JP2023072596A - 無人点検システムおよび無人点検方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水上風力発電装置の点検にかかるコストを低減することができる無人点検技術を提供する。【解決手段】無人点検システム1は、自律制御または遠隔操作により空中または水中を無人で移動可能であり、かつ水上風力発電装置2を点検可能な無人移動ロボット13,14と、自律制御または遠隔操作により水上を無人で航行可能であり、無人移動ロボット13,14を搬送可能であり、かつ無人移動ロボット13,14が発進可能な無人母船12とを備える。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、無人点検技術に関する。
海洋上に設けられる水上風力発電装置には、風車および支柱などの海上設備と、浮体、係留索、ケーブルなどの海中設備があり、定期的に点検を行う必要がある。このような水上風力発電装置の点検に、無人航空機(UAV)、遠隔操作型無人潜水機(ROV)、自律型無人潜水機(AUV)などの無人移動ロボットを用いる試みがある。しかし、多数の水上風力発電装置を設けた大規模な洋上風力発電サイトでは、離岸距離が数十km以上となる場合がある。その場合、点検を行う度に無人移動ロボットとその操作に必要な人員とを船に乗せて長距離を往復させる必要があり、多額のコストがかかってしまう。そこで、水上風力発電装置の点検にかかるコストの低減が求められている。
本発明が解決しようとする課題は、水上風力発電装置の点検にかかるコストを低減することができる無人点検技術を提供することである。
本発明の実施形態に係る無人点検システムは、自律制御または遠隔操作により空中または水中を無人で移動可能であり、かつ水上風力発電装置を点検可能な無人移動ロボットと、自律制御または遠隔操作により水上を無人で航行可能であり、前記無人移動ロボットを搬送可能であり、かつ前記無人移動ロボットが発進可能な無人母船と、を備える。
本発明の実施形態により、水上風力発電装置の点検にかかるコストを低減することができる無人点検技術が提供される。
以下、図面を参照しながら、無人点検システムおよび無人点検方法の実施形態について詳細に説明する。
図1の符号1は、本実施形態の無人点検システムである。この無人点検システム1は、海洋3上に設けられた水上風力発電装置2の点検を無人で行うものである。
水上風力発電装置2は、水上設備として、ハブ4を中心軸として回転する複数枚のブレード5を備える。これらのブレード5に風が当たることでハブ4を中心軸として回転し、ナセル6の内部に設けられた発電機(図示略)が発電を行う。本実施形態では、揚力型風車であり、かつ水平軸風車であるアップウインド型のプロペラ型風車を例示する。
なお、ハブ4の内部には、ブレード5のピッチ角を変更する可変ピッチ機構(図示略)が設けられている。また、ナセル6の内部には、ブレーキ装置(図示略)などが設けられている。さらに、ナセル6の方位を変更する方位変更機構(図示略)なども設けられている。また、増速機(図示略)が設けられる場合もある。このナセル6は、海洋3上に立つタワー7の上部に設けられている。
また、水上風力発電装置2は、水中設備として、タワー7を海洋3上に浮かべるための浮体8と、浮体8を係留する係留索9と、発電した電力を陸地まで送るための送電ケーブル10とを備える。
なお、係留索9は、浮体8を海底11に繋ぎとめる巨大な金属製のチェーンである。1つの浮体8に対して複数本の係留索9が設けられている。これらの係留索9の下端は、海底11に固定されており、水上風力発電装置2が、浮体8により浮かんでいる状態であっても海流で流されずに済み、定位置に固定される。本実施形態では、浮体式の水上風力発電装置2を例示しているが、本実施形態は、海底11に着床させる着床式の水上風力発電装置2に適用されても良い。
無人点検システム1は、無人母船12と空中移動ロボット13と水中移動ロボット14とを備える。ここで、空中移動ロボット13と水中移動ロボット14とが、本実施形態の無人移動ロボットとなっている。
空中移動ロボット13は、自律制御または遠隔操作により空中を無人で移動可能であり、この空中移動ロボット13を用いて、水上風力発電装置2の水上設備の点検が成される。
水中移動ロボット14は、自律制御または遠隔操作により水中を無人で移動可能であり、この水中移動ロボット14を用いて、水上風力発電装置2の水中設備の点検が成される。なお、水中設備の点検には、例えば、送電ケーブル10と係留索9の外観検査、送電ケーブル10と係留索9の3次元形状データの取得、送電ケーブル10と係留索9の表面の摩耗量の測定などが含まれる。
また、水中移動ロボット14は、水上風力発電装置2の水中設備の清掃も行う。無人母船12と水中移動ロボット14とは、給電ケーブル15で繋がっている。なお、水中移動ロボット14は、必ずしも給電ケーブル15に繋がっている必要はなく、例えば、水中移動ロボット14にバッテリ(図示略)が搭載され、このバッテリにより駆動されるものでも良い。
無人母船12は、自律制御または遠隔操作により海洋3上を無人で航行可能であり、空中移動ロボット13と水中移動ロボット14とを搬送可能であり、かつ空中移動ロボット13と水中移動ロボット14とが発進可能な船である。本実施形態では、複数の空中移動ロボット13と複数の水中移動ロボット14とが、無人母船12により搬送される。
海洋3上に多数の水上風力発電装置2が林立して設けられることで、洋上風力発電サイトが構築される。無人母船12は、これらの水上風力発電装置2の点検を行う。例えば、無人母船12は、複数の水上風力発電装置2を自律制御または遠隔操作により巡回する。そして、無人母船12が水上風力発電装置2に近づいたときに、空中移動ロボット13と水中移動ロボット14とが発進して点検を行う。
なお、1台の無人母船12が、複数の水上風力発電装置2の点検を行っても良いし、複数の無人母船12を洋上風力発電サイトに派遣し、複数の無人母船12が、複数の水上風力発電装置2の点検を行っても良い。
また、空中移動ロボット13と水中移動ロボット14で得られたデータ、例えば、水上風力発電装置2を撮影したときの画像データ、または、水上風力発電装置2を計測したときの3次元形状データなどは、無人母船12に集約される。そして、これらのデータは、無人母船12から水上風力発電装置2に関する情報を管理する所定のデータセンターに送られる。
洋上風力発電サイトは、海岸から離れた沖合に設けられる。無人母船12は、基地となる港から洋上風力発電サイトまで自律制御または遠隔操作により航行可能となっている。なお、無人母船12は、メンテナンスのために定期的に港に戻ってくる。
本実施形態では、水上風力発電装置2の点検を全て無人で行うことができるため、低コスト化、省力化を図ることができる。また、点検の無人化を図ることで、24時間、年中無休で点検を行うことができる。さらに、台風、時化などの天候が悪いとき、急に天候が変化したときなどに、点検にかかる人員を危険に晒すことがない。
図2に示すように、無人母船12は、通信部20と船移動装置21と航行用装置22と風車位置検出装置23と空中位置検出装置24と水中位置検出装置25と投入回収装置26と空中ロボット充電装置27と水中ロボット給電装置28と船受電装置29とバッテリ30と制御装置31とを備える。
通信部20は、空中移動ロボット13と水中移動ロボット14との通信に用いられる。これらの通信は、無線または有線により行われる。なお、この通信部20は、遠隔地(地上局)にある所定の装置(図示略)との通信を行う。例えば、通信部20は、陸上にある無人母船12を管理する本部と通信を行うために用いられる。また、本実施形態では、衛星通信網、携帯通信網、インターネットなどの各種の通信技術を用いることができる。
なお、無人母船12は、空中移動ロボット13と水中移動ロボット14の通信を中継することができる。例えば、空中移動ロボット13または水中移動ロボット14が、本部と通信を行うときに、その通信を中継する。このようにすれば、本部に居る管理者(ユーザ)が、空中移動ロボット13または水中移動ロボット14を遠隔操作することができる。
船移動装置21は、無人母船12を航行させるための装置である。例えば、船移動装置21には、水中で推進力を得るためのスクリュー、スクリューを駆動させるモータ、進行方向を定める舵などが含まれる。
航行用装置22は、無人母船12の航行に必要な情報を得るための装置である。例えば、航行用装置22には、衛星測位システム、レーダ、レーザ、ソナー、カメラ、モーションセンサなどの少なくとも1つを用いて情報を得る装置が含まれる。なお、モーションセンサは、慣性センサ(3軸加速度センサと3軸角速度センサ)と3軸地磁気センサを組み合わせた9軸センサである。また、レーダ、レーザ、ソナー、カメラ、モーションセンサは、無人母船12に搭載されているデバイスである。
風車位置検出装置23は、無人母船12から水上風力発電装置2の位置を検出するための装置である。例えば、風車位置検出装置23には、レーダ、レーザ、ソナー、カメラなどの少なくとも1つを用いて水上風力発電装置2の位置を検出する装置が含まれる。
なお、本実施形態では、カメラで得られる情報(画像)として、静止画と動画が含まれる。また、本実施形態では、所定の画像処理を行い、画像に写る物体を認識する技術を用いることができる。また、レーザを用いて得られる情報として、物体の表面の3次元形状を示す点群データが含まれる。
点群データは、赤外線センサまたはLiDARなどのレーザセンサを用いて取得される。例えば、物体にレーザを投光してその反射光を受光素子により受光することで、物体までの距離を測定することができる。また、レーザセンサは、投光パルスに対する受光パルスの遅れ時間を距離に換算するToF(Time of Flight)方式を用いて、周辺の物体までの距離を測定する。
なお、水中移動ロボット14は、ステレオカメラを用いて、所定の物体を複数の異なる方向から同時に撮影することにより、その物体までの奥行き方向の情報を取得しても良い。
無人母船12は、水上風力発電装置2の位置を検出し、無人母船12を基準(絶対位置)として、水上風力発電装置2と、空中移動ロボット13または水中移動ロボット14との相対位置を測定する。そして、この相対位置に基づいて、空中移動ロボット13または水中移動ロボット14の位置が制御される。このようにすれば、無人母船12は、水上風力発電装置2と、空中移動ロボット13または水中移動ロボット14との正確な位置関係を把握することができる。また、管理者(ユーザ)がリアルタイムで空中移動ロボット13または水中移動ロボット14の操作を行うことができる。
空中位置検出装置24は、無人母船12から空中移動ロボット13の位置を検出するための装置である。例えば、空中位置検出装置24には、レーダ、レーザ、カメラなどの少なくとも1つを用いて空中移動ロボット13の位置を検出する装置が含まれる。
無人母船12は、空中位置検出装置24で空中移動ロボット13の位置を検出したときに、その位置を示す情報を空中移動ロボット13に送信する。空中移動ロボット13は、無人母船12から送られる位置を示す情報に基づいて自己位置を正確に把握することができる。
水中位置検出装置25は、無人母船12から水中移動ロボット14の位置を検出するための装置である。例えば、水中位置検出装置25には、レーザ、ソナー、カメラなどの少なくとも1つを用いて水中移動ロボット14の位置を検出する装置が含まれる。
無人母船12は、水中位置検出装置25で水中移動ロボット14の位置を検出したときに、その位置を示す情報を水中移動ロボット14に送信する。水中移動ロボット14は、無人母船12から送られる位置を示す情報に基づいて自己位置を正確に把握することができる。
投入回収装置26は、水中移動ロボット14を水中に投入または水中から回収するための装置である。例えば、投入回収装置26には、水中移動ロボット14を吊り上げるクレーン、給電ケーブル15(図1)を巻き上げる巻取装置などが含まれる。
空中ロボット充電装置27は、空中移動ロボット13の充電を行うための装置である。無人母船12には、空中移動ロボット13が離着陸可能な離着陸ポート16(図1)が設けられている。この離着陸ポート16に着陸した空中移動ロボット13に対して充電を行うことができる。このようにすれば、無人母船12で空中移動ロボット13の充電が可能なため、空中移動ロボット13が長期間に亘って点検を行うことができる。
水中ロボット給電装置28は、水中移動ロボット14に給電を行うための装置である。無人母船12から水中移動ロボット14まで延びる給電ケーブル15(図1)を介して電力を供給することができる。このようにすれば、無人母船12から水中移動ロボット14が電力の供給を受けられるため、水中移動ロボット14が長期間に亘って点検を行うことができる。なお、水中移動ロボット14の給電には、水中移動ロボット14に搭載されたバッテリ(図示略)に充電を行う態様が含まれる。また、給電ケーブル15は、信号の送受信を行う信号線を含む。
船受電装置29は、水上風力発電装置2から給電を受けるための装置である。本実施形態の水上風力発電装置2は、無人母船12に給電が可能な給電ポート60を備えている(図5および図6)。船受電装置29は、給電ポート60を介して給電を受けるものである。このようにすれば、無人母船12が、水上風力発電装置2から電力の供給を受けられるようになり、水上風力発電装置2の近傍で長期間に亘る活動を行うことができる。
バッテリ30は、水上風力発電装置2の給電ポート60(図5および図6)から供給される電力を蓄積可能な装置である。このバッテリ30は、無人母船12の動作に必要な電力と、空中移動ロボット13の充電に必要な電力と、水中移動ロボット14の給電に必要な電力とを蓄える。このバッテリ30の充放電は制御装置31により制御される。
制御装置31は、無人母船12に搭載された各種の装置を統括的に制御する。また、制御装置31で実行される無人母船12の自律制御のプログラムは、外部から受信した制御情報に基づいて書き換え可能となっている。例えば、本部に居る管理者(ユーザ)が、遠隔操作により、自律制御のプログラムを書き換えることができる。このようにすれば、点検計画が変更される度に、無人母船12の自律制御のプログラムを書き換えて対応させることができる。
図3に示すように、空中移動ロボット13は、通信部40と空中移動装置41と飛行用装置42と空中点検用装置43と空中ロボット受電装置44とバッテリ45と制御装置46とを備える。
通信部40は、無人母船12との通信に用いられる。この通信は、無線により行われる。また、通信部40は、無人母船12を中継して遠隔地(地上局)の本部との通信にも用いられる。さらに、通信部40は、他の空中移動ロボット13との通信にも用いられる。
空中移動装置41は、空中移動ロボット13を飛行させるための装置である。例えば、空中移動装置41には、空中で水力を得るためのプロペラ、プロペラを駆動させるモータなどが含まれる。
飛行用装置42は、空中移動ロボット13の飛行に必要な情報を得るための装置である。例えば、飛行用装置42には、衛星測位システム、レーザ、カメラ、モーションセンサなどの少なくとも1つを用いて情報を得る装置が含まれる。なお、レーザ、カメラ、モーションセンサは、空中移動ロボット13に搭載されているデバイスである。
空中点検用装置43は、水上風力発電装置2の水上設備の点検に必要な装置である。例えば、レーザ、カメラなどの少なくとも1つを用いて情報を得る装置が含まれる。この空中点検用装置43には、点検用カメラ、3次元レーザスキャナなどが含まれる。点検用カメラは、水上風力発電装置2の外観を撮影するものである。3次元レーザスキャナは、水上風力発電装置2の表面の3次元形状を計測するものである。
空中ロボット受電装置44は、無人母船12から給電を受けるための装置である。本実施形態では、無人母船12の離着陸ポート16(図1)に空中ロボット充電装置27が設けられており、空中ロボット受電装置44は、この空中ロボット充電装置27から給電を受ける。
なお、空中移動ロボット13に対する給電は、電磁誘導方式を用いた所謂非接触給電となっている。例えば、無人母船12の空中ロボット充電装置27には、送電用コイル(図示略)が設けられ、空中移動ロボット13の空中ロボット受電装置44には、受電用コイル(図示略)が設けられている。そして、送電用コイルから受電用コイルへと非接触で電力が送られる。なお、空中移動ロボット13は、無人母船12から有線で給電されるものでも良い。
バッテリ45は、無人母船12から供給される電力を蓄積可能な装置である。このバッテリ45は、空中移動ロボット13の動作に必要な電力を蓄える。このバッテリ45の充放電は制御装置46により制御される。
制御装置46は、空中移動ロボット13に搭載された各種の装置を統括的に制御する。また、制御装置46で実行される空中移動ロボット13の自律制御のプログラムは、外部から受信した制御情報に基づいて書き換え可能となっている。
本実施形態では、複数の空中移動ロボット13(図1)が設けられ、一方の空中移動ロボット13により得られた情報に基づいて、他方の空中移動ロボット13の動作が制御される。このようにすれば、複数の空中移動ロボット13が、互いに協調して水上風力発電装置2の点検を行うことができる。
例えば、一方の空中移動ロボット13が、飛行用装置42または空中点検用装置43(3次元レーザスキャナ)を用いて、他方の空中移動ロボット13の位置を検出する。さらに、水上風力発電装置2の位置も検出する。一方の空中移動ロボット13は、他方の空中移動ロボット13および水上風力発電装置2と最も近い位置にあるため、これらの正確な位置を検出することができる。これらの位置を示す情報は、他方の空中移動ロボット13に送られる。そして、他方の空中移動ロボット13は、水上風力発電装置2との正確な位置関係を把握して飛行を行うことができる。
図4に示すように、水中移動ロボット14は、通信部50と水中移動装置51と遊泳用装置52と水中点検用装置53と清掃装置54と制御装置55とを備える。
通信部50は、無人母船12との通信に用いられる。この通信は、有線により行われる。また、通信部50は、無人母船12を中継して遠隔地(地上局)の本部との通信にも用いられる。さらに、通信部50は、他の水中移動ロボット14との通信にも用いられる。なお、水中移動ロボット14と無人母船12との通信は、無線で行っても良い。また、水中移動ロボット14が水中にあるときには有線通信行い、水中移動ロボット14が水面に浮上してきたときには無線通信を行っても良い。
水中移動装置51は、水中移動ロボット14を潜航させるための装置である。例えば、水中移動装置51には、水中で推進力を得るためのスクリュー、スクリューを駆動させるモータ、進行方向を定める舵、浮力を制御するバラストなどが含まれる。
遊泳用装置52は、水中移動ロボット14の潜航に必要な情報を得るための装置である。例えば、遊泳用装置52には、レーザ、ソナー、カメラ、モーションセンサなどの少なくとも1つを用いて情報を得る装置が含まれる。なお、レーザ、ソナー、カメラ、モーションセンサは、水中移動ロボット14に搭載されているデバイスである。
水中点検用装置53は、水上風力発電装置2の水中設備の点検に必要な装置である。例えば、レーザ、ソナー、カメラなどの少なくとも1つを用いて情報を得る装置が含まれる。この水中点検用装置53には、点検用カメラ、3次元レーザスキャナなどが含まれる。点検用カメラは、水上風力発電装置2の外観を撮影するものである。3次元レーザスキャナは、水上風力発電装置2の表面の3次元形状を計測するものである。
清掃装置54は、水上風力発電装置2の水中設備の清掃に必要な装置である。例えば、回転ブラシ、ウオータージェットなどの少なくとも1つを用いて清掃を行う装置が含まれる。浮体8、係留索9、送電ケーブル10などには、フジツボなどの水生生物が付着する。水中移動ロボット14は、清掃装置54を用いて、これらの水中設備の表面の清掃を定期的に行う。
制御装置55は、水中移動ロボット14に搭載された各種の装置を統括的に制御する。また、制御装置55で実行される水中移動ロボット14の自律制御のプログラムは、外部から受信した制御情報に基づいて書き換え可能となっている。
本実施形態では、複数の水中移動ロボット14(図1)が設けられ、一方の水中移動ロボット14により得られた情報に基づいて、他方の水中移動ロボット14の動作が制御される。このようにすれば、複数の水中移動ロボット14が、互いに協調して水上風力発電装置2の点検を行うことができる。
例えば、一方の水中移動ロボット14が、遊泳用装置52または水中点検用装置53(3次元レーザスキャナ)を用いて、他方の水中移動ロボット14の位置を検出する。さらに、水上風力発電装置2の位置も検出する。一方の水中移動ロボット14は、他方の水中移動ロボット14および水上風力発電装置2と最も近い位置にあるため、これらの正確な位置を検出することができる。これらの位置を示す情報は、他方の水中移動ロボット14に送られる。そして、他方の水中移動ロボット14は、水上風力発電装置2との正確な位置関係を把握して潜航を行うことができる。
図5は、給電架構方式の船受電装置29の一例を示している。水上風力発電装置2のタワー7の外周面には、給電ポート60が設けられている。船受電装置29は、サスペンション61を介して無人母船12に支持されたオーバーブリッジ62と、このオーバーブリッジ62の先端に設けられた受電ポート63とを備える。無人母船12は、水上風力発電装置2に接岸して電力の供給を受ける。
無人母船12に対する給電は、電磁誘導方式を用いた所謂非接触給電となっている。例えば、水上風力発電装置2の給電ポート60には、送電用コイル(図示略)が設けられ、無人母船12の受電ポート63には、受電用コイル(図示略)が設けられている。そして、送電用コイルから受電用コイルへと非接触で電力が送られる。
図6は、船受電装置29の変形例を示している。この変形例では、空中移動ロボット13が、受電ポート63を搬送する形態を例示する。例えば、水上風力発電装置2のタワー7の外周面には、空中移動ロボット13が離着陸可能な給電ポート60が設けられている。さらに、無人母船12の受電ポート63は、受電ケーブル64に接続されている。ここで、空中移動ロボット13は、受電ポート63を搬送して給電ポート60に着陸する。そして、給電ポート60から無人母船12に電力が送られる。
なお、この変形例では、空中移動ロボット13が、受電ポート63を給電ポート60まで搬送しているが、その他の態様であっても良い。例えば、水上風力発電装置2の浮体8の外周面に給電ポート60を設けるようにし、水中移動ロボット14が、受電ポート63を給電ポート60まで搬送しても良い。
なお、本実施形態では、無人母船12が水上風力発電装置2から電力の供給を受けているが、その他の態様であっても良い。例えば、無人母船12に太陽電池パネルを搭載し、この太陽電池パネル(図示略)から無人母船12が電力の供給を受けても良い。
なお、本実施形態では、無人母船12がバッテリ30により動作を行っているが、その他の態様であっても良い。例えば、無人母船12が、ディーゼル発電機を備えても良く、このディーゼル発電機から供給される電力で動作しても良い。
なお、本実施形態では、無人移動ロボットとしての空中移動ロボット13および水中移動ロボット14の双方が、無人母船12に搭載されているが、その他の態様であっても良い。例えば、空中移動ロボット13または水中移動ロボット14のいずれか一方が、無人母船12に搭載されている態様でも良い。
なお、本実施形態では、無人移動ロボットが無人母船12から発進可能であり、かつ無人移動ロボットが無人母船12に回収(着陸)可能である態様を例示しているが、その他の態様であっても良い。例えば、無人移動ロボットが無人母船12から発進のみを行い、無人移動ロボットが無人母船12に回収されなくても良い。つまり、無人移動ロボットが使い捨て型であっても良い。
なお、本実施形態では、水上風力発電装置2が海洋3上に設けられる態様を例示しているが、その他の態様であっても良い。例えば、水上風力発電装置2が湖上に設けられて良い。つまり「水上」という用語は、海上と湖上の意味を含む。
なお、本実施形態では、水上風力発電装置2として、揚力型風車であり、かつ水平軸風車であるアップウインド型のプロペラ型風車を例示しているが、その他の態様であっても良い。例えば、水上風力発電装置2が、ダウンウインド型のプロペラ型風車であっても良い。また、水上風力発電装置2が、揚力型風車であり、かつ垂直軸風車であるダリウス型風車、ジャイロミル型風車、垂直翼型風車であっても良い。また、水上風力発電装置2が、抗力型風車であり、かつ垂直軸風車であるサボニウス型風車、パドル型風車、クロスフロー型風車、S字ロータ型風車であっても良い。また、水上風力発電装置2が、揚力型風車であり、かつ水平軸風車または垂直軸風車であるマグナス型風車であっても良い。
本実施形態のそれぞれの制御装置31,46,55は、プロセッサ(制御部)およびメモリ(記憶部)などのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態の無人点検方法は、各種プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
なお、本実施形態では、制御装置31,46,55が自動的に各種の装置を制御する態様を例示するが、その他の態様であっても良い。例えば、制御装置31,46,55は、無人点検システム1の管理者(ユーザ)の入力操作を受け付けて各種の装置を制御するようにしても良い。つまり、制御装置31,46,55は、管理者の手動操作により各種の装置を制御するための遠隔操作装置でも良い。
本実施形態のシステムは、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスまたはキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。このシステムは、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
なお、本実施形態のシステムで実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されて提供するようにしても良い。
また、このシステムで実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、このシステムは、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
以上説明した実施形態によれば、自律制御または遠隔操作により水上を無人で航行可能であり、無人移動ロボットを搬送可能であり、かつ無人移動ロボットが発進可能な無人母船を備えることにより、水上風力発電装置の点検にかかるコストを低減することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態またはその変形は、発明の範囲と要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…無人点検システム、2…水上風力発電装置、3…海洋、4…ハブ、5…ブレード、6…ナセル、7…タワー、8…浮体、9…係留索、10…送電ケーブル、11…海底、12…無人母船、13…空中移動ロボット、14…水中移動ロボット、15…給電ケーブル、16…離着陸ポート、20…通信部、21…船移動装置、22…航行用装置、23…風車位置検出装置、24…空中位置検出装置、25…水中位置検出装置、26…投入回収装置、27…空中ロボット充電装置、28…水中ロボット給電装置、29…船受電装置、30…バッテリ、31…制御装置、40…通信部、41…空中移動装置、42…飛行用装置、43…空中点検用装置、44…空中ロボット受電装置、45…バッテリ、46…制御装置、50…通信部、51…水中移動装置、52…遊泳用装置、53…水中点検用装置、54…清掃装置、55…制御装置、60…給電ポート、61…サスペンション、62…オーバーブリッジ、63…受電ポート、64…受電ケーブル。
Claims (10)
- 自律制御または遠隔操作により空中または水中を無人で移動可能であり、かつ水上風力発電装置を点検可能な無人移動ロボットと、
自律制御または遠隔操作により水上を無人で航行可能であり、前記無人移動ロボットを搬送可能であり、かつ前記無人移動ロボットが発進可能な無人母船と、
を備える、
無人点検システム。 - 前記水上風力発電装置は、前記無人母船に給電が可能な給電ポートを備え、
前記無人母船は、前記給電ポートから供給される電力を蓄積可能なバッテリを備える、
請求項1に記載の無人点検システム。 - 前記無人母船は、少なくとも前記無人移動ロボットの位置を検出する位置検出装置を備え、
前記無人移動ロボットは、前記無人母船から送られる前記無人移動ロボットの位置を示す情報に基づいて自己位置を把握する、
請求項1または請求項2に記載の無人点検システム。 - 前記位置検出装置が、前記水上風力発電装置の位置を検出し、前記無人母船と基準として、前記水上風力発電装置と前記無人移動ロボットとの相対位置が測定され、前記相対位置に基づいて、前記無人移動ロボットの位置が制御される、
請求項3に記載の無人点検システム。 - 前記無人母船は、前記無人移動ロボットと遠隔地にある装置との間で行われる通信を中継する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無人点検システム。 - 複数の前記無人移動ロボットが設けられ、一方の前記無人移動ロボットにより得られた情報に基づいて、他方の前記無人移動ロボットの動作が制御される、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の無人点検システム。 - 前記無人母船の自律制御のプログラムは、外部から受信した制御情報に基づいて書き換え可能となっている、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の無人点検システム。 - 前記無人移動ロボットの少なくとも1つが、空中を飛行可能な空中移動ロボットであり、
前記無人母船は、
前記空中移動ロボットが離着陸可能な離着陸ポートと、
前記空中移動ロボットの充電を行う充電装置と、
を備える、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の無人点検システム。 - 前記無人移動ロボットの少なくとも1つが、水中を潜航可能な水中移動ロボットであり、
前記無人母船は、
前記水中移動ロボットを水中に投入または水中から回収する投入回収装置と、
前記水中移動ロボットに給電を行う給電装置と、
を備える、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の無人点検システム。 - 自律制御または遠隔操作により水上を無人で航行可能な無人母船が、自律制御または遠隔操作により空中または水中を無人で移動可能な無人移動ロボットを搬送し、
前記無人移動ロボットが、前記無人母船から発進し、水上風力発電装置の点検を行う、
無人点検方法。
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---|---|---|---|
JP2021185265A JP2023072596A (ja) | 2021-11-12 | 2021-11-12 | 無人点検システムおよび無人点検方法 |
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Family Applications (1)
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JP2021185265A Pending JP2023072596A (ja) | 2021-11-12 | 2021-11-12 | 無人点検システムおよび無人点検方法 |
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-
2021
- 2021-11-12 JP JP2021185265A patent/JP2023072596A/ja active Pending
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