JP2023043396A - 接合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接合対象の部材同士の間に接合材料を介在させ、接合材料を焼成し、導電性接合部を形成することで、これら部材同士が導電性接合部によって接合された接合体を製造するときに、部材の端部からの接合材料のはみ出しを抑制できる接合体の製造方法の提供。【解決手段】第1部材9、フィルム状焼成材料1及び第2部材8がこの順に積層されて構成された第1積層体1011を作製し、第1積層体1011に対して、前記積層方向において加える圧力を5MPa未満としながら、第1積層体1011を、その温度が温度(B)となるまで加熱することで、第2積層体1012を作製し、第2積層体1012に対して、前記積層方向において加える圧力を5MPa以上としながら、第2積層体1012の温度を、温度(B)-5℃以上とし、フィルム状焼成材料1’を焼成し、金属焼結層10を形成して、接合体101を作製する。【選択図】図4

Description

本発明は、接合体の製造方法に関する。
導電性を有する接合部(導電性接合部)によって、部材同士を接合する手法としては、金属粒子とバインダーを含有する接合材料を、接合対象の部材同士の間に介在させ、これら部材と接合材料を加圧しながら加熱し、接合材料を焼成することによって、導電性接合部を形成する手法が知られている。この手法によれば、接合材料の焼成によって、バインダーが分解し、金属粒子同士が密着して導電性接合部を形成し、部材同士を結合することによって、部材同士を接合できる。
このような部材同士を接合する手法は、例えば、電力用半導体素子(パワーデバイス)の製造に利用できる。電力用半導体素子は、高電圧・高電流下で使用されており、近年では、自動車、エアコン、コンピュータ等の高電圧・高電流化に伴い、これらに搭載される機会が多い。このような電力用半導体素子では、半導体素子からの熱の発生が問題となり易いが、導電性接合部が放熱性に優れることにより、半導体素子の周りにヒートシンクを設けなくても、十分な放熱が可能となる。
導電性接合部によって、部材同士を接合する手法としては、例えば、銀ナノ粒子と、炭酸銀又は酸化銀と、結晶体を含むカルボン酸類と、が含まれる接合材料を用いて、この接合材料を部材同士の間で保持し、これら部材同士及び接合材料を加圧しながら、接合材料を焼成することによって、部材同士を接合する手法が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1には、この手法において、部材同士の間で必要な接合強度が得られるように、加圧時の圧力を設定することが開示されており、具体的には、加圧時の圧力を20MPaとすることが開示されている。
特開2009-279649号公報
一方、これら部材同士及び接合材料を加圧しながら、接合材料を焼成するときには、焼成時の加熱の過程で、軟化した接合材料が部材の端部からはみ出してしまうことがある、という問題点があった。このように軟化した接合材料がはみ出すと、最終的に形成される焼結部、すなわち導電性接合部の厚さが、目的とする値よりも薄くなってしまい、その結果、部材同士の接合強度が低下してしまう。そして、特許文献1で開示されている接合方法では、このような問題点を解決できない。
本発明は、接合対象の部材同士の間に接合材料を介在させ、接合材料を焼成し、導電性接合部を形成することによって、これら部材同士が導電性接合部によって接合された接合体を製造するときに、部材の端部からの接合材料のはみ出しを抑制できる接合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、接合体の製造方法であって、前記接合体は、第1部材と、金属焼結層と、第2部材とを備え、前記第1部材と、前記第2部材とが、前記金属焼結層によって接合されて構成されており、前記製造方法は、前記第1部材と、前記金属焼結層を形成するためのフィルム状焼成材料と、前記第2部材と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された第1積層体を作製する工程(I)と、前記第1積層体に対して、前記第1部材と、前記フィルム状焼成材料と、前記第2部材と、の積層方向において加える圧力を5MPa未満としながら、前記第1積層体を、その温度が温度(B)となるまで加熱することにより、第2積層体を作製する工程(II)と、前記第2積層体に対して、前記積層方向において加える圧力を5MPa以上としながら、前記第2積層体の温度を前記温度(B)-5℃以上とすることにより、前記フィルム状焼成材料を焼成し、前記金属焼結層を形成して、前記接合体を作製する工程(III)と、を有する、接合体の製造方法を提供する。
本発明の接合体の製造方法においては、支持シートと、前記支持シートの一方の面上に設けられた前記フィルム状焼成材料と、を備えた支持シート付きフィルム状焼成材料を準備し、さらに、未分割部材を準備し、前記支持シートは、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた粘着剤層と、を備えており、前記支持シート付きフィルム状焼成材料において、前記フィルム状焼成材料は、前記粘着剤層の前記基材フィルム側とは反対側の面上に設けられており、前記未分割部材は、その分割によって、前記第2部材となり、前記支持シート付きフィルム状焼成材料中の前記フィルム状焼成材料のうち、前記支持シート側とは反対側の面を、前記未分割部材に貼付することにより、前記支持シート付きフィルム状焼成材料と、前記未分割部材と、が積層されて構成された未分割積層体を作製し、前記未分割積層体中の前記未分割部材を分割して、前記第2部材を作製するとともに、前記フィルム状焼成材料を切断することにより、前記支持シート上において、前記第2部材と、前記第2部材の一方の面に設けられた、切断後の前記フィルム状焼成材料と、を備えたフィルム状焼成材料付き第2部材を作製し、前記フィルム状焼成材料付き第2部材を前記支持シートから剥離した後、前記フィルム状焼成材料付き第2部材中の前記フィルム状焼成材料のうち、前記第2部材側とは反対側の面を、前記第1部材に貼付することにより、前記工程(I)を行ってもよい。
本発明の接合体の製造方法においては、前記粘着剤層がエネルギー線硬化性であり、前記粘着剤層をエネルギー線の照射により硬化させてから、前記フィルム状焼成材料付き第2部材を、前記粘着剤層の硬化物から剥離してもよい。
本発明によれば、接合対象の部材同士の間に接合材料を介在させ、接合材料を焼成し、導電性接合部を形成することによって、これら部材同士が導電性接合部によって接合された接合体を製造するときに、部材の端部からの接合材料のはみ出しを抑制できる接合体の製造方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る接合体の製造方法で得られる接合体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る接合体の製造方法で得られた接合体の、せん断強度の測定方法を模式的に説明するための断面図である。 本発明の一実施形態に係る接合体の製造方法で用いる、支持シート付きフィルム状焼成材料を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る接合体の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る接合体の製造方法における工程(I)のうち、支持シート付きフィルム状焼成材料を用いた場合の工程(I)の一例を、模式的に説明するための断面図である。
◇接合体の製造方法
本発明の一実施形態に係る接合体の製造方法において、前記接合体は、第1部材と、金属焼結層と、第2部材とを備え、前記第1部材と、前記第2部材とが、前記金属焼結層によって接合されて構成されており、前記製造方法は、前記第1部材と、前記金属焼結層を形成するためのフィルム状焼成材料と、前記第2部材と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された第1積層体を作製する工程(I)と、前記第1積層体に対して、前記第1部材と、前記フィルム状焼成材料と、前記第2部材と、の積層方向において加える圧力を5MPa未満としながら、前記第1積層体を、その温度が温度(B)となるまで加熱することにより、第2積層体を作製する工程(II)と、前記第2積層体に対して、前記積層方向において加える圧力を5MPa以上としながら、前記第2積層体の温度を前記温度(B)-5℃以上とすることにより、前記フィルム状焼成材料を焼成し、前記金属焼結層を形成して、前記接合体を作製する工程(III)と、を有する。
本実施形態の接合体の製造方法によれば、接合対象の前記第1部材と前記第2部材の間に、金属焼結層を形成するための前記フィルム状焼成材料を介在させ、これらの積層物、すなわち前記第1積層体を作製する前記工程(I)を行い、前記第1積層体を用いて前記工程(II)及び工程(III)を行うことにより、前記工程(II)及び工程(III)において、前記第1部材と前記第2部材の端部からのフィルム状焼成材料のはみ出しを抑制できる。その結果、得られた接合体においても、前記第1部材と前記第2部材の端部からの金属焼結層のはみ出しを抑制でき、前記第1部材と前記第2部材の接合強度が十分に高くなる。
本明細書においては、第1積層体又は第2積層体に対して加える「圧力」とは、特に断りのない限り、「第1部材と、フィルム状焼成材料と、第2部材と、の積層方向において加える圧力」を意味する。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
<<接合体>>
まず、本実施形態の製造方法で得られる接合体について、説明する。
図1は、前記接合体の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す接合体101は、第1部材9と、金属焼結層10と、第2部材8とを備え、第1部材9と、第2部材8とが、金属焼結層10によって接合されて構成されている。
第1部材9は、金属焼結層10による接合対象となるものであれば、特に限定されない。
第1部材9として、より具体的には、例えば、基板等が挙げられる。
第2部材8も、金属焼結層10による接合対象となるものであれば、特に限定されない。
第2部材8として、より具体的には、例えば、半導体チップ等の各種チップ等が挙げられる。
第2部材8の金属焼結層10側の面(すなわち接合面)には、金属焼結層10との接合強度を高くするために、銀膜等の金属膜が設けられていてもよい。すなわち、第2部材8は、その一方の面に前記金属膜が設けられた複数層構造を有していてもよく、このような第2部材8が、その中の前記金属膜において金属焼結層10と接触し、第1部材9と接合されていてもよい。
金属焼結層10は、焼結性金属粒子同士が溶融し、結合することで形成された焼結体で構成される。
金属焼結層10は、例えば、焼結性金属粒子と、25℃で固体であるバインダー成分と、を含有するフィルム状焼成材料を焼成することで、形成できる。
第1部材9、第2部材8及び金属焼結層10は、いずれも1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
本明細書においては、これら(第1部材9、第2部材8及び金属焼結層10)の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
第1部材9の厚さは、目的に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第1部材9の厚さは、例えば、100~2000μmであることが好ましく、200~1700μmであることがより好ましい。
ここで、「第1部材9の厚さ」とは、第1部材9全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1部材9の厚さとは、第1部材9を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
本明細書において、「厚さ」は、第1部材の場合に限定されず、特に断りの無い限り、対象物において無作為に選出された5箇所で測定された厚さの平均値を意味し、JIS K7130に準じて、定圧厚さ測定器を用いて取得できる。
第2部材8の厚さは、目的に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第2部材8の厚さは、例えば、100~1000μmであることが好ましく、200~600μmであることがより好ましい。
ここで、「第2部材8の厚さ」とは、第2部材8全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第2部材8の厚さとは、第2部材8を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。したがって、第2部材8が前記金属膜を備えている場合には、ここに示す第2部材8の厚さとは、金属膜も含めた合計の厚さである。
第2部材8が前記金属膜を備えている場合、前記金属膜の厚さは、0.1~2μmであることが好ましく、0.2~1μmであることがより好ましい。
金属焼結層10の厚さは、目的に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
金属焼結層10の厚さは、例えば、12~40μmであることが好ましく、14~38μmであることがより好ましい。このような厚さの金属焼結層10は、第1部材9と第2部材8の端部(実質的には第2部材8の端部)からのはみ出しの抑制と、第1部材9と第2部材8の十分に高い接合強度と、の両方をより安定して実現できる。また、このような厚さの金属焼結層10を備えた接合体101は、例えば、電力用半導体素子(パワーデバイス)を構成するものとして、特に好適である。
ここで、「金属焼結層10の厚さ」とは、金属焼結層10全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる金属焼結層10の厚さとは、金属焼結層10を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
接合体101において、第2部材8の端部からの金属焼結層10のはみ出し量は、例えば、好ましくは0.5mm以下であり、0.4mm以下、及び0.2mm以下のいずれかであってもよい。特に、金属焼結層10の厚さが上記の数値範囲(例えば、12~40μm)である場合に、このように金属焼結層10のはみ出しが抑制された接合体101が、容易に得られる。
なお、ここでは、金属焼結層10のはみ出し量は、第2部材8の端部を基準として算出されるが、金属焼結層のはみ出し量を算出するときの基準は、接合体の構造に応じて、適宜選択できる。
接合体101において、金属焼結層10のはみ出しが抑制されると、金属焼結層10の厚さが必要以上に薄くなることが避けられ、その結果、第1部材9と第2部材8の接合強度が十分に高くなる。特に、接合体101に対して、冷却と加熱を繰り返して行い、接合体101を強制的に経時させる温度サイクル試験(Temperature Cycling Test、本明細書においては、「TCT」と称することがある)を行ったとき、このTCT後の第1部材9と第2部材8の接合強度は、TCTを行っていない場合の第1部材9と第2部材8の接合強度よりも、大きく低下することが無い点で、従来の接合体とは全く相違する。
接合体101における、第1部材9と第2部材8の接合強度の程度は、例えば、接合体101のせん断強度を指標として判断できる。
TCTを行っていない接合体101のせん断強度は、例えば、以下の方法で測定できる。
すなわち、常温下で、図2に示すように、接合体101のうち、金属焼結層10の外周(側面)10cと、第2部材8の外周(側面)8cと、の位置合わせされた部位に対して、同時に、第2部材8の一方の面(第1部材9側とは反対側の面)8aに対して平行な方向(ここでは、矢印P方向)に、200μm/sの速度で力を加える。この方向は、例えば、「第1部材9の第2部材8側の面9aに対して平行な方向」と同義である。前記部位に対して力を加えるときには、例えば、金属製でプレート状の押圧手段7を用い、この押圧手段7を介して、前記部位に対して力を加えることにより、容易かつより高精度に接合強度を測定できる。押圧手段7は、その第1部材9側の先端部を、第1部材9に接触させずに配置する。そして、金属焼結層10が破壊されるか、又は、金属焼結層10が第1部材9又は第2部材8から剥離する、までに加えられた力の最大値を測定し、その測定値を接合体101のせん断強度として採用できる。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
TCTを行っていない接合体101のせん断強度は、40MPa以上であることが好ましく、48MPa以上であることがより好ましく、例えば、56MPa以上、64MPa以上、72MPa以上、及び80MPa以上のいずれかであってもよい。
前記せん断強度の上限値は、特に限定されない。例えば、接合体101の製造がより容易である点では、前記せん断強度は、150MPa以下であることが好ましく、95MPa以下であることがより好ましい。
TCT後の接合体101のせん断強度も、上記のTCTを行っていない接合体101のせん断強度の場合と同じ方法で測定できる。
TCT後の接合体101のせん断強度は、20MPa以上であることが好ましく、40MPa以上であることがより好ましく、例えば、50MPa以上、60MPa以上、70MPa以上、及び80MPa以上のいずれかであってもよい。
前記せん断強度の上限値は、特に限定されない。例えば、接合体101の製造がより容易である点では、前記せん断強度は、150MPa以下であることが好ましく、95MPa以下であることがより好ましい。
本実施形態の製造方法で得られる接合体は、図1に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1に示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
例えば、前記接合体は、第1部材と、金属焼結層と、第2部材と、のいずれにも該当しない、他の要素を備えていてもよい。
<フィルム状焼成材料>
フィルム状焼成材料は、前記金属焼結層の形成材料である。
フィルム状焼成材料としては、例えば、焼結性金属粒子と、25℃で固体であるバインダー成分と、を含有するものが挙げられる。
[焼結性金属粒子]
フィルム状焼成材料を前記焼結性金属粒子の融点以上の温度で加熱処理することで、焼結性金属粒子同士が溶融、結合して、金属焼結層(焼結体)を形成する。前記金属焼結層を形成することで、金属焼結層と、これに接して焼成された部材と、が焼結接合される。本実施形態においては、第1部材と第2部材が、金属焼結層によって接合される。
焼結性金属粒子は、後述する非焼結性金属粒子よりも焼結し易い。
焼結性金属粒子の金属種としては、銀、金、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、シリコン、パラジウム、白金、チタン、バリウムが挙げられる。焼結性金属粒子としては、これら金属種の金属の粒子、1種又は2種以上の前記金属の酸化物の粒子、1種又は2種以上の前記金属の合金の粒子等が挙げられる。2種以上の前記金属の酸化物としては、例えば、チタン酸バリウム等が挙げられる。
これらの中でも、好ましい焼結性金属粒子としては、銀粒子、酸化銀粒子が挙げられる。
フィルム状焼成材料が含有する焼結性金属粒子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
本明細書において、「焼結性金属粒子」とは、具体的には、粒子径が100nm以下の金属元素を含む粒子を意味する。
焼結性金属粒子の粒子径は、100nm以下で、かつ、上述の焼結性を発現可能であれば、特に限定されず、例えば、50nm以下、及び30nm以下のいずれかであってよい。このような粒子径の焼結性金属粒子は、焼結性がより高い。
本明細書において、「金属粒子の粒子径」とは、電子顕微鏡で観察された金属粒子の粒子径の、投影面積円相当径とする。すなわち、観察された金属粒子の像の形状が円である場合には、金属粒子の粒子径とは、前記円の直径である。観察された金属粒子の像の形状が円以外である場合には、金属粒子の粒子径とは、この像の面積と同じ面積の円の直径である。
焼結性金属粒子においては、電子顕微鏡で観察された金属粒子の粒子径の、投影面積円相当径が100nm以下の粒子に対して求めた粒子径の数平均が、例えば、0.1~95nm、0.3~50nm、及び0.5~30nmのいずれかであってよい。このとき、測定対象の金属粒子は、フィルム状焼成材料1枚あたり、無作為に選ばれた100個以上の金属粒子とする。例えば、測定対象の金属粒子は、フィルム状焼成材料1枚あたり、無作為に選ばれた100個の金属粒子であってもよい。
本実施形態のフィルム状焼成材料は、粒子径100nm以下の金属粒子(すなわち、焼結性金属粒子)と、これに該当しない、粒子径が100nm超の金属粒子(本明細書においては、「非焼結性金属粒子」と称することがある)と、を含有していてもよい。
本明細書において、「非焼結性金属粒子」とは、具体的には、粒子径が100nm超の金属元素を含む粒子を意味する。
非焼結性金属粒子においては、電子顕微鏡で観察された金属粒子の粒子径の、投影面積円相当径が100nm超の粒子に対して求めた粒子径の数平均が、例えば、150nm超50000nm以下、150~10000nm、及び180~5000nmのいずれかであってよい。このとき、測定対象の金属粒子は、フィルム状焼成材料1枚あたり、無作為に選ばれた100個以上の金属粒子とする。例えば、測定対象の金属粒子は、フィルム状焼成材料1枚あたり、無作為に選ばれた100個の金属粒子であってもよい。
非焼結性金属粒子の金属種としては、上述の焼結性金属粒子の金属種として例示したものと同じものが挙げられる。
好ましい非焼結性金属粒子としては、銀粒子、銅粒子、銀酸化物粒子、銅酸化物粒子が挙げられる。
フィルム状焼成材料が含有する非焼結性金属粒子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
フィルム状焼成材料において、焼結性金属粒子の金属種と、非焼結性金属粒子の金属種と、は互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、フィルム状焼成材料は、焼結性金属粒子として銀粒子を含有し、非焼結性金属粒子として銀粒子又は酸化銀粒子を含有していてもよい。また、例えば、フィルム状焼成材料は、焼結性金属粒子として銀粒子又は酸化銀粒子を含有し、非焼結性金属粒子として銅粒子又は酸化銅粒子を含有していてもよい。
フィルム状焼成材料における、金属粒子の合計含有量(換言すると、焼結性金属粒子と非焼結性金属粒子の合計含有量)に対する、焼結性金属粒子の含有量の割合は、例えば、10~100質量%、及び20~95質量%のいずれかであってもよい。
フィルム状焼成材料において、焼結性金属粒子及び非焼結性金属粒子のいずれか一方又は両方は、その表面に、有機物が被覆されていてもよい。有機物の被覆を有する焼結性金属粒子及び非焼結性金属粒子は、バインダー成分との相溶性が向上し、粒子同士の凝集がより抑制され、より均一に分散可能である。
焼結性金属粒子又は非焼結性金属粒子の表面に有機物が被覆されている場合、焼結性金属粒子又は非焼結性金属粒子の質量としては、有機物を含んだ値を採用する。
[バインダー成分]
前記バインダー成分は、25℃で固体であり、フィルム状焼成材料はバインダー成分を含有していることによって、フィルム状の形状を維持でき、さらに、粘着性を有する。
バインダー成分は、フィルム状焼成材料の焼成時(加熱処理時)に熱分解する熱分解性であってよい。
本明細書において、「液体」とは、25℃の温度条件下で、B型粘度計を用いて粘度が測定可能な状態を意味する。「固体」とは、25℃の温度条件下で、B型粘度計を用いて粘度が測定不可能な状態を意味する。
バインダー成分は、本発明の効果が得られる限り、特に限定されない。
好ましいバインダー成分としては、例えば、樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリ乳酸、セルロース誘導体の重合物等が挙げられ、アクリル系樹脂がより好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、1種の(メタ)アクリレート化合物の単独重合体;2種以上の(メタ)アクリレート化合物の共重合体;1種又は2種以上の(メタ)アクリレート化合物と、それ以外の1種又は2種以上の他の共重合性単量体と、の共重合体等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。(メタ)アクリレートと類似の用語についても同様であり、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念である。
前記アクリル系樹脂において、構成単位の全量(質量部)に対する、(メタ)アクリレート化合物から誘導された構成単位の量(質量部)の割合は、50~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート(ミリスチル(メタ)アクリレート)、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート(パルミチル(メタ)アクリレート)、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレート(ステアリル(メタ)アクリレート)、イソオクタデシル(メタ)アクリレート(イソステアリル(メタ)アクリレート)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1~18の鎖状構造である、アルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;
2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物は、アルキル(メタ)アクリレート又はアルコキシアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましく、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート又は2-エトキシエチル(メタ)アクリレートであることがより好ましく、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートであることがさらに好ましく、2-エチルヘキシルメタクリレートであることが特に好ましい。
前記アクリル系樹脂は、メタクリレート化合物から誘導された構成単位を有することが好ましい。このようなアクリル系樹脂をバインダー成分として含有するフィルム状焼成材料は、比較的低温で焼成することができ、また、充分な接合強度を有する金属焼結層が容易に得られる。
前記他の共重合性単量体は、前記(メタ)アクリレート化合物と共重合可能な化合物であれば特に限定されない。
前記他の共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸(エテニル安息香酸)、マレイン酸、ビニルフタル酸(エテニルフタル酸)等の不飽和カルボン酸類(不飽和結合を有するカルボン酸);ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α-メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン等のビニル基含有ラジカル重合性化合物等が挙げられる。
バインダー成分である前記樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000~1000000であることが好ましく、10000~800000であることがより好ましい。前記樹脂の重量平均分子量がこのような範囲内であることで、フィルム状焼成材料の膜強度及び柔軟性がより高くなる。
本明細書において、「重量平均分子量」とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
バインダー成分である前記樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-60~50℃であることが好ましく、-30~10℃であることがより好ましく、-20℃以上0℃未満であることがさらに好ましい。前記樹脂のTgが前記上限値以下であることで、フィルム状焼成材料の柔軟性がより高くなり、さらに、フィルム状焼成材料の被着体(第1部材、第2部材)に対する粘着力がより高くなる。前記樹脂のTgが前記下限値以上であることで、フィルム状焼成材料のフィルム形状の維持がより容易であり、後述する支持シート等からのフィルム状焼成材料の引き離しがより容易となる。
バインダー成分である前記樹脂のガラス転移温度(Tg)は、Foxの式を用いて算出できる。本明細書中に記載されている樹脂のTgは、樹脂が前記バインダー成分であるか否かによらず、特に断りのない限り、Foxの式を用いて算出した値である。
前記Foxの式における各単量体のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は、高分子データ・ハンドブック又は粘着ハンドブック等に記載されている値を使用できる。
フィルム状焼成材料が含有するバインダー成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
バインダー成分が、フィルム状焼成材料の焼成時(加熱処理時)に熱分解されたことは、例えば、焼成時のバインダー成分の質量減少により確認できる。
本実施形態においては、フィルム状焼成材料の焼成時に、バインダー成分のすべてが熱分解されてもよいし、バインダー成分の一部が熱分解されなくてもよい。
本実施形態においては、焼成前のバインダー成分の総量(質量部)に対する、焼成後のバインダー成分(換言すると金属焼結層)の量(質量部)の割合が、例えば、10質量%以下、5質量%以下、及び3質量%以下のいずれかであってもよく、0質量%であってもよい。
フィルム状焼成材料は、本発明の効果を損なわない範囲内において、焼結性金属粒子と、非焼結性金属粒子と、バインダー成分と、のいずれにも該当しないその他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分としては、例えば、液体成分、溶媒、添加剤等が挙げられる。
前記液体成分は、その沸点が300~450℃であり、かつ25℃で液体の成分である。フィルム状焼成材料は、このような液体成分を含有していることによって、後述する支持シートとの接着力が充分に高く、ダイシング適性に優れ、さらにその焼成時には、第1部材と第2部材との間からの液体成分の染み出しが抑制される。
本明細書において「沸点」とは、常圧(101325Pa)下での沸点を意味する。
前記溶媒は、その沸点が300℃未満であり、かつ25℃で液体の成分である。
前記溶媒としては、例えば、水、有機溶媒等が挙げられる。
前記溶媒は、後述の焼成材料組成物の取り扱い性を向上させるという点において、好ましい成分である。
前記添加剤は、特に限定されない。前記添加剤としては、例えば、分散剤、粘着付与剤、保存安定剤、消泡剤、熱分解促進剤、酸化防止剤等の当該分野で公知の各種添加剤が挙げられる。
フィルム状焼成材料が含有する前記その他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
フィルム状焼成材料における、フィルム状焼成材料の総質量に対する、前記その他の成分の含有量の割合は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
後述する支持シート付きフィルム状焼成材料は、フィルム状焼成材料と、前記フィルム状焼成材料の少なくとも一方の面に設けられた支持シートと、を備えている。
前記支持シート付きフィルム状焼成材料においては、前記フィルム状焼成材料の支持シートに対する粘着力(a2)が、前記フィルム状焼成材料のシリコンウエハに対する粘着力(a1)よりも小さく、かつ、前記粘着力(a1)が0.1N/25mm以上であり、前記粘着力(a2)が0.1~2N/25mm又は0.1~0.5N/25mmであることが好ましい。
前記粘着力(a1)は、以下の方法で測定できる。
すなわち、表面の算術平均粗さ(Ra)が0.02μmになるまでケミカルメカニカルポリッシュ処理したシリコンウエハ(例えば、科学技術研究所社製の、直径150mm、厚さ500μmのシリコンウエハ)を用意し、支持シート付きフィルム状焼成材料中のフィルム状焼成材料を、その温度を50℃とし、前記シリコンウエハの前記処理面に貼付する。次いで、フィルム状焼成材料から支持シートを剥離し、ポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム、厚さ12μm)を、フィルム状焼成材料の露出面に貼付し、強固に接着(裏打ち)する。次いで、このPETフィルムとフィルム状焼成材料の積層物を、幅25mm、長さ100mm以上の大きさに切断し、フィルム状焼成材料及びPETフィルムからなる積層物がシリコンウエハに貼付にされた積層体を得る。次いで、得られた積層体を温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で20分間放置した後、万能型引張試験機(例えば、インストロン社製「5581型試験機」)を用いて、JIS Z0237:2000に準拠して、180°剥離試験を行う。より具体的には、シリコンウエハからPETフィルムが裏打ちされたフィルム状焼成材料をPETフィルムごと剥離速度300mm/minで剥離する。このとき、シリコンウエハ及びフィルム状焼成材料の互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、PETフィルムが裏打ちされたフィルム状焼成材料をその長さ方向へ剥離する。そして、この180°剥離試験での荷重(剥離力)を測定し、その測定値を粘着力(a1)(N/25mm)として採用する。
前記粘着力(a2)は、以下の方法で測定できる。
すなわち、支持シート付きフィルム状焼成材料を温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で20分間放置した後、万能型引張試験機(例えば、インストロン社製「5581型試験機」)を用いて、JIS Z0237:2000に準拠して、180°剥離試験を行う。より具体的には、支持シート付きフィルム状焼成材料中のフィルム状焼成材料の露出面に、ポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム、厚さ12μm)を貼付し、支持シートから、PETフィルムが貼付されたフィルム状焼成材料をPETフィルムごと剥離速度300mm/minで剥離する。このとき、支持シート及びフィルム状焼成材料の互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、フィルム状焼成材料をPETフィルムごと、その長さ方向へ剥離する。そして、この180°剥離試験での荷重(剥離力)を測定し、その測定値を粘着力(a2)(N/25mm)として採用する。
ケミカルメカニカルポリッシュ処理したシリコンウエハに代えて、第1部材及び第2部材のいずれか一方を用いて、それ以外は上述の粘着力(a1)の測定方法と同じ方法で得られる、フィルム状焼成材料の、第1部材及び第2部材のいずれか一方に対する粘着力は、0.1N/25mm以上であることが好ましく、0.5N/25mm以上であることがより好ましく、1.0N/25mm以上であることがさらに好ましい。粘着力(a1)が前記下限値以上であることで、フィルム状焼成材料のダイシング適性がより高くなる。また、第1部材と第2部材が焼成前のフィルム状焼成材料で仮固定されている状態で搬送される際に、第1部材又は第2部材の位置がずれるのを抑制できる。
上述の粘着力(a2)は、0.1~0.5N/25mmであることが好ましく、0.2~0.5N/25mmであることがより好ましく、0.2~0.4N/25mmであることがさらに好ましい。粘着力(a2)が前記下限値以上であることで、フィルム状焼成材料のダイシング適性がより高くなる。
粘着力(a2)が、粘着力(a1)よりも小さく、かつ前記上限値以下であることで、第1部材及び第2部材のいずれか一方を分割(例えば、ウエハの場合にはダイシング)により個片化して得られた分割物(例えば、ウエハの場合にはチップ)と、フィルム状焼成材料の切断物と、の積層物(例えば、ウエハの場合にはフィルム状焼成材料付きチップ)を、支持シートから剥離するときに、支持シートからフィルム状焼成材料が剥がれ易くなり、前記積層物をより容易に剥離できる。
[フィルム状焼成材料の組成]
フィルム状焼成材料は、焼結性金属粒子、バインダー成分、及び前記その他の成分からなるものであってもよく、これら成分の合計含有量は、100質量%であってよい。
フィルム状焼成材料が非焼結性金属粒子を含む場合には、フィルム状焼成材料は、焼結性金属粒子、非焼結性金属粒子、バインダー成分、及び前記その他の成分からなるものであってもよく、これら成分の合計含有量は、100質量%であってよい。
フィルム状焼成材料において、25℃で液体である成分以外の全ての成分(本明細書においては、「固形分」と称することがある)の合計含有量に対する、焼結性金属粒子の含有量の割合は、15~98質量%であることが好ましく、15~95質量%であることがより好ましく、20~90質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、フィルム状焼成材料において、バインダー成分の含有量を充分に確保できるので、フィルム形状をより安定して維持できる。前記割合が前記下限値以上であることで、焼成時に焼結性金属粒子同士、又は焼結性金属粒子と非焼結性金属粒子との融着がより進行し、接合体の接合強度がより高くなる。
フィルム状焼成材料が非焼結性金属粒子を含有する場合、フィルム状焼成材料における、固形分の総含有量に対する、焼結性金属粒子及び非焼結性金属粒子の合計含有量の割合は、50~98質量%であることが好ましく、70~97質量%であることがより好ましく、80~95質量%であることがさらに好ましい。
フィルム状焼成材料における、固形分の総含有量に対する、バインダー成分の含有量の割合は、2~50質量%であることが好ましく、3~30質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、フィルム状焼成材料において、焼結性金属粒子の含有量を充分に確保できるので、フィルム状焼成材料と第1部材又は第2部材との接合接着力がより向上する。前記割合が前記下限値以上であることで、フィルム状焼成材料のフィルム形状をより安定して維持できる。
フィルム状焼成材料において、[焼結性金属粒子の含有量(質量部)]:[バインダー成分の含有量(質量部)])の比率は、50:1~1:1であることが好ましく、35:1~2.5:1であることがより好ましく、20:1~4:1であることがさらに好ましい。
フィルム状焼成材料が非焼結性金属粒子を含有する場合には、[焼結性金属粒子及び非焼結性金属粒子の合計含有量(質量部)]:[バインダー成分の含有量(質量部)]の比率は、50:1~1:10であることが好ましく、35:1~1:4であることがより好ましく、20:1~1:2.5であることがさらに好ましい。
フィルム状焼成材料において、フィルム状焼成材料の総質量に対する、後述の焼成材料組成物が含有する溶媒(比較的高沸点の溶媒も含む)の含有量の割合は、1質量%以下であることが好ましい。
フィルム状焼成材料は、フィルム状であるため、厚さの安定性に優れる。
フィルム状焼成材料の形状は、接合対象である第1部材又は第2部材の形状に合わせて適宜設定すればよく、特に限定されない。本明細書においては、「フィルム状焼成材料の形状」とは、特に断りのない限り、フィルム状焼成材料を、その第1部材又は第2部材への貼付面側の上方から見下ろして平面視したときの形状(すなわち平面形状)を意味する。
フィルム状焼成材料の形状は、例えば、円形又は矩形であることが好ましい。円形は、例えば、第2部材が半導体ウエハである場合に好適な形状である。この場合、フィルム状焼成材料と第2部材(半導体ウエハ)は、互いに同形状又は略同形状となる。矩形は、例えば、第2部材がチップである場合に好適な形状である。この場合、フィルム状焼成材料と第2部材(チップ)は、互いに同形状又は略同形状となる。
フィルム状焼成材料の形状が円形である場合、円の面積は、例えば、3.5~1600cm、及び85~1400cmのいずれかであってよい。フィルム状焼成材料の形状が矩形である場合、矩形の面積は、例えば、0.01~25cm、及び0.25~9cmのいずれかであってよい。
フィルム状焼成材料は、その少なくとも一方の面に支持シートが設けられた、支持シート付きフィルム状焼成材料を構成できる。
支持シート付きフィルム状焼成材料については、後ほど詳しく説明する。
<フィルム状焼成材料の製造方法>
フィルム状焼成材料は、その構成材料を含有する焼成材料組成物を用いて形成できる。フィルム状焼成材料は、溶媒を含有していることが好ましい。
例えば、フィルム状焼成材料の形成対象面に、前記焼成材料組成物を塗工又は印刷し、必要に応じて溶媒を揮発させることで、目的とする部位にフィルム状焼成材料を形成できる。
フィルム状焼成材料の形成対象面としては、剥離フィルムの剥離処理面が挙げられる。
焼成材料組成物が溶媒を含有する場合、焼成材料組成物が含有する溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
焼成材料組成物を塗工する場合、前記溶媒としては、その沸点が200℃未満のものが好ましい。このような溶媒としては、例えば、n-ヘキサン(沸点68℃)、酢酸エチル(沸点77℃)、2-ブタノン(沸点80℃)、n-ヘプタン(沸点98℃)、メチルシクロヘキサン(沸点101℃)、トルエン(沸点111℃)、アセチルアセトン(沸点138℃)、n-キシレン(沸点139℃)、ジメチルホルムアミド(沸点153℃)等が挙げられる。
焼成材料組成物の塗工は、公知の方法で行えばよい。焼成材料組成物は、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター(登録商標)、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法で塗工できる。
焼成材料組成物を印刷する場合、前記溶媒は、印刷後に揮発乾燥可能なものであればよく、その沸点が65~280℃のものが好ましい。このような比較的高沸点の溶媒としては、先に例示した、沸点が200℃未満の溶媒と、さらに、イソホロン(沸点215℃)、ブチルカルビトール(沸点230℃)、1-デカノール(沸点233℃)、ブチルカルビトールアセタート(沸点247℃)等が挙げられる。
溶媒の沸点が280℃以下であることで、印刷後の揮発乾燥で溶媒が揮発し易く、フィルム状焼成材料を目的とする形状で得られ易い。また、フィルム状焼成材料の焼成時に溶媒がフィルム状焼成材料の内部に残存し難くなり、フィルム状焼成材料の接合接着性がより高くなる。溶媒の沸点が65℃以上であることで、印刷時に溶媒の揮発が抑制され、フィルム状焼成材料の厚さの均一性がより高くなる。なかでも、溶媒の沸点が200~280℃である場合には、印刷時の溶媒の揮発による、焼成材料組成物の粘度の上昇がより抑制され、印刷適性がより高くなる。
焼成材料組成物の印刷は、公知の方法で行えばよい。焼成材料組成物は、例えば、フレキソ印刷法等の凸版印刷法;グラビア印刷法等の凹版印刷法;オフセット印刷法等の平板印刷法;シルクスクリーン印刷法、ロータリースクリーン印刷法等のスクリーン印刷法;インクジェットプリンタ等の各種プリンタを用いる印刷法等で印刷できる。
焼成材料組成物を印刷することにより、塗工する場合よりも、目的とする形状のフィルム状焼成材料を形成し易い。
焼成材料組成物が溶媒を含有する場合、焼成材料組成物の総質量に対する、溶媒の含有量の割合は、5~60質量%であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましく、15~40質量%であることがさらに好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、焼成材料組成物の塗工適性又は印刷適性がより高くなる。
焼成材料組成物の乾燥条件は、特に限定されず、焼成材料組成物が溶媒を含有している場合には、加熱乾燥させることが好ましい。焼成材料組成物を加熱乾燥させる場合には、例えば、70~250℃又は80~180℃で、10秒間~10分間の条件で乾燥させることが好ましい。
<支持シート付きフィルム状焼成材料>
本実施形態における支持シート付きフィルム状焼成材料は、支持シートと、前記支持シートの一方の面上に設けられた前記フィルム状焼成材料と、を備えている。
前記支持シートとしては、例えば、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた粘着剤層と、を備えたもの;基材フィルムのみからなるもの等が挙げられる。
支持シートが、前記基材フィルム及び粘着剤層を備えたものである場合、前記支持シート付きフィルム状焼成材料において、前記フィルム状焼成材料は、前記粘着剤層の前記基材フィルム側とは反対側の面上に設けられている。
支持シート付きフィルム状焼成材料は、例えば、分割によって第2部材を形成するための部材(本明細書においては、「未分割部材」と称することがある)を、分割するために用いることができ、例えば、未分割部材としてウエハを用いた場合には、このウエハをダイシングによってチップへと分割するためのダイシングシートとして利用できる。このとき、フィルム状焼成材料も、未分割部材とともに切断でき、ウエハをダイシングによってチップへと分割する場合には、ウエハと、前記ウエハの裏面に設けられた、切断後のフィルム状焼成材料と、を備えたフィルム状焼成材料付きチップを製造できる。
支持シート付きフィルム状焼成材料を用いることで、後述する接合体の製造方法における工程(I)で、第1積層体を作製できる。
図3は、支持シート付きフィルム状焼成材料を模式的に示す断面図である。
ここに示す支持シート付きフィルム状焼成材料301は、支持シート2と、支持シート2の一方の面2a上に設けられたフィルム状焼成材料1と、を備えている。支持シート2は、基材フィルム21と、基材フィルム2の一方の面21a上に設けられた粘着剤層22と、を備えている。支持シート付きフィルム状焼成材料301において、フィルム状焼成材料1は、粘着剤層22の基材フィルム21側とは反対側の面22a上に設けられている。粘着剤層22の基材フィルム21側とは反対側の面22aは、支持シート2の一方の面2aと同じである。
本実施形態の製造方法で用いる支持シート付きフィルム状焼成材料は、図3に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図3に示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
例えば、支持シート付きフィルム状焼成材料は、基材フィルムと、粘着剤層と、フィルム状焼成材料と、のいずれにも該当しない、他の要素を備えていてもよい。
また、図3に示す支持シート付きフィルム状焼成材料においては、基材フィルムの一方の面の全面上に粘着剤層が設けられているが、基材フィルムの一方の面の一部の領域上には、粘着剤層が設けられていなくてもよい。
[基材フィルム]
基材フィルムの構成材料としては、樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE),エチレン-プロピレン共重合体、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、アイオノマー等が挙げられる。
また支持シートに対してより高い耐熱性が求められる場合には、前記樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン等が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、ここまでに挙げた樹脂を架橋したもの(架橋樹脂)、ここまでに挙げた樹脂の放射線照射又は放電等により得られる改質樹脂も挙げられる。
基材フィルムは、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
基材フィルムの厚さは、特に限定されないが、30~300μmであることが好ましく、50~200μmであることがより好ましい。基材フィルムの厚さがこのような範囲であることで、基材フィルムにダイシングによる切り込みが行われても、基材フィルムが断裂し難い。また、支持シート付きフィルム状焼成材料は、充分な可撓性を有するため、第1部材又は第2部材に対して良好な貼付性を示す。
ここで、「基材フィルムの厚さ」とは、基材フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材フィルムの厚さとは、基材フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
基材フィルムは、その表面が剥離剤により剥離処理されていても(剥離処理面を有していても)よい。前記剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系又はワックス系の剥離剤等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性を有する点で、特に好ましい前記剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系又はフッ素系の剥離剤が挙げられる。
[粘着剤層]
粘着剤層は、例えば、弱粘着性であってもよいし、エネルギー線硬化性であってもよい。
本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味する。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、公知の種々の粘着剤(例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ビニルエーテル系等の汎用粘着剤;表面凹凸のある粘着剤;エネルギー線硬化性粘着剤;熱膨張成分含有粘着剤等)が挙げられる。
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、1~100μmであることが好ましく、2~80μmであることがより好ましく、3~50μmであることがさらに好ましい。
ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
支持シート付きフィルム状焼成材料の厚さは、1~500μmであることが好ましく、5~300μmであることがより好ましく、10~150μmであることがさらに好ましい。
<支持シート付きフィルム状焼成材料の製造方法>
支持シート付きフィルム状焼成材料は、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。
例えば、基材フィルムの一方の面上に粘着剤層又はフィルム状焼成材料を積層する場合には、剥離フィルム上に、粘着剤層を構成するための成分及び溶媒を含有する粘着剤組成物、又はフィルム状焼成材料を構成するための成分及び溶媒を含有する焼成材料組成物を、塗工又は印刷し、必要に応じて乾燥により溶媒を揮発させて、フィルム状とすることで、剥離フィルム上に粘着剤層又はフィルム状焼成材料をあらかじめ形成する。そして、この形成済みの粘着剤層又はフィルム状焼成材料の前記剥離フィルム側とは反対側の露出面を、基材フィルムの一方の面と貼り合わせればよい。このとき、粘着剤組成物又は焼成材料組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工又は印刷することが好ましい。剥離フィルムは、積層構造の形成後、必要に応じて取り除けばよい。
例えば、基材フィルム上に積層されている粘着剤層の、基材フィルム側とは反対側の面上に、フィルム状焼成材料を積層する場合には、上述の方法で基材フィルム上に粘着剤層を積層する。そして、別途、剥離フィルム上に、フィルム状焼成材料を構成するための成分及び溶媒を含有する焼成材料組成物を、塗工又は印刷し、必要に応じて乾燥により溶媒を揮発させて、フィルム状とすることで、剥離フィルム上にフィルム状焼成材料をあらかじめ形成する。そして、この形成済みのフィルム状焼成材料の前記剥離フィルム側とは反対側の露出面を、基材フィルム上に積層済みの粘着剤層の露出面と貼り合わせればよい。このとき、焼成材料組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工又は印刷することが好ましい。剥離フィルムは、積層構造の形成後、必要に応じて取り除けばよい。
<<接合体の製造方法>>
次に、本実施形態の接合体の製造方法について、説明する。
図4は、本実施形態の接合体の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。ここでは、図1に示す接合体101を製造する場合を例に挙げて説明する。
<<工程(I)>>
前記工程(I)においては、図4(a)に示すように、第1部材9と、金属焼結層10を形成するためのフィルム状焼成材料1と、第2部材8と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された第1積層体1011を作製する。そのためには、第1部材9と、フィルム状焼成材料1と、第2部材8と、をこの順に積層すればよい。
フィルム状焼成材料1としては、先に説明したものを用いることができる。
工程(I)は、前記支持シート付きフィルム状焼成材料を用いて行うこともできる。
すなわち、本実施形態においては、支持シートと、前記支持シートの一方の面上に設けられた前記フィルム状焼成材料と、を備えた支持シート付きフィルム状焼成材料を準備し、さらに、未分割部材を準備し、前記未分割部材は、その分割によって、前記第2部材となり、前記支持シート付きフィルム状焼成材料中の前記フィルム状焼成材料のうち、前記支持シート側とは反対側の面を、前記未分割部材に貼付することにより、前記支持シート付きフィルム状焼成材料と、前記未分割部材と、が積層されて構成された未分割積層体を作製し、前記未分割積層体中の前記未分割部材を分割して、前記第2部材を作製するとともに、前記フィルム状焼成材料を切断することにより、前記支持シート上において、前記第2部材と、前記第2部材の一方の面に設けられた、切断後の前記フィルム状焼成材料と、を備えたフィルム状焼成材料付き第2部材を作製し、前記フィルム状焼成材料付き第2部材を前記支持シートから剥離した後、前記フィルム状焼成材料付き第2部材中の前記フィルム状焼成材料のうち、前記第2部材側とは反対側の面を、前記第1部材に貼付することにより、前記工程(I)を行うことができる。
そして、前記支持シートが、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた粘着剤層と、を備えており、前記支持シート付きフィルム状焼成材料として、前記フィルム状焼成材料が、前記粘着剤層の前記基材フィルム側とは反対側の面上に設けられているものを用いた場合には、前記フィルム状焼成材料付き第2部材を、前記粘着剤層から剥離する。
さらに、前記粘着剤層がエネルギー線硬化性である場合には、前記粘着剤層をエネルギー線の照射により硬化させてから、前記フィルム状焼成材料付き第2部材を、前記粘着剤層の硬化物から剥離する。
図5は、支持シート付きフィルム状焼成材料を用いた場合の工程(I)の一例を、模式的に説明するための断面図である。ここでは、図3に示す支持シート付きフィルム状焼成材料301を用いた場合を例に挙げて説明する。
この場合、工程(I)においては、図5(a)に示すように、支持シート付きフィルム状焼成材料301中のフィルム状焼成材料1のうち、支持シート2側とは反対側の面1aを、未分割部材20に貼付することにより、支持シート付きフィルム状焼成材料301と、未分割部材20と、が積層されて構成された未分割積層体320を作製する。
このとき、未分割部材20に貼付するときの支持シート付きフィルム状焼成材料301の温度(貼付温度)は、23~150℃であることが好ましく、23~100℃であることがより好ましい。
支持シート付きフィルム状焼成材料301を未分割部材20に貼付するときの速度(貼付速度)は、0.1~100mm/secであることが好ましく、1~20mm/secであることが好ましい。
支持シート付きフィルム状焼成材料301を未分割部材20に貼付するときに、支持シート付きフィルム状焼成材料301に加える圧力(貼付圧力は)は、0.1~1MPaであることが好ましい。
次いで、未分割積層体320中の未分割部材20を分割して、複数個の第2部材8を作製するとともに、フィルム状焼成材料1を切断することにより、図5(b)に示すように、支持シート2上において、第2部材8と、第2部材8の一方の面(先に述べた一方の面とは反対側の面)8bに設けられた、切断後のフィルム状焼成材料(本明細書においては、単に「フィルム状焼成材料」と称することがある)1と、を備えた複数個のフィルム状焼成材料付き第2部材81を作製する。本明細書においては、複数個のフィルム状焼成材料付き第2部材81が支持シート2上に保持された構造体を、フィルム状焼成材料付き第2部材群と称し、ここでは符号321を付して示している。フィルム状焼成材料付き第2部材81は、その中のフィルム状焼成材料1によって、支持シート2中の粘着剤層22に接触して保持されている。
未分割部材20の分割と、フィルム状焼成材料1の切断は、いずれも公知の方法で行うことができる。例えば、未分割部材20がウエハである場合には、未分割部材20の分割と、フィルム状焼成材料1の切断は、いずれもダイシングブレードを用いて行うことができる。
次いで、図5(c)に示すように、フィルム状焼成材料付き第2部材群321において、フィルム状焼成材料付き第2部材81を支持シート2、より具体的には、支持シート2中の粘着剤層22から剥離する。
フィルム状焼成材料付き第2部材81の剥離は、公知の方法で行うことができ、例えば、半導体チップをピックアップする方法等を適用できる。
ここでは、真空コレット等の剥離手段6を用いて、フィルム状焼成材料付き第2部材81を矢印U方向に剥離する場合を示している。なお、ここでは、剥離手段6の断面表示を省略している。
粘着剤層22がエネルギー線硬化性である場合には、粘着剤層22をエネルギー線の照射により硬化させてから、フィルム状焼成材料付き第2部材81を、粘着剤層22の硬化物から剥離する。図5(c)においては、粘着剤層22の硬化物に符号22’を付している。粘着剤層の硬化物22’の粘着力は、粘着剤層22の粘着力よりも小さいため、このように粘着剤層22を硬化させてから、フィルム状焼成材料付き第2部材81を剥離することにより、より容易にフィルム状焼成材料付き第2部材81を剥離できる。
次いで、フィルム状焼成材料付き第2部材81中のフィルム状焼成材料1のうち、第2部材8側とは反対側の面1bを、第1部材9に貼付する。
以上により、図4(a)に示す第1積層体1011が得られる。
<<工程(II)>>
前記工程(II)においては、第1積層体1011に対して、第1部材9と、フィルム状焼成材料1と、第2部材8と、の積層方向において加える圧力(本明細書においては、「圧力(a)」と称することがある)を5MPa未満としながら、第1積層体1011を、その温度が温度(B)となるまで加熱することにより、図4(b)に示すように、第2積層体1012を得る。
第2積層体1012中のフィルム状焼成材料1’は、第1積層体1011中のフィルム状焼成材料1と同じである場合と、異なる場合とがある。いずれであるかは、フィルム状焼成材料1の組成に依存する。
工程(II)において、第1積層体1011に対して加える前記圧力(圧力(a))は、例えば、4.5MPa以下、2.5MPa以下、及び0.5MPa以下のいずれかであってもよい。
工程(II)における前記圧力の下限値は0MPaである(工程(II)においては、第1積層体1011に対して前記圧力を加えなくてもよい)。
工程(II)における前記圧力は、例えば、0MPa以上5MPa未満、0~4.5MPa、0~2.5MPa、及び0~0.5MPaのいずれかであってもよい。
工程(II)において、第1積層体1011に対して前記圧力(圧力(a))を加える場合、例えば、第1部材9側では第1積層体1011を支える(圧力を受け止める)だけにとどめて、第1積層体1011に対して、第1部材9側からは圧力を加えず、第2部材8側から圧力を加えることができる。また、第2部材8側では第1積層体1011を支える(圧力を受け止める)だけにとどめて、第1積層体1011に対して、第2部材8側からは圧力を加えず、第1部材9側から圧力を加えることができる。また、第1積層体1011に対して、第1部材9側と第2部材8側の両側から圧力を加えることができる。
工程(II)において、第1積層体1011に対して前記圧力(圧力(a))を加える場合、例えば、第1部材9及び第2部材8のいずれか一方又は両方の圧力を加える面(本明細書においては、「加圧面」と称することがある)に対して、圧力を加えるための加圧手段を接触させて、圧力を加えることができる。
このとき、加圧手段のいずれかの面を、第1部材9及び第2部材8のいずれか一方又は両方の加圧面に対して、面接触させてもよく、第1部材9及び第2部材8のいずれか一方又は両方の加圧面の全面に、加圧手段のいずれかの面を面接触させてもよい。このようにすることで、第1部材9及び第2部材8に対して、より均一に前記圧力を加えることができる。
工程(II)において、第1積層体1011を、その温度が温度(B)となるまで加熱するためには、例えば、常温下に置かれているなど、加熱されていない状態の第1積層体1011を、加熱環境下に置くことにより、第1積層体1011の加熱を開始すればよい。本明細書においては、このように第1積層体1011の加熱を開始したときの加熱温度(加熱環境の温度)を「温度(A)」と称する。工程(II)においては、第1積層体1011の温度を温度(B)とするために、第1積層体1011の加熱を開始した後、加熱温度(加熱環境の温度)を温度(A)からさらに上昇させることが好ましい。
工程(II)において、前記温度(A)は、フィルム状焼成材料1及びフィルム状焼成材料1’が焼成されない温度であることが好ましい。
温度(A)は、例えば、常温以上であってよく、50℃未満であってもよく、50℃以上であることが好ましく、例えば、60℃以上であってもよい。温度(A)が前記下限値以上であることで、工程(II)をより効率的に行うことができる。
温度(A)は、例えば、190℃以下、150℃以下、及び110℃以下のいずれかであってもよいが、80℃以下であることが好ましい。温度(A)が前記上限値以下であることで、工程(II)における、第1部材9と第2部材8の端部(実質的には第2部材8の端部)からのフィルム状焼成材料1のはみ出しが、より抑制される。その結果、後述する接合体においても、第1部材9と第2部材8の端部(実質的には第2部材8の端部)からの金属焼結層のはみ出しが抑制され、第1部材9と第2部材8の接合強度がより高くなる。
温度(A)は、例えば、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に適宜調節できる。例えば、温度(A)は、常温以上50℃未満、50~190℃、50~150℃、及び50~110℃のいずれかであってもよいが、50~80℃であることが好ましい。ただし、これらは温度(A)の一例である。
工程(II)において、前記温度(B)は、200℃以上であることが好ましく、例えば、240℃以上、280℃以上、及び320℃以上のいずれかであってもよい。温度(B)が前記下限値以上であることで、後述する工程(III)において、フィルム状焼成材料1’をより高度に焼成でき、金属焼結層をより高純度に形成できる。
温度(B)は、400℃以下であることが好ましく、例えば、380℃以下、及び360℃以下のいずれかであってもよい。
温度(B)は、例えば、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に適宜調節できる。例えば、温度(B)は、200~400℃であることが好ましく、240~400℃、280~400℃、及び320~400℃のいずれかであってもよい。ただし、これらは温度(B)の一例である。
工程(II)において、前記温度(B)と前記温度(A)との差(前記温度(B)-前記温度(A)の温度差)は、特に限定されず、例えば、160℃以上であってもよいが、200℃以上であることが好ましく、230℃以上であることがより好ましく、260℃以上であることがさらに好ましい。前記差(温度差)が前記下限値以上であることで、工程(II)における、第1部材9と第2部材8の端部(実質的には第2部材8の端部)からのフィルム状焼成材料1のはみ出しが、より抑制される。その結果、後述する接合体においても、第1部材9と第2部材8の端部(実質的には第2部材8の端部)からの金属焼結層のはみ出しが抑制され、第1部材9と第2部材8の接合強度がより高くなる。
温度(B)と温度(A)との差(前記温度差)の上限値は、特に限定されない。効率的に接合強度が十分に高い接合体が得られるという点では、温度(B)と温度(A)との差(前記温度差)は、300℃以下であることが好ましい。
温度(B)と温度(A)との差(前記温度差)は、例えば、160~300℃、200~300℃、230~300℃、及び260~300℃のいずれかであってもよい。
工程(II)において、第1積層体1011の温度を、温度(B)に調節するときも含めて、調節する場合には、温度調節手段を第1積層体1011に接触させて配置するか、又は、第1積層体1011には接触させずに、第1積層体1011の近傍に配置して、前記温度調節手段の温度条件を調節することによって、第1積層体1011の温度を調節できる。
例えば、第1積層体1011を挟むようにして、一対の温度調節手段を配置し、第1積層体1011の温度を調節することが好ましく、第1部材9及び第2部材8のいずれか一方又は両方に、温度調節手段を接触させて、第1積層体1011の温度を調節してもよいし、第1部材9及び第2部材8の両方に、温度調節手段を接触させずに、第1積層体1011の温度を調節してもよい。
工程(II)においては、前記加圧手段と前記温度調節手段が一体となった構成を有する加圧温度調節手段を用いて、第1積層体1011に対する加圧と、第1積層体1011の温度調節と、のいずれか一方又は両方を行ってもよい。例えば、加圧温度調節手段のいずれかの面を、第1部材9及び第2部材8のいずれか一方又は両方の加圧面に対して、好ましくは面接触させ、より好ましくは第1部材9及び第2部材8のいずれか一方又は両方の加圧面の全面に、加圧温度調節手段のいずれかの面を面接触させて、第1積層体1011に対する加圧と、第1積層体1011の温度調節と、をともに行うことにより、より効率的に工程(II)を行ことができる。
工程(II)において、第1積層体1011を、その温度が温度(B)となるまで加熱するときの昇温速度は、特に限定されないが、5~15℃/secであることが好ましく、7~12℃/secであることがより好ましい。前記昇温速度がこのような範囲であることで、効率的に接合強度が十分に高い接合体が得られる。
工程(II)において、前記昇温速度は、一定であってもよいし、変動してもよい。
<<工程(III)>>
前記工程(III)においては、第2積層体1012に対して、前記積層方向(第1積層体1011における、第1部材9と、フィルム状焼成材料1’と、第2部材8と、の積層方向と同じ方向)において加える圧力(本明細書においては、「圧力(b)」と称することがある)を5MPa以上としながら、第2積層体1012の温度を前記温度(B)-5℃以上とする。これにより、フィルム状焼成材料1’を焼成し、金属焼結層10を形成して、図4(c)に示すように、接合体101を作製する。工程(III)を行うことにより、目的とする接合体101が得られる。
工程(III)において、第2積層体1012に対して加える前記圧力(圧力(b))は、例えば、8MPa以上、11MPa以上、及び14MPa以上のいずれかであってもよい。
工程(II)における前記圧力の上限値は、特に限定されない。例えば、過剰な圧力となることが避けられる点では、工程(II)における前記圧力は、50MPa以下であることが好ましく、例えば、40MPa以下、及び30MPa以下のいずれかであってもよい。
工程(III)における前記圧力は、例えば、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に適宜調節できる。例えば、前記圧力は、5~50MPaであることが好ましく、8~50MPa、11~50MPa、及び14~50MPaのいずれかであってもよいし、5~40MPa、8~40MPa、11~40MPa、及び14~40MPaのいずれかであってもよいし、5~30MPa、8~30MPa、11~30MPa、及び14~30MPaのいずれかであってもよい。ただし、これらは前記圧力(圧力(b))の一例である。
工程(III)における、第2積層体1012に対する圧力(圧力(b))の加え方は、工程(II)における、第1積層体1011に対する圧力(圧力(a))の加え方と同様である。
工程(III)において、第2積層体1012に対して、前記圧力(圧力(b))を加えながら、第2積層体1012の温度を前記温度(B)-5℃以上とする時間(本明細書においては、「焼成時間」と称することがある)は、前記フィルム状焼成材料を十分に焼成できる限り、特に限定されないが、10秒以上であることが好ましく、例えば、60秒以上、110秒以上、及び160秒以上のいずれかであってもよい。
前記焼成時間の上限値は、特に限定されない。時間が過剰に長くなることが避けられる点では、前記焼成時間は600秒以下であることが好ましい。
前記焼成時間は、例えば、10~600秒であることが好ましく、60~600秒、110~600秒、及び160~600秒のいずれかであってもよい。
工程(III)において、第2積層体1012に対して前記圧力(圧力(b))を加えているときの、第2積層体1012の温度の上限値は、特に限定されない。例えば、前記温度が温度(B)+5℃以下である場合には、第2積層体1012の過剰な加熱が抑制される。
すなわち、前記工程(III)においては、前記圧力(圧力(b))を5MPa以上としながら、第2積層体1012の温度を、温度(B)-5℃以上、且つ温度(B)+5℃以下の範囲としてもよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<<焼成材料組成物の製造原料>>
実施例及び比較例で用いた焼成材料組成物の製造原料を、以下に示す。
[焼結性金属粒子内包ペースト]
・銀ナノペースト(1)(応用ナノ粒子研究所社製「アルコナノ銀ペーストANP-4」、アルコール誘導体で被覆された銀ナノ粒子、金属含有量80質量%以上、平均粒径100nm以下の銀粒子(焼結性金属粒子)25質量%以上)
[バインダー成分]
・アクリル重合体(1)(2-エチルヘキシルメタクリレート重合体、重量平均分子量250000、Tg:-10℃)
[実施例1]
<<焼成材料組成物の製造>>
銀ナノペースト(1)(91質量部)及びアクリル重合体(1)(9質量部)を混合することで、焼成材料組成物を得た。アクリル重合体(1)は、溶媒(分散媒)を含む分散物の状態で混合したが、ここに示す配合量(9質量部)は、溶媒成分を除いたアクリル重合体(1)自体の量(固形分量)である。
<<フィルム状焼成材料(1)の製造>>
幅が230mmの剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET381031」、厚さ38μm)の片面(剥離処理面)に、上記で得られた焼成材料組成物を印刷し、印刷層を形成した。このとき、印刷層の平面形状を、大きさが10mm×10mmの四角形状とした。そして、印刷層を150℃で10分間乾燥させることで、厚さが60μmのフィルム状焼成材料(1)を得た。
<<フィルム状焼成材料(2)の製造>>
印刷層の平面形状を、大きさが10mm×10mmの四角形状に代えて、大きさが4mm×4mmの四角形状とした点以外は、フィルム状焼成材料(1)の場合と同じ方法で、厚さが60μmのフィルム状焼成材料(2)を得た。
<<接合体の製造>>
<第1積層体(1)の製造>
第1部材として、大きさが20mm×20mmで、厚さが350μmの、平面形状が四角形状のシリコンチップ(以降、単に「シリコンチップ」と称する)を用意した。また、第2部材として、大きさが8mm×8mm、厚さが345.5μmで、平面形状が四角形状であり、一方の面が銀膜(厚さ0.5μm)で被覆されている、合計の厚さが350μmの銀膜付きシリコンチップ(以下、「銀膜付きシリコンチップ(1)」と称する)を用意した。
前記銀膜付きシリコンチップ(1)中の銀膜の露出面に、上記で得られたフィルム状焼成材料(1)の一方の面を貼り合わせ、フィルム状焼成材料(1)を積層した。このとき、前記銀膜の外周の全域において、フィルム状焼成材料(1)の余剰部分を生じさせた。そして、フィルム状焼成材料(1)の、この余剰部分を切断して除去することにより、同じ大きさ(8mm×8mm)の銀膜付きシリコンチップ(1)とフィルム状焼成材料(1)が積層されている積層物を得た。さらに、この積層物中のフィルム状焼成材料(1)のうち、銀膜付きシリコンチップ(1)側とは反対側の面を、前記シリコンチップの一方の面に貼り合わせ、前記シリコンチップを積層した。このとき、前記積層物の外周の全域から前記シリコンチップを突出させた(工程(I))。
以上により、前記シリコンチップと、フィルム状焼成材料(1)と、銀膜付きシリコンチップ(1)と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第1積層体(1)を作製した。
<第2積層体(1)の製造>
上記で得られた第1積層体(1)中の、銀膜付きシリコンチップ(1)のフィルム状焼成材料(1)側とは反対側の面(すなわち露出面)の全面に、アルミホイル(アルミニウム製シート、厚さ40μm)を積層した。これは、後述の工程(II)以降の工程において、後述の焼結装置(1)の汚染を防止するためである。
得られたアルミホイル付き第1積層体(1)中の、前記シリコンチップの露出面(フィルム状焼成材料(1)側とは反対側の面)の全面を、焼結装置(1)(伯東社製「HTM-3000」)中の2枚のプレートのうちの一方の表面上に接触させて、この一方のプレート上に前記アルミホイル付き第1積層体(1)を載置した。このとき、前記一方のプレートの温度は、予め70℃に設定しておいた。これにより、焼結装置(1)中の前記一方のプレートによって、前記アルミホイル付き第1積層体(1)を受け止めるとともに、前記アルミホイル付き第1積層体(1)を、その前記シリコンチップ側から加熱し、前記一方のプレートと同等の温度にまで加熱可能とするとともに、加熱を開始した。さらに、前記アルミホイル付き第1積層体(1)中のアルミホイルの露出面(銀膜付きシリコンチップ(1)側とは反対側の面)の全面に、焼結装置(1)中の2枚のプレートのうちの他方の表面を軽く接触させ、この他方のプレートを、これによって前記アルミホイル付き第1積層体(1)に対して意図的に加圧することのない位置に配置した。このとき、前記他方のプレートの温度も、予め70℃に設定しておいた。これにより、焼結装置(1)中の前記他方のプレートによって、前記アルミホイル付き第1積層体(1)に意図的に圧力を加えることなく(実質的に加える圧力を0MPaとして)、前記アルミホイル付き第1積層体(1)を、そのアルミホイル側から加熱し、前記他方のプレートと同等の温度にまで加熱可能とするとともに、加熱を開始した。
以上により、前記第1積層体(1)(アルミホイル付き第1積層体(1))に対して、前記シリコンチップと、フィルム状焼成材料(1)と、銀膜付きシリコンチップ(1)と、の積層方向において、圧力を加えることなく(加える圧力を0MPaとして)、温度(A)を70℃として、加熱を開始した。
次いで、このまま、前記第1積層体(1)(アルミホイル付き第1積層体(1))に対して、前記シリコンチップと、フィルム状焼成材料(1)と、銀膜付きシリコンチップ(1)と、の積層方向において、圧力を加えることなく(加える圧力を0MPaとして)、焼結装置(1)中の前記2枚のプレートによって、第1積層体(1)を、その温度が70℃になるまで加熱した。
次いで、第1積層体(1)に対して圧力を加えない状態のまま、焼結装置(1)中の前記2枚のプレートによって、第1積層体(1)を、その温度が70℃から350℃となるまで加熱した(工程(II))。このときの昇温速度は、10℃/secとした。焼結装置(1)中の前記2枚のプレートの温度は、第1積層体(1)の温度が70℃に到達する前に、上昇させておいた。
以上により、第2積層体(1)を作製した。
<接合体(1)の製造>
次いで、前記第2積層体(1)の作製後(換言すると、第1積層体(1)の温度が350℃に到達した段階で)、直ちに、第2積層体(1)に対して、第1積層体(1)における前記シリコンチップと、フィルム状焼成材料(1)と、銀膜付きシリコンチップ(1)と、の積層方向と同じ方向において加える圧力を20MPaとしながら、180秒間、第2積層体(1)の温度を350℃に維持した。このとき、焼結装置(1)中の前記他方のプレート(前記アルミホイル側のプレート)から、第2積層体(1)に対して圧力を加えた。これにより、フィルム状焼成材料(1)を焼成し、金属焼結層を形成した(工程(III))。
以上により、前記シリコンチップと、金属焼結層と、銀膜付きシリコンチップ(1)とを備え、前記シリコンチップと、銀膜付きシリコンチップ(1)とが、前記金属焼結層によって接合されて構成された接合体(1)を作製した。
<<接合体の製造>>
<第1積層体(2)の製造>
第1部材として、大きさが30mm×30mmで、厚さが1.5mmの、平面形状が四角形状の銅板を用意した。また、第2部材として、大きさが2mm×2mm、厚さが345.5μmで、平面形状が四角形状であり、一方の面が銀膜(厚さ0.5μm)で被覆されている、合計の厚さが350μmの銀膜付きシリコンチップ(以下、「銀膜付きシリコンチップ(2)」と称する)を用意した。
前記銀膜付きシリコンチップ(2)中の銀膜の露出面に、上記で得られたフィルム状焼成材料(2)の一方の面を貼り合わせ、フィルム状焼成材料(2)を積層した。このとき、前記銀膜の外周の全域において、フィルム状焼成材料(2)の余剰部分を生じさせた。そして、フィルム状焼成材料(2)の、この余剰部分を切断して除去することにより、同じ大きさ(2mm×2mm)の銀膜付きシリコンチップ(2)とフィルム状焼成材料(2)が積層されている積層物を得た。さらに、この積層物中のフィルム状焼成材料(2)のうち、銀膜付きシリコンチップ(2)側とは反対側の面を、前記銅板の一方の面に貼り合わせ、前記銅板を積層した。このとき、前記積層物の外周の全域から前記銅板を突出させた(工程(I))。
以上により、前記銅板と、フィルム状焼成材料(2)と、銀膜付きシリコンチップ(2)と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第1積層体(2)を作製した。
以降、上述のフィルム状焼成材料(1)を備えた第1積層体(1)に代えて、このフィルム状焼成材料(2)を備えた第1積層体(2)を用いた点以外は、接合体(1)の場合と同じ方法で、第2積層体(2)を経て、接合体(2)を作製した。工程(II)においては、上述の接合体(1)の場合と同様に、アルミホイル付き第1積層体(2)中の、前記銅板の露出面(フィルム状焼成材料(2)側とは反対側の面)の全面を、焼結装置(1)中の2枚のプレートのうちの一方の表面上に接触させた。
以上により、前記銅板と、金属焼結層と、銀膜付きシリコンチップ(2)とを備え、前記銅板と、銀膜付きシリコンチップ(2)とが、前記金属焼結層によって接合されて構成された接合体(2)を作製した。
<<接合体の評価>>
<接合体(1)における金属焼結層のはみ出し量の測定>
上記で得られた接合体(1)を、その銀膜付きシリコンチップ(1)側の上方から見下ろして平面視したときの、銀膜付きシリコンチップ(1)の外周(側面)からの金属焼結層のはみ出し量の最大値を求め、これを金属焼結層のはみ出し量として採用した。結果を表1に示す。
<接合体(1)中の金属焼結層の厚さの測定>
上記で得られた接合体(1)において、各層の積層方向における断面を作製し、この断面を研磨した。この研磨後の断面において、任意の5箇所で金属焼結層の厚さを測定し、その平均値を金属焼結層の厚さとして採用した。結果を表1に示す。
<接合体(2)のせん断強度の測定>
上記で得られた接合体(2)を、TCT試験機(ESPEC社製「TSE-11A」)の内部に格納し、-40℃の環境下で15分静置した後、直ちに、200℃の環境下で15分静置し、さらに、直ちに-40℃の環境下に戻して、この-40℃での15分の冷却と200℃での15分の加熱という温度サイクルに、接合体(2)を合計で1000回晒すことにより、TCTを行った。
次いで、23℃の環境下で、このTCT後の接合体(2)のうち、金属焼結層の外周(側面)と、銀膜付きシリコンチップ(2)の外周(側面)と、の位置合わせされた部位に対して、同時に、銀膜付きシリコンチップ(2)の表面(銀膜付きシリコンチップ(2)中のシリコンチップの銀膜を備えていない側の面)に対して平行な方向に、200μm/sの速度で力を加えた。このとき、力を加えるための押圧手段としては、ステンレス鋼製のプレート状であるものを用い、この押圧手段の先端部の位置を、接合体(2)中の銅板の表面(金属焼結層側の面)から20μmの高さのところに設定して、押圧手段を銅板に接触させないようにした。そして、金属焼結層が破壊されるか、又は、金属焼結層が銅板から剥離する、までに加えられた力の最大値を測定し、その測定値を接合体(2)のせん断強度として採用した。その結果を表1中の「せん断強度(MPa)」の欄中の「TCT後」のところに示す。
さらに、別途、上記で得られた接合体(2)について、上述のTCTを行ことなく、上記と同じ方法で、せん断強度を測定した。その結果を表1中の「せん断強度(MPa)」の欄中の「TCTなし」のところに示す。
[実施例2]
<<焼成材料組成物の製造、フィルム状焼成材料(1)の製造、フィルム状焼成材料(2)の製造>>
実施例1の場合と同じ方法で、焼成材料組成物、フィルム状焼成材料(1)及びフィルム状焼成材料(2)を製造した。
<<接合体の製造>>
<第1積層体(1)の製造>
実施例1の場合と同じ方法で、第1積層体(1)を製造した。
<第2積層体(1)の製造>
上記で得られた第1積層体(1)中の、銀膜付きシリコンチップ(1)のフィルム状焼成材料(1)側とは反対側の面(すなわち露出面)の全面に、アルミホイル(アルミニウム製シート、厚さ40μm)を積層した。その目的は、実施例1の場合と同じである。
得られたアルミホイル付き第1積層体(1)中の、前記シリコンチップの露出面(フィルム状焼成材料(1)側とは反対側の面)の全面を、焼結装置(2)(アルファデザイン社製「HTB-MM」)中の2枚のプレートのうちの一方の表面上に接触させて、この一方のプレート上に前記アルミホイル付き第1積層体(1)を載置した。このとき、前記一方のプレートの温度は、予め70℃に設定しておいた。これにより、焼結装置(2)中の前記一方のプレートによって、前記アルミホイル付き第1積層体(1)を受け止めるとともに、前記アルミホイル付き第1積層体(1)を、その前記シリコンチップ側から加熱し、前記一方のプレートと同等の温度にまで加熱可能とするとともに、加熱を開始した。さらに、前記アルミホイル付き第1積層体(1)中のアルミホイルの露出面(銀膜付きシリコンチップ(1)側とは反対側の面)の全面に、焼結装置(2)中の2枚のプレートのうちの他方の表面を軽く接触させ、この他方のプレートを、これによって前記アルミホイル付き第1積層体(1)に対して意図的に加圧することのない位置に配置した。このとき、前記他方のプレートの温度も、予め70℃に設定しておいた。これにより、焼結装置(2)中の前記他方のプレートによって、前記アルミホイル付き第1積層体(1)に意図的に圧力を加えることなく(実質的に加える圧力を0MPaとし)、前記アルミホイル付き第1積層体(1)を、そのアルミホイル側から加熱し、前記他方のプレートと同等の温度にまで加熱可能とするとともに、加熱を開始した。
以上により、前記第1積層体(1)(アルミホイル付き第1積層体(1))に対して、前記シリコンチップと、フィルム状焼成材料(1)と、銀膜付きシリコンチップ(1)と、の積層方向において、圧力を加えることなく(加える圧力を0MPaとして)、温度(A)を70℃として、加熱を開始した。
次いで、このまま、前記第1積層体(1)(アルミホイル付き第1積層体(1))に対して、前記シリコンチップと、フィルム状焼成材料(1)と、銀膜付きシリコンチップ(1)と、の積層方向において、圧力を加えることなく(加える圧力を0MPaとし)、焼結装置(2)中の前記2枚のプレートによって、第1積層体(1)を、その温度が70℃になるまで加熱した。
次いで直ちに、前記積層方向において、第1積層体(1)に対して加える圧力を1MPaとした。このとき、焼結装置(2)中の前記他方のプレート(前記アルミホイル側のプレート)から、第1積層体(1)に対して圧力を加えた。そして、第1積層体(1)に対して1MPaの圧力を加えた状態のまま、焼結装置(2)中の前記2枚のプレートによって、第1積層体(1)を、その温度が70℃から350℃となるまで加熱した(工程(II))。このときの昇温速度は、10℃/secとした。焼結装置(2)中の前記2枚のプレートの温度は、第1積層体(1)の温度が70℃に到達する前に、上昇させておいた。
以上により、第2積層体(1)を作製した。
<接合体(1)の製造>
次いで、前記第2積層体(1)の作製後(換言すると、第1積層体(1)の温度が350℃に到達した段階で)、直ちに、第2積層体(1)に対して、第1積層体(1)における前記シリコンチップと、フィルム状焼成材料(3)と、銀膜付きシリコンチップ(1)と、の積層方向と同じ方向において加える圧力を20MPaとしながら、180秒間、第2積層体(1)の温度を350℃に維持した。このときも、焼結装置(2)中の前記他方のプレート(前記アルミホイル側のプレート)から、第2積層体(1)に対して圧力を加えた。これにより、フィルム状焼成材料(1)を焼成し、金属焼結層を形成した(工程(III))。
以上により、前記シリコンチップと、金属焼結層と、銀膜付きシリコンチップ(1)とを備え、前記シリコンチップと、銀膜付きシリコンチップ(1)とが、前記金属焼結層によって接合されて構成された接合体(1)を作製した。
<<接合体の製造>>
実施例1の場合と同じ方法で、第1積層体(2)を製造した。
以降、上述のフィルム状焼成材料(1)を備えた第1積層体(1)に代えて、このフィルム状焼成材料(2)を備えた第1積層体(2)を用いた点以外は、接合体(1)の場合と同じ方法で、第2積層体(2)を経て、接合体(2)を作製した。工程(II)においては、上述の接合体(1)の場合と同様に、アルミホイル付き第1積層体(2)中の、前記銅板の露出面(フィルム状焼成材料(2)側とは反対側の面)の全面を、焼結装置(2)中の2枚のプレートのうちの一方の表面上に接触させた。
以上により、前記銅板と、金属焼結層と、銀膜付きシリコンチップ(2)とを備え、前記銅板と、銀膜付きシリコンチップ(2)とが、前記金属焼結層によって接合されて構成された接合体(2)を作製した。
<<接合体の評価>>
上記で得られた接合体(1)及び接合体(2)について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
<<接合体の製造及び評価>>
[実施例3]
前記工程(II)において、第1積層体(1)に対して加える圧力を、1MPaに代えて4MPaとした点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、接合体(1)及び接合体(2)を作製し、これら接合体を評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
前記工程(II)において、第1積層体(1)の加熱を開始する温度(温度(A))を70℃に代えて180℃とした点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、接合体(1)及び接合体(2)を作製し、これら接合体を評価した。すなわち、工程(II)においては、第1積層体(1)(アルミホイル付き第1積層体(1))に対して、圧力を加えることなく、焼結装置(2)中の前記2枚のプレートによって、第1積層体(1)を、その温度が180℃になるまで加熱し、次いで直ちに、第1積層体(1)に対して加える圧力を1MPaとし、この圧力を加えた状態のまま、焼結装置(2)中の前記2枚のプレートによって、第1積層体(1)を、その温度が180℃から350℃となるまで加熱した(工程(II))。このときの昇温速度は、10℃/secとした。結果を表1に示す。
[比較例1]
前記工程(II)において、第1積層体(1)に対して圧力を加えることなく、第2積層体(1)を作製するのに代えて、第1積層体(1)に対して、焼結装置(1)中の前記他方のプレートから、10MPaの圧力を加えた状態のまま、第2積層体(1)を作製した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、接合体(1)及び接合体(2)を作製し、これら接合体を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
前記工程(II)において、第1積層体(1)に対して加える圧力を、1MPaに代えて20MPaとした点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、接合体(1)及び接合体(2)を作製し、これら接合体を評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
前記工程(III)において、第2積層体(1)に対して加える圧力を、20MPaに代えて4MPaとした点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、接合体(1)及び接合体(2)を作製し、これら接合体を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2023043396000002
上記結果から明らかなように、実施例1~4においては、金属焼結層のはみ出し量が0.5mm以下(0.1~0.5mm)であり、低水準に抑制されていた。これは、接合体(1)が製造されるまでの間に、銀膜付きシリコンチップ(1)(第2部材)の端部からのフィルム状焼成材料(1)のはみ出しが抑制されたことを示していた。そして、これを反映して、接合体(1)中の金属焼結層の厚さは16μm以上(16~35μm)であり、十分な厚さであった。これを反映して、接合体(2)のせん断強度は、TCTを行った場合も、TCTを行わなかった場合と同等であり、金属焼結層による銅板(第1部材)と銀膜付きシリコンチップ(2)(第2部材)との接合の強度が安定して高かった。TCTを行わなかった場合の接合体(2)のせん断強度は、50MPa以上(50~89MPa)であるのに対し、TCTを行った場合の接合体(2)のせん断強度は、45MPa以上(45~90MPa)であった。
実施例1~4においては、工程(II)での圧力(a)が4MPa以下(0~4MPa)であり、工程(III)での圧力(b)が20MPaであった。
一方、実施例1~4においては、工程(II)での温度(A)が70℃以上(70~180℃)であり、工程(II)での温度(B)が350℃であり、温度(B)-温度(A)の差が、170℃以上(170~280℃)であった。
実施例2と実施例4との比較から、工程(II)での温度(A)が相対的に低く、温度(B)-温度(A)の差が大きい方が、金属焼結層のはみ出し量が低減し、これを反映して、接合体(1)中の金属焼結層の厚さが厚くなり、その結果、接合体(2)のせん断強度は、TCTを行った場合と行わなかった場合のいずれにおいても、高くなる傾向が見られた。
これに対して、比較例1~2においては、金属焼結層のはみ出し量が0.9mm以上(0.0~1mm)であり、高水準であって、抑制されていなかった。これは、接合体(1)が製造されるまでの間に、銀膜付きシリコンチップ(1)(第2部材)の端部からのフィルム状焼成材料(1)のはみ出しが抑制されなかったことを示していた。そして、これを反映して、接合体(1)中の金属焼結層の厚さは10μm以下(8~10μm)であり、薄かった。その結果、接合体(2)のせん断強度は、TCTを行った場合、4MPa以下(2.5~4MPa)であり、TCTを行わなかった場合の値(45~103MPa)よりも顕著に低く、金属焼結層による銅板(第1部材)と銀膜付きシリコンチップ(2)(第2部材)との接合の強度が顕著に低下していた。
比較例1~2においては、工程(II)での圧力(a)が10MPa以上(10~20MPa)であった。
一方、比較例3においては、金属焼結層のはみ出し量が低水準に抑制されており、接合体(1)中の金属焼結層の厚さも十分であった。しかし、TCTを行わなかった場合と行った場合のいずれにおいても、接合体(2)のせん断強度が低かった。TCTを行った場合には、行わなかった場合よりも、さらにせん断強度が低かった。これは、工程(III)での圧力(b)が低過ぎたために、金属焼結層の密度が小さかったことが原因であると推測された。
本発明は、部材同士が金属焼結層によって接合されて構成された接合体全般の製造に利用可能であり、特に、電力用半導体素子の製造に、好適に利用可能である。
1,1’・・・フィルム状焼成材料、1a・・・フィルム状焼成材料の支持シート側とは反対側の面、1b・・・フィルム状焼成材料の第2部材側とは反対側の面
10・・・金属焼結層
101・・・接合体
1011・・・第1積層体
1012・・・第2積層体
2・・・支持シート、2a・・・支持シートの一方の面
20・・・未分割部材
21・・・基材フィルム、21a・・・基材フィルムの一方の面
22・・・粘着剤層、22a・・・粘着剤層の基材フィルム側とは反対側の面
22’・・・粘着剤層の硬化物
301・・・支持シート付きフィルム状焼成材料
320・・・未分割積層体
8・・・第2部材、8b・・・第2部材の一方の面
81・・・フィルム状焼成材料付き第2部材
9・・・第1部材

Claims (3)

  1. 接合体の製造方法であって、
    前記接合体は、第1部材と、金属焼結層と、第2部材とを備え、前記第1部材と、前記第2部材とが、前記金属焼結層によって接合されて構成されており、
    前記製造方法は、前記第1部材と、前記金属焼結層を形成するためのフィルム状焼成材料と、前記第2部材と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された第1積層体を作製する工程(I)と、
    前記第1積層体に対して、前記第1部材と、前記フィルム状焼成材料と、前記第2部材と、の積層方向において加える圧力を5MPa未満としながら、前記第1積層体を、その温度が温度(B)となるまで加熱することにより、第2積層体を作製する工程(II)と、
    前記第2積層体に対して、前記積層方向において加える圧力を5MPa以上としながら、前記第2積層体の温度を前記温度(B)-5℃以上とすることにより、前記フィルム状焼成材料を焼成し、前記金属焼結層を形成して、前記接合体を作製する工程(III)と、を有する、接合体の製造方法。
  2. 支持シートと、前記支持シートの一方の面上に設けられた前記フィルム状焼成材料と、を備えた支持シート付きフィルム状焼成材料を準備し、さらに、未分割部材を準備し、
    前記支持シートは、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた粘着剤層と、を備えており、前記支持シート付きフィルム状焼成材料において、前記フィルム状焼成材料は、前記粘着剤層の前記基材フィルム側とは反対側の面上に設けられており、
    前記未分割部材は、その分割によって、前記第2部材となり、
    前記支持シート付きフィルム状焼成材料中の前記フィルム状焼成材料のうち、前記支持シート側とは反対側の面を、前記未分割部材に貼付することにより、前記支持シート付きフィルム状焼成材料と、前記未分割部材と、が積層されて構成された未分割積層体を作製し、前記未分割積層体中の前記未分割部材を分割して、前記第2部材を作製するとともに、前記フィルム状焼成材料を切断することにより、前記支持シート上において、前記第2部材と、前記第2部材の一方の面に設けられた、切断後の前記フィルム状焼成材料と、を備えたフィルム状焼成材料付き第2部材を作製し、前記フィルム状焼成材料付き第2部材を前記支持シートから剥離した後、前記フィルム状焼成材料付き第2部材中の前記フィルム状焼成材料のうち、前記第2部材側とは反対側の面を、前記第1部材に貼付することにより、前記工程(I)を行う、請求項1に記載の接合体の製造方法。
  3. 前記粘着剤層がエネルギー線硬化性であり、前記粘着剤層をエネルギー線の照射により硬化させてから、前記フィルム状焼成材料付き第2部材を、前記粘着剤層の硬化物から剥離する、請求項2に記載の接合体の製造方法。
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