JP2023085709A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】終日のメダルの付与数から使用数を減算した値の通信制御に関して改良を施した遊技機を提供する。【解決手段】遊技を行うことが可能な遊技機であって、遊技制御手段と演出制御手段とを備え、遊技制御手段は、所定の計数開始条件が成立してから行われた遊技における遊技用価値の使用数と付与数とを累積計数し、累積付与数が累積使用数よりも大きいとき累積付与数から累積使用数を減算した数を差数として記憶し、累積付与数が累積使用数よりも小さいとき差数として0を記憶し、記憶した差数が制限数に達したときに、遊技の進行を不能化し、記憶した差数と制限数との間の差が所定数よりも小さいときに、差数と制限数との間の差を特定可能なコマンドを演出制御手段に送信する。【選択図】図69

Description

本発明は、遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
遊技機は、射幸性を抑える目的で、遊技者の獲得可能なメダル数を制限するものが提案されている。たとえば、特開2004-344497号公報(以下、特許文献1と称する。)に記載の遊技機は、終日の入賞により払い出されたメダルの枚数(付与数)から、遊技者が設定した賭け数(使用数)を減算した値を示す差玉カウンタを保持し、当該差玉カウンタの値が9600以上となったときにリミッタを作動させる。このような遊技機では、差玉カウンタの値を含む差玉コマンドが、遊技制御基板から演出制御基板へと送信される。
特開2004-344497号公報
特許文献1の遊技機において、終日の入賞により付与されたメダル数(付与数)から賭けられたメダル数(使用数)を減算した値を主制御基板から演出制御基板に対して送信する通信制御に関して改良の余地があった。
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、終日のメダルの付与数に対して使用数を減算した値の通信制御に関して改良を施した遊技機を提供することである。
遊技を行うことが可能な遊技機(たとえば、S台2)であって、
遊技の進行の制御を行う遊技制御手段(たとえば、主制御部161)と、
演出の制御を行う演出制御手段(たとえば、演出制御部151)と、を備え、
前記遊技制御手段は、
所定の計数開始条件(たとえば、S台2に対する電源の投入)が成立してから遊技における遊技用価値の使用数を累積計数し(たとえば、図69に示される主制御部161による使用数計数処理:Sg4)、
前記所定の計数開始条件が成立してから遊技における遊技用価値の付与数を累積計数し(たとえば、図69に示される主制御部161による付与数計数処理:Sg6)、
前記付与数を累積計数した累積付与数が、前記使用数を累積計数した累積使用数よりも大きいときに(たとえば、図69のSg15でNO)、前記累積付与数と前記累積使用数との間の差数として、前記累積付与数から前記累積使用数を減算した数を記憶し、
前記累積付与数が、前記累積使用数よりも小さいときに(たとえば、図69のSg15でYES)、前記差数として0を記憶し(たとえば、図69のSg14にて差数が0に更新され)、
記憶した前記差数が制限数(たとえば、19000枚)に達したときに、遊技の進行を不能化し(たとえば、図69に示されるSg21にて打止フラグをONにし)、
記憶した前記差数と前記制限数との間の差(たとえば、安全装置発動残数)が所定数(たとえば、127)よりも小さいときに、前記差数と前記制限数との間の差を特定可能なコマンドを前記演出制御手段に送信する(たとえば、図68のSk2に示されるように、図69のSg18にて127より小さくなったら、安全装置発動残数に対応する数値を特定可能な安全装置発動残数コマンドを送信する)。
カードユニットおよびスロットマシンの正面図である。 カードユニットおよびスロットマシンの内部構成を示すブロック図である。 リールの図柄配列を示す図である。 遊技状態の遷移を説明するための図である。 入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞時の付与について説明するための図である。 入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞時の付与について説明するための図である。 入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞時の付与について説明するための図である。 入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞時の付与について説明するための図である。 遊技状態ごとに抽選対象役として読み出される入賞役の組合せについて説明するための図である。 押し順役当選時のリール制御を説明するための図である。 スタートスイッチが操作されたときに主制御部が演出制御部に対して送信する遊技開始時コマンドを示す図である。 第3停止時に主制御部が演出制御部に送信する遊技終了時コマンドを示すである。 主制御基板がメダル数制御基板へ送信するコマンドの種類を示す図である。 遊技機設置情報コマンドを説明する図である。 遊技機特性の詳細を示す図である。 役物情報コマンドの構成を示す図である。 役物作動情報の詳細を示す図である。 有利区間情報コマンドの構成を示す図である。 有利区間情報の詳細を示す図である。 投入コマンドの構成を示す図である。 精算コマンドの構成を示す図である。 開始時コマンドの構成を示す図である。 終了時コマンドの構成を示す図である。 払出パルスコマンドの構成を示す図である。 大当りコマンドの構成を示す図である。 ホールコンピュータ信号の詳細を示す図である。 遊技機不正1コマンドの構成を示す図である。 設定情報の詳細を示す図である。 遊技機不正2コマンドの構成を示す図である。 ドア情報の詳細を示す図である。 遊技機不正3コマンドの構成を示す図である。 主制御状態コマンドの構成を示す図である。 主制御基板エラーコマンドの構成を示す図である。 主制御基板エラーの一覧を示す図である。 遊技機性能情報(予備)コマンドの構成を示す図である。 メダル数制御基板から主制御基板へのコマンド一覧を示す図である。 応答コマンドの構成を示す図である。 枠側情報コマンドの構成を示す図である。 主制御基板とメダル数制御基板間の通信の一例を示す図である。 枠側情報コマンドの通信を説明するための図である。 主制御基板がコマンド受信をする際の処理を示すフローチャートである。 電源投入からの主制御基板とメダル数制御基板との間の通信の流れを示す図である。 通番が正常である場合の通信の一例を示す図である。 通番不一致エラーが発生した場合の通信の一例を示す図である。 遊技メダルに関するエラーが発生した場合の通信の一例を示す図である。 遊技機設置情報コマンドの送受信前における通信が発生した例を示す図である。 電源投入におけるタイムアウトの例を示す図である。 賭数設定操作と精算操作について説明する図である。 賭数設定操作後、応答コマンドを受信する前に新たに賭数設定操作がされた例を示す図である。 精算操作後、応答コマンドを受信する前に新たに精算操作がされた例を示す図である。 賭数設定操作後、応答コマンドを受信する前に新たに精算操作がされた例を示す図である。 精算操作後、応答コマンドを受信する前に新たに賭数設定操作がされた例を示す図である。 賭数設定操作における通番エラーを説明する図である。 精算操作における通番エラーを説明する図である。 枠側情報の確認処理を説明する図である。 払出枚数の表示制御を説明する図である。 役比モニタを示す図である。 役比モニタの表示例を示す図である。 役比情報の初期化処理を説明するための図である。 主制御部が用いるメモリ領域のアドレスマップである。 主制御部のCPUに含まれるレジスタバンクを説明するための図である。 主制御部の起動時処理を示すフローチャートである。 主制御基板が行う初期設定処理を説明する図である。 安全装置処理に関する変数を示す図である。 主制御基板が行う領域F初期化処理を説明する図である。 主制御基板が行うメイン処理の制御内容を説明する図である。 主制御基板が行うRT情報出力処理の制御内容を説明する図である。 主制御基板が行う安全装置関連処理の制御内容を説明する図である。 主制御基板が行う安全装置処理の制御内容を説明する図である。 主制御基板から演出制御基板へ送信されるコマンドを示す図である。 主制御部が行うエラー処理の制御内容を示すフローチャートである。 主制御基板と演出制御基板との間におけるコマンド通信を説明するための図である。 演出制御部が行う演出制御側の累積使用数の加算処理の制御内容を説明する図である。 演出制御部が行う演出制御側の累積付与数の加算処理の制御内容を説明する図である。 演出制御部が行う安全装置発動前の報知処理の制御内容を説明する図である。 主制御基板が行う遊技開始待ち処理の制御内容を説明する図である。 主制御基板が行う賭数設定操作受付処理の制御内容を説明する図である。 主制御基板が行う精算操作受付処理の制御内容を説明する図である。 実施の形態2におけるカードユニットおよびスロットマシンの内部構成を示すブロック図である。 演出制御部、主制御部、メダル数制御部、CU制御部の通信を説明するための図である。
本発明に係る遊技機の一例であるスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
実施の形態1.
[スロットマシンの構成]
図1は、カードユニットおよびスロットマシンの正面図である。
図1を参照して、遊技場(ホール)内に複数配置されている各遊技島(図示略)には、スロットマシン(以下、S台と略称することがある)2が併設されており、そのS台2の所定側の側方位置に該S台2に対して遊技用装置の一例のカードユニット(以下CUと略称することもある)3が1対1に対応設置されている。なお、カードユニットは、「遊技メダル貸出装置」とも称する。
S台2は、遊技者がメダルを手に取り投入口に投入することなく、また遊技者の手元にメダルが払出されることもない遊技機である。このため、貸出操作などに応じて遊技価値が直接クレジット(ゲームに使用可能な遊技点(以下、「遊技メダル」とも称する))に加算される。加算されたクレジット数(遊技メダル数)は、クレジット表示器11に表示される。また、従来のスロットマシンのように、クレジット数として加算可能な上限数が「50」に限定されることなく、クレジット表示器11に表示可能な数の範囲内で設ければよい。また、上限数を設けなくてもよい。以下では、クレジット数を遊技メダル数と称する場合がある。
また、従来のスロットマシンのように、メダルの投入口や払出口がないだけではなく、メダルセレクタやホッパーなどの投入されたメダルを制御するための装置も備える必要がない。このような、メダルを一切必要としないスロットマシンを「管理遊技機」や「メダルレススロットマシン」と称する。
S台2の内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が透過窓3Wから見えるように配置されている。
各リール2L、2C、2Rは、図2に示される各々対応して設けられたリールモータ32L、32C、32Rによって回転する。これにより、各リール2L、2C、2Rの図柄が透過窓3Wに連続的に変化しつつ表示される。また、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透過窓3Wに3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
リール2L、2C、2Rの内側には、図2に示されるリールLED55が設けられている。リールLED55は、図1に示されているリール2L、2C、2Rを背面から照射する。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する12のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
各リール2L、2C、2Rの手前側(遊技者側)の位置には、液晶表示器51の表示領域が配置されている。液晶表示器51は、表示領域の透過窓3Wに対応する透過領域および透過窓3Wを介して遊技者側から各リール2L、2C、2Rが視認できるようになっている。
図3は、リールの図柄配列を示す図である。図3に示すように、各リールには、各々が識別可能な複数種類の図柄(「キャラ」、「黒7」、「白7」、「BAR」、「リプレイ」、「プラム」、「チェリー」、「スイカ」、「月」、「オレンジ」)が所定の順序で配列されている。
透過窓3Wよりも下方の位置からは奥から手前側へと緩やかに傾斜する傾斜面が形成され、そこからさらに手前側に張り出すように操作部が形成されている。操作部の上面にはMAXBETスイッチ6、1BETスイッチ20、賭数クリアスイッチ21、1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16、クレジット表示器11、および遊技補助表示器12が設けられ、操作部の手前側側面にはスタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、計数ボタン10が設けられている。
クレジット表示器11は、7セグメント式のLEDディスプレイで構成されており、図2に示されるメダル数制御部171によって制御される。遊技補助表示器12は、入賞の発生により払い出されたメダル枚数、操作態様に対応する操作情報(ナビ報知)などを表示する。以下では、遊技補助表示器12が表示する払い出されたメダル枚数を「払出枚数」と称する場合がある。すなわち、遊技補助表示器12は、一のゲームの結果に応じて遊技者へ付与される遊技価値を表示する。遊技補助表示器12は、7セグメント式のLEDディスプレイで構成されており、主制御部161によって制御される。
操作部に設けられた各種の操作手段について説明する。MAXBETスイッチ6は、最大の賭数(本実施の形態では、「3」)を設定する際に操作されるスイッチである。
1BETLED14は、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する。2BETLED15は、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する。3BETLED16は、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する。
スタートスイッチ7は、賭数設定後にリールを回転開始させるためのスイッチである。ストップスイッチ8L、8C、8Rは、回転中のリールを停止操作するためのスイッチであり、8Lが左、8Cが中、8Rが右のそれぞれのリールに対応する。計数ボタン10は、クレジット数(遊技メダル数)を計数して持ちメダル数に変換する際に操作されるスイッチである。
S台2の前面扉の内側には、図2に示されるドア開放検出スイッチ25が設けられている。ドア開放検出スイッチ25は、前面扉の開放状態を検出する。さらに、筐体内部には、電源ボックスが設けられている。電源ボックスの前面には、図2に示される設定キースイッチ37およびリセット/設定スイッチ38などが設けられている。設定キースイッチ37は、設定変更状態または設定確認状態に切り替える。リセット/設定スイッチ38は、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能する。
なお、本実施の形態では、回転を開始した3つのリール2L、2C、2Rのうち、最初に停止するリールを第1停止リールと称し、また、その停止を第1停止と称する。同様に、2番目に停止するリールを第2停止リールと称し、また、その停止を第2停止と称し、3番目に停止するリールを第3停止リールと称し、また、その停止を第3停止、最終停止、あるいは全リール停止と称する。
次に、S台2におけるゲームの流れについて説明する。S台2においてゲームを行う場合には、まず、CU3において貸出操作をしてクレジット(遊技メダル)を確保する。この貸出操作は、従来のメダル払出し方式のスロットマシンにおいて、「メダルの貸出操作」と「貸し出されたメダルを手で投入口に投入する操作」との2ステップの操作に対応する。
クレジットが存在する状態でMAXBETスイッチ6を操作すると、クレジットの範囲で賭数が最大数になるように追加設定され、クレジット数がその追加設定分だけ減算される。賭数が設定されると、入賞ラインL1~L5のうち賭数および遊技状態に応じて定められた入賞ラインが有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。
ここで、入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透過窓3Wに表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されるラインである。本実施の形態では、図1に示すように、各リール2L、2C、2Rの中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1、各リール2L、2C、2Rの上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2、各リール2L、2C、2Rの下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5の5種類が入賞ラインとして定められている。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透過窓3Wに表示結果が導出表示される。
全てのリール2L、2C、2Rが停止することで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に予め定められた図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生する。入賞が発生すると、その入賞に応じて定められた点数が遊技者に対して付与される。この点数は、クレジットに加算される。
クレジットは、計数ボタン10を操作することによって、計数して持ちメダルに変換することができる。持ちメダルに変換することによって、遊技終了時にはその持ちメダルをカードに記録することが可能となる。
本実施の形態では、計数ボタン10を1度押下した場合には、その押下時間に関わらず(長押しか否かに関わらず)、現在遊技者が所有している遊技球のすべてが計数される。しかし、これに限らず、計数ボタン10を押下し続けた時間に応じて計数動作が繰返し実行される(たとえば0.3秒押下状態が継続する度に50枚の計数処理が実行される)ようにしてもよい。また、押下継続時間に関わらず、1度押下すると、所定数(たとえば50枚)だけ遊技球から持ちメダルへの計数が行われるようにしてもよい。
液晶表示器51の上部には、クレジット表示セグメント7Sと、スピーカ53,54が設けられている。クレジット表示セグメント7Sは、5つの7セグメントから形成され、遊技者が所持するクレジット数を表示する。クレジット表示セグメント7Sは、S台2の上部に設けられていることにより、S台2で遊技をしている遊技者以外の遊技者または店員に対して、S台2が記憶するクレジット数を表示することができる。スピーカ53,54は、演出に合わせた効果音などを発する。
[カードユニットの構成]
図1を参照して、本実施の形態に係るCU3の構成を説明する。このCU3は、会員登録をしていない一般の遊技者に対して発行される遊技用記憶媒体であるプリペイド機能を備えるビジターカード(一般カードとも言う)や、該遊技場に会員登録した会員遊技者に対して発行される遊技用記憶媒体である会員カードを受付ける。ビジターカードや会員カードはICカードで構成されている。
それらのカードを受付けたCU3は、カードの記憶情報により特定される遊技者所有の遊技価値(たとえばプリペイド残高、持ちメダル数、あるいは貯メダル数(「貯玉数」とも称する)など)をクレジット数(遊技メダル数)に変換する機能を有する。
CU3の前面側には、紙幣を挿入するための紙幣挿入口302、装置前面より装置前方方向に突出形成された突出部305、会員カードやビジターカードを挿入するためのカード挿入/排出口309などが設けられている。このカード挿入/排出口309に挿入された会員カードやビジターカードがカードリーダライタ(図示省略)に受付けられ、そのカードに記録されている情報が読み取られる。
前述の突出部305において、遊技者と対向する面には、表示器312と、会員カードを受付けた場合において、該会員カードに記録された会員カードID(単に、カードID、C-IDともいう)並びに会員カードIDにより特定される貯メダル数(貯玉数)を用いた再プレイ遊技を実施するための再プレイボタン319と、遊技場の係員が所持するリモコン(図示略)から赤外線信号を受信して電子信号に変換して出力するIR感光ユニット320が設けられている。
表示器312は、挿入された遊技用記録媒体(カード)に記録されているプリペイド残高(カード残高または単に残高ともいう)や、持ちメダル数、クレジット数(遊技メダル数)、その他の各種情報を表示可能であるとともに、表面が透明タッチパネルで構成されている。表示器312の表示部に表示された各種表示項目を指でタッチすることにより各種操作が入力可能となるように構成されている。
持ちメダルボタン324を操作した場合、挿入されたカードに記録されている持ちメダル数の一部が引き落とされてクレジット数(遊技メダル数)に変換される。再プレイボタン319を操作した場合に、挿入されたカードに遊技者が獲得した持ちメダル数が記憶されているときにはその持ちメダル数の一部を引落としてクレジットに変換し、変換したクレジットに基づいてS台2による遊技を行うことが可能となる。
一方、挿入されたカードが会員カードであり持ちメダル数が記憶されておらずかつ貯メダルがホール用管理コンピュータなどに記憶されている場合には、その貯メダルの一部が引落とされてクレジットに変換され、S台2による遊技が可能となる。つまり、挿入されたカードに対応付けて貯メダルと持ちメダルとの双方が記憶されている場合には、持ちメダルが優先的に引落とされる。なお、再プレイボタン319とは別に、持ちメダルを引落とすための専用の持ちメダル払出ボタンを設け、再プレイボタン319は貯メダル引落とし専用のボタンとしてもよい。
ここで、「クレジット数(遊技メダル数)」とは、賭数設定に使用可能であるとともに、「持ちメダル数」に変換可能なデータである。「クレジット数」は、プリペイドカードの残高、持ちメダル数、あるいは貯メダル数を引き落とすことと引き換えにして生成される。
「持ちメダル数」とは、遊技者が遊技機により遊技を行った結果、遊技者の所有となったクレジット数(遊技メダル数)を計数変換したものである。この「持ちメダル数」は、遊技者のカードによって特定可能に記憶される。なお、持ちメダル数を遊技場に設定された持ちメダル数管理用の管理装置で管理してもよい。
「貯メダル数(貯玉数)」とは、遊技場に預け入れられた持ちメダル数である。遊技者が遊技で獲得した持ちメダル数は、当日中は持ちメダル数として管理されるが、獲得した翌日以降は「貯メダル数」として管理される。すなわち、遊技場において当日遊技者が獲得して計数したクレジット数(遊技メダル数)を「持点」と言い、前日以前に遊技者が獲得して遊技場に預け入れられた持ちメダル数を「貯メダル数」と言う。この「貯メダル数」は、一般的に当該遊技場に設置されたホール用管理コンピュータやその他の管理コンピュータにより管理される。
以上の「残高」、「貯メダル数(貯玉数)」、「持ちメダル数」、「クレジット数(遊技メダル数)」の各データの変換可能方向を矢印で表すと、「『残高、貯メダル数、持ちメダル数』→『クレジット数』→『持ちメダル数』→『貯メダル数』」となる。
本実施形態では、貯メダル数データは会員カードに直接記録させずホール用管理コンピュータなどの上位サーバに会員カード番号と対応付けて記憶させ、会員カード番号に基づいて対応する貯メダル数を検索できるように構成されている。一方、持ちメダル数は、カードに直接記録している。
しかし、両者ともに上位サーバにカード番号と対応付けて記憶させてもよい。ビジターカードの場合も、持ちメダル数は、ビジターカードに直接記録している。しかし、持ちメダル数を上位サーバにカード番号と対応させて記憶させてもよい。この上位サーバにカード番号と対応させて記憶させる際に、上位サーバに記憶させた時刻を特定できるデータをカード(会員カード、ビジターカード)に書込んで排出してもよい。また、プリペイド残高についてはカード(会員カード、ビジターカード)に直接書込んで排出する。
なお、持ちメダル数を、カード(会員カード、ビジターカード)、または上位サーバに記憶させるタイミングは、たとえば、計数ボタン10が操作されて計数処理が行われるタイミングである。しかしながら、これに代えて、カードを返却するときに一括して記憶させるようにしてもよい。
また、遊技者が遊技を終えてCU3からカードを返却したときには、CU3に記憶していた持ちメダルが一旦貯玉としてホールサーバに記憶されるようにし、その遊技者がカードの返却を受けた日と同じ日に再び同じまたは別のCU3にカードを挿入したときには、一旦貯玉として記憶された当日分の持ちメダルのみが再びそのCU3に記憶され、その持ちメダルの範囲でクレジットを加算し、遊技できるようにしてもよい。
紙幣挿入口302に挿入された紙幣は、貨幣識別器(図示省略)により取込まれてその真贋や紙幣種別の識別がなされる。
CU3の前面側には、さらに、貸出ボタン321とカード返却ボタン322とが設けられている。貸出ボタン321は、挿入されたカードに記録されている残高を引き落としてクレジット数を得るための操作を行うボタンである。具体的には、貸出ボタン321を操作することで引き落とされる残高に応じてクレジット数が加算される。カード返却ボタン322は、遊技者が遊技を終了するときに操作され、挿入されているカードに遊技終了時の確定した持ちメダル数(カード挿入時の持ちメダル数-持ちメダル数からクレジット数への変換数+計数操作によって計数された数)を記憶させて排出するための操作ボタンである。
以上、説明したように、本実施の形態に係るS台2によれば、カードで特定される持ちメダル数に応じてクレジット数(遊技メダル数)に変換し、さらにはクレジット数を用いて賭数設定が可能となるため、メダルの貸し出しを受けて、そのメダルを投入してクレジットを確保し、そのクレジットを用いて賭数設定が行われるような従来のスロットマシンに慣れている遊技者に混乱を与えることなく、メダルを用いない新たなスロットマシン(管理遊技機)による遊技を提供できる。
[カードユニットとスロットマシンとの内部構成]
図2は、カードユニットおよびスロットマシンの内部構成を示すブロック図である。図2を参照して、CU3とS台2との制御回路の概略を説明する。
CU3にはCU制御基板32が設けられ、このCU制御基板32にはマイクロコンピュータなどから構成されたCU制御部323が設けられている。このCU制御部323は、CU3の主制御機能部であり、制御中枢としてのCPU、CPUが動作するためのプログラムや制御データなどを記憶しているROM、CPUのワークエリアとして機能するRAM、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイスなどが設けられている。
CU制御部323には、ホール用管理コンピュータやセキュリティ上の管理を行うホールサーバと通信を行うための外部出力端子(図示省略)が設けられている。CU3は、外部出力端子を介して、CU3の状態や、S台2から受信した遊技機状態情報をホール用管理コンピュータ(ホールコン)やセキュリティ上の管理を行うホールサーバなどの外部に送信する。CU制御部323は、通信制御IC325を介してS台2のメダル数制御基板17と通信を行っている。通信制御IC325とメダル数制御基板17とは、たとえば、非同期シリアル通信ポートで接続されている。通信制御IC325とメダル数制御基板17との通信は、接続端子板1000を介して行われる。
CU制御部323とメダル数制御基板17との通信は、貸出情報(挿入されたカードに記憶されている残高を引落としてS台2による遊技に用いるための操作に関する情報)と貸出応答情報(貸出情報に対する応答情報)とを双方向で行い、それ以外の計数情報(クレジットから持ちメダルへの計数処理に関する情報)、および遊技機情報を、メダル数制御基板17からCU制御部323への一方向の通信で行っている。そのため、CU3が計数情報および遊技機情報を受信したか否かをS台2側では認識していない。CU3にはS台2側への接続部(図示省略)が設けられており、S台2にはCU3側への接続部(図示省略)が設けられている。これら接続部は、たとえばコネクタなどで構成されている。
CU制御部323は、遊技者が遊技している際、遊技者の持ちメダルを管理・記憶する。表示器312には、CU制御部323から出力される残高あるいは持ちメダル数などのデータに応じた画像が表示される。また、表示器312の表面に設けられているタッチパネルを遊技者が操作すれば、その操作信号がCU制御部323に入力される。遊技者が貸出ボタン321を操作することにより、その操作信号がCU制御部323に入力される。なお、貸出ボタン321は、CU3に設ける構成に限定されるものではなく、S台2に設けて操作信号をCU制御部323に入力する構成であってもよい。遊技者がカード返却ボタン322を操作することによりその操作信号がCU制御部323に入力される。
S台2には、S台2の遊技の進行を制御する主制御基板16と、遊技者所有のクレジットに関する制御を行うメダル数制御基板17と、遊技状態に応じた演出の制御を行う演出制御基板15と、電源基板101とが設けられている。電源基板101によってS台2を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
電源基板101には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からS台2を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、主制御基板16、メダル数制御基板17および演出制御基板15に供給されるようになっている。
メダル数制御基板17には、メダル数制御部171である払出制御用マイクロコンピュータが搭載されている。メダル数制御部171は、制御中枢としてのCPU171a、CPU171aが動作するためのプログラムや制御データなどを記憶しているROM171b、CPU171aのワークエリアとして機能するRAM171c、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイスなどが設けられている。
メダル数制御基板17には、RAM171cに記憶された情報を消去するためのRAMクリアスイッチ293、ドア開放検出スイッチ25が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力される。また、メダル数制御基板17には、計数ボタン10が接続されており、計数ボタン10の検出信号が入力される。
メダル数制御基板17には、クレジット表示器11および役比モニタ89が接続されており、メダル数制御部171により表示が制御される。また、メダル数制御基板17には、バックアップメモリ294が接続されており、メダル数制御基板17が役比モニタ89に表示するための役比情報をバックアップする。
役比モニタ89は、通常、スロットマシンの性能を示す数値(以下、「役比情報」とも称する)を表示する。スロットマシンの性能を示す数値は、たとえば、総累計払出枚数に対する指示込役物払出比率、過去6000ゲーム間の連続役物払出比率、過去6000ゲーム間の役物払出比率、総累計払出枚数に対する連続役物払出比率、総累計払出枚数に対する役物払出比率、総累計払出枚数に対する役物等状態比率である。これらの情報についての詳細は、図58を用いて後述する。
主制御基板16には、主制御部161である遊技制御用マイクロコンピュータが搭載されている。主制御部161は、制御中枢としてのCPU161a、CPU161aが動作するためのプログラムや制御データなどを記憶しているROM161b、CPU161aのワークエリアとして機能するRAM161c、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイスなどが設けられている。
主制御基板16には、リールモータ32L、32C、32Rが接続されており、主制御部161の制御に基づいて駆動される。また、主制御基板16には、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、スタートスイッチ7が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力される。また、主制御基板16には、遊技補助表示器12が接続されており、主制御部161により表示が制御される。
また、主制御基板16には、中継基板1100を介して、賭数クリアスイッチ21、1BETスイッチ20、ストップスイッチ8L、8C、8R、ドア開放検出スイッチ25、MAXBETスイッチ6が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力される。また、主制御基板16には、中継基板1100を介して、1~3BETLED14~16が接続されており、主制御部161により表示が制御される。
演出制御基板15には、演出制御部151である演出制御用マイクロコンピュータが搭載されている。演出制御部151は、制御中枢としてのCPU151a、CPU151aが動作するためのプログラムや制御データなどを記憶しているROM151b、CPU151aのワークエリアとして機能するRAM151c、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイスなどが設けられている。
演出制御基板15には、演出用スイッチ56が接続されており、演出用スイッチ56の検出信号が入力される。また、演出制御基板15には、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55、クレジット表示セグメント7Sなどの演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御部151による制御に基づいて駆動されるようになっている。
また、演出制御基板15には、光量・音量調整基板111が接続されている。光量・音量調整基板111には、光量や音量を調整するためのスイッチ類が接続されており、これらのスイッチ類からの検出信号は、光量・音量調整基板111を介して演出制御基板15に入力される。
主制御部161は、演出制御部151に各種のコマンドを送信する。主制御部161から演出制御部151へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御部151から主制御部161へ向けてコマンドが送られることはない。演出制御部151は、主制御部161から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行う。
メダル数制御部171は、主制御部161に対して各種のコマンドを送信する。また、主制御部161もメダル数制御部171に対して各種のコマンドを送信する。すなわち、メダル数制御部171と主制御部161との通信は双方向通信である。また、メダル数制御基板17からは、主制御基板16に対するバックアップ電源が供給される。
また、メダル数制御部171は、RAM171cの所定領域にクレジットを記憶する。具体的には、クレジット数はクレジットカウンタに記憶されている。メダル数制御部171は、クレジット加算処理またはクレジット減算処理において、RAM171cの所定領域に記憶されているクレジットを更新する。
設定された賭数は、RAM161cの所定領域に記憶されている。具体的には、設定された賭数は、BETカウンタとして記憶されている。BETカウンタに記憶されている値が「3」である場合に、遊技を開始可能な状態となる。以下では、BETカウンタに記憶されている値を、単に「賭数」と称する場合がある。
以上説明したような、メダルが不要なメダルレススロットマシンにおいては、メダル数制御基板17を備えるようにしている。そして、従来のスロットマシンにおけるメダルの投入や払出に関する機能をメダル数制御基板17に集中させるようにしている。また、メダルが必要な従来のスロットマシンであれば、メダルセレクタやホッパーやのようなメダルの投入・払出に関連する装置を備える必要があるが、メダルレススロットマシンにおいては、このような装置は不要である。
また、本実施の形態のようにメダルレススロットマシンを構成することで、従来のスロットマシンと部品を共通化することができる。具体的には、クレジットを更新する機能(メダルの投入や払出に関する機能)をメダル数制御基板17に集中させているため、メダルレススロットマシンのメダル数制御基板17を交換することで従来のスロットマシンを構成することができる。従来のスロットマシンを構成する場合は、メダル数制御基板17にメダルの投入や払出に関する機能を備えた上で、メダルセレクタやホッパーやのようなメダルの投入・払出に関連する装置をメダル数制御基板17に接続すればよい。このような構成にすることで、従来のスロットマシンと互換性を有するとともに、部品の共通化により、スロットマシンの設計および製造において、コストダウンを図ることができる。
主制御部161は、スタートスイッチ7より検出信号が入力されると、リールモータ32L、32C、32Rを回転駆動させるとともに、入賞役の抽選を行う。
入賞役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)への移行を伴う特別役と、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役(リプレイ)とがある。
主制御部161は、入賞役の抽選をし、リールを回転駆動させた後、遊技者によるリールの停止操作を待つ。主制御部161は、いずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該ストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリールの回転を停止させる。主制御部161は、3つの図柄を停止させ、入賞の有無を判定する入賞判定処理を実行する。入賞と判定された場合には、入賞の種類に応じた数のクレジット数が遊技者に付与される。主制御部161は、クレジット数の減算に応じてクレジット表示器11の表示を減算して表示するとともに、クレジット数の加算に応じてクレジット表示器11の表示を加算して表示する。電源基板101には、電源投入スイッチ102が接続されており、電源投入スイッチ102の検出信号が入力される。
なお、本実施の形態における「ゲーム(遊技)」とは、スタートスイッチ7が操作されてからリール2L、2C、2Rが停止するまでをいう。なお、ゲームを行う際には、スタートスイッチ7の操作前の賭数の設定や、リール2L、2C、2Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には「ゲーム」に含まれるものとする。
また、本実施の形態では、MAXBETスイッチ6の操作をMAXBET操作、スタートスイッチ7の操作を開始操作、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を停止操作、計数ボタン10の操作を計数操作、貸出ボタン321の操作を貸出操作、カード返却ボタン322の操作を返却操作とも称する。
また、S台2は、設定値に応じてメダルの払出率が変わる構成である。詳しくは、内部抽選などの遊技者に対する有利度に影響する抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1~6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからS台2の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器にRAM161cから読み出された設定値が表示値として表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更が可能な設定変更状態に移行する。設定変更状態において、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器に表示された表示値が1ずつ更新されていく(設定値6からさらに操作されたときは、設定値1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると表示値を設定値として確定する。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、確定した表示値(設定値)が主制御部161のRAM161cに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。
[状態遷移]
図4は、遊技状態の遷移を説明するための図である。図4に示すように、主制御部161によって管理される状態は、出玉率に関わる遊技状態が含まれる。
遊技状態には、非内部中、内部中、およびBBが含まれる。内部中は、遊技が進行可能な状態であってかつ予め定められた設計値に基づくメダルの払出率が担保されている状態である。なお、本実施の形態のS台2では、ほとんどのゲームを内部中で遊技者に遊技させることになっている。
一方、非内部中は、遊技者によって遊技することがない、あるいは遊技することがあってもその時間が極端に短い状態である。非内部中においては、BBに当選し、かつ当該BBの入賞を取りこぼしたときに、次のゲームから遊技状態が内部中に移行する。すなわち、内部中は、BBの当選を持ち越した状態である。
非内部中および内部中のいずれにおいても、BBに入賞可能なゲーム(以下、「BB入賞可能ゲーム」とも称する)が行われることがある。具体的には、非内部中においては、BBに当選したゲームでストップスイッチ8L,8C,8Rの操作に応じてBBの図柄組合せを導出させることができれば、BBに入賞する。この場合、次のゲームから遊技状態がBBに制御される。つまり、非内部中においては、BBに当選したゲームがBB入賞可能ゲームとなる。
内部中においては、BB当選が持ち越されている。ここで、BBと小役とが同時当選した場合、小役の図柄組合せを優先的に導出させるようにリール制御が行われる。さらに、小役が取りこぼしのない役であれば、BBと小役とが同時当選したゲームでは、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作に関わらず、必ず小役が入賞し、BBは入賞することができない。同様に、BBと再遊技役とが同時当選した場合、再遊技役の図柄組合せを優先的に導出させるようにリール制御が行われる。一般的に再遊技役は取りこぼしのない役であるため、BBと再遊技役とが同時当選したゲームでは、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作に関わらず、必ず再遊技役が入賞し、BBは入賞することができない。したがって、内部中においては、内部抽選でハズレになったゲーム(何らの役にも当選しないゲーム)に限り、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作に応じてBBの図柄組合せを導出させることができれば、BBに入賞する。この場合、次のゲームから遊技状態がBBに制御される。つまり、内部中においては、内部抽選でハズレになったゲームがBB入賞可能ゲームとなる。
BB中においては、所定ゲーム数(たとえば、60G)に亘ってBB中ゲームが行われるが、BB中における出玉率は約101%であるため、純増枚数はほとんど増えることがない。よって、BBは、遊技者にとっては単に所定ゲーム数(たとえば、60G)を消化する状態に過ぎない。BBが終了すると、再び非内部中へと遊技状態が移行する。
内部中における状態には、通常区間および有利区間が含まれる。通常区間は、ナビが実行されない状態であり、ナビ情報を報知不可能な非報知状態である。有利区間は、ナビが実行され得る状態であり、ナビ情報を報知可能な報知状態である。本実施の形態においては、有利区間のうち、有利区間通常は、ナビが実行されないが、AT状態およびエンディング状態は、いずれもナビが実行され得る。なお、有利区間通常においてもナビが実行されるものであってもよいが、AT状態およびエンディング状態においては、有利区間通常よりも、押し順役当選時に主役を入賞させるためのナビの実行確率が高くなっている。このように、AT状態およびエンディング状態といった有利区間におけるAT状態では、有利区間や有利区間通常であるときよりも高い確率でナビが行われる。
通常区間においては、有利区間移行抽選で当選(有利区間当選)したときに、有利区間に状態が制御される。なお、本実施の形態においては、通常中に当選し得る大部分の役の当選が有利区間当選の条件となっているため、通常における遊技の滞在は約1Gである。なお、有利区間当選の条件は、通常中に当選し得る全ての役のうちのいずれかが当選したときに成立してもよい。
通常区間においては、押し順役に当選したゲームでナビが実行されないため、遊技者が獲得可能な1ゲーム当たりの純増枚数は、賭数の設定に用いたメダルの枚数を考慮すると、0枚またはマイナスになる。なお、1ゲーム当たりの純増枚数とは、1ゲーム当たりで払い出されるメダルの枚数から1ゲーム当たりで賭数の設定に用いられるメダルの枚数を差し引いた数である。本実施の形態においては、通常の出玉率が40%に設定されている。このように、通常においては、出玉率が1以下(100%以下)または1未満(100%未満)となる。
有利区間は、有利区間通常、AT状態、エンディング状態を含む。有利区間通常においては、押し順役に当選したゲームでナビが実行されないため、遊技者が獲得可能な1ゲーム当たりの純増枚数は、賭数の設定に用いたメダルの枚数を考慮すると、0枚またはマイナスになる。本実施の形態においては、有利区間通常の出玉率が40%に設定されている。このように、有利区間通常においては、出玉率が1以下(100%以下)または1未満(100%未満)となる。
本実施の形態においては、特定の図柄(スイカ、強チェリー)が当選することで、遊技者の有利度が高くなる。具体的には、AT状態においては、強チェリーが当選すると、AT状態のゲーム数の上乗せが確定する。
有利区間通常においては、AT状態への制御に関わる抽選等の処理が行われる。有利区間通常において、主制御部161は、たとえば、ポイント獲得抽選を行う。ポイント獲得抽選によって更新されるポイントは、主制御部161によって管理される。主制御部161は、内部にポイントを計数するためのポイントカウンタ(図示せず)を備える。また、ポイントカウンタの値が規定の値に到達したとき、主制御部161は、AT抽選を実行する。なお、主制御部161は、ポイントを用いずに特定の図柄(スイカ、強チェリー)が当選したことに基づいて、AT抽選を実行してもよい。
有利区間においては、遊技の進行に基づき更新される有利区間中の入賞によって発生するメダル数の合計が所定のED移行枚数に達したときに、エンディング状態が制御される。ED移行枚数は、有利区間中において更新され、通常区間やBBにおいては更新されない。エンディング状態は、たとえば、純増枚数の合計値が上限枚数(たとえば、2400枚)に達するまで、あるいは有利区間中の消化ゲーム数が上限ゲーム数(たとえば、1500G)に達するまで有利区間である状態への制御が継続することが確定する状態である。ED移行枚数は、通常区間から有利区間に移行したときにセットされる。なお、ED移行枚数は、抽選によって決定されてもよいし、予め定められてもよい。ED移行枚数は、主制御部161によって管理される。すなわち、主制御部161のRAM161cは、ED移行枚数を記憶する。主制御部161は、ED移行枚数を累積的に計数し、当該計数する処理に応じて、有利区間を終了する。
有利区間においてリミッタ条件が成立すると、当該有利区間から通常区間に制御される。具体的には、有利区間枚数(有利区間中の純増枚数)が2400枚に達したとき、有利区間が終了し、通常区間に制御される。なお、有利区間枚数は、RAM161cに格納された有利区間枚数カウンタによってカウントされる。すなわち、有利区間枚数が上限枚数に達することを「リミッタ条件」が成立すると称する。あるいは、有利区間においては、遊技の進行に基づき更新される消化ゲーム数(有利区間G数)の合計が所定の上限G数(たとえば、1500G)に達したときに、有利区間が終了し、通常区間に制御される。なお、有利区間G数は、RAM161cに格納された純増枚数カウンタによってカウントされる。
有利区間から通常区間に制御されると、有利区間において計数されていた消化ゲーム数および純増枚数の合計値、さらに遊技中に獲得可能なポイントも初期化される。有利区間G数や有利区間中の純増枚数は、有利区間中に限らずBB中においても更新され、通常区間においては更新されない。
有利区間中において設定変更された場合、通常区間に制御される。このとき、有利区間において計数されていた消化ゲーム数および純増枚数の合計値、さらに遊技中に獲得可能なポイントもリセットされる。本実施の形態のS台2は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、設定値(たとえば、1,2,4,5,6)に応じて、ポイント獲得抽選等の所定の抽選における当選確率を異ならせることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。遊技店の店員等は、設定変更を行うことで、この設定値を変更することができる。
このように、有利区間から通常区間に状態が移行する条件には、遊技の進行に基づき成立するリミッタ条件や任意の終了条件と、設定変更が行われるという条件とが含まれる。
また、本実施の形態のS台2では、有利区間通常においてゲーム数の上限が定められている。有利区間通常において予め定められたゲーム数の上限に達することにより、到達ポイントにかかわらず強制的にAT状態へと移行させるためのAT権利を付与する。有利区間通常におけるゲーム数の上限は、たとえば、1280ゲームである。当該上限のゲーム数は、いわゆる「天井」と称されている。主制御部161は、天井に到達したか否かを判断するため、RAM161cに抽選用カウンタを有する。すなわち、主制御部161は、有利区間通常で実行されたゲーム数をRAM161c内の抽選用カウンタに記憶する。主制御部161は、有利区間通常におけるゲームが実行される度に抽選用カウンタの値を加算する。たとえば、有利区間通常におけるゲーム数の上限値が700ゲームとして設定されている場合、抽選用カウンタの値が700に到達したとき、主制御部161は、AT権利を付与する。有利区間通常におけるゲーム数の上限値は、700ゲームに限られず、たとえば、1280ゲームであってもよい。
[入賞役]
図5~図8は、入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞時の付与について説明するための図である。図5~図8の名称欄には、入賞役の名称が示され、図柄の組合せ欄には、その入賞役が入賞となる図柄の組合せが示されている。また、付与欄には、入賞時に付与される価値(メダル払出枚数、再遊技付与等)が示されている。
図5に示すように、再遊技役としては、リプ1~リプ6が設けられている。図6に示すように、特別役としては、BBが設けられている。図6~図8に示すように、小役としては、プラム1~6、スイカ、および1枚役1~33が設けられている。プラム1~6は、押し順役当選時に入賞し得る主役であり、入賞時には、賭数に用いられるメダルの枚数(3枚)よりも多い9枚のメダルが払い出される。プラム1~6をまとめて「プラム役」とも称する。1枚役1~33は、押し順役当選時に入賞し得る副役であり、入賞時には、賭数に用いられるメダルの枚数(3枚)よりも少ない1枚のメダルが払い出される。1枚役1~33をまとめて「1枚役」とも称する。
図7に示すように、1枚役22の入賞が発生する図柄組合せのうち、「キャラ-キャラ-黒7」がリール2L,2C,2Rにおいて導出すると、キャラ図柄が3つ並んでリール上に配置される。具体的には、左リール2Lの下段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの上段のそれぞれにおいてキャラ図柄が導出することで、右上がりにキャラ図柄が並んで配置される。なお、キャラ図柄が並んで配置されることを「キャラ揃い」とも称する。
図8に示すように、1枚役23の入賞が発生する図柄組合せのうち、「キャラ-キャラ-プラム」または「キャラ-プラム-プラム」がリール2L,2C,2Rにおいて導出すると、7図柄が3つ並んでリール上に配置される。具体的には、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、および右リール2Rの上段のそれぞれにおいて7図柄が導出することで、上段に7図柄が並んで配置される。なお、7図柄が並んで配置されることを「7揃い」とも称する。
[抽選対象役]
図9は、遊技状態ごとに抽選対象役として読み出される入賞役の組合せについて説明するための図である。図9の役番号欄には、抽選対象役ごとに定められた役番号が示され、フラグカテゴリ欄には、抽選対象役の種類ごとに割り当てられたフラグカテゴリが示され、抽選対象役欄には、その名称が示され、遊技状態欄には、遊技状態ごとに丸印でその抽選対象役が抽選対象であることが示され、有利区間当選欄には、有利区間当選の有無が示されている。また、図9における入賞役の組合せ欄には、各抽選対象役に含まれる入賞役の組合せが示されている。
図9に示すように、特別役の抽選対象役としては、BBが設けられている。再遊技役の抽選対象役としては、通常リプ、7揃いリプ、7不揃いリプ、キャラ揃いリプ、およびキャラ不揃いリプが設けられている。小役の抽選対象役としては、共通プラム、213択役A~D、231択役A~D、312択役A~D、321択役A~D、スイカ、7揃い1枚1,2、キャラ揃い1枚、弱チェリー、強チェリー、およびチャンス目A,Bが設けられている。BB中における小役としては、BB中小役およびBB中1枚が設けられている。なお、213択役A~D、231択役A~D、312択役A~D、および321択役A~Dは、当選したときにナビが実行され得る役であるため、押し順役の一種である。213択役A~D、231択役A~D、312択役A~D、および321択役A~Dをまとめて、「押し順ベル」とも称する。また、7揃い1枚1,2をまとめて「7揃い1枚」とも称する。
非内部中においては、BB中小役およびBB中1枚を除く役が当選可能であるが、内部中においては、既にBBの当選が持ち越されているため、BB、BB中小役、およびBB中1枚が当選不可能になっている。
フラグカテゴリは、非内部中、内部中、およびBBのいずれにおいても共通するフラグカテゴリが各役に割り当てられている。また、役番号は、抽選対象役ごとに定められているのに対して、フラグカテゴリは、抽選対象役の種類ごとに割り当てられている。このため、フラグカテゴリの数は、役番号の数よりも少ない。また、有利区間通常におけるポイント獲得抽選、有利区間における特典抽選(以下、これらをまとめて「AT制御に関わる抽選」とも称する)は、いずれもフラグカテゴリに基づいて行われる。このため、役番号に基づいてこれらのAT状態の制御に関わる抽選を行うよりも、処理負担を軽減することができる。
本実施の形態においては、ハズレやBBに対してもフラグカテゴリが割り当てられており、BBについては、通常リプ等の他の役と同じFC1が割り当てられている。また、共通プラムは、スイカと同じFC4が割り当てられている。
[押し順役のリール制御]
図10は、押し順役当選時のリール制御を説明するための図である。前述したように、本実施の形態においては、有利区間において押し順役が当選したゲームでは、ナビが実行され、正解手順が遊技者に報知される。遊技者は、ナビに従って正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rを操作することで、遊技者にとって有利な入賞役(主役)を入賞させることができる。
たとえば、図10に示すように、213択役A~D、231択役A~D、312択役A~D、および321択役A~Dのいずれかに当選したゲームでは、正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに主役であるプラム役が入賞する一方、不正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに副役である1枚役が入賞する。なお、不正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに副役である1枚役の入賞を取りこぼし場合、何らの入賞も発生しないものであってもよい。
「通常手順」は、「正解手順」として設定されない一方で、「変則手順」は、「正解手順」として設定され得る。すなわち、遊技者は、213択役A~D、231択役A~D、312択役A~D、および321択役A~Dのいずれかに当選したゲームにおいて、ストップスイッチ8L,8C,8Rを通常手順で操作する限り、主役であるプラム役を入賞させることはできないようになっている。このことは、ストップスイッチ8L,8C,8Rを変則手順で操作することを遊技者に誘発させる要因ともなり得るが、本実施の形態においてはナビが実行されないゲームにおいて変則手順で操作すると、遊技者にとって不利なペナルティが遊技者に課せられる。したがって、遊技者は、ナビが実行されないゲームにおいて、ストップスイッチ8L,8C,8Rを通常手順で操作することを促されるようになっている。
図11は、スタートスイッチ7が操作されたときに主制御部161が演出制御部151に対して送信する遊技開始時コマンドを示す図である。主制御部161は、スタートスイッチ7が操作(スタート操作)されたときに、内部抽選処理を実行し、当該内部抽選処理の結果に応じて、予め定められた情報を含むコマンド群を演出制御部151に送信する。以下では、図11に示すNo.1からNo.13のコマンド群を、単に「遊技開始時コマンド」と称する。主制御部161は、遊技開始時コマンドとして各コマンドをNo.1からNo.13の順番で送信する。各コマンドには、No.と同様の番号で「設定通番」として通番が定められている。各コマンドは、主制御部161が管理する各種情報を格納する。
たとえば、No.2のコマンド「指示番号」には、ナビに関する情報が格納される。すなわち、No.2のコマンドは、スタートスイッチ7が操作された遊技における押し順を特定可能な情報を格納する。具体的には、コマンド「指示番号」には、ストップスイッチ8L,ストップスイッチ8C,ストップスイッチ8Rを押す順番を示す情報が格納される。演出制御部151は、No.2のコマンド「指示番号」を受け付けたときに、当該コマンド「指示番号」から特定可能な操作手順に基づいて、液晶表示器51に、ナビ演出を実行する。なお、演出制御部151は、コマンド「指示番号」から特定可能な操作手順に基づいて、スピーカ53から当該操作手順を遊技者に報知する音を出力させる。
たとえば、No.3のコマンド「小役種別」には、内部抽選によって当選した役が、小役であるのか、再遊技役であるのか、特別役であるのかを特定可能な情報が格納される。また、No.6のコマンド「区間状態」には、スタートスイッチ7が操作されたゲームが図4に示す内部中の状態のいずれの状態であるかを特定可能な情報が格納される。具体的には、No.6コマンド「区間状態」には、現在制御中の状態が通常区間であるのか、有利区間であるのか、さらには、有利区間のうち、有利区間通常であるのか、AT状態であるのか、エンディング状態であるのかを示す情報が格納される。演出制御部151は、No.6のコマンド「区間状態」を受け付けたことに基づいて、スタートスイッチ7が操作されたゲームがいずれの区間状態であるかを特定することができる。また、No.4のコマンド「出玉状態」においても、スタートスイッチ7が操作されたゲームの遊技状態を特定可能な情報が格納され得る。No.9のコマンド「ART前兆G数」には、AT連続演出のゲーム数が格納される。遊技開始時コマンドにおけるNo.10のコマンド「ポイント」には、前のゲームにおいて獲得したポイント数が格納される。また、No.11のコマンド「当選番号」には、内部抽選によって当選した役の役番号を特定可能な情報が格納される。
また、主制御部161は、遊技開始時コマンドを送信する場合、No.12のコマンド「メダル投入」にメダルがBETされたことを示す情報を格納する。No.12のコマンド「メダル投入」にメダルがBETされたことを示す情報が格納されている場合、演出制御部151は、遊技開始時コマンドを受信していることを判定できる。
図12は、第3停止時に主制御部161が演出制御部151に送信する遊技終了時コマンドを示すである。主制御部161は、スタートスイッチ7が操作されたときのみならず、ストップスイッチの第3停止時においても、No.1からNo.13までのコマンド群を、No.1からNo.13の順に演出制御部151に送信する。以下では、図12に示すNo.1からNo.13のコマンド群を、単に「遊技終了時コマンド」と称する。なお、第3停止時に送信される各コマンドにおいて、No.11については、スタートスイッチ7が操作されたときに送信されるNo.11のコマンドと異なる。No.11は、入賞に関する情報を格納するコマンドである。すなわち、第3停止時において、主制御部161は、当選番号に関する情報ではなく、入賞に関する情報を送信する。
遊技終了時コマンドにおけるNo.10のコマンド「ポイント」には、後述する第3停止時におけるポイント獲得抽選処理において獲得したポイント数が格納される。また、主制御部161は、遊技終了時コマンドを送信する場合、No.13のコマンド「回胴停止」にリールが停止していることを示す情報を格納する。No.13のコマンド「回胴停止」にリールが停止していることを示す情報が格納されている場合、演出制御部151は、遊技終了時コマンドを受信していることを判定できる。すなわち、演出制御部151は、No.12のコマンド「メダル投入」およびNo.13のコマンド「回胴停止」に基づいて、受信したコマンド群が遊技開始時コマンドであるのか、遊技終了時コマンドであるのかを判定する。主制御部161は、遊技開始時コマンドを送信する場合は、No.13のコマンド「回胴停止」を送信せず、遊技終了時コマンドを送信する場合は、No.12のコマンド「メダル投入」を送信しなくてもよい。
[主制御基板とメダル数制御基板との送受信態様]
主制御基板16とメダル数制御基板17との送受信態様を説明する。本実施の形態においては、主制御基板16とメダル数制御基板17との間でコマンドによる通信が行われる。主制御基板16は、イベントが発生する度にメダル数制御基板17に所定のコマンドを送信する。イベントには、スタートスイッチ7が押下されたこと、1BETスイッチ20やMAXBETスイッチ6が押下されたこと、全リール停止したことなどが含まれる。
メダル数制御基板17は、主制御基板16から送信された所定のコマンドが、予め定められた応答を必要とするコマンドである場合、応答コマンドを主制御基板16に送信する。たとえば、S台2が遊技場に設置されて電気的に接続された状態で電源を立上げたことを契機として、主制御基板16は、メインチップID(主制御チップID)を含む遊技機設置情報コマンドをメダル数制御基板17に送信する。それ以降の電源投入時においても、主制御基板16から、メインチップID(主制御チップID)を含む遊技機設置情報がメダル数制御基板17に送信される。すなわち、主制御基板16は、S台2の電源が投入されたときに、主制御基板16が有する固有情報のメインチップIDを特定可能な遊技機設置情報コマンドをメダル数制御基板17に送信する。
主制御基板16およびメダル数制御基板17の双方は、コマンドに「通番」を付与して送信する。また、主制御基板16およびメダル数制御基板17の双方は、受信した「通番」を記憶する。S台2では、コマンドに「通番」を付与することにより、メダルを不正に取得しようとする者(以下、不正者と称する。)がS台2を不正操作することを防止する。不正操作とは、たとえば、主制御基板16とメダル数制御基板17との間で送受信されるコマンドが改変される操作、または、不正者が主制御基板16またはメダル数制御基板17を制御する操作などを示す。不正者は、たとえば、不正操作を実行する装置等(以下、不正装置と称する。)を、主制御基板16またはメダル数制御基板17に接続することによって不正操作をする。
「通番」の初期値および加算値は、メダル数制御基板17および主制御基板16の各々によって定められる。メダル数制御基板17は、主制御基板16から受信した遊技機設置情報コマンドに基づいて「通番」の初期値および加算値を定める。遊技機設置情報コマンドに含まれるメインチップIDは、4バイト長のチップ固有ナンバーレジスタを含む。メインチップIDが含む各バイトには、16進数のチップ固有の値が記憶されている。メダル数制御基板17は、メインチップIDが含む各バイトに記憶されている16進数の値を加算して、合計値を算出する。メダル数制御基板17は、算出した合計値の下位2バイトが示す値を10進数に変換した値を「通番」における初期値として決定する。
たとえば、合計値の値が「189h」である場合(hは「189」が16進数であることを示す。)、通番における初期値は、「89h」の10進数で表した値となる。すなわち、「通番」における初期値は「137」となる。
さらに、メダル数制御基板17は、初期値に対して予め定められた数を除算する。予め定められた数が、たとえば「5」である場合、除算の結果として算出される余りの種類が「0」、「1」、「2」、「3」、「4」の4種類となる。メダル数制御基板17は、当該4種類の余りに対応した加算値を予め定め記憶する。たとえば、メダル数制御基板17は、「0」に対応して「7」を記憶し、「1」に対応して「11」を記憶し、「2」に対応して「13」を記憶し、「3」に対応して「19」を記憶し、「4」に対応して「23」を記憶する。メダル数制御基板17は、初期値に対して予め定められた数を除算した後、当該除算の結果の余りに対応して記憶している値を加算値とする。
一例を示すと、初期値である「137」を5で除した結果の余りは「2」である。上述の通り、メダル数制御基板17は、除算の結果の余りである「2」に対応して「13」を記憶している。したがって、メダル数制御基板17は、通番における加算値を「13」として決定する。このように、メダル数制御基板17は遊技機設置情報コマンドから特定したメインチップIDに基づき、主制御基板16から送信されたコマンドが正常であるか否かを判定するための通番の初期値と加算値を生成する。また、主制御基板16においても、同様の計算を行うことによって、初期値と加算値を生成する。これにより、主制御基板16とメダル数制御基板17との双方において、同様の初期値と加算値とが記憶されることとなる。
上述の通り、本実施の形態においては、イベントが発生したことを契機に主制御基板16がメダル数制御基板17に所定のコマンドを送信する。主制御基板16は、当該所定のコマンドに対して、通番を付与する。たとえば、遊技機設置情報コマンドがメダル数制御基板17へ送信され、主制御基板16とメダル数制御基板17との双方が通番における初期値と加算値とを決定した後に、所定のイベントAが発生した例を説明する。
所定のイベントAが発生したことに基づいて、主制御基板16は、メダル数制御基板17にコマンドAを送信する。このとき、主制御基板16は、遊技機設置コマンドを送信した後に、初めて送信するコマンドAに対して通番の初期値を付与する。すなわち、主制御基板16は、当該コマンドAに通番「137」を付与して送信する。
メダル数制御基板17は、初期値として「137」を記憶しており、遊技機設置コマンドを受信してから初めて受信するコマンドAに付与された通番が「137」であるため、通信は正常であると判断する。
続いて、新たなイベントBが発生した場合、主制御基板16は、メダル数制御基板17に対して、コマンドBを送信する。このとき、主制御基板16は、前回送信した通番の値に加算値を加えた値を付与したコマンドBを送信する。すなわち、主制御基板16は、前回送信した「137」に加算値「13」を加えた値である「150」をコマンドBに付与して、送信する。メダル数制御基板17は、コマンドBを受信する前に、事前に次に送信されてくるコマンドに付与される通番が「150」であることを算出する。メダル数制御基板17は、受信したコマンドBに付与されている通番が「150」であり、事前に算出した通番と一致するため、主制御基板16との間における通信が正常であると判断する。
すなわち、主制御基板16は、コマンドを送るごとに、前回送信した通番の値に加算値を加えた値を通番として付与する。メダル数制御基板17においても、初期値と加算値を記憶しているため、次に受信するコマンドに付与されるべき通番の値を事前に算出することができ、コマンドを受信する度に通番が正常であるか否かを判断することができる。メダル数制御基板17は、受信したコマンドに付与されている通番が算出した通番の値と一致しない場合、主制御基板16とメダル数制御基板17との間において通信異常が発生していると判断する。
主制御基板16は、前回送信した通番の値に加算値を加えた値が255を超える場合は、255を差し引いた値を通番として送信する。主制御基板16は、メダル数制御基板17からエラーが発生していることを示す応答コマンドを受信した場合、当該応答コマンドの後に送信するコマンドの通番に加算値を加算せず、再度、同一の通番を付与して送信する。
[主制御基板からメダル数制御基板へ送信されるコマンド]
図13は、主制御基板16がメダル数制御基板17へ送信するコマンドの種類を示す図である。本実施の形態において、主制御基板16は、図13のコマンド名欄に示されるように、遊技機設置情報コマンド、役物情報コマンド、有利区間情報コマンド、投入コマンド、精算コマンド、終了時コマンド、開始時コマンド、払出パルスコマンド、大当りコマンド、遊技機不正1コマンド、遊技機不正2コマンド、遊技機不正3コマンド、主制御状態コマンド、主制御基板エラーコマンド、遊技機性能情報(予備)コマンドを、メダル数制御基板17へ送信する。また、番号欄には、各コマンドに予め設定されているコマンド番号が示されている。さらに、電文長欄には、各コマンドが有する電文長、すなわち、バイト長が示されている。
双方向欄には、主制御基板16がコマンドを送信した後に、メダル数制御基板17が応答コマンドを送信する必要があるか否かが示されている。たとえば、メダル数制御基板17は、開始時コマンドを主制御基板16から受信したときには、当該開始時コマンドに応答する応答コマンドを送信しない。すなわち、主制御基板16は、メダル数制御基板17から応答コマンドの受信を待たずに、リールの回胴などの制御をする。
一方で、メダル数制御基板17は、投入コマンド、精算コマンド、終了時コマンドを主制御基板16から受信した場合、これらのコマンドを受信したことに応答して、応答コマンドを主制御基板16へ送信する。投入コマンド、精算コマンド、終了時コマンドは、メダル数制御基板17が管理するクレジット数に直接影響するコマンドである。そのため、主制御基板16は、投入コマンド、精算コマンド、終了時コマンドを送信した後は、メダル数制御基板17からの応答コマンドを受信したことを条件に次の制御を行う。以下では、図14~図35を用いて、主制御基板16からメダル数制御基板17へ送信されるコマンドについて説明する。
図14は、遊技機設置情報コマンドを説明する図である。図14に示されるように、遊技機設置情報コマンドは、22バイト長を有するコマンドである。1バイト目には、遊技機設置情報コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が送信される。遊技機設置情報コマンドは、電源投入後、メダル数制御基板17が通番の初期値と加算値を決定する前に送信されるコマンドであるため、通番として「0」の値が固定されて格納される。3バイト目~6バイト目には、それぞれ、コマンド番号、遊技機特性、遊技機種別、識別コードを示す値が格納される。7バイト目~10バイト目には、メインチップIDが有する固有ナンバーレジスタの1~4バイト目の値が格納される。メダル数制御基板17は、7バイト目~10バイト目のメインチップIDの値を用いて、通番の初期値および加算値を定める。
11バイト目~13バイト目には、メーカーコードが格納される。14バイト目~21バイト目には、製品コードが格納される。22バイト目には、1バイト目~21バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図15は、遊技機特性の詳細を示す図である。以下では、遊技設置情報コマンドの4バイト目に示される遊技機特性の詳細について説明する。遊技機特性は、0ビット目~7ビット目までの1バイトのデータである。0ビット目は、S台2が、RB(レギュラーボーナス)搭載であるか否かを示す。S台2がRB搭載である場合、0ビット目は「1」となり、S台2がRB搭載でない場合、0ビット目は「0」となる。
1ビット目は、S台2が、BB(ビッグボーナス)搭載であるか否かを示す。S台2がBB搭載である場合、1ビット目は「1」となり、S台2がBB搭載でない場合、1ビット目は「0」となる。2ビット目は、S台2がCT(チャレンジタイム)搭載であるか否かを示す。S台2がCT搭載である場合、2ビット目は「1」となり、S台2がCT搭載でない場合、2ビット目は「0」となる。3ビット目は、S台2がCB(チャレンジボーナス)搭載であるか否かを示す。S台2がCB搭載である場合、3ビット目は「1」となり、S台2がCB搭載でない場合、3ビット目は「0」となる。
4ビット目は、S台2がSB(シングルボーナス)搭載であるか否かを示す。S台2がSB搭載である場合、4ビット目は「1」となり、S台2がSB搭載でない場合、4ビット目は「0」となる。5ビット目は、S台2が指示機能搭載であるか否かを示す。S台2が指示機能搭載である場合、5ビット目は「1」となり、S台2が指示機能搭載でない場合、5ビット目は「0」となる。6ビット目は、S台2の指示種別を示す。S台2の指示種別が7Pタイプである場合、6ビット目は「1」となり、S台2の指示種別が7Uタイプである場合、6ビット目は「0」となる。7ビット目は使用されず、「0」が格納される。
図16は、役物情報コマンドの構成を示す図である。役物情報コマンドは、メダル数制御基板17が遊技機性能情報、役比モニタ情報を更新するためのコマンドである。役物情報コマンドは、終了時コマンドが送信された後にメダル数制御基板17へ送信される。
役物情報コマンドは、5バイトのデータから構成される。1バイト目には、役物情報コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、役物情報コマンドのコマンド番号は、「1」である。
4バイト目には、役物作動情報が格納される。役物作動情報は、現在、いずれかのボーナスに当選中であるか否かを示す情報が格納される。5バイト目には、1バイト目~4バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図17は、役物作動情報の詳細を示す図である。役物作動情報は、役物情報コマンドの4バイト目に格納されるデータである。役物作動情報は、0ビット目~7ビット目までの1バイトのデータから構成される。0ビット目には、RBが作動中であるかを示す「一種」の情報が格納される。1ビット目には、BBが作動中であるかを示す「一種連」の情報が格納される。2ビット目には、CTが作動中であるかを示す「二種」の情報が格納される。3ビット目には、CBが作動中であるかを示す「二種連」の情報が格納される。5ビット目には、SBが作動中であるかを示す「普通役物」の情報が格納される。4ビット目、6ビット目、7ビット目は使用されず、「0」が格納される。
図18は、有利区間情報コマンドの構成を示す図である。有利区間情報コマンドは、メダル数制御基板17が遊技機性能情報、役比モニタ情報を更新するためのコマンドである。有利区間情報コマンドは、終了時コマンドが送信された後に、送信される。
有利区間情報コマンドは、5バイトのデータから構成される。1バイト目には、役物情報コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、有利区間情報コマンドのコマンド番号は、「2」である。
4バイト目には、有利区間情報が格納される。有利区間情報は、有利区間における再遊技、指示情報に関するデータが送信される。5バイト目には、1バイト目~4バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図19は、有利区間情報の詳細を示す図である。有利区間情報は、有利区間情報コマンドの4バイト目に格納されるデータであり、有利区間情報コマンドが送信される前に、行われた遊技に関する情報を示すデータである。
有利区間情報は、0ビット目~7ビット目までの1バイトのデータから構成される。0ビット目には、有利区間情報コマンドが送信される前に行われた遊技が有利区間中であったか否かを示す情報が格納される。有利区間中であった場合、0ビット目には、「1」が格納される。1ビット目には、有利区間情報コマンドが送信される前に行われた遊技において指示情報があったか否かを示す情報が格納される。指示情報があった場合は、1ビット目には、「1」が格納される。4ビット目には、有利区間情報コマンドが送信される前に行われた遊技において再遊技図柄組み合わせが表示されたか否かを示す情報が格納される。再遊技図柄組み合わせが表示された場合は、4ビット目には、「1」が格納される。2,3,5,6,7ビット目は使用されず、「0」が格納される。
図20は、投入コマンドの構成を示す図である。投入コマンドは、1BETスイッチ20が押下されたとき、または、MAXBETスイッチ6が押下されたときに、主制御基板16からメダル数制御基板17へと送信される。すなわち、主制御基板16は、一のゲームを開始するための賭数を設定するための賭数設定操作を受け付けたときに、投入コマンドをメダル数制御基板17に送信する。また、図13を参照して、投入コマンドは双方向性を有するコマンドであるため、メダル数制御基板17は、投入コマンドを受信したときに、投入コマンドに応答する応答コマンドを主制御基板16に送信する。投入コマンドは、5バイトのデータから構成される。1バイト目には、投入コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、投入コマンドのコマンド番号は「3」である。
4バイト目には、投入メダル数が格納される。賭数が0枚、1枚、または2枚のいずれかの状態で1BETスイッチ20が押下された場合、投入メダル数は1枚となる。賭数が0枚の状態でMAXBETスイッチ6が押下された場合、投入メダル数は3枚となり、賭数が1枚の状態でMAXBETスイッチ6が押下された場合、投入メダル数は2枚となり、賭数が2枚の状態でMAXBETスイッチ6が押下された場合、投入メダル数は1枚となる。再遊技作動状態のときにおいて、1BETスイッチ20またはMAXBETスイッチ6が押下されて、投入コマンドが送信される場合、投入メダル数にはデータが格納されない。5バイト目には、1バイト目~4バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。「再遊技作動状態」とは、再遊技役が入賞した後の状態を示す。
図21は、精算コマンドの構成を示す図である。精算コマンドは、賭数クリアスイッチ21が押下されたときに、主制御基板16からメダル数制御基板17へと送信される。すなわち、主制御基板16は、一のゲームを開始するための賭数をキャンセルするための精算操作を受け付けたときに、精算コマンドをメダル数制御基板17に送信する。また、図13を参照して、精算コマンドは双方向性を有するコマンドであるため、メダル数制御基板17は、精算コマンドを受信したときに、精算コマンドに応答する応答コマンドを主制御基板16に送信する。精算コマンドは、5バイトのデータから構成される。1バイト目には、精算コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、精算コマンドのコマンド番号は、「4」である。
4バイト目には、精算メダル数が格納される。賭数が1枚の状態で賭数クリアスイッチ21が押下された場合、精算メダル数は1枚となり、賭数が2枚の状態で賭数クリアスイッチ21が押下された場合、精算メダル数は2枚となり、賭数が3枚の状態で賭数クリアスイッチ21が押下された場合、精算メダル数は3枚となる。5バイト目には、1バイト目~4バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図22は、開始時コマンドの構成を示す図である。開始時コマンドは、スタートスイッチ7が押下されたときに、主制御基板16からメダル数制御基板17へ送信される。すなわち、主制御基板16は、一のゲームを開始するときに、開始時コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。開始時コマンドは、再遊技作動状態でスタートスイッチ7が押下された場合であっても、送信される。開始時コマンドは、メダル数制御基板17が管理するクレジット数に直接的に影響を及ぼさないコマンドである。そのため、メダル数制御基板17は、開始時コマンドを受信したときに、開始時コマンドに対する応答コマンドを主制御基板16へ送信せず、開始時コマンドに応じた制御を行う。開始時コマンドに応じた制御とは、たとえば、ゲーム終了待ち状態に制御する処理や終了時コマンドを受信するための準備処理などが該当する。主制御基板16は、開始時コマンドを送信した後はメダル数制御基板17からの応答を待たずに次の制御を行う。次の制御とは、リールを駆動させる制御などである。
開始時コマンドは、5バイトのデータから構成される。1バイト目には、開始時コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、開始時コマンドのコマンド番号は、「6」である。
4バイト目には、ホールコンピュータに送信する1~3の投入パルス数が格納される。再遊技作動状態においても、投入規定数分の投入パルス数が送信される。5バイト目には、1バイト目~4バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図23は、終了時コマンドの構成を示す図である。終了時コマンドは、全てのリールが停止したとき、すなわち、第3停止されたときに、主制御基板16からメダル数制御基板17へ送信される。言い換えれば、主制御基板16は、一のゲームを終了するときに、終了時コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。終了時コマンドには、導出された図柄の組み合わせに応じて定められる払出メダルの枚数が含まれる。メダルが遊技者に払い出される場合、クレジット数は増加する。そのため、終了時コマンドは、メダル数制御基板17が管理するクレジット数に直接的に影響を及ぼすコマンドである。よって、メダル数制御基板17は、終了時コマンドを受信したとき、応答コマンドを主制御基板16へ送信する。また、主制御基板16は、終了時コマンドを送信した後は当該応答コマンドを受信したことを条件に次の制御を行う。次の制御とは、遊技補助表示器12に表示するデータの更新処理などが該当する。
ようするに、メダル数制御基板17は、終了時コマンドを受信したときに、該終了時コマンドに応答する応答コマンドを主制御基板16に送信するとともに、該終了時コマンドに応じた制御を行う。該終了時コマンドに応じた制御とは、たとえば、払出メダル数をクレジット数に加算する制御である。
終了時コマンドは、5バイトのデータから構成される。1バイト目には、終了時コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、終了時コマンドのコマンド番号は、「5」である。
4バイト目には、払出メダル数が格納される。払出メダル数は、最大15枚のメダル数となる。再遊技の図柄組み合わせが導出された場合、または、払出メダル数がない場合は、4バイト目には「0」が格納される。すなわち、終了時コマンドは、一のゲームを終了するときに、該一のゲームの結果に応じて遊技者に付与される遊技価値を特定可能なコマンドである。5バイト目には、1バイト目~4バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図24は、払出パルスコマンドの構成を示す図である。払出パルスコマンドは、全リール停止したとき、すなわち、第3停止されたときに、主制御基板16からメダル数制御基板17へ送信される。払出パルスコマンドは、メダル数制御基板17と接続された図示しないホールコンピュータへ、入賞に応じて遊技者に付与されるメダル数を送信するためのパルス信号である。メダル数制御基板17は、払出パルスコマンドを受信した後、図示しないホールコンピュータへ払出パルス信号を送信する。これにより、ホールコンピュータは、S台2における払出枚数を記憶することができる。払出パルスコマンドは、再遊技作動状態であるときにおいてもメダル数制御基板17へ送信される。主制御基板16は、払出パルスコマンドを送信した後はメダル数制御基板17からの応答を待たずに次の制御を行う。
払出パルスコマンドは、5バイトのデータから構成される。1バイト目には、払出パルスコマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、払出パルスコマンドのコマンド番号は、「7」である。
4バイト目には、ホールコンピュータに送信するための払出パルス数が格納される。払出パルス数は、最大で15のパルス数となる。再遊技の図柄組み合わせが導出された場合、または、払出メダル数がない場合は、4バイト目には「0」が格納される。5バイト目には、1バイト目~4バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図25は、大当りコマンドの構成を示す図である。大当りコマンドは、大当りの開始時および終了時に主制御基板16からメダル数制御基板17へ送信される。また、大当りコマンドは、電源投入時にホットスタート時である場合においても主制御基板16からメダル数制御基板17へ送信される。これにより、S台2では、ホールコンピュータ信号をバックアップせずともホールコンピュータ信号を復旧させることができる。
大当りコマンドは、5バイトのデータから構成される。1バイト目には、大当りコマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、大当りコマンドのコマンド番号は、「8」である。
4バイト目には、ホールコンピュータ信号が格納される。ホールコンピュータ信号は、ホールコンピュータにS台2の大当り情報を通知するための信号である。RB、BB、ATなどの大当り種別などが格納される。5バイト目には、1バイト目~4バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図26は、ホールコンピュータ信号の詳細を示す図である。ホールコンピュータ信号は、大当りコマンドの4バイト目に格納されるデータである。ホールコンピュータ信号は、0ビット目~7ビット目までの1バイトのデータから構成される。0ビット目には、大当りの種別がRBであることを示す情報が格納される。1ビット目には、大当りの種別がBBであることを示す情報が格納される。2ビット目には、大当りの種別がATであることを示す情報が格納される。3ビット目~7ビット目は使用されず、「0」が格納される。
図27は、遊技機不正1コマンドの構成を示す図である。遊技機不正1コマンドは、設定変更・設定確認の開始、終了時に主制御基板16からメダル数制御基板17へ送信される。
遊技機不正1コマンドは、5バイトのデータから構成される。1バイト目には、遊技機不正1コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、遊技機不正1コマンドのコマンド番号は、「9」である。
4バイト目には、設定情報が格納される。設定情報は、設定変更・設定確認される際の情報、および、その際に不正を検知したか否かなどを示す情報である。5バイト目には、1バイト目~4バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図28は、設定情報の詳細を示す図である。設定情報は、遊技機不正1コマンドの4バイト目に格納されるデータである。設定情報は、0ビット目~7ビット目までの1バイトのデータから構成される。0ビット目には、設定変更中であるか否かを示すデータが格納される。1ビット目には、設定確認中であるか否かを示すデータが格納される。2ビット目~4ビット目には、メーカー定義の不正を検知したか否かを示すデータが格納される。6ビット目、7ビット目は使用されず、「0」が格納される。
図29は、遊技機不正2コマンドの構成を示す図である。遊技機不正2コマンドは、S台2においては未使用のコマンドである。S台2では、ドア開放検出スイッチ25がメダル数制御基板17に接続されている。したがって、主制御基板16は、メダル数制御基板17にドア情報を送信する必要がない。そのため、4バイト目は、「0」が格納される。
図30は、ドア情報の詳細を示す図である。メダル数制御基板17がドアの開放または閉鎖を検出するため、ドア情報が含む全てのビットは使用されず「0」が格納される。
図31は、遊技機不正3コマンドの構成を示す図である。遊技機不正3コマンドは、S台2においては未使用のコマンドである。遊技機不正3コマンドは、拡張用のコマンドであり、主制御基板16からメダル数制御基板17へ将来的に新たなコマンドを送信する必要が生じた場合に使用される。
図32は、主制御状態コマンドの構成を示す図である。主制御状態コマンドは、主制御基板16の状態を示すコマンドである。主制御状態コマンドは、予め定められたタイミングで主制御基板16からメダル数制御基板17へ送信される。メダル数制御基板17は、主制御状態コマンドを受信することによって、主制御基板16またはS台2の状態を取得することができる。
主制御状態コマンドは、5バイトのデータから構成される。1バイト目には、主制御状態コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、主制御状態コマンドのコマンド番号は「12」である。4バイト目には、遊技機状態信号が格納される。5バイト目には、1バイト目~4バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図33は、主制御基板エラーコマンドの構成を示す図である。主制御基板エラーコマンドは、主制御基板16で発生したエラーの種類を示すコマンドである。主制御基板エラーコマンドは、主制御基板16にてエラーが発生したとき、および、発生したエラーが解消したときに、主制御基板16からメダル数制御基板17へ送信される。
主制御基板エラーコマンドは、5バイトのデータから構成される。1バイト目には、主制御状態コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、主制御基板エラーコマンドのコマンド番号は、「13」である。4バイト目には、エラー番号が格納される。エラー番号は、主制御基板16で発生しているエラーの種類を示す番号である。5バイト目には、1バイト目~4バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図34は、主制御基板エラー一覧を示す図である。図34に示されるエラー番号は、主制御基板エラーコマンドの4バイト目に格納されるエラー番号である。E6は、リール回転エラーを示すエラー番号である。主制御基板16は、3回連続で原点センサからの入力を検出することができない場合、リール回転エラーが発生したと判断する。リール回転エラーが発生したとき、主制御基板16は、主制御基板エラーコマンドの4バイト目の値を「E6」として送信する。主制御基板16は、図示しないエラー解除スイッチが押下されたことを契機にして、当該エラーが解消されたと判断する。当該エラーが解消されたときにおいても、主制御基板16は、主制御基板エラーコマンドを送信する。
E7は、遊技メダル数オーバーフローエラーを示すエラー番号である。主制御基板16は、遊技メダル数が16383を超えたとき、遊技メダル数オーバーフローエラーが発生したと判断する。遊技メダル数オーバーフローエラーが発生したとき、主制御基板16は、主制御基板エラーコマンドの4バイト目の値を「E7」として送信する。主制御基板16は、図示しないエラー解除スイッチが押下されたとき、当該エラーが解消されたと判断する。当該エラーが解消されたときにおいても、主制御基板16は、主制御基板エラーコマンドを送信する。
E8は、バックアップエラーを示すエラー番号である。主制御基板16は、電源投入後のRAMの検査において、電断前にバックアップしたRAMの値と一致しないとき、バックアップエラーが発生したと判断する。バックアップエラーが発生したとき、主制御基板16は、主制御基板エラーコマンドの4バイト目の値を「E8」として送信する。主制御基板16は、S台2の電源を切断し、再度設定変更されたことを契機として、当該エラーが解消されたと判断する。当該エラーが解消されたときにおいても、主制御基板16は、主制御基板エラーコマンドを送信する。
E9は、通信異常エラーを示すエラー番号である。主制御基板16は、メダル数制御基板17へ応答コマンドが必要となるコマンドを送信してから、40msが経過する前に応答コマンドを受信しない場合、通信異常エラーが発生したと判断する。通信異常エラーが発生したとき、主制御基板16は、主制御基板エラーコマンドの4バイト目の値を「E9」として送信する。主制御基板16は、図示しないエラー解除スイッチが押下されたとき、当該エラーが解消されたと判断する。当該エラーが解消されたときにおいても、主制御基板16は、主制御基板エラーコマンドを送信する。
図35は、遊技機性能情報(予備)コマンドの構成を示す図である。遊技機性能情報は、性能情報の集計を目的とする情報である。遊技機性能情報は、遊技に基づいて算出された結果を出力するものである。
遊技機性能情報(予備)コマンドは、28バイトのデータから構成される。1バイト目には、遊技機性能情報(予備)コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、通番が格納される。3バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。図13に示されるように、遊技機性能情報(予備)コマンドのコマンド番号は、「14」である。4バイト目~27バイト目には、遊技機性能情報が格納され得る。本実施の形態において、当該予備領域には、「0」が格納される。28バイト目には、1バイト目~27バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図36は、メダル数制御基板17から主制御基板16へのコマンド一覧を示す図である。メダル数制御基板17は、主制御基板16に対して2種類のコマンドを送信する。
応答コマンドは、主制御基板16から受信したコマンドに応答するためのコマンドである。たとえば、メダル数制御基板17は、終了時コマンドを受信したとき、当該終了時コマンドはクレジット数に影響を与えるコマンドであるため、応答コマンドを送信する。すなわち、応答コマンドは、受信したことに応じて応答するので双方向性を有するコマンドである。応答コマンドは、3~5のコマンド番号が設定され得る。応答コマンドの電文長は、4バイトである。
枠側情報コマンドは、メダル数制御基板17とCU3との間の接続情報を含むシステム情報を送信するコマンドである。メダル数制御基板17は、0.3秒ごとに枠側情報コマンドを主制御基板16に送信する。なお、枠側情報コマンドが送信される所定の期間は、0.3秒ではなく、その他の期間であってもよい。主制御基板16は、枠側情報コマンドを受信しても応答は行わない。そのため、枠側情報コマンドは、双方向性を有さないメダル数制御基板17から主制御基板16への単方向で送信し続けるコマンドである。枠側情報コマンドのコマンド番号は、「81h」であり、電文長は、4バイトである。
図37は、応答コマンドの構成を示す図である。応答コマンドは、4バイトのデータから構成される。1バイト目には、応答コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、コマンド番号を示す値が格納される。応答コマンドにおけるコマンド番号は、応答の対象となる受信したコマンドのコマンド番号が格納される。投入コマンドに対する応答コマンドを送信する場合、メダル数制御基板17は、コマンド番号として「3」を格納する。精算コマンドに対する応答コマンドを送信する場合、メダル数制御基板17は、コマンド番号として「4」を格納する。終了時コマンドに対する応答コマンドを送信する場合、メダル数制御基板17は、コマンド番号として「5」を格納する。
3バイト目には、応答コマンドの受領結果を示す情報が格納される。3バイト目は、1~4ビットのデータ領域を含む。3バイト目のデータ領域における0ビット目が「1」である場合、応答コマンドは「受領OK」であることを示す。「受領OK」とは、メダル数制御基板17が受信した受信コマンドが正常である旨を示す。以下では、3バイト目のデータ領域における0ビット目が「1」である応答コマンドを、「受領OKを示す応答コマンド」と称する場合がある。すなわち、応答コマンドは、受信コマンドを正常に受信したことを主制御基板16へ通知するコマンドとなる。受信コマンドとは、応答コマンドの応答の対象となった主制御基板16から送信されたコマンドである。3バイト目のデータ領域における1ビット目が「1」である場合、応答コマンドは「通番不一致」であることを示す。「通番不一致」とは、メダル数制御基板17が受信した受信コマンドが正常でない旨を示す。以下では、3バイト目のデータ領域における1ビット目が「1」である応答コマンドを、「通番不一致を示す応答コマンド」と称する場合がある。すなわち、応答コマンドは、応答の対象となった受信コマンドの通番がメダル数制御基板17で算出した通番と不一致であったことを示す。
3バイト目のデータ領域における2ビット目が「1」である場合、応答コマンドは「遊技メダル数不足」であることを示す。メダル数制御基板17が受信コマンドとして投入コマンドを受信し、クレジット数の減算を要求されたにも関わらず、クレジット数が不足している場合に、2ビット目が「1」が格納された応答コマンドが送信される。
3バイト目のデータ領域における3ビット目が「1」である場合、応答コマンドは「遊技メダル数オーバーフロー」であることを示す。メダル数制御基板17が受信コマンドとして精算コマンドを受信し、クレジット数(遊技メダル数)が上限である場合、3ビット目が「1」が格納された応答コマンドが送信される。4バイト目には、1バイト目~3バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
図38は、枠側情報コマンドの構成を示す図である。枠側情報コマンドは、上述の通り、0.3秒ごとにメダル数制御基板17から主制御基板16へ送信される。
枠側情報コマンドは、4バイトのデータから構成される。1バイト目には、枠側情報コマンドの電文長が格納される。2バイト目には、コマンド番号が格納される。枠側情報コマンドのコマンド番号は、「81h」である。3バイト目には、メダル数制御基板17のシステム状態を示す情報が格納される。メダル数制御基板17のシステム状態は、計数ボタンが押下されたか否か、CU3とメダル数制御基板17とが正常に接続されているか否かという情報を含む。4バイト目には、1バイト目~3バイト目に送信した情報に誤りが生じていたか否かを判断するためのチェックサムが格納される。
[主制御基板とメダル数制御基板間の通信について]
図39は、主制御基板16とメダル数制御基板17間の通信の一例を示す図である。主制御基板16とメダル数制御基板17間の通信は、シリアル通信が採用される。図39に示すように、主制御基板16は、賭数設定操作がされたことにより投入コマンドを送信する。賭数設定操作とは、1BETスイッチ20またはMAXBETスイッチ6が押下されたことを含む。
メダル数制御基板17は、主制御基板16からコマンドを受信したとき、カウンタを用いて経過時間を測定する。主制御基板16からコマンドを受信したときから10msが経過するまでに、当該コマンドの受信が終了しない場合、メダル数制御基板17は、主制御基板16とメダル数制御基板17との間の通信においてタイムアウトエラーが発生したと判断する。図39の例では、投入コマンドは、メダル数制御基板17が受信してから10msが経過する前に受信が完了しているため、タイムアウトエラーは発生しない。
メダル数制御基板17は、投入コマンドを受信したことに応じて、応答コマンドを送信する。主制御基板16は、メダル数制御基板17からコマンドを受信したとき、カウンタを用いて経過時間を測定する。メダル数制御基板17からコマンドを受信したときから2.24msが経過するまでに、当該コマンドの受信が終了しない場合、主制御基板16は、主制御基板16とメダル数制御基板17との間の通信においてタイムアウトエラーが発生したとして判断する。図39の例では、応答コマンドは、主制御基板16が受信してから2.24msが経過する前に受信が完了しているため、タイムアウトエラーは発生しない。
また、主制御基板16は、投入コマンドなどのメダル数制御基板17からの応答コマンドが必要なコマンドを送信する場合、投入コマンドを送信する契機となった賭数設定操作がされたときからの経過時間を、カウンタを用いて測定する。
賭数設定操作などのイベントが発生したときから40msが経過するまでに、メダル数制御基板17からの応答コマンドの受信が完了しない場合、主制御基板16は、主制御基板16とメダル数制御基板17との間の通信においてタイムアウトエラーが発生したとして判断する。図39の例では、応答コマンドの受信は、賭数設定操作がされてから40msが経過する前に完了しているため、タイムアウトエラーは発生しない。
主制御基板16は、投入コマンドに対する応答コマンドを受信した後に、賭数設定操作がされたことに対応する制御を開始する。すなわち、主制御基板16は、クレジット表示器11に表示するクレジット数を減算する。
続いて、S台2のスタートスイッチ7が遊技者によって押下される。主制御基板16は、スタートスイッチ7が押下されたことに基づいて、開始時コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。上述の通り、開始時コマンドは、メダル数制御基板17からの応答コマンドを必要としないコマンドである。そのため、メダル数制御基板17は、応答コマンドを送信しない。
最後に、遊技者によって第3停止の操作がされると、全てのリールが停止する。全リールが停止したことに基づいて、主制御基板16は、終了時コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。この例では、終了時コマンドは応答コマンドが必要なコマンドであるにも関わらず、メダル数制御基板17は、応答コマンドを送信しない。したがって、主制御基板16は、全リールが停止してから40msが経過するまでに、応答コマンドを受信せず、タイムアウトエラーが発生したと判定する。
図40は、枠側情報コマンドの通信を説明するための図である。図40に示されるように、メダル数制御基板17は、枠側情報コマンドを300msが経過するごとに主制御基板16へ送信する。主制御基板16は、枠側情報コマンドの受信を開始してから、受信が完了するまでに、2.24ms秒を超える期間が経過した場合、タイムアウトエラーが発生したと判断する。
図41は、主制御基板16がコマンド受信をする際の処理を示すフローチャートである。図36に示されるように、メダル数制御基板17は、主制御基板16へ、応答コマンドまたは枠側情報コマンドの2種類のコマンドを送信する。
図41を参照して、主制御基板16は、メダル数制御基板17からコマンドを受信する(ステップS10)。主制御基板16は、受信したコマンドが枠側情報コマンドであるか否かを判断する(ステップS11)。受信したコマンドが枠側情報コマンドである場合(ステップS11でYES)、主制御基板16は、枠側情報コマンドにエラー情報が含まれているか否かを確認する(ステップS12)。当該エラー情報とは、CU3がS台2と正常に接続されているか否かを示す情報である。枠側情報コマンドにエラー情報が含まれている場合(ステップS12でYES)、主制御基板16は、演出制御基板15に当該エラー情報を送信して、処理を終了する。これにより、演出制御基板15は、S台2にCU3が接続されていないエラーが発生していることを液晶表示器51に表示することができる。枠側情報コマンドにエラー情報が含まれていない場合(ステップS12でNO)、処理を終了する。
受信したコマンドが枠側情報コマンドでない場合(ステップS11でNO)、すなわち、受信したコマンドが応答コマンドである場合、主制御基板16は、当該応答コマンドに応じた処理を実行して、処理を終了する。
図42は、電源投入からの主制御基板16とメダル数制御基板17との間の通信の流れを示す図である。電源投入スイッチ102が押下されて、主制御基板16に電源が投入されたことに応じて、主制御基板16は、遊技機設置情報コマンドを送信する。その後、賭数設定操作がされたことに応じて、主制御基板16は、投入コマンドを送信する。投入コマンドは、応答コマンドが必要なコマンドであるため、メダル数制御基板17は、投入コマンドを受信したことに基づいて、応答コマンドを主制御基板16へ送信する。たとえば、メダル数制御基板17は、遊技メダル数に余裕がある場合は応答コマンドの3バイト目における0ビット目を「1」(受領OK)とし、通番が一致しない場合は応答コマンドの3バイト目における1ビット目を「1」(通番不一致)とし、遊技メダル数が足りない場合は応答コマンドの3バイト目における2ビット目を「1」(遊技メダル数不足)とする。
続いて、主制御基板16は、精算操作がされたことに基づいて、精算コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。精算操作とは、賭数クリアスイッチ21が押下されたことを示す操作である。これにより、賭数をクレジット数に戻す処理が実行される。精算コマンドは、応答コマンドを必要とするコマンドであるため、メダル数制御基板17は、精算コマンドを受信したことに基づいて、応答コマンドを主制御基板16へ送信する。たとえば、メダル数制御基板17は、遊技メダル数に余裕がある場合は応答コマンドの3バイト目における0ビット目を「1」(受領OK)とし、通番が一致しない場合は応答コマンドの3バイト目における1ビット目を「1」(通番不一致)とし、遊技メダル数がオーバーフローする場合は応答コマンドの3バイト目における3ビット目を「1」(遊技メダル数オーバーフロー)とする。
図42では、再度、賭数設定操作がされ、当該賭数設定操作に基づく通信が行われる。続いて、スタートスイッチ7が押下されたことに基づいて、主制御基板16が開始時コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。主制御基板16は、開始時コマンドを送信した後、メダル数制御基板17からの応答を待たずに、リールを駆動させる制御など、ゲームを進行させる制御を行う。メダル数制御基板17は、主制御基板16から開始時コマンドを受信すると、開始時コマンドに応じた制御として、ゲーム終了待ち状態に制御する。開始時コマンドは、応答コマンドを必要としないコマンドであるため、メダル数制御基板17は、応答コマンドを送信しない。
全リール停止したことに基づいて、主制御基板16は、終了時コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。メダル数制御基板17は、終了時コマンドの受信に基づいて、応答コマンドを主制御基板16へ送信する。たとえば、メダル数制御基板17は、終了時コマンドが正常である場合は応答コマンドの3バイト目における0ビット目を「1」(受領OK)とし、通番が一致しない場合は応答コマンドの3バイト目における1ビット目を「1」(通番不一致)とする。続いて、主制御基板16は、役物情報コマンド、有利区間コマンド、払出パルスコマンドの順番でメダル数制御基板17へ送信する。
このように、主制御基板16は、一のゲームを開始するときは、クレジット数に影響しないため、開始時コマンドを送信した後、メダル数制御基板17からの応答を待たずに次の制御を実行し、一のゲームを終了するときは、クレジット数に影響し得るため、終了時コマンドを送信した後、メダル数制御基板17から送信された応答コマンドを受信したことを条件に次の制御を実行する。これにより、主制御基板16とメダル数制御基板17との間の遣り取りに関して改良を施すことで、主制御基板16は、メダル数制御基板17の状況を確認しながらゲームを進行させることができる。
[通番における処理の例]
上述の通り、主制御基板16とメダル数制御基板17とは、通番を用いて通信をする。すなわち、メダル数制御基板17は、主制御基板16から送信されたコマンドが正常であるか否かを判定するために、通番が一致するかを確認する処理を実行する。以下では、通番における処理の例を図43~図45を用いて説明する。図43は、通番が正常である場合の通信の一例を示す図である。
電源投入に基づいて、主制御基板16は、遊技機設置情報コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。上述にて説明した通り、遊技機設置情報コマンドに付与される通番は、「0」である。メダル数制御基板17は、遊技機設置情報コマンドが含むメインチップIDに基づいて、通番における初期値と加算値を定める。図43の例では、メダル数制御基板17は、通番における初期値を「137」とし、加算値を「13」として決定する。主制御基板16は、同様の計算方法を用いて、メインチップIDに基づいて、通番における初期値を「137」とし、加算値を「13」として決定する。
遊技機設置情報コマンドを送信した後、賭数設定操作がされ、主制御基板16は、投入コマンドを送信する。当該投入コマンドは、遊技機設置情報コマンドが送信されてから初めてメダル数制御基板17へ送信されるコマンドである。そのため、主制御基板16は、当該投入コマンドに通番として初期値である「137」を付与して送信する。メダル数制御基板17は、当該投入コマンドに対する応答コマンドを送信する。このとき、メダル数制御基板17は、通信が正常であったため、受領OKを示す応答コマンドを主制御基板16へ送信する。すなわち、メダル数制御基板17は、通番が一致するかを確認する処理によって、主制御基板16から送信された投入コマンドが正常であると判定したときに、該投入コマンドに応答して該投入コマンドが正常である旨を示す応答コマンドを主制御基板16に送信する。
続いて、スタートスイッチ7が押下されたことにより、主制御基板16は、開始時コマンドを送信する。このとき、主制御基板16は、前回送信した通番の値である「137」に加算値「13」を加えた値を付与して送信する。すなわち、主制御基板16は、開始時コマンドの通番として「150」を付与して送信する。
メダル数制御基板17は、通番が「137」である投入コマンドを受信した時点において、次に受信するコマンドの通番を加算値に基づいて「150」であることを算出する。メダル数制御基板17は、開始時コマンドを受信した際に、受信する前に算出した通番の値と、実際に受信した開始時コマンドに付与されている通番の値とが一致するかを確認する処理を実行する。メダル数制御基板17は、通番が一致するため、通信は正常であると判断する。
図44は、通番不一致エラーが発生した場合の通信の一例を示す図である。主制御基板16が賭数設定操作に対応する応答コマンドを受信するまでの処理は、図42と同一であるため、説明を繰り返さない。上述の通り、メダル数制御基板17は、投入コマンドを受信した時点において、次に受信するコマンドに付与されている通番は「150」であると算出する。
図44の例では、賭数設定操作がされた後、不正操作がされる。上述の通り、不正操作とは、たとえば、主制御基板16とメダル数制御基板17との間で送受信されるコマンドが改変される操作、または、不正者が主制御基板16またはメダル数制御基板17を制御する操作などを示す。図44では、主制御基板16が不正者によって制御されることにより、主制御基板16は、全リール停止していないにもかかわらず、終了時コマンドを送信する。すなわち、図44では、入賞が発生していないにもかかわらず、メダル数制御基板17に払出処理を実行させる目的で不正操作が行なわれる。しかしながら、不正者は、主制御基板16のメインチップIDに基づいて定められる通番の初期値および加算値、さらに、コマンドの送受信の回数を取得することができないため、次のコマンドに付与されるべき通番の値を知ることができない。そのため、図44の例では、不正者は、終了時コマンドに通番「78」を付与して送信しているが、メダル数制御基板17は、算出した通番「150」と実際に受信した通番「78」とが一致しないため、通番不一致エラーが発生したと判断し、通番不一致であることを示す応答コマンドを主制御基板16へ送信する。すなわち、メダル数制御基板17は、通番が一致するかを確認する処理によって主制御基板16から送信された終了時コマンドが正常でないと判定したときに、該終了時コマンドに応答して該終了時コマンドが正常でない旨を示す応答コマンドを主制御基板16に送信する。通番不一致であることを示す応答コマンドを受信した主制御基板16は、終了時コマンド後に行う払出制御を実行しない。これにより、不正操作がされることを防止することができる。
不正操作には、図44に示すような入賞が発生していないにもかかわらず、主制御基板16に終了時コマンドを送信させるものだけでなく、下記に示すような不正操作も含まれる。
たとえば、不正操作として、主制御基板16におけるRAM161cのBETカウンタに設定されている賭数が0にもかかわらず、主制御基板16に賭数キャンセルコマンドを送信させることが考えられる。これにより、不正者は、賭数が設定されていないにもかかわらず、メダル数制御基板17が記憶するクレジット数を増加させることができる。
また、不正操作として、主制御基板16が送信する投入コマンドに対して、メダル数制御基板17が送信する応答コマンドを改変することが考えられる。たとえば、不正者は、クレジット数が「0」であるにもかかわらず、メダル数制御基板17に、受領OKを示す応答コマンドを主制御基板16に送信させる。これにより、不正者は、クレジット数が「0」であるにもかかわらず、賭数を設定することができる。
このように、不正操作には、主制御基板16が送信するコマンドを偽造する不正操作、および、メダル数制御基板17が送信するコマンドを偽造する不正操作が考えられる。本実施の形態のS台2では、「通番」を用いることによって、上述に示した不正操作の全てを防止することができる。
続いて、通番「150」が付与された開始時コマンドがメダル数制御基板17に送信される。開始時コマンドに付与された通番「150」は、事前にメダル数制御基板17が算出した通番と一致する。一致したことにより、メダル数制御基板17は、通番不一致エラーが解消したと判断し、受領OKを示す応答コマンドを主制御基板16へ送信する。このように、S台2では、メダル数制御基板17において通番不一致エラーが解消したことを容易に判断することができる。
図43、図44に示されるように、メダル数制御基板17は、主制御基板16から送信されたコマンドを受信したときに、通番の初期値と加算値とを用いて、主制御基板16から送信されたコマンドが正常であるか否かを判定する。すなわち、メダル数制御基板17は、応答の必要なコマンドを受信した際に応答コマンドを送信し、さらに、当該応答コマンドに通信が正常であるか否かを示す情報が付与されていることにより、主制御基板16は、メダル数制御基板17の状況を確認しながらゲームを進行させることができる。
また、図44に示されるように、通番が不一致であることから不正操作がされている可能性があることを把握することができ、主制御基板16とメダル数制御基板17との間の遣り取りに関してセキュリティが高まる。
図45は、遊技メダルに関するエラーが発生した場合の通信の一例を示す図である。メダル数制御基板17が開始時コマンドを受信するまでの処理は、図42と同一であるため、説明を繰り返さない。主制御基板16は、開始時コマンドを送信した後、全リールが停止したことに基づいて、通番「163」を付与した終了時コマンドを送信する。このとき、終了時コマンドには、払出メダル数が付与されているが、クレジット数が上限値であることから、遊技メダルに関するエラーが発生する。そのため、メダル数制御基板17は、遊技メダル数オーバーフローを示す応答コマンドを主制御基板16へ送信する。これにより、主制御基板16は、払出に関する処理を実行しない。
その後、計数ボタン10が操作されたことなどに基づいて、クレジット数が減算され、メダル数制御基板17が払出メダルを許容することできる状態となる。すなわち、遊技メダルに関するエラーが解消する。その後、主制御基板16は、再度、通番「163」が付与された終了時コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。これに対して、メダル数制御基板17は、遊技メダルに関するエラーが発生しないことから、受領OKを示す応答コマンドを送信する。
[遊技機設置情報コマンドの送受信前における通信]
図46は、遊技機設置情報コマンドの送受信前における通信が発生した例を示す図である。上述で説明したように、主制御基板16は、電源投入後に、遊技機設置情報コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。
図46の例では、主制御基板16は、電源投入後であって、遊技機設置情報コマンドを送信する前に、終了時コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。メダル数制御基板17は、遊技機設置情報コマンドを受信する前に、コマンドを主制御基板16から受信した場合、当該コマンドの種類、付与された通番に関わらず当該コマンドを破棄する。すなわち、メダル数制御基板17は、少なくとも遊技機設置情報コマンドを受信するまでは、主制御基板16から該遊技機設置情報コマンド以外のコマンドに応じた処理を実行しない。
これにより、メダル数制御基板17は、遊技機設置情報コマンドに基づき主制御基板16との間で通信が確立していない状態で、主制御基板16との間で遣り取りを行わないため、主制御基板16とメダル数制御基板17との間の遣り取りに関してセキュリティを高めることができる。すなわち、遊技機設置情報コマンドを受信する前に行われる不正操作を防止することができる。
図46の例では、終了時コマンドが破棄された後に、電源投入に応じて、遊技機設置情報コマンドAがメダル数制御基板17に送信される。メダル数制御基板17は、遊技機設置情報コマンドAを受信したことに基づいて、通番における初期値と加算値とを決定する。
続いて、図46では、メダル数制御基板17は、主制御基板16から、遊技機設置情報コマンドBを受信する。このとき、メダル数制御基板17は、既に遊技機設置情報コマンドAを受信していることから、遊技機設置情報コマンドBに基づいて通番の初期値と加算値を更新しない。すなわち、メダル数制御基板17は、遊技機設置情報コマンドを受信した後、主制御基板16から再び遊技機設置情報コマンドが送信されても、遊技機設置情報コマンドに応じた処理を実行しない。
これにより、メダル数制御基板17は、たとえば、メダル数制御基板17に接続された主制御基板16以外の不正基板などによる主制御基板16のなりすましを防止することができる。すなわち、通番の初期値と加算値とが不正に書き換えられることを防止することができる。
[電源投入におけるタイムアウト]
図47は、電源投入におけるタイムアウトの例を示す図である。主制御基板16は、電源投入に基づいて、遊技機設置情報コマンドを送信する。主制御基板16は、電源投入されたときからの経過時間を、カウンタを用いて測定する。
主制御基板16の電源投入されたときから5000msが経過するまでに、主制御基板16が遊技機設置情報コマンドの送信を完了しない場合、主制御基板16は、主制御基板16とメダル数制御基板17との間の通信にいてエラーが発生したとして判断する。すなわち、メダル数制御基板17は、S台2の電源が投入された後、5000ms以内に遊技機設置情報コマンドを受信することができなかったときに、異常状態に制御する。図47の例では、主制御基板16の電源投入されたときから5000msが経過するまでに、遊技機設置情報コマンドが送信されていないため、メダル数制御基板17は、通信エラーが発生したと判断する。メダル数制御基板17は、通信エラーが発生した旨を、CU3が有する表示器312に表示させる。
これにより、メダル数制御基板17は、S台2の電源が投入された後、遊技機設置情報コマンドに基づきメダル数制御基板17との間で通信を確立することができなかった場合に、通信異常である旨を外部に知らせることができる。
メダル数制御基板17は、CU制御基板32と接続されている。主制御基板16において、通信エラーが発生している場合であっても、メダル数制御基板17は、CU制御基板32との間で通信をすることができる。
主制御基板16において発生した当該通信エラーは、電源を再投入し、遊技機設置情報コマンドが主制御基板16の電源投入されたときから5000msが経過するまでに正常に送信され、メダル数制御基板17から受領OKを示す応答コマンドが送信されることにより解消する。
[賭数設定操作と精算操作について]
図48は、賭数設定操作と精算操作について説明する図である。上述のように、主制御基板16は、1BETスイッチ20またはMAXBETスイッチ6が押下される賭数設定操作がされることに基づいて、投入コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。また、主制御基板16は、賭数クリアスイッチ21が押下される精算操作がされることに基づいて、精算コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。
図48に示されるように、主制御基板16は、賭数設定操作がされたことに基づいて、投入コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。投入コマンドは、投入メダル数を含むコマンドである。メダル数制御基板17は、受信した投入コマンドに含まれる投入メダル数を読み取り、賭数設定処理を行う。具体的には、メダル数制御基板17が管理するクレジット数から投入メダル数を減算し、賭数に投入メダル数を加算する。たとえば、賭数設定処理が実行される前の賭数が0枚であり、賭数設定操作としてMAXBETスイッチ6が押下された場合、メダル数制御基板17は、クレジット数から3枚を減算し、賭数に3枚を加算する。メダル数制御基板17は、投入コマンドを受信したことに基づいて、応答コマンドを主制御基板16へ送信する。
続いて、主制御基板16は、精算操作がされたことに基づいて、精算コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。精算コマンドは、精算メダル数を含むコマンドである。メダル数制御基板17は、受信した精算コマンドが含む精算メダル数を読み取り、賭数キャンセル処理を行う。具体的には、メダル数制御基板17が管理する賭数から精算メダル数を減算し、クレジット数に精算メダル数を加算する。たとえば、賭数キャンセル処理が実行される前の賭数が3枚であり、賭数クリアスイッチ21が押下された場合、メダル数制御基板17は、賭数から3枚を減算し、クレジット数に3枚を加算する。メダル数制御基板17は、精算コマンドを受信したことに基づいて、応答コマンドを主制御基板16へ送信する。
ここで、メダル数制御基板17は、投入コマンドおよび精算コマンドに対して、共通の応答コマンドを送信する。すなわち、メダル数制御基板17は、投入コマンドを受信したときと、精算コマンドを受信したときとで、共通の応答コマンドを主制御基板16に送信する。具体的には、メダル数制御基板17は、投入コマンドを受信したときと、精算コマンドを受信したときとのいずれにおいても、応答コマンドを主制御基板16に送信する。ここで、メダル数制御基板17では、投入コマンドを受信した場合、クレジット数(遊技メダル数)を加算する処理を実行することはないため、遊技メダル数オーバーフローは生じ得ない。したがって、メダル数制御基板17では、投入コマンドに対する応答コマンドの3バイト目の3ビット目に「1」を格納して送信することはない。
また、メダル数制御基板17では、精算コマンドを受信した場合、クレジット数を減算する処理を実行することはないため、遊技メダル数不足は生じ得ない。したがって、メダル数制御基板17では、投入コマンドに対する応答コマンドの3バイト目の2ビット目に「1」を格納して送信することはない。
このように、メダル数制御基板17は、投入コマンドを受信したときと、精算コマンドを受信したときとで、3バイト目に格納されるデータを使い分けることで、遊技メダル数不足や遊技メダル数オーバーフローを主制御基板16に通知する。これにより、メダル数制御基板17は、賭数設定操作が行われたときと、賭数キャンセル操作が行われたときとで、応答コマンドを共通化することができるため、処理負担を軽減することができる。
図49は、賭数設定操作後、応答コマンドを受信する前に新たに賭数設定操作がされた例を示す図である。図49に示されるように、主制御基板16は、賭数設定操作Aに基づいて投入コマンドを送信する。主制御基板16は、タイムアウトエラーが発生しないように、投入コマンドを送信開始から40msが経過する前に送信を完了するように制御する。メダル数制御基板17は、投入コマンドを受信したことに応じて、応答コマンドを送信する。
図49の例では、賭数設定操作Aを受け付けてから、賭数設定操作Aに基づく投入コマンドに対する応答コマンドを受信する前に、新たに賭数設定操作Bがなされる。主制御基板16は、賭数設定操作Bを受け付けない。すなわち、主制御基板16は、投入コマンドをメダル数制御基板17に送信した後、メダル数制御基板17から応答コマンドを受信するまでは、新たな賭数設定操作を受け付けない。これにより、メダル数制御基板17において賭数設定操作Aに応じた処理が確定していない状況で新たな賭数設定操作Bが受け付けられることを防止することができる。
図50は、精算操作後、応答コマンドを受信する前に新たに精算操作がされた例を示す図である。図50に示されるように、主制御基板16は、精算操作Aに基づいて精算コマンドを送信する。主制御基板16は、タイムアウトエラーが発生しないように、精算コマンドを送信開始から40msが経過する前に送信を完了するように制御する。メダル数制御基板17は、精算コマンドを受信したことに応じて、応答コマンドを送信する。
図50の例では、精算操作Aを受け付けてから、精算操作Aに基づく投入コマンドに対する応答コマンドを受信する前に、新たに精算操作Bがなされる。主制御基板16は、精算操作Bを受け付けない。すなわち、主制御基板16は、精算コマンドをメダル数制御基板17に送信した後、メダル数制御基板17から応答コマンドを受信するまでは、新たな精算操作を受け付けない。これにより、メダル数制御基板17において精算操作Aに応じた処理が確定していない状況で新たな精算操作Bが受け付けられることを防止することができる。
図51は、賭数設定操作後、応答コマンドを受信する前に新たに精算操作がされた例を示す図である。図51に示されるように、主制御基板16は、賭数設定操作に基づいて投入コマンドを送信する。メダル数制御基板17は、投入コマンドを受信したことに応じて、応答コマンドを送信する。
図51の例では、賭数設定操作を受け付けてから、当該賭数設定操作に基づく投入コマンドに対する応答コマンドを受信する前に、新たに精算操作がなされる。主制御基板16は、当該精算操作を受け付けない。すなわち、主制御基板16は、投入コマンドをメダル数制御基板17に送信した後、メダル数制御基板17から応答コマンドを受信するまでは、新たな精算操作を受け付けない。これにより、メダル数制御基板17において賭数設定操作に応じた処理が確定していない状況で新たな精算操作が受け付けられることを防止することができる。
図52は、精算操作後、応答コマンドを受信する前に新たに賭数設定操作がされた例を示す図である。図52に示されるように、主制御基板16は、精算操作に基づいて投入コマンドを送信する。メダル数制御基板17は、投入コマンドを受信したことに応じて、応答コマンドを送信する。
図52の例では、精算操作を受け付けてから、当該精算操作に基づく精算コマンドに対する応答コマンドを受信する前に、新たに賭数設定操作がなされる。主制御基板16は、当該賭数設定操作を受け付けない。すなわち、主制御基板16は、精算コマンドをメダル数制御基板17に送信した後、メダル数制御基板17から応答コマンドを受信するまでは、新たな賭数設定操作を受け付けない。これにより、メダル数制御基板17において精算操作に応じた処理が確定していない状況で新たな賭数設定操作が受け付けられることを防止することができる。
[賭数設定操作と通番]
図53は、賭数設定操作における通番エラーを説明する図である。図53に示されるように、メダル数制御基板17は、遊技機設置情報コマンドを受信したことに基づいて、通番の初期値を「137」に決定する。
その後、S台2では、賭数設定操作がなされる。主制御基板16は、賭数設定操作に基づいて、投入コマンドを送信する。当該投入コマンドには、通番として「78」が付与されている。すなわち、当該投入コマンドに付与された通番は、通番の初期値と一致しない。そのため、メダル数制御基板17は、通番不一致を示す応答コマンドを主制御基板16へ送信する。主制御基板16は、通番不一致を示す応答コマンドを受信したときから、新たな賭数設定操作を受け付けない。すなわち、主制御基板16は、正常でない旨を示す応答コマンドを受信した場合、賭数設定操作の受付を再開しない。
図54は、精算操作における通番エラーを説明する図である。図54に示されるように、メダル数制御基板17は、遊技機設置情報コマンドを受信したことに基づいて、通番の初期値を「137」に決定する。
その後、S台2では、賭数設定操作がなされる。主制御基板16は、賭数設定操作に基づいて、投入コマンドを送信する。当該投入コマンドには、通番として「137」が付与されている。すなわち、当該投入コマンドに付与された通番は、通番の初期値と一致する。そのため、メダル数制御基板17は、受領OKを示す応答コマンドを主制御基板16へ送信する。主制御基板16は、受領OKを示す応答コマンドを受信したことに基づいて、賭数設定操作を受け付け、次の制御をする。
続いて、図54では、精算操作がなされる。主制御基板16は、精算操作に基づいて、精算コマンドを送信する。当該精算コマンドには、通番として「78」が付与されている。すなわち、当該精算コマンドに付与された通番は、メダル数制御基板17が算出する通番と一致しない。そのため、メダル数制御基板17は、通番不一致を示す応答コマンドを主制御基板16へ送信する。主制御基板16は、通番不一致を示す応答コマンドを受信したことに基づいて、新たな精算操作を受け付けない。すなわち、主制御基板16は、正常でない旨を示す応答コマンドを受信した場合、精算操作の受付を再開しない。
図53および図54を参照して、主制御基板16は、メダル数制御基板17において賭数設定操作または精算操作に応じた処理が確定していない状況で新たな賭数設定操作または賭数キャンセル操作が受け付けられることを防止することができる。
[枠側情報の確認処理]
図55は、枠側情報の確認処理を説明する図である。上述で説明したように、メダル数制御基板17は、一定期間ごとに主制御基板16へ、枠側情報コマンドを送信する。枠側情報コマンドが含むシステム情報には、メダル数制御基板17とCU制御基板32とが正常に接続されているか否かを示す接続状況を示す情報が含まれている。
図55の例では、メダル数制御基板17とCU制御基板32との接続が切断される。切断された後、メダル数制御基板17は、接続異常を示す枠側情報コマンドを主制御基板16へ送信する。主制御基板16が接続異常を示す枠側情報コマンドを受信した後、スタートスイッチ7が押下される。このとき、主制御基板16は、開始時コマンドを送信しない。
一方で、図55に示されるように、主制御基板16が接続異常を示す枠側情報コマンドを受信した後であっても、賭数設定操作および精算操作がされた場合、主制御基板16は、投入コマンドおよび精算コマンドを送信する。すなわち、主制御基板16は、一のゲームの開始するための賭数を設定するための賭数設定操作を受け付けたときに、メダル数制御基板17とCU3との接続が正常であるか否かに関わらず、投入コマンドをメダル数制御基板17に送信する。また、主制御基板16は、一のゲームの開始するための賭数をキャンセルするための精算操作を受け付けたときに、メダル数制御基板17とCU3との接続が正常であるか否かに関わらず、精算コマンドをメダル数制御基板17に送信する。さらに、主制御基板16は、メダル数制御基板17とCU制御基板32との接続が回復し、接続正常を示す枠側情報コマンドを受信した後には、開始時コマンドを送信する。すなわち、主制御基板16は、一のゲームの開始時に枠側情報コマンドに基づいて、メダル数制御基板17とCU3との接続状況を確認するとともに、メダル数制御基板17とCU3との接続が正常であるときに該一のゲームを開始する。また、主制御基板16は、開始時コマンドを送信した後はメダル数制御基板17からの応答を待たずに次の制御を行う。次の制御とは、ゲームを開始するためのリールの駆動制御などである。
これにより、主制御基板16は、メダル数制御基板17とCU3との接続が正常であることを条件に一のゲームを開始するため、メダル数制御基板17の状況を確認しながらゲームを進行させることができる。さらに、主制御基板16は、一のゲームを開始するときは、遊技価値に影響しないため、開始時コマンドを送信した後、メダル数制御基板17からの応答を待たずに次の制御を実行することができる。
また、主制御基板16は、メダル数制御基板17とCU3との接続が正常であるか否かに関わらず、賭数設定操作に応じて投入コマンドを送信することができ、精算操作に応じて精算コマンドを送信することができる。
[払出数の表示について]
図56は、払出枚数の表示制御を説明する図である。全リール停止した後、主制御基板16は、終了時コマンドをメダル数制御基板17へ送信する。図56に示す終了時コマンドは、少なくとも1枚以上の払出メダルを伴うコマンドである。メダル数制御基板17は、終了時コマンドを受信したことに基づいて、応答コマンドを送信する。また、メダル数制御基板17は、終了時コマンドが示す払出メダル数に応じて、クレジット数の加算、クレジット表示器11の更新などを行う。主制御基板16は、応答コマンドを受信した後に、遊技補助表示器12へ払出枚数を表示する。すなわち、主制御基板16は、終了時コマンドを送信した後、応答コマンドを受信したことを条件に、払出メダル数を遊技補助表示器12に表示させる。これにより、主制御基板16は、メダル数制御基板17の状況を確認しながら払出枚数を遊技補助表示器12に表示させることができる。
主制御基板16は、応答コマンドを送信した後に、役物情報コマンド、有利区間コマンド、払出パルスコマンドを送信する。すなわち、主制御基板16は、終了時コマンドを送信した後、応答コマンドを受信したことを条件に、特別役が入賞した状態に制御されているか否かを特定可能な役物情報コマンド、有利区間コマンドをメダル数制御基板17に送信する。これにより、主制御基板16は、メダル数制御基板17の状況を確認しながら有利区間などに制御されているか否かをメダル数制御基板17に知らせることができるため、メダル数制御基板17の状況を確認しながら有利区間などにおいて付与された払出枚数が占める割合をメダル数制御基板17に出力させることができる。
[役比モニタについて]
図57は、役比モニタ89を示す図である。図57では、消灯時の役比モニタ89を示されている。図57に示すように、役比モニタ89は、第1セグメントA、第2セグメントB、第3セグメントC、第4セグメントD、第5セグメントE、第6セグメントF、第7セグメントG、第8セグメントDPをそれぞれ点灯/消灯可能な5つの役比情報表示器50a,50b,50c,50d,50eからなり、メダル数制御基板17は、役比情報表示器50a,50b,50c,50d,50eそれぞれに対して表示データを設定することで、第1~第8セグメントA~DPを点灯または消灯させることにより種々の情報を表示可能な表示器である。
図58は、役比モニタ89の表示例を示す図である。メダル数制御基板17は、役比モニタ89に、(1)総累計払出枚数に対する指示込役物払出比率、(2)過去6000ゲーム間の連続役物払出比率、(3)過去6000ゲーム間の役物払出比率、(4)総累計払出枚数に対する連続役物払出比率、(5)総累計払出枚数に対する役物払出比率、(6)総累計払出枚数に対する役物等状態比率を、(1)~(6)の順番で表示させる。以下では、(1)~(6)で示される情報を、表示内容と称する場合がある。
役物払出比率とは、所定の期間の払出枚数に対して特別役(BB)に入賞したときの役物払出数の割合を示す。連続役物比率とは、所定の期間の払出枚数に対して特別役(RB)に入賞したときの役物払出数の割合を示す。また、指示込役物払出比率とは、指示(ナビ)発生時の払出数を役物払出数に含めたときの、所定の期間の払出枚数に対する役物払出数の割合を示す。すなわち、メダルの総累計払出枚数に対して、ナビ報知が行われたときに払い出されたメダルの枚数とBBやRBで払い出されたメダルの枚数との累計枚数の割合である。役物等状態比率とは、所定の期間の遊技回数に対して、特別役(BB、RB、CB、およびSB)に入賞したときの遊技回数の割合を示す。すなわち、役比モニタ89は、付与済みの全ての払出メダル数のうち、特別役に入賞した状態において付与された払出メダル数が占める割合を出力する。役比モニタ89に表示される表示内容は、メダル数制御基板17によって、算出される。
メダル数制御部171は、図58および上述に示す(1)~(6)の表示順にて表示内容を所定期間毎に切り替えて表示させる際に、各表示が一巡し終えるまでの一の期間内において、ゲームが進行されて、これらの値が新たな値に更新され得る場合であっても、新たな値に更新することを制限して、元の値を用いて表示を一巡させる。
詳しくは、これらの表示が一巡し終えるまでの一の期間内において、ゲームが進行されて、これらの値が新たな値に更新され得る場合には、新たな値を演算してRAM171cに記憶させるが、役比モニタ89に表示内容を表示させるための出力バッファに当該新たな値を設定することなく、元の値を設定することで、役比モニタ89における表示を出力バッファに設定された元の値を用いて一巡させ、一巡の表示が終了したときから、新たな値を出力バッファに設定することで、その後、新たな値で表示を行うようにしてもよい。また、これらの表示が一巡し終えるまでの一の期間内において、これらの値が新たな値に更新され得る場合には、新たな値を求めるための演算を行うことを制限して、役比モニタ89における表示を一巡させ、一巡の表示が終了した際に、新たな値を求めるための演算を行い、その後、当該新たな値を用いて役比モニタ89における表示を行うようにしてもよい。このようにすることで、役比モニタ89における表示内容が一巡するまでの期間において、異なる時期に演算された値が混在してしまうことを防止できる。
また、メダル数制御基板17は、過去6000ゲーム間の連続役物払出比率、総累計払出枚数に対する連続役物払出比率が規定割合(たとえば、60%)を超える場合には、通常と異なる表示態様(たとえば、通常が常時点灯であれば、役比モニタ89の上位2桁の点滅点灯など)にて連続役物払出比率を表示する。また、メダル数制御基板17は、過去6000ゲーム間の役物払出比率、総累計払出枚数に対する役物払出比率が規定割合(たとえば、70%)を超える場合には、通常と異なる表示態様(たとえば、通常が常時点灯であれば、役比モニタ89の上位2桁の点滅点灯など)にて役物払出比率を表示する。
このように連続役物払出比率、役物払出比率が規定割合を超えると、通常と異なる表示態様にて表示されるようになっており、射幸性が高い状態に制御されている可能性があることを警告できるようになっている。
また、メダル数制御基板17は、過去6000ゲーム間の連続役物払出比率、役物払出比率を役比モニタ89に表示させる場合において、電源投入から過去の総ゲーム数が6000ゲームに到達していない状態であるときには、たとえば、役比モニタ89の全ての桁の表示を点滅させるなど、通常とは異なる表示態様に制御することで、集計が6000ゲームに到達していないことが認識できるようになっている。すなわち、メダル数制御基板17は、役比モニタ89に表示させる表示内容を算出する処理において、当該処理に用いられるデータの蓄積開始から6000ゲームが消化される期間を経過していないときに、役比モニタ89の全ての桁を点滅させる。なお、メダル数制御基板17は、役比モニタ89に表示させる表示内容を算出する処理において、当該処理に用いられるデータの蓄積開始から6000ゲームが消化される期間を経過していないときに、役比モニタ89の一部の桁を点滅させてもよい。これにより、表示されている割合、比率に偏りが生じている可能性が認識できるようになっており、メダル数制御基板17は、連続役物払出比率、役物払出比率を役比モニタ89に表示させるにあたって、データ不足のおそれがあることを外部に知らせることができる。
なお、メダル数制御基板17は、6000ゲームに到達していない状態では、役比モニタ89の下位2桁に「00」を表示し、6000ゲームに到達した以降の状態では、役比モニタ89の下位2桁に表示すべき割合、比率を表示してもよい。すなわち、6000ゲームに到達していない状態では、役比モニタ89の下位2桁の表示態様を、6000ゲーム以降の表示態様とは異なる表示態様とする構成とすることが好ましい。このような構成とすることで、6000ゲームに到達していない状態では、役比モニタ89の上位2桁の表示(たとえば、「1C」)により特定される連続役物払出比率などの集計が6000ゲームに到達していないことが認識でき、表示されている割合、比率に偏りが生じている可能性が認識できる。また、6000ゲームに到達していない状態では、役比モニタ89の下位2桁に「00」を表示する構成とすることで、6000ゲームに到達していない状態では、常に役比モニタ89の下位2桁にデータが表示されることとなり、たとえば、下位2桁の役比モニタ89の一方にデータが表示されない場合に、役比モニタ89の異常を認識させることができる。
また、メダル数制御基板17は、総累計払出枚数に対する連続役物払出比率を役比モニタ89に表示させる場合において、過去のゲーム数が概ねスロットマシンの設計値に連続役物払出比率が収束する規定ゲーム数(たとえば、175000ゲーム)に到達していない状態であるときには、たとえば、役比モニタ89の上位2桁の表示を点滅させるなど、通常とは異なる表示態様に制御することで、連続役物払出比率が概ねスロットマシンの設計値に収束する規定ゲーム数に到達していないことが認識できるようになっており、表示されている割合、比率に偏りが生じている可能性が認識できるようになっている。
また、メダル数制御基板17は、総累計払出枚数に対する役物払出比率を役比モニタ89に表示させる場合において、過去のゲーム数が概ねスロットマシンの設計値に役物払出比率が収束する規定ゲーム数(たとえば、175000ゲーム)に到達していない状態であるときには、たとえば、役比モニタ89の上位2桁の表示を点滅させるなど、通常とは異なる表示態様に制御することで、役物払出比率が概ねスロットマシンの設計値に収束する規定ゲーム数に到達していないことが認識できるようになっており、表示されている割合、比率に偏りが生じている可能性が認識できるようになっている。
また、メダル数制御基板17は、総累計払出枚数に対する指示込役物払出比率を役比モニタ89に表示させる場合において、過去のゲーム数が概ねスロットマシンの設計値に指示込役物払出比率が収束する規定ゲーム数(たとえば、175000ゲーム)に到達していない状態であるときには、たとえば、役比モニタ89の上位2桁の表示を点滅させるなど、通常とは異なる表示態様に制御することで、指示込役物払出比率が概ねスロットマシンの設計値に収束する規定ゲーム数に到達していないことが認識できるようになっており、表示されている割合、比率に偏りが生じている可能性が認識できるようになっている。
また、メダル数制御基板17は、過去6000ゲーム間の連続役物払出比率、役物払出比率、を算出するために用いるデータが正常か否かを判定し、異常と判定された場合(格納された値がある一定のデータ形式(01繰り返しなど)である場合など)には、異常と判定されたデータおよび当該データに関連するデータを初期化し、役比モニタ89に異常が検知された旨の表示(たとえば、「FFFF」)をさせて、その旨を報知するようになっており、これらのデータの算出が正常に行われていないことを認識できるようになっている。
なお、異常と判定されたデータおよび当該データに関連するデータを初期化する際には、たとえば、過去6000ゲーム間の連続役物払出比率または役物払出比率のうちのいずれか1つが異常と判定された場合には、これら全てに関するデータを初期化するようにしてもよいし、一部のデータのみを初期化するようにしてもよい。
また、過去6000ゲーム間または総累計払出枚数に対する連続役物払出比率、役物払出比率、総累計払出枚数に対する指示込役物払出比率を算出するために用いるデータが正常か否かを判定し、異常と判定された場合には、その旨を報知し、その後、所定の操作(たとえば、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、設定キースイッチ37などのスイッチ類が所定の手順で操作されること)されることで、当該データに関する初期化を行うようにしてもよい。
また、異常が判定された旨の報知では、前述のように、役比モニタ89に異常が検知された旨の表示(たとえば、「FFFF」)をさせて、その旨を報知してもよいし、異常が判定された際に、その旨を特定可能なコマンドを演出制御部151に対して送信し、演出制御部151側において液晶表示器51などにより異常が判定された旨を報知させるようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、電源投入後、電力供給が停止するまでの期間において、総累計払出枚数に対する指示込役物払出比率、過去6000ゲーム間の連続役物払出比率、過去6000ゲーム間の役物払出比率、総累計払出枚数に対する連続役物払出比率、総累計払出枚数に対する役物払出比率、総累計払出枚数に対する役物等状態比率が所定期間毎に切り替えて表示されるようになっているが、前面扉1bの開放状態が検出されている場合のみ表示されるようにしたり、所定の操作スイッチ(たとえばリセット/設定スイッチ38)の操作が検出されている場合のみ表示されるようにしたり、ゲーム中でないときに表示されるようにしたり、設定変更状態や設定確認中に表示されるようにしたり、電源投入後から所定期間のみ表示されるようにしたりしてもよい。また、所定期間毎に自動で切り替わるのではなく、所定の操作がされる毎に表示内容が切り替わるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、役比モニタ89の表示内容を算出するために用いるデータ異常が判定されたことや表示内容を算出するためのデータが不十分な期間であることが役比モニタ89を用いて報知される構成であるが、その旨を特定可能なコマンドを演出制御部151に送信し、演出制御部151が制御する液晶表示器51や演出装置にて確認できるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、総累計払出枚数に対する指示込役物払出比率、過去6000ゲーム間の連続役物払出比率、過去6000ゲーム間の役物払出比率、総累計払出枚数に対する連続役物払出比率、総累計払出枚数に対する役物払出比率、総累計払出枚数に対する役物等状態比率が、役比モニタ89に表示される構成であるが、これらの表示に加えて設定変更によってRAM171cが初期化されたこと、S台2に設けられた配線(バックアップ電源の配線など)の断線検出があったときなどに、その旨が認識可能となる内容が役比モニタ89に表示されるようにしてもよい。
特に、ボーナス中、有利区間中やボーナスの持越中に設定変更がされてボーナスや有利区間が強制的に終了されたり、持越中のボーナスがクリアされた場合、ボーナスの持越中のままゲームが規定数以上行われたり、故意に有利区間を終了させる操作が行われたりしたこと、すなわち故意に遊技者にとって相対的に有利な遊技状態から不利な遊技状態に移行された場合、および役比モニタ89に断線などが生じたことにより正常に接続されていない可能性を検出した場合などには、その旨を特定可能に報知する。このようにすることで、役物払出比率、連続役物払出比率、指示込役物払出比率などとして正しい情報が表示されないように不正に操作された可能性があることを認識することができる。
また、総累計ゲーム数や総累計払出枚数などのオーバーフローを回避するために、当該総累計データなどを初期化する構成においては、その旨を特定可能に、前述した役物払出比率、連続役物払出比率、指示込役物払出比率などとして正しい情報が表示されないように不正に操作された可能性がある場合とは異なる態様で、報知することが好ましい。このようにすることで、オーバーフローを回避する処理より総累計ゲーム数や総累計払出枚数などが初期化されたことを、役物払出比率などとして正しい情報が表示されないようにするための不正な操作による初期化とは、別に認識させることができる。
なお、前述のように役物払出比率、連続役物払出比率、指示込役物払出比率などとして正しい情報が表示されないように不正に操作された可能性がある場合には、その旨を検出して当該検出の履歴をメダル数制御基板17側で記録し、当該検出時には報知することなく、その後、所定の操作が行われることで、これらの履歴を、メダル数制御基板17側に設けられた表示器(たとえば、役比モニタ89など)や演出制御部151側に設けられた表示器(たとえば、液晶表示器51など)、S台2の外部の表示器(たとえば、表示器312)などにより確認できるようにしてもよい。
また、設定変更がされたこと、断線検出がされたこと、役比モニタ89の接続不良が発生して役物払出比率、連続役物払出比率、指示込役物払出比率などとして正しい情報が表示されない可能性があること、前述のように役物払出比率、連続役物払出比率、指示込役物払出比率などとして正しい情報が表示されないように不正に操作された可能性があることを演出制御部151が制御する表示器や演出装置にて確認できるようにしてもよい。また、ボーナス中、有利区間中やボーナスの持越中に設定変更がされてボーナスや有利区間が強制的に終了されたり、持越中のボーナスがクリアされたりして、役物払出比率、連続役物払出比率、指示込役物払出比率などとして正しい情報が表示されないように不正に操作された可能性があることが検出されたことの履歴を演出制御部151側で記録し、所定の操作でこれらの履歴を確認できるようにしてもよい。
なお、各比率表示は、役比モニタ89ばかりでなく、クレジット表示器11に表示される構成であっても良く、クレジット表示器11は、遊技の進行に応じた情報が表示される表示器であり、比率表示を常時表示させることができないため、遊技が行われていない状況下で遊技店の店員などにより所定の操作が行われたことにより比率表示を表示させ、クレジット表示器11に比率表示を表示させた状態で、前面扉1bの閉鎖、S台2への賭数設定操作、エラーの発生、設定キースイッチ37の操作、賭数クリアスイッチ21の操作、S台2への電力供給の停止のいずれかが検出されると、比率表示を表示させる前に表示されていた元の表示内容へ切り替えて比率表示を終了させることが好ましい。
[役比情報の初期化処理]
図59は、役比情報の初期化処理を説明するための図である。図59に示されるように、電源投入後、主制御基板16は、遊技機設置情報コマンドAをメダル数制御基板17へ送信する。その後、遊技が繰り返され、主制御基板16は、有利区間コマンドおよび払出パルスコマンドをメダル数制御基板17へ送信する。
メダル数制御基板17は、払出パルスコマンドを受信したことに基づいて、役比情報をバックアップメモリ294に記憶させるバックアップ処理を実行する。役比情報とは、役比モニタ89に表示するデータを算出するために使用されるデータであり、役物情報コマンド、有利区間コマンド、払出パルスコマンドに含まれる。メダル数制御基板17は、役比情報を含むコマンドを受信する度に、当該役比情報をバックアップメモリ294に記憶させてもよい。
図59の例では、バックアップ処理が実行された後に、主制御基板16に対して不正操作がなされる。上述の通り、「不正操作」とは、主制御基板16とメダル数制御基板17との間で遣り取りされるコマンドが改変される操作または主制御基板16またはメダル数制御基板17を不正に制御する操作などを示す。図44の例では、不正操作がされたことにより、主制御基板16が不正に接続された装置によって制御され、主制御基板16は、遊技機設置情報コマンドBをメダル数制御基板17へ送信する。このとき、メダル数制御基板17は、再び、遊技機設置情報コマンドを受信したことに基づいて、バックアップメモリ294に記憶させていた役比情報を初期化するバックアップ初期化を実行する。すなわち、メダル数制御基板17は、遊技機設置情報コマンドから特定したメインチップIDが、前回受信した遊技機設置情報コマンドから特定したメインチップIDと異なっている場合に、役比モニタ89の表示に用いられるデータを初期化する。
これにより、メダル数制御基板17は、主制御基板16が有するメインチップIDに基づき、主制御基板16が正当なものでない場合は役比情報の表示に用いられるデータを初期化するため、各スロットマシンに対応した正常な役比が出力されることを担保することができる。
[遊技プログラムと非遊技プログラムについて]
本実施の形態のS台2の主制御部161は、遊技プログラムと、非遊技プログラムとを実行する。遊技プログラムとは、内部抽選処理などの遊技の進行に関する命令が記述されたプログラムである。非遊技プログラムとは、役比モニタへのデータの出力処理など遊技の進行に直接関わらない命令が記述されたプログラムである。遊技プログラムと非遊技プログラムとの間でデータが意図されずに混在すると、不具合が発生し得る。たとえば、遊技プログラムの命令によって、遊技RAM領域のデータを書き換えるべきであるにもかかわらず、非遊技RAM領域のデータが書き換わる場合、プログラムの不具合となり得る。主制御部161は、このような不具合を防止するため、遊技プログラムと非遊技プログラムとを区別して、プログラムの実行して、遊技を進行させる。
以下では、図60を用いて、非遊技プログラムと遊技プログラムが格納されている領域について説明する。図60は、主制御部161が用いるメモリ領域のアドレスマップである。図60に示すように、主制御部161が用いるメモリ領域は、ROM161bに割り当てられたメモリ領域(0000H~EFFFH)と、RAM161cに割り当てられたメモリ領域(F000H~FFFFH)とを含む。
ROM161bのメモリ領域は、プログラムおよび固定データが格納されるプログラム/データ領域と、アクセスが禁止される未使用領域と、その他領域とからなる。その他の領域は、プログラムのタイトル、バージョンなどの任意のデータを設定可能なROMコメント領域と、CALLV命令のサブルーチンの上位アドレスおよびタイマ割込処理(メイン)の先頭アドレスが設定されるベクタテーブル領域と、主制御部161の内部機能をハードウェア的に設定するためのパラメータが設定されるHWパラメータ領域と、アクセスが禁止される未使用領域を含む。
RAM161cのメモリ領域は、ワークとして使用可能な使用可能領域(F000H~F400H)と、その他の領域(F401H~FFFFH)とからなる。その他の領域は、主制御部161に搭載されている各機能を制御するためのレジスタ群が格納される内部機能レジスタ領域(FE00H~FEACH)を含む。主制御部161に搭載されている各機能には、たとえば、後述するシリアル通信回路の機能が含まれる。すなわち、RAM161cの内部機能レジスタ領域には、シリアル通信回路の機能設定用の記憶領域が含まれる。
ROM161bにおけるプログラム/データ領域は、遊技の進行に関わる遊技プログラムが記憶される遊技プログラム領域と、遊技プログラムが用いる遊技データが記憶される遊技データ領域と、未使用領域1と、遊技の進行に関わらない非遊技プログラムが記憶される非遊技プログラム領域と、非遊技プログラムが用いる非遊技データが記憶される非遊技データ領域と、未使用領域2とを含む。
なお、遊技の進行とは、遊技を構成する一連のプロセスを進行させることであり、スロットマシンであれば、賭数を設定してゲームを開始可能とする段階、ゲームを開始してリールを回転させる段階、リールを停止させて表示結果を導出させる段階、表示結果に応じてメダルなどの価値を付与する段階を進行させることである。
なお、上記において記憶領域の前後とは、記憶領域に割り当てられたアドレス値の大小関係であり、アドレスが小さい方が前方となり、アドレスが大きい方が後方となる。このため、一の記憶領域よりも後方に割り当てられた記憶領域とは、一の記憶領域よりもアドレス値が大きい記憶領域が該当し、一の記憶領域よりも前方に割り当てられた記憶領域とは、一の記憶領域よりもアドレス値が小さい記憶領域が該当する。
RAM161cは、遊技プログラムがワークとして用いる遊技RAM領域と、未使用領域3と、遊技プログラムがデータを退避するスタック領域と、非遊技プログラムがワークとして用いる非遊技RAM領域と、未使用領域4と、非遊技プログラムがデータを退避するスタック領域とを含む。
遊技RAM領域は、領域A~Dにより構成される。ここで、領域A~Dを全初期化対象領域と呼び、領域B~Dを設定変更終了時初期化対象領域と呼び、領域C~Dをボーナス(BB)終了時初期化対象領域と呼び、領域Dを毎遊技終了時初期化対象領域と呼ぶ。全初期化対象領域は、RAMエラーが発生したときに所定の操作を行うことによって初期化される領域である。設定変更終了時初期化対象領域は、設定変更が終了した際に初期化される領域である。ボーナス終了時初期化対象領域は、ボーナス終了時に初期化される領域である。毎遊技終了時初期化対象領域は、遊技(ゲーム)が終了するたびに初期化される領域である。
以下では、遊技プログラム領域、遊技データ領域および遊技RAM領域をまとめて遊技領域と称す場合があり、非遊技プログラム領域、非遊技データ領域および非遊技RAM領域をまとめて非遊技領域と称す場合がある。
非遊技RAM領域は、領域E,Fにより構成される。ここで、領域Eを、毎遊技終了時初期化対象領域と呼び、領域Fは、電源投入時初期化領域と呼ぶ。非遊技RAM領域における毎遊技終了時初期化対象領域(領域E)は、遊技RAM領域における毎遊技終了時初期化対象領域(領域D)と同様に、遊技(ゲーム)が終了するたびに初期化される領域である。また、電源投入時初期化領域(領域F)は、S台2の電断後、電源が再投入されたことに基づいて、初期化される領域である。領域Fには、後述する安全装置処理で用いられる差数をカウントするための種々の変数が記憶される。また、領域Eには、後述する安全装置処理で用いられる打止フラグが記憶される。
[プログラムが用いる命令]
主制御部161が実行するプログラムは、プログラム全体の進行を管理するメインルーチンと、他のプログラムの実行中に呼び出されるサブルーチンとを含む。
主制御部161にプログラム/データ領域に格納されたデータを読み出す命令としてLD命令を含む。LD命令は、メインルーチンまたはサブルーチンにおいて指定されたアドレスに格納された1バイトデータを指定されたレジスタに読み出す命令である。主制御部161は、LD命令により指定されたアドレスに格納されたデータを読み出し、LD命令により指定されたレジスタに読み出したデータを格納する。
LD命令は、通常のLD命令と、特殊なLD命令であるLDQ命令とを含む。通常のLD命令は、上位アドレスおよび下位アドレスの双方を指定し、該指定された上位アドレスおよび下位アドレスによりROM161bまたはRAM161cの特定領域に格納されているデータを読み出す命令である。これに対して、LDQ命令は、下位アドレスのみを指定することで、前述のRAM161cの内部機能レジスタ領域における特別なレジスタ(Qレジスタ)に予め設定された上位アドレスおよび指定された下位アドレスによりアドレスを特定してROM161bまたはRAM161cの特定領域に格納されているデータを読み出して指定されたレジスタに読み出したデータを格納する命令であり、通常のLD命令に比較して少ないデータ量で所定のデータを所定のレジスタに格納することが可能となる。
メインルーチンまたはサブルーチンにおいてROM161b、RAM161cの特定領域に格納されているデータを読み出す場合に、特殊なLD命令であるLDQ命令を用いることで、特定領域を示す全てのアドレス(上位部分および下位部分)を指定するのではなく、アドレスの下位部分のみを指定して特定領域のデータを読み出すことが可能である。LDQ命令を用いることで、上位アドレスおよび下位アドレスの双方を指定してデータを読み出す通常のLD命令に比較して少ないデータ量にてデータを読み出すことが可能となり、データを読み出す際にアドレスを指定するためのプログラムの無駄を削減することができる。
また、RAM161cの遊技RAM領域に格納された遊技データのうち、特に使用頻度の高い遊技データを、遊技RAM領域のうち先頭アドレスが特定値となる領域に格納するとともに、当該特定値を特別なレジスタ(Qレジスタ)に遊技データの上位アドレスとして設定し、当該遊技データを主制御部161が読み出すときに、LDQ命令を用いて下位アドレスのみ指定することで、遊技データを読み出す構成とした場合に、上位アドレスおよび下位アドレスの双方を指定してデータを読み出す通常のLD命令に比較して少ないデータ量にて遊技データを読み出すことが可能となり、これらの遊技データを読み出す際にアドレスを指定するためのプログラムの無駄を削減することができる。
また、主制御部161は、特別なレジスタ(Qレジスタ)に設定する値を、メインルーチンまたはサブルーチンにおいて変更することが可能であり、後述するように起動時において行う初期設定処理での内蔵レジスタの設定において、特別なレジスタ(Qレジスタ)に、特に遊技プログラムによる使用頻度の高い遊技データの先頭アドレスを示す特定値を設定するようになっている。本実施の形態においては、特別なレジスタ(Qレジスタ)は、第1Qレジスタと、第2Qレジスタの2つのレジスタが含まれるが、以下では、第1Qレジスタと、第2Qレジスタとを、総称して、単に「特別なレジスタ(Qレジスタ)」と称する。たとえば、特別なレジスタ(Qレジスタ)には、「F0」が記憶される。これにより、遊技プログラムが実行されているときには、遊技プログラムによる使用頻度の高い遊技データの先頭アドレスを示す特定値が特別なレジスタ(Qレジスタ)に設定されるようになっており、遊技プログラムは、LDQ命令を用いて使用頻度の高い遊技データを読み出すことができるようになっている。
なお、特殊なLD命令としてLDQ命令で読み出す際に用いる上位アドレスを、特別なレジスタ(たとえば、Qレジスタ)以外の所定の記憶領域、たとえば、ベクタテーブル領域に設定する構成としてもよく、ベクタテーブル領域などの所定の記憶領域に格納された値を用いてアドレスの一部が特定され、アドレスの残りの部分をプログラムにより指定することで、データの格納アドレスが特定可能となる特殊なLD命令を用いる構成であれば、データを読み出す際にアドレスを指定するためのプログラムの無駄を削減することができる。また、たとえば、ベクタテーブル領域を構成する複数の領域に、それぞれアドレスよりもデータ量の小さい識別値を割り当て、これら複数の領域にそれぞれデータの格納アドレスを設定するとともに、識別値を指定することで、識別値に対応する領域に格納されたデータの格納アドレスを特定可能となる特殊なLD命令を用いる構成であっても、データを読み出す際にアドレスを指定するためのプログラムの無駄を削減することができる。
また、主制御部161にプログラム/データ領域に格納されたプログラムを実行させる命令として、CALL命令(呼出命令)を含む。CALL命令は、メインルーチンまたはサブルーチンにおいて指定されたアドレスに格納されたサブルーチンを呼び出して実行させる命令である。主制御部161は、CALL命令によりサブルーチンを呼び出す場合には、呼び出し元のアドレスをスタック領域に格納し、指定されたアドレスに格納されたサブルーチンを呼び出して実行する。そして、当該サブルーチンの終了時には、RET命令(復帰命令)により、スタック領域に格納されている呼び出し元のアドレス、すなわちCALL命令を実行した呼び出し元のメインルーチンまたはサブルーチンのプログラムに復帰する。
さらに、主制御部161にプログラム/データ領域に格納されたプログラムを実行させる命令として、CALLEX命令(呼出命令)を含む。CALLEX命令は、メインルーチンまたはサブルーチンにおいて指定されたアドレスに格納されたサブルーチンを呼び出すことに加えて、レジスタバンクを切り替える。図61は、主制御部161のCPU161aに含まれるレジスタバンクを説明するための図である。図61に示されるように、CPU161aは、第1レジスタバンクR1と、第2レジスタバンクR2を有する。
第1レジスタバンクR1には、第1Qレジスタ、第1Uレジスタ、第1Aレジスタ、第1Bレジスタ、第1Cレジスタ、第1Dレジスタ、第1Eレジスタ、第1Fレジスタ、第1Hレジスタ、第1Lレジスタの10個のレジスタが含まれる。また、同様に、第2レジスタバンクR2には、第2Qレジスタ、第2Uレジスタ、第2Aレジスタ、第2Bレジスタ、第2Cレジスタ、第2Dレジスタ、第2Eレジスタ、第2Fレジスタ、第2Hレジスタ、第2Lレジスタの10個のレジスタが含まれる。
本実施の形態における主制御部161は、遊技プログラム領域に記述されているプログラムに従って命令を実行する場合、第1レジスタバンクR1を使用し、非遊技プログラム領域に記述されているプログラムに従って命令を実行する場合、第2レジスタバンクR2を使用する。換言すれば、主制御部161は、遊技プログラム領域に記述されているプログラムに従って命令を実行する場合、第2レジスタバンクR2を使用せず、非遊技プログラム領域に記述されているプログラムに従って命令を実行する場合、第1レジスタバンクR1を使用しない。これにより、本実施の形態におけるS台2では、遊技プログラムと非遊技プログラムとの間でデータが意図されずに混在し、不具合が発生することを防止できる。なお、以下では、遊技プログラム領域に記述されているプログラムを単に「遊技プログラム」と称し、非遊技プログラム領域に記述されているプログラムを単に「非遊技プログラム」と称する。
すなわち、主制御部161は、メインルーチンとして遊技プログラムを実行しているときに、第1レジスタバンクR1を使用するが、CALLEX命令によって非遊技プログラムがサブルーチンとして呼び出された場合、第1レジスタバンクR1から第2レジスタバンクR2へと切り替える。より具体的には、主制御部161は、CALLEX命令により非遊技プログラム領域をサブルーチンとして呼び出す場合には、呼び出し元のアドレスをスタック領域に格納し、指定されたアドレスに格納されたサブルーチンを呼び出して実行する。そして、当該サブルーチンの終了時には、RETEX命令(復帰命令)により、スタック領域に格納されている呼び出し元のアドレス、すなわちCALLEX命令を実行した呼び出し元の遊技プログラムに復帰し、第2レジスタバンクR2から第1レジスタバンクR1に切り替える。これにより、本実施の形態におけるS台2では、遊技プログラムを実行しているときと、非遊技プログラムを実行しているときとで異なるレジスタバンクを使用することができ、遊技プログラム領域での処理内容と非遊技プログラム領域での処理内容とがレジスタ上で混在してしまうことを防止することができる。
[Qレジスタの設定]
図62は、主制御部161の起動処理を示すフローチャートである。主制御部161は、たとえば、マイコンなどの制御用コンピュータとして実現される。主制御部161では、ユーザプログラムが実行される前に、たとえば、マイコンのハードウェア機能などに関する設定をするための起動処理が実行される。ユーザプログラムとは、遊技進行を制御するためのプログラムであって、ROM161bに格納されているプログラムであり、遊技機メーカーなどによって設計されるプログラムを意味する。一方で、起動処理は、主制御部161自体に設けられた処理であって、主制御部161が起動するとともに自動的に実行される。
主制御部161は、主制御部161に電源が供給されたことにも基づいて、図62に示される主制御部161の起動処理を実行する。図62では、主制御部161のハードウェア機能などに関する設定処理の一例として、第1Qレジスタと第2Qレジスタとに初期値を設定する(ステップSj1)。ステップSj1の実行後、図示されていないが、主制御部161は、主制御部161のハードウェア機能などに関する設定処理を行い得る。当該ハードウェア機能などに関する設定処理には、たとえば、シリアル通信回路の機能設定などを行う。
本実施の形態のステップSj1において、第1Qレジスタの初期値とは、たとえば「F0」であり、第2Qレジスタの初期値とは、たとえば「F3」である。これにより、主制御部161は、遊技プログラムを実行する際に高い頻度で参照および書き込みがされる遊技RAM領域の呼び出し処理をするときに、アドレスを指定するためのプログラムの無駄を削減することができる。同様に、主制御部161は、非遊技プログラムを実行する際に高い頻度で参照および書き込みがされる非遊技RAM領域の呼び出し処理をするときに、アドレスを指定するためのプログラムの無駄を削減することができる。これにより、本実施の形態の主制御部161では、遊技プログラムと非遊技プログラムのそれぞれにおいて、命令実行時のプログラム容量を削減することができる。
主制御部161は、ステップSj1にて、第1Qレジスタと第2Qレジスタとに初期値を設定した後、ユーザプログラムを実行する(ステップSj2)。ユーザプログラムには、図63にて後述する初期設定処理、図66にて後述するメイン処理などが含まれる。このように、ユーザプログラムによって遊技の制御を開始する前に、第1Qレジスタに初期値が設定されるとともに、第2Qレジスタにも初期値が予め設定される。これにより、主制御部161は、遊技の制御を開始する前に第1Qレジスタと第2Qレジスタとに初期値を予め設定し、処理の簡素化を図ることができる。また、このような構成によれば、ユーザプログラムにおいて第1Qレジスタと第2Qレジスタの値を設定する必要がなくなる。すなわち、ユーザプログラムで行われる処理を節減することができる。なお、本実施の形態において第1Qレジスタの初期値と第2Qレジスタの初期値とは、各々が異なる値であるが、同一の値が初期値として設定されてもよい。
[主制御基板16の初期設定処理について]
図63は、主制御基板16が行う初期設定処理を説明する図である。初期設定処理は、ユーザプログラムに含まれ、ROM161bの遊技プログラム領域に記述されている処理である。
主制御基板16は、S台2への電力供給が開始された際に、リセットの発生によりタイマ割込みが禁止に設定された状態で起動し、主制御基板16が備えるROM161bに格納されているプログラムに従って各種処理を行う。起動した後は、まず、すべての出力ポート0~9を初期化し、遊技プログラムに含まれる初期設定処理を行う。
初期設定処理はタイマ割込みが禁止された状態で開始され、図63に示すように、初期設定処理では、まず、入力ポートの所定領域を参照して(Sa1)、電断検出回路から出力される電断検出信号がON状態であるか否かを判定する(Sa2)。そして、電断検出信号がON状態である場合には、電断検出信号がOFF状態となるまで待機する。その後、S台2の電源電圧が正常となり、電断検出信号がOFF状態となった後に、主制御部161は、第1Qレジスタと第2Qレジスタとに値を設定する(Sa2Q)。ステップSa2Qでは、第1Qレジスタに「F0」が設定され、第2Qレジスタに「F3」が設定される。すなわち、ステップSa2Qでは、図62におけるステップSj1と同様の処理が行われている。換言すれば、第1Qレジスタと第2Qレジスタとに、同一の値が再設定される。
このように、主制御部161は、起動処理のみならずユーザプログラムにおいても、第1Qレジスタに値を設定するとともに、第2Qレジスタに値を設定する。これにより、主制御部161は、ユーザプログラムにおいて、第1Qレジスタおよび第2Qレジスタに値を任意の値に設定することができる。また、仮に、主制御部161の起動処理に異常が発生し、ステップSj2で第1Qレジスタと第2Qレジスタとに対して初期値の設定が行われなかったとしても、ユーザプログラムにて第1Qレジスタと第2Qレジスタとに値を設定するため、第1Qレジスタと第2Qレジスタとに値が設定されていないことによってユーザプログラムで異常が発生することを防止できる。なお、本実施の形態のS台2においては、図62におけるステップSj1の処理と、図63におけるステップSa2Qの処理の両方において、第1Qレジスタおよび第2Qレジスタに値を設定しているが、S台2は、図62におけるステップSj1の処理と、図63におけるステップSa2Qの処理のいずれか一方の処理だけが行われる構成であってもよい。
続いて、主制御部161は、RAM161cの所定領域のパリティを算出し(Sa3)、スタックポインタに予め定められた初期アドレスを設定する(Sa4)。そして、Sa3のステップにおいて算出したパリティが正常であるか否かを判定し(Sa5)、パリティが正常ある場合には、電断時にRAM161cの所定領域に設定されたRAM破壊診断用固定データを取得して(Sa6)、当該RAM破壊診断用固定データに基づきRAM161cの記憶内容が破壊されていないか否かを診断する(Sa7)。
Sa5のステップにおいてパリティが正常であると判定した場合、およびSa7のステップにおいてRAM161cの記憶内容を診断した場合は、Sa3のステップにおいて算出したRAMのパリティとSa7における診断の結果に基づいて、RAM161cに異常があるか否かを判定する(Sa8)。なお、RAM161cに異常がある場合とは、パリティが正常でない場合、またはパリティが正常であるが記憶内容に異常があると診断した場合である。
そして、RAM161cに異常がある場合には、主制御基板16が備えるレジスタのうち演算結果が格納されるフラグレジスタの値を、遊技RAM領域の遊技スタック領域に所定の順序で記憶させることで退避させた後、非遊技プログラムに含まれる非遊技RAM領域初期化処理を呼び出して行う(Sa10)。すなわち、ステップSa10の処理は、遊技プログラムから非遊技プログラムを呼び出す処理である。そのため、ステップSa10の処理名の冒頭には「(非遊技)」という文言が付されている。図63に示す初期設定処理および図66に示すメイン処理において、遊技プログラムから非遊技プログラムを呼び出す処理の処理名には、冒頭に「(非遊技)」という文言が付されている。具体的には、図63のステップSa10,SaF1,Sa30、図66のステップSb2,Sb13,Sb36,Sb50が、遊技プログラムから非遊技プログラムを呼び出す処理に該当する。以下では、このような遊技プログラムから非遊技プログラムを呼び出す処理を、単に「非遊技プログラム呼出処理」と称する。非遊技プログラム呼出処理には、上述で説明したCALLEX命令が用いられ得る。
主制御部161は、ステップSa10に示される非遊技RAM領域初期化処理のような非遊技プログラム呼出処理が実行するとき、CPU161aが使用するレジスタバンクを第1レジスタバンクR1から第2レジスタバンクR2へと切り替える処理と、第2Qレジスタの値の設定処理を、非遊技プログラム呼出処理に該当する処理の始めに実行する。このとき、第2Qレジスタには、「F3」が設定される。すなわち、非遊技プログラム呼出処理では、図62におけるステップSj1と、図63におけるステップSa2Qと同様に、第2Qレジスタの値が再設定される。
このように、主制御部161は、遊技の制御が開始される前に、図62におけるステップSj1と、図63におけるステップSa2Qにて第1Qレジスタに値を設定するとともに、遊技プログラムから非遊技プログラムを呼び出す非遊技プログラム呼出処理が実行されるごとに、第2Qレジスタの値を設定する。これにより、本実施の形態におけるS台2では、第2レジスタバンクR2の第2Qレジスタに意図しない値が設定されていた場合においても、非遊技プログラムが呼び出される度に第2レジスタバンクR2の第2Qレジスタの値を設定し直すことができるため、不具合防止を担保できる。なお、主制御部161は、非遊技プログラムが呼び出される度に第2Qレジスタの値を設定しなくてもよい。すなわち、上述したように、本実施の形態におけるS台2では、遊技の進行の制御が行われる前に、図62におけるステップSj1の処理と、図63におけるステップSa2Qの処理とで、あらかじめ第1Qレジスタおよび第2Qレジスタに値が設定されているため、非遊技プログラムが呼び出される度に第2Qレジスタの値を設定しなくとも既に第2Qレジスタに値が設定されているためである。
また、主制御部161は、図62におけるステップSj1の処理と、図63におけるステップSa2Qの処理とでは、第2Qレジスタに値を設定せず第1Qレジスタにだけ値を設定し、非遊技プログラムが呼び出されたときに、第2Qレジスタの値を設定してもよい。このとき、主制御部161は、電源投入後において非遊技プログラムが初めて呼び出されたときだけに第2Qレジスタの値を設定してもよい。すなわち、上述のように、不具合防止を担保のため、非遊技プログラムが呼び出される毎に、第2Qレジスタの値を再設定せず、電源投入後に非遊技プログラムが初めて呼び出されたときにだけ第2Qレジスタの値の設定することにより、処理の簡素化を図ることができる。
その後、非遊技RAM領域初期化処理の目的である非遊技RAM領域の初期化が行われる。より具体的には、主制御部161は、初期化対象RAMの先頭アドレス(未使用領域の最初のアドレス)と終了アドレス(非遊技RAM領域の最後のアドレス)を指定し、当該先頭アドレスを指定アドレスの初期値として指定アドレスのデータをクリアした後に指定アドレスを次のアドレスに更新する処理を、指定アドレスが当該終了アドレスとなるまで繰り返し実行することで、初期化対象RAMの先頭アドレスから終了アドレスまでの領域(本実施の形態では、未使用領域の最初から非遊技RAM領域の最後までの領域)を初期化する。そして、CPU161aが使用するレジスタバンクを第2レジスタバンクR2から第1レジスタバンクR1へと切り替える処理が実行される。RAM161cの非遊技RAM領域を初期化した後、初期設定処理に戻る。
なお、非遊技RAM領域初期化処理において、初期化対象RAMの先頭アドレスと終了アドレスとを指定することで、初期化対象RAMの容量を算出し、当該容量分のRAM領域を初期化対象RAMの先頭アドレスから順次クリアすることで、初期化対象RAMの先頭アドレスから終了アドレスまでの領域を初期化する構成としてもよい。
Sa8のステップにおいてRAM161cに異常がないと判定した場合、RAM161cに設定されているRAM破壊診断用固定データをクリアして(Sa12)、RAM161cに異常がある場合に初期化処理を行う対象となる遊技RAM領域のアドレスを指定するためのRAM破壊時初期化開始アドレスを設定する(Sa13)。
続いて、本実施の形態におけるS台2では、非遊技プログラム呼出処理である領域F初期化処理が実行される(SaF1)。領域F初期化処理は、図60に示される非遊技RAM領域に含まれる領域Fを初期化する処理である。領域F初期化処理の詳細については、後述にて説明する。その後、入力ポート2を参照して設定キースイッチ37がON状態であるか否かを判定する(Sa14)。
Sa14のステップにおいて設定キースイッチ37がON状態であると判定した場合は、メダル数制御基板17へ遊技機設置情報コマンドを送信し(Sa14a)、設定変更処理を行う。設定変更処理では、リセット/設定スイッチ38およびスタートスイッチ7が所定の手順で操作されることにより設定値が確定され、設定キースイッチ37がOFFにされたことが検出されることで、設定変更処理を終了して、遊技を進行可能な状態に移行する。また、設定変更処理では、設定変更処理を開始する際に、設定変更処理を開始する旨を示す設定コマンド(開始)を演出制御部151に対して送信し、設定変更処理を終了する際に、設定変更処理を終了する旨を示す設定コマンド(終了)するようになっている。また、設定変更処理では、設定変更処理を終了する際に、設定変更時の初期化対象RAM領域の先頭アドレスを指定し、後述で説明するメイン処理のSb47のステップに復帰する。そして、Sb47のステップにおいてRAM初期化処理が行われることで、設定変更時の初期化対象RAM領域の先頭アドレスから遊技RAM領域の終端のアドレスまでの領域、すなわちすべての遊技RAM領域が初期化されるようになっている。なお、RAM161cの使用中のスタック領域を除く全ての遊技RAM領域を初期する構成としてもよい。
Sa14のステップにおいて設定キースイッチ37がON状態でないと判定した場合は、Sa3のステップにおいて算出したRAMのパリティとSa7における診断結果に基づいて、RAM161cに異常があるか否かを判定し(Sa15)、RAM161cに異常がないと判定した場合には、外部出力信号を出力するための出力バッファをクリアする(Sa16)。また、RAM161cの所定領域に設定されており、後述のメイン処理においてリールの回転エラーが検出された回数を計数するためのリールエラーカウンタをクリアする(Sa17)。その後、RAM161cの記憶内容に基づいてスタックポインタSPに電断時のアドレスを設定することで、スタックポインタを電断時の状態に復帰させる(Sa18)。その後、メダル数制御基板17へ遊技機設置情報コマンドを送信し(Sa15a)、ポート入力処理を2回連続で行う(Sa19、Sa20)。
ポート入力処理は、パラレル入力ポートに入力される各種スイッチ類の検出信号などの入力状態に関する入力状態データ(各種スイッチ類の現在の入力状態を示す入力データ、前回と今回の入力データが同じ状態である旨を示す確定データ、前回から確定データが変化した旨を示すエッジデータ)を更新する処理である。RAM161cの遊技RAM領域の所定領域には、各種スイッチ類の入力状態データを格納するポート入力バッファ0~2が設けられており、ポート入力処理により更新される各種スイッチ類の入力状態データは、その種類毎に予め定められたポート入力バッファの所定ビットに格納されるようになっている。ポート入力処理では、パラレル入力ポートの入力ポート0~2にされる。
各種スイッチ類の検出状態(ON状態またはOFF状態)を入力データとして、ポート入力バッファの所定ビットに格納する。また、前回と今回のポート入力処理での検出状態(ON状態またはOFF状態)を比較して、今回と前回の入力データが同じ状態である場合には、今回の入力データの検出状態を示すように確定データを更新する一方、今回と前回の入力データが異なる状態である場合には、前回の確定データを維持する。また、今回と前回の確定データを比較して、確定データがOFF状態からON状態に変化した場合には、確定データがOFF状態からON状態に変化した旨を示すONエッジデータをポート入力バッファ0~2の所定ビットに格納し、確定データがON状態からOFF状態に変化した場合には、確定データがON状態からOFF状態に変化した旨を示すOFFエッジデータをポート入力バッファ0~2の所定ビットに格納する。ポート入力バッファに格納された各種スイッチ類の入力データ、確定データ、エッジデータは、遊技プログラムおよび非遊技プログラムから参照することが可能である。
また、初期設定処理では、ポート入力処理を2回連続して行うことで、その後、ポート入力処理が行われる際に、初期設定処理が行われた以後の各種スイッチ類の入力状態すなわちS台2への電力供給が再開された後の各種スイッチ類の入力状態に基づいて、各種スイッチ類の検出信号などの入力状態に関する入力状態データが作成されるので、意図しない入力状況が特定されてしまうことを防止できるようになっている。また、ポート入力処理において、3回以上のポート入力処理により取得された入力データ(たとえば、今回、前回および前々回の入力データ)に基づいて確定データを作成する構成でもよい。このような構成では、確定データを作成するために必要なポート入力処理の回数よりも1回少ない回数連続してポート入力処理を初期設定処理において行う構成とすることで、初期設定処理が行われた後にポート入力処理が行われる際に、初期設定処理が行われた以後の各種スイッチ類の入力状態に基づいて入力状態データを作成させることができる。
Sa19およびSa20のステップにおいてポート入力処理を行った後は、所定の入力ポートを参照して(Sa21)、リセット/設定スイッチ38がON状態であるか否かを判定し(Sa22)、リセット/設定スイッチ38がON状態である場合には、当該リセット/設定スイッチ38がON状態である旨を示すステータスデータをRAM161cの所定領域に設定する(Sa23)。
Sa22のステップにおいてリセット/設定スイッチ38がON状態でないと判定した場合、およびSa23のステップにおいてステータスデータを設定した後は、電断前の制御状態に復帰した旨を示す復帰コマンドを演出制御部151に送信した後(Sa24)、タイマ割込み処理(メイン)のコマンド送信処理において、ドア開放検出スイッチ25の検出状態を示すドアコマンドを送信する旨を示すドアコマンド送信フラグをRAM161cの所定領域に設定する(Sa25)。コマンド送信処理では、通常、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化した場合にドアコマンドを送信するが、RAM161cの所定領域にドアコマンド送信フラグが設定されている場合には、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化したか否かに関わらず、ドア開放検出スイッチ25の検出状態を示すドアコマンドを送信する。
そして、Sa25のステップにおいてドアコマンド送信フラグを設定した後は、すべてのレジスタをRAM161cに記憶されている電断前の状態に復帰させ(Sa26)、タイマ割込みを許可に設定して(Sa27)、初期設定処理を終了させてタイマ割込処理(メイン)に移行させた後、S台2への電力供給が停止される前に実行していたメイン処理における処理に復帰する。
一方、Sa15のステップにおいて、RAM161cに異常があると判定した場合には、メダル数制御基板17へ遊技機設置情報コマンドを送信し(Sa15b)、遊技RAM初期化処理を行って(Sa28)、Sa13のステップにおいて設定したRAM破壊時初期化開始アドレスからRAM161cの遊技RAM領域の終端までの領域を初期化する。その後、Sa10の処理と同様に、主制御部161は、非遊技プログラム呼出処理である非遊技RAM領域初期化処理を実行する(Sa30)。すなわち、主制御部161は、処理の最初に、CPU161aが使用するレジスタバンクを第1レジスタバンクR1から第2レジスタバンクR2へと切り替える処理と、第2Qレジスタの値の設定処理を実行する。続いて、主制御部161は、非遊技RAM領域を初期化した後に、CPU161aが使用するレジスタバンクを第2レジスタバンクR2から第1レジスタバンクR1へと切り替える処理を実行する。続いて、主制御部161は、ドアコマンド送信フラグを設定し(Sa32)、タイマ割込みを許可に設定し(Sa33)、RAM161cに異常がある旨を示すRAM異常エラー番号を所定のレジスタに準備して(Sa34)、初期設定処理を終了させてエラー処理に移行させる。
エラー処理は、遊技の進行が不能化されるエラー状態に制御する処理である。所定のレジスタに準備されているエラー番号を特定可能なエラーコマンドを演出制御部151に対して送信し、当該エラー番号をRAM161cの所定領域にその他の処理(たとえば、後述するセンサ監視処理など)でも参照可能なエラーフラグとして設定する。また、当該エラー番号を遊技補助表示器12に表示させるように制御する。その後は、所定のレジスタに準備されているエラー番号に応じたエラー状態の解除条件が成立したことが特定されるまでエラー状態の制御を行う。RAM異常エラー番号が所定のレジスタに準備されてエラー状態に移行された場合には、設定キースイッチ37をONにした状態で電源スイッチを投入することによって、設定変更状態に移行させてすべての遊技RAM領域を初期化させることで、RAM161cのデータの異常を確実に解消してエラー状態を解除することができるようになっている。一方、設定キースイッチ37をON状態にせずに電源スイッチをONにした場合には、RAM161cの異常が再び検出されて、再度、エラー状態となる。
このように、主制御基板16は、S台2への電力供給が開始された後には、図62に示す主制御部161の起動処理を実行した後、初期設定処理を含むユーザプログラムを行うようになっており、初期設定処理では、S台2への電力供給が開始された際の主制御基板16の状態に応じて、タイマ割込処理(メイン)、設定変更処理、エラー処理のいずれかに移行させる。そして、これらの処理に移行させる際に、移行させる処理の種類を特定可能なコマンドを演出制御部151に対して送信するようになっており、タイマ割込処理(メイン)に移行させる場合すなわちS台2への電力供給が停止される前の制御状態に復帰した場合には、復帰コマンドを演出制御部151に対して送信し、設定変更処理を開始して設定変更状態に移行する場合には、設定コマンド(開始)を演出制御部151に対して送信し、RAM161cの異常によりエラー処理を開始してエラー状態に移行する場合には、エラーコマンドを演出制御部151に対して送信する。
なお、主制御基板16は、初期設定処理から設定変更処理に移行した後は、設定変更状態を経て、ゲームの進行が可能な状態に復帰するようになっており、当該ゲームの進行が可能な状態に復帰する際には、当該設定変更状態が終了されることを特定可能な設定コマンド(終了)を演出制御部151に対して送信する一方で、復帰コマンドは送信しない。また、RAM161cの異常によりエラー処理に移行した後は、上述のように設定変更処理に移行されてエラー状態が解除されることで、ゲームの進行が可能な状態に復帰するようになっており、エラー処理が終了されてゲームの進行が可能な状態に復帰する場合にも、演出制御部151に対して復帰コマンドを送信しない。
このように、本実施の形態の主制御基板16は、S台2への電力供給が開始されることで起動し、すべての出力ポート0~9を初期化するようになっている。また、主制御基板16は、出力ポート0~9を初期化した後、遊技プログラムに含まれる初期設定処理を行う。そして、初期設定処理では、RAM161cに異常があると判定した場合に、非遊技プログラムに含まれる非遊技RAM領域初期化処理を呼び出して、RAM161cの非遊技RAM領域の所定領域を初期化する。また、初期設定処理では、遊技プログラムに含まれるRAM初期化処理を呼び出して、RAM161cの遊技RAM領域の所定領域を初期化するようになっており、遊技RAM領域は遊技プログラムにより初期化し、非遊技RAM領域は非遊技プログラムにより初期化する構成になっている。
[安全装置処理について]
本実施の形態におけるS台2では、終日に亘る遊技者の獲得メダル数に上限値を設け、過剰に遊技者がメダルを獲得することを制限するための安全装置処理が実行される。獲得メダル数とは、終日に亘って、遊技者に付与されるメダル数から、遊技者によって使用されたメダル数を減算した値である。獲得メダル数の符号が正の値である場合、遊技者側に付与されたメダル数が多いことを意味する。一方で、獲得メダル数の符号が負の値である場合、遊技者側が使用したメダル数が多いことを意味する。
主制御部161によって実行される安全装置処理は、獲得メダル数が制限数に到達したときに、遊技の進行を不能化する処理である。安全装置処理が実行されることにより、獲得メダル数が過剰に増大することを防止できる。これにより、本実施の形態におけるS台2は、不正によってスロットマシンから過剰にメダルが払い出されることを防止できる。また、終日に亘って特定の遊技者の獲得メダル数が増大すれば、著しく射幸心をそそるおそれのある状態となり得る。そのため、上限を設けて終日の獲得メダル数に制限数を設けることにより、S台2において、著しく射幸心をそそる状態となることを抑制することができる。以下では、安全装置処理について、図を用いて詳細に説明する。
図64は、安全装置処理に関する変数を示す図である。図64には、安全装置処理に関する変数として、入賞メダル数、投入済みメダル数、算出用再遊技フラグ、累積付与数、累積使用数、差数、安全装置発動残数、打止フラグが示されている。これらの変数は、非遊技RAM領域における所定の領域に格納されている。変数とは、特定の意味を有するデータを読み書きするための記憶領域である。
「入賞メダル数」は、1バイトのサイズ(領域)を有する変数であり、1ゲームにおいて遊技者に付与されたメダル数を示す変数である。たとえば、押し順役当選時にプラム役が入賞して、9枚のメダルが払い出された場合、入賞メダル数には、9枚を示すデータが格納される。もしくは、押し順役当選時に1枚役1~33が入賞して、1枚のメダルが払い出された場合、入賞メダル数には、1枚を示すデータが格納される。入賞メダル数は、非遊技RAM領域に含まれる領域Fに記憶される。
「投入済みメダル数」は、1バイトのサイズを有する変数であり、1ゲームにおいて遊技者によって使用されたメダル数を示す変数である。たとえば、MAXBETスイッチ6が押下されて最大の賭数である3枚のメダルが賭けられ、スタートスイッチ7が押下された場合、投入済みメダル数には、3枚を示すデータが格納される。また、たとえば、1BETスイッチ20が1度だけ押下されて1枚のメダルが賭けられ、スタートスイッチ7が押下された場合、投入済みメダル数には、1枚を示すデータが格納される。投入済みメダル数は、非遊技RAM領域に含まれる領域Fに記憶される。
なお、本実施の形態では、安全装置処理のために、「入賞メダル数」および「投入済みメダル数」という変数を非遊技RAM領域に改めて設けているが、主制御部161は、遊技の進行のために用いられている変数を参照してもよい。遊技の進行のために用いられる変数とは、たとえば、遊技RAM領域に格納されている変数であって、「入賞メダル数」および「投入済みメダル数」と同様に、入賞したときのメダル数を記憶する変数および賭数として設定されているメダル数を記憶する変数である。すなわち、主制御部161は、安全装置処理を実行するにあたって、遊技RAM領域に格納された変数を参照してもよい。
「算出用再遊技フラグ」は、1バイトのサイズを有する変数であり、再遊技作動状態に関するフラグである。換言すれば、算出用再遊技フラグは、再遊技作動状態であるか否かを示すフラグである。算出用再遊技フラグは、非遊技RAM領域に含まれる領域Fに記憶される変数である。
「累積付与数」は、3バイトのサイズを有する変数であり、終日の付与数を示す変数である。終日の付与数とは、終日に亘って、遊技者に対して付与されたメダル数の合計値である。換言すれば、1ゲームおけるメダルの付与数を累積した値である。累積付与数は、非遊技RAM領域に含まれる領域Fに記憶される。
「累積使用数」は、3バイトのサイズを有する変数であり、終日の使用数を示す変数である。終日の付与数とは、終日に亘って遊技者によって使用されたメダル数の合計値である。換言すれば、1ゲームおけるメダルの使用数を累積した値である。累積使用数は、非遊技RAM領域に含まれる領域Fに記憶される。
「差数」は、3バイトのサイズを有する変数であり、上述した獲得メダル数を表わす変数である。上述したように、獲得メダル数とは、終日に亘って、遊技者に付与されるメダル数から遊技者によって使用されたメダル数を減算した数であるため、すなわち、差数には「累積付与数」から「累積使用数」を減算した数が格納される。ただし、主制御部161は、差数の符号が負となる場合、「0」を差数に格納する。差数は、非遊技RAM領域に含まれる領域Fに記憶される。
「安全装置発動残数」は、1バイトのサイズを有する変数であり、制限数までの残数を示す変数である。制限数とは、終日の獲得メダル数の上限であって、予め定められた数である。本実施の形態における制限数は、19000枚であるが、たとえば、20000枚、15000枚などの他の数であってもよい。たとえば、安全装置発動残数に100枚を示すデータが格納されているとき、差数が+18900枚であることを意味する。安全装置発動残数は、非遊技RAM領域に含まれる領域Fに記憶される。
「打止フラグ」は、1バイトのサイズを有する変数であり、安全装置処理によって遊技の進行が不能化されている状態であるか否かを示すフラグである。差数が制限数となり、主制御部161によって遊技の進行が不能化された場合、打止フラグには、ONを示す情報として、たとえば「1」が格納される。一方で、差数が制限数未満であり、遊技の進行が可能な状態である場合、打止フラグには、OFFを示す情報として、たとえば「0」が格納される。打止フラグは、他の安全装置処理に関する変数と異なり、非遊技RAM領域に含まれる領域Eに記憶される。
図63の初期設定処理のステップSaF1にて、領域F初期化処理が実行されることを説明した。図64にて説明したように、非遊技RAM領域の領域Fには、安全装置処理に関する変数のうち、打止フラグ以外の変数が記憶されている。安全装置処理は、終日の獲得メダル数に制限を設ける処理であり、換言すれば、遊技店の営業開始から営業終了までの間の獲得メダル数に制限を設ける。すなわち、獲得メダル数に対応する変数として記憶されている「差数」に記憶されているデータは、1営業ごとに初期化される。
図65は、主制御基板16が行う領域F初期化処理を説明する図である。領域F初期化処理は、図63に示される初期設定処理に含まれる処理である。領域F初期化処理は、設定キースイッチのON,OFFおよびRAMに異常があるか否かにかかわらず、実行される。すなわち、S台2に電源が投入されたとき、主制御部161は、領域F初期化処理を実行する。これにより、主制御部161は、終日に亘って行われた遊技における遊技用価値の付与数および使用数を累積計数することができる。
図63にて説明したように、領域F初期化処理は、非遊技プログラム呼出処理に該当する。そのため、図65に示されるように、主制御部161は、領域F初期化処理内の始めに、レジスタバンクを切り替える(ステップSQ1)。すなわち、主制御部161は、CPU161aが使用しているレジスタバンクを第1レジスタバンクR1から第2レジスタバンクR2へと切り替える。続いて、主制御部161は、第2Qレジスタの値を設定する(ステップSQ2)。すなわち、主制御部161は第2Qレジスタに「F3」を設定する。これにより、S台2では、第2レジスタバンクR2の第2Qレジスタに意図しない値が設定されていた場合においても、非遊技RAM領域が呼び出される度に第2Qレジスタの値が設定されるため、不具合防止を担保できる。
続いて、主制御部161は、打止フラグがOFFであるか否かを判定する(ステップSh1)。打止フラグがOFFである場合(ステップSh1でYES)、主制御部161は、差数、累積付与数、累積使用数、安全装置発動残数、算出用再遊技フラグを初期化する(ステップSh2)。換言すれば、主制御部161は、領域Fに記憶されている安全装置処理に関する変数を初期化(クリア)する。各変数が有するビットには、初期化されることによって「0」が記憶され得る。初期化した後、主制御部161は、レジスタバンクを切り替えて(ステップSh3)、処理を終了する。すなわち、主制御部161は、CPU161aが使用しているレジスタバンクを第2レジスタバンクR2から第1レジスタバンクR1に戻す。レジスタバンクの切り替え処理は、上述したCALLEX命令に基づいて行われ得る。打止フラグがOFFではなくONである場合(ステップSh1でNO)、主制御部161は、Sh2における初期化処理をせずに、レジスタバンクを戻して(ステップSh3)、処理を終了する。
このように、本実施の形態におけるS台2では、S台2の電源投入に基づいて、領域Fに含まれる安全装置処理に関する変数を初期化する。差数、累積付与数、累積使用数、安全装置発動残数の全ては、S台2の遊技の進行を不能化するか否かを定めるための変数であり、これらの変数がS台2の電源投入によって初期されることにより、営業日ごとに獲得メダル数を制限することが可能となる。換言すれば、終日の遊技用価値の使用数、および終日の遊技用価値の付与数は、S台2への電源再投入によって初期化される。これにより、終日の差数を好適に記憶できる。
算出用再遊技フラグについても、S台2の電源断から復旧したときに初期化(クリア)される。これにより、電源復旧した後のゲームにおいて、使用されるメダル数が誤って0として更新されることを防止できる。
また、主制御部161は、S台2の状態を遊技の進行が不能な状態に制御する場合、差数、累積付与数、累積使用数、安全装置発動残数、算出用再遊技フラグを初期化せずに、保持する。これにより、不具合によって遊技の進行が可能な状態に制御されたとしても、再度不能な状態に制御することができる。換言すれば、差数が制限数に達していないにもかかわらず、不具合によって打止フラグが意図せずONとなった場合にS台2の電源投入が行われても、差数、累積付与数、累積使用数、安全装置発動残数、算出用再遊技フラグは初期化されないため、主制御部161は、継続して、差数、累積付与数、累積使用数、安全装置発動残数の値を計数(カウント)することができる。また、算出用再遊技フラグについても初期化されないため、電源復旧した後のゲームにおいて誤って、使用されるメダル数が0となって、更新されることを防止できる。
続いて、安全装置処理に関する変数が計数(カウント)されるタイミングを、フローチャートを用いて詳述する。安全装置処理は、主制御部161によって繰り返して実行されるメイン処理に含まれており、単位遊技ごとに1度実行される。
図66は、主制御基板16が行うメイン処理の制御内容を説明する図である。なお、メイン処理は、一単位の遊技(1ゲーム)毎に繰り返し実行される。そして、メイン処理の一周期が遊技の一単位に相当している。また、メイン処理は、遊技プログラムに含まれ、複数の処理を含む。上述にて説明したように、図66に示すメイン処理においても、非遊技プログラム呼出処理に該当する処理の処理名には、冒頭に「(非遊技)」という文言が付されている。
図66に示すように、主制御基板16は、まず、非遊技プログラムに含まれるRT情報出力処理を行う(Sb2)。図67は、主制御基板16が行うRT情報出力処理の制御内容を説明する図である。上述したように、非遊技プログラム呼出処理では、レジスタバンクの切り替え(SQ4,SQ6)、第2Qレジスタの値の設定(SQ2)が、最初に実行される。図67におけるステップSQ4,SQ5,SQ6は、図65におけるステップSQ1,SQ2,SQ3の処理と同一の処理であるため、説明を繰り返さない。
主制御部161は、スタックポインタを非遊技RAM領域にセットし(ステップSi2)、RTステータスを取得する(ステップSi3)。具体的には、遊技RAM領域の所定領域に設定されているS台2の遊技状態(RTステータス)に関する情報を参照し、当該遊技状態に関する情報(たとえば、RTの状態)を外部出力信号として出力ポートより出力させるように設定する。
すなわち、ステップSi3では、出力する外部出力信号の番号をレジスタに読み込み、呼出ランプやホールコンピュータなどの外部機器に対して外部出力信号を出力する外部出力信号処理も行われる。外部出力信号には、たとえば、有利区間に制御されているか否かを示す信号が含まれる。これにより、ホールコンピュータなどの外部機器に対して有利区間に制御されているか否かを報知することができる。また、メイン処理において、外部出力信号処理は、後述する安全装置関連処理(Sb50)よりも先に実行される。
続いて、主制御部161は、打止フラグを初期化する(ステップSi4)。その後、レジスタバンクを第1レジスタバンクR1へと切り替え、RT情報出力処理は、終了する。そして、主制御部161は、割込み複数回待ち処理を実行する(Sbw1)。割込み複数回待ち処理は、RT情報出力処理で出力される情報の出力時間を担保するために実行される。その後、主制御部161は、後述にて説明する遊技開始待ち処理を行って(Sb5)、前の一遊技の制御の終了後から次の一遊技を開始させるまでの処理を行う。遊技開始待ち処理では、賭数設定操作に応じて賭数を設定する処理を行い、規定数の賭数が設定された状態でスタートスイッチ7の操作が検出されることで、次の一遊技を開始させる処理を行う。
そして、入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理を行う(Sb6)。内部抽選処理では、S台2において予め設定された設定値(1~6)やスタートスイッチ7の検出による遊技の開始と同時に取得された内部抽選用の乱数値に基づいて、入賞の発生を許容するか否か(すなわち、表示結果の導出を許容するか否か)を決定する内部抽選を行う。
その後、AT抽選などが実行された後に、演出制御処理(Sb12)、試験信号出力処理(Sb13)、制御状態コマンド群送信処理(Sb14)、フリーズ制御実行処理(Sb16)を順次行う。試験信号出力処理は、非遊技プログラム呼出処理に該当する。演出制御処理では、主制御基板16が演出制御を行う際に参照する演出用フラグの設定を行う。試験信号出力処理では、S台2の制御状態を遊技機外部に設けた試験装置で確認できるようにするための試験信号が送信される。制御状態コマンド群送信処理では、一遊技の開始時点における各種の制御状態を特定可能な複数のコマンドを含む制御状態コマンド群を演出制御部151に対して送信する。フリーズ制御実行処理では、所定終了条件が成立するまで遊技の進行を遅延させるフリーズ制御について、当該フリーズ制御を行う旨の要求の有無を確認して、要求がある場合にフリーズ制御の種類や当該フリーズ制御を行うタイミングをRAM161cの所定領域に設定する。
RAM161cに設定されたフリーズ制御の種類やフリーズ制御の実行タイミングに基づいてフリーズ制御を実行するフリーズ実行処理を行う(Sb16)。フリーズ実行処理では、Sb13のステップにおいて遊技の開始時にフリーズ制御を行う旨が設定されている場合には、フリーズ制御を実行して所定期間にわたり遊技の制御を遅延させる。また、フリーズ制御の種類として、リール2L、2C、2Rを用いた演出(以下、リール演出と呼ぶ)を伴うフリーズ制御の種類が設定されている場合には、リールモータ32L、32C、32Rを励磁させる励磁パターンとして演出用加速パターン(たとえば、遊技でのリールの回転と異なる方向に回転させる加速パターン、遊技でのリールの回転に比べて遅い速度で、遊技での回転と同じ方向に回転を開始させる加速パターン、リールを振動させる加速パターンなど)をRAM161cの所定領域に設定して、フリーズ制御を行っている期間内においてリール演出を行うように制御する。その後、主制御部161は、割込み複数回待ち処理を実行する(Sbw2)。割込み複数回待ち処理は、試験信号出力処理で出力される情報の出力時間を担保するために実行される。
Sb16のステップにおいてフリーズ制御実行処理を行った後は、前回の遊技におけるリール回転開始時点からの経過時間を計時するためにRAM161cの所定領域に設定されている一遊技時間管理用タイマを参照して(Sb18)、一遊技時間管理用タイマに基づいて前回の遊技におけるリール回転開始時点から一遊技の規定時間(本実施の形態では4.1秒)が経過したか否かを判定する(Sb19)。そして、一遊技の規定時間が経過していないと判定した場合は、一遊技時間管理用タイマに基づいて一遊技の規定時間が経過するまで待機し、一遊技時間管理用タイマに基づいて一遊技規定時間が経過した後に、一遊技時間管理用タイマに予め定められた所定値(本実施の形態では、4.1秒に対応する値)を設定して、新たにリール回転開始時点からの経過時間の計時を開始させ(Sb20)、ウェイト中LED19をOFF状態(消灯状態)に制御し(Sb21)、リール2L、2C、2Rの回転制御を開始させる旨を特定可能なリール回転開始コマンドを演出制御部151に対して送信するリール回転開始コマンド送信処理を行う(Sb22)。一方、Sb19のステップにおいて一遊技の規定時間が経過していると判定した場合は、直ちに、Sb20~Sb22のステップの処理を行う。なお、一遊技時間管理用タイマは、Sb20のステップにおいて所定値が設定された後は、所定時間毎に減算されて、遊技におけるリール回転開始時点から一遊技の規定時間(本実施の形態では4.1秒)が経過したときに、0となるようになっており、一遊技時間管理用タイマが0か否かに基づいて一遊技規定時間が経過したか否かを判定できるようになっている。
Sb22のステップにおいてリール回転開始コマンド送信処理を行った後は、リールモータ32L、32C、32Rを励磁制御する際の励磁パターンとして、遊技用の所定速度でリールを回転制御する通常加速パターンをRAM161cの所定領域に設定し(Sb23)、RAM161cに設定されている励磁パターンに基づいてリールモータ32L、32C、32Rを励磁制御することでリールの回転を開始させるリール起動処理を行う(Sb24)。
そして、ナビ報知処理を行う(Sb25)。ナビ報知処理では、ATの制御が行われており、内部抽選にて報知対象役が当選している場合には、当該報知対象役に応じて遊技者にとって有利な停止態様を特定可能なナビ番号を、遊技補助表示器12に表示させるように制御する一方、ATの制御が行われていない場合には、ナビ番号を遊技補助表示器12に表示させないように制御する。
リールの停止制御に必要な各種情報をRT状態および内部抽選の抽選結果に応じて設定するリール停止初期設定処理(Sb26)を行う。そして、フリーズ制御処理を行い(Sb27)、当該タイミングでフリーズ制御を行う旨が設定されている場合には、設定されている種類のフリーズ制御を行う。
Sb27のステップにおいてフリーズ制御処理を行った後は、リールの停止制御を行うリール停止制御処理を行う(Sb28)。リール停止制御処理では、回転制御中のリールが所定の定速回転で回転されているかを判定し、定速回転で回転されていないリールがある場合には、リールエラーを検出して、該当するリールについて定速回転まで加速させる励磁パターンを設定して、回転制御中のすべてのリールが定速回転で回転されるように制御する。一方、回転制御中のすべてのリールが定速回転で回転されている場合には、回転制御中のリールの停止操作の受け付けを有効化し、ストップスイッチによる停止操作が行われるまで待機する。そして、停止操作が有効化されているリールについて有効な停止操作が検出されること(停止操作が有効なストップスイッチについてONエッジデータが検出されること)で、有効な停止操作が行われたリールについて、リール停止初期設定処理にて設定された情報などに基づいて所定の停止位置で停止させるリール停止制御を行う。このようなリール停止制御を、回転制御中のリールについて繰り返し行って、すべてのリールの回転を停止させることで、リール停止処理を終了させる。
そして、リール停止処理を終了させた後は、フリーズ制御処理を行い(Sb29)、当該タイミングでフリーズ制御を行う旨が設定されている場合には、設定されている種類のフリーズ制御を行う。
その後、RT状態チェック処理(Sb30)、入賞判定処理(Sb31)を行う。RT状態チェック処理では、リールにRT状態の移行を伴うRT移行図柄の組合せが停止しているか否かを判定し、RT移行図柄の組合せが停止している場合には、RAM161cの所定領域に設定されている現在のRT状態を、当該RT移行図柄の組合せに応じたRT状態に更新する。入賞判定処理では、内部抽選結果およびリール2L、2C、2Rに停止している図柄組合せに基づいて不正入賞が発生しているか否かを判定する。
そして、Sa31のステップにおける入賞判定処理を行った後は、投入払出エラーチェック処理を行い(Sb32)、非遊技プログラム呼出処理に該当する役比モニタ用データ処理を行う(Sb36)。
役比モニタ用データ処理では、まず、上述のRT情報出力処理などと同様にして、呼び出し元の遊技プログラムにより使用されていたレジスタバンクの切り替え、第2Qレジスタの値の設定が行われる。非遊技プログラムに含まれる各状態カウント処理を行って、予め定められた所定期間(たとえば、現在のゲームから6000ゲーム前までの期間、現在のゲームから175000ゲーム前までの期間、遊技者にとって有利な状態に制御された区間(有利区間)など)におけるメダルの払い出し枚数に関するデータを更新する。
その後、リプレイ中LEDをOFF状態(消灯状態)に制御し(Sb39)、リプレイ中である旨を示す再遊技中フラグをクリアし(Sb40)、遊技補助表示器12におけるナビ番号の表示をクリアした後(Sb41)、メダル数制御基板17へ終了時コマンドを送信し(Sb42a)、フリーズ制御処理を行い(Sb43)、当該タイミングでフリーズ制御を行う旨が設定されている場合には、設定されている種類のフリーズ制御を行う。
そして、メダル数制御基板17へ、役物情報コマンドを送信し(Sb43a)、有利区間コマンドを送信する(Sb43b)。その後、遊技終了時設定処理を行って(Sb44)、再遊技役の図柄組合せがリール2L、2C、2Rに停止しているか否かを判定し、再遊技役の図柄組合せが停止している場合には、次ゲームにおいて再遊技を行うための賭数を設定する処理(本実施の形態では、RAM161cの所定領域に設定されている再遊技用メダルカウンタに、再遊技用メダルとして3を設定する。)や、再遊技中フラグをRAM161cの所定領域に設定する処理、リプレイ中LEDをON状態(点灯状態)に制御する処理などを行う。遊技終了時設定処理では、有利区間枚数(有利区間中の純増枚数)が2400枚に達したか否か(リミッタ条件)の判定が行われる。このとき、主制御部161は、有利区間枚数が2400枚に達した場合、有利区間を終了し、通常区間に制御する。
そして、メダル数制御基板17へ、払出パルスコマンドを送信し(Sb44a)、大当りコマンドを送信する(Sb44b)。その後、遊技終了時の出玉制御を行う出玉制御処理を行った後(Sb45)、遊技終了時における初期化対象のRAM161cの領域の先頭アドレスを設定し(Sb46)、RAM初期化処理を行って(Sb47)、当該先頭アドレスからRAM161cの終端までの領域を初期化する。
そして、RAM161cの所定領域に設定されており、当該ゲームにおける内部抽選の抽選結果を示す当選フラグをクリアした後(Sb48)、一遊技が終了した旨を特定可能な遊技終了時コマンドを演出制御部151に対して送信する遊技終了時コマンド送信処理を行う(Sb49)。
そして、主制御部161は、メイン処理の最後の処理として、安全装置関連処理を実行する(Sb50)。図68は、主制御基板16が行う安全装置関連処理の制御内容を説明する図である。安全装置関連処理は、非遊技プログラム呼出処理に該当する。そのため、主制御部161は、ステップSQ7,SQ9にてレジスタバンクの切り替え処理を実行し、ステップSQ8にて第2Qレジスタの値の設定を行う。ステップSQ7,SQ8,SQ9は、上述したステップSQ1,SQ2,SQ3と同様の処理であるため、説明を繰り返さない。
主制御部161は、ステップSQ8の処理を実行した後に、安全装置処理を実行する(Sk1)。図69は、主制御基板16が行う安全装置処理の制御内容を説明する図である。主制御部161は、図64にて説明した非遊技RAM領域に記憶される「投入済みメダル数」に0を設定する(Sg1)。主制御部161は、図64にて説明した非遊技RAM領域に記憶される「算出用再遊技フラグ」がONであるか否かを判定する(Sg2)。「算出用再遊技フラグ」がONではない場合(Sg2でNO)、主制御部161は、投入済みメダル数を取得する(Sg3)。具体的には、主制御部161は、遊技RAM領域に格納されている賭数として設定されたメダル数を参照する。主制御部161は、非遊技RAM領域の変数である「投入済みメダル数」を、遊技RAM領域から参照した賭数として設定されたメダル数で更新する。たとえば、3枚のメダルが賭数として設定されていた場合、「投入済みメダル数」には、3が設定される。
「算出用再遊技フラグ」がONである場合(Sg2でYES)、主制御部161は、投入済みメダル数に値を更新しない。「算出用再遊技フラグ」がONである場合、リプレイが成立したことによって遊技されたゲームであるため、主制御部161は、賭数は0であるとして、投入済みメダル数を「0」のまま保持する。続いて、主制御部161は、累積使用数に投入済みメダル数を加算する(Sg4)。投入済みメダル数に3が設定されている場合、主制御部161は、非遊技RAM領域に含まれる累積使用数に3を加算する。「算出用再遊技フラグ」がONである場合、投入済みメダル数が0のままであるため、累積使用数には値が加算されない。なお、図69の例では、「算出用再遊技フラグ」がONであるかOFFであるかにかかわらず、ステップSg4の処理を実行する構成について説明したが、主制御部161は、「算出用再遊技フラグ」がOFFである場合だけ、ステップSg4の処理を実行してもよい。この場合、主制御部161は、ステップSg1に示す投入済みメダル数に予め「0」を設定する処理を実行しなくてもよい。
このように、S台2では、一単位の遊技(1ゲーム)毎に繰り返し、設定された賭数を変数である累積使用数に加算することによって、遊技者が使用したメダル数の累積を記憶することができる。換言すれば、主制御部161は、終日に亘って行われた遊技におけるメダル数の使用数を累積計数する。
続いて、主制御部161は、入賞メダル数を取得する(Sg5)。具体的には、主制御部161は、メイン処理の入賞判定処理(Sb31)にて判定された入賞数を、遊技RAM領域を参照して取得する(Sg6)。主制御部161は、非遊技RAM領域の変数である「入賞メダル数」を、遊技RAM領域から参照した入賞メダル数で更新する。たとえば、入賞判定処理にて押し順役当選時にプラム役が入賞したと判定される場合、入賞メダル数には9枚のメダルを示すデータとして9が設定される。換言すれば、主制御部161は、終日に亘って行われた遊技におけるメダル数の付与数を累積計数する。
続いて、主制御部161は、非遊技RAM領域に記憶される算出用再遊技フラグをOFFにする(Sg7)。このように、算出用再遊技フラグは、リプレイが成立したことに基づく新たなゲームにおいて、使用されるメダル数が0として更新されるときに初期化(クリア)される。換言すれば、算出用再遊技フラグの初期化処理(Sg7)は、累積使用メダル数の加算処理(Sg4)と同様に安全装置処理の中で実行される。これにより、電断が生じた場合においても、新たなゲームにおいて使用されるメダル数と、終日の累積使用数との間で不整合が生じることを防止できる。
また、図69に示されるように、主制御部161は、リプレイが成立した遊技において付与されるメダル数は0とし、リプレイが成立したことにより実行される次の遊技において使用されるメダル数は0とする。これによれば、主制御部161は、前ゲームの情報を持ち越さずにデータを管理することができる。
続いて、主制御部161は、累積付与数の最上位ビットを取得する(Sg10)。上述したように、累積付与数は、3バイトの領域を有する変数である。主制御部161は、累積付与数に含まれる3バイトの領域における最上位ビットを取得する。主制御部161は、累積使用数の最上位ビットを取得する(Sg11)。上述したように、累積使用数は、3バイトの領域を有する変数である。主制御部161は、累積使用数に含まれる3バイトのうちの最も下位バイトの領域における最上位ビットを取得する。
主制御部161は、ステップSg10およびステップSg11にて取得した最上位ビットが共に「1」であるか否かを判定する(ステップSg12)。最上位ビットが共に「1」である場合(ステップSg12でYES)、主制御部161は、累積付与数および累積使用数の最上位ビットに対して減算処理を行う(ステップSg13)。最上位ビットが「1」である場合、累積付与数および累積使用数には、128以上のメダル数が記憶されていることとなる。すなわち、主制御部161は、累積付与数および累積使用数の各々の最上位ビットを「1」から「0」に更新する。換言すれば、累積付与数および累積使用数の両方に対して、同一の数(最上位ビットが示す数)を減算する。これにより、累積付与数および累積使用数の間の差数を変化させることなく、累積付与数および累積使用数に対して減算処理をすることができ、後に行われる減算処理を簡素化できる。
主制御部161は、累積付与数から累積使用数を減算して、差数を取得する(Sg14)。すなわち、非遊技RAM領域に記憶されている変数である差数を、累積付与数から累積使用数を減算した結果が示す数に更新する。たとえば、累積付与数が300枚であって、累積使用数が200枚である場合、主制御部161は、変数である差数に+100枚を示すデータを格納する。もしくは、累積付与数が200枚であって、累積使用数が300枚である場合、主制御部161は、変数である差数に-100枚を示すデータを格納する。
主制御部161は、差数の符号がマイナスであるか否かを判定する(Sg15)。すなわち、主制御部161は、差数が示すメダル数が0よりも小さいか否かを判定する。主制御部161は、差数の符号がマイナスである場合(Sg15にてYES)、差数を「0」に更新する(Sg16)。すなわち、主制御部161は、差数を初期化する。上述したように、安全装置処理は、終日に亘る遊技者の獲得メダル数に上限値を設け、過剰に遊技者がメダルを獲得することを制限するために実行される。差数の符号がマイナスである場合、遊技者が獲得したメダルはないため、差数としてデータを記憶する必要がない。したがって、本実施の形態における主制御部161は、差数の符号がマイナスである場合、差数を「0」に更新する。
このように、メダル数の累積使用数と累積付与数との差である差数が終日の制限数となったときにS台2の状態を遊技の進行が不能な状態に制御する安全装置処理を実行するS台2において、累積付与数が累積使用数以下の場合は、差数を0として算出して記憶することにより、累積付与数が累積使用数以下の場合に差数を記憶する必要がなく、記憶領域の使用容量の増大を抑制することができる。
主制御部161は、制限数から差数を減算し、安全装置発動残数を取得する(Sg17)。上述したように、本実施の形態における制限数は、+19000枚である。たとえば、差数が+18600枚である場合、ステップSg17において、主制御部161は、+19000枚から+18600枚を減算した+400枚を取得する。また、差数が+18900枚である場合、ステップSg17において、主制御部161は、+19000枚から+18900枚を減算した+100枚を取得する。
主制御部161は、安全装置発動残数は127を越えるか否かを判定する(ステップSg18)。すなわち、主制御部161は、安全装置発動残数に+127枚を越えるメダル数を示すデータが格納されているか否かを判定する。より具体的には、主制御部161は、非遊技RAM領域における安全装置発動残数の領域の8ビット目が「1」であるか否かを判定する。すなわち、主制御部161は、安全装置発動残数が127を越えるか否かの判定のため、安全装置発動残数の8ビット目の値を判定値とする。これにより、非遊技RAM領域における安全装置発動残数の8ビット目の値を用いて差数が制限数に近くなったことを判定できるため、判定処理を簡易にすることができる。なお、主制御部161は、安全装置発動残数の8ビット目以外の数値を判定値としてもよい。たとえば、安全装置発動残数を2進数から16進数に変換した場合に、変換後の16進数から、安全装置発動残数が127を越えるか否かを判定してもよい。このとき、16進数の安全装置発動残数の所定ビットが判定値となる。
安全装置発動残数が127を越える場合(ステップSg18でYES)、主制御部161は、安全装置発動残数を127に更新する。すなわち、安全装置発動残数を、127枚のメダル数を示すデータとなるように更新する。安全装置発動残数が127を越えない場合(ステップSg18でNO)、主制御部161は、安全装置発動残数を更新しない。これは、安全装置発動残数を主制御部161から演出制御部151へと送信する場合、使用可能となる領域が7ビットとなるためである。図70は、主制御基板16から演出制御基板15へ送信されるコマンドを示す図である。
主制御基板16から演出制御基板15へは、図70に示される2バイトのコマンドが送信される。主制御部161は、安全装置発動残数を図70に示される2バイトのコマンドに含ませて演出制御部151へと送信する。図70に示される2バイトのコマンドのうち、図70上部に示される1バイト目のコマンドは、情報種別を示すコマンドである。たとえば、図70上部に示される1バイト目のコマンドには、内部抽選に係るコマンドであるのか、安全装置処理における安全装置発動残数を示すコマンドであるのか、などの送信されるコマンドの情報の種別を示すデータが格納される。
一方で、図70に示される2バイトのコマンドのうち、図70下部に示される2バイト目のコマンドは、情報内容を示すコマンドである。図70下部に示される1バイト目のコマンドには、内部抽選の抽選結果や、安全装置発動残数を示すデータが格納される。1バイト目のコマンドおよび2バイト目のコマンドの両方において、8ビット目(先頭ビット)は、コマンド自身が1バイト目のコマンドおよび2バイト目のコマンドを区別するための情報が格納される。より具体的に説明すれば、演出制御部151は、主制御部161から2バイトのコマンドを受信する。演出制御部151は、受信した2バイトのコマンドの一方の8ビット目(先頭ビット)を参照し、「0」が格納されていれば、参照したコマンドは、情報種別を示す1バイト目のコマンドであると判断する。一方、演出制御部151は、受信した2バイトのコマンドの他方の8ビット目(先頭ビット)を参照し、「1」が格納されていれば、参照したコマンドは、情報内容を示す1バイト目のコマンドであると判断する。
すなわち、安全装置発動残数などの情報の内容そのものを格納するデータの領域の上限は、2バイト目のコマンドの1ビット目~7ビット目までの合計7ビットである。7ビットの領域に格納することができる最大の数は、127である。このように、安全装置発動残数が127を越える場合、当該7ビットの領域に格納することができないため、主制御部161は、図69に示されるステップSg18にて、安全装置発動残数を127に更新する。
このように、主制御部161は、記憶した差数と制限数との間の差である安全装置発動残数が127よりも小さいときに、差数と制限数との間の差を特定可能なコマンドを演出制御部151に送信する。これにより、差数と制限数との差が127よりも小さくなった場合に、差数と制限数との差を特定可能であるコマンドが主制御部161から演出制御部151へと送信されることにより、通信によって生じるデータ容量の増大を抑制することができる。
また、主制御部161は、差数と制限数との差が127より小さくなるまでの間は、安全装置発動残数を127として図70に示すコマンドを演出制御部151へと送信する。このように、差数と制限数との差が127以上である場合、一律に安全装置発動残数が127であることを示すコマンドを送信することにより、差数が制限に達していないことを演出制御部151に認識させることができる。すなわち、演出制御部151は、安全装置発動残数が127であることを示すコマンドを受信したとき、差数が127以上の数値であることを認識することができる。
主制御部161は、差数が制限数(19000枚)以上であるか否かを判定する(Sg20)。差数が制限数以上である場合(Sg20でYES)、主制御部161は、打止フラグをONにして(Sg21)、処理を終了する。差数が制限数未満である場合(Sg20でNO)、主制御部161は、打止フラグをONにすることなく、処理を終了する。
このように、安全装置処理では、主制御部161によって、単位遊技が実行されるごとに非遊技RAM領域に含まれる図64に示される各変数の値を更新する。これによって、主制御部161は、単位遊技が行われたごとに最新の差数を適切に記憶することができる。
差数が制限数以上であるか否かを判定するステップSg20の処理は、単位遊技ごとに実行される。すなわち、本実施の形態における主制御部161は、単位遊技において設定された賭数および入賞数にかかわらず、ステップSg20の処理を実行する。これにより、主制御部161は、差数が制限数以上であるか否かを単位遊技ごとに確実に判定することができる。
なお、単位遊技が行われる前後において差数が変化しない場合には、主制御部161は、ステップSg20の処理を実行しなくてもよい。単位遊技が行われる前後において差数が変化しない場合とは、たとえば、3枚のメダルが賭数として設定されて、入賞によって3枚のメダルが払い出された場合である。この場合、付与数と使用数との両方に3枚が加算され、単位遊技の前後において、差数は変化しない。すなわち、単位遊技における付与数と使用数とが同数である場合には、主制御部161は、ステップSg20の処理を実行しなくてもよい。また、再遊技役が入賞した場合、主制御部161は、再遊技役が入賞したゲームにおいてはステップSg20の処理を実行しなくてもよい。主制御部161は、リプレイ入賞によって実行される次のゲームから、再度、ステップSg20の処理を実行する。
図68に戻り、主制御部161は、安全装置発動残数を含むコマンドを演出制御基板15に送信する(Sk2)。すなわち、主制御部161は、図70にて説明したように、2バイトのコマンドのうち、情報内容を示すコマンド(2バイト目)の1ビット目~7ビット目の領域に安全装置発動残数を記憶させ、演出制御基板15へ送信する。これにより、演出制御基板15における演出制御部151は、単位遊技が実行されるごとに、主制御部161から安全装置発動残数を取得することができる。
主制御部161は、打止フラグがONか否かを判定する(Sk3)。すなわち、主制御部161は、安全装置処理のSg21で打止フラグがONに更新されたか否かを判定する。打止フラグがONではない場合(Sk3でNO)、主制御部161は、レジスタバンクを第1レジスタバンクR1に戻して(SQ9)、安全装置関連処理を終了する。打止フラグがONではある場合(Sk3でYES)、RWM異常解除フラグをOFFにする(Sk4)。RWM異常解除フラグとは、RAMクリア処理が実行されたときに、RAMクリアを許容するか否かを判定するためのフラグである。RWM異常解除フラグがOFFである場合、RAMクリア処理が実行された場合であっても、主制御部161は、RAMをクリアできない。そのため、打止フラグがONとなったときに、RWM異常解除フラグをOFFにしてRAMクリア処理を制限することによって、Sg21でONとなった打止フラグが不具合や不正によってOFFに更新されることを防止する。
続いて、主制御部161は、打止エラー番号をセットした(Sk5)後に、エラー処理を実行する(Sk6)。エラー処理が実行されることによって、主制御部161は、S台2の状態を、遊技の進行が不能な状態に制御する。すなわち、図66のメイン処理を参照すれば、差数が制限数に到達したことによって、遊技進行が不能化される処理は、安全装置関連処理(ステップSb50)にて行われている。
図66に示されるように、安全装置関連処理(ステップSb50)は、ホールコンピュータなどの外部機器に対して有利区間に制御されているか否かを報知する外部出力信号処理(ステップSbw3)や、有利区間枚数(有利区間中の純増枚数)が2400枚に達したか否か(リミッタ条件)の判定をする遊技終了時設定処理(ステップSb44)などのあらゆる処理の最後に行われる処理である。
このように、差数が制限数に到達したことによって遊技の進行を不能化し得る安全装置関連処理(Sb50)がメイン処理の最後に行われることにより、遊技の進行が不能な状態に制御する前に、遊技終了時設定処理が行われるため、リミッタ条件が成立した場合に通常区間に制御した後に、遊技の進行が不能な状態へと制御することができる。
また、遊技の進行が不能な状態に制御する前に、ステップSb2にて外部出力信号処理が行われるため、外部機器に対して有利区間に制御されているか否かを報知した後に、遊技の進行が不能な状態へと制御することができる。このように、主制御部161は、差数が制限数に到達したことによって遊技の進行を不能化する場合であっても、有利区間に関する情報を適切に処理した後に、遊技の進行を不能化することができる。これにより、遊技の進行を不能化が解除された後に、有利区間に関する情報に関して不整合が発生することを防止することができる。
上述の通り、終日に亘る遊技者側の獲得メダル数が制限数に到達したときに、遊技の進行を不能化する処理として、安全装置処理を説明した。また、本実施の形態では、有利区間枚数(有利区間中の純増枚数)が2400枚に達したか否か(リミッタ条件)を遊技終了時設定処理にて判定することについて説明した。なお、有利区間におけるリミッタ条件の判定は、安全装置処理で説明した図68、69のフローチャート内で実行されてもよい。
このとき、主制御部161のRAM161cには、有利区間中における付与数から使用数を減算した値を表わす変数として「有利区間差数」がさらに記憶され得る。主制御部161は、有利区間が開始されたことにより「有利区間差数」の計数処理を開始し、有利区間が終了しことに基づき「有利区間差数」を初期値(0)に戻し、通常区間では計数処理を実行しない。これにより、主制御部161は、有利区間中の差数を計数することができる。すなわち、安全装置処理とリミッタ条件の判定処理を、同様の処理として実行することができる。
図71は、主制御部161が行うエラー処理の制御内容を示すフローチャートである。図71に示されるように、エラー処理では、まず、エラー処理が実行される前に設定されたエラー番号(エラー番号)を格納する(Sf1)。当該エラー処理が、安全装置関連処理のステップSk6にて呼び出された場合、エラー番号として、打止エラー番号がセットされている。エラー番号には、打止エラー番号以外の他のエラーを示す番号が含まれる。たとえば、エラー処理が投入払出エラーチェック処理から呼び出された場合は、E4またはE5のエラー番号をRAM161cの所定領域に設定する。
主制御部161は、エラー番号を特定可能なエラーコマンドを送信するエラー開始コマンド送信処理を実行する(Sf2)。主制御部161は、エラー番号に対応するエラー要因を取得し(Sf3)、エラー番号を遊技補助表示器12に表示させるように制御するエラー番号表示処理を行う(Sf3)。その後は、所定のレジスタに準備されているエラー番号に応じたエラー状態の解除条件が成立したことが特定されるまでエラー状態の制御を行う(Sf5)。
差数が制限数に到達したことにより打止エラー番号がセットされている場合において、エラー状態に移行されたときには、エラー状態の解除条件として、設定キースイッチがON状態でS台2に電源投入されるまで待機する。すなわち、設定変更処理が実行されるまでの間、S台2は、遊技の進行が不能な状態となる。その他の例としては、エラー番号(E5)がレジスタに準備されてエラー状態に移行された場合には、エラー状態の解除条件として、投入メダルセンサ31a~31cの検出状態がOFF状態であり、かつリセット/設定スイッチ38またはリセットスイッチ23がON状態となったことが成立するまで待機する。
エラー状態の解除条件が成立した場合(Sf5でYES)は、Sf6に進み、割込1回待ち処理を行う。そして、入力バッファ1,2を取得し(Sf7)、取得した入力バッファ1,2に基づき、払出センサ、投入メダルセンサ、満タンセンサが正常であるかを判定する(Sf8)。Sf8において正常であると判断した場合はSf9に進む。一方、Sf8において正常でないと判断した場合はSf6に戻り、Sf8において正常であると判断されるまで、Sf6~Sf8のステップを繰り返す。
Sf9のステップにおいて、入力バッファ0のONエッジ状態を取得し、リセット/設定スイッチ38またはリセットスイッチ23がONエッジ状態となるまで(操作がされるまで)待機し(Sf10でNO)、リセット/設定スイッチ38またはリセットスイッチ23がONエッジ状態となる(Sf9でYES)ことで、Sf11に進む。
Sf11のステップにおいて、払出枚数表示データを格納し、エラー番号をクリアし(Sf12)、エラー解除コマンド送信処理(Sf13)を実行する。エラー解除コマンド送信処理においては、エラー状態を解除する旨のエラー解除コマンドを送信する。Sf14のステップにおいて、割込1回待ち処理を行って、エラー処理を終了する。
このように、主制御部161は、設定変更処理が行われたとき、S台2の状態を遊技の進行が不能な状態から遊技の進行が可能な状態に制御する。設定変更処理は、有利区間、AT、BBへの制御に係る情報が初期化される処理であって、店員によって設定キースイッチがON状態に変更されなければ、実行することができない処理である。これにより、主制御部161は、メダルが過度に付与されることを防止できる。
このように、差数が制限数に到達したことに基づいてエラー処理が実行された場合、設定変更処理が行われることにより、図71に示されるエラー処理が終了し、図68に示される安全装置関連処理が終了する。さらに、主制御部161は、安全装置関連処理が終了したことに基づいて、図66に示されるメイン処理のステップSb50が終了する。
これにより、主制御部161は、Sb2のステップに処理を戻し、再度Sb2からのステップを繰り返し行う。メイン処理が一巡することで、一単位の遊技の制御に関する処理が終了することとなり、一単位の遊技毎にメイン処理が繰り返し実行されることとなる。
このように、本実施の形態の主制御基板16が行うメイン処理は、遊技プログラムに含まれており、非遊技プログラムに含まれる処理、たとえば、RT情報出力処理、当選情報出力処理、役比モニタ用データ処理などを呼び出すようになっている。そして、非遊技プログラムに含まれる処理を呼び出す際には、該当する非遊技プログラムの処理を呼び出す毎に、呼び出し元の遊技プログラム側で、主制御基板16が備えるレジスタのうちフラグレジスタの値を遊技スタック領域に記憶させて退避させ、呼び出し先の非遊技プログラム側で、遊技プログラムで使用しているスタックポインタSPの値を非遊技RAM領域に記憶させて退避するとともに、主制御基板16が備えるすべてのレジスタの値を非遊技スタック領域に記憶させて退避させる処理を行う。そして、呼び出された非遊技プログラムに応じた処理(たとえば、非遊技RAM領域初期化処理において非遊技RAM領域を初期化する処理、後述の役比モニタ用データ処理における各状態カウント処理、後述の非遊技関連処理におけるセンサ監視処理、試験信号出力処理、役比モニタ表示データ選択処理など)を行うようになっている。
また、主制御基板16は、非遊技プログラムの処理を行った後には、非遊技プログラム側で、当該非遊技プログラムの開始時に非遊技スタック領域に退避させた、すべてのレジスタの値を該当するレジスタに読み込んで当該非遊技プログラムの開始時の状態にレジスタを復帰させるとともに、当該非遊技プログラムの開始時に非遊技RAM領域に記憶させたスタックポインタSPの値をスタックポインタSPに設定して、当該非遊技プログラムの開始時の状態にスタックポインタSPを復帰させ、さらに、呼び出し元の遊技プログラム側で、非遊技プログラムの呼び出し前に遊技スタック領域に記憶させたフラグレジスタの値を、該当するフラグレジスタに読み込んで当該非遊技プログラムの呼び出し前の状態にレジスタを復帰させる処理を行うようになっている。
また、主制御基板16は、非遊技プログラムに従って各種処理を行う場合には、上述のCALLEX命令などを用いて遊技プログラムから非遊技プログラムを呼び出すことで、当該非遊技プログラムに従って各種処理を行い、当該非遊技プログラムに応じた各処理が終了することで、呼び出し元の遊技プログラムに復帰するようになっている。
[演出制御部151における差数の計数]
上述では、主制御部161によって、単位遊技ごとに、安全装置処理に関する変数が更新されることについて説明した。演出制御部151においても、主制御部161において保持される安全装置処理に関する変数と、同様の変数が保持され、単位遊技毎に更新される。すなわち、本実施の形態のS台2では、主制御部161と演出制御部151の各々で、安全装置処理に関する変数が保持されている。
図72は、主制御基板16と演出制御基板15との間におけるコマンド通信を説明するための図である。図72に示されるように、主制御部161は、スタートスイッチ7が操作(スタート操作)されたときに、図11に示す遊技開始時コマンドを演出制御部151に送信する。また、図72に示されるように、主制御部161は、ストップスイッチの第3停止時(全リール停止時)に、図12に示す遊技終了時コマンドを演出制御部151に送信する。
図11に示されるように、遊技開始時コマンドには、No.12のコマンド「メダル投入」が含まれ、当該コマンド「メダル投入」には、メダルがBETされたことを示す情報を格納されている。また、遊技終了時コマンドには、コマンド「入賞番号」が含まれ、コマンド「入賞番号」には、入賞に関する情報が格納されている。
図73は、演出制御部151が行う演出制御側の累積使用数の加算処理の制御内容を説明する図である。演出制御部151は、遊技開始時コマンドを受信したか否かを判定する(Sm1)。遊技開始時コマンドを受信していない場合(Sm1でNO)、演出制御部151は、演出制御側の累積使用数の加算処理を行うことなく、処理を終了する。遊技開始時コマンドを受信した場合(Sm1でYES)、演出制御部151は、遊技開始時コマンドに含まれるコマンド「メダル投入」を参照して、スタートスイッチ7が押下されたゲームにおいて使用されたメダルの使用数を取得する(Sm2)。その後、演出制御部151は、演出制御側の累積使用数に加算する(Sm3)。演出制御側の累積使用数は、演出制御部151のRAM151cに含まれる変数であり、主制御部161の累積使用数と対応する変数である。このように、演出制御部151は、遊技開始時コマンドを受信する度に、使用数を加算するため、演出制御部151側の累積使用数と、主制御部161側の累積使用数とは、不正や不具合などが生じなければ、単位遊技終了時には同一の数となる。
続いて、演出制御部151側の累積付与数について説明する。図74は、演出制御部151が行う演出制御側の累積付与数の加算処理の制御内容を説明する図である。演出制御部151は、遊技終了時コマンドを受信したか否かを判定する(Sn1)。遊技終了時コマンドを受信していない場合(Sn1でNO)、演出制御部151は、演出制御側の累積付与数の加算処理を行うことなく、処理を終了する。遊技終了時コマンドを受信した場合(Sn1でYES)、演出制御部151は、遊技終了時コマンドに含まれるコマンド「メダル投入」を参照して、スタートスイッチ7が押下されたゲームにおいて使用されたメダルの使用数を取得する(Sn2)。その後、演出制御部151は、演出制御側の累積付与数に加算する(Sn3)。演出制御側の累積付与数は、演出制御部151のRAM151cに含まれる変数であり、主制御部161の累積付与数と対応する変数である。このように、演出制御部151は、遊技終了時コマンドを受信する度に、付与数を加算するため、演出制御部151側の累積付与数と、主制御部161側の累積付与数とは、不正や不具合などが生じていなければ、単位遊技終了時には同一の数となる。
このように、演出制御部151は、主制御部161と同様に、単位遊技ごとに、累積使用数、累積付与数を計数する。すなわち、主制御部161は、単位遊技ごとに、該単位遊技におけるメダルの使用数を特定可能な遊技開始時コマンドと、該単位遊技におけるメダルの付与数とを特定可能な遊技終了時コマンドとを、演出制御部151に送信する。演出制御部は、終日に亘って行われた遊技におけるメダルの使用数を累積計数し、終日に亘って行われた遊技におけるメダルの付与数を累積計数する。これにより、演出制御部151においても、終日の累積付与数と累積使用数とを算出することができる。
図75は、演出制御部151が行う安全装置発動前の報知処理の制御内容を説明する図である。上述にて説明したように、主制御部161は、差数が制限数に到達することにより、S台2の状態を遊技の進行が不能な状態に制御する。本実施の形態におけるS台2では、差数が制限数に到達する前に、遊技の進行が不能になる可能性があることを事前に遊技者に対して報知する。
図75に示される安全装置発動前の報知処理は、演出制御部151によって行われる。本実施の形態における演出制御部151は、遊技終了時コマンドを受信したときに、安全装置発動前の報知処理を実行するが、単位遊技の期間のうちの他のタイミングで実行されてもよい。すなわち、図75に示される安全装置発動前の報知処理は、単位遊技につき、1度実行される。
演出制御部151は、演出制御側の累積付与数から演出制御側の累積使用数を減算して、演出制御側の差数を取得する(Sp1)。演出制御側の差数は、演出制御部151のRAM151cによって記憶されてもよいし、安全装置発動前の報知処理が行われる間、一時的にレジスタに格納されてもよい。演出制御部151は、ステップSp1で取得した演出制御側の差数が特定数未満であるか否かを判定する(Sp2)。特定数は、たとえば300枚であるが、他の数であってもよい。
演出制御側の差数が特定数未満ではない場合(Sp2でNO)、演出制御部151は、処理を終了する。演出制御側の差数が特定数未満である場合(Sp2でYES)、演出制御部151は、特定状態であるか否かを判定する(Sp3)。特定状態とは、メダル数の増加割合が1を超える遊技者にとって有利な状態であって、たとえば、AT状態である。特定状態には、エンディング状態も含まれ得る。演出制御部151は、特定状態であるか否かを、遊技開始時コマンドまたは遊技終了時コマンドに含まれる情報を用いて判定する。
特定状態ではない場合(Sp3でNO)、演出制御部151は、処理を終了する。特定状態である場合(Sp3でYES)、演出制御部151は、新たに差数分のメダルが付与されることによって、遊技の進行が不能化されることを報知する。たとえば、差数が「100」である場合、演出制御部151は、「残り100枚のメダルが付与されることにより、遊技不能化となります。」との文言を液晶表示器51に表示させる。もしくは、演出制御部151は、遊技の進行が不能化することを示す警告音をスピーカ53,54によって発出させる。これにより、S台2では、遊技者に何の事前報知もないまま、突然に遊技が不能化して、遊技の興趣が低下することを抑制できる。さらに、演出制御部151は、メダルの増加割合が1を超える特定状態に制御されている場合、遊技者に対して、安全装置発動前の報知を行う。これにより、演出制御部151は、メダルの増加割合が1を越える状態、すなわち、差数が減少していく状態において、差数を報知することができる。
続いて、演出制御部151は、安全装置発動残数は127未満であるか否かを判定する(Sp5)。すなわち、演出制御部151は、図68のステップSk2にて主制御部161から演出制御部151へと送信されるコマンドに含まれる安全装置発動残数が127未満であるか否かを判定する。安全装置発動残数が127未満ではない場合(Sp5でNO)、演出制御部151は、処理を終了する。
安全装置発動残数が127未満である場合(Sp5でYES)、演出制御部151は、演出制御側の差数と安全装置発動残数とが不整合であるか否かを判定する(Sp6)。すなわち、演出制御部151は、演出制御部151側で計数した差数と、主制御部161側で計算した差数とが整合するか否かを判定する。より具体的には、演出制御部151は、制限数(19000枚)から演出制御部側の差数を減算し、該減算結果が、主制御部161から送信された安全装置発動残数と同一の数となるか否かを判定する。同一の数となる場合、演出制御部151は、不整合ではないと判定し、同一の数ではない場合、演出制御部151は、不整合であると判定する。
不整合ではないと判定する場合(Sp6でNO)、演出制御部151は、処理を終了する。不整合であると判定する場合(Sp6でYES)、演出制御部151は、異常が発生している旨を報知する(Sp7)。具体的には、演出制御部151は、主制御部161に対して、差数が不整合である異常が発生している旨を示すコマンドを送信する。また、演出制御部151は、差数が不整合である異常が発生している旨を示す情報を液晶表示器51に表示する。
[遊技開始待ち処理について]
図76は、主制御基板16が行う遊技開始待ち処理の制御内容を説明する図である。なお、遊技開始待ち処理は、遊技プログラムに含まれており、遊技プログラムに含まれるメイン処理において呼び出されるサブルーチンである。
図76に示すように、遊技開始待ち処理では、まず、賭数表示処理を行い(Sc1)、賭数として設定されたメダル数に応じた1~3BETLED14~16をON状態(点灯状態)に制御する。その後、Sc5のステップへ進む。RAM161cの所定領域に設定されている再遊技用メダルカウンタの値を所定のレジスタに読み込む(Sc5)。なお、再遊技用メダルカウンタには、前回のメイン処理における遊技終了時設定処理により、前回の遊技の結果に応じた値が設定されており、前回の遊技において再遊技役が入賞して再遊技が付与された場合には、遊技を行うために必要な賭数の規定数に相当する数値(たとえば、3)が設定されている一方で、前回の遊技において再遊技が付与されなかった場合には、0が設定されている。
その後、RAM161cの再遊技用メダルカウンタをクリアし(Sc6)、Sc5のステップにおいて読み込んだ再遊技用メダルカウンタの値が0より大きいか否か、すなわち再遊技が付与されている否かを判定し(Sc7)、再遊技が付与されている場合には、賭数設定処理を行う(Sc8)。賭数設定処理では、再遊技用メダルカウンタの値を賭数に設定するとともに、1~3BETLED14~16をON状態(点灯状態)に設定して規定数の賭数(本実施の形態では、3)が設定されている旨を報知する。また、賭数の設定に使用されたメダル枚数を特定可能な投入枚数コマンドを演出制御部151に対して送信する。
Sc7のステップにおいて再遊技用メダルカウンタの値が0である、すなわち再遊技が付与されていないと判定した場合、およびSc8のステップにおいて再遊技が付与されたことにより賭数設定処理を行った後は、割込み1回待ち処理を行う(Sc10)。割込み1回待ち処理を行うことで、タイマ割込み処理(メイン)が行われて各種スイッチ類の検出状態やLEDの点灯状態、各種タイマなどが更新されることとなり、これらの各種スイッチ類の検出状態が更新された状態で、その後の処理を行わせることができる。
Sc10のステップにおいて割込み1回待ち処理を行ってタイマ割込みが1回行われた後は、各種スイッチの操作を受け付ける有効化して、操作が有効化されているスイッチの操作が行われることで、当該スイッチによる操作を受け付ける操作入力受付処理を行う(Sc14)。
操作入力受付処理では、RAM171cの所定領域に設定されているクレジットが1以上である場合には、1BETスイッチ20およびMAXBETスイッチ6による操作の受け付けを有効化する。また、RAM171cの所定領域に設定されている賭数が規定数である場合には、スタートスイッチ7による操作の受け付けを有効化する。また、賭数クリアスイッチ21および設定キースイッチ37による操作の受け付けを有効化する。
また、操作入力受付処理では、スタートスイッチ7による操作が有効な状態で、スタートスイッチ7の操作が検出された場合には、スタートスイッチ7が操作された旨を示すスタートフラグを所定レジスタに設定を行う。また、設定キースイッチ37による操作が有効な状態で、設定キースイッチ37による操作が検出された場合には、設定値表示器24に設定値を表示させる設定値表示処理を行う。また、1BETスイッチ20およびMAXBETスイッチ6による操作が有効な状態で、1BETスイッチ20またはMAXBETスイッチ6による操作が検出された場合には、クレジットに基づいて可能な範囲で規定数までのメダル枚数を賭数に設定し、賭数に設定した分のメダル枚数をクレジットから減算する処理を行う。操作が検出されたスイッチ類に応じた処理を行った後、操作入力受付処理を終了させる。
Sc14のステップにおいて操作入力受付処理を行った後は、スタートフラグに基づいてスタートスイッチ7による有効な操作が検出されたか否かを判定する(Sc15)。所定のレジスタにスタートフラグが設定されておらず、スタートスイッチ7による有効な操作が検出されなかったと判定した場合は、Sc16のステップに進み、スタート有効LEDの点灯状態を制御するLED表示処理を行う。
LED表示処理では、Sc14のステップの操作入力受付処理によりスタートスイッチ7による操作が有効に設定されている状態において、リセットスイッチ以外のスイッチ類の操作が検出されない場合に、スタート有効LEDをON状態(点灯状態)に制御し、スタートスイッチ7による操作が有効に設定されている状態において、リセットスイッチ以外のスイッチ類の操作が検出される場合、およびスタートスイッチ7による操作が有効に設定されていない場合に、スタート有効LEDをOFF状態(消灯状態)に制御して、スタート有効LEDの点灯状態によりスタートスイッチ7による操作が有効であるか無効であるかを報知する。
Sc15のステップにおいて、所定のレジスタにスタートフラグが設定されており、スタートスイッチ7による有効な操作が検出されたと判定した場合は、内部抽選用の乱数値を乱数回路から取得して、RAM161cの所定領域に設定する(Sc17)。その後、設定されている賭数を特定可能な賭数設定状態データをRAM161cの所定領域に設定し(Sc18)、スタート有効LEDをOFF状態(消灯状態)に設定し(Sc19)、メダル手入れ許可フラグをRAM161cの所定領域からクリアし(Sc20)、遊技補助表示器12における払出枚数の表示をクリアするように制御して(Sc21)、遊技開始待ち処理を終了させ、メイン処理に戻る。その後、メイン処理では、Sc17のステップにおいて取得された乱数値を用いて内部抽選が行われ、スタートスイッチ7の操作が検出されたことに応じてリール2L、2C、2Rの回転が開始されることで、一遊技が開始されることとなる。
図77は、主制御基板16が行う賭数設定操作受付処理の制御内容を説明する図である。主制御基板16は、図77の操作入力受付処理にて、1BETスイッチ20およびMAXBETスイッチ6による操作が有効な状態となった後に、1BETスイッチ20またはMAXBETスイッチ6による操作が検出された場合に、図77に示す賭数設定操作受付処理を実行する。
主制御基板16は、RAM161cのBETカウンタに設定されている0~3の賭数を取得する(Sd1)。主制御基板16は、取得した賭数と、操作が検出されたスイッチが1BETスイッチ20であるか、MAXBETスイッチ6であるかに基づいて、投入メダル数を算出する(Sd2)。たとえば、賭数が0であるときにMAXBETスイッチ6による操作を検出した場合、投入メダル数は3枚となり、賭数が0~2であるときに1BETスイッチ20による操作を検出した場合、投入メダル数は1枚となる。
主制御基板16は、算出した投入メダル数を含めた投入コマンドをメダル数制御基板17へ送信する(Sd3)。メダル数制御基板17は、当該投入コマンドに対する応答コマンドを送信する。主制御基板16は、当該応答コマンドを受信したことに応じて、賭数設定処理を実行する(Sd4)。すなわち、主制御基板16は、RAM161cのBETカウンタに記憶されている賭数を加算する。
図78は、主制御基板16が行う精算操作受付処理の制御内容を説明する図である。主制御基板16は、図78の操作入力受付処理にて、賭数クリアスイッチ21による操作が有効な状態となった後に、賭数クリアスイッチ21による操作が検出された場合に、精算操作受付処理を実行する。
主制御基板16は、再遊技作動中であるか否かを判断する(Se1)。再遊技作動中である場合、主制御基板16は、処理を終了する。再遊技作動中でない場合、主制御基板16は、賭数が1以上設定されているか否かを判断する(Se2)。賭数が1以上設定されていない場合、主制御基板16は、処理を終了する。賭数が1以上設定されている場合、主制御基板16は、RAM161cのBETカウンタに設定されている1~3の賭数を取得する(Se3)。
主制御基板16は、取得した賭数を精算メダル数として含めた精算コマンドをメダル数制御基板17へ送信する(Se4)。メダル数制御基板17は、当該投入コマンドに対する応答コマンドを送信する。主制御基板16は、当該応答コマンドを受信したことに応じて、精算操作処理を実行する(Se5)。すなわち、主制御基板16は、賭数を減算する。
実施の形態2.
以下では、演出制御部151、主制御部161、メダル数制御部171、CU制御部323との間における通信について、実施の形態2を用いて説明する。実施の形態1では、主制御部161は、主制御基板16に含まれ、メダル数制御部171は、メダル数制御基板17に含まれる構成について説明した。実施の形態2のS台2では、メダル数制御部171が主制御部161とともに、主制御基板16に含まれる構成について説明する。
図79は、実施の形態2におけるカードユニットおよびスロットマシンの内部構成を示すブロック図である。図79に示されるように、主制御部161は、メダル数制御部171および主制御部161の両方を含む。すなわち、主制御部161とメダル数制御部171とは、同一の基板上に搭載されている。これにより、主制御部161とメダル数制御部171との間をコネクタ等によって接続する必要がなく、セキュリティを高めることができる。また、部品点数が少なくなることによって、不具合が発生する確率を低減させることができる。
図79に示されるように、主制御部161は、リールモータ32L,32C,32Rと、設定キースイッチ37と、リセット/設定スイッチ38と、スタートスイッチ7と、遊技補助表示器12と接続されている。なお、主制御部161は、リールモータ32L,32C,32Rと、設定キースイッチ37と、リセット/設定スイッチ38と、スタートスイッチ7と、遊技補助表示器12と、メダル数制御部171を介して、接続される構成であってもよい。すなわち、リールモータ32L,32C,32Rと、設定キースイッチ37と、リセット/設定スイッチ38と、スタートスイッチ7と、遊技補助表示器12とは、メダル数制御部171と接続されてもよい。
また、メダル数制御部171は、計数ボタン10と、クレジット表示器11と、RAMクリアスイッチ293と、役比モニタ89と接続されている。なお、メダル数制御部171は、計数ボタン10と、クレジット表示器11と、RAMクリアスイッチ293と、役比モニタ89と、主制御部161を介して接続される構成であってもよい。計数ボタン10と、クレジット表示器11と、RAMクリアスイッチ293と、役比モニタ89とは、主制御部161と接続されてもよい。
図80は、演出制御部151、主制御部161、メダル数制御部171、CU制御部323の通信を説明するための図である。図80に示されるように、実施の形態2における主制御基板16には、メダル数制御部171と主制御部161とが搭載されている。主制御部161は、第1シリアル通信回路SR1と、第2シリアル通信回路SR2と、第3シリアル通信回路SR3とを備える。第1シリアル通信回路SR1~第3シリアル通信回路SR3は、マイコンなどの制御用コンピュータとして実現される主制御部161に搭載されているシリアル通信回路である。メダル数制御部171は、第4シリアル通信回路SR4と、第5シリアル通信回路SR5と、第6シリアル通信回路SR6とを備える。第4シリアル通信回路SR4~第6シリアル通信回路SR6も、マイコンなどの制御用コンピュータとして実現されるメダル数制御部171に搭載されているシリアル通信回路である。
主制御部161の第1シリアル通信回路SR1および第3シリアル通信回路SR3は、送信機能および受信機能を有する。図80に示されるように、第1シリアル通信回路SR1は、他の機器と接続するための端子として、送信端子Tx1と、受信端子Rx1とを有する。また、第1シリアル通信回路SR1は、送信用のバッファである送信バッファTb1と、受信用のバッファである受信バッファRb1とを有する。また、第3シリアル通信回路SR3も、送信端子Tx3と、受信端子Rx3と、送信バッファTb3と、受信バッファRb3とを有する。
一方で、主制御部161の第2シリアル通信回路SR2は、送信機能と受信機能のうち送信機能だけを有する。すなわち、第2シリアル通信回路SR2は、送信専用のシリアル通信回路である。図80に示されるように、第2シリアル通信回路SR2は、他の機器と接続するための端子として、送信端子Tx2と、送信用のバッファである送信バッファTb2とだけを有する。このため、第2シリアル通信回路SR2は、他の機器から信号(コマンド)を受信することができないように構成されている。これにより、一方向で信号送信するのにあたって好適に信号送信できる。すなわち、第2シリアル通信回路SR2は、一方向での信号の送信の必要がある主制御部161と演出制御部151との間の通信に対して好適に用いられ得る。
メダル数制御部171の第5シリアル通信回路SR5および第6シリアル通信回路SR6は、第1シリアル通信回路SR1、第3シリアル通信回路SR3と同様に、送信機能および受信機能を有する。すなわち、第5シリアル通信回路SR5は、送信端子Tx5、受信端子Rx5、送信バッファTb5、受信バッファRb5を有する。また、第6シリアル通信回路SR6は、送信端子Tx6、受信端子Rx6、送信バッファTb6、受信バッファRb6を有する。また、メダル数制御部171の第4シリアル通信回路SR4は、主制御部161の第2シリアル通信回路と同様に送信機能だけを有する。すなわち、第4シリアル通信回路SR4は、送信端子Tx4と、送信バッファTb4とを有する。
図80に示されるように、主制御部161とメダル数制御部171とは、第1シリアル通信回路SR1と第5シリアル通信回路SR5とを用いて、信号の通信を行う。上述したように、メダル数制御部171と主制御部161との間では、投入コマンド、精算コマンドなどの双方向性を有するコマンドが送信される。すなわち、メダル数制御部171と主制御部161との間の通信は、双方向通信を含む。このように、送信機能と、受信機能とを有する第1シリアル通信回路SR1と、第5シリアル通信回路SR5とを用いることにより、双方向通信を実現する。
また、メダル数制御部171とCU制御部323との通信は双方向通信であるため、メダル数制御部171では、接続端子板1000との通信のために、送信機能と受信機能の両方を有する第6シリアル通信回路SR6が用いられている。メダル数制御部171は、接続端子板1000を介してCU制御部323と接続されている。また、枠側情報コマンドは、双方向性を有さないメダル数制御基板17から主制御基板16への一方向で送信し続けるコマンドである。メダル数制御部171は、送信機能だけを有する第4シリアル通信回路SR4を用いて、枠側情報コマンドを、主制御部161の第3シリアル通信回路SR3に対して送信する。第3シリアル通信回路SR3は、試験信号を試験用基板300に送信する。このように、実施の形態2におけるS台2では、一方向通信については、送信機能だけを有するシリアル通信回路を用いて行い、双方向通信については、送信機能と受信機能との両方を有するシリアル通信回路を用いて行うことにより、一方向でのコマンド送信と、双方向でのコマンド送信とを分けてシリアル通信回路を使用することができ、好適なデータの通信をすることができる。
また、主制御部161は、メダル数制御部171からの投入コマンドなどの双方向性を有するコマンドを第1シリアル通信回路SR1の受信端子Rx1を用いて受信するとともに、応答コマンドを第1シリアル通信回路SR1の送信端子Tx1を用いて送信する。これにより、主制御部161とメダル数制御部171との間の双方向性を有するコマンドの送受信を第1シリアル通信回路SR1だけで完結させることができ、セキュリティを高めることができる。
また、図41にて説明したように、主制御部161は、投入コマンドなどの不定期に送信される双方向性を有するコマンドを受信したときに、メダル数制御部171に受信した旨を示す応答コマンドを送信する。これにより、メダル数制御部171は、投入コマンドなどが主制御部161によって正常受信されたことを判定できる。
さらに、主制御部161は、メダル数制御部171からの枠側情報コマンドを第1シリアル通信回路SR1とは異なる第第3シリアル通信回路SR3の受信端子Rx3を用いて受信する。これにより、主制御部161は、第1シリアル通信回路SR1に異常が生じても第3シリアル通信回路SR3を用いて、メダル数制御部171からのコマンドを受信することができる。
また、定期的に送信される枠側情報コマンドの通信は、メダル数制御部171の第4シリアル通信回路SR4と、主制御部161の第3シリアル通信回路SR3とを用いて行われている。一方で、定期的ではない投入コマンドなどの通信は、メダル数制御部171において、第4シリアル通信回路SR4ではなく第5シリアル通信回路SR5が用いられ、主制御部161において、第3シリアル通信回路SR3ではなく第1シリアル通信回路SR1が用いられている。これにより、定期的に送信される枠側情報コマンドと、遊技者の操作に基づいて送信される投入コマンド等が重なってしまい、オーバーフローが発生することを防止できる。
続いて、送信バッファの容量について説明する。一方向の通信に用いられる第2シリアル通信回路SR2の送信バッファTb2および第4シリアル通信回路SR4の送信バッファTb4は、128バイトである。一方で、双方向の通信に用いられる第1シリアル通信回路SR1の送信バッファTb1、第3シリアル通信回路SR3の送信バッファTb3、第5シリアル通信回路SR5の送信バッファTb5、および第6シリアル通信回路SR6の送信バッファTb6は、64バイトである。これにより、一方向通信のためのシリアル通信回路において、多くのコマンドが送信される場合であっても、オーバーフローし難くなる。
続いて、内部機能レジスタ領域に含まれている各シリアル通信回路の機能設定用の記憶領域について説明する。図60にて説明したRAM161cの内部機能レジスタ領域には、マイコンなどの制御用コンピュータである主制御部161の機能として搭載されている第1シリアル通信回路SR1~第3シリアル通信回路SR3が有する機能を設定する領域が含まれている。同様に、RAM171cの図示されない内部機能レジスタ領域には、マイコンなどの制御用コンピュータであるメダル数制御部171の機能として搭載されている第4シリアル通信回路SR4~第6シリアル通信回路SR6が有する機能を設定する領域が含まれている。
一方向の通信に用いられるシリアル通信回路の機能設定領域の容量は、双方向の通信に用いられるシリアル通信回路の機能設定領域の容量よりも小さい。これにより、一方向通信のためのシリアル通信回路において、複雑な設定が必要なく、設定を簡素化できる。すなわち、RAM161c内の第2シリアル通信回路SR2の機能設定領域の容量は、RAM161c内の第1シリアル通信回路SR1の機能設定領域の容量よりも小さい。
また、図80に示されるように、主制御部161、メダル数制御部171、演出制御部151、接続端子板1000と、シリアル通信回路で接続されている。これによって、配線パターンの取り回しが容易になる。換言すれば、パラレル通信と比較して、配線数を少なくすることができるため、配線パターンの配置が容易となる。
[主な構成]
以上、本実施の形態に係るS台2を説明した。以下において、本実施の形態に係るS台2の主な構成について説明する。
(1) 遊技を行うことが可能な遊技機(たとえば、S台2)であって、
遊技の進行の制御を行う遊技制御手段(たとえば、主制御部161)と、
演出の制御を行う演出制御手段(たとえば、演出制御部151)と、を備え、
前記遊技制御手段は、
所定の計数開始条件(たとえば、S台2に対する電源の投入)が成立してから行われた遊技における遊技用価値の使用数を累積計数し(たとえば、図69に示される主制御部161による使用数計数処理:Sg4)、
前記所定の計数開始条件が成立してから行われた遊技における遊技用価値の付与数を累積計数し(たとえば、図69に示される主制御部161による付与数計数処理:Sg6)、
前記付与数を累積計数した累積付与数が、前記使用数を累積計数した累積使用数よりも大きいときに(たとえば、図69のSg15でNO)、前記累積付与数と前記累積使用数との間の差数として、前記累積付与数から前記累積使用数を減算した数を記憶し、
前記累積付与数が、前記累積使用数よりも小さいときに(たとえば、図69のSg15でYES)、前記差数として0を記憶し(たとえば、図69のSg14にて差数が0に更新され)、
記憶した前記差数が制限数(たとえば、19000枚)に達したときに、遊技の進行を不能化する(たとえば、図69のSg21にて打止フラグをONにする)。
具体的には、図69に示されるように、メダルの累積使用数と累積付与数との差である差数が終日の制限数となったときに遊技機の状態を遊技の進行が不能な状態に制御する場合において、累積付与数が累積使用数以下の場合は、差数を0として算出して記憶することにより、累積付与数が累積使用数以下の場合に差数を算出する必要がなく、記憶領域の使用容量の増大を抑制することができる。
(1-1) 前記遊技制御手段は、記憶した前記差数と前記制限数との間の差(たとえば、安全装置発動残数)が所定数(たとえば、127)よりも小さいときに、前記差数と前記制限数との間の差を特定可能なコマンドを前記演出制御手段に送信する(たとえば、図68のSk2に示されるように、図69のSg18にて127より小さくなったら、安全装置発動残数に対応する数値を特定可能な安全装置発動残数コマンドを送信する)、遊技機。
具体的には、差数と制限数との差が127よりも小さくなった場合に、差数と制限数との差を特定可能である安全装置発動残数を示すコマンドが主制御部161から演出制御部151へと送信されることにより、通信によって生じるデータ容量の増大を抑制することができる。
(1-2) 前記遊技制御手段は、
前記差数と前記制限数との差が前記所定数より小さくなった場合、前記差数と前記制限数との差を特定可能なコマンドを送信し、
前記差数と前記制限数との差が前記所定数以上である場合、前記所定数より小さくなるまでの間、前記所定数以上の一の特定値(たとえば、127)を特定可能なコマンドを送信する(たとえば、図69のSg18にて127を越える場合は、127を固定の値として含む安全装置発動残数コマンドを送信する)。
具体的には、差数と制限数との差が127以上である場合、安全装置発動残数が127以上であること示すコマンドを送信することにより、差数が制限に達していないことを演出制御部151に認識させることができる。
(1-3) 前記差数はnビットの記憶領域(たとえば、RAM161c)に記憶され、
前記差数と前記制限数の差が前記所定数より小さくなったか否かを、nビットの記憶領域のうち、所定ビット(たとえば、8ビット目)の値を判定値として判定する(たとえば、図69のSg18にて、RAM161cに記憶されている差数または安全装置発動残数の8ビット目が「1」であるか「0」であるかに基づいて、差数が所定数より小さくなったか否かを判定する)。
具体的には、所定ビットの値を用いて差数が制限数に近くなったことを判定するため、判定処理を簡易にすることができる。
(1-4) 再遊技表示結果が導出された遊技において付与される遊技用価値の数は0とし(たとえば、図69のSg5にてリプレイ入賞の場合は入賞メダル数を0とし)、再遊技表示結果が導出により再遊技として実行される遊技において使用される遊技用価値の数は0とする(たとえば、図69のSg2でNOの場合、投入済みメダル枚数は取得されない)。
具体的には、前ゲームの情報を持ち越さずにデータを管理することができる。
(1-5) 再遊技が入賞したときに再遊技第1フラグ(たとえば、図66のSb40における再遊技中フラグ)と再遊技第2フラグ(たとえば、図64に示される算出用再遊技フラグ)とをセットし(たとえば、図69に示されるようにリプレイ役が入賞した場合は、Sg9にて算出用再遊技フラグがONとなる)、
前記再遊技第1フラグは、当該再遊技に基づく新たなゲームに対する賭数が設定されるときにクリアされ(たとえば、図66のSb40)、
前記再遊技第2フラグは、当該再遊技に基づく新たなゲームにおいて使用される遊技用価値の数が0として更新されるときにクリアされる(たとえば、図69のSg7にて算出用再遊技フラグがOFFとなる)。
具体的には、電断が生じた場合においても、新たなゲームにおいて使用されるメダルの数と、終日の使用数との間で不整合が生じることを防止できる。
(1-6) 前記再遊技第2フラグ(たとえば、図64の算出用再遊技フラグ)は、前記遊技機の電源断から復旧したときにクリアされる(たとえば、図65に示されるSh2にて、算出用再遊技フラグが初期化される)。
具体的には、設定変更がされたときにおいても、電源復旧した後のゲームにおいて使用される遊技用価値の数が誤って0として更新されることを防止できる。
(1-7) 前記遊技制御手段は、単位遊技ごとに、該単位遊技における遊技用価値の使用数と、該単位遊技における遊技用価値の付与数とを特定可能なコマンド(たとえば、図11に示される遊技開始時コマンドまたは図12に示される遊技終了時コマンド)を、前記演出制御手段に送信し(たとえば、図72に示されるように、主制御部161は、遊技開始時コマンドおよび遊技終了時コマンドを送信する)、
前記演出制御手段は、前記所定の計数開始条件が成立してから行われた遊技における遊技用価値の使用数を累積計数(たとえば、演出制御側の使用数)し、前記所定の計数開始条件が成立してから行われた遊技における遊技用価値の付与数(たとえば、演出制御側の付与数)を累積計数可能である(たとえば、図73、図74にて説明したように、S台2では、主制御部161のみならず、演出制御部151側においても累積付与数と、累積使用数とが計数される)。
具体的には、演出制御部151においても、終日の累積付与数と累積使用数とを算出することができる。
(1-8) 前記遊技制御手段は、遊技用価値の増加割合が1を超えない通常状態(たとえば、通常区間または有利区間通常状態)と、遊技用価値の増加割合が1を超える特定状態(たとえば、AT状態、エンディング状態)とに制御可能であり、
前記演出制御手段は、前記特定状態に制御されている場合(たとえば、図75のSp3でYES)に、遊技者に対する報知を行う(たとえば、図75に示されるように、演出制御部151はステップSp4にて遊技不能化することを報知する)。
具体的には、遊技用価値の増加割合が1を越える状態、すなわち、差数が減少していく状態において、差数を報知することができる。
(1-9) 前記遊技制御手段は、前記遊技機の状態を遊技の進行が不能な状態に制御する場合(たとえば、図65のSh1でNO)、前記差数を保持する(たとえば、図65に示されるように、電断から復帰した時に打止フラグがONである場合、初期化されない)。
具体的には、不具合によって遊技の進行が可能な状態に制御されたとしても、再度、適切に変数を保持した状態のまま、不能な状態に制御することができる。
(1-10) 前記遊技制御手段は、前記遊技機の状態を遊技の進行が不能な状態から遊技の進行が可能な状態に制御するとき、特定状態への制御に係る情報(たとえば、有利区間に関する情報)を初期化する(たとえば、図71のSf5に示されるように、設定変更処理が行われなければ、エラーが解除されない)。
具体的には、遊技用価値が過度に付与されることを防止できる。
(1-11) 終日の遊技用価値の使用数、および終日の遊技用価値の付与数は、前記遊技機への電源再投入によって初期化される(たとえば、図65に示されるように、電源断後に実行されるSh2にて累積使用数、累積付与数が初期化される)。
具体的には、終日の差数を好適に記憶できる。
(1-12) 前記遊技制御手段は、
遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な有利区間において付与された遊技用価値の数が上限値(たとえば、2400枚)に達するまで前記有利区間に制御可能であり(たとえば、図4に示されるようにエンディング状態に移行する)、
所定の単位遊技において、前記有利区間において付与された遊技用価値の数が前記上限値に達し、かつ、前記差数が前記制限数(たとえば、19000枚)となった場合、有利区間を終了させた後に、遊技の進行を不能化する(たとえば、図66に示されるように、Sb50の安全装置処理がメイン処理の最後に実行される)。
具体的には、遊技の進行が不能な状態に制御する前に有利区間を好適に終了させることができる。
(1-13) 前記遊技制御手段は、
前記有利区間において付与された遊技用価値の数が前記上限値(たとえば、2400枚)に達するまで前記有利区間に制御可能であり(たとえば、図4に示されるようにエンディング状態に移行する)、
前記有利区間において外部に対して信号を出力する外部信号出力が可能であり、
所定の単位遊技において、前記有利区間において付与された遊技用価値の数が前記上限値に達し、かつ、前記差数が前記制限数(たとえば、19000枚)となった場合、前記外部信号出力を停止した後に、遊技の進行を不能化する(図66に示されるように、Sbw2の外部出力信号処理が、Sb50の安全装置処理よりも先に実行される)。
具体的には、外部信号出力を好適に終了させておくことができる。
(2) 前記遊技制御手段は、
第1プログラム(たとえば、遊技RAM領域(容量内プログラム))に従って、命令を実行するときには第1バンクのレジスタ(たとえば、図61に示される第1レジスタバンクR1)を使用し、
第1プログラムから呼び出される第2プログラム(たとえば、非遊技RAM領域(容量外プログラム))に従って命令を実行するときには第2バンクのレジスタ(たとえば、図61に示される第2レジスタバンクR2)を使用し、
特定レジスタ(たとえば、第1Qレジスタまたは第2Qレジスタ)の値を上位アドレスとし、命令ごとに指定される値を下位アドレスとして、データを読み出すアドレスを指定可能な特別読出命令(たとえば、LDQ命令)を実行可能であり、
第1プログラムにおいて前記特別読出命令を実行するときは、第1バンクに含まれる第1特定レジスタ(たとえば、第1Qレジスタ)の値を上位アドレスとし(たとえば、遊技RAM領域のプログラムを実行する際は、第1レジスタバンクR1が使用される)、
第2プログラムにおいて前記特別読出命令を実行するときは、第2バンクに含まれる第2特定レジスタ(たとえば、第2Qレジスタ)の値を上位アドレスとする(たとえば、非遊技RAM領域のプログラムを実行する際は、第2レジスタバンクR2が使用される)。
具体的には、遊技プログラムと非遊技プログラムとのそれぞれにおいて、命令実行時のプログラム容量を削減することができる。
(2-1) 前記遊技制御手段は、遊技の制御を開始する前に、前記第1特定レジスタに値を設定するとともに、前記第2特定レジスタに値を設定する(たとえば、図62のSj1に示されるように、マイコンの機能によって第1Qレジスタおよび第2Qレジスタの値が設定される。もしくは、図63の初期設定処理のSa2Qにて、遊技制御が開始される前に第1Qレジスタおよび第2Qレジスタの値が設定される)。
具体的には、遊技の制御を開始する前に値を予め設定しておくことにより、処理が簡素化される。
(2-2) 前記第1特定レジスタの値、および前記第2特定レジスタの値は、前記遊技制御手段が起動した後、ユーザプログラム(たとえば、図62のステップSj2に実行されるプログラムであって、初期設定処理を含むプログラム)が実行される前に、設定される。(たとえば、図62に示されるように、マイコンの機能によって第1Qレジスタおよび第2Qレジスタの値が設定される。)
具体的には、ユーザプログラムによってQレジスタの値を設定する必要がない。
(2-3) 前記遊技制御手段は、前記ユーザプログラムにおいて、遊技を進行させるための初期設定処理を実行し、初期設定処理において前記第1特定レジスタに値を設定するとともに、前記第2特定レジスタに値を設定する(たとえば、図63に示されるように、初期設定処理において、遊技の制御が開始される前にSa2Qにて第1Qレジスタおよび第2Qレジスタの値が設定される。)。
具体的には、ユーザプログラムにおいて、Qレジスタに値を任意に設定できる。
(2-4) 遊技の制御を開始する前に、前記第1特定レジスタに値を設定するとともに、前記第1プログラムから前記第2プログラムを呼び出すごとに、前記第2特定レジスタの値を設定する(たとえば、図65のSQ2および図67のSQ5に示されるように、非遊技RAM領域のプログラムを実行する度に、第2Qレジスタの値を設定し直す。)。
具体的には、第2Qレジスタに意図しない値が設定されていた場合においても、非遊技RAM領域が呼び出される度に第2Qレジスタの値を設定するため、不具合防止を担保できる。
(2-5) 前記第1特定レジスタと前記第2特定レジスタとには、同じ値(たとえば、第1バンクの内部抽選領域など)が格納される。
具体的には、遊技プログラムと非遊技プログラムとの間で、LDQ命令の扱いを区別する必要がなくなる。
(3) 前記遊技制御手段(たとえば、主制御部161)と、
前記遊技制御手段からコマンドを受信し得るとともに、前記遊技制御手段にコマンドを送信し得る特定制御手段(たとえば、メダル数制御部171)と、
前記遊技制御手段からコマンドを受信し得るとともに、前記遊技制御手段にコマンドを送信し得ない前記演出制御手段(たとえば、演出制御部151)と、を備え、
前記遊技制御手段は、
第1通信手段(たとえば、第1シリアル通信回路SR1(送受信可能))と、
第2通信手段(たとえば、第2シリアル通信回路SR2(送信のみ可能))と、を有し、
前記第1通信手段を用いて前記特定制御手段へデータを送信し(たとえば、図80に示されるように、主制御部161は、第1シリアル通信回路SR1を用いてメダル数制御部171へデータを送信する)、
前記第2通信手段を用いて前記演出制御手段へデータを送信する(たとえば、図80に示されるように、主制御部161は、第2シリアル通信回路SR2を用いて演出制御部151へデータを送信する)。
具体的には、一方向でのコマンド送信と、双方向でのコマンド送信とを分けて使用することができ、好適なデータの通信をすることができる。
(3-1) 前記第1通信手段(たとえば、第1シリアル通信回路SR1)は、送信機能(たとえば、送信端子Tx1)と受信機能(たとえば、受信端子Rx1)とを有し、
前記第2通信手段(たとえば、第2シリアル通信回路SR2)は、送信機能と受信機能のうち送信機能(たとえば、送信端子Tx2)のみを有する(たとえば、図80に示されるように、第2シリアル通信回路SR2は、送信端子Tx2のみを有する)。
具体的には、一方向で信号送信するのにあたって好適に信号送信できる。
(3-2) 前記第1通信手段(たとえば、第1シリアル通信回路SR1)は、送信するためのデータを格納可能である第1量(たとえば、64バイト)の前記第1送信バッファ(たとえば、送信バッファTb1)を有し、
前記第2通信手段(たとえば、第2シリアル通信回路SR2)は、送信するためのデータを格納可能である第2量(たとえば、128バイト)の前記第2送信バッファ(たとえば、送信バッファTb2)を有し、
前記第2量は、前記第1量よりも大きい。
具体的には、一方向通信のための通信回路において、多くのコマンドを送信した場合であっても、オーバーフローし難くなる。
(3-3) 前記第1通信手段における機能設定用の記憶領域(たとえば、図60における内部機能レジスタ領域)の容量は、第3量であり、
前記第2通信手段における機能設定用の記憶領域(たとえば、図60における内部機能レジスタ領域)の容量は、前記第3量よりも小さい第4量である。
具体的には、一方向通信のための通信回路において、複雑な設定が必要なく、設定を簡素化できる。
(3-4) 前記遊技制御手段(たとえば、主制御部161)は、前記特定制御手段(たとえば、メダル数制御部171)にコマンドを前記第1通信手段(たとえば、第1シリアル通信回路SR1)の送信機能(たとえば、送信端子Tx1)を用いて送信するとともに、前記特定制御手段からのコマンドを前記第1通信手段の受信機能(たとえば、受信端子Rx1)を用いて受信する。
具体的には、第1シリアル通信回路SR1で送受信を完結させることができ、セキュリティが高まる。
(3-5) 前記遊技制御手段(たとえば、主制御部161)は、前記特定制御手段(たとえば、メダル数制御部171)からのコマンドを前記第1通信手段とは異なる第3通信手段(たとえば、第3シリアル通信回路SR3)の受信機能(たとえば、受信端子Rx3)を用いて受信する。
具体的には、第1シリアル通信回路SR1に異常が生じても第3シリアル通信回路SR3でコマンドを受信することができる。
(4 その1) 前記遊技制御手段(たとえば、主制御部161)と、前記特定制御手段(たとえば、メダル数制御部171)と、を備え、
前記特定制御手段は、
前記遊技制御手段に対し定期的にコマンド送信する定期コマンド送信処理(たとえば、図40に示される枠側情報コマンドの送信処理)と、
前記遊技制御手段に対し不定期にコマンド送信する不定期コマンド送信処理(たとえば、図39に示される投入コマンド、精算コマンド等の送信処理)と、を実行し、
前記特定制御手段(たとえば、メダル数制御部171)は、
送信するためのデータを格納可能である第4送信バッファ(たとえば、送信バッファTb4)に格納されたコマンドを送信する第4通信手段(たとえば、第4シリアル通信回路SR4)と、
送信するためのデータを格納可能である第5送信バッファ(たとえば、送信バッファTb5)に格納されたコマンドを送信する第5通信手段(たとえば、第5シリアル通信回路SR5)と、を有し、
定期コマンド送信処理により送信されるコマンド(たとえば、枠側情報コマンド)は、前記第4通信手段(たとえば、第4シリアル通信回路SR4)を用いて前記遊技制御手段に送信され、
不定期コマンド送信処理により送信されるコマンド(たとえば、投入コマンド、精算コマンドなど)は、前記第5通信手段(たとえば、第5シリアル通信回路SR5)を用いて前記遊技制御手段に送信される。
具体的には、定期コマンドと不定期コマンドとが重なってしまい、オーバーフローすることを防止できる。
(4 その2) 前記遊技制御手段(たとえば、主制御部161)と、前記特定制御手段(たとえば、メダル数制御部171)と、を備え、
特定制御手段は、
前記遊技制御手段に対し定期的にコマンド送信する定期コマンド送信処理(たとえば、図34に示される枠側情報コマンドの送信処理)と、
前記遊技制御手段に対し不定期にコマンド送信する不定期コマンド送信処理(たとえば、投入コマンド、精算コマンド等の送信処理)と、を実行し、
前記遊技制御手段(たとえば、主制御部161)は、
受信するためのデータを格納可能である前記第3受信バッファ(たとえば、受信バッファRb3)に格納されたコマンドを送信する前記第3通信手段(たとえば、第3シリアル通信回路)と、
受信するためのデータを格納可能である前記第1受信バッファ(たとえば、送信バッファTb1)に格納されたコマンドを送信する前記第1通信手段(たとえば、第1シリアル通信回路)と、を有し、
定期コマンド送信処理により送信されるコマンド(たとえば、枠側情報コマンド)は、前記第3通信手段(たとえば、第3シリアル通信回路SR3)を用いて前記遊技制御手段によって受信され、
不定期コマンド送信処理により送信されるコマンド(たとえば、投入コマンド、精算コマンドなど)は、前記第1通信手段(たとえば、第1シリアル通信回路SR1)を用いて前記遊技制御手段によって受信される。
具体的には、定期コマンドと不定期コマンドとが重なってしまい、オーバーフローすることを防止できる。
(4-1) 前記遊技制御手段は、不定期コマンド送信処理により送信されるコマンドを受信したときに、前記特定制御手段に受信した旨を示すコマンドを送信する(たとえば、図41に示されるように、ステップS13にて応答コマンドを送信する)。
具体的には、コマンドを正常受信したことをメダル数制御部171が判定することができる。
(4-2) 前記遊技制御手段と前記特定制御手段とは、同一の基板(たとえば、主制御基板16)上に搭載されている。
具体的には、主制御部161とメダル数制御部171との間をコネクタ等によって接続する必要がなく、セキュリティを高めることができる。
(4-3) 前記第1通信手段~前記第5通信手段の各々は、シリアル通信を行う回路である。
具体的には、配線パターンの取り回しが容易になる。
[変形例]
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
[第2Qレジスタに設定される値について]
実施の形態1において、LDQ命令に用いられるレジスタとして、第1Qレジスタと第2Qレジスタについて、第1Qレジスタには「F0」が設定され、第2Qレジスタには「F3」が設定されることを説明した。すなわち、主制御部161が用いるメモリ領域のアドレスマップに示されるように、遊技プログラムの実行に用いられる第1Qレジスタには、遊技RAM領域の上位アドレスである「F0」が設定され、非遊技プログラムの実行に用いられる第2Qレジスタには、非遊技RAM領域の上位アドレスである「F3」が設定されている。これは、遊技プログラムを実行する際には、遊技RAM領域を参照する頻度が高く、非遊技プログラムを実行する際には、非遊技RAM領域を参照する頻度が高いと考えられるためである。
しかしながら、変形例では、たとえば、第1Qレジスタと第2Qレジスタとの両方に、遊技RAM領域の上位アドレスである「F0」が設定されてもよい。第2Qレジスタに「F0」が設定されている場合、非遊技プログラムから遊技RAM領域を参照する場合にLDQ命令を使用することができる。また、第1Qレジスタと第2Qレジスタとの両方に同一の上位アドレスが設定されていることによって、プログラム設計が容易となる。換言すれば、遊技プログラムと非遊技プログラムとの間で、LDQ命令の扱いを区別することなく、プログラム設計をすることができる。
[シリアル通信回路ついて]
実施の形態2において、主制御部161、メダル数制御部171、演出制御部151、接続端子板1000と、シリアル通信回路で接続されている構成について説明した。しかしながら、主制御部161、メダル数制御部171、演出制御部151、接続端子板1000の間の通信の少なくとも一部は、パラレル通信であってもよい。これにより、通信速度を高速化することができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 S台、2L,2C,2R リール、6 MAXBETスイッチ、7 スタートスイッチ、8L,8C,8R ストップスイッチ、51 液晶表示器、16 主制御基板、17 メダル数制御基板。

Claims (1)

  1. 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
    遊技の進行の制御を行う遊技制御手段と、
    演出の制御を行う演出制御手段と、を備え、
    前記遊技制御手段は、
    所定の計数開始条件が成立してから行われた遊技における遊技用価値の使用数を累積計数し、
    前記所定の計数開始条件が成立してから行われた遊技における遊技用価値の付与数を累積計数し、
    前記付与数を累積計数した累積付与数が、前記使用数を累積計数した累積使用数よりも大きいときに、前記累積付与数と前記累積使用数との間の差数として、前記累積付与数から前記累積使用数を減算した数を記憶し、
    前記累積付与数が、前記累積使用数よりも小さいときに、前記差数として0を記憶し、
    記憶した前記差数が制限数に達したときに、遊技の進行を不能化し、
    記憶した前記差数と前記制限数との間の差が所定数よりも小さいときに、前記差数と前記制限数との間の差を特定可能なコマンドを前記演出制御手段に送信する、遊技機。
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