JP2023079842A - 端子、端子付き電線、ワイヤハーネス、端子付き電線の製造方法 - Google Patents

端子、端子付き電線、ワイヤハーネス、端子付き電線の製造方法 Download PDF

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Hirokazu Takahashi
裕文 河中
Hirofumi Kawanaka
徹也 平岩
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Abstract

【課題】 接続強度と接続抵抗を両立することが可能な端子等を提供する。【解決手段】 端子付き電線10は、端子1と被覆導線11とが電気的に接続されて構成される。端子1の圧着部5は、被覆導線11と圧着される部位であり、被覆導線11の先端側に被覆部15から露出する導線13を圧着する導線圧着部7と、被覆導線11の被覆部15を圧着する被覆圧着部9とを有する。導線圧着部7は、板状部材が丸められて略筒状に形成される。板状部材の突合せ部23は、導線圧着部7の軸方向の全長にわたって溶接されるのではなく、一部のみ溶接部25で溶接される。例えば、溶接部25は、導線圧着部7の軸方向に対して、間欠的に配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車等に用いられる端子付き電線等に関するものである。
通常、自動車用ワイヤハーネスは、被覆導線の導体に圧着端子が接続された後に束ねられて、自動車等の信号線などとして配索される。一般的な被覆導線と圧着端子は、被覆導線の先端部の被覆が除去され、露出させた導体と導線圧着部とが圧着され、被覆部が被覆圧着部で圧着されて接続される。自動車用ワイヤハーネスはこの導線圧着部の接続強度と被覆圧着部の接続強度の合算で、圧着端子と被覆導線の接続強度の要求を満足させている。
導線圧着部としては、例えば、一対のバレル片を折り曲げて、導線に食い込ませるようにして圧着を行う、いわゆるオープンバレル型や、筒状に形成した導線圧着部に導線を挿入して圧着を行うことで、圧着部を封止することを可能とした筒状の圧着部などが提案されている(例えば、特許文献1、2)。
特開2021-89834号公報 特開2016-46171号公報
近年、特に、自動車分野においては、CASE等の対応により、ECUやセンサ類等が増加し、これに伴い使用する電線本数の増加が著しい。このような中、ワイヤハーネスの線径増大が課題となる。このため、自動車用電線のさらなる細径電線が求められている。例えば、従来の一般的な0.35sq(sq:mmの意味)以下の細径の電線が求められている。
このように、特に細径の電線を圧着する際、例えば、特許文献1のような一般的なオープンバレル型の端子では、圧着後にバレル片の先端が導線を構成する導体に食い込むため、導体のばらけや破断のおそれがあり、接続強度と電気抵抗の低下の要因となる。また、接続強度を向上させるため、内部に抗張力線を有する被覆導線を用いる方法があるが、この場合でも、バレル片の先端が導線に食い込むため、導体と抗張力線とが一体で圧着されず、接続強度等の低下の要因となる。
一方、特許文献2のような筒型の端子のように、導線を略円形に全周から圧着する方法では、オープンバレル型のような食い込みは抑制されるが、筒状部が溶接によって封止されるため、加工時間がかかる。また、導線圧着部の全長にわたって溶接されるため、溶接の方法によっては、溶接部と非溶接部との間に強度差が生じるおそれがあり、圧着した際に、内部の導線の伸びと、端子の圧着部の伸びとが周方向で均一とならず、接続強度の低下の懸念がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、接続強度と接続抵抗を両立することが可能な端子等を提供することを目的とする。
前述した目的を達するために第1の発明は、被覆導線と電気的に接続される端子であって、前記被覆導線の先端の被覆部から露出する導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆導線の前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、を具備し、前記導線圧着部は、断面が略円形の筒状に形成され、対向する前記板状部材の端部同士が、前記導線圧着部の軸方向に対して、一部のみ溶接されていることを特徴とする端子である。
第1の発明によれば、板状部材が筒状に丸められることで導線圧着部が形成されているため、圧着時に板状部材の先端を導線に対して折り曲げるように圧着する必要がなく、筒状のまま圧着することが可能である。このため、通常のオープンバレル型の圧着のように、バレル片の先端を導線に食い込ませて圧着するものと異なり、導線に板状部材を食い込ませることなく圧着することができる。
また、板状部材の突合せ部が全長にわたって溶接されていないため、溶接部と非溶接部との強度差が生じたとしても、強度差を有する部位が軸方向に連続しない。このため、溶接部と非溶接部との強度差による影響を抑制することができる。また、全周にわたって略均一に圧着することができるため、接合強度を高めることができる。また、筒状の導線圧着部は、板状部材を丸めて形成することができるため、端子の製造も容易である。また、一部のみでも溶接されていることで、板状部材の端部が過剰に折れ曲がることを抑制することができる。
第2の発明は、第1の発明に係る端子と被覆導線とが電気的に接続される端子付き電線であって、前記被覆導線は、複数の前記導線と、少なくとも1本の抗張力体からなり、前記被覆導線の長手方向に垂直な断面において、前記抗張力体が前記被覆導線の略中心に位置し、前記導線が前記抗張力体の外周部に配置されていることを特徴とする端子付き電線である。
前記導線が前記抗張力体の外周部で撚り合わせられていることが望ましい。
第2の発明によれば、接続強度と接続抵抗を両立することが可能な端子付き電線を得ることができる。
また、中央部の抗張力体を設けることで、導線の引張強度を確保することができる。また、導線が、抗張力体の外周で撚られていれば、導線のばらけが生じることを抑制することができる。
第3の発明は、第2の発明にかかる端子付き電線を含む、複数の端子付き電線が一体化されたことを特徴とするワイヤハーネスである。
第3の発明によれば、電線が複数束ねられたワイヤハーネスを得ることができる。
第4の発明は、端子付き電線の製造方法であって、端子は、導線圧着部と被覆圧着部とを有するオープンバレル型であり、前記導線圧着部のバレル片の端部を突合せるように丸めて、突合せ部を、前記導線圧着部の軸方向に対して一部のみ溶接して、筒状の前記導線圧着部に被覆導線の被覆部の先端から露出する導線を挿入して、前記導線圧着部で前記導線を全周から略筒状に圧着するとともに、前記被覆圧着部で前記被覆部を圧着することを特徴とする端子付き電線の製造方法である。
第4の発明によれば、一対のバレル片からなる導線圧着部を有するオープンバレル型の端子を用い、そのままバレル片を折り曲げるように導線を圧着するのではなく、導線圧着部を一旦筒状に丸めて、略筒状のまま導線を圧着するため、バレル片が導線に食い込むことがない。また、バレル片の先端部同士の一部のみしか溶接されていないため、少なくとも非溶接部においては、全周にわたって略均一に圧着することができ、接合強度を高めることができる。
本発明によれば、接続強度と接続抵抗を両立することが可能な端子等を提供することができる。
端子付き電線10を示す斜視図。 端子付き電線10を示す平面図。 端子付き電線10を示す断面図であって、(a)は図2のA-A線断面図、(b)は図2のB-B線断面図。 (a)~(d)は、端子付き電線10を示す他の断面図。 圧着前の端子1を示す斜視図。 (a)、(b)は、圧着前の端子1を示す斜視図。 圧着前の端子1を示す斜視図。 (a)は、導線13の先端部を示す図、(b)~(d)は、端末処理部19の形態を示す図。 端末処理部19の形態を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、端子付き電線10を示す斜視図であり、図2は、端子付き電線10を示す平面図である。端子付き電線10は、端子1と被覆導線11とが電気的に接続されて構成される。
被覆導線11は、例えば、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である導線13と、導線13を被覆する被覆部15からなる。すなわち、被覆導線11は、被覆部15と、その先端から露出する導線13とを具備する。
端子1は、例えば銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。端子1には被覆導線11が接続される。端子1は、端子本体3と圧着部5とがトランジション部4を介して連結されて構成される。
端子本体3は、所定の形状の板状部材を、断面が矩形の筒体に形成したものである。端子本体3は、内部に、板状部材を矩形の筒体内に折り込んで形成される弾性接触片を有する。端子本体3は、前端部から雄型端子などが挿入されて接続される。なお、以下の説明では、端子本体3が、雄型端子等の挿入タブ(図示省略)の挿入を許容する雌型端子である例を示すが、本発明において、この端子本体3の細部の形状は特に限定されない。例えば、雌型の端子本体3に代えて雄型端子の挿入タブを設けてもよいし、丸型端子のようなボルト締結部を設けても良い。
端子1の圧着部5は、被覆導線11と圧着される部位であり、被覆導線11の先端側に被覆部15から露出する導線13を圧着する導線圧着部7と、被覆導線11の被覆部15を圧着する被覆圧着部9とを有する。すなわち、被覆部15が剥離されて露出する導線13が、導線圧着部7により圧着され、導線13と端子1とが電気的に接続される。また、被覆導線11の被覆部15は、端子1の被覆圧着部9によって圧着される。
なお、導線圧着部7の内面の一部には、幅方向(長手方向に垂直な方向)に、図示を省略したセレーションが設けられてもよい。このようにセレーションを形成することで、導線13を圧着した際に、導線13の表面の酸化膜を破壊しやすく、また、導線13との接触面積を増加させることができる。
導線圧着部7は、板状部材が丸められて略筒状に形成される。板状部材の突合せ部23は、導線圧着部7の軸方向の全長にわたって溶接されるのではなく、一部のみ溶接部25で溶接される。例えば、図示したように、溶接部25は、導線圧着部7の軸方向に対して間欠的に配置される。
図3(a)は、図2のA-A線断面図であり、図3(b)は、図2のB-B線断面図である。導線圧着部7においては、導線13が全周から略筒状に圧着される。なお、図3(a)、図3(b)に示す例では、導線13は、例えば複数の導体素線が撚り合わせられて形成される。この際、導体素線の配置や本数は、図示したように、2層(例えば16本)に撚り合わせられる例には限られない。例えば、導線13は1層(例えば7本)であってもよく、3層以上であってもよい。
また、圧着後の導線圧着部7の形状は略円形であることが望ましい。ここで、導線圧着部7が略円形とは、図3(a)、図3(b)に示すように、多少の偏平形状(略楕円形状)を含み、また、金型の合わせ部に対応する部位の外周に、わずかな突起が形成される場合も含む。
また、被覆導線11は、図4(a)、図4(b)に示すように、導線13と、抗張力体17とが被覆部15で被覆されていてもよい。抗張力体17は、引張荷重に対して張力を受ける部材である。例えば、被覆導線11の長手方向に垂直な断面において、少なくとも1本の抗張力体17が被覆導線11の略中心に位置し、複数の導体素線が抗張力体17の外周部に配置されていてもよい。なお、抗張力体17と導線13とから構成される導線を、複合導体12とする。
この際、抗張力体17の外周に配置されるそれぞれの導体素線は、同一断面積の同一形状であってもよい。さらに、抗張力体17の外周部に、導線13が、被覆導線11の長手方向に螺旋状に撚られていてもよい。なお、抗張力体17は、1本(一体)の抗張力線であってもよく、複数の素線からなってもよい。また、抗張力体17の周囲に複数層で導体素線が配置されてもよい。この場合でも、導線圧着部7の軸方向に対して、一部のみ溶接部25で溶接される。
また、圧着後の略円形の導線圧着部としては、図4(c)、図4(d)に示すように、突合せ部23がわずかに中心方向に折れ曲がっていてもよい。この場合でも、溶接部25によって、突合せ部23が過剰に導線13に食い込むことが抑制される。
ここで、導線13の断面積(素線の断面積の総計)又は抗張力体17が用いられる場合には、複合導体12の断面積(導線13と抗張力体17の断面積の総計)は、0.35sq以下であることが望ましく、この場合には、端子1は、断面積が0.35sq以下の導線13を圧着可能であることが望ましい。さらには、導線13又は複合導体12の断面積(素線の断面積の総計又は導線13と抗張力体17の断面積の総計)は、0.3sq以下であることが望ましく、この場合には、端子1は、断面積が0.3sq以下の導線13を圧着可能であることが望ましい。また、例えば複合導体12が用いられる場合には、導線13と抗張力体17の断面積の総計は0.05sq以下であってもよい。導線13の断面積(または導線13と抗張力体17の断面積の総計)が小さいほど、本実施形態の効果が大きい。
なお、抗張力体17は、鋼線などの金属線であってもよく、樹脂や繊維強化樹脂であってもよい。また、前述したように、抗張力体17としては、単線であってもよく、アラミド繊維などの複数の繊維を束ねたものであってもよい。このような抗張力体17を用いることで、例えば、複合導体12の断面積が0.05sq以下であっても、導線圧着部7における導線の引張強度として、50N以上を確保することができる。なお、このような複合導体としては、例えば表1のような電線を適用可能である。
Figure 2023079842000002
次に、端子付き電線10の製造方法について説明する。図5は、圧着前の端子1を示す斜視図である。本実施形態では、導線圧着部7と被覆圧着部9とを有する通常のオープンバレル型の端子を用いることができる。すなわち、加工前の端子1は、導線圧着部7と被覆圧着部9は、いずれも一対のバレル片からなる。
本発明では、圧着前に、図6(a)に示すように、導線圧着部7のバレル片(板状部材)の端部を突き合わせるように丸めて、断面が略円形となるように筒状に形成する。
突合せ部23は、導線圧着部7の軸方向に対して略まっすぐに全長にわたって形成される。また、筒状に形成された導線圧着部7には、内外面に突合せ部23以外の凹凸や断面形状の変化部は形成されない。また、被覆圧着部9については、導線13の挿入性を確保するため、オープンバレル形状をそのまま残すことが望ましい。なお、オープンバレル型の端子に対して、追加加工を行うのではなく、板状素材から端子1を形成する際に、一度に導線圧着部7を筒状に形成してもよい。
次に、図6(b)に示すように、突合せ部23を、導線圧着部7の軸方向に対して一部のみを、例えばレーザ溶接によって溶接する。すなわち、対向するバレル片(板状部材)の端部同士の突合せ部23は、導線圧着部7の軸方向に対して、一部のみ溶接部25で溶接される。例えば、突合せ部23に対して、点状に複数の溶接部25を形成してもよく、導線圧着部7の軸方向に対して、所定の長さで溶接してもよい。
なお、図示したように、溶接部25は、導線圧着部7の軸方向に対して間欠的に複数個所に形成することが望ましく、この際、導線圧着部7の軸方向長さにおいて、溶接部25の総長が非溶接部の総長以下であることが望ましい。また、導線圧着部7の軸方向の両端部(先後端)を非溶接部とすることで、少なくとも導線圧着部7の軸方向の両端部では、溶接部25が存在しないため、周方向に対して均一に圧縮することが可能となる。一方、導線圧着部7の軸方向の両端部(先後端)をあえて溶接部25とすることで、圧着時にバレル片の過剰な変形をより確実に抑制することができる。
なお、突合せ部23は、溶接時において、端部同士が接触して隙間が0であってもよいが、加工時のスプリングバック等により、わずかに隙間が形成されてもよい。この際、対向するバレル片(板状部材)の端部同士の隙間は、導線13を構成する導体素線径よりも小さいことが望ましく、例えば、0.01mm以下であることが望ましい。なお、溶接部25以外の部位において、あえて突合せ部23に隙間が形成されることで、導線13の挿入時に、導線圧着部7の内部の導線13の位置を把握することができる。
被覆導線11は、予め先端部の被覆部15を剥離して、先端部の導線13を露出させておく。なお、被覆導線11を端子1の圧着部5へ挿入する前に、図8(a)に示すように、導線13の先端部に端末処理部19を形成してもよい。端末処理部19は、導線13の各素線がばらけないように一体化する処理部である。
図8(b)は、端末処理前における導線13の先端部の形態を示す図である。本実施形態では、被覆導線11の先端から見た際に、抗張力体17が略中央に配置され、その外周に導線13が配置される。導線13は複数の素線からなる。なお、本実施形態では、中央に抗張力体17を有する場合について説明するが他の被覆導線でも同様である。
図8(b)に示すように、導線13の少なくとも先端部を、外周側から圧縮することで、端末処理部19を形成することができる。このように、導線13の先端部が外周側から圧縮されることで、素線がばらけることが抑制され、管状の圧着部5への挿入が容易である。
また、図8(c)に示すように、導線13の少なくとも先端部に、一括してめき処理を施して、めっき層21によって端末処理部19を形成してもよい。このように、導線13の先端部に外周から一括してめっき処理が施されていることで、素線がばらけることが抑制され、管状の圧着部5への挿入が容易である。
なお、導線13の外周から一括してめっき処理を施す際に、めっき方法によっては高温になる場合がある。このようなめっき方法によって、導線13を撚った後に一括めっきを行うと、抗張力体17が熱により劣化して、引張強度が低下するおそれがある。
このような場合には、図8(d)に示すように、それぞれの導体素線ごとにめっき層21を形成してから抗張力体17の外周に撚り合わせてもよい。また、図9に示すように、それぞれの導体素線ごとにめっき層21を形成し、さらに、複数の導体の先端部に外周から一括してめっき処理を施してもよい。この場合、導体素線ごとのめっきと、一括めっきの種類を変えてもよい。一括めっきを行うことで、導体のばらけを抑制することが可能であるが、導体素線を束ねて一括してめっき処理を行うと、導体素線の形状等の影響によって、部分的にめっきの厚い部分や薄い部分が生じてしまうおそれがある。これに対し、事前に導体素線ごとに下地めっき処置を行うことで、この影響を小さくして、略均一な一括めっきが可能となる。
なお、端末処理部19は、圧縮やめっきによる方法には限られず、例えば、導線13の先端を半田処理や溶接処理によって導体素線のばらけを抑制してもよい。また、外周からの圧縮と一括めっきなどの複数の端末処理を併用してもよい。
次に、被覆導線の被覆部の先端から露出し、このように先端部を処理した被覆導線11の導線13を、筒状の導線圧着部7に挿入する。被覆導線11の先端部を圧着部5へ配置すると、導線圧着部7には導線13の露出部が位置し、被覆圧着部9には被覆部15が位置する。この際、導線13の先端が導線圧着部7の先端からはみ出してもよい。
その後、導線圧着部7で導線13を全周から略筒状に圧着するとともに、被覆圧着部9で被覆部15を圧着することで、被覆導線11と端子1とが電気的に接続された端子付き電線10を得ることができる。さらに、得られた端子付き電線10を含む、複数の端子付き電線が一体化されたワイヤハーネスを得ることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、導線圧着部7を予め丸めて略筒状に形成しておくことで、圧着時の導線圧着部7の変形を抑制し、導線圧着部7を略円形に圧着することができる。このため、バレル片が導線13に食い込むことを抑制することができる。
また、導線圧着部7の突合せ部23が接合される溶接部25が、全長にわたって形成されていないため、圧着時に溶接部と非溶接部の強度差による接続強度の低下を抑制することができる。例えば、溶接部25と非溶接部との圧着時の軸方向への伸び量が異なる場合でも、溶接部25の軸方向の両側に非溶接部が存在するため、この影響を非溶接部で吸収することができる。一方、少なくとも一部に溶接部25が形成されるため、バレル片の端部のずれを抑制し、過剰な折れ曲がりを抑制することができる。
また、導線圧着部7が略筒状であるため、導線13の全周360°から確実に圧着することができる。このため、圧着時に、導線13へ局所的な応力(変形)が生じることを抑制することができる。
また、抗張力体17を含む被覆導線11にも適用可能であり、この場合、細径の被覆導線11であっても、高い接続強度を確保することができる。例えば、導線13の断面積が0.05sq以下であっても、導線圧着部7における導線13の引張強度を50N以上とすることができる。例えば、実際に、複合導体断面積0.05sqの被覆導線(導線材質:軟銅、抗張力体材質:PBO繊維)について、導体の圧縮率(=圧縮後の断面積/圧縮前の断面積)80%で圧着した結果、引張強度50N以上で、抵抗0.75mΩ以下の良好な結果を得ることができた。
ここで、抗張力体17の周囲に導線13が配置された被覆導線11の導線圧着部7においては、圧着された際に、導線圧着部7の内部には径方向に圧縮応力が作用する。この圧縮応力が小さい場合には、導線13と抗張力体17との接触面における摩擦力が、端子1と導線13との接触面における摩擦力よりも小さくなる。このために、端子付き電線10に引張荷重を与えた場合に、導線13に荷重が集中し、導線13が破断しやすくなる。
一方、導線13と抗張力体17との接触面においては滑りが生じ、抗張力体17に圧縮応力が作用せず、抗張力体17は切断することなく抜ける現象が生じ、抗張力体17による引張強度が十分に発現しないおそれがある。上記のような現象を防ぎ、圧着により十分な圧縮応力を得るために、導線13と抗張力体17との間の摩擦力を増大させても良い。例えば、導線圧着部7の内面に凹凸を設けることで、部分的に抗張力体17への圧縮応力を高め、引き抜け防止することができる。
ここで、抗張力体17が、複数の素線で形成される場合には、圧縮時における抗張力体素線の移動によって、抗張力体17の外形が凹凸形状となることで、導線13と抗張力体17の接触面積が増え、摩擦力が大きくなる。このため、引張に対して導線13から抗張力体17へ力が伝わりやすくなり、導線13に引張力が付与された際の強度の上昇が見込める。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………端子
3………端子本体
4………トランジション部
5………圧着部
7………導線圧着部
9………被覆圧着部
10……端子付き電線
11………被覆導線
12………複合導体
13………導線
15………被覆部
17………抗張力体
19………端末処理部
21………めっき層
23………突合せ部
25………溶接部

Claims (5)

  1. 被覆導線と電気的に接続される端子であって、
    前記被覆導線の先端の被覆部から露出する導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆導線の前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、を具備し、
    前記導線圧着部は、断面が略円形の筒状に形成され、対向する前記板状部材の端部同士が、前記導線圧着部の軸方向に対して、一部のみ溶接されていることを特徴とする端子。
  2. 請求項1記載の端子と被覆導線とが電気的に接続される端子付き電線であって、
    前記被覆導線は、複数の前記導線と、少なくとも1本の抗張力体からなり、前記被覆導線の長手方向に垂直な断面において、前記抗張力体が前記被覆導線の略中心に位置し、前記導線が前記抗張力体の外周部に配置されていることを特徴とする端子付き電線。
  3. 前記導線が前記抗張力体の外周部で撚り合わせられていることを特徴とする請求項2記載の端子付き電線。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の端子付き電線を含む、複数の端子付き電線が一体化されたことを特徴とするワイヤハーネス。
  5. 端子付き電線の製造方法であって、
    端子は、導線圧着部と被覆圧着部とを有するオープンバレル型であり、
    前記導線圧着部のバレル片の端部を突合せるように丸めて、突合せ部を、前記導線圧着部の軸方向に対して一部のみ溶接して、筒状の前記導線圧着部に、被覆導線の被覆部の先端から露出する導線を挿入して、前記導線圧着部で前記導線を全周から略筒状に圧着するとともに、前記被覆圧着部で前記被覆部を圧着することを特徴とする端子付き電線の製造方法。
JP2021193507A 2021-11-29 2021-11-29 端子、端子付き電線、ワイヤハーネス、端子付き電線の製造方法 Pending JP2023079842A (ja)

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