JP2023077601A - メタン発酵消化液の処理方法及びメタン発酵消化液の処理システム - Google Patents

メタン発酵消化液の処理方法及びメタン発酵消化液の処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】 メタン発酵消化液をより低コストで排水処理することが可能なメタン発酵消化液の処理技術を提供すること。【解決手段】 メタン発酵消化液の処理システム1は、消化液中の有機物除去、窒素除去、色素除去の一連の処理工程を生物学的処理により行うものであり、第1有機物分解槽10、第2有機物分解槽20、第1硝化槽30、第2硝化槽40、脱窒槽50及び脱色槽60は、この順に上流側から下流側に配置され、脱色槽60での処理を経た処理水が、下水処理施設又は河川に放流される。【選択図】図1

Description

本発明は、メタン発酵消化液の処理システムに関し、特に生物学的処理によりメタン発酵消化液を浄化するメタン発酵消化液の処理方法及び処理システムに関する。
動植物に由来する有機性資源(バイオマス)は、化石燃料に代わる再生可能なエネルギー源として注目されている。バイオマスのうち食品廃棄物や家畜排せつ物等の廃棄物系資源をバイオ燃料に変換する技術として、生物化学的変換による気体燃料製造が知られている。
生物化学的変換による気体燃料製造は、メタン発酵を利用した技術であり、廃棄物系資源を原料に微生物による嫌気性発酵によって有機物を分解し、その過程で発生するメタンガス(CH4)を、発電等に利用する気体燃料として取り出す技術である。
気体燃料製造のプロセスでは、バイオガスの他に消化液(発酵残渣)が発生する。これら消化液は、排水処理又は焼却処理される事例が多い。消化液を排水処理して河川に放流する場合には、水質汚濁防止の観点から、湖沼内湾の富栄養化の原因となるような窒素(N)やリン(P)を消化液から除去する必要がある。消化液の排水処理における窒素除去方法としては、消化液を固液分離法により固液分離し、固体分を除いた分離液を生物学的硝化脱窒法によって脱窒素し、脱窒素液を凝集法によって処理して窒素化合物を除去する方法が知られている(特許文献1参照)。
特開2018-27527号公報
一般的に、消化液のC/N比(炭素率)は、活性汚泥法等の生物学的方法による排水処理に不向きとされている。このため、特許文献1では、消化液を排水処理する過程で、まず固液分離法用いた固液分離により有機物の一部を汚泥として引き抜き、その後に生物学的方法を用いた処理を行っている。また、固液分離では、固液分離の促進のために高分子凝集剤を用い、遠心分離装置やスクリュープレス装置等の装置により物理的に固体分(汚泥)と液体分を分離している。このような物理学的処理を利用する排水処理施設では、高いコストとエネルギーが必要となり、さらに、分離された固体分については、液体分とは別の処理が必要となる。このため、消化液の処理費用が高くなるという問題がある。
他方、メタン発酵後の消化液には、窒素(N)やリン(P)及びカリウム(K)が含まれていることから、消化液を液肥として農地に還元する取り組みがなされている。しかしながら、消化液に含まれる全窒素(T-N)は1000-5000mg/L、全リン(T-P)は200-800mg/L、全カリ(T-K)は1000-4000mg/L程度であり、N-P-Kの肥料成分を10~20%含む化成肥料に比べて、肥料成分濃度が薄い。さらに、これらの成分はメタン発酵の原料により変動し、肥料としての品質を確保するのが難しいという問題がある。また、メタン発酵消化液には、メタン発酵により生成する硫黄臭などの強い臭いがあり、液肥として大量に農地に撒くと周辺環境に影響が及ぶため利用が敬遠される場合もある。このように肥料としての品質面、臭いの問題等から、現状では、消化液の農地への還元は限定的なものにとどまっている。
近年の再生可能エネルギーの普及により、メタン発酵消化液の排出量は増加傾向にあり、より低コストでメタン発酵消化液を処理可能な排水処理システムが求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、メタン発酵消化液をより低コストで排水処理することが可能なメタン発酵消化液の処理技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために成された本発明に係るメタン発酵消化液の処理方法は、メタン発酵消化液を受け入れて通性嫌気的に生育し有機炭素源を利用する従属栄養細菌を含む微生物叢に作用させ、前記メタン発酵消化液に含まれる有機物を分解し有機物分解処理液を得る有機物分解工程と、前記有機物分解処理液を受け入れて前記有機物分解処理液に含まれるアンモニア態窒素を硝化菌の作用により、亜硝酸化及び硝酸化し硝化処理液を得る硝化工程と、前記硝化処理液を受け入れて、前記硝化処理液に含まれる亜硝酸態窒素及び硝酸態窒素を脱窒菌の作用により嫌気的条件下で窒素分子に還元し、前記窒素分子が除去された窒素除去処理液を得る脱窒工程と、を含むことを特徴とするものである。
本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理方法は、前記有機物分解工程は、前記メタン発酵消化液を受け入れる第1有機物分解槽において所定の時間曝気する第1有機物分解工程と、前記有機物分解工程の後、前記第1有機物分解槽と分離して設けられた第2有機物分解槽との間で槽内の被処理液を循環させて曝気する第2有機物分解工程と、を含むものである。
また、本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理方法は、前記硝化工程は、前記有機物分解処理液を第1硝化槽に移送し曝気することで前記硝化菌を生育させる第1硝化工程と、第1硝化工程を経た処理液を前記第1硝化槽とは分離された第2硝化槽に移送し前記第1硝化工程とは異なる条件で曝気することにより、前記硝化菌によりアンモニア態窒素を亜硝酸化及び硝酸化する第2硝化工程と、を含むものである。
また、本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理方法は、前記脱窒工程では、アルコール廃液又は酢酸廃液が添加される、ものである。
また、本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理方法は、前記有機物分解工程、前記硝化工程及び前記脱窒工程の各工程の後に汚泥を引き抜いて集積し前記有機物分解工程に返送する返送汚泥に再生する再生工程をさらに含む、ものである。
また、本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理方法は、前記窒素除去処理液を脱色する脱色工程をさらに含むものである。
さらに、上記課題を解決するためになされた本発明に係るメタン発酵消化液の処理システムは、メタン発酵消化液を受け入れて、通性嫌気的に生育し有機炭素源を利用する従属栄養細菌を含む微生物叢に作用させ、前記メタン発酵消化液に含まれる有機物を分解し有機物分解処理液を得る有機物分解槽と、前記有機物分解処理液を受け入れて、前記有機物分解処理液に含まれるアンモニア態窒素を硝化菌の作用により、亜硝酸化及び硝酸化し硝化処理液を得る硝化槽と、前記硝化処理液を受け入れて、前記硝化処理液に含まれる亜硝酸態窒素及び硝酸態窒素を脱窒菌の作用により嫌気的条件下で窒素分子に還元し、前記窒素分子が除去された窒素除去処理液を得る脱窒槽と、を備えることを特徴とするメタン発酵消化液の処理システム。
また、本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システムは、前記有機物分解槽が、前記メタン発酵消化液を受け入れる第1有機物分解槽と、前記第1有機物分解槽と分離して設けられた第2有機物分解槽と、を有し、前記第1有機物分解槽と前記第2有機物分解槽との間には、それぞれの槽内液を互いに循環させる循環機構が設けられ、前記第1有機物分解槽に前記メタン発酵消化液を受け入れて所定の時間曝気した後に、前記循環機構により前記第1有機物分解槽と前記第2有機物分解槽の槽内液を循環させて曝気することにより前記有機物分解処理液を得る、ものである。
また、本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システムは、前記硝化槽が、前記有機物分解槽から移送された前記有機物分解処理液を受け入れて曝気することにより第1硝化処理液を得る第1硝化槽と、前記第1硝化槽と分離して設けられ前記第1硝化処理液を受け入れて前記第1硝化槽とは異なる条件で曝気することにより硝化処理液を得る第2硝化槽と、を有するものである。
また、本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システムは、前記脱窒槽には、アルコール廃液又は酢酸廃液が添加される、ものである。
また、本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システムは、前記有機物分解槽、前記硝化槽及び前記脱窒槽の各槽から汚泥を引き抜いて集積し前記有機物分解槽に返送する返送汚泥に再生する再生槽をさらに備える、ものである。
また、本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システムは、前記窒素除去処理液を脱色する脱色槽をさらに備える、ものである。
本発明に係るメタン発酵消化液の処理技術によれば、消化液に含まれる有機物を生物学的方法により分解した後に、硝化菌による硝化を行うことから、凝集剤を用いて物理的に有機物の一部を固体分離する従来の方法に比べて、より低コストで消化液の排水処理を行うことができる。
本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理技術によれば、有機物分解処理を行う処理槽を、第1有機物分解処理槽と第2有機物分解処理槽とに分離して設け、第1有機物分解処理槽に消化液を受け入れてから所定の時間第1有機物分解処理槽で曝気した後に、第1有機物分解処理槽と第2有機物分解処理槽との間でとの間で槽内の被処理液を循環させて曝気することで、消化液投入により変化した槽内環境を通性嫌気的に生育し有機炭素源を利用する細菌類が増殖できる槽内環境に戻す時間を、有機物分解槽を1槽で構成した場合よりも短時間とすることができる。これにより、消化液に含まれる有機物の分解を遅滞なく進行させることができる。
本発明の一実施形態に係るメタン発酵消化液の処理技術によれば、硝化菌による硝化反応を互いに異なる条件で曝気する第1硝化槽と第2硝化槽とを用いて2段階で行うことにより、硝化菌を生育させ、硝化菌の汚泥滞在時間を確保することが可能となる。
本発明の実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システムの概要図である。 本発明の実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システムの主要な電気的構成を説明するブロック図である。 本発明の実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システムにおける全窒素量の変化を示すグラフである。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
本実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システムについて、図1及び図2を参照しながら説明する。
[処理システムの構成]
本実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システム1(以下、処理システム1と呼称する)は、主に食品廃棄物を原料にメタン発酵槽でメタン発酵を行った後の消化液(発酵残渣)を浄化して、下水処理施設に排出又は河川に放流するための処理システムである。
メタン発酵では、嫌気的条件下で複数種の嫌気性細菌の作用により、食品廃棄物に含まれる有機物をメタン(CH)等にまで分解する。メタン発酵により発生したメタンを含むバイオガスは、燃料として回収され発電等に利用される。バイオガスを回収した後に残る残渣が消化液であり、本実施形態に係る処理システム1の処理対象物となる。
本実施形態に係る処理システム1は、消化液中の有機物除去、窒素除去、色素除去の一連の処理工程を生物学的処理により行うものであり、複数の処理槽が連設された構成を有する。複数の処理槽のそれぞれは、各処理槽において優位に働く微生物の機能により分けられる機能槽であって、消化液中の有機物含量を微生物の作用により低減する有機物分解工程と、硝化菌の硝化作用によりアンモニア態窒素を亜硝酸及び硝酸まで酸化する硝化工程と、脱窒菌の硝酸呼吸により亜硝酸及び硝酸を還元して窒素ガスを生成する脱窒工程と、脱窒工程後の処理水を微生物の作用により脱色する脱色工程と、をそれぞれ実行可能に構成されている。
図1に示すように、本実施形態に係る処理システム1は、第1有機物分解槽10、第2有機物分解槽20、第1硝化槽30、第2硝化槽40、脱窒槽50、脱色槽60、再生槽70の7つの処理槽を有し、各処理槽の活性汚泥の微生物叢に対して目的とする生物学処理を優位に行うように各処理槽内の微生物の生育環境を制御する制御装置90を備える。第1有機物分解槽10、第2有機物分解槽20、第1硝化槽30、第2硝化槽40、脱窒槽50及び脱色槽60は、この順に上流側から下流側に配置され、脱色槽60での処理を経た処理水が、下水又は河川に放流される。
第1有機物分解槽10及び第2有機物分解槽20は、消化液中の有機物含量を微生物の作用により低減する有機物分解工程を実行する有機物分解槽を構成する。
第1有機物分解槽10は、上部開口より消化液を受け入れる処理槽であり、消化液と活性汚泥を含む懸濁液を収容する。第1有機物分解槽10には、曝気装置13と、水中ポンプ14と、接触材15が設けられている。
曝気装置13は、槽内の液中にエアーを送り込むためのものであり、槽内の下部に設けられた散気管11と、該散気管11に接続されたブロア12により構成されている。また、水中ポンプ14は、液体を吸引及び吐出することで槽内液に対流を生じさせものである。水中ポンプ14の動作により消化液と活性汚泥を含む懸濁液が全体的に攪拌される。
接触材15は、活性汚泥中の微生物を定着させるためのものである。接触材15としては、多孔質材料、例えば、不織布、プラスチック材、スポンジ材、多孔質セラミック等を採用することができる。また接触材15の形状は、板状、粒状、筒状等の形状のものを使用することができ、接触材の材質及び形状に応じて、金属もしくは化学繊維等で作られた網状容器に接触材を収容して槽内に配置している。多孔質材料を用いることにより、槽内の酸素効率を向上させることができる。
第2有機物分解槽20には、第1有機物分解槽10と同様に、散気管21とブロア22を有する曝気装置23と、水中ポンプ24と、接触材25が設けられている。第1有機物分解槽10と第2有機物分解槽20の槽内の懸濁液は、循環機構29により循環するように構成されている。循環機構29は、循環ポンプ19と、循環ポンプ19が介装され第1有機物分解槽10の懸濁液を第2有機物分解槽20に移送する移送管路26と、バルブ17が介装され第1有機物分解槽10と第2有機物分解槽20との間を、各処理槽の下方側で接続する連通管路16とから構成されている。第1有機物分解槽10と第2有機物分解槽20との間の懸濁液の循環は、バルブ17を開放した状態で循環ポンプ19を動作させることにより行われる。すなわち、第1有機物分解槽10から第2有機物分解槽20へ懸濁液が移送管路26を介して移送され、第1有機物分解槽10と第2有機物分解槽20の液面の高さが等しくなるように、第2有機物分解槽20から第1有機物分解槽10へ懸濁液が連通管路16を介して移動する。
第1有機物分解槽10及び第2有機物分解槽20における活性汚泥中の微生物叢は、消化液から持ち込まれるメタン発酵原料由来の微生物、メタン発酵菌等の他に、通性嫌気的に生育し有機炭素源を利用する細菌を含む。これらの細菌は、下水処理等に使われる標準的な活性汚泥に含まれるとともに、メタン発酵消化液の処理に適した微生物叢とするために添加した微生物複合剤に含まれる。
微生物複合剤に含まれる細菌としては、酸素非発生方光合成細菌、好気性内生胞子形成菌、放線菌等が挙げられる。
酸素非発生型光合成細菌は、非酸素発生型の光合成を行う細菌であり、紅色硫黄細菌、紅色非硫黄細菌、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌等が挙げられる。中でも、有機物を炭素源かつ電子供与体として利用でき、至適育成温度が中温(30℃台)で暗所であれば好気的な増殖も可能で光合成時にも厳密な嫌気条件を必要としない通性嫌気性菌である紅色非硫黄細菌(例えば、Rhodobacter sphaeroides、Rhodopseudomonas palustris, Rhodospirillum rubrum, Rubrivivax gelatinosus)が好ましい。
好気性内生胞子形成菌は、栄養細胞中に芽胞を形成する芽胞形成細菌であり、Bacillus属、Brevibacillus属、Sporosarcina属、Paenibacillus属等の細菌が挙げられる。
放線菌は、放射状に菌糸が生育しその先端に胞子を形成する細菌であり、栄養源などの条件がそろったときに菌糸の生育を行い、有機物を分解する。放線菌としては、Corynebacterium属、Micrococcus属、Streptomyces属などが挙げられる。
さらに、微生物複合剤には、有機物を分解可能な細菌として、Pseudomonas属、Aeromonas属、Acinetobacter属、Alcaligenes属、Serratia属の細菌を含んでもよい。また、微生物複合剤には、アミノ酸、ミネラル分等の酵素活性補助剤が含まれている。
第1硝化槽30及び第2硝化槽40は、第1有機物分解槽10及び第2有機物分解槽20における有機物分解処理を経て、第2有機物分解槽20から移送された処理液に含まれるアンモニア態窒素を好気的条件下で硝化菌の作用により亜硝酸化及び硝酸化する硝化工程を実行する処理槽である。
硝化菌は、主に消化液から持ち込まれるものであり、硝化菌としては、アンモニア硝化菌(Nitorosomonas属)と亜硝酸酸化菌(Nitrobacter属)が挙げられる。これら硝化菌は、二酸化炭素を非光合成的に固定する独立栄養細菌であり、アンモニア(NH4)から亜硝酸を生成する反応はアンモニア硝化菌の作用によって進み、亜硝酸(NO2 -)から硝酸(NO3 -)を生成する反応は亜硝酸酸化菌の作用によって進む。
第1硝化槽30には、散気管31とブロア32を有する曝気装置33と、水中ポンプ34と、接触材35が設けられている。第2有機物分解槽から第1硝化槽に導入される有機物分解処理液には、わずかながら有機物が含まれている。液中に有機物が共存すると好気性微生物による酸化分解の方が硝化菌によるアンモニア態窒素の酸化よりも優先して起こり、硝化反応が進行しない。このため第1硝化槽30では、接触材35を設け、間欠曝気を行い、活性汚泥に含まれる微生物叢により、残存する有機物の分解を促進し有機窒素を無機窒素(アンモニア態窒素)に変えるとともに、硝化菌を生育させる。なお、この第1硝化槽30においても、硝化菌による硝化反応は行われる。
第2硝化槽40には、散気管41とブロア42を有する曝気装置43と水中ポンプ44とが設けられている。第2硝化槽40では、第1硝化槽30とは異なる条件で曝気を行うことにより、第1硝化槽30から移送された処理液に含まれるアンモニア態窒素を亜硝酸及び硝酸化する反応を主に行う。
硝化菌は活性汚泥中で多数を占める有機物を炭素源とする従属栄養細菌に比べて増殖速度が遅いため、硝化菌を処理槽内に維持するためには、硝化菌の増殖速度に見合った汚泥滞留時間(SRT)を確保した処理システムの運転管理を行う必要がある。本実施形態の処理システム1では、硝化槽を第1硝化槽30と第2硝化槽40の2槽に分け、硝化反応を行う処理槽のSRTを確保しつつ、硝化反応を効率的に行えるようにしている。
脱窒槽50は、脱窒菌の作用により、亜硝酸及び硝酸を還元する脱窒工程を実行する処理槽である。第2硝化槽40から移送された処理液に含まれる亜硝酸及び硝酸が還元されると、気体状の窒素分子(N2)が発生し、気体窒素(N2)は気泡となって処理水中から離脱する。
脱窒菌は、通気性嫌気性細菌であり、好気的条件下では電子受容体として酸素を使う呼吸を行ない、嫌気的条件下では酸素の代りに硝酸(NO3 -)、亜硝酸(NO2 -)を用いた硝酸呼吸を行うことにより、N2、N2Oを放出する。脱窒菌としては、例えば、Achromobacter属、Alcaligenes属、Bacillus属、Corynebacterium属、Micrococcus属、Pseudomonas属が挙げられる。
脱窒菌による脱窒反応においては有機物を必要とし、有機物を含む排水における目安は、BOD(生物化学的酸素要求量):T-N(全窒素)=3:1とされている。このため、脱窒槽におけるBOD値がT-Nの3倍に満たない場合には、脱窒菌の硝酸呼吸において電子供与体となる有機物を添加してもよい。このような有機物としては、焼酎等の酒類、醸造酢等を製造する食品加工工場から排出されるアルコール廃液、酢酸廃液等を利用することができる。なお、一般的なアルコール廃液には、12~20%程度のエタノール(C2H5OH)が含まれており、一般的な酢酸廃液には3~10%程度の酢酸(CH3COOH)が含まれている。
脱窒槽50は沈殿槽でもあり、その底部にはモータ56の駆動により回転する攪拌部材59が設けられている。攪拌部材59は、処理槽の底に沈殿した活性汚泥層を緩やかに掻き回すことで、活性汚泥中に埋もれた気泡を槽の上方へと浮かび上がらせるものである。脱窒槽50の上方に移動した気体窒素は、液面から液外に放出される。
脱色槽60は、脱窒槽50から移送された処理液から色素を除去する脱色工程を実行する処理槽である。脱色槽60には、散気管61とブロア62を有する曝気装置63が設けられている。脱色槽60において脱色の機能を果たすのは、活性汚泥ともに脱色槽60内で生育する微生物である。脱色作用を示す微生物としてはChryseobacterium属、Aeromonas属、Bacillus属の細菌が挙げられる。
再生槽70は、第2有機物分解槽20から脱窒槽50までの各処理槽から所定の間隔で抜き取られる活性汚泥を貯留し第1有機物分解槽10に活性汚泥として戻す返送汚泥に再生する処理槽である。再生槽70には、散気管71とブロア72を有する曝気装置73が設けられている。活性汚泥中の微生物叢をメタン発酵消化液の処理に適して状態とするために曝気により槽内を微生物の培養に適した環境とする。再生槽70において、再生された活性汚泥は、返送ポンプ79が介装された返送管路78を介して第1有機物分解槽10に戻される。なお、第2有機物分解槽20、第1硝化槽30、第2硝化槽40、脱窒槽50、脱色槽60の底部には、再生槽70に汚泥排出するための引抜用管路28,38,48,58.68がそれぞれ設けられており、各引抜用管路28,38,48,58.68にはバルブ27,37,47,57,67が介装されている。これらのバルブ27,37,47,57,67は、通常は閉じた状態であり、汚泥を引き抜くときに、手動又は制御装置90により開閉される。
本実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システム1は、システムを制御するための制御装置90を備える。
制御装置90は、演算装置としてのCPU91、制御プログラム等が格納されたメモリ92を備えたコンピュータ装置であり、例えば、パーソナルコンピュータにより構成することができる。制御装置90には、ブロア12,22,32,42,62,72と、水中ポンプ14,24,34,44と、循環ポンプ19と、返送ポンプ79と、入力表示部93が接続されている。入力表示部93は、例えば、タッチパネルを備えた液晶表示装置から構成される。
各処理槽に設けた曝気装置13,23,33,43,63,73及び水中ポンプ14,24,34,44は、同じ仕様のものが採用されており、制御装置90により、それらの構成の動作を制御することにより、各処理槽の槽内環境を制御している。
[メタン発酵消化液の処理]
[メタン発酵処理液]
以上のような構成の処理システム1によるメタン発酵消化液の処理について、さらに詳細に説明する。なお、この処理システム1では、各処理槽ごとに所定の時間バッチ処理し、所定量を次処理に順次移送することにより一連の処理を行う。
消化液の性状を表1に示す。なお、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD-Cr)、全窒素量(T-N)、アンモニア態窒素、有機態窒素は、それそれ、日本工業規格(JIS K 0102:2019; 工場排水試験方法)に定められた測定方法に従って測定した。
Figure 2023077601000002
表1に示した消化液の性状は、食品廃棄物を原料にメタン発酵させた後の消化液の一例であって、BOD、COD-Cr、T-N、アンモニア態窒素(NH4-N)、有機態窒素(Org-N)は、廃棄物に含まれる有機物の構成、メタン発酵の効率等に応じて変動する。
一般的な活性汚泥法による排水処理に適しているとされているBODとT-NとT-P(全リン量)との比率はBOD:T-N:T-P=100:5:1と言われているが、表1に示すように、メタン発酵消化液は、BODの値がT-Nの2倍にも満たない。このため、本実施形態に係る処理システム1においては、まず、消化液を受け入れる第1有機物分解槽10に微生物複合剤を投入し通性嫌気的に生育し有機炭素源を利用する従属栄養細菌を含む微生物叢を活性汚泥中に形成させている。これにより、従来は、活性汚泥法に不向きとされるメタン発酵消化液を、固液分離等の物理的前処理を介することなく、直接的に生物学処理することを可能としている。
[処理システムの予備運転]
まず、処理システム1の稼働を開始するにあたり、第1有機物分解槽10に槽容積の約30%容量の微生物複合剤を投入し、予備的な培養を行うことにより、メタン発酵消化液の処理に適した微生物叢を含む活性汚泥を調製する。なお、微生物複合剤の培養は、再生槽70で行って、第1有機物分解槽10に供給するようにしてもよい。
次に、調製した活性汚泥を、循環機構29の動作により第1有機物分解槽10と第2有機物分解槽20で均一化した後、メタン発酵消化液を受け入れ、予備運転を開始する。活性汚泥の次処理槽への移動量を考慮して、処理システム1の運転を適宜停止し、第2有機物分解槽20から第1硝化槽30、第2硝化槽40、脱窒槽50、脱色槽60への各処理槽の内容液の次処理槽への移送を行う。なお、予備運転中は、脱色槽60を経た処理水は排出せずに、第1有機物分解槽10から第2硝化槽40までの何れかの処理槽に返送する。消化液を追加しながらこのような予備運転を1~2週間続けることにより、各処理槽がメタン発酵消化液の各処理工程を実行可能な状態に調製される。
[処理システムの通常運転]
第1有機物分解槽10に所定量の消化液を投入する。このとき、第1有機物分解槽10と第2有機物分解槽20との間の連通管路16のバルブ17は閉じておき、第1有機物分解槽10水中ポンプ14とブロア12を動作させながら活性汚泥と消化液との懸濁液を得る。
第1有機物分解槽10に消化液を投入した後、所定の時間(例えば、2~3時間)水中ポンプ14とブロア12を動作させ、第1有機物分解槽10内の活性汚泥と消化液との懸濁液を均一化する。しかる後、連通管路16のバルブ17を開き、循環ポンプ19を動作させ、第1有機物分解槽10と第2有機物分解槽20との間で懸濁液を循環させる。このときの懸濁液の活性汚泥浮遊物質(MLSS: Mixed Liquor Suspended Solids)は6000-10000ppmであり、槽内温度は24-35℃、pH8-9である。さらに、懸濁液中の溶存酸素量(DO)が2-3mg/Lとなるように、ブロア12,22を45分稼働し15分休止させる動作を繰り返す間欠曝気を行う。これにより、第1有機物分解槽10と第2有機物分解槽20内の懸濁液は、通性嫌気的に生育し有機炭素源を利用する細菌類が優位に増殖可能な状態に維持される。
有機物分解槽を第1有機物分解槽10と第2有機物分解槽20とに分け、先ず第1有機物分解槽10で消化液を受け入れ、その後に第2有機物分解槽20との間で懸濁液を循環させる。これにより、消化液が投入されたときにもたらされる一過性の槽内環境の変化を第1有機物分解槽10に留め、第2有機物分解槽20の微生物叢への負担が軽減している。したがって、消化液の投入により変化した槽内環境を通性嫌気的に生育し有機炭素源を利用する細菌類が増殖できる槽内環境に戻す時間を、有機物分解槽を1槽で構成した場合よりも短時間とすることができる。
第1硝化槽30は、第1有機物分解槽10及び第2有機物分解槽20での処理を経た有機物分解処理液を受け入れる。第1硝化槽30内の処理液は、6000-7000ppmのMLSSを含み、温度が24-35℃、pH8-9である。さらに、第1硝化槽30では、槽内処理液中のDOが2-3mg/Lとなるように、ブロア32に45分稼働と15分休止を繰り返させる間欠曝気を行う。
第1硝化槽30では、槽内処理液中のDOを2-3mg/Lに維持することで、有機物分解処理液から持ち込まれる通性嫌気的に生育し有機炭素源を利用する細菌を、接触材35に定着させ、有機物分解処理液に残存する有機物の分解(加水分解及び酸化分解)を促す。また、硝化菌の生育にはDOが2mg/L以上が好ましいとされており、第1硝化槽30では、有機物の分解と並行して、接触材35に硝化菌を定着させて生育させる。
第2硝化槽40では、第1硝化槽30を経た処理液(第1硝化処理液)を受け入れて、3000ppm以下のMLSSを含む状態とし、槽内処理液中のDOが3-4mg/Lとなるようにブロアを連続運転する連続曝気を行う。このときの槽内処理液のpHは7-9である。
第2硝化槽40では、第1硝化槽30を経て有機物の含有量を低減させた上で、連続曝気により第1硝化槽30よりも好気的な環境としている。これにより、硝化菌による硝化反応を活発化させる。活発な硝化反応によりアンモニア態窒素が減少することで、アンモニア臭等の悪臭も低減される。また、含硫悪臭化合物に対しては、活性汚泥の微生物叢に含まれる放線菌などが作用し、悪臭を低減する効果が期待できる。
硝化槽を第1硝化槽30と第2硝化槽40に分けることで、槽内の有機物濃度が高い状態を第1硝化槽30に留め、第2硝化槽40で有機物濃度が低く保たれた状態で硝化菌による硝化反応を進行させることができる。第2硝化槽40では、第1硝化槽30よりも好気的な条件とすることで硝化菌の活性を維持しているため、1槽のみで硝化処理を行う場合よりも、硝化効率を向上させることができる。
脱窒槽50では、第2硝化槽40を経た硝化処理液を受け入れるとともに、アルコール廃液又は酢酸廃液を添加することで、脱窒菌による硝酸及び亜硝酸の還元反応を促進する。ここで添加するアルコール廃液又は酢酸廃液は、1~3容量%である。従来は、脱窒を促進するための電子供与体としてメタノール(例えば、20容量%)が添加されていたが、本実施形態に係る処理システム1では、焼酎や醸造酢を製造する工場から排出されるアルコール廃液や酢酸廃液を利用することで、消化液の処理コストを低減することができる。
脱窒槽50は、沈殿槽でもあり、処理槽の下部に活性汚泥が堆積した状態となっている。モータ56の駆動により活性汚泥を浮遊させないように攪拌部材59を回転させ、活性汚泥中の微生物叢に含まれる脱窒菌の作用により発生した気体窒素(N2)を活性汚泥より掻き出す。
脱色槽60では、脱色作用を示す細菌を、曝気により活性化して、これらの細菌を含む微生物叢に脱窒槽50から受け入れた脱窒処理液を作用させることにより脱色を行う。このような脱色作用を示す細菌は、処理水の浮遊物質(SS:suspended solids)量に影響を及ぼさない範囲で、活性汚泥とともに脱色に特化した微生物複合剤(第2の微生物複合剤)の形態で脱色槽60に加えて生育させたものであるが、脱色槽60より上流の処理槽から脱色槽60に持ち込まれた汚泥に含まれているものであってもよい。脱色槽60に脱色作用を示す細菌を含む微生物複合材を添加する場合には、1~3容量%を添加するのが好ましい。
再生槽70では、第2有機物分解槽20、第1硝化槽30、第2硝化槽40、脱窒槽50、脱色槽60から引き抜いた汚泥(余剰汚泥)を集積し、所定の条件で曝気する。
再生槽70では、MLSSが10000~30000mg/mlと高い状態である。活性汚泥中には浮遊細菌や細菌が凝集したフロックを食べる原生動物が含まれており、再生槽70では、これらの原生動物の活動を活発化させることにより、SSを減少させ、汚泥量を減少させる。また、再生槽70で活性汚泥中の微生物を培養することで、汚泥を消化液の処理に適した返送汚泥へと再生する。このような再生槽70を設けたことで、廃棄汚泥の発生量を低減することができる。
本実施形態に係るメタン発酵消化液の処理システム1では、再生槽70への汚泥の引き抜き及び処理槽間の処理液の移送及び最終処理液の排出は、所定の時間、各処理槽の曝気装置13,23,33,43及び水中ポンプ14,24,34,44を停止させた後に行う。
まず、各処理槽の曝気装置、水中ポンプを停止させる前に、第2有機物分解槽20、第1硝化槽30、第2硝化槽40、脱窒槽50、脱色槽60のそれぞれから槽内の処理液を採取し、1Lのメスシリンダー若しくは目盛り付き透明瓶に入れ60分静置後の活性汚泥沈殿率(SV60:Sludge volume 60)を求める。また、各処理槽からの処理液の採取後に、各処理槽の水中ポンプ14,24,34,44、ブロア12,22,32,42、循環ポンプ19、モータ56を停止させ、60分経過するのを待つ。
SVは、処理槽内のMLSSの目安となるものであり、各処理槽での処理に対応する微生物叢の状態を考慮して、処理槽毎にSV60の適正範囲を決めておく。各処理槽のSV60を求めた後、適正範囲(例えば、SV60=20%)を超えた値に相当する量の汚泥を各処理槽の容積に応じて各処理槽の底部から抜く作業を行う。各処理槽は、SV60用に処理液を採取した後、曝気装置13,23,33,43,64,73、水中ポンプ14,24,34,44を停止させて静置状態としていることから、各引抜用配管28,38,48,58,68のバルブ27,37,47,57,67をそれぞれ開くと各処理槽の底に沈殿した汚泥が再生槽70に排出される。なお、脱窒槽50は曝気装置を有しない沈殿槽であるが、上澄み液を採取しSV60により汚泥浮上の状況を確認する。脱窒槽50における汚泥の引き抜き量は、汚泥浮上の状況に応じて調節される。
各処理槽を静置状態とし60分経過した後に、各処理槽からSV60に基づいて決めた汚泥を引き抜く。なお、脱色槽60については、最終処理槽であることから、曝気停止から60分経過後に先に所定の上澄み処理水を排出し、続いて汚泥を引き抜く作業を行う。
各処理槽からの汚泥の引き抜きが終わると、脱窒槽50から脱色槽60へ、第2硝化槽40から脱窒槽50へ、第1硝化槽30から第2硝化槽40へ、第2有機物分解槽20から第1硝化槽30へと順次処理液を移送する。各処理槽間の液体移送には、必要に応じて給排水ポンプ等を使用する。
各処理槽間の処理液の移送が完了し、第1有機物分解槽10に所定量(例えば、実容量1m、有効容量が80%の処理槽に対して80L)の消化液を投入した後に、曝気装置13,23,33,43及び水中ポンプ14,24,34,44の駆動を開始し、処理システム1の運転を再開する。このとき、必要に応じて再生槽70から返送汚泥を第1有機物分解槽10に供給する。なお、各処理槽から引き抜いた直後の汚泥は、MLSSが高い状態であるため、返送汚泥には、培養によりMLSSが減少し微生物叢の状態が整えられた画分を用いる。これと同時に、第1有機物分解槽10に微生物複合剤を投入してもよい。
SV60用のサンプルを採取し、処理システム1の運転を停止して、運転を再開し消化液を投入する作業を、1日に1回行う作業を継続して実行することにより、この処理システム1による消化液の処理が継続的に行われる。
本実施形態に係る処理システム1は、脱色槽60からの上澄み処理水を排出し、各処理槽からのSV60に基づいた量の汚泥を引き抜き、各処理槽間の処理液の移送し、第1有機物分解槽10への消化液を投入し、返送汚泥及び微生物複合剤を適時に投入することを繰り返すことで、消化液を継続的に処理可能である。
[結果]
表2に、表1の性状の消化液を所定の間隔(例えば、1日に1回)で第1有機物分解槽10に投入し、処理システム1を3週間運転した後の硝化槽内の処理液の性状を示す。
Figure 2023077601000003
表1に示した消化液と比較して、第1硝化槽及び第2硝化槽では、アンモニア態窒素は4分の1から10分の1、有機態窒素は5分の1程度に減少した。このことから、1日に1回投入されるメタン発酵消化液による変動があるものの、有機体窒素からアンモニア態窒素への変換し、アンモニア態窒素を硝酸態窒素に変換する硝化反応が進んでいることが理解される。
また、第2有機物分解槽20、第2硝化槽40、第2硝化槽40、脱窒槽50を経る過程でのT-Nの変動を表3に示す。さらに、表3のグラフを図3に示す。
Figure 2023077601000004
表3及び図3に示すように、所定の間隔で複数回消化液を投入しても、各処理槽を経るごとにT-Nの量は確実に減少することが確認できた。処理システム1の運転開始から6週間を経過した脱窒槽50では、工場等から自治体の下水処理施設に排出可能なレベル(例えば、T-N=240未満)にまで、低下した。従来のメタン発酵消化液の処理方法では、T-Nを、このようなレベルまで低下させるのに少なくとも60日はかかるとされていたが、本実施形態に係るメタン発酵消化液の処理技術では、処理期間を約2~3割短縮することができた。
表4に、処理開始から8週を経過した最終処理槽である脱色槽60の上澄み処理水の処理水の性状を示す。
Figure 2023077601000005
表4に示すように、BODについては河川等に放流可能な一般排水基準(最大:160mg/L、日間平均:120mg/L)を満たしたものであった。また、T-Nについては、一般排水基準の日間平均(60mg/L)をわずかに上回ったものの、各自治体の下水処理施設への排出基準である下水排除基準(例えば、240mg/L)を大きく下回っていた。T-Nは、有機態窒素と無機態窒素との合計であるが、このうち、無機態窒素であるアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素及び硝酸態窒素については、一般排水基準(100mg/L)を満たしたものであった。CODについては、一般排水基準(最大:160mg/L、日間平均:120mg/L)を超えていたが、表1に示す消化液のCODが4200mg/Lであったのに対し約10分の1の濃度にまで低減することができた。以上の結果から、本実施形態に係る処理システム1の処理水は、河川等への放流に関しては、改良の余地があるものの、下水処理施設への排出は可能であると判断できる。
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明に係るメタン発酵消化液の処理方法及び処理システムは上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本開示に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
[変形例]
上述した実施形態では、脱色槽60を含む処理システムについて説明したが、これに限定されない。すなわち、メタン発酵の原料によって、脱窒処理後に処理液の着色の程度が異なるため、脱窒処理後の処理液のBOD、COD、T-Nが一般排水基準を満たし、かつ、着色の程度が低ければ、脱色槽60を省略して、脱窒処理後の処理液を河川等に放流するようにしてもよい。
また、表4に示すように、BODに対してCODの値が高く、難分解性の有機物が多く残存している可能性が示唆されることから、脱色槽60に換えて、ろ過装置等の物理的に色素及び難分解性有機物を除去する装置を設けて河川等に処理水を放流するようにしてもよい。さらに、このような装置は、脱色槽60の後段にさらに追加して設けてもよい。
また、上述した実施形態では、制御装置90により一括管理するように構成したが、これに限定されない。例えば、各曝気装置13,23,33,43,53,73に、それぞれ制御部を設け、曝気のサイクルを制御するようにしてもよく、各ブロア12,22,32,42,62,72のON/OFFを手動で行うようにしてもよい。曝気のサイクルは、各曝気装置13,23,33,43,53,73に設けたタイマにより行ってもよい。
また、上述した実施形態では、各ブロア12,22,32,42,62,72には定流量型のものを用い、所定の間隔の間欠曝気又は連続曝気を行うことで、各処理槽の液体中のDOを調節したが、これに限定されない。各ブロア12,22,32,42,62,72と散気管11,21,31,41,61,71との間に流量調節弁を設け、制御装置90により流量制御を行うことにより、各処理槽の液体中のDOを調節するようにしてもよい。
10 第1有機物分解槽
13 曝気装置
14 水中ポンプ
15 接触材
20 第2有機物分解槽
23 曝気装置
24 水中ポンプ
25 接触材
29 循環機構
30 第1硝化槽
33 曝気装置
34 水中ポンプ
35 接触材
40 第2硝化槽
43 曝気装置
44 水中ポンプ
50 脱窒槽
59 回転部材
60 脱色槽
63 曝気装置
70 再生槽
73 曝気装置

Claims (12)

  1. メタン発酵消化液を受け入れて通性嫌気的に生育し有機炭素源を利用する従属栄養細菌を含む微生物叢に作用させ、前記メタン発酵消化液に含まれる有機物を分解し有機物分解処理液を得る有機物分解工程と、
    前記有機物分解処理液を受け入れて前記有機物分解処理液に含まれるアンモニア態窒素を硝化菌の作用により、亜硝酸化及び硝酸化し硝化処理液を得る硝化工程と、
    前記硝化処理液を受け入れて、前記硝化処理液に含まれる亜硝酸態窒素及び硝酸態窒素を脱窒菌の作用により嫌気的条件下で窒素分子に還元し、前記窒素分子が除去された窒素除去処理液を得る脱窒工程と、
    を含むことを特徴とするメタン発酵消化液の処理方法。
  2. 前記有機物分解工程は、
    前記メタン発酵消化液を受け入れる第1有機物分解槽において所定の時間曝気する第1有機物分解工程と、
    前記有機物分解工程の後、前記第1有機物分解槽と分離して設けられた第2有機物分解槽との間で槽内液を循環させて曝気する第2有機物分解工程と、
    を含む請求項1に記載のメタン発酵消化液の処理方法。
  3. 前記硝化工程は、
    前記有機物分解処理液を第1硝化槽に移送し曝気することで前記硝化菌を生育させる第1硝化工程と、
    第1硝化工程を経た処理液を前記第1硝化槽とは分離された第2硝化槽に移送し前記第1硝化工程とは異なる条件で曝気することにより、前記硝化菌によりアンモニア態窒素を亜硝酸化及び硝酸化する第2硝化工程と、
    を含む請求項1又は請求項2に記載のメタン発酵消化液の処理方法。
  4. 前記脱窒工程では、アルコール廃液又は酢酸廃液が添加される、
    請求項1から請求項3のいずれかに記載のメタン発酵消化液の処理方法。
  5. 前記有機物分解工程、前記硝化工程及び前記脱窒工程の各工程の後に汚泥を引き抜いて集積し前記有機物分解工程に返送する返送汚泥に再生する再生工程をさらに含む、
    請求項1から請求項4のいずれかに記載のメタン発酵消化液の処理方法。
  6. 前記窒素除去処理液を脱色する脱色工程をさらに含む、
    請求項1から請求項5の何れかに記載のメタン発酵消化液の処理方法。
  7. メタン発酵消化液を受け入れて、通性嫌気的に生育し有機炭素源を利用する従属栄養細菌を含む微生物叢に作用させ、前記メタン発酵消化液に含まれる有機物を分解し有機物分解処理液を得る有機物分解槽と、
    前記有機物分解処理液を受け入れて、前記有機物分解処理液に含まれるアンモニア態窒素を硝化菌の作用により、亜硝酸化及び硝酸化し硝化処理液を得る硝化槽と、
    前記硝化処理液を受け入れて、前記硝化処理液に含まれる亜硝酸態窒素及び硝酸態窒素を脱窒菌の作用により嫌気的条件下で窒素分子に還元し、前記窒素分子が除去された窒素除去処理液を得る脱窒槽と、
    を備えることを特徴とするメタン発酵消化液の処理システム。
  8. 前記有機物分解槽が、前記メタン発酵消化液を受け入れる第1有機物分解槽と、前記第1有機物分解槽と分離して設けられた第2有機物分解槽と、を有し、
    前記第1有機物分解槽と前記第2有機物分解槽との間には、それぞれの槽内液を互いに循環させる循環機構が設けられ、
    前記第1有機物分解槽に前記メタン発酵消化液を受け入れて所定の時間曝気した後に、前記循環機構により前記第1有機物分解槽と前記第2有機物分解槽の槽内液を循環させて曝気することにより前記有機物分解処理液を得る、
    請求項7に記載のメタン発酵消化液の処理システム。
  9. 前記硝化槽が、前記有機物分解槽から移送された前記有機物分解処理液を受け入れて曝気することにより第1硝化処理液を得る第1硝化槽と、前記第1硝化槽と分離して設けられ前記第1硝化処理液を受け入れて前記第1硝化槽とは異なる条件で曝気することにより硝化処理液を得る第2硝化槽と、を有する、
    請求項7又は請求項8に記載のメタン発酵消化液の処理システム。
  10. 前記脱窒槽には、アルコール廃液又は酢酸廃液が添加される、
    請求項7から請求項9の何れかに記載のメタン発酵消化液の処理システム。
  11. 前記有機物分解槽、前記硝化槽及び前記脱窒槽の各槽から汚泥を引き抜いて集積し前記有機物分解槽に返送する返送汚泥に再生する再生槽をさらに備える、
    請求項7から請求項10の何れかに記載のメタン発酵消化液の処理システム。
  12. 前記窒素除去処理液を脱色する脱色槽をさらに備える、
    請求項7から請求項11の何れかに記載のメタン発酵消化液の処理システム。
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