JP2023077913A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立する静電荷像現像用トナーの提供。【解決手段】ビニル系樹脂を含む結着樹脂とエステル系ワックスを含む離型剤とを含有するトナー粒子であって、前記トナー粒子の断面において、前記離型剤のドメインの断面における円相当径の個数平均が0.10μm以上1.5μm以下であり、かつ、前記円相当径の標準偏差が0.05超え0.5以下であるトナー粒子を有する、静電荷像現像用トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
特許文献1には、結着樹脂、着色剤、離型剤及び可塑剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記離型剤のドメインの平均分散粒径Dw、前記離型剤のドメインの平均分散個数Nw、前記可塑剤のドメインの平均分散粒径Dc、及び前記可塑剤のドメインの平均分散個数Ncが特定の関係を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
特許文献2には、ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニット及び結晶性ポリエステル樹脂ユニットを化学結合したハイブリッド樹脂と、ビニル系樹脂と、を含む結着樹脂と、炭化水素系ワックスを含む離型剤と、を含有するトナー粒子と、外添剤と、を有し、前記トナー粒子中に前記ハイブリッド樹脂のドメイン及び前記離型剤のドメインを有し、前記トナー粒子の表面から前記ハイブリッド樹脂のドメインの中心までの平均距離Lhybと、前記トナー粒子の表面から前記離型剤のドメインの中心までの平均距離Lwaxとの関係が、Lwax<Lhybである、静電荷像現像用トナーが開示されている。
特開2016-184134号公報 特開2019-168618号公報
静電荷像現像用トナーを用いた画像形成では、例えば、像保持体の表面に形成されたトナー画像を、記録媒体の表面に転写し、定着させることで画像が形成される。
一方、ビニル系樹脂を含む結着樹脂とエステル系ワックスを含む離型剤とを含有するトナー粒子を有するトナーを用い、高温高湿環境下(例えば温度28℃、湿度85%の環境下)において画像形成を行うと、トナー像の転写時にトナー粒子の移動軌道が不規則となることに起因して、かぶりが発生した画像が得られることがある。
本発明の課題は、ビニル系樹脂を含む結着樹脂とエステル系ワックスを含む離型剤とを含有するトナー粒子において、離型剤のドメインの断面における円相当径の個数平均が0.10μm未満若しくは1.5μm超えの場合、又は円相当径の標準偏差が0.05以下若しくは0.5超えの場合に比べ、クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立する静電荷像現像用トナーを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>
ビニル系樹脂を含む結着樹脂とエステル系ワックスを含む離型剤とを含有するトナー粒子であって、
前記トナー粒子の断面において、前記離型剤のドメインの断面における円相当径の個数平均が0.10μm以上1.5μm以下であり、かつ、前記円相当径の標準偏差が0.05超え0.5以下であるトナー粒子を有する、静電荷像現像用トナー。
<2>
前記トナー粒子の断面に存在する前記離型剤のドメインの断面の全個数に対し、円相当径が前記トナー粒子の体積平均粒径の3分の1倍以上である離型剤のドメインの断面が0.5個数%以下である、<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
<3>
前記離型剤のドメインの断面が円形状である、<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4>
前記離型剤のドメインの断面における平均円形度が0.90以上である、<3>に記載の静電荷像現像用トナー。
<5>
前記ビニル系樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂ユニットとポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットとが化学結合したハイブリッド樹脂、及びスチレン(メタ)アクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<6>
前記トナー粒子全体に対する、前記ビニル系樹脂におけるスチレン骨格を有する単量体に由来する単位の含有率が、40質量%以上90質量%以下である、<5>に記載の静電荷像現像用トナー。
<7>
前記トナー粒子全体に対する前記ビニル系樹脂におけるスチレン骨格を有する単量体に由来する単位の含有率をYs質量%、前記トナー粒子全体に対する前記離型剤の含有率をYw質量%としたとき、比Yw/Ysの値は0.055以上0.375以下である、<5>又は<6>に記載の静電荷像現像用トナー。
<8>
前記トナー粒子全体に対する前記ハイブリッド樹脂の含有率をYh質量%、前記トナー粒子全体に対する前記離型剤の含有率をYw質量%としたとき、比Yw/Yhの値は0.25以上15以下である、<5>~<7>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー
<9>
<1>~<8>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
<10>
<1>~<8>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<11>
<9>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<12>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
<9>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
<13>
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
<9>に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
<1>に係る発明によれば、ビニル系樹脂を含む結着樹脂とエステル系ワックスを含む離型剤とを含有するトナー粒子において、離型剤のドメインの断面における円相当径の個数平均が0.10μm未満若しくは1.5μm超えの場合、又は円相当径の標準偏差が0.05以下若しくは0.5超えの場合に比べ、クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立する静電荷像現像用トナーが提供される。
<2>に係る発明によれば、トナー粒子の断面に存在する前記離型剤のドメインの断面の全個数に対し、円相当径が前記トナー粒子の体積平均粒径の3分の1倍以上である離型剤のドメインの断面が0.5個数%超えである場合に比べ、高温高湿環境下において形成された画像のかぶりが抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
<3>に係る発明によれば、離型剤のドメインの断面が楕円形状である場合に比べ、高温高湿環境下において形成された画像のかぶりが抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
<4>に係る発明によれば、離型剤のドメインの断面における平均円形度が0.90未満である場合に比べ、高温高湿環境下において形成された画像のかぶりが抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
<5>に係る発明によれば、ビニル系樹脂がハイブリッド樹脂及びスチレン(メタ)アクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含む場合であっても、離型剤のドメインの断面における円相当径の個数平均が0.10μm未満若しくは1.5μm超えの場合、又は円相当径の標準偏差が0.05以下若しくは0.5超えの場合に比べ、クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立する静電荷像現像用トナーが提供される。
<6>に係る発明によれば、スチレン骨格を有する単量体に由来する単位の含有率が40質量%以上90質量%以下であっても、離型剤のドメインの断面における円相当径の個数平均が0.10μm未満若しくは1.5μm超えの場合、又は円相当径の標準偏差が0.05以下若しくは0.5超えの場合に比べ、クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立する静電荷像現像用トナーが提供される。
<7>に係る発明によれば、比Yw/Ysの値が0.055以上0.375以下であっても、離型剤のドメインの断面における円相当径の個数平均が0.10μm未満若しくは1.5μm超えの場合、又は円相当径の標準偏差が0.05以下若しくは0.5超えの場合に比べ、クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立する静電荷像現像用トナーが提供される。
<8>に係る発明によれば、比Yw/Yhの値が0.25以上15以下であっても、離型剤のドメインの断面における円相当径の個数平均が0.10μm未満若しくは1.5μm超えの場合、又は円相当径の標準偏差が0.05以下若しくは0.5超えの場合に比べ、クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立する静電荷像現像用トナーが提供される。
<9>、<10>、<11>、<12>、又は<13>に係る発明によれば、ビニル系樹脂を含む結着樹脂とエステル系ワックスを含む離型剤とを含有するトナー粒子において、離型剤のドメインの断面における円相当径の個数平均が0.10μm未満若しくは1.5μm超えの場合、又は円相当径の標準偏差が0.05以下若しくは0.5超えのトナー粒子を有する静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べ、クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立する静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、又は画像形成方法が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書中において、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの双方を意味する。また、本明細書中において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の双方を意味する。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
[静電荷像現像用トナー]
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下「トナー」ともいう)は、ビニル系樹脂を含む結着樹脂とエステル系ワックスを含む離型剤とを含有するトナー粒子であって、前記トナー粒子の断面において、前記離型剤のドメインの断面における円相当径の個数平均が0.10μm以上1.5μm以下であり、かつ、前記円相当径の標準偏差が0.05超え0.5以下であるトナー粒子を有する。以下、離型剤のドメインを「離型剤ドメイン」、離型剤ドメインの断面における円相当径を「離型剤ドメイン径」ともいう
本実施形態に係るトナーは、上記構成であることにより、クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立する。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
ビニル系樹脂を含む結着樹脂とエステル系ワックスを含む離型剤とを含有するトナー粒子では、ビニル系樹脂とエステル系ワックスとの親和性が低いため、トナー粒子内に存在する離型剤ドメインの円相当径が大きくなりやすい。エステル系ワックスは、ビニル系樹脂に比べて比重が小さいため、円相当径の大きい離型剤ドメインがトナー粒子内に存在すると、トナー粒子の重心が中心から離れ、偏心することがある。そして、偏心したトナー粒子を有するトナーを用いて高温高湿環境下において画像形成を行うと、トナー像の転写時にトナー粒子の移動軌道が不規則となり、かぶりが発生した画像が得られることがある。
これに対して、本実施形態では、離型剤ドメイン径の個数平均が上記範囲であり、かつ、離型剤ドメイン径の標準偏差が上記範囲である。つまり、本実施形態では、トナー粒子内において、離型剤ドメイン径の大きな離型剤ドメインが少ないため、上記トナー粒子の偏心に起因するかぶりの発生が抑制されると考えられる。また、離型剤ドメイン径の個数平均が0.10μm未満であると、トナー粒子表面への部分的な離型剤露出が発生し、低帯電化する事により、画像にかぶりが発生することがあるが、本実施形態では離型剤ドメイン径の個数平均が上記範囲であることにより、低帯電化に起因するかぶりも抑制される。
加えて、離型剤ドメイン径の標準偏差が0.05以下であると、感光体と感光体のクリーニングを行う機構との接触部分において、残トナーは転がる回転が一様となり結着性が低く、トナー塊として大きくならない事からクリーニング部からのすり抜けが発生し、クリーニング不良による色筋が発生することがあるが、本実施形態では、離型剤ドメイン径の標準偏差が前記範囲であるため、クリーニング不良による色筋の発生が抑制される。
以上の理由により、本実施形態では、クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立すると推測される。
<離型剤ドメイン>
(測定方法)
ここで、離型剤ドメインの観察は、以下のようにして行う。
トナー粒子(又は外添剤が付着したトナー粒子)をエポキシ樹脂に混合して包埋し、エポキシ樹脂を固化する。得られた固化物を、ウルトラミクロトーム装置(Leica社製UltracutUCT)により切断し、厚さ80nm以上130nm以下の薄片試料を作製する。次に、得られた薄片試料を30℃のデシケータ内で四酸化ルテニウムにより3時間染色する。そして、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM。日立ハイテクノロジーズ社製S-4800)にて、染色された薄片試料の透過像モードのSTEM観察画像(加速電圧:30kV、倍率:20000倍)を得る。
得られたSTEM観察画像のコントラスト及び形状からトナー粒子中の離型剤ドメインの輪郭を判断する。STEM画像において、離型剤以外の結着樹脂は二重結合部分を多く有し四酸化ルテニウムによって染色されるため、離型剤部分と離型剤以外の結着樹脂部分とが識別される。
つまり、ルテニウム染色により、離型剤が一番薄く染色されるドメインであり、非晶性樹脂が一番濃く染色される。コントラストを調整することで、離型剤は白色に、非晶性樹脂は黒色に観察されることで、離型剤ドメインの断面形状が確認される
トナー粒子100個について観察し、離型剤ドメインの領域を画像解析することで、各離型剤ドメインの離型剤ドメイン径を求め、離型剤ドメイン径の個数平均及び標準偏差を算出する。
なお、STEM画像には様々な大きさのトナー粒子断面が含まれるところ、トナー粒子断面の径がトナー粒子の体積平均粒径の50%以上であるトナー粒子断面を選択し、観察対象のトナー粒子とする。ここで、トナー粒子断面の径とは、トナー粒子断面と同じ面積をもつ円の直径(いわゆる円相当径)をいう。
(離型剤ドメイン径の分布)
本実施形態では、前記の通り、離型剤ドメイン径の個数平均が0.10μm以上1.5μm以下であり、高温高湿環境下において形成された画像のかぶりを抑制する観点から、0.5μm以上1.2μm以下であることが好ましく、0.8μm以上1.2μm以下であることがより好ましい。
また、本実施形態では、前記の通り、離型剤ドメイン径の標準偏差が0.05超え0.5以下であり、クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立するする観点から、0.08以上0.4以下であることが好ましく、0.08以上0.3以下であることがより好ましい。
本実施形態では、トナー粒子の断面に存在する離型剤ドメインの断面の全個数に対し、円相当径がトナー粒子の体積平均粒径の3分の1倍以上である離型剤ドメインの断面が、0.5個数%以下であることが好ましい。以下、円相当径がトナー粒子の体積平均粒径の3分の1倍以上である離型剤ドメインを「大径ドメイン」ともいい、トナー粒子の断面に存在する離型剤ドメインの全個数に対する大径ドメインの割合を「大径ドメイン割合」ともいう。
大径ドメイン割合が上記範囲であると、上記範囲よりも大きい場合に比べて、高温高湿環境下において画像形成を行った際の、トナー粒子が偏心することに起因するかぶりの発生が抑制される。
大径ドメイン割合は、0.3個数%以下であることがより好ましく、0.1個数%以下であることがさらに好ましい。
(離型剤ドメインの断面の形状)
離型剤ドメインの断面の形状は、特に限定されるものではなく、円形状、楕円形状、不定形状が挙げられる。離型剤ドメインの断面の形状は、これらの中でも、円形状であることが好ましい。離型剤ドメインの断面が円形状であることにより、トナー粒子内で離型剤ドメインが偏在しにくくなり、トナー粒子の偏心が抑制されると考えられる。そのため、高温高湿環境下において画像形成を行った際の、トナー粒子が偏心することに起因するかぶりの発生が抑制される。
離型剤ドメインの断面の平均円形度は、0.90以上であることが好ましく、0.93以上であることがより好ましく、0.95以上であることがさらに好ましい。離型剤ドメインの断面の平均円形度が上記範囲であることにより、上記範囲より小さい場合に比べて、トナー粒子内で離型剤ドメインが偏在しにくくなり、トナー粒子の偏心が抑制されると考えられる。そのため、高温高湿環境下において画像形成を行った際の、トナー粒子が偏心することに起因するかぶりの発生が抑制される。
離型剤ドメインの断面の平均円形度の上限値は、特に限定されるものではなく、例えば0.99が挙げられる。
離型剤ドメインの断面の平均円形度は、前記STEM画像における各離型剤ドメインの円形度の個数平均であり、各離型剤ドメインの円形度は、円相当周囲長(つまり、離型剤ドメインの断面と同じ面積をもつ円の周囲長)を、実際の周囲長で割った値として得られる。
離型剤ドメインの断面の平均円形度を制御する方法としては、例えば、後述する凝集合一法によりトナー粒子を製造する場合、融合・合一工程における温度と時間を調整する方法、複数の離型剤を混合して用いる方法等が挙げられる。
(離型剤ドメイン径の分布の制御)
離型剤ドメイン径の分布を制御し、離型剤ドメイン径の個数平均、離型剤ドメイン径の標準偏差、及び大径ドメイン割合を前記範囲とする方法は特に限定されるものではない。
離型剤ドメイン径の分布を制御する方法としては、例えば、後述する凝集合一法によりトナー粒子を製造する場合、凝集粒子形成工程における撹拌速度を調整する方法、離型剤粒子分散液に用いる界面活性剤として、樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤とは逆の極性を有する界面活性剤を用いる方法、これらの方法を組み合わせる方法等が挙げられる。以下、離型剤粒子分散液に用いる界面活性剤として、樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤とは逆の極性を有する界面活性剤を用いる方法を「逆極性界面活性剤法」ともいう。
凝集粒子形成工程における撹拌速度を調整する方法においては、撹拌速度を速くするほど、離型剤ドメインの個数平均が小さく、離型剤ドメイン径の標準偏差が小さく、かつ、大径ドメイン割合が小さくなる傾向にある。一方、撹拌速度を遅くするほど、離型剤ドメインの個数平均が大きく、離型剤ドメイン径の標準偏差が大きく、かつ、大径ドメイン割合が大きくなる傾向にある。
逆極性界面活性剤法では、具体的には、例えば樹脂粒子分散液にアニオン性界面活性剤を用いる場合、離型剤粒子分散液用の界面活性剤としてカチオン性界面活性剤を用い、樹脂粒子分散液にカチオン性界面活性剤を用いる場合、離型剤粒子分散液用の界面活性剤としてアニオン性界面活性剤を用いる。
逆極性界面活性剤法を用いることで、離型剤ドメインの個数平均が小さく、離型剤ドメイン径の標準偏差が小さく、かつ、大径ドメイン割合が小さくなる傾向にある。逆極性界面活性剤法により離型剤ドメイン径の分布が制御される理由は定かではないが、以下のように推測される。
例えば、結着樹脂の粒子が分散した樹脂粒子分散液がアニオン性界面活性剤を含有する場合、カチオン性界面活性剤を含有する離型剤粒子分散液を用いてトナー粒子を形成することにより、トナー粒子内の離型剤ドメイン径が小さくなりやすくなり、大径ドメインが形成されにくくなる。具体的には、樹脂粒子の極性と離型剤粒子の極性とが逆であることで、樹脂粒子と離型剤粒子との親和性が高くなり、凝集する過程において、離型剤粒子の周りに樹脂粒子が取り囲むことで離型剤粒子同士の凝集が抑制され、離型剤ドメイン径の個数平均、離型剤ドメイン径の標準偏差、及び大径ドメイン割合が前記範囲に制御されると推測される。
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子と、必要に応じて、外添剤と、を含んで構成される。
(トナー粒子)
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、離型剤と、必要に応じて、着色剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
-結着樹脂-
本実施形態において、結着樹脂は、少なくともビニル系樹脂を含む。
ビニル系樹脂とは、ビニル基を有する単量体(以下「ビニル基系単量体」ともいう)をラジカル重合して得られた樹脂を指す。ビニル系樹脂は、1種のビニル基系単量体を重合して得られる単独重合体であってもよく、2種以上のビニル基系単量体を重合して得られる共重合体であってもよく、ビニル基系単量体と他の単量体とを重合して得られる共重合体(例えば後述するハイブリッド樹脂)であってもよい。
ビニル系樹脂としては、例えば、スチレン骨格を有する単量体(例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル骨格を有する単量体(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル骨格を有する単量体(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル骨格を有する単量体(例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン骨格を有する単量体(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン骨格を有する単量体(例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体等が挙げられる。
上記の中でも、ビニル系樹脂は、トナーの移動軌道の制御のために安定した帯電特性を得る観点から、結晶性ポリエステル樹脂ユニットとポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットとが化学結合したハイブリッド樹脂、及びスチレン(メタ)アクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。ビニル系樹脂は、ハイブリッド樹脂及びスチレン(メタ)アクリル樹脂のいずれか一方のみを含んでもよく、ハイブリッド樹脂及びスチレン(メタ)アクリル樹脂の両方を含んでもよい。
--スチレン(メタ)アクリル樹脂--
上記の中でも、ビニル系樹脂は、トナーの移動軌道の制御のために安定した帯電特性を得る観点から、スチレン骨格を有する単量体と、(メタ)アクリル酸エステル骨格を有する単量体とを共重合したスチレン(メタ)アクリル樹脂を含むことが好ましい。スチレン(メタ)アクリル樹脂は、スチレン骨格を有する単量体と(メタ)アクリル酸エステル骨格を有する単量体と他の単量体とを重合して得られる共重合体であってもよく、スチレン(メタ)アクリル樹脂ユニットを有するハイブリッド樹脂であってもよい。
ビニル系樹脂がスチレン(メタ)アクリル樹脂を含むと、電気的に中性であることにより、安定した帯電特性が得られると推測される。
また、ビニル系樹脂がスチレン(メタ)アクリル樹脂を含むと、スチレン(メタ)アクリル樹脂とエステル系ワックスとの親和性が低いことにより離型剤ドメイン径が大きくなりやすいが、本実施形態では、離型剤ドメイン径の個数平均及び標準偏差が前記範囲であるため、トナー粒子の偏心に起因するかぶりの発生が抑制される。ビニル系樹脂は、スチレン(メタ)アクリル樹脂を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
スチレン(メタ)アクリル樹脂は、スチレン骨格を有する単量体と(メタ)アクリロイル基を有する単量体とを少なくとも共重合した共重合体である。
スチレン骨格を有する単量体(以下、「スチレン系単量体」ともいう)としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン等)、ハロゲン置換スチレン(例えば、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン等)、ビニルナフタレン等が挙げられる。スチレン系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの中で、スチレン系単量体としては、反応し易さ、反応の制御の容易さ、さらに入手性の点で、スチレンが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体(以下、「(メタ)アクリル系単量体」ともいう)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸n-メチル、(メタ)アクリル酸n-エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル等)、(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ターフェニル等)、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。(メタ)アクリル酸系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体との共重合比(質量基準、スチレン系単量体/(メタ)アクリル系単量体)は、例えば85/15乃至70/30であることがよい。
--架橋構造を有するスチレン(メタ)アクリル樹脂--
スチレン(メタ)アクリル樹脂は、画像の裏移りを抑制する点で、架橋構造を有することが好ましい。架橋構造を有するスチレン(メタ)アクリル樹脂は、例えば、スチレン骨格を有する単量体と(メタ)アクリル酸骨格を有る単量体と架橋性単量体とを少なくとも共重合して、架橋した架橋物が挙げられる。
なお、ビニル系樹脂は、架橋構造を有するスチレン(メタ)アクリル樹脂と、架橋構造を有さないビニル系樹脂と、の両方を含んでいてもよい。
架橋性単量体としては、例えば、2官能以上の架橋剤が挙げられる。
2官能の架橋剤としては、例えば,ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジ(メタ)アクリレート化合物(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、デカンジオールジアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等)、ポリエステル型ジ(メタ)アクリレート、メタクリル酸2-([1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、トリ(メタ)アクリレート化合物(例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等)、テトラ(メタ)アクリレート化合物(例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート等)、2,2-ビス(4-メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルアソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
全単量体に対する架橋性単量体の共重合比(質量基準、架橋性単量体/全単量体)は、例えば2/1000以上30/1000以下であることがよい。
架橋構造を有するスチレン(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量は、画像の裏移り抑制の点で、例えば、30000以上200000以下がよく、好ましくは40000以上100000以下、より好ましくは50000以上80000以下である。
架橋構造を有するスチレン(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量は、後述するポリエステル樹脂の重量平均分子量と同様の方法により測定する。
架橋構造を有するスチレン(メタ)アクリル樹脂の含有量は、ビニル系樹脂全体に対し、例えば、10質量%以上95質量%以下がよく、好ましくは12質量%以上90質量%以下、より好ましくは15質量%以上85質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以上85質量%以下である。
また、架橋構造を有するスチレン(メタ)アクリル樹脂の含有量は、結着樹脂全体に対し、例えば、10質量%以上95質量%以下がよく、好ましくは12質量%以上90質量%以下、より好ましくは15質量%以上85質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以上85質量%以下である。
--ハイブリッド樹脂--
また、ビニル系樹脂は、ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットと結晶性ポリエステル樹脂ユニットとが化学結合したハイブリッド樹脂を含むことが好ましい。上記ハイブリッド樹脂は、ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットとして非晶性ビニル系樹脂ユニットを含む。また、上記ハイブリッド樹脂は、非晶性ビニル系樹脂ユニットとして、非晶性スチレン(メタ)アクリル樹脂ユニットを含んでもよい。つまり、上記ハイブリッド樹脂は、前述のスチレン(メタ)アクリル樹脂の一種であってもよい。
ビニル系樹脂がハイブリッド樹脂を含むと、低融点である結晶性ポリエステルのトナー内部分散性が向上されることにより、低温定着性が得られると推測される。
また、ビニル系樹脂がハイブリッド樹脂を含むと、ハイブリッド樹脂が複数種のユニットを有することにより、樹脂粒子のホモ凝集が起こりやすく、その結果、離型剤ドメイン径が大きくなりやすい。しかし、本実施形態では、離型剤ドメイン径の個数平均及び標準偏差が前記範囲であるため、トナー粒子の偏心に起因するかぶりの発生が抑制される。ビニル系樹脂は、ハイブリッド樹脂を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
なお、ビニル系樹脂は、ハイブリッド樹脂とハイブリッド樹脂以外の樹脂との両方を含んでいてもよく、ハイブリッド樹脂とハイブリッド樹脂以外のスチレン(メタ)アクリル樹脂とを含んでもよく、ハイブリッド樹脂とハイブリッド樹脂以外の架橋構造を有するスチレン(メタ)アクリル樹脂とを含んでもよく、スチレン(メタ)アクリル樹脂であるハイブリッド樹脂とハイブリッド樹脂以外の架橋構造を有するスチレン(メタ)アクリル樹脂とを含んでもよい。
ハイブリッド樹脂は、ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニット及び結晶性ポリエステル樹脂ユニットを化学結合した樹脂である。
結晶性ポリエステル樹脂ユニットとは、結晶性ポリエステル樹脂に由来する構造を有する樹脂部分を指す。また、非晶性樹脂ユニットとは、非晶性樹脂に由来する構造を有する樹脂部分を指す。
なお、樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを指す。
一方、樹脂の「非晶性」とは、半値幅が10℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
以下、(A)結晶性ポリエステル樹脂ユニット及び(B)非晶性樹脂ユニットについて説明する。
(A)結晶性ポリエステル樹脂ユニット
結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成する結晶性ポリエステル樹脂(以下、単に「結晶性ポリエステル樹脂」とも称す)としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。なお、結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
また、結晶性ポリエステル樹脂ユニットは、低温定着性の観点から、脂肪族多価カルボン酸成分と脂肪族多価アルコール成分とから得られる結晶性脂肪族ポリエステル樹脂であることが好ましい。
脂肪族多価カルボン酸成分としては、炭素数8以上22以下の多価カルボン酸成分であることが好ましい。
脂肪族多価アルコール成分としては、炭素数4以上10以下の多価アルコール成分であることが好ましい。
脂肪族多価カルボン酸成分の炭素数と脂肪族多価アルコール成分の炭素数の和は、8以上22以下であることが好ましく、10以上20以下であることより好ましく、12以上18以下であることが更に好ましい。
なお、脂肪族多価カルボン酸成分の炭素数とは、カルボキシ基の炭素を含む総炭素数を表す。また、複数の脂肪族多価カルボン酸成分を用いる場合、各多価カルボン酸成分のモル比により加重平均した値を、多価カルボン酸成分の炭素数とする。複数の脂肪族多価アルコール成分を用いた場合も同様に各多価アルコール成分のモル比により加重平均した値を、多価アルコール成分の炭素数とする。
結晶性脂肪族ポリエステル樹脂における、多価カルボン酸成分の炭素数と多価アルコール成分の炭素数は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(熱分解GCMS)により測定する。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下が好ましい。
なお、重量平均分子量の測定方法は後述する通りである。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、後述する非晶性樹脂と同様に、周知の製造方法により得られる。
(B)ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニット
以下、ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットについて説明する。
非晶性樹脂ユニットを形成する非晶性樹脂(以下、単に「非晶性樹脂」とも称す)としては、少なくとも非晶性ビニル系樹脂(例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン(メタ)アクリル樹脂等)を含み、非晶性ビニル系樹脂以外の非晶性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等)を含んでもよい。
上記の中でも、低温定着性の観点から、非晶性樹脂としては、ポリスチレン樹脂及びスチレン(メタ)アクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリウレタン樹脂を更に含むことがより好ましい。なお、非晶性樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ポリスチレン樹脂としては、スチレン骨格を有する単量体の単独重合体又は共重合体が挙げられる。スチレン骨格を有する単量体としては、スチレン;α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン等のアルキル鎖を持つアルキル置換スチレン;2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン、4-フルオロスチレン、2,5-ジフルオロスチレン等のハロゲン置換スチレン;ビニルナフタレン;などが挙げられる。
スチレン(メタ)アクリル樹脂としては、前述のスチレン(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、OH基を有する樹脂(ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニル樹脂、ガゼイン、フェノール樹脂等からなる群から選択される少なくとも1種)と、イソシアネート化合物(芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等)との反応により得られるポリウレタン樹脂が挙げられる。
なお、イソシアネート化合物は、ブロック化イソシアネート化合物(イソシアネート基がブロック化剤で保護された化合物)であってもよい。
非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
非晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
非晶性樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
--ハイブリッド樹脂の合成方法--
ハイブリッド樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとを化学結合させた構造の重合体であれば、特に制限されず、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。ハイブリッド樹脂の具体的な合成方法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
(1)非晶性樹脂ユニットを予め重合しておき、該非晶性樹脂ユニットの存在下で結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成する重合反応を行ってハイブリッド樹脂を合成する方法
この方法では、まず、上述した非晶性樹脂ユニットを構成する単量体を重合させて非晶性樹脂ユニットを形成する。次に、非晶性樹脂ユニットの存在下で、多価カルボン酸と多価アルコールとを重合反応させ、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成する。このとき、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させると共に、非晶性樹脂ユニットに対し、多価カルボン酸または多価アルコールを付加反応させることにより、ハイブリッド樹脂を合成する。
上記方法において、結晶性ポリエステル樹脂ユニット又は非晶性樹脂ユニット中に、これらユニットが互いに反応する部位を有することが好ましい。具体的には、非晶性樹脂ユニットの形成するとき、非晶性樹脂ユニットを構成する単量体の他に、結晶性ポリエステル樹脂ユニットに残存するカルボキシ基またはヒドロキシル基と反応する部位および非晶性樹脂ユニットと反応する部位を有する化合物も使用することが挙げられる。すなわち、この化合物が結晶性ポリエステル樹脂ユニット中のカルボキシ基又はヒドロキシル基と反応することにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットは非晶性樹脂ユニットと化学的に結合される。
上記の方法を用いることで、非晶性樹脂ユニットに結晶性ポリエステル樹脂ユニットが化学結合した構造のハイブリッド樹脂が合成される。
(2)結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとをそれぞれ形成しておき、これらを結合させてハイブリッド樹脂を合成する方法
この方法では、まず、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させて結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成する。また、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成する反応系とは別に、上述した非晶性樹脂ユニットを構成する単量体を重合させて非晶性樹脂ユニットを形成する。このとき、結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとが互いに反応する部位を有することが好ましい。なお、両ユニットが互いに反応する部位を組み込む方法は、上述の方法(1)と同様の方法を用いてよい。
次に、上記で形成した結晶性ポリエステルユニットと、非晶性樹脂ユニットとを反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとが化学結合した構造のハイブリッド樹脂を合成する。
結晶性ポリエステル樹脂ユニットおよび非晶性樹脂ユニットに、互いのユニットが反応する部位を有さない場合、結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとが共存する系を形成しておき、そこへ結晶性ポリエステル樹脂ユニットおよび非晶性樹脂ユニットと結合する部位を有する化合物を投入する方法を採用してもよい。そして、該化合物を介して、結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとが化学結合した構造のハイブリッド樹脂を合成してもよい。
(3)結晶性ポリエステル樹脂ユニットを予め形成しておき、該結晶性ポリエステル樹脂ユニットの存在下で非晶性樹脂ユニットを形成する重合反応を行ってハイブリッド樹脂を合成する方法
この方法では、まず、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させて重合を行い、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成する。次に、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの存在下で、非晶性樹脂ユニットを構成する単量体を重合反応させて非晶性樹脂ユニットを形成する。このとき、上記方法(1)と同様に、結晶性ポリエステル樹脂ユニットまたは非晶性樹脂ユニット中に、これらユニットが互いに反応する部位を有することが好ましい。なお、両ユニットが互いに反応する部位を組み込む方法は、上述の方法(1)と同様の方法を用いてよい。
上記の方法により、結晶性ポリエステル樹脂ユニットに非晶性樹脂ユニットが化学結合した構造のハイブリッド樹脂が形成される。
ハイブリッド樹脂に対する結晶性ポリエステル樹脂ユニットの含有量は、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与する観点から、50質量%以上98質量%以下であることが好ましい。
ハイブリッド樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。
ハイブリッド樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
ハイブリッド樹脂の重量平均分子量(Mw)は、トナーの低温定着性の観点から、5000以上100000以下であることが好ましく、7000以上50000以下であることがより好ましく、8000以上35000以下であることが更に好ましい。
ハイブリッド樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量の測定方法は前述の通りである。
ビニル系樹脂全体に対するハイブリッド樹脂の含有量は、低温定着性の観点から、1質量%以上50質量%未満であることが好ましく、10質量%以上30質量%未満であることがより好ましく、15質量%以上25質量%未満であることが更に好ましい。
結着樹脂に対するハイブリッド樹脂の含有量は、低温定着性の観点から、5質量%以上50質量%未満であることが好ましく、10質量%以上30質量%未満であることがより好ましく、15質量%以上25質量%未満であることが更に好ましい。
スチレン系単量体に由来する単位の含有率(以下「スチレン含有率」ともいう)は、トナー粒子全体に対し、40質量%以上90質量%以下であることが好ましく、60質量%以上85質量%以下であることがより好ましく65質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、上記スチレン含有率は、例えばトナー粒子が結着樹脂として複数のビニル系樹脂(例えば、架橋構造を有するスチレン(メタ)アクリル樹脂とハイブリッド樹脂)を含む場合、前記複数のビニル系樹脂にそれぞれ含まれるスチレン系単量体に由来する単位の合計含有率を意味する。
スチレン含有率が上記範囲であることにより、上記範囲より少ない場合に比べてトナーの保管安定性が高いという利点があり、上記範囲より多い場合に比べて低温定着性に優れるという利点がある。また、スチレン含有率が上記範囲であると離型剤ドメイン径が大きくなりやすいが、本実施形態では、離型剤ドメイン径の個数平均及び標準偏差が前記範囲であるため、トナー粒子の偏心に起因するかぶりの発生が抑制される。
なお、トナー粒子中のスチレン含有率は、スチレン系化合物を化学分析によって同定した後に、NMRによる定量や液体クロマトグラフィー(LC-UV)で予め測定した前記スチレン系化合物の検量線により求められる。
結着樹脂は、前記の通り少なくともビニル系樹脂を含み、必要に応じてビニル系樹脂以外の樹脂を含んでもよい。
結着樹脂全体に対するビニル系樹脂の含有量は、80質量%以上100質量%以下であってもよく、98質量%以上100質量%以下であってもよい。
ビニル系樹脂以外の樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
-着色剤-
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
-離型剤-
本実施形態において、離型剤は、少なくともエステル系ワックスを含む。
エステル系ワックスは、エステル結合を有するワックスである。エステル系ワックスとしては、モノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステルのいずれでもよく、公知の天然または合成のエステルワックスが採用できる。
エステル系ワックスとしては、高級脂肪酸(炭素数10以上の脂肪酸等)と1価又は多価の脂肪族アルコール(炭素数8以上の脂肪族アルコール等)とのエステル化合物が挙げられる。
エステル系ワックスとしては、例えば、高級脂肪酸(カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸等)と、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の1価アルコール;グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール)とのエステル化合物が挙げられ、具体的には、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油、木ろう、蜜ろう、イボタワックス、ラノリン、モンタン酸エステルワックス等が挙げられる。
離型剤は、必要に応じて、エステル系ワックス以外の離型剤を含んでもよい。
エステル系ワックス以外の離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;などが挙げられる。エステル系ワックス以外の離型剤は、これに限定されるものではない。
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
トナー粒子全体に対するスチレン骨格を有する単量体に由来する単位の含有率(つまり、前記スチレン含有率)をYs質量%、トナー粒子全体に対する離型剤の含有率をYw質量%としたとき、比Yw/Ysの値は0.055以上0.375以下であることが好ましく、0.055以上0.250以下であることがより好ましく、0.055以上0.200以下であることがさらに好ましい。
比Yw/Ysの値が上記範囲であることにより、上記範囲よりも大きい場合に比べてトナーの保管安定性に利点があり、上記範囲よりも小さい場合に比べて低温定着性に利点がある。
また、比Yw/Ysの値が上記範囲であると、離型剤ドメイン径が大きくなりやすいが、本実施形態では、離型剤ドメイン径の個数平均及び標準偏差が前記範囲であるため、トナー粒子の偏心に起因するかぶりの発生が抑制される。
トナー粒子全体に対する前記ハイブリッド樹脂の含有率をYh質量%、トナー粒子全体に対する離型剤の含有率をYw質量%としたとき、比Yw/Yhの値は0.25以上15以下であることが好ましく、0.50以上5.0以下であることがより好ましく、0.50以上3.0以下であることがさらに好ましい。
比Yw/Yhの値が上記範囲であることにより、上記範囲よりも大きい場合に比べて低温定着性に利点があり、上記範囲よりも小さい場合に比べて帯電特性に利点がある。
また、比Yw/Yhの値が上記範囲であると、離型剤ドメイン径が大きくなりやすいが、本実施形態では、離型剤ドメイン径の個数平均及び標準偏差が前記範囲であるため、トナー粒子の偏心に起因するかぶりの発生が抑制される。
-界面活性剤-
トナー粒子は、界面活性剤を含有してもよい。トナー粒子に含有される界面活性剤としては、例えば、トナー粒子の製造過程において、分散液中の粒子を分散させる目的で用い、かつ、トナー粒子内に残留した界面活性剤が挙げられる。
特に、前述の逆極性界面活性剤法により離型剤ドメイン径の分布が制御されたトナー粒子は、例えば、カチオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との両方を含有する。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩等のアミン酢酸類;塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂トリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム等のメチルアンモニウム塩酸塩類;オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のベンジルクロライド類;ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩類;などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤は、これらの中でも、トナー造粒の観点から、第四級アンモニウム塩類、メチルアンモニウム塩酸塩類が好ましく、第四級アンモニウム塩類がより好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキル基及びフェニル基の少なくとも一方にスルホン酸塩が置換したスルホン酸塩類;ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等の金属石鹸類;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル類;などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤は、これらの中でも、摩擦における電荷付与の観点から、スルホン酸塩類、金属石鹸類が好ましく、スルホン酸塩類がより好ましい。
カチオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との組み合わせとしては、第四級アンモニウム塩類とスルホン酸塩類との組み合わせ、メチルアンモニウム塩酸塩類とスルホン酸塩類との組み合わせ、メチルアンモニウム塩酸塩類と金属石鹸類との組み合わせが挙げられ、その中でも第四級アンモニウム塩類とスルホン酸塩類との組み合わせが好ましい。
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
-トナー粒子の特性等-
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂と必要に応じて離型剤とを含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
つまり、コア・シェル構造のトナー粒子においては、芯部及び被覆層の少なくとも一方が離型剤を含んでもよい。上記コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂を含み離型剤を含まない芯部と結着樹脂及び離型剤を含む被覆層とを有してもよく、結着樹脂及び離型剤を含む芯部と結着樹脂を含み離型剤を含まない被覆層とを有してもよく、結着樹脂及び離型剤を含む芯部と結着樹脂及び離型剤を含む被覆層とを有してもよい。
なお、被覆層が離型剤を含む場合、結着樹脂を含み離型剤を含まない他の被覆層をさらに有してもよい。上記他の被覆層は、離型剤を含む被覆層の外周面に設けられてもよく、内周面に設けられてもよく、外周面及び内周面の両方に設けられてもよい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましく、5μm以上7μm以下がさらに好ましい。
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
トナー粒子の平均円形度としては、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA-3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理をおこなって外添剤を除去したトナー粒子を得る。
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、必要に応じて、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液及び離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する工程(分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
-分散液準備工程-
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
ここで、逆極性界面活性剤法においては、例えば、樹脂粒子分散液に含有させる界面活性剤としてアニオン性界面活性剤を用い、離型剤粒子分散液に含有させる界面活性剤としてカチオン性界面活性剤を用いる。
また、樹脂粒子分散液に含有させる界面活性剤としてカチオン性界面活性剤を用い、離型剤粒子分散液に含有させる界面活性剤としてアニオン性界面活性剤を用いてもよい。
前記の通り、離型剤粒子分散液に用いる界面活性剤として、樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤とは逆の極性を有する界面活性剤を用いることで、後述する凝集粒子形成工程において離型剤粒子同士の凝集が抑制され、離型剤ドメイン径の個数平均、離型剤ドメイン径の標準偏差、及び大径ドメイン割合が前記範囲に制御されると推測される。
-凝集粒子形成工程-
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで撹拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
なお、前記の通り、凝集粒子形成工程において、上記撹拌の速度を調整することで、離型剤ドメインの個数平均、離型剤ドメイン径の標準偏差、及び大径ドメイン割合を制御してもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酢酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
-融合・合一工程-
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、凝集粒子を形成する工程と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱をし、凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
つまり、トナー粒子の製造は、例えば、分散液準備工程と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、第1凝集粒子を形成する第1凝集粒子形成工程と、第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液とをさらに混合し、第1凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する第2凝集粒子形成工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱し、第2凝集粒子を融合・合一して、芯部と被覆層とを有するコア・シェル構造のトナー粒子を形成する融合・合一工程と、を経て行われてもよい。
なお、第2凝集粒子形成工程は、第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液とをさらに混合し、第1凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子と離型剤粒子とを付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程であってもよい。
また、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液を得た後、当該第2凝集粒子分散液と樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液とをさらに混合し、第2凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第3凝集粒子を形成する工程と、第3凝集粒子が分散された第3凝集粒子分散液に対して加熱をし、第3凝集粒子を融合・合一して、芯部と第1の被覆層と第2の被覆層とを有するトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率:1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で撹拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑が好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
[樹脂粒子分散液の調製]
<ハイブリッド樹脂粒子分散液Aの調製>
(結晶性ポリエステル樹脂ユニットの合成)
撹拌装置、温度計、窒素導入管、及び減圧装置を備えた反応容器に、多価アルコール成分(1,6-ヘキサンジオール)260質量部、多価カルボン酸成分(1,10-デカンジカルボン酸)460質量部、及び重合触媒(オクチル酸スズ)2質量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで、反応系を230℃まで徐々に昇温し、窒素雰囲気下にて水を留去しながら、5時間反応させた。さらに、0.007MPa以上0.026MPa以下の減圧下において、水を留去しながら反応させ、酸価が0.1mgKOH/gになった時点で、反応を停止させ、結晶性ポリエステルジオール(結晶性ポリエステル樹脂ユニット)を得た。
(ハイブリッド樹脂の合成)
ヘキサメチレンジイソシアネート14質量部、ブチルアクリレート5質量部、アクリル酸4質量部、スチレン17質量部、及び重合開始剤(ジ-t-ブチルパーオキサイド)5質量部の混合物を、滴下ロートに投入する。
次に、この滴下ロートを、上述の反応容器(結晶性ポリエステルジオールを得た反応容器)に設置し、この反応系(結晶性ポリエステルジオール360部を含む系)を160℃で撹拌しながら1時間かけて該混合物を滴下した。
滴下後、反応系を160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた。その後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、残存した単量体等(アクリル酸、スチレン、ブチルアクリレート)を除去することにより、「ポリウレタン樹脂及びポリスチレン樹脂(非晶性樹脂ユニット)と、結晶性ポリエステルジオール(結晶性ポリエステル樹脂ユニット)とを化学結合したハイブリッド樹脂:HB」を合成した。
得られたハイブリッド樹脂の重量平均分子量は31000、融解温度は76℃であった。
(ハイブリッド樹脂粒子分散液Aの調製)
ハイブリッド樹脂:HBを、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)を高温高圧型に改造した分散機を用いて分散した。イオン交換水80質量%、ハイブリッド樹脂の濃度が20質量%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm、熱交換器による加熱140℃、の条件でキャビトロンを運転し、ハイブリッド樹脂粒子分散液を得た。
この分散液におけるハイブリッド樹脂粒子の体積平均粒径は120nmであった。分散液にイオン交換水を加えて固形分量を20質量%に調整し、これをハイブリッド樹脂粒子分散液Aとした。
<スチレンアクリル樹脂粒子分散液Bの調製>
・スチレン : 77部
・n-ブチルアクリレート : 23部
・1,10-デカンジオールジアクリレート:0.4部
・ドデカンチオール :0.7部
上記の材料を混合溶解したものに、アニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス)1.0部をイオン交換水60部に溶解した溶液を加えてフラスコ中で分散、乳化し、乳化液を調製した。続いて、アニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製ダウファックス)2.0部をイオン交換水90部に溶解させ、その中に上記原料の乳化液2.0部を加え、さらに、過硫酸アンモニウム1.0部を溶解したイオン交換水10部を投入した。その後、上記原料の乳化液の残りを3時間かけて投入し、フラスコ内の窒素置換を行った後、フラスコ内の溶液を撹拌しながらオイルバスで65℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、ポリスチレンアクリル樹脂粒子分散液(PSA1)を得た。
ポリスチレンアクリル樹脂粒子分散液(PSA1)にイオン交換水を加えて固形分量を32質量%に調整し、スチレンアクリル樹脂粒子分散液Bとした。スチレンアクリル樹脂粒子分散液2中に分散した架橋構造を有するスチレンアクリル樹脂粒子の体積平均粒径は102nmであり、重量平均分子量(Mw)は、57000であった。
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液Cの調製>
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物 :40モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物:60モル部
・テレフタル酸ジメチル :60モル部
・フマル酸ジメチル :15モル部
・ドデセニルコハク酸無水物 :20モル部
・トリメリット酸無水物 : 5モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記モノマー成分のうちフマル酸ジメチル及びトリメリット酸無水物以外の成分と、ジオクタン酸スズを上記モノマー成分の合計100部に対して0.25部と、を投入した。
窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、フマル酸ジメチルとトリメリット酸無水物とを投入し、1時間反応させた。温度を220℃まで5時間かけて昇温し、10kPaの圧力下で所望の分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂を得た。非晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量が35,000、数平均分子量が8,000、ガラス転移温度が59℃であった。
次に、得られた非晶性ポリエステル樹脂を、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)を高温高圧型に改造した分散機を用いて分散した。イオン交換水80質量%、非晶性ポリエステル樹脂の濃度が20質量%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm、熱交換器による加熱140℃、の条件でキャビトロンを運転し、非晶性ポリエステル樹脂分散液(PES1)を得た。
この分散液における非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は130nmであった。分散液にイオン交換水を加えて固形分量を20質量%に調整し、これを非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液Cとした。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液Dの調製>
・1,10-デカンジカルボン酸:265部
・1,6-ヘキサンジオール:168部
・ジブチル錫オキサイド(触媒):0.3質量部
加熱乾燥した三口フラスコに、上記の成分を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で5時間撹拌・還流を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間撹拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させた。分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた「結晶性ポリエステル樹脂」の重量平均分子量(Mw)は12700であり、融解温度は73℃であった。
得られた結晶性ポリエステル樹脂を90質量部、イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬)を1.8質量部、イオン交換水を210質量部、を用い、120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を1時間行い、体積平均粒径が190nmであり,固形分量が20質量%である結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液Dとした。
[離型剤粒子分散液の調製]
<離型剤粒子分散液1の調製>
・エステル系ワックス :270部
(クロバックス100-7s、Cwax=43、融解温度72度、日本精鑞社製)
・アニオン性界面活性剤 :13.5部
(ネオゲンRK、有効成分60質量%、離型剤に対して3質量%、第一工業製薬製、スルホン酸塩類、化合物名:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
・イオン交換水 :700部
上記の材料を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した。その後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、離型剤分散液を得た。イオン交換水を加えて固形分量が20質量%になるように調整し、これを離型剤粒子分散液1とした。離型剤粒子分散液1中の離型剤粒子の体積平均粒子径は220nmであった。
<離型剤粒子分散液2の調製>
アニオン性界面活性剤の添加量を11部に変更し、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで120分間分散処理するように変更した以外は、離型剤粒子分散液1と同様にして、離型剤粒子分散液2を得た。離型剤粒子分散液2中の離型剤粒子の体積平均粒径は380nmであった。
<離型剤粒子分散液3の調製>
アニオン性界面活性剤の添加量を20部に変更し、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで480分間分散処理するように変更した以外は、離型剤粒子分散液1と同様にして、離型剤粒子分散液3を得た。離型剤粒子分散液3中の離型剤粒子の体積平均粒径は80nmであった。
<離型剤粒子分散液4の調製>
アニオン性界面活性剤の添加量を20部に変更し、分散圧力5MPaで120分間、続いて55MPaで480分間分散処理するように変更した以外は、離型剤粒子分散液1と同様にして、離型剤粒子分散液4を得た。離型剤粒子分散液4中の離型剤粒子の体積平均粒径は40nmであった。
<離型剤粒子分散液5の調製>
アニオン性界面活性剤の代わりに、カチオン性界面活性剤(第四級アンモニウム塩類、第一工業製薬株式会社製、品名:カチオーゲンTM):16部を用いた以外は、離型剤粒子分散液1と同様にして、離型剤粒子分散液5を得た。離型剤粒子分散液5中の離型剤粒子の体積平均粒径は180nmであった。
<離型剤粒子分散液6の調製>
エステル系ワックスの添加量を200部に変更し、さらに炭化水素系ワックス(フィッシャートロプシュワックス、日本精蝋(株)製、品名:FNP0090、融解温度Tm:91℃)を70部添加した以外は、離型剤粒子分散液1と同様にして、離型剤粒子分散液6を得た。離型剤粒子分散液6中の離型剤粒子の体積平均粒径は220nmであった。
[着色剤粒子分散液の調製]
・カーボンブラック(キャボット製Regal330) :250部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンSC):33部(有効成分60質量%、着色剤に対して8質量%)
・イオン交換水 :750部
上記の材料をすべて投入した際に液面の高さが容器の高さの1/3程度になる大きさのステンレス容器に、イオン交換水280部とアニオン性界面活性剤33部とを入れ、界面活性剤を溶解させた後、カーボンブラックすべてを投入し、撹拌機を用いて濡れていない顔料がなくなるまで撹拌するとともに脱泡させた。脱泡後に残りのイオン交換水を加え、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて、5000回転で10分間分散した後、撹拌器で1昼夜撹拌して脱泡した。脱泡後、再度ホモジナイザーを用いて、6000回転で10分間分散した後、撹拌器で1昼夜撹拌して脱泡した。続けて、分散液を高圧衝撃式分散機アルティマイザー(スギノマシン製HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータル仕込み量と装置の処理能力とから換算して25パス相当行った。得られた分散液を72時間放置して沈殿物を除去し、イオン交換水を加えて固形分量を15質量%に調整し、黒色顔料分散液である着色剤粒子分散液を得た。着色剤粒子分散液中の着色剤粒子の体積平均粒径は135nmであった。
[トナーの作製及び測定]
<実施例1>
(第1凝集粒子形成工程)
・ハイブリッド樹脂粒子分散液A :100部
・スチレンアクリル樹脂粒子分散液B :362.5部
・離型剤粒子分散液1 :70部
・着色剤粒子分散液 :66.7部
・イオン交換水 :1000部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製Dowfax2A1):5.0部
温度計、pH計、撹拌器を備えた3リットルの反応容器に、上記材料を入れ、温度25℃下にて硝酸を添加しながら、pHを3.0に調整した。その後、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)にて5,000rpmで分散しながら、凝集剤として濃度2.0質量%の塩化マグネシウム水溶液を150部添加し、6分間分散した。
その後、反応容器に撹拌器、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を1000rpmに調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてから53℃までは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにマルチサイザーII(アパーチャー径50μm、ベックマン-コールター社製)にて粒子径を測定した。体積平均粒子径が4.2μmになったところで温度を保持し、これを第1凝集粒子分散液とした。
(第2凝集粒子形成工程)
攪拌器の回転数は第1凝集粒子形成工程と同じまま、上述の第1凝集粒子分散液に、スチレンアクリル樹脂粒子分散液B125部を、5分かけて投入し、20分間保持し、これを第2凝集粒子分散液とした。
(融合・合一工程)
第2凝集粒子分散液を、50℃に30分間保持した、反応容器に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)20質量%水溶液を15部添加した。その後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、分散液のpHを9.0に制御した。次に、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で90℃(合一温度)まで昇温し、90℃で保持した。光学顕微鏡と電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)にて、粒子の形状及び表面性を観察し、粒子の合一が確認された、90℃での保持を開始してから4時間(合一時間)後に、冷却水で容器を30℃まで5分間かけて冷却した。フロー式粒子像解析装置により測定されたトナー粒子の平均円形度は0.966だった。
冷却後のスラリーを、目開き15μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧濾過した。濾紙上に残った固形分を手で、できるだけ細かく砕き、温度30℃で固形分量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間撹拌混合した。次いで、アスピレータで減圧濾過し、濾紙上に残った固形分を手で、できるだけ細かく砕き、温度30℃で固形分量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間撹拌混合した後、再度アスピレータで減圧濾過し、濾液の電気伝導度を測定した。濾液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、固形分を洗浄した。
洗浄された固形分を湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕き、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。トナー粒子は、体積平均粒子径が5.7μmであった。得られたトナー粒子のスチレン含有率(表中の「スチレン量」)、比Yw/Ys、比Yw/Yhを表2に示す。
(外添剤の添加)
次に、得られたトナー粒子100部に対して、外添剤として、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.5部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、実施例1の静電荷像現像用トナーを得た。
(測定)
実施例1で得られたトナーについて、離型剤ドメイン径の個数平均、離型剤ドメイン径の標準偏差、大径ドメイン割合(表中の「大径割合」)、及び離型剤ドメインの平均円形度(表中の「円形度」)を、既述の方法に従って測定した。結果を表2に示す。
<実施例2~15及び比較例1~4>
表1のとおりに材料仕込量及び工程条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーの作製及び測定を行った。
[現像剤の作製]
得られたトナー8部と下記キャリア100部とを混合して、現像剤を得た。
-キャリアの作製-
・フェライト粒子(平均粒径50μm) 100部
・トルエン 14部
・スチレン/メチルメタクリレート共重合体(共重合比15/85) 3部
・カーボンブラック 0.2部
フェライト粒子を除く上記成分をサンドミルにて分散して分散液を調製し、この分散液をフェライト粒子とともに真空脱気型ニーダに入れ、撹拌しながら減圧し乾燥させることによりキャリアを得た。
[評価]
<かぶりの評価>
かぶりの評価は、以下のようにして行った。 Docu Centre Color450、(富士フイルムビジネスイノベーション(株))製を用いて、高温高湿(28℃85%RH)の環境下で、印字率2%(画像密度2%)の画像サンプルを、P紙で2000枚印字する。その後、同じ環境下で、印字率10%の画像サンプルを1000枚印字し、その後、印字率10%の1000枚目の画像サンプルにて下記の基準で評価を行った。結果を表2に示す。
A(◎):目視判定にて、かぶりが全く認識されない。
B(○):目視判定にて、かぶりがごくわずかに認識されるが許容できるレベルである

C(×):目視判定にて、かぶりが認識され許容できないと判断されるレベルである。
<定着性の評価>
得られた現像剤を用い、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社製DocuCentre Color450改造機により、28℃、85%RHの環境下で、A4サイズのJ紙(富士ゼロックス(株)製)に対して、画像密度20%の画像を10000枚出力した。なお、定着温度は180℃とした。10000枚目の画像を目視で確認し、オフセットの有無を下記評価基準にて評価した。なお、A~Cまでを許容範囲とした。結果を表2に示す。
-評価基準-
A:確認できない。
B:画像面積の10%未満のオフセットあり。
C:画像面積の10%以上のオフセットあり。
<色筋の評価>
現像剤を28℃85%RH環境下に24時間放置後、28℃85%RHの環境下、富士フイルムビジネスイノベーション(株)製700Digital Color Press改造機を用いて、A4サイズの紙に、低画像密度(画像密度1%)の画像を10万枚連続で出力した。最後の100枚を目視で観察し、色筋発生を下記のとおり分類した。A及びBが実使用上問題のないレベルである。結果を表2に示す。
A:色筋発生なし
B:1枚以上5枚以下に色筋が発生(実用上許容できる範囲)
C:6枚以上に色筋が発生(実用上許容できなレベル)
Figure 2023077913000001
Figure 2023077913000002
上記結果から、本実施例のトナーは、クリーニング不良による色筋発生の抑制と、高温高湿環境下において形成された画像のかぶり抑制と、を両立することがわかる。
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
28 定着装置(定着手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
117 筐体
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)

Claims (13)

  1. ビニル系樹脂を含む結着樹脂とエステル系ワックスを含む離型剤とを含有するトナー粒子であって、
    前記トナー粒子の断面において、前記離型剤のドメインの断面における円相当径の個数平均が0.10μm以上1.5μm以下であり、かつ、前記円相当径の標準偏差が0.05超え0.5以下であるトナー粒子を有する、静電荷像現像用トナー。
  2. 前記トナー粒子の断面に存在する前記離型剤のドメインの断面の全個数に対し、円相当径が前記トナー粒子の体積平均粒径の3分の1倍以上である離型剤のドメインの断面が0.5個数%以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記離型剤のドメインの断面が円形状である、請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記離型剤のドメインの断面における平均円形度が0.90以上である、請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記ビニル系樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂ユニットとポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットとが化学結合したハイブリッド樹脂、及びスチレン(メタ)アクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記トナー粒子全体に対する、前記ビニル系樹脂におけるスチレン骨格を有する単量体に由来する単位の含有率が、40質量%以上90質量%以下である、請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記トナー粒子全体に対する前記ビニル系樹脂におけるスチレン骨格を有する単量体に由来する単位の含有率をYs質量%、前記トナー粒子全体に対する前記離型剤の含有率をYw質量%としたとき、比Yw/Ysの値は0.055以上0.375以下である、請求項5又は請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 前記トナー粒子全体に対する前記ハイブリッド樹脂の含有率をYh質量%、前記トナー粒子全体に対する前記離型剤の含有率をYw質量%としたとき、比Yw/Yhの値は0.25以上15以下である、請求項5~請求項7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
  10. 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
    画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
  11. 請求項9に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
    画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  12. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    請求項9に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
    を備える画像形成装置。
  13. 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
    請求項9に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
    を有する画像形成方法。
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