JP2023088220A - 建設機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】フロント作業機を構成する複数のフロント部材の接続ずれを検出することが可能な建設機械を提供する。【解決手段】コントローラ20は、複数の姿勢検出装置13~16の出力を基に車体2および複数のフロント部材4~6のそれぞれの、車体2の左右方向の傾斜角であるロール角を算出し、車体2および複数のフロント部材4~6のそれぞれについて、第1時刻で検出されたロール角と前記第1時刻とは異なる第2時刻で検出されたロール角との差分であるロール角変化量を算出し、車体2および複数のフロント部材4~6の各ロール角変化量に基づいてフロント作業機1の接続ずれの有無を判定する。【選択図】 図3
Description
本発明は、油圧ショベルなどのフロント作業機を有する建設機械に関するものである。
情報化施工への対応に伴い、ブーム、アーム、バケットなどの作業機構の位置や姿勢をオペレータへ表示するマシンガイダンスや、作業機構の位置を目標施工面に沿って動くように制御するマシンコントロールの機能を有する油圧ショベルが開発されている。
施工現場における自車の座標を利用して、マシンガイダンスやマシンコントロールの作業支援を行うものを3次元情報化施工(3D情報化施工)と呼ぶ。この3D情報化施工に対応する建設機械は自車位置を取得するためにGNSS(Global Navigation Satellite System)が備え付けられている。油圧ショベルのようにフロント作業機を備える建設機械では、自車の位置だけでなく、作業機が向いている方向(方位)も作業支援に必要になるため、上部旋回体に2つのGNSSアンテナを備えた建設機械が公知である。
マシンガイダンスシステムにおいては、バケットの先端位置(爪先)が施工目標面に沿って動作するようにオペレータに各種情報を提示するため、自車の位置だけでなく、フロント作業機の姿勢情報が重要になる。このため、ブーム、アーム、バケットには角度センサが取り付けられている。この角度センサには、取付けの容易性や、角度センサの応答性の観点でIMU(Inertial Measurement Unit)が選定されることが多い。このようなGNSSと角度センサを利用して油圧ショベルの姿勢情報を提供する方法を開示する先行技術文献として、特許文献1が挙げられる。
フロント作業機を構成する複数のフロント部材(ブーム、アーム、及びバケット)は、上部旋回体に対して上下又は前後方向に回動するようにピン連結されている。そして、特許文献1では、ブーム、アーム、及びバケットが上部旋回体に対して左右方向に変位しないと仮定し、角度センサから得られる情報のうち、ブーム、アーム、及びバケットの上下又は前後方向の回動角度(ピッチ角)のみを考慮してバケットの爪先位置を算出している(特許文献1の図4参照)。
しかし、実際の油圧ショベルでは、各フロント部材を滑らかに回動させるためにピンとフロント部材との間に「遊び」が設けてあり、ピン毎にガタがある。そのため、例えば油圧ショベルが斜面で作業する際に、上部旋回体の左右方向に重力が作用した場合、各フロント部材が上部旋回体に対して左右方向に変位する。その結果、実際のバケットの爪先位置とピンのガタを考慮せずに算出されたバケットの爪先位置との間に誤差が生じ、マシンガイダンスやマシンコントロールによる施工精度が低下するおそれがある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、フロント作業機を構成する複数のフロント部材の接続ずれを検出することが可能な建設機械を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、車体と、各々が回動可能に連結された複数のフロント部材を有し、前記車体に回動可能に連結されたフロント作業機と、前記車体および前記複数のフロント部材のそれぞれの姿勢を検出可能な複数の姿勢検出装置と、演算機能を有するコントローラとを備えた建設機械において、前記コントローラは、前記車体および前記複数のフロント部材のそれぞれについて、第1時刻で検出されたロール角と前記第1時刻とは異なる第2時刻で検出されたロール角との差分であるロール角変化量を算出し、前記車体および前記複数のフロント部材の各ロール角変化量に基づいて前記複数のフロント部材の接続ずれの有無を判定するものとする。
以上のように構成した本発明によれば、車体および複数のフロント部材の各ロール角変化量に基づいて、複数のフロント部材の接続ずれを検出することが可能となる。
本発明に係る建設機械によれば、フロント作業機を構成する複数のフロント部材の接続ずれを検出することが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係る建設機械として油圧ショベルを例に挙げ、図面を参照して説明する。なお、各図中、同等の部材には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施例に係る油圧ショベルの外観図である。図1において、油圧ショベル100は、垂直方向にそれぞれ回動する複数のフロント部材(ブーム4、アーム5、及びバケット(作業具)6)を連結して構成された多関節型のフロント装置(フロント作業機)1と、車体を構成する上部旋回体2と、下部走行体3とを備える。上部旋回体2は、下部走行体3に対して旋回可能に設けられている。
また、フロント作業機1のブーム4の基端は上部旋回体2の前部に垂直方向に回動可能に支持されており、アーム5の一端はブーム4の他端(先端)に垂直方向に回動可能に支持されており、アーム5の他端(先端)にはバケット6が垂直方向に回動可能に支持されている。ブーム4はブームピン4b(図2に示す)を中心に回動し、アーム5はアームピン5bを中心に回動し、バケット6はバケットピン6bを中心に回動する。ブーム4、アーム5、バケット6、上部旋回体2、及び下部走行体3は、油圧アクチュエータであるブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、バケットシリンダ6a、図示しない旋回モータ、及び左右の走行モータ3a(一方のみ図示)によりそれぞれ駆動される。
オペレータが搭乗する運転室9には、油圧アクチュエータ2a~6aを操作するための操作信号を出力する操作レバー(操作装置)9a,9bが設けられている。操作レバー9a,9bはそれぞれ前後左右方向に傾倒可能であり、各方向に油圧アクチュエータ2a~6aの操作がそれぞれ割り当てられている。操作レバー9a,9bは、操作信号であるレバーの傾倒量(レバー操作量)を電気的に検知する検出装置(図示せず)を含み、検出装置が検出したレバー操作量を制御装置であるコントローラ20に電気配線を介して出力する。
ブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、バケットシリンダ6a、旋回モータ2a及び左右の走行モータ3aの動作制御は、エンジンや電動モータなどの原動機によって駆動される油圧ポンプ装置7から各油圧アクチュエータ2a~6aに供給される作動油の方向及び流量をコントロールバルブ8で制御することにより行う。コントロールバルブ8は、パイロットポンプ(図示せず)から電磁比例弁を介して出力される駆動信号(パイロット圧)により操作される。操作レバー9a,9bからの操作信号に応じてコントローラ20で電磁比例弁を制御することにより、各油圧アクチュエータ2a~6aの動作が制御される。なお、操作レバー9a,9bは油圧パイロット方式であってもよく、それぞれオペレータにより操作される操作レバー9a,9bの操作方向及び操作量に応じたパイロット圧をコントロールバルブ8に駆動信号として供給し、各油圧アクチュエータ2a~6aを駆動するように構成しても良い。
上部旋回体2には、姿勢センサとして慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)13が配置されている。慣性計測装置13は、角速度及び加速度を計測するものであり、姿勢検出装置を構成している。慣性計測装置13が配置された上部旋回体2が静止している場合を考えると、慣性計測装置13に設定されたIMU座標系における重力加速度の方向(つまり、鉛直下向き方向)と、慣性計測装置13の取り付け状態(つまり、慣性計測装置13と上部旋回体2との相対的な位置関係)とに基づいて、上部旋回体2の前後方向への傾き(ピッチ角)、左右方向への傾き(ロール角)をそれぞれ算出することができる。なお、IMUには角速度センサが内蔵されているため、角速度のセンサの積分によって上部旋回体2の回転角度(ヨー角)を算出することもできるが、角速度センサの定常的な誤差(ジャイロバイアス)によって、正確な回転角度を算出することは容易ではないことに注意が必要である。なお、本実施例では、上記の傾き(角度)の演算機能が慣性計測装置に実装されていることを想定しているが、慣性計測装置に角度の算出機能が内蔵されていない場合には、後述のコントローラ20内に角度演算機能を実装すればよい。
また、上部旋回体2には2つのGNSSアンテナ17a,17bが取り付けられている。それぞれのGNSSアンテナで受信した衛星信号はGNSS受信機17c(図2に示す)に入力され、アンテナ座標の演算や方位角の演算などの各種測位演算に利用される。GNSSアンテナ17a,17bは位置情報検出器であり、GNSS受信機17cは測位演算装置を構成している。以降、GNSSアンテナ17a,17b及びGNSS受信機17cをまとめて測位演算システム17と呼ぶことがある。
GNSS受信機17cは現場内に設置されたGNSS固定局と無線通信によって接続することで、位置情報についてRTK測位(Real Time Kinematic測位)を実施する。GNSS固定局がない現場の場合には、インターネットを介して電子基準局の情報を取得するネットワーク型RTKを利用してもよい。以下、現場内の固定局の有無を問わず、GNSS受信機17cはRTK測位が実行可能であることを想定する。
フロント作業機1の構成要素であるブーム4、アーム5、及びバケット6にはそれぞれの姿勢を計測するために慣性計測装置14~16が適切な位置に設置されている。慣性計測装置14~16も、上部旋回体2に取り付けられた慣性計測装置13と同様に、姿勢検出装置を構成している。以降、各慣性計測装置13~16を区別するため、設置場所に応じて、適宜、車体IMU13、ブームIMU14、アームIMU15、バケットIMU16と呼ぶ。なお、バケットIMU16はバケット6でなく、バケット6と連動して回動するリンク部材18に設置しても良い。
図2は、油圧ショベル100に搭載されるコントローラ20の処理機能を模式的に示す図である。図2において、コントローラ20は、油圧ショベル100の動作を制御するための種々の機能を有するものであり、その一部としてポジショニング演算部20a、モニタ表示制御部20b、油圧システム制御部20c、及び施工目標面演算部20dの各機能を有している。なお、図2では処理機能20a~20bを一つのコントローラで実行するように描いているが、各処理機能を複数のコントローラで実行しても良い。例えば、油圧ショベル100に4つのコントローラが備えられている場合、各処理機能20a~20dをそれぞれ別のコントローラで実行しても良い。
ポジショニング演算部20aは、GNSS受信機17cで算出した位置情報と慣性計測装置13~16のセンサ検出結果に基づいて、油圧ショベル100の作業現場内での座標、方位、および、フロント作業機の姿勢を算出する姿勢演算処理を行う。ポジショニング演算部20aには、算出した姿勢情報の精度を検証する機能も実装されており、GNSS受信機17cによる衛星測位結果に異常が生じた場合やIMUセンサが算出した角度精度が低下した場合などに、後述のモニタ表示制御部20bを介して、オペレータに注意を促すことができる。
モニタ表示制御部20bは、運転室9に設けられたモニタ40(図3に示す)の表示を制御するものであり、施工目標面演算部20dで算出された施工目標面と、ポジショニング演算部20aで算出されたフロント作業機1の姿勢とに基づいて、オペレータに対する操作支援の指示内容を算出し、運転室9のモニタ40に表示する。すなわち、モニタ表示制御部20bは、例えば、ブーム4、アーム5、バケット6などの被駆動部材を有するフロント作業機1の姿勢や、バケット6の先端位置と角度をモニタに表示してオペレータの操作を支援するマシンガイダンスシステムとしての機能の一部を担っている。モニタ40は単なる表示デバイスでなく、タッチパネルを備えたタブレット端末に置き換えて入力デバイスとして利用することが望ましい。以下、モニタ40がタブレット端末で構成されているものとして説明する。
油圧システム制御部20cは、油圧ポンプ装置7やコントロールバルブ8、各油圧アクチュエータ2a~6a等からなる油圧ショベル100の油圧システムを制御するものであり、施工目標面演算部20dで算出された施工目標面と、ポジショニング演算部20aで算出されたフロント作業機1の姿勢とに基づいて、フロント作業機1の動作を算出し、その動作を実現するように油圧ショベル100の油圧システムを制御する。すなわち、油圧システム制御部20cは、例えば、バケット6の先端が目標施工面に一定以上近づかないように動作に制限をかけたり、バケット6の先端位置が目標施工面に沿って動くよう制御したりするマシンコントロールシステムとしての機能の一部を担っている。なお、GNSS受信機17cによる衛星測位結果に異常が生じたことやIMUセンサが算出した角度精度が低下したことで、前出のモニタ表示制御部20bにてモニタ40に警告を表示する場合には、油圧システム制御部20cもマシンコントロール機能を停止することが望ましい。なお、本実施例におけるモニタ40は表示機能および警告機能を有するが、各機能はそれぞれ独立した機器に実装してもよい。
施工目標面演算部20dは、施工管理者によって予め記憶装置30に記憶されている3次元施工図面などの施工情報と、ポジショニング演算部20aで算出した油圧ショベルの位置、姿勢情報とに基づいて、施工対象の目標形状を定義する施工目標面を算出する。以降、説明を簡略化するため、モニタ表示制御部20bと施工目標面演算部20dの機能を併せたものをマシンガイダンスシステム、油圧システム制御部20cと施工目標面演算部20dの機能を併せたものをマシンコントロールシステムと呼ぶことがある。
図3は、コントローラ20の機能ブロック図である。コントローラ20は、主な処理機能として、ポジショニング演算部20aとモニタ表示制御部20bとを備える。
ポジショニング演算部20aは、爪先位置演算部20a1及び精度検証部20a2によって構成される。なお、ポジショニング演算部20aは、測位演算システム17とIMU13~16、さらに、コントローラ20に内蔵されている記憶装置20e(メモリなど)からの各種信号を受信する。
爪先位置演算部20a1は、上部旋回体2及びフロント作業機1に取り付けられたIMU(姿勢検出装置13~16)で取得したセンサ情報(角度、角速度、加速度)と、GNSS受信機17cで算出された位置、方位角を入力として、油圧ショベルの3次元空間における姿勢を算出する。この演算は公知技術(特許文献1)と同じく、ロボット工学で利用されている一般的な座標変換を用い、特別な工夫はないため、詳細を省略する。
ここで、本発明の課題について詳しく説明する。フロント作業機1を構成するフロント部材4~6はピンで接続されており、フロント部材4~6が滑らかに回動するように、ピンとフロント部材4~6との間には多少の「遊び」が設けられている。そのため、フロント部材4~6の接続部分にはガタがある。このガタがバケット6の爪先位置に与える影響を図13及び図14を用いて説明する。図13及び図14は、油圧ショベル100を上方から見たときのフロント作業機1の接続状態を示した図である。
図13はフロント作業機1を構成するすべてのフロント部材(ブーム4、アーム5、及びバケット6)が直線状に接続されている理想的な接続状態を示している。従来の姿勢演算方法はこのような理想的な接続状態を前提としている。
一方、図14はブーム4、アーム5、及びバケット6が紙面に対して時計回りにずれた状態を示している。なお、図14は分かりやすさを優先し、接続ずれを実際に生じ得るものよりも大きく表している。図14において、理想的な接続状態(点線で示す)における爪先位置は、実際の接続状態(実線で示す)における爪先位置と一致しない。そのため、接続ずれが生じている場合、誤った爪先位置をオペレータに提供することになる。このようにすべてのフロント部材が一方向にずれる状態は、図15に示すように、油圧ショベル100が斜面で作業しており、重力方向がフロント作業機1の回動平面に対して平行でない状況で発生し得る。なお、図14では、フロント作業機1の左右方向の接続ずれにより爪先位置の水平方向成分のみが影響を受けるように見えるが、図15のような斜面で作業している場合は、フロント作業機1の左右方向の接続ずれにより爪先位置の鉛直方向成分も影響を受けることに注意されたい。
上述のとおり、フロント作業機1に接続ずれが生じると、バケット6の爪先座標を正しく算出できないという課題が生じる。このような課題が生じている状況を確認する機能が精度検証部20a2である。
図14より、各フロント部材に接続ずれが生じた状況は、上部旋回体2に対してブーム4が、ブーム4に対してアーム5が、アーム5に対してバケット6がそれぞれ傾いている状況である。言い換えれば、各フロント部材が回動中心(ピン)に対して、回転することを想定していない方向への角度変化(ヨー角、ロール角の変化)を生じている状況である。
つまり、各フロント部材のヨー角またはロール角の変化量を利用すれば、各フロント部材に接続ずれが生じたことを把握することができる。しかし、前述のとおり、姿勢検出装置でヨー角を正確に得ることは容易ではない。ただし、油圧ショベルは凹凸のある地面上で作業をしているため、各フロント部材のヨー角が変化すれば、ロール角も変化する。この事実に注目し、本発明では、検出可能なロール角のみを利用して接続ずれの有無を判定する。
なお、正確なヨー角が取得できないため、その情報を利用して爪先位置を計算する機能を提供することはできない。本発明は、正確な爪先位置情報が提供できない状況にあることを正確に伝えることを目的としていることに注意されたい。
ここで、IMUの設置位置に関して検討する。フロント作業機1を構成する各フロント部材は回動中心であるピンの「遊び」によって接続ずれを生じる。このため、回動中心のピンから離れているほどIMUで検出可能なロール角の値は大きくなる。よって、各フロント部材4~6の回動中心であるピンからできるだけ離れた位置にIMUを設置することが望ましい。例えば、ブームIMU14はブーム4の中でもブームピン4bの近く(図10中、配置1)ではなく、アームピン5bの近く(図10中、配置2)に設置することが望ましい。
また、各フロント部材の上面(または下面)にIMUを取り付けることができれば、各フロント部材のねじれをロール角としてさらに検出しやすくなる。つまり、図11にしめすようにフロント部材側面に配置する配置1よりも上面に配置した配置3のほうが、IMUはロール角の変化を検出しやすい。さらに、図10と同様にフロント部材の先端部に近づくほどねじれによるロール角の影響が大きく表れるため、配置3よりも配置4のほうがさらに望ましい配置といえる。
ロール角の変化を検出するという観点では、配置2と配置3のどちらの配置が望ましいかはフロント部材の長さに依存するため、どちらが望ましいかを決めることは困難である。ただし、各フロント部材の上面には油圧配管などが通っているため、センサ設置の容易性という観点では、配置2のほうが望ましいことに注意されたい。
図3に戻り、ロール角変化量演算部20a2a~20a2dは、それぞれブーム4、アーム5、バケット6、上部旋回体2のロール角変化量を算出するものである。ロール角変化量演算部20a2a~20a2dは、姿勢検出装置(IMU13~16)で検出したロール角を、記憶装置20eに記録しているロール角基準値と比較することで接続ずれの判定基準となるロール角変化量を算出する。
ロール角基準値は一定値ではなく、特定のタイミングで姿勢検出装置で検出したロール角に書き換えることが可能である。フロント作業機1を構成する各フロント部材は完全な立方体ではないため、接続ずれが生じていない場合であっても、IMUが検出するロール角が0度にならない場合がある。これを補償するために、ロール角基準値として、各フロント部材に取り付けられているIMUの取り付け角をキャリブレーションした際の角度情報を記憶しておく。これにより、キャリブレーション姿勢からのロール角変化量を正確に算出できる。
フロント接続ずれ判定部20a2eは、ロール角変化量演算部20a2a~20a2dの演算結果を利用して、フロント作業機1に接続ずれが生じているかを判定する。以下、フロント接続ずれ判定部20a2eの具体的な処理内容をいくつかの図を利用して説明する。
上述のとおり、フロント作業機1を構成する各フロント部材に接続ずれが生じている場合、基準状態(接続ずれがない状態)に対して各フロント部材のヨー角およびロール角が変化する。この変化量に基づいて各フロント部材に接続ずれが生じているか否かを判定できる。この判定処理の内容を図4を用いて説明する。なお、説明を簡単にするため、図4ではバケット6を省略している。
図4に示した、次の2つの姿勢を考える。
・姿勢1
キャリブレーション姿勢であり、上部旋回体2のロール角φbodyをα0、ブーム4のロール角φboomをα1、アーム5のロール角φarmをα2とする。
・姿勢2
・姿勢1
キャリブレーション姿勢であり、上部旋回体2のロール角φbodyをα0、ブーム4のロール角φboomをα1、アーム5のロール角φarmをα2とする。
・姿勢2
アーム5にのみ接続ずれが生じている姿勢であり、上部旋回体2のロール角φbodyをα0、ブーム4のロール角φboomをα1、アーム5のロール角φarmをα2+γとする。
姿勢1を基準状態とし、姿勢2のロール角変化量を算出すると次の結果が得られる。
上部旋回体のロール角変化量:α0-α0=0
ブーム4のロール角変化量:α1-α1=0
アーム5のロール角変化量:α2+γ-α2=γ
上部旋回体のロール角変化量:α0-α0=0
ブーム4のロール角変化量:α1-α1=0
アーム5のロール角変化量:α2+γ-α2=γ
このとき、ブーム4のロール角変化量(=0)は上部旋回体2のロール角変化量(=0)と一致しており、アーム5のロール角変化量(=γ)は上部旋回体2のロール角変化量(=0)と一致していない。すなわち、いずれかのフロント部材のロール角変化量が上部旋回体2のロール角変化量と一致していない場合に、当該フロント部材に接続ずれが生じていると判定できる。
ここで、IMUの検出誤差が接続ずれの判定に与える影響について考察する。姿勢検出装置にIMUを利用している場合、IMUの検出精度の限界(検出誤差)により、接続ずれを誤判定してしまう可能性がある。例えば、ロール角の精度が「δφ」としたとき、姿勢1のブーム4のロール角の検出値は最大で「α1+δφ」となり、姿勢2のブーム4のロール角の検出値は最小で「α1-δφ」となる。その結果、ブーム4のロール角が実際は変化していないにも関わらず、ブーム4のロール角変化量は最大で「2×δφ」となり、ブーム4に接続ずれがあると誤判定される可能性がある。このような誤判定を回避するため、図5に示す通り、フロント接続ずれ判定部20a2eには、ロール角変化量演算部20a2a~20a2dにそれぞれ対応する閾値処理部20a2e1~20a2e3を設けることが望ましい。閾値処理部20a2e1~20a2e3は、ロール角変化量がIMUの検出精度の限界値から求まる閾値(上記の例では「2×δφ」)以下のときは、ロール角が変化していないと判定する。接続ずれ判定処理部20a2e4は、閾値処理部20a2e1~20a2e3のいずれかでロール角が変化したと判定された場合にのみ接続ずれの有無を判定する。
上記の閾値処理はIMUの検出精度の限界値を考慮したものであるが、閾値の設定方法はこれに限られるものではない。各フロント部材のロール角変化量がIMUの検出精度の限界値を超えていたとしても、爪先位置の演算結果に与える影響が十分に小さければ、オペレータに警告をする必要はない。閾値の設定方法のその他の例として、各フロント部材4~6のロール角変化量に応じて爪先位置が理想的な接続状態からどの程度変位するかをシミュレーション等で検証し、この変位量が爪先位置の演算結果の許容誤差に達するときのロール角変位量を閾値に設定することが考えられる。このようなロール角変化量を閾値に採用することで不必要な警告メッセージの発報を低減できる。
フロント作業機1を構成する各フロント部材4~6の接続ずれの有無を判断する具体的な方法について説明する。図6に示す通り、キャリブレーション姿勢に対して上部旋回体2が回転していると、接続ずれが生じていない状態でもブーム4やアーム5のヨー角(ロール角)が変化するため、単純にキャリブレーション姿勢に対する各フロント部材のヨー角(ロール角)の変化量だけでは接続ずれの有無を判断できない。この課題は、回動中心となるフロント部材との角度変化を確認することで解決することができる。つまり、ブーム4の接続ずれの有無を判断するためには、上部旋回体2のヨー角(ロール角)とブーム4のヨー角(ロール角)の差分をチェックすればよい。この原理を説明するため、次の3つの姿勢を考える。
・姿勢1(図4に示す)
油圧ショベル100が水平面に接地しているキャリブレーション姿勢であり、上部旋回体2のロール角φbodyをα0、ブーム4のロール角φboomをα1、アーム5のロール角φarmをα2とする。
・姿勢3(図6に示す)
油圧ショベル100が斜面に接地しており、かつ、各フロント部材に接続ずれが生じていない場合、上部旋回体2のロール角φbodyはα0+β、ブーム4のロール角φboomはα1+β、アーム5のロール角φarmはα2+βとなる。
・姿勢4(図6に示す)
姿勢3と同じく油圧ショベル100が斜面に接地している状況だが、アーム5に接続ずれが生じていると、上部旋回体2のロール角φbodyはα0+β、ブーム4のロール角φboomはα1+β、アーム5のロール角φarmはα2+β+γとなる。
・姿勢1(図4に示す)
油圧ショベル100が水平面に接地しているキャリブレーション姿勢であり、上部旋回体2のロール角φbodyをα0、ブーム4のロール角φboomをα1、アーム5のロール角φarmをα2とする。
・姿勢3(図6に示す)
油圧ショベル100が斜面に接地しており、かつ、各フロント部材に接続ずれが生じていない場合、上部旋回体2のロール角φbodyはα0+β、ブーム4のロール角φboomはα1+β、アーム5のロール角φarmはα2+βとなる。
・姿勢4(図6に示す)
姿勢3と同じく油圧ショベル100が斜面に接地している状況だが、アーム5に接続ずれが生じていると、上部旋回体2のロール角φbodyはα0+β、ブーム4のロール角φboomはα1+β、アーム5のロール角φarmはα2+β+γとなる。
姿勢1を基準姿勢とし、姿勢3の上部旋回体2、ブーム4、及びアーム5のロール角変化量を算出すると、
上部旋回体2のロール角変化量:α0+β-α0=β
ブーム4のロール角変化量:α1+β-α1=β
アーム5のロール角変化量:α2+β-α2=β
となる。このとき、ブーム4及びアーム5のロール角変化量(=β)が上部旋回体2のロール角変化量(=β)と等しいため、ブーム及びアーム5に接続ずれが生じていないと判断できる。
上部旋回体2のロール角変化量:α0+β-α0=β
ブーム4のロール角変化量:α1+β-α1=β
アーム5のロール角変化量:α2+β-α2=β
となる。このとき、ブーム4及びアーム5のロール角変化量(=β)が上部旋回体2のロール角変化量(=β)と等しいため、ブーム及びアーム5に接続ずれが生じていないと判断できる。
一方、姿勢1を基準姿勢とし、姿勢4の上部旋回体2、ブーム4、及びアーム5のロール角変化量を算出すると、
上部旋回体2のロール角変化量:α0+β-α0=β
ブーム4のロール角変化量:α1+β-α1=β
アーム5のロール角変化量:α2+β+γ-α2=β+γ
となる。このとき、ブーム4のロール角度変化量(=β)が上部旋回体2のロール角変化量(=β)と等しく、アーム5のロール角度変化量(=β+γ)が上部旋回体2のロール角変化量(=β)と異なるため、アーム5にのみ接続ずれが生じていると判断できる。
上部旋回体2のロール角変化量:α0+β-α0=β
ブーム4のロール角変化量:α1+β-α1=β
アーム5のロール角変化量:α2+β+γ-α2=β+γ
となる。このとき、ブーム4のロール角度変化量(=β)が上部旋回体2のロール角変化量(=β)と等しく、アーム5のロール角度変化量(=β+γ)が上部旋回体2のロール角変化量(=β)と異なるため、アーム5にのみ接続ずれが生じていると判断できる。
さらに、姿勢3を基準姿勢とし、姿勢4における上部旋回体2、ブーム4、及びアーム5のロール角変化量を算出すると、
上部旋回体2のロール角変化量:α0+β-(α0+β)=0
ブーム4のロール角変化量:α1+β-(α1+β)=0
アーム5のロール角変化量:α2+β+γ-(α2+β)=γ
となる。このとき、ブーム4のロール角度変化量(=0)が上部旋回体2のロール角変化量(=0)と等しく、アーム5のロール角度変化量(=γ)が上部旋回体2のロール角変化量(=0)と異なるため、キャリブレーション姿勢(姿勢1)を基準姿勢とした場合と同様に、アーム5にのみ接続ずれが生じていると判断できる。このように、基準姿勢は特定の姿勢である必要はなく、姿勢検出装置の出力が一定値に落ち着いていれば、任意の姿勢でよいことが分かる。
上部旋回体2のロール角変化量:α0+β-(α0+β)=0
ブーム4のロール角変化量:α1+β-(α1+β)=0
アーム5のロール角変化量:α2+β+γ-(α2+β)=γ
となる。このとき、ブーム4のロール角度変化量(=0)が上部旋回体2のロール角変化量(=0)と等しく、アーム5のロール角度変化量(=γ)が上部旋回体2のロール角変化量(=0)と異なるため、キャリブレーション姿勢(姿勢1)を基準姿勢とした場合と同様に、アーム5にのみ接続ずれが生じていると判断できる。このように、基準姿勢は特定の姿勢である必要はなく、姿勢検出装置の出力が一定値に落ち着いていれば、任意の姿勢でよいことが分かる。
図3に戻り、モニタ表示制御部20bは、姿勢描画部20b1と警告実行部20b2とで構成される。姿勢描画部20b1は、爪先位置演算部20a1で算出した油圧ショベルの位置、姿勢情報を施工情報から得た地形情報(施工面情報)に合わせてモニタ40に描画するための処理を実施する。警告実行部20b2は、フロント接続ずれ判定部20a2eでいずれかのフロント部材に接続ずれがあると判定された場合に、モニタ40に警告メッセージを表示する。
図7は、これまでに説明したポジショニング演算部20a及びモニタ表示制御部20bに関するコントローラ20の演算処理を示すフローチャートである。なお、本フローチャートは演算処理の一例を示したものであり、本発明はこの演算処理に限定されるものではない。
まず、ステップFC01にて、GNSSや各IMUセンサ(車体2、ブーム4、アーム5、及びバケット6)のデータを取得する。センサデータの取得が完了したらステップFC02へ遷移する。
ステップFC02では、ステップFC01で取得した各種センサデータを利用して、油圧ショベル100の姿勢演算を実施する。この演算は爪先位置演算部20a1に相当する。
ステップFC03では、油圧ショベル100の姿勢に変化があったか否かを判定する。姿勢変化の有無は各センサ検出値の変化量に基づいて判定してもよいし、爪先位置演算部20a1の演算結果に基づいて判定してもよい。その他、複数のフロント部材4~6のロール角変化量が第1の閾値以下の状態が所定時間以上継続した後に、複数のフロント部材4~6のいずれかのロール角変化量が、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えた場合に、姿勢変化があったと判定しても良い。ここで、前記第1の閾値は、各フロント部材4~6が静止しているとみなせるロール角変化量であり、例えばIMUの検出精度(2×δφ)程度の値に設定される。前記第2の閾値は、各フロント部材4~6の姿勢が確実に変化したとみなすことができるロール角変化量であり、例えばIMUの検出精度(2×δφ)の数倍程度の値に設定される。姿勢変化があった場合(YES)はステップFC04へ遷移し、姿勢変化がなかった場合(NO)はステップFC07へ遷移する。
ステップFC04では、姿勢変化の前後に取得した各IMU13~16のロール角の情報から上部旋回体2および各フロント部材4~6ロール角変化量を算出する。なお、ステップFC03で油圧ショベル1の姿勢変化の有無を判定する際にロール角変化量を算出する場合は、ステップFC04は省略可能である。ステップFC04の処理はロール角変化量演算部20a2a~20a2dにより実行される。ロール角変化量を算出したらステップFC05へ遷移する。
ステップFC05では、各フロント部材4~6のロール角変化量を上部旋回体2のロール角変量と比較することにより各フロント部材4~6の接続ずれの有無を判定する。いずれかのフロント部材に接続ずれがある場合(YES)はステップFC06へ遷移し、いずれのフロント部材にも接続ずれがない場合(NO)はステップFC07へ遷移する。ステップFC07の処理はフロント接続ずれ判定部20a2eにより実行される。
ステップFC06では、フロント作業機1の接続ずれが生じており、ステップFC02で算出した爪先位置情報が不正確である可能性があることを示す警告情報をモニタ40に表示する。ステップFC06の処理は警告実行部20b2により実行される。
ステップFC07では、ステップFC02で算出した爪先位置情報をモニタに表示する。ステップFC07の処理は姿勢描画部20b1により実行される。
(まとめ)
本実施例では、車体2と、各々が回動可能に連結された複数のフロント部材4~6を有し、車体2に回動可能に連結されたフロント作業機1と、車体2および複数のフロント部材4~6のそれぞれの姿勢を検出可能な複数の姿勢検出装置13~16と、演算機能を有するコントローラ20とを備えた建設機械100において、コントローラ20は、複数の姿勢検出装置13~16の出力を基に車体2および複数のフロント部材4~6のそれぞれの、車体2の左右方向の傾斜角であるロール角を算出し、車体2および複数のフロント部材4~6のそれぞれについて、第1時刻で検出されたロール角と前記第1時刻とは異なる第2時刻で検出されたロール角との差分であるロール角変化量を算出し、車体2および複数のフロント部材4~6の各ロール角変化量に基づいて複数のフロント部材4~6の接続ずれの有無を判定する。
本実施例では、車体2と、各々が回動可能に連結された複数のフロント部材4~6を有し、車体2に回動可能に連結されたフロント作業機1と、車体2および複数のフロント部材4~6のそれぞれの姿勢を検出可能な複数の姿勢検出装置13~16と、演算機能を有するコントローラ20とを備えた建設機械100において、コントローラ20は、複数の姿勢検出装置13~16の出力を基に車体2および複数のフロント部材4~6のそれぞれの、車体2の左右方向の傾斜角であるロール角を算出し、車体2および複数のフロント部材4~6のそれぞれについて、第1時刻で検出されたロール角と前記第1時刻とは異なる第2時刻で検出されたロール角との差分であるロール角変化量を算出し、車体2および複数のフロント部材4~6の各ロール角変化量に基づいて複数のフロント部材4~6の接続ずれの有無を判定する。
以上のように構成された本実施例によれば、フロント作業機1を構成するフロント部材4~6の接続ずれを検出することが可能となる。これにより、建設機械100がマシンガイダンスやマシンコントロールの機能を有する場合は、フロント部材4~6の接続ずれを解消することでマシンガイダンスやマシンコントロールによる施工精度の低下を防ぐことが可能となる。
また、本実施例におけるコントローラ20は、複数のフロント部材4~6の各ロール角変化量と車体2のロール角変化量との差分が所定値以下の場合に、複数のフロント部材4~6に接続ずれが無いと判定し、複数のフロント部材4~6のいずれかのロール角変化量と車体2のロール角変化量との差分が前記所定値を超えた場合に、複数のフロント部材4~6のいずれかに接続ずれが有ると判定する。これにより、姿勢検出装置13~16の検出誤差に起因してフロント作業機1の接続ずれが誤検出されることを防止することが可能となる。
また、本実施例において、コントローラ20は、複数の姿勢検出装置13~16の出力を基に車体2およびフロント作業機1の姿勢情報を算出し、前記姿勢情報をモニタ(報知装置)40に表示し、複数のフロント部材4~6のいずれかに接続ずれが有ると判定した場合は、報知装置40に表示されている前記姿勢情報の精度が不十分である可能性があることを示す警告情報をモニタ(報知装置)40に表示する。これにより、モニタ(報知装置)40に表示されている車体2およびフロント作業機1の姿勢情報の精度が不十分であることがオペレータに認識されるため、フロント作業機1の接続ずれに起因して施工精度が低下することを防ぐことが可能となる。
また、本実施例における前記第2時刻は、複数のフロント部材4~6のロール角変化量が第1の閾値以下の状態が所定時間以上継続した後に、複数のフロント部材4~6のいずれかのロール角変化量が、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えた時刻である。これにより、ロール角変化量の計測精度を向上させることが可能となる。
また、本実施例における複数の姿勢検出装置13~16のうち複数のフロント部材4~6に取り付けられた姿勢検出装置14~16は、複数のフロント部材4~6の各基端側のよりも各先端側寄りに位置する。これにより、姿勢検出装置13~16によるロール角の検出精度を向上させることが可能となる。
また、本実施例における複数の姿勢検出装置13~16の少なくとも1つは、複数のフロント部材4~6のいずれかの上面または下面に取り付けられている。これにより、姿勢検出装置13~16によるロール角の検出精度を向上させることが可能となる。
本発明の第2の実施例について、第1の実施例との相違点を中心に説明する。第1の実施例では、フロント接続ずれ判定部20a2eでいずれかのフロント部材に接続ずれが生じていると判定されたら、警告メッセージをオペレータに通知する構成としている。しかし、過剰に警告メッセージを通知すると作業性が低下する可能性がある。本実施例はこの課題を解決するものである。
フロント作業機1の接続ずれが生じたとしても、施工精度に影響を及ぼさない場合は、警告メッセージを出す必要はないと考えることができる。このような考えに基づき、図8に示すコントローラ20を採用する。本実施例では、警告実行部20b2に、フロント接続ずれ判定部20a2eの演算結果に加えて、爪先位置演算部20a1の演算結果と施工情報を入力する。
本実施例における警告実行部20b2の構成を図9に示す。警告実行部20b2は爪先距離演算部20b2a、閾値処理部20b2b、及びAND処理部20b2cによって構成される。
爪先距離演算部20b2aは、爪先位置演算部20a1で算出された油圧ショベルの爪先座標と施工情報に含まれる目標施工面との最短距離を算出する。閾値処理部20b2bは、爪先距離演算部20b2aで算出した爪先座標と目標施工面との最短距離が所定の閾値未満であるか否かを判定する。AND処理部20b2cは、フロント接続ずれ判定部20a2eでいずれかのフロント部材に接続ずれが生じていると判定され、かつ、爪先座標と目標施工面との最短距離が所定の閾値未満である場合にのみ、警告実行部20b2に警告メッセージを表示するよう指示する。
爪先座標と目標施工面の最短距離に対する閾値の設定の例として、通常の情報化施工の仕上げ精度が50mm(5cm)であることを考慮し、余裕をもって50cmと設定することが考えられる。このような設定にしておけば、爪先位置が施工面から十分に離れている(例えば、仕上げ精度5cmの10倍で設計した50cm以上)ときは、接続ずれが確認されても警告メッセージを表示しなくなる。
(まとめ)
本実施例における建設機械100は、フロント作業機1が施工対象とする施工目標面を記憶する記憶装置30を備え、コントローラ20は、複数のフロント部材4~6のいずれかに接続ずれが有ると判定した場合であっても、フロント作業機1と前記施工目標面との最短距離が所定値より大きい場合には、表示装置40に表示されている前記姿勢情報の精度が不十分である可能性があることを示す警告情報をモニタ(報知装置)40に表示しない。
本実施例における建設機械100は、フロント作業機1が施工対象とする施工目標面を記憶する記憶装置30を備え、コントローラ20は、複数のフロント部材4~6のいずれかに接続ずれが有ると判定した場合であっても、フロント作業機1と前記施工目標面との最短距離が所定値より大きい場合には、表示装置40に表示されている前記姿勢情報の精度が不十分である可能性があることを示す警告情報をモニタ(報知装置)40に表示しない。
以上のように構成された本実施例によれば、バケット6の爪先位置が施工目標面から十分に離れている場合、すなわち、フロント作業機1の接続ずれが施工精度に影響しない場合に、過剰な警告が出力されることが防止できる。これにより、施工精度に影響を与えることなく警告の頻度を減らすことができるため、オペレータの作業性の向上が期待できる。
また、本実施例におけるコントローラ20は、複数のフロント部材4~6のいずれかに接続ずれが有ると判定した場合であっても、上部旋回体2のロール角が所定値以下である場合には、表示装置40に表示されている前記姿勢情報の精度が不十分である可能性があることを示す警告情報をモニタ(報知装置)40に表示しないように構成してもよい。
この構成により得られる効果について以下説明する。各フロント部材4~6の接続ずれは、各フロント部材4~6左右方向に重力が作用するとき(上部旋回体2のロール角が大きいとき)に生じ、各フロント部材4~6左右方向に重力が作用しないとき(上部旋回体2のロール角が小さいとき)に一時的に解消される。そのため、例えば斜面上で旋回を伴う作業を行う際は、上部旋回体2のロール角に応じて接続ずれが生じたり解消したりを繰り返すことになり、接続ずれが解消しているタイミングで警告が出力されることで作業に支障を来たす可能性がある。そこで、上部旋回体2のロール角が小さい場合に警告情報をマスクすることにより、施工精度を確保しつつ作業性を向上させることが可能となる。
本発明の第3の実施例について、第1の実施例との相違点を中心に説明する。油圧ショベル100が経年劣化するほど「ガタ」が大きくなるため、フロント作業機1の接続ずれが大きくなる。従って、接続ずれは油圧ショベル100の経年劣化を診断する際の判断材料として活用できる。本実施例はこの事実に着目したものである。
図12に本実施例におけるコントローラ20の機能ブロック図を示す。本実施例では、ポジショニング演算部20aの一機能である精度検証部20a2と情報通信部20fに注目する。なお、情報通信部20fはコントローラ20に内蔵されている必要はなく、別端末であってもよい。
フロント接続ずれ判定部20a2eでフロント作業機1の接続ずれ判定がなされたら、情報通信部20fは通信装置50を介して管理サーバ(図示せず)に判定結果を送信する。管理サーバは、フロント作業機1の接続ずれの発生頻度を分析し、接続ずれの発生頻度が所定値よりも高い機体についてメンテナンス作業を促すなどの処理を行う。
(まとめ)
本実施例において、複数のフロント部材4~6の接続ずれの有無の判定結果を出力可能な報知装置は通信装置50で構成されている。
本実施例において、複数のフロント部材4~6の接続ずれの有無の判定結果を出力可能な報知装置は通信装置50で構成されている。
以上のように構成された本実施例によれば、フロント作業機1の接続ずれの発生頻度を管理サーバ等で分析することにより、建設機械100を適切な状態で運用することが可能となる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成の一部を加えることも可能であり、ある実施例の構成の一部を削除し、あるいは、他の実施例の一部と置き換えることも可能である。
1…フロント作業機、2…上部旋回体(車体)、2a…旋回モータ、3…下部走行体、3a…走行モータ、4…ブーム(フロント部材)、4a…ブームシリンダ、4b…ブームピン、5…アーム(フロント部材)、5a…アームシリンダ、5b…アームピン、6…バケット(フロント部材)、6a…バケットシリンダ、6b…バケットピン、7…油圧ポンプ装置、8…コントロールバルブ、9…運転室、9a,9b…操作レバー、13~16…慣性計測装置(姿勢検出装置)、17…測位演算システム、17a,17b…GNSSアンテナ、17c…GNSS受信機、18…リンク部材、20…コントローラ、20a…ポジショニング演算部、20a1…爪先位置演算部、20a2…精度検証部、20a2a,20a2b,20a2c…ロール角変化量演算部、20a2e…フロント接続ずれ判定部、20a2e1,20a2e2,20a2e3…閾値処理部、20a2e4…接続ずれ判定処理部、20b…モニタ表示制御部、20b1…姿勢描画部、20b2…警告実行部、20b2a…爪先距離演算部、20b2b…閾値処理部、20b2c…AND処理部、20c…油圧システム制御部、20d…施工目標面演算部、20e…記憶装置、20f…情報通信部、30…記憶装置、40…モニタ(報知装置)、50…通信装置(報知装置)、100…油圧ショベル(建設機械)。
Claims (9)
- 車体と、
各々が回動可能に連結された複数のフロント部材を有し、前記車体に回動可能に連結されたフロント作業機と、
前記車体および前記複数のフロント部材のそれぞれの姿勢を検出可能な複数の姿勢検出装置と、
演算機能を有するコントローラと、
前記コントローラの演算結果を出力可能な報知装置とを備えた建設機械において、
前記コントローラは、
前記複数の姿勢検出装置の出力を基に前記車体および前記複数のフロント部材のそれぞれの、前記車体の左右方向の傾斜角であるロール角を算出し、
前記車体および前記複数のフロント部材のそれぞれについて、第1時刻で検出されたロール角と前記第1時刻とは異なる第2時刻で検出されたロール角との差分であるロール角変化量を算出し、
前記車体および前記複数のフロント部材の各ロール角変化量に基づいて前記複数のフロント部材の接続ずれの有無を判定し、
前記複数のフロント部材の接続ずれの有無の判定結果を前記報知装置へ出力する
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項1に記載の建設機械において
前記コントローラは、
前記複数のフロント部材の各ロール角変化量と前記車体のロール角変化量との差分が所定値以下の場合に、前記複数のフロント部材に接続ずれが無いと判定し、
前記複数のフロント部材の少なくとも1つのロール角変化量と前記車体のロール角変化量との差分が前記所定値を超えた場合に、前記複数のフロント部材のいずれかに接続ずれが有ると判定する
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項1に記載の建設機械において
前記コントローラは、
前記複数の姿勢検出装置の出力を基に前記車体および前記フロント作業機の姿勢情報を算出し、前記姿勢情報を前記報知装置に表示し、
前記複数のフロント部材のいずれかに接続ずれが有ると判定した場合は、前記報知装置に表示されている前記姿勢情報の精度が不十分である可能性があることを示す警告情報を前記報知装置に表示する
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項3に記載の建設機械において、
前記フロント作業機が施工対象とする施工目標面を記憶する記憶装置を備え、
前記コントローラは、前記複数のフロント部材のいずれかに接続ずれが有ると判定した場合であっても、前記フロント作業機1と前記施工目標面との最短距離が所定値より大きい場合には、前記警告情報を前記報知装置に表示しない
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項3に記載の建設機械において
前記コントローラは、前記複数のフロント部材のいずれかに接続ずれが有ると判定した場合であっても、前記車体のロール角が所定値以下である場合には、前記警告情報を前記報知装置に表示しない
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項1に記載の建設機械において
前記報知装置は通信装置で構成されている
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項1に記載の建設機械において
前記第2時刻は、前記複数のフロント部材のロール角変化量が第1の閾値以下の状態が所定時間以上継続した後に、前記複数のフロント部材のいずれかのロール角変化量が、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えた時刻である
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項1に記載の建設機械において
前記複数の姿勢検出装置のうち前記複数のフロント部材に取り付けられた姿勢検出装置は、前記複数のフロント部材の各基端側のよりも各先端側寄りに位置する
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項1に記載の建設機械において
前記複数の姿勢検出装置の少なくとも1つは、前記複数のフロント部材のいずれかの上面または下面に取り付けられている
ことを特徴とする建設機械。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2021202936A JP2023088220A (ja) | 2021-12-14 | 2021-12-14 | 建設機械 |
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JP2021202936A JP2023088220A (ja) | 2021-12-14 | 2021-12-14 | 建設機械 |
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Family Applications (1)
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JP2021202936A Pending JP2023088220A (ja) | 2021-12-14 | 2021-12-14 | 建設機械 |
Country Status (1)
Country | Link |
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2021
- 2021-12-14 JP JP2021202936A patent/JP2023088220A/ja active Pending
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