ3とによって構成されており、搬送ロボットを含んでいなくてもよい。あるいは、基板処理装置1は、単一の処理ユニット2のみによって構成されていてもよい。言い換えると、処理ユニット2が基板処理装置の一例であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
1 :基板処理装置
1A :基板処理装置
5 :スピンチャック(基板保持部材)
8 :光出射部材
9 :ポリマー含有液ノズル(ポリマー膜形成部材)
10 :剥離液ノズル(剥離液供給部材、ポリマー膜除去部材)
12 :吸引ノズル(吸引部材、ポリマー膜除去部材)
100 :ポリマー膜
101 :ポリマー成分
102 :高溶解性物質
103 :光反応化合物
201 :載置台(基板保持部材)
202 :光出射部材
W :基板
1A :基板処理装置
5 :スピンチャック(基板保持部材)
8 :光出射部材
9 :ポリマー含有液ノズル(ポリマー膜形成部材)
10 :剥離液ノズル(剥離液供給部材、ポリマー膜除去部材)
12 :吸引ノズル(吸引部材、ポリマー膜除去部材)
100 :ポリマー膜
101 :ポリマー成分
102 :高溶解性物質
103 :光反応化合物
201 :載置台(基板保持部材)
202 :光出射部材
W :基板
Claims (12)
- 保持位置に基板を保持する基板保持部材と、
光照射によって構造が変化する光反応化合物およびポリマー成分を含有するポリマー膜を、前記保持位置に保持されている基板の主面に形成するポリマー膜形成部材と、
前記保持位置に保持されている基板の主面に向けて光を出射する光出射部材と、
前記保持位置に保持されている基板の主面に対して、ポリマー膜を除去するポリマー膜除去処理を実行するポリマー膜除去部材とを含む、基板処理装置。 - 前記光反応化合物が、ジアリルエテン系化合物、および、アゾベンゼン系化合物の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の基板処理装置。
- 前記ポリマー膜除去部材が、前記ポリマー膜除去処理として、前記ポリマー膜を剥離する剥離液を前記基板の主面に供給する剥離液供給処理を実行する剥離液供給部材を含む、請求項1または2に記載の基板処理装置。
- 前記ポリマー膜形成部材が、前記ポリマー成分よりも前記剥離液に対する溶解性が高い高溶解性物質をさらに含有する前記ポリマー膜を形成する、請求項3に記載の基板処理装置。
- 前記ポリマー膜除去部材が、前記ポリマー膜除去処理として、前記ポリマー膜を吸引して前記基板の主面から前記ポリマー膜を除去する吸引除去処理を実行する吸引部材を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記ポリマー膜除去処理において、前記光反応化合物の構造変化によって前記ポリマー膜を湾曲させることによって、前記ポリマー膜の少なくとも一部が前記基板の主面から引き離される、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 光照射によって構造が変化する光反応化合物およびポリマー成分を含有するポリマー膜を基板の主面に形成するポリマー膜形成工程と、
前記基板の主面上の前記ポリマー膜に光を照射する光照射工程と、
前記光照射工程の後、前記基板の主面から前記ポリマー膜を除去するポリマー膜除去工程とを含む、基板処理方法。 - 前記光反応化合物が、ジアリルエテン系化合物、および、アゾベンゼン系化合物の少なくとも一方を含む、請求項7に記載の基板処理方法。
- 前記ポリマー膜除去工程が、前記ポリマー膜を剥離する剥離液を前記基板の主面上の前記ポリマー膜に供給する剥離液供給工程を含む、請求項7または8に記載の基板処理方法。
- 前記ポリマー膜形成工程が、前記ポリマー成分よりも前記剥離液に対する溶解性が高い高溶解性物質をさらに含有する前記ポリマー膜を形成する工程を含む、請求項9に記載の基板処理方法。
- 前記ポリマー膜除去工程が、前記基板の主面上の前記ポリマー膜を吸引して前記基板の主面から前記ポリマー膜を除去する吸引除去工程を含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の基板処理方法。
- 前記ポリマー膜除去工程が、前記光反応化合物の構造変化によって前記ポリマー膜を湾曲させることによって、前記基板の主面から前記ポリマー膜を引き離す工程を含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の基板処理方法。
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