JP2023052524A - 迅速な核酸抽出、精製および分析のためのシステムならびに方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】骨、歯または精液試料のごとき核酸含有材料からの迅速な核酸抽出のための方法およびキットを提供する。【解決手段】骨および歯について、方法は、核酸抽出に適する形態の核酸含有材料を提供し、溶解緩衝液を核酸含有材料に添加して混合物を得、等価な方法により混合物を約30秒以上混合し、次いで、遠心分離により前記混合物を分離して、液体上清を得ることを含む。液体上清は、通常または迅速なDNA分析によるSTRプロファイリングを含む分析に用いることができる、抽出された核酸を含有する。精液については、その方法およびキットは、適切な量の精子破壊剤を適用することを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、核酸抽出、精製および分析のためのシステムならびに方法に関する。より詳細には、1つの態様において、本発明は、法医学、行方不明者および集団災害の環境から得られる骨、歯および精液試料を含めた試料からの核酸の迅速な精製および分析に関する。
科学捜査において、主要目的は、犯罪、テロリストの活動および攻撃の場面ならびに集団災害現場で見出された骨、歯、血液、精液、唾液および体毛のごとき生物学的証拠源を鑑定することである。DNA鑑定は、非常に高度の確実性を持ってかかる材料源を同定する手段を提供してきた。今日の科学捜査コミュニティーにおいて、大部分のDNA鑑定方法は、短鎖縦列反復配列(STR)として知られるあるクラスのDNA伸張の反復を含む小領域のヒトゲノムの増幅に基づいている。所与のSTRの単位長は、典型的には2~10塩基対の範囲にあり、STRは、一般的に非コードおよびフランキング配列内、時々、コード領域内にある。ヒトゲノムにおいて、数十万のSTR遺伝子座が存在し、それは平均して6~10kb毎に生じ、高度に多形性のようである。ゲノム中の所与のSTR部位または遺伝子座での反復数は、個体の細胞の特性であり、いくつかのSTR遺伝子座での反復数を決定することにより、個体特有の「DNA指紋」(「STRプロフィール」または「DNA ID」ともいう)を生成することができる。
STRプロフィールは、一連の3つの基本方法によって生成される。第1には、DNAは、試料収集デバイスまたは担体(substrate)(例えば、スワブ)の細胞から精製される。これは、細胞を開いてDNAを遊離させ、次いで、タンパク質、他の生体分子および細胞デブリ(debris)を除去して、精製または部分精製されたDNA溶液を生成することを含む。第2には、STR遺伝子座のセットをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)として知られる方法を用いて複製(増幅)する。標的STR遺伝子領域に結合するプライマーは、前記プライマーを含む増幅された断片がレーザー誘起蛍光によって検出できるように、複数の蛍光色素で標識される。多数の色素(50を超える)が蛍光励起用途の使用に利用可能である。これらの色素は、フルオレセイン、ローダミンAlexaFluor、Biodipy、クマリンおよびシアニン色素系からのものを含む。さらに、クエンチャーも、背景蛍光を最小化するためにオリゴヌクレオチド配列を標識するのに利用可能である。410nm(Cascade Blue)~775nm(Alexa Fluor 750)の発光最大を持つ色素が入手でき、用いることができる。500nm~700nmの範囲にある色素は、可視スペクトルにあるという有利さを有し、通常の光電子増倍管を用いて検出できる。広範囲の入手可能な色素が、検出範囲にわたり広がる発光波長を有する色素セットの選択を可能にさせる。多数の色素を識別できる検出システムは、流動細胞計測適用につき報告されている(Perfettoら, Nat. Rev. Immunol. 2004, 4, 648-55; およびRobinsonら, Proc of SPIE 2005, 5692, 359-365参照)。
蛍光色素は、典型的にはそれらのピーク発光波長からブルーシフトした20~50nmであるピーク励起波長を有する。その結果、広範囲の発光波長にわたる色素の使用は、発光波長範囲にわたる色素の効率的な励起を達成する励起波長を持つ複数の励起源の使用を必要とし得る。別法として、エネルギー伝達色素を利用して、単一の発光波長をもつ単一のレーザーが、注目するすべての色素を励起させるために用いられることを可能にすることができる。これは色素標識にエネルギー伝達部分を付着するにより達成される。この部分は、典型的には光源(例えば、レーザー)の励起波長と互換性を持つ吸収波長を持つもう一つの蛍光色素である。放射体(emitter)と近接したこの吸収体の配置は、吸収エネルギーが吸収体から放射体に転移されることを可能にし、長波長色素のより効率的な励起を可能にする(Juら, Proc Natl Acad Sci U S A 1995, 92, 4347-51)。第4の色素はSTR断片のサイズ決定のために標準マーカーとして用いる。
第3には、複製されたSTR断片のサイズは電気泳動によって決定される。STR断片は、ゲル様物質を介して電流により運ばれ、より小さな断片は、より大きな断片よりゲルを介してより速く移動する。検出窓にて、レーザーを用いて、4種の蛍光色素を励起させる。色素は発光し、次いで、それを検出し用いて、各STR断片のサイズを決定する。自動または手動にて操作されたエキスパートシステムはサイズパターンを分析し、最終的なSTRプロフィール-個体のDNA指紋を生成する。基本的な3工程のDNA指紋生成を改変し;例えば、試料中の細胞を溶解してもよく、得られた細胞抽出液を(DNA精製なくして)増幅に移し得ることに注意されたし。同様に、増幅したDNA断片は質量分析法を含めた方法によって同定できる。
STR分析は1990年代の初めに最初に応用され、それ以来、法医学設備における主要ツールになり、増大するセットの適用は、法的執行、親子鑑別、集団災害、入国管理および性的暴行の場合におけるヒト同定、未請求の未成年者(児童)立証および人身売買を含む。米国において、選択されたヒト試料から生成されたSTRプロフィールは、統合DNAインデックスシステム(Combined DNA Index System: CODIS)に収集されている。この電子データベースはFBIによって1997年に確立され、データ提出用の1セットの13の四量体STR遺伝子座に標準化され、2017年1月には、FBIデータベースに利用されているコア遺伝子座数は、20にまで拡張された。米国外の他のSTRデータベースは、CODIS遺伝子座の重複する部分集合を含む。DNAプロフィールを生成するために、非常に重要な第1の工程は、注目する試料からDNAを得ることである。
法医学試料は特有の課題を示す。本明細書に示した発明は、法医学研究室で処理するための最も困難なものうちの骨、歯および精液試料につき解決策を提供する。骨および歯について、異なる段階の分解での材料からDNAの抽出を可能にする普遍的なプロトコールは存在しない。DNA抽出の効率、脱塩レベル、試料中の低含量のDNAの問題、阻害剤による汚染度のすべてが、重大な問題を引き起こす。少なくとも2つのタイプの精液試料は関連性がある。第1に、比較的純粋な集団の精子を含む精液汚れ(シミ;stain)は、例えば、強姦被害者の衣類物品または露出した皮膚に見出し得る。第2に、性的暴行キット(Sexual Assault Kit)試料(SAK)は、しばしば膣スワブまたは子宮頚部スワブを含み-かかるスワブは、膣および子宮頚部の細胞(膣および子宮頚部上皮細胞を含む)ならびに精子の混合物を含み得る。加えて、双方の精液試料タイプは、合意のパートナーまたはさらなる性的暴行者に由来したとしても、1名を超える男性からの細胞を含み得る。また、男性および女性の細胞の分離および混合物のディコンボリューション(deconvolution)は課題を示す。
関連する課題は、処理プロトコールの開発および使用に関し、迅速DNA鑑定のための処理プロトコールを含む。処理プロトコールは多数の種々の分野において非常に重要である。処理プロトコールを創生しそれに従って、同様の試料タイプを同様の方法で処理することを保証する。かかるプロトコールの使用は、一貫した処理結果を提供することを助け、その結果が一貫しない場合には、その差異が、処理自体により生じた変動に起因しないことを保証する。STR解析に関して、ある種のプロトコールは、完全な科学原理の問題だけでなく連邦規制へのコンプライアンス内に留まるように従わなければならない。マニュアル処理のためまたはフィールド・フォワード(field-forward)使用もしくは迅速処理についてではなく開発されたプロトコールは、フィールド・フォワードの法医学を含めた法医学的使用に完全には適することができない。発明者らは、本願明細書において、自動プロセス、速いプロトコールおよび法医学的試料の必要性により示されたユニークな課題を解決する新規な創造的プロトコールを示す。
骨のごときある種の生物学的証拠からの効率的な核酸精製において依然として主要課題が存在する。骨マトリックスが分解から核酸を保護するために、生物学的証拠が様々な環境条件に曝露されたシナリオ下、骨は核酸の良好な源である。骨からの核酸抽出の現在の方法は、分析に適する品質の核酸を得るために数時間または数日さえかかるという点で、一般的に扱いにくく、長く、非能率的である。骨および歯の精製プロトコールは、冷凍粉砕機またはブレンディングカップ(blending cup)(Loreilleら, FSIG 1 (2007), 191-195; JohnstonおよびStephenson, JFS 61 (2016), 898-902; Turinganら, Inv. Genetics 7 (2016), bone slices generated using a rotary dental saw or its equivalent (Kitayamaら, Legal Med 12 (2010), 84-89)および関連プロトコールによって微粉砕された骨または歯の粉末からのDNAの抽出および精製に基づいている。粉末でのプロセスを始める必要性は、扱いにくい装置を必要とし、その技術を精巧な研究室に制限する。加えて、粉末化装置および歯切断ディスクは、空中生物学的試料の生成を引き起こしかねなく、操作者への付随する健康リスクならびに試料間汚染の付帯リスクを含む。さらに、骨粉末または骨切片の広範囲の脱塩は、しばしば撹拌を含む高温度での一晩の脱塩(例えば、Lee HYら, Forensic Science International: Genetics, 4 (2010) 275-280参照)を必要とし、時間がかかり、および精巧な装置も必要とする。最終的には、先行技術のプロトコールは、脱塩される骨粉末量に対し大容量の脱塩緩衝液に基づき、複雑な試薬ミックスに依拠する。大容量の脱塩緩衝液は、引き続いての処理(例えば、精製)および分析のための適切な体積を得るために、(濃縮膜をしばしば用いて)濃縮を必要とする。濃縮はさらに時間および複雑さ(complexity)を全方法に加えるさらにもう一つの工程である。総合すれば、骨からのSTRプロフィールの生成に対する時間が、法執行の法医学研究室、検死局および検視局における主要な問題である理由は少しも不思議ではない。
現在まで、骨および歯の粉末のSTR解析は通常の研究室で行なわれている。労働、機械使用および時間への投資は、このアプローチのユーティリティーを劇的に制限してきた。多数の法医学研究室が、高度に専門的な研究室に骨および歯の処理を送り、それはDNA指紋結果を戻すのに一年またはそれ以上かかりかねず、かつそれさえする能力を制限してきた。その結果、その40~80,000体の未鑑定死体が、今や検視局および検死局にあり、それらを同定できる前に、多数が埋葬または火葬されていると見積られている。同様に、航空機墜落のごとき比較的小さな災害でさえ、死体部分が法医学研究室によって鑑定されるのに数年かかりかねない。大きな集団災害が生じた場合、身体は、数年または数十年間未確認であり得る。2004年のインド洋地震および津波は、惨事の例であり-10年を超えた後に、何千もの犠牲者が未確認のままである。
従来および迅速DNA分析システムの双方の分析システムは、注目する試料のより速く、より単純でより効率的な処理から大いに利益を得るであろう。本発明における方法およびキットは、以下の態様において驚くべきものである。第1には、本発明において、骨または歯の粉末を生成する必要性は除去された。予期せぬことに、ハンマーまたはモルタルおよび乳棒(pestle)またはレンガ(または同様の材料)の少数の強打が、さらなる処理のために試料を十分に細かく砕く。打砕き(hammering)により脱塩のために生成された表面積は、驚きべきことには、空中骨粒の生成を回避しつつ、効率的な脱塩を可能にするのに十分な表面積を生成する。第2には、骨試料の脱塩のプロセスは60分未満かかり、多数例において一般的には10分間が適用可能であり、わずか1分間だけで十分である。歯については、脱塩のプロセスは約180分かかり、多数例において10分で十分である。第3には、先行技術プロトコールは、骨粉末および切片から核酸を抽出するために一晩の脱塩を必要とし、しばしば、DNAを損傷しかねない加熱工程を含む。Higginsら, Forensic Sci Med Pathol 2014, 10:56-61; Amoryら, Forensic Science International: Genetics 6 (2012) 398-406; Loreilleら Forensic Science International: Genetics 1 (2007) 191-195;およびLeeら Forensic Science International: Genetics 4 (2010) 275-280参照。Loreille方法において、大容積の緩衝液を用いる骨粉末の総溶解が分析に必要であり、DNAの精製ための有機抽出に続いての試料濃縮が必要であった。したがって、Loreille方法は、過剰な試料操作および時間を必要とし、それらの双方はそのプロセスを精巧でかつ設備の整った研究室に制限し、研究室の処理能力を劇的に制限する。ヒギンズは、より低い体積のアッセイを用いつつ、一晩のインキュベーションおよび面倒な精製を依然として要求するLoreille方法の改変である。加えて、そのプロトコールは、さらなる試薬であるキャリアRNAの使用を必要とし、さらなる処理工程を含む。キャリアRNAは、DNA収量を増加させるために添加されることを教示されるが、しかしながら、その添加の結果、DNA回収を高めない。リー法はより多数の試薬を用い、Loreilleまたはヒギンズのいずれよりもさらに複雑である。第4に、標準的分析法は、大容量の脱塩緩衝液を用い、それは、溶液ならびに引き続いてのDNA濃縮および精製の処理を従来の迅速なDNA分析についてより課題とする。総合すれば、これらの方法のいずれもフィールド・フォワードの迅速DNA鑑定に適切ではない。
また、第4には、本発明の方法は、脱塩試薬を含めた特殊な試薬を用いる。本発明において、脱塩溶液は最小のEDTA緩衝液体積だけを含み、骨およびSTRプロフィール生成からの下流精製に先立つ迅速な脱塩を含む。発明者らは、本明細書において予期しない結果を示し、溶解緩衝液/洗浄剤およびプロテイナーゼKを含有し得る脱塩溶液が高い初期体積(1gの試料の完全な溶解のために約15ml)を含有することを必要としないことを含む。溶解緩衝液/洗浄剤および高い初期体積のEDTAを用いる先行技術方法は、長いインキュベーション工程に続いての試料濃縮後のDNA精製の使用を教示する。発明者らは、これらの工程が必要ではないという予期しない発見を示す。同様に、脱塩された骨および歯からのDNA抽出のための先行技術プロトコールは、有機抽出法を含む。精液試料から核酸を単離するための先行技術プロトコールは、遠心分離、洗浄およびインキュベーション工程を含めた、それらが通常見出される粘液環境から細胞を単離および溶解するのに必要な複雑な試薬および長い処理工程の使用を必要する。発明者らは、本明細書において、骨、歯および精液試料から核酸を単離するための新規で予期しないプロトコールを示し、従来の知識を一掃する。
本発明の単純化された解決策およびプロトコールは、試薬および原料コストを低減するだけでなく、広範囲の操作中に処理時間、および試料損失についてのポテンシャルを実質的に減少させる。実際には、本発明は、部分的に、呼出可能(callable)なSTRプロフィールの生成ためのより長いインキュベーションおよび高い緩衝液体積を含む総脱塩について、試料を完全に溶解する必要性が存在しないという予期しない発見に基づいている。本発明の解決策およびプロトコールは、試料インから結果出力処理ができる統合バイオチップおよび計器システムでの使用に容易に適合する。
本発明の解決策およびプロトコールは、CODISデータベースにアップロードできるSTRプロフィールを生成するための十分な量において核酸を抽出することができる。例えば、本発明のプロトコールを用いて15個の新鮮な骨試料から、発明者らは、1mgの骨当たり4.2ng~108.1ngの核酸収量を得た。加えて、12個の新鮮な歯試料から、発明者らは、1mgの歯根当たり0.1ng~2.7ngの核酸収量を得た。最後に、本発明の解決策およびプロトコールは、高低のDNA含量統合迅速鑑定システム(DNA content integrated Rapid DNA Identification systems;各々、AチップおよびIチップを用いる)における使用に適合でき、試料インから結果出力処理を含む。また、自動データ処理および自動エキスパートシステム分析が、迅速DNA鑑定システムに組み入み得る。
精液からのDNA抽出のためのプロトコールに関して、従来の迅速DNA分析システムのために利用することができるより速く、より単純で、より効率的な方法が開発されてきた。体細胞のための標準DNA精製方法は、高度のそれらの核圧縮(compaction)、およびジスルフィド結合における豊富な保護膜の存在により精子細胞を溶解するには効果がない。標準溶解方法への変更は、溶解を妨害するこれらのジスルフィド結合を崩壊させる強力な還元剤の添加を含む。これらの別法の方法は、DNAの必然的な単離および精製を可能にするために、高温でのプロテイナーゼKでの長いカオトロピックな消化、およびジチオトレイトール(DTT)のごとき還元剤とのインキュベーションに主として依存する。また、哺乳動物精子DNA単離の迅速な方法は、カオトロピックな溶解緩衝液の存在下、室温での5分間の均質化のためスチールビーズおよびDTTに代えてのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の添加を用いて行われてきた(Wuら Biotechniques. 2014; 58(6): 293-300)。この方法は、加熱および遅いインキュベーションの除去により実質的に時間および複雑さを減少させ、無臭の精子破壊剤(sperm disruption agent)を用いるが、機械的ビーズ均質化技術は、常に利用可能であるとは限られなく、下流の処理のための高度に熟練した専門家、精巧な装置およびクリーンアップ/ビーズ単離を依然として必要とする。要するに、-研究室環境である。本発明において、精液試料は、スワブ(ニートの(neat)精液、ファブリック(fabric)、カーペット、皮膚、タイルまたは他の担体上の乾燥した精液から調製されたか、または性的暴行キットから精子を単離した)に取集され、次いで、精子破壊剤(例えば、150mM DTTまたは50mM TCEP)が単に加えられる。10分間、多数の例において、1分ほどの室温でのスワブ上の精液のインキュベーションは、ANDE迅速DNAシステムを用いて、DNA指紋を生成するのに十分であった。
性的暴行キットにおいて、膣スワブは、しばしば1を超える寄与者(contributor)からの細胞を含有する。しばしば、そのスワブは女性犠牲者および男性加害者からの細胞を含有するであろう。したがって、「混合」DNA ID(ここに、2以上の個体からのDNA IDが存在する)を回避するために、精子は膣上皮細胞から分離し得;この分離を達成するための処理は、DNA抽出および/または精製工程に先立って必要である。分別溶解方法は、ギルおよび同僚によって1985年に記載され、それは溶解された上皮細胞のDNAから無傷の(intact)精子を分離することに依拠する。時間を縮小しかつ効率を改善する方法へのいくつかの変更がこの数年にわたってなされたが、基本的な概念および方法は変わらなかった。分別抽出は時間消費であり、面倒で、精巧な研究室および高度に熟練した専門家を必要とする。溶解された女性画分からの無傷の精子細胞の物理的分離は、ペレット状の精子細胞の遠心分離および反復洗浄によって達成される。代替方法は、ヌクレアーゼ酵素を用いる可溶性DNAの選択的分解による時間消費の洗浄工程を除去する(Garvinら Investigative Genetics 2012 3:25)。商業的に入手可能なキット、Sperm Erase (Paternity Testing Corporation)は、後者のアプローチを利用する。先行技術方法を用いるSAKの処理は、初期の上皮細胞溶解から精子画分の生成まで2~5時間を必要とする。
本発明は、予期せぬことに室温にて10秒間で行なうことができる上皮細胞を溶解する迅速な方法を提供し;従前のアプローチは少なくとも1時間を必要とし、典型的には加熱を必要とする。さらに、本発明は、全体の処理時間を低下させつつ、精子細胞DNAの有効な単離および精製を可能にするために、物理的分離および化学分解技術の双方が効率的に組み合わせた方法を提供する。
本発明の1つの方法において、精子ペレットは、ヌクレアーゼ活性につき最適化された洗浄緩衝液で1回洗浄される。反復される洗浄工程の除去は、時間を改善するだけでなく、潜在的な精子細胞損失を低下させる。洗浄緩衝液は室温にて安定し、ヌクレアーゼの添加のための反応を準備し、したがって、SAK処理キットにおけるより少ない試薬とする。ヌクレアーゼはいずれの可溶性DNAも分解し、次いで、0.5M EDTAを含む停止液を添加して、酵素を失活させる。精子細胞の溶解を可能にするために、精子破壊剤(約150mM DTTまたは50mM TCEPの最終濃度を持つ)は、迅速なDNA分析のためのスワブで液体を収集するのに先立ち混合物に添加される。男性画分の生成は32分間で完了した。初期の分離のための遠心分離時間を減少させてヌクレアーゼの活性をクエンチするための時間の減少により、約22分間での分析用精子画分の生成を可能にした。
さらに、方法工程が、専門外の人員によって行い得るように単純化された。実際には、性暴力被害者診察看護師(Sexual Assault Nurse Examiners)、法医学看護士(Forensic nurse)または他の病院人員はその作業を法医学的研究室外で行なうことができる。作業が病院(病院研究室でさえ)で行なわれるならば、警察署/法医学的研究室への輸送時間が除去される。本発明の教示が一緒に得られると、訴訟可能なDNA ID結果のすべての迅速な生成を生じる。結果を迅速に生成することによって、法執行調査はより迅速に進めて、無罪の人々の理解および免責(apprehension and exoneration)を疑うように導くことができる。多数の犯罪者が常習犯である(例えば、典型的な性的暴行者が逮捕される前に10件を超えるレイプを犯す)ので、本明細書の教示が劇的に犯罪を低減し、治安を改善すると期待することができる。
第1の具体例において、発明者らは、骨または歯の試料から核酸を抽出する方法を提供し、前記方法は、核酸抽出に適する形態の試料を提供し;脱塩緩衝液を核酸含有材料に添加して、混合物を得;前記混合物を激しく混合し;次いで、前記混合物を分離して、液体上清を得ることを含み;ここに、前記液体上清は前記の抽出された核酸を含むことを特徴とする。関連する具体例において、分離工程は核酸を濃縮することを必要せず、脱塩の結果、骨試料を完全に溶解させない。
もう一つの具体例において、発明者らは、骨または歯の試料からの核酸抽出方法を提供し、前記方法は、核酸抽出に適する形態の試料を提供し;500μl未満の0.5M EDTAまたは等価な脱塩緩衝液を核酸含有材料に添加して、混合物を得;前記混合物を激しく混合し;加熱を加えることなく、少なくとも1分間混合物をインキュベートし;前記混合物を分離して、濃縮なく液体上清を得ることを含み、ここに、前記液体上清は、抽出された核酸を含有することを特徴とする。
さらにもう一つの具体例において、発明者らは、核酸含有材料からの核酸のSTRプロフィールを決定するための方法を提供し、前記方法は、核酸抽出に適する形態で核酸含有材料を提供し;脱塩緩衝液を核酸含有材料に添加して、混合物を得;前記混合物を激しく混合し;前記混合物を分離して、液体上清を得、ここに、前記液体上清は前記の抽出された核酸を含み;次いで、液体上清の一部分を核酸分析に付して核酸含有材料から核酸のSTRプロフィールを決定することを含むことを特徴とする。
もう一つの具体例において、発明者らは、精液試料からの核酸のSTRプロフィールを決定するための方法およびキットを提供し、前記方法およびキットは、輸送媒体上に精液試料を収集し;輸送媒体上に適切な量の精子破壊剤を適用することを含む。関連する具体例において、輸送媒体は迅速DNA分析システムにスワブを挿入し得る、またはSTR分析のために処理され得る。
もう一つの具体例において、性交後の膣スワブ中の精子細胞から女性上皮細胞を単離するための方法およびキットは、輸送媒体からの上皮細胞の溶解;溶解された上皮細胞からの無傷の精子細胞の物理的分離;無傷の精子細胞からの女性の水性画分の除去;洗浄緩衝液によるペレット状の無傷の精子細胞の洗浄;ヌクレアーゼ処理によるいずれの可溶性DNAの分解;ヌクレアーゼの不活性化、精子破壊剤(例えば、DTTもしくはTCEP、他の化学薬品または物理的方法)による精子細胞の溶解;および溶解された精子画分の収集を含むことを特徴とする。
さらにもう一つの具体例において、発明者らは、精子の含有が疑われる試料からの核酸抽出方法を提供し、前記方法は、前記試料を第1の溶解溶液を含有する試料容器に挿入し、撹拌して、第1の混合物を作製し;前記第1の混合物を遠心分離し;緩衝液で前記第1の容器中のペレットを洗浄し;第1の容器を第2の遠心分離に付し、前記試料中に存在するいずれの精子も再ペレット化し;DNAを分解するのに十分な量でかつ十分な条件下で、ヌクレアーゼを含有する第2の容器に少なくとも一部分の精子を移し;精子破壊剤を添加し;さらなる処理のための破壊された精子画分の回収することを含む。
当業者には明らかであろうように、核酸の抽出、精製および分析の独創的な方法の結果、限定されるものではないが、統合バイオチップ中の下流処理を含めたさらなる分析に適する出力を生じる。この要約において言及された具体例は、本願のまたはいずれの関連もしくは無関係な出願の特許請求の範囲を制限するようには意図されない。他の態様、具体例、特許請求された発明に対する変更およびその発明の特徴は、本明細書における開示を考慮して当業者に明らかになるであろう。
図1は、新鮮な大腿骨試料の200mgの凍結粉砕された骨粉末から精製された核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。試料は1分間脱塩し、Aチップにおいて分析した。 図2は、新鮮な大腿骨試料の10mgの凍結粉砕された骨粉末から精製された核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。試料は1分間脱塩し、Iチップにおいて分析した。 図3は、人工的に経時変化させた大腿骨試料の500mgの凍結粉砕された骨粉末から精製された核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。骨は84°Fの塩水中に4日間浸漬し、清浄化および乾燥し、1分間脱塩し、次いでIチップにおいて分析した。 図4は、人工的に経時変化させた大腿骨試料の200mgの凍結粉砕された骨粉末から精製された核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。骨は84°Fの塩水中に4日間浸漬し、清浄化および乾燥し、1分間脱塩し、次いでIチップにおいて分析した。 図5は、人工的に経時変化させ分解させた大腿骨試料の500mgの打砕かれた骨片から精製した核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。骨は84°Fの塩水中に4日間浸漬し、清浄化および乾燥し、1分間脱塩し、次いでIチップにおいて分析した。 図6は、人工的に経時変化させ分解させた大腿骨試料の200mgの打砕かれた骨片から精製した核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。骨は84°Fの塩水中に4日間浸漬し、清浄化および乾燥し、1分間脱塩し、次いでIチップにおいて分析した。 図7は、Loreilleら Forensic Science International: Genetics 1 (2007) 191-195によって報告された核酸抽出法を用いて、人工的に経時変化させた大腿骨試料の500mgの凍結粉砕された骨粉末から精製された核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。骨は84°Fの塩水中に4日間浸漬し、清浄化および乾燥し、次いでIチップにおいて分析した。 図8は、新鮮な臼歯試料の200mgの凍結粉砕された歯根から精製された核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。試料は10分間脱塩し、Iチップにおいて分析した。 図9は、デニム上の乾燥した精液汚れから精製され、Iチップにおいて分析された核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。 図10は、綿上の乾燥した精液から精製され、Iチップにおいて分析された核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。 図11は、新鮮な大腿骨試料の5mgの凍結粉砕された骨粉末から精製された核酸の27すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。試料は1分間脱塩し、Aチップにおいて分析した。 図12は、新鮮な大腿骨試料の5mgの打砕かれた骨片から精製された核酸の27すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。試料は1分間脱塩し、Aチップにおいて分析した。 図13は、新鮮な大腿骨試料の5mgの凍結粉砕された骨粉末から精製され、Iチップにおける分析のために120μlの骨脱塩された溶液の15μlのみを用いた核酸の27すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。試料注入は、0.6mgの試料と理論上等価である。試料は1分間脱塩された。 図14は、新鮮な大腿骨試料の5mgの打砕かれた骨片から精製され、Iチップにおける分析のために120μlの骨脱塩された溶液の15μlのみを用いた核酸の27すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。試料投入量は、0.6mgの試料と理論上等価である。試料は1分間脱塩された。 図15は、5mgの打砕かれた新鮮な末節骨試料から精製され、Iチップにおける分析のために120μlの骨脱塩された溶液の15μlのみを用いた核酸の27すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。試料注入は、0.6mgの試料と理論上等価である。試料は1分間脱塩された。 図16は、200mgの凍結粉砕された新鮮な歯根(いずれの形態の分解にも付されなかった)から精製された核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。歯は1分間脱塩し、Iチップにおいて分析した。 図17は、人工的に経時変化させた臼歯試料の200mgの凍結粉砕された歯根から精製された核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。歯は84°Fの塩水中に1か月間浸漬し、清浄化し、次いで乾燥させた後、歯冠から歯根を分離し、10分間脱塩して、次いでIチップにおいて分析した。 図18は、法医学的な臼歯試料の200mgの細粉砕された歯根から精製された核酸の16すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。歯は少なくとも2年間土に埋められたと判明し、清浄化し、次いで乾燥させた後、歯冠から歯根を分離し、180分間脱塩して、次いでIチップにおいて分析した。 図19は、新鮮な臼歯試料の10mgの打砕かれた歯根片から精製された核酸の27すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。試料は10分間脱塩し、Iチップにおいて分析した。 図20は、新鮮な切歯試料の10mgの打砕かれた歯根片から精製された核酸の27すべての遺伝子座のSTRプロフィールを示す。試料は10分間脱塩し、Iチップにおいて分析した。 図21は、経時変化した臼歯試料の200mgの打砕かれた歯根片から精製された核酸の部分的なSTRプロフィール(27の遺伝子座のうち24)を示す。歯は地面(field ground)上に120日間位置した人体から取り出し、清浄化し、乾燥させた後、歯冠から歯根を分離し、180分間脱塩し、次いでIチップにおいて分析した。 図22は、500mgの骨粉末試料に添加された脱塩緩衝液の体積(マイクロリットル単位)の関数として精製されたDNAの平均量(ng単位)を示すプロットである。データは四連測定から得て、誤差棒は、1STDEVを表す。このデータは、出発物質としてより少ない緩衝液をより少ない骨(または歯)に用いることができることを発明者らに考えさせた。 図23は、時間の関数として、精製されたDNA(ng単位)で測定された骨の脱塩を示す経時的データである。データは、一晩の脱塩がSTR解析に必要ではないことを示す。本発明の独創的な組成物および方法を用いるSTR解析には1分間の脱塩で十分である。 図24は、洗浄剤の有無でのEDTAを用いた、精製されたDNAの平均量(ng単位)を示すプロットである。このデータは本発明に用いることができる単純化された脱塩緩衝液の比較である。また、データは、単純な0.5M EDTA緩衝液が、骨を脱塩し、かつSTR解析のために十分な量のDNAを得るのに十分であることを示す。 図25は、性的暴行キットの処理のために開発された32分間のプロトコールを示す。 図26は、性的暴行キットの処理のために開発された22分間のプロトコールを示す。溶解された上皮画分から無傷の精子細胞を分離するための遠心分離時間は、20000×gにて5分間から2分間に低減された。また、停止液がヌクレアーゼを非活性化するためのインキュベーション時間は、56Cにて10分間から3分間に低減された。 図27は、開発したプロトコールに基づくSAKキットの成分をリストする。 図28は、32分間のプロトコールを用いて、性交後24時間に収集した膣スワブ(ドナーカップルA/B)から単離された男性画分から精製された核酸の27すべての遺伝子座の男性STRプロフィールを示す。男性の遺伝子型は、男性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて青色矢印によって示される。女性の遺伝子型は女性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて赤色矢印によって示される。 図29は、32分間のプロトコールを用いて、性交後48時間に収集された膣スワブ(ドナーカップルA/B)から単離された男性画分から精製された核酸の27すべての遺伝子座の男性STRプロフィールを示す。男性の遺伝子型は、男性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて青色矢印によって示される。女性遺伝子型は、女性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて赤色矢印によって示される。 図30は、32分間のプロトコールを用いて、性交後72時間に収集された膣スワブ(ドナーカップルA/B)から単離された男性画分から精製された核酸の27すべての遺伝子座の男性STRプロフィールを示す。男性の遺伝子型は、男性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて青色矢印によって示される。女性遺伝子型は、女性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて赤色矢印によって示される。 図31は、32分間のプロトコールを用いて、性交後72時間に収集された膣スワブ(ドナーカップルC/D)から単離された男性画分から精製された核酸の部分的な男性STRプロフィール(27のうちの24)を示す。STRプロフィールには、D2S441、D10S1248およびTPOXについての対立遺伝子がない。男性遺伝子型は、男性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて青色矢印によって示される。女性遺伝子型は、女性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて赤色矢印によって示される。 図32は、32分間のプロトコールを用いて、性交後72時間に収集された膣スワブ(ドナーカップルE/F)から単離された男性画分から精製された核酸の部分的な27の遺伝子座の男性および女性の混合物(女性が少ない)のSTRプロフィールを示す。男性STRプロフィールには、vWAについての対立遺伝子がない。男性遺伝子型は、男性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて青色矢印によって示される。女性遺伝子型は、女性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて赤色矢印によって示される。 図33は、32分間のプロトコールを用いて、性交後72時間に収集された膣スワブ(ドナーカップルG/H)から単離された男性画分から精製された核酸の部分的な27の遺伝子座の男性および女性の混合物(女性が多い)のSTRプロフィールを示す。また、男性STRプロフィールは、D10S1248、PentaE、D5S818、CSF1POおよびSE33についての対立遺伝子がない。男性遺伝子型は、男性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて青色矢印によって示される。女性遺伝子型は、女性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて赤色矢印によって示される。 図34は、32分間のプロトコールを用いて、性交後72時間に収集された膣スワブ(ドナーカップルI/J)から単離された男性画分から精製された27すべての遺伝子座の1:1の男性および女性の混合物のSTRプロフィールを示す。男性遺伝子型は、男性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて青色矢印によって示される。女性遺伝子型は、女性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて赤色矢印によって示される。 図35は、22分間のプロトコールを用いて、性交後72時間に収集された膣スワブ(ドナーカップルC/D)から単離された男性画分から精製された核酸の27すべての遺伝子座の男性STRプロフィールを示す。男性遺伝子型は、男性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて青色矢印によって示される。女性遺伝子型は、女性バッカルリファレンス・スワブの処理に基づいて赤色矢印によって示される。
(発明の詳細な記載)
本発明者は、核酸含有材料、特に、骨、歯および精液(性的暴行キットからの膣スワブを含む)から核酸を抽出し精製するための、より簡単でかつより迅速な方法を発見した。骨および歯については、ハンマーによって生成された単純な断片は、処理に適し、骨/歯の粉末は不必要である。1つの態様において、本発明は、核酸含有材料から核酸を抽出するための単純化され速い方法に指向される。もう一つの態様において、本発明は、核酸含有材料から核酸を抽出するための、単純化され迅速な方法を行なうためのキットである。さらにもう一つの態様において、本発明は、迅速な核酸分析、例えば、STRプロファイリングに基づいた迅速DNA鑑定のための統合方法であり、その試料の処理、DNA抽出、精製、増幅、分離、検出および分析は、速く、効率的で、かつ十分に統合された方法で生じる。
本明細書に記載された本発明は、さらに説明され、および実施可能になり、単独、または他の核酸配列決定およびサイジング手段、バイオチップおよび方法と組み合わせて使用でき、以下の特許:「6以上の色素で標識された断片の多重増幅および検出のための統合システム(Integrated systems for the multiplexed amplification and detection of six and greater dye labeled fragments)を発明の名称とする第9,889,449号および第9,366,631号;「STR遺伝子座の迅速な多重増幅のための方法および組成物(Methods and Compositions for Rapid multiplex amplification of STR loci)」を発明の名称とする第9,797,841号および第9,310,304号;「核酸およびタンパク質の分析のための耐久性が高められた装置(Ruggedized Apparatus for Analysis of Nucleic Acid and Proteins)」を発明の名称とする第9,606,083号;第9,523,656号;第8,206,974号;第8,173,417号;「法医学的DNA定量のための方法」(Methods for Forensic DNA Quantitation)を発明の名称とする第9,550,985号;「標的核酸の迅速な多重増幅のための方法」(Methods for Rapid Multiplexed Amplification of Target Nucleic Acids)を発明の名称とする第9,494,519号および第8,425,861号;「統合核酸分析」(Integrated Nucleic Acid Analysis)を発明の名称とする第8,018,593号;「試料インから結果出力処理および製造方法を提供する単一バイオチップ」(Unitary Biochip Providing Sample-In to Results-Out Processing and Methods of Manufacture)を発明の名称とする第9,354,199号;第9,314,795号;第8,720,036号;「核酸精製」(Nucleic Acid Purification)を発明の名称とする第9,174,210号および第9,012,208号;「プラスティックマイクロ流動分離および検出プラットフォーム」(Plastic Microfluidic Separation and Detection Platforms)を発明の名称とする第8,961,765号および第8,858,770号に記載された本願と共同所有され、その各々は、ここに出典明示して本明細書の一部とみなす。
骨および歯からの核酸抽出方法
1つの態様において、本発明は、骨または歯から核酸を抽出するための単純化され速い方法であり、前記方法は、核酸抽出に適する形態の核酸含有材料試料を提供する工程、脱塩緩衝液、例えば、0.5M EDTA中で試料を激しく混合する工程、混合物を分離して、抽出された核酸を含む混合物の液体部分を得る工程を含む。
いくつかの具体例において、骨および歯の試料は、8時間未満の死後経過時間(PMI)を有するドナーからの新鮮な試料、または2~6日の死後経過時間(PMI)を有するドナーからの比較的新鮮な試料であり得る。他の具体例において、骨および歯は、ケースワーク、災害、行方不明者または関連する試料からのものであり得るかかる試料は、本事例、例えば、新鮮な水、塩水または土壌中または火災もしくは爆発後の腐敗した身体であるので、分解されて得られる。骨および歯の試料は、数年、数十年間または数世紀古いものであり、しばしば風雨に曝露され得る。集団災害、失踪事件、テロリストおよび犯罪事件、および独裁体制により関与された残虐行為において、かかる経時変化した骨からのSTRプロフィールを生成するこの能力は、非常に重要である。
いくつかの具体例において、試料は最初に清浄化され、次いで、核酸抽出に適する形態となるように、摩砕(grinded)される。例えば、試料は水で洗浄され、デブリを除去するためにゴシゴシ洗い、10%の漂白剤溶液に浸漬し、次いで、滅菌水で再び洗浄した後、70%のエタノールで最終洗浄する。エタノールでの最終洗浄の後、試料を室温にて乾燥し、例えば、凍結ミルにより摩砕して、粉末化した試料とするか、または打砕いて断片化または粒状の(granulated)試料とし得る。絶対には必要ではないが、クリーニングは、多量の微生物汚染物質と同時に重要なことには、ヒトハンドリングにより導入されたヒトDNAまたは2以上の試料ドナーからの混合物を除去し得る点で有利である(クリーニングが利用されないならば、潜在的な混合プロフィールはマニュアルまたはソフトウェアを用いて解析し(deconvolve)得る)。後記されるごとく、作業が研究室外で行なわれる場合に細粉砕は必要ではなく、重要な考慮すべきものである。
いくつかの具体例において、骨もしくは歯試料は細粉砕または粉末化し得る。例として、1片の骨は、多数の技術、例えば、3サイクルプログラム、10分間の事前冷却、2分間の試行時間、2分間の冷却時間により、1秒間当たり10サイクルの速度でのSPEX Sample Prep 6870 Large Freezer/Mill(登録商標) (SPEX Sample Prep LLC, Metuchen, NJ)を用いて、細粉砕し得る。経時変化し乾燥した骨試料は、このプロトコール後に完全に細粉砕し得るが、新鮮な骨を用いる場合、少数のより小さな断片が残存し得る。新鮮な骨については、細粉砕された試料は、細粉砕サイクルの完了後のさらなる処理のために収集し得る。粉末化された骨または歯の試料は、無菌チューブ容器に移し得る。
他の具体例において、骨または歯の試料は打砕いて(hammered)断片化し得る。また、骨または歯の粗い破損は有効であり得る。例えば、1片の骨または歯は、DurX(登録商標)770 (Berkshire Corporation, Great Barrington, MA) ワイプ (ポリエステル/セルロース材料の不織布シート)または同等物で包み得る。清潔なハンマーまたは同様の硬い鈍器、例えば、石(洗浄され、利用可能な場合、エタノールワイプできれいに拭かれた)を用いて、試料片がより小片に壊れるまで、骨または歯は数回打ち得る。ハンマーで異なる角度で骨または歯の試料を打つことは、より小さな断片中への試料の破壊を促進し得る。骨を打砕く場合、小さな骨髄片は直ちに収集し得る。より硬い骨小片(bit)(初期打砕きに耐性のもの)は、新しいDurX(登録商標)770ワイプで骨片を包み、数回打つことにより再度より小片に打砕くことができる。処理用骨片の理想的なサイズは、好ましくは約1/8インチ以下である。一般的には、細粉砕または打砕きの効果は、小断片を生成し、さらなる処理にアクセス可能な骨の曝露表面積を増加させることである(それにより、引き続いての抽出および精製工程を増強する)。
摩砕もしくは打砕かれた骨または歯の試料は、脱塩緩衝液中で激しく混合して、骨マトリックスを脱塩し、結果的にDNAを遊離し得る。いくつかの具体例において、脱塩緩衝液は、いずれの他の化学薬品を含むことなく、単純に0.1M~1M、好ましくは0.3~0.7M、より好ましくは0.5MのEDTA濃度を持つEDTA溶液であることができる。他の具体例において、脱塩緩衝液、例えば、0.5M EDTAは、溶解緩衝液のDTT(0.02M)およびプロテイナーゼKをさらに含み得る。依然として他の具体例において、脱塩緩衝液、例えば、0.5M EDTAは、さらに、洗浄剤、例えば、0.5%のSDSもしくは1%のラウロイルサルコシナートまたは同等物、プロテイナーゼK(3~4mg)、あるいは双方を含み得る。
試料に添加された脱塩緩衝液の体積は、処理される試料量、そのサイズおよびテクスチャー(texture)に依存して変化し得る(打砕かれた骨は、細粉砕された骨より少なく吸収する傾向があり;時間経過し乾燥した骨は、より新鮮で赤色骨髄含有試料より多く吸収する傾向がある)。図20は、500mgの骨粉末試料に添加した脱塩緩衝液の体積の関数としての平均量の精製されたDNA(ng単位)を示す。データは四連の測定値からのものであり、誤差棒は1標準偏差を表す。このデータは、先行技術方法によって用いたよりはるかに少ない緩衝液で十分な脱塩を達成することができることを示す。≦10mgの細粉砕または打砕かれた骨について、120μlの緩衝液で十分である。200mgの骨について、200~220μlの緩衝液で十分である。500mgの骨について、320~350μlの緩衝液で十分である。先行技術方法は、骨の完全な溶解が、DNAが細胞中に捕捉され、解放された法医学的な試料であって、STR処理に利用可能であるヒドロキシアパタイト(hydroxyapetite)に結合させることを必要とするという不正確な仮定に基づいていた。発明者らは、本明細書において、これがそうでなく、単純な脱塩溶液を用いて部分的に脱塩された骨が、優れたSTRプロフィールの生成を可能にすることを示す。図21は脱塩の時間的経過を示す。DNA収量/200mg骨粉末(ng単位)はX軸上の時間の関数としてY軸上にプロットする。データは、STR分析のために十分なDNAを得るためには、一晩の脱塩が必要とされないことを示す。その図におけるデータは、6つの測定値からのものであり、誤差棒は1標準偏差を表わす。
本発明は、前処理効率を危険にさらさずに、試料濃縮の長いプロセスを除去し、かつ通常の研究室または迅速DNA分析方法によって分析される液体の体積を最大化するように設計し得る。いくつかの具体例において、300~350μlの脱塩緩衝液、例えば、0.5M EDTAは、500mg毎の骨または歯に用いてもよく;150~220μlの脱塩緩衝液、例えば、0.5M EDTAは、100~200mg毎の骨または歯に用いてもよく;また、100~150μlの脱塩緩衝液、例えば、0.5M EDTAは100mg未満の骨または歯に用いてもよい。
本発明はいくつかの脱塩緩衝液で実施でき、脱塩緩衝液は、限定されるものではないが、1%のサルコシン、0.002%のSDS、0.5%のSDSおよびその他を含むことができ、0.5M EDTAが好ましい。先行技術方法は、0.5%のEDTAが、STR分析に有用である骨の十分な脱塩を得るために洗浄剤およびプロテイナーゼKの使用を必要とすることを示唆する。図22は、これがそうではないことを示す。図22は、本発明の単純化された脱塩緩衝液の結果、STR分析に用いる十分な量の精製されたDNAを生じることを示す。
細粉砕または打砕かれた試料の量は、Iチップでの経時変化/分解させた試料について1mg~1g、好ましくは200~500mgであり得る。Iチップ中の新鮮または無傷の骨試料について、約5~10mgの試料は、すべてのSTRプロフィールを生じる核酸を得るのに十分であり得、5mg未満は十分または有用な部分的STRプロフィールを生成し得る。試料の実際のDNA含量は結果に影響する。しかしながら、無傷のDNAを含まない分解された骨試料は、どれだけの試料が利用されるかに拘わらずプロフィールを生成しないであろう。人のすべてのSTRプロフィールまたは有用な部分的プロフィールは、データベースに提出されるか、または血族関係(kinship)アルゴリズムにおいて利用される場合に、プロフィールが人の身元およびマッチを鑑定するのに十分であることを意味する。発明者らは、本明細書において、STRプロフィールが16の遺伝子座および27の遺伝子座アッセイを用いて生成され、後者が優れた感度を示すことを報告する。標準的分析スケールを用いて、わずかな試料を測定することができないので、シグナル飽和なくして分析のためスワブに負荷するように緩衝液体積を調節することができる。27の遺伝子座STRプロフィールにおける試料投入量は、理論的に0.6mgの試料に相当する。
試料中に存在すると期待されるゲノム材料の量(高低)に依存して、処理に最も適する迅速DNAチップのタイプを選択し得る。ANDEシステムにおいて、数百ng以上が試料中に存在すると推測されるならば、Aチップが利用され、一方、数百ng未満のDNAが存在すると推測されるならば、Iチップが利用される。打砕かれた骨および歯については、例えば、ANDE迅速DNAシステムで処理するために、Iチップが典型的に利用されるであろう。同一の選択工程は、他の迅速DNAシステムで利用することができる。余りにも多いかまたは余りにも少ない試料が利用される(得られる電気泳動図のシグナル強度-ピーク高さを検討することにより決定できる)事象においては、より多くまたはより少ない出発材料を利用する反復迅速DNA試行を行うことができる。加えて、適応的エキスパートシステムを利用して、迅速DNA識別システムのダイナミックレンジを拡張することができる。
骨中に存在するDNA量は、ドナーの収集時間(新鮮-対-分解した遺体)、赤色骨髄の有無、身体の骨タイプ、ならびに年齢および健康を含めたいくつかの因子により影響され得る。しかしながら、チップタイプの選択は簡単であり得:比較的新鮮な骨は、恐らく高DNA含量チップ中で有効に処理し得、また、より古い骨は恐らく高DNA含量チップ中で有効に処理し得る。
単純でかつ迅速な脱塩は、例えば、最大設定(スケール10)で設定されたベンチトップボルテックスミキサー(Vortex-Genie 2, Scientific Industries Model #G560)での30秒~1分間の混合物のボルテックス混合により促進し得る。EDTAの存在下のこの脱塩処理は核酸精製効率を増加させる。いくつかの具体例、例えば、研究室外においては、このボルテックス混合は、少なくとも1分間の手による激しい振盪および内容物の均質化のためのチューブを数回タップすることで置換し得る。
いくつかの具体例において、液状試料または脱塩された試料溶液は、重力の影響下で上清が形成するまで静置させ得る。他の具体例において、沈降は手によりチューブを回転することにより促進し得る。依然として他の具体例において、液体試料または脱塩された試料溶液は、例えば、遠心分離によって、混合物から得ることもできる。遠心分離は20,000×gでの2分間であり得る。上清(細粉砕された試料の場合)または試料液体(打砕かれた試料の場合)は、抽出された核酸を含有する。
いくつかの具体例において、抽出された核酸を含有する上清は、迅速DNA分析システムにおいて精製なくしてさらなる分析に直接的に用い得る。他の具体例において、上清中の核酸は、さらに精製した後、さらなる分析に用い得る。
上清からの核酸の精製は、当該技術分野において知られた種々の方法、例えば、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)を用いる有機抽出、またはMagAttract(登録商標)(Quiagen, N.V., Venlo, NL) DNA mini M48キットからのもののごときフィルターを用いるシリカ精製によって達成し得る。
1つの具体例において、小部分の上清は、輸送媒体(例えば、スワブ、ピペットまたは濾紙等)上に直接的に移すこともでき、次いで、それは核酸分析のために迅速DNA分析システムに挿入し得る。上清の部分は約100~150μlであり得る。本発明は、小部分または上清を処理できる迅速DNA分析システム、例えば、ANDE, Corporation, Waltham, MAから入手できるANDE(商標)システムで実施し得る。例えば、Tanら, Investig Genet. 2013; 4: 16および Turinganら, Investig Genet. 2016 ; 7: 2および Groverら, Int J Legal Med (2017) 131:1489-1501(これらをここに出典明示してそのすべてを本明細書の一部とみなす)を参照。
核酸抽出用キット
もう一つの態様において、本発明は、核酸含有材料、例えば、骨または歯から核酸を抽出するための単純化され速い方法を行なうためのキットである。
1つの具体例において、骨および歯から核酸を抽出するためのキットは、骨マトリックスを脱塩するための緩衝液、および所望により、迅速な核酸抽出方法を詳述する小冊子(brochure)を含む。もう一つの具体例において、脱塩緩衝液は0.5M EDTAだけを含み得る。いくつかの具体例において、0.5M EDTAは、溶解緩衝液DTT(0.02M)およびプロテイナーゼKと組み合わせ得る。他の具体例において、0.5M EDTAは、洗浄剤(0.5%SDSまたは1%ラウロイルサルコシナートまたは同等物)およびプロテイナーゼK(3~4mg)と組み合わせ得る。
いくつかの具体例において、小冊子は、骨および歯の試料からの溶解緩衝液を用いて、核酸抽出を行なう方法の指示を含み得る。いくつかの例において、小冊子は、骨および歯試料の前処理方法をさらに記載し得る。依然としていくつかの例において、小冊子は、例えば、HDC BCSおよび/またはLDC BCSシステムにおける抽出された核酸の分析のためにスワブを用いる、抽出された核酸の分析方法を記載し得る。依然としていくつかのさらなる例において、小冊子は、本願における前記の核酸抽出の方法を記載し得る。
他の具体例において、キットは、さらに、核酸含有材料を洗浄し清浄化するための溶液を含み得る。依然として他の具体例において、キットは、さらに、HDCおよび/またはLDC BCSにおいて抽出された核酸を分析するためのスワブを含み得る。
骨または歯の試料からの核酸のSTRプロフィールの決定方法
さらにもう一つの態様において、本発明は、骨または歯の試料からの核酸のSTRプロフィールの決定方法である。いくつかの具体例において、方法は、核酸抽出に適する形態の核酸含有材料を提供し;EDTAを添加し、核酸含有材料を脱塩して、混合物を得;前記混合物を激しく混合し;前記混合物を分離して、抽出された核酸を含む液体試料を得;液体上清のすべてではないならば、一部分をSTRプロフィールの十分に統合された核酸精製および生成に付すことを含む。
いくつかの具体例において、骨および歯の試料は、8時間未満の死後経過時間(PMI)を有するドナーからの新鮮な試料または2~6日のPMIを有するドナーからの比較的新鮮な試料であり得る。他の具体例において、骨および歯は、ケースワーク、災害、行方不明者または関連する試料からのものであり得る。かかる試料は、例えば、真水、塩水もしくは土壌中または火災もしくは爆発後の腐敗した身体と同じぐらい分解した事例として得られてもよい。
いくつかの具体例において、試料は最初に清浄化され、次いで、試料が核酸抽出に適する形態となるように摩砕される。例えば、試料は水で洗浄され、ゴシゴシ洗って、デブリを除去し、10%の漂白剤溶液に浸漬し、次いで滅菌水で再度洗浄した後、70%のエタノールで最終的に洗浄し得る。エタノールでの最終的洗浄の後、試料は、室塩にて乾燥し、例えば、粉末化試料を作成するか、または打砕いて、断片化または粒状試料を作成することにより、摩砕し得る。絶対に必要とはされないが、クリーニングは、それにより大量の微生物の汚染物質を除去するごとができ、まさに重要には、2以上の試料ドナーからのヒトのハンドリングまたは混合物により導入されたヒトDNAを除去し得る点で有利である。また、細粉砕は有利であるが、作業が研究室外で行なわれるべき場合には必要な考慮ではない。
いくつかの具体例において、骨または歯の試料は細粉砕および粉末化し得る。例として、1片の骨は多数の技術、例えば、3サイクルプログラム、10分間の事前冷却、2分間の試行時間、2分間の冷却時間によりおよび1秒間当たり10サイクルの速度でのSPEX Sample Prep 6870 Large Freezer/Mill(登録商標)を用いて、細粉砕し得る。経時変化し乾燥した骨試料は、このプロトコール後に完全に細粉砕し得るが、新鮮な骨を用いる場合、少数のより小さな断片が残存し得る。新鮮な骨については、利用可能に細粉砕された試料は、細粉砕サイクルの完了後のさらなる処理のために収集し得る。粉末化された骨または歯の試料は、無菌チューブ容器に移し得る。
他の具体例において、骨または歯の試料は打砕いて断片化し得る。また、骨または歯の粗い破損は有効であり得る。例えば、1片の骨または歯は、DurX(登録商標)770 (Berkshire Corporation, Great Barrington, MA) ワイプ (ポリエステル/セルロース材料の不織布シート)または同等物で包み得る。清潔なハンマーまたは同様の硬い鈍器、例えば、石(洗浄され、利用可能な場合、エタノールワイプできれいに拭かれた)を用いて、試料片がより小さな片に崩れるまで、骨または歯は数回打ち得る。ハンマーで異なる角度で骨または歯の試料を打砕くことは、より小さな断片への試料の破壊を促進し得る。骨を打砕いた場合、小さな骨髄片は直ちに収集し得る。より硬い骨小片(bit)(初期打砕きに耐性のもの)は、新しいDurX(登録商標)770ワイプで骨片を包み、数回打つことにより再度より小さな片に打砕くことができる。処理用骨片の理想的なサイズは、好ましくは約1/8インチ以下である。一般的には、細粉砕または打砕きの効果は、小断片を生成し、さらなる処理を促進するのにアクセス可能な骨の曝露表面積を増加させることである(それにより、引き続いての抽出および精製工程を増強する)。
摩砕もしくは打砕かれた骨または歯の試料は、0.5MのEDTA中で激しく混合して、骨マトリックスを脱塩しなければならない。いくつかの具体例において、0.5MのEDTAは、溶解緩衝液およびDTT(0.02M)ならびにプロテイナーゼK(10mg)と組み合わせ得る。他の具体例において、0.5M EDTAは、洗浄剤(0.5%のSDSもしくは1%のラウロイルサルコシナートまたは同等物)およびプロテイナーゼK(3~4mg)と組み合わせ得る。
試料に添加される脱塩緩衝液の体積は、処理される試料量、そのサイズおよびテクスチャー(texture)に依存して変化し得る(打砕かれた骨は、細粉砕された骨より少なく吸収する傾向があり;経時変化し乾燥した骨は、より新鮮で赤色骨髄含有試料より多く吸収する傾向がある)。本発明は、前処理効率を危うくせずに、試料濃縮の長いプロセスを消失させ、かつ過剰飽和なくして分析のためのスワブに負荷される液体の体積を最大化するように設計し得る。いくつかの具体例において、300~350μlの0.5M EDTAは、500mg毎の骨または歯に用いてもよく;150~220μlの0.5M EDTAは、100~200mg毎の骨または歯に用いてもよく;また、100~150μlの0.5M EDTAは、100mg未満の骨または歯に用いてもよい。歯試料は、骨より長期のインキュベーションを必要とし得る。大部分の場合において、全STRプロフィールは、1分間のインキュベーションで骨から生成できるが、歯からの全STRプロフィールは、10分間のインキュベーションで生成できる。
細粉砕または打砕かれた試料の量は、Iチップにおいて、経時変化/分解させた試料について1mg~1gまたはそれを超えて、好ましくは200~500mgであり得る。Iチップにおける新鮮または無傷の骨試料について、約5~10mgの試料は、すべてのSTRプロフィールを生じる核酸を得るのに十分であり得、5mg未満はすべてまたは有用な部分的なSTRプロフィールを生成し得る。試料の実際のDNA含量はその結果を決定するであろう。しかしながら、無傷のDNAを含まない分解された骨試料は、どれだけ多くの試料が利用されるかに拘わらずプロフィールを生成しないであろう。人のすべてのSTRプロフィールまたは有用な部分的プロフィールは、データベースに提出されるか、または血族関係アルゴリズムにおいて利用される場合に、プロフィールが人の身元およびマッチを鑑定するのに十分であることを意味する。
試料中に存在すると期待されるゲノムの材料の量(高低)に依存して、処理により良好に適するチップのAチップまたはIチップのタイプを選択し得る。骨中に存在するDNA量は、ドナーの収集時間(新鮮-対-分解された遺体)、赤色骨髄の有無、身体の骨タイプ、および年齢および健康を含めたいくつかの因子により影響され得る。しかしながら、チップタイプの選択は簡単であり得:比較的新鮮な骨は、恐らく高DNA含量チップ/Aチップ中で有効に処理し得、また、より古い骨は恐らく低DNA含量チップ/Iチップ中で有効に処理し得る。
単純でかつ迅速な脱塩は、例えば、最大設定(スケール10)で設定された卓上ボルテックスミキサーでの30秒~1分間の混合物のボルテックス混合により促進し得る。EDTAの存在下のこの脱塩処理工程は、核酸収率における減少がEDTAでの処理なくして観察されるため、核酸収率を増加するのを助け得る。いくつかの具体例、例えば、研究室外においては、このボルテックス混合は少なくとも1分間の手による激しい振盪、および内容物の均質化のためにチューブを数回タップすることで置換し得る。
いくつかの具体例において、液状試料または脱塩された試料溶液は、重力の原理下で上清が形成するまで静置させ得る。他の具体例において、沈降は手によりチューブを回転することにより促進し得る。依然として他の具体例において、液体試料または脱塩された試料溶液は、例えば、遠心分離によって、混合物から得ることもできる。遠心分離は20,000×gでの2分間であり得る。上清(細粉砕された試料の場合)または試料液体(打砕かれた試料の場合)は、抽出された核酸を含有する。
いくつかの具体例において、抽出された核酸を含有する上清は、精製なくしてさらなる分析に直接的に用い得る。他の具体例において、上清中の核酸は、さらに精製した後、さらなる分析に用い得る。
上清からの核酸の精製は、当該技術分野において知られた種々の方法、例えば、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)を用いる有機抽出、またはMagAttract(登録商標)(Quiagen, N.V., Venlo, NL) DNA mini M48キットからのもののごときフィルターを用いるシリカ精製によって達成し得る。
骨または歯の試料からの核酸のSTRプロフィールを決定するためのキット
さらにもう一つの態様において、本発明は、骨または歯の試料からの核酸のSTRプロフィールを決定するためのキットである。いくつかの具体例において、キットは脱塩緩衝液として0.5M EDTA;迅速な核酸抽出方法を詳述する小冊子;およびLDC BCS中の抽出された核酸を分析するためのスワブを含み得る。
いくつかの具体例において、キットは、さらに、水に続いて10%の漂白剤溶液を用いて表面上の付着した組織デブリ、ごみ(dirt)および外来性DNAを除去するために骨および歯の試料を清浄化するため、次いで水で再度濯ぐため、および最後に70%エタノールで濯ぐための溶液を含む。
いくつかの具体例において、キットは以下の遺伝子座:D3S1358、TH01、D21S11、D18S51、Penta E、D5S818、D13S17、D7S820、D16D539、CSF1PO、Penta D、アメロゲニン(Amelogenin)、vWA、D8S1179、TPOXおよびFGA(Powerplex 16 chemistry)を含むSTR多重をプロファイルするためのものである。他の具体例において、キットは、以下の遺伝子座:D3S1358、D19S433、D2S1338、D22S1045、Penta B、TH01、D18S51、D1S1656、D10S1248、D2S441、Penta C、D16S539、vWA、D21S11、D12S391、アメロゲニン、Penta D、D5S818、D13S317、D7S820、TPOX、CSF1PO、Penta E、D8S1179、FGA、SE33、DYS391、D6S1043、DYS439、DYS389II、DYS19、DYS392、DYS393、DYS389I、DYS390、DYS385a、DYS385b、DYS437およびDYS438を含むSTR多重をプロファイルするためのものである。依然として他の具体例において、STR多重は、以下の遺伝子座:23種の常染色体遺伝子座(D1S1656、D2S1338、D2S441、D3S1358、D5S81、D6S1043、D7S820、D8S1179、D10S1248、D12S391、D13S317、D16S539、D18S51、D19S433、D21S11、D22S1045、FGA、CSF1PO、Penta E、TH01、vWA、TPOX、SE33)、3種のY染色体遺伝子座(DYS391、DYS576およびDYS570)ならびにアメロゲニンを含むであろう。本明細書に記載されたすべての試料タイプについて、DNA IDの生成のために利用されるSTR多重のセットに制限は存在しない。典型的には、少なくとも7つのSTR遺伝子座が、この数を持つRandom Match ProbabilityがポジティブなDNA鑑定を可能とするのに十分に低い(数万中の1~数百万中の1)ためにDNA鑑定の生成に用いるべきである。利用され多重化された特定のSTRが、本願(例えば、潜在的な性的暴行者からのDNAと一致させるための、非常に大規模なDNAデータベース[米国、英国および中国のデータベースでのごとき1000万以上の試料]の検索;または比較的小さなデータベース[航空機墜落における被災者鑑定のための数百~数千の試料]の検索)に基づいている。
単純化され速い精液DNA分析のための方法
もう一つの態様において、本発明は精液試料からの核酸を分析するための方法である。精液試料はニートの精液またはファブリック上の精液汚れであり得る。別法として、精液試料は、個体から直接的または間接的に収集し得る。いくつかの例において、精液試料は法医学的な精液試料、例えば、ケースワーク精液試料であり得る。たとえ精液試料の形態が変化し得るとしても、精液試料がスワブヘッド上に収集し得る限りは、本発明は同様に適用可能である。
いくつかの具体例において、精液試料からの核酸のSTRプロフィールを決定するための方法は、スワブ上に精液試料を収集する工程、適切な量のジチオトレイトール(DTT)またはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)溶液をスワブヘッド上に塗布する工程;およびスワブをSTR分析用の迅速核酸分析システムに挿入する工程を含む。本明細書のこの独創的な方法は、いずれかのパネルのSTR遺伝子座と共に使用し得る。いくつかの具体例において、キットは、以下の遺伝子座:D3S1358、TH01、D21S11、D18S51、Penta E、D5S818、D13S17、D7S820、D16D539、CSF1PO、Penta D、Am、vWA、D8S1179、TPOXおよびFGAを含むSTR多重をプロファイルするためのものである。他の具体例において、キットは、以下の遺伝子座:D3S1358、D19S433、D2S1338、D22S1045、Penta B、TH01、D18S51、D1S1656、D10S1248、D2S441、Penta C、D16S539、vWFA31、D21S11、D12S391、アメロゲニン、Penta D、D5S818、D13S317、D7S820、TPOX、CSF1PO、Penta E、D8S1179、FGA、SE33、DYS391、D6S1043、DYS439、DYS389II、DYS19、DYS392、DYS393、DYS389I、DYS390、DYS385a、DYS385b、DYS437およびDYS438を含むSTR多重をプロファイルするためのものである。依然として他の具体例において、STR多重は、以下の遺伝子座:23種の常染色体遺伝子座(D1S1656、D2S1338、D2S441、D3S1358、D5S81、D6S1043、D7S820、D8S1179、D10S1248、D12S391、D13S317、D16S539、D18S51、D19S433、D21S11、D22S1045、FGA、CSF1PO、Penta E、TH01、vWA、TPOX、SE33)、3種のY染色体遺伝子座(DYS391、DYS576およびDYS570)ならびにアメロゲニンを含むであろう。
他の具体例において、精液試料は、ニートの精液または1片のファブリック上の乾燥した精液試料であり得、方法は、スワブ上に核酸含有材料試料を収集する工程、DTTまたはTCEPをスワブに塗布する工程、および分析のためにANDEシステム、例えば、Iチップにスワブを付す工程を含む。いくつかの例において、精液試料はファブリック上の乾燥した精液汚れであり得、方法は、ナイフ、カミソリ刀またはメスのごとき擦過(scraping)ツールで繊維物から精液試料をこすり落とし工程を含み得る。いくつかの例において、ファブリック上の精液汚れは、滅菌水で湿らせ、スワブをファブリックにこすり押し付け得る。
いくつかの具体例において、収集工程は、ナイフ、カミソリ刀またはメスのごときツールでファブリックをこすることにより実施し得る。収集工程は、精液試料が乾燥されたファブリック繊維を収集するためのものであり得る。好ましい具体例において、精液試料はスワブ上に収集される。スワブは水で湿らせた後に、精液試料を収集するために用いる得る。いくつかの例において、スワブは、ウォータードロッパー(water dropper)からの分子グレードの水の数滴、好ましくは1~2滴で湿らせ得る。他の例において、スワブはスワブヘッドのサイズの増大により、より多くの水で湿らせ得る。他の例において、ファブリック上の汚れは、ウォータードロッパーからの分子グレードの水の数滴、好ましくは1~2滴で湿らせ得る。スワブヘッドおよびファブリック汚れの湿潤は、精液試料の収集を促進し得る。
いくつかの具体例において、湿らせたスワブを用いて、こすられたファブリック材料の表面を拭き取り得る。他の具体例において、スワブをさらに用いて、従前にファブリック材料からこすり落とされたファブリック繊維の一群(clump)を収集し得る。スワブヘッド上にファブリック繊維の一群を固定した後、スワブをさらに処理することが好ましい。
いくつかの具体例において、スワブヘッドは50μlの150mM DTTまたは50μlの50mM TCEPを適用し得る。DTTまたはTCEPの存在は、精液試料中の精子核膜上のジスルフィド結合の分解を促進し得る。150mM DTTまたは50mM TCEPの適用は、DTT/TCEPがスワブヘッド全体を覆って、核酸の回収を促進するような方法で好ましくは適用される。
いくつかの具体例において、スワブからの核酸は抽出され、ANDE迅速DNA分析システムにおいてIチップを用いることにより分析し得る。Iチップは、精製モジュールの効率を最大化し、ポスト精製DNA濃度モジュールを組込むことにより開発された。これらの変更は、システムが数ナノグラムのDNAまたはより少なく含む試料からのSTRプロフィールを生成することを可能にした。
精液試料からの核酸のSTRプロフィールを決定するためのキット
依然としてさらにもう一つの態様において、本発明は、精液試料からの核酸のSTRプロフィールを決定するためのキットである。1つの具体例において、キットは、DTTまたはTCEPの溶液、本願に開示されるような精液試料からの迅速核酸抽出方法を詳述する小冊子、およびIチップ中の抽出された核酸を収集および分析するために用いるスワブを含む。いくつかの例において、DTT溶液は、150mMに等しいまたはそれに近いDTT濃度を有し、TCEP溶液は、50mMに等しいまたはそれに近いTCEP濃度を有する。精液試料がファブリック上の精液汚れである場合、キットはファブリックから精液試料を収集するために、ツール、例えば、ナイフ、カミソリ刀、メスをさらに含み得る。また、キットは、滅菌水を含む滴瓶ボトルまたは滅菌水を含むアンプルを含む。いくつかの具体例において、キットを用いて、以下のSTR:D3S1358、TH01、D21S11、D18S51、Penta E、D5S818、D13S17、D7S820、D16D539、CSF1PO、PentaD、Am、vWA、D8S1179、TPOXおよびFGAのプロフィールを生成し得る。
本発明を用いて抽出された核酸のさらなる分析
抽出された核酸は、種々の核酸分析システム、例えば、ANDE(商標)迅速DNA分析システム(ANDE株式会社)で分析し得る。ANDE(商標)システムは、自動データ分析用の内蔵(on-board)エキスパートシステム・ソフトウェアを備えた完全自動システムである。システムは、約90分間で高DNA含量試料(例えば、バッカルスワブ)から、105分間でケースワーク、問題の現場取り込み(sensitive site exploitation)および集団災害試料(例えば、血痕、チューインガム、飲み物容器、衣類、ステアリングホイール、ドア取っ手、携帯電話およびキーボードのごとき触れられた物、肝臓、肺、脳、骨および歯)からのSTRプロフィールと呼ばれるものを生成することができる。システムは、高低DNA含量チップ(本明細書に引用された「Aチップ」および「Iチップ」)の使用のために設計されている。AチップおよびIチップ消耗品は、STR分析に必要とされたすべての試薬が予め工場にて詰められた「オール・イン・ワン」使い捨てカセットである。Aチップは、大量のDNAを含む試料、例えば、バッカルスワブのために設計され、また、Iチップは、典型的にはより小量のDNAを含む試料-例えば、小さな血液汚れ、吸殻タバコ、またはステアリングホイールスワブを含む試料のために設計されている。これらの消耗品は双方が、本明細書の教示を用いて調製された骨、歯、精液、および他の試料の処理に適する。骨中に存在するDNA量は、収集までのPMI、遺体の条件(例えば、分解した遺体、焼けた)、骨髄の存在または不存在、身体からの骨のタイプおよびドナーの年齢および健康を含めたいくつかの因子により影響され得る。比較的新鮮で無傷の骨は、環境または損傷に曝露されたより古いものより、より多量のDNAを含有し得るようである。
1つの具体例において、小部分の上清は、スワブ上に直接的に移することができ、次いで、それは、核酸分析のために迅速DNA分析システム、例えば、AチップまたはIチップのいずれにも挿入し得る。上清の部分は、約100~150μlであり得る。スワブは、ANDE(登録商標)スワブまたは迅速DNA分析システムにスワブキャップおよびスワブチャンバーをはめた同様のスワブであり得る。AチップはTanら, Inv. Genetics 4 2013およびGroverら, Intg J Legal Med 2017に記載され;Iチップは、 Turinganら, Inv Genetics 7 2016に記載され、これらの双方をここに出典明示してそのすべてを本明細書の一部とみなす。
実施例1.骨からの核酸の抽出、精製および分析。
この実施例において、発明者らは、骨試料からの迅速な核酸抽出を行ない、スワブおよびANDEシステムにおけるIチップを用いる、抽出された核酸を分析した。
骨試料は、ケースワークおよび/または航空機墜落惨事(例えば、インドネシアAirAsia 8501便)中の災害犠牲者鑑定を模倣するために人工的に分解した。骨試料(大腿部および上腕骨の断片)の模擬分解は、4日間の84°F(ジャワ海の平均気温)で大西洋岸の塩水に断片を浸漬することにより行った。次いで、骨試料は水で洗浄し、漂白して、水で再度、次いでエタノールで洗浄した。乾燥後、骨は、冷凍粉砕機によって摩砕して、粉末化試料を得るか、または単に打砕いて、断片化もしくは粒状の試料を得た。摩砕した骨試料は、各々、200mgの打砕かれた骨、500mgの打砕かれた骨、200gの凍結粉砕した骨および500gの凍結粉砕した骨を含有する4つの別々の2ml遠心管に入れた。
次いで、発明者らは、各チューブに200~350μlの0.5M EDTAを添加した。EDTAを添加して、骨試料を脱塩し、DNAを遊離させるのを助けた。次いで、チューブを「10」の速度設定にて卓上ボルテックスミキサーを用いて、1分間ボルテックス混合した。次いで、チューブを2分間20,000rcfにて遠心分離(Centrifuge 5417R; Eppendorf North America, Hauppauge, NY, USA)して、脱塩した上清から骨微粒子を分離した。約150μlの各上清を、STRプロフィールの分析のためのIチップへの試料挿入のためにANDEスワブ上にピペットで移した。STRは、D3S1358、TH01、D21S11、D18S51、Penta E、D5S818、D13S17、D7S820、D16D539、CSF1PO、Penta D、Am、vWA、D8S1179、TPOXおよびFGAであった。その結果、発明者らは4つの各試験試料についてのSTRプロフィールを得ることができた。図1~4ご参照、核酸を4つの各試験試料から抽出した。すべてのSTRプロフィール(PP16)は、細粉砕した試料または打砕かれた試料から生成し、500mgから200mgまで骨の投入量において減少した。
陽性対照として、発明者らは、Loreilleら, Forensic Science International: Genetics 1 (2007) 191-195に報告された全体的な脱塩方法に従い同じ出所からの500mgの凍結粉砕した骨から核酸抽出を行った。具体的には、骨粉末は、56℃で回転振盪機中で7.5mlの抽出緩衝液(EDTA 0.5Mおよび1%のラウロイルサルコシナート)および200μlの20mg/mLのプロテイナーゼK中で一晩インキュベートした。上清は約150μlへの濃縮のためにアミコン30遠心濾過機ユニット(Amicon 30 centrifugal filter unit)(Millipore)に移し、Iチップ中の完全に統合された試行用のNetBioスワブに負荷した。その結果、発明者らは精製したDNAからSTRプロフィールを得ることができた。図8参照。すべてのSTRプロフィールは、総脱塩の長いプロセスを用いて生成した。全体的なシグナル強度は、単純化され速い骨分析法から生成されたプロフィールに匹敵した。
伝統的方法において、脱塩緩衝液はEDTA、洗浄剤およびプロテイナーゼKを含み、高い初期緩衝液体積(500mg粉末につき7.5ml)を用い、脱塩は回転振盪機中の撹拌を含む56℃での一晩のインキュベーションを必要とし、その方法は試料濃縮および遠心ユニットを用いる洗浄を必要とする。
対照的に、本発明において、脱塩溶液は、単に、いずれの洗浄剤またはプロテイナーゼKも含まないEDTA溶液である。加えて、長期間のインキュベーションおよび加熱の必要性もない。実際には、脱塩方法は、試料処理および溶液移動を含めて5分間未満かかる。得られた上清は抽出された核酸を含み、それは発明者らのHDCまたはLDC BCSおよびANDEシステムを用いて、プロフィールを生成するために直接的に用いることができる。
実施例2.歯からの核酸の抽出および分析。
この実施例において、発明者らは、歯試料からの迅速な核酸抽出を行ない、スワブおよびLDC BCSシステムにおいて抽出した核酸を分析した。その手順は実施例1の改変である。1分間のボルテックス混合後、歯試料を56℃にて10分間インキュベートして、脱塩を増強した。その結果、発明者らは、歯試料から抽出した核酸のSTRプロフィールを得ることができた。図9を参照、これは歯根の200mgの凍結粉砕した歯粉末から抽出した核酸のSTRプロフィールを示す。
発明者らの結果は、歯での1分間の脱塩方法がすべてのまたは良好な部分的プロフィールを得るのに不十分であったことを示す。これは骨と比較して、恐らく歯のよりコンパクトなマトリックスによるものであり、より長い脱塩はDNA遊離に必要とされる。歯試料の歯根は、歯の歯冠または他の部分より多くのDNAを含むことが報告されている。発明者らは、同じ歯試料からの歯根組織に相対して歯冠を処理する場合、歯冠組織ではなく歯根からすべてのSTRプロフィールをより一貫して得ることができることに注目する。新鮮な歯または分解に付した歯について、歯根は歯冠よりも好ましい。もし歯冠が処理に利用可能ならば、より多くの材料を行うこともでき(例えば、200mgに代えて500mg)、また、細粉砕は打砕くことよりも好ましい。
図17は、200mgの歯根(未分解)に関する16の遺伝子座のすべてのプロフィールであり;図18は、84F塩水(200mg)で1か月間経時変化させた歯根からの16の遺伝子座プロフィールであり;図19は、漂白剤中で清浄化し乾燥させた後、切断/細粉砕した人工的に経時変化させた臼歯である。
実施例3.ケースワーク歯試料からの核酸の抽出および分析。
ケースワーク歯試料は、少なくとも2年間埋められ、焼けた身体から得られた。歯試料は、布および漂白剤で表面をこすりつつ、流水および抗菌性石鹸で洗浄した。次いで、試料を漂白剤-滅菌水-エタノールの濯ぎに付し、10分間乾燥させた。歯根はドレメル(dremel)を用いて、歯冠から分離させた。次いで、歯根を凍結粉砕し、200mgを脱塩した。
実施例4.ニートの精液からの核酸の抽出および分析。
典型的には、精液試料は、1mL当たり約5000万個の細胞を含有する。氷上解凍後に、精液試料を含むチューブを注意深く開封し、試料を試料検索に先立って試料の均質性を保証するために上下にピペッティングすることにより、優しく混合した。1×PBS緩衝液中で10~100倍希釈した50μlの精液をANDEスワブ上にピペッティングした。そのウエブに、最終濃度が150mMのDL-ジチオトレイトール(DTT)(Sigma Aldrich; Catalog #43816)または50μlの50mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)(Sigma Aldrich; Catalog #646547)を添加し、Iチップにおける分析に先立って室温にて1~10分間インキュベートした。
実施例5.ファブリック上の乾燥した精液からの核酸の抽出および分析。
この実施例において、発明者らは、精液試料からの迅速な核酸抽出を行ない、Iチップを用いてスワブ中の抽出された核酸を分析した。ここに、発明者らは、以下の工程1に記載したごとく調製された模擬の精液試料を用いた。ケースワーク精液試料について、この精液試料調製工程(工程1)をスキップした。
工程1:模擬精液で汚した衣類の調製
約100μlのニートの精液を綿ファブリックおよび/またはデニム上に移した。乾燥した汚れが肉眼で可視し得ないので、生物学的材料を正確な位置から収集することを保証するために、精液の汚れがまだ湿っている間に、汚れを取り巻く隣接した領域をマジックインキでマーキングした。ファブリック上の精液汚れを室温にて一晩乾燥させた。
工程2:衣類からの乾燥した精液試料の収集
この工程は、精液で汚されたファブリック片からDNA含有精液試料を収集するために行った。ファブリック片を無菌の作業スペース上に置いた。発明者らは、清潔なカミソリ刀または無菌の使い捨てのメスを用いて、ファブリック繊維の一群が形成されるまで、すべてのマークされた汚れたファブリックを徹底的にこすった。30mLの液滴瓶(drop-dispenser bottle)からの2~3滴の滅菌水で予め湿らせた(VWR;カタログを用いてDNA含有精液試料を収集した。#16354-421)。
図23に示されるごとく、DNA含有精液試料を収集するために、発明者らは汚されたファブリック片の1側に繊維の一群を移動させて、残存する細胞材料を収集するためにスワブヘッドを前後に移動させることにより、従前にこすった材料の表面を拭き取った。次に、1滴の分子生物学グレードの水をスワブヘッド上に置き、繊維の一群を収集した。いくつかの場合に、さらなる1~2滴の分子生物学グレード水を繊維の一群に置き、それらがスワブヘッドに確実に付着していることを保証した。次いで、発明者らは、カミソリ刀または無菌メスを用いてスワブヘッドの表面を滑らかにして、さらに繊維を固定した。加えて、発明者らは、用いたカミソリ刀または無菌のメスを拭き取って、スワブヘッドの乾燥部分上で衣類物品もこすった。通常、スワブヘッドの乾燥部分は、プラスチック軸)に近接していた。最後に、発明者らは、ファブリックバンドルに50μlの150mMのDL-ジチオトレイトール(DTT)(Sigma Aldrich; Catalog #43816)または50μlの50mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)(Sigma Aldrich; Catalog #646547)を負荷し、次いで、スワブを回転させて、全スワブのカバーを保証し、かつ透明プラスチックチューブに繊維束を含むスワブを戻した。DTTまたはTCEPを用いて、精子核膜中のジスルフィド結合を分解した。
工程3:ANDEシステムで迅速なDNA試行を行なうことによるDNA分析
発明者らは、ANDE Iチップを用いて、スワブ上の核酸を処理し分析した。具体的には、発明者らは、第1のスワブチャンバー(Iチップの頂部上に判明した)から保護プラスチックシールを除去し、ANDE装置の「試行を行う(Perform Run)」を選択し、続いてスワブキャップのみを用いて、スワブRFIDをスキャンするためにスクリーニングし、試料IDを入れ、次いで、スワブキャップが適所へ確実にカチッと嵌るまでスワブを押し下げることにより、スワブチャンバーにスワブを挿入した
その結果、衣類上の乾燥した精液からの核酸のすべてのSTRプロフィールを成功裡に生成した。生成したシグナル強度は、ドナーおよびファブリック材料に依存して変化し得る。デニム上の乾燥した精液試料から精製された核酸のすべての16の遺伝子座および27の遺伝子座のSTRプロフィールについての各々、図24および26、ならびに綿上の乾燥した精液試料から精製した核酸のすべての16の遺伝子座STRプロフィールを参照されたし。
実施例6.時間設定された性交後の膣スワブからの核酸および性的暴行キット(SAK)のスワブからの核酸の抽出および分析。
性交後24時間、48時間および72時間の間隔でのいくつかのドナーペアからの膣スワブを処理し分析した。SAKプロトコールは図27にまとめられている。スワブは、ANDEのプロテイナーゼKおよび溶解溶液を含むチューブ1に入れた。次いで、試料を10秒間ボルテックス混合し、フラッシュスピン(flashspin)させた。スワブは、チューブ1に挿入した回転バスケットに手動で移し、5分間遠心分離した。この遠心分離時間を2分間まで低下することができる。遠心分離は、生物学的試料を含有し得るいずれかの残留液からスワブを除去する。次いで、乾燥したスワブを含む回転バスケットを取り出し、廃棄した。水相は、本質的に、溶解された上皮細胞を含有する女性画分である。女性画分を注意深くピペッティングし、もう一つの微量遠心チューブのチューブ2に移した。Iチップ中の女性画分の分析のために、5~10μlのその画分をANDEスワブ上に置いた。精子細胞は、存在する場合、チューブ1の底部にペレット化される。したがって、ペレットを乱さないか、誤ってそれを除去しないことが重要である。ピペットチップは、チューブの底部に触れるべきではなく、液体の約50μlを保持して、精子細胞試料損失を回避することができる。次いで、女性画分からの最小の液体を含むペレットは、チューブ1の1ミリリットルラインまでMgClおよびCaClを含む洗浄緩衝液を加えることにより洗浄した。次いで、その混合物を5秒間ボルテックス混合し、20,000×gで2分間遠心分離して、精子を再ペレット化した。約50μlの水相を保持し、残りを廃棄した。次いで、均質化された精子は、2000U~10000Uのヌクレアーゼを含むチューブ3に移し;2000Uは、37Cでの10分間インキュベーションでこの作業について可溶性DNAを分解するのに十分な量である。その反応は、0.5M EDTAを含む20μlの停止液を加え、次いで、56Cで10分間のインキュベーションによりクエンチし;56Cでの3分間までのさらなる還元は、そのヌクレアーゼを非活性化するのに十分である。本発明において用いたヌクレアーゼは組み換えDNAseI(Sigma Aldrich; Catalog #04536282001)である。最後に、DL-ジチオトレイトール(DTT)(Sigma Aldrich; Catalog #43816)またはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)(Sigma Aldrich; Catalog #646547)は、各々、150mM DTTおよび50mM TCEPに等しいまたはそれに近い最終濃度にて添加し、5秒間ボルテックス混合した。得られた溶液は男性画分であり、Iチップにおける分析のためのANDEスワブで収集することができる。
本明細書の教示が広範囲の他の試料に適用可能であることに注目されたし。また、例えば、膣スワブ処理のための方法を適用して、複数の場合、またはペニス-口およびペニス-肛門挿入において、女性細胞から男性細胞を分離することができる。本明細書における本実施例は男性の性的暴行者および女性犠牲者の設定を議論したが、男性の性的暴行者-男性犠牲者および女性の性的暴行者-男性犠牲者の場合にも見られ、これらの方法はかかる場合に有効である。
本発明はある種の具体例に関して開示されているが、説明された具体例に対する多数の修飾、改変および変更が、添付された特許請求の範囲に規定されるごとく、本願発明の領域および範囲から逸脱することなく、可能である。したがって、本発明が説明された具体例に制限されず、それが以下の特許請求の範囲の言語およびその同等物により規定されるすべての範囲を有することが意図される。

Claims (47)

  1. 骨または歯の試料からの核酸抽出方法であって、
    a.核酸抽出に適する形態の試料を提供し;
    b.脱塩緩衝液を核酸含有材料に添加して、混合物を得;
    c.前記混合物を激しく混合し;次いで
    d.前記混合物を分離して、液体上清を得、ここに、液体上清は抽出された核酸を含有する
    ことを含む前記方法。
  2. 分離工程が、核酸を濃縮することを含まない、請求項1記載の方法。
  3. 前記試料が、核酸抽出に適する形態で提供されるように、粉末に摩砕されるか、または断片に打砕かれる、請求項1記載の方法。
  4. 前記試料が分解された骨または歯の試料である、請求項3記載の方法。
  5. 骨または歯の試料からの核酸抽出方法であって、
    a.核酸抽出に適する形態の骨または歯の試料を提供し;
    b.500μ1未満の0.SM EDTAまたは等価な脱塩緩衝液を核酸含有材料に添加して、混合物を得;
    c.前記混合物を激しく混合し;
    d.混合物を加熱に付すか、あるいは該加熱を付すことなく、少なくとも1分間前記混合物をインキュベートし;
    e.前記混合物を分離して、濃縮なく液体上清を得、ここに、液体上清は抽出された核酸を含有する
    ことを含む前記方法。
  6. 前記試料が、歯試料が核酸抽出に適する形態で提供されるように、粉末に摩砕されるか、または断片に打砕かれる、請求項5記載の方法。
  7. 前記試料が10mg未満の体積を有する、請求項5記載の方法。
  8. 前記試料が分解された骨または歯の試料である、請求項5記載の方法。
  9. 混合物を分離して液体上清を得る工程が、遠心分離によって達成される、請求項1記載の方法。
  10. 前記遠心分離が、20,000ref以上の速度での2分間以上である、請求項9記載の方法。
  11. 液体上清の一部分を核酸分析に付す工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  12. 前記核酸分析が迅速DNA処理システムに液体上清の一部分を移すことを含む、請求項11記載の方法。
  13. 混合物を激しく混合する工程が、混合物を約30秒以上ボルテックス混合することにより実施される、請求項1記載の方法。
  14. 核酸含有材料からの迅速な核酸抽出用キットであって、
    a.脱塩緩衝液;および
    b.請求項1に記載の迅速な核酸抽出方法を詳述する小冊子
    を含む前記キット。
  15. 迅速DNA分析システムに抽出された核酸を輸送するための媒体をさらに含む請求項14記載のキット。
  16. 骨および歯の試料を洗浄し清浄化する溶液をさらに含む請求項14記載のキット。
  17. 前記溶液が70%エタノールおよび10%漂白剤である、請求項16記載のキット。
  18. 前記脱塩緩衝液が0.5M EDTAである請求項14記載のキット。
  19. 骨または歯の試料からの核酸のSTRプロフィールを決定するための方法であって、
    a.核酸抽出に適する形態の骨または歯を提供し;
    b.脱塩緩衝液を骨または歯に添加して、混合物を得;
    c.前記混合物を激しく混合し;
    d.前記混合物を分離して、液体上清を得;ここに、液体上清は抽出された核酸を含有し;次いで、
    e.液体上清の一部分を核酸分析に付して、骨または歯からの核酸のSTRプロフィールを決定する
    ことを含む前記方法。
  20. 前記骨または歯の試料が、核酸抽出に適する形態で提供されるように粉末に摩砕されるか、または断片に打砕かれる、請求項19記載の方法。
  21. 前記試料が分解された骨または歯の試料である、請求項20記載の方法。
  22. 混合物を分離して、液体上清を得るための工程が、遠心分離によって達成される、請求項19記載の方法。
  23. 前記遠心分離が20,000rcf以上の速度での2分間以上である、請求項22記載の方法。
  24. 混合物を激しく混合する工程が、混合物を約30秒以上ボルテックス混合することにより、実施される、請求項19記載の方法。
  25. 前記核酸分析が、迅速DNA処理システムに液体上清の一部分を移すことを含む、請求項19記載の方法。
  26. 少なくとも7つのSTR遺伝子座が統合される、請求項25記載の方法。
  27. 前記脱塩緩衝液が0.5M EDTAである、請求項19記載の方法。
  28. 精液試料からの核酸のSTRプロフィールを決定するための方法であって、
    a.スワブ上に精液試料を収集し;
    b.適切な量の精子破壊剤をスワブヘッド上に適用し;次いで
    c.迅速DNA処理システムにスワブを移す
    ことを含む前記方法。
  29. 前記精液試料が、ニートの精液または精液汚れであり得る請求項28記載の方法。
  30. 精液破壊溶液が、DTTまたはTCEPであり、各々、約150mMまたは50mMの濃度を有し、かつDTTまたはTCEP溶液の適切な体積が50μlである、請求項28記載の方法。
  31. 少なくとも7つのSTR遺伝子座が、質問(interrogated)される、請求項28記載の方法。
  32. 骨または歯の試料からの核酸のSTRプロフィールを決定するためのキットであって、
    a.脱塩溶液;
    b.請求項19に記載の迅速な核酸抽出方法を詳述する小冊子;および
    c.迅速DNA分析システムにおける抽出された核酸を分析するためのスワブ
    を含む前記キット。
  33. 前記骨または歯の試料を洗浄し清浄化するための溶液をさらに含む請求項32記載のキット。
  34. 前記溶液が70%エタノールおよび10%漂白剤である請求項32記載のキット。
  35. 少なくとも7つのSTR遺伝子座が質問される請求項32記載のキット。
  36. 前記脱塩溶液が0.5M EDTAである請求項32記載のキット。
  37. 骨または歯の試料からの核酸のSTRプロフィールを決定するためのキットであって、
    a.DTTまたはTCEP溶液;
    b.請求項28に記載の迅速な核酸抽出方法を詳述する小冊子;および
    c.迅速DNA分析システムにおける抽出された核酸を分析するためのスワブ
    を含む前記キット。
  38. 前記DTTまたはTCEP溶液が、各々、150mMおよび50mMに等しいまたはそれに近い濃度を有する請求項37記載のキット。
  39. ファブリックまたは他の担体から精液試料を収集するためのツールをさらに含む請求項37記載のキット。
  40. 少なくとも7つのSTRが統合される請求項37記載のキット。
  41. 性交後の膣および膣頚部のスワブ中の女性上皮細胞から精子細胞を分離する方法であって、
    a.スワブからの上皮細胞の溶解;
    b.溶解された上皮細胞からの無傷の精子細胞の物理的分離;
    c.無傷の精子細胞からの溶解された水性上皮画分の除去;
    d.洗浄緩衝液による無傷の精子細胞の洗浄;
    e.ヌクレアーゼ処理による細胞外DNAの分解;
    f.ヌクレアーゼの不活性化;
    g.精子破壊剤による精子細胞の溶解;
    h.溶解した精子画分の収集
    を含む前記方法。
  42. 性交後の膣または膣頚部のスワブからの核酸のSTRプロフィールを決定するためのキットであって、
    a.溶解溶液、
    b.回転バスケット、
    c.洗浄緩衝液、
    d.精子破壊剤、
    e.試料収集および請求項41に記載の迅速な核酸抽出方法を詳述する小冊子、および;
    f.抽出された核酸を輸送するための媒体
    を含む前記キット。
  43. 少なくとも7つのSTRが質問される請求項42記載のキット。
  44. 精子を含有する疑いがある試料からの核酸抽出方法であって、
    a.試料を第1の溶解溶液を含有する試料容器に挿入し、撹拌して、第1の混合物を作製し;
    b.第1の混合物を遠心分離し;
    c.緩衝液で前記第1の容器中のペレットを洗浄し;
    d.第1の容器を第2の遠心分離に付し、前記試料中に存在するいずれの精子も再ペレット化し;
    e.DNAを分解するのに十分な量でかつ十分な条件下で、ヌクレアーゼを含有する第2の容器に少なくとも一部分の精子を移し;
    f.精子破壊剤を添加し;
    g.さらなる処理のための破壊した精子画分を回収する
    ことを含む前記方法。
  45. 前記試料が膣または膣頚部のスワブ試料を含み、破壊した精子画分が核酸の単数もしくは複数のドナーのSTRプロフィールを決定するさらなる分析のために移される、請求項44記載の方法。
  46. 核酸の単数もしくは複数のドナーのSTRプロフィールを決定する前記分析が、迅速DNA鑑定によって行なわれる、請求項45記載の方法。
  47. 前記迅速DNA鑑定が、データ分析用の完全自動エキスパートシステムを含む、請求項46記載の方法。
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