JP2023042371A - Scanning tunneling microscope and method - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、サンプルを光励起することによって誘導されるトンネル電流を検出する走査型トンネル顕微鏡及びその方法に関する。 The present invention relates to scanning tunneling microscopes and methods for detecting tunneling currents induced by photoexcitation of a sample.
従来、先端の尖った金属探針をサンプルに近接し、探針をサンプル上で水平に移動させるとともに探針とサンプルとの間に流れるトンネル電流を検出する走査型トンネル顕微鏡(STM)が知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、探針とサンプルとの距離を一定に保ちつつトンネル電流を測定する又はトンネル電流を一定に保つよう探針及びサンプル間距離を制御しこれを測定する。STMは、圧電素子を用いて原子分子サイズの精度で探針を水平方向及び垂直方向に駆動することで、サンプルを原子分子サイズの分解能で3次元的に観察することができる。
特許文献1 国際公開第2014/054741号
Conventionally, a scanning tunneling microscope (STM) is known, in which a metal probe with a sharp tip is brought close to a sample, the probe is horizontally moved over the sample, and a tunnel current flowing between the probe and the sample is detected. (See, for example, Patent Document 1). Here, the tunnel current is measured while keeping the distance between the probe and the sample constant, or the distance between the probe and the sample is controlled and measured so as to keep the tunnel current constant. The STM can observe a sample three-dimensionally with atomic-molecular-size resolution by driving a probe horizontally and vertically with an atomic-molecular-size precision using a piezoelectric element.
本発明では、サンプルを光励起することによって誘導されるトンネル電流(光電流とも呼ぶ)を検出することで、高分解能、特にサブナノオーダのように原子分子サイズより小さい分解能(原子分解能とも呼ぶ)での観察を可能とする走査型トンネル顕微鏡及びその方法を提供する。 In the present invention, by detecting the tunneling current (also called photocurrent) induced by photoexcitation of the sample, high resolution, especially at a resolution smaller than the size of an atomic molecule such as sub-nano order (also called atomic resolution) can be achieved. A scanning tunneling microscope that enables observation and its method are provided.
本発明の第1の態様においては、サンプルを光励起することによって誘導されるトンネル電流を検出する走査型トンネル顕微鏡であって、サンプルに対して離間方向に探針を位置決めする位置決め装置と、サンプルに励起光を照射する照射部と、サンプルを支持する基板と探針との間にバイアス電圧を印加して、基板と探針との間に流れるトンネル電流を検出する検出部と、を備える走査型トンネル顕微鏡が提供される。 In a first aspect of the present invention, there is provided a scanning tunneling microscope for detecting tunneling current induced by photoexciting a sample, comprising: a positioning device for positioning a probe in a direction away from the sample; A scanning type comprising an irradiation unit that irradiates excitation light, and a detection unit that applies a bias voltage between a substrate supporting a sample and the probe and detects a tunnel current flowing between the substrate and the probe. A tunneling microscope is provided.
本発明の第2の態様においては、サンプルを光励起することによって誘導されるトンネル電流を検出する方法であって、サンプルに対して離間方向に探針を位置決めする段階と、サンプルを支持する基板と探針との間にバイアス電圧を印加する段階と、サンプルに励起光を照射する段階と、基板と探針との間に流れるトンネル電流を検出する段階と、を備える方法が提供される。 In a second aspect of the invention, a method of detecting a tunneling current induced by photoexcitation of a sample comprises the steps of positioning a probe in a direction away from the sample, and a substrate supporting the sample. A method is provided comprising: applying a bias voltage between the probe, illuminating the sample with excitation light, and detecting a tunneling current flowing between the substrate and the probe.
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。 It should be noted that the above summary of the invention does not list all the features of the invention. Subcombinations of these feature groups can also be inventions.
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。 Hereinafter, the present invention will be described through embodiments of the invention, but the following embodiments do not limit the invention according to the claims. Also, not all combinations of features described in the embodiments are essential for the solution of the invention.
図1A、図1B、及び図1Cに、それぞれ、本実施形態に係る走査型トンネル顕微鏡(STM)100の概略構成、検出部20の構成、及び制御系の構成を示す。STM100は、サンプルを光励起することによって誘導されるトンネル電流(光電流とも呼ぶ)を検出する走査型トンネル顕微鏡であり、真空チャンバ90、照射部10、検出部20、光検出部30、位置決め装置40、及び制御部50を備える。なお、真空チャンバ90内にサンプルSを支持する基板9が収容される。サンプルSとして、導電性基板、高分子等の導電性物質を選択することができる。本実施形態では、サンプルSとして無金属フタロシアニン(FBPc)を使用する。
1A, 1B, and 1C respectively show a schematic configuration of a scanning tunneling microscope (STM) 100, a configuration of a
基板9は、サンプルSを支持する板状部材であり、金又は銀を含む貴金属を用いて形成される。本実施形態では、一例として、銀の単結晶(111)面を使用する。それにより、基板9と探針21との間に局在プラズモンPが生成されやすくなる。さらに、本実施形態では、サンプルSを支持する基板9の表面が絶縁層9aにより被覆される。
The
絶縁層9aは、例えば、塩化ナトリウム(NaCl)を用いて4モノレイヤ(原子レイヤ)の厚さで基板9の表面上に製膜される。絶縁層9aによりサンプルSを基板9から絶縁することで、光励起したサンプルSのエネルギ散逸を抑制することができる。なお、絶縁層9aは、サンプルSを支持するのに好適な絶縁材料で形成してよく、例えばサンプルSの一部であってもよく、また基板9の表面全体を被覆するに限らずサンプルSを支持する一部のみ被覆することとしてもよい。
The
真空チャンバ90は、サンプルSを支持する基板9を低温真空下に保持する容器であり、真空ポンプ91に接続されるとともにクライオスタット92を内部に含む。真空チャンバ90の内部は、真空ポンプ91により例えば~10-10Torrの真空度及びクライオスタット92により例えば液体ヘリウム温度(約4K)に維持される。サンプルSを低温且つ真空下に置くことで、ノイズの少ない光電流検出が可能となる。なお、サンプルSの種類及び目標とする分解能によっては、サンプルSを低温大気圧下においてもよいし、常温真空下においてもよいし、常温大気圧下においてもよい。
The
照射部10は、サンプルSに励起光を照射するユニットであり、光源11及び照射光学系12を含む。光源11は、サンプルSの励起エネルギに一致する波長を有する励起光を生成する装置であり、本実施形態では、例えば波長範囲0.32~1.2μm内の波長を有するレーザ光を生成するダイレーザ、半導体レーザ等の波長可変レーザを採用する。照射光学系12は、光を集束するレンズ素子、ノイズ光をカットするフィルタ素子等を含み、これらの光学素子により励起光を成形して、真空チャンバ90に設けられた窓(不図示)を介して基板9上のサンプルSに向けて励起光を送る。なお、照射光学系12は、励起光を遮断する開閉可能なシャッタを含んでもよい。
The
検出部20は、基板9とその上に位置決め可能な探針21との間にバイアス電圧Vbを印加して、基板9と探針21との間に流れるトンネル電流を検出するユニットであり、探針21、電圧源22、及び電流計23を有する。ここで、探針21はグランドにクランプされ、探針21と基板9との間に電圧源22及び電流計23が直列接続される。なお、基板9がグランドにクランプされてもよい。
The
探針21は、トンネル電流を検出するためのプローブであり、金又は銀を含む金属を用いて形成されている。探針21を金属から形成することで、基板9との間に局在プラズモンPが生成されやすくなる。探針21は、例えば円筒形状の基端部とこれから円錐状に先細りに延びて成形された先端部とを含む。トンネル電流を効率良く検出することのできる探針21の形状、形成方法等については後述する。
The
探針21は、基板9との間にバイアス電圧Vbを印加した際に発生する局在プラズモンPの発光スペクトルの波長(エネルギ)範囲が目的とするサンプルSの励起エネルギを含むように選択、調整、又は形成することができる。ここで、局在プラズモンPの発光スペクトル分布がサンプルSの励起エネルギにておおよそピークを呈するのが望ましい。さらに、局在プラズモンPの発光スペクトル分布のピークエネルギが目的とするサンプルSの励起エネルギに一致するのがより望ましい。探針21の先端を基板9の表面に穿刺及び引抜すること、さらにそれらを繰り返すことによりその先端形状を調整してもよい。また、複数の探針21のうちから適当な探針21を選択することとしてもよい。また、集束イオンビームを用いて探針21の先端を加工してもよい。発光スペクトルは後述する光検出部30により検出することができる。
The
電圧源22は、基板9と探針21との間にバイアス電圧Vbを印加する。電圧の大きさ(電圧値)及びその向きは後述する制御部50により制御される。
A
電流計23は、基板9と探針21との間に流れるトンネル電流を測定する。その測定結果は後述する制御部50に送信される。
光検出部30は、サンプルSが発する光を検出するユニットであり、検出光学系31及び分光器32を含む。検出光学系31は、光を集束するレンズ素子、励起光及びノイズ光をカットするフィルタ素子等を含み、真空チャンバ90に設けられた窓(不図示)を介してサンプルSが発する光(出射光)を受け、これらの光学素子によりその出射光を成形して分光器32に送る。分光器32は、例えばCCD素子を用いてサンプルSからの出射光を分光測定する。その測定結果は、後述する制御部50に送信される。
The
位置決め装置40は、探針21を、サンプルS又はこれを支持する基板9に対して離間方向(垂直方向)及び水平方向の3次元方向に駆動するとともに目標位置に位置決めする装置であり、駆動素子41を含む。なお、本実施形態では、探針21はサンプルSに対して駆動するものとする。駆動素子41は、探針21をサンプルSに対して垂直方向(Z軸方向)に駆動するためのZ駆動素子、水平方向のうちの互いに直交する2軸方向(X軸方向及びY軸方向)に駆動するためのX駆動素子及びY駆動素子を有する。Z駆動素子、X駆動素子及びY駆動素子として例えば圧電(ピエゾ)素子をそれぞれ採用することができる。
The
制御部50は、STM100の動作を制御するユニットである。制御部50は、パーソナルコンピュータ等の演算装置に専用プラグラムを実行させることでその機能、すなわち照射部10、検出部20、光検出部30、及び位置決め装置40を連動させて光電流検出する機能を発現する。制御部50によるSTM100の光電流検出動作については後述する。また、光電流検出動作におけるバイアス電圧Vbの制御、探針21の位置決め制御等の制御機能も発現する。制御部50は、ユーザがSTM100を操作するためのコマンド入力を受け取るキーボード、マウス、タッチパネル等の入力デバイス51、測定結果を表示するディプレイ等の出力デバイス52を有する。
A
バイアス電圧Vbの制御において、制御部50は、バイアス電圧Vbの向き及び大きさを制御する。それにより、後述するように、光電流の生成プロセスを制御することができる。
In controlling the bias voltage Vb, the
探針21の位置決め制御において、制御部50は、駆動素子41を制御して探針21をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれの目標位置に駆動するとともに、探針21をそれぞれの目標位置に位置決めする。
In the positioning control of the
図2に、STM100を用いて、後述する光電流検出動作により、基板9と探針21との離間距離に対して測定された光電流の測定結果を示す。なお、探針21は、サンプルSであるFBPcのノード上に位置決めした。離間距離0.53~1.11nmの範囲では電流値はほぼゼロ、すなわち光電流はほとんど検出されなかったが、0.35~0.53nmの範囲で電流値は指数関数的に増大することがわかった。これは、離間距離が小さくなることでトンネル確率が増大するとともに発光スペクトルの波長(エネルギ)範囲内にサンプルSの励起エネルギを含む局在プラズモンPが生成・増強されることで、光電流の生成を増進したことを示唆する。従って、探針21をサンプルSに対して適当な離間距離、例えば0.35~0.53nmの範囲内に位置決めすることで探針21と基板9との間に流れる光電流を増大することができる。さらに、探針21を基板9の表面に平行な方向に駆動して、サンプルSの任意の局部の上方に逐次位置決めして光電流を測定することで、サンプルSを高精度で2次元走査することができる。
FIG. 2 shows the measurement result of the photocurrent measured with respect to the separation distance between the
図3に、本実施形態に係るSTM100による光電流検出動作のフローを示す。
FIG. 3 shows a flow of photocurrent detection operation by the
ステップS101では、予め用意された複数の探針のうちから適当な探針21を選択する。
In step S101, an
ステップS102では、ユーザが、基板9を真空チャンバ90内に収容し、サンプルSを基板9上に支持する。次いで、制御部50により真空ポンプ91及びクライオスタット92を制御して、真空チャンバ90内の基板9を低温真空下に保持する。
In step S<b>102 , the user places the
ステップS104では、探針21を調整する。まず、制御部50は、位置決め装置40を制御して探針21を駆動し、探針21の先端を基板9の表面に穿刺及び引抜することによりその先端形状を調整する。次いで、制御部50は、位置決め装置40を制御して探針21をサンプルSに対して適当な離間距離(例えば、0.35~0.53nm)に位置決めし、検出部20を制御して基板9との間にバイアス電圧Vbを印加して局在プラズモンPを発生させ、光検出部30を制御してその局在プラズモンPの発光スペクトルを測定する。その結果は出力デバイス52に表示される。ユーザは、測定された局在プラズモンPの発光スペクトルの波長(エネルギ)範囲が目的とするサンプルの励起エネルギを含む、好ましくは局在プラズモンPの発光スペクトル分布が目的とするサンプルSの励起エネルギにておおよそピークを呈する(例えば、発光スペクトルのピーク値の半値範囲内、好ましくは60%値の範囲内、より好ましくは70%値の範囲内、さらに好ましくは80%値の範囲内にサンプルSの励起エネルギを含む)、さらに好ましくは局在プラズモンPの発光スペクトル分布のピークエネルギがサンプルSの励起エネルギに一致することを確認する。確認後、ユーザが、その探針21を選択する選択コマンドを入力デバイス51に入力することで、次のステップに移行する。
In step S104, the
なお、探針21の先端を基板9の表面に穿刺及び引抜することによりその先端形状を調整することに代えて又はこれに加えてさらに、後述するように、集束イオンビームを用いて探針21の先端を加工してもよい。
Instead of or in addition to adjusting the shape of the tip by piercing and withdrawing the tip of the
なお、ユーザがリトライコマンドを入力デバイス51に入力することで、制御部50は、探針21の選択又は調整をやり直し、再度局在プラズモンPの発光スペクトルを測定する。それにより、光電流検出に好適な探針21を選択することができる。
When the user inputs a retry command to the
なお、好適な探針21を選択済みである場合などには、ステップS104を省略してよい。
Note that step S104 may be omitted when a
ステップS106では、制御部50は、検出部20を制御して基板9と探針21との間にバイアス電圧Vbを印加する。ここで、制御部50は、バイアス電圧Vbの向き(正負)及び大きさ(電圧値)を制御して、例えばサンプルSであるFBPcに対して-2.25~+0.9Vの範囲内で光電流検出に好適な向き及び大きさを選択する。
At step S<b>106 , the
ステップS108では、制御部50は、位置決め装置40を制御して探針21をサンプルSに対して離間方向(Z軸方向)及び/又は水平方向(X軸方向及びY軸方向)に駆動し、基板9上のサンプルSの任意の局部上に位置決めする。
In step S108, the
ステップS110では、制御部50は、照射部10を制御して基板9に支持されたサンプルSに励起光を照射する。ここで、励起光は、サンプルSの基底状態から検出対象の励起状態への励起エネルギに一致する波長を有する。
In step S110, the
ステップS112では、制御部50は、検出部20を制御して基板9と探針21との間に流れるトンネル電流(光電流成分及び暗電流成分を含み得る)を検出する。検出されたトンネル電流の値は、探針21の基板9に対する水平方向に関する位置と共に制御部50に送信される。
In step S112, the
ステップS114では、走査を終了するか否か判断する。終了しない場合、ステップS116に移行する。終了する場合、ステップS118に移行する。 In step S114, it is determined whether or not to end scanning. If not, the process proceeds to step S116. When finished, the process proceeds to step S118.
ステップS116では、制御部50は、位置決め装置40を制御して探針21をサンプルSに対して水平方向(X軸方向及びY軸方向)に駆動し、基板9上のサンプルSの次の局部上に位置決めする。位置決め後、ステップS110に移行する。
In step S116, the
ステップS110~S116を繰り返すことで、サンプルSが2次元走査される。 By repeating steps S110 to S116, the sample S is two-dimensionally scanned.
ステップS118では、制御部50は、データ処理を行う。制御部50は、光電流の測定結果を処理して、例えばサンプルSの2次元イメージを生成し、出力デバイス52上に表示する。制御部50が処理したデータを記憶装置(不図示)に保存すると、フローを終了する。
In step S118, the
上述のSTM100の光電流検出動作による光電流の測定結果について説明する。サンプルSとして、FBPc(その分子構造については図1Bを参照)を使用する。
A photocurrent measurement result obtained by the above photocurrent detection operation of the
図4Aに、励起光の照射下での光電流の測定結果を示す。ここでは、位置決め装置40を制御して探針21をサンプルS及び基板9(絶縁層9a)上にそれぞれ位置決めし、それぞれの探針位置において、照射部10を制御してシャッタ(不図示)を開閉することで励起光を、一例として2Hzの周期で間欠的にサンプルS(FBPc)に照射しつつ、検出部20により探針21と基板9との間に流れるトンネル電流(すなわち、光電流)を検出した。なお、探針21とサンプルSとの離間距離は0.48nm、バイアス電圧Vbは-2.0Vとした。励起光のエネルギは、FBPcの基底状態(S0)から励起状態(S1)への励起エネルギ(1816meV)に選択した。探針21をサンプルS上に位置決めした場合は励起光の照射(オン)に応じて光電流が検出されたのに対して、探針21を基板9(絶縁層9a)上に照射した場合は暗電流(ノイズ)が検出されるだけであった。この結果から、励起光の照射に伴うサンプルSの励起(すなわち、光励起)によって誘導されたトンネル電流(すなわち、光電流)が検出されたことがわかる。
FIG. 4A shows the measurement results of the photocurrent under excitation light irradiation. Here, the
図4Bに、励起光の波長に対する光電流の測定結果を示す。ここでは、励起光のエネルギ(波長)を1800~1820meV(689~681nm)の範囲で調整しつつ、上述のとおり探針21をサンプルS上に位置決めして光電流を測定した。測定された光電流値は、FBPcの励起エネルギ(1816meV)に一致するエネルギでピークを呈した。そのピークの半値幅は1.45meVと非常に狭い。この結果は、励起光のエネルギをサンプルSの励起エネルギに一致させることで光電流が増大すること、それにより光電流を効率良く検出することができることを示唆する。
FIG. 4B shows the measurement results of the photocurrent with respect to the wavelength of the excitation light. Here, while adjusting the energy (wavelength) of the excitation light in the range of 1800 to 1820 meV (689 to 681 nm), the
図5に、励起光の照射(オン)/遮断(オフ)で検出されたサンプルSのトンネル電流(光電流/暗電流)イメージを示す。ここでは、位置決め装置40を制御して探針21を基板9上のサンプルSに対して水平方向(X軸方向及びY軸方向)に単位ピッチだけ駆動し、基板9上のサンプルSの次の局部上に逐次位置決めしつつ光電流を検出した。なお、探針21とサンプルSとの離間距離は0.5nm、バイアス電圧Vbは-2.0Vとした。単位ピッチは0.06nmとした。従って、1ピクセルのサイズは0.06nm2である。励起光を遮断した場合(無照射の場合)は暗電流に伴うノイズが確認できるだけであるが、励起光を照射した場合はFBPcの2次元構造に由来する電流値分布、特に電流値(すなわち、状態密度)の低い中心、八角形の頂点のそれぞれに位置する電流値の高いローブとそれらの間に位置する電流値の低いノードとが確認できる。この結果は、光電流測定により、サンプルSであるFBPcの空間分布を原子分解能で2次元イメージングすることができたことを意味する。
FIG. 5 shows tunneling current (photocurrent/dark current) images of the sample S detected by irradiation (on)/blocking (off) of excitation light. Here, the
図6Aに、励起光オフでのトンネル電流(暗電流)のバイアス電圧依存性を示す。ここでは、バイアス電圧Vbを2.0~-3.0Vの範囲で変えつつ、上述のとおり探針21をサンプルS上に位置決めしてトンネル電流を測定した。バイアス電圧Vb=-2.0~0.7Vでは暗電流は検出されず、ノイズが検出されただけであった。これに対して、-2.1V 以下のバイアス電圧で暗電流は負の方向に増大した(すなわち、負の暗電流が検出された)。また、0.7V以上のバイアス電圧で暗電流は正の方向に増大した(すなわち、正の暗電流が検出された)。なお、バイアス電圧0.9V及び-2.25VにてdI/dVbがピークを呈する。
FIG. 6A shows the bias voltage dependence of the tunnel current (dark current) when the excitation light is turned off. Here, the tunnel current was measured by positioning the
図6Bに、励起光オフで、(1)バイアス電圧Vb=0.75V及び(2)-2.1Vのそれぞれで検出されたサンプルSのトンネル電流イメージ(すなわち、暗電流イメージ)を示す。測定方法は上述のとおりである。(1)で得られた暗電流イメージは、サンプルSの最低空軌道(LUMO)の状態密度分布に対応している。従って、上の結果は、バイアス電圧Vb=0.7V以上で、サンプルSのLUMOを介した暗電流チャネルが開いたことを意味する。なお、LUMOは図中に4つの矢印で示すノード位置に有限の状態密度を有する。また、(2)で得られた暗電流イメージは最高被占軌道(HOMO)の状態密度分布に対応している。従って、上の結果は、バイアス電圧Vb=-2.25V以下で、サンプルSのHOMOを介した暗電流チャネルが開いたことを意味する。なお、HOMOは図中に4つの矢印で示すノード位置にほぼゼロの状態密度を有する。これらの結果より、バイアス電圧Vbを選択することにより特定の分子軌道を介した暗電流チャネルを選択すること、観測対象のサンプルSの状態を選択することができることが示唆される。 FIG. 6B shows tunneling current images (ie, dark current images) of Sample S detected at (1) bias voltage Vb=0.75 V and (2) −2.1 V with excitation light off. The measurement method is as described above. The dark current image obtained in (1) corresponds to the density of states distribution of the lowest unoccupied molecular orbital (LUMO) of the sample S. Therefore, the above results imply that the dark current channel through the LUMO of the sample S was opened above the bias voltage Vb=0.7V. LUMO has a finite density of states at node positions indicated by four arrows in the figure. Also, the dark current image obtained in (2) corresponds to the density of states distribution of the highest occupied molecular orbital (HOMO). Therefore, the above results imply that the dark current channel through the HOMO of the sample S is opened below the bias voltage Vb=-2.25V. The HOMO has almost zero density of states at the node positions indicated by the four arrows in the figure. These results suggest that selection of the bias voltage Vb enables selection of a dark current channel through a specific molecular orbital and selection of the state of the sample S to be observed.
図6Cに、励起光オンで、(3)バイアス電圧Vb=-2.0V、(4)-0.0Vのそれぞれで検出されたサンプルSの光電流イメージを示す。(3)で得られた光電流イメージは、負の電流分布により、サンプルSのLUMOの状態密度分布を反映している。(4)で得られた光電流イメージは、正の電流分布により、サンプルSのHOMOの状態密度分布を反映している。従って、バイアス電圧Vbを-2.0~0.0Vの範囲内で調整することで、光電流の向きとともに2次元イメージの形が変わることから、光電流の生成チャネルを選択すること、観測対象のサンプルSの状態を選択することができることが示唆される。 FIG. 6C shows photocurrent images of sample S detected at (3) bias voltage Vb=−2.0 V and (4) −0.0 V with the excitation light turned on. The photocurrent image obtained in (3) reflects the density of states distribution of the LUMO of the sample S due to the negative current distribution. The photocurrent image obtained in (4) reflects the HOMO density of states distribution of the sample S due to the positive current distribution. Therefore, by adjusting the bias voltage Vb within the range of −2.0 to 0.0 V, the shape of the two-dimensional image changes along with the direction of the photocurrent. It is suggested that the state of the sample S of .
図7Aに、励起光オンでの光電流のバイアス電圧依存性を示す。ここでは、バイアス電圧Vbを-0.5~0.0Vの範囲で変えつつ、上述のとおり探針21をサンプルS上に位置決めして光電流を測定した。なお、探針21とサンプルSとの離間距離は0.49nm、探針21はFBPcの(A)ローブ及び(B)ノード上にそれぞれ位置決めして光電流を測定した。(A)では、光電流Iは、バイアス電圧Vbが増大するとともに増大し、約-0.33Vでゼロラインを交差し、さらにバイアス電圧Vbが増大するとともに緩やかに増大する。(B)においても同様に、光電流Iは、バイアス電圧Vbが増大するとともに増大し、約-0.16Vでゼロラインを交差し、さらにバイアス電圧Vbが増大するとおおよそゼロに飽和する。これらの結果より、探針21の位置によって光電流Iのゼロクロス電圧が異なること、つまりバイアス電圧Vb=-0.33~-0.16Vの間では探針21の位置に応じて光電流の向きが変わることがわかる。
FIG. 7A shows the bias voltage dependence of the photocurrent when the excitation light is turned on. Here, the photocurrent was measured by positioning the
図7Bに、バイアス電圧Vb=-0.25Vで検出されたサンプルSの光電流イメージを示す。サンプルSであるFBPcの2次元イメージ全体での平均光電流はゼロであるが、FBPcのHOMOの状態密度分布に由来する8つのローブで正電流、LUMOの状態密度分布に由来する4つのノード及び中心で負電流となっている。このように、単一の分子内においても、探針21の位置決め位置に応じて(つまり局所的に)検出される光電流の向きが変わることがわかる。これは、分子内に複数の光電流の生成チャネルが存在し且つそれぞれの空間分布が異なることを示唆する。従って、探針21の位置によって、いずれかの生成チャネルが支配的になり、その生成チャネルが関わる分子軌道をイメージングすることができることが示唆される。
FIG. 7B shows a photocurrent image of sample S detected at a bias voltage Vb=-0.25V. The average photocurrent in the entire two-dimensional image of FBPc, which is sample S, is zero, but the positive current in the eight lobes derived from the HOMO density of states distribution of FBPc, the four nodes derived from the LUMO density of states distribution, and The current is negative at the center. Thus, it can be seen that even within a single molecule, the direction of the detected photocurrent changes depending on the positioning position of the probe 21 (that is, locally). This suggests that there are multiple photocurrent generation channels in the molecule and their spatial distributions are different. Therefore, depending on the position of the
図8に、光電流のバイアス電圧依存性における3つの光電流の生成チャネルの寄与を示す。3つの光電流の生成チャネルとして、サンプルSのHOMOを介したP1チャネル、サンプルSのLUMOを介したN1チャネル及びN2チャネルがあることが知られている。P1チャネルは、バイアス電圧Vbにほとんど依存しないでおおよそ一定の正電流を生成する。正電流はHOMOを介したチャネルであることを反映する。N1チャネルは、バイアス電圧Vbにほとんど依存しないでおおよそ一定の負電流を生成する。N2チャネルは、サンプルSに特有の閾電圧(例えば、FBPcに対して約-0.2V)を有し、バイアス電圧がこれを下回ると負方向に光電流を増大する。負電流はLUMOを介したチャネルであることを反映する。光電流のバイアス電圧依存性は、これらの3つの生成チャネルの寄与の総和(total)により定まる。従って、光電流は、閾値以上のバイアス電圧に対しておおよそ一定となり、閾値以下のバイアス電圧に対して負方向に増大する。 FIG. 8 shows the contribution of the three photocurrent generation channels to the bias voltage dependence of the photocurrent. It is known that there are three photocurrent generation channels, the P1 channel via the HOMO of the sample S, the N1 channel and the N2 channel via the LUMO of the sample S. The P1 channel produces approximately constant positive current with little dependence on the bias voltage Vb. A positive current reflects channeling through the HOMO. The N1 channel produces a roughly constant negative current with little dependence on the bias voltage Vb. The N2 channel has a threshold voltage characteristic of sample S (eg, about −0.2 V vs. FBPc), below which the bias voltage increases the photocurrent in the negative direction. Negative currents reflect LUMO-mediated channels. The bias voltage dependence of the photocurrent is determined by the total contribution of these three generation channels. Therefore, the photocurrent is approximately constant for bias voltages above the threshold and increases in the negative direction for bias voltages below the threshold.
図9Aに、P1チャネルのモデルを示す。基板9及び探針21のフェルミ準位は一致しているとする。まず、励起光を吸収することによりサンプルSのHOMOを占有する1つの電子がLUMOに遷移して、サンプルSが基底状態(S0)から励起状態(S1)に励起する。次いで、探針21からサンプルSのHOMOに電子が移行して、サンプルSはアニオン(負イオン)状態を形成する。移行した電子を含む複数の電子間のクーロン力によりサンプルSの電子軌道が上昇し、LUMOが基板9のフェルミ準位より高くなる。最後に、LUMOを占有する電子が基板9に移行する。従って、P1チャネルにおいては、-0.5~0Vの範囲では、バイアス電圧Vbにほとんど寄らずほぼ一定の正電流が発生する。
FIG. 9A shows a model of the P1 channel. It is assumed that the
図9Bに、N1チャネルのモデルを示す。基板9及び探針21のフェルミ準位は一致しているとする。まず、励起光を吸収することによりサンプルSのHOMOを占有する1つの電子がLUMOに遷移して、サンプルSが基底状態(S0)から励起状態(S1)に励起する。次いで、基板9からサンプルSのHOMOに電子が移行して、サンプルSはアニオン(負イオン)状態を形成する。移行した電子を含む複数の電子間のクーロン力によりサンプルSの電子軌道が上昇し、LUMOが探針21のフェルミ準位より高くなる。最後に、LUMOを占有する電子が探針21に移行する。従って、N1チャネルにおいては、-0.5~0Vの範囲では、バイアス電圧Vbにほとんど寄らずほぼ一定の負電流が発生する。
A model of the N1 channel is shown in FIG. 9B. It is assumed that the
図9Cに、N2チャネルのモデルを示す。負のバイアス電圧Vbを印加することにより探針21のフェルミ準位が基板9のフェルミ準位に対して下がり、さらにサンプルSのLUMOより低くなっているとする。まず、励起光を吸収することによりサンプルSのHOMOを占有する1つの電子がLUMOに遷移して、サンプルSが基底状態(S0)から励起状態(S1)に励起する。次いで、LUMOを占有する電子が探針21に移行する。それによりサンプルはカチオン(正イオン)状態になる。移行した電子を除く残りの電子間のクーロン力によりサンプルSの電子軌道が下降し、LUMOが探針21のフェルミ準位より低くなる。最後に、基板9から電子がサンプルSのHOMO又はLUMOに移行する。従って、N2チャネルにおいては、サンプルSのLUMOの占有エネルギの高さに応じた閾電圧を有し、バイアス電圧により探針21のフェルミ準位がこれより低くなることで負方向に増大する光電流を発生する。
A model of the N2 channel is shown in FIG. 9C. Suppose that the Fermi level of the
LUMO及びHOMOの状態比(探針21と分子軌道との結合比)を与えて3つの光電流の生成チャネルのそれぞれからの光電流の和を算出すると、相対的にLUMOの状態比が大きい場合のI-Vb特性が探針21をローブ上に位置決めして得られたI-Vb特性の測定結果(図7Aの(A))を説明し、相対的にHOMOの状態比が大きい場合のI-Vb特性が探針21をノード上に位置決めして得られたI-Vb特性の測定結果(図7Aの(B))を説明する。光電流の空間分布及びバイアス電圧依存性より、光電流が発生するメカニズムが明らかになり、そして、サンプルSの分子軌道の空間分布を可視化するとともに、励起光の波長によって観察目的とする励起状態を選択すること、バイアス電圧Vbを制御することにより可視化する分子軌道を選択できることがわかった。
Given the state ratio of LUMO and HOMO (bonding ratio between the
そこで、制御部50により、バイアス電圧Vbを、励起光を照射しない状態で、バイアス電圧の増減に対して暗電流が正電流方向及び負電流方向にそれぞれ増大し始める2つの電圧の間(例えば図6Aにおける-2.0~0.5V)で制御することができる。それにより、特にN2チャネルが開くようバイアス電圧Vbを選択し、励起光を照射して、サンプルSのHOMOを介した正の光電流とLUMOを介した負の光電流とを検出することで、図6C及び図7Bに示したようにサンプルのHOMO若しくはLUMO又はそれらの両方の分子軌道の空間分布を2次元イメージングすることができる。
Therefore, the
基板9との間に適当な局在プラズモンを生成し、光電流を効率良く検出することのできる探針21の形状について検討する。そのような探針21は、原子分子サイズにおいて鋭く、少なくとも10nmオーダで滑らかであり、且つ中心軸に対して対称である必要がある。
A shape of the
図10A、図10B、及び図10Cに、それぞれ、走査電子顕微鏡により撮影した第1の比較用探針の先端形状、第1の比較用探針を用いて基板9との間にバイアス電圧Vb=+2.5Vを印加した際に発生する局在プラズモンの発光スペクトルの測定結果、第1の比較用探針を用いて測定されたサンプルの光電流イメージを示す。サンプルとして、FBPcを用いた。バイアス電圧Vbは-2.0Vとした。第1の比較用探針は、金を用いて形成された。ただし、その先端形状は、原子分子サイズにおいて鈍く、凹凸を有し、且つ中心軸に対して対称でない。プラズモンの発光スペクトルは、その分布範囲内にサンプルの励起エネルギ(1816meV)を含む。サンプルの光電流イメージは、強度が不均一であり且つ不鮮明である。サンプルの対称構造が現れていないことから、探針の中心軸対称性が光電流イメージングに重要であることが示唆される。
10A, 10B, and 10C respectively show the shape of the tip of the first comparative probe photographed with a scanning electron microscope, and the bias voltage Vb= between the first comparative probe and the
図11A、図11B、及び図11Cに、それぞれ、走査電子顕微鏡により撮影した第2の比較用探針の先端形状、第2の比較用探針を用いて基板9との間にバイアス電圧Vb=+2.5 Vを印加した際に発生する局在プラズモンの発光スペクトルの測定結果、第2の比較用探針を用いて測定されたサンプルの光電流イメージを示す。サンプルとして、FBPcを用いた。バイアス電圧Vbは-0.25Vとした。第2の比較用探針は、金を用いて電気化学エッチング法により作成し、さらにステップS104の方法で先端形状を調整した。その先端形状は、原子分子サイズにおいて鋭く且つ中心軸に対して対称であり、しかし幾分の凹凸を有する。プラズモンの発光スペクトルは、その分布範囲内にサンプルの励起エネルギ(1816meV)を含むが、スペクトルの中心は励起エネルギから離れている。サンプルの光電流イメージは、強度分布が対称的でサンプルの対称構造を表しているが、幾分不鮮明である。
11A, 11B, and 11C respectively show the shape of the tip of the second comparative probe photographed with a scanning electron microscope, and the bias voltage Vb= between the
図12A、図12B、及び図12Cに、それぞれ、走査電子顕微鏡により撮影した実施例に係る探針の先端形状、その探針を用いて基板9との間にバイアス電圧Vb=+2.5 Vを印加した際に発生する局在プラズモンの発光スペクトルの測定結果、その比較用探針を用いて測定されたサンプルの光電流イメージを示す。サンプルとして、FBPcを用いた。バイアス電圧Vbは-0.25Vとした。実施例に係る探針は、金を用いて電気化学エッチング法により作成し、さらに集束イオンビームを正面方向から先端にドーナツ型のパターンで照射することにより加工した。先端は、半球体(本例では直径約30nm)を上面上に支持する円錐台状(先端からの距離約100nmでの断面の直径約60nm)に形成されている、つまり、少なくとも10nmオーダで滑らかであり、且つ中心軸に対して対称である。さらに、ステップS104の方法で先端形状を原子分子サイズにおいて鋭くなるよう調整した。プラズモンの発光スペクトルは、その分布範囲内にサンプルの励起エネルギ(1816meV)を含み且つスペクトルの中心が励起エネルギに接近している。より詳細には、発光スペクトルのピーク値のおよそ80%値の範囲内にサンプルの励起エネルギが含まれる。サンプルの光電流イメージは、強度分布が対称的でサンプルの対称構造を鮮明に表している。従って、先述の先端形状を有する探針21が鮮明な光電流イメージングを得るうえで好適であることがわかる。
12A, 12B, and 12C respectively show the shape of the tip of the probe according to the example photographed by a scanning electron microscope, and the bias voltage Vb=+2.5 V between the probe and the
本実施形態に係るSTM100は、サンプルを光励起することによって誘導されるトンネル電流(光電流)を検出する走査型トンネル顕微鏡であって、サンプルSに対して離間方向に探針21を位置決めする位置決め装置40と、基板9上に支持されたサンプルSに励起光を照射する照射部10と、基板9と探針21との間にバイアス電圧Vbを印加して、基板9と探針21との間に流れるトンネル電流を検出する検出部20とを備える。これによれば、照射部10により励起光を基板9上に支持されたサンプルSに照射するとともに、検出部20により基板9上に位置決めされた探針21を用いてその探針21とこれに対向するサンプルSの局部との間に流れるトンネル電流(すなわち、光電流)を検出し、その際に基板9と探針21との間にバイアス電圧Vbを印加し、又は光照射して局在プラズモンPを生成することで、その局在プラズモンPとサンプルSとの相互作用により光電流を増大することができ、それにより光電流によるサンプルSの原子分解能での観察、特に2次元イメージ検出が可能となる。
The
本実施形態に係る方法は、サンプルを光励起することによって誘導されるトンネル電流(光電流)を検出する方法であって、サンプルSに対して離間方向に探針を位置決めする段階と、基板9と探針21との間にバイアス電圧Vbを印加する段階と、基板9に支持されたサンプルSに励起光を照射する段階と、基板9と探針21との間に流れるトンネル電流を検出する段階と、を備える。これによれば、サンプルSに対して離間方向に探針21を位置決めし、基板9と探針21との間にバイアス電圧Vbを印加、もしくは光照射して局在プラズモンPを生成し、基板9に支持されたサンプルSに励起光を照射するとともに基板9と探針21との間に流れるトンネル電流(光電流)を検出することで、その局在プラズモンPとサンプルSとの相互作用により光電流を増大することができ、それにより光電流によるサンプルSの原子分解能での観察、特に2次元イメージ検出が可能となる。
The method according to the present embodiment is a method for detecting a tunneling current (photocurrent) induced by photoexciting a sample, comprising the steps of positioning a probe in a direction away from the sample S; applying a bias voltage Vb to the
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。 Although the present invention has been described above using the embodiments, the technical scope of the present invention is not limited to the scope described in the above embodiments. It is obvious to those skilled in the art that various modifications and improvements can be made to the above embodiments. It is clear from the description of the scope of claims that forms with such modifications or improvements can also be included in the technical scope of the present invention.
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。 The execution order of each process such as actions, procedures, steps, and stages in the devices, systems, programs, and methods shown in the claims, the specification, and the drawings is particularly "before", "before etc., and it should be noted that they can be implemented in any order unless the output of the previous process is used in the subsequent process. Regarding the operation flow in the claims, the specification, and the drawings, even if the description is made using "first," "next," etc. for the sake of convenience, it means that it is essential to carry out in this order. not a thing
9…基板、9a…絶縁層、10…照射部、11…光源、12…照射光学系、20…検出部、21…探針、22…電圧源、23…電流計、30…光検出部、31…検出光学系、32…分光器、40…位置決め装置、41…駆動素子、50…制御部、51…入力デバイス、52…出力デバイス、90…真空チャンバ、91…真空ポンプ、92…クライオスタット、P…局在プラズモン、S…サンプル、Vb…バイアス電圧。
DESCRIPTION OF
Claims (15)
サンプルに対して離間方向に探針を位置決めする位置決め装置と、
前記サンプルに励起光を照射する照射部と、
前記サンプルを支持する基板と前記探針との間にバイアス電圧を印加して、前記基板と前記探針との間に流れるトンネル電流を検出する検出部と、
を備える走査型トンネル顕微鏡。 A scanning tunneling microscope for detecting tunneling currents induced by photoexcitation of a sample, comprising:
a positioning device that positions the probe in a separation direction with respect to the sample;
an irradiation unit that irradiates the sample with excitation light;
a detection unit that applies a bias voltage between the substrate supporting the sample and the probe and detects a tunnel current flowing between the substrate and the probe;
scanning tunneling microscope.
サンプルに対して離間方向に探針を位置決めする段階と、
前記サンプルを支持する基板と前記探針との間にバイアス電圧を印加する段階と、
前記サンプルに励起光を照射する段階と、
前記基板と前記探針との間に流れるトンネル電流を検出する段階と、
を備える方法。 A method of detecting a tunneling current induced by photoexcitation of a sample, comprising:
positioning the probe in a spaced apart direction with respect to the sample;
applying a bias voltage between a substrate supporting the sample and the probe;
irradiating the sample with excitation light;
detecting a tunneling current flowing between the substrate and the probe;
How to prepare.
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