JP2023033896A - 農産物の個体識別装置および方法 - Google Patents

農産物の個体識別装置および方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023033896000001
【課題】農産物の個体識別装置および方法において、ラベルフリーで高精度の識別を実現する。
【解決手段】農産物の個体識別装置1は、農産物2に対して700nm以下の所定の励起波長の光を照射する光源10と、光源10によって照らされた農産物2を撮像するカメラ20と、カメラ20によって撮像された農産物2の蛍光画像から農産物2の斑紋を抽出する抽出部33と、斑紋を農産物の個体2ごとに記憶した記憶部40と、記憶部40に記憶された斑紋と新たに撮像および抽出された斑紋とを照合することにより農産物の個体2の同一性を確認する照合部34とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、農産物の個体識別装置および方法に関する。
野菜や果物といった農産物は、生産現場から最終需要者まで追跡され、農産物の個体の同一性の確認(個体識別)が行われることがある。そのような個体識別の技術が例えば特許文献1に開示されている。具体的には、農産物の個体に付与した非接触型タグまたはバーコード等の識別子からの情報と、当該個体の生体情報や傷などの固有情報とに基づいて個体識別を行う技術が開示されている。
特開2006-146570号公報
特許文献1では、上記識別子を利用することにより、個体の生体情報や傷などの固有情報のみを利用する場合に比べて識別精度の向上を図っている。しかし、換言すれば、識別子または識別子に類するラベルなし(ラベルフリー)で個体を高精度に識別するのは困難であり、改善の余地がある。
本発明は、農産物の個体識別装置および方法において、ラベルフリーで高精度の識別を実現することを課題とする。
本発明の第1の態様は、
農産物に対して700nm以下の所定の励起波長の光を照射する光源と、
前記光源によって照らされた前記農産物を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記農産物の蛍光画像から前記農産物の斑紋を抽出する抽出部と、
前記斑紋を前記農産物の個体ごとに記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記斑紋と新たに撮像および抽出された前記斑紋とを照合することにより前記農産物の個体の同一性を確認する照合部と
を備える、農産物の個体識別装置を提供する。
この構成によれば、農産物の個体に非接触型タグまたはバーコード等の識別子を付与する必要がなく、即ちラベルフリーで農産物の個体を識別できる。また、本願発明者らは、700nm以下の励起波長の光を照射して蛍光画像を撮像し、蛍光画像における農産物の個体の斑紋を抽出および照合する場合、一般的な白色LED等の光を照射して農産物の個体の傷や形状を抽出および照合する場合と比べて、農産物の個体を高精度に識別できることを見出した。さらに言えば、本願発明者らは、当該蛍光画像において個体特有の斑紋が現れることについて見出した。ここで、斑紋とは、蛍光画像において農産物の個体の表面に生じる模様のこという。この斑紋は、同種の農産物であっても、各個体の生育環境の違いによって異なるものである。これは、個体ごとに、クチクラ層の厚薄、クロロフィルの濃淡、または細胞壁の厚薄等が異なることに起因する。即ち、これらの違いによって蛍光反応に強弱が生じ、各個体に特徴的な斑紋を生じさせる。特に、700nm以下の励起波長を利用した場合、この斑紋の違いが顕著になる。従って、当該斑紋を照合することで、農産物の個体を高精度に識別できる。さらに言えば、対象とする農産物についても、一般的な白色光では特徴的な表面形状や模様を有するものに限定されるのに対し、上記構成ではそれらに限定されずに所定の励起波長で斑紋を生じさせることにより照合を行うため、広く様々な農産物を対象とできる。なお、照合部による斑紋の照合技術は、人工知能による画像認識を利用し得る。
前記所定の励起波長は、500nm以下であってもよい。
この構成によれば、特徴的なクロロフィル由来の斑紋を高精度に識別できる。クロロフィル由来の斑紋は、蛍光波長が赤色領域(例えば650~750nm)で強く発現することが多い。また、フェノール類に由来する斑紋は、蛍光波長が青色~黄色(例えば400~580nm)で発現することが多い。従って、仮に励起波長が500nmより大きい光を照射した場合、励起波長と蛍光波長が同色ないし類似色を示す関係となる。この場合、蛍光画像において斑紋が確認し難くなり、識別精度が低下するおそれがある。よって、識別精度の低下を回避するために、励起波長を500nm以下としてもよい。
前記記憶部は、前記斑紋を有する前記農産物の個体の生育に関する情報である農産物情報を記憶してもよく、
前記照合部によって前記農産物の個体の同一性が確認された場合に前記記憶部から前記農産物情報を読み出す情報読出部をさらに備えてもよい。
この構成によれば、農産物の個体を識別するだけでなく、識別した農産物の個体の農産物情報を合わせて取得できる。このような農産物情報を利用することにより、例えば、様々な品質が混在する中から、同質の農産物の個体を分類でき、品質に応じた適正価格での販売が可能となる。また、高品質な生産能の高い生産地を特定できるとともに、低品質の農産物に対するクレームを生産現場に正確に反映することもできる。よって、農産物のブランド力の強化を図ることができる。
前記農産物情報は、前記農産物の個体が生育されている箇所の3次元的な位置情報を含んでもよい。
この構成によれば、3次元的な位置情報に基づいて、農産物がどこで収穫されたものであるかをピンポイントで特定できる。ここで、3次元的な位置情報とは、緯度、経度、および標高などの大域的な位置情報であってもよいし、農産物を生産する農地またはハウス内の畝の端からの距離および地面からの高さいった小域的な位置情報であってもよい。特に、小域的な位置情報の場合、収穫後における農産物の評価を生産者に対してピンポイントでフィードバックできる。位置情報は、任意の態様で測定され得る。例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)や敷設されたレール上の水平方向距離および高さ方向距離を計測する測定器を使用してもよい。
前記農産物情報は、前記農産物の個体に対する施肥量を含んでもよい。
この構成によれば、収穫後における農産物の品質評価と施肥量との関係を明確にでき、生産者に対してフィードバックできる。
前記農産物情報は、前記農産物の個体に対する日射量を含んでもよい。
この構成によれば、収穫後における農産物の品質評価と日射量との関係を明確にでき生産者に対してフィードバックできる。
前記農産物情報は、前記農産物の個体に対する潅水量を含んでもよい。
この構成によれば、収穫後における農産物の品質評価と潅水量との関係を明確にでき生産者に対してフィードバックできる。
前記農産物情報は、前記農産物の個体の収穫日を含んでもよい。
この構成によれば、収穫日に基づく生育結果を生産者に対してピンポイントでフィードバックできる。
前記照合部は、前記斑紋の種類として、面対称、モザイク、明斑点、および擦れの少なくとも1つを認識して照合してもよい。
この構成によれば、農産物の識別精度を一層向上できる。斑紋には、面対称、モザイク、明斑点、および擦れといった特徴的な種類があり、これらを分類に利用することで、照合の成功率を向上させ得る。これらの特徴的な斑紋の種類を分類に利用する方法は、任意であるが、例えば、これらの特徴的な斑紋の種類の照合における価値を高めるように重み付けしてもよいし、これらの特徴的な斑紋のみを抽出して照合した後に斑紋全体を照合するといったように2段階照合を行ってもよい。ここで、面対称とは農産物の正面と背面で対照的な斑紋を示すものをいい、モザイクとは農産物の一部領域が暗く示されるものをいい、明斑点とは農産物の一部が斑点状に明るく示されるものをいい、擦れとは擦れたように斑紋が示されるものをいう。
本発明の第2の態様は、
農産物に対して700nm以下の所定の励起波長の光を照射し、
前記光に照らされた前記農産物を撮像し、
撮像された前記農産物の蛍光画像から前記農産物の斑紋を抽出し、
前記斑紋を前記農産物の個体ごとに記憶し、
記憶された前記斑紋と新たに撮像および抽出された前記斑紋とを照合することにより前記農産物の個体の同一性を確認する
ことを含む、農産物の個体識別方法を提供する。
この方法によれば、前述のように、特定の励起波長で撮像した農産物の蛍光画像の斑紋を抽出することで、ラベルフリーで高精度の識別を実現できる。
前記照合は、前記農産物の個体の収穫後16日以内に行ってもよい。
この方法によれば、農産物の収穫後に成長や劣化に伴って斑紋が変化する前に個体識別を行うことができる。特に、本願発明者らは、16日を超過するまでは斑紋が維持されることを実験的に確認しており16日以内の照合により高精度の識別が可能となる。
本発明によれば、農産物の個体識別装置および方法において、特定の励起波長で撮像した農産物の蛍光画像の斑紋を抽出することで、ラベルフリーで高精度の識別を実現できる。
本発明の一実施形態に係る農産物の個体識別装置の概略構成図。 図1Aの農産物の個体識別装置の農園での使用態様例を示す斜視図。 図1の制御部のブロック図。 励起波長365nmの光源で照らされた農産物の斑紋を撮像した蛍光画像。 白色光源で照らされた農産物を撮像した画像。 励起蛍光マトリクスを例示するコンター図。 図5の一部領域を拡大したコンター図。 本発明の一実施形態に係る農産物の個体識別方法のフローチャート。 蛍光画像における斑紋の明部面積率の時系列変化を示すグラフ。 斑紋の種類の一例である面対称を示す写真と模式図。 斑紋の種類の一例であるモザイクを示す写真と模式図。 斑紋の種類の一例である明斑点を示す写真と模式図。 斑紋の種類の一例である擦れを示す写真と模式図。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1Aは、本発明の実施形態に係る農産物の個体識別装置1の概略構成図である。詳細については後述するが、本実施形態の農産物の個体識別装置1は、所定の励起波長の光で照らされた際に生じる農産物の斑紋を利用して農産物の個体の同一性を確認する。
本実施形態の農産物の個体識別装置1は、光源10と、カメラ(撮像部)20と、制御部30と、記憶部40と、出力部50とを有している。
光源10は、農産物の個体2(以下、単に農産物2ともいう。)に対して700nm以下の所定の励起波長の光を照射するものである。所定の励起波長の詳細については後述する。ただし、光源11は、実際上、単一の波長(周波数)のみを有する光を照射することは困難である。よって、光源11は、例えば所定の1波長を平均波長とした正規分布に従う波長の光を照射し得る。本実施形態では、光源10は2つ設けられており、農産物2に対して対称的に設置されている。
カメラ20は、農産物2を撮像するものである。カメラ20は、光源10の間で農産物2の鉛直上方に設置されている。農産物2の撮像は、農産物2の設置向きを変えて複数回行われてもよい。
本実施形態では、農産物2と光源10とカメラ20との相対的な位置は固定されている。即ち、光源10の高さと、カメラ20の高さと、農産物2に対する光源10の鉛直方向からの照射角度θとは、それぞれ固定されている。このような固定配置は、同条件で再現性高く撮像できるようにするものであるが、以下で説明する農園での使用態様例のように固定配置を必要しない場合もある。
図1Bは、農産物の個体識別装置1の農園での使用態様例を示す斜視図である。図1Bでは、農産物2として複数列の畝で生育されている万願寺唐辛子が例示されている。
図1Bのように、農産物の個体識別装置1を農園で使用する場合、地面に敷設されたレール21上を移動可能な支持機構22で支持する構成が採用されてもよい。支持機構22は、伸縮自在で高さ調整可能であり得る。また、図示の例では、農産物2の個体識別装置1は、所定の励起波長を照射する光源10に加えて白色光を照射する白色光源11も有している。
農産物2の個体識別装置1は、複数列の畝の間で高さ調整しつつレール21上を移動し、所定の励起波長の光を照射しながら生育中の農産物2を撮像する。また、必要に応じて白色光を照射しながら生育中の農産物2を撮像してもよい。撮像された蛍光画像等は、別の個所に設置された制御部30に送信される。
制御部30は、演算処理および装置全体の制御を行う。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等のハードウェアと、それらに実装されたプログラム等のソフトウェアとにより構成されている。制御部30は、例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、ワークステーション、又はタブレット端末のような情報処理装置で構成され得る。
記憶部40は、制御部30の機能を実現するために必要なプログラムおよびデータ等を記憶する記憶媒体である。記憶部40は、制御部30と一体的に構成されていてもよい。
出力部50は、制御部30の処理結果を表示する部位であり、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはプラズマディスプレイ等により構成される。
図2は、本実施形態における制御部30のブロック図である。
制御部30は、機能的構成として、光源操作部31と、カメラ操作部32と、抽出部33と、照合部34とを含んでいる。これらは、上記ハードウェアおよびソフトウェアの協働により実現される。
光源操作部31は、所定の励起波長の光を農産物2に照射するように光源10を制御する。本実施形態では、前述のように所定の励起波長の光を照射する光源10を使用するため、光源操作部31は単に光源10のON-OFFの制御を行うが、光源10において励起波長を調整できる場合、所定の励起波長に設定する制御をも併せて行ってもよい。
カメラ操作部32は、光源10によって照らされた農産物2を撮像するようにカメラ20を制御する。これにより、農産物2の蛍光画像を取得する。
抽出部33は、カメラ20によって撮像された農産物2の蛍光画像から農産物2の斑紋を抽出する。抽出部33は、画像認識により農産物2の輪郭を抽出し、農産物2ごとに斑紋を抽出する。ここで、斑紋とは、蛍光画像において農産物2の表面に生じる模様のこという。斑紋は、様々な要因で個体ごとに特徴的な模様となる。例えば、農産物2の生育環境による違い、または、花粉や花びら等の農産物2の表面への付着の仕方などの様々な要因が考えられる。
図3は、励起波長365nmの光源10で照らされた農産物2の斑紋を撮像した蛍光画像である。また、本実施形態とは異なるが、比較対象として、図4は、白色光源で照らされた農産物2を撮像した画像である。
図3,4では、農産物2の一例として万願寺唐辛子を示している。図3,4を比較して、図4の一般的な白色光源では確認できない農産物2の斑紋が図3では確認できることがわかる。例えば、図3では、農産物2の斑紋として、特徴的な明斑点がみられる。
図3に示すように、農産物2の特徴的な斑紋を生じさせるための光源10の所定の励起波長は、農産物2ごとに異なり得る。本実施形態では、光源10の所定の励起波長は、700nm以下の所定の値に設定され得る。これは、様々な励起波長の光源10を使用して実験を行った結果、700nm以下の励起波長の光源10を使用すると、斑紋が比較的明瞭に確認できたことによる。
また、励起波長を700nm以下のいずれの値に設定するかについては、励起蛍光マトリクスに基づいて決定され得る。
図5は、励起蛍光マトリクスを例示するコンター図である。図6は、図5の一部領域を拡大したコンター図である。
図5,6の励起蛍光マトリクスは、横軸が蛍光波長(nm)を示し、縦軸が励起波長(nm)を示し、図中の濃淡によって蛍光強度を示している。具体的には、黒に近い領域ほど蛍光強度は低く、白に近い領域ほど蛍光強度は高く示されている。
光源10の励起波長は、励起蛍光マトリクスにおいて蛍光強度が相対的に大きな値を示すものに設定され得る。特に励起波長を500nm以下に設定してもよい。これにより、特徴的なクロロフィル由来の斑紋を高精度に識別できる。クロロフィル由来の斑紋は、蛍光波長が赤色領域(例えば650~750nm)で強く発現することが多い(図5において白く示される領域A参照)。従って、仮に励起波長が500nmより大きい光を照射した場合、励起波長と蛍光波長が同色ないし類似色を示す関係となる。この場合、蛍光画像において斑紋が確認し難くなり、識別精度が低下するおそれがある。よって、識別精度の低下を回避するために、励起波長を500nm以下としてもよい。
また、図6を参照して、具体的には、相対的に大きな蛍光強度を示す点P1の励起波長(例えば、約350nm)を採用してもよい。このように、蛍光強度が大きくなる励起波長を採用することで、斑紋が明瞭になり、照合の成功率の向上が見込まれる。
上記のようにして決定され得る所定の励起波長の光で照らされることにより生じた斑紋は、抽出部33によって抽出され、蛍光画像とともに記憶部40に記憶される。記憶部40に記憶される斑紋および蛍光画像は、農産物2の収穫直後または生育中の収穫間近のものである。生育中であれば、例えば、農産物2の正面と背面の2方向の斑紋(蛍光画像)を取得して記憶してもよい。収穫直後であれば、例えば、農産物2の正面、背面、左側面、および右側面の4方向の斑紋(蛍光画像)を取得して記憶してもよい。このように、複数の方向から撮影した画像を取得しておくことにより、後により少ない方向(例えば1方向)から撮影した画像に基づいて個体2を識別できる可能性がある。
照合部34は、記憶部40に記憶された斑紋と、新たに撮像および抽出された斑紋とを照合することにより農産物2の同一性を確認する。斑紋を新たに撮像および抽出するのは、農産物2の生育中または農産物2の収穫後の流通過程の任意の時点でなされ得る。例えば、農産物2の収穫後の流通過程の任意の時点とは、農産物2の輸送前の倉庫保管中、輸送中、または、輸送後の小売店等での保管もしくは販売中などが考えられる。農産物2の生育中であれば、例えば、農産物2の正面と背面の2方向の斑紋(蛍光画像)を取得してもよい。また、収穫後であれば、例えば、農産物2の正面、背面、左側面、および右側面の4方向の斑紋(蛍光画像)を取得してもよい。なお、照合部34による斑紋の照合技術は、人工知能による画像認識を利用し得る。
また、好ましくは、記憶部40は斑紋を有する農産物2の農産物情報を記憶するとともに、制御部30は情報読出部35を含む。ここで、農産物情報は、農産物2の生育に関する情報を広く意味し、例えば生産者、生産地、または品質に関連する環境情報等を含む。情報読出部35は、照合部34によって農産物2の同一性が確認された場合に記憶部40から農産物情報を読み出す。
農産物情報は、農産物2が生育されている箇所の3次元的な位置情報を含んでもよい。これにより、3次元的な位置情報に基づいて、農産物2がどこで収穫されたものであるかをピンポイントで特定できる。従って、収穫後の農産物2の評価を生産者に対してピンポイントでフィードバックできる。ここで、3次元的な位置情報とは、緯度、経度、および標高などの大域的な位置情報であってもよいし、農産物2を生産する農地またはハウス内の畝の端からの距離および地面からの高さいった小域的な位置情報であってもよい。特に、小域的な位置情報の場合、収穫後における農産物2の評価を生産者に対してピンポイントでフィードバックできる。位置情報は、任意の態様で測定され得る。例えば、GPS(Global Positioning System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)、敷設されたレール21(図1B参照)上の水平方向距離および支持機構22(図1B)の地面からの高さ方向距離を計測する測定器を使用してもよい。
農産物情報は、農産物2に対する施肥量を含んでもよい。これにより、収穫後における農産物2の品質評価と施肥量との関係を明確にでき、生産者に対してフィードバックできる。
農産物情報は、農産物2に対する日射量を含んでもよい。これにより、収穫後における農産物2の品質評価と日射量との関係を明確にでき生産者に対してフィードバックできる。
農産物情報は、農産物2に対する潅水量を含んでもよい。これにより、収穫後における農産物2の品質評価と潅水量との関係を明確にでき生産者に対してフィードバックできる。
農産物情報は、農産物2の収穫日を含んでもよい。これにより、収穫日に基づく生育結果を生産者に対してピンポイントでフィードバックできる。
図7は、本実施形態における農産物の個体識別方法のフローチャートである。本実施形態の農産物の個体識別装置1は、当該方法を実行しているともいえる。
当該方法を開始すると、光源操作部31によって光源10を制御し、農産物2に所定の励起波長の光を照射する(ステップS7-1)。この所定の励起波長は、農産物2ごとに前述のように励起蛍光マトリクスを確認し、予め決められたものを用いる。次いで、カメラ操作部32によってカメラ20を制御し、農産物2の蛍光画像を撮像する(ステップS7-2)。次いで、抽出部33によって蛍光画像における農産物2の斑紋を抽出する(ステップS7-3)。次いで、照合部34によって、当該斑紋と記憶部40に記憶された斑紋とを照合して農産物の個体2の同一性を確認する(ステップS7-4)。
照合部34によって農産物2の同一性が確認されると(Y:ステップS7-4)、情報読出部35によって記憶部40から農産物情報が読み出される(ステップS7-5)。そして、照合結果(農産物が同一)および農産物情報が出力部50に出力される(ステップS7-6)。なお、農産物の個体識別装置1は情報読出部35を有していなくてもよく、その場合には情報読出処理(ステップS7-5)が省略され、照合結果のみが出力部50に出力される。
また、照合部34によって農産物2の同一性が確認されない場合(N:ステップS7-4)、照合結果(農産物が非同一)が出力部50に出力される(ステップS7-6)。以上の処理を完了すると、本実施形態の農産物2の個体識別方法を終了する。
次に、農産物2として万願寺唐辛子を例にして行った本実施形態と従来法との簡易的な比較実験について説明する。
従来法としては、一般的な白色LED光源を利用した形状照合を比較対象として採用した。実験では、万願寺唐辛子を50個用意して照合結果を確認した。正しく照合できたことを表す成功率は、従来法では4%であったのに対し、本実施形態では58%あった。これは簡易的な実験であるために、成功率についてはさらに改善の余地があるが、少なくとも本実施形態の優位性は確認できた。なお、本実施形態の斑紋照合技術と従来の形状照合技術を合わせて利用すると、70%の成功率であった。従って、これらを組み合わせて使用してもよい。
また、農産物の収穫後の斑紋の時系列変化について確認した実験について説明する。
実験では、万願寺唐辛子(農産物2)に365nmの励起波長の光を照射して撮像した蛍光画像における明部面積率を計算した。明部面積率とは、蛍光画像において万願寺唐辛子の全体面積に対する一定の閾値以上の蛍光の強い明部の面積比を示す。
図8は、蛍光画像における斑紋の明部面積率の時系列変化を示すグラフである。
図8を参照して、横軸は時間(日)を示し、縦軸は明部面積率を示している。10個の万願寺唐辛子を用意して実験した結果、収穫後8日程度までは明部面積率の変化はほとんど見られず、少なくとも8日程度までは斑紋があまり変化していないことがわかる。しかし、収穫後16日経過すると、明部面積率にも変化が見られるものが現れた。従って、収穫後16日を超過すると、斑紋の照合の成功率が低下する可能性が示唆された。よって、斑紋の照合は、好ましくは収穫後16日以内に行い、さらに好ましくは8日内に行う。
本実施形態によれば、農産物の個体2に非接触型タグまたはバーコード等の識別子を付与する必要がなく、即ちラベルフリーで農産物の個体2を識別できる。また、本願発明者らは、700nm以下の励起波長の光を照射して農産物の個体の斑紋を抽出および照合する場合、一般的な白色LED等の光を照射して農産物の個体2の傷や形状を抽出および照合する場合と比べて、農産物の個体2を高精度に識別できることを見出した。この斑紋は、同種の農産物であっても、各個体の生育環境の違いによって異なるものである。これは、個体ごとに、クチクラ層の厚薄、クロロフィルの濃淡、または細胞壁の厚薄等が異なることに起因する。即ち、これらの違いによって蛍光反応に強弱が生じ、各個体に特徴的な斑紋を生じさせる。特に、700nm以下の励起波長を利用した場合、この斑紋の違いが顕著になる。従って、当該斑紋を照合することで、農産物の個体2を高精度に識別できる。さらに言えば、対象とする農産物2についても、一般的な白色光では特徴的な表面形状や模様を有するものに限定されるのに対し、本実施形態ではそれらに限定されずに所定の励起波長で斑紋を生じさせることにより照合を行うため、広く様々な農産物2を対象とできる。
また、本実施形態では、農産物の個体2を識別するだけでなく、識別した農産物の個体2の農産物情報を合わせて取得できる。農産物情報を利用することにより、例えば、様々な品質が混在する中から、同質の農産物の個体2を分類でき、品質に応じた適正価格での販売が可能となる。また、高品質な生産能の高い生産地を特定できるとともに、低品質の農産物に対するクレームを生産現場に正確に反映することもできる。よって、農産物2のブランド力の強化を図ることができる。
また、照合部34は、斑紋の種類として、面対称、モザイク、明斑点、および擦れの少なくとも1つを認識して照合してもよい。
図9~12は、斑紋の種類例の面対称、モザイク、明斑点、および擦れをそれぞれ示す写真と模式図である。各図において、左側が写真を示し、右側が模式図を示している。各図における写真は、正面と背面の2方向から撮像したものであり、特に矩形で囲まれた部分に特徴的な斑紋が示されている。図9~12においては、農産物2の例として万願寺唐辛子を採用している。
面対称とは農産物2の正面と背面で対照的な斑紋を示すものをいい、モザイクとは農産物2の一部領域が暗く示されるものをいい、明斑点とは農産物2の一部が斑点状に明るく示されるものをいい、擦れとは擦れたように斑紋が示されるものをいう。これらは、斑紋として特徴的であり、斑紋の識別に資する情報となり得る。
上記特徴的な種類の斑紋を識別することにより、農産物2の識別精度を一層向上できる。これらの特徴的な斑紋の種類を分類に利用する方法は、任意であるが、例えば、これらの特徴的な斑紋の種類の照合における価値を高めるように重み付けしてもよいし、これらの特徴的な斑紋のみを抽出して照合した後に斑紋全体を照合するといったように2段階照合を行ってもよい。
また、上記実施形態の農産物の個体識別装置1は、様々な形態が考えられる。例えば、上記した各構成を備えるモバイル機器として構成されてもよいし、冷蔵庫等の家電製品に内蔵されるように構成されてもよい。また、スマートフォンに装着できるオプションパーツとして構成されてもよい。
以上より、本発明の具体的な実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、農産物2は、万願寺唐辛子以外にも、果菜類、豆類、果実類全般であってもよい。これらについては、万願寺唐辛子と同様に個体ごとに特徴的な斑紋を生じることが見込まれるため、これらを広く農産物2の対象とし得る。
また、農産物情報としては、以下に挙げられるものを含んでいてもよい。例えば、ハウス識別番号、農産物の品種、作付面積、作付本数、仕立て本数、収穫量、耕起日、畝立て日、マルチ実施日、定植日、施肥日、農薬散布日、整枝日、剪定日、摘果日、摘心日、土質、土壌の水素イオン濃度(pH)、土壌の電気伝導度(EC)、土壌水分、土壌温度、環境温度、相対湿度、飽差、二酸化炭素濃度、気圧、風速、風向、農産物の病気、害虫情報、葉色、節間長、節数、枝数、開花日、開花数、着果日、着果数、果実色、果実長、果実形、光合成活性、蒸散、道管流、含水量、畝識別番号、収穫時刻、農産物のキズ、固さ、糖度、酸度、加速度、輸送容器、輸送手段、荷造り方法、輸送時間、輸送距離、入荷量、販売量、廃棄量、輸送時の気温、輸送時の天気、棚持ち温度、棚持ち時間、販売日、価格、味、または鮮度などを農産物情報として含んでいてもよい。
1 農産物の個体識別装置
2 農産物(農産物の個体)
10 光源
11 白色光源
20 カメラ(撮像部)
21 レール
22 支持機構
30 制御部
31 光源操作部
32 カメラ操作部
33 抽出部
34 照合部
35 情報読出部
40 記憶部
50 出力部

Claims (11)

  1. 農産物に対して700nm以下の所定の励起波長の光を照射する光源と、
    前記光源によって照らされた前記農産物を撮像する撮像部と、
    前記撮像部によって撮像された前記農産物の蛍光画像から前記農産物の斑紋を抽出する抽出部と、
    前記斑紋を前記農産物の個体ごとに記憶した記憶部と、
    前記記憶部に記憶された前記斑紋と新たに撮像および抽出された前記斑紋とを照合することにより前記農産物の個体の同一性を確認する照合部と
    を備える、農産物の個体識別装置。
  2. 前記所定の励起波長は、500nm以下である、請求項1に記載の農産物の個体識別装置。
  3. 前記記憶部は、前記斑紋を有する前記農産物の個体の生育に関する情報である農産物情報を記憶し、
    前記照合部によって前記農産物の個体の同一性が確認された場合に前記記憶部から前記農産物情報を読み出す情報読出部をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の農産物の個体識別装置。
  4. 前記農産物情報は、前記農産物の個体が生育されている箇所の3次元的な位置情報を含む、請求項3に記載の農産物の個体識別装置。
  5. 前記農産物情報は、前記農産物の個体に対する施肥量を含む、請求項3または請求項4に記載の農産物の個体識別装置。
  6. 前記農産物情報は、前記農産物の個体に対する日射量を含む、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の農産物の個体識別装置。
  7. 前記農産物情報は、前記農産物の個体に対する潅水量を含む、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の農産物の個体識別装置。
  8. 前記農産物情報は、前記農産物の個体の収穫日を含む、請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の農産物の個体識別装置。
  9. 前記照合部は、前記斑紋の種類として、面対称、モザイク、明斑点、および擦れの少なくとも1つを認識して照合する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の農産物の個体識別装置。
  10. 農産物に対して700nm以下の所定の励起波長の光を照射し、
    前記光に照らされた前記農産物を撮像し、
    撮像された前記農産物の蛍光画像から前記農産物の斑紋を抽出し、
    前記斑紋を前記農産物の個体ごとに記憶し、
    記憶された前記斑紋と新たに撮像および抽出された前記斑紋とを照合することにより前記農産物の個体の同一性を確認する
    ことを含む、農産物の個体識別方法。
  11. 前記照合は、前記農産物の個体の収穫後16日以内に行う、請求項10に記載の農産物の個体識別方法。
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