JP2023072249A - タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】老化後の高速走行時の操縦安定性と、老化後の乗り心地との総合性能を改善できるタイヤ用ゴム組成物及びタイヤを提供する。【解決手段】スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填剤と、樹脂を含む可塑剤とを含有し、前記ゴム成分100質量部に対して、前記充填剤の含有量が100質量部超であり、前記ゴム成分中の総スチレン量が35質量%未満であり、前記樹脂が、スチレン、クマロンインデン、テルペン、フェノール、シクロペンタジエン、C5、C5/C9、C9樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の樹脂を含み、ポリマー量+アセトン抽出量-ポリマー量×前記ゴム成分中の総スチレン量>カーボンブラック量+灰分量であるタイヤ用ゴム組成物に関する。【選択図】なし

Description

本開示は、タイヤ用ゴム組成物及びタイヤに関する。
これまで、操縦安定性や乗り心地を改善する手法が種々検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、近年では、これらの性能について、更なる改善が求められている。
特開2007-186567号公報 特開2015-024797号公報
本開示は、前記課題を解決し、老化後の高速走行時の操縦安定性と、老化後の乗り心地との総合性能を改善できるタイヤ用ゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
本開示は、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填剤と、樹脂を含む可塑剤とを含有し、前記ゴム成分100質量部に対して、前記充填剤の含有量が100質量部超であり、前記ゴム成分中の総スチレン量が35質量%未満であり、前記樹脂が、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、C5系樹脂、C5/C9系樹脂、C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の樹脂を含み、ポリマー量+アセトン抽出量-ポリマー量×前記ゴム成分中の総スチレン量>カーボンブラック量+灰分量であるタイヤ用ゴム組成物に関する。
本開示は、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填剤と、樹脂を含む可塑剤とを含有し、前記ゴム成分100質量部に対して、前記充填剤の含有量が100質量部超であり、前記ゴム成分中の総スチレン量が35質量%未満であり、前記樹脂が、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、C5系樹脂、C5/C9系樹脂、C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の樹脂を含み、ポリマー量+アセトン抽出量-ポリマー量×前記ゴム成分中の総スチレン量>カーボンブラック量+灰分量であるタイヤ用ゴム組成物であるので、老化後の高速走行時の操縦安定性と、老化後の乗り心地との総合性能が良好となる。
本開示のタイヤ用ゴム組成物は、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填剤と、樹脂を含む可塑剤とを含有し、前記ゴム成分100質量部に対して、前記充填剤の含有量が100質量部超であり、前記ゴム成分中の総スチレン量が35質量%未満であり、前記樹脂が、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、C5系樹脂、C5/C9系樹脂、C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の樹脂を含み、ポリマー量+アセトン抽出量-ポリマー量×前記ゴム成分中の総スチレン量>カーボンブラック量+灰分量である。
上記ゴム組成物で前述の効果が得られる理由は、以下のように推察される。
ゴム成分内のスチレン量を35質量%未満としつつ、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含有させることで、ゴム成分内で、スチレンブタジエンゴムの分散が促進され、系内にスチレンの微小なドメインが形成されやすくなる。これにより、老化による影響を抑え、発熱性を維持し、かつ、スチレン部で衝撃の緩和性が得られるため、高速走行時の操縦安定性と乗り心地性能が向上すると考えられる。
さらに、2種類以上の異なる樹脂成分を配合することで、充填剤の分散性を向上させるとともに、充填剤を100質量部よりも多くすることで、スチレンドメイン部と充填剤とが相互作用しやすくなるため、発熱性及び衝撃の緩和性を得やすくなると考えられる。
そして、ポリマー量+アセトン抽出量-ポリマー量×ゴム成分中のスチレン量(=組成物中の有機成分におけるスチレンドメイン以外の成分量)をカーボンブラック量+灰分量(=充填剤等の成分)よりも多くすることで、スチレンドメインが動きやすくなり、発熱性及び衝撃の緩和性が得られやすくなるため、老化後においても、高速走行時の操縦安定性と乗り心地性能の総合性能が向上するものと考えられる。
上記ゴム組成物において、アセトン抽出量(AE)は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物において、ポリマー量(PC)は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物において、カーボンブラック量(BC)は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物において、灰分量(Ash)は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、アセトン抽出量(AE)、ポリマー量(PC)、カーボンブラック量(BC)、灰分量(Ash)は、以下の方法で測定される。
先ず、アセトン抽出量(AE)は、上記ゴム組成物(サンプル)について、JIS K 6229:2015に準拠したアセトン抽出量の測定方法により測定される(単位:上記ゴム組成物(サンプル)中の質量%)。
ポリマー量(PC)は、上記アセトン抽出後に残るサンプルについて、JIS K6226-1:2003に準じて、窒素中の加熱(室温から750℃へ上昇させる)により有機物を熱分解・気化させたときの減量分(質量)から算出される(単位:上記ゴム組成物(サンプル)中の質量%)。
カーボンブラック量(BC)は、上記熱分解・気化させた後のサンプルについて、空気中の加熱により酸化燃焼させたときの減量分(質量)から算出される(単位:上記ゴム組成物(サンプル)中の質量%)。
灰分量(Ash)は、上記酸化燃焼で燃焼しない成分(灰分)の質量から算出される(単位:上記ゴム組成物(サンプル)中の質量%)。
以上の定義から、AE、PC、BC、Ashの合計は100質量%となる。
AE、PC、BC、Ashを調整する方法としては、当業者に公知の方法を採用できる。例えば、AEは、ゴム組成物中の、オイル等の可塑剤量が増加すると、大きくなる傾向がある。PCは、ゴム組成物中のゴム成分の量が増加すると、大きくなる傾向がある。BCは、ゴム組成物中のカーボンブラック量が増加すると、大きくなる傾向がある。Ashは、ゴム組成物中の、シリカ等の酸化燃焼で燃焼しない成分の量が増加すると、大きくなる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ゴム成分を含有する。
ここで、ゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のものである。
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
ゴム成分中の総スチレン量は、35質量%未満であればよいが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、また、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは6質量%超である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ここで、ゴム成分中の総スチレン量は、ゴム成分全量中に含まれるスチレン部の合計含有量(単位:質量%)であり、Σ(各ゴム成分の含有量×各ゴム成分中のスチレン量/100)で算出できる。例えば、ゴム成分100質量%中、スチレン量:40質量%のSBRが85質量%、スチレン量:25質量%のSBRが5質量%、スチレン量:0質量%のBRが10質量%である場合、ゴム成分中の総スチレン量は、35.25質量%(=85×40/100+5×25/100+10×0/100)である。
上記ゴム組成物において、ポリマー量+アセトン抽出量-ポリマー量×前記ゴム成分中の総スチレン量>カーボンブラック量+灰分量である。
(左辺)-(右辺)の値は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは15以上であり、また、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは22以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分中の総ビニル量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ここで、ゴム成分中の総ビニル量は、ゴム成分全質量を100とするときに、当該ゴム成分に含まれるSBR及びBRにおけるブタジエン部のビニル結合の合計含有量(単位:質量部)であり、Σ(各ゴム成分の含有量×各ゴム成分全質量に対する当該ゴム成分中のブタジエン部のビニル結合量の割合[質量%])で算出できる。例えば、ゴム成分100質量部中、スチレン量:40質量%、ビニル量:30質量%のSBRが85質量部、スチレン量:20質量%、ビニル量:20質量%のSBRが5質量部、ビニル量:10質量%のBRが10質量部である場合、ゴム成分中の総ビニル量は、17.1質量部(=85×(100[質量%]-40[質量%])×30[質量%]+5×(100[質量%]-20[質量%])×20[質量%]+10×10[質量%])である。
なお、各ゴム成分中のスチレン量、ビニル量は、核磁気共鳴(NMR)法によって測定できる。
また、ゴム成分中の総スチレン量、総ビニル量について、本明細書の実施例では、上述の計算式に沿って算出しているが、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置(Py-GC/MS)等により、タイヤから分析してもよい。
上記ゴム組成物は、ゴム成分としてスチレンブタジエンゴム(SBR)を含有する。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。市販品としては、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品が挙げられる。
SBRは、オイルで伸展された油展ゴム、樹脂で伸展された樹脂伸展ゴムであってもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、油展ゴムに使用されるオイル、樹脂伸展ゴムに使用される樹脂は、後述するものと同様である。また、油展ゴム中のオイル分、樹脂伸展ゴム中の樹脂分は特に限定されないが、通常、ゴム固形分100質量部に対して5~50質量部程度である。
SBRは、変性により、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基が導入されていてもよい。
上記官能基としては、例えば、ケイ素含有基(-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基、アルコキシ基等)、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、ケイ素含有基が好ましく、-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基(好ましくは炭素数1~6の炭化水素基(より好ましくは炭素数1~6のアルキル基))又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基))であり、Rの少なくとも一つが水酸基)がより好ましい。
上記官能基を導入する化合物(変性剤)の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
SBRとしては、水素が添加された水添SBRも使用できる。
SBRが水添SBRである場合、水素添加の方法、反応条件については特に限定はなく、公知の方法、公知の条件で水素添加すればよい。通常は、20~150℃、0.1~10MPaの水素加圧下、水添触媒の存在下で実施される。その他の製造に関する方法、条件も特に限定されず、例えば、国際公開第2016/039005号に記載の内容を適用できる。
なお、水添SBRは、SBRのブタジエン部に水素が添加された結果、エチレンとブタジエンとスチレンとの共重合体と同じ構造となる。そこで、本願明細書において、水添SBRには、ブタジエンとスチレンとの共重合体(SBR)の水素添加物だけでなく、エチレンとブタジエンとスチレンとの共重合体も含まれるものとする。
水添SBRの水素添加率は、水素添加前のブタジエン単位全体を100モル%として、好ましくは65モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であり、また、好ましくは95モル%以下、より好ましくは92モル%以下、更に好ましくは90モル%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、水素添加率は、H-NMRを測定して得られたスペクトルの不飽和結合部のスペクトル減少率から計算することができる。
SBRのスチレン量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
SBRのビニル量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、また、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、上述のSBRのスチレン量は、SBRが1種である場合、当該SBRのスチレン量を意味し、複数種である場合、平均スチレン量を意味する。
SBRの平均スチレン量は、{Σ(各SBRの含有量×各SBRのスチレン量)}/全SBRの合計含有量で算出でき、例えば、ゴム成分100質量%中、スチレン量:40質量%のSBRが85質量%、スチレン量:25質量%のSBRが5質量%である場合、SBRの平均スチレン量は、39.2質量%(=(85×40+5×25)/(85+5))である。
また、上述のSBRのビニル量はSBR中におけるブタジエン部の総質量を100とした時のビニル結合の割合であり(単位:質量%)、ビニル量[質量%]+シス量[質量%]+トランス量[質量%]=100[質量%]となる。SBRが1種である場合、当該SBRのビニル量を意味し、複数種である場合、平均ビニル量を意味する。
SBRの平均ビニル量は、Σ{各SBRの含有量×(100[質量%]-各SBRのスチレン量[質量%])×各SBRのビニル量[質量%]}/Σ{各SBRの含有量×(100[質量%]-各SBRのスチレン量[質量%])}で算出でき、例えば、ゴム成分100質量部中、スチレン量:40質量%、ビニル量:30質量%のSBRが75質量部、スチレン量:25質量%、ビニル量:20質量%のSBRが15質量部、残り10質量部がSBR以外である場合、SBRの平均ビニル量は、28質量%(={75×(100[質量%]-40[質量%])×30[質量%]+15×(100[質量%]-25[質量%])×20[質量%])}/{75×(100[質量%]-40[質量%])+15×(100[質量%]-25[質量%])}である。
ゴム成分100質量%中、SBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ゴム成分としてブタジエンゴム(BR)を含有する。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR150B、LG Chem社製のBR1280等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等の1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPB)を含むBR、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
BRは、オイルで伸展された油展ゴム、樹脂で伸展された樹脂伸展ゴムであってもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、油展ゴムに使用されるオイル、樹脂伸展ゴムに使用される樹脂は、後述するものと同様である。また、油展ゴム中のオイル分、樹脂伸展ゴム中の樹脂分は特に限定されないが、通常、ゴム固形分100質量部に対して5~50質量部程度である。
BRは、変性により、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基が導入されていてもよい。
上記官能基としては、例えば、ケイ素含有基(-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基、アルコキシ基等)、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、ケイ素含有基が好ましく、-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基(好ましくは炭素数1~6の炭化水素基(より好ましくは炭素数1~6のアルキル基))又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基))であり、Rの少なくとも一つが水酸基)がより好ましい。
上記官能基を導入する化合物(変性剤)の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
BRとしては、水素が添加された水添BRも使用できる。
BRが水添BRである場合、水素添加の方法、反応条件については特に限定はなく、公知の方法、公知の条件で水素添加すればよい。通常は、20~150℃、0.1~10MPaの水素加圧下、水添触媒の存在下で実施される。その他の製造に関する方法、条件も特に限定されず、例えば、国際公開第2016/039005号に記載の内容を適用できる。
なお、水添BRは、BRのブタジエン部に水素が添加された結果、エチレンとブタジエンとの共重合体と同じ構造となる。そこで、本願明細書において、水添BRには、BRの水素添加物だけでなく、エチレンとブタジエンとの共重合体も含まれるものとする。
水添BRの水素添加率は、水素添加前のブタジエン単位全体を100モル%として、好ましくは65モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であり、また、好ましくは95モル%以下、より好ましくは92モル%以下、更に好ましくは90モル%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、水素添加率は、H-NMRを測定して得られたスペクトルの不飽和結合部のスペクトル減少率から計算することができる。
BRのシス量(シス含量)は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、BRのシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
なお、上述のBRのシス量は、BRが1種である場合、当該BRのシス量を意味し、複数種である場合、平均シス量を意味する。
BRの平均シス量は、{Σ(各BRの含有量×各BRのシス量)}/全BRの合計含有量で算出でき、例えば、ゴム成分100質量%中、シス量:90質量%のBRが20質量%、シス量:40質量%のBRが10質量%である場合、BRの平均シス量は、73.3質量%(=(20×90+10×40)/(20+10))である。
ゴム成分100質量%中、BRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
その他ゴム成分としては、イソプレン系ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NRが好ましい。
ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量は、1~80質量%であることが好ましい。
イソプレン系ゴム、SBR、BR以外のゴム成分は、オイルで伸展された油展ゴム、樹脂で伸展された樹脂伸展ゴムであってもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、油展ゴムに使用されるオイル、樹脂伸展ゴムに使用される樹脂は、後述するものと同様である。また、油展ゴム中のオイル分、樹脂伸展ゴム中の樹脂分は特に限定されないが、通常、ゴム固形分100質量部に対して5~50質量部程度である。
イソプレン系ゴム、SBR、BR以外のゴム成分は、変性により、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基が導入されていてもよい。
上記官能基としては、例えば、ケイ素含有基(-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基、アルコキシ基など)、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、ケイ素含有基が好ましく、-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基(好ましくは炭素数1~6の炭化水素基(より好ましくは炭素数1~6のアルキル基))又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基))であり、Rの少なくとも一つが水酸基)がより好ましい。
上記官能基を導入する化合物(変性剤)の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
SBR、BR等の合成ゴムの原料(モノマー)は、石油由来のものであってもよいし、バイオマス由来のものであってもよい。なお、原料がバイオマス由来であるかどうかは、ASTMD6866-10に準拠して測定したpMC(percent Modern Carbon)により判断できる。
pMCとは、標準現代炭素(modern standard reference)の14C濃度に対する試料の14C濃度の比であり、この値を化合物(ゴム)のバイオマス比率を示す指標として用いる。この値の持つ意義について、下記に述べる。
炭素原子1モル(6.02×1023個)中には、通常の炭素原子の約一兆分の一である約6.02×1011個の14Cが存在する。14Cは放射性同位体と呼ばれ、その半減期は5730年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには22.6万年を要する。従って大気中の二酸化炭素等が植物等に取り込まれて固定化された後、22.6万年以上が経過したと考えられる石炭、石油、天然ガス等の化石燃料においては、固定化当初はこれらの中にも含まれていた14C元素は全てが崩壊している。故に21世紀である現在においては、石炭、石油、天然ガス等の化石燃料には14C元素は全く含まれていない。故にこれらの化石燃料を原料として生産された化学物質にも14C元素は全く含まれていない。
一方、14Cは宇宙線が大気中で原子核反応を行い、絶え間なく生成され、放射壊変による減少とがバランスし、地球の大気環境中では、14Cの量は一定量となっている。従って、現在の環境中で物質循環しているバイオマス資源由来の物質の14C濃度は、前記のとおりC原子全体に対して約1×10-12mol%程度の値となる。従って、これらの値の差を利用して、ある化合物(ゴム)中の天然資源由来の化合物(バイオマス資源由来の化合物)の比率(バイオマス比率)を算出する事ができる。
この14Cは、次のようにして測定することが一般的である。タンデム加速器をベースとした加速器質量分析法を使用し、13C濃度(13C/12C)、14C濃度(14C/12C)の測定を行う。測定では、14Cの濃度の基準となるmodern standard referenceとして、1950年時点の自然界における循環炭素中の14C濃度を採用する。具体的な標準物質としては、NIST(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準・技術研究所)が提供するシュウ酸標準体を用いる。このシュウ酸中の炭素の比放射能(炭素1g当たりの14Cの放射能強度)を炭素同位体毎に分別し、13Cについて一定値に補正して、西暦1950年から測定日までの減衰補正を施した値を標準の14C濃度の値(100%)として用いる。この値と、実際に測定した試料の値の比が、pMC値となる。
従って、ゴムが100%バイオマス(天然系)由来の物質で製造されたものであれば、地域差等あるものの、おおよそ110pMC程度の値を示すことになる(現在は通常の状態では、100とならないことが多い)。一方、石油等の化石燃料由来の化学物質について、この14C濃度を測定した場合、ほぼ0pMC(例えば、0.3pMC)を示すことになる。この値が上述で言うバイオマス比率0%に相当する。
以上のことから、pMC値の高いゴムなどの材料、すなわち、バイオマス比率の高いゴムなどの材料をゴム組成物に用いることは、環境保護の面で好適である。
上記ゴム組成物は、ゴム成分以外のエラストマーとして熱可塑性エラストマーを含有してもよい。
熱可塑性エラストマーは、架橋点の役割を果たすハードセグメントと、ゴム弾性を示すソフトセグメントとで構成された共重合体(ブロック共重合体)であり、通常、常温(25℃)で固体である。
ハードセグメントとしては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等が挙げられ、ソフトセグメントとしては、ビニル-ポリジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリクロロプレン、ポリ2,3-ジメチルブタジエン等が挙げられる。これらは、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
熱可塑性エラストマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。市販品としては、(株)クラレ、旭化成(株)等の製品を使用できる。
なお、本明細書において、熱可塑性エラストマーは、ゴム成分には含まれない。
熱可塑性エラストマーは、スチレンブロックを有する熱可塑性エラストマー(スチレン系熱可塑性エラストマー)であることが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン-ビニルイソプレン-スチレントリブロック共重合体(SIS)、スチレン-イソブチレンジブロック共重合体(SIB)、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレントリブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレントリブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレントリブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-ブタジエン・ブチレン-スチレントリブロック共重合体(SBBS)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、スチレンブロックを両末端に有する共重合体が好ましく、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレントリブロック共重合体(SEPS)がより好ましい。
なお、SEPSは、スチレン-ビニルイソプレン-スチレントリブロック共重合体(SIS)に水素を添加した水添SISであってもよい。
スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
熱可塑性エラストマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、充填剤として、シリカを含有する。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカの原料は、水ガラス(珪酸ソーダ)であってもよいし、もみ殻等のバイオマス材料であってもよい。市販品としては、エボニックデグッサ社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリカの平均粒子径は、好ましくは24nm以下、より好ましくは17nm以下、更に好ましくは16nm以下、特に好ましくは15nm以下であり、また、好ましくは6nm以上、より好ましくは9nm以上、更に好ましくは12nm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、シリカの平均粒子径の測定方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察が用いられる。具体的には、シリカ粒子を透過型電子顕微鏡で写真撮影し、粒子の形状が球形の場合には球の直径を粒子径とし、針状又は棒状の場合には短径を粒子径とし、不定型の場合には中心部からの平均粒子径を粒子径とし、微粒子100個の粒径の平均値を平均粒子径とする。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは70質量部以上、より好ましくは90質量部以上、更に好ましくは100質量部以上であり、また、好ましくは160質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは140質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物において、シリカの含有量/SBRの含有量は、好ましくは1以上、より好ましくは1.1以上、更に好ましくは1.3以上であり、また、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下、特に好ましくは2以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、この関係において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量(単位:質量部)であり、SBRの含有量は、ゴム成分100質量%中の含有量(単位:質量%)である。
上記ゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラックを含有することが好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。カーボンブラックの原料は、リグニン、植物油等のバイオマス材料であってもよいし、タイヤをリサイクルして得られるものであってもよい。また、カーボンブラックの製造方法は、ファーネス法等の燃焼によるものであってもよいし、水熱炭化(HTC)によるものであってもよい。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックのセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)比表面積は、好ましくは80m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは130m/g以上であり、また、好ましくは180m/g以下、より好ましくは160m/g以下、更に好ましくは150m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックのCTAB比表面積は、JIS K6217-3:2001に準拠して測定される値である。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは6質量部以上、更に好ましくは9質量部以上であり、また、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部未満である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物において、ゴム成分中の総スチレン量<前記ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量<15であることが好ましい。
カーボンブラックの含有量-ゴム成分中の総スチレン量は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1.0以上であり、また、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、この関係において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量(単位:質量部)であり、ゴム成分中の総スチレン量は、ゴム成分100質量%中の含有量(単位:質量%)である。
シリカ、カーボンブラック以外に使用できる充填剤として、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ、カルシウム化合物、短繊維、加硫ゴム粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タルクの平均粒子径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。タルクの平均粒子径の下限は特に限定されないが、好ましくは1μm以上である。
タルクの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~50質量部であることが好ましい。
本明細書において、水酸化アルミニウムとはAl(OH)又はAl・3HOを意味する。市販品としては、住友化学(株)、昭和電工(株)、Nabaltec社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水酸化アルミニウムの平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは0.8μm以上であり、また、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは1μm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、水酸化アルミニウムの平均粒子径は、シリカの平均粒子径と同様の方法で測定される値である。
水酸化アルミニウムのBET比表面積(窒素吸着比表面積、NSA)は、好ましくは5m/g以上、より好ましくは8m/g以上、更に好ましくは10m/g以上であり、また、好ましくは40m/g以下、より好ましくは30m/g以下、更に好ましくは20m/g以下である。
なお、水酸化アルミニウムのBET比表面積は、ASTM D3037-81に準じてBET法で測定される値である。
水酸化アルミニウムの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~25質量部であることが好ましい。
カルシウム化合物は、カルシウムを有する化合物であり、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭化カルシウム等の無機塩;炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム等のオキソ酸塩等が挙げられる。オキソ酸塩には、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸塩も含まれる。また、カルシウム化合物を含有するものとして、卵殻(主成分:炭酸カルシウム)や、ストラクトール社製のWB16(脂肪酸カルシウム、脂肪酸アミド及び脂肪酸アミドエステルの混合物)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、オキソ酸塩が好ましく、炭酸カルシウムがより好ましい。
カルシウム化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましい。
短繊維としては、例えば、有機短繊維、無機短繊維等を使用できる。有機短繊維の具体例としては、セルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)等のナノセルロース;キチンナノファイバー;キトサンナノファイバー等のバイオマスナノ材料等が挙げられ、無機短繊維の具体例としては、金属繊維、ガラス繊維系等が挙げられる。市販品としては、日本製紙(株)、(株)スギノマシン等の製品が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、有機短繊維が好ましく、ナノセルロースがより好ましい。
ナノセルロースの粒径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは25nm以上、特に好ましくは28nm以上であり、また、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは35nm以下、特に好ましくは32nm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、ナノセルロースの粒径は、走査型電子顕微鏡写真による画像解析、透過型電子顕微鏡写真による画像解析、原子間力顕微鏡写真による画像解析、X線散乱データの解析、細孔電気抵抗法(コールター原理法)等によって測定された平均繊維径である。また、本明細書において、ナノセルロース(セルロース繊維)の平均繊維径は、典型的には、セルロース分子の集合により形成されているセルロース繊維の集合体の平均繊維径である。
短繊維の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~40質量部であることが好ましい。
加硫ゴム粒子は、加硫ゴムを材質とする粒子であり、具体的には、JIS K 6316:2017に規定されるゴム粉等を使用可能である。環境への配慮及びコストの観点から、廃タイヤの粉砕物等から製造される再生ゴム粉が好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
加硫ゴム粒子の市販品としては、Lehigh社、村岡ゴム工業(株)等の製品を使用できる。
加硫ゴム粒子の平均粒子径は、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは200μm以上であり、また、好ましくは1000μm以下、より好ましくは900μm以下、更に好ましくは800μm以下である。
なお、加硫ゴム粒子の平均粒子径は、JIS Z 8815:1994に準拠して測定される粒度分布から算出された質量基準の平均粒子径である。
加硫ゴム粒子の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~40質量部であることが好ましい。
充填剤の含有量(シリカ、カーボンブラック等の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、100質量部超であればよいが、好ましくは103質量部以上、より好ましくは106質量部以上、更に好ましくは109質量部以上であり、また、好ましくは170質量部以下、より好ましくは160質量部以下、更に好ましくは150質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系等があげられる。市販されているものとしては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、メルカプト系が好ましい。
なお、メルカプト系シランカップリング剤としては、メルカプト基を有する化合物の他、保護基によってメルカプト基が保護された構造の化合物(例えば、下記式(S1)で表される化合物)も使用可能である。
特に好適なメルカプト系シランカップリング剤として、下記式(S1)で表わされるシランカップリング剤や、下記式(I)で示される結合単位Aと下記式(II)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤が挙げられる。
Figure 2023072249000001
(式中、R1001は-Cl、-Br、-OR1006、-O(O=)CR1006、-ON=CR10061007、-NR10061007及び-(OSiR10061007(OSiR100610071008)から選択される一価の基(R1006、R1007及びR1008は同一でも異なっていても良く、各々水素原子又は炭素数1~18の一価の炭化水素基であり、hは平均値が1~4である。)であり、R1002はR1001、水素原子又は炭素数1~18の一価の炭化水素基、R1003は-[O(R1009O)]-基(R1009は炭素数1~18のアルキレン基、jは1~4の整数である。)、R1004は炭素数1~18の二価の炭化水素基、R1005は炭素数1~18の一価の炭化水素基を示し、x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。)
Figure 2023072249000002
Figure 2023072249000003
(式中、vは0以上の整数、wは1以上の整数である。R11は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニル基、又は該アルキル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R12は分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニレン基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニレン基を示す。R11とR12とで環構造を形成してもよい。)
式(S1)において、R1005、R1006、R1007及びR1008はそれぞれ独立に、炭素数1~18の直鎖状、環状もしくは分枝状のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。また、R1002が炭素数1~18の一価の炭化水素基である場合は、直鎖状、環状もしくは分枝状のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。R1009は直鎖状、環状又は分枝状のアルキレン基であることが好ましく、特に直鎖状のものが好ましい。R1004は例えば炭素数1~18のアルキレン基、炭素数2~18のアルケニレン基、炭素数5~18のシクロアルキレン基、炭素数6~18のシクロアルキルアルキレン基、炭素数6~18のアリーレン基、炭素数7~18のアラルキレン基を挙げることができる。アルキレン基及びアルケニレン基は、直鎖状及び分枝状のいずれであってもよく、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基は、環上に低級アルキル基等の官能基を有していてもよい。このR1004としては、炭素数1~6のアルキレン基が好ましく、特に直鎖状アルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。
式(S1)におけるR1002、R1005、R1006、R1007及びR1008の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロぺニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
式(S1)におけるR1009の例として、直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられ、分枝状アルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、2-メチルプロピレン基等が挙げられる。
式(S1)で表されるシランカップリング剤の具体例としては、3-ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なかでも、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
式(I)で示される結合単位Aと式(II)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤において、結合単位Aの含有量は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、好ましくは99モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。また、結合単位Bの含有量は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、好ましくは70モル%以下、より好ましくは65モル%以下、更に好ましくは55モル%以下である。また、結合単位A及びBの合計含有量は、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(I)、(II)と対応するユニットを形成していればよい。
式(I)、(II)におけるR11について、ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素等があげられる。分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキル基としては、メチル基、エチル基等があげられる。分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニル基としては、ビニル基、1-プロペニル基等があげられる。分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基等があげられる。
式(I)、(II)におけるR12について、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基等があげられる。分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1-プロペニレン基等があげられる。分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基等があげられる。
式(I)で示される結合単位Aと式(II)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤において、結合単位Aの繰り返し数(v)と結合単位Bの繰り返し数(w)の合計の繰り返し数(v+w)は、3~300の範囲が好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは6質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは18質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、可塑剤として、樹脂を含有する。
樹脂は、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、C5系樹脂、C5/C9系樹脂、C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の樹脂を含む。
また、樹脂は、3種以上の樹脂を含むことが好ましい。3種以上の樹脂を併用する場合、上記群に含まれる樹脂と、その他の樹脂との併用であってもよいが、上記群に含まれる樹脂を3種以上併用することが好ましい。
スチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、スチレン系単量体1種を単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体との共重合体も挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、スチレン、α-メチルスチレンがより好ましい。
効果をより良好に得るため、スチレン系樹脂は、α-メチルスチレン系樹脂(α-メチルスチレン単独重合体、スチレンとα-メチルスチレンとの共重合体等)が好ましく、スチレンα-メチルスチレン樹脂(スチレンとα-メチルスチレンとの共重合体)がより好ましい。
クマロンインデン系樹脂は、クマロン及びインデンを構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、クマロン及びインデンの共重合体の他、クマロン及びインデンとこれらと共重合し得る他の単量体との共重合体も挙げられる。
テルペン系樹脂は、テルペン化合物(テルペン系単量体)を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、テルペン化合物1種を単独で重合した単独重合体、2種以上のテルペン化合物を共重合した共重合体の他、テルペン化合物及びこれと共重合し得る他の単量体との共重合体も挙げられる。
テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)等に分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオール等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
効果をより良好に得るため、テルペン系樹脂は、テルペン化合物の単独重合体(ポリテルペン樹脂)、テルペン化合物とスチレン系単量体との共重合体が好ましく、テルペン化合物とスチレン系単量体との共重合体がより好ましい。また、テルペン化合物とスチレン系単量体との共重合体は、テルペン化合物とスチレンとの共重合体(テルペンスチレン樹脂)であることが好ましい。
なお、本明細書において、テルペンスチレン樹脂のように、テルペン化合物及びスチレン系単量体を構成モノマーとして含むポリマーは、スチレン系樹脂ではなく、テルペン系樹脂として取り扱う。
フェノール系樹脂は、フェノールを構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
シクロペンタジエン系樹脂は、シクロペンタジエン系単量体を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、シクロペンタジエン系単量体1種を単独で重合した単独重合体、2種以上のシクロペンタジエン系単量体を共重合した共重合体の他、シクロペンタジエン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体との共重合体も挙げられる。
シクロペンタジエン系単量体としては、例えば、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ジシクロペンタジエンが好ましい。すなわち、シクロペンタジエン系樹脂は、ジシクロペンタジエン(DCPD)を構成モノマーとして含むポリマー(DCPD系樹脂)であることが好ましい。
C5系樹脂は、C5留分を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解によって得られるC5留分を、AlCl、BF等のフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる重合体等が挙げられる。C5留分には、通常、1-ペンテン、2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、3-メチル-1-ブテン等のオレフィン系炭化水素;2-メチル-1,3-ブタジエン、1,2-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,2-ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素;等が含まれる。
C5/C9系樹脂は、C5留分及びC9留分を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、石油由来のC5留分とC9留分とを、AlCl、BF等のフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる重合体等が挙げられる。具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデン等を主成分とする共重合体等が挙げられる。
なお、本明細書において、C5/C9系樹脂は、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂とは別の樹脂として取り扱う。
C9系樹脂は、C9留分を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解により、エチレン、プロピレン等の石油化学基礎原料と共に副生するC9留分を、AlCl、BF等のフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる重合体等が挙げられる。C9留分の具体例としては、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、γ-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、インデン等が挙げられる。C9系樹脂は、C9留分と共に、C8留分であるスチレン等、C10留分であるメチルインデン、1,3-ジメチルスチレン等、更にはナフタレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、p-tert-ブチルスチレン等をも原料として用い、これらのC8~C10留分等を混合物のまま、例えばフリーデルクラフツ型触媒により共重合して得られるものであってもよい。
なお、本明細書において、C9系樹脂は、スチレン系樹脂とは別の樹脂として取り扱う。
樹脂は、少なくとも、スチレン系樹脂を含むことが好ましく、スチレン系樹脂及びクマロンインデン系樹脂を含むことがより好ましい。
スチレン系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
クマロンインデン系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは25質量部以上であり、また、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
樹脂は、官能基が導入された変性樹脂(官能化樹脂)であることも好ましい。
変性樹脂は、公知の方法により製造可能であり、例えば、スラリー法、メタセシス法等により調製できる。具体的には、例えば、該変性樹脂のポリマー骨格となるポリマーに、官能基の導入が可能な官能化合物を公知の方法で反応させることで製造できる。
ポリマー骨格となるポリマーは特に限定されず、例えば、上述の樹脂であってもよいし、他の樹脂であってもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スチレン系樹脂が好ましく、α-メチルスチレン系樹脂がより好ましく、スチレンα-メチルスチレン樹脂(スチレンとα-メチルスチレンとの共重合体)が更に好ましい。
官能基としては、酸素、珪素及び窒素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む官能基が好ましく、珪素を含む官能基がより好ましい。
変性樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上であり、また、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物において、変性樹脂の含有量/ゴム成分中の総スチレン量は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3.5以上であり、また、好ましくは9以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは5以下である。
上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、この関係において、変性樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量(単位:質量部)であり、ゴム成分中の総スチレン量は、ゴム成分100質量%中の含有量(単位:質量%)である。
上述の樹脂の市販品としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXTGエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上であり、また、好ましくは90質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは70質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物において、樹脂の含有量/シリカの含有量は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.6以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、この関係において、樹脂の含有量、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量(単位:質量部)である。
上記ゴム組成物において、樹脂の含有量×2>ゴム成分中の総スチレン量であることが好ましい。
(樹脂の含有量×2)/ゴム成分中の総スチレン量は、好ましくは25以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下であり、また、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは5以上、特に好ましくは10以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、この関係において、樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量(単位:質量部)であり、ゴム成分中の総スチレン量は、ゴム成分100質量%中の含有量(単位:質量%)である。
樹脂以外の可塑剤としては、例えば、液状ポリマー、オイル(油展ゴム中のオイル分を含む)、エステル系可塑剤等を使用することができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、オイルが好ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等を用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。また、植物油脂を食用油等として利用したものを回収した廃油であってもよい。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、JXTGエネルギー(株)、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。下限は特に限定されず、0質量部であってもよいが、好ましくは5質量部以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
液状ポリマーは、常温(25℃)で液体状態の(共)重合体であり、例えば、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ファルネセン及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の(共)重合体を用いることができ、具体例としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。また、液状ポリマーは、変性処理や水素添加処理が実施されていてもよい。市販品としては、Cray Valley社、(株)クラレ等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液状ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは9000以下、より好ましくは6000以下、更に好ましくは4500以下であり、また、好ましくは100以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは2000以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、液状ポリマーは、ゴム成分には含まれない。
液状ポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.5~30質量部であることが好ましい。
エステル系可塑剤としては、常温(25℃)で液体状態のエステル基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フタル酸誘導体、長鎖脂肪酸誘導体、リン酸誘導体、セバシン酸誘導体、アジピン酸誘導体等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、リン酸誘導体、セバシン酸誘導体、アジピン酸誘導体が好ましく、セバシン酸誘導体がより好ましい。
上記フタル酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)などのフタル酸エステルが挙げられ、上記長鎖脂肪酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、長鎖脂肪酸グリセリンエステルが挙げられ、上記リン酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)、トリブチルホスフェート(TBP)などのリン酸エステルが挙げられ、上記セバシン酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)セバケート(DOS)、ジイソオクチルセバケート(DIOS)などのセバシン酸エステルが挙げられ、上記アジピン酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)アジペート(DOA)、ジイソオクチルアジペート(DIOA)などのアジピン酸エステルが挙げられる。
なかでも、リン酸エステル、セバシン酸エステル、アジピン酸エステルが好ましく、セバシン酸エステルがより好ましい。また、具体的な化合物としては、TOP、DOS、DOAが好ましく、DOSがより好ましい。
エステル系可塑剤としては、例えば、大八化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
エステル系可塑剤のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-110℃以上、より好ましくは-100℃以上、更に好ましくは-80℃以上であり、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-40℃以下、更に好ましくは-55℃以下である。上記範囲内にすることで、前記効果がより好適に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、ガラス転移温度は、JIS-K7121に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した値である。
エステル系可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~20質量部であることが好ましい。
可塑剤の含有量(樹脂、オイル等の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは50質量部以上であり、また、好ましくは90質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは75質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物において、可塑剤100質量%中の樹脂の含有量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、加工助剤を含有してもよい。
加工助剤としては、金属塩(酸の水素原子が金属イオンで置換された化合物)、脂肪酸アミド、アミドエステル、脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、金属塩、脂肪酸アミドが好ましく、金属塩がより好ましい。
金属塩に使用される金属としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属や、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属等が挙げられる。また、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、モリブデン等も使用可能である。なかでも、アルカリ金属が好ましい。
金属塩に使用される酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の脂肪酸等が挙げられる。また、ホウ酸、炭酸、塩酸、硝酸、硫酸等も使用可能である。
加工助剤の市販品としては、キシダ化学(株)、健栄製薬(株)、ストラクトール社、Performance Additives社等の製品を使用できる。
加工助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは4質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、老化防止剤を含有してもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは4質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品としては、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは2.5質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物において、灰分量100質量%中の酸化亜鉛の含有量は、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.7質量%以下、更に好ましくは1.5質量%未満であり、また、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、硫黄を含有してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に架橋剤として用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは1.4質量部以上であり、また、好ましくは3.5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、有機架橋剤を含有してもよい。
有機架橋剤としては、特に限定されず、マレイミド化合物類、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物類、有機過酸化物類、アミン有機サルファイド類等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~15質量部であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは12質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物には、上記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、有機過酸化物等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましい。
上記ゴム組成物は、例えば、上述の各成分をオープンロール、バンバリーミキサー等のゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫等の加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。加硫時間は、通常5~15分である。
上記ゴム組成物は、例えば、トレッド、サイドウォール、ベーストレッド、アンダートレッド、ショルダー、クリンチ、ビードエイペックス、ブレーカークッションゴム、カーカスコード被覆用ゴム、インスレーション、チェーファー、インナーライナー等や、ランフラットタイヤのサイド補強層などのタイヤ部材に(タイヤ用ゴム組成物として)用いることができる。なかでも、トレッド(特に、走行時に路面に接する部分(キャップトレッド))に好適である。
本開示のタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、上記ゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド等の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを得る。
上記タイヤ(空気入りタイヤ等)は、乗用車用タイヤ;トラック・バス用タイヤ;二輪車用タイヤ;高性能タイヤ;スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤ;サイド補強層を備えるランフラットタイヤ;スポンジ等の吸音部材をタイヤ内腔に備える吸音部材付タイヤ;パンク時に封止可能なシーラントをタイヤ内部又はタイヤ内腔に備える封止部材付タイヤ;センサや無線タグ等の電子部品をタイヤ内部又はタイヤ内腔に備える電子部品付タイヤ等に使用可能であり、乗用車用タイヤに好適である。
上記タイヤのサイズは特に限定されず、例えば、タイヤ幅は100~400mmの範囲内で、扁平率は25~85%の範囲内で、リム径は10~25インチの範囲内で、適宜選択可能である。具体例としては、105/50R16、115/50R17、125/55R20、135/45R21、145/45R21、155/45R18、165/45R22、175/45R23、185/60R20、195/55R14、205/40R16、215/40R16、225/40R17、235/40R17、245/40R16、255/40R17、265/40R17、275/35R18、285/30R19、295/45R20等が挙げられる。
上記タイヤは、タイヤ外径Dt及びタイヤ断面幅Wtが下記式の関係式を満たすことが好ましい。
Figure 2023072249000004
なお、タイヤ外径(Dt)とは、タイヤを適用リムに装着して内圧250kPa・無負荷とした状態のタイヤの外径である。タイヤ断面幅(Wt)とは、タイヤを適用リムに装着して内圧250kPa・無負荷とした状態のタイヤ側面の模様又は文字など全てを含むサイドウォール間の直線距離、つまり総幅からタイヤの側面の模様、文字などを除いた幅である。
上記式を満たしうるタイヤとしては、具体的には、145/60R18、145/60R19、155/55R18、155/55R19、155/70R17、155/70R19、165/55R20、165/55R21、165/60R19、165/65R19、165/70R18、175/55R19、175/55R20、175/55R22、175/60R18、185/55R19、185/60R20、195/50R20、195/55R20等が挙げられる。
上記式を満たすタイヤは、乗用車用空気入りタイヤに適用することが好ましい。上記式を満たす乗用車用空気入りタイヤは、本件の課題解決により好適となる傾向があるためである。
実施例に基づいて、本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
(ゴム成分)
SBR1:下記製造例1で合成した変性SBR(スチレン量:40質量%、ビニル量:24質量%)
SBR2:下記製造例2で合成した変性SBR(スチレン量:40質量%、ビニル量:32質量%)
SBR3:JSR(株)製のHPR840(スチレン量:10質量%、ビニル量:42質量%)
SBR4:下記製造例3で合成したスチレンα-メチルスチレン樹脂伸展SBR(スチレン量:10質量%、ビニル量:42質量%、ゴム固形分100質量部に対して樹脂分35質量部含有)
SBR5:下記製造例4で合成した変性スチレンα-メチルスチレン樹脂伸展SBR(スチレン量:10質量%、ビニル量:42質量%、ゴム固形分100質量部に対して樹脂分35質量部含有)
BR:LG Chem社製のBR1280(ビニル量:2質量%、シス含量:96%)
(ゴム成分以外の薬品)
カーボンブラック:N134(CTAB比表面積:135m/g)
シリカ1:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(平均粒子径:17nm)
シリカ2:エボニックデグッサ社製のウルトラシル9100GR(平均粒子径:15nm)
シランカップリング剤1:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
シランカップリング剤2:Momentive社製のNXT(3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン)
樹脂1:ヤスハラケミカル(株)製のYSレジンPX1150N(ポリテルペン樹脂)
樹脂2:ヤスハラケミカル(株)製のYSレジンTO125(テルペンスチレン樹脂(スチレンとテルペン化合物との共重合体))
樹脂3:下記製造例5で合成した変性スチレンα-メチルスチレン樹脂
樹脂4:アリゾナケミカル社製のSYLVARES SA85(スチレンα-メチルスチレン樹脂(スチレンとα-メチルスチレンとの共重合体))
樹脂5:日塗化学(株)製のニットレジン クマロンV-120(クマロンインデン系樹脂)
オイル:三共油化工業(株)製のA/Oミックス
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラックRD(ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン))
加工助剤1:Performance Additives社製のULTRA-FLOW 440(脂肪酸亜鉛)
加工助剤2:Performance Additives社製ULTAR-LUBE 160(脂肪酸石鹸及び脂肪酸アミドの混合物)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’-ジフェニルグアニジン)
(製造例1)
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、スチレン、及び1,3-ブタジエンを仕込んだ。反応器の内容物の温度を20℃に調整した後、n-ブチルリチウムを添加して重合を開始した。断熱条件で重合し、最高温度は85℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で1,3-ブタジエンを追加し、更に5分重合させた後、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(単量体)と、オリゴマー成分との混合物を変性剤として加えて反応を行った。重合反応終了後、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥してSBR1を得た。
(製造例2)
窒素置換されたオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、スチレン、及び1,3-ブタジエンを仕込んだ。反応器の内容物の温度を20℃に調整した後、n-ブチルリチウムを添加して重合を開始した。断熱条件で重合し、最高温度は85℃に達した。重合転化率が99%に達した時点で1,3-ブタジエンを追加し、更に5分重合させた後、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランを変性剤として加えて反応を行った。重合反応終了後、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥してSBR2を得た。
(製造例3)
スチレンα-メチルスチレン樹脂(樹脂4)及びSBR3を所定の比率でシクロヘキサンに添加し、0.4バールの窒素圧力下、室温で2時間、400rpmの撹拌速度で撹拌した。得られた溶液を乾燥させ、スチレンα-メチルスチレン樹脂伸展SBR(SBR4)を得た。
(製造例4)
変性スチレンα-メチルスチレン樹脂(樹脂3)及びSBR3を所定の比率でシクロヘキサンに添加し、0.4バールの窒素圧力下、加熱しながら2時間、400rpmの撹拌速度で撹拌した。得られた溶液を乾燥させ、変性スチレンα-メチルスチレン樹脂伸展SBR(SBR5)を得た。
(製造例5)
不活性ガス置換したガラス製フラスコに塩化アルミニウムおよびトルエンを添加し、スチレンおよびαメチルスチレンを滴下した。その後、反応液を、スラリー法によってアリルトリエトキシシランが付加されたイソプレン/トルエン溶液を滴下し、反応液に水を添加し反応を停止させた。分液によって水層を取り除く工程を繰り返した後、分液によって得られた有機層を送風乾燥しトルエンを揮発させ、減圧乾燥し、変性スチレンα-メチルスチレン樹脂(樹脂3)を得た。
(実施例及び比較例)
表1、2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃の条件下で12分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ:175/60R18)を製造した。得られた試験用タイヤを用いて下記評価を行い、結果を表1、2に示した。
なお、表1、2において、樹脂伸展ゴム中のゴム分はゴムの欄に記載し、樹脂伸展ゴム中の樹脂分は、SBR4については樹脂4の欄に、SBR5については樹脂3の欄に加算している。
また、下記評価において、指数を計算する際の評価基準は以下のとおりである。
(老化後の高速走行時の操縦安定性)
表1:比較例6
表2:比較例7
(老化後の乗り心地)
表1:比較例5
表2:比較例7
(アセトン抽出量(AE))
上記試験用タイヤのトレッドから切り出したゴム試験片(サンプル)について、JIS K 6229に準拠したアセトン抽出量の測定方法に準拠し、該ゴム試験片中に含まれるアセトンにより抽出される物質の量を測定した。
アセトン抽出量(質量%)=(抽出前のサンプルの質量-抽出後のサンプルの質量)/抽出前のサンプルの質量×100
(ポリマー量(PC))
上記アセトン抽出量(AE)におけるアセトン抽出後のサンプルについて、JIS K6226-1:2003に準じて、窒素中の加熱(室温から750℃へ上昇させる)により有機物を熱分解・気化させたときの減量分(質量)を測定し、それに基づいてPC(質量%)を算出した。
(カーボンブラック量(BC))
上記ポリマー量(PC)における熱分解・気化させた後のサンプルについて、空気中の加熱により酸化燃焼させたときの減量分(質量)を測定し、それに基づいてBC(質量%)を算出した。
(灰分量(Ash))
上記カーボンブラック量(BC)における酸化燃焼で燃焼しない成分(灰分)の質量を測定し、それに基づいてAsh(質量%)を算出した。
(老化処理)
経年劣化後の状態を再現するため、オーブン内で80℃168時間加熱して上記試験用タイヤを熱劣化させた。
(老化後の高速走行時の操縦安定性)
老化処理後の各試験用タイヤを車両に装着し、平均時速100kmでテストコースを走行した際のコントロールの安定性を5段階(5点満点)で官能評価した。評価は20人のテストドライバーで行い、その合計値を、評価基準を100として指数表示した。指数が大きいほど、コントロールの安定性が高く、老化後の操縦安定性に優れることを示す。
(老化後の乗り心地)
老化処理後の各試験用タイヤを車両に装着して、ドライ路面を走行したときの乗り心地を、5段階(5点満点)で官能評価した。評価は20人のテストドライバーで行い、その合計値を、評価基準を100として指数表示した。数値が大きい程、乗り心地が良好であることを示す。
Figure 2023072249000005
Figure 2023072249000006
表1、2より、実施例は、目的とする老化後の高速走行時の操縦安定性と、老化後の乗り心地との総合性能(各指数の合計)が比較例より優れていた。
本開示(1)はスチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填剤と、樹脂を含む可塑剤とを含有し、前記ゴム成分100質量部に対して、前記充填剤の含有量が100質量部超であり、前記ゴム成分中の総スチレン量が35質量%未満であり、前記樹脂が、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、C5系樹脂、C5/C9系樹脂、C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の樹脂を含み、ポリマー量+アセトン抽出量-ポリマー量×前記ゴム成分中の総スチレン量>カーボンブラック量+灰分量であるタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(2)は前記可塑剤100質量%中、前記樹脂の含有量が15質量%以上である本開示(1)記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(3)は前記樹脂の含有量×2>前記ゴム成分中の総スチレン量である本開示(1)又は(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(4)は前記樹脂が、前記スチレン系樹脂を含む本開示(1)~(3)のいずれかとの任意の組合せのタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(5)は前記充填剤が、カーボンブラックを含み、前記ゴム成分中の総スチレン量<前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量<15である本開示(1)~(4)のいずれかとの任意の組合せのタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(6)は前記シリカの平均粒子径が16nm以下である本開示(1)~(5)のいずれかとの任意の組合せのタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(7)はメルカプト系シランカップリング剤を含有する本開示(1)~(6)のいずれかとの任意の組合せのタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(8)は前記灰分量100質量%中、酸化亜鉛の含有量が1.5質量%未満である本開示(1)~(7)のいずれかとの任意の組合せのタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(9)は前記ゴム成分が、樹脂伸展ゴムを含む本開示(1)~(8)のいずれかとの任意の組合せのタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(10)は前記樹脂が、変性樹脂を含む本開示(1)~(9)のいずれかとの任意の組合せのタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(11)は前記樹脂が、3種以上の樹脂を含む本開示(1)~(10)のいずれかとの任意の組合せのタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(12)は本開示(1)~(11)のいずれかとの任意の組合せのゴム組成物を用いたタイヤである。

Claims (12)

  1. スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填剤と、樹脂を含む可塑剤とを含有し、
    前記ゴム成分100質量部に対して、前記充填剤の含有量が100質量部超であり、
    前記ゴム成分中の総スチレン量が35質量%未満であり、
    前記樹脂が、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、C5系樹脂、C5/C9系樹脂、C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の樹脂を含み、
    ポリマー量+アセトン抽出量-ポリマー量×前記ゴム成分中の総スチレン量>カーボンブラック量+灰分量であるタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記可塑剤100質量%中、前記樹脂の含有量が15質量%以上である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記樹脂の含有量×2>前記ゴム成分中の総スチレン量である請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記樹脂が、前記スチレン系樹脂を含む請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記充填剤が、カーボンブラックを含み、
    前記ゴム成分中の総スチレン量<前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量<15である請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記シリカの平均粒子径が16nm以下である請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. メルカプト系シランカップリング剤を含有する請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 前記灰分量100質量%中、酸化亜鉛の含有量が1.5質量%未満である請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  9. 前記ゴム成分が、樹脂伸展ゴムを含む請求項1~8のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  10. 前記樹脂が、変性樹脂を含む請求項1~9のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  11. 前記樹脂が、3種以上の樹脂を含む請求項1~10のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。

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