JP2023088192A - 推定装置、推定方法、推定プログラム、及び学習モデル生成装置 - Google Patents

推定装置、推定方法、推定プログラム、及び学習モデル生成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】装着者の身体的特徴を検出する特殊な検出装置を用いることなく、導電性を有する柔軟材料を備えた装着物の電気特性を利用して、装着物の装着者と装着物との適合状態情報を推定する。【解決手段】推定装置(1)は、店舗内の装着物であって、与えられた刺激の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を備えた装着物の柔軟材料に予め定められた複数の検出点(75)の間の電気特性を検出する検出部(118)を備える。また、推定装置(1)は、柔軟材料に刺激を与えた際の電気特性と、柔軟材料に刺激を与えるお客の特定部位と装着物の適合状態情報とを学習用データとして用いて、電気特性を入力データ(4)とし、適合状態情報を出力データ(6)として出力するように学習された学習モデル(51)に対して、検出部(118)で検出された入力データ(4)を入力し、入力データ(4)に対応する装着者の適合状態情報を推定する推定部(5)を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、推定装置、推定方法、推定プログラム、及び学習モデル生成装置に関する。
深度センサ等を用いて、眼鏡フレームのような身体への装着物を選んでいる装着者を撮影した画像から身体的特徴を抽出し、抽出した身体的特徴と装着物の適合感に関する相関を決定して、装着者の身体に適合する装着物を推薦するシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、超音波を利用して、装着者に対して非接触で装着者を押す力を加え、装着物を疑似的に装着した感触を装着者に体感させることで、装着物の適合感を確認する試着装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2019-102068号公報 特開2019-139403号公報
これまで装着物の適合感を評価するためには、深度センサを備えた撮影機材や超音波を出力する振動子を備えた試着装置のように、装着者の身体的特徴を検出する特殊な検出装置を用いる必要があった。
本開示は、装着者の身体的特徴を検出する特殊な検出装置を用いることなく、導電性を有する柔軟材料を備えた装着物の電気特性を利用して、装着物の装着者と装着物との適合状態を示す適合状態情報を推定可能な推定装置、推定方法、推定プログラム、及び学習モデル生成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1態様は、
店舗において装着者の特定部位に装着される装着物であって、導電性を有し、かつ与えられた刺激の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を備えた前記装着物の前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部と、
前記柔軟材料に刺激を与えた際の時系列の電気特性、及び前記柔軟材料に刺激を与える前記装着者の特定部位と前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面との適合状態を示す適合状態情報を学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記適合状態情報を出力するように学習された学習モデルに対して、前記検出部で検出された時系列の電気特性を入力し、前記装着物を特定部位に装着した前記装着者に関する適合状態情報であって、入力した時系列の電気特性に対応する適合状態情報を推定する推定部と、
を含む推定装置である。
第2態様は、第1態様の推定装置において、
前記推定部は、前記装着者が前記装着物を装着することによって、前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面に生じる変位分布を前記適合状態情報として推定する。
第3態様は、第2態様の推定装置において、
前記推定部で推定された前記変位分布から、前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面の形状を補正する補正部を含む。
第4態様は、第2態様又は第3態様の推定装置において、
前記推定部で推定された前記変位分布から、前記装着者の特定部位の形状を推定する形状推定部を含む。
第5態様は、第4態様の推定装置において、
前記形状推定部は、前記装着者の特定部位の形状から、前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面を覆う梱包材の形状を推定する。
第6態様は、第1態様~第5態様の何れか1態様の推定装置において、
前記推定部によって、前記装着者の特定部位と前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面との適合状態情報が推定される前記装着物は、前記装着者から注文を受けて生産される受注生産品である。
第7態様は、第1態様~第6態様の何れか1態様の推定装置において、
前記装着物は、前記装着者の特定部位の接触面に、繊維状及び網目状の少なくとも一方の骨格を有する構造、又は内部に微小な空気泡が複数散在する構造のウレタン材の少なくとも一部に導電性が付与された材料を含む。
第8態様は、第1態様~第7態様の何れか1態様の推定装置において、
前記学習モデルは、前記柔軟材料をリザーバとして当該リザーバを用いたリザーバコンピューティングによるネットワークを用いて学習させることで生成されたモデルを含む。
第9態様は、
コンピュータが、
店舗において装着者の特定部位に装着される装着物であって、導電性を有し、かつ与えられた刺激の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を備えた前記装着物の前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出し、
前記柔軟材料に刺激を与えた際の時系列の電気特性、及び前記柔軟材料に刺激を与える前記装着者の特定部位と前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面との適合状態を示す適合状態情報を学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記適合状態情報を出力するように学習された学習モデルに対して、検出した時系列の電気特性を入力し、前記装着物を特定部位に装着した前記装着者に関する適合状態情報であって、入力した時系列の電気特性に対応する適合状態情報を推定する
推定方法である。
第10態様は、
コンピュータに、
店舗において装着者の特定部位に装着される装着物であって、導電性を有し、かつ与えられた刺激の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を備えた前記装着物の前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出し、
前記柔軟材料に刺激を与えた際の時系列の電気特性、及び前記柔軟材料に刺激を与える前記装着者の特定部位と前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面との適合状態を示す適合状態情報を学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記適合状態情報を出力するように学習された学習モデルに対して、検出した時系列の電気特性を入力し、前記装着物を特定部位に装着した前記装着者に関する適合状態情報であって、入力した時系列の電気特性に対応する適合状態情報を推定する
処理を実行させるための推定プログラムである。
第11態様は、
店舗において装着者の特定部位に装着される装着物であって、導電性を有し、かつ与えられた刺激の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を備えた前記装着物の前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部からの前記電気特性と、前記柔軟材料に刺激を与える前記装着者の特定部位と前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面との適合状態を示す適合状態情報を取得し、取得した取得結果に基づいて、前記柔軟材料に刺激を与えた際の時系列の電気特性を入力とし、前記装着物を特定部位に装着した前記装着者の適合状態情報を出力する学習モデルの機械学習を行う学習処理部
を含む学習モデル生成装置である。
本開示によれば、装着者の身体的特徴を検出する特殊な検出装置を用いることなく、導電性を有する柔軟材料を備えた装着物の電気特性を利用して、装着物の装着者と装着物との適合状態を示す適合状態情報を推定することができる、という効果を有する。
実施形態に係る推定装置の構成を示す図である。 実施形態に係る導電性ウレタンの配置を示す図である。 実施形態に係る学習モデル生成装置の概念構成を示す図である。 実施形態に係る学習処理部の機能構成を示す図である。 実施形態に係る学習処理部の他の機能構成を示す図である。 実施形態に係る推定装置の電気的な構成を示す図である。 実施形態に係る推定処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態に係る導電性ウレタンをヘルメットに適用した一例を示す図である。 実施形態に係る学習処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態に係る学習モデルにおけるネットワークモデルの一例を示す図である。 実施形態に係る推定処理により推定された変位分布の一例を示す図である。 実施形態に係る変形例1の推定装置における構成例を示す図である。 実施形態に係る補正処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態に係る補正処理によってヘルメットのクッション材の厚みを薄くする補正例を示す図である。 実施形態に係る補正処理によってヘルメットのクッション材の厚みを厚くする補正例を示す図である。 実施形態に係る変形例2の推定装置における構成例を示す図である。 実施形態に係る形状推定処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態に係る形状推定処理によって推定された頭の形状例を示す図である。
以下、図面を参照して本開示の技術を実現する実施形態を詳細に説明する。なお、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。また、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において適宜変更を加えて実施することができる。
なお、本開示において人物とは、対象物に対して物理量により刺激を与えることが可能な人体及び物体の少なくとも一方を含む概念である。以下の説明では、人体及び物体の少なくとも一方を区別することなく、ヒトとモノとを含む概念として人物と総称して説明する。すなわち、人体及び物体のそれぞれの単体、及び人体と物体の組み合わせた組合せ体を総称して人物と称する。
まず、図1から図7を参照して、本開示の技術を適用する導電性が付与された柔軟材料、及び当該柔軟材料を用いて、柔軟材料に対する付与側の状態を推定する状態推定処理を説明する。
<柔軟材料>
本開示において「柔軟材料」とは、少なくとも一部が撓み等のように変形可能な材料を含む概念であり、ゴム材料等の柔らかい弾性体、繊維状及び網目状の少なくとも一方の骨格を有する構造体、及び内部に微小な空気泡が複数散在する構造体を含む。これらの構造体の一例には、ウレタン材などの高分子材料が挙げられる。また、本開示では、導電性が付与された柔軟材料を用いる。「導電性が付与された柔軟材料」とは、導電性を有する材料を含む概念であり、導電性を付与するために導電材を柔軟材料に付与した材料、及び柔軟材料が導電性を有する材料を含む。導電性を付与する柔軟材料はウレタン材などの高分子材料が好適である。以下の説明では、導電性が付与された柔軟材料の一例として、ウレタン材の全部または一部に導電材料を配合及び浸潤(含浸ともいう)等により形成させた部材を、「導電性ウレタン」と称して説明する。導電性ウレタンは、導電材料を配合と浸潤(含浸)との何れかの方法で形成可能であり、導電材料の配合又は浸潤(含浸)で形成可能で、また導電材料の配合と浸潤(含浸)とを組み合わせて形成可能である。例えば、浸潤(含浸)による導電性ウレタンが、配合による導電性ウレタンより導電性が高い場合には、浸潤(含浸)により導電性ウレタンを形成することが好ましい。
導電性ウレタンは、与えられた物理量に応じて電気特性が変化する機能を有する。電気特性が変化する機能を生じさせる物理量の一例には、撓み等のように構造を変形させる圧力による刺激(以下、圧力刺激という。)を示す圧力値による刺激値が挙げられる。なお、圧力刺激は、所定部位への圧力及び所定範囲の圧力の分布による圧力付与を含む。また、当該物理量の他例には、含水率及び水分付与等によって素材の性質を変化(変質)させる刺激(以下、素材刺激という。)を示す水分量等の刺激値が挙げられる。導電性ウレタンは、与えられた物理量に応じて電気特性が変化する。この電気特性を表す物理量の一例には、電気抵抗値が挙げられる。また、他例には、電圧値、又は電流値が挙げられる。
導電性ウレタンは、所定の体積を有する柔軟材料に導電性を与えることで、与えられた物理量に応じた電気特性(すなわち、電気抵抗値の変化)が現れ、その電気抵抗値は、導電性ウレタンの体積抵抗値と捉えることが可能である。導電性ウレタンは、電気経路が複雑に連携し、例えば、変形に応じて電気経路が伸縮したり膨縮したりする。また、電気経路が一時的に切断される挙動、及び以前と異なる接続が生じる挙動を示す場合もある。従って、導電性ウレタンは、所定距離を隔てた位置(例えば、電極が配置された検出点の位置)の間では、与えられた物理量による刺激(圧力刺激及び素材刺激)の大きさや分布に応じた変形や変質で異なる電気特性を有する挙動を示す。このため、導電性ウレタンに与えられた物理量による刺激の大きさや分布に応じて電気特性が変化する。
なお、導電性ウレタンを用いることで、変形及び変質についての対象箇所に電極等の検出点を設ける必要はない。導電性ウレタンに物理量による刺激が与えられる箇所を挟む任意の少なくとも2箇所に電極等の検出点を設ければよい(例えば、図1)。
また、導電性ウレタンの電気特性の検出精度を向上するため、2個の検出点より多くの検出点を用いてもよい。また、本開示の導電性ウレタンは、図1に示す導電性ウレタン22を1導電性ウレタン片とし、複数の導電性ウレタン片を配列してなる導電性ウレタン群で形成してもよい。この場合、複数の導電性ウレタン片毎に電気特性を検出してもよいし、複数の導電性ウレタン片の電気特性を合成して検出してもよい。複数の導電性ウレタン片毎に電気特性を検出する場合、配置部位毎(例えば、検出セット#1~#n)に電気抵抗値等の電気特性を検出できる。また、他例としては、導電性ウレタン上における検出範囲を分割して分割した検出範囲毎に検出点を設けて検出範囲毎に電気特性を検出してもよい。
<推定装置>
次に、導電性ウレタンを用いて、当該導電性ウレタンに対する付与側の状態を推定する推定装置の一例を説明する。
図1に、付与側の状態を推定する推定処理を実行可能な推定装置1の構成の一例を示す。推定装置1は、推定部5を備え、導電性ウレタン22における電気特性が入力されるように対象物2に接続されている。推定装置1では、対象物2に含まれる導電性ウレタン22に対する付与側の状態が推定される。推定装置1は、後述する処理を実行する実行装置としてのCPUを備えたコンピュータによって実現可能である。
上述した導電性ウレタン22の変形及び変質は、導電性ウレタン22に対して時系列に与えられた物理量で生じる。この時系列に与えられる物理量は、付与側の状態に依存する。従って、時系列に変化する導電性ウレタン22の電気特性は、導電性ウレタン22に与えられた物理量の付与側の状態に対応する。例えば、導電性ウレタン22を変形させる圧力刺激または導電性ウレタン22を変質させる素材刺激が与えられる場合、時系列に変化する導電性ウレタン22の電気特性は、圧力刺激の位置及び分布、並びに大きさを示す付与側の状態に対応する。よって、時系列に変化する導電性ウレタン22の電気特性から導電性ウレタン22に対する付与側の状態を推定することが可能である。
推定装置1では、後述する推定処理によって、学習済みの学習モデル51を用いて、未知の付与側の状態を推定し、出力する。これにより、特殊な装置や大型の装置を用いたり対象物2に含まれる導電性ウレタン22の変形及び変質を直接計測することなく、対象物2に対する付与側の状態を同定することが可能となる。学習モデル51は、対象物2に対する付与側の状態と、対象物2の電気特性(すなわち、対象物2に配置された導電性ウレタン22の電気抵抗値等の電気特性)とを入力として学習される。学習モデル51の学習については後述する。
なお、導電性ウレタン22は、柔軟性を有する部材21に配置して対象物2を構成することが可能である(図2)。導電性ウレタン22が配置された部材21により構成される対象物2は、電気特性検出部76を含む。導電性ウレタン22は、部材21の少なくとも一部に配置すればよく、内部に配置してもよいし外部に配置してもよい。また、導電性ウレタン22は、導電性ウレタン22への付与側の状態を推定可能に配置すればよく、例えば、人物に直接的又は間接的、或いはその両方で接触可能に配置すればよい。
図2に、対象物2における導電性ウレタン22の配置例を示す。対象物2のA-A断面を対象物断面2-1として示すように、導電性ウレタン22は、部材21の内部を全て満たすように形成しても良い。また、対象物断面2-2に示すように、導電性ウレタン22は、部材21の内部における一方側(表面側)に形成しても良く、対象物断面2-3に示すように、部材21の内部における他方側(裏面側)に導電性ウレタン22を形成しても良い。さらに、対象物断面2-4に示すように、部材21の内部の一部に導電性ウレタン22を形成しても良い。また、対象物断面2-5に示すように、導電性ウレタン22は、部材21の表面側の外側に分離して配置しても良く、対象物断面2-6に示すように、他方側(裏面側)の外部に配置しても良い。導電性ウレタン22を部材21の外部に配置する場合、導電性ウレタン22と部材21とを積層するのみでもよく、導電性ウレタン22と部材21とを接着等により一体化してもよい。なお、導電性ウレタン22を部材21の外部に配置する場合であっても、導電性ウレタン22が導電性を有するウレタン部材であるため、部材21の柔軟性は阻害されない。
図1に示すように、導電性ウレタン22は、距離を隔てて配置された少なくとも2個の検出点75からの信号によって、導電性ウレタン22の電気特性(すなわち、電気抵抗値である体積抵抗値)を検出する。図1の例では、導電性ウレタン22上で対角位置に配置された2個の検出点75からの信号により電気特性(時系列の電気抵抗値)を検出する検出セット#1が示されている。なお、検出点75の個数及び配置は、図1に示す位置に限定されるものではなく、導電性ウレタン22の電気特性を検出可能な位置であれば3個以上の個数でもよく何れの位置でもよい。なお、導電性ウレタン22の電気特性は、電気特性(例えば、電気抵抗値である体積抵抗値)を検出する電気特性検出部76を検出点75に接続し、その出力を用いればよい。
本実施形態では、センサとして導電性ウレタン22を用いるため、例えば、人物が介在する場合に従来のセンサに比べて人物に与える違和感が極めて少ない。このため、計測中に人物に関する付与側の状態を害することが無く、計測と付与側の状態推定を同時に行うことが可能となる。これは計測と付与側の状態推定を別個に行っていた従来のセンサに比べて利点となり、とりわけ時系列変化を追う長時間の計測評価による推定においては、そのメリットは大きい。
推定部5は、対象物2に接続され、導電性ウレタン22の変形及び変質の少なくとも一方に応じて変化する電気特性に基づき、学習モデル51を用いて、付与側の状態を推定する機能部である。具体的には、推定部5には、導電性ウレタン22における電気抵抗の大きさ(電気抵抗値等)を表す時系列の入力データ4が入力される。入力データ4は、対象物2に対する付与側の状態、例えば、対象物2に接触した人物の姿勢や動き等の人物の挙動に関する状態を示す状態データ3に対応する。例えば、人物が対象物2に接触する際、姿勢等の所定の状態で接触し、当該状態に対応して、対象物2を構成する導電性ウレタン22には刺激(圧力刺激及び素材刺激の少なくとも一方)が物理量として与えられ、導電性ウレタン22の電気特性が変化する。従って、入力データ4により示される時系列に変化する導電性ウレタン22の電気特性は、対象物2、すなわち、導電性ウレタン22に対する付与側の状態に対応するものとなる。また、推定部5は、学習済みの学習モデル51を用いた推定結果として、時系列に変化する導電性ウレタン22の電気特性に対応する付与側の状態を表す出力データ6を出力する。
学習モデル51は、物理量として与えられる刺激(圧力刺激及び素材刺激)により変化する導電性ウレタン22の電気抵抗(入力データ4)から、付与側の状態を表す出力データ6を導出する学習を済ませたモデルである。学習モデル51は、例えば、学習済みのニューラルネットワークを規定するモデルであり、ニューラルネットワークを構成するノード(ニューロン)同士の間の結合の重み(強度)の情報の集合として表現される。
<学習処理>
次に、学習モデル51を生成する学習処理について説明する。
図3に、学習モデル51を生成する学習モデル生成装置の概念構成を示す。学習モデル生成装置は、学習処理部52を備えている。学習モデル生成装置は、図示しないCPUを備えたコンピュータを含んで構成可能であり、CPUにより実行される学習データ収集処理及び学習モデル生成処理によって学習処理部52として実行されて学習モデル51を生成する。
<学習データ収集処理>
学習処理部52は、学習データ収集処理において、付与側の状態を表す状態データ3をラベルとして導電性ウレタン22における電気特性(例えば、電気抵抗値)を時系列に測定した大量の入力データ4を学習データとして収集する。従って、学習データは、電気特性を示す入力データ4と、その入力データ4に対応する付与側の状態を示す状態データ3と、のセットを大量に含む。
具体的には、学習データ収集処理では、対象物2における状態(すなわち、導電性ウレタン22に対する付与側の状態)が形成された際の付与側の状態に応じた刺激(圧力刺激及び素材刺激)により変化する電気特性(例えば、電気抵抗値)を時系列に取得する。次に、取得した時系列の電気特性(入力データ4)に状態データ3をラベルとして付与し、状態データ3と入力データ4とのセットが予め定めた所定数、又は予め定めた所定時間に達するまで処理を繰り返す。これらの付与側の状態を示す状態データ3と、付与側の状態毎に取得した時系列の導電性ウレタン22の電気特性(入力データ4)とのセットが学習データとなる。なお、学習データにおける状態データ3は、後述する学習処理において推定結果が正解である付与側の状態を示す出力データ6として扱われるように図示しないメモリに記憶される。
なお、学習データは、導電性ウレタン22の電気抵抗値(入力データ4)の各々に測定時刻を示す情報を付与することで時系列情報を対応付けてもよい。この場合、付与側の状態として定まる期間について、導電性ウレタン22における時系列な電気抵抗値のセットに測定時刻を示す情報を付与して時系列情報を対応付けてもよい。
上述した学習データの一例を次に表で示す。表1は、導電性ウレタン22に対する付与側の状態に関する学習データとして、時系列の電気抵抗値データ(r)と付与側の状態を示す状態データ(R)とを対応付けたデータセットの一例である。
Figure 2023088192000002
なお、導電性ウレタン22で検出される電気特性(時系列の電気抵抗値データによる時間特性)は、導電性ウレタン22に対する付与側の状態に関する特徴パターンとして捉えることが可能である。すなわち、導電性ウレタン22に対する付与側の状態によって、導電性ウレタン22に対して異なる刺激が時系列に与えられる。従って、所定の時間内における時系列の電気特性は、付与側の状態に対して特徴的な電気特性として表れると考えられる。よって、導電性ウレタン22で検出される電気特性(時系列の電気抵抗値データによる時間特性)に示されるパターン(例えば、電気特性における時系列の電気抵抗値の分布形状)は、付与側の状態に対応し、後述する学習処理において有効に機能する。
<学習モデル生成処理>
次に、学習モデル生成処理について説明する。図3に示す学習モデル生成装置は、学習処理部52における学習モデル生成処理によって、上述した学習データを用いて学習モデル51を生成する。
図4は、学習処理部52の機能構成、すなわち、学習処理部52で実行される学習モデル生成処理に関して、図示しないCPUの機能構成を示す図である。学習処理部52の図示しないCPUは、生成器54及び演算器56の機能部として動作する。生成器54は、入力である時系列に取得された電気抵抗値の前後関係を考慮して出力を生成する機能を有する。
学習処理部52は、学習用データとして、上述した入力データ4(例えば、電気抵抗値)と、導電性ウレタン22に刺激を与えた付与側の状態を示す状態データ3である出力データ6とのセットを図示しないメモリに多数保持している。
生成器54は、入力層540、中間層542、及び出力層544を含んで、公知のニューラルネットワーク(NN:Neural Network)を構成する。ニューラルネットワーク自体は公知の技術であるため詳細な説明は省略するが、中間層542は、ノード間結合及びフィードバック結合を有するノード群(ニューロン群)を多数含む。その中間層542には、入力層540からのデータが入力され、中間層542の演算結果のデータは、出力層544へ出力される。
生成器54は、入力された入力データ4(例えば、電気抵抗値)から付与側の状態を表すデータ又は付与側の状態に近いデータとしての生成出力データ6Aを生成するニューラルネットワークである。生成出力データ6Aは、入力データ4から導電性ウレタン22に刺激が与えられた付与側の状態を推定したデータである。生成器54は、時系列に入力された入力データ4から、付与側の状態に近い状態を示す生成出力データ6Aを生成する。生成器54は、多数の入力データ4を用いて学習することで、対象物2、すなわち、導電性ウレタン22に刺激が与えられた人物の付与側の状態に近い生成出力データ6Aを生成できるようになる。他の側面では、時系列に入力された入力データ4である電気特性をパターンとして捉え、当該パターンを学習することで、対象物2、すなわち、導電性ウレタン22に刺激が与えられた人物の付与側の状態に近い生成出力データ6Aを生成できるようになる。
演算器56は、生成出力データ6Aと、学習データの出力データ6とを比較し、その比較結果の誤差を演算する演算器である。学習処理部52は、生成出力データ6A、及び学習データの出力データ6を演算器56に入力する。これに応じて、演算器56は、生成出力データ6Aと、学習データの出力データ6との誤差を演算し、その演算結果を示す信号を出力する。
学習処理部52は、演算器56で演算された誤差に基づいて、ノード間の結合の重みパラメータをチューニングする、生成器54の学習を行う。具体的には、生成器54における入力層540と中間層542とのノード間の結合の重みパラメータ、中間層542内のノード間の結合の重みパラメータ、及び中間層542と出力層544とのノード間の結合の重みパラメータの各々を、例えば、勾配降下法や誤差逆伝播法等の手法を用いて、生成器54にフィードバックする。すなわち、学習データの出力データ6を目標として、生成出力データ6Aと学習データの出力データ6との誤差を最小化するように全てのノード間の結合を最適化する。
なお、生成器54は、時系列入力の前後関係を考慮して出力を生成する機能を有する再帰型ニューラルネットワークを用いてもよく、他の手法を用いてもよい。
学習処理部52は、学習モデル生成処理によって、上述した学習データを用いて学習モデル51を生成する。学習モデル51は、学習結果のノード間の結合の重みパラメータ(重み又は強度)の情報の集合として表現され、図示しないメモリに記憶される。
具体的には、学習処理部52は、次の手順により学習モデル生成処理を実行する。第1学習処理では、時系列に測定した結果の学習データである、付与側の状態を示す情報をラベルとした入力データ4(電気特性)を取得する。第2学習処理では、時系列に測定した結果の学習データを用いて学習モデル51を生成する。すなわち、上記のようにして多数の学習データを用いて学習した学習結果のノード間の結合の重みパラメータ(重み又は強度)の情報の集合を得る。そして、第3学習処理では、学習結果のノード間の結合の重みパラメータ(重み又は強度)の情報の集合として表現されるデータを学習モデル51として記憶する。
そして、上記推定装置1では、学習済みの生成器54(すなわち、学習結果のノード間の結合の重みパラメータの情報の集合として表現されるデータ)を学習モデル51として用いる。十分に学習した学習モデル51を用いれば、対象物2、すなわち、導電性ウレタン22の時系列の電気特性(例えば、時系列に変化する電気抵抗値の特性)から付与側の状態を同定することも不可能ではない。
<PRC>
ところで、導電性ウレタン22は、上述したように電気経路が複雑に連携し、電気経路の伸縮、膨縮、一時的な切断、及び新たな接続等の変化(変形)、並びに素材の性質の変化(変質)に応じた挙動を示す。結果的に、導電性ウレタン22は、与えられた刺激(例えば、圧力刺激)に応じて異なる電気特性を有する挙動を示す。このことは、導電性ウレタン22を、導電性ウレタン22の変形に関するデータを貯留するリザーバとして扱うことが可能である。すなわち、推定装置1は、物理的なリザーバコンピューティング(PRC:Physical Reservoir Computing)と呼ばれるネットワークモデル(以下、PRCNという。)に、導電性ウレタン22を適用することが可能である。PRC及びPRCN自体は公知の技術であるため、詳細な説明を省略するが、PRC、及びPRCNは、導電性ウレタン22の変形や変質に関する情報の推定に好適である。
図5に、PRCNを適用した学習処理部52の機能構成の一例を示す。PRCNを適用した学習処理部52は、入力リザーバ層541と、推定層545とを含む。入力リザーバ層541は、対象物2に含まれる導電性ウレタン22が対応する。すなわち、PRCNを適用した学習処理部52では、導電性ウレタン22を含む対象物2を、導電性ウレタン22を含む対象物2の変形及び変質に関するデータを貯留するリザーバとして扱って学習する。導電性ウレタン22は、多様な刺激の各々に応じた電気特性(例えば、電気抵抗値)となり、電気抵抗値を入力する入力層として機能し、また、導電性ウレタン22の変形及び変質に関するデータを貯留するリザーバ層として機能する。導電性ウレタン22は、人物の付与側の状態により与えられた刺激に応じて異なる電気特性(入力データ4)を出力するので、推定層545で、与えられた導電性ウレタン22の電気抵抗値から未知の付与側の状態を推定することが可能である。従って、PRCNを適用した学習処理部52における学習処理では、推定層545を学習すればよい。
<推定装置の構成>
次に、上述した推定装置1の具体的な構成の一例についてさらに説明する。図6に、推定装置1の電気的な構成の一例を示す。図6に示す推定装置1は、上述した各種機能を実現する処理を実行する実行装置としてのコンピュータを含んで構成したものである。上述の推定装置1は、コンピュータに上述の各機能を表すプログラムを実行させることにより実現可能である。
推定装置1として機能するコンピュータは、コンピュータ本体100を備えている。コンピュータ本体100は、CPU102、揮発性メモリ等のRAM104、ROM106、ハードディスク装置(HDD)等の補助記憶装置108、及び入出力インターフェース(I/O)110を備えている。これらのCPU102、RAM104、ROM106、補助記憶装置108、及び入出力I/O110は、相互にデータ及びコマンドを授受可能にバス112を介して接続された構成である。また、入出力I/O110には、外部装置と通信するための通信部114、ディスプレイやキーボード等の操作表示部116、及び検出部118が接続されている。検出部118は、導電性ウレタン22を含む対象物2から、入力データ4(時系列の電気抵抗値等の電気特性)を取得する機能を有する。すなわち、検出部118は、導電性ウレタン22が配置された対象物2を含み、かつ導電性ウレタン22における検出点75に接続された電気特性検出部76から入力データ4を取得することが可能である。なお検出部118は通信部114を介して接続してもよい。
補助記憶装置108には、コンピュータ本体100を本開示の推定装置の一例として推定装置1として機能させるための制御プログラム108Pが記憶される。CPU102は、制御プログラム108Pを補助記憶装置108から読み出してRAM104に展開して処理を実行する。これにより、制御プログラム108Pを実行したコンピュータ本体100は、推定装置1として動作する。
なお、補助記憶装置108には、学習モデル51を含む学習モデル108M、及び各種データを含むデータ108Dが記憶される。制御プログラム108Pは、CD-ROM等の記録媒体により提供するようにしても良い。
<推定処理>
次に、コンピュータにより実現された推定装置1における推定処理についてさらに説明する。図7に、コンピュータ本体100で実行される制御プログラム108Pによる推定処理の流れの一例を示す。図7に示す推定処理は、コンピュータ本体100に電源が投入されると、CPU102により実行される。CPU102は、制御プログラム108Pを補助記憶装置108から読み出し、RAM104に展開して処理を実行する。
まず、CPU102は、補助記憶装置108の学習モデル108Mから学習モデル51を読み出し、RAM104に展開することで、学習モデル51を取得する(ステップS200)。具体的には、学習モデル51として表現された重みパラメータによるノード間の結合となるネットワークモデル(図4、図5参照)を、RAM104に展開することによって、重みパラメータによるノード間の結合が実現された学習モデル51が構築される。
次に、CPU102は、導電性ウレタン22に与えられた刺激による付与側の状態を推定する対象となる未知の入力データ4(電気特性)を、検出部118を介して時系列に取得する(ステップS202)。次に、CPU102は、学習モデル51を用いて、取得済みの入力データ4に対応する出力データ6(未知の付与側の状態)を推定する(ステップS204)。そして、CPU102は、推定結果の出力データ6(付与側の状態)を、通信部114を介して出力し(ステップS206)、本処理ルーチンを終了する。
このように、推定装置1によれば、導電性ウレタン22の電気抵抗値から未知の付与側の状態を推定可能である。具体的には、推定装置1では、付与側の状態により導電性ウレタン22に与えられた刺激に応じて変化する入力データ4(電気特性)から、人物の付与側の状態を推定することが可能となる。すなわち、特殊な装置や大型の装置を用いたり柔軟部材の変形を直接計測することなく、人物の付与側の状態を推定することが可能となる。
<変位分布推定>
次に、上記で説明した導電性ウレタン22を、店舗に来店したお客が装着する商品に適用する例について説明する。
本実施形態に係る商品は、頭や肢体といったお客の予め定めた部位(「特定部位」という)に装着される商品であって、特定部位との接触面に導電性ウレタン22を含む部材21が適用された商品である。したがって、本実施形態に係る商品は装着物の一例であり、お客は商品を装着する装着者の一例である。
商品におけるお客の特定部位との接触面とは、お客の肌と商品とが間に何も介さずに直接接触している範囲の他、衣類等を介してお客の肌と商品とが間接的に接触している範囲も含まれる。
以降では、商品の具体例としてヘルメット24を例にした説明を行う。図8はヘルメット24を装着したお客の例を示す図である。ヘルメット24の内部には頭への衝撃を和らげるため、導電性ウレタン22を含んだクッション材としての部材21が設けられている。部材21に導電性ウレタン22が含まれるとは、導電性ウレタン22と部材21との配置例が、図2に示したような導電性ウレタン22と部材21の配置例の何れかを満たすことをいう。クッション材は部材21の一例であることから、説明の便宜上、クッション材にも部材21と同じ符号を割り当て、「クッション材21」と表すことにする。
頭の形状はお客毎に異なるため、お客がヘルメット24を装着した場合、頭の形状に応じてヘルメット24のクッション材21に含まれる導電性ウレタン22に伸縮及び膨張といった圧力刺激が付与されることになる。したがって、ヘルメット24に備えられた電気特性検出部76を通じて、お客がヘルメット24を装着することで付与される圧力刺激に応じた導電性ウレタン22の電気特性を取得することができる。
換言すれば、ヘルメット24のクッション材21に含まれる導電性ウレタン22は、お客の頭の形状に応じた電気特性を出力すると捉えることができる。したがって、ヘルメット24のクッション材21の各地点における変位量と、当該変位量における導電性ウレタン22の時系列の電気特性と、の関連付けを機械学習した学習モデル51を生成すれば、当該学習モデル51に、お客がヘルメット24を装着した場合にヘルメット24から取得される導電性ウレタン22の時系列の電気特性を入力することで、ヘルメット24のクッション材21の変位分布が得られる。
クッション材21の変位分布が得られれば、クッション材21の各地点における変位量から、クッション材21が頭にフィットしているか否かを推定することが可能となる。このように、商品に装着されるお客の特定部位と商品におけるお客の特定部位の接触面とのフィット感、すなわち密着度合いを商品の「適合状態」といい、商品におけるお客の特定部位の接触面に生じる変位分布のように、商品の適合状態を示す情報を商品の「適合状態情報」という。
なお、ヘルメット24の電気特性検出部76と推定装置1とは、通信部114を経由して無線で接続されることが好ましいが、状況に応じて電気特性検出部76と推定装置1を有線で接続してもよい。
次に、商品の適合状態情報を推定するための学習モデル51を生成する学習処理について説明する。
図3に示した学習モデル生成装置の学習処理部52は、学習データ収集処理において、クッション材21の変位量を表す状態データ3をラベルとする、クッション材21に含まれる導電性ウレタン22の電気抵抗値を時系列に測定した大量の入力データ4を学習データとして収集する。
具体的には、学習データ収集処理では、ヘルメット24のクッション材21に予め設定した複数の地点毎に、各地点が予め定めた変位量になるまで押下された場合の導電性ウレタン22の電気特性(例えば、電気抵抗値)を、ヘルメット24の電気特性検出部76から時系列に取得する。具体的には、学習データ収集処理では、予め設定した複数の地点毎に、例えば、1mm、2mm、・・・、10mm、・・・というように変位量を変化させ、各々の変位量に対応した導電性ウレタン22の電気特性を時系列に測定する。
次に、取得した時系列の電気特性である入力データ4に、押下した地点と変位量の組み合わせ毎に得られる状態データ3(この場合、変位ベクトル)をラベルとして付与し、状態データ3と入力データ4とを組み合わせた複数の学習データを準備する。なお、変位ベクトルの詳細については後ほど説明する。
以降では、ヘルメット24のクッション材21に予め設定した各々の地点を「推定点」ということにする。設定する推定点の数に制約はないが、クッション材21に推定点を多く設定するほど、推定装置1によって得られるクッション材21の変位分布の精度が高くなる。したがって、少なくともクッション材21の全域に亘って推定点を設定しておくことが好ましい。
また、ヘルメット24のクッション材21に含まれる導電性ウレタン22の電気特性の一例として電気抵抗値を用いた説明を行うが、導電性ウレタン22の電気特性として電流値又は電圧値を用いてもよいことは前述した通りである。
表2は、ヘルメット24の適合状態情報の推定に用いる学習データとして、ヘルメット24のクッション材21に含まれる導電性ウレタン22から得られた時系列の電気抵抗値データ、すなわち、入力データ4と、推定点の位置を示すインデックス番号と変位量によって規定される状態データ3とを対応付けたデータセットの一例である。
Figure 2023088192000003
表2の各々の学習データにおける時系列の電気抵抗値データrPkX1~rPkXn(k、X、nは自然数)に関して、末尾の“n”は電気抵抗値データの時系列を表し、“X”は変位量を表し、“k”は推定点のインデックス番号を表す。すなわち、電気抵抗値データr111は、推定点P1が1mm押下された場合に測定される1番目の電気抵抗値データであることを表し、電気抵抗値データrPkXnは、推定点PkがXmm押下された場合に測定されるn番目の電気抵抗値データであることを表す。
一方、表2の状態データ3は変位ベクトルによって表される。変位ベクトルとは、推定点PkがXmm押下された場合の各推定点における変位量を要素としたベクトルのことをいう。例えば、押下された推定点以外の各推定点に変位が現れなければ、押下された推定点以外の各推定点における変位量は“0”となる。すなわち、変位ベクトルは、頭に対するクッション材21の接触面における変位分布を表す。
表2に示す学習データでは、推定点と変位量の組み合わせに対してそれぞれ1つの学習データが存在している例を示しているが、同じ推定点と変位量の組み合わせに対して複数の学習データを用意してもよい。
学習処理部52は、表2に示した学習データの例を用いて学習モデル51を生成する。図9は、学習処理部52で行われる学習処理の流れの一例を示す図である。図10は、表2に示した学習データによって機械学習が行われる学習モデル51のネットワークモデル例を示す図である。
学習データの入力データ4はn次元ベクトルであるため、ネットワークモデルの入力層540はn個のノードで構成され、クッション材21の推定点はk個存在することから、ネットワークモデルの出力層544は、各々の推定点に対応したk個のノードで構成される。
まず、学習処理部52は、表2に示した複数の学習データの中から、何れか1つの学習データを選択する(ステップS100)。
次に、学習処理部52は、ステップS100で選択した学習データ(「選択学習データ」という)から時系列の入力データ4を取得する(ステップS102)。
次に、学習処理部52は、学習モデル51にステップS102で取得した時系列の入力データ4を入力する(ステップS104)。例えば、ステップS100で、表2の推定点P1及び変位量1mmの組み合わせに対する変位ベクトルを含んだ学習データが選択された場合、学習処理部52は、“r111、r112、r113、・・・、r11n”を要素とするn次元の入力ベクトルで表される時系列の電気抵抗値データを入力データ4として学習モデル51に入力する。
これにより、学習モデル51は入力データ4に対する生成出力データ6Aを出力する。生成出力データ6Aは、各々の推定点の変位量に対応したk次元の変位ベクトルで表される。学習処理部52は、学習モデル51の出力、すなわち、生成出力データ6Aと、状態データ3として表されている選択学習データにおける出力データ6との差分、すなわち、誤差を算出する(ステップS106)。なお、誤差はベクトルで表される。
次に、学習処理部52は、ステップS106で算出した誤差の大きさが、予め定めた閾値ε未満であるか否かを判定する(ステップS108)。誤差の大きさが閾値ε未満である場合には、学習モデル51は、時系列の電気抵抗値データによって表される特徴パターンと、頭と接触するクッション材21の接触面における変位分布との対応付けを機械学習したことを意味する。したがって、学習処理部52は、図9に示す学習処理を終了する。
なお、閾値εは学習モデル生成装置を用いて学習モデル51の機械学習を行うユーザによって変更可能である。変位分布をできるだけ精度よく推定する学習モデル51を得るためには閾値εを小さく設定すればよいが、それに伴い、学習モデル51の機械学習に要する時間が長くなり、また、より多くの学習データが必要になることがある。
一方、ステップS108の判定処理で誤差の大きさが閾値ε以上であると判定された場合には、学習モデル51は、時系列の電気抵抗値データによって表される特徴パターンと、変位分布との対応付けの学習途中であることを意味する。
したがって、学習処理部52は、例えば、勾配降下法や誤差逆伝播法等の公知の手法を用いて、誤差の大きさが小さくなるように、図10に示した学習モデル51のネットワークモデルにおけるノード間の重みパラメータを修正する(ステップS110)。
次に、学習処理部52は、用意されている複数の学習データの中に、ステップS100でまだ選択していない未選択の学習データがあるか否かを判定する(ステップS112)。未選択の学習データがある場合にはステップS100に移行して、学習処理部52は、未選択の学習データを選択してステップS102以降の処理を実行する。
一方、ステップS112の判定処理で未選択の学習データがないと判定された場合には、既に用意されたすべての学習データを用いて学習モデル51の機械学習を行ったことになるため、図9に示す学習処理を終了する。
すなわち、学習処理部52は、学習データに含まれる入力データ4に対して学習モデル51が出力する生成出力データ6Aと、学習データに含まれる出力データ6との誤差の大きさが閾値ε未満になるか、又は用意されたすべての学習データを用いて学習モデル51の機械学習を行うまで学習モデル51の機械学習を継続する。
なお、学習処理部52は、選択済みの学習データを用いて学習モデル51の機械学習を繰り返し実行してもよい。
推定装置1は、導電性ウレタン22の時系列の電気抵抗値データによって表される特徴パターンと変位分布との関連性を機械学習した学習モデル51を用いて図7に示した推定処理を実行することによって、お客がヘルメット24を装着した場合に得られる、クッション材21に含まれる導電性ウレタン22の未知の電気抵抗値データから、お客の頭が接触するクッション材21の接触面における変位分布を推定する。
具体的には、図7のステップS200において、推定装置1のCPU102は、機械学習済みの学習モデル51を取得し、ステップS202において、CPU102は、変位分布の推定対象となるお客が装着したヘルメット24から、クッション材21に含まれる導電性ウレタン22の時系列の電気抵抗値データを入力データ4として取得する。
なお、ステップS202で取得する入力データ4に含まれる時系列の電気抵抗値データの数は、学習データの入力データ4に含まれる電気抵抗値データの数と同じになるようにする。すなわち、ステップS202で取得する入力データ4の次元数は、学習データの入力データ4の次元数にあわせる。
ステップS202で取得する入力データ4は、推定処理の実行期間中にヘルメット24からリアルタイムに得られた入力データ4であっても、推定処理を実行する前にヘルメット24から予め得られていた入力データ4であってもよい。
ステップS204において、CPU102は、ステップS200で取得した学習モデル51に、ステップS202で取得した入力データ4を入力し、学習モデル51から出力された出力データ6を取得する。既に説明したように、学習モデル51から出力された出力データ6は、お客がヘルメット24を装着した場合に頭が接触するクッション材21の接触面における変位分布を表している。
ステップS206において、CPU102は、ステップS204で推定した変位分布を出力する。
図11は、推定処理によって推定した、ヘルメット24に備えられたクッション材21の頭との接触面における変位分布の一例を示す図である。
図11に示すように、推定装置1は、例えば、推定した変位分布をヘルメット24の形状に沿って変位量に応じた色や模様で区分しながら操作表示部116に表示する。
このように、本実施形態に係る推定装置1によれば、お客が装着する商品において、お客の特定部位と接触する部材21に導電性ウレタン22を適用し、商品の装着に伴い発生する圧力刺激によって変化する導電性ウレタン22の時系列の電気特性と、部材21の接触面における変位分布との関連性を予め機械学習した学習モデル51に、お客が商品を装着した際の時系列の未知の電気特性を入力することで得られる出力データ6により、部材21の接触面における変位分布を推定する。
推定した変位分布により、お客が装着した商品の部材21とお客の特定部位との密着度合いがわかる。したがって、推定装置1は、装着した商品がお客の身体形状に適合しているかを定量的に示すことができるため、例えば、店舗の従業員は、推定装置1が推定した変位分布を参考にして、自分の身体形状に適合した商品を選んでいるお客に対して商品の適合状態を助言することができる。
<変形例1>
上記では、店舗内にある複数の商品の中から、お客が自分の身体形状に適合する商品を選択するような場合に、推定装置1で推定した変位分布を利用する例について説明した。
ここでは、店舗でお客が自分の身体形状に適合した商品の受注生産を依頼する場合に、推定装置1で推定した変位分布を利用する例について説明する。
図12は、変形例1における推定装置1の構成例を示す図である。図12に示す推定装置1の構成例が図1に示した推定装置1の構成例と異なる点は、補正部7が追加された点である。
補正部7は、推定部5で推定された変位分布から、商品においてお客の特定部位が接触する接触面の形状を補正する。すなわち、補正部7は、クッション材21の接触面における変位分布から、頭とクッション材21の密着度合いがお客にとって快適であると感じられるような密着度合いとなるように、部材21の形状を補正するための補正データを生成する。
変形例1におけるヘルメット24は、お客から注文を受けて生産される受注生産品であり、まず、お客は店舗において、予め用意されているヘルメット24(「標準ヘルメット24」という)を装着する。標準ヘルメット24のクッション材21には導電性ウレタン22が含まれており、お客が標準ヘルメット24を頭に装着することで、既に説明した推定処理によって、標準ヘルメット24に備えられたクッション材21の頭との接触面における変位分布が推定される。
補正部7は、推定された変位分布と、標準ヘルメット24におけるクッション材21の形状とを用いて、クッション材21の形状がお客の頭の形に適合するように、クッション材21を補正する。
図13に、コンピュータ本体100で実行される制御プログラム108Pによる補正処理の流れの一例を示す。
図13に示す補正処理は、操作表示部116からクッション材21の補正開始を指示する補正指示を受け付けると、CPU102により実行される。CPU102は、制御プログラム108Pを補助記憶装置108から読み出し、RAM104に展開して補正処理を実行する。
なお、補助記憶装置108には、標準ヘルメット24を装着したお客に対する推定済みの変位分布が記憶されているものとする。
まず、CPU102は、補助記憶装置108から推定済みの変位分布(以降、「変位分布」という)を読み出し、RAM104に展開する。CPU102は、RAM104に展開した変位分布から何れか1つの推定点を選択する(ステップS300)。
CPU102は、ステップS300で選択した推定点、すなわち、選択推定点の変位量が閾値δを超えているか否かを判定する(ステップS302)。閾値δは、例えば、補助記憶装置108に予め記憶されている値であり、推定装置1のユーザによって変更可能である。
推定点の変位量が大きいほど、お客の頭によって標準ヘルメット24のクッション材21が押しつぶされていることを意味する。クッション材21が押しつぶされることで頭とクッション材21の密着度合いは上昇するが、密着度合いがあまりに強すぎると窮屈に感じられるようになる。したがって、閾値δは、標準ヘルメット24が窮屈に感じられず、密着度合いが快適であると感じられるような上限の変位量を表す値に設定される。
選択推定点の変位量が閾値δを超えている場合にはステップS304に移行し、CPU102は、選択推定点を第1推定点としてRAM104に記録して、ステップS310に移行する。すなわち、第1推定点とは、標準ヘルメット24に備えられたクッション材21に設定された推定点のうち、クッション材21が閾値δを超えて変形している位置、すなわち、押しつぶされている位置に対応した推定点のことである。
一方、ステップS302の判定処理で、選択推定点の変位量が閾値δ以下であると判定された場合にはステップS306に移行し、CPU102は、今度は選択推定点の変位量が閾値γ未満であるか否かを判定する。閾値γは、例えば、補助記憶装置108に予め記憶されている閾値であり、推定装置1のユーザによって変更可能である。
推定点の変位量が小さいほど、お客の頭によって標準ヘルメット24のクッション材21が押しつぶされていない状態であることを意味する。クッション材21が押しつぶされることで頭とクッション材21の密着度合いが感じられるが、変位量があまりに少なすぎるとクッション材21との密着度合いが感じられなくなってしまい、標準ヘルメット24が大きすぎる感覚、いわゆる「ぶかぶか感」が感じられるようになる。したがって、閾値γは、標準ヘルメット24がぶかぶかに感じられず、密着度合いが快適であると感じられるような下限の変位量を表す値に設定される。
選択推定点の変位量が閾値γ未満の場合にはステップS308に移行し、CPU102は、選択推定点を第2推定点としてRAM104に記録して、ステップS310に移行する。すなわち、第2推定点とは、標準ヘルメット24に備えられたクッション材21に設定された推定点のうち、クッション材21の変形、すなわち、クッション材21の押しつぶされ方が閾値γに満たない位置に対応した推定点のことである。
一方、ステップS306の判定処理で、選択推定点の変位量が閾値γ以上であると判定された場合にはステップS310に移行する。
ステップS310において、CPU102は、推定済みの変位分布の中に、ステップS300でまだ選択していない未選択の推定点があるか否かを判定する。未選択の推定点がある場合にはステップS300に移行して、CPU102は、推定済みの変位分布から未選択の推定点を選択してステップS302以降の処理を実行する。すなわち、CPU102は、推定済みの変位分布の推定点毎に、推定点を第1推定点、第2推定点、及び第1推定点でも第2推定点でもない推定点の何れかに分類する。
一方、ステップS310の判定処理で推定済みの変位分布に未選択の推定点がないと判定された場合にはステップS312に移行し、CPU102は、推定済みの変位分布における推定点の中に、第1推定点として記録された推定点があるか否かを判定する。
第1推定点として記録された推定点がある場合、ステップS314に移行する。この場合、第1推定点と対応付けられたクッション材21の地点は、お客が窮屈に感じた地点であると考えられることから、CPU102は、第1推定点として記録された推定点毎に、当該推定点での変位量が閾値γ以上、かつ、閾値δ以下となるように、クッション材21の厚みを薄くする補正を行う。なお、クッション材21の厚みとは、頭と接触するクッション材21の接触面の法線方向の長さをいう。
標準ヘルメット24におけるクッション材21の各推定点に対応した位置の厚みは予め計測され、補助記憶装置108に記憶されている。したがって、CPU102は、第1推定点として記録された推定点に対応した補正後のクッション材21の厚さWaを、W1-(Y1-γ)以上、かつ、W1-(Y1-δ)以下に補正すればよい。ここで、“W1”は、第1推定点として記録された推定点における標準ヘルメット24のクッション材21の厚さであり、“Y1”は第1推定点として記録された推定点の変位量である。一例として、CPU102は、補正後のクッション材21の厚さWaを、下限値“W1-(Y1-γ)”と上限値“W1-(Y1-δ)”の平均値となるように補正する。
CPU102は、ステップS314の処理を実行後、ステップS316に移行する。
一方、ステップS312の判定処理で、第1推定点として記録された推定点がないと判定された場合にもステップS316に移行する。
ステップS316において、CPU102は、推定済みの変位分布における推定点の中に、第2推定点として記録された推定点があるか否かを判定する。
第2推定点として記録された推定点がある場合、ステップS318に移行する。この場合、第2推定点と対応付けられたクッション材21の地点は、お客がぶかぶかに感じた地点であると考えられることから、CPU102は、第2推定点として記録された推定点毎に、当該推定点の変位量が閾値γ以上、かつ、閾値δ以下となるように、クッション材21の厚みを厚くする補正を行い、図13に示す補正処理を終了する。具体的には、CPU102は、第2推定点として記録された推定点に対応した補正後のクッション材21の厚さWbを、W2+(γ-Y2)以上、かつ、W2+(δ-Y2)以下に補正すればよい。ここで、“W2”は、第2推定点として記録された推定点における標準ヘルメット24のクッション材21の厚さであり、“Y2”は第2推定点として記録された推定点の変位量である。一例として、CPU102は、補正後のクッション材21の厚さWbを、下限値“W2+(γ-Y2)”と上限値“W2+(δ-Y2)”の平均値となるように補正する。
一方、ステップS316の判定処理で、第2推定点として記録された推定点がないと判定された場合、CPU102は、ステップS318の処理を実行することなく、図13に示す補正処理を終了する。
補正処理により、標準ヘルメット24におけるクッション材21の厚みを基準にして、お客の頭の形状に適合するようにクッション材21の厚みをカスタマイズしたお客専用のヘルメット24が生産可能となる。
図14は、補正処理によって標準ヘルメット24のクッション材21の厚みを薄くする補正を行った例を示す図であり、図15は、補正処理によって標準ヘルメット24のクッション材21の厚みを厚くする補正を行った例を示す図である。
図14及び図15において、点線26は、お客が標準ヘルメット24を装着していない状態での標準ヘルメット24におけるクッション材21の接触面の位置を表し、実線28は、お客がお客専用にカスタマイズされたヘルメット24を装着していない状態でのお客専用のヘルメット24におけるクッション材21の接触面の位置を表す。
このように、変形例1に係る推定装置1によれば、標準ヘルメット24の装着に伴い発生する圧力刺激によって変化する導電性ウレタン22の時系列の電気特性と、クッション材21の接触面における変位分布との関連性を予め機械学習した学習モデル51を用いて推定した変位分布から、クッション材21の形状をお客の頭の形状に適合させるための補正量を推定することができる。
<変形例2>
変形例1では、お客が標準ヘルメット24を装着した場合のクッション材21の接触面における変位分布から、クッション材21の形状をお客の頭の形状に適合させるための補正量を推定した。しかしながら、クッション材21の接触面における変位分布を用いてクッション材21の形状をお客の身体形状に適合させることができるのであれば、クッション材21の接触面における変位分布からお客の頭の形状を推定することも可能である。
ここでは、例えば、店舗でお客がヘルメット24を選ぶ場合に、どのようなサイズのヘルメット24がよいかを判断するため、お客の頭の形状を推定装置1で推定する例について説明する。
図16は、変形例2における推定装置1の構成例を示す図である。図16に示す推定装置1の構成例が図1に示した推定装置1の構成例と異なる点は、形状推定部8が追加された点である。
形状推定部8は、推定部5で推定された変位分布から、商品(この場合、ヘルメット24)を選んでいるお客における商品の装着対象となる特定部位(この場合、頭)の形状を推定する。推定装置1でお客の頭の形状を推定するためにはお客に標準ヘルメット24を装着してもらい、推定装置1は、既に説明した推定処理によって、標準ヘルメット24に備えられたクッション材21の頭との接触面における変位分布を推定する。
形状推定部8は、推定された変位分布と、標準ヘルメット24におけるクッション材21の形状とを用いて、標準ヘルメット24を装着したお客の頭の形状を推定する。すなわち、形状推定部8は、クッション材21の接触面における変位分布から、クッション材21に接触するお客の特定部位の形状を表す形状データを生成する。
図17に、コンピュータ本体100で実行される制御プログラム108Pによる形状推定処理の流れの一例を示す。
図17に示す形状推定処理は、操作表示部116から形状の推定開始を指示する形状推定指示を受け付けると、CPU102により実行される。CPU102は、制御プログラム108Pを補助記憶装置108から読み出し、RAM104に展開して形状推定処理を実行する。
なお、何れのお客が標準ヘルメット24を装着した場合であっても、お客の頭と接するすべてのクッション材21が押しつぶされるように、標準ヘルメット24のクッション材21の厚さは厚めに形成されているものとする。すなわち、クッション材21の何れの推定点においても“0”を超える変位量が得られるようにする。また、標準ヘルメット24に対して3次元座標系を設定し、標準ヘルメット24におけるクッション材21の各推定点における3次元座標値を補助記憶装置108に記憶しておく。補助記憶装置108には、標準ヘルメット24を装着したお客に対する推定済みの変位分布も記憶されている。
まず、CPU102は、補助記憶装置108から変位分布を読み出し、RAM104に展開する。CPU102は、RAM104に展開した変位分布から何れか1つの推定点を選択する(ステップS400)。
CPU102は、ステップS400で選択した推定点、すなわち、選択推定点の変位量から、お客の頭部表面の地点(以降、「輪郭点」という)を推定する(ステップS402)。
選択推定点においてクッション材21が押しつぶされているのは、選択推定点と接する頭の輪郭点から圧力を受けているためである。したがって、選択推定点における変位量を“Y”とすれば、CPU102は、お客が標準ヘルメット24を装着していない場合の選択推定点の位置を、選択推定点におけるクッション材21の接触面の法線方向に変位量Yだけ移動させた地点を輪郭点とすればよい。選択推定点の三次元座標値は既知であるため、CPU102は、選択推定点の三次元座標値と変位量Yから、輪郭点の三次元座標値を算出することができる。CPU102は、算出した輪郭点の3次元座標値をRAM104に記憶する。
次に、CPU102は、推定済みの変位分布の中に、ステップS400でまだ選択していない未選択の推定点があるか否かを判定する(ステップS404)。未選択の推定点がある場合にはステップS400に移行して、CPU102は、推定済みの変位分布から未選択の推定点を選択してステップS402以降の処理を実行する。すなわち、CPU102は、推定済みの変位分布の推定点毎に、対応する頭の輪郭点の三次元座標値を算出する。
一方、ステップS404の判定処理で推定済みの変位分布に未選択の推定点がないと判定された場合にはステップS406に移行し、CPU102は、算出した各々の輪郭点から頭の形状を推定する。具体的には、CPU102は、算出した輪郭点を通過する面で各々の輪郭点の間を補間して頭の形状を推定する。当然のことながら、各々の輪郭点を補間する面は曲面であっても平面であってもよい。輪郭点の補間には、例えば、ラグランジュ補間やスプライン補間といった公知の補間方法が用いられる。図18は、図17に示す形状推定処理で推定したお客の頭の形状例を示す図である。
以上により、図17に示す形状推定処理を終了する。
このように、変形例2に係る推定装置1によれば、標準ヘルメット24の装着に伴い発生する圧力刺激によって変化する導電性ウレタン22の時系列の電気特性と、クッション材21の接触面における変位分布との関連性を予め機械学習した学習モデル51を用いて推定した変位分布から、標準ヘルメット24を装着したお客の頭の形状を推定することができる。
なお、図16では、図1の推定装置1に対して形状推定部8が追加されているが、補正部7と形状推定部8の両方を追加してもよいことは言うまでもない。
ここまでヘルメット24を例にして、お客の特定部位が接触する部材21の接触面における変位分布の推定例、お客の特定部位の形状に適合する部材21の形状の補正例、及び部材21に装着される特定部位の形状の推定例について説明してきた。しかしながら、導電性ウレタン22を含む部材21の適用対象はヘルメット24に限定されるものではなく、例えば、靴、ボクシンググローブ、及び顔を覆うお面や仮装に用いられる頭全体を覆う被り物といった商品にも適用可能であり、各々の商品に対して図7に示した推定処理、図13に示した補正処理、及び図17に示した形状推定処理を適用することができる。
なお、お客の特定部位が接触する商品の接触面が汚れたり型崩れしたりしないように、接触面を覆う梱包材を商品に取り付けることがある。一方で、既に説明したように、推定装置1は商品に接触するお客の特定部位の形状を推定することができるため、お客の特定部位の形状を模した梱包材の形状を推定することも可能である。すなわち、推定装置1は、受注生産した商品の形状に適合したお客専用の梱包材を製作するための形状データを提供することも可能である。
上述したように、本開示では、柔軟部材の一例として導電性ウレタン22を適用した場合を説明したが、柔軟部材は導電性ウレタン22に限定されないことは勿論である。
また、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
また、上記実施形態では、学習処理、推定処理、補正処理、及び形状推定処理を、フローチャートを用いた処理によるソフトウエア構成によって実現した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、各処理をハードウェア構成により実現する形態としてもよい。
また、推定装置1の一部、例えば、学習モデル51等のニューラルネットワークを、ハードウェア回路として構成してもよい。
1 推定装置
2 対象物
3 状態データ
4 入力データ
5 推定部
6 出力データ
7 補正部
8 形状推定部
6A 生成出力データ
21 部材(クッション材)
22 導電性ウレタン
24 (標準)ヘルメット
51 学習モデル
52 学習処理部
54 生成器
56 演算器
75 検出点
76 電気特性検出部

Claims (11)

  1. 店舗において装着者の特定部位に装着される装着物であって、導電性を有し、かつ与えられた刺激の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を備えた前記装着物の前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部と、
    前記柔軟材料に刺激を与えた際の時系列の電気特性、及び前記柔軟材料に刺激を与える前記装着者の特定部位と前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面との適合状態を示す適合状態情報を学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記適合状態情報を出力するように学習された学習モデルに対して、前記検出部で検出された時系列の電気特性を入力し、前記装着物を特定部位に装着した前記装着者に関する適合状態情報であって、入力した時系列の電気特性に対応する適合状態情報を推定する推定部と、
    を含む推定装置。
  2. 前記推定部は、前記装着者が前記装着物を装着することによって、前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面に生じる変位分布を前記適合状態情報として推定する
    請求項1に記載の推定装置。
  3. 前記推定部で推定された前記変位分布から、前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面の形状を補正する補正部を含む
    請求項2に記載の推定装置。
  4. 前記推定部で推定された前記変位分布から、前記装着者の特定部位の形状を推定する形状推定部を含む
    請求項2又は請求項3に記載の推定装置。
  5. 前記形状推定部は、前記装着者の特定部位の形状から、前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面を覆う梱包材の形状を推定する
    請求項4に記載の推定装置。
  6. 前記推定部によって、前記装着者の特定部位と前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面との適合状態情報が推定される前記装着物は、前記装着者から注文を受けて生産される受注生産品である
    請求項1~請求項5の何れか1項に記載の推定装置。
  7. 前記装着物は、前記装着者の特定部位の接触面に、繊維状及び網目状の少なくとも一方の骨格を有する構造、又は内部に微小な空気泡が複数散在する構造のウレタン材の少なくとも一部に導電性が付与された材料を含む
    請求項1~請求項6の何れか1項に記載の推定装置。
  8. 前記学習モデルは、前記柔軟材料をリザーバとして当該リザーバを用いたリザーバコンピューティングによるネットワークを用いて学習させることで生成されたモデルを含む
    請求項1~請求項7の何れか1項に記載の推定装置。
  9. コンピュータが、
    店舗において装着者の特定部位に装着される装着物であって、導電性を有し、かつ与えられた刺激の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を備えた前記装着物の前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出し、
    前記柔軟材料に刺激を与えた際の時系列の電気特性、及び前記柔軟材料に刺激を与える前記装着者の特定部位と前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面との適合状態を示す適合状態情報を学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記適合状態情報を出力するように学習された学習モデルに対して、検出した時系列の電気特性を入力し、前記装着物を特定部位に装着した前記装着者に関する適合状態情報であって、入力した時系列の電気特性に対応する適合状態情報を推定する
    推定方法。
  10. コンピュータに、
    店舗において装着者の特定部位に装着される装着物であって、導電性を有し、かつ与えられた刺激の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を備えた前記装着物の前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出し、
    前記柔軟材料に刺激を与えた際の時系列の電気特性、及び前記柔軟材料に刺激を与える前記装着者の特定部位と前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面との適合状態を示す適合状態情報を学習用データとして用いて、前記時系列の電気特性を入力とし、前記適合状態情報を出力するように学習された学習モデルに対して、検出した時系列の電気特性を入力し、前記装着物を特定部位に装着した前記装着者に関する適合状態情報であって、入力した時系列の電気特性に対応する適合状態情報を推定する
    処理を実行させるための推定プログラム。
  11. 店舗において装着者の特定部位に装着される装着物であって、導電性を有し、かつ与えられた刺激の変化に応じて電気特性が変化する柔軟材料を備えた前記装着物の前記柔軟材料に予め定められた複数の検出点の間の電気特性を検出する検出部からの前記電気特性と、前記柔軟材料に刺激を与える前記装着者の特定部位と前記装着物における前記装着者の特定部位の接触面との適合状態を示す適合状態情報を取得し、取得した取得結果に基づいて、前記柔軟材料に刺激を与えた際の時系列の電気特性を入力とし、前記装着物を特定部位に装着した前記装着者の適合状態情報を出力する学習モデルの機械学習を行う学習処理部
    を含む学習モデル生成装置。
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