JP2023031679A - 成膜方法 - Google Patents

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Takahashi, (Furukuwa) Rika
博明 白井
Hiroaki Shirai
宏紀 児嶋
Hiroki Kojima
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Abstract

【課題】フッ素を含有する化合物を含む、緻密な表面処理層を真空蒸着により形成する成膜方法を提供する。【解決手段】基材の表面に蒸着物質を蒸着させて蒸着膜を形成する成膜方法は、式(1)で示されるフッ素含有化合物を含む蒸着物質を準備する工程と、蒸着物質を基材の表面に蒸着させて蒸着膜を形成する工程とを含み、蒸着膜を形成する工程において、加熱された蒸着物質の蒸気に熱電子を照射し、熱電子が照射された蒸気を基材の表面に接触させて蒸着膜を形成することを特徴とする。TIFF2023031679000016.tif27154式中、R1はフルオロアルキル基を含有する基を表し、R2はアルキル基又はアルコキシアルキル基を表し、R3及びR4は各々独立して水素原子又は1価の有機基を表し、xは1~100の整数であり、yは0~100の整数である。【選択図】図1

Description

本発明は、基材の表面にフッ素を含む化合物を蒸着させて成膜する方法に関する。
ある種のフッ素系化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水性、撥油性、防汚性や、絶縁性等の電気的特性、反射防止性等の光学特性等を発現し得ることが知られている。このようなフッ素系化合物を含む表面処理層は、防汚層等の機能性薄膜として、例えば、ガラス、プラスチック、繊維、建築部材等の多種多様な基材に設けられている(特許文献1参照)。上記表面処理層は、例えば、フッ素系化合物を溶剤に溶解させた表面処理剤を基材表面に塗布する、スピンコート法、含浸法等のウェットプロセス等により形成される(特許文献2参照)。
特開2014-196432号公報 特開平11-342371号公報
上記フッ素系化合物の多くは、大気に接することで凝縮しやすいという特性を有する。そのため、上記ウェットプロセスにより、特に膜厚が100nm程度の上記表面処理層を形成しようとすると、フッ素系化合物が凝集してしまい、上記表面処理層を緻密に形成することが困難であるという問題がある。
上記表面処理層を緻密に形成するために、上記フッ素系化合物の真空蒸着法等の、いわゆるドライプロセスにより上記表面処理層を形成することも考えられるが、ドライプロセスにおいても同様に、経時的にフッ素系化合物が凝集してしまうという問題がある。特に、分子量がオリゴマー領域(例えば分子量が1000以下)の上記フッ素系化合物において、経時的に凝集してしまうという問題が生じやすい。
上記課題に鑑みて、本発明は、フッ素を含有する化合物を含む、緻密な表面処理層を真空蒸着により形成する成膜方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基材の表面に蒸着物質を蒸着させて蒸着膜を形成する成膜方法であって、下記式(1)で示されるフッ素含有化合物を含む前記蒸着物質を準備する工程と、前記蒸着物質を前記基材の表面に蒸着させて前記蒸着膜を形成する工程とを含み、前記蒸着膜を形成する工程において、加熱された前記蒸着物質の蒸気に熱電子を照射し、前記熱電子が照射された前記蒸気を前記基材の表面に接触させて前記蒸着膜を形成することを特徴とする成膜方法を提供する。
Figure 2023031679000002

上記式(1)中、Rはフルオロアルキル基を含有する基を表し、Rはアルキル基又はアルコキシアルキル基を表し、R及びRは各々独立して水素原子又は1価の有機基を表し、xは1~100の整数であり、yは0~100の整数である。
前記蒸着させる工程において、前記基材の表面と前記蒸着物質との間に設けられている熱電子発生部から発生した前記熱電子が、前記蒸着物質の蒸気に照射されればよく、前記熱電子発生部は、前記基材の表面と前記蒸着物質との間に位置し、前記蒸着物質の蒸気が通過する開口部と、前記開口部の周囲を取り囲むように位置するアノードと、前記アノードを取り囲むように位置し、前記熱電子を発生させるカソードとを有し、前記蒸着させる工程において、前記カソードから発生し、前記アノードに向けて放出された前記熱電子が、開口部を通過する前記蒸着物質の蒸気に照射されればよい。
前記式(1)において、yが0であればよく、Rで表されるフルオロアルキル基を含有する基が、下記式(2)で表される基であればよい。
Figure 2023031679000003

上記式(2)中、pは0~2の整数である。
前記式(1)において、Rはメチル基であればよく、xが1~10の整数であればよく、xが2~3の整数であり、yが0であればよい。
本発明によれば、フッ素を含有する化合物を含む、緻密な表面処理層を真空蒸着により形成する成膜方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態における真空蒸着装置を概略的に示す概略構成図である。 図2は、本発明の一実施形態における熱電子発生装置を概略的に示す斜視図である。 図3Aは、試験例1における試料1、試料3、試料4及び試料5の表面処理層の薄膜の赤外吸光スペクトルである。 図3Bは、試験例1における試料2、試料4、試料5及び試料9の表面処理層の薄膜の赤外吸光スペクトルである。 図3Cは、試験例1における試料4~8の表面処理層の薄膜の赤外吸光スペクトルである。 図4Aは、試験例2における試料1のX線光電子分光スペクトルである。 図4Bは、試験例2における試料3のX線光電子分光スペクトルである。 図4Cは、試験例2における試料4のX線光電子分光スペクトルである。 図4Dは、試験例2における試料5のX線光電子分光スペクトルである。 図5Aは、試験例2における試料1のX線光電子分光スペクトルである。 図5Bは、試験例2における試料3のX線光電子分光スペクトルである。 図5Cは、試験例2における試料4のX線光電子分光スペクトルである。 図5Dは、試験例2における試料5のX線光電子分光スペクトルである。 図6Aは、試験例2における試料1のX線光電子分光スペクトルである。 図6Bは、試験例2における試料3のX線光電子分光スペクトルである。 図6Cは、試験例2における試料4のX線光電子分光スペクトルである。 図6Dは、試験例2における試料5のX線光電子分光スペクトルである。 図7Aは、試験例2における試料1のX線光電子分光スペクトルである。 図7Bは、試験例2における試料3のX線光電子分光スペクトルである。 図7Cは、試験例2における試料4のX線光電子分光スペクトルである。 図7Dは、試験例2における試料5のX線光電子分光スペクトルである。 図8Aは、試験例4における試料1~5の表面処理層の薄膜及び参考試料1のガラス基材の反射率の測定結果を示すグラフである。 図8Bは、試験例4における試料9の表面処理層の薄膜の反射率の測定結果を示すグラフである。 図8Cは、試験例4における試料1~5の表面処理層の薄膜及び参考試料1のガラス基材の透過率の測定結果を示すグラフである。 図8Dは、試験例4における試料9の表面処理層の薄膜の透過率の測定結果を示すグラフである。 図9は、試験例5における試料1の表面処理層の薄膜のインピーダンス及び誘電正接(tanδ)の測定結果を示すグラフである。
本発明の一実施形態に係る成膜方法について説明する
図1は、本実施形態に係る成膜方法を実施可能な真空蒸着装置を概略的に示す概略構成図であり、図2は、本実施形態における熱電子発生装置を概略的に示す斜視図である。
本実施形態に係る成膜方法は、フッ素含有化合物を含む蒸着物質を準備する工程と、蒸着物質を基材の表面に蒸着させて蒸着膜を形成する工程とを含む。蒸着物質に含まれるフッ素含有化合物は、下記式(1)で示す構造を有する。
Figure 2023031679000004

式(1)中、Rはフルオロアルキル基を含有する基を表し、Rはアルキル基又はアルコキシアルキル基を表し、R及びRは各々独立して水素原子又は1価の有機基を表し、xは1~100の整数であり、yは0~100の整数である。
式(1)において、Rで表されるフルオロアルキル基を含有する基としては、例えば、-CF、-C、-C、-C13、-C15等の-C2q+1(q=1~10)で表されるフルオロアルキル基;オキシフルオロアルキレン基等を挙げることができ、これらのうち、下記式(2)で示されるオキシフルオロアルキレン基であるのが好ましい。
Figure 2023031679000005

式(2)中、pは0~2の整数である。
式(1)において、Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1~2のアルキル基が挙げられ、Rで表されるアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等の炭素数2~4のアルコキシアルキル基が挙げられる。これらのうち、Rで表される基としては、アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)において、R及びRで表される有機基としては、例えば、下記式(i)~(v)で示される基を挙げることができる。
Figure 2023031679000006
式(1)において、トリアルコキシシリル基又はトリアルコキシアルコキシシリル基(-Si(OR))が結合する中間鎖(-CH-CH-)の数xは、1~100であり、好ましくは1~50、より好ましくは1~10、特に好ましくは2~3である。また、中間鎖(-CH-CR-)の数yは、0~100であり、好ましくは0~50、より好ましくは0~10、特に好ましくは0である。
上記フッ素含有化合物として好適な化合物としては、下記式(3)~(7)で示される化合物を例示することができる。特に、上記フッ素含有化合物が式(3)又は式(6)で示される化合物(式(1)においてy=0である化合物)であると、1分子中に占められるフッ素原子の割合が大きくなる。
Figure 2023031679000007

式(3)中、x’は2又は3である。
Figure 2023031679000008
Figure 2023031679000009

式(4)及び式(5)中、R1’は、-CF(CF)OCFCF(CF)OCで表される基である。式(4)中、xaは1~100の整数である。式(5)中、xbは1~100の整数であり、ybは1~500の整数である。
Figure 2023031679000010

式(6)中、xcは1~10の整数であり、ycは0~100の整数である。
Figure 2023031679000011

式(7)中、xdは1~10の整数であり、ydは0~100の整数である。
上記式(1)で示されるフッ素含有化合物は、下記式(Ia)で示されるフッ素含有過酸化物の存在下に、下記式(Ib)で示される単量体と、下記式(Ic)で示される単量体とを重合させることにより得られる。なお、この反応生成物(フッ素含有化合物)中には、フルオロアルキル基を含有する基(R)が片末端のみに導入されているオリゴマーが任意の割合で含まれていてもよい。
Figure 2023031679000012

式(Ia)~(Ic)中、Rはフルオロアルキル基を含有する基を表し、Rはアルキル基又はアルコキシアルキル基を表し、R及びRは各々独立して水素原子又は1価の有機基を表す。
蒸着物質を蒸着させて蒸着膜を形成する対象となる基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、石英ガラス基板等のガラス基材;ポリイミド基板、ポリエチレン基板、ポリエチレンテレフタレート基板、ポリプロピレン基板、ポリカーボネート基板等の樹脂基材;アルミニウム基板等の金属基材;シリコン基板、GaAs基板、InP基板等の半導体基材等が挙げられる。本実施形態に係る成膜方法においては、相対的に低温の温度条件下で蒸着膜の形成が可能であるため、耐熱性が相対的に低いポリエチレンテレフタレート基板等の樹脂基材が、上記基材として好適である。
蒸着物質を基材の表面に蒸着させて蒸着膜を形成する工程は、例えば、以下に説明する成膜装置1を用いて実施することができる。
成膜装置1は、真空チャンバ2と、成膜源3と、熱電子発生部4と、基材ホルダ5とを備える。真空チャンバ2は、真空チャンバ2内を減圧状態に維持可能なチャンバである。真空チャンバ2には、排気管を介して真空ポンプが接続され、例えば1.0×10-5~1.0×10-2Pa程度の所定圧力に真空排気して保持できるようになっている。真空チャンバ2内に気体が存在すると、成膜源3から蒸発した蒸着物質が真空チャンバ2内の気体分子と衝突し、蒸着物質が基材6の表面61に付着するのを妨げるおそれがあるが、真空チャンバ2内を所定圧力に保持することで、蒸着物質を基材6の表面61に効果的に付着させることができる。なお、成膜装置1は、真空チャンバ2外から真空チャンバ2内にガスを供給可能なガス供給機構(図示を省略)を備えていてもよい。
成膜源3は、真空チャンバ2内の底部又は底部近傍に設けられている。成膜源3は、坩堝等の蒸発容器を有し、蒸発容器に蒸着物質としての上記フッ素含有化合物が収容される。蒸発容器の周りには、例えばヒータ等の加熱装置が設けられ、蒸発容器に収容されている上記フッ素含有化合物が加熱される。蒸発容器に収容されている上記フッ素含有化合物が加熱されると、蒸発容器から基材6の表面61(蒸着面)に向けて上記フッ素含有化合物が蒸発する。
熱電子発生部4は、アノード43及びカソード44を含み、アノード43には、アノード43に電圧を印加するアノード電源45が接続され、カソード44には、カソード44に電圧を印加するカソード電源46が接続されている。カソード44は、熱電子発生部材としての導電性フィラメント(例えばタングステンフィラメント等)を含み、カソード電源46からカソード44に所定の電圧が印加されることでカソード44の導電性フィラメントが加熱される。その結果として、カソード44の導電性フィラメントからアノード43に向けて熱電子が放出される。このとき、放出された熱電子を加速するために、カソード44にアノード電源46を接続して電圧を印加する。
熱電子発生部4は、略中心に開口する開口部42を有する基板41を備え、アノード43及びカソード44は、開口部42を囲むように基板41に設けられている。開口部42は、成膜源3と基材ホルダ5に保持されている基材6との間に位置し、成膜源3の蒸発容器から蒸発した上記フッ素含有化合物の蒸気が開口部42を通過して基材6の表面61に到達する。カソード44は、開口部42の周りに設けられているアノード43の外側を囲むように設けられている。このような構成を有することで、カソード44の導電性フィラメントからアノード43に向けて放出された熱電子が、開口部42を通過する上記フッ素含有化合物の蒸気に照射され、熱電子が照射された当該蒸気が基材6の表面61に付着する。このように、熱電子が照射された上記フッ素含有化合物が基材6の表面61に付着するため、基材6の表面61に、緻密、かつ所望の機能を有する表面処理層(フッ素含有化合物層)が形成される。
カソード44に電流が流れると、カソード44の導電性フィラメントが加熱され、それによりカソード44の導電性フィラメントから熱電子が放出され得る。例えば、カソード44の導電性フィラメントが800~1300℃程度に加熱されることで、当該導電性フィラメントから熱電子が放出され得る。
アノード43に印加される電圧は、例えば50~500Vの範囲内であればよい。アノード43に印加される電圧が50V未満であると、カソード44の導電性フィラメントから熱電子を引き出すのが困難となるおそれがあり、500Vを超えると上記フッ素含有化合物が分解しやすくなるおそれがある。アノード43に流れる電流値は、例えば、10~30mAの範囲内であればよい。特に、アノード43に流れる電流値が上記範囲内であることで、上記フッ素含有化合物による機能を奏することができ、かつ緻密な表面処理層を薄膜(膜厚100~200nm程度)として形成することができる。
上述した本実施形態に係る成膜方法によれば、成膜源3から蒸発した上記フッ素含有化合物の蒸気に熱電子が照射され、当該熱電子が照射された上記フッ素含有化合物の蒸気を基材6の表面61に付着させることができる。これにより、後述する実施例からも明らかなように、基材6の表面61に、緻密、かつ所望の機能を有する表面処理層(フッ素含有化合物層)の薄膜を形成することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属するすべての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、製造例、試験例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、下記の製造例、試験例等に何ら制限されるものではない。
〔製造例1〕
図1に示す成膜装置1を用い、成膜源3としての坩堝に、蒸着物質としての上記式(3)で示されるフッ素含有化合物を収容して加熱し、基材ホルダ5に保持されたガラス基材6の表面61に表面処理層の薄膜(試料1)を形成した。また、当該薄膜の膜厚を、エリプソメーター(日本分光社製,製品名:エリプソメーターM-150,測定波長:632.8nm,入射角:45°,基板屈折率:1.515%)を用いて測定したところ、膜厚は138.7nmであった。なお、成膜条件は、以下に示すとおりである。
[成膜条件]
成膜時間:80min
開始温度:100℃
昇温速度:1.5~2.0℃/min
真空度:7.5×10-6~1.6×10-5Torr
アノード電圧:150V
アノード電流:10mA
カソード電流:3.5A
カソードの導電性フィラメント(タングステンフィラメント)の直径:0.2mm
〔製造例2〕
成膜条件としてのアノード電流を20mAに変更した以外は、製造例1と同様にしてガラス基材6の表面61に表面処理層の薄膜(試料2)を形成した。また、上記エリプソメーターを用いて測定した膜厚は、130.7nmであった。
〔製造例3〕
成膜条件としてのアノード電流を30mAに変更した以外は、製造例1と同様にしてガラス基材6の表面61に表面処理層の薄膜(試料3)を形成した。また、上記エリプソメーターを用いて測定した膜厚は、137.6nmであった。
〔製造例4〕
成膜条件としてのアノード電流を0mAに変更した以外は、製造例1と同様にしてガラス基材6の表面61に表面処理層の薄膜(試料4)を形成した。
〔製造例5〕
上記式(3)で示されるフッ素含有化合物100mgを溶媒(エタノール)5gに添加し、室温で10分間攪拌することで、フッ素含有化合物溶液を調製した。得られたフッ素含有化合物溶液を、スピンコート法によりガラス基材6の表面61に塗布し、乾燥させることで表面処理層の薄膜(試料5)を形成した。
〔製造例6〕
成膜条件としてのアノード電圧を200Vに変更した以外は、製造例3と同様にしてガラス基材6の表面61に表面処理層の薄膜(試料6)を形成した。
〔製造例7〕
成膜条件としてのアノード電流を40mAに変更した以外は、製造例6と同様にしてガラス基材6の表面61に表面処理層の薄膜(試料7)を形成した。
〔製造例8〕
成膜条件としてのアノード電流を50mAに変更した以外は、製造例6と同様にしてガラス基材6の表面61に表面処理層の薄膜(試料8)を形成した。
〔製造例9〕
成膜条件としてのアノード電圧を100Vに変更した以外は、製造例2と同様にしてガラス基材6の表面61に表面処理層の薄膜(試料9)を形成した。
〔試験例1〕赤外吸光スペクトル測定試験
試料1~9の表面処理層の薄膜について、フーリエ変換型赤外分光光度計(堀場製作所社製、製品名:FT-730)を用いて赤外吸光スペクトルを測定し、表面処理層の薄膜の成膜状態を解析した。結果を図3A~3Cに示す。
図3A~3Cは、試料1~9の表面処理層の薄膜の赤外吸光スペクトルである。試料1~2、試料6~8においては、熱電子が照射されずに真空蒸着された試料4やスピンコート法により成膜された試料5と比べ、赤外吸光スペクトルが変化していることが確認された。
試料1~2、試料6~8においては、試料4~5と比べ、1350cm-1のCFの伸縮振動及び1250cm-1のCFの伸縮振動を示すピークの強度が弱いことが確認された。一方で、成膜条件としてのアノード電流が30mAの試料3においては、試料4~5と同様の赤外吸光スペクトルを示すことが確認された。
〔試験例2〕X線光電子分光測定試験
試料1、試料3~5の表面処理層の薄膜について、X線光電子分光装置(島津製作所社製、製品名:AXIS-NOVA)を用いてX線光電子分光スペクトルを測定した。結果を図4A~7Dに示す。
図5A~5Dに示すように、試料3~5においては、CF及びCFのフッ素含有基に基づく吸収(290~295eV)が現われているが、試料1においては、CF及びCFのフッ素含有基に基づく吸収が現われていないことが確認された。なお、試料2の測定結果の図示は省略するものの、試料2においても、試料1と同様にCF及びCFのフッ素含有基に基づく吸収が現われていなかった。
〔試験例3〕水接触角測定試験
試料1~5の表面処理層の薄膜に水を滴下し、接触角計(First Ten Angstrom社製,製品名:FTA188)を用いて水接触角(deg)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2023031679000013
表1に示す結果から明らかなように、試料1~3の表面処理層の薄膜においては、試料4~5の表面処理層の薄膜と同等の水接触角を示すことが確認された。
〔試験例3〕表面処理層の薄膜表面の観察
試料1~5の表面処理層の薄膜の表面について、成膜直後及び成膜から7日後に光学顕微鏡を用いて観察した。その結果、試料1~3の表面処理層の薄膜の表面は、成膜直後及び成膜から7日後のいずれにおいても変化していなかった。一方、試料4~5の表面処理層の薄膜の表面は、成膜から7日後においてフッ素含有化合物が凝集し、部分的にガラス基材6の表面61が露出していた。この結果から、成膜源3としての坩堝から蒸発したフッ素含有化合物に熱電子を照射し、当該熱電子が照射されたフッ素含有化合物をガラス基材6の表面61に付着させることで、緻密な表面処理層の薄膜を形成可能であることが確認された。なお、上記熱電子の照射により、蒸発するフッ素含有化合物にエネルギーが付与される。このようにエネルギーが付与されたフッ素含有化合物が基材6の表面61に付着することで、詳細なメカニズムは不明であるものの、緻密な表面処理層の薄膜が形成されると考えられる。上記結果から、エネルギーが付与された成膜材料により成膜されることで緻密な表面処理層の薄膜が形成されるとの予想も可能であるため、基材6の表面61に成膜材料を付着させて形成された表面処理層の薄膜に電子を照射するなど、エネルギーを付与し、緻密な表面処理層の薄膜を形成してもよいと考えられる。しかしながら、基材6の表面に形成された表面処理層の薄膜にエネルギーを付与しようとすると、基材自体にダメージを与えるおそれがある。また、成膜材料を蒸発させた蒸発物に熱電子を照射するだけで当該蒸発物にエネルギーを付与することができるため、プラズマが発生することもない。そのため、基材へのダメージが抑制されるという効果も奏し得る。
〔試験例4〕光学特性評価試験
試料1~5及び試料9の表面処理層の薄膜、並びに表面処理層の薄膜を形成していないガラス基材6(参考試料1)について、紫外可視分光光度計(日本分光社製,製品名:V-550)を用いて反射率及び透過率を測定した。結果を図8A~8Dに示す。
図8A及び図8Cは、試料1~5の表面処理層の薄膜、及び参考試料1のガラス基材の反射率(図8A)及び透過率(図8C)を示すグラフであり、図8B及び図8Dは、試料9の表面処理層の薄膜の反射率(図8B)及び透過率(図8D)を示すグラフである。図8A~8Dに示すように、試料3においては、高透過率及び低反射率を示した。この結果から、アノード電流を30mAとして放出された熱電子をフッ素含有化合物に照射し、基材6の表面61に蒸着させることで、特に優れた光透過性効果及び反射防止効果が奏されることが確認された。また、試料3と試料5とを比較すると、試料3の方が試料5よりも透過率が高く、反射率が低かった。これは、試料3の表面処理層の薄膜の表面の方が、試料5のようにスピンコート法で形成された表面処理層の薄膜の表面よりも高い平坦性を有し、散乱損失が少ないことに起因していると推察される。
〔試験例5〕電気絶縁性評価試験
試料1の表面処理層の薄膜について、インピーダンスアナライザ(ソーラトロン社製,製品名:S1260)を用いてインピーダンス(Ω)及び誘電正接(tanδ)を測定した。結果を図9に示す。
図9における黒丸のプロットはインピーダンス(Ω)を示し、白丸のプロットは誘電正接(tanδ)を示している。図9に示す結果から、熱電子をフッ素含有化合物に照射し、基材6の表面61に蒸着させた表面処理層の薄膜においては、優れた電気絶縁性が奏されることが確認された。
1…成膜装置
2…真空チャンバ
3…成膜源
4…熱電子発生部
5…基材ホルダ

Claims (8)

  1. 基材の表面に蒸着物質を蒸着させて蒸着膜を形成する成膜方法であって、
    下記式(1)で示されるフッ素含有化合物を含む前記蒸着物質を準備する工程と、
    前記蒸着物質を前記基材の表面に蒸着させて前記蒸着膜を形成する工程と
    を含み、
    前記蒸着膜を形成する工程において、加熱された前記蒸着物質の蒸気に熱電子を照射し、前記熱電子が照射された前記蒸気を前記基材の表面に接触させて前記蒸着膜を形成することを特徴とする成膜方法。
    Figure 2023031679000014

    上記式(1)中、Rはフルオロアルキル基を含有する基を表し、Rはアルキル基又はアルコキシアルキル基を表し、R及びRは各々独立して水素原子又は1価の有機基を表し、xは1~100の整数であり、yは0~100の整数である。
  2. 前記蒸着させる工程において、前記基材の表面と前記蒸着物質との間に設けられている熱電子発生部から発生した前記熱電子が、前記蒸着物質の蒸気に照射されることを特徴とする請求項1に記載の成膜方法。
  3. 前記熱電子発生部は、前記基材の表面と前記蒸着物質との間に位置し、前記蒸着物質の蒸気が通過する開口部と、前記開口部の周囲を取り囲むように位置するアノードと、前記アノードを取り囲むように位置し、前記熱電子を発生させるカソードとを有し、
    前記蒸着させる工程において、前記カソードから発生し、前記アノードに向けて放出された前記熱電子が、開口部を通過する前記蒸着物質の蒸気に照射されることを特徴とする請求項2に記載の成膜方法。
  4. 前記式(1)において、yが0であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の成膜方法。
  5. 前記式(1)において、Rで表されるフルオロアルキル基を含有する基が、下記式(2)で表される基であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の成膜方法。
    Figure 2023031679000015

    上記式(2)中、pは0~2の整数である。
  6. 前記式(1)において、Rはメチル基であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の成膜方法。
  7. 前記式(1)において、xが1~10の整数であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の成膜方法。
  8. 前記式(1)において、xが2~3の整数であり、yが0であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の成膜方法。
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