JP2023067424A - 成形条件調整装置および成形条件調整方法 - Google Patents

成形条件調整装置および成形条件調整方法 Download PDF

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拓也 岡本
Takuya Okamoto
隆文 大渕
Takafumi Obuchi
修司 小▲崎▼
Shuji Ozaki
修司 藤岡
Shuji Fujioka
正紘 鈴川
Masahiro Suzukawa
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Abstract

Figure 2023067424000001
【課題】所望の状態区分の透明体を安定して成形する。
【解決手段】成形条件調整装置3は、成形装置2におけるシート状または板状の透明体9の成形条件を調整する。成形条件調整装置3は、成形装置2による成形済みの透明体9にて生じる位相差を取得する位相差取得部4と、透明体9の状態を示す複数の状態区分が位相差に基づいて設定されており、成形装置2により成形される透明体9を一の状態区分から他の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報を記憶するとともに、成形済みの透明体9に対して位相差取得部4により取得される位相差に基づいて、成形装置2により成形される透明体9を所望の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報を取得する調整情報取得部5とを備える。これにより、所望の状態区分の透明体9を安定して成形することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、成形装置における透明体の成形条件を調整する技術に関する。
従来、シート状または板状の透明体を成形(製造)する技術が知られている。また、透明体の製造ラインにおいて、当該透明体の光学的欠陥を検査することも行われている(例えば、特許文献1および2参照)。なお、特許文献3では、透明フィルムの位相差および主軸方位の測定装置が開示されている。当該装置は、透明フィルムの面に対し円偏光または既知の楕円偏光を入射する面発光光源と、透明フィルムの面を透過した光の偏光状態を複数の測定点で同時に測定する偏光状態測定手段とを備える。当該偏光状態測定手段は、透過偏光の方向が領域ごとに異なるようにパタン化された偏光子と、その各領域を通過した光の強度を独立に受光することのできる受光素子とを具備する。
特開2009-236826号公報 特開2012-137502号公報 特開2007-263593号公報
ところで、成形装置における透明体の成形では、成形済みの透明体にて生じる位相差に基づいて、当該成形済みの透明体の状態を複数の区分(状態区分)に分けることが可能である。一方、成形装置では、成形済みの透明体の状態区分が意図せずに変動することがあり、この場合、成形条件を調整して、成形される透明体の状態区分を所望の状態区分に戻す必要がある。しかしながら、このような成形条件の調整は容易ではなく、所望の状態区分の透明体を安定して成形することが困難である。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、所望の状態区分の透明体を安定して成形することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、成形装置におけるシート状または板状の透明体の成形条件を調整する成形条件調整装置であって、成形装置による成形済みの透明体にて生じる位相差を取得する位相差取得部と、透明体の状態を示す複数の状態区分が位相差に基づいて設定されており、前記成形装置により成形される透明体を一の状態区分から他の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報を記憶するとともに、前記成形済みの透明体に対して前記位相差取得部により取得される前記位相差に基づいて、前記成形装置により成形される透明体を所望の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報を取得する調整情報取得部とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の成形条件調整装置であって、前記位相差取得部が、前記成形済みの透明体における対象領域の各位置の位相差を示す位相差画像を取得する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の成形条件調整装置であって、前記成形装置が、連続シートである透明体を成形し、前記位相差取得部が、前記透明体の複数の部位における複数の位相差画像を取得し、前記調整情報取得部が、前記複数の位相差画像に基づいて前記成形条件の調整情報を取得する。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の成形条件調整装置であって、前記位相差取得部が、前記成形済みの透明体の前記対象領域に対して偏光光を照射する照明部と、前記対象領域の各位置を透過した透過光の偏光状態を測定することにより、前記各位置にて生じる位相差を取得する測定部と、前記成形済みの透明体と前記測定部との間に配置され、前記対象領域を透過した光に部分的に所定の位相差を生じさせる位相差生成部とを備え、前記成形済みの透明体が前記位相差取得部に対して相対的に移動し、前記対象領域の一の位置に関して、前記位相差生成部による前記所定の位相差が生じた状態で前記位相差取得部により取得される位相差と、前記位相差生成部による前記所定の位相差が生じない状態で前記位相差取得部により取得される位相差とに基づいて、前記調整情報取得部により利用される位相差が取得される。
請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載の成形条件調整装置であって、前記位相差取得部が、前記成形済みの透明体の前記対象領域に対して偏光光を照射する照明部と、前記対象領域の各位置を透過した透過光の偏光状態を測定することにより、前記各位置にて生じる位相差を取得する測定部と、前記透過光に所定の位相差を生じさせる位相差生成部と、前記位相差生成部を、前記成形済みの透明体と前記測定部との間の第1の位置と、前記第1の位置から離れた第2の位置とに選択的に配置する切替機構とを備え、前記位相差生成部を前記第1の位置に配置した状態で前記位相差取得部により取得される位相差画像と、前記位相差生成部を前記第2の位置に配置した状態で前記位相差取得部により取得される位相差画像とに基づいて、前記調整情報取得部により利用される位相差画像が取得される。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の成形条件調整装置であって、前記成形装置が、連続シートである透明体を成形し、前記成形条件が、少なくとも1つの成形ロールの回転速度を含む。
請求項7に記載の発明は、成形装置におけるシート状または板状の透明体の成形条件を調整する成形条件調整方法であって、a)成形装置による成形済みの透明体にて生じる位相差を位相差取得部により取得する工程と、b)透明体の状態を示す複数の状態区分が位相差に基づいて設定されており、前記成形装置により成形される透明体を一の状態区分から他の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報が調整情報取得部において記憶されており、前記a)工程において取得される前記位相差に基づいて、前記成形装置により成形される透明体を所望の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報を前記調整情報取得部により取得する工程とを備える。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の成形条件調整方法であって、透明体の成形における成形条件の変更情報と、前記成形条件を前記変更情報に合わせて変更する前および後の2つの状態区分との組合せを教師データとして、複数の教師データを用いた学習により学習済みモデルが生成され、前記調整情報取得部が、前記学習済みモデルを含む。
本発明によれば、所望の状態区分の透明体を安定して成形することができる。
第1の実施の形態に係る成形システムの構成を示す図である。 成形装置の一部を示す図である。 測定部の構成を模式的に示す図である。 偏光子群を示す図である。 撮像素子の画素を示す図である。 バンクを説明するための図である。 バンクを説明するための図である。 透明体の位相差平均の変化を示す図である。 複数の条件固定期間における成形パラメータの値および位相差画像を示す図である。 成形装置における透明体の成形条件を調整する処理の流れを示す図である。 複数の位相差画像の取得を説明するための図である。 測定部にて測定可能な位相差の範囲を説明するための図である。 位相差取得部の他の例を示す図である。 主軸方位画像を示す図である。 主軸方位画像を示す図である。 位相差画像を示す図である。 位相差画像を示す図である。 位相差画像を示す図である。 位相差画像における濃度と位相差との関係を示す図である。 第2の実施の形態に係る成形システムの構成を示す図である。 複数のロール温度における位相差画像を示す図である。 複数の延伸倍率における位相差画像を示す図である。 位相差取得部の他の例を示す図である。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る成形システム1の構成を示す図である。成形システム1は、成形装置2と、成形条件調整装置3とを備える。成形装置2は、シート状の透明体9を成形する装置であり、図1の例では、連続シートである透明体9を押出成形により成形する。後述するように、成形装置2は、延伸成形等の他の成形手法により透明体9を成形する装置であってもよい。
図2は、成形装置2の一部を示す図である。図1および図2に示すように、成形装置2は、制御部20と、押出機21と、ダイ22と、第1成形ロール231と、第2成形ロール232と、第3成形ロール233と、第1搬送ロール241と、第2搬送ロール242とを備える。制御部20は、成形装置2の全体制御を担う。
押出機21は、シリンダ211と、シリンダ内に設けられたスクリュ212とを備える。シリンダ211内には溶融した樹脂が充填されており、モータ等によるスクリュ212の回転によりシリンダ211内の樹脂がダイ22の内部に供給される。ダイ22は、樹脂を成形する金型であり、略水平方向に延びる直線状のリップ221を先端に有する。図2の例では、リップ221は、鉛直方向下方に向かって開口する。ダイ22の内部に供給された樹脂は、リップ221からシート状(フィルム状)に吐出される。シート状の樹脂は、第1ないし第3成形ロール231~233により成形されつつ冷却され、シート状の透明体9となる。以下の説明では、第1ないし第3成形ロール231~233による成形途中の透明体9も、単に「透明体9」と呼ぶ。成形装置2における透明体9の幅方向は、リップ221の長手方向(図2の紙面に垂直な方向)に一致し、以下、単に「幅方向」という。
第1ないし第3成形ロール231~233は、幅方向に平行な回転軸を有し、例えば、幅方向に垂直な略水平方向に順に配列される。図2の例では、左側から右側に向かって(押出機21から離れる方向に向かって)、第1成形ロール231、第2成形ロール232、第3成形ロール233が順に配置される。第1ないし第3成形ロール231~233は、図示省略のモータに接続される。図2中の第1および第3成形ロール231,233は、時計回りに回転し、第2成形ロール232は、反時計回りに回転する。第1ないし第3成形ロール231~233の回転速度は、個別に変更可能である。第1成形ロール231と第2成形ロール232との間、および、第2成形ロール232と第3成形ロール233との間には、透明体9が挟まれる。第1ないし第3成形ロール231~233は、内部のヒータ等により外周面の温度が個別に変更可能である。成形装置2では、透明体9が第1ないし第3成形ロール231~233を通過することにより、透明体9の成形が完了する。第1ないし第3成形ロール231~233を通過した透明体9は、成形済みの透明体9となる。成形装置2では、透明体9は略一定の速度にて連続的に成形される。
図1に示す第1および第2搬送ロール241,242は、幅方向に平行な回転軸を有し、例えば、幅方向に垂直な略水平方向に順に配列される。図1の例では、左側から右側に向かって(押出機21から離れる方向に向かって)、第1搬送ロール241、第2搬送ロール242が順に配置される。第1および第2搬送ロール241,242のそれぞれは、例えばニップロールであり、透明体9を支持しつつ一定の速度にて搬送する。各搬送ロール241,242は、単一のロールであってもよい。第1搬送ロール241と第2搬送ロール242とは、所定の距離だけ離れており、第1搬送ロール241と第2搬送ロール242との間では、透明体9はいずれの部材にも接触しない。
成形条件調整装置3は、成形装置2における透明体9の成形条件を調整する装置である。成形条件調整装置3は、位相差取得部4と、調整情報取得部5とを備える。位相差取得部4は、照明部41と、測定部42とを備える。第1搬送ロール241と第2搬送ロール242との間において、透明体9の一方側の面に対向する位置に照明部41が配置され、他方側の面に対向する位置に測定部42が配置される。照明部41は、例えば、光源および波長板を有し、透明体9に向けて所定の偏光状態の光(すなわち、偏光光)を照射する。本実施の形態では、当該偏光光は、円偏光であるが、楕円偏光等であってもよい。以下の説明では、位相差取得部4による測定時において、照明部41により偏光光が照射される透明体9の領域を「対象領域」と呼ぶ。
図3Aは、測定部42の構成を模式的に示す図である。図3Bは、1つの偏光子群431を示す図であり、図3Cは、偏光子群431に対応する撮像素子44の画素442を示す図である。測定部42は、偏光カメラであり、照明部41から出射されて対象領域の各位置を透過した光(以下、「透過光」という。)の偏光状態を測定することにより、当該位置にて生じる位相差を取得する。本実施の形態における測定部42は、例えば、特開2007-263593号公報(上記特許文献3)における偏光状態測定手段と同様の構成を有する。すなわち、図3Aの測定部42は、互いに隣接する領域において透過軸の向きが異なるようにパターン化された偏光子アレイ43と、偏光子アレイ43の各領域を通過した光の強度を個別に取得する撮像素子44とを備える。
詳細には、偏光子アレイ43では、対象領域の各位置に対して、2行2列の偏光子432を含む偏光子群431(図3Aおよび図3Bにおいて破線の矩形にて囲む。)が設けられ、当該偏光子群431の4個の偏光子432では、透過軸の向きが45度ずつ相違する。偏光子群431の各偏光子432を透過した光は、撮像素子44の個別の画素442により強度が取得される。図3Cでは、偏光子群431の4個の偏光子432を透過した光をそれぞれ受光する4個の画素442を示す。また、各画素442により取得される強度の一例を濃淡にて示している。上記構成により、対象領域の各位置を透過した透過光の偏光状態が測定され、当該位置にて生じる位相差が取得される。実際には、位相差取得部4では、対象領域の各位置の位相差を示す位相差画像が生成され、調整情報取得部5に出力される。なお、測定部42では、対象領域の各位置の主軸方位を示す主軸方位画像(透過軸方向画像)も生成可能である。偏光子群431における偏光子432の配列は、2行2列には限定されない。
図1の調整情報取得部5は、CPUおよびメモリ等を備えるコンピュータが所定のプログラムを実行することにより実現される機能である。調整情報取得部5の詳細については後述する。調整情報取得部5の全部または一部の機能は、電気回路により実現されてもよい。
ここで、成形装置2における透明体9の成形条件について説明する。透明体9の成形条件は、複数の成形パラメータを含む。成形パラメータは、例えば、各成形ロール231~233の回転速度、各成形ロール231~233の温度、第1成形ロール231の押圧(圧力)、エアギャップ、および、バンク等を含む。本実施の形態では、成形ロール231~233の回転速度として周速度を用いるが、当該回転速度は、成形ロール231~233の回転数等であってもよい。また、第1成形ロール231の回転速度に代えて、第1成形ロール231のドロー比が用いられてもよい。第1成形ロール231のドロー比は、第2成形ロール232の回転速度に対して第1成形ロール231の回転速度を増減する比率である。例えば、第2成形ロール232の回転速度が10m/minであり、第1成形ロール231のドロー比が+0.1%である場合には、(10[m/min]×1.001)より、第1成形ロール231の回転速度は、10.01m/minとなる。第3成形ロール233についても同様に、ドロー比が用いられてもよい。
成形ロール231~233の温度は、成形ロール231~233の外周面の温度であり、以下、「ロール温度」ともいう。第1成形ロール231の押圧は、図2中に矢印A1にて示すように、第1成形ロール231と第2成形ロール232との間に作用する圧力である。エアギャップは、第1成形ロール231と第2成形ロール232とが最も近接する位置と、ダイ22のリップ221との間の鉛直方向における距離であり、図2では、矢印G1にてエアギャップの大きさを示している。バンクは、図4Aおよび図4Bに示すように、リップ221から吐出された樹脂(透明体9)が、第1成形ロール231および第2成形ロール232のいずれに先に接触するかを示すものである。例えば、リップ221から吐出された樹脂が、第2成形ロール232に先に接触する状態(図4Aの状態)と、第1成形ロール232に先に接触する状態(図4Bの状態)とが区別される。成形パラメータは、ダイ22のリップ221の隙間の幅、および、シリンダ211内の樹脂の温度等をさらに含んでもよい。
図5は、透明体9の位相差平均の変化を示す図である。図5の縦軸は、透明体9の位相差平均を示し、横軸は時間を示す。位相差平均は、1つの位相差画像における全ての位置もしくは所定の範囲における位相差の平均値であり、当該位相差画像が取得された透明体9の対象領域における位相差の平均値を示す。図5中の各期間T11~T14は、成形パラメータの値を一定にして透明体9を成形した期間(成形条件が一定である期間であり、以下、「条件固定期間」という。)を示す。複数の条件固定期間T11~T14では、互いに異なる成形条件が用いられている。図5に示すように、成形装置2では、透明体9の成形条件を変更することにより、透明体9の位相差平均が変化する。実際には、成形条件を一定にして透明体9を成形しても、位相差平均はある程度変動することがある。
成形装置2における透明体9の成形では、成形済みの透明体9にて生じる位相差に基づいて、当該成形済みの透明体9の状態を複数の区分(以下、「状態区分」という。)に分けることが可能である。複数の状態区分は、例えば、位相差平均が取り得る全範囲を分割した複数の範囲である。また、複数の状態区分には、位相差画像におけるスジの有無や、位相差画像におけるムラ(位相差のばらつき)の程度が含まれてもよい。当該スジは、例えば透明体9の微小な傷に由来し、当該ムラは、例えば透明体9の歪みや厚さのムラに由来する。
次に、図1の調整情報取得部5について述べる。本実施の形態では、調整情報取得部5は、事前に生成される推定器51を含む。推定器51は、決定木やニューラルネットワーク等を利用するものである。推定器51の生成では、成形条件における複数の成形パラメータの値を変更しつつ、透明体9の位相差画像が順次取得される。ここでは、一定の成形条件にて透明体9が成形された各期間、すなわち、各条件固定期間において、成形済みの透明体9から複数の位相差画像が取得される。
図6は、複数の条件固定期間における成形パラメータの値および位相差画像を示す図である。図6において「サンプルNo.」の欄は、各条件固定期間に成形された透明体9のサンプル番号を示している。「成形速度」の欄における「R1」、「R2」および「R3」は、それぞれ第1ないし第3成形ロール231~233の回転速度を示す。「ロール温度」の欄における「R1」、「R2」および「R3」は、それぞれ第1ないし第3成形ロール231~233の温度を示す。「No.1ロール」の欄における「押圧」は、第1成形ロール231の押圧(圧力)を示し、「線圧」は、第1成形ロール231の単位長さ当たりに作用する力を示している。「エアギャップ」の欄は、既述のエアギャップの大きさを示す。「画像例」の欄は、位相差画像の一例を示す。なお、実際の位相差画像では、色により位相差の大小を示しているが、図6では、濃淡により位相差の大小を示しており、明るいほど位相差が大きいことを示している。
続いて、各条件固定期間において取得される複数の位相差画像のそれぞれに対して、位相差平均が求められる。当該位相差平均は、既述のように、1つの位相差画像における全ての位置もしくは所定の範囲における位相差の平均値である。その後、各条件固定期間における位相差平均の平均値が求められ、当該位相差平均の平均値を用いて、当該条件固定期間に成形された透明体9の状態区分が特定される。
既述のように、状態区分には、位相差画像におけるスジの有無や、位相差画像におけるムラ(位相差のばらつき)の程度が含まれてもよい。スジの有無を状態区分に含める場合、例えば、位相差画像に対して所定のフィルタ処理を施す等してスジの存在に関する特徴量が取得され、当該特徴量を用いてスジの程度が判定される。また、位相差画像におけるムラの程度を状態区分に含める場合、例えば、各条件固定期間における位相差標準偏差の平均値を用いてムラの程度が判定される。当該位相差標準偏差は、1つの位相差画像における全ての位置もしくは所定の範囲における位相差から求められる標準偏差である。
各条件固定期間に成形された透明体9の状態区分が特定されると、教師データが取得される。教師データは、一の条件固定期間から当該条件固定期間の次の条件固定期間への移行において、値を変更した成形パラメータの種類および当該成形パラメータの値の変更量(以下、「成形条件の変更情報」と総称する。)と、移行前後における透明体9の状態区分(すなわち、移行前および移行後の2つの状態区分)との組合せである。換言すると、教師データは、透明体9の成形における成形条件の変更情報と、成形条件を当該変更情報に合わせて変更する前および後の2つの状態区分(以下、単に「変更前後の状態区分」という。)との組合せである。
複数の教師データが準備されると、当該複数の教師データが図1の学習部6に入力される。学習部6は、調整情報取得部5と同じコンピュータにより実現されてもよく、他のコンピュータにより実現されてもよい。当該学習部6では、各教師データにおける変更前後の状態区分の入力に対する推定器の出力が、当該教師データが示す成形条件の変更情報とほぼ同じになるように学習が行われ、学習済みモデルである推定器51が生成される。推定器51の生成では、例えば、推定器51が含むパラメータの値や、推定器51の構造が決定される。推定器51の生成は、周知の手法により行われてよい。推定器51(実際には、パラメータの値や、推定器の構造を示す情報)は、調整情報取得部5に転送される。このようにして、調整情報取得部5に、推定器51が導入される。上記推定器51は、成形装置2により成形される透明体9を一の状態区分から他の状態区分へと変更するための、成形条件の変更情報を出力するため、調整情報取得部5は、当該情報を実質的に記憶しているといえる。
次に、成形条件調整装置3が、成形装置2における透明体9の成形条件を調整する処理の流れについて、図7を参照しつつ説明する。成形条件調整装置3が成形条件を調整する際には、既述の推定器51が予め生成され、調整情報取得部5に導入されている。
成形装置2では、設定された成形条件にて透明体9が連続的に成形される。このとき、同じ成形条件にて透明体9を成形する場合でも、成形済みの透明体9の状態区分が意図せずに変動することがある。透明体9の状態区分が変動する理由は明確ではないが、周囲の温度の変化や、作業者による機械的調整のばらつき(人的要因)等が考えられる。位相差取得部4では、透明体9に対して、例えば一定の周期にて位相差画像が取得される(ステップS11)。これにより、図8に示すように、透明体9において一定の間隔だけ離れた複数の部位(対象領域)91に対して位相差画像が順次取得される。位相差画像は、調整情報取得部5に出力される。図8では、位相差画像が取得される部位91間の隙間を実際よりも狭くしている。位相差画像は、不規則な間隔にて取得されてもよい。
調整情報取得部5では、各位相差画像から当該位相差画像が取得された部位91の状態区分が特定される。各部位91の状態区分の特定は、上述の教師データの取得時と同様であり、例えば、位相差平均が用いられる。既述のように、一定の成形条件にて成形された透明体9においても、位相差平均はある程度変動するため、複数の部位91に対して特定された状態区分が互いに相違することがある。したがって、複数の部位91に対する状態区分のうち、最も多い状態区分が、成形装置2により現在成形されている透明体9の状態区分(以下、単に「現在の状態区分」という。)として特定される。図8の例では、各部位91の内部に当該部位91に対して特定された状態区分の番号を付しており、最も多い4番の状態区分が現在の状態区分として特定される。なお、複数の位相差画像における位相差平均の平均値を用いて現在の状態区分が特定されてもよい。現在の状態区分の取得に利用される位相差画像の個数(または、現在の状態区分の取得の周期)は、適宜決定されてよい。
調整情報取得部5では、透明体9の所望の状態区分も予め設定されており、現在の状態区分と所望の状態区分とが比較される。現在の状態区分が所望の状態区分と同じである場合には(ステップS12)、ステップS11に戻って、透明体9の異なる複数の部位91に対して位相差画像が取得される。
現在の状態区分と所望の状態区分との比較において、現在の状態区分が所望の状態区分と異なる場合には(ステップS12)、現在の状態区分と所望の状態区分とが推定器51に入力される。これにより、推定器51では、成形条件の変更情報が出力される。成形条件の変更情報は、値を変更すべき成形パラメータの種類および当該成形パラメータの値の変更量を示す。すなわち、成形条件の変更情報は、成形装置2により成形される透明体9(成形される予定の透明体9)を現在の状態区分から所望の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報である。このように、調整情報取得部5では、推定器51を用いて成形条件の調整情報が取得される(ステップS13)。
成形条件の調整情報は、調整情報取得部5から制御部20に出力される。制御部20では、成形条件の調整情報から、値を変更すべき成形パラメータの種類および当該成形パラメータの値の変更量が特定され、当該成形パラメータの値が当該変更量だけ変更される。すなわち、成形条件の調整情報に従って成形条件が調整される。成形条件の調整情報に基づく成形パラメータの値の変更は、作業者により行われてもよい。成形条件調整装置3では、成形条件の調整後も、ステップS11~S13が繰返し行われる。
なお、上記処理では、複数の部位91に対する状態区分から現在の状態区分が特定されるが、各部位91に対する状態区分と所望の状態区分とが調整情報取得部5の推定器51に入力され、成形条件の調整情報が取得されてもよい。この場合、複数の部位91に対してそれぞれ取得される、複数の成形条件の調整情報のうち、最も多い調整情報が制御部20に出力され、成形条件の調整に用いられる。透明体9の状態を示す状態区分は、位相差画像における位相差(濃度値)の分布や配列等に基づいて設定されてもよい。また、位相差取得部4では、必ずしも位相差画像が取得される必要はなく、例えば、透明体9の所定位置における単一の位相差のみが取得され、当該位相差に基づいて状態区分が決定されてもよい。
以上に説明したように、成形条件調整装置3では、位相差取得部4が、成形装置2による成形済みの透明体9にて生じる位相差を取得する。調整情報取得部5は、成形装置2により成形される透明体9を一の状態区分から他の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報を記憶する。そして、成形済みの透明体9に対して位相差取得部4により取得される位相差に基づいて、成形装置2により成形される透明体9を所望の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報を取得する。これにより、成形装置2において、成形済みの透明体9の状態区分が意図せずに変動する場合であっても、成形条件の調整情報を用いて、成形される透明体9の状態区分を所望の状態区分とすることができる。その結果、所望の状態区分の透明体9を安定して成形することができる。
好ましくは、位相差取得部4が、成形済みの透明体9における対象領域の各位置の位相差を示す位相差画像を取得する。これにより、成形済みの透明体9の状態区分を精度よく特定することができ、成形条件の調整情報を精度よく取得することができる。
好ましくは、成形装置2が、連続シートである透明体9を成形し、位相差取得部4が、所定期間内に透明体9の複数の部位91における複数の位相差画像を取得する。また、調整情報取得部5が、当該複数の位相差画像に基づいて成形条件の調整情報を取得する。これにより、一定の成形条件にて成形された透明体9において位相差画像の状態が変動する場合であっても、成形条件の調整情報を精度よく取得することができる。
ところで、図2の成形装置2では、例えば、第2成形ロール232の回転速度よりも第3成形ロール233の回転速度を高くする(すなわち、第3成形ロール233のドロー比を1よりも大きくする)場合、透明体9の位相差平均が大幅に大きくなることが確認されている。これは、両者の回転速度差により透明体9が第3成形ロール233側に引っ張られて大きなテンションが作用し、透明体9の内部にひずみが生じるためであると考えられる。また、図6の番号1の位相差画像では、番号0の位相差画像に比べて、濃度が明るく(位相差が大きく)なっており、第3成形ロール233の回転速度が第2成形ロール232の回転速度以下であっても、第3成形ロール233の回転速度を高くすることにより、透明体9の位相差平均が大きくなることが判る。このように、成形ロール231~233の回転速度は、位相差平均の変化に大きく寄与する。したがって、成形条件が、少なくとも1つの成形ロール231~233の回転速度を含むことが好ましく、これにより、成形される透明体9の状態区分を効率よく変更することができる。
成形条件調整方法は、成形装置2による成形済みの透明体9にて生じる位相差を位相差取得部4により取得する工程(ステップS11)と、位相差取得部4により取得される位相差に基づいて、成形装置2により成形される透明体9を所望の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報を調整情報取得部5により取得する工程(ステップS13)とを備える。これにより、成形装置2において所望の状態区分の透明体9を安定して成形することができる。
好ましくは、透明体9の成形における成形条件の変更情報と、成形条件を当該変更情報に合わせて変更する前および後の2つの状態区分との組合せを教師データとして、複数の教師データを用いた学習により学習済みモデルが生成され、調整情報取得部5が、当該学習済みモデル(推定器51)を含む。これにより、成形条件の調整情報を容易に、かつ、精度よく取得することができる。
成形システム1では、調整情報取得部5の推定器51が適宜更新されてもよい。例えば、現在の状態区分と所望の状態区分とを入力することにより推定器51から成形条件の調整情報が出力され、当該成形条件の調整情報に従って成形条件(成形パラメータの値)が変更される。この場合に、成形装置2による成形済みの透明体9が、成形条件の変更により実際に所望の状態区分となるときには、当該成形条件の調整情報を成形条件の変更情報とし、上記現在の状態区分および所望の状態区分を変更前後の状態区分とする新たな教師データが追加される。そして、当該新たな教師データを含む複数の教師データを用いて学習が行われ、推定器51が更新(再生成)される。
また、現在の状態区分(以下、「1番目の状態区分」という。)と所望の状態区分とを入力して得た成形条件の調整情報(以下、「1番目の状態区分に対応する成形条件の調整情報」という。)を用いても、成形装置2による成形済みの透明体9が所望の状態区分とならず、他の状態区分(以下、「2番目の状態区分」という。)になることもある。この場合、2番目の状態区分と所望の状態区分とを入力することにより、推定器51から新たな成形条件の調整情報(すなわち、2番目の状態区分に対応する成形条件の調整情報)が出力される。そして、2番目の状態区分に対応する成形条件の調整情報に従って成形パラメータの値が変更される。
このように、成形条件の調整情報の取得を繰り返すことにより、n番目の状態区分(ただし、nは2以上の整数)に対応する成形条件の調整情報により、成形装置2による成形済みの透明体9が所望の状態区分となる。この場合、1番目の状態区分に対応する成形条件の調整情報からn番目の状態区分に対応する成形条件の調整情報までにおける各成形パラメータの変更量の総和を成形条件の変更情報とし、1番目の状態区分および上記所望の状態区分を変更前後の状態区分として、当該成形条件の変更情報および当該変更前後の状態区分の組合せが新たな教師データとして追加される。そして、当該新たな教師データを含む複数の教師データを用いて学習が行われ、推定器51が更新される。以上のように、実際の成形条件の調整において得られた情報を用いて推定器51を更新することにより、推定器51の精度をさらに向上することが可能となる。
調整情報取得部5は、必ずしも推定器51を含む必要はなく、例えば、成形装置2により成形される透明体9を、各状態区分から他の各状態区分へと変更するための成形条件の調整情報をテーブル等として記憶するものであってもよい。この場合、調整情報取得部5では、現在の状態区分が所望の状態区分と異なる場合には、現在の状態区分から所望の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報が、上記テーブルを参照して特定される。この場合も、成形装置2において、所望の状態区分の透明体9を安定して成形することができる。
ここで、図3Aの測定部42にて測定可能な位相差の範囲について図9を参照して説明する。測定部42が取得する光の波長をλとして、図9では、サンプル(ここでは、透明体9)において生じる位相差が、0、λ/8、λ/4、3λ/8およびλ/2のそれぞれである場合に、1つの偏光子群431に対応する撮像素子44の4個の画素442で取得される強度を濃淡にて示している。以下の説明では、当該4個の画素442で取得される強度のパターンを「撮像素子での検出パターン」という。また、「グラフ」の欄には、偏光子群431の各偏光子432の透過軸の向き(角度)と、当該偏光子432に対応する画素442の強度から得られるフィッティングカーブも示している。
図9から明らかなように、位相差がλ/8である場合、および、位相差が3λ/8である場合では、撮像素子での検出パターンが同じになり、両者を区別することができない。位相差が0である場合、および、λ/2である場合も同様である。実際には、位相差が0からλ/4まで変化する際の撮像素子での検出パターンの変化は、位相差がλ/2からλ/4まで変化する際の撮像素子での検出パターンの変化と同じになる。以上のように、測定部42では、0~λ/4の範囲の位相差とλ/4~λ/2の範囲の位相差とを区別することができない。実際には、λ/4~λ/2の範囲の位相差であっても、測定部42では、0~λ/4の範囲の位相差として出力される。
次に、測定部42において、0~λ/4の範囲の位相差とλ/4~λ/2の範囲の位相差とを区別する手法について説明する。図10は、位相差取得部の他の例を示す図である。図10の位相差取得部4aは、照明部41および測定部42に加えて、位相差生成部46をさらに備える。位相差生成部46は、均一かつ僅かな位相差を生じさせる波長板(低位相差板)である。例えば、位相差生成部46は、λ/128~λ/8の位相差を生じさせる。位相差生成部46は、成形済みの透明体9と測定部42との間において、透明体9と略並行に配置される。位相差生成部46には、回転機構47が取り付けられる。回転機構47は、例えばモータを有し、位相差生成部46の中心軸J1(すなわち、波長板に垂直な中心軸J1)を中心として、位相差生成部46を回転する。
位相差取得部4aでは、事前準備として、位相差生成部46の主軸の向きが調整される。具体的には、まず、透明体9の対象領域を透過した透過光に基づいて、図11Aの主軸方位画像が取得される。主軸方位画像は、対象領域の各位置における主軸方位を色により示すものである。図11Aでは、平行斜線の向きにより色の相違(主軸方位の相違)を示している。透過光が位相差生成部46を通過する領域71では、色が他の領域と相違している。続いて、回転機構47により位相差生成部46を回転角θだけ回転することにより、図11Bに示すように、主軸方位画像において領域71の色が他の領域に合わせられる。すなわち、位相差生成部46の主軸の向きが、透明体9に合わせられる。なお、回転機構47による位相差生成部46の回転角θは、領域71と他の領域との色の差(主軸方位の差)により取得可能である。以上により、事前準備が完了する。
成形条件調整装置3が透明体9の成形条件を調整する際には、既述のように位相差画像が取得される。ここでは、図12の位相差画像が取得されるものとし、図12中の円形領域が示す透明体9上の領域92(以下、「注目領域92」といい、図12中の対応する領域にも同じ符号92を付している。)に注目する。実際の位相差画像では、色により位相差の大小を示しているが、図12、並びに、後述の図13Aおよび図13Bでは、画像中の濃淡(濃度)が位相差の大小を示すものとする。図12中の注目領域92の濃度(濃度値)は、位相差生成部46による位相差が生じない状態で取得される位相差を示す。
注目領域92は、透明体9の移動により、その透過光が位相差生成部46を通過する領域へと到達し、位相差画像が取得される。このとき、位相差画像における注目領域92では、位相差生成部46による位相差が生じた状態となり、濃度が変化する。具体的には、図13Aのように、位相差画像における注目領域92の濃度が、図12中の注目領域92よりも明るく(淡く)なる場合と、図13Bのように、位相差画像における注目領域92の濃度が、図12中の注目領域92よりも暗く(濃く)なる場合とがある。
図14は、位相差画像における濃度と位相差との関係を示す図である。既述のように、測定部42では、位相差が0からλ/4まで変化する際の濃度の変化は、位相差がλ/2からλ/4まで変化する際の濃度の変化と同じになる。したがって、図13Aのように、位相差生成部46の影響により位相差画像における注目領域92が明るくなる変化は、図14中の濃度D1から濃度D2への変化であると考えられ、実際の注目領域92の位相差は、0~λ/4の範囲内(図14の例では、65nm付近)であると特定される。すなわち、0~λ/4の範囲内で得られる測定部42の測定値が、そのまま位相差画像において用いられる。
また、図13Bのように、位相差生成部46の影響により位相差画像における注目領域92が暗くなる変化は、図14中の濃度D3から濃度D4への変化であると考えられ、実際の注目領域92の位相差は、λ/4~λ/2の範囲内(図14の例では、195nm付近)であると特定される。すなわち、0~λ/4の範囲内で得られる測定部42の測定値が、λ/4~λ/2の範囲に変換されて(実際には、当該測定値にλ/4が足されて)位相差画像において用いられる。なお、図14では、位相差が0からλ/4まで変化する際、および、位相差がλ/2からλ/4まで変化する際に、画像の濃度が漸次明るくなるものとしているが、もちろん、画像の濃度が漸次暗くなってもよい。
ところで、位相差生成部46が対象領域の一部のみに重なる図10の測定部42では、0~λ/4の範囲の位相差とλ/4~λ/2の範囲の位相差との区別を、対象領域の全体に対して行うことはできないが、位相差生成部46と重なる領域の結果を用いて、他の領域の位相差が、0~λ/4の範囲とλ/4~λ/2の範囲のいずれに属するかが推測されてもよい。また、複数の位相差生成部46を幅方向に配列することにより、対象領域の略全体において0~λ/4の範囲の位相差とλ/4~λ/2の範囲の位相差とが区別可能とされてもよい。
以上のように、好ましい成形条件調整装置3では、位相差取得部4aが、照明部41および測定部42に加えて、位相差生成部46を備える。位相差生成部46は、成形済みの透明体9と測定部42との間に配置され、対象領域を透過した光に部分的に所定の位相差を生じさせる。また、成形済みの透明体9が位相差取得部4aに対して移動する。そして、対象領域の一の位置に関して、位相差生成部46による位相差が生じた状態で位相差取得部4aにより取得される位相差と、位相差生成部46による位相差が生じない状態で位相差取得部4aにより取得される位相差とに基づいて、調整情報取得部5により利用される位相差が取得される。これにより、対象領域の各位置における位相差を0~λ/2の範囲にて取得または推測することができ、成形済みの透明体9の状態区分を精度よく特定することができる。その結果、成形条件の調整情報を精度よく取得することができる。
ところで、偏光カメラである測定部としては、図3Aの偏光子アレイ43に代えて波長板アレイを設けるとともに、当該波長板アレイと撮像素子44との間に透過軸の向きが一様な偏光子を設けた構成も知られている。当該測定部の波長板アレイでは、対象領域の各位置に対して、例えば2行2列の素子(波長板)が素子群として設けられ、当該素子群の素子では、主軸の向きが45度ずつ相違する。波長板アレイおよび偏光子を有する測定部では、位相差が0からλ/2まで変化する際の撮像素子での検出パターンの変化が、位相差がλからλ/2まで変化する際の撮像素子での検出パターンの変化と同じになり、0~λ/2の範囲の位相差とλ/2~λの範囲の位相差とを区別することができない。このような測定部を用いる場合も、位相差生成部46を有する位相差取得部4aでは、0~λ/2の範囲の位相差とλ/2~λの範囲の位相差とを区別することが可能となる。
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る成形システム1の構成を示す図である。成形システム1の成形装置2aは、連続シートである透明体9を延伸成形により成形する。成形装置2aは、複数のロール261と、ヒータ262とを備える。延伸成形前の透明体9を、複数のロール261により搬送しつつヒータ262により加熱することにより、透明体9に対して延伸成形が行われる。成形装置2aでは、透明体9を搬送方向に延伸する縦延伸、および、透明体9を幅方向に延伸する横延伸の一方または双方が行われる。成形条件調整装置3の構成は、図1と同じである。
成形装置2aにおける透明体9の成形条件は、複数の成形パラメータを含む。成形パラメータは、例えば、ヒータ262近傍のロール261aの回転速度、延伸倍率、および、ロール261aの温度等を含む。図16に示すように、ロール261aの温度(外周面の温度)を高くする場合、透明体9の位相差のばらつき(位相差標準偏差)が小さくなる。また、図17に示すように、延伸倍率を高くする場合、スジが低減される。
図15の成形システム1においても、図1の成形システムと同様に、透明体9の状態を示す複数の状態区分が位相差に基づいて設定されており、成形装置2aにより成形される透明体9を一の状態区分から他の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報が調整情報取得部5に記憶される(図15では、推定器51として記憶される)。そして、成形済みの透明体9に対して位相差取得部4により取得される位相差に基づいて、成形装置2aにより成形される透明体9を所望の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報が取得される。これにより、成形装置2aにおいて、所望の状態区分の透明体9を安定して成形することができる。
上記成形条件調整装置3および成形条件調整方法では様々な変形が可能である。
図10の位相差取得部4aでは、測定部42に対する位相差生成部46の位置が固定されるが、後述するように、位相差取得部4aが、成形装置2,2aとは独立して設けられる場合等には、位相差生成部46が測定部42に対して移動可能であってもよい。例えば、図18に示すように、位相差生成部46を、成形済みの透明体9と測定部42との間の第1の位置と、第1の位置から離れた第2の位置とに選択的に配置する切替機構48が設けられる。切替機構48は、例えば、シリンダ機構またはモータ等を有する。当該第1の位置は、測定部42に入射する透過光の全部が位相差生成部46を通過する位置である。当該第2の位置は、測定部42に入射する透過光が位相差生成部46を通過しない位置であり、図18中に二点鎖線にて示す位相差生成部46の位置である。なお、図18では、図10の回転機構47の図示を省略している。
図18の位相差取得部4aでは、例えば、板状の透明体9が測定対象とされる。当該透明体9を測定部42の下方に配置した状態で、位相差生成部46を第1の位置に配置し、第1位相差画像が取得される。また、位相差生成部46を第2の位置に配置し、第2位相差画像が取得される。そして、対象領域の各位置において、第1位相差画像の濃度が第2位相差画像よりも明るい場合には、実際の位相差は、0~λ/4の範囲内であると特定される。また、第1位相差画像の濃度が第2位相差画像よりも暗い場合には、実際の位相差は、λ/4~λ/2の範囲内であると特定される。
以上のように、図18の位相差取得部4aでは、位相差生成部46を第1の位置に配置した状態で位相差取得部4aにより取得される位相差画像と、位相差生成部46を第2の位置に配置した状態で位相差取得部4aにより取得される位相差画像とに基づいて、調整情報取得部5により利用される位相差画像が取得される。これにより、透明体9の対象領域の各位置における位相差を0~λ/2の範囲にて取得することができ、成形済みの透明体9の状態区分を精度よく特定することができる。その結果、成形条件の調整情報を精度よく取得することができる。もちろん、図18の位相差取得部4aにおいて、波長板アレイおよび偏光子を有する測定部が用いられてよく、0~λ/2の範囲の位相差とλ/2~λの範囲の位相差とを区別して、位相差画像が取得されてもよい。
上記実施の形態では、調整情報取得部5により位相差のみに基づいて成形条件の調整情報が取得されるが、位相差と、位相差以外の情報とを組み合わせて、成形条件の調整情報が取得されてもよい。位相差以外の情報の一例は、透明体9表面の傷や欠陥の有無を示す外観情報である。例えば、通常の撮像部により取得される外観画像、および、位相差取得部4,4aにより取得される位相差画像の双方において、透明体9の同じ位置に欠陥が映っている場合には、当該欠陥は透明体9の表面の欠陥であると特定可能である。また、位相差画像に映っているが、外観画像に映っていない欠陥は、透明体9内部の歪みであると特定可能である。このように、位相差に加えて、外観情報等の位相差以外の情報を用いることにより、成形条件をより適切に調整することが可能となる。
測定部42は、透明体9を透過した透過光の偏光状態が取得可能であるならば、図3の偏光子アレイ43や、既述の波長板アレイを有しないものであってもよい。例えば、回転偏光子を有する測定部42が用いられてもよい。
上記実施の形態では、成形条件調整装置3の位相差取得部4,4aが、成形装置2,2aによる成形直後の透明体9が連続的に搬送される位置、すなわち、成形装置2,2aと同一ライン上に設けられるが、位相差取得部4,4aは、成形装置2,2aとは独立して設けられてもよい。この場合に、停止した透明体9に対して、位相差取得部4,4aが移動してもよい。すなわち、成形済みの透明体9は、位相差取得部4,4aに対して相対的に移動すればよい。
既述のように、透明体9は、シート状のみならず、板状であってもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
2,2a 成形装置
3 成形条件調整装置
4,4a 位相差取得部
5 調整情報取得部
9 透明体
41 照明部
42 測定部
46 位相差生成部
48 切替機構
51 推定器
91 (透明体の)部位
231~233 成形ロール
S11~S13 ステップ

Claims (8)

  1. 成形装置におけるシート状または板状の透明体の成形条件を調整する成形条件調整装置であって、
    成形装置による成形済みの透明体にて生じる位相差を取得する位相差取得部と、
    透明体の状態を示す複数の状態区分が位相差に基づいて設定されており、前記成形装置により成形される透明体を一の状態区分から他の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報を記憶するとともに、前記成形済みの透明体に対して前記位相差取得部により取得される前記位相差に基づいて、前記成形装置により成形される透明体を所望の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報を取得する調整情報取得部と、
    を備えることを特徴とする成形条件調整装置。
  2. 請求項1に記載の成形条件調整装置であって、
    前記位相差取得部が、前記成形済みの透明体における対象領域の各位置の位相差を示す位相差画像を取得することを特徴とする成形条件調整装置。
  3. 請求項2に記載の成形条件調整装置であって、
    前記成形装置が、連続シートである透明体を成形し、
    前記位相差取得部が、前記透明体の複数の部位における複数の位相差画像を取得し、
    前記調整情報取得部が、前記複数の位相差画像に基づいて前記成形条件の調整情報を取得することを特徴とする成形条件調整装置。
  4. 請求項2または3に記載の成形条件調整装置であって、
    前記位相差取得部が、
    前記成形済みの透明体の前記対象領域に対して偏光光を照射する照明部と、
    前記対象領域の各位置を透過した透過光の偏光状態を測定することにより、前記各位置にて生じる位相差を取得する測定部と、
    前記成形済みの透明体と前記測定部との間に配置され、前記対象領域を透過した光に部分的に所定の位相差を生じさせる位相差生成部と、
    を備え、
    前記成形済みの透明体が前記位相差取得部に対して相対的に移動し、
    前記対象領域の一の位置に関して、前記位相差生成部による前記所定の位相差が生じた状態で前記位相差取得部により取得される位相差と、前記位相差生成部による前記所定の位相差が生じない状態で前記位相差取得部により取得される位相差とに基づいて、前記調整情報取得部により利用される位相差が取得されることを特徴とする成形条件調整装置。
  5. 請求項2または3に記載の成形条件調整装置であって、
    前記位相差取得部が、
    前記成形済みの透明体の前記対象領域に対して偏光光を照射する照明部と、
    前記対象領域の各位置を透過した透過光の偏光状態を測定することにより、前記各位置にて生じる位相差を取得する測定部と、
    前記透過光に所定の位相差を生じさせる位相差生成部と、
    前記位相差生成部を、前記成形済みの透明体と前記測定部との間の第1の位置と、前記第1の位置から離れた第2の位置とに選択的に配置する切替機構と、
    を備え、
    前記位相差生成部を前記第1の位置に配置した状態で前記位相差取得部により取得される位相差画像と、前記位相差生成部を前記第2の位置に配置した状態で前記位相差取得部により取得される位相差画像とに基づいて、前記調整情報取得部により利用される位相差画像が取得されることを特徴とする成形条件調整装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の成形条件調整装置であって、
    前記成形装置が、連続シートである透明体を成形し、
    前記成形条件が、少なくとも1つの成形ロールの回転速度を含むことを特徴とする成形条件調整装置。
  7. 成形装置におけるシート状または板状の透明体の成形条件を調整する成形条件調整方法であって、
    a)成形装置による成形済みの透明体にて生じる位相差を位相差取得部により取得する工程と、
    b)透明体の状態を示す複数の状態区分が位相差に基づいて設定されており、前記成形装置により成形される透明体を一の状態区分から他の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報が調整情報取得部において記憶されており、前記a)工程において取得される前記位相差に基づいて、前記成形装置により成形される透明体を所望の状態区分へと変更するための成形条件の調整情報を前記調整情報取得部により取得する工程と、
    を備えることを特徴とする成形条件調整方法。
  8. 請求項7に記載の成形条件調整方法であって、
    透明体の成形における成形条件の変更情報と、前記成形条件を前記変更情報に合わせて変更する前および後の2つの状態区分との組合せを教師データとして、複数の教師データを用いた学習により学習済みモデルが生成され、
    前記調整情報取得部が、前記学習済みモデルを含むことを特徴とする成形条件調整方法。
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