JP2023071334A - 顕微鏡装置、及び、顕微鏡システム - Google Patents

顕微鏡装置、及び、顕微鏡システム Download PDF

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【課題】位相物体内の位相勾配を可視化する。【解決手段】顕微鏡装置1は、標本Sを照明する照明光学系と、標本Sからの光を導く観察光学系と、ポラライザ6と、偏光分離プリズム7と、照明光学系と観察光学系の一方である第1光学系の瞳位置に置かれた絞り2を備える。絞り2の開口部の形状は、円形または正多角形である。照明光学系と観察光学系の他方である第2光学系は、ポラライザ6と偏光分離プリズム7の間の光路上に置かれた唯一の偏光分離プリズムであって、光を異なる方向に進行する互いに振動方向が直交する2つの偏光に分離し、分離した2つの偏光で第2光学系の瞳位置に干渉縞を形成する。【選択図】図1

Description

本明細書の開示は、顕微鏡装置、及び、顕微鏡システムに関する。
位相物体内の局所的な位相勾配を強度分布に変換することでコントラスト(以降、傾斜コントラストと記す。)を得る技術が知られている。このような技術は、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の技術では、対物レンズの瞳位置又は瞳位置と光学的に共役な位置に強度変調のための構造を設けることで、傾斜コントラストを得ることができる。
特開2020-085988号公報
しかしながら、対物レンズの瞳位置は、通常は対物レンズ内にある。このため、特許文献1に記載の技術が適用可能な顕微鏡装置は、実質的には、瞳リレー系を有するものに限られてしまう。
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、位相物体内の位相勾配を可視化する新たな技術を提供することである。
本発明の一態様に係る顕微鏡装置は、標本を照明する照明光学系と、 前記標本からの光を導く観察光学系と、ポラライザと、アナライザと、前記照明光学系と前記観察光学系の一方である第1光学系の瞳位置に置かれた絞りであって、開口部の形状が円形または正多角形である絞りと、を備え、前記照明光学系と前記観察光学系の他方である第2光学系は、前記ポラライザと前記アナライザの間の光路上に置かれた唯一の偏光分離プリズムであって、光を異なる方向に進行する互いに振動方向が直交する2つの偏光に分離し、分離した前記2つの偏光で前記第2光学系の瞳位置に干渉縞を形成する偏光分離プリズムと、含む。
上記の態様によれば、位相物体内の位相勾配を可視化する新たな技術を提供することができる。
一実施形態に係る顕微鏡装置1の構成を例示した図である。 偏光分離プリズム7の配置について説明するための図である。 干渉縞10の配置について説明するための図である。 位相物体の形状を例示した図である。 図4に示す形状の位相物体を経由して瞳位置に投影される絞り像2aを例示した図である。 プリズム調整ユニット12の一例を示した図である。 第1の実施形態に係る顕微鏡装置100の構成を例示した図である。 第2の実施形態に係る顕微鏡装置200の構成を例示した図である。 干渉縞10と対物レンズの瞳との関係を例示した図である。 絞り103の状態について説明するための図である。 第3の実施形態に係る顕微鏡装置300の構成を例示した図である。 ターレット301に設けられた絞りの大きさと配置について説明するための図である。 光軸に対して偏心した絞り305の作用について説明するための図である。 第4の実施形態に係る顕微鏡装置400の構成を例示した図である。 ターレット401に設けられた絞りの大きさと配置について説明するための図である。 偏光分離プリズム122のスライドによる作用について説明するための図である。 第5の実施形態に係る顕微鏡装置500の構成を例示した図である。 第6の実施形態に係る顕微鏡システム700の構成を例示した図である。 第7の実施形態に係る顕微鏡システム900の構成を例示した図である。 顕微鏡システム900で取得した傾斜コントラスト画像の一例である。 顕微鏡システム900で取得した位相差画像の一例である。 図20に示す傾斜コントラスト画像と図21に示す位相差画像から生成された画像の一例である。 図20に示す傾斜コントラスト画像と図21に示す位相差画像から生成された画像の別の一例である。
図1は、一実施形態に係る顕微鏡装置1の構成を例示した図である。図2は、偏光分離プリズム7の配置について説明するための図である。図3は、干渉縞10の配置について説明するための図である。以下、顕微鏡装置1の構成と作用について図1から図3を参照しながら説明する。
顕微鏡装置1は、位相物体を観察する顕微鏡装置であり、位相物体内の局所的な位相勾配を可視化した傾斜コントラスト画像を得る装置である。顕微鏡装置1は、図1に示すように、絞り2と、コンデンサレンズ3と、ステージ4と、対物レンズ5と、ポラライザ6と、偏光分離プリズム7と、アナライザ8を備えている。
図1では、顕微鏡装置1は、透過照明装置を備え、標本Sが置かれたステージ4を挟んで、標本Sを照明する照明光学系と標本Sからの光を導く観察光学系とが向かい合わせに配置されている。しかしながら、コンデンサレンズ3を含む照明光学系と、対物レンズ5及び偏光分離プリズム7を含む観察光学系は、必ずしもステージ4を挟んで配置される必要はなく、顕微鏡装置1には透過照明の代わりに落射照明が採用されてもよい。
また、図1では、顕微鏡装置1は、ステージ4に配置された標本Sを上方から観察する正立顕微鏡として構成されているが、顕微鏡装置1は、正立顕微鏡に限らない。顕微鏡装置1は、標本Sを下方から観察する倒立顕微鏡として構成されてもよい。
また、図1では特に図示しないが、顕微鏡装置1は、撮像装置を備えてもよく、撮像装置でイメージングした傾斜コントラスト画像を表示装置に表示してもよい。また、顕微鏡装置1は、接眼レンズを備えてもよく、顕微鏡装置1の利用者は、顕微鏡装置1で形成された標本Sの像(虚像)を接眼レンズで観察することで、標本Sを観察してもよい。
絞り2は、照明光学系の瞳位置に配置された開口絞りであり、コンデンサレンズ3の前側焦点位置に配置されている。絞り2は、複数の絞り羽根を有し、開口径を調整可能な可変絞り機構を備えていることが望ましい。絞り2の形状、つまり、絞り2の開口部の形状は、円形または正多角形である。なお、開口絞りが円に近い形状である方が、デフォーカスした像が円形にぼけて自然な見え方になるという点で、望ましい。
偏光分離プリズム7は、図2に示すように、入射光(直線偏光L1)を異なる方向に進行する互いに偏光方向が直交する2つの偏光(直線偏光L2、直線偏光L3)に分離するプリズムであり、ポラライザ6とアナライザ8の間の光路上に置かれた唯一の偏光分離プリズムである。図2中の黒丸と矢印はプリズムの光学軸方向を示している。偏光分離プリズム7は、例えば、ノマルスキープリズム、又は、ウォラストンプリズムであるが、ローションプリズムなどの他の種類のプリズムであってもよい。
より詳細には、偏光分離プリズム7は、図示しない光源から出射した光が照明光学系と観察光学系を通って撮像装置または接眼レンズに至るまでの間に一度だけ入射する位置に配置されている。この点において、顕微鏡装置1は、一対の偏光分離プリズムを有する透過型の微分干渉顕微鏡や1つの偏光分離プリズムに照明光と観察光がそれぞれ1回ずつ作用する反射型の微分干渉顕微鏡とは異なっている。
偏光分離プリズム7は、2つの偏光で観察光学系の瞳位置に干渉縞を形成するように配置されている。より詳細には、偏光分離プリズム7は、像側から物体側に向かって逆光線追跡が行われた場合に、図2に示すように、直線偏光L2と直線偏光L3が観察光学系の瞳位置9(つまり、対物レンズ5の後側焦点位置)で交わるように配置されている。これにより、直線偏光L2と直線偏光L3が干渉することで瞳位置に干渉縞が形成される。
偏光分離プリズム7によって形成される干渉縞10は、図3に示すように、瞳11内において、対物レンズ5の瞳径よりも細い幅を有する直線形状を有し、この直線の幅方向にグラデーションを有している。この干渉縞10は、瞳位置に置かれたND(Neutral Density)フィルタなどの減光フィルタと同様に、入射光の強度を変調する強度変調手段として作用する。このため、偏光分離プリズム7で干渉縞10を形成することで、リレー光学系を有しないコンパクトな構成を採用しながら、瞳位置に直接フィルタを置くことなく瞳位置における強度変調が可能となる。
位相物体に位相勾配がない場合、位相物体を通過する主光線は位相物体で屈折しないため瞳の中心を通過する。これに対して、位相物体に局所的な位相勾配が生じている場合、その位相勾配が生じた位置を通過する主光線はその位相勾配によって屈折するため、瞳位置において勾配の向きに応じた向きに勾配の大きさに応じた大きさだけ瞳の中心からずれた位置を通過することになる。このことは、瞳の中心からずれた位置に干渉縞10を形成することで、位相物体を通過した光のうち、干渉縞10が形成された位置に対応する位相勾配(特定の向きと大きさを有する位相勾配)を有する位相物体の部分を通過した光だけを、選択的に減光可能であることを意味している。
局所的な位相勾配は、通常は位相物体の表面形状、より具体的には、位相物体表面の傾斜、を表している。このため、位相勾配が生じている部分(つまり、傾斜部分)にコントラストを付けることで位相物体を立体的に可視化することが可能である。従って、瞳位置に形成される干渉縞は、位相物体を立体的に可視化するために、瞳位置においてその瞳位置に投影された絞りの像の中心からずれた位置に形成されることが望ましい。
図4は、位相物体の形状を例示した図である。図5は、図4に示す形状の位相物体を経由して瞳位置に投影される絞り像2aを例示した図である。図4及び図5を参照しながら、位相物体が有する位相勾配によって、位相物体の像にどのようにコントラストが付くかを説明する。まず、標本Sが平坦な位相物体である場合には、図4(a)に示すように、コンデンサレンズ3からの光は位相物体で屈折することなく進む。このため、図5(a)に示すように、コンデンサレンズ3からの光は対物レンズ5の瞳中心を通過し、干渉縞10によりある程度減光された像を形成する。また、標本Sが位相の勾配がある位相物体である場合には、例えば、図4(b)に示すように、コンデンサレンズ3からの光は位相物体で屈折する。この場合、図5(b)に示すように、コンデンサレンズ3からの光は対物レンズ5の瞳中心からはずれた位置を通過し、干渉縞10で図5(a)に示す場合よりも、さらに減光された像を形成する。また、標本Sが図4(b)とは逆方向に位相勾配を有する位相物体である場合にも、図4(c)に示すように、コンデンサレンズ3からの光は位相物体で屈折する。この場合、図5(c)に示すように、コンデンサレンズ3側からの光線は図5(b)に示す場合とは逆方向に対物レンズ5の瞳中心からはずれた位置を通過し、干渉縞10で減光されず像を形成する。このように、瞳の中心からずれた位置に干渉縞10を形成することで、位相物体の勾配の方向によって像が明るくなったり暗くなったりする。つまり、コンデンサレンズ3からの光が干渉縞10によって減光される量が位相物体の勾配の方向によって増減する。これにより、位相物体の像がレリーフ状のコントラストをもって可視化される。
図6は、プリズム調整ユニット12の一例を示した図である。干渉縞10が形成される位置を調整するために、顕微鏡装置1には、図6に示すような、偏光分離プリズム7の位置を微調整するプリズム調整ユニット12が設けられてもよい。偏光分離プリズム7は、プリズム調整ユニット12の筐体13内に収容されていて、ハンドル14とハンドル15を操作することで、筐体13内における偏光分離プリズム7の位置を微調整することができる。
具体的には、プリズム調整ユニット12は、偏光分離プリズム7を観察光学系の光軸と直交する方向にスライドする構造を有していて、ハンドル14を操作することで、偏光分離プリズム7を観察光学系の光軸と直交する方向に移動することができる。従って、顕微鏡装置1の利用者は、観察を開始する前に、ハンドル14を操作して、干渉縞10の位置が図3に示すように絞り像2aの端に来るように調整してもよい。これにより、標本Sの位相勾配に応じた強度変調が可能であり、位相物体を立体的に可視化することができる。
また、顕微鏡装置1の利用者は、ハンドル14を操作して、光軸に対する干渉縞10が形成される方向を変更することで、強度変調対象の位相勾配の向きを変更してもよい。図3では干渉縞10が光軸に対して左上方向に形成されているが、偏光分離プリズム7を移動させることで干渉縞10を光軸に対して右下方向に形成してもよい。これにより、図3に示す場合とは反対方向から光を当てたような画像を得ることができる。
また、プリズム調整ユニット12は、偏光分離プリズム7を観察光学系の光軸と平行な方向にスライドする構造を有していて、ハンドル15を操作することで、偏光分離プリズム7を観察光学系の光軸と平行な方向に移動することができる。従って、顕微鏡装置1の利用者は、観察を開始する前に、ハンドル15を操作して、干渉縞10が瞳位置に形成されるように調整してもよく、さらに、干渉縞10が瞳位置にコントラスト良く形成されるように調整してもよい。このような操作を行うことで、瞳位置が異なる複数の対物レンズを切り替えて用いる場合であっても良好な観察が可能となる。
以上のように構成された顕微鏡装置1では、リレー光学系を用いることなく瞳位置に強度変調のための光透過率分布(干渉縞)を形成することができる。従って、顕微鏡装置1によれば、コンパクトな装置構成を採用しながら瞳位置で強度変調を行うことが可能であり、位相物体内の位相勾配を可視化して位相物体を良好に観察することができる。
干渉縞の作用により画像に十分な強さのコントラストを付けるためには、瞳位置を通過する光束の径を瞳径よりも小さく絞ることが望ましい。即ち、瞳位置に干渉縞が形成される光学系の開口数は、瞳位置に絞り2が設けられた光学系の、絞り2の径に依存する開口数よりも大きいことが望ましい。従って、顕微鏡装置1では、図3に示すように、瞳位置に瞳11の径よりも小さく絞り込まれた絞り2の像(絞り像2a)が投影されるように、絞り2の開口径を調整することが望ましい。
なお、本願の発明者は、鋭意検討の結果、干渉縞が形成される光学系(図1では観察光学系の)の開口数と、瞳位置に絞りが設けられた光学系(図1では照明光学系)の開口数は、以下の関係を満たすことで、特に良好な傾斜コントラストが得られることを見出した。従って、より具体的には、絞り2の径は以下の関係を満たすように調整されることが望ましい。ここで、NA1は、瞳位置に絞りが設けられた光学系の絞りの径に依存する開口数であり、NA2は干渉縞が形成される光学系の開口数である。
0.3≦NA1/NA2≦0.8
偏光分離プリズム7を1つだけしか必要としないという顕微鏡装置1が有する微分干渉顕微鏡との構成上の違いは、標本での位相変化を利用する微分干渉顕微鏡と標本表面での屈折を利用する顕微鏡装置1の可視化の原理の違いに起因するものである。
微分干渉顕微鏡は、標本上のわずかに異なる位置(所謂シャー量だけずれた位置)を通過する2光線間の位相の違いを可視化することを標本の凹凸を観察可能とするものである。このため、微分干渉顕微鏡では、2光線に分離した光を標本に照射し、照射後にその2光線を合成する必要があり、一対の偏光分離プリズムを設けるか、又は、1つの偏光分離プリズムに光を2回作用させる必要がある。
これに対して、顕微鏡装置1は、標本の凹凸(傾斜)によって生じる屈折を利用して位相物体である標本を可視化するものであり、微分干渉顕微鏡のように2光線間の位相の違いを可視化するものではない。顕微鏡装置1では、偏光分離プリズム7は、2光線の干渉により瞳位置に干渉縞を形成することで瞳位置における強度変調のために光透過率分布を形成するものであり、偏光分離プリズム7で分離した2光線を微分干渉顕微鏡のように合成する必要がない。このため、顕微鏡装置1は、図1に示すように、偏光分離プリズム7を1つだけ有していればよい。
図1では、照明光学系の瞳位置に絞り2が設けられ、観察光学系が偏光分離プリズム7を備える構成を例示したが、絞り2は、照明光学系と観察光学系の一方の瞳位置に設けられればよく、偏光分離プリズム7は、照明光学系と観察光学系の他方に備えられていればよい。従って、例えば、絞り2が観察光学系の瞳位置に設けられ、照明光学系が偏光分離プリズム7を備えてもよい。
ただし、偏光分離プリズム7で形成される干渉縞10は、上述したように、照明光学系と観察光学系のうち開口数が大きい方の光学系に設けられることが望ましい。一般的に観察光学系の開口数は、照明光学系の開口数よりも高いため、通常は観察光学系が偏光分離プリズム7を備えることが望ましい。ただし、照明光学系が偏光分離プリズム7を備える場合には、照明光学系の開口数が観察光学系の開口数よりも大きくなるように、絞り2により観察光学系の開口数を調整してもよい。
図1では、ポラライザ6とアナライザ8が対物レンズ5のすぐ隣に置かれる例を示したが、ポラライザ6とアナライザ8は、これらの間の光路上に偏光分離プリズム7が位置するように配置されればよい。従って、ポラライザ6は、例えば、コンデンサレンズ3よりも光源側に置かれてもよい。ただし、この場合、瞳位置にコントラスト良く干渉縞を形成するためにはプラスティックシャーレのような偏光を乱す部材はポラライザ6と対物レンズ5の間に配置されるべきではない。従って、プラスティックシャーレを用いる場合には、図1に示すように、対物レンズ5よりも像側にポラライザ6を配置することが望ましい。
以下、上述した顕微鏡装置1の具体例について、各実施形態でさらに詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図7は、本実施形態に係る顕微鏡装置100の構成を例示した図である。顕微鏡装置100は、傾斜コントラスト画像を得る顕微鏡装置である。以下、図7を参照しながら、顕微鏡装置100について説明する。
顕微鏡装置100は、ステージ104の下方に照明光学系110を含み、ステージ104の上方に観察光学系120を含む正立顕微鏡である。顕微鏡装置100は、さらに、光源101と、視野絞りとして機能する絞り102と、開口絞りとして機能する絞り103と、標本Sが置かれるステージ104と、ポラライザ105と、アナライザ106と、撮像装置107を備えている。
照明光学系110は、光源101から出射した光をコリメートするコレクタレンズ111と、コレクタレンズ111でコリメートされた光を標本Sに向けて反射するミラー112と、コレクタレンズ111でコリメートされた光を絞り103上に集光するフィールドレンズ113と、標本Sに光を照射するコンデンサレンズ114を備えている。
絞り103は、照明光学系110の瞳位置に配置された開口絞りであり、コンデンサレンズ114の前側焦点位置に配置されている。絞り103は、複数の絞り羽根を有し、開口径を調整可能な可変絞り機構を備えていることが望ましい。絞り103の開口部の形状は、円形または正多角形である。顕微鏡装置100の利用者は、照明光学系110が観察光学系120(対物レンズ121)の開口数の3割から8割程度の開口数の光で標本Sを照明するように、絞り103の開口径を調整することが望ましい。
観察光学系120は、無限遠補正型の対物レンズ121と、入射光を異なる方向に進行する互いに振動方向が直交する2つの偏光に分離する偏光分離プリズム122と、標本Sからの光を撮像装置107上に集光して標本Sの像を形成する結像レンズ123を備えている。
偏光分離プリズム122は、ポラライザ105とアナライザ106の間に配置されている。偏光分離プリズム122は、例えば、入射光を分離した2つの偏光が偏光分離プリズム122の外側で交差するように設計されたノマルスキープリズムである。偏光分離プリズム122は、撮像装置107側から入射した入射光を分離した2つの偏光が観察光学系120の瞳位置で交わるように配置されている。また、偏光分離プリズム122は、瞳位置において干渉縞が光軸からずれた位置に形成されるように配置されている。
以上のように構成された顕微鏡装置100では、偏光分離プリズム122が観察光学系120の瞳位置に形成する干渉縞が強度変調手段として作用することで、標本Sの位相勾配を可視化した傾斜コントラスト画像を得ることができる。従って、顕微鏡装置100によれば、リレー光学系を有しないコンパクトな構成で標本Sを立体的に可視化することができる。
[第2の実施形態]
図8は、本実施形態に係る顕微鏡装置200の構成を例示した図である。図9は、干渉縞10と対物レンズの瞳との関係を例示した図である。図10は、絞り103の状態について説明するための図である。顕微鏡装置200は、顕微鏡装置100と同様に傾斜コントラスト画像を得る顕微鏡装置である。以下、図8から図10を参照しながら、顕微鏡装置200について説明する。
顕微鏡装置200は、観察光学系120の代わりに観察光学系220を備える点が顕微鏡装置100とは異なっている。その他の点は、顕微鏡装置100と同様である。
観察光学系220は、切替可能な複数の対物レンズ(対物レンズ221、対物レンズ222、対物レンズ223)を備えている点が観察光学系120とは異なる。複数の対物レンズは、互いに倍率の異なる対物レンズであり、例えば、図9に示すように、それぞれ異なる瞳径を有している。
なお、図9に示す瞳231は、3本の対物レンズのうちの最も低倍の対物レンズである対物レンズ221の瞳であり、最も大きな瞳径を有している。瞳232は、3本の対物レンズのうちの真ん中の倍率(中倍)の対物レンズである対物レンズ222の瞳であり、中程度の瞳径を有している。瞳233は、3本の対物レンズのうちの最も高倍の対物レンズである対物レンズ223の瞳であり、最も小さな瞳径を有している。
図9に示すように、偏光分離プリズム122が形成する干渉縞10は、瞳位置において光軸(瞳の中心)から逸れた位置に形成されている。干渉縞10は偏光分離プリズム122を動かさない限り瞳位置において一定の位置に形成されるが、顕微鏡装置200では、瞳径は対物レンズによって変化する。このため、瞳と干渉縞10の位置関係は、対物レンズを交換することによって変化する。従って、顕微鏡装置200では、特定の対物レンズを使用するときに瞳の端に干渉縞10が形成されるように偏光分離プリズム122の位置が調整されている場合であっても、対物レンズを交換すると干渉縞10が瞳の端からずれてしまう。
このため、複数の対物レンズを切り替えて使用する顕微鏡装置200では、図10に示すように、対物レンズの倍率に応じて絞り103の開口径を調整することが望ましい。具体的には、より低い倍率の対物レンズほど大きな瞳径を有しているため、倍率を下げるほど絞り103を絞り込むことが望ましい。なお、一般に低倍対物レンズはNAが小さいので、絞り103をより絞る必要がある。つまり、低倍対物レンズを使用する時に絞り103の絞り径を絞り込むことで、干渉縞10を低倍対物レンズの瞳の端に合わせる効果と、低倍対物レンズのNAに合わせた照明を行える効果の両方を実現できる。
以上のように構成された顕微鏡装置200によっても、顕微鏡装置100と同様に、標本Sの位相勾配を可視化した傾斜コントラスト画像を得ることが可能であり、コンパクトな構成で標本Sを立体的に可視化することができる。また、顕微鏡装置200によれば、様々な倍率を有する対物レンズを用いて標本Sを良好に観察することができる。
[第3の実施形態]
図11は、本実施形態に係る顕微鏡装置300の構成を例示した図である。図12は、ターレット301に設けられた絞りの大きさと配置について説明するための図である。図13は、光軸に対して偏心した絞り305の作用について説明するための図である。顕微鏡装置300は、顕微鏡装置200と同様に傾斜コントラスト画像を得る顕微鏡装置である。以下、図11から図13を参照しながら、顕微鏡装置300について説明する。
顕微鏡装置300は、図11に示すように、照明光学系110の瞳位置に設けられた開口径を調整可能な絞り103の代わりに、ターレット301に収容された対物レンズに応じて切り替えて使用される交換可能な複数の絞りを有する点が顕微鏡装置200とは異なっている。その他の点は、顕微鏡装置200と同様である。
顕微鏡装置300は、対物レンズの倍率に応じて、絞り103の開口径を調整する代わりに、開口径の異なる絞りを、ターレット301を用いて照明光学系110の瞳位置に挿入する。
ターレット301には、例えば、図12に示すように4つの絞り(絞り302、絞り303、絞り304、絞り305)が設けられている。絞り302は、中倍の対物レンズ222と共に使用される絞りである。絞り303は、高倍の対物レンズ223と共に使用される絞りであり、絞り302よりも大きな開口径を有している。絞り304は、最も大きな開口径を有する絞りであり、瞳位置で光線を遮断しない場合などに使用される。絞り305は、低倍の対物レンズ221と共に使用される絞りであり、絞り302よりも小さな開口径を有している。絞り303、絞り304及び絞り305の開口部の形状は、円形または正多角形である。
なお、図12に示すように、絞り302から絞り304は、それぞれ照明光学系110の光軸AX上に挿入されたときに光軸AXが絞りの中心を通るように配置されている。これに対して、絞り305は、照明光学系110の光軸AX上に挿入されたときに光軸AXが絞り305の中心から逸れた位置を通るように配置されている。即ち、絞り305は、光軸AXに対して偏心している。なお、ターレット301は、絞り302から絞り304と絞り305と間で光路上に配置する絞りを切り換えることで、絞りの中心を光軸に対して偏心させる構造の一例である。
このような低倍対物レンズ用の絞り305を光軸AXに対して偏心させて配置する構成は、偏光分離プリズム122が比較的高い倍率の対物レンズ(例えば、対物レンズ223)に合わせて調整されている場合に、特に有効である。
偏光分離プリズム122が比較的高い倍率の対物レンズ(例えば、対物レンズ223)に合わせて調整されている場合には、干渉縞10はその対物レンズの小さな瞳径に合わせて光軸AXから比較的近い位置に形成されている。このようなケースでは、瞳径が大きい低倍の対物レンズ(例えば、対物レンズ221)を使用する場合、干渉縞10を絞り像の端に位置付けるため、瞳径に対してかなり大きく絞り込まれた開口径の小さな絞りを用いる必要があり、低倍の対物レンズの開口数に対して望ましい割合(例えば、3割から8割)を超えて照明光が絞り込まれてしまうことがある。また、照明光が絞り込まれ過ぎると、分解能が著しく低下したり、明るさ不足が生じたりして観察が困難になってしまう場合がある。
しかしながら、図13に示すように、低倍対物レンズ用の絞り305を光軸AX(瞳231の中心)に対して予め偏心させておくことで、望ましい割合を超えて大きく絞り込まれた絞りを用いることなく絞り像305aの端に干渉縞10を位置づけることが可能となる。
以上のように構成された顕微鏡装置300によっても、顕微鏡装置200と同様に、標本Sの位相勾配を可視化した傾斜コントラスト画像を得ることが可能であり、コンパクトな構成で標本Sを立体的に可視化することができる。また、様々な倍率を有する対物レンズを用いて標本Sを良好に観察することができる点も同様である。さらに、低倍用の絞りを光軸に対して偏心させることで開口径を過度に小さくする必要がない。このため、顕微鏡装置200よりも広い倍率範囲で観察を良好に行うことが可能となる。
[第4の実施形態]
図14は、本実施形態に係る顕微鏡装置400の構成を例示した図である。図15は、ターレット401に設けられた絞りの大きさと配置について説明するための図である。図16は、偏光分離プリズム122のスライドによる作用について説明するための図である。顕微鏡装置400は、顕微鏡装置300と同様に傾斜コントラスト画像を得る顕微鏡装置である。以下、図14から図16を参照しながら、顕微鏡装置400について説明する。
顕微鏡装置400は、図14に示すように、偏光分離プリズム122がプリズム調整ユニット406に収容されている点と、ターレット301の代わりにターレット401を備える点が、顕微鏡装置300とは異なっている。その他の点は、顕微鏡装置300と同様である。
プリズム調整ユニット406は、偏光分離プリズム122を収容する筐体407と、筐体407内で偏光分離プリズム122を観察光学系220の光軸と直交する方向にスライドする構造と、を備えている。偏光分離プリズム122をスライドする構造は、ハンドル408で操作可能であり、顕微鏡装置400の利用者は、ハンドル408を用いて偏光分離プリズム122を光軸と直交する方向を動かすことができる。
ターレット401には、例えば、図15に示すように4つの絞り(絞り302、絞り303、絞り304、絞り405)が設けられている。なお、ターレット401は、光軸に対して偏心した絞り305の代わりに絞り405が設けられている点が、ターレット301とは異なっている。絞り405は、例えば、絞り305と同じ開口径を有しているが、光軸AX上に挿入されたときに光軸AXが絞り405の中心を通るように配置されている点が、絞り305とは異なっている。なお、絞り405の開口部の形状は、円形または正多角形である。
顕微鏡装置400では、低倍の対物レンズ221を用いる場合に、光軸AXに対して偏心した絞りを用いて干渉縞と絞り像の位置関係を調整する代わりに、図16に示すように、プリズム調整ユニット406を用いて干渉縞と絞り像の位置関係を調整する。より具体的には、ハンドル408を操作して偏光分離プリズム122を光軸と直交する方向に動かすことで、図16に示すように、干渉縞10が絞り像405aの端に位置するように調整する。
以上のように構成された顕微鏡装置400では、顕微鏡装置300と同様に、標本Sの位相勾配を可視化した傾斜コントラスト画像を得ることが可能であり、コンパクトな構成で標本Sを立体的に可視化することができる。また、様々な倍率を有する対物レンズを用いて標本Sを良好に観察することができる点も同様である。さらに、低倍用の絞りの開口径を過度に小さくする必要がない点も顕微鏡装置300と同様である。従って、顕微鏡装置400によっても、顕微鏡装置300と同様に広い倍率範囲で観察を良好に行うことが可能である。
[第5の実施形態]
図17は、本実施形態に係る顕微鏡装置500の構成を例示した図である。顕微鏡装置500は、顕微鏡装置200と同様に傾斜コントラスト画像を得る顕微鏡装置である。以下、図17を参照しながら、顕微鏡装置500について説明する。
顕微鏡装置500は、低倍の対物レンズ221を使用するときに、コンデンサレンズ114の先玉レンズを光路上から取り除く点が顕微鏡装置200とは異なっている。その他の点は、顕微鏡装置200と同様である。
なお、コンデンサレンズ114は、所謂ハネノケコンデンサ(Swing-Out Condensor)と呼ばれるコンデンサである。先玉レンズ114aをはねのけることでより広い照野(例えば、10倍以下の観察倍率に対応する照野)を確保することができる。ただし、先玉レンズ114aが取り除かれると、絞り103は開口絞りとして機能せず、照明光学系110の瞳位置は絞り102の位置となる。このため、絞り102を開口絞りとして用いてコントラストを調整する。
以上のように構成された顕微鏡装置600では、顕微鏡装置200と同様に、標本Sの位相勾配を可視化した傾斜コントラスト画像を得ることが可能であり、コンパクトな構成で標本Sを立体的に可視化することができる。また、様々な倍率を有する対物レンズを用いて標本Sを良好に観察することができる点も同様である。さらに、顕微鏡装置200よりも広い照野を確保することができるため、顕微鏡装置200よりも低い倍率に対応可能である。
[第6の実施形態]
図18は、本実施形態に係る顕微鏡システム700の構成を例示した図である。顕微鏡システム700は、倒立顕微鏡である顕微鏡装置600と、顕微鏡装置600を制御する制御装置701と、表示装置702と、入力装置(キーボード703、マウス704)を含んでいる。以下、図18を参照しながら、顕微鏡システム700について説明する。
顕微鏡装置600は、ステージ604の上方に照明光学系610を含み、ステージ604の下方に観察光学系620を含む倒立顕微鏡である。顕微鏡装置600は、さらに、光源601と、開口絞りとして機能する絞り603が収容された電動部602と、標本Sが置かれるステージ604と、複数の対物レンズ(対物レンズ621、対物レンズ622、対物レンズ623)が取り付けられた電動レボルバー(電動部605)と、ポラライザ606と、偏光分離プリズム624を収容するプリズム調整ユニットである電動部607と、アナライザ608と、撮像装置609を備えている。絞り603は、照明光学系610の瞳位置に配置された開口絞りであり、コンデンサレンズ612の前側焦点位置に配置されている。絞り603の開口部の形状は、円形または正多角形である。
照明光学系610は、光源601から出射した光をコリメートするコレクタレンズ611と、コレクタレンズ611でコリメートされた光を標本Sに照射するコンデンサレンズ612を備えている。
観察光学系620は、切り替えて使用される複数の対物レンズ(対物レンズ621、対物レンズ622、対物レンズ623)と、入射光を異なる方向に進行する互いに振動方向が直交する2つの偏光に分離する偏光分離プリズム624と、標本Sからの光を撮像装置609上に集光して標本Sの像を形成する結像レンズ625と、結像レンズ625からの光を撮像装置609に向けて反射するミラー626を備えている。
複数の対物レンズ(対物レンズ621、対物レンズ622、対物レンズ623)は、例えば、10倍、20倍、40倍などの倍率の異なる対物レンズである。ポラライザ606とアナライザ608の間に配置された偏光分離プリズム624は、例えば、入射光を分離した2つの偏光が偏光分離プリズム624の外側で交差するように設計されたノマルスキープリズムである。
以上のように構成された顕微鏡システム700では、制御装置701が顕微鏡装置600を制御することで、対物レンズの倍率変更に伴う各種の調整作業が自動的に行われる。具体的には、顕微鏡装置の利用者は、表示装置702に表示されるGUI上でキーボード703やマウス704を用いて使用する対物レンズの倍率を選択するだけで、切替指示に応じて、電動部602、電動部605、電動部607が動作して、対物レンズの倍率に応じた設定に調整される。
より具体的には、対物レンズの倍率が選択されると、選択された倍率の対物レンズは、制御装置701からの指示に従って電動部605によって光路上に配置される。即ち、電動部605は、複数の対物レンズを切り替える第1電動部である。また、絞り603の開口径は、制御装置701からの指示に従って電動部602によって電動で調整され、照明光学系610の開口数が選択された対物レンズの開口数に対して最適化される。即ち、電動部602は、絞り603の開口径を変更することで照明光学系610の開口数を調整する第2電動部である。また、偏光分離プリズム624は、制御装置701からの指示に従って電動部607によって光軸と平行な方向の位置が電動で調整され、選択された対物レンズに応じた観察光学系620の瞳位置に干渉縞が形成されるように配置される。さらに、偏光分離プリズム624は、制御装置701からの指示に従って電動部607によって光軸と直交する方向の位置が電動で調整され、瞳位置において干渉縞が光軸からずれた位置に形成されるように配置される。即ち、電動部607は、偏光分離プリズム624を観察光学系620の光軸と直交する方向に移動する第3電動部であり、偏光分離プリズム624を観察光学系620の光軸と平行な方向に移動する第4電動部でもある。
制御装置701は、例えば、対物レンズの倍率に応じた絞り603の開口径と偏光分離プリズム624の位置の組み合わせ表を有してもよく、組み合わせ表を用いて上述した電動部を制御してもよい。なお、絞り603の中心を偏心する構造を電動部602が有する場合には、さらに、絞り603の開口径と偏光分離プリズム624の位置に加えて絞り603の中心位置を含む組み合わせ表を有してもよく、この組み合わせ表を用いて上述した電動部を制御してもよい。
上述した第2の実施形態から第5の実施形態では、顕微鏡装置の利用者が絞りの開口径や偏光分離プリズムの位置を調整することで、様々な倍率で良好な傾斜コントラスト画像を得ていたのに対して、顕微鏡システム700では、これらの調整作業の大部分を自動化することができる。従って、顕微鏡システム700によれば、顕微鏡装置の利用者の調整作業を大幅に簡素化することができる。
[第7の実施形態]
図19は、本実施形態に係る顕微鏡システム900の構成を例示した図である。 図20は、顕微鏡システム900で取得した傾斜コントラスト画像の一例である。図21は、顕微鏡システム900で取得した位相差画像の一例である。図22及び図23は、それぞれ、図20に示す傾斜コントラスト画像と図21に示す位相差画像から生成された画像の一例である。顕微鏡システム900は、正立顕微鏡である顕微鏡装置800と、顕微鏡装置800を制御する制御装置701と、表示装置702と、入力装置(キーボード703、マウス704)を含んでいる。以下、図19から図23を参照しながら、顕微鏡システム900について説明する。
顕微鏡装置800は、傾斜コントラスト画像と位相差画像を取得する顕微鏡装置であり、設定に応じて取得する画像を傾斜コントラスト画像と位相差画像の間で切り替えることができる点が、顕微鏡装置100とは異なっている。
顕微鏡装置800は、照明光学系110を備える点については、顕微鏡装置100と同様である。ただし、位相差観察に対応するため、電動部801を備えている。電動部801は、絞り802とリングスリット803を収容した電動ターレットである。絞り802の開口部の形状は、円形または正多角形である。電動部801は、傾斜コントラスト画像を取得する際には、絞り802を照明光学系110の瞳位置に挿入し、位相差画像を取得する際には、リングスリット803を照明光学系110の瞳位置に挿入する。
顕微鏡装置800は、観察光学系820を備えている。観察光学系820は、対物レンズ121と切り替え可能な対物レンズ822を備える点が、観察光学系120とは異なっている。対物レンズ822は、瞳位置に位相膜822aが設けられた位相差観察に対応する対物レンズである。さらに、顕微鏡装置800では、ポラライザ105とアナライザ106と偏光分離プリズム122が光路に対して取り外し可能に配置されている。
以上のように構成された顕微鏡システム900では、傾斜コントラスト画像を取得する際には、対物レンズ121と絞り802が光路上に配置されるように、制御装置701が顕微鏡装置800を制御する。一方で、位相差画像を取得する際には、対物レンズ822とリングスリット803が光路上に配置され、さらに、ポラライザ105とアナライザ106と偏光分離プリズム122が光路外に配置されるように、制御装置701が顕微鏡装置800を制御する。これにより、図20に示すような傾斜コントラスト画像(画像1001)と図21に示すような位相差画像(画像1002)を選択的に取得することができる。いずれの画像でも通常の明視野観察ではコントラストが付きにくい位相物体を良好に可視化することができる。なお、画像1001と画像1002はいずれも観察倍率10倍で取得した画像である。
また、顕微鏡装置800で取得した画像は、制御装置701に出力される。制御装置701は、顕微鏡装置800で取得した画像を画像処理することで新たな画像を生成してもよい。例えば、制御装置701は、傾斜コントラスト画像を位相差画像で割ることで、図22に示す画像1003を生成してもよく、傾斜コントラスト画像から位相差画像を引くことで、図23に示す画像1004を生成してもよい。制御装置701は、顕微鏡システム900の利用者の指示に応じて、上述した4枚の画像(画像1001から画像1004)を選択的に表示装置702に表示してもよく、また、これらのうちいくつかを表示装置702に並べて表示してもよい。また、これらの画像のいくつかを重ねて表示装置702に表示してもよい。例えば、画像1001と画像1002を重ね合わせて表示装置702に表示してもよい。
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。上述の実施形態を変形した変形形態および上述した実施形態に代替する代替形態が包含され得る。つまり、各実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形することが可能である。また、1つ以上の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、新たな実施形態を実施することができる。また、各実施形態に示される構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよく、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加してもよい。さらに、各実施形態に示す処理手順は、矛盾しない限り順序を入れ替えて行われてもよい。即ち、本発明の顕微鏡装置、顕微鏡システムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
上述した実施形態では、同じ顕微鏡装置で傾斜コントラスト画像と位相差画像を取得する例を示したが、傾斜コントラスト画像と位相差画像は別々の顕微鏡装置で取得されてもよく、制御装置が別々の顕微鏡装置で取得した傾斜コントラスト画像と位相差画像を用いて表示装置に画像を選択的に表示してもよく、また、これらの画像を用いて新たな画像を生成してもよい。
上述した実施形態では、絞りが円形の開口を有する例を示したが、絞りの開口は、円形に限らない。絞りの開口は、多角形形状などであってもよいが、軸対称に近い形状であることがより望ましい。
1、100、200、300、400、500、600、800
顕微鏡装置
2、102、104、302、303、304、305、405、603、802
絞り
2a、305a 絞り像
3、114 コンデンサレンズ
4 ステージ
5、121、221、222、223、621、622、623、822
対物レンズ
6、105、606 ポラライザ
7、122、624 偏光分離プリズム
8、106、608 アナライザ
9 瞳位置
10 干渉縞
11、231、232、233 瞳
12、406 プリズム調整ユニット
13、407 筐体
14、15 ハンドル
101、601 光源
104、604 ステージ
107、609 撮像装置
110、510、610 照明光学系
111、611 コレクタレンズ
112、626 ミラー
113、612 フィールドレンズ
114a 先玉レンズ
120、220、620、820 観察光学系
123、625 結像レンズ
301、401 ターレット
408 ハンドル
L1、L2、L3 直線偏光
602、605、607、801 電動部
700、900 顕微鏡システム
701 制御装置
702 表示装置
703 キーボード
704 マウス
803 リングスリット
822a 位相膜
1001、1002、1003、1004 画像
AX 光軸
S 標本

Claims (9)

  1. 標本を照明する照明光学系と、
    前記標本からの光を導く観察光学系と、
    ポラライザと、
    アナライザと、
    前記照明光学系と前記観察光学系の一方である第1光学系の瞳位置に置かれた絞りであって、開口部の形状が円形または正多角形である絞りと、を備え、
    前記照明光学系と前記観察光学系の他方である第2光学系は、前記ポラライザと前記アナライザの間の光路上に置かれた唯一の偏光分離プリズムであって、光を異なる方向に進行する互いに振動方向が直交する2つの偏光に分離し、分離した前記2つの偏光で前記第2光学系の瞳位置に干渉縞を形成する偏光分離プリズムと、含む
    ことを特徴とする顕微鏡装置。
  2. 請求項1に記載の顕微鏡装置において、
    前記第2光学系の開口数は、前記第1光学系の開口数であって前記絞りの径に依存する開口数よりも大きく、
    前記干渉縞は、前記第2光学系の瞳位置に投影された前記絞りの像の中心からずれた位置に形成される
    ことを特徴とする顕微鏡装置。
  3. 請求項2に記載の顕微鏡装置において、
    前記第1光学系の開口数であって前記絞りの径に依存する開口数をNA1とし、前記第2光学系の開口数のNAをNA2とするとき、以下の条件式を満たす
    0.3≦NA1/NA2≦0.8
    ことを特徴とする顕微鏡装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の顕微鏡装置において、
    前記第1光学系は、前記照明光学系であり、
    前記第2光学系は、前記観察光学系であり、
    前記観察光学系は、切替可能な複数の対物レンズを備え、
    前記絞りは、開口径を変更可能な絞り、又は、交換可能な絞りである
    ことを特徴とする顕微鏡装置。
  5. 請求項4に記載の顕微鏡装置において、さらに、
    前記絞りの中心を前記照明光学系の光軸に対して偏心させる構造を備える
    ことを特徴とする顕微鏡装置。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の顕微鏡装置において、さらに、
    前記偏光分離プリズムを前記観察光学系の光軸と直交する方向にスライドする構造を備える
    ことを特徴とする顕微鏡装置。
  7. 請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の顕微鏡装置において、さらに、
    前記偏光分離プリズムを前記観察光学系の光軸と平行な方向にスライドする構造を備える
    ことを特徴とする顕微鏡装置。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の顕微鏡装置において、
    前記偏光分離プリズムは、ノマルスキープリズム、又は、ウォラストンプリズムである
    ことを特徴とする顕微鏡装置。
  9. 請求項4に記載の顕微鏡装置と、
    制御装置と、を備え、
    前記顕微鏡装置は、さらに、
    前記複数の対物レンズを切り替える第1電動部と、
    前記絞りの開口径を変更する、又は、前記絞りを開口径の異なる絞りと交換する第2電動部と、
    前記偏光分離プリズムを前記観察光学系の光軸と直交する方向にスライドする第3電動部と、を備え、
    前記制御装置は、対物レンズの切替指示に応じて、前記第1電動部、前記第2電動部、及び、前記第3電動部を制御する
    ことを特徴とする顕微鏡システム。
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