JP2023062367A - プラズマ溶接トーチ - Google Patents
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Abstract
【課題】非消耗電極の交換時の位置調整を行うことが可能なプラズマ溶接トーチを提供する。【解決手段】プラズマ溶接トーチA1は、軸線方向xに延びる非消耗電極2と、非消耗電極2を保持するコレット31と、コレット31に対して軸線方向一方側x1で、且つ非消耗電極2に対して径方向の外側に配置されたプラズマノズル5と、軸線方向xにおいてプラズマノズル5およびコレット31の間に介在し、プラズマノズル5と非消耗電極2を保持したコレット31とを軸線方向xにおいて互いに離れる方向に付勢する付勢部材8と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、プラズマ溶接トーチに関する。
プラズマ溶接は、通常、タングステンで形成されている電極(非消耗電極)を一般的に陰極として放電し、そのときに発生する主プラズマアーク(メインアーク)が、水冷されたプラズマノズルとプラズマガスのガス流とによって拘束される。その結果、集中性の良い高温プラズマ流が発生され、その保有エネルギを利用して溶接を行う(たとえば特許文献1を参照)。
プラズマ溶接では、溶接開始時にトーチ内部でパイロットアークと呼ばれる火種をプラズマノズルと電極との間に発生させ、そのプラズマ化した気流により絶縁破壊を起こし、メインアークの着火を行う。ここで、プラズマノズルと電極との間に適当な隙間を設けない場合、正常なパイロットアークが発生しない。このため、電極の交換などのメンテナンス時には、たとえば電極位置を調整するための先端細状の治具を用いて、電極の位置調整を行う。上記治具をプラズマノズルの先端開口から進入させ、当該治具の先端に電極の先端を当接させつつ電極をコレットにより保持固定する。このようにして、メンテナンス時における電極の位置合わせを行う。
しなしながら、上記従来の電極の位置調整において、専用の治具が必要となる。また、プラズマノズルの先端部形状に何らかの変形が生じると、上記治具の先端をプラズマノズルの先端開口から進入させることができない場合もあり、このような場合には電極の位置調整を行うことができなかった。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、非消耗電極の交換時の位置調整を行うことが可能なプラズマ溶接トーチを提供することを主たる課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
本発明によって提供されるプラズマ溶接トーチは、軸線方向に延びる非消耗電極と、前記非消耗電極を保持するコレットと、前記コレットに対して前記軸線方向の一方側で、且つ前記非消耗電極に対して径方向の外側に配置されたプラズマノズルと、前記軸線方向において前記プラズマノズルおよび前記コレットの間に介在し、前記プラズマノズルと前記非消耗電極を保持した前記コレットとを前記軸線方向において互いに離れる方向に付勢する付勢手段と、を備える。
好ましい実施の形態においては、前記付勢手段の付勢力により、前記非消耗電極を保持した前記コレットに対して、前記プラズマノズルが前記軸線方向の一方側に移動可能である。
好ましい実施の形態においては、前記付勢手段の付勢力により、前記プラズマノズルに対して、前記非消耗電極を保持した前記コレットが前記軸線方向の他方側に移動可能である。
好ましい実施の形態においては、前記プラズマノズルと前記非消耗電極を保持した前記コレットとは、前記軸線方向において一定長さ範囲で相対移動可能である。
好ましい実施の形態においては、前記プラズマノズルは、軸線方向の一方側端に形成された第1ノズル開口を有し、前記非消耗電極の外径寸法は、前記第1ノズル開口の内径寸法より大である。
好ましい実施の形態においては、前記付勢手段は、圧縮コイルばねにより構成される。
本発明に係るプラズマ溶接トーチは、軸線方向に延びる非消耗電極と、コレットと、プラズマノズルと、付勢手段と、を備えている。コレットは、非消耗電極を保持する。プラズマノズルは、コレットに対して軸線方向の一方側に位置し、非消耗電極に対して径方向外側に配置されている。付勢手段は、軸線方向においてプラズマノズルおよびコレットの間に介在する。付勢手段は、プラズマノズルと非消耗電極を保持したコレットとを、軸線方向において互いに離れる方向に付勢している。このような構成によれば、プラズマノズルと、コレットに保持された非消耗電極の先端との間に所定の隙間を形成することができ、非消耗電極の交換時の位置調整が可能である。また、本発明のプラズマ溶接トーチにおいて、非消耗電極の位置調整は、当該プラズマ溶接トーチの内部に装備された付勢手段により実現可能である。これにより、たとえば本発明と異なり専用の治具を別途用いて非消耗電極の交換時の位置調整を行う場合と比べて、使い勝手が良い。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1は、本発明に係るプラズマ溶接トーチの第1実施形態を示す縦断面図である。本実施形態のプラズマ溶接トーチA1は、トーチボディ1、非消耗電極2、コレット31、コレット受け部材32、絶縁部材35、キャップ4、プラズマノズル5、ノズルホルダ6、シールドガスノズル7および付勢部材8を備えている。
トーチボディ1は、第1筒状部材11、第2筒状部材12、第3筒状部材13および絶縁カバー14を含む。
第1筒状部材11、第2筒状部材12および第3筒状部材13は、軸線CLを中心として同心円状に配置されている。第1筒状部材11は、プラズマ溶接トーチA1において軸線方向xの基端側(軸線方向他方側x2)に配置されており、第3筒状部材13はプラズマ溶接トーチA1において軸線方向xの先端側(軸線方向一方側x1)に配置されている。第2筒状部材12は、軸線方向xにおいて第1筒状部材11および第3筒状部材13の間に配置されている。第3筒状部材13は、たとえば複数の筒状部品がろう付け等により一体に接合されて構成される。絶縁カバー14は、絶縁性材料からなる筒状部材であり、第1筒状部材11、第2筒状部材12および第3筒状部材13を覆っている。
非消耗電極2は、トーチボディ1の軸心部に配置されており、軸線方向xに延びる棒状の導体である。非消耗電極2は、たとえばタングステンからなる。非消耗電極2は、図外の電源部に接続されており、被溶接物(図示略)との間にアーク電圧を印加した際には当該被溶接物との間に主プラズマアーク(メインアーク)を発生させる。
非消耗電極2は、電極主部21および電極テーパー部22を有する。電極主部21は、外径寸法D1が一定とされた部位であり、非消耗電極2の先端を除いた大部分を占める。なお、電極主部21は、設計上において外径寸法D1が一定となるように略円柱状に形成された部位であり、製造上における多少の誤差を含み得る。電極主部21の外径寸法D1は、特に限定されない。電極テーパー部22は、電極主部21に対して軸線方向一方側x1につながっている。電極テーパー部22は、軸線方向一方側x1に向かうにつれて径寸法が小とされており、略円錐形状である。
コレット31およびコレット受け部材32は、これらが互いに協働することにより非消耗電極2を保持するものである。本実施形態において、コレット31は、非消耗電極2の基端寄り(軸線方向他方側x2)の周囲に配置されている。コレット31は、先端側(軸線方向一方側x1)において軸線方向xに延びる複数のスリットが形成されており、隣接する相互のスリットの間に位置する複数の可動片311を有する。コレット受け部材32は、コレット31の径方向外側に配置されている。コレット31を軸線方向一方側x1に移動させるとコレット31は軸線方向一方側x1に押し付けられる。そして、コレット31先端の複数の可動片311がコレット受け部材32の先端部に押し付けられて縮径し、コレット31は非消耗電極2を挟んで強固に保持する。なお、コレット31およびコレット受け部材32は、導電性材料よりなる。コレット31およびコレット受け部材32を構成する導電性材料としては、たとえば銅が挙げられる。
絶縁部材35は、トーチボディ1(主に第1筒状部材11および第2筒状部材12)の内側に配置されており、絶縁性材料からなる筒状部材である。絶縁部材35は、凹部351,352を有する。凹部351は、コレット受け部材32の一部を収容しており、軸線方向他方側x2から軸線方向一方側x1に凹んでいる。凹部352は、後述する付勢部材8の一部を収容しており、軸線方向一方側x1から軸線方向他方側x2に凹んでいる。
キャップ4は、プラズマ溶接トーチA1の軸線方向他方側x2端に設けられている。詳細な図示説明は省略するが、キャップ4の内部にはねじ部を有する部品が配置されており、キャップ4を軸線CL周りに回すことでコレット31を軸線方向xに移動させることができる。これにより、コレット31が非消耗電極2を保持する状態と、コレット31が非消耗電極2を保持しない状態とに切り替えることができる。
プラズマノズル5は、非消耗電極2の先端寄り(軸線方向一方側x1)の周囲に配置されており、コレット31に対して軸線方向一方側x1に位置する。プラズマノズル5は、筒状で導電性があり、非消耗電極2の径方向外側に同心円状に配置されている。プラズマノズル5の先端(軸線方向一方側x1端)には、第1ノズル開口51が形成されている。本実施形態では、第1ノズル開口51の内径寸法d2は、非消耗電極2(電極主部21)の外径寸法D1よりも小である。
プラズマノズル5は、非消耗電極2の外周面との間に隙間を空けて配置されている。非消耗電極2とプラズマノズル5との間の空間は、プラズマガスを流すためのプラズマガス流路とされている。プラズマ溶接トーチA1にプラズマガスが供給されると、当該プラズマガスは、非消耗電極2とプラズマノズル5との間の空間を軸線方向一方側x1に通過し、第1ノズル開口51から噴出する。
また、本実施形態において、プラズマノズル5は、トーチボディ1(第3筒状部材13)およびノズルホルダ6の径方向内側に配置されており、軸線方向xに沿って移動可能である。図1に示した状態において、プラズマノズル5の大径部52はノズルホルダ6の上端(軸線方向他方側x2端)に当接している。このとき、プラズマノズル5は、上下方向(軸線方向x)に沿って移動し得る範囲の下端(軸線方向一方側x1端)に位置する。
シールドガスノズル7は、プラズマノズル5の径方向外側に配置されている。シールドガスノズル7は、概略円筒状とされており、先端側(軸線方向一方側x1)が他の部位と比べて小径とされている。シールドガスノズル7の先端(軸線方向一方側x1端)には、第2ノズル開口71が形成されている。シールドガスノズル7は、ノズルホルダ6の外周にねじ接続により取り付けられている。本実施形態において、プラズマノズル5の先端は、シールドガスノズル7の先端から軸線方向一方側x1に突出している。
詳細な図示説明は省略するが、プラズマ溶接トーチA1には、冷却水流路およびシールドガス流路が形成されている。冷却水流路は、トーチボディ1内およびプラズマノズル5内に設けられている。シールドガス流路は、トーチボディ1内およびノズルホルダ6内に設けられている。プラズマ溶接トーチA1にシールドガスが供給されると、当該シールドガスは、トーチボディ1内およびノズルホルダ6内を経てノズルホルダ6とシールドガスノズル7との間の空間を通過し、第2ノズル開口71から噴出する。
付勢部材8は、軸線方向xにおいてプラズマノズル5およびコレット31の間に介在している。付勢部材8は、プラズマノズル5と非消耗電極2を保持したコレット31とを、軸線方向xにおいて互いに離れる方向に付勢するものである。本実施形態において、付勢部材8は、圧縮コイルばねである。非消耗電極2は、付勢部材8の径方向内側に挿通している。付勢部材8は、「付勢手段」の一例である。
本実施形態において、付勢部材8の下端(軸線方向一方側x1端)は、プラズマノズル5の上端(軸線方向他方側x2端)に当接している。付勢部材8の上方側(軸線方向他方側x2)は、絶縁部材35の凹部352に収容されており、当該付勢部材8の上端(軸線方向他方側x2端)は絶縁部材35に当接している。
次に、プラズマ溶接トーチA1において、非消耗電極2の交換の手順について説明する。非消耗電極2を交換する際、まず、プラズマ溶接トーチA1の上部(キャップ4等)を取り外して開放する。次に、交換用の非消耗電極2をトーチボディ1ないしプラズマノズル5に内挿し、プラズマ溶接トーチA1の上部を塞ぐ。このとき、図2に示すように、プラズマノズル5は、上下方向(軸線方向x)に沿って移動し得る範囲の下端(軸線方向一方側x1端)に位置する。また、非消耗電極2は、コレット31に保持されておらず、非消耗電極2の先端がプラズマノズル5に当接しており、プラズマノズル5に支持されている。
次に、図3に示すように、プラズマノズル5を上方(軸線方向他方側x2)に押し上げる。ここで、プラズマノズル5およびこのプラズマノズル5に当接する非消耗電極2は、付勢部材8の付勢力に抗して上方に持ち上げられる。なお、プラズマノズル5の先端は、シールドガスノズル7の先端よりも下方に突出している。このため、プラズマノズル5を容易に押し上げることができる。
図3に示す状態において、プラズマノズル5の基端(軸線方向他方側x2端)は、第3筒状部材13の内周面に形成された段部131に当接している。このとき、プラズマノズル5は、上下方向(軸線方向x)に沿って移動し得る範囲の上端(軸線方向他方側x2端)に位置する。図2、図3を対比すると理解されるように、プラズマノズル5は、軸線方向xにおいて一定の移動ストロークL1で移動可能である。
次に、図3に示す状態において、キャップ4の操作によりコレット31を軸線方向一方側x1に移動させることで、非消耗電極2がコレット31に保持される。次いで、プラズマノズル5の押し上げを解放すると、付勢部材8の付勢力により、非消耗電極2およびこの非消耗電極2を保持したコレット31に対して、プラズマノズル5が軸線方向一方側x1に移動する。これにより、図1に示したように、プラズマノズル5と非消耗電極2の先端(電極テーパー部22)との間には所定の隙間が形成されており、非消耗電極2の交換時の位置調整を行うことができる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のプラズマ溶接トーチA1は、軸線方向xに延びる非消耗電極2と、コレット31と、プラズマノズル5と、付勢部材8と、を備えている。コレット31は、非消耗電極2を保持する。プラズマノズル5は、コレット31に対して軸線方向一方側x1に位置し、非消耗電極2に対して径方向外側に配置されている。付勢部材8は、軸線方向xにおいてプラズマノズル5およびコレット31の間に介在する。付勢部材8は、プラズマノズル5と非消耗電極2を保持したコレット31とを、軸線方向xにおいて互いに離れる方向に付勢している。このような構成によれば、プラズマノズル5と、コレット31に保持された非消耗電極2の先端との間に所定の隙間を形成することができ、非消耗電極2の交換時の位置調整が可能である。また、プラズマ溶接トーチA1において、非消耗電極2の位置調整は、当該プラズマ溶接トーチA1の内部に装備された付勢部材8により実現可能である。これにより、たとえば本実施形態と異なり専用の治具を別途用いて非消耗電極2の交換時の位置調整を行う場合と比べて、使い勝手が良い。
プラズマ溶接トーチA1においては、付勢部材8の付勢力により、非消耗電極2保持したコレット31に対して、プラズマノズル5が軸線方向一方側x1に移動可能である。このような構成によれば、非消耗電極2の交換時において、プラズマノズル5を非消耗電極2とともに軸線方向他方側x2に押し上げ、非消耗電極2をコレット31により固定する。その後プラズマノズル5の軸線方向他方側x2への押し上げを解放すると、付勢部材8の付勢力によってプラズマノズル5が軸線方向他方側x2側に移動する。これにより、プラズマノズル5と非消耗電極2の先端との間には所定の隙間が確保され、非消耗電極2の交換時の位置調整を容易に行うことができる。
本実施形態においては、プラズマノズル5は、軸線方向xにおいて一定の移動ストロークL1で移動可能である。これにより、プラズマノズル5と、非消耗電極2を保持したコレット31とは、軸線方向xにおいて一定長さ範囲で相対移動可能である。このような構成によれば、非消耗電極2の交換時の際には、プラズマノズル5と非消耗電極2の先端との間に一定の隙間を形成するのに適している。
非消耗電極2の外径寸法D1は、プラズマノズル5の軸線方向一方側x1に形成された第1ノズル開口51の内径寸法d2より大である。このような構成によれば、非消耗電極2の交換の際、コレット31に保持されていない非消耗電極2をプラズマノズル5によって一定位置で支持することができる。これにより、非消耗電極2の交換時における位置調整の作業を容易に行うことができる。
図4は、本発明に係るプラズマ溶接トーチの第2実施形態を示す。なお、図4以降の図面において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
図4に示したプラズマ溶接トーチA2は、トーチボディ1、非消耗電極2、コレット31、コレット受け部材32、キャップ4、プラズマノズル5、ノズルホルダ6、シールドガスノズル7および付勢部材8を備えている。プラズマ溶接トーチA2においては、主にトーチボディ1、コレット31、およびキャップ4の構成、ならびに付勢部材8の配置が上記実施形態のプラズマ溶接トーチA1と異なっており、その他にも適宜変更が加えられている。
本実施形態において、トーチボディ1は、第4筒状部材15、第5筒状部材16、第6筒状部材17および絶縁カバー18を含む。第4筒状部材15、第5筒状部材16および第6筒状部材17は、軸線CLを中心として同心円状に配置されている。第4筒状部材15は、プラズマ溶接トーチA2において軸線方向xの基端側(軸線方向他方側x2)に配置されており、第6筒状部材17はプラズマ溶接トーチA2において軸線方向xの先端側(軸線方向一方側x1)に配置されている。第5筒状部材16は、軸線方向xにおいて第4筒状部材15および第6筒状部材17の間に配置されている。第4筒状部材15は、凹部151を有する。凹部151は、軸線方向他方側x2から軸線方向一方側x1に凹んでいる。凹部151は、付勢部材8およびコレット受け部材32を収容している。凹部151は、付勢部材8およびコレット受け部材32を、軸線方向一方側x1から軸線方向他方側x2にこの順で収容している。絶縁カバー18は、第4筒状部材15、第5筒状部材16および第6筒状部材17の少なくとも一部を覆っている。
非消耗電極2は、上記実施形態と同様の構成および配置であり、電極主部21および電極テーパー部22を有する。本実施形態における非消耗電極2(電極主部21)の外径寸法D3は、上記実施形態(プラズマ溶接トーチA1)の非消耗電極2の外径寸法D1よりも小径である。
キャップ4の軸線方向一方側x1には、ナット部41および可動部材42が設けられている。ナット部41は、軸線CL周りに回転可能なねじ部材である。ナット部41は、雌ねじ部411を有する。雌ねじ部411は、ナット部41の内周部に形成されている。
可動部材42は、筒状のねじ部材であり、雄ねじ部421を有する。雄ねじ部421は、ナット部41の雌ねじ部411に螺合している。これにより、ナット部41を軸線CL周りに回転させることによって、可動部材42は、ナット部41に対して軸線方向xに沿って移動可能である。
可動部材42は、筒状のねじ部材であり、雄ねじ部421を有する。雄ねじ部421は、ナット部41の雌ねじ部411に螺合している。これにより、ナット部41を軸線CL周りに回転させることによって、可動部材42は、ナット部41に対して軸線方向xに沿って移動可能である。
コレット31は、可動部材42に対して軸線方向一方側x1に隣接して配置されている。本実施形態では、コレット31の上端(軸線方向他方側x2端)は、可動部材42の下端(軸線方向一方側x1端)に当接している。
プラズマノズル5は、非消耗電極2の先端寄り(軸線方向一方側x1)の周囲に配置されており、コレット31に対して軸線方向一方側x1に位置する。プラズマノズル5の第1ノズル開口51の内径寸法d4は、非消耗電極2(電極主部21)の外径寸法D3よりも小である。本実施形態では、プラズマノズル5の軸線方向他方側x2端は、第6筒状部材17に、たとえばねじ接続されている。これにより、プラズマノズル5は、第6筒状部材17(トーチボディ1)に固定されている。
付勢部材8は、軸線方向xにおいてプラズマノズル5およびコレット31の間に介在している。付勢部材8は、プラズマノズル5と非消耗電極2を保持したコレット31とを、軸線方向xにおいて互いに離れる方向に付勢するものである。本実施形態において、付勢部材8は、圧縮コイルばねである。
本実施形態において、付勢部材8の下端(軸線方向一方側x1端)は、第4筒状部材15における凹部151の底面に当接している。付勢部材8の上端(軸線方向他方側x2端)は、コレット受け部材32の下端(軸線方向一方側x1端)に当接している。
図4に示した状態において、コレット31は軸線方向一方側x1に押し付けられており、コレット受け部材32と第4筒状部材15とに挟まれた付勢部材8は、付勢力に抗して圧縮されている。ここで、コレット31先端の複数の可動片311がコレット受け部材32の先端部に押し付けられて縮径し、コレット受け部材32は、付勢部材8の付勢力によって軸線方向他方側x2に押圧されている。これにより、コレット31は非消耗電極2を挟んで強く保持する。
なお、詳細な図示説明は省略するが、プラズマ溶接トーチA2においても、上記実施形態のプラズマ溶接トーチA1と同様に冷却水流路およびシールドガス流路が形成されている。
次に、プラズマ溶接トーチA2において、非消耗電極2の交換の手順について説明する。非消耗電極2を交換する際、まず、プラズマ溶接トーチA2の上部(キャップ4等)を取り外して開放する。次に、交換用の非消耗電極2をトーチボディ1ないしプラズマノズル5に内挿し、プラズマ溶接トーチA2の上部を塞ぐ。このとき、図5に示すように、ナット部41を軸線CL周りに回すことで、可動部材42を軸線方向他方側x2に移動させておく。コレット受け部材32およびコレット31は、付勢部材8の付勢力により軸線方向他方側x2側に移動し、その後、付勢部材8が延びて付勢力が解放した状態となる。非消耗電極2は、コレット31に保持されておらず、非消耗電極2の先端がプラズマノズル5に当接しており、プラズマノズル5に支持されている。
次に、図6に示すように、ナット部41を軸線CL周りに回すことで、可動部材42およびコレット31を軸線方向一方側x1に移動させる。これにより、コレット受け部材32と第4筒状部材15とに挟まれた付勢部材8は、付勢力に抗して可能な限り圧縮されている。コレット31は非消耗電極2を挟んで強固に保持する。
次いで、ナット部41を軸線CL周りに回すことで、可動部材42を軸線方向他方側x2に移動させる。ここで、付勢部材8の付勢力により、コレット受け部材32およびコレット31が軸線方向他方側x2側に移動する。このとき、付勢部材8による付勢力は徐々に減少するものの適度に維持されている。したがって、コレット受け部材32は軸線方向他方側x2に押圧され続けて、コレット31は、非消耗電極2を保持したまま軸線方向他方側x2に移動する。そして、図6に示す状態から可動部材42を軸線方向他方側x2に所定長さ移動させることで、図4に示した状態になる。図4に示した状態では、プラズマノズル5と非消耗電極2の先端(電極テーパー部22)との間には所定の隙間が形成されており、非消耗電極2の交換時の位置調整を行うことができる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のプラズマ溶接トーチA2は、軸線方向xに延びる非消耗電極2と、コレット31と、プラズマノズル5と、付勢部材8と、を備えている。コレット31は、非消耗電極2を保持する。プラズマノズル5は、コレット31に対して軸線方向一方側x1に位置し、非消耗電極2に対して径方向外側に配置されている。付勢部材8は、軸線方向xにおいてプラズマノズル5およびコレット31の間に介在する。付勢部材8は、プラズマノズル5と非消耗電極2を保持したコレット31とを、軸線方向xにおいて互いに離れる方向に付勢している。このような構成によれば、プラズマノズル5と、コレット31に保持された非消耗電極2の先端との間に所定の隙間を形成することができ、非消耗電極2の交換時の位置調整が可能である。また、プラズマ溶接トーチA2において、非消耗電極2の位置調整は、当該プラズマ溶接トーチA2の内部に装備された付勢部材8により実現可能である。これにより、たとえば本実施形態と異なり専用の治具を別途用いて非消耗電極2の交換時の位置調整を行う場合と比べて、使い勝手が良い。
プラズマ溶接トーチA2においては、付勢部材8の付勢力により、プラズマノズル5に対して、非消耗電極2保持したコレット31が軸線方向他方側x2に移動可能である。これにより、プラズマノズル5と非消耗電極2の先端との間には所定の隙間が確保され、非消耗電極2の交換時の位置調整を容易に行うことができる。
本実施形態においては、ナット部41の軸線CL周りの回転数を管理することで、可動部材42およびコレット31を軸線方向xにおいて一定の移動ストロークで移動させることができる。これにより、固定的に設けられたプラズマノズル5と、非消耗電極2を保持したコレット31とは、軸線方向xにおいて一定長さ範囲で相対移動可能である。このような構成によれば、非消耗電極2の交換時の際には、プラズマノズル5と非消耗電極2の先端との間に一定の隙間を形成するのに適している。
非消耗電極2の外径寸法D3は、プラズマノズル5の軸線方向一方側x1に形成された第1ノズル開口51の内径寸法d4より大である。このような構成によれば、非消耗電極2の交換の際、コレット31に保持されていない非消耗電極2をプラズマノズル5によって一定位置で支持することができる。これにより、非消耗電極2の交換時における位置調整の作業を容易に行うことができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
A1,A2:プラズマ溶接トーチ、2:非消耗電極、31:コレット、5:プラズマノズル、51:第1ノズル開口、8:付勢部材(付勢手段)、D1:外径寸法、d2:内径寸法、D3:外径寸法、d4:内径寸法、x:軸線方向、x1:軸線方向一方側、x2:軸線方向他方側
Claims (5)
- 軸線方向に延びる非消耗電極と、
前記非消耗電極を保持するコレットと、
前記コレットに対して前記軸線方向の一方側で、且つ前記非消耗電極に対して径方向の外側に配置されたプラズマノズルと、
前記軸線方向において前記プラズマノズルおよび前記コレットの間に介在し、前記プラズマノズルと前記非消耗電極を保持した前記コレットとを前記軸線方向において互いに離れる方向に付勢する付勢手段と、を備える、プラズマ溶接トーチ。 - 前記付勢手段の付勢力により、前記非消耗電極を保持した前記コレットに対して、前記プラズマノズルが前記軸線方向の一方側に移動可能である、請求項1に記載のプラズマ溶接トーチ。
- 前記付勢手段の付勢力により、前記プラズマノズルに対して、前記非消耗電極を保持した前記コレットが前記軸線方向の他方側に移動可能である、請求項1に記載のプラズマ溶接トーチ。
- 前記プラズマノズルと前記非消耗電極を保持した前記コレットとは、前記軸線方向において一定長さ範囲で相対移動可能である、請求項1ないし3のいずれかに記載のプラズマ溶接トーチ。
- 前記プラズマノズルは、軸線方向の一方側端に形成された第1ノズル開口を有し、
前記非消耗電極の外径寸法は、前記第1ノズル開口の内径寸法より大である、請求項1ないし4のいずれかに記載のプラズマ溶接トーチ。
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- 2021-10-21 JP JP2021172289A patent/JP2023062367A/ja active Pending
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