JP2023061638A - 眼科用癒着防止材とその製造方法 - Google Patents

眼科用癒着防止材とその製造方法 Download PDF

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Takahito Hoshi
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三樹 新井
Mikki Arai
周平 谷田
Shuhei Tanida
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Yusuke Kojiya
元輝 藤村
Mototeru Fujimura
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Masaki Gen
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Suong-Hyu Hyon
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Abstract

【課題】具体的な実施形態においてマイトマイシンCなどを用いずに、緑内障治療などの眼科手術における膜同士の癒着を防止する材料を提供する。特には、取り扱いが容易であり、組織の融解や感染のリスクのないものを提供する。【解決手段】好ましい形態における製造方法によると、重量平均分子量が1万~500万であって、無水グルコース・ユニットあたりのアルデヒド基導入量(mol/AGU)が0.4~0.7であるアルデヒド化デキストラン(第1反応剤)と、重量平均分子量が1000~10万であって、残存アミノ化率が80~99%であるコハク酸無水物添加ポリ-L-リジン(第2反応剤)とを準備し、アルデヒド基/アミノ基の反応モル比が0.9~1.1となるように混合して、水の存在下で反応させ、この際、ポリマーの濃度が8~20%となるようにし、反応により得られたハイドロゲル、またはゲル化の前の懸濁液を凍結乾燥させることで、厚さ0.1~0.8mmの多孔性シートとする。【選択図】図3

Description

本発明は、低毒性、及び、適度の分解耐久性を有するハイドロゲル(含水ポリマーゲル)からなり、結膜と強膜との癒着、強膜同士の融着、または、その他の眼科用の生体膜同士の癒着の防止またはスペースの確保のために用いらえる癒着防止材に関する。特には、細胞毒性の低いハイドロゲルがもつ、癒着防止効果や接着効果を利用した緑内障手術補助剤に関する。
緑内障は、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常眼圧(角膜の内側の「房水」の圧力)を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる目の機能的構造的異常を特徴とする疾患である。緑内障による視野の狭窄の進行やこれによる失明を防ぐために、治療が必要となる。眼球内部は硝子体と房水が充満しており、硝子体の容積はほとんど変化ないのであり、房水は、絶えず、水晶体を囲む毛様突起から産生され、角膜を囲む箇所に分布するシュレム管を通して眼球の外側へと排出される。このような房水の産生と排出のバランスにより眼圧が保たれているのであるが、シュレム管などの排出路が何らかの原因(主に加齢)でつまると眼圧のバランスが崩れ、視野障害の進行につながる。
緑内障の主な治療手段は、点眼薬の投与、及び、手術である。点眼薬は、房水の産生を抑制したり、房水の排出の際の流出抵抗を低下させて、排出を促進したりすることで、眼圧を下げる。点眼薬などによる薬物療法や、レーザー治療でも眼圧が充分下がらないとき、あるいは眼圧が下がっていても視野の悪化が止められない場合、眼球の中からの房水の出口(排出路)を新しく作る手術(線維柱帯切除術、緑内障濾過手術(filtration glaucoma surgery))が行われている。
具体的には、角膜に隣接した箇所にて、眼球を包む強膜及びその内部の組織(線維柱帯)を切除して、排出路を設けるのである。この際、眼圧が過度に低下して眼球がやわらかくなり過ぎないように、少しずつ房水が漏れ出るようにする必要があり、このために排出路には、強膜による蓋(強膜フラップ;強膜弁)が被さるようにして、縫合する。一方、強膜フラップを含む領域が、結膜により覆われるため、排出路の箇所で結膜と強膜および強膜と強膜同士が癒着して排出路の閉塞が生じ、眼圧下降が妨げられる。これら創口の癒着を防止して房水の流出路を確保するためマイトマイシンC(MMC)を、この箇所にて、結膜及び強膜に塗布するといったことが行われていた。
しかし、マイトマイシンCは取り扱いが難しく、組織が融解し感染を起こすこともある。マイトマイシンCは、抗がん剤であり、強力な線維芽細胞の増殖抑制作用を有する。マイトマイシンCの投与濃度が高すぎるなどにより、作用効果が強すぎると結膜や強膜の融解が生じ、排出路周辺の組織が薄くなり、穴が開くことがある。これは眼圧の異常な低下をきたし視機能に悪影響を及ぼすし、またここから眼内炎など失明をきたすような感染症を起こす場合がある。逆に、マイトマイシンCの作用効果が弱すぎると、強膜フラップが、内側の強膜部分や、強膜フラップを覆う結膜と癒着して、やはり、切除により形成した排出路が閉塞して手術の効果が失われてしまう。
主に腹腔内手術に癒着防止剤として用いられるセプラフィルム(登録商標;ヒアルロン酸ナトリウム及びカルボキシメチルセルロースの混合物)を緑内障手術に流用した研究について報告がなされている(非特許文献1)。炎症は軽微だが、術後1ヶ月以内に吸収されてしまうので、長期的効果は不明である。トレハロースや、ヒアルロン酸シートを用いる試みも行われているが、これらも術後約1ヶ月で消失され、生体内での滞留時間が短すぎるために、いずれも実用化されていない。一方、眼圧の過度の低下を防ぐために、コラーゲンマトリックスを挿入する試みもある(非特許文献2)。
他方、細胞毒性が低く、生体内での分解の速度を自由に調節できるハイドロゲル形成性及び接着性の材料として、本件出願人に含まれた株式会社ビーエムジーの提案に係る、アルデヒド化グルカン及び変性ポリ-L-リジンの混合粉末からなる2反応剤型のもの(LYDEX;登録商標)が存在する(特許文献1~2)。2反応剤型のハイドロゲル形成性の材料(LYDEX;登録商標)は、医療材料として従前より一般に使用されているデキストラン、及び、食品添加物であるポリリジンをそれぞれ出発原料とした第1及び第2の反応剤からなるものである。そのため、これより得られるハイドロゲルは、人体に安全であり、重篤な合併症の発生を抑えることができることが期待される。しかし、特許文献2の請求項7によると、このハイドロゲルは、「1日~1カ月の間で任意に設定可能なゲル状態保持期間を経た後には、自己分解によってゾル状態に変化する」ことが想定されている。
国際公開WO2008/066182(特許4571693) 国際公開WO2006/080523(特許4092512)
Tsurumaru N, Arai M, Teruya K, Sueda J, Yamakawa R., "Seprafilm as a new antifibrotic agent following trabeculectomy in rabbit eyes." Jpn J Ophthalmol.;53(2):164-70 (2009 Mar). doi: 10.1007/s10384-008-0638-3. Epub 2009 Mar 31. https://www.nature.com/articles/eye201798、M Tanito, A Okada, Y Mori, I Sano, Y Ikeda and E Fujihara, "Subconjunctival implantation of ologen Collagen Matrix to treat ocular hypotony after filtration glaucoma surgery, "Eye (2017) 31, 1475-1479.
上記に鑑み、マイトマイシンCなどの創口を治りにくくする薬剤を用いることなしに、緑内障治療などの眼科手術における房水排出路周囲の癒着を防止する材料及び方法を提供しようとする。特には、取り扱いが容易であり、組織の融解や感染のリスクのないものを提供しようとする。
本件発明者らは、まず、比較的短い期間の間に崩壊するようにすることが想定されていたタイプの、従前に主として製造されていたLYDEX製品を改良することによって、少なくとも4カ月の間、好ましくは6カ月~1年の間にわたってハイドロゲルの状態を維持するものを作製した。次いで、本件発明者らは、このような中長期に維持が可能なタイプのLYDEX製品を、眼科手術用の、非常に小さい箇所での癒着防止に用いることを試みた。
本件発明者らは、鋭意検討する中で、LYDEX製品から特定の条件でハイドロゲルのシートを作製した後、凍結乾燥することで、特定の状態の多孔性シート(適宜、「スポンジタイプLYDEX」と呼ぶ)を得た。そして、これから適宜に切り出した小片を、上記の緑内障手術の際に、排水口を覆う強膜フラップ及びその近傍にて、結膜と、強膜との間に介在するように配置した。その結果、少なくとも4カ月以上にわたって、癒着防止の効果が見られた。また、「スポンジタイプLYDEX」より生成されたハイドロゲルは、適度の粘着性をも有するため、線維柱帯切除および強膜弁箇所(上記の排水口)の近傍にて、結膜と、強膜とを粘着させつつ、徐々に漏水を引き起こす上でも有利であった。
本願の好ましい形態における製造方法によると、重量平均分子量が1万~500万であって、無水グルコース・ユニットあたりのアルデヒド基導入量(mol/AGU)が0.4~0.7であるアルデヒド化デキストラン(第1反応剤)と、重量平均分子量が1000~10万であって、残存アミノ化率が80~99%であるコハク酸無水物添加ポリ-L-リジン(第2反応剤)とを準備し、アルデヒド基/アミノ基の反応モル比が0.9~1.1となるように混合して、水の存在下で反応させ、この際、ポリマーの濃度が8~20%となるようにし、反応により得られたハイドロゲル、またはゲル化の前の懸濁液を凍結乾燥させることで、厚さ0.1~0.8mmの多孔性シートとする。
本願の好ましい形態においては、凍結乾燥について、第1反応剤及び第2反応剤の混合水溶液ないし懸濁液を作製してから、まず冷蔵(例えば3~6℃)下で例えば1~3時間保存してから、-10℃以下、特には-20℃以下に急速に冷却して凍結した上で減圧し減圧容器の周囲の温度を例えば25℃~30℃として行うことができる。
本願の好ましい形態においては、第1反応剤と第2反応剤との反応によりハイドロゲルを形成する際に、グリセリンまたはその他の水溶性の低分子化合物からなる保湿性可塑剤を、第1反応剤と第2反応剤との合計重量に対して、30~100重量%または50~90重量%となるように添加することができる。
本願の好ましい形態において、得られる多孔性シートは、実体顕微鏡で、表面または切断面を観察した場合に、長軸径が80μm以上、50μm以上または30μm以上といった大きな空隙を実質上有しない、例えば、あったとしても、1cm2あたり5個以下、3個以下、または1個以下である。
本願の好ましい形態において、得られる多孔性シートは、見かけの密度(かさ密度)が、0.1~0.25g/cm3である。
本願の好ましい形態において、多孔性シートによる眼科用癒着防止材は、(1)重量平均分子量が1万~500万であって、無水グルコース・ユニットあたりのアルデヒド基導入量(mol/AGU)が0.4~0.7である、第1反応剤としてのアルデヒド化グリカンと、(2)重量平均分子量が1000~10万であって、残存アミノ化率が80~99%である、第2反応剤としてのカルボン酸無水物添加ポリ-L-リジンとの反応生成物により形成される樹脂材からなる、連通気孔の多孔性シートであって、(3)アルデヒド基/アミノ基の反応モル比が0.9~1.1であり、(4)見かけの密度(かさ密度)が0.1~0.25g/cm3であり、(5)厚さが0.1~0.8mmである。
得られる多孔性シートを、眼科手術の際に、癒着防止用に配置するならば、4カ月またはそれ以上の期間(中長期間)にわたって、ハイドロゲルの固形形態が維持され、癒着防止を行うことができる。細胞や組織に対する毒性や刺激性が低く、炎症が生じたとしても少ないため、癒着が進行しにくい。特には、緑内障手術用の補助材として用いた場合、房水を排出する経路が癒着によって閉塞するのを防止できるだけでなく、孔を通じて房水の排出も可能であるため、長期的な眼圧下降効果が期待できる。
得られた多孔性シート(「スポンジタイプLYDEX」)の外観を示す写真である。 ゲル形成反応時の懸濁液の濃度(表2のSAPL濃度)を0.5%、1%、5%及び10%(実施例)とした場合の、実体顕微鏡写真のセットである。 緑内障手術の手順について示す模式図である。 ウサギの目に緑内障手術(トラベクレクトミー;線維柱帯切除術)を施した直後の外観を示す写真である。 手術から4週間後の図3と同様の写真である。 手術から4カ月後の図3と同様の写真である。 手術の前後の眼圧の経時変化を示すグラフである。 手術から4カ月後にCT撮影により眼球の断面を撮影した後、要部を抽出した画像である。 手術から1年9カ月後に、手術箇所での青色色素の流出を確認した写真(1)である。 手術から1年9カ月後に、手術箇所での青色色素の流出を確認した写真(2)である。
本発明の眼科用癒着防止材は、WO2008/066182(特許文献1)またはWO2006/080523(特許文献2)に記載されたような2反応剤型接着剤により得られるハイドロゲルを、凍結乾燥などにより多孔体としたものである。すなわち、混合粉末または2液の形態の2反応剤型接着剤から、混合水溶液の状態を経てハイドロゲルとした後、凍結乾燥などの微細な多孔性を実現する乾燥方法により、多孔体とするものである。
ここでの多孔体の形状としては、顆粒状、紐(ひも)状、網状などもありうるが、製造の容易さや、眼科手術時の便宜などから、シート状のもの、すなわち、多孔性シートの形態であるのが好ましい。多孔性シートであると、2反応剤型接着剤から、混合水溶液を薄く均一な厚さ(例えば、0.3~1mm)に塗り広げた後、直ちに、または、短時間の自然乾燥(室内空気中への水分の拡散)の後に、凍結乾燥を行うことができる。例えば-5~-40℃または-10~-30℃に急速に冷却して凍結した後、例えば50~500ヘクトパスカルの減圧条件で乾燥させることができる。一方、多孔性シートであると、眼科手術時に、形成される強膜フラップの大きさなどに応じて、適当な縦横寸法に切断して用いることができる。但し、例えば、攪拌型の凍結乾燥装置により、フレーク状または顆粒状の多孔体を製造し、得られた各フレークまたは各顆粒をそのまま、または、適宜に分割またはトリミングして用いることもできる。
上記の2反応剤型接着剤は、アルデヒド化グリカンからなる第1反応剤と、カルボン酸無水物添加(部分カルボキシル化)ポリ-L-リジンからなる第2反応剤とからなるものである。第1反応剤及び第2反応剤は、アルデヒド化や部分カルボキシル化のために水溶液の状態で製造されるのであるが、凍結乾燥などによりそれぞれ粉末としておくことができ、特には、第1反応剤及び第2反応剤を適当なモル比で含む混合粉末としておくことができる。ハイドロゲルを得るための、第1反応剤及び第2反応剤を適当なモル比で含む混合水溶液は、2液の状態の2反応剤型接着剤から、すなわち、第1反応剤の水溶液と、第2反応剤の水溶液とを混合することで得ることができるが、上記の混合粉末を水に溶かすことよっても得ることができる。
第1反応剤としてのアルデヒド化グリカンは、水溶性または水分散性である、グルカン(D-グルコースのポリマー)などの多糖類を過ヨウ素酸または過ヨウ素酸塩で酸化して、無水グルコース・ユニットあたり0.4~1.0個のアルデヒド基、特には0.4~0.8個または0.4~0.7個のアルデヒド基を導入したものである。ここでのグリカンは、好ましい一実施形態においてα-グルカンであり、例えば、デキストランまたはデキストリンである。グリカン(多糖類)は、ヒアルロン酸などのグルコサミノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルローなどであっても良い。アルデヒド化グリカンの重量平均分子量(例えばDMSO溶媒を用いたSEC-MALLS法)は、1万~500万、特には2万~50万または2万~20万でありうる。
第2反応剤としての部分カルボキシル化ポリ-L-リジンは、重量平均分子量が1000~100万または2000~10万であるポリ-L-リジンを用い、そのアミノ基(主として側鎖アミノ基)に、無水コハク酸などのカルボン酸無水物(アンヒドリド)、特にはジカルボン酸無水物を反応させたものである。特には、残存アミノ基率が70~95%または75~95%、特には80~95%となるようにしたものである。なお、カルボン酸無水物には、無水コハク酸の他、場合により、無水グルタル酸、無水リンゴ酸などを用いることもできる。一方、ハイドロゲルを形成する際の混合水溶液におけるアルデヒド基/アミノ基のモル比は、好ましくは、1前後、すなわち、0.8~1.3、0.9~1.2または0.9~1.1とすることができる。
上記のような2反応剤型接着剤を用いることにより、得られるハイドロゲルについて、生体内、または生体と同様の温度の飽水状態で保持した場合の、ゲル崩壊までの期間について、4カ月以上、6カ月以上または、1年から1年半または1~2年とすることができる。
なお、ハイドロゲルを形成するのに混合粉末を用いる場合、この混合粉末は、例えば、ランダムな形状(球体に程遠い形状)の多孔体であって、平均粒径(画像解析による2軸平均径の長さ平均)が10~150μmであり、含水率を2.0%以下に保持したものであるのが好ましい。このような混合粉末であると、水に溶かした際に、ミクロ的に適度な不均一構造を形成しつつ、強度の大きいハイドロゲルを迅速に得ることができる。
上記のようにハイドロゲルを形成するための混合水溶液は、グリセリンなどの保湿性可塑剤を含むことができる。保湿性可塑剤の添加量は、第1反応剤と第2反応剤との合計重量を基準として、例えば、30~100重量%、40~90重量%、または50~80重量%とすることができる。添加可能な保湿性可塑剤としては、グリセリン以外にも、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ポリグリセリン、ヒアルロン酸ナトリウム及びトリメチルグリシンを挙げることができる。これらの保湿成分は、例えば、2反応剤型接着剤の混合粉末に混ぜ合わせることにより添加することができる。
ハイドロゲルを形成する際の、混合水溶液の重量に対する、第1反応剤と第2反応剤との合計重量の比率(濃度)は、好ましくは8~20%または10~15%である。この濃度が例えば5%以下であると、空隙の径を均一にすることができず、前述の大きな空隙が得られる多孔性シートなどの多孔体に生じうる。大きな空隙があると、例えば、生体内に埋め込まれてから1カ月以降のハイドロゲルの強度を低下させうるのであり、癒着防止性能に悪影響を与えうる。
得られる多孔体は、見かけの密度(かさ密度)が、0.1~0.25g/cm3でありうる。この範囲内であると、生体内にて長期にわたってゲル強度を維持するとともに、容易に製造可能であるという点で好ましい。
以下、実施例により本発明の実施の形態を説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
<実施例1>
以下のようにして、多孔性シートを作製し、上述のような緑内障手術に用いた。
1)アルデヒド化デキストラン水溶液(ADaq)の製造
デキストラン70(Dextran 70; 分子量70,000のデキストラン 名糖産業株式会社Meito Sangyo Co., Ltd.)を注射用水(WFI)に加え50℃,30 min,280 rpmで撹拌し,完全溶解する。同様にメタ過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)を注射用水(WFI)に加え、50℃,10 minで振とう撹拌し、完全溶解する。この際、加えるNaIO4/Dex70比を任意に調整することで、デキストランへ導入されるアルデヒド基の量を変えることができる。それぞれ得られた、Dextran 70水溶液とNaIO4水溶液を50℃,3hr,280rpmで撹拌し、反応液を得た。この反応液をセルロースチューブ(分画分子量:12,000~14,000)に入れ室温水道水中で70hr透析し,イオン交換水で45min×4回透析し,ヨウ素やナトリウムを除去した。透析液を孔径(φ)0.45μmの親水性PTFEメンブレンフィルタで除塵ろ過した。ろ液を振とうしながら40℃の温風乾燥を20hr以上行い、濃縮物を表裏反転後、さらに、同様に40℃の温風乾燥を20hr以上行った。このように得られた濃縮物について、15hr以上室温減圧乾燥を行うことで乾燥物を得た。そして、このように得られた乾燥物について、手で数センチメートルの塊への粗粉砕を行ってから、ハンマーミル式の小型粉砕器(ワンダークラッシュミルD3V-10、大阪ケミカル株式会社)を用い、スクリーン孔径(φ)0.5mm、回転数10,000rpmにて、微粉砕を行った。微粉砕物について50℃,15hr減圧乾燥を行うことで、第1反応剤であるアルデヒド化デキストラン(AD)の粉末を得た。
下記の表1の下端に示すように、このようなアルデヒド化の際の仕込み(NaIO4/Dextran 70)比率を、5.0/10とした。この際に得られたアルデヒド基導入量(mol/AGU)は、チオ硫酸ナトリウム-硫酸系、でんぷん試薬を用いた滴定によると0.44~0.48であった。表1中に示すように、比較例または参考例として、アルデヒド基導入量(mol/AGU)が、より少ないものも作製した。
<表1>AD粉末のNaIO4/Dextran 70比とアルデヒド基導入量の一例
Figure 2023061638000002
このように得られたアルデヒド化デキストラン(AD)の粉末を、0.5~10重量%の濃度になるように、注射用水(WFI)中に入れ、静置し、冷蔵(3~6℃)下で膨潤させる。このAD膨潤物を50℃の温浴中にて撹拌し、完全溶解する。得られた水溶液液を孔径(φ)0.22 μm ポリエーテルサルフォン(PES) シリンジフィルタでろ過滅菌することで、第1反応剤水溶液(ADaq)を得た。
2)無水コハク酸処理ポリリジン水溶液(SAPLaq)の製造
ポリリジン(分子量4,000、チッソ株式会社)の25%溶液に無水コハク酸を加え、50℃,1hr撹拌し反応する。その後,生成物が所定の濃度になるまで注射用水(WFI)を加え、軽く撹拌した後、孔径(φ)0.22μm PES シリンジフィルタでろ過滅菌し、第2反応剤水溶液(APLaq)を得た。下記の表2の中段にある、SA/PL(無水コハク酸/ポリリジン)仕込み比率「1.0/10」のものが実施例であり、上段及び下段は、比較例ないし参考例である。
<表2>SAPLaqのSAPL濃度、およびSA/PL比一例
Figure 2023061638000003
ここで、遊離アミノ基(ペプチド結合の形成に関与しない側鎖及び末端のアミノ基)の残存率(残存アミノ基率)は、次のようにして求めた。まず、水に溶かした後、ニンヒドリン溶液およびpH5.5の酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液を加え、3分間沸騰水浴中で加熱した後、急冷し試料溶液とした。そして、日本薬局方の紫外可視吸光度測定法により試験を行い、波長570nmにおける吸光度を測定した。
3)2種の水溶液からの多孔性シート(「スポンジタイプLYDEX」)の製造
全体が柔らかいシリコン製のトレイ状の容器内に、上記の第1反応剤の水溶液(ADaq)及び第1反応剤の水溶液(SAPLaq)、並びに蒸留水(DW)を加え、素早く混和した後、室温(25℃)にて10 min静置することで、2反応剤接着剤の懸濁液(LYDEX懸濁液)を得た。ここで、蒸留水(DW)は、2反応剤接着剤の濃度(表2のSAPL濃度)が、0.5~10%の所定の値となるように加えたものである。また、トレイ状の容器内に、0.7 mmの均一な高さ(深さ)となるようにしたものである。また、アルデヒド基/アミノ基の反応モル比が1.0となるようにしている。
得られた2反応剤接着剤の懸濁液(LYDEX懸濁液)を5℃冷蔵下で2hr保存してから、急速に-25℃に冷却して4hr以上、この温度に保つことで、完全に凍結させた。その後,凍結したLYDEX(登録商標)懸濁液を、静置状態にて、雰囲気温度を室温(25℃)~30℃に保ちつつ減圧乾燥を行った。すなわち、水分を昇華させて除去することで、厚さ0.4 mmのシート状の乾燥物を得た。このような乾燥物を「スポンジタイプLYDEX」(LYDEXは登録商標)と呼ぶことにする。
図1の写真には、得られた多孔性シート(「スポンジタイプLYDEX」)の外観を示す。
4)多孔性シートの実体顕微鏡による観察
図2に、ゲル形成反応時の懸濁液の濃度(表2のSAPL濃度)を0.5%、1%、5%及び10%の4段階とした場合の、実体顕微鏡(キーエンスVHX-5000)の写真をまとめて示す。
図2から明らかなように、10%の濃度とした場合にのみ、長軸径が100μmといった大きなサイズの空隙が見られなかった。このような観察の結果に基づき、眼科用の施術の実験では、10%の濃度で得られた多孔性シートを用いた。
5)ウサギを用いたトラベクレクトミー(線維柱帯切除術)
正常白色家兎に上述の緑内障手術と同様の手術を行った。図3には、手術の要点を模式的に示す。
この手術の際には、上記に得られた実施例の「スポンジタイプLYDEX」(第1反応剤におけるアルデヒド基導入量0.44~0.48mol/AGU、第2反応剤における残存アミノ基率81~93%、シート化時の濃度が10%で高さが0.7mm、製品の厚さが0.4mm)を用い、およそ1.5mm×3mmの長方形となるように切り出した。
そして、上述のように排出路を形成した後、胸膜フラップの下、及び、結膜と胸膜フラップとの間に、上記のように切り出した多孔性シート(「スポンジタイプLYDEX」)の小片を付着してから、結膜の端部を縫合した。
5-1)手術終了時~術後4カ月
図4の写真には、手術終了時の様子を示し、図5の写真には術後4週間、図6には術後4カ月の写真を示す。図5から知られるように4週間後、癒着防止材のハイドロゲルが、ほぼ手術直後のサイズで残っており、図6から知られるように、4カ月後にも、癒着防止材のハイドロゲルが、大部分残っていた。
図7には、眼圧の経時変化を示す。手術前(pre-ope)に比べての眼圧低下が4カ月にわたって維持されていた。図5中のcontrol groupは、本発明のようなハイドロゲルを用いず、従前と同様にマイコマイシンCを用いた場合の結果であり、眼圧低下の効果は不安定であった。
図8には、術後4カ月に、CT撮影により眼球の断面を撮影した後、眼球の周縁部を抽出して示したものである。これによっても、4カ月後に、所定の場所に、癒着防止材のハイドロゲルが、充分なサイズで残留していることがわかる。
5-2)術後1年9ヶ月
次に、図9~10の写真には、術後1年9ヶ月の様子を示す。これらの写真には、うさぎの左右の眼の手術部分が、楕円マーキングの中央部に示されている。手術部分は、カラー写真にて青色に着色されていた部分であるが、図9~10のグレースケール写真では、シミのように現れている。
ここでは、手術部分が機能しているかを確認するために、すなわち、前房内→眼外(前房内から強膜フラップ下→結膜下)へと交通しているかを確認する目的で、前房内に青色色素(トリパンブルー)を投与した。その結果、眼外(フラップ下)への青色色素の流出が15-60分で確認できた。また、結膜下への流出は確認できなかった。このことから、術後1年9ヶ月にも、少なくともフラップは機能しているようであった。
術後1年9ヶ月の他の測定・観察の結果は下記のとおりである。
・左右の眼圧:8mmHg、9mmHg
・結膜の可動性:2眼とも極めて良好
・前眼部OCT:2眼ともフラップ下にスペースがあり物理的に癒着していない部分を確認
以上の結果から、緑内障手術の効果が、術後1年9ヶ月にも持続していることが知られた。
<実施例2>
多孔性シートの製造条件を下記表3のとおりに変化させて、トラベクレクトミー(線維柱帯切除術)に用いる際の扱いやすさについて評価した結果を、下記表4に示す。
<表3>
Figure 2023061638000004
下記表3にて、上段の項目は、下記のとおりである。
・「AD」:表1の左半部と同様のデキストランに対する過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)の仕込み比率。表3の「5.0/20」は表1の「2.5/10」と同一であり、アルデヒド基導入量(mol/AGU)が0.25~0.27であって、実施例1のトラベクレクトミー(線維柱帯切除術)で用いた「5.0/10」の半分強となっている。また、表3の「2.5/20」は、アルデヒド基導入量(mol/AGU)が、「2.5/10」の場合の半分強である。
・「SAPL」:表2の右端から2列目の「SA/PL」(無水コハク酸/ポリリジン)仕込み比率。実施例1のトラベクレクトミー(線維柱帯切除術)で用いた「1.0/10」と同一である。
・「AD:SAPL」:アルデヒド基/アミノ基の反応モル比が1.0となる仕込み重量比。実施例1の多孔性シート(「スポンジタイプLYDEX」)の製造と同一である。
・「LYDEX濃度」及び「液量」:上記「3)」のように「スポンジタイプLYDEX」を製造する際の、「LYDEX懸濁液」中の2反応剤接着剤(LYDEX)の濃度、及び、その量。
・「サイズ」:多孔性シートの径が、「大」は約8.5mm、「小」は約3.6mm。
<表4>
Figure 2023061638000005
表4におけるグレード付けの基準は、下記のとおりである。
・シートの厚み 0:薄い~5:厚い
・シートの切りやすさ 0:扱いにくい~5:良好
・濡らした時の膨張の程度 0:なし~5:最大
・濡らした時のちぎれやすさ 0:把持不能~5:ちぎれない
・結膜下の炎症(1週) 0:最大~5:なし
・結膜下の炎症(1ヶ月) 0:最大~5:なし
・結膜の可動性(1週) 0:可動性なし~5:良好
・結膜の可動性(1ヶ月) 0:可動性なし~5:良好
試験を行ったいずれの多孔性シート(「スポンジタイプLYDEX」)も使用可能であったが、Lot No.5は、特に、シート全体にわたって均一な密度であって取り扱い性に優れていた。
<実施例3>
実施例1と同様にして多孔性シートを得たが、ゲル化反応時の混合水溶液にグリセリン(グリセロール)を加えた。具体的には、次のように行った。
全体が柔らかいシリコン製の容器の底面積×高さ 0.7 mmの量の総溶液量となり、かつ 第1反応剤溶液(AD-aq):第1反応剤溶液(ASAPL-aq):グリセロール=42.5:42.5:15になるように各溶液の分量を計算し、秤取った。この際、容器に、AD-aq とグリセロールを加え、スパーテル等の道具を用いて、よくかき混ぜた。そして、さらに、SAPL-aq を加えて、同様に混ぜると、混合液に粘り気が出てきた。この段階で、容器の底一面に混合液を広げ、室温下で10分程度静置し、ゲル化させた。ゲル化を目視で確認した後に、容器ごと真空乾燥機で乾燥させた。この際の温度設定は30℃以下が望ましい。乾燥後は、破れないように注意して容器からフィルムを剥離し、必要に応じて整形する。
なお、高さ 0.7 mm 量の液量で作製した場合、厚さ約 0.4 mm のフィルムができた。分厚くする場合は、液量を増やせばよかった。薄くする場合は、これ以上液量を減らすと容器の底面一面に液が行き渡らないので難しかった。
<参考例>
上記と同様の手順にて、微細な球形(マイクロビーズ状)の多孔体を得た。すなわち、ビーカーに 2% ソルビタンモノオレートを含む流動パラフィンを入れ、撹拌子を用い攪拌する。攪拌中の上記溶液にデュアルシリンジを用い、液体 LYDEX(AD-aq および SAPL-aq)を一滴一滴が目視できる速度で滴下する。攪拌速度および滴下速度(一滴の滴下量)を調節することで、ビーズのサイズを調節できる。滴下後、溶液が白濁する。白濁した後も10分以上は攪拌する。攪拌後、室温または4℃下で一晩静置し、白濁の沈降物と上清を分離した。分離した上清は廃棄し、沈降物にアセトンを加え、攪拌すると、白色の粒子が確認できる。上清中の粒子をメッシュ(任意のサイズ)で濾し、ビーカーの底の沈降物と共に回収し、沈降物を少量ずつ濾紙の上に乗せ、アセトンを用いて洗浄を行う。洗浄は、毎回濾紙を新しいものに変えて行い、濾紙にパラフィンの染みがなくなるまで行う。得られた粒子をアセトンが蒸発するまで乾燥させ、マイクロビーズ状のLYDEXを得る。得られた多孔体は、いずれもほぼ球形であり、径が、ほぼ10~30μmであった。
マイクロビーズ状の多孔体は、シリンジにて手術の箇所に注入することができるが、接着性を有していないため、所定の箇所に固定して配置するのが困難であった。マイクロビーズ状の多孔体は、網状の多孔体や、塊状のハイドロゲルなどと組み合わせる場合に利用可能と思われた。

Claims (5)

  1. 重量平均分子量が1万~500万であって、無水グルコース・ユニットあたりのアルデヒド基導入量(mol/AGU)が0.4~0.7である、第1反応剤としてのアルデヒド化グリカンと、
    重量平均分子量が1000~10万であって、残存アミノ化率が80~99%である、第2反応剤としてのカルボン酸無水物添加ポリ-L-リジンとの反応生成物により形成される樹脂材からなる連通気孔の多孔性シートであって、
    アルデヒド基/アミノ基の反応モル比が0.9~1.1であり、
    見かけの密度(かさ密度)が0.1~0.25g/cm3であり、
    厚さが0.1~0.8mmであることを特徴とする眼科用癒着防止材。
  2. 前記樹脂材には、グリセリンまたはその他の水溶性の低分子化合物からなる保湿性可塑剤が、第1反応剤と第2反応剤との合計重量に対して、30~100重量%または50~90重量%となる量で含有されていることを特徴とする、請求項1に記載の眼科用癒着防止材。
  3. 実体顕微鏡で、表面または切断面を観察した場合に、長軸径が80μm以上の空隙を有しないことを特徴とする、請求項1または2に記載の眼科用癒着防止材。
  4. 眼科用癒着防止材が緑内障手術用であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の眼科用癒着防止材。
  5. 請求項1~3のいずれかに記載の眼科用癒着防止材の製造方法であって、
    前記第1反応剤と、前記第2反応剤とを混合して、水の存在下で反応させ、この際、ポリマーの濃度が8~20%となるようにし、反応により得られたハイドロゲル、またはゲル化の前の懸濁液を凍結乾燥させることで多孔性シートを得ることを特徴とする眼科用癒着防止材の製造方法。
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